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1958-04-22 第28回国会 参議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十二日(火曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員異動 本日委員柴田栄君辞任につき、その補 欠として中野文門君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            大谷藤之助君            松岡 平市君            永岡 光治君    委員            上原 正吉君            大谷 贇雄君            剱木 亨弘君            後藤 義隆君            中野 文門君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            森中 守義君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   衆議院議員            山本 正一君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    国 務 大 臣 石井光次郎君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      吉田 信邦君    総理府総務長官 今松 治郎君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    南方連絡事務局    長       石井 通則君    行政管理政務次    官       榊原  亨君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    自治庁長官官房    総務参事官   佐久間 彊君    大蔵省主計局次    長       村上  一君    大蔵省主計局給    与課長     山本  晋君    文部大臣官房総    務参事官    齋藤  正君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    建設大臣官房長 柴田 達夫君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自治庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○恩給法第十一条第一項等の金融機関  を定める法律案田畑金光君外四名  発議)(第三十七回国会継続) ○国家公務員に対する寒冷地手当、石  炭手当及び薪炭手当支給に関する  法律の一部を改正する法律案千葉  信君外八名発議) ○青少年問題協議会設置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  本日、柴田栄君が辞任され、後任として中野文門君が選任されました。  以上でございます。   —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  まず、去る十八日、衆議院から送付されました総理府設置法の一部を改正する法律案ほか三件の設置法改正案につきまして、順次、内容説明を聴取いたします。  まず、総理府設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  5. 石井通則

    政府委員石井通則君) さきに、総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして総務長官からその提案理由及び概要説明をいたしましたので、私からこの法律案逐条説明をさせていただきます。  まず、第一に、総理府設置法の第三条の改正でありますが、第三条には、総理府任務として、総理府の行う行政事務が列記されております。提案理由及び概要説明にありましたように、特別地域連絡局総理府本府の内部部局といたしました関係上、新たに一号を設けて、同局が行うところの南方地域及び北方地域に関する事務総理府任務として加えたのであります。なお、この規定のうち、南方地域範囲は、現在の南方連絡事務局設置法規定しておりまする南方地域範囲同一でありまして北方地域範囲につきましては政令で定めることといたしております。また、その南方地域及び北方地域に関する事務のうち、外務省の所掌に属する事務はこれを除いております。  次に、第四条は、総理府の権限を列記しておりますが、三条の改正と同様の趣旨によりまして、新たに一号を設け、南方地域及び北方地域に関する事務を行うことを加えたのであります。  次に、第五条は、総理府本府の内部部局規定しておりますが、現在総理府本府の内部部局としては、大臣官房のほか、恩給局及び統計局の二局がありまして、これに新たに特別地域連絡局を加え、三局としたのであります。  次に、第九条の改正は、現在第九条が削除されておりますところに、特別地域連絡局所掌事務規定したのであります。その第一号及び第二号は、現在北方地域日本国民が居住しておらないために、また第六号は、南方同胞援護会法施行に関する規定でありまするので、いずれも北方地域規定の必要がなく、これら各号は現在の南方連絡事務局設置法規定と全く同一のものであります。第三号に規定する公けの証明に関する文書の作成、第四号に規定する解決を要する事項調査連絡、あっせん、処理、及び第五号に規定する関係行政機関事務総合調整及び推進につきましては、北方地域に関しましてもこれらの事務が当然予想せられまするの下、現在の南方連絡事務局設置法規定に新たに北方地域を追加したものを同局所掌事務とした次第でございます。  第十条は、総理府本府の付属機関設置について規定しておるのでありますが、現在その付属機関である南方連絡事務局を削り、日本政府南方連絡事務所総理府本府の付属機関として置くことにしたのであります。  次に、第十三条の改正は、現在の同条の規定総理府本府の付属機関としての南方連絡事務局組織所掌事務について規定しておりまするのを、全文改めまして、総理府本府の付属機関といたしまする日本政府南方連絡事務所に関しましてその所掌事務、名称、位置、管轄区域等必要な規定を設けたのであります。この規定は、同事務所総理府水府付属機関といたします関係上、その内部組織総理府令で定めることを追加した点のほかは、現在の南方連絡事務局設置法第五条の規定とその内容においてほとんど同様のものであります。  次に、第十四条の改正は、現在の第十四条の規定が削除されておりまずるところに、日本政府南方連絡事務所長に関する規定を設けたものでありまして、この規定も現在の南方連絡事務局設置法第六条の規定をそのままここに持ってきたわけであります。ただ、同事務所総理府本府の付属機関となります関係上、現在所長は南方連絡事務局長の命を受けて所務を掌理することになっておりますのを、内閣総理大臣の命を受けて所務を掌理することに改めた次第であります。  次に、第十四条の二の規定は、日本政府南方連絡事務所職員に俸給、扶養手当期末手当勤勉手当のほか在勤手当支給すること、並びにこれらの支給に必要な規定を置いたものでありますが、これも現在の南方連絡事務局設置法第七条の規定と全く同一のものであります。   最後に、付則におきましては、南方連絡事務局設置法を廃止いたしますること、並びに現在の南方連絡事務局及び那覇日本政府南方連絡事務所職員を、特別の辞令を用いなくても、それぞれ引き続き特別地域連絡局及び那覇日本政府南方連絡事務所職員となることの経過規定を置いたものであります。   以上、簡単でありますが、法律案逐条説明を申し上げた次第であります。
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、自治庁設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  7. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 自治庁設置法一部改正法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  第六条の改正は、長官官房官房長を置こうとするための改正でございます。自治庁昭和二十七年に設置されまして以来、町村合併地方財政再建、新市町村の建設地方行財政制度改正等に上りまして逐年事務が著しく増加して参りましたことに伴いまして所管行政総合調整を強化する、あるいは自治庁仕事の性質上各省庁関連いたします事項が非常に多いため、各省庁との連絡折衝事務に当る、あるいは国会との連絡地方公共団体との連絡を緊密にいたします等の必要が増大して参りましたので、これらの活動円滑化を期しますために、官房長設置しようとするものでございます。  第八条の改正は、学識経験者のうちから任命される参与につきまして任期を定めようというものであります。参与は、自治庁の重要な庁務に関しまして自治庁長官意見を申し述べることを任務といたしまして、地方公共団体の長及び議会議長全国的連合組織代表者並びに学識経験者のうちから内閣総理六百臣が任命することとなっております。このうち地方公共団体の長及び議会議長全国的連合組織代表者のうちから任命されます者は、全国知事会全国市長会等連合組織代表者の改選に伴いまして随時交代いたしておりますが、参与制度運用のこれまでの経験にかんがみますと、卓識経験者のうちから任命される者につきましても、適当な時期に更新し得る道を開いておくことが適当であると考えまして新たに二年の任期を定めることにいたしたものであります。  次に、第九条の改正でありますが、これは現在長官官房所掌事務となっております地方財政再建に関する事務等は、実際上財政局と最も密接な関連を有しており、事実上財政局長が仕事を見ておるわけでありますが、この機会にこれを長官房から財政局所掌に移して、形式的に責任を明確にしようということの改正であります。  第十二条の改正は、それに伴う財政局所掌事務改正並びに字句整理であります。  第十五条、第二十三条のこの改正は、これも字句整理であります。  第二十四条の二の改正は、財政再建債消化促進審議会を廃止しようとするための改正でございます。財政再建債消化促進審議会は、財政再建が始まりましたときに、財政再建債の主として公募債消化促進に努めますために設けられた審議会でありますが、その任務を終了いたしましたので、廃止をいたそうとするものであります。  付則の第一項は、施行期日に関する改正であります。  第二項は、参与任期を定めましたことに伴います経過規定でございます。  第三項は、財政再建債消化促進審議会を廃止いたしますことに関連をいたしまして、地方財政再建促進特別措置法の条文を整備するための改正であります。
  8. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、文部省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  9. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 文部省設置法の一部を改正する法律案内容について御説明申し上げます。  法案改正要点は、第一は、大臣官房官房長を置き、従来調査局所掌事務でありました広報に関する事務大臣官房においてつかさどることとすることであります。この官房長設置に関する事柄につきましては、衆議院修正を受けまして、削除されておりますので、説明を省略いたします。  改正の第二点は、所たに内部部局といたしまして体育局設置いたしまして、体育学校保健及び学校給食に関する事務をつかさどることといたしました。法案の第十条の二でございますが、第十条の二におきまして、新たに体育局を設け、体育局でつかさどるべき事務規定いたしております。この内容は、従来文部省の所管しておりました体育に関する事務学校保健及び学校給食に関する事務を、一体的に処理しようとするものであります。現在、初等中等教育局大学学術局におきましては、それぞれ学校体育を、それから社会教育局におきましては、運動競技あるいはリクリエーション等、いわゆる社会体育に関する事務等をつかさどっております。なお、初等中等教育局におきましては、学校保健関係、あるいは保健教育に関する事務をつかさどっております。管理局におきましては、学校給食普及充実に関する事務をつかさどっておりますが、これらのものをすべて体育局に集めまして、一体的に処理しようとする改正でございます。なお、掲げてあります事務につきましては、初等中等教育局その他文部省の現在置かれております格局事務の体裁に合せまして第一号に総括的に体育保健給食等企画、あるいは指導等事務規定いし、二号以下にそれぞれ補助に関すること、あるいは基準の設定に関すること等、具体的な事項規定してございます。  法案改正の第三点は、国立近代手術館分館として西洋美術館を置くことでございます。なお、この点につきましても衆議院において修正せられまして政府原案で本則に掲げられておりますことが付則に回っております。国立西洋美術館設置につきましては、近くフランス政府好意によりまして、フランスに長らく居住され、多くの美術作品を収集しておられまし故松方幸次郎氏の所蔵美術作品、これが日本政府に寄贈されることになっておりますので、その作品等保管展覧に供するための美術館設置に必要な規定であります。  最後に、文部省設置法付則第六項の改正をいたしておりますが、これ学習指導要領作成を、現在、初等中等教育に関しましては初等中等教育局において全部作成しておりますが、体育局ができまして、学校体育に関しましては体育局所掌いたしますので、その部分につきましては体育局において学習指導要領作成し、必要な連絡調整初等中等教育局で行う旨の改正でございます。  以上が改正法案内容でございます。
  10. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、建設省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  11. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) さきに、建設省設置法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨につきまして建設大臣から御説明を申し上げましたが、以下、本法律案補足説明をいたしたいと存じます。  この法律案は、昭和三十三年度における政府重要施策である道路整備緊急対策、すなわち、新道路整備五カ年計画に基く道路整備推進道路整備特別会計設置一級国道直轄管理等道路整備に関する諸事業を円滑に実施して参りますために、建設省機構を整備しようとするものであります。  まず、政府提出法律案における改正の主要点を申し上げますと、第一に、本省の内部部局である道路局管理部及び建設部の二部を新設し、それぞれ道路に関する管理面建設面に分けて事務を分掌せしめることといたしました。  次に、地方支分部局といたしまして、新たに二つの地方建設局設置することといたしました。現在、地方支分部局といたしましては、東北関東、中部、近畿、中国四国、九州に、六つの地方建設局が置かれておりますが、これらに加えまして新たに新潟、石川、富山三県を所管区域とする北陸地方建設局四国四県を所管区域とする四国地方建設局設置することといたしたのであります。また、地方建設局内部組織につきましては、従来庶務、工務、企画営繕の四部でありましたのを、総務、河川、道路営繕の四部と企画室に改め、東北及び関東の両地方建設局には、これらの部のほか、用地部を置くことといたしました。北陸及び四国の二地方建設局には、営繕部を置かないことといたしました。以上の改正のほか、地理調査所の新庁舎の完成に伴い、その位置東京都に変更するとともに、地方建設局所掌事務につきまして、若干の事務的改正を加えることといたしました。  以上が、政府提出法律案概要でございますが、衆議院におきまして、これに対しまして、行政機構をなるべく簡素化する趣旨から、道路局管理部及び建設部の二部を設置することを取りやめ、次長一人を置くこととすること、並びに東北及び関東の二地方建設局用地部を新設することを取りやめることの修正が加えられました。  以上をもちまして、建設省設置法の一部を改正する法律案補足説明を終ります。
  12. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、次に、文部省設置法建設省設置法の各改正案、及び総理府設置法改正案、これは施行期日についてのみでありますが、いずれも衆議院において修正が加えられましたので、その修正点について衆議院内閣委員会代表者から説明をお願いいたします。
  13. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 総理府設置法の一部を改正する法律案に対して衆議院修正を加えましたので、その修正趣旨を申し上げます。  この修正は、政府原案施行期日が「四月一日」となっておりますので、しかし、その期日がすでに経過しておりまするから、これを「公布の日」に改めるものであります。  以上がこの修正趣旨でございます。  次に、建設省設置法の一部を改正する法律案に対しまして、衆議院修正を加えましたので、その修正趣旨を申し上げます。  この法律案は、昭和三十三年度における政府の最重要施策である道路整備緊急対策を円滑に実施するため、機構整備充実を行おうとするものでありますが、この際、行政機構簡素化趣旨に基き、比較的緊要度の低い改正は見合せることといたし、次の通り所要修正を加えたのでございます。  第一は、道路局管理建設の二部を設けることになっておりましたが、これを取りやめてその局に次長一名を置くことといたしたのでございます。  第二は、東北地方建設局関東地方建設局とに、それぞれ用地部を新設することになっておりましたが、これはいずれも取りやめることといたしました。  そのほか、地方建設局所掌事務に関する規定について若干の技術的修正を行なった次第であります。  以上が、建設省設置法の一部を改正する法律案に対する修正趣旨でございます。  次に、文部省設置法の一部を改正する法律案に対しまして衆議院修正を加えましたので、その修正趣旨を申し上げます。  第一点は、行政機構簡素化の見地から官房長の新設についてはなお慎重に検討を加える必要があると考えましたので、この際はこれを取りやめることにいたしたのでございます。  第二は、御承知通り故人松方幸次郎氏の所蔵にかかる美術作品の一部が、フランス政府好意によりまして近く日本政府に寄贈されることになっております。しかし、これには作品が散逸することのないような施設を設けることが条件になっておりまして、このためすでに必要な施設建設には着手しておりまするけれども、その完成は本年十二月ころの予定でありますから、本年度はとりあえず国立近代美術館分館として西洋美術館を置くことが、作品の受け入れその他の点でも適当であると考えられております。しかし、施設その他が整備され、本格的に活動を始める昭和三十四年度以降になりますと、これを独立した西洋美術館として設置することが将来の運営のため適当であり、かつまたフランス政府の特別の御好意にこたえる上からも望ましい考え方であると思うのであります。これらの点を考えまして本年十二月一日から国立近代美術館分館として置かれる西洋美術館について経過的処置だけを掲げた原案を改めまして、この際将来の計画を明らかにすることが適当と考え、昭和三十四年度以降は独立した機関とするように修正したものであります。  第三点は、本年「四月一日」施行することとしてありますものを、「公布の日」に改めることであります。  以上がこの修正趣旨でございます。よろしく御審議をお願いいたします。
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、山本議員に対する御質疑がございますれば、一括して山本議員に対する御質疑をお願いいたしたいと存じます。  それでは、三案につきまして御質疑をお願いいたします。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 建設省関係で、道路局に設けられる予定管理部建設部をやめて、次長一名で置きかえるというような修正をなされたわけでありますが、まだ政府当局には質問しておりませんので、どういうわけで管理部建設部を設けるのですか、その辺の事情等も詳しく承知しておりませんが、衆議院段階でこれをやめて次長一名をもって充当される、こういうようなことで、いろいろ修正説明によりますと、道路拡充計画等について、特に道路局の帯びる今後の使命ということが重大になってきたので、管理部やあるいは建設部を設けた、こういうことになっておりますが、この事業の拡大に応じて衆議院修正で処理されるというその理由ですかを、もう少し明確に説明ていただきたいと、こう思うわけです。
  16. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) お答えをいたします。むろん、この道路整備拡充の問題は急を要する問題であることは、よく衆議院において理解しておるのでありまして、その意味からいたしまして原案に示されておるそれぞれの局の設置は必要適当なるものと理解をされます。しかしながら、御承知のように、明年度は各省各庁における行政機構を総合的に根本的に整理したいという考えが根底にありまするので、さしあたりは少々御不自由かもしれませんけれども、二部を設けることはしばらく御しんぼう願って一名の次長によって勉強をして一つお間に合せを。願っておきたい。明年度においてその案情等よく照合いたしまして適当にこれを処置いたしたい、本年度はさしあたり次長一名で勉強していただく、こういう趣旨でございます。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 仕事の分量がふえてくることも事実であるし、従って、それに応じて機構等について改編を加えなければならぬということは認めるが、来年度政府の方針として、行政機構全般改革等が考慮されておるので、その節これらの問題も総合的に検討してみたらどうか、こういう趣旨で今回はこういう措置をとられた、こう解してよろしいわけですか。
  18. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 御意見通りでございます。
  19. 田畑金光

    田畑金光君 東北地方建設局地方建設局用地部を設ける。私は、この設ける事情について理由について、まだ聞いておりませんので、それからお尋ねするのが順序でありますが、しかし、いろいろ建設事業を進める上において東京関東地方には特に用地の問題が重大な問題になっておるので、用地部を特別に設けようということになったかと、これはまだ聞いておりませんが、推断するわけですが、それに対しまして用地部設置することを取りやめるという衆議院修正は、どういう事情に、またどういう判断に基くものか、これも一つあわせて伺っておきたいと思います。
  20. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 前段申し上げた点で御了承を願いたいと思います。
  21. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、文部省官房長設置をやめたのも同様な趣旨だと、こう解してよろしいわけですか。
  22. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 御意見通りであります。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどの説明によりますと、明年度行政機構を根本的に検討するので、そのときまで次長一名でがまんしていただくようにということなんですが、大まかに、どういう行政機構根本的検討をされるということを前提とされているのですか。
  24. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) それは政府において今準備中のものでありましてまだ大まかと申しましても、お答えを申し上げる程度のものには熟しておりません。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しかし、あなた方がそういうことを前提とされて修正されるに当っては、大体その方向というものは質疑段階で究明して、それを前提として修正されたことと思いますので、あなた方が質疑をして承知した範囲内において、大まかなところをお教えいただきたいというつもりで、お伺いしたわけです。
  26. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) ごもっともの点ではございますが、この道路整備の作業というものは、御承知のように、まだ実施の段階に入っておりません。これを本年実施いたしまして実際上運営して参りますと、果してこのような機構で十分のものであるか、あるいはこれらの機構に多少の修正を加えなければならぬかということが、若干実施した経過において現われて参るということが考えられますので、それで、まだ、明年度の希望しておりまする行政機構の改革というものも、政府が今準備中のものでありまするが、それらのものを一面においては運営の実際を見ながら、その全体の計画の中へ織り込んでいくと、その方が総合的な整理計画にも非常に便宜でありましょうし、まあこの用地部の必要はむろん認められるわけでありますけれども、本年度さしあたりそれほど拡充されたものでおやりにならなくても、一名の次長で何とか勉強してやっていただいたら間に合うのではないかと、こういう趣旨でございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次長一名を新たに置く場合と、原案のように、管理部建設部の二部を新設する場合とで、定員並びに行政面に幾らの差が生じますか。
  28. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) その数字的のことを私よく存じておりませんが、政府委員でもよろしゅうございますか。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁を…。
  30. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お答えを申し上げます。部長二人をやめまして次長一人にかえますと、大体同じような等級のもの二人が一人になるわけでございますから、一人分のその役職の定員が——定員と申しますか、その役職分のものが要らなくなるわけであります。それの人件費関係が節約される、こういうことになるわけであります。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはいずれ審議したいと思いますが、修正提案者に意見を伺っておきたいと思うのですが、私は、この行政機構というものは、はびこる夏草のように、しょっちゅう官僚の手によってはびこっていく。従ってこれは適当なときに立法府でチェックすることが大事だと思うのです。しかし、これから道路に重点を置いて政策を推進するという場合には、時を移さず計画段階のそれに即応する機構を作って、それからその仕事が一応一段落したら、また機構をそれに即応するように直すというように、時々に即応する伸縮自在の機構を持つことが私は大事ではないか。官僚は一応拡大した機構はみずから縮小しようとしない。そこに私は、立法府としての良識とやるべき責任があるんじゃないか、こういうふうに原則的に考える。  そういうような立場から考えるならば、この予算の内容等から検討する場合に、一がいに機構の拡大を取り扱うわけにいかぬ面が、この管理部建設部設置にはあったのではないか。ましてや、ただいま言ったように、それによるところの人件費並びに行政費の差異が答弁のようであったなら、なおのことではないか。河川局の次長でございますね、それとこの道路局次長を置いているが、その次長を置いた場合と、管理部建設部を置いた場合とでは、私は責任体制等がずいぶん変ってくると思うのですね。だから、まあこれをやめるかわりに、二人ふやすところを一人の次長だけにという妥協の姿——妥協だったのでしょうがね。どうもこの筋が了解しかねる点があるわけなんですが、そういう議論は修正されるときになされなかったかとうか。またそういう点、考慮をめぐらされての上の修正なのかどうか、お聞きしておきたいと思うのです。
  32. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) まあ簡単に機構を拡大してはいけないということ、それから必要なものはそれにかかわらず充実してやらなければならないということ、これは、衆議院修正の際も、全くあなたの御意見と同じ趣旨に立ちまして十分これは審議をいたしました。それから、先ほども申し上げましたように、何にしても新しい事業でございますから、果して原案のような機構で実際上運営が万全を期し得られるものであるかどうか、少しくこの際は一つ実施の経過を見させていただいて、それで次長一名ではどうしても間に合わぬという実情であるならば、明年度においてその必要に応じられるように改めていきたい。この際はとにかく、さっきも申し上げましたような趣旨で、一応次長一名で一つ勉強して善処していただく。経過を見たいという趣旨でございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一、二点伺いたいのですが、まあ意見になるといけないが、私はあまり次長制というのは好かないのです。こういうのは能率が上らぬと思うのです。その意味から、官房長なんかがやっぱり問題になっていると思うのです。これは事務次官の次長的な性格を持っているのでありましてね。仕事の分担と責任の所在、そういう点が不明確になるという点で、国費の冗費と非能率な点が出てきやしないか。僕は批判的です。  そこで、官房長文部省設置法で削除をされたわけですが、本院に提出された資料によりますと、法務省以外は今度の提案で全部官房長が置かれるようになるわけですね。官房長が各省庁に置かれた経過は、いろいろ事情があります。このたび修正されて参ったのを見ますと、自治庁設置法の方は官房長を落していないわけです。まあそれぞれ理由があったのだと思いますが、文部省の方は落されているわけですね。それから、先ほど申し上げたように、法務省以外は全部官房長があるわけですね。そこで、第一院としては、今の行政機構における各省庁官房長ですね、この制度を、新設だけではなくて、既存のものに対しても全面的に再検討する必要があるのではないか、こういうような意見とか話し合いがなされておるかどうか。私は、事務次官並びに政務次官、それから官房長、それから各省の総務課長ですね、こういう人々の所掌事務と実際の行政の運営の状況については、若干私は意見を持っているものです。そういう立場から、文部省官房長を削除して参られたわけでありまして、それについては相当の御見解があったでしょうし、それはとりもなおさず、私は全省庁官房長にわたって再検討されるという含みがあるのではないか、こういう推察をするわけですが、自治庁官房長を削除しないで文部省だけ削除してきたこととあわして、その経緯並びに結果を一つお知らせいただきたいと思います。
  34. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 御意見のように、官房長の制度そのもの及び官房長の職務の運営につきましては、まあいろいろな見解がありまして衆議院内閣委員会でそれぞれの検討は加えました。しかし、これを将来どうするかという扱い上の問題につきましては、まだ内閣部会を代表する意見として申し上げるほどこれが熟しておりませんので、ただ相当検討を加えておるという程度にこれは申し上げておきたいのでございます。  それから、自治庁官房長は設けることに認めました意味は、どうか中央と地方自治体との連絡は従来以上に緊密なものにしてできるだけ地方自治のめんどうを手落ちのないように見ていただきたい、そういう前提に立っていろいろ機構の連営の実態などを伺ってみますというと、官房長というポストが果して適当であるかどうかということは議論がございますが、ともかく官房長をこの際自治庁には設けてそうしてその機構上の及ばざるものを補いまして十分に一つ地方自治の育成強化に努めていただきたいという趣旨で、これだけは認めることにいたしたのでございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと不明確な点があるので、重ねて伺いますが、私は、全省庁にわたる官房長について再検討をするという前提があって文部省だけの官房長を落して、自治庁の方は、まあ昔の内務省みたいなもので、最近中央地方との関連事項も非常に多いし、それから中央各省庁間の折衝等も多いので、特に自治庁官房長は認めた、こういうことじゃないかと推察しておったわけなんですが、全省庁にわたる官房、長について再検討するというようなそういう前提は、第一院の内閣委員会はないというようなお言葉があったわけですね。そういう前提のもとに文部省だけ落してきたとすれば、そこに文部省には官房長が必要でないという明確な何か理由があられるだろうと思うので、その点一つ伺って質問を終りたいと思うのです。
  36. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 何か言葉が足らなかったかもしれませんが、全省庁官房長を再検討する必要があるとかないとかいうことは、衆議院内閣委員会意見を代表して申しあげるほど熟しておらないということを申し上げたので、再検討する必要がないということも申し上げておりません。あるということも申し上げておらぬのであります。内閣部会を代表する意見として申し上げるほど熟してはおらないということを、私は申し上げたのであります。従って、特に各省庁には官房長は認めるけれども、文部省はその必要が将来においてもないというような、そういう積極的な意味でこれを落したのではありません。
  37. 森中守義

    ○森中守義君 一、二点、簡単にお尋ねをいたします。  これは仄聞であるかと思いますが、衆議院の方でも十三にわたる設置法改正案が出てきております。これに対して、野党はもちろん、与党の内部においても、相当峻烈な非難があったと聞いております。従って、会期の当初においては、小委員会を作ってそこで十二分に抜本的な機構改革の問題について検討を加えよう、こういったような意見も出されたと聞いておりますが、結果的に衆議院段階における審議の経過とその結果から判断をいたしますと、何とはなしに、そのように根本的な問題に言及するよりも、部分的に、せっかく各省が出してきたから、やむを得ずして格好だけつけてやろう、こういったように私どもは、参議院段階としては衆議院の扱いに対する印象を持っておる。こういうことが果して正しい行き方であるかどうかについては、私は私なりに批判を持っておりますが、先刻矢嶋委員に対するお答えから参りますと、来年度の場合において抜本的な改革を政府の方で考えておる、しかるがゆえに、暫定的なものとしてこの扱いをしたというように了承してよろしいかどうかということが第一点と。  さらに、来年度機構改革に臨む衆議院の強い意思として政府にどういつたような反応を示されておるか。つまり、行政組織法の問題もありましょう。要するに基本的な点について、衆議院のまとまった御意見というものを、ここに一応お述べいただきたいと思います。
  38. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) 今のお尋ねに対しまして内閣委員会審議の経過におきましては、あなたの御意見通り行政機構はなるべく膨張させないようにという原則に立ちましてしかし、必要やむを得ざるものについては十分に検討してこれをやむを得ず認めていくという態度をとって臨んだのであります。従って、原則的には、人員の増を来たすもの、それからたとえば官房長を置くとか、局を設けるとか、部を設けるとかいうふうなものは、原則的には自重していただこう。しかし、実情をよく聞きまして、どうしてもこれは当面事務を処理していくヒにおいては必要欠くべからざるものである、いわゆる必要最小限度のものは、これは認めていこうという態度で審議して参ったのでありましてそれからなお、政府に対しましては、いろいろ質問もいたし、要望も伝えてございますが、今申し上げた手軽に機構を拡大しては困るという点、それからすみやかにこの総合的な根本的な機構改革の案をこしらえて、国会の方とも十分に連絡をとれるようにしてほしい、これはそれぞれの審議の経過において機会あるごとに述べております。政府もそれに対しては善処するという態度で臨んでおるのであります。
  39. 森中守義

    ○森中守義君 もう一点承わります。衆議院段階では、提案をして参りました各省庁との間のそういう意見の交換であるのか、あるいは質疑応答であるのか、これを明確にしてもらいたい。というのは、やはりこういう行政機構の問題になりますと、その主管は私は行政管理庁であろうと思う。しかも、行政管理庁の設置法の中にも、明確に、国の行政機関の改廃等については所管事項として明示されておる。また、行政審議会というのがあります。こういう行政審議会の議を経て、あるいは諮問をして、出してくるのが私は正しいと思う。ただ、行政管理庁長官がこういう問題について審議会にかける必要があるかないかという判定の問題はありましょうが、少くとも今度のように十三にわたる大がかりな設置法改正が出たということは、その内容における軽重はありましょう、しかし形態としては、より慎重を期すという意味においては、行政管理庁が責任を持ち、しかも行政審議会等に諮問するということが私は正しい国の行政機構の改廃に当る建前でなければならぬと思うのです。そういう意味で、行政管理庁との間に衆議院ではどういう話し合いをされたのか、その点を明確にしていただきたい。
  40. 山本正一

    衆議院議員山本正一君) むろん、各法案ごとに行政管理庁の説明というものは伺っております。行政管理庁のお話も、やはりここに政府原案に出されておるものは必要なるものと認められて出されて参っております。しかし、御意見のように、衆議院内閣委員会におきましても、行政管理庁が必要と認められたことが、少し御認定が甘いのではないかという気分を持ちまして、そういう趣旨のお尋ねは十分してございます。従って、どういう話し合いをとおっしゃるのですが、これは各法案ごとに内容が違うのでございますが、全体に通ずる態度は、今申し上げたような態度で臨んで参りました。
  41. 藤田進

    委員長藤田進君) 政府筋に質疑があろうかと思いますが、本案につきましては一応この程度にとどめます。   —————————————
  42. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。  なお、石井国務大臣はただいま他の委員会に入っておられますので、後刻に石井国務大臣に対する御質疑は保留しておいてとりあえずは、政務次官の出席がありますから、お進めできれば進めていただきたいと思います。森中君。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと、森中君の質疑に入る前に伺いたいのですが、石井長官が御出席になっている委員会というのはどこですか。
  44. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を……。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、速記をつけてやって下さい。
  46. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 農林並びに北海道開発等であります、並びに行政管理庁。
  47. 田畑金光

    田畑金光君 今、現在は…。
  48. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 今、商工委員会に行っております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 審議期間はもうわずかですからね、政務次官御承知通り。で、北海道関係においでになるのは、所管ですからいたし方ないでしょう。それから農林委員会は、農林大臣の代理になっておるわけですから、これも要望があれば時間をさかなくちゃならぬと思いますが、商工委員会においでになっているのはち、一つとわからぬのですがね。で、本委員会の審議促進のためにも、一応森中委員が政務次官に対して質疑なさるそうですから、進めてけっこうですが、できるだけ早くやはり所管大臣がおいでになることが、審議を促進されると思いますが、政府委員においても特に意を払っていただきたい。要望いたしておきます。
  50. 森中守義

    ○森中守義君 ただいま私も冒頭に要請をしようと思ったことを、矢嶋委員の方から言われましたので、特に長官の出席をお手配いただくようにお願いをいたしまして質問に入りたいと思います。  第一にお尋ねしたいことは、ここ数年間に国会のたびごとに、定員の問題、ことに定員外職員の定員化の問題等については、院議が付されてみたり、あるいは激しい質問がかわされたり、論争がかわされて参りました。こういう事態に対して政務次官の方では、一体どこに原因があるのか、その根本的な問題についてまず私はお伺いをしておきたいと思います。
  51. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) この定員外職員の定員化の問題につきましては、御承知通り行政事務というものは定員の中でやるのが原則であるのでございまするが、この定員を一様にある程度整理をされました後に、実際の行政の運営の面におきましては、それだけでは十分やれないというようなことから、自然発生的に定員外職員が自然に出てきた。これに対しまして、臨時職員は別でございまするが、恒常化したものについては、これはぜひ定員化してもらいたい、こういう御議論が繰り返されたと、私はかく考えておるのであります。
  52. 森中守義

    ○森中守義君 お答えが一挙に飛躍して参りますので、大へん因る。お尋ねしたことを率直にお答えいただきたい。私が申し上げておるのは、毎国会ごとに問題になる、その問題の基本的な原因はどこにあるのか、そのことを承わっておるのです。たとえて申し上げるならば、前の国会ないしはその前の国会で、定員外の職員については基本的に早く本務者に切りかえる必要がある、こういうことを政府当局の方でも認識としてお持ちだ。ところが、一向進まぬじゃありませんか。だから、根本的になぜこういったように激しい論争が展開されなければならないか、災いのもとはどこなのか、それをどういう工合にお考えであるか、こう聞いておるのです。
  53. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) これらの定員外職員の方を定員化いたしますにつきましては、根本的の問題といたしましては、一体公務員というのは、どういう種類の方を公務員にすべきかという問題が流れておるのでございまして、その点につきましては、御承知通り、公務員制度調査室におきまして公務員制度調査会にかけまして意見を求められてその意見が出て参ったのでございまするが、まだこの制度を確定するに至りませんので、その制度ができますまで、手直し、手直しということを重ねてきたというために、いろいろ御議論が行われたわけと考えております。
  54. 森中守義

    ○森中守義君 確かに、それも政府側のお答えの素材の一つにはなると思います。また、私もそこに原因の一つがあると思う。しかし、もっと根本的なものがあるのではないですか。私は、そういうことで、こういう御質問をしたいのでありますが、定員法が施行される以前の国の行政機関に配置されておる職員の状態というものは、どういったようなならわしになっているか、それもあわせてお答えいただきたいと思います。
  55. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 定員法が施行される前には、大体行政業務に必要な方々を一応公務員として雇用した、認めたということだと私は考えます。
  56. 森中守義

    ○森中守義君 それで、定員法が施行される以前はこういうむずかしい論議はなかったのです。ところが、たまさか定員法というものを施行したために、こういう問題が起きておる。だから、定員法についてどうお考えですか。
  57. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 先ほどから申し上げておりますように、この定員法できめられておりますところの定員と、実際に行政業務に必要な要員との間に、臨時職員は別でございまするが、ギャップがあって必ずしも適正でないというところに問題があるのではないかと考えております。
  58. 森中守義

    ○森中守義君 どうもお答えが、私の質問の要領が悪いのか、ピンとこないのです。定員法に対してどうお考えですかと、こう聞いております。
  59. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 定員法にきめられております定員の数が、必ずしも国の行政業務に要する恒常的な数と一致しておらないというところに問題があるのではないかと考えております。
  60. 森中守義

    ○森中守義君 端的に申し上げますと、定員法施行前についてはこういう問題が起らなかった。ところが、今日こういう問題が発生しておるというのは、定員法が設置されたあと、施行されたあとに問題が起きておるから、そこで、定員法を一体どういうようにお考えですか。いいものと思うか、悪いものと思うか、結果的にはそういう端的な表現になりますが……。
  61. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 定員法は定員法で、これは必要なものだと考えております。ただし、その定員法については、ただいま私がたびたび申し上げましたような、ぜひ是正しなければならぬ部分があるということを、私どもは率直に認めざるを得ないと考えております。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の質問に関連いたしますが、同じ行政官庁の中でも、五現業、特に企業官庁ですね、郵政等、これは定員法でしばることがそもそも無理じゃないかと私は思います。たとえば、これは国鉄にいたしましても、電電公社にいたしましても、事務量がふえれば、自然、それはお客さんのことですから、相手のあることですから、ふえれば、どうしてもこれは人をふやして処理しなければならぬ。それがサービス機関の本質だと思います。それを定員法のワクでしばっておるものですから、なかなか思うように仕事がはけない。従って、定員にしばられているから、定員外で人を雇って、臨時ということで処理しておる、こういう不合理な問題があるわけです。先国会におきましても、これは行政管理庁の現業とはいいながら、特別に、企業性を持っているお客さん相手の仕事については、定員のワクをはずしても、この予算では給与でもって定員という一つのワクが出てくるでしょうが、そういう企業官庁を三公社と同じような意味で取扱いをした方が、実際の運営に当っては実利になるのじゃないかということで、御検討をいただけるようにお願いして検討されたと思うのでありますが、その結果は、検討の結果はどうなっているか。そうして今私の主張していることがあなた方了解できないか、できるか、この点を一つお尋ねいたしておきたい。
  63. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) ただいま永岡委員のおっしゃいました通り、これらの現業におきましては、確かにそういう点が私どももあると存じております。ただし、これを定員よりはずすかどうかということ、定員よりはずすという御意見についてはごもっともな点があるのでありますが、これらについては、公務員制度というものがはっきり根本的に改正されるときに解決すべきものと考えて私どもはおったわけであります。また、ただいま永岡委員のおっしゃいましたようなことにつきましては、私どもも十分検討いたしておるのでございますが、また、その結論をどうすべきであるかということにつきましては、私どもとしましては、定員の関係からはこれは結論が出ておらない、こんなふうにお答えする次第であります。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、公務員制度の改革と申しましょうか、その検討の際に、十分これを考慮の対象に入れてしかるべき措置をとりたい、こういうような考えでもってよろしゅうございますか。
  65. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) さよう考えております。
  66. 千葉信

    千葉信君 どうも、さっきから聞いていると、行政管理庁の政務次官ともあろうものが、定員法に対する根本の考え方が、どうも明確を欠いておる。あなたは、近く公務員制度を改正する予定だから、従って、まあその場合の措置をどうするこうするという関係から云々という答弁をされておりますが、質問者の聞こうとするところは、そういう点じゃないと思います。もっと掘り下げた、定員法そのものについてどう考えるかという問題だと思います。具体的にいうと、たとえば、現在の一般職の職員の中には常勤労務者だとか、あるいは非常勤職員というものがある。これはりっぱな一般職の職員です。そういう職員のうち恒常的に仕事をしている者、事務そのものがすでにもう恒常的なものだ。それに勤務している者、しかもその勤務者たるや、その経歴においても、あるいはその他の条件においても、他の公務員と変らない条件を持ち、勤務の態様もほとんどこれと変らない。そういう職員が存在するということは、これは一体どういうことなのか。どういうことなのかというのは、それが定量法のワクからはずされて扱われているということが、そもそも珍妙なものじゃないか。  これは、あなたも御承知のように、最初定員法が制定されるときに、仕事の量、それから名職員の能率の状態、どれぐらいの仕事を分担できる限界があるか、そういう点にちゃんと一定の検討を加えて、そして定員法の定数の決定が行われなかったのです。そのときの政治的な目的が、実際に行政機関における職員の状態を的確に、その仕事に適合するようにやろうというのを飛び越えて、何でもかんでも行政整理をやらなければならぬ、首切りをやらなければならぬ、そういう格好で最初の定員法が制定されたわけです。従ってそういう無理なことを最初からしたから、最初から常勤労務者、非常勤職員がどうしても必要だった。政府の方では、それを脱法行為をやった。定員法でこれだけしばられてしまったのだから、どうにもできない。そこで脱法行為をやって、定員法の二ヵ月ごとに更新する云々、あるいは国家公務員の六ヵ月ごとに更新する職員、日々採用する職員、こういう脱法行為で、そして定員法内の職員と同じ地位のある仕事をしてきたのが、今日の状態です。ですから、そういう職員のことは、大体非常勤職員のうち、全くの委員だとか、顧問だとか、参与だとか、ないしはまた季節的な雇用をしている職員の場合は別ですが、そうじゃなくて全く一般職の職員、他の定員内の職員と同じ状態にあるものが、存在するということ自体が、私は定員法そのものを無意味にしていると思うのです。  定員法というのは、一方では、行政機関内における職員の数をはっきり規制して、それ以外の職員をみだりに雇用してはならぬ。これは公務員法第二条の命ずるところです。みだりに雇用してはならぬということを厳格にすると同時に、一方では、国民の税金で構成される行政機関の数が一体何ぼあるか、その点が国民にとっても明確になる法律なんです。それが本来の大体の定員法の果す役割だと思うのです。それが、もう全然それを飛び越えて、今申し上げたような定員内に繰り入れるへき職員を入れないで、初めからはじき出してやってきた。この誤まったやり方は、政府の方で、いや、これは国家公務員法をどうこうし、改正するから、それまで待てということは、これは政府としてとるべき態度じゃないと思う。本来ならば、そういう定員内の職員と同じ仕事をしている職員の場合は、これは政府の責任で全部これを定員内に入れなければならぬ性質のものなんです。行政管理庁の政務次官はそうはお考えになりませんか。
  67. 榊原亨

    政府塾員(榊原亨君) 先ほどから私が抽象的に申し上げておるのも、その今御指摘になった点でございまして、現行の定員法においてきめられたこの定数というものが、必ずしも現在の行政の業務量にマッチした量ではないと、こう申し上げたのは、その点を申し上げておるのであります。  そこで、それではそういうマッチしておらないような定員法なら、それは無意味じゃないか、要らないじゃないか、こういうお話になるように拝聴したのでありますが、これはやはり定員法というものがございまして、そして国の予算を施行するヒにおきまして一つのワクをもって定員を規制するということは、これは必要なことだと私は考えております。しかしながら、ただいまのように、ただいまございます定員法の実際の現状のように、ただいま御指摘になりましたような業務を施工する上において必要な定数の満たないような定数にきめておるということについて矛盾がある、こう私は考えております。  もう一つ、今千葉先生のおっしゃいました中に、同じような、それじゃ業務をやっておるなら、それはもう全部定員化すべきだというようなお話でございますが、それが、私ども公務員制度の改正ということを申し上げておるのはその点でございまして、見方によっては、国が雇っておる方、臨時に雇っておる以外のものは、全部これは定員の中に入れるべきだという観点を持つ意見もございますし、一方においてそのうちで業務の内容、その責任の度合いにおきましては、これは言いかえますれば、単純労務の方に類するような方々は、これはむしろ公務員としないで、このワクからはずして、雇用関係の一つのものを作ったらどうかという意見もあるのでありまして、これらの点の御意見というものがはっきり公務員制度の改正を待ってきまったところで、先ほどから申し上げましたように、この現実に即さないヌエ的な存在というものに、これはすっかりなくすべきものだと私は考えております。
  68. 千葉信

    千葉信君 政府がヌエ的な存在にしておるのです。あなたは公務員にするかしないかということをおっしゃいましたけれども、全部公務員なんです。全部が一般職の職員なんです。しかも、あなたのお話のように、あなたも認めておられるように、実際上定員内の職長と何ら変らない状態の職員があることは、あなた方もお認めの通りです。その数は、あなたの方の資料によっても、常勤労務者の場合には五万八千、四月に少しその数字は動いております。それから非常勤職員二十八万人のうち、大体定員内の職員と同じような仕事をしておる、もしくは勤続の状態等からいっても同様と見られる職員が十二万人は存在するのです。ヌエ的な存在という言葉がありましたが、これはまさにヌエ的な存在を政府がしておるわけです。それがその行政管理庁が担当しておる仕事関係からいっそも、こういう状態に対してはもっと精密な検討を加えて仕事の状態はどうなっておるか、一人々々の能率の限界はどうなっておるか、そういう点をはっきり測定して、行政管理庁当局としては責任を持ってそういうヌエ的な存在を解消しなければならない。  私の、定員法がまさに無意味になっておるという意味は、そういうヌエ的なものをそのままほったらかして、定員法の数だけはきちんと何人々々というふうに各省庁に厳格にきめても、何にもならない。国民は国家公務員が何人いるかわからぬのです。そんなことじゃいけない。それから、この定員法の改正の機会がいい機会だから、そういうヌエ的な存在を全部取っ払ってしまって、はっきり定員法の改正を、定員法が有為なものになるように変える必要があると思うのだが、政府としてはどうですか。
  69. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) ただいまの御意見はごもっともな点でございまして、従いまして、それらの点を根本的に検討いたしまして、もうすでに検討した部分もあるのでございますが、検討いたしましてそうして全面的にいかにあるべきかということを決定いたしましたところで、根本的な定員の改正をいたしたい、かように考えておるのであります。  しかも、その問題につきましては、今まで数国会におきましていろいろ御議論がありましたが、公務員制度というものがはっきりいつ改正されるというめどがついておりませんでしたが、政府といたしましては、来年度におきまして必ず公務員制度というものを改正いたしましてということが、私どももきまっておりますので、その線に従いまして来年度までにはただいまおっしゃいましたようなことを一つ改正いたしたい。従いまして、来年度まで待つということにつきましては、いろいろ国会の御要望もありますので、今年度におきましてはこの程度の手直しをいたしたい、こういうふうにいたしまして、私どもは定員法の改正をお願いいたしておる次第でございます。
  70. 千葉信

    千葉信君 公務員法の改正を近く行うから、だから、定員法は大体暫定的な方法で今回はまあまかなおうとしておるのだという態度自体が、私は間違いだと思うのです。そんなことで逃げようということ自体が、私は無責任だと思うのです。たとえば、この常勤労務者もしくは非常勤職員を定員化すべきだという点については、森中委員も触れられたように、もう三年越しの問題です。しかも、国会委員会の席上では、これに対しては政府は慎重に考慮を加え、すみやかに何らかの措置をとる、こういう約束がはっきりあったのです。それを三年以上も延ばしておいて、そして一方では、そういう公務員制度自体の根本の考え方をきめて諸官庁がやるなら、そして法律の命ずるところによって公務員制度に関する改廃についてははっきりお前のところでやれという国家公務員法があり、人事院があってそこで方針を検討して出す、その方針に基いて検討するのなら別です。  公務員制度調査会で検討した、検討した。なるほど恩給についても、公務員制度についても、そこで検討されたことは私も知っておるのです。しかし、その公務員制度調査会自体が、何回も言うようですが、違法な存在です。民主的な偽装をするために、人事院というものがありながら、それを全然オミツトしておる。勝手にそういう違法な制度を、違法な調査会を、そしてそこで出した結論についても、まあそこで検討してもらったからということで、一応格好は政府の方でつけながら、一方ではその実施については今日までサボっておる。これからまた一年サボろうとしておる。不当偽装ですよ。しかも、そういう公務員制度の改正ということに籍口して、今日現在、あなたも認めておるような定員法自体がまさに無用な、全然無力な存在になってしまってそういう状態を明確に政府としては何とかしなければならぬ立場に立っておるのに、今回またいいかげんな数字でごまかそうとしている。いいかげんな改正法でごまかそうとしておる。こういうことでは、私は了承できぬですよ。  一体、公務員制度をどう改正するのか。改正すると言っておられますが、どういうふうにその公務員制度の改正の問題と関連があるのか。さっきあなたは、単純労務者云々という言葉を吐かれた。単純労務者といえども、今日は国家公務員であり、一般の職員です、今日といえども。それを今回定員法に入れることが、何か単純労務者の関係で公務員制度の改正に支障ありというような御意見を、ちょいちょい出されておりますが、一体それはどういう観点からそういう御答弁が出るのか、その点を明確にしてもらいたい。
  71. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 先ほどお話のありました公務員制度調査会の答申は、すでに出ておる。その出ておる答申に基きまして、これを参考といたしまして、そうして今、調査室の方におきましては作業が行われておるのでありまして、従いまして、ただいま千葉委員がお話しになりますように、現行におきましては国が雇っておるものはもう全部公務員、従いましてその公務員であるから単純労務者もこれですっかり入れなければならぬという御議論も、これはごもっともなところでありますが、また一面におきまして先ほど私がお話しいたしましたように、単純労務者あるいはこれに類するような近いお方は、これは一つ公務員、今行われておりますところの公務員のワクからはずしまして、別の形態において政府と雇用関係をやるべきではないかという考えを持っているものもあるのであります。必ずしもそれが政府の統一した見解ではございませんが、そういう考えもある。それらの考えをいろいろ意見がありますから、どうすべきかということを来年までに決定するというのでありますから、従いまして単純労務者、これに類するものを、今、現下行われているところの公務員制度のようなふうにいたしまして、定員の中に入れるべきだ、あるいは公務員に扱うべきだ、現行法通りやるべきだ、こういうふうなことに決定いたしますれば、これは今この考慮できるものはすっかり定員の中に入れるべきでありますし、また別の形態において雇用すべきだというようなことになりますれば、これはまた別の形において定員というものを考えなければならぬ。かようでございますので、これも何年も先のことでございますれば、これは根本的にやるべきでございまするが、もう来年ということになりますというと、それでは今回は結論が出ないままに一応の手直しということを、私どもは考えた次第でございます。
  72. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、皆さんに報告いたしますが、午後一時から恩給法審議に入ります予定で総理を要求いたしておりましたが、どうしても本日は二時半までは出られない。二時半から本会議の関係がなければ一時間程度出席するとのことでありますが、なお一時間でなくて出られるように、出席を今促しております。従って、二時半まではどうしても、豊三の折衝ですが、事務当局を通じましてやっておりますが、無理だとすれば、若干一時からの午後の開会をずらしてもいいのではないか、総理の出席がさような事情ですから。従って、少し午前中御勉強いただけばいいんじゃないだろうかと思いますので、お含みの上で御質疑願いたいと思います。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質疑者が質疑を続ける前に、特に委員長にお願いいたしたいのですが、この法律は相当な問題があり、われわれ長きにわたって研究して参ったわけですけれども、御承知のごとく、与野党でかなりの話し合いも進められております。さらばといって、この審議をしないで通すわけにも参らぬと思うのです。法を運用をする場合のことも予想して、暗点だけはただしておかなくちやならぬ。しかも、これは衆議院との関係を考えますならば、両党の話し合いの線に沿って本日中に、できるだけ早い機会に終止符を打たなくちゃならぬ。そういう意味において石井長官の出席を一刻も早くお願いして、そうして先ほど森中委員並びに千葉委員からポイントをただされましたが、ああいう種類に属する重要点だけを明確にして、できるだけ早く両党の話し合いの線に沿ってこれが処理できるよう、委員長において特別に取り計らっていただきたい。そういう意味において長官の出席を一刻も早く要望していただきたい。
  74. 藤田進

    委員長藤田進君) 承知しました。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  75. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。
  76. 千葉信

    千葉信君 まあ、時間の関係もちょっぴり出てきたようですから、私は最後にそろそろ行きますが、公務員制度調査会は違法な存在で、その答申は従って法律上無効だ。しかし、まあ私はあえてその点はこの際追及しないが、政府の方でそういうものを根拠にして公務員、制度を変えるということを考えておられる。その時期は大体一年ぐらい先だ。この時期についても、いつ聞いても一年先、いつ聞いても一年先で、まあなるべくやらぬ方がいいから、私はやめて延びた方がいいと思われるけれども、しかし、そういう公務員制度を変えるのだからという理由が、その理由がこの定員法の改正に当って数をごまかす理由にはならないと思う。数をごまかす理由にはならない。単純労務者と、これに準ずるものというような言葉がありましたけれども、そういう職員でも、この際定員に全部入れて置いてどういう支障が公務員制度の改正の場合に起ってくるのか、そういう内容を含んだ、何かはっきり支障の起るような内容を持った公務員制度の改正ということをはっきり考えておられるのか。そういう点が明確になっていないと、支障あり、支障ありと言って、今回定員法を改正する際にこんな数字でごまかす理由にはならないと思うのです。その点、はっきりお答え願いたい。
  77. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 公務員制度調査会の答申をもとにしてやるというのではございませんで、これを参考にしていたしておるということが一つ。もう一つは、先ほど単純労務者、これに類するものというようなことを私申しましたのでありますが、今かりに単純労務者、たとえば廊下ふきの婦人のお方を公務員の定数の中に入れるといたします。そういたしますというと、来年、今度はそういう方も公務員として扱うということに今の現行法通りにきまりますれば、これは何も支障がないのでございますが、そのときに、ただいま公務員制度調査会の答申のようなことがもし結論に出ますと、これは何もきまっておらぬのでございますが、せっかく公務員の中にお入りになった方が、もう一度公務員から出ていただかなければならぬ。今、現在の官職の公務員でございますが、その公務員から出ていただくということが起りますというと、これは御迷惑ではないか。社会党さん、あるいは職員組合のお方から言わせますというと、それはそのときは出します、今入れておいてもそのときそういうことになれば、そうなったら出しますよ、ということのお話をたびたび承わっておるのでございますが、そういうことでございますというと、なかなか御本人には御迷惑だと思いますので、来年のことでございますから、今日は、だれが見ましても、これはどういうふうに公務員制度が変りましても御迷惑がいかない。だれが見ましても、その職務の内容と責任の度合いにおいて、公務員だと認められるものを、一応暫定的に定数化いたしたわけでございます。
  78. 千葉信

    千葉信君 何か公務員、公務員と言って、公務員というものが特別えらそうな印象を与えるようですが、一体公務員から単純労務者の関係その他をはじき出すというのは、どういうことですか。単純労務者の関係は、今度は国家公務員ではなくて別の何かの存在になるわけですか。どうも答弁がはっきりせぬです。どうですか。
  79. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 御承知通り、公務員制度調査会の答申が、一応ただいま私がお話し申しましたような線が出ておりますので、それを参考にしていたすということになりますと、その線が出るか、あるいはただいまの現行法通りのものが出るか、あるいはほかの程度のものが出るかということについては、まだ未定でございますので、どの線が出ましてもそのとき支障がないという観点のもとに、一応の暫定的措置をいたした、かように私は考えておるのでございます。
  80. 千葉信

    千葉信君 了承できませんけれども、大体ここいらでやめておきます。
  81. 森中守義

    ○森中守義君 先刻の政務次官のお答えの中に、どうしても見のがしできないことが二つあります。その一つは、お答えの中に、定員法が存在するということが正しい国の予算の執行ができる、こういうお答えがありました。そういう考えから参りますと、予算執行上の定員法であって、いわゆる国家公務員法の第一条にいう公務員の目的とは、だいぶ趣きを異にしてきています。しかし、私は、やはり今日の行政管理庁が扱っておいでになっている定員法の問題は、ややもすると定員を規制する、予算規制をやる、こういうことがたてになっている、こういったような印象をどうしてもぬぐい去ることができません。むしろ私は、過去数年来におけるこの種の問題のむしろ基本的な問題は、予算の規制、そうしてまた定員の規制、こういうところに置かれていて、国の行政機関を国民のために運営するという目的とは相反する方向に進んでいると思うのでありますが、この点について明快に、先刻の予算規制という問題、このことをお答えいただきたいと思います。
  82. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 国民の税金によりますところの国費を最も効率的に使うということにつきましては、私ども常に心がけなければならぬところだと考えておるのであります。従いまして今これらの公務員のお方を雇用いたします場合におきましても、それが最も効率的でなければならぬ。従いまして、国といたしましては、たとえば行政管理庁のようなところにおきまして、これだけの行政業務の量と責任についてはこれだけの人数でやっていかなければならぬ、やっていってもらいたいということの規制をいたしますということは、これを野放しにいたしまして、幾らでも要るだけやれ、やれということとは、少しくその観点が違うと私は考えておるのでありまして先ほど私が申し上げましたのは、そういうふうに国費を乱費しないために、業務の内容と責任におきまして最もマッチした定数というものをやはり国がきむべきではないか、というふうに考えておるわけであります。
  83. 森中守義

    ○森中守義君 一面の理由は、確かにそういうことでしょう。しかし、私は、予算ということは、直ちに、国家公務員法の一条の中にうたっているサービスの提供、国民への奉仕、こういうことで予算に具体的に国民の税金というものは還元されなければならぬのです。それで奉仕をする、税金を還元するという形のもとにおける各行政機関の定員というものは、予算上でしぼってはならぬ。もちろん、各省庁が無制限に予算がとれないから、五倍も十倍も輪をかけて出そうというそういう不定見なことは、おやりになっていないと思う。ですから、私は国の税金、国の予算、これはくどいようですが、やはり国民に対するサービスあるいは行政機関を通じての公務員の奉仕、こういうことで国民に還元されていくわけですから、この両面を考えていかなければ、ただいまの答弁は成り立たぬと、こう思う。だから、予算の執行、税金の扱いだけが特に中心に置かれて、国民に環元していく面というものが考慮されていない。このかね会いをどうするか、こういう質問をしているわけなんです。
  84. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 効率的と申しますのは、この予算面をしぼって、規制して制限するだけじゃございません。今お話しになりますところの、国民に対するサービスというものも最もよく効率的に行われるという、総体的な効率ということにお考えを願えれば、私の申し上げた意思がおわかりだと思います。
  85. 森中守義

    ○森中守義君 端的に言いますが、明らかにこれは、行政管理庁あるいは大蔵省あたりが各年度ごとに予算定員の要求をやる、そういう場合に、定員法をたてにとって絶対不可決な定員を出そうとしないということを私は主張したいのです。現実にそういうことが行われておる。私はむしろ、もう少し進んで言うならば、建設省何名、文部省、大蔵省何名という現行の定員あるいは改正されようとしている定員というものは、職場の実態、行政機関運営の実態を、何を中心にして出したものかという大きな疑問がある、そこに。おそらく、完全に国民にサービスを提供し、あるいは公務員が奉仕できるという、そういう状態がないんじゃないですか。年々歳々、各省と大蔵省、あるいは行政管理庁が中に入って、激しい予算折衝を行なっておる。そういう際に、常に定貫をたてにとって押えておるじゃありませんか。先刻の政務次官の答弁は明らかに公式論であり、明らかに抽象論であります。現実にそういう予算折衝の過程をつぶさに見て参るならば、どうしても政務次官のお答えは私は了承できません。  それから、そのことについてもう少し具体的に御答弁を願いたいと同時に、先刻千葉委員との間にかわされた答弁の中で、定員外の職員も公務員である、そしてまた、定員外の職員は職務の内容がすこぶる軽いものもあるし、重いものもある、こういうお答えがありました。しかし、行政管理庁の方で全部公務員であると認定をつけるならば——また実際問題としてそうなっております。だから、職務の軽重を考えて定員内に繰り入れるという論理は、いささか私は法律の建前を誤まっておると思うのです。つまり、国家公務員の職階制に関する法律というものがあります。だから、全部定員内にほうり込んで、入れていて、そして職務の軽重についてはこの職階制を適用していけば、問題ないじゃありませんか。何がゆえにわざわざ定員外に置かなければならぬのですか。そして定員に組みかえる場合は、定員内の職員に切りかえられていこうという際に、職務の軽重を中心にして判断をつけるということは、いささか職階制に関する法律というものを無視したことにはなりませんか。その点もあわせて御答弁をいただきたい。
  86. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) ただいまお話しになりました前段のことにつきましては、全くその通りでございまして、この実態というものを把握しませんと、ただ机の上で定員が何名というようなことになりますというと、いろいる今現に矛盾がございますようなことが起ってくるのでございまして、この点につきましては、たびたびの国会で御議論もございまするし、私どもといたしましても、昨年度におきましては、公共事業につきまして実態調査をいたしました。また、非公共につきましても、各省から出ました資料につきまして、現実の面において一つ一つ当りまして、一応の基準を私どもはきめたわけであります。それをやってみますというと、一律に何%とかいうふうなことは、業務の内容が非常に違いますから、一律にそういうことはできないのでございまして、やはり今おっしゃいましたように、実態に基いてやるということでなければならぬということを、なお私どもが再確認をいたした次第であります。  後段のお話のことにつきましては、これも御説の通りでございまして、今、現在行われておりますところの定員法におきましては、今お話しになった通りでございまするが、来年度におきまして公務員法を改正すると、その改正が現行法通りであって、改正しないかもしれませんが、一応改正すると。その改正は、どんな方針に従って改正するかということが今不明でございますので、一年間待っていただきたいのでございますが、いろいろ御迷惑をかけていることでございまするから、できるだけの暫定処理といたしまして今度約二万名というものを定員化した、かよう御了解おきを願いたいと思います。  職階制に関しまする法律の適用につきましてもただいま現行におきましてもお説の通り下ございまするが、これは来年度やはり公務員制度というものがはっきりきまりましてそのときにこれは根本的に、一連の問題としてやるべきものと考えております。
  87. 森中守義

    ○森中守義君 今まで政務次官のお答えを承わっておりますと、すでにあなたの頭脳の中は一つの既定観念で固まり過ぎておる。一つも弾力性がない。そういうことでは、大事なこの定員の問題を、あるいは行政機関という通常は困難であろうと思うのです。私が突かんとする要点に対する的確な答えが出ません。しかも、前後を通じて一様に出る答、えというものは、すべて公務員制度調査会のこの答申に基いて新しい制度の改正をやりたい、何もかもその一点に集中して具体的な問題を解明しようというそういうお考えに立っておりませんから、あなたに対する質問は私は残念ながら意味をなしません。しかるがゆえに、午後石井長官がおいでなることでありますから、ただいまの質問は全部私は保留して、一応この場における質問を終っておきたいと思います。
  88. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、時間も経過いたしておりますので、午前中の予定をここらあたりで一応終了いたしましてそして午後一時半にはかっきり開会ができますようにいたしまして、それからあと一時間程度石井行管長官の出席を求めて質疑を続行していただく。あと、総理が一時半から出席ですが、その際には、総理の方に恩給法の議題に切りかえていただきましてそれから後質疑恩給法でやっていただくという目安で、午前中はこれにて休憩をいたしまして、午後一時半から再開することといたします。  それでは、暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    —————————————    午後二時五十五分開会
  89. 藤田進

    委員長藤田進君) 休憩前に引き続き、委員会を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  岸総理が御出席になりましたので、これより総理に対する質疑を行います。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  90. 永岡光治

    ○永岡光治君 岸総理に、まず私からお伺いをいたしますが、きょうは岸総理は午前中からずっとあいておるのじゃないか。私たちも、実は少くともきょうは初めから、一時から早急に開会したいくらいに思っておったわけですが、そういう時間はなかったのですか、あったのですか、その点を一つお尋ねしておきたいと思います。
  91. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 本日は九時から閣議を開きましてそれから十時過ぎからトルコの総理と外務大臣が来ておりますので、私と外務大臣が参りまして昼は宮中で午餐の会がありまして午前中全然時間がございませんでした。
  92. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、きょうはどうしても今までは公務のためにこちらに出席ができなかった、こういうことでございますか。
  93. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) さようでございます。
  94. 田畑金光

    田畑金光君 総理に確かめておきたいのでありますが、重要な恩給法改正法案が当内閣委員会衆議院に送付されて参りまして、実はこういう重要な法律案は、当初に総理から、この法案の提出最高責任者であられる総理から見解を承わって、さらに具体的な内部に立ち入って審議を進めることが、本来のあり方でありまして、今まで総理の出席を見ることができなかったことは、まことに遺憾であるわけであります。ことに聞きますと、本日は一時間程度というお話でありますが、こういう重要な法律案について、総理の見解を一時間前後でただすということは事実上不可能でありまして、従って、本日はどういう事情か存じておりませんが、明日でも当然、総理の御出席を本法に関する審議に当って期待できる。また、出席してもらえるものと考えますが、いかがなものでしょうか。
  95. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) こちらの御審議の点については、私はできるだけ都合して出ることにいたしております。なお、明日の問題に関しましては、当委員会と私の方の国会対策及び官房長官と時間の打ち合せを願いたいと思います。
  96. 田畑金光

    田畑金光君 それで私はお尋ねいたしますが、この今回の政府の出されました恩給法改正提案関連いたしまして、もっとも今回の改正法案は、旧軍人恩給の改正を中心といたしておりますが、それで、旧軍人恩給の増額措置をめぐる恩給法改正は、今回で政府は一応これを処理済みとして片づけてこれからこの恩給法については積極的な手を打つ意図はない。こういう風説等が新聞その他で、かつて強く聞えたわけでありますが、ところが最近になって参りますと、また不均衡の是正、こういう名目のもとに、現在の提案されている恩給法を将来さらに再検討を加えていく、内部のいろいろな点の是正措置を講じられる、こういう方針のようにも聞いておるわけでありますが、そのいずれが政府の考え方であるか、明確にしていただきたいと思います。
  97. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 軍人恩給につきましては、私どもは、今回の改正によりまして一応主要な問題はこれで解決せられたものと理解いたしております。ただ、恩給処遇上、給与の公平を期するという見地から、なお残されておるいろいろな問題について、今後とも十分検討を加えて参るということを、決しておろそかにするという考えではないということを、この前、衆議院で申し上げております。大筋については、これでもって一応解決したものとわれわれは考えて、今回の案を出したわけでありますが、しかしながら、今申しましたように、恩給の問題については、できるだけ給与の公平を期して行かなければならぬわけでありますから、そういう見地から、なお恩給の問題についても検討を加えて参るということを一切しないのだというような考えで、こう申したわけじゃないということを申し上げたわけであります。なお、衆議院内閣委員会におきまして、委員長の質問に対して総務長官お答えをいたしましたのも、今私が申し上げましたような趣旨においてお答えいたしたわけでございます。
  98. 田畑金光

    田畑金光君 それで具体的になってきたわけでありますが、今、総理の御答弁にもありましたように、衆議院内閣委員会におきまして、こういう場合は、通例、委員会の付帯決議として院の意向を明確にするのが通例でありますが、今回の場合は、内閣委員長質疑の形で、これに対して総務長官が答えるという姿をとられておるわけであります。これは、どういうわけでこういう無理なことをなされたのか、付帯決議であるならば、はっきりいたしまするが、質問の形で総務長官がこれに答えられる、どういうわけでこういう形をとられたのか、いろいろ伝え聞くところによりますと、付帯決議をつけるについては、特に与党内部で、党の幹部と出先の内閣委員の方々、あるいは特に恩給関係の議員の方々と党の首脳部との意見の衝突等があってその妥協としてこういう形をとったんだ、こう言われておりまするが、どういう事情でこういう珍しい方法をおとりになったのか、一つ総理大臣から承わっておきたいと思います。
  99. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) これはせっかくの御質問でございますが、別に内閣総理大臣がこうしてもらいたいということを申したわけではございませんで、衆議院内閣委員会における審議におきまして両党の理事その他においてこういうふうな話し合いができて、そういう形がとられたわけでございます。
  100. 田畑金光

    田畑金光君 総理大臣の御答弁によりますと、この衆議院内閣委員長の質問の個々の内容についても、総務長官の答弁通りに、今後、政府検討を加え善処をするという方針だというわけでありますが、そこでお尋ねいたしますけれども、たとえば二、三の例を具体的に取り上げて見ますと、遺家族公務扶助料の倍率及び支給条件等の是正ということが一つ取り上げられておるわけであります。倍率の問題に関しましては、特に臨時恩給等調査会においても、いろいろな角度から検討を加えられたわけでありますが、ただ、一万四千数吾人のいわゆる旧文官で割りのよい率で処遇されておる、」ういう人たちを基準に百五十万以上の旧軍人の遺族の処置を、すべてこの倍率の是正で考えて行くということについては、全面的にそれに賛成するという意見ではなくしてむしろこれに批判的な意見が多かったわけであります。このことは、国民感情等から申しましても、そうでありまするし、また、いわゆる一万四千数百人の旧文官の人々の恩給の実額を考えてみますと、これは当時の非常に低いベースにあった特殊な事情のもとにおける例外的な措置であったわけで、こういうようなこと等から考えたとき、この倍率それ自体に絶対の意味があるというようなことは、恩給調査会の大多数の意見としてはなかったわけであります。こういうことを見ましたとき、今回の政府の出しました措置は、倍率を第一義的に考えて、さらにこれにベースアップをやって両者を調節した、こういう形になっておるわけでありますが、私はここでお聞きいたしたいことは、総理大臣は、先ほど内閣委員長の質問を尊重するということをお話しになったわけでありますが、倍率の問題については、今回は兵が三十五・五割というところにとどめておりますが、さらにこれを四十割に将来持って行こうとか、そういう意味の倍率是正を考えておられるのかどうか、明確に述べていただきたいと思います。
  101. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 私は、この倍率が違うということについては、今、田畑委員の御指摘のありましたような、基本の俸給の率が違うということもありますし、これができました当時の理由においても違っておる理由があると思う。問題は、倍率じゃなくして、もらう実額として、現在、軍人の遺家族等に与えておる扶助料が現在の実額で適当であるかどうかということが、私は本来の問題だと思うのです。そこに実額において相当な差があって、しかも今の社会情勢から言って従来与えておった三万五千幾らになりますか、それでは適当ではない。五五三千円のベースにすることが望ましいということから、私はそれを同一にすることが文官との関係において公平であり、また同時に、それが今の社会情勢から見て適当な額であるという結論を出したわけであります。それをベースアップをし、これを倍率に引き直してみると、三十五.五ということになるわけであります。私はその意味において倍率というもの自体が一つの既得権であるとか、あるいは倍率自伝が四十割とか、三十割とかいうて、同じ倍率にしなければならぬということじゃなしに、もらう実額を同じにし、そうして公平に出すことが必要であり、また、社会情勢から見てあまり低過ぎる実額は、これを社会情勢に会一うような適当な額に是正するという一とが必要であるという考えに立って、実は今回の問題は扱っておるわけであります。従いまして今の四十割と三十五・五との倍率が違っておるじゃないか、これを将来倍率を同じにするというような考え方は、私どもとしては持っておりません。
  102. 田畑金光

    田畑金光君 今の総理の御答弁は、われわれ社会党が実は恩給調査会で述べてきた意見であります。われわれといたしましては、倍率自体に問題があるのではなくして、むしろ支給されておる額がその他に比較して均衡を失しておる。そこで社会党といたしましては、中尉の額程度以下は全部五万四千円程度に上げろ、こういう主張をして参ったわけです。その場合に、あくまでも実額そのものが、やはり受給権者の立場からいっても望ましい姿であって、三十割とか、四十割という倍率自体に絶対の意義を持つとは考えない、こういう立場でいたわけでありますが、しかし不幸にして、その考え方は他の委員あるいは与党の出身の議員の御意見や、あるいは遺族の方々の意思とは相当に離れているわけです、はずれているわけです。それで、私はその点は総理は明確に倍率については考慮していない、むしろ今後の給与ベースその他に関連して支給するその実額そのものを考慮する、こういうような御答弁でありますので、その点は了といたします。  次に、この質問の中にもう一つの大事な点がありますが、旧軍人の恩給失権者に対する加算制度の実施の問題であります。これは特に未裁定者と既裁定者との取扱いに非常に不均衝がある、こういうようなところに問題がなお残っておるわけでありますが、この点に関しまして、旧軍人としての実在職年に付される加算年は、いわゆる軍人恩給廃止前に普通恩給を受ける権利の裁定を受けた者には認められておるにかかわらず、ひとしく戦地に勤務した軍人でありながら、昭和二十一年二月一日以前にその恩給を受ける権利の裁定を受けていない者には、これを認められないというところにこれは問題があるわけで、この点は恩給調査会の意見書といたしましては、いずれこの問題については十分検討しなければならぬが、当面、解決に急を要する問題とは考えられない。というのは、この該当者のほとんど八割近くが四十五才以下の、完全に恩給の適用があったにしても、ストップされる方々でありますので、そういう趣旨でうたわれておりますが、問題は七十五万の数に上るわけです。これをかりに加算制度を認めるといたしますと、一万二千円ベースでやって行きますならば、ピーク時は百十六億の予算が必要になってくるわけです。一万五千円ベースに引き直しますと、百三十七億に上るわけです。総理の先ほどの御答弁によりますと、この質問は尊重すると、こういう御答弁であったわけですが、まあ百三十億から百五十億が、加算制度だけでも新しい財源を必要とするわけで、この点について将来これを実施するのか実施しないのか、明確にお答え願いたいと思います。
  103. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) この加算制度につきましては、これが不均衡になっておる事実は私も明瞭に認めます。ただこの加算を認めるということにしますと、今、田畑委員のお話のように、相当に財政的の大きな負担になることは事実でございます。従いまして私どもは、この問題をもう二度と取り上げないのだということを、ここで申し上げるわけじゃございませんが、今御意見にもありましたように、その大部分が若年停止にかかっておる現状にもかんがみまして、将来の問題として、財政状態やあるいは国民感情等も十分に考えて適当な方法を講じなければならぬ、かように思っております。今加算すると、必ず将来において加算するということも申し上げることはできませんし、絶対に加算は、この問題はもう解決したのだ、解決済みだというふうに言い捨てることはできない問題であると思います。そういう意味において、将来において検討を加えて参るべき重要な一つの問題である、こう思っております。
  104. 田畑金光

    田畑金光君 もう少し私は具体的にお尋ねしたいわけですが、たとえば今の恩給法で増額をして行きますと、大体、昭和三十六年がピーク時になると、こう考えるわけです。この恩給のピーク時前後を考えて一体、財政的にこれをはかって、これをやろうというお考えであるのか、あるいは国民感情というお話でありますが、これは国民感情から申しますと、私はもうそういうようなところに手を伸ばすべきではない、こういう国民感情であろうと見るわけです。と申しますのは、後ほども触れますが、国民全般の年金制度の問題等が出て参りまするし、そうなってきますと、国民感情の面から申しますならば、これはなかなかできない問題だと思うのです。しかし財政面の顧慮から申しますならば、今の恩給は、あるピーク時以降はまた下降して行くわけでありますから、財政面からそのピーク時をはずせれば顧慮できるという面が出てくると思うのです。総理といたしましては、これが現在の恩給法上の非常な不均衡な問題であり、この解決なくしては、旧軍人恩給問題の最終的な処理というものはなされないのだという、強いものの見方でこの問題に取り組もうとされておるのか、そのいずれかによって方向がきまってくると思うのですが、もう一度御答弁を願いたいと思うのです。
  105. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 先ほどお答えをいたしましたように、現在の軍人恩給の制度の上において、一つの重大な不均衡があるという事実は私も十分認識しております。しかし、それをただ形式的に解決するということでありますと、ただいま田畑委員の御指摘になったような相当多額の財政負担になるのでありましてそれほ財政上から見ても困難である、また今回の恩給改正についてすら、相当に国民の感情がいろいろと論議をされておる際でありますから、やはりわれわれの国民感情ということを全然無視して、ただ形式的に解決するというわけには参りません。これらの点を取り入れて私はこの問題に関する妥当な解決の方法はどこにあるかということを、これから検討して参りたいと思っております。
  106. 田畑金光

    田畑金光君 次に移りたいと思いますが、これはこの機会に、今の御答弁に関連いたしますのでお尋ねしておきますが、具体的な、なお検討すべき問題点がかように衆議院で取り上げられて政府もこれを尊重するという態度でおられまするが、そうして今の御答弁によりますると、適当な機関においてこれを考えて行きたい、こういう御趣旨のようでありまするが、そうしますと、たとえば今までのような恩給調査会のようなものを設けて検討されようというのか、あるいは部内だけで検討を加えて行こうというお考えなのか、どちらでありましょうか。
  107. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) その点につきましては、直接にこの問題ではございませんけれども、恩給と国民年金の問題の根本に関する問題もございます。従いまして今どういう機構を設けてとういうふうにするということは具体的に申し上げませんけれども、私はこれらの問題を解決するのには、財政的に、また全体の政治的な考慮等を十分取り入れてやらなければなりませんから、単に事務的だけでこれを検討しただけでは、適当な結論、妥当な結論は出ないと思います。従いまして適当な方法を講じなければならぬと思っておりますが、今どういうものを作るということを具体的に御返事申し上げるまでに行っておりません。
  108. 田畑金光

    田畑金光君 次に、私は同じく質問の項目の中で、特に傷病恩給の間差、等差及び他の恩給との不均衡是正の問題、これについてお尋ねいたしますが、今回の恩給法改正で、遺族の扶助料と傷病恩給と老令者に対して優先的な措置をとられておることは否定いたしませんが、問題は、この傷病恩給について、今回の増加措置が一体妥当な線まで達しておるのかどうかということ、これは重要な検討を要する問題だと思うのです。総理も御承知のようにこの傷病恩給の年額は、普通恩給あるいは扶助料等、仮定俸給を基礎として計算される恩給が、仮定俸給の改正により増額されたにもかかわらず、これと歩調をあわせて増額されることなく今日まで据え置かれてきた。すなわち、扶助料の問題あるいはその他の恩給の問題については、会日まで二度ほどベースアップ等の措置がとられてきたわけですが、今回のこの傷病恩給については、ずっと据え置かれて合日まできているわけです。たとえば、今度は傷病恩給に関しては階級差を全部なくした。不具、廃疾または傷病の程度の同一なものは同一の傷病恩給額を支給する。こういうように階級差がなくなったということは、たしかに一つの進歩ではありますが、前進ではありますが、これを全部、たとえば一項症でありますと十七万一千円というものに据え置かれた。この傷病恩給の十七万一千円を基準として上下にこう展開されておりますが、一体これで妥当な額であろうかどうか。一項症と申しますと、両手両足のない人方なんです。たとえば兵隊の例をとりますと、この増加恩給に普通恩給を加え、今回新しく設けられた介護手当を入れますと二十二万五千円、こういう額です。ところが、元大将の遺族の扶助料は二十万五千七百円であるわけです。これはこういう上の階級の人方の生活の実情というものと、両手がなくなり、両足がなくなった、もはや全く脱落者だ、こういう傷病恩給の一項症の人方が、いろいろなものを入れても、それと相前後した恩給しかもら、えない。一体これで均衡を得ているという判断で政府はこの増加恩給の処理をここで押えられたのかどうか。この点について一般の人方は、今回の増額措置においてこの傷病恩給というものは非常にこれは犠牲になった、こう批判を加えているわけでありますが、この点に関しまして政府はどういう見解をお持ちであるか。
  109. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 傷病恩給につきましては、これは非常にお気の毒な事情が重なっておると思います。従って、これをできるだけ妥当なところで増額することが必要であるという見地のもとに今回の改正をし、なお初めて第二項症以上の重症者に介護手当というものを出すような制度も作ったわけであります。詳しいことにつきましては、総務、長官から数字的に御説明をさせます。
  110. 田畑金光

    田畑金光君 総務長官からの御答弁は、また別の機会に、しばしばこれはありますので、総理大臣に一つ私は御見解をお尋ねしておるわけでありまして、私のお尋ねいたしました趣旨はおわかりになったと思いますが、たとえば今回の措置によりまして、昭和三十六年度、これは平年度でありますが、旧恩給軍人については、二百六十九億一千二百万増額になるわけです。うち旧軍人の公務扶助料は二百三十二億四千九百万の増、人員は百四十万六千三百一十名ですが、この旧軍人の傷病恩給は一十一億三千五百万、人員十三万百七十八人、こういうことになりまして、とにかく予算の総額から見ましても、またこの割り振りをきめるまでの政府部内、あるいは与党内部の動きを見ましても、結局、一番力の弱いと申しますか、声が小さいと申しますか、この傷病恩給には、これは相当このしわ寄せが行っておることは、まぎれもない事実であるわけで、われわれといたしましては、この扶助料の問題と傷病恩給の問題とは、ともに重視をしておりますが、特にこの傷病恩給には、当初申し上げましたように、従来二回のベースアップのときに据え置かれている、非常に低く据え置かれている。こういうことを見ましたときに、どういう基準で一項症十七万一千円、こういうことに据え置いて、そうしてそれから転換したのか。これについては政府としては、これで妥当な傷病恩給であるというお考え方でおられるのか。あるいはこれについては、もう少しこのしわ寄せについては是正措置を講ずべしというお答えであるのか。これを承わっておきたいと思います。
  111. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ただいま総理がお答えになります前に、その基礎の数字の算出の理由を申し上げたいと思います。二十八年の法律百五十五号の制定されましたときに、傷病の仮定俸給は、御承知のように六万六百円でございました。その六万六百円の仮定俸給の際に、第一項症の方の増加恩給が十一万六千円でございました。今回の恩給査定につきまして、仮定俸給が六万六百円から九万円に増額をいたしました。六万六百円から九万円にいたしますというと、これが一四八倍の仮定俸給の増になっておりますので、十一万六千円に一・四八を掛けまして基礎の数字が十七万一千円、こういうように出たわけでございます。先ほど田畑委員も申されましたように、六万六百円から、三十年の改正のときに普通の恩給の増額は七万九千八百円になっておりましてこれは私、当時の事情を聞いてみますというと、普通恩給が併給されておりますので、普通恩給は六万六百円から七万九千八百円に増額しておりますから、この一方の増加恩給の方としては、その方で増額になっているから見送ったと、こういうように承知をいたしております。その結果、その当時の昔の軍人恩給時代の、二十八年の法律百五十五号のときに復活でなくて新しくできたと、こういう当時の事情から、これを私どもとしては数字の基礎としたわけでございます。
  112. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 傷病恩給につきましては、いろいろこの恩給の基礎というものを、どういうふうな金額にきめるかということについては、いろんな計算の仕方もあると思いますが、一応とにかく事務的に、今、総務長官説明しましたような基礎において算出をいたしまして、今回の増額をいたしたわけであります。田畑委員のお話によりますと、何か傷病者の力が弱いために、そのところへしわ寄せが来たというふうに結論をお出しになっているようでありますが、私はそういうことがあってはならぬという考えで、むしろ当時の事情から申しますと、非常に大きな圧力団体の力をもって何するというようなことについては、自分は絶対に反対だ、そうでなしに、これは公正にきめなければならぬというつもりで、実は私自身が最後に裁定をいたしたようなわけであります。一応、傷病者の何にしましても、どれもこれもみな十分だということは財政の上から申し上げられませんけれども、私は一応妥当な額がここに定まっておるものだと実は考えておるのでありますが、施行した上におきましてさらにその施行の実績等も見て行かなければならぬことでありますから、絶対に、もうこれですべてのものが、先ほど申しましたように解決したということじゃなしに、大筋は解決したけれども、中において非常な不均衡があったり、あるいは現実の支給の面において、いろいろの支障を生じておるというようなことがございますならば、これらを検討し、これらに対して公平な支給をするように考えて行かなければならぬということを申し上げましたから、そういう意味では、もちろん検討すべき問題であると、かように考えております。
  113. 田畑金光

    田畑金光君 時間の関係がありまして、いろいろ内容についてお尋ねしたい点がたくさんあるわけですが、あと一つ二つだけ簡単にお尋ねいたしますが、もう一つここに元満州国等外国政府職員の通算実施、この問題があるわけですが、この点は、岸総理はかつて満州国の総務庁の次長か、総務長官か忘れましたが、偉い大臣をやっておられたわけで、よく御存じだと考えるわけですが、現在、満州で任用され、日本の公務員となっておる者が一万五千名程度いるかと思っております。資料をちょっと持ち合せておりませんが、とにかくあの戦争中、岸総理のように、日本の公務員であって、役人であって満州国に行かれる。満州国で何年か勤められて日本に帰ってこられる。こういう人方は全部通算をされているわけです。ところが現地で採用されて、たとえば現在内地に来て内地の公務員になっている人方、こういう人方はもちろん通算されておりません。また、内地で働いていて向うの役人で行かれたが、向うでおやめになった。前後を通算すれば当然恩給の年限に達しておられるが、この人方に対しては何の措置もほどこされていない。十またま衆議院内閣委員会では、この問題も再検討を加えるべしと、こういうふうな明確な態度を打ち出し、総務長官が内閣を代表して、善処する、こういうふうな御答弁がありまして、恩給調査会等においても、この問題についてはいろいろな角度から検討を加えて遺憾ながら結論までは至っていたいわけです。しかし当時のこの満州国を中心とするあの大陸の地域におりました日系官吏の実際の仕事内容を目ますと、総理自身がよく経験されて御存じのように、日本の官吏と全く同様な指揮命令系統のもとに、また内地大陸政策の一環という方針をもってやってきているわけです。この点に関しまして、ここで内閣委員会で質問の形で出ておりますが、総理の見解を承わっておきたいと思います。
  114. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 元満州国その他大陸おいて、当時のその国の官吏として勤めておって日本に帰って来た者についての扱いにつきましては、今、田畑委員の御指摘になったような非常な不均衡があるのは現実でございます。これを何らかの形において是正すべきものであるというお話も、この恩給の問題を解決する際にいろいろと論議もされたのでございます。その他のあげられておる事項のうちには、やはり恩給問題を解決するときに論議された問題もございますが、今回は、先ほど申しましたように、軍人恩給を中心としての荒筋の主要問題を解決するというところに主眼を置いて解決をいたしましたがゆえに、そういうものが漏れております。そういうものにつきましては、今後その不均衡の是正に必要な検討を加えて妥当な解決策を見出して、これを実現するようにいたしたいと考えております。
  115. 田畑金光

    田畑金光君 また私は明日の総理の出席を求めて質問を継続したいと考えるわけですが、いずれにいたしましても、この幾つかの項目を完全に実行しようとすれば、おそらく新しい二百億前後の財源が必要になりはせぬかと、私はこう見るわけで、そこでこの問題を、先ほどの総理の言葉によりますと、財政の問題、国民感情の問題、あるいはまた国民年金制度の問題、こういう問題をどう調整して行くかということが非常に大事な問題になってくるわけです。この問題については、やはりいろいろな広い角度から、学識経験者等の意見等を聞いて十分これは検討すべきであるし、また、国民世論にも耳を傾けて処理を進めるべきだと、こう考えるわけでありますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、私は傷病恩給の問題を見ましても、また遺族扶助料を見ましても、たとえば兵隊の扶助料は、今度相当増額になったと言いましても、五万三千二百円でありますが、元大将の扶助料は二十万五千七百円、階級差はなくした、上に薄く下に厚くしたと、こう言われておりますけれども、実際はこういう実情にあるわけで、こういうような問題等については、十分一つ政府におかれても慎重な検討を加えられるよう強く要望申し上げまして本日のところは一つこの辺で私の質問は終っておきます。
  116. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私はただいま田畑委員が御指摘になりました満州国官吏、それにも関連のある元満鉄社員の処遇について二、三総理にお伺いしたいと思います。元満鉄社員を国家公務員とみなして恩給法とか、あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法、これを適用するお考えがあるかないか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  117. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 政府といたしましては、満鉄社員を国家公務員と見て、これに対するいろいろな給与のことを考えるという考えは現在のところ持っておりません。
  118. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 元満鉄の特殊使命とか、立場等については、あなたもかつての満州国で新京におられたわけで、よく理解しておられると思う。私も元満州に満二十年ほどおりましたので、満鉄の特殊使命とか、立場についてはよく理解しておるつもりです。そういうことから、ぜひこの際、元満鉄を当然に国家機関とみなすべきであると、そういうふうに考えておるわけです。そうだとすると、元満鉄社員も当然に国家公務員とみなすべきであると、こういうふうに考えるのでありますが、総理の御見解を承わりたい。
  119. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 満州における満鉄の使命、またその意義というものは、単純な一つの私営会社、営利的私営会社と見ることは適当でない部面はたくさんあったことは、伊藤委員の御指摘のように私もそう思います。しかし満鉄自身は、やはり一つの株式会社でございまして、あの戦前におきましては、程度は多少の差はありますが、同様なような、いわゆる大きな意味において国策会社と称せられるようなものの職員は、多かれ少かれ同様な、今日に言う単純なる営利会社と違った立場において、いろいろな職務を遂行した面があると思いますが、これらを直ちに、それだからと言って国家機構の一つであり、従ってそれに従事した者は公務員であると、こうすることは、私としてはまだそこまでの考えを持っておりません。
  120. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特にここで考慮しなければならないことは、関東軍の野戦鉄道司令部の命令で特殊業務につかされ、その業務の過程においてあるいは戦死したとか、あるいは手足を失ったとか、たとえば実際の例で申し上げると、野戦鉄道司令部の命令で、機関士がいわゆる装甲車に乗って敵の爆撃を受けて、あるいは戦死した、あるいは手足を失った、そういう場合で、この場合は、御承知のように終戦前の措置としては軍属としてみなされておるわけです。軍属としての処遇を受けて、戦死者としてなくなった者はみなされておる。ところが矛盾したことには、終戦後に至っては、こういう前例をも無視して全然何らの処遇もなされていない。これはまことに矛盾きわまることと思うのですが、この点どういうふうにお考えですか、明確にしていただきたいと思います。
  121. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 従来この満鉄や、あるいは華北等の鉄道関係の人で、今おあげになりましたような事例によって、戦傷病によって倒れたというような者の遺族につきましては、いわゆる戦闘参加者だという立場をとって、その遺族に対しては遺族援護法において軍属に準じた取扱いをして参っておるように承わっております。なお正確な扱い方につきましては、事務当局からお答えをさせますが、そういう取扱いをいたしてきておりまして、特にこれらの会社に勤務しておった者を国家公務員と一律に見て扱うということは、私はいろいろな問題があり、そういう結論に至るのにはよほど検討を要するものがあると、こう思います。特に今おあげになりましたような者については、今申しましたような取扱いをいたしております。
  122. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 重ねてお伺いしますが、今申しあげたように、戦前、終戦前においては軍属として処遇を受けておるわけです。ところが終戦後の措置としては何ら措置を受けていない。ただ、わずかに実際に戦闘に参加した方々が遺族援護法によってこれは軍属でなしに、準軍属の適用を受けておる。ここにも矛盾があると思うのです。この点はなかなか今の御答弁では納得できないと思います。この点をはっきしりしていただきたいと思います。
  123. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今申しましたように、一律に公務員にするということは考えておりませんが、戦前と戦後との間に、御指摘のような何か差があるとするならば、それの是正については、これは十分検討して、不均衡のないようにして行かなければならぬと思っております。
  124. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 満鉄社員を令部国家公務員とみなしてそうして、しかるべき処遇を直ちにしてもらいたい、こういうことは非常に不可能なことでもあるし、非常に困難なことでもあろうと思う。そこで、先ほども申し上げたように、軍の命令で第一線で、あるいは爆死、あるいは銃撃で戦死した、あるいは手足を失ったと、そういう者だけでも、せめてこの際、遺族援護法によって軍属として扱えないかということが特にお伺いしたい点なんです。この点いかがですか。
  125. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 先ほど申したように、この扱いの現実を私はっきりとここでつかんでおりませんので、大体今御指摘になりましたように、戦後において戦闘参加者として準軍属として遺族援護法の適用を受けていると、かように承知いたしておるのでありますが、もしもそれが戦前と戦後において軍属、準軍属というような扱いのために、実際の給与等においても差があり、その他の扱いにおきまして差があるとするならば、それは均衡を失しておりますがゆえに、十分に一つ検討してその間の均衡をとるようにいたしたいと思いますが、今直ちにここで、そういう者が準軍属になっておるから、それを直ちに軍属にすべきだと、それについて総理の見解いかん、こういう御質問でありますが、これは十分に一つ検討いたしまして、御趣旨の点のような不均衡があるとすれば、均衡を得るように善処したいと思います。
  126. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 遺族援護法による軍属とみなすためには、私は法律改正は要らないのじゃないかと思うのですが、行政措置によってできることと思うのですが、この点いかがですか。
  127. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 死ぬ前に軍属としての身分を持っていた人は、これは問題ないと思いますが、そうでなくて、ただ戦闘参加者として、その身分を持っておらずに、現実にそういう事態に会った人を準軍属として、今のような遺族援護法の適用を受けておるのでありますが、その取扱いの内容の差であるとか、あるいは実態であるとかいうものにつきましては、なお十分一つ検討をいたしまして善処したいと思います。
  128. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で、最後に一点だけ重ねてお伺いしますが、繰り返し申し上げておるように、軍の命令で第一線で、あるいは戦死、あるいは手足を失った、そういう方々に対しては終戦前は軍属としてみなして、終戦後何らの措置も請じない。わずかに戦争に参加した者だけに対して援護法による準軍属という差別をしておる。これは総理といえども、その矛盾は御確認になると思うのです。その点はいかがであるかという点と、そうであるとするならば、こういう不合理を、この際是正するのが当然の措置ではなかろうかと思うわけです。その二点について最後にお伺いしたい。
  129. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今私が申し上げましたように、そういう扱いになっていると均衡を失していると私も考えます。ただ、戦前の何が軍属として扱いを受けているという実情が私によくわかりませんけれども、すでに軍属という身分を戦前にその人が持っておった、そうしてそうなったのか、あるいは単にそういう軍属という身分はなくとも、そういう命令等によりまして戦争に参加し、そういうような事態を生じた者が当然軍属として扱われておるのであるかどうか、この辺のことを十分に検討いたしましてそういうことであれば、同じような事情の者が戦前と戦後で扱いが違うとすれば、これは確かに不均衡でございますから、それを是正することに努めなければならぬことは言うを待ちませんが、その前提の事実というものをもう少しよく専門的に調べましてそうして、実質的に同じような立場にある人については同じような処遇をすることが当然であろうと思いますから、そこらの問題に不均衡があれば、これを是正することにいたしたいと思います。
  130. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいまの点ですが、終戦前に軍属として処遇を受けたということは、そのときすでに軍属の身分があったかどうかという、その点がまだあいまいだとおっしゃるのですが、この点ははっきりしていると思うのです。満鉄等の職員については軍属の身分がないのです。にもかかわらず、軍の命令で、第一線で戦死または手足を失ったときに、特に戦死した場合には、これを軍属として戦死の取扱いを受けたと、そういうことだと思うわけです。なお、この点については総理も矛盾を指摘しておられるわけですから、早急に御検討いただいて、不公平のないように、片手落ちのないような措置をしていただきたいということを最後に強くお願い申し上げて私の質問を終ります。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この法案は非常に大きい法案でありますが、時間の関係上、大まかなところを承わって、岸総理のお考え並びに岸内閣の政策を再確認いたしたいと思いますから、その立場で明確にお答え願います。  まず第一点は、国民年金制度と国民皆保険のこの二本の柱を中軸に社会保障政策を今後推進して行くということの確認と、しからば、この年金並びに皆保険はいつから着手していつごろ一応形が整うという目途のもとにやらんとしておるかという点をお答え願います。
  132. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お話のように、私は社会保障制度の二つの大きな柱として国民皆保険と国民年金の問題を考えております。そうして国民皆保険の問題につきましては、すでに昨年度からこれが実施に着手しておりまして、五か年計画でこれを実現するという考えでおります。なお、国民年金の問題につきましては、今、社会保障制度審議会に諮問をいたしておりまして遠からずその答申を得ると思いますが、その答申を中心としてこれが実現を期して参りたいと思いますが、私としては、何とかして二十四年度からこれが実現に向って着手をいたしたい、踏み出したいと、こういうつもりでおります。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国家公務員、地方公務員を通じて年金制度を確立すると、その場合には身分をなくする方向をとる。そうして従来の恩給制度というものは解消すると、年金制度に切りかえる。しかもその際に既得権並びに期待権は確保する。この方針であるということと、そのときにおける退職年金制度と国民年金との関係をどういうふうにお考えになっておられるか、お答え願います。
  134. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今の恩給制度、さらにこれを公務員について退職年金の制度に移行すべきであるという議論は、これはよほど私は強い、またこれに耳を傾けなければならない議論であると思います。ただ、今回におきましては、この五現業を中心としてのものにつきましては、退職年金制度に切りかえたものを出しております。一般公務員についての問題については、実はその場合において退職年金の制度を立てる場合におきましても、組合管掌にするか、政府管掌にするかという一つの根本的な問題がございます。言うまでもなく、これは恩給にいたしましても、公務員の退職年金の問題にいたしましても、やはりこれは公務員として特別の一つの使用関係において、国または地方公共団体に対して忠実の義務を相当多年にわたって尽した人に対して、国または地方公共団体において、その使用に基く一つの年金を、病気になったとか、あるいは死亡したとか、老年になったとかいうような場合において年金を給与するという関係を頭に置かなきゃならぬ問題でありますから、他の一般国民を対象とし、そういう国または地方公共団体と特別の関係のない国民一般を対象としている国民年金の考え方との間には、ある相違があることはこれは当然であります。しかし、両者の間に適当な調整をとらなければならぬこと、また言うを待ちませんから、これらの制度を立てる場合におきましては、十分に一つ国民年金の制度を調整をとって実現して行くようにいたしたいと思います。
  135. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法律案は、長きにわたるわが日本社会党の意向を相当取り入れられておる面があります。また、本日の総理の答弁の中にも進歩的な発言も含まれております。その点は私は了といたします。しかし、他面、若干私と意見の食い違う点があるわけですが、討論でないのでありますから、お伺いだけして参ります。  次に伺いたい点は、今後のこの退職年金制度にいたしましても、あるいは恩給にいたしましても、階級差とか、身分差ですね、こういうものはなくしていくと、そうして先ほどもあなたちょっと進歩的な発言をされておったのでありますが、幾ら給与されるかという金額が問題であると、それが結局その国民の生活力とも関連を持って参るわけでありまして方向としては、そういう方向をとるべきである。そうして退職年金にいたしましても、あるいは恩給にいたしましても、いろいろのものの併給というものは、原則としてはやめるべきであって二つ、三つの該当があれば、そのいずれか一番条件のいいのを一人の人は受けて、一人の人が二つも三つも併給されるというような制度というものは、今後是正されるべきであると、か、ように私は考えますが、岸総理の見解はいかがですか。
  136. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) この国民年金の制度を立てる場合において、これは国民同一に考えなきゃならぬことは、これは言うを待ちません。ただ、恩給制度、また、それにかわる退職年金制度を設ける場合に、階級差という言葉は大へん強く何かを指示するように思いますが、やめたときのその人の取っておった俸給というもの、これはその人が多年勤めたその勤めに対する一つの何としてできておるわけでありますから、そのものを全然無視して同一にするということが適当であるか、それをある程度基礎に置かなきゃならぬかということにつきましては、私はやはりこれはある程度基礎に置くべきが適当じゃないか、こういう意味において、退職年金というものを一律にすべて定めるというわけにはいかぬと思っております。しかし、必要なことは、その最低額を受ける人が、その当時の国の経済事情その他から見て少くとも最低限の生活が保障されるというような程度のものを最低の人としては確保しなきゃならぬと、こういうふうに私は考えております。
  137. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 倍率の問題でありますが、兵を三五・五、伍長三一・七と、逐次戦前の率に直しました。そうして受ける金額を五万三千二百円から大体その近似の数字にしたと、こういう点は、この数自体にはわが日本社会党として不満な点があるわけでありますが、やり方としては正しいと思う。しかし問題は、これをずっと見て参りますと、少尉のところまでくらいは大体数字が似ている。ところがあと、少将のところで飛躍し、特に中将、大将に行って大飛躍をしているわけですね。こういう点は私は問題があると思うのです。で、戦争に勝っても負けても大将、中将はいいことをすると、そういうことはないと思うのですね。で、最近、衆議院の付帯決議を見ると、金鵄勲章に対して、さらに特別の手当をするということですがね。私は戦争勝っても負けても、大将、中将は、これは戦争をやった一番の責任者だと思うのです。何と言ったって戦争指導をしていった人ですからね。それがそうなるのはおかしいと思う。また、資本家は平時において、今、日本の軍需産業家はもうけております。これが再軍備が強化すると、さらにもうける。戦争になるというと、軍需産業家は、それに連なる資本家は非常にもうけるわけですね。戦争に負けた場合には、今度は賠償の形でもうけていく。御承知のごとく、日本の賠償額は数千億に達しておるわけですが、それで数カ年間にわたって払って行くわけですが、戦争に負けて賠償になると、それでもまあ軍需産業家、それに連なる資本家がもうける。そしてうごめくというようなことは厳に是正しなければならない。従ってこういう法の改正に当っても、また賠償の施行に当っても、こういう点は、施政者として十分改正しなければならぬ、かように考え、総理に要望するわけでありますが、御所見いかがでございますか。
  138. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 今回の改正においては、実は将官はこれを動かさない。ただ、既得権を奪うわけにも参りませんから、従来そういう額になっておるのを据え置いたわけでございます。しかし、下の方をなるべく上げて行くということにおきまして、従来あったところの階級差による支給額の相違というものは、幾らか是正されたということを御了承願いたいと思います。  賠償につきまして、その施行について、特に政府がこれを注意すべき点についての矢嶋委員のお考えは、全く私同感でありますから、十分慎重に考えて参りたいと思います。
  139. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 数字が出てお気の毒でありますが、常識人声個人として、一つ御見解を承わりたいと思うのですが、一つテストケースに佐官の場合をとりますと、この普通恩給の金額ですね、生存者における金額、それと遺族の恩給の公務扶助料とを比較しますと、金額がとんとんになっておるのですね。これは見方によって、生き残っただけもうけだという見方もありましょうけれども、死んだ人は帰ってこないので非常に気の毒だということもありましょうが、この数字のとんとんになっているのは、見方によっていろいろ問題があると思うのです。これは深刻に総理はお考えになった上で御裁断下されたのですか、御所見を伺います。
  140. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 実は私はこまかく数字に、はなはだ何でありますが、当って私もおらないところもございます、率直に申し上げまして。ただ、軍人恩給を変えるについて、将官は据え置く、また、佐官の方においては、これも上げることをうんと押えるというふうな、この何のもとに計算をさしたことは事実でありますが、具体的にその結果がどういう数字になっておるかということの比較考量は、実はそこまでいたしませんでした。
  141. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長から注意がありましたから、最後の質問ですから、落さないようにメモしておいて、お答え願いたいと思いますが、一問一答でやりたいと思ったのですが、時間がありませんから。総理は経済の成長率を今7後毎年どの程度と踏まれておられるか。それから従来毎年、よく聞いて下さいよ、従来毎年、防衛庁予算は二百億円ずつ増加してきております、約ですね。これはアメリカとの協定のもとにやられておることは周知の通りでございます。今後も防衛庁予算は二百億円くらいずつ増額をして行くつもりであるかどうか  それから減税は今後どの程度やれるつもりであると考えておられるか。  それから先ほど国民年金と皆保険について施行時期を含めてお答えいただいたわけでありますが、これらの所要金額等、いかように考えておられるか、こういうことを勘案いたしますと、先ほど田畑委員に、軍人恩給の問題については、大筋ではこれで大体終ると考えておる。しかし、個々の問題については、いろいろとお答えになって、そうして田畑委員のあるいは加算制度、あるいは倍率の問題等々の質疑に対していずれもずいぶん楽観的な答弁をされております。そこで、私は今あげたこういう要素から総合して考えた場合に、衆議院委員会における委掛長の質問に対して総務長官が答えた内容は、総理の言う大筋の中に大部分入れておられるのではないかと思う。ただ、公務員のベースアップが行われた場合に、仮定俸給をそれにスライドするという程度のことはなし得るでしょう。しかし加算制度とか、倍率の云々というようなものは、大筋としてはこれで終りとなる、検討するという中に、私は数字的に入れ得ないのではないか。そういうふうに私は計算するわけです。ちょうど選挙前ですから、あなたの発言は、今度第三次岸内閣ができた場合も責任があるわけで、おそらく二、三年か、あるいは四、五年ぐらい、あなたは総理大臣を続けてやられることでしょうから、無責任な答えをするわけにいかないのです。今言った私のお伺いするこういう要素を総合して明確に一つお答えおき願いたいと思う。
  142. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) 経済の成長率につきましては、実は私どもこれの産業経済の新五カ年計画を定めて発表をいたしております。本年度は特殊の事情において三%前後の成長率を見ておりますが、この新五カ年計画によりますというと、大体一五%ないし二〇%に近い成長率を予定をいたしております。  この防衛費の問題でありますが、私は防衛費を年額どれだけずつふやして行かなきゃならぬということを、アメリカとの間に話し合いをいたしており、またアメリカに対して、それで義務を負うているということはございません。ただ、私どもが国防会議において定めております一応の目標、これはもちろん年々検討すべきものでありますが、それを今実現をしようとして、本年度の分を、年度計画を予算に盛ったわけでありますが、来年度をいかにすべきかにつきましては、さらに国防会議において検討いたしたいと思いますが、大体の目標は、すでに御承知のように、これを昨年きめまして発表をいたしております。それを年次計画に基いて実現をしたいと、かように考えております。  減税額につきましては、私は大体来年度の減税についてどの程度にやるか、また、社会保障制度とのにらみ合せにおいてどれだけやるか、また、先ほど申しましたような経済成長率を見て行くというと、年々千億ないし千五百億に近い、やはり自然増収があるのじゃないかということを考えます。千五百億と見ることは少し過重でありましょうが、千億を多少こす分があるのじゃないか。これはやはり考えようによっては、一面において税金の取り過ぎじゃないか、そういう自然増収があるということはという議論が、私は当然出てくると思う。従って、それのうちの相当部分を減税で国民に返すことは当然やらなければならぬ。同時に、今申しますような、国民年金及び国民皆保険という社会保障制度を拡充するにも、これもまた相当の金額を要しますがゆえに、今日自然増収に当るものを全部国民に減税で返すということよりも、私はやはりその一部は少くとも社会保障制度の拡充に充てて行くことが望ましいと、こういうつもりでおります。すなわちその自然増収をどういう割合にするかというようなことにつきましても、なお検討を要すと思いますが、私は大体自然増収の六割ぐらいは減税に充て、あとの四割ぐらいをもって社会保障制度を拡充して行きたい、かように考えております。  それから恩給の問題につきましては、先ほど田畑委員その他からも御質問ございましてお答え申し上げましたように、われわれは軍人恩給の問題に関連しての主要な点は、今回の改正で大体解決したと、これは言葉をかえて言いますと、問題の重点もしくは重要さというものは、残っているものにも非常に重要なものがあると思いますが、財政的負担になる上からいって、大きな負担になるようなものは今度の何で解決をした、あとの是正の上から生ずる財政負担は、そう大きなものを予定しておらないという意味において主要な問題は解決したということを申したのであります。しかし、そのことの性質から見ると、きわめて不均衡であってそのことを無視ができないという重要性を持っておるものは、それはあると思います。その是正のために要する金額は、そう大きくないというようなものがあとに私は主として残っておると思う。ですから今一番大きな問題として加算の問題がありますけれども、その問題については、私はこれは急速に解決するというよりは、もう少し財政の見通しをつけ、また、こういうふうな社会保障制度等を行なった結果として相当な妥当な社会的公正を得たならば、いろいろ国民感情もございましょうし、また、その不均衡な人々もある程度納得ができるような解決の方法ができて、そう大きな財政負担をしなくとも、実質的にこの問題が解決されるような道が見出されるだろう、また、見出すように努力をしたい、かように考えております。
  143. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは本案につきましては、本日はこの程度にとどめます、
  144. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を一議題といたします。質疑のおありの方、順次、御発言を願います。
  145. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総務長官にちょっと伺います。副総理の質疑は、あと回しにしましてそれまでに二、三伺います。  このたびの法案は、予想される公務員法改正と無関係で立てたのかどうか、お答え願います。簡単にお答え願います。
  146. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 今回の恩給是正の法案は、無関係と御承知願いたいと思います。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 公務員制度調査室の答申に沿って出したのか、それとも無関係か、どうですか。
  148. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ちょっとお伺いしますが、定員法の問題ですか。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その通りです。
  150. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 定員法でございますと、私の方で立案をしておりませんので、ただいま私は恩給法の問題と思ってお答えしたのでございます。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、定員法をやっているのだよ。
  152. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 今回、行政管理庁で提案されました定員法は、新しい公務員法が制定されますまでの手直しの範囲のものである、こういうふうに承知しております。
  153. 森中守義

    ○森中守義君 それじゃ総務長官に私も二、三点伺います、副総理が見えるまで。  この定員法の関係で、けさから当局といろいろ質問をかわして参りましたが、そのいずれもの結論というものが、次の公務員制度調査会の答申に基く結論を待って全部結論を出したい、こういうお話であります。それで、この機会に二、三明らかにしていただきたいと思いますことは、国の企業、それから国の行う事業、こういうものに全部公労法の適用をなさるという御意思がおありかどうか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  154. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 三公社でやっておりまするようなものは企業として扱っておりますが、公共事業のようなものは企業として扱っておらぬわけでございます。
  155. 森中守義

    ○森中守義君 扱っていないのが現状でありますからね。それは、はなはだ矛盾があるということが衆議院でも言われてきたし、先般ここでもわれわれは主張しておるわけです。それで、ただいま申し上げたように、すべての問題が次の国会に持ち越すだろうと、こういうことでありますから、その全貌というのか、あるいは片りんというのか、そういうものをここで示してもらいたい。だから、今作業の過程にあると思いますが、現在は、今、長官のお答えになることでありましょうけれども、今度の改正の中に国の企業あるいは事業、いずれも公労法の適用する御意思があるかないか、こういうことを私は聞いておるのです。
  156. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) ただいまのところは、国の公共事業等のごときものは公労法を適用する考えは持っておりませんが、公務員法が成案を得ます間に、まだ検討が残されておる問題だろうと考えております。
  157. 森中守義

    ○森中守義君 この質問は、あるいは副総理、行政管理庁長官に当てはまるかと思いますが、やはり総務長官にも相当の関係がありますからお尋ねいたしますが、今の公労法の適用の可否は、大体現在のお考えとしてはわかりました。そこで、定員法の適用ですね、これが今全部、はめられておりますこの定員法は、国の企業あるいは事業、そういうものにはめるというのは理論的にもおかしいと思うのですが、今度の改正の際に、こういうものを撤廃の御意思があるかどうか、その点を明確にお答えいただきたい。
  158. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) お尋ねの問題は、行政管理庁の長官が見、えてから御質問していただきたいと思います。
  159. 森中守義

    ○森中守義君 ただ、確かに所管としてはそうだと思うのですが、やはり制度ということになれば長官の方のお仕事だと思うのです。定員法は行管が所管しておりますが、しかし制度の問題としてこういうことは、やはり今松長官の方でもお考えになることも当然じゃないかと思うのです。しかしそれは、はっきり答えが出なければけっこうです。  それからもう一つの問題としまして、おそらく今度の退職年金の制定によりまして自動的に公務員法が修正されざるを得ません。また、人事院規則も変えざるを得ない、こういうことになると思う。それで、いつだかも問題になりましたが、この人事院規則の改正ということは、人事院の縮小あるいは廃止、そういうことまでも言及されて行くお考えであるかどうか、その点を明確にお答え願いたい。
  160. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 人事院の機構の問題につきましては、継続審議になっておりまする法案がございます。あれを政府としては提案しておりまして、今、森中委員の御質問で、私にちょっとわからぬところがありますが、もう一回一つ……。
  161. 森中守義

    ○森中守義君 こういうことでございますよ、退職年金が今度新法として成立をしました。さらにまたその他の公務員についても目下研究中である、こういうお答えが先般行われておるわけです。だから成立をした新法にも関係をし、もちろんこれは既定の事実として公務員法の改正をせざるを得ません。あるいは目下研究中である公務員に対しての退職年金の制度というものができ上るということになれば、これにもまた公務員法の修正が必要になってくる、だから公務員法の修正が必要であるということは、人事院規則にも影響して参ります。いろいろな面に影響する、そういう際に人事院の権限の縮小であるとか、あるいは規則の改正であるとか、さらに発展しては存廃等に影響するようなことがあるのかないのか、こういうことをお尋ねしておるわけであります。
  162. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 人事院の関係の点については、他の政府委員から御答弁させますが、今回の五現業の共済方式による年金制度の法案が出るにつきましては、公務員法の抵触をする部分は、もちろん改正をいたすことに相なっております。
  163. 森中守義

    ○森中守義君 答弁が足りませんよ、人事院……。
  164. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) 退職年金制度とその関係の行政機関の問題につきまして私から多少補足的に申し上げますと、今回、法案として御審議を願いました共済組合法による五現業についての退職年金につきましては、格別に行政機関との関係は生じて参らないわけでございますが、いわゆる非現業の国家公務員の退職年金につきましては、現在、御承知のように国家公務員法にその規定があるわけでございます。現在のところにおきましては、先ほど来の御質問にありましたように、非現業の公務員の退職年金、いわゆる国家公務員法上は恩給として規定されておりますものを、新しい退職年金制度に切りかえるということで、現在その内容をいろいろと検討中でございます。で、その新しい退職年金と、それから人事院その他の行政機関との問題につきましては、いわゆる退職年金そのものの内容との関連におきまして今後、最終的な結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  165. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと、速記をとめて。    〔速記中止〕
  166. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、これにて本案の質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  ただいま委員長の手元に、松岡平市君から、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。よって本修正案を議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明を願います。
  168. 松岡平市

    ○松岡平市君 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する修正案を説明いたします。  本修正案は、自由民主党と日本社会党の共同提案でございます。「行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。」、以下、お手元に印刷して配付いたしております。相当数字にわたりますので、内容の朗読を省略させていただきます。これは委員長から、速記録の末尾に、この内容をそのまま付加するようにお取り計らい願って委員各位に内容の朗読を省略することをお許し願いたいと思います。  お手元に配付してあります通り修正せられんことの修正案を提出いたしました。ぜひ御賛成を願います。
  169. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、本修正案について御質疑のおありの方は御発言を願います。  別に御発言もなければ、これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  170. 千葉信

    千葉信君 私は本法律案に対しましてただいま松岡平市君の提起されました修正案が可決成立することを条件として賛成いたします。  定員法の審議の過程にありましたように、本法案について最も問題となる点は、常勤労務者並びに非常勤労務者諸君の存在でございます。本来これらの職員は、現行法令の脱法行為の中から生まれてきた存在でございまして、もともと定員法が制定されました当時から、行政機構そのものに対する整備を怠り、しかも事務量、業務量等に対する測定もなければ、職員のふだんの能力等に対しても何らの考慮を加えず、全く行政整理を行うための、整理を行なった結果として、各省庁における行政事務の処理のために、どうしても定員以外の職員を何らかの方法をもって雇用しなければ、完全な業務の遂行ができないという事態に当面し、従って、これに対応するための措置として定員法並びに国家公務員法のそれぞれの条文を利用して、そうしてしかも日々雇用六ヵ月を区切っての臨時職員に採用するという条件を利用してこれを長期間にわたって使役するという方法が講ぜられてきました。むしろはっきり言うならば、最初から当初の定員法の制定に際しては、こういう脱法行為をもって無謀な定員法制定に対処していくという気持であったということが私どもの判断でございます。従いまして、その結果として、今日現在する常勤労務者五万八千人、二十八万人の常勤的非常勤職員中十二万人、これらの諸君は少くともその経歴において、その勤続の状態において、何ら現在の定員内職員と変らない状態の公務員諸君であることは、今日すでに政府の累次にわたる答弁によっても明らかでございます。従いまして、私どもといたしましては、それらの職員全員を定員化すべしという従来の主張が、ここに政府によって百尺竿頭半歩を進めた状態が今回の政府提案でございます。  本来、定員の決定に当っては、もちろん行政機構簡素化、強力なる整備等、同時に、それに対応する事務量、業務量に対する正当な科学的な測定ないしは職員個人の負担能力等について厳密なる検討を加えて、その上から初めてはじき出されるべきものが定員法の定員数でございます。従いまして、そういう点から考えますと、現行定員法のごときは、実は公務員諸君に対して、税負担をしている国民の目をたぶらかしている法律なのでありますから、従いまして、こういう点については適正な措置をあくまでも講ぜられなければならぬ。私どもそういう点から考えまして、政府においては、公務員法の改正等理由として今回の措置に出たようでありますが、私どもとしては、基本的な態度としては、あくまでも先ほど申し上げた非常勤職員十二万、常勤労務者五万八千人を全部定員化すること自体が、現行法令に忠実に従う道でもあるという観点から、私どもその主張を強く展開するものでありまするけれども、今回の場合におきましては、万やむを得ず、今、松岡君提案修正案が成立することを条件として本案に賛成するものでございます。
  171. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は本案に希望を付して賛成をするものであります。  現在、行政機関職員定員法のワク外に相当多数の常勤労務者及び非常勤職員のありますことは、その職務の性質、勤務の実態において定員法の職員と何ら変らぬものに対しては、まことに遺憾にたえないのでありましてこれは端的に申しますならば、実質上の定員法のワクを逸脱した一種の脱法行為である、かように断ぜざるを得ないのであります。しかるに、今回、政府がこれらの職員の中から、その第一段階といたしまして約二万名を定員に繰り入れたことは妥当な措置であると、かように申さなければならぬのであります。  今後、政府におかれましても、残余の定員外の職員の実態を十分調査把握なされまして職務の性質、勤務の実態において定員法上の職員と何ら差等を設けることのできない職員に対しましては、すみやかに定員法に組み入れられるべきものであると存ずるのであります。  しかしながら、この常勤労務者にいたしましても、また、非常勤の職員にいたしましても、その勤務の内容や性質が定員法の職員と何ら変らないから、これは当然定員法に組み入れらるべきものでございますけれども、一方、わが国の行政機関職員定員の実態を考えてみます。るときには、戦後、非常に行政機構が複雑化し、膨大化している関係で、国民の負担もますます増高の一途をたどっておる状態であります。このわが国の膨大、複雑化いたしました行政機構を合理的に極力簡素化いたしまして、その能率化をはかってもって国民負担の軽減の実をあげるということは、国民多数の年来熱望するところでありまするから、非常にむずかしい事柄であって、歴代内閣が手をつけて、しかもその実効をあげ得なかったことではありますけれども、現内閣が抜本的な行政機構改革の立案について、すみやかに着手をされてそうして来たるべき解散後の国会においてこれらの案を提案されるような準備を、今から直ちに漕手されんことを私は強く要望いたしまして、この案に賛成をするものであります。
  172. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、松岡君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  174. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって松岡君提出の修正案は可決せられました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  175. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  それから、報告書に付する多数意見者の署名を願います。   多数意見者署名    松岡 平市  大谷藤之助    島村 軍次  増原 恵吉    中野 文門  後藤 義隆    大谷 贇雄  剱木 亨弘    永岡 光治  矢嶋 三義    伊藤 顕道  森中 守義    千葉  信  上原 正吉    八木 幸吉   —————————————
  177. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  178. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて。  次に、恩給法第十一条第一項等の金融機関を定める法律案田畑金光君外四名発議)を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  別に御発言もなければ、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、永岡君から委員長のもとに修正案が提出されております。本修正案に対する意見は、討論中にあわせてお述べを願います。
  180. 永岡光治

    ○永岡光治君 賛成討論を省略いたしまして、修正案だけを申し上げますが、案文は、お手元に差し上げておりますので、委員長において会議録の末尾にこれをつけられんことをお願いいたします。  趣旨は、この法律案提案されまして後に、国家公務員共済組合法案及び農林漁業団体職員共済組合法案並びに戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案等の提案に伴う所要の整備を行うものでありまして、必然的な、反射的なこれは修正でありますので、皆さんの御賛同を得たいと思います。  以上で終ります。
  181. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、永岡君提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  183. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって、永岡君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案全部に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  184. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって恩給法第十一条第一項等の金融機関を定める法律案は、多数をもって修正すべきものと議決いたしました。   —————————————
  185. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案千葉信君外八名発議)を議題といたします。  この際、前回保留されました内閣の意見をお述べ願います。
  186. 今松治郎

    政府委員(今松治郎君) 本案に対する内閣の意見を申し上げます。  本法案を実施するためには、概略、国において十二億円、政府関係機関において八億円、地方において十一億円、合計三十一億円を必要とするのでありますが、これは本年度予算に計上されておりませんし、また、本法案内容につきましても、なお種々の見地から検討すべき問題がありますので、政府といたしましては賛成いたしかねる次第でございます。
  187. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは本案について御質疑のおありの方は御発言稲います。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 藤田進

    委員長藤田進君) 別に御発言もなければ、これにて本案の質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  190. 島村軍次

    ○島村軍次君 私は、緑風会を代表いたしまして本案に反対をいたします。  反対の理由を簡単に申し上げます。  寒冷地等における寒冷地手当、石炭手当等は、合理化すること、あるいは増額することには必ずしも反対ではありません。ただ、ただいま政府意見のありましたように、この際三十億を要する、この国庫の負担を要する、予算を伴う法案がこの際可決されるこ……。は、予算裏ずけがないのでありましてこの点は政府の答弁によっても明らかでありまするし、なおかつ、政府は今後これらの調整について検討を加えるという意思表示をいたしておりますので、直ちに寒冷地手当、石炭手当の増額をこの際早急に実施することには反対であります。  以上の理由によりまして私は本案に反対の意思を表明いたします。
  191. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより直ちに採決に入ります。  国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  193. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  194. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次、発言を願います。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 藤田進

    委員長藤田進君) 別に、御発言もなければ、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって、青少年問題協議会設置淡の一部を改正する法律案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、可決されました以上三案についての本会議における委員長の口頭報告の内容議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意員者の御署名を願います。   多数意見者署名   〔恩給法第十一条第一項等の金融   機関を定める法律案外一件〕     永岡 光治  矢嶋 三義     伊藤 顕道  森中 守義     千葉信剱木亨弘     上原 正吉  後藤 義隆     松岡 平市  大谷藤之助     大谷 贇雄  増原 恵吉     中野 文門   〔青少年問題協議会設置法の一部   を改正する法律案〕     永岡 光治  矢嶋 三義     伊藤 顕道  森中 守義     剱木 亨弘  松岡 平市     島村 軍次  大谷藤之助     大谷 贇雄  増原 恵吉     中野 文門  後藤 義隆     上原 正吉   —————————————
  199. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  200. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記つけて下さい。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会