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1958-04-03 第28回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月三日(木曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 矢尾喜三郎君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 徳田與吉郎君 理事 永田 亮一君    理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君    理事 中井徳次郎君       菅野和太郎君    渡海元三郎君       早川  崇君    古井 喜實君       今村  等君    大矢 省三君       加賀田 進君    北山 愛郎君       門司  亮君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相澤 英之君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇五号)      ————◇—————
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。質疑通告順によってこれを許します。川村継義君。
  3. 川村継義

    川村(継)委員 地方交付税関係の問題につきまして、二、三お伺いいたしておきたいと思います。  本年度交付税総額は二千二百四十億くらいだったと思いますが、三十二年度の当初の計画は一千八百六十七億、それに公債費対策としてひもがついたのが八十六億ほどあとで加わった。ところが二月、第二次補正だったと思いますが、七十八億の補正額があったわけであります。この七十八億についてどのように処理されたのか。まずそれからちょっと、これは財政局長からでいいですから……。
  4. 小林與三次

    小林(與)政府委員 七十八億のうち、御承知通りこの前普通交付税交付税額が足らぬものですから調整減と申しますか、減にした金額、それから〇・一五が去年至急されましたがこれが当初予定されておりませんでしたのでその金額、それを合せまして三十四億ございます。これを交付いたしまして、そのあと四十四億残っておるのでございます。その四十四億につきましては、これはこの前の委員会でも議論になりましたが、そのうちの八割を基準財政需要額に按分して配ることにいたしました。あとの二割は逆按分とでも申しますか、団体財政力によって逆に配る、こういう配り方をいたしたわけでございます。
  5. 川村継義

    川村(継)委員 私、先日二、三日欠席いたしましたので、多分そのときこの内容についてはいろいろ御説明があっただろうとは思いましたけれども、よく存じませんでしたので今お聞手したわけであります。  大臣お尋ねいたしますが、この七十八億というのは、三十二年度に当然処置しなければならない分が三十四億あったわけです。あとの四十四億については、今局長の話を聞けば、八割については交付税算定基準に基いて配付した、二割については財政力等と見合って配付したと言われるのですが、この七十八億というものは、三十二年度交付税総額としては何かもうけたというような気持で受け取っておられるのですか。自治庁としてはこれは当然必要であったとお考えになって受け取り、配付されたのですか。その点、一つお聞かせ願いたい。
  6. 郡祐一

    郡国務大臣 これは三税の増収に伴いまして当然交付税として入ってくるものでありまするし、補正の機会がなければ翌々年度精算分として入ってくるものでありますから、決して川村委員のおっしゃるようにもうけたものではなく、当然入るべきものが入って参ったということであります。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 その通りだと存じます。従って補正も組まれたと思いますが、そうしますと、実質的にはこう考えてよろしゅうございますね。三十二年度交付税総額は、当初の計画と、公債費対策に使われた分と、今の七十八億をプラスして、合計二千三十一億七千万円ですか、そういう形になる。これが三十二年度交付税総額だ。そうなると、ことしが三十一年度から繰り越してきた分を合せてみれば二千二百四十一億余りでありますから、財政計画の上では昨年度に比べて二百八十六億の増だ、こうしてありますけれども、実質は二百八億余りの増である、こう考えて間違いはありませんね。局長どうですか。
  8. 小林與三次

    小林(與)政府委員 結局最終の数学と比較すればそういうことになろうかと思います。財政計画はこの前の財政計画の当初計画数字と比較したものですから、そうなると思います。川村委員のおっしゃる通り交付税としてけその通りでございます。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 三十一年度から繰り越してきている分を差し引いて三税の収入見込みは二千百二十一億だ、こういうことだったと思いますが、それと比べて三十二年度に使った交付税総額は、三税収入見込みからすると九十億くらいの増加にしかならない。これは一応三十一年度から繰り越してきた分考えの外に置いて考えると、数字的にはそうなると思う。そうすると、ことしの減税政策によって二百何十億かの減税国税においてあると思うのですが、これによって地方税はね返り分としてたしか減収は六十七、八億出てくる。こういうことを考えると、三税の収入見込みと比べてみて、三十二年度交付税総額を比較してみると、九十億くらいの増加ということは、減税政策により失われた分を考えればそう大差はないという考え方が出てくるわけです。そこで三十一年度の繰り越しを合せて考えてみても、実砥の増加は二百八億余りだということドなります。ここで私は長官にお伺いいたしたいと存じますが、長官提案理由説明の言葉を拝借いたしますと、「今般地方交付税率を一・五%引き上げ、増強せられた地方交付税配分か通じて、この公債費問題を恒久的に解決することとするとともに、極力既存地方税源の確保をはかり、なお一般会計における地方債を可及的に一般財源に振りかえ、」云々、こういうふうに提案理由で御説明になっております。今数字的に申し上げましたように、財政計画の表の上では二百八十六億の増というふうに計上されてありますけれども、実際は二百八億しか増加していない。しかもその中には、公債費問題を恒久的に解決する、こういうように、交付税増加によって、一つの大きな施策がなされたように書いてありますけれども、この点についてわれわれといたしましては、増強だと長官がおっしゃっておられることを、二百八億くらいの増加ではそのまま納得がいかない点が残るわけであります。そこでこの公債費対策の点をまずお伺いいたしますけれども、いわゆる交付税の中に出て参ります特別措置債というものは、大体元利償還金の全額を見るようになっておるかと存じます。これは昭和二十六年、二十七年、二十九年度給与関係の問題にかわる地方債元利償還の問題だと思いますが、この額と特定債といわれる額を合せると、これも御説明があったかもしれませんが、どのくらい見込んでおられるのでありますか。
  10. 小林與三次

    小林(與)政府委員 特別措置債と申しますのは現債高が百十六億、こういう数字になります。それは三十二年度で、三十三年度は百二億、その償還費が十四億ございます。特定債の方は、現債高が三十三年度二千二百八十一億、その償還費が八十四億、合計いたしまして、現債高二千三百八十三億で償還費は、交付税対象としておりますものが九十八億ということになります。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 特別措置債の三十三年度現債高が百二億、その中で三十三年度償還額が十四億、特定債の方が三十三年度現債高が二千二百八十一億、三十三年度交付税の中で見込んでいくものが八十四億、合計九十八億、その中で交付公債といわれるものは、自治庁から提出された資料によりますと、三十三年度償還額は四十五億四千万となっておるのでありますが、交付公債の額はいわゆる八十四億の中に四十五億四千万含まっている、こう考えて間違いございませんか。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 ちょっとさっきの数字に少し私の方で申し違いがございます。償還費の方が、特別措置債の十四億は正しい数字ですが、特定債の八十四億と申しましたのは、この交付税対象にしておる経費でございます。それで、償還費総額は、その四倍に当る三百三、四十億が総額でございます。この交付税法で見ようというのはそのうちの八十億、その数字を私ちょっと誤解して申し上げましたから訂正いたしておきます。  それから今の直轄事業交付公債の問題は、このうちで災害に伴うものは例の災害債の方で考えておりますから、それだけ引けばその通りでございます。
  13. 川村継義

    川村(継)委員 合計いたしまして九十八億というものが一応交付税対象として元利償還考えていく、こういうことになってくるわけでありますが、この問題はこの前の国会でもいろいろ論議されて問題になったようであります。この特別措置債のごときを交付税措置させるということは、どうも私まだ納得のいかないところがあるのです。この点は一つ大臣から明確にお聞かせおき願いたい。と申し上げますのは、当然国が出してやらなければならぬ金、財源を、特に給与関係費用等を、国の都合で地方に金を借らせて、そうしてやらせておいて、あと利子を取り支払いをさせる、こういうような形になっておるものを、地方団体が当然自分財源として法に基いて手に入れる交付税の中から措置するということは、ちょっとおかしいのじゃないか、こう私は考えざるを得ないのです。だから、大臣にこの点について明確なる御説明をお願いいたしたい、こう思っているわけです。つまり、これはいいたとえではないでありましょうけれども子供に百円やらなければならぬ、これはもう当然やらなければならぬ、ところが今現金がないから待て、そのかわりに金を借るならば一つ貸してやろうというようなことで、仕方がないから子供が金を百円借りた、その金については利子も出せ、元金はこういう形で払え、こういうようなものの考え方になってきているのじゃないか、私はそういうことも考えて実は疑問に思うのです。しかも交付税というものは、これは私のあれから言うと、ちゃんと交付税法に基いていて、自治庁大蔵省が何か恩恵的に地方団体に分けてやるというものではないと私は思う。一面から言うと、地方のほんとうの自主的な財源である。国の立場から言うと、それは調整的な意味を持つ政策的な財源ではありましょうけれども、これは地方団体が自主的に自分のものとして十分運営できる。しかもそれは法に基いてとって使える金ですし、これは地方団体からいうならば、自分の金であるわけです。その金の中から、今申し上げましたような理由で、国が当然措置しなければならぬ金を負担させるということはどんなものであろうか、こういうふうに考えられてならないのです。これは以前にも何かそういういろいろな議論があったと思うのですが、それを今度いかにも鬼の首でもとったように、実にいい政策を打ち出したかのごとく、増額せられた地方交付税配分を通じて、公債費問題を恒久的に解決する、こういうようにうたい上げられた。それについて私はどうも納得のいかないところがございます。先ほど申し上げますように、この点について大臣から一つ明確にお話を願いたい。
  14. 郡祐一

    郡国務大臣 確かに給与等に要しました経費公債でまかなわせたということは、まことに無理なことであります。しかし当時の地方財政、国の財政から、そのような措置をとらざるを得なかったことでありますけれども、そのために地方財政は非常に苦しく相なりました。それでその始末をつけますのに、特別の補給をいたしまして、特定財源を与えるというのも、確かに一つ方法ではございましょう。しかしながら私は全般的に見まして、今の地方には一般財源を与えることが必要だと思うのであります。御指摘のように特別措置債等について、新しい財源を与えてやらなければならぬことは当然でございます。その新しい財源一般財源で与えられましょうと、あるいは特別の補給的なもので与えられましょうと、どちらでありましても、とにかく新しい財源を与えなければならない。それでかつて交付税増額率とあわせて補給金的なものを考えた時期もございます。しかしむしろ地方財源をあまりひもがついたと申しますか、一つ一つに充当する財源というよりも、自主財源とあわせて、おっしゃる通り地方の共通の財源であります交付税というものでまかない得るならば——まかなえない場合は困りますけれども、まかない得るならば、新しい金を与えることができるならば、それで公債費始末をするということは、筋としていいのじゃないか。むしろ一般財源をこれからも交付税にして参ることを、地方のために考えなければ相ならぬのでありますが、そのような意味合いにおきまして、三十三年度において、交付税でそのような特別措置債等について処理ができる、これでとにかく公債費の問題は解決できる、こういう工合に考えまして、私は必ずしも特定の目的のための財源を賦与いたしませんでも、むしろどちらかといえば、一般財源で賦与していくということの方法が、むしろいいのではないか、これからもその方に財源増強をはかって参りたいと思っております。
  15. 川村継義

    川村(継)委員 今の長官考え方はよくわかるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、どうも公債費対策の本質的な問題として、これがもしも本年度百億ばかり、九十八億というものが、別の形において措置されて、交付税対象になっていない、こういうことであれば、一般交付税額がそれだけ多くなる。いわゆる完全に二百八億というものが、実質的に三十三年度地方自治団体が自由に一般財源として使える大きな力になるのではないか。ところがその中に百億ばかりの公債費対策というものが入っておりますので、これは地方団体は当然現状においては償還しなければならぬ金ではありますけれども、それがあるために、結局交付税総額として、従来の交付税考え方からわれわれが見て参ると、増強せられたものは実質的には百億ばかりしかないじゃないか、こういうように思うわけです。私はそう考えざるを得ないのであります。この際、大蔵大臣何かお急ぎのようでありますが、今の問題について大蔵大臣のお考え一つお聞かせ願いたい。私たちはこの公債費対策のことを先ほどお聞き下さったと思うのですが、当然国が出すべき財源を出さないでおいて、地方債始末させた。こういうものについて今回元利補給をしてやろう、見てやろう、これはけっこうなことでありますが、その精神を生かせば別の面でちゃんと見てやるということが、地方団体に対する親切でもあるし、それが筋の通った処置ではないか、こうかねがね私としては思っております。今度は交付税の中に入ってきておるわけでありますが、実はこの前の国会でこのお話も出たときに、自治庁当局も当時の長官等は、交付税の中に盛り込んでこの始末をすることは賛成ではなかった。ところが大蔵当局からいろいろと理屈をつけられて、昨年度ひもがついた八十六億というものをぶち込んでもらった。今年は恒久的措置でありますけれども、やはり交付税の中に入ってきておる。大蔵大臣としては私が先ほど申し上げましたように、当然国で見てやらねばならないような特別措置債については、別途の法律元利償還を見てやるというお考えがないものか、あるいはそういう御意思があるのか、今後また、今は交付税に入っておりますが、考えていただけるのかどうか、大蔵大臣のお考え一つお聞かせ願いたいと思います。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま御質疑の点でありますが、先ほど自治庁長官から御答弁もありましたように、私どもとしては一番重点は、地方財政がどういうふうに充実強化されていくかという点にあるのでありまして、地方財政歳入面におきまして全般的にこれが強化充実していけば、自然歳出面はこれによってまかない得る、かような考え方をいたしておるのであります。公債費につきましても、そういう見地から財政需要計画の中に入って、これが交付税の中に入っておる、こういうふうになっておるのであります。最近の地方財政状況を見ますと、三十一年度決算を見ましても、また三十二年度状況、それから三十三年度の今までの様子を見ても、むろん必ずしも御満足の域には達せぬと思いますが、漸次地方財政内容も改善されて充実していく、諸般の問題が漸次解決を見つつある、かように考えておるわけであります。従いましてそういう立場に立ちますので、私は特に地方債だけについて特別な取扱いを歳入面において考えるということは、今のところいたしておりません。
  17. 川村継義

    川村(継)委員 地方財政考える場合に、全般的に考えていかなきゃならぬことは、これは当然だと思うのです。ただ、私がお尋ねしたのは、この特別措置債といわれるものについて、当然国が当時措置しなければならなかった財源措置をしないでおって、地方の方にかぶせたのでありますから、それからあと利子もつけてとっていこうという措置をしてきたのですから、何といったって筋が通っていないと思うのです。今度は交付税の中に入ったけれども、入れてやろうとなさっておるのだけれども、どうも交付税そのものから考えていくとちょっと筋が通らない。これはやはり別途の法律等で国が見てやるのが当然じゃないか、この一点にしぼって今お聞きしているわけです。ほかに税収が伸びたとか伸びぬとか、それは何も今これとひっくるめて考えるべき問題でないのでありまして、そういうことを考えるとほかにたくさん問題があります。それについて大蔵大臣は、全然お考えにならなかったとかいうことを聞いているのです。御承知通りに、たとえば地方財政計画を見ましてもいろいろ不備な点は多いわけですね。それは地方団体は非常に豊かな団体もございましょう。しかし交付税交付を受けるような団体はなかなか好転したといってもやはり苦しんでおる。特に給与関係、その給与の中の学校の教職員だけの問題を考えましても、いわゆる義務教育費国庫負担の額にいたしましても、三十一年度精算によってことし四十二億の補正予算を組んでもらったでしょう。ことし四十二億というものを組んでもらった。昨年は十七億幾らというものを追加して組んでもらった。こうして義務教育費国庫負担の額にいたしましても、あとから精算追加をしなきゃならぬような大きな穴があいているでしょう。こういうものを始末してくるだけでも地方団体はやはり金のやりくり、その運営については非常に苦労しているわけですね。こういう問題もこれは考えてみなきゃならぬ。給与全体について考えると、もっと大きな問題がございます。これは決算やら現実計画というものを比べて参りますと、そういう点については毎年提出されます地方財政計画だけではうまく考えられない、現実には問題点がたくさん残っているわけです。義務教育国庫負担金だけでも、文部省がちゃんとこれだけ必要だというのを大蔵省に出してもらえば、四十二億なんという追加精算をしなきゃならぬという結果は出てこないのですよ。それがそういう結果になってくるでしょう。これは一例でありますけれども、この点につきましても、これはあと精算してみなきゃしょうがない、こう言われるでしょうけれども、それはそれとして、この特別措置債のごときは始末して下さるのですから、元利補給して下さるのですから、その点は私は決して異議はありません。ありませんけれども、これは大蔵省としてはやはり地方財政にほかに税収が伸びたとかなんとかいう理屈は別にして、当然別途の法律で見てやるべき筋合いじゃないか、こうお尋ねしている。大へんくどく申し上げましたけれども大蔵大臣見解をもう一度お聞かせ願いたい。
  18. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 御見解、理解ができぬことでもないのでありまするが、しかし私ども地方財政考えます場合に、やはり財政全体としてどういうふうな状況にあるか、その状況に応じて財源等をどういうふうにあんばいするか、あるいは交付税をどういうふうにするべきとか、そういうふうに全体として考えて、そうして地方財政が健全化していく、かような立場をとっておりますので、一つ一つについての解決、特に今御質疑の点は重要な点ではありますけれども一つ一つについて解決をはかっていくということは、財政の扱いとしては私は必ずしも御同意いたしかねるのであります。
  19. 川村継義

    川村(継)委員 大蔵大臣はお急ぎのようですから、ほかに大蔵大臣に対する御質疑がありますから、私ここで保留いたします。
  20. 矢尾喜三郎

  21. 中井徳次郎

    中井委員 大蔵大臣地方財政に関連しまして四点ほどお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、今も御回答がありましたが、税全体としてながめてみるというお話ですが、私その点でお尋ねをいたしたいと思います。地方税総額は五千四百億ばかりになっております。国税は一兆一千億でありまするか、そういう形の中で、その国税がまたさらに形を変えて、補助金その他の形で地方に出ておりますが、私ども実際地方税を検討いたしまして一番問題になりまするのは、地方税のうちの住民税であります。この住民税を各市町村、府県単位で調べてみますと、特にいなかの町村あたりにおきましては、住民税の一番高いのは大体駅長さんか村長さん、あるいはまた小学校の校長先生、あるいは付近の都会に勤めて通勤しておりますところの給与所得者、こういうことになっております。実は、これはどうしても住民感情に合わない。小さなうちで、中には間借りをして、借りておるような人が、そこに居住地を持つと、その村で最高である、こういう形が現実に出ておるのであります。そこでだんだん判断をいたしますると、それじゃ農民はどうだということになると、最近の状況におきましては、九割までは所得税はかかっておりません。これはけっこうなことであります。従いまして、住民税は均等割といいまするか平等割といいまするか、人口の比率によりまして段階がありまするけれども、非常に安いものになっておる。それじゃ中小企業の方はどうかといいますと、りっぱに営業しておりまするが、株式会社になりましたりなんかしまして、これまた住民税給与所得者に比べると非常に少い。こういう形が現実に出ておる。そこで中小企業の諸君に、君ら税金安いかと言うと、いやとんでもない、おれたち事業税というふうなものを非常にとられておる。これは御案内の通り千二百億ばかりになっておる。おれたち住民税は少いけれども事業税に千二百億というものをとられておる。こういうことになってくる。それじゃ農民税金安いかと言ったら、冗談じゃありません、私ども税金においてはそういうことが言われるかもしれぬが、米の供出の際に、生産費に見合う米価なんというものを一度もきめてもらったことはない、これは実際税金みたいなもので、自分たちは石一万二千円か一万二千五百円ばかりほしいところを一万円前後でたたかれている。こういう形、これは私地方の実情だろうと思うのです。この三すくみの形、こういうことをお認めになりますか、大蔵大臣、まずそれから伺っていきたいと思います。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 非常に具体的な事柄でありますが、そういうふうな考え方を持たれる方もありましょうと私も考えるのであります。これはまたそれぞれの立場で、たとえば米の価格はどうあるべきかというような点については、いろいろ立場も異なりましょう。私どもといたしましては、今のお話のうちで、たとえば住民税等においてこれは俸給所得者だけが負担しておる。非常にそこに片寄っておるというような御不満の点は、税の不均衡があるという点であります。その点については、今後できるだけこの不均衡を是正する努力を払っていきたい、かように考えております。
  23. 中井徳次郎

    中井委員 大臣も、大体現実においてお認めになったと思うのでありますが、こういう形は世界でもまれな日本の特殊事情じゃないかと思うのです。これは悪口を言わしてもらうと、政府は不均衡の上にあぐらをかいて、農民がくれば、あなたのところは米は安いのだけれども税金はいいんじゃないか。中小企業がくれば、事業税はかかっておるが住民税は安いでしょう。今度は給与所得者から文句が出れば、あなた方はしかし事業税もかかっておらぬじゃありませんか、こういう言いのがれで過去四、五年来ておるように思うのですが、これでいいんでしょうかね。私はこの点は、税金というものはひとしからざるを憂えるのでありますから、終戦後の四、五年のどさくさのときはやむを得ないといたしましても、もうこれは整理すべき段階であると思う。特に中小企業の諸君にとりましては、税率が何ぼであろうが、何であろうが、そういうことよりも税金の一年の総体額が問題であろうと思うのです。それであるならば不可能なことではない。この三つを適当に同じような比率で——お互いに農民中小企業、勤労者の皆さんが、税に対する限りは非常な対立根性を持っておるのであります。これをならすのが政治だろうと思うのです。これはまじめな意味において、大臣の御答弁をここではっきりといただきたいと思うのですがどうですか。それは具体的にすっきりときれいにならないかもしれません。過去何十年の慣習でもありましょう。しかしこの慣習は近代国家の形においては払拭すべきものだ、かように存ずるのでございますが、いかがですか。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、不均衡というものはひとり税金に限りませんが、社会のいろいろな問題について是正をしていかなくてはならぬ。従いまして、税についてそういう不均衡がありますれば、これは改善をしなくてはなりません。今回中央、地方を通じまして、税の基本的な点について検討を加えてみようと考えております。そういう際は、今お話の点は十分考慮に入れていきたい、かように考えております。そして特に、今お話のように、中小企業とか、あるいはまた農民とか、あるいは農業でもいいのですが、これはやはり今後どの政党であろうと、どの政府であろうと、大企業、大産業というものとの格差といいますか、そのいろいろな面において開きを生ずるであろうと私も考えておるのであります。これを是正することはどうしても今後の政治の根本的な政策でなくてはなるまいと思っておりますので、お説の点は十分考慮して参りたいと思います。
  25. 中井徳次郎

    中井委員 今のお話、私は六割までけっこうだろうと思うのでありますが、どうぞそういうふうにやってもらいたいが、過去においてこういうふうになりました原因は、これはあなたの前任者、長く大蔵大臣をしておった池田氏の大きな悪政だろうと思う。彼は税金が得意であるから、巧みにその間を泳いでこのような結果になったと判断しておる。あなたはそういうことについて最も公平であるのですから、これは早急に手をつけていただきたい。そこで、それに関連して、きょうの新聞に事業税のことが出ております。自由党の幹事長の川島氏が、来年は事業税減税する。この点については一萬田大蔵大臣も賛成である、こういうふうにあるわけです。社会党は事業税について、一体これはどういう性格のものであろうかということを考えまして、これはどう考えても現実の府県の財政状況からやむを得ず取っている便宜的なものだという判断から、実は今度の地方税の改正案につきましても、これは現実の面を見て事業税の全面とは行きませんが、中小企業、特に個人の事業税等については、わずか百数十億のことでありますから、これの基礎控除をうんと上げる、あるいは率を下げるという修正案を出しました。大方の委員会委員諸君も賛成であるが、どうも政府の方ではまあ待て、こういうようなことで反対をされて、そしておととい衆議院を通りました。通ったとたんに事業税の撤廃をやるなんてことを言っていることは、全く乱暴な、全くかけひきに終始した自由党の幹事長の意見だろうと思うのですが、あなたも賛成だと言うておられる限りは、どういう方法において将来事業税減税撤廃に進んでいかれるお見込みであるか。ただいま私が申し上げましたように三すくみになっていますが、この三すくみとの相関関係において、どういうようにやっていかれるか。特にこの際私が申し上げたいのは、この十二年間基本的な欠陥を持った税体系が、大蔵省の職員の系統のずうっと下の下まで浸透しまして、申告の場合その他の場合におきまして、こういうものだと思い込んでいる、その思い込んでいることに私は欠陥があると思うのですが、そういう面にも触れてこの際率直な大臣の答弁を要求いたしたいのであります。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 事業税につきましては、何も私はこれを今どうするという決定をいたしておるわけではございませんが、しかしやはり一面先ほどお話のように、事業税は千二百億の巨額で、地方財源としては最も大きなものであります。これを何とかするとすれば、一体そのあと地方財政はどうであるかということを十分見通した上でなければなりません。しかし事業税考えてみると、一面において景気に非常に左右される。景気がいいときは事業税が上り、景気が悪くなると下る。ところが地方の行政の水準なりあるいはその他において、それだからといって急に景気に応じて行政の規模を小さくすることは必ずしもできない。そこに財源としては問題があるのじゃないか。税自体の性格としてその辺は特に考えなければならぬ。そうしますと何らか税制の根本的なことを考える場合、これをどうするかは別個の問題として、やはり慎重に検討することはいいじゃないかという、私は今考えであります。
  27. 中井徳次郎

    中井委員 事業税の問題は中政連初め、全国の中小企業の諸君がやかましくいっているのです。今の大臣の御意見によると、それは景気不景気で変動されるというが、一千二百億に余るこの税金を、私も全廃したいと思って、いろいろ研究しましたが、なかなかかわり財源がありません。安定財源けっこうでありますが、そういうものはどういうものがあるか。今お示しをいただきたい。どういうものが考えられるか。あなたでなくても事務当局でけっこうです。
  28. 原純夫

    ○原(純)政府委員 これは十分全般的な検討を経ました上で申し上げるべき筋合いと思います。問題はやはり税の面だけに限らず、財政全般もからめて十分検討した上で申し上げるべきものだと思います。いろいろやり方として議論されるものは、御案内のようにたばこ消費税とか何とかというふうな議論は出ておりますけれども、一体どういう格好でやるか、すぐかわり財源でいくか、あるいは地方財政の中で何があるかという問題もあり得ることでありますし、かわり財源としてもいろいろな方法論があるわけで、これはそれ自体、中央、地方を通ずる税財政の検討をやるというのもなかなか大きな項目でありますので、十分検討さしていただきたいと思います。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 今の大蔵大臣お話ですがそうしますと川島幹事長が大蔵大臣も了解しておるんだというようなことは根拠がない、まだ政府としては——自民党としては来年やるというような考え方もあるかもしれないが、事業税減税をするというようなことは大蔵大臣考えておらぬ、こういうことなんですか。
  30. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはまたちょっと雰囲気が違うわけであります。私は今申しましたように、私の意欲としては、どうもそういうように景気に左右されるのが一番地方財政のおもな財源でないなら私はいいと思うのですけれども、それがおもな財源になると、その面からも地方財政は今後よかったり悪かったりするということになると思う。ですからやはりそれは一応根本的な税制を考える場合は考える。そして国としても、もしもそれにがわり財源を与えるならば与えても、そういう財源については考慮を払うのがいいんじゃないか。私自身はそういう意欲を持っておりますが、何しろこれは千二百億にも及びます。それから地方財政の全体の他の税との関連も考えなければいかぬ。また今日の地方財政状況は、歳出の状況、いろいろ考えてしなくちゃなりません。私今それをどういう意味じゃありませんが、意欲的にこれは私は税制の根本を考える上には考えてよかろう、こう思っております。
  31. 中井徳次郎

    中井委員 今審議しておりますのは地方交付税なんです。地方交付税を二七・五にする、社会党は三〇くらいにしなくちゃ追いつかないと考えておるのに、あなた方の方ではもう二七・五は最大で、それ以上はいけない、これだけやったら、もうけっこうだというふうなお考えが非常に強いように私どもは伺っておるが、一方事業税をどうこうしようということになると、つじつまが合わないように思いますので、私は伺うわけでありますが、かわり財源といってもなかなかそういたしかねる。そういうふうなことになって参りますると、交付税の二七・五なんというものは、絶対的なものでも何でもございません。もっと融通無碍にこの問題を考えてもらいたい、こういうふうに考えるのであります。それを一つ申し上げておきます。それから根本に、この交付税の各地方に分配をいたまする算定方式、毎年これは変るわけであります。いろいろと研究してみますると、大体政府のワクをきめて、そうしてそれに見合うように逆に法律を修正いたしておる。従ってきわめて現実的過ぎまして、地方の自治というものの伸展とか、あるいは自治だけじゃございません、内政全般の伸展というものが、この算定方式が金から出ておりまするので、ちっとも将来性がない。たとえばことし政府は道路の三法案を出されて大いに道路行政に重点を置くといったところで、家の前は市道であったり、県道であったり、村道であったり、私道であったりします。国道だけよくなければこれで舗装も簡単でいいのだ、スピードもアップされるなどとはとんでもないことです。そういう意味から考えていくと、あるべき内政の姿というもの、こういう姿——私は理想を言うんじゃありません。今のはあまりにひどいのです。この姿というものが算定の基礎になければならぬ。ところがそれは逆になって、大蔵省の皆さんはことしはこれしかない、これで逆算せいと言いますから、これは地方は大へんなことで、そのワクの中でごとごとやっておる。いつまでたってもちぐはぐのことになる。皆さん御存じないかもしらぬが、ことしあたり道路の予算をふやした。ふやしましても地方負担ができません。地方負担ができませんから、地方負担力のある都市、大都市周辺、大府県だけは道路がだんだんよくなる。それじゃ日本を一貫した道路行政なんというものは全然できない、こういう現状なんです。われわれは算定方式をもう少しはっきりとして、そうして予算の都合でことしは八割しかできないなら八割、七割五分しかできなければ七割五分、こういうふうにして、一〇〇%に達する努力を国はするべきものである、これが政治だ、こう思うのでありますが、今の与党のやり方、現政府のやり方はあまりに目先過ぎて、これではどうも日本の内政なんか当分よくなりません。そういう点について、どうお考えになりますか。
  32. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二点おあげのようですが、一つ事業税に関連してのかわりの税のこと、これはどういうものがあるか。これはやはり事業税それ自体についていろいろとみな考えをもっておってもむずかしいところであろうと私は思うのでありますが、今度は国、地方を通じて一つ税制を考えようというのですから、一応これは私は考えてみる価値はあると思う。国の税自体についても直接税、間接税を通じて一つほんとうに根本的に考える。そうかといって今ある税がそのまま残るとも限らぬ、新しい税が出てくることもあり得る。いろいろそこでやりますから、そういう際には私は今までよりむずかしい、こういうことも考える。そうすると断言するわけではありませんが、やはりそういうことを考えるチャンスである、こういうふうに考えるわけであります。  それから私ども地方財政をできるだけ多くすることに努めないで、地方財政を何かといじめるような、そしてすぐ中央を中心にものを考える、そういうことは実際考えておりません。同時にこれは中央と地方との関係はなかなかむずかしいんです、これは自治、地方の独立という問題がここに入ってきますから。ですから中央はどうにもならない。そういういろいろな問題が当然根本的にはあるのじゃないかと思うのであります。しかし決して不当な、あるいは適切ならざる措置をいたす考えは毛頭持っておりません。
  33. 中井徳次郎

    中井委員 これで終りますが、いろいろお話があって、税制調査会その他で研究するということでありまするが、毎年こういうことを言われております。そうして翌年になりますと、大したことはできない。ほんとうに大改正を考えておられるんですか、ほんとうに来年やるというお見込でありますか。どうも国会の末期になりますと、来年はよくやると言うが、一向現実にはなっておりません。この点もう一つ念を押しておきたい。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これもまた今のところ意欲程度ですが、私はこういうことを考えているんです。税制というものが、少し大きくものを言うようになってどうかという点もあるかもしれないが、やはり世界的にこれは変革に際しているように思っている。なぜかというと、一つはヨーロッパで御承知のように共同体ができて、共同体の発生においてヨーロッパの税制というものは、各般の大きな変革を見つつある、また見るであろう。同時にアメリカの税制についても、今日それに対応いたしまして、やはり税制の変革がある。こういうふうに見る場合、私はそういう見地から、それだけではありませんが、そういう大きな動きから見て、やはり日本の税制というものについて検討を加える一つの大きな流れに際会しておる。もう一つは、私、税のことは実は一番不得手なんで、はなはだ恐縮なんですが、終戦以来の税制が、日本の国情といいますか、経済の事情がしからしめた点もあるのですが、どうも継ぎはぎということなんです。そのときにおける一つの現象に対応するという意味合いにおいて——税法上の臨時的な特別措置なんかその一つの表われですが、そういう形で、ある点においてはゆがめられておる点も少くないのではないか。そしてそのこと自体が税を非常に複雑にしておる。わかりにくくしておる。国民が税を考える場合に、所得税一本を考えても、その点だけを探ってみても大きな厚い本になるのではないか。それが非常に枝葉に分れておる。こういう点も非常に簡素化が必要である、またそういう機運に徐々に行きつつあるのではないか、こういうふうに考えている。そういう見地からもわが党並びに政府が、新しい選挙後の内閣におきまして、税制に根本的に検討を加えてやるということは大いに賛成でありまして、これは言う以上はほんとうに決意を持っておると私は思っております。
  35. 中井徳次郎

    中井委員 今アメリカやヨーロッパのお話があって、まことにその通りであろうと思うが、私が先ほど言いましたように、日本の税体系は三つの大きな欠陥を持っている。そういう欠陥を作ったのはあなた方の保守党内閣なんです。それが選挙でも済んで新しい大臣ができたらうまいこといくと今おっしゃったが、いきゃしませんよ。私はそれだけははっきり言っておきます。そういうことさえできない。また租税特別措置法の問題がありましたが、これなんかも、地方税にまでそういうものを及ぼしていく。この間も電気ガス税でいろいろ答弁がありましたが、そういう形において幾ら研究会をお作りになったってできやしません。そのことだけ私ははっきりと申し上げておきます。  それから最後に譲与税の問題ですが、国税地方に譲与するというこの譲与税の問題につきまして、入場税その他国が取った方がはっきりするという御意思であろうが、またそれを府県に配るという御意思であろうが、趣旨としましては私ども必ずしも反対でありませんが、現実の姿は、地方は非常に財政難でありますから、まじめに税金を取るのでありましょう、大てい決算の方は予算よりもふえております。ところが譲与税だけは、大蔵省に所管がえになりましてから、決算が予算に追いついたことはあまりないという話を聞く。こういうことでありましては、国が取り上げて一つやってやろうといった趣旨に反しているような結果になっておりますが、いかがですか。実情をちょっと聞かせていただきたい。
  36. 原純夫

    ○原(純)政府委員 数字の問題でありますから、私からお答えいたします。お話のは多分入場税のことであろうと思いますが、私もこまかく数字は記憶しておりませんが、三十二年度には百七十七億の予算に対して、おっしゃる通り若干欠けると考えております。ただ欠けるにしてもごくわずかなところではなかろうか、一、二億のところではなかろうかと思っております。必ず予算通り入るようにしなければいかぬというふうに言われますと、また一方でおしかりをこうむるようなことにもなります。見込みが実際の内容に合わなかったという点は恐縮いたしますけれども、われわれ毎年一生懸命正しい見込みと思ってやっております。今後もそういう点については十分気をつけて参りたいと思いますけれども、一生懸命やっているということを一つ御了承いただきたいと思います。
  37. 中井徳次郎

    中井委員 この点は実におかしいのですよ。国税は去年は二千億近くも増収になっている。そして譲与税だけが予算にも満たないということは何だということになる。これはあなた方事務当局が上手な説明をなさっておって、済んだことのようでありますから追及しませんが、私はここにも日本の政治の欠陥を見るのです。これが国税で、そのまま全部大蔵省の金庫に入ってしまって、地方に出さないのなら、うんと取りますよ。そういうことでは、われわれ実際国政を審議しておる者として不愉快千万だ。私は何も地方の側に立って言っておるわけではない、国の立場から言っておるのですが。こういうことで、予算に満たない、まことに申しわけないということだけでは——それは見込み違いかもしれません。しかし、私は実際は見込み違いとは言わせません。どこかやはりくぎが一本抜けておる。大臣、こういう点については一つ大いにあなたの機構を督励して、そういうことのないように願いたい。何も苛斂誅求をやれとは言いません。しかし入場税なんというものは、窓口でさっさっと取って事務をまじめにやりさえすれば当然入るものです。どこで抜けておるのですか、もっと調べて下さい。すぐわかりますよ。これは私は最後に一つ苦言を呈しておきます。
  38. 加賀田進

    ○加賀田委員 今中井委員から、川島幹事長の大阪の談話に対して質問があったが、まだどうも不明瞭な点がありますので、質問しておきたいと思います。  選挙が近づきますと、与党の当時の幹事長が各財界回りをする。これは従来の例ですから、その内容は大体わかっておりますけれども、昨年来問題になっておる事業税の軽減問題を突如発表された。もちろん現在の政府としては、やはり政党政治の政府ですから、与党と政府は不離一体の形になってできておるということは、国民もそういう感覚を持っておりますから、幹事長の発表というものは当然政府も了解しておる、こう見ておるわけです。従って当然相当の期待を持っておると思いますが、今大蔵大臣お話では、ただ私は意欲を持っておるだけで——いかに意欲を持っていたって、動脈硬化になれば動かないわけですから、従って、事前にそういう話し合いを幹事長と大蔵大臣とはしていないのかどうか、あるいはその点で、詳細な問題はわからないにしても、減税しようという了解を与えたのかどうか、その点をもっと明確にしてもらいたいと思います。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 幹事長と事業税の点について今まで何も話し合ったことはございません。ございませんが、私は事業税のことについては、予算委員会その他において質問がありました場合、先ほど答弁したように、私の意欲としては——これはなかなかむずかしい問題だ。しかしこれについては一つ考えてみたい。でき得べくばこういう動く財源でない安定した財源をもってしたいということは答弁しております。そういうところを幹事長はおそらくおとりになったのではないか、かように考えておる次第であります。
  40. 加賀田進

    ○加賀田委員 そうすると幹事長の談話というのは、政府全体の意向あるいは与党全体の意向でなく、幹事長個人がそうしたいという——これも意欲ですな、意欲であるという程度に私は了解したいと思いますが、今そういう意欲があって、しかも非常にむずかしいが自分としてはできればやりたいという大臣お話ですが、そういたしますと、社会党が先般地方税の改正のときに、すでにそういう軽減の法案を出したわけです。しかし、与党も反対し、政府もそれに反対しておったでしょう。意欲がありながら、具体的にそういう法案を出したときには反対したということは、どういう意味なんでしょうか。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私必ずしも実情をつまびらかにいたしませんが、要するに、地方財政としてはきわめて重大なことであり、従って慎重な検討を要するから、研究を続けて——後日に延ばすという意味で、反対というわけでは必ずしもないのじゃなかろうかと私は理解いたしております。
  42. 加賀田進

    ○加賀田委員 大臣も急ぐようですから、二点ほど簡単に質問します。一点は、地方財政がある程度軌道に乗ったとか、いろいろ先ほどありましたが、重ねて今社会党が出しておりますが、税外負担としての寄付行為が、各住民に相当転嫁されております。これは国ないし地方が当然財源措置をしなければならないものを十分措置しないために、各住民に対して地方のPTAとかいろいろな団体を通じて寄付をさせておる。これは年間三百億とか五百億とか言われておる。しかもそういうような状態で党としてはこの寄付行為を禁止するという法案を出しておる。これからそれは審議されると思いますが、財政というものは国並びに地方を通じて財政政策を立てなければならないのに、なお税金以外の負担が現在行われているという事態に対して、大蔵大臣としてはどうお考えになっておるか、この点に対して明らかにしていただきたい。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 団体等の寄付の問題と思いますが、これは原則的に大まかに申せば、そういう寄付というようなものがなくしていけることが望ましいということは、だれも異論がない。ただしかし事柄によりましては、ある事柄がある団体に非常に影響を与えるというような場合におきましては、ある程度それが寄付行為によるということも、今日の社会生活において、すぐこれを不当と言うわけにもいかぬのじゃなかろうか。これは個々の場合においてその妥当性を検討していくというのがよかろうか、かように考えております。     〔委員長退席、中井委員長代理着席〕
  44. 加賀田進

    ○加賀田委員 今言っているのは、結局地方公共団体あるいは政府が財源措置を当然法的にもしなければならない。ところが十分財源措置が講じられていないというところに、たとえば学校の建設とかあるいは備品の整備とかいうような場合には、地方団体がやらなくちゃならないにもかかわらず、その住民が、寄付というものは法的には強制じゃございませんけれども、実質的に割当寄付とかいうので、自分の意思に反して寄付行為をしなければならない。実質的な強制というものが現在行われておる。これはだれでも認めておる。当委員会においても長年これは問題になっておる。いわゆる日赤等の助け合い運動によって寄付する、そういうものに対してわれわれは言っているのではなくして、政府や公共団体がやらなければならないのに財源措置ができないから、現在実質的に強制的に行われている。こういう問題に対して大臣はどうお考えかということです。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはやはり抽象的な論議でなくて、具体的な事柄を取り上げて、そしてその具体的な事柄が置かれておるそのときのもろもろの客観的な条件を取り入れて考えてみなければならぬと私は思うのでありますが、しかしその他の条件をしばらくおきますとすれば、国や地方公共団体が当然やるべきことを寄付者の意思に反してまでして寄付をとる、これは私は賛成いたしかねます。
  46. 加賀田進

    ○加賀田委員 大体大臣の意思はわかりましたが、もう一点地方財政で重大な問題が現在起っておるのです。それは競輪の問題なんです。競輪で地方団体が相当財源的な潤いをしておる。年間五百億とか六百億の収入を得ておるわけです。この競輪はやはり岸さんの言われている三悪の地方における根源になっておるわけです。だから競輪に対しては廃止してもらいたいという意見が相当多く各住民に起っておるわけですが、これもいわば地方財政が豊かであればすぐ廃止できると思う。しかし地方財政の現状の上に立っては、やはりそういうような賭博行為からテラ銭を取るような競輪まで行なって財政をまかなわなくちゃならないという現状があるわけです。大蔵大臣としては、地方財政は相当健全化していると言いながら、そういう寄付行為あるいは競輪の問題等が温存して、現在進行している状態なんですから、財源措置を講じて、そういう競輪等を廃止する意思がないかどうか、これを明らかにしていただきたい。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 競輪の収入をもって地方団体財源に充てるということは、私としては避けたいと思います。ただしかし地方財政状況から見まして、すぐにはなかなかこれを廃止できない。この実際上の点も勘案して、そうして今のところこれは新しく追加しないという政策になっておるわけであります。新しく追加しないということは、反面からいえば、事情が許せばこれはやはりなるべくなくしていきたいということを意味する、かように考えております。
  48. 加賀田進

    ○加賀田委員 それはもう政府が新しく設置することは、許可しないということはわかっておるのです。しかし政府としては大体それはやめるべきが当然だ。これは国が財源措置をすれば、地方公共団体もまた喜んでやめるのですよ。大蔵省としてはそういう財源措置をしないから、地方団体財政状況の中からやむを得ずやっておるという現状なんです。従って財政措置をしてもらえば——大臣としてはやめたいのだということになれば、大蔵省としては財源措置をすれば地方団体は喜んでやめるのですから、やめるという意欲があるならば財源措置をすべきだと思うのですが、どうでしょうか。財源措置をしてやめさせるように努力をすることを大臣としては考えておらないのですか。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは先ほどの私の答弁で御理解が願ったと思うのですが、先ほども財政の見地からいいまして一挙にはできませんが、漸次整理をしていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  50. 北山愛郎

    ○北山委員 時間もたちましたから簡単に一つお伺いいたします。今後交付税が一・五%上るわけですが、これについては大蔵省もしぶしぶ賛成したというような格好です。ただ去年予算委員会でわが党の石村委員でしたかが、質問をしたときに、交付税の方はふやしても別な面で削るのじゃないか、江戸のかたきを長崎でとるのじゃないかと言ったときに、そんなけちなことはしませんと、大蔵大臣は答弁をされた。ところが今度の地方財政計画を見ると、どうやらこの江戸のかたきが長崎でとられておるのではないかという気がするのです。起債の面において一般補助事業債の政府資金が九十億削られておるのです。これは大きなことなんです。いろいろな補助事業を地方団体がやる場合に、その何割かを地方団体が負担します。その負担する分の引き当ての起債であります。それなのに約半分に削られておるということになりますと、いわゆる起債充当率として昨年は三割ぐらいが起債、そういう経費の方を起債に仰ぐことができたのですが、それがことしは半分になって、一割五分しか起債充当率がないということなんです。そうすると一般税金財源でもって、その事業の負担分をやらなければならぬ。富裕団体ならばそういう財源がありますから、どんどん補助事業を引き受けてやれる、貧弱な団体ではできないということになる。私はどうもこの点が不当だというふうに考えておるわけですが、どうして一体九十億も減らしたか。それからなお政府資金というのは、御承知のように資金運用部の資金——簡保資金にしましても、これは大衆の零細な金が集まったものなんです。金持ちなんかは郵便貯金などへは預けません。銀行を相手にする。だからこれは大衆の、しかも地方から集まった金であります。それがだんだん開発銀行であるとか、電源開発であるとか、あるいは輸出入銀行であるとか、そういうふうな方面によけい回されて、そうして地方債が総体的に減ってくるような傾向になっておる、こういうような事情を積み重ねていくと、先ほど大臣は、大企業と中小企業、そういうものの較差がひどくなった、農林漁業等の二重構造がひどくなった、これを直さなければならぬと言いますけれども、今とっておる財政金融の政策というものは、結局大企業の方に零細な郵便貯金なんかを回していく、日本銀行からもどんどん窓口から何千億という金を貸していく、こういうようなことで地方債なんかの、地方団体がやるような事業については金を削っていく、これじゃいわゆる較差をひどくするような政策じゃないですか。あなたの意欲はその較差を縮めていくという意欲を申されておりますけれども、実際やっておる予算とかあるいは金融政策というものは較差を増大するような、中央に金を集めて、零細な地方の農村や地方の郵便貯金、簡保資金等を大企業の方に回していく、こういう現実政策をとっておる、言うこととなすことが矛盾しているじゃないか。そういう点から見ても、私は今度の地方債における一般補助事業債を九十億削ったということは重大な意味がある、その点を答弁していただきたい。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一般補助事業債等を減額をいたした、これはその通りでありまして、これはやはり地方財政の健全化の見地から一般債をなるべく少くしていく。そうして直接これを政府資金に仰ぐのがいいだろう。そうして地方債増加は、むしろ公益事業等の、必ず元利の償還を可能ならしめるような事業についてはむしろこれを増加する、こういう方策をとっておるわけであります。それからもう一つ、郵便貯金等について、これをほかの方に回して地方債の方にどうかという御意見もありましたが、問題の点は、一体この地方債をどういう程度発行するのがいいのかというのがむしろ根本の問題で、これだけ発行すればいいときまった場合にこれを消化していく、その過程で問題がありますが、その消化が可能であれば、かりにこれを資金運用部の金で引き受けるというようなこともあっていいし、またその他の方法で引き受けてもいいのじゃないか、こういうように考えて、何もその点郵便貯金がすぐひもがついて——結果的には、資金運用部資金にはそういう金が集まっておりますからそうなりますが、必ずしもそうひもをつけなくてもいいのじゃないか、かように考えておる次第あります。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 これは、終戦直後の当初はご承知のように預金部の金は大半が地方債に回されたのです。だんだん産業資金が食い込んできて、現在は資金運用部の金が三分の一くらいしか地方債に使われてない、そしてそういう零細な資金の集まったものを大企業の方に財政投融資として回しておる。政府がこういう資金をもって産業資金に投融資したものは一兆円くらいに全体でなるでしょう。そうして今年度の予算においてもそういう傾向がはっきり現われております。三十二年度末の資金運用部の余裕資金が約一千億あった、その一千億をどんどん使っておる先は電力とか造船、鉄鋼の設備資金、こういう不足の方へどんどん回しておるのです。最近でもそれをやっておる。三月三十一日に、資金運用部では、やはり造船、鉄鋼の設備資金の不足として百億回しておる。その前に開発銀行に対して五十億追加しておる、あるいは繰り延べ分として財政投融資の二百八十億を出しておる、こういうふうにしてどんどん余裕資金を出しておる先は、大企業の設備投資のしりぬぐいだとか、そういうところに使っておる。しかも大蔵大臣は、今度この資金運用部の余裕金をやはりそっちの方面にやって、例のオーバー・ローンというものを解消しよう、こういうことを言っておりますが、そういうふうに、金がないのではなくて、資金はあるのです。ある資金を、地方債はだんだん詰めていって、地方団体がやらなければならぬ仕事をやろうと思ってもそれはできないというふうに追い込んでいって、その金を中央で大企業の方に向けていく。大企業というのは、金融引き締めが昨年の五月ですね、それ以後においても、日本銀行の窓口からと財政投融資で三千億貸し出しが増加しておる。そういうふうにして、財政資金なり追加信用というものをどんどん出していく先は大企業なんです。その大企業が設備投資をしたり、いろんな思惑輸入をしたりして、そのしりが今の経済の反動となって現われている。せっかく設備投資をしても、五割、三割と工場を休まなければならぬ、それではそういうふうな金をつぎ込んだことがマイナスになってしまうのではないか。そういう政策が長年とられてきた結果、地方団体がやろうとする仕事ができなくなってきておる、また資金的に見ても、地方の資金が枯渇しておる、こういうふうな情勢になってきておる。私は、今度の九十億これは復活をしてもらいたいのです。金融の手直しの際に、大企業の追加融資なり、設備資金の不足、これを補うだけではなく、やはり地方に資金を回す、そうしてその金はむだに使われるのじゃないのです、いろいろな地方団体がやる事業に使われるのですから、それがもうけになるような事業でないにしても、いろいろな公共事業等においては、国民のためには必要な事業があるのですから、この九十億を復活してもらいたいのです。どうでしょう。
  53. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私どもとしては、これは特に資金を地方債の引き受け等に行くのを抑制しておるというわけではありません。これは、一つには先ほど申しましたように、地方債の発行がどういう額が年度において妥当なるかということで、地方債がきまるわけでありまして、ただいたずらに借金をしていろいろな事業をすることにおいては、私はやはり慎重な態度が要るだろうと思うのでありまして、そこでやはり、年度地方債は大体これくらいに発行するのだということをきめる、それがもしも消化に不十分な点があれば、これは私はそれについてこたえ得る措置をとらなくてはなるまいと考えております。  それからもう一つは、地方債の方に行く金が減ってきておるではないか、その点は、先ほどから非常に問題になったように、どうも地方財政を借入金で泳がせておったというところに照応するのじゃないかと思うのでありまして、その後漸次歳入の状況も、税収入がよくなってきたとすれば、それだけやはり起債は、特に一般債の起債は減ってしかるべきである、かように考えております。  それから他方大企業の方にやるという点についての御非難がありましたが、これは御承知のように日本の経済を拡大して、そうして人口問題、言いかえれば雇用問題を解決する上におきまして、すぐ隘路になって行き詰まってしまうというものは、今度の経済の伸びから見ても——これは少し異常の伸びではありましたが、電力とか鉄鋼とか石炭とか、あるいはその他のエネルギー、あるいはまた交通というふうなものはすぐ行き詰まってしまうのですから、これが行き詰まってからでは、どうにも、すべての社会生活あるいは社会的な機構の動きに影響を与える、こういうものは何としても拡充強化していかなければならないというので、これについては、こういう方面に資金がまとまっていくことは否定すべきではありません。こういうことで、日本銀行の資金の問題が出ましたが、日本銀行の金は短期の金でおりまして、日本銀行から金を借りて長期に回すようなことがあれば、いわゆる通貨価値というものが脅やかされるので、日本銀行がいつでも自分の発行する紙幣を持ってくれば、やかましく言えば兌換をしてやろう、今は兌換券ではありませんけれども、心持としては、いつでも自分の発行しておる、五千円券は五千円券としての値打ちは認めましょう、こういうことで資産を流動化しておかなければなりませんから、これを長期に回すわけにはいきません。それが、現在では相当長期に回っておる情勢であります。それで財政資金を民間に還元して、これらの基本的な点を是正していこうという努力を払っておるわけるありまして、これからは中央、地方を通じ、この基礎的な条件の整備でありますから、地方もこれによって得るところが多いと思います。さように一つ御了承を得たいと思います。
  54. 北山愛郎

    ○北山委員 何のことはない、今のようなお話だと企業が無謀な設備投資をして、そのしりぬぐいを財政資金でやろう、こういうことになるのじゃないですか。一体日本銀行がめちゃくちゃに貸し出しをすること自体おかしいので、世間は昨年の五月から金融引き締めだ、そう思っておる。ところが大企業に対しては日本銀行から三千億も追加信用をしているんじゃないですか。そこの面においては引き締めじゃないです。そういう点が不公平だというのです。その点は別としても、それなら今度の資金運用部に預託されるたな上げ資金四百三十六億、あれなんかも大企業向けに運用するのですか、どうなんです。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この保留いたしました資金四百三十六億、これにつきましては、相当私は中小企業方面にも意を配ったのでありまして、あのうちでも、六十五億は中小企業信用保険公庫に入れることにしておる。それからもう一つは農林漁業金融公庫に対しまして、いわゆる小団地土地改良の助成に使う、かようにいたしまして、あわせて百三十億、こういうふうに、決して私は中小企業関係を考えの外に置いておるわけではございません。
  56. 北山愛郎

    ○北山委員 それはだれでもわかっておる通りで、小団地土地改良の資金として六十五億、中小企業信用保険の基金として六十五億、これは基金としてそういう名目をつけただけであって、それが現なまは資金の方へいって、それが大企業向けに運用されれば、六十五億の原資そのものは、中小企業にも使わなければ、土地改良にも使われない。ただ利子だけ——土地改良ならば六十五億円の利子三億九千万円だけが土地改良に回るだけなんです。だから看板だけが中小企業、あるいは土地改良という名目を打ってあるだけであって、その基金そのものは土地改良の方へ回るのじゃない。中小企業に回るのじゃない。大企業の方へ回るのじゃないですか。これこそ羊頭狗肉じゃないですか。どうなんですか。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは基金、資金といたしまして保留しようというのが、眼目でありますから、これを使う場合には、ひとり中小企業ばかりでなく、大企業の関係において使う場合においても、やはり元金は使わないのであります。これは扱いにおいて何も相違の点はございません。
  58. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると基金としての原資は、資金運用部へ置いておいて、運用しないということですか。運用するというようなことを新聞にも言っておるし、大臣もそういうふうに言ったように私は聞いておるのですが、四百何十億というその資金を運用しないのですか。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私どもは資金運用部に入れまして、資金運用部においてほかにも十分資金はありますから、今すぐこれを使おうとは考えておりません。
  60. 北山愛郎

    ○北山委員 その運用資金も百四十何億しかない。おそらく四百三十六億に手をつけなければならぬではないかと新聞は伝えておるし、大臣もそういう構想を言っておるように私は聞いておる。少くともこれは運用するのは、利子をとらなければならぬから私はいいと思う。しかし運用するにしても、中小企業の振興資金としているのならば、中小企業に運用すべきなんです。土地改良の名目を打っておる資金ならば、その金をやはり土地改良の方へ貸し付けるなりなんなり運用すべきなんだ。しかも資金運用部で短期運用しておる中小企業向けの二百億ですが、それを金融債を売り戻しをして二百億を吸い上げよう、こういうことも言っておるじゃないですか。それをやるのですか、やらないのですか。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 基金、資金等の運用に関しての御質問と思われますが、これを実際に運用する場合におきましては、今お話のありました中小企業あるいは農業というような点につきましても、これは考慮を払うつもりであります。
  62. 北山愛郎

    ○北山委員 とにかく今申し上げたように、資金運用部の資金というものは、資金計画においても、あるいはまた短期運用においても、大企業向けのものが多いのです。大蔵省はどうもそういう頭しかないらしい。中小企業だとか、今度の資金計画にしても農林漁業については、資金運用部はたった三十五億ですよ。そして開発銀行、電源開発、あるいは輸出入銀行というのは六百何十億もある。そういうふうに零細な金が集まってきたものですから、それをやはり相当還元するという頭でなければ、先ほど大臣が言われたように、産業の較差、二重構造というものはだんだん開くばかりだ。地方債というものも、やはり一つのそういう財政、金融の面から見ても、地方に資金をある程度回していくという考え方からしても、今度の一般補助事業の起債九十億を削るなんということはむちゃな話だ。せっかく交付税を百二十億ふやしても、その分は全部例の元利償還公債費の方に充当されるのでしょう。そうして事業費において九十億削られたら、地方団体は苦しむばかりです。この点は再考願えませんか。要するに財政投融資の問題であって、予算ではありません。しかも資金運用部の運用についていろいろお考えもあるようだから、この地方債一般補助事業の九十億、これを今後の運用上においてふやしてもらえませんか。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方一般債をふやすという考えは持っておりません。これは地方財政としても、一般債の方はなるべく厳格にして、そうして一般債でしなければならぬというものは、これは国の財政、あるいはその他の事柄もあるかもしれぬけれども、できるだけ政府資金なり財政資金なりでやってもらうようにする、そうして地方債がかりにふえても、それは収支の償うもの、あるいはむしろ収益が上って、自然と元利の償還が事業自体でできるようなもの、そうして住民の生活を向上させるというふうなものにふやしていく、こういうふうな考え方を私は持っておりますから、今回も一般債が減ったことは大いに喜んでおるので、これはなるべく今後減っていくことが望ましい、かように考えております。
  64. 北山愛郎

    ○北山委員 地方団体は何も借金をしたいわけじゃない。一般財源が十分あれば、そういう事業について借金をしたくないのは、どこの地方団体だって同じだと思う。ところが今のお話のような公営企業、いわゆるペイするようなものは、どこからでも金は借りられますから、それは案外問題がない。実際は学校とかその他公共施設の、すべてそろばんに合わぬようなもの、これは年じゅう事業があるのですから、これを全部来年の税収その他でやれといっても、これは無理なんです。一般財源をそれだけ与えておるならばそれは別ですけれども、そうでないからこそ、約千億の地方債認められておる。私は地方財政を長期的に健全化するという立場からは、借金をさせないような方向に持っていくことはいいと思います。しかし今当面しておる状況から見れば、地方団体は仕事をせざるを得ない。金がないといって、やらないで済むような状態ではない。それをやる以上は、その財源としてある程度起債財源というものも、認めなければならぬ。昨年は公募債を入れて千七十億、今年は七十億減らして千億なんです。だから総体的に見れば、この資金運用部政府資金の割当にしても、だんだん地方債は下ってくる。そうして産業資金向けが多くなってくる。そうすればそうするほど、やはり今お話のような中央の大企業に金が集中して、較差がひどくなる、そういうことになりはしませんか。
  65. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はやはりこれは考え方の問題もあるかもしれませんが、中小企業の問題につきましても、やはり安い電力とか、安い鉄鉱石とか、安い石炭、こういうものが供給されないと、中小企業というものはうまく仕事ができない。中小企業あるいは農業、こういうものに対して、国として今後これをできるだけ育成強化する施策をとるとともに、やはり電力を充実して、なるべく安い料金で電力を供給できる、鉄製品を作るにしても、その原料である鉄鋼なんかは安く手に入れる。そういうふうにしなくてはならぬから、これは私はこういうふうな基礎的な基幹産業に対して資金が供給されるということは、何も大企業でなければならぬということはない。これは国民全体の生活内容を豊富にする最も根本的なものであるというふうに考えておるわけです。であるから社会主義の国においては、こういうものは国営にまず持っていく、こういうようなことを考えるのです。これはやはり重点をそこに置いておるのだと思う。これはそういうふうに考えているのだと思います。
  66. 北山愛郎

    ○北山委員 経済論をここでやっている時間はないのです。しかしふえればふえるほどだんだん安くなるというのが経済の原則のはずなんです。ところが現実には、電力にせよふえればふえるほど高くなるわけです。しかも中小企業の方が使う電力というものは特に高い。料金政策からいって大企業向けが安くなっている。中小企業は高い電気を使っている。一般家庭はもっと高い。しかもきのうも問題になりましたが、これに対して大企業が使う電力については電気税もかからない。一般家庭は一割の電気税を払っておる。そういうふうな大企業を優遇するような政策をしているのです。だから電力をふやしても石炭をふやしても、鉄鋼をふやしても、その値段は下らない。やむなく不景気になったときに下るだけなんです。だからそういうふうなことは現実の事態を見れば通らないと私は思う。電気がふえても高くなる。どんどん値上げになる。それじゃ大臣のお言葉は通らないと思う。そしてまた大企業だけをふくらました結果、今の反動が起きているのですから、その調整をはかるためには、中小企業なり、農林漁業なりあるいは地方債なりそういうところへ資金をできるだけ回して、一ぺん国内の均衡をはかるというのが、今の政策でなくてはならぬはずなんです。そういう意味で、私は地方債の今度の分は、多少復活すべきじゃないか、資金運用部が余裕金を大企業の方に回すというなら、やはりそういう地方債とが中小企業の資金というものも忘れてはならない。少くともその点は考慮してもらいたいと思うのです。どうですか。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は繰り返し御答弁申し上げましたように、ほんとうに地方において必要なる資金というものを押えようとは考えておりません。ただ問題は必要なりやいなやという点をはっきりして、必要とするその資金を考える、私はかように思っております。
  68. 門司亮

    ○門司委員 大蔵大臣は時間がないそうですから簡単にお尋ねいたしますが、大蔵大臣でも自治庁長官でもどちらでもよろしゅうございますが、今度の交付税の改正案は単なる改正案じゃないのであります。これは政府にお考え願いたいと思うことは、交付税法の今日までのあり方に新しい要素を入れようとしておるという一つ考え方に解釈できる面があるのです。それはどこにあるかといいますと、大臣もしばしば予算委員会その他でお話がありましたように、交付税を一・五ふやしたいということは、地方財政の最もガンになっておる例の公債費の問題を解決する一つの役割を演じておることは、しばしば言明しておる。従って法文から見てみましても、いわゆる十二条の一項、二項にその修正が出てきておるのであります。そうしてそれの対象になっているものは、御承知のように昭和二十六年、七年あるいは九年の当然政府が支出すべきであったと考えるいわゆる給与体系に基く地方財源措置公債費でまかなわせた、もう一つは譲与税法の改正に基く地方の収入減を公債費でまかなわせた、それからもう一つは特別地方債償還費、こう書いてありますが、この事業は主として交付公債に相当するようなものを、ここに私は大体書いておるのではないかと考えられる。この二つのものは今度の交付税を充てるということになって参りますると、おのずから交付税法の性格に非常に大きな相違が出てくるのであります。従ってこの際はっきり聞いておきたいと思いますことは、従来交付税法は御承知のように、財源補てんのために使われるというならば、地方財政収入と財政支出とのアンバランスをこれによって埋める調整財源にこれが使われる、従ってひもつきでないということは、この法律ではっきりしておる。今度の場合に、これが特定のこういう問題に使われるということになって参りますと、これはややひもつきのような感じが出てくるわけであります。従ってこれに充当しようとする交付税の額はどのくらいになるか、先に数字から伺っておきたいと思います。はっきりいえば、十二条の一項の八に加えられたもの、それから十二条の二項中の三十八、三十九、四十、四十一に加えられたものに相当する額は一体どのくらいのものを出そうというのか。
  69. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のお示しの公債費に充てるための基準財政需要の見込み額がさっき申し上げた総体で九十八億と、そのほかになお財政力補正を加えるというつもりでございます。
  70. 門司亮

    ○門司委員 今の数字は九十八億だけが公債費に充てられると解釈してよろしゅうございますか。
  71. 小林與三次

    小林(與)政府委員 公債費に充てられると申しますか、公債費償還費基準財政需要額に見込んで配る、こういうことになります。
  72. 門司亮

    ○門司委員 問題はそこなんです。これは普通の場合はただ単にそれが基準になっておりますが、この法律から行きますと、法律自身はひもをつけてはならぬと書いてある。ところがこれを公債費に充てるということになると——充てなければならぬということにしないと、実際は公債費の軽減にはならぬのです。これは一般財源の軽減にはなるが、公債費の軽減にはならぬ。もらった金をほかに使ったらどうですか。公債費を払わないでほかに使ってしまえばどうなんです。この法律の建前なら使えるのです。だからそこが問題だ。だから政府はこれで公債額が減るのだというけれども、ほかの条文がいじってありませんから、使い方によっては、ちっとも公債費は減らないと思う。
  73. 郡祐一

    郡国務大臣 公債費対策としてそうした金を地方財政計画の中に見込んで、そして公債費の重圧をのがれようとするのであります。別にひもはつけておりませんけれども、そうした今までのひっかかりのものを片づけようというのでありまして、これは自治体の協力を得ましてほかの方に使われてしまうことのないように、これからも指導して参ります。どうか御協力を願いたいと思います。
  74. 門司亮

    ○門司委員 ひもはついてないが、ひもをつけるつもりだ、こういう行政措置でこれを補おうとされるかもしれませんが、そうなって参りますと、この交付税が従来の性格から離れてきて、単なるアンバランスだけを埋めるのじゃないかということになってくる危険性を持っております。そこで今日本の交付税の問題で一番弱点といいますか、欠点はどこにあるかというと、足らない財源だけを埋めようとする、きわめて消極的の問題にそれがかかっております。従ってこれから自治体が行政水準を上げていこうとする、伸びようとする基準財政額というものを見ていない。これはこの交付税法の中に入っていないというふうに解釈すべきだ。法律の建前からいえば、そう言えるのです。そこでこういうふうに、新しく法律は改正しないが、しかしひもをつけたいというようなこと、あるいは行政指導でひもをつけるのだということになりますと、この交付税の税額をこの際考える必要があるのではないか。そうしてほんとうに今日地方自治体が行政の水準を高めていこうとするのには、交付税の性格を変えて、そうしておのおのの自治体のあるべき姿というものがやはり考えられて、そうして行政水準を上昇させる面にも、この交付税が使われるような、配分されるような交付税法の改正を私はすべきだと思う。根本的な税法の改正はしないで、こういうふうに法律だけは今までの通り守っておって、そうして行政措置としてひもをくっつけていくのだということになると、この交付税というものは何がなんだかわからなくなってしまう。だからこの辺で交付税法を根本的に改正して、そうして今申し上げましたように、地方の一番問題になっております行政水準を上昇させるということのためにも、この交付税がやはり算定の基礎に織り込まれるようなものにすべきだ、私はこう考えるのだが、この点はどうですか。
  75. 郡祐一

    郡国務大臣 私、先ほどもひもをつけるというようなことを一つも申しておらないつもりでありますが、また誤解を生じますといけませんので、申し上げておきますが、公債費という義務費というものは、どうしても払って参らなければなりません。一方で行政水準の向上、投資的経費の充実という問題がございます。従いましてその義務費を払っていく、それに見合うものが与えられておりまして、そうしてその問題と別に、どの程度に行政水準を充実して参るかということを、あわせて考えて参るべきである、そういう意味合いで申し上げたつもでございます。
  76. 門司亮

    ○門司委員 これをあまり長く議論することはなんですが、大蔵大臣に今度一つ聞いておきたいと思うのですが、今自治庁長官はそういう御答弁をなさいましたが、これは大蔵大臣もしばしば言われておるのでありまして、ですから、もう一つはっきりこの際聞いておきたいと思うことは、こういう財政措置では、公債費の事実上の解決にはならないということであります。ただ言いわけにこういうものを入れたということだけである。公債費解決しようとするなら、当然こういう交付税というようなものでなくして、別途のもので公債費解決する方法を講ずるというのが、私は先決だと思う。今日の一・五の値上げというものは、私はごまかしだと思う。このくらいの増額は、今日の地方自治体の現状からごらんになれば、当然ふやすべき金があって、これを公債費に振り向けたり、あるいは今自治庁長官の言われるように、ひもをつけるということは誤まりだと思う。だから大蔵大臣に聞いておきたいのは、この誤まりをなくすることのために、この新しく書かれておる条文だけに削ってしまう。そうして別に公債費対策を立てなければ、今日の公債費の問題は解決がつきません。大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  77. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はむろんそのままでいいと思っておるのです。また考えの趣旨も自治庁長官が答弁なさったと同じでございます。何にもこの一・五の交付税率を上げた場合に、これは公債費ひもをつけたことにはならないのであります。ただ配分方法の問題として、それがどういうふうになるかということであります。問題は公債費をだんだん小さくして問題を解決していくというのには、やはりどうしても公債の発行額を減らすという方向に持っていかないと、これは解決がつかない。そういう意味におきましても、先ほどから申しましたように、一般債なんかはなるべくこれを減らしていく、そうしてそれを三十三年度もそういたしたのでありますが、全額政府資金に置きかえる、こういうふうな格好にしまして、しかしなかなか急には行きませんので、漸次そういうふうな方に行く、そうする以外には今ちょっと名案も考えておりません。
  78. 門司亮

    ○門司委員 大蔵大臣は急がれるようですから、もう一つだけ聞いておきますが、今の御答弁は、今度の交付税法改正とは少しわけが違うのです。私が申し上げておりますのは、これだけでは解決しない。たとえばさっき申し上げましたように、第四十項に「特別の措置として発行を許可された地方債に係る元利償還金」、四十一項には「公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金」と書いてある。これには義務教育あるいは失業対策事業であるとか、あるいは一般公共事業というようにずっと羅列しておりますが、この額を見てみますと、わずかに四分の一です。例の十二条の一項の数字からあわせて見ますと、御承知のようにこれは一円につき二十五銭と書いてあります。そうすると四分の一の補助をこれに織り込んでおる。しかもこれは行政指導で払わせるようにするのだというようなあいまいなことでは、今日の償還費対策は立たぬと思う。たといこれだけの額でありましても、四分の一なら四分の一でも政府がそういう起債については特別にこういう補助金を出すのだ、あるいは援助をするのだという別途の法律でなければ、私は今日この解決はつかぬと思う。だから、これを中に織り込まれたところに、今日この一・五を増したから、それで地方財政が非常に豊かになったというようなばかばかしいことは言えないと思う。われわれは一・五を要求し、さらに三〇%に増してもらいたい二七・五%では足りないと言っておりますが、何もこれは今日の償還費を償おうというのではないのであります。これによって公債償還額を押えていこうというのではないのであります。われわれの要求するものは、この程度ふやしてもらわなければ、地方自治体の今日の財政上の行き詰りというものが打開できない。予算委員会でも私はお聞きしたと思うのですが、地方の自治体へ参ってごらんなさい。産業はやかましいことを言われ、生産を増せと言われておりながら、道路は全くなっておりません。これは茨城県でありますが、橋梁の三〇%は重量制限をしておる、通れない橋が約五%くらいあると言われておる。こういう状態を直していこうとするのには——やはり交付税を増していくにしても、一・五を増しても、そういうものの補充すらできないのであります。そういう状態であるときに、その上にこの交付税の一・五で、当然政府が処置しなければならなかったと考えられるこの公債費もこれでまかなえ、こういうようなごまかしであってはならないと思う。だから大蔵大臣に聞いておきたいのは、この公債費については、こういう交付税の中に公債費償還を織り込まないで、別途なものにして公債費を片づける御意思があるのかどうかということを伺いたい。
  79. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのところ別途に考え考えは持っておりません。なお、政府委員から詳しく説明させます。
  80. 相澤英之

    ○相澤説明員 若干補足して御説明申し上げますと、もともと公債費は、地方財政計画の面では、その当該年度における元利償還費の全額を見込んでおりまして、収支がバランスしております。その収支のバランスの最後のしりを交付税が押えておるという格好になっておるわけでありますが、問題はこの交付税でいかに地方団体財政需要に応ずる配分をするかという点にあるわけでございまして、従来はこの公債費の問題につきましては、河川費とか道路費とかその他土木事業のそれぞれの単位費用におきまして、いわば減価償却の形でその公債費を織り込んでおったわけでございます。ただ災害復旧事業等につきましては、従来からもその大部分を単位費用に見込むという方式をとっておったのでありまして、その方式を踏襲して三十二年度におきまして、これは臨時の措置でございますが、問題の多い特別の地方債について元利補給金の一部を見込むという措置をとったわけでございます。三十三年度といたしましては、これを恒久的な措置といたしたわけでありますが、お話通り一円につき二十五銭というので、若干金額は少いのでありますが、しかしこれはそのほかの単位費用に観念的には配分されておるというふうに考えられるのであります。その配分の立て方は、なお今後も財源の実際の状況を見まして十分検討していく余地はあろうかと考えております。
  81. 門司亮

    ○門司委員 そんな君、今のような答弁をしていてはだめだ。読んでみたら何と書いてある。法律には償還費は単位費用に織り込まれてあるとはどこにも書いてないのだ。交付税法の十二条の規定をずっと見ていけば、そんなことはどこにも書いてない。君の言うのは七条なんだ。七条の地方財政計画を立てる中には、元利償還金を見積ると書いてある。七条にはそう書いてあるが、しかし十二条にはそれは書いてない。十二条は単位費用である。そういう大蔵省考え方が根本的において大きく違っておるとすると、問題ですよ。それならしばらくここで議論をしなければならないことになってくるが、七条にはそう書いてあります。これによって政府は地方財政計画を出さなければならぬことになっておる。ところが十二条と十三条はそういうものでなくて、具体的に、それに要する経費と書いてある。公債費はこの中にはどこにも入っておらない。しかもこれは見積りなんです、単なる単位費用なんです。おそらく地方の自治体で単位費用を算出するときに、この単位費用に公債費が幾ら含んでおるかということを計算できるはずはない。これは個々の問題です、一つ一つの問題なんです。公債費の使途というのはおのずから違っているでしょう。橋梁にしたところでどの橋梁にどれだけの借金をしたかということはわかるかもしれない。しかし全体の橋梁の算定の基礎に公債費を充てるということはおかしいでしょう。だからわれわれが今ここで言っているのは、そういうことでなくて、公債費をこの中にはっきり織り込んでくるということになると、十二条あるいは十三条に書いてある最初の法律と違ってくる、こういうことなんです。十二条を大体読んでごらんなさい。「地方行政に要する経費の測定単位及び測定単位ごとの単位費用は、地方団体の種類ごとに左の表の経費の種類の欄に揚げる経費について、それぞれその測定単位の欄及び単位費用の欄に定めるものとする。」、こう書いてある。だから私の言っているのはこういう法律を直さないでおいて、そうして公債費をこの中に織り込んでくるということになると、しかもそれに行政措置ひもをつけるということになると、交付税法自身の性格を変えてくる。もし交付税法の性格を変えるというなら、もう少しはっきり変えて、こういう経費だけでなくして、これから先伸びようとするものを、この中に織り込んでいったらどうか。これは既設のものだけが書かれています。新しく架設しようとするもの、あるいはかけかえをしようとするもの、新しく学校を建てかえようとするもの、それらの費用はこの中に見積ってはいないのです。その点私は法律と違いやしないかとこう言うんです。この交付税は明らかにそうなんですよ。現状の上における経費の算出の方法なんだ。新しく伸びようとするものについては少しも書いてないんです。これから橋を一本かけるからその費用を見積るということについては何らない。現在ある橋の長さと幅をきめているんだ。その橋が腐っていようと腐っていまいと、そんなことはちっとも関係ない。かけかえるということはちっともここに書いてない。だから既存の施設についての、ただ補修、というよりもむしろそれを基準にして割り出しただけであって、別に公債費というようなはっきりしたものについて穴埋めをする筋合いのものは、現行の交付税では私はできていないと思う。だからもしこういうものを織り込もうとするなら、さっき言ったように別途の法律公債費は見る、交付税交付税として現状のままで足りない分を補てんしていくという形の方がすっきりしているし、またこの交付税法の建前にも合うと私は考えている。だからもし今大蔵省で話されたように、この単位費用の中にそういうものが含まれておるというなら、言ってごらんなさい。入っておるはずがないのだ。長さは幾ら、幅は幾ら、橋梁の長さと書いてある。橋梁の費用とは書いてないでしょう。道路の延長と書いてあるでしょう。人間一人につき幾らと書いてあるでしょう。学校がこわれているかこわれていないかということは書いてない。学級数が幾ら、児童数が幾ら、先生の数が幾らとは書いてない。今の答弁のようなことがあるなら、そういう経費がこの中に入っているとするなら、はっきりしておいてもらいたい。全然入っていないでしょう、これには。私の聞いておるのはそういうことで、そんなごまかしの答弁をしたってしようがない。どこに書いてあるか、はっきり言いなさい。公債費をどれだけ見積っているか。三間なら三間の橋の長さの中に公債費がどれだけ見積ってあるか、単位費用測定の中にはそんなものは入っていない。入っているなら、どこにどれだけ入れたかはっきりしてもらいたい。
  82. 相澤英之

    ○相澤説明員 だいぶおこられましたが、申し上げましたことはこういうことでございます。またくどいことを申し上げますが、地方財政計画の面で収支がバランスする。その収入の面で、地方交付税が補てん的な措置となっておる。それと、確かに十二条でいう交付税の測定単位、単位費用の計算というものとは、必ずしも厳格に結びつくものではございませんが、しかしながら交付税を含めまして財政収支がバランスしておる。そして交付税というものが、地方財政需要なり財政収入というものを勘案しまして、その不足財源を按分的に補てんするという考え方に立っている以上、当然この単位費用の中にそういった公債費も含めた経費というものが充当されておるべきものである、観念的にはそういえるのではないかと思います。そこで問題は、これらの単位費用にそういった公債費が果して織り込まれておるかどうかという問題でございますが、今門司生先からお話がございました通り、この単位費用は、たとえば橋梁費につきましては、橋梁の面積あるいは橋梁の延長ということが測定単位になっておる。これに対して単位費用がきまっておるわけでございます。その橋梁の面積につき幾らという単位費用をきめます場合に、これはその橋梁の維持費という観念でできておるわけでありますけれども、その維持費というものには、単に鉄橋についてペンキを塗りかえるとか、そういった経費のほかに、当然償却費というものが見込まれておるべきものでございます。そういった公債費は償却という形でこれに織り込まれておるというふうに見ないと、この間の説明はつかない、こういうことを申し上げたわけであります。
  83. 門司亮

    ○門司委員 そんなことがありますか。公債は個々の自治体で違いますよ。今日三千幾つかある日本の自治体でみんな違いますよ。これは一本で出ていますよ。そうすると公債がないところにもこの一本の姿で金を出すことになる。この不公平をどこで直しますか。あなたのような答弁では、どこで直そうというのですか。
  84. 相澤英之

    ○相澤説明員 まさにおっしゃるその点が従来までの交付税配分方法の大きな欠陥であった、少くとも公債費の問題につきましては、非常に大きな欠陥であったというふうに私ども考えておったわけであります。従いまして、土木費、こういうような道路費とか橋梁費の形で面積とか延長というようなもののみを測定単位とすることは、まさに地方団体財政需要の実情に即しないのではないか。従いまして公債費の問題については、そういった新しい測定単位を立てて、これに応ずる単位費用、すなわち現実地方公共団体がどれだけの元利償還をするであろうか、ないしはするかということを基礎にいたしまして、金額配分をすべきではないかということを、私どもは特に主張しておったわけであります。それが今回は地方債のほかに特定債について特別な措置をとることとしたわけであります。
  85. 中井徳次郎

    中井委員長代理 門司さん、来週また大蔵大臣以下全部出て参りますし、きょうは二時から交通関係の小委員会をやることにしておりますので、来週に保留していただけませんか。相澤君ももっと勉強してきていただきたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十一分散会