○八木(一)
委員 第三分科会は、
昭和三十三年度
一般会計中、
農林省、通商産業省及び経済企画庁所管、並びに特別会計中、
農林省及び通商産業省所管について、審議をいたしたのでありますが、詳細は
会議録に譲り、ここでは、簡単にその経過並びに結果について御報告申し上げます。
第一に、
農林省所管については、
予算編成手順、土地改良、開拓
施策、干拓地農漁民補償問題、蚕糸
振興対策等、諸般にわたって審議されたのでありますが、今その二、三について申し上げます。
まず
予算編成の手順について、
大蔵省の最初の内示額は三十二年度より大幅に下回ったことは、農業対策を無視したものではないか、復活要求後若干
増額されたとはいえ、
一般会計予算総額に対比すれば七・七%であり、過去数年間、農林
予算額の
一般会計予算総額に対する比率は、逐年下降している。また本
予算案は、長期経済計画との関連も明白ではない。かかる事実は、ひっきょう農山漁村の生活水準をどこまで引き上げるべきか、国民の食生活の変遷はどうあるべきか、耕地の配分、造成をいかにすべきか等々の諸条件を総合的に勘案した、確固たる農林政策が立てられていないためではないか等の質疑が行われました。これに対し
政府は、農林
予算の第一次査定は、
政府の
重点施策から遠ざかっていたことは事実である、また自由経済体制のもとでは、長期計画の
内容が寸分たがわず
予算面に具現されるというわけにはいかないが、三十三年度
予算は、長期計画を基本として編成してあるとの
答弁でありました。
次に土地改良事業について、特定土地改良事業は、果して計画
通り七カ年の期限内に完成できるか、見通しはどうか、また建設省所管のダム工事におけるごとく、継続費
予算をもって遂行してはどうか、また
一般会計の国営、県営並びに団体営の進捗
程度はどうかとの質疑がありました。これに対し
政府は、特定土地改良事業の
予算は、年次別に均等割で計上していないが、工事別には七年以内に完成し得る見通しである、また継続費制度は、具体的な地区につき、具体的な設計の成り立っているものについては
検討する、また
一般会計によるものは、国営、県営とも、三十二年度より
増加し、団体営については、補助及び融資を通じ、おおむね本年度並み、またはそれ以上を計上してあるが、その伸びは必ずしも十分とは言えないとの
答弁でありました。
以上のほか、コンニャクの輸入問題、酪農
振興と乳価問題、輸入食糧と輸出貿易との
関係等についても、それぞれ
政府側に活発な質疑が行われました。また食糧管理特別会計については、本会計に新たに設置した資金の意義、同会計損失の発生原因等につき質疑が行われ、なお同会計の健全化対策の
一つとして、加工品原料として輸入している砂糖を同会計に吸収してはどうかとの
意見が述べられたことも付言いたしておきます。
第二に、通商産業省所管について審議の対象となりましたおもなる点は、
科学技術振興対策、中小企業
振興対策、砂糖、ノリ等の輸入に関連して外貨割当問題等でありました。
まず
科学技術振興については、電子工業対策、
科学技術者の優遇措置等について論及され、電子工業は、
原子力の平和利用と並行してきわめて重要であるにかかわらず、その
予算は微々たるものであるが、
政府の対策いかん、また現行特許法の規定では、公務員が発明等をした問題、その発明が公務員の属する
機関の業務の範囲であり、かつその公務員の任務の範囲である場合には、当該発明に関する特許権は、その公務員の属する
機関に帰属してしまう結果、公務員の
技術研究意欲が沸き上らないから、別途優遇措置を講じてはどうかとの質疑が行われました。これに対し
政府は、電子機器の
試験設備、電子
技術の特別
研究費等には、総額四億円余を計上し、三十二年度より大幅に
増額しているほか、電子工業
振興法に基き、開発銀行の融資等も行われることになっており、おおむね十億円ないし十五億円のスケールで
考えている。また公務員の発明等の場合の報償制度については、十分考慮するとの
答弁がありました。また中小企業対策については、三十三年度に計上された
予算額は三十一億円余できわめて僅少である。機械工業の
振興は、エネルギー、雇用、輸入の面できわめて効果的であるにかかわらず、積極的助成策が講ぜられていない。また中小企業
振興の一策として、一兆七千億円に達する官公需品を中小企業に発注せしめるための法的措置を講じたらどうか、また
政府は、中小企業団体法の成立をはかり、中小企業の組織化を推進せんとするとき、商工中金に対する資金措置を、三十二年度は三十五億円であったが、これを三十億円に
減額しているが、その理由いかん。また商工中金の金利の低下をはかるため、資金運用部資金を直接貸し付け得る方法を講じてはどうか等々、
委員と
政府との間に活発に質疑が行われたのであります。これに対し
政府は、中小企業の体質改善については、特に力を入れ、
技術指導及び設備
近代化等の補助にその
施策を指向しているが、設備
近代化の
補助金は四億円を六億円にふやしたから、府県の分と中小企業金融公庫等からの自己調達分を加えるならば、四十五億円以上の設備の更新ができることとなる。また商工中金の資金については、その運用総額は、三十二年度の二千二百億円に対し、三十三年度は二千五百三十億円で、三百三十億円の
増加となっており、回収見込額の
増加を
考えるならば、三百五十億円の
増加となる見込みであるが、必要に応じて債券引受額をさらにふやすことも
考えている。預金部資金の商工中金への直接貸付は、その建前上不可能であるとの
答弁がありました。以上のほか、中小企業対策と独占禁止法改正との
関係、並びにサウジアラビヤ石油資源開発問題についても質疑が行われました。
第三に、経済企画庁所管については、
政府のエネルギー対策、特に電力問題について審議が行われました。すなわち、エネルギー資源としての電力は、ますますその重要性を増しているが、豊富な電力を一定の
目標のもとに確保するためには、景気の動向いかんにかかわらず、工事の繰り延べ等を行わないで、継続的に一定の資金量を投下して行く必要があるが、三十三年度の設備資金は
減額されているのではないか、また電力料金の低廉をはかるため、
政府はいかなる具体策を持っているか、設備資金の金利、特に開発銀行の電力会社への貸付金利の引き下げをはかる意思なきや、また
政府は、九電力の再々編成を行わんとしている風評もあるが、その真偽いかん等の質疑が行われました。これに対し
政府は、電力のための設備資金は、景気のいかんにより増減させる
考えはない、電源開発のための資金計画は、九電力
関係、電源開発会社、公営その他を合せて約三千億円の資金を確保している。長期経済計画五カ年間の開発資金は、一兆五千億円であるから、一カ年平均三千億円とすれば、おおむね平均額に近い線になっている。また電気料金については、是正を要する点が多々あるから目下
検討中であり、開発銀行の金利を引き下げる意思はない。九電力の再々編成については、再々編成をしなければならぬという結論に立っているものでもなく、また現在のままでよいという結論に立っているものでもない。将来の
日本の産業分布等が強く要請せられている折柄、その可否について目下各
方面に
研究を依頼しており、その結論を待って善処したいとの
答弁がありました。
以上のほか、石炭鉱区の整理問題、雇用労働等の諸問題についても質疑が行われました。
またさきに
政府の発表した三十二年度年次経済報告に関し、その
内容に関し、
政府の自己批判が足りないこと、また
政府は常に
日本経済の安定的成長をはかることを主張しているが、計画立案者においては安定を破壊する要因についての認識を必ずしも明確に把握していないこと等の
意見が述べられました。かくて質疑終了後、討論採決は、これを本
委員会に譲ることといたしました。
以上をもちまして第三分科会の報告を終ります。
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