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滝井委員 大臣は
援護法の問題からは
年金は出てこない、こうおっしゃるのですが、私はそうではないと思うのです。狭義の
社会保障の中には
恩給は入りませんが、広義の
社会保障の中には
恩給というものの概念は入るのです。従って
恩給よりもっと
社会保障に近いものは、この
援護法なんです。これは
受田委員がしょっちゅう言われるのですが、現在の
恩給制度自体の中にも、もはや
年令制限をつけていく、
所得制限を課していく、あるいは
扶養加算をつけるということは明らかに
社会保障的な色彩をそれが
帯びてきておることはわれわれ受田委員の主張と全く同感なんです。今
政府が
年金制度を企図するというのは、少くともことしの八月ごろまでには
——制度審議会はおそらく五月ごろには
結論を出すでしょうが、それにのっとって八月ごろまでにあなた方は
結論を出したい。
厚生省から出ておる案は、
独立自営の
農民や
中小企業、いわゆる
国民年金に
加入をしていない
諸君を
対象にするが、同時に、きのうか、おとといか見た新聞によれば、それを今度は
国民年金にみんな入れていくんだというような案も出ている。初めのうちは
国民年金とは別にして、これだけを
一つやってみろという案もあった。そうしますと、現在の
独立自営の
農民や
中小企業者の
諸君の中には百五十三万の
遺族の皆さんなり
援護法の
対象の
諸君というものは相当あるわけなんです。そうすると、新しくできるであろう
年金とこれとを併給するか、統合して、その上積みにするか当然問題になってくるが、そのときにまず第一に優遇をしておるものは
軍人だ、その次は
軍属で、こう
現実に出ておる
法案はなっておる。それから準
軍属だ、
文官はそこらと同じようなところにいっておる。そうすると後に出てくるものはそれらのものに
関係のない
独立自営の
中小企業者や
農民だ、こうなってくるでしょう。そうすると、この
段階というものを今つければ、これは
一つの
既得権になっていくんです。憲法の
財産権からいっていかんともしがたいものであるということは
議論済みなんです。これが何とかなるならば
恩給問題というものは解決はやさしい。ところがそういかないところに問題がある。だとすると
大臣は、この問題から
年金の問題は出てこない。先になって
総合調整とおっしゃるけれども、それは先じゃない。今から
総合調整の問題を論議し考えていかないと、先になって突如
調整をやろうとしても、
既得権が発生するとできない。せっかく二十七年に
援護法ができ、二十八年に
恩給法が出たときに、三万五千二百四十五円と
出発点を同じくしておったものを、何というか、
軍人は非常に国家に尽した功績が重かった、
軍属や準
軍属は
文官に似ているから、それより下げてもよろしい、こういう理論の立て方を今の
段階でいたしますと、これは永久についていきますから、三百億の
予算の範囲を越えるかもしれないが、三万五千二百四十五円の同じ
出発点に立って五万三千二百円に
遺族年金もしていかなければならなかったと思うのです。それをわざわざ
軍属は
文官に近いんだということで、あとで
給与金その他にも触れますが、明らかに
差別がついてきている。またそういうことが次の
段階では不
均衡是正の問題になることは明らかである。だから少くとも
恩給に関する問題はこれでピリオドを打つのだということを言っておったはずである。これも
岸総理に来てもらわなければならぬところです。何か
内閣委員会では
委員長の質問に今
松総務長官が違う答えをしているようでありますが、そういうように依然として不
均衡を先へ先へと送るならば、
年金は絶対にできません。その点失礼な言い分だけれども、
大臣自身の認識が少しあいまいだと思う。当面問題を何とか濁して、
国会だけ通せばそれで済むというようなお
気持のようですが、何だったら、きょうこれを通さずに五万三千二百円に与野党話し合って修正をやりたいと思う。今のあなたの答弁ならば、先に問題を残すばかりです。少くとも
遺族年金については五万三千二百円に修正すべきだと思うのです。しかし
予算がなくて、
恩給法に先食いされてやむを得なかったと正直に言うならば、やむを得ぬ。しかし今のようなものの
考え方ならば、私は次の
段階が心配です。どうもその点
国民年金と
関係ありませんと言うけれども、これだけ
社会保障制度審議会でも
恩給問題が論議されているし、われわれが昨年の夏中かかって論議した臨時
恩給等調査会においてもやはり論議されているところなのであります。この点もう少し
年金制度と
援護法なり
恩給との
関係について
大臣の明白な態度が伺いたい。きまっておらぬということで先へ先へ送ることはいけないと思う。少くともこういう
法案を出し、
年金問題がこれほど重要な政治問題となり、自民党さんでも選挙のときは減税と
年金を掲げていくのだとおっしゃっているのだから、その掲げていく
年金制度が、担当
大臣にもはっきりした考えもなく、今のように
年金といっても先の問題だということはおかしいと思う。もう少しその辺の見解を明白にしていただきたい。
大臣が明白でなければ、
予算委員会で岸さんが
年金の問題については社会党と話し合いたいと言っておりますから、何なら午後にでも岸さんを呼んでもらって、はっきりとした
政府の態度を聞かせていただきたいと思うのです。