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参考人(
太田利三郎君) 三十年度における本行の業務、それから
決算の
概要は、
決算検査報告の三百六十三ページに載せられておる
通りでございますが、なお私から若干補足
説明をさしていただきたいと思います。
三十年度におきましては、御
承知のごとく年度初めは暫定
予算によることとなっておりましたために、開発銀行といたしましても、例年の
通り閣議了解のもとに本行に御通知をいただきます「政府資金の産業設備に対する運用基本
方針」という
方針に基きまして、暫定
予算中は年度の、二十九年度の基本
方針に準じて業務を運営いたして参りました。従いまして、当年度の本来の業務としましては、
予算の
成立しました第二四半期から本格的に行うこととなったものでございまして、政府の基本
方針に基きまして、貸付規模は五百九十五億円の線で貸付業務を行なって参ったのでございます。しかし、この五百九十五億円の貸付規模につきましては、その後開発銀行の資金調達上
予定いたしました政府からの借入れが、政府の側におきます原資の不足のために削減せざるを得なくなりまして、一方年度半ばごろから市中金融に余裕を生じて参りましたので、補完的な融資を建前といたします開発銀行の貸付は、この二つの面の理由からこの規模を圧縮することとなりました。このため約百三十億円の貸付を市中銀行におまかせするという措置が講ぜられたのでございます。一方年度末におきまして、若干貸付規模の増大が認められまして、結局三十年度の貸付規模は四百八十一億円程度となったものでございます。
検査報告にございます五百五十二億円余の貸付実行額とございますのは、国際復興開発銀行からの借り入れ資金による外貨貸付約五十八億円、及び前年度から実施しておりますところの経済援助資金の貸付約二十一億円を含みますほかに、前年度貸付規模のうち貸付手続が当年度に持ち越されたものの貸付実行分を含むものでございます。
なお、この年度におきましては、既往の貸付金の回収が、
検査報告にもございますように、開発資金、復金承継債権及び見返り承継債権を合せまして三百五億八千四百余万円に上りまして、これが新規貸付の主要な財源となったのでございますが、後に
検査報告にも触れておりますように、
一般経済情勢の好転を反映いたしまして、本行が
予定いたしておりました回収額よりも相当上回った次第でございまして、これら
予定以上の回収金は次年度以降のための貸付の財源として留保せられたものであります。
次に、
決算の
概要に一言触れますると、
検査報告にございますように、本行は当年度におきまして、法令の定めるところによりまして、年間九十九億四千五百余円を国庫に納付いたしました。また年度末における貸付残高は各資金合計で三千八百九十二億八千四百余万円となりまして、このうち約百十一億円が約定の償還条件に対し延滞となっております。しかし、この延滞はもちろんそのまま回収不能というものではございませんで、現にその後も逐次これら延滞は解消せられて参りまして、三十二年九月末では総貸付残高四千二百六十二億円のうち延滞額は五十八億円まで減少いたしておるのでございます。
次に、御参考までにその後各年度の業務の
概要を簡単に申し述べます。三十一年度におきましては、いわゆる金融緩慢を背景といたしますところの産業界の資金調達力が増大いたしました一方、政府の原資不足という事態の現われ等もございまして、本行の貸付規模は当初三百六十億円と
予定せられたのでございますが、その後いわゆる隘路産業、新規産業等を中心といたしまして、本行における資金需要は著しく旺盛となりまして、三百六十億円をもってはとうていまかない切れない情勢となって参った次第でございます。幸い従前の貸付金の回収がきわめて順調でございまして、本行といたしましては、資金上の余裕を生じておりましたので、政府当局の施策に順応いたしまして、電気業五十三億円、海運業十三億円、
一般産業八億円、合計約七十三億円貸付規模が拡大されまして、三十一年度の貸付規模は四百三十三億円程度となった次第でございます。
次に、本
昭和三十二年度におきましては、当初貸付規模は六百億円としまして、その内訳は政府の運用基本
方針によりまして、電力二百五十億円、海運百八十億円、
一般百二十億円、予備五十億円と
予定されたのでございますが、その後
一般金融引き締めの政府施策に応じまして、貸付規模を約一割減の五百四十億円に圧縮することを一応の目標として貸付業務を進めておりましたが、最近に至りまして、重要産業の設備資金需給
状況にかんがみまして、繰り延べの解除を含め八十七億円を追加することと定められました。それで現在では六百二十七億円の運用規模で業務を進めておる次第でございます。
次に、来三十三年度の貸付計画は六百二十億円が
予定せられておりまして、これが配分につきましては、電気業二百五十億円、海運業百八十億円、
一般産業百九十億円を
予定しまして、この原資としては政府借入金三百十五億円、回収金等自己資金三百五億円が
予定されておる次第でございます。