運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-03-26 第28回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十六日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 山本 正一君    理事 相川 勝六君 理事 高橋  等君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    辻  政信君       中川 俊思君    永山 忠則君       船田  中君    眞崎 勝次君       粟山  博君    赤松  勇君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       稻村 隆一君    西村 力弥君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君         国 務 大 臣 津島 壽一君  出席政府委員         調達庁長官   上村健太郎君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         外務事務官         (アメリカ局         長)      森  治樹君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁連絡調         査官)     磯  淳爾君         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十六日  委員西村力弥君及び山崎始男君辞任につき、そ  の補欠として山口シヅエ君及び赤松勇君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十五日  建国記念日制定反対に関する請願竹谷源太郎  君紹介)(第二二〇七号)  同(佐々木更三君紹介)(第二二五三号)  同(竹谷源太郎紹介)(第二二八〇号)  肇国節制定に関する請願床次徳二紹介)(  第二二○八号)  建国記念日制定に関する請願外二件(坂田道太  君紹介)(第二二五二号)  同外十七件(大橋武夫紹介)(第二二七八  号)  同外一件(林讓治紹介)(第二二七九号)  元満鉄社員恩給法等適用に関する請願(伊東  岩男君紹介)(第二二五四号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(大  坪保雄紹介)(第二二七七号)  建設省北上川下流工事事務所臨辞職員身分保  障に関する請願松澤雄藏紹介)(第二二八  一号)  恩給法等の一部を改正する法律案中一部修正に  関する請願山下春江紹介)(第二二八二  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第二十六回国会閣法第一五五号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  三三号)  国防会議構成等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第四二号)      ————◇—————
  2. 山本正一

    山本(正)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長不在のため、理事の私が委員長指名により委員長の職務を行います。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案国防会議構成等に関する法律の  一部を改正する法律案及び第二十六国会より継続審査になっておりまする防衛庁設置法の一部を改正する法律案、右各案を議題とし、質疑を続行いたします。赤松勇君。
  3. 赤松勇

    赤松委員 私は航空基地の問題と、これに伴う防衛分担金の問題、すなわち昭和三十年五月七日の予算委員会における私の代表質問に対する当時の重光外務大臣鳩山内閣総理大臣あるいは一萬田大蔵大臣あるいは杉原防衛庁長官、これらの答弁があるわけであります。この防衛分担金の問題につきましては、外務省はまだ来ておらぬようでありますし、大蔵省の方もまだ出席がないようでありますから、この問題はあと回しといたしまして、さしあたり航空基地の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。同僚の石橋君から御質問もあると思いますし、なお予算委員会から要求もありまして、防衛庁長官はその方へ出なくてはならぬということでありますから、一点だけ質問をし、なお私の防衛庁長官に対する質問は留保しておきたいと思います。  第一にお尋ねしたいのは、御承知のように米軍のニュー・ルック戦略によりまして、新しく基地に変動が起きた。特に先般伊丹飛行場日本返還をされまして、国際空港として新しく出発し、また小牧飛行場におきましても、近く米軍から返還をされるということになっておるわけであります。ところがこの返還に伴いまして、防衛庁の方はこの小牧飛行場をば使用する意思があるということをしばしば表明して参りました。現に松島飛行場における若干の飛行機をば移動さしたことも事実であります。これに対しまして地元は、愛知県会、あるいは名古屋市会、また商工会議所等、あげてこれに対しまして反対をいたしまして、これを平和空港として利用したいということを強く希望しております。あとで私は運輸大臣に対する質問の際に申し上げたいと思いまするが、防衛庁長官にこの際お尋ねしておきたいことは、防衛庁小牧飛行場をば使用する意思があるのかどうか、全面使用意思があるのかどうか、そういう希望があるのかどうか、これが第一点。  それから第二点は、共同使用ということを考慮しておるのかどうか。共同使用、つまり民間自衛隊共同使用ということを考えておるのかどうか、これが第二点であります。  第三点として、共同使用した場合に、果して民間自衛隊共同使用ということは可能なのかどうか。可能であるとするならば、言葉をかえて言えば、そういう軍優先の原則というものがあれば、これは大へんなことになると思うのであります。そうでなくて民間も軍も平等に使用するというならば、たとえばF86Dが百二十機あの小牧飛行場に常駐した場合、一体その訓練発着あるいは着陸というようないろいろなものを総合いたしまして、どの程度使用時間というものを防衛庁考えておるのかどうか、共同使用が可能であるという以上は、可能な根拠がなければならぬ。民間航空を圧迫しないというならば圧迫しない根拠がなければならぬ、こう思うわけであります。この三点につきまして、防衛庁長官からまずお答えをお願いしたいと思います。
  4. 津島壽一

    津島国務大臣 お答えいたします。まず第一点でありますが、小牧飛行場を他日米駐留軍から返還を見た場合に自衛隊——航空部隊ですが、これが使用する意思があるか、特に全面的に使用するのか、こういう御質問が第一点かと思います。御承知のように、わが航空部隊も育成の段階にありまして、今後の計画といたしましては、飛行場訓練の上、また防衛の上において非常に必要なものでございます。この小牧飛行場につきましては、防衛庁といたしましては、これが返還を受けた場合にはぜひ使用したいといういきさつになっております。まだ具体的の計画ができておるわけではございませんが、しかし御質問にありましたこれを防衛庁、すなわち航空自衛隊で全面的に使用するかというお尋ねがございました。この点につきましては、まだ部隊配置その他について十分なる具体的計画ができておらぬときでございまするから、確定的なことではございませんが、これを全面的に使用しなくても可能なような計画を立てる方が、地元関係その他の考え方からして妥当ではなかろうか、こういう考え方をいたしておる次第でございます。  なお第二の御質問は、そういった場合にかりに共同使用と申しますか、民間航空との関係においての共同使用といったようなことが考えられるかということでございます。民間航空発展ということについては、われわれも非常な協力をしたいのでございます。また地方経済発展日本経済の上からいっても、そういったようなことについて十分考慮をいたしたいと思っております。すなわち他にも事例がないとは申しませんが、これが防衛庁使用するといった場合に、独占的に使用しないで、十分その間に話し合いをして民間航空にもこれを使用させるといったような言葉——共同使用という言葉でありましたが、そういったことも十分考えるべきじゃなかろうか、こう考えております。  それから第三の御質問でございますが、そういった場合に、自衛隊側の優先的の使用で、民間航空の運営に圧迫を加えるとかなんとかいうようなことが起らないか、こういうことでございます。これは一にその話し合い、申し合せと申しますか、関係官庁その他の関係者と十分協議いたしまして、ともにその目的を達成するような方法一つ工夫すべきじゃなかろうかと思っております。その時期は、実際はその返還という事実が起らないと具体化せぬわけでございます。  なお仮定の御質問のように承わったのでございますが、F86Dが百二十機、訓練のためまたはそこに駐屯するといったような場合だと、非常にそこが混雑と申しますか、ほとんど他の目的使用できないような事態が起らないかということでございます。これは先ほど申しました共同使用のいろんな取りきめのうちにおいてとくと考慮されるべき問題でございまして、今F86Dというものがあそこに集結して、全部あそこに駐屯訓練をするというようなことは、とにかく今のところでは考えられないことじゃないかと思うので、仮定の御質問でございまして、またこれも仮定お答えでございますが、そういった気持を申し上げる次第でございます。
  5. 赤松勇

    赤松委員 仮定論とおっしゃるならば、私も今度は立場を変えまして、次に質問しましょう。少くとも防衛庁小牧飛行場使用したいという気持を持っておられます以上は、たとえば防衛五ヵ年計画なりあるいは防衛の全体の戦略に基いて、あの飛行場使用考えておられると思うのです。これは決して仮定ではありません。仮定じゃないでしょう、大臣。全体の戦略に基いてその機数配置をするということは当然考えられることだし、また考えなければならぬことだと思うのです。そうでしょう。ただ小牧飛行場使用したいということだけじゃないと思うのです。使用する以上は使用前提に立って、たとえば、板付の飛行場にはどれだけあるいは千歳の飛行場にはどれだけあるいは小牧飛行場にはどれだけ、そうしてその前提になるのは、日本防衛する場合に、その最大の航空基地小牧にするかどこにするかということの戦略というものがちゃんと立って、その戦略に基いて飛行機配備がなされるわけです。従って小牧を使いたいという場合においては、防衛庁としては当然そういう全体の戦略プランというものがあるはずなんです。全然ないということはおかしいと思う。現に先般松島飛行場から数機あの飛行場に移駐してきた。ところが世論反撃にあって倉皇として松島飛行場に引き返した。自来今日まで防衛庁の方は地元世論の出方を見ておるという態度をとっておるわけです。初めは全面使用ということをいっておりましたが、このごろは共同使用というような構想に変ってきたというように聞いておるのですけれども、この際小牧飛行場を使う以上は小牧配備する機数またその離発着に伴う所要時間、それが民間航空を圧迫しないという根拠、そういうものを明確にしてもらわないと、あの地区における住民の不安は去らないし、われわれとしても納得できないと思うのです。私もただ無責任にあなたにお尋ねしておるわけではない、私はそういう方面ではしろうとでございますけれども、あらゆる航空専門家意見を聞きまして、ここに資料を整えて私はあなたに質問しておる。しかしこれを提示する必要はない。防衛庁のそういう計画が明かになるならば、われわれは共同使用した場合においても、民間航空をかくかくの理由によって圧迫しないのだということが明確にならぬならば、それはそれでまた私ども考え方を変えるかもわからない。しかしそういう点は全然明らかにならないで、民間航空を圧迫しません。共同使用したいと思いますということだけでは、われわれ納得できぬと思います。重ねて私は防衛庁長官お尋ねをしたいということと、もう一点は私はずっとあと質問しようと思ったのですが、こういう不見識なことはおそらく防衛庁もおやりにならぬと私は確信しておりますけれども、往々世間でいっておりますのは、今のところ世論反撃がきびしいので防衛庁はだまっておるけれども国会解散等になれば、そのすき間をねらってあすこに航空隊の移駐をやろうということを考えておるだろうというような不安が現地に実際あるわなんです。われわれはそんなことは信じません。信じませんが、現にそういうような不安というものが現地にあるわけです。前段私が申しました質問と、今私が申し上げました現地の不安を代表して、この際防衛庁長官にさようなことは絶対ございません、もし共同使用をするという場合においてはこれこれの方法をとる、その方法手段をこの際明確にしてもらいたい。たとえば現地には国有財産返還審議会がある。その審議会等結論を得て、そうしてその後に防衛庁が初めて共同使用等の問題について現地相談をするのか、それとも抜き打ちにやるのか、そういう点についてあなたの考え方を明確にしてもらいたいと思います。
  6. 津島壽一

    津島国務大臣 冒頭に私仮定ということを申し上げたのは、御質問の中に、F86百二十機があそこへ来てどういったような行動をとるか、それに使用時間、F86百二十機全部が今のところは将来来たものも入れまして全部みな小牧に持っていってこれを駐屯せしめ、訓練し、その目的を達成するという場合にということでございましたから、そういうことはわれわれ今考えてもいないし、仮定の問題である、こう申し上げたわけでございます。なお空団配置、その他は今後飛行機の増加に伴って一応の計画は持っておりますが、駐留軍の現在使っております飛行場返還というものと見合ってやるわけでございます。その意味において、今かりにわれわれが一定の計画をもちましてもズレがあり、またこれを返さなくなる場合もあります。そういう意味において、具体的の確定的の計画を今日申し上げるということは事実困難な点があるのでございます。要は、この小牧については、ただいま申し上げましたように、共同使用という建前で自衛隊としてもこれは使用したい、こういう方針を持っておる。そこで具体的にどういう方法でやるか、どの程度のものを自衛隊として配置するかという問題が今後のいろいろ御相談したい問題でございます。それについてはただいま御指摘ありましたように、管財局の部面、大蔵省でございますが、それの御意向もあるでしょう。また運輸省側の御意見もあるでしょう。また地元の方の御意見もあるでしょう。そういったものを十分に話し合って、ともに妥当なことで具体的な話し合いをしたい、こういうふうに申し上げたわけです。それでは防衛庁はこれをどう使うのだということを先に出しまして、これをあくまでもという格好にすることは、これは将来のためにも話し合いの円満ということについて貢献するかどうかわかりません。そういう意味において、私の先ほどの答弁は、いわゆる各方面のいろいろな意向と適合して方針をきめたい、こういうような意向を申し上げた次第でございます。
  7. 赤松勇

    赤松委員 一応の計画を持っておるとおっしゃいましたが、私はそうだと思います。計画なしにその基地使用したいというようなことはおそらくない、これは長官のおっしゃる通りだと思います。そこで一応計画を持っておる、その計画はもう示してもらわなければならぬ段階にきている。現に地元におきましては、商工会議所あげて反対連動をやっていることは、あなたの御承知通りです。あなたのところにも陳情書がきているでしょう。県議会においてもこれは決議されておる。従って住民意思は確定しているのです。そこで話し合い段階ということになりますと、具体的には国有財産返還審議会、この審議会大蔵省が諮問をして、そこでその燃え上っておる世論を十分取り入れて審議会結論を出すことが正しいと思うのです。その際にあなたの方は、地元はもう共同使用もいやだ、こう言っているのです。ところがその際あなたは相談をする、相談をするとおっしゃるのは、少くとも共同使用に関しまして、これこれの部分をば使わしてもらいたいということだと思うのです。そうなれば、その一応の計画と、それから相談をする場合のあなたの構想、そういうものをこの際明らかにしてもらわなければ——そうしてそれは遠い将来のことじゃないのです。もう返還は目の前に迫っているのです。これをこの際ぜひ明らかにしてもらいたいと思う。そうでなければ地元住民の不安は消えません。どうですか。
  8. 津島壽一

    津島国務大臣 どういった程度に、自衛隊小牧飛行場使用するかという具体的な計画をここで示せ、こういうお話でございます。これは地方の側の意向も最近いろいろ伺いました。それに対しては、もう少し意見を十分お聞きし、また関係省との話し合いもした後に、私どもは具体的な計画を定めたいのでございまして、いきなり一方的にこうやるのだ、こう先に申し上げることは、この話し合いを円満にするゆえんではないと思いますから、どうかこの際そういった具体的なことをここで言明せよということは、しばらくときの猶予をお願いしたいと思います。
  9. 赤松勇

    赤松委員 共同使用をする場合に、民間航空を圧迫しない、共同使用は可能であるという根拠を示してもらいたい。
  10. 津島壽一

    津島国務大臣 御承知のように小牧飛行場は、相当広い設備の整ったものでございます。でありますから、どの程度民間航空のためにこれが利用できるかというその計画も伺って、それに調整を加える必要があると思います。民間航空を圧迫しないといいますけれども、その航空使用の度、時期、そういったいろいろな点、具体的な計画を承わって、その上でこの程度にやればいいだろうとか、そういう話し合いはあるので、民間航空を圧迫しないという抽象的な言葉ではもう今日の段階では、これは円満に話し合いがつくわけにいくまいと思いますので、私どもは、民間航空というのはどういう計画をお持ちだ、何年後にはこの程度になるとか、そういうことをまずお聞きして、それでわれわれはこれに協力をする、こうやればいいとか、あるいはお互いに譲っていくのが妥当ではないかということになるのではないかと思います。これにつきましては、私はここに運輸大臣もおられますが、運輸省関係が重大ななにを持っておると思うので——おそらく、運輸大臣といえども民間航空を絶対にじゃましないといっても、その計画がわからないのにじゃまにならないというのは、私は申し上げることはできないと思います。どうぞそれで一つ御容赦というか、御了承願いたいと思います。
  11. 赤松勇

    赤松委員 いや、よくわかりました。それは政府の部内で意見が統一されていない。当然この施設の管理は調達庁がやっておる。しかし現実にはまだ米軍から返還されていない。防衛庁としても使いたいという気持はある。それから日本全体の防衛戦略は持っておるけれども機数配備等はまだ考えていない。これから地元とよく相談をして、そうして共同使用等についてできる限り民間航空をば圧迫しないようにしたいのだ、しかしながらそういう相談はまだできていないのだ、こういうような御答弁であったと私は理解いたします。そこで運輸大臣お尋ねしたいのですけれども運輸大臣は、さきに伊丹空港につきましてこれを国際空港にしていただきました。この点につきましては、私は運輸大臣の見識に敬意を表します。御承知のように、もう羽田飛行場は、国際空港としてはほとんど役に立たない。私はしろうとですけれども、これもいろいろな面から調べて参りました。従ってどうしても羽田だけでは国際空港としては適当でない。伊丹飛行場がクローズ・アップされまして、運輸省の非常な御努力によって国際空港になり、今度は膨大な補助金も出されるようでございますが、飛行場条件から申しますと、伊丹小牧とでは問題になりません。小牧の方がいろいろな条件においてよほどすぐれておるわけです。これもまたあとから申し上げますが、そこであなたにお尋ねしたいのは、防衛庁の方はまだ希望的なものしか持っていないわけです。防衛庁方針というものは、今お聞きすれば確定しておりません。すべて運輸大臣がイニシアチブを持っておられる。そこであなたにお尋ねしたいのですけれども羽田伊丹小牧等は当然これは平和空港として使用されなければならぬものである。ことにこれが国際空港にすることがいいかどうかという問題はしばらくおくといたしましても、少くとも現地世論は、平和空港にしてもらいたいということをきびしく言い、去る三月十七日商工会議所の会頭以下現地代表岸内閣総理大臣会見をいたしまして、そしていろいろ折衝をいたしました結果、岸総理は、十分に検討して現地意見を尊重して、できる限りそのようにしたいということをば申しておるのであります。さらに河野経企長官が二十二日名古屋におきまして新聞記者会見をやった。その新聞記者会見におきまして彼はどういうことを言っているかといえば、小牧国際空港化ということは必要だ、地元意見を十分尊重したい、ことに自衛隊基地というものは都心に近いところに置くべきものではない、これは都心からずっと離れたところに置くべきものであるということを、河野長官ははっきり言っておるのであります。そうしますと、総理もそう言明しておる。それから河野長官もそう言っておる。地元中部日本新聞社説におきましても、これは当然国際空港とし平和空港として使用すべきであるということをやはり強調しておる。これは三月二十三日の社説です。こうなりますと、政府部内におきましては、自衛隊基地としては都心に持つべきではない——承知のように、あれは名古屋から神戸までの今度の弾丸道路のスタートです。そういうところに自衛隊航空基地を置くべきでない、こういうことを河野長官ははっきり言っている。私は運輸大臣もそうだと思います。この際運輸大臣一つはっきり自分の考えを明確にして、そして地元の不安をば一掃してもらいたい、こういうように思うのですが、運輸大臣いかがでしょうか。
  12. 中村三之丞

    中村国務大臣 羽田あるいは伊丹小牧、これについてお話になったのですが、羽田は今拡張いたしておりまして、あれにジェット機を入れるということでございますから、将来私は一そう国際空港として発展せしめるべきものと思っております。それから伊丹は今土地を買収しなければならぬので、その経費を要求したのでございまするが、所期の目的を達せず、五千万円の調査測量費のみにとどまったのであります。それから地元も非常に熱心で、相当これに力を入れようということを知事などは言っておりますから、私は純然たる国際空港として伊丹は取り扱いたいと思います。それによって東西の国際空港というものが一応完備してくる。そこで問題は小牧でございます。小牧名古屋という大都会を控え、またあの辺の経済関係もあるのでございまして、あれが将来返還された場合は、国際空港として整備いたしたい。それは伊丹などと違って、もう土地買収の必要もございません。相当整備されたものでございます。のみならず、現在これは民間航空における代替空港として使っておるわけでございますから、かりに国際空港とする場合は税関等を置かなければならぬという問題も起って参りますので、私は小牧返還の場合は国際空港といたしたいと思いますけれども、これは私の一存でいかないのです。この点防衛庁とは協議をしなければならぬと思います。防衛庁のお考えを一がいに排除することは、小牧の場合はなかなか困難ではないか。これはお話をしていくということは、ただいま防衛庁長官お答えになったように、強く考えていきたいと思いますけれども、しかし民間国際空港として小牧羽田伊丹に次ぐものである、またそれは非常に役立つものであるということは私は考えておるのでありまして、返還の場合は国際空港として発展するよう努力いたしたいと思っております。
  13. 赤松勇

    赤松委員 防衛庁長官相談をしなければ伊丹の場合のようにはいかないという理由は一体何なのですか、それを一つ明確に願いたい。
  14. 中村三之丞

    中村国務大臣 ただいま防衛庁長官からもお答えになったように、防衛庁の希望もございますから、私はこの希望をむげに排除することはできないので、この点については話し合いをしていく。しかしあの小牧国際空港として発展せしめて、あなたのおっしゃる住民の要望に沿いたいという努力は私はいたすつもりでございます。
  15. 赤松勇

    赤松委員 希望を排除するわけにはいかないということをあなたはおっしゃいますけれども、排除するわけにはいかないというには、国防上何か重大な意味があるのですか。少くともあなたがそうおっしゃる以上は、そういう点について国防上これこれの必要があるのだというようなことについて、防衛庁長官とお話し合いになったことがありますか。そうでなければそういうことは出てこないと思いますが、一体それはどうなんですか。
  16. 中村三之丞

    中村国務大臣 しかし民間空港にするにつきましては、これはやはり防衛庁の希望も聞いてみなければならないのであります。それですから私は一がいに排除することはできないと申し上げておるのであります。そうけんか棒ちぎれにもできないのでありまして、この点は御了承を願わなければなりません。
  17. 赤松勇

    赤松委員 そうしますと、今のお話を聞きますと、運輸大臣防衛庁長官の間には、この問題についてはいささかも話し合いは行われていないのですね。そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  18. 中村三之丞

    中村国務大臣 事務的には相当話しておると思います。しかしこれはまだ返らないのであります。伊丹は三月十八日に返ってしまって、これはもう着々やっております。しかし返らないからといって、将来あなたの言われるように返るものと見通されますならば、それは今からでも準備をしなければなりませんけれども、現在私は防衛庁長官と直接話したことはございません。しかし両者の間で事務的に交渉を進めておる、話はしておると私は思います。しかし先ほど来あなたに対して防衛庁長官が答えられましたところを、私はお前が勝手にやっているんだ、勝手な答えだとは言えません。これは私ども防衛庁長官と話をしていきたいということは、これは私どもの立場も一つ御了承を願いたいと思います。
  19. 赤松勇

    赤松委員 現地の司令官はこの夏までには返還するということを声明しているのです。従って基地返還ということはもう既定の事実として現地では扱っているわけなんですが、この点、調達庁の方はどうですか。
  20. 上村健太郎

    ○上村政府委員 小牧につきましては、私ども米軍と接触をいたしておりますが、現在のところ撤退の意思を私どもに言うておりません。また現地司令官が六月ということを言ったという話も聞きまして念を押しましたけれども返還意思を現在持っておりません。
  21. 赤松勇

    赤松委員 小牧飛行場返還意思はないというのですか。それはあなた責任をもってそう言えますか。
  22. 上村健太郎

    ○上村政府委員 御質問通りでございます。
  23. 赤松勇

    赤松委員 あなたはそれをだれに確認をとりましたか。
  24. 上村健太郎

    ○上村政府委員 私どもの接触いたしておりますのは、日米合同委員会の下部委員会に施設委員会というのがござ いまして接触をいたしておるわけでございます。
  25. 赤松勇

    赤松委員 それでは、私の方から公式に米軍の方へ問い合せて、そしてもしあなたの確認を得た情報と違っておった場合にはどうしますか。
  26. 上村健太郎

    ○上村政府委員 私どもの力で接触いたしております限りでは、米軍側は返還意思は現在持っておりません。また時期等については私どもの方にはもちろん言うてきておりません。
  27. 赤松勇

    赤松委員 それじゃこの際一つあなたの方へ意思がないという表明をした米軍側の責任者の名前を発表して下さい。
  28. 上村健太郎

    ○上村政府委員 合同委員会の下部委員会である施設委員会代表でございます。
  29. 赤松勇

    赤松委員 施設委員会代表、名前は何というのです。
  30. 上村健太郎

    ○上村政府委員 カアネル・シュル大佐です。
  31. 赤松勇

    赤松委員 そこで今度は防衛庁長官お尋ねしたいのですけれども、あなたの方で基地返還後それを使用したいという希望をしばしば表明されていることは事実なんです。今調達庁長官に聞くと、公式な返還意思表示はない、こういうことを言っておられますが、客観的な情勢はもう返還が間近に迫っていることは事実なんです。従ってこのことがしばしば問題になって、あなたのところへも、それから運輸大臣のところへも、出首相のところへも現地から陳情があり、その際岸総理もあなたたちも、それは永久に返還しない、あるいは返還意思はないのだ、そういうことを一回も政府は言っておりません。近く返還をされる、された場合は一つこうこうこうしましょうということでずっと話し合いがきている。今唐突として調達建庁の長官米軍の方は意思を持っていない、そういうことが意思表示されておる、こういうことを言われましても、私どもにわかにそれを信用するわけには参りません。それは別の方法で確認をとりたいと思うのでありますけれども、重ねてあなたにも尋ねしますが、先ほど来言ったように、日本防御の戦略——きのうのたしか石橋委員に対するあなたの答弁を、けさ僕は新聞で見たのですけれども、もし侵略があった場合においては、これこれの防衛をこうするのだというところの答弁をされておる。これは新聞で拝見しまして、おそらくうそじゃないと思うのですが、そうだとすればちゃんと防衛計画というものがある。あるとすればどこの基地に何を、どの飛行機を何台配備するかということは、あなたの方でちゃんともうプランができているはずなんです。そうでしょう。それを、現に小牧には自衛隊飛行機がやはり飛んでいますよ。それは飛んでおっても不思議ではないのです。行政協定に基いて当然使用できるのですから、飛んでおっても不思議はないのです。あなたの方に計画がないわけではないのだ。その計画——つまり私の言おうとすることは、意地悪く、何もあなたたちのできる限り秘密にしたいというそれをここで導き出して、そして暴露しよう、そんな気持はない。問題は共同使用ということがやはり政府の部内から出てきている。共同使用する場合に民間航空を圧迫しないということをしばしば言われている。民間航空を圧迫しない根拠として、それを一つ明らかにしてもらいたい、こういうのですよ。その程度のものをお示しになる責任は、私はあなたにあると思う。この委員会でもそれを明らかにする責任はあなたにあると思う。どうですか。
  32. 津島壽一

    津島国務大臣 その点については先ほどお答え申し上げたつもりでございますが、駐留軍の現に持っておる飛行場、演習場等は、具体的に返還の通知が公けにあれば、これは直ちにこれをどうするかということが問題になるわけです。従来もここは返還するだろうと思ったところで、またそれを使用すると言い、またその時期が明確にならなかった例が非常に多いのでございます。今の具体的の小牧についても、こういうように使用したいという希望がありましても、これを全面的に返還を受けてやる時期が実ははっきりはしない。しかし客観情勢において各地の空港あるいは演習場等が逐次撤退を見、返還をしておるという事実があるのでございますから、そういった事態に処するためのいろいろな計画は考慮する必要はあります。しかしこれは確定的の問題として、こういう問題であるからということで防衛庁としてここで申し上げるわけにはいかない。特に具体的の問題としては民間航空がどの程度に利用できるというか、あるいは使用機数がどういうふうになるかという計画と相持って、考えようという立場からいって、こちらは一方的にこうするのだ、こう申し上げることは、私はいろいろな各省との協議の関係その他において、かえってそれは支障になるものではないかと思うのです。先ほど申し上げましたように、この際としてはそういう具体的の計画を申し上げることは差し控えたいということを御了承願いたい、こう言っているわけでございます。
  33. 赤松勇

    赤松委員 大蔵省お尋ねしますが、大蔵省の方はたしか現地に国有財産に関する審議会を作っておる、これは東海財務局の方でおそらくやっておられると思うのですが、審議会をお作りになっておりますが、この審議会でこの問題をおかけになったことはありますか。そういう報告は聞いておりませんか。
  34. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お話通り、東海財務局に付置されております国有財産地方審議会というものがございまして、管内の重要な国有財産の処分につきましては、これに付議することになっておりますが、本件につきましてはまだ返還されておりませんので、一度も付議いたしておりません。
  35. 赤松勇

    赤松委員 これは返還後の話なんですけれども審議会におきまして、民間航空使用すべきであるというような結論が出た場合、大蔵省はどのような態度をとられますか。
  36. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産審議会と申しますのは、これは一つの諮問機関でございます。法律的には必ずしもその決定には拘束されないと思いますが、地方審議会を置きました理由にかんがみまして、審議会結論は十分尊重いたしたいと思います。
  37. 赤松勇

    赤松委員 あなたもだいぶ知っていると思うのだけれども、都合のいいときは審議会々々々と言って、これは中村さんも御存じだが、われわれが何度も審議会のことを聞くと、都合のいいときは審議会の答申を尊重してなどと言って、答申が出てしまうと審議会は諮問機関でありまして、法律的には強制力がありませんとか、拘束力がありませんとか、いつもこんなことを言うのですが、そういうことは別として、今管財局長お尋ねしますと、明確に審議会結論は尊重する、こういう御答弁なんです。これは当り前のことです。それは尊重してもらわなければ、何のために審議会を置いたかわからないということになるわけでございますが、そこで審議会でそういう結論も出た、県議会においても民間空港として使用すべきであるという決定が行われておる。それから現地商工会議所もあげてそれを希望しているということになって参りますと、私は自衛隊が幾ら希望されましても、この点についてはやはり現地住民意思を、なかんずく経済その他の主導権を考慮してもらいまして、決定してもらわなければならぬということになるわけでございますが、この点について運輸大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  38. 中村三之丞

    中村国務大臣 あなたの仰せのように考えます。しかし防衛庁の御希望は、これは私は先ほど来申し上げておりますごとく、排除することはできない、こういう考えを持っております。しかし小牧が現在空港として民間航空もここに百八十機ぐらい着陸したりいたしておりますから、これは私は小牧羽田伊丹のごとく、国際空港として発展するように希望いたします。しかし繰り返して申しますが、私の方の単独でそうしたくないのです。やはり防衛庁長官ととくと相談をいたしまして、防衛庁の御希望も私ども考えなければならぬという、この両者の立場は一つ御了承を願っておきたいと思うのでございます。
  39. 赤松勇

    赤松委員 外務省にお尋ねしたいのすでか、ダレス・重光会談で、西太平洋一体の防衛に関する協定が成立をした当時、私は鳩山、重光両大臣に対しまして質問をして、この協定は要するに条約の延長ではない、従って両国政府の単なる政治上の行政的な取りきめであると思うということを質問しましたときに、鳩山前総理は、その通りだ、従って鳩山内閣は道義的責任を負うけれども、鳩山内閣と方針の違う政府ができた場合には、その道義的責任を負う必要がないということをば国会において明確に答弁されております。その際その協定の中で、八十億円の基地設定の費用が防衛分担金から使われるということが協定されたわけです。この八十億円の使途につきまして、当時まだ秘密になっておりましたが、私は予算委員会におきまして、この拡張を予定される飛行場、すなわちダレス・重光会談において協定をされました拡張飛行場というものは次の六つではないか、すなわち板付、新潟、小牧、千歳、立川、岩国、この六ヵ所ではないかということを質問いたしましたが、当時重光さんは秘密にしてこれを答えませんでしたけれども、それからすぐこの協定の内容がアメリカ側によって発表されまして、それが明らかになったわけであります。当時防衛分担金に計上されておりましたこの八十億円の中から、小牧飛行場には一体どの程度使われておるのであるか。これは現地におきまして調達庁の出先の局長が、その数字をあげて商工会議所で説明しております。私は、この際、政府のどの部内の人でもけっこうです、大蔵省でもよろしい、外務省でもよろしい、防衛分担金小牧にどの程度使用されておるのであるか、これを一つ答弁願いたい。
  40. 上村健太郎

    ○上村政府委員 防衛分担金のうちから約十億でございます。
  41. 赤松勇

    赤松委員 この十億は、防衛分担金の何年度のそれから出ておりますか。
  42. 上村健太郎

    ○上村政府委員 若干今後使用の分が残っておるようでございますが、大部分三十一年度と三十二年度でございます。
  43. 赤松勇

    赤松委員 幾ら残っておりますか。
  44. 上村健太郎

    ○上村政府委員 現在御承知のように、集団移転をやっております。それに要する費用約一億であります。
  45. 赤松勇

    赤松委員 それから、なお現地では拡張を急いでおりますが、これは米軍側の希望で拡張しておるわけですか、それともその他の事由によるものですか。
  46. 上村健太郎

    ○上村政府委員 米軍側の要望によるものでございます。
  47. 赤松勇

    赤松委員 そこでお尋ねいたしますが、一億剰余金がある、そうすると九億使われたということになるわけですが、この九億はどこにどういうふうに使われておるか、それを一つ明らかにしてもらいたい。
  48. 上村健太郎

    ○上村政府委員 恐縮でありますが、後ほど書面で差し上げたいと思います。
  49. 赤松勇

    赤松委員 それは、あなた重大ですよ。十億のうち九億が使われている。これはおそらく当時協定された八十億の中から出ておると思うのでございますけれども、とにかく十億という大金が使われている。施設の管理をあなたがやっておるのでしょう、その調達庁長官が、小牧飛行場使用したところの十億の金の使い道がわからないというのでは、私は大へん困ると思う。後ほどお答えいたしますでは困ります。内容を明らかにしてもらいたい。
  50. 上村健太郎

    ○上村政府委員 費目が非常に多いことでございまして、金額もこまかく分れておるものでございますから、後ほど書面で提出いたします。
  51. 赤松勇

    赤松委員 三十一年度に使いました金の決算報告は、どこに行われておりますか。
  52. 上村健太郎

    ○上村政府委員 三十一年度は決算になって、報告になっておるはずでございます。
  53. 赤松勇

    赤松委員 どこに報告になっておる。
  54. 磯淳爾

    ○磯説明員 三十一年度の使いました経費につきましては、他の経費と同様、その年度の決算につきまして、検査院の方に報告をいたしております。
  55. 赤松勇

    赤松委員 これは確実に検査院の方に報告されておりますか、よろしいですね。——それで、これは調達庁の方でみなお扱いになったのですか。米軍の方には全然行っておりませんね。
  56. 磯淳爾

    ○磯説明員 ただいま申し上げました金額は、米軍側の経費ではございません。国内的に、日本政府が使いました経費でございます。
  57. 赤松勇

    赤松委員 そうすると、その全額は防衛分担金の中の日本側の負担金の中から出ておる、こういうことですか。
  58. 森治樹

    ○森(治)政府委員 ただいま調達庁から御答弁になりました額がどこから出ているかということは、私は実は承知いたしておらないのでございますけれども、ただいまの御説明によりますと、三十年、三十一年の防衛分担金の中から出ておるというふうな御答弁であったと思います。そうなりますと、三十一年度の防衛支出金の中から出ているということでございます。私どもの扱っておりますところによりますと、防衛支出金は、三十一年度は施設提供費として九十九億が支出されておえます。この中から、果して出ておるかどうかは、外務省としてはわからない次第でございます。
  59. 赤松勇

    赤松委員 今外務省のそれなんですりれども、実は当時、私が予算委員会におきましてこの点を一萬田大蔵大臣質問したら、驚くべき事実が発見さえたわけです。というのは、防衛分担金につきまして、私は率直に言ってこういう疑念を持っておる。これは一つ皆様も日本人として聞いてもらいたいのだが、数字の上では、なるほど防衛分担金は双方に数字が出ている。ところが実際に使用される場合に、米軍がどれだけ負担しているかということは明確になっていない。明確になっていますか、一々領収書をとっておりますか、とっていないでしょう。だから、その半額は米軍が負担する、こういうことに行政協定にも書いてありますし、それからいろいろな約束にはなっておっても、実際にはそれができていないわけです。できていないでしょう。どうですか。
  60. 森治樹

    ○森(治)政府委員 米側の全体の経費がどのくらいになるかということは、私どもとしても推測のほかはないわけでございます。ただ分担金がいわゆるローカル・コストと申しますか、そういうものの半分を日本側で、半分を米側でという考えも、分担金の折衝を行いました際に、一応双方の主張の間に出たことは事実でありますけれども、御承知通りに、行政協定二十五条によりまして、分担金は一億五千五百万ドルということで決定をされた次第でございます。その後米軍の撤退等もありますし、また日本防衛力増強等もありますので、これらの点を考慮しまして、重光大臣とアリソン大使の間で一般方式というものが結ばれまして、それによりまして日本防衛のための支出が増加する場合には、その半額だけ防衛分担金から引いていく、こういうことが従来の経緯になっている次第でございます。
  61. 赤松勇

    赤松委員 従って米軍の方がどれだけ分担したかということは、実際にはわからないわけです。それで日本政府の分担金については、たとえば施設提供費等にいたしましても、おそらくこれは日本銀行へ預けられまして、そこから小切手でもって使っているでしょう。そういう使い方をしているのでしょう。その結果については会計検査院に全部報告されておりませんね。
  62. 森治樹

    ○森(治)政府委員 この点は大蔵省の所管でございますけれども、私ども承知いたしております範囲におきましては、先方から要請がございまして、それに応じて大蔵省で、日本銀行ですか、納入の手続をとられる、こういうふうに了解しておりますが、これは大蔵省の所管でございます。
  63. 磯淳爾

    ○磯説明員 先ほど申しましたことで追加しておきたいと思います。先ほどの十億というお金は国内の諸費でありまして、これは施設提供諸費でございます。従って防衛分担金ではございません。
  64. 赤松勇

    赤松委員 実際にはこの防衛分担金から出るいろいろな使途につきましては、その明細は明らかになっていないわけです。当時たしか調達庁大蔵省から委託されまして、アルバイトを五、六人使って、倉庫に二はいばかり入っておりまする米軍側の領収書の翻訳をやっておったと思いますが、今でもやっているかどうか知りませんが、とにかくそういう形において、俗に防衛分担金というふうに呼ばれていますけれども、分担ではなくて、一方的に処理されて、米軍の方がどれだけ出しているか、現実には明らかになっていないことはほんとうだと思います。  そのことはさておきまして、そこで小牧に投ぜられました経費は十億、そのうち一億が残ておる、こういうことでございます。この点につきまして、なお私は後ほど資料を添えて、調達庁長官等に、あるいは大蔵省の方に対しましていろいろ質疑をしたいと思いますけれども、最後に小牧の問題につきまして、もう一つ念を押しておきたいと思うのであります。今まで明らかになった点は、防衛庁長官運輸大臣との間には、いまだ小牧基地返還後の使用方法について話し合いをなされていないということが明らかになりました。しかしながら運輸大臣といたしましては、これを民間航空として使っていきたいという考えではあるが、なお防衛庁の希望もあるので、なかなか一方的にはきめかねる、しかしよく相談してみたいと思うと言い、防衛庁長官の方は、小牧基地自衛隊で使いたいという希望は依然持っている、その際に民間航空を圧迫しないように——これは民間航空と並用するという考え方前提になっておるようでありますが、その際には民間航空を圧迫しないという根拠についてこれを明らかにするということは、時期としては少し早いように思う。もうしばらくたって、もう少し時期が熟してから、具体的にこういう点については相談をしてみたいと思う、こういうような御答弁であったと思います。  なお大蔵省といたしましては、現地審議会意見を尊重して、その返還後の国有財産の処理についてはきめていきたい、こういうことでございます。そこでいつごろ正返還されるかということにつきましては、調達庁長官の方では、いつ返還されるかということの意思表示はまだ米軍からはない——何か永久使用というようなことをちらっとおっしゃいましたが、そんなことじゃなかったですね。まだ返還意思が公式的にわれわれの方に示されていない、こういうお話でございました。この点につきましては、さらに私どもは独自の立場からいろいろ調べてみたいと思います。現地司令官においてもすでに意思表示をされておるのであります。しかしいずれにしても、返還の時期はそう遠くはないと確信しております。そこで岸総理もすでに検討を約束され、河野長官都心から離れた所に基地を置くことが望ましい、そうして小牧平和空港になることが望ましいことである、こういうことを言われておるわけであります。  そこで政府の方は返還後態度をきめるんだというのではなくて、すでに、たとえば運輸省の何々局長の発言として、出先においていろいろ発言をされておるわけです。ですから返還政府の態度をきめるということではなくて、返還に伴う国有財産の処理について、大蔵省それから防衛庁、それから運輸省、これら三者でいつごろ結論をお出しになる考えであるか、そう言うと津島長官は、いや、それは返還相談したいと思うというようなことを言われるわけでありますが、すでに運輸大臣が御答弁になりましたように、事務当局の間においては、このことについて具体的な折衝が行われておるのです。あなたがかみしもつけて、さあ答弁しろと言えば、そういう答弁しかできないと思うのだけれども、しかしそれは不親切だと思う。現実にはすでに事務当局間で話し合いも進行しておるのでありますから、ここで一つ防衛庁長官はよろしいが、運輸大臣から、政府部内の意見をまとめて、自分の責任においてこれこれの方針を出したいと思う、大体その期日はいつごろになるということの明確な御答弁をお願いしたいと思うのですが、どうでしょう。
  65. 中村三之丞

    中村国務大臣 私からいつ何日ということは、ちょっとお許し願いたいと思います。防衛庁長官と私と共同責任において解決していきたいと思います。
  66. 赤松勇

    赤松委員 管財局長、大蔵大臣はこの点についてどういうことを言っておりますか。大蔵大臣に来てもらおうと思ったんですが、予算委員会がありますから……。大蔵大臣相談になったことはありますか。
  67. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ほかの問題と一緒に全般的な国有財産の処理の問題については報告いたしておりますが、特に小牧空港の処理については、まだ相談いたしておりません。
  68. 赤松勇

    赤松委員 先般地元代表が参りまして大蔵大臣と会っていろいろ話したときにあなたは、よく相談をして、そうして態度をきめたいというようなことを言っておったようでありますけれども、もしそういう話し合いがないとすれば、はなはだ遺憾だと思います。これはむろん返還後の処理でございますけれども、やはり問題が問題だけに、今から大蔵省としての方針もきめていかなければならぬと思うのです。あなたは審議会意見を尊重してとおっしゃいましたが、大蔵省としては民間航空にすべきであるかそれとも自衛隊基地にすべきであるか、どちらが国策上適当であるか。どんなふうに考えておられますか。
  69. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 大蔵省としての確定的な意見と申し上げられるかどうかは疑問でございますが、私の考えておりますところは、先ほど来両大臣からるる御説明がございましたように、両者においてそれぞれ使用の御希望がございまして、国有財産を処理いたします立場からいたしますれば、やはりどちらも国の機関でございますので、両者の使用計画を具体的にお伺いいたしまして、できるだけその間に円満な話し合いを遂げていただきまして、調整をはかりましたところで処理いたしたいと考えております。
  70. 赤松勇

    赤松委員 政府においてはすみやかにこの問題に対する結論をば出していただくよう、その結論は、われわれも希望し現地も希望し、また日本の国民全体が希望しておるところは、言うまでもなく平和空港として活用してもらいたいというところにあることを、十分一つ銘記されまして、そのように善処せられんことを希望いたしまして私の質問を終りたいと思います。
  71. 山本正一

    山本(正)委員長代理 これにて暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕