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国務大臣(
田中角榮君) お答えいたします。第一の問題は、
労働事情に対しての根本的な
変りがあるのか、私の
労働政策に対して
変りがあるのかという問題でありますが、こういうものは全然ございません。両方ともありません。私が率直に申し上げられるとすれば、特に
全逓の
労働運動の
状態はよくなったと、こういう
考えであります。これはまあ今までの例から言いますと、すわり込みといったら
ほんとうのすわり込みでありましたが、今度はそういうことではなく、私から率直に申し上げられるとするならば、
全逓と
官側との間の
交渉は、過去の
労働運動や
労働問題に対する
問題解決に当っての
状態とは違って、相当円満に、いわゆるよき労使の
慣行がだんだんと芽ばえ、また、これが実施に移されつつあるというふうに私は信じております。これは
昭和二十二年と二十三年と比べてどうかというのではなくて、実際
お互いが
了解点を持っているのだ、だから、その表面的に見ましたり、
新聞の
夕刊等に大々的に報道しておるのをただ
第三者が見た場合は、昔と同じじゃないかというふうに見られやすいのでありますが、
当事者の腹を割った
状態を率直に申し上げると、そういうものとは全然違うということでありますから、
労働事情は、
労働運動の姿というものは、過去の例と比べたら非常に問題にならないくらいの
進歩をしておるというふうに見ておるわけであります。なお、私の
労働の
政策に対しては、在来とってきたものと何ら
変りはなく、
話し合いによって円満にものを
解決しようという
考えでおります。しかも、できるだけ問題のあるものは早期に
解決をして、重大なるがゆえに、これをじんぜん日をむなしくして派生的な混乱を起さないようにという私の
基本的態度にはいささかも
変りございません。
第二の
警察権力の問題でありますが、これはここで
一つ率直に申し上げさせていただければ、
警察権力は入れたくなかったのです。また、私も入れることは排除しなければならぬという基本的な
考えは変っておりません。この
委員会で申し上げた
通りであります。ただ、なぜ
警察官が入ったか、この
委員会で相当強く言明しておりながら翌日
警察官を入れたじゃないか、しかも、事前に入れたじゃないか、こういうふうなお話でございますから、その間の
事情を申し上げますと、今度の
全逓と
官側との
交渉の問題は、一ぺんや二
へんの
会合でもって片づく問題ではありません。これは
特定局の
統廃の問題でありますから、一回や二回の
会合で片づく問題ではありませんが、とにかく慎重に
お互いが
誠意をもって
解決しようということに対しては
了解点に達しておる問題であります。なお、この
特定局制度の問題に対しては、六カ条か七カ条の
公式文書をもっての
回答要求がありましたので、私はこの問題に対しては明確に答えてあります。いわゆる
特定局制度調査会の
答申案が出た、それに対する
省側の明確な
態度はまだ決定もしておらぬし、実際問題として条文をどう読むかさえもまだ明確に調べておらないのだから、
お互いが
一つ話合いをしながらもう少し時間をかけて、できるだけこの問題に対しては議論に終止符を打つような
態度でいこうということを言っておりますから、今度の場合は、
特定局制度の問題は一ぺんや二
へんの
会合でもって片づく問題でないということは
全逓側もよく承知しておりますし、
官側もこの問題に対しては
十分話し合いをしておるのです。だから、今度なぜ三日、四日、五日の三日間
本省に対しての
集団陳情といいますか、
集団団交をしなければならないか、向うは集団的な
陳情に来たのになぜ会わぬのかと、こういうふうな
態度をとっております。いずれにしても、そういう
事情にある問題であります。でありますから、私は中闘の
諸君と一日の日に会ったのです。会ってこの問題はこういう
事情なんだから、だから、
一つお互いにうまく
話し合いをしようじゃないか、特にこの問題でもって、今まで非常にうまくいっておる
官側と
全逓との間がこの問題でうまくいかないようになったら困るから、私も胸襟を開いて会うし、また
官側各
部局も
誠意をもってこの問題を
解決するようにするから、あまりばたばたしないようにという二とを私の方から
全逓側に申し入れてあります。特に私が会ったのは土曜日の午後でありますから、夜も、まだ日曜日一ぱいもあるし、私はいっでも会えるので、できれば三日、四日、五日の
スケジュール的な姿はやめてほしい、非常にうまくいっておる
労働慣行がここでこわれると困るから、何とかやめてくれと
——しかし、やめてくれと言ってもやめられない態勢にあることもわれわれみずからまた認めるのだから、まあそこはうまくやってくれと、こういうところもざっくばらんに話したのです。そうして私は
衆参両院に呼ばれているのだから、私も
次官も
局長も
本省にはおらないから、会うならば
国会で会おう、また
国会で会うといっても十人か十五人でもって
——三十人、五十人には会えないから
場所を指定してくれというなら宮城前広場で会ってもよろしい、楠公の銅像の前で会ってもよろしいのだから、幾らでも会うから、時間が来たら七時半から
スクラムを組んでやるというようなことを
一つやらないでくれということを、私が中闘の
諸君に
誠意を披瀝してるる申し入れてあるのです。そういう
意味で中闘も、じゃ、三日の朝までにはまだ時間もあるのだから、それで
大臣とも何回も会うようにしましょうと、こういうふうに、私は日曜日も出かけずに待っておったのですが、ついに土曜の晩から日曜日には会えないで、月曜日の
集団陳情になってしまったと、こういうわけです。そのときに、ここまで話をしておるのだから、
お互いにいつでも会うし、
場所を指定すればどこでも出かけていくというのだから、定期的に
組合がどうしても
一つの
スケジュールとして
本省を取り巻かなければならないということがあるならば明確に言ってくれ、話はよくわかるのだが、
立場上しょうがないということであるならば
警察官を
動員する。そうしてそちらの方でも、私の方でも
考えるから
警察官はやめてくれ、こう言うならば、僕の方でも一向
動員なんかしないから、こういうことでざっくばらんな話をしたのです、私は。
——そういう
状態でとにかく三日、四日、五日はどうしてもやらなければならないという
状態なので、
お互いの間でもって一切
紛争を起さないようにということで、多いときには六百人も来ておりますが、比較的に姿としてはいろいろの
いざこざがあるような姿でありますが、
内容的には
いざこざはないのです。今までの例から言いますと、あのくらいでもって対峙しますと相当けが人が出ますが、今までの
状態で
スクラムを組んで
本省職員の入庁を拒否したという問題、それから東門のと
びらを境にして
管理者、警官と対峙してと
びらの一部を破損したというだけであって、今までに問題は
一つもないのです。だから、今までの問題からいうと、
お互いの
立場上の問題はありますが、相当良識を持って行動しておるということは、この当時者でなくても認められると、こう
考えるのです。しかし、もうきょうは三日目でありますから、まあやはり何百人という人が集まるということになると、公道も占拠するようになるし、また公衆の往来を妨害するようなことになると困るので、もう少し
一つ話をして何とか早く固めたらどうかというので、今、
人事部長と
組合との間には
話し合いを進めております。で、きょうあります
国会の時間の合間のときに私がいつでも会うと、こういうことで、今までの問題で
官側が会わなかったというようなこともありませんし、いつでも会っておりますので、今までよりも変った
態度でもって
交渉を行なっておるという実際の例はございません。
警察官の
動員という問題に対しても、
お互いが
話し合いをして、
ほんとうに
お互いが
話し合いをするならば
警察も何も
動員しないが、あの狭い所に六百人も千人も来られたのでは、
管理者として当然
交通整理のためにも
警察官を呼ばなければならないのだから、何とか呼ばないようにしてくれという
了解のもとにやったのでありますから、
警察官を先に対峙させておいて
紛争を激発させるというような
意思がなかったことは
一つ御
了解願いたいと思います。
それから第三番目の
態度の問題でありますが、(「
大臣の
発言は長い、簡単にやってくれ」と呼ぶ者あり)簡単にやれない問題です。簡単にやると私の
意思が通らないから、これは明確に答えさせてもらわなければならない。そういう
意味で、
省側の
態度については、私も省の各
部局長も
誠意をもって会っておりますから、いずれにしても、今までの職務怠慢であったとか、
熱意が欠けておったとかいう問題はございません。なお、そういう問題があると困るので、きのう、きょうは特に
組合側とこちらから申し入れても会うようにしなさいと、こういうことで
話し合いを進めておりますので、今までのように
大臣だけが会うのであってほかの
部局の
人たちは
団体交渉の
当事者にならないのだというようなことは全然ございませんから、誤解のないようにしていただきたい。