運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-08-13 第29回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月十三日(水曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 井原 岸高君 理事 鹿野 彦吉君    理事 鈴木 正吾君 理事 高橋 英吉君    理事 山本 猛夫君 理事 神近 市子君    理事 山田 長司君       小林 絹治君    廣瀬 正雄君       山本 勝市君    上林與市郎君       西村 力弥君    森本  靖君  委員外出席者         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 八月十三日  委員山田彌一辞任につき、その補欠として山  本勝市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本勝市君辞任につき、その補欠として山  田彌一君が議長指名委員に選任された。 同日  理事保岡武久辞任につき、その補欠として鈴  木正吾君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  派遣委員より報告聴取      ————◇—————
  2. 山本猛夫

    山本(猛)委員長代理 会議を開きます。  委員長指名によりまして、私が委員長の職務を行います。  委員各位も御承知のごとく、当委員会は去る二日より五日間、福島、富山、石川、福井、大阪、兵庫の各府県に委員を派遣し、政府関係機関の収支に関する調査、すなわち奥只見及び有峰ダム工事現場日本国有鉄道交流電化施設現場等について調査をなし、視察をいたしました次第であります。本日はこの派遣委員報告を聴取することといたします。井原岸高君。
  3. 井原岸高

    井原委員 先般田中委員長外五名は、衆議院規則第五十五条に基いて、閉会中の国政調査を行なつたのでありますが、その詳細につきましては収集いたしました資料検討しまして、適当な機会に御報告申し上げることにし、さしあたり簡単に中間報告をいたします。  派遣委員一行は、去る八月二日より五日間にわたって電源開発株式会社奥只見ダム工事現場北陸電力株式会社有峰工事現場日本国有鉄道中部支社金沢管理局管内における北陸線交流電化の実情、及び敦賀地区トンネル工事現場並びにアジア鉄道首脳招請にかかるいわゆる見せかけ工事、同じく関西支社大阪管理局管内における高架下等国鉄財産管理状況を視察し、予定通りの全日程を終了いたしました。  今回の調査に当りましては、現地において特定の問題を深く追及し、その場で結論を得るというよりも、むしろそれぞれの業務全般にわたって今後の決算審査に当つて必要な現場認識参考資料の収集に重点を置いたのであります。従って問題点分析究明等については、今後の委員会活動を通じて行いたいと思います。  まず奥只見発電所工事について申し上げますと、只見川電源開発については、古く大正年間より関係各方面において調査が進められていたのであります。特に戦後電力需用の急増と農業用水の確保のため、この流域に大貯水池建設計画が立てられ、その開発計画については、本流案及び分水案の両意見があつて、長期にわたり鋭く対立していたのでありますが、昭和二十八年七月に至り、政府電源開発調整審議会審議を経て、本流案を骨子として一部分水案を加味した只見川黒又川総合開発計画を決定し、電源開発株式会社の手によって開発されることとなつたのはすでに御承知の事情と存じます。  奥只見発電所建設計画は、只見川と北ノ岐川との合流点須原口より下流一・五キロメートルの地点に高さ百五十七メートル、体積百六十一万二千立米直線重力式コンクリートダムを設け、総貯水量約六億立方メートル、有効貯水量約四億六千万立方メートルの大貯水池を作り、またダム直下の右岸に地下発電所を設けて、最大出力三十六万キロワット、年間可能発生電力量五億三千四百万キロワット・アワー下流増加電力量二億四千八百万キロワット・アワーを得ようとするものであり、なお貯水池には黒又分水路を設けて灌漑期には黒又川へ分水し、豊水期には黒又川より揚水する計画になっております。  この工事地域一帯は積雪三十八メートルという世界的記録を持つ本邦屈指豪雪地帯であつて崩雪による危険や災害が頻発するため、冬期における作業や施設維持等の見地から、工費約四十億をもって新設した資材輸送専用道路二十二キロメートルは、十八キロメートルまでトンネルといういわゆるトンネル道路となっており、また発電所もこの雪害と地形を考慮して完全地下式としたといわれております。  補償関係について見ますと、水没地域は約一千二百町歩に及び、その補償額は十三億円余でありますが、そのうち個人所有地は七十二町歩水没民家は三十八世帯で、畑は一反歩当り約十八万円、民家各戸平均四百万円くらいの補償を受けて移転を終つているとの説明がありました。  これら建設工事昭和三十二年十一月準備工事をほぼ完了し、本工事は同年五月より開始したといわれ、目下ダム本体は岩盤の掘さくを終り、来月ごろからコンクリート打ち込みを開始できるところまで進み、発電所及び水路トンネルもそれぞれ掘さくが進行しております。計画では昭和三十五年十一月には一部発電を開始し、昭和三十七年三月完成することとなっております。  なおこれを建設費について見ますると、その概算裸工事費だけで三百三十三億円余に及ぶものであり、特に資金の大部分は財政資金によってまかなわれているものでありますから、当委員会においては電源開発株式会社開発建設にかかわる全般計画とあわせて、今後一そう工事実施状況資金使用状況、ことにその効率的使用について十分注意を払う必要を認めるものであります。  次に、有峰常願寺川発電工事について申し上げます。  有峰は、常願寺川支流和田川上流に位する盆地で、優秀なる電源地帯として大正八年富山県が県電有峰開発計画を立て、この盆地咽喉部猫巾地点ダム建設すべく、一万五千町歩材積七百万石に及ぶ用地の買収に着手し、昭和十一年に至り、ようやく工事を開始しましたが、戦争の激化に伴う資材と労力の逼迫により工事が容易に進まず、当時の計画によるダム工事の約二〇%のコンクリート打ち込みを終つたところで、昭和十七年四月、日本発送電株式会社に出資させられましたが、昭和十八年十月には工事の続行が困難となり、中止されるに至っております。戦後、昭和二十六年五月電力編成により北陸電力株式会社が設立され、日発の資産及び負債の一部を引き継いだ際に、右の計画建設準備勘定として承継しましたので、従来の計画に再検討を加え、新たな構想のもとに昭和三十年九月着工するに及んでおります。  以上のような経過で建設地域はほとんど社有地となっており、補償関係も常東、常西両用水組合との用水量の問題及び濁水処理の問題を解決したほかにはとりわけ問題はなかったようであります。  有峰常願寺川発電計画によると、ダム地点は県営の計画同一地点で、本計画の約九%相当の既設コンクリートを利用し、高さ百四十メートル、体積百五十四万立米重力式コンクリートダムを設け、総貯水量約一億九千万立方メートル、有効貯水量約一億七千万立方メートルの大貯水池を作り、発電所は折立、和田川第一、第二、新中地山、小俣の五カ所を新設し、また常願寺川第一を増設して、総計出力二十六万キロワット、年間約七億九千万キロワット・アワー電力量を得ようとするものであります。これによって北陸電力はその年間不足電力九億キロワット・アワーの九割近くを自給できることになるといわれております。目下工事ダム本体が約三分の一ほどコンクリート打ち込みが進み、また発電所の建屋は鉄骨組み立てがほぼ終り、水路も掘さくがその大部を終るということで、昭和三十五年度中には全発電所の運転を予定しているとの説明があったのであります。  建設費は総額三百三十億円余でありまして、その資金は増資、社債、生命保険融資開銀融資等のほか、世銀よりの借款九十億円を全額投入してまかなうこととなっております。当委員会においても政府世銀借入の保証あるいは財政投融資を行なっている状況から、本計画施行に伴う資金効率的使用について注視を怠らず、もって所期の経済効果をおさめしめたいと考える次第であります。  次に、北陸線交流電化について申し上げます。御承知通り国鉄では五カ年計画を策定し、本年度はすでに実施の第二年目に入っておりますが、特に幹線動力電化方式、路線の複線または複々線化や、その他一連の注目すべき国鉄近代化計画各地で推進されつつあります。この近代化計画一環として、国鉄では昭和二十八年九月仙台—作並間の仙山線で試験的交流電化が成功したので、引き続き北陸線交流電化によって増強することとし、昭和三十二年十月には、すでに米原—敦賀間約五十キロメートルの交流電化と勾配の改良を完成し、さらに敦賀—富山間を三十三年度より三十六年度にわたり交流電化等工事を推進するため、電化関係九十億(車両四十二億、施設四十八億)、停車場改良に四十五億、複線化に百四十一億、北陸トンネルに六十四億、信号自動化に十億、合計三百五十億円に上る計画に着工しております。  派遣委員一行の目的は、このように三百五十億の膨大なる資金を投入する北陸線増強交流電化方式は、わが国初めての本格的な試みであるため、これを現地で実際に見聞し、認識を深めることでありました。これについて国鉄当局より、一、交流電化は周波数五十サイクルまたは六十サイクル、電圧二万ボルトの電気を直接に電気機関車に利用するもので、直流電化の場合よりも細い送電線架空電車線、少数の変電所で足り、地上設備資金全体として直流電化の七〇ないし八〇%で済み、電化後の運営費も八〇%以下であり、従来の直流電化方式より経済的である。二、従って従来の直流方式採算が合う電化可能範囲は、全営業キロの四分の一の五千三百キロ、全輸送量の七五%にすぎなかったが、交流電化方式を採用すると、全営業キロの二分の一の一万キロ、全輸送量の九五%が電気牽引可能となり、将来わが国動力原子力発電に依存する時代になっても、なお永久に国の動脈としての使命を果し得ることになるとのことであります。三、さらに世界電化方式は、交流電化の傾向にあり、特に新規に電化する後進国鉄道は、交流電化方式を採用しており、これらの諸国に対して交流電化技術を進出させる必要もある等、その他数点にわたって交流電化優位性について説明があり、認識を深めたのであります。しかし反面、既設直流線との接続など、さらに検討を要すべき諸問題も残されているようであります。なお、国鉄ではこれら動力電化方式は、ディーゼル機関車蒸気機関車に比べると、地上施設に膨大な資金を要するため、採算輸送量の多い主要幹線に採用し、輸送量が比較的に少い線区にはディーゼル化を進めているとのことであります。  次に、北陸隧道について申し上げますと、北陸隧道は前述しました北陸線近代化計画一環としまして、所要資金六十四億円、延べ所要労務者数百十万人に上る敦賀—今庄間十三・八五キロの複線型隧道であります。これは上越線清水隧道を四・二キロも上回る日本で最長、世界で五番目の大がかりの工事であり、国鉄最新技術を投入しているものであります。工期は昭和三十三年度より四カ年以内に完成を予定し、施工方法中間ニカ所延長四百七十メートルの斜坑と、深さ二百三十メートルの縦坑を設け、合計六カ所より施工切羽を設けて、二十ブームさく岩ジャンボーによる全面掘さく工法を採用し、一切羽で一日平均十ないし十五メートルを掘さくしております。工事体制は第一工区四千九百四十メートルは西松建設株式会社、第二工区二千九百メートルは株式会社熊谷組、第三工区二千メートルは大成建設株式会社、第四工区二千七百メートルは佐藤工業株式会社、第五工区千六百メートルは株式会社大林組となっております。  派遣委員一行が視察した第一工区においては、約五百メートル掘さくし、目下砂礫層に出会い、掘さく困難をきわめていましたが、七月三十日現在における工事進捗状況は、第三工区で最低の百四十一・六メートル、第五工区が最高の八百五十メートル掘さくが進んでおります。  以上のほかに未契約個所が四カ所で、延長三千六百八十メートルが残つております。なお、全体を通じ隧道一メートル当り工事費概算四十六万円となっております。  次に、アジア鉄道首脳招請にかかるいわゆる見せかけ工事については、現地において、国鉄当局側地元組合側の両者から説明を聴取し、組合側陳情書等資料も収集いたして参りました。  最後に、阪神地区国鉄高架下等固定財産管理状況について申し上げますと、本委員会は昨年三月八日、国鉄当局に対して高架下等固定財産管理刷新強化を促す決議をしたのでありますが、国鉄関西支社においては、大阪地方土地建物等評価委員会高架下及び土地等管理委員会あるいは管財区及び管理要員増強等管理体制整備強化の措置を講しております。従来問題となっておりました鉄道弘済会に対する一括使用承認方式の改善については、七月三十日現在で九百七十四件、うち九百三十六件すなわち約九六%が直接承認に切りかえられており、決議の趣旨に従って努力した跡がうかがわれたのであります。しかし残余の三十八件は、昭和二十九年度高架下使用料金の改訂を実施した際に、大阪鶴橋付近における値上げ倍率が二・五倍から三倍となつたのを不服として、城東線高架下賃借人連盟を結成したものの一部であり、今日なお国鉄当局との直接契約移行の交渉に応じないため、現在未契約の状態であります。また弘済会へ引き続き使用承認しているものは三千百九十一平米でありますが、そのうち東淀川—大阪区間において店舗約一千平米を他の業者に委託経営しているものがあります。  次に、三ノ宮、元町付近高架下国鉄が神戸市に道路敷用地として貸し付けたものの一部が業者に占有され、店舗に使用されている場所もあります。これらについては今後調査検討を要すべきものと考えられます。  以上、簡単でありますが御報告申し上げます。
  4. 山本猛夫

    山本(猛)委員長代理 これにて報告を終りました。     —————————————
  5. 山本猛夫

    山本(猛)委員長代理 次に、小林絹治君並びに山田長司君よりそれぞれ発言を求められております。これを順次許します。小林絹治
  6. 小林絹治

    小林(絹)委員 ただいま井原先生の詳細な報告を伺い、この炎暑を冒して決算委員長初め各委員各地調査に出られたことを非常に喜ぶものであります。私も二期ばかり決算委員長をいたしたことがありまして、この決算委員というものの働きは非常に国のためになるものだということを常に考えております。近時、決算委員会予算との関係がきわめて密接になってきた。これは決算委員会というものがだんだん進歩して働きがよくなってきた証拠だと思うのであります。会計検査院の膨大な報告書を年々読みますが、中には不法、不当というようなものがずいぶんあります。だんだん減つてはきておりますけれども、これをだんだん少くする。国民の税金が最も有益に国のために使われる。そこで決算委員会がこの予算の行使について各省に多くの指導と示唆を与えられ、各省予算編成の上にこの決算委員会の動きが、働きが如実に貢献されるようにますますお互いに努力したいと思います。ただいま詳細な報告を承わりましたことを多といたしまして、一言発言をいたしました。
  7. 山本猛夫

  8. 山田長司

    山田(長)委員 過日の決算委員会調査に参加をいたしました一人といたしまして、この機会に一言申し上げさせていただきたいと思います。  ただいま自民党の方からもいろいろ希望が申し上げられておるのでありますが、従来から見ますと、決算委員会のあり方がかなり活発になっておりますことは、十分承知するところであります。会計検査院報告、必ずしも現在の報告が全部不正、不当の事項がこれによって完全に調査し尽されておるものでなくして、なお一そうわれわれもこれについては力を合せて、国民税負担の軽減のために努力をしなければならないと思いますが、旧来よりも確かに決算委員会活動によって、会計検査院自体も活発になってきているように思われるのでありますけれども、まだしかし希望申し上げますならば、必ずしも毎年々々予算編成に当つて決算委員会の指摘されたことを、大いに参考として予算編成がなされているとは考えられないのであります。そういう点で、われわれはより一そう本委員会活動を活発ならしめて予算編成に当つてもこれが十分参考になされ、あるいはまたわれわれとしましては、必要によってはこの決算委員会で告発ぐらいしてでも不正、不当の事項をなくするための努力をしなければならないと思うのであります。そういう点で過日の現地調査というものは、ただいま報告にありましたように、非常に参考になる個所が、各地にわれわれは見受けることができたのであります。どうかそういう点で、決算委員会活動をより一そう活発ならしめて国民の御期待に沿いたいと思います。どうかそういう点で、これからも決算委員会活動に当つては、現地調査等も十分勘案した上での活動を希望いたす次第であります。     —————————————
  9. 山本猛夫

    山本(猛)委員長代理 この際お諮りいたします。  理事保岡武久君より、理事辞任の申し出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山本猛夫

    山本(猛)委員長代理 御異議なければ辞任を許可することに決しました。  保岡君の理事辞任に伴う理事の補選につきましては、先例によりまして選挙の手続を省略いたし、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山本猛夫

    山本(猛)委員長代理 それでは、鈴木正吾君を理事指名いたします。  次会は、理事会の決定に基きまして、九月十日及び十一日の両日に開会いたし、国有財産管理に関する件、特に高速自動車道路及び大和証券ビル等公用水面使用の問題につきまして、法規上その他に関し重大なる疑義を生ずるに至りましたので、刑事局長出席を求め、同局長立ち会いのもとに、建設大臣建設省河川局長を十日に、大蔵大臣大蔵省管財局長国有財産第一課長を十一日に、それぞれ出席を求め、調査を進める予定であります。よって各位の御出席をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十七分散会