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1958-08-11 第29回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月十一日(月曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 赤澤 正道君 理事 秋田 大助君    理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君    理事 岡本 隆一君 理事 原   茂君       天野 公義君    小坂善太郎君       佐々木盛雄君    始関 伊平君       丹羽喬四郎君    西村 英一君       内海  清君    辻原 弘市君       田中 武夫君    堂森 芳夫君       松前 重義君  委員外出席者         科学技術政務次         官       石井  桂君         総理府事務官         (科学技術事務         次官)     篠原  登君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁企         画調整局長)  鈴江 康平君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局管理課         長)      藤波 恒雄君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    黒沢 俊一君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君     ————————————— 七月八日  一、科学技術振興対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員より報告聽取  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 小金義照

    小金委員長 これから会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。先般鳥取県及び岡山県に委員を派遣して、核原料物質探鉱技術の実情の調査行なつたのでありますが、この際派遣委員から御報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めます。それでは派遣された委員前田正男君から御報告を願います。
  4. 前田正男

    前田(正)委員 過日鳥取県及び岡山県下における核原料物質探鉱技術調査に参りましたが、それらにつきまして、以下簡単に御報告申し上げます。  七月十二日議長の承認を得て、去る七月二十五日より二十七日まで三日間にわたり、委員長小金義照君、委員佐々木盛雄君、委員始関伊平君、委員西村英一君、委員岡良一君、委員岡本隆一君及び私前田正男、以上七名が調査に参加したのでありますが、調査当日の七月二十六日は、折あしく現地は局地的な豪雨に見舞われて、調査予定地を一部割愛せざるを得なかったことは、まことに残念でありましたが、一行は作業衣を身につけ、倉吉鉱山及び人形峠鉱山のそれぞれの坑道内部について調査行なつたのであります。  まず、倉吉鉱山について申し上げますと、倉吉鉱山は、歩谷(旧小鴨金山)、円谷横路谷、広瀬の四地区に分れておるのでありますが、現在坑道掘進を含む探鉱を行なっているのは、歩谷円谷の二地区のみであり、その代表的なものとして歩谷坑調査いたしました。主として本鎚北郷坑道調査したのでありますが、この鉱床は、花崗岩中のいわゆる鉱脈型鉱床でありまして、この鉱脈型鉱床とは、岩石の割れ目等を満たす板状または脈状鉱石集合体で、大多数は地下よりの熱水溶液蒸気等の作用で生じたものであります。これら鉱脈に存在するウラン鉱物は、コフイン石燐灰ウラン鉱であり、ウラン平均品位は〇・〇二%ないし〇・〇五%でありますが、その鉱量は、現在正確に算定し得る段階ではなく、円谷坑も含めて、倉吉鉱山鉱脈型ウラン鉱床代表として、現在なお探鉱段階にあり、歩谷及び円谷坑にて縦坑掘進中とのことであります。  次に人形峠鉱山でありますが、本鉱山は、昭和三十年十月に地質調査所で第二回の空中探査鳥取県下で行なつた際、かなりの放射能異常が倉吉周辺相当範囲に認められたので、引き続き自動車探査行なつたが、昭和三十年十一月十二日に人形峠鳥取県側の県道切り割りウラン鉱床露頭が発見されたのであります。原子燃料公社設立以来、地表探鉱及び坑道探鉱を併用した結果、現在その鉱床規模並びに鉱量もほぼ正確に算定することができるとのことであります。人形峠鉱山は、西より峠、夜次、赤和瀬中津河恩原辰巳峠、さらに東方の鳥取県佐治村等の地区において活発な地表探鉱が行われ、また、峠、夜次地区では、坑道探鉱が実施されております。さらに、今年度中にも赤和瀬中津河地区探鉱坑道の掘進が計画されておるとのことであります。  今回は、その代表地区として峠地区、すなわち最初に発見された露頭と、二号坑西側坑口より三号坑東側坑口に至る坑内調査いたしました。鉱床は、花崗岩上にほぼ水平に横たわる、いわゆる堆積型鉱床でありまして、アメリカコロラド高原におけるごとく、ほぼ水平に横たわる堆積岩中に鉱石が存在するものであります。その規模は予期以上に広大なもので、前述の各地区にわたり、東西八キロメートル以上、南北一キロメートルから三キロメートルの範囲に賦存することが判明いたしております。さらに、最近では、峠地区北側神倉及び松崎にも類似の鉱床が発見され、その規模は、さらに大きくなる傾向にあります。  ウランは主として花崗岩直上礫岩層に含まれ、この礫岩層の厚さは、峠地区では一メートルから五メートル、平均ニメートル程度で、さらに東部では厚さが増大し、品位も高まる模様であり、この礫岩層は、大体海抜七百三十メートルから七百五十メートルの高度に分布しているのであります。ウラン鉱物としては、人形石燐灰ウラン鉱が認められ、人形石は世界で初めて発見された新しいウラン鉱物で、ウラン、カルシュウム、燐の化合物で、最近人形峠の名前をとつて人形石と命名されたものであり、坑内では礫岩層の中で黒色の鉱物として見られ、また、燐灰ウラン鉱人形石が変化したものと考えられ、ミネライト紫外線発生装置)でこれを照らしますと、坑内全面に緑色に美しく輝くのが見られ、両鉱石とも、製錬は容易であるとのことでありました。  原子燃料公社探鉱を開始して以来、各地区を通じて試錐延長約五千五百メートル、坑道延長は、峠地区水平二千七百メートル、掘り上り百四メートル、掘り下り二百七十三メートル、夜次地区水平千二百メートルに達しております。ウラン品位は、鉱床全般を通じ〇・〇五%と見られておりますが、〇・一%以上を示す高品位の部分も、かなり広い範囲に分布していることが最近判明してきているのであります。鉱量は、現在までの精細な試錐坑道その他による探鉱結果により、ほぼ正確に算定することができ、鉱山地区及び周辺地区を含めて、概算二百万トンないし三百万トンと見込まれているとのことであります。なお、アメリカコロラド高原ウラン鉱山に比しても、鉱量鉱床規模からも、人形峠鉱山は相当期待が持てるものであると思われるのであります。  以上述べましたように、人形峠鉱山では、峠、夜次等の各地区では、すでに探鉱段階は終了に近く、今年度以降、探鉱はさらに中津河から辰巳峠以東、及び北方の神倉松崎等周辺地区計画されているとのことでありました。なおへ人形峠出張所分析試験室も視察して参りました。  以上、倉吉人形峠鉱山調査をいたしたのでありますが、原子燃料公社より国産原子燃料資源探鉱、開発、製錬の一貫した政策を至急確立せられたい旨の希望が述べられましたことを、つけ加えておきます。  終りに、本調査に当つて御協力を賜わつた鳥取県及び岡山県当局並びに関係市町村の各位に厚く感謝の意を表し、報告を終ります。
  5. 小金義照

    小金委員長 以上で派遣委員報告は終りましたが、ただいまの報告に関連して、政府に対して発言したいという申し出がありますから、これを許します。岡良一君。
  6. 岡良一

    岡委員 ただいまの、私ども日本におけるウラン鉱探鉱の現場を見せてもらいました御報告に関連して、若干お尋ねをいたしたいと思います。あと技術的な問題で、また原子力局長に御出席を願わなければならぬという問題については、そのときにお答えを願うことにいたします。  まず、お聞きいたしたいことでありますが、現在の倉吉なり人形峠などで探鉱の結果、埋蔵されているウラン粗鉱は大体三百万トンという数字でございますが、それが〇・〇五%というような天然ウラン含有量になっている。そこで、原料の自給という観点から、まず第一にお伺いいたしたいのは、どうやら設計も順調に進んでいる第一号国産炉天然ウラン重水炉の当初に装架すべき天然ウランは、一体どの程度の量を必要とするのか、年次別にどの程度のものを補給していかなければならぬのか、数字をお伺いいたします。
  7. 石井桂

    石井説明員 ただいまの点は、今局長が参りましたから、局長から答弁させます。
  8. 佐々木義武

    佐々木説明員 国産炉に関しましては、大体天然ウランの当初の所要量は、十トン近く想定いたしております。できますれば、この十トン国産ウランからと思っているのですが、ただいまの段階では、御承知のように、中間製錬所を東海村に作りまして、ここで製錬したものを原料にしたいと思っております。  それでは、東海村の中間製錬所で使用いたします燐鉱石ないしはイエローケーキはどうするのかという問題になりますが、当初は、イエローケーキは御承知のようにカナダあるいはその他の国からできれば輸入いたしまして、そして製錬のみをやつていきたいと考えておるのでありますけれども、御承知のように、だんだん人形峠等鉱量あるいは鉱質等も明瞭になって参りましたので、その方は、さらに基礎研究なり粗製錬所なりが完備するに従いまして、イエローケーキ段階まで作り上げて製錬所で使用いたしたいというふうに考えております。その時期はいつごろかという問題でございますけれども、御承知のように、粗製錬の段階というのはなかなかむずかしい技術も必要でございますので、ただいまのところは、人形峠の石はこの方法でやつた方が一番よろしいという技術までは明確にできておりません。従いまして、公社自分基礎研究所なりあるいは応用研究所をただいま建設中でありますが、こういうものができて、実際に現地にも粗製錬所ができましてそのできたイエローケーキの結果を見まして、これならばということでありますれば、東海村の製錬所にも入れまして、そしてほんとうの日本方式で、日本の製錬所で天然ウランを作りたいというふうに考えております。
  9. 岡良一

    岡委員 せつかく日本のいわば頭脳で設計が作られ、いわゆる国産炉と銘打っているのだし、できたら、天然ウラン等人形峠等で相当有望な原鉱が発見されておるのですから、ぜひ国産炉の十トンはこれを用いるという方針で進んでいただきたいと思うわけであります。どうせ、あした見せていただくことにはなっておりますが、この際お尋ねしておきます。  原子燃料公社東海村の方にプラントを入れられて製鉱を始められるという話を聞いておりますが、大体その天然ウランはどのくらいの規模のもので、いつごろから生産されるのですか。
  10. 佐々木義武

    佐々木説明員 ただいま入れますのは、たしか規模にいたしまして大体年十トン程度の処理ができるプラントかと思っておりますが、これは全くの中間製錬所でありまして、工場という性格のものではまだございません。入れますものはワインリッヒと称します米国の一番新しい方式のものを入れまして、完成するのは、設備としては大体今年度の末に完成いたします。そこで、初めはごく少量でございますけれども、来年の初めくらいから生産したいと思っております。問題は、天然ウランを作りましてもすぐ燃料になるわけではございませんので、できたものを、さらに加工いたしまして、あるいはキャンニングいたしまして燃料要素として原子炉に実際入れ得る段階まで、実はここが一番むずかしい段階でございます。公社の方は、ただいまの段階では、自分作つた天然ウランを、せめて自分でもって加工部門研究さしてもらいたい、あるいは自分でもって処理さしてもらいたいという希望を非常に持っておりますし、加工段階は、どちらかといえば、従来製錬所を持っておりましたところが大体得意でございますので、そういうところに、公社ばかりでなしに、やらしたらどうだろうという話もございまして来年の予算の査定をめぐりまして、この問題が非常に重要な問題になっております。まだいずれともきめておりまんけれども研究段階では、少くとも、各社でもやつておりますけれども公社でも進めるべきではなかろうかと私は考えております。
  11. 岡良一

    岡委員 これまでどちらかというと、原子炉政策の焦点が向けられて、燃料確保という点が、技術的にも政策的にも、どちらかといえばなおざりになっておつた傾向があったように思うのです。しかし問題は、不可欠な燃料確保ということは、今後ともやはり日本原子力政策の重要なポイントであり、しかも、相当豊富なものが出てきておる。そして数字の問題ですが、かりにプラスの温度係数等、ああいう問題を抜きにいたしましてコールグーホール改良型を入れた場合には、年にどのくらいの詰めかえが必要になってきますか。それから、七十万キロワット、昭和四十年とかいうような計画を拝見しておるのだが、そのときには毎年どの程度天然ウラン詰めかえが必要になってくるのですか。
  12. 佐々木義武

    佐々木説明員 私は、実はきようそういう質問があるとは気がつきませんでしたので、詳しい資料を持っておりませんが、概略を申し上げると、このコールダーホールの初度捜入は二百五十トンでございまして、毎年かえますのは約五十トン詰めかえるようにしております。長期計画に基きまして、その後三百万キロワット程度開発した場合にはどのくらいになるかという詳細に関しましては、きようは資料を持っておりませんので、お答えできませんのをはなはだ残念に思います。
  13. 岡良一

    岡委員 私どもが視察した倉吉なり人形峠に埋蔵されていると推定されるウラン原鉱〇・〇五%の純分の粗鉱が、三百万トンということになれば、これが首尾よく精錬されたとしても、天然ウラン精鉱は千五百トンですね。そこで七十万キロワット発電ということをこの間新聞でちょっと拝見したのですが、三百万キロワットは別といたしましても、七十万キロワットの原子力発電をやるといたしましても、年々詰めかえを必要とするところの天然ウランは、大体十五万キロワットでも五十トン程度だとおっしゃるのだから、少くとも二百五十トン程度のものは必要になってくるわけですね。そうすると、千五百トンでは、二百五十トンとすれば、六カ年間で日本の現在発見されたウラン鉱というものは掘り尽してしまうことになる状態ですね。そういう点を考えますときに、エネルギーの原料としての、ことに原子力発電原料としての天然ウラン確保、従ってウラン探鉱というものは、相当精力的にやつていただかねばならぬということを、この間視察して私感じたわけです。  それから、最近カナダなりアメリカの情勢を聞いておりますと、もうすでにウランは非常に取り過ぎたというので、アメリカでも原子力委員会は、ウラン商業価格で自由に販売をさせるという方針に切りかえた。カナダでも、もてあましておるという状態を聞いておるわけです。具体的には、アメリカカナダにおけるウラン原鉱なりイエローケーキに対して、向うの側の政策はどういうふうに展開してきておりますか。
  14. 佐々木義武

    佐々木説明員 原鉱石そのものを輸入しようという気持はないのでありまして、やはり輸入するといたしますと、粗製錬の段階を経ましたイエローケーキ段階で輸入してくるのが本筋じやなかろうかと考えております。  そこで、イエローケーキをただいまの段階ではどういうふうに考えるかと申しますと、お話にもございましたように、米国でもカナダでも、あるいはその他の、従来からこういうものを製錬しておる国々でも、輸出の希望が非常に強いようでございます。そこで、まずカナダの方は、まだ御承知のように協定ができておりませんのですから、協定を結ばないでも出せる範囲内のごく少量でございますが、これを本年度輸入いたしまして、そして各試験用途に向けたいということで、近く輸入の段階に入るつもりであります。その他の米国等にも、協定ができます際には、こちらの希望量は出していただけるかという点を再三サウンドしてみました結果、向うでは、計画をしておった計画生産量よりもふえた場合には、そのふえた分は、メーカーがそれぞれ事情が許せば、政府としての条約もありますが、出すのにやぶさかでないという余剰量と申しますか、そういうものはこちらの方でも入手していけるというふうにただいま考えております。向うでは計画量と言っておりますので、その数量ははっきりいたしませんけれども、しかし、日本でただいまの段階で必要な分は、わずかでございますから、そういう点は不自由なしに入手できるのじゃないかと感じております。そのほかの国でも、ただいま交渉の段階にありますものもございまして、まだはっきりしておりませんが、割合に、イエローケーキ段階で入手するということでございますれば、数量の多寡にもよりますけれども、現段階で必要な数量でありますれば、それほど問題なしに入手できるのじやなかろうかというふうに考えております。
  15. 岡良一

    岡委員 そうすると、結局協定を結ばなくても、ごく少量であるとか、あるいは計画量を上回つたイエローケーキについては、協定がなくとも日本は買い取ることができる、そういうことでございますか。
  16. 佐々木義武

    佐々木説明員 カナダの方は、少量でありますれば協定を結ばなくても入手できます。これはほとんど試験用程度でございまして、問題になりません。
  17. 岡良一

    岡委員 昨年フランスから天然ウランを一トンばかり買われましたね。あれは幾らで買われましたか。
  18. 佐々木義武

    佐々木説明員 きようは資料を持ってきておりませんが、たしか一万程度だというふうに記憶しておりますけれども、あるいは間違つておるかもしれません。
  19. 岡良一

    岡委員 この間倉吉等でお聞きをいたしますると、現在粗鉱として採掘されてくるものは、トン当り五千円程度燃料公社は買つておりますね。トン当り五千円で買つたものが、純分〇・〇五%ということになりますと、天然ウラン精錬加工した場合に、精錬する費用、運賃その他全部抜きにして約二百五十万円見当になるわけじゃないでしょうか。この間の数字関係を、もう少し私どもにのみ込めるように御説明願いたい。
  20. 佐々木義武

    佐々木説明員 先ほどの天然ウラン値段は、一万四千円程度だということであります。  それから、今の人形峠等から買い上げます原鉱石の〇・一%のものは五千円ということであります。これは御承知のように、昨年原子力委員会でもきめまして、その値段で買い取ることになっておりますけれども、これを算出いたしました根拠は、海外から入って参りますイエローケーキを船積みその他チャージをいろいろ加算いたしまして、横浜CIFでございますればどのくらいになるかということをまず基本に置きまして、そして国内の、そのところまでの輸送を考えてはじいてみますと、少し国内の方が高目につきますので、大体二割程度、一種の補助と申しますか、奨励金と申しますか、そういうものを加味いたしまして、そうして国内のただいまの原鉱石でもペイできるようなことに値段をきめまして、そして山元でそのイエローケーキを作りましても、結局製錬所に着きます際には、山元でもペイするような値段に逆算して考えたのでございます。
  21. 岡良一

    岡委員 そうすると、原子燃料公社採算上から妥当な価格ということで、奨励的な関係のものは何ら五千円にはついておらない、そういうことでございますね。
  22. 佐々木義武

    佐々木説明員 奨励的なものはついております。従いまして、〇・一%まで、多少これよりも悪い原鉱を処理した場合には、五千円ではとうていペイしないということでありますと成り立たぬわけでありますが、おそらく五千円で成り立つという、いわゆる貧鉱でも、その中に富鉱がございますれば十分やつていけるんじゃないかという採算でございます。
  23. 岡良一

    岡委員 そうすると、フランスの方はキロ一万四千円でしたね。これを純分として〇・一%程度あり得るということで五千円ということになると、天然ウランにしますと、トンどのくらいになりますか。
  24. 佐々木義武

    佐々木説明員 その点は先ほど申しましたように、天然ウランでできました最終段階幾ら、それから、そのまた作るイエローケーキ段階では幾らイエローケーキまでいく過程の粗製錬の過程がどのくらいというふうに、全部最終値段から逆算いたしましてやっていくわけでございますから、製錬技術さえ日本技術が劣らなければ、天然ウラン価格というものは違いがないというふうに考えてよろしかろうと思います。
  25. 岡良一

    岡委員 いや、その最終的な天然ウラン価格を、幾らというふうに逆算されたか。
  26. 佐々木義武

    佐々木説明員 大体一万四千円程度基礎にいたしまして、そして日本にできました際にも、もちろん生産量そのものによって御承知のように変りますから、大体一万四千円という値段天然ウラン値段でありますれば、それから逆算してはじいた値段でありますので、日本でも十分それに見合う程度コストで粗製錬もでき、それから精錬もできるのじやなかろうかというふうに実は考えた次第でございます。ただ、製錬の過程の製錬コストというものがそんなに安くできるのだろうかという点が問題でありますけれども、これは実は御承知のように、工場の大きさに深い関連を持っておるのでございまして、わずか生産しておる間はどうしてもコスト高になる。数量を多量に生産するようになると、コストが下つて参るわけでございますが、ただいま私ども考えておりますワインリッヒというのは一番新しい方式で、コストも下げ得るという建前で、もしこれが実際に運転いたしまして、この方式が一番チープにいくということでありますれば、今後何年か知りませんが、大工場を作るにはこの方式でやつて参りますので、相当コストもダウンできるのではなかろうかというふうに考えております。
  27. 岡良一

    岡委員 いや、ちょっとそこに算術的な疑義があるのです。〇・一%の粗鉱がトン当り五千円だというと、〇・一%あったものとして、かりに何らのロスもなくできるということになっても、天然ウランが一トン五千万円になるのじゃないですか。一万四千円どいうものを基礎にして逆算したという、しかも、その一万四千円はフランスから商業取引で買われた天然ウラン価格ですね。それではあながち公正妥当な逆算の基礎にならぬのじゃないですか。
  28. 佐々木義武

    佐々木説明員 私、どうも記憶がはっきりいたしておりませんが、初めに申し上げましたように、キロ一万円というのが普通の、ノミナルな国際価格でございまして、フランスから買う際には、これは条約なしに買いました関係もございまして、試験用だけでございますから、国際値段から比較いたしますと、高い値段買つたのじやなかろうかと記憶しております。従って、原鉱石価格を五千円と押えましたそのもとの天然ウラン価格はどのくらいの価格かと申しますと、やはり一万円くらいを基準にしたのじやなかろうかと思てつおりますけれども、なんでしたら資料を取り寄せて……。
  29. 岡良一

    岡委員 いずれあと資料などで……。ただ、僕はここでちょっと頭の中だけで計算してみると、〇・一%の含有量である粗鉱が五千円ならば、これをロス抜きにして、製錬、加工運賃等も全部抜きにしたところで、トン当り天然ウランは五千万円になる。そうするとキロ当り五万円です。一万四千円だとおっしゃるが、どうも私は数字の上で納得できないので、その点啓蒙してもらいたいと思うのです。
  30. 法貴四郎

    法貴説明員 トン当り五百万円です。
  31. 岡良一

    岡委員 それではわかりました。  そこで、逆算の基礎キロ当り一万四千円ですか。
  32. 法貴四郎

    法貴説明員 私も正確ではございませんが、大体天然ウラン国際価格の基準はキログラム当り一万五千円程度と考えます。それから逆算いたしました。ですから、イエローケーキが一万円くらい、鉱石で〇・一%くらいのところが五千円、そういう見当であります。それから、ついでに申し上げますと、英国から取り寄せます分は、燃料要素として仕上つたものでありますから、キログラム当り二万円くらいと思います。
  33. 岡良一

    岡委員 先ほど局長も言われたように、昨年フランスから天然ウランを一トン一万四千円で買つた。これは協定も何もない、いわば自由な商業取引価格で買つたもので、比較的高いものを買つたんだ。ところが今国内産の粗鉱について、トン当り五千円ということにされると、逆算される基礎が非常に高いものにしておられる。私は、高い安いを言うのじゃない。もしウラン探鉱をエネルギッシュにやろうというなら、奨励策なり何なり別途に考慮されて立てられていいと思うけれども数字の上できちんと筋が通らないのではないか。要するに、一万五千円というものは商業価格の相場なんだが、公正な相場なんでしょうか。
  34. 法貴四郎

    法貴説明員 大体一万五千円くらいが公正な相場でございまして、特に高いというものではないというふうに考えます。フランスのものは、もう少し高かったように記憶しております。
  35. 岡良一

    岡委員 一万四千円より高いと言われるのですか。さっき僕は、零を一つミスしたけれども、今度はそちらがどうも……。  ところで国際原子力機関の方ヘカナダあたりから相当好意ある申し出があるようですが、その内容はどういうことですか。
  36. 佐々木義武

    佐々木説明員 国際原子力機関に対して、各国から供出の数量等がそれぞれ御承知のように発表されておりますけれども、その供出値段に関しては、全然まだ未公表でありまして、私ども承知している範囲内でも、その値段をどうするかということは非常に問題になっているそうでありまして、ある一定の値段をきめますと、それでは困るといって供出を拒む国もあるいは出てくるかもしれませんし、そのくらいの値段であればもっと供出してもいいという国も出てくるかもしれない。そこで、値段をきめるのは非常に問題になっているので、ただいまどういう値段が一番妥当な値段としてオフィシアルなものになりますか、これらはまだ未解決の問題があるというように承知しております。
  37. 岡良一

    岡委員 値段じやなく、国際原子力機関の最近の情報を見ると、カナダからイエローケーキ五十トン出そう、それ以上は加盟各国の希望があれば善処したいという趣旨の申し出があったということが伝えられているのですが、そうなれば、値段の問題は値段の問題として、手続上は、原子力機関と日本とが結びつき得るわけです。そういう情報は、私どもが雑誌で読んだ程度の情報であるのか、あるいはもっと公けに信憑性があるものなのか、あなたの方ではこの点よく確かめておるだろうと思うので、お尋ねしたわけです。
  38. 佐々木義武

    佐々木説明員 実は、国際原子力機関から天然ウラン等を入手する際の入手の仕方が、ただいま結んでおります国際原子力機関憲章だけで入手できるかと申しますと、私ども、実はそう考えてないのでありまして、あれを根拠にいたしました国際原子力機関と日本との細目協定と申しますか、相互協定というようなものができて、それに基いて実際に取引されるか、あるいは国際原子力機関自体で、さらに細部の施行細則を作つて、それを各国全部で総会等で決議をして、それに基いて画一的に各国が国際原子力機関から入手するというふうになりますか、そこら辺のところは、まだ実はわかりませんけれども、ただいま承知している範囲では、国際原子力機関が供給を受ける方じやなくて、供給する際に、どういうふうな手続で供給するかという点は、まだ審議の段階に入っておらない。その前段階である。各国から天然ウラン等を入手する際の手続なり価格というものに審議が集中しておるというふうに承知しております。
  39. 岡良一

    岡委員 私がいつも申し上げていることは、原子力委員会も、国際原子力機関というものは優先的に取り扱いたいという決定をしておられるし、日本の原子力開発も、この委員会の最高の方針に基いて進められるということになれば、あるいはカナダが五十トン以上加盟各国の希望があれば善処したいという意思を表明しておられるならば、国際原子力機関がいかなる手続を経て入手されるか、あるいは入手された原料等は、加盟各国、特に原料を持たない国々にいかに配給をするかという、いわば協定でも何でもいいでしよう、そういう点を、日本理事国であれば日本がもっと率先して、ただ拱手傍観しておらないで、日本理事国として参加しておるのですし、やがて九月下旬には第二回の総会があるでしよう。第二回総会では、もうすでに各国から相当のものが持ち寄られておるわけです。だから、これをどう受け入れるか、どう配給するかということは、特に原子力後進国アジア地域を代表し、アジア地域から選ばれて日本理事国になっている以上は、当然日本がどういうふうにすべきかということについて積極的な努力をする必要がある。今、局長のお話を聞いておりますと、まだしておらないようであるというようなことで、きわめて傍観しておる。理事国だから運営の責任を持っておるのですよ。しかも、おくれたアジアの代表としての理事国なんですから、もっと積極的におやりになることが、日本の原子力開発のための原料確保のためにも、あるいは後進低開発地域における原子力開発普及のためにも、日本の当然の任務だと思うのです。そういう点が、私は非常にもの足らないと思うのです。それについてはいろいろ問題があろうと思うけれども、そういうことは、後ほどいずれ申し上げたいと思います。  それから、去年、私どもいただいた資料で、タイ国の調査をされましたが、その後、調査の結果に基いて何らか積極的に進められておるのですか。ただ調査のしつぱなしになっておるのですか。
  40. 佐々木義武

    佐々木説明員 タイ国に、正式と申しては語弊がございますが、参りましたのは公社の佐藤理事だけでございまして、それ以外は、個別的な企業でいろいろなさつておられるかもしれませんが、その方は、私どもはつまびらかに承知いたしておりません。そこで、ただいま御質問の点は、公社で佐藤理事調査いたしましたその結果をどういうふうに扱つておるかという御質問かと存じますが、調査の結果は、一応調査報告にまとめまして、私どもも正式に説明を聴取したのでありますけれども、それに基いて、すぐタイの鉱石日本でどう処理するかというところまで対策を練つて具現化するというところまで、実はまだ考えずに、そのまま調査報告として受け取つたにとどまつております。
  41. 岡良一

    岡委員 政府の方でも東南アジア開発にはきわめて関心を持ち、予算的な努力もしておられるわけですし、この間の五大使会議でも、若干この問題が出たようにも私仄聞しておるのですが、やはり調査のしつぱなしをしないで、アジア地域における原料はアジア地域が共同で確保しながら、原子力の開発に便ならしめていくという大方針を、東南アジア開発という大きな方針の一環として、これらを取り上げていくという努力が足りないと思うのです。こういう点も、いずれあらためて大臣等にもお尋ねいたしたいと思っております。  それから、今フランス商業価格で一トンウラン日本に引き渡したというのは、日本にとつて非常に教訓的だと思うのです。というのは、三、四年前に私ども聞いておつたところでは、フランスはほとんど燃料がないというので非常に困っているという情報を聞いておつた。ところが、商業価格で自由に日本に売ることができる段階に達したという。一体フランスは、どういう努力をしてそこまでの成果に導くことができたのか、あなた方の方で、そういう経過についてお知りの点があったら簡単にお示し願いたい。
  42. 佐々木義武

    佐々木説明員 この点に関しましては、一昨年フランスの原子力庁の計画局長をやつておりますゲロン氏が参りまして、フランスの原子力行政をいろいろ話して下さいましたが、その際、日本天然ウラン鉱山については一体どう考えるかという点をだいぶ聞いてみましたのですけれども、その際お話しになりましたのは、初め、フランスは御承知のように世界でも一番地質地図と申しますか、マップがよくできておりまして、地質学者が非常に優秀な方が多い国で有名なところだそうでございます。そこで、学者の皆さんのお話では、フランスの中にはそういう優秀な鉱山はないはずだという定論になっておつた。それでもフランスの原子力庁では、国家予算を膨大に組みまして、三年間調査をしたそうでございます。いよいよ四年目の予算を組むときに、もうとてもいかぬからやめようじゃないか、それよりも、むしろ条約を結んで外国から入れた方がよかろうという話が出まして、自分も非常に迷つたけれども、もう一年やらすべきであるといって予算に組んでおるときに、ちようど運よく見つかった。見つかったのは、全然予想もつかなかった国道から百メートルほど離れた、深さも浅いところで見つかったというふうに言っておりました。そこで、日本でも優秀な鉱山がないということも言えないし、また、あるとも断言できないけれども、決して希望を失わないで調査をすべきであると盛んに勧めておつた。ゲロン氏から聞いた経過は、大体そういうことであります。
  43. 岡良一

    岡委員 フランスが当初ウランがないと言うておつた四、五年前の状態が、今の日本状態にもかなり似通つていると思うのです。一方アメリカあたりが、当時はきびしい原子力委員会の統制のもとにウラン探鉱を開始したあの当時は、ガイガー計数管ですか、シンチレーション・カウンターですか、とにかく普及的な安いものを山登りに行く者にみんなリュックの中に持っていってやらすくらいに、昔で言ば官民一体のウラン探鉱をやつた。ところが、今となっては品位の低い鉱山は閉鎖するという段階にまで豊富にウランを集めることができるようになつた。こういう姿を見ると、私ども、もっとウラン探鉱について、やはり国民も大きく関心を高めてもらう。もちろん、そのためには政府が積極的に音頭をとるくらいの努力をやつてもらう。これはやつてみなければわかりませんけれどもフランスの実例もあることだし、そういう努力が足らないのではないかと思うのです。こういう点も、やはり原子力委員会としての大きなお仕事だと思うので、今後格段の御留意を願いたいと思う。現にこの間岡山県に参りましたが、県の話では、県は、これは原子力局とは直接関係はないのですが、県の単費で探鉱費二千万円を計上しておる。私、故郷に帰ってみると、私の県は五十万円というふうに、やはり県にも、そういう天然資源の開発というものに大きな予算的な関心を示しておる県もある。おそらく、これは国の補助も何もないものだと私は思うのです。こういう点にも、やはり今後ウラン鉱の開発のためには政府としての行くべき道があるのではないかとも思われます。こういうことも、いずれ臨時国会までに皆さんの方でも方針を固めていただいて、私どもでも大いに申し述べたいと思っております。  それから最後に、これは今直接佐々木さんにお尋ねするのは無理だと思いますが、この間、私ども探鉱のための低い坑道の中に入りますと、ガイガー計数管の針が相当はね上っているのです。ところが原子燃料公社の人は、この程度の放射能では人体に絶対に障害がないのだ、こう言い切つておられたのです。ところが、放射能の許容量というものはどれだけかということは、この五年の間に百分の一に下つておることは御存じの通りです。だんだん危いぞということになってきておる。下げてきておるのは国際放射線学会ですから、国際的な権威ある基準が百分の一に下つてきておるというような状態です。そこへもってきて、大体放射能は、今現にその坑内できよう一日八時間働いたところで、からだに受けた放射能では害がない、こういう考え方なんです。これは、一日八時間が四時間でも、永続的に長い間放射能を受けた場合に、蓄積した放射能の障害というものが問題になるわけです。それが白血症を起したり、いろいろなものを起す。ところが現在、きよう八時間働いておつても、この程度のカウントが出たところで心配要らないと、非常に簡単にものを扱つておられるように思う。それから、ラドン・ガスが出るからというので、防塵マスクをつけておる。ラドン・ガスの出るところで防塵マスクをつけたつて、若干の効果はあるかもしれないが、空気と一緒に入ってくるものを防塵マスクでは防ぐことはできないのじゃないかと思うのです。そういう点、やはり探鉱と同時に、こういう特殊な放射能を持つ坑内に働く人に対する厚生的な考え方というものも、もっと科学的にやるべきじゃないか。これはやはりウラン探鉱を進めれば進めるほど、そういう点についても政府としての責任あるバツク・アップというものがないと、なかなかウラン探鉱の実も上らぬと私は思うのです。ころいう点も、私視察をした印象として感じましたので、専門的に原子力委員会として御研究願つて、必要とあれば必要な対策をすみやかに講じていただきたい、こう思うわけです。これで私の質問を終ります。
  44. 小金義照

    小金委員長 それでは質疑は終りました。  この際一言申し上げておきます。私は、このたび欧米各国の原子力事情調査並びにジュネーヴで開かれる原子力平和利用国際会議の総会に出席いたしますので、来たる十八日に東京を出発いたしまして、九月の中旬過ぎに帰国の予定でございますが、その間留守になりますので、理事前田正男君に委員長の職務を行なっていただくようお願いいたしました。先ほどの打合会において皆様方の御了承を得ましたので、この際あらためて本委員会の皆様の御了承をいただきたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小金義照

    小金委員長 それではお願いいたします。  本日はこれで散会いたします。     午前十一時三十八分散会