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1958-04-17 第28回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十七日(木曜日)     午後三時四十七分開議  出席委員    委員長 足鹿  覺君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 佐々木秀世君 理事 高見 三郎君    理事 田中 彰治君 理事 井上 良二君    理事 横山 利秋君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高蔵君    川野 芳滿君       高瀬  傳君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    夏堀源三郎君       藤枝 泉介君    前田房之助君       山本 勝市君    有馬 輝武君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       竹谷源太郎君    平岡忠次郎君       山本 幸一君    横錢 重吉君       横路 節雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 唐澤 俊樹君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      渡邊  誠君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 四月十六日  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案内閣提出第一三三号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 大臣に伺いますが、あなたは古荘頭取にお会いになったことがありますか。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 会ったことはあります。
  5. 横山利秋

    横山委員 ありますのですか。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 会ったことはあります。
  7. 横山利秋

    横山委員 それはいつのことでありましたか。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が会いましたのは、ずっと会わなかったのですが、最近としては、今よく覚えておりませんですが、多分一月の末ころじゃなかったか、あるいは二月の初め、そのころ一度会いました。
  9. 横山利秋

    横山委員 いかなる用事で、どういう場所でお会いになりましたか。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今、私ちょっと錯覚いたしておりまして、一月末から二月の初めに会ったのは、実は会った人が違うのです。最近古荘先生に会ったのは、この問題が起った後です。この銀行の問題が起って、あと後任頭取の問題をするようになってから会いました。
  11. 横山利秋

    横山委員 少し意味がよくわからないのですが、私がお問いしたのは、いつお会いになりましたかと言ったら、一月か二月ごろお会いになりました、こういうことでしたね。今のお話はもっと前ですか、そこのところをはっきりして、いつごろお会いになって、どういう御相談をなさったか、お伺いしたいのです。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、それでは古荘君と会ったことをずっと前から申し上げます。私が会いましたのは、去年の、私が大蔵大臣に今度なりました初めのとき会ったことがあります。それからずっと、古荘君とはほとんど会った記憶を持っておりません。そうして会いましたのは、今回頭取を私がきめて、古荘君にこれを申し渡す、このときに正式に会ったことがあります。
  13. 横山利秋

    横山委員 あなたが大臣おなりになってから古荘さんにお会いになったのは、たしか去年の七月ごろかと私は推定をいたしますが、そのときに大蔵大臣として古荘さんにどういうことをおっしゃり、かつ古荘さんはどういうことをお約束になったのでしょうか。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昨年私が会いましたときは、銀行検査の結果等に基きまして、銀行の経理を厳重にして、かつ固定貸しなんかについてすみやかに回収をいたすように、かような警告を発しました。そうしてこれをやることについては、今度は決意を持って、もしもこれがいかぬということがあれば、これは自分としても銀行再建固定貸し回収のために、いろいろとこの根本的な点について決意をしなければならぬ、かようなことを申したのであります。
  15. 横山利秋

    横山委員 少くとも大臣おなりになってから、あなたは千葉銀行の問題について詳細御報告を受けられて、そうして千葉銀行について再建の必要ありと認め、古荘頭収に対してお苗がやらないならばおれも覚悟があるというようなことをおっしゃったと私も理解をし、今そのようなお話を承わったわけであります。大臣は、昨年七月に大臣おなりになる以前の池田さんの前の大蔵大臣のときにも、千葉銀行監査を部下をして命ぜられたのでありますが、その前の監査のときと、あなたが大臣になられてあらためて千葉銀行の問題を承知をせられたときと、どういう違いがありましたか。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは今数字的につまびらかに申し上げるだけの数字を持っておりませんが、私は第二回目の大蔵大臣になりましたときに、依然としてやはり回収状況等が特殊なものについてはおもしろくないようでありました。それで、その点に私は着目しまして、そうしてこれは正そう今後力を入れて、むしろ計画を立てて回収をはかるように、かようなことを申したわけであります。
  17. 横山利秋

    横山委員 本日は、私初め諸君から、大蔵大臣に相当欄密な御意見を承わりたいので、本席へ銀行局長銀行検査部長等数字大臣が御存じない問題でお答えできる方を呼んでおいていただきたいと思います。委員長お取り計らいを願いたいと思います。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員長 銀行局長とそれから検査部長が来ております。
  19. 横山利秋

    横山委員 わかりました、そこで大臣にお伺いするのですけれども、三十年の一月の定期検査、三十二年の七月の二十七日にわたる定期検査、それが行われて、そうして大臣が古荘氏を呼んで言うほどの重大な問題であります。私は、先般の大蔵委員会におきましては、あなたの力として具体的なことはそうまでは言えないというお話でしたけれども、今や天下の耳目はこの千葉銀行の問題に一切が集中しておる。そうして大蔵省のその監督責任やいかん、こういうところが今日の問題の焦点であります。従いまして、この際大蔵大臣としても、大蔵省がどういうふうに監査を、実行し、その実績は上ったのであるかいなか、大蔵省が努力をしても上らなかったのは、いかなる事情にあったものであるか。世間疑惑の中には、率直に申しますれば、大蔵省もまたその関係ありはしないか、関係あればこそ、言うばかりで実績が上っていないことに対してこれを放置しておったのではないか、こういう疑惑もあるわけです。従いましてこの際大臣及び関係政府委員といたしましては、この間の事情を明らかになされることが必要であるかと思います。第一回の三十年一月の定期検査の際の六億五千万円のレインボーに対するこげつき、今日の十一億五千万円の焦げつき、これらに対して大蔵省が何をしておったか、どういう監督指導をしておったか、なぜその実績が上らなかったかいうことを詳細に一つここで説明をしていただきたいと思うのであります。
  20. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 千葉銀行業績でありますが、これはむろん業績全体としての場合と、ある特殊の貸付についての問題があると思うのであります。私どもとしては、むろん個々の貸付等の悪いものはよりよくする、そして流動性を保つような貸付をいたす、そうして銀行の全体の資産がやはりりっぱなものであるように注意をすることは言うまでもありません。そういうように考えた場合に、しかしやはり経済の変動またいろいろな事由から、あるものについては貸し出しが増加するということも私はあり得ると思うのでありますが、これは一般的な議論です。全体の銀行状況としては、大体においていい方向に向いておるように思うのであります。しかしわれわれ監督立場にある大蔵省といたしましては、常に、どうあろうと、多額の金が固定するということは、銀行経営上最も好ましくないのでありますから、これが回収について常に指導を怠らないわけであります。千葉銀行自体つきましては、私どもも今問題になっている貸付なんかは好ましくないという見地に立ちまして、できるだけこれが回収について指導いたしたのであります。しかしながらその回収が思うようにいかず、今お話のようにこれが増加しておることも事実であります。しかしながらそれだからといって、大蔵省が何かこの監督において手かげんを加え、そうして大蔵省も何らかの関係があるかのような今のお言葉は、私どもとしては全く承服ができぬことでありまして、そういうことはありません。これについては、私はこの大蔵委員会があるとすぐに頭取を呼びまして、これが回収について十分に責任をただした。その際において、これは銀行内部において若干問題もあったが、今度は重役全部が協力して、そうしてこれらの固定貸し回収に当るから、しばらく時間をかしてほしい、こういうような過程であります。現状で私のお答えすることはさようなことであります。
  21. 横山利秋

    横山委員 去年の七月、あなたが先ほど申されたように、大臣に就任して古荘頭取を呼んで、はっきりしなければ大蔵省としても考えると言われたときに、あなたは古荘氏に辞職を求めたようなことはありませんでしたか。
  22. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、真に計画を立ててやれ、やらないならこれを処分してやめてもらいたい、こういうふうなことは話したことがあります。
  23. 横山利秋

    横山委員 今回あなたが古荘頭取に――あなたの言うところの二回目の会談だそうでありますけれども、辞任を求めた具体的な理由を明らかにして下さい。
  24. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは先ほどから御答弁申し上げておるように、たとえばレインボー貸し出しにいたしましても、当初より残高もふえるというような状況で、こういう状況ではとうていいかぬから、こういうことは一つ考えてもらいたい、従って十分整理案を立てて回収の道をはかるようにしなければならぬ、それについて十分な確信があるかないかということであります。そういうような児地頭取との話し合いをしたわけであります。
  25. 横山利秋

    横山委員 要するに、最初の監査をいたしたのが今から三年前です。そのときにすでに六億五千万円の焦げつきレインボーにあって、あなたの方としては先日の銀行局長の言によれば、厳重にこれを注意をした。その次に三十二年の二月には、さらに三十七日間の監査をした。それにもかかわらず、あなたが大蔵大臣になってから、さらに注意をした。そうして天下を騒がせるようになって、あなたは古荘頭取辞職を要求をした。一体不審にたえないのは、この間、大蔵省は何をしておったかということであります。この間の大蔵委員会の記録を見ますと、一たん厳重注意をした銀行で、その後貸し出しの増すようなところはほとんどない、この千葉銀行だけであると銀行局長は答えておる。そういうところにのんべんだらりといつまでもやっておって、私は言うだけ言いましたから、首を切りましたから、もう私の責任はないんだと言わぬばかりの今の大臣の御発言は、まことに私は当を得ないと思う。従って、世間のいうように、あなた自身も、何か関係があるのかないのか知らぬけれども、うわさをされ、銀行局監査についても、全く信用がならぬのだ、こういっておる。森脇証人も、おとといの言をかりるならば、一体大蔵当局は何をしておったかと、満座の中で言っておるわけです。森脇証人が本委員会を通じて明らかにした大蔵省に対する信頼性の欠如ということに対して、あなたは、どういう答弁をいたしますか。もっと具体的にこの間の事情を明らかにして、疑問があるならば、これを払拭すべきではありませんか、いかがすか。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 銀行貸し出し、あるいは営業の状況、これについて、むろん大蔵省としては、いろいろと検査もいたしますし、監督もいたしますが、そうそうしょっちゅうこれをいたしておるわけではありません。私は、何も自分監督責任を免れようなんて、そんなことは考えておりません。おりませんが、実際の問題といたしましては、これは、やはり銀行首脳者の判断でもって貸す、それが、またどの銀行でも、場合によって経済上の変遷、あるいはまた貸出先状態変化等によりまして、回収するはずのものが回収ができなくなる、あるいはまた、回収をするためにさらに貸し出しをしなくちゃならぬ、こういうことも、これは、銀行業務の上においてはあるのであります。従いまして、私が前からしょっちゅう銀行に入り込んで、そしてああしろこうしろというのなら、事態は違うのでありますけれども、そうはいきませんものですから、結果において、やはりあの貸し出しの固定することがあることを、銀行監査の結果発児をいたしました。それなら、それについてこういうふうな処置をとり、早く銀行状態をよくしなければいかぬというふうに、行政指導をやったわけであります。  私は、千葉銀行業務監督の上において、できるだけのことはいたしたのでありますが、しかし、結果的に見た場合には、若干遺憾な点はあった。私が話をしたというのは、いろいろと世評があっても、やはり銀行経営をする上においては、経営者内部の和ということが非常に必要であって、みんなが一緒になって協力してやる、そういう点についても、とかくのことがありましたが、この際、そういうことは十分考えるべきである、こういうことを話し合ったわけでございます。私は、これは、すべて総合的に全体として考えていくべきだと思っております。
  27. 横山利秋

    横山委員 じゃ、具体的にお伺いしますが、あなたが大蔵大臣になって、古荘頭取を呼んで厳重に、これからやめろ、回収は取り立てよと言ったというが、あなたが千葉銀行に対して一生懸命にやったとおっしゃる具体的な事実は、どういうことなんですか。どういうふうに、何月何日ごろに千葉銀行にこういうことを命じたとか、あるいは銀行局は何をしたとか、具体的に言って下さい。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、検査報告も受けまして、今中しましたような趣旨でいたしております。具体的にどういうふうに示達をしたかは、銀行局長から答弁させます。
  29. 石田正

    石田政府委員 御承知通り銀行検査をいたしましたのは、二十年一月と三十二年二月の二回でございます。三十年の一月の検査によりまして、適正を欠くというように思われるところの貸し出がありましたので、それに対しまして、示達をいたしたわけであります。その後、二年間経過いたしまして、三十二年二月の検査をいたしました結果によりますと、前に示達をいたしたにもかかわらず、そのときに注意をいたしました貸出先に対する貸し出しがふえておるわけであります。従いまして、それ以後は、そういうことがあっては非常に困りますので、特に強く注意をいたしております。お話のありましたところの十一億何十万円という貸し出しは、三十二年二月検査をいたしましたときに、すでにそれだけの貸し出しに上っておったわけであります。自後われわれといたしましては、特にその点を厳重にいたしまして、そうして貸し出しがないように、未回収がないようにということを、やかましく申しておったのであります。大体その三十二年二月の状態で、今日まで推移してきておるわけであります。
  30. 横山利秋

    横山委員 銀行局長にお伺いしますが、三十二年の二月、二十七日間にわたる監査をして、十一億五千万円貸しておったからけしからぬということを責めた。その後、千葉銀行レインボーに対して貸し出しをしなかったか。あなたの方は、それをやるなと言ったか。結果は、具体的にはどういう行程をたどりましたか。三十二年二月から今日まで、千葉銀行は、レインボーに対して貸し出しをしなかったか。これは、いかがですか。
  31. 石田正

    石田政府委員 これは、技術的な問題といたしまして、貸し出し貸し増しつきまして、手形の書きかえとかいうことが問題があると思います。そこで、新しく手形を書きかえたら貸し増しだと言われたら、それは貸し増しではなかったということは、言えないかもしれませんが、トータルにおきましては、ふえておりません。それからわずかでありますが、減少いたしております。
  32. 横山利秋

    横山委員 大蔵大臣、あなたは、先ほど私の質問に答えて、古荘頭取とは二回しか会ってないと言われたが、事実ですか。もう一ぺん重ねてお伺いします。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 前のときは、私は会ったことはありますが、大蔵大臣になってから会いましたのは、先ほど申しました去年の七月に大蔵大臣になりましたから、その直後と思います。それから今回お会いしたわけであります。
  34. 横山利秋

    横山委員 昨年の秋、松野参議院議長部屋で古荘頭取とお会いになりませんでしたか。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことはございません。
  36. 横山利秋

    横山委員 大臣、私がお伺いしておることに率直に一つ答えていただきたいのですが、私は、こう思うのです。千葉銀行に対して厳重に監督をし指導をしなければならぬとしたならば、善意の意味においてお会いになることは、あり得ると思います。そうでしょう。参議院議長部屋で古荘頭取とあなたがお会いになったということを、言う人があるのですよ。いかがですか。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ありません。
  38. 横山利秋

    横山委員 しからば、お伺いをいたしますが、昨年の二月以降、最も厳重に千葉銀行に対して監査監督をしなければならないあなたが、その古荘頭取に、先般来問題になっております、よろしく頼むという手紙を出されたということが、何としても私どもにはわからない。最も焦げつきがたくさんある千葉銀行に対して、人を紹介して――紹介する以上は、何かの無理を頼むといいますか、できないところをできるように頼むというか、そういう二点でなければならないのに、その銀行に、あなたがよろしく頼むというのは、いかなる心境であったか、それを一つ明らかにして下さい。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは問題なんで、親書というような名前もつけられております。これは、率直に申し上げます。何も隠すことはないのであります。あれは、一月の未か二月の初めに、ある方が私のところにこられて、そして古荘に紹介状を書いてくれ。私は、実を言いますと、日銀総裁であった時代に、私の紹介状を悪用された経験がありまして、それで、その後は名刺も作らない、紹介状も書かない、よほどのときでないと書かない。書けば、必ず、こういうふうな紹介をしたから、あるいはこういう意味だからということを、必ずそれを差し上げた向うに電話等で通じておいて、誤まりなきを期しておるわけです。今回も、実は率直に言いますが、私は何でもないのに、こういう問題になったのでありますから、私は、そのまま事情を申し上げまするが、ほんとうをいうと、こういうときですから、とかく群いて、あとでひょっと何か誤解が起きはしないかというので、苦くことにちゅうちょした。私に、いろいろな人がきて、紹介状を書いてくれという人が非常にたくさんあるのです。しかし、私は、なるべくそういうことはしないのです。これを書くことは、場合によっては、さわりがあるかなというようなことも実は考え、そういうことで、私は、書くことは書きましたが、そういうふうな気持ですから、きわめて社交的といいますか、御紹介を申し上げるというような意味にしておいたのです。そして、私は、そのあとで、いつもの例に従いまして、こういう意味でこういうふうななにだというふうに言っておいたわけでありまして、私は、何も、これは、何らかいろいろなことと関連があって私が紹介したようにいわれるのは、私としては非常に残念で、事実全く無根である。これは、そのときに、私の関係におきましては、ある人がきて紹介状を書いてくれ。諸種の事情から、やむを得ぬと私も思いましたから……。しかし、それより誤解のないように、紹介状を書くが、同時に、それについては、こういう紹介状を出したというようなふうにして、その後、それで御迷惑ならお返ししましょうということで、実は、それは率直に言いますが、返してきたということなのであります。ただそれだけなんです。私神明に誓って、それはそうなんです。それだけで、いろいろ事をこじらせぬで下さい。こじらせると、問題が変になりますから。
  40. 横山利秋

    横山委員 あなたは、今日二年、三年にわたって、千葉銀行銀行の中で最も問題のある銀行であり、あなたが監査し、あるいは監督しなければならない一番重要な銀行であることを承知の上で、ただ何となく書いたということでは、人は通りませんぞ。少くともあなたは、人を紹介する以上、その人がどういう目的であったかということを、聞かなかったはずはないでしょう。少くとも片一方は、銀行頭取ですよ。あなたは、どういう目的紹介状を書いてくれと言われたか聞きませんでしたか、いかがです。それは、何も聞かずに、人を紹介してくれというので紹介しましたか。あなたの今おっしゃるのを聞けば、自分は、人を紹介するときは、よほどでない限りはしない。私は誓いを立てておる。こう言いながら、片一方、何の気なしに紹介をしたというのは、それは、子供なら通るかもしれませんが、おとなの世界では通らないのです。しかも、あなたは出してしまってから、ああこれは悪かったとおっしゃる。そして、それは取り返したとおっしゃる。しかりとするならば、あなたが紹介したその事実というものは、あなたが何と言おうと、あなた自身もそう思われているのだから、人が思うのは当然でありましょう。その紹介した人の問題について、あなたは、もう少し経緯を明らかにする責任がある。あなたは大蔵大臣ですぞ。従って、あなたは、それは、どういう目的紹介を頼みにきたのか、そして、その目的は達成されたのか、あなたが知らないはずはない。もう一度明らかにしてもらいたい。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどから私が申しましたのは、私は紹介状をなかなか書きませんと申しましたが、それが、今御意見のようになったのであります。私が申しますのは、そういう立場にあります、私の立場もありますから、従って紹介状も、人に金を貸せとか、そういうようにとられぬように、通り一ぺんの紹介です。しかし、それだからといって、その紹介状を持ってどういうふうにお使いになるか、これも、やはりあなたのお考えのような私も心配がある、それで、古荘氏に電話で、金を貸せという意味紹介はしていない、そういうことは絶対にいかぬから……、こういうふうに、ちゃんとそれは……。私は、大体先ほど言ったように、紹介状をまれに出しても、そのときは、こういう意味紹介状を出しておるから、御了承願っておくということを、別個にまたやっておるのであります。それは、よくわかったということで、それで、その後に紹介状を、それは御心配もあろうからというので……。これは、私はその通りであります。
  42. 横山利秋

    横山委員 はっきりいたしません。これでは通りません。あなたの先ほどの前段の話は、人を紹介することには、自分は厳重に慎しんで、勝手に紹介しないように誓いを立てておる、こうおっしゃっておりながら、人を紹介して、よろしゅう頼む。そして、あとになって、これは何というか、言うことを聞いてくれるなというように連絡をした。それは、人を紹介する方法でもないし、現にそれほどあなたは考えておられるならば、その人、この間の委員会質疑応答で明らかになっておるのでありますけれども、その人があなたに紹介してくれという以上、どういう理由でしょうか。千葉銀行へ行ってどういうことを頼むのでしょうかということを、聞かなかったはずはなかろうというのです。どうです。それは聞いたはずじゃありませんか。だから、それを聞いて紹介をしたならば、その結果がどうなったかということも、あなたは知っておるはずではないか。あなたがあとから、それは、言うことを聞いてくれるなというふうに言ったのか、あるいは言うことを聞いたけれどもあとになって、いかぬから、その手紙だけ返してくれと言ったのか、そこのところは、大蔵大臣のあなたの責任じゃありませんか。一萬田大蔵大臣ともあろうものが、銀行頭取に人を紹介するに際して、何の目的だかわからぬというばかなことで済みませんぞ。もう一ぺん明らかにしてもらいたい。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 明らかにいたしますが、私は、私の紹介で、その紹介を頼んだ人に、金を貸してやれとか、そういうことは一切紹介していない。その方はごく一応の紹介です。その人は、いろいろありましょう、金を借りるとは限らない。そのほかにいろいろ関係があります。しかし、私は、やはりひょっとそれが誤用されて、私の意図に違って、そのときの話と違って誤用されることがあってはいけないから、一応念のために、それは、そういうことには何も考えていないからということを、申し伝えたのであります。
  44. 横山利秋

    横山委員 重ねてお伺いします。千葉銀行紹介してもらいたいと言った人は、だれですか。何のために紹介してもらいたいと言つたのか、それを、はっきりしていただきたい。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その紹介状を書いてくれと私のところに参りましたのは、山村新治郎君であります。
  46. 横山利秋

    横山委員 山村新治郎氏があなたにお願いされた。そこで、山村新治郎氏が千葉銀行紹介をしてもらいたいという理由は、何であったかと聞いておるのです。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、そのときに山村君にも、金を借りるという紹介は、それはできませんということを、きっぱり答えてあります。従いまして、紹介をしてくれ、それを一々断わることも、必ずしも適当でないと考え、従いまして、あるいは意味がないとおっしゃればおっしゃるかもしれませんけれども、ごく大ざっぱな普通の紹介をいたしたわけであります。
  48. 横山利秋

    横山委員 当時山村産業が、千葉銀行に対して融資してもらいたいという事情があった、またそういう緊急の必要性があったということ、あなたは御存じになりませんでしたか。
  49. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そのときに、山村君が資金的にどういう必要があったか、私は知りません。
  50. 横山利秋

    横山委員 きわめて軽率な話であります。当時山村新治郎氏は、仕事の関係上、どうしてもお金が必要であった、こういう背景にあったのです。それをあなたは何の苦もなく、自分は人の紹介を――銀行にはめったなことをしないというふうに誓いを立てられたと、しばしば公言をされる。ところが、山村さんは金をほしい。それを、あなたは千葉銀行に御紹介なさる。これは、融資の問題ではないとあなたはおっしゃるが、どこの世の中の人間が、それでそうだとあなたを信用しましょうか。それで、あなたは、今もってわかりませんか。山村新治郎氏の融資について千葉銀行はどうしたのか、知りませんか。答えて下さい。
  51. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、当時の事情として、友人でもあるし、融資ということはできぬが、わざわざ来られて紹介してくれというので、私は率直に言いました。友人として大ざっぱな、ごく普通の紹介をしたのです。(発言する者多し)しかし、それだからといって、今あなたのおっしゃるような誤解が――私が大ざっぱに紹介をしても、頭取から見れば、金を貸すとかなんとかいう問題になるだろう。それで、私は、紹介を出すときに、あなたの方に私の意思を通ずると同じように、特に今回は向うに早く、こういう紹介状が出ておるけれども、しかし、これは融資とは全然関係がないからということを、頭取に十分言い伝えてあるわけであります。
  52. 横山利秋

    横山委員 今与党の諸君が騒いでおるけれども、普通の人ならば、これはいいのです。けれども、あなたは銀行指導監督する立場にある責任にある大蔵大臣。しかも相手方は、数年来不正貸付で、あなたが特に監督指導しなければならない千葉銀行です。そこで、あなたが、いや融資のことではないよと言いながら、最も融資に一生懸命になっておる人を、よろしく頼むと紹介することの責任を感じませんか。それで、あなたはてん然として、これでおれは、何も融資のことを頼まれた覚えはない、よろしく頼むと言われただけだと、こう言っておられますか。  重ねて聞きましょう。あなたが言わなければ、定期監査をした銀行局にお尋ねいたします。山村新治郎氏は、事実大蔵大臣のよろしく頼むを持って行って、千葉銀行で融資を受けたのか受けなかったのか、その結果を一つ報告して下さい。
  53. 石田正

    石田政府委員 銀行局長といたしましては、今回のお話があるまでに、そういうことがありましたのを全然知らないのでございまして、従いまして、その親書に基きまして貨し出しをしましたかどうか、これは、私といたしましては存じません。
  54. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、銀行局長、山村新治郎氏が、一萬田氏の手紙を持って行って融資に成功したかどうかは、あなたは、御存じないということですね。
  55. 石田正

    石田政府委員 そういうことは、私初めて知ったのでございまして、そういうことは前に知りませんものですから、調査をいたしておりません。
  56. 横山利秋

    横山委員 大蔵大臣、この問題について、最後にお伺いするのだけれども、あなたが紹介をして、山村さんの融資を千葉銀行がしたかしなかったか、結果をあなたは御存じないのですか。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、先ほどから申しますように、私の今申しました紹介手紙によって融資はしないように、そういうことは、全然関係のないことを頭取にも申しました。頭取も、それは了承しておる。従いまして、その関係から融資があったとは、私は考えておりません。
  58. 横山利秋

    横山委員 考えておらないと言ったって、あなたは、そのよろしく頼むの手紙で、山村さんが、千葉銀行で金を借りるかもしれないからというので、心配になったから、あとになって千葉銀行注意をしたとおっしゃるのでしょう。それほど心配があるならば、どうなったか聞かぬはずはないじゃありませんか。いわんや、きのう古荘頭取は、あなたに手紙を返したと言っておる。それほど両方とも心配ならば、その融資がどうなったか、あなたは知らぬはずはないわけです。いかがですか、知らぬと言いますか。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうふうに、私の手紙を向うも返すし、私も返してもらったのは、その手紙が、ともすると誤用されるおそれがあるということで、そういうふうに御心配なら、僕が返してもらう。こういうふうにいろいろとお責めになるのは別ですけれども、ごく実を言うと、普通に多くの人が私のところに来て、ちょっと君、あそこに紹介を書いてくれぬかというようなことで、別に別個な扱いはしない、ただ、相手が千葉銀行であるということにおきまして、こういうふうな問題になっている。その点については、私、やはり遺憾に思っておるのでありますが、しかし、紹介状を出したあとにすぐに――私はふだんもそうですが、すぐに、これは、こういう意味紹介状だということを出しておるのでありますから、頭取として、あるいは銀行としては、そういう世間的な、社交的な意味紹介状は持ってくるだろう、しかし、それはそういう意味なので、これでもって融資をする、そういうふうなことは起るはずはないということは、頭取にきっと聞いてあるのです。それ以上は、私として、これがなし得べき最上のことだと私は思っております。
  60. 横山利秋

    横山委員 なし得るべき最高というのはとういう意味だか、私わかりません、少くともこの親書の問題については、あなたが今もって何かてん然として、悪いことをした覚えはない、政治的に責任はない、大蔵大臣としての所管事項上差しつかえない、世間に聞かれて恥かしい覚えはない、こういうような顔をしておるのは、言語道断ですぞ。(「顔はしようがない」と呼び、その他発言する者多し)少くともあなたが監督をして、大臣になって一番最初に古荘頭取を呼んで、しっかりやらぬと首を切るぞというようなことを、言いながら、片方で、こういう焦げつきのある銀行に人を紹介して、結果がどうなるかわからぬということも十分に腹の中におさめながら、紹介状だけは出しておいて、あとでその手紙を取り返すというようなことをしておいて――これは、何も悪いことではない、違法じゃないですよ。違法じゃないけれども大蔵省設置法にきめられたあなたの権限、責任、そういう点から言って、心にやましいことはありませんか。
  61. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、何もやましいということは考えておりません。そういう気持もありません。ありませんが、しかし、やったことがよかったとはむろん思っておりません。やはりここは、お互いに十分注意を払うことが、よりよかったことに関連いないのでありますが、しかし、やはりある程度、私、何もあなたにいろいろとごしんしゃくを願うわけじゃありませんけれども、いろいろと仕事をしておりますと、交際の上に、社会で生活していく上におきまして、ある程度の実害が生ぜぬという程度において軽く紹介をするというようなことも、やはり余儀ない点があるように思う。私、自分自身責任をのがれるという意味じゃありません、しかし、実情はそういうふうな気持なんです。むろん、それにしても、私か大蔵大臣でありますから、てん然として、だれが来ようと、いかぬ、それが一番よかったと思います。思いますが、しかし、紹介状を書いたから、それをまた被害を相手に与えないように、いやしくもそれが悪用され――悪用されたとも思いませんが、もしもそれが間違って誤解を生じて、たとえば、大蔵大臣手紙ですから、相手に、何でもないことが書いてあっても、まあこういうことであろうかというふうにして間違いをしては悪いから、私は、その点を間違いないように考えて下さいということを言って、それで、はっきり融資だけは絶対に、この手紙でしてはならない、それは十分承知して下さい。いや、それはもうよく承知しておる、そういうふうにいろいろと心配があるならば、紹介状もお返ししましょう。そういうふうになっておる。それについて、またいろいろと御意見もありましょうから、御注意もありますから、私はつつしんで聞きます。
  62. 春日一幸

    ○春日委員 関連。ただいま横山君の賛同に対してお答えをいただいた範囲内ではどうしてもわれわれは理解ができない。言うならば、あなたは、こういう不当な貸付あるいは不良な貸付、あるいは融資準則その他に照らすとこれは不正な貸付、こういう意味で警告が発せられておるわけです。しかっておるわけだ。そうして、注意した通りに直すかどうか、あなたは古荘さんをにらみつけておるわけだ、しかりつけてにらみつけたその人にどうぞよろしく顧むというようなことは、どうも私どもとしては理解ができない。しかって注意した通りにやるかどうか厳粛に監督しなければいかぬ。あなたの態度はきびしくなければいかぬ。その相手に対してよろしく頼むわという親書をお出しになるということは、あなたのしかり方あるいはにらみ方はいいころかげんなものではなかったか、いいころかげんなものであればこそ、だんだんと六億九千万のものが十一億五千万にも膨脹してきたのではないか、こういう推測も立ち得るわけなんです。あなたは、公人として、大蔵大臣として責任は重いのですよ。すなわち、銀行法に照らし、あるいは金融諸法令に照らして、あなたは金融機関が法律、政令に従って公正に運営されるべく監督する責任にある。非違があれば、あなたは職務上の処分権を行使しなければならぬ、あるいは検察権を発動して、その次の段階において処分権を行使しなければならない。その立場において今あなたは本人に対して警告を発したという。警告を発した人に対して何分よろしく頼むわというようなことは、首尾が一貫しないじゃないですか。きびしい態度をもって相手に臨むべき者が、よろしく頼むわ、これではちゃらんぽらんじゃないですか。頼まれた本人にとってはあなたはちっともこわくない。今まではこわいと思っていろいろな警告を受けておったけれども、そのこわいと思われたあなたが、古荘さんのところへ、よろしく頼みますわ、こう出てきたら、ちっともこわくない。一体どういうことだろう。貸し増ししちゃいかぬ、貸し増ししちゃいかぬとしかっておいて、そうしてその本人に対してよろしく頼むわと言うことは、一体どういう関係でそういうものをお出しになったのか。一つはあなたの監督責任者としての矜恃において、また一つは貸し出してはいけない先に対してそんなことを頼んだという態度について、行動について、あなたは大臣として政治責任もあろうしあるいは通義上の責任もあろうし、私は許さるべきことではないと思うが、一体どういうわけで、しかってにらみつけておる相手によろしく顧むわといって頼んだのか、一ぺんこの点のいきさつをわれわれにわかるように御説明願いたい。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、私が先ほどから申しますように、そういう手紙を書いたことについて、私はより慎重であった方がよかったということはしばしば申し上げておる通りであります。その点は私は遺憾に思うのですが、しかし、この手紙を書いたのは、主として依頼した側との社交的な意味で、いろいろおつき行いをしておるから紹介をしようかなという意味合いで紹介したのであります。それは金を貸せとかいう意味でも何でもない、いわゆる融資とは関係ない。そこをいかにも結びつけて考えられるからそういうふうになるのでありまして、私は遺憾です。私は、一般の社会生活におきまして、こういう紹介をしないでいこう、一種の軽い意味におきまして紹介をする、それもやむを得ないという気持になりまして、そうして紹介を書いた。従って、今言ったような話がありますから、内容については注意をしまして、ごく普通の紹介にした。しかもそれが何らかの形において誤解されるおそれがあるかもしれないから、そこで私は特にこれは融資とは関係はないということを頭取にも注意をいたして了承を得たわけです。
  64. 春日一幸

    ○春日委員 この親書をお出しになりましたのは本年の二月いつごろでございますか。
  65. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 よく私記憶しませんが、先ほど申しましたように、一月の末か二月の初めであったように思います。
  66. 春日一幸

    ○春日委員 では伺いますが、この某代議士は千葉県下における屈指の事業家である。しかもその銀行との取引関係は実に十数年にまたがっておる。しかもその貸付残高は数億に上っておるのでありますよ。しかも、昨日の古海さんが参考人としてここで述べられたところによりますと、とにかく、料亭において岸総理大臣頭取とその某代議士とは一献くみかわして、実にさまざまな歓談がなし得る間柄なんです。総理大臣とそれから頭取と某代議士とは、料亭において杯をくみ合える、こういう間柄なんです。あなたの紹介を何ら必要とはしないわけだ。あなたは社交的な紹介をしたと言うけれども、社交的な紹介をあなたにわずらわさなくとも、ただ単なる紹介なら――少くとも本人は何十年の取引の実績があり、あなたよりももっとえらいところの総理大臣を交えて三者でとにかく杯をかわし得るという間柄なんです。あなたに頭取紹介してちょうだい、そういう頭取紹介してもらうような必要性は毛頭ない間柄なんです。問題はそこなんですよ。えらい人ならあなたより岸さんの方がちょっとえらいかと思われる。現実の話として、そういう間柄で社交的な紹介を特にあなたに頼んだということについては、眼光紙背に徹する烱眼というものをあなたが見開いて、そこで、大蔵大臣萬田尚登というものの紹介が受けた当人に対してどのような影響力を与え得るかということは、あなたが自覚するとあるいは潜在意識の中であろうと、期待して書いたに相違ない。問題はそこにある。あなたはそれでもなおかつ単なる社交的な意味で本人たちを引き会わす意味紹介したと言っておられるのでありますか。御答弁願います。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 古荘君が総理等とどういう関係にあるか、私はそれは全然知りません。私がその紹介状を井いて与えたのも、そういうふうな何にも関係があるのじゃない。ただ自分が古荘君に会いたいから、こういうふうな意味合いにおいて一つ紹介してくれろ。それはある点において私がうかつであったかもしれない。(発言する者あり)私はあとで、山村君が千葉銀行に相当な金を借りておる、これは実業家で千葉県の人ですから千葉銀行と取引のあるのは当然と思うが、相当な貸借があるということも聞きました。それで私は頭取によく話しておく必要もあるということもありました。頭取にそのように話した。それだけでございます。何にも私はその他のものとの関連において井いたものでありません。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 どうも、今の大臣の御答弁を通じて、与党の田中理事は大へん興奮されておりまして、だんだんと仲間割れの気配がある。そこで私は思うんだが、現実に今申し上げた通り、私たちがほんとうに腹に入り、そうして第三者にも理解できるように、是は是、非は非として事宜な御答弁を願わなければ、本委員会といたしまして問題の処理はできないのです。私があなたに申し上げたいことは、大蔵大臣がよろしく頼むという親書をお出しになった。しかもそれは単なるよろしくとあなたは言っていらっしゃる。社交的な意味だと言っていらっしゃる。ところが、本人たちは取引関係が非常に深い。年来かけての熟知の間柄、懇親の間柄です。しかもえらい人の紹介状というものは何も必要ないわけだ。えらい人なら幾らももっとえらい人を頭収は知っておるし、某代議士も御存じになっておる。そこにあなたの親書が必要であると頼まれて、あなたがそこで墨痕あざやかに一書をしたためられたわけなんですが、ここに疑義がある。この問題に触れて横錢君は一身上の身分に関するようないろいろな論議にさらされておるのです。だからこそわれわれはこの真相を確かめなければならぬということで、ここで質問をしておるのです。私たちも真剣なんですよ。だから、私は単なる紹介をしたとか、引き合せのための社交的な紹介をしたとか、そんなちゃらんぽらんな御答弁をいただいて、それで満足ができると思いますか。あなたも男子だったら、あなたの行動がよかったらよかった、悪かったら悪かった、――人間これは何人もあやまちなきを期し得ない。だから、あなたがそのときになるほどあやまったけれども、とにかく大蔵大臣立場において、銀行監督する立場において、相手に貸し出しをすることはいかぬという手紙を書いたということは全く悪いことであった、こういう工合に御答弁になれば、国民もわれわれも納得ができると思います。いかがでありますか、この点御答弁願いたい。
  69. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 山村君がえらい人とどういう関係にあるか、それは私全然知りません。私がこの手紙を書いたのは――先ほどからほんとうのことを私は言っておる。これはもう私の注意が十分足らなかった点があったということは皆さんに申しておる通りであります。注意が足らなかった。これはもうほんとうに、紹介してくれ、こう言ってきましたから、全然拒否するのも、やはりこれは友人でありますから、私は別に相手方が御迷惑にならないように一応――そうしてその人も、それでいいから、何も特別なことをあなたに頼んでほしいということではないから一応紹介してほしい。これはほんとうなんです。それがいいか悪いかはまた御判断によっていかように考えられても……。それはほんとうなんです。しかし、やはり大蔵大臣でありますから、今あなたのおっしゃるように、相手にいろいろな影響も与えるかもしれぬ、そういうことはあるでしょう。けれども、これはこういう意味であるから、紹介状によって融資等をしてはいけませんよ、こういうふうな関係から一応紹介したわけであります。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 当時、某代議士なる人は、とにかく経営上非常な難関にあられたと思う。そこで、大臣に対して、おぼれる者わらをもつかむのたとえにある通り、何とかして大臣の言葉添えによって貸し増しを得んとしてあなたにすがったわけなんです。そこであなたは親書をものされたわけなんです。その親書たるものの内容は、今あなたが言外に明らかにされておる通りに、やはり大蔵大臣という立場において相手に相当の影響力を与え得るような内容のものてあったわけなんです。さればこそ、あなたはあと電話をかけてそれを取り消された云々ということがあるわけなんてす。  そこで私はこの機会にあなたにちょっと伺っておきたいんだが、あなたは某代議士に対しては、ああよろしい、それじゃ一つその依頼状を書いてあげましょうといって依頼状を書いて、(「依頼状じゃないぞ」と呼ぶ者あり)何だそれじゃ。(「紹介状だ」と呼ぶ者あり)紹介依頼状を書いて、(笑声)そうしてそれからすぐ電話をかけて、今頼まれたからああいう手紙を書いたけれども、実はあんなものはうそっぱちだ、あんなものはちっともやらなくてもいいんだ、すなわち、頼む人にはオーケーと言って、相手に対しては効果のないように、そういう内部的に二重人格を行使するというか、少くとも一国の大蔵大臣というものは、むろん政治的にも完全無欠でなければならぬが、道義、条理においても、人格的においても、私は完全無欠でなければならぬと思う。頼まれた人にはオーケー、頼んだ人には、あんなものはうそだぞ、こんなことをあなたは言ったんですか、この事件で。ちょっと伺っておきます
  71. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうのではないのであります。特にそういうふうに解釈されては困る。そうじゃない。あの紹介状それ自体はごく一般的に書いてある。御紹介します。ただそのままの意味にとって下さい。それ以外のことは何もないということを申しておるのです。紹介状にそう書いてあるけれども、かれこれ言うたんじゃありませんですよ。そんなふうに悪く悪くものをとれはどうにでもなるのです。だから、そういうふうなことを言わぬで下さい。ただ、影響があるというのは、どういう内容てあろうと、とり方によっては、向うは大蔵大臣手紙だというのでいろいろと考えるかもしれぬが、そんなものを右左と使い分けたことはありませんから、それだけはお答えいたしておきます。
  72. 横山利秋

    横山委員 それでは納得できませんよ、大臣、納得できません。あなたが紹介したことによって、本委員会横錢君が明らかにしたところによれば、「二月一日、翌日山村代議士は岸総理、一萬山蔵相の頭取あての親書二通を持参して、千葉銀行を訪問している、この親書二通の内容は、いずれも簡単に、山村君のことをよろしくとだけ書いてあったものである。山村代議士は、これにより、さきに十二月には、内外編物に対し一億二千万円の融資に成功し、今回は五千万円要求して、三千万円の貸し出しを受けた。この貸し出し名義は、山村産業では他の重役が反対してできないので、明治物産社長鈴木四郎の名を使い、同氏の鎌倉の不動産と山村代議士の土地を合せて担保としたが、銀行から担保価格不足の理由で断わられ、最後に大阪の紡績会社の担保で三千万円の引き出しに成功したものである。」、これをあなたも御存じかどうか知りませんけれども、山村さんはこれだけ苦労しているのです。そうして、一月の七日ですか、山村さんと岸総理とそれから古荘頭収と三人で、そうして色紙くだりの一件もあって、古荘さんとは旧知の間柄である。けれどもなかなかうまくいかぬ。そこで、大蔵大臣たるあなたに紹介を書いてもらった、こういうわけなんです。そのときのあなたの立場が、百歩譲って、あなたの言うように、融資だけはいかぬぞ、紹介だけならすると言ったところで、紹介を受ける山村さんの方は、いいよ一萬田さん、心配しなさぬな、紹介だけでよろしいと言ったかもしれぬ。百歩譲って、これはそうかもしれぬと思う。よろしゅう頼むと、あなたが千葉銀行に対する圧力をしておる。その圧力権といいますか、そのあなたの立場を利用して、それを持っていけば千葉銀行としては何とかせざるを得ない立場にあるじゃありませんか。そうして、あなたが電話あとでいつ言ったか知らぬけれども、まあ適当によろしゅう頼むと言ったところで、これは、千葉銀行としては、一萬田さんの紹介を利用して、融資を得るように無理をしておけば、あとになって、あなたにものが言える立場に立つじゃありませんか。あなたは、おれはきれいなことをやった、こうおっしゃるけれども、それであなたを利用したのだから、結果としては、きれいなことになっておらぬ。あなたは、利用されるかされないか、そのときに気がつかないはずはないじゃありませんか。そのときに、うわべはきれいな格好をしておっても、実際これがどういう効果をおさめるかということを知らぬような日銀の法王一萬田尚登ではなかったはずです。従って、私は、今あなたがおっしゃる、あとからその手紙を取り返したというなら、明らかに、それはまずいことをしたんじゃないですか。まずいことをしなければ、これを取り返すはずはない。私は、えらい大きな声をして済みませんけれども、あなたが大蔵大臣として、結論的に言って、きわめてまずいことをしたのだ、これは悪かったというふうにさっぱりなさって、そうして、千葉銀行に対する大蔵大臣たるの管理、監督指導立場に、きちんと返らなければなりませんよ。この点はよかった、この点は私は悪いことをしたんじゃないのだと言われておる限りにおいては、千葉銀行に対する大蔵省の信用というものは、世間は納得できません。いかがでしょう。
  73. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど申しますように、紹介状を書きますとともに、すぐに、これは紹介状の内容の通りだ、従って、この紹介状を持って行っても、これで融資すべきもんじゃない、そういうことは何も書いてもない。それは、千葉銀行も了承をしておるのですから、あの紹介状が行ったから、何か貸し増しがあった、そういうふうに私ははとっていない。私は、その前に、そういうふうな意味は持っていないということを頭取によく話して、頭取は、それは了承しておるのでありますから、これは、私は、この紹介状があったから貸し増しがあったとはとるべきではない、かように考えております。ただ、しかしながら、それならなぜお曲返してもらったかといえば、別に返してもらわなくてもいいのです。いいが、私はそういうふうに言いましたら、向うも、それはいろいろ御心配もある、それならこれは返しましょう。それなら返してもらおう。これも、私はごく簡単に返してもらった、そういうわけであります。何も私が紹介状を書いて、それによって貸し増しをした、あとで、それは大へんだから取り戻した、そんなものじゃないのです。私は紹介状では、融資というものは起らないようにという……。そういう紹介状を井いた点について、なお慎重にあるべきという点については、私もまたそう思います。
  74. 横山利秋

    横山委員 最後になって、ちょっと、やや慎重でなかった、こうおっしゃるけれども、まるっきりこれは慎重でなかった、というよりも、あなたの言う言葉と私の言葉とを客観的に聞くと、あなたすいぶんこすいやり方をされた。自分には少しも責任がかからないようにして、山村代議士に融資をあっせんした、こういう言い方が成り立つのです。そうじゃありませんか。私は、あなたがその手紙千葉銀行へ託されてから、一体いつあなたが最初に千葉銀行に返してくれと、言われたのか、千葉銀行から返すと言ったのか、それはいつごろであったか、それを一つ明らかにしてもらいたい。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは、私今、日にちを覚えておりませんが、その紹介状の内容はあの通りなんです。融資ということは何も考えていない、そういうことをお願いするわけでもなんでもないから、そのときは融資も何もなかったわけです、それなら返しましょう。それで、私が、いつ持ってきたか、そのときをよう覚えておりませんが、だれかが頭取のところへ行って、問もなくと私は考えております。
  76. 横山利秋

    横山委員 これは、さらにあとで同僚委員からの質問があると思いますから、あれしますけれども、念のため最後に私は申しておきますけれども大臣、あなたは、きょうは率直じゃありません。だれが考えても、一番あなたが厳重に注意しておる千葉銀行に、あなたの言う言い方によれば、自分責任のかからないようにして、そうして山村新治郎氏のあっせんをうまく依頼した、融資を依頼した、これは、結果においてもう逃げ隠れすることのできない事実なんです。少くともあなたが七月大蔵大臣に就任したときに、千葉銀行を呼びつけて、再建に全力をあげろ、こういう気持が純粋無垢であるならば、何を好んでよろしゅう頼むということを言いましょうか。そこのところにあいまいもことしたものがある。これは、李下に冠を整えずということがある。あなたが、もしもほんとうに全力をあげて千葉銀行再建しようとするならば、百歩譲っても、疑われるようなはかなことをして、おれは白だといっても、世間はそれでは通用しないのです。だから、いさぎよくあなたはここに、自分はそうではなかったけれども、やはり結果としては悪いことをしたという率直な態度をとられて、初めて世間は、あなたの千葉銀行に対する立場信頼性を取り戻すでありましょう。今のようにあなたが、おれは絶対責任がないのだということを言われれば言われるほど、疑惑はつのるばかりです。これは、一つ明らかにしておきたいと思います。  次に、あなたに質問いたしますけれども、去年の二月、二十七日間にわたって銀行定期検査をしたときに、大蔵省は、千葉銀行についてどういういけない点があったか、これは、この間も大蔵委員会において明らかにされなかったところでありますが、事今日に至れば、あなたも古荘さんの首を切ったことでもあるし、この際一つ千葉銀行をほんとうに再建する意思があるならば、その銀行検査というものを具体的に、どういう点が悪かったか、どういう点はよかったか、問題はなかったか、こういう点をこの際明らかにして、銀行業務の信用を取り戻すべきだと私は思う。その意味において、大臣か、あるいは銀行局長から、去年の二月の銀行検査の結果を、ここに明らかにしてもらいたい。
  77. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 二月の検査の結果について、私詳しく報告を附いておりません。むろん大きな点についてのことは聞いておりますが、しかし、これは銀行業務の内容に関しての、数字のことでありますので、私具体的に今覚えておりませんが、この数字を明らかにすることはできないと思います。
  78. 横山利秋

    横山委員 あなたが聞いていないはずはないと思うのですが、それでは、銀行局長から、去年の銀行検査の結果を一つ御報告を願いたいと思います。念のために申し上げておきますが、これが普通のときであれば、私どもも、そうは執拗には要求いたしません。しかし、どうあろうと、この際千葉の預金者のために、千葉銀行の失われた信用を回復するためには、是は是、非は非と明らかにしなければかえってだめだ。大臣も、それなるがゆえに古荘頭取にやめろと言ったのでありましょうから、この際、是は是、非は非として、千葉銀行で間違いのあった点、不良貸付の点、あるいは、この点については問題はなかったという点、そういう点をこの際明白にされることが、私は、千葉の預金者のために必要であろうと思いますから、率直に具体的な事項を列挙して報告をしてもらいたい。
  79. 石田正

    石田政府委員 昨年の二月に行われました検査の結果によりまして、銀行局といたしまして判明したことは、全体的に申しまして、銀行の経理がどうこうということではないのでありますけれども、しかしながら、一部の貸し出しつきまして、適正を欠くと思われるものがある、それからまた、相当大口の貸し出しがある。それから銀行の経常体制というものにつきまして、ほかの銀行と比べて、少し組織的でない面がある、そういうふうな問題につきまして、早く改善する必要がある、こういうことを示達いたしたわけであります。
  80. 横山利秋

    横山委員 一部の貸し出しが不適正である、大口の貸し出しでいけないものがある、組織でないものがある、きわめてばく然といたしております。もう少し詳しく、それがどういうことであるかを明らかにしなければならぬのです。あなたの横にある書類を持ってここにやってきて、具体的に一つ説明をしてもらいたい、
  81. 石田正

    石田政府委員 別に書類にこまかいことが書いてあるわけではございませんので、大体銀行検査をいたしましたときにおきまして、検査の重点は、銀行の経世というものが非常に組織的に行われているかどうかということを見まして、組織的に行われていないならば、組織的にやらなければいけない、それから貸し出しの内容、特に大口の貸し出しつきまして、大口貸し出しの顕著な状況があれば、これは、大口が多過ぎるじゃないかという点について指導をいたします。それから担保その他につきまして危険なものがあるというふうなことがありますれば、これは、これまで貸し出し金額はこうなっておるけれども、それからまた担保関係は、銀行としてはこう見ておるけれども、しかしその担保価格というものについて疑点もあるであろうから、そういう問題につきましては、さっそく改善をするように、そういうように示達をいたしますのが、通常の銀行の縦布の例になっておるわけでございます。千葉銀行もまた、その例に従いましてやったわけでございます。
  82. 横山利秋

    横山委員 そんなことを聞いておるのではありません。あなたも銀行川長として、きょう何のために出てきておるかわかっておるでしょう。どういうやり方で銀行検査をやるとか、そんなことは問題でなくして、その検査の結果はどうであったかということをただすのが、きょうのこの委員会なんです。あなたも、今一萬田大蔵大臣のもとで、千葉銀行監督指導する責任者の一人なんです。だから、担保の危険なものがあったというのなら、それはどういうものであったかということを聞いておるのです。あるいは組織的でないことがあったというなら、どういう点で組織でなかったかということを聞いておる。大口の貸し出しが多過ぎるというのは、どういうものが多過ぎたかということを聞いておるのです。それを聞いておるのに、そんないいかげんな答弁ではだめです。もっとはっきり具体的な事実を言って下さい。
  83. 石田正

    石田政府委員 お話のありましたような銀行は、銀行検査の方式によりますれば、要するに要注意貸し出しというものは、金額が幾らであったか、それからまた担保が欠けておるものについてはどのくらいあったか、こういうような数字を示せという御趣旨ではなかったかと思いますが、これは、銀行内部のことであり、また職務上の秘密でございますので、ここで申し上げることはいかがと申し上げる次第でございます。
  84. 横山利秋

    横山委員 そういうことをいたしておりますと、これは、もう大蔵省千葉銀行に対する態度については、ますます疑問が濃くなるはかりです。私は、あとに関連の質問もありますから多くは申しませんが、今大蔵省としてなすべきことは、千葉銀行に対する監査の結果を明らかにして、そうして大蔵省にわだかまっておる疑惑を払拭しなければだめなんてす。これをせずして、単に抽象的なことを言っておっては、かえって疑惑は深まるばかりです。一体大蔵省は何をしておったかということになるわけです。大蔵大臣に伺いますが、この間あなたは、古荘頭取辞職を求められた。今後千葉銀行をどういうふうに持っていこうとするのか、この点について、具体的にあなたの構想を明らかにしてもらいたい。
  85. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、私の監督立場といたしましては、千葉銀行の経営陣の刷新をいたしまして、預金者を初め一般の千葉銀行に対する信用を強化して、業務が一そうの繁栄をするようにというのが私の考え方であります、もちろん具体的には、新頭取において、従来の貸付等について整理すべきものは整理し、解消すべきものは解消させ、また新しく貸すものは貸す、これは、新頭取のもとにおいて経営陣のやるべきことでありましょう。その際においても、あくまで銀行の健全性というものを保持していくというのが、具体的な方針になるだろうと思っております。
  86. 横山利秋

    横山委員 今回古荘頭取をやめさせるに当って、大蔵省として千葉銀行に対して、これこれのことをしたらどうかという示唆なり勧告なり、具体的なことはいたしませんでしたか。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私から具体的に、これこれをしろということを申しておりません。
  88. 横山利秋

    横山委員 そういうことで、今日の千葉銀行再建ができると思われるのでありましょうか。私は、今後の千葉銀行に対する預金者のいろいろなことを考えますと、あなたが車中談なるもので、おれが千葉銀行頭取になったつもりであるから絶対安心だということを広言されておるのを新聞で読みましたが、あなたは、今後の千葉銀行再建なるものについて、どういう方法をおとりになろうとしておられるのか、この構想をこの際明らかにされることが必要であると思いますが、いかがですか。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 千葉銀行再建つきましては、新たに頭取になる力、並びにそのもとに形成される重役陣において、とくと現状を把握して、そうして、最も正しい方法をすみやかに発見すべきであると思っております。これが達成については、大蔵省としてもできるだけの協力と申しますか、可能な援助は惜しまない、かように考えております。
  90. 横山利秋

    横山委員 この岡当委員会におきまして、春日委員から資料提出の要求をしておるのでありますが、まだ出てこないのであります。これは、一体銀行局としてどういう調査をいたしましたか。  この第一点は、五月の総会を目ざして株主の書きかえをいたしまして、百名ないし百十名に上る親衛隊ともいうべき株主を新たに作って、そうして、この総会を乗り切ろうとしておるという事実が明らかにされました。この点に関して、銀行局に調査を本委員会は要求しておるのですが、その結果は、どうなりましたか。
  91. 石田正

    石田政府委員 三月三十一日現在をもちまして株主の名義書換がありましたものにつきましては、銀行からとりまして、これは非常に大きなものになりますが、春日委員のところに提出いたしてあります。これは、今御指摘の百名以上の者に分割しておるわけでありますが、それらの点を含めまして、全部提出いたしたわけであります。
  92. 横山利秋

    横山委員 私の聞いておるのは、それは、春日委員に提出されたかもしれないが、本委員会において明らかにしてもらいたいということを言っておるのであります。それは、どういうことであったか明らかにしてもらいたい。
  93. 石田正

    石田政府委員 これは、相当厚いものでございまして、今手元にございませんで、役所にありますので、あとで、それをもちましてお答えしたいと思います。
  94. 横山利秋

    横山委員 私は、本委員会において質問しておるのです。あなたが、この調書を作って、どういう印象を受けたかということを、私は附きたいのです。私の方は、これはこれなりに事実は知っておる。しかし、信憑性を確かめるために、あなたの方に調査を要求したのです。これをもらうのはいいけれども銀行局としては、この点についてどうお考えになるか。百十何名が同一番地で新しい株主になって、そうして、五月の総会を頭取の親衛隊として乗り切ろうという画策について、どういう感じを受け、どういう処置をしたかということを私は聞きたいのであります。
  95. 石田正

    石田政府委員 御質問の株主の名義書換で、百名にも分けておる点でありますが、この点につきましては、異例なものであるというふうな感じを受けました。しかしながら、親衛隊云々というようなお話がございますが、そういう点につきましては、われわれとしても判断のしょうがないわけでございます。
  96. 横山利秋

    横山委員 あなたも、銀行業務に通暁しておられたら、これほどもめている千葉銀行で三月末に、同一番地の株主が百名も百十名もふえて、そうして五月の総会を目ざしているということを、あなたも調べて知っておって、それで、これはもうしょうがないといううことなんですか、いかがですか。あなたは、この書類を大蔵省から本委員会に出すに当って、報告を受けませんでしたか。その報告について、あなたは、何らの措置もとらないのですか。それを、大蔵大臣にお伺いいたします。
  97. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この百十人の株主は確かにできている、その表は私も一賢いたしました。しかし、これは私の方で、一体こういうものはどういうわけであろうか、一つ調べてみる必要があるだろうというようには申しております。
  98. 横山利秋

    横山委員 あなたは、合、後この千葉銀行監督指導して、これを再建したいと先はど広言したのですが、そのやさきのこの問題で、そういう冷淡な、一ぺん調べておこうというくらいのことでは、あなたの先ほどの話は、一体何のことですか。少くとも同一番地で百十名も株主がふえるというばかなことは、常識で考えられぬじゃありませか。それをやっておるのに、あなたの方はてん然として、ああ資料は作りました、ああこれは大域委員会へ出しますということで、ほんとうにあなたは、千葉銀行が、これから千葉の預金者の信用をかち得るために、あらゆる努力をするなんということが言えますか。
  99. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 株主が自己の所有株を他人に分譲するということは、私大蔵大臣としても監督しがたい。ただ、そういう分譲することがどういう意味を持つかによっていろいろ問題があるのですから、単にこれを分譲したからというて、大蔵大臣が、それをどうと言うこともあり得ないと思います。だから、そういう株式の配分なんかをされて、将来いろいろ問題を起すようなことがあれば、これは、銀行当月が十分手配をいたすべきことである。これを、大蔵大臣が、自分の権限で株主に向って、やめろなんて言うことはできない。ですから、監督官庁として、これをよく調べる必要があるということは……。(発言する者多く、聴取不能)
  100. 横山利秋

    横山委員 私は、金融業務について多少はわかるのですが、あなたは、銀行業務については、一番明るい人でしょう。その人が――千葉県市川市云々でずっと株主が並んでいるんだ、同じ番地で。こういう株主名簿を出されて、あなたは、株を分けるのはしようがない――普通の銀行のときなら、それもいいと私は思うのです。そこまであなたが銀行業務に関与しなくてもいいと私は思う。けれども、これは千葉銀行で、今問題のところではありませんか。しかも、先ほど銀行局長に言わせるならば、組織的でないところがある、言うならば内輪もめをしておるところだ。その内輪もめをしておる一方が――一方か何か知らぬけれども、とにかく総会を前にしてめちゃくちゃに同じ番地で、ある人かない人か知らぬけれども、ずっと並んでおって、それで、私は一つこれから千葉銀行再建したいなんて言えた義理でありましょうか。大蔵大臣先ほどからの千葉銀行に対するあなたの答弁が、これで全く空に飛んでしまって、このままでいけば、千葉銀行は五月の総会で、何が起るかわからないのです。あなたは、それでも千葉銀行に対して、今後厳重に再建をして、円満解決しようというふうな気持でおられましょうか。最後にお伺いしますが、この問題について、あなたは何らの措置もとりませんか。
  101. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今申し上げましたように、株をたくさん持っておる方がその株を適当に売った、それは、どうもしようがないのじゃないか。これをとめることはできません。ただ、その売買にどういう意図があるかによって、将来銀行にいろいろな、いい影響も悪い影響もあるでありましょう。従って、その売買したあとの影響をよく調査して、どういうふうに影響があるのであろうかということを考えて、それに対処する以外にないと思います。何ぼ大蔵大臣でも、千葉銀行の株主に対して、お前株を売っちゃいかぬぞと言うことは――これは不可能をしいるものではありませんか。
  102. 横山利秋

    横山委員 あらためて言いますけれども、これが問題の銀行でなければ、あるいはまた今こういう事態でなければいいのです。けれども、同一の番地で、そうしてたくさんの人が株主になっておる。これは、何かの意図があるとあなたは思いませんか。これがなければおかしいのです。あなたは、事情を調べてみなければとおっしゃるけれども、調べなくても、一目瞭然じゃありませんか。これは、明らかに総会対策である。千葉銀行に対する正当な株主の発言権を妨害しようとする以外の何ものでもない。それでもあなたは、調べてみなければわからぬと言うのでしょうか。きょうの一萬田大蔵大臣の答弁は、きわめて拙劣であるとともに、事態の真相を隠蔽しようとしておる、自分責任を免れようとしておる、事態を明白に見ていない、こういう点で、私は、きわめて遺憾の意思を表示して、次の質問者と交代をいたします。
  103. 足鹿覺

  104. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 ただいまの横山君の千葉銀行再建問題に関連して、私は、一、二大蔵大臣にお尋ねをしたいのでありまするが、その前に、銀行局長検査部長に三、三聞いておきたいことがある。それは、ただいま横山委員から、三十三年の二月に千葉銀行に対して行なった検査のときの銀行の経営状況は、どのようなものであったかという質問がありましたが、抽象的な答弁であって、何ら内容を知れるところの答弁でありません。新聞の伝えるところによると、六千五百万円の回収不能の貸金がある、あるいは六、七億の不良貸しがある。四、五十億の担保の不足に近いような貸付があるというような報道がありまするが、それらを合算すると、五、六十億の不良貸しがあるように世間は見ておるのであります。これは事実かどうかわかりません。そういうことを明らかにしつつ、今後千葉銀行再建をはからなければならないと思うのであるが、一体検査結果はどんなものであったか、もう少し具体的に銀行局長検査部長から答弁してもらいたい。
  105. 石田正

    石田政府委員 要注意貸し出し、分類資産その他につきましては、具体的な数字をもって申し上げることは御遠慮さしていただきたいということを、先ほど来申し上げておりまして、今でもそういうふうに思っております。ただ、先ほど申し上げましたが、注意を要するところの貸し出しはありますけれども、しかしながら、銀行の経営全体が危険であるというふうには、われわれは見ておらぬということを申し上げておきます。その点におきまして御了承願いたいと思います。
  106. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 一昨日森脇証人は、一千五百万円の貸金に対して六万坪の土地を抵当に取っておる。その抵当となっておる不動産の坪当り時価は、五、六円だろうが、高く見て十円だ。十円と評価しても六十万円にしかならない。これが千五百万円の貸金の担保となっておるという事実をあげておった。そういうような貸付け方では、実に膨大な不良貸しがあるのではないか、こう考えられる。新聞等でも、先ほど私が申し上げたような記事があるくらいでありますから、預金者は非常な不安を持っておるわけであります。そこで大蔵大臣は、五月の株主総会において、新しい頭取として、日本銀行の監事ですか、監査役ですか、大久保とかいう人を推すということを聞いておるのであるが、一体、これはほんとうにりっぱな再建ができるのかどうか、多大の疑問を持っております。実は大蔵大臣、あるいはそういう古いことを御存じないかもしれませんが、たしか千葉銀行は、昭和十八年の三月に、千葉県下の銀行を統合してできたはずである。そこで古荘頭取、それから、たしか安田銀行の児島副頭取というような陣容で発足をし、昭和二十一年の三月の任期満了のときに、副頭取の児島氏は引いて、頭取の古荘氏はそのまま残った。そうしてその後十数年、千葉銀行頭取の職責を汚してきたのでありますが、私仄聞したところによると、その三カ年、千葉銀行統合後の経営の実績にかんがみて、大株主である河合良成氏やその他の数人の大株主が集まって、新しい銀行の重役陣はどのようにしたらいいかということを相談し合った。そのときに、副頭取の児島氏に意見を聞いたところが、児島氏は、どうもそういうことを自分から言ってはどうかとは思うが、現在の頭取の古荘氏は、これは、株屋の主人公や何かには適当か知らぬが、堅実を第一とする銀行頭取としては最不適任である、この人は当然かえるべきである、そういうことを私が言うと、副頭取頭取に昇格をしたい、こういうことに疑惑を受けるが、自分としては、連帯責任で一緒にやめたい、ぜひしかし千葉銀行の将来のために、また全預金者のために、頭取は更迭してもらいたいということを要望した。ところが、事実は副頭取がやめて、頭取がそのままとどまった。しこうして十数年その職にあって、終戦後の銀の延べ棒事件というような問題があり、またフイリピンから持ってきたとかいうダイヤモンドの事件とかいうものがあり、しこうして古荘頭取は、巨額のドルをアメリカに外貨として持っておるといううわさが飛んでおり、いなか銀行頭取が、子供を二人までも米国に留学をさしておる。また古荘氏自身は、夫婦で非常に豪華な外国旅行をやった。これらは、彼が外国に保有する在外米ドルでやったんだろうということが、千葉県下ではだれ一人知らない者はないのですぞ。そうして、よからぬ貸付をやってきておる、これは、前から世間疑惑の的になっておる。そこで、いなか銀行でございまするから、東京に連絡事務所の意味で一支店くらいを設けることは、やむを得ないといたしましても、東京に六つもの支店を設けておる。こういうようなことは、大体銀行経営としては、行き方がどうもひん曲っておる、大蔵省は、十分これを監督しなければならぬ。支店をそんなに増設さすことを認めるということは、不要不急のキャバレーや娯楽場なんぞに金を貸して、今日の大問題を引き起す原因となったのでございまして、これは、十数年来の大蔵省の非常に誤まった銀行行政の欠陥が、ここに如実に現われてきた。大蔵当局は、事務当局も大蔵大臣も、これは、全責任を感じてもらわなければならないのでございます。これは、今始まったことじゃない。もう千葉県の人や、あるいは千葉衆に関係のある人々は、百も承知なんです。それを、十数年来今日まで頭取をやらせ、そうしてレインボー貸付その他の不良貸付が山ほどあるに違いない。預金者は非常な不安を持っておる。今銀行局の当局が、詳しい検査の結果をここに発表しない、できない。したら大へんなことになる。だから、いいかげんなことを言う。これも、私は了承できないわけじゃございませんが、こういう点から、私は多大の疑惑を持ちます。言えないほど悪いのかということを、やっぱり世間では考える。と同時に、古荘氏自身、いろいろ疑惑の人でございまするが、一体私財をどれくらい持っておるのか。そういう調査はないということを、大蔵省は言うかもしれません。しかし、あなた方は税金をとっておる、それには、その財産を相当突っ込んで調べてなければならない。その金額を数字をあげて正確に言わなくても、預金者に迷惑がかかるのを相当程度補償ができるくらいの個人財産を保有しているのかどうか、この点は、銀行局でわかっておらなければならぬはずだと思う。一つ御答弁願いたい。
  107. 石田正

    石田政府委員 銀行局といたしましては、重役一々がどれだけの財産を持っておるかということを調査しておりませんので、遺憾ながら、ここで御質問に対しまして、数字をもってお答えするということはできないのでございます。御了承願いたいと思います。
  108. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そう答弁をするだろうとは思っていましたが、それはわかっていないはずはないと思う。それくらい銀行局が調査をしないで、大事な預金者の多額の金を預かる責任者として、重役をそのまま認めておるのかどうか。それは、株主総会で選挙するんだから仕方がない、こう一応は言うでしょうけれども、今度などは、大蔵大臣の一声で、さすがの古荘氏がやめざるを得なくなった、いかようにもやめさせようと思うならばできる。従来の慣例からいうと、銀行の幹部は、預金者に迷惑をかける場合には、私財を全部なげうって、そうして銀行の救済に当る、これが従来のうるわしいよい慣例であった、当然こうしてもらわなければならぬ。だから、銀行局としては、その点十分に調査があると私は確信する。今ただ答えないだけであろうと思うのであります。  そこで、私は大蔵大臣に伺っておきたいのは、昭和十八年からですから、まる十五年間も千葉銀行の王様のような態度でふるまってきて、事態を今日のようなことにした当の責任者であり、その間に副頭取や重役もみなかわっておる、かわらないのは頭取だけなんだ。この頭取が、こうしたことで拠金岩に迷惑をかけます場合には、全財産をなげうって、そして預金者の保護に当らせるという、そういう銀行行政の監督の熱意をもって今後千葉銀行再建に当られる熱意があるかどうか、私は、大蔵大臣に承わっておきたい
  109. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 千葉銀行を、今後一そうりっぱな銀行にしていくためには、先般から銀行当事者とも話し合いまして、今回頭取以下新しい経営陣で、まず銀行の経営をやっていく。この新しい経営陣におきまして、今後健全なる銀行の運営をして、預金者には決して御迷惑をかけない、そういう決意で進んでおるわけであります。何も千葉銀行が特に悪いというわけではありません。今後の運営いかんによりまして、従来の貸し出し回収を見るでありましょう、また新しく業務の発展もあるのでありますから、私は、何も預金者に迷惑をかけることは絶対ないということを、ここで申し上げておきます。
  110. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 新しい経営陣ができて、そして内容を調べて、それではっきりその点はわかってくると思う。幸いあなたが言われるように、新しい経営陣によって、預金者に絶対迷惑のかからないような経営がなされれば、これにこしたことはございません。それには、大蔵省としてはどのような援助なり協力なりをするかということが、これが相当大きな問題になろうと思う。これは、非常にたくさん必要だろうと思う。ただ万が一にも、私がおそれるように、かりに五十億の赤字が出ているといたしますならば、非常に銀行がうまく経営されて、一年に五億円のかりに利潤を生んで、それを赤字補てんに使ったとしても十年かかる、二億五千万円ずつ赤字補てんができるとしても、三十年かかる、これはなかなか容易じゃない。もうなにですよ、事情を知った人は、それをおそれておる。それで、日本銀行の監事をしている人が行って、また大蔵省としても、また日本銀行としても、日本銀行は身内から、また大蔵大臣は、自分の推薦において行った頭取が全責任を持って銀行再建に出るのであるから、万全の協力をするであろうとは思いますけれども、しかし、経営者の不当な経常によりまして起った損害を国費や日本銀行が負うわけにはいかない。これは、やはり不出な経営をして損害をかけた人が、まず最初に責任を負わなければならぬ。だから、万が一にもそういうような事態になったときには、古荘頭取以下重役は全責任を持って、私財をなげうって、まず預金者の保護に当るという態度で千葉銀行再建に当り、また大蔵大臣は、古荘氏をそうさせるように最大の努力をするという決意があるかどうか、それを私は伺いたい。これは、先にお尋ねしたかったのです。
  111. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 簡単にお答えしますが、千葉銀行再建について、大蔵大臣としては最大の努力をいたします。
  112. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 いや、古荘氏の問題です。個人財産をなげうたせるかどうかということです。
  113. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、私の考えでは、まず新頭取が参りまして、そして、新しい経営陣のもとにおきまして、今日の千葉銀行をほんとうに明るくする、そして、これがためにどういうふうな計画を立てるべきか、それに応じてどういうふうな施策をしていくかということをきめまして、またそういうときには、相談もあるであろうし、預金者には絶対に迷惑をかけないという基本原則で銀行の経営をやっていく、そういう際に、先ほど申しましたように、大蔵大臣としては、大蔵大臣として可能な限りにおきましてその再建に最善の努力をいたしたい、かように考えております。
  114. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大事なところで、大蔵大臣は逃げてしまう。最大の努力をして再建に当らせる、それはよくわかった。しかし、最大の責任者は古荘氏なんです。だから、この人が全責任を持って、まず全財産をあげて預金者のためにやるということについて――それは、個人がやるのだから、あなたは強制はできませんが、大蔵大臣としては、そうさせるように最大の努力をするかどうかということを用いておる。それだけお答え願えればいいのです。
  115. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、まず銀行の内容をとくと新頭取において把握しまして、新頭取が、こういうふうにするのが銀行のために最もよろしいという案ができて、その際において、私はあらゆる面から銀行のために最善であるということを考えていきたい、かように考えております。
  116. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 その最善であるということは、古荘氏がまず責任をとる。そうして、自分あとう限りの財政的な努力を古荘氏にさせるということも、私はまず必要になってくると思う。そういう場合には、そうさせるようにあなたとして努力をする意思があるかどうか、それを尋ねたい。ほかのことはいいのです。そういう意思はないのかどうか。実は、預金者はそれを非常に心配しておるのです。だから、私はしつこくこれを聞くのです。これを大蔵大臣が言明することによって、また千葉銀行の預金者も非常に安心をする。大事な点でございますので、非常にしつこくお尋ねするようでありますが、ぜひこの点、明らかにされたい。過去の例も、銀行の経営が悪いために、あるいは経営者自身のやり方が悪くなくても、不如意のために預金者に迷惑をかけるような事態が起きたときでも、その銀行の経営に当った人たちは、できるだけの私財をなげうっているのです。まして今回のような場合は、最初千葉銀行ができて三年間一緒にやった副頭取が、この頭取では、銀行経営者として不適任であるという直言を大株主にした。それでさえもやめさせなかった、今聞くと、新株主を作って大いにやろうというのですから。そういう調子で、強力に強引に自分の地位を保持してきて、今日の悲しむべき事態を起した。だから、まず責任者は古荘氏でなければならぬと思う。だから、この人がまず最初に責任をとることは当然であると思う。そういうことが必要であり、また妥当であるに間違いない。そういう場合には、古荘氏にそれをさせるように、大蔵大臣として最大の努力をするかどうか、それをお尋ねしたい。それを明らかにすることによって、預金者は非常に安心をし、取りつけなんかも防止をし、そして今後千葉銀行の健全な発展があり得ると思うので、ぜひこの点、はっきりしておいていただきたい。
  117. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきましては、終局においてどういうふうに赤が出るのか、また最終において不足を生じた、いわゆる赤が出た、その原因は一体どういうふうな原因からきている、こういうことを、私はつまびらかにする必要があると思う。それで、千葉銀行の場合には、何も銀行を整理するのではないのでありまして、いわゆる貸し出し等において、回収なんかを促進する必要が多々あると思いますが、銀行自体を整理するのではありません。従いまして、今後の経常よろしきを得れば、私は預金も増加するであろう。今後の銀行は、一そう大をなすであろうと期待いたして、そういう方向に向って、私どもはあらゆる可能な限りの協力と努力を払って参りたい、かように考えております。
  118. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大蔵大臣は、何か古荘氏に財政的な責任を持たせるという考えがあるということを言うと、古荘氏が悪いことをしたというふうにとられやしないか。それを、私が言質をとろうと思って質問しているのではないかという疑いを持っているようだが、そういう意味ではありません。経営者が不正、不当のことをやらなくとも、いろんな事情から、預金者に相当の迷惑をかけたというような事態が過去にもある。そういう場合でも、経営者が私財をなげうってその弁償に当ったという事例もあるのでございまするから、何も古荘氏が自分の私財を提供して預金者保護に当った、また当ろうとするからといって、悪いことや、あるいは不当なことをしているという意味ではないのであって、そういうような態度で大蔵省千葉銀行再建に当るということになれば、初めて預金者は非常な安心をする。千葉銀行は、これで大した問題なしに、今後も発展して再建ができるということになるので、私は聞いておる。決して悪いことをしたから、悪いことをした者に責任をとらせろという意味で、あるいは特別背任行為があったから、損害賠償をさせろという意味では全然ないのであって、たといそういうようなことがなくても、そうした措置を古荘氏にできるだけとらせるようにするお考えがないのかどうか。そうでないと、なかなか不安が去りません。これは事実でございます。千葉県へ行ってお調べになればわかることなんです。  長い間県民は、古荘氏に対して不安を持っておった。だからこそ、日本では珍しい、新しい地方銀行が千葉県にはできた。もう五、六年前、千葉興業銀行という銀行が設立された。これは、私の記憶では、たしか戦後第二番目の銀行です。戦後に新しく銀行として認可になったのはほとんどない。その二番目に千葉興業銀行というものができた。なぜこれができたかというと、千葉銀行のやり方について、また古荘氏の経常について、非常な反感や反対があった。ぜひもう一つだけ千葉県には地方銀行が必要であるという世論が、あるいは市時村長から、あるいは県議会方面から、あるいは実業界方面から、ほうはいとして起きた。それは、千葉銀行の経営のしからざるところから、またその頭取が独裁者として臨んできて、これじゃどうにもならぬというところから、千葉興業銀行というものが設立された。今二つ併存しております。  そういう事情から見ましても、事態は大蔵省にはわかっておったはずなんです。こういう状況でございますので、大蔵大臣は、もっと大きな熱意を傾けて千葉銀行再建をやるという態度を示さないと、今後いろいろな問題が起きてくる。これは、私は予言しても差しつかえないと思う。私が心配するような事態が起らなければ、またそのような異常な不良貸し、また未回収、赤字というようなものが出なければ、これに越したことはございません。しかし、これは、銀行局検査部当局はよく知っておると思う。だから、なかなか責任のある答弁が大蔵大臣にはできないのだろうと思う。それだけに国民は不安に思っておる。だから、その熱意を、大蔵省はこの際一つぜひ示してもらいたい。古荘氏が何と言おうとも一つ私財をなげうってでも、千葉銀行再建のために努力するというふうに、大蔵省としては強力な再建計画を持ち、その実施に当る熱意を持っているということを、ここに明らかにしていただきたい。
  119. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 千葉銀行再建について、非常な熱意を持っておることは申すまでもありませんが、今、事が何も具体的になっておりませんので、私の考えでは早く新頭取が選任をされまして、銀行の内容等をつまびらかにいたしましてこれに対応するの方針を立て、これを着々実行に移して銀行本来のあり方で進んでいくのが一番大事なのであります。そういう際におきまして監督官庁として具体的な事柄について相談を受け――ただいまは頭取等の財産について御発言でありましたが、それらのことが銀行のため、また当人の意思によっても妥当、適当であると考えれば、私どももそのときに考えてみてもいい。これは何も私が今千葉銀行にこうするということを言わないからといって、それが千葉銀行再建に熱意を欠くという意味じゃありません。これは大蔵大臣としても可能な限り努力をいたすつもりをいたしておりますが、そういうことを今すぐに言うことは適当な時期でないと考えておる次第であります。
  120. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大臣は抽象的に古荘氏の私財提供というような問題も考えるというような意味のことをやっと答弁した。私はおそれているようなことがないように希望する。これはぜひ大蔵省として事件が起きた今日、今までもとうにメスを入れなければならなかったことでありますが、一つわれわれが心配するようなことがないように最大の努力をしてもらいたい。以上で質問を終ります。
  121. 足鹿覺

    足鹿委員長 神田大作君。
  122. 神田大作

    ○神田(大)委員 私はいろいろと千葉銀行にからむ不正融資の問題について御質問申し上げたいのでありますけれども、時間の関係もありますから、焦点だけにしぼって少しく申し述べます。私もごく簡単に質問いたしますから、あなたも一つ正直に――岸内閣では一萬田蔵相はまことに正直な人だという人気があるようでありますから、一つ正直に御答弁願います。  まず率直にお尋ねしますが、あなたはどういうふうにして親書を出して、どうしてそれを戻したのですか。それをお尋ねします。
  123. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が紹介状を書いたことについては、先ほどから答弁した通りであります。
  124. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは古荘さんにみずから親書を返してほしいと言ったのか、それはどうなんです。
  125. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきましても先ほどからしばしば御答弁申し上げた通りでありまして、私の紹介状の内容自体を通じまして――紹介状の内容は、先ほど申しましたように、ごく普通の紹介にとどまっております。しかしそれが大蔵大臣紹介だからということで、念を入れていろんなことを考えられてはいかぬから、特に資金の融通というようなことは考えていない、そういう意思は含まれていないんだから普通の内容のものだととってくれというふうなことを話したときに、そういうことであればお返ししましょうか、それじゃ返してもらおうかということになった、こういうことでございます。
  126. 神田大作

    ○神田(大)委員 この前の大蔵委員会における横錢委員の質問には、あなたはみずからそれを返してくれといって、僕は取った、こう言っておるのですね。きょうの答弁は、あなたは向うが返してくれたというようなことを言うが、これはどっちがほんとうなんですか。
  127. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 どういうふうにこの前答弁したか知りませんが、これは言葉があるいは足らぬかもしれませんが、ただいま答弁した通りであります。
  128. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはあなたはこの前あれだけ問題になったことをどういうふうに答弁したかわからぬ、そういう話はないと思う。これは一年も二年も前のことならともかく、三日か一週間前の答弁をどのようにしたかわからないとは――僕は先ほどあなたは正直だと言った。ところがなかなか正直でないようです。あなたが自分で取ったのか、古荘さんが返してくれたのか、どっちなんですか。
  129. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今も答弁した通りでありますと、申し上げております。
  130. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、前に言ったことは間違っていたのですか。前の横錢委員との速記録を読みますよ。前に横錢君にはみずから、これはあとで考えたら手元へ取り戻した方がいいと思って取り戻したとあなたは言っておるのです。ところがきょうのところは、古荘さんが返してくれたからもらったと言っておるのです。どっちがほんとうなんですか。
  131. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そのとき話しましたそれは、何もそういうふうにむずかしく考えてはいないのです。向うもそんな必配なものなら返そう、返してもらおうか、これだけなんであります。
  132. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうするとあなたの方から返してくれと言ったわけですね。
  133. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は返して下さいと言ったわけじゃないのですが、今言うたように、これはこういう内容のものだ、それで別に資金融通というようなことは何もいっていない。しかしひょっとしてこれがいろいろなところに、何か大蔵大臣のものだからいろいろ理由があるというふうにとられては間違いがあるから、内容を率直にそのままにとってくれればいいのだ、それなら返そうか、それでは返してくれ、これだけです。
  134. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、これはあなたの方からやはり返してもらった方が都合がいいと思ったからそう言ったのでしょう。そうすると、なぜ、そういう一たん渡したものを取り戻さなくちゃならぬのですか。これは大蔵大臣として何らの意味もない、こう言っておりますが、千葉銀行は御存じの通り、もう数年前から問題になって告訴にもなっておる、こういう問題のところへ手紙をやって、あなたはあとで取り返した、あなたの自分の意思で取り返した、それには私は非常な大きなわけがあると思う。それを何もないように思っておるけれども、これは大へんなことではないですか。これは大へんなことだと思いますが、そう思いませんか。
  135. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いや、そういうふうにいろいろと悪くとれば、いろいろと悪くもとられましょう。しかし私の今の真情を申すならば、私はそのときの通りのことを言っておるのであっても、これはそうじゃない、こうじゃこうじゃといえば、そういうふうにおとりになれるかもしれませんが、そうじゃないのです。全く今申し上げた通りです。なぜかといいますと、やはり大蔵大臣からそういうものが出たということは、いろいろのことにもしも誤用されるようなことがあってはいかぬからと考えるわけですね。でありますから、こういうわけだから間違いのないようにと私が言ったときにそういう心配もあろうから、それなら返そう、別にどうということもないから返してもらおうか、これだけなんですね。返すのに別に深い魂胆があるのでも何でもありません。
  136. 神田大作

    ○神田(大)委員 深い魂胆はないと今あなたは言うけれども、あなたは千葉銀行監督する立場に立っており、しかも非常に問題が起っておる人にあなたは手紙をやってある程度の目的を達した。そうしたならばあとでそれが問題になるといけないと思ってあなたは取り返したわけですね。その親書によって相当あなたの意思というものは表現されておる。そういう意味合いにおいて、あなたは大蔵大臣という重要な職務にあるんですよ、千葉銀行監督する立場にあるんですよ、その人がその親書を渡して、それによってある程度の目的を達してあとで問題になると思って取り返した、それは明らかに大臣の職権を乱用したことになるんじゃなでいすか。どうです。
  137. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はあとに問題があったから取り返したというのじゃありません。それは先ほど来しばしば答弁をしておるわけなんです。まだ融通も何もないときに、すぐにこれはこういうふうな内容でやっておるが、ごく普通の紹介になっておる、それだけにとってほしいのだ、大蔵大臣手紙だから、いろいろとそれについて考えるかもしれないけれども、そういうことがあっては悪いから、そういうことはないと申した。しかしながらおっしゃるように、それならそういう紹介も書かない方がいいじゃないか、それはその通りだと思います。私もそう井きたいから書いたのではないのでありまして、まあ世の中に暮しておりますとそういうこともやむを得ない。そういうこともあるのです。しかし先ほどから申すように、私ももう少し慎重であればよかったというふうに考えておるわけです。さように御了承願いたい。何もそんなに責任を回避するものじゃない。私は責任があれば責任をとりますよ。何も自分責任をとるのをいとうわけじゃない。事実はその通りである。それだけは了承して下さい。
  138. 神田大作

    ○神田(大)委員 大蔵大臣がそんな勝手なことばかりを言うなら、私は何時間でもやりますよ。少くとも大蔵大臣ともあろう者が、あなたは千葉銀行監督者だ、その人が、手紙をやって、たといそれが取り返そうがどうしようが紹介されていれば、そこにある程度そういうものが原因になって取引が成立したわけです。あなたは大蔵大臣の職権を、公けのことではなくて私のことで利用したのであるから、職権乱用もはなはだしいものだと私は思うのですが、あなたはそう思いませんか。
  139. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はさように思っていないのです。それで、そういうお話のようなこともあろうかと思いまして、そういうふうに紹介状を書いた、その内容自体があのままでいいのだから、それ以上に何もつけ加えることはないのだから、さように了承して――しかしながらあの紹介状がいったからというので融資なんかも何も考える必要はないのだから、かように申したわけです。
  140. 神田大作

    ○神田(大)委員 銀行頭取手紙をやって何が用です。これは融資を頼むと日本国民一億人だれだって考えますよ。銀行頭取によろしく頼むと大蔵大臣手紙をやれば、これは融資をしてくれというふうに当然だれでも思うんですよ。あなただけがそんなに言いわけをしておりますけれども、だれにもあなたの言いわけは通りませんよ。それは銀行頭取でなければいいですよ。料理屋のおかみとか時長さんとかそういう者にやるならば、その人にやった目的というものは大体わかる。町長さんであれば町長の何かの用事である、あるいは料理屋のおかみさんであれば、今晩一ぱい飲みに行くぞということだ。銀行頭取手紙をやれば、借りたくてしようがない人に手紙を預けて、よろしく頼むということは、金を貸すということに対してよろしく頼むということなんです。これは一年生だってわかるのに、大蔵大臣がわからないはずはない。それを白ばっくれて答弁しているなら、われわれはこの追及の手をいつまでもゆるめない。どうです。
  141. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうこともあろうかと思うたから、すぐに私は、そういうふうに思わないでほしいということでそういう意味では決してないからということを言うたのです。だから、頭取もそういうことでよくわかったのですから、それでいいじゃないですかね。
  142. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは山村さんとしょっちゅう会っておる。古荘さんとも五高以来の友だちで何回も、ここにもある通り会合し、一ぱい飲んでおる。そういう間柄の人が、何が、よろしくなんです。金を貸す以外によろしくと言う用がないじゃないですか。ほかに何か用があったんですか。何をよろしく頼んだんですか。それをお尋ねしましょう。
  143. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、ある方が来られて、そのある方はいろいろと御事業なりお人柄も知っておるわけであります。これは友人の程度であります。それが古荘さんとどういう関係か、そういうことはよく知らないのであります。ただこれは国会議員の方であります。そういう方がお頼みに来たから、それで私の立場からしては融資なんかとても頼むことはできませんよ、それはいいのだ、ごく紹介だけしてほしい、こう言うから、私も紹介をしよう、しかし紹介をしたけれども、それがもしもほかのことにいろいろ間違っても困るから、頭取に、これは紹介の内容の通りでいいので、融資のことは何も考えなくていい、私はその紹介の内容自体をそのまま向うに伝えただけであって、何もそうそれについて――むろん私はそういうものを書かぬ方がいいじゃないかと言われれば、書かない方がいい。大体私はそれがいいと思うのですけれども、いろいろの人が来ますよ、それはできるだけ撃退をしているんですけれども。そういうのが実相なんです。
  144. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたがどんな言いわけをしましても、これは山村――さっき山村新治郎というふうにあなたは言ったでしょう。山村新治郎さんという人は古荘さんとも何回も会って、顔なじみなんだ。あなたに普通のことでよろしく頼むわけはない。何か目的があるからよろしく頼もうとしたのでしょう。そういうすぐばれるようなことを平然とこういう権威のある委員会であなたが大蔵大臣でありながらおっしゃる、そういうことはわれわれとして許せない。山村さんは古荘さんとも何回も会って知っておる。あなたも山村さんをよく知っておる。三人みんなよく知っておる。よろしく頼むというのは何か目的があるわけです。何も一面識もない者に古荘さんを紹介したのならそれでいいですけれども、それはおかしいじゃないですか。もう山村さんと何回も取引している。古荘さんとよく知っておる。それをあなたがどういうわけでよろしく頼むというのです。これは目的があって言うのでしょう。はっきり言って下さいよ。
  145. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 何も目的はありませんですよ。これは卒然と来られて、そうして今のような話をしまして、それで、融通なんかできませんよ、そういうことをあなたが考えても、私はそういうことを言えるものじゃないからできませんよ、まあごく紹介でいいから、こういうことでしたから、私もやむを得ぬからと思いまして、ごく普通の紹介を書いただけでありまして、むろんそういう紹介を書くのが悪いじゃないかと言われれば、私は先ほど申しますように、何も書かなかったのが一番よかったと今でも思っているのです。それに起したことはない。しかしそういう悪意があってやったのじゃないのでありまして、私の立場からすれば――これはあなたに何も訴えてあなたの同情を求めようと考えていない。ただ私は実情を実情として申しただけでありまして、それにしても大いに責任があるというなら責任があってもよろしい。しかし実情がそうなんです。それだけは一つそういう判断のもとに責めて下さい。それに基いて責めるなら私はがまんします。しかし違うものは通うものとして言うのです。
  146. 神田大作

    ○神田(大)委員 だいぶ、におってきたのですが、先ほど私が言った通り、あなたは古荘さんともよく御存じ、山村さんと古荘さんとも何回も取引をして十分知っている人なんです。こういう人にどういうわけでよろしくと言うのです。これは何をよろしくと頼んだのです。よろしくというのはどういう意味です。今言ったように、それはどうも納得しないからだめですよ。そういういいあんばいな答弁はわれわれは間かぬから、われわれが納得するまで聞きます。何回もこれは聞きます。
  147. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど申しますように、私は率直に言いまして、この山村さんと古荘さんがどういう関係にあるかほんとうによく知らないのですよ。あなたは非常によく私が知っているように思われているが、私はよく知らない。むろん取引はある場合にはしていますけれども、どういう関係にあるか、私はよく知らないのですよ。ですからそういう紹介をしてくれというなら、それもよかろうと思って私は書いた、こういうことですよ。
  148. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは山村さんと古荘さんがどういう関係だか知らなかったのですか。それで大蔵大臣やっていられたのですか。あなたは千葉銀行監督者でしょう。それはおかしな話ですよ。山村さんと千葉銀行関係は相当あったのですよ。今度の不正問題は、何も今始まったことじゃない。五年も六年もからうわさになっていたものです。しかも雑誌の「文芸春秋」なんかにも大きく出ているでしょう。(笑声)そのほかあらゆる新聞に出ていたでしょう。そういう問題の千葉銀行の大きな融資関係の問題を、あなたは全然知らなかった、古荘さんと山村さんとの関係を知らなかった、それはおかしいです。(発言する者あり)やかましいな。黙って聞け。こういうわかり切ったことをあなたは白々しく言ったってどうにもならぬ。山村さんと古荘さんと関係があったか、取引があったか、何も知らないという話は、大蔵大臣の言じゃありませんよ。あなたは千葉銀行監督者だから……。
  149. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はそういうふうにあなたから言われるわけはないと思う。私が知らぬというのは、貸借で商売に何か関係があるとか何かを知らぬと言っておるのじゃない。人と人との関係は非常に多方面ですから、どういうふうな深さがあるか、どういうことだか、そういうことを私は知らぬと言っておるので、たとえば千葉銀行から金を借りておるとかおらぬとか、それを知らぬと言うておるのじゃない。人を紹介するということは貸借の関係だけで紹介するとは限らぬと思いまして、そういう紹介も、ごく社交的な意味においてしたのであります。
  150. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、山村さんと千葉銀行の貸借関係は知っていたのですね。それは知っていて、貸借関係を知っていて、そうしてよろしく頼むという紹介状を書く――紹介状というのは、一面識もない者に、こういう人を一つ取り立ててくれとか、あるいは何かの用件でこの人をどういうふうにしてくれということなんで、あなたは十分千葉銀行の取引関係もわかっておる、その他のいろいろの交友関係もわかっておる、その上に、銀行頭取によろしく頼むというような手紙を出したことは、頭取にそういうことを出したことは、それは金を貸してくれということをあなたが頼んだと同じじゃないですか。意味はどうです。
  151. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今申しましたように、よろしく頼むということを言うたからといいまして、それは何も金を貸せということじゃないということは、その茅場にもよく話してある。先方にもそれを通じてあるのですからね。それは私はきわめて明白であると思うのです、そういうふうな普通の紹介ですから、今言うたように、大蔵大臣がそういう紹介状を書いてきた、それで何か意味目的があるのじゃないかと思われてはまずいから、そういうことはないこいうことを、紹介状の内容通りに、先方に通じてあった。だからその点は、少しも間違っておることでもないし、悪いことはない、かように考えております。
  152. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは何をよろしく頼むというわけですか。(笑声)何をよろしく頼むというのです。よろしく頼むという内容を言って下さい。禅問答みたいなことを言っていないで、よろしく頼むと書いてあるのですから、あなたは何をよろしく頼むと言ったのか、それを言って下さい。
  153. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、もう一言言いますが、今度、この方は国会で非常に忙しく働いておるが、この紹介をしてくれということであるから、よろしく頼む、かようなふうに書いたと思います。
  154. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたの話はさっぱりどうもわかりませんね。それは、ただよろしく頼むという紹介をしてくれという紹介状をもらうわけがないのです。前から、金銭関係もあるし、交友も十分深まっておるのだから、あなたに山村さんが、ただ単なる、よろしく頼むという、そういうものをもらっていく必要はないのです。何か目的があるからそれをもらつたわけですよ。そこを、あなたははっきりしなさいよ。
  155. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、そう相手方を悪く悪く考えぬでもよいのじゃないのですか。(笑声)やはり国会議員をなさっておる方ですから、私は十分その人格を尊重してよいと思う。その方が紹介してくれというのですから、相手に御迷惑のかからぬように紹介した。そうしてまたそれを、相手に御迷惑のかからぬようにわざわざ電話をかけまして、紹介はこういうふうにしてやるが、これは、そういうわけで少しも紹介の範囲を越えぬでよいのだから、こういうふうにしたのですから。あなた方は、紹介状をもらっていった人が悪いことばかりするようなふうに思われておる。何だかそういう気持がするのですがね。そういうことじゃありません。私は率直に言いまして、むろん先ほども申し上げましたように、何も書かなかった方がよかったと思いますけれども、これも、いろいろな関係からこの程度の紹介状はやむを得まい、かように考えたのであります。
  156. 神田大作

    ○神田(大)委員 おもしろいことをあなたは言いますね。人に頼まれれば、あなたは、何の目的かわからなくてもよろしく頼むとだれにでも井いてやるのですか。これは、どういうわけでよろしく頼むと言ったのですか。少くとも、一萬田大蔵大臣ともあろうものが、今天下を時めかして、蠢動さしておるところの古荘頭取に対して手紙を出すのですよ。それを、ただよろしく頼むというそんな軽い意味で出したのですか。そういうばかな話で、こういう大事な委員会の席で弁明がきくと思うのですか。
  157. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはあなた方も御経験があると思うのですよ。紹介状を瀞きまして、何々君は僕の友人でよろしく願い申し上げ候、これはよく書きますよ。私はそういうつもりで書いたのです。
  158. 神田大作

    ○神田(大)委員 どうしてくれるのだ。そういう答弁をしていたなら絶対僕は何時間でもやる。冗談じゃないよ。大蔵大臣ともあろうものが、監督者が監督される頭取に対して、あなたは何をよろしく頼むというのです。知っておる人に何をよろしく頼むというのです。そのよろしく頼むという内容をはっきり言って下さい。どうなんです。あなたは普通のあれじゃないですよ。大臣ですよ。
  159. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今申し上げた通りであります。
  160. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたはそういうふうに何だかわけのわかぬことを言って、それでだれにでも、われわれがあなたに頼みに行ったら、何の目的かわからなくても、よろしく頼むという手紙を書きますか。私らももらいに行きますからよろしく頼みますよ。千葉銀行に、よろしく頼むと書いて下さいよ。(笑声)これはどうです。よろしく頼むと書いた手紙をわれわれに下さいよ。そうしてあなたは何をされてもかまわないのですか。どうなんです。そこには、よろしく頼むという意味があるのです、その意味をはっきり言えというのです。何をよろしく頼むというのですか。ただばかやちょんじゃない限り、何の目的かわからないのによろしく頼むと書くばかはないでしょう。それはどういうわけです。
  161. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは私先ほどから、初めからその点については率直に御理解を得たいと思し上げた点でありまして、私どもが、かりに融資なら融資という目的があって紹介状が書けるものじゃありません。むろん、そういうことなら書けませんよと断わってあるわけです。それで、普通紹介状を書いても、よろしくという程度で書けば書けますがね。これは内容がどうと、そういうことはありませんよ。これは多くの場合、よろしくというだけでいいという人はずいぶんありますよ。ちょっと紹介状を書いてくれ、よろしく頼むと書いてくれ、こういうことはずいぶんあるのでして、そういうことが悪いという点はいろいろと御批判は受けますが、内容がほんとうは悪いのじゃない、そういう意味において書いた、こういうことです。
  162. 神田大作

    ○神田(大)委員 それはよろしく頼むにも、そこらの何でもない人にやるのだったらいいのです。ただよろしく頼むでは意味がない。正月にでもなったら一ぱい飲みましょう、よろしく頼むというような、いろいろ意味がありましょう。しかしながらあなたは大蔵大臣です。問題になった千葉銀行監督する大臣です。その責任者が銀行頭取に対してよろしく頼むと言えば、これはその言外に何か含まれておるでしょう。この人には一つ十分な融資を頼む、そういうことが小に含まれておるじゃないですか。また、そういうようにとられるのじゃないですか。どうですか。
  163. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことがないように、千葉銀行頭取には、そういう意味合いでは全然ないのだからということを一方では話して、紹介状にはこういうふうにあるがこれはそのままでいいと思う、それ以上の意味はないのだ、そういうふうに扱ってくれ、こういうことを申しておるのでありますから、何も千葉銀行頭取にやったことについて意味があるとは考えておりません。
  164. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのために融資に成功しておるのですよ。その親書を持っていって、その次において融資に成功しているのです。そうでしょう、三千万円か幾らか金を借りておるでしょう。それはどうなんです。ちゃんとうしろには、そういう証明されるような事実があるのです。前にも相当の融資を受けておる、そういう人に大臣がよろしく頼むというような親書を持たせることが、一体あなたはいいと思っているのですか。それから聞こうじゃないですか。こういうことをすることが、大臣としていいと思っているのか悪いと思っているのか、どうです。
  165. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点については、私は何回もお答えを申し上げておる、それは出さなかった力がよかったろうと。さっきから、出さなかった方がよかったと申しておるのです。それは何回も言っております。
  166. 神田大作

    ○神田(大)委員 まことにそれはまずいことだというのはわかっているのですね。さっきあなたが弁明したように、ただ単に紹介してよろしく頼むだったら、何もあなたは弁明する必要がない。あなたはあやまる必要がない。ところがあなたはまずいと思っている。あとでその親書を取り返しておる。中に意味があるからでしょう。それはおかしいじゃないですか。
  167. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう意味は何もないので、ただ私がやった紹介状というものは、こういうふうな事態が起きたから、このことについてやはり私は遺憾に感ずるわけであります。そうして紹介状を出して、そういうふうな紹介をしたからすべて私が悪いとは考えないのですけれども、やはりいろいろ取引もあるだろうし、話し合って、向うも銀行の方に御迷惑のかからないように、その他のことで話をすることも多々あるだろうと思います。ただ紹介状をもらうと、それを悪いことに使うということはないと思います。従いまして私はその点については念を押してあるわけであります。そのために私は悪いというようなことは考えておりません。
  168. 足鹿覺

    足鹿委員長 神田大作君、簡潔にお順いいたします。
  169. 神田大作

    ○神田(大)委員 どうも大臣は、先ほどはまことに遺憾である、今の答弁では悪いことではないだろう、こういうことも言っておる。そうすると、はっきりあなたの真意がわからぬ。私はこの問題については絶対納得いたしておりませんから、またあと銀行監督の問題と一緒にあなたに追及します。私はあなたの答弁では絶対納得しません。  そこであなたにいま一問お尋ねしますが、あなたは最近古荘さんと何回ぐらいお会いしておりますか。
  170. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 古荘君と会いましたのは、私今古い記憶に残っておるのは、去年の私が大蔵大臣になった直後にお会いをして、それから今回頭取を辞するようになってからお会いをしております。
  171. 神田大作

    ○神田(大)委員 それはどこで、いつ、だれと一緒に会っていますか。一人で会ったのですか。それともほかの人が同席したのですか。
  172. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私同席をしておったかいないか、昨年のことは覚えませんが、大蔵省の本省で会ったと思います。それからあと大蔵省の公邸で、これには多分次官なども一緒であります。
  173. 神田大作

    ○神田(大)委員 だれが同席したか、一年ぐらい前のがわからないわけはないのですが、あなたもうまく逃げるからしょうがないのですが、おかしいじゃないですか。あなたは料亭では会っていませんか。
  174. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 料亭で会いません。記憶はありません。
  175. 神田大作

    ○神田(大)委員 料亭で会ったことはないですか。
  176. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今答弁した通りであります。
  177. 神田大作

    ○神田(大)委員 この間のあれによると、一月十日、いな垣で一萬田蔵相、古荘頭取、一月三十一日に、やはりいな垣で岸首相、一萬田蔵相、山村代議士、古荘頭取、二月一日に、山村代議士が一萬田蔵相の親書を受け取った、というようなことが新聞に出ておりますし、証言、質問にも前に出ております。二月十一日に、築地で一萬円蔵相、山村代議士、古荘頭取、そういうふうにあなたは何回も会ったことになっているのですが、一回も会ったことはないの。(笑声)
  178. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 会ったことはありません。私も奇怪に思っている次第であります。
  179. 足鹿覺

    足鹿委員長 神田君にちょっと申し上げます。大対六時ごろまでにというのが当初の打ち合せの内容でありますが、熱心な御質問がありますので、一応お認めいたしておりますが、唐澤法相も先刻から御出席になっておるようでありますので、一つ次の問題に移りたいと思いますから、御了承の上あと一、二問で結論に入るようにお願いをいたします。
  180. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはあなたが古荘頭取と会っているという確実な情報が入っておる。この情報というものは間違うわけはないのです。ところがあなたは一回も会っていないと平然として言っておるようですが、それはどうもわれわれは信用できないのです。あとでこの問題は対決することにいたしましょう。  それであなたは去年のいわゆる福岡の相互銀行の円匙にからんだ事件についてこれは銀行局長もおられるようですが、銀行監督については厳重なる監督をするということを私に答弁しておる。ところが千葉銀行が、先ほども言われたように六十億からの不正融資をなされたとか、あるいはレインボーの料理屋にさえも十二億からの融資がされておる。こういうようなことたしておる。こういうようなことを今日汝てしておったのに、あなたは何をやっておったのですか。昼寝でもしていたのですか。あなたは大蔵大臣なんですからね。こういう大事件を来たした千葉銀行に対して、どういう監督をしていたのですか。昼寝をしていたのですか、どっちなんです。私には、銀行に対しては厳重なる監査をして、融資先もちゃんと調べ上げるということを答弁しておる。千葉銀行のこういうような大きな問題に対して、世間ではずいぶんうわさされ、告訴もされておる。そういう銀行に対して、あなたはどういう監督をしたか。どういう注意を払ったかということを聞いておるのです。
  181. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 具体的なことは銀行局長からお答えいたします。
  182. 石田正

    石田政府委員 先ほど来申しましたように、昭和三十二年に検査をいたしましたときにおきましては、三十年の結果より悪いので、その後におきましてはいろいろなものについて遺憾のないように厳重にやっておるわけであります。
  183. 神田大作

    ○神田(大)委員 局長はそれを大臣報告しましたか。
  184. 石田正

    石田政府委員 三十二年二月に行いました検査の概要については、大臣のお耳にも入っておると思います。私は十一月局長になりましたけれども、その前に入っておると思います。入っておりますから、七月以来大臣も御心配になっておる、こういうふうに思っております。
  185. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣のお耳にも入っておると思います。そんなあやふやなことでは困る。はっきり言って下さい。あなたは上司に対してちゃんと報告する義務があるわけなんですから、ないとすればあなたの責任重大です。一つはっきりして下さい。
  186. 石田正

    石田政府委員 私が銀行局長になりましたのは去年の十一月でありまして、私が参りましたときは、大臣が御承知でありますから報告が前にあったものと私は確信をしております。
  187. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣にお尋ねしますが、あなたはその報告を受けましたか。
  188. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 いつの報告ですか。(「三十二年二月だ」と呼ぶ者あり)昨年の二月に……。私は七月に大蔵大臣になりましたが、具体的なことを私直接聞いた記憶は今ありません。
  189. 神田大作

    ○神田(大)委員 たとい大臣をやっていないときであっても、千葉銀行の問題は非常に大きな問題だから、あなたは局長なりそのほかの人にちゃんとこれはどうなっているのか、検査をしてその結果はどうなんだということは当然聞くべきだし、また新しく大臣になれば、局長なりあるいはそれらの責任者はあらためてちゃんとあなたに報告すべきなんです。それはどうなんです。そういうことをやっていたかやっていないか、それを聞きます。
  190. 石田正

    石田政府委員 私は、検査の結果というものを全部大臣報告をするのではないのでありますけれども、問題がありますところにつきましては、大臣のお耳に入れてしかるべきものは報告するのは当然であります。また大臣がおかわりになりました場合において、問題があると判断すれば、そのときのかわった当事者が申し上げる。しかしどの口が幾らで何ぼだ、そういうことを一々申し上げることはないので、具体的には数字については申し上げませんけれども、概要についてはお話ししておると思います。
  191. 神田大作

    ○神田(大)委員 今、銀行で告訴をされている銀行というのはあまりないのです。そういう告訴をされておる銀行というのは全国にないでしょう。告訴をされている銀行、告発されている銀行、それをあなたは監督者でありながら、千葉銀行の問題について聞かないということは、まことに怠慢であるし、またそれを報告しないということは、局長として大きな誤まりを犯しておると私は思う。その責任をあなたはどう思いますか。
  192. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それは千葉銭行のことを全然知らぬ、そんなことを、言うておりはしませんですよ。それは先ほどから私の答弁をお聞き下されば非常に明白なので、私が七月に大蔵大臣になりまして――私の言うのはこまかい一本々々の取引先の貸し出しがどうなっておるかということは、必ずしも十分に記憶はせぬ、そういうことは詳しくあまり知らぬ。しかし千葉銀行は一体どういうふうな状況になって、これに対してはどういうふうにしなければならぬかという大きな方針については私は把握しておると思います。それで先ほど御答弁申し上げましたように、私が七月に大蔵大臣になって、それから後に千葉銀行の従来やりましたこと等について再検討を加えて、サウンドな、健全な経常方針に立ち返って、そうして一そう盛んにするにはどうすればよいか。それにはいろいろあるが、頭取とも一つ話をする。それは去年私が古荘に会ったのもそういうことで会ったのでありまして、決して何も知らぬとか、そういうことではないのであります。そのときに、私が先ほどから詳しく御答弁申し上げましたように、いろいろ従来も悪かったから、今度は一つ各重役が協力一致して、従来の滞りになっておるのを回収をはかる。従来はとかくあったかもしれないけれども、今度は一つそれをやらしてほしい、そういうことがあって今日に至っておるのでありまして、決して千葉銀行のことを知らないなんて、そんな無責任なことは言いやしません。
  193. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、あと幾らでも質問はあるのだが、いろいろと時間の関係もあるし、私は終りますが、この質問を保留して終ります。特に銀行監督に対する責任、これは私に前に答弁しておるのですから、口先でうまいことばかり言って実際は適当な言葉でわれわれをごまかす、そういうふうにわれわれには思われるので、断じてこの問題は許せませんから、私はあとで質問の時間をいただいてあなたを徹底的に追及します。
  194. 足鹿覺

    足鹿委員長 唐津法務大臣
  195. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 私は前会この席へ参りまして、横錢委員の発言中私に関する部分について事実全く無根であるということの弁明を申し上げました。その後森脇証人の証言のうちに、横錢委員の発言とは少し内容が違っておりますけれども、やはり私の名前が出ておりました。さらに具体的に日にちも場所も御指定になっておるようでございます。この点について私の立場立場でございますから、事実を申し上げたいと思います。  横錢委員の記載には、ただ会合があったというだけでありましたが、森脇証人は三月の十八日と日を指定された。場所は中洲の喜可久という料亭であるということを言っておられるそうでございます。この点につきまして、昨日古荘頭取から、その会合はその晩にあったが、顔ぶれが全然違うという御発言、があったそうでございます。それで一応氷解したかと思いますけれども、私の立場立場でございますから、私からまた重ねてこの点について事実に基いて説明をいたしたいと思うのでございます。法務省におきましては、私の自動車の運転手が自動車の回った行き先と時間を所定の様式に基いて毎日記帳いたしております。私は大体それに基いて申し上げるのが正確かと思いますからお聞き取りを願いたいと思います。  御指定の三月十八日に、私は午前八時に自宅を出まして、羽田の飛行場に参りまして赤城農相を見送りました。それから引き返しまして午前十時三十五分――これはみな運転手の記帳したものでございます。午前十時三十五分に法務省に帰りまして、そうして法務省で執務をいたしておりました。それから午後零時十分国会へ参りました。そうして院内で閣議があったのでございます。それで零時三十分から院内の閣議に列しまして、午後の二時五十分、約三時に法務省に帰りました。それから一時間ばかり法務省で執務をいたしまして、午後の四時に再び国会へ参りました。これは参議院の予算委員会で私が質問を、受ける立場にございました。その質疑が済みましたので、午後六時四十五分に再び法務省に帰って会議をいたしております。そうしてその会議が午後の九時十五分まで続きまして、九時十五分に法務省を出発して九時五十五分に私の自宅へ帰っております。この三月十八日という日は、私も実はよく記憶いたしておるのでございますが、私の担当いたしておりますあっせん収賄罪並びに暴力取締りに関する刑法並びに刑事訴訟法の改正法律案でございますが、これを私が両院で趣旨説明をいたすことになっておりました。初めは衆議院の方において先に説明をすることになっておりましたが、いろいろ御都合があったようでございまして、十八日の翌日の十九日に参議院の方で初めて私に趣旨説明をしろ、こういうことになっております。それで当日の三月十八日の午後に至りまして、自民党、また社会党双方からの質問の方もきまり、また大体質問の要旨もわかったのでございます。そこで私は先ほど申し上げましたように、六時四十五分に法務省へ帰りまして、関係の局課長を集めまして、その質疑について検討いたしました。これは総理大臣に対する質疑もあり、私に対する質疑もございまして、なかなか数多くの質疑があったのでございます。三時間足らすこれを研究をいたしまして、総理の答弁の資料も作り、また私の答弁も相談をいたしたのでございます。その会議を終えて、そうして自宅に帰ったようなわけでございます。以上がその日の私の行動の全部でございます。古荘頭取の御発言で事実は明らかになったかと思いまするけれども、私の立場立場でございますから、重ねてくどいようでございましたが、事実について以上申し上げたような次第でございます。  重ねて私は御了解をいただきたいと思うのでございますが、私の立場立場でございまして、松下総長を通じて全国の検察官を指導する立場に立っておるのでございます。もしこの検察官が私の心事について一点でも疑いを持つようになりましたならば、これは綱紀粛正上ゆゆしき問題であると私は思います。さらに国民が検察権のあり方について疑惑を持ちましたならば、一そうこれは重大な問題だと思うのでございます。私は法務を担当する際に、要するに私の心がけといたしましては、どこまでも公平ということと、身を持すること清潔でなければならぬということを念願して参ったのでございまして、その意味におきまして今三月十八日のことを申し上げたのでございますが、それ以前におきましてもその以後におきましても、そういう種類の会合には絶対に出たことはございません。私はさような心がけで今日まで仕事をやって参ったのでございますが、今度の問題に名前を連ねられまして、まことに心外千万に存じております。私といたしましても、この事実を明白にするためにはどのような努力も辞さないと思っておりますが、どうぞこの委員会等におきましても究明をせられて、国民の前にこの事実の真相を明らかにしていただきたいと思っておる次第でございます。
  196. 足鹿覺

    足鹿委員長 井上良二君。
  197. 井上良二

    ○井上委員 ただいま唐澤法相からきわめて重大な弁明が行われたのでありますが、それはただいま唐澤法相からも弁明がありました通り、去る四月十五日本委員会において足鹿委員長から森脇証人に対して次のような質問がされております。「次に、柳橋の中洲の某料亭において、唐澤法務大臣、川島幹事長等が某代議士と会談され、という事実について、証人はこれを知っておられますか。」森脇証人「中洲の喜可久において、ある会合があったことは事実であります。そのとき私が知っております範囲は、唐澤法相と正力国務相と小山貞雄と古荘頭取であったと記憶しております。」次に川鹿委員長「しからばその日時等について、あなたの御存じのことを詳細にお述べになっていただきたいと思います。」森脇証人「日時は三月の何日かだと思っておりますが、今ここで記憶しておりません。」こういうことからさらにその後、これが三月の十八日でないかということで、横錢委員から質問がされましたのに対して、この日時のことについてはいま少し前後も明確でございません。ただその後さらにこの中洲における会合について、与党の田中(彰)委員から「証人にお尋ねいたしますが、先ほどあなたが、中洲の喜可久で会合したという人の名前をおっしゃっておりますが、どなたとどなたですか、もう一度……。」森脇証人唐澤法相、正力国務相、中山貞雄、古荘頭取と記憶しております。」こういうことを明快に繰り返して証言されております。さらに田中(彰)委員は、「先ほどここに唐澤法務大臣を、呼びまして、参考人として発言を求めたのですが、唐澤法務大臣は、絶対にこの会合に行っておらない、古荘さんとも十年くらい前に一度会ったので、今会っても顔もわからぬくらいの状態だ、自分立場上、そういうようなところへ行くようなことは絶対ない、もしあれば、いかなる責任でもとるとりっぱな証言をなされたのですが、何か唐澤さんとだれかとのお間違いでないのですか、」という質問をいたしたのに対して、「私の方では安全投資調査部というものがございまして、そこにおいていろいろそれらの現象について調査した結果でありますから、私の指令によって動いた面々の士がおります。それらの報告によって私は確認している程度でありますから、そういうような御質問になって参りますと、私自身がそこで確認したことでないから、私も人間でありますから、神の身ほど十全でありません。」こういうあいまいに、おしまいはなっておりますけれども、今あなたが本委員会において法務大臣としての政治的立場、また国会議員としての重要な立場から、この証言が自分の信用上まことに重大な問題であるということを発言されておる。そうしますというと、この森脇証人の証言は単にいいかげんな証言をさせておりません。御存じの通り、法律に基いて裁判所で行うと同様の宣誓をさせまして、もしその宣誓をした証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の徴役に処せられることになっておるのでありますから、一応このことを御承知になっていただいて証言を願いたい、こういう注意委員長からいたしまして、その上に行なった証言でございます。そういたしますと、われわれは、この森脇証人の証言というものが、相当自信のある、また実証的に確実性のある上に立ってされておる、こう一応考えざるを得ません。もしそれ、唐澤法相がただいま弁明をされました通り、当日のアリバイを明らかにいたされまして、ちょうど会合する応問は全然さようなところに行っていないという立証をされたのでありますが、それならば、この森脇証人に対して、あなたみずから司法当局として当然かような事件に対する取調べ及び処断をしなければならぬ立場にあるあなたでありますから、さっそくこの森脇証人に対する偽証罪が当然あなたとしては成立するとお考えになっておりますか。その点はどうでございますか。
  198. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 いかにもごもっともなお尋ねと思います。私一個人でございますれば、もうすぐに続手をとりたいと考えております。私はその点に関する法律の詳しい知識はないのでございますが、その点について専務当局に何ってみましたところ、偽証罪ということになりますると、委員会ですか、院から告発しなければいけないそうで、その道はないそうでございます。残された道は、名誉棄損で訴えるかどうか、起訴するかどうかということだそうでございます。私もその点について今考慮中でございます。実は、私は、検察部内に対しても、また国民全体に対しましても、自分としてはどこまでも身のあかしを立てなければならぬと確信いたしておりまするから、その方向に進みたいと考えておりまするけれども、かようなことはあるいは理由にならぬかもしれませんけれども、従来、法務大臣という地位において、そうして人を告訴した者はないという話でございます。また、人を告訴しておったその人も、法務大臣の地位についたときには、それを大ぜいと一緒に告訴した際に自分はその連名から離れたというようなことからいたしまして、ともかく法務大臣は検察当局を検事総長を通じて指揮する立場にありまするから、何かそこに割り切れない感情があるものですから、果してそれがいいかどうかということについても検討をいたしておりまするが、私の希望といたしましては、どこまでもさような事実はないのでございまするから、できるだけの法的の措置をとりたいと思っております。ただ、私の力におきましては、森脇証人の言われたような事実は、これは全然ないのでございまするけれども先ほど井上委員も仰せられました通り、証言の点におきましてはっまりしない、しまいは自分のところの調査部がやったことであるというふうにぼけておるとおっしゃった通りでございますから、その点が果してどうなりますかわかりませんが、これらの点につきましては、よく法律手続、法律的な経験者に相談いたしまして善処したいと考えております。
  199. 井上良二

    ○井上委員 ただいまあなた自己弁明をされますときに、自分は司法を代表する重大な最高責任者の地位におる、かような問題は一日もゆるがせにできない重大な立場に立っているから、ここに身のあかしを立てるためにあくまでこの事態の真相を明確にしてもらいたいし、また自分としてもするつもりだかような決意を表明されたのであります。しからばあなたは――国会の正規の委員会の席上において、国会が招致いたしました証人によって、あなたがかような席に列席しておるということを数回にわたって繰り返して述べられておる。そういたしますと、一応あなたに対して世間は疑いを持つという印象を与えたことはぬぐうことはできません。それであるならば、あなたが司法権の独立を叫び、また法務大臣としての政治的責任の重大性をお考えになりますならば、法務大臣の地位において森脇証人を名誉棄損で告発できないならば、少くとも法務大臣の権威を守らなければならない、法務省の国民からの信頼を傷つけてはならぬ、かようにあなたがほんとうに純真な気持からその正義感的な発言をされます以上は、あなたは率先法務大臣辞職されて、そうしてこの事実を明確にされる必要がありませんか。法務大臣が法務大臣の地位におって自分関係する問題を告発する、あるいは訴えるということは、自分みずからの部下に対して、またいろいろそこに法務大臣として政治的な取りざたがされたのでは、はなはだ事件の取扱い上紛淆を生じて誤解を生ずる愛いがあるから、できるだけそれらの前後の事情をよく検討し、また相談をして処置をしたい、こういうふうにあなたこの処置を非常に政治的に取り扱うのをお困りになっておるように印象をただいま受けました。従って、私が今申したように、あなたがほんとうに日本の司法権を、法務大臣にの地位を正しい意味、純粋な意味で守ろう、自分の置かれた立場を明らかにしようというためには、少くともあなたが今の地位におってすることはいろいろの誤解を生ずるというならば、それより手がないと私思いますが、どう処理されるのですか、その点をお聞きしたい。
  200. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 お言葉の通り、私が法務大臣の地位を去ればこれが明瞭になって、私に対する疑いが去るということでございますれば、私は決してこの地位に恋々としておるものではございません。ただ、事実の証明がなくて自分一人合点の証言をして、そしてそれによってそれにうたわれた大臣がその地位を去らなければならぬというようなことになりますと、それは非常な悪例と私は存じます。でありますから、私はその意味においては地位を去るつもりはございません。しかしながら、この前にお答えいたしました際に、春日委員から、もしお前がさような会合に出ておったというようなことでもあればどうするかということでございましたから、その際には私は全責任をとるということを申し上げたのでございます。
  201. 井上良二

    ○井上委員 それなら、全責任をおとりになるということなら、事態は明確になっているのです。あなたは絶対にさようなところへ行ったこともなければ、さような会合に全然関係はないということを明確に申されている。しかし、一方証人は、ここで数回にわたっていろいろ手をかえて質問をしても、あなたが出ておったということを証言をしておる。そうすると、その“実を明らかにするのには、あなたみずから被害を受けておりますから、みずから名誉を似つけられておりますから、また、法務大臣としても政治的な大きな責任を負わなければならぬあなたの地位に対して国民は疑惑を持っているのです。その疑惑をすみやかにあなたみずからが払拭しなければならぬと思うのです。そうでしょう。そうしたら、あなたみずからが、一つは法務大臣という立場において、一つは唐澤みずからの立場において、事態を明確にする必要があるのです。その処置はすみやかにとらなければならぬでしょう。何で一体政治的にいろいろとやこう、あやこう考える必要があるのです。みずから、行っていないということが天下公知の事実ならば、すみやかな処置をとるべきです。私はすみやかにとってもらいたい。それを明確にされたい。
  202. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 仰せはいかにもごもっともと思います。私も個人といたしましてはどこまでも法律的手続をとりたいと存じております。しかしながら、合申し上げましたような立場でございますから、いろいろの関係を研究いたしておりますが、まだ私は実は速記録を拝見をいたしてもおりません。そこで、どういうような言葉づかいであったかということも、私承知いたしておりませんから、それをよく見ました上で善処したいと思います。おそらくは井上委員のお考えと同一の結論になると私は考えております。
  203. 井上良二

    ○井上委員 それから、唐澤さんにもう一点伺いますが、この森脇証言によると、あなただけではありません。正力国務相もこの席へ出ておるということが言われておる。同一内閣の同一国務大臣ですね。あなたは正力さんにこの問題について相談をされましたか。それを伺いたい。
  204. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 正力国務大臣とは、こういうふうに二人の名前を並べられておるけれども、あなたは一体そういうことがありますかということを尋ねてみたことがございます。そのときに私も絶対そういう覚えはないという会話が取りかわされております。しかしながら次の法律手続の問題につきましては、まだ私自身が今申し上げましたように速記録も見ませんし、最後の結論を持っておりませんですから、そのことについては、まだ相談いたしたことはございません。
  205. 井上良二

    ○井上委員 同じ内閣の国務大臣であって、しかも司法当局であるあなたが正力国務相にかようなことを森脇は言っておるが事実かどうか、絶対自分はさようなところに出たことはないということを正力さんが申されておる、こういうお話でございます。あなたは前後二回にわたって進んで当委員会に出られて、司法当局の立場がそうさせておるかもしれませんが、進んで国民の疑惑を一掃しようとして、またこの委員会の審査を側面的に促進しようという立場から弁明をされております。ところが正力さんは一度もさような申し入れもなければ本委員会にも現われてきません。これは一体どういうことでしょう。これは正力さんだけというわけにいきません。少くとも法務大臣として、当然内閣にかけられた、閣僚にかけ参られた疑いは法務大臣みずからがさようなことはすみやかに一日も早く国民の前に明白にすべきだ。あなたは進んで正力さんに、自分がそういうようなことを感づいたら、率先お互い相携えて、この不明確な立場は証明することが当然じゃないですか、私はそうだと思うのですが、その点はどうですか。
  206. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 この委員会において、ただいまのような御発言があったということは、私から正力国務大臣にお伝えいたしたいと存じます。
  207. 井上良二

    ○井上委員 そういたしますと、私は唐澤さんに特にお願いをしておきたいのは、あなたから二回にわたりましてさような御弁明がございましたけれど、この問題は岸内閣のもとで二人もの閣僚が森脇証言によって会合しておるということが明らかにされておる。しかもあなたは出てないと言う。片一方ではまだ何の弁明もされておりませんあなた自身、いつこの森脇証人に対して明確な自分立場を明らかにする処置をおとりになりますか、最後にお伺いいたしておきたい。
  208. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 それはこれから私がよく研究いたしまして善処するつもりでございます。なお私は先ほど事実をあげてさようなことがないということを申し上げましたけれども横錢委員にいたしましても、森協証人にいたしましても、こういうことがある、こういうことを言いっぱなしでございます。こういうことを言われまするならば、そういう事実があったということを具体的に事実によって証明しなければならぬと思うのでございます。実は私はそういう証明があった後に、私の方が反証をあげるのが順序だと思うのでございますが、すでに新聞紙で広く伝わっておりまして誤解がありますから、私は先ほど実は申し上げませんでしたけれども、順序を変えて私の方から反証をあげた次第でございまするが、こいねがわくはそういうような重大な発言をされて、そうしてこれが報道機関によって天下に伝わるようなことは、どうぞ一々実証的に事実をあげて証明しておっしゃっていただきたいと思うのでございます。
  209. 井上良二

    ○井上委員 委員会もまたいいかげんな審査をしておるのじゃありません。先にも申しました通り法律の命ずるところによって責任のある審査を進めております。従ってあなたがここで本日自分立場を弁明されましても、それは法律に命ずるところによって、あなたが森脇証人に対して所要の手続を完了された後に、初めて委員会としましても森脇誠人の言が偽証であったかどうであったかということが明確になって参ります。そういうことが明確にされませんと、委員会としても処置のとり方がございません。あなたが法務大臣としてその地位についておりながら、隠忍日を送って何らこれに対する政治的処置をとらない、法律的処置をとらないで、こっちの委員会だけで偽証罪でもって告発するわけにはいきません。それであなたの方が被害者でございますから、あなたの方なり正力さんの方なりで進んでその処置をとられて、その処置と相呼応して、委員会で行われた発言でございますから、委員会委員会として、当然それに対する処置を考えましょうから、ぜひ一つさような、進んで国民をして法務大臣に対して疑惑のかかっておる点が明確に一つ処置されることを要望して、私の質問は一応この程度で保留しておきます。
  210. 足鹿覺

    足鹿委員長 横路節雄君。
  211. 横路節雄

    ○横路委員 法務大臣にお尋ねをしますが、この問題は、法務大臣が言われているように、非常に国民に与える影響が甚大なわけです。それはなぜかといいますと、一昨年の五月千葉銀行の問題で、現に今裁判中の古川氏が最初古荘を御承知のように背任横領という形で訴えた、それがやがて恐喝ということになった。そういうことで、裁判中から端を発しまして、御承知のように東京地検の特捜部では昨年から千葉銀行レインボーに対する融資、その千葉銀行の不正融資があるんじゃないか。こういうので東京地検としては特捜部が中心になって捜査を進めて、御承知のようにいろいろ意見もあったでしょうが、東京地検と最高検との間で意見の会い違いもあったといわれている。それが三月の二十四日の午後六時半ですか、御承知のようにレインボーの坂内は逮捕状が出ている。その一週間前の三月の十八日にあなたが古荘、それから正力国務大臣と会ったというように森脇氏が証言をしているところに問題がある。ですから、この点が非常に問題なんです。ですから、そういう意味で、やはり世間疑惑というものは、今のままであるならば、やはり千葉銀行のこの不正融資に対して、古荘氏の身辺がだんだん危うくなってきた、そこで何らか相談があったのではないか、こういうことになって、これはやはり私は法務大臣としては重大な問題だと思うわけだ。そういう意味で、私どもも、今井上良二氏に、またあなた自身のお考えとして述べられて、名誉毀損罪としてやるかどうかという点については、自分としては考慮しておる、こういう点お話しがございましたが、私はそういう意味で、あなたが身の潔白をお立てになるというならば、その点をすみやかにおとりになることが、やはりその疑惑を一掃することだと思う。そうしてあなたが堂々と森脇氏に対して、あの証言は違うじゃないか、なぜそのことをおやりにならないでちゅうちょなすっているのか。これが疑問だと思う。考慮中とは、やろうかどうしようか、こういうのではなしに、やるならやる、こういう点を明確になすったらいかがですか。この点は私は国民全体に対する影響が非常に大きいと思うのです。この点いかがですか、重ねて聞きます。
  212. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 先ほど申し上げた通りでございまして、私といたしましては決してちゅうちょいたしておるわけでございません。まだ速記録もできておりません。これを見た上で私個人といたしましてはどこまでも身のあかしを立てたいと考えておりまするけれども、私が現在置かれておりまする地位が地位でございまして、そうして検察当局を検事総長を通じてではございまするが、指図する立場にありますから、これらの点も十分研究した上で善処したい、かように考えておるところでございます。
  213. 横路節雄

    ○横路委員 法務大臣、せっかくですが、速記録はできているわけです。大蔵委員会会議録第三十三号というのでできているのですね。これは森脇証言の点がはっきりしております。  そこで私はあなたにもう一つお尋ねしたい。それは、おそらく、森協証人は本委員会でも明らかにしておりますが、自分としては金を貸しているのだ、だから金を貸したらそれが回収されなくちゃ困るので、だから安全投資調査部というのを設けて、そこで的確にちゃんと金を貸す相手について一切のあれを調べている。彼がここで古荘氏との関係についてるる述べられておりますが、そこでおそらく私は森脇証人は、彼がここで発言をしている内容の中には、おそらくあなたの自動車が三月十八日、中洲の喜可久に何時から何時までとまっていたということも、私は彼がそういうようにここで重大な証言をした内容だと思う。私は今法務大臣のおっしゃった自動車について時間を書いてみた。あなたは午後六時四十五分法務省に帰った、九時十五分法務省を出られた、こうなっておる。この午後六時四十五分から午後九時十五分まで自動車どうなっていたか、その点はあなたはお調べになってみましたか。この点は向うは、森協証人はおそらく自動車のナンバーを見ていて、それが喜可久の前にとまって、何時から何時まで、あるいは女中等も調べておりますが、自動車等も私は彼の証言の重大な内容だと思う。私はあなたの時間をお聞きして、午後六時四十五分から午後九時十五分までの間に一体自動車はどこにあったか。この点はお調べになりましたか。まだお調べになっていなければ、またあすでもけっこうでございます。
  214. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 私は、自動車のありかというものは別に重大ではないと考えましたから、その点は調べておりません。多分私は六時過ぎに法務省の玄関で乗り捨てましたから、必ず車庫に入っておったことと思います。しかし私自身が出席したかどうかの問題でございまして、私自身はそれから九時までの間省内の局課長を集めて会議をいたしておりましたから、その会議に列席した者もたくさんございますから、それらについて証言ができるものと思っておる次第でございます。
  215. 横路節雄

    ○横路委員 法務大臣、私が今時間について申したのは、あるいは森脇証人が実際にはあなたを彼自身が見ておるわけじゃないのです。安全投資調査部というので三十人ほど人を使ってやつておるわけです。ここで証言しておるわけです。ですから、従ってその中には、あなたが今、自動車はおそらく車庫に入っていたろうと言うその自動車が、だれかを乗せて六時四十五分から九時十五分まで出て、その料亭の前にとまっていれば、それはやはり森脇氏としてはああいう証言をすることも、一応の理屈は成り立つかもしれません。この点は私やはりそういう意味で――大臣のお車なんですから、そういう意味でやはりこの点は明日でも、適当のときに調査なすって明らかにしてもらいたい。いかがでございましょう。
  216. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 自動車の点でございますが、その点は先ほど申し上げました通り調べておりません。私は省の自動車か、ことに大臣用の自動車が、他の人が乗って、そうして中洲へ行っているというようなことはあり得べからざることでございますから、お言葉によりまして調査をいたしまするけれども、さようなことは絶対になかろうと信じております。
  217. 横路節雄

    ○横路委員 それじゃ私は、先ほど法務大臣から御答弁ございましたように、この問題は新聞でもすでにもう調査がしりつぼみではないか、こういうようにいわれている。その問題と関係をして、三月十八日の件は、私はやはり法務大臣としてぜひ身のあかしを立てるために、もしも法務大臣がおいでになっていれば責任をとる、こう言っておる、出てないということであれば、相手が、そういうことを、言っておる者に対して、証人として証言をしているのですから、先ほどお話を申し上げたような点について、すみやかに一つ手続をとっていただきたいと思います。  次に大蔵大臣にお尋ねいたしますが、先ほどから横山委員それから他の委員の諸君の質問並びに大蔵大臣の御答弁を私聞いておったのですが、きのう千葉銀行頭取がここに見えられまして、一月七日にいな垣で、岸総理大臣と古荘頭取と山村新治郎氏と三人会われて、なかなかいいいごきげんになられて色紙を書かれた、こう言っておる。だからこの古荘頭取と山村新治郎君との仲は、岸総理がその席に列席するほどのいわゆる親しい交わりであった。それをあなたに親書を頼んだのは一月三十一日でしょう。あなた一月三十一日に書いておる。あなたは先ほど横山委員の質問に答えて、一月の終りだったか三月の初めだったかということは、一月三十一日ですよね。あなたにわざわざ親書を頼まれて、あなたがよろしく頼むと書いた、そのよろしく頼むというのは、大蔵大臣としてよろしく頼むということなんです。そこであなたはさて困ったことになったものだと思ったものだから、電話で融資についてはやらないでくれということを言っておる。あなたはあとになってから、よろしく頼むと書いた親書が、その融資に利用されては困るとお思いになって電話をおかけになったのでしょう。その点はどうなんてす。
  218. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は融資というふうにも――むろんそういうことがあってはならない、かように考えたわけです。
  219. 横路節雄

    ○横路委員 ところがきのう吉荘頭取は、私の質問に答えて、それは持ってきた本人から出されたのだから、本人によろしくだ。そのよろしくとは何だ。相手は銀行頭取でしょう。あなたは大蔵大臣です。それ以外に何の理由がありますか。それ以外に何のよろしくがありますか。(「紹介状にはみんなよろしくと書いてあるよ」と呼ぶ者あり)じょうだんじゃない、紹介状じゃないのです。古荘頭取と山村新治郎氏は、一月七日にいな垣で岸総理と同席して、愉快にお酒を飲むほど長時間会談している仲なんだ。それを何も大蔵大臣がわざわざ山村新治郎氏をこの千葉銀行頭取紹介をしなくても、総理を入れて酒を飲む間柄なんだ。だからあなたのよろしくというのは、やはり相手が千葉銀行頭取で、山村氏とは御承知のように二月の十日か何日かに、二月になりましてから、本人が希望されておる山村商店については、千棄銀行の方から希望の融資ができている。手形の割引その他でございましょうけれども……。あなたのやはりよろしく頼むというのは、大蔵大臣として、相手の千葉銀行頭取に山村氏が持っていってよろしく。よろしくとは、銀行頭取へのよろしくとは、融資しかないですがね。だからあなたはあとになってから、これは大へんだとお思いになったのでしょう。そのときは渡してみたけれども、さてあとになって大へんだとお思いになって、あなたがそういうお電話をかけられたと私は思うのです。そうでしょう。それ以外に何か意味がありますか。
  220. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御質問の二つの点に答えますが、私は一月それがしの日に、ほかの方か今のいな垣で御会合なさっておるとか、あるいはまた御会合の仲であるというようなことは、私は存じません。全く私は今でもどういう仲か、今聞けば、そういうこともあったのかと、事実ならそう思うだけで、そういうこと全然存じません。従ってそういうことと私は何も関係がないので、私紹介状を書いてすぐあとで、あっしまった、そういうことじゃないのであります。私は紹介状を書くときも、やはり大蔵大臣という立場は十分考えました。従いまして、大蔵大臣として他人に御迷惑を与えたり、大蔵大臣の影響を他人に与えるということは避けなければならぬ。ですから、ほんとう言いますと、先ほどから言いますように、書かなければ一番よかった。よかったんですが、これはいろいろな理由がありまして、相手にそれほど御迷惑がかからぬならと思いまして、実はまあよろしくという意味で書きました。苦きましたけれども、何もそのとぎ私はほかのことの関係は考えていなかった。ですから、大蔵大臣として書いては悪いということは書かない。しかしそういうようなごく単純な紹介状であっても、今お話のようにいろいろととる人もあるかもしらぬから、そういうことがあっては悪いから、頭取にも、こういう意味のわけのものだから、紹介状通りでいいのだ、こういうふうに申し上げたら、よしわかった、そういうふうなことで、私のこれに基いて融資をするということは絶対にしない、そういうことは何も心配ありません、こういうことだった。これは事実さようでございます。
  221. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣に、今の問題について、先ほど私は銀行局長の答弁を聞いておった。しかし、これはまず第一番に、昨年の十月かと思うのですが、御承知のように千葉銀行は、独禁法十一条違反で公正取引委員会の調べを受けているわけです。御存じだと思うのですが、銀行が四億六千万会社に融資をした。ところが千葉銀行頭取は、会社の社長を呼んで、鈴木某を社長にさせろ、そこで、それが会社の社長になった。そのときに、一応表の契約では、株の譲し渡しをするようになっている。それをよいことにして、全部株の名義を切りかえて、そしてみんな鈴木のものになってしまった。そこで片一方、会社はこれは大問題だというので公取に持ち出して独禁法十一条違反である。その会社の方では、古荘頭取に言えば、あれは鈴木がやったのだと言う、鈴木某に言えば古荘頭取がやったのだ、こう言ってらちがあかないから、とうとう公正取引委員会に持ち込んで、独禁法十一条違反である。これはたしか昨年の十月かに両者和解してもとに戻した。これはそういういわくつき銀行なんです。あなた御存じありませんでしたか。いいですか、千葉銀行というものは損保をみんなそういうふうにする有名な銀行なんです。あなた御存じはありませんでしたか。独禁法の十一条違反で調べを受けているわけですよ。古荘頭取というのはあなた御存じありませんでしたか、これは昨年あなたが大蔵大臣になられてからです。御存じありませんでしたか、お尋ねしておきます。
  222. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまはっきりした記憶を待ちませんが、あるいはその当時事務当局等から、あるいは新聞等で読んだかもしれません。しかしその点について詳しく調べたことはありません。
  223. 横路節雄

    ○横路委員 この問の大蔵委員会の記録によりますと、こういうことになっております。先ほども御質問がございましたが、三十二年二月一日の定期検査で、これは大蔵省検査部の方ですか、三十七日間調査をして、結局レインボーについては、大至急回収整理するように厳重に申し渡しをした、こういうことになっております。その前にたしか一十年の一月の二十六日にも定期検査をやっておる。このときはあなたは大蔵大臣ですね。そうじゃないでしょうか。あなたは二十九年の十二月になっていらっしゃるのですから、三十年の一月ころはなっておるはずだ。しかも三十二年二月の定期検査ではレインボーに対する貸し出しが多くて回収ができていない、二十七日間も調査して、そういう結果になっております。だから千葉銀行の不正融資――不正融資といいますか、こういう放漫な貸し出しについては、あなたは昨年七月に大蔵大臣になったときは全然聞いておりませんでしたか。その点はどうなんです。
  224. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が昨年七月になりましたときに、千葉銀行のことについても聞きました。この銀行をどういうふうに今後持っていかなければならぬかという方針を立てたことは、先般来私はたびたびここで御答弁申し上げた通りであります。
  225. 横路節雄

    ○横路委員 そのときに古荘頭取は、あなたのところをたずねておりましょう。それともあなたが呼んだわけですか、どちらなんですか。
  226. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その当時はむしろ私は呼んだかと思います。いずれにいたしましても、それは銀行の将来をどうするかということで話し会ったのでありますから、会ったことは間違いありません。
  227. 横路節雄

    ○横路委員 それから千葉銀行の不正融資は天下周知なんです。私が申し上げるよりは、あなたが大蔵大臣としてよく御存じだと思う。千葉銀行から金貸しの金融機関にまず千葉銀行は貸す。その金融機関から坂内が借りる。そのときに古荘氏はそこで個人保証人になっている。全部トンネルをやっている。千葉銀行の古荘氏はトンネル金融をやっている。これは天下周知なんです。だから先ほど法務大臣にも申し上げたように、東京地検は昨年から調査を開始しておる、何も令すぐに、坂内を三月の二十四日に逮捕するようになったのではないのです。あなたは大蔵大臣としてその千葉銀行のこういうような貸し出し状況については全然御存じありませんでしたか。その点はどうなんです。
  228. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう貸し出しの具体的なやり方については、私聞いておりません。ただ私とすれば、相当大口な貸し出しが数あって、それが固定しておって回収が必ずしも順調にいっていない、こういう報告は聞いておりますが、今お話のような貸し出しのいろいろなテクニックまでは聞いておりません。
  229. 横路節雄

    ○横路委員 あなたが全然銀行についてしろうとの方なら別ですが、あなたは日銀総裁を長くやっていらっしゃって、金融の点に関しては、一ころは法王とまで呼ばれた方だ。その方が現に――今私が言うたように、三十二年二月一日のこの定期検査で、レインボーについては、貸し出しがふえて回収ができない。そこであなたは大蔵大臣になったときに、今御答弁のようにあなたは古荘頭取を呼んで、警告を与えております。そしてその銀行頭取に、あなたはよろしく頼むと言っておる。千葉銀行のそういう貸し出しについては世間疑惑があって、天下周知なんだ。あなた自身頭取に警告を発している。それにあなたはことしになってよろしく頼む、これは大蔵大臣としては、率直なものの言い方ですが、まことに軽率である。この点はどうなんてす、一体。
  230. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 むろん私も紹介状について非常に考えたのです。がしかし、紹介をしたから、それは私の認識が悪かったかもしれませんが、紹介をもらった人が常に悪いことをするとは思わぬので、これは私は問題にすべきことでない。それで紹介状を書いたが、それは大蔵大臣としてなすべきことでないようなことは書いてないで、ごく一般的な、先ほど申しましたような意味での単純な紹介状でありました。ただそれは先ほどから繰り返しておりますが、お話のように、そういう紹介状大蔵大臣としては何も書かない、それが私はこの場合においてはよかったろうと思うのでありますが、その点はさらに十分な思慮を加えるということは、先ほどからしばしば御答弁申し上げておる通りであります。同時にしかし、その紹介状の内容はこういうことだ、この通りでいいんだから、それについて何か特別含みでもあるような考えを持ってもらっては困るので、紹介状通りの内容にしてほしい、従ってたとえばこれに基いて融資とかいうようなことがあっては困るから、そういうことは絶対にないように、それて了承した、こういうようなことであります。それで私は、ただお前が大蔵大臣としてそういう紹介状を書いたのはけしからぬじゃないか、その点だけを申されれば、私は非常に遺憾に考えておる次第でございます。
  231. 横路節雄

    ○横路委員 今大蔵大臣からやはり遺憾であると思う、こういうお話ですから、これ以上大蔵大臣をここで御追及しても処置がない、しかし問題は、あなたが日本銀行紹介状を書いたとか、その他三井銀行に書いたというのと違うのです。千葉銀行は、すでに東京地検が昨年からこれは一ぺん不正融資でやらなければならぬ、今年になってから東京地検と最高検で何べんも打ち合せをしてのことです。だから私は言うている。しかもあなたは大蔵大臣になったときに、千葉銀行頭取を呼んで、はなはだいかぬじゃないかと警告を発している。こういう経理内容ではいかぬじゃないかとやっている、それに対して、あなたがよろしく頼むということでは、どこに監督できますかと言っておる。それでは監督できないでしょう。できるとお思いになりますか。その点どうなんですか。
  232. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。それは先ほどから申し上げました通りに。私は金を貸せとか、こういうふうなことは、これは申すまでもないのでありますが、そういうことのないように、しかし特に紹介してほしいという御依頼でもありますし、それで私は、いろいろ事柄もある、何も金を貸すことばかりが個人の間の問題でもないと思いまして、そういうような意味合いからこの紹介状を書いたのであります。実は頭取にいたしましても、私がこの点についていろいろ注意をいたしました、それに矛盾したことは、先方も了解していないと考えております
  233. 横路節雄

    ○横路委員 今の答弁は、しかし遺憾であるということについては、先ほどお話しになったが、それはその通り承わっていいわけですね。
  234. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私のその紹介状を書いたことは、ごく単純な紹介だ思うのでありますが、そのことがもとで、かように委員会等において疑惑を招きましたことにつきまして、遺憾に考えております。
  235. 足鹿覺

  236. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私はただ一点だけ唐澤法務大臣にお尋ねしておきたいと思うのであります。  新聞紙の報道するところによると、一昨年この千葉銀行レインボーの融資の件の捜査の発端として逮捕された坂内ミノブという女、これを処分保留のままで釈放したということは、これは事実ですか。
  237. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 この点につきましては、私はっきり事実をまだ承知しておりませんから、刑事局長がおりますから、刑事局からお答え申し上げます。
  238. 竹内俊吉

    竹内政府委員 お答え申し上げます。処分保留のまま釈放になったことは事実でございます。この点につきまして私どもは、その処分をそういうふうに決定しましたことについて、法務省側としては参加をいたしておりませんので、結果を聞いてそのことを知ったわけでございますが、聞いたところによりますると、なお捜査すべき事項があるそうでございますが、身柄拘束の期間が過ぎておりますので、一応在宅にいたしまして、今後は任意捜査という形で捜査を続ける、こういうことでございます。何か今こちら側がそういうふうに指示したような御疑念もあるかと思いますが、そういうことはこの半作につきましては全然ございません。
  239. 奧村又十郎

    ○奧村委員 これは巷間いろいろ疑惑を生んでおるので、はっきりしておきたいと思いますが、われわれの常識からいきますと、起訴するとか、あるいは不起訴にするとかいう処分を明確にして、たとえば起訴した場合には、それ相当の保釈金を積んで釈放するというのが、普通常識でなかろうかと思う、うわさに聞けば、昨年から内偵せられ、今月の春早々には合同会議までも開いて、十分慎重にかまえて手入れをなさったというのが、未処分のままで釈放したということになれば、この事件はもうこのままで済ますというふうな疑惑を生むと思うので、この点はどういうものですか。任意捜査と申しますと、どうしても証拠隠滅などが起つて、徹底した捜査ができぬということで、未処分のままで釈放するということであれば、これは徹底した捜査はもうやめるという意思表示になるという疑惑を生む、世間ではいろいろこれについてもう検察庁は、やめたのだ、あれほどの件をやめたのかというふうな疑惑を生むので、任意捜査で十分なことができますか、その点をはっきり伺っておきたい。
  240. 竹内俊吉

    竹内政府委員 このレインボーの事件は、御承知のように千葉銀行が被害者になっておりまして、そこで今任意捜査によって十分その目的を果すかどうかという点でございますが、これは検察当局が慎重に検討いたしました結果、任意捜査によってやれるという判断のもとにそういう決定をしたことと思うのでございます。そういうふうに検察庁が考えておりますので、それを私どもとしては信頼している状態でございます。
  241. 奧村又十郎

    ○奧村委員 昭和三十一年ですか、古川何がしなる者が千銀行を告訴して、これは逆に千葉地検の方から強喝罪で告発された。これも世間で非常に疑惑を招いた。今度は特捜部の方でやるについて、ずいぶん慎重に捜査の準備をなさって、いよいよ手をつけた以上は、これは腹をきめたということであるが、今のお話ではどうもあいまいである。一体これはだれが告訴して、どういうことでやっていくのかということで、私は任意捜査ということはどうも納得がいかぬと思いますが、実は私に与えられた質問の時間がありませんので、以上申し上げた疑惑については、きょうこれを明らかにする時間はあるまいと思いますので、私はこれで質問を終ります。
  242. 足鹿覺

    足鹿委員長 春日一幸君。
  243. 春日一幸

    ○春日委員 千葉銀事件に対します検察行政の執行のあり方について、二、三の点について伺っておきたいと思うのであります。  ただいま唐澤法相は、身の潔白を立証されるために、非常な決意をもってそれぞれの経過を述べられました。もとより私たちも、この問題につきまして、何人に対しましても無実の責めを食わして陥れようとかなんとか、そんな考え方はむろんないのでございまして、もとよりそんなことを考えてみたところで、そんな結果に甘んじられる方々ではないわけでございます。ただ問題の真相を明らかにして、そうしてこの複雑怪奇な千葉銀行問題について、われわれの確信ある理解に到達したいというこの純真な気持にほかならない、この点を一つ十分御理解を願っておきたいと思うのであります。  そこで伺っておきたいのでありますが、この千葉銀事件につきましては、特に抜き取り担保、詐欺容疑事件に関する坂内君の問題、これについては新聞で報道されているところによりますと、地検は非常な強硬方針であった。しかるに高検はこれに対しては何だか非常に慎重な態度であった。いうならば、地検と高検との本件に臨む態度は相反していた。そこでしばしは検察会議が行われた、こういうような経過が報道されているところであります。私はこの際伺いたいのでありますが、地地検の方針と高検の方針とが対立をして、そして意見調整のために合議されたようなことがあったのでありますか、なかったのでありますか。この点についてありのまま一つお述べを願いたいと思います。
  244. 竹内俊吉

    竹内政府委員 千葉銀行に関連する事件につきまして高検と地検との意見の相違はなかったかという御質問でございますが、私の承知いたしております限りにおきましては、地検と高検との間に強硬意見と軟弱意見とのために意見の対立があったということは聞いておりません。従いまして両者の間に事件の見方その他につきまして、地検、高検それぞれの立場におきまして、ものの判断、考え方に若干の相違があったかもしれませんが、強硬であるとか弱いとかいう意味においての対立はなかったというふうに聞いております。
  245. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま刑事局長が述べられました強硬、軟弱と区分してのその対立ではなかったと思うが、しかしこの両者間に意見の相違があったかのごとき御答弁でございました。あったといたしますればどの点が相違をいたしておったことでありまするか。この点を一つお述べを願いたいと思います。
  246. 竹内俊吉

    竹内政府委員 意見の相違というのではございませんが、本件はもともと千葉で処理をいたしておった事件でございますが、またかつて千葉の次席検事をしておりました者で急逝した者がありますが、その者の在職中に千葉の次席検事の名誉に関する問題を雑誌に登載した者がありまして、その次席検事の未亡人から、その雑誌に登載した者に対して、名誉棄損の告訴を東京地検に出しておりました。またもう一つ、東京地検に告発が出ておるのでございまして、千葉と東京地検との間に、それぞれ同一ではありませんが、関連事件が係属したわけでございます。そこで、それを千葉でやる方がいいか東京地検でやる方がいいかということについて、いろいろ議論があったということでございますが、それも調整がなりまして、そのための会議でございまして、処理することの方針についての議論であったように聞いております。
  247. 春日一幸

    ○春日委員 昨日の朝刊でありましたか夕刊でありましたか、坂内女史が釈放されるに当りまして、天下の大新聞はことごとく筆をそろえて、この釈放をめぐる本件捜査の見通しについてそれぞれの解説を加えておるのであります。これはおそらくお目通しになっておると思うのでありますが、それによりますと、これは地検と高検との間に本件の捜査方針をめぐって意見の対立があった。しかしながら今国会においてこの問題の調査が進められておるので、従ってこれ以上強硬に進めていくという次第においては、やはり解散のこと等もからんで、政争の具に供せられるきらいのなしとしない、従ってこの際これは一応高検が地検に対していわゆる軟弱といいましょうか、強硬な方針を持って臨まない方かいいのではないか、こういうような話し合いが行われて、しはしば会議が持たれた結果、坂内氏が処分留保のまま釈放されるに至った、こういう工合に各紙が解説を加え、各大新聞紙相互間におけるこの解説は何ら相違がない、ほとんど一致した筆致でございました。これはいかがでありますか、この点の経緯について御説明を願いたい。
  248. 竹内俊吉

    竹内政府委員 ただいま御指摘のような解説記事が一、二の新聞に出ておったことは私も承知しております。つきましてさっそく私最高検察庁の担当検事につきましてその真相を確かめたのでございますが、最高検察庁におきましては、ただいま御指摘になったような、また新聞記事にありますような事柄については全然そういうことはない、これはこの問題が当委員会で論議されておる際でありますので、そういうような憶測がなされたのじゃなかろうか、会議に列席したその最高検から高検、地検に致るまで全員一致の意見でそのようにきまったのであるということでございましたので、さよう承知いたしておるわけでございます。
  249. 春日一幸

    ○春日委員 唐津法相にお伺いをいたしますが、今天下の耳目をそばだてておりまするこの問題について、かつはこの新聞解説等によりましても、これが国会の調査と、それから検察当局の捜査とこれが何となく世間に与えます影響等も重大に想像されまするので、いずれにしてもこれは検察行政としては重大な事件であろうと考えるのでございます。従いまして会議が行われたり、あるいはそのような取扱いで大臣に対して稟議されたり、あるいはまたその会議にあなたが参画されたようなことがありますか、あるいは全然ありませんか、この際伺っておきたいと思います。
  250. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 さような事実は全然ございません。
  251. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますると、本件捜査に当って大臣に対しては何等の稟議もなく、また何らの報告もなく、何にもタッチされなかったのでありますか。
  252. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 私の検察当局に対する態度は、大体検事総長以下もう練達堪能の人がそろっておりまして、その意味におきまして、検事総長以下の検察官としての良識と良心とにまかせて、事件の処理をやっておるわけでございます。今度の詐欺事件につきましても、事前には私は報告も受けてはおりません。ただあれは幾日でございましたか、先月の二十何日かに新聞に大きく報道されまして、私は新聞で初めて承知いたしましたものですから、そのときにここにおります刑事局長から、こういう事件の性質であるという報告を受けました。これは新聞紙に書いてあるだけの内容と同じものでございます。そういう次第でございます。
  253. 春日一幸

    ○春日委員 これは私がただ揣摩憶測し、このような疑惑を持っておるのではございません。天下の大新聞が、その解説記事で、私がただいま申し上げましたように、高検と地検とが意見の対立をして、この問題がこの政情とからみ合せて、政争の具に供せられることを避けるために云々という記事が載っておったことは、御承知通りであろうと思うのでございます。のみならず、世人をしてこのような疑惑を持たしめる原因につきましては、これは政府当局の皆さんも御承知通り、かつて造船疑獄のときに、不当なあの指揮権が発動されて、そして検察権が抑圧された前例を、国民はなまなましく記憶いたしておるのでございます。従いましてこの問題はこのような金融規制下において中小企業者が金詰まり、大企業も金詰り、こういうときにレストランが十一億五千万円も金を借りた。ところが大蔵省は知らぬ顔しておる。そして背任横領だとか何とか告訴人もあり、また世人も騒ぎ立てておる。こういうような中に検察当局はこれを処分保留のまま釈放してしまった。事件のかぎを握っておるとおぼしき坂内君を処分保留のまま釈放されてしまっておるというところに、この新聞解説のような疑惑が生じてくるということを十分御銘記願わなければならぬと思うのであります。  そこでお伺いをいたしますが、この坂内君の身柄というものは、この事件をあなたの方が捜査されるに当っては、これは重要なキイ・ポイントを握っておられる御当人であることは、昨日の森脇証言、それから古荘参考人の参考意見等に徴しても明らかであります。と申しますのは、古荘頭取は昨年の十二月二十五日に、いやしくも銀行頭取なるものが高利貸しから金を借りた、こういうことになっておるわけです。東日貿易なるものから一千万円の手形を代償として、そこで九百万円の現金を受け取ったということを森脇さんが述べておりまするし、古荘さん自体は、これはちょっと違いまするけれども、しかし実態は同じことなんです。それはもう銀行としてはこのレインボーに金を貸すことはできない。だから従って頭取自分発行の、自分名義の手形を貸した。そこで食い違ってくることは、この森脇証言によりますると、現金九百万円を受け取った当事者は古荘頭取であると言っておるし、それから古荘さんの参考意見によりますると、私は手形を貸しただけで、現金は見たこともない、だからどういう日歩でだれが割ったか、これは知らぬと昨日述べられておるわけです。問題はこの一千万円の現金の行方に疑惑が持たれておることなんであります。すなわち森脇証言によりますと、この一千万円はレインボーの坂内氏に渡った気配はない。なお個人消費に充てるにしてはこれは多額に過ぎる。また経済ベース、金融ベースであるならば、こんな非常の手段をとるべきではない。いやしくも銀行頭取がとるべき正常な金融ルートによらずして、高利貸しから金融をつけるというようなことは、異常の中の異常、むしろこれは異様な手段と言わなければならぬわけであります。従いましてこの一千万円の現金を古荘さんの言われるように、これはレインボーの坂内氏が自分で東日貿易から受け取ったか、あるいはまた森脇氏の言う通り、これは古荘氏が東日貿易から現金を受け取ったか、これは重大なきめ手であると思うのです。そこでこの問題については、勾留されて、拘置されておりました坂内氏にこの辺のいきさつをおただし願えば、この点は非常に明確になってくると思うのです。疑惑はここで一掃される、真実は明らかになってくると思う。ところがその口を同じくしてこの坂内氏が釈放されてしまえば、これは古荘さんが、言った通りに目うちがあってしまうであろうことは、何人も想像できることだと思うのです。そこでわれわれはどうも釈然と理解されない疑惑が一そうに深まるものがあるわけであります。それで私は伺いたいのでありますが、こんなことが、この国会において真剣に八時まで食事もとらないで、昨日もやられたわけなんだが、こういうような情勢下において重要なキイ・ポイントであるところのこの坂内氏の処分、これは私は重大な事柄であろうと思う。従いまして私はこれを釈放するかすべからざるか、これは当然私は法務大臣なんかに――特に政争の具云々というようなことが大新聞によって論じられるほどの内容の事柄でありますから、私は政治問題ともからみ合せて、政策的にどうしたらよろしかろうかと、あるいはあなたに御相談があったのではないかと思うが、この点について何も御相談はありませんでしたか。その身柄の処分について御相談はありませんでしたか。
  254. 唐澤俊樹

    唐澤国務大臣 さような相談は全然ございません。
  255. 春日一幸

    ○春日委員 私は、あなた方は国会において何事がいかに論じられておるか、少くとも国務大臣として十分な関心が払われておるべきだと思う。このときに森脇証言と古荘参考人との意見が全然食い違っている。森脇さんは一千万円の現金をこの古荘さんが受け取られたんだから、この金の行方は、判断する人の判断によればいろいろな想像が立ち得ると言っておる。それから古荘さんはこれに反して、これはそうではない。これは結局レインボーを助けるために手形を貸しただけで、あとのことは全然知らぬと、こういうことなんですね。このときに坂内氏がぽっと釈放されてしまえば、これはもう証拠隠滅と言おうか、事態の真相をきわめる手段はなくなってしまうのです。私は大へんなことをしてもらったもんだと思うわけですね。しかしこれはやられた以上は仕方がない。そこで私はちょっと合点のいかぬことがあるのでこの際刑事局長に伺っておきますが、坂内君が逮捕されたのは抜き担保詐欺容疑事件でございますね。そうすると、詐欺の被害者というものがあると思うのです。詐欺の被害者は今千葉銀だとおっしゃった。そうすると、これは千葉銀から告訴があったのですか。被害者から告訴の提起が行われたのでありますか。この点伺っておきます。
  256. 竹内俊吉

    竹内政府委員 これは千葉銀から告訴があったのではなくして、先ほど申しました次席検事未亡人の告訴、それからもう一つの別件の告発がありまして、それらを昨年来調査をしました結果、検事認知事件としてこの事件を取り上げたというふうないきさつになつております。  それから先ほど坂内を釈放したことによって重要な事項が調べられないじゃないかという御心配でございますが、ただいまこれは捜査中でございます。任意捜査でありましても、捜査中でございますので、その内容を詳細に触れるのは適当な時期ではございませんが、いずれ明白になることと思いますけれども、その点につきましては昨年来調査をしていることでございまして、私どもは検察庁では抜かりなく調査をしているものと考えているわけでございます。
  257. 春日一幸

    ○春日委員 私は数千万円の被害を受けた銀行が、少くともいろいろと事前の調査をされて、伺えばかれこれ一カ年間も慎重な捜査をされたわけなんです。すなわち事件の発端は、一カ年前にもさかのぼってくるのです。基礎的な調査というものは。そのときに慎重な態度をとって、あなたの方としては身柄まで拘置されたわけなんですよ。しかもその被害の額というものは数千万円である。銀行に対する数千万円の詐欺というものは、その銀行の金がことごとく預金者の金であって、公共の福祉に重大な関係を持つ。こんな公的性格を持っておる機関に数千万円の被害を与えた容疑なんです。しかもこの被害者なる者が何らその保全の措置を講じないとか、あるいはその被害の弁済を受けることのための民事上、刑事上の措置をとらないということは、異様のことだと思うのでありますが、この点について、当然あなたの方ではなぜこの被害者なる者がそのような被害に対する手続をとらなかったものであるか、御調査の過程で明らかになっていると思うのでありますが、この点お差しつかえない範囲で御答弁を願います。
  258. 竹内俊吉

    竹内政府委員 なぜ被害者が告発をしなかったか、あるいは告訴をしなかったかという御疑念でございますが、これは詐欺事件でございまして、御承知のように親告罪ではないわけでございますので、検察庁におきましては適当な時期、適当な方法で捜査に着手しますことは通例見るところでございます。本件につきましては、御疑念の点は私どもも全く同様でございますし、この点は解明しなければならぬ点であります。検察庁では坂内に対しましては、すでに法定の勾留期間を経過いたしましたので、やむなく釈放をいたしたようでございますが、これは捜査に法律上加えられております制限でございますので、身柄を拘束しなければ捜査が進まないというのではないのでございまして、ある必要上身柄を拘束しましたが、それによって明らかにされたことが、今後の捜査に役立っていくことは当然でございます。もう少ししんぼう強くその成り行きを見ていきたい、かように考えております。
  259. 春日一幸

    ○春日委員 国会もまた国民もやはり真相を理解したいと思うのであります。それが合点できれば、くどく質問はいたしません。ただ申し上げたいことは、あなたの方が詐欺の犯罪容疑ありということで身柄まで拘置されたからには、被疑者側についてもそれぞれ調書をとっておられると思う。これはそういう経過がなければそんな身柄まで拘置できるものではないと思う。その被害調書の中で、この被害者とおぼしき千葉銀行は何と述べておりますか。この点を参考までに伺います。
  260. 竹内俊吉

    竹内政府委員 被害者ももちろん調べておりますが、その被害の内容につきましては、いずれ明白になる機会があると思いますが、今この段階におきましては、先ほど申しましたように捜査中でありますので、ごかんべん願いたいと思います。
  261. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、唐澤法相に一つだけ伺っておきたいのでありますが、実は、去る三月三十一日の株主名義書換の最終締切日に、ただいま横山君から述べられましたように、同一居住番地において、何某方百名の株主が新しく設定されておる。それもずっと同じ百株ずつである。これは何らかの意図を持ってこういう株主名義の書換が行われておる。そこで私はその二、三の人について見ますると、これはやはり総会に備えることのためにさまざまな計画がひそめられておる気配が見受けられるのであります。私は、こういうような背景下に持たれるところの株主総会に対して、頭取といたしましては、やはり何らかの対策、何らかの準備というものがなされたであろうと思うのでありますが、その準備の一つがこれであるといたしますれば、これはまことにゆゆしい事柄であると思います。ことに岸内閣は暴力追放をうたっておりまするし、それでなくても、正当なる株主の権利というものが、こんなにわか作りの株主によっていやしくも妨害されたり、あるいは、そんなことがあってはならぬが、もしも暴力的な発展でもしょうものなら、これは大へんなことだと思うのです。私は特に法相にお願いをしておきたいことは、私たちは何も知らなければ知らないでいい、知った以上は、株主の正当な権利を擁護しなければならぬし、また、そのような非常手段によって、非常に曲げられて株主総会というものが運営されては、これは許すべからざる事柄であると思うのであります。私は、ここにありまする、すなわち大蔵省から提示されましたところのこの百名の新しい株主、これについて、前科関係、経歴、これがどういうものであったか、この資料は今あなたにお渡しいたしますから、従いまして、その氏名について、前科があるかないか、あるいはまたその日常の生活はどういう状態のものであるか、これは犯罪を事前に防止するというような意味においても、あるいはまた株主の正当な権利を擁護するという意味においても、これは五月七日の総会にもう間近でございますから、一つあなたの方の適切な機関をあげられて至急御調査願っておきたいと思います。御調査願えますでしょうか、いかがでありますか。
  262. 竹内俊吉

    竹内政府委員 ただいまお尋ねのあいました株主名簿の書換につきましては、私は全然事実を存じておりません。従いまして、はっきりしたことはお答えいたしかねるのでございますが、ただ、申し上げられますることは、それが法律に触れておるというようなことがあれば、やはり検察当局は相当の措置をとるだろう、かように考えております。
  263. 春日一幸

    ○春日委員 法相にお伺いをいたしますが、すべて株主というものは、少くとも銀行の株式をお持ちになろうというような社会人というものは、これはそれぞれ一定の居住地を持っておられると思うのであります。私が常識で判断するところでは、少くとも自分の居住は持っておると思うのであります。それが、今回大蔵省から提示された調査の結果に基く資料によりますと、市川市において何町の何番地のたれがし方たれがし以下百名、ずらっと同じ番地、同じ所に同居された形に相なっておるのでございます。これは奇怪しごくなことと言わなければなりません。また、このような百名という、同一番地何のたれがし方に百名も同じ株主がおるであろうかということについては、これはこの中にひそめられておる何らかの計画があるのではないか、これは想像し得ると思うのであります。私が特にお願いいたしたいことは、株主のだれがどういう株を持とうと、そんなことは自由でありまするが、これらの人々がただ温良な普通の株主であるのか、あるいは総会に備えての何らかの正常な目的以外の目的でこの株を所有するに至ったものであるのか、この点は御調査願える筋のものであろうと考えまするし、万一そのままほかっておいて相当の事態でも起きますれば、これは知らなければともかくでございまするが、かくのごとき論議が行われた後において、そんな不祥な事態が起きましては、これは、国会といたしましても、あなたの方といたしましても、国民に対して、あるいは正当な株主に対して責任を問われることもあるかと思うので、その意味で、私は、そういうような心配は全然ないのか、あるいはそのようなことを事前に防止するための適切な措置をとらねばならぬのであるか、これは手を尽すべき事柄であろうと思います。従いまして、この同一場所に居住を持っておられるこの百名の株主の経歴、身分関係、これを一つ御調査を願いたいと思いまするが、あなたの方ではそういうようなことをおやり願うわけに参りませんか。
  264. 竹内俊吉

    竹内政府委員 市川市何某方というお話は、ただいま初めてそういうことを承わりましたが、これは、調査をせよというお話でございますか、いやしくも調査をいたします以上は責任をもってお答えをしなければなりませんけれども、私ども立場においてこれを調査するということになりますと、そういう事情はどうかということの調査はある程度できるかとも思いますが、その一人々々が架空な人物であるかどうかもわかりませんし、そういう人たちの前科、経歴その他経済事情を全部調べるというようなことは、検察庁の役職から離れておるのでございまして、この者に前科があるかどうかということの調査でございましたらお引き受けできますが、その面の一人々々についての個性を明らかにした調査ということは、ちょっと私どもの仕事の範囲外に出ますので、私どもではお引き受けいたしかねますが、それがどういう事情のものであろうかということについては、可能な限りの調査ということでございますならば、いたしてよろしゅうございます。
  265. 春日一幸

    ○春日委員 それはその限界でけっこうであります。非常に異様なことであると考えますので、従いまして、このような異様な形で新しく株主が設定された事情は何であるか、これを一つ御調査を願いたいと思います。なお、なかんずく、私どもの調査によりますと、いろいろと疑いの持たれる人物もありますので、それを指摘いたしまして、その人の前科関係等について、これまたあわせて御調査を願いたいと思いまするが、これも御答弁によりますると可能であるとのことでございますので、この二つの事柄をあわせて御調査を願うことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。  なお、この御調査を願うべき事情、氏名等については、委員長を通じてお手元に届けることにいたします。
  266. 足鹿覺

    足鹿委員長 残余の質疑は次会に譲ることとし、本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後七時五十九分散会