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1958-07-02 第29回国会 衆議院 議院運営委員会図書館運営小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十三年六月十六日(月曜日)委 員長指名で次の通り選任された。       飯塚 定輔君    佐々木盛雄君       福永 健司君    松澤 雄藏君       三和 精一君    木下  哲君       下平 正一君    山本 幸一君 同日  松澤雄藏君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。     ————————————— 会 議 昭和三十三年七月二日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席小委員    小委員長 松澤 雄藏君       飯塚 定輔君    佐々木盛雄君       三和 精一君    木下  哲君       下平 正一君  小委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君     ————————————— 七月二日  佐々木盛雄君、福永健司君及び三和精一君六月  二十八日委員辞任につき、委員長指名で小委  員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立国会図書館昭和三十二年度業務経過報告  聴取に関する件      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより図書館運営小委員会を開会いたします。  本日は、国立国会図書館法第十一条の規定によりまして、国立国会図書館昭和三十二年度業務経過について館長から報告を聴取し、これを審査することといたします。  それでは、まず館長から報告を願います。
  3. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 昭和三十二年の四月から昭和三十三年の三月に至ります昭和三十二年度国立国会図書館業務につきまして、経過の御報告をいたします。お手元にこの年度業務経過資料を差し上げておきましたので、数字に現われましたもののこまかいところは、これによって一応御報告にかえさせていただきたいと存じまするが、そのうちのおもなるものと、数字に現われなかった業務のおもなるものにつきまして、御報告を申し上げたいと存じます。  まず第一に、国会奉仕の概況でございますが、国立国会図書館が一番大切な任務にしておりますのは、国会に対して奉仕をするということでございまして、それに当りましては、調査及び立法考査局国会分館仕事の担当をしております。調査及び立法考査局におきまして、この年度依頼を受けた調査件数は二千六百八十二件でございまして、その内容は、近ごろの傾向としてますます高度のものが多くなりまして、特に諸外国の実例を求められるということが非常に多くなって参りました。そのために必要といたします資料も、広く世界各国にまたがって収集をする必要がございます。三十二年度中におきましてのこの依頼調査のおもなるものを例示いたしますと、主要各国議会関係及び行政司法関係立法例各国の諸条約の例、各国の産業、経済実情社会保障制度の現状、労働問題等でございますし、また、国内法律制度分析経済社会問題の実情ないし分析等でございます。また、きわめて少数ではございますけれども議員立法準備奉仕といたしまして、つまり議案の草稿のようなものの要綱も作成をいたしておりまして、これらの奉仕につきましては、結局各職員共同研究あるいは専門調査員の指導によりまして、調査の適正を期している次第でございます。  なお、最近各府県議会図書館つまり自治体の持っております議会図書館におきまして、この立法考査業務確立重要性を認識せられまして、図書館にその資料依頼された例もございますが、これと同じ線に沿いまして、本年度沖縄政府の立法院から数名の職員が派遣せられてきまして、やや長きにわたりまして研修を行いまして、ある程度業績をあげたではないかと考えております。  次に、第二の問題といたしまして、国際交換セミナー開催をいたしました。これは昨年、すなわち昭和三十二年の十一月四日から十一日までに行なったものでございますが、ユネスコとアジア文化財団の援助を得まして、インド太平洋地域出版物国際交換及び書誌に関するセミナーというものを主催いたしまして、これは図書館関係では日本で初めての試みでございましたが、広くインド太平洋地域の人人に参加を求めたのでございます。大体この参加者は、この地域に存在するほとんどすべての国から一名ないし二名でございました。それに日本国内の学界、図書館界から十名、合せて二十一カ国約四十名、これによりまして、出版物国際交換を通ずる文化の交流について、国の内外相当影響があったように思います。  次に第三の項目といたしまして、図書館の本建築工事進捗状況の御説明を申し上げますが、昭和二十九年、少し古いことになりますが、そのときに第一回の建築工事が施行されまして、本年度分は第四回目の建築工事でございます。この図書館建築は数年にわたって進行しておりますが、やや複雑な構造を持っております。大体分れ方が二つでございまして、一つ書庫になるべき部分一つはその事務をとるべき部分と、二つに分れているわけでございます。書庫棟と申しますのは、約四十五メートルの一辺を持っております四角な形をしておりますが、その書庫棟の第一期鉄骨工事の全部を完成いたしまして、その一番下の方の階層の下半部の鉄筋コンクリート打を行いました。それを取り囲んでおります事務棟は、現在のところではまだ一部分でございますが、東の棟と南の棟の基礎鉄骨のはりを組み立てまして、東の棟の基礎鉄筋コンクリート打を行なったものでございますが、昨年と申しますか、本年と申しますか、第四回の工事といたしましては、予定通り昭和三十三年三月二十五日に完了をいたしまして、その結果によりまして、書庫棟は四階まで鉄骨が完成したわけでございます。  次に、第四に国立国会図書館専門図書館との連携強化に関する研究集会開催のことを御説明申し上げますが、国立国会図書館はやや複雑な立場を持っておりまして、本来の図書館活動はもとより限定されておりますけれども、しかし、その外にありますいろいろの日本図書館活動連携をしなければなりません。つまり国中央図書館として、しかも図書館界の各方面と逐次連携を強化するという考え活動を進めてきておりますが、昭和三十三年の三月二十七日に、国立国会図書館専門図書館との連携強化に関する研究集会開催いたしまして、参加者官庁図書館関係者が二十六名、地方議会関係者が二十八名、民間専門図書館関係者が二十七名、館から三十九名、合計百二十名でございまして、これは世間にややもすると誤解の起る懸念がございますので、ちょっと付言をいたしておきますが、これは何も国立国会図書館がほかの図書館影響力を及ぼそう、こういう趣旨ではございませんので、お互いに手を取り合って、いわば友だちのような関係におきまして連携を緊密にしよう、こういうことの趣旨でございます。  第五に新収洋書総合目録の刊行ということの御説明を申し上げますが、これは、日本にいろいろ外国書物が入ってきておりますけれども、各館で独立してこれを買っておりますので、何が一般的に入っているかという総合的な観察が非常に困難でございまして、何しろ外国書物でございますから、そうたくさん買えるわけではございません。なるべく有無相通じて、実情に適する程度に買うことが正しいと思います。そこで国立国会図書館では、昭和二十九年度から全国のおもな図書館約二十館の協力を得まして、これら図書館に毎年新しく収蔵されます洋書目録カードを集めて、新収洋書総合目録を編さんして参りましたが、そのカードだけでは、各地に分散している人が手軽に利用できませんので、その利用普遍化をはかりますために、このカード形式のものをもとにして、書物の形にいたしまして毎年刊行するということにして、その第一巻第一冊をこの年度のうちにおいて刊行頒布いたした次第でございます。  大体そのような活動をしておりまして、その他の部分につきましては、図書館活動も大体形ができて参りましたから、その形に沿って、順調に次第を追うて進行しているつもりでございます。以上御報告申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 松澤雄藏

    松澤委員長 以上で館長報告は終りました。  何か御質疑ございませんか。
  5. 飯塚定輔

    飯塚委員 地方議会との関係をちょっと触れておられましたが、これは具体的に言えばどういうことですか。
  6. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 実情を申しますと、地方の県議会に伴って図書室または図書館ができているのでございます。しかし何しろ人手が少いのと、事務的にあまりそういうことになれない人が多いものですから、ごく簡単な装置で材料を集めて、まだ活動の動きが、そう十分でないところが多いわけでございます。しかし、中には、たしか群馬県かと思っておりますが、ちょっと小さな図書館ぐらいに本をそろえて、大いにやっているところがあります。一般人も少しは利用を許すのですが、主として議会人です。これを十分管理いたしませんと—少し手前みそでございますが、この国立国会図書館のできたのもその趣旨であって、議会というものは図書館を活用しなければならぬという建前を地方にも及ぼしていきますと、地方にも議会図書館があって、それからあらゆる知識を吸収しなければならぬというので、それをお手伝いしている次第でございます。
  7. 木下哲

    木下委員 館長に伺います。とっぴなことを伺うようで恐縮ですが、まず人的機構としては、もちろん中に学者なんかもおいでになるんじゃないかと思うのですが、どういうふうになっているのですか。
  8. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 人的機構として、十年前に図書館ができますときは、日本には図書館専門家がいない。だから、当分人を採ることができないのだ、こういうふうな前提で、非常にしぶりしぶり人を採るという形できました。それは専門家のいないのは当然でございますから、漸次育成しなければならぬという形で出発したのであります。それから私の方では、館というじみちな仕事は、自然、政治勢力によって人が充実されるということになりますと、これはもう実際だめになってしまいますから、そこで主たる方法といたしましては、試験またはこれに類似する制度、たとえば人事院の手続を経てきた人、こういうふうな方向から秩序整然たる形で入れるという方法をとりました。これはその当時の、つまり十年前の日本の情勢でもありましたが、婦人図書館人というものをある分量入れたらいいんじゃないか。半々というわけにもいきませんで、とにかくそういうところの人は緻密であり、仕事に適して、非常に教養も高い人が得られるであろうということで、実際は三分の一弱婦人を入れるという形できております。つまり一口に申しますと、ごく機械的な実力本位、冷静な中立という形をとってきておりました。ただそこに一つ別な問題は、そういう方向から採るんじゃなくて、ほんとうに一代の学問中心人物という人を採っていかなければならないんじゃないか。これはもう設立当時から、国会側との一話もそれで進んでおりました。国会の方に専門員があると同じように、国会図書館の方にもそれに当る人があるということで、これは内外の見るところによって、特別な、すぐれた力量のある人を採る。これは数はもちろん少数でございます。この二口でやってきておりまして、どっちかと申しますと、今これを見ますと、ある意味からいうと非常に人事の採用が窮屈であるという非難も受けております。しかし、図書館は窮屈にいかぬ限りは、全くだめになってしまいます。中立性を失うことになりますから、その点は堅持しております。ただいま正規の職員が大よそ六百人でございまして、そのほかに幾らかその周辺に、自由な身の人が百二十人ぐらいおります。それでもってずっと進んでおりまして、ただいまのところ、日本でこの十年の間に図書館学というものも栄えてきまして、中で講習をしまして、ほぼできてきたわけでございますが、しかしこの点は、今後図書館人というものに型ができてしまいまして、ほんとうに広い要求に応ずることができない。たとえば、自然科学というものを図書館人がどこまで理解しているかというと、非常にまだ薄い。政治法律というものもどこまで理解しているか、これも非常に薄いわけでございます。私はそこのところを考慮いたしまして、政治法律社会という部門につきましては書物も集めましたし、それから人も育成をしてやって参りましたが、まだ前途遼遠と思っている次第であります。
  9. 木下哲

    木下委員 今の御説明先生の御意思もわかりますし、こうあるべきであるということもわかったのであります。お話はわかりましたけれども現実は、いわゆる人的な構成などに関して、政治勢力というようなものが入っていないというように言えるわけですか。
  10. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それは全く入っておりません。それは私のへんくつ性というものかもしれませんが、初めから厳密にだれかが推薦あるいは紹介せられなければ人は入りませんけれども、大体一人一人を厳密に調査いたしまして、おそらくそういう面はないと思っております。それから人事というものは非常に含蓄の多いものでございますが、そういう場合は、ごく臨時の、一ヵ月とか半月というところには多少寛大にしておりますけれどもあと政治勢力一つも入れないつもりでおります。
  11. 木下哲

    木下委員 その点もわかりましたが、伺いますと総数六百何名というような、考え方によると大へんな数だと思うのですが、それに対しての現実は、それぞれの職務に対して忠実にやられているということはもちろんですが、その六百名は、一つの系統立った、つまりチームワークがとれて、うまくそれぞれやられているか、これは大へん幼稚なことなんでありますが、その点館長はどういうふうに思っておりますか。
  12. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 六百名とは申しますけれども、おのおの部局々々が分れておりますから、そんなに似たような者ばかりでできているわけではございません。しかし数個の部があって、その下に課というものがございまして、おのおのその職責を守っているわけでございます。初めのうちは、実情を申しますと、この図書館ができますときは、衆議院と参議院との両方にたくわえられておった人材をある程度吸収いたしまして、そういう方が、どっちかというと二つのものが一つに流れてはきたけれども、おのずから対立するということで、チームワークが多少こわれるという形はございました。そのうちにすっかりなくなりまして、今日では、私は完全にチームワークはとれている思います。しかし、世間では好んでうわさをする者がございます。それもうわさの範囲に上るのは少数でございますが、しかし実質は、風声鶴唳と申しますか、ことさらに何か二つの気流があると言うだけのことであって、実際は寸毫もないと思っております。
  13. 下平正一

    下平委員 国会図書館は、当初から定員は増加していないのですか。最初から、こんな人員でやっておったわけですか。
  14. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 当初昭和二十三年にできましたときは、定員が百八十四人でできておったわけです。ですから、今から考えますと、三分の一弱になっております。その後次第に充実してきたわけでございまして、これは実察こういう新しい図書館を作ってみるとわかりますが、当初は書物もない、建物も少しも役に立つものはないということで、人が要らないわけです。漸次渋く固めて参りまして、その後よその完成したもの、たとえば上野図書館を合併するとかいうようなことによりまして、それで百何十人ふえました。あとは年々仕事の増加に応じて、じりじりとふえてきたわけです。
  15. 下平正一

    下平委員 きょうは簡単な報告を聞くという程度であったわけですね。あまり内容を聞くのもなんですが、今も木下君の言ったように、六百人に近い人間がおりますので、この人事管理ということが、国会図書館運営には相当重大な影響があると思う。今、木下君も心配されておりますが、この人事管理の問題についても、多少のうわさを聞くわけです。人事管理の面はよほどしっかりといいますか、筋を通してやっていただかぬと、せっかくの国立国会図書館運営がまずくなると思うのですが、人事管理の面について、何か館長としての感想なり意見というものはないのですか。
  16. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それは私の当初からの一つ考えでございましたけれども図書館というものは非常に中立性をたっとぶものでございまして、いわば脳みそがなくて口や手がある。これは非常に悪いたとえでございますけれども、ある意味から言うと、そういうものでございますから、どうしても中立性というものに重点を置かなければならぬと考えまして、その中立性を保つにはどうするか。これは実際実行上なかなかむずかしいところでございまして、そこで私は、少しへ理屈のきらいがあったかもしれぬと思いますが、全部競争試験という形をとりました。それで今も、年々わずかに十人かそこらの人を採る場合にも、数百人の人に試験に出てもらって、そして最も公正にやっておるわけでございます。それから上の方の人—上の方と申しますのは、私どもの方に専門調査員というものがございます。これは最高給の人として扱っておりますが、これはどうもそういう試験というわけにはいきません。しかし数がきまっておりまするのと、ほとんど人がかわることもございませんので、慎重に人材を選択しております。それが任用の場合でございますが、そのほか、今度免職をするとかいうような場合には、これは今日人事制度が整っておりますから、無理なことはできないわけであります。進級その他、これが一番厄介でございまして、月給を上げていくというところに悩みがあるわけでございますが、新しくできた図書館でございますから、若い人々が強くて、どんどん進歩性を持っております。月給はよそ並みに上げても不足なものでございますから、そこで人材を適当に尊敬するには、俸給予算が非常に窮屈であるというような感じも出てくるわけでありますが、ただいまのところは、そう深刻なところまでいかないでやりくりをしております。今のところは、少くとも順当にいっているように考えております。
  17. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 私は、国立国会図書館に無知識で、妙な質問ですけれども、貸し出しの閲覧者の統計を見ますと、中央館というのがある。これは赤坂離宮のあそこが中央館でしょう。
  18. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 そうでございます。
  19. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 それから、行政司法部門支部図書館というのは、どこのことでございますか。
  20. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 これは、おもなる各官庁—官庁といっても中央官庁です。各省それから最高裁判所、そういうところに支部図書館というものがございまして、私の方の管理に属しております。けれども人事は大体そこでやっておりますし、予算もそこでやっておるというところでございます。そういうものが行政司法部門支部図書館でございまして、その数は非常にたくさんあるのでございます。二十九でございましたか、あります。
  21. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 機構としては中央館が一番大きいのでしょう。
  22. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 そうです。
  23. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 利用者というものは、割合少いですね。
  24. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それはこの設備が、実は私ども赤坂離宮を借用して、そして新しい建物を作っておりますから、入る数というものが、いろいろ工夫をいたしましても一日に四、五百人で、五百人入るには、ちょっと切りかえなければならぬ、こういうわけであります。これをフルに活用するにしても、朝一生懸命席を競っておるというような状態でございまして、その結果、入る人をむやみにふやすことはできない状況でございます。上野の方は、相当にフルに入っておりますが、図書館は、そうむやみに来られても、入れる方のものをこしらえなければできません。
  25. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 中央館の方の閲覧者といいますか、利用者は、大体どういう階層の方が多いのですか。
  26. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 私の理想から申しますと、中央館というものは、成人といいますか、おもに一家をなして、研究してある業績を上げたい、たとえば政策を研究するとか、外国立法例研究するとか、どっちかというと高度の研究をしたい、こういう人を歓迎するつもりでおりますけれども、しかしこちらだけそう思ったって、来る人が来ないというのでは思うようにいきません。私の方では、法律とか政治とかいう方の調査、これは実際の必要から相当研究の実が上っております。国会のすぐわきですから、各官庁の、何か調査をするような人が来ます。普通の人、一般の人を受け入れる部分では、これは今日まで主として大学生、あるいはこれに近い者が使っておるわけであります。
  27. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 この中央館の方も、一般に向って公開されるということは、一般大衆はみなよく知っておりますか。
  28. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それは非常によく知っておりまして、運が悪いと、ずっと門から行列しておりまして、醜態でしょうがないから、なるべく早く整理して中に入れまして、目に立たぬようにしております。実によく知っております。
  29. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 それからよく僕たちも、いなかの人たちが来ると、あそこを観覧といいますか、見に行きますね。あれは今何を見せるのですか。国会図書館を見せに行くのか、旧宮殿としての価値を見せに行くのですか。
  30. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 私の方から申しますれば、国会図書館をわれわれが扱っているのだ、この国会図書館をごらん下さいと申しますけれども、しかし実情はそうでございませんで、庭の方を見て、あありっぱなものだというような実情でございます。これはマス・コミュニケーションで、ある程度日本で、少くとも国立国会図書館を国民に知らされた効果は非常に大きいと思う。
  31. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)小委員 じゃまになりはしないか。
  32. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 じゃまにならぬ程度でやっております。というのは、玄関の大階段を上りまして、上の方へ行って、ある部分は廊下を通らせて、さっと出してしまう。非常に薄情のようですけれども利害二つあって、中で読んでいる者は苦情を言いますから、その利害をできるだけ折衷してやっております。
  33. 飯塚定輔

    飯塚委員 五の(9)のところに「都道府県議会図書室への資料配布」とございますが、それ以外に地方議会図書館、そういう関係の啓蒙とか、そういう意味での講演だとか、そういうようなことで、地方関係先生方おいでになるというようなことはございませんか。
  34. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 少しはやっておりますけれども、そこまで地方の、府県管理する議会図書館というものには、あまり手を出していないのです。私は年に一、二度、近所には行ったことはございますけれども、あまりやっておりませんで、ほかの方法資料を送付するとか、あるいは図書館の者が集まったときに、いろいろ苦情を聞くとか、説明するとか、そんな程度にとどめております。
  35. 松澤雄藏

    松澤委員長 ちょっと館長に、簡単でけっこうですが、一、二私からも質問してみたいと思う。本建築が終ったような場合に、まだまだ六百人の人数を一応ふやさなければならぬという見込みはあるのですか。
  36. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 本建築ができますると、人はふえなければならぬというふうに思います。それは今のところは場所がないから、いわば図書館に縮んでおりますけれども、私の考えから申しますと、新しい図書館はただ本を読むところではなくしていわば日本文化的な、学問調査センターというようなことでなければならないと思います。科学技術の方のセンターができました。あれはもちろんいいことではございますが、そのほかに科学技術以外のセンターができて、いわゆる高度の学問知識があそこで育成せられまして、もちろん高度の学問かどうかということはそれぞれにまかせておくことにいたしまして、こういうことを調べたいというときには、そこへ行けば普通の本を読めるばかりでなくて、どういった本が日本全体にわたってあるか、調べられなければならぬ、そういうところになりますから、図書館活動の面が少し大きくなってくるわけであります。できるだけ倹約いたしますけれども、ある程度ふえなければならぬのではないか、こう考えております。
  37. 松澤雄藏

    松澤委員長 そうすると、本建築昭和二十九年度から開始して、現在まだ未完成であるが、従ってある程度人間とか、あるいはいろいろなものの計画というものは、もう全部かちっとできておりましょうか。本建築ができたならばこれだけの人間が要るのだ、こういうような案はできておるわけですね。
  38. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 まだ、そこまでは具体的にできておりません。これは中での私の腹案であって、表には予算等の関係でまだはっきり出せませんけれども、私ども考え方では、一国の学術というものは、科学等にも重きを置かなければならぬが、そういう専門的な研究ができるようにしなければならぬのでありますから、しいていえば科学知識……。
  39. 松澤雄藏

    松澤委員長 こまかい話は、時間もないようですから、けっこうです。
  40. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それは一段と人をふやさなければならぬ。
  41. 松澤雄藏

    松澤委員長 これだけ大きな事業をやるには、ある程度の計画を持ってやらなければならぬだろうと私は思うのです。従いまして、本館ができるという目標のもとに、何年間でできるのか、あるいはその建築は何年間に施行、それに伴って完成した場合にはこういうような機構でいくのだ、よって人間はこれだけ要る、諸経費その他は総額にしてこの程度だという、計画の大よそのものはできておらなければならぬと思うのですが……。
  42. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 その通りでございます。早くても三年先と思っておりますが、それまでに考えなければならぬ問題は山ほどございまして、その中に、人の配置ということも考えております。ただ、すぐに外に発表し得る程度にはできておりません。
  43. 松澤雄藏

    松澤委員長 今のあなたのお話を聞くと、何か無計画でやっておるような気がするのです。現在の場所は、現在の段階で狭いから本館を作るのだ、こういうふうなことなので、将来これがこうなくちゃならぬからこういうふうなものを建てなければならぬ、建てたならば結果はこうなるのだ、こういうような計画が—もちろんそのときの物価指数によって年々予算関係が変っていくにしても、一応その計画がりっぱになければならぬと思いますが、どうですか。
  44. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 全くその通りです。当初一万五千坪を作るという計画でございました。しかし、なかなか日本実情が許さないということで、減らして、八千坪ということでいっております。とにもかくにも八千坪という一つの画期的な計画になりますると、図書館活動はやや本格的になるわけでございます。そして高度の図書館になって参りますので、つまり人間の配置等も精密に取りかえといいますか、発展的に取りかえなければならぬと思いまして、それは内輪ではもうずいぶん長い間研究しておるわけでございます。
  45. 松澤雄藏

    松澤委員長 みんな案外知っておって御利用しているのかと思いますが、国会議員の諸君がお互いにこの図書館利用し得るような、いわば案内書のようなものができておるのですか。たとえば、だれに申し込めばいいとか、電話番号は何番だとか、こういうものはこういう要領で申し込めばいいのだとか、何かそんなものはでぎておりますか。
  46. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 できているはずであります。
  47. 松澤雄藏

    松澤委員長 もう一つお聞きしておきますが、建築の方は、総額何ぼで、本年まで何ぼの予算が獲得されて、あと何年の予定ですか。
  48. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 これはちょっとむずかしいのですが、総額というものはきまっていないわけでございます。総額をきめると、財務当局が承知しないものですから、年々継続費でございませんで、大体本年まで十一億くらい建築をやっておりまして、今後なお完成まで、その先のことも言えないのです。というのは、金のことでありますから……。少くとも大よそ十八億見当を標準にしていく。
  49. 松澤雄藏

    松澤委員長 それじゃ、計画はできないじゃないか。
  50. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 その計算はきちっとできておるのです。できているけれども、相手仕事で、何一つそれが通るということがございませんで、こちらは何べんも作っておるのですが、そこに多少私ども考えにも時代を認識しないで、金ばかりよけい使おうとしておるところがあって、それらをいろいろ出し入れいたしますると、少くともこれから三年くらいの間に十七、八億見当の建築費があればできる、こういうふうに考えております。
  51. 山本幸一

    ○山本(幸)小委員 今小委員長が言ったように、やはり図書館予算をとったり、拡充したり、ともかく図書館内容をよくするということはいいことです。いいことですが、議員全体は、実際図書館利用について、何というか、全くかた苦しい感じを持っておる。率直に言うと、それがあるのです。案内書は私はもらっておりますが、今度の新議員には出していない。だから、これは新旧を問わず、毎年一回出すということを、そういう習慣をつけて、しかも内容をもっと簡素化し、ややこしいことを書かずに、主としてどの窓口へ行って、どうやって行けば一番手っ取り早く調べられるか、こういう簡単なやつでサービスをよくして関心を持たせれば、非常にいい影響があると思う。そういうことは毎年励行してもらいたいと思う。一回やつたからいいのだということでなしに、そのつど励行してもらいたい、それが必要だと思う。
  52. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 それをやっても、手が小さくて……。
  53. 山本幸一

    ○山本(幸)小委員 やって下さいよ、手が小さいといっても、そんなことは大したことじゃない。
  54. 飯塚定輔

    飯塚委員 年中広告みたいに、議員に対して勧誘というか、そういうことをやっていただくこと。それからもう一つは、国会が始まったら、図書館がこうこうだという、山本君の言われたような、一般に忘れておることをぜひ呼び起すようなこともやっていただきたい。
  55. 山本幸一

    ○山本(幸)小委員 私は、むずかしいことを書かずに、壁に張れるようなものを作ったらいいと思う。会館に張って、いつでも目につくようにして関心を高めるということは、あなた方の主張が通りやすいし、両方とも得なんだ。
  56. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 申しわけないが、その通りなのです。その通りなのですが、どうも官庁のあれでかた苦しく考えられておりまして、以後気をつけて参りたいと思います。
  57. 山本幸一

    ○山本(幸)小委員 一つ人事のことで聞きたいのですが、だいぶ人事が沈滞しているということですが、どうですか。
  58. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 人事ですから、ちょっとむずかしいですけれども、停頓しているということは、おそらく何かの間違いだろうと思います。
  59. 松澤雄藏

    松澤委員長 それでは、ただいまの館長報告を了承することとし、これを本日の議院運営委員会に報告するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 松澤雄藏

    松澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、これをもって散会いたします。     午前十一時三十九分散会