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1958-04-22 第28回国会 参議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十二日(火曜日)    午前十一時二十六分開会   ―――――――――――――   委員異動 四月二十一日委員大谷贇雄君塩見俊 二君、吉江勝保君、秋山長造君、高田 なほ子君及び大和与一辞任につき、 その補欠として中野文門君、苫米地義 三君、伊能繁次郎君、中田吉雄君、清 澤俊英君及び赤松常子君を議長におい て指名した。 本日委員伊能繁次郎君、中野文門君、 成田一郎君、田中茂穂君、清澤俊英 君、中田吉雄君、赤松常子君及び岡三 郎君辞任につき、その補欠として吉江 勝保君、川村松助君、大野木秀次郎 君、最上英子君、高田なほ子君、秋山 長造君、大和与一君及び吉田法晴君を 議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     湯山  勇君    委員            野本 品吉君            三浦 義男君            竹中 勝男君            常岡 一郎君           大野木秀次郎君            川村 松助君            下條 康麿君            苫米地義三君            林屋亀次郎君            吉江 勝保君            吉田 萬次君            秋山 長造君            岡  三郎君            高田なほ子君            松永 忠二君            大和 与一君            吉田 法晴君   委員外議員            吉田 法晴君   衆議院議員            秋山 長造君            岡  三郎君            高田なほ子君            松永 忠二君            大和 与一君            吉田 法晴君            渡海元三郎君   国務大臣    文 部 大 臣 松永  東君   政府委員    法務省人権擁護    局長      鈴木 才藏君    文部政務次官  臼井 莊一君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    警察庁警務局長 荻野 隆司君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教職員勤務評定に関する件) ○義務教育費国庫負担法等の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○公立義務教育学校学級編制及び  教職員定数標準に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○盲学校ろう学校及び養護学校への  就学奨励に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○農業又は水産に係る産業教育に従事  する国立及び公立高等学校教員  に対する産業教育手当支給に関す  る法律の一部を改正する法律案(衆  議院提出)   ―――――――――――――
  2. 湯山勇

    委員長湯山勇君) これより文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  昨二十一日、大谷贇雄君秋山長造君、高田なほ子君、大和与一君、塩見俊二君及び吉江勝保君が辞任され、その補欠として、中野文門君、中田吉雄君、清澤俊英君、赤松常子君、苫米地義三君及び伊能繁次郎君が選任されました。また本日、伊能繁次郎君、成田一郎君、中野文門君、田中茂穂君、清澤俊英君、中田吉雄君及び赤松常子君が辞任され、補欠として、吉江勝保君、大野木秀次郎君、川村松助君、最上英子君、高田なほ子君、秋山長造君及び大和与一君が選任されました。  以上であります。   ―――――――――――――
  3. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 先刻開きました委員長及び理事打合会経過について報告いたします。  本日の審議については、まず、懸案になっております道徳教育実施に関する件及び教職員勤務評定について質疑を行い、午後は、義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案及び農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を行い、順次採決を行うことに、意見の一致を見ました。  なお、継続調査要求及び請願につきましては、明後日木曜日に行うことといたしました。  以上報告通り、取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。   ―――――――――――――
  5. 湯山勇

    委員長湯山勇君) それでは、まず道徳教育……。
  6. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの委員長報告について異議はありませんが、一点質問さしていただきたいのです。  これは、本日勤務評定の問題について、午前中やることになっているようでありますが、三月十八日の当文教委員会は、勤務評定について、それぞれ参考人をお呼びするということで、この間から問題になっているように、この点については、理事及び委員長にその後の措置について御依頼を申し上げておったわけであります。新聞で伝えるところによれば、きょう、東京都の教育委員会は、勤務評定についての話し合いを一方的に打ち切って、二十三日には実施段階に入る、こういうことが発表されているようであります。また、この問題については、御承知のように、当然トラブルも予想し得る。私たち勤務評定についての参考人から意見を伺いたいというのは、実施前に勤務評定立案経過内容実施方法、これらの問題について私どもとしてはいろいろ伺って十分審議した上にこのことは結論が出されるべきである。つまり国会審議権というものが尊重されなければならない、こういう建前で今日まで委員長初め各党の理事の方々も実は御苦労を願ったわけであります。  なおまた、先般の岸総理大臣は当然法律に基く勤務評定については、十分審議するのは当りまえであるということを言っておられる。ところが、ただいまの御報告の中には、すでにもう実施段階になっているのです。国会も終ろうとするのにこの参考人をお呼びするという問題については、何らその具体的な御報告がなかった。実施してしまってから、ばかみたような顔でかくかくでございますというようなことを伺っても、それは聞きおく程度のもので、国会審議とはおのずから別個の問題で、私ども報告を聞くのではなくて、あくまでもこの勤務評定を法的な立場から審議していく、このための重要な参考意見を聞く、こういう建前でありますから、この筋をはずすような運営をされたのでは、はなはだもって迷惑なことで、もしこの本島教育長木下教育委員長がお出ましにならないとするならば、過般私が出した第二の要求として、これらに関係ある者の意見をぜひ聞きたいということについてもこれは早急に措置さるべきであると思う。こういう点については具体的にどうなさろうとするのかお伺いしたい。
  7. 湯山勇

    委員長湯山勇君) お答え申し上げます。ただいま高田君から御質疑の件につきましては、先刻の理事会におきましても竹中理事より強い御発言がございました。で、その御発言内容は、ただいま高田君の御指摘の点とほぼ同じ内容のものでございます。その件について、今日まで交渉して参った経過並びに今日の時点、そういうことについて委員長の方から御説明を申し上げまして、結局現在の段階におきましては先ほどお話の中にも出ましたが、もし東京都の教育委員長及び教育長が出られない場合には、そのかわりの人を呼ぶという点も考慮に入れていろいろ折衝いたしましたけれども、御承知のような段階になっておりまして、そのことについてもなお現在確答できないという段階になっておりますので、理事会では十分協議いたしましたけれども、それ以上の進展が見られない状態でございますので、委員会報告は省略したような次第でございます。
  8. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも御苦心のほどはわかるのです。だがしかし、筋としては実施前にこの国会で十分に審議をしたいので、当然評定をする方の側の参考意見も聞きたいし、またしからざる場合には広く世間の御意見も聞きたい。こういう二つ内容を持っておるので、ただいまの委員長からの御報告によると、かわりもやむを得ない場合にはまあ呼ぶということも話し合ったが、現段階ではやむを得ないということになれば、私ども国会では実施前にこういう措置はとらないというのですか。そうすると、全くこれは今まで再々要求し、また委員長としても御苦心をされてきたが、何にもならないということになる。こういうような悪例委員会審議の上に残すということは、私ははなはだよろしくないと思う。これは一つの前例になるのです。都合が悪いからだめだという場合には、国会審議権なんというものは無視されていいという結論になる。私の主張は、実施前にどうしてもこの問題については片をつけてもらわなければ私どもの良心が許さない。幾らでもごまかすことはできるでしょう。だがしかし、勤務評定については、国会でもって論議されたということはこれはもう幾らも時間がない、そういうあいまいな形で教育者側最後まで話し合いたいというものを、一方的に教委側が打ち切っているという現状で、これで私どもは知らぬ顔はできない。どうしても実施前に何らかの方法で私たち意向というものが実現できるように、これは至急、日にちもないことでありますから、至急にこの実況方について促進をお願いしたい。実施後については私は申し上げません。
  9. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 高田君に申し上げますが、先般の御決定に従って、なるべく早い時期に先般御決定をいただいた参考人を呼ぶということについては、昨日も交渉いたして参りました。しかし、残念ながら御指摘のように非常に遺憾なことでございますけれども参考人という形では今日までの段階では実現を見ることができなかったわけで、もし御指摘のようなふうにぜひ早急に実現するということを委員会の意思でやろうということであれば、この段階においては証人喚問以外にはないと委員長は現在のところ判断いたしております。しかしながら、それがもし御決定をいただけないということであれば、なお先般の御決定の御趣旨に従って、なお今明日引き続いて参考人に出てもらうように要請を続けたい、こういうつもりでおります。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 なるべく早い時期というのは、そうすると実施前というふうに確認してようございますか。
  11. 湯山勇

    委員長湯山勇君) もちろんそのつもりで今日まで努力をして参ったのですけれども、残念ながら参考人というのは強制権がないものですから、どうしても向うが都合が悪いということになればそれを強制的に出す、出頭を求めるということは困難な事情にあることも一つ御了解願っておきたいと思うわけです。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは絶対に私は了解できません。審議権を何らかの事情があるという理由でこれを拒否するということは、それは幾らだってできるわけです。そのことに対して、国会がさらに積極的に委員会決定に沿ってこれは措置するということが、これは当然私は委員会運営としての建前だと思う。もしこれに反対する方があるとするならば、その反対論こそ私は政治的偏向だと思う。私どもは、少くとも当文教委員会は、教育中立ということを主張している以上は、当然国会審議権が重視されて、これは与党、野党を問わず教育中立のために一切の問題を捨てて、この積極的な方法を講じる、こういうような方法をとっていただきたいので、実施前にこれを実施するということについて再度私は委員長がこの委員会確認お互いにするように御提案をして、そうして再度本問題についての具体的なやり方というものを至急決定してもらいたい。もし、私は二つの案を出してあるのですから、どうしても教育長本島さんが出てこれぬというなら、せめて私は一方的に話し合いを打ち切られたという、いわゆる教員側意向というものもせめて聞いてしかるべきだと思う。聞いて悪いという理屈は成り立たないのです。評論家意見も当の相手側意見も聞いてしかるべきだと思う。なぜそういうふうな方途がおとりになれないのですか。
  13. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 今の後段の点につきましては、先般高田君から強い御要請がありましたけれども、これはいろいろ調べてみますと、委員会決定ということにはなっておりませんでした。そこで理事会でいろいろ協議した結果、木下本島両氏が出られないという場合には、その二人にかわって説明のできる人を呼ぶと、こういうところまでの決定委員会としていただいておるわけです。そこで、委員会決定に従って、まあ昨日まで努力をして参りましたのですけども、れ非常に遺憾なことですが、今日の時点はそういう事態になっておる。そこで委員長から何とか措置すべきだというお話ですけれども、大体御決定の線内では最大限の努力をして参りましたので、これ以上の措置をとるということになれば、やはり新たな御決定をいただかないと、私はできないというように考えております。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、新たな御決定をいただくつもりですか。私どもはきょうだって午後から四本の法律を上げる、これは非常に政府側協力している。また与党皆さん方とも議事を通して円満にかつ平常な形で委員会運営が行われるようにお互いに最大の協力をしてきたと思う。こういうようなこともあるのに委員会決定実施できないということは、やはり委員会自体としての私は決意が足りないんじゃないかという気がする。でありますから、委員長としては、これを再確認していただいて、具体的な措置実施前に講ぜられるようにしていただきたいということ、もう一つは、先般の私の提案は、これは委員会決定でないということでありますが、委員会提案をして、皆さん異議がないということになれば、これは私は委員会決定だと思うのです。私の提案というのは、そうすると何の決定なんですか。それは奇怪ですよ、委員長、そんはことはありません。
  15. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 記録によって調べましたところ、高田委員のはそういうふうな人も呼んでもらいたいという御要望である、委員会の議決ということにはなっておりません。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 この御要望に御異議ありませんかというふうにおっしゃらなかったですか。私はちゃんとそういうふうに聞いていた。御異議がないと言ったら、それは委員会決定じゃありませんか。私はそういうふうに思うのです。
  17. 湯山勇

    委員長湯山勇君) お答え申し上げます。それは提案としてはなされたのではなくして、要望としてなされておりましたので、提案ではなかったわけです。そこで、委員長としてもお諮りしていないわけです。
  18. 秋山長造

    秋山長造君 この参考人を呼ぶという問題は、今日まで私ども割り切れない気持を持ったままでずるずるべったりにきておるわけです。まあ、だれが考えても、もうきょうあたりが最終段階だと思うわけですね、呼ぶとすれば。私はこういうことを思うにつけてやはり三月の十八日にこれはもう理事会でも委員会でも満場一致の決定によって、そして教育委員長なり教育長を呼ぶということが確定しておったのです。それがきわめて不可解な事情によって十八日が流れた。そのときに私は、その間の事情に対してどうしても納得できないということで、ありたけの不満を委員長に対してぶっつけたわけです。しかし、その後私どもがいろいろな筋から聞くところによると、あの三月の十八日の決定しておった参考人を流したということの裏面には、文部当局が相当積極的に働きかけを行なったということを聞くのですね。で、その文部当局が一体だれなのかはともかくとして、文部当局がとにかく十八日の参考人を呼ぶということは困るということでいろいろな働きかけを行われたということを聞くわけです。で、一体そういうことがもし事実であるとするならば、私は許せないと思うのですがね、済んだことではあるけれども。許せないと思う。委員長は、そういう私が今お尋ねするようなことを承知しておられないかどうか、その点一つ御確答を願いたい。
  19. 湯山勇

    委員長湯山勇君) お答えいたしますが、今秋山君の御指摘になったような事実を私がこの目この耳で確かめたということはございません。ただ、そういう疑いがあるということについては、私も感じておりますし、またその疑いがあるということについては聞いたこともございますが、そういう事実を的確にと言われますと、そういう確認はしていないとお答え申し上げるより仕方がないのじゃないかと思います。
  20. 秋山長造

    秋山長造君 私きわめて重大なこれは問題ですから、文部大臣にお尋ねしたいと思う。  今私がお尋ねしたことは、お聞き下さった通りでございますが、一体かりにもですよ、かりにも国会委員会できめて事を運ぼうとする場合に、それについて関係当局がとやかくの、これは公式であれ非公式であれ、表面的であれ、裏面的であれ、とやかくの働きかけをしたり、特に事を予定通り運ぶための協力ということでなしに、逆にせっかくきまっておることをこわすための働きかけというようなことは、万々が一にも当局において行われるというようなことは、これは断じて許せないと思うのですが、その点について文部大臣はどのようにお考えになり、またどのような方針で臨んでおられるのか、この際明確にお尋ねしておきたい。
  21. 松永東

    国務大臣松永東君) 秋山委員お話は、私はどうも了解ができない。私どもが一体そういう委員会の御審議に対して、あるいは口をきくとか、公式であろうと非公式であろうとさようなことがあろうはずがございません。私の口からかようなことを申し上げては相済みませんが、若い時分から議会政治に接触いたしております。それは委員会でやられることなんかわれわれがそんなことを口出すなんということはあろうはずがございません。しかし私がないばかりでなく、私の承知しておる範囲内においては、私の部下においてもさようなことをしたことは断じてないと私は確信いたしております。
  22. 高田なほ子

    高田なほ子君 蒸し返してまことに済みませんが、納得がいかないから、再度お尋ねします。私の提案に対して委員長は次のごとく答えております。「ただいまの高田君の御意見も、この参考人を呼ぶ時期の決定等の機会につけ加えて御審議いただくようにいたしたいと思いますから、それで御了承いただきたいと思います。」これで御了承した。そこでその次いろいろありますが、最後の結びで、
  23. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御意見ございませんか。――それではこの件につきましては、松永君及び高田君の御発言通り理事会において検討するということについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 湯山勇

    委員長湯山勇君) そのように決定いたします。  これは委員会決定ですよ。でありますから、この審議するということを決定したその決定の次第については、理事会において検討するということになっておるのです。これは委員会で取り上げないというようなことはない、やはり理事会で検討することになっておる。ただ、その理事会が本問題について具体的に事を運ばなかったというだけのものであって、委員長委員会決定しないなんというのはうそですよ。
  25. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 高田君に申し上げますが、高田君のさいぜんの御発言は、他の人を呼ぶことが委員会決定になったという御発言でしたから、その点については決定していない、こういうことを委員会決定になっていないということを申し上げたので、理事会ではそこの決定通りこ取り上げて慎重に審議をいたしました。その経過については、すでに御承知のことと思いますが、理事会においては高田君の御意見通りに呼ぶということの決定には至らなかったのです。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  26. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記つけて。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 その点については、理事会でその通り協議をしたんですが、私たちがその席で話し合ったのは委員会決定されたような、決定されたというよりも、当初この立案に――案を作成するに関係した人たちを呼ぶことができるということであるならば、高田委員から出ている意見についても、あるいはわれわれとして了承を求められることができる、またそういうふうに努力をしよう、そういうことを理事会では私たち発言もして、そうして高田委員にも、もしもそういうふうな人が出席できて、そういう会議が開かれるということであるならば、すべてのことについてはしばらく譲歩もしていただきたいということを申し上げたのであって、従って現在その参考人が呼ぶことができなかったのでありますから、高田委員のその意見は、まだわれわれは理事会としては何ら了承もしていないし、当然今のような発言があって、この席で主張されるのは私は当然だと思うんです。
  28. 大和与一

    大和与一君 これは、委員長ばっかり責めてもいかぬじゃないかと思うんだけれども、ただこういうニュアンスの違いによって委員長並びに理事はその参考人を呼び出す力においてそこに誠意がなかったとか、力が弱かったとかと、こういう事実があるかということが問題だ、ほんとうは。それはただし、議事録による話だけであって、それ以外に出てこないのは理由があるはずだ。どこまで正確かわからぬが聞いておる者がある、それをあなた方が知っておるかということを聞きたい。しかし、努力はしておると――私はしただろうと思うんです。だけれども、出てこないという事実かある、しかも混乱は起りつつある。それに対して、文部大臣もこれは困ったと思っているんですよ。困ったんだったら、因ったというような顔だけしないで、実際に参考人が出てこないことが問題だから、出てきて文部大臣と御同席で一緒に話をしようじゃないか、何も詰問するんじゃないですから、そういうお気持になって文部大臣なり内藤さんなり、その人たちがもっと出てくるように慫慂して、そうして一緒に話をしようじゃないか、長い時間かからないでいいから、という誠意文部省としてお持ちになってもらいたいし、また委員会としては、もうきめてあることは間違いないんだから、あとのテクニックは別として、そこで一つ与党理事さんも一段のお骨折りをお願いして、何とか無理してでもこの二、三日中にお骨折りになってもらいたいというふうに考えますがね。
  29. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。    〔速記中止
  30. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 私は参考人を呼ぶということの、国会法に基くこれが非常に軽視されておるということを私は遺憾に思うんです。で、参考人決定したのはいつですか、それから幾日たっているんですか、これをまず私は委員長にただしたいと思います。
  32. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 最例参考人決定したのは三月六日です。幾日たっているかということは大体……。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 その三月六日に決定して、それから現在四月二十二日を迎えているわけですよ。その間にどんなに忙しい人間でも私は出てくる時間がないということはないと思う。これは明らかに国会における審議に対して、これは故意に応じないということに私はなると思う。ですから、証人という問題と参考人という問題については、今の委員長の言った点についても、私は法的に解釈すればわかりますよ。しかし、従来の慣例上参考人でみんな出て来ておる、出て来ておらぬというのは、よほど自分が悪いことをしておる人間以外出て来ないという事件はない。千葉銀行のときに三人召喚したが、頭が痛いとか、何とかかんとか言って出て来なかったが、やはりその次の段階には古荘氏は出て来ておる。だから私は今までに、過去の国会の実績に徴して、一月以上出て来ないというのは中気になったか、あるいはよほどの大病かでない限りはあり得ないと思うのですよ。だから、これを見のがしておくということは非常なる悪例を残すと思う。だから委員長が言ったように、証人でなければ呼べないということはないと思う。これは法的じゃなくして、国会という建前参考人として出て来ないということならば、東京教育委員会に押しかけて行って、そうしてその事情を聴取するということも私はやむを得ぬと思うのですよ。この前私が言ったように、午前八時でも、こういう場合私は特例だから、緊急にやったらどうかという意見を私は述べたが、特に明日予想されておるような、教育行政上に基くところの混乱というものが予想されるならば、事の是非、善悪よりも、これを何とかして一応とめるということの私は責任があると思う。それを文部省が、指導助言をする立場にあるものがこれを見過ごして、ほうって何らやらないというならば、この法律――勤務評定というものを審議すべき、また審議してきた文教委員会としては当然この教育行政上の問題について国会に緊急にこの出事情についてわれわれはつまびらかにする必要があると思う。だからこれは、今までの状態とは私は異なった新しい段階にあると思う。文部省がそのような指導助言というものを一方的に別の方向でやっておる限りにおいては、私は文教委員会がこの措置をとらざるを得ないと思う。だからそういう点で、明日どうしてそういうふうになったかについては、これは具体的に言うと、新聞情報だけですよ。だから私は、木下教育委員長本島教育長は、文教委員会意向をいれて出て来るべき道義的責任があると思う。だから、これは自民党の方の各委員も、国会運営上――参考人だから絶対に出て来ぬと、こういうことを見過ごすならば、あるいは将来において参考人というものは工合が悪ければ出て来ぬでもいいのだという慣例を作るならば、これは国会審議上非常に工合が悪いと思う。証人でないと出て来ないという、こういう風習を作る必要はないと思う。そういう点で、これはよほど悪いことをしている人間が逃げて出て来ないということの例はあったけれども、今までそのほかの例はないのだから、これは文教委員会自体でもう一ぺん再確認して、出て来るように私は慫慂すべきだと思う。明日でも出て来て、十分こういう状態であるということを話し合って、その審議に応ずべきだと思うのだが、この点については委員長の方として、証人でなければだめだと、こういう点ではなくして、新しい段階にきたのだから、一つこれを呼ぶというふうに各委員に諮ってもらいたいと思うのだ、これは提案です。
  34. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 岡君にお尋ねしますか、それは今おっしゃったように、証人としてではなくて、参考人としてあくまでも出頭させるようにここで再確認すると……。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 それができないときには、こっちから委員が直接行って、向うで事情を聴取すべきだと思う、こういう状況をお考えになったら。
  36. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいまの岡君の提案に対しまして、御意見のある方は御発言願います。
  37. 野本品吉

    ○野本品吉君 岡さんのおっしゃることも、一応それはありますけれども、事が今日に至りますにはこれはまあいろいろな複雑した事情もありますし、現に東京都の教育委員長教育長をこの混乱の中で委員会に招集するということは、私はそういうことは時期として適当でない、こういう考えを持っております。
  38. 岡三郎

    岡三郎君 文教委員会は少しも混乱しておりませんし、とにかく当該者がそういうふうな混乱の中に入ろうとしておるわけだから、これを未然に防ぐ手を打って、しかもそれでなお入るというならばまた別ですがね。人事を尽さなければ私はいかぬと思う。こういう点について、委員会は無能ですよ、この状態では。だからこれは、自民党諸君も参考人としては出来ぬということを一月以上も許しておくなんという悪例を今後残したならば、これはもう国会法を乱用して、あらゆる点について法を曲解しても何でもやれるというふうな風習を私は作る一つのきっかけになると思う。参考人だからこれを軽視して、証人だから重視すると、こういうことでは私は相ならぬと思うので、この点は一つ野本さんが今言ったけれども、まだ今混乱していないわけですよ。だから、あした混乱が乱想されるわけですから、それをいましばらく待って一つ十分話し合いができぬというならば、文教委員会が中をとってそういう事情を聞いてみるということは、私は重要な問題であるし、文部省自体もこういう状態の中においてはどういう指導助言をしてきたか知らぬけれども、とにかく一方的にやる、こういうことを見過ごしておくということは、私は相ならぬと思う。少くとも四月一ぱいにやりなさいと指導助言してきた建前上、できないと言われるかしらぬけれども、そういうことはないと思う。明日は二十三日で、何も二十三日にやらなければならぬというそれほど緊急かつもうこれをはずしたならばもうだめだというふうな問題ではないのですからね。こういう点について私は文部大臣意見を聞きたいと思う、その点について。指導助言をすべきですよ、文部省が。
  39. 松永東

    国務大臣松永東君) もちろん指導助言をしなければならぬ義務もあり、その権利もあります。しかしながら、委員会審議の進行について、私は特に指導助言をするということはどうかと思う。その結果だ、(「おかしいな」と呼ぶ者あり)その結果が、あるいはそういうふうなことにいくかもしれません。しかし委員長から、これはまあ非公式にこうせぬか、出て来るように勧めてくれぬかというようなお話でもあれば、これはまた別です。ところが私は、実はこの何というか木下さん、一ぺんやそこら会ったことはある、懇意でもなければ何でもないのですから、そういう関係の人に私がみずから進んで委員会参考人として呼ばれておるそうだから出ないかということは、言うこともどうかと思う。ですから、これは私は、スムーズに円満に一つ進行したいということはこれは念願しておりますけれども委員会参考人として出て来いと言うことはどうかと思う。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 今の、そういうことでなくて……、ちょっと質問が悪かったと思うが、二つあって、前段は委員長に言っておるので、これはあとで諮ってもらいたいと思うのですよ。私は、文部省が指導助言を勤評についてはずいぶんやって来られた。私から言わせれば干渉的なことが、ずいぶん多いと思う。そこまでやられて、こういう事態を迎えておるのに、あしたやらなければならぬという客観的な理由は私はないと思う。だからそういう点で、文部省の方がこういう混乱を一時的にでも抑えて、次善の策としてさらに話し合いを続けて、何も一年も二年もやれということでないのですから、いましばらく話し合いをしたらどうかというふうな指導助言を私はすべきだと思うのです これについて文部大臣はどうですか。
  41. 松永東

    国務大臣松永東君) よく岡さんの御主張わかりましたが、しかし御承知通り、何べんも繰り返して申し上げておるのですが、この勤務評定の問題は、特に都道府県の教育委員会がやっておる、私らの方は指導助言をする立場にあるにすぎない、これはもう御承知通り。しかし、せっかく法律ができている、その法律に従って各都道府県の教育委員会あたりがそれを実行しよう、実施しようということになっているやつを、私の方で、それは待て、それをやめろというようなことはそれはできません。でありますから、今日までもすいぶん、この問題については円満な解決をするように、いろいろ私は日教組の人々とも何回も会って話を進めてきました。
  42. 岡三郎

    岡三郎君 私は今、文部大臣に、教育委員会に対してやめろとか、するなとかということを言ってるのじゃないのです。教育委員会の方で勤評をやりたいという意思は私たちが拘束する必要はないのです、できないでしょう。しかし、こういうふうな状態で、あした混乱が予想されているときに、いましばらくこういう事態を回避してやっぱり真摯なる話し合いを進めて、その結果でもおそくはないじゃないかという指導助言が私は当然あるべきだと思うのですよ、文部省が。これこそ、客観的に見て何がどうということではなくして、事態はそこまで迫っているのだから、いましばらく話し合いをして、そういう事態を回避する中において、一つやれるだけやってみてくれたらどうか、こういう点が私は当然指導助言としてあるべきだと思うのですよ。それがないならば、もう文部省は私は要らぬと思う。こういう教育行政の重大な問題の中で、だからその点は、勤評をやめなさいと文部大臣から教育委員会に言うのじゃなくて、はっきりともう少し熱意をこめて、現場の職員とよく話をしてもらって解決の方向を見出だしてもらいたい、こういうふうな指導助言をすべきだ、こういう質問なんですが、この点はどうですか。
  43. 松永東

    国務大臣松永東君) 今日までいろいろ荒れないように、円満にいくよううに、もう何十回ですかな、話はしております。しておりますが、なお今でも何とかして円満に解決できないかというふうに焦慮もいたしております。焦慮いたしておりますけれども、今ここでこいつを待ったと、こいつをやめなさいというようなことは私の方から言えません。
  44. 岡三郎

    岡三郎君 そのやめなさいということでなくて、話し合いをしろということなんですよ。だから、私は文部大臣に聞きたいが、全国的に全部あしたやるということじゃないのでしょう、それを東京都が責任を負わされて、全国の教育長の協議会長であるし、教育委員会会議の会長であるから非常に強力な一つの責任感というものですかね、何かやらなければならないという立場に追い込まれて、本島教育長が言っているような、そういう強い印象を私は受けるわけです。だから、少くとも二十三日のあしたの事態というものは回避するということが私は好ましいと思う。だから、その点で話し合いを進めたらどうかということなんであります。今のところは、これは文部省がそういう一つの指導助言を与えて、暫定的にとにかくこの時期を回避して、次の段階に持っていくということを考えるべきだと思うのです。そういうふうなことを、最善の方途を尽すということはそういうことだと思う。もうあしたは何が何でもやって参るのはやむを得ないのだというようなことは、良識ある立場では私はとり得ないというように考えるわけです。だから、文部大臣もあきらめないで、とにかくあしたの事態というものは憂慮すべき段階だから、いましばらく情勢を見て、さらにその話し合いの中で一つ進んでもらいたい、こういうことをなぜ言えないのですかね。文部大臣は、今まで幾たびか言われたというけれども、今が一番重要な段階だと思う。私は今が一番重要だと思う。それでなかったら文部大臣は、混乱の起るのを座して見るばかりでなく、そういうことを好んで推奨しているというふうにとられますよ。
  45. 松永東

    国務大臣松永東君) これはもう岡さんが言われる通り、騒動の起きるようなことを好き好んでいるというようなことはとんでもない話で、そういうことはもちろん寸毫も考えておりません。ただしかし、私の承わっておる範囲によると、東京都の教育委員会と日教組の人々はすでに十数回相談をやって、何度相談をやっても平行線で一致する点がない、これではこれは仕方がないというふうに教育委員会の方があきらめをつけて、そうして際限がないことであるから二十三日にやろうということにきめた、そういうことを承わっておる。ですからして、これは私の方から指導助言をしてみたところで、とてもこれはおさまる問題じゃないというように私は考えております。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 そこまで文部大臣が言うならば、二十三日という日はだれがきめたのですか、だれが指導したのですか、私はそこまで言わざるを得なくなるので、私はそこを言いたくないから今までがまんしていたわけです。二十三日というあしたの日は、平行線をたどってきたものが、二十三日にやらなければならないという理由は私はないと思う。とにかく一週間置いてやっても事態の回避というものについてはりっぱに役立つと思う。だからこの点については、あしたの目の前にきておる段階において、もう一度二度指導助言をすべき立場に私はあると思うのですがね。どうしても文部大臣はそれをやらないのですか。とんでもないですよ、それは。
  47. 松永東

    国務大臣松永東君) 岡君のおっしゃられる二十三日ということはだれがきめたかとおっしゃるけれども、これは都道府県の委員会がきめたのですよ、それは私らの方は……。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 それは表の言葉ですよ。
  49. 松永東

    国務大臣松永東君) いいえ、表も裏もありません。私らの方で指導助言をして、こうしろ、ああしろということは、少くとも私に関する限りありません。ですから、初めから申し上げておる通り、私らの方ではあきらめて、それで都道府県の方で、二十三日、もうこれは仕方がない、というふうに決心したということを私は聞いておる。
  50. 岡三郎

    岡三郎君 そこまでくると、隣の内藤君が一番よく知っているので、私はそこまで問題を紛議させたくないからがまんしておったのですけれども、二十三日なんというのは強力な指導干渉ですよ。これは私はあとで、この問題が一応どういう方向をたどるか知らぬけれども、これはもう明確なる私は証拠をもって対決してもよろしいと思っておる。それは指導助言であるから、そういうようなやり方もいいと思ったが、二十三日を固執しなければならぬという私は理由はないと思っているのです、二十三日という、あしたの日を。だから、そういうことではなくて、今、文部大臣が言れわるように、その点はわれわれがすなおに解釈して、あしたに何も固執すべきものではない、こういうふうなことを考えてみたいと思うのです。そうした場合に、東京都の教育委員会に対して、二十三日をただむやみやたらに責任を感じて固執する必要はないのだ、ひとまずこの事態を回避して、そうしてなお話し合いをして、それからでもおそくはないじゃないか、というような指導助言があってしかるべきだと私は考えておるわけなんです。それを今のところを言うと、内藤初中局長の方で、これは明確に地方課長をやって――うづら荘における会合の内容については、逐一知っている、これは某教育長から聞いている。その前の日比谷の図書館における会議においてもそうなんだ。だからこういう点について、私はこういう事態を回避するためには、賢明なる文部省は、もう一度話し合いをしてみろという程度を言ったならば、なるほど文部省も指導力があると、こういうふうに解釈されると思うのです。だから、どうしても文部省がそういうふうな指導助言をしないというならば、私が先ほど言ったように、委員長に、文教委員会として参考人の喚問を、こういう状態になってきたら押しかけてでもこういう事情を聴取すべきだということを私は言わざるを得ないが、何とかして文部省の方でこの事態を回避する手はありませんか。すべきですよ。
  51. 竹中勝男

    竹中勝男君 大臣どうですか、指導助言……。
  52. 岡三郎

    岡三郎君 いや、それはすべきですよ。三十三日に文部省がこだわっていないというなら、なおすべきだと思う。
  53. 竹中勝男

    竹中勝男君 指導助言というのは、こういう瞬間にこそ指導助言ということが生きてくるのです。
  54. 松永東

    国務大臣松永東君) 指導助言はせんけりゃならぬということは、先ほど来申し上げる通りです。しかし、こういうことで二十三日ときまっておるものを、それを延ばせと、それを中止しろということが言える段階ではないと思う。今日まで何とかして協定してやるようにということで、われわれはそれを見守っておる。いろいろそういう方法もとっておる。しかしそれを延ばしてみたところが結局は同じことだからという話も聞いておる。ですから、それは教育長あたりがすでに数回も打ち合せした結果きめた、それで二十三日中に断行するということになったということを聞いておる。
  55. 岡三郎

    岡三郎君 それは文部大臣は、やはりそういう考え方は私は非常に悲しい判断だと思う。それは本島さんが、この前の段階からやれなかったから今度はやらなければならぬというふうに、追い詰められているというふうにわれわれは聞いておるのです。東京都がやるのをきっかけにしてやれという指導をしておるから、混乱が加重されている。そこまでいけば、文部省に対してわれわれは抗議をしなければならぬから、そうではなくてこの際はひとまずやめて、われわれもやめて、そういうことの起らないように、つまりあしたの事態を回避するために一応既往の問題は既往の問題として、現在の時点においてこれを回避するような方向を文部大臣にやってもらいたい。文部省が指導助言すべきだということを言っておる。東京都の教育委員会が招集されて、二十三日に、あしたに予告されたことはわかっておりますが、きょうの段階においては十分間に合うのです。だから、そういう点で同じことが行われるじゃないかと言われるのですけれども、やってみた結果として、それほど慎重にやったんだということを私はだれも悪いとは言わないと思うのです。だからもう一応親切に、ほんとうに教育的な立場においてこの事態の解決へさらに努力をしてもらいたい。こういう点は、非常に東京教育委員会に対してむずかしいかもわからぬが、とにかく最善の努力をやってもらいたい。これはなぜ文部大臣できないのですか。強制しろとは言っておるのではなくて、そういうことをやっていく必要があるということを言っておるのです。やるべきだと、強制じゃないですよ。それでもなお東京教育委員会がやるというならば、これは別ですよ。とにかく一応の措置をここでとるべきだと、こう言っておるのです。これはいかがです。
  56. 松永東

    国務大臣松永東君) 繰り返し申し上げておる通り、何とかして紛擾の起きないように解決したいというふうに考える、そのことは終始変っておりません。従ってまだまだ、仰せの通りあした変なことでも起っては大へんですから、ですからして私は善処するつもりでおるのです。
  57. 岡三郎

    岡三郎君 善処するつもりでおる、今、文部大臣の方で善処すると言われたわけですが、その善処の意味について、私はむずかしいことは言わないが、先ほど私たちが言ったように、とにかくこの事態を回避するように最善の努力を願いたいという内容は、とにかくあした話し合いをしろということになると思うのですが、その点はどうですか。
  58. 松永東

    国務大臣松永東君) その善処という意味は、話し合いを勧告するとか何とかいう意味とは別なんです。どうすればいいか、どういうふうにしておさめればいいかということについて最善の努力をしていきたい、こういう考え方なんです。
  59. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、具体的にもう少し文部大臣、今の内容説明願いたいと思う。
  60. 松永東

    国務大臣松永東君) できれば今の本島教育長あたりとも一つきょうでも会ってみて、そして一つどういうふうな情勢になっておるかということもよく聞いてみて、そして一つ善処してみたいと思います。私は実は、最近本島教育長あたりとも会っておりません。だから、一つきょうあたり会ってみまして、どういうふうになっておるか聞いてみようと思っております。
  61. 岡三郎

    岡三郎君 その言葉は、善処するということは、事態を回避するために善処する、こういうことですね。それ以外にないと思う。それでよろしゅうございますね。
  62. 松永東

    国務大臣松永東君) なるべく紛擾の起きないように、混乱を生じないように一つ努めたいというふうに考えております。
  63. 岡三郎

    岡三郎君 どうもそこのところがはっきりしないのだ、前のところは私も同感だが……。結局あした勤評を実施することはやめさせるということですか、指導助言をする、監督をするということで……。
  64. 松永東

    国務大臣松永東君) 岡さんの仰せの通り強制力は何もないのですから、やめさせるということを私が言えるはずはないし、肝心のやっておる方は都道府県、これが立役者です。私の方はわき役です。だから、従って、指導助言はいたしますけれども、指導助言をいたすのと、さらにまた何とか紛擾の起きないように一つ努力をしてみたい。何せ相手のある仕事で、事は重大な問題で、あなたの方からこうせいとおっしゃっても、おっしゃる通りできるかできないか、これから先の問題、その情勢によっての問題、とにかくそうしたいまいましい問題が、事は教育に関する問題ですから、起きないように最善の努力を尽してみたいといううに考えております。
  65. 岡三郎

    岡三郎君 きょうはまたばかに文部省の方としては、指導助言というやつがずいぶんたよりないようなことを……、今まで聞いておるところでは、非常に強力な指導助言をしておられるような状態が、こういう問題については非常にたよりないのです。今、文部省が善処するということは、ここまで行ったら、大臣の方でとにかくこの事態を避けるために善処するということの内容だと思うのです。だから、この事態を避けるために、両方の話し合いが決裂する、こういう事態になっておるのですから、とにかく明日でも話し合いをして一応この事態を回避した中において十分話し合いをしてやる、こういうふうに指導してもらって、それでも聞かなければこれはやむを得ぬと思う。そういうふうに指導していただけますか。
  66. 松永東

    国務大臣松永東君) 私が新聞で承知いたしておる範囲では、もうすでにこれは協調はできないというので物別れになっておる、そうしていよいよ両方とも平行線は平行線として進んでいく、こういうことになった、こういうことは新聞で見ております。その内容がどんなふうになったのか、そういう点をよく一つ詳細にきのうまでの問題あたりも確かめてみたいと思っております。そうして、繰り返して申し上げますが、不祥事の起らぬように、そうした紛擾が起きないように一つ何とか努めてみたい、こういうふうに考えております。
  67. 竹中勝男

    竹中勝男君 岸総理も文部大臣も、平行線で進んでおるからこれはどうにもならぬという、それだからこれは強行する以外にはないという結論なにっております、これは冷静に聞いてみて。どうしても平行線だから、教育委員会教育長とそれから日教組あるいは現場の学校の先生たち、いわゆる教育を担当しておる側と教育の行政をやる側とが平行線になっておるから、これはどうしてももう話し合いの余地がないというのが文部大臣並びに岸総理のこの間からの返事なんです。ところが、そのために文部省というものが、文教当局というものがあるのです。その二つの平行線のその上にもう一つ高い段階に日本の文教行政の責任を負っておる文部省があるのです。だから、文部省自身は平行線であるから仕方がないそれでその中のAが二十三日と決定したのだからそれはもう仕方がない、こっちからは助言しても仕方がない、こういう考え方はそれは文政当局としては、無責任だと思うのです。その混乱の起きそうな、すでに非常な非劇が起っておる。これをすら日本の文教行政の最高の責任者が見て見ないふりをして、平行線だから仕方がない、激突させるよりほかない、こういうふうな判断に立っておると解釈していいのですか。
  68. 松永東

    国務大臣松永東君) 先ほど来、だから繰り返して言っているじゃありませんか。何とか激突のないように円満におさまるようにしたいということを、今日までも努力をしてきたが、その努力をまだ続けていきたい、こういうふうに私は覚悟いたしております。
  69. 岡三郎

    岡三郎君 そこまでいくならば、とにかくあした話し合いをするということが一応事態を回避することになると思うのです。だからそういうふうにして、とにかく話し合いをあしたするというふうに指導をするということですね、文部大臣は。
  70. 松永東

    国務大臣松永東君) ああしろ、こうしろと御下命ありましても、その通り私がやれるものじゃございません。御承知通り、なるほど私の方は文部省です。文部大臣です。しかしながら今、竹中さんも仰せられた通り、お前さんの方ではちゃんと指導権を持っておるから、それでその上におるんだから、ぴしゃっと平行線はおさまりがっくんじゃないかというお話、そのくらい文部省が権力を持っておればわけないことです。ところが、指導助言というのはそれほどの権力じゃありません。ですから、指導助言をやってみて何にもならぬ指導助言をやっても仕方がありません。今日までの情勢をよく本島教育長あたりから聞いて、確かめて、そうして適切な措置をとってみたいということに考えております。
  71. 松永忠二

    松永忠二君 今の問題については、特に東京都のこの問題に対する文部大臣の善処の仕方、こういうものが実は各都道府県に非常に影響があるわけです。ともかくこういう事態のこういう収拾の仕方というものを相互にやはり考えていくべき問題があるということについても、そういう機会を与える非常にいい機会だと私は思うのです。従ってぜひ一つ、この問題については、先ほど岡委員から具体的にこの問題についてある程度御答弁もいただきたいと思って努力をされておるようでありますか、十分にそこまでのことはできないようでありますけれども、ぜひ一つここのこの場の処理のいかんというものが非常に影響するところ多いということを……。実は私の県あたりでもこういうような問題がすでに起つておる。この問題の処理について、やはり何らかの方法がなかろうかということが考えられておるわけなんであって、東京都のせっぱ詰まったこの情勢における回避の仕方というものが非常な影響を及ぼすことを、一つぜひお考えをいただいて、指導助言の最も効果が上るような処置をぜひとも私たち要望申し上げたいわけなんです。ぜひ一つ十分な御努力をお願いをしたいということを私としてもお願いするわけなんです。
  72. 松永東

    国務大臣松永東君) 皆さんの異口同音の御主張は私も同感であります。何とかしてこういう問題をスムーズにいくように解決せんければならぬ。事は教育の問題であり、事は児童の利益に関する問題であります。ですからして、何とか善処しようと考えております。さればといって、ここで岡さんの言われる通り、それじゃこうせい、そうせいとおっしゃってみたって、そうはなかなかこれはいけるかどうか疑問なんです。ですから、とにかくいずれにせよ相当に良識に富んだ、教育行政のことをかみ分けたそれぞれの人々が、あるいは日教組の方もあるいは教育委員会の方も教育長の方もそうした考え、われわれと大して違う考え方じゃないと思う、そういう考え方に基いて今日まで折衝してきておられるようですから、松永委員仰せの通り、できるだけの努力一つやってみたいと考えております。
  73. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ただいま吉田君から委員外議員として発言を許されたいとの申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  75. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記を始めて。
  76. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 今の岡君あるいは同僚議員から御質問でございました点でありますが、文部大臣はあした以降、混乱が起らぬように、あるいは激突が起らぬように、文部大臣の持っておる指導助言の権限を使いたい、こういうお話、そういたしますと、これは岡君の言います激突でなくって、話し合いという方法を含んで、激突あるいは混乱を起さないように努力したい、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。  それからもう一つ、第二点は、事教育の問題に関して、道徳教育の問題についても、あるいは勤評問題についても、教育委員会の権限の問題であるけれども、何でもかんでも、教育委員会が、一方的に方針をきめて押しつけると、こういうことでいいとは自分は考えない、これは、教育委員会が、あるいは教職員教育活動を求めるにしても、これは、憲法なりあるいは教育基本法なり、民主的な教育制度の建前に従ってやるべきであって、それには教職員の納得と協力の上にしか実施はできない。従って教育委員会の一方的な押しつけで、混乱を起し、あるいは激突を起すような事態は避けたいと、こういう意向も含んで、大臣としては今のような御答弁があるものと理解をするのでありますが、その通りかどうか、重ねて一つ御答弁願います。
  77. 松永東

    国務大臣松永東君) 吉田さんのお話ですが、これは話し合いでいくことができないので、そうして物別れになったと、こういうことを承わっております。これは、私の聞くところによると、どうしても話し合いがつかなかったということを聞いております。そこでこれを、いま一ぺん一つ教育長あたりに聞いてみて、相談をしてみて、そうしてどういうふうになっておるかという事情を承わった上で善処したいということは、さっきから申し上げておる通りであります。  それから後段のお話の、委員会が一方的に押しつけて、そしていくよりも、みんなの納得の上でやっていく方がよろしいじゃないか、これはその通りです。民主主義に徹していかなきゃならぬということも承知しております。しかしながら、何せ、大ぜいの仕事でございますから、そのうちに一人や二人、大ぜいの人々の反対のあることは、これは当然やむを得ないことだと思います。ですけれども、すべては、やはり民主主義に徹して仕事をやっていくということが、これは最も好ましいことである。またそうせなけりゃならぬことだと、こう考えております。
  78. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 納得の上にしか協力が求められぬ、あるいは民主的な教育は、教育を担当しております教職員の納得と力の協力の上にしかできないと、こういう点をお認めになるならば、勤評問題についても、それから前に問題にいたしました道徳教育の問題にしても、これは教職員の納得と協力を求めなければできない、その納得こ協力が求められないで、一方的にやろう、こういうことを勤評問題については東京都の教育委員会その他やろうとしておる。そこで問題が起っている。で、あなた、話し合いができないと、こういう状態だと、新聞で承知しておるとおっしゃるけれども、たとえば四月一日なら四月一日から実施しようという問題も、これは話し合いでもって、入学式当初の激突というものは避けられた。これは、やはり話し合いをしなければ納得と協力とは得られません。そうすると、これは、ここでそうしなさいとは申し上げませんけれども、あなたが、実情を聞いて、激突を避け混乱を避けたいと言うならば、これは話し合いをする、あるいは話し合いをさせる以外にはないのじゃないでしょうか。だから、あなたの言われる納得と協力の上に民主的な教育行政をやっていきたいというならば、教育を担当している教職員の納得とやはり協力が得られなければ、民主的に実際には進まぬでしょう。その事態が、現実的にも出ておる。実情を聞いて激突を避けたい、あるいは混乱を避けたいというならば、これは何らかの形において、話し合いをする以外にない。だからして話し合いをさせなさい、あるいは話し合いをしなさいということを申し上げる。その通りにいたしますということはできないかもしれないけれども、しかし何らかのとにかく話し合いをしなければ、納得が得られなければ、これは話し合いをする以外にない。そういうことを含んで事態の激突なり混乱を避けたい、こういうことになるのではなかろうかと思うのですが、重ねて一つお伺いいたします。
  79. 松永東

    国務大臣松永東君) どういうふうな方法をとるかということは、本島教育長そのほか関係者と会ってみて、今日までのいきさつ、それをよく承わった上、善処したいと存じますが、私は吉田さんの仰せられるように、この問題は一体そんなむずかしい問題と、私は考えていないのです。一体その勤務評定の問題でも、道徳教育の強化の問題でも、何も目にかど立てて、はち巻ねじ上げて、わんさわんさ、闘争とか何とかいう言葉で、激突するという問題とは私は考えておらない。従ってどういう方法をとるかは別といたしまして、きょう本島教育長あたりとも会いまして、そうして一つ善処してみたいと、そのやり方については、またどういうふうな方法をとるかということは、今日までの経過等についても判断をいたしまして、善処したいというふうに考えております。
  80. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) むずかしい問題じゃない、簡単な問題だと、こうおっしゃるけれども、しかし全国の教職員のほとんど全部と申し上げていいほど、まあ、あなたにすれば、一部賛成があるということは言われるかもしれませんけれども、圧倒的な多数が、教職員なら教職員のほとんど全部に近いものが、勤評問題について反対している。あるいは道徳教育の問題について反対をしている。これは御存じでしょう。それから、あるいは教育関係の学者の中でも、これについては反対をしている、あるいは疑義があるということを申し出ているのも、これも御存じありませんか。問題がないという工合にあなたはお考えになっているのですか。教職員全部がこれを実施をすることについて賛成をしている、納得をしている、そうして納得の上に協力をしようという工合にお考えになっておりますか。それとも反対をしている、あるいは教育関係の学者にしても、反対をしているということは、これは御存じじゃありませんか。
  81. 松永東

    国務大臣松永東君) 吉田さんのおっしゃる通り、反対している人もかなりおりますよ。しかし、われわれの主張に賛成する人もたくさんおりますよ。ですから、これは一応看貫に付してみるわけじゃありませんから、わかりません。要するに、ひいき目、ひいき目でござりましょうが、私らの主張が、なるほど無理からぬという人もたくさんおります。ですから、それはやはり確執というものは、こういう大きな問題になると、一面において反対する人もあれば、一面において賛成する人もあるのですから、一がいには私は言えぬと思う。しかしいずれにせよ、あすに迫った問題でございますから、こうした問題に一つ最善の努力をしてみたいという工合に考えます。
  82. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 賛成するものは、これは自民党は賛成しておられるのだから、あるいは建前の上からいえば、相当のものが賛成しているということは言えましょう。しかし私が開いているのは、教育の関係者の中で、教職員について、ほとんど全部に近い教職員が反対している、これは事実じゃございませんか。あるいは教育関係の学者において反対があることも、これは事実じゃありませんか。それは御存じじゃありませんか。もしこの文部省なりあるいは文部大臣意向について賛成するものがあるとしても、それを一方的に文部省、役所が、教育行政の中央の官庁がこうやりたい、こういう考えを持っておっても、それを一方的にやる建前になっておらぬのが、民主政治じゃありませんか。あるいはそれをほんとうの納得を得てやっていくというのが、民主政治じゃありませんか。納得とそれから協力の上に、文部行政をやっていきたいというならば、先ほど言われるような、これはその当事者、やる者の納得を得なければ、これは実際に実施するわけに参りますまい。そこで文部官僚の考え方と、それから教育担当者の考え方が反対だ。反対だから、そこで強行をすれば混乱が起る、あるいは激突が起るかもしれぬ、そこでそれを避けるにはどうしたらいいか、こういうことであるならば、これは話し合いもし、あるいは納得と協力を得られるように努力をさせる、あるいは努力されることが必要だと、こういうことを言われるのじゃないでしょうか、それならばあとの方のことを言われるならば、前の方の意見が分れている、あるいは反対意見があると言っておるが、これはお認めにならざるを得ないと思う、そうでしょう。
  83. 松永東

    国務大臣松永東君) どうも吉田さん、全部納得させなけりゃ施行することができないということになっては百年河清を待つ……、何年たったってできやしません。しかしそこにお説の通り了解を得るように、納得させるように一つ懸命の努力をやってみるつもりです。
  84. 高田なほ子

    高田なほ子君 百年待てとか、五十一年待てという問題じゃなくて、これは大臣もおわかりだと思いますが、あすの急迫した事態を何とか解決できるように御善処願いたいというのが、これはむしろわれわれはこの場になると辞を低うして、この教育の混乱を防ぐために大臣の特段の御決断をお願いしておる形なんです、きょうは。そこで実情を調査してから善処をしたいと、こうおっしゃっておりますね。本島教育長に会って実際をよく調べてから善処したいと、こう言っておられる。善処の結果、私たちが期待するのは、あすの混乱をどうかして回避させたい、これだけなんですよ。ただあげ足を取るつもりはありませんけれども東京都の実情というものは、すでに文部省では調査済みだと思うのですよ、大体御調査済みだと思う。さらに御調査済みでももう一ぺん一つ調査願いたい要点は、教員組合の方の昨晩のラジオのニュースによると、私ども最後まで話し合いを捨てない、最後まで誠意を持って話し合いを続けていきたい、こういうような態度を持っておるわけなんです。ただしかし文部省は、初めからこの話し合いというものは拒否するようなふうに御指導になってきた、初めから話し合いをせいという御指導ではなくて、団体交渉権がすべったのころんだのといって、法的な根拠に名をかりて話し合いを避けさせるような方向に御指導になったということは、これは遺憾だと思います。しかし私は、今そのことについて責めようとは思いません。ただ、この四月の十二日に「教職員の服務等について」という通達が都道府県教育委員会殿、内藤初中局長の名において出されておりまするが、これは五項目にわたった教育委員会に対する要請でございますが、これは資料を要求しておったが、きょう出ておりませんが、これを見ますと、みんな強硬に措置をせよとか、厳正な措置をしろとか、服務条件を乱したときはこうだとか、二十三日には教員の集会の場所、それから何時に始めた、こういうようなことまで一々こまかい項目をあげて非常にむしろ強圧的な御通知がいっているようであります。こういう通知がいっている矢先でありますから、これは文部大臣、よほど御決意いただきませんと、このあすの事態を回避するということは、しかく困難ではないかと思います。大臣にきょうは心からお願いしたいのですが、それについて質問いたしません。心からお願いしたいことは、あすの混乱の事態をどうか一つ回避させていただきたいという、ただこの一言に尽きるわけです。御承知のように、尾崎先生が教育庁の前で切々たる遺書を持って自殺をはかられた事件が朝日新聞、読売新聞で報道された。私どもも何ともいえない気持になりました。この問題については、あとで時間をちょうだいして私もまた当局、各方面から御意見を聞きたいのですが、これは長谷川都教組の委員長にあてられた遺書、ここにはこういうふうに書いてあるのです。  「長谷川さん、考え方によれば、闘争の手段に生命をもてあそぶようで、甚しく卑劣な行為のようにも思われます。」その次「しかし、時の流れのテンポがあまりにも早く、権力の力があまりにも大きく、大衆は真実を知ることあまりにも遠い場合には、このような非常手段をとることもやむを得ないのではないでしょうか。」  こういうふうにですね、非常な決意をもって、あまりにもテンポが早過ぎる、自分としてはもう訴える手段もない、自分の命をかけて、これはこういう事態を回避して、最後まで話し合いをしたいという気持が切々として述べられているのです。私はこの先生の問題については一つの問題としてではなくて、すべての方々が今こういう切ない気持を持っているということ、たとえ文部省内藤さんがどのような御通達をお出しになろうとも、御指導をお出しになろうとも、それは文部省の権限において自由だと思うのです。しかし文部省の権限は、こういう困難な事態を何とかして食いとめるというやはり私は使命を持っているのじゃないかと思うのです、いろいろの通達の出たあとに、大臣が今東京都に行かれましてこの事態を回避なさろうとすることはしかく困難で勇気が要るのです。勇気が要ると思うのですけれども、どうかこの二十三日に不測の事態が起って、つまらないことで犠牲者が出たり、またこうした命をかけた先生の気持というものが無視されることがあったならば、おそらく私は今後いろいろな意味での歴史に悪影響を持つのじゃないか。私はきょうお願いする、どうかあすのこの事態をあなたの決意で回避することができるように、勇気を持って一つ御善処願いたい。これはもう繰り返し申し上げる以外にない。きょうはお願いします。
  85. 松永東

    国務大臣松永東君) 高田委員のお気持と私の気持も変りゃしないのです。何とかしてごたごたの起きないように善処したいというふうに苦慮しておる。私はですよ、大体この職についてから、ここはと思ったのはそう大してないのです。あなた方に猛烈な質問をしていただいても、私は何とかかんとか、これはまあ思いの通り動いてきているのですけれども大したことはないのです。しかしあすの事態については、これは何とかして一つ激突とかなんとかということのないようにしたいと一生懸命なんです。ですから、実はきょうもこれからすぐ、おっしゃる通り私はこの委員会が済めば一つ飛び出して行って、今日までの経緯や何や聞いて、そうして万全の策をとりたいと思うのです。ただその万全の策というのは、吉田さんや岡さんあたりが言われる通り、それじゃ一つこうするのがいいじゃないかとおっしゃるけれども、その通りにはいかない。(「話し合いして」と呼ぶ者あり)話し合い通りにするかどうかということは、よく私が実情を調査した上で効果があるかないかというようなことも何も考えなければなりません。そうして今日までのいきさつもよく一つ調べた上でなければできない、その上で一つ何とか善処してみたいと思います。
  86. 高田なほ子

    高田なほ子君 お気持はよくわかりました。ただもう一度私が発言を求めたのは、大臣のそういう御決意というものは、容易ならざる段階に立っておるので、ほんとうにこれは勇気を持ってやっていただかなければならない。このためには教育長の御意見を聞くのには、よほど慎重に御意見を聞いてもらわなければならないわけです。なぜならば、今日までの文部省は強硬にこれを実施するように指導してきた。何でもかんでも実施するように指導してきたんです。時に犠牲者は出てもかまわないというような態度で指導してこられたのです。こういう指導のその結果に、大臣が行って、この指導は誤まりだったということはおそらく言えないと思うのです。でありますから、今日の経過もあることでありますから、よほどこの点をお含みになって、ほんとうに旬日の事態が回避されるように責任を持ってやっていただきたい。  私は歴代の文部大臣の中で、おせじではありませんが、松永文部大臣を非常に尊敬をしている。けれども、大臣に欠けたところは、やはり私は最後の決断じゃないかと思う。政党に所属していられる大臣としてはやはりその政党の政策に従わなければならないこともあると思う。けれども、わが国の歴代の文教行政の中で教育の民主化のために命をかけた文部大臣がありますか。小くとも下部末端の善良な優秀な教師が死をもってこの勤務評定の強行実施に対して抗議をしているときに、教育行政の任に当たられる文部大臣も当然政党所属という立場はあられるかもしれませんけれども、あなたの良識とあなたの決断にかけて明日の紛争を最後まで回避できるように責任を持って御善処願いたい。このことは私の心からのお願いです。
  87. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 高田さんの質問に関連をして文部大臣に伺いますが、死をもって抗議しようとせられた尾崎教諭の遺書、特に木下教育委員長あての遺書というものをごらんになったでしょうか。
  88. 松永東

    国務大臣松永東君) 拝見しておりません。
  89. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) これは死を決意してそうして発見されたきにはすでに九死をされておって、医者にしてももう九分通りは助からないだろうと診断をされた人ですから、遺書はこれはほんとうに死をかけた遺書です。問題が、教育行政に関します問題を文部大臣が見ておられぬというようなことは、大へん私は残念に思います。でも、まあ読んでおられなければ仕方がございませんから、私がかわって、全部ではございませんが、その大事な点を読み上げます。  木下教育委員長あての遺書の中にこういう言葉があります。  「尊敬している人に失望したとき人間がこんなにもろくなるものか驚いています」、こういう言葉があります。   それから「私たち現場の教師がこぞって反対し、かつての同僚同士であった全国の学者グループが民主主義教育の破壊であると主張している道徳教育を特設し、あれほど教育界を混乱させた勤務評定を押しつけて教師の自由を奪おうとされるとは私たちの中のたれが考えたでしょうか」、こう書いてあります。   それからこれは、あなたの自由民権以来政党人として戦ってこられた良心に訴えて、ここを読み上げますが、「私はまだ幼かったのですが、昭和七、八年ごろから、子供のことと言われるままに戦勝に拍手しながらも、何かわからないままに学校が次第に不自由の雰囲気に包まれていくことに言いしれぬ不安にかられたことを覚えています。今私は教職の場にあって、それが何であったかひし  ひしと感じていますが、あなたはそれ以前から教育の歴史としてもっとはっきりと知っていらっしゃるはずです。教育学者が学問の節操も、同僚の忠告も、後輩の期待もふりすてて政治権力に屈従してこれが道義にかなうと言えるでしょうか。教え子たち教育的良心を政治権力に売り渡してそれが教育愛と言えるでしょうか。」、こう書いてある。  長谷川委員長にあてた遺書を見ましても、人の死なんとするやその言よしと言われますが、純粋に教育のことを心配をしてかつての満州事変前後からの教育行政の失敗を再び繰り返してはならぬという真剣な気持がここに現われております。  自由民権以来政党人として戦ってこられた文部大臣がかつての戦前の文部行政のような失敗を再び繰り返してはならぬというお気持はおありになるだろうと思う。私はあなたの答弁を聞いておって、半分はそれのおありになることを知っているがゆえにお尋ねをする。多少文部行政に、あるいは文部官僚に引きずられることもありましょう。ありましょうが、かつての間違いを再び繰り返してはならぬために、文部大臣松永東氏としてなされなければならぬことがあるだろうと思う。それをあなたの良心に訴えてお願いをしているわけでありますが、この尾崎教諭の死をかけての教育長あての抗議あるいは勤評、道徳教育についての一方的な教育行政を阻止したい、こういう心情に対してどういう工合におこたえになるか、明確にここで御答弁願いたい。
  90. 松永東

    国務大臣松永東君) 私は実は、尾崎先生のこうしたせっぱ詰まったと申しますか、行動に出られたことを新聞で見て実は驚いた。御指摘になりました通り、この先生の遺書あたりにも切切の情が訴えられておる。しかしながら、私どもはまだよく実情を判断するだけの資料を持っておりませんが、新聞紙上で拝見しまして、一応うなずけることは、まことにこの先生は純真な生一本な先生である。従って一方的ないろいろな宣伝といいますか、いろいろな主張といいますか、そういう問題に多少、多少誤まった考え方を持っておられていたのではなかろうかというふうに考えておる。よく勤務評定の問題をそしゃくしてもらえば、決してこうしたせっぱ詰まったような考え方を起されるはずがないと思う。  しかしながら、一歩退いて考えてみますと、私どものこうした主張がまだ徹底していないうらみもあると思います。(「そう、そこだ」と呼ぶ者あり)でありますが、この点についてはわれわれも少し主張を徹底させる方法が足らなかったということは痛感いたしております。しかし、いずれにいたしましても、こうした問題が今後も起きないように、さらに明日に迫っておる問題を円満に一つスムーズに、いろいろ問題が起きないように解決したいと、一つ努力してみたいと考えております。
  91. 湯山勇

    委員長湯山勇君) なお申し上げます。法務省人権擁護局長警察庁警務局長が見えております。
  92. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 文部文臣に質問をしておりますので、その質問はちょっとあとにしていただきたいと思いますが、説明が足りなかった云々というお話ですけれども、民主主義の場合、子供に対してさえその人格を認め、そしてその持っておりますものを育てるというのが民主的な教育、先生がこれだけの、とにかく死をかけて真剣に考え、そうしてあるいはこういう方法をとるということは、生命をもてあそぶようにも考えられるけれども、自分でも反省しながらほかに方法がないとしてこれだけの訴えをしようとしている。それにあなたは、われわれの説明が足りなかったと言い、あるいは一部のとにかく話だけを聞いている――それは尾崎先生に対する冒涜ですよ。小くともその点については学校の先生なり何なりというものに対して、尾崎先生についても、あなたは十分な人格の尊重というか、こういうものがないことだと思う。その点を私は残念に思いますが、りっぱな人格者として、それぞれの教育者に納得とそうして協力の上においてこそ初めて文部行政ができるとさっきおっしゃった。それならば人格あるいは意見について、十分な尊敬を払って御発言を私は願いたいと思うのです。その点はあなたの足らぬところ、欠けておるところだと思う。私はあなたの答弁の中で、話し合いと納得の上にこそ初めて協力が得られるのだという点は、あなたのほんとうのこれは民主主義者としての、あるいは民権のために戦って来られた過去の半生の中から出てくる大へんいい点だと私は思うのです。それを文部官僚に引きずられることなしに、私は生かしてもらいたい。このことをお願いをしておるのであります。そうすると、先ほど高田さんが引き合いに出しましたけれども、四月十二日付て初中局長の名前で各都道府県の教育委員会あてに出した「教職員の服務等について」という文書、これが、もしこの問題について教職員が何というか非違をやったらこれを弾圧するぞ、こういういわば弾圧政策で臨んでおられるのではないかと、これは誤解かもしれませんが、私はそう思う。そうすると、あなたは、さっきのお話からいえば、一方的にとにかく押しつけて民主主義的な文部行政はできるものでもないと考えられるならば、この通牒の中には、そういう弾圧政策、こういうものはないのだ、こう私は御答弁になるのだろうと思うのですが、いかがでしょうか。二つお尋ねをいたします。
  93. 松永東

    国務大臣松永東君) たしか前段は、尾崎先生の行動に対して、死をもって抗争するという純真な先生の気持をもう少し高く評価するのが当然じゃないかという意味だという思う。これはごもっともです。しかし、であればこそ、私はつけ加えておいたのは、われわれの意見を、それをよく徹底してもらうように説明して、そうして皆さんの御納得を得るようにしなかった、そのやり方がまだ足らなかったということを私は申し上げた。決してこうしたせっぱ詰まった考えを起して、一命をなげうってでも抗争しようという決心をせられた尾崎先生のその気持、その人格を冒涜しようというような考えは寸亳も持っておりません。でありますから、そうしたわれわれの主張をやはり徹底させることが足らなかったというふうに私どもは考えておる。  さらに後段の問題、これは文部省から出しました通達でございますが、これが、この通達が強圧するために、弾圧するためにやったんじゃないかというようなお話のようでございます。これは全然そういうことはございません。混乱を未然に防ぐために、そうしてわれわれに与えられた権限の範囲内において、スムーズに円満に解決ができるような方法としてやっていることにすぎないのですから、御了承いただきたいと思います。
  94. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  95. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  96. 吉田法晴

    委員外議員吉田法晴君) 前段の点については、あるいは尾崎先生の人格なり、あるいは意見というものについては、もっと尊重をして、そして何か一部の人の意見でこういうことをいっておられるというお話ですから、そういう人を冒涜するようなことを言うべきではないということを申し上げたのですが、十分人格は尊重し、意見も尊重するということですから、それならば、あとわれわれの意見といわれましたけれども教育委員会意見と、それから尾崎さんと申しますか、教職員の実際に担当している者との意見の調整を、納得がいくような話し合いをするべきだという点を強調したのです。あとの点は、これはお読みになっているかどうか知りませんが、あるいは開催個所数だとか、参加人員だとか、集合開始時期だとか、授業時間及び勤務時間の変更をした学校数その他の特記事項を、昭和三十三年四月二十三日正午までに電話で報告せい。それから一番しまいに、いま一つ、「服務規律をみだし、非違を犯すものに対しては、厳正な措置を講じられたいこと。」こう書いてあるのですが、それは御存じかどうか知りませんが、さっきからのあなたの意図からするならば、われわれは、文部省としてだんびらを振りかざして弾圧政策で臨んでいるものではない、こういう言明とはこの文章は少くともこれは違いがある。そこで文部大臣としては、どういうつもりでおられるのか、さっきの混乱を避けたい、あるいは激突を避けたい、そのために努力したいということならば、この通牒は私の意思ではない、こういうことになるのだろうと思うのですが、その点はどうか、お伺いしておきます。
  97. 松永東

    国務大臣松永東君) 仰せの通り、いろいろ混乱を避けたいためにこうした通牒、通報を出したのです。決して弾圧しようとか何とかいう考えではないのです。許された範囲内において通報を出した、こういうことに御了承おきを願いたい。
  98. 大和与一

    大和与一君 大臣が今から教育長にお会いになると思うのですが、指導助言とえらいさっきから言っているけれども、これは局長以下がその言葉にとらわれて点数を上げていこう、こういう指導助言はあっていいと思う。大臣は言葉にとらわれないで、やはり大乗的に全体的の立場から、すべて問題の紛争があった場合には解決する、こういうお立場になってもらわなければいかぬと思う。そこで、さっき気になることをおっしゃったのは、おれの方では今度の勤務評定なんというものは大したことはない、そう問題でないと思っているのだ、こういうお話がありました。これは今までは思っていてもいい、僕らは悪いと思うけれども、思っておったのはしようがない。しかし、今から会おうというときに、そういうことにとらわれて会っても話にならぬ。やはり反対の方も十分あるのだから、そういうことにとらわれないで、十分すなおな気持で聞いてもらう、しかも、現実に自殺未遂というような問題が起っているのだ、いやおうなしに、よくても悪くても起っているのだから、あなたが幾らそう思ったって、教職員五十万の集団はそれは違う、どうしてもわれわれの手かせ足かせだというふうに考えているのが事実なんだから、そのためにこういう問題が起って、混乱はまさに起っているし、起ろうとしているから、そのことをよく考えてもらわなければいかぬと思う。  それから本島教育長の、けさの新聞を見ると、この尾崎先生のことについて、あれは何か政治的な圧力を加えられたからやったというふうに書いてあるから、そんなものは問題でない、こういう放言を新聞話者にしています。これもけしからぬことである、こういう考えを持っている。大臣が今おっしゃったことはちょっと気になるのだけれども、こんなものは大したことはない、そう思っているということとつながっているような感じを持つから心配なんです。ですから、大臣もそういうお気持を捨てて、ほんとうにやはり国民の中にも反対がある。特に受ける方の側の教職員団体五十万の人が、もちろんその中には若干の反対はあります。あるけれども、民主主義の原則にのっとって、民主的多数決の原則に従って、そうしてきめて、きちんと整然と統制した形で意見は出ている。これは国会と同じです。何も否定できない。そうなると、そのことをよくお考えになって、きょうの問題に対処する、こういう態度をとってもらうことと、本島教育長を啓蒙してもらって、そういう前提条件、そういう腹がまえを変えてもらって、これもすなおになって話をしてもらわなければ話にならぬと思うわけです。  第二の点は、本島教育長が一カ月以上にもわたって、文教委員会から参考人として呼んだのに来ないということは、これは証人であれ参考人であれ、いやしくも教育者でしょう。そのいやしくも、特に教育者である本島君が一カ月も来ないということは、大臣としてどうお考えになるがいいと思うか、はっきり言って下さい。
  99. 松永東

    国務大臣松永東君) 前段に御主張になりました点につきましては、仰せの通り、すべていろいろ頭に構想を置かないで、白紙になって本島君と話し合ってみて、そして実情を聞いてみるというつもりでおります。  それから後段の問題は、参考人でございますが、これは参考人問題は、私はうわさには聞いておったのですけれども、ここに呼ばれる、呼ぶようになっておるとかいうようなことは聞いておるのですけれども、いついっかこうなったとか、お受けしたとかいうことは実はよく知っておりません。従って参考人の問題は、これはどうも喚問を受けたら、何か支障なくして欠席するとか、出て来ないとかいうことはこれは不都合だと思います。やはりこうした文教委員会から御招集があれば出てきてお尋ねに応ずるということは当然だと思います。
  100. 大和与一

    大和与一君 あすを控えたきょうの段階で、私も労働運動に若干関係しておったのですけれども、そういう問題のときでも、最後には関係大臣なりあるいは総理大臣が、ほんとうに国全体、国民全体のことを心配して誠意を示して下さって解決をしたことが何べんもあるわけです。私はやはりこの期に及んでは文教委員会のこの気持を十分おくみ取りいただいて、大臣にあらずしてはこの解決ができないというふうに思うのですが、あなたはどうもさっきから聞いておると、そんなことを言ったって、今までさんざん一生懸命やってうまくいかぬのだから、これはなかなかうまくいかぬというふうに首をかしげておるけれども、もっとしゃんとして、大臣が解決のめどの決定力を持っておるというふうな期待を持ってお願いをしますから、ぜひ一つそういう気持で明日の問題は解決する、こういう前提に立ってお話をいただきたいと思います。
  101. 松永東

    国務大臣松永東君) とにかく繰り返し申し上げる通りやってみます。どうなりますかわかりませんけれども、とにかくやってみます。
  102. 竹中勝男

    竹中勝男君 関連と議事進行に関してですが、私どもは大きな期待を大臣の決意にかけます。文教委員会はもとよりですが、社会党の文教委員は非常な重大な関心を持って大臣のこれからの、この時間以後のこの問題の解決に対する責任ある行動を注視いたしております。場合によってはこの委員会は休憩して、さらに続行したいと私ども社会党の委員は考えております。  それでもう一つ申し上げたいことは、昨日から新宿の安定所のニコヨンを動員して、自民党がビラ張りをしております。毛利小学校の前にも大きなのが張ってあります。私は自分で見たことはないのですけれども、刻々に報告を受けております。これを政治の政争の中に持ち込まうというような自民党の動きが見られておりますが、この点についても十分大臣が事実を知って警戒して、政治の政争の具に使わないようにしていただきたいと願います。  これにあわせて、私は死をもって抗議する現場の教師が現われてきたという事実は、日本の教育史において実に重大な意味を持っていると思います。これは、どこかに勤務評定を無理に力をもって強行する形が現われてきたから、もはや何とも仕方がないというところに追い詰められた日本五十万の教職員気持を現わすものだと思います。こういうような印象を与えた内藤局長の責任を私は追及したいと考えております。この点も、はっきり記録にとどめておきたい。
  103. 岡三郎

    岡三郎君 議事進行。今、竹中理市の方から話があった通り、明日の問題として今いろいろの討議の中から、文部大臣も善処したい、こういうふうにお話があったわけで、これをすなおに受けて、暫時委員会を休憩して、そういう事態について、なお法案関係もありますので、委員長理事打ち合せを休憩中に適当な時間に開いてもらって、自後の進行についてお諮り願いたい。これが一番暫定的にはよろしいかと思うのです。何時に始めるといっても、今のような時間的な問題もあって、この問題、はしょるわけですが、ポイントは、明日の紛争を回避していきたい、こういう熱意あふるるところの要請に対する大臣の善処の回答ですから、一応そういう点を見守りつつ、法案審議の方についてもやはり具体的に話し合いをしてもらいたい。大体これは午前中に話ができているわけですから、その時間的な繰り合せだけをやっていただけばいいと思います。そういうふうな点で、一時暫時休憩してもらいたいと思います。
  104. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいま岡さんのお話でございますが、私は、もちろんこの委員会の御用が済めば、すぐに飛び出していって会いに行きます。しかして、こういう非常に本島さんも忙しいときだろうと察するのです。こんなとき、すぐにおられるか、すぐ会えるか、そうして話がそう簡単に済むか。これはなかなか私は時間をお約束して、何時に帰ってきて報告いたしますとか何とかいうお約束は、これは至難です。しかし、私はこれからすぐ飛び出していくことにしたいと思います。
  105. 岡三郎

    岡三郎君 その点は、自後の進行については今言った文部大臣の方のそういう事情もあると思うのです。すなおに解釈して。ですから、その点についてはいろいろと連絡をとられて、まさか文部大臣が行かれるのにまた腹が痛いとか、逃げるとかいうことはないと思うので。その点は順当に連絡をして進められて、再開その他については、時間の問題でありますから、そういう点は、委員長理事の方で打ち合せをして、だいぶ時間がかかるようなら大臣の出席でなくて文部政務次官でも来ていただいて、法案の進行をはかる、こういうふうな方途もありますので、そういう点については一任したいと思いますので、われわれは固執いたしておりません。ただ、誠意を持って相互にこういう問題については解決していきたい、法案を上げる点についてはやっていきたい、こう考えておりますので、そういう取り計らいを願いたいと思います。
  106. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。    〔速記中止
  107. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後一時二十三分休憩   ━━━━━━━━━━━━━    午後二時五十五分開会
  108. 湯山勇

    委員長湯山勇君) これより委員会を再開いたします。  この際委員異動について御報告いたします。本日、岡三郎君が辞任され、補欠として吉田法晴君が選任されました。   ―――――――――――――
  109. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 休憩中の委員長及び理事打合会におきまして、午後の日程について協議を行いました結果、まず義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案及び公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案について採決まで行い、次に文部大臣委員会に出席される運びになれば、午前中の質疑を継続することといたし、そのあとで残りの二法案を審議することに意見の一致を見ました。以上の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  義務教育国庫負担法等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。  政務次官が見えております。
  111. 松永忠二

    松永忠二君 一つお尋ねいたしますが、この教材費が今度小学校が九十円が百円になり、中学校が百三十五円が百五十円になる、そういう改正の法律提案されているわけでありますが、教材費というのは、大体適正額をどういうふうに考えておられるのか。父兄負担等の現在の関係から考えて、そういう考え方について政務次官のお考えを聞きたいと思うのですが。
  112. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 教材費におきまして適正な額ということは、私正確には正直に申し上げて存じないのでありますが、まあ結局各学校におきましてある程度は自主的に行われており、その土地柄等により、また学校によって違うものでありまして、まあ画一的に幾らということには考えていないものと、こう考えるのであります。
  113. 松永忠二

    松永忠二君 やはり教材費の国庫負担を考えていくということになると、現在の教材費が、どの程度一体学校において父兄が負担をしているかというようなことを考えて、その負担に基いて国のいわゆる教材費負担というものを考えていかなければいけないと思うわけであります。そういうことから、初めて父兄負担の軽減というようなものが考えられていくと思うのですが、そういう意味で言うと、この政令の内容並びに小学校百円というように実施をしていこうと考えておられるわけでありますが、予算の要求は二百三十円というように聞いておるわけであります。そういうようなことを考えてみましたときに、大体現在の状態では、教材費としてはどの程度の予算が盛られるということが適正であるか、また望ましいことだというふうに考えておられるのか、一応の目標というものがおありだと思うわけです。そういう意味のことを私は聞いておるので、大体そういう内容についてどういうふうに考えられておられるのか伺いたいと思います。
  114. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今までのPTA等で教材費に支出している経費等を合せ考えますと、私どもは教材費として大体百億くらいが必要だろうと考えております。
  115. 松永忠二

    松永忠二君 百億というと、大体小学校、中学校について具体的にはどういうふうな数字になるのですか。
  116. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 現在国庫負担で十五億見ております。このたびの法律改正によりまして十五億、合せて三十億でございます。ですから百億と申しますと、約この三倍程度が必要かと思います。ただ今のところ、私どもは教材費は全部国と地方で負担するのが望ましいのでございますが、現実にはそう参りませんので、地方財政の交付金の方で考慮いたしております市町村の教育費、この市町村の教育費をできるだけふやすように努力しておるのでございます。
  117. 松永忠二

    松永忠二君 今お話があって、三倍――十五億に対して、三十億、それの三倍だというお話があるわけですが、現在では小学校について一人当り五百三十八円、中学について七百八十六円というのが普通出ておる数字である。そういうことを比較して考えてみると、今の三倍というものは少し低い程度のものだと思うのですが、やはりそういうような意味で今度の教材費の政令内容というものは、当初考えたものよりも低い状態であるけれども、相当父兄負担の軽減ということを政府としても政策として考えるという現状では、教材費等については格段の努力が必要であろうと私たちは思うわけで、そこで実は九十円が百円になったということについては、学校図書館法の関係の費用が算入されておるというようなわけですが、そうすると、実際にはこの関係の費用が一億九百万というものが前に考えられておったのですが、事実上、一体政令内容として考えておる小学校九十円、中学校百三十五円がどれだけ事家上教材費として上っておるのですか。
  118. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 総体的に見ますと、大体二割程度でございます。今お示しになりましたように単価を一割上げましたのは、これはすべての学校に行く経費でございますが、別に補正係数の修正をいたしまして、全体としては二割程度の引き上げを考慮いたしたわけでございます。
  119. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ、二割というのは、全体の総額が二割も上ったと、事実上……。今まで学校図書館法の負担分として考えられておるものが一体幾らあって、実際の教材費の総額というものはこの幾らに当っておるのか、そこだけを一つ詳しく説明して下さい。
  120. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教材費につきましては、従来の単価で計算しますと十二億七千三百万、そこで学校図書館の振りかえ分が一億九百万、残りの、十五億の残りの一億一千八百万、約一億二千万程度が純増でございます。
  121. 松永忠二

    松永忠二君 まあ、学校図書館法の関係の負担分を一億九百万円、この中へ入れて、純増一億一千八百万円の教材費の増額ということになったのですが、この点については先ほど話の出たように、相当今度はわれわれとしては、父兄負担の軽減というところから、教材費について大幅な増額をある程度予想しておったわけですが、この点については今話しに出てきておるように、少くとも一つ努力をしていただきたい。  そこでもう一つ、一体父兄負担の軽減をはかるというような意味から言うと、今文部省が一番予算化しなければできない一体費目はどこにあるかというふうに考えておられるのか、その点を一つお伺いしたい。
  122. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほどの父兄負担の軽減の点でございますけれども、実はこのうち学校図書館法に一億九百万円で、純増一億一千八百万と申しましたが、特に私どもが注意いたしましたのは、従来国庫負担だけでやっておったところが相当多いのであります。このたび地方財政に財源として新しく十五億を付加したわけでございます。ですからこの一億一千八百万のほかに十五億というものが新しくふえた、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  それからなお、このたびの地方財政の交付税の決定に当りましては、この十五億を含めて約五十億ほど市町村の教育費を充実したのであります。これは主として市町村の教育費が貧弱で、PTAの負担に依存している分が多いので、市町村の教育費を充実するという意味で、教材費の十五億を含めて約五十億程度の財源措置をしたわけであります。  それから次にお尋ねの何かもう一つあったように記憶しましたけれど……。
  123. 松永忠二

    松永忠二君 現在で父兄負担を軽減するとすれば、最も国家が負担をしなければできない費目、こういうものはどこにあると今考えられておられるのか。
  124. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 失礼しました。理科教育の設備費でございます。これが一つだと思います。教材費と理科教育、要するにPTAの負担で一番多くかかっておりますのは、一つは光熱水料等が原因でございます。この光熱水料等の学校の維持運営費は、これは原則として市町村が負担すべきものだと考えておりますが、これは市町村の教育費を充実するように交付税の引き上げを、単位費用の引き上げを行いたい。  それからいま一つは、教材費関係でございます。この教材費関係では今御審議いただいております義務教育の教材費の負担と、もう一つは理科の設備でございます。理科の設備は、本年度四億六千万円ほど計上しておりますが、この二つの柱を中心に増額して、PTAの負担を軽減いたしたいと考えております。
  125. 松永忠二

    松永忠二君 その点は、理科の設備充実ということもあるわけですが、大体父兄負担の内訳というものの中で一番多いのは、建築施設の面の内容だと思うのです。それで実際に出ているのは、給与の補助を負担をしている面が相当出てきている、こういうふうな意味で今度法案に出てきて、もうすでに本委員会を通過した施設の国庫負担というものが常非に重要になってくるし、またもう一つの今後審議をしていく教員の定数の確保という問題が、非常に重要なものだというふうに考えるわけであります。そういう意味から言うと、われわれとしてはもちろん教材費の増額も考えていかなければできない、特に施設費の充実という点については、やはり父兄負担の軽減の上で、一そうまだ力を入れていくべき重点であるというふうにわれわれは考えるわけなんであります。そういう点一歩前進をした形に出てきているわけでありますけれども、こういう点について、今後格段の努力をしていただきたいと思うわけであります。  先ほどお話のありました五十億の純増という予算の点については、われわれの勉強も少し足らぬのでわかりませんが、またこまかいことでありますので、後ほどお伺いをしたいと思うわけであります。
  126. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと二、三お尋ねしますが、この単価は今まで九十円だった。それがまあ百円になる。だからその単価の点と、それから総額においてはこれは確かに前進ということになるのですね。一応なるのだけれども、ただ三百人という一つの基準があるわけでしょう。だからあれこれ考えた場合、三百人以上の学校については一応機械的には単価は今までは九十円、今度は百円になるわけだけれども、実際にはその線よりうんと低いのじゃないかと思うのですがね。これは小規模学校の場合は別ですけれどもね。規模が大きくなるほど実際に支給されるもはのだんだん低くなってくるのじゃないか。その点を考慮して、そして一体、小学校百円、中学校百五十円にした場合、実際に学校に渡る金というのはどのくらいになるのか、単価が。その点。
  127. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘のように、この学校の規模によって非常に違いますので、標準規模以下のところはそれ以上になるわけですね。それから標準規模以上に生徒数の多いところは少くなるわけで、全国平均をいたしてみますと、児童一人小学校では六十六円十一銭、中学校では百十八円九十七銭、こういうことになっております。
  128. 秋山長造

    秋山長造君 それは今度の新しいこの法律でそうなるのですか。
  129. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  130. 秋山長造

    秋山長造君 今まではどうですか。
  131. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 約二割減でございます。
  132. 秋山長造

    秋山長造君 そうしますとね、まあなるほど今までもこの基準単価に比べて実際は低かったのだから、その低いのが今度の基準単価よりは低いけれども、しかし実際に支給される額を比べれば今度が多くなる。こういうことにはまあ一応なりますけれどもね。しかしこれ何ですか、三百人以上の学校が全国の何割くらいになるか知らぬけれども、まあ大がいそれは三百人以上の学校が多いのじゃないかと思うのですがね。そうすると、これはなるほど百円ということになった、なったといってまあ宣伝はするけれども、実際にはそれほどのことはない。それよりはるかに実際には低い額だということになるのですが、そういうことのないようにやはり単価百円ならばこの規模のいかんにかかわらず百円は必ずいくということに持っていかなければやはり大きい学校ほど損をするということにたる。それからもう一つは、小さい学校はそれだけ得をするという、まあ損得ということもないけれども、得をするということになりますわね。ところが、今度のように、二分の一国庫負担というようにはっきりきまってきて、半額は地方が持つということになると、今度は逆に小規模学校は今までのままだったら割合この制度の恩恵を受けるけれども、今度はやはり地方負担という面で、小規模学校を持っているくらいな町村は大体財政状況の悪い町村です。そうするとその面から非常に町村負担というものが加重されてきて、なかなかあなた方の思うように機械的に半額だからこっちが半額出せば当然半額つけてくる。そして倍の効果を上げてくるのだということになりにくいのじゃないですか。
  133. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説の点大へんごもっともですが、これは交付税交付金の方でそういうとふうにまかなえるような財源措置をいたしましたので、私どもはまあ大体いけるのではなかろうか。それからもう一つは、どうしてこういうことになったかと申しますと、当初教材費が十九億か二十億近くでございますが、総額で先にきまって、あとどういう配分をしたらいいかということで、配分のときにできるだけ小さい学校に厚くしようということできめたわけでございます。その後予算の節約等がありましてだんだん減ったいきさつがございますが、私どもは教材費というものの合理的な単価はどれくらいにあるべきか、先ほど申しましたように大体全国で百億程度が一応の規模ではなかろうか。そういうことで考えておりますんで、同時に理科の設備費と合せて考えまして、一定額はぜひ確保したい。その一定額を確保した中での配分につきましては、やはり小規模学校に有利なようないき方がいいと思います。ただ、御指摘のようにあまり差があるのもいかがと思いますけれども、ワクをきめました範囲では小規模学校に有利なような配分基準を立てたいと、かように考えております。
  134. 秋山長造

    秋山長造君 もう一度念を押しますがね、そうすると、交付税で十分裏づけは見てあるから、だから町村の財政状態のいかんによる影響というものは別にないと、その点の心配は要らないと、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  135. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体心配ないと考えております。今までは交付税で保障してなかった。今回からはっきりとこの負担法と同時に、財源措置もはっきりいたしましたので、一そう心配ないと思いますし、過去においてもそういう心配は非常にまれでございました。私どもは一そうこの法律通りますれば、そういう御心配はなかろうかと考えております。
  136. 高田なほ子

    高田なほ子君 教材費を国の負担十五億、地方が十五億、その他を含めて五十億、こういう御答弁ですが、この二十億は市町村の教育費としてどういう形で組まれているんですか。
  137. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは小中学校教育費というのがございます。特に地方交付税交付金の中に、単位費用として小、中学校教育費がございます。この小、中学校教育費の単価を引き上げることによりまして、約五十億程度の財源を増加したのでございます。
  138. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますとあれですか、教材費十五億組んでありますが、さっき御質問にあった通りに純然と増加したというものは一億二千万円純増ですね。純増は一億二千万円。そうすると、一億二千万円を今度小学校、中学校の児童に割り振ると、大体一人当り四円二十銭くらいの増になるわけですか、一人当り。
  139. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ええ、国庫負担の方は先ほど申しましたように、従来の約二割増しでございます。それからそのうち、約一割が従来の図書館の経費とお考え下されば残りの一割が純増でございます。  それから地方負担分はですね、十五億を含めて約五十億程度が純増でございます。
  140. 高田なほ子

    高田なほ子君 しかし、国として見るのは大体小、中学校の児童一人当り平均四円二十銭が、国として増したということになるわけですが、一方ではPTAの負担を軽減するというか、一人当り四円二十銭の増額では、ある意味ではまだまだPTAの負担を軽からしめることができないと、そういうふうになってくると思うのですね。それからその次、生徒の実験費というのは一人当りどのくらい組まれるわけですか。これは教材費の中に入っておるのでしょう。  理科の授業の場合の一人当りの実験費というのはどのくらい組まれるのですか。
  141. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この教材費は主として設備関係の費用でございます。理科につきましては、理科設備として別に約五億ほど計上されておりますので、理科は主としてそれでまかなっていただきたいと思います。まあ小さい消耗備品のようなものは、もちろん教材費の中でもけっこうでございますけれども、設備関係の方は、理科の設備費の方からお願いいたしたいと考えております。
  142. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べ願います。
  144. 常岡一郎

    ○常岡一郎君 私は、緑風会を代表いたしまして、義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。かねてから、義務教育学校の教材の不十分なために、非常に父兄の負担などで悩んでおりました問題が、本案によって緩和せられますことは、まことに喜びにたえない次第であります。私は、この法律案に対し、次の修正を付して賛成するものであります。修正案を朗読いたします。   義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一項中「昭和三十三年四月一日から施行する。」を「公布の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用する。」に改める。  右の修正案に御賛成をお願いいたします。
  145. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより、義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案について、採決に入ります。  まず、討論中にありました常岡君提出の修正案を問題に供します。  常岡君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致であります。よって常岡君提出の修正案は、可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、修正すべきものと決定いたしました。
  149. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  150. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて下さい。  次に、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を求めます。
  151. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 今回政府へら提出いたしました公立義務教育諸当校の学級編制及び教職員定数標準に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  国民のひとしく受くべき基礎的な教育としての義務教育につきましては、一定の水準が全国的に維持される必要のあることは、あらためて申し上げるまでもないところであります。  しかしながら、現状を見まするに、戦後の学制改革による義務教育の拡充、急激な学齢児童生徒数の増加、さらにはまた近年における地方財政の事情等も影響いたしまして学級編制基準及び教員定数基準の低下が問題になっておりますことは、まことに遺憾とするところであります。これが改善につきましては、各種の施策の必要なることは申すまでもありませんが、まずその前提として学級編制及び教員定数の標準を明定することが必要と考えられるのでありまして、政府が今回この法律案を提出いたしましたのも、これらの標準を明定し、もって義務教育水準の維持向上に資する趣旨にほかならないのであります。  法律案内容といたしましては、第一に、学級編制標準を定めたことであります。現在一学級五十一人以上を収容する学級、いわゆるすし詰め学級は、小、中学校を通じ、総学級数の約三分の一に相当する約十四万学級に上るのでありますが、これらの学級における教育につきましては、教師に負担が加わるばかりでなく、児童生徒の指導も困難となるのでありまして、教育効果を向上させる上にいろいろ支障を来たしておるのであります。このような点にかんがみ、学級規模を適正化し、教育効果の向上をはかるため、学校の種類に応じ学級編制標準を法定するとともに学級編制に関する所要の手続を定めたものであります。  内容の第二は、都道府県ごとの教職員の定数につきまして、その標準を定めたことであります。すなわち、小学校については学級担任を、中学校については教科担任を建前とし、また算定に当っては主として実学級数を基礎として、都道府県ごとに必要な教職員定数の総ワクを定め、教職員配置の適正化をはかることといたしたのであります。  内容の第三は経過措置でありまして、以上の標準を一挙に実施することといたしますと、学校施設の整備その他につきまして急激な負担を伴うこととなりますので、標準に達していない都道府県につきましては、児童生徒数の減少、学校施設の整備等の状況を考慮して暫定的な標準を定め、漸次標準に達するよう経過措置を設けることといたしたのであります。  なお、別に御審議を願っております地方交付税法の一部を改正する法律案におきましては、この法律によって算定される教職員の定数が基準財政需要額算出の測定単位になっておりますので、教職員給与費に対する国の財源措置につきましては義務教育費国庫負担制度及び地方交付税制度と両々相待って、一段と整備されることになるのであります。  以上この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概略を御説明申し上げました。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  152. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 続いて本案の補足説明を求めます。
  153. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案提案理由につきまして、ただいま文部政務次官から説明がありましたが、私から補足して御説明申し上げます。  まず、第一条はこの法律の目的について、公立の義務教育学校に関し、学級規模と教職員の配置の適正化をはかり、義務教育水準の維持向上に資する趣旨を明らかにし、第二条はこの法律における「義務教育学校」及び「教職員」について定義をいたしておりますが、この教職員の範囲は、市町村立学校職員給与負担法第一条に掲げる教職員の範囲と同様であります。  第三条から第六条までは学級編制標準に関する規定であります。  第三条は、公立の義務教育学校の種類に応じ、一学級に編制すべき児童、生徒の数について標準となるべき数を定め、各都道府県ごとのこれらの学校の一学級の児童、生徒数の基準は、この数を標準といたしまして、都道府県の教育委員会が定めることといたしております。  第四条におきましては、都道府県の教育委員会学級編制の基準を定めるに当り、法律に定めた標準数に五人を加えた数によろうとする場合等には文部大臣意見を聞かなければならないことといたしました。これは、特別の事情がない限り標準数をこえて学級編制の基準を定めることを制限したい意図によるものであります。また、具体的な学級編制は、学校の設置者である地方公共団体の教育委員会が行うこととし、市町村立の義務教育学校学級編制については、市町村の教育委員会が、毎学年、都道府県の教育委員会の認可を受けなければならないことといたしております。これは従来の取り扱いとほぼ同様であります。  なお、この法律に定めました学級編制標準となるべき数につきましては、教育上の見地、学級編制の実態等を考慮して、規定いたしたのであります。  第七条から第十条までは教職員定数標準に関する規定であります。  これは各都道府県ごとの公立義務教育学校に置くべき教職員の総数すなわち教職員の定数につきまして、小学校、中学校並びに盲学校及びろう学校の小学部及び中学部ごとに、その標準となるべき数を定めたものであります。従いまして、休職者及び女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律第四条の規定によって臨時的に任用される者は含まないことといたしております。  なお、これらの教職員の定数は、各学校ごとの配置基準または職種別のワクを示したものではなく、各都道府県ごとの置くべき教職員の数数の標準を示したものであります。従って、各学校ごとの配置は、各都道府県において実情に即して行われるべきものと考えております。  また、各条ごとに定められたこれらの数値につきましては、現在各都道府県で行われております教員配当基準等を考慮して定めたものであります。  次に、第十一条といたしまして、文部大臣は、公立の義務教育学校に置かれている教職員の総数が教職員定数を著しく下回る都道府県があるときは、あらかじめ、自治庁長官に通知して、教職員の増員について、必要な勧告をすることができることといたしました。これは教職員定数の確保を期する趣旨にほかなりません。  次に附則におきましては、この法律は公布の日から施行することといたしておりますほか、学級編制標準に関しましては、いわゆるすし詰め学級の現況にかんがみ、当分の間、児童生徒数の減小及び学校施設の整備の状況を考慮して、暫定的に標準となるべき数を定め、漸次その改善をはかることといたしました。  また、教職員定数につきましても、公立の小学校または中学校教職員の現員が標準数に満たない都道府県につきましては、教職員定数に対する充足の程度及び学級数の増加の状況を考慮して暫定的に標準となるべき数を定め、漸次その充足をはかることといたしました。  なお、公立学校学級編制に当り、一学級の児童数が五十五人をこえる学級がある場合には、当分の間、その学級数に一定数を乗じて得た数を加えた数を標準とすることといたしております。その趣旨は、これらの学級に対しましては、実際上教員数を若干増加して配置する必要があると認められるからであります。  以上がこの法律案内容の要点であります。何とぞ、十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。
  154. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  155. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記つけて。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  156. 高田なほ子

    高田なほ子君 お尋ねをいたしますが、この法律はすし詰め教育を解消するために政府が非常に努力されたと考えられる法律でありますが、内容を拝見いたしますと、法案の性格として暫定的な性格を持っているように解釈されますが、その通りの解釈でようございますか。
  157. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 暫定的と申しましても、五十五人になるまでの期間でございますので、やはりある程度、一、二年というわけではございません。
  158. 高田なほ子

    高田なほ子君 一、二年というわけではない。五年くらいたったならば、大体これは解消できるのだということになって参りますと、この法案の中に示されている、なかんずく第四条、第四条あたりは、将来さらに検討をするというような考え方をお持ちになっておられるわけですか。たとえば現在の学校教育法は五十人、こういうような標準が示されております。けれども、この場合は、認可を受けた場合には五十人をこえて学級を編制してもいいと、こういう規定があるわけですが、この規定は明らかに学校教育法を下回る条文でありまして、暫定的でなく、これが永久的なものであるというならば、むしろ学校教育法に規定されたものよりも下回るような性格を持ってくるので、政府の意図とは若干違うのではなかろうか、こういうふうに考えるので、この暫定的な性格を持つものではないかという質問をしているわけです。
  159. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) もちろん法律でございますから、必要な時期が来たら私改正しなければならぬと考えておりますが、現在御承知通り学校教育法施行規則で五十人以下を標準とするとなっておりますが、これが施行規則である関係で、どうも――もう一つは、財源措置が十分でないためか、現に五十人以上の学級が十四万学級もあるという状態でございますので、すみやかに十四万学級を解消いたしたい。その間におきまして私どもは一応の目安といたしまして、大体小学校五年くらいを目安にしておるわけでございます。しかしながら、この四条の規定もある都会の一部等におきましては、さらにやむを得す五十五人を組む場合もあり得るかと思います。ですから、五十人以下に全部がなりますれば、御指摘通り四条は当然改正されてしかるべき規定だと考えております。
  160. 高田なほ子

    高田なほ子君 この律法では、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律と、こうありますが、これは教職員定数標準ではなくて、むしろ一応の基準をきめる法律だというように解釈できるのですけれども、第一条の条文中の標準、あるいはまたその他の項目における標準という言葉を基準というふうに読みかえた方が、むしろ法律の性格をはっきりさせるような気がいたしますが、どうしてこれを標準となさったのですか。
  161. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これはまあ言葉の感じでございますけれども、私ども標準と申しましても、基準と申しましても、中身は同じだと考えております。
  162. 高田なほ子

    高田なほ子君 標準、基準の問題については、中身はまあ同じだと、こういうわけでありますが、ただ私がこういう質問をする含みというものは、どうしてもこの第四条の規定、つまり五十五人まで一学級を編制し得る可能性を法律で認める場合は、ときに地方財政等の窮乏の折柄でありますから、悪意ではないにしてもこの条文というものが常時適用されることになりますと、せっかくこの水準を上げるというような性格を持っているものでありますから、この点が心配だから伺っているわけです。  で、あらためまして政務次官にお尋ねしたいことは、この法律は私の今心配するようなととはごうもないのであって、あくまでも義務教育の水準を高め、すし詰め教育を一日も早く解消するという、そういう基本的な性格を持ったものであるというふうに考えますが、その通りですか。
  163. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) ただいまの高田委員のお説の通りでありまして、まあたとえば今暫定か恒久かというお話も、決していわゆる期限を切った暫定という、正確の意味においては暫定ではございませんけれども一つの理想案を――必ずしもこれが理想であると、こういうことではなくて、やはりいろいろ財政等も考慮して、当面のまあこれくらいで一応は一つ水準を向上させよう、こういうことでございますので、決してこの法案で、全部理想で満足している、かように考えているわけでもございません。また従ってお説のように、これはいわゆるすし詰め教室、不正常学級を解消しよう、そういう方向に進んでいくという方向にあるのでありまして、われわれとしては、まず当面はこれでやむを得ない、従来よりは確かに前進しておるものである、かように考えております。
  164. 高田なほ子

    高田なほ子君 この法律自体の示す方向が明確になっておれば、それでいいわけなんです。つまりせんじ詰めて言うと、現在確保されておるところの教職員、これは少いところはふやす、多いところを削ってその少い方に持っていくというのではなくて、やはり今の法律の性格を踏襲するならば、現在保有している教職員の定数あるいはまた現在の学級編制等については、よいものだからといって低く下げるというようなことは、みじんもこの法律の中で行われるおそれはない、こういうふうに解釈したいのですが、この点いかがですか。
  165. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) これもお説のように、従来標準以下のものを引き上げるということが目標でございまして、これ以上の水準にあるところをこの法律が出たために引き下げるということは、この法を提出した真意に反するのであります。従ってなお行政上の指導をもって、地方に対してもそういうことのないよう、また財政的にも地方交付税等においてそういう点は考慮いたす、かようにいたす考えであります。
  166. 高田なほ子

    高田なほ子君 この点は非常に大切な点で、予算委員会でもただいまの点については十分に論議された点ですが、もう一度確認する意味でお尋ねをしておきたいのですが、現在の定員が、この法律が出たために上回っている県に対しては、この法律をもとにして基準財政需要額を算定したので、この法律が施行した場合には、これを上回る県については若干財源的な措置としてできなくなってしまう、措置ができなくなる。しかし法律建前、また今の政務次官の御主張の通りに、これを低めるということはやらないとするならば、当然この財源措置については、政府としては責任を持って措置していかなければなりませんが、この点は予算委員会で矢嶋委員の質問に答えて次のように答えられておりますから、この点を確認しておきたいと思うのです。補正予算を組まなければならないのではないか、その他基準財政需要額が実際と非常に差がついた場合には、特別交付金で処理するように自治庁と話し合いがついていると答弁をしておりますが、両大臣からその点明確にしておいていただきたいと、こういう質問に対して郡自治庁長官は、文部大臣が言われた御趣旨と自治庁は同じ意見を持っておりますと、こういうふうに答えておるわけですが、この点をもう少し明確に、われわれの疑問が解けるように、文部省側から詳しく説明しておいていただきたい。
  167. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一つはこの定数を上回った、つまりはみ出た分でございますが、これは実は私どもといたしましては、そういう府県が約十県ほどございます、この府県につきましては、できるだけ教職員の整理にならないように、余った分だけすし詰め学級の解消に向けるように指導いたしたい。そのすし詰め学級の解消として計算された数は、これは当然自治庁の方で交付税の測定単位になるわけでございます。なおそれにもかかわらず、前年度よりも交付税が、少くとも義務教育に関する交付税が減少するような事態が起きますれば、これは特別交付税をもって穴埋めをしましょう、こういうふうに自治庁と文部省が了解済みでございまして、その心配はなかろうかと考えております。
  168. 高田なほ子

    高田なほ子君 その心配はなかろうかと存じますというのですが、かと存じますというのは、これはまだ疑問のある御答弁だと思います。その点、特別交付金で現在のような事態が起った場合にはまかなうように自治庁と了解が済んでいる、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  169. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。私がかと申しましたのは、実は教職員の定員をきめたり何かするのは都道府県の教育委員会でございますので、私の方できめるわけには参りませんが、しかし私どもとしてはその余っておるものをすし詰め学級を解消させるそちらの方に持っていって、交付税の測定単位にする、なおかつ財源が前年度よりも減りますれば特別交付税で穴埋めをします、ここまでお約束しておりますので、国の方の措置としては十分ではないかと私考えております。そういう意味で地方が具体的にどうされるかということは私ども指図いたしかねますので、私どもとしては万全の措置を講じておるつもりでございます。
  170. 高田なほ子

    高田なほ子君 先般茨城県に学校総合問題で視察に参りましたときに、教育長は今回の定数基準の法律は非常にけっこうだ、茨城県あたりでは大へんこの法律で恵まれるからいいけれども、オーバーしておる県もあるために、この県は必ず首切りが起ってくるのじゃないかということで、教育長も、みんな心配していましたよ、ということを言っておりましたが、私も全くその通りだと思いました。結局今のお話で、実際支出した額の二分の一を国が負担し、あとの二分の一を地方が負担するが、現在のこの法律に基いて定員が若干上っておるというようなところについても現員を下回るような措置ができないように、国としては十分に特別交付金あるいはまた政府としては、負担金の清算、こういう方法によってまかなうことができる、こういうふうに了解したいと思いますが、よろしゅうございますか。
  171. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。もちろん国の方では実支出額の三分の一でございますと実際にかかっただけの経費は十分払います。先ほど申しましたように、残りの二分の一につきましてはこれは交付税の基準算定の基礎になりますし、なおそれでも足らなければ特別交付税で穴埋めするようにいたしたいと考えております。
  172. 高田なほ子

    高田なほ子君 その次お尋ねしておきたいことは、この法案の説明の中にもありますように、結核休養者の補充等の問題並びに女子教職員の産前産後の休暇中の学校の正常な運営のために補充教員を置くという法律の問題でありますが、提案説明の中には臨時的に任用される者はこの法律のワクの中に入らない、こういうことになっております。そこで、今回の法律を施行するに当りましては、だんだんお聞き及びでもございましょうが、先般私どもとしてはせっかく産休の法律があるのに実際問題としては十分の産休をとることができない、どうしてもこれは採用の仕方については、ただ単に地方の教育委員会が認可するとかしないとかというようなことでなくて、お産をして休んだならば当然不正常な授業が起るわけでありますから、これを解消するためには補充教員を置かなければならない、だが、しかし、この定数基準の中にはそれが入っていないとすれば、ワク外にこの教員の数というものは予算として確保しておかなければならない。ところが、実際なかなかうまくいっておらないのでありますが、ことしはどういうふうなワク外の予算というものを組まれておりますか、お尋ねをしたいと思います。
  173. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この法律によりますと、そういう結核休職の者とか、あるいは産前、産後でお休みになる先生というのが、これは各県の事情がばらばらでございます。ですから、これは実数をそのままいただきますというわけで、定数をきめないのです。ワク外で出ただけの人員は保障しましょう、こういう趣旨でございますから、むしろ私どもとしては優遇していると考えているわけでございます。それから、この負担金はそれでよろしゅうございますが、なお地方交付税の方は、これは実際出てみなければわかりませんが、出てみますれば、これはその実数をもとにして計算いたします。ですから、御心配は要らないと考えております。
  174. 高田なほ子

    高田なほ子君 御心配は要らないでは解決がつかないのです。それから、ワク外で取っているから優遇していると考えるというのは、それは内藤初中局長の考え方で、現場ではそうではない。なぜならば、地方の財政事情等によって、なかなか正常だと考えても任用し得なし場合があるわけです。ですから、お産をなさる先生方が現場の実態を知っておって、休みたいと思っても休み得えない。それから現実にお産をして休まれた場合にも、補充教員が取られていないために、音楽の先生がそっちへ回ったり、あるいはまた体育の先生が回ったりするようなのがまだまだ現在の実情なんです。これは何とかして解消してもらわなければなりませんし、また法律の精神も解消すべき内容を盛った法律なのでありますから、数字的にこの予算がどういうふうに措置されておりますものか、もう少し詳しく御説明いただきたい。
  175. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一応地方財政の再建措置といたしましては、結核と産休合せて二%概算で組んでおります。二%と申しますのは、約一万ちょっとでございますが、そのうち七千程度が現実に結核で長期療養しておる先生でございます。三千程度がこの産休の教員に充てる分と考えております。現実に千七百程度が教員として産休の職員でございます。なお同数程度は採用できる、今の予算のワクでもできることになっております。
  176. 高田なほ子

    高田なほ子君 現在は千七百五十三名の産休がある。しかし、今の御説明によると、二%は一万数千である。そのうち結核七千、残りは産休に回るはずなんだと、こう言われますが、なぜそれでは現在千七百五十三名の定員がありながら、現実にはお休みすることができないといえば、やはり地方の予算措置というものが十分にできないところに原因があるわけです。従って、国が三千五百六十名の予算措置をしているというならば、当然地方の財政負担、財政計画の中にもこれと見合うべきだけの予算の裏づけがなければなりませんが、この点は自治庁の方と十分にこの事情を了解して、予算措置ができる、こういうふうに了解がついておりますか、いかがですか。
  177. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私どもは自治庁と二%の再建措置については完全な了解がついております。ですから、私どもでも十分指導いたしまして、今高田委員からの御指摘の点は、これは運用の問題だと思いますので、各府県で産前産後の休暇について十分な考慮を払っているところは比較的円満にいっていると思うのですが、あるいは御指摘のように、財政事情等で十分な補充教員の置けないような府県もあることと考えております。私どもとしてはできるだけ、せっかく法律もできたことだし、この産前産後の法律の運用につきまして都道府県が十分その趣旨を体されて、完全に充足できるように指導いたして参りたいと考えております。
  178. 高田なほ子

    高田なほ子君 この点については、予算委員会で郡自治庁長官が三十三年度からでも、この法律の精神が実際に行われるように十分努力すると申しております。なお、自治庁は文部省よりも考え方が一歩上回って臨時、職員の定員化ということについても、産休の場合には考えていいのじゃないか、こういう答弁をしておるわけなんですね。つまり、臨時だけでとらないで、これを定員化してもいいというふうに自治庁は考えているのですが、文部省としてはこういう点について何らかお考えになっておりませんか。
  179. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 臨時職員の定員化につきましては、国会にもその法案が出ておりますので、国家公務員について措置がされるなら、地方公務員としても同様の措置がとられることを強く希望いたします。
  180. 高田なほ子

    高田なほ子君 問題はやはり法の運用と、この運用が徹底するような指導というものが若干私は文部省に欠けておった点もあり、かつ、地方の財政難ということが法の精神を歪曲して、いいかげんにほったらかしておいた、こういうような結果にあるのではないかと思うわけです。幸いに郡自治庁長官はこの点を確認されて、今後こういうことがないように十分検討して、できるならば臨時職員も定員化して、そうして十分な措置をとりたいと予算委員会では御答弁になっておりますが、先般私どもはこの法律の欠陥はやはり法文の表現上若干不明確な点があるために、せっかくの予算措置をしたといいながら、十分にでき得ない、また都道府県の教育委員会等についても、はなはだ申し上げにくい話ですけれども、婦人がお産をするということは、何だか当人が好きでどんどん子供を生むのに補充教員を出してくれなんということはしかくわがままだという気持も底の方にあるわけなんです。これはまあ近代国家といいましても、戦後ようやく母性の保護等については叫ばれ出したことでありますから、なかなか十分な御了解がいくという点がむずかしいかと思うし、また、地方の財政の面等についても、なかなかこれが義務的に設置されないということになって参りますと、はなはだしく法が、売春法だけではなく、ざる法案になるうらみがあるという意味で、この法律の修正案、改正案を出して、各党の御意見を伺い、また御協力も得たいと考えておるわけでありますので、文部当局としても、われわれの意のあるところを研究されて、暫定的には十分財源措置について自治庁とも協議され、文部省自体も地方の指導に当られ、さらには今回の議員立法についても十分に検討されて、この成果が上るように留意してもらいたいと考えますが、御答弁をわずらわしたいと思います。
  181. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど来申しましたように、予算的には一応の措置をいたしておりますので、産前産後の休暇に伴う女子職員の補充教員法律が出ましたので、私どもはその趣旨をさらに徹底いたしまして、御指摘のような事態のないように法の運営よろしきを得まして、御期待に沿うように努力いたしたいと考えております。
  182. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、市町村費の負担教員の問題であります。これは直接この法案には関係がないかと思われますが、小、中学校で今、市町村費の負担教員は何人おりますか。
  183. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは、教員とその他事務職員、養護教諭等を含めますと、大体大ざっぱに申しまして約一万人であります。教員だけですと、約二千人でございます。
  184. 高田なほ子

    高田なほ子君 養護教諭は。
  185. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 養護教諭が約三千、事務職員が約四千でございます。
  186. 高田なほ子

    高田なほ子君 この場合の給与費の総額は大体どのくらいに踏んでおられるわけですか。
  187. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) まあ単価にもよりますけれども、大体千人で約三億でございますから、約一万人ですと約三十億でございます。
  188. 高田なほ子

    高田なほ子君 給与費の総額大体三十億、この場合二分の一国庫負担ということになりますが、地方の二分の一負担、約十五億、この分については今後どういうふうになさるおつもりでしょうか。
  189. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私どもとしては、まあこの中にも事務職員あたりいろいろ事情があると思います。と申しますのは、まあ給仕程度のものもございますし、ある意味ではほんとうの事務吏員に相当するものもございます。そこで教員につきましては、これは全部県費負担にあげていきたい。それから事務職員につきまして、事務吏員に相当するものはこれは県費負担にしたい。それから事務補助員のようなものは、あるいは給仕程度のものはこれは市町村で見ていただく。それから養護教諭のうち、これは主として看護婦程度のものが相当多いのでございます、三千と申しましたうちには。で、このうち養護教諭に相当するものは、これは県費の方に繰り入れたい、かように考えております。
  190. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはあれですか、地方財政計画の中に希望条件として入っているのですか、実際に組まれているのですか、どういうことになるのですか。
  191. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) こういう経費は本来都道府県で負担すべき経費でございますので、市町村が持つ性質のものでありません。従って別に地方財政交付金の中ではめんどうを見ておりませんです。
  192. 高田なほ子

    高田なほ子君 めんどうを見ていなくても、今言うような方法運営面においては支障なくする、こういうふうなお考えですね。
  193. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) できるだけ市町村で持つという建前は避けていきたい。そうして二千の教員と、養護教諭、事務職員のうち県費負担で持つべきものは県費負担の方に切りかえていきたい。残ったものだけが、市町村で見る経費に相当するものと考えております。
  194. 高田なほ子

    高田なほ子君 今回の定数標準法律によって見込まれる教員の増、これに伴う給与の、その総額というものは十六億と説明されておるのですが、その通りですか。
  195. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そういう御説明を申し上げたかどうかは存じませんけれども、(高田なほ子君「それは予算委員会です」と述ぶ)要するに、五千名のすし詰め学級解消の分が約十五億です。そのうち七億五千が国庫負担でございます。  それからなお、この法律の定数を実施いたしますと、約五千人ほどのやはり増になります。それで、この五千人分と合せて約一万人程度のものが、この法律実施しますれば必要になってくるわけでございます。ところが、後に申しました五千と申しますのは、定数を一ぺんに五千人ふやせるわけではありませんので、このふやし方は徐徐にふやすという格好をとっておりますので、本年度から数カ年の後に五千人を埋めるという考え方であります。
  196. 高田なほ子

    高田なほ子君 五千人というのは、これは数カ年の計画の中に入っているものなんですか。ことし五千人というわけじゃないんですね。
  197. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) すし詰め学級解消の五千人は本年度分でございます。それからあと残りの定数を上回った五千人はこれは数カ年でやりたいということであります。
  198. 高田なほ子

    高田なほ子君 再建団体に対して文部省は政令を作ってということを言われますが、再建団体に対しては、特に文部省はどういうことを考えて政令を作るのですか。
  199. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 再建団体だからといって、特別な政令を考えておりません。それで、従来御承知通り、全国で十九県の赤字団体がございまして、各県とも首切り計画がありましたことは、皆様も御承知通りでございます。そこで、この定数基準が出ますれば、再建団体といえどもこの標準を守る義務が生じてくるわけでございますので、私どもは約二十県の再建団体におきまして、今後教職員の首切り計画というものは少くともなくなるものと期待しております。
  200. 高田なほ子

    高田なほ子君 再建団体の場合も、この十九県に対してはこれに見合うところの地方の財政の計画というものはやっていく、こういう了解がついているわけですか。
  201. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 義務教育費に関する限りはこの計画通り財源措置をいたします。
  202. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に、教員配置の胆題ですが、中学校の場合、今まで一学級二人、ところが今回の法律によりますと、三分の四ということになって、まあ大へん悪くなったような印象を与えるのです。実際悪くなっている。どうして一学級二人という今までの姿というものを踏襲されなかったのですか。私どもから考えると、新しい法律を作るのに、わざわざ二人のものを三分の四にするということについては解しかねる点があるのですが、これについて御説明をわずらわしたい。
  203. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 三分の四と申しますのは、教員がいて、そのほかに校長もおりますし、養護教員もおりますし、また事務職員もおるわけでございます。なお、政令によって小規模学校にはまた余分に増置することも考えておるわけでございます。それで施行規則によりますと、御承知通り二人を基準とすると、こういうことなんです。なぜ二人を基準とするということの表現をとりましたかと申しますと、義務教育、六三制発足当時、大体五十人について一・八という了解が大蔵省との間についておったわけでございます。施行規則に一・八という書き方はできませんので、まあ五十人以下を標準として、そうしてそれに二人を基準とする、こういうような表明を使っておったわけであります。しかしながら、非常に施行規則での表現があいまいでございますので、各地方においても必ずしも守られておらなかった。今回法律によりまして明確に基準を作ることによって、中学校教育の向上をはかっていきたい。これによりましても、中学校においては相当数の減員よりは増加になっているわけでございます。私どもとしては現状を考慮しながら、さらに一歩前進した中学校教員配置を考えたわけでございます。
  204. 高田なほ子

    高田なほ子君 ずいぶん考えたような御答弁ではありますが、しかしまあ、これはあげ足をとるつもりはないのですが、三分の四に一学級の教員配置をして、御説明によると校長もおれば、養護教員もおれば、事務職員もおるというように、淡々とした御説明がありましたが、校長というのは何にも授業を担当するものではない。それから養護教諭は中学校の場合は二千名以上でなければ置けないことになっておりますが、今の御説明だと、どの学校にも養護教員を置けるような御説明でありますが、将来二千名というワクは、これを改正していかれるおつもりでしょうか。
  205. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 小学校千五百人に一人、中学校二千人に一人と、かようになっておりますが、これらは大体総数で一万三千名とございまして、現在養護教諭は一万以下でございますので、三千数百名の増員になろうかと考えております。しかしながら、私どもはこの基準が充足されました暁には、さらに養護教員についてはをはかっていきたいと考えております。
  206. 高田なほ子

    高田なほ子君 この増員等については、文部省としては何か学校保健法もできたことでございますので、この際に年次計画のようなものをもって増員するような計画はないのですか。
  207. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 今申しました小学校の千五百人に一人、中学校二千人に一人、これで約三千数百名の増員になろうかと考えておりますので、この三千数百名の増員はこれは年次計画で実施したい、三年ないし四年ぐらいかかるかもしれませんが、年次計画で実施する予定でございます。
  208. 高田なほ子

    高田なほ子君 この配置、中学校二千名、小学校千五百名というのは実際実情に即さないのですね、この基準というものは将来変えていこうとする意思を持っておりますか。これは政務次官に尋ねておいた方がいいかと思いますが……。
  209. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) この点はお説の通りでありまして、ただまあ現在の実情が養護教諭の養成の点などから十分でございませんから、また財政上から一応こういうような案にいたしてございますので、これが充足された暁においてはその点もぜひ改めたいと、かように考えております。
  210. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお尋ねしておきたいことは、今度は小規模の単級のような学校の場合ですね、中学校の場合は二十九人に一人、そうですね、小学校は十九人に一人ということになるのじゃないですか、計算をしてみると、こういうふうになるのじゃないのですか。これは二十九学級に一人おりますということですか、教員の配置ですね、単級の場合……。これは予算委員会で矢嶋委員が質問されておられたことで非常に私も疑問に思っておったところです。矢嶋委員の質問の要旨は、中学校単級の場合は二十九人の児童に対して一人の先生である、こういう質問をしておられた。これに対して、どうも文部省の御答弁も何だからゃらんぽらんなんですね。それで、メモしておいて今あらためて私お尋ねしているわけです。
  211. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) まず学級の規模の問題ですが、これは第三条を見ていただきますと「二又は三の学年の児童で編制する学級」が三十五人、四または五つの学級の場合が小学校で三十人、それから単級、今御指摘の単級の学級は「すべての学年の児童で編制する学級」、これでございますので、二十人で一学級ができるわけでございます。中学校の場合は単級が三十人ということになるわけでございます。そこでこの場合に、小学校の場合は一学級に一人が原則でございますが、さらに五学級以下につきましては若干政令でふやす考えでおります。それは二学校に一人とか、あるいは三学校に一人置くとか、すべての学校に一人というわけには参りませんけれども、ある数はプラスいたしたいと考えております。小規模の学校につきましても。
  212. 高田なほ子

    高田なほ子君 この場合、小規模学校の小学校の場合は五学級以下について一人ふやす場合もあるし、〇・八ふやす場合もあるように今御説明があったのですが、問題になるところは、この三十人という小規模の学校で、中学校教員の配置という問題はかなり重要な要素を私は持っていると思うのですね。中学校の場合は国語、社会科、理科、数学、音楽、図工、保健体育、職業課程、そのほか外国語の選択と、こういう工合に並んできますと、とうてい二十九人の学級に一人の先生ではこれはやり切れない。でありますから、政令を文部省でもって考慮する場合には、中学校教員配置について特段の考え方を持っておられるものかどうか、その点。
  213. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 中学校の配置は、三分の四プラス一でございますので、ですから現実には二・三三になるわけでございますが、そのほかに分校につきましては別に教員一人を配置するように今研究しております。
  214. 高田なほ子

    高田なほ子君 研究中ですか。
  215. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) はい。できるだけ教員数はふやしたいと考えておりますが、やはり財政規模との関係もございますので、小さい学校である程度の免許科目を持っていただくことが必要かと考えております。
  216. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に、第四条の条文の問題なんですが、五十名をこえる場合の問題でありますが、「毎学年、当該基準について、あらかじめ文部大臣意見をきかなければならない。」こういうふうに「意見をきかなければならない。」ことになっておりますが、ここはむしろ協議をするという形になるのではないかと思いますが、なぜここは意見を聞くというふうに法文上されたものか。
  217. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実は、その協議をするようにいたしたいと考えましたが、あまり地方自治の侵害になってはいかがかと思いまして、実は文部大臣意見を聞くという形をとったわけでございます。しかし私どもは、この第四条の趣旨はあくまでもすし詰め学級を解消するのであって、五十五人以上は認めない方針でおりますので、できるだけ知事から意見を聞かれれば制限いたしたいと、そのかわり地方交付税の方でそれだけの数は必ず財源措置をするように指導をいたすつもりでおりますので、これが協議となっておりますれば、さらに一そう強いのですけれども意見を聞くだけで私どもは十分行政指導ができると考えております。
  218. 松永忠二

    松永忠二君 一つお聞きしたいのですが、この法案については、文部省が大蔵省、自治庁あたりと交渉されて相当努力されたけれども、当初考えられたことよりも幾分その線が下ってきているというふうに聞いておるわけです。またそういうふうな点は主としてどこの点なんですか。文部省が考えておった基準を引き下げざるを得なかった点というのはこの法案の中のどこの点であるか、その辺をお話し願いたいと思います。
  219. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 自治庁、大蔵省と協議しまして、私どもは大体文部省の骨子は承認されておると思っております。で、こまかい点は若干あったと思いますけれども、ほとんど自治庁も大蔵省も非常に御協力をいただきまして、本法案についての大きな点については修正はございません。
  220. 松永忠二

    松永忠二君 そうなってくると、私たちから言うと、少し標準の低いところが相当見つかるわけですが、先ほどのお話の出てきた、特に養護教諭の小学校千五百人に一人、それから中学校で二千人に一人等は、これこそ当初文部省がこういうことを考えられておったということになると、少しやはり問題があると私たちは思う。これは確かに二千人と、千五百人を基準にして、それをすれば全国的には多くなるでありましょうが、しかしその適正規模の学校というのは大体どういうふうに考えておるのか。そういうことを考えてみれば、当然適正規模の中で養護教諭というものの数を考えなければできないと思う。こういう点はあれですか、やはり当初からこういうふうに考えておられたのですか。
  221. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実は私どもは、一体どの程度で教員数をふやすかということが一つの問題になるわけでございまして、予算に関係なくふやしますれば、それは御指摘のように、私どもこの基準は不満でございます。しかし現状を考えながら、これでもなおかつ五千人の増員になりますので、私どもとしては、まあまあやむを得ないのてはなかろうかと、特に私どもが不満に思っておりますのは、養護教諭の点と事務職員の点でございます。で、私どもとしては、事務職員をもう少しふやしたかったし、また養護教員についてもふやしたがったのですが、養護教員につきましては、一つは養成上の制約がございまして、年間五百人程度しか今のところ養成かできませんので、このぐらいが現状てはやむを得ないのではなかろうか。それから事務職員につきましても、将来改善したいと考えておりますが、全体のワクを一ぺんにふやすことが困難でございますので、まあまあこの辺でやむを得ないのではなかろうかと考えております。
  222. 松永忠二

    松永忠二君 どうもそういうふうなことになると、特に私は国全体としては一応そういうことがわかるのですが、養護教員にしても事務職員にしても、相当これより上回っている県等においては、むしろ実情に即して相当な数を確保しているわけであります。従ってこういうものが出てくると、まあ大体国の標準というものはこの辺にあるのですから、少し本県としてはぜいたくじゃないかというような言葉も出てくるわけであります。そうなってくると、特にこの法律の中で修正案も衆議院で出ておったようでありますけれども、格段にやはりそういう点の基準を引き下げない措置というものはむしろ法としても出しておかないと、相当これは危険な面も出てくると、全般的には養成の計画、それから標準としての場合のときには一応今の説明でわかるのでありますが、やはり特にそういう配意が必要だと私は思うのです。
  223. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは、この定数の仕方は都道府県の総数をきめたものでございまして、この事務職員、養護教諭と職種別の定数じゃございませんので総数のワク内の操作にしていただきたいと、今御指摘になったような数県においては養護教諭、事務職員を非常に熱心に置いていらっしゃいます。しかしこの場合には、教員数が比較的この基準より少いというような状態でございまして、総数の中でその県の特殊事情に応じてやっていただきたい。で、現在の事務職員なり養護数諭を、この基準ができたために引き下げないように、私どもも指導したいと考えております。
  224. 松永忠二

    松永忠二君 その点は実際には、あなたの方では文部省試案と称するものを予算の編成前に出しておられるわけですね。そうして実際に文部省試案から計算された事務職員は何学級以上というようなことは、一応試案に出てきているわけです。その試案に基いて大体各府県では予算を編成しているわけです。あなたが、いやこれは総体的な数なんだからというようなお話であるとすれば、そういうふうな養護教諭、事務職員の一応の基準というものを試案の中に出していくということは、むしろおかしいと私は思うのです。要するにあなたの方では、中学校は何学級以上、それから小学校は何学級以上事務職員を置くというふうに出ておる、あなた方の方で総体のワクを大体分けて、事務職員、養護職員のワクをきめておる、それが実は抱束をしておるわけなんです。だから、あなたの説明はその通りであるならば、その通りに出せば、向うで勘案をしていくのに、あなたの方では、ここに政令にきめる、政令にきめると書いてあるけれども、もうこれで計算した政令の基準を各地に流しておられる、それに基いてもう当初予算ができてしまった、そのときに一番削減の根拠になったのは、向うの県の理事者の根拠になったのは、文部省が大体このぐらいのことを考えているのだから、本県としては、少しぜいたくだ、もう少し下、げていくべきじゃないかということが出てくるのです。従って、まああなたの今の説明は、実情とは、あなたのやられている指導とは少し違っておるので、やはり特にこれは後ほど修正等の意見も出てくるように私ども聞いておりますが、やはり上回っておる点については、特にこれを確保するという努力が法案の中にも示されていくという必要が私どもはあると思うのです。その点は大体同じ意見だと思うのですが、どうですか。
  225. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 従来あるいは試案が流れておりまして、その通りと思いますけれども、私どももその説明に当りましては、これらの教職員の定数は各学校ごとの配置基準、または職種別のワクを示したものではなく、各都道府県ごとに置くべき数職員の総数の標準を示したものである、従って各学校ごとの配置は各都道府県において実情に応じて行わるべきものであると考えると、この考え方は私どもは終始一貫変らないのでございます。ですから、そういうような誤解があったりしては相済まぬと思いますので、今後指導に当りましては、事務職員あるいは養護教諭についてこの基準以上に置いておる県が、この法律のために引き下げられないように私ども最善の努力をいたしたいと考えております。
  226. 松永忠二

    松永忠二君 その点はまあそういうふうにお願いをしたいと思う。事実上該当する県では現実に減ってきているのですよ。私の県あたりでも事務職員については、中学校は全部置いていたものを、この試案が出てきたために、現実に学級数が小さい学級には減ってきている事実があるのです。それでそういう点については、今後御指導をいただきたいと思うのです。  そこで一、二疑問の点を一つお聞かせをいただきたいと思うのですが、第三条の第二項のところに「ただし、同学年の児童又は生徒を四以下の学級に編制する場合の一学級の児童又は生徒の数の基準は、別に政令で定める数を標準として、都道府県の教育委員会が定める。」こういうふうに出ておりますが、この「政令で定める数」というのは、どういうふうにお考えになっておられるのか、特にこれをここで出した理由等はどういうふうなところなんですか。
  227. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは、後ほども出て参りますけれども、五十五人まではよろしい、五十五人をこえる場合には文部大臣意見を聞く、こういうことになっておりますが、そこで小さな学級の場合に五十人でぴたっときめられますと、かりに単級学校の場合、単級と申しますか、一学年一学級で上までいく、そうすると五十一人になると二つに分けなければならない、この場合に二十六人で一学級編制するようになります。これは非常に不経済なので、こういう場合には五人くらいの幅は持たしたい、そうすると五十六人になると、二学級になるわけですね。そうすると、二十七人までは一学級、それがつまり五十四人までが一学級、五十五人をこえた場合には二学級というような考え方を持っておるわけであります。でありますから、若干小さな規模の学級の場合には五十五人、あるいは五十三人というようなはみ出した分を認めなければならないではなかろうか、五十人できちっとしますと非常に窮屈になる、こういう趣旨でございます。
  228. 松永忠二

    松永忠二君 そこの辺が、私たちはここらあたりは自治庁あたりの要求で入れられたのではないかという感じがするのですよ。これは、あなたの言ったこととは逆に、非常に大きな学校で同一学年が非常にたくさん編制されなければできないときに、それが五十五を一名こえたからすぐ学級がふえてしまう、そういうところで防がなければいけないというところから出てきた条文だと思うのですよ。あなたのおっしゃった少いのではなくて、「同学年の児童又は生徒を四以下の学級に編制する場合の一学級の児童」というのだから、四学級以下の同一学年というわけですから、そうすると、やはり割合学校としては学級数は必ずしもそう少くはない、そういう学校ではあなたのような五十一人になれば、たとえば五十五で押える場合は、五十六になるとすぐ二つになってしまわなければできない、そういうことによって実は過大学級を防いでいるという面もあるわけなんです。つまり、五十五人までは一学級だけれども、一名ふえれば直ちにそれ二学級に編制しなければできないことになっているので、そこで定員基準は割合低くても定員は割合ふえることができる、一名ふえても二つになるということができるわけです。あなたが今御説明されたようなそういう意味じゃ、ちょっと学級がふえ過ぎるから、五十五を一名くらいじゃだめなんで、五名くらいふえてからでなければ分けない、そういうふうな意味に説明を聞いたのですが、違うのですか。
  229. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私が言ったのは五十五まではいいわけです。だから、五十を一名ふえたから、すぐ二つに割るというのは他との均衡でぜいたく過ぎる。ですから五十五を一名ふえた場合はこれは二つに分ける、こういう趣旨でございます。
  230. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、第三条の二項は、要するに五十人を標準として考えての場合であって、第四条の「五人を加えた数をこえる数によろうとする」というときには、これには関連がないのですか。
  231. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それには関係ございません。そこにはっきりカッコ書きがございます。四条のところの四行目に「(同条第二項ただし書の規定により別に政令で定める数を標準とする場合にあっては、政令で定める数)」とありますが、政令で定める数は最高限五十五でございます。五十六になれば二学級に分けるわけでございます。
  232. 松永忠二

    松永忠二君 そうするとあれですか。たとえば五十五という、五十六なら五十六という、つまり文部大臣との意見でもって協議して一学級五十六と定めた、そうなった場合には五十六名を一名こえた場合には直ちに二つに分けるけれども、五十名という標準学級編制をしているところでは、一名ふえてすぐふやすのは工合が悪いからそこに幅を持たせると、こういうことなんですか。
  233. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さような趣旨でございます。
  234. 松永忠二

    松永忠二君 これは、その辺がはっきりしていれば、まだはっきりしているということであるとしてまだ理解できるのですが、ここらあたりも暫定のあれだからやむを得ないけれども、こういうことを入れておかなくても、実際にはこれがなければ五十人を一人こえてもすぐクラスが二つになるので、要するにすし詰め解消という意味から言うと、もっと理想的な案ができるわけです。その点については五十のものについてはそうであり、五十五以上のものについてはそうではないということであるので、まあまあという気持もするのですが、ここらあたりもやはりあってもなくてもいいんじゃないかというような感じのするところだと私たちは思ってこの案を見たわけであります。  それから第七条の三号のところに、「五学級以下の学校の総数に政令で定める数を乗じて得た数」と、こう出ているわけです。これは、先ほどの高田委員説明のときにも出てきたのですが、これはその法律の上で、五学級以下の学級の総数になぜはっきり数をここへ出して乗じた数というふうに入れることができないのか、政令で定める必要はないものではないかと私たちは思うのですが、この点はどうですか。
  235. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この点は五学級以下の場合に本校があり、分校があり、また地域の事情もございます。ですから、どうしてもこれは本校について一名定員を、ふやす性質のものなのか、あるいは分校として本校で管理していいものなのか、そういう点の検討もいたしたいと考えまして、大体私どもではこの政令の場合に一人というわけに参らぬと思う。現状を一応見比べまして、たとえばそういう学校に、二校で、一人置くとか、あるいは三校で一人置くとか、これは現実にどう配置するか別でございますけれども、定数の計算としては三校に一人とか、あるいは二校に一人とか、こういう格好になろうかと考えております。
  236. 松永忠二

    松永忠二君 この点は、やはり私たちは、せっかくここに五学級以下の学校の総数に政令で定める数を乗じた数というのは、要するに非常な少い学級についての措置だと思うのです。こういうものは、今あなたのおっしゃったような、いろいろ各地の事情もあると思いますが、あなたがおっしゃっているように総員のワクなんだ、それは実情に即して各県に配置するのだと、こういうことになると、総員をどうしてふやしたらいいかということに主力を置くべきである、そうなってくると、こういうところで総員の定数の数をふやす案を出しておけば、そうすれば配置はあなたがおっしゃったようなことで、実情は各県でやるというようなことから、こういうところは政令で定めないで、あくまでやはり法律の中に数を入れて、数をふやす努力をしてほしいというようなことを感ずるわけなんです。政令でうたうということについては、やはりこの点も一つ基準の下った案ではないか、そういうふうにわれわれは考えるわけなんです。今後の点について、やはり問題の点を明確にして、この法律は各方面から要望されたものであるし、これを高めることによって確かに学級の生徒の数を減らし、教員増をすることのできる法律だと思うので、こういう点なんかも十分配慮をしてもらいたいと思うわけであります。  それから、地方財政計画の中に今までの算定の定数というものはあったわけなんですが、今度は地方財政計画の上ではどういうふうにこれを計算をしていくのでありますか、その辺を一つ説明を願いたいと思います。
  237. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 従来は御承知通り、半分は国庫負担金でいきます、残りの半分は地方財政計画で、学校当り幾ら、それから学級当り幾ら、児童一人当り幾ら、この三つの要素で交付税を測定したわけであります。ところが、今回は単価がきまっておりまして、学校当り幾ら、これは学校の特に宿日直のような経費でございますが、主としてここではじいた数が基礎になっております。この法律に基いて教員数を出して、それに単価をかける。単価が大体十五万くらいになっておりますが、この数を単価でかけますので、今回は百パーセントはっきり保障ができるだろうと思っております。従来は地方財政計画で明確になっていないので、教職員の定数にいたしましても、給与にいたしましても非常に不明確であったのですが、今回はこれが非常に明確になりますので、教員の定数が確保できると同時に、すし詰め学級も並行して解消できる。この数に基いて交付税が計算される。ここに非常な今回の前進があるわけでございます。ただ単に基準を作るだけじゃなくて、この基準が地方財政計画で保障するというところに非常な私は意義があると考えております。
  238. 松永忠二

    松永忠二君 それは、今のお話のような点で、私たちも計画書を見せてもらってそういう点が出ておるのですが、標準施設の規模、前には標準施設の規模というようなものが出ておったのですが、今あなたのおっしゃったような、こういうことには全然関係なしに、この法案に基いてだけ、法律に基いて定数が出され、そしてその単価がかけられていく。そうすると新しく、ことしはあれとして来年の地方財政計画を作るという場合には、それに自然増とか、あるいは学級増というものを見込んで、あるいは給与についても、給与単価というものは文部省の考えている給与単価と同じ単価をかけるというような形で、同様な措置が地方財政の上でとられていくのですか。
  239. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体地方財政計画全体といたしましては、国庫負担金に見合うものが大体地方財政に打ち込まれるわけでございます。しかし交付税で各府県に配分する基準といたしましては、この定数が基準になって各県に配分されるわけであります。ですから、これですし詰め学級が解消されればそれだけ地方財政計画で保障せられる、こういうことになりますから、今までのような単なる基準じゃなくて、財政計画で交付税が保障された基準だ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  240. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、この計画に基いてすし詰めを解消するという場合には、当然施設の計画というものは、これと同様な措置がとられないと、できないと思うのですが、こういうことについてはやはり文部省内で十分連絡がとられて、施設の計画が実施されているのてありますか。
  241. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 建物につきましては、これで十分歩調をとって今後やるつもりでございます。
  242. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ、この教員定数なんかには、いろいろまあ従前から組合専従者というもののワクというものがいろいろ考えられてきておったのですが、これは、そういうことについては、やはり各県の定数のワクをきめたのてあって、組合専従の定数というものは、この中から各府県が独自にやはり条例あたりできめられていくものなのか、あるいはこれとは別のワクを考えておられるのか、その点はどうなんですか。
  243. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは財政計画で保障した定数でございますので、各府県は、各府県の条例によってそれぞれ定数がきまっていると思います。専従といえども、各府県条例の定数内でございますけれども、これとは直接関係はございません。
  244. 秋山長造

    秋山長造君 ただいまの建物、施設の整備の問題ですがね。このすし詰の学級の解消は、われわれの聞いたところによると、小学校は五カ年計画、中学校は三カ年計画で完全にこの基準の線まで持っていって解消する、こういうことに聞いているのですが、そういうことでございますか。
  245. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体私どもは今お述べになりましたように、小学校は三十八年まで、いわゆる五カ年計画、中学校につきましては二年ないし三年のうちに解消したいと、かように考えております。
  246. 秋山長造

    秋山長造君 で、これには当然建物、施設の整備ということが伴なわなければならないのですが、その点の計画も、これは確実にできているのですか。
  247. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体私どもとしてはできると思うのでございます。そうしてこの法律にもございますように、建物の……生徒数の減少の段階一つ見込んでおるのでございます。御承知のように、小学校は本年が最高でございますので、これから生徒数が減る段階でございますので、建物にも余裕ができてくるのではなかろうか。しかし、一部に、東京都、その他都会地におけるすし詰め学級は依然として解消されませんので、それに伴う財源措置は、建物につきましては、今後も十分考えなければならぬと思います。ですから、生徒数の減少と、さらに建物の整備状況、この二つの要素を見合いながら、すし詰め学級の解消を進めていきたい。できるだけ御指摘になりましたような御趣旨に沿うような、建物の計画と合うように今後もしていくつもりでございます。
  248. 秋山長造

    秋山長造君 これは政務次官にお尋ねいたしますがね、この間のこの委員会で上げた、義務教育学校施設費国庫負担法、あの法律と、このすし詰め学級解消の法律とは、これはその意味では、これは全く表裏一体をなされるべきものだと私は思うのですがね。そういう立場からあの施設の国庫負担法というものは立案されたものかどうか、お伺いしたい。
  249. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) もとよりすし詰め学級の解消につきましては、建物と教員の定数との関係がございまするので、その点は十分考えております。
  250. 秋山長造

    秋山長造君 この間、あの法案の審議のときに、管理局長へその点をお尋ねして、そして別に提案されておるすし詰め学級の解消の法律案と、この施設の法律案とは、これは一体のものとして考えておられるかどうか。従って一体のものとして考えておられれば、すし詰め学級の解消が、三年ないし五年というこの計画のもとに立案されておる以上は、施設の方もやはりそれに見合うような確固たる計画があってしかるべきじゃないかというお尋ねをしたのです。そのときに、私の期待に反して、管理局長は、そういう計画は今のところできていない、こういうお話だったのですがね。そうなると、どうもまあ人をふやしていく面はいいとして、この入れものの方がせっかく立案されたこの法律に伴わないということになりはせぬかと思うのです。その点はいかがですか。
  251. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) その点は、やはり財政の問題が――この定数にいたしましても、財政の問題に非常に影響されるのでありますが、ことに校舎になりますると、設置者が市町村でございまするのでそういう点で非常に、影響されて、文部省として望んでおる点にも、まあ非常に進み方が少いのであります。ただ、たとえばこの不正常学級のうちでも、まず二部教授をできるだけなくしたい、こういうことや何かで、それらの点につきましてたしかここでもお答え申し上げたと思うのでありますが、三十三年度から五カ年以内にそういう方面についても解消したい、こういうことで計画を立てておりますもので、決してこれと無関係に先般の法案につきましてもあるということでは決してないのでありますが、ただ、ただいま申し上げたように、設置者が市町村である、そういう関係で、文部省として両方あわせてこの通りぴたっといくのだ、こういう点にいかないことは事実でございます。
  252. 秋山長造

    秋山長造君 いや、設置者が市町村であることは間違いないのですけれどもね。ただ、しかし設置者は市町村であるにしても、この義務教育学校施設の負担は、明治以来の設置者負担という原則を、一応この際は白紙に返して、そしてあらためて――設置者はなるほど市町村であるかもしれぬが、その経費については国と市町村とが折半で負担をする、こういう共同負担の原則をあらためて打ち立てたのだ、だからそういう意味で非常に大きな前進だ、こういう説明があり、われわれもこの負担率等についてはまだ不十分だとは思うけれども、とにかく国と地方で分担するという原則だけはこれは確立されることはけっこうだ、こういう意味で了承したのです。  そうとすれば、なるほど現実にはやはりこの人をふやすというわけにはいかない。なかなか施設をふやすということは金もかかるから、それに確実に歩調が合うかどうかは一応別問題として、一応やはり政府としてはすし詰め学級を解消するということで、人の面で三年ないし五年、こういう計画を立てる以上は、その施設の面でもやはりそれに対応していろいろやはり計画を一応立てられて、そしてもうむずかしい、むずかしいと言わないで、やはり少々無理をしても、やはりそれを着々実行されていかなきゃ、これはすし詰め学級の解消ということは、いつまでたっても現実には解消ができないというように考える。ですから、すでに通った法律ではあるが、あの施設の問題についても、この間管理局長のおっしゃったように、何にも関係なくして、ただとりあえずいろいろな法律を集めてやったのだから、一歩前進だというのでなしに、やはり初中局がこういう法案を作られれば、管理局でも、まあそれに見合うだけの計画を早急にお立てになって、そして両々相待って推進さるべきものだと思う。
  253. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) その点は、まことにお説の通りでありまして、御承知のように、三十四年度から小学校においては生徒数が漸次減少して参ります。まあ中学校においては増加するのでありまするが、しかしこれもまた中学校も、三年たてば次第に減少していく、そういうことを勘案して、できるだけすみやかに解消したい、こういうことで二部教授等については、本年度から五カ年以内には解消したいという計画も、建築施設の方につきましては計画があるのでございます。従って今後お説のように、できるだけこの法案と両々相待って、私ども不正常学級の解消に努力をいたしたい。先般の施設の法案につきましても、従来施設が国家の補助ということであったのを、国家の負担ということに、やはり義務教育の本来の使命にかんがみて、国家もこの施設について負担するという負担法としたのも、やはりそういう意味からでありまして、本法案の教員の俸給と同様に考えておりますもので、今後におきましてもそういう点によく関連していかせるように、一つ努力をいたしたい、かように考えております。
  254. 秋山長造

    秋山長造君 それからもう一点お伺いしますが、この法案の第十一条ですね、この十一条に該当するような府県が現実にどのくらいあるのですか。
  255. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは実は現実にどのくらいかというと、約三十県ぐらいがこの定数に満たないわけでございます。ですから三十県ぐらいが一応の対象にはなりますけれども、もちろん、現実に各県でも御努力なさるでしょうから、私どもは十一条の働かないことを期待しているわけでございます。自主的にやられることを希望しております。
  256. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 私一点だけちょっと質問したいと思うのですが、それは第四条でさっき御質問もありましたけれども、御答弁が明確になっていない点もありました。それは政令で定める数をこえる場合に、あらかじめ文部大臣意見を聞かなければならない、これは予算を伴う法律の場合にも、あらかじめ政府の意見を聞かなければならない。政府はそれは賛成しがたいと言っても、法律を作っていく。あれと同じように文部大臣は、これは、そういう数は認めるわけにはいかない、工合が悪いというような意思表示があっても、それは意見を聞いたのだからということで、そのまま地方で強行するというような場合があると、これは現在の地方財政等の事情から見て、せっかく作った法律が骨抜きになってしまう。そこで、それは一体どうなるのか、どういうふうにしてそういうことを防止するのか、明確に一つしておいていただきたいと思います。
  257. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 五十五人をこえるような場合には、文部大臣に御相談をしていただく、この機会に都道府県に対して、私どもはすし詰め学級を解消した分だけを地方交付税の方でも財源措置をすることになっておりますから、ぜひそういう無理なことをしないようにという指導をいたしたいと思います。ただ、地方の財政状態が非常に悪い場合には、文部省が無理やりに押しつけるようなことは私ども避けたいと思いますが、できるだけ指導よろしきを得まして、御期待に沿えることを私は考えております。
  258. 湯山勇

    委員長湯山勇君) もう一回、それは私はこういうふうに解釈しておったのですが、校舎建築その他で、暫定的に一年間このままでやられるというような場合はともかくでございますけれども、そうでなければ、これは明らかに法律違反ですから、強く言えば。で、そんなふうにただ単に地方財政というのは、今言われたように、財源措置はできておるから、これは理由にならないと思う。そういうことによってやろうとする場合には、これはもう措置要求文部大臣はやるべきだ、今の校舎建築、にわかに住宅がふえたというような場合に限って、これは適用される項目だと私は解釈しますが、それで間違いありませんか。
  259. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御指摘のように、そういう校舎の整備の状況ができないというような場合は、これは私はやむを得ないと思います。ただ、今私が申し上げましたのは、地方財政に籍口して五十五人のすし詰めをするような場合には、私どもの方としては、そういうことをさせないようにするという意味で申し上げたわけでございます。
  260. 吉田法晴

    吉田法晴君 次官にお伺いいたしたいと思うのですが、説明を聞いておりますると、府県の総数、それが財政的な裏づけがあるところに、この法律案の真骨頂があるというのですか、多分にまあそういう意味では政治的な基準のような感じがするのですが、一学級五十人以下であること、こういう基準ができておったのに、この法律案では若干この基準がぼけるといいますか、あるいははぐらかされたような印象を受けるのは、これはひがみでしょうか。さっき秋山君から質問がありましたけれども、学級あるいは学校の単位というものは、理想としてこうなければならぬ、こういう基準と申しますか、あるいは理想というものは、これははっきりこの法律にかかわらずあり、そうしてそれがむしろよくなるべきだと思うのですが、多少逆にいく面があるような感じがするのですが、その点はどういう工合にお考えになっておりますか、伺いたい。
  261. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) この点につきましては、決して御懸念のような趣旨で法案を作ったわけでございませんで、従来、お説のように省令の施行規則で一学級五十人を標準とする、こういう一応の目安をつけております。もちろん、教育の理想から言えば、この五十人の標準ということも、決して理想ではございませんで、これがまあ、せめて四十人あるいはさらに三十人台になることが、これを標準とするということがむしろ理想であるべきでございましょう。しかし、現在の日本の財政的種々な事情で、そこでまあ一応五十人以下を標準とするということになっているのであります。ところが、これさえも実際には行えないで、全国には十四万学級も五十人以上の学級があるということで、そこで、今度これを一歩進めて、それを守っていない学級につきまして、水準を上げるために、今回のこの法案を出したのであります。もちろん、この守られている非常に標準の高い学級につきましては、これを引き下げるということはないように、財政の措置の上においても、自治庁と十分打ち合せいたしてございまするし、これがそういうことのないように、一つ交付金等で考慮をしてもらう、この立法の精神というものは、幾らかでも標準を高めていくということにあるのでございますから、高いものを低めよう、こういう妙な考えは毛頭なしに、またそう解釈せられることは法の立法の精神に反するわけでございますから、この点は決して御心配のないように一ついたしたい、で今回はこれを法律といたしましたのも、やはり一つはそこにあるのでございますので、御了承いただきたいと存じます。
  262. 吉田法晴

    吉田法晴君 今一学級は五十人よりも四十人の方が望ましい、こういう御意見でございましたが、純粋に考えてみて、二条二項のここに書いてあります学級編制の区分と、児童または生徒数、こういう点を純粋に考えますれば、五十人は、一の「同学年の児童で編制する学級」については、五十人は四十人が望ましい、こういう御答弁があったんですが、以下「二又は三の学年の児童で編制する学級」については「三十五人」と書いてありますが、それは二十五人、あるいは「四又は五の学年の児童で編制する学級」については二十名、あるいは「すべての学年の児童で編制する学級」については十人、あるいは特殊学級については九人といったようなことの方が、実際に教育効果を上げていく点からいいますと、その方が妥当というよりも、むしろ当然だという工合にはお考えになりませんか。
  263. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) ただいまの御意見は、これは理想としては先ほど申し上げたように、現在施行規則できめられておる五十人以下というのを四十人以下と、こういうふうにする方が教育の本来からすれば理想であるということも言えるのでございまして、従って、ただいまのお説も、理想としては確かにそれが理想でございまして、将来はそういうところまで行くということが、これは日本の教育として望ましいことでございますが、しかし、当面は、今言ったように、十四万学級も省令の規則が守られていないという状態からして、今度規則を法律一つきめて、そしてこれを十分一歩進めるよう正していきたいと、こういうのが今回の法案を提出した意向でございまするので、まだその理想まで参らぬことはまことに遺憾でありますが、その点は一つ了承いただきたいと思います。
  264. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは文部省文部省の一部で考えちれるような、昔のような詰め込み主義の教育なら、これはやはり五十人以上でもできないことはない。しかし、民主的な教育で、その一人一人の児童なり生徒の持っております能力を育てていくと、こういうことになりますと、これは小学校の一年あたりで五十人も実際できません。それから特殊学級についてもそうです。それは今理想だと言われますけれども、これはほんとうに民主教育をやろうとするならば、それは理想だけでなくて、当然の基準でなければならぬと思うのです。ただ、まあ実際はそうでないから、この施行規則の標準までもいっておらぬからと、こういう現実に合せようというか、現実から幾らかでもよくしようという、財政問題もひっくるめて、開通をして、漸進態勢をとられようとするからそういう措置がとられている。しかし、理想なり、当然の教育の姿、あるいは学級編制の理想の姿をいうのが、どこかにやはりなければならぬ。現にこれは戦後教育基本法、あるいは教育制度のもとで行われているものとして、どうしても地方で、当時は私どもも県会議員をしたりしておりましたが、それは五十名でなくて五十名以下で、四十名とか四十五名とかでも実際に行われようとした努力がなされていた。ところが、それがだんだん後退してきて現状になっている。その現状にまあ合せよう云々ということで、さっきお話がありましたが、総数でもって引き上げを云々ということになると、あるいはこの数以上のところは、ここまで引き下げられるといったような、文部省が希望しないような事態が起ってくる。それはその現実的であろうとする態度が、やはり一面にそういうものを含んでおるから、この文部省の志しているものでないけれども、そういうものが出てくる。それを引き下げる措置を防ぐという点も文部省の希望でなくて、私は法律でやるというなら、法律的な措置を講じなければならぬと思うのですが、今申し上げているのは、あなたは理想と言われるけれども、理想でなくて、民主教育のほんとうの効果を上げようとすれば、こういうこの編制に伴う児童数、あるいは生徒数というものは、こういうものでなければならぬという点は、これはやはりそれが省令でやられるか、法律でやられるかはともかくとして、こういういわばこの行政的な目標が法律で作られるならば、そうしてそれによって理想が多少ぼけるという心配があるなら、どこかでその理想の姿というものを、はっきり法定をしておかなければならぬ必要が私はあると思うのですが、それについての教育基本法なりその他ではっきりする御意向があるかどうか、承わりたい。
  265. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) この法案は決して現実に満足して、そうしてその現実だけに合せているということではございませんで、まあ、その理想に近つけるために一歩進めていくと、こういう法案でございます。しかしまあ、今言ったように、なかなか一気に理想まで参りませんし、ことに、このすし詰め学級等の不正常学級の点は、急激にその工場等ができて、そうしてまた人口がふえ、住宅がふえると、こういうことで、なかなかこれに学校の建設が追いつかぬ。それには財政の問題がもちろん非常に関係しているのですが、そういう都会地における不正常学級というものが、非常にこれが多いのであります。まあしかし、都会地においてももとより将来はこれを拡充させて、理想的な一つ学校の規模を実現するということが教育上は必要でございます。で、この法案によりまして、現状の不正常学級が改良された、前進を示しましたその暁においては、さらにまた、今度は一つこれ以上に理想に近つけるような案を一つ考えたいと、かように考えておる次第であります。
  266. 吉田法晴

    吉田法晴君 この法律でここまで来たら、そのあとでさらにまあ理想の姿を何らかの形で法定をしたい、こういうことですが、教育基本法で、これはまあ規定は施行規則のようですが、五十人以下という今までのあれがあった。そうして新教育制度の実施当時においては五十人以下というものが相当、四十五人とかいうものが実際にあった。ところが、その従来の法律建前から言うと、その五十人以下ということが標準であり、あるいは目標であった。そうして下げていこうと、こう言う。ところがこれでいくと、五十人なり、あるいは三十五人というものが、以下まあ読み上げませんけれども、これが基準と、こういうことになる。そうすると五十人以下という標準なり目標というものが、あるいはそれに近づこうとする努力がここでいわば抹殺されるでしょう。そうすると、さしあたりのとにかく計算の基礎としては、五十人以下ということだけれども、この標準というものは、あるいはあなたの言う理想というものは、どこにあるのだということが、やはりどこかではっきりしなければ、これは標準が変ったと、こういうことになる。実際問題として法律の上から言うと、それをどこかでカバーする措置というものをとらなければならぬのじゃないか。この法律が実際に実施されて、すし詰め学級等が解消したら、そのあとは五十人を四十人にする云々というお話がございました。今この法律にある標準の低下する部分については、どういう処置をとられようというのか、法の建前からして。
  267. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) この点は先刻来からいろいろ御説明申し上げておりますように、現在において施行規則の五十人以下と、こういうふうに守られておる学校もたくさんあるのでございますが、しかし、これが守られないでいる学級が十四万学級も全国にはある。そこで、これを何とか解消するように一つまずいたしたい。十四万学級というと、全国の約三分の一ぐらいになるんでございましょうか、それで、それを解消するためにこの法案を出したわけであります。従って、立法の精神からいっても、現在ある標準を守られている、施行規則の標準の五十人以下を守られている、これをゆるめるということは、この立法の精神でありませんで、そういうことはないようにすべきであり、そこで財政的な保障を交付税においてすると、こういう点が一つの大きな強みであります。決してこれを引き下げることのないように、財政的な措置もするし、行政指導でも、この点は十分一つ力を尽していきたい。しかも、施行規則で、「五十人以下の標準とする。」というのを、今度はこれを法律できめると、そこに非常な強みが出てくる、かように考えておる次第でございます。
  268. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止
  269. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記つけて下さい。
  270. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは、その点は後の質疑に譲ることにして、先ほど来、引き下げることのないように云々ということですが、これは、この法律によって、あるいはそれが修正されたとしても、法的な措置を講じられなければ、行政的な指導では法的な保障はないと思うんです。で、それについてはどういう工合にお考えになっておりますか、法的保障の方法については。
  271. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 上旧っている県が約十県ほどこぎいますが、その十県につきましては、生徒数の減少とか、施設の整備とかいうことに関係なく、すみやかにすし詰め学級の解消のほうに、余っている分だけ回すように強力な行政指導をいたしたい。で、そういたしますれば、交付税の単位保障費用でもそれだけの分が保障されますので、教員の整理にならないようにしたいと、かように考えております。
  272. 吉田法晴

    吉田法晴君 私のお尋ねをしているのは、それは先ほどから答弁になったところは、それは文部省の方針です。法律を出してきて、多分に、そういう点から言うと、行政的な性格を持っておる法律、行政法ですから、当然だと言えばそれまでの話しだけれども。さっきから言う基準やあれやというよりも、文部行政的な性質を持っている法律の中で、その下の保障は、法律に基かない政府の文部省の行政措置だと、こういうことですが、その法律的な保障を法の上ですべきではないかと、こう考えるんですが、それについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  273. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記とめて。    〔速記中止
  274. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記つけて。
  275. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは、その点も後刻の質疑に譲ることにして、関連してお尋ねしたいんだが、学級の問題は、ここにしばしば出て参っておりますが、学校の規模については、どういう工合にお考えになっておりますか。というのは、最近、統合ということで、統合しさえすりゃまあ補助金が出るということで、相当無理をしている。これはまあ私は補助をもらわんがためになされていることだと思うのですけれども、私は、学校の規模もそうあまりどんどんふえたほうがいいというわけのものじゃなかろうと思う。それが四百名といくか五百名といくか。ところが、現実は、その予算獲得なり何なりに関連して相当無理が行われておる。こういうことを現に見ておるのですが、学校の適正規模はどういうところにあるとお考えになっておるか、関連してお尋ねしたい。
  276. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 学校の統合につきましては、市町村の合併に伴って、これを機会に、できるだけ適正区分にしよう、こういうことかと思うのでありますが、大体文部省として考えている適正規模の学級は、一校十二学級から十八学級ということになっております。
  277. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではあと一点を伺いますが、これは要望になるかもしれませんが、さきほど来高田委員から、事務職員それから養護職員の話が出ておりましたが、基準が理想よりも緩和された形になりますというと、事務職員については、養護職員についても、これは必ず置いて、教育そのものの教職員の負担を軽くすることでなければ、教育の効果は上がらないのだと思うのですが、事務職員についてのただし書き等を取る御意思はないか、あるいは事務職員や養護職員の数を増加することについて、どのように考えておられるか、最後に承わりたい。
  278. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 今回、養護職員につきましても、事務職員につきましても、増加をいたしました。小学校においては養護職員において千五百人に一名、中学校においては二千人に一名、こういうことで一応増加をいたしたのでありますが、ただ、しかし、たしか法にありましたただし書きを取れというようなお話しでございましたが、取りましても、実際には、毎年、養護教諭にしても、現在のところでは五百人くらいしか養成できない。従って、これを今直ちにふやすということが、なかなか法律を作っても実際上もできませんので、そこで、さしあたり、今申し上げたような標準で三年間に五千人を目標に養護教諭をふやす。それが充足されれば、さらにまたふやすようにいたしまして、さらに養護教諭の養成についても十分これから養成をふやすようにひとつ計画を立てる、かようにいたしたいと考えております。
  279. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明かにしてお述べ願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べ願います。
  281. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、この際、衆議院送付にかかります公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案に対しまして、自由民主党を代表いたしまして、次の修正を加えて本案に賛成するものであります。修正の案を朗読いたします。   公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案の一部を次のように修正する。  附則第五項中「学級規模の適正化に努めなければならない。」を「学級規模の適正化を行うものとする。」に改める。  修正の趣旨を申し上げます。この修正案を提出いたしました理由について御説明申し上げます。修正を加えました附則第五項は、衆議院の修正によって新たに設けられたものであり、その趣旨とするところは、本法案の目的が、学級規模と教職員定数の適正化をはかることにあるのでありますが、しかしながら、現に定数以上に教職員が確保されている府県におきましては、附則第二項において学級規模の適正化につき暫定的に緩和できる規定を赴いております関係上、学級規模の適正化のテンポがおくれ、従って現にかかえている教職員が減らされる心配もありますので、現員が定数を越える範囲まで「学級規模の適正化に努めなければならない。」としているのであります。かような規定は、その趣旨においてきわめてけっこうでありますが、末尾の「努めなければならない。」という倫理的規定では、規制の仕方がいささか弱いので、この際「適正化を行うものとする。」と強い規定にした次第であります。  何とぞ御賛成を賜わりたいと存じます。  なお、この際意見を付しますが、教育の能率を上げますためには、あるいは設備、施設等の充実、改善ということも大事でありますが、根本的な問題としてわれわれが考えなければならないことは、教職員の負担をできるだけ軽減して、研究その他の時間に回し、さらに児童に対しましてこまかいところまで手の届きますように、学級規模を適正にするということであろうと思います。かような点から考えまして、本法案は十全ではないと思いますけれども、大きな前進、進歩をはかるものと考えまして、この法案の成立に対しまして、重ねて賛成の意を表しまして、私の討論を終ります。
  282. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいま御提案になりました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案に対しまして、日本社会党を代表して賛成の意見を申し述べたいと思います。  義務教育は子供の一つ教育を受ける権利として憲法にも規定してある通り、いずれも義務教育を受ける子供にとって教育の環境の整備ということは、もとより欠くべからざる重大なことでございます。しかしながら、現状はこうした全国民的な要望、なかんずく児童の教育を正しく守っていくという建前から見ますときに、教育財政の十分でないという理由並びに地方の財政の貧困、こうした問題が重なりまして、おそらく古今見ることめできなかった新流行語、すし詰め教育という言葉を現出させるに至ったわけであります。私どもといたしましては、本問題の解決のために、しばしば法律案も準備いたしまして、毎国会のことに御研究いただいてきたわけでありますが、幸いに今回政府提案として本問題の解決のために努力されるという現実を見ましたことは、まことに御同慶にたえないわけであります。今日学校教育法の規定するところによれば、一学級の児童の数は五十人以下、こういうふうに定められておるわけであり、当然先ほど質問の過程でも明らかになったように、政府としても学校教育法に示される五十人以下の理想実現のためには、今後とも努力するということを言うておられますし、実際世界の各国の現状を見ましても、五十人以下の状態であるというのが、最近の文化国家としての常識になってきておりますので、先ほど吉田委員からの質問にもありましたように、教育水準を高める方向を向いておる法律の性格だとすれば、こうした理想に近づくために、一そうの努力がされなければならないということを念願するわけであります。従って質問中においても、しばしば問題となっておりますように、現在この定数基準の法律を当てはめた場合に、これより定員を上回る都道府県が九県に及ぶといわれておりますが、これらの定員を上回る県に対しましては、政府として自治庁と了解の上十分国の費用並びに地方の支出すべき負担について、万全の措置を特別交付金その他において見るということが明らかになったわけでありますから、法律施行によって現定員を上回る都道府県に対しては現状を必ず維持する、そうしてまた、定員を下回る府県も高い府県に次第に肩を並べていけるように措置されることも明らかになったことは、法案そのものの性格からして、まことに妥当なことだというふうに考えておるわけであります。  次に、学級編制の問題でありますが、法律案は五十五人までは大臣の認可によって学級編制を認められるという暫定措置がこの法律の中に盛られておりますが、これはややともすれば地方財政の窮乏のために、この条文が結果として悪用せられる結果になることをおそれるものでありますが、法案の趣旨は学校施設の伴い得ない場合、あるいはその他やむを得ざる事情の場合に限って五十五人までは認める、こういう性格を持つものであることも明らかになりましたので、これはこの条文が地方財政難の理由をもって悪用し法律の精神にもとる低下の要素とならないように措置されることを、われわれとしては深く希望するものであります。従いまして第三条の後段にあります「同学年の児童又は生徒を四以下の学級に編制する場合の一学級の児童又は生徒の数の基準は、別に政令で定める数を標準として、都道府県の教育委員会が定める。」、この中にあります「別に政令で定める」という意味は、以上私が申し述べた趣旨が盛られて定められるというふうに、われわれとしては、この委員会として質問を通じて解釈されたわけであります。  なお、産休補助教員の充実問題については、定数基準のワク外に予算措置がされておるということが、質問の過程において明らかになったわけでありますが、給与総額の二%が結休と産休の補充教員に充てられるのでありますから、当然政府としてはこれだけの予算があれば、万全を期すことができ得ると確信をもってお答えをいただきましたし、また、これに伴う地方負担の分は地方自治庁も了解しておるということでありますから、お産でお休みになる教師の補充問題については、今後行政の指導によって、法律の精神が十二分に生かされることを、私どもとしては希望するとともに、またそれを期待するわけでございます。  なお、野本委員提案にかかりまする修正案文については、これまた当然私どもとしては当を得た措置であるということを考えまして、野本委員提出にかかる修正業についても、衷心より賛意を表するとともに、該当現員が定員をこえる範囲まで学級規模を適正化するということについては、今後とも政府として十分にこの趣旨が生かされますように心から期待をいたしまして、賛成の討論を終ります。
  283. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  284. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。  他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  285. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  それではこれより公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました野本君提出の修正案を問題に供します。野本君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  286. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致であります。よって野本君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた、原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  287. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、修正すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました二案の本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御鼻一歳ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御艇一議ないと認めます。  それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、二案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名    〔義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案〕     野本 品吉  三浦 義男    大野木秀次郎  川村 松助     吉田 萬次  苫米地義三     常岡 一郎  大和 与一     高田なほ子  松永 忠二     秋山 長造  竹中 勝男    〔公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案〕     野本 品吉  川村 松助     吉田 萬次  下条 康麿     吉田 法晴  高田なほ子    秋山 長造  大野木秀次郎     三浦 義男  林屋亀次郎     苫米地義三  常岡 一郎     大和 与一  松永 忠三     秋山 長造  竹中 勝男   ―――――――――――――
  289. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。    〔速記中止
  290. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。  昼食前に引き続きまして、ただいまから勤務評定並びに道徳教育についての質疑を続行いたします。  ただいま御出席になっておられるのは文部大臣、齋藤参事官、内藤初中局長、それから鈴木法務省の人権擁護局長、荻野警察庁警務部長、以上でございます。質疑のある方は、順次御発言願います。  御質疑の前に、松永文部大臣の御報告を願います。
  291. 松永東

    国務大臣松永東君) 先ほど御了解を得て東京都に参りまして、そして本島教育長と面会いたしました。なかなかその行き先をあちこち探し回って、新聞記者諸君から追い回わされて、なかなか会うのに骨が折れたのですがようやっと会いました。そしてこの委員会の空気等も伝え、ことに最悪の事態にならぬように何とか一つ努力してもらいたいということをいろいろ話しましたところが、本島教育長としては、もうすでに話し合いをしようと思って数十回努力したのであるけれども、それはどこまで行っても並行線で、話し合いができずに今日になっておるというような話しでした。だがしかし、何かまだ最後の打つ手があろうから、まあ一つこれは考えて努力はしますとということで別れたのであります。それから、ちょうど都知事ももちろん所管事項についての責任者ですから、都知事を探しまして、都知事と会いまして、先ほどまで会って話をいたしました。都知事も、ぜひ一つ最悪の事態が起らぬように何とか努力したい。ついては、都労連ですか、私はこういうことはよく知りませんが、都労連とこれから話すことになっているから、あなたの意向も参酌して、都労連ともいろいろ、話をやってみたい、こういうようなことで、とにかく最悪の事態の起らぬように善処してもらいたい、こういうことを言って別れて参った次第でございます。
  292. 秋山長造

    秋山長造君 午前中の大臣の御答弁を聞いておりますと、二十三日に云々ということについては、これは文部省は全然わき役であって、主役は教育委員会の力なんで、これに対してとやかく言えないと、こういうまあお話があったのですけれども、しかし、たとえば昨日日比谷の図書館で行われた北部教育委員長教育長合同会議等の模様を考えてみますと、その会合へ文部省内藤初中局長が出られて、そして、どうでもこうでも選挙前にやれという非常に強い期限を切ってのハッパをかけられておる、俗な言葉でハッパをかけられておるのですね。それからまた、せんだって十七、八日に下田で行われました関東それから甲信越地区の会議にも、文部省から木田地方課長が出られて、同じように期限を切って非常に強くハッパをかけられておるわけです。まあ、それからさらにさかのぼって、けさほど岡君から出た鶉荘の会合等のこともあります。さらにまた、本月の一日には、グランドホテルで、文部大臣も出られたと私聞いているのですが、川島幹事長が教育委員会の責任者なり、あるいは文部省当局者を呼びつけて、そうして、とにかく選挙前に、選挙に問に合うように強行しろうという強い要求をされているわけですね。こういう一連の動きを見ておりますと、これはけさほど大臣がおっしゃった、どうでもこうでもこの際無理押しでも強行するという方針は、これは文部省と無関係に教育委員会独自の立場で自主的にきめられたものではなくて、初めから与党なり文部省当局が一応のワクをはめて、どうでもこうでもそのワクで持って行こうとされておる態度としか見えないのですがね。こういうことは私は今朝来の大上臣のおっしゃってきたことと、まことに相反することが実際には同じ大臣なり、あるいは大臣の部内の方々によって行われておると解釈せざるを得ない。その点について大臣の明確な御見解をお伺いしたい。
  293. 松永東

    国務大臣松永東君) 今のお話しのなんとか、鶉荘ですか、どうとかいうことや、それから下田ですか、とかいうことは、私はちっとも知りません。私の関係しておることは、ただいま仰せになりましたところのグランド・ホテルですか、あすこでなるほど自民党の議長、副議長というのですかな、その連中が集まり、それに党からも川島幹事長あたりも出ておりました。そこへ行って、これまでの勤務評定報告やなんかをしただけは明らかにしました。しかし、何がなんでもこの選挙前にやれとかなんとをいうことは、私は一言も言っておりません。また、そういうふうなことも考えておりません。ただ政党として、党人として、今日までこの政策の問題は、こういうふうになっておるということの報告は、私はします。それから、この前岸総理が出席せられたときに、やはりこの委員会で私と川島幹事長と、この問題について相談して、そうして選挙前に何がなんでもやるというような相談をしたかのごとく、どなたかからか主張せられたが、全然私はそんなことはない、そんなことはないので、それを私は弁明しようと思ったけれども、まあまあ、岸総理が貴重な時間ですから、私は横合いからそんなことを言ったってしようがないと、私は遠慮しておったのですが、実はこれはしかし明らかにした方がいいと思って、委員長発言を求めたのです。委員長を、聞えなかったかもしれませんが、のがしてしまって、それでそのときは弁明する機会がなかったか。だがしかしこうした問題について、私は幹事長なんかと話したことは、一ぺんもありません。さらにまた、その他の人々と会ったことも一ぺんもありません。問題は、私がこの教育行政の問題について会ったことがあるとすれば、それは率直に申します。校長を組合からはずす法律を作る、こういうような話があったときに、私は会っていろいろ相談をしたことがあります。それ以外には、勤務評定なんかの問題で一ぺんも私は会ったこともありありません。従って、グランド・ホテルの会に行って、そうした一日も早く進行しろとか、あるいは選挙前にこれをやってしまえとかいうようなことを言った記憶はありません。誤解のないように願います。
  294. 秋山長造

    秋山長造君 大臣のただいまのお話お話として、一体それじゃ選挙前に勤務評定をどうでもこうでも強行しろという方針は、一体どこから出てきたんですか。昨日の会合で内藤局長が強い要請をされた方針というものは、一体どこから出てきたんですか。
  295. 松永東

    国務大臣松永東君) 私の承わっておるところによりますと、これは何せ、ことしの初めでありますか、日はよく覚えておりませんが、何せ、これは四月から実施するということを、委員長の協議会でありましたか、教育長の協議会でありましたか、打ち出されて、そうして四月から実施するということが、もうその当時から決定せられておったというふうに私は承知いたしております。
  296. 秋山長造

    秋山長造君 教育委員会が自主的に何をきめようと、それは別問題です。とにかく文部省なり政府なりが、選挙前にどうでもやれという方針は、それはどこから出てくるのかとしうことを、私はお尋ねしておる。
  297. 松永東

    国務大臣松永東君) 私の方じゃ切さようなことは指導いたしておりませんです。
  298. 秋山長造

    秋山長造君 大臣が、そういう指導は全然なさっていないし、また、公的にも、私的にも、そういうような発言も何もないとおっしゃっておりながら、あるいは下田の会議なり、あるいはきのうの日比谷図書館の会議なりで、文部省の役人が行って、そうして具体的に期限を設定して、そうしてそれに対して非常に強いハッパをかけられるということは、大体大臣の方針じゃないんですか。大臣の方針と全然はずれたことを、下僚がやっておられるんですか。
  299. 松永東

    国務大臣松永東君) 方針は私の方針です。それはなぜであるかと言うならば、その教育委員長協議会で、四月から実施するのだという方針がきまっておるということでありますから、それを何も私の方からやつちゃいかぬという必要もなし、そのままになっておるのでありまして、ことさらに私がそういうことをやれと言って指導したのではありません。
  300. 秋山長造

    秋山長造君 いや、それを、教育委員会の方で自主的にきめたことをやるなといって指導したことがないというのは、おっしゃるのは、これはもちろんそうでしょう。しかしまた、逆にやれと言うて指導されたこともないとおっしゃるんですね、今後段で。ところが、現実には、選挙前にとにかくぜひともやれという指導をなさっておるんです。これは、大臣は全然御存じないんですか。
  301. 松永東

    国務大臣松永東君) 知りません。選挙前にやれという指導をしたことは知りません。
  302. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ、内藤局長にお尋ねしますが、あなた昨日日比谷の図書館へ行って、そういう指導をなさったそうですが、それは一体だれの命令でおやりになったんですか。
  303. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私実はきのう、東北ブロックの委員長教育長の合同会議がございまして、文部省から出てほしいという御希望がございましたので、私、伺いました。そのときに、大体関東ブロックその他の状況を申し上げまして、東北ブロックでもいろいろと御計画をいたしたので、全国教育委員長協議会の申し合せの線によって一つ実施をしていただきたい、こういう希望を述べたのでございます。私が選挙前にやれというようなことは、私申し上げた覚えはないのであります。選挙とこの問題をからませないで、ほしいという希望は申し上げました。
  304. 秋山長造

    秋山長造君 あなたは、昨日の会合へ出られて、まず第一点として、必ず選挙前にやってもらいたい。それができなくとも、おそくとも五月の十五日までにはやってもらいたい、こういうことを強く要請されたということを私は聞いておるのですが、それはうそですか。
  305. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは私事実ではございません。と申しますのは、すでに東北ブロックでは五月十五日というようなお話もありましたし、また、四月中にというお話もありました。私どもとしては、東北ブロックの自主性におまかせしておるわけでございます。
  306. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの御答弁で、選挙とからませないでやってほしいということをおっしゃったということですが、選挙とからませないでやってほしいということは、選挙前にやれということじゃないんですか、これはどういう意味ですか。
  307. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは、選挙運動とまぎらわしいような運動をされては困る、こういう趣旨でございます。
  308. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ、選挙までに必ずやってもらいたい、そうして、それができなくても五月十五日までにはやつてほしいというようなことはもちろん、またそれに類するような御発言は一切なかったんですか。
  309. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私は、東北ブロックの申し合せの線によって、特に全国教育委員長会議の申し合せの線によってやっていただきたい。東北ブロックは東北ブロックで、一つの申し合せの線がございますので、それを実施していただきたい、こういう意味です。
  310. 秋山長造

    秋山長造君 さらに局長は、その会合へ出られて、そうして府県の教育委員会実施困難な場合は、文部省が強い指導をするという御発言があったように聞いておるのですが、その点はいかがですか。
  311. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私、そういうことは申し上げておりません。
  312. 秋山長造

    秋山長造君 さらに私、この間の下田の会議等のことについてお伺いしたいのですが、あの会議に、文部省から木田地方課長が出たということを聞くのですが、それは一体何のために出て行って、そうしてどういう指導をやられたのか。先ほどの大臣の御発言によると、昨日の会合に局長が出たことも、また先だっての十七、八日の下田の会合に課長が出たことも、私は全然知らぬというお話なんですが、一体何をしに出て行って、何をやったのか、それを一応率直にこの際明らかにしていただきたいと思います。
  313. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 関東ブロックの教育長協議会の幹事長である本島教育長から、文部省側からも、ぜひ関東ブロックの会議に出てほしいという強い要望がございましたので、地方課長を出したのでございます。これは関東ブロックの勤務評定の状況について、私ども事情承知しておきたいからでございます。
  314. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどのグランド・ホテルの話については、まあ大臣がおっしゃった点は、要するに、ほかのものはともかくとして、大臣としては、ただこの勤務評定実施状況その他について、一般的な情勢の報告をしただけであって、それ以上の何にも相談はなかった、こういうお話なんです。しかし、私どもが新聞その他によって承わるところによると、党側から、東京都の教育委員会なり、あるいは文部当局に対して、とにかく選挙までに聞に合うようにやるべしという非常に強い要求があったと、こういうことなんですが、これはそういう事実はないのですか。どうも、私ども先ほど来申し上げたような一連のこの出来事なり、あるいは文部当局者の発言等は、これはもうばらばらなものではなしに、私はずっと筋は一貫していると思う。この総選挙までにこれをとにかく曲りなりにも強行させる。そうしてそれによって、あなた方文部当局は、なるほど大臣なり、局長がおっしゃるように、あるいはこれと総選挙とをからめるというようなことは、何らお考えになっていないとおっしゃっても、やはりまたもう一つ大きなワク、大きな別な立場からは、これを有力な選挙対策として考え、またそれを利用しようとしておる私は人たちがあるのじゃないかと思うのです、この政府与党の内部には……。それから、そういうことであればなおさら、この解散を目の前に控えた直前のこのきょうとかあすというときに、この東京のように非常な無理をして、まだまだ話し合う余地もないことはない事態にありながら、これをいやおうなしに強行するということは、私は非常にまずいと思うのです。また、私がさっき申し上げたような誤解を持たれたり、またそういう目で見られるおそれが私は多分にあると思うのですがね。大臣も先ほど来都庁に行って非常に努力をされてき、またさらに努力をお続けになるというお話しですけれども、私はもうこの努力はぜひともこれはなし遂げていただかなければ、そういう、私が言うことが邪推でも何でもないという事態に結論的になってくるおそれが多分にあると思うのですが、その点について大臣の御見解を伺っておきたい。
  315. 松永東

    国務大臣松永東君) 私はこの問題と選挙問題とをからめ合せるなんということは、からめる必要も何にもないと思います。従ってこの間のグランドホテルの会合では、私はおくれて行った。おくれて行ったのは、この委員会か何かで、たしか昼の時間におくれて行った。私が行ったときには、相当まあ議論があったんでしょう。そうして、まあ何か議論をした人があったのでしょう。そこに行って、報告をせよということで紹介をされたので、きょうまでの経過はこれこれでありますと言って報告をして、そうしてしまいまで待たないで、すぐ私は帰ってきた。ですからして、その席上でどんな議論が取りかわされたか私はよく知りません。しかし、私はこんな問題で、何も選挙前にやらなければならぬとか、選挙とからめなければならぬというような考えは、寸毫も持っておりません。
  316. 松永忠二

    松永忠二君 これは大臣にお聞きしたいのですが、やはり先ほどからいろいろ話にも出てきているように、関東のブロックの教育長協議会で一応やる期日を話し合いをした。そうしてそれに基いて、まあ各県とも非常にそれに拘束を受けるというか、そういうことから、非常に教育長としても大へんに……まあその協議会に拘束されるということが、一つには各県独自に自主的に行われない点を引き起していると思う。こういうふうな際には、やはり円満に解決するというか、不測の事態を起さないという意味からも、やはり各県独自の立場に立って、その情勢を考えて解決をしていくということが非常に望ましいと思うのですが、こういう点についてはどうなんですか。たとえば四月中にやるとか、四月の二十三日に一せいにやるとかということよりも、やはりそれを各県々々の自主的な判断でこういう際はやっていかないと、結局まあ問題が非常に膠着をしてくるというような把握をわれわれはするのでありますが、こういう点についてはどうですか。
  317. 松永東

    国務大臣松永東君) 私の聞いた範囲内では、各ブロックで大体その附近の状況に応じて一緒一つやろうじゃないか、あるいは一緒に日取りをきめようじゃないかというような申し合せになったということを承わっております。従って四月二十三日という問題は、関東ブロックというのですか、東京を中心として四、五県の人々が集って、そうしてその日を基準にしようというふうになったと聞いております。さらにまた、あるいは東北とか、あるいは九州とか、中国とか、それぞれのブロックできめられることと思いますが、やはりそのブロックの中でも、各県各県の実情に即応したように相談をして、そうして申し合せられるのだろうというふうに考えております。
  318. 松永忠二

    松永忠二君 今のお話は、結局各県各ブロックでいろいろ相談されたことでは、大体四月中にやりたい、やろうというようなことに非常に歩調がそろっている。しかも、いろいろと話が出てきたように、うわさにより、あるいはわれわれの耳にしたところによろと、選挙前に片づけるというようなしとと、非常に符合をしてくるわけなんです。そういうふうなことが、結局これを外部的にも誤解をするということになるので、大臣としてはやはりそういうふうなところに誤解や、拘束を受けないで、やはり自主的に各県が判断をして、もっとよき状態の中でこの問題の解決をはかっていかなければできないということについては、大臣としても御異議はないと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  319. 松永東

    国務大臣松永東君) これが四月に実施するというようにきまったのは、たしか去年の暮れに、都道府県の教育長とか、教育委員長あたりの協議会できまったということを、私はその当時から耳にいたしております。そこで、ちょうどそのころにうわさされたように一月解散であったならば、これはまあそんな問題はなかったのですが、たまたまあと二、三日で解散になるということとぶつかってしまったということになるのですが、四月に実施するということは、これは去年の暮れからたしかきまっておった、大体そうした申し合せになっておったように私は承わっております。
  320. 松永忠二

    松永忠二君 まあ、その点は、特にこういう点について広い意味の指導助言をした方がいいということを言うのではなくて、結局あるいは、今、聞いておるのは、大臣の見解を聞いておるわけなんですが、選挙が一月にあって、その後の四月というようなことを考えたときには、いろいろ問題もあるいはなかったかもしれない。しかし現実には選挙の直前になって、しかも、なおかつ選挙とからめて、一部にはどうこうしようというような批判もなかなかあるわけです。そういうことを考えてみましたときに、何もこの四月までに、幾ら昨年から申し合せをしたことだとしても、四月中にどうしてもやらなければならないとか、しかも、各県各ブロックで話し合いをして、それをどうしても四月中に片づけてしまわなければならないというようなことは、私たちは理解ができないわけなんです。私たち結局そういう選挙の情勢から考えて見ても、いろいろな問題から考えて見ても、もう少し問題を冷却した方がいいのではないかというようなことを、各方面から申し上げても、問題は話し合ったことでもあるしというようなことが、相当大きな障害になってきている。そうなってくると、われわれとしては、何か四月にしなければできない理由があるか、あるいは四月にやれというような指導も強力に行われているのではないかと、そのために各県の教育長なり、教育委員会の判断というものが非常に拘束されて、膠着しているような状態のように見られる。従ってたとえば文部省文部大臣等にも、こういう点についてはやはり円満な解決というような点から言うならば、あまり拘束をされるというようなところについては、誤解を受ける点もあるかもしれないということについて、やはりそうした見解等を率直にお示しをいただきたいというふうにわれわれは考えるのですが、そういう点はいかがですか。
  321. 松永東

    国務大臣松永東君) これは四月がちょうど年度がわりだもんですから、去年の暮れの教育委員長会議あたりに、その年度がわりからやろう、こういうふうにたしか申し合せをされたのだというふうに聞いております。たまたまそれが解散ということになってくるので、そういうふうにこんがらがってきたわけですけれども、これはどうもそうした問題で、さっきも本島教育長ともいろいろ話しをし、さらにまた、安井知事とも話し合ったわけなんですが、何とか善処してくれ、こういう時局柄ごちゃごちゃして、最後に最悪の場合をもたらすということでも困るだろうということを私話したのです。とにかくまあ何とか一つ互いに良識を持った人々の集まりですから、善処してもらいたいというふうに考えております。
  322. 大和与一

    大和与一君 大臣にこれからも明日の朝までも、なおお骨折りしていただきたいし、またしていただけると思うのですが、さっきもおっしゃっていること、最悪の事態というのは、先生方が一時間か、二時間か職場を離れて静かに集まっているということが最悪の事態なのか、もっとほかのことを含めてお考えになっているのか、お答え願います。
  323. 松永東

    国務大臣松永東君) 私は争議や何やらということは、やった経験がないのでわかりませんが、いずれにせよ、最悪の場合というのは、教え子に教育上支障をきたすようなことがあることが、最悪の場合というふうに考えておるので、何とかしてそれは一つないようにしたいというふうに考えております。
  324. 大和与一

    大和与一君 そういうお考えでよろしいと思うのですが、聞くところによると、あしたおまわりさんが出て何か集まっているところを引っ張ったりなんかするのじゃないか、そういううわさがあるのです。まさか四万人の先生を引っ張ることはできぬでしょうが、そういうことは最悪の事態の頂点だと思う。こういうことは断じてさせない、国家警察庁長官なり、警視総監に大臣からきちんとお話し合いしていただいて、この問題は教育委員会と先生方の問題、こういうふうにこれはきちんとしておいてもらわないといかぬですが、その点一つやっていただけるかお尋ねします。
  325. 松永東

    国務大臣松永東君) どうも具体的の問題が、やはりすべての秩序の維持という問題でありますから、それははっきり私は言えませんが、何とかそんなふうにならぬようにしたいと思って、さっきから駈けずり回って、あっちにいったり、こっち飛んだりしておる始末であります。
  326. 大和与一

    大和与一君 もしも今お尋ねすることについて、大臣からやや見通しのあるお答えをいただければ、あとの質問は要らぬわけです。ということは、非常な御心配をいただいておりますので、何とか明朝までにはおさまるだろう、おさめたいという見通しをお持ちになっておられるのかどうか。ちょっと困難な質問かもしれぬけれども、もう一度お聞かせいただいて、もう少し御質問させていただきます。
  327. 松永東

    国務大臣松永東君) これも実際むずかしい問題で、なかなか今までごちゃごちゃやって解決ができなかったのです。しかし、物事というものは最後にならぬと、やっぱりみんな解決がせぬ。まあ、良識を持った人々の集まりですから、何とかできるような気もするのです。しかし、明るい見通しを持っておられるかとおっしゃれば、これはどうもそうです、持っておりますということも答弁ができない。しかし、私は今夜でもやはり努力は続けていくつもりでおります。
  328. 大和与一

    大和与一君 大臣のおっしゃった最悪の事態とは、子供の教育に少しでも差しさわりがあることは、最悪の事態だ、こういうお気持で私はよろしいと思うのです。もしも、それがうまくいかぬ場合、これはやっぱり文部省の責任があると思う。大臣は衆議院の文教委員会勤務評定についても、何か基準らしいものを作りたいということを野原委員の質問に対してお答えしている。そうして今度こっちへ来て、われわれが質問しますと、今度教育長協議会ですか、そこで大体きめられたことが、どうやら自分たちの思っていることとまあ似たようなものだから、かえって混乱をさせぬようにという言葉で、内藤局長はしばしば言っている。ほんとうは基準がない、きぜんたる文部省としての今度の勤務評定に対する指導助言の基軸になるものが私はないということも言えると思う。それがないために、混乱が起きるということにもなると思うのです。そうして逆に通達を出したり、内面的指導したり、内藤さんは否定されたけれども、それの会合に出席をした人から私は聞いているのですから、もうすぐ対決をして明らかにする時期がくると思うけれども、そういう要らぬことをやっているから、混乱が起っているので、これはどうしても大臣におっしゃっていただかなければ、文部大臣あるいは内藤局長というか、文部省に責任がある、はっきりした基準を示した上で、十分な助言、指導されるということはあっていいと思う。ところが、岸総理大臣にこの前お尋ねしたら、そういうものさしはない方がいい、こういうふうに言われたので、私は全然何を言うているのかわからないような感じをしました。ですから指導助言をされるならものさしがあるわけです。そのものさしも何もきめなかった。そして教育長協議会の総会ですか、そこできめて大体自主的にやるのだ、それならほんとうに自主的にやらせるなら、おまかせ願ったらいい。私は群馬県ですが、群馬県はちゃんと組合の方と教育長話し合いをして覚書まで交換して、きようまでは全然心配がなく、ぼつぼつ話をしながらやつている。こういう漸進的というか、合理的な形もあるのですよ。それを東京だけをぐっと押えてしかも不測の事態、最悪の事態、そういう脅怖感を持たせて、これが落ちたらあとはさっと逃げる、こういう野心が大臣になくても、内藤局長にはある。そういうふうに、もっぱら関八州にうわさされている。それも最悪の事態の一つになりますから、そういう点もぜひ一つお含みいただいて、何が何でも大臣の責任で一つ解決していただきたい。これを重ねて要望して、質問をやめます。
  329. 松永東

    国務大臣松永東君) お説の通り、何とか最悪の事態を来たさぬように一つやりたいと思う。責任の問題については、あとで事態の発生したときに、私は考えてみたいと思います。
  330. 吉田法晴

    吉田法晴君 大臣にお尋ねいたしますが、その前に内藤局長にお尋ねしたい。先ほど秋山委員から質問をしておりましたが、昨日、日比谷の公会堂で、東北ブロックの教育長教育委員会の代表者の合同会議で、内藤局長は第一に、勤評は選挙前に実施せよ、おそくとも五月十五日までに実施せよ、これが第一。それから第二は、もしも各府県の教育委員会実施困難な場合は、文部省が適切な指導する。これは文部省の責任においてやらせる、こういうことになっている。第三は、勤評の内容については、全国教育長協議会の案をひな形にせよ、こういう意味のことを言ったと言われているが、どうか、こういう質問に対して第二点の文部省の責任においてやらせる、あるいは指導する、こういうことを言わなかったと言われたが、第一点は、ブロック会議で四月中に実施をしたい、おそくとも五月十五日までには実施をするという自主的な申し合せがあったから、その申し合せの線に従って実施をせよ、こういう自主性を尊重してという言い方ですけれども内容は同じです。それから勤評の内容については、全国教育長協議会の案をひな形にせよ、こういうことを認められたように思うのですが、その通りでしょうか、重ねてお尋ねしたい。
  331. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 第一点の四月中に、おそくとも五月十五日までにやれというようなことは、私は何ら指示もしませんし、申し上げてもおりません。私が申し上げたのは、全国教育長協議会の申し合せの線に沿って御難処願いたいということをお願い申し上げました。第二点の文部省の責任においてやれというようなことは毛頭考えておりませんし、また、そうすべきものでないと思う。私は都道府県の教育委員長協議会なり、都道府県教育長協議会で非常に御苦労願って試案を作成され、また、実施の準備も着々としておられる今日において、私どもの責任においてやるというようなことは、私は絶対申し上げた覚えはございません。  それから最後に、内容については、都道府県教育長協議会の試案を基礎にしろというような点は触れておりません。
  332. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほどは、第一点についてブロック会議で四月中に、あるいはおそくとも五月十五日にまでと、そういう自主的な申し合せが行われたと、そういうことをさっき答弁された。それについて内藤局長がどう言われたかというと、先ほどは言われなかった。言われなかったけれども、自主的な申し合せの実施を期待する、こういう意味のことは先ほど言われたと思うのです。そうしたら、内容については同じじゃないですか。
  333. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私はそういう話も聞いていると申し上げただけです。四月中ですか、五月十五日というような話もあるということを申し上げたのです。私がこの線でやれというようなことは、指示も何もいたしませんし、申し上げたこともありません。
  334. 吉田法晴

    吉田法晴君 きのうの会合に内藤局長が出られるまでは、オープンで窓も開けて討議がなされておった。内藤局長が出られてからは、これは勤評の問題について協議がなされたと思うのですが、内藤局長出席以後においては、ドアも閉めて協議された、こういうことが言われておりますが、そういう空気であったのかどうか。
  335. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さあ、私実は私が参る前までの状態がどうであったかは存じませんけれども、ともかく私が参ったときは、ちょうど初めは委員長教育長の合同会議があったそうで、その後委員長さんたちだけの会議があったそうで、私が参ったときは、ちょうど委員長さんの会議が終ったあとで、これから再び委員長教育局長の合同会議になるその直前でした。それで、私その席にお招きをいただきましたので、私からお話を申し上げて、もっとも、きのうは、ちょうど大臣が昼食を、ある人と公事をされる約束がございまして、私も陪席するようにというお話もございましたので、私もちょっとしかおりませんので、詳しい話はしていない、ごあいさつ程度で引き上げたのであります。
  336. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、きのうは大臣と一緒に行かれたのですか……。ごあいさつをしたというのですが、そのごあいさつの内容はどういう内容のごあいさつをされたのですか。
  337. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私が申し上げたのは、きのう大臣は食事を一緒にされる方があって、それにおいでになるということだったので、私もその席にお招きをいただいておったから、委員長会議に長くおれたわけではございませんで、詳細に存じませんが、ただ私が申し上げました趣旨は、短時間ではございましたけれども、大体全国的に教育長協議会の申し合せの線に沿って実施の準備を進めていらっしゃる。東北ブロックにおいても、大へん今まで御苦労をいただいておりますが、一つ東北ブロツクは東北ブロックの自主性に基いてやってもらいたい、こういう趣旨のことを申し上げたわけであります。
  338. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、そのあいさつの中で、勤評問題について触れられたということは大体間違いないですね。それから、その勤評問題について、全国教育長協議会の申し合せの線に従い、あるいは東北ブロックの申し合せの線に従って勤評を実施せられたい、こういう意味のことを含んであいさつされた、これは間違いないですね。
  339. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  340. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは大臣も開いておられる通りですが、きのうの話にしても、それから下田の会議にしても、あなたは、大臣はですよ、大臣は勤評について選挙前にやれとか、あるいはとにかく勤評を四月までに実施せよ、こういうようなことは言ったことがないというお話しですけれども局長や課長は、おそらくあなたの意図をこえるかもしれぬと思うのでありますが、とにかくやれ、それは教育長協議会の線で、あるいはプロツク協議会の自主的な申し合せの形で……。そこであるいは四月中、あるいは選挙前にという言葉だったか、四月何日だったかは存じませんけれども、やれと、あるいはおそくとも五月十五日までにやれと、こういう言味のことを言われたことは、これは今までのあれで客観的に判断ができますね。先ほど午前中の質問の場合は、自分は教育長に対して、あるいは教育委員会に対して何ら指図をしたことがない、こういうお話しでしたけれども内藤局長なり、あるいは課長はそういう自主的な申し合せという形、それからあるいは申し合せを実行せよ、こういう形ではありますけれども、ハツパをかけていることは間違いないですね。それから明日なり明日以降のことについてですけれども、午前中にも質問を申し上げましたけれども、四月十二日づけで通牒を教育委員会あてに出している、これも事実ですね。そうするとこの中には、非違を犯すものについては厳正なというか、意味は厳重なという意味だろうと思うのですけれども、処置を講ぜられたい、こういう方針が出ている。そうするとみんなが心配するように、文部省は自主性の名に隠れてであるけれども、勤評をとにかく四月までに強行せよ、こういうことを言ってきて、そうしてそれに対して異議を申し立てるものについては、あるいは意思表示をするものについては、それは法を犯すものとして弾圧する、こういう通牒……。あるいは厳正なる処置を講ぜられたい、こういう形で臨んでいるということは、これは客観的に考えれば間違いのない事実じゃありませんか。あるいはそれが文部大臣の意図に出ていないかもしれないが、とにかく文部大臣の意図と食い違って、そういう文部省局長とか、課長とかというものが、あるいは教育委員会、あるいは教育長に指示をし、あるいは通達をしている、こういうことは、これは文部大臣認めざるを得ないのじゃないか。
  341. 松永東

    国務大臣松永東君) 認めざるを得ないということを理屈でおっしゃってみたって、私が認められるはずがないじゃありませんか。選挙前にやれとか何とか言ったとか、五月十五日までにやれとか言ったって、私は聞いたこともないし、やれと言って指図したわけでもないのですよ。ですから私は認めるなどということは言っておりません。
  342. 吉田法晴

    吉田法晴君 お尋ねしておるのは、それじゃあそういう点を指図したわけじゃないという点については、あなたの御意思と反しておりませんかというのです
  343. 松永東

    国務大臣松永東君) それは、もし選挙前にやれとか、五月十五日前にやれとかというようなことを言ったとすれば、それは私の意思に、反しております。しかし、この出題は去年の暮れに委員長並びに局長会議で、もう四月の新学期からやるということにきまっておった申し合せができていたということを承わっております。従ってその線に沿っていくという気持文部省もなっておったことは間違いございません。ですからそれは何も選挙前にやれなどということを、私が言うはずがないのです。
  344. 吉田法晴

    吉田法晴君 言うはずがないが、内藤局長なり、課長が言うたことは、まああいさつという形かどうかは知りませんけれども、あるいは自主的に申し合せを実施せよ、こういう形でやつている。それから通牒が出ていることも事実、そうするとそれはあなたの意思に反しませんかと言ったら、反しますと言う。そのあとの点はこういう点だと思うのです。これは道徳教育の問題についてもそうですけれども、通牒は拘束力を持たぬと言われた。具体的に教育行政、あるいは勤評を実施するかどうか、道徳教育をやれるかどうかということは、これは教育委員会がやる。そして自主的に申し合せをしたとあなたは言われる。それならあくまで、そのやるかどうかということについては、教育委員会がきめる。もし、それを超越して文部省が指図をしたとするならば、それはやはり文部省の行き過ぎである、あるいはあなたの意思に反するところだと、こういうことが言えるでしょうが……。
  345. 松永東

    国務大臣松永東君) それは今、内藤局長が、そういうことは言わぬと言っています。選挙前にぜひやれとか、五月の十五日までにやれというようなことは言わぬということを、今もって繰り返して言っています。ですから私は言わぬことだと思っております。
  346. 吉田法晴

    吉田法晴君 もし言ったとすれば、これはあなたの意思に反しますね。
  347. 松永東

    国務大臣松永東君) ちょっと
  348. 湯山勇

    委員長湯山勇君) もう一度今の質問繰り返して下さい。
  349. 吉田法晴

    吉田法晴君 言わぬはずだとおっしゃるけれども、勤評のことについてきのう言ったということは、さっき明らかになったのですね。言ったことが……。教育委員会が自主的にやるというけれども、私は文部省がそれは教育委員会の申し合せ云々といえども、その内容はあるいは四月中に、あるいは五月十五日までにということ、そういう申し合せを東北六県でした。そういう自主的に申し合せをされたことだと言っても、その内容文部省がやれと、こういうことを言ったとするならば、それは文部省としては行き過ぎだ、あるいはあなたの意思からいうならば、その自分の意思を越えていると、こういうことが言えるじゃありませんか。
  350. 松永東

    国務大臣松永東君) そういうことを言わぬと言っておりますがな。どうもそれはあなた水掛論みたいですけれども、きのうのことですから、きのうのことを本人の内藤町長がそういうことは言いませんということを言っている以上、仮定的に言ったとすれば、ということはちょっと私には受け取れぬですね。言わぬと私は信じております。
  351. 吉田法晴

    吉田法晴君 きのうもあいさつに行って、勤評問題に触れたということです。そして全国教育長協議会の線に沿ってやりなさい、あるいは東北ブロック会議で四月中に、あるいは五月十五日までにやるという話があった。そういう協議会のその話し合いの線に拠ってやりなさいと、こういうことを言ったというのだから、そうでしょう。そうすると、その内容は自主的に相談をされたということだけれども、それをやりなさいという話は、これは文部省局長として言ったということですが、教育委員会なり何なりの自主的な行動にまかせる、自主的な判断にまかせるというならば、これはあなたの言われる通り。しかし、それを文部省がやれという指示をしたとするならば、これは文部省としては行き過ぎではないか。あなたはそういうことを言うはすはない、あるいは指図するはずがないとこう言われるけれども、自主的に申し合せした、その内容がどうであれ、それをやれと、こういうことを言ったことは、やはりこれは事実であるし、自主性に名をかりて勤評を実施せよと、こういうことになりはしませんか。そうするとそれはあなたの意図を越えるものではないか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  352. 松永東

    国務大臣松永東君) これはどう言ったか私は知りませんけれども、そこに立ち会っていたものでもなければ、言えといって私は命令をしたわけでもございませんが、しかし、もし文部省の役人が行ってそうした協議会に出席してもし口を開いて言うとすれば、協議会の申し合せに従っておやりになることを希望するぐらいなことを、これを言うのがほんとうじゃありますまいか。その申し合せに反対しなさいとこう言うなら、これはけしからぬことじゃというふうにおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはりそれが常識じゃないかと思っております。しかし、私はどういうことを言ったかは存じません。
  353. 吉田法晴

    吉田法晴君 その言った、言わぬは、先ほどあなたにお尋ねする前に、内藤局長にどういうことを言われたか、勤評問題に触れてお話がありましたかと聞いたら、それは勤評問題を合んであいさつをしました。それから全国教育長協議会の線に沿って勤評は実施されるべきだと、こういう話をした。それからもう一つは、四月中あるいは五月十五日までという、東北ブロック会でそういう申し合せがあったということを聞いた。それは申し合せに触れて言われたかどうか知りませんけれども教育長協議会なり、あるいは教育委員会の申し合せの線に従ってやれとこういう話をしたとされるならば、勤評問題について文部省が申し合せということに名をかりてではあるけれども、やれと、こういうことではないかと、こういうことを申し上げておる。これは昨日の話だけでなくてその前の話も、下田に有る会合等もあるから、これは客観的に見て、文部省が勤評実施について拍車をかけてきた、あるいは俗に言うハッパをかけてきた、こういうことに、そういうことは間違いはないと思うから、お尋ねしておるのです。それから今まで論議された中で、去る四月十二日づけの通牒が、これは内容は知らぬという話しであるが、それに関連をして先ほど聞かれておったことでありますけれども、最悪の事態というか、教育問題について教育に支障のあるような事態がないことを望む云々というお話しでありましたけれども、あす以降において今のよう話し合いができなけば、あなたの努力が実らなければ、どういう事態が起るかわかりませんが、教育委員会とそれから教職員との間で争っている問題、問題は教育行政に関する問題、それについて初中局長で通牒が出ておるわけですが、そういう場合に、文部省が態度を表明する場合にこの非違があるだろう、あるいは違法性があるだろう、こういうことでそういうことのないように、そこまではわかる。しかし、厳重な、厳正な措置と書いてあるが、厳正な措置ということで処分、あるい先ほどは断圧と申し上げたが、そういう意味のこれは意思表示をすべきではなかろう。それから先ほど警察の問題がございましたが、岸総理は、かつて教育問題について警察権の行使はすべきでないと、こういう答弁があったということでありますが、文部大音として今同じように考えられるかどうか。
  354. 松永東

    国務大臣松永東君) 吉田さんのお尋ねになりましたことは、つまりもし服務権限を乱して非違を犯すような人があったとすれば、厳重に取締れと、こういうまあ厳正な措置を講じられたしという通牒を出した。それが警察問題あたりも含んでおるかと、こういうお尋ねのようですが、そうでしょうか……。こういう通牒を出しましたことは、これは決して差しつかえないと私は思う。それはあなた非違を犯したり、秩序を乱したり、法律に違反したりするようなことは、断じてやってはいかぬぞと、こういうことは当然なことではないでしょうか。しかし、それがさらに進んで警察で問題にするとかなんとかということは、これは別個の問題であるけれども文部当局といたしましては、今申上げたような通牒を出し、あるいは警戒をするということは、これは当然なことだと私は考えております。
  355. 吉田法晴

    吉田法晴君 そういうことをお尋ねしておるのではなくて、一番最後の点は、岸総理はかつて教育問題について警察権の行使を考えたことはないということであったが、文部大臣としても同様に考えられるかどうかとこういうことです。
  356. 松永東

    国務大臣松永東君) 警察権なんということは、私どもは考えておりません。そんなことまでするようになってはいかぬと、それはもう末の末だと、そういうことはちっとも考えておりません。
  357. 吉田法晴

    吉田法晴君 その通牒の中身はよく御存じないようですけれども、国家公務員及び公共企業体職員の争議行為等についてという通牒を引いて、そして何といいますか、教育委員会の善処を求めるをあるいは厳正な措置を講ぜられたいという要請がなされておりますが、あなたは非違とか、あるいは秩序を乱すとかということを言われますが、国家公務員とそれから地方公務員との政治活動の規制の違いがあることはご存じでしょうか。それからもう一つ教育問題について、あるいは教育行政の問題について、これは道徳教育の場合でもそうでありますが、午前中に、理解と協力なしにはやっていけぬというお話がありました。あなたの極端な言葉だけれども、非違だとかあるいは秩序を乱すとか、あるいは違法だとか、教育問題について意見が分れる場合に、納得と協力を基礎にしていかなければならぬというときに、初めから、意見の相違を、あるいは非違あるいは法律違反として臨むというような態度は、私はなかろうと思うのですが、文部大臣は、その点についてはどういふうにお考えになっておりますか。
  358. 松永東

    国務大臣松永東君) ころばぬ先の杖を作らんければなりませんから、非違であることを犯してはいかぬ、そういうことのないように注意をするわけです。それは決して私は差しつかえないことだと思います。
  359. 竹中勝男

    竹中勝男君 今の大臣の答弁を聞いておりますと、大臣の答弁のようにいっておれば、今日のような緊迫した事態は起らなかったと思う。ところが、現実にこう緊迫した状態が起ってきたというのは、どうも大臣の考え、大臣の希望、大臣の意思を、その衝に当る者が間違ったのではないか、あるいは故意に間違えておったのではないか、あるいは大臣の意思に反してこれを強行しようとしたのではないかという疑いが非常に濃厚になって参ります。すでに事態は相当最悪に近い状態にきております。従って、むろん大臣に、これから明朝にかけて徹底的にこの事態を緩和し、解決するために、委員会としては、動いていただかなければならないと思いますが、それにしても、今日までこういうような事態に追い込んできたのは、ただ一方的に、一方が間違っているということでは済まされないと思う、非常に純真な現場の職員が、死をもって抗議するという事態が生まれてきております。すでに事態は最悪の段階の様相を呈してきております。  ただいま大臣の言われるようなことであったらば、こんなことは起りません、今の御答弁のような……。しかしながら、現実は大臣の意思と違った方向に進められておるから、客観的にこういう事態が発生してきたと私は見ておりますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)大臣はどう思われますか、その点について。
  360. 松永東

    国務大臣松永東君) これは繰り返し繰り返し申し上げておる通り、私の方が指導性を持ってやっておるのじゃないのです。都道府県の委員会委員長協力して、そうしてこうした案を作り上げ、さらにこれを実行に移したわけなんです。ですけれども、仰せになった通り、もう事態はここまできても、何とかしてこれを最悪な事態の起らないようにしようと思って、今までも努力しましたが、これからも私は努力するつもりです。
  361. 竹中勝男

    竹中勝男君 大臣に伺いたいのですが、これからどういう努力をする――というのは、大臣、条件をつける意味じゃないのです。あらゆることをやつていただかなければならないのですけれども、これを解決する見通しの方向に、どういうことが、どういうものがあるかということをお伺いしたい。
  362. 松永東

    国務大臣松永東君) これは、こういう公開の席でこういうことを、私がこういう手を打つつもりでございますとか、こうしますとかということは言えませんが、とにかく、先ほど都知事とも別れがけに、私は都知事とも懇意な間柄ですから、これは何とか最悪の事態が起きぬように、お互いのやはり立場が、その責任にありますから、だからして、一つやろうやと言って話して、何とかしよう、じゃあとでまた電話で打ち合せしよう、ちょうど都労連の人々に会うことになっておったらしいのですが、そのあとでまた一つ相談しようということを言って、別れているわけです。
  363. 竹中勝男

    竹中勝男君 大へん差し出がましいことになって恐縮ですけれども、私は三つのことを今考えているわけですが、一つは、大臣がこの事態を解決していく上において、二十三日に強行するという、この点を考えられることが一つだと思う。もう一つは、警察権を、いかなる事態がいかなる事態といっても、ある程度の事態が発生しても、警察権を介入させないということが第二点。第三点は、これまでの指導に適切性を欠いた初中局長に対する責任を、はっきり大臣がするということが第三点。この三つの点を、大臣はどういうふうに考えられますか。
  364. 松永東

    国務大臣松永東君) これは、今お答えするわけには参りません。それは、そういう事態が起ったときに、ゆっくり考えて善処するつもりでございます。
  365. 竹中勝男

    竹中勝男君 徹底的にこの事態が起らないということが、私どもの最大の、最後のこれは念願なんですから、どうぞ大臣には御老体、また選挙の前でみんなほかの人は選挙準備しているのに、大臣が夜中までがんばられることについては、もう私どもは大臣の誠意を認めます。一つ徹底的に、明日の事態を今夜中に解決するように、動いていただきたいと念願いたしております。これは五十万の教職員だけではありません。父兄にしても、全国民が非常な関心をもってこれを見ており、これを憂えておりますから、特に大臣の最後一つの、最後というと悪いですけれど、非常に重要な職責として取り組んでいただきたいと思います。  あまり時間が長くなると、私はまた吉田君の言論を断圧いたしますが、もうこのくらいで大臣に対する質問を打ち切って、大臣のおられる席でよければ、今警察庁の警務局長と人権擁護局長が来ておられますから、それに対しての質疑に移ったらどうかという議事進行の発言をいたします。
  366. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 竹中君の御発言のように進めてよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  367. 湯山勇

    委員長湯山勇君) それでは……。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  368. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記を始めて。
  369. 高田なほ子

    高田なほ子君 御承知のように先般勤務評定の問題に対して、尾崎教諭が自殺をはかられたという問題、この問題は、単に経過だけの御報告ではなくて、中に含まれている意味がきわめて重大だと思うので、大臣の御同席を願っているわけです。  これは尾崎教諭が最後と覚悟して、特に持っておられたポケットの中にしまわれていた遺書の本ものなんですが、この中で、こういうふうに書かれてあることは、重大だと思う。これは木下さんにあてた遺書でありますが、「普通の闘争であったなら、いくら激昂していても、このような非常手段はとらなかったでしょう。尊敬している人に失望したとき、人間がこんなにもろくなるものかと驚いています。せめて一時的感情にかられてこのような死を選んだのではなく、最後まで自分の意志を統御しながら死を迎えたいと思います木下さんあなたが校長会において私達の今度の闘争が私達の考えとは関係なく、組合の一部の者の指令にかられて行動しているといわれたことを校長から伝えられて、あなたまでが(このような権力機構の中に入ると)私達後輩の気持からこんなにも遠く離れるものかと悲しくなってしまいました。」これがまあ前置きです。  ここは重大だと思う。つまり問題にしようとするのは、単にその一人の教師が組合の一部の者の指令にかられて行動しておるという誤解は、これは間違いだというのです。教師の心からの願いとして、この事態を避けてもらいたい、実にこれはせっぱ詰まったほんとうのこれは人間としての声として私ども聞かなければならない、しかも、二人の子供さんをかかえておられ、奥さんもおられる、お父さんとしての尾崎さんがここまでの気持にかられたということは、これは容易ならざる問題です。こういう問題に関して、若干警察当局が政治的な動きをしているのではないかと見られる節がある。従って、まずそうでなければ大へんいいと思うわけでありますが、こういうような疑義も若干あるために、これから人権擁護局並びに警察側、両方から事の真相について詳細な御報告を承わってから、私の質問を続けたいと思います。
  370. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 警察庁の方で報告を受けております概要を申上げたいと思います。事案か起りましたのは四月二十日の午前零時三十分ごろという報告でございます。場所は千代田区丸ノ内三丁目の東京教育庁内の敷地であります。四月二十日の午前零時三十分ごろ都の教育庁の事務員の方と、それから警備員の方から有楽町の駅前の派出所にその時勤務しておりました勤務の巡査に対しまして、私は教育庁の者ですが、今泥酔をしておる人が、教育長はどうした、ストライキはどうなったというようなことを言って、自分の所の庁内の玄関横の自動車と自動車の間におって、そしてなかなか出ていかないので困っておるからすぐ来てもらいたい、相当酔っておりますよと、こういう届出があったわけであります。そこで、届出を受けました巡査は直ちに、教育庁の届出をして下さった人と一緒に現場に急いで参ったわけであります。現場に着いた時には、すでに教育庁の警備員の人が三名ほどで門の近くまでその泥酔しておるといわれる方を運んできたので、当該巡査は、どうしたのですかというふうに警備員に事情を聞きましたところ、警備員の人は、教育庁の警備員の人の言われることでありますが、やっとここまで連れてきたのですが、酔っぱらっておって、このまま外に出してやるというと、御本人の持っておられる現金とか腕時計とかあるいは服等を取られるようなこともないとは保しがたいので、警察で保護していただこうと思って実は連絡したのですと、こういう趣旨の事情の訴えがあったわけであります。そこで巡査は直ちに、夜中のことでありますから、懐中電灯で舗道の所に横になっておる泥酔しておる人を確かめたところが、レインコート、背広のボタンははずれておりまするし、ネクタイは曲っておりまするし、それからレインコートの左の襟のところから腰の辺まで吐瀉物のようなものが、付着しており、なお一種の臭気といいますか、においがいたしたのであります。そこで、これは相当ひどく泥酔しているなという判断をいたしまして、同人をゆり起そうといたしましたけれども、足がふらふらしてなかなか歩行ができないような状態であったわけであります。そこで、都庁の事務員、警備の人と立ち会いの上で、身元を確認するために。ポケツトを調べてみますというと、手紙のようなもの、それから現金、名刺、メモの用紙、それから郵便通帳、それから勤務先、住所が入っている尾崎という名刺が二十枚くらいあったわけであります。そこで郵便貯金の氏名と名刺を照らし合せて見ますと、よくそれが合致いたしておりますので、それが本人であるということを確かめまして、教育庁の宿直室から直ちにその名刺に書いてある勤務先であります六郷小学校に電話をしたのでありますけれども、どういう事情かよくわかりません、おそらく真夜中のことであったからであろうと思いますが、相手が出ないために、連絡ができない状況であったわけであります。そこで、これは丸ノ内警察でございますが、管轄署は……。そこに連絡をいたしまして、監督者の指揮を請うたわけであります。どうしたらいいかという指図を請うたわけであります。そうしてそこで現場に参って、この事の処理に当りました巡査は、本署に保護したいから車を回してほしいという連絡を署の方へいたしたのでありますが、ちょうどあいにくのこと、署の車が交通事故等で出払っておるというような回答があったわけであります。そこで、タクシーに乗るほかない、事は急を要しますので、タクシーを呼ぶほかないということで、小型タクシーをそのとき呼び寄せまして、そうして尾崎氏をその車に乗せ、巡査は自分もそれに一諸に乗りまして、午前の一時ごろ本署前に、保護という意味で、到着をいたしたのでございます。そこで、監督者に対して泥酔の人を同行したという報告をしたのでございます。そこで報告を受けました監督者は、早速本署前の玄関に出まして、タクシーの中をのぞきますと、座席に尾崎さんが横になっておられる。そこで泥酔をしておられるような状態でありますので、さきの処理に当った巡査の報告と現実の状態とを考えまして、これはまあ普通の泥酔者であると、こういうふうに思いまして、なお念のためにさきに巡査がいたしましたように、監督者といたしましても、二十数枚持っておられた名刺、郵便通帳等から本人というふうに確かめられましたので、家族も心配しておるであろうから、自宅に送り届けるのが一番この際としては妥当な措置であろう、こういうことで、その自動車を確かめてみましたらば、何々会社の何々運転手、何々という自動車の運転手まではっきりいたし、その身分も確認することができましたので、この酔っぱらっておられる方は名刺でわかりますから、大田区雪ヶ谷の十九番地に住んでおられる、学校の先生をしておられる尾崎という人である、車に乗せてもらっていくのでありますが、途中で座席からおっこちるといけないから、よくそこは注意して自宅まで送り届けてほしい、それから先に行って家が見つからないでまごついては困るから、自分の方から管轄である東調布警察署の洗足派出所に連絡をしておくから、そこにまず行ってくれ、そこでまごつかないように尾崎さんの自宅に行くようにしなさいと、こういうふうに頼んだわけであります。そこで三十分くらいたちましてから、なお、この丸ノ内署といたしましては、行先が心配になりますので、尾崎さんは一体自宅に着いたであろうかどうかということを、東調布の警察署の方に照会をいたしております。聞き合しております。その回答によりまするというと、電話で先ほど連絡があった泥酔の方は、タクシーで来たから、間違いなく家に行ったと思う。そういう回答を得たわけであります。ところが、午前の三時三十分ころになりまして、東調布の警察から、今度は最初の事の処理に当りました丸ノ内の警察の方に連絡がありまして、先ほどあなたの署で扱った泥酔の方は、実は自殺未遂であり、洗足池病院に入院をしたというふうな連絡が、署と署の間にあったわけでございます。東調布の署の方から、丸ノ内署の方に連絡があったわけでございます。そこで、丸ノ内署におりました監督者は、直ちに洗足池病院にも電話をいたしまするし、それから東調布警察署の署員のある者を差しつかわしまして、初めから自宅に送り届けるまでの取扱いの内容はかくかくであった、こういうことをお知らせをした。そういう事情でございます。大体概要を申し上げますと、警察庁として報告を受けております概要は、以上の通りでございます。
  371. 高田なほ子

    高田なほ子君 人権擁護局の方で、この問題について御調査になっておりましたら……。
  372. 鈴木才藏

    政府委員(鈴木才藏君) 実はこの尾崎さんの取扱いが問題になっておるということを、昨日の夕刊で知らされました。詳細まだ私たちの方といたしましては、真相の調査をいたしておりません。近く調査をいたしたいと存じます。
  373. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、ちょっと擁護局の方はまだ報告もないし、お調べもしてないということでありますから、これ以上おいでいただいてもちょっとどうかと思いますが、すでにこの問題は、私は擁護局の方で何か御調査になったのじゃないかという気もいたしましたので、大へん長くお待たせいたしましたが、それじゃ以下警察の方に対しまして、二、三点質問したいのてす。
  374. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  375. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  376. 高田なほ子

    高田なほ子君 まだ御調査にならないから、御質問申し上げても的確な返事は出ないと思いますが、一般的な問題として、これは今度の問題だけではなく、泥酔者とそれから自殺未遂者とを誤まったような場合が、今までにもあったと思うです。今、私は具体の例をここにあげることはできないのですが……。それからもう一つは、自動車で泥酔者を運搬する途中に、足でドアをけとばしてあけて、転がり落っこってそして頭を打ちつけて、そのために死んだというような、タクシーの中での事故というものが起っている場合がある。それで、泥酔者の保護というものについて、これはそんなにわけのわからぬほどまで飲むというのは、もちろんこれは悪いんですけれどもね、しかし、この場合の保護という問題については、人権擁護局としては、泥酔者の保護の限界ですが、どういうふうにこれはお取り扱いになることが正しいと思われますか。今回の場合はタクシーに頼んで、泥酔したと確認しておる本人をタクシーに乗せて履けてやったと言われておりますが、こういうような措置でよろしいものかどうか。いろいろ状況があると思うのですがね、ほとんどその名前を言うことさえもできないほどに意識を失っているその者を、タクシーに乗せて自宅まで送ってやるというようなことについては、これは、私はどうかというように考えるのですが、ここらの保護の限界ですね、これを一般的な問題としてお尋ねをしておきたい。
  377. 鈴木才藏

    政府委員(鈴木才藏君) 大へんむずかしい問題でございます。実は私の方でもこの泥酔者の問題、また泥酔者の取扱いからくる人権上の問題についていろいろ研究をし、また、種々の事例を今収集しておるわけであります。一般的に見まするというと、日本におきましては刑責においては泥酔者の天国でございますけれども、その他の、泥酔者の保護の問題におきますと、非常に地獄ではないかと思われる点もございます。たとえば、街頭における泥酔者が相当放置されておる。あるいは泥酔した者が、同じように被疑者留置場に入れられて、種々の問題が起る。泥酔者の保護の方法というものがまだ不十分ではないか。これはおそらく設備の経費、そういうものにもからんでくると私は思う、やはり、私の方といたしましても、どの程度まで泥酔者を扱うべきだ、どの程度まで保護すべきである、どういう取扱いをすべきである、こういうことは、今研究をいたしておりまして、まだ私といたしまして、今、高田先生からの御質問に対して明確なお答えができないのは、まことに遺憾でございます。
  378. 高田なほ子

    高田なほ子君 これも何県、何月何日という具体の例は言いませんが、年とった婦人が脳溢血で街頭に倒れておるものを、これもまた泥酔者ということから、あっちへ動かしこっちへ動かし、とうとうこれは死んだ事実が前にあった。こういうようなこの泥酔者と間違って取扱いが悪かったために命を失わせたようなことは、これはやはり相当、取扱い警官のミスがないかと思われる節がある。こういう類似の問題が、本問題と間連しておるのでありますが、今日までそうした誤認のために死に至らしめたというような事実に対して、人権擁護局は、法務当局や警察当局に対して、何らかの勧告なり通告なり警告なり発したというような事態はございますか。
  379. 鈴木才藏

    政府委員(鈴木才藏君) まだその事例はございませんです。
  380. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじゃ大へんお待たせして恐縮ですが、具体的なお調べがないので私の擁護局長に対する御質問は終りたいと思います。私の場合は。
  381. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは新聞で見られた以上には調べておらぬというようなお話ですが、私どもが新聞を見た際にも、警察は酔っぱらいとして取り扱った。事実はそうではなかった。これは新聞だけでも、まあ大体私どももそれだけのことはわかったんです。これは人権擁護局長として新聞をごらんになって、おわかりになったと思いますが、三面でしたけれども、朝日新聞等大きく取り上げましたのは、私は、勤務評定の問題もありますが、やっぱりその自殺をはかった人を酔っぱらいとして取り扱った点に問題があるとして、大きく新聞記事になったということは、これは否めない事実だと思うのです。それについて、全然人権擁護局としては、自分の所管に間連する問題とお考えにならなかったんでしょうか。あるいは国会なら国会に尾崎教諭の問題でこれは来ていただくということは、事前にわかったと思うのですが、人を派してそのときの事情を十分調査することはできなかったと思うのですけれども、全然ここにおいでになる前に何にもお問い合せなくて、調べなくておいでになったのでしょうか。どうも調べておらぬというお話ですけれども、ちょっと疑問を持つのです。
  382. 鈴木才藏

    政府委員(鈴木才藏君) その点は、まことに遺憾であります。実は昨日の夕刊で見まして、けさわれわれの方でこの問題を知りまして、ちょうど局長会議に出ておりますときに、こちらのお呼び出しがございまして、ちょうど警察関係の方もお呼び出しを受けているというお話でございましたので、この機会に、直接警察の力のお取調べの内容が聞けると思いまして、実はその後において調査を始めようと、こう思っておりまして、まことに遺憾でございますが、おくれた次第でございます。私の方といたしましては、もしも故意に自殺未遂者を泥酔者と扱って、そうして重大な結果を生じたということになれば、これはやはり取扱い上、人権上の問題でありますので、これはさっそく調査いたさねばならぬと考えております。
  383. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは、あとは希望になりますけれども、憲法でも、公務員による人権のじゅうりんという点が一番問題だと思います。人権擁護の問題点は、他の人権じゅうりん問題も問題だと思いますけれども、その点が一番私は問題だと思うのです。今、高田委員からも言われましたけれども、脳溢血あるいはその他、何と申しますか、生命の危険が個人にきわめてある場合に、それを警察その他あるいは保健所等の場合もありますが、公務員で人命あるいは人権を擁護してくれなくて命を落したという例等が相当あることですから、これは尾崎さんの場合、なくならなかったのですけれども、人権が守られないで死に至らしめた云々という――人の命が失われないように、人権がじゅうりんされたあとから調査するというのじゃなしに、これは人権擁護局としてお守りをいただくのが、私は人権擁護局の任務だと考えますので、新聞を見た、あるいはここへ出てきたら警察から実態は聞けるだろうということでなしに、人権を守るために直ちに御活動を、他の場合においてもおとり下さることを希望をいたします。
  384. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 人権擁護局長はよろしうございますか……。
  385. 鈴木才藏

    政府委員(鈴木才藏君) 今の御趣旨は非常にありがたく、実は、これはたびたび私の前の局長からも皆さんお話しするのでありますが、実際の審判事件の調査は、東京におきましては東京法務局の人権擁護部がやっているのでありますが、何分にも人員が足りませんので、けさの新聞で見ましたことを、すぐ人を派して調査するということは、なかなか困難でございます。急ぐ場合はそうでございますが、どうしても一日か二日ほかの事件を片づけまして、それからかかるというふうな、非常にのろいので、これは申しわけないのでございますが、実態はやむを得ないものがあるのでございます。何分非常にたくさんの相談と調査を受け持っておりまして……。今後できるだけ早く調査をいたすようにいたしたいと思います。私の方では、人権の尊重については、極力、たとえそれが公務員であろうと遠慮会釈なく調査をいたしております。この点は御了承願いたいと思います。
  386. 高田なほ子

    高田なほ子君 警察庁の方にお伺いしますが、一応報告の中に漏れている点はないでしょうか。漏れている点というのは、具体的に言えば、これは当然ほとんど時間を出ないで泥酔者でないということがわかり、しかも、洗足池病院に入院したということもわかっております。その後、尾崎先生の状態等についてお確かめになったような点がありましたら、あわせて報告していただきたいと思います。
  387. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 大体事案のいきさつは、先ほど申し上げたようでございますが、若干、その病院に入院されたあと、家族の方に対して警察がとった措置について、さらにつけ加えてここで申し上げておきたい点がございますので申し上げますが、その日の午前十一時ごろ、丸ノ内署の巡査部長を洗足池病院に派遣をいたしまして、尾崎先生の奥さんに対しまして、そもそも有楽町の派出所がこの問題を取り扱いました最初から、さらに自宅に送り届けるまでの状況、並びにまあ服毒であるということも発見できなかったのはこういうことであるというお話を、奥さんに申し上げております。そのことだけつけ加えさせていただきます。
  388. 高田なほ子

    高田なほ子君 ここで問題になるのは、泥酔者とそれから服毒者というものの見さかいがつかなかったという点について、非常な私は疑義を持つのです。臭気がしたということを言っているのですから、酒のにおいか、しからざるにおいかというのは、当然ここで判別がつかなくてはならなかったと思うのですが、臭気というのはどういう臭気をここでさしているのですか。
  389. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 先ほど申し上げたように、レイン・コートの左えりのところから腰のあたりのところまで吐瀉物でよごれておったということでありますから、当該係の巡査といたしましては、そのにおいをかぎまして、そして臭気がある、一般に泥酔の方については臭気があるということが一つの常識になっておりますので、そこまでの配意はあったわけでございます。ところが、教育庁の方の係員、警備員の方から、とにかくいろいろのものを言っておられて、そしてはっきりしない状態で、相当酔っているというふうな届出もありまして、そこで泥酔と、こういうふうに思い込んだと思います。大体泥酔と泥酔以外の服毒というのは、なかなかこれは、学術的に調査をして区別すれば、これはわかることと思いますけれども、とっさの間で、何しろそういうふうな状態になっておりますから、一刻も早く家族の人、知人の人に送り届けたいというのが、受け持ちの巡査としては先に立ちまして、泥酔保護という形になった、こういう報告を受けております。
  390. 高田なほ子

    高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、ポケットの中を検査されて、手紙を発見している、名刺それからその他貯金通帳等々かなり詳細の調査をされたようです。もちろんこれは警備員から泥酔者の保護要請があったわけでありますから、警察としてはこの要請にこたえるために、所持品等によって身元を確かめるということは当然だと思います。当時ポケットの中には遺書が入っておった、遺書が三通入っておった。ほかのものがわかって、遺君が確認できなかったということについて、私は大きな疑問を持つんです。これをごらんになったならば泥酔者か、しからざるものかということについては、当然これは判別ができたのではないか。この遺書の問題については発見できなかったのかどうか、当時……。
  391. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 先ほど手紙ようのものというふうに申しましたのを、もう少し詳細に申しますと、封をした封筒の中に何が入っておったかは、当時巡査は知らなかったようでありますが、それと、その当時巡査の気持としては、別にガリ版刷りのものがあったようであった、しかし、ガリ仮刷りであるし、どうも学校の先生だということもわかりまして、おそらくこれは教材普通ガリ仮で持っておられますと、先生が持っておられれば教材というようなことはまず一応の推測をするというのも無理からぬことだと思いますが、まさかここで自殺者というふうにも思わなかったので、あるいはガリ版刷りのものを、封筒を開くことはこれはできないにいたしましても、詳細に読めばあるいは自殺未遂の方であるというふうに推測できたかもしれませんが、いきさつはそういうことでその当時として遺書であるということは発見できなかった実情でございます。
  392. 高田なほ子

    高田なほ子君 名刺の名前、それから住所等詳細にわたって懐中電灯で調べておられる、小さな字について。で、三通の封書の表面には、はっきりと遺書ということが書かれてあるのに、それを発見できなかったということについても、これは若干疑義がある。しかし、発見できなかったものをなぜ発見しなかったかとここで責めても、これは発見できなかったものは発見できなかったと答えるよりほか仕方がないと思うのですが、こういう点に手抜りというものがなかったか。
  393. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 先ほど申し上げましたように、一応泥酔者がおるという報告を受けまして、それからよく泥酔者にありがちな吐瀉物等もあったものですから、泥酔者と思い込んだといえば思い込んだいきさつもあって真夜中のことでもあるし、早く泥酔者であるならば奥さんなり親戚なりに届けなければならぬということが、警察官の第一義務のようにふだんから訓練してありますので、今お話のように懐中電灯で照らして、ガリ版刷りのものを一字一句見れば、あるいはその場合において発見できたかもしれませんが、それよりも、だいぶん酔っておられる方だから早くさしあたりの処置をして、しかる上において家族の方に届けたいという一心で、気がつかなかったというのが、実際の事情のようでございます。
  394. 高田なほ子

    高田なほ子君 丸ノ内署に尾崎さんを連れていって、そうして丸ノ内署の指示を仰いだという時間は何時ごろだったのか。
  395. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 報告によりますと、午前一時ごろ丸ノ内署の本署の前に尾崎さんを乗せたタクシーが到着をいたしております。
  396. 高田なほ子

    高田なほ子君 一時ごろ指示を仰いで、これは泥酔者だから送り届ける方がよろしいと判断をして送り届けた。しかし、その後東調布署に連絡してくれたというのですが、東調布署に連絡したのは何時ごろだったか。
  397. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 直ちにやっておるとも言える状況で、報告によりますと、午前一時三分ごろタクシーが、先はど申し上げたような状況で、すぐ送り届けるようにといった直後、電話をもってすぐ連絡をしておるようでございます。
  398. 高田なほ子

    高田なほ子君 連絡をしてから、東調布署の方から無事にこっちへ着いたという本署に対する報告はなかったのですか。
  399. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 報告というよりも、送り届けた丸ノ内署の方がその結末を心配いたしまして、さっき電話で連絡した泥酔の方はどうなったであろうかという督促をいたしております。
  400. 高田なほ子

    高田なほ子君 何時ごろ。
  401. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 一時三十分ごろという報告であります。
  402. 高田なほ子

    高田なほ子君 その督促をしたことに対して、どういう向うから電話があったか。
  403. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 言葉そのままはよくわかりませんけれども、連絡のあった泥酔者を乗せたタクシーは、電話連絡の通り自分のところの派出所にきたので、家をよく教えたから、間違いなく家に着いたはずであると、こういう連絡であります。
  404. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、一時三十分頃督促をした。これに対して家に着いたはずであると返事があった、こういうわけです。ところが、今度は奥さんのお話を承わりますと、警察から泥酔者だといってタクシーで送られてきた。しかし、日ごろ全然お酒を上らなかった方だったので、非常に不思議に思い、泥酔者だというから、そのまま床に引き入れたが、余りにも様子が変だ、余りにも様子がおかし過ぎるので病院に連れていこうと思ったが、病院は連絡がつかなかった。深夜のためにやむを得ず東調布の交番にまことに困りましたと、病院が起きないから困りましたということで、病院に応援を求めるために奥さんが駆けつけた。そのときに、東調布署の交番では、先ほどの方ですねと、酔っぱらいではないのですねと、こういうふうな念押しがあった。そこで奥さんは、やっぱりがく然とした。先ほどの方ですねと、酔っぱらいではないですね、こういうふうに言われた。そうして交番のおまわりさんが一緒に行かれて病院に入ったと、こういうことになっておる。そうすると、その時刻は、奥さんに時刻を聞くことができませんでしたが、この間、少なくとも自分の夫がむざんな姿で帰ってきている。ものを聞いてもものを言うことのできないこういうような状態、その病院に入ったその直後は、瞳孔がもう開いておって、お医者さんも八、九分通りだめじゃないかと、毒が体に吸収してしまっておるから洗浄してもこれはもうだめだというようなことも言われたそうでありますが、事それほどの重態患者を、ただ単に泥酔者だというふうにここでおっしゃっていますが、奥さんの言葉を借りて言えば、すでにそのときには警察では酔っぱらいではないということを確認していた模様である。こうなると、私はだいぶ問題がおかしくなってくるのですが、ここでおかしい、おかしくないのことは申し上げませんが、そういう状態であった。ですから、少しは警察の方から送り届けた直後に、どうも酔っぱらいにしちゃ変だなあというふうな空気があったのじゃないかと、こういうふうに思うわけでありますが、この点はどうですか。
  405. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 奥さんが東調布の派出所の方に来ましてどう言われたか、私もそこのところまで実は聞いておりませんので、正確にはわかりませんけれども、酔っぱらいではないですねというのは、言ったかどうか存じませんけれども報告によりますと、事前に泥酔者でないということはわかったのを、強いてといいますか、故意にといいますか、承知の上で泥酔者扱いにしたという事実はないのであります。と申しますのは、奥さんが来られてから――これから申し上げることは、口頭の報告を受けた点でありますから、そのようにお聞きとりをいただきたいと思っておりますが――一緒に自宅にも伺って、それから一緒に病院にも行っておるという事実があるようであります。警察が、そういう点から考えますと、奥さんがどうも泥酔ではないようだという話をされて、警察ではがく然として、一緒にお手伝いといいますか、事後の措置をやりたいという気持で同行しておる事実があるようでございます。
  406. 高田なほ子

    高田なほ子君 翌朝、つまり二十日になりますが、先ほどの御報告によると、丸ノ内署から、きのうは済みませんでしたというようなことで、何ですか、お見舞のような方が行っておるようですが、その人の名前はどういう人がお見舞に行かれたのですか。
  407. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) ちょっとお言葉を返すようですが、済みませんでしたというふうなお話でございましたが、先ほど私が申し上げましたのは、報告によりますると、取扱いの当初から自宅に送り届けるまでの状況と、吐瀉物がありましたり、服装の関係がありましたり、それからそもそも都の教育庁の方からの届け出の関係で服毒ということが発見できなかったという事情説明をいたしたというのが実際のようでございます。その名前は石井という巡査部長のようであります。丸ノ内署のですね。
  408. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、二十日に午前十一時ごろ洗足池病院に派遣された石井登喜光という方ですか、とにかく石井さんという巡査部長が病院を訪れて、服毒発見のおくれた事情について説明をした。その説明だけではなくて、あらためて大へん済まなかったと言われた後に、勤評問題でうるさいときだから、表ざたにしない方がいいと言って帰られたと、こういうふうなこれは奥さんからの御報告であります。これはどういうことなんですか。
  409. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) まあこちらの報告によりますと、石井部長は、そうは奥さんに申し上げていないということであります。御主人は学校教員であられるからして、まあこういう状態になったことが新聞等に出るのも、御主人の将来のために御迷惑であるかもしれませんから、こちらとしても――こちらというのは警察の方としても、あまり新聞報道等にならないようにいたしましょうという意味のことは申し上げたように聞いておりますけれども、今お話のように、勤評の際であるからという話は、これは人の会話のやり取りでありますから、まあ言ったとか言わぬということになりますと、正直大へん困ることになるわけです。こちらとしては、今高田先生から御発言のあったような趣旨は申し上げておらない。こういうふうな報告に接しております。
  410. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは言ったとか言わないということの水掛論は抜きにいたします。ただ、警察の方は親切気でそう言われたのかもしれませんが、表ざたにしない方がいいと、こういうような注意をされたことは事実のようです。それから教育庁の方に対して警察の方から何か本問題について御連絡があっておりますか、警察庁の方からは。
  411. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) そういう事実があったかどうか、ただいまのところまでは、報告に接しておりません。
  412. 高田なほ子

    高田なほ子君 教育庁の方には、別に警察の方から何も御報告がなかったのでしょうか、その事実についてはわからない……報告したかしないかについてはいかがでしょう。
  413. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 教育庁の方から警察の方に話があったかどうかという点、また警察の方から教育庁の方に連絡したかどうかという点、二つとも報告に私は接しておりませんので、何ともここでは申し上げかねます。
  414. 高田なほ子

    高田なほ子君 ここが非常に重要なところなんですがね。これは組合員の人々の知らないときに、二十日の午後一時ごろです。すでにもうどこから連絡があったか知りませんが、教育庁の黒川総務部長外二人の者が、本島教育長名の見舞金を病院に持参をしているという事実があります。当事者きり知らないものだと思ったら、一番先に知ったのが教育庁である。これはまあどういう事情かわかりませんが、ずいぶん手回しのいいことだというふうに考えられるのでありますが、そこらにも私のはなはだしい疑問がある。冒頭に私が言った一人の人が命をかけた問題が、むしろ政治的な動きの中で、その死をもってする抗議が歪曲されることに対して、私は心から憤りを感じて、以上質問いたしました。  終局的にお尋ねしたいことは、これは一般的の問題になりますが、この場合、タクシーの運転手に、ものも言えないような泥酔者を乗せて託してやるということは、これは泥酔者保護として当然のことなんですか。これが一つ。もう一つは、出先の交番で泥酔者を保護する場合に、一々酔ってわけのわからなくなった者を、本署まで連行して、そうして本署の指示を仰ぐというのは、それはいつもやられることなんですか。この点二点だけ……。
  415. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 保護の場合は、普通の場合は、泥酔者もそうでありますけれども、本署に来て、先ほど人権擁護局長からも御発言がありましたが、保護室、それから宿直室等に保護をいたしまして、そうしてできるだけ早く家族の人たち、親戚の人たちに連絡をして、そしてしかるべき人に署までおいでを願って身柄をお渡しする、こういうのが普通のやり方でございます。と申しますのは、やはり一応署に来ていただいて、応急の措置ではありますけれども、やはり安全な状態にたとえ一時でも置いて差し上げるというのが、泥酔者に限らず、要保護者に対する警察のあり方だと、こういうふうな考えを持っておるわけでございます。それが一点でございます。それからタクシーの点は、これは先ほど申し上げましたように、おそらく丸ノ内警察署の署用の自動車が、交通事故等の関係で出払ったあとでなかりせばというこれは仮定の議論で申し上げるわけですけれども、車があれば、その車に乗っていただいて送り届ける、こういうふうになっただろうと思うのですが、不幸にしてその晩はそういうわけで署の車がなかったというので、やむを得ずタクシーの身元を確かめず保護した。ただ、運転手だけにまかせるというのでは心もとないから、管轄の交番まで電話で連絡をいたしまして、近い時刻に車が届くから、君の所は管轄の交番であるから、自宅の方に間違いなく、まごつかないようにお届けするようにという念のための連絡もいたしておるようでございます。私から申し述べるのも押しつけがましいことですが、警察としては、常識的に考えて、この送り方については手を尽したように実は考えておるわけでございます。
  416. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは本署に連行するというのは、本署の保護室で身柄を一応保護されて、それから全くわけのわからぬ泥酔をしているというような者は、はなはだしく一人で帰すことに安全性を欠くので、身内の者に身柄を渡すというのが常識だと思うのですね。今度の場合も当然そういうような措置がされて私は当然じゃなかったかと思うのですが、どうして保護室に保護をしないでまっすぐ帰したのですか。その理由はどういうことですか。
  417. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 先ほどの保護室の方に一般要保護者を連れて参りますというのは、それはたとえ一時であっても保護をしなければならぬということと、まあ多くの場合、要保護の場合は、なかなか住所、氏名あるいは連絡先等がわからないのが普通のようでありますので、本署まで来ていただいて、あるいは泥酔の人であればある時間たって、さめるのを待って住所を聞くとか、氏名を聞くとか、連絡先を聞くとかいうのが普通でありますが、本件の場合は、名刺を二十枚――一枚の名刺ぐらいではあるいは身元確認にならないかもしれませんが、同じ名刺を二十枚も持っていて、しかも預金通帳の名前とも比べてみたら、身元がすぐわかったという状況でありましたので、私ども一刻も早く奥さんのところなり、家族のところに帰したいという一心で、警察はこういう措置をとった、こういうわけでございます。
  418. 高田なほ子

    高田なほ子君 警察の方は手落ちがないというふうに確認をしておられるようでありますが、まさか警察の方に手落ちがあるなどということは、口が腐ってもおっしゃらないでしょうが、私から言わせれば、以上数点の質問をいたしましたが、どうもふに落ちないということだけここで申し上げておきます。今日になるも、御本人は意識不明で、つばをのみ込めるまでの意識もまだ持たないと言われているのですが、きょうの午後二時半現在になって、ようやく唾液を自分でのみ込むことができるようになったのでありますから、当然、教育庁の前で発見されたときの状態は、一般の泥酔者とは、おそらく、はなはだしく違った異常な状態にあったということは、今日の現状から見てもわかることである。それを一般の泥酔者扱いにしたということについては、これは納得がいかないのです。しかし、ここで納得がいく、いかないの問題を責めてもしようがありませんが、私は、警察庁の報告に対して以上の点を申し上げて、はなはだしく疑義を持たざるを得ないという結論だけを申し上げて、また次の機会に譲りたいと思います。
  419. 荻野隆司

    説明員(荻野隆司君) 一言だけ申し上げたいと思いますが、別に言いわけで申し上げるわけじゃありませんが、警察の方は、ずっと最後に奥さんからお話があるまで泥酔であると思い込んでおった。結果から見れば、そういう思い違いをしたということは、まことに残念でもございますし、それは病気になられた尾崎さんに対して申しわけないと思いますが、初めから泥酔にあらざるものを泥酔という扱いをしたということは、全然そういう気持はなかったことを、ここで御了察願いたい、こういうふうに考えております。
  420. 吉田法晴

    吉田法晴君 文部省に伺いますが、先ほど初中局長は、文部大臣のところに木下委員長あての遺書を示しておられたようですが、文部省は、教育委員長あての遺書をもらわれるときに、どういう報告を受けておられるのでしょうか。
  421. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私の方も実は遺書はいただいておりません。ただ、私が大臣に差し上げたのは、朝日新聞のに出ておった記事をお目にかけたわけでございます。
  422. 吉田法晴

    吉田法晴君 文部省としては何の報告も受けていないというわけですか。
  423. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 文部省としても、今お話しのような点について、ある程度の報告は受けております。
  424. 吉田法晴

    吉田法晴君 どこからどの程度の報告を受けておるかということをお尋ねしているわけです。
  425. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 都の教育委員会から、今、警察庁でお話がありましたほど詳細ではございませんが、事件の概要についての報告は受けております。
  426. 吉田法晴

    吉田法晴君 その教育委員会からの報告の中で、先ほど、教育長は二十日の午後一時ごろ、尾崎さんが勤務評定の問題で死をもって抗議しようとされた。警察のように、何といいますか、酔つばらいでなかったということがわかって、病院に見舞に行かれたのだと思うのですが、本島教育長名の見舞金を持参されたのですが、その辺の、教育長が、いつ、どういう経過で尾崎さんの問題について、勤評問題について死の抗議をしようとしたというように報告を受けられておるのか、その辺については、どういうふうに報告を受けておられますか。
  427. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私どもは黒川部長がお見舞にいらっしゃったということは聞いておりますが、何時に行ったかということは受けておりません。大体、本件につきましては、あとで、初めは酔っぱらい、泥酔者だというように誤認をいたして、警察の方へ連絡をいたした。その後、服毒だということが判明いたしましたので、あらためてお見舞に上ったと、こういうふうに聞いております。
  428. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本件に関する質疑は、この程度で一応終了して御異議ございませんか。
  429. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に、私は、文部大臣に特にこの質問を通じて御了解をいただきたいことは、一人の人間が命をかけた、ひたむきな願いというものは、どんな場合も私は聞き届けられなければならないものだと思います。これは人間性の問題であります。特に泥酔者と誤認をしたということにも、疑義を持ち、遺書を持っておる泥酔者が警察で発見できないという理由は、どんなに強弁しても成り立たない。幸いにして尾崎さんが、今、生命を保っておられますが、万が一のことがあるならば、これは命を断つる場合もあり得たかもしれない。こういうようなひたむきな願いというものに対して、大臣としても、こういう事態は、この遺書の中に見られるように、単に教員組合の指令に従って云々というのではなくて、教育者としてどうしてもとるべき方法はこれ以外にないという、冷静な思想の統御のもとに選んだ行動として、行動自体には幾多の批判があるもわかりませんが、こうしたひたむきな死をかけた願いというものを、大臣としては十分にこれは了解していただかなければならない。また、こういう問題が政治的にゆがんだ形でもって利用されるようなことがあれば、私はほんとうにこれはもう、心から憤り以外の何ものもない。どうか一つ、私は先ほどから、大臣の御労苦を、本問題の解決のために御苦心でありますが、どうか明日にかけて、この人の願いというものがあだにならないように、特段の御善処をわずらわしたい。私は、最後のきわにポケットにしまわれた遺書をお預かりした建前もありますので、大臣から、本人の気持だと、私の口を通して言う御本人の気持だという了解のもとに、一つ私は、御答弁を、御決意のほどを承わらしていただきたい。
  430. 松永東

    国務大臣松永東君) 尾崎先生の純真な心から出たその行動に対しては、お気の毒だと私は思っておる。従って、午前中の御質問に対しても、私はこれに対して答弁をいたしております。そうして、要するに、私らの考え方といたしますと、尾崎さんの考え方は少し誤まっておると思っております。しかし、尾崎さんに正解させることのできなかったことは、まことにわれわれの説明の足らない、解釈をしてもらう手段が足らなかったことであるというふうに私どもは考えております。しかしながら、こうした問題については、もうこれは午前中から申し上げておる通り、最悪の事態が招来せぬように、一生懸命努力するつもりでおります。
  431. 竹中勝男

    竹中勝男君 関連ですが、今、文部大臣がきわめて率直に、正直に、尾崎さんに対して説得する、尾崎さんを了解に導く努力が足りなかったということを文部大臣は、認められたのです。これは、ひとり死をもって抗議した尾崎さんだけではないと思います。おそらく全国五十万の教師は、いまだ文部当局の説得を了解していない現状にあるということを、十分記憶されていただきたいと思います。すなわち、さらに力を尽してこの問題の解決、すなわち、現場にあるところの教師、またPTAの人たち、あるいは、われわれ国会議員に対しても、十分納得のいくところの了解をとりつけるように努力をしていただくことが、この問題を解決するゆえんだと思うし、この尾崎さんの行為に対する一つの反省であると私は考えております。のみならず、これはきわめて深刻な影響を児童に与えております。なぜ自分の先生が死を覚悟してこの先生の通信簿に反対したのかということは、もはや消すことができない数万、数十万、数百万の児童に対する一つの疑点を、暗い点を与えたと思います。適切な指導をすると常に言っておるところの初中局長は、この点についてどういうように考えるか、あなたの責任をどういうように考えられますか、重ねてあわせて局長の決意を聞いておきたい。
  432. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私ども勤務評定というものは人事管理上重要な参考資料だ、できるだけ職務能率の向上のためにしたいということは、しばしば述べておるのでございまして、御指摘になったあの遺書に掲げられているような趣旨で勤務評定をやっているようなわけじゃございませんので、その点が、私どもの趣旨の徹底が足らなかったことは大へん遺憾に思っております。また、尾崎先生に対しては、大へんお気の毒に思っておる次第でございます。
  433. 竹中勝男

    竹中勝男君 それじゃ趣旨の徹底が足りなかったということを認められたということを、われわれは確認したい。
  434. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。    〔速記中止
  435. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて下さい。   ―――――――――――――
  436. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 次に、盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  437. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは二、三年前に文部大臣に予算委員会で盲、ろう学校の教材の問題で質疑をいたしまして、当時の文部大臣は、これは清瀬文部大臣だったと思うのですが、法律案の改正に出ております、就学奨励あるいは学校給食だけでなくて、教材の問題等についても、できるだけ趣旨に沿って予算支出ができるようにいたしましょう、こういう答弁があっているのであります。というのは、盲児の図書館等については、これは私立の図書館が作られて、そうして奉仕をして図書が作られておる。あるいはわれわれもこれはきわめてわずかなものでありますけれども、その私立の図書館等について、図書館の図書の整備等について御協力申し上げたこともありましたが、これは図書館……、しかし、学校の教材については、非常な困難をしておられる所があるだろうと思う。この間新聞に、耳も片方やっと聞えるだけで、目が見えないということで、点字教科書その他を作っておられる記事を拝見をしたことがあるのですが、直接このの法律とは関係ございませんけれども、過去において文部大臣が約束された点字図書あるいは教科書、そういう教材等について、どういう拡充の構想がおありになるのか。関連してお伺いいたしたいと思います。
  438. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 点字については、これは点字毎日、ライトハウスの二社に点字の機械を貸し付けまして、これによって安く点字の書物が入るように配慮しているわけでございます。なお、教材費につきましては、これは義務教育費国庫負担金の中で、普通の小、中学校と異なりまして、大幅に盲学校ろう学校の教材費は見ております。
  439. 吉田法晴

    吉田法晴君 その教材について、義務教育についてはとにかくでありますが、高等部についてはこれは不十分、しかも、何といいますか。相当普通の教材よりも高くなる。そこで、それらの教材の充実のために努力せらるべきではないかと言ったところが、三年ほど前に、それはごもっともなことで、予算措置も十分拡充をしてやりたい、こういうお話だったわけです。今に至るもまだ十分だとは言えないと思うのです。ここでこまかいことは申し上げませんけれども……。従って、それらの教材あるいは教育の効果を上げていくについて、高等部を含めてどういう施策をやろうとしておられるか、そういう点について、もう少し誠意ある答弁を願っておきたい。
  440. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) このたびの法律案によりまして、実は学校給食を補助の対象にしたわけでございます。で、教材につきましては、主たる教材である教科書につきましては、すでにこれは小、中、高等部を含めまして、全部無償という建前になっておりまして、御指摘の点は、あるいはいわゆる教科書以外の学用品かと思いますが、教科書以外の学用品につきましては、今後、小、中、高等部を通じまして、文部省としても努力いたしたいと考えております。
  441. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと一つ聞きますが、この前法律ができたのは、幼稚部を含んでおったと思うのですが……、幼稚部と高等部の給食費を負担すると。今度のは、法律として就学奨励とすれば、幼稚部を抜かすということは、今までの法律の修正としては当然だと思うのですが、この前にも幼稚部は同じくやはり寄宿舎にあって、ほとんど同一の給食をやっているので、そこで給食費の負担をしなければできぬという話が出たのです。そこで、盲、ろう学校の四学校就学奨励というものに対しては、幼稚部に対する考え方というものは、ほとんど義務制と同様に取り扱って然るべきだと思うのですが、この点についてはどうなんですか。
  442. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 実は盲学校ろう学校につきましては、御指摘のように確かにそういう面もございます。しかしながら、もっと切実に困っておりますのは、実は義務教育を終って高等部に入っておる連中でございます、この人たちは、何とかして高等部に入って、一つの職業を得なければならぬと思います。で、義務教育だけではどうしても不十分なので高等学校に対しては助成をしていない分でも、特に教科書にいたしましてもあるいは給食にいたしましても、義務教育の線にそろえてやっておるわけでございまして、まだ高等部を整備すべき段階でございますので、今後、御指摘のように高等部が整備された場合には、幼稚部の問題も十分検討いたしたいと考えております。
  443. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ。私立の学校についても助成をやっておるのですか。
  444. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この就学奨励につきましては、私立にもやっております。
  445. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ。第五条の中で資料の提出ということを義務づけているわけなんですが、これは保護者から直接にこういうふうな資料を集めることが必要というようなものは、やはり相当あるんですか、保護者から出させるということになると、これらの保護者等も必ずしもそんなに生活程度も高くはないし、こういうことを規定しても、特別の保護者のものに出させるのか、全部のものに出させて、こういう資料を作るのか、全部だとすると、その必要性もないように思うんだが、その点は、特にこういうことを規定したのは、どういうふうな理由なんですか。
  446. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教科書のように全部に行き渡る場合は問題はございませんけれども、給食の場合には、大体六割程度を目標にしておりますので、家庭の貧困の者から優先して給食したい、こういうことでございますので、ある程度家庭の事情調査しなければならぬと思いますが、御指摘のように、なかなかそういう調書が書きにくいというような、あるいは書けないという人もあるかと思いますが、そういう場合には、学校がかわって書いて上げるというふうに考えております。
  447. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ。今の御答弁で、私どもちょっとわからないのは、六割というのは、就学奨励は六割を出しておると、六割というのは、政府が六割について出しておるのですか。全部の生徒に出していると思っていたのですが、六割というのは、どういうことなのですか。
  448. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教科書以外は、これは義務教育の場合でも、大体六割を貧困児童と考えておるわけでありまして、全員が貧困児童ではございませんので、特に貧困度の高いものから。もちろん盲学校ろう学校の中に入っておられる方も、非常に裕福な方もいらっしゃいますので、こういうものは、対象から除外してございます。
  449. 高田なほ子

    高田なほ子君 二、三点伺いたいのですが、今度高校が給食されることになるわけですね、高等部が給食されることになるわけです。これは今度の予算はどのくらいの予算が組まれ、また、対象人員は何名くらいになっているのか。それから一食のカロリーは中学生とどんなふうに違うのか、数字的なことだけお尋ねしておきます。
  450. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 予算につきましては、国の方で千六百万、これは二分の一負担でございますから、同額のものが地方負担に計上されるわけであります。カロリーにつきましては、大体中学校に準じておりますが、生徒数につきましては三千四百五十人でございます。
  451. 高田なほ子

    高田なほ子君 カロリーは中学生と同じですか、準ずるというのは、どういうことですか。
  452. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 普通の高等学校のでございますが、大体中学校とほぼ似たようでございます。
  453. 高田なほ子

    高田なほ子君 何カロリーですか。
  454. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ちょっとカロリーの計算はまだいたしておりませんけれども、普通の定時制高等学校学校給食がございますので、それに準じてやっております。
  455. 高田なほ子

    高田なほ子君 あとでカロリーを知らせて下さい。
  456. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) はい。
  457. 高田なほ子

    高田なほ子君 これはあれですか、実態は、住所とそれから通学している学校区域と違っている子供というものは多いものですか。
  458. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この所在地の子供たちが住んでおる所の区域内の学校と、それからその区域外に行っている子供が若干あるわけなのです。今回の改正では、これをお互いに相殺して、子供たちが行っておる学校を中心に経費の支弁をしたい、これは経費の支払いが、一々住んでおる所の都道府県に請求しますと、子供たちへの支払いがおくれますので、便宜こういう措置を講じた次第でございます。
  459. 高田なほ子

    高田なほ子君 そのことはわかります。大へん今度は便利になってよくなりますね、大へん便利になって、この改正は非常にいいですね。それで、この区域外の生徒というものは、どのくらいあるのですか。
  460. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私ども調査では九百六十一人となっております。
  461. 高田なほ子

    高田なほ子君 九百六十一人……。これは三十三年度から地方の財政計画の中には、もうちゃんと入っておるわけなんですね、財源は。
  462. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。
  463. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。
  464. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  465. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでありますから、討論は、終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  466. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  467. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  468. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     野本 品吉  三浦 義男     下條 康麿  林屋亀次郎     吉田 法晴  高田なほ子     松永 忠二  秋山 長造     竹中 勝男   ―――――――――――――
  469. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  470. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて下さい。  次に、農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案者から提案理由説明を求めます。
  471. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ただいま議題となりました農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員に対する産業教育手当支給に関する法律の一部を改正する法律案につき、その立案の趣旨を申し上げますとともに、内容の概略について御説明申し上げます。  産業教育振興法におきましては、産業教育に従事する教員の勤務の特殊性にかんがみ、資格、定員及び待遇について特別の措置が講ぜられなければならない旨を規定しており、この規定に基き、とりあえず農業または水産にかかる産業教育に従事する教員に対して産業教育手当支給する現行法の制定を見たのでありますが、同法審議の際の付帯決議もあり、その後、種々検討の結果、今回さらに、工業、電波、及び商船にかかる産業教育に従事する教員並びに農業及び水産を含め、これら教育の実習について、教諭の職務を助ける実習助手で、政令で定める者に対しても、産業教育手当支給し得るよう、所要の改正を行おうとするものであります。  そもそも、工業高等学校教育は、工場における実質的推進力となる現場技術員を養成することを目的とするものでありまして、この意味から、その教育は、実質的な生産教育であります。従って、その教育の中心をなしますものは、生産的実習でありますから、生徒ひとりの体験と反復練習が絶対に必要なのであります。そのため、工業科の教員は、実習指導のための諸準備、実習資材の手配、設備の保全、修理及び整備、実習作業の指導あるいは特別研究の指導等、多忙をきわめるのでありまして、その実習指導に当りましては、機械操作、薬品処理、高温高熱処理、高圧作業等、困難かつ強度な作業、危険な作業等に従事しなければならないと同時に、生徒の安全管理に対する特別な心労をも費し、さらにまた、生産実習でありますので、継続的指導の都合上、深夜に及ぶこともしばしばであります。  以上でおわかりのように、これら工業科教員の勤務は、農業あるいは水産科の教員と並んで、他の教科の教員やその他の研究機関等の職員に比し、精神的肉体的負担がきわめて大きいのでありまして、高等学校農業または水産科の教員との比較において、まさに匹敵するものがあるのでありますから、工業科教員をもこの手当の対象とすることが妥当と考えられるのであります。  なお、電波高等学校は工業高等学校に、商船高等学校は工業高等学校及び水産高等学校に、それぞれ全く準ずるものとして、今回同時に取り上げた次第であります。  次に、実習助手についてでありますが、実習助手は、教諭を助けて各分野別に実習指導を分担し、また、実習指導の準備や整理始末を主たる任務としており、その職務内容教員に準ずるものであり、単なる施設、設備の保守や備品の出し入れを職務とするものと異るものであります。しかし、実習助手のすべての者を対象といたしますことは、他の職務のものとの均衡もありますので、政令で定めるものに限ることにしておりまして、特殊技能を有する等、教員に準ずる者に限定いたす予定でおります。  これら産業教育手当支給の額並びに方法につきましては、現行の農業または水産教員におけると同様であることを予定しております。  なお、この法律は、昭和三十三年四月一日にさかのぼって適用することとし、本年四月分から支給できるようにしております。  以上、はなはだ簡単でございますが、提案理由説明を申し上げます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  472. 湯山勇

    委員長湯山勇君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  473. 松永忠二

    松永忠二君 この提案理由説明のところにですね、「実習助手のすべてのものを対象といたしますことは、他の職務のものとの均衡もありますので、政令で定めるものに限ることにしておりまして、特殊技能を有する等、教員に準ずる者に限定いたす予定」と、そういうふうに説明してあるわけですがね。これは具体的にどういうことなのですか。
  474. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 教諭を考えます場合には、すべての公務員につきまして考慮すべきことが必要である、かように考えるのでございますが、教員のうち、前の農業並びに水産のこれは、単に教諭だけがその手当の支給の対象となっておりましたのでございますが、実習助手につきましても、当然教員に準ずると思われるような方がございまして、これらの方々には当然支給すべきものである、かように考えまして、今回の法案を出したのでございますが、それと同時に、また他の、同じように工業課程その他の勤務に従事されます方との均衡というものも考えますときは、教員に準ずる――教員に従来出しました趣旨に合致する方に出すのが当然である。この意味において、一定の線が引かれるけれども、それは政令において行われるもの、かように考えまして出しましたのでございます。
  475. 松永忠二

    松永忠二君 そうするとあれですね、今の御説明によれば、この産業教育手当をもらうことのできる教諭のその実習の助手――実習を助ける実習助手というものは、今お話の御説明に上れば、当然その教諭と同様な取扱いをすべきだと思うのですが、その点はどうなんですか。
  476. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 実習助手の職務と性格、及び責任の内容から見まして、直ちに同一教育公務員として取り扱うことに対しましては、私は直ちには同意しかねるのでございますが、今回実習助手のうち、政令で定めるものに対しまして、産業教育手当支給しようとしますものは、産業教育振興法第三条の三の規定の趣旨から出ているのでございますが、その趣旨から申しまして、実習助手にも手当を支給するということが適当である、かように考えまして、この点は、身分取扱いの関係と別に考えまして行いたい、かように考えております。
  477. 松永忠二

    松永忠二君 今最初の御説明のように、他の職務との均衡というものは、他の公務員との関係もあって、この実習の教員については、そういう措置を特別にやったと、従って、まあその教諭を助けて実習、実験をする実習助手というものは、同様な職務内容のものだというふうに考えるわけなんです。今の御説明によると、要するにその実習助手の身分は、実習教諭とは身分が違うのだから、そこでそういうものについては区別をしなければいけないという御説明のようなんですが、どうなんですか。
  478. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 私は、教育公務員として取り扱うかどうかいう身分上の問題と手当の問題とは、切り離して考え得る、かように考えまして、産業教育振興法第三条の三の趣旨からいいまして、実習助手にも当然身分と離れて支給いたしましてかまわない、かような考えでございます。
  479. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 質問者のあれはそういう意味じゃなくて……。
  480. 松永忠二

    松永忠二君 私が申し上げたのは、あなたがおっしゃるように実習助手にこういうふうな手当をつけることは妥当だと思う、ただしかし、今実習の教員についてつける場合にも、これは特別なものについてこういう手当をつけたのだというお話で、法案が出てきたのはそういうところにあった、従って、実習助手については身分上の相違から区別をするのじゃないというならば、その実習を担当している教諭の助手をする同様な職務内容を持っているというか、そういう性質を持っているものなんだから同様の措置をすべきではないか、それを何か政令で定めるということになると、これはその範囲を限定するように考えておられるように、これではとれるのだが、そういうことはないですか、その辺を……。
  481. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 御趣旨ごもっともでございまして、同じ実習助手の中で「政令で定める者」ということにおいて限定いたしますことにつきましては、提案者といたしましても相当苦慮したのでございますが、法の今までの趣旨からいたしまして、教諭に限定しておりましたものでございますから、今回の改正におきましても教諭に準ずる者という意味に限定して、政令で定めていただこう、かように考えまして、提出させていただいたのでございます。
  482. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、今の御説明だと、教諭に準ずる者として実習助手についても、今度産業教育手当をつけるのだ、そういうお話しなんですから、従って、教諭に準ずる者としては、その教諭の実習を助ける者については、同様に手当をつけていくという内容を持った政令なんですね。
  483. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) この提案理由説明にありますように、「特殊技能を有するもの等」という観点からしぼられるような政令になるものと、また、本委員会における審議の過程等もしんしゃくして政令は作成されるものと、私は、さように予定しております。
  484. 松永忠二

    松永忠二君 そうなると、特殊技能を有するというような者ですね、実習助手の中の――その実習を担任する教諭は産業教育手当をもらう、それを助ける、補助する実習助手がもらうのについて、その手当をつける場合に、特殊技能で区別をしていくということは、果してできるのかどうか。現実に実習助手に、そういう特殊技能で区別し得るものが一体あるかどうかということについてはどうなんですか。
  485. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 私は、ここに特殊技能等とあげておりますが、教諭の免許状を有する者であって、免許状を持っておられて、現に実習助手をしておられるような方もございます、また職員の内容から申しまして、経験年数等によりますれば、当然教育に準ずるような任務を持っておられるような、実習指導をされているような方もおられまするので、そういった点を勘案いたしまして、当局において政令を制定願える、かように考えております。
  486. 松永忠二

    松永忠二君 それは免許状を持っている者とかあるいは勤務年数が多い者とかいうようなことについて、そういう面で区別をつけるということになりますと、実際には実習助手の優秀な者を集めて、それで今ここに出てきているような科学技術の振興をはかるということから考えてみても、非常にそういう区別をするということについては妥当ではないではないか。しかも、その予算についても相当金が要るということなら、私たちもやむを得ないという点も出てくるのですが、現実には、工業関係のもの、実習助手あたりについて考えて見ても、全国でも実際の支出が約五千万程度のものなんです。現実に工業にしても、農業にしても、水産にしても、一体、その実習助手をどうやって区分けをして、特殊技能を有するというようなところに割り当てることができるのか。特殊技能はむしろ持っているけれども、経験年数の短かい者もあるし、実習助手なんですかり、特殊技能というものについては、経験が少いから特殊技能がないというわけじゃない。そういうことを考えてみたときに、やはり産業教育手当をもらえる実習教諭の助手を勤める実習助手には、それをくれていくというようなやり方の方が、やはり妥当ではないか、実情に即しているんじゃないか。それからまた免許状……
  487. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ちょっと今の聞き漏らしたのですが、一番最後のところでございます。
  488. 松永忠二

    松永忠二君 特殊技能といっても、必ずしも経験年数とか、あるいは免許状とかというようなことだけでこれを区分けすることはできない。それから実情は御承知だと思うのですが、実習助手を長くやっていても、なかなか実習助教諭を獲得する現実の講習も行われてはいないし、それから実習助手が実習助教諭の免許状を取得をしても、なかなか任命はできないというような実情にあるわけなんですから、各県によっても非常にそういう助教諭の免許を持っている者もあれば、持っていない者もある。しかし経験年数を調べたり技能を調べていけば、決して技能が劣った者ではないというような者もあるわけです。いたずらにこういうものを作ることによって、区分けできないものを区分けしていこうということになってきてしまうと思うのです。だから、非常に大きな金ではないので、やはりこういう区別をつけていくということについては、実習の教諭に区別をつけていくのと同じようなものになっていきはしないか、実習助手というものは、ちゃんと施行規則に職務内容もきまっているのだから、そうして何も実習助手になるために免許状が必要だというわけではないのだから、同一資格の者を区別をつけていくということには非常に無理が出てくるのではないか、実情に即したやり方だとお考えになっておられるのかどうか。
  489. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 言われる御趣旨はよく私もわかるつもりなのでございますが、私がただいま免許状と経験年数と申しましたのは、両方をともに持てというふうな意味ではないのでして、特殊技能を有する者と、教諭に準ずるという意味で、二つあげたのでございます。これは両方持たなければいけないという意味で言うたのではないのでございまして、政令の規定等におきましても、提案者といたしましては、たとい免許状を有されない、または取ることのできないような方でございましても、経験年数によりまして当然特殊な技能を修得されたものと、こういうふうに限定できるのじゃないかと思うのであります。この間の区別はつけにくいと言われますことはよく私もわかるのでございますが、他面、実習助手の実態からながめました場合、また、他の公務員と比べますときに、実習助手の方々の中には、中学校だけ上られて採用になっておられる方もあるといった場合、試験場、その他の公務員との区別を、どういう点に置くかということになりましたら、区別はできにくい点もありますので、政令で定むる範囲で、教諭に準ずるという範囲で、政令に定むる範囲内において支給していただくことを予定して、本法の改正をお願いした次第でございます。
  490. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことになると、逆に、実習助手は中学校を出ただけであって、非常にこういうものをくれると他と均衡を失するというような回も出てくるではないかというようなお話も出てくるわけなんですが、実習助手については、今度逆に、それでは身分確保ができているのかということになると、今度文部省の方で施行規則で職務内容を規定した。しかし、これはわれわれの方では何とかして身分確保したいということで、法律案を出しておるのですが、教育公務員特例法にも入っていないのです。それは現実には、従って、恩給の積算の年数にもなっていないというような、そういう実情もあるのです。そういうような中で、一体、今の高等学校における実習助手を確保して、しかも、ここにいう科学技術教育の振興をはかるというようなことを考えてみたときに、やはりでき得る範囲のこういう優遇措置をしておいて、まだ身分確保もできない段階において、やはりこういうものをしておいて、区別がつけられないものを区別するというよりも、むしろ、ここでこうした自分の助ける教諭が産業教育手当をもらうのだと、その者は同時にもらえるということにしていくことが、実習助手を得ていく上にも、現在の身分の状態から考えてみても、このくらいのことをやっておかなければ、これはとても産業教育の振興はあり得ないと私たちは思うのです。
  491. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 御趣旨ごもっともでございまして、現在の産業教育に従事する教員を優遇し、また、優秀な人材を産業教育に誘致するということは、現下の私も急務であると、かように考えるのでございます。産業教育振興法の第三条の三の規定も、こういったものに基いて規定されたものと、かように考えておるのでございますが、他面、第三条の三の規定は、それと同時に、勤務の内容の特殊性に基いて、これに相応した優遇する方途を講じようという一面の趣旨も入っておるのじゃないかと思うのが制定の趣旨から明らかでございますが、今回のこの立法に当りましては、農業水産産業教育手当が立法されたときの趣旨がそうでありましたと同様に、主として後者の意味に重点を置きまして措置されるというふうに考えましたものでございますから、この際は、政令で定むる者で限定することにおいて、他の公務員との間の給与の均衡を保つ、その意味におきまして、政令で限定するというふうにさしていただいた次第でございます。
  492. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっと今の点ですね、別な角度からお聞きした方がよくわかるかもしれませんから。当初、この法律ができたときには、農業または水産にかかる産業教育、で、それはどういう意味かというと、農業とか水産とかいうのは生きものを扱うから、非常に時間外に出なければならぬこともあるし、夜出て行くこともあるし、まあいろいろなことから考えて、まず農業水産につけると。まあ教諭の場合もそうですけれども、そういう教諭についておる実習助手は、経験年数とか学歴とかじゃなくて、その教諭が夜出て行ってそういう仕事をすれば、当然その実習助手もそれに伴って行って仕事をするわけですから、そうすると、今、松永君が指摘したように、教諭が産業手当をもらっているという場合には、その教諭を助けて実習を担当しておる者は、やはり同じような勤務をやるわけですから、当然つくんじゃないか。そういう解釈をしないと、これはちょっと妙なことになるので、それをさっきから聞いておられるわけです。いかがですか。
  493. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 学校内の実習助手以内の均衡という点について考えました場合においては、ただいま委員長が申されるのも、私も当然であって、さように処置したいと、かように考えておるのですが、他面、他の同等な技術の面におきまして従事する国家公務員の場合等を考えました場合におきましては、この場合違うのは、教育の場であるという点の違いが最も大きな違いになるのじゃないかと、かように考えておるのでございます。実習助手の中で、農業水産が取り上げられましたときに、教諭に限定されたのも、そういった意味で限定されたのじゃないかと思うのですが、実習助手の中で、教育の場にあられるという、教育に関するところの、人を教えるんだというところの、何と申しますか、主としてそのことを目的として採用され、勤務しておられる方という意味におきまして、他の職場に従事しておられるこれらと同様な職を持っておられる方との間の差をつけたい、かように考えまして、教諭に準ずる者という意味におきまして、政令において限定していただきたい、かような趣旨で提案者といたしましては、このたびの改正をお願いした次第でございます。
  494. 湯山勇

    委員長湯山勇君) もう一回。今の実習助手というのは、直接教育には当っていない、教えるこいうことはないんです。だから、実習助手のやっている仕事は、生徒に直接じやなくてやっぱり教育のことをやっておるんで、温室を夜行って管理するにしても、機械を休みに行ってさびを落すにしても、結局、教育のことをやっているんだから、むしろ、学校というその中での均衡が大事であって、そうでなければ、こんな手当出す必要はないんです。他とのつり合いということならば、これは教員だって他とのつり合いでも問題が出てきますから、実習助手も教育のために実習助手という制度がちゃんとうたわれておるわけで、特例法の施行令にちゃんと実帯助手というものは教育公務員に準ずるということもあるわけですから、そういう点から善意に解釈すれば、むしろ、今言ったように、松永君が指摘しているように、他の産業手当をもらっている教諭の手伝いをしている者は、やはり教育のことで、ほかのことをしているのじゃないのですから、当然つくべきじゃないか、こういうことですから、それはそうだと言われてもいいのじゃないかと思うのです。
  495. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 御趣旨は私もよくわかるのでございますが、もちろん当該部内におけるところの給与の均衡をはかることがまず第一でございますが、それと同様に、国家公務員を一律に並べまして、給与の均衡ということをはかるのも、また考えていかなければならない一つ理由じゃないかと、かように考えますのですが、ただいま実習助手は全部教育のためにあると言われます、これは当然のことでございますが、実習助手が勤務されるものは、教育のためでありますが、その勤務の内容という点につきましたなれば、試験場あたりに勤務されております助手の方と、そう大差ない。ただ、場が、片一方は試験場でありますし、片方は教育をやる学校内であるという点において、そう差異も認められないという点を考慮される方もあります。ただし、教諭に準ずる方は、これは試験場におけるものと違いまして、教育ということに対して相当の責任と相当のまた知識経験を持たれぬことには、行われない。かような方は、当然他の職種の所のものと異なってしかるべきであろうという観点から、このように規定さしていただきたい、かように考えます。
  496. 松永忠二

    松永忠二君 提案者としては、やはり、でき得るならば政令で定めるということではなくて、実習助手に手当をつけていくというようなことを考えておられるのじゃないのですか。ちょうどこの前、農水であったが、それがやはり初めはそうだったけれども、まだ落ちているというか、この次に出なければできないものに、工業とか今度提案されたようなものがある。従って、今は政令というようなことを言っているけれども、やはりできるならば、なるべく早い時期にそういうものに出して、今話の出ている実習助手については、教育公務員に準ずるものであるので、やはりできるだけこれに出していきたいというのが、提案者の考え方だと私たち思うのですが、その点どうなんですか。
  497. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ただいま直ちに申されました点につきましては同意いたしかねますが、その点、御了承賜わりたいと思います。
  498. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは他の公務員と均衡云々という点をしきりに言われますけれども、農水手当のときに手当をつけるかどうか、そのときには、他との均衡ということを考える、そうして教育という特殊性、それからまあ教育もだが、あるいは準備その他の点もあって、教育に従事するあれだから、この実習手当というものをつける、こういうことになったんです。ところが、今度出しておられる法の改正は、付帯決議に基いて農水をさらに範囲を拡大することと、それから実習助手に対しても来年度より等しく準用されるよう云々ということでつけ加えられたのでしょう。その実習助手に範囲を広げるについては、その仕事といいますか、これけ助手ですから全く教諭と回じではないけれども、実習助手として教諭を助けて教育に従事する、実習指導と分担し云々というその仕事の実悪に応じてやられたんじゃないか、そうすると、これはあなたが言われるように、免許状があるとかないとか、あるいは資格があるとか何とかという身分上の問題とか、あるいは資格という問題ではなくて、仕事の実態に対して与えられる。これは教諭と助手との間には資格の違いがありましょう。しかし、与えられるのは、その教諭の指導のるいはここに書いてありますけれども、ここに書いてある以外には理由は仏かろうと思うのですが、その実習作本の指導あるいは準備その他の点があるから教諭には支給される。資格の違いはあるけれども、同じような仕事、実習指導的な部面であるいは準備や跡始末やそういう点について同じような点があるから、実習助手についても実習手当を支給する、こういうことじゃないですか。そうすると、その仕事の実態に対して与えられるならば、限定なしてこれは資格かあるからないからいうことにはならぬのじゃないか。
  499. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) もちろん勤務の実態に基いて出したのでございますが、勤務の実態だけを取り離して考えましたならば、他の職場における実習助手に相当せられるような方と、学校内において行なっておられる実習助手の勤務の実態において相違かあるかということになりましたならば、そう相違点を見出されぬ点も考えられる。教諭に準ずるということは、他の職場における実習助手の方と、教育という点におきまして、おのずから別個に区別して考え得るという立場が求められると思いまして、教諭に準ずるという点で、政令によって限定しておるわけであります。
  500. 松永忠二

    松永忠二君 教員に準じない実習助手というのはあるのですか。
  501. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) もちろん実習助手は全部教員に準ぜられるわけなんですけれども、その任務の状態が、工業学校なりあるいは農業学校なりの実習助手の方におきましても、試験場に入って勤務しておられる、農業試験場におけるところの助手の方、学校において勤務しておられる助手の方と、同程度の技能を持ち、同様な程度の勤務で従事しておられる方、また、教育ということに責任を持ち、技能を持ち、経験を持って、この人でなければ、その作業そのものに対する技術はとにかくとして――教育という点においてこの人でなければいけないというような方も、おのずからある、かように実習助手の中にも、区別し得るのじゃないか、また、勤務の状態もそうじゃないかと考えまして、政令でその範囲を限定させていただいて、他の職場との区別をさせていただきたい、かように考えるわけであります。
  502. 松永忠二

    松永忠二君 それはあなたのおっしゃることは理屈ではわかりますよ。しかし、それはなかなか、ただ形の上で免許状であるとか、勤務年数ということだけでは、片づかないと思うのですよ。やはり今あなたのおっしゃるのは、その教員に準ずるということは、教員と似たような能力とか、あるいは力とか、そういうものを持ったような人というようなことをおっしゃっでいるわけなのですが、そうなってくると、実は同じ資格を持った先生の中で、そっちの方がいい教員で、こっちの方が悪い教員なのか、そこを見分けていかなければできないのと似たようなことになってくるので、実習助手も、何か資格を持たなければ実習助手になれないというなら、そこは資格を持っている者についてはあれでしょう、しかし、そうでないとすれば、やはり実習助手という一つのものについて、しかも、現実に教諭を助けて仕事をやっているのですから、そういうところで標準を置いていく、やっていくこいうことになると、他の者に比べてみるならば、この者は教員に準ずる仕事をしているから、そういう性格的なものであるからして、やはりこのものにはなかなか区別はつきがたいし、そういう意味では性格も似ているので、これはやはりつけていくのが当りまえに、また、できるだけつけていきたい、けれども、いろいろなこともあって、今直ちにつけることはできないけれども、やはりできるだけそういうふうにしてつけていって、将来ともこり方面の振興をはかっていきたいというのなら、私わかるんですがね。つけるのは当りまえだというようなことでは、私たちの方でもやはり相当いろいろと理屈もあるので、その辺は、やはり今後のこともあるので、やはり提案者の御趣旨もそこにあると思うのですよ。だから、そういう点は率直にお話しをいただいて、今後の努力点として、相互に努力をしていくということにいけば、話は非常にわかると思う。
  503. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 今、松永さんが提案者としても率直に述べよと言われましたのですが、そこまで私は率直に述べる立場にありません。あるいは、私が委員の席に着きましたら、松永さんと同じ質問をしたかもわからないという点で、御了承を賜わりたいと思うのでございます。
  504. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をとめて。    〔速記中止
  505. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 速記をつけて。
  506. 松永忠二

    松永忠二君 むしろ、文部省よりも提案者の方が率直にこういう意見は述べられると私たちは思っていたのですよ。ただしかし、逆に思っておったのが、むしろ積極的な御念見が文部省にもあるようなお話なので、そういう意味で私は聞くのであって、そういう意味で、むしろ、私はこの前、赤城さんが提案者として説明されたときに、この問題については相当率直に、つまり今後のこの問題についてもお話があったのです。そして、われわれとして、は、少し農水だけにつけることについては不合理じゃないか、また、実習助手についてもつけるべきじゃないかという意見があったのだが、当時赤城さんは、とにかく現在第一段階として、やりたい、この次には皆さん方の御要誰にも沿うように、私ども努力するというお話で、提案者なんですから、提案者が努力をしていただかなければできないので、こういう点をむしろ率直にお話があると思ったのですが、そんなに慎重にかまえないでも、率直な御意見があろうと思ったので、文部省から御発言のありました後に、そういう点、再度もしお話があるならしていただきたい。文部省の方から一つ……。
  507. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいま皆さん方の御意見十分よくわかりましたので、政令の段階におきましては、関係各省とも十分協議いたしまして、皆様方の御趣旨ができるだけ達成できるように努力いたしたいと考えております。
  508. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) ただいまの内藤局長の答弁と、私も全然同感でございます。(笑声)
  509. 吉田法晴

    吉田法晴君 この前のときの付帯決議は、政府はすみやかに所要の措置を講ずべきであると、こう書いて、この付帯決議に従って、いずれ出てくるのは政府提案かと思ったところが、政府提案じゃないのですが、どうして政府がその付帯決議の趣旨に従って出さないで、議員提案ということになっておりますか。
  510. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この点につきましては、三十三年度予算の編成に当りまして、最善の努力をいたしたわけでございます。しかしながら、最後段階におきまして、予算の承認が得られなかったので、やむを得ず政村提案にできなかった次第でございます。
  511. 吉田法晴

    吉田法晴君 提案者に伺いますが、これは付帯決議をつけられたのは皆さんだと思います。付帯決議をつけるときに、実習助手に対して限定をしようというお気持はなかったろうと思うのでありますが、最初の付帯決議の精神、それから立法に当ってのお気持は、先ほど表明せられましたけれども、実習助手について、限定なしにできるだけ支給していく、こういう気持であったのではないかと思うのですが、この付帯決議の精神はどういうところにあったのでしょうか。
  512. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 私、実は本年一月から文教委員を仰せつけられたような関係て、前に付帯決議をつけられました趣旨に関しては、その審議経過内容等については存じませんので、この点は、御了解賜わりたいと思っております。
  513. 吉田法晴

    吉田法晴君 この改正案によりますと、「工業又は商船」という点がつけ加わったわけでありますが、工業の中には、「工業」という表現をせられておりますが、その中には、鉱山あるいは電気――これは「電波を含む。」と書いてありますが、鉱山、電気等は含むと解すべきでございましょうか。提案者並びにこれは文部省にもお尋ねをいたします。
  514. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) その通りでございます。
  515. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その通りでございます。
  516. 湯山勇

    委員長湯山勇君) ちょっとお尋ねします。産業教育、理科教育振興という以上は、将来、理科助手、こういう者も対象にするように御検討の用意があるかどうかということと、それから私立学校、これもやっぱり対象にする必要があるのじゃないかと思うのですが、この二点について……。
  517. 渡海元三郎

    衆議院議員渡海元三郎君) 私立学校につきましても、ただいま委員長のお尋ねにございました通り、私は、当然考えるべきものであると、かように考えたのでございますが、御承知通り、私立学校の給与の体系、あるいはその実態等につきましては、多岐にわたっておりまして、今直ちにこれを行うことをちゅうちょいたしまして、この際は、割愛させていただいたような次第でございまして、御了承を賜わりたいと思います。(「将来検討する」と呼ぶ者あり)当然そのように考えております。
  518. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ただいま渡海議員からお話のございましたように、私立学校につきましては、給与の実態や、あるいは経営等の問題もございますので、今後十分検討さしていただきたいと思います。  それから理科につきましては、これも実は政府提案で出すときに、非常に関連で悩んだ問題でございますが、とりあえず産業教育振興法に基きまして、この工業の手当を出したわけでございます。今後、理科につきましては、十分検討さしていただきたいと思います。
  519. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  520. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  521. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 別に御意見もないようでありますから、討論は、終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  522. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立の高等子校の教員に対する産業教育手当支給に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  523. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  524. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     野本 品吉  三浦 義男     下條 康麿  川村 松助     林屋亀次郎  吉田 法晴     秋山 長造  松永 忠二     竹中 勝男  高田なほ子     常岡 一郎
  525. 湯山勇

    委員長湯山勇君) 本日は、これにて散会いたします。    午後九時四分散会