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1958-03-11 第28回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十一日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 相川 勝六君 理事 高橋  等君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大村 清一君    北 れい吉君       小金 義照君    纐纈 彌三君       薄田 美朝君    辻  政信君       永山 忠則君    眞崎 勝次君       粟山  博君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       岡  良一君    木原津與志君       西村 力弥君    山崎 始男君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         法制局次長   高辻 正巳君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      高尾 亮一君         総理府事務官         (科学技術庁企         画調整局長)  鈴江 康平君  委員外出席者         宮内庁長官   宇佐美 毅君         科学技術事務次         官       篠原  登君         大蔵事務官         (主計官)   海堀 洋平君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月十一日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員岡良一君辞任につき、その補欠として中村  高一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月七日  統計法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五三号)(参議院送付)  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二六号) 同月十日  農林省定員外職員全員定員化に関する請願(  淺香忠雄君紹介)(第一四五八号)  同(井出一太郎君外三名紹介)(第一四五九  号)  同(稲富稜人君紹介)(第一四六〇号)  同(生田宏一君紹介)(第一四六一号)  同(植村武一君紹介)(第一四六二号)  同(小澤佐重喜君紹介)(第一四六三号)  同(加藤高藏君紹介)(第一四六四号)  同(木崎茂男君紹介)(第一四六五号)  同(久野忠治君紹介)(第一四六六号)  同(黒金泰美君紹介)(第一四六七号)  同(高村坂彦君紹介)(第一四六八号)  同(小林かなえ君紹介)(第一四六九号)  同(小西寅松君紹介)(第一四七〇号)  同(河本敏夫君紹介)(第一四七一号)  同(小坂善太郎君外三名紹介)(第一四七二  号)  同(小平久雄君外一名紹介)(第一四七三号)  同(纐纈彌三君外一名紹介)(第一四七四号)  同(佐々木更三君紹介)(第一四七五号)  同(齋藤憲三君紹介)(第一四七六号)  同(笹山茂太郎君紹介)(第一四七七号)  同(薩摩雄次君紹介)(第一四七八号)  同(周東英雄君紹介)(第一四七九号)  同(首藤新八君紹介)(第一四八〇号)  同(關谷勝利君紹介)(第一四八一号)  同(田子一民君紹介)(第一四八二号)  同(高木松吉君紹介)(第一四八三号)  同(高碕達之助君紹介)(第一四八四号)  同外一件(竹谷源太郎君紹介)(第一四八五  号)  同(塚原俊郎君紹介)(第一四八六号)  同(渡海元三郎君紹介)(第一四八七号)  同外一件(夏堀源三郎君外三名紹介)(第一四  八八号)  同(中川俊思君外二名紹介)(第一四八九号)  同(永田亮一君紹介)(第一四九〇号)  同(中原健次君紹介)(第一四九一号)  同(中山マサ君紹介)(第一四九二号)  同(野澤清人君紹介)(第一四九三号)  同(八田貞義君紹介)(第一四九四号)  同(原健三郎君紹介)(第一四九五号)  同(平野三郎君紹介)(第一四九六号)  同(廣瀬正雄君紹介)(第一四九七号)  同外一件(船田中君紹介)(第一四九八号)  同(古川丈吉君紹介)(第一四九九号)  同(古島義英君紹介)(第一五〇〇号)  同(穗積七郎君紹介)(第一五〇一号)  同(前田房之助君外一名紹介)(第一五〇二  号)  同(松浦東介君紹介)(第一五〇三号)  同(松澤雄藏君紹介)(第一五〇四号)  同(粟山博君紹介)(第一五〇五号)  同(森下國雄君紹介)(第一五〇六号)  同(森山欽司君紹介)(第一五〇七号)  同(矢尾喜三郎君紹介)(第一五〇八号)  同(山口好一君紹介)(第一五〇九号)  同(山本粂吉君紹介)(第一五一〇号)  同(山本利壽君紹介)(第一五一一号)  同(早稻田柳右エ門君紹介)(第一五一二号)  同(臼井莊一君紹介)(第一五一七号)  同(小林信一君紹介)(第一五一八号)  同(田口長治郎君紹介)(第一五一九号)  同(楢橋渡君紹介)(第一五二〇号)  同(藤本捨助君紹介)(第一五二一号)  同(古井喜實君外二名紹介)(第一五二二号)  同外一件(淡谷悠藏君紹介)(第一五二九号)  同(青野武一君紹介)(第一五三〇号)  同(井岡大治君紹介)(第一五三一号)  同(井手以誠君紹介)(第一五三二号)  同(井上良二君紹介)(第一五三三号)  同(石坂繁君紹介)(第一五三四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一五三五号)  同(石山權作君紹介)(第一五三六号)  同(今澄勇君紹介)(第一五三七号)  同(今村等君紹介)(第一五三八号)  同(受田新吉君紹介)(第一五三九号)  同(内田常雄君紹介)(第一五四〇号)  同(小笠公韶君紹介)(第一五四一号)  同(小川豊明君紹介)(第一五四二号)  同(大西正道君紹介)(第一五四三号)  同(大森玉木君紹介)(第一五四四号)  同(岡本隆一君外三名紹介)(第一五四五号)  同(荻野豊平君紹介)(第一五四六号)  同(加藤精三君紹介)(第一五四七号)  同(加藤鐐五郎君紹介)(第一五四八号)  同(上林與市郎君紹介)(第一五四九号)  同(神田大作君紹介)(第一五五〇号)  同(亀山孝一君紹介)(第一五五一号)  同(川俣清音君紹介)(第一五五二号)  同(河上丈太郎君紹介)(第一五五三号)  同(河野正君紹介)(第一五五四号)  同(久保田鶴松君紹介)(第一五五五号)  同(小松信太郎君紹介)(第一五五六号)  同(五島虎雄君紹介)(第一五五七号)  同(佐々木良作君紹介)(第一五五八号)  同(佐竹晴記君紹介)(第一五五九号)  同(坂本泰良君紹介)(第一五六〇号)  同(須磨彌吉郎君紹介)(第一五六一号)  同(杉山元治郎君紹介)(第一五六二号)  同(助川良平君紹介)(第一五六三号)  同(鈴木義男君紹介)(第一五六四号)  同(世耕弘一君紹介)(第一五六五号)  同(田中武夫君紹介)(第一五六六号)  同(田中利勝君紹介)(第一五六七号)  同(中馬辰猪君紹介)(第一五六八号)  同(堂森芳夫君紹介)(第一五六九号)  同(徳田與吉郎君紹介)(第一五七〇号)  同(中村時雄君紹介)(第一五七一号)  同(中村寅太君紹介)(第一五七二号)  同(中村英男君紹介)(第一五七三号)  同(永井勝次郎君紹介)(第一五七四号)  同(成田知巳君外一名紹介)(第一五七五号)  同(西村榮一君紹介)(第一五七六号)  同(西村力弥君紹介)(第一五七七号)  同(野原覺君紹介)(第一五七八号)  同(林讓治君紹介)(第一五七九号)  同(原捨思君紹介)(第一五八〇号)  同(古屋貞雄君紹介)(第一五八一号)  同(細迫兼光君外一名紹介)(第一五八二号)  同(松原喜之次君紹介)(第一五八三号)  同(松前重義君紹介)(第一五八四号)  同(森三樹二君紹介)(第一五八五号)  同(三鍋義三君紹介)(第一五八六号)  同(森本靖君紹介)(第一五八七号)  同(八百板正君紹介)(第一五八八号)  同(八木一男君紹介)(第一五八九号)  同(安平鹿一君外一名紹介)(第一五九〇号)  同(山口丈太郎君紹介)(第一五九一号)  同(山下榮二君紹介)(第一五九二号)  同(山本猛夫君紹介)(第一五九三号)  同(吉田賢一君紹介)(第一五九四号)  建設省地理調査所臨時職員身分保障に関する  請願(大村清一君紹介)(第一五九五号)  建設省郡山国道工事事務所臨時職員身分保障  に関する請願(西村力弥君紹介)(第一五九六  号)  建設省大倉ダム工事事務所臨時職員身分保障  に関する請願(西村力弥君紹介)(第一五九七  号)  建設省酒田工事事務所臨時職員身分保障に関  する請願(西村力弥君紹介)(第一五九八号)  建設省南部国道工事事務所臨時職員身分保障  に関する請願(西村力弥君紹介)(第一五九九  号)  建設省最上川水系砂防工事事務所臨時職員の身  分保障に関する請願(西村力弥君紹介)(第一  六〇〇号)  建設省鎧畑ダム工事事務所臨時職員身分保障  に関する請願(西村力弥君紹介)(第一六〇一  号)  建設省秋田工事事務所臨時職員身分保障に関  する請願(西村力弥君紹介)(第一六〇二号)  建設省福島工事事務所臨時職員身分保障に関  する請願(西村力弥君紹介)(第一六〇三号)  恩給法等の一部を改正する法律案中一部修正に  関する請願(植木庚子郎君紹介)(第一六〇四  号)  同(大森玉木君紹介)(第一六〇五号)  同(坂田道太君紹介)(第一六〇六号)  同(徳田與吉郎君紹介)(第一六〇七号)  同(中川俊思君紹介)(第一六〇八号)  同(永山忠則君紹介)(第一六〇九号)  同(原健三郎君紹介)(第一六一〇号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(橋  本登美三郎君紹介)(第一六一一号)  定員外職員全員定員化等に関する請願(加賀  田進君外三名紹介)(第一六一二号)  元満鉄社員恩給法等適用に関する請願(佐々  木更三君紹介)(第一六一三号)  建国記念日制定に関する請願(坂田道太君紹  介)(第一六一四号)  同外十六件(草野一郎平君紹介)(第一六一五  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二六号)  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五二号)  科学技術会議設置法案内閣提出第七七号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 山本正一

    山本(正)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が不在でありますので、私が委員長指名によりまして委員長の職務を行います。  郵政省設置法の一部を改正する法律案議題とし、まず提案理由説開明を求めます。田中郵政大臣。     —————————————     —————————————
  3. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま議題になりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵政省省名逓信省に改めること、電気通信監理官を廃し、内部部局として電務局を設けること、電波監理局局名電波局に改め、次長二人を廃して同局企画部放送部無線部の三部を置くこと、並びに大臣官房官房長を置くことをそのおもな内容とするものであります。  改正の第一点は、省名逓信省に改めることであります。郵政省という省名は、昭和二十四年旧逓信省郵政省電気通信省とに分離された際に名づけられたものでありまして、今日のように電気通信ないし電波に関する行政事務を行うようになった省の名称として狭きに失し、最近におけるこれらの事務の質的及び量的の発展に対応するよう、逓信省名称を改めようとするものであります。  改正の第二点は、特別の職としての電気通信監理官を廃して、内部部局として電務局を設けることであります。御承知のように、郵政省郵政事業を営むほか電気通信に関する国の行政事務を行う唯一の官庁でありますが、その任務を適切に遂行するためには、電気通信監理官という特別の職を置くだけでは不十分でありまして、日本電信電話公社国際電信電話株式会社はもとより、有線放送電話や最近目ざましく発達してきている私設の有線電気通信設備等に対する監督、指導及び助長を適切に行い、また、戦後占領下にあって国際的に不利益を受けていた電気通信界発達に十分な施策を行なって、わが国の経済その他に遺憾なからしめるよう電気通信行政の充実をはかるため、局組織が必要となりましたので、内部部局として電務局を設け、これに伴いまして電気通信監理官を廃止しようとするものであります。  改正の第三点は、電波監理局局名電波局に改め、次長を廃して同局企画部放送部及び無線部の三部を置くことであります。  電波監理局監理というような言葉はなるべく使用いたしたくないという気持と、実際上必要もないということから、名称電波局と改めるとともに、一般放送事業者による放送発達テレビジョン放送開始及び普及、FM放送等開始必要性昭和二十七年電波監理局郵政省の内局として発足して以来、無線局数が四倍強の約三万局となり、しかも多方面の業務に用いられるようになったこと、これらに関連して周波数の割当その他電波行政の基本的な問題について企画重要性が特に高まってきたこと等の事情から、行政能率の向上と責任体制明確化をはかるため、さきに申しました三部を設けようとするものでありまして、これに伴い次長を廃止しようとするものであります。  改正の第四点は、大臣官房に新たに官房長を置くことであります。現在までのところ、官房長を置いていない省は、当省のほかには法務省及び文部省の二省があるのみで、他方、経済企画庁その他の庁に官房長を置いているところもございます。当省の官房は従来から大きな機構でありまして、官房長必要性を痛感して参ったのでありますが、最近における行政事務質的量的発展のために、総合調整その他の官房事務を一そう的確に行う緊要性が増して参りましたので、官房長を置こうとするものであります。  今回の改正におきましては、これらに伴いまして、各部局所掌事務等を整理しようとするものであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
  4. 山本正一

    山本(正)委員長代理 本案に対する質疑は次回以後に譲ることといたします。     —————————————
  5. 山本正一

    山本(正)委員長代理 次に科学技術庁設置法の一部を改正する法律案及び科学技術会議設置法案議題とし、質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。前田正男君。
  6. 前田正男

    前田(正)委員 まず科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について質問いたしたいと思います。この科学技術庁設置法の一部を改正する法律案は、その内容を見ますと、単に電子技術審議会を設けるというだけのことでございますが、これに対しましては、この提案理由でも大体内容組織等説明されておりますが、それに必要な予算は現在どういうふうになっておるか、その点をまず事務的なところから説明していただきたい。
  7. 鈴江康平

    鈴江政府委員 お答え申し上げます。予算につきましては大体三十六万円程度でございますが、その内容といたしましては、委員会委員手当並びに専門委員手当でございます。それからあとは会議費通信費並びに若干の出席旅費というようなところからなっておるわけであります。
  8. 前田正男

    前田(正)委員 次に、日本科学技術振興するに当りましては原子力とともに電子技術というものは非常に重要なものであると思うのでありますけれども、単に諮問機関程度を設けて審議をしていくというようなことでは、日本科学技術としはその発展がなかなかむずかしいのじゃないかと考えられるのであります。そこでこの審議会を運営するに当りましていろいろと目標があると思うのでありますけれども、幸い大臣にも来てもらいましたので、大臣から一つ——日本科学技術振興するに当りまして、電子技術というものは根本的に拡大していかないと、御承知通り現在外国から日本には多数の電子技術関係技術導入がありまして、多額の金を外国に払っておるような現状でございます。今後の日本科学技術進歩というものは、この電子技術が根本的に発達していかなければ、どの部門におきましても科学技術振興というものは望み得ないと思うのであります。そこでせっかくこの電子技術審議会というものを設けてその振興をはかられようとしておられるのでありますが、具体的に何か大臣とされて電子技術を伸ばしていきたい、こういうふうなはっきりした決意でもあれば、大臣の御決意をお聞きしたいと思うのであります。
  9. 正力松太郎

    正力国務大臣 ただいま前田委員がお話の通り電子技術の必要なことは皆さんも御承知のことでありますが、実は近ごろソ連の人工衛星の問題から特に電子技術の必要が度を強めてきたのであります。これは少し古いことにさかのぼるようでありますけれども、私どもテレビジョン日本に入れたときの目的は、要するに、電子技術発達はこれによって初めて行われるのだ、科学技術においては何としても今前田委員の言われたように、電子技術は非常に重大な部門を持っているのだ、それだからそれについてはまずテレビジョンをやらなくちゃならぬということを、その当時すでに六、七年前に私は叫んだのでありますが、それほど科学部門においては電子技術が必要であります。たとえて申したならば、原子力の問題、原子力が今度叫ばれたけれども、あの原子の外側の部門は御承知通り電子である、だから原子研究するにしてもやはり電子研究しなくちゃならぬ、それほど必要なのであります。今度原子力平和利用について割合によくいったということは日本電子技術を前から研究しておったということであります。けれどもそれはまだ非常に幼稚であるので、先般私は科学技術庁長官になりましたときに、そのときすでに電子課を設けなくちゃならぬということを言うたのでありますが、そのときは行われなかったのであります。そうして今度はさらに一そう進んで、電子局を置こうというふうなことまで言うたのですが、これがいろいろまだ一足飛びにそこまでいかぬということで、そこでこの電子技術審議会というものを設けることにしたわけでありますが、その意味からもこれをどうしても電子技術審議会でやらなくちゃならぬ、そうして追っては電子局も設けなくちゃならぬと思っておりますけれども、こういう意味において御審議をお願いしたいと思います。
  10. 前田正男

    前田(正)委員 その行政を総合的に調整されるということもまことに私どもも必要であると思います。現在のようなばらばらなセクショナリズムに基いた電子技術行政をしておりましては、真の発達はできないと思いますので、これは一つ審議会でよく御相談願って、いかにして行政を総合してやっていくか、こういうことをお考え願いたいと思います。  同時に、同じ問題でありますけれども、やはり日本科学技術において一番進歩障害になっておるのは、このセクショナリズムであるとわれわれは一考えておるのであります。このセクショナリズムを打破するについては今の行政の問題のほかに、研究の問題があると思うのであります。この研究も実は電子関係はばらばらに分れて従来発達してきた関係もあるのであります。そこでこれはやはりどうしても総合的な研究をしなければならぬと思うのであります。そのやり方は総合的な研究所を作るとか、あるいはまたそういう行政によりまして研究を総合的に調整するとか、いろいろな方法があると思うのでありますけれども、やはりこれはこの審議会を所管される大臣とされて、一大勇猛心をもって、とにかく研究においても行政においてもこのセクショナリズムを打破してやる、こういうふうな固い決意が私は必要だと思うのでありますが、この研究に対する大臣決意一つお聞かせ願いたいと思います。
  11. 正力松太郎

    正力国務大臣 今前田委員が御指摘の通り、各省のセクショナリズム、これが日本科学技術振興に非常に障害をなしておる、これはひとり日本ばかりでありません。アメリカですらもやはり陸海空のセクショナリズムがあるから、これを一つにしなければならぬということを、アイゼンハワーは唱えておるということでありますが、日本に至ってはもっともっとひどいのであります。たとえて申しますれば、今科学技術に対して科学技術庁長官総合統制をやれることになっております。なっておるにかかわらず、やはり大学研究大学科学技術に関することは一切文部大臣の所管になっておる。やはり大学研究科学技術庁長官権限外にあるのでありまして、こういうようなことからどうしてもこれを総合調整する機関が必要だということで、科学技術会議というものを設けまして、それには文部大臣も入り、科学技術庁長官も入る。さらに大蔵大臣企画庁長官も入って、この関係閣僚が入る。そのほかに学識経験者を四人やはり委員に入れる。そのうち二人を常勤にし、二人を非常勤にして、行政的な長官のほかにこういう専門家、いわゆるエキスパートを四人入れて、そうしてここで日本の国全体の科学総合調整をやるという意味において、科学技術会議というものを設けたのでありまして、これによってまず科学技術に関する基本的総合的の政策を樹立する。なおまたこの科学技術に関する長期かつ総合的の研究目標をこれによって樹立させるということにしまして、そのほか日本学術会議がありますから、その学術会議に諮問する事項あるいは答申というようなことを、科学技術会議に扱わせることにしたのであります。これによってとにかく日本科学技術の、さっき申し上げた通りに基本的総合的の政策を樹立する、こういう考えであります。
  12. 前田正男

    前田(正)委員 ただいま大臣から次の議題科学技術会議の方の説明をしておられたのでありますけれども、大体科学技術会議についても次に御質問をしたいと思うのでありますが、この科学技術庁設置法の方の電子技術審議会における総合研究という問題についても、一つよく御研究を願っておきたいと思うのであります。  この問題の質問を終るに当りまして、一つ事務次官にお聞きしたいと思うのでありますが、この法案と関連いたしまして、前国会において電子工業振興法案提案されまして、これが通過成立をしたわけでありますが、この電子工業法案とその電子技術審議会との関係というものは非常に緊密でなければならぬと思うのであります。電子技術審議会できめられたものは、それを尊重しなければ、電子工業育成指導の役に立たないのじゃないかと思うのであります。当然この問題については、通産省科学技術庁の間においていろいろと相談をされており、また前国会を通すに当りましても、通産省との間に相談があったように聞いておるのでありますが、その両省の相談された事項について、一つお答えを願いたいと思うのであります。
  13. 篠原登

    篠原説明員 お答え申し上げます。昨年電子工業振興臨時措置法という法律国会を通過いたしましたが、それに先立ちまして、通産省科学技術庁の間におきましていろいろお打ち合せをしたわけでございますが、電子工業振興臨時措置法におきましては、主たる対象が各製造業界における製造の立場から、電子工業をいかに振興するかという点を主として取り上げておりまして、たとえば部品問題とか、方式の問題とか、そういうふうに製造に必要な問題についての振興措置を講ずるということになっておるわけでございます。電子工業振興臨時措置法におきましても、審議会ができておりまして、その法律に基いていろいろ御審議をいただくことになっております。その際、昨年でございましたが、科学技術庁におきましても、電子技術振興に対しまして非常に力を入れなければならぬということで、通産省ともいろいろお打ち合せをして、科学技術庁研究の立場から、しかもそれはあらゆる関係の各省庁にまたがる電子技術振興、並びに需要者の側、使う方の側から見てどういうような振興措置が必要かということについても含めまして、科学技術庁といたしましては広い立場から電子技術振興をやるということにいたしたわけでございます。従いましてこの電子技術審議会において取り扱う事項といたしましては、あるいは大学電子技術に対する教育の問題ももちろん取り上げますし、また外国から技術を導入する場合にいずれが妥当であるか、いずれを導入すべきかとか、あるいは日本でその問題につきましては自立できる問題であるかどうかというようなことももちろん検討いたしますし、また将来どういうような方向に向って電子技術振興をはかるべきか、研究体制をどうすべきかというような問題、いろいろ問題がございますけれども、そういった全般的な問題につきまして電子技術振興をはかるということでございまして、これにつきましては、通産省を初めあるいは郵政省、運輸省その他関係各省庁のいろいろな御意見も伺いまして、科学技術庁として、この審議会の意見を聞いて、電子技術の将来の大きな目標に向って進んでいくという意味でございまして、その間、各省庁とも十分な打ち合せができておるのでございます。
  14. 前田正男

    前田(正)委員 それでは科学技術庁設置法の一部を改正する法律案質疑はそのくらいにいたしまして、次に科学技術会議設置法について質問をいたしたいと思うのでありますが、先ほど大臣から、科学技術会議を設置する必要に関する所信を、大体さきの質問に関連してお話になりましたが、主なる目標セクショナリズムを打破するということにあると思うのでありますけれども、この問題について私がまず第一に大臣にお聞きしたいと思うのはこの科学技術会議設置法の第二条は「内閣総理大臣は、」「関係行政機関の施策の総合調整を行う必要があると認めたときは、当該事項について会議に諮問しなければならない。」こういうふうな規定になっておるのでありますけれども、私が知る範囲におきまして、日本で現在行われておるところの科学技術関係のことで、ここに、第二条に掲げてあるような基本的な総合的なもの、この第二条の一から二、三、四と項目を分けて掲げてありますようなこういうような重要な事項については、その関係機関行政の施策を総合調整をしないでいいというような場合は、私はあり得ないんじゃ、ないかと思うのであります。こういうような重要な事項はすべて総合調整を行う必要があるんじゃないかと思うのでありますが、法律には「必要があると認めたときは」「諮問しなければならない。こと書いてありますけれども、そういう、「必要があると認めたとき」なんて書く必要はないんじゃないか。これはもうすべてここに書いてあるような四項目の事項は常に総合調整を必要とする事項ばかりであると私は思います。現在の日本行政機関の所管事項から見まして、こういう基本的なものはすべて総合調整をしなければならぬ。科学技術関係のものはみんな各省に分属して所管されておりますから、当然総合調整をしなければならないと思うのでありますが、これは大臣としては法文上はこういうふうに書いてあるけれども、常に諮問するつもりでおるのだ、常時諮問するつもりでおるのだ、こういうふうに考えておられるのですか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  15. 正力松太郎

    正力国務大臣 これは実は趣意においては前田委員の言われた通りであります。ただこういうふうに文句を書きましたのは、科学技術庁長官長官として各種の総合調整をやることになっております。であるからして、さきも申し上げました通りに、文部省の関係することは科学技術庁長官ができないのであります。それだから、その文部省との関係もありますから、それでこういう文句を法制上入れておいた方がいいということで入れたわけであります。
  16. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、ここに書いてあります科学技術の一般に関する基本的かつ総合的な政策を樹立するということになれば、今お話しのように、文部大臣の所管する大学関係のものと、その他の関係を所管される科学技術庁のもの、こういったものは当然こういう基本的な総合的な政策を樹立する以上は総合調整をしなければならない、こういうことでありますから、当然総理大臣は常にこの会議にかけていなければならぬということになってくると私は思うのであります。そこで一つその会議の運用については「必要があると認めたとき」というふうに書いてありますけれども、事実上は常にこの会議に総理大臣はこういう重要事項を諮っていなければならぬじゃないかと思うのであります。  その次の問題は、こういうここに書いてありますような重要事項は、常にそういう問題があるかどうかという問題なんでありますけれども、私が見ますところ、現在の日本科学技術政策については、ここに書いてありますような科学技術関係を含めまして、全般にわたった基本的かつ総合的な政策ははなはだ残念ながら樹立されていないんではないか、あるいはまたここに書いてありますような長期的な総合的な研究目標の設定等もほとんどできていないんじゃないかと思うのであります。私たち日本科学技術行政を見ておりますと、この項目に書いてあるようなことはほとんど今まで行われていないし、または欠けておることじゃないかと思うのであります。当然そういうことから見ますと、これはもう常にこの会議を開いてやって、いただかなくちゃならぬし、常に開くだけでなしに、急いでこの重要な、今まで科学技術の仕事をやっていながら、各省がばらばらにやっておりまして、せっかく科学技術関係に多額の金を政府は投じておるのでありますけれども、また本年度は科学技術関係予算もふやしていただいておるのでありますけれども、ここ書いててあるような基本的な大事な問題は、実は日本政府としては欠けておったんじゃないかと思うので、あります。それで政府の責任においてもこれは早急にこういう問題を取り上げて、会議を開いて、そうして解決をしていかなければならぬと考えるのでありますけれども大臣の御所見はどこうでしょうか。
  17. 正力松太郎

    正力国務大臣 これはお話の通りでありまして、実は文部省との関係なく全く没交渉になっておりまして、これはもちろん私は国務大臣として文部大臣には話をしましたけれども、それはただ二人が話しておるだけでそういうことはなかった。今度この会議ができて初めて学識経験者を入れて政策が決定するわけでありますから、私はこの科学技術会議は非常に重要な会議だと信じております。また常時研究していかなければならぬと考えております。
  18. 前田正男

    前田(正)委員 大臣のお話のように、一つ常時重要な問題でやっていただくわけですけれども、それもまたあまりゆっくりやらないで急いでやっていただかなければならないし、この問題は今まで日本で欠けていた問題だと思うわけであります。特に私がこの際指摘したいと思いますことは、政府はたびたびにわたりまして経済長期計画を発表しておるのであります。最近も経済五カ年計画を経済企画庁から発表しておるのであります。ところがこの前の経済長期計画が非常に狂った数字になっておりまして、最近またそれを改訂した五カ年計画を今申しました通り出しておるのですが、これからの産業とか経済というものは科学技術を中心にしていかなければ次の五年間とか十年間とか先の発展は予想されないと私は思います。私はこまかい数字は現在持っておりませんけれども、とにかく現在私たちが仕事をしておりますものについて、ここ三、三十年くらい前には全然日本の産業として成り立つと考えられなかったものが相当行われておるのではないかと思うのです。たとえば正力大臣関係しておられるテレビ放送とか、あるいは電気冷蔵庫であるとか、あるいはトランジスターであるとか、繊維関係ではナイロンでありますとか、いろいろ私はここ数十年前というか、三、三十年前には全然日本の産業として成り立つと考えられなかったものが日本の産業経済として現在行われ、何割という相当多数の方がこの新しい産業に働いておられると思うのであります。従って経済の長期計画を立てるという以上は、この科学技術発展の状況というものを度外視してはできないと思うのでありますけれども、実は今までの、私が拝見しましたところの日本の政府で出しました経済長期計画というものはその点が非常に欠けていると思うのであります。ここの第二条に書いてあるように、基本的かつ総合的な政策を樹立するというこの会議の任務からいって、今後経済長期計画と科学技術の方の長期発展の計画を調整して作っていく必要があると私は思うのでありますが、この点について、この会議の議員の一人として経済企画庁長官が入っておられるので、私はその点は目的を達成できると思うのでありますけれども大臣とされてはその点についてどういうふうにお考えになっておられるか、承わりたいと思います。
  19. 正力松太郎

    正力国務大臣 経済長期計画を定めるときには、どうしても科学の基礎を見なくちゃ立つものではないと思います。従って今度の科学技術会議も、経済企画庁長官を入れたのはその趣意で入れたのであります。いずれにしても今後の経済科学に基く経済でありますから——今までは科学に基く長期計画が立てられなかったわけでありますが、ここにおいて私は初めて真の計画が立ち得ると信じております。
  20. 前田正男

    前田(正)委員 そのように一つ政府部内でせっかくこの会議を設けられるのでありますから、統一されたいい経済計画を作っていただきたいと思います。  次に研究目標でありますとか、その推進方策というのが三号、三号に掲げてありますけれども、ここで一つ大臣にお聞かせ願いたいと思いますことは先ほど提案理由説明されましたときに、各機関の専管に属する事項はこれの審議を行わない、こう書いてあるのでありまして、ここに書いてあるような、二号、三号に属するようなものは各省の専管事項一つもないと私は思うのでありますけれども、こういうふうな、長期的かつ総合的な研究目標を設定するというようなことになりますならば、たとえば通産省の専管事項だといっても通産省だけで長期的な総合的な目標を決定することはできないのじゃないかと思うのであります。当然それは経済企画庁にも関係あるし、あるいはまた大蔵省にも関係するし、それを造成するに必要な技術者の養成ということになれば文部省にも関係がある。また通産省がそういう一つの専管事項を達成していけば、それに関連したほかの科学技術というものが発達していくのじゃないかと思うのです。そういうことから、こういうふうな暫定的な研究目標ということは専管事項であり得ると思いますけれども、長期的な総合的なものということになれば専管事項であり得ないと私は考えておるのであります。従いまして提案理由にはそういうことを述べておられますけれども、この科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標を達成されるとか、それに必要な推進方法の基本を作られるというようなことは、この会議としてあまり各省のことにこだわらないでやっていただかないと、そんなことにこだわっておってはこの会議としての任務が達成されないと私は考えますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  21. 正力松太郎

    正力国務大臣 今お話の通りです。長期かつ基本的といいますと、各省だけのものではありません。みんな一緒にやらなければなりません。従ってわれわれの方としては常時研究を進めなければならぬ、また常時各省とも交渉があると考えております。
  22. 前田正男

    前田(正)委員 次に、その問題で具体的な問題をお聞かせ願いたいと思うのでありますが、原子力委員会が総理府の付属機関として置かれておりまして、これはやはり決定をする機関でありますけれども、一応諮問機関であります。今度の科学技術会議は総理府の諮問機関としてあるわけでありますが、内閣総理大臣はこれに諮らなければならぬというような重要な諮問機関であると思うのでありまして、この間の問題でありますけれども、今の原子力委員会の設置された法律から見ますと、原子力関係のものは一応そこで決定をして、その諮問機関としての仕事を果すということになっておりますので、この科学技術会議原子力問題を取り上げるに当りましては、原子力委員会との間をどういうふうにされる考えでおられるのか、その点について御説明願いたいと思います。
  23. 正力松太郎

    正力国務大臣 原子力委員会原子力平和利用の問題だけでありまして、しかし大ていそのことは多くはほかの省に関係があるものであります。ほかの所管事項関係のあるものを科学技術会議で扱う、原子力プロパーの問題は原子力委員会でやる、こういうわけであります。しかしそれがほかの省に関係があれば必ず科学技術会議でやる、こういうことになります。
  24. 前田正男

    前田(正)委員 それはしかし大臣のお話でありますけれども原子力プロパーというものは実は全然ありません。どうせ大蔵省の予算をもらわなければできないし、文部省に関係のあることでありますが、しかし項目といたしましては、たとえば考えられております総合核融合反応ということになりますと、一応文部省にも、またそれは大蔵省にも関係いたしますけれども原子力の問題である、こういうことになってくると思うのであります。そういう場合にはこの科学技術会議にかけないということになっては工合が悪いのじゃないかと思いますから、これはもちろん文部省、大蔵省と総合的にやらなければならない問題であります。しかしそういう総合的にやらなければならぬ問題についても、一応原子力委員会の意見も聞かなければいけないと思うのであります。従いまして一応原子力委員会の意見を聞いてから、この科学技術会議でやるとか、あるいは委員会の意向が固まってからこの科学技術会議が取り上げるとか、その運営の仕方があると思いますけれども、どういうふうにお考えになっておられるか、その点についてお伺いしたい。
  25. 正力松太郎

    正力国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、原子力特有の問題は原子力委員会でやりますが、しかし先ほどもお話の通りに、必ず各省との関係が伴ってくるものでありますが、幸い科学技術庁長官原子力委員会委員長をしておりますから、そうしてそれが科学技術会議委員であるということだからその調整は事実上とれる、こう思っております。
  26. 前田正男

    前田(正)委員 調整がとれるということは、大体科学技術会議で取り上げる前に、原子力委員会の意向を固めてから科学技術会議が取り上げる、原子力委員会の意見がはっきりしないのを科学技術会議で先にきめて押しつけるというようなことはないということでありますか、その辺の意見をお聞かせ願いたい。
  27. 正力松太郎

    正力国務大臣 お話の通りです。大体原子力プロパーの委員会でやらせて、その意向を私が委員長として科学技術会議に話をしまして調整をとるわけであります。
  28. 前田正男

    前田(正)委員 次にこれは大臣からでなしに、ちょっと事務次官から法律の問題について一つお聞かせ願いたいと思うのであります。第十条の第二項の「常勤のものは次の各号の一に該当する行為をしてはならない。」「政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。」の問題でありますけれども、現在のような二大政党の時代になって参りまして、政治的な活動というものは当然また行われる可能性があるのではないかと思うのであります。この科学技術会議の議員というものを、第六条の常勤の議員を選ぶについては、政党の役員の者は任命をしないというようなことがここに書いてないようでありますけれども、しかしながらこの議員になっておる間は、政治運動をすることができないというようなことでは、実際問題として現在の日本の政治情勢としては問題があるのではないかと私は思うのです。これはどういう関係からここへそういうような条文が入っておるのか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  29. 篠原登

    篠原説明員 ただいま御指摘の政党その他の政治的団体の役員となり、または積極的に政治活動をすることができないという条文は、特殊法人の役員その他におきましても例があるわけでございまして、政治的の中立を守るという趣旨かと思います。政治という意味を広い意味に解釈するか、狭い意味に解釈するか——広い意味に解釈すれば科学技術会議の活動がある意味で政治活動とつながることもあるとは思いますけれども、ここでうたってありますのは、狭い意味の政治運動というふうに解釈できるかと思います。
  30. 前田正男

    前田(正)委員 この問題については特殊法人自身の中にもその役員の欠格条項としてそういう条項が入ってきておるのが多いのでありますけれども、との法案を見ますと、その欠格条項としては入っていないで、そうなった者はこういう事項をやったらいけないというように書いてありますけれども、われわれとしてはこの点についていろいろと研究しておるのでありますが、特殊法人を初めその他こういうふうなことを入れ出したのが、最近調べてみますと、終戦後の占領中の事項かと思ってわれわれは初め考えておったのでありますが、そうではなしに昭和三十年ごろから大体こういうふうな傾向になってきたようでありまして、これはかえって政治が安定してきた時代になってから、そういう欠格条項を入れておるのはどうもおかしいのではないかと考えておるのであります。この点についてはいずれわれわれの方で委員会といたしましてよく考えてみたいと思っておるのであります。  それから次に、この会議の議事は議長会議を開いてからやり方をきめると思うのでありますが、もちろん性質上、国務大臣が入っておられるのでありますから、多数決というようなことはあり得ないと思うのでありますけれども、ただ第六条の二項に、国務大臣を臨時の議員として参加させるという意味はただ発言するだけでなしに、議決にも加わるという意味で臨時の議員ということだと思うのですけれども、大体これは議決をしてやっていこうというふうな考えなんですか、それとも、大体の意見をみなで相談して、そうして多数意見あるいは少数意見というふうなものを総理大臣に報告しようということでありますか。第一、総理大臣自身が議長でありますから、その意見を大体聞いていこう、こういうふうな考え方のものであるか、その辺がどうもはっきりしないのでありますけれども、ただ臨時の議員というふうに書いてあるところを見ると、議決するために臨時の議員にしたようにもとれるのでありますが、その辺はどういうふうに会議を運営されていくのか、お聞きしたいと思います。
  31. 篠原登

    篠原説明員 大臣がお入りになっておられる会議でありますので、多数決ということは妥当じゃないのじゃないかと存じます。従いまして、全会一致の形式になるかと思います。なお第六条の第二項に「関係の国務大臣を、議員として、臨時に会議に参加させることができる。」とございますが、これはいろいろ法制局の審議段階その他におきまして、第一項の第五号の「科学技術に関してすぐれた識見を有する者四人」とございますが、識見を有する大臣でない者が発言権があって、そうして臨時にでも参加せられた関係の国務大臣がただオブザーバーで加わるというのは、大臣に対して非常に礼を失するということも考えられますので、臨時にお出ましいただく国務大臣はもちろん同等な議員の立場において御発言願う。しかしながら、先ほど申し上げましたように、多数決ではございませんで、全会一致の形式をとるのが妥当だと存じます。
  32. 前田正男

    前田(正)委員 その議事のやり方は、いずれこの会議ができてから、総理大臣議長として、議員に諮っておきめになると思うのでありますが、これは当然総理府の諮問機関でありますから、ここできめられたことは政府の決定事項でありませんで、どうせ閣議で決定しないことには政府の決定事項にならぬわけでありますから、どうせここにおられる大臣が一人でも反対しておられたならば、これは閣議で決定をできないわけでありまして、政府としては、当然その意思を統一されていかれるというふうに運営されるものと私は考えておるのであります。そのうち、特に大臣にこの際お聞きしたいと思うのでありますが、学識経験者の四人でありますけれども、これは大体どういう方面からお選びになろうとしておられるか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  33. 正力松太郎

    正力国務大臣 大体、原子力委員の四人のうちとりましたああいうふうな方針でいきたいと思っております。つまり、学者の方を主としまして、それからなお財界の方からもとる、こういうふうに考えております。
  34. 前田正男

    前田(正)委員 実は前の、この会議ができましたために自然に廃止になりましたところの、科学技術庁の方にありました科学技術審議会というものは前の学術会議科学技術審議会との間には、委員の問題について、学術会議から何人か出すという形をこの法律で書いてあったのでありますけれども、今度は科学技術会議ができたために、科学技術庁にありました科学技術審議会というものはなくなりまして、しかもこの会議には学術会議への諮問及び学術会議の答申または勧告に関することの重要な問題というものは、ここでやることになっておりますけれども、そういうことになりますと、この議員を選ぶについては学術会議との間の関連的なことを考えてやらなければならぬと私は思うのでありますけれども大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  35. 正力松太郎

    正力国務大臣 もちろん学術会議の意見を聞くもりでおります。
  36. 前田正男

    前田(正)委員 一つ学術会議との間も連絡をうまくして、議員の選任をお考え願いたいと思うのであります。またこの法律においては、これの事務をやるところが実ははっきりしてないのでありまして、それは政令で定めるというふうに書いてあるのでありますけれども、実はわれわれがこういう設置法を今作っておりますときに一番問題になってきますのは、こういうものができたから、また事務職員がふえるというようなことであっては困るというので、最近いろいろと行政整理の立場から、各省設置法の問題について今盛んに問題にしておるところでありますが、政令に委任するということは、事務局をまた別に政令で設けるとか、あるいはまた人員をふやすというような意味のものではなくして、私は、既存の科学技術庁なら科学技術庁でやるとか、文教関係のものは文部省がやるとか、こういうふうなものであって、この科学技術会議ができたために、政府の職員がふえるというようなものではないと思うのでありますけれども、その事務のやり方、その職員の考え方はどういうふうにしておられるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  37. 篠原登

    篠原説明員 この科学技術会議の庶務をどこでやるかという問題につきましては、いろいろ意見があったわけでございますが、科学技術庁としては、大学研究に関する以外のものは全部調整をする権限がございますので、ただ大学研究だけは文部省の所管でございます。従いまして、文部省とも打ち合せをしておりますのですが、庶務は科学技術庁でやる、ただし大学における研究に関しましては文部省と十分協議をするというようなことで現在まとまりつつございます。なお人員をその会議のためにふやすことは非常に妥当でございませんですけれども、たとえば常勤の議員のために多少の職員が必要でございますので、五名ばかり新しく人員を増加する予定でございます。
  38. 前田正男

    前田(正)委員 そういう意味の、会議自身に対するある程度の必要な人員ということは、われわれもわかるのでありますけれども事務局を設けたり、新しい大きな機構を設けたりというような考えではないということでありました。しかも大体それは科学技術庁でおやりになるということなら大体わかりました。そこで、この会議にはぜひ大事なものでありますから、庶務の問題についても、円満に各省と話し合って運営していただきたいと思うのであります。  ここで一つ残った問題は、実は大蔵省の方から御出席を願っておって大臣に御質問したいと思ったのですけれども、それはこの会議に諮問する事項の中で、「前号の研究目標を達成するために必要な研究で特に重要なものの推進方策の基本の策定に関すること。」というのが第二号にあるのでありますけれども、問題は、これはわれわれが前から考えておりますのは、日本のこういうふうな総合的かつ長期的な研究でありまして、重要な研究というものは、根本的に一つ促進をしなければならぬ。こういうふうに考えておったわけでありますが、しかしそれは各省にわたっておりますので、困ったものであると思っていましたところ、幸いこの科学技術会議ができるというので、われわれも喜んでおるわけでありますが、それには当然その重要研究というものを促進するために、この会議において研究項目を取り上げて、特別の予算的な裏づけをして推進していかなければならぬ、こう考えておるのであります。ところが、今度予算を編成するに当りまして、御承知通り経済基盤強化資金というものができまして、この法案国会にもかかっておるわけでありますけれども、この中に科学技術振興費というものがあるわけであります。この経済基盤強化資金の振興費というのは、この科学技術会議の第三号のために設けられたものであると私は考えておるのでありまして、その経済基盤強化資金の科学技術の部分は、すべてこの会議の第三号に該当するものとして、科学技術会議にかけてから、研究項目をきめて、そうしてその「推進方策の基本」ということでその配分をきめていく、こういうふうにすべきものであると私は考えておるのですが、大臣はいかがですか。
  39. 正力松太郎

    正力国務大臣 経済基盤強化資金というのはいわゆるたな上げ資金です。これはこの三号の研究のために使うということであります。
  40. 前田正男

    前田(正)委員 大蔵省の海堀主計官がお見えになっておるのでお聞きしたいと思いますが、今申しました通り経済基盤強化資金の科学技術の分は当然これにかけて、研究項目をきめて支出されていくべきものであるというふうに思います。今正力国務大臣からその通りだという御答弁がありましたが、大蔵省も同感であるかどうか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  41. 海堀洋平

    海堀説明員 この法律の規定は一般的に重要研究の促進の方策を諮問するということになっておりまして、これは今度の経済基盤強化資金に関することだけではなくて、広く重要なる研究の促進について諮問することになっていると了解しております。それから経済基盤強化資金の目的の中に科学技術振興ということが入っております。これは書いてあるその字句の通りでございまして、しかもその内容予算国会審議に仰ぐことになると思いますので、特に何ということを現在申し上げるわけには参らないのじゃないかと思います。
  42. 前田正男

    前田(正)委員 それは今海堀主計官の言われた通りに、ここに書いてありますものは、もちろん経済基盤強化資金の分だけではありませんで、予算にあるものも当然これに該当しますし、さらにわれわれといたしましては、せっかくこういう科学技術会議ができる以上は、次に予算を編成されるときには、当然一般会計の中において、しかもそういうたな上げ資金みたいなものではなしに、普通の予算といたしまして重要研究促進費というか、そういうふうな特別の予算を作っていただかなければ、この会議を作った意味がないと私は考えておるのであります。しかし現在のところとにかく今きめられた予算とそれから経済基盤強化資金とがあるわけでありまして、その経済基盤強化資金の分はこの会議において、研究項目——これはどういうものに出すか、もう一ぺん予算にかけてやるわけでありますけれども、どういうものに出すかということはそれはこの会議にかけてそして研究項目をきめて、出し方というものをきめていくべき性質のものである、こういうふうに私は考えておるわけであります。さっき大臣からもそういうふうな御答弁があったのでありますけれども、この点については、どうも今の海堀主計官の御答弁との間には少し不明確な点があると思うのであります。この点は正力大臣におきましても、大蔵大臣とよく御折衝願っておきたいと思います。まあ今までにおいても相当その点は正力さんとしても大蔵大臣にお話があったと思うのですが、何かそういうお話し合いがあったかどうか、なければ今後やり方についてどういうふうにお考えになっておるか、その点をあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  43. 正力松太郎

    正力国務大臣 その点、私さっき申しました点は大蔵大臣と打ち合わしてあります。
  44. 前田正男

    前田(正)委員 ただいま大臣の御答弁のありました通り大蔵大臣と打ち合せ済みであるということでありますから、海堀主計官はもちろん異論がないと思いますが、いかがでございましょう。
  45. 海堀洋平

    海堀説明員 結局諮問する事項は会長たる総理が決定されることでございますので、この字句の解釈としての重要なものの推進方策ということは、会長たる総理の判断にかかることだろうと思います。それは別にその判断をとやかく申すべき筋合いのものではないと思います。
  46. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、結局会長として、この推進方策として経済基盤強化資金の支出についてはこの科学技術会議にかけてから研究項目をきめていくということで、総理大臣議長としてこの会議できめられればいいわけでありますけれども、それは今お話がありました通り、その問題については、だれがこの会議の中へ議員として関係するかといえば、科学技術庁長官大蔵大臣関係されるのでありますから、当然この会議ではそういうことが決定されると思うのでありますが、それについてはもちろん、今の海堀主計官のお話であると、大蔵省としても異論がない、こういうわけでございますね。その点を一つはっきりしておいていただきたい。
  47. 海堀洋平

    海堀説明員 その点はやはりこれは内閣の諮問機関でございまして、そういうものについて諮問をした結果は大蔵大臣も入っておりますし、尊重はしなければいけないと思いますが、やはり科学技術に関する諮問機関でございますので、予算全体を編成する際には、尊重はいたしますけれども、それに絶対的に拘束を受けるということになってはいけないのではないか、そういうふうに考えております。
  48. 前田正男

    前田(正)委員 どうもそれはおかしな話じゃないですか。私の言っておるのは予算全体の話じゃなしに、経済基盤強化資金の科学技術に関する費用の話をしておるのでありますから、大蔵大臣が出て科学技術関係はこれに賛成だということになれば、事務当局としても異論がないと思いますが、いかがですか、その点一つはっきりしておいていただきたい。
  49. 海堀洋平

    海堀説明員 法律的にはやはり諮問機関でありまして、それに拘束されないということはやむを得ないのじゃないかと思います。
  50. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、法律的にこの会議はそういうふうなことになっても、今度大蔵大臣としては、その経済基盤強化資金というものをやるということに議員として賛成されておって、先ほど話した通り科学技術庁の正力大臣大蔵大臣との間が了解済みということになれば、大蔵省としては大臣のきめたことに従うことは当然だ、行政官庁として大蔵大臣が賛成しておられることに対して大蔵省の事務当局は従わないということですか、そういうことはないと思うのですが、その点一つはっきりしておいていただきたいと思います。
  51. 海堀洋平

    海堀説明員 この諮問機関の構成員としての大蔵大臣と、それから閣議におけるあるいは内閣における大蔵大臣の立場というものはやはり別でございまして、法律的には、やはり一応賛成ということになっておりましても、それはこの会議の構成メンバーとしての大蔵大臣の意見でございまして、予算を決定する際にそれに法律的に拘束されるということはないのじゃなかろうか。しかし事実上同一人でございますので、その議事を尊重して予算の編成を行うということになろうかと思います。
  52. 前田正男

    前田(正)委員 あなたの今言っておられるのはこの会議のできたときの話でありますけれども、現在はこの会議はまだできていないのです。この法案を提出するに当って、正力大臣大蔵大臣とが国務大臣として相談されてきめられたことでありますから、それは今言ったように、会議の議員としての大蔵大臣じゃなしに、この法案を政府として決定するに当っての国務大臣としての了解事項だと思うのでありますけれども、その点は大蔵大臣としてそういう方針であるということになれば、大蔵省がそれに従うのは当りまえじゃないか、こう思うのです。会議ができてから、その中で大蔵大臣が議員の一人としてそういうことをきめられたというような場合は別でありますけれども、現在まだ法律提案になって会議ができていない、議員としてまだ資格を持っておられないのでありますから、今法案提案するに当って、国務大臣としての正力大臣から国務大臣としての大蔵大臣に話されて、そして大蔵大臣から了解を得てこの法案は政府の決定事項として、この委員会提案になっておるわけでありますから、その政府の方針としてきめられた事項に対しまして大蔵当局は異論はない、私はこう考えるのですがどうですか。
  53. 海堀洋平

    海堀説明員 説明の仕方が悪いのかと思いますが、法律案はあくまで諮問機関ということになっておりますので、法律的にはやはり絶対にその諮問した事項の答申に拘束されないということは、この法事の建前から見ましてやむを得ないんじゃないかと思います。ただ大蔵大臣が構成メンバーになっておりますので、事実上その意見を尊重して予算の編成に当るということは当然のことと考えますが、法律的にはやはり拘束を受けないと申し上げるよりほかないと思います。
  54. 前田正男

    前田(正)委員 だから、私が言っているのは、法律的なことはわかりましたけれども法律的な話じゃなしに、法律を作る前の段階で、法律国会提案するに当って、行政府として政府は責任があるわけでしょう。この科学技術会議法律の話をしておるのじゃなしに、この法案を提出する政府としての、行政府としての責任において、その国務大臣として、これはこういうふうになるんだ、大蔵大臣としてはこうやるんだ、こういうことできめられたということは、当然、政府、行政府の責任としてその仕事に従うべきじゃないかと思うのですが、これはどうですか。これは法律関係ない話だと思うのですが、どうですか。
  55. 海堀洋平

    海堀説明員 質問の趣旨を誤解しているかと思うのでございますけれども、重要研究促進方策ということがどういうことであるかということは、諮問される総理が判断され、その中に、その担当の国務大臣大蔵大臣がこういうものであるということに相談があったことについて異論を申し上げているわけではございません。
  56. 前田正男

    前田(正)委員 大体異論はないようでありますからまあいいようでありますけれども、要するに私が申し上げているのは、この法案を提出するに当って、政府としては経済基盤強化資金の中の科学技術のものはこの会議に当然かけて、項目をきめていくことになるわけでありまして、先ほど大臣から御答弁になりました通り、正力大臣大蔵大臣も承認しておられることでありますから、ぜひ一つそういう点について遺憾のないように、この会議を運営していっていただきたいと思います。  それから最後に一つ、正力大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、今私が質問申し上げました通り、今回は一応そういうたな上げ資金と現在のきめられた予算ということで、この重要な、研究を推進することになると思うのでありますが、せっかくこういうふうな、大臣がたくさん入られてりっぱな科学技術会議ができるという以上は、日本科学技術振興しなければ何も役に立たないと思います。従いまして、当然現在のようなたな上げ資金の形じゃなしに、重要研究促進費といいますか、やはり相当多額の研究費というものを将来予算に組みまして、この会議を運用していくというようなことでなければ、真の日本科学技術振興はできないと思うのであります。この予算をとるについてはもちろん担当の正力大臣に奮闘していただかなければならぬと思うのでありますが、その決意一つお伺いして、私の質問を終ります。
  57. 正力松太郎

    正力国務大臣 お話の通りに、実は私もその十分な決心をしておりますが、御承知のごとく、アメリカでは科学技術のためには二兆円という予算をとっておりますし、それからソ連が一兆二百億、それからイギリスが二千億円、日本はわずかに民間と合せて四百五十億くらいであります。まことに情ない状態でありますが、しかし何しろ戦後十年も立ちおくれた日本でありますから、急にたくさん予算ばっかりとってもいきませんので、手ぬるいかもしれませんが、徐々にふやしていくつもりでございます。どうもありがとうございました。
  58. 山本正一

    山本(正)委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめまして、本会議散会後、再開することといたし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後四時四十八分開議
  59. 福永健司

    ○福永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題とし質疑を続行いたします。受田新吉君。
  60. 受田新吉

    ○受田委員 私この皇室経済関係で特に問題として指摘したいことは、皇族の身分にある方々に対する、特に独立の生計を維持する立場に立たれておる方々、そういうものを基準にして皇族費を計算しておられるようでございまするが、その独立の生計を立てられる方々というのはどういうものを基準にして考えられておられるかをまずお伺いしたいと思います。
  61. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 独立の生計を立てられるということは、特に基準として明確な規定があるわけでございませんけれども、要するに収入あるいは歳入というものを独立して経理される一つの世帯というふうに大体考えております。具体的にはこの基準になっておりますのも、親王が一家の生計を立てられるというものを基準にして考えられておるのでございます。
  62. 受田新吉

    ○受田委員 親王と内親王で、国の負担が違うわけですけれども、これは独立の生活を維持せられる親王と内親王とに差等をつけておられることはどこに根拠があるのでございましょうか。
  63. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 成年に達せられた親王が一つの世帯を立てられるということを基準にして考えておるのでありまして、それで一つの宮家というものの世帯を立てていかれる。それに対しまして、妃殿下ができましたときにはその半額ということで、一つの世帯が構成される。さらにお子様ができますれば、それに対して定額の十分の一を加えるという考え方のもとに、宮家という一つの世帯の経理上必要なものというふうなことを中心に考えまして、一応の基準といたしたわけでございます。
  64. 受田新吉

    ○受田委員 親王と内親王とは同じ金額で差しつかえないのじゃないかと思うのです。独立の生計を維持するに足る親王に対する国の負担と、独立の生計を維持する内親王に対する国の負担は同額でいいのじゃないかと思いますけれども、そこに男女の差をつけておられる根拠はどこにあるかということを今お伺いしたのです。
  65. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 宮家で親王お一方というものを基準にいたしておりますが、たとえば夫たる親王を失われた妃殿下はやはり一家をなされていくわけです。そのときは親王と同じ額をもらわれるという考え方でございますが、両殿下が一つの世帯を立てられるというときの一つの基準としましては、親王中心に妃殿下がおられますために、必要な経費という考え方で増額の措置を考えたわけでございまして、何もここで男女の同額というこを考えたわけでございません。一つの世帯というものを中心に考えたわけでございます。
  66. 受田新吉

    ○受田委員 この皇室経済法の中にも掲げられておる規定でございますが、独立の生計を立てておられる内親王という場合があり得るわけですね。それはたとえば成年に達せられた内親王さんがおられるという場合に、これは御主人が亡くなられたという方でなくして、独立されておる内親王という場合をお考え得ると思うのでございますが、それが親王のいただける国の負担金の半分にしかなっていない。この理由はどこにあるかということをお尋ねしたわけです。
  67. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 その規定につきましては、御結婚になっていない内親王が一家をなされるという場合だろうと存じますが、その社会的な御活動の実態というものが、その場合には少いのじゃないかというような考え方からいたしておるわけでございます。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 独立の形をおとりになられる場合に、内親王の方が経費が少くて済むというその考え方、それにちょうど半額で済むという根拠が、私はどうも釈然としないのでございます。何かその額をきめられる際に根拠になる規定というものが設けられたのでございますか。ばく然と金額がきめられたわけでございましょうか。
  69. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 この皇室経済法が当初きめられましたときからそういう立て方で参っておりまして、御家計というものについて、妃殿下が二分の一あれば適当だという非常な明確な根拠ということになりますと、なかなかむずかしい問題になりますが、大体その程度を加えていただければ足りるのじゃないかという考え方から出ておるわけでございます。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つお尋ねして質問を終りたいと思うのですが、独立の生計を立てられる親王ということになると、大体成年に達せられるという基準がその中に一つ入るのでありますか、いかがでありましょうか。
  71. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 仰せの通りだと存じます。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 皇室典範の二十二条に、天皇、皇太子、皇太孫は十八才をもって成年とするということになっております。民法の第三条には満二十才をもって成年とするいう規定が書いてある。従って民法の場合には旧民法では二十才に達せざる未成年者は無能力者という形で処理されておったわけであります。今日においてもそうした法律上の制約があるのでございますが、この天皇、皇太子、皇太孫という地位にある方は十八才をもって成年とし、ほかの親王は二十才をもって成年とするということにされていることについて、その理由をお示し願いたい。
  73. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 天皇、皇太子、皇太孫が、普通と違いまして十八才をもって成年と定められておるのでございますが、それはやはり摂政の問題から起っていることと考えております。すなわち天皇が未成年でおられますと摂政を置くわけでございまして、なるべくそういうような異例な状態を少からしめる、あるいは皇太子、皇太孫について十八才といたしましたことも、同様に、その他の方が摂政であられることよりも、直系の方に摂政に早く御就任願うというような点から、そういったことがきめられたのだろうと考えております。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、摂政になられる方のある場合の特例として、特に年令を早めて十八才をもって成年に達することと皇室典範で規定されたということになると、これは一つ問題が起ると思います。十八才をもって成年とする天皇、皇太子、皇太孫の場合と、それから二十才をもって成年とされるほかの親王の場合とでは、ここに二才の差があるわけです。この二才の差がただ単に便宜主義で二才ときめられたということになると、成年の意義を失うものだと思う。成年というのは、心身の発達が基準に達したものとして、一個の人格を備えたものとして認められる形で成年が規定されるのでありますから、摂政を置く場合のことを考えると、むしろ摂政を置くよりは、十八才でまだ未熟であり、若くて能力が劣っておっても天皇、皇太子の方が立場がいいのだということになると、これは一つ問題が起ると思うのです。それは私は民法の規定と皇室典範の規定とを十分調整する責任が政府にありはしないかと思う。政府自身がそういうものを法案として出されるとか、改正案として出されるとかいうような用意をするくらいの大事な問題になると思うのです。簡単に、摂政を置くよりは、十八才でも、能力が不十分であっても天皇の方がいいのだ、あるいは皇太子が摂政になる方がいいのだという、こういう考え方は割り切れないものがあると思うのです。一歩進んで法律的根拠を、法制局次長もおられるようでございますから、法制的立場から御説明いただいたらどうかと思います。
  75. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。ただいま宇佐美長官からお話がありましたように、一般の成年というのは、御指摘のように民法第三条に二十才、二十年ということに相なっておりますし、この皇室典範によりますと、お話のように天皇、皇太子、皇太孫の成年は十八才になっておりますが、その理由は先ほどお話申し上げた通りでございまして、御心配の点はそういう関係から十八才ということになっておることと、十八才というのはやはり人間としての発育の段階をとらえての問題である、その一般的な見方との関連はどうか、それだけの特性から、他面の心身の発育というか、そういう方面からの見方というものを度外視するのは、少と行き過ぎではないかというような御質問のように拝聴いたしたわけでございます。申すまでもないのでございますが、人の行為能力を取得するための年令が何年であるかというのは、これは実は一律に二十年ということになっておりますが、これ自身が、実を申し上げますと、それぞれ人々の発育の状況も違うことでございますから、一律に二十年とやるのが原則的には正しいだろうという見方から立って、二十年ということになっておると思うのでございます。従って、二十年とはございますが、婚姻をした者とか、何か特殊な営業なんかにつきましては、必ずしも成年二十年というものをそのままに受け継いでいない例外的な場合もあるわけでございます。そういうような観点から見まして、やはり日本の憲法に認められておる天皇に関する規定等の関係からいきまして、天皇の地位につかれるその部面から、やはり摂政というような、いわば特例的な措置の生ずる場合をなるべく少くし、また摂政となる人の順位をなるべく皇太子、皇太孫の、つまり天皇の御親近の方から選び出そうというのも、これは一つの合理的な考え方であろうと思うのであります。従って、その程度でどうかという程度の問題はございますが、そういう見方からして十八年にしたというのは、これは相当程度合理性のあるものとして許されるのではないか。そういうわけで、この法律は、たしか第九十一帝国議会だったと思いますが、そこで御審議をいただいて成立したわけでございますが、大体今申したような趣旨に立っておるわけだと思います。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 時間がないので、もう質問は終りたいのですが、あなたの今御答弁されたことは、何だか便宜主義のように感じられてしようがないのですが、旧皇室典範にも、やはり天皇及び皇太子の場合の成年は十八才とされておったわけです。これは新旧皇室典範は同じです。しかし、今ほかのいろいろな法規を見ますと、少年法が二十才として一つの基準を設けておる以外は、大体十八才です。他の社会、産業諸関係法律を見ましても、十八才をもって一応の能力者としての限界を定めておるわけです。心身発進の問題とあわせて、法律的な基準をその人に付与する問題とを二様に考えるということでなくて、これは一本に考えるという立場から見ても、大体十八才というものは、最近の諸立法の一つの通則だと思うのです。そうなれば、民法の第二十三条を改正して十八才とする考え方もあるし、いろいろ方法があると思うのですが、十八才はまだ心身発達の段階において十全ではないという結論を、法制局としてはお持ちでございますか。他の法律とのつながりもございますので、一応見解を伺っておきたいと思います。
  77. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ごもっともな御指摘だと思いますが、ただいろいろな法律で、ある対象者の年令を制限しております場合には、やはりいろいろな角度からの見方があるものだと思うわけでございます。民法などは特に申し上げる必要もないほど、御承知のことではございますが、やはり法律上の行為能力というような観点から見ておりますので、他の立法が十八才を基準にしてある法制を立てているからといって、この場合も十八才でいいということにはならぬと思いますが、しかし、何分やはり時勢の進歩とともに、成年の段階をどこにとるかということも、これは一つの問題であろうと思います。ただ今御指摘の点だけから二十才を十八才にするのが相当であるということは言いかねると思いますが、一つの問題として考えるにふさわしい問題であるかもしれません。私は今それを断言することをはばかりますけれども、御質問に対してのお答えとしては、他の法律から一がいに、二十才になっているからといってこれを十八才にしていいということにはならぬだろう。その理由は何かといえば、やはりそれぞれの法制におけるものの見方というものは違うのであって、民法においては法律上の行為能力という点に着眼して見ておりますので、やはりそこには差等が置かれているのも理由があるものであろう、こういうふうにお答えしておくにとどめたいと思います。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 皇族の方が十八才で結婚された場合には、民法の適用を受けますか、行為能力について……。男子の場合です。
  79. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 男子の場合について、結婚された場合の成年者の取り扱いとして、非常にむずかしい問題をいきなり指摘されまして、少々閉口するのでございますが、大体ものの見方として、皇族員としての皇族の方々には一般法規の適用がどの程度までいくかという大きな問題になろうと思います。これにつきましては憲法上の天皇の制度といいますか、そういうものについて見られる限りで、合理的と認められる範囲では、いわゆる平等原則の例外的なものも考えられるというわけで、それの特則的なものが、すなわち皇室典範なりいろいろな法律となって出ておるわけでございます。ただいま仰せになりました点は、実はそのほかの法規には別に明文の規定がないわけで、一にかかって解釈論になると思いますが、どうも突然のことで、ちょっと研究をさしていただきたい、こういうふうに思います。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 それじゃ宇佐美長官に関連してお尋ねします。十八才で結婚された親王の場合に、独立の生計を保つものという皇室経済法の規定は適用されますか、未成年者であっても……。
  81. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 十八才で御結婚になるという事実が、将来どういうことか存じませんけれども法律的の問題といたしまして、皇太子、皇太孫がいわゆる内廷から離れられて独立するということは、あまり考えられていない。内廷費の範囲の問題として一応考えられているわけでございますが……。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 皇族が親王の場合、十八才で結婚された。そうしますと、一家を作られることになると思うのです。その場合は未成年者であっても独立の生計を保つものだという認定に立つものかどうか。
  83. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 これは実際御結婚になりまして、御両親から離れて実際に独立の生計を立てておられるかどうかということをよく見た上で、決定すべきものと考えます。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 民法では、男子は、十八才で結婚をしても、未成年者であっても、それはすでに行為能力を有する。その者のなした行為に対する法律的効果があることが認められておるわけであります。女子は十六才に達して結婚される。十八才、十六才以下であれば別問題です。従って、民間ですでに特別の規定を設けて独立の性格を付与しているときに、皇室の場合はいろいろ検討してみて、それがその条件にかなうかかなわぬかを審判するのだというようなことでは、はなはだ私は怪しいものだと思う。やはりこういうことをあれこれ考えなければならぬ。皇族の場合でも、若くして結婚される場合があるわけです。そこをはっきりしていただかなくてはならぬ。私はせっかく皇室経済法の中にある、この独立の生計を保つという規定によって、成年が二十才というところにはっきり引かれておるということになるならば、結婚された場合には十八才で独立の生計を保つものと見るかどうかということを、はっきり示しておかなければ、この法案を通すわけにいかぬと思うのですがね。はっきりしておいて下さいよ、あいまいにしておいちゃ困る。
  85. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 ただいまの御質問で、十八才で結婚されまして独立の生計を立てられるという事実がございますれば、そういうふうに皇室経済会議を経てきめられるものと考えます。
  86. 粟山博

    粟山委員 関連して。受田君の質問は、私はやはり大いに考慮する価値があると思われます。かつての旧憲法におきましての摂政の官の地位及び権能というものは、天皇にかわるべきものであるから、非常に重大なものであった。今日においては象徴としての天皇にかわる行為を代行せられるのであるから、私はもう根本的な意味において非常に違うと思うのです。そこで民間の民法と皇室に関する規定との間において、今日しいて説明を求められねばならぬような状態になっておることが、果して適当であるかどうか、これは考うべきことだと思う。この点について宇佐美長官は、だろう、だろうとおっしゃるけれども、私は旧憲法で十八才にされたということは、よほどの御研究と論理があったろうと思うのです。ことに皇室に御関係なすった各種の委員というものは、貴衆両院から特に人を選抜し、また皇室におかれましては元田永孚先生とか杉浦重剛先生というような、人格、閲歴の上からいっても、何人でも頭を下げるような人が御参画になり、ことに井上毅先生など、おそらくそういう時代の最高の学者、人格者をお集めになって御決定になったことと思うのでございます。それで、記録は十分にあると思いますから、長官は、だろうというようなことでなく、こういうことで旧憲法は十八才にした、新憲法は漫然としてこういうあとを追っているようであるけれども、今日においてはかくすべきものであるとか、そのままでおくべきものであるとかいうことについては、単に法制局の法文の解釈ばかりでなく、十分御考慮あってしかるべきものだと本員は考える。別にお答えを必要といたしませんが、私の所感を述べまして御参考に供したいと思います。
  87. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 先ほど御質問がありました点、大事をとって保留しましたけれども研究の結果をお答えします。先ほどもちょっとお触れになりましたように、民法の七百三十一条の規定によりますと、男は満十八才で婚姻をすることができるという規定がございますが、未成年者が婚姻したときにはそれによって成年に達したものとみなすということでありますので、この皇族といいますか、天皇、皇太子、皇太孫の場合は、実はそれが合致するわけでありまして、法律上の疑問の点は出ない。逆に申しますならば、未成年者が婚姻した場合には成年とみなされるという結論はその通りと申してよろしいだろう、こういうことをお答え申し上げておきます。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 それならば宇佐美長官が念を入れられた御発言は無用の御発言だったということになる。よくその実態を調べてからということでさっき御答弁があった。つまり十八才の場合でも、独立の生計を保つに足る形があるかないかを十分検討してからきめるべきものであるという御答弁があったのですからね。
  89. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいま御指摘がございましたが、ただいまのは年令の未成年、成年の問題でございますが、そのことと独立の生計を営むということとは直接的には実は関係がないものでございますので、おそらく宇佐美長官がおっしゃったことは、私が今申し上げたことによって変更する必要がないのではないかというふうに考えます。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 今栗山委員から関連してお尋ねいただいたわけですが、やはり主権在民という憲法ができた今日、皇室典範にだけ何か特権的な形のものを温存しておくということは私は問題があると思うのです。やはり天皇の場合でも、民間の場合でも、同じ年令をもって成年に達するという形をとるべきであり、結婚の年令の規定も同様でいいのです。皇室の場合だけ、ある特定の三方だけが十八才というようなものを設ける必要はない。もしそれを設けるのであれば民法の規定も変えて、十八才でもう一人前ということになれば十八とすればいいので、そこに差等をつけているところに私は問題がある思う。  それからもう一つは摂政を置くということでありますが、能力のない天皇がおられるよりは、ちゃんとした能力のある摂政のおられる方が、むしろ国のためであるということを考えたならば、年令の差等を天皇、皇太子、皇太孫にだけ置く必要がないという結論に達すると思いますがどうでしょう。
  91. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 今お述べになりましたが、先ほども御意見のございました通り、十八才ときめられたことにつきましては、当初申し上げました通りに、皇長子が皇位を受けていくという点につきまして、十分考慮せられまして、摂政の場合におきましても、なるべくそういう方が摂政につかれることがいいのであるという建前から定められたことでございまして、るるお述べになりましたが、十八才におきましてそういうようなお仕事につかれても、特にここにおいて支障があるという考えはとっていないものと考えております。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 きょうはこれで質問を終ります。
  93. 福永健司

    ○福永委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十九分散会