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1958-04-24 第28回国会 参議院 逓信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十四日(木曜日)    午後二時五十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員三木治朗君、光村甚助君、松 本治一郎君及び野田俊作辞任につ き、その補欠として久保等君、秋山長 造君、柴谷要君及び森田義衞君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            手島  栄君            松平 勇雄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            川村 松助君            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            横川 信夫君            秋山 長造君            久保  等君            柴谷  要君            鈴木  強君            光村 甚助君            横川 正市君            奥 むめお君            野田 俊作君            森田 義衞君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政省電気通信    管理官     松田 英一君    郵政省電気通信    管理官     岩田 敏男君    郵政省郵務局長 板野  學君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○お年玉つき郵便葉書等の発売に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず委員の変更について御報告いたします。本日三木治朗君が辞任をせられ、久保等君が選任せられました。   —————————————
  3. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題といたします。昨日に引き続いて質疑を行います。
  4. 光村甚助

    光村甚助君 きのうの新谷委員質問にちょっと関連するのですが、公社総裁経営委員会特別経営委員というのですが、そこで任命する監事は私は意味ないと思うのですが、どうですか。
  5. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そういう御議論もあると思いましたので、私としてはほかの公社等の例も見まして、郵政大臣認可または承認という原案でありましたが、衆議院経営委員会任命するように修正を受けたのであります。私はきのうも申し上げた通りこの監事制度については、特に公社に対して全然第三者的な監査制度を設けなければならない、というような思想に立っておりませんので、修正を受けた以上それでもいいじゃないかというふうに考えます。
  6. 光村甚助

    光村甚助君 きのうの大臣答弁に、監事制度というものは観念的につき合うのではない、こうおっしゃったのですが、私は監事制度を設ける以上は、少くとも公社総裁とか、副総裁理事諸君と相当観念的につき合うところまでいかなければ、話し合いでやったなら私、監事意味がないと思うのです。だからきのう大臣答弁では観念的につき合うのではないとおっしゃったのですが、話し合いでいろいろの監査をやる、こうおっしゃることなんですか。
  7. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この監事経営委員会任命するものでありますが、監事独自の見解において監査を行い、また経営委員会命令によって行うこの二つがあるわけであります。総裁、副総裁現行法律では経営委員会特別委員になっておりますが、これは普通からいうと放送法改正案で会長を経営委員からはずしてありますが、普通の行き方からいうと、執行部議決機関を兼ねておるというようなことは、少し形の上ではおかしい。これは電電公社という新しい制度ができたときの一つ考え方として、特別委員制度をとったわけでありますが、経営委員は七名でありまして、五名は公社以外の方が経営委員をやっておるのでありますから、監査制度というものに対して敬虔な気持で、また明確に事業執行機関と分けるということを、総裁あるいは副総裁特別委員であるからといって、その間のことがわからないわけではありませんから、自分と全く相反する立場に立つところの監事の任免に対しては、他の五人の意向が強く表明せられてきめられるということでありますので、現行のままで総裁総裁特別委員としておいた場合でも、経営委員会が任免しても支障は起らない、こういう考えであります。
  8. 光村甚助

    光村甚助君 もう一つ伺いますが、私はほんとう監事制度を設けるのだったら、やはり独立した監事制度を設けなければいけないと思うのです。もう一つ監事のもとに手足となるものは今の監察ですか、の連中をこの下につけて仕事をする、こうおっしゃるのですが、そうすると今いる監察をやっている人たちは、ほとんどこれはもう公社総裁任命するのですね、公社総裁や副総裁理事がタッチして任命する職員経営状態監査をやれといったって、やはり総裁や副総裁任命されたら、気にいらない監査なんということは私はできないと思う、実際上。そういう意味から私は監事制度を作られることは一つ意味ないじゃないかと思う。だから私この面ではあまり賛成いたしかねるのですが、あくまで大臣は、こういうものをただいま作っておいた方が現状よりいいというお考えでありますか。
  9. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在は他の公社及び日本放送協会等公団協会等も、みな監事制度がございます。日本電電公社だけが内部監査機構だけでやっている、これは内部監査機構は今監査局でありますが、監査局が、そのまま全部監事のもとに下部機械的になるのではありません。このうちの少数の諸君を、電電公社職員の身分のままでありますが、経営委員会に席を移しまして、監事下部機構として別の意味監査を行うということでありますので、今のNHK等でも、NHK職員でありますが経営委員会に席を移して、経営委員職務を担当している者もあります。しかしこれは総裁と副総裁任命権を持つものでありますし、あくまでも協会または公社職員でありますから、経営委員会下部機構であるところの職員監事下部機構になって、あまり総裁及び副総裁をいじめるようなことをやると将来うまくない、栄転もさしてもらえない、とんだところで江戸のかたきを長崎で討たれるということもあるんじゃないかというようなことも考えられますが、現在の段階においては第三者任命で、全く公社利害相対するような立場の明確な監事制度を必要とするくらいに、電電公社経営が悪いわけじゃないのでありますから、せっかく公共企業体等審議会からは、第三者任命の全く別な権力を持つ監事制度の必要であるという答申がありましたが、私は電電公社経営状態の良好な状態にもかんがみまして、経営委員会任命監事でも足りるという考えに基いて経営委員会任命にしたわけでございます。
  10. 久保等

    久保等君 この際大臣に若干御質問いたしたいと思うのですが、最初に日本電信電話公社における経営委員会の問題について、どういう一体大臣はお考えを持っておられるのか。経営委員会というものをますます今後十分に、この制度というものをまあ育成といっては語弊があるかもしれませんが、まあ少くともあまり昔はなかった一つ制度だと思うのです。公社企業というものの運営については、やはりまあ経営委員会といったようなもので最高の意思決定、すなわち方針等を決定して公社事業そのもの自主性を十分持たせ、また企業性も持たせてやっていこうという意味から考えると、経営委員会の性格なり責任というものは、実は非常に重い委員会だと思うのです。ですからこれを将来どういう方向に持っていこうという考えを持っておられるのかどうか、あり方について一つ御所見を承わりたいと思うのです。
  11. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答え申し上げます。経営委員会及び委員制度は、御承知の通り戦後新たにできた制度でありますが、私は電電公社制度を今考えますときに、公社形態はこれでよろしいという考えであります。でありますから経営委員会制度に対しても、これを強化するという意思もありませんし、また弱化をしようといったような考えもございません。先ほども光村さんに申し上げましたが、法律あり方等に対しては総裁、副総裁特別委員として経営委員会に入っておる、両棲動物のような状態じゃないかというような御意見もありますが、これはしかし戦後の新しい機構であって、新しく官庁機構から公社形態という幅のあるやり方をとろうとした新しい制度でありますので、現在のままで総裁、副総裁経営委員会から除こうというふうにも考えておりませんし、経営委員会機能は現在までは相当良好に発揮をせられておりますし、特に国鉄のように執行機関である理事にも第三者が入るというようなことではありませんので、経営委員会執行部である総裁、副総裁意見の対立をすることもなく、非常に混然一体となって業績をあげておりますので、現在のところこの機構改正しようというような意思は全くありません。
  12. 久保等

    久保等君 そうすると、経営委員会というものは電電公社にとってふさわしい制度だという考え方を持っている関係上、これをどうこうまあいじらなけりゃならぬという必要性は感じておらないし、従って現行制度でけっこうだというようにまあお考えになっておる、というふうに理解してよろしいわけでございますか。
  13. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) よろしゅうございます。
  14. 久保等

    久保等君 それで、続いてお尋ねしたいと思うのですが、今の経営委員会委員というものは、これは無報酬に実はなっておるわけであります。まあNHK経営委員会の問題については、これはまあ放送法の問題に関連するのだが、今度の政府提案改正案によると、報酬をやはり支払っていくべきじゃないかというようなことで、政府の方では提案せられておるようですが、電電公社経営委員会委員に対してのその問題については、一体どういうふうにお考えでございますか。
  15. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 原則的には実費弁償だけではなく、職務重大性にかんがみまして、少くとも報酬を受けることができるというふうにすべきだと考えます。私もこの法律改正案に対して、特に放送法との関係がありますので、報酬を受けることができるというふうに規定しようといたしました。なお公共企業体等審議会におきましても、審議の過程において委員報酬を受けるものとする、もしくは受けることができるということにすべきである。そうでないと有名無実なものであって重い責任を遂行せしめられないということで、もう当然に報酬規定を設けるべきだという意見がありましたので、私も考えたのでありますが、これは郵政関係だけではなく各種委員会がありますので、そういうものの給与体系、また非常勤委員給与を受くべきか、実費弁償の限度をどうすべきかという問題については、近い将来に総体的に研究をしてきめなければならぬ段階である、というような閣議の話もありましたので、今日の段階では現行のままといたしたわけであります。
  16. 久保等

    久保等君 大臣の御答弁で、各種委員会があるので総合的に考えなければならぬというお話もあったのですが、しかし各種委員といってもこの経営委員会的なものは私はたくさんはないと思う。たとえば国鉄における問題としては鉄道建設審議会というものがある、これは今の電電公社等における経営委員会とはおのずから仕事といいますか業務といいますか、権限の範囲がきわめて限定せられていると思うのです。ところがこれもたしか有償だったと思うのです、鉄道建設審議会委員には報酬が与えられることになっておるはずだと思うのです。そういう点なども考えますと、NHKの問題については現行では全然報酬を出さないということになっておりますが、しかし政府としては今回の改正案等によると、何とか一つその点を改正しようということで法案の準備もされて、国会に出されたような経緯があると思うのです。特に経営委員会というようなものは、法律の中に盛られております業務といいますか仕事内容というものは、これは非常に広範でもあるし、同時に非常に重要な責任を持たされておる。従って私は制度建前からいっても、そういったものを無報酬でやれと、しかし責任とまあ非常にその何といいますか重荷ばかりはかけるけれども、しかしそれに対する反対給付というものは全然考えられなかったということは、そもそもがその制度自体ほんとうに生かして使おうとしていられないのか、まあ疑問を持つような結果にもなると思う。やはり重大な責任であり、非常に重要な仕事をやってもらおうということであれば報酬は出すべきじゃないか。ただその場合私は考えなければならぬことは、電電公社の場合もそうですが、やたらに著名人ばかりを並べて経営委員任命している。まあ看板だけでできる仕事ならそれでもけっこうだと思うのですが、しかし少くとも法律に定められたような仕事あるいは業務内容を、責任をもってやってもらうということになれば、とてもやりきれるような立場ではない。それこそ何十かあるいは百にもなるかもしれませんが、それに何だかんだ仕事を持っておられるような人を経営委員任命しておる。こういうことでは経営委員会としての十分な機能を発揮することはできない。私の申し上げるのは何でもそういう名さえ連ねたら報酬をやったらいいじゃないかという考え方ではなくて、実際仕事もやってもらう、責任をもってやってもらうが、同時にまたそれに対する反対給付も十分に考えていくべきじゃないかという考え方に立っておるわけです。ところがこの点現在の運用状況を見ると、なるほど天下に著名人ではあるかもしれないけれども、果してその人が仕事のやれる時間をさけるかどうかということを考えると、非常に私はほとんど不可能ではないかと思われるような人を任命せられておる、というような実情にある。ですからこの人の問題についても、もう少しやはり実際時間もさき、仕事もやり得るような人を任命する。片方においては同時にそれに対する報酬もとにかく妥当だと思われるような程度の報酬は出すというふうにすべきじゃないか。特に公社の方はこれは運用の問題です。それから給与その他の問題は制度そのものを変えなければならぬと思うのですが、こういった点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  17. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 非常に有益な御意見でありますので、慎重に考慮いたしたいと思います。
  18. 久保等

    久保等君 それからあるいはもうすでに問題になったかと思うのですが、この改正案によりますると、第二十六条中「「副総裁又は理事」を「監事」に改める。」という改正案が出されているのですが、これはどういう経緯ですか、御説明願いたい。
  19. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは「公社総裁との利益が相反する事項については、総裁は、代表権を有しない。この場合においては、経営委員会は、副総裁又は理事のうちから、公社を代表する者を選任しなければならない。」というふうになっているのですが、総裁にかわって副総裁理事というものは同じ責任の系列の中にあるものでございますから、そういう人が代行してやるということは不穏当であります。そういう意味で、経営委員会監事の中から公社を代表する者を選任しなければならない、こういうふうに書いたわけであります。
  20. 久保等

    久保等君 これはどういう場合が予想されますか、具体的に。
  21. 松田英一

    政府委員松田英一君) こういう例はほとんど実際問題としてはない、今までも起っておりませんし、まああまりないと思うのでございますが、たとえば公社土地でも買う、それがたまたま総裁が持っておるような土地であったという場合には、その総裁の持っておった土地公社が買うという意味において、利害が相反する立場になるものですから、そのときには代表者として総裁じゃなくて、別の者が出てその問題を取り扱う、強いて例をあげればこういう場合なんかがあるいはあるかと思います。
  22. 久保等

    久保等君 だからその場合の利害が相反するというのは、総裁個人、何の太郎兵衛利益と、それから公人というか総裁としての立場とは相矛盾する場合じゃないかと思いますが、そうじゃないですか。
  23. 松田英一

    政府委員松田英一君) その通りであります。
  24. 久保等

    久保等君 それならば何の太郎兵衛という総裁は、事その問題に関しては、公社を代表することは適当でないということになるのは当然だと思う。それならば、これは総裁事故がある場合と同じようにみなして、当然その場合には副総裁、あるいは副総裁事故があるというのなら理事というようなことで、現行の副総裁理事で十分に代理できる、またそういう建前で現在の公社制度そのものが私はでき上っていると思う。会社なんかの場合でも、もし社長の本来の公的な任務と社長個人利益が相反する場合には、副社長がおるなら当然副社長が代理するでしょう、副社長が適格でないというのなら理事がやるでしょう。もし総裁、副総裁理事全員公社利害が相反するという場合があるなら、この場合にはそれこそ監事あたりをかわりに総裁というか、公社代表権を持たせなければ処理ができないと思うのです。だけれどもそうじゃない、総裁だけの問題の場合に、いきなり監事にやらせるというのは一体どういうことですか。
  25. 松田英一

    政府委員松田英一君) 今までは実は監事がございませんでしたので、こういう格好になっておったのでございますが、最近の立法例におきましては、専売公社住宅公団、日本開発銀行、国民金融公庫等、すべて監事をもってこういう場合に代表させるというふうに取り扱っておりますので、その例によりまして今度監事を置きました場合に、監事にそういった仕事をさせるというふうにしたわけでございます。
  26. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは例は非常に少いと思いますが、この条文の趣旨が、公社総裁との利害相対する場合ということにしぼられておりますから、この場合副総裁及び理事が代表することは不適当だと思います。なぜかと申しますと、副総裁理事総裁指揮命令の系統の中にあるものでございまして、総裁とはこれこそほんとう公社の中にあっては一体になって働いている者であります。そういう意味からいって、総裁公社の場合の問題を解決するには、できるだけ第三者的な色彩の強い者がいいということが、これは合理的であることは間違いありません。でありますから、総裁が欠けた場合、総裁事故ある場合公社を代表するのは副総裁であり、副総裁がまた総裁と同じ場合には、五人の理事の指名する上席の理事が代表するということで、社会通念上りっぱでありますし、何ら問題はございませんが、公社総裁個人としての間に利益相反する場合の問題を解決するのには、これはもう第三者的の色彩のある監事制度が新たに設けられる以上、監事をして代行せしむるのが穏当であります。
  27. 久保等

    久保等君 専売その他に例があるということですが、どういうふうに専売はなっておりますか。代表権制限はどういうふうに規定されているのです。
  28. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは調べてから……。あとの質問をどうぞ。
  29. 久保等

    久保等君 それなら私は専売公社洪を持っておりますから読み上げますが、第十四条代表権制限に「公社総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては監事公社を代表する。」というふうになっているのです。すなわち総裁だけじゃなくて総裁、副総裁または理事、これが公社利害相反する場合においては監事公社を代表する。電電公社法の方は、代表権制限現行の第二十六条ですが「公社総裁との利益が相反する事項については、総裁は、代表権を有しない。この場合においては、経営委員会は、副総裁又は理事のうちから、公社を代表する者を選任しなければならない。」というふうになっているのです。だからそういう点からいくと、これは専売公社法との比較においては問題にならぬ。専売公社の場合にはこれこそ、はっきり筋が通っている。総裁、副総裁理事、すなわち執行機関全員が結局公社との利害相反する場合においては、監事代表権を持つのだというふうになっている。これは私はよくわかるのだが、電電公社の場合にこういう改正をせられるのは、実は改正する場所が違ったんじゃないかと思うのですがね。
  30. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この法律通りに読みますと、私たちが今改正しようとするものよりも非常に強いのです。厳密に規定してあります。総裁、副総裁、各理事が全部公社利益相反する場合じゃないのです、総裁の場合でも、副総裁の場合でも、理事の場合でも、利益相対する場合は監事がこれを代行する、こういうふうになっておりますが、今度私たちが提案しております改正では、総裁公社利害相対する場合だけを監事が代行する。では副総裁や各理事所有物件公社が買う場合はどうか。その場合は総裁公社代表権を行使して差しつかえない、こういうふうな考えであります。
  31. 久保等

    久保等君 だから私は、この専売法のような規定の仕方ならば規定の仕方で、意味がわかるんだけれども、しかしこちらの少くとも電電公社法現行建前からいくと、総裁だけの場合において考えているわけなんです、公社法でいくとそうでしょう、総裁だけを。だからその場合に総裁といっても、その場合の利害関係というものは要するに個人利害関係、それと公人たる総裁との間の利害が相反する場合の問題なんです。だからそうだとすれば個人的な問題について、何もあたかも副総裁理事連帯責任があるかのような扱いをしなくても、そういう場合には、当然総裁にかわるべき副総裁なり、またそれにかわるべき理事なり、執行の問題については共同責任があるんです。ところが個人的な利害関係の問題についてまで、何かあたかも連帯責任があるかのような扱いをしているということは、これは体裁上からいってもまた実際問題からいっても、私はちょっと何か筋が通らないような気がするんですがね。
  32. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ちょっと見方が違う、見られる角度が違うからそういうことを言われるようですが、これは専売公社やほかの公社公団法律に比べてなまぬるいんです。そういうふうにお考えになってもらうとすぐわかるんです。ほかの方は監事第三者任命にしろというふうに、非常にはっきり筋を通そうとしておる、公共企業体等審議会答申にもあります通り、非常に筋を通そうということに終始しております。特に今あるところの他の専売公社でも国鉄でもその他のものも、電電公社監事等に対する任命の方法と比べていただくとすぐわかるんですが、運輸大臣認可をする、運輸大臣が指名をする、こういうふうに非常に強いんです。だからその公共企業体等審議会答申の線に沿って、非常に厳密に規定をいたしております。でありますから、公社総裁でも副総裁でも理事の場合でも、郵政大臣承認も必要としておりませんし、そういう意味では他の公社法等に比べると、非常に電電公社法はなまぬるく規定しておる。ところが私はこのなまぬるさでよろしい。ということは、手厳しく規定しておる他の公社は、電電公社に比べていろいろな問題を起しておりますが、電電公社は少くとも相当実績をあげておるし、私は現行公社のままで十分やり得る、こういう観念に立っておりますので、特に他の公社規定通りに厳密に規定する必要はない。こういう考えで、今度郵政大臣承認監事承認ということにしたのでありますが、それも衆議院で削られるならば、修正を受けてもけっこうでございます、というふうに明確にお答えしておるわけです。で、そういう思想に基いておりますから、専売公社等では、たとえば大蔵大臣任命する監事は、総裁、副総裁理事まで監事が代行するといっておりますが、電電公社に対してはそこまで規定する必要はない。副総裁及び理事と、公社利害相対する場合は、総裁公社代表者として、現在のまま職務を行なって一向支障がない。総裁公社の場合は、多少これは第三者的な立場から考えてみても、不穏当な感じがありますので、この場合だけ第三者的な色彩に近い監事をして代行せしむる、こういうふうに筋を通したのでありますから、そういう間の事情を一つ御了承いただければおわかりと思うんです。
  33. 久保等

    久保等君 ほかに何か、私その公団関係の方はよく知りませんが、今度の電電公社と同じような改正というか、改正しようとするのと同じような何か現行制度をとっているところがありますか。正確に一つ御説明願いたいと思いますがね。だから、専売公社法なり何なりにならったのか、どうかに先例があるのか、今、大臣の自己流に答弁せられるようなことでこれを作られたのかどうか。自己流なら自己流でまた御質問したいと思いますが。だから今度大臣のような考えで、新しく自信を持って出されたなら出されたでけっこうだと思うんですが、先例があって見習ったのか、そこらを一つはっきりしていただきたい。
  34. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 他の法律の例はあとからお調べしてお答え申し上げますが、今までの場合は、監事制度はほかの公社にみんなあったんです。電電公社だけなかった。ないので、答申案では、第三者から選任をするところの、全く別な監察制度を設くべし、こういうことでありましたが、私はそんなものは必要ない、そこまでやる必要はないというので、早手回しに、この程度の監事で十分であるということで私はやったわけなんです。でありますからざっくばらんに申し上げると、郵政大臣は、何で一体こんな監事制度を設けたのかと、こういったときに私は端的に答えますと、このままの制度にしておって、答申案の線に沿って、次の国会でいろいろなものを直そうということになりますと、やはり答申の線に沿って第三者任命ということが出てくるので、そういう必要は、私は現在のところ認めないので、まあこの程度のものを早手回しに出しておく方がいいだろう、という考えに基いてやったのであります。でありますから、総裁代表権監事が代行するということは、全くこれは一つの救済規定でありそんなに大きな問題じゃないんです。これは自動的に起ってきた問題です。
  35. 久保等

    久保等君 この問題は、そんなに始終あり得る問題じゃないし、おそらくないだろうと思います。ただ、ないことが望ましいと思いますが、しかし全然ないかといえばそうでもないだろうということで、いわば万が一の場合の措置規定だと私は思うんです。だからそういう意味でいけば、始終行われる問題でないから、軽いといえばその点では軽いだろうと思います。しかしただ私、どうもすっきり理解できないのは、専売公社なんかの場合に比較すると、こちらの方がゆるくできておると言われる。これは法文をよく読むと、むしろこっちの方がきついんです。それはなぜかというと、今度改正しようという建前からいくと、理事や副総裁公社利害が相反しなくても、とにかく総裁だけが利害相反すれば、もう代表権というものは持てないんだという建前になっておる。自分そのものは……
  36. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 考え方が全然逆です。
  37. 久保等

    久保等君 これは理事そのものの個人利害でも、公社とは相反しない場合でも、いわば他人です。他人の総裁利害相反するということになれば、もう自分そのものは公社代表権はない。そうして、もう監事がかわって代表権を持つということになるんです。そういう建前になっているんです。ところが専売公社法の場合には、これはもう明らかに代表権のない場合が規定されているんです。まあ明記されているんですから、だから理事そのものが、やはり公社利害が相反しなければ、これは当然代表権を持っている。反する場合に初めて監事公社を代表するという形になる。だからその点からいくと、理事あるいは副総裁が、利害関係については、何ら従来と変らない、利害関係が相反しない状態の中でも、代表権のない場合があるわけなんです。それはそうですよ、そうなると思うんです。要するに、理事なり副総裁なりが、利害関係相反しなくとも、総裁利害関係が相反しただけで、代表権がなくなるという建前になっていると思うんです。
  38. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは法律の読み方が違うんです。そうはなっていないんです。いわゆるこれはもう立法論で、法律論ですから、簡単にこれは断ち割れる問題だと思うんですが、専売公社の問題は、総裁公社の間の利害相対する場合はもちろん、副総裁公社の問の利害相反する場合ももちろん、それから各理事のうちの一人が公社利害相対する場合も、理事及び副総裁を含めて、監事はその職務を代行できる、こういうふうに規定してあります。この法律の場合はそうじゃなく、理事や副総裁公社利害相対立する場合があっても、総裁公社代表権を持っておるのでありますから、総裁が、その紛争は総裁責任で解決をしてけっこうだ、紛争ばかりじゃなくいろいろな問題を処理してよろしいから、その場合は監事が代表する必要は認めておらないのであります。でありますから、総裁公社が全然利害相反する場合というのは、総裁が持っているところの——民間人から総裁になるのがたくさんありますから、その持っている工作工場を公社が買わなければいかぬというような場合は、これはもう利害相反するものでありますから、そういうものに対しては、第三者色彩を持つ監事総裁職務を代行してこの問題を処理して、そうして処理が終ったら、監事は解任されて、総裁がまた代表権につくと、こういうことを規定したのでありますから、副総裁理事までが全部総裁一体となって、利害相対立した場合というようなことでは全然ありません。
  39. 久保等

    久保等君 いや、それはね、電電公社の場合においては、副総裁なり理事利害が相反しても、総裁利害関係が相反しなければ、これは総裁は依然として公社を代表してやり得る、こういうこれは建前になっている。これはその通りだと思う。片方の方は、総裁、副総裁利害関係が相反した場合には、理事がやり得ることになっているのです、専売公社法の場合は理事が。しかし、だがこれは「又は」となっているのですよ、「又は」となっているのです。ですから、総裁と副総裁利害関係相反した場合は、理事がやれるようになっているのです、専売公社の場合においては。だけれども、総裁また副総裁、また理事利害が相反した場合において、初めて監事が代表するというふうになっているのですよ。
  40. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そうじゃないですよ、監事ですよ。
  41. 久保等

    久保等君 いや、監事代表権を持つ場合はですよ、持つ場合は、「又は」ですよ、「又は」があるのですよ。ほら、大臣よく見てごらんなさい。もう少し法文をよく見てから答弁して下さい。
  42. 松田英一

    政府委員松田英一君) その点は、これは「又は」と書いてございますのは、総裁でありましても、副総裁でありましても、また理事でありましても、それぞれの場合にだれかが利害が相反する場合には、全体として利害相反するということでなくて、個々のその利害の相反する人が代表権を持たないということで、監事がやるという規定でございますので、こういう規定の仕方になっておりますのは、実は一つは、規定の仕方の問題から言いまして電電公社の場合には、代表権総裁だけが持っているという規定の仕方になっております。ところがほかの法律におきましては、それぞれのそのもとのところの規定に、代表権総裁のみならず副総裁が持ち、あるいは理事が持ち、というふうに代表権をそれぞれが持つような建前に書いてあるわけです。そこでその代表権をそれぞれの場合に失わせるというような意味で、全部羅列してあるのでありまして、公社の場合は代表権総裁だけが持っている。ほかの人が代表権を持つという規定はどこにも書いてないのであります。そういった関係上、こういう規定の仕方になってきているわけであります。
  43. 久保等

    久保等君 なんですか。副総裁総裁事故ある場合に代表権はないという解釈ですか、その電電公社の場合には。総裁がもし事故あるような場合、代表権は、副総裁なり、理事というものは代表権がないという、今のは御説明ですか。
  44. 松田英一

    政府委員松田英一君) 規定を一応対照して申し上げますと、たとえば専売の場合でございますが、専売の場合で申し上げますと、こういう書き方をしてございます。これは第十一条にございますが、「総裁は、公社を代表し、その業務を総理する。副総裁は、総裁の定めてるところにより、公社を代表し、総裁を補佐して」云々それから「理事は、総裁の定めるところにより、公社を代表し、」云々ということを一々断わってあるわけでございます。ところが公社法の場合におきましては、二十条の第一項で、「総裁は、公社を代表し、その業務を総理する」ということが書いてございまして、あと副総裁理事につきましては、一々「代表し」ということをここで書いてないわけでございます。そこでその点のまあ平仄を合せまして、片一方の方は総裁だけにし、片一方の方は「代表し」ということが書いてあるものですから、全部を一々書き上げてある、こういう格好でございます。
  45. 久保等

    久保等君 いや、それは若干言葉の表わし方の差の問題はいいのです。ただ問題は、副総裁なり理事は、それぞれ一段上の責任者が事故がある場合に、代表権があるのですか、ないのですか。
  46. 松田英一

    政府委員松田英一君) それはその職務を代行することによって、初めて代行するということに基いて出て参るわけでございます。
  47. 久保等

    久保等君 専売の場合だって、代表権というものは、総裁と副総裁が並んで代表権を持っているという解釈があるのですか。
  48. 松田英一

    政府委員松田英一君) 並んで代表権を持つ場合があるわけでございます。
  49. 久保等

    久保等君 その場合というのはどういう場合ですか。
  50. 松田英一

    政府委員松田英一君) それは総裁が、たとえば何と申しますか、「総裁の定めるところにより」と、こういうことを書いてございますので、総裁がこういう場合に副総裁に代表させるということをきめれば、その場合においては、副総裁の名において公社を代表するという権限が出て参るわけでございます。
  51. 久保等

    久保等君 だから、まあそれは委任したような場合だとか何かの場合には、これは代表権ができるとか、それからかりに個々の委任をしなくても、総裁の定めるところにより委任されたような場合に、副総裁がやはり総裁にかわって公社を代表するということになると思うのです。だからいずれにしても、委任関係という問題が、規定か何かによる委任であるか、個々の問題について委任するかどうかは別としても、そういう権限授受の関係がやはりあって、初めて公社を代表するということになるのですよ。従ってほんとう総裁にかわって代表するという場合には、やはりそこに何かの事故があるか何かでなければ、副総裁公社を代表するという場合は私はあり得ないのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  52. 松田英一

    政府委員松田英一君) これは少し法律論めくと思うのでございますけれども、たとえば同じこういった代表するという規定があります場合には、副総裁の名においてやれる場合が多い。その場合、副総裁の名においてやっても、それは公社を代表するということになるわけでございますけれども、片一方の場合には、副総裁の名においてやるというよりも、むしろ代表権総裁というものにあって、その総裁にかわってやるといった場合がここに出て参ります。その場合は総裁にかわってやる場合だから、従ってかわって代表することもできるわけだ、こういった解釈になるわけでありまして、その間法律的に同じと言えば同じ、ニュアンスが違うと言えば違うという感じで、もう結局法律規定の仕方が両方違って、事実上違ってきているということになると思います。
  53. 久保等

    久保等君 まあ、言葉の表わし方のニュアンスは確かに私はあると思うのです。しかしほんとうに権限そのものについて、それならば電電公社の副総裁は、専売公社の場合の副総裁との間に、権限の範囲なり性格なり、そういったものに差があるとお考えになっておりますか。ないとお考えになっておりますか。
  54. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは法律的には明確にあります。これはもう一般論でおわかりだと思うのですが、定款できめた場合は会社、法人を代表する人は何人でも作られるのです。社長がそうでありますし、専務でもあるいは取締役でもこの会社を代表すると、こういうふうに定款できめれば、代表権は全部行使できます。これは社長であっても、専務であっても、取締役であっても、会社を代表することに対しては全然法律上は違わないのであります。ただ指揮命令系統が違うというだけであります。この専売公社法は、もう明確に総裁公社を代表する、副総裁総裁の定めるところによって公社を代表することができる、それから理事総裁の定めるところによって公社を代表し、と明確に書いてありますから、総裁が代行権を発動する、総裁代表権を指定すれば、理事及び副総裁公社を代表した行為がなし得ます。しかし電電公社法によりますと、総裁事故ある場合は副総裁がこれにかわる、副総裁事故ある場合は理事がこれにかわるというのであって、全然これは法律的に違うのであります。だからニュアンスが違うといえばこれは完全に違うのでありまして、この専売公社法の十一条をお読みになってもおわかりになる通り事故あった場合、欠けた場合の救済規定は両方とも同じく書いてありますが、それと全く、民間会社における各取締役に定款によって代表権を認めたと同じ規定専売公社法にありますので、電電公社法はその意味では、公社を代表するものは原則として総裁一人にしぼられておるというところは全然違います。
  55. 久保等

    久保等君 大臣非常に断定的な御説明をされておるのですが、それならば専売公社法に定める副総裁は、総裁の定めるところによるという、その総裁の定めるところによるというのはどういうことを指しているのですか。どういう内容ですか。内容を御存じですか。どういうところを定めているのですか、実際問題として。
  56. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは現在の法制の建前では、総裁がおりますときに、郵政省と公社との間に簡保の借入金を行う、その場合現在の公社法建前では、総裁事故がなければ総裁以外の副総裁理事郵政大臣との間に署名を行うことができません。法律的には明確であります。でありますが、この専売公社法によっては、総裁郵政大臣との間で、郵政省から簡易生命保険の金を借りる場合は、この公社を代表する署名人は副総裁を充てるということになると、副総裁で署名ができます。それから経理担当理事をもって専売公社を代表せしめる、こういうふうに総裁が命じれば理事で署名ができ、法律的対抗要件がそろう。こういうことでありますから、法律的には明確な区分があるということであります。
  57. 久保等

    久保等君 だからそういう解釈は成り立つと思うのですが、ただ私、だからお尋ねしているのは、現実に専売公社の場合には、総裁の定めるところによるというのは、どういうきめ方をしているのですか。今言われるようにこういう形になっておると、じゃそれなら相手方の方は果して副総裁専売公社を代表しておるのかどうかということについて、何らかやはり委任状か何かあればこれは問題ないのです、そんなものは。それからまた第十一条第二項にいう「総裁の定めるところにより」、とにかくこの副総裁にこういうことをやらせるのだ、何かそういった第三者の確認し得るようなものがあれば、これは別に問題ないと思うのです。この定めるところによっているのかよっていないのか、第三者はどういう方法で確認しますか。
  58. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは第三者が確認をするというような問題じゃないのです。こういう規定法律的対抗要件としてそろうかどうかという問題でありますので、電電公社法の場合は、副総裁郵政大臣との間に調印をしたものは法律的には無効である、効力を発生しないということでありますが、少くともこの日本専売公社法によって明確に十一条で規定しておるところの、理事及び副総裁が調印をした場合代表権を有する者、総裁が指定した代表権を有する者の調印は、法律的には全く争う余地のないほどこれは明確なものであります。
  59. 久保等

    久保等君 だけれどもね。これは規定からいうと、総裁の定めるところによるのだから、定めるところによらなければこれは代表権がないわけなんです。だから包括的に一切がっさい副総裁というものは総裁と同じ権限を持っているという規定はない、これは、少くとも。だから何らかの形で限定、権限というか、それとも具体的に何か規定するか、実際問題として定めはどういうように定めているのですか。御存じないですか、専売公社……。
  60. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは専売のことですから私としてはちょっとわからないです。
  61. 久保等

    久保等君 だからあなたがいかにも法律解釈上当然そうなるかのような説明をせられるから、それなら一体ないならないで、総裁のこういう、かようかくかくの場合は副総裁公社を代表するとか、何かしかし定めがあるはずなんです。全然なくてもいいという考え方ですか。この総裁の定めるところによるというのは何か定めがあるのじゃないですか。
  62. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは普通の常識論から言えば、代表する場合のことを規定している内規があるかもわかりません。(久保等君「何もないということはない。」と述ぶ)しかし法律的には総裁が随時行う、こういうふうに読むべきであります。
  63. 久保等

    久保等君 若干議論が横へそれているんですが、元へ戻しますが、問題は副総裁には代表権があるかないかという話からだいぶ議論が発展したんですが、少くとも電電公社法の場合には代表権がないというような、監理官の先ほどちょっと御説明だったようなんですが、私はしかしそうじゃないと思うんです。事故のある場合は、これはもう明らかに明記されているんですから、これは代表権があると思うんです。だからそういうことになってくれば、利害関係相反する場合、これはもう広い意味では事故があるとみなされ得るかもしらぬし、かりに事故とみなさないにしても、私は総裁個人利害関係公社利害と相反する場合に、そのことが直ちに副総裁なり理事の不適格性にまで影響がある、また影響を持たせるという考え方は、これはちょっと常識的になり立たぬと思うんです。どうですか、その点。
  64. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは議論になりますから、あまり議論をしたくないんですけれども、これは常識論なんです。でありますから、少くとも社会党の諸君の懲罰事犯があるようなときは、これはできるだけ自民党の委員長、自民党の諸君の懲罰のときは社会党がいい。これは世間通例のものでありまして、とにかく総裁公社利害相対するものです。先ほどの議論では、総裁、副総裁特別委員である経営委員会が、利害相反する立場にある監事任命をするのもおかしいじゃないか、という議論さえあるんですから、そういう趣旨から言いますと、少くとも総裁公社利害相対する場合に、第三者的な者をもって代表せしめるというのは、これは常識論であって、それは監事という制度がない場合に、理事とか副総裁がこれに当るというふうに救済規定があるのは当りまえでありますが、監事というものは、新しく法律改正によって作るのでありますから、作れば副総裁や、理事総裁職務を行うよりも、行なってもより一向違法性はありません。ありませんが、妥当性の問題でありまして、妥当性がよりいずれにあるかというと、第三者色彩の強い監事が代表するのが好ましい、こういう意味監事代表権を与える、こういう意味であります。
  65. 久保等

    久保等君 大臣の説明を聞いておっても、何かいろいろな説明をせられているのだが、総裁、副総裁経営委員会特別委員になっているんですからどうとかいうこじつけをしているんですが、そういうことを言われると、何も理事経営委員会のメンバーじゃないんですよ、そうでしょう。あなたの言われる、総裁、副総裁というものは経営委員の一員なんだ、その経営委員会任命する監事との関係なんかを考えると、あなたは、総裁あるいは副総裁がいわば利害関係相反する場合には、監事をしてやらせるのだとか、何だとかいう御説明をされる、特別委員であるのは総裁、副総裁なんですと、そういう何かあなたが余分な御説明までされると話が少し脱線するんだけれども、もう少し簡明に。
  66. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それはあなたがおいでにならないときに、光村さんから、監事というのは第三者構成が正しいのだ、筋を通すということで、そういう御議論もあったのでありますから、そういうアイデアから考えても、第三者色彩の強い者がより妥当性がある、こういうふうに申し上げたのであります。
  67. 久保等

    久保等君 大臣の説明している説明はわかりました、言われることは。が、しかし僕の質問しているのに対する明確な答弁にこれはなっていないんです。私は先ほどから何回も繰り返しますから、三たびも四たびも繰り返しませんけれども、しかしもう明らかにこれは総裁個人利害電電公社の公益と相反する場合に、一体どうするかという問題なんです。その場合にいきなりこれを監事にまで持っていってしまう。これはもう理事総裁を含めて、全員もう公社代表権はないのだという考え方制限をしてしまうというのが改正の趣旨なんです。
  68. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはもう法律形態ですから、そういう意味で、あまりこれが何か別のニュアンスを持つものだというふうにお考えになっていただかないで、これは一つさらっと読んでいただくとよくおわかりになると思います。総裁公社利益相反する場合、その監事という制度がなければ、これは理想的にいうと、全く第三者の決定に待たなければ買えない。これは、民間企業におきましては、重役の身分を持つものは買収できない、重役が、会社を代表する人が、過半数の株を持っている他の会社とは下請関係を結んではならないというふうに非常に強い規定もあります。だから、そういう考え方から考えますと、総裁公社利害相反する場合は、その事件の処理に当っては、監事が代表してその問題を処理する、こういうものの考え方でありますから、そのときには、もう総裁代表権も何もなくするのだというふうには考えられないのです。たとえば、この条文には明確に、総裁公社利害相反する場合のみに限って監事職務を行うというふうになっておりますから、誤解なさらぬようにお願いいたします。
  69. 久保等

    久保等君 誤解でも何でもないので、専売公社法関係と比べてみても、これは、先ほどお話があったように、なるほど言葉の表現はニュアンスがあるにしても、表現の制限の問題については、これはもう明らかに、規定の仕方がこれは違っている。これはもう明らかに。だから、もし専売公社法と似たような形にしようというのなら、現在の専売公社法と同じような形にして、それでその前に、全員、執行機関というものが利害関係が相反する場合には、これは監事公社を代表させるというふうにすれば、これは非常にすっきりというか、非常に常識的によくわかる表現なんです。ところが、今度の電電公社法の場合におけるような改正にしておいて、それで、今の大臣の御説明せられるようなことが非常に常識的なんです、こう言われるけれども、私は、むしろあまり常識的な規定の仕方じゃないと思います。まあしかし、これ以上やりとりしてみたところで若干見解の相違になるでしょうししますから、私は控えますが、誤解とか何とかということじゃ決してない。
  70. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記とめて。    〔速記中止]
  71. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記つけて。
  72. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど来光村あるいは久保委員から質問がありましたのですが、私が今大臣に御質問申し上げて、もし重複しておりましたら、時間の関係上御答弁要りません。  まず第一に、今回の電電公社監事制度を設けるという理由が、電電公社が今度第二次五カ年計画をやる、今膨大な仕事をやるのであるから監事制度を設ける、こういう大臣の御説明があるわけです、提案の理由として。そういたしますと、昭和二十八年に電電公社が発足して、今日まで満五カ年間これだけの膨大な仕事を行なってきて、しかも、会計検査院からも批難事項として指摘されたものが実はありましたけれども、しかし、その質においては、そうは悪質な批難事項というものは今日まで出なかったのです。なぜ新しく監事制度というものを設けなければならぬのか。ただ五カ年計画で非常な膨大な仕事になるから、監事制度を設けるということの理由は、若干どうも薄弱のように思えるのですが、そこにやはり、今回の大臣の人事上の都合によって監事制度を設けるのじゃないかというような、こういう風説もあるのです。大臣一つ正直なところをお伺いしたいと思うのです。
  73. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 理由を簡明に申し上げますと、おおむね三点ございます。  その一点は、公社、他の公社だけではなく、日本放送協会、それから公団等、その後立法せられた組織においてさえも、監事制度は明確にみなあります。あるだけではなく、他の公社等は、所管大臣の、総裁、副総裁理事まで、承認を得なければならない、もしくは大臣がこれを任命する、非常に強いものがございます。でありますから、電電公社は、総裁、副総裁理事に対しても全然そういうものは考えておりませんし、また規定もございません。また監事もその程度を出ないのであります。そういう意味で、他の公社その他にもみなあるのであります。特に特殊法人さえもあるのでありますから、こういうものは必要であるというものが一つあります。  それからもう一つは、今あなたが申された通り、非常に大きな第二次五カ年計画、第三次五カ年計画というものをやらなければならない、電電公社の信用をより高めなければいけないという考えでありますし、あるいは電電公社は非常によくやっております。批難事項においても少いし、他の公社に比べては、さらにりっぱな実績を上げております。上げておりますが、経営委員会仕事をきめて、総裁、副総裁がこれを執行するというのでありますが、経営委員会執行状況の監査、そういうことを行う機構が全然この法律には抜けておるのであります。そういう意味で、経営委員会は、自分がきめた仕事がどう行われており、将来の問題に対してどういうふうな考え方をしなければならぬかということを経営委員みずからやるのも一つの行き方でありますが、七人の方々だけで、特別委員の方を除けば五人で、できるわけではないのでありますから、より完璧を期するために、少数の事務局を持つための監事を置きたい、また置いた方が合理的だ、これが二点。  もう一つは、この前に答申をされました公共企業体等審議会答申によりますと、こういう機構に対しては、監事制度監察機構監査制度式的なものが必要である。しかもそれは、全く第三者任命第三者の権力に属するものが必要であって、事務局も、公社執行部とは全然別なものが必要であるということを明確に答申したことは、御存じの通りであります。私は、この答申の筋の通った考え方はわかります。わかりますが、過去の電電公社の実績に徴して、電電公社は、これ以上がんじがらめにしなくてもりっぱにやっていける、こういう考えであります。やはりこのままにしていくと、やはりある時期には、答申の線に沿って、また監事制度監察制度を設けられるという情勢にあることはやむを得ないことであります。まあ非常に率直な議論になって申しわけありませんが、私は、電電公社の監督の衝に当る大臣として考えますときには、これ以上電電公社が幅が広くなることはいいのですが、がんじがらめになるようなことはなるべく避けたい。しかし、全然設けないということでもって避け得ろかということには疑問がありますので、まあ少し早目に手を打って、この程度の監事制度を作ろう、この程度の監事制度を作ることによって、形式的にもまた実際的にも機構が完備するということであるならば、少くともこの監事制度ができてから何年間は、新しい監察制度等を第三者的に作る必要があるというような議論が出て参りませんので、そういう意味からも、一歩先んじて監事制度を作ろうと、こういう考えに基いておるものであって、郵政省に人が余っておる、それをやろう、やるために監事制度を作ったものであるということでは絶対にございませんから、御了解を願います。
  74. 山田節男

    ○山田節男君 この法律案によりますと、監事経営委員会が任免するということになっておりますね。そういたしますと、総裁と副総裁は、これは経営委員会の同意を得て内閣が任命する。そういうふうにいたしますと、監督される側の総裁、副総裁監事というものを地位上から見ると、これは何といいますか、内閣の任命じゃなくなったのですから、大臣任命じゃないのですから、監事は。そういたしますと、この監査監察機構責任者、実際問題として、しかも総裁、副総裁特別委員で、経営委員会のメンバーになっている、その付属機関としての監事というのです。一体どれだけの実益というとおかしいけれども、つまり実権を持った監察ができるかどうか。  それから、もう一つ考えなくちゃならぬことは、経営委員会公社の七人の経営委員会、これはなるほど有能な人がおります。りっぱな人がおりますが、これは、NHK経営委員会におけるがごときことは言えないかもしれませんけれども、とにかくこれはまあアクセサリー的なもので、実際やはり総裁、副総裁がやるのだから、だから、そういうアクセサリー的な経営委員会の付属機関のもとに監事制度を置いて一体どれだけ監察機能を発揮し得るかどうかということに疑問を持つ。そうしますと、こういう経営委員会任命する監事というものは、従来自主的に電電公社でやっておった監察機構というもの、これと監事との関係はやはりどうなるのですか。
  75. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 本改正案によるところの監事と、今までやっておりました内部監察機構とは、全然別個なものでございます。現在まで行なっております監察機構は、総裁任命によって、内部機構としてあるのでありますから、自己監査であります。しかし、今度の監事は、これは経営委員会任命し、経営委員会任命された監事下部機構として少数の事務局を持つものでありますので、国会と内閣と会計検査院ほど非常に明確なものではありませんが、少くとも内部機構であるところの監査業務とは全然趣きの異なるものでありますというふうに考えます。
  76. 山田節男

    ○山田節男君 その監事の下部にある組織は、わずか十数名の書記を持っている。これだけ膨大な組織で、複雑な機構を持った電電公社監査をするということは、これは、実際もう人間としてでき得べきことじゃないと思う。資料を出せということでは、これは実際の監察にならない、実地に行って調査しなければならぬ。そこいらがどうも一種の飾り物的な、悪く言えば、大臣一つの人事のつぼを作ったんではないかというような、これは根拠があるかないか知りませんが、そういう風説があるということが、そうではないかという疑いを、私も疑いを持つ一員です。そうしますと、今大臣のおっしゃるような公社監事制度、これは全くデコレーション、経営委員会のようなアクセサリー、デコレーションの監事では、有名無実とは言えないけれども、デコレーションですよ、これは。一体公社が今日まで、五カ年間、公社としての経営をやったことについて先ほど申し上げたように、私も決算委員長として相当峻厳な監察をしました。多少の批難事項はありましたけれども、悪質なものはなかった。われわれこの公社を作るときも、あくまでこれは自主経営をやらなければならない、新しいこれは公共企業体の行き方をさせようというので、この公社を作ったわけです。ですから、専売公社法とか、あるいは国鉄の日本国有鉄道法よりも、かなりわれわれ伸縮性を持たした法律を作っている、その妙味というものは、今言うように、あくまでも独立採算でやるんだ、そうして何ら政府からも干渉を受けないで、フリー・バンドでやるんだ、そういう多大な期待と希望を持ってこの法律を作った。それを今度、大臣任命する監事制度を置くというような、これは修正されましたけれども、そういうアイデアが起るというところに、私どうもやはり、この公社という一種の国と民間との中間みたいな組織を健全に発達させる上からいいますと、やはりどうも、官僚がそれに干渉するという私は危険を感ずるわけです。ですから、その監事の下の十数名だけの機構で、今大臣がおっしゃるような監査監察機能は発揮できない。よほどこれは有能な人を置いて、局長級のものばかり十数名もおるとすれば技術的に可能ですが、どうですか。
  77. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 物の考え方としては、あなたと同じ考え方を持って参りましたから、この程度のものをもって済まそうとしておるんで、これは、電電公社そのものが、非常に今あなたが言われた通り、新しい思想を盛られた電電公社法であるということは私も認めます。で、これをがんじがらめにしようとは全然考えておりません。しかし、この監事の持つわずかの下部機構をもって、一枚々々伝票まで監査するということではないのであります。これは、内部機構として相当大きな機構を持つ監査機構がございまして、自己監査もやっております。なおそのほかに、行政管理庁の監査を受け、会計検査院の監査を受けておるんですから、そういう意味では、一般会社がいろいろな面の監査を受けると同じことであって、相当厳重にやられておりますし、特に非常に業績をあげておりますので、一枚々々伝票を繰るようなものを考えては全然おりません。ただ、経営委員会というものが、自分できめた意思がどういうふうに行われておるかということを監査もできないということであるのはおかしいのであります。経営委員会はアクセサリーというようなお話もありましたが、これは、私が申さなくても、官庁機構として、国会という国民的な意思決定機関があって、官庁の行き過ぎ、行政の行き過ぎを押えられるというような場合とは違いまして、電電公社は、電気通信省がそのまま公社という新しい形態になったのでありますから、しかも行政官庁、監督大臣のがんじがらめの監督を排除しようということになると、どうしても、合理的には、経営委員会のようなものを作らないで、野放しにするわけにはいかないのであります。そういう意味経営委員会制度がとられたということは、御承知の通りであります。まあ経営委員会がアクセサリー的なものであるということでありますが、これはまあ、今までは経営委員会執行部も円満に事業を行えたので、今までのような業績が上げ得たと考えております。でありますので、今度の監事制度というものは必要最小限度にとどめて、表面もきれいにし、また、実際的にもがんじがらめにならないようにと考えたところに監事二名、しかも経営委員会任命することであって、ほかの法律では、全部所管大臣任命することになっておりますが、私の方では、衆議院修正がありますから経営委員会任命でけっこうでありますと、こういう考え方であります。  もう一つだけ申し上げますと、このままにしておいてどうなるかと、こういうことになりますと、これは私の思い過ごしかもしれませんが、公共企業体を非常にこまかく議論をせられた結果、第二者による監察制度の必要を答申しておりますから、どうしても他の公社公団、特殊法人にも適用されておるようなものができる可能性が多分にある。私は所管大臣として、今の電電公社の行き方に対して満足しておりますので、そういうことも十分考えると、今の段階においてこういう簡易なもの——簡易なものというよりも、合理的なものを作ることによって、よりがんじがらめにならない、時代逆行になってはいかぬ、こういう思想に基いて監事制度を作ったのでございます。
  78. 山田節男

    ○山田節男君 大臣からきわめて美しい言葉で答弁がありましたから、私はそれを曲げて解釈しようとは思いませんが、要は、公社というものを、そう従来の日本の官吏が考えるようながんじがらめというような思想はないにしても、なるべく干渉しないで、フリー・バンドでやらせるところに妙味があると思う。これは、見ようによっては、こういうものをわざわざ置くということは、悪くいえば、大臣のこれは趣味である。郵政省に官房長を作り、電務局を作ったような同じ格好をつけるのです。あなたお若いから、そういったようなはでなことがお好きじゃないかと思うが、さもなくんばその動機は、人事の都合上ということになりやすいのですね。これはあなたが非常に公社に満足していらっしゃるのですから、監事を新しく設けることは、総裁、副総裁の不信任を意味するものですよ。どうもきゃつら何するかわからぬ、あなたは美しい言葉でおっしゃるが、梶井とか靱は何をしでかすかわからぬ、やはりひもをつけておかないと安心ならぬという心がまえではないかと思う。しかし、郵政省と公社は目と鼻との距離なんですから、わざわざ監事を設けなくても、松田監理官のようなのがしょっちゅうにらんで目を光らせているのですから、監事を置くというのは屋上屋を重ねるのみならず、簡素化という意味から、公社も簡素化しなくちゃいけない。どうもこの点が、私も、大臣のきわめて美しい表現ではあるけれども、御本心が、どうも信を置きかねるような不安を感ずるのです。それでは監事というものをなぜ非常勤にするのか。しかも、大臣がそれだけの意気込みをもっておやりになるなら……。この法条によると、非常勤のように思うのですがね。 (国務大臣田中角榮君「常勤です」と述ぶ)常勤とうたってないじゃないですか。 (国務大臣田中角榮君「非常勤と書いてないから常勤です」と述ぶ)そんなことはない、それは大臣からそういう……、(国務大臣田中角榮君「どういうことですか」と述ぶ)これはあなたのお出しになった放送法の一部改正でも、ですから、これはそういう速記を残しては大臣の権威にかかわりますから、なぜそういうふうにしたのか、なぜ常勤にするということをはっきりしないのか。そういう片手間仕事でもってそういう重大な監察業務を行うということは、これはできっこないじゃないですか。
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私の先ほどの不規則発言は取り消します。  この公社法に明記がございますように、監事は新設をせられれば役員であります。総裁、副総裁理事監事等は役員でありますので、非常勤という明確な規定がなければ、当然常勤であると、こういう考えであります。なお、経営委員会委員については、これを非常勤とすると明確にうたってありますので、法律建前上、非常勤とうたわない監事は常勤である、こういう考えであります。
  80. 山田節男

    ○山田節男君 それからこの監事の任期ですがね、経営委員なり総裁、副総裁は任期四年、それから公社理事は任期二年となっている。なぜその中間の三年ということにしたのか。これは一体どういう——やはり大臣にもう一度申し上げますが、監査機構というものは、そうこの株式会社の監査役とか取締役とは違うのですから、政府の意図というものは、ほんとうにこの監察事務を一生懸命やらせるなら、こんな三年——まあ私は少くとも四年、経営委員総裁、副総裁の任期の四年にすべきであって、あるいは五年でもいいと思うのですね。それを二と四の中間の三にしたという、そういう意図は、どこにあるのですか。
  81. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 監事国鉄が三年でありまして、専売公社も三年、日本放送協会も三年、住宅公団だけが四年ということになっておりますが、これも四年にするか、三年にするかということを考えたのですが、一時に全部任期が切れるというようなことじゃ困るという考えで、まあ三年としたのであります。
  82. 山田節男

    ○山田節男君 これは大臣がせっかく大いに意気込んでこの監事制度を設けられるというのに、それにしてはどうもあまりに技術的であって、ほんとうにこの経営委員会に付属している重要な監察機構として、しかも役員として設けられるという考えは、これは私はどうもあまりに技術的なきめ方であって、ほんとうにこの公社第三者といいますか、厳正な監察業務をやらせるというのに、どうも私は三年というきめ方は、それは他の公社はどうあろうとも、やはり公社という現業機関で、しかもこれは専売公社とかとは違うのですからね。ですから、まあ私これ以上大臣への質問をいたしませんが、これは、まあ討論は私いたしませんから、希望として申し上げておきますが、もうこれはどうしても行政簡素化、公社がなるべく自主経営、独立採算、能率高くやるためには、もう極度に簡素化していかなくちゃならぬ。それからあくまで自主的に決定していかなくちゃならぬ。責任経営委員会総裁、副総裁が持っているから、政府と並びに国会に対して持っているのですから、ですから、こういったようなものを、これは私はアイデアとしては悪くないと思いますけれども、こういう時期に際してしかも、公社がかなり健全な歩みをしておる最中においてこういうものをやるということは、第二次五カ年計画をやるのだから、これが必要なんだということは、どうも私は納得できません。しかし、これができました以上は、それは私は政府もこういう制度を設けたことについては、非常な責任があると思うのです。ですから、国会の決算委員会に対しまして、従来もこれは著しく不良な批難事項がなかったということは、これはわれわれも非常に幸いと思っておりますけれども、こういうものを設けてしまって前よりもっと悪質な批難事項が現われてくるということになれば、これは田中郵政大臣としての責任というか、先見の明がなかったというか、この政治的責任大臣に負ってもらわなければならないのでありますから、この法律制度ができた以上は、やはり政府公社との間にこの監事制度ほんとうに活用できるように、アクセサリーでないのだというような工合にこれが発達していくように、極力努力されるということを強くお願い申し上げます。
  83. 久保等

    久保等君 ちょっと関連して大臣に……。  監事は、まあ非常勤と書いてないから常勤だという御説明だったと思うのですが、そういうことですか。
  84. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはこの公社法をお読みになっていただくとおわかりになるのですが、総裁、副総裁理事は役員とすると、役員は常勤とは書いてございませんが、もう当然常勤であるという建前であります。それで、経営委員会委員は、特に非常勤であると、こういうふうに明確になっております。でありますから、(久保等君「どこに書いてありますか。ちょっと教えて下さい。」と述ぶ)でありますから、監事は役員であるということになりますので、総裁、副総裁理事とともに非常勤であるというふうに明記をいたしませんから、常勤であると、こういうことに考えております。
  85. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  86. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  87. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 経営委員会委員が非常勤と明記をされてあるような発言をいたしましたが、これは非常勤、常勤ではなく、報酬を受けないという規定があるのでありますから、訂正をいたしておきます。
  88. 久保等

    久保等君 それから、ちょっと念のためにお伺いしたいと思うんですが、常勤の監事を置かれるんですが、その監事は、一体待遇はどの程度のことを考えておるのか。まあ金額を、ここで幾ら俸給を出すとか何とかいうことはお聞きしようとは思っていないのですが、大体どの程度並みを考えておるのですか。
  89. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 理事並みを考えております。
  90. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 他に御質疑もなければ、これにて質疑を終局し、討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明かにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、直ちに採決を行います。日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  91. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続等は、あらかじめ委員長に御一任を願います。  本案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     光村 甚助  手島  栄     松平 勇雄  新谷寅三郎     長谷部ひろ  久保  等     石坂 豊一  奥 むめお     野田 俊作  横川 正市     山田 節男
  92. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 暫時休憩いたします。    午後四時二十二分休憩    —————・—————    午後六時十四分開会
  93. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を再開いたします。  委員の変更について御報告いたします。  野田俊作君及び光村甚助君が委員辞任され、森田義衞君及び秋山長造君が選任されました。   —————————————
  94. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 次に、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。
  95. 手島栄

    ○手島栄君 時間がだいぶ切迫して参りましたので、要点だけ質問したいと思います。お年玉つき郵便はがきというこの制度は、戦後、日本に初めて行われたものでありますが、大体三点ばかり特徴を持っております。  一つは、郵便法によってお年玉つき郵便はがき並びにその他の年賀郵便というものの料金を下げたということが一点であります。それからお年玉をつけたということも初めてであります。そのほかに、寄付金をつけた一つ制度であるという、三つの点がありますが、一番私らがはっきりしておきたいのは、郵便法二十二条ですか、年賀はがきを四円にするという規定がありますが、この問題は、戦後初めて郵便はがきを五円と四円の二種類にしたということは、郵便の専門的に見れば、非常に大きな例外規定であります。なぜ四円にしたかという当時の理由を、ありましたならば、大臣でなくてもけっこうです、政府委員からでも、御説明を願いたいと思います。
  96. 板野學

    政府委員(板野學君) この郵便料金の改正は、昭和二十六年の郵便法の改正によりまして定められたものでございまして、当時郵便はがきは二円でございました。この二円のはがきが一挙に五円に引き上げられた、こういう関係に相なっておる次第でございまして、年賀状が広く国民に利用されておる、そういう意味合いにおきまして、この二円から一挙に五円に上げるのは、非常に上り方が大きい、こういうような意味合いと、先ほど申しましたように、広く一般に年賀状を利用させるために、これを一円だけ低くいたしまして、四円にした、こういう事情になっておる次第でございます。
  97. 手島栄

    ○手島栄君 今の説明だと、年賀状を広く利用させるために安くしたというお話でありますが、大体、郵政省の政策としては、利用者を刺激してたくさん使わせるというような政策は、全然とっていないので、通信というものは、水の流れるように、公衆が希望する線に従って不自由をかけないようにしていくという方針であるのでありまして、この種類のものをたくさん使わせるために値下げをするというようなことは考えていなかったのであります。前に、どこかの機会にその理由を聞きましたときには、非常に郵便の利用率が減ったために増収のためにやったのだということを当時説明されておりましたが、そういうような点はありませんか。
  98. 板野學

    政府委員(板野學君) 当時は、郵政財政も非常に困難でございまして、連年赤字を続けており、従いまして、この独立採算制度に基づきまして、この郵政財政を改善いたすためには、どうしても郵便の利用というものを多からしめなければならない、こういう考え方からいたしまして、このお年玉つき年賀郵便の特別取扱い制度を復活いたしたわけでございます。その意味におきまして、先ほど先生のおっしゃいましたように、これは郵便財政を改善するという意味も非常に多くあったわけでございます。
  99. 手島栄

    ○手島栄君 郵便財政を改善するために値下げして多くのものを売るという考え方は、まあ一応年末の大売り出しと同じことで、割り引き大売り出し、まあそれと同じ形なんです、これは。ところが、最近、郵政省からもらった原価計算を見ると、はがきが四円三十五銭ですか、実費が。四円三十五銭がはがきの実際の経費だということから見ると、四円にすると、もう年賀はがきは三十五銭損をしている。その上にお年玉をつけるのだから、お年玉が一通当り幾らになっておるのか知らぬけれども、またそこでマイナスになる。それから、はがきの印刷なんかも普通のはがきより、これはまた特別な経費を使うというので、経済的に見れば、まあ郵政省の資料が正しいとすれば、お年玉年賀はがきというものでは、プラスになっていないというようなことも考えられるのであります。私は、それよりも一番、郵便としてこの問題を考えておりますのは、郵便料金というものは、非常にむずかしい定め方でありますが、外国の例も同じなのでありまして、郵便物の形態、形によって料金を定めるということが原則であります。日本でも、一種書状、二種はがきとか、三種新聞その他の刊行物というふうに、これは内容によって区別したのでなくって、郵便物の形態によって料金を定めておる。と申しますのは、一種の中にも無封書状というのがあって、料金が安いのであります。これは、郵便の内容によって区別したものでない。形によって区別した。だから、一種の郵便の中で、有封、封をした郵便の方が高くて、無封のものが安い。これは経済的に見れば、無封書状の方が取り扱いにくいので、原価計算的に見れば、むしろこいつの方が金がかかっていると思います。形によってそういうふうに区別しておるというのが、郵便の料金の原則だと、私は思っております。内容によって、この郵便物の内容はこういうことが書いてあるから安くする、高くするということは、これは憲法の精神に反しておる。憲法では信書の秘密が保持されておる。内容を見るということを標準にして料金を定めるということは、信書の秘密をのぞいて、そうしてこれは安い方、これは高い方という区分をしなければならぬ。年賀はがきという、そういう文句を書いたものは安くする、その他のはがきは高いということは、信書の内容を見て初めて検討ができるのでありますから、料金政策としては非常に邪道だと思っております。その点は、どうお考えになっておりますか。
  100. 板野學

    政府委員(板野學君) 御意見通り、料金体系としては、これは外国にもまああまり例のない一つの方法でございまして、これは普通の考え方から参りますというと、ただいま手島先生がおっしゃいましたように、これは第二種料金、当りまえの第二種料金を取るのがよりよいというふうに、現在私どもも考えております。ただ、当時の事情といたしまして、値上げの率をどうするかということも一応問題になっておりまするし、また、先ほど申し上げましたように、この年賀というものを国民に広く一般に利用せしめる、このような考え方、並びに当時さらにこの年賀郵便を意義あらしめるために、ほんとうに一般の国民に喜んでもらえるというようなことを考えまして、これにお年玉をつけ、さらに寄付金を、一円を付加いたしまして、多数の人に利用していただく、こういう気持からこういう制度を作ったわけでございます。
  101. 手島栄

    ○手島栄君 非常にはっきりしないんです。これを、そういう料金の原則的なものを破ってまで値下げしなければならない、年賀はがきを普及させようという考え方がおかしいので、公衆がはがきを買ってどういうように使われるかは、公衆、一般の人の自由なのであって、年賀用の郵便だけを安くしてそれを普及さして、日本のためになるかならぬのか。そういうばく然たる考えでおやりになったのではなくして、私は、むしろ非常に敗戦の後の日本が暗い、そういうときに、少しでも目新しいものをやって、みんなにあっとした気持を与えよう、そのためには、全くこれは年末の大売り出しと同じなんです。値下げをして、おまけに景品をつけて、国が発行するりっぱな有価証券の値段まで下げてやるという考え方は、今から見れば、非常におかしい制度だと思うんですが、当時は、そういう気持がむしろおもで、今おっしゃったようなのは、あとからいろいろ考えておつけになったんだろうと思うが、だから問題は、当時のことを責めるのでなくして、もう日本の経済状態が普通に返ってきた今日においては、いつまでもこんなものを続けておるということが、もうすでに間違っていやしないか、早く郵便の正常な料金に返して、そうして、寄付金付が必要ならば、これはおつけになってもかまわない、五円なら五円というものが、はがきの値段というので、一般におやりになる方が正しいんじゃないか。これは大臣一つお願いもし、また、なるべく早い機会に料金改訂をやっていただきたいと思いますが、どうですか。
  102. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お年玉つきはがきができましたのは戦後のことで、先ほども申された通り、その後、多量売りさばきによって収入増をはかろう、幾らか郵政特別会計にプラスをもたらす一環としてなされたことは事実であります。当時も二つの議論があったのであります。年に一度の国民的交友、ある意味の祭典式のものだから、安くしても理屈はつくということが言われたようであります。しかし、反対に、戦後の日本は、敗戦の中から立ち上らなければいかぬのだから、経済的なものこそ安くして、経済に直接関係のないようなものは高くするのがほんとうだ。ちょうど人間の運賃と貨物運賃が議論されたときに、貨物の運賃こそ下げべきであって、人間の運賃は上げべきであるということはありましたが、戦後は、貨物の運賃が上げられた。どうも民主主義のルールに沿って、人間の運賃が上げられた、こういうことと同じように、お年玉はがき、年賀のものだけは、朱書したもの四円というふうに、一円だけ差をつけた現行制度になっております。でありますが、郵政審議会の中でも、また郵政省の内部で、お互いに真剣に研究しておりますが、もうすでに戦後十二年たった今日は、少くとも経済的なものに遠いから、一般の五円のはがきよりも上げて、六円にするということはむずかしいにしても、五円に上げることは当然である。寄付金をつけるならば、それにプラスをすべきだという議論が大勢を制しております。でありますので、私も、郵政審議会でも答弁をしておりますが、近く料金の凹凸是正というものが当然起るのでありますので、その機会をとらえて慎重に審議をして、適切な改訂方法を考えるべきであるという考えでございます。
  103. 手島栄

    ○手島栄君 今、大臣がちょっとおっしゃったけれども、まあけっこうなんです、その点は。大臣そういうふうに進んでいただきたいと思いますが、今私が申し上げましたように、はがき、手紙というものの、これは重要だから上げるとか、下げるとか、そういう考え方が非常に間違っておるので、はがきというものは、はがきでいいので、中に何が書いてあろうが、それをのぞくこと自体がまずいので、これは重要だとか、重要でないと、人のはがきをのぞいて見て、そうして料金を変えるようなやり方は、今後一切やめていただきたい。まあ私の希望であります。  それから、お年玉もそうなんですね、お年玉もまるでちんどん屋みたいなものです、値下げして、お年玉をつけて売るというんだから。これ自体も、もうそろそろお考えになる時期がきておりゃしないかと思いますが、これは、一般大衆の受けがどうなのか、私もこまかいことはわかりませんが、大体賞品というものは、当せん者のどれくらいが取りに来るのですか。
  104. 板野學

    政府委員(板野學君) 大体六割から七割程度取りに来ます。もっとも、これは各等数によってまちまちでありますが、特等、一等のごときは大体八〇%、だんだん下に下りますごとに大体六〇%ぐらいは取りにきます。
  105. 手島栄

    ○手島栄君 まあお年玉をつけるか、  つけぬかに対しても、ほんとうを言うと、感じがあまりよくないんですね。官制はがきにお年玉をつけて、よけい売り出そうという考え方が私らにはぴんと来ないのでありますが、まあ一応、これはもう少し研究の余地があると思います。  それから次は、その上にもう一つ寄付金をつけて、はがきなり、切手を売り出すこの制度も、これは外国から来た制度でありまして、昔、はがきは一回出しましたか、寄付金つきのはがき、飛行機か何か出ておったようですが、切手はときどき出しております。それが今、お年玉年賀はがきにだけ寄付金をつけて、その他のものはほとんど発行されていないようでありますが、今度の法律を見ましても、たとえば、私らは五条に書いてありますように、「社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体」、以下こういうふうなものに限られておりますが、ほんとうは、たとえばオリンピックというようなものを日本でやる、こういうような場合に、プラス一円ぐらいをつけて国民的な記念すべき事業を助け、なお、宣伝するというようなことに多く昔は使っておったのであります、このプラス一円という寄付金を。ところが、そういうような面はほとんどなくなって広い幅で金を集めて、そうして集めた金を今度は法律なんか作ってこういうものに配ってというので、ぴんと来ないものにはがきなんかが使われていったことのようであります。今、ここまでやってこられたのでありますから、年賀はがきに寄付金をつけるということをやめるというわけではありませんが、もう少し記念するような行事、できごととか、そうしてこれは、国民の気持から少しでも援助したいというようなものを対象にして切手を出すというようなことをお考えになっていないのでしょうか。法律にはどうも……。
  106. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいまお説のございました通り、このお年玉つき郵便はがきについてはいろいろな講論があります。これはどうしてこういうものができたかというと、お年玉つきのはがき、いわゆる朱書した年賀郵便は、四円、その四円を五円にするということに対しては、なかなか右左に割り切れる議論がありませんが、まあ五円に上げたつもりで、お年玉を一円の限度に対してつけようというようなことが、この法律の成立の大きな要件になっておるようであります。もう一つは、歳末助け合い運動というようなものにアイデアが非常に似ておることも一つあったようであります。ただ、郵政審議会でいつも問題になりましたのは、五円にして、その上一円にするというようなみみっちいことをいわないで、もっと二円とか三円とかつけて社会福祉のために出したらどうかというような積極的な意見も相当ございます。もう一つは、今言われたように特殊なもの、特殊な時期に、特殊な記念切手を出すような状態でやるようにしてはどうか。もう一つは、年賀はがきを五円に上げることによって、何かはがきにつけるなんということはやめて、初めから普通のはがきでもって、非常にいい、少し上質のものを使って、色彩もまた印刷も上質のものを使う。それでもう初めから八円だったら八円、七円だったら七円の寄付金付のはがきを売って国民に訴えたらどうかというような、いろんな案がありまするが、現在のところ、郵便切手にまで直ちに進めようという考えはございません。しかし、この郵便料金の問題とあわせて、一体将来これをどうすればいいのかという問題を郵政審議会でも、私たち事務当局の間でも、非常に慎重に、しかし、できるだけ早く結論を出したいということで、今省内においては、より合理的な方法を研究いたしております。   —————————————
  107. 宮田重文

    委員長宮田重文君) この際、委員の変更について御報告いたします。  松本治一郎君が委員辞任され、柴谷要君が選任されました。   —————————————
  108. 手島栄

    ○手島栄君 今、はっきりとその他のものはやるつもりはないとおっしゃいますが、大体寄付金付のはがきとか切手とかというものは、こんな社会政策をやるために、まあ国が出すべき部分が多いと思うのです。そういう金が足らぬから寄付金を集めるというような、こういう重い意味のものは外国では大体あまりないのです。もっと軽い意味で、ちょうど今も言ったように、オリンピックをやる、それには国民の関心が非常に強いから、国民からある程度の寄付金を取っていく、そしてにぎやかにしようという、ぱっとしたことのために、大体今まで寄付金付というのはあったと思うのです。ところが、今は一つの財政計画みたいにして、七億円とか八億円とか言って、その中でこれまた分配をするのだというふうなことになるので、こういうめんどうな法律になってくると思いますが、私はむしろ、本件はそういうものでなくて、今、申し上げたような方面においてときどきやるということがいいと思っております。まあ一つ御研究を願いたいと思います。  まあ、あと何ぼでもありますが、最後に一つだけ、問題になっております衆議院修正について、大臣はどういうお感じを持っておいでになるのか、それを一つお伺いしたい。
  109. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) こうした席で公式にお答えするということになると、院議で修正されたものに対しては、院議を尊重いたしますということになるわけでありますが、ざっくばらんに申し上げさしていただけるといたしますと、私は、まあいろんなことが言われておりますが、思想としては、世界の例にもありますから、ある程度郵政従業員の、しかも、社会福祉的な事業に投資せられることは、そう悪いことではないと思っております。これは今の状態では、中央募金管理会から、同じ国の機構であるところの政府関係機関である国鉄が、現にお年玉の寄付金のうちの一部をもらって施設をやっております。そういう意味からいっても、郵政事業で、こういう特殊な制度のもとに法律の命ずるところによって寄付金を集めておりますから、それが初めからもらえるのだ、取り得るのだというような思想ではなく、社会一般の通念上、また常識的にいって、郵政関係の社会福祉施設に還元をしてはならないものだとは考えておりません。でありますから、今度の改正案では、そういうことの研究をいたしました。でありますが、いろいろの方面と話し合いをいたしました結果、この法律の中で郵政審議会の議を経て郵政審議会が命ずるところによって一部郵政関係に使用ができるように、こういう気持を含んで改正案が提出いたされていることは事実でございます。でありますので、こういう明確な修正条文がなくとも、私はやり得るという考えでありましたが、院議によって修正をせられましたので、両院をこのままの形で通りますれば、私どもといたしましては、当然院議に従わなければならないという考え方であります。
  110. 奥むめお

    ○奥むめお君 今大臣がここでほかにも方法があるというお言葉でございましたが、どういう方法がありますか、教えて下さい。逓信職員の福祉施設について。
  111. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは社会福祉のために使わなければならない、こういうようにまくら言葉がありますだけあって、郵政省の職員関係する社会福祉に使ってはならないということはないのであります。でありますが、今までは中央募金会と日赤に交付をいたしまして、国鉄等は、一部国鉄の持つ病院等が交付を受けているそうでありますが、郵政関係は、法律にも明記がないのであるし、まあ辞退をした方がいいだろうということで、郵政関係は受けておらなかったのであります。でありますので、いろいろ議論をすれば、郵政関係は受けて悪いのだということになると、郵政関係の社会福祉というものは一般的社会保障、社会福祉に入らぬのか、こういう議論になりますので、あらゆるものに含まれるという考えであります。でありますが、今度の改正原案では、原爆の被災者等の次に「学術的研究及び治療を行う団体又は原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体」ということが規定してございますので、「その他の援助」というものに対しては、もちろん度合いの高いところから郵政審議会の議を経てきめたものでございますから、郵政審議会郵政関係、電電関係等に対してこういうものにも交付すべきであるという結論が出れば、政府原案でも交付ができる、こういう建前をとっておるのであります。
  112. 奥むめお

    ○奥むめお君 これは別に大臣から御答弁を受けなくてよろしいのですが、事務当局からで。お年玉はがきはよけい売れればもうかるのですか、売れれば売れるほど損するのでございますか。
  113. 板野學

    政府委員(板野學君) 郵政料金というものは、全体に総合的な料金方法をとっておるわけでございます。個々の原価につきましては、個々の原価計算はやっておりますが、全体の料金額の、郵便料金をまかなえるかどうかという趣旨でこれをやっておるわけでございます。従いまして、個々の原価からいえば、先ほどちょっと話が出ましたように、四円三十五銭、一般のはがきの原価であります。しかしながら、御承知のように第三種の新聞の料金のごときは、原価が六円かかりましても、これは一円である、そのほか小包のごときも、相当原価を割ってもやっている、こういう状況になっておるわけでございます。
  114. 奥むめお

    ○奥むめお君 この問題は、前にも郵政事業の審議のときに詳しく数字も発表していただいたり、いろいろ質疑も出ていたことでございますけれども、年賀郵便はがきは、全体で売ってしまったのが三十五億枚と書いてありますね、資料によりますと。年間ずっと全部最初から通じまして、大へんな数でございますけれども、こういうものを原価計算を出すことはそう困難でないと思うのですが、年賀郵便だけ一つ計算して見るなにはございませんか、発表してもらいたい。
  115. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) はがきは御承知の通り五円で、実際の原価が四円三、四十銭ということは、実際でありますので、これは年賀はがき、去年は八億七千万枚ばかりでございますが、これもみんな含めての原価でございますので、年賀はがきだけで幾らという原価計算は厳密にできないということを、こういうことを事務当局は言っておりましたが、いずれにしても、たくさん同じ所へ配達をするのだから、普通のはがきを配達をするよりも、多少原価が安くなるのが常識的であるので、現在計算をしてみますと、こまかい正確な数字はわかりませんが、少くとも四円三十銭ないし四円四十銭という、一般はがきも含めた原価が適当であるとは考えておりません。でありますので、おおむね四円ぐらいだろうという今、考えを持っております。できるだけこの原価計算をしろということを言っているわけであります。これはこういう問題も事務的に一つあります。それは年末の忙しいときに多量のものが参りますので、徹夜で作業を行なったり、時間外勤務という処理の仕方をやっておりますので、数をよけい売るほど原価は安くなっておらぬのだという事実はあるようであります。でありますが、少くとも四円ぐらいで原価はあがっているだろう、そうしますと、現在年賀はがきが四円であるということは、もう昭和二十六年の改正でありまして、その後、政府関係機関の料金等は二十八年、二十九年、三十年と再三改訂が行われておりますが、郵便料金については行われておりません。そういう意味からいって、年賀はがきには幾らか安いというふうに言えると思います。
  116. 奥むめお

    ○奥むめお君 事務当局に伺いますが、年末非常に多忙でいらっしゃるので、職員の方々に対するこれの手当はどういうことになっておりますか。
  117. 板野學

    政府委員(板野學君) 三十二年度の使用実績からいたしますと、約九億九千万円ぐらいの各種の超過勤務なり、賃金なり、夜食手当というようなものが出ております。
  118. 奥むめお

    ○奥むめお君 それは忙しく働く職員に対する年末の手当でございますか、年賀郵便に対する手当は別に勘定してあるのですか。
  119. 板野學

    政府委員(板野學君) これは年賀郵便全体でございます。お年玉つきとか、お年玉のつかないものとか、あるいはほかに封書で出る年賀郵便等もございます。これを扱いますのに、時間が延長すれば超過勤務も出します。しかしながら、普通の常在員だけではまかないかねますので、賃金要員を相当雇い入れてさばいております。その他夜食等を出しております。あるいは繁忙手当を出しております。こういうものから構成されます。
  120. 奥むめお

    ○奥むめお君 その問題で、大へん足りないと思いますか、もっとふやすのが当然だと思っておりますか、私、こまかい資料を出していただきたいと思います。もう少し分解した資料を出していただきたいと思います。私ども今度の法案について、逓信従業員の保健と保養の福祉施設の方にこのお年玉の純益の一部を使いたいというふうな修正がきましたから、これは年末非常に繁忙で無理をしているから、そのためのこれは修正だろうと了解いたします。非常に御苦労だと思います。だから、この修正衆議院で満場一致で出てきたところを見ますと、非常にまだ足りないものがあるのじゃないかと、それを案じております。いかがでございますか。
  121. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは足りないという議論と、足るという議論がありますが、私は足るという議論の側に立つ一人でありますが、これをもって足るとは考えておりません。私は自分で事業をやった経験がありますから、民間企業に比べると、そう多いとは考えておりません。しかし、十億円というものの中には、歳末繁忙で約四万人以上の臨時を使っておりますから、そういう者の給与をみな含んでの話でありますので、年末の繁忙によって、今までの給与にプラス・アルフアされたものだというのではないのであります。衆議院修正されたその間の事情を簡単に申し上げますと、年末手当が少いからこういうものを郵政従業員はもらうのだという考えではありません。郵政省には御承知の通り逓信病院という国でやっておりますものがあります。ありますが、この国でやっておるものに対して、これは施設が非常に少いとか、小さいとか、それから新しいものも買えないとか、これは当然国費で見るべきでありますが、そういうものだけでもってやれないので、簡保でもって老人ホームを作ったりなんかしております。でありますから二年にようやく一カ所ずつしかできないということで、ほかの公社や公共企業体に比べて程度がよくないというようなことが言われていることは事実であります。でありますが、年末繁忙であるのでその代がえとして幾らかもらいたいというのでは全然ありませんし、郵政従業員及び郵政従業員の家族その他今、逓信病院も相当一般人が利用しておりますが、こういうものの中で特殊な疾病というようなものもございますし、まあしいていえば、年末に非常に多忙な仕事をやるので臨時の人たちが四万名年末を終りますと首を切られるわけであります。解雇をされるわけでありますが、契約解除後に何らか病気になっても医療給付を受けられるような道が考えられてもいいのではないかというような問題もあったようであります。でありますので、年末忙しいので幾らか、一割か五分もらうのだという考えはございませんから、ちょっと御了解をいただきたいと思います。
  122. 奥むめお

    ○奥むめお君 事務当局にお伺いしますが、今まで出しておりました赤い羽と日赤との配分のほかに、今度は別にまたいろいろ大へん気の毒な人たちを拡大して、この寄付の対象にしようとして下さる、この政府の提案の中はわれわれ大へん喜んでおります。だけれども、それによって今度は日赤なり、あるいは赤い羽なりが今まで受けていた額よりもずっと減るのでございまして、あるいは社会局関係ですね、社会局関係というと何ですけれども、今度新しく加えられます制度に回す方のお金を何%ぐらいと予想を持っていらっしゃるのか、減るのではないかということと、どういう割合で分けるつもりでいらっしゃるか。
  123. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは一つ奥さんに申し上げておきますが、この寄付金のつくものが、年度で幾ら発行するかということは、郵政審議会できめるわけであります。郵政審議会でもってきめました額だけを発行いたします。その後国民が必要とすれば四円のはがきを発行しなければならぬ。ところが、四円のはがきでありますので実際は五億枚のうち四億枚発行いたしましても、国民が四円のものだけ買ってしまってから五円のものを売りさばくというふうになると、五円のものが残る場合があります。でありますから、郵政従業員も皆さんのお力添えをいただいて五円のものと抱き合せてさばいているというのが実情であります。いい悪いは別といたしまして、とにかくそれが実情であります。で、いつでも年間発行するところの四円と五円のはがきの枚数に対しては、絶えず議論のあるところでありまして、今までおそいときには十一月の初めまで話がつかなかったという例があります。でありますので、この法律が通過いたしましたら、少くとも今まで日赤及び中央共募が受けておった額は絶対に下回らないように、これは三十二年度は四億五千万枚でありますから、四億五千万円交付いたしております。これは先日交付をいたしました。そういたしますと、これ以上に発行するということになりまして、少くとも共募及び日赤に対しては過去の実績を下回らないように、数字でいいますと四億五千万円以上四億七、八千万円、五億なりを交付するという原則を変えていません。しかし、その上になお沖縄とか、原爆の被災者とか、いろいろまだ出したいものがございます。ガンの研究所とか、まあ郵政審議会委員諸君の間にも、そういうふうに国民の気持を広く伝えるべきものであるし、これが基金となってより多くのものが集まって何倍かの恩典を施す場合に、国民がほんとうに思うような運営ができるのであるからということでありましたので、この法律を通していただけば、三十三年の十二月に発行するものは七億枚くらいは発行いたしたいということでございますので、七億のうち四億五千万ないし五億というものは、今まで通り日赤や中央共募に交付いたしまして、残余のものを今度どういうふうにするかは郵政審議会の決定に待つ、こういうことでございます。
  124. 横川正市

    横川正市君 お年玉はがきの法改正について、省令二十二号とそれから法律二百二十四号でありますが、この二つの法律をめぐって前回、前々回国会の審議の中では、大臣も就任されてからずいぶん内容をお聞きになったと思うのでありますけれども、このような発行を続けることは、少くとも二十七国会の以前にこれでもってやめて、次期国会には政府は新しいアイデアのもとでこの問題については発行すべきであるというような話し合いが行われたわけであります。その話し合いの中で、私どもは少くとも先ほど手島委員がお話しになったような方向に将来改正されるべきものという期待をもって、実はこのお年玉はがきの改正法律案の提案を待っておったわけでございますが、それが今度また同じような山容で、いささかも変ることなく提案される結果になってきた、この点については、田中大臣のいろいろ折衝過程の部分についての非常な努力は私は承如いたしておりますけれども、どういう結果からこういうふうに委員会では満場一致、改正すべきであるという意思表示をしておるのにかかわらず、今回のこの国会へ提出されたものが現状通りのようなものになってしまったのか、この点について、きわめて強い不満を私は持っておるわけでありますけれども、その点についての経過を御説明願いたいと思います。
  125. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これはこの法律形態をやめるというのではなく、料金に対して早急に一つ結論を出すようにということであるようであります。しかも、先ほど申し上げた通り、料金の問題には相当な問題がございます。私いつも申し上げておりますように、昭和三十三年度予算編成の過程までは、全国の物価政策というものに非常に重点を置いておりますので、そういう問題を基底にしてそれをくずさないという原則にしております。しかし、先ほども申し上げました通り、二十六年に郵政の料金がきまりましたにもかかわらず、二十八年、九年、三十年、三十二年にも料金改訂が行われておるものもあるのでございますから、少くとも物価の凹凸是正というものは近い将来にやらなければならないわけであります。でありますので、その時期にどうしても一つこの問題を片づけようという考えを持っております。でありますので、郵便特別会計が一般会計から補てんを受けておって、いつか返すというような問題も、いわゆるそういう問題も近く解決いたしますので、その時期まで全部保留しておるというような状態でございます。
  126. 横川正市

    横川正市君 今の大臣答弁で私は必ずしも満足しないのです。なぜかというと、委員会でのこれが話し合いないしは決議というようなものが、次の国会にそんたくされて出てくるということは、多数できめられたとか、一部少数の意見であった場合には、これはやむを得ないものがあろうと思いますが、しかし、全体がそうすべきであるという意思表示をされたのに、それが次の法律改正のときに出てこない、こういったことは、私は今ここで満場そういう意見を持っておったすべての人たちがおそらく結果的には不満を表明するものだろうと思う。そこで、いろいろな都合と、いろいろな事情があって法律改正が今回できなかったと、料金改訂その他発行方法が改正されなかったといわれておるのでありますけれども、一体どういう事情で、どういう困難な内容があって、今回の法律改正がされなかったか、この点については、私どもはいささかも事情が明らかにされておらないと思う。ことに私は今までの郵政当局と、それから募金委員会との関係については、少くともこれは郵政当局のこの事務担当者においても、改善の要をしばしば意見として出されておったと思う。また、その一般従業員からいえば、もうすでに募金委員会に渡された金はおそらく二十六億以上の金が渡されて社会事業に貢献をしておる、こういう大きな金を生み出しておると思うのであります。その大きな金を生み出しておる職員側の言い分を聞いてみると、そういうふうに働かされておる郵政職員というものは、一面において、たとえば貧者の一灯というような考え方で、汗水流して働いて、おれたちが社会事業にこれだけ貢献しておるのだという満足感をもって慰めておるのかどうか、もっと別な方法でもって、少くとも郵便事業始まって以来、年末首なんていうものは一回も経験なしに、まっ黒になって働いておる職員側としては、いささかこれは非合理なんじゃないかという気持を率直に私は持っていると思う。この二面の職員側の意思というものを私はこれは当然大臣も当局も受け継いで、相当納得のいく、事業に協力する職員に対して、回答を与えていくということは、これは当然のことだろうと思うのですが、そういったことが事実上は行われないで、一般にいわれておるのを聞きますと、たとえば社会事業に貢献する金が減るから反対だ、あるいはそういうことをやられると困るから、そのことについて言うことはけしからぬということを私は耳にするのです。こういった本末転倒した根本問題を解決しないでおいて、出てきた現象だけによってよしあしをきめるのではなしに、私はそれを決定できるのは、やはり当局と大臣責任において行われなければならないものである、こういうふうに考えておるわけです。その点から今までのいきさつについて、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
  127. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。このお年玉つきのはがきの料金、すなわち四円であるということは、これはもうすでに改訂をしなければならない段階であるということは前段申し上げた通りであります。でありますが、その時期は、大きな物価政策という問題とからんでおりますから、その大本をくずすような立場でやることはできない、しかし、当然近い将来において物価の凹凸是正というものがあるのであります。特に郵政特別会計といたしましても、非常に低い料金でもって赤字を生んでいる一般会計からの繰り入れを行なってしかも、それを返さなければならぬのだというような暗い状況で、郵政特別会計の発展は期せられないというふうな考えであり、早晩手をつけなければならないという考えで、それに事務的にも操作を進めておりますから、皆さんのお考え方と何ら変りがないわけであります。ただ時期の問題で常に考慮を払っているということであります。しかも、その法律の中でもって、衆議院でもって付された郵政従業員にも交付できるということが、非常に大きな反響を呼んでいるようでありますが、私はこの法律案を提案することは、やむにやまれず提案をしたのであります。でありますから、こういうことでもしこの国会でもって審議未了にでもなるということになると、大へんだと実は考えているのです。なぜならば、現行では社会福祉のために、社会福祉を行う団体というまくら言葉だけがあります。しかし、これは税金でもって徴収するものではありませんから、だれが一体管理するのかということも何もないのです。でありますから、実情を申し上げますと、郵政省の地下室かなんかに事務所を持っている人が、どういう性格かわかりませんが、金を使うまでの間、六億も七億もの金を保管をしているのであります。これは私が保管すべき金じゃないのです。しかし、それは郵便局から直ちに行っておったような、中央募金に直ちに金が行ったりして、またまた物議をかもしたり、いろいろなことが言われまして、少くとも事業の計画の全貌を、年次計画を明示をして郵政審議会にその書類を提出をして、そうしてこういうことになるまでは、金は交付をしないというようなことでありますから、事業の計画をしても、三カ月も五カ月もかかるときもありますから、性格のないものを、六億も八億もの金を預っておらなければならぬという不合理があります。そればかりでなく、だれが監査をするのか、一体国民がこれほどいい気持でもって醵出をした金が、どういうふうに一体使われるのか、中には飲んだり、運動費、交通費にも使われているのじゃないかというふうな極論をされる方もあるのであります。大体そういう説をなす者に対しても、国民に明確にその真相を訴えるためには、郵政審議会は何らか筋を通して、国民から醵出を受けた金はこういうふうな状態で、法律に基いて運用せられておるのだということを明確にしなければ、とてももうこういうものは発行できない、責任を持てない、こういう非常に強い議論もあることは御承知の通りなんです。でありますから、管理会というものを作りました、そしてそこの管理会でもって監査を行いまして、国民に対して報告できるのだ、これは会計検査院が監査をすることもできませんし、全く相手を信用して交付をする以外にない、ただ、そういう理解で国民に対して、税金と同じ性格のものでありますから、何人かが監査をして国民に責任を負うために、管理会を設けよう、管理会がとにかく余った金を保管しなければいかぬ、こういうところが非常に重要な改正点として提案をせられておるのであります。郵政従業員に対して、今まで一銭も交付を受けなかったのでありますが、これには明確に修正案なるものを作って、郵政従業員にこれを交付をするのだ、手数料をやるのだ、ピンはねをするのだというふうにとられることは、私としても心外であります。これだけのことを預かってやっておるのでありますから、もちろん経過も明確になり、国民に安心して醵出をしていただくような措置をしなければならないと同時に、先ほども申し上げた通り、この中に、その他の事業を行い、いわゆるこの法律に明記をしてあるところの社会福祉のためにというワク内に入るものは、もっと大幅に寄付金を受けてこれを対象にしたいと、こういう考えでありますので、横川さんの御意見と何ら私の考えは変っておりません。
  128. 横川正市

    横川正市君 私は今の大臣の回答の運用については、二番目の問題として、当然いろいろ不都合のあった点を改正をされる意思は率直に受けていい問題だと思うのであります。ただ、その運用以前の問題として、当然郵便の現在従業員のいろいろな関係を勘案してみますと……。
  129. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  130. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記をつけて下さい。  暫時休憩します。    午後七時九分休憩    —————・—————    午後八時二十二分開会
  131. 宮田重文

    委員長宮田重文君) これより委員会を再開いたします。
  132. 久保等

    久保等君 先ほど大臣の退席で、自然に当委員会も休憩に入ったのですが、時間的にまあこの法律案扱い方については、衆議院での扱いというふうなことが事実上無理になってきたのではないかという情勢が出てきたようです。しかし、それはそれとして、まあ、当委員会として、少くともまだ議事進行の途中で、まあ大臣退席せられたことそのものも、私ども非常に遺憾に思うのです。まあ、このことについて大臣はどういう御所見をお持ちでしょうか。
  133. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 別に申し上げることはございません。
  134. 久保等

    久保等君 なんですか、別に申し上げることはないというのですか。
  135. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ありません。
  136. 久保等

    久保等君 まあ、申し上げることというよりもですね、まあやはりどういう感情的な作用が郵政大臣の頭に働いたか知らないけれども、少くとも委員会の開会中に大臣が憤然と退席されるというようなことは、私は委員会の運営、また、院の運営の建前からいっても、少くとも大臣としては反省せらるべき問題だと思うのですよ。これはまあ委員長の方からも、一体どんなふうにお考えなのか。これは単に私一人の問題ではなくて、院の運営のあり方として、委員会の運営のあり方の問題として、これは委員長自体も、私は、もし私と同じようなお考えならば、一つ考えて、大臣から御所見を承わってもらいたいと思います。
  137. 宮田重文

    委員長宮田重文君) いや、大臣の退席の問題は、速記をとめて、休憩にしようという話し合いが出てから退席せられたわけですから、私はそういうふうに了解しております。
  138. 久保等

    久保等君 休憩を宣言せられておったのですか、委員長は。休憩を宣言せられておったのですか。
  139. 宮田重文

    委員長宮田重文君) いや、速記をとめて、そうして話し合いが始まったときに、まあ休憩した方がよろしいと、こういうことになって、私は休憩をして、それから大臣はたったわけです。委員会の中途でたったということじゃない、こういうふうに私は確認しております。
  140. 久保等

    久保等君 まあそういう問題については、私は大臣に十分一つ考えを願いたいと思う。まあ、大臣が特別意見があるないは、これは大臣の御自由ですからけっこうでしょうが、まあ少くとも私は郵政大臣という重責にある大臣は、自分の提案した法律案、それの審議過程においてですよ、自分の個人意思の思うようにまあかりになろうと、なるまいと、やはり私は誠心誠意委員会等で答弁なり、政府の所信なりをやはり披瀝すべきだと思うのですよ。そういう点から、みずからの御本人の良心に一つお聞きを願いたいと思うのです。私はそれ以上申し上げません。ただ先ほどもちょっと申し上げたように、衆議院で、先ほど何か本会議が開かれて、さらに散会になったということで、本法案の扱い方としては、これがもし衆議院に回付された場合の扱い方としては、非常に今国会においてどうこうするというようなことは、まあ困難になったというような情勢です。しかし、先ほど大臣答弁の中に言われたように、本法律案そのものは、非常に重要な内容を含んだ法律案だどいう御答弁もあったのです。従って今国会でこの法律案が成立しなかった場合には、当然また次期国会等に、何らかの形でやはり私は提案をして参らなきゃならぬのじゃないかというふうに、先ほどの大臣の御説明を聞いておっても感ずるわけなんです。それで、本法案が今国会で成立をしないということになった場合に、政府としては一体どうこの問題を扱って参るのか。これはまあぜひ一つ、こういう事態になったがゆえに、なおさら大臣から一つ伺っておきたいと思うのです。
  141. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) お答えいたします。法律で定められておる通り衆議院は満場一致で上げておるのでありますから、まあ、参議院は独自な立場でおやりになるとは思いますが、いずれにしても、今までの例から言うと、衆議院で満場一致で上ったものは通過すると思っております。でありますから、ぜひ一つ、明日もまだあるのでありますから、通過するように御配慮いただきたいということが一つであります。  第二は、両院の議がまとまらないような議決になった場合には、両院協議会という救済規定もあるのでありますから、一つたちも努力をいたしますが、ぜひ一つ各党、両院でお話しになっていただいて、ここでまあ言い過ぎになるかもわかりませんが、言い過ぎになれば、私はいさぎよく取り消しますが、角をためて牛を殺すようなことのないように、一つぜひお願いをしたいということが第二点であります。  第三点の問題は、先ほどの私の退席ということは、委員長が言われた通り、もう休憩になってからでありますが、確かに私の態度に幾らかまじめを欠いた点があることを率直に認めます。これは私の良心に対して、私も議員の一人でありますから、遺憾の意を表します。でありますが、まあこれは私は議員として一つお願いをしておきますが、私はもう十時から十時間も待っておるのでありますから、しかも、会期末であり、お互いに政党の間でいろいろな問題のあることは、私も政党人として十二年間も衆議院に議席を置いているのでありますからわかりますが、しかもまあ、非常に問題のある法律であって、この委員会でも、衆議院の逓信委員会でも、この法律改正ということは、何回か御発言になっております。しかも、私は昭和三十二年度のことしは、お年玉はがきの発行に対しては、衆参両院の意見を郵政審議会でも述べて、この次にもし法律改正できなければ、できないような場合には、ことしは発行して下さいということは、あなた方には申し上げられません、こういうくらいに背水の陣をしいて出した法律でありますので、いやしくもこういう問題に対して、党利党略というような面子で廃案になるようなことがないようにして、少くとも国政審議を第一に考えてもらって、まあぜひ通していただきたいと考えます。
  142. 久保等

    久保等君 まあ、当然国会が完全に閉会になる直前まで、衆議院といわず、参議院といわず、最善を尽して審議もし、それからさらに本会議での何らかの議決を得る方向に努力するのは、これは当然だと思うのです。ただ問題は、あまりここまで事態が来ると、大臣希望的な私は意見を吐かれてみても、あまり通用しないと思うのです。今の御答弁は、確かに公式論としてはその通りだと思うのです。しかし、問題の実際の現状は、これは大臣もよく御存じだと私は思うのです。ここで今御質問するのは仮定に立ったような言葉の表現を使いますけれども、しかし、見通しその他からいえば、これはもう明確なんです。衆参両院の国会の運営についても、これは今度の解散問題をめぐって両党首会談等が持たれ、話し合い等がなされておるのですから、この順序を大まかに、とにかく追って、事ここに至っておるのです。従って本法案の見通しの問題を言うならば、大臣が今答弁せられたような場合には、どれにも該当しないような結果になるだろうというふうに私は考えるのです。従って仮定のもとに質問を申し上げるような形にはなるけれども、成立をしなかった場合に、一体政府としてはどういう次には方法でこの問題を処理しようとしておるのかという質問も、事ここに至れば、私は一応伺っておく必要があるのです。また、大臣としましても仮定と言われるのには、あまりにも私は現実的な問題であると思うのです。だから一つ仮定の問題ではあっても、この際は御答弁を願っておく必要があると思うのですが、どうですか。
  143. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まだきょう、あしたあるのでありますから、暁の国会も開かれるという情勢でありますから、ぜひ一つ通していただきたい。これは真実こめて申し上げます。通らなかった場合を仮定して申し上げるのはどうかと思いますが、通らなかった場合ということは考えたくありません。ありませんが、通らなかった場合でも、衆参両院の審議に際して御発言のあったようなものを十分考えて、最も通りやすくして、しかも社会公益のために裨益する線をくずさないようにして、できるだけ早い機会に通さなければならぬという考えであります。
  144. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 久保君、ちょっと申し上げますがね。先ほど理事会の申し合せもありますので、その線に沿うて一つ御進行を願いたいと思います。
  145. 久保等

    久保等君 その問題は、それ以上御答弁にならなければそれもけっこうですが、ところで、参議院で、特に当委員会で問題にしておる問題は、衆議院修正せられた部分についての問題です。これも今の段階で私がこういう質問をすると、老婆心的な質問だと言われるかもしらぬけれども、これはもう私は率直に申し上げてやはり記録に残しておいてもらいたいと思うがゆえに申し上げたいと思うのですが、確かに今回の修正がわれわれ参議院にいる者の立場から見た場合に、いろいろと意見があるわけです。従って私はこの問題の扱い方の問題については、明確にしなければならぬと思うが、しかし根本的な問題は、これは大臣答弁せられておる中に言われておるように、やはりこの募金に寄付をされるお年玉はがきの扱い方の問題については、やはり従業員の問題は問題として、やはり根本的に考えなければならぬ問題があると思うのです。だからその点は私はやはりどういう結果になろうとも、ぜひ一つ何らかの方法で考えていかなければならぬ問題だというふうに考える。ただ、扱い方がそういう姑息的な方法と見られるような扱い方をするものだから、いろいろな問題を起すのでしょうが、しかし、やはり一銭も郵政当局が扱ったことに対して所要経費がかからないというわけじゃないのだし、また、従業員そのものに対する何らかの形のやはりある程度の適当なやはり私は対価というものは考えていかなければならぬ、程度の問題はあるでしょうが、そういう問題については、これは今度のこういう、問題が出ようと出まいと、昔から一問題になっておる問題ですが、私は特に今後この問題については一つ郵政当局はもちろんのこと、政府当局そのものがこの問題については一つ十分に御配慮を願いたい、そういうことについて特に御答弁は求めませんが、私は強くその点は要望申し上げておきたいと思うのです。
  146. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは重要なことでありますから、お答えいたします。私は政府原案において、その他の団体として衆議院修正になられたその趣旨のことを行うつもりで、そういう案文を作ったのです。でありますが、衆議院では、それにもう一ぺん、もう一つワクをはめてより明確にしようという修正をされました。でありますから、私は今久保さんの言われたことは、政党人でありますから、わからぬことはありません。ありませんが、これだけの重要な法律案というものであり、しかも五年も、六年も相当問題のあったものでありますし、しかも私は、これは国民の前に、こういうものは、じんぜん日をむなしゅうしないように明確にしておくべきである。これは国会の責任でもあるし、政府責任だと思う。そういう意味からいって、内容が変らないということであるならば、私はあえて衆議院がつけた修正案、この問題に対して会期がまだ二日もあるのでありますから、片づかないということは考えないんです。まさに小異を捨てて大同についてもらえば、これは明確になると思うんです。そういう意味で、私自身も努力もいたします。これは私は出した責任者でありますから、最終的な瞬間まで努力をしなければならぬという考えでありますが、一つ皆様も、ぜひそこに思いをいたされて、できるだけ成立に御協力を賜りたいということを衷心からお願いをします。
  147. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣の言われていることは私たちはわかりますし、できるだけ協力をするということはその通りだと思います。ただ、現実問題として、衆議院がきょう散会をしております。不信任案はきょう提出を完了いたしました、従って、明日は本会議を開くということになりますと、当然不信任案が最重点になりますので、他の一切の法案は上らないと思います。かけられないと思います。ですから、もちろん参議院段階で議了をして、参議院の意思を決定するということは私はけっこうだと思います。しかしながら、この法案が本国会において成立しないということも、これはあまりにも明らかだと。思うんです。ですからそういう点、会期が二日あるので、大臣は断念をしておらない、こういうことでありますが、その点の経緯はこういうことでありますか。
  148. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 不信任案が上程された場合は、何ものにも優先して審議しなければならぬということは、これは国会の慣例であります。慣例でありますが、その不信任案の上程というものに支障のない限りにおいて審議を進めることは、不可能のことではないのであります。前例もございます。第十九国会において議員逮捕につき許諾を求むるの件を不信任案上程に先立って議題としております。なお、日銀政策委員任命等も第二十四国会で行なっておりますから、その原則をくずさぬ限度においてできるのじゃないかという考えを持っているんです。また、両院協議会に諮ってもきめなくちゃならぬ問題だとも私は考えております。ということは、こういうことなんです。これはざっくばらんに一つ申し上げさしていただきますから、お許しを願いたいと思うんです。選挙後におそらく特別国会が開かれます。特別国会というのは、通例から言いますと、なかなかこういう政策的な法律案まで出すような特別国会が召集されるかどうかということは、疑問があるのでありまして、これは今までの例から見ますと、新しい内閣総理大臣の指々ということでありますので、内閣総大臣が指名せられると同時に、内閣も成して、新しい大綱政策をねって、方針をきめた場合に、初めて臨時国会を召集するということでありますが、このお年玉はがきというものは、十二月売り出すんですが、もう八月には印刷にかからなければいかぬのであります。だから決算委員会でも問題になっておりますように、いろいろな問題が起きて、十一月の初めまでどうにもたらなかった場合、印刷局にこれを印刷せしめても印刷局だけで間に合わなくて、共同印刷やその他に下請さしたということが批難事項になっているんですから、そういう実情に徴しまして、この問題は本国会にどうしても通したい、それを通さないと支障のある問題であります。でありますから、私はそういう意味で本国会に何とか通して、今まで五年も六年も問題のあったお年玉はがきに対しては、一つ筋を通そう、しかも、これに対しては機能障害とか、ガンとか、いろいろな方が非常に嘱望をしておられますから、そういう問題に対しても、私は何とか通してあげたい、通さなければならぬのだ、こういう気持でありますので、今政治的な複雑さ、また、非常にむずかしい事情のあることは、私もわかります。わかりますが、とにかく何とかできたいこともないのでありますから、もと一ぺん一つこの法律案の長い歴史、しかも三十三年度のものを、すんなりと国民の負託に沿って発行するためには、一体通さなければならぬのだというふうにお考えになったら、一つもう一ぺんお考えになっていただいて、何とか道を開いていただきたいということを申し上げておるわけでございます。
  149. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 質疑はこの程度をもって終局いたしたいと思いますが……。
  150. 鈴木強

    ○鈴木強君 議事進行ですから、明確にして下さい。二日あるのですから、時間は十分あるのです。
  151. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記をとめて。    〔速記中止]
  152. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  153. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは議事進行に私たちは協力しようとしてずっときております、委員会におきましても。それでさっき久保さんの質問大臣がお答えになりましたが、もともとさっきの議事の過程で、次官が大臣のところに見えて、何かこう書いたものを持って見せておりました。それからあなたがそれをごらんになって、何か言っておる間に、次官が来て話をしている。そこで、横川君はあなたたちは話をしているから、せっかく質問をしているのに聞いていないように思う、どうしたのかと、こう聞いた。そうしたらあなたは、実は散会になった、だからこんなものを審議したってしようがない、ころいうことであなたのあとの発言は、議事録に載っていないかもしれませんが、そういうことです。それから暫時休憩を委員長は発言をしているのです。速記はとめておりましたけれども、そういう経過なんです。ですから、少くとも大臣がそういう態度をとられたことについては、まことにこれは遺憾だと率直に思うのです。それで、もともと衆議院段階において両党が話し合いをし、大臣もそれを了承されたと思うのですが、与党の大臣ですから。そうしてわれわれは二大政党の間で少くとも議事の進行について協力しようということで修正がなされてきたのです。けさの新聞に数人の方々が批判をされておりましたが、これは各委員からのあなたに対する質問にもありましたように、何か郵政の職員が超過勤務に使ったり、いろいろな従業員に還元するようなそういう印象を持たれて、私はそういう質問をされたと思います。少くとも新聞に発表されている中でも、そういう誤解が私はあったと思います。ですから、ほんとう衆議院段階において両党が修正した真意というものが国民の皆さんによくわかってもらっておるならば、何か反対というものが私は出てこなかったと思います。たまたま、新聞紙上の発表によって自民党諸君が態度を変えて、参議院段階においては衆議院修正に応じないということになって、問題がこじれてきた、率直に言って、そうじ牛ありませんか。そういう二大政党間における私は少くとも取りきめというものは、国会対策委員会の中できめられておるわけですから、われわれはそれに従って審議をするにもかかわらず、この逓信委員会においてどうにもならぬようなはめになってきたということが、もともとの事の起りだ。こういうことをもちろん私たちは、わが党も十分に慎重に態度をきめておりますから、事のよしあしは別としても、両党間における審議というものはやはりはっきり守る形をとらないと、約束というものを破られてしまってはどうにもならぬから、そういろ点も、明確にこの機会に申し上げておく必要があると思います。それはわれわれに話があれば、取り消すことについてやぶさかではないのですが、それならそれで、社会党に対して自民党の方からこうだというようなことをもっと早目に、事前に申し出くらいあってしかるべきだと思うのです。そういう点、僕は大臣として重大責任を感じておられると思うのです、審議に従うということで。あなたの責任じゃないといえばそれまでですが、衆議院段階における修正の経過を聞きますと、そういうこともあなたは考えられていると思うのです。それはぐちになると思いますが、そういった点をやはり国会としては、われわれは一たん議決したものについては、あやまちがあれば、そのあやまちをただすようにするのが、政治家の任務であって、多少間違った批判があったから、すぐ取り消すというのは私はおかしいと思う。こういうようなことがありましたから、これは大臣答弁を求めても、おれは大臣だから、これは何も与党がやったのだから知らないと、そういうふうに答えるかもしれぬが、これは野党の諸君が聞いても、大臣が発言してくれぬと思うから、私は質問ということで、答弁を求めませんけれどもと、そういうことがもともとこの議事を混乱さしている原因じゃないのですか。それをわが党の責任だというと非常に困る、そういう点をはっきりしてくれないと、それは注意しなければ……。
  154. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 質疑はこの程度をもって終局いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 御異議ないと認め、きょう決定いたします。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  156. 奥むめお

    ○奥むめお君 ただいま提案されておりますお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案を、緑風会を代表して提出したいと存じます。  まず、読みます。  お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案の  一部を次のように修正する。  第五条の改正規定のうち同条第二項中「、原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体又は逓信省の職員の保健若しくは保養を目的とする事業を行う団体」を「又は原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体」に改める。   第五条の次に三十二条を加える改正規定のらち第七条第一項後段を削  る。  以上でございます。それで時間もないことですから、これについて簡単に私の提案理由を説明申し上げたいと思います。  たまたま、国民の一人々々の心をあたためておりますお年玉に関係のある法案をめぐりまして、しかも、との逓信職員の保健と保養を目的とする事業を行う団体という条項だけを削るという修正案を私が出しますことは、非常に心苦しいし、残念でございます。しかし、私ども参議院議員といたしまして、国会の審議に当り、衆議院の総意を常に尊重するように努めて参りました。しかしまた、この参議院は、二院制度のもとにある参議院としては、別個の立場から、衆議院から送付されてきた法案を検討して、また、私どもの参議院の良識、または参議院の重責に基礎を置いた審議をしなければならないという責任を感ずるものでございます。常にその気持で法案審議に当ってきております。  国の行いますところの公営事業の収益を、広く国民全体に及ぼすような寄付金として使いますことは、これはすべての国民も納得する、喜んでまた年賀郵便はがきも買われているのだと思います。納得するところでありますが、ある特定の階層だけに、この際は郵便事務を行うところの逓信職員の福祉施設をする団体に寄付するとつけ加えられましたことは、衆議院の事情はともかくといたしまして、私ども国会審議に当りまして、大へんに世の中の疑惑を招くし、また不信を招くもとになると思って、この法案をぜひ削って成立されたい、こう考えたのでございます。  で、私どももちろんこの逓信従業員が非常に御苦労していらっしゃることは、よくわかります、しかし逓信従業員だけでなしに、国家公務員も地方公務員も教職員も、あるいは一般勤労者も非常にまだまだ及ばない予算の中で、低い給与とそして貧しい施設の中で無理な働きをしていらっしゃるのは、何としても国の予算の面でこれを改正しなければならない、早くこれをよくしなければならぬということを非常に感じますだけに、ここに取り上げられました逓信職員の問題も、これは別途の道をぜひ大急ぎで考えて、保健、休養の施設ももっと行われるようにしたいということが、私の心からの願いでございます。  しかし第一、こういうお年玉の葉書から、国民が喜んで寄付いたしておりますものを、もしも特定のある一階層だけに福利施設の事業に与えるということになりましたならば、私はもしもこれが前例となって、たばこの方でも、たばこの売り上げの中から、そういうことをしてもらおうじゃないか、あるいは税金の方も、税務関係から、僕たち職員の福利施設の予算を出そうじゃないかどいうふうなことが出ないという保証は立たないと思うのでございます。それは今度お年玉はがきの寄付金を、今までより以上に広い範囲に不幸な人にもっとたくさん分けてあげたいという改正案でございまして、大臣答弁から見ましても、八億枚今度は売りたいのだ、その予定でいるのだとおっしゃっていますが、もしも、この今私どもが削りたいと思っておりますこの条項をそのままにこの法律を通過決定いたしますならば、お年玉を買う国民のほんとうにあたたかい熱情というものが冷え去ってしまうだろう、私どもそれをおそれます。お年玉の売れ行きがもし非常に悪くなったら、ほんとうに、せっかくのいいこの改正案が生きてこないじゃないかということを私は案じます。ですからこれは何としても、その本来の目的である不特定多数の不幸な人たち、あるいはぜひ国民の愛情を注いであげなければ、政治の至らないところを、人間のあたたかい愛情によってうずめていかなければならぬところがずいぶんあります日本の現在におきましては、私どもこれをある特定の階層だけに、その一部なりとも回すというこの修正案を、私非常に、心からこれは反対いたしまして、何としても皆様に、衆議院がこれを総意を持ってこれを可決してこちらへ送ってきたものではありますけれども、衆議院の方たちが、どういう気持でこの法案をなさったのか、おきめになったのか、どういう取引がその間にあったのかは存じません。だけれど、参議院だけは何としても参議院の良識のもとに、この修正案を皆様の御賛同をいただいて、ぜひ賛成決定していただきたい、こう願っておるものでございます。
  157. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 他に御発言もなければ、討論を終局し採決を行います。  まず、先ほどの討論中にありました奥君提出の修正案を問題に供します。奥君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 全会一致と認めます。よって奥君提出の修正案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案を問題に供します。修正部分を除く原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 全会一致と認めます。  よって本案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任を願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  賛成の方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     前田佳都男  石坂 豊一     奥 むめお  森田 義衞     横川 信夫  久保  等     柴谷  要  秋山 長造     手島  栄  松平 勇雄     新谷寅三郎  長谷部ひろ     黒川 武雄  川村 松助     鈴木  強  山田 節男
  160. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 本日は以上をもって散会いたします。    午後八時五十六分散会