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最高裁判所長官代理者(
關根小郷君) 今、棚橋
委員のお
問いの点は、位野木調査課長がお述べになったと同様に
考えておりますが、ただ、われわれの見方を申し上げますと、現在
弁護士の方が
裁判官におなりになるのに、特に長官とかあるいは
最高裁の
裁判官とか、たとえて申し上げますれば、自動車がついている地位とかそういった、
名前が非常にいいとかそういった点がなければお入りにならない、結果論を申し上げますと。こういうことがなぜ出てくるのかという点の
一つの
理由といたしましてつけ加えて申し上げますと、何と申しましても、
裁判官になりますると、自分で判決を書かなくちゃならぬ、その判決を書くのにかなり習熟して参りませんと、なかなかできないという点が
一つのむずかしい条件じゃないかと思うのです。これは要するに、
裁判書の問題につきまして、外国の例を調べてみますると、大体法廷で言い渡すだけで
裁判書を作らないでする国がかなりあります。そういうことになれば、非常に
弁護士の方から
裁判官になられても、双方の言い分を聞いてそこで直ちに
裁判をするということができる、そういったいわゆる何と申しますか、長年修練を重ねなくても判決を言い渡すことができるといったことも
一つの
理由かと思います。こういう点は、いずれは訴訟手続を変えまして、あるいはそういった方向に進み得るのではないかということも
考えられます。それからなおもう一点、将来の動向といたしまして、御
承知のように、
司法研修所ができまして十年でございますが、この研修所では御
承知のように、
裁判官、
弁護士、
検察官の卵と申しますか、そこの土台を経て三者の道に進むわけでございますが、共通面ができております。そういった研修所を出ました方がもう二千人をこえております。そういったところから
弁護士になられた方も相当ふえておりますので、研修所で研修を終えました方は、
裁判官になりましてもかなり仕事が楽にできる。将来の見通しといたしましては、そういった
意味合いから、
法曹一元が割合にスムーズにいくのではないかという見通しが立ち得るのじゃないかということも申し上げていいのかと思います。