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1958-04-23 第28回国会 参議院 法務委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十三日(水曜日)    午前十時五十五分開会     ―――――――――――――   委員異動 本日委員赤松常子君、清澤俊英君及び 辻武壽辞任につき、その補欠として 海野三朗君、藤原道子君及び白木義一 郎君を議長において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青山 正一君    理事            大川 光三君            一松 定吉君            棚橋 小虎君            宮城タマヨ君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            大谷 瑩潤君            小林 英三君            亀田 得治君            藤原 道子君            後藤 文夫君            辻  武壽君            白木義一郎君    委員外議員            高瀬荘太郎君            市川 房枝君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君   政府委員    法務政務次官  横川 信夫君    法務大臣官房経    理部長     大澤 一郎君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省矯正局長 渡部 善信君    最高裁判所長官    代理者    (総務局長)  關根 小郷君    最高裁判所長官    代理者    (総務局総務課     長)     海部 安昌君    最高裁判所長官    代理者    (人事局給与課    長)      西山  要君    最高裁判所長官    代理者    (経理局長)  岸上 康夫君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      三原 次郎君   説明員    法務省刑事局参    事官      高橋 勝好君    法務省保護局参    事官      佐藤  豁君    厚生省社会局生    活課長     加藤 威二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○継続調査要求の件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○訴訟費用等臨時措置法の一部を改正  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○売春防止法の一部改正に関する請願  (第二一号) ○名古屋刑務所移転に関する請願(第  一二九号)(第八九七号) ○都城拘置支所設置に関する請願(第  一八〇五号) ○更生保護事業の強化に関する請願  (第三六〇号)(第六六七号)(第  一〇〇号) ○福井地方法務局大野支局庁舎建設  促進に関する請願(第四二三号) ○福井地方検察庁大野支部庁舎建設  促進に関する請願(第四二五号) ○新潟地方法務局柏崎支局庁舎新築に  関する請願(第四七五号) ○新潟県糸魚川区検察庁庁舎新築に関  する請願(第七一一号) ○福井地方家庭裁判所大野支部新庁  舎建設促進に関する請願(第四二四  号) ○岐阜県中津川簡易裁判所庁舎新築に  関する請願(第一五六一号) ○飲酒による犯罪処罰請願(第七二  五号)(第九九一号)(第一四四七  号)(第一七六三号)(第一七六四  号)(第一七六五号) ○恩赦法の一部を改正する法律案(高  瀬荘太郎君外四名発議)(第二十七  回国会継続)     ―――――――――――――
  2. 青山正一

    委員長青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。  委員異動について報告をいたします。四月二十三日付、赤松常子辞任海野三朗君選任。以上であります。     ―――――――――――――
  3. 青山正一

    委員長青山正一君) 議事の都合により、初めに継続調査要求についてお諮りいたします。  検察及び裁判運営等に関する調査につきましては、今次の閉会のあとも継続して行うことにいたしたいと存じますので、この際、この旨の要求を行いたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青山正一

    委員長青山正一君) 御異議ないと認めます。なお、要求書内容につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。     ―――――――――――――
  5. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。御質疑の方は御発言下さい。――ほかに御質疑もないようでございますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 青山正一

    委員長青山正一君) 御異議ないと認めます。  なお、大川光三君、亀田得治君から、本案に対する修正案提出されておりますので、この際、本修正案議題といたします。  大川光三君に説明をお願いいたします。
  7. 大川光三

    大川光三君 ただいま議題となりました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。まず、修正案文を朗読いたします。   裁判所職員定員法の一部を改正す  る法律案の一部を次のように修正す  る。   第二条の改正規定中「一万九千八  百九十人」を「一万九千九百一人」に  改める。  以上でございまして、これに対して簡単に御説明を申し上げますが、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案は、御承知のように、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に呼応して提案せられ、統計集計員法廷警備員及び交通事件職員等四十四名を定員化しようとするものでありまするが、今般行政機陶職員定員法の一部を改正する法律案は、内閣委員会におきまして、さらに定員増加けることに修正を見るに至りましたの。、これに対応し、裁判所定員外職員のうち、家庭裁判所医務室に勤務する十一名についても、その職務重要度、責任の程度等を勘案し、これを定員化することが適当と考えられまするので、さらに原案の四十四名に十一名を追加し、現行定員一万九千八百四十六人を一万九千九百一人に改めようとする次第でございます。  以上が本修正案趣旨でありますが、何とぞ御賛同あらんことを御願い申し上げます。
  8. 青山正一

    委員長青山正一君) ただいまの御説明について御質疑はございませんか。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 政府の方にお聞きいたしますが、もしこういう十一名の増ということが通った場合の予算的な措置ですね、これは今までに国会を通っておるそのままのものでまかなえるのかどうか、そういう点についての御見解を承わりたいと思います。
  10. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ただいま御指摘の点につきましては、大蔵省の方と交渉いたしまして、この法案が成立いたしました際には、必要に応じまして、流用措置で、支障のないようにできる見込みでございます。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 実際の費用はどれくらいふえることになるのですか。どの程度……。ほんのわずかだと思いますが、そうしてその幾らかふえる、それをどこから持ってくるということになりましょうか。
  12. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) 正確な数字は、今ちょっと資料を持ち合わしておりませんが、大体全部で、十一名ふえるといたしまして、二百万円くらいの経費になるわけであります。それは今きまっております人件費のうちで、若干の、何と言いますか、余裕が見込んでございますので――余裕と申しますか、余裕が毎年出ます関係上、その程度のものは、流用措置によってまかなえるという見込みでございます。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 ずいぶんふえるのですね。従来定員外のものとして給料を払っていた。結局それに対する、定員化されることによって正規の手当等が出たりして、幾らか増になるというふうに私ども思っていたわけですが、今おっしゃったのは、それはその十一名に対する全額じゃないのでしょうか。この大体の私は差額をお聞きしているわけであります。
  14. 岸上康夫

    最高裁判所長官代理者岸上康夫君) ただいま申しました額は全額でございます。で差額は、ちょっと今資料ございませんが、ごくわずかのものじゃないかと思います。
  15. 青山正一

    委員長青山正一君) 調査課長、わかりますか。
  16. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 予算措置を、裁判所の方で大蔵省と直接折衝しておられますので、裁判所の方が実は詳しいわけでございますが、給与的には、おそらく金額増加はほとんどないに近いのじゃないかと思います。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 まあ大したことはないのだろうと思います。  それからこの家庭裁判所医務室に勤務するということになるようですが、これは医者でしょうか。どういう資格の方でしょうか。
  18. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) おおむね看護婦でございます。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 その仕事内容は、家庭裁判所少年等を医学的な立場から調査する、そうすると、補助的な仕事というふうなことになるのでしょうか。
  20. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) 今亀田委員のお問いの通り少年事件、あるいは家事事件につきまして、職権で心理状態等を科学的に調査するというために、必要な方々でございます。
  21. 青山正一

    委員長青山正一君) ほかに御質疑はございませんか。  これより原案並びに修正案について討論入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 青山正一

    委員長青山正一君) 別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行います。  まず、大川君、亀田提出修正案を問題に供します、大川亀田両君提出修正案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  23. 青山正一

    委員長青山正一君) 全会一致でございます。よって両君提出修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決せられました修正部分を除き、原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  24. 青山正一

    委員長青山正一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、委員長口頭報告、並びに報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 青山正一

    委員長青山正一君) 御異議ないと認めます。  それでは順次御署名を願います。   多数意見者署名     大川 光三  一松 定吉     棚橋 小虎  宮城タマヨ     秋山俊一郎  雨森 常夫     大谷 瑩潤  小林 英三     亀田 得治  後藤 文夫     辻  武壽     ―――――――――――――
  26. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑を行います。御質疑の方は御発言下さい。
  27. 大川光三

    大川光三君 まず根本的な問題について伺いたいのでありますが、執達吏は事実上の公務員でありますることは、今さら申し上げるまでもございません。ところが、その給与に関しましては、国家から俸給を受けずに、取扱い事務について法定の手数料を受けて、そしてその手数料が一定の額に達しないときは、国庫から補助金を受けるようになっておる点で、形式上、公務員と差違があると存じます。私は執達吏職務性質上からも、裁判執行等の十全を期する上からも、かかる変形的な給与体制はこれを改めて、国家から俸給を受けるようにすることが最も妥当であると考えております。国家公務員でありながら、たとえば保険の外交員のごとく、固定給と、いま一つ能率給を受けておるというようなことでは、執達吏本来の職務を完全に実施できないのだ、できないではないかということを常々考えておりまするので、この点に関する当局の御所見をまず伺いたいのであります。
  28. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 御指摘の点はごもっともだと思います。ただ、この手数料主義は、この執行吏のようなものについて全然親しまない制度かと申しますと、それは必ずしもそうとは申せないと思うのであります。外国等におきましても、手数料を受けておる執行機関の官吏はございます。ただ、その制度俸給制度とどちらがいいかということになりますと、今までも御指摘のような御意見が、特にわが国では最近強く唱えられておりまして、数年前から法務省におきまして、法制審議会でこの執行吏制度の改善について審議をいたしておりますが、そこの審議におきましても、やはり手数料制度がいろいろな弊害を生む一つの原因ではないかというふうな意見もありまして、これを定額の給与を受けるような制度改正すべきであるという強い意見もございますので、そういうふうなことについて将来なお十分研究してもしそういう結論が出ますれば、御審議を仰ぐことになろうかと思っております。
  29. 大川光三

    大川光三君 次に、執行吏国庫補助基準額に関連して伺いますが、執行吏に対する現行国庫補助基準額は、参考書によりますと、十二万二千円であり、昭和二十八年十二月三十一日以前における国庫補助基準額にたしか十一万五千円というように見受けるのでございますが、それで間違いないかどうか、確かめておきたいと存じます。
  30. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) お手元にお配りした参考資料に、執行吏国庫補助基準額の沿革というのが載っております。これをごらんいただきますと、御指摘通り、現在の十二万二千円の前は十一万五千円でございます。
  31. 大川光三

    大川光三君 そこで疑問になりまするのは、本改正案では、昭和二十八年十二月三十一日以前に給与事由の生じた執行吏恩給について、その年額現行以前の一段低い水準による国庫補助基準額、すなわちただいま御答弁がありました十一万五千円を俸給年額とみなして算出した額に増加しておりますが、何ゆえに現行国庫補助基準額である十二万二千円を基礎とした額に増額する道を講じなかったかどうかが疑問になりますので、その点に関する御説明をわずらわしたいと存じます。
  32. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 御指摘の点は、一般政府職員についての恩給法改正が今当院で御審議になっておりますが、その案につきましても同じことになっておりまして現行公務員給与水準よりは低くなっておりまして、いわゆる一万五千四百八十三円ベースというこの給与水準当時の俸給月額基準とした恩給の改定ということになっております。これはなぜそういうふうなことになったかと申しますと、御承知のように、恩給基準になる俸給金額は、退職当時の俸給金額というのが原則になっております。ですから、公務員がやめた後に給与が改善されまして、改定されまして上ったといたしましても、その上った金額もとにして当然恩給がもらえるというものではなくて、本来ならばやめた当時の金額もととしてもらうというのが今の恩給法の建前になっておると思います。ただ、しかし、この戦後のような、非常に物価の変動が激しくて、退職当時の俸給金額もとといたしましては、本来の恩給制度目的を達することが困難である、退職後の公務員の生活を保障するという趣旨が達せられないというふうなことから、過去にやめました公務員恩給につきましても、これを現在の水準に直した俸給額といたしまして恩給を改定していくという事例ができまして、それが最近までずっと数回行われまして、そういうことから、いかにも当然に恩給俸給ベース・アップに応じて改定されるというふうな印象も受けるようなことにもなったわけでありますが、原則は必ずしもそうではない。いろいろな事情財政事情等も勘案いたしまして、恩給基礎になる俸給月額をきめてきた、また、そういうふうにすべきであるというふうなことになるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  33. 大川光三

    大川光三君 参考のために伺いたいのですが、現在全国執行吏総員と、その平均収入というものはどういうふうになっているでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  34. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) 今大川委員お尋ねの点でございますが、全国執行吏の現在の総員は、大体三百四十名でございまして、この執行吏平均手数料によります収入額年額大約五十万円、月にいたしまして約四万円程度でございます。都会と地方とによりまして幾分違いますが、ただいま申し上げましたのは平均金額でございます。
  35. 大川光三

    大川光三君 ただいまの御説明によりますと、執行吏の一ヵ月の手数料平均して約四万円ということでございますが、そういたしますと、実際上国庫補助金というものは出さなくても済むという状況にあるのでございましょうか。
  36. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいま申し上げましたのは、平均手数料収入でございまして、この非常に少い執行吏の方の手数料を申し上げますと、年額六万円に満たないような人もおります。現在大体におきまして収入が少くて、国庫補助金を受け取っておりますのが全体の三百四十名のうちの約二十分の一と申しますか、全国で申しまして十五名でございます。
  37. 大川光三

    大川光三君 ただいま全国執行吏総員が大体三百四十人ということを伺いまして、実は私驚いているのでありますが、一体その程度の数で全国における執行というものが完全に行われているのかどうか、こういう数では非常に手薄な、手不足なような感じを受けますが、いかがでしょうか。
  38. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) 今、大川委員お話、ごもっともでございますが、戦前と比較いたしますると、戦前は約現在の倍、すなわち、約六百八十名ばかりおりましたのですが、その後、戦後いろいろな事情執行吏になります人が割合少く、やめた方も多く、結局半減いたしたわけでありますが、この執行吏の取り扱います事件は、戦前約三百万件年間にございましたが、戦後少くなって参りまして、最近また幾分ふえて参りましたが、まだ戦前の約半分でございまして、百五十万件、でございまするから、ちょうど人の数は半減しておりまするけれども、事件はやはり半減ということでございまするので、一人当り約年間にいたしますと四千件内外でございます。今後まだ事件がふえるという見通しでございますので、でき得る限り執行吏の素質のいい方に執行吏になっていただき、もう少しふやしていかなくちゃならぬと、こういう方向に進んでおるわけでありまして、最近執行吏の数も逐次ふえておるわけでございます。
  39. 大川光三

    大川光三君 まあ私の知っておる範囲で執行吏を批評いたしますと、どちらかといえば、もう裁判所に勤めておっても仕事がないという、老後の片手間に執行吏をやっているというような人が多いのだろうと思いますが、これでは完全なる権利の執行はできないのだというようにも考えられまするので、今後事件増加に伴いまして、執行吏の人員の増加をはかっていただきたいという強い希望を持っておりまするから、御了承いただきたい。  それと関連いたしまして、やはり執行吏についても研修等の道を開いて、まあ新進気鋭執行吏増加していく必要がなかろうか。執行吏になるというと、いかにも楢山へ行ったような現在の姿は、とうていわれわれは満足できぬのでございます。従いまして、執行制度複雑化にも対応する意味で、執行吏資質向上のため、常時執行吏修習研さん等を実施する必要を認めるのでございますが、この点について、当局の見ておられる実情とその御見解を伺いたいと存じます。
  40. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいまの大川委員お話もごもっともでございまして何分にも執行吏仕事自体が相当むずかしいと同時に、債務者側から非常にきらわれる仕事でございまして戦前執達吏といっておりましたが、これは「ひったくり」とまで言われたくらいで、非常にいやがられた仕事でございますが、しかし、仕事内容は非常に重要な私権の実行に欠くべからざる仕事でございますので、重要性を強調いたしまして、なるべくいい人になっていただく方向に努力しております。  それから現在おります執行吏研修につきましては、できる限り全国的の規模をもちまして研修所研修させるという方向をとりたいと思っておりますのですが、なかなか予算もかかります関係から、現在では、各高等裁判所ごと地方裁判所所属執行吏の方に集まっていただきまして執行関係裁判官と一緒に協議を毎年一回ずつしております。これは戦前にございませんでしたが、戦後でき得る限り機会をつかみましてそういった方向にしたいという考えから、実際にそう行なっております。なお、全国的にも中央で研さんを、執行吏研修の道を開くということに努力したいと思っております。
  41. 大川光三

    大川光三君 最後に一点、本法案に関連してのお尋ねでありますが、近事この競売、なかんずく不動産競売に驚ける競売ブローカーが非常にばっこいたしておるという点であります。私ども大阪の例をとりましても、この不動産競売場常習的競売ブローカーと由しましようか、本人及び代理人の資格不動産競売事件の九〇%以上にも関与いたしまして競落許可即時抗告特別抗告代金不払い、再競売競落許可即時抗告の繰り返しを通じてまあ見せかけ競売談合、非廉行為競売保証金手数料等詐欺横領、立てかえ金に対する暴利の搾取、競買希望者に対する脅迫等暴力的犯罪行為をやりまして、著しく競売の公正を乱しておる現状でございまして特にわれわれが不動産競売場に臨みましても、いかにも何と申しましょうか、暴力行為が横行するような感じ競売場で見受けるのでございますが、そういう実情に対して、これをいかに是正するかということについて、当局の御所見を伺いたいのであります。
  42. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいまの大川委員お話、これもまたごもっともでございまして、かなりこの競売揚におきまする競売ブローカーの横行と申しますか、そういった現実の姿があるようでございます。これは現在の競売制度が幾分でも競売目的になりました物を高く売るという制度から出発しておりまする関係で、ブローカーが中に入りますると、やはり高く物が売れるということがまず第一でございます。それから一般方々は、この競売手続は、普通の店で物を買うよりも手続がめんどうな関係から、つい進んでその手続にお入りにならない。それからまた、競売目的物は何と申しましても、まあ古い物というようなところから、一般の方はなかなかお入りになりたくないということもございますし、ブローカーの立場といたしますると、一般の人に入ってもらいたくないという気持もあり、なかなかそういったことが重なり合いまして、このブローカーばっこということが出てくるのかと思います。それで、法務省ともいろいろ相談いたしまして結局このブローカーばっこを何とか押える手はないかということをただいま検討しておりますが、行きつくところは、結局公けの何と申しますか、競買機関、買う方の機関に公けの何と申しますか、会社と申しますか、特別の公団と申しますか、そういった機関を考えますれば、公正な、適正な価格で買ってもらっていくと、そうして競売代金をもらいまして、債権者に払うということがいいのじゃないかということが考えられるのでありますが、なかなかこれも実現するとなりますると、いろいろの点で困難がございます。それで結局、競売ブローカーということを実際にこれを何とかしなくちゃならぬと考えながらも、非常にめんどうな現実にぶつかっておるわけでございます。で、結局、執行吏の方で目を光らしてそういうことがないようにといたしましても、表に出てくる姿はなかなか悪い点が出てこない。陰で何かしているらしいけれどもという程度で、そういうところから非常にむずかしい。もしこれがはっきり公けの競売を威力を用いまして妨害するということになりますれば、刑法犯罪、それからまた、不正の利益を目的といたしまする談合をいたしますれば、これも刑法犯罪になります。そこまでなかなかいきませんので非常にむずかしい。まあ立法問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、公開機関ということがいいんじゃないかということを考えておる次第でございます。
  43. 大川光三

    大川光三君 お説のように、競売でございますから、競売物件を少しでも高く売るということは、債権者のためにも債務者のためにも利益であることは申すまでもございません。しかし、一面において、執行吏手数料制度というものが、やはり高く売るということに、まあ公務員自身が利害関係がある、そこで、多少競売ブローカーの横暴を大目に見ても、結局、高く売れば執行吏自身の手数料もふえるのだというところに、今日の執行吏は、ともすればこういうブローカーにリードされておるような形があるのです。そこで、私は、やはり執行吏手数料制度というものに再検討を加えまして、他の公務員と同じように国家がこれに対して俸給を払うとして公務員たるの資格を堅持してそうして競売事件を常に名実ともに指導する立場におくということがぜひ必要かと存じますが、その点に関する御意見を伺いたいと思います。
  44. 關根小郷

    最高裁判所長官代理者關根小郷君) ただいまのお問いの点もおっしゃる通りでございまして、現在法務省法制審議会におきましても、執行吏を純然たる俸給制の公務員に切りかえていこうということで討議しているわけでございます。
  45. 青山正一

    委員長青山正一君) ほかに御質疑もないようでございますので、質疑は尽きたものと認め、これより討論を行います。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行います。  訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  46. 青山正一

    委員長青山正一君) 全会一致でございます。よって本案は、原案通り可決すべきものと決しました。  なお、委員長口頭報告報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 青山正一

    委員長青山正一君) 御異議ないと認めます。  それでは順次御署名を願います。   多数意見者署名     大川 光三  一松 定吉     棚橋 小虎  宮城タマヨ     秋山俊一郎  雨森 常夫     大谷 瑩潤  小林 英三     亀田 得治  後藤 文夫     辻  武壽     ―――――――――――――
  48. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、請願全部を議題といたします。  まず、二十一号について専門員に説明いたさせます。
  49. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) 請願第二十一号は、売春防止法の一部改正に関する請願でございまして、請願者は横浜市におられます深沢さんとおっしゃる方であります。この方は、五大市の地域婦人団体連絡協議会の職員をしておられる方です。紹介議員は中山福藏先生、請願内容は、昭和三十三年度売春婦の更生に関する予算は都道府県を通じて市に流されることになっておりますために、多くの赤線地帯を持つ五大市は、売春婦の保護更生施設及びその他の整備に幾多の障害を生む結果となるので、売春防止法の一部を改正いたしまして、その保護更生に関する事務を社会福祉法と同じように、府県から五大市に移譲せられたいという趣旨でございます。
  50. 青山正一

    委員長青山正一君) 御意見並びに御質疑のおありの方は御発言下さい。  本件請願について政府意見を求めます。
  51. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 売春防止法の婦人の保護更生部分につきましては、現在の法律におきましては、これは都道府県が一応全部の責任を持ってやるという形になっておりますが、これは生活保護法とかあるいは児童福祉法等の社会福祉関係法律が、一応五大市につきましては、都道府県と同じ権限を付与しておるというほかの法律とのバランスから見まして、若干おかしいという意見は、これは確かに筋の通った意見であろうとわれわれも考えるのでございます。しかしながら、現実の問題といたしまして、売春防止法現行法では、一応都道府県が全面的な責任を持ってやるという格好になっておりまして、昭和三十一年度、昭和三十二年度予算におきまして、全国の都着府県に婦人相談所を一カ所ずつ、それから婦人保護施設が少くとも一カ所設置されておる現状でございます。従いまして、五大府県におきましても当然婦人相談所が設置される、しかもその設置されております場所は全部五大市の区域の中に設置されておりまして、相談に来る婦女も五大市の赤線、青線等に働いておった婦女が大半でございます。そういう現状におきまして、この際、もし五大市に権限を全部付与されるということになりますと、当然五大市にもまた、新たに婦人相談所を設置するということになりまして、五大市の赤線、青線等の要保護婦人は、この市の設置した婦人相談所に相談にいく。そうすると、すでに設置されております都道府県の婦人相談所は、結局五大市以外の市または郡部の婦女の相談にあずかる。これは現実の問題として、人の数が少いということで、せっかく作りました五大府県の婦人相談所がほとんどあまり利用する者がなくなってしまうという可能性が非常に強いわけであります。そういった点において、現実の問題といたしまして、この際、五大市に都道府県と同じように権限を付与するということは、いろいろな意味でむだが生じてくる可能性が非常に多いと考えられるのでございます。それから婦人保護施設の点でございますが、現行法におきましては、市町村も婦人保護施設を設置することができることになっております。その場合には、国が二分の一設置に要する費用を持つ。残りの二分の一を市町村と都道府県が半々にすなわち四分の一ずつ持つ、こういう格好になっております。たとえば、大阪市なら大阪市が保護施設を設置しようという場合には、その費用の四分の一を大阪市が持つ、四分の一を大阪府が持つ、残りの二分の一を国が持つ、こういう格好になっております。しかも大阪府が四分の一の費用を持たないということになりますと、国も補助金を出せないという法律の立て方になっております。こういつた点で、五大市の当局者等には御不満もあろうと思うのでございます。この点については、現実の問題といたしまして、五大市はもちろんでございますが、そのほかの市町村で婦人保護施設を設置したいという場合には、その市町村の存します都道府県が四分の一の費用を出しますように、極力厚生省としては勧奨していくという方向で進めたいと思っております。現実昭和三十二年度予算におきましても、大阪市と神戸市が保護施設を設置したいということでございまして、厚生省は大阪府並びに兵庫県に強力に働きかけまして、それぞれ四分の一の設置に要する費用を負担するということにいたしまして、大阪府と大阪市と神戸市に三十二年度で保護施設が設置されておる、こういう状況でございますので、さしあたっては、特に現行法のままでさしたる支障はないのではないかと私どもは考えておるのでございます。しかし、今後の客観情勢等の推移によりましてやはり五大市に権限を移譲した方がいいという客観情勢ができて参りました場合には、法律改正をいたすということにはやぶさかでないという考えを持っておるものでございます。
  52. 一松定吉

    一松定吉君 ちょっと伺いますが、売春取締法が四月一日から実施されるに当りましては、例の補導院というものができて、裁判所がこの者に対して執行猶予の言い渡しと同時に補導院に入れる必要、収容する必要があると認めるときには、判決が補導院に入れるということに今度なりましたね。ところが、あの方の費用がなくて今に補導院というものの設置ができなくて困っているということを聞いたのですが、その現状はどうなっておるのですか。
  53. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 補導院は、私の方の所管じゃございません。
  54. 一松定吉

    一松定吉君 あなたの方じゃない……だれか、どっちでもいい。
  55. 渡部善信

    政府委員(渡部善信君) 補導院は、法務省の設置法の一部改正で設置するようにお願いいたしておるわけでございまして、昨日、衆議院の本会議の方を通過いたしまして、こちらの参議院の方で今度御審議を願うことになっております。準備は着々進めておりますので、法案通りましたならば、すぐ設置するように手配をいたしております。
  56. 一松定吉

    一松定吉君 その予算は。
  57. 渡部善信

    政府委員(渡部善信君) 補導院の予算はすでに一億三千万余に入っております。これは新設の費用とそれから職員等の、全部予算でございます。
  58. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると、四月一日からその法案が通過して実施されるまでの間は裁判所がそういう宣告はできなかったのだね、実際は。それはどうなんです。
  59. 渡部善信

    政府委員(渡部善信君) まだございません。もしもございましたならば、執行ができませんので、執行を一時延期するようなことにならざるを得なかったわけでございます。幸い今までさような裁判はございませんので、さような問題が起っておりません。
  60. 一松定吉

    一松定吉君 それではいよいよ実施ができる見込みは、何月何日ごろから実施ができる見込みですか。
  61. 渡部善信

    政府委員(渡部善信君) こちらの方で、参議院の方で御審議を願いまして、今国会中に成立さしていただくように御配慮願うようにお願い申し上げておるのでございますが、もしも通りますれば、早急に、ちょっと公布の手続等がございますので、五月に入ると思いますが、五月早々に公布の手続に相なると思っております。
  62. 一松定吉

    一松定吉君 委員会はどこですか。
  63. 渡部善信

    政府委員(渡部善信君) 内閣委員会です。
  64. 一松定吉

    一松定吉君 それはぜひこの二十五日までに通過しなければならぬが、通過しないということになってくると、せっかくりっぱな法の目的を達するための立法が効果を発生しないようになると大へんな問題で、われわれが一生懸命に議論して通過したのがむだになるわけなんです。これは一つわれわれの方からも内閣委員諸君に交渉するが、あなたの方も十分働きかけて、四月一日から実施されるのが五月一日になっても実施されるかどうかわからぬというふうなことでは大へんなことだと思うから、どうか十分に一つ御尽力に相なりますように希望いたしまして、これが完全なる実施を望むという意味において、その点に関する質問は終ります。
  65. 大川光三

    大川光三君 御承知のように、売春防止法が完全実施をいたしましたのは四月一日のことでございまして、ただいまの請願に多少意味があると思いますけれども、売春防止法の実施の計画を見た上で、この請願についての再検討をいたすべきかと存じますので、本委員会としては、この請願を保留されるべきが相当かと存じます。
  66. 青山正一

    委員長青山正一君) 保留することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 青山正一

    委員長青山正一君) さよう決定いたします。  次に、百二十九号、八百九十七号、千八百五号、矯正局関係請願について審議いたしたいと思います。まず、専門員に説明いたさせます。
  68. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) 百二十九号と八百九十七号は、名古屋刑務所移転に関する請願でございまして百二十九号は名古屋市長小林橘川さんの請願でございまして、紹介議員は栗山良夫、成瀬幡治、長谷部廣子、近藤信一の諸先生でございます。それから八百九十七号は、名古屋市議会議長近藤良吉君外一名の請願でございまして、紹介議員は草葉隆圓、大谷贇雄、青柳秀夫の三先生でございます。  名古屋の現在の刑務所は明治三十一年に建設されたものでございまして、名古屋市の地区計画が非常に発展いたしましてただいまそれが市の中心地にあるわけでございます。それが現在の名古屋市の発展のために若干の支障を来たすような状態になっておりますので、他に適当な土地がございますれば、これをほかへ移していただきたい。ただし、それがためには相当な費用、それから宿舎施設その他いろいろな点を考慮しなければなりませんので、先般、委員長があちらへお出かけになりましたときにも、各関係方面のいろいろな方々お話をしておられまするので、この点は矯正関係の御意見もお聞きの上、御採択いただきますとけっこうかと存じます。
  69. 青山正一

    委員長青山正一君) 請願百二十九号、八百九十七号は、これは矯正関係ですが、名古屋の刑務所の問題ですが、これについて御意見並びに御質問の方はお願いいたします。
  70. 大川光三

    大川光三君 ただいまの請願百二十九号及び八百九十七号につきましては、すでに当委員会でもこの趣旨賛成をしてすみやかに拘置所移転問題を解決すべきてあるという強い意見も出ておることでございますので、両請願とも採択されることを願います。
  71. 青山正一

    委員長青山正一君) では、百二十九号、八百九十七号、採択することに御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  72. 青山正一

    委員長青山正一君) 御異議ないと認めます。採択いたします。  千八百五号、お願いいたします。
  73. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) 千八百五号は、これは都城拘置所の設置に関する件でございまして都城は本年一月一日に甲号支部に昇格になった。そうして現在刑務所は宮崎にございます。そうして拘置所が延岡にございます。それでここに支所がございませんために、警察の留置場を代監しておるのでございまして、非常に不便を来たしておるようでございますので、法務省は必ずしもこの設置をお考えに今なっていないように伺っておりますけれども、地方事情、特にその希望が強いようでございますので、事情が許しますれば、この設置を認めることが適当かと思う次第でございます。
  74. 大川光三

    大川光三君 千八百五号の請願趣旨につきましては、ともすれば、拘置所設置を地元が反対する場合が多いのでございますが、本件はそれと趣きを異にいたしまして、地元自身で拘置支所設置を要望しておることでございますから、本請願は採択あらんことを望みます。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  75. 青山正一

    委員長青山正一君) 採択することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 青山正一

    委員長青山正一君) 採択いたします。  矯正局長にちょっとお伺いいたしますが、この種の拘置所なり、あるいは刑務所が、これは営繕関係の面において非常に刑務所なり、あるいは裁判所内における営繕関係でもこれは一番悪い状態じゃなかろうか、こういうふうに考えていますが、たとえば、人権擁護の建前からしても、これは一番先に手を下すべき筋合いのものだろうと思いますが、その点について 一つ矯正局長の御意見を承わりたいと思います。たとえば、北海道の札幌のごとき、あるいは小樽のごとき、あるいは京都のごとき、あるいはその他の拘置所なり、あるいは刑務所はほとんどその被疑を受けた人たちが住むにたえない所が多いと考えますが、それについて御意見を承わりたいと思います。
  77. 渡部善信

    政府委員(渡部善信君) ただいま委員長の仰せのごとく、拘置支所が整備されていない所が相当多いのでございます。ことに御指摘になりました北海道方面の拘置支所におきましては、そういう状態が特にひどいように見受けられるのでございます。かような拘置支所の整備につきまして、矯正局におきましても営繕と協力いたしまして、逐次その整備に努力をいたしておるのでございます。このただいま請願のありました都城の抱置支所の点でございますが、この支所の設置も、九州方面でもほかに二、三要望せられておるところもあるようでございましていろいろ拘置支所の整備と一緒に考えまして、今後この問題を予算の許す限り、さらに努力して予算を獲得いたしまして、この整備に今後とも努力いたしたいと思っておる次第でございます。
  78. 青山正一

    委員長青山正一君) 次に、保護関係の三百六十号、六百六十七号、千二百号が全く同じ趣旨のものでありますから、一括して上程したいと思います。
  79. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) ただいまの三請願は、更生保護事業の強化に関する件でございまして三百六十号は、全国保護司連盟の総裁殖田俊吉さんからの請願で、紹介議員は木村篤太郎先生であります。  六百六十七号は、山形県の保護司連盟の秋野平治郎さんからの請願でございまして紹介議員は松澤靖介先生であります。   〔委員長退席、理事一松定吉君着   席〕  千二百号は、大阪の吹田地区保護司会の会長である由上兵太郎さんが請願者で、紹介議員は光村甚助先生であります。この請願内容は、四項目に分れておりまして 一、保護司実費弁償金を増額すること、二、犯罪予防のための啓発宣伝に必要な経費予算を計上すること、三、更生保護委託費を増額すること、四、保護観察所支部設置に要する経費予算を計上することとなっております。三請願のうち、第一の保護司の実費弁償金につきましては、一人の月額についての要求額が若干違っておりますけれども、趣旨は全く同様でございます。そしてなお、こういう請願は第二十七国会にも提出されまして御採択をいただいております。この保護事業強化の予算増額はけっこうなことでございますので、御審議の上、お認めいただくことがけっこうかと存じます。
  80. 大川光三

    大川光三君 ただいまの請願三件につきましては、御承知のように、売春防止法が成立いたしまして、そのねらいとするところは、婦女子の保護更生ということにございまするし、その他、保護更生事業を強化いたしますることは、現在の時世にかんがみまして必要である、かように考えますので、三百六十号、六百六十七号、千二百号の請願はいずれも採択されることを望みます。
  81. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 政府側の佐藤参事官の御意見を承わります。
  82. 佐藤豁

    説明員(佐藤豁君) 保護司の実費弁償金の増額につきましては、従来月額百三十円でありましたのが、昭和三十三年度におきまして月額百六十円に引き上げることにいたしまして約三千万円の増額を見た次第であります。更生保護委託費でございますが、これは従来更生保護会に委託をいたしました対象者のうち、食事付宿泊と、あるいは宿泊を委託したものについて支出されておりましたが、昭和三十三年度におきましては、新たに委託に伴う事務費という名目で委託事務費を創設いたしまして、対象者一人一日付五十六円を給付するということになりました。従来、事務費の委託は補助金でまかなっておりましたのを組みかえをいたしますと同時に、相当の増額をいたしまして補助金ということでなく、委託費という形で筋を通して予算化することにしました。委託事務費の予算額は二千百九十九万七千円となっております。なお、任意保護というのがございましてこれに対する事務費の補助が六百三十八万四千円、結局前年度に比べまして、更生保護の事務費に対する予算額は二千六十三万円増額を見た次第でございます。  それから第二の問題になりました、飛ばしましたが、更生保護事業の啓発宣伝の費用でございますが、わずかでございますが、昭和三十三年度におきまして新規に二百三十七万三千円計上いたしております。  次に、保護観察所支部設置の点でございますが、諸般の事情によりましてこれは昭和三十四年度以降に持ち越すことに相なっておりますが、なお、今後におきましてもその設置に努力いたしたいと考えております。
  83. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 大川委員の採択すべきものであるとの御意見に、何か反対の御意見ありますか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  84. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 満場一致で採択すべきものと決定いたしました。  次に、四百二十三号、四百二十五号、四百七十五号、七百十一号、四百二十四号、千五百六十一号、各地方法務局並びに支所等の新庁舎建設促進に関する件を一括して議題に供します。  まず、説明を願います。
  85. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) ちょっと御説明を申し上げます。  ただいまの六件の請願は、地方法務局あるいは検察庁、それから裁判所の営繕に関する請願でございますので、大体各別に御説明申し上げようと思います。  四百二十三、四百二十四、四百二十五は、同じ福井県大野市に関します地方法務局、それから地方家庭裁判所大野支部、それから地方検察庁の大野支部建設促進に関する問題でございますので、一括御説明申し上げますが、この地方が非常に発展して参りましていろいろな事件が多くなって参りましたことと、それからいま三つのものは明治二十二年に建設されました裁判所の中に同居しておるわけでございます。それでこれはこの際、適当に庁舎を営繕していただきたいという請願でございますが、地方法務局の方は、二十三年度の予算でお認めをいただいたようであります。地方要求通りではございませんけれども、四百七十六万七千円、百二十二坪の建坪の岸舎が新設できるようであります。裁判所の方はただいまのところ、まだ古い建物でございますけれども、建設の御意図がないようでございますが、非常に古い建物でございますし、地方住民の意思を御尊重いただくことが適当かと思います。そしてなお、地方検察庁の問題につきましても、これはやはり地方の発展を十分法務省の方でお考えになりまして三十四年度以降についてお考えになっているようでございますので、この四百二十三、四百二十四、四百二十五の福井の大野市の庁舎営繕は御審議の上、お認めいただくことが適当かと存じます。  それから四百七十五は、新潟地方法務局の柏崎支局庁舎に関する件でございますが、これも法務省といたしましては、本年度予算要求されたようでございますが、そしてなお、復活要求をされましたけれども、認められていないようであります。この地方は非常に土地の事情が変りまして、登記事務が非常にふえて参りまして、登記の筆数も非常に多くの手数を要するようでございますので、ただいまの非常に狭院な事務所では十分な執務ができないような事情であることが考えられます。御審議の上、お認めいただくことが適当かと存じます。ただし、これは三十三年度予算に計上せられたいということがはっきり書いてございますので、本年度の予算ということでございますと、これをこのまま御採択いただくことがあるいは適当でないかもしれませんけれども、ほかの慣例によりまして、意見書をおつけいただきまして、御採択をいただければけっこうかと存じます。  それから七百十一号は、新潟県の糸魚川の区検察庁の新築でございます。これはやはり裁判所と同居しておりましてこの建物が非常に古いのでございますが、裁判所の方は別に御計画がありまして、この新しい庁舎ができるようでございます。この区検の方は裁判所がそういうことになりますので、新しく土地の買収などをして、庁舎を作る予定でありましたのですが、それが認められませんので、昭和三十四年以降の問題になるようでございます。けれども、これも地方事情、この請願趣旨は十分くみ取ることができますので、これは御審議の上、御採択いただくことがけっこうかと存じますけれども、やはり先ほどの四百七十五号と同様、昭和三十三年度の予算にぜひ計上するようにでございますので、趣旨をおくみいただく意味で、御意見書をおつけいただくことが適当かと存じます。  それから千五百六十一は、岐阜県の中津川簡易裁判所でございまして、これも建物としては、古くはございませんけれども、統制時代の建築でございますので、両漏りがいたしまして執務が非常に不便のようでございます。ほかにこういうような建物、統制時代の建物には非常に粗末なものが多うございますので、これに対して裁判所の方といたされましては、まだ先順位のものがあるので、三十三年度には御要求になっていないようでございます。御要求通りのものを作るといたしますと、約百坪余り、六百万円余りの規模のものが必要のようでございますが、これも適当な時期に民意を反映させていただく意味で、御審議の上、御採択をいただければけっこうかと存じます。
  86. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 以上でございます。これらの諸案件に関しまして採否についての御意見のある方は……。
  87. 大川光三

    大川光三君 ただいまの請願、四百二十三、四百二十四、四百二十五、四百七十五、七百十一、千五百六十一号の各請願裁判所、検察庁等の営繕関係でございまして、訴訟の審理促進裁判所の第一審強化という面から見ましても、ぜひ必要であると存じまするので、あげて採択されんことを望みます。ただし、そのうちで四百七十五号、七百十一号につきましては、三十三年度予算に計上せよという期限を付されておりまするが、これは予算にも関係あることでありまするから、可及的すみやかに提出するという意見を付されまして全部御採択あらんことを望みます。
  88. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) ほかにありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) この六件に関しまして、政府委員の御意見を発表願います。
  90. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) ただいま御審議を願いました法務省関係の営繕のことにつきましては、御説明のうちにもございましたように、大野地方の法務局の支部だけは三十三年度の予算でお認めを願っております。ただいま具体的な計画を検討中でございまして、できるだけ早く建築にかかりたいと思っておりますが、その他の諸案件は、法務省自体といたしましても、すでにその施設が非常に老朽であり、かつ狭隘であり、その大部分裁判所の一部を借家しておるという状態でありますので、できるだけ早い機会に予算を見まして新築をいたしたい、かように考えております。
  91. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) ほかに御意見ありませんか。
  92. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 裁判所関係の大野支部新庁舎、それから岐阜県中津川の簡易裁判所庁舎、いずれも今お話しの通りの状況でございまして一方は大野支部は、相当老朽庁舎でございますし、中津川は現在借家でございますので、いずれも検察庁と同様に、できるだけ早い機会に新築いたしたいと、かように考えております。
  93. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) そこで、大川委員の採択すべきものであるとの御意見に対して、反対意見もないようでありますが、採択して御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 御異議ないものと認めて採択することに決しました。  次に、七百二十五号、九百九十一号、千四百四十七号、千七百六十三号、千七百六十四号、千七百六十五号、一括議題といたします。説明を一つ……。
  95. 西村高兄

    ○専門員(西村高兄君) ただいまの六件の請願は、飲酒による犯罪処罰請願でございます。請願者は、七百二十五号は宮崎白蓮さんでございますが、九百九十一号、千四百四十七号は、キリスト教関係の団体から出ておりまして市川先生、藤原先生が御紹介になっております。それから千七百六十三、それから千七百六十四、千七百六十五は、日本婦人有権者同盟の地方支部からそれぞれ出ておりまして、御紹介の議員は、戸叶武先生、それから横山フク先生、赤松常子先生でございます。  この趣旨はほとんど同一でございまして、家庭や社会を明るくするため酒乱を罰するほか、飲酒の上の犯罪を処罰するようにすみやかに刑法改正を願いたいというのでございましてまた、若干請願内容にはこういう筋がございます。そうしてこれを法理的に考えますと、また、いろいろむずかしい問題もあるようでございますけれども、二十七国会に同趣旨請願を採択されておりますことにかんがみまして御賛成を得ますれば、御審議の上、御採択いただくことが適当かと思います。
  96. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) ほかに御意見ありませんか。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 これは採択してもらってけっこうなわけですが、これは前から相当社会的な問題になっている事柄ですが、法務当局なりでは、この問題についてどういう検討をされているのか、現状をちょっと承わりたいと思います。
  98. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 政府委員に一つ、高橋刑事局参事官の御意見をお願いいたします。
  99. 高橋勝好

    説明員(高橋勝好君) ただいま亀田先生からお尋ねのことにつきましてお答え申し上げます。飲酒めいていによる犯罪、そうしてその犯罪につきましてどのような処置を講ずべきか、この点につきましては、法務省としましては、いろいろ検討いたしました結果、現在、法務省刑事局内に刑法改正準備会を設けまして、刑法改正をはかりつつ検討しつつございますが、その刑法改正の一環として、この問題を取り上げるのが相当である、こう考えまして、その調査検討を進めておる次第でございます。何ゆえこの点を特別法によらずに、刑法改正の一環として検討するのがよろしいかと申しますと、この点は、実は犯意、あるいは本人の責任及び犯罪能力、その他刑事法全般にわたる問題を含んでおりますので、この点だけ取り離しまして特別法で措置いたしますよりも、やはり刑法全般とのにらみ合せの上で考えるのが妥当である、こういうふうに考えて、刑法改正の一環として検討しておる次第でございます。刑法改正準備会におきましては、その検討の根拠を、一応現在発表になっておりますところの改正刑法仮案に求めておるわけですが、その改正刑法仮案の十四条に「心神ノ障礎二因リ事理ヲ弁別スル能力ナキ者又ハ事理ノ弁別二従テ行為ヲ為スノ能力ナキ者ノ行為ハ之ヲ罰セス能力減弱シタル者ノ行為ハ其ノ刷ヲ減軽ス」と、こういう規定がございますが、この規定を中心にいたしまして諸外国の立法例はもちろんのこと、現在のわが国におきます判例、学説、それから諸外国におきましてこの点についてどういうふうな態度を示しているか、また、どういうふうな措置がとられつつあるかというようなことを検討しております。しかし、いまだ外部に発表すべき程度意見はまとまってはおりません。現在検討中である、こう申し上げるのがいいかと存じます。
  100. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 速記を始めて。
  102. 大川光三

    大川光三君 ただいまの請願七百二十五号、九百九十一号、千四百四十七号、千七百六十三号、千七百六十四号、千七百六十五号につきましては、請願者の意思とせられるところは、飲酒をしておったために犯罪が成立せぬということは多少不合理であるという点にあるのでございまして、その請願趣旨はこれを了といたしまするけれども、これは刑法との関連におきまして、非常に慎重に検討すべき問題かと存じまするので、将来刑法改正と相待って、この請願趣旨を取り入れるという意見を付しまして、採択されんことを望みます。
  103. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) ただいまの大川委員の発言に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) それではさように決定いたします。  これで本日の請願に関しまするすべてのことが終りましたので、ただいま採択いたしました請願は、いずれも議院の会議に付しまして、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。ただし、四百七十五号、七百十一号、七百二十五号、九百九十一号、千四百四十七号、千七百六十三号、千七百六十四号、千七百六十五号の八件につきましては、意見書案を付することといたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 御異議ないと認めます。  なお、委員、長の口頭報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) それではさよう決定いたしまして暫時休憩をいたします。    午後零時二十六分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十六分開会
  107. 青山正一

    委員長青山正一君) 休憩前に引き続き、委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  辻武壽君、清澤俊英君が辞任せられ、白木義一郎君、藤原道子君が選任せられました。  以上であります。     ―――――――――――――
  108. 青山正一

    委員長青山正一君) 恩赦法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を行います。  なお、発議者として高瀬荘太郎君、市川房江君、八木幸吉君、後藤文夫君、この四人の方がお見えになっております。なお、政府側としまして横川政務次官、佐藤法務省保護局参事官、この二人の方がお見えになっております。
  109. 大川光三

    大川光三君 ごく簡単に提案者に伺いたいのでありますが、恩赦について恩赦審議会を設けるというその御趣旨には、われわれも全く同感であるのでありますが、この審議会を設ける手続といたしましては、むしろ政府みずからが審議会を発議すべきものではなかろうか、かように考えまするので、今までに議員提案によ、て審議会が設けられた例があるでしようか、その点をまずお話しいただきたいと思います。
  110. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 御答弁につきましては、法制局の方から答弁することをお許し願います。
  111. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) ただいまの審議会を議員提案で立法された例があるかという御質問でございますが、その点実は、はっきり調べておりませんので、正確ではないかと思いますが、多分議員立法ではないように思いますが、あとで調べてお答えしたいと思います。
  112. 青山正一

    委員長青山正一君) 参考までに申し上げておきますが、私どもかつて旧軍港市転換法を作った際におきまして、これは議員提出の発議によってやったわけでありますが、その際におきまして、やはり委員会の形式のものを作ったということを御参考までに申し上げておきます。
  113. 後藤文夫

    後藤文夫君 私も記憶の中から一つの例を申し上げたいと思いますが、それは縦貫高速自動車道路法、名前はちょっと記憶違いかもしれませんが、議員提出で出した中にも、審議会が設置されることになっていたかと思います。
  114. 大川光三

    大川光三君 次に、この委員の顔ぶれでございますが、このうちで、特に第六に、日本学術会議会長というものがあげられておりますが、私は主権在民の今日、広く国民を代表するという立場の人を第一にこのメンバーにあげるべきで、あるという点から考えまして、第一の衆議院議長、参議院議長は、これは、いずれも国民を代表しておりまする国会議員のそのまた代表者でございまするから、これは当然であると存じますが、そういう見地からいたしまして、第六の日本学術会議会長を特にあげられておる。一体、日本学術会議会長というものは、主権在民の事柄とどういう関連を持つか、その点を伺いたいのであります。
  115. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 日本学術会議会長をあげましたのは、まあ学識経験者の一人としまして、まあ学界の代表、こういうような意味であげたわけであります。御承知のように日本学術会議会員というものは、各学会の選挙によって出てきまして、その中からまた会長を選びますときに選挙でやりまするので、まあ日本学界全体としての代表という性質は持っております。そういう意味で、学識経験者の代表という資格が最も適当だと、こう考えております。
  116. 大川光三

    大川光三君 次に、構成委員の第三に法務大臣があげられておりますが、申すまでもなく、審議会に諮問いたしますものは政府である。しかも政府の一員である法務大臣が、半面において審議会の構成メーバーになるということにつきまして、まあ一人二役と申しますか、まあ法律的に申せば双方代理の立場に置かれると思いますが、特に第三の法務大臣をお加えになった理由を伺いたいのであります。
  117. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 法務大臣を委員に加えることにつきましては、ただいま大川さんからお話がありましたような点で、多少どうかと思われる点もあります。しかし、恩赦のことをいろいろ調査いたしましたり、実行についての用意をいたしましたりする担当が法務省でありまして法務大臣の下でやられますし、また、恩赦審議会での説明なんかも多分法務大臣がやられることになるだろうと思います。そんなこともありまして、やはり委員に入ってもらっておった方が、運営上非常に円滑にいくだろう、こういう考えから入れたわけであります。それからまた、ほかの審議会、ほかの各省所属の審議会におきまして大臣が入っておるという例もほかにありますのですから、よがろう、こういう考えであります。
  118. 大川光三

    大川光三君 法務大臣を特にお加えになった理由として、ただいま高瀬さんからきわめて明快なる御答弁をいただきましたが、もし法務大臣も構成メンバーに入れることが、いろいろ審議の面においても便利であるということでございますれば、恩赦によって利益をこうむる人の代表者もここに加えておく必要はなかろうか。たとえて申しますと、中央更生保護審査会というものがございまして、これは主として恩赦の事務を扱い、言いかえれば、恩赦によって恩恵をこうむる人々のことを最もよく知っておる人でございますが、そういう面の人をも、法務大臣に対抗いたしまして加える必要はないかと、かように考えるのでございますが、その点の御見解をお伺いいたしたい。
  119. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ただいまお話のありましたような方を委員に入れたらどうだろうかということは、原案作成の際やはり考えた点でありまして、ただ、この恩赦ということが非常に重大な事柄でありますから、なるべくトップ・レベルの方で委員を構成したいということで、ここに掲げたような方々を構成メンバーに考えたわけでありまして、それと比較いたしますと、少しいろいろな点から均衡がとれないというようなことも考えられまして、それは入れなかったわけであります。
  120. 大川光三

    大川光三君 恩赦は、申すまでもなく恩赦を行うべき時期が発生いたしまするならば、きわめて迅速に、かつ秘密裏にこれが行われなければならぬと私は考えるのであります。その意味から申しますと、委員の数はできるだけ少いのがいいのである、かように考えますが、かりにここにあげられまするようなトップ・レベルの人々をもって構成するとして、それが、そう恩赦を行うという時期、内容等についてあるいは外部に漏れるということの心配はないか。これは非常に重要な点かと考えますので、こういう委員の構成によって秘密は絶対に保てる確信があるかということを伺いたいのであります。
  121. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ただいま御発言のことは確かに重要な問題でございますが、ここに掲げましたような、非常に重要な地位にあり、責任の非常に重い方々をお願いしてありますれば、御心配になりましたような点もないと私は信じておる次第であります。
  122. 大川光三

    大川光三君 それから第七に、日本弁護士連合会会長、こう限定されておりますが、これは第六の日本学術会議会長も同じでありますが、もし連合会の会長が差しつかえがあるという場合には、副会長をもってこれに代理さすことがてきるのであろうかどうかという疑問がございますので、この点の御説明をわずらわしたいと存じます。
  123. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ここで一人を限定いたしましたのは、選択の余地を残さない方がよかろう、こういう考えから、一人ということで限定してございます。しかし、お話がありましたように、あるいは学術会議会長が拒否するとか――学術会議会長はまあ公務員ですから拒否できませんでしょうが、弁護士連合会会長は公務員でありませんから、拒否することもできますので、拒否するかもしれないということを万一を考えますというと、いろいろ支障を生じやしないかという心配もあるわけであります。しかし、まあ事柄の性質上、弁護士連合会会長の地位にある方が、こういう委員をお断わりになるということは、まあ理論上は可能でありますけれども、実際的にはないだろうということで、こうきめてあるわけでございます。
  124. 大川光三

    大川光三君 ただいまお説のように、日本弁護士連合会という会は、他の委員のメンバーのようにまあ公務員的立場におりません。しかしまた、在野法曹を代表いたしておりまする、半ば公的な性格があるのでございまするから、私は連合会の会長がことさらこれを拒否するというその心配はないと思いまするけれども、もし会長事故あるときに、その代理を許されるかどうかという点を重ねて伺いたいのであります。
  125. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 日本弁護士連合会会長が拒否するということはまずないという確信を持ってここに掲げたわけでございますが、これは全然ないとは理論上は言えないわけでございます。従いまして、そういう場合につきましては、政令の方で何か適当にきめる方法をとったらどうだろうかという考えを持っておるわけでございます。
  126. 大川光三

    大川光三君 私の申し上げるのは、連合会の会長が拒否するということではないのでありまして、もし拒否するということが前提でございますれば、代理の問題は起らぬのであります。一応、連合会の会長が構成メンバーを承諾した場合で、またまた、会長自身が差しつかえるというときに、代理を許されるかどうかという点であります。
  127. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) この法案趣旨から申しますと、代理の出席ということは認めないということになっておりまして、やはり欠席ということになると思います。
  128. 大川光三

    大川光三君 そういたしますと、七人の構成メンバーというものは、七人ことごとくがそろわないと審議会が成立しないのか、あるいは審議会の成立に一種の定数制というものをお考えになっておりますかどうかを伺いたい。
  129. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 会議の定数、その他会議の運営に関することは、政令で定めるということにしてありまして、その方できめるわけでありますが、私どもの考えといたしましては、やはり会議の通常の原則に従いまして定足数二分の一以上というようにしたらどうかと思っております。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 政府側にお尋ねいたしますがね。従来、恩赦のやり方について相当まあ批判等が出た場合等もあるわけです。で、政府側では、従来のようなやり方でいいとお考えになっておるのかどうか、まずその点を次官からお聞きしたい。
  131. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) いろいろ、特に先回の恩赦のことにつきまして御批判が出ておるのでありまして法務省も反省をいたしておるような点もあるのでありますが、特に取り立てて改正をしなければならない、自発的に何か審議会でも置こうというようなことは考えておりませんでした。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 まあいろいろ批判がありまして、まあ反省をされていて、特にそれに対して制度上対策を講ずるほどのことまでは考えておらないという意味のようでありますが、そういうことで果してうまくいくものなのかどうかね。やはり、同じような轍を踏むのではないかという気がするわけですが、法務省からこられた方ですね、一つ事務的にお答えをしてもらいたいと思います。
  133. 佐藤豁

    説明員(佐藤豁君) 事務当局、ことに私下の方の者でございますので、ほんとうに純事務だけを取り扱いますので、恩赦を決定するということは、もちろん御存じのように内閣でされることでありまして、事務当局はただ、そういうことが決定されますと、その決定に従って手続を運ぶだけということになっておりまして、いささかもそれについて発意をするとか何とかというような、実際のそういう原動力になるような仕事は何もいたしておりませんので、手続の上では、現在の状態で、特にこう改正しなければならぬという点は内部的にはございません。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 私のお聞きしたのは、まあ上の方できめた方針を皆さんは事務的に処理するだけでしょうが、今のような制度でありますと、まあおそらく事務を扱っている人は公平にやってもらいたい、そういう考えだろうと思うのです。そうじゃないのですか。ところが、今のような制度でありますとなかなかその公平ということが必ずしも保障されていないのではないかというふうに思うのですが、その点、あなたは長くその関係の事務にタッチしていて、どういうふうに見ておられますか。
  135. 佐藤豁

    説明員(佐藤豁君) 実は申しわけないのでございますが、私はまだ恩赦課長の代理を務めておる者で、非常に未経験で、この方面の仕事に対して未経験でございまして、御満足のいくような御回答があるいはできかねるかと存じまするのでございますが、事務といたしましては、この恩赦の方針が御決定になりまして、そういう政令が出ますると、それに従って一人の漏れる者もないように、その条項に当てはまった者を探し出して適用いたす、ちょうど機械みたいなものでございましてそれ以上の、どれをはずすとかいうようなことは、これはもう事務当局としてはございません。ただ個別恩赦におきまして、そういう問題のあるいは御懸念のありますということは、御無理からぬことではございまするけれども、これも実は事務当局は関与いたしませんで、ただ、その手続の処理を上に取り次ぎまして、中央更生保護審査会の方で御決定になるという組織に相なっております。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 これは実際は総理大臣にお越し願って、いろいろお聞きしなければならないような重大な問題かとも実は思っているのですが、これは非常に時の政府の考え方で恩赦の範囲が縮まったり狭まったり、あるいはある部分だけが取り上げられて、ある部分が捨てられたり、そういうことが自由にしようと思えばできる、制度上はそういうふうになっていると思うのですが、政務次官どうでしょうか。
  137. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 制度の上から申しますと、お話通りでございます。ただ一番この法が提案されまして、私ども検討いたしております間に懸念されましたことは、こういうようなことを取り扱います際には、やはり極秘裏に扱わなければならない。先ほど大川委員の御質問にもございましたが、この多数の委員方々で御審議を願い、かつ長期間にわたっていろいろと御議論を願っておりますると、どうもこういう秘密に特に注意して扱わなければならないことが外部に漏れるという、それが一番心配の点ごでざいます。そのほかに、亀田委員お話しのうに、政府が特に悪意的な範囲で恩赦が行われるというようなことを制限いたしますときには、審議会で御審議を願うのが、まことに公平妥当な結論を得られる一つの方便であると考えております。
  138. 亀田得治

    亀田得治君 審議会でやれば、これは当然極秘というわけにはいかなくなるのです。先ほど大川委員からの御意見もその点について伺ったわけですが、まあ私の気持としては、むしろこんなことは極秘にする必要がない。むしろ政府としてはこれこれ、これこれの恩赦の方針を持っているのだが、どうだろうか、審議会にも聞くし、むしろ世論の動向等も反響を聞いて、そうして、だれでもがなるほどそうだ、そういうふうに納得するような形でやってもらっていいのだと思います。で、極秘ということをあまりいいますと、結局は時の権力を持っている人の主観でやってしまうということにもまた半面なるわけでありまして、一たん処罰された人、ただし、いろんな事情から見た気の毒だからこれを許そう、そういうことは、何もこれはそんなに隠す必要は私はないと思う。堂々と、そのかわり、むしろあまり原案等にもとらわれないで、よくいろいろな意見を聞いて、そうであるべきだと思うのですが、これは基本的な問題になりますが、どういうふうに次官はお考えでしょうか。
  139. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 恩赦の範囲によりましては、今度の総選挙前に事前運動が盛んに行われまして、選挙違反に問われても、近く行われる恩赦でそれが消えるのであろうというようなことがいわれ、選挙違反は恩赦にかけるなという世論もだいぶ起きている工合のようでして、こういう裁判との関係のからみ合いがございまして、やはりある程度の秘密は保持をしていただかなければならないかと、私どもは考えております。
  140. 亀田得治

    亀田得治君 私の申し上げるのは、たとえば現在選挙違反は恩赦にかけるなというのは、これはまだまだ先の先の問題なんです。そういう段階における――今たとえばこういう審議会というものができる、あるいはできないにしても、政府内部におけるいろいろな考え方、そういうものを一々公表する必要はない。私のむしろざっくばらんに公開していったらいいというのは、実際に裁判等があって、あるいは事件が起きて、そうして政府としては何かの機会に恩赦をやりたいというときには、少くとも一つの方針を持つわけです。その方針を何も秘密にする必要がない。今の選挙問題に対して恩赦にかけるなというのは、これはまあ全く一つのかりの前提を設けてやっている議論ですから、そういうことじゃないのです、私の今対象にして論議していることは。だから、実際に恩赦を一つやろうとすることは、何も秘密に私はする必要がない。犯罪はすでに起きてしまったということです。今から犯罪でもやろうか、あるいはこの犯罪を捜査して何とか処分をするから、その捜査上必要があるといったような段階が過ぎてしまっているわけですね、大体に。そういうことなのですから、むしろ私は秘密主義じゃなく、公開主義、基本的な考えは。その考え方に立てるか立てないかによって、非常に審議会自体の機構はいろいろ私は違ってくると思うのです。そこで基本的な気持をお聞きしているわけです。
  141. 大川光三

    大川光三君 関連して。ただいま亀田委員の御質問の要旨は、この審議会へ諮問するということについて、ある程度までそれは外部に漏れてもいいじゃないか。たとえば大赦をやるか、減刑もしくは復権を決定するかということについて審議会にかける、しかもそのことが外部に漏れても一向差しつかえないのじゃないかというような御論旨のように伺ったのですが、私は先ほど質問をいたしました秘密の保持ができるかということには、実はもう一つ深い考えを持って申したのであります。と申しまするのは、なるほど、これから犯罪を犯そうと、選挙違反のような場合は別ですけれども、受刑者の方にも非常なる影響があるのでありまして、大よそ受刑者の心理というものは、国におめでたがないか、恩赦がないかということで一生懸命に待っている。そこで、その待ち焦がれている受刑者の気持の上に、今度は大赦か復権か、減刑か、しかもその減刑の内容が、どの罪とどの罪というようなことが漏れますと、非常に希望を持つかわりに、非常に落胆する場合がありまして、結局受刑者の気持というものが乱れてくるという心配がありまするから、私は政府審議会に具体的なことを御相談になるにしても、これは審議会は秘密を保てるということが前提にならなければならぬのでありますので、いわんや世論に聞いてということになりますと、受刑者の面に精神的な動揺を来たす危険がある。私はかように考えている一人でありますが、その点について当局はどうお考えになるか。
  142. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 先ほどは、先般からいろいろ議論になっておりました選挙違反のことについて申し上げたのでございます。もとより、現在収容されております受刑者に与える相当の影響というようなことも、十分考慮をいたさなければならないものだと思っております。
  143. 亀田得治

    亀田得治君 その点の受刑者に対する影響というのは、これもいろいろ見方があると思いますが、大川さんのおっしゃるような点もあるでしょうが、しかし、このごろの受刑者も、だんだん民主化していくわけですから、いろいろ経過がわかって、自分たちが恩赦にならないのはこういう理由だというふうなことが、むしろわかった方が納得がいくという面もこれはまたあるわけなんです。だから、この点は私は、私の言うことが必ずしも全部正しいかどうかはわかりませんが、検討の余地のある問題だと思うのです。
  144. 青山正一

    委員長青山正一君) ちょっと亀田君に申し上げますが、大臣は衆議院の本会議を今抜け出してこちらに来たわげなんですが、十五分間しか余裕がないそうですからして、一つ大臣への質疑があったら大臣に御質疑を願います。
  145. 亀田得治

    亀田得治君 それでは大きい問題二、三にしぼって、大臣のこの問題に対する御見解を聞きしておきたいと思います。  この現在の制度もとでは、政府が恩赦を勝手に――と言ってはちょっと言葉に語弊がありますが、自由にやれる。対象にいたしましても、あるいは時期にいたしましても、範囲等にいたしましても。で、こういうことですと、ややもするとやはり不公平に流れる、あるいは厳に過ぎたり、あるいは軽きに過ぎたり、そういうおそれが制度上ある。これはたれでもが非常に関心を持つ問題であるだけに、その時の政権を担当しておられる方は、やはりそういう関係希望等が強く出てきますから、どうしてもそれに引きずられるおそれがある。そういう結果というものは、第三者から見ると、やはり必ずしも公平でない、こういう点が制度上出やすいのじゃないか。今のままではそういうふうに思うわけですが、大臣の根本的な一つ考え方をお聞きしておきたい。
  146. 唐澤俊樹

    ○国務大臣(唐澤俊樹君) 恩赦につきまして、政府部内だけでその内容なり、あるいはこれを行うか行わないかというようなことを決定いたしていくということが、時にべんぱになったり誤りなきを期しがたいというような観点からのお尋ねでございますが、これはいかにもごもっともと思います。これは政府のやりまする仕事につきまして――恩赦ばかりではございません。総理大臣を中心といたしまして、各省大臣があって行政の責任をとっておりますけれども、その部内だけで行政を運んでいけば、衆知を集めていくよりは、やはり思い違いなどもあるということは、すべての行政についていわれるところでございまして、さればというてそれでは総理大臣も各省大臣もあるけれども、やはり衆知を集めるというような意味から、何事も一種の協議会を作ってそして意見を聞くというようなことになりますと、これは政府というものの存在が果してどうであろうか、政府の責任というものが一体どうなるかという考え方も成り立つと思うのでございます。その意味におきまして、問題を恩赦について考えまして、かりに継続御審議審議会というものを付置するという問題をとっていって考えますると、なるほど、政府部内だけでこれをやるかやらぬか、やるとしても、どの範囲でやるかということをきめるよりは、その道の専門の人とか、あるいは公平な立場に立っている人の意見も聞いた方がいいのではないかと、こういう考え方もまた成り立つと思いますが、ある意味においては、これは一体恩赦のごときは政府が自分の責任において、自分たちの部分でよく相談して全責任をとってやるべきことである、こういうような考え方もまた成り立つのであります。ことに、事務的に考えますと、恩赦というものは、これは事前におきましては絶対に漏れてはならないところでございます。かつて恩赦の内容が漏れたやら漏れないとやらというて非常な問題を起したこともあるそうでございますが、これが事前に漏れるということには非常な弊害が伴うと思いますから、まあそれが発表されるまでは外部に漏れないというようなことも考えていかなければいけないというようなことで、この恩赦審議会等の考え方につきましても、政府といたしましては、今日までだんだんとまあいろいろ検討をいたしております。おりますけれども、まだ最後的にどうした方がいいかというような結論に達しておりません。
  147. 亀田得治

    亀田得治君 二点にしぼってお尋ねしますが、何らかの機関はやはり置くべきだという考え方があるのじゃないか、結論的に、その点が一つ。  それからもう一つは、これは行政機関によって、司法機関が取り扱ったものを変えていくことですね、結果において。で、私は三権分立の立場から考えますと、これはきわめてやはり重大な問題だと思うのです。政府と司法機関というものはちゃんとこう並立しておる。それをはずすというわけですから、これは政府が主観的にやるべきじゃないと思うのです。で、私はやはり、それじゃその三権の基礎はどこにあるかと言えば、現在ではやはり国民ですから。政府としては、もう三権の一つしか、行政面を担当しておる政府としては一つしか代表しておらぬわけなんですから、だから私はそういう意味で、司法の取り扱っておる問題を行政権がはずすという問題、これは今の民主主義のもとでは、政府だけでは断じてこれはやるへきじゃないと、基本的にはそう思うのです。で、そうすればやはり制度上も、政府は恩赦権を認めるといたしましても、何らか国民全体の気持が反映できるようなそういう機構をかたわらに作っていく、その作られた機関政府との権限の関係等も、私ども実は問題にしたいぐらいなんです。作られた機関の決議を経なければ、政府としてもこの恩赦権はもう実行できないというぐらいに、単なる諮問機関じゃなしに、そういう点も、実はこれは私は基本的に考えていくと問題だと思っているのですが、まあ今はそこまでいかないにしても、ともかく、そういう行政、司法の関係にあるわけですから、当然これは何らかの諮問的なものは最小限度必要です。そうして見れば、これは当然秘密にはできないのです、どうしても性格上そうなれば。だから、その辺を私は割り切ってもらって、何らかの機関はやはり置くべきだという結論であるべきじゃないかと思うのですがね。もう一度結論的に、どういうふうにお考えか。
  148. 唐澤俊樹

    ○国務大臣(唐澤俊樹君) ただいまの亀田委員のお考えは、まことに有力な御意見と思うのでございましてまた、継続審議中の法案の恩赦審議会という考え方も、大体においてそういう者え方の方向に従って立案されておるものと考えるのでございます。これは一つの有力なる案と考えておりまするけれども、またそれと反対に、たとえば政府の経済政策その他の諸政策などについては、これは十分一つ衆知を集めて最善の案を作っていくべきであるけれども、この恩赦というような問題は、これはもう政府が純粋に政府の部内で決定して、そうして政府の責任において行う。従って、それをやったことの功罪は百パーセント政府が負っていくべき性質のものであるというような意見もあるのでございまして(亀田得治君「それは古い意見だ」と述ぶ)まあそういう考え方は、昔の徳政と申しまするか、主権者の特権というような思想につながるというような、まあ今古いというお言葉でございますが、そういう考え方かもしれませんが、そういう考え方を離れましても、行政府としてはやはり全責任を持って行うべき行政もあるのでございまするから、そういうような考え方からして、こういうことまで一々みんなに相談してやるということはどうであろうかと、恩赦のごときものはやはりその一つであって、政府が全責任を持ってやる、そしてその功罪はことごとく政府が負う、こういうような考え方もあるのでございます。  それから、先ほどお話のありました構成メンバー等につきましても、あるいは部外の人に諮るとか、あるいはそういう機関を作っても政府部内だけでメンバーを構成するとか、いろいろの考え方があるのですが、何分にもこれは重大な問題なものですから、政府部内でも十分検討を加えてから決定いたしたいということで、今日までまだ決定を見ておりません。
  149. 亀田得治

    亀田得治君 これは割り切って考えてしまえば、それほど重大な問題でなくなると私は思うのです。ともかく、現在では立法も行政も司法も国民からまかされてみんながやっておる、そういう立場ですから、従って、一たんやった裁判を取り消し得るものは、これは国民しかないのです、純粋にいう場合には。だから従って、恩赦し得るものも私は国民しかないというような感じがする。しかし、もちろん政府は国民にかわってやるのだというふうな、また理屈をおっしゃるかもしれませんが、ちょっとそこは議論が飛躍すると思うのですね。だから、そこで一番問題になるのは、やはり政治的な事件ですよ。まあ普通の犯罪の扱いについては、まあこれも見方によっては、いろいろこの範囲でいいとか、あの範囲でいいとか、もっと強くとか軽くとか、いろいろの考え方が出るでしょうが、やはり一番問題になるのは政治的な関係事件、これに対してこれはやはり政府だって生きものですかち、そういう問題についていわゆる与党に有利に野党に不利、これはどなたが政府をやっても、やはり人間の感情というものはそういうところに欠陥として現われてくるんじゃないか。やはりこの問題が起きた出発点は、そういうところにも若干原因があったと思う。それから現在でも恩赦を予想しての選挙違反といったようなことを世間が盛んにいうのも、やはり国民がそこをみんな心配しているわけです。その点を私どもはやはり考えますと、たとえば、何らかの諮問機関を設けるとした場合に、そういう点を公平にやろうとすれば、私は各界の代表を入れるとともに、有力な野党の代表、これがどっちが与党でどっちが野党と、そんなことじゃなしに、有力な野党の代表という者は一名はぽんと一つ入れておかなければ、やはり世間の期待にこたえられない。といいますのは、どういう委員が出られるにいたしましても、全体のバランスを考えれば、やはりこれは与党の立場というものが強くなっているものです、大体において。どんな委員会だって、どこの国だってそうです。だから、従ってそういう中において公平を保つというためには、ほかの委員のことはあまりいいませんが、少くとも野党の代表というものは一枚ちゃんと加えておく、あるいはそれは一人である必要はないかもしれません。有力なほかの会派があれば、さらにそれも入れる。そういう考慮が、政治的な事件において特にこの問題が先鋭化するわけですから、私はぜひ諮問機関を置くと仮定した場合、ぜひそういう考慮が必要ではないかと、メンバーの問題について思っているのですが、法務大臣、まあ置くと仮定してその点どういうふうにお考えになるでしょうか。
  150. 大川光三

    大川光三君 関連。ただいま亀田委員の御質問は、むしろ提案者に向けられるべき質問かと思うのでありますが、(亀田得治君「法務大臣お帰りになるから」と述ぶ)一応、法務大臣にお答え願うのもけっこうです。議論する気はないのですが、たまたま、過去の事例から見まして不公平な恩赦が行われたということがあっても、これは私は行政に携わる人の問題であって、制度の問題ではないと、かように考えておる。また、恩赦の本質から見てすでになされた司法裁判に対しての変更が行われる、あるいは法の画一性に基く欠陥が是正されるということは、これは恩赦の本質からくるもので、亀田氏が言われるように、あるいは野党代表を入れておく、あるいはこの構成メンバーを広くして、何か民主的に協議していくということは、恩赦の本質そのものからは出てこない議論だと思うのでありまして、私はやはり、制度そのものは、決して今にわかに訂正する必要はないので、むしろ行政に携わる人そのもののよろしきを得れば、このままでいいのだという考え方もあるのでありますが、私の質問と亀田氏の質問を合せまして大臣の意見を伺っておきたいのであります。
  151. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 ちょっと関連してもし大臣の御答弁を得るならば、一緒に伺っておきたいのでありますが、私は、裁判、司法に関することはすべて厳正公平でなければならぬ。これは根本原則であって、裁判を公開して、そうして秘密裁判を排するということも、やはり大ぜいの人が見て、そうしてその大ぜいの人の監視のもとに公平な裁判をというすることが目的だと思うのです。この恩赦というようなことは、そのたくさんな何千件という、裁判の結果、現在刑が行われておる人を恩赦、大赦ということで許すわけでありますから、これは初期の裁判よりももっと大事に公正にやらなければならぬと思うのですね。先ほどから、恩赦は秘密でなければいけない、政府の責任において秘密にこれをしなければいけないといわれるけれども、どういうわけで秘密でなければいけないのか。権力を握っておる者が、秘密々々といって恩赦をしたために、とんでもない世間の指弾を買つようなことが今日まであるのです。それは何かといえば、秘密にやったからそういうことになるので、むしろやはりある程度までは世論というものを聞いて、そうして国民の監視のもとに恩赦をやるということが、ほんとうに公正に恩赦を行うということになると思うのです。やはり裁判でも恩赦でも、すべては国民の監視のもとに公正に、国民が納得するようにするということが、私は刑政の要諦というか、一番大事なことだと思うのですが、それから申せば、やはり恩赦ということは、政府が、権力者がそれを一手に握って、秘密裏に計百画をしてそうして発表したときにはもうどうすることもできない、取り消しすることもできないという結果になるよりは、前もって国民監視のもとに、公正に批判をさしてそうして恩赦をやるということが、今日の民主的な時代から申せば一番いいことであろう、こう私は思うのですが、その点も一つあわせて伺いたい。
  152. 唐澤俊樹

    ○国務大臣(唐澤俊樹君) 亀田委員の重ねてのお尋ねでございますけれども、恩赦が政府によって不公平に行われてはならないということは、これはもう当然でございまして、今日までの恩赦の跡を顧みましても、私は別に政治的の意図を持って不公平に行われたというようなふうには私は考えておりませんが、過去のことを今いろいろ論議し合っても仕方がありませんから、これはよしますが、その意味において野党の代表者も入れたような構成を作るべきであるというようなお考えがございます。で、恩赦を政府が独自の考えでやらずに、他の何らかの機関に諮ってやる、あるいは、その議決を必要な条件としてやる、こういうようなことになりました際に、その構成の問題でございまして、それを強く考えて参りますれば、今、亀田委員お話しのように、野党の代表者を少くとも入れろ、こういうふうなことになっていくわけでございます。そういうような考え方から、それほどまで広く規定をせずとも、外部においてその道の専門家で公平な者を入れればいいじゃないかというような考えにもなります。それからまた、外部の者を入れることはどうか、そういう諮問機関だけは作る必要があるが、やはり部内だけでやったらいいじゃないかというような、いろいろのその段階の考え方がございますが、これは全部政府で独自にやらずに、しかるべき人の意見を聞け、こういう考え方から出ておる思想でございます。それと同時に、先ほども申し上げましたように、政府といたしましては、恩赦のことは責任を持ってやるのだ。まあすべてこれは国民の名において国民の代理としてやっておるのでございまするけれども、立法府において国民の代表として選ばれた者が法律を作る。それからまた、その法律に基いて政府ができて、政府に権限がゆだねられておる。そういたしまして、政府はあやまちなきを期するために、いろいろの機関にまた諮るということもあるけれども、また、ある事項については、政府が全責任を持ってやる、それだけ国民からもゆだねられておるりだという考え方もまた成り立つのじゃないかというような、非常に幅の広い考えの間で今検討をしておるわけでございます。  ただいま大川委員からの御発言もありました通りに、これは制度の問題より人の問題だ、政府がまじめにやって、慎重にそうしてやればいいじゃないかというようなことで、もし、あやまって政府がこの点についてあやまちを犯したならば、これはもう政府の責任として、国民にその責を関わるべきものであると、こういう行き方もまた考えられると思うのでありますが、同じことを繰り返して申すようで相済みませんけれども、これはなかなか政府といたしましては、重要な問題だものですから、この審議会の問題については、鋭意研究をいたしておりまして、まだどちらへいくというような結論を得ておりません。  それから、先ほどこの秘密という言葉についてのお話がございましてなるほど政府が秘密々々というと、いかにも響きはこの民主憲法下においてよくないようでございますが、もし秘密という言葉がいけなければ、その内容が事前に知れては困ると、こういうふうにまあ考えますれば、秘密という言葉のいやな響きもございませんですが、たとえば今度の場合を考えてみましても、今年、来年は選挙の年だといわれておる、そうして何かのきっかけで恩赦が行われるというような場合になって、審議会にも諮ったのだそうだ、そうしてこの内容はこうだそうで、大体こういうものは許されるそうだ、まだ最後の決定にならない、しかしいずれか発表になるというようなことが予知されますと、そうすると、どうせやったからといって、いずれは許されるのだということが、はっきり手形を取ることになるのですから、そういう場合には、これは非常な弊害が起きるのではないか。こういうことを申しておるのでありまして、秘密にして、だれにも諮らず、政府だけで独自にきめて、きまってしまった以上は、もうだれが言っても直さぬ、こういうようなものの秘密てはないのでありまして、つまり、予知されたらいろいろの弊害が生ずるのじゃないか、こういうようなことを心配しておるわけでございます。
  153. 亀田得治

    亀田得治君 時間もないようですから、もう一つ基本的なことをお答え願いたいと思うのですが、いろいろ学者等でも意見を出しておるように、恩赦制度そのものがどうもこれは古い、古くさい制度ではないか、こういう意見が相当あるわけです。天皇の裁判を受けて、そうして天皇から一つ許してもらう、そういうふうなことであって、もうこういう制度は現在の制度には合わない、こういう考え方が相当ありますね。私は、これは相当一理あると思うのです。どうしてもきまった刑等を許さなければならぬというのであれば、司法権自体がそれを受け付けるということにするのが、最適であるかどうかはわかりませんが、そういうことも一つの方法であろうし、ともかく、恩赦という言葉にまつわっている諸種の考えが多少ズレがあるように私は思うのです。だから、そういう意味で恩赦との制度それ自身の可否ですね、こういうことについて法務大臣はどういうふうなお考えを持っておりますか。やはり、この制度は必要だというのか、まあ本来はもうこれは少し、だいぶ時勢が変っているから、制度そのものを検討すべきであろうというふうなお考えを持っておられるかどうか、一つ……。
  154. 唐澤俊樹

    ○国務大臣(唐澤俊樹君) これは根本の問題でございまして、旧憲法下におきましては、恩赦というようなことは君主の特権である。仁慈のいたすところ、徳政というような考え方がだいぶあったわけで、いわゆる大権事項となっておったのでございまして、そうして今日は、大権事項の観念はなくなったのでございますけれども、行政府の専権ということにゆだねられておるわけでございますが、旧憲法下におきましても、ただ御仁慈というような考えばかりではなくて、法律は一律一体に平面的に規定しておる。そうして、この社会事象は非常に複雑だ。その複雑な事象に対して一律一体に規定してある法律裁判官が適用して判決を下して、そういう際に一々法律は書き分けることはできないものだから、多少その間に、もし法律がこの場合だけを例外にこう書いてあれば、こういう判決も下せたにというような場合もあり得る。それであるからして、判決、裁判の結果を行政府が何らかの道で是正していくということが、今の恩赦というようなものの一つの思想的な根拠になっておるのじゃないかと思いますが、これもやはり旧憲法下においても、そういうような考えもまじっておったと私は思うのでございます。そういう意味におきまして、今日いわゆる大赦令を出すというような、政令が一律一体に広く恩赦をするという場合のほかに、御承知のように日常的の恩赦がございます。個々の事件につきまして、日常の恩赦をいたしており、これによって相当是正をいたしておる。それ以上広くこの前の国連恩赦というようなふうに大赦令を出してこれを是正するというような制度がいいかどうか、また、必要があるかどうかというようなことにつきましては、これは根本問題でございまして、今、法務部内におきましても、いろいろと研究をいたしておるわけでございまして、恩赦制度につきましては、旧憲法から新憲法に移りましてその影響が相当あると思いますから、これは十分検討しなければならぬと思っております。
  155. 青山正一

    委員長青山正一君) 三原課長から先刻の発言について何か訂正のために発言を願っておりますので、発言を許します。
  156. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 先ほど大川先生の御質問に対しまして議員立法による審議会がないように申し上げましたけれども、調べましたところによりますと、かなりあるのでありまして、ただいまのところ審議会が二百二十四ほどございまして、そのうちどれが議員提案によるものか、政府提案によるものか、その区別をしておりませんので、必ずしも数字は正確ではありませんが、大体二百二十四のうち、十三ぐらいが議員提案による審議会のようでございます。御訂正を申し上げます。
  157. 大川光三

    大川光三君 それでけっこうです。   〔委員長退席、理事一松定吉君着   席〕
  158. 亀田得治

    亀田得治君 ただいま法務大臣に若干基本的な問題でお聞きしたわけですが、まあついでに提案者の方々にその点についての考え方をお聞きしたいと思うのですが、恩赦権の発動というものは国民がするのだという考え方で今はあるべきではないか。国民がするのだということになると、行政府の単独ではいかない。裁判所自体が、一方に国民を代表するものとして裁判官がおやりになっておるわけですから、両方とも国民を代表している。それをはずすときに、政府だけが国民の代表だ、そういう態度は私は許されないと思うのです。だから、その辺の考え方をどういうふうにお考えになっておるでしょうか、どなたからか一つお答え願いたいと思います。
  159. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ただいまの御質問でございますが、行政府と司法部との完全なる独立という見地から申しますと、今お話しのような点で多少の矛盾を生ずるということも考えられないことではありません。しかし恩赦自体が、今まで決定されました裁判を変えていくことでありまして、それが適当であるかどうかの判断を行政府の方でやるということに法律で決定されておりますので、その点は差しつかえないのじゃないかと思っております。
  160. 亀田得治

    亀田得治君 まあ今、討論の時間でありませんが、しかし、今の恩赦法は旧憲法時代の恩赦法です。法律はそのままになっていて、そうして基本的な社会制度は変革しているわけですね。私はその上に立って従来認められていた恩赦の制度というものは考えていくべきだと思うのです。そういう意味でこれは聞いているわけですがね。法律上、行政府の権限として与えられているからというところにあまり私は力を置き過ぎるのは、経過から見て、多少問題があろうと思うのです。で、ざっくばらんに言って、新らしく憲法を作り、そうして新らしくこの恩赦制度を設けよう、新憲法のもとにおいて恩赦制度を設けようというふうな経過をたどっておれば、私はそのときにちゃんと、政府だけで勝手にやれないような御提案のような審議会といったようなものは、もう少くともそのときに私はついておるものだと思うのです。だから、そういう意味からいたしますると、どうしても、法律上は行政府の権限にまかされていても、だからといって行政府は、これはおれの独自の権限だというのは間違いだと思う。そういうふうに私は思うのですが、どうでしよう。
  161. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ただいま亀田委員のおっしゃったような意味での、まあ時代の変化等に応じての恩赦法の――恩赦法ばかりではありません。あらゆる法律についてやはり検事を要するということは、私も認める次第でありまして、そういう点からすれば、なお十分検討を要する点があるかと思います。私も。それから、外国の例を法制局で調べてもらいますと。恩赦の執行につきまして国会の承認を要するという例も幾分かはあるように思います。フィリピンとか……、けれどもこれは非常に少くて、大部分の国ではそういうこともなく、やはり日本の現在の制度と大差ない方法でやっていられるようであります。
  162. 亀田得治

    亀田得治君 私としては、こういう提案につきましては、先ほど私が申し上げたような、そういう民主的な恩赦制度という立場でこれは賛成していきたいという気持なんです。  そこでもう一つお尋ねしますが、その考え方を徹底していきますと、実際は、作られる恩赦審議会の決議を経なければ恩赦をしてはならない、行政権はある程度くくってくることになるわけですね。そういう点についての御検討等は、この立案の過程であったものでしょうかどうか。私はその方が、一そう国民の期待には沿い得る制度じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  163. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) そういうただいま亀田委員のおっしゃられたような考え方もあると思います。しかし、日本の憲法では、内閣に権限が置かれておりまするので、まあそこまで、私どもは、憲法を改正してまでというところまでは検討をしませんで、現在の憲法のもとでもってできるだけ慎重に、公平に、間違いないようにしましよう、そういう意味で、少くも審議会を置いて、諮問機関の形でありますが、やるべきであろうと、こういう考え方をいたしております。
  164. 市川房枝

    委員外議員(市川房枝君) 先ほどの亀田委員からの御質問に関連しまして、ちょっと補足をさしていただきたいのでありますが、恩赦制度は、終戦後新らしい憲法のもとで、芦田内閣総理大臣の時代に恩赦制度審議会というものを設けて、そこで新たに恩赦制度の検討をしているようであります。そうして二十三年の六月に、恩赦制度審議委員長、法務総裁鈴木義男氏から総理大臣に対して答申が出ております。意見書が出ております。それに従ってまあ現在の恩赦法が制定された経過をとっているわけでございます。それで、その鈴木法務総裁の名で出されております意見書を拝見しますると、その中に、恩赦の権限は、先ほどからお話しがあります通りに、これは内閣の持っている権限でありますが、恩赦制度審議会は恩赦について「民意と専門的意見とを反映せしめるため」に二つの審議会を作ることが妥当であるということを答申しております。その一つは恩赦審議会というので、これを内閣に諮問機関として置く。そうして「委員は国務大臣級の者を以てこれて充てる。」云々と、まあ一つあります。それからもう一つは、恩赦審査会と申しまして、これは「法務総裁の諮問機関として法務庁に」これを置く。「委員は内閣の恩赦審議会の委員補佐を以てこれに充て」と、審議会の方は「委員は国務大臣級の者を以てこれに充てる。なお、委員委員補佐を附するものとする。」と、まあ最初のはそうなっておりますが、その委員補佐を委員として恩赦審査会というものを法務総裁の諮問機関として置く、こういう二つの答申をされておるのです。ところが、制定されました恩赦法には、この内閣に諮問機関として恩赦審議会を置くというのが入っておりません。ただ法務総裁の諮問機関として恩赦審査会を置くというこの点だけが、取り入れられておりまして、これは名称が変っております。中央更生保護審査会とたしたか申したと思うのでありますが、これはまあ現在法務省にありまして、現在は個別審査の恩赦といいますか、する機関になっておるわけであります。どういうわけで当時内閣に恩赦審議会というものを設けなかったのか、そこのところは忘れましたから、よくわかりませんですけれども、今度私ども法律にいたしました案は、ある意味においてはこのときの恩赦審議会というものを新しく加えると、こういう、多少違っておる点もありまするけれども、ある意味においては似ておるとも言えるのではないかと思います。ちょっと補足いたしました。
  165. 亀田得治

    亀田得治君 それでメンバーの問題について若干お尋ねしたいわけですが、衆議院議長、参議院議長あるいは学術会議会長、弁護士連合会会長、こういうところはまあいいと思うのですが、法務大臣というのは、ちょっと私疑問があるのは、法務大臣は結局、この審議会ができれば、総理大臣のかわりになっていろいろ諮問事項について説明すべき立場の人だと私は思うのです。その人自体が入っていることが少し不適当じゃないか。政府なり、実質的には法務大臣自身が行政上のこの権限を持っているわけです。むしろ、それがどんどん勝手にやり過ぎるから諮問機関を設けようと、こういっておるのに、その御本人自体をこの委員に加えているというのはちょっと体裁上おかしい。それから最高裁長官も、これもちょっと問題があるのじゃないか。ともかく裁判所がやったことを、自分が自分でそれを取り消す、こういう格好を作っていいのかどうか、制度上やはり問題があると思います。検事総長についてもそういう意味では問題がある。やはり、もう少しこれにかわるのに社会的に各方面の意見が反映できるような人たちを何らかの方法で選んで、そうして、そういう社会的な良識が納得できるような結論を出すように努力すべきではないか。しからばどういう者がいいかということになると、若干私も壁に突き当るわけですが、その点に非常に実は一つ疑問を持っていることが一つ。  それからもう一つは、先ほど法務大臣にもお聞きしたわけですが、こういう問題は、やはり政治的なこの問題について特に世論の批判というものがあるわけです。で、どういう審議会でも、結局はそのときの多数党の考え方というものが、どこから委員を選んできても大体やはり多い。まあそればかりではありませんが、比較すればやはり自然に多くなる。これは当然だと思うのです。だから、そのことを何も否定するわけじゃありませんが、それだけに別個の政治的な立場を持っておる者、何も多数である必要はありません、もう一人なら一人でいいのです。はっきりそういう立場が主張できるようなことにしておかなければ、非常なやはり不公平、ともかくそのときの政権担当者が自分らの都合のいいように勝手にやっている、こういう批判を受けたのでは、せっかくの審議会が私ははなはだお気の毒だと思うのです。そういう点を強く感じておるのですが、その二点についてどういうふうなお考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  166. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ただいまの御質問の最初の点は、法務大臣、最高裁判所長官、検事総長を委員として入れるということについての御疑問であったかと思いますが、法務大臣も委員に入れたということにつきましては、諮問する者と諮問される者という二つの資格が入ってくる点で矛盾がないかという御意見だと思います。確かにそういう点では幾分矛盾を感ずるわけでございますけれども、この審議会の審議なり運営を円滑にやっていくというような立場、また、それら審議会のいろいろな意見につきまして、担当者である法務大臣がよく知っておるということも必要であるというようなことから、法務大臣を入れる方が適当であろう、こう考えたわけでありまして、ほかのいろいろの審議会にも担当省の大臣の入った諮問機関としての審議会の例もありますので、その意味で入れたわけでございます。  それから、最高裁判所長官、検事総長は、まあ裁判関係者である、それで裁判で決定したものを幾分くつがえすなり、変えるわけだから、そういう点で地位がおかしいという御意見であったと思いますが、恩赦自体がそういう事柄でありまして、事情が非常に変ってきたとか、社会の変化とか、あるいは特殊な国家的行事があったとかということから裁判の結果を、過去の結果を変えようということでありますから、これは裁判官としても納得すべきことではないかと思います。当然に。ですから裁判関係のある方がお入りになっておっても、その点では差しつかえはない、こう考えた次第であります。  それから、ここにあげました以外のもので世論を反映する、あるいは国民の意思を反映するためにほかの者も入れる必要もあろう。こういうような御意見であったと思いますが、それも、私ども原案を作ります場合にいろいろ考えましてやったわけでありますが、こういう委員をきめますときの原則としては、私どもが考えたのは、法的な地位でもって決定しておきますと、政府に選択の余地はないわけでございます。ところが、そのほかの適当な者ということになりますと、政府に選択の余地がどうしてもできて参りますので、かえって不公平な結果を生じやすい、こういうことを考えましてはっきり地位できめようということから、ほかの者を入れなかったわけでございます。  それから政治的の意見というものがこれに入ってくるというようなことから、反対党なり野党の者が一人くらいでも入れるべきであるというような御意見でございましたが、私どもの立案した趣旨から申しますと、そういう政治的な考慮というものを一切抜きたいと、こういう考えでこれは考えましたので、そういうものは入れない方がいいという考えであったわけでございますけれども、何といっても、いい適当な委員をきめることは非常にむずかしゅうございまして、私どもの案が完全であって、これ以上のものはないと言い切れない実は気持なんであります。ですから、皆さんの方のお考えで、もっといい案があるというならば、委員の構成等については十分に御審議いただいてけっこうだと思います。
  167. 亀田得治

    亀田得治君 それから、この運営は、結局、諮問に対する答申案というものを作るのでしょうが、それは通常の多数決によってきめていくと、こういうふうになるのでしょうか。政令できめる案のようですが、皆さんの考え方自体はどういうふうになっておりましょうか。
  168. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) ただいまの御質問につきまして私ども政令できめるという考えでおりますが、私どもが考えているのは、やはり通常の会議の原則によりまして過半数できめようと、こういうような考えを持っております。
  169. 大川光三

    大川光三君 提案者の方に少しく法文解釈について伺いますが、構成メンバーのうちで、七と書いてありまするその次に、「前項第七号に掲げる委員は、内閣が任命する。」と、こういうように書かれておるわけです。そこで「前項第七号に掲げる委員」というのは、日本弁護士連合会の会長のことをさしておるかという点が一点であります。
  170. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) その通りであります。
  171. 大川光三

    大川光三君 そういたしますと、その他のいわゆる構成メンバー、一から六までですね、これは、この法律ができますと、当然受任をしなければならぬという、この法律によって六人までは当然その委員にさすという一つの拘束力を持っておるかどうかという問題であります。
  172. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 当然にそうなると思いますが、法律的な解釈については法制局の方から御説明を申し上げます。
  173. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) その前に、「委員は、左に掲げる者をもってこれに充てる。」としておりますので、六号までは、この法律で当然に就任しなければならないということになると思います。
  174. 大川光三

    大川光三君 その点にちょっと疑義があるのです。なるほど、「委員は、左に掲げる者をもってこれに充てる。」と書いてますね、その「充てる」という言葉が、当然任命したと同じようになるかどうか、もしなるとすれば、こういう法文の書き方が他にもあるのですか、それを伺いたい。
  175. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 他にございます。今ちょっと例をすぐ思い出せませんけれどもございます。これは「充てる」ということにいたしまして、結局、法律をもって任命したというふうに考えて差しつかえないのだと思います。
  176. 小林英三

    小林英三君 提案者にちょっとお伺いしますが、今の一、二というのは、衆議院議長、参議院議長ということですが、これは国会の代表――参議院の代表、衆議院の代表という意味で御連名になっておるのだろうと思いますが、そうですが。
  177. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 掲げました趣旨は、やはりそういう考えを持って掲げたわけであります。
  178. 小林英三

    小林英三君 法制局にお伺いしますが、かりにこの衆議院議長にしても参議院議長にしても、審議会が開かれた場合に、まあ病気その他の差しつかえがあるというときには、今の提案者のおっしゃるように、両院の代表という意味で審議委員としてなっている以上は、副議長というものがいるわけですね、両院には、こういう際に、その議長が事故あるときには副議長が出るということはどうです、解釈上差しつかえありませんか、そういう場合に。
  179. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 副議長がお出になるというような案も考えたのでございますが、先ほど高瀬先生がおっしゃいましたように、代理というようなことを考えませんで、その職にある人をずばりそのまま充てるという考え方をとりましたので、本法案につきましては、さように議長に事故があるときに副議長が代理として出席するというようなことはできないというふうに解釈しておるのでございます。
  180. 小林英三

    小林英三君 そう解釈をしておるというお話ですが、実際問題としてはどうですか、そういうときに……。
  181. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 実際問題といたしましては、定足数を満足しさえすれば会議は開けますから、それで運用上は差しつかえないようにいくというふうに思うのでございます。
  182. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) ちょっと私が尋ねるがね。第七号、すなわち日本弁護士連合会会長を内閣が任命すると、特別にここに分けて、そうしてほかの一から六までは、この法律の制定によって当然この地位につかなければならぬというふうに区別したわけはどういうわけですか。
  183. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 日弁連の会長は公務員でございませんので、任命という行為が、法律をもって当然に充てるということになりますと、ちょっと意思を無視するというようなこともありますので、任命にかかわらせなければならないというふうに考えたわけでございます。
  184. 一松定吉

    ○理事(一松定吉君) 公務員であろうとあるまいと、法律で日本弁護士連合会会長を充てるということにすれば、法律において、日本弁護士連合会会長は義務づけられたわけなんだから、公務員であるからこの法律において当然縛るし、公務員でないから内閣が任命するというようなことは、法律の効力について差別を設けることになると思うが、どうです。
  185. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 先生のおっしゃるように解釈できるとも思いますが、やはり公務員でない者は一応任命というふうにした方がよろしいと思いますので……。
  186. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと関連して。大川さんの今御指摘の疑問にちょっと関連するのですが、それじゃ弁護士連合会会長が、恩赦制度そのものには一つの批判的意見を持っていて、自分はこういう制度そのものに実は新しい立場から反対なんだ、だから自分はいやだ、こうおっしゃった場合には、これはどうなんです。
  187. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 実はさようなことはないというこれは大体前提なんでございましておそらく、日弁連の会長が弁護士でございますから、弁護士の立場は、恩赦、こういうことに反対なさることはないと思いますし、そういうことはないというつもりで立案したわけであります。
  188. 亀田得治

    亀田得治君 たとえばですよ、それは多少意見があっても、一応任命されたのであれば、一つ法律専門家としてそこに参加しようという気持になる場合が多いでしょう。しかし、どうも参加してみたところが、運用がはなはだおもしろくない、自分は責任を持てないということでやめる、こういうことはあり得ることですね。そういう場合には、これはどういうふうにお取扱いになるのですか。
  189. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) そういう場合が起りましたら……。そういう場合はないと思いまして立案したわけなんでございますが、そういうことが起りましたら、別に法律そのものを考え直すか、何か特別な措置が要るのではないかと思います。いずれにしても、そういうことはないと思います。反対でありましても、おそらく欠席なさるということはあるかもしれませんけれども……。
  190. 亀田得治

    亀田得治君 そうはいかぬです。とにかく法律家というのはちょっと意地になるところがあるから……。じゃ、それがおやめになった、就任しておって欠席しておるのであれば、これは多数決でやれます、過半数の出席で多数決で。だけど、私はいやだ、公務員でないからついておらなければならぬ義務がない、こういうことになった場合には、これは正式の恩赦審議会の構成にならぬわけだ。
  191. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) いずれにいたしましても、先ほどからたびたび申しましたが、日弁連の会長が就任を拒否されるということは、万々ないというつもりで立案したわけなんです。   〔理事一松定吉君退席、委員長着   席〕
  192. 大川光三

    大川光三君 第一の衆議院議長、参議院議長が審議会の委員になるというときには、国会の承認を得なければならないのじゃないですか、その点いかがでしょうか。
  193. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) これは法律で充てるわけでございますから、国会の承認は要らないと思います。
  194. 大川光三

    大川光三君 法律で充てるから、国会の承認が要らぬという意味がわ、よっと私わからぬのでありまして、たとえば先般、たまたま私、売春対策審議会の委員に任命されました。そういうことでも特に国会の承認を得たのでありますが、それとこの審議会の委員とは性格が違いますか。
  195. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 私たちの解釈では、法律で、こういうふうな法律をもって充てますときには、その職務にある者をつかまえまして法律で充てますので、さらにその上に議院の承認は要らないというふうに考えるのであります。
  196. 大川光三

    大川光三君 それは他にもそういう例はあるのですか。
  197. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 皇室会議の議員に衆議院及び参議院の議長が出ております。これとやはり同じような考え方でございます。
  198. 大川光三

    大川光三君 そうしますと、あなたの今の御答弁は、結局、この法律を国会が承認を与えているのであるから、あらためて議長の就任については別に国会の承諾を得る必要もないのだ。この法律自身を国会が承認したのだから、あらためて任命について国会の承諾は求めなくてもいいのだ、こういう解釈になるのですか。
  199. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) さようにお考え下さいまして差しつかえないと思います。
  200. 小林英三

    小林英三君 それから十五条の「審議会は、内閣の諮問に応じ、」云々という最後の行に「可否及びこれらの恩赦の内容に関する事項を調査審議する。」ということが書いてあるのですが「可否及びこれらの恩赦の内容」という、この「及び」ということは、可否と内容を同時に審議するということなのか、可否は可否で審議もし、また内容内容審議すると、必ず同時に審議するということなんですか、「及び」ということほどういう意味ですか、課長から一つ……。
  201. 三原次郎

    ○法制局参事(三原次郎君) 通常は同時にやることになると思います。
  202. 小林英三

    小林英三君 この解釈は、提案者の方はどういう意味なんでしょうか、同時にということを含みますか、別々にしてもよろしいということですか。
  203. 高瀬荘太郎

    委員外議員高瀬荘太郎君) 私は法律家でありませんから、こまかい点はどうかと思いますが、私の解釈とすれば、どちらでもいいと思いますが、実際問題とすれば、可否を尋ねるとき、やはり内容を出して可否を聞かれる、これが普通じゃないかと思います。
  204. 青山正一

    委員長青山正一君) ちょっと速記をとめて。    午後四時十七分速記中止      ―――――・―――――    午後四時四十九分速記開始
  205. 青山正一

    委員長青山正一君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後四時五十分休憩      ―――――・―――――    午後五時三十三分開会
  206. 青山正一

    委員長青山正一君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  恩赦法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を行います。――ほかに御質疑もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論を行います。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  207. 大川光三

    大川光三君 私は、ただいま議題となりました恩赦法の一部を改正する法律案につき、自由民主党を代表いたしまして賛成をいたすものであります。  申すまでもなく、現行恩赦法は、時代の要請に即応して、昭和二十二年、同二十四年、同二十七年と、三度改正を加えられて参りましたが、さらに、その適正を期するため、内閣の諮問機関として、恩赦審議会を設置いたしますることは相当と存じまするので、本法案賛成いたします。
  208. 亀田得治

    亀田得治君 私もこの法案賛成いたします。  若干、理由について申し上げたいと存じますが、戦後の民主主義の立場を徹底して考えますと、三権分立という建前は強く守らなければならないと存じます。三権がおのおの国民を代表して仕事をしているわけでありまして、従って、たとえば裁判所が一たん下した判決、それに対して恩赦という制度によって、行政権がそれに対して変更を加える、こういう場合につきましても、それはあくまでも行政権の恣意、独断ではなく、広くこの民意を代表した立場で運用されなければならないと存じます。恩赦制度そのものについての問題等もあるようですが、今はそういうことは別として、いやしくも、この制度を運用する建前としては、今申し上げたようなことでいくべきだと存じます。そういたしますると、当然私は、こういう制度の運用のためには、ただいま御提案になっているような審議会の制度、こういうものを諮問機関として当然設けておくべきであると存じます。まあ従来の恩赦を実行した経過等を私ども顧みましても、必ずしも適正にいっておらない場合もあるのではないか。まあ、いろいろその点の見方はあるでしようが、やはり相当世論の批判等も受けた問題もあるわけでして、こういう審議会の設置によって、一つ今後はそういうことのないように期待するわけです。従って、そういう審議会をせっかくお作りになるわけですから、できるだけ公正な民意が審議会に反映されるように、そういうふうにこの審議会のメンバーをきめなければならないと思います。  で、御提案になっているこの審議会のメンバー七名、まあこの中で、いろいろ私ども若干疑義を持つものもあるわけですが、しかしまあ、これにかわるものとして、しからばどういう方法があるかということになると、なかなかむずかしい点も考えられます。そういう立場から、一応この原案のようなメンバーについては一応の賛意は表するわけですが、しかし、どうもこれだけでは偉い人ばかりでありまして、何かはんとうの民意を反映させるという点で欠けるものかあるのではないか、こういう感を非常に深くするわけであります。こういう点について、一つ将来この制度が設けられましたならば、直ちに一つ政府の方においてはその点についての検討を十分やってもらいたい。こういうまあ希望を添えて、一応このメンバーについては私も了承したいと存じております。  以上のようなわけでありまして、ぜひこの案を通すに当りまして、付帯決議を一つつけたいと存じます。  付帯決議の案文を朗読いたします。    恩赦法の一部を改正する法律案    附帯決議   恩赦制度の精神にかんがみ、政府  は、恩赦法の運用に慎重を期すべ  きは勿論、審議委員の構成等につ  いては、民意を十分反映させうるよ  うに検討すべきである。   右決議する。  以上でございます。
  209. 後藤文夫

    後藤文夫君 緑風会を代表しまして、私は本案賛成の意を表します。  かような審議会が設けられることによりまして、一般の恩赦、大赦及び政令による恩赦というものが慎重に行われ、国民がこれに対しまして疑惑を差しはさむことがないようにするということは、きわめて適切なことであると存じます。さような意味で本案賛成をいたします。
  210. 青山正一

    委員長青山正一君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行います。  恩赦法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  211. 青山正一

    委員長青山正一君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました亀田得治提出の付帯決議を議題といたします。本付帯決議案を当委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  212. 青山正一

    委員長青山正一君) 全会一致でございます。よって本付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。  なお、委員長口頭報告報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  それでは、本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     大川 光三  一松 定吉     棚橋 小虎  秋山俊一郎     雨森 常夫  大谷 瑩潤     小林 英三  亀田 得治     藤原 道子  後藤 文夫
  213. 青山正一

    委員長青山正一君) 次回は明二十四日午前十時、検察及び裁判運営等に関する調査議題といたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十二分散会      ―――――・―――――