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1958-02-10 第28回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十日(月曜日)    午前十一時四分開会     —————————————   委員の異動 本日委員岡三郎君辞任につき、その補 欠として鈴木一君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            大谷 贇雄君            平島 敏夫君            相澤 重明君            大矢  正君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            井上 清一君            手島  栄君            永野  護君            堀本 宜實君            増原 惠吉君            松岡 平市君            松村 秀逸君            宮田 重文君            東   隆君            清澤 俊英君            島   清君            鈴木  一君            相馬 助治君            竹中 勝男君            大竹平八郎君            竹中 恒夫君   政府委員    農林政務次官  本名  武君    農林大臣官房    経理厚生課長  丸山 幸一君    農林省農林経済 渡部 伍良君    局長    農林省振興局長 永野 正二君    林野庁長官   石谷 憲男君    水産庁長官   奥原日出男君    運輸政務次官  木村 俊夫君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    食糧庁総務部長 武田 誠三君    会計検査院事務    総局第四局長  中川  薫君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豐君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (日本国有鉄道経理及び財産管理  状況に関する件) ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  去る七日の委員長及び理事打合会におきまして申し合せました事項がごさいますので、御了承願うために御報告を申し上げたいと思います。  まず第一に、定例日に関する件でございますが、決算委員会といたしましては、毎週月曜日と水曜日を定例口といたしまして、また必要に応じては、あと一回、木曜日または金曜日のごときに固く、こういうことに申し合せをいたしました。  第二には、本日の日程でごさいまするが、午前中に日本国有鉄道経理及び財産管理状況に関する件の調査をいたしまして、午後、農林百の部の審議を行うことに申し合せをいたしました。  以上のごとく、委員長及び理事打合会の申し合せ通り決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは、さように決定いたします。     —————————————
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  本日は、日本国有鉄道経理及び財産管理状況に関する件について調査を行います。  本件に関し御出席を願っておりまする方は、運輸省から八木国有鉄道部長国鉄から小倉総裁吾孫子常務理事会計横奪院から上村第五局長に御出席を願っております。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 先回の決算委員会におきまして、国鉄財産管理並びに経理に関連をいたしまして御質問を申し上げたのでありますが、今日さらにお尋ねをいたして、御所信伺いたいと思います。  日本国有鉄道経理並びに財産管理につきましては、決算検査報告にも、毎年多数の指摘事項がありまして、当委員会におきましても、特に調査事案といたしまして、たびたび取り上げられておりまして、このころ、私ども大阪の鉄道管理局出張いたし、調査をいたした。また、高田なほ子さんも、この間御報告がありましたように、静岡鉄道管理局にも調査にいかれたというようなことで、実体の究明が行われたのであります。こういうような不当の経理原因はいろいろあると思うのでありますが、その一つは、業務担当者考え方において、国鉄財産というものは国民財産である、こういう観念が薄いところにあるのじゃないか、かように思われるのであります。また一面、国鉄の機構やその運営業務上の管理秩序につきましても、どうも改善の余地が非常にある、かように思われるのであります。国鉄公共企業体としまして、その規模が非常に大きい、全体の統括、秩序維持業務把握が十分に行き届いておらぬというような現状にあるようであります。たとえば各支部局の間とか、あるいは系統が違っておる部局の間におけるお互いの相互連絡、 あるいはまた同一部局内での秩序維持末端業務把握あるいは監督というような点につきまして不完全であるというようなことで、これは工事費の見積り、物資、器材の購入、財産使用、その他経理業務において不経済を来たしておる点かあるのは、まことに実は遺憾と思うのであります、先般来問題となっておりまする東京管理局静岡管理局内における二等寝台車不当配車不当使用の、国民的にセンセーションを起したようなこの事件ども国鉄の貴重な財産管理使用することについて、どこか公けのものを非常に軽く見る、軽視するような観念のあることが強く感ぜられる。事務系統秩序維持管理運営の上にルーズな点があったように思われるのであります。過般の当委員会におきまして、国鉄当局から吾孫子理事から、東京管理局客貨車課員寝台車手配書を出したその経緯を承わったのでありますが、その手配指令をする手続におきまして、基礎的事実の確認、部内事務処理というようなものにも不十分との感じを禁じ得なかった次第でございます。ことに、この間お尋ねをいたしました、最後に決裁を当然経なければならぬものを経ておらない、またすべきものをしておらぬというような点につきましては、私ははなはだ遺憾と思うのですが、以上申し上げました点につきましての当局としての御所信をはっきりとこの際承わりたい、かように思います。
  6. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 事件のあらましは、前回の当委員会におきまして、国鉄当局から御説明した通りでございます。この問題は、単に国鉄部内規律の上から見ましていかぬのみならず、国民感情に与える影響もまことに遺憾でございますので、当省といたしましては、調査完了次第、国鉄職員懲戒規程に従いまして、処理すべきものは処理いたさせまして、今後かかることの絶対なきよう、指導監督するつもりでございます。何とぞ御了承願いたいと思います。
  7. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 今回の静岡寝台車事件につきましては、社会的におしかりをこうむり、国会におきましてもおしかりをこうむりましたことにつきましては、私ども管理者といたしまして、まことに相済まない申しわけのないことだと存じます。公物はすべて国家からお預りしております貴重な財産でございまするし、またこれは、国鉄本来の使命であるお客様の輸送及び荷主各位の荷物の輸送に使われるべきものでございまして、今回のような使用が生じましたことにつきましては、まことに何ともおわびのしようもないのでございまするが、この機会に、十分反省いたしまして 今後公物の尊重の面を、管理者及び職員一般に厳重に警告もいたし、注意を喚起いたしまして、再びかような問題が起らないように十分気をつけて参りたいと、かように考えております。
  8. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 木村政務次官から、今回の事件につきましては、懲戒委員会を設けて処罰をすべきものはするというお話でございましたが、私はこの機会において、実は国鉄職員の方にはいろいろ深い関係を持っておるわけです。いろいろ修養会であるとかというようなことを始終しておられまして、個人々々の人々の規律はきわめて厳正で、その点に関しましては、規律がりっぱに保持されておることにつきましては、私は非常な実は敬意を表しておる。ところが全体となりますると、どうも群衆的な状態においては、全体的に綱紀弛緩をしておる、全体的な規律が厳正でないという点を実は非常に痛感をするわけです。そういう規律の全体的な不厳正ということが、今回のような事件を起したわけであろう。また従ってそういうことが、公けのものに対する観念が稀薄になるゆえんであろうと思う。従って私は、政務次官は、今こういう事件が起ったので、懲戒委員会を設けて云々というお話でございますが、根本思想として、私は国鉄というようなこの公共企業体というものは、きわめて国家として重大なる使命と、そうして責任を持っておられると思う。従いまして、こういう事件一つ契機といたしまして、厳正なる一つ規律確立をしていただく、こういうことにつきまして、一つ当局の断固たる決意をお示しが願いたい。ただおざなりに、懲戒委員会にかけて、そうしてあれするということだけでなしに、根本思想において、私は公けのものをこういうことで、まあ下部の職員が勝手にやっておるというようなこの間の状況を聞きまして、はなはだ遺憾である、やっぱりこれは規律厳正でなければならぬ。これは結局、私は個人々々の道義心というものは高まっておるけれども、全体的な道義弛緩をしておるのじゃないか。そういう意味におきましても、私はこの不幸なる事件をして不幸に終らしめるということなくして、私はこれを一つの転機、契機として、国鉄全体の空気というものに厳正なる規律を盛り上げていただく。従ってその意味におきまして、私は厳正なる信賞必罰、よきものに対してはどこどこまでもこれを奨励する。誤まれるものに対してはこれをただしていく、こういう態度をおとり願いたいと思う。さらにこの御所信をはっきりと承わりたい。
  9. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 御指摘の御趣旨まことにごもっともでございます。私、運輸省といたしましても、この二月七日付をもって、特に異例の措置をもちまして、運輸大臣名をもちまして国鉄総裁あて警告を発しております。御参考までにこれを朗読いたしますと、   過般の日本国有鉄道法改正によって日本国有鉄道管理体制は、法制的に整備強化されたが、その後の業務運営状況を見るに、未だ必ずしも所期の効果を全うしつつあるものとはいいがたい。   さいきんの諸般の事情にもかんがみ、今一層管理体制の強化につとめ、国民の負託にこたえ、もって公共企業体使命を完遂するよう、特段の配慮を要望する。  こういう警告でございます。
  10. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいまお話がございましたように、鉄道業務はまことに国家につながる重要使命を持っておりまして、これの運営がうまくいくか、うまくいかないかということにつきましては、大きな影響輸送の面に生じまして、社会あるいは国家に対する御迷惑をかけることはもちろんのこと、ひいては事故、災害その他を生ずる原因ともなりまするので、規律は絶対に厳格にあらねばならぬと常々考えております。規律が厳格でありまするときには輸送も順調に参りますので、実は一昨年の関西線事故以来、自粛自戒綱紀粛正に努めて参りまして、その後は大事故も発生いたしませんし、列車の運行も順調に参っておりましたので、やや愁眉を開いておりましたところ、かような事態が生じまして、各方面のきつい御批判を受けたことは、まことに遺憾しごくと自粛自戒する次第でございます。しかし今回のことは私ども、あるいは職員全般に対しまして、まことにきつい戒めになったのでございまして、御指摘通りに、これを機会にさらに綱紀粛正特段努力をいたしたいと存じます。今回、運輸大臣からもきつい御戒告を受けましたので、私どもさらに運営につきまして十分意を用い、今回の列車不当使用につきましては、さらに手続その他の再検討をいたしまして、自後再びかようなことを繰り返さないように、制度からさらに検討いたしますとともに、この問題に限らず、全体的に規律の厳守ということにつきまして深く研究いたしまして、不祥事故の起らぬように、さらに特段努力をいたしたいと考えております。
  11. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 そこで、全運輸省政務次官並びに副総裁から十分に戒心をいたして、今後この事件契機として規律確立をはかるということでありまするので、どうかそういうふうに一つお願いをいたしたい、と同時に、当決算委員会といたしましては、当然これは物質的に龍頭蛇尾に終ってはならぬと思う。当然これは損害賠償なり、何なりなさるものだと思う。その点についてお尋ねをいたしておきたい。といいますることは、当決算委員会会計検査院からたびたび指摘を受けて、この間も大阪へ私ども相澤委員大竹委員とも行きまして、やむを得ざる事情の点も多数ごさいました。しかしながら、財産管理という点についてもっと細心な注意を払わなければならぬ。経理の点につきましても周密なるみずからの検査をするというようなことさえしっかりしておれば、会計検査院から指摘を受けるようなことはないと思う。そういう点について今回のこの事件につきましても、当然損害賠償なり何なりして、国の財産が逓減をするようなことはあり得ぬことだと思うのですが、それらの点について御所信を承わっておきたい、かように思います。
  12. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいま法規上の研究をいたしておりまするが、損害賠償になりまするか、あるいは料金追徴ということになりまするか、その辺は確定いたしておりませんですが、国鉄損害を来たさないように追徴金額追徴はいたすつもりで進んでおります。
  13. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 そういう点はやはり国民が非常に割り切れん気持を持っておりますから、十分に一つ明確にしていただきたい。お願いをいたしておきます。
  14. 大矢正

    大矢正君 ただいままでの大谷委員とそれから運輸省並びに当局との話し合いの中で私もちょっと気がかりな点が二、三ありますので、念のためにお伺いをしてみたいと思うのであります。  まず第一点は、先ほど政務次官懲戒規程に従って今回の当事者を処置するという説明がありましたが、ここにいう懲戒規程というのは、この問題のために特別に懲戒委員会と申しますか、懲罰委員会と申しましょうか、どういう内容のものが適切であるかはわかりませんが、いずれにしてもそういうものを新しく設けて処置するというお考え方なのか。あるいはそうでなくて、従来までの何かこれに似たような機関があって、それによって処置をするということを言われているのか。その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  15. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 懲戒委員会は、懲戒に値するかどうかという事犯ができましたときに、そのつど開かれるものでございまして、例をあげますれば、毎年検査院会計上の御指摘がございました際に、懲戒に値すると思われる事犯がございましたら、そのつど開いております。で、今回のこの件につきましても懲戒に値する事犯であると考えておりまするので、この事犯についての懲戒委員会を作るわけでございまして、そのつど懲戒委員会を開いているのでございます。部内規程懲戒規程というものがございまして、これによりまして、そのつど懲戒委員会を開いてその事犯調査の上懲戒すべきものは懲戒する、こういう制度になっております。
  16. 大矢正

    大矢正君 そうすると、その事の内容によって必要とあらば懲戒委員会と申しますか、懲罰委員会というものを開催する、こういう解釈になるわけでありますか。
  17. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 実は懲戒基準につきましては、日本国有鉄道懲戒規程というものがこれはその前からあるわけでございます。それでその事態が非常に簡単な場合、実はその範囲も限局されているというような場合には、それぞれの所属長懲戒規程によって直ちに処分を行う、こういうことも相当あるわけでございますが、かなり事態範囲が広い場合、いろいろまたたとえば今回のように静岡の局と関係し、東京の局にも関係しておるというような場合、そういう場合にはそれぞれの事態に応じまして、その都度懲戒委員会を設置いたしまして、懲戒基準はすでに定められております規程によって事情調査の上責任所在を明らかにして処分をすると、こういうような扱いに従来ともなっておるわけでございます。
  18. 大矢正

    大矢正君 政務次官にお伺いしたいのですが、あなたの先ほどの御答弁の中に、懲戒規程に従って処置をすると、こういう御答弁があったのですが、あなたが政務次官立場処置をするというのがどうも私納得いかないのです。処置をするように国鉄当局に対して意見するなりあるいは警告を発するなり、サゼスチョンを与えるという意味ならば私はよくわかるのです。あなたの先ほどの御答弁によれば、懲戒規程に従って政務次官立場であなたが処置をするということなんですか、そうすると、今国鉄当局から言われておる懲罰委員会ですか、懲戒委員会ですか知りませんが、そういうものと、運輸省運輸省独自としてあらためてそういう委員会を持たれて処置をされるのか、どうもそれが不明確なんでお尋ねいたします。
  19. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 私の言葉が非常に明確を欠いたことをおわびいたしますが、私が申し上げましたのは、国鉄をして処置させるべきものは処置させると、こういう趣旨でございます。
  20. 大矢正

    大矢正君 副総裁にお伺いをいたしたいのでありますが、先ほど大谷委員質問に対する御答弁によりますと、損害賠償ないしは追徴金と申しますか、こういうものは今後検討をして課すかどうかということに対する態度をきめたいというお説であります。もし損害賠償なり追徴金を課すということになりますと、だれに追徴金損害賠償を課するのか、いわゆるその目標というものが明らかでないように感じるのですが、この際、念のために承わっておきたい、それは実際その寝台車に乗って寝た人間損害賠償請求するのか、あるいはそうでなく、この寝台車を動かした人間、具体的に言えば運転系統であるとか、あるいは配車系統であるとか、そういう立場の者に対して損害賠償請求をするという御趣旨なのか、この点どうも明確なので、小倉総裁に御意見を承わっておきたい。
  21. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 今お尋ねのございました、損害賠償をかりに請求するといたしまして、その相手方並びにその範囲というようなことにつきまして、御指摘のように、若干問題もありますので、それらの点もただいまあわせて検討いたしておる次第でございます。
  22. 大矢正

    大矢正君 そういうあなたの御趣旨はよくわかるのですが、それならばあらためてここで損害賠償請求するとか追徴金をかけるということを申す必要もない、内容いかんによっては損害賠償追徴金もそういうものは全然かけられないという結論にもなるかもわからないでしょう。なぜあなたは損害賠償請求をしたり、追徴金をかけようという考え方もあるという答弁をここでなさるのか、私はその意味がどうもわからない。
  23. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 御質問の中に、この金額的の処置はどうするかと、こういう御質問がございましたので、私どもとしましては、現実に寝台車が使われたのでありまするので、それに対する追徴はいたさなければなるまい、こう考えておりまするので、その所信をお答えいたした次第であります。
  24. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの御答弁を聞いていると、吾孫子さんと小倉さんの答えが全く違っている。片方は結果においてと言われる、調べた結果において追徴するようなものがあれば追徴しなければならぬ、その結果においてしなくてもいいものが出ればしないことになる。ところが小倉総裁お話は初めから取るんだ、こういう結論を出しておられる、話が違っています。統一してもらわぬとわれわれ困ります。
  25. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 食い違っておるとも考えておりませんでして、吾孫子常務理事が申しましたのは、その追徴方法がどこから追徴するかということは、これは調査並びに法律的に研究いたす余地がある、こう申したのでございまして、私も吾孫子理事もとにかく寝台車料金も払われずに使用されたということは事実でございまするので、それによる損害でございますか、あるいは料金でありますか、こういうものは国鉄としては追徴いたさなければならぬ、そういう点において一致しておりまして私も先ほど申し上げましたように、この追徴をいかなる方法によって追徴するかということは、やはり研究余地があると申し上げたので、この点につきましては私の答弁吾孫子常務理事答弁とは食い違いがないものと考えております。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほど大矢君の質問に対して吾孫子さんがお答えになったが、結局この問題の結論配車とか、あるいは管理者ですか、まあいろいろの責任者があるですね、そういうようなものにいった場合でもと、こういう質問なんです。そういうものからどうして取るのか、こういう御質問に対して、それは調査の結果によって取るのもあるし、そうしない場合もある、こういうふうに私は聞いたと思う。今一度はっきりして下さい。
  27. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 国有鉄道職員国鉄の物品なり財産なりを私用に供する、あるいは不法に使うということは、これははっきりできないことにきめられておるわけです。それがとにかく正当な手続経ずして使われたわけでございまして、それによって国鉄損害をこうむったということは、これまた事実でございます。それでそれを使いましたものは国鉄労働組合客貨車協議会関係諸君で、今回の大会に傍聴者として出席した諸君が使ったのでございまするが、従いましてその損害を与えたものとしては、直接客車を使った人たちに当然責任があるのではないかというふうに考えるわけでございますが、同時にこれに関与したものも先ほど御説明申し上げました通り、相当範囲が広うございますので、それらの全体の責任所在というようなことについても、ただいまなお取調べを続けておる最中でございます。それらの全体を見まして、相手方範囲なり、また損害追徴する方法なりについては、その全体の調べの上できめたい、かように考えておるということを申し上げたわけでございます。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、結論としてお調べになって、それが使ったものでなくして……使ったものは使ったでいいですがね、使うまでの間にいろいろの管理上の責任と、二つの考えにわたっています。ただ車ひとりで走っておるわけじゃないだろう、ただ労働組合が勝手に持ってゆくしかけじゃないだろうと思う。それはいずれの機会に、そういうことをはっきりしたいと思いますが、そういう場合に何かやみの話があった、そういうようなものが出てきて、それをやみだろうと何だろうと話し合いがついたのですから、上司から一応の許可が出た、こういう形で使った場合と仮定すれば、そういうときはそういうものをやみで許したその人間責任があると思う、使った場合に……。そういう場合にもその人にかけるのかと、こういう質問大矢さんはしているのだ。それをやるのですか。
  29. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 国鉄財産私用に供してはいけない、勝手に使ってはいけないということは、これは明らかでございまして、使った人には当然責任があると思うのでございますが、それを使うようになる過程において、私どもが今まで調べましたところでは、公式に当局側の者がこれを認めたとか何とかいう事実はないと思っておるのでございますけれども、ただいまもお話のございました通り客車ひとりで動いて行くわけではございませんので、それに関係いたしました者の中に、この私用が行われた、不当な使用が行われたことについて、管理者側の方にも責任のある者があるのではないか、並びにその内容や程度がどんなことになっておるのかというようなことについて、目下具体的に調べております。その調べの結果によりましては、使った人またこれを使うようになるまでの間に関係した人、それぞれの全部についての責任所在というようなことを明らかにする必要があるのではないか、そのように考えております。
  30. 大矢正

    大矢正君 あなたの話を聞いていると、どうも私はふに落ちない点が出てくるのですが、処罰をする当事者、それからされる当時者というものの関係もまだ今日ではつまびらかではない。だがしかし、懲戒規程に従って処置をしたり、あるいはまた追徴金を課したり、損害賠償をすることだけは考えておる。そういうことは考えておるのだけれども、現実に一体それじゃだれを対象にして、その追徴金や、あるいはまた損害賠償や、それからまた懲戒規程に従って処置をするのかということになると、そういうものは全然今のところ不明確だと、こういうふうにおっしゃるわけです。私はそこがどうもわからないわけですね。あなたがほんとうに責任所在が一体どこにあるかということが今日の段階で不明確だとすれば、それに従っての措置も、これは今ここの場において明らかにすべき内容のものではないのじゃないかということを私はさっきから指摘しておるのです。ほんとうに具体的に当面こういう立場のものを処置するのだということが明らかになったならば、私はその人間はこういう立場だから、だから懲戒規程のいうことに従って処置をしたり、損害賠償をしたり、追徴金を課するということは考えても、そういうものが明らかにならないと、懲戒規程に従って処置をするとか、追徴金を課するとか、損害賠償をさせるとかいうこと自身に、僕はどうもあなた方の言っている内容に不明確な点があるように考えるわけです。これを私の主観だと言われれば仕方がありませんが、もっと具体的にあなた方がおっしゃれば、私はお聞かせ願いたいと思うのでございますが、あなたも先ほど言われておる通り列車というものはひとりで動くものでないということは、これはお説通りです。私も国鉄の客貨車の移動の状況等につきましては、昔多少の経験がありますから、この際あなたに念のために伺っておきたいと思うのでありますが、たとえばこの間使用されましたあの二等寝台の問題についてでもけっこうでありますが、この二等寝台を列車に連結をして静岡まで持っていくのにはどういう手続を踏まなければいけないのか、あなたその点を明確にして下さい。
  31. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 国鉄客車を勝手に使用してならないということは、これは明らかであります。それにもかかわらず、勝手に使用された、成規の手続経ずし使用されたということも、これまた事実でございますので、それらの勝手に使用した人に責任があるということは、これは否定できないのじゃないかと思います。ただそういうふうに事が運ばれますまでの過程において、いろいろ関係した者もありますので、それらの人たち責任所在、具体的に起った事態というようなことを明確にする必要がございますので、現在取調べをしておるわけでございます。それで、東鉄の客車静岡の方に回送されるようになりました原因は、客車を東鉄局から静岡の局に回送するという場合には、当然管理局の旅客関係の、この回送は客貨車課の当直指令によって行われたのでありまするけれども、当然旅客課との連絡も必要でございまするし、また客車使用について別途立案をして決済を受けなければならない性質のものであったわけでございます。そういうことが行われずして輸送手配というものがとられたというところに問題があるわけでございまして、それらの事情について現在取調べをいたしておる、こういう状態でございます。
  32. 大矢正

    大矢正君 私の聞くところによると、大体こういう内容のものは局長の決済を受けなければ移動することはできないというのが、普通原則らしいということは承わっておるのであります。そのことのぜひは、またこれは別といたしましても、あなたの言われているような正式の正当な手続を踏まないで客車が利用された、もっとせんじ詰めて言えば、その車を利用する人間の意思のみに基いてその客車というものがひとりでに静岡へ走ったというような解釈に往々にしてされがちなんでありますが、私はそういうことはないのじゃないか、それはその客車を利用したいという相手の者と、それからそれを利用させる立場の者とはおのずからそこに相違があるのではないかと、私はこう考えるのでありますが、あなたの答弁を承わっておると、その客車を利用したいという人間と、それからそれを利用させてやる立場の者が全く同一人物のごとき印象を受けるのでありますが、その点はどうですか。
  33. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) この客車を利用したいと考えておりましたのは、今までの取調べによりますれば、国鉄労働組合客貨車協議会の副議長並びに静岡地方本部の客貨車協議会の議長がそれぞれ国鉄当局に対して利用したいという申し入れをされたのであります。それに対して当局側責任者は、それはお断わりするということを申しておるわけでございますが、そういうお断わりするということがあったにもかかわらず、結果的にはお申し入れの通り利用されたということが事実でございます。
  34. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 関連。一言お尋ねいたしますが、この問題が始まってだいぶ日にちもたつんですが、どうも当局説明を聞いておりますと、これから調査だ、これから調査だというのが、どうもわれわれはふに落ちないんですが、この問題はどうなんですか、あなた方の方としてもどうも新聞が取り上げてやかましい、どうも国会が問題にしそうだということで立ち上ったんですか。これは最初から不当なものだというような立場をとられたものなんですか。最初からそういうような態度で続けていったならば、もう少し中間的な報告があっていいと思うんですがね。今までの話を聞いてもどうもさっぱりまだ事態も完全に把握していないようなんですが、一体中間報告程度のものはもう少し具体的にできないんですか。
  35. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 国鉄規程のしにおきましても、公物私用に供してはならないということがはっきりいたしておりまするし、また各方面の御批判から見ましても、今回のような寝台車を寝泊りに供するのは公物の乱用ではないかというふうなおしかりをこうむっておりますところを見ましても、常識的から見ましても捨てておけないということははっきりいたしておりまして私どももこの事件を聞知いたしましてから詳細に調査をすべく進めております。ただ申しわけに相なって恐縮ではありまするけれども静岡東京と二つにまたがりますることでございまするし、また寝台を利用しました者も三、四十名にも上ると思いまするので、そういうふうな調査をいたしますについては、やはり相当の時日を要するのでございまして、あるいは調査がおそいというおしかりをこうむっておりまするかもしれませんが、私どもとしてはできるだけすみやかに事態を明らかにいたしたいと努力しておるのでございます。中間報告がおくれたということではございまするが、一応の調査はいたしまして、前回の当委員会におきましても調査の結果を御報告いたしておる次第であります。
  36. 相馬助治

    ○相馬助治君 今調査がおくれておるということのおしかりが大竹先生からあったのですが、これは非常に世間的にも騒がれている問題なんで、あとあとのためにも事慎重を期すために、国鉄当局が遺漏なく調査するために時間をかけているんだというふうにも私ども考えるわけなんです。それは私思うに、調査がめんどうなんじゃなくて、一体どういう処置をするかということにからんでその調査がめんどうなんだ、かように推測しておるわけなんです。  そこで私は事直にお尋ねしたいんですが、これは全く知らないからお聞きするんです。客車に寝泊りしたということはもう全く議論の余地なくけしからぬことだと私は思っております。しかし客車に寝泊りしたという事実から追徴金を取るというても、これは寝台単といえばわれわれは走っていることを考えるのであって、一体一つところに停止したものに泊るということがもうこれが全く常識のらち外なのですが、国鉄の前例としては何かの都合で一定の場所に停止せしめて、その客車ないしは貨車を滞在用並びにこれに類するものに使ったという前例があるのかないのかということが私の聞きたいことの一つです。  それから、一体損害賠償を取るという場合と追徴金を取るという場合と、これはもうおのずからこの事件をどういうふうに見るかという基本的な見解が分れて、こういうことになってくるのだと思うのですが、これに対する今の見通しは大体どのようなお考えなのであるかということ、この二点を……。それに対してなお私最後に一点しかと承わりたいことがあるので、まずそれを知らないのでお尋ねしたいと思うのです。
  37. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 寝台車をとまっているままに貸し与えた例があるかというお尋ねでございまするが、私の聞知するところ、ほとんどございません。外国には早朝に着いた寝台車を夜が明けるまでとめておいて使わせるというふうな方法もあるやに聞いておりますが、そういうことは日本では非常なレア・ケースでございまして、ことにその寝泊りのためだけに停車せしめて、寝台車を宿屋、宿舎がわりにさせるということはございません。ただ貨車などにつきましては、倉庫が一ぱいの場合に留置料を取りまして貨車を置場に使わせるということはございまするが、私どもの車両はすべて輸送の道具でございまするから、輸送を目的といたしておりますので、寝台車を宿舎がわりに使わせるということは考えておりません。しかしながら、先ほど私の御説明申し上げたのに言葉が足りなかったのでございまするが、とにかく二等寝台が静岡の駅に留置されて、寝泊りの用に供せられたと、こういうことにつきまして 一般の社会通念からも、国鉄の寝台は走っているときに相当の料金を取るのに、留置して宿舎がわりに使ってただなのかというふうな御批判も非常に強いし、また私どもも、それではもし料金を取らなければ、それだけやはり不当に利得を生ずることになりますもので、かような結果が起りましたことから見まして、何らかその対価を取るべきであると、また国鉄といたしましても、その寝台車がほかにもし運用されたとしますれば料金が取れるのでありまするから、そういう観点からいいましても、法律上あるいは常識上料金を、何がしか金額の回収は必要ではないか。しかしながら、それを先ほど御指摘がございましたように、だれから徴収するかということになりますると、そこで寝泊りをしました者から取りますれば、これは料金になりまするし、また国鉄が得べかりし利益を損失したということになりますれば損害賠償になりますし、結論として、金額の回収、追徴は必要ではあるけれども、その性質が非常にむずかしい。また対象といたしましても、現実に寝泊りをした人から追徴いたしますか、あるいは客貨車協議会というものがこの寝台のことを企画し、また協議会委員使用せしめたという点から見まして、協議会に請求するか、そういう点がまだむずかしいので、この点につきましてはもう少し研究させていただきたい、しかしながら、とにかく使用されたという現実を見まして金額だけは追徴いたしたい、かように考えております。
  38. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は最初新聞で承知したときに、そういう寝台車労働組合諸君が、理由のいかんにかかわらず、勝手に使ったということは、これはまことにまずいことだ、こう直感的に実は思ったのですが、そのとき同時に思ったことは、私の知っている経験によれば、総裁が旅行するときに、一つ客車を特別につけて歩いていたという事実を私は知っているわけです。総裁が旅行するために便宜を供与することは、非常にけっこうだと思うのです。しかし、そのために座席を幾らか予約して広くとるということならばけっこうだが、総裁が旅行するからといって、一客車をそこにつけて歩くほどの必要があるかどうか、うるさく考えると、こういうことを私は直感的に考えたのだが、しかしこれは鉄道の内部において、そうすることが視察を便宜ならしめ、あるいは総裁旅行で、その客車の中で会議式のものを行うために、こうすることの方が国鉄の能率を上げるためによろしいのだな、こういうふうに私は好意に解釈して、その当時そのことに対してさして疑問を持たなかったのです。従って、この問題を最初新聞で見たときにも、まずいなと思ったが、これは前例のあることなので、この諸君が運悪くこれは見つかった問題なんで、だから騒ぎになっているのかな、こういう直感も私にはあったわけなんです。ここで大谷委員が問題にしておるのは、決算委員であるから、決算委員会らしく、国有財産が不当に使われたのだ、この損害はどうしてくれるのだというところに質問の山があるようですが、私はだんだん話を承わっていて、問題はそんなことよりも、動かすなといった寝台車が、二台も東京から静岡まで動いて行った、これほど国鉄の内部の管理系統がだらしがないのでは、われわれが汽車に乗っておるときに、思わぬ方向から汽車が走ってきて衝突しないでもないと、話は少し露骨のようですけれども、一体そういうことも詭弁であると言い切れないくらいに、この問題は、私は、運転系統上、またあなたたちの職員管理上大きな問題ではないか。この決算委員会の直接の議題に供すべきこととしてはふさわしくないけれども大谷委員が問題を提起して、この問題を聞いておると、その問題の方が私ははるかに大きいと、こういうふうに考えるわけなんであって、ここで国鉄が慎重を期してこの問題を処置されるというのですから、私はここでとやかく意見がましいことや理屈は、これ以上述べませんが、問題の焦点を一つ誤まらざるように、問題は、国有財産損害を与えられたという憤りよりも、われわれが信頼しておる、世界でも冠たる日本の国鉄——時間的にも、運転系統的にも、まことにこれはもう世界でも有名な国鉄が、動かすなと言っておいたのに、寝台車が動いて行ってしまったり、それからまた、今日になってみるというと、一体損害賠償を取るのか、追徴金を取るのか、この判断もつかないほど珍しい問題だと、こういうふうになっておることが、むしろ驚きなのであって、どうか一つ小倉総裁においては、処罰するということだけにウエイトを置かずに、それからまた、わずかの金を取るのだという、金を取るということだけにウエイトを置かずに、よりよき国鉄の発展のために特段善処されることを希望し、この委員会において再度あるいはあなたの御出席をいただく機会があったならば、私はそのときこそ、批判めいたことを言うつもりで、以上のことだけを私は述べておきたいと思う。
  39. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 大局的見地から御指示をいただきまして、まことにありがたく存じます。先ほど申し上げましたように、最近国鉄輸送能力は非常に向上し、かつスムースにいっております。重大事故もこの一年有余ございませんし、また列車の乱れも、これはいつも列車の総遅延時分で見ておりまするが、最近非常にめっきり少くなって参りました。かような点は、列車の運行がきわめて円滑にダイヤ通りいっておる。従いまして、事故の少い原因であると、ひそかに喜んでおる次第でございます。しかしながら、今回のような事件が生じましたことは、さらに私ども自粛自戒し、規律の厳正をさらにさらに向上していかなければならぬということで、この事件につきましての御質問がございましたので、当面の問題まで申し上げましたが、私どもはこれを機会に、さらに全体の運営を向上せしめるために、管理者職員も一体になって自粛自戒して参りたいと、かように考えます。
  40. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて下さい。  それでは、他に御質問もなければ、国鉄に関する質疑はこれをもって打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  午前の部はこれで終了することにいたしまして、午後は昭和三十年度決算中、農林省の部の審査を行う予定でおります。  暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後二陣四分開会
  43. 高野一夫

    委員長高野一夫君) これより決算委員会を再開いたします。  まず、委員の変更について報告いたします。本日付をもって、岡三郎君が辞任せられ、鈴木一君が補欠選任されました。     —————————————
  44. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算、  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算、  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書、  昭和三十年度政府関係機関決算書を議題といたします。  本日は農林省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第九百二十八号から第千九百十六号までであります。まず会計検査院から概要の説明を願います。
  45. 中川薫

    説明員(中川薫君) 昭和三十年度農林省所管の事項について御説明申し上げます。  まず、一般会計の分から申し上げますと、昭和三十年度の歳出決算額は九百六十二億余円でございまして、そのうち国が直轄で施行いたします工事及び都道府県に委託して施行いたします土地改良、開拓、干拓等の事業費等が百四十二億円でございます。そのほか公共事業関係の補助費が三百五十二億円でございまして、右公共事業関係経費を除きましたいわゆる一般補助が百七十四億余円でございます。  順次各項目について御説明申し上げますと、直轄工事と代行工事との関係は、規模の大小によって一応の区分をされるのでございますが、両者とも全額国費支弁でございます。各農地事務局で施行しております工事について前年に引き続き検査をいたしましたところ、従来直轄工事においても出来高の不足しておる、あるいは疎漏工事となってその所期の目的を完全に果していないというようなものも見受けられましたが、本院検査と現地の監督並びに自粛等によりまして、著しく改善されまして、この検査報告に掲記いたしましたものは、積算過大、すなわち現地の把握が不十分であったために工事費の積算が過大となっておるというもの、あるいは請負に付するに当って、機械の修理費を積算していたところ、その内容において定期修理費を積卸していた。これは農地事務局そのものにおいて定期修理は行うものであって、これを請負工事費の中に積算していたのは当を得ない。それから当初の工事計画に対して、事後設計変更の事態があったのに、それを考慮しないでそのまま——これは浚渫船の土砂の運搬でございますが、当初二段送砂と一段送砂の計画であったところ、全部一段送砂になったにもかかわらず、設計変更の計算において、当初の単価をそのまま踏襲したために、工事費が高価となっておるというようなものでございまして、これらのものは、なお今後注意をとどかせますならば、絶滅を期し得られるものではないかと考えます。  次に、代行工事について申し上げますと、これは全額国費支弁の内容のもので、小規模の開墾とか干拓等の工事を都道府県に委託して行うものでございますが、全額国費支弁であるという点が災いいたしまして、工事内容の選択においても、本来の趣旨と合致しない内容のものを採択したり、あるいは、それが一部目的を達し得る内容のものであっても、たとえば道路において、従来の幅員で目的を達するのに、それを越えて路線の拡幅をはかっておるというようなもの、あるいは、土地改良の内容を持っていて、当然それは国庫補助事業として施行し、地元で応分の自己負担をしなければならない内容のものを、この代行工事として採択しておる。その他工事に特有のもの、すなわち積算の過大なもの、あるいは出来高の不足しておるもの、または工事が疎漏となっていて、所期の目的を達していないというようなものが相当件数指摘されております。  それから公共事業関係について申し上げますと、これは過去数年来検査の徹底をはかりまして、指摘いたしておりますが、三十年度におきましても、対象の約八%程度の個所を検査いたしましたところ、当を得ないで、国庫補助金から除外すべき額の一工事十万円以上のものをあげましても、千三十二工事、三億三千百余万円に達しておる状況でございます。これの内容は、工事に特有のもので、出来高が不足しておる、設計が過大となっておる、工事の施行が疎漏であるという内容のものでございます。そうしてこれに共通いたしておりますものは、事業主体が自己負担を回避して、多くは補助金程度で工事を施行し、はなはだしいものになりますと、補助金を下回る額で工事を終っておるという内容のものでございます。これは農業施設、山林施設、漁港施設の三項目に分けて記載いたしてございます。  それから公共事業の国庫補助工事で、計画が当を得なかったために所期の目的を達しなかったというものが三件掲記されております。これは現地の実情を十分把握しないで工事を急いで着手したとか、あるいは現地の実情に適しない施設物を設置したというような内容のものでございます。  それから公共事業の関係につきましては、昭和二十八年当時の災害において、査定の段階における調査が不十分なために、それが国の損失となる関係のものがございましたので、査定の段階において会計検査院で実地を検査いたしまして早期に検査して、不当事項の発生を防止するという考えから検査を施行いたしましたが、三十年度におきましても、特に災害の多かった地区を選びまして検査をいたしました結果、三十年度発生災害において一億三千八百余万円、過年度災害において三億一千五百余万円の是正減額の処置をとる結果となったのでございます。  それから次に、いわゆる一般補助について申し上げますと、農林関係の国庫補助金は、補助費目において百数十項目にわたるのでありますが、そのうち、都道府県、市町村等を経由しまして、末端の事業実施者に交付される補助金を特に選びまして、さらに災害復旧関係補助及び三十年度新たに設けられました農村振興総合施設整備費補助金などを重点的に検査いたしました。その結果、従来に比べて、ある程度改善の跡は認められますが、末端に細分されますために、必ずしも適正とは言えず、すなわち経由機関である市町村等でこれを使用しないで保有していたり、あるいは補助の目的外に使っている。それから地元負担を全部または一部しないために、事業において事業量が不足しておるというようなものがやはり少くない状況でございます。それからこれは一般補助の一内容をなすものでございますが、二十八年度以降の凍霜害、風害 水害等にあいました農林漁業者に、農林中央金庫、都道府県信用農業協同組合連合会等の系統融資機関を通じて資金を貸し出させ、その利子の一部を国及び都道府県で負担いたしまして、末端の事業者はきわめて低利となるという構想の災害融資金に対する利子補給の制度がございますが、これが非常に乱れておりまして二十九年度決算検査報告にもその一端が掲げられましたが、三十年度決算関係におきましては、それの検査の徹底化をはかりました結果、末端の農業協同組合等で事業者に貸し付けないで、自己の運転資金に流用しておる、あるいは一応末端の事業者に貸し付けた形態はとっておるけれども、各自の名義の定期預金に預入させて、それを運営しておる、結局利子補給の効果のない事態のものが多数発見されまして、これに対する是正の処置を講ずるよう当局に要請いたしたのでございます。  以上で農林省一般会計の分は終りまして次に食糧管理その他の特別会計についてここに掲記されております分を説明したいと思います。まず食糧管理特別会計の三十年度決算じりは、二億七千余万円の損失となっておりまして、前年度繰り越しの損失を合せまして、三十三億五千五百余万円の損失を翌年度に繰り越したのでありますが、この三十年度におきましては、過去において一般会計から繰り入れを受けていた百億円を返還不要として処理いたしますとともに、三十年度の損失を埋めるために六十七億円を一般会計から繰り入れました。そのほか食糧事務所等の土地、建物その他の固定資産を再評価いたしましたその差益、二十五億二千余万円がございますので、これらを一応損失として考えますと、昭和三十年度の本特別会計の実損失は百九十四億余万円となるわけでございます。このように損失が多額になりましたのは、昭和二十九−三十年産の米麦の売り渡し価格に買い入れ原価を十分に見込むことができなかったために、売却するごとに一定額の損失を生ずる、いわゆる売却損が内地米において百四億余円、それから当該年度に売却を了しなくて翌年度に繰り越すこととなりましたものについて、年度末在庫の再評価をいたしました場合の評価損として、内地米で七十三億余円その他がございましたためでございます。  本会計におきまして、不当事項として指摘いたしましたものは二件ございまして、一つは外米の購入に当って需給計画がずさんであったために、必要以上の外米を購入して、それが年度を越えても多量の在庫品を生じ、保管料等もかさみ、また、水分含有量も比較的多いために、品いたみの心配すらもあるという内容のものでございます。  もう一件は、外国小麦を購入する場合に、サイロに吸い上げますときには、含まれておる塵芥すなわちダストが除去されますが、買い入れのときにはそのダストも含んだもので買い入れておりますが、売り渡すときには、これが除去されまして品質が向上するわけでありますので、これを考慮して値段を決定しなければならないのに、これを考慮せずに売り渡し、ダストの分は別途きわめて低価に処分したために、相当額の損失となったという案件でございます。  次に、農業共済再保険特別会計について申し上げますと、この会計昭和二十二年度に発足いたしましたが、その後も災害が多かった等の事情によって、毎年一般会計からの繰り入れがあります。それから共済の事業主体であります農業共済組合及びその連合会の事務費負担金としても、毎年度二十三、四億の支出がございます。その他、共済掛金についても、大災害の場合には国で全額持つ、通常の場合でも三分の一程度を国で負担するというように財政の援助をしておるのでございます。このようにして国の保護の厚いものでございますが、この制度が農民になじまないために、共済制度が農民と遊離しておるということは顕著な事実でございまして、あるいは災害があって保険金が入りましても、これを共済組合で留保していて、末端に配分しないで、それから組合の共済掛金あるいは組合運営のための賦課金を徴収しないで、それに充当するとか、あるいは損害を実損害より過大に評価して、そして多額の保険金を連合会から収受するというようなおもしろくないものが多数発見されております。これは過大評価の分は不徳義のはなはだしいものでございますが、その他のものについて内容検討いたしますと、この制度そのものについても相当問題がありまして、たとえば一市町村の区域内でありますと、損害の頻発するところも、また無被害に終始するところも、同一掛金率が適用されておる。それから農民の負担としては、税金に次ぐ負担となっておるにもかかわらず、損害が発生しても、定収穫の三割をこえるものについて補てんを受ける建前であるが、それも十分ではない。それ以下のものについては、掛金等は掛け捨てとなるというような点で、農民のこれに対する協力、理解が薄いためだと考えます。これらの点につきましては、国会方面の御要望もありまして、制度の改正を当局において検討され、完全とはいかないまでも一定の改正がなされまして、三十三年度の一月から新制度で発足されておりますので、今後においては相当程度改善されるのではないかと考えます。  次に森林火災保険特別会計について申し上げますと、国営の森林火災保険の運営は、ほとんど大部分を都道府県知事に委任いたしておりまして、保険料の受け取り等の一部事務を市町村森林組合等に行わせているのでございますが、これらの保険事故の認定等において適正でないものを本院において見出しましたので、従来検査が届かなかったことも考え合せまして、これを重点的に検査いたしますとともに、林野庁当局に対しても、さらに事実について再検討するよう要請いたしました結果は、本院の指摘で百七十八万五千余円、林野庁の是正で百四十六万七千余円に上りました。これらは現地がへんぴな所でありますので、検査の徹底に困難を感ずるわけでございますが、都道府県等の段階において、なお一そうの検査を徹底していただきたいものだと考えます。  次に、開拓者資金融通特別会計について申し上げますと、これも実は便利な場所にございませんで、この会計における開拓者に対する資金融通の当否を検討いたしますためには、他の方面の検査が犠牲になりますので、とかく徹底は期しがたいのでございますが、この資金の融通についても、おおむねかんばしくないではないかというふうに考えます。  次に国有林野事業特別会計について申しますと、この会計は三十年度決算じりとしては二億二千七百余万円の利益となっておりますが、北海道において昭和二十九年に風害木六千九百余万石の発生を見ましたために、二十九年度で多額の損失を計上いたしました等によって、過去の累積しておる利益を相当額減殺したのでございます。国有林野の関係検査におきまして、従来材積の調査がずさんであったり、あるいは売り渡し価格の算定要素となる生産事業費等について適正を欠くものがございまして、これらを指摘いたしましたところ、林野当局において、それらのことはまず第一に適正を期さなければならないものであるということに反省されまして、努力されました結果は、それらの関係の不当事項は著しく減少したと考えられます。ただ、遺憾なことは、ここに鶴岡営林署で経理の紊乱をしておるものが掲記されておる点でございます。これは収納すべからざる予納金を収納して、そうして別途に経理したというものと、それからいわゆる不実の経理をしたものとに分れますが、不実の経理の点について簡単に申し上げますと、過去において河川による流送をしていたところを、流失量が多かったが、それを過小に報告したということと、それから二十八年の暮れから二十九年の初めにかけて、暖冬異変のために雪ぞりが使えなくて、運材の経費がよけいかかって、しかも成績が上らなかった、にもかかわらず、それを計画通り精算完了したように一応報告したために、その後においてそれのつじつまを合せなければならないということが不実経理をする端緒となり、さらに、その不実の経理を最後まで表面に表わさずに貫徹するために、秋田営林局でこの事実を発見した後においても、架空の名義によって人夫賃をひねり出すとか、あるいは造林費につけかえをするとかいうような操作をして、それのつじつまを合せたのでございます。その他においても、良質の材を価値の低い材と仮装して、それの差額を別途に保有して、接待費等に使ったという内容のものでございまして、はなはだ遺憾な次第でございます。  もう一件は、国有林野整備臨時措置法によりまして、地元の村に保安林を処分いたしたのでございますが、これは保安林として極度の制限を付したために、普通林野の評価額から六割を減額して処分いたしたのでございますが、買い受けた地元では、その後間もなく、その林地の上の立木の全量を木材業者に転売して利得していたという内容のものでございます。  以上で農林省の各特別会計説明を終ります。  次に、職員の不正行為によって国に損害を与えたものが三件掲記されております。そのうちの代表的なものは、農林省の農林経済局農業保険課の課員であった多久島某にかかわる不正行為でございます。これは不正行為金額として五千九百九十万余円が掲記されておりますが、三十一年の十月に千三百余万円の返還を受けましたので、その額だけが不正行為金額から減少しておるわけでございます。その他については一応省略さしていただきます。  以上で説明を終ります。
  46. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、農林省から概要の説明を願います。  ちょっと私から御注文申し上げますが、あまり簡単率直でも困りますけれども、できるだけ要点に触れて要領のいい説明をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 本名武

    政府委員(本名武君) 農林省といたしまして、御説明申し上げます。  ただいま検査院の御指摘通り農林関係の不当事項は、一般会計におきまして、農業水利、開拓、干拓等の直轄工事及び代行工事、並びに農業災害施設復旧事業の機械管理につきまして、疎漏工事、出来高の不足、経理の不適切等のため七十五件の指摘を受けました。また国庫補助事業につきましても、疎漏工事や、出来高または事業量の不足、設計の過大、目的外使用、事業主体負担不足等のため七百八件という多数の不当事項指摘を受けております。また特別会計におきましては、食糧管理特別会計において、外国食糧の購入及び売り渡しに当って処置の当を得なかったもの、及び国有林野事業におきまして、木材の売り払い及び保安林の払い下げにつきまして、経理を乱したもの、あるいは処置の当を得なかったものにつきまして指摘を受けました。さらに農業共済保険事業におきまして、運営が適切でなかったもの、森林火災保険事業の保険金の支払い、及び開拓者資金融通事業の貸付金の管理につき、処置に当を得なかったものがあったのであります。  以上、全体で九百八十九件という多数の指摘を受けましたことは、まことに遺憾でありまして、全く申しわけない次第でございます。これらの指摘事項につきましては、それぞれ厳重に是正措置を講じますとともに、今後も一そう厳重な取扱いをなすよう指導監督を強化いたしまして、同様の不当事項の発生を防止するように努力いたす所存であります。なお、不当事項に対する責任者につきましては、それぞれ処分、または厳重な注意を行なっております。  なお、この際特に申し上げて遺憾の意を表したいと存じますが、当省職員の中から不祥事件を起し、世間を騒がせましたことをまことに申しわけなく存じます。今後絶対にかかる不正行為の起らないよう、綱紀粛正をはかりますとともに、執務の刷新を期し、人事管理、補助金等の取扱い、文書の取扱い等について改善を加えまして、厳正な実施を期している次第でございます。なお、個々の指摘事項につきましては、それぞれ主管の者からお答えいたさせたいと存じます。
  48. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明を終ります。  御質疑のある方は順次御発言を願いますが、ただいま政府側から御出席の方は、会計検査院から中川第四局長農林省側から奥原水産庁長官、石谷林野庁長官、それから食糧庁の武田総務部長、本名政務次官、渡部農林経済局長永野振興局長、畜産局の藤波畜政課長、農地局の正井参事官、大臣官房の丸山経理厚生課長が御出席になっております。なお農林大臣は予算委員会の都合で当委員会に本日は出席はできませんので、次回、水曜日の委員会には出席していただくつもりでございますから、あらかじめ御了承おきを願います。
  49. 島清

    ○島清君 ただいま会計検査院の方から直接に指摘された不正不当の事実ではございませんが、しかし、この個別的な不正不当の事案を審議いたしまする前に、継続的な事項といたしまして、真相だけをお聞きしておきたいと思うのでありますが、今、会計検査院も非常に遺憾であるというて、多久島某のつまみ食いの事件を御報告になったのでありまするし、政府側の本名政務次官も、はなはだ遺憾であったというて、その善後処置当局の決意のほどを御披瀝になったわけでありまするが、それと相前後いたしまして、農林中金の不正の事実があるわけでございます。ちょうど全購連の事件が国会の方で問題になりましたのは、去年の四、五月ごろだと記憶をいたしております。その四、五月ごろに農林中金の方で中央農水産株式会社ですか、その子会社を持っておりますので、その子会社の方に魚かすの仕事をやらせるというので、その資金の浮き貸しをしまして、さらにそれがまる損になった、その穴埋めをするために高橋某の持っておりまする個人の会社を利用いたしまして、ゴムの事業を始めたり、いろいろの事業を始めまして、そしてとどのつまりには、二億八千有余万の赤字を作りまして倒産をした。ところがその関係者は農林中金の幹部の諸君であった。そこでそのしわ寄せが、一応形の上ではその倒産をいたしました会社に抵当権を設定をしておるのだと、こういうような表面的なごまかしがなされておるようでございまするけれども、ひっきょうその損というものは、抵当権の設定だけであって、実際の赤字の穴埋めはされてない、こういうような事実のようでございます。その問題はいろいろ刑事事件にもなっているようでございまして、社会党の猪俣衆議院議員が法務委員会の方で、刑事的な、法務委員的な立場において法務大臣に質問いたしておることも農林当局は御存じだと思います。従いまして、私たちは決算委員でございまするので、刑事事件がどうあろうと、私たちの関与する事柄でもございませんので、その問題を明らかにしたいとは思っておりませんが、農林中金の金に三億近くの赤字があいて、それが穴埋めされてないという事実がかりにあるといたしますならば、農林中金の金の性質上からいたしまして、決算委員の方でこれは見のがすわけにもいかない問題だと、こういうふうに思うわけでございます。  私は問題は非常に簡単な問題だと思っております。この赤字が穴埋めされたのだといえば、決算委員、私たちとしては問題はこれでよろしいわけでありまして、穴埋めされていないといたしますならば、いろいろのその経過についてお聞きをしなければならない、こういうふうに考えております。そこでこの赤字が穴埋めをされたかどうかをまずお聞きをいたしたい。さらにそこまで至っていないということにいたしますならば、今いろいろとお聞きしたいこともありますので、後日同僚諸君のお許しを得まして、その経過等についてはゆっくりお聞きをいたしたい、こういうふうに考えております。しかしながら、これは刑事問題にもなっているようでありますので、事の性質上、正しい資料に基かなければ困難であるということでありますならば、さらにそれを扱っておりまする関係者の方がここにもしおいでになっていないならば、必ずしもきょうここで御答弁を願いたいというような、そういうような意地の悪いことは申し上げません。繰り返して申し上げますが、事は刑事問題にもなっているようでありまして、非常に複雑な問題であろうかと思いますので、しかしながら私は決算委員としてお尋ねをいたしておりますので、どうか差しつかえがなければ御答弁をいただきたい。そうでなければ、いずれまた後日あらためてそれぞれの責任の持てる当局者から御答弁をいただいてもけっこうでありますので、一つ伺いをいたしたい。
  50. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 本件は御指摘のように非常に複雑しておりまして、事の起りは昭和二十五、六年ごろからの問題であります。関係するところは農林中金、全購連、それから農林漁業金融公簿の金が出ておるのであります。最終的な貸付先の日本農工は非常に悪い状態でありまして、しかし御指摘のように担保不動産があります。これをめぐりまして、その担保不動産を処置すればどれだけの穴埋めができるかということで、ようやく昨年の暮れに至りまして、関係者の間で——それまでは関係者の間で非常に方向が違っていたのでありますが、解決しようというところまできたわけです。その細目について目下協議を進めておりまして近々のうちに最終的な調印ができる、こういうことになっております。これはお話もございましたように、相当混み入っておりますから、あとで資料を差し上げまして、それに基いて御質問願った方がわかりやすいかと思いますので、ただいま私の控えだけの資料しか持っておりませんから、別の機会まで御猶予願いますれば、印刷に付しまして、配付さしていただいた方がいいのじゃないかと、こういうように考えます。
  51. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それでは速記をつけて。  委員長から政府側にお願いしておきますが、先ほど島委員から御要求がありました資料、並びに松岡委員から御発祥がありました資料、さらにそのほかに一、二あるかと思いまするので、十分お考えおきを願いまして、明後日、次回の委員会までに当局の方で責任を持って資料作成の上、御提出を願いたいと思います。  なお、検察庁で引っかかっておる問題につきましては、検察庁と御相談の上、差しつかえない範囲内において、責任を持って資料の作成をお願いいたします。
  53. 本名武

    政府委員(本名武君) ただいま島委員並びに松岡委員の御要請による資料は、明後日整えまして、御提示申し上げると同時に、御説明申し上げたいと思います。
  54. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は一、二の総括的質問なんでありますが、これは農林関係は非常に分量が多いので、各委員から個々にそれぞれの立場で質疑が出ると思うのでありますが、まず私は第一に食糧管理特別会計関係について、昨年岸総理の御出席を願いまして、特に私より質問をいたしました例の黄変米の処理の問題でありますが、そのときに、私は、この黄変米の問題が、相当食管の赤字を累増しておるというような点から、これの処分についていろいろな意見も申し上げ、それからこの点について、岸総理のなるべく早い機会に処理の断行を求めたわけでありますが、そのときに岸総理は、必ず御意見、御質疑の通りにやると、しかも久保委員が、この私の質問に関連をいたしまして、一体それならば、見通しはいつぐらいかと言うときに当って、岸総理は、大体一年半ぐらいでこれを全部処理をするということを、この席上において言明されたと私は記憶いたしておるのであります。が、その後この病変米の処理についての詳細な一つ説明を願いたいと思うのです。
  55. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 病変米の処理の問題でございますが、昨年以来、この処理につきまして、鋭意検討を続け、かつその処理方針も漸次定まりまして、おおむね大体の処理方針といたしましては、在庫をいたしております病変米を、上中下の三つに分類をいたしまして、これは大体専門家の肉眼検定によりまして、品質のいいものと悪いものとに分けたわけでございます。そのうちの上に属します部分については、サンプリング委員会におきまして、その無菌あるいは有菌の検定をいたしますための検定方法を確定をしていただきまして、その方法に基いて、今日まで、良質のものについて、さらに無菌のものとそうでないものとに分類をいたして参りました。で、その良質のものが、総量で八方三千トンほどあったわけでございますが、このうち合格いたしましたものが、約六万六千トン足らず、不合格のものが約一万七千トンほどでございます。このうちの合格いたしましたものにつきましては、これを食品加工用に、無菌でございますので売却することにいたしまして、今日までに、大部分の処理を終えております。なお今後、年度内に約八千トンを売却いたしますれば、これは全部処理が終ることになります。それから、この良質のもののうちの不合格のもの並びに中下の品質のものにつきましては、これを飲用アルコール原料、あるいはのりその他の原料に回す予定にいたしております。さらに、それだけではなかなか数量が大きくさばけませんのと、この不合格と中下のものは、おおむね有菌のものと推察されますので、これらのものは、できるだけ早く処分をいたしたいということで、昨年の末に、これらにつきましては、その大部分を通産アルコールの専売特別会計に売却をいたしまして、工業アルコール原料に充当しようということをきめたわけでございます。現在、本年の当初におきまして、政府で手持ちいたしております病変米の量は、約五万三千トン足らずでございます。このうちみそ用等の食品原料に回りますものが、約八千トンでございます。それからのりあるいは飲用アルコールに充当せられますものが五千トン前後になろうかと思います。残余のものにつきましては、大部分が工業原料、工業アルコール用原料に参るわけでございまして、そのうち三万トンは、現在通産当局話し合いがついております。年度内に四千五百トン売却いたしまして、明年度早々に残りの一万五千トン程度を売却いたしたい、かように考えております。で、いずれにいたしましても、来年度中には、すべての病変米の処理が完結いたすというように考えております。
  56. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は一昨年の当委員会におきましても、この病変米の処理について、ことにこの有菌の問題につきまして、処理方針が、全くその方法に困っているような状況当局から聞いたときに、今あなたがあとでお話しになりました通産当局用のアルコール原料ということを、たびたび指摘しているのであります。それがなかなかいろいろ御意見があったとみえるのでありますが、結局落ちつく先はここへくるので、これは御承知の通り政府部内のことであって、同じ赤字があっても、これならば委員会でも納得ができる、そういうことを私はいろいろな角度から言って、たびたびそれを実は忠告をしてきたわけであります。岸総理にもこの点は私は十分申し上げて、その点、それはそれでそういう方針が決定したことはこれはけっこうでありますが、この食糧関係の合格をいたした六万六千トン、そのうち八千トンが残っていると、こういうのでありますが、これは大体トンどのくらいで処理をしたのですか。
  57. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 価格は、上質の合格いたしましたものにつきましては、現在そういった工業原材料用に売却いたしますものの価格を、病変米で合格したものも、それ以外のものも、大体トン五万一千八百円の価格で売っております。
  58. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは昨年の春あたりに比較いたしますと、これは日本だけでなく、東南アジア全体の米は豊富であって、従って相当相場の上からみても、だいぶ秋あたりは下落したと思うのでありますが、私の記憶で誤まりがなければ、これは去年の春あたりに処分をしてもらえたら、おそらく五万七千円ぐらいで無菌のものは処分できたと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  59. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 現在の私どもの方で売却いたしております普通外米の原材料用価格は、昨年からこの現在の価格を政府の売り渡し価格としてきめて、ずっとそのまま据置できておりますものでございます。
  60. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それからこの残りの処分についてでありますが、この有菌のものその他、これは全部通産省関係のアルコール用として、売却いたすのでありますか。
  61. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) ただいま申し上げました八千トンのこれは無菌のものでございますが、残りのもののうち約五千トン前後のものは、これはのりでありますとか、あるいは飲用アルコール原料に売る予定でございます。それ以外のものが大部分通産アルコールに回る、こういうことになろうかと思います。
  62. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それで大体の見通しは来年度中、すなわち暦年度でいうことし中に、処分をされる見通しがついていると、そうおっしゃっているのですが、それは間違いないのですか。
  63. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 大体本年中に処理をいたしたいというふうに考えております。
  64. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 とにかくこういう大きな問題で、農林当局自体でも、われわれがたびたび警告をしていても、これは処断ができないので、私どもは特に岸総理の出席を求めて、岸総理から確たる信念のもとに立っての答弁を促した。それが一年あるいは一年半ののちには全部処理すると、こういうことをおっしゃられたのでありますが、しかしまだ本年度中にこれを全部処理するということは、確信がないようでありますが、これはぜひ一つ断行してほしいと思うのです。  それからなお、その後に入ってきておりまする東南アジア各方面から、中共あるいは台湾、ビルマ、その他から米が入っておるのでありますが、その後入ってきた米には、この病変米のおそれのあるものはないんでありますか。
  65. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 病変米の問題は、御承知のように起りましてその後、現地におきまする買付方法、それから買付時期の制限等を、御承知のようにいたしておるわけでありますが、今日までのところ病変米のおそれのあるものはほとんど入っておりません。
  66. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから今一点お尋ねをいたしたいのでありますが、例のこの不当事項の中の千七百十一「外米の購入にあたり処置当を得ないもの」、この問題があるので、これは相当国会でもやかましく論議をされた問題でありますが、この点に対してその後の処置一つ承わりたいと思います。
  67. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) この千七百十一号の、外米の購入の問題でございますが、これにつきましては、実は三十年の夏に新たに業務用配給を実施しようということがきまりまして、その場合に業務用の売却としては準内地米を充当するということに方針がきまったわけでございます。業務用の需要量の見込みにつきまして、それまでそういった売却を終戦後いたしておりませんでした関係もございまして、どの程度の所要量になるであろうかということを、終戦前の昭和十七年ごろの実績等を基礎にいたしまして所要量を算定をいたしまして、それに見合います準内地米の買付を行うことにいたしたのでございます。で、その後三十年産米が御承知のような大豊作になったわけでございますが、そういった関係も考慮いたしまして、準内地米の買付進行途中におきまして、できるだけ当初の計画を圧縮いたしまして、かつまた業務用の配給計画も当初十七万トン程度必要だろうというように見込んでおりましたのを、約半分ぐらいの見込みに縮めまして、それに応ずるように買付の削減を努力いたしたのでありますが、結果的には約十万トン程度の輸入を、業務用の配給のために、結果としては実施したということになったのであります。これに関連いたしましての業務用の売却実績が、予定とはるかにかけ離れまして、ほとんど需要がないといったような結果にすぎなかったのでございます。で、その結果といたしまして非常に大量の持ち越しをするというようなことになったのでございます。従いましてこの外米の購入が非常に多過ぎたということの最大の原因はそこにあったというふうに考えられるのであります。従って準内地米の、いわゆる細長くない日本米に似ております米の持ち越しが非常に多過ぎたということになったわけでございます。ただ準内地米につきましては非常にその需要量が激動をいたしておりまして、一カ月に六、七万トン必要なときもございましたし、またこれが二万トン前後まで落ち込むというような非常に幅がある需要の変動を示しておりました。そういうような関係もございまして、なかなかこれの年度末のランニング・ストックをどの程度に見込むかということに困難を来たしておる面もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、この当時の見通しとして非常に、あとから結果的に眺めますと誤った判断をいたしましたことにつきましては非常に申しわけないことであるというように存じております。準内地米並びに普通外米の需要の測定につきましては、内地米の豊況の関係等が非常に敏感に反映をいたして参る。一方で外米の買付につきましては、例の病変米等の問題もございまして、雨季をはずした時期に買わなければならない。しかもまた現地で収穫直後になるべく買うということが病変米防止といった面からも必要でございまして、結局買付をいたします時期が制約をされております。そういうような関係で需要の測定と相待ちまして、この見込みが誤るような場合が出て参っておりまして、この点さらに私どもとしては一そう注意をして買い過ぎということの起りませんように、また一面買い足りないということになりますと、よけい大へんなことでありますが、適正な買付が実行されますように、努力を重ねたいというように考えております。
  68. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は外米が病変米みたいなものを買われますと因るのでありますが、多少外米がよけい入ったということは、今の日本の貿易状況から言うと、御承知の通りオープン・アカウント地域が非常に多い。どうしても米を買わなければ結局日本の輸出目標というものを達せられない、そういう面が非常にあると思うのであります。そういう点において多少のふえ方はやむを得ないと思うのであります。これについていろいろ時期があると思うのでありますが、貿易は通産省が実際やられるわけであります。そういう点について原局である農林省と通産省の考え方というものは必ずしも一致をしない。従ってまた簡単にできる貿易協定ができないというような血も非常に出てくるわけでありますが、こういう点について通産当局との米の買付等に対する連絡は従来どういう工合にやっておられるのでありますか。
  69. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 米の買付につきましての通産当局との連絡でありますが、外貨の割当等の問題につきましては、私どもの方で立てました需給計画をもとにいたしまして、通産当局と協議をしてきめておるということでございます。いろいろ貿易協定その他の問題が出て参るわけでありますが、その際にはそのつど私どもの方のそのときの需要見通しというものを基礎にして、通産当局にも御理解を願って、なるべく私どもの方の需要の見通しに基いて処理をしていただくということでやっております。
  70. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 経済局長に一点だけお尋ねしまして、こまかいことはいずれ後日に回したいのでありますが、これは昨年の決算委員会でもたびたび問題にもなり、私もたびたび出席をいたして、今また会計検査院の方からも報告があった例の多久島事件でありますが、これは一千何百万かその後戻ったというように局長側の報告があったのでありますが、幾らでありますか。その後国に戻った金というのは。
  71. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 現在まで一千三百三万二千円、こういうふうになっておるのであります。
  72. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は渡部……たしか局長だったと思ったのですが、あれだけの七千万というような大きな金を二十幾歳の若者が使うということは、われわれの常識からいって、決して一人や二人でできるものじゃない。かりに犯罪の拠点に、その相談された人間が立つか立たぬかは別にしましても、これはまた一カ月や二カ月でできることじゃないのだから、必ず連関の何かがあるに違いないということをこの前指摘をいたし、そうしてなぜ一体早く一銭でも多く国家に賠償をするように努力をしないかといったときに、たしかあなたのお答えの中に、なかなか合法的にいろいろなことをやっておるものだから、どうも簡単に賠償することもできないと、結局そのときに二十何万円だけをとにかく一応政府に納めさした、こういうことのお話があったのでありますが、私はそのときに百両の何とかに編笠一蓋というたとえをとったのでありますが、法律というものは、そんな悪い者のためにできておる法律じゃないのであって、詐偽もあるし、あるいはまた合法的にいろいろな脱法行為をやっておるのでありますが、これはもう完全な弁護士をもっていけば相当つけるのだ、なぜもう少し早くに一つ一銭でもよけい取るようにしないのかということを、私は警告的に質問したのであります。その当時わずか二十何万というのでありますが、今お話を聞きますと、一年もたたない間に千三百万も一応これが取れた。これは一銭でもよけい取れたことはけっこうなんだが、これはどういうものを取ったのでありますか、これは参考のためにちょっと伺いたい。
  73. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ちょっと訂正さしていただきます。これは時点がちょっと違っております。現在千五百五十万六千円であります。今千三百三万二千円と申し上げたのは昨年の、三十一年の十二月であります。現在では千五百五十万六千円、こういうことになっております。その増加したものは、そのときに処理済みであると御説明申し上げました多久鳥が持っておる不動産を処理して二百四十七万四千円というものが入ってきたのであります。前に申し上げたのは、埼玉県の経済連から取り返した千二百八十万六千円、御指摘があります電話、テレビ等の売却代二十二万六千円、そのほかに今申し上げました多久島の不動産売却代二百四十七万四千円、これを合せまして千五百五十万六千円と、こういうことになったのであります。
  74. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 何か私どもは上司のこの問題に対する熱意と申しましょうか、どうもちょっと足らないような気がいたすのでありますが、おそらくこれだけの金をそう毎晩一流の料理店へ行って飲んだところで、そう使い果し得るものじゃないので、必ず私は何らかの形で残っておるということは、もうこの前もちょっと申し上げた通りなんであります。そういう点においても、あなたは非常に名義が変っていたとか何とかいうようなお話があったのでありますが、そういう点で大体あれもそうだ、あれも名前は違っておるがそうだというような想像のでき得る程度までの調査というようなものは、これはおやりにならなかったのですか。
  75. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これは多久鳥が述べておるところから、多久島名義の不動産のほかにいろいろな会社その他に投資しておるのがある、こういう話を、これは上申書で裁判所に出てきたものであります。それをもとにして一々当っておるのであります。現在までのところ、会社がつぶれたりあるいは財産関係の処理が不明確である、こういうことで、ただいま申し上げました以上に片がつかない、こういうのが現状なのであります。
  76. 鈴木一

    鈴木一君 三十年度の農林関係決算報告書を拝見しまして、多久島事件以外に特に前年度、あるいは前々年度と変ったものというのはないような姿でありますが、その中で一つ特殊なケースのように考えられますのは、批難事項の千九百十二の林野庁関係の不当事項でありますが、これを拝見してみますと、会計検査院の方の調査だけでは私たち事情を詳細わかりかねるような面もあるわけでありますが、どういうわけでこういう常識では考えられないような事態が発生したのか、何かこれに対して当局の方からもっと詳しく事情説明するようなことがあったらばお伺いした上で、もう一度質問してみたいと思います。
  77. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) このような批難をいただきましたことは重々申しわけないのでございまするが、一体どういうわけでこういう特異なケースと申すべきような事柄が起きたかという御質問に対しまして申しあげてみたいと思います。  先ほどの会計検査院の御説明にもありましたように、本件につきましては流送事業というものが通常二割程度までのいわゆる途中の減耗というものがある実態がありますにもかかわりませず、現場の者が、普通に陸送によります場合の途中減耗の三%あるいは四%というようなものと同じ報告をいたしまして、そこに実数と報告数字の間の差が生じてくるということに相なりましたことが原因になっておりますることと、もう一つは、昭和二十八年の冬でございまするが、当時あの地域において、いわゆる暖冬異変とも申すような現象がございまして、当然年度内の生産予定で着手いたしました事業が、暖冬異変のために事業計画の変更をいたし、さらにかなり増し経費の要求をいたしまして事業計画の変更をいたさなければならぬにもかかわりませず、しかも他にも同様な条件にありましたところはいずれも同じような事情でありまする関係上、以上申し上げましたような手続をやっておりまするにもかかわりませず、特にここにおきましては年度内生産でこれをやりましたかのごとき虚偽の実態を実は作り上げたのでございますが、前者におきましては要するに減耗が、そこに当然減耗以上のものがあるわけでございますからして、報告数字と実数の間に開きを生ずる、これを何とか埋めなければならない。後者の場合におきましては、要しまするに相当経費のかかり増しを必要とするにもかかわりませず、その経費要求をいたしておらない。従いまして年度当初に与えられましたいわゆる当年度生産の経費をもって予定数量をやろうとする、そうしますと計画が一万五千に対しましてどうしても一万しかできない。そこでそれをやったかのごとく報告をいたしておりますので、いわゆる報告の数字とそれから実態との間に開きを生ずる、これを何とか埋めなければならない。こういうことで埋めるための処置が行われたと、簡単に申し上げますると、こういうような内容になっておるわけでございまするが、そこで私どもといたしまして、特にどういうわけでこういうことが生じたかということにつきましては、多数の現場を持っております関係上、つぶさに検討いたしたのでございますが、実は流送の問題に関しましては、特に終戦直後非常に需要が多くなりました関係をもちまして、できるだけ生産量を引き上げて参らなければならないというような時代の要請にこたえまして、なかなか十分に、陸送の方法でございまするが、林道の開設も行えないということから、一部流送にいたしたわけでございますが、この場合の流送は実は非常に流れにくいブナというものの流送を計画しております。普通のいわゆる針葉樹の場合でありますというと非常によく流れますので、途中における減耗も少いということになりますが、ブナのようなものについて行いますと、なかなか流れにくいということで、途中でその辺にひっかかったり、あるいは陸に打ち上げられたりいたしますので、相当長い間の流送をいたします関係上、これはばら流しでございますから、従いまして途中の減耗が多くなるという実態があるわけでございます。一応常識的に言いまするというと、二割ぐらいの減耗というものが実はあり得ておるわけであります。  以上申し上げましたように、終戦直後急に生産軍の拡大の要請に対しまして、非常にやりにくいブナの流送までやったということに根源的な原因があるかと思うのでございますが、しからば一体二〇%というものを、二〇%なりの減耗といって正しく処理をいたしておきさえすれば、こういう問題は起らなかったのでございまするが、一方におきましては、一たん広げましたこの直営生産事業というものに対しまして、その後の状況からいたしましてできるだけこれを重点的に整理をいたしまして作業能率の引き上げを考えて参らなければならないというような事業内部の問題もございまして、そこで勢い非常に減耗の多いような作業の実態であることを報告すれば、そういった場合のいわゆる事業地整理にかかってくるのじゃないかといったようないわば現場における非常に誤った、しかもあさはかな考え方からいたしまして、通常輸送いたしまする場合の標準的な歩減りであります四%ということでこの処理をいたしたということに相なろうかと思うわけであります。  それから次の点の、当年度中に生産ができないという見通しがその後の状況によりまして生じましたものにつきましては、当然これを改訂いたしていいわけでございまするし、当然改訂をいたしまして実行するということにいたしまするか、あるいは数量を落しましてさきの配付経費でやるということが当然でありますにもかかわりませず、こういう問題を起しました根源は、やはりそれが当年度の生産計画の中に入っており、しかも当年度の売り払い計画の中に入っておったというようなことに強く関心を持ち過ぎまして、事業の進行実態と非常に違った報告をするということの原因に相なったものであることも、これまた事業地等の合理的な整理をいたします場合におきまして、そういうことが原因になって事業地整理の対象に上ってくるということになることをおそれた、やはり現場の非常に誤まった感覚から発しておるように思うわけでございます。  以上、特にこの場合におきましてどういうことが考えられるかという御質問に対しましては、以上の通りでございます。
  78. 鈴木一

    鈴木一君 こういうふうなことは、一世紀ぐらい前の話ならば、上役のごきげんをとるために、実は自分の立身出世のために虚偽の報告でもして点数をかせぐということも考えられるわけでありますが、終戦後官吏の身分も相当確立しておりまするし、できないものまで、生産が人間の力でやってみてできないものまで、できたかのごとく報告するその心理というか、そういうところはまだ林野行政の中には残っておりはしないか。特にそんなようなことを考えるわけでありますが、どうも歴代林野庁長官はそれぞれそうそうたる人物ばかり出ておりまするから、何かそういう親分子分とか、そういう関係があって、下の方でもはっきりした事実を上の方に上申しにくいというような事情もあるのではないかというような感じもするのでありますが、それと同時に、監督の衝に当っておりまする秋田営林局は、このくらいのことは多年林野行政に携っておりまする皆さんでありまするから、常識的にこの報告が不思議だというふうに、これをすぐわかりそうだと思うわけでありますけれども、それがなかなかわからない。そうして逆に監督の立場にある秋田営林局が問題を発見してから、逆にこのあれを正当化するためにいろいろな協力というか努力をしておるというようなところが、私はこれを拝見して非常に解せないところでありますが、そういう点についてお答え願いたいと思います。
  79. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) まったく私どもといたしましてその間の始末につきましては、まことにこれは申しわけないところでございまするが、決して私どもが虚偽の報告をさせるような、またしなければならぬような雰囲気を強制しておるようなことは絶対ないわけでございまして、事実に即しない経理というものは絶対やってはならないということは、もう近年機会あるごとに非常にやかましく下部にも伝達いたしまして、機会あるごとに私どもも直接そういうことで指導いたしておりまするので、そういう印象を与えるようなことは全然ないわけでございまするが、ただ非常にいなかの環境におきまして、従来のやり方というようなものに、とかくなずみやすい事情等からいたしまするというと、そういったような感じがまだ現場には若干残っておるおそれも実はなくはない、あるように考えまして、本件のような問題が発生いたしました機会に、十分にそういう点については下部に徹底をはかりたい、かように考えておるわけであります。特に次の点でございまするが、当然そういった問題を発見し次第、しかも早期に発見することを念願といたさなければならぬ監督機関でありまする営林局の発見が非常におそかったという問題につきましては、重々これまた申しわけない点でございまするが、一応現地に出張いたしました者が、外見的にその事業の実態を見ておるということでやりまするというと、なかなかそこに変った模様というものも発見できないというようなことできたわけでありますけれども、たまたま昭和二十九年に内部の監査をいたしましたときに、貯木場にございます各原木とそれから帳簿の上から計算いたします原木とに開きがあるというようなことから、実はこの問題に対しまして、部内部内としての相当綿密な調査をいたしたわけでございます。しからばそういう綿密な調査をし始めたのでありまするからして、当然それに基きまして全面的に処理をいたす、正規な処理をいたすというようなことが考えられなければならないことは当然でございまするが、それに対しまして営林局といたしましては、問題の本質を隠してこれを糊塗するというような形を、処置をいたしましたことは、これは監督機関といたしましてはまったく欠格でございまして、この点特に私どもといたしましても、問題が重要であると、かように考えておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、実数と報告の上に開きがありますることを、現物でもってこれを返すということによりまして、金の借り入れをしてきたというような事情等もございまして、どうしてもこのものを作って返さなければならないというような事情に迫られて、こういう営林局も加わっての異例な措置をいたしたように考えられるわけでございますが、この点は特に重要に考えまして、今後絶対にこのようなことのないように、やかましくやって参りたいと考えております。
  80. 鈴木一

    鈴木一君 秋田営林局がこの問題を発見したら直ちに実態を精密に調査されると同時に、また本省の方へ連絡をして、そうして適切な措置がすみやかに行われなければならないと私は常識的に考えるわけでありますけれども、それがなされないで、現地で糊塗しようというふうな努力をしたことは、何か秋田営林局自体もこの問題に関連あるんじゃないかというような疑いを——監督官庁でありながらと、そういう疑いを持つわけでありますが、そういう点は全然もうないわけでありますか。
  81. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 私どもといたしましてもその点は十分に内部監査をいたしたのでございまするが、ただいま御指摘のございまするような心配はないという判断をいたしたわけであります。
  82. 鈴木一

    鈴木一君 この事件関係された人の処分はどういうふうになっていますか。
  83. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 当時の営林局長はすでに退官をいたしております。当時の営林署長並びにこの仕事を担当いたしました課長もこれは退職いたしております。
  84. 鈴木一

    鈴木一君 退官というのは単に願いによってやめたという格好になっておりますか。それとも何か処分をされたと、こういうことなのでございますか。
  85. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これはいわゆる公務員法上の処分をいたしておりませんが、退官といいながらやはり強制退職というような形で強く勧めたわけでございます。
  86. 鈴木一

    鈴木一君 そういうところがどうも甘いのじゃないか。従って厳重に、たとえ自分の下僚であっても、泣いて馬謖を切るのだという大乗的な見地に立って、こういう問題の処理ができないというところに、どうも先ほどから申し上げた林野庁の中の特殊な雰囲気があるんじゃないかというような気がするのでありますが、その点いかがですか。私どもとしては、一応悪いことは悪いということで懲戒処分でもして、そうしてあとはまた適当な機会にそういう人の生活はめんどう見てやるというような形が一番はっきりしておると思うのですが、どうも処分の仕方も小乗的過ぎはしないかというような感じがするのであります。
  87. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 確かにお話通りでございまして、当然公務員法上の処分を厳重に実施いたすというべき問題であったかと思うのでございまするが、私どもといたしましても実は会計検査院指摘を受けるまで、この問題を十分徴しておらなかった関係上、そういう措置で非常に済まなかったと、かように考えております。
  88. 東隆

    ○東隆君 私は善意に解釈すると、この問題は会計年度と、それから事業との間に問題があると思うのです。それで三月三十一日までに仕事をやらなきゃならぬ、こういうことですが、こういうような問題はたくさんあろうと思うのです。そこで設計の変更をやるという時期が私は非常に問題になると思う。それで一月ぐらいに設計の変更ができれば問題でないのですが、暖冬異変というような形でもって設計変更ができないと、そういう形におそらくなっていると思う。そういう場合にそれを補正をする何かやり方があるのですか。もしないとすれば、これは考えなきゃならぬ問題であると思うのです。
  89. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これはやはり国有林野事業の中の、しかも作業の中の一部でございますから、従いましてこれは夏山生産でどうも当年材の生産を完了いたしまして、しかもそのうち全量をその年度内に売り払うとか、あるいはその生産は完了するけれども、一部は翌年に繰り越してこれを売り払うというような措置というものは、年度の初めに計画的にできておるわけであります。ところがただいま申し上げまするように、年度の途中においてどうも例年における冬の条件が異って参るということになりまするというと、やはり作業の仕方を変えて参らなければならないというようなことに相なってくるのであります。そうなりまするというと、やはり先の状況を見越しまして、それだけの数量の生産を確保する必要があるところはやれます場合にはやれますものを作って生産の計画を立てます。さらにそういうことをやりましても、ただいまお話しのように三月三十一日で切るというような機械的な切り方によって非常に問題が起るというような場合におきましては、当然翌年度に生産の一部が持ち越されるという措置もやっておるわけであります。当年の生産を翌年度に越すという格好の措置も実はとっているわけでございますから、やりようによっては、これはあくまでも合法的にやれたわけでございます。
  90. 鈴木一

    鈴木一君 最後にお尋ねしますが、会計検査院報告書を見ただけでは、どの程度の実損があったかどうかということがどうもつかめないわけでございますけれども、その後処理された結果、その最後の結論はどうなったのか、どの程度の実損になったのかどうか、その点を明らかにして下さい。
  91. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これで見ると、経理の対象になります約三千五百万円という数字でございますが、これは実はそのうちの二千六百万円ほどのものにつきましては、いわゆる先ほど御指摘のそれの説明の中にございましたように、これを予納金という形で収受してはならないものを予納金という形でとっておったのであります。これはどういうことでそんなことを実はやっておったかということになるのでありますが、これは特に流送いたしまして途中から陸送いたしまして、そこを一応中継の貯木場ということにいたしまして、そういう貯木易が二カ所ございました。そのうち一カ所が最終貯木場、こういうことになっておったということで、仕事の形は整っておるわけでございますが、ただブナという木でございますから、従ってとにかくなるべく早目に山元生産いたしましたものを工場に渡したい。そういたしませんと、切る時期によりますというと菌がついたり、材質が落ちるという点があるのでありますが、そういう要望もありまして、実は貯木場が狭い関係もございまして、できるだけ回転を早くしなければならないということになりますと、要するに山から流送いたしましたものを途中で上げて貯木場、そこでトラック積みをして工場に送る、こういうようなひんぱんな作業をいたそうといたしますと、ある一定の数量を積み上げられましたものから、それに対して明細な品等別のものを作りまして、それぞれについて価格の計算をして、最後に価格の代金を渡すという通常の扱いでは事業の円滑な実施が、扱いが困難であるというので、きわめて便宜的に取り扱ったもののようでございます。  そういうことでございますので、約二千五百万円に相当いたしますものが、そういうことをいたしまして予納金を収納して物を渡す、こういたしますと、この渡しました物に従いまして調整をして納付して納金をするということをいたしました。全体の額というものが約二千五百万円ということになるわけでございます。これにつきましては、そういういわゆるきわめて不当な経理はいたしておったのでございますけれども、このことによりまして国損を生ずるとか何とかということにはならなかった。それから約四百九十万円というものにつきましては、買い入れ金ということで、実は先ほど申しました足らずまいを補給するという措置をやっておったわけでございます。そこで四百九十万円に相当するものにつきまして、現物でもってこれを渡すということのために国費が先ほど御指摘もありましたように二百二十万円出ております。大体残余のものが約四百万円ばかりあるわけでございますが、そういうものの一部があるいは接待費というものに使われたりあるいは事業場の一部の経費に使われたというような形になっておるわけでございます。
  92. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  93. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて下さい。  ほかに御質疑もなければ本日のところはこれをもって質疑終了したいと思いますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  次回は明後十二日水曜日午前十時半から開会いたす予定であります。農林省の分を引き続き審議いたします。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  95. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて下さい。  島委員からお申し出の農林漁業金融公庫、農林中央金庫、全国購買農業協同組合連合会の責任者を参考人として呼ぶことについては、委員長及び理事の打合会に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 別に御異議ないので、さように取り計らいます。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時十三分散会