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1958-03-13 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十三日(木曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――   委員異動 三月十二日委員成田一郎辞任につ き、その補欠として吉田萬次君を議長 において指名した。 本日委員吉田萬次辞任につき、その 補欠として郡祐一君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            久保  等君    委員            伊能 芳雄君            西郷吉之助君            佐野  廣君            館  哲二君            本多 市郎君            松岡 平市君            鈴木  壽君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            白木義一郎君   政府委員    警察庁長官   石井 榮三君    警察庁長官官房    長       坂井 時忠君    警察庁刑事部長 中川 董治君    警察庁警備部長 山口 喜雄君    自治庁税務局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    労働省労働基準    局監督課長   鈴木 健二君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出予備審査) ○警察法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について報告いたします。  昨十二日、成田一郎君が辞任されまして吉田萬次君が補欠選任されましたが、さらに本日、吉田君が辞任されまして、郡祐一君が補欠選任されました。  以上、御報告いたします。   ―――――――――――――
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、まず、地方税法の一部を改正する法律案予備審査)を議題に供します。  政府委員詳細説明を聴取いたします。
  4. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) お手元にお配りしてあります地方税法の一部を改正する法律案の条項に従って御説明申し上げたいと思います。  一ページのまん中ごろの「軽自動車税」は、「自転車荷車税」という言葉をこう改めているわけでございます。  その次の第二十三条第一号の規定を改めましたのは、府県民税について用いられております所得税額、あるいは法人税額定義規定であります。今まで所得税法規定によって納付すべき所得税額を言うんだと書き放しておったわけでありますが、所得税額算定につきましての規定は、所得税法だけではなしに、租税特別措置法その他関係法規に分散規定されておりますので、それらの規定も含みにおきまして、一ページの終りから三行目の下に書いてありますように、「所得税法その他の所得税に関する法令規定によって納付すべき所得税額をいう。」、こう改めたいわけであります。  なお二ページの一行目に書いてございます「租税特別措置法第四十一条の三第一項の規定によって控除された所得税額を含むもの」といたしますのは、所得税につきまして貯蓄減税が行われようとしておるわけでございますけれども、その減税の影響は住民税の方には及ぼさないという意味におきまして、控除された所得税額を加えた所得税額、これを住民税の場合には課税標準としようとする意味でございます。二行目の下に書いてありますのは、法人税額に関しまする定義規定を改めるのでありまして、法人税法その他の法人税に関する法令規定によって納付すべき法人税額を言うのだというように改めようとするものでございます。  それから五行目規定、「第七十二条の二十五第二項ただし書中「その決算の確定した日から二十日以内」を「その指定した日まで」」に改めまするのは、災害その他特別な事由があります場合には、承認を受けまして申告期限を遅らせることができます。その場合には決算確定が遅れますので、遅れた決算が確定した日から二十日以内と、こう書いてあるわけでありますが、そういたしますと、そういう法人決算をいつまでも延ばしておる限りは、申告をしないでもよろしいということになりますので、これを、その指定した日までに改めようとしておるわけでございます。  終りから三行目の「第百四十五条第一項中「自動車」の下に「軽自動車税課税客体である自動車その他政令で定める自動車を除く。」」、こう入れようといたしておりますのは、現在、自動車税を課されております軽自動車と二輪の小型自動車に対しまする課税を市川村に委譲いたしますために、自動直税の課税客体であります自動車のうちから、こういうカッコ書きのものを除いて行わなければならなくなったわけであります。「その他政令で定める自動車」と言いますのは、広く自動車と呼ばれておりますうちで、特殊自動車、いわゆるキャタピラを有する自動車でありますとか、ロード・ローラーでありますとか、通常道路運行の用に供することを本来の目的にしているものではない自動車であります。こういうものは自動車税客体にするよりも、むしろ固定資産税償却資産として扱った方が筋が通るように考えられますし、また従来もそういう扱いをしておりましたので、その点を明確にするためにこの規定をおきたい、かように考えておるわけであります。  三ぺ-ジの四行目、第二百九十二条第一号の規定を改めますのは、府県民税について申し上げましたと同じように、所得税額法人税額についての定義規定を改めようとしているわけであります。それから七行目のところで給与所得の下に「(同条第二項において給与所得とみなされるものを含む。)」と、こういたしますのは、共済組合法その他によって支給されます年金等で、所得税の場合に給与所得とみなされておりますものは、やはり住民税の場合にも給与所得とみなしまして、関連する規定適用を受けるようにいたしたい、かように考えているわけであります。それ以下の規定は、やはり定義規定改正で、府県民税の場合に申し上げましたのと同じでございます。  四ページへ参りまして、遺族年金の下に恩給法の関連の規定を加えております。これは住民税において、寡婦については特別な恩典を与えておるわけであります。その寡婦は、単に未亡人だけではなしに、扶養親族を有しておる未亡人に限っておるわけであります。しかしながら、遺族年金を受けているような者でありますと、扶養親族かございませんでも、寡婦としての恩典を与えておるわけであります。その中に恩給法規定改正が行われまして、これと同じような扱いをすべきものも恩給法適用を受けるようになって参っておりますので、その部分だけをこれに加えておきまして、恩給法規定によりまして、遺族年金に準ずるようなものを受けておりまする未亡人につきましては、扶養親族がございませんでも、寡婦としての恩典を与えるようにしたいという趣旨でございます。  その次以下は、やはり所得税額とか、法人税額とかいうことについての定義規定改正でございますので、省略さしていただきます。  五ページへ参りまして、一行目の「第三百四十一条第四号ただし書中自転車荷車税課税客体である自転車及び荷車」を「軽自動車税課税客体である原動機付自転車軽自動車及び二輪の小型自動車」」に改めますのは、土地家屋及び償却資産に対して固定資産税が課されます。その償却資産事業用物件を総称して言うておるわけでございますので、自転車荷車に対しましても、固定資産税的な性格も合わせまして自転車荷車税が課されますから、二十課税を排除する意味において、自転車荷車償却資産の中から除いておるわけであります。ところが、これが廃止されまして軽自動車税がかかりますので、その規定をこのように改めたいわけであります。その結果、事業用自転車荷車を持っております場合には、固定資産税課税客体であります償却資産価額申告します場合、自転車荷車のうちで、事業用のものはその中に含めなければならないと、こういうことになるわけであります。もとより現在の自転車荷車税でありますと、自転車荷車税であります限り、それだけを取り出して個別の物件課税が行われておるわけであります。しかしながら、固定資産税ということになりますと、非事業用のものは課税客体になりません。事業用のものである場合に限って償却資産価額に含められるわけであります。しかし、自転車荷車を若干持っているからといって、償却資産に対する固定資産税課税が行われるといけませんので、土地家屋の場合とは異にいたしまして、免税点を特に十万円に上げておるわけであります。従いまして、こういう規定改正が行われましても、直ちに固定資産税が課されるようになるというようなものは、日本通運その他の大きな運送会社自転車荷車を多数持っている、こういうような場合に限られるだろうと、こう思っております。また、個人の商店が事業の用にも使っているし、家事の用にも使っている、こういうような場合には、家事用に使われている点に着目しまして、償却資産価額の中に含ませることを強要する措置は避けさしたい。そういう点につきましては、はっきりした指導を強く市町村に行なって行きたい、かように考えているわけであります。しかし、こういうようなことになりますので、若干やはり課税になってくるものもあり得るわけでありまして、もとより課税したいわけではございませんで、固定資産税性格上、全くやむを得ない改正になるわけであります。自転車荷車税の廃止によります平年度減収額が五十億円、このような改正におきまして、増収になります部分が五千万円ぐらいあるのじゃないだろうかというふうに考えております。なお、こう改正いたしますと、今年の一月一日現在で申告いたしました償却資産の価格に追加申告しなければならないことになって参ります。そういうことは非常に混雑することでもございますので、この規定によります申告は、三十四年度からでよろしい、従いまして、三十三年度に関しまする限りは、自転車荷車税はございませんし、大きな運送会社の持っている自転車荷車でありましても、固定資産税が課されない、こういうことになるわけであります。  それから第三百四十九条の改正規定、「存続する市町村」の下に「及び新市町村建設促進法」を加えようとしております。これは、これらの新市町村につきましては、地方交付税の額につきまして合併前の個別の市町村について計算をした額を合算した方が、新市町村一本で計算した場合よりも多い場合がございます。そういう場合には、個別に計算して合算した額を新市町村地方交付税として与えられる、こういう一種の恩典規定を置いているわけでございます。そうしますと、大規模償却資産に対しまする市町村同定資産税課税限度額計算する場合に、個別の市町村基準財政需要額を合算した場合と、新市町村一本で基準財政需要額計算した場合と、どちらが多くなるか。ときによって実は違うわけでございますので、そういう場合には、新市町村一本で計算をするが、個別の市町村基準財政需要額を合算した方が多い場合には、それによれるようにいたしまして、市町村課税限度額を有利に定めたいと、かように考えているわけであります。  その次は第三百六十四条第三項の規定改正でございますが、「範囲内」というのを、「「当該年度納期の数で除して得た額の範囲内」」において「「徴収することができる。」を「それぞれの納期において徴収することができる。」」等に改めようとすることであります。これは評価を府県知事自治庁長官がいたしますもの、そういうものについて申告がおくれたりいたしまして、価額市町村への通知がおくれることがございます。そういう場合には、便宜、前年度課税標準基礎になった価額で、かりに課税しておけるという規定を置いているわけであります。その規定を少し正確に書くようにしたいということで、「納期の数で除して得た額の範囲内」で、それぞれの納期にかりに徴収して置くことができるのだ、こういうふうに改めようとするわけであります。本質的に変るわけではございませんで、多少字句の上に疑義がございましたので、正確な表現にしておきたいということで、この規定を改めようとしているわけであります。  次に第三百六十四条の二の規定、これも今申し上げましたのと同じことでございまして、前年度の額を基礎として、かりに課税をしておきます場合に、もとより違法な処置であります場合には、かりの徴収でありましても異議の申し立てばできるわけであります。しかしながら、かりの徴収権市町村長に認めているわけでございますので、そのかりの徴収額について市町村長異議のあります場合には、やはり価額修正してもらう、修正の申出権であろう、こう考えられますので、これも本来の性格に改めまして、このような改正をしておきたい、こう考えているわけでございます。これも本質的な改正ではございませんで、若干規定を整備したということでございます。  次に第四百四十二条で、軽自動車税の問題でございます。軽自動車税につきまして原動機付自転車軽自動車、二輪の小型自動車についての定義を書いております。いずれも道路運送車両法において呼ばれております言葉を、そのままここで使うようにいたしたわけでございます。  第四百四十二条の二、「軽自動車税は、原動機付自転車軽自動車及び二輪の小型自動車に対し、主たる定置場所在市町村において、その所有者に課する。」、軽自動車等の売買があった場合において売主当該軽自動車等所有権を留保しているときは、軽自動車税賦課徴収については、当該軽自動車等は、売主及び買主の共有物とみなす。」、「軽自動車等所有者が次条第一項の規定によって軽自動車税を課することができない者である場合においては、第一項の規定にかかわらず、その使用者に対して、軽自動車税を課する。ただし、公用又は公共の用に供するものについては、この限りでない。」、いずれも自動車税について示されておりました方式を、そのまま軽自動車税についても援用して行きたいという趣旨で、同じ規定をここに置いているわけでございます。  次に、軽自動車税標準税率でありますが、この標準税率も現在の自転車荷車税ないし自動車税税率をそのまま持ってきているわけでございまして、何ら改正は加えられておりません。  十ページの終りから四行目のところの、「前項各号の税率は、その税率標準として当該各号に掲げる軽自動車等の種類によって更に区分することができる。」、これも自動車税について用いられております表現を、そのまま軽自動車税についても置いているわけでございます。  第四百四十五条は、「軽自動車税賦課期日は、四月一日とする。」、これも自転車荷車税の場合と同じ扱いにいたしているわけであります。二百項で、「軽自動車税納期は、四月中において当該市町村条例で定める。」、こうすることにおきまして、軽自動車の方の把握を全市町村が一斉に行うことによって的確にやらせるようにいたしておきたい、かように考えているわけでございます。  第四百四十五条の二の規定は、これもやはり自動車税についてとっております措置を、そのまま軽自動車税につきましても、とろうとしているわけでございます。要するに、軽自動車は完全な月割り計算をするのだという趣旨でございます。自動車を収得いたしますと、翌月から軽自動車税が課される。軽自動車を売り払ってしまうと、その翌月から軽自動車税はかからない。納めたものがあると還付してもらえる、こういう精神で規定を置いているわけであります。第三項で、「第一項の賦課期日後に納税義務が消滅した日場合においては、当該納税義務が消滅した者は、当該納税義務が消滅した日から三十日以内に、その旨を市町村長申告しなければならない。」、税金を還付しなければなりませんので、やはり申告をしてもらいませんと手続がとれないわけでございます。そこで還付加算金をつける場合の式は第四項で、この申告を受けた日から十日を経過した日から納入があったものとして計算をするのだ、そういう趣旨で書いてあるわけであります。すなわち「第一項の賦課期日後に納税義務が消滅した場合において、当該納税義務が消滅した者からすでに徴収した軽自動車税額が第二項の規定によって課することができる軽自動車税額をこえるため当該こえる部分税額及びこれに係る地方団体徴収金をその者に還付するときは、前項規定による申告があった日から起算して十日を経過した日に当然還付すべき税額及びこれに係る地方団体徴収金納付があったものとみなして、第十八条第一項の規定適用する。」、第十八条第一項の規定と言いますのは、還付加算金規定でございます。その次はずっと、軽自動車税に名前が変りました関係からの修正部分ばかりでございます。  十四ページへ行きまして、まん中ごろに、「第四百六十五条中「百分の九」を「百分の十二に改める。」と書いてございます。これは市町村たばこ消費税税率改正規定でございます。自転車荷車税減収に見合いまして、たばこ消費税税率がこのように引き上げられるわけでございます。この部分は、四月に売り渡されるたばこから適用されます。四月中に売り渡されたたばこについてのたばこ消費税は、五月に納入されるわけでございますので、三十三年度に関しまする限りは十一ヵ月分、こういうことになるわけでございます。  第四百八十九条の改正規定は、電気ガス税非課税範囲を拡張しようとしているものでございまして、ジルコニウム地金を加えようとする次第であります。これは原子炉炉台に用いられる地金でございます。  二十二の二に書いておりますのは、いわゆる石油化学と称されるものの製品でございます。  第四百八十九条第一項第二十三号の改正規定は、いわゆる合成繊維と呼ばれているものの製品でございます。いずれも三十二年中に製造を開始した新規製品にかかるものでございまして、原価の中に占めます電気料金割合がいずれも五%をこえているというものばかりでございまして、従来からも基礎資材に属するものであって、新規製品であれば、原価の中に占める電気料金割合の高いものについては・やはり非課税範囲の中に加えることにしてきているわけでございます。今回も従来の方針に従いまして、これだけのものを追加しようとしているわけであります。  「第、五百五十二条第一項中「百分の四」を「百分の二」に、「百分の五」を「百分の三」に改める。」のは、木材引取税標準税率ないし制限税率を二%に引き下げようとしているわけであります。木材引取税につきまして、いろいろ問題がございますので、現在徴収されております税額目途にして課税適正化をはかれば、どの程度の税率でやって行けるかというようなところから検討を加えた末に、このような税率に改めようとされているわけでございます。  七百条の三に一項を加えますのは、「軽油引取税は、前項規定する場合のほか、自動車保有者自動車所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車運行の用に供するものをいう。以下同じ。)が軽油及び揮発油以外の炭化水素油自動車内燃機関燃料として消費した場合においては、」、この消費カッコ書きにいたしておりますように、「(当該自動車道路において運行の用に供するため消費した場合に限る。)」というように限っておるのであります。従いまして、農耕作業等に使いました場合は課税はいたしません。こういう場合においては、「当該炭化水素油消費に対し、消費量課税標準として当該自動車の主たる定置場所在道府県において、当該自動車保有者に課する。」ということにしようとしております。現在、揮発油に対しましては揮発油税軽油に対しましては、軽油引取税が課されております。その結果、揮発油軽油の中間に位します灯油を使って自動車燃料に充ててそうして課税を免れようとする傾向が若干出てきて参っておるのでありまして、私たちの推定では大体二万キロリットルぐらい、これらの課税からのがれて自動車燃料に油が使われているのじゃなかろうかと、こういう推定をいたしております。その結果は、エンジンもいたみますし、他の自動車との間におきまして負担の均衡を乱すことになっておるわけであります。そこで、こういうような、無理をすれば使えるような灯油に属するようなものは、これにも課税する、その場合には軽油規格を若干広げればいいわけであります。広げますと、そのかわりに、現に工場等において使われております自動車用でもない油にも課税することになってしまいますので、規格を広げることはいたしませんで、そのかわり使った分は使った者が軽油引取税申告納付しなければならない、こういう規定に改めたいのであります。さしあたり若干の増収があるわけでありますが、増収目途にしているわけではございませんで、無理な油の使い方はやめてもらえないだろうか、やはり本来課税される軽油を使ってもらえないだろうか、こういうように考えておるわけであります。この税金納付手続が十六ページの終りから一行目のところに書いてあるのでありまして、「第七百条の三第二項の自動車保有者にあっては、毎月十五日までに、前月の初日から末日までの間における当該消費に係る軽油引取税課税標準量税額その他当該道府県条例で定める事百項を記載した申告書当該消費に係る自動車の主たる定置場所在地道府県知事に提出すること。」といたしまして、前一ヵ月分を翌月に納入して行く、こうしようとしているのであります。  「第七百条の四十九第一項中「都道府県」の下に「(当該指定府県又は指定市がその管理について経費を負担しないものその他総理府令で定めるものを除く。)」を加える。」、こうありますのは、府県徴収いたしました軽油引取税を、五大市の区域に関しまするものは五大市に交付することにいたしております。その場合に道路面積で按分するのでありますが、その道路面積の中に、当該府県や市が経費を全然負相していないようなものを入れることは適当でございませんので、正確を期する意味において、そういう道路は除いておきたい、こういう意味改正でございます。  附則に参りまして、「この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。ただし、軽油引取税に関する改正規定昭和三十三年五月一日から、電気ガス税及び木材引取税に関する改正規定昭和三十三年七月一日から施行する。」、こう規定しております。これはいずれも若干、周知徹底をはからなければなりませんし、準備も要しますので、このように施行をずらして置こうと考えておるわけであります。  第二項で、「この法律による改正後の地方税法規定は、この附則において特別の定があるものを除くほか、昭和三十三年度分の地方税から適用する。」、第三項で、「昭和三十三年一月一日現在において自転車荷車税課税客体であった自転車原動機付自転車を除く。)及び荷車については、昭和三十三年度分の固定資産税に限り、新法第三百四十一条第四号の規定にかかわらず、なお従前の例による。」、要するに昭和三十三年度分だけは申告も要らない。固定資産税も課さぬ、こういう趣旨でございます。  「4 新法第四百六十五条の規定は、」、これは要するに市町村たばこ消費税規定であります。「昭和三十三年四月一日以後小売人又は国内消費用として直接消費者に売り渡される製造たばこについて適用するものとし、同日前に係る分については、なお従前の例による。」、従いまして、増収分は、ことしは十一カ月分だけだということであります。あとは、従来からの改正の例になる規定であります。  七項の規定は、国軍出納金等端数計算法が「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」とあるのを「国庫出納金等端数計算法」と改められることによります改正でございます。  8項の道路運送車両法規定改正は、自動車税自動車税軽自動車税と二つに分れますので、それに伴います修正でございます。  9項と10項は、日本国とアメリカ合衆国との安全保障条約に基きます関係法律、あるいは国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴います法律におきまして、自動も税が自動車税軽自動車税とに分れます関係から、その修正をして置く必要がある、全く形式的な改正でございます。  以上でございます。
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案に対する質疑は他日に譲ります。   ―――――――――――――
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、警察法等の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案に対する趣旨説明、逐条説明はすでに聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この警察法の改正案に関連して、今回の改正案の中に交通関係もありますので、まず、交通関係について長官に伺いますが、最近交通事故も、資料によりますると非常に増加してきておりますし、また、現在タクシーの問題で相当世論の注目を浴びておるわけです。もちろん交通規則を守らぬために事故が頻発するわけですけれども、一面私が伺いたいのは、現在、警察の人員は十二万数千名おるわけですが、東京、大阪とかを例にとりましても、だんだん人口もふえてきますけれども、その中で交通専門に当っているいわゆる交通警察官と言いますか、こういう人々については、現在の定員の中で、たとえば東京ではどのくらいのパーセンテージの人員が交通関係に充てられているのか。現在でも、かなりそういう点に力を入れておられると思うけれども、やはり警察としては、その取締りの方面でもう少し人員を増加したりすれば、現在の激増しつつある交通事故というものは防ぎ得るのではないかとも思われますので、その点を一つまず伺いたい。
  8. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) ただいまお話の通り、最近、交通事故が逐年増加いたしておるのでございまして、この問題に対しましては、私ども深い関心を持っておるのでございます。交通事故防止は、ただ単に警察の取締りのみでは、この問題を解決することはできないのでございます。政府におきましては、この点に留意いたしまして、さきに内閣に交通事故防止対策本部を設けまして、関係各省庁の者が相集まりまして、交通事故防止のための総合的施策を推進するように努めておるのでございます。私ども警察といたしましては、警察取締りの方面におきまして最善を尽して、この交通事故の防止のために努力を払って参りたい、かように考えて鋭意努力をいたしておるのでございます。ただいまお尋ねの、全国で交通警察に専従している警察官がどの程度あるかというお尋ねでございますが、現在、全国で交通警察に従事いたしております専従員は約八千四百名でございます。これは総定員の約六・七%に当るかと思います。なお、特に御指摘になりました東京都におきましては、警視庁におきましては約千二百名の警察官が交通に専従いたしておるのであります。最近の交通事故の激増に対処しましては、この程度の警察官で十分であるかどうかという点は確かに問題でございます。私どもも、この点につきましては十分検討を加えまして、今後この交通事故の激増に対処するために、一そう警察の内部の配置等につきましても適正なる措置をとって参りたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 なお、それに関連いたしまするが、交通事故もふえて参るけれども、その他の面においても治安を害する凶悪な犯罪がやはり減らないで、むしろ人口の増加に伴って、大都会においては、ふえておるような傾向にあるんじゃないかということを心配するのですが、東京の例をとっても、前回の国勢調査では、かなりふえて参りましたが、現在の総定員の十二万数千名、たとえば東京で言えば二万四千名ですが、警視庁の管下の警官がおるわけですが、一面、東京の人口がふえると同時に、東京の各区の地域が非常に広いために、私どもが、しろうと目で見ても非常に警官が手不足ではないか。パトロールを、歩行でも、また自動車でもやっておられますけれども、今回の予算で多少パトロール・カーもふえるようでありますけれども、たとえば大都会の東京を例にとっても、旋回視察しても、実動四、五十台が常時動いておるという程度でございますから、この一つの大きな区でも、大きな人口を持っておるところでは、それでは非常に不十分ではないかと思いますが、やはり警官の定員だけでなく、機動力を持たせ、施設を強化するという点ももちろん重要でございますが、現在の東京の例をとっても、治安が非常に悪いけれども、交番等はむしろ前より減っておるんじゃないか。これはやはり警官の定員からくる結果だと思うのですが、国民の中にも、凶悪な犯罪の激増に伴って、もう少し旧市内でなく新市内等には交番等も増設してもらいたいという声が相当強いじゃないかと思うのですが、果して人口増加に伴う今の警官の定員というものが、そういう面を考えたときに、このままでいいのかどうか、今の定員で、たとえば新市内の交番等をどのくらいふやし得るのか、パトロール・カーがありまするけれども、やはり国民としては、いろいろな治安関係から、交番があるということが一番便利だと思うのですが、そういう声が非常に強いように私は思うのですが、果して現在の定員をもってして、十分にそれに対処し得るのかどうかという点を伺います。
  10. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 警察官の定員が現下の情勢で適当であるかどうかというお尋ねであると思うのでございますが、現在の警察官を人口比率で見ますと、三十一年度のこれは統計でございますが、全国人口七百五十九人に対して警察官が一人という、こういう割合になっております。これは終戦の年、昭和二十年の当時におきまして、人口七百六十七人に対して警察官一人であったのに比べますと、それだけでは警察官の負担が重くなったとは言えない、こういうことに相なっておるのでございます。警察官の定員は、ひとり人口のみによるべきものでないことは言うまでもないことでございまして、他のいわゆる、たとえば犯罪の発生の状況がどうであるかというような、いろんな総合的な要素の上に定数が考えられるべきであると思うのでございますが、先ほども御指摘のあったように、最近の犯罪の発生状況等を考えますと、質的にも量的にも悪化の傾向にあるというようなところから考えて参りますと、警察官はさらに増員してしかるべきではないかという結論が一応出るのでございますが、御承知の通り、現在の警察制度の改正になりました昭和二十九年の当時の基礎資料に基きまして、制度改正によって、定員はある程度縮減可能であるという結論を出したのでございますが、不幸にいたしまして、その後、いろいろな情勢の変化が、当時予想しましたよりも悪い方向に発展をして参りました関係上、今日におきましては、警察官の定員は必ずしも十分でないという結果に相なっておるのでございます。私ども二十九年の制度改正のときのいきさつ等もありまして、さしあたり昭和三十三年度の、現に国会において御審議を願っております予算関係におきましては、定員の増ということは一応差し控えたのでございますが、しかし、警察力の充実は、ただ単に定員の増のみならず、他の方途にもより得る点に思いをいたしまして、いわゆる警察の機動力の増強と申しますか、警察の機械化と申しますか、そういう意味におきましてパトロール・カー等を飛躍的に増強することによりまして、警察官の頭数の足りない点を、そうした機械的な力によりましてカバーをしよう、こういうふうにさしあたりは考えておるのでございます。しかし、さらに再来年以降の問題といたしましては、この警察官の定員の問題につきましては、慎重に検討をして見なければならぬのではないかと、かように考えておるのでございます。ただいま御指摘の、最近、都市の近郊等が非常に発展し、住宅地帯が新らしくでき、情勢の変った状況に即応して、新らしく派出所なり、駐在所を設けなければならぬといったような必要の点も多々あるのでございますが、そういう点につきましては、さしあたりは、現在の定員の範囲内におきまして適正な配置を考慮して、一応の目的を達成するようにいたしたいと思うのでございます。将来の問題につきまして、この点はさらに十分検討をいたしたいと、かように考えております。
  11. 本多市郎

    ○本多市郎君 ちょっと関連して。ただいま西郷さんからも、まあ御意見ですが、大いに近代化されて機動力を発揮する。そういう意味からパトロール・カーの大増強を行うというお話ですが、それも全く必要でしょうけれども、どうも住民の気持を安心させるというか、それからいざというときに、間違いなく、そこで警官に会うことができるというような点、電話もないうちは、交番がなければ、パトロール・カーがいつどこを回っているかわからないことだし、夜中なんかには、なかなか安心できないという気がする。私もまあ自分の地元の経験からの感じを申しあげますけれども、相当、交番もやはり重視しなければ、住民の心の安定、さらにまた、ほんとうの治安の維持ということができないのではないか。交番があれば、それからある程度の範囲内は、何か悪いことをしようという人為当警戒するだろうと思うのです。パトロール・カーというのは、いつ、どこを……、私どもパトロール・カーを自分たちの近くで見たこともないし、それからパトロール・カーによって救われたというようなのは、道ばたで起きた交通事故なんかでは、非常に便利なときも出ると思うけれども、すきをねらって犯罪を犯そうという者については、パトロール・カーというのは、どこに早く行かなければならぬかということがきまれば、それは機動力でいいでしょうが、なかなか交番の持つ意義というものを補うことがむずかしいように思うのでして、これは西郷さんのお話を聞きまして、全く同感なんですから、その点、私も西郷さんと同じように、特に御研究を願いたいと思います。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その点の御答弁はどうですか、交番の問題は。
  13. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) パトロール・カーが飛躍的に増強されまして、絶えずパトロール・カーが管内をいろいろパトロールしておるという状況になりますれば、これはある程度交番といったような固定配置がなくても、おおむね犯罪の予防あるいは犯罪の発生した場合に、現場へいち早くかけつけて処理するという目的が達成されるわけでございますが、今日は遺憾ながら中途半端と申しますか、パトロール・カーが非常に数が少い、ただいま本多委員の御指摘になりましたように、あまり日ごろ見かけないといったような状況でございますので、それだけに従来の固定配置の派出所といったようなものが、やはり一つの犯罪防止上、大きな役割を果しておることは申すまでもないところでございまして、パトロール・カーの飛躍的増強が実現いたしますまでは、派出所制度というものと、彼此にらみ合せて考えて行かなきゃならぬ、かように考えておりますので、さしあたりの措置といたしましては、先ほど申しました通り、来年度におきましては、パトロール・カーを相当大幅に増加いたすことを考えておりますけれども、これによって派出所をある程度減らし得るといったような結果が出ますかどうか、その辺のところは、さらに十分検討しなきゃならぬと思うのでございまして、先ほど申しましたように、最近、都市近郊の非常な発展に伴いまして、派出所ないしは駐在所を必要とするような個所もふえておりますし、また旧都心部におきましても戦争中、一応廃止いたしました派出所を復活をしなきゃならぬような、その土地の状況の変化というものもありますので、そうした点は、よく実情に即して再検討するように、関係各都道府県とも考慮してもらうようにいたしたい、かように考えます。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次に、以前に警察は国家警察と自治体警察に分れておりましたが、現在、一応一本になっておりますが、どうも府県警察の署長級、いわゆる府県警察の幹部クラス、これは大体警視正ぐらいまででとまっておって、それ以上に行くには、国家公務員の関係で、その定員に限度があるために、府県警察の署長級が、どうも警視正ぐらいで一応先がとまって、昇進ができないというふうな現状に見受けるのですが、こういうことでは、やはり非常に気の毒に思うのですが、その点について、現在、警視正の定員を増加するとか、また、上の方に行くには、やはり各府県の人口というようなことから、こういう数を出しておられるようですけれども、どうも署長級がそれ以上上れないというような現状では、非常に気の毒に思うのですが、その点について将来何か考えておられるか、その所見を承わりたい。
  15. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 現在、都道府県警察のいわゆる警視正以上の階級にある者を地方警務員と呼んでおりますが、これは定員上二百六十名ということに相なっております。これが必ずしも十分ではない。将来もっとふやしたらどうかという御指摘でございますが、私どもも、そういう点は十分検討の余地ありと、かように考えております。現在、地元出身の優秀な警察官が昇進をいたしまして警視正になりますのは、おおむねその県における県本部の部長たる警視正、あるいは県内の大きい署の署長たる警視正というものになっていただいておるわけでございますが、それも先ほど申します通り、全国で二百六十という定員の関係上、必ずしも大きい数字に相なっておりませんので、せっかく優秀な人材が、そういうポストの定員が限定されておるために昇進がおくれる、延びるということがあっては、これは士気に関係することでございますので、この点につきましては将来十分に考慮したいと思います。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次に、現在の東京における警視庁の機構と言いますか、現在やはり府県警察の一環となって、予算等も東京都の予算に関連を持つわけですが、一面、警視庁はわが国の首都にあるわけでありまするから、諸外国等の事例を見ても、大体そういう首都警察に類するものは、国直轄のものに相なっておる例が多いかと思うのですが、その点からいきますと、果して現在の警視庁の機構が今のままでいいのか、やはり外国の例等もあり、また、日本の警察機構から考えて、国家機関にした方がいいのかどうかという点が出てくるだろうと思うのですが、そういう面につきまして長官の構想はいかがか、お聞きしたいと思います。
  17. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 東京が首都である関係上、東京都の警察すなわち警視庁は、いわゆる首都警察として他の道府県と異なった性格を持っておると申しますか、そういう点は確かにあるのでございます。外国におきましても、首都の警察がいわゆる国家警察になっておる例は確かにあるのでございます。そういう点をもちろん考慮しなけりゃならぬと思いますが、現在、東京都も他の府県と同様に、地方公共団体、自治体ということに相なっておりますので、そういった点を両々加味して現在の制度が打ち立てられていると思うのでございまして、警視庁の連帯につきましては、国家的要請に沿わなけりゃならぬ点が、他の府県よりもその程度、度合が高いというような点からいたしまして、たとえば警視総監の任命につきましても、他の府県の本部長の任命の場合と任命の方式を異にいたしまして、国家公安委員会が東京都公安委員会の同意を得て、さらに総理大臣の承認を得て国家公安委員会が任命をする、こういう任命方式をとっておるのもその一つでございます。警視庁の警察通常の実態におきまして、国家的色彩を帯びる面についての経費等におきましては、国において直接支弁する、こういうことにいたしておるのでございます。なお、この点につきましては、さらに御議論もございますので、将来の問題として十分研究をさせていただきたいと思います。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さっき交通警察官のことを伺いましたが、さらに、これについて、この移動警察のことが今度の改正条文にもありますが、移動警察の現状というものがよくわからないのですが、この間、私も郷里から東京に帰る列車中で、ちょうど学校の生徒が、やはり郷里に帰っていてちょうどその帰る時期に、ぶつかって非常に九州線が込んだのですが、そのときに実際に見聞して、これではいかぬと思ったことがあるのです。それは、ちょうど列車の三等車なども非常な超満員でありまして、列車が動き出すと、すぐ数名の者が専務車掌のところに来て、すりにあって金を取られたということであったのです。専務車掌は気をきかして、すぐ車内のラジオ・スピーカーを通して、すりが乗車しているようだから注意してくれということを言った。そうすると、次の駅にとまった。また次の駅にとまって動き出すと、また数名の者がきて、また取られた。三十分ぐらいの間に四組ぐらいの人が、同じところですりにやられた。しかも車掌は、その列車の車内に向っては、すりが乗車しておる、ついには二度、三度になるものだから、すりは何号車辺に乗ってるようだから特に注意してくれと言ったが、それがやまないで、次から次にすりがばっこしている。それで、私は乗っていて考えたのですが、車内の者には専務車掌が注意するから、現在乗っている人は注意するわけです。ところが駅にとまり、新たな人が乗ってくる。新たな人は、そういうことを知らないからどんどんこの中へくる。これは私の想像ですけれども、すりは入口におるから、新たな人はそれを知らないから、乗ってくるとどんどんやられる。車内に乗っておる人は、すでに車内の放送で注意している。それを次の駅にくると、新たな人はそれを知らないから、すりにやられる。ああいう際には、もう少し移動警察官などが働いて、専務車掌と緊密な連絡をとり、車内のみならず、次の駅に事前に、今度の列車にはすりが乗っていて、非常にすりの盗難が多いから注意しろということを、次の駅で乗る人に連絡しておけば、ああいう被害は少ない。中には非常に気の毒な人があって、北海道から来たじいさんも、これにあって、取られて帰れないが、どうしたらいいかということを相談しているのを耳にしたのですが、注意しても次の駅に連絡していないから、新たに乗ってくる人はどんどんやられる。移動警察の改正等もあるのですから、そういう点についてやはり全国的に、そういうふうな季節的に学位が休暇で帰って一時的に込むような場合には、もう少し移動警察官がおる以上は、鉄道公安官なり、専務車掌などと、よく平時に、どういうふうにそういう際に連絡するかということをもう少し御研究になっておけば、あらかじめ予防手段がとれるのじゃないかと思いますが、そういう点についてどうお考えになっておるか、また、現状はどうなっておるかということを伺いたい。
  19. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 列車内のすりその他の犯罪の予防の件につきましては、御承知の通り、鉄道公安官の一つの任務でもございます。われわれ警察といたしましては、鉄道公安官と緊密な連絡協力をいたしまして、列車内の今御指摘のような犯罪の予防、検挙に努めておるようなわけでございまして、大体、各列車につきまして、すり等が活動しやすい条件のと言いますか、すりの立場から言って条件のいい列車は、おおむね見当がつくわけであります。そうしたものを重点といたしまして、警察及び公安官が緊密な連絡をとりまして、具体的にどの列車にどの時間、どこからどこまで乗るというようなことの計画を立てまして実行いたしているのであります。また、季節的にも、特にそうした問題が多い季節と、比較的閑散な季節と申しますか、そういう点ももとより考慮に入れまして具体的な方策を立てて実行いたしているのでありますが、何分にも列車の数が非常に多い上に、警察官の手不足というような点もありまして、必ずしも徹底が期せられておらない状況にあることは非常に遺憾でありますが、今後、実情を十分見きわめまして、実態に即した取締り計画というものを立てまして、より多く効果を上げるように努力して参りたいと思います。鉄道当局につきましては、ただいま御指摘のような、次の列車の着く駅に連絡するといったようなことは、鉄道部内においても、そういう点に着意いたしますならば・実行可能な点も多分にあろうと思います。十分そういった点も、私どもの方からも鉄道当局にも要請いたしまして、最善を尽したいと思います。
  20. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 今回の警察庁の機構改正でございますが、交通警察あるいは青少年犯罪の増加に対する少年警察の充実、そういうふうな理由から機構の改正が行われることと思うのでありまするが、単に警察庁あるいは関東、近畿の管区にだけ保安局あるいは保安部を設けるというだけでは、果してこれらの目的が達成できるかどうかという点に、私はいささか、先ほど問題になりました定員の問題等とも関連をいたしまして、危惧なきを得ないように観測するのでありますが、一体、今回のこの機構の改正整備に関連して、どれだけ定員が直接増加いたしますか。この方に対しましてちょっお伺いしたい。
  21. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 今回の改正に関連をいたしまして、警察庁員の純粋な増員は二十名でございます。これは警察庁に保安局を新設することに要する要員というわけでございます。
  22. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 たった、わずかに二十名を増加するだけということでは、私は非常に心細いわけでありますが、全体の少い関係もあると思います。またパトロール・カー等を増したというのでありまするが、これも機械だけで走るわけではなしに、パトロール・カーを作れば、またそれに現在の定員の中からさいて、それに乗せる警察官がそちらの方に回されるというふうなことで、どうも何となく、何と言いまするか、定員のもともと足りないところを無理しておりまするから、どうも一種の悪循環のような関係になって、都会等においてはいざ知らず、農村地帯等においては、ますます定員が減らされるではないかという危惧を持つわけです。合併による新市町村等の設置に伴って、旧町村に置かれた駐在所が、あちらこちら各都道府県で減らされる。そういうふうなことで、駐在所の設置というような問題も、先ほど本多委員からもお話がありましたが、そういうことを私ども耳にするのでありまするが、かえってこういうパトロール・カー等、都会中心の機動施設がふえたために、農村地帯においで定員が減らされるとか、駐在所が廃止されるとか、そういうふうなことはありませんか、現在どういうふうになつておりましょうか、合併市町村の駐在所等について。
  23. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 先ほど来申し上げました通り、定員は必ずしも現在理想的ではないのでございまするが、私どもも、これは将来の問題として研究させていただくことにしまして、とりあえず当面の措置としましては、定員の増加によらず、他の方途による警察力の充実ということを考えまして、その一手段としまして、パトロール・カーの増強というようなことを考えておるのでございます。足によるパトロールのかわりに、機械によるパトロールによって、これを一段と能率化そうということに相なるわけでございます。しからば、そのパトロール・カーに乗せる乗員をどこからひねり出すかという問題に、もちろんぶつかるわけでございますが、結局、警察の限られた現在の定員の中において、適正配置と申しますか、重点的に必要な部面に配置転換して、一応問題を解決して行くという以外に方法はないものと思うのであります。最近、各都道府県が、それぞれ都道府県内の実情に即して、そうした点につきましては、本部長を初め関係者が十分工夫、努力をいたしておるのでございます。たとえば警察署の整理統合等をいたしまして、そこで何がしかの人員を浮き出させまして、これを最も必要とする部面に配置転換をすると、こういうふうに工夫をいたしているような状況でございます。しかし、それにもおのずから限度がございますが、将来の問題としましては、先ほど来申しますように、全国的な定員について、もう一度再検討しなければならぬという必要があろうかと考えております。
  24. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私のなおお伺いしたいのは、パトロール・カーの設置等、けっこうなんでありまするが、そのために農村地帯の駐在所なり、警察官なりが、合併の進捗等に伴ってこれを引き揚げられるというようなことをやっておらないか、また、将来やられるおそれはないか、その点を一つお伺いしておきたい。
  25. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 私ども第一線の都道府県本部長にお願いいたしておるのでございまするが、どこまでも第一線を強化するということに思いをいたさなければならぬと思うのでございます。第一線の人員を署なり、あるいは本部に集中して、第一線が手薄になるということであってはならないのでございます。そのためには、各都道府県本部長とも、十分慎重に考慮いたしまして、先ほど申しましたように、署の整理統合によって、署の内勤員を節約できる、その人員を他の必要な第一線に配置転換をするという工夫をいたしておるのでありますし、また、府県本部の人員も、できるだけ必要最小限にとどめて、これを第一線に配置するように工夫をお願いしておるのでございまして、新しく派出所を設け、あるいは駐在所を設けなければならぬというような人員は、そうした工夫によって捻出するように、第一線の本部長に要望いたしておる次第でございます。
  26. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 あまりくどくなりますから、少し観点を変えますが、最近、少年犯罪ですね、中には少年とも言われないような集団の暴行、あるいは万引、あるいは、はなはだしいのは性犯罪というようなものが非常に増加をして、識者の憂えるところとなっておりますことは、申し上げるまでもないことでありまするが、少年犯罪の防遏等が、機構の改正ということの一つの大きな理由になっておるように思いまして、この点は非常にけっこうに思うわけでありまするが、四月から売春防止法の全面実施も目前にしておりまして、警察といたしましては、これにどう対処される考えでありましょうか。ことに私は、現在、交通取締りの関係から、都市の警察に一応重きを置いて考えられるということは常識と思いますが、しかし、実情は今申し上げましたような少年の犯罪、ことに性の犯罪等は、案外、農村地帯にこれが非常に多いということは、各府県等の新聞を注意して見ますれば、非常によくわかるのであります。そういう点から考えて、どういうふうな警察では見方をして、これに対して、単にただ、わずかに保安局の中に統合してきた、持ってきたというだけのように思うのでありまするが、どういうこれに対処する考え方をお持ちになっておりますか、現状と構想を少し伺ってみたいと思います。
  27. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  28. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  29. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 少年の非行が年々ふえておりますことは、まことに憂うべき傾向であると思うのでございまして、私ども警察といたしましても、少年非行防正ということにつきましては、かなり深い関心を持ち、努力をいたしておるところでございます。しかし、これはただ単に、警察の力だけでは追っつかないと申しますか、少年を保護育成する各機関と協力いたしまして、警察は警察の分野におきましての責務を果して行くということでなければならぬかと思っておるのでございまして、そういう見地から、青少年問題協議会を中心に、あるいは各学校PTA、こういったような関係方面とも、警察としましては絶えず緊密に連係をとりつつ、少年の非行防止、少年の補導ということに力をいたしておるのでございます。こういう点につきましての警察の努力は、かなり成果を上げておると思うのでございまするが、問題が問題でありますので、今後もさらに一そう力をいたして参りたい、かように思っておる次第でございます。また、来たる四月一日から売春防止法が全面施行になりまして、処罰規定が実施されることになりましたので、警察の取り締りに当る立場といたしましては、これが一つの大きな課題であることは申すまでもないところであります。これに対処するように、第一線の都道府県警察におきましては、これに従事する警察官の指導、教養につきましては、十分対策を練って、来たるべき四月以降のこの問題に対処する警察のあり方につきましては、十分検討させておる次第でございます。
  30. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私もこの問題が単に警察の問題でない、青少年問題というものは、協議会が内閣にあって、あるいは教育の面、あるいはその他の面を合せてやられていることはよく承知しておるのです。しかし、単にこの問題について口頭の善処をするというだけのお答えでは、私としては満足することはできない。少くとも私は今ここで問題にしているのは、警察の部面からの問題でございますが、この四月からの売春防止法の実施を控えて、何か警察庁で、こういう機構の変改を少年犯罪防止のために考えているか、同様に、地方に対してどういう指導をやっておるか、都道府県警察に対してどういう指導をしておるか、もっと具体的な何か大事なことをお考えになっているかどうかということを伺いたいわけです。
  31. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 少年問題につきましては、先ほど申しました通り、警察といたしましては、大きい府県におきましては、府県本部の組織に少年課というものを持っておりますし、少くとも少年係というものを小さい県においても持っております。また、第一線の署におきましても、同様、専従の係員を置きまして、この問題には真剣に取り組んでおるのでございます。売春取締りにつきましても、同様に、来たるべき四月一日以降の取締り体制を整備すべく、各都道府県におきましては、売春取締対策本部を設けまして、これに対処する陣容を整え、また、先ほども申しました通り、それに従事します職員の指導、教養を十分にいたしておる状態でございます。
  32. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私のお尋ねするのは、少し徹底しなかったかもしれませんが、私は売春取締りを、売春防止法の全面実施を控えて強化するというのじゃない。私はむしろこの売春防止法の全面実施によって、少年等の性犯罪の増加、そういうことを心配しているのです。問題は、ことに農村等で、そういう忌まわしい問題が私相当起っておりますのを実際に承知しておりますので、その点をお尋ねしたい。売春でない、私の聞きたいところはそうでない。これを機会に、そういう犯罪の増加をやはり予想して、これを防遏すべく、教育方面からの補導ということはもとよりでありますが、取締りの態勢、犯罪防止の態勢を考えているかどうか、考えてもらいたい、こういうことにあるのです。
  33. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 売春防止法の全面実施によって性犯罪がふえるのではないか、こういうことを御心配になる向きは確かにあります。しかし、これは果してそうであるかどうかということは、今直ちにはっきり申しあげることはできないかと思うのでありまして売春防止法ができます以前におきましても、最近、性犯罪は逐年ふえております。特に性犯罪の中の強姦一つを取り上げてみましても、戦前に比べまして戦後は非常にふえておる、年年ふえております。これは一つには性道徳の低下と申しますか、そういったことも原因の一つでありましょうし、また、御承知のように、強姦は親告罪である関係上、戦前においては、そうしたことを被害者が親告しなかった例が多かったのでございますが、戦後におきましては被害者が進んで届出するようになったということも、数的に統計の上で数が多くなっている原因になっておるかとも思われる節があるのでございます。いずれにしましても、とにかく戦後、性犯罪がふえておるということは、これはまことに憂うべき傾向であるのでございます。これに対処しまして、警察としましては、そうした犯罪の未然防止、また一たん発生しました犯罪の捜査、検挙ということに最善を尽さなければならないことは申すまでもないところでございますが、それにはひとり警察のそうした努力のほかに、国民全体の性道徳の高揚と申しますか、そういった施策も推進しなければならぬと思うのでございますし、また、青少年に対して性的刺激を与えるようなことが、こうした性犯罪を増加せしめる原因にもなっておる点にかんがみまして、青少年を取りまく環境の浄化ということも十分考えて行かなければならぬのじゃないかと思うのでありまして青少年に性的刺激を強く与える悪質な映画とか、あるいは文書とか、こういったものにつきましても、関係者の自粛を促して、そうした環境を浄化して行くということが必要であるかと思うのでございまして、そうした関係方面と警察と緊密に連携をとりまして、この問題の解決に最善を尽して行きたい、かように考えております。
  34. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 私のお尋ねしたいのは、そういうことじゃないのです。それはよくわかっておるのです。都道府県警察に対してどういう指導をしているか、あるいはその都道府県警察でどういうことを現実に今やっておるか、それを聞きたいのです。
  35. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) ただいま主管課長を至急出席せしめるようにいたしておりますので、そうした具体的な詳細な点につきましては、後刻、主管課長からお答えいたさせたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  36. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 青少年問題協議会というのに対しまして、今までも青少年の非行防止に関して調査研究をされて、意見書というものを正式に私は出しておると思うのです。正式にそういうものをお出しになっておるとすれば、そういうものを出していただきたい。
  37. 小林武治

    委員長小林武治君) それじゃ午前はこの程度で休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。    午前十一時五十分休憩    ――――・――――    午後一時四十分開会
  38. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続いて、警察法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のおありの方は御発言を願います。  なおこの際、希望を申し上げておきますが、本件に関し資料等の御要求がおありの方は、なるべく明日までに願いたい、こういうふうに思います。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 このたびの改正法の趣旨の御説明の中に、「民主的警察制度のもとにおいて、社会情勢の変化に即応し、警察事務を能率的に遂行しようとする目的」以外ではないというように、改正法提案の理由を御説明になっておるわけであります。その第一点としては、内部組織の改編と、第二点としては、北海道警察の組織、第三点は、移動警察に関する規定、第四点は、道路交通取締法の一部改正という内容でございますが、順序不同に質問いたしますが、道路交通取締法の点ですがね、午前中この点についていろいろやはり質問があったようでございますが、警察庁の方からお配りいただきました資料によりますと、重大事故は、昭和三十二年三百三十三件、このうちの百五十三件がバスによるものである。それから二十八年と三十二年との事故の比較をいたしますと、三十二年が二・四倍に延びている。これが一月、三、四月、七、八月、十二月に多い。一律に多いのは、タクシーの稼働率と疲労度が高いためであるという御説明がございました。さらに交通事故の原因という表を見ますと、九六・二%が操縦者に関係する原因になっております。さらに別の表によりますと、やはり構造、装置の関係による事故の原因というものが四%で、あとはほとんど運転手そのものの原因によるものということになっておるわけであります。  この改正法案によりますと、移動警察を作りましたり、あるいはその他交通取締法規の改変をいたしたりしておりますが、こういったここに今例示されておる事故というものは、原因そのものは大部分が別の原因によるものでありますから、根本的に、特に運転手そのものの条件というものが改変されなければ、事故の絶滅というものは期待できないのじゃないか、取締りをだからやらなくてもいいとまでは申しませんが、むしろ交通違反とか、あるいは道路法規のいろいろな問題ということ以上に、操縦者そのものの心身の状態いうことが原因になっておるわけでありますから、この問題が、もちろん解決の根本的なことにはならないが、警察庁限りにおいて考えれば、道路交通法規の取締りの点について改変するということも考えられますが、政府自体として考えます場合は、事故原因の基本的なものの解決ということを何も考えておらなくては、問題の解決にならない。今、他の委員会におきましても神風タクシーの問題とか、あるいは運転手の給与の問題ということがいわれておりますが、こういう法案を出すならば、あわせてその裏づけになる、これらの原因を解明する、社会的条件を満たしてやる方策というものを、当然政府としてはとるべきではなかろうか、こういう連絡が一体どう行われておるものであるかということを、まず第一点として伺います。
  40. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 午前中もお答えいたしましたように、逐年増加いたしております交通事故の防止のためには、ただ単に警察取締りだけで問題が解決するものでないことはお説の通りであります。道路の補修改善も必要でありまするし、交通安全施設の整備も必要でありますし、さらに運転者をして事故を起さしめないように、いわゆる過労による運転といったようなことのないように、労務の適正化と申しますか、そういった問題もありますし、さらには、国民全体が交通法規を順守するという順法精神の徹底ということが必要であって、ひとり運転者が交通法規を守るのみならず、歩行者も交通法規を下るというふうに、あらゆる面から事故防止のための方策が推進されなければならぬのであります。そのために、内閣に交通事故防止対策本部を設け、それぞれの関係省庁におきましてとるべき方策を協議の結果、実現できるものから逐次実施に移しておるという状況でありまして、最近におきましても、この交通事故防止対策本部の中に特に自動車部会を設けまして、最近特に話題になっておりますいわゆる神風タクシーによる事故防止のためにはいかにあるべきかということを、鋭意検討を加えておるのでございます。ひとり警察の取締りのみならず、こうした輸送事業を営んでいる業者の経営の合理化と申しますか、ひいては運転者の労務管理の適正化と、こういった点にまで問題の解決をはかっていかなければならぬことは申すまでもないところでございまして、関係各省庁においてそれぞれ鋭意研究をいたしまして、一刻も早くこれを実現をしていく、こういうふうにいたしておるのでございます。  警察の立場におきましては、たびたび申します通り、こうした関係各省庁の施策と相待って交通取締りの実をあげていくことによって、交通事故の減少をはかると、こういうようにいたしたいと考えておるのでございまして、今回の改正で特に力をいたしておりますのは、御承知の通りに、最近全国的な幹線道路における交通の円滑を期するために、全国的な視野に立って調整をしなければならぬ必要がますます増加をいたしておる。御承知のように現在の道路交通取締法の建前といたしましては各都道府県公安委員会が権限を持っておるわけでありますが、県境を越えて、今申しますような全国的幹線道路におきましては、ある程度の規制をしなければ、隣接府県でまちまちの方針で交通取締りをいたしておりますと、そこに円滑を欠くという面が出て参りますので、必要最小限度において交通の円滑を期するための若干の規制をいたそうというのが今回の提案でございます。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 今回の改正趣旨はわかるのですがね。単に交通取締り全般から考えれば、今回の提案の内容のような改正だけでは、われわれ住民の側から考えれば、解決していただきたい交通取締りの大きな問題というものは残るのじゃないか。それは、先ほど私が申しましたような点は一体どうなるのだということになるわけであります。で、この前の委員会でも、警察関係ではありませんでしたが、地方行政関係で私は質問をしたのでありますが、たとえば道路計画というものが立てられる、しかしその道路計画というものは・自動車の車両の形体なり重量なんかの制限とは少しもマッチしておらない。大体五メートルか六メートルのところに幅が二・五メートルというふうな大型バスが走っておる。で、二トンか三トンくらいがせいぜいの重量の耐久力しかないような老朽道路で十トン以上の車が走っておる、こういうことであっては、事故ができないのが不思議なので、御配付いただきました資料の中にも道路の整備、道路の収容能力、道路の施設の不足または欠陥というものが間接的な原因としてあげられておりますが、それなら、交通取締りというものの成果を期するならば、一方においては、前に言ったような運転手そのものの社会的条件、経済的条件というものをどうして完全な形に、事故の少くなる形に持っていくかという一つの施策と、もう一つは、車の走るそのものの道路なり、橋梁なり、あるいはそれらの関係の施設なりというものの態勢を整えていく。それでその上にいろいろ取締りを加えていくということでなかったならば、これはちょうど終戦直後のやみ屋の取締りのようなもので、法律ではやみ屋をやることは違反なのだが、しかし食っていけないという現実の前にはやみ屋をやらざるを得ない。それほどでなくても、そういう形態がやはり現実としてあると思う。どうも警察行政が民主警察といっても、民主警察というならば、取り締まられる方の側の社会的条件、経済的条件というものを考えていただいて、取り締られてもいいという状態を警察みずからが作ってやる。あるいは警察みずからが作るという責任は無理だというならば、政府そのものがそういう条件を作ってやる。こういう基盤の上に取締りが強化されるということでなければだめだと思うのですよ。規則を幾ら作ったって、ああいう自動車がああいう状況の中に、またああいう運転手の経済条件の中で運営されていけば、これは幾ら取締りをしたって、取締りを逃げなければ、法網をくぐってやみをすると同じようなことで、生活ができないということであれば、根本的には原因が解決できない、こういうことになろうと思うのです。確かに政府でも、神風タクシーといったような問題、あるいは運転手の給与という問題が一応政治的な問題として取り上げられておりますけれども、その前に警察庁みずからは、原因そのものが、交通事故の原因の九六・二%が操縦者の個人の心身の状態にかかわっておるということがわかっておれば、これの解決ということを今度の改正法の交通取締りの問題とは別に、以前にもりと大きく取り上げられてしかるべきじゃないか、こういうことが一言える。警察側として考えても、政府に何ら施策がないということに御不満は感じないのか、あるいはそういう御要求はしなくてもいいものか、こういう点はどうですか。
  42. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 御質問の御趣旨につきましては、私ども十分に了承といいますか、深く同感をいたしておるのであります。で、警察が、交通事故を起したり交通違反をする運転手をただ取り締るというだけでは、今日の交通問題というものは私は解決しないと、かように考えております。もちろん、お話のように、道路の施設を改善するということも大事であります。これにつきましては、政府としてもそういう方面に力を入れていかれるように私は伺っておるのでありますが、今日、交通問題として一番大きく取り上げられておりますのは、円タク、ハイヤー、いわゆる神風タクシーといわれるこの関係の事故をどうして防ぐということであります。これは私どもがスピード違反であるとか、あるいは交通事故を起したということで厳重に取り締るというだけでは、私は目的を達成できない。むしろお話しがございましたように、何ゆえにそういうスピードを飛ばし、むちゃな運転が行われておるかというその根本にさかのぼっていかなければなるまいと考えております。結局、私どもとしましては、今日タクシーの運転手に対して過酷なノルマを課し、きわめてわずかの固定給をもって取り扱い、そうしてノルマが達成されないような場合には・円タクの車を運転するという仕事からはずして、地上勤務にさせて、わずかの固定給だけで食っていかなければならないようにしておる、そういうタクシー営業の形態に私は問題があると思います。この点は、警察といたしましては前々から常に強く関係方面に対しましては呼びかけておったところであります。御承知のように、今日の交通行政というものは、道路行政は建設省、それからいわゆる労働条件というものは労働省、そうして交通事故、違反の取締りは警察庁、さらにそういう自動車の営業自体は運輸省が総合的に行政上の監督をしておる、こういう状況であります。従って私どもとしては、関係方面、特に運輸省方面に対しましてはそういう面から、いわゆる公共の福祉を守るという点から、自動車の営業のやり方について必要な指導、監督をしていただきたいということは、これは前から強く申し上げておる次第であります。内閣の事故防止対策本部で、今回この一点に問題をしぼりまして、今一生懸命になって検討をいたし、近く一応の結論が出ると思いますが、私どもとしましては、この過酷なノルマというものを改めなければならない。それから、わずかな固定給で、いわゆる歩合制で追い回すようにして使うというようなことを改めなければいけないということを強く意見を申し述べておるような次第でございます。
  43. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは結局、警察側といたしましては、労働省なり運輸省なり、このタクシー、特にタクシー営業なんかの関係監督官庁と事故防止の点についていろいろな打ち合せというものが今まで何回か行われておったというふうに了承してよろしいですか。
  44. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) その通りでございます。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 労働省の労働基準局の監督課長さんおいでになっておりますが、こういう事実というものが今まで取り上げられなかったということに、私どもは非常に不思議な感じを持つんですよ。で、今警察庁の方に伺いますと、あなた方とも事前に、交通事故の観点からいっても、タクシーの営業形態というのは問題があるということで話し合いがあったというのであれば、一体、労働省の労働基準局としては、一体どういう形でこの運転手などの賃金の点について指導をしてきたか、あるいは雇い主に対して監督をしてきたか、その点どうでしょう。
  46. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) まず最初に、労働条件の主たるものには労働時間の問題もございますし、賃金の問題もございますし、われわれの立場といたしましては、労働時間規制について何か考えなきゃいけないという見地に立ちまして、従来一日十時間、一週六十時間、まあ結果的に見ますると、オール・ナイトの労働時間でできるという建前になっておりましたのを、三十一年七月以降、基準法の労働時間の原則によりまして、労働時間は八時間、こういうふうにきめまして、その点を業者に対して指導した結果、大体労働時間につきましては原則の八時間制が現在確立されつつあるわけでございます。賃金問題にそういう指導をした結果、どういう効果が上ったかと申しますると、従来、就業規則というものが非常に形式的であったわけでございます。それが漸次実情に即した具体的な就業規則になってきたということが第一点、第二番目には、労働時間の管理というものが、非常にルーズであったものが、労働時間の管理が非常に厳格になってきたという点が一点でございます。従来、そういうふうな労働時間の規制がございましたので、割増賃金というものが全然払えなかったのが、割増賃金が払われるようになった。なお、一昼夜交代で八時間制をとっておりますので、二時以降朝に至るまで休む場所も非常に必要だということで、仮眠施設の設置を要望した結果、仮眠施設が漸次整備された。こういう労働時間の面からの規制で、こういう点につきましてはある程度の効果が出てきたわけでございますけれども、これが事故防止にどれだけ直接的にいい結果をもたらしたかという点につきましては、われわれといたしましても自信がないわけでございます。  給与の関係は、御存じかと思いますが、基準法に固定給を幾らにしなければならないというふうな規定はないわけでございまして、基準法の立場からこの給与体系をどうしなければならないという直接の指導監督はできないわけでございます。従って、給与関係の指導につきましては、いわゆる賃金体系の合理化について、いわゆる基準法でやる場合のきめ手がないわけであります。従って、先ほど警察側も申されたように、われわれといたしましても、給与の問題につきましては、一般的な監督官庁である運輸省にこの合理化を促進していただくように従来から要望してきたところでございますが、今回のこういうふうな事態に至りまして、警察、われわれ、運輸省、一体となりまして、この固定的給与の率の引き上げということに一体として当ろうじゃないかということで協議を重ねている、そういうふうな状況でございます。
  47. 加瀬完

    ○加瀬完君 労働省のお話、わからないわけではありませんがね。もっと労働省として考えてもらいたいのは、昭和三十八年と三十二年を比べると、事故が二・四倍にふえている。そのふえているおもなる理由はタクシー事故だ。しかもそのタクシーの稼働率といいますか、あるいは疲労度といいますか、こういうものが、一月とか三、四月とか、七、八月とか十二月とか、こういうタクシー業としての忙がしいときに一番事故が多い。これは、警察庁の政府委員の御説明のように、結局ノルマというものがあるからだとか、賃金が安いからだ、こういう事実はこれはもうはっきりとしていると思うのです。しかも事故の九六・二%というものが運転手による原因であるということであって、しかも十分な休養をとるとともに、心身の状態を良好に保ち、精神的にも余裕のある運転が望まれるという点を、警察庁でもって指摘しておりますが、こういうことが原因だということは明らかになっているわけです。そこで、労働時間間は一応きめたと、しかし賃金についてはきめ手がないといいますけれども、賃金のきめ方そのものに大きな原因があって、心身に不完全な状態があるために事故が多いということでありますから、警察庁なり運輸省なり、労働省なりというものは、二十八年から三十二年まで二・四倍に事故がふえるまで待っておらなくたって、何らか行政的な措置というものがとれなかったか、ということが私はおかしいと思うのです。それが事故防止にどれだけの……、今までの労働省でおやりになったことが、事故防止にどれだけ役立っているか――役立っている、役立っておらない、なぜ事故がふえているかを、一体労働省は労働省自身で解決する道はないのか。また、そういう条件がいろいろ山積されたというのならば、運輸省なり警察庁なりと相談されてもっと対策というものが、二年も三年もほうっておかれないで、事前に立てられなければおかしいのじゃないか。一体それで労働省としての、労働条件を監督し、労働条件を引き上げていくということの完全なる責任というものが果し得たのかということすらも、私どもとしては言いたくなる。少しおそいのじゃないか。今ごろになってこういう問題に気がついて、これから連絡をされるとか、政府でもって対策本部もできたから何とかしょうということで、一体、ほかの省ならいざ知らず、監督署である労働省で今さらそんなことを言っているというのは、ちょっと立ちおくれじゃないですか。四月になってからひな人形を買うような話だ。これはどうですか。
  48. 鈴木健二

    説明員鈴木健二君) 給与の問題につきましては、先般われわれが調べたところによりますと、運転手さんの平均の給与が、一般が二万八千円でございまして、そのうち固定給的な性格を持っているものが一万五百円、大体固定給的な性格を持っているものが三八%であります。また運輸省の調べによりましても、大体、固定給的な性格を持っているものが二七・八%というふうな状況になっておりまして、こうした固定給の少い賃金体系というものは、非常に近代産業におきまして不合理なものだ、こういうふうにわれわれは考えているわけでございます。従って、前に時間の指導をやりました場合に、ある程度賃金指導もやったわけでございます。その際、約三百社のうち六十社くらいは、ある程度話に乗りかかった事例もあるわけでございまするが、先ほど申しましたように、何と申しましても、基準法に賃金そのものをきめる権限と申しまするか、そういう規定がございませんので、最後のきめ手がないわけでございます。そういうことで、一応指導に乗りかかりましても、全部のものにそれを徹底さすということができなかって、結局労働時間の規制ということに重点を置いてやったわけでございます。  で、そういう観点から、この賃金制度の規制は、労働省だけの力でやっても効果は上りませんので、一般監督官庁である運輸省と歩調を合せてやはり指導をして参らなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  49. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはわかりますよね。なぜそれがここまで事故が高率になって、世論が高まるまで、監督官庁として連絡をとって、適宜な措置というものが事前に講じられなかったかということを私は伺っているのです。しかし、これはまああなた一人にどうこう言ったってしようがないことですからね。さっそくこの問題の解決というものをしていただかなければならないと思います。  で、労働省は、この労働時間といったような労働条件のことばかりで、解決をしようとしますがね。問題は、あなたの今御指摘になったように、三八%は固定給であるというなら、六二%は固定給じゃない。ノルマでやっているということだ。こういう状態を放任をしておけば、八時間という労働時間をきめたって、それは倍の十六時間も働かなければ、二万八千円という給料をもらえないことになるのです。だからこれらの点を、やはりどうしたら生活が維持できるか、この生活を維持させるような賃金を与えて、しかも事故が起らないような労働条件というものは、一体どういう状態なのかということからやはり連絡をして、早く結論を出していただかなければならないと思うのです。この点はまあ希望を申し上げておきます。  次の質問ですが、今度の改正法の中に、第五条の二項ですか、法文上監察の実施ということが明瞭になっておらなかったことを明確にしたという一項があるわけですね。で、監察をする内容は一体どういうことですか。
  50. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 警察庁の所掌事項というものは法によってちゃんと明示されております。その所掌事項の範囲内に関する事項についての第一線の補導、摘発の実際を明快にする監察をいたすのでございます。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はその趣旨はそれなりにはわかるのですよ。しかし今の警察法になりますときに、一番に問題になったのは、結局自治警というものを形を変えるということで論議がかわされたわけであります。そのときの最大の問題は、地方自治の真義を推進するという点がこれからどう守られるだろうか、人間の尊厳を最高度に確保するということが、新警察法によってどういうふうに確保されるであろうか、国民に属する民主的の権威の組織というものの確立が続けられるであろうか、こういうことが問題になったわけです。そのときに、新しい警察法になっても、それは府県の自治警といったような性格のものであるから、自治警当時の警察法の精神というものは守り続けられるものである。特に公安委員会というふうなものが、主部機関の下部として命令されるようなものではなくて、公安委員会によって警察が運営されるのだということは、あなた方はっきり御答弁になられておったわけです。今、監察をもし実施するというならば、この民主警察という基本的な性格が実施されているであろうかどうかということを監察してもらいたいということの方が、われわれ住民側からいえばむしろ希望したいところなんです。もし、今までのようなことが監察の実施という形が法文化さなければならないとしても、法文化さなくたって、五条の三項ですか、「国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。」という規定があるわけでありますから、国家公安委員会あるいは都道府県公安委員会というものの密接な連絡があれば、監察というものは十分行われるわけなんです。公安委員会を通じてなり、あるいは公安委員会の組織で行われるはずなんです。公安委員会の運営なり公安委員会の権限なりというものをもっと強化さすべきことの方が、住民としては望ましいことではないか、こういうふうなことを考えるのですけれども、どうも監察の実施が、事務能率を上げることばかりに考え、警察法の精神というものからいえば、少し能率主義に陥り過ぎているのじゃないかという感じを受けるのですが、この点どうでしょうか。
  52. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 現在の警察制度は、御承知の通り都道府県単位の自治体警察であります。都道府県が自主的に警察運営をいたすのが根本原則でございます。公安委員会の管理のもとに都道府県本部長がその都道府県内の警察運営の全般の執行責任者として運営をいたしておるのでございます。この根本原則は、今回の改正において何ら変更されるものではないのでございます。従来、先ほども申しましたように、警察庁の所掌事務、つまり国家公安委員会の権限に属する事項、国家公安委員会の管理のもとにある警察庁が所掌いたしまする事務につきまして、それを円滑に遂行するために、都道府県警察に必要な実態調査をすることは、従来とも私は許されておるものと解しておるのでございまして、ただそれが法文上明記されておらなかったにすぎないと思うのでございまして、今回幸い改正のこの機会に、その点を一応法文の上にも明確化しておこうということにすぎないのであります。新しい権限を警察庁に付与し、それだけ都道府県警察に中央が干渉をしよう、こういう意図は毛頭ないのでございます。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし公安委員会の尊重なり公安委員会の権限強化という点と、警察庁自体の権限強化という点と、どっちにウェートが置かれているかということになりますと、私は遺憾ながら、警察法の精神である公安委員会の権限を強化していく形よりは、能率化という美名のもとに、警察事務の効率を上げるということで、警察庁そのものの権限を強化していくというところに重点か置かれているというようにしか解釈できないのです。それは、今度の改正法の中にもありますように、北海道の方面公安委員会というものを廃止しております。で、これはいろいろ理由がありましょうけれども、一応あの当時、公安委員会の必要を感じて公安委員会というものが作られたわけでありますから、これを私は簡単に事務の手続の上からだけで廃止するというふうなことは妥当を欠くと思う。そういう一連の措置と、法文上明確でないからといっても、事実監督、監察が行われておったというなら、現状はそれでいいはずなのに、新しく明文化をしなければならないということとは、どうも長官の御説明にもかかわらず、私は能率主義といいますか、効率主義で、民主警察の精神というものがだんだんと払拭されていくと、こういう形にしか受け取れない、いかがでしょう、この点は。
  54. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 繰り返してお答えいたしますが、監察という字句をこのたび法文上に表わしたことに・よって、何ら新しい権限を付加するものではないのでございまして、従来の規定によりましても、監察ということは当然行い得るものというふうに私どもは解しておるのでございまして、監察それ自体は権限ではなくして、警察庁所掌事項を円滑に遂行するための一つの手段にすぎない、こういうふうに考えておるのでございます。  次に、札幌の方面公安委員会を廃止した点についてのお尋ねでございますが、これは、札幌方面公安委員会を廃止するのが主たるねらいではなくして、むしろ北海道警察本部の所在する札幌方面本部を廃止することが事務能率上よいと、昭和二十九年の制度改正以来今日までの三年有半の経験に徴して言えますので、この際、札幌方面本部を廃止して、現在の札幌方面本部が指揮監督いたしております札幌方面の区域内は、北海道警察本部が直接指揮監督することにいたしまして、札幌方面本部の廃止によって生じました人員を有効に他に転用をしよう、こういうことを考えておるにすぎないのでございまして、札幌方面本部を廃止することによりまして、その結果として、これを管理しておりました札幌公安委員会が、その必要性のなくなるゆえをもちまして廃止になる、こういうことにすぎないのでございまして、札幌方面公安委員会を廃止することが主たるねらいで、そのためにその下にある、この管理のもとにある札幌方面本部を廃止して、北海道警察本部が直接指揮監督するというのではないのでございます。その点は御了承願いたいと思うのでございまして、北海道の特殊性に基きまして、他の四方面は従来通りこれを存置するのが適当である、かように考えておるのであります。
  55. 久保等

    ○久保等君 関連して。監察官の現在の現況と申しますか、どういう組織の中に所属しておるんですか。
  56. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 現在は警務部の人事課というところに監察に関する所掌事務が入っておりまして、人事課の方でやっておるわけでございます。要員といたしましては、監察官が三名現在おります。ただ、この法案及び来年度の予算がお認め願えますと、保安局というものができることになりますが、保安局要員としまして、多少ほかの部局からもここに持ってきたいと思いますので、監察官も二人に減さざるを得ない状況になるかと思います。決してこれによりまして監察官をふやすとかいうことは現在は考えておりません。
  57. 久保等

    ○久保等君 警務部の人事課の中に監察官が現在三名というんですが、この監察事務といいますか、監察官のもとで働かれる職員というものは全然ないのですか、監察官二名切りで監察事務をやっておるのですか。
  58. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 監察官の下に若干の係官がおりますが、私正確な人数を覚えておりませんが、おそらく四、五名じゃないかと思いますが、もし間違っておればあとからまた訂正いたしたいと思います。
  59. 久保等

    ○久保等君 組織的に見ると、何が警務部の中の人事課に所属しておるということから判断しますと、何かそれこそ警察官の勤務評定あたりでもやっておるという程度にしか理解されないのですが、先ほどの御説明だと、警察行政を円滑ならしめるための監察官だという御説明なんですが、非常にばく然とした、抽象的な、大きな御説明なんですけれども、今所属しております部課の点から考えますると、何かもう少し具体的な、どういう仕事をやっておるのか、御説明願えませんか。
  60. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) ただいま監察官が人事課に勤務しておると申しましたが、組織令の中では警察部の中に監察官というのがありまして、「監察官は、命を受け、警察職員の服務及び所管行政の監察に関する事務をつかさどる。」ということになっております。この監察官三名の下の職員は、人事課の中に席を設けまして四、五人の者でやっておるという体制でございます。やっておる仕事は、各府県に参りまして、各府県の――現在は陣容も少いのでございますので、やむを得ない点もあるのでありますが、主として規律違反の点あるいは警察官の福利厚生等の面、そういう点をまあうまくやっておるかどうかという点をやっておるわけでございます。しかしながら、だんだんまあこの関係の人たちも仕事になれて参りますと、ほかの部課と連絡をいたしまして、いろいろのこの警察運営面の仕事につきましても相談相手になりながら調査をしていくということも考えておる次第でございます。
  61. 久保等

    ○久保等君 先ほどの御説明を訂正せられて、警務部、警務部長直属といいまずか、そういう形に監察官はなっておるそうですが、今度それが改正されて、保安局ができると、そのうちの、三名のうち一名が保安局に移るということなんですが、果してそういう三名を、二名と一名に分割して、一名の保安局の監察官というのは一体何をやるのですか。
  62. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 三名の監察官のうち一名が保安局に行くというのは、定員として一名が保安局に要員として提供されるという意味で、監察官が保安局にできるという意味ではございません。
  63. 久保等

    ○久保等君 ですから私の聞いておるのは、定員が保安局に一名できるということは、これは一人実際に人間が行くかどうか別としても、定員上一人配置せられる。従って警務部の方には三名が二名の定員になるということになるだろうと思うのです。そうすると一体、任務というものは警務部における任務、それから保安局における任務、それぞれ違った内容になるんじゃないかと思うのですがね。しかし一般常識から言えば、監察官という一応職名ですと、大体同じような内容の仕事をするのじゃ、ないかと思われるのですが、使い分けをしておられるわけなのですが、その使い分けをせられる一体理由がどういうところにあるのか。三名を一名と二名に分けてやらなければならないほど、監察事務というものが非常に複雑なのかどうなのか、ちょっと今の御説明では、私見方によっては、三名の監察官は必ずしも多いとは思わない。もし監察事務というようなことが必要だとするならば、必ずしも多い人員じゃないと思われる。それを今一名、二名に分けるということについてどういった御方針なのか、内容的な御説明を一つ伺いたいと思います。
  64. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 私の説明がまずくておわかりにくい点があったかと思うのでありますが、総体として、保安局を作るのに予算で認められておりますのが、二十名にしかすぎないわけです。そこで、各部局から定員をそっちに振りかえなければいけないということになるだろうと思うのであります。そこでこういう監察官が三名いるわけでございますが、監察官は二名に減して、その一名は監察官ということでなく、定員として保安局の方に振りかえると、こういう意味でございます。
  65. 久保等

    ○久保等君 そうすると実質的には従来の監察官制度といいますか、監察事務というものは内容的には縮小せられる、こういうことに私はなると思うのですがね。そういうことについては支障ないという御判断なんですか。
  66. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) その点は、機構的には若干人が減ったりして残念なのでありますが、やはり足りないところはほかの部課とも連絡しまして、ほかの部課から応援も受けて実際の仕事をやるようになるだろうと思います。たとえば、ある県で刑事の拷問事件があったというような場合に、監察をしなければならぬという事態が起ったならば、この監察官と、それから刑事部の捜査課の者も一緒に出ていく、こういうことにならざるを得ぬだろうと思っております。
  67. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の問題ですがね、監察官の問題についていろいろ質疑が行われたわけでございますが、監察官の内容は、規律違反ですか、規律違反などを監察するのだということなんですが、法律の建前として警察庁の監察官というものが、都道府県警察の一般の警察官の規律違反あるいはその他の勤務条件というものを監察する権限というのは、どういうところからあるのですか。
  68. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 先ほど長官からも説明がありましたが、結局、監察というのは、今私が申し上げました監察官は、専任の職員としているわけでありますが、警察庁の権限として監察という事項がふえる、ふえるというか、明文化される、その明文化される監察の内容というものは警察庁の仕事である、第五条第二項の仕事を円満にやっていく前提としての監察である、こういうことになるだろうと思います。個々の、私が今例にとりました拷問事件等につきますれば、刑事の規律違反という点もあろうかと思うのでありますが、そういう面は、警察官の教養の問題もありましょうし、それから上司の監督の責任の問題もありましょうし、いろいろの面からまあ見ていかなければならぬと思うのでありますが、そういうものにつきましては、警察庁の仕事をやっていく上につきまして、当然その前提としての監察がされるものである、こういうふうに解釈をいたしているのでございます。
  69. 加瀬完

    ○加瀬完君 この監察の実施について、法文上には明確でないけれども、これは当然の権限として行い得るものだ、それをただ形式的に法文に明記するのだという長官の御説明、あるいはただいまの官房長のそれについてのさらに詳しい御説明があったと思うのですがね、現行警察法が案として論議されておりました過程におきましては、国家公安委員会と、あるいは国家公安委員長と都道府県公安委員会との関係、あるいは警察庁長官と都道府県公安委員会、あるいは都道府県の本部長でございますか、これらの関係、あるいは国家公務員である警察長、それから都道府県警察の首脳部、それから地方公務員である一般警察官、こういうものの指揮命令の系統、あるいはそれらの関係、こういうものが相当激しく論議されたと思うのです。私どものそのとき伺った当局のお答えでは、都道府県警察は都道府県の自治警察だ、そこで一括していえば、国からの指揮命令というものは公安委員会を通じて行われるべきものである、こういうような説明が、大体これらの問題を通じてのおもなる骨子であったと記憶をいたしておるわけであります。そういう関係にありましたから、この監察の実施というものも、おそらくこの趣旨は明文というものを避けておったのじゃないかと思う。今承わりますると、監察官というものがはっきりと法文化されたもとにおいて職務を推進していくということになりますと、これはもう、都道府県経費だけを負担しておりまするけれども、あらゆる監督の権限というものはあげて警察庁に移管をするという形にも、極言すればなりかねないと思う。こういう考え方を、少くもあなた方が現行警察法を法案として出したときには、口をつむって努めて語らなかったところである。私は能率が下っても自治警でいい、こういうことを主張しているわけではありませんけれども、民主警察の基本的な理念というものはどこまでも貫かれなければならないと思う。そのときに地方公務員であり、都道府県公安委員会なり都道府県の本部長なりの監督下にあって、それらを通じて監督することによって事足りるものを、何だって新しい一カ条を加えて、監察の制度を強化しなければならない理由があるのか、この点どうでしょうか、長官に答えていただきましょう。
  70. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 警察庁の所掌する事務を円滑に遂行するためには、第一線の都道府県の警察行政がいかに行われておるかという実情を調査して、実態を把握するということは、私は当然必要なことであると考えるのでございましてその実態を調査した結果、たとえば、先ほど来お話の出ますように、個々の警察官に公務上の非違があったという場合に、これを懲戒したりあるいは訓戒したりということは、これは本部長の権限でございまして、中央が何らこれを差し出がましく、ああしろ、こうしろというものではないのでありまして、その点はどこまでも現行法の建前通り、都道府県公安委員会の管理のもとにおいて、都道府県本部長がその責を全うする建前は堅持するのであります。
  71. 加瀬完

    ○加瀬完君 監察していただきたいのは、住民に対するサービスがいいか悪いか、民主警察の理念が貫かれておるかどうか、こういうことが国民からすれば、あるいは住民からすれば、警察官の業務態度として監察をしてもらいたいところなんです。それは住民の代表である国家公安委員会あるいは地方の都道府県公安委員会が監察してこそ、これはほんとうの意味の国民なり住民なりの声というものによって監察し、批判するということが可能なんです。ですから監察制度というものを強化したいというなら、公安委員会の権限あるいは公安委員会の機構そのものを強化して都道府県公安委員会の責任のもとに警察官の業務状態というものを監察されるという点を強化すべきじゃないか。警察庁が地方公務員である一般警察官までも監察しなければならない線を強化するということは、監察そのものからいって筋違いじゃないか、こう思うのです。
  72. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) お説の通りでありまして、都道府県の警察がいわゆる民主警察の実を上げておるかどうかというその実態を調査いたすのでありまして、それがもしあやまって警察運営がなされているというならば、それに対して是正すべく注意を喚起するというようなことになるのでございまして、御説の通り、都道府県の実際の警察運営が、いわゆる民主警察の実を上げているかどうかという点等も、当然実態調査の場合の対象になるかと思います。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君 それならば都道府県公安委員会の権限を強化するなり、機構を強化するという方法がとられるべきなんですよ。警察庁の機構を強化することによって、あるいは警察庁の権限を明文化することによってその目的を達していくというのは筋違いじゃないかと、こういう私は疑問を持つわけであります。なぜかと申しますと、一体、公安委員会というものの権限が強化され、本部長の権限いうもの、公安委員会の権限というもの……。公安委員会というのは、これは住民の代表であるべきはずであるにもかかわらず、公安委員会が代表するはずの住民の意見というもの、それがどれだけ本部長の意見というものを左右し、民主警察という形において具体的にどのように住民にほどこされているかという点は、私はこれは若干反省してみなければならない事態に立ち至っているのじゃないかと思う。公安委員会というものがありましても、その公安委員会は住民の意思というものを真に代表して警察行政を大きく左右するほどの権限なりというものの実を上げているとは、少しも現状においては言えないと思う。問題は、こういう公安委員会であって、警察法の精神が確実に行われるかどうかということこそこの監察の焦点であって、警察庁の権限を強化したって、それは住民側からすれば、何も民主警察により役立つような監察ができるということには私はならないと思う。こういう疑念を日ごろ感じておりますので、お伺いをいたしているわけなんです。
  74. 久保等

    ○久保等君 関連して。この監察官というものはどういう職務を日常やっているのですか。一年間の中で、定期的に何か報告書でも作って、報告をされるというような形をとっているのですか、どういうふうに日常業務を執行しているのですか。
  75. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 先ほどの御質問の中に、各府県の公安委員会の権限を強化したらいいんじゃないかというお話でありますが、各府県の公安委員会は、各府県の本部長を通じましてその府県の警察事務におけるあらゆることを管理いたしているわけであります。従いまして、必要ならばみずから、あるいはまあ本部長を通じましていろいろのことはやれるわけでございまして、別にこれを強化する必要はないかと思うのであります。警察法の現行の第十六条の二項に「警察庁、長官は、並びに警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する。」という条文がございます。すなわち、警察庁長官は各府県の警察を指揮監督するのでございます。指揮監督する内容は、先ほど申しました第五条の第二項に列挙してある事項についてでございます。従いまして、その関係の仕事につきましては、各府県の警察を指揮監督するのでありますから、その指揮監督の中には、当然監察も含まなければならぬというのが私たちの解釈なんでございます。各府県の公安委員会――従って各都道府県の警察を指揮監督するというのは、各都道府県の公安委員会の管理下にある警察でありますが、その意味では各府県の公安委員会警察庁長官の指揮監督に服する、こういうことになろうかと存じます。  それから、あとの御質問でございますが、監察官はいつもどういう仕事をしているかというお尋ねでございますが、いろいろの事故が起りましたときに随時に参りますと同時に、計画的に各府県を視察して歩きまして、各府県の実情を熟知すると同時に、各府県からのいろいろの中央に対する要望事項等も相談相手となって承わっておる次第であります。
  76. 久保等

    ○久保等君 特別な何か報告書といったようなものを定期的に出すようなことはやっておられるのですか。
  77. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 別に監察官あてのそういう定期的な報告はございません。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたの今の御説明で、確かに第三章警察庁の十六条には、警察庁の所掌事務について、都道府県警察を警察庁長官は指揮監督するという条項がありますね。しかしそれは、四十七条の二項、「警視庁及び道府県警察本部は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理の下に、都警察及び道府県警察の事務をつかさどる。」あるいは四十八条の二項の警視総監や道府県本部長は「都警察及び道府県警察の所属の警察職員を指揮監督する。」、こういうことと競合してくるわけですね。それで、この現行法が提案されたときの説明では、直接に警察庁は都道府県警察の職員の監督に当るということではないのだと、それはあくまでも本部長を通じ、あるいは国家公安委員会は都道府県公安委員会を通じて行うのだということが繰り返されて説明されておるわけです。今、私の質問をいたしておりますのは、警察庁だけの考えからすれば、警察能率を上げるために、監察官という制度を強化するということは筋が立つかもしれないと、しかし何を監察するのだということになれば、この警察法の精神は、あくまでも警察法の目的である、警察官が住民にどう奉仕をしているか、あるいは民主警察の実態というもの-どう具現されておるか、憲法で守られているわれわれの諸権利が、どう警察官によって擁護されておるかと、こういうことを監察してもらわなければ、監察してもらう方も大きな迷惑なんです。そうするためには、むしろ公安委員会というものに権限を持たしたり、あるいは公安委員会の組織というものを強化したりする方が、ほんとうの意味の国民の監察というものが、警察官に対して行われることになるのじゃないか。そういう方法をとらないで、警察庁の権限だけを強化して、一般の地方公務員である一般警察までも監察するということをここで明文化するというのは、ちょっと国民の側からすればおかしい、またそういう権限はないはずだ。本部長を監督し、あるいは国家公安委員会を通じて都道府県公安委員会を監督することによって、実際は実効を上げることができるのじゃないか。それを警察庁の権限そのものを少しでもだんだん増していくことになると、これは民主警察というもの-線からだんだん薄れてくることになる、こういうことを心配するのです。質問をしているのはその点なんです。
  79. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) ただいまお話しがありました通り、各府県の本部長がその部下の職員、警察署等を指揮監督する、従ってまた監察をしておると、これはまあ当然のことでございまして、その通りやっておるわけでございます。大体それで事が済むわけでございますが、やはり警察庁として、警察庁の任務とされておる仕事につきましては、やはりある場合には各府県に行って監察をしなければならぬ場合があると、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  80. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは具体的に伺いますが、警察法の中で、一つの精神的な骨格をなしておるものに、警察の中立性ということがある。ところが、われわれの地域におきましては、私は社会党の所属でございますが、社会党や社会党系の演説会や集会がありますと、必ず私服が二名ないし三名入って情勢を見取っております。あるいは集まった者にいろいろまあ個別調査の形で聞いている事実もございます。あるいはまた、どういう内容で集まったかと、どういう話し合いが持たれたのかということを探っている事実もあります。こういうことは、自民党の集会にも行われているなら、これはわれわれがここで問題にすることはありませんが、ある政党とかある団体ということだけに対してこういうふうなことをいろいろとやられるということでは、われわれは中立性をはなはだ疑う、こういうことをこそ監察をしてもらいたいのです。公安委員会がこういう警察官というものに対して厳しい批判というものを加へ、改革というものをしてもらいたいと思う。ところが、こういうことを何も考えられておらなくて、警察庁が監察をやるなら何を監察するのです。こういうことをやれということを督励するのか、こういうことすら言いたくなる。ということは、あなたがいらっしゃったかどうか知りませんが、長官や山口さんはいらっしゃったのでございますが、警察法が論議されましたときに、特別警備教育ということが行われているという事実が問題になった。特別警備教育というのは何だといったら、他人の住居に侵入する方法、締っているかぎのあけ方とか、封筒のあけ方と、こういうものが具体的に教えられているということがあるが、一体どうしたことだろうという話し合いが出されたことがある。警察庁はそういう事実はないと、その当時の方々は責任をもってお答えになられた、われわれもそう信じたい。その中には、さらにそのときには、警察の協力者という者を作らなければならない。特に常時協力者という者を作って、これと共同して特別警備というものを行うのだということが、具体的に教育の指導として行われているというようなことも話し合いに出された。けれども、そういうことはわれわれは信じたくなかった。しかし、いろいろの学生スパイ事件とか何とかいう形で現われてきたものは、遺憾ながら、警察庁がいかに言明をするにもかかわらず、この警備教育というものが行われているのではないか、特別警備教育というものが行われているのではないか、そういう組織があるのではないかということに対して疑いを持たざるを得ないような事態になっている。こういう点を国民の前から払拭する意味からも、私は住民の意思というものをこれだけ尊重して警察行政が行われているのだ、われわれは中立性なり、あるいは憲法に保障される諸権利なり、こういうものの擁護にこれだけ骨を折っているのだ、その具現に対してこれだけ皆さんの意見を聞いているじゃないかという実際の警察のサービスの態度というものを私は打ち出していただきたい。それには公安委員会の機能というものをもっと高めてもらわなければ困ると思っている。ところが、それらには触れないで、監察々々という。しかも本部監察ばかり強化しております。本部監察ばかり強化したときには一体どうなるか。  今度は話が飛びますが、いろいろ前に問題になりました交通の取締りなんかの問題でも、自治警のときにやはり問題が出た。風俗とか防犯とか交通等、住民に密着した警察事務というものは、これは自治警の方がはるかに効率が上っている。もしこれが新しい改正による警察に変った場合には、その地域の住民のこういった利益というものが薄められてくるのではないか。今までの自治警の持っているようないい面というものがなくなってくるのではないかという質問があった。そういうことはないというふうにあなた方はお答えになった。しかし、事実は先ほど、どなたかの質問にもありましたように、地域の交番がなくなり、地域の駐在所がなくなり、パトロール・カーができる。東京のように密集地帯ならばパトロール・カーも効を奏するかもしれませんが、町村合併をして、何平方キロという広い所に、パトロール・カーの通れない道もたくさんある所にパトロール・カーを回しても、一週間に何回パトロール・カーが回ってきます。これは少くとも、自治警のとき問題になった住民に密着するところの警察のサービスというものからすれば、だんだん住民が置き去りにされてくるという傾向が現われていると言わざるを得ないと思う。こういうことを問題にしなくて、警察庁の事務能率を上げるようなところにばかり監察制度を強化するということはおかしいと、こう思うんです。いかがですか。
  81. 石井榮三

    政府委員(石井榮三君) 都道府県警察は、それぞれの公安養員会の管理のもとに、当該本部長が、警察の全面的な運営に責任を持って当っているわけでございまして本部長は、必要に応じて、独自の監察はすでに十分やっておるのでございます。警察庁が、今回、監察ということを法文上明記しようといたしますのは、先ほどもお答へいたしましたように、何も事新しく権限を中央で持とうというのではなくして、現在の法律におきましても、成文の上には現われておりませんが、監察というものは、所掌事務の円滑なる遂行の前提として、当然実態を把握するという意味においての監察は法的に許されておるものと、かく解しておるのでございまして新しい権限を中央が持とうという意味で、法文上監察という表現を用いようとするものでないことは、先ほどもお答えした通りであります。なお、警察が政治的中立でなければならぬという点は、もちろん申すまでもないことでございましてそうした点がかりにありとするならば、監察の機会等に、そういう実情がわかりましたならば、そういったことの是正には十分努めて参りたい、かように考えております。なお、都道府県警察になりましてから、住民に対するサービスが、それ以前の自治体警察当時に比べて悪くなっておるのではないかという御指摘でございますが、都道府県警察は、都道府県住民の公僕として、都道府県住民に奉仕する警察として最善を尽しておると思うのでございますが、いろいろその土地々々の実情によりまして、あるいは十分でない点がありますならば、今後そういう点は十分努めて是正して参りますように、第一線の諸君に注意を喚起したいと思っております。パトロール・カー等につきましても、何も画一的に、都市もいなかも同じように配分をしようというようなことは考えておりません。実情に即して、最も効率的に役立つ所に配分をいたすということにしたいと思うのでございましてどこまでも当該都道府県の住民のための警察、住民に奉仕する警察でなければならぬことはもとよりでございますので、それぞれの府県の実情に即して実情に合致した警察の運営を行わしめるように、今後とも十分注意して参りたいと思っております。
  82. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、何も自治警があのままの姿で残った方がいいという意見だけを固執するんじゃない。しかし住民の側からすればいろいろ問題があったけれども、これなら自治警の方がよかったんじゃないか、住民にサービスしてくれるという点においては自治警の方がよかったんじゃないか、こういう実感が多くの人たちによって語られおるということも事実である。たとえば、防犯の問題でも、交通取締りの問題でも、地域の犯罪とか、あるいは地域犯罪の検挙とか、地域住民への奉仕ということになりますと、どうも、どこの府県でも中心に、警察署のあるような所に人員を集中してしまって、辺鄙の地に警察官を散在しておくという方法をこのごろとらなくなってしまった。こういうやり方は、少くとも、自治警のときには文句はつけられた。私のところの駐在所を廃止してもらっては困るじゃないか。ところが今は町村会の決議がありましょうとも、要望がありましょうとも、それすらも実際にはいれられない、一方的に警察行政という立場だけでもって行われる。住民の要望というものともどの線でマッチさせるかということはあまり考慮されない。こういうことでは、むしろ形だけの府県警察というものでは意味をなさない。国家警察なら国家警察で、給与も何も全部国で持つというなら話はわかるけれども、住民は警察官の給与だけを負担している。ところが直接に自治警のようなサービスにはさっぱりその恩恵に浴さない、これでは困る。こういうはずじゃなかったじゃないかという点も、あの当時の経過を考えて、もう一回聞き直したいんです。一体、府県警察というものを主体にして自治警のときよりも住民へのサービスをさらにこういう点で心がけているんだという事実がございますかということを問い返したいんです。この点はいかがですか。
  83. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 府県警察になりまして、われわれとしましては、御指摘のような民主化の線で努力をいたしておる次第でございます。犯罪もだんだん広域化しますし、そういう意味におきましては、犯罪の取締り、また交通面につきましても、交通取締というのはだんだん広域的な取締規制に移行せざるを得ないと思うのでございますが、そういう面も、府県警察になりましてから円滑にいっておると思うのでございます。ただ、御意見でありましたように、われわれが満点を取っておるとは自負していないのでございまして、今後さらに警察官の教養も徹底させ、また運営のやり方等につきましても、改善するところは改善を加えまして、御趣旨のようなりっぱな府県警察に育て上げたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  84. 加瀬完

    ○加瀬完君 中立性が守られておるかどうかという点です。さっき私が事実をあげて申し上げました点についてお答えしていただきたいと思う。もっと極端な例を出すなら、某政党の前回の立候補者について、警察官が何名か付き添って、遠くの方から望遠レンズで写真をとってその一緒に演説に同行しておった者のあとを尾行して選挙違反を摘発している、こういう事実もあります。こういうことが、自治警ならば、これは住民が度を過しているそういうやり方には黙過しない。ところが県警になったがために、こういうことが不問のうちに経過している。それで疑うならば、監察制度というのは、そういった意味の特別警備だけに拍車をかけるような監察制度をやられては、これは住民は全く何のための警察だと言いたくなるんです。そういうことがないということは言えないと思う。監察制度はどういう点を監察するかという点で、それはわれわれの方はさらに伺わなければならぬ点ですが、中立性が守られているか、住民にサービスしているか、あなた方はこういうことを中心に警察官の監察をしようとは思っておらないと思う。警察庁で考えている警察の業務というものは、どのような効率を上げておるかという点だけからしか監察が進められないとすれば、住民に対する人権侵害に類する事柄というものは案外不問に付されている。またそういうものが知らずのうちに助長されるような雰囲気が、監察制度によって高められるということでは大ごとですから、その点を伺うんです。満点ではなくても、成績がいいということが言われますか。この委員会で、一体何回、警察の人権侵害あるいは人権侵害に類することが問題になったか、しかもそれは警察法制定当時に非常に論議になった点なんです。少くも反省に立たれていないと思う。自治警というものから都道府県の警察というものに形を変えてきて、自治警のいい意味の面というものがなくなってくるということは、これは私は現在の首脳部の責任だと思う。能率も上るし、しかも警察法の精神そのものも高揚されているということでなければ意味がないと思う。こういう点は、私は警察法の改正というものが行われるならば、そういう反省のもとに立って、内容も、住民の側に立った利益が守られるという形で、もう少し考慮を払っていただきたいと思うんです。そういう点、監察制度と結びつけてお考えになったとき、どういうことになりますか。
  85. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 監察の重点は、警察の新しい理念と申しますか、二十三年以来の新しい警察の理念である民主化あるいは能率化、あるいは政治的な中立というものの確保、そういう点に監察の重点をわれわれは向けていかなければならぬというふうに考えておるわけでありまして、御指摘のように、民主化や政治的な中立は全然考えてないだろうときめてかかられると、どうも参っちまうのでありますが、われわれとしましては、そういう点こそやはり監察の対象となっていくのではないかというふうに考えておるわけであります。現に、京都の五番町事件、その他国会等で論議があった際にも、そういう反民主的な点がないかどうか、そういう点につきまして、実地にいろいろ監察をいたしたわけでありまして、そういう、現実に今やっておりますことを明文化しようという気持にほかならないことを御了承願いたいと思うのであります。
  86. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、監察制度では、今言ったような国民の利益とか、あるいは警察の中立性とか、こういうものが十分に監察される対象になるのだ、むしろ対象の主たるものはそういう点だということになりますか。
  87. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) さっきも申しましたように、民主化の点と、それから警察の能率化の点と、それから政治的な中立の点、いずれも私は警察として大事な点であると思います。そういう点につきまして、御指摘のように、監察の重点が向けられるということをはっきりお答えいたしたいと思います。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 それならば、そういう権限が十二分に行われるように、都道府県公安委員会なり、都道府県の本部機構の中に、そういうものが行い得るような財政的措置、行政的措置を講じた方がいいじゃないですか。数少い監察官で全体を監察するということになったら、どうしてもそれは条件的なものになりますし、ある項目的なものになりますよ。そんな、一般の国民や住民の意思と、どういうふうに警察官がマッチしているかということを監察しようたってできない相談です。こんなことは。
  89. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 各府県では、もちろんそういう点を監察としてやっておるわけでございますけれども、われわれ警察庁というものは、国家公安委員会という民主的な機関の管理下にあるわけでありまして、中央がやることは、そういう民主的なことはやらぬ、あるいは政治的な中立はやらぬと、こういうふうに御解釈いただくことはまことに困るわけでありますが、われわれも、民主化、能率化、政治的な中立化ということを理念といたしました国家公安委員会の管理下にあるわけでありまして、そういう点につきまして、各府県と歩調を合せまして、りっぱな警察を育て上げていきたい、こういう考えにほかならないのでございます。
  90. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、警察庁の方々が政治的なへんぱなことをやるという前提のもとに質問をしているわけじゃないのですよ。あなた方の考え方としては、あなた方の立場では、この法文化するということも筋がわからないわけじゃない。しかし、こういう目的を達成させるためには、むしろそれならば、都道府県の公安委員会というものの権限や、あるいは都道府県の警察というものにもっと、国民の警察、県民の警察としての監察制度というものを明確化した方がいいじゃないかということを申しあげている。それは、あまりにも国民や住民の利益に反する行為が警察の中に多いから、そういう国民に密着する警察官のおる地域において、住民の代表である公安委員会というものがもっと機能を発揮すべきだ、こういう立場で伺っておるわけです。しかし、これはもうそれでけっこうです。あとはまあ十分用心をしてもらいたいと思います。
  91. 白木義一郎

    白木義一郎君 神風タクシーのことですが、いろいろ、ノルマの点だとか経営の合理化、そういうものは大いに研究していかなければならないだろうと思いますけれども、こうやって話している間に、調査によりますと、一時間に一人ずつ死んでいる、五分ごとに一人死んでいる、十秒ごとに千円の損害が起きている、こういうことは、ちょうど殺人事件が一時間に一人ずつ起きていると同じことで、矢野のようなピストルを持った強盗が一時間ごとに発射して一人ずつ国民を殺しているというような点から考えれば、非常に大きい問題で、いろいろな施策を講じなければならないと思いますけれども、神風タクシーの防止の一つの方法として、自動車の機械の面から速力を制限するということを考えておられるでしょうか、どうでしょうか。というのは、自動車に乗ってみると、どうしても走ってみたい。これはもう人間の本能であり、またタクシーを利用する方の面からいっても、スピードという点から考えればやむを得ないわけであって、そのスピード違反の事故というものは非常にパーセンテージが高い。いずれ、経営方針だとか、いろいろな点はこれから論議されて改まっていくことと思いますが、それまでに、少くとも営業車のアクセルというのですか、あれで制限速度で抑えてしまうというようなことも必要がないかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  92. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 自動車のいわゆる経済速度と申しますか、そういうものがあると思います。車によって若干違っておりますが、今日までのところでは、経済速力を下げるというよりも、むしろ徐々に経済速力が上っていくというような自動車製造の姿であろう、こういうふうに考えております。私どもとしましては、車の製造について、車の性能を改善していくという面につきましては、特別の意見も申し述べておりませんが、お話の趣旨は、スピード違反とか、スピードが出過ぎるような場合に、それが明らかになり、必要な取締りなり、警告ができるようにするということによっても、私は解決し得るじゃないか、こういうように考えております。そういうような機械といいますか、装備というようなものについて、現在いろいろと研究がされておるということは存じておりますが、機械的に自動車のスピードを押えるような方向に車の製造をすべきであるかどうかというような問題については、ちょっと私からお答えいたすのはなかなかむずかしいような状況であります。こういうことでございます。
  93. 白木義一郎

    白木義一郎君 その自動車自体を改造する、これから生産される自動車を改造するということは、また別問題で、現在ある自動車を走らなくする、とりあえず、一時間に一人ずつ殺人が起きているわけですから、善意悪意にかかわらず大問題だと思う。そういう点について研究していただきたい、こう思うのですが、自分で乗ってみると、踏めばいくらでも走るのですから、走れば気持がいいわけです。ちょっと交番がなかったり警察官がいないと、走ってみたいというふうなあれが、自分で乗ってみると非常に強いわけです。それは、国会の運転手も、固定給がはっきりしていますし、身分も保障されていて、何も早く走る必要がないのですが、やっぱり走るんですね。そういう点から言って、いろいろな面は大いに研究していかなければならないと同時に、現在起きている事件を未然に防ぐには、論議している間に何人かどんどん死んでいくわけですから、これを防ぐには、どうしても一時機械の方で押えてしまって、それから賃金の問題、労働時間の問題、経営の合理化という点について、あとでぐずぐず言わないようにゆっくり論議してもいいじゃないかと思うのですが、そういう点どうでしょう。
  94. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 技術的にそういうことは必ずしも不可能ではないと思いますが、私、その点専門的な知識を持ち合わしておりませんので、お答えを差し控えたいと思います。ただ、先ほど言いましたように、一つの方法としては、ある一定のスピード以上出せば、それが直ちに外のだれから見てもわかるという状況におくことによってスピードを出し過ぎるのを取り締る、これならば相当簡単と申しますか、簡易にやり得るのではないかというので研究をしておる面があることは、私承知をいたしております。今考えておりますのは、御意見のような点もありましたが、そういう機械的な面において、スピードがある一定以上出るのを抑えるということもございましょうが、むしろ、タクシーの営業の実態に触れてそうして解決をしていくという方法で考えております。
  95. 白木義一郎

    白木義一郎君 もちろん、そういうことはぜひやっていかなければならない問題でしょうけれども、その運転手の本質でしょうね、本質を何らかの方法によって防止していくという点についてこの問題について研究していただきたいと思うのです。  それからもう一つは、今、加瀬委員からお話しがあった監察のことについてですけれども、これは警察官もわれわれも同じようですが、極端に言えば警察官のノルマが課されておる。そのノルマというのは、成績を上げなければいけない。成績を上げるには犯罪をより以上摘発していかなければならないというようなのが、これが優秀な警察官になるように思うのです。その点、われわれの立場から考えますと、警察官というのは、どうしても成績を上げるためには白を黒にしなければならない。一つの事件を捜査することにおいて、犯人を逮捕することにおいて非常に陰に被害が大きいということも、これは自動車と違って、警察官の体験を得た人でないとわからぬと思うのですが、そういうことで皆さん方いろいろの履歴を持っていらっしゃるでしょうが、その本質的な問題から取り締っていただきたい。これは私の願望なんです。どうもありがとうございました。
  96. 加瀬完

    ○加瀬完君 次に、移動警察に関する職権ですね、今度、移動警察に関する職権の幅が拡がるわけですが、内容はどういうことになりますか。
  97. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 御指摘の移動警察に関する改正の条項でございますが、第一の改正は、「協議により定められた」とありますのを「協議して定めたところにより、」というふうに改めましたが、これは大した改正ではございませんが、地域、その他事務の各府県の引き継ぎとか何とかそういうことを協議して定めることがありますので、そういうふうな文句に改めただけでございます。  それから、第二は、二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる道路であって、交通の円滑と危険の防止のため必要があると認められた場合には、移動警察と同じように、甲の府県の警察官が乙の府県に行く、乙の府県の警察官が甲の区域のところに行って職権を行うことができるようにしよう、こういうことであるのでございます。従来は、交通機関ということに限られておりまして、汽車であるとか電車であるとかだけしか移動警察ができなかったのでございますが、御承知のように、一例をあげますと、関門トンネルができまして、福岡と山口の一貫した道路ができたわけでありますが、あれが県境はどこであるかということも、よく調べてみればわかると思うのでありますが、なかなか県当局もよくわからぬということもありますし、また経済的の要求からいいましても、あの関門トンネルのまん中辺で区切って交通規制をやるということもどうか。そうすれば、山口と福岡と両方が話し合いをしまして、お互いに、トンネルを出てからどこまでにしますか、これは政令できめることになりましょうが、白バイを走らせて交通の取締りをやる、こういうことにしたいという考えでございます。関門トンネルが一つの例でございますが、これから道路がだんだん整備されますと、高速道路あるいは一級国道の舗装なんかが外国並みに整備されて参りますというと、県境というものが経済的な観点からいいますとだんだん意味がなくなってくる、そういうところにおきましては、各府県にまたがる日勤車がその県境を通過してどんどん交通をするわけであります。その場合に、やはり県の間で話し合いがまとまれば、お互いにある限られた地域につきましては白バイが活動できるようにしたい、こういうことでございます。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 現在も都道府県公安委員会が協議をして、今御設例にあったような問題は解決ができる筋道になっているわけですね。現在の通りでは非常に支障をきたすという点は、どういうことなんですか。
  99. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 現在におきましては、交通機関だけの移動警察でございますので、そういう道路そのものについてもそういうものをやりたい、こういうことでございます。
  100. 加瀬完

    ○加瀬完君 公安委員会の話し合いにおいてできないのですか、現行法規では。
  101. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) お互いに応援要請をすればできるわけでありますが、その応援要請をこういう形ではっきりきめた方がむしろ妥当ではなかろうかということで、こうしたわけでございます。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 とにかくこの警察法によりますと、都道府県に都道府県警察を置くと、はっきりと地域が指定されているわけですね。だから都道府県単位の自治警だとあなた方は御説明をなさって今まできておったわけです。それならば、地域の必要があるならば、隣接地域の公安委員会同士が話し合いをして、今言ったように実効を上げるように努めるというのが私は警察法の建前だと思うのです。警察庁で考えて、大体一級国道が縦貫するならば、これは一つの警察の機動力というものの方が効果があるから、そういうふうにしようといったようなことは、これは少しこの警察法の精神からいえばおかしいじゃないか、そういう要求は地方の公安委員会から盛り上ってきた、そこで国家公安委員会なりで考えてしかるべきものだ。そんな非常な必要さというものも現状においてある程度問題が解決されている状態において、何か非常に都道府県の地域というものの性格というものを国の権力で押しかぶせるようなにおいのする権限を新しく作り出すということは賛成しかねるのでありますが、この点どうですか。
  103. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 先ほど例にとりました関門トンネルを考えてみてもわかるのでありますが、あの区域で両県の白バイが交互にある地点におきまして職権行使をするということは、何も国の権力ということを考えなくても、そういうことをした方が便利であれば、そういう便利な制度を設ける方がいいのではないかというふうに考えるのであります。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうことが現在の法規でもできるでしょう。今の例の場合にも、山口県と福岡県の公安委員会で相談すればできるでしょう。何もここに新しく条文を入れたり、解釈を加えたりする必要もないはずじゃないですか。なぜ、現行でできるその制度というものを尊重して、やれるだけやってみるという立場をとらないのか。
  105. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 御指摘の通り、応援要請をすればできるわけでありますが、そのことを規定で書いても差しつかえないではないか、こういうことでございます。
  106. 加瀬完

    ○加瀬完君 規定で書くとか書かないとかいうことより、都道府県警察という存在を尊重するなら、都道府県警察の現行制度で、まずやらせてみるという立場をとるべきじゃないか、その方が都道府県の警察が、都道府県の警察という意義を貫くことになるのじゃないか、都道府県警察という形の上だけで置いて、きめることは警察庁で全部計画してきめるということでは、公安委員会が警察業務によって県民にサービスをする、あるいはその本部長が県民の警察行政についてサービスするという幅がなくなっちゃうじゃないですか。ただ、その上部の命令だけでしか動けないような本部長が出てきたときには、これは住民の乖離を来たすだけだ、そういうことを私はおそれる。
  107. 坂井時忠

    政府委員(坂井時忠君) 御指摘の通りでございますが、政令で定める区域におけるこれこれの場合においては、前項規定によりとありまして、関係道府県の警察がやはり協議をするわけでございます。従いまして、これからこれの地域は警察庁の命令だから、お互いの意思には関係なくパトロールをやり合うと、こういう趣旨になります。その点は御了承いただきたいと思います。
  108. 加瀬完

    ○加瀬完君 また交通規制の問題に返りますが、一番初めにもちょっと申し上げたのですが、いろいろ交通規則というものをきびしくきめましても、道路と車両の関係というものを何も規制しなくては、交通規制というものは完全にはできないと思うのです。で、これは運輸省に聞きましても、あるいは建設省に聞きましても、さっぱり、道路道路の立場から、あるいは車両は車両の立場からばかり言っておって、車両と道路との関係について交通規制をして行こうという考え方が全然感じられない。警察庁では、一体、現状の道路と現状の車両制限というものの間に、犯罪や事故を増してくる原因というものがあるという御認識はお持ちにならないか、あるいはこれに対する規制ということはお考えにならないか、この点どうでしょう。
  109. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 交通事故というものが、道路なりその他自動車の車両の装備、施設というようなものに関係があることは、お話の通りであります。もちろんこれは、この社会の発達から申しますと、道路もますますよくなるし、車もだんだんとりっぱに改良されて行くというのが望ましいことは申すまでもありませんけれども、とにかく私どもは、現状において、毎日々々大きなたくさんの交通事故が起っておるのを、どうやれば、まず問題を少しでも解決できるかということを考えてみますと、今日の段階において、道路をよくしなければ交通事故は減らないじゃないかというようなことを言うよりも、むしろ今日の円タクの経営の実態というものから、スピードを出して走り回らなければ食って行けないような、運転手が状況に置かれておるというところに問題をしぼって、そして社会的なこの問題を解決する、こういう方向に私は行くのが正しい行き方である。今日道路が悪いから交通事故が起るのは当りまえじゃないか、あるいはいろいろな施設が不十分であるからと言うよりも、私は、むしろそういうふうに考えております。あるいはこの点は、御質問の点にぴたりと当てはまらない答えをいたしたかと存じますが、一応そう思っております。
  110. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうではないのです。私の質問は、あなたのようなお考えで一応交通規制というものを考えたとしても、道路の幅員なり、あるいは耐久力なりというものと、今度は車両の長さとか、幅とか、重量というものとか、何か今関係つけられておらないのですね。ですから狭い道路、一台のバスが通れば通れないような道路にも平気で車を走らせている。しかし最大限の幅員が二・五メートルとか、員長が何メートルとか、総重量が二十トン、その最高限度を押えて、道路の方の最小限度はさっぱり抑えておられないから、非常に資料の中にも、重大事故の三百三十五件の中の百五十三件がバスだというが、その百五十三件も事故を起したバスは、そのバスの形体からすれば、不適当な道路を平気で使っている、こういうものを野放しに認めておいていいかと、こういうことなんです。
  111. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) バスの例が出ましたから、バスに例をとりまして御説明申し上げます。いわゆるバスの路線の認可は、これは運輸省がやっております。地方で申し上げますと、陸運局という系統で仕事をやっているのであります。今日、バスの交通事故がいろいろ起りまするのは、お説のように、道路の幅員に比べて、ばかに幅の広い車が走っているというところに問題があると思うのであります。この点にわれわれは目をつけまして、三、四年前から、この点は何とかして改善しなければいけないということで、今後、バスの路線を新しく認可する場合、あるいは変更するという場合には、陸運局側で警察側の意見を聞いた上でやっていただきたいということを申し入れをいたしまして、行政上の取扱いといたしまして、今日はバスの路線を認可する場合、あるいは変更を認めるというような場合には、運輸省は必ず警察側の意見を聞いていただくことになっております。警察側といたしましては、実地に見聞をしまして、その幅員の問題、あるいは橋の問題、それから道路の強弱の問題、そういうようなことを調査をいたしまして意見をつけて、これはたしか二十日以内に出すことになっております。二十日を過ぎれば、警察側は異議ないものとお認めになって差しつかえないということにいたしまして、できるだけ短い期間内に、警察側の詳細な実地見聞の結果を陸運局の方に差し出しまして、そうして陸運局はこれを御参考になりまして、行政上のお取扱いをしているということで、そういう点につきまして、私はその取扱いが始まる前にできておりますものについては、ちょっとやりにいくのでありますが、そのあとにつきましては、この点は私どもは改善されたのではないか、かように考えております。
  112. 加瀬完

    ○加瀬完君 定期のバスはそれでいいけれども、遊覧バスなんかは、ほとんど無制限に無軌道に走っている。これのセーブというものはどこでするか、今のお話のワクでは、遊覧バスの運行というものに対する制限というものはできないのですね。しかし遊覧バスの事故も相当にある。
  113. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) お話のように、一定の路線を走るものについて、いわゆる路線認可ということをいたしております。あとはいわゆる事業の免許でございましてこれはどこでも道路のあるところを走るということで、これにつきましては、このバスのいたずらに大型になるというような点を、これは通産省、あるいは運輸省、あるいは建設省が御相談になって、そうして現状にマッチしないような状況にならないように規制をされて行かなければならない、かように考えております。私どもとしましても、もちろんこの道路を調べまして、非常に危険な個所、危険な位置には公示をするなり、あるいは他県から遠距離のバスが参りますから、その県の警察で、ここは危ない、あいはここは今日は交通途絶になっている、交通が禁止になっているというようなことを、その隣県に連絡をするように、各県相互の間に協力をしてやっているような状況であります。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は今度の警察法の改正案について、どうも私も不安なところがあるのです。これはだんだん話を聞いておりますと、なるほどと思うこともございますけれども、全般的に言って、どうも、不安だというような気持が、正直言ってあります。法案の条文そのものも、まことにどうも頼りがないというふうな感じ、たとえば最初の「全国的な幹線道路における交通の規制に関すること。」とか、あるいは先ほど問題になりました「必要な監察に関すること。」とか、こういうことになりますと、一体、全国的な幹線道路におけるところの緯線道路というのは、どういうふうになるかということがすぐ考えられる。もちろんこれは政令か何かできめるでしょう。先ほどそういうお話がございました。たとえば関門トンネルの例を先ほど申されましたが、これはお話を聞けばなるほどと思いますが、こういう個所のきめ方等におきましても、政令で、一体どこがどういうふうに指定されるのかというふうなこともわからない。東京都と神奈川との境のどこからどこまでなのか、政令できめて、あなた方不安を与えないようにするということでしょうが、一体、政令というのはときどき勝手に、われわれが知らない間に付属規定を変えられておるわけですから、何かそこに心配なところが出てくる。それから必要な監察ということに関しても、あなた方が今おやりになっておるから、これを明文化することは何も悪いことじゃない、こうおっしゃるのですが、それはその通りでございましょう。ただしかし、今言ったように、現在まで行われておりましたいわゆる監察、今後一体それではどのような監察が行われるかということも、私は必ずしも現在までやっている以上に出ないという保証はできないと思います。そういうところに、私は何かこちらの警察庁の方で、全部地方警察、都道府県の警察までコントロールする権限がだんだん大きくなるのじゃないか。それこそステップ・バイ・ステップで、一歩々々法文ができてしまえば、こういうことがあるから、これもできるのだということでやらされるのじゃないかという不安と言いますか、必要があるわけなんです。そうなりますと、加瀬委員が先ほどからしばしば指摘しましたようなほんとうの意味での自治体警察と言いますか、あるいは少くとも、地域における精神はそうだということでございますし、民主的な警察行政のやり方においても、都道府県の公安委員会で考えられるそれ以上の何かの力でコントロールされるということが、出てきはしないかという根本的な不安が出てくるわけであります。そこで私お聞きしたいのは、一体今考えておられるあなた方の、全国的な幹線道路の、いわゆる規制をしなければいけない個所はどことどこなのか、これは当然近くやらなければいけないことですから、案があると思います。これを具体的に一つお示しいただきたい。  それから「必要な監察」ということに関してでございますけれども、現在まであなた方がおやりになっておると、こうおっしゃる。そこで、現在までどういうことをどのような方法で監察しその結果どうなるのか、これは少し数が多くなってもよろしゅうございますから、ほんとうのおやりになっておる事をあげていただきたい。というのは、特にこの監察の場合に問題だと思いますけれども、今度改正なさろうとする条文だけからしますと、十四として付加する、それだけからしますと、これは公安委員会が警察庁に対する管理の一つの、項目としてあげられておる。場合によっては、狭く考えれば、警察内部の仕事に対する監察を自分自身でやる。それを公安委員会が見ておるということにも考えられる。しかし実際はまた、またという言葉は悪いかもしれませんけれども、都道府県の警察に対する警察行政がどのように行われておるかということに対する監察だろうと思うのです。そうなりますと、ここにあげられております、五条の二にたくさん従来あげられておりますところの問題にしても、単にたとえば警察に関する国の予算に関することとか、諸制度の企画とか、調査に関することということであれば、私どもそんなに心配いたしません。ところが第二項の三の方になりますと、これはいろいろ私は問題が出てきはしないか。これは一つの例でございます。こうなりますと、どうも野放しに必要な監察ということを明文化させて、さっき言ったように、ステップ・バイ・ステップで、どんどんいろいろなことにまで、監察という名のもとにコントロールする権能が与えられるということに対する心配が、私は依然として残ると思う。そこで、私は先ほど申しましたように、現在まで行われている監察の仕事の内容を一つ具体的にお知らせ願いたい。そうすれば、私はいろいろな論議の底にある不安、これも私は消えると思うのです。これは一々全部について私知ろうとも思いませんけれども、項目的にでも、一体どういうことをどう監察をするのか、その結果、どう処理されるかという一つのメド、あるいは監察事務の範囲、そういうようなことを一つこの次の委員会までにお知らせ願いたいと思います。そのほかにも、たとえば保安局というような問題もあります。これでもここに参考資料にもらいました少年とか犯罪とか、何かそういうことの保安に関するそれだけなのか、かつての何か保安局でやったようなことまで将来行くのじゃないかという、実は心配も私ども内心持つわけなんで、そういうお互いの将来に対する不安なり危惧なりをもとにした、あるいは行き過ぎを警戒する意味でのいろいろな質疑なり応答が繰り返されておりますが、私今言ったように、もっとはっきり監察というものについての、現在までやっておられるというのだったら、やっておられるそういうものを提示していただけば、私は論議はもっと焦点が合ってくるのじゃないかと思います。その点一つ、質問じゃないのですが、資料を要求する意味で申しあげて、次回のそれのときには出していただきたいと思います。
  115. 大沢雄一

    ○大沢雄一君 今までの各委員の御質問等を通じまして伺いますと、今度の警察法の改正が非常に、何と言いますか、いわば事務的に過ぎると言いますか、当然、警察庁長官の指揮監督の前提として監察を行い得るにかかわらず、それを明文化するために、いろいろな懸念を招くとか、あるいはまた今の道路交通の面から多少の不便はあるかもしらんけれども、あるいは援助要請とか、お互いの相互援助の義務とか、あるいはまた管轄の区域外における権限の行使とかいう、現在の警察法にあります規定を活用すれば何とかできるのじゃないかというものを、事務的な観点からそれを改正しておられるのじゃないか。もっと大きな、交通取締の社会的要請のもとになっている交通の改善というような、大きな点からの措置が政府として講ぜられなければいけない。何も警察だけの問題として言っているわけじゃありません、内閣に交通事故防止対策委員会というものがあるそうですが、しかし、これはいわば各省の連絡のための政府内部だけのことだろうと思います。もう少しこれを掘り下げて、たとえば交通審議会というようなもので、民間からの学識経験者その他国会議員等も入れて、大所高所から、あるいは運輸省の先ほど問題になったバスの許可の関係、あるいは建設省の道路の構造の問題その他取締りの問題、これを総合的に大きく打ち出して、予算と法律と伴って問題の解決をはからなければ、これは結局事務的に、なさざるよりはましであるけれども、やはり効果は上らない。ただいたずらにかつての、何と言いますか、国家警察中心時代の再現を考えているのではないかというような、痛くもない腹をさぐられるということだけになるような気がして、私、はなはだ残念に思うわけであります。そういう観点から、これは警察庁長官に御意見を伺いたいのは、あるいは大臣に伺った方がいいのかとも思いまするけれども、せっかく交通事故防止の対策委員会というものが内閣にあって、そのメンバーになっておられるのでしょうから、そういう面から、ほんとうに政府内部の意見として、今のような大きな観点から、ぜひほんとうに交通をよくする、神風タクシーの問題は、ほんの一つのこれは氷山の一角に現われたものだけにすぎない。いま少し、この点は大所高所から一つお取り組みを願いたい。これは私の意見でありまするが、一つお願いしておきます。  それからさらに、私は、先ほど警察の機構の改正に関連する定員の問題から、少年の犯罪の防遏の関係等に及んでおったのでございまするが、先ほど御質問申し上げた趣旨で、売春防止法の全面実施もありまして、心ある者は、現在の実情にかんがみまして、青少年の犯罪の増加を非常に心配していると思うのです。ことに婦人の面なんか私そうだと思います、事直に申しまして。単に警察庁内部の局を作るとか、事務の分掌を変えるとかいうことだけでなく、第一線の警察による都道府県警察のそういう方面について、どういう措置を講じておるのか。定員はどうも増加しなかったことはやむを得ませんが、しかし、その中でやはり対策があってしかるべきであると私は思うのでありますが、何か講じておりまするか、こういうことを先ほど伺ったのでありますが、まだお答えをいただいておらないように思いますので、一つお伺いいたします。
  116. 中川董治

    政府委員(中川董治君) お尋ねの少年の問題についてお答え申し上げます。これはいろいろな面に関係するのですけれども、警察がやるべきこと、それから警察以外の機関によっていただくこと、警察が他の以外に協力すること、この三つに分れようと思います。現在、私ども第一線の警察みずからやっていただいていることは、まず何といっても、警察というものが第一線に出てずっとやっておりますので、その関係で犯罪少年、それから非行少年というのを早期に発見する、こうい一作業を第一線の警察にやっていただいております。早期発見いたしましたものを、犯罪少年の場合においては、家庭裁判所送致ということになりまして、やるのでありますが、これは罪ばかり作って件数を多くするということを望むのではありませんから、関係の向きと連絡して、たとえば学校との連絡、また内容によりましては、親御さんに、また保護者の方に申し上げて、だんだん子供を改善して行く方向にやっていただいておるのであります。それから次に、警察以外のところでは、たとえば教育機関とか、あるいは社会教育機関でいろいろ御心配願わなければなりませんので、それぞれの府県ごとに、よく申して連絡はしておりますけれども、何といっても、ある地域において、どうしても子供が悪くなりがちな地域がございます。そういった面で、警察は何といっても資料が多いものでありますから、その資料をだんだん関係の向きに話されましてそれからその地域全体をよくして行く、これは相当各府県でもやっております。たとえば徳島県で、いろいろな犯罪が多い地域があって、子供がスポイルされるということで、警察が内面的に連絡して、地域婦人会、地域の有識者の活動を願って全体の地域の子供をよくしたという、こういう実績も持っておるのであります。それからさらに、警察がやっております事柄は、子供ばかりいじめても話になりません。子供を悪くする犯罪というものがあるわけであります。たとえば子供に変な行為をさす、こういったことは、現行法令で犯罪になっております。るので、そういったものを摘発して行く。それから取締りで非常に困難をきたしておりますけれども、わいせつ文書、そういうものが比較的ある。これは国全体としての今後考究すべき一課題ではございますけれども、現行法としては、刑法の百七十七条で、またその他の条文でこの問題を捜査いたしまして、そういったその種の出版物等から、あるいは映画等から受ける影響をなくして行く、こういう活動をいたしておるのであります。そういう活動を通じまして、そういう第一線機関で、子供並びに子供を取り巻く実態を警察みずからが明らかにして、それから関係の向きに資料を提供する、関係の向きはそれに応じて、学校の場合は学校として御尽力願う、社会教育の場合は社会教育として御尽力願う、府県の民生部なら民生部の方で御協力を願う、こういう点について、具体的に御心配をいただいておるのであります。  またお尋ねがありましたら申し上げますが、中央の問題として、そういった問題を総合的に企画し、関係の向きに話し、最終的には、内閣にありますところの、法律に基く青少年問題協議会という機関を通じてあるいは立法の問題、あるいは他の役所の行政機関の問題、こういった点を御心配願ってこれも交通問題と同様に、各省とも力をあわせてこの問題を解決をして参りたい、そのためには、何といっても、実情に詳しい警察の最末端活動を、警察庁としてはよく把握いたしまして、今度は保安局を作っていただきまして、保安局の部局の中で、そういった事情をよく把握して、関係の行政機関と連絡を密にして、この大きな問題を改善して参りたい、こういう考えを持っておるのであります。
  117. 小林武治

    委員長小林武治君) それじゃ、きょうは、本案の質疑はさらに次回に続行いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十七分散会