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1958-06-24 第29回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十四日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    天野 光晴君       飯塚 定輔君    金子 岩三君       津島 文治君    中島 茂喜君       三田村武夫君    太田 一夫君       加賀田 進君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    下平 正一君       北條 秀一君    安井 吉典君  出席国務大臣         国 務 大 臣  青木 正君  出席政府委員         警察庁長官   石井 榮三君         自治政務次官  黒金 泰美君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   吉浦 浄真君         警 視 総 監 川合 寿人君         警  視  正         (警視庁第七方         面本部長)   片桐 徳永君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 六月二十一日  委員松山義雄君辞任につき、その補欠として波  邊良夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れの件 地方自治及び地方財政に関する件 警察に関する件      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。纐纈彌三君。
  3. 纐纈彌三

    纐纈委員 私は、町村合併問題、ことに越県合併の問題につきまして長官の御意向を承わっておきたいと思うわけであります。  御承知のように先般三月百下旬におきまして、当時懸案となっておりまして、中央審議会審議にかけられました五件のうち三件が合併を認めた結果の答申が出たわけでございます。当時この問題は、総理大臣裁定をする期限といたしまして三月一ばいということになっておりましたので、私もその際前の長官質問をいたしまして、ぜひとも中央審議会答申を尊重して速急にその裁決をされることを希望いたしまして、それに対しまして長官も、その趣旨によって裁決を行うように取り運びたいという言明をされたのでございます。しかるに、なお問題となって中央審議会審議をしなければならない案件が二件ある。それの結論を出すためには相当の日時を要するというようなことと、もう一つは、解散も必至であるこの機会において、急いで裁決をする点についてはいろいろの問題もあり、ことに問題は府県関係をいたしておるわけでありますから、それらの調整をもいたさなければならないというようなことから、どうしてもこの期限を半年延期するようにというような希望が自治庁から出まして、私も、その実情を伺いまして、事情やむを得ないというふうに考えまして、この法案を提出されました際におきまして、この委員会におきましても、これを半年延ばしたために中央審議会裁決をまただらだら延ばすというようなことがあっては、かえってこの問題をこじらすおそれがあるのだから、ぜひともできるだけ早く答申によっての裁決をしていただくようにということのだめ押しをいたしたのでありますが、これに対しましても長官は、必ずその方針によって裁決に持っていきたいということを申されたので、私も、一応それによりましてこの延期法案に対する賛意を表わしたようなわけでございます。もちろん、町村合併につきましていろいろの難点があり、ことに越県合併は非常にむずかしい問題があることも承知いたしておるわけでございますが、中央審議会委員には、御承知のように地方行政に対しての非常な権威者がおられ、また政府委員方々もその委員に席を置かれておりまして、第三者立場としてきわめて公平な見地から、現地にもしばしば出て実情を聞かれ、あらゆるデータのもとに慎重審議をもって、そうした権威者がきめられた答申でありますので、この答申に従って総理大臣裁決をされるべきであり、またその裁決はできるだけ早くこれをしなければ、じんぜん日を送っておりますならば、その間にまたいろいろと雑音が入ってくる。現に越県合併のみならず、県内におきます町村合併におきましても、最初の間は住民同士がお互いに賛成をしておったのでありますが、たとえば町村長選挙におきまして負けた村長が、かつては賛成であった者が、選挙に負けたというようなことから反対に回る。そのためにいろいろごたごたするとか、その他いろいろと長引くにつれまして雑音が入り、かえってそれかむずかしくなるというようなことが、今までの町村合併についての紛糾一つの大きな原因であり、それが理屈抜きのいわゆる感情問題になって、これが非常にむ、ずかしい問題になっておる点もあるわけであります。先般の委員会におきます郡長官言明によりまして、一応関係各方においては大体において空気もなごやかになり、落ちついて参ったわけでございますので、これをさらに延ばすというようなことに相なりますならば、またそこにいろいろと雑音が入って参りまして、これの裁決にかえって逆な結果を来たすというような問題にもなるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。長官におかれましては、この問題につきましていかなる考えを持っておられますか。私といたしましては、ぜひともあの中央審議会答申通りに早き機会において総理大臣裁決に持っていかれることを希望いたすわけでございまして、また、この時期をもしはずすということになりますと、先ほども申しましたように、かえっていろいろの紛糾が起りまして、せっかくここまで持って参りました問題を、さらにまたむずかしくするというようなことにもなるわけでございますし、いわんや第三者の公平なる立場においての、地方行政権威者が十分に調査をして結論を出された問題でありますので、ぜひともこの答申によりまして、新長官においても、あとう限りすみやかに二、の裁決をしていただきたいと考えておるわけでありますが、これに対します長官の御所信を承わりたいと思うのであります。
  4. 青木正

    青木国務大臣 ただいまの纐纈委員の御質問の越県合併の問題でありますが、そのいきさつ等につきましては、ただいま纐纈さんがお述べになった通りでありまして、私といたしましても、私が引き継ぎを受けました自治庁懸案事項の中で最も大きな問題でありますので、この問題につきましては、十分に従来のいきさつ等にかんがみて、またその及ぼす影響等につきましても慎重に考慮いたしまして、最も大きな引き継ぎ事項としてのこの問題の解決をして参りたいと存じておる次第であります。御指摘のように答申が出まして、九月の三十日まで一応延期になったのでありますが、だからといって、いたずらにじんぜん日を送るべきものではないことは言うまでもないのであります。ただ問題はきわめて重大でありますので、私といたしましては、引き継ぎを受けました責任といたしましても、やはり、この答申審議会における審議経過であるとか、あるいはまたその後の情勢であるとか、あるいはまた関係府県間の調整の問題であるとか、こういう問題につきまして、できるだけ早く、そしてまた最も慎重に十分に検討をいたして最終的な決定をいたしたいと思っておる次第であります。もちろん、審議会にお願いしたのでありますから、その答申を尊重しなければならぬことは当然でありますが、しかし同時に、その後の情勢なり、あるいはまたその審議経過等につきましても、私自身として一応の検討をいたしませんと、ただ答申があったからそのままというわけにも参りませんので、うした関係方面調整あるいはその後の情勢等につきまして検討をする若干の時間の余裕を与えていただきたい、かように存する次第であります。纐纈先生質問の内容あるいは御趣旨等につきましては、前々からも私承知しておりますので、十分よくわかるのであります。ただ私の立場といたしましては、就任早々のことでもあり、そうした慎重に検討する時間をしばらくお与え願いたい、かように存ずる次第であります。
  5. 纐纈彌三

    纐纈委員 大体大臣の御意向は了承いたしたのでありますが、申すまでもなく、大臣地方行政には非常に精通されており、かつて政務次官当時におきましても、ことに越県合併等につきましては、大所高所からこれを考えてやらなければならぬというようなことを、この委員会で御答弁になっておられるわけであります。この合併問題に対してさような理解を持っておられまする大臣を迎えましたことを、私は非常に喜んでおるわけでありまするが、この合併問題も、いろいろとむずかしい問題がありまして、今後起ります問題はとにかくといたしまして、少くとも審議会においてベテランが十分に研究をいたしておりまして、すでにこの問題についても慎重審議は行われておるわけでございます。今後は、大体において大臣一つの腹によってきめていただける問題ではないか。またこれをじんぜん延ばされまするならばかえって問題が紛糾するおそれもあるわけであります。新任の大臣といたしまして、十分の御研究をいただく必要は、これはもちろんあります。その点につきましては私も異論がありませんが、慎重審議、御考慮の程度も期間があるわけでございまして、あまりそれを長引かされるのはどうかということもありまするので、ぜひとも早急の機会に御裁定をされることを重ねて要望いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  6. 門司亮

    門司委員 関連して。今の纐纈委員お話は、例の岐阜県との関係、三沢村あるいは神坂と中津川との合併の問題だと思いますが、方針はどうなんですか。今まで、答申案が出てこう長くそのままになっていたということは少いのであります。それから答申案の出ているのも、大臣承知のようにきわめてわずかであります。三つか四つしかない。問題はそのほかにもまだたくさんありまして、これを解決するに大臣方針を私ははっきり聞いておきたいと思います。政府機関の中には、いろいろ諮問機関があって、そうして諮問機関は、政府答弁では、いつの場合でもきわめて公平な委員会である。結論はそういうことになるのだが、結論の出たものを政府がいじくる。そうして政治的にあんばいするものだから問題が紛糾をしてくるのだが、大臣の心がまえとしてはどうですか。この問題だけを取り上げてみましても、雑音は多少あるかもしれませんけれども、実際は、現地町村ではほとんど異論はないと思われるほどはっきりした問題なんです。ほとんど住民意思は九〇%くらいまでは、あるいはそれ以上というものは合併賛成しておるということをわれわれは聞いておるわけであります。答申案もそれに沿うたような答申案が出ておる。従って、こういう問題の解決はできるだけ早く、時間をあまりかけないでやっていかないと、その間に雑音が入ったり、政治的な配慮があったりして、住民意思と異なった結論が出てきて、住民に迷惑をかけているというのか今日までの現状だと思います。従って、この際大臣にはっきりお願いしておきたいと思うことは、第三者の公平な答申が出たら、できるだけすみやかにというようなことでなくて、やはり政府としては一応それを承認するというような形がとれませんか。そういうように大臣はっきり言えませんか。そうしていただかぬと、問題が紛糾するもとになると思います。これははっきり言えば、町村会議員から市会議員、あるいは県会議員から代議士に至るまで、おのおの当該地区から選挙を行う者の身分について利害関係があると思います。この利害関係を一々とっていたら妥当な行政はできません。従って、第三者の案が公平であるとするならば、また政府がそれを適当とするならば、ごく短かい間に政府が一切をきめられることが妥当だと思います。今の纐纈さんへの御答弁ではなまぬるいような感じがしますが、もう少しはっきり御答弁願えませんか。
  7. 青木正

    青木国務大臣 原則論としては門司委員のおっしゃる通りだと思うのでありまして、それに対してあえてとやかく申すわけではありませんが、決定権はやはり政府にありますので、これを決定する段階になりますると、政府としての責任において、できるだけ事が円満に処理できるように最善努力をすることが、やはり政府責任ではないかと考えるのであります。そういうことがありますので、原則的にはお話通りと思うのでありますが、実際問題になりまして、政府決定する段階になりますると、やはり政府責任において慎重に検討することも、これはやむを得ないと思うのでありまして、御趣旨の線に沿ってもちろん早く決定しなければならぬことでありますが、決定は、あくまで政府責任においてやらなければならぬのでありますから、そういう意味におきまして、政府責任を果すために、答申に基いてさらに慎重検討する必要がある、かように考えるのであります。
  8. 鈴木善幸

  9. 天野光晴

    天野(光)委員 この前の委員会での大臣のごあいさつによりますと、町村合併は大体完成の域に近づいて参ったので、建設段階に入るのだと言われたのですが、パーセンテージからいうと、九〇%以上いっておりますから、大体それは完成の域に達しているかもしれませんが、残っているものは——要するに質で言いますと、おそらくまだ半分くらいしか合併はいっていないというのが現在の実情ではないかというふうに考えるわけでございます。件数からいえば、もちろん前に申しましたように九〇%もいっているのですから、大体完成に近づいていると思うのですが、残っているものが非常に問題が大きく、感情的に対立したものばかりが残っておりますので、その残ったものの始末をするということが最も大切だと思います。個々の問題について一々申し上げますと、とても時間がございませんので、私は基本的な考え方だけを今日はお伺いしておきたいと思います。そこで政府としては、町村合併の最後の仕上げは、いろいろ問題があるのですが、どのようにして、そうしていつまでに大体めどをつけるお考えであるか。それをまずお伺いしてから継続して伺いたいと思います。
  10. 青木正

    青木国務大臣 お話のように、町村合併につきましては、六月一日現在で、国の合併目標に対しまして一〇三%の合併を見たわけです。しかし府県目標からいたしますと、九三%ばかり合併できたということでありますので、まだ最終目標までいっていないということが言えると思うのであります。しかし私は、この町村合併問題につきまして、いろいろ考えるのでありますが、御承知のように昭和二十八年に合併促進法が制定せられまして、もう五年になるのであります。このことのために関係町村はもちろん、関係住民方々は非常な御苦心を重ねまして、その結果として、日本の町村規模というものがおおむね適正な規模にまでなって参ったのでありまして、この点、私ども、関係町村あるいはまた住民その他各方面方々に深く感謝いたすのであります。     〔委員長退席纐纈委員長代理着席〕 しかし、今日の段階になりまして、各県の、地方状況等をつぶさに検討して参りますると、もう五年もたったのでありますから、私は大ざっぱに申しまして、そろそろ町村合併終止符を打って、そうしてもっぱら力を建設方面に向けていくときではないか。いつまでも合併するそのことだけに力を費やしておりましては、肝心の建設方面におくれますので、できるだけもうこ程度町村合併問題に一応の終止符を打つように努力する時期ではないか。しからばどうして終止符を打つか、こういう問題になりますと、残された未合併町村につきましていろんな態様があるわけであります。だれが見ても合併することが適当と思われるところもあるでありましょうし、あるいはまた諸般の事情から見て、なかなか合併困難のところもあるでありましょう。いろいろな態様があるわけでありますが、そういうものをいろいろ検討いたしまして、私の考えとしては、およその基準と申しますか、こういうふうな町村につきましてはできるだけこの機会にすみやかに合併をするようにお願いする。また、こういう町村につきましては、もうこれ以上無理をせぬというようにするとか、検討する必要があると思うのでありますが、いずれにいたしましても、およその方針をきめまして、そうしてはっきりと、ここでいつまでということは申しかねるのでありますが、もうことし中くらいに一応終止符を打つ方向に持っていくべきではないか。その終止符を打つ打ち方につきましては、私どもこれから十分検討していかなければならぬと思うのであります。実は事務当局に対しましても、どういう形で終止符を打つのがいいのか、またどういう形にすべきか、そういうことにつきましても検討をするようにということを、実はきのうもいろいろ話したのであります。もちろん国会の皆さんの御意見も聞かなければなりませんが、私自身考えとしては、もうそろそろ終止符を打つ方向に持っていくようにすべきではないか、かような考えに立っておるのであります。その終止符を打つ打ち方は、そういう方向に持っていきたい、かように思います。
  11. 天野光晴

    天野(光)委員 大臣のお考え、まず賛成はいたします。しかし問題は、残ったものの始末をどうつけるかということにかかると思います。いわゆる正面者がばかを見るという言葉もある。公平に政治が行われないと、この町村合併の総仕上げを行なった場合、県並びにその合併に協力した県の審議会並びに政府当局が、国民から不信を買うような結果になることを私は非常におそれておるわけであります。それですから、終止符を打って、新市町村建設に入る段階にきていることは何人もわかることでございますので、われわれは、一日も早く最終結論を出されて建設段階に持っていくことには賛意を表しますが、ただ残った問題は、いわゆるだれが考えても、これは合併しなければならないと思われるにかかわらず合併をしないでおるもの、あるいは一次合併をもやらないで、現在まだどうしてもがんばっておるというようなもの、あるいは一次合併をやって、二次合併段階にきて、どうしても二次合併を必要とするようなもの、あるいは二次合併と一次合併を一緒にした計画等、いろいろあると思いますが、その一つ一つの問題については、非常にデリケートな問題が残っている。残っているものは、いわゆるパーセントにおいてはわずかであるが、質においては今までやったものの五倍も十倍も努力をしなければ完全なる解決を見ることができないという段階にあるのが現在の町村合併の残っておるものの課題であろうと私は思うのであります。そういう点について、この前の委員会における大臣のごあいさつの中を見ますと、もうすでに結論の出ておるようなふうに見たのですが、今の答弁によりますと、終止符を打つにはどうしてもことし中にやりたいと思うが、その方法については、相当影響があるからこれから十二分に検討を加えて行うというふうに私は拝承いたしたのでございますが、その点について間違いなければ、私は一応アウト・ラインだけで、基本方針の具体的な問題については、自治庁の方で成案を得られるときに意見を申し上げるといたしまして、私の質問は打ち切りにいたします。
  12. 纐纈彌三

  13. 北條秀一

    北條委員 今の町村合併の問題でございますが、私は関連して大臣質問したいと存じます。私は、おくれて参りましたので、前にどういう質問があったか存じませんが、もし重復しておりましたなら御注意を願いまして、重複した分については私の方で御遠慮申し上げたいと思います。私は二、三点伺いたいと思いますが、御質問申し上げます結論は、要するところ三月二十五日に、新市町村建設促進中央審議会岸内閣総理大臣答申をいたしました。これについて同月郡前長官が早急にこれをやるということを言明されておりながら、五月になって、第一次岸内閣がこれを第二次岸内閣に持ち越したという事情をまず承わりたいのでございます。第一次岸内閣は、自分の方で市町村合併をいかにしたらいいかという諮問を発して、その審議会においては、慎重に審議され、調査をされた。しかもその審議会の中には、それぞれ担当の関係各省の次官も出ておりました。そしていわば天下の良識が集まって結論を下して、これを早急に合併すべきである、しかもその合併の決断を下すのは一にかかって総理大臣の権限でありますから、その総理大臣が、なぜ五月になってじんぜん後に繰り越したのか、その事情をまず第一に承わりたいのであります。私の推測は、先般も大臣が、自由民主党は党本位でやるというようなことを言われましたが、五月に延ばされたということは、どうも総選挙を控えて、これをやれば党としては非常に不利に陥るというような考え方からやられたのではないか、邪推になるかもしれませんが、そういうふうに考えられるのであります。そういたしますと、党本位でこの問題をお考えになりますと、永久に市町村合併の問題は解決しないのではないかということをおそれるのであります。従ってこの際、青木国務大臣が早急にこの問題の結末をつけると先ほど言っておられましたけれども、それではどうも私としては納得できません。この際、今国会中にやるとか、あるいは七月にやるとか、こういうふうな責任ある言明を承わりたいのであります。まず第一にその点について質問いたします。
  14. 青木正

    青木国務大臣 この前の国会で、三月三十一日に決定すべきものを九月三十日まで延ばすことに法律の改正をいたした理由でありますが、これはその当時答申は受けましたが、これに対する政府の態度を決定するのに多少時間的な問題もあったかと思うのでありますが、そのほかにもう一つ理由といたしましては、三月の、日は忘れましたが、月末近くになりまして、新しく栃木県と群馬県の二県から同様な問題が提起されたのであります。従いまして、法律の建前からどうしてもこれは中央審議会にかけなければなりませんし、かけるといたしますと、時間的余裕がありませんので、どうしても法律によって決定期限を延長しなければ扱いようがなかった、こういう事情もありまして、九月三十日まで法律を延ばしたのであります。  第二段の御質問につきましては、先ほど纐纈委員の御質問に対しまして私、御答弁申し上げたのでありますが、この問題は、私としましては、引き継ぎを受けました問題のうち最も重要な問題でありますので、なるべく早く政府として決定しなければならぬことは当然でありますが、同時に、決定するに当りましては、審議会経過なり、あるいはまたその後の情勢、あるいはまたできるだけ円満に処理しなければなりませんので、調整すべき点がありましたならば、調整することにつきましても、できるだけ急速に、しかも慎重にやる必要があろうと思うのであります。従いまして、ここでいつ幾日までに決定するということをはっきり申し上げることは、ちょっと今のところ私見当がつかないのでありますが、しかし、各方面の御要望等もよく承知いたしておりますので、できるだけ御期待に沿うように、同時にまた政府がこれを決定するに当りましても、問題を円満に処理することにつきましても、最善努力をせなければなりませんので、そういったところを御考慮願いたいと思うのであります。御趣旨の点は十分よくわかっておりますので、私としては、最善努力を払って、できるだけ早く問題の解決をいたしたい、かように存じておるわけであります。
  15. 北條秀一

    北條委員 それでは三月二十五日の中央審議会答申に出ておりました埼玉県と東京都の問題、福井県と岐阜県の問題、長野県と岐阜県の三つの問題、これは早急にやるべきだという結論が出ておるのでありますが、この三件について答申が出るまで、一体調査及び検討に何カ月くらいかかったか。この点、私は前のことを知りませんので、おわかりになったら知らせていただきたいと思います。
  16. 青木正

    青木国務大臣 恐縮ですが事務当局から……。
  17. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 これらの案件が発生いたしましたのは昭和三十二年の前半でございますが、審議会諮問をされましたのが昭和三十二年の四月十七日でございます。その後三月二十五日に結論を出しますまでに、審議会といたしましては、それを小委員会に付託いたしまして、小委員会といたしまして前後十二回にわたります委員会を開きまして、詳細にかつ慎重にこれを検討して、小委員会結論を出しますとともに、これを本審議会にかけまして、本審議会で採択をされまして、審議会から答申がなされたわけでございます。審議をいたしました期間といたしましては、そういったわけで十一ヵ月余にわたるわけでございます。
  18. 北條秀一

    北條委員 わかりました。そういたしますと、先ほど申しました三つ案件につきましては、実に一年近い日時が審議会において費されておるわけであります。先ほど大臣が言われました三月の末に新しく栃木、群馬の両県から合併の問題が出てきたとなると、前例から考えてみると、これまた容易ならぬ問題じゃないかというふうに考えるわけであります。そうすると一カ年間これにかかるということ、になると、前に答申されたものは群馬、栃木とは別に、これは早急にやるんだということであるならは了解できますけれども、先ほどの大臣の御説明によりますと、新しく出てきたので、これも解決しなければならぬ、だから両者にらみ合せてやるということになりますと、できないのではないかというふうに考えられますが、いかがですか。
  19. 青木正

    青木国務大臣 新しく二つの案件が出て参りましたため、審議の時間がありませんので法律は延ばしたのでありますが、しかし、この新しく出た二つの答申が出なければ全体を決定しない、こういう意味じゃないのでありまして、あとから出たものはあとから出たものとして、すでに答申のあった問題につきましては、これとは別個に早く処理しなければいけない、かように考えております。
  20. 北條秀一

    北條委員 それでは答申の出ましたものは、これはこれとしてやるという方針ははっきり承わっておいていいんですね。そうなりますと、その次に私は大臣に特にお聞きしたいのでありますが、先ほどは六月か七月と言われましたけれども、大臣として、いつまでに結論をつけるつもりであるか、こういうことについて言明を願えないでしょうか。いつごろまで、でけっこうでありますから……。
  21. 青木正

    青木国務大臣 具体的にいつまでというのは、ちょっと今のところ申しかねると思うのであります。そんなことではいかぬのでありますけれども、実は就任しましてすぐ国会になりましたので、各局の説明も一通りは承わっておりますが、しかし、もう少し掘り下げて承わらなければなりませんし、これを決定するに当りましては、政府責任においてしなければなりませんことですから、慎重にしなければなりませんので、そういう関係方面関係府県等のいろいろ意向を聞いてみたり、その他調整すべき点があるかどうか、こういう点につきましても、今から幾日あればそれが済むかどうかということをここで見通しを立てるということは、ちょっと困難でありますので、はっきりいつごろまでということは、実は申し上げかねるのであります。しかし、できるだけ私といたしましては、引き継ぎを受けた懸案事項のうち最も大きい問題であり、しかも急速に解決せんければならぬ問題でありますので、その点を十分考えまして、最善努力をいたしたい、かように存じておるわけであります。
  22. 北條秀一

    北條委員 大へんくどいようでありますが、これらの問題は、地元民にしましても、多年の懸案問題であります。従って、私としてはくどく聞かざるを得ないし、くどく聞くゆえんは、早急にこれを解決していただきたいということであります。従りて、今大臣が言われました、関係府県あるいは町村意見を聞かなければならぬといことでありますが、これらの当該町村では絶対多数が合併賛成であって、しかも過去数年間、その賛成の態度が微動もしていないということを聞いておるのであります。しかも、これらの府県については、それらの県から選出されました衆議院議員、参議院議員ないしは府県会議が、いずれも署名をして、早期にやれということを言っておるわけであります。これ以上一体どこに政府として聞かなければならぬか、これは私は非常に不思議なんでございます。こうなりますと、結局最後まで、一人でも二人でも反対する者があれば、一人でも二人でもそれを説得するまでやっていくのか、今大臣の言われましたのはそういうことなのか。そんなことをやりておったのでは、この問題は容易に解決しないと思います。すでに自由民主党は、この国会の運否におきましても、たとえば常任委員長の配分の問題にしても、話し合いがつかなければ最後は数でいくんだ、こういうように言っておられるわけであります。しかし、この問題は絶対多数、九九%が賛成であります。それをさらに一%の意見を聞くということは、キリストは、九十九匹の羊はほうっておいても、一匹の羊を求めるというような教えをたれました。そのことはわかりますけれども、これはあまりにも無責任な態度じゃないか、こういうように考えるわけであります。皮肉なことを申すわけではありません、が、昨日、私は大臣からきょうの御招待をいただきました。きのう言って、きょう招待するというのは、およそ私はどうかと思うのであります。しかし、招待の方をそれだけ能率的におやりになるなら、これだってきょう言ってあしたやるというわけにいくはずだ、こういうふうに思います。従って、今おっしゃいましたもう少し意見を聞くのだというのは、どういうところに意見を聞くのか。その点、も上具体的にわかりましたならは言明願いたいと思います。
  23. 青木正

    青木国務大臣 もちろん、一人二人の反対かあるうちはやらぬ、こういう意味じゃないのでありますが、もともといろいろ紛争があり、そして審議会にかけられた問題でありますので、決定をいたす場合に、できるだけ円満に事を運ぶためには、調整をとれる点も若干あるのじゃないか。ここで具体的に、それではどこにそういう点があるかということは申し上げかねるのでありますが、いろいろ諸般の情勢検討いたしますと、調整をする余地も、決定をいたす前に、できるだけ円満に決定ができまするように調整をするような面も、私は若干あるのじゃないかと思うのであります。しからは具体的に何があるかというお話になりますと、これは関係町村民の問題でありますので、そのことがまたかえっていろいろな波紋を起しましては御迷惑と思いますので、具体的にはちょっと申し上げかねるのでありますが、若干調整をすれば、同じ決定をいたすにしても円満にいけるのではないか、こういうことも若干あるのじゃないかと思うのであります。ただ関係町村民の方々をいつまでも不安定な状態に置くことは、お話のように私はまことに申しわけないと思いますので、いずれにいたしましても、できるだけ早く決定をしなければならぬ。かように考えるのでありますが、早くしなければならぬということと同時に、できるだけ円満にするということもまた政府として当然なすべきことだ、かように考えますので、その意味におきまして慎重にいたしたい、かように申し上げたのであります。
  24. 北條秀一

    北條委員 ほんとうにくどいようでありますが、大臣はなかなかつらいようですから、事務当局にでも私は聞きたいのですが、今大臣の言われました、さらに円満にやるためには話し合いをつけなければならぬ、あるいは調整をとらなければならぬという部分が残っておるかどうか、事務担当当局としてどういうふうにお考えになっておるか、それを一つお聞きしたいと思います。
  25. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 今大臣から、若干の調整をとらなければならないというふうな言葉を言われた内容につきましてお尋ねがあったのでありますが、実はわれわれも、その調整が必ずしも成功するとばかり考えておりません。そういったことをやった方がはるかに円満にいくということは考えておりますが、やはり、なかなか両者の間の妥協点が見つからない場合もございますので、はっきりと申し上げられないのでありますが、たとえばこの案件の中で、福井県の二市町村におきまして、福井県側に近いわずか二部落でございますが、戸数にいたしましてわずか二十戸程度が福井県に残存を強く希望いたしております。その二部落を離すことにつきまして、岐阜県側と申しますか、当該関係町村におきましては、これまたその時期については異論があるようでございますが、合併後に、場合によっては離していいという報告を受けておるわけであります。     〔纐纈委員長代理退席、委員長着席〕 合併前に離すか合併後に離すか、その点がまだはっきりいたしておりませんが、私が聞いておりますのでは、合併後ならば離していいということを聞いておるわけでございまして、そういった点がはっきりいたしますならば、この当該府県合併については問題が非常に少くなってくるわけでございまして、ある程度調整がついたということになるのでありますが、それが成功するか成功しないかということは、非常に微妙でありますので、その程度しか申し上げられませんが、そういう点がございまして、もしそういった調整が、各県について違った形ではありましょうが、そういった区域を離すとか離さないとかいう問題で発生するか、あるいはその他の問題といたしまして調整をつけるものがありといたしますならば、そういった意味の調整を早急につけまして、そしてできるだけ今の反対よりも若干でも反対を少くいたしまして、早急に合併にもっていくということが可能ではないかと考えておるわけであります。
  26. 北條秀一

    北條委員 ただいま行政当局の御説明は、一つだけ承わったのでありますが、この問題は、そういった原則論ではないのです。現実論なんです。今どうするかという段階にきておるのですから、従っう確かに福井県の問題は私はわかった。それじゃ東京と埼玉の問題あるいは長野と岐阜の問題とか、もう一つありますが、この問題について、今わかるだけ説明してもらいたいと思うのです。どういう問題があるか、調整すべき点が残っているとすればどういう点か、埼玉県と東京都の間に残っておる点、あるいは長野県と岐阜県の間に残っておる点、今幸いに福井県と岐阜県の間はお話しになりましたから、他の県のことについてお聞きしたい。
  27. 吉浦浄真

    ○吉浦説明員 一つの例を申し上げただけで、ございまして、今申し上げましたように、その他に問題があるとして、調整し得るものがあればということで申し上げたわけでございまして、ここで具体的に各県についてどういう問題が反対の論拠として残っておるということを申し上げましても、私が先ほど申し上げましたように、それを解決することが全体の賛成を得られる場合ならばともかくも、やはりただ唯一の問題を一応解決いたしましても、総体としてまるき場り反対をしておる場合には、これは役に立たないわけでございますので、今福井県の場合のように、ある一つの問題を解決すれば、多少問題は残りますけれども大きく前進するというものにつきましては、解決の、調整の方法もあるわけでございますが、他の二件につきましては、そういった調整を試みましても、たとえば地域的な調整、部分的な調整を試みましても、大きく問題の核心をとらえて前進するという効果は現在少いのではないかと考えております。
  28. 北條秀一

    北條委員 この問題は、きょうは時間も多くありませんし、従って露骨に申し上げますと、逃げ口上を立てられるために美辞麗句を並べられておってもどうにもなりませんから、この問題については、あらためて私も研究しますし、当局も研究していただいて、要するところは、できるならばこの特別国会中にはっきりした方針をきめるべきだ、それがすなわち政策本位であるというのが私の主張なんです。そのように、一つ私の強い希望をいれていただきたい。これをもってきょうの質問は打ち切っておきたいと思います。あらためてお伺いいたします。     —————————————
  29. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。門司亮君。
  30. 門司亮

    門司委員 きょうは警察に関して少しお聞きをいたしておきたいと思います。最初に、当局側の準備もあることかと思いますので、項目だけを一応申し上げておきますので、あらかじめ準備のできるものは一つ準備をしていただきたいと思います。一つは、御承知の本州製紙の問題、いわゆる浦安事件の問題でございます。その次にお聞きをしておきたいと思いますことは、横浜市の金沢駅前における市大の生徒の署名に対する警察官の権力の行使の問題です。その次に聞いておきたいと思いますことは、和歌山県の西警察署の松江警部派出所に行われた送達簿の問題、もう一つの問題は新潟の六日町の事件でございまして、これはすでに当局も御存じだと思いますけれども、和歌山県と同じような仕事をいたしておりますが、名前が作業簿という形で思想調査が行われておる。この四つの事件についてのお尋ねをいたしたいと思いますので、あらかじめ一つ考えていただきたいと思います。それから順序といたしましては、きょうは警視庁の諸君の時間が午前中しかないというお話でありますので、警視庁に関係することから先にお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  第一点は、すでに本州製紙の問題は、参議院で決算委員会あるいは地方行政委員会、衆議院におきましては、法務委員会等において大体論議がされておると思います。従って、速記録にある問題で重複をいたします点については、できるだけ避けたいと思いますが、私は、この際警視庁にはっきり聞いておきたいと思いますことは、この事件の問題として大きく取り上げられておりまするいわゆる警察官の警棒の使用の問題が非常に大きな問題となるのでありますが、その前に聞いておきたいと思うことは、この事件については、あらかじめ警察官が約二百七、八十名、これは会議録を見てみますと書いてありますが、本州製紙の工場の中に待機しておったという事実が書いてあるのであります。これは警察が独自の立場で、不穏当のような情勢があるからこういう処置をとったんだと会議録に書いてあります。もしこういう事態があったんだとすれば、工場の中に事前に多くの者を待機させる。この問題は、御承知のようにただ単に労働組合やなにかの会議と違いまして、町の町長なり、あるいは町会議長というような諸君が関連をいたしておりまするので、当該警察としては、やはり当然防止その他についての話し合いはできなかったかということ、警察は、ただ権力だけで独自の判断で警察官を派遣して、二百八十名、ばかりの者を門内に待機させておった、こういうことが書いてありますが、この点のいきさつはどうなっておりますか。一回も事前に事を防止するというようなことに尽力された政治的の配慮は行われていなかったのですか。その点を先に聞いておきたいと思います。
  31. 川合寿人

    ○川合説明員 本州製紙の江戸川工場につきましての経緯は、ここでもうくだくだしく申し上げまいと思います。ただいま御質問の要点についてだけ申し上げますが、この工場につきまして、私どもがいささか不安を感じましたのは、四月の半ばころからでございます。汚水処理の問題について、主として経済補償の問題を中心として、いささか心配な現象があるということを私ども情報として係が受けておったのであります。これは東京都下の江戸川べりのいろいろな組合とか千葉県の組合、それらを通しまして、工場なり、あるいは千葉県の警察本部から情報を受けておったわけであります。これが警備的に少しく心配だということを感知いたしましたのは五月二十四日の事件でございまして、このときには、船でもってやってきました漁民が、川の方から工場の中へ入りまして、若干の粗暴な行為があったのであります。たとえばマンホールを詰めてしまったとか、工場の総務課長をなぐったというような事件がありましたが、このときには私どもの方では、情報に応じて警察官を出しまして、割合にスムーズに関係者の話し合いがついておるのであります。私どもの方では、しかし何となく不安な心持でおったのでありますが、そのために六月の二日には関係面本部長をしまして工場を実査させたのであります。なお七日の日には、工場責任者を小松川警察署に招致いたしまして、いろいろと警告を出したのでございます。一方、都のいろいろなこれに対する措置につきましても、十分に関係のものにただしましたところ、この汚水の関係については、都の建設局におきましては、非常に心配であるからして使用をしないように、汚水を排出しないようにという勧告を出しておるということも判明いたしました。私どもは、こういう経済公害の問題と警備上の問題とにらみ合せまして、いろいろな措置を講じておるのでありますが、管内の組合に対しましては、署長から警告を出しまして、軽挙しないように、それから工場に対しましては、都を通しまして、いろいろな措置を強化されるように願っておったわけなのであります。ただ当日の差し迫った状況につきましては、これはおそらく門司委員も十分御承知でありましょうから申し上げまいと思います。が、約七百人の人が来ました。そのことにつきましても、私どもの方では、議員会館における動作からしまして、割合に今おっしゃいました町長なり、議長なり、あるいは組合長がついておられるにかかわらず、統制がとれていないのではないかということで、私どもの方では二個中隊をあらかじめ工場の食堂のところに秘匿待機をしておったわけであります。この関係は、工場管理者との意思の疎通がどうかということを御質問になっておられますが、これはたまたま私の方で当日の漁民の人たちの行動の統制がないということからしまして、心配をしておりましたところ、たまたま工場からも少し今日は心配であるからして警察官の出動を願いたいということでありまして、彼此勘案の結果、挑発的なことに出ることをおそれまして、工場の正門から約二百メートル離れました奥にありますところの食堂に秘匿しておいたわけであります。その後のいきさつは十分御案内の通りであります。
  32. 門司亮

    門司委員 今、御答弁をいただいたことは会議録に書いてあります。私の聞いておりますのは、先ほどからお話のありましたように、警察は独自な立場で、どうも統制がとれない団体であるらしいから、こういう態度をとったと言われるのですが、私どもは、やはり警察は権力だけを行使するというのではなくて、今日の警察のあり方というものは、相手方に、そういう常識のある町長なり、議長なりの指導のもとに動いておるときにおきましては、あらかじめこれらの諸君との間に話し合いが行われて、そうして統制のある行動で、こういう不祥事の起らないように努めてもらうということが、今日の警察のあり方ではないか。昔のように、ただ単に人間の集ったものを見ればみんなこれを暴徒と考えておるというようなものの考え方であってはならないと思うのです。それからこの事件は、今のお話のように非常に古い事件でありまして、古いというよりは、二月くらい前の四月五、六日ごろから大体問題があったというように報告書には書かれております。従ってかなり長い時間の経過を持っておると思いますから、今の警視総監の答弁には、何か警察側におけるこういう事態を引き起すまでの処置が十分にとれていないで、一方的な解釈に基く問題ではなかったか。ことさらに問題を大きくした。警察がしたというわけではありますまいが、実際の結果から見れば、そういうことになってはいないか。  それからもう一つこの際聞いておきますが、その際に、工場側に対して警察側はそういう待機をする。しかし問題の起りは、御承知のように何もたくさん人が押しかけていってけんかをするということを最初から考えたわけではないので、問題は、決議文を手渡すというのがあのときの出動の最大の目的であったと思うのです。また、それを実行に移したと思うのですが、それに多くの人がついておった。ひらたくいえばそういうことだと思います。しかし、警察側から見れば、どうも多くついてきたというのはあばれるらしいということで行われた。趣旨がそういうことで、決議文を手交するということが趣旨であるとすれば、やはり、工場側もそれを受けて立つという態度がこの際は望ましいのではないか。従って、警察側がもう少し上層部の方でお考えを願って、そして工場側になりあるいは漁民側にも話をされれば、この事件は起らなかったのではないか。そしてもう少しスムーズに解決したのではないかというような気がするのでありますが、工場側には、そういう点について何か手を打たれましたか。
  33. 川合寿人

    ○川合説明員 ただいま申し上げます通り、工場に対しましての私どもの措置は、工場の内部の模様、機械的な設備その他については私どもよくわかりませんので、今までの工場のやり方、それから都の指令関係、勧告の関係、それから工場の中におきます危険物その他の分散関係、それから汚水が出まして、それについて当該組合を初め漁民の人たちがどういうふうに困っているかということの情報を得まして、いろいろな施設につきましての勧告、警一告は、どうしても都の関係部課を通してやらざるを得ないので、そういうふうな措置をとったわけであります。しかし会社の態度も、私どもとしては非常に心配でありますので、所轄の警察署なりあるいは方面本部長をしまして、いろいろと会社の関係者、ことに近藤という常務取締役が主として話の対象になっておるのでありますが、こういう人たちに向いまして、警備上の問題を打ち合わしておるのであります。当日の模様について、少しく統制の関係で警察の親切味が足りないというようなことにつきましては、第一回の議員会館における態度は、割合に乱暴であったのでありますが、都庁への陳情の模様は、バスを楠公銅像のあたりに置きまして、代表者が非常に穏便に折衝しておりまして、そこでまた会う人の方は安心をするという実情であったのであります。  人数の関係でありますが、これは所轄の千葉県の警察におきましては、そのように大人数が行かぬでもいいじゃないかということを勧告されたように聞いておりますが、いや、これは川島幹事長にも会うし、それから工場に決議文を持っていくについて、やはりみんなの誠意が示された方がよろしいということで、あれだけの人数になったように聞いておりまして、約十台のバスを借り切ってやってきたわけであります。  当日の正門に来ましてからあとのわれわれの措置につきましては、これはいけないというので、広報車その他を使い、また町長、組合長その他の方々に、関係の監督者から、ぜひあれを一つ統制ある行動になるようにということを言ったのでありますが、いかんせん、いろいろな四囲の状況からしまして、時刻もおそくなるし、若干飲酒をした人なども出てきまして、幹部の方方も統制がとれず、私ども最小限度の警備措置をとった、こういうふうに私信じておる次第であります。
  34. 門司亮

    門司委員 この点は認識の相違で、きょうは時間もないという話でありますから、あまり強く最後まで聞こうとはいたしませんが、あなたの方から出ておりますこの書類「本州製紙江戸川工場の事件に出動した理由と根拠」という書類がありますが、これを見ましても、根拠自体というものがきわめて一方的に大体見ておる経過が書いてある。理由書の中にも今お話のようにこの五月二四日に行われた問題、それからその前に行われた参議院の常任委員会の庁舎に入一た問題というようなことがずっと書かれております。そうして最後に(根拠)として書いてありますのが、「警察法第二条に基づく警察の責務として、個人ならびに公共の安全と秩序の維持に当ったものである。」「警棒使用規程および警棒又は警杖で傷害を与えた届出の件数」という、あなたの方の報告書が出ておりますが、これを見て参りましても、警察法の二条に基く出動ということになっております。今申し上げましたようなこの問題については、事前にもう少し防止をする余地があったのではないかと考えられる。ことに問題の所在が東京都庁との関連性を持っております。従って警視庁としては十分連絡もとれる問題ではなかったかと思う。いわゆる警察と東京都庁と工場、あるいは地元——千葉県だといえば、あるいは県がかわっておったと言えるかもしれませんが、しかし連絡のとれる場所であって、こういう事件が起ったということが、単なる警察法の第二条によってこれをやったのだという一方的の見方については、まだ議論の余地はあると思いますが、それはそれといたしまして、問題の核心に少し触れておきたいと思います。  この事件で起った警察官の行動についての考え方であります。警察官の行動につきましては、これも報告書類に書いてありますが、必ずしも行き過ぎがなかったか、あったかということについて、今警視総監としてはどういうお考えをお持ちになうておるか、その感想だけを先に聞いておきたいと思います。
  35. 川合寿人

    ○川合説明員 六月十日の六時二十分に、この浦安の漁民組合の方々が着きまして、私どもの方ては食堂のところに待機しておりましたので、門を無理に開いて入ってきたその行動の阻止はできなかったのであります。七百名の中で、年とった方や幹部たるべき人々は、そこでかなり阻止をされたようでありますが、群集的な勢いでもってほとんど大部分の人がどっと事務室なりあるいは倉庫なりのところへやってきまして、被害を受けたのは主としてガラスでありますが、これを二、三百枚割ったのであります。このときにおきまして、私どもの方の警察が出ましてこれを制止し、また現行的な者を逮捕いたしましたのが四名ありますが、これにつきましては、私どもの方では全く何らの反省すべき材料を持っておりません。ところで、あとの措置でありますが、四名の漁民を逮捕いたしましたので、若い血気盛んな漁民の大部分の人たちは、今度は戦法を変えまして、ぜひ彼らを戻してくれ、釈放しなければ自分たちはてこでも勅かないということで、事務室の前にすわり込みをやったのであります。実はすわり込みの行為に対しまして、私どもの方では、これ以上害が及んではいかぬので、これを取り巻くように対峙をしたのでありますが、幹部としましては、このときの措置には非常に悩みまして、一体この状況で長時間おるべきか、あるいは現に違法な行為、状況であるので、これを門外に排除すべきかということにつきましては、関係の警備部長と現地との間に相当数回にわたりまして折衝があったのであります。ところが、私の方ではそのときに相当数の警察官が出ておりましたが、ある部隊に対しまして、漁民の人たちが、千葉県から持ってきたと思われるオート三輪車を、エンジンをかけましてわっと突っ込んできたのであります。そこでこれは大へんだ。それから時折思い出したように喚再をあげて瓦礫をほうってきます。その危険が非常に大きいことと、工場の中に液体塩素の貯蔵所でありますとか、あるいは変電所その他の重要施設がありますので、翌朝までは待てないということを現地の監督者はきめまして、これを排除するということになりまして、どうしても普通の素手だけではいけないというので、約二分間にわたりまして警棒の使用を部隊長は命じておるのであります。これらの行為におきましては、すでに排除するという行為になりますと、相当暗い場面がありまして、しかもやはり力と力との対抗でありますので、私は、現地ではかなり陰惨な情景が展開されたのではないかと思っております。そこで私どもの内規に従いましても、よしんば用具として使用したにいたしましても、いやしくも警棒を使用いたしました以上、その事後結果については慎重に報告をとりまして、どういう結果であるかということを監査したのでありますが、漁民の人々で負傷した人は、全部自分たちの仲間に帰っておりまして、なかなか現認ができないという実情でありました。一、二名の人たちは、治療を私どもの手で受けさせておるのでありますが、大部分の人は帰った。警察官の方でこの前後の二回を通じまして負傷しました者が三十七名あるのでありますが、その中には、かなり重傷の者もありましたので、彼此非常な混乱を呈したわけであります。一体警棒を使用することがどうか、それから非常に圧服的な態度ではなかったかというおしかりがあるかもしれませんが、この点につきましては、私どもは、やむを得ない最小限度の用具の使用ではなかったかと今もって考えております。それから負傷者の探し方及びこちらの気勢のあげ方といいますか、そういうものにつきましても遺漏はないと思っておりますが、ただあとで反省をいたしましたのは、逮捕いたしました人の中における負傷者の発見及びその措置につきまして、私は幾らか甘く考えた点があると考えておるのであります。事柄の内容は門司委員も十分御承知でありますが、佐藤金蔵氏に対する措置、肋骨の関係は、レントゲンの措置等が若干おくれたように思っておるのであります。ただこれは弁解がましくなりますけれども、佐藤氏は手錠をかけて医者のところに行くのはいやだということを言いまして、私どもとしましては、歩行が全然できない人であれば別でありますが、歩行可能な人間につきましては、監護の意味をもちまして、医者に行くまでは手錠をかけざるを得ないわけでありまして、そういう点でも若干ごたついたようであります。大部分の治療は、実は手ぬぐいをもってする湿布で、本人の希望もありましたし、当時臨床をしました医者の忠言もありまして、二日間にわたって痛いという場所を湿布しておったのであります。これがおそらく四十時間くらいにわたっておるのじゃないかと思っております。あとまた御質疑に応じて具体的な問題はお答えしたいと思います。
  36. 門司亮

    門司委員 今の警視総監の御答弁は、私の質問より答弁の方が先に走っておって、何かつじつまが合わぬようでありますが、問題は、警察官の出動についての考え方です。あなたの方の報告書を見ますと四回にわたって出動がされておりますね。従って、今のお話のように突発的に起って、その中でわずか二分間くらい警棒の使用を許したというようなものではないと私は思います。この事件というのは、そう簡単に、集まっておった人間が一ぺんに衝突したものではございませんで、警察官の数も、大体あなたの方で推定しておる漁民の数とそう変らぬのであります。四回にわたって出動された警察官の総数は六百三十名と報告されております。そうすると漁民の数は、今あなたの方で七百名とおっし必、るから、警察官の数と漁民の数とが大体同じような形で、しかも四回にわたって次々に応援の態勢がとられておるようであります。時間的に申し上げましても、小松川署の部隊の出たのが十日の午後五時三十分でありますか、第二機動隊が同じように午後五時三十分に出ており、第四機動隊は午後七時に出ておる。また第三機動隊は午後七時二十五分と書いてある。こういうふうに事件は相当長かった。長い間にわたって対峙が行われておったのです。  そこで今の御答弁をここで一々反駁する時間もないかと思いますが、せっかく御答弁が聞かない先にある程度話がございましたから申し上げておきたいと思います。今の総監の言葉の中で、これは言葉じりをとるわけではございませんが、非常に重要な問題でありますから聞いておきたいと思いますが、用語の中に警察法にない用語を使われておりますが、一体そういう用語が警察別話としてあるのですか。警棒を用具という形で今話されたように聞いておりますが、警察法から見ましても、警棒使用規則から見ましても、これは武器と書いてあるはずである。警察法においても武器と書いてあるはずである。この用具というものと、武器というものとの、ものの考え方に私は非常に大きな問題が伏在しているような気がするのであります。用具というものについては、ある程度やわらかい気持を持たせるのでありますが、警察法にはちゃんと武器と書いてある。従って、警棒の使用は武器の使用になっておる。これは警察用語としてこのごろ新しい用具という言葉が使われているのですか。あげ足をとるようですが、その点一つ聞いておきたい。
  37. 川合寿人

    ○川合説明員 警察官が使用を許されております警棒は、本法には武器という名称で呼ばれておりますが、これを使用する場合の軽重の度合いに若干相違がありまして、警視庁におきましては、この許されました警棒を使用する場合々々を「警察官警棒等使用及び取扱規程」というものを別途に設けまして、詳しく規定をしておるのであります。これはいつでもお読み願えるわけでありますが、第六条に持っていきまして「用具としての使用」こう書きまして「警棒等は、諸般の警察務並びに警察官職務執行法第四条及び第五条による警告、引留め措置又は制止等に用具として使用することができる。」第七条に「武器としての使用」ということを規定いたしまして、「警棒等は、前条による使用のほか、執行法第七条に該当する事案が発生した場合は、同条に規定する限度内で武器として使用することもできる。」こういうふうに書いておるのであります。第六条と第七条に、私どもの方ではそういうふうに使い分けておりまして、現地におきまして、これを隊員にどういうふうにするかということは、そういうようなことを説示するといとまはございませんが、隊長の心持といたしましては、これは決して正当防衛なりあるいはその他の非常に激しい状況、あるいはこちらが非常な危険な状況ということでなくて、ただ数百名の人たちを門外に押し出すのには、どうしても素手ではいかぬので、これを排除の用具として使ったというふうに申し上げた次第であります。
  38. 門司亮

    門司委員 今の用具の問題は警察官職務執行法第四条、第五条、第七条の解釈になると私は思います。警察官職務執行法四条、五条に書いております問題に相当するものが、あなたの方の規則を見てみると、用具として使えると書いてある。それから執行法の七条に該当する場合には、これを武器として使えると書いてあるというのは、今総監が説明された通りであります。問題はそこにあるのでありまして、ここでお答えになったときには、用具として使えるとお答えになったのですが、実際には武器として使われておるのですね。そこで私は聞いておきますが、警視庁が書いておる警棒使用の規程あるいは警察庁が規定している警棒使用の規程の中には、頭と顔をなぐってはならぬと書いてある。ところが、負傷した者の姿をあなたは調べてごらんなさい。私の方で言えというのなら、名簿、負傷個所を調査した資料がありますから、人間の名前と、どこをどういうふうにけがしておるかということを一々申し上げてもいいのだが、負傷者の大部分は頭と顔であります。これは警棒の使用規則に違反しているが、違反した警察官に対する処置はどうとられましたか。これは当然この規則に違反している警察官だと私は思う、頭をなぐっているのだから。この規則には頭をなぐるな、なぐってはならないと書いてある。これらの警察官に対する警視庁のとった処置をこの際明らかに目しておいてもらいたい。
  39. 川合寿人

    ○川合説明員 警棒を使用する場合というのは、私どもとしましても、一年に一回もありません非常に重要な事案でありまして、現地の部隊長、関係監督者は、こういう点について慎重であるということは、私ここで言明するにやぶさかでないのであります。従いまして、これを使用したあとの問題につきましても、非常に私どもは神経質でありまして、おさめという号令をかけたあとで、直ちに現場を点検し、逸脱行為がないかどうか、なかんずく負傷その他の事案がないかどうかということに気をつけるわけでありますが、当日の九時五十七分現在におきましては、今まで監査を続けたのでありますが、はっきりしたものが出てこなかった。今、門司委員がお尋ねになりました負傷者が、漁民の側に明らかに警棒をもって後頭部を打たれたと思われるものがあるが、これについての結びつきについて十分調査して措置すべきではないかということでありますが、これは申されるまでもなく、私はその点を、先ほどからもるる申し上げました通り、非常に心配いたしまして、隊員の一人々々につきまして、その行動を調査いたしたのでありますが、現在までのところでは、この事案につきまして行き過ぎ行為、私どもで懲罰その他の処分に付すべき行為は見当らないのであります。
  40. 門司亮

    門司委員 そんなばかな話がありますか。町に行って調べてごらんなさい。ここにちゃんと名前が書いてある。もしあなたの方で必要だというならば、その名前を読んでもいいですよ。負傷の個所も書いてある。それから町は負傷者に対しまして、全部見舞金を出している。氏名がわからなくて見舞金が出せますか。暴徒同士の、味方同士のなぐり合いではなかったはずです。明らかに警察官の傷害行為であることに間違いはない。なぜ調べないのです。調べればすぐわかる。個々の人間がわからぬから処罰することができなかったというなら、警視総監としての責任をとりなさい。当然でしょう。個々の警察官の行き過ぎがわからなかったというのなら、しかも肋骨を二本も折られた者が二日間も放置されておったというような、こういう事件を起しておいて、この警察官に犯罪の事実が認められないから、これは取り調べることができなかったというような責任のがれをするのなら、警察官に責任をとらせることができないのなら、元締めである警視総監が責任を負うべきである。だれが責任を負うのです。一体だれの警察官なのです。昔の天皇の警察官じゃないでしょう。憲法には何と書いてあるか。すべての公務員は国民がこれを罷免する権利を有すると書いてあるでしょう。一体だれの警察官なのですか。住民にけがさせておいて、それがわからないという。それなら警察官はなぐり得、住民はなぐられつぱなし、泣き寝入りだ。そんなことが警察法のどこに書いてあるのです。この責任は一体誰がとるつもりなんですか。その責任の所在を一つ明確にしてもらいたい。このことが警視総監に言われなければ、警察庁長官にはっきり御答弁を願いたい。
  41. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 今回の本州製紙江戸川工場におきまして、浦安漁民の方方に多数のけが人を出したということはまことに遺憾に存じます。私といたしましては、警視庁の方にこの事案の実態について十分真相を究明して、もし警察官の中に当日の行動において行き過ぎの行為があるならば、それぞれ所定の責めによって責任を追及すべきものである、かように考えて鋭意実態の把握をお願いをしておるのです。ただいま警視総監は、今日までの調査の結果についてお答えがあったものと思うのでありますが、決してこれでもって調査が完了したというふうには私は考えておらないのであります。今後さらに引き続き真相の把握に努めまして、先ほど申しましたように、もし警察官に行き過ぎの行為がありまするならば、その程度に応じましてそれぞれ適当な措置を講じたい、かように考えております。
  42. 門司亮

    門司委員 それでは警察庁の長官にお尋ねしたい。砂川の事件だってうやむやです。砂川事件では、あれだけたくさんけが人が出た。それにもかかわらず、警察官の責任というものはちっとも問われていない。だれも一人も処罰されていない。だれも責任をとっていない。治安の確保をしようとするには、少くとも権力ではできないはずだ。住民の協力が必要だ。住民の協力が必要だということは、お互いの責任をお互いが明らかにすることだ。警察が行き過ぎがあれば謙虚にその行き過ぎを戒める。住民もまた国民自体も、自分たちの行動が行き過ぎであれば謙虚に戒めていくというところに、治安の秩序の保持というものができるのである。これが忘れられて、お互いに権力だ、なぐった者が得だ、なぐられたやつが損なんだというような感じを持たせて参りますと、社会の秩序の保持などおそらくできないと思う。砂川事件だっていまだに片づいていないでしょう。あのときにも長官によく申し上げたはずである。とにかかくなくった者があるからなぐられたやつがおるのだ。その責任を明らかにしてもらいたいということを申し上げておるのですが、それが一向明らかにされておらない。今度の事件だっで同じことであります。この事件で逮捕されて留置されたのは全部で八人です。八人が留置された事実がありますが、そのほかの連中はそこまでいっておらない。これらのことは、裁判所でないから一々私がこの事実を確かめる必要はないと思いますが、けがした人の口述書を読んでごらんなさい、いろいろなことが番いてある。この間参議院の地方委員会に出た証人の言葉を聞いてみましても、またここにある報告書を読んでみましても、ほとんどめちゃくちゃになっておる。何ら事件には関係のない人、ただ巻き添えを食ってなぐられた人がたくさんある。私は、この点についてもう少しはっきりしてもらいたいと思いますが、しかしそれ以上の答弁はどうなんですか。あなたの方で、できれば一つ責任の所在を明らかにしていただきたい。調査段階であるという今の警察庁の長官答弁には承服しかねる。というのは、未だに砂川事件が解決していないからであります。私がここで皆さんと議論しておるものは、責任の所在を追及しようというのは、何もこの場限りのものとして済ませようとは考えておりません。私は、どこまでも追及しますよ、事件の解決するまでは。これは国民の一つの権利なんです。それが途中でうやむやになるということは許されない。従ってもう一度聞いておきたいと思いますが、もし事件が明らかになって参りました場合には、はっきりした処置がとれるかどうか、その点をもう一度聞いておきたいと思います。
  43. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 先ほどお答えいたしました通り、事案が発生いたしましてから今日まで、約二週間を経過いたしておりますが、何分とも関係した人員が彼我相当多数でございまして、真相を把握するには、なお若干の時間をかけなければとうていでき得ない、こう思うのであります。警察側といたしましては、鋭意真相を把握すること、もし行き過ぎた行為があるならば、その程度に応じてそれ相当の処置をとりたいと考えておりますが、お話にもありましたように、警察側だけの力によっての調査では、どうしても全きを期し得ないという点もありますので、関係方面方々の御協力をいただきまして、真相の把握に十分目的を達し得るように御協力をいただけますならば、一そう早い機会解決する、かように考えますので、各方面の御協力を得つつ鋭意努力いたしまして、実態の究明をいたし、その結果に基いてそれ相当の処置をとりたい。従いまして、またその結果責任を負うべき者が出て参りますならば、これは当然それ相応の責任を追及すべきもの、かように考えております。
  44. 門司亮

    門司委員 これだけは一つ、警視総監は時間がないようでございますから、はっきり聞いておきたいと思います。今度の事件で負傷者が全部合せますと大体百名内外出ておる。もし必要があれば、私の手元には被害者名簿というのがありまして、ここに負傷してどういう治療をしたということがある。そういうことは浦安の町に行ってお調べになればわかりますし、重傷者に対しては幾らかの見舞金を出しておる。一番重い人は五千円ですか、その次の人に大体三千円くらい出しておる。そして二千円から千円くらい見舞金を送っております。この負傷者はよくわかる。これら負傷者の負傷は、いずれも警察官の行為であるということを認められますか、この点だけはっきり聞いておきたい。
  45. 川合寿人

    ○川合説明員 多人数の者がぶつかっていきます場合における状景は、門司委員も御想察願えると思うのでありますが、私どもとしましては、第一に非常に重要な問題としてお尋ねがありました、弊、一察の側ではっきりと行き過ぎ行為があって容疑の行為が出ておるものが判明いたしました場合には、現在までのところは、私ども相当慎重に調査をしておりますが、その事実を認めておりませんけれども、今後のまじめな調査によって、そういうことが具体的に出ました場合におきましては、これは関係者は、相当な処分を警察庁なり私の手元でやってもらわなくちゃなるまい、かように考えております。それから負傷者の内容について今お話があったようでありますが、だれかれということは申し上げかねますけれども、当日の状況は、非常に多人数の者が寄せたり返したりしたわけでありまして、また対峙中におきましても、時折相当な石、れんがのかけらを投擲したものがあるのであります。この関係と、それからお互いの押し合いへし合いの結果によりますところのけがと、それから現実にいろいろな対峙した場合における負傷とが、非常に錯綜しておりまして、町長やあるいは組合長、あるいは年とった方々は、実は漁民の方々に対しまして、まっ正面になって両手を上げて阻止しておるのであります。中には若い人もそういうことをやった人がありまして、石を投げるのを阻止しようとしたときに、たまたま石を鼻の先にぶっつけられた、そのためのけがであるということを述懐しておる人もあるわけであります。それから佐藤金蔵氏の場合におきましても、警察官がくつで押しつけたんじゃないかというふうなことで、私どももびっくりして調査をしたのでありますが、佐藤氏が現行犯を巡査に見つけられまして、これを引致しようとしましたところが、屈強な漁民がそうはやらせじとばかりに、私どもの警察官に向ってきたわけであります。それでこれをまわりにおりました巡査に当該巡査が応援を求めまして、そこでかなりひどくからだがねじれておるのであります。これは決して私どもの方でふんづけたり、ふんだくったりしたことではないということも判明しておるわけであります。こまかいことを一々今申し上げる資料をここに持りておりませんが、ああいう暗いさ中における行動でありますので、私どもとしましては、十分に良心的な調査をいたしたい、これだけ申し上げます。
  46. 門司亮

    門司委員 私は、よけいなことですが、ただちょっと気をつけてくれませんか。言葉の端々にも、こういう重大な問題をやっておりますから、まじめな調査なんという言葉は使わないで、慎重に調査すると言っておいて下さい。一体ふまじめな調査などありますか。これほど人をばかにした話がありますか。まじめに調査しておるなんというような話が……。人をけがさせておいて、そうして事件の真相を明らかにすることをまじめに調査する。大体警察はまじめに調査していないのですか。今までの事件というものはいいかげんですか。
  47. 川合寿人

    ○川合説明員 ただいまの言葉は私、取り消します。
  48. 門司亮

    門司委員 気をつけてもらわないとけんかがしたくなるですよ。  その次に聞いておきたいと思いますことは、今のような御答弁でありますが、問題は、何といっても負傷者があることに間違いがない。同時に警棒使用規程。これはあなたの方で書いたもので、持ってきておるが、これを読んでも、けがさした者は上司に届け出よとちゃんと悪いてある。これは上司に届け出た人はないと思います。ところが、けがした人は現実に氏名もはっきりしておるし、町としては見舞金も出しておる。これくらいはっきりしたことはないと思う。そう、うものの調査ができないということと、今私が聞いておりますのは、その警察官の傷害によるものであるということを認定するかどうかということについて、まじめに調査して、それからどういうものが出てくるかというお話、中には同士打ちもあったという話があったと思います。むろん私は、そういうものがないとは限らないと思っております。多少の同士打ちもあったかもしれない。警察官の負傷の中にも、警察官同士のこん棒のなぐり合いがあったかもしれない。警察官だけが漁民からけがされたという理屈にはならないと思う。そういう理屈をこねると、両方でそういうことが出てくる。少くとも百人余りの負傷者が出ておるものが、全部が同士打ちではなかったということは推測ができるのであります。ことに警察官がこん体を使用しておる限りにおいては、そういうことは言えると思う。従って頭部の負傷その他について、こん棒でけがをさせたということは、この警棒の使用の規則からいたしましても、かなり犯則であります。当然警察としては何らかの処置をとらるべきだと私は考えるので、非常にくどいようでありますが、はっきりしておきたいと思いますことは、今度の負傷者の中の負傷は、全部とは今の警視総監の答弁で申し上げませんが、大部分は、それなら警察官のこん棒によるものだということに認定しておいてよろしゅうございますか。
  49. 川合寿人

    ○川合説明員 けが人が出たことは必定でありますが、その結果がいずれの行為からということにつきましては、いましばらく慎重に調査をしたいと思います。
  50. 門司亮

    門司委員 慎重な調査の結果だと言われますが、事件が起ってだいぶたっておるのですよ。実際は何もやっていないんじゃないですか、今まで何かやりましたか。さっきから私は何度も申し上げておりますが、被害者の名簿もここにあります。町役場はちゃんと見舞い金を出しております。そうすれば被害者はみなわかっておる。砂川の事件とは違う。全部被害者は明白になっておる。その点負傷した者が一体どういうことになっておるかということは、これに警察の仕事でしょう。警察官のさせたものはそれでいい。かりにこれがあなた方が言っておるいわゆる職務執行法の七条。あるいは古い法律ではありますが、物を鎮圧しようとした際における例の正当防衛というようなものではないはずなんです。もしかりにそうであったとしても、やはり事件の真相をつかむには、傷害は、どういうことで傷害が起きたかということの明らかなものでなければならぬ、一体いつごろこの調査は終りますか。その時期をあらかじめ知らしておいていただきたい。
  51. 川合寿人

    ○川合説明員 何分関係者が非常に多数にわたっておりますので、現在までもいろいろな角度から調査をしておりますが、いつ終了するかということにつきまして、私、ただいま確言する自信がありません。
  52. 門司亮

    門司委員 それで、もう少しこまかく聞いておきたいと思いますが当時指揮をされた第七方面体調のご意見を一応聞いておきたい。当時の状況はさっき私が申し上げましたような例の職務執行法の七条あるいは刑法からくる例の正当防衛に該当するような状況であったかどうかということ等について、もう一度当時指揮された方面隊長に伺いたいと思います。
  53. 片桐徳永

    ○片桐説明員 私は、現場において当時指揮をとっておりましたが、先ほど来説明がありましたので、記録にも残っておると思います。が、前段は、漁民の方々がへいを乗り越えてこられて石を投げられた、そういうものを阻止する段階。それからその次は、自主的に引き揚げていただくという関係で、町長さん、組合長さん、それから町会議長さんにお願いいたしまして、自主的に撤退して下さるようわれわれの広報車を使って放送していただきました。これはおっしゃる通り、非常にその原因が深刻な問題でありますので、権力一点張りでいくことはどうか、そういうことで、実はその後においても酒を飲んでこられた方々があり、非常に統制がとれなくて混乱の状況になりまして、町長さんも非常に苦心された立場にあったのが、私にも十分わかりました。そこでこのままにしておいた方がいいかどうか、こういう点で作戦会議を開きまして、一応あしたの朝まで退場してもらうのを待とうか、こういうことに一時はなったのでありますか、そのとき、空腹その他のために酒を飲んでこられた方かたくさんになり、それから先ほどのお話にもありましたように、ちょうど第四機軸隊の前に漁民の三輪車に乗った方々が三十人ほど、そのあとに約百五十人ほど声をあげてわれわれの警戒陣の中に進んできた。それから工場のスイッチを切り取られて、高圧線をさおでたたいて、それが切れてスパークした。それからさらに、御存じのようにニュースマンがけがをするというような第三者の被害も出て参りました。その間に、消防車を引きずり出してこれをひっくり返す。こういう混乱が起きましたので、そのままにしておいた場合におきましたは、火事でも出たらどうなるか、こういうことで、私の責任におきまして、これをすみやかに門の外に排除いたしまして、そして門の外と工場の間に少し間隔を置かせる、これが最上の策だと考えておりました。そのとき角材であるとか、消防車の水管を激しく投げつけられまして、われわれ警察官の方も、その場合に十五、六人の質傷者を出したことも事実であります。そこでわれわれは門の外への排除が適当なりと判断いたしまして、その排除方を命じたのであります。そこで第四機動隊だと思いますが、一番激しい抵抗を受けまして、これを排除いたしました。門のところまで押していくのには警棒を持っていったのでありますが、漁民の方と警察官の間に私は、約三メートルくらいの距離があったと記憶しております。しかしながら、門のところで、入口が狭いものですからそこで押し合った。そして一時は門を締めたのでありますが、また漁民の方々が、いすであるとか自転車であるとか、そういうものを投げ込まれて、がたがたゆすふったために門があけられてしまった。その間に押し合いすることが四、五回あったと思いますが、またそのうちに押し切られまして、守衛所とか、タイム・レコーダーなどのあるところで、時計等をこわされた場面がそこに出てくるのであります。最後には押し切って、門のところに土のうを築いてはっきりこれを区画したらどうかという意見が出ましたが、土のうとかそういうものがないために、警察官が身を危険にさらしてそこをささえていたの。が事実でありまして、この間の状況は日本テレビが非常によくその状況をとってあると、それを見て感じました。  以上のような状況でありまして、私といたしましては、むしろ漁民の方々を外の方に出して秩序を保った方が最善なり、こういうような考えからそういう処置をとった次第でございます。
  54. 門司亮

    門司委員 それでは警視総監についてはあと一つだけお聞きをしておきたいと思いますが、今第七方面隊長からの報告を聞いておりますると、私は、警察なりの状況の判断であったと思うのです。われわれが心配いたしておりますのは、先ほどから申し上げております責任の所在を明確にしてもらうということ、それからもう一つ十分考えなければならないことは、こういう問題が起りますと、本質を離れて、往々にして民衆と警察官とのけんかになる。これは、私は非常にむずかしい判断の仕方だと思う。警察が何か買って出るような形で出てくる。そして本質はどこかにいってしまう。この場合、漁民は警容官とけんかしに来たわけではなかったので、会社側との交渉に来たと考える。この点の考え方は、私は非常に判断がむずかしいと思う。そこで今警備隊長の判断を聞いてみたのであります。今の警備隊長のお話では、自分たちの考え方としては、外に出そりと考えたのだが、それがそういう事態になってきて、だんだん問題が大きくなってきたというようなことに判断せざるを得ないようなことですが、この問題の処置でそういう判断があったか。それならそういうことを警察官が買って出ないで、一体ほっておいたらどうなったかという状況ですね、こういうものについての判断がされておりますか。むしろそのことは、これは前の日、五月の二十四日ですかに、例のマンホールの中に石を投げ込んだり何かして、下水を詰まらせたりいたずらをしたということが報告書に書かれております。それからさらにガラスを破ったということが今度の十日の場合には報告書に書かれております。そういう判断は、結局取締りの方法としては、これを一つの暴徒とみなして取締りをされたのか。あるいは問題を処置することのために、善意に解釈すれば、今警備隊長のお話のように問をあけておきたい、そしてその中に警察が入っておきたい。そういうことによって工場に対する被害も少くなるであろうし、また漁民の方の考え方も変ってくるであろうというような最善の処置をとられたつもりでおいでになると私は思います。しかし、問題はそうでなかったということ。これについて首脳部会議か何かで判断されたことがございますか、協議をされたことがございますか。
  55. 川合寿人

    ○川合説明員 警視庁におきましては、こういうような事件が起りましたときの最初の第一次的な責任者は、当該の所轄警察署長でありまして、事柄が重くなるにつれて、方面本部長、警備部長、警視総監、いろいろな角度から判断いたすわけであります。今御質問になりました、むしろほっておいた方が、五月二十四日等の事案を見ても、大事に至らなかったのではないかというような御判断、これは非常にむずかしい問題でありまして、私も第一の御事間のときにちょっと触れました通り、翌日の未明を待つべきかどうかということにつきましては、警察部長、方面本部長と電話をもちまして一方面本部長は現場に行っておりますので、それから警備部長は本庁の個室で指揮をしておりますので、電話をもって、かなり苦慮しながら対策を練っておったのでございます。場合によりましては、警察官が一人も行かなければあのようなことにはならないのではないか、第一争闘の相手がないからというような御口吻もちょっとあるようでありますが、しかしこの日の事柄に限りましては、私は、町長や組合長の阻止はほとんど不可能ではなかったか。少くとも全部の人にはその指令は行われなかったんじゃないかという判断を持っておりますことと、今片桐方面本部長が申しました通り、工場の中のいろいろな施設関係、それから飲酒に基きまして、この飲酒を阻止することはできなかったのでありますが、飲酒に基いての非常に激越な行為等を勘案しまして、実は第一回には私どもの方の負傷者だけでありました。そこで手をこまねいておるのでなくて、九時四十三分に、いろいろと考えた結果、やはり門の外へ出てもらわなければこれは大へんなことになるというふうに考えたわけであります。一体冒頭から警察官が工場の中におって、工場の庇護をするような態度でおるのはいかにもおかしいというお考えでありますが、私どもは別にいずれにも加担すべきものではありませんので、ただ警備的事項につきまして、警察官本来の職務に従って、犯罪が行われ、また行われようとするときにおいて、これを阻止し、法の執行をやるというたけなのでございます。あとから考えましてどうだというふうなことは、これは判断がしにくいのでありますが、六月十日のこの事案につきましては、いろいろな情景からして最初に二個中隊を秘匿し、それから次々と応援を求めまして、ほとんど漁民の数と同じような数になったわけでありますが、肉体関係の強さその他から申しまして、私は、やむを得ない人数であり、措置であったというふうに考えております。こまかい点につきましての調査は、先刻来申し上げます通り、もっと進めなくちゃならない、こういうふうに考えております。
  56. 門司亮

    門司委員 それから最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、今問題になっております佐藤金蔵さんの負傷事件であります。報告書の中にも書いてあるのがありますが、これを見てみますと、この佐藤さんも別に抵抗はしなかった。いきなり文句一つ言わないで手錠をかけられて、同夜九時ごろ小松川署に留置された。すぐ胸が痛み出したので診察を受けさせてくれと申し出たが、この騒ぎの中でけがぐらい当りまえだといって相手にされなかった。こう書いてあります。それから再三たのんで、十二日昼ごろ加藤病院でレントゲン診察を受けた、こう書いてあります。この問題については、ここで議論をすると非常に長くなりますから、結論だけ申し上げておきたいと思いますが、こういう佐藤金蔵さんの問題について、新聞で報じられておること、文書に書いてありますることを、ここで報告書を読むと非常に長くなりますから省略をいたしますが、そういりものについては警察の手落ちであったということだけはお認めになりますか。
  57. 川合寿人

    ○川合説明員 佐蔵金蔵氏につきまして、私どもの調査したところをごくかいつまんで申し上げたいと思いますが、佐藤金蔵被疑者の行動は、六時十五分におきまして喜工場内の会議室付近でガラスドアなどを足でけ破っている現行的な行為なのであります。これを発見して逮捕を第一にやりましたのは第二機動隊の野村という巡査であります。この逮捕に当りまして、付近におりました約十名の漁民が佐藤氏の胸、腰、足などをとって奪還しようとしたので、野村巡査も同じく付近にいた同僚の巡査の応援を依頼して、両腕、肩などをつかんで妨害排除に当ったのであります。そのあとにおきまして、午後の八六時ごろ小松川署に身柄を留置したわけでありますが、取調べか終りましたときに、飛田という警部補が調べに当ったのでありますが、佐藤氏から、逮捕されたときに踏まれた胸のところが痛いというふうな申し出があったのであります。深夜のことでもありますので、医師の診察はあしたでもやむを得ないというふうに判断をして、看守係の渋江という巡査に命じて湿布をさせて、おるのであります。そのあとにつきましては、先ほどからも申し上げた通りでありますが、看守係に大迫という巡査部長がおりますが、これが非常に心配をしまして、骨折関係その他につきましては、ともかく痛いところに薬品湿布をしなければいかぬということで、部下の看守巡査二人を使いまして、長い間交互に湿布をさせております。翌朝参りました医者の言では、短時間の取調べには差しつかえないが、いずれレントゲンでよく見なければ詳しいことは言えないということであったのであります。このあとにおきますところの措置は、佐藤氏が、費用の関係その他手錠云々の関係等でもって若干逡巡をした点があるのでありますが、警察における措置といたしましても、もっと早く本人を説諭して病院に連れて行き、レントゲンの結果につきましても、もっとすみやかに知るような方法がとれなかったのかということを、私ども遺憾に存じておるのであります。釈放の時期と医者のレントゲン結果の報告とがほぼ相次いでやってきておりますが、事柄が十日の夜でありまして、十三日に今申しました経緯の後に肋骨骨折ということが判明しておりますが、医療的措置等においての動作は、関係の看守がいかに親切な物理療法をやったといいながら、私どもとしては、もう少し早く適確なるもっと専門的な医療の措置に出るべきではなかったかということを遺慨に存じております。
  58. 門司亮

    門司委員 今の御答弁、遺憾に存じておるということでありますが、ここに書かれておることは、間違いないといいますか、あまりうそでないと思うのですが、第九と第十の胸骨が折れておるということが書いてありますが、ういう大きな傷害があるのに、本人の自覚症状がないわけではありませんし、かなり私は苦痛であったと思う。その間に、もしこの新聞に書かれておるような、ああいう騒動の中では少しくらいけがをするのは当りまえだというような警察官の考え方があったならば、その考え方のもとにすべてが律せられるということになると、あとから考えてみると、もう少し早く手当をすればよかったということになると思いますが、考え方自体は、私は、非常に大きな誤まりを犯しておるのではないかということが言えるのであります。従って、これはこの問題だけに限った問題じゃありませんで、警察官の暴行等によるこういう問題について、治療その他のことについて、こういう手落ちがあってはならないと思います。単に遺憾の点があったということだけでは、この問題は済まされないのじゃないかと思う。従って、遺憾の点があったという御答弁が、この人権擁護局に訴えられたすべてを是認されるかどうかということになれば、私はそれでもよろしいかと思いますが、とにかくもう一度はっきりさせておきたいと思いますことは、手落ちがあったということだけは認めて差しつかえないと思いますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  59. 川合寿人

    ○川合説明員 言葉の問題でありますので非常に申しにくいのでありますが、こまかく私どもの方で検討いたしました結果は、先ほどから申しておる通りでありますが、関係の取調官なりあるいは看守の巡査部長、看守の巡査それぞれが、私どもが大体において彼ら若い者に心の中で要望しておったことだけはやってくれたと思っておるのでありまして、これを今門司委員のおっしゃったように、明らかに手落ちであったというふうには私は考えておりませんが、しかしもっとよく、当時のいろいろな言動その他について、何か残っておるものがあるのじゃないかというふうに考えますので、今後の調査によりまして明らかに……。先ほどおっしゃいました、乱暴すればこのくらい当りまえだというふうなことは、これは全然そういう言動を発した者はおりませんが、やや痛みに対しての措置が少しく緩慢ではなかったかというふうなことにつきましては、私はやはり遺憾であったというふうに申し上げ  るほかございません。
  60. 北條秀一

    北條委員 きょうの委員会は十二時でということでありましたので、時間を大へん超過いたしますから、私は質問はいたしませんが、次の委員会の冒頭に質問をしたいと考えております。ただ、きょうの総監の御答弁を中心に私の意図する点がありますので、次の三点について、この点をはっきりしておいていただきたい。  第一は、四月の中旬に、本州製紙の賠償の問題について心配になるという情報があったということでありますが、これは一体警察行政とどういうふうな関係があるかという点であります。第二点は、警備本部長の先ほどのお話によって、十五、六人の警察官の負傷があったということでありますが、すでに警察当局としては、自分の方の負傷者のことは十分に調査されておると私は考える、従って十五、六人というふうなあいまいな表現でなしに、何人どういうふうな負傷者があったかということをはっきりしておいていただきたい。第三点は、警棒を使用したのは二分間ということでありますが、二分間で百人のあれだけの負傷者が出たということは、二分間の警棒の使用が相当猛烈であったというふうに私には考えられるのであります。しかも、それが頭部、顔面に集中しておったということは、いかに乱暴であったかということが想像できるのでありますが、ほんとうに二分間の警棒の使用であったかという点、以上三点についてこの次までにはっきりしておいていただきたい。
  61. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後、零時四十三分休憩      ————◇—————     午後二時二十四分開議
  62. 鈴木善幸

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。理事会の申し合せによりまして、文教委員会において審査中の市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、同委員会と連合審査会を開会するよう同委員会に申し入れることにいたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  それでは文教委員会が本委員会の申し入れを受諾して連合審査会を開く場合には、あらためてお知らせいたしますから御出席をお順いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十五分散会