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1958-07-09 第29回国会 参議院 議院運営委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月九日(水曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   委員の異動 七月八日委員小西英雄君及び大沢雄一辞任につき、その補欠として林田正 治君及び松野孝一君を議長において指 名した。 本日委員光村甚助辞任につき、その 補欠として山田節男君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     安井  謙君    理事            斎藤  昇君            田中 茂穂君            小酒井義男君            小林 孝平君            島村 軍次君    委員            後藤 義隆君            柴田  栄君            中野 文門君            前田佳都男君            北村  暢君            山田 節男君            横川 正市君            杉山 昌作君            森田 義衞君         —————    副  議  長 平井 太郎君         —————   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    参     事    (委員部長)  渡辺  猛君    参     事    (記録部長)  岸田  実君    参     事    (警務部長)  佐藤 忠雄君    参     事    (庶務部長)  小沢 俊郎君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   国立国会図書館側    館     長 金森徳次郎君   説明員    調達庁長官   丸山  佶君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○議院周辺整備に関する件 ○国立国会図書館運営に関する件   —————————————
  2. 安井謙

    委員長安井謙君) 議院運営委員会を開きます。  本日は議題二つございまして、書院周辺整備に関する件を一つ検討願いたいと思います。もう一つは、国立国会図書館運営に関する件について御検討いただくということを予定しております。  先に、議院周辺整備に関する件を議題にいたします。  御承知通りに、本件につきましては、昨年五月十三日に、本委員会におきまして、議院周辺駐留軍施設移転に関する決議を行い、関係方面に送付をいたし、その後、予算折衝過程等におきまして、本問題の解決、ことにジェファーソンハイツ問題等につきまして、強く要望するとともに、その解決措置に努力をいたして参りました。過般、新聞紙上の報ずるところによりますと、近く本問題の一応の結論がつくやに存ぜられております。この際、その後の事情等について調達庁当局より説明を聴取したいと思います。丸山調達庁長官から、一応、最近の状況について一通り説明を願います。
  3. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 調達庁長官丸山でございます。  ただいま、委員長からお話がありました国会周辺米軍住宅地区を早期返還する問題につきまして、昨年の五月に、こちらの委員会決議もございました次第でございますが、それがようやく今回返還の時期を明確にすることができた、これを御報告することを非常に嬉しく思うのであります。若干のその後の経過等を申し上げますと、こちらの議決がある前から、実は調達庁は、この問題で米軍折衝しておりましたが、特に議決後は直ちに、当時の調達庁長官でありました今井長官が、当時まだ存在しました極東米軍司令部におもむきまして、この決議趣旨にも基き、従来からの点の促進方折衝いたして参りました。その後は、直接、司令部との折衝のみならず、これらを正規に取り扱うルートといたしまして、合同委員会の中に施設特別委員会というものがございます。この施設特別委員会に付議いたしまして折衝して参ったのでありますが、御承知通り、六月二十二日に岸・アイク声明という、いわゆるそういうものが出されまして、米軍在日配備計画、あるいは兵力というものに大変動の時期が来たのでございます。これによりまして、私どもは実はこれは早くこの問題も解決できるだろうと、こう予想しておったのでありますが、実はそれに基く米軍撤退、縮減の計画、また、それに基く配備の変更は、大体において全国各地の各基地あるいは兵力が、一応、東京並び神奈川地区、特に関東周辺に集結するのが第一予定でございまして、それから逐次、本国あるいはその他の場所へ移動する、そのために、たとえば仙台地区あるいは関西の大津、大阪、京都、神戸という方面撤退予想外促進されたにもかかわらず、むしろ京浜地区関東地区には混雑を来たす、そのような状況であるので、案外、東京周辺の問題もむずかしい、このような情勢が十月ごろわかりまして、これを早期に解決するには、何らか特別な考慮もしなければならないということも委員会を通じて明らかになりましたので、それで当方といたしましても、あれに見合う若干の代替物考える、こういうことによって促進ができるだろうということから、昨年の末から、今度はその代替物、それの場所あるいは規模その他の具体的の検討もいたして参ったのであります。そこで、本年の二月になりまして、ようやく若干の代替物整備ができれば、この問題についても確たる具体的計画ができる、このような情勢になって参りました。その後、それの線について折衝を重ね、具体的に打ち合せをして参りました結果が、一昨日、新聞にも現われましたが、最終的に米軍としては日本側に正式に御回答申し上ることができる、その内容は、まずいわゆるパレスハイツ、あのお堀ばたのかまぼこ兵舎のもの、あれは本年の十月から十二月の間には明け渡しします、それから赤坂のジェファーソンハイツ、これについては今まで検討中の代替物完成した暁には移転をする、それからその他国会の前の教会その他のものがありますが、それらのものは、これらの今の二つの大きな返還に応じて当然随伴して返還になる、これらのことを内容とするところの公式の書面を調達庁が受け取ったわけであります。そのようになるものと承知いたしておるのであります。
  4. 安井謙

    委員長安井謙君) 以上の通りです。御質問ございましたら……。
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の報告によりますと、パレスハイツについては大体年内解決がつきそうですが、ジェファーソンハイツその他はいつになるのか、少し時期が不明確でありましたが、その点はどうなんですか。
  6. 丸山佶

    説明員丸山佶君) 代替物の問題で具体的に折衝をしておりますのは、実は当方が最初出しました、案といたしまして、埼玉県と東京都の境にある朝霞というところのキャンプ内に予定しよう、こういう話から始まりまして、結局、東京都下横田に選定する、こういうことにきまりまして、それに基く計画もほぼ完成しておりますので、これから直ちにその面の工事に入ります。従いまして、利はおそらく来年の今ごろ、夏になるまでには必ずジェファーソンハイツ返還になる、このように考えます。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 パレスハイツの方をあと回しにしてジェファーソンハイツを先に返してもらうということは不可能ですか。
  8. 丸山佶

    説明員丸山佶君) パレスハイツを早くしたのは、実は今の代替物問題が全体に引っかかってくる問題なんでございます。代替物がなければ、とうてい軍側撤退計画が立たない、こういう事情でありましたが、あのパレスハイツは、御承知通りかまぼこ兵舎で、ああいう状況のものでございます。そこで今まで数回、実は現場視察を私ども向う側とも一緒にしたのでございますが、これはいかにもみっともないじゃないか、向う司令官その他の関係者もバッド・サイトと言っておりますが、これはなるほど、いまだに戦争当時というか、特に占領当時を思い出させるような状況でもある。かたがた、あすこへ住んでおる連中も、はなはだ愉快ではない状況にある、こういう事情から、全体としては、今の代替物具体的交渉に入っておるものが完成したときでなければだめであるが、これに関する限りは、こういう状況でもあるから、これは無理してでも早くという話で、今のような予定が立ったのでございますので、あれをあとにして、こっちを先ということはちょっと困難と思います。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 今も長官が言っておられるように、戦後十三年もたって、まだ国会周辺に、基地じゃないが、米軍施設が残っているというようなことは、これは実際どうかしておると思うんです。日本人の感情というものが寛大なのかどうなのか、表現のしようがないくらい、のんびりしておると思うので、おそらく現在の世界の七不思議を探したら、その中の一つくらいに入るんじゃないかというくらいに私は思っておる。特に明年、列国議会同盟会議がこの国会中心で行われるというようなことになると、世界中の議会の代表がくるわけなんですね。そういうときまで、これが残っているというようなことは、非常にわれわれとしても恥しいことではないかと実は思っておるんですが、大体今の報告によりますと、来年の夏ごろには全部片づくだろうという報告なんですが、もう少し、実はこのジェファーソンハイツについては、参議院においても、これが返還された暁の使用についていろいろ考えておる点があるんです。そういう問題をやはり実現をしていく上において、何とかして来年ということでなしに、少くとも明年の三月までくらいには、これを引っ越すようなことができぬかと思うんですが、そういう点について調達庁として今後折衝の余地があるかどうか、そういうよりも、むしろ折衝をしてもらいたいというのが私の気持なんですが、長官見通しがあれば一つ承わりたい。
  10. 安井謙

    委員長安井謙君) ちょっと委員長からも補足して申し上げますが、ジェファーソンハイツについては、おそくも来年の三月ごろまでには一応めどがついて立ちのくであろう、こういう、約束というほどじゃありませんが、見通し調達庁は立てて、今まで国会側と話をされてきておったはずなんです。それがまた夏くらいまで延びるということになると、多少いろいろと国会考え方なり、進め方についても支障を来たす面もできてくるし、パレスハイツが早く立ちのくということは、これはけっこうですが、そこいら調達庁は今までの参議院との交渉経過を少し忘れて話を進めているのじゃないかという感じがするのですが、その点についてもあわせてお伺いしたい。
  11. 丸山佶

    説明員丸山佶君) ジェファーソンハイツ参議院におけるこれについての問題は、実は私も昨年の委員会にも参っておりますので、あるいはまた今の議院当局からも聞いてよく存じあげております。そのために鋭意折衝を続けて参ったのでございますが、今申し上げましたような代替物問題、その解決を乗り越えなければだめなんです。こういうことで、ようやくめどが立ったわけでありますし、この大きなめど目標並びに方針につきまして、米軍日本政府の間の了解が公式につきましたので、従いまして、これからこれの実施についての問題でございますが、先ほど私おそらく来年の今ごろだと申し上げたのは、非常に大事を踏んでと申しますか、これなら大丈夫だろうということを申し上げたのでありますが、もちろん事情を十分に了知いたしておりますので、代替物問題の具体的な実施を極力これから早めまして、お話にもありましたように、できる限り本年度末までにはできるような方策を今後もとっていく、そのつもりでこの問題についての処理をしたい、そのように考えておるのであります。パレスハイツなら、先ほど申し上げたように特殊事情で、あいつは早く取ってもらわぬと、もう何とも国会周辺に、あるいは東京のまん中にああいうものがいまだに残っておる、このような状況はどこから考えてもよくないという事情から早められましたが、ジェファーソンハイツにつきましても、そのような筋道で、お話がありましたようなことに実現したいと思います。
  12. 斎藤昇

    斎藤昇君 ただいま委員長小酒井委員からお話もあった通りでございますが、ことに再来年は列国議会同盟会議をここでやるという場合に、あのジェファーソンハイツ参議院側で取り払う計画をしておるというお話だと思いますが、そういうためにもぜひわれわれとしては促進をしたい、かように思うわけです。アメリカ側としても、そういう際に、この周辺にあるということは気にされてもいいのじゃないかと私は思うのです、そういう事情をもし知れば。そこで横田ハイツ代替物を作るということについて、来年の今ごろまでくらい、これは非常に大事を踏んだという、今、長官お話でありますが、少し早くなりましょうけれども、まだ今後相当日数を要するというのは、どういう点で要するのですか。差しつかえのない範囲で、今後まだこれこれこういうことがあるから、完成までにはこのくらいかかるという点を、もしできれば話していただいて、そしてそこに日にちのおくれるようなネックがあるならば、これを何とか打開できないか。そういう意味から、そのどのくらいかかるという見通しについての時日を要するであろうという内容を少し話していただけないですか。
  13. 丸山佶

    説明員丸山佶君) これから来年までにかかると申しますのは、別に特別なことじゃないので、代替物を作る建造期間の問題であります。その四十戸を作って完成すれば、それによって移転できる、こういうことでございますので、その四十戸を横田基地に建てておるわけであります。それについて、私、専門技術者でもありませんが、これから建て始めて何月に完成しで、こうなればこうなるというところの確定一的なことは今申し上げられませんので、おそらくその工事問題の促進を、これからはかって行くならば、それはお話しがありましたように、年度末までに間に合うだろう、そのような考えから申し上げたのであります。
  14. 斎藤昇

    斎藤昇君 そこで、たとえば敷地の買収がまだできていないとか、あるいは敷地はあったのだけれども予算関係で来年にまたがらなければならないとか、あるいは予算ももうあるし、敷地もできている、ただ工事促進だけだというなら、私は今年中にでもそんなものは作ってしまえるのじゃないかと思う。それが来年の今ごろというのは、ちょっとどうかという気がするのですが、いかがですか。敷地関係あるいは入札関係とか、それがそんなに延びるあれがあるのですか。
  15. 丸山佶

    説明員丸山佶君) いや、敷地ももうすでにきまっておるのであります。別に代替地は要りません。今すでに横田基地の中になっておる場所であります。予算も先ほど申し上げましたようにありますので、用意しておる、従って具体的にこういう話になったわけです。結局これからの問題は、現場を見て、どういうような設計なり何なりというものができて、そうしてそれが入札、それから工事と、こういう段取りになるわけでございます。それでありますので、この敷地、それからそこへ建てるべき建物設計、それの施工というものを、これからほんとうに具体的に米軍側と打ち合わせれば、それらを促進して早く進め、工事にかかれるようにする、まあこういうふうに進んで行くならば、返還の時期をできるだけ早くする、その目標に立って進める、もう何と申しますか、素地と申しますか、大きなものは全部用意ができております。
  16. 斎藤昇

    斎藤昇君 米軍が進駐して来た当時、早くこういうものが要るという場合の日限なんか、一月とか二月でやれと言われて、そのくらいの期間でやったもんなんですね。だからこれからまだ八月、九月、十月、十一月、本年内にまだ五カ月ぐらいあるのですから、一つ年内、十二月までに完成の目的で、私はぜひ促進をはかっていただきたい、そうでなければ、私は怠慢だと、こう言わざるを得ない。
  17. 山田節男

    山田節男君 この今問題になっておる三つのものは、みな宿舎なんですね。宿舎ですから移転する代替物ができれば、その建設も別段私は時間をとるものじゃないと思う。で、これはまあいろいろ委員の申されたように、昨年、院議で決議をして、政府を督励して、もうすでに一年になんなんとしておる今、丸山長官の言うように、これは事務折衝でやった。私もうこれは再来年の列国議会同盟があるなしにかかわらず、新憲法下国会の議事堂の周辺に、今なお占領時代の遺跡をとどめておる、こういうものをとどめておるということは許すべからざることなのである。それで、一つの院として決議したわけだ、これは私は余段になりますが、たとえばボンなんか見ても、三十キロ離れたライン河の上流のかなた、山の中に全部移してしまった、これは五年ぐらいで移している。それがこちらはセンターで、しかも国会周辺にあって、あたかも警護している観を与えるかのごときことは見るにたえない。これは一般国民に対する影響というものは、決して私は無視できないと思う。これは今各委員の言われたように、今の丸山長官事務折衝、私はアメリカ相手にすれば、そんなものだと思う、ところがこれは宿舎移転に過ぎない。横田なり朝霞のキャンプ・ドレイクにハウスがあります。これは膨大な土地がある、横田はもちろん非常に敷地がある、そこに永久的なものを作るのじゃなくて、ほんとうバラック程度のものを作ればいい、今、長官の言われた本年一ぱいということになれば、丸山長官事務折衝として誠実にやっているわけでありますが、これは岸総理なり、あるいは外務大臣に、もっと高いレベルでもって政治的な一つ——これは衆参議長の名前を持ってきてもいいと思いますが、行政当局とすれば、岸総理なり、あるいは藤山外務大臣なり、そういう政治的折衝をして、もっとこれを促進しろということぐらいにしないと、丸山長官行政部門の仕事でありますから、そこには限度がある、ことにアメリカ相手にしてしるわけでありますから、これは一つトップレベルにおいて、この状態を一日も早くあれしたいと私はお願いしなくちゃならないと思います。同時に、今、来年のこのごろまでというお話しでありますが、少くとも本年度、三十三年中ぐらいまで、でき得べくんば十二月までにこれはできるように、何も向うで相当な永久建物を建てるわけじゃないのですから、この点は一つ皆さん協議の結果として丸山長官行政的な事務折衝と相並行して、トップレベルでもう一歩これの促進をはかるようにお願いしておきます。
  18. 安井謙

    委員長安井謙君) お諮りいたしますが、今、各委員からそれぞれの御意見と言いますか、御見解の披瀝があったわけでございます。調達庁長官も、できるだけ急ぐと言っておりますが、今、何分実際の具体的用意もしていないと思いますので、もう一回、月末か来月の初めに具体的な案を聞きまして、斎藤君からも御要望があったように、十二月一ぱいに一応立ち退く計画なり、こういう具体的な計画を立ててもらって、そこで委員会をもう一回開きまして、その上で、さらに必要があれば、今、山田君の言われたような趣旨も考慮したい、そこは、こういうことでよろしいですか。
  19. 丸山佶

    説明員丸山佶君) これは先ほども申しましたように、実はこれは何と言いますか、行政的折衝と言いますか、何よりも、もっと技術的な問題になってきております。でありますので、調達庁としては、この問題は直ちに建設省協議をいたしまして、そうしてその設計なり工事なりの問題でやっていく、その方面がまだ何と言いますか、あるいは現在の段階において、つかんでおりませんので、いつになれば必ずどかせるのだということを申し上げられぬのでございますけれども、そういう技術的問題につきまして、調達庁といたしましても、建設省と直ちに相談いたしまして、めどを立てていく、お話しがありましたように、また機会がございましたらば、その後、御報告もいたしたいと思います。
  20. 小酒井義男

    小酒井義男君 その機会は早ければ月末ごろ、おそくとも来月の十日までには委員会を開いて、そうしてその後の進捗状態をここで聞きたいと思いますから、そのおつもりで、一つ調達庁の方も準備していただきたいと思います。
  21. 安井謙

    委員長安井謙君) そういうふうに運びたいと思います。そうして特に必要があれば、調達庁自分たちだけで説明できないと思えば、建設省一緒に立ち合うようにいたしまして今月の月末か、あるいは来月初旬に、ぜひ具体的なお話しを聞きたいと思います。そういうようにいたしたいと思いますがどうですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 安井謙

    委員長安井謙君) それでは、そのように取り運ぶことにいたします。
  23. 安井謙

    委員長安井謙君) 次に、国立国会図書館運営に関する件を議題といたします。  本件につきましては、去る六月二十七日の本委員会におきまして、金森館長より、過去十カ年間の経過報告を聴取し、一応承認することに決したのでありますが、国立国会図書館そのものの基本的なあり方、あるいは将来のこれからの方針といったようなものにつきまして、非常に関心の深い議員の各位から、さらに実情を聴取したい、こういう御希望もありましたので、本委員会で取り上げることにしたわけでございます。これはどうでございましょうか。一応こういう問題というものを委員の方から提起していただきますか、ごく一般論を先に……。一般論はこの前やるにはやったわけですが。——本日は金森国立国会図書館長山下管理部長吉田建築部長清水調査及び立法考査局長、その他の部長が列席しております。
  24. 山田節男

    山田節男君 今の各位からの意見というのですが、実はこの間、議院運営委員長から本会議報告されたわけです。これはもう報告事項で、承認も何もなかったわけですが、これについていろいろ意見のある人もあったようです。これは委員長報告としてわれわれ了承したのです。きょうわざわざ国会図書館関係者にきていただきましたので、金森館長から、過去十カ年において一体どういうことをしているのか、またどういう成果をあげているのか、また国会図書館の、きわめて簡単でいいから、今日まで金森館長が各部門にわたって、国立国会図書運営に当って幾多の困難があった、隘路があった、こういう点をごく簡単でいいから、われわれに報告していただきたい。それでわれわれの意見をまた聞くことにしていただきたい。
  25. 安井謙

    委員長安井謙君) 館長、今お聞きの通りでありますから、国立国会図書館の要点を……。
  26. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) ただいまお尋ね下さいました点につきまして、問題の中で熟成していないものも、いるものもございますが、大体の方針、今までの動いてきた道行き等関係についてお答えいたしたいと思います。国会図書館ができました当時、両院の御意見が非常に学識的な、進歩的なお考えでございまして、国会というものが立っていくには、あらゆる知識を総合しなければならない。その知識政府から吸収するだけでは不公平である。だからして国会みずからが自分の信頼し得る、多数によって政治の、あるいは行政に必要なる基本知識というものを獲得することが必要だ。ただし、それは何しろ事務当局意見をたださせるのでありますから、それは政策に関与してはいけない。全く資料を集めるというところ、すなわち公平なる客観的な資料を吸収して、あとをいかに処置するかということは、あと政治的な国会の人々が処置するわけである、こういうふうな方針によってできましたのが一つ考えでございます。  それから第二は、そういうふうにして一つ調査機能を持っておる図書館ができますためには、それだけではできませんので、いわば一般図書館的機能というものを根本に置かなければ、貴重な資料を的確に作るということはできませんので、どうしても総合的な道筋をとらなければならないという、一般的、総合的な図書館活動をも、つまり政治的調査機関であると同時に、一般的図書館活動機能をも持った図書館を作りたいという御希望であって、それが今日の国立国会図書館の法に盛り込まれておるというふうに存じております。当時できるときからして、そういうように目新しい問題であり、かなり問題をたくさん含んでおることでございますから、そんなに、なだらかに進行するわけではございません。しかし幸いに過去十年間、国会側が十分に御ご鞭撻下さいまして今日に至ったのでございます。  そこで、今までどんなことをしてきたかということでございます。何しろ全く新しいものができるのでございますから、そんなにあらゆるところから手をつけるということはできません。活動方面というものも漸次実行に移していく、そう一ぺんに事をするものではないという考え方で進んで参りました。何しろ当初はローマの町が二枚にしてできるわけではないというたとえのように、ことに自然発生的な形をとり、日本中のあり合せというと悪うございますが、多くの図書館知識を持つ人の協力を得て事務をとって参ったわけでございますが、そのうちに二、三年たちまして、一九五〇年ごろでございましたか、私ども国会の議員各位、つまり両院の各位の十人ばかりとともに、アメリカに参りまして、アメリカのいろいろな政治的な意味の図書館活動というものを皆さんがごらん下さいまして、それからお帰りになってから、国立国会図書館という日本のものは、その規模等において政治的に必要な資料を整えるだけの力がない、もちろんそうでございますが、力がないといったようなことで、政治的調査の機能を具体的に申しますると、調査及び立法考査局というところの機能を、やや倍ぐらいに強めるという方針の法律に基いて定員等も増加されたわけでございまして、それから活動部門が相当強力になってきたわけであります。従来こういう政治、経済的、あるいは法律的、社会的という部門の調査をいたしますときは、見かけはりっぱにやっておるでございましょうけれども内容はそんなに充実したものではございません。ことに調査事務というものが、やはり一種の専門家でございますから、くせがある。国会の要求に公平に当てはまるようにいっていなかったわけでございます。こういう国会図書館の協力を国会でお勧め下さいましたために、その点は、まず若干の足がかりができたわけでございまして、そのときに私が考えましたのは、国会図書館は、あらゆる資料を主として国会に提供する。あり余るときは、各行政官庁、裁判所、そのほかに資料を供給する。さらに余れば一般国民に余力をもって資料を供給する、こういう建前で出発いたしました。そこで国会図書館の調査に関する人事というものは、よほど気をつけなければならぬのでございまして、何しろ政府とは違って、国会は常に政治活動の中心になっておりますので、そこのいわば実質を構成する、肉となり、骨となるというふうな実質的なところを構成いたしますためには、極力、中立性を持たなければならぬ。もしも少しでもどこかにへんぱな行いがあれば、その設備自身がこわれてしまうというような確信に基きまして、そこで図書館の人事を、品質を選ぶとともに中立性を重んずるというような考えをもちまして、品質を選ぶということは、きわめて非常にむずかしいことでございますけれども、しかし極力そうする。中堅以下につきましては、厳密に資格と試験制度によって採用していく。中堅以上、高きところの者は個人的に精密な調査をする、こういう方針で進んで参りました。口で言えば簡単でございますけれども、実際は、世の中とともに動かなければなりませんので、そう完全にはいっておりませんけれども、今日ごらんのような姿として進行しておるわけでございます。  それから第二の問題は、図書館活動という方面から見まするというと、そこに非常に困難な問題が起って参ります。というのは、図書館活動というのは、行政の一部門になるわけでございまして、学校が行政の一部門になると同じように、図書館というものが行政の一部門になるのであります。行政の一部門になりますと、これは内閣の所属になるのがほんとうでございます。従って、国会図書館といえども内閣に所属すべきものであるという気持が起ることは当然でございましょう。この考え方が、過去、設立当時以後数年の間、表には強く現われませんでしたけれども、内面的にはそうした問題がございます。露骨に言えば、これは文部省の所管であります。もしも、国会図書館が必要であるならば、国会にサービスするほんとうの専門的な図書館であればいいのであります。あと図書館活動の全部は、文部省に所管せしめるべきものでございましょう。これが事実そういう傾きももちますと同時に、また、国会側におきましても、そのような議論が頭を出したこともあるわけでございます。これは非常に厄介な問題でございまするが、しかし、一国の知識の渕藪としての図書館というようなものが、おそらく二つできることは不可能でございまして、資料関係、経費の関係、人間の関係等で、これは完全なるものを一つにするには、多少の紛糾は覚悟して一つのものにしなければならないということで、これは両院の大体の御承認を得まして、今日まで国会資料を提供するほかに、国民全般にあらゆる図書館的利益を供与する、こういうことが現実には御承認を受けて発達してきておる次第でございます。将来、問題がわき起ることは、すでに覚悟をしております。その結果、たとえば国会図書館東京にばかりで、地方に関係を持たぬということは不十分だという議論が、あちらこちらから起って参りまするけれども、私はそういうふうに、よその基盤というものに抗を打つということは、ただでさえ紛糾の起りやすいものを、さらに起す可能性から、極力慎しむべきであるということで、私どもは他と争うのではなくて、やっぱり自分たちのなわ張りを守りまして、ただし、手をつないで行くという形において本問題は解決しようと思っております。そこで、今年くらいに至りまして、やはり地方の図書館に対して不親切である、大学の図書館に対しても不親切であるというような議論も世間に聞くところでございます。これは今のような事情によって、よそに食い込むということは絶対にやらない、ただし、友達としていろいろの活動を便利にしていくということはやるべきだということは、二、三回関係の識者に東京に集まってもらいまして、そういう研究の形で話を進めておりまするが、大体、好意的に考えられているようでございまして、やっぱりこういうところは、われわれの図書館のいい面の一つであると思っております。これは図書館法の中にはっきり書いてございます。それはあらゆる手段をもって、権力的ではなく、しかし実質的に協力するという工合になっております。  そこで、この角度から一つ問題がございまするが、この図書館というものは、一面から見れば、全国の図書館が実質的につながっておるものでございます。仕事の範囲は、おのおのなわ張りを分けなければなりませんけれども、たとえば学校の図書館、公立の図書館というようなものでありましても、図書館活動としては共通の理論と実質があってしかるべきものでございまして、そのうちの一番顕著なものは、日本中のありとあらゆる書物が、今どこにあるのか、どこに申し込めば、それが手に入るのかということが、すぐわかる手段でございしまして、この実行方法は、いわゆるユニオン・カタログというものがこれに当るわけでございます。つまり、全国の目ぼしい所の持っておる書物の全部を系統的なリストにいたしまして、そのリストをめくっていくというと、この書物はどこの公共図書館にある、どこの大学の研究所にあるということがすぐわかりまして、わかれば、これを適当な方法でお互いに借り合うということができるように、どこの図書館とも組み合せまして、どうしてもやらなければならない根本の問題でございまして、私どもの指導方法は、国会図書館法にもそのことを予想しておりまして、国会図書館は、そういうユニオン・カタログを作らなければならないという制度になっておるわけでございます。それができておるかと申しますると、やはり急を要しないという関係で、どうしてもそういうことはあと回しになりまして、今日やっておりませんけれども、全国的には手が伸びて自由に探せるというふうになっております。そういうカードもいろいろ考えまして、若干、たしか三十万ぐらいそのカードを集めておりますけれども、三十万では役に立ちません。どうしても百万くらいそろっていなければ実効的ではないというのでございますが、ちょっとこれは否定的に、空論であると見られておりまして、今日まだ十分なる活動に入っておりません。これは法律にも書いてございますし、われわれとしても、これはどうしても国の中央の図書館でやらなければならぬことであるということは確信しておる次第でございます。  それから次に、全国的に影響を持ちまするような問題、プリンテッド・カードと言っております図書館の本を探すためのカードでございますが、カードというものは何でもないものだ、こういうことでございまするが、何しろ書物というものは、あらゆる人の間に利用せられるものでございまするから、そのカードは、何か共通的な要素を持っていないと使いにくいわけであり、不自由でございます。たとえば一冊の本が出たというときに、一つ図書館でカードを作るということになりますると、なかなか本を分析して簡単に数字として探せるようにするというのは骨が折れます。下手をすれば、一日に一冊か二冊のものしかできないわけでございます。ところが全国的に手をあわせて一つところでカードを作りますれば、それは千、二千の図書館で活用ができる。人件費だけでもうんと少く、かつまた非常に筋の通ったカードができる。これも実は図書館の任務になっております。私どもの任務になっておりまするけれども、なかなか経費その他の関係がございまして、ある範囲ではこれはやってはおります、やってはおりまするけれども、全国的に恩典に浴せしめるということはできません。前から国会関係の方から論議せられておりまするが、そういうカードはただで全国の図書館に寄贈したらいいのではないか、そうしたら国をあげて非常な経費の節約である。これこそ中央図書館の任務であるとも言われております。しかし、これはなかなか経費がかかりまして、そこまでやっておりませんけれども一つの任務と考え、何らかの順序を経てそういう方向に進みたいものと思っておるわけです。それを、今までやるべくしてやっていない点を、ちょっと申し上げたわけであります。  そこで、次に考えまするのは、一体、図書館というのは、最も不経済な仕事でございまして、だれが読むかわからぬという書物を集め、そうしていつでも利用のできるようにするということは、めんどうくさくもあり不経済でもあり、また従って、どこの国の図書館だって、そんなに進歩しないのは、ここに根拠があるように見受けられます。日本で明治以来百年間やっておりまして、ほんとうの発達をしていないのは、やはりこういうところに原因があろうかと思っております。幸いに私ども図書館は、国会の強い支援を得ておりまするために、ある程度、それが自分の怠慢をしない限りは、ある程度までは進歩ができるというような確信をもって——といっても、細々ながら進歩をしておるわけでございまするが、しかし何をやるにいたしましても、それは図書館建物である、こういう言葉、そういう格言があるかどうか存じませんが、実際しかるべきカードがございません。私ども図書館は、今、直轄的には大ざっぱに言って百万持っており、それから幾らか接近したものを集めると二百万になる、そうして今度従属的なものを集めると五百万になる、こういうような書物の分量でございまするが、こういうふうに数が多いものでございますから、秩序整然と動いて蓄積されて利用されていくということは、何をいっても建物が根本でございまして、私ども十年前に図書館を設けるとき、どこかにしかるべき場所はないかと探しました。しかし、どこの役所だって設備を持っておりませんし、貸してはくれません。そこで今の赤坂御所、当時赤坂御所が借用できましたから、そこに入り込んで、今日まで十年たってしまったわけでございまするが、しかし、宮殿の中で図書館をやるということは、これはもう非常に困難なことでございまして、どうしても事務能率的な合理的な設備をしなければならぬというので、私ども図書館ができかけてから、まず建築物を持つということに着手をいたしました。ところが、当時いろいろな関係で、一応の計画は、胸に描かれたものは四万五千坪の建物です。これは実際じゃございませんが、当時の考え方では、四万五千坪のものを持つ、そうしなければ、所定の書物をたくわえ、利用することはできぬ、こういうような考え方が一応できたわけでございます。しかし四万五千坪というのは、とても事実上できるものではないということで、三分の一に減らしますと、一万五千坪ということになります。一万五千坪あれば大体具体的な計画も立つというので、拡張すれば四万五千坪になるという、具体的には一万五千坪の建物を作るという方針を一応胸に立てまして、敷地や何かどういうふうにするかということを探しましたところが、あちらこちらの御尽力によりまして、もとのドイツ大使館の跡に、当時六千坪ぐらいだったと思います、それを中心として計画を作る、四万五千坪は別としても、少くとも一五五千坪の案はできる、その回りに余裕の土地も得られ、将来の発展に応じ得られるのではなかろうか、こういう結論になりました。そこで今度は、その建築に関する委員会を持って、特に国会側、大蔵省側も含め、専門家をも含めまして、図書館建築の方にも臨んだわけでございます。それがだんだんと芽を吹きまして、今日の図書館建築が進んできたわけでございまして、今のところでは、一万五千坪の計画はかなり周密にできております。それから、その一万五千坪のものを作れば、中の使用方法をどんなふうにしてやっていくか、図書館の活動が十分やっていけるかというところも、ある程度まで精密にできているわけでございまするが、とてもその一万五千坪のものを今作るといっても、財政上許されないというので、非公式と申しまするか、半公式と申しまするか、大蔵省とその点を交渉いたしました。で、大蔵省側の財政関係者とかが国会委員会へ出てきて、図書館建築には賛成である、しかし、その順序、方法、経費というものは別問題であるということで、まあはっきりはいたしませんが、いろいろ語尾の間に、将来一万五千坪のものの建築は認めよう、しかし、順序、方法があるから一ぺんにはいかぬと、こういうふうなことでございまして、それがまた、その辺の段階を踏みまして、昭和二十八年ごろから、この図書館の建築が進行いたして参りました。しかし、何しろ経費が要りますので、今日に至りまして、本年度の年度が終るまでを計算に入れまして、約十一億以上の経費がこれにつぎ込まれることになっておるわけでございます。しかし、それでできるものかというと、これから先が——まあ工事は約四割できておるということでございまするが、なお、先の六割というものを、完成期になってきて、いろいろこまかい機械装置などもございまして、相当予算を要することであろうと思います。いつまでたってもできないという、まあ今の感じといたしまして、いろいろ努方をしておりまするが、今のところは、年に五億弱ぐらいの予算しか、ここ数年間はいただいておりません。この調子で行きますると、まだまだ問題は残ると思っております。具体的に申しまして、本年度は一体どこまでできるか。現場で建築は実行いたしておりまするけれども本年度は、もう相当目ぼしい大切なところの工事は、ある程度進行しております。大きく申しまして、新しい図書館は、敷地のまん中に書庫を置きまして、その回りに事務の庁舎がございまして、利用する建物がございまして、回りのどの部屋からでも書庫の中に入れる。こういう形でございまして、従って、中心をなしております書庫に重点を置いております。その書庫は、現在のところ、鉄骨は一次計画に該当する分だけはできておりまして、今後それにコンクリートを詰めたりという方策が、今年から来年度にかけて実行せられるわけでございます。その回りに作ります事務庁舎、つまり調査をする役所でございます。書物に属するいろいろな用途がございまするので、その事務の庁舎を作っておりまして、今鉄骨は南側と東側の二面が、ほとんどある高さまでできております。ことしの間に高さ五階の辺までは建物ができる、全部ではございませんが、今の計画に属する分だけについては、五階の高さまではできるということになりまして、相当先の方は具体的に明瞭になっているわけであります。何しろ今後の経費の中で一番めんどうくさい機械装置、たとえば空気とか、湿度とかいうことに関する機械装置が入り用になりまするし、たくさんの書物、推計いたしますれば二百万以上の書物、もっとふえますけれども、さしあたり二百万以上の書物が随時に取り出せるという水平及び垂直の輸送機、コンベヤということで、なお相当経費が要ると思います。私の趣旨といたしましては、図書館は世紀の時代を表わすりっぱな建築物であると、こう町では言っておりますけれども、しかし私は、ただ書物を利用する実用的な施設にすぎないと思っておりまするので、奢侈的なものはほとんどございません。しかし、のっぴきならぬ少数の部分だけはいたしておりますが、ほんのぎりぎり一ぱい建物と予想いたしておりますが、それにいたしましても、温度、湿度、照明、それから物を輸送するコンベヤ、それに通信の施設、本を出すときに、それを要求する簡便な通信施設というものも必要になって参りますので、いろいろと頭を悩ましておりまして、昨年までの、この国会関係の方を通しての大蔵省との話し合いによりまして、何とはなしに、ことしを含めて三年、つまり昨年から計算をすればまる二年の間に建築物それ自身はできる。そしてそのあとでは利用の段階に入れる。これは話し合いの段階で証拠はございませんが、何となくそういう話し合いになっておりますが、なかなかそれが、果してうまくいくかどうかということにつきましては、口の先では、どうしてもできなければならぬと、こう主張するかもしれませんけれども、いろいろ事情考えると煩悶をしている次第でございます。
  27. 小酒井義男

    小酒井義男君 図書館の地面とか、あるいは建築物のことについては、非常に館長から詳細な説明があったのですが、ただ、新しい図書館ができない現状で、そういう条件のもとで国会図書館の任務を遂行するために、内容的にどういう問題があったか、聞いておりますと、その内容があまり触れられておらぬようなのです。私ども聞きたいのは、でき上るまでは、やはり現在の建物の中で、その与えられておるところの、あるいは今、館長の言われておるような理念に向った活動を積極的にやっていただく以外には方法がないと思うのですが、そういう面から見て、現在までの状態、たとえば人的の配置であるとか、あるいはそういう館全体の管理と言いますか、運営と言いますか、そういう点について、あまり、今の報告を聞いておりましても、そういう点については関心が薄かったんじゃないかという印象を受けるんです。今の御報告を聞いておっても、そういう内容についてまで触れられませんから。そういう点に私は問題があるいはあるのではないかと思うのですが、館長として、現在の状態がこれで完全なものであると考えておられるのか、これは何とかしなきゃならぬ点があるというようなことをお気づきになっておるのか、そういう点を私は承わりたいと思います。
  28. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 図書館の人事行政というものが、いろいろ疑問を流しておるようなことは漏れ聞きます。けれども、実態が果してそうであるかということになりますると、これは完全なものというものはございませんので、今、御指摘のような点はございまするけれども、大体におきまして、ここまできたという気持でございまするが、ちょっと中身を申し上げておきたいと思います。  こまかいことは別にいたしまして、人事行政の中で、先ほどは中正であり、能力があると、こういうように申しましたが、これはどこへ行っても通用いたしまするが、実際、人を充実していくというときにどうするかというと、何か、上の方、中の方、下の方と、人間の能力から見ますと三つに分けることができると思います。一番、頭になる者は、これは日本で、そうひけ目のない、ある専門については一人か二人とかいうような、そういうことによりまして経験と学識とがそろっておる人を集めて充実するというのでございまして、それは、そううまくいくものじゃございません。けれども、私どもとしては、当初からその計画をもっていろいろと手段を講じております。今日は専門調査員というものは二十三人でございまして、そのうちの九人は、従来、自然発生的に順を追うて図書館でこさえたものでございます。あとの十四人は、行政的見解によりまして入られたものでございます。その順序をどういうふうに考えるかというときに、この九人とあとの十四人は、多少私どもの判断の方法は違っておるわけでございます。当初の九人の方々は、一人々々これを選びまして、かなり図書館の前途を考え、活動を考えますると、こういう各方面の識者が必要であるということで、一人々々調べて採用をいたしました。それで大体形が整ってきたあとに、十四人の方方、これはまあ全体的に見て能力もあり、経験もある方ということでお入りを願ったわけでございまするが、そういうふうに多量的に採るときに、そう一々、こういう仕事がこの人でなければならぬかということは、はっきりはきめかねるのであります。大体のところで、まあ有無相通ずると申しますか、多少はほかの能力を発揮していただき、全体としては、この人たちでよかろうということで採用したわけでございます。採ってしまいますと、過去を通じての二十三人の人というものは、採ったときと採った後の活動というものには、多少の変化が出てくるわけでございまして、時代の変化によってぴったりとしないということも間々あり得るのでございまするが、それはまたいろいろなことでございまして、甲の点が衰えても乙の点が進んでおるという、こういう人事の非常に丁重でなければならぬということ。まあ私の腹の計画で、あるいは思い余ったことかもしれませんが、私は当初この図書館ができたころ、ほかの勢力によってぶつつぶされてしまうのであろうと、こういう懸念を持ったわけでございます。従って、つぶされないようなしっかりした人を採ってくれという主張を強くして、そういう計画で人選をいたしましたが、なかなかそう思うように行きません。そう完全に行っておるとは思いませんが、まずまず前後を通じて二十三人の方が、世の中にそんなにひけをとることはないと思っております。というと、またほかからいろいろ悪いうわさが出てくる。職務をなまけてばかりいる、仕事をしない、こういううわさも起ってきておるようでありますが、私の全体についての見たところでは、そういうことはないと思います。ちゃんと自分の任務を果しているのが普通であります。非常に希有な一、二の例が、多少そこに問題がございます。けれども、このくらいの特殊の人材になりますと、こういう長所、短所を合せ考えなければなりませんので、今日幾分の問題になるところは、推測いたしまするけれども、大体においてそんなに言われるほどにはなっておりません。これがいわゆる一人一役、そういう粒よりの人たちでございます。  第二に、中堅的な者、事務の計画をし、同時に個々の集団を指導していく事務の中核的な者は、これは当初、店を出すときに、そんなに一々両院に探すわけにいきませんので、ほかの役所から似たような経歴の人を探すというようなことでございまして、多少種類の違った、毛色の違った人もあると思いますけれども、だんだんやっておりますうちに、一つの思想、一つの理想に燃えるようになって参りました。それから新しい人々、これはもう例外なく、中堅層は相当な経歴——学校経歴が主でございます。経歴を持っておる人であり、しかもごく程度の高い採用の試験をして中に入れまして、そうしてだんだんと地位を高めているわけでございますから、どこだって人がたくさんおれば、何かもつれも起りますが、今のところ私はそんなにもつれはないと確信しております。当初、この図書館ができたときは、大へんでございまして、過去のイデオロギーを自分で持っておる、しかも衆議院と参議院と別々に、その場所に備わるイデオロギーをしょって、二つのグループとして図書館に入ってこられたのでございまするから、しばらくは円滑に行かなかったことは、これは事実でございます。しかし十年たちますると、おのずから落ちついて、今日懸念すべきごとはないと思うのでございます。ただ、多数の人がおりますると、その中には多少不謹慎——不謹慎というのは、事実を正確に見きわめないで放言をするという人がございまして、その放言がいろいろ風波を起し、何となく図書館の中の人事が紛糾しておるというふうな疑惑が起りまするけれども一つ一つの具体的な基礎において、まず言うほどのことはない。これは自分のところを弁護しているわけではございません。ことに人間は昔と違いまして、自由自在に任免できるものではございません。やはりその人のいいところを生かして、その全体の充実をはかっていきたい、こういうことでございます。  それから次に、低い方の職員と申しまするのは、ごく若い、あるいは若い人に類する活動をする方が大ぜいございますが、これも理想的には私は試験制度で採りたいと思っております。けれども、初めからそうもいきませんので、できた当時は、三十人、四十人の人をふやすときにはそうもいかない、いろいろ学校経歴を主にして採りまして、その後すべて試験または試験にかわる選考によるということによって、一人一人何らかの考慮を加えてきておるのでございますが、そこに私ども自身心配をいたしましたが、人間の採用は今日の世の中では勢力の背景をもって行われておるという面もございまして、世間一般のものでは、コネクションによって人が就職するということが公知公認のごとく言われております。私ども図書館はそういうことは絶対に避ける、どんなことがあってもコネクションだけで人をとることはない、この原理は堅持しておるつもりでございますが、しかしまあ、そこにごく軽い臨時の人々につきましては、何かその人の身柄に信用のおけるというようなことで、簡易なケースもございますけれども、それはよくよくの例外でございまして、全体としては、きわめて公平に、むしろ憶病なというふうの非難を受けるような採用をいたしております。個々につきまして、個人の何かくせでもって、いろいろ言う人があるにしても、筋の通った大綱というものは、私は今のまだ状態のもとでございまするから、いろいろこれは人事行政の中に欠点もございましょう。けれども、その一番終局の問題は、結局、給与が悪いということに帰着するわけでございまして、給与が潤沢であれば、ある程度人々は志を得ることができますけれども図書館はそこのところで二重の悩みを持っている。一つは、中に採る人はほんとうにいい人でなければなりません。従って経歴、学識等につきまして、やはり高い標準の人でなければならぬことは動かすべからざる原理でございます。しかし他の一面におきまして、今日の財政の方の方針は、人間を大づかみに分類いたしまして、この分類の人はこれだけの予算でやっていくべきものであるという思想がある、ごとに人間をふやさないという一つの原則によりまして、どんなに緊急の必要があっても容易なことで人件費はふえない、もしふえるというならばアルバイトをふやす、せいぜい妥協点がそこにあるということでございまして、これはやむを得ないことでございましょう。図書館のようなところでやっていくときには、それが非常に厄介でございまして、同じような力のある人が偶然のことで取扱いが違っておるということもあり、法律でできたワクがございますので、どうもそれに拘束されるというと不平も起り、不公平も起る、あるいは苦情が多少外に現われるということもあり得るわけでございまするけれども、しかし現在のところは、あり得るというだけでございまして、そう現実に、まあ私どもの目から見ますると、現実には大した紛糾は起らない、われわれが注意して、その災いの起ることを今後骨折って直して行こうと思っておるわけでございます。しかも人事というものは妙なもので、いろいろな風説、根も葉もないような風説によってたび散りますると、図書館の人事行政が非常に乱れておるというふうにうわさせられるわけでございまして、私経験をしておりまするけれども、当初私ども図書館の副館長が、これはまあいろいろうわさもあったようでございますが、責任は私にございますが、私一人の力ではやれないけれども、そういうようなことで何かできますと、副館長に何か外国から苦情がくる、国内からもいろいろうわさが起るということで、まあ私はそれを弁明するに骨を折りましたが、これは結局は根も葉もない一種の憶測からきているもので、どうもそういうものが自然、人事の中にはあるのでございまして、もし私のやった人事の中に悪いことがあり、それがために大きな災いを生じており、そこに不公平もあるというならば、具体的のことを伺って弁明したいと思っておりますが、私の見るところでは、そんなに世間の、小さな例をたくさん集めてみて、そう取り上げられて悪いところはないと、こう思っております。結局、先ほどの話に戻りまするが、われわれが一番うまく人事をやれないということは、人事に対する予算が足りないことでございまして、しかも露骨に申しますると、衆議院と参議院国会図書館、この三つが一つところに固まっておるわけでございますけれども、仕事の性質やいろいろ役所の立場によって、ひがみ根性かもしれませんが、私どもは衆議院や参議院は、予算とかそういうことについて非常に有利な立場にあると思うわけでございますが、私どもの方は何といっても事務的なものでございまするから、人を優遇する道はございません。ことに欠員を作らないというのは、それはまれに一人や二人は短期には起りますけれども、原則として欠員を作らないで、定員をすべて充実するという方針をとりますと、世間のものさしで、俸給は少い、しかも欠員を置かないので実際的には給料は豊かになり得ない、しかも各人はまた理想を追い求めておるということで、これはどこでも問題はありますが、その中でそんなに非難されるような不公平な扱いは絶対にないものと私信じておるわけでございます。  それで、今度、もう一つ他の方から非難が出ておりますが……。
  29. 安井謙

    委員長安井謙君) 簡明に。
  30. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) もう一口だけ。ほかの方は図書館が古びたんじゃないか、こういう非難がございます。図書館ができてから十年でございまするから、その初めは新鮮であった。おそらく若過ぎる、トップ・ツェビイは別として全体は若過ぎる、こういうのでございますが、十年経つというと、もう空気が変って古びておるじゃないかということでございまして、これは非常に重要な問題でございまして、私はこれは始終気をつけて行かなければならぬと思っておりまするが、しかしその中で特に、何せ仕事が仕事であり、人材を得られないという部門もあるわけでございまするから、古びたから実質上役に立たないと言えば、これは問題になりますが、ただ年令が古くなり、コケがつき過ぎたというだけで、そう簡単に押し切れるものではないと思いますが、この点は微温的ではございますけれども、近ごろ公務員の間で認められておりまする種々の方法で、自分で自発的に退いてもらうというような道も順次考慮はしておりまするけれども、しかし今日、人事制度の問題はもう少しはっきりした筋が立たない限りは、なかなかそういかないのでございます。大体そんなことでございます。私の今申し上げたいことはこの辺でございますが、なおお尋ねによりましてお答えしたいと思います。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 私どもとして、決してうわさや何かここで取り上げてどうこう言おうと思わぬのですが、館長が毎日朝から晩まで館に出勤されることは、これは当然なことだと思うのですが、館長の目につかぬ、あるいは耳に入らぬこともあるいはあるかもわからぬ。やはり図書館現場館長にかわって、いろいろな問題を判断し、あるいは調査、管理をしていくという、そういう仕事はやはり副館長がやられるのだと思うのですが、そういう点について、今のお話で、もしそういうことがあれば、気のつかぬ点があれば是正をするにはやぶさかでないというお話があったのですが、まあ一ぺん世間の常識で判断して、そうしてどうもおかしいじゃないかというような問題があれば、いわゆるこれは是正をされると思うのですが、その点はどうですか。
  32. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) それは十分是正をするつもりでおります。まあ、しいて探索をするというわけではございませんけれども、そういうふうのうわさにつきましては始終気をつけておるわけでございます。しかし、実際今までのところは問題はございます。ございまするけれども、その是非善悪につきまして、そういう世間の判断と同じように、私ども考えにくい場合が多いのでございます。しさいに見ますると、世間の非難よりも、もっと二重、三重に深入りして考えなければならぬ、そこに意見の差の起るものが一つ二つはあるのでございますが、よく考えて間違いのないように進めたいと思っております。
  33. 小酒井義男

    小酒井義男君 館長、失礼ですが、何か図書館予算も十分とれないし、思うように仕事ができないというようなことで、幾分いや気がさして、もうやめようかというようなことを考えられたことがあったんですか。せんだってごろ、ちょっとそんなうわさを耳にしたのですが、あるいはどっかからやめよという話でもあったのか、一つ
  34. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは全く私は自分で一言も言ったことはないし、私の頭の中に何を考えておるかということは、外に出すまでは私の秘密でございまして、ただ、どうであるかということは答弁をちょっと避けるわけでございますが、実際、一言半句も私はそんな意見を表明したこともございませんし、それにいや気がさしてやめるということは、それは私の立場といたしまして、人からやめろと言われれば、これはやめます。淡白にやめます、その適当な筋から言われれば。けれども自分の自由意思で、今日の段階でやめるだけの気持は持っておりません。ただ、まあ人間というものは年令とともに古びるのであって、もう衰えてくるわけでございまして、それを押し切っていくということは疑問であり、私は今お話に出ましたが、毎日、図書館に出ておるのであります。ほかの用事があるときは例外でございますが、そうでない限りは図書館に出て、およそこの関係に触れるということは、みんなキャッチしておるのでございまするが、実際実情を言うと、老いたる者がその一つのセクションを主宰するということは弊害も多かろうと、ひそかに思っていまして、その点は考えつつも口には今まで決して出したことはない、こういう実情であります。
  35. 山田節男

    山田節男君 先ほど金森館長から、創設以来のいろいろ御苦労のお話を伺いまして、これは私どもよくわかるのです。ただ私は、国会議員の中では一番国会図書館に御厄介になっておる一人なんで、私感じますことは、たとえば一例を申し上げると、この立法考査局に、ロンドンのタイムスとか、マンチェスター・ガーディアン、ニューステーツマン・エンド・ネーション、エコノミスト、それからニューヨーク・タイムズ、週刊タイム、その他ライフ、こういうのがありますが、要するに、今日、新聞がエアエディションによると、タイムスにしても、マンチェスター・ガーディアンにしても、エコノミストにしても、エアエディションがあるにもかかわらず、一ヵ月半くらいおくれたような古新聞が置いてある。私は見るに見かねて、一体この国会図書館として一ヵ月半もおくれたものを見るなんて、こんなばかなことがあるか、一体金がないのかと言ったら、金がない、じゃどっから買うのか、雑誌もアメリカ新聞もユーシス(USIS)から無料でもらってるというようなことを聞いて、国会図書館は一体何をしてるんだ、今年度の予算でみずから購入するようにやかましく言うたことがあります。たまたま芦田均さんに——芦田さんも河上丈太郎さんも、あそこへときどきこられて、一体、国会図書館で備えつけのタイムズが一ヵ月半もおくれるなんていうのはセンスがないねということで、実は私そんなこと外文句を言って最近まできておる。それから赤坂の図書館なり、三宅坂の洋書の方へ私はときどき行きますが、カタログがあるけれども本がない。一体どうしたんだというと、調査専門員が持って帰ってしまって、ここにないというのです。これはずっと見ると、やっぱり調査専門員なんかが、それはいろいろ翻訳とか、読んでいるのでありましょうが、少くとも国会議員が目たいと言ったら、これは優先的にこっちへサプライするのが当然なんです。そういう点について、これは国会図書館の職員がせっかく今、館長がおっしゃったけれども、りっぱな職員がおって、質はいいかもしれないけれども国会図書館としてのサービスはどうか。私は昨年の上月に、西独首府ボンの国会図書館を見、ワシントンのコングレス・ライブラリーに行きましたが、どうもコングレス・ライブラリーとして、すなわち国会図書館としての、私は義務と責任があると思う。しかも国会というバックがあるのですから、早々の間において、われわれは金森さんのような有能な、しかも先輩として、ああいうライブラリーの館長として私は非常な期待を持っている。しかし五年たち、六年たち、マンネリズムの一つのスタグネーションの現象が現われている。何といっても開館後十年たっている。いまだにそういうものをあすこに置くということは、国会というものに対する一つのサービスという面から考えてもらわなければ……。  それから昨年ですが、私はレファレンスを愛読しておりますが、その表紙のところに色がついている。私は立法考査局長を呼んで、一体、国会図書館のパブリケーションに色をつけるとは何事だ、イギリスにしても、ドイツ、フランスにしても、アメリカでも、民主国家は、国家関係の出版物に色をつけることはない。そのテーストが下品だと思います。今日、民主国家として、ますます尊厳さを保たなければならない。出版物でもそれだけの気持を持たなければならない。こういうようなことで私はセンスを疑うということまで申し上げておるのであります。  こういう点から見て、りっぱな人がいることに相違ありません。ありませんが、しかし、一つのマンネリズムに陥っている。これは政府機関に口をすっぱくして言いたい。首脳部がバイタリティをもって、日常においてどうするかという企画性がない。なれてしまっている。いわゆる国会をバックにして一つの沈滞と言いますか、これがすべてマネージメントに起きている現象なんです。これは周期的に、五年もたつと必ず起きます。そういう点が、金森さんのような有能な館長を持ちながら、なぜそういうサービスがちっとも改善されないのか。私どもは非常に不便を感じているわけです。サービスが足りないのです。あれほどのスタッフを持って、なぜこういうようなことができないのか。私は国会というものが、参議院図書館に行っても生気がないじゃないかと私は面罵したこともある。何か一つ希望を持って——給料が少いこともわかっている。要はライブラリアンとしての職務を、もう少しはっきり一つ目的を定めてもらって、それで追い回されれば、労働時間がどうのこうの、給与がどうのということは覚悟のまえでやるということ、これは勇気を持ってやってもらいたい。  あれやこれや見ますと、この十年間というものは、なるほどいろいろな不平やまた、少い予算館長に御苦労をかけている。これは私は確かにあると思う。少くともマネージメントにおいて、いかにバイタリティを吹き込むかということを考えなければならない。この点で私は非常にあきたりないというと失礼ですけれども、諸外国の例を見ますと、一体この国会図書館にはほんとうのライブラリアンがいるかどうかを疑いたくなる。昨年、ボストン図書館の日本人ライブラリアンが、国会図書館運営と研究に来ましたが、国会図書館を見せて、あとの印象を聞いてみたわけですが、失礼ながら、一体、日本の国会図書館に真の意味の、近代的な意味のライブラリアンがいるのかどうかを疑うと申していた。  私はオックスフォード大学のボーデレン・ライブラリーに五、六年厄介になっておる。昨年行きましても、そのサービスというものはいいし、企画は非常に遠大なものだ。今日は六百万の蔵書を持っている。なおゆうゆうとしている。こういうようなことを見ると、ライブラリーのマネージメントは科学的なマネージメントでなければならない。一例を申し上げれば、今のようなタイムズを一ヵ月半も国会の図書室に置くというようなことは、これは国会のライブラリーとしての権威に関することだ。しかしあるのです。衆議院や参議院にかなりあるのです。それを整理しておけば、何月何日のがほしいと行けば、すぐ出せるわけです。これができないとだめです。これは先ほどから、あなたはいろいろ御説明があったが、それはわかるが、しかし官長としての使命です。また、あなたの代理者として副館長がいます。館長としてはもちろんいろいろ外的な交渉もあるから、おひまが少いのは当然だ。しかしながら、アクティブな副館長として、あなたのよきアシスタントとしてやらなければならない。これが今長い病人で仕事がほってあるということ、こういうようなことでおられることに対して、あなたの人情はわかります。わかりますが、マネージメントとしてのあなたの峻厳な立場に立てば、これは国民のためです。そういう方面において、あなたが年をとったとおっしゃった。御老体です。しかしその精神をあなたが含まれれば今日のような、こういうまるで灯台もと暗しというか、国会の直属の機関でありながら沈滞しきっておるというこの現状は、あなたがいかに弁明なさろうとも、厳然たる事実です。これを今後も放置するということは、館長並びに副館長としての責任である。ですから、いろいろあなたとしては、これに対して御弁明の理由はありましょうけれども、今のような状態を今後も続けて行くというのは、われわれとしては黙視できない。これは単なる風評とか……私みずからこれは経験して、そして私の目から見て、スタッフが動かない、希望を持たない、これは金の問題じゃないのです。そこに一つあなたはフレッシュな気持を持ち込んでやるという責任があると思う。そういう点において、これはあなたも御承知通り、外国の例を見れば一番よくわかる。こういう点をもう少しアクティブに、そして広く使う。あなたお使いになれるのですから、館長として、副館長として常に監視して、そのやるべきところをやらす。そういうようなことから、今おっしゃったように、専門調査員が二十一名おるというけれども、なるほど十数名は常任委員会ではみ出てしまったのだから、これは国会の責任においてあなたにお預けした。これはいろいろ粒がありましょう。しかし、少くとも専門調査員が二十三名おれば、毎月レファレンスの百ぺージ内外のものを出しておるのは、もっといいものが出なけれならぬと思うのです。レファレンスいっても、これは全国的に見ているのですから、ですからもう少し編集しても、内容にしても、二十三人のものが動けば充実したものができるのじゃないか。それから本のカタログを常にやかましく言って、少くとも英米書に関する限りは常にやかましく言っておる。現状では六月に購入したものが、九月以降でなければカタログに載らないというのろさである。これもうイブラリー・サービスとしては最も怠慢と言わざるを得ない。何から見ても、非常にこれはあなたに対して失礼だが、今日のスタッフは沈滞しきっておる。それにあるいは風評かもしれませんけれども、外郭団体を作ってしまって図書新聞とか、いろいろ出ておるということをわれわれ聞くのです。こういうことは、国会の中で、国会に直属しておるものが、たとえわずかのものでも、道徳的な問題として、風評にでも出るということは、これは館長は、もしそういうことをあなたがお聞きになったらあくまであなたの証場から糾明しなければならない。そういうものをほうっておくというようなことになると、もういわゆるあなたの部下のモラルというものは非常に低調になると思う。これは私は厳として争うべからざる事実だと思う。そこにわれわれ衆参両院とも、ことに議運の諸君が——、こうして安井委員長から報告がありました。しかしこれも私から言わせれば、これは数として荷千件ということを委員長が非常にはなばなしく報告している。しかし国会図書館に行って見ても、まるで受験準備の学校じゃないか。高等学校の十五、六歳のものがほとんど七、八分、ここが問題だと思う。何千件といっても、一体サービスというものを考えると、これはわれわれ国会議員としても反省しなくちゃなりませんが、これは私は何千件という数で争う必要がない。ことに、今日なおこれは建設の時代ですから、これは私金森先輩に対して非常に失礼な言葉ですけれども、私は現実にあなたの部下というものは非常に沈滞しきっている。モラルの点で考えて見ても非常に低い。何とおっしゃっても私自身の証拠ですから、来年度の予算の編成に当っても、もう少しあなたの方で清新な気持でやっていただかないと、あなたにできなければ副館長にやらして、副館長が身体的に健康的に悪いなら、これをやめさして、フレッシュなアシスタントを得て、あなたがおやりになるということでなければいかぬのです。
  36. 安井謙

    委員長安井謙君) 途中で恐縮ですが、問題がデリケートになるようですから、必要によりましては、秘密会か何かの形で、ゆっくり機会をあらためて御相談したい、きょうは概略を聞いた程度で、この程度にしたいと思いますが、簡単にお願いします。
  37. 山田節男

    山田節男君 館長に特にお願い申し上げたいことは、こうして、もう新しく本館もできるのですから、事務的な方面、スタッフの改善、近代的なライブラリアンの養成、科学的な経営、それにはそれにマッチするだけの人を——あなたは遠慮される必要はないと思う。このことは、むしろ私はあなたがワンマンとして率先しておやりになるということが、私は今後の国会図書館をより発展せしめるのにはどうしても必要だと思うのです。これに対する決意を私は固めておいていただきたい、そこから、おのずから私はいろいろな問題は解決すると思う。これは強くお願い申し上げておきます。
  38. 安井謙

    委員長安井謙君) 今だんだんお話しのような通りでございまして、館長としてもいろいろな言い分と申しますか、お話もあろうかと思いますが、きょうは時間も相当経過しておりますし、一応このくらいにしまして、さらに必要に応じまして、理事会等でも相談しました結果、何らかの方法で、さらに必要な点があれば、もっと違った角度でよく調査をし、検討もするというようなことでやりたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会