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1958-08-29 第29回国会 参議院 外務委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月二十九日(金曜日)    午後一時十二分開会     —————————————    委員異動 八月四日委員内村清次辞任につき、 その補欠として佐多忠隆君を議長にお いて指名した。 八月十一日委員山本利壽辞任につ き、その補欠として鹿島守之助君を議 長において指名した。 八月二十五日委員寺本広作辞任につ き、その補欠として斎藤昇君を議長に おいて指名した。 八月二十七日委員斎藤昇辞任につ き、その補欠として増原恵吉君を議長 において指名した。 本日委員鶴見祐輔辞任につき、その 補欠として寺本広作君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青柳 秀夫君    理事            森 元治郎君    委員            鹿島守之助君            笹森 順造君            津島 壽一君            寺本 広作君            苫米地英俊君            野村吉三郎君            増原 恵吉君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            曾祢  益君            安部 清美君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査の件  (国際情勢に関する件)     —————————————
  2. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) ただいまから外務委員会開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本月四日に内村清次君が委員辞任されまして、佐多忠隆君が補欠選任されました。  十一日に山本利壽君が委員辞任されまして、鹿島守之助君が補欠選任されました。  二十五日に寺本広作君が委員辞任されまして、斎藤昇君が補欠選任されました。  二十七日に斎藤昇君が委員辞任されまして、増原惠吉君が補欠選任されました。  本日、鶴見祐輔君が斎員辞任されまして、寺本広作君が補欠選任されました。  以上でございます。     —————————————
  3. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 本日は、国際情勢等に関する調査議題とし、藤山外務大臣に対し質疑を行うことといたします。  なお、外務大臣出席は都合により三時までとなっておりますから、この点お含みの上、御質疑をお願いいたしたいと存じます。  藤山外務大臣から発言を求められておりますから、これを許可いたします。
  4. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先般、国連緊急総会に行って参りましたので、その御報告を申し上げたいと思います。  今次緊急総会は、さきに安保理事会におけるレバノンジョルダン問題の審議が、何らの成果をもあげ得なかった事態にかんがみまして、国連第五総会において採択されました「平和への結束」決議に基きまして召集されたものでありまして、議題といたしましては、もちろんレバノンジョルダンよりの提訴に関する件となっておりますが、事実的審議内容は、米英軍撤退に関し、円満かつ実際的な解決方式を見出すとともに、あわせてレバノンジョルダンをめぐる中近東問題全般にわたる検討を行うことにありました。  ハマーショールド事務総長は、開会初日会議において特に発言し、国連事務当局として中近東問題解決基本的要件として、レバノンジョルダンにおける国連活動の強化、アラブ諸国間における内政不干渉、主権及び領土尊重の原則の再確認、中東における経済開発必要性、難民問題の解決等諸点を示唆いたしました。  一般討論は八月十三日より開始されましたが、劈頭アイゼンハワー大統領は、中近東平和計画として、左の六項目、すなわち、レバノンに対し国連が適当な措置をとること、ジョルダンに対し、その政治的独立及び領土の保全を保証するため国連が適当な措置をとること、国外からの内紛の助長、すなわち間接侵略を阻止すること、国連平和軍の設立、アラブ諸国生活水準向上のための経済開発中近東における諸国間の軍備競争の激化を回避するための措置というようなものを口頭で演説を述べられ、提案をされたのであります。  次いで、グロムイコ・ソ連代表は、米英軍中近東における事態が安定するまで駐留すべきであるとの議論は排撃すべきであり、中近東経済開発構想には原則的には反対ではないが、今次緊急総会撤兵問題より逸脱すべきではない旨強調いたしました。英国を初めとする西欧諸国代表は、いずれも大国の脅威にさらされた小国の正当政府の要請があった場合には、右正当政府を救援するための出兵は正当であるとの立場より、米国政府の提唱しました事態収拾策を支持し、特にアイルランド代表は、中近東諸国中立化及び非武装化提案を行い、注目を引いたのであります。  共産圏諸国及びA・Aグループ諸国アラブ連合インドインドネシア等米英介入を非難し、米英軍即時撤退を要求し、その他のA・A諸国中イランパキスタン等中近東における政治的安定が国連措置により回復せられ、もって米英軍撤退が実現し得ることが、望ましいとの趣旨演説をいたしております。  日本代表団といたしましては、本件安保理事会における審議以来のわが方の立場にのっとりまして、中近東問題が世界平和につながる重要なる課題であるにかんがみまして、国連としては、今次緊急総会において、単なる過渡的弥縫策としての解決をはかるにとどまらず、問題のよって来たるゆえんを探求かつ分析し、将来における恒久的解決策を可能ならしめる契機とすべきであるとの立場より、中近東問題の長期的解決策に関しては引き続き、第十三総会において審議を行うこととし、今次緊急総会におきましては、将来における問題の解決を容易ならしめるため、最も望ましい形においてすみやかに米英軍撤退を可能ならしめるための方式を案出することがその任務であり、また、総会の目的と一致したものであるということを考えておった次第であります。  一般討論開始後、ノルウェー代表は、米英代表とも協議の上、ノルウェー案と称する決議案を作成し、十六日右案をわが方にも提示して参ったのであります。そしてでき得れば共同提案されたい旨要請して参りました。当方よりは、同案によれば撤兵の時期を明示することはたとえ困難なりとするも、今次緊急総会において多数の代表より表明された米英軍早期撤退に対する強い希望は何らかの形におきまして決議案に明示せられる必要あること、また、米英軍駐留が当然正当化されおるがごとき字句は削除または修正せらるべきこと、等の諸点につき当方意見を述べましたところ、ノルウェー代表右意見を了とせられ、関係諸国代表協議の結果、撤兵の時期を明示することないしは早期撤兵が望ましいとの趣旨を明示することの点を除きましては、当方希望はすべて受諾せられるに至りました。  本代表といたしましては、緊急総会一般討論における所信表明の際にも明らかにしました通り中近東問題の解決に当りましては、当該地方における正当なる民族的願望に対し、正当なる理解と同情をもってせねば、問題の永続的解決は困難であると考え、右の立場より今次緊急総会において成立すべき決議案アラブ諸国側よりの正当なる希望はこれを容れる必要あり、従って、決議案はでき得る限り全会一致のものにすべき旨各国代表に力説いたした次第であります。  本代表といたしましては、十四日国連到着以来、米、英、ソ、アラブ連合を初め主要関係国外務大臣、諸代表とでき得る限り密接に連絡し、各国意向を聴取するとともに叙上のわが代表団立場を説明いたしました。特に米国ダレス長官とは二回、アラブ連合ファウジ外務大臣とは三回にわたり意見交換を行い、アラブ連合側の主張とノルウェー案との調整に極力努力いたした次第でありますが、右努力が結実いたしませぬ間に、インド代表団よりノルウェー案に対する修正案及びインド独自の案が非公式に提出され事態はますます紛糾して参ったのであります。本代表といたしましては、終始アラブ諸国側が同調し得る決議を成立せしめることが、今後におきます事務総長任務を達成せしめ得るかぎと考えまして、関係各国間の意見調整努力いたした次第でありますが、十八日夕刻、アラブ連合外相と会談いたしましたる際、アラブ諸国による決議案提出動きとその内容につき説明を聴取いたしましたが、右構想が翌十九日朝アラブ諸国代表間において一応決議案の形にて合意せられ、右決議案に対する各本国政府よりの正式受諾の訓電を待ちまして、かつ米英その他関係諸国受諾意向を確認した上、右決議案は正式に提出せられたわけであります。  右アラブ諸国による共同提案は、その提案に至る経緯に見ますと、またその内容より見ましても、日本基本的立場と符を一にするものであり、わが代表団といたしましてはきん然これに賛成の意を表した次第でございます。  私といたしましては、アラブ諸国代表が、現存する諸種の困難を乗りこえ、本決議案提出にまでこぎつけましたことを実にうれしく思いますとともに、米英両国政府が、アラブ諸国のイニシアチブを歓迎し、その共同決議案を支持せること、さらにノルウェー代表右アラブ共同決議案提出にかんがみ、ノルウェー案の票決を特に求めない態度に出ましたことに対して、深い尊敬の念を払った次第でございます。  このようにいたしまして緊急総会満場一致のもとにアラブ決議案を採択いたしたのでありますが、今日すでに事務総長中近東において、その使命達成のため努力中であります。いずれその報告に基き、中近東問題は来たるべき第十三総会におきましても審議される可能性もあると思われます。問題の恒久的解決はまさに今後に残されている次第でありますが、今後とも問題解決のため地味な努力を続けますことは国連加盟国、特に安保理事国としてのわが国の義務であると考える次第であります。  以上簡単ではございますが、緊急総会の御報告を申し上げました。
  5. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 岡田宗司

    岡田宗司君 中近東の問題が国連緊急総会によるアラブ諸国決議案満場一致で採択することによりまして、どうやら落ちつきを見せ、解決べの道を歩み出したのであります。ところが、最近に至りまして、日本のすぐ近くにおいて、すなわち中国沿岸において、中国軍隊台湾国府軍隊との間に武力衝突が起りました。そうしてこの問題が今度はまた大きな国際的な危機にまでなりそうな気配を示しておるのであります。私どもは、これは近いだけに、また、同時にわれわれはこの国際緊張のうちに巻き込まれるおそれもあるように思いますので、この点については深い関心を払わざるを得ないわけであります。おそらく外相としてもこの問題については深い関心を払っておられると思いますが、この問題を私ども見ますというと、どうも外国の武力干渉というようなものがあるために非常な危険を感じられるわけであります。金門馬祖両島があの中国福建省沿岸にありまして、福州なり廈門にきわめて接近しておる。そしてここに国府軍がいるということは、中国にとりましては横腹にあいくちを突きつけられたようなものでありまして、その上にこの両島に強力な軍隊があり、要塞がありまして、そうして国府軍隊が常にその警戒態勢をとり、あるいは飛行機また艦船がそこを往来しておるということは、中国にとりましては廈門なり福州の沿岸が封鎖されておる事態にひとしいと思うのであります。そういうようなことが原因になりまして、常にあそこには中国側から見ればあれを何とかして片づけなければならぬ、国府軍撤退させるか降伏させるか、とにかくあの二島を中国側の範囲におさめなければならないというようなことが考えられておったのであります。これが今日の国際情勢の変転とも関連があるのでありますけれども中国は今日武力攻撃両島に加え出したと思うのであります。すでにロンドン・タイムスなんかでも、あの両島国府軍がいるということが常に武力衝突の種になる、もうあそこの国府軍撤退することがいいであろうというような見解も披瀝されておるのでありますが、一面において、国府軍の方は、あそこを死守するという態度をとっておりますし、また、アメリカは、今日なお、直接まだ介入はしておりませんけれどもすでに第七艦隊はあの辺に集中されておりますし、第六艦隊のうちからも航空母艦がすでに派せられておる。あるいはフィリピンなり台湾なり沖縄からも向うにいつでも行けるような状態にあるということ。もしあそこの戦争が拡大して、アメリカ軍がこれに介入するということになって参りますというと、事態はいよいよ紛糾して、国際的な危機が非常に大きな問題、日本にとっても危険な事態になると思うのでありますが、こういうような事態について、まず、外相はあの事件はどういうような性質のものであり、また、どういう方向に発展していくのかということについて、どうお考えになっておるか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
  7. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 最近に金門周辺に起りました事態につきましては、日本としても隣接地域における問題でありますので、重大な関心をもってこれを見守って参らなければならないことは当然のことであります。従いまして、それらの問題について、できるだけわれわれとしては正当な判断をしながら事を見守っていくということが当面の一番重要な点だと思うのであります。  今、岡田委員がいろいろ御指摘になりましたが、この金門周辺の問題というのは、やはり国府並びに中共側における長いいろいろな歴史的関係から出ておるわけでありまして、問題の解決というものは、やはりいろいろ大きな過去の歴史的なことから見て非常な困難な問題であると思うのであります。従って、そうした問題について、われわれが現在軽々にいろいろな判断を下しますことは非常に困難でもあり、危険があると思うのであります。ただ、こうした地方的な紛争といえども、それが大きな戦争の誘因になるというようなことについては、われわれ日本として、現に第三次世界大戦というようなものが起ることを望んでおりません国として、また、特に極東におきます日本の位置から申しまして、十分そういう事態に発展しないように今後留意して参らなければならぬのであります。そこで、そういう意味においてわれわれは現在の事態を見ておるわけであります。これらの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ過去の歴史的な事情もあります。従って、簡単にどれそれの原因から今度の問題が起ったと断定的にきめることは、私は非常に危険なことで、また一方、世界情勢の大きな動きの中における一環の、一つの流れというものとしてもあるいは見て参らなければならぬところもあろうと思うのであります。でありますから、現在の段階においては、一方においてこれが拡大しないことを念願し、また、拡大しないような立場において日本としてはこれらの事態を十分公正に判断していくということが適当なことであろうと、こういうふうに考えておるわけであります。
  8. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の外務大臣のお話ですと、拡大しないように念願しつつ、とにかく静観をするということであるようでありますけれども、しかし、事態はきわめて急速に展開をしつつありまして、私は、非常な危険が日本にも差し迫ってきておるという感じがしてならないのです。それは、日本が、日米安全保障条約によりましてアメリカ軍日本駐留することを認め、日本軍事基地を提供しておる。で、今日、私は、アメリカ軍がこの基地中国紛争のために使っておるかどうか、これは私知りませんが、しかしながら、安全保障条約行政協定の規定によりますというと、ここにおけるアメリカ軍は、完全なる行動の自由をとることを許されておるわけであります。そして、アメリカ軍はいつでも日本飛行基地から飛び立つことができるし、アメリカ戦闘に従事する戦闘態勢を整えた艦船も、日本の軍港にいつでも入ることができ、出ていくことができるわけです。従いまして、あの台湾海峡における軍事行動に、日本アメリカ軍基地なり日本におけるアメリカ軍というものは密接なつながりを持っておりまして、従って、そういうことになって参りますというと、その基地を提供し、アメリカ軍駐留さしておる日本も、とにかくこの危険に巻き込まれるということに相なってくるわけであります。私ども、それを非常におそれるのであります。この事件が、ただそのまま、あそこの二島の問題だけで終って、たとえば国府軍全面降伏をしてしまうとか、あるいは撤退をしてしまって、前の大陳島の問題みたように片づきますならば、その危険は去るでありましょうけれども、しかし、今日のアメリカ態度等から見ますというと、必ずしもそういうふうに早く解決されそうにも思えないのでありますが、そうなってくると、今言ったような日本地位からいたしまして、巻き込まれる危険があるということであります。もちろん、法律的に言えば、安全保障条約並びに行政協定に基いてアメリカ軍行動をすることに対して、日本は異議を差しはさむ余地はないかもしれません。しかしながら、政治的に考えますならば、われわれは、これは重大な問題として取り上げなければならぬのであります。外務大臣としては、その点はどうお考えになるか。また、そういう際に、アメリカ軍日本基地を利用し、また、ここにおるアメリカ軍がこの戦闘に参加するということに対しまして、外務大臣は、これをやらせないようにアメリカに申し入れをする、あるいはアメリカ協議をするというおつもりがあるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  9. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 金門周辺事態が非常に困難な事態であるということは、私ども考えておるわけであります。ただ、現在、アメリカにしましても、ソ連にしても、あるいはおそらく中共も私はそうだと思いますけれども、大きな世界大戦争に発展するような考え方をおそらく持ってないし、また、そういうことは人類に非常に不幸なことになるということを考えておるのではないかと私ども考えておるわけであります。たとえば中近東問題の解決に当りましても、お互いに互譲妥協の精神をもって問題の処理に当ったわけでありまして、そういう意味からいいまして、これがこのまま、大きな問題として発展させるようなことにはならないのではないかという、われわれとしては観測をいたしております。ただ、しかし、問題はやはり若干でも軍事行動があることでもありますし、おのずから脅威というようなものもあるわけでありまして、そういう点について、心配がそれでは絶無であるかといえば、必ずしも拡大されないということまで現在の段階で言い切ることもできないと思われます。こうした問題については、やはり非常に各国とも慎重な態度をもってむろん善処して参らなければならないので、私どもとして、現在これが拡大するということを予想していろいろなことを想定することは必ずしも適当ではない、むしろ最小限にこれをとどめる方法というものをどういうふうにして考えていくかということにまあ考えを深めて参る必要があるのではないかと思うのであります。まあこれらの点につきましては、アメリカその他の態度もわれわれ十分見ながら善処して参らなければならぬのでありまして、そういう点について、紛争が不拡大に終るような努力をできるだけしていくというのが、まず当面のやはり日本としては考えをして参ります一つの筋道ではないかと思うのであります。しかし、そうした大きな戦乱が起った場合に、日本はどういう態度をとるかというような問題について、現在、必ずしもいろいろ考えて参りますことは私は適当ではないんじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。
  10. 岡田宗司

    岡田宗司君 私がお伺いしているのは、現にあそこでは戦闘状態にあるわけなんです。少くともまだ中国側アメリカ軍との間の撃ち合いは始まっておらないけれどもアメリカ軍戦闘準備を整えて出動しているということは明白なんです。その場合に、この周辺にある日本軍事基地アメリカ軍によって使われないということは保証できない。また、日本におけるアメリカ軍隊——空軍なり海軍なりが日本から進発するということも、これも予想されることなんです。そうすると、日本がこの中国アメリカとの戦闘の、実情は砲火は交えておらぬけれども、武力的な衝突を予想されるような事態に巻き込まれるわけで、これは私は否定できない。もちろん藤山外相の言うように、われわれも事件が拡大しないこと、そして何とか早く平和裏解決されることを望んでおる点については変りないわけでありますけれども、しかし、現に日米安全保障条約行政協定というものがあって、そういう事態になりつつあるということをわれわれはまた看過するわけにはいかない。従って、そういうようなことがもうあらかじめ予想されるのでありますから、そこで藤山外務大臣が、もちろん法律的に日本アメリカ軍に容喙する権利はないけれども、しかし、物事は法律的な解釈だけではなくて、やはり政治の大きな動きからして日本地位を安全ならしめる。そして不安を除去するという意味からいたしましても、これはアメリカ軍に対して、今度の問題について日本基地を使わない、日本から進発しないというようなことについて、当然申し入れて私はいくべきであると思うのでありますけれども、そういう措置は必要ないとお考えなのか、あるいはそういう措置も近くとらなければならないとお考えになるのか、その点を明白にしていただきたいと思うのです。
  11. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 極東戦乱日本が巻き込まれることは好ましいところでないことは、これはもう申すまでもないことであります。ただ、今日の金門周辺事態がすぐに大きな形において米軍出動になるとか、あるいは米軍出動ということは、やはり、さらにもっと大きな意味における戦闘になるわけでありまして、私ども日本立場からすれば、そういう事態の起らぬように努力もして参らなければなりませんし、まず第一に、そういう問題について正しい判断のもとに、そういう事態が起らぬように努力するのが、私は当面の当然日本としての立場だと思うわけであります。極東の部分的な戦乱というものは、決してそれ自体が部分的な戦乱で終らないことを考えなければならぬのでありまして、そういう意味においては、最小限に部分的な軍事上の行動その他の問題が相互理解の上に立って、とにかく拡大されないような方法をとっていく、そして、それによって日本がそういう事態に当面し、あるいは日本が巻き込まれるということのないような努力をして参る必要があるわけであります。でありますから、われわれとしては、できるだけそういう努力をするということ、その前提として、正しく事態を把握していくということが、当面の一番の問題でありまして、今、それ以上に日本がどうするかということを申し上げる時期ではないのではないか、こう考えております。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は端的にお伺いしているんです。その、日米安全保障条約に、行政協定に基いて今、日本におるアメリカ軍が、やはり戦闘態勢を整えておるだろうということは予想されるんです。なぜならば、地中海方面における第六艦隊の一部をさいて、アメリカ軍は東洋へ回しておるぐらいなんですから、従って、最も近いところにある日本におけるアメリカ軍戦闘態勢に入りつつあるということは、これはもう何人も推定できるところなんです。そうすると、日本におるアメリカ軍日本基地から進発するということはあり得ることなんで、それは直接日本がこれに関与せざるを得ない立場に置かれてくるのであります。そこで、その問題について、どうするのか、何にもしないでいるのかという、あるいはアメリカ軍に対して日本から進発することはやめてくれということを申し入れるのか、どっちか、その点をお伺いしているんで、解釈の問題とか、あるいは、今静観するとかしないとかというような、そういう抽象論をお伺いしているんではないのでありまして、その点をはっきりさしていただきたい。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は現在の事態において、これが不拡大、そうして問題の終息というようなことを希望しておるわけであります。が、しかし、この原因というのは、先ほどもお話のありましたように、あるいは私が申し上げたように、一つの歴史的な過程を経た事実問題の上にあるわけでありまして、そういう個々のやはり根底にあることを考えていきますと、たとえば軍事行動を将来拡大される場合に、どっちがいいのか、どっちが悪いのか、というような問題は、やはり日本としても相当に考えてみなければならぬ問題でありまして、日本戦乱そのものに巻き込まれるというようなことについては、それはわれわれ好んでおらないわけでありますが、しかしながら、そうした好ましくない発展をする場合には、その発展の方向というものを、そういう問題についてはわれわれも十分な研究をしてみなければ、現在の事態におきまして、ただ単に仮定の事実の上からだけでどうするということは、私は申し上げかねると思います。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 事実上アメリカ軍警戒態勢に入っておる、これはもうまぎれもないことです。そこで私は具体的にどうするかということをお伺いした。そうすると、現在のところ、アメリカ軍日本基地から飛び立っておるか、飛び立っておらぬか、それは私知りませんけれども、しかし、形勢から見て、もしアメリカ軍日本基地から飛行機を飛ばす、あるいは艦艇が日本から出るという場合に、これは外務大臣としては黙って見ておる、何にもしないと、どっちがいいんだか悪いんだかわからないからそれはほおっておくのか、こういうおつもりなのか。そういうことは日本国民に非常な不安を与えると思うんです。われわれはこの紛争に巻き込まれることになるということを非常に不安に思っておるわけでありますが、そういう不安に巻き込まれることになるんですが、それに対して藤山外相は黙ってただ事態を静観しておる、こういうおつもりですか。
  15. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この大きな戦乱に発展していくという事態については、やはりそれぞれ発展する過程において、問題の当事者間にいろいろな私は原因があるだろうと思います。従ってこれらの原因について一方的な今判断を下すことは困難だと思うのです。むろん立場と見方によりまして、一方的な立場から問題を判断するような場合もあり得るかと思いますけれども、まあそうした立場から言いますれば、やはり公平に見て、こういう問題についての拡大は、何もどちらが誠意があったかと、そういうような軍配を上げる必要はないと思いますけれども、しかし、われわれは、やはり紛争の過程における動きというものを十分静観して参らなければならぬのでありまして、それを公正に判断した上で、われわれのとるべき態度というものはきまってくるのではないかと思うんです。しかし、何はともあれ、ともかく金門周辺におきます事態がこれ以上拡大しますことは、われわれとして好まないことであります。そういう意味においては、できるだけこれらの現在の事態最小限の範囲内において終息することを念願し、また、それに対して努力するというのが当面の私は問題ではないかと、こう考えております。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 私の聞いておることには何もお答えになっておらぬ。私はアメリカ軍日本基地を使う、そしてここから進発することが、日本国民に非常に危惧の念を与える、また、日本自身も巻き込まれるおそれがある。それに対処して、どういう具体策をとるか。アメリカ軍に対し、あるいはアメリカ政府に対して、あなたがどういう策をおとりになるかということをお聞きしているのであって、一つも答えにならぬ、これはお答えになれないかもしれない。ともかく私どもも非常な危険がある、こういう観点から、日米安全保障条約か、あるいは行政協定なりというものを、やはりこういう問題と関連さして、われわれはさらに検討をしてみなければならぬと思うのでありますが、そういうような点で、日米安全保障条約なり、あるいは行政協定なりについて、あなたは、これを再検討し、あるいは改訂を要求し、あるいは廃棄を要求するというようなことをお考えになったことはないのか。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日米関係の基本的ないろいろな問題の調整をすることは、日本が戦後十数年たっております今日、私はやはりある程度調整をして参らなければならぬという考えでありまして、そういう意味から言えば、日米関係の一つの骨であります安保条約、その他の問題についても、やはり日米友好関係を促進する上における立場から、また、日本自身の平和を希求する立場から、十分にこれは考えていくべき問題だと、こう思っておるわけであります。そういう意味において、今後日米間の調整という問題においては、そういう問題が一つの問題点としてあげられることは必要であり、私もそういう考え方のもとに現在おるわけであります。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 その問題はさらにあとでお伺いすることとして、過日、日米安保委員会が開かれました。おそらくアメリカ側からいろいろな今度の中国周辺の問題等についての説明もあったことかと思います。また、日本の防衛問題等についての協議もなされたと思いますが、特に私どもはこういう危惧の念を持っておるのです。現在の金門、馬祖の戦闘が広がる、あるいはまた広がらないまでも、あすこを境にして、中国と米国との軍隊の対峙が強くなって参るということになった場合に、日本が協力を求められる、これは日本の自衛隊の出動という形ではなくとも、いろいろな面でアメリカ軍行動に協力を求められることはあると思います。それは、かつて朝鮮事変の際に、アメリカ軍日本に協力を求めて、日本はこれに協力したという形がある。これは兵隊を送った形ではありませんけれども、輸送の面において、その他いろいろな面において協力をしておるのであります。もし今度アメリカ軍の方からこれを、軍事行動を助ける意味の協力を求められました場合に、日本はこれに応ずるつもりであるかどうか。あるいはまた、そういう場合にどういう態度をとられるか、巻き込まれないために、これは拒絶されるつもりであるかどうか、それをお伺いしたい。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) アメリカとしても、今日金門周辺事態を拡大する意向のないことは、これはもう、私アメリカの真意だと考えます。ただいま岡田委員の御質問は、何か非常に拡大されたときの協力ということを言われるのでありますが、いかなる事態の上にいかなる協力が求められるかということは、現在判断をしにくいのでありまして、そうした事態の上に立って、あるいはもう、そうした事態に発展した場合の、その事態の基礎の上に立って、その問題については判断をすべき私は問題ではないかと思うのでありまして、現在そういう事態が起っておりませんときに、仮想的にそういう事態判断して、そして協力するとかしないとかいうことを、私が申し述べるのは適当でないのじゃないかと、こう考えております。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは今の問題はその程度にいたしておきまして、次に、国連の通常総会に臨まれます場合の問題について、お伺いしたいと思います。  第一点は、原水爆の実験の停止の問題であります。この問題については、過去二回日本は失敗をしておる。国民の目から見ましても、まことにどうも醜態であったと思うのでありますが、すでにソ連は実験停止を七月三十一日に声明をしておる。最近米英もまた実験停止を、条件付ではありますが声明をいたしました。この三国の間における協定ができる可能性も生まれてきたということは、私どもとして非常に喜ばしいことであると思うのであります。しかしながら、他面においてフランスのごとく、これに反対をいたしまして、フランスは独自の道をゆくのだ、それでわれわれは核実験の権利を留保するのだという態度をとっている。そうすると、三国で協定されましても、なおフランス国初めあるいはそれに次いでほかの国でも原水爆を作って実験をするというような事態が起ってくる。そうなればせっかく三国で協定いたしましても、これもくずれることになる。従って、これは国連総会によりまして、議決をして、広範な国際協定を成立させる必要が、この際一そう痛感されるわけでありますが、藤山外務大臣は、この総会において、再び実験停止のために、国連総会日本として決議案提出する、それでそれを全会一致で成立させるように努力されるおつもりであるかどうか、これをまず第一にお伺いしたい。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国連におきます核実験の問題は、昨年と本年と、様相を申しますか、事情が大きく変化しました。御指摘のように、ソ連が自発的に実験禁止の声明をいたし、最近になりまして、米英両国が同じ条件のもとに声明をいたしているわけであります。従いまして、そういう事情下にあって、今お話しのように、これをまず第一に恒久化していく方向を考えていく。同時に、この三カ国が問題だけでなしに、この三カ国の態度を恒久化していくというばかりじゃなく、今御指摘のように、その他の国というものを含めたあるいは世界大と申しますか、そういうような方向に、その趣旨が徹底していくように努力して参ることは、日本政府が今日までとっておりました核実験禁止問題に対する態度として当然なことであります。ただ私は前の、岡田委員日本の過去二回の各提案が、世界の物笑いの種になったと言われるのですが、しかし、国連の場において、実際に問題の処理をやっていくということになりますれば、必ずしも理想論だけで終始するわけにはいかぬ、やはり一歩なり二歩なり前進する立場において、まとまる範囲内においてまず問題をまとめていく、それがやはり拡大の一つの基盤になっているのではないかと思う。まあ昨年の日本提案が、必ずしも私どもとして、当時の国連の実際的事情からいって、あの程度まとまることができるならば一歩前進ではないか、あるいは半歩前進ではないか。また、その基盤の上に立って、さらに進み得るのじやないか。本年は、昨年われわれが考えておりました程度までは、ある程度ソ連、英米両国がきておりますから、さらにそれを推し進めていく努力は当然するわけです。ただ一気にこれがすぐに世界大の協定に拡大できるか、あるいは少くとも三国間の協定だけは恒久化するような努力を、さしあたりする方が適当なのであるか。そこらは国連全般の空気その他に見ました上で、われわれも考えていくのであって、あまりに極端な理想案を出しましても、それがかえって総会の総意を得なければ、半歩も前進しないことになるわけでありますから、そういう意味においてお話しのように、すぐ国連の中における世界大の協定に進み得るか、あるいは少くとも声明をしただけの国の形の声明が、恒久化するように努力することがまず当面の問題点ではないか。そこらは私、国連に参りましてよく事情を見た上で、日本としてとるべき立場というものを考えていくのが適当ではないか、こう考えております。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 極端な理想案が現実性のないことは私どもよくわかっておる。しかしながら、現実々々といって、いつもそれに足を引っぱられてよろめいておりましては、これはどうもいい結果が得られない。どうも最近の状況を見ておりますというと、そういうきらいがあると私は先ほど申し上げたのです。今度も向うへおいでになりまして、まだ三国の協定でよろしいのか、あるいはこれを国連決議にし、さらにこれを全世界を含む協定にまで持っていくことがよろしいのかお迷いになって、おるようでありますけれども、三国協定の基礎はすでにできておるわけでありますから、今度は国連を通じてもう一歩前進させるという態度をとっておいでになることが私は至当だと思うのですが、まだそれはおきまりになっておらぬのですか。
  23. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まあ岡田委員の言われますように、三国の協定というものは、まあ考え方というものはある程度一致してきておりますが、それが現在の段階で必ずしも私はまだ恒久化されるところまでいっているのじゃない、恒久化する努力というものをわれわれはまずする必要があると、そうしてその恒久化された上に立ちますれば、また、たとえばフランスに対しても三国が共同一致した態度で臨み得るのじゃないか、そうでないと、たとえばフランスを入れるために三国の歩調が乱れるというようなこともあり得るのじやないかというようなことは、私は実際の国連の場においてもやはり考えていく必要があるのじやないかというふうに考えておるわけでありまして、そういう意味においてこの事態が急速に進展しておりますから、それらの問題についても、私は決して世界大のこういう問題の決議を成立させることを望んでおらぬわけではありませんけれども、半歩なり一歩なり前進していくという立場からいいますと、また、実際的にそれが有効に成立していくことを考えますと、まあ当面どういう状況にあるかということをもう少し国連総会議場における各国の動向等もながめた上で考えることが適当じゃないかと、こう思っておるわけであります。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 慎重はけっこうでありますけれども、臆病になって右顧左眄して出しおくれて、よそが出して日本がくっついていくというような一つばかなことにならないようにお願いしたいと思う。  次に、今度の国連総会でもって問題になる大きな問題は、中国国連における代表権の問題だろうと思う。現在国連における中国は、台湾政府の代表が安全保障理事会においてその位置を占めておりますが、過日の中東問題が起りましたときにソ連中国の間で会談が行われました。それらの結果から見ましても、最近における中国の外交政策、あるいはその他から判断をいたしましても、なおまた、アジア・アラブ諸国動きから見ましても、おそらく今度の総会においては、国府中国代表権を行使しておるということは、これはきわめて不自然なことでありますが、それが必ず問題になってくると思うのであります。特に安全保障理事会に日本が席を占めておるわけでありますが、ここでも必ずこの問題が出てくるだろうと思いますが、この問題に対して日本はいかなる態度をもって望むか、これはまあ日本中国との関係を将来律していく上にも大きな問題でありますが、この問題について外務大臣はいかなる御見解をお持ちになっておるか、お伺いしたい。
  25. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 来たるべき第十三回国連総会におきまして中国国連における代表権の問題がお話のようにおそらく出るかと思います。この問題は毎年の総会において問題になっておるわけでありますから、特に本年だけ出ないということはないし、また、本年だけ特に出るという問題でもない、日本としては今日までとっておりました態度を特に今変更するという考え方は持っておらぬわけであります。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは毎年出ておる問題であることは私も承知しております。しかしながら、ことし出るということはかなり大きな意味がある。それは中国地位が非常に強いものになってきており、世界各国もそれを認めつつあるということ、特に中東問題について直接地理的にも何も関係のない中国が、ソ連を通じてであるけれども、とにかく発言権を持ったというようなことを見ましても、これは中国自身も強く要求してくるであろうし、世界の各国もただ毎年出る問題だというので済ますのではなくて、特にアジア・アラブの国々はこの問題について相当真剣に考慮してくるだろうと思うわけであります。そこで去年とことしとは相当問題の性質が変ってきておるわけです。そういうような情勢を抜きにして、ただ去年とことしと同じだから、ことしは同じ態度でやはり臨むのだということでは済まされない問題ではないかと私は思うのです。現在中国は、六億の国民の支持を得ている今の北京政府がやはり非常に強固な政府になっていることは言うまでもないのでありますが、経済的な発展も見るべきものがありまして、アジアにおいてのみならず、やはり世界における実力のある国になっている一方、台湾は昔は蒋介石の政府が中国全体を代表する政府でありましたけれども、今日はこれはもう中国代表する政府とは言えないと思います。ただアメリカの財力と武力によりささえられる台湾は、澎湖島、金門島それから馬祖島を管轄下に置いている政府にすぎない。これを中国の政府としておくということは、これは非常に不自然なことなんです。日本がこういう不自然な態度をとり続けていくということは、これは将来において日本の国際的地位を安定さす上にも非常に禍根になることでありまして、私はここいらで中国に対する日本考え方は相当改めなければならない。そして日本の対中国外交路線というものも、これは不自然なものから自然な方向へと進めていく時期が来たと思います。その際に、たまたま国連においてこの問題が大きくとり上げられようとしておるときに、まあアメリカとの関係を考慮されておるわけでありましょうけれども、しかし、従来のままのアメリカとの関係を考慮されたままでは私は済まない事態が将来起ると思う。この際、中国国連における代表権の問題についても、藤山外務大臣はここらで政策を転換する必要があるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  27. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 中共のそのものの動向、あるいは今の大きく動いております世界の政治の中における中共の問題というものは、これはわれわれとしても十分そのときどきの事態に応じて見て参らなければならぬ問題でありまして、当然そういうことを見ていくことは必要なことだと私も考えております。ただ現在までの段階におきまして、われわれが今日までとって参りました国連の中における中国代表権の問題を今にわかに今日までの態度を変えるのが適当であるとは必ずしも私現在考えておりません。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、それでは今度の国連総会に臨むに際して、アメリカ側とまあいろいろな問題について話し合いをされると思うのでありますが、このアメリカ側との話し合いについて、やはり私は一番大きな問題は世界的な平和の維持の問題でもありましょうし、また同時に、この極東方面においては直接に中国に対してどう対処するかという問題、それから防衛問題等いろいろあると思うのであります。さらにまた、日米安全保障条約の問題にも触れられると思うのですが、過日読売新聞の伝えられるところによりますというと、自民党においては、日米安全保障条約を廃止して、そして相互援助条約、相互防衛条約を結ぶ方向に持っていく話しをするんだというような記事が出ておるのでありますが、これは相互防衛条約といたしますというと、今日の憲法と抵触する点が非常に私は出てくると思います。現在の日米安全保障条約においてもそういう点が、たとえば自衛隊の問題等についてそういう問題があって、常に論議を重ねて参っておるわけでありますが、もし今申し上げましたような相互防衛条約というようなことになりますというと、これは今ここで詳しく申し上げませんが、憲法との抵触が非常に大きいのでありますが、果してこの新聞の伝えられるように、日米安全保障条約の改訂あるいはこれを廃止して思い切って日米相互間の相互防衛条約というようなものをお作りになるような方向に話を進められるのかどうか、それをお伺いしたい。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 安保条約の問題は非常に重大な問題でありまして、今日、政府においても、自民党においても、先般読売新聞に出ておりましたような線を決定いたしておるわけでもございませんし、それらについての意見の交換が行われておるわけでもございません。従いまして、私がアメリカに参りまして、ああした線で何か交渉をするということ自体は現在考えておりません。ただ、日米間に友好親善を増進するため日本の外交の基本的な一本の線である日米協力というものを強めて参ります上から言いましても、やはり日米安保条約のできましたあのときの環境から見ますと、現在の環境というものは相当に変化を来たしておる。日本の置かれております地位等についても相当な変化ができておるわけであります。そういう問題をアメリカ側と十分話し合ってみ、意見の交換をしてみますことは、私はこれはやはり日米友好関係を増進する日本の外交の基調としての一つの非常に重大な問題だと思うのです。従って、今回私は、何か特定の問題の解決に行くのではないということを申し上げております。従って、意見の全般的な交換はする。がしかし、意見の交換をする場合、世界情勢でなくて特に日米間の問題になりますれば、いろいろな問題を例示して説明する必要が相互了解の上に必要だと思うのでありまして、そういう意味において、安保条約の運営なりあるいは安保条約の成立当時から今日までの日本の置かれております地位の変化なりの立場から見たこれらのものについての日本考え方というものを、私は、率直にアメリカ当局と話し合ってみるということが必要なことではないかと、こう思っておるわけであります。何らかの形でもって、特定の案を持って現在交渉に行くというようなことにはまだ考えておりません。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ友好親善関係を進めるということはけっこうなことなんです。これは抽象的にはいいのでありますけれども、現在の情勢のもとにおいて友好親善関係を進めることによって、日本がまあソ連中国、特に最近では中国と非常に緊張した関係にあるこの際に、日本がより多くの防衛の任務といいますか、とにかくそういうものを背負わされてくるということになりますというと、日本国民としては非常に不安にたえなくなるのでありますが、そういう点についてはどうお考えになっておるのか、私どもはそういうことはごめんこうむりたいと考えておるのですが……。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん日本は現在憲法上のいろいろな制約がありますので、この制約を越えてアメリカといろいろな話し合いをし、あるいは取りきめをすることのいかぬことは当然のことであります。従って、憲法上のそうした制約の範囲内において、やはりあの安保条約のできました環境と、今日の環境と違っておる上から言いますれば、できるだけこれを日本のためにも改善するということは、私は必要なことではないかと思うのであります。  そういう意味において、やはりこの問題を一つの話題として、しかも大きな話題として問題の糸口になる、話し合いの糸口になるということは当然だと思います。  ただ先般来も、この前の委員会のときでも申し上げ、また、今でも変らないのは、要するに、私は特定の何々、安保条約なりあるいはどういう問題を今回解決するために行くというより、むしろその解決の基礎になるべき話し合いをしに行くというのが今回の立場であります。その基礎の上に立って、具体的な問題の解決を将来にわたってやっていこうという立場で参るわけであります。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 いずれダレス長官と会って話しをされる際に、日本中国との関係にも及ばれるものと私は思う。それは、日本中国との関係は、単に日本中国との関係ではなくて台湾との関係もあり、また同時に、アメリカとの関係もからんでおるわけであります。従って、日中がこういう悪い関係になっておる、政府としても心配して、ほんとうに前向きにしようとするならば、それ相当の努力をされるわけでありますが、その努力一つとして、やはりアメリカとこの問題についていろいろ話し合うということも保守党の政府としては必要であろうと思う。藤山外務大臣はその点で、ダレス長官と、日本中国との関係の問題についても話をされ、そうしてアメリカ日本の外交政策に圧力を加えて、日本中国との関係をこのままの状態にしておくことのないように、努めて主張されるかどうか、その点をお伺いしたい。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この日本立場から言いますと、今の世界情勢の大きな動きの中にあって、極東というものの問題が非常に大きな問題であることは申すまでもないのであります。アメリカソ連とが対立をいたしております世界情勢、これに対する十分な判断をして参らなければならない。同時に、日本の置かれておりますアジアという地理的なあるいは歴史的な環境というようなもの、これを十分アメリカ理解してもらいますことは、日本の今後のために私は非常に必要なことだと思います。そういう意味において、むろん日本アメリカと話しをします場合に、極東の問題、特に中共を中心とした問題についてお互いに論議を戦わしますことは、これはやらなければならぬことであると思います。そういうことによって、お互いの立場がはっきりしてくるということは、相互のために私は非常に必要なことと思います。世界情勢判断とあわせて、そうした問題についても当然話題に上ってくるものと考えております。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 その際に、私は藤山外務大臣から、最近の中国や東洋の情勢、特に中国地位、発展というようなことを話して、率直に、台湾政府を中国の政府として見るという不自然な政策はアメリカもやめること、そうして中国地位を実際的に認めてそうしてアメリカ中国との間の関係を改善していくこと、それをやはり率直に申し述べるべきだと思いますが、そういうおつもりはございませんか。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私はどういう考え方で、あるいはどういう方法をもってアメリカと話し合うかということについては現在申し上げる段階にないと思います。しかし、日本の置かれておりますアジアにおける実情というものから見て、日本としての、あるいは日本人としての立場からどういうふうに考えているかというような問題についてはむろん率直に話をすることになりましょうし、また、アメリカ側の極東に対する政策等についても十分率直に話を聞いてくるということが非常に有益なことだと思います。そういう意味において話をしていきたいと、こういうことであります。
  36. 羽生三七

    ○羽生三七君 私は、日本と対中共との関係で簡単にお尋ねをいたしたいと思いますが、この問題は御承知のように、非常にむずかしい問題になって、貿易問題一つを打開するだけにも実は友好関係というような問題にも関連をして非常に困難な条件をはらんでいることはもう政府自身が一番よく知っていることでありますので、私はまあその前提条件は多くは申し上げません。それからまた、純然たる経済上の問題から考えても、昭和三十三年、三十一億五千万ドルの輸出目標を達成することが、非常に日本経済の現状から困難になってきた場合に、この中共問題の、特に貿易の問題の打開ということが非常に大きなウェートを占めておることもこれまた言うまでもないと思います。私どもが、単に功利的な意味で貿易だけできればいいというのではないのでありますが、その貿易を達成する場合においてすら両国間の具体的な友好関係にも触れるというように、非常にまあむずかしい問題になっておるわけであります。私は、本日ここでこまかい技術的な問題で内容に深く立ち入ろうとは思いませんけれども、私どもも、問題を不成功に終らせ、岸内閣に何か事を言えば済むというわけではありませんので、問題の自主的な成功的な解決のためにも、私どもとしてはできるだけ問題を慎重に扱おうと思っております。ただ、そういう立場から問題を考えても、政府の言われる対中共関係には静観の態度を持するということを言われてからすでにずいぶん久しいことであります。この委員会でも、外務大臣からその静観ということを承わってからこれはずいぶん委員会の回を重ねておる。しかし、今に至るも何ら打開の糸口は見つけられないし、また、具体的に、旅先で岸総理大臣が若干の発言等はしておりますけれども、何ら本質的な問題に触れておられない。そういうことから、私は先ほども申し上げましたように、この技術的な具体的な内容には触れませんが、一体こういう事態を打開するために政府はどういう根本的な考え方を持っておるのか、あるいは構想を持っておるのか。つまり今の静観という態度をさらに持続されるのかあるいはそれを打開しなければならないとお考えになるのか、また、打開するとすれば内容はとにかくとして、大局的にはどんなお考えを持っておるのか、もうぼつぼつお考えを明らかにされてもいい時期ではないかと思うのであります。現にこれに関連を持ついろいろな諸団体あるいは貿易関係者等もかなり切実な問題としてこれを扱っておるようでありますが、そういう角度から局面打開のためにどういう方法をお持ちになっておるのか、この機会に、そんなこまかい内容に触れられなくてもよろしゅうございますから、政府の構想というか、局面打開のお考え方を承わっておきたい。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本として中国と貿易を増進するという問題については、総理もたびたび言明しておられます通り、また、最近でも言われておられたのでありますが、指紋の問題とかあるいは代表部の問題とかいうような問題を片づけてきたので、決して貿易増進に対して政府が不誠意であつたとは考えられないわけであります。たまたまああいう事態が起りまして、政治的な問題とやや混淆したような状況のもとに誤解が重なったということは遺憾に思っておるわけであります。現在、私どもは静観しておるということを申し上げ、その静観が長過ぎるじゃないかという今のお話であろうと思うのでありますが、われわれとしては、中共側の誤解があります点は、できるだけ誤解が払拭されることを希望しておるわけであります。がしかし、同時に、今日のような大きな世界が動いております変転の中における中共態度というものも、単に日本に対してばかりでなく、いろいろ変化をしてきておるのでありまして、単純な日本との貿易問題というような問題だけでなしに、中共のいろいろな考えが動いておるようにも見られるわけであります。従って、私どもはしいて静観をしておるわけではございませんけれども、しかしながら、こういう事態に対処して、日本側があまりに小手先で動くことは、私は必ずしも将来の大局から見て、貿易復活という上からいって適当ではないと思うのであります。従って、現在のこの事態に対してはいろいろな小手先の手を打ちますよりも、いましばらく事態の推移を見ておりますことが、一番将来貿易再開のためにかえって必要なことではないかという観点に立って、静観という態度を続けておるわけであります。
  38. 羽生三七

    ○羽生三七君 それはお説の通り、私は小手先の手段をとれと言っておるわけでないしまた、小手先の手段をとってもこれは打開できる性質のものでも私はないと思うのであります。そういうことについては、わが党の関係者がそれぞれ御協議になっておるようでありますので、私は深くは申し上げませんが、しかし、そうかといって、今の外相のお話を承わっても、えらい確信があるとも思いませんが、小手先でなければ大上段ということになるのでしょうが、いずれにしても、そういう形で何らかの局面打開のために、打開をしようというお考えを持っておるのかどうか、これは私基本的な問題だと思う。小手先のことじゃだめだから、相手の出方を待つといっても、相手が簡単にそうどうなるわけでもないのですから、日本政府がやはり局面打開のために積極的な態度をもって臨むという基本的な方針がなければならぬと思う、そういうことは。具体的な内容は私はもうこれ以上申し上げません。そういうことをお考えになっておるのかどうか。問題の打開のために熱意をもっておやりになるというお考えがあるか、それを承わりたい。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、日本は決して貿易再開を捨てておるわけでもありませんし、また、貿易再開そのものを否定しておるわけでもない。貿易が一日も早く再開されることは望ましいことなのでありますから、従って、そういう時期が参りますれば、われわれとしては、やはり適当な方策によって貿易再開の道を開いていきたいというのが私どもの決意であります。むろん貿易再開に当っては、日本側も当然考えるべきところは考えていかなければならぬと思いますが、やはり中共側においてもできるだけ日中貿易の意味理解して、そして中共側もそれらの点については十分私は考慮していただくことが必要なんじゃないかと、こう考えております。
  40. 羽生三七

    ○羽生三七君 この問題はこの程度にしておきますが、いずれにしても時期がくればとおっしゃいますが、時期は作らなければなかなかこないのだ、その過程はなかなかむずかしいと思いますが、さらに一段と努力されることを希望して次の問題に移ります。  それは先ほど岡田委員が若干触れられました日米安保委員会の関係ですが、二十七日に日米安保委員会があったようでありますけれども、これについての新聞報道によれば、日米の共同防衛を強化することをアメリカが主張して、わが方もまたこれに同意をしたと伝えられておりますが、その内容を承わりたいということ。  それからもう一つは、先ほど金門、馬祖にもし米軍が出るというような場合に、一体日本はどうするかということを岡田委員が聞かれたわけですが、私はそのことには重ねて触れようとは思いません。ただ問題は、そういう問題は安保委員会で論議されるのかどうかということ。  それからもう一つは、一体安保委員会の性格がだんだん変ってきたんではないかと思うのです。これは御承知のように、この前のあれはいつでございましたか、昨年の三月の予算委員会で私がこの問題を岸総理大臣に尋ねましたところが、岸総理大臣は、先ほど外相も触れられましたけれども、安保条約制定当時とは事情が違っている、もとより今日、日米共同防衛によらないで日本が独自で自国を防衛できるとは思っていないが、締結当時と違うのはある程度自衛力ができたということ、日本国連に加盟したということ、これを考えて日米共同体制を今すぐ廃棄することは時期でないと思うが、少くとも安保条約、行政協定を全面的に再検討すべき状態がきたと思う、こう答えられて、それからアメリカに行って御承知の日米共同声明を発表されたわけでありますが、その共同声明の中には、安保条約に関して生ずる問題を検討するために政府間に委員会を設置することに意見が一致した、これは安保委員会のできた目的です。だから安保委員会に関して生ずる問題を検討して、むしろ岸総理がずっとわれわれに答えたところからいうならば、その内容がどういうことになるかは別であります。別でありますけれども、安保条約そのものを検討するために、日米安保委員会ができたと日米共同声明にうたっておるし、われわれも回を重ねる質問の過程においてそういうことを了解してきたわけです。ところが、いつの間にか、日米安保委員会というものは安保条約、行政協定の当面する諸問題を条約上の立場から再検討するということでなしに、むしろアメリカの防衛体制の一環を日本がになうための安保委員会というようにだんだん変ってきておる、それで国民も自然の間に忘れてしまって、あたかもそれが安保委員会の性格であるかのごとく勘違いをしておる、これは非常に重大な問題だと思う。本来そういうことではなかったはずです。安保委員会を作るときの目的というものは。だから一体この安保委員会の現状というものはどうなっておるのか、そういう諸問題を協議するための方法として適切に運営されておるのかどうか。一昨日の日米安保委員会は、むしろ何か今岡田君が言われたような日米相互援助条約的なにおいすら、その検討の過程に感ぜられるような方向であったようにも思われますので、一体安保委員会の運営はどうなっておるのか、それからこの間の安保委員会では自主的にどういうことが協議されたのか、また、そこで日本は日米の共同体制の強化を了承したとあるが、了承されたものかどうか、具体的にこの問題を現実に即して一つ承わりたいと思います。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 安保委員会は、ただいま羽生委員のお説の通り、昨年総理がワシントンに行かれまして、アイゼンハワー大統領と安全保障条約関係の問題を論議し、そうしてこれらの問題について、将来にわたって問題の運営と改善をはかる意味において設けられた委員会であることは申すまでもないのであります。従いまして、現在の安保委員会の運営等について、この委員会が論議をいたして参ると同時に、あそこにもありましたように、将来両国民の願望に沿うように、安全保障条約というものを改善する何らかの論議もこの中で行われることは当然のことであります。従って、今日でも安保委員会そのものの運営並びに性格が変ったとは私ども考えておりません。先般二十七日に開かれました安保委員会は、御承知のように、アメリカ側の極東軍司令官が交代をいたしまして、初めて出てこられたわけであります。そうした関係からも、また、特に最近の極東におけるいろいろな情勢の変化につきましても、それらに対するいろいろなアメリカの見方を当然これは聞くのがしかるべき順序だと思います。従って、先般の安保委員会においてはそういう問題を主として聞き、それがやはり大きな日米安全保障の問題あるいはこれに伴います安保条約の将来の問題の背景をなす問題でありまして、それを主として先般の委員会では話し合ったわけでありまして、従って、先般の委員会だけごらんいただいて、何か安保委員会の性格が非常に変ったあるいは後退したということはないことを申し上げておきたいと思います。
  42. 羽生三七

    ○羽生三七君 運営の点はまた機会があって、ゆっくり時間がいただけるときに論議をいたしたいと思いますが、こういう問題はどうでしょうか。アメリカへ行かれて私は安保条約の第何条に触れるか、そこはどうするかなんということは聞きません。また、そんなことはないとおっしゃったのですからそのまま受け取りますが、たとえば日米安保委員会を通じてなり、あるいはアメリカへ行つて話されるなり、あるいは自民党政府間でいろいろそういう問題を話される場合に、一体日本の将来の自衛体制の問題ですね、これは本来外務大臣にこれをお伺いするのはどうかと思うので、防衛庁長官だろうと思いますが、しかし、アメリカへ行って触れられる、条約の個条的な問題はとにかく内容的には触れられると思うし、それからそんなことはないと思ったところが、岸総理はこの前向うへ行かれて相当深入りをされたのでお伺いしておくわけですが、一体それはたとえばそのときの共同声明には、安全保障条約の文面及び精神に従って、明年中に日本国内の合衆国軍隊の兵力を、すべての合衆国陸上戦闘部隊のすみやかなる撤退を含み、大幅に削減すると、こうあるわけです。それは昨年の声明ですから、本年一体どうなっておるかということは問題になるわけですが、そういう場合に、一体日本は一国の防衛の体制でやっていくのか、そんなことは無理だからということになって、アメリカとの共同防衛を強化するという場合に、私はこの前の委員会でここでお尋ねをしたように、その場合には相互援助的な性格を全然なしにして、そうして日米の共同防衛を強化していくというのは具体的にはどういうことを意味するのか、先日の読売新聞に出ておったように、基地を提供して、あとは日本の憲法上の制約はあまり受けないようにするというようなことをいうのか、この辺はお話し合いになる場合に、私ども社会党とすれば相当関心のある問題です。これは抽象的な質問のようで、必ずしもそうではない、政府の基本的な防衛問題に触れる問題だろうと思うのです。だから何条に触れるなんていうことは私は聞きません。具体的に藤山外務大臣としてはどういうことをお考えになっているか、日米の共同防衛の強化というのは具体的にはどういうことなのか、それは安全保障条約との矛盾なしに、あるいは日本の憲法との矛盾なしに、具体的にもし解決するとすれば、一体どういうお考えの上に立っておられるのか、これはぜひ一つ聞かしておいていただきたいと思います。
  43. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回私が参りまして、先ほどお話申し上げましたように、日米間の長期にわたる基礎になるような問題についていろいろ話をしてきたい、意見の交換をしてきたい、それをやります場合に当然例として安保条約その他が引き合いに出されるときに、私は外務大臣として参りますので、総理が行かれましたときのように、日本の国内の自衛力の問題そのものについては私の立場から深く説明をし、あるいは触れることはできない場合があると思います。総体的に今日わが国の方針であるような点についてはある程度説明はいたし得るのではないかと思います。そういう立場に立ちまして、私は基本的な問題として話し合いをしてみたいわけでありますが、先ほど来申し上げておりますように、安保条約ができましたときの環境と今日の日本立場というものは、相当変化がある。総理が昨年羽生議員に返答されましたようなおそらく変化がされておるというのが、私も総理も同じ認識だと思うのでありまして、そして考えてみますと、現行の安保条約について改善すべきところが相当程度あるのではないか。でありますから、それが何か強化という言葉で言われましたけれども、果して強化であるのか、あるいは正当な調整であるのか、その点は見方にもよると思いますが、そういう意味においてやはり一つの問題点として安保条約関係を引き出して、そしてその上で議論を展開していくということは私は日米相互の関係を論ずる上に非常に必要なことだと考えております。でありますから、そういう意味において私はワシントンに行って話をしてきたい、こういうことなんであります。従って、その基礎の上に立って十分意見を交換もし、あるいは必ずしも意見の一致するところばかりはないとも思います。また、しかし、全然意見の一致しない点ばかりはないという点もあり、相互理解を深め、その問題についての解決をはかり、将来安保委員会なりあるいはお話のような条約の問題として改善していく道を考え得る基礎ができる、そういうふうな考え方で実は私はワシントンに行って話をしてみたいと、こう思っておるのであります。
  44. 羽生三七

    ○羽生三七君 時間もありませんからこの問題はもう一点だけして、あとほかの問題を一つ承わっておきますが、ですからまあ今度行かれて具体的に内容に触れられなくても、そういうことで日米の両国間の話し合いをして、意思疎通をして、適当な時期に安保委員会等に移して具体的な問題の解決をはかる一つのステップとして今度も行かれる、そう解釈してよろしいのですか。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まず先ほど申し上げておりますように、今後、日米関係のいろいろな問題がありますが、それを解決する一つの基礎の話し合いをしてくる、従って、その基礎の上に立ってどういうふうに、たとえば安保条約の場合でありましょうとも、あるいは日米関係の経済関係の問題でありましょうとも、どういうふうに一つ処理をしていったらいいのかということの基本的な考え方を一つ入れていきたい。従って、そこから出て参ります問題は、あるいは通常外交ルートでやりますか、あるいは問題によっては安保委員会でやりますか、そうしたことがまあ私の考えの基礎であります。今回その問題を特にこれとこれとの問題を片づけるという意味よりも、将来取り上げる基礎になる、われわれの考え方というものの基礎を確立していきたい、こう思っております。
  46. 羽生三七

    ○羽生三七君 それはそれでわかりましたけれども、もう一つ重ねて承わっておきたいことは、そういう場合に、藤山外務大臣としてお考えになっている将来の構想としては、たとえばこの現行憲法も改正しなければならないような条件は含むとは思っておりませんが、しかし、拡大解釈をして無制限に自衛力の問題を認めていくような方向をも含んでおるのかどうか、少くとも即時憲法改正と言わなくても実質上は憲法の拡大解釈によってどんどん無制限な処置をしていくのか、あるいは実際上日米関係のことは相互援助条約的なものになるのか、そういうような点というものは、常識的に見て私どものような人間が考えておる常識ですね、そういう点から見てそんな杞憂はない、そういう性質のものか、つまり日本国民は安心して可なりという僕たちの立場ですよ、自民党の立場ではないが、そういうものなのですか、どうなんですか。そういう点がはっきりしないが、その辺を一つ
  47. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) たとえば日米安保条約をとりました場合に、憲法上の制約もありますし、まあ問題があるわけです。そういうものを乗り越えていろいろな処置をすることはできないことであります。しかし、まあ一般の国民の通念として、現行の安保条約を相当改善していく道があるのではないかという考え方は私は持っております。いわゆる国民の願望に沿って将来検討してみるという願望というようなことであります。そういう意味においてわれわれはやはりこの機会に、あるいはたびたびの機会にそうした国民的な願望に基いた安保条約の問題というものを相当アメリカ側にもわれわれの考えとして言うべきである。結果が拡大解釈になるか、縮小解釈になるかというようなことは今別に考えておりません。それを目標にしていくわけではない。そういう意味における改善をはかっていこう、そういうことであります。
  48. 羽生三七

    ○羽生三七君 国民的願望の内容が全く異なる場合は非常な幅があり過ぎますから、これは他日の問題にしまして、次にもう一点だけ簡単にお伺いいたします。  日ソ平和条約の問題については、先日イシコフ漁業部長ですか、藤山外務大臣との会談のことを新聞で見た程度でわかりませんが、両方それぞれの主張をして別れたといいますか、なかなかこれは安全操業問題の解決といっても、前からの慣例から見てもなかなかむずかしいと思いますが、日ソ間の平和条約締結について具体的にまだ、何か具体的な考えはまだお持ちになっておらぬのかどうか、あるいは新聞に出ている通りのことなのか、この点はいかがですか。
  49. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 政府はしばしば言っておりますように、日ソの平和条約というのは、領土問題が片づかない限りは何らの進展を見ることはできぬと思います。現在、日本政府のとっております態度といえば、友好裏に領土問題を片づけていくことができるために、積み重ね的に両国のいろいろの貿易の問題であるとか、あるいは安全操業の問題であるとかいうことを片づけていくという考え方でおるわけであります。
  50. 羽生三七

    ○羽生三七君 最後にもう一点だけ。じゃそれはわからぬわけでもありませんが、ちょうど日ソ国交回復をやるときに大局的な判断に迫られたわけでありますけれども、それと同じように、やはり国交回復の平和条約の問題ももっと具体的にお考えになっておかないと、ただ、そういう論議だけでは済まされない段階がくるのじゃないかという気がします。だから、私は領土内容をどうこうというようなことは申しませんが、もう少し平和条約締結について政府が具体的な用意をする必要があるのではないか、こう思うわけでありますが、あと十分しかありませんから、ほかに他の委員の御発言があるといけませんから、私はここで打ち切ります。
  51. 曾禰益

    ○曾祢益君 最初にお伺いしたいのは、外務大臣がこの間緊急総会に行かれて、中東問題でなかなかむずかしい場面にお当りになったのですが、さらに、最近の台湾海峡の緊張等を考えられた場合に、どうも私ども、岸・藤山外交のいわゆる三原則ですね。国連中心主義、アメリカとの協力、第三のアジアとの協力、この三原則は非常にていさいのいい抽象論としては一応もっともなように聞えるけれども、やはり基本の第二原則と言いますか、アメリカとの協力、第三原則のアジアとの協力と言いますか、表現の若干の差はありましても、第二と第三とが、時としては非常に矛盾する、これを痛感されたんではないか、これをジャーナリスティックに表現すると、それがよろめきと言われておる。これは、主として安全保障委員会、安保理事会の場合の日本政府の態度だったと思います。また、緊急総会においても、これはやや意地の悪い見方かもしれませんが、ノルウェー案等をめぐって非常にお困りになった。アラブ連盟十カ国の救いがなかったならば、全く日本丸は立ち往生であったというような批判をされておる。私は、現実の外交がむずかしいということはよくわかるのですが、どうもやはり根本的には、アメリカとの協力という線と、アジアとの協力といいますか、アジアといってもいろいろ国はあるでしょう。大体たとえばアラブの場合を考えた場合、やはりどっちが中心なんだという、第二原則と第三原則の二本建の矛盾というものが今回明瞭に現われているじゃないか。従って、それらの点について、もっと正直に、いわゆる三原則を修正して、一体ほんとうはどっちなんだ、自民党の中にも、アメリカとの協力を筋とすべしという意見も確かにある。おそらく吉田さんの線というものははっきりしたこの線、この方が存外正直なのではないか。そこで、第三原則はいわばお化粧なのだ、第二と第三両建でいかにも矛盾がないようにというところに実は外交の基本的な欠陥があるのではないかと思うのですが、その点は、非常に抽象論で恐縮ですけれども、基本的な問題なので、外務大臣のお考えを伺いたい。
  52. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国連中心主義というのは、お話のように、国連日本の外交の一つの場とするということでありますから、曽祢委員の言われるように問題は少い。従って、対米協調とアジアの一員としての立場という問題が何か矛盾するのではないかというお話なのであります。私は、これは両方ともほんとうの立場だと思っておるのでありまして、日本は、アメリカと経済的にもあるいは政治的にも協調を保って参りませんければ、また、友好親善関係を持っていかなければ、日本の国が現在立っていかないということは事実だと思います。また、同時に、日本がアジアの一員として、経済関係から言いましても、あるいは文化的な意味から言いましても、あるいは国民的な願望という意味においても、日本がアジアの一員であって、しかもその中で生活をしているという、これもまたやはり厳然たる事実であります。これとの協調を欠くわけにはいかないことは事実であります。従ってこの二つの事実の上に立って日本の外交の路線がきめられていくということは、これは当然過ぎるほど当然なことであって、そのいずれをも欠いてはならぬ。ただ問題は、問題が起りましたときに、それらの間に若干の立場の差があるということは当然われわれも了承しておりますが、できるだけその差というもの、それをアジアの立場と、それからアメリカのアジアに対する立場というものをできれば調整する、また、おそらく自由主義陣営の大きな立場から言いますれば、アメリカが十分アジアの立場理解してくれるならば、私はそんなに矛盾をしてくるものではない、従って、アメリカがアジアに対する理解を深めていくということのために日本は当然努力してしかるべきだと思う。でありますから、その努力は、率直に、中近東の問題の場合におきましても、あるいは東南アジアの問題に対しても、日本考えていることをアメリカに言って、そうしてアメリカの施策の誤まらぬようにしていくといういことは、当然なことだと思います。ただ、そうした過程において、若干食い違います場合に、非常に困難があるということはお説の通りで、事実の場合もあり得るわけであります。しかしながら、日本がとにかく国を現在立てていきます上に、経済的に見ましても、あるいは政治的に見ても、アメリカと友好関係に置かないで、そうして国が立っていくとは思っておりません。また、東南アジアとの経済的関係、あるいは民族意識の関係を統一していかなければ、日本の置かれておる地理的位置から申しましても、日本の将来の運営というものが困難になってくることはまた事実であります。だから、この厳然たる事実の中に立って、やはり日本が外交方針として、その中にあっていかに動いていくかということを考えていくことは、私は当然過ぎるほど当然じゃないか、こう思っております。
  53. 曾禰益

    ○曾祢益君 大臣も認められておるように、まあこれは、日本のアジアにおける立場というようなことをアメリカ理解させ、そういう意味で、アメリカとか自由陣営の考え方が現実に適していないというような場合には、これを直させるというくらいの意気込みにいかれる場合には、国民もやや納得するじゃないかと思う。その一例として今の抽象論をしてもしようがありませんが、たとえば、台湾海峡の緊張の問題、これは岡田君が十分触れられたので、なるべく簡単にいたしますが、私なんかが見ましても、これはやはりいろいろな事情がありましょうが、あるいは中国側に対しても、平和的な解決を望む、むろん私ども中国の国内の問題だというのを基本に考えておりますが、ただ、解決方法については、やはりこれは現実の問題として国際緊張の焦点であるという事実は否定できない。いい悪いは別として。従って、解決方法というものは、中国側を含めて双方に対して平和的にやってもらいたい、これは私ははっきり言える。ただ、その問題に関連して、たとえば金門、馬祖だけに問題を限ってみれば、これはアメリカの今までの方針が、故意に金門、馬祖という、岡田君も指摘したように、何といっても地理的にこれはやはり澎湖島とは全く隔絶して——厦門も島ですけれども、厦門の島のすぐ隣りの島は金門島で、全く指呼の間にあるのが金門島です。そういう所の防衛について、いわゆる米台条約に関連するアイゼンハワーの政権の態度というものは、故意にその点をぼかしておる。つまり、台湾、澎湖島に対する本格的進撃の一環として見られる場合には、金門、馬祖についても守ることあるべし、これは当時のはやりの言葉で言えば、ダレス外交のいわゆるせとぎわ外交というか、あるいは計算済みの危険と言いますか、そういう実に危険な分子を持っておる。そういう点に関してだけでも、少くとも日本の保守政党の立場から言っても、あるいは別の例を言えば、岡田君が引例されたロンドン・タイムスあるいはマンチェスターガーディアンをごらんになっても、金門、馬祖だけの問題で、かりに米中国の間に戦争が起った場合には、自由陣営もくっついていけませんよ。露骨に同盟国の立場からそういうことを言っている。そういう点を焦点に限ってみれば、ただ静観して、ただ両方に平静化を頼む、期待するという単なる静観よりも、一歩進んで、たとえばこれは金門、馬祖はこれは撤退した方がいいじゃないかというような具体的な緊張緩和についての日本態度というものを出すのがほんとうなんじゃないか、これは全中国に対するアメリカの政策、日本の政策、保守党の政策あるいは社会党の政策いろいろ違いがあるだろうが、当面の緊張をとにかく緩和する方法においては、確かにアメリカ側のこの今までの態度というものは非常に危険がある。金門、馬祖はむしろ撤退した方がいいというような具体的な態度はとれないのか、その点を伺いたい。
  54. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は、先ほどから申し上げているように、国際紛争の中には歴史的な背景を持ったいろいろの問題が含まれて、尾を引いてきております。従って、現在の段階において、今曽祢委員の言われたようなことだけが適当であるのかどうかという問題については、若干の私は疑問を持つ点がある。で、要するに、問題を不拡大にしていくということについては、われわれ当然極東の平和を考える上において考えて参らなければならぬのであります。しかし、そうした不拡大をする場合にも、やはり両者が将来の大きな問題として問題の解決をはかるのはけっこうでありましょうけれども、何か武力の行使によってだけ問題が解決されるというようなことは必ずしも適当だとは考えないのでありまして、そういう点については、もう少し事態をやはり見ていくことが一番必要なことであるのではないか、こういうふうに現在考えておるわけであります。
  55. 曾禰益

    ○曾祢益君 もう一つだけ伺いたい。これは、安全保障条約に関すること、これはいろいろ議論があったのですが、これも今の政府の置かれている立場というようなことを一応前提の上で、しかし、外務大臣のお言葉等を見ても、やはり何らかの改正の方向をお考えになっているのだと思う。そういう観点から言うならば、この間の新聞の記事が正確であるないは別として、少くとも一つ考え方は、少くとも常時アメリカ軍日本に駐在しない形で考えるということがあり得ると思う。  第二の点は、これは私はその当時、できたときに私はその点を外務大臣に申し上げたと思うのですが、今の安全保障条約の非常な一つの危険な点として、岡田君も指摘されたように、日本を守るためにいるという以外に、極東における平和と安全のためにアメリカ軍がいる、この条項なんですね。これはもちろん駐留から起ってくる、駐留の目的がいわゆる日本の防衛でない場合もあり得る。それに関連して、まあ外務大臣は、この安全保障条約と国際連合憲章との関係に関する交換公文をお作りになり、これでまあ非常に安保条約が国連憲章に即したということを大いに言っておられたけれども、私はむしろ危険を確認した点があると思う。たとえば台湾の問題一つ考えてみても、やはりまあ米・台条約というものが国連憲章の五十二条に相当するようなものがある。その発動として、とりあえずアメリカ軍がかりにいわゆる武力行為があったと認定して戦闘行為に入ってしまう。それであとは国連安保理事会措置あるまでは、それから命令があるまではそれ以上の行動はとれない。しかし、そこまではとってもいいということを安保条約が示しておいて、また、それを確認したのが安保条約と国連憲章に関する交換公文です。だからそういう点から言っても、少くともアメリカとの防衛協力を肯定する保守党の立場から言っても、いわゆる常時駐留という点と、日本から出動し得る、これは国連憲章に従うというものの、国連憲章そのものに五十一条、五十二条に抜け穴がある。そういう関係から言うと、非常にそれが危険だという観点があり得るのじゃないか。そういう点を含めて、これは今度は交渉じゃないと言われるけれども、そういう点を是正しようというのであって、日本の防衛力の増強、憲法の改正とか、あるいは多辺的なアジア諸国、たとえば台湾、韓国との条約という形をとる意味ではないと言うのか。大体の基本的な考え構想をお持ちでなければ、こんな危険なものは話題にすら供せられないと思うのです。大体どういうことなのか。これだけ伺って質問を終ります。
  56. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 安保条約ができた当時の環境等から見まして、いわゆる憲法の範囲内における問題、むろん外国に兵を出すというようなことは許さるべきことではないのですが、そうした問題を別にいたしましても、当時の事情から見て、片務的なところがあるんじゃないか、もう少し双務的にも改善できる問題があるんじゃないかということも私ども考えておるのであります。それがいわゆる国民の願望に沿うような線であるのではないかと、こう思っております。が、しかし、それらの問題についていろいろ私も閣議で論議を尽していきましたし、また、それらの問題についてやはり問題として提起すべき必要のあることが多いと思うのでありまして、そういう問題を提起していくことはこの際私として必要なことじゃないかと、こういうふうに考えております。
  57. 羽生三七

    ○羽生三七君 私もこの前の委員会で片務的、双務的ということを申し上げましたが、双務的という言葉が、何か与える印象が双務的ならば平等で公平だというような印象を与えがちですから、私は双務的の内容を十分検討しなければならぬと思うので、これはどうかあまり深入りをされない先に十分検討の機会を作られることを要望いたしておきます。
  58. 青柳秀夫

    委員長青柳秀夫君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会