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1958-04-01 第28回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月一日(火曜日)     午後三時一分開議  出席委員    委員長 亘  四郎君    理事 川村善八郎君 理事 薄田 美朝君    理事 松澤 雄藏君 理事 竹谷源太郎君    理事 渡辺 惣蔵君       伊藤 郷一君    田中 正巳君       松浦周太郎君    松田 鐵藏君       岡田 春夫君    小平  忠君       森 三樹二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  中平 榮利君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道地下資源開発株式会社法案内閣提出第  六〇号)      ————◇—————
  2. 亘四郎

    ○亘委員長 これより会議を開きます。  北海道地下資源開発株式会社法案を議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。森三樹二君。
  3. 森三樹二

    ○森(三)委員 きょうは、大蔵大臣予算が通って、だいぶのんびりしておるようです。そこで大蔵大臣は落ちついて御答弁なさることができるだろうと思うのです。きょうは主として北海道地下資源開発会社の問題になるわけでありますが、要は、日本産業開発重点北海道にあるということと、また将来食糧生産問題あるいは人口問題、幾多今、日本国策として、北海道開発を非常に急がなければならぬということになっておるわけであります。北海道の第一次五ヵ年計画は昨年をもって終了し、いよいよ本年から北海道の第二次計画にかかるわけであります。この第二次五ヵ年計画については、昨年十二月二十七日に閣議決定を見たわけであります。政府北海道には非常に力を入れておるわけでありますが、特に私は、北海道開発は何といっても、大蔵大臣ほんとうに力を入れてやるという気がまえにならなければ、とうてい達成できないだろうと思います。これについて、大蔵大臣北海道に行かれたこともあるわけでありますが、その基本構想についてどういうふにお考えになっておるか、大蔵大臣の発言は非常に重大であると私は思うのです。一つ意見を拝聴したいと思います。
  4. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大へん一般的な御質問でありますが、私も狭い日本資源開発については、北海道を特に重要視いたしております。ごく端的に、具体的に話しますが、私は日本銀行総裁をいたしております場合に、大体日銀支店というものは相当大きな都市で、すでに取引もこのくらいある、そこには銀行も幾つあるとかどうとかいうような統計に基いて、日本銀行支店を作るのが常例でありました。しかしながら、私はそういうことばかりではいかぬというので、実は私は在任当時に帯広に日本銀行支店考えた。その結果釧路になったのでありますが、特に北海道について、奥地開発ということを非常に重要視しまして、それには何かそういう開発推進母体が要る。今日はそうでもありませんが、当時は、北海道開発とかの基本的な調査もない。それで日本銀行支店をまず奥地一つ入れて、これを基点にして、とくと北海道開発ということに必要ないろいろな調査的なことをやったらよかろうというので、やったようなわけでありまして、実はこれは私の一つ考え方といいますか、考えを示す具体的な例証であるのですが、そういうふうに私は考えております。やはり北海道といえば札幌とか旭川とか、あの奥の方の開発重点があるんじゃないか。そう言うといろいろ支障があるかもしれませんが、あっちの方にほんとう北海道というものがあるのじゃないかと思っておるのであります。しかし私は十分実地に踏査いたしておりませんが、いずれにいたしましても広い土地を持っておる、同時に未開発であり、また日本人口問題からいって、やはり移住ということもあわせて考えるのが適当じゃなかろうかと考えておるのでありますが、こういう点については十分実地調査して、専門家考え方をまとめてやっていかなければならぬ。それには国家的な援助も必要であろう、かように考えております。
  5. 森三樹二

    ○森(三)委員 大体アウトラインの御説明がありましたけれども、国策として、北海道開発については、今後第二次五ヵ年計画が樹立されて、この策定に基いて、五ヵ年間の一つスケジュールというものができ上ったわけです。人口の問題も、あるいはその他の農作物の生産、あるいは地下資源開発、すなわち石炭あるいはその他の鉱工業生産、あるいは海産物の生産、そういうようなことについて一つスケジュールができているわけですが、今後日本国民食糧自給自足というような問題も含めまして、もちろん大蔵大臣海外との輸出入の貿易のことも考えておられるけれども、特に私は北海道農業生産あるいは鉱工業生産に力を入れて、日本国民生活自給自足態勢を作らなければならぬというような、国民生活との結びつきにおいてどういうようにお考えになっていらっしゃるか、これも私は大蔵大臣に聞きたいと思うのです。たとえばビートシュガーの問題であります。北欧あたりは大体ビートシュガーであります。戦時中は日本には砂糖というものが全然なかったわけで、わずかに北海道生産したのですが、今度は北海道にも、各地にビート製糖工場ができるわけですが、そういう問題ですね。そこで私は先般予算委員会であなたにも質問したが、東南アジア開発基金に五十億設置して、今後これを伸ばしていきたいということを強調された。あるいは、インドに対する貸付の問題も、あなたはお考えになっていらっしゃるのです。もちろん海外に対するところの投資とか融資とかいうような問題も、国際的ないろいろな問題もありますし、東南アジア開発という問題も重要であろうと思います。しかし私は、海外に対するところ援助もしかるべきでしょうけれども、まずこの際北海道開発ということについて、大蔵大臣はきぜんたるところの決意を持ってやっていただかなければならぬだろうと思うのです。その点について、もう少し基本的な考えを聞かしていただきたい。
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 むろん東南アジアに対して大いに経済的な伸張をはかる施策も必要でありますが、それだからといって、北海道をほっとくわけにもいかないので、むろん北海道開発にも力を入れなければなりません。ただ、これは意見でありますけれども、どうも日本の国内では、開発といえばすぐに食糧関係を申します。これも悪くないと思いますが、しかしその食糧が常に米麦的な考えで、どこにいっても水田——私はこういう考え方には賛成しません。やはり立地条件に合うように、寒いところには寒い所に適するものを伸ばしていく。内地でなくてはできないようなものを、無理に計画を立てて北海道に持っていくことは適策ではない、こういうことを考えておるのであります。こういう点を十分考えて、たとえばテンサイならテンサイというものが非常に北海道にいいのだということで、これに集中してもいいじゃないか。ほかのところはほかのものをやるという考え方で、北海道立地条件に適するような開発ということにしぼって費用をかけるというふうに計画的にすれば、財政の許す限りにおいては、財政的な援助はこれはいたすべきだ、かように考えます。
  7. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいまの大蔵大臣のお考えは、これは一面当っている点もあるのです。われわれも寒地農業の確立を提唱して、北海道旭川を中心としたところ米作地帯、これは米の産地です。米も五百万石くらいできる。ところ道東地区といって寒い地区がある、そこは水田に適しないで、酪農を主としたところ地帯でありますが、そこは酪農と、さっき言ったビート、こういう作物によって農家経済を確立する、こういう方向に向っているわけなんですよ。そこで毎年、道庁が主体になって開発計画を樹立して、国に予算要求をしているわけです。あなたのお手元にも、北海道開発庁を通じて予算要求があるわけですね。例年の例をとりますと、五百五十億から六百億に近いものを予算要求している。それをあなたの方で査定なさっておるわけでありますが、われわれとしては、大蔵当局例年査定に対しましても非常に不満なものがある。大蔵大臣はただいま北海道開発重要性をみずから認められておりながら、予算査定については、われわれは必ずしも大蔵大臣の見解というものが実現されておらないというように思うのです。従いまして、これは単に机上の空論だけではなく、何といっても、北海道相当資金を投ずるという基本的な政府考え方というものをここに確立する必要がある、かように考えておるのです。大蔵大臣は、それは非常に力を入れると言っておりますけれども、しかし毎年の予算査定を見ると、今までの状況では——やはり北海道の第一次五ヵ年計画も、最初の考え方の半分にも達しないような成績です。現在のような政府予算の出し方、すなわち昨年度は北海道開発予算というものは二百三十二億でありましたが、ことしは三十一億ほど増額されまして、約二百六十三億という数字が出ておるわけです。しかし、これも私が先ほど申し上げたように、北海道庁あるいは開発庁が考えておる予算要求から見れば、おそらくその半額にも達しておらない、こういう実情のわけです。従いまして、大蔵大臣はもとより、石井さんも来られましたが、政府ほんとう北海道国策として開発するとするならば、この予算の面についてはもっと大方針を確立して、北海道開発予算というものを策定しなければならぬ、私はかように考えるのですが、この面につきましては、一つ大蔵大臣の御誠意あるお答えを願いたいと思います。
  8. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この予算の面でありますが、これは御承知のように、財政的に言いますれば、近年までは財政にそんなゆとりのある状況ではありません。いわゆる緊縮予算緊縮予算で組んで参って、最近のところに至って経済の伸びが著しかった結果、やや財政ゆとりができたという状態、それもまあ昨年度におきましては経済に対する関係から、やはり歳出において制限をしなければならぬ、こういうふうなことが出て参りました。要するに財政資金関係においては、どうしても今後に待つということに私は相なろうかと思うのでありますが、それにしても、やはり北海道についてはできるだけふやす、昨年度はむろん御満足は得られませんでしたが、三十三年度の予算におきまして、できるだけ、今お話しのように相当の増加をいたしておるわけであります。ですから、私は、やはり財政的にいえばむろん制約があるが、必要とあれば優先的な歳出考えますが、やはりそれに値する経済効果が十分上る、こういうふうなことがはっきりするような、具体的な計画を確立する必要があると思います。日本の他の部分におきましても、御承知のように予算編成におきましては、同じようにそれぞれその地方重要性を強調されて、またそれだけの意義も持っておるのでありますが、そういうようなことでありますから、これは率直な考えですが、もう少し北海道開発重要性とその具体的なところを明らかにして——それはわかっているじゃないか、お前は勉強が足らぬと言えばそれまでですが、ただ客観的に言うて、必ずしもそういう点がそれほど明確でないのじゃないかという気も、私はいたしておるわけであります。ですから、そういう点について今後北海道並び財政当局十分話し合いをいたしまして、ほんとうに優先的にこれを持っていかなければならぬということを明らかにしてやっていく、そうすれば、国会あるいは各省の関係においても納得していただけるのじゃないか、かように考えております。
  9. 森三樹二

    ○森(三)委員 大蔵大臣考えもだんだんわかってきたわけでありますが、大蔵大臣の今の御答弁の中に、やはり経済的効果ということを非常にお考えになっている、これは多年経済家として財政経済を担当してきた元日銀総裁あるいは大蔵大臣としては、一面お考えになることだと思うのですが、しかしながら、開発というものは資金を投入する、あるいは開発資金を出すといいましても、それがすぐに経済的な効果となって現われてくるということには、非常に困難な場合があるのです。たとえば内地方面人口の非常に稠密な地点に鉄道を敷くと、すぐに経済的な効果とか、あるいは営利会社であるならば、営利の目的とかを達成することができるわけですが、北海道のような非常に人口が希薄な場合には、たとえば鉄道を敷き、道路をつけるというようなことをしても、それが直ちに経済的な効果を伴ってくるかというと、それはなかなかそうはいかないと思うのです。だから、われわれ北海道開発に力を入れて主張する者は、いつも経済的な効果というものを考えて、直ちに経済効果が伴ってくるということばかり考えておったのでは、真の開発はできないだろうと思っている。これはアメリカあたり開発その他を見ましても、将来何十年先というような、そういう経済効果というものを見通してやっておった場合もありましょうけれども、それがすぐに五年先、十年先に、政府の投資したものが経済的な利益となって上ってくるかというと、それは私はできないと思うのです。そういう点、大蔵大臣があまりにも経済的な効果ということにとらわれて、北海道開発予算というものを策定されることは、私は相当考え直していただかなければならぬのではなかろうかと思うのです。たとえて言うならば、北海道鉄道の新線建設予算を獲得することにつきまして、北海道に線路を敷きましてもあまり貨物の面も少いし、あるいは旅客の面も少いので、これは国有鉄道独立採算制からいって引き合わないのじゃないか、そんなところ鉄道を敷いてもしようがないじゃないかというようなことをしばしば言われるのですよ。しかし、そういうことを言っていけば、これは乗降客が少い、荷物が少いから、もう汽車をつけなければいいじゃないかということになるのでして、この点、私はよほどその考えというものを変えていただかなくてはならない、こう思うのですが、いかがですか。
  10. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、何もある資金量を投下したからすぐそこに利潤を生むとか、そういうことを言っておるのじゃないのです。言いかえれば、たとえば今言ったような一定量資金を投下するが、それがすぐ利潤を生まないが、しかし長い目から見た場合そこに余裕もできる、あるいはこういうふうなこともできるのだ、そういうことであればいい。言いかえるならば、やはり計画性を持って、たとえばそこに鉄道を敷こうとか、ここをどうしようとかいうのではなくて、ほんとう北海道開発についての総合的な計画を持って、その一部分としてこれをこうするのである、私はそういうふうな考え方でおります。それがゆえに、この北海道開発については一般会計からの資金を繰り入れいたしていくということもしておるので、やはりそういう金をもってしなければ開発ができないという考えから、それは私はそんなにすぐに経済々々という考えは持っておりません。ただ、しかし、いやしくも国費を投ずるのですから、それがほんとうに目に見えて役に立たぬ、こうなるのですから、それなら終局には必ずその何倍もになって、それが役に立つというその計画実現性がなくてはだめである、そういうことを言うておるわけです。
  11. 森三樹二

    ○森(三)委員 これは大蔵大臣もあまり御存じないだろうと思いますが、たとえばわれわれの北海道のある地方へ行きますと、面積が九十八平方里くらいもあるようなところが三つも四つもあるのです。香川県よりも大きい村があるのです。行ってみると非常に広漠としている。ところが、そこには道路もまだつけてないとか、あるいはまた学校設備もない。開拓者が入ろうと思っても、そこでは生活ができない。入ってから道路をつけるのか、学校を建てるのか、開拓者が入る前に道路をつけ、学校を建てるのか、どっちが先かということになると、やはりなかなかむずかしい問題です。従って、国策としてやるならば、やはり開墾会社とか開発会社とか、外国でやった例はやはり道路をつけ、学校を建て、病院を建て、それから開拓者というものは入っておる。ところ北海道の場合は必ずしもそうでない。開拓者が入って、そうしてその開拓者が非常に不便であって、道路をつけてもらいたい、あるいは学校を作ってもらいたい、病院を作ってもらいたい、こういうような実情なんです。私はでき得べくんば、やはり国策として道路をつけ、橋をつけ、学校病院を作って、その上で開拓者を入れてやらなければいかぬと思う。そうしないから、開拓者が入りましても——これはここに地図を広げて説明すれば一番わかるのですけれども、実際において道路が、今時分ですと、雪が解けてほとんど歩けない。子供が学校へ行くといったって、長ぐつをはいても歩けない。どろどろで、たんぼの中を歩くようなものです。それからまた橋が木橋であって、それが落ちてしまって、交通が途絶してしまう。非常に惨たんたるものなんです。これはもう東京あたり道路を歩いておって、北海道のあの僻地における、現在の気候のもとでの道路考えますと、全くりつ然とするほど道路が悪いのです。私たちが行きますと、道路をよくしてもらいたいということを地方住民が非常に要望しておるわけです。従いまして、この点について、大蔵大臣は現地へ行って見ていただくといったって、なかなかそうはいきませんけれども、今後の北海道開発については、まず第一番に道路を整備する、それから橋梁、それからまた文化的な学校病院設備、そういうようなものはやはり多額の予算が要るのです。だから気候風土のいい、内地のような条件の整ったところ開発するということと、あの北海道の非常に積雪で、それからまた凍る、零下二十七度も八度もあるような、そういうような立地条件の非常に悪いところ開発する場合とは、私は十分考えていただかなければならぬと思のうですが、この点についてお考えになったことがありましょうか。
  12. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私もふだんそういうことを言うておるのですが、開発のおくれておるところ開発するのには、まずトラックがずっと行くくらいな道を作る、それが先決だということ、これは私は異論はありません。そういう計画をした場合に、予算的にどういう裏づけをするか、予算的、財政的な見地からいろいろなことを考えなければならぬ。またそれをするのに、相当資金も要ります。国策として北海道を優先にやるときまれば、他の方面相当遠慮をしてもらう。財政力には限界がありますから、そういう他の方面遠慮をするというだけの政治力といいますか、一つの統制を政治の上に加える力がなければ、一例を言っても、今北海道東北開発公庫の金についても、北海道東北では、いや、おれの方だ、おれの方だ、こういう状況下では、私はやはり言うべくして実際上なかなか問題があると思う。だから、ほんとう北海道をやるときまれば、東北の方は、よし、おれの方はしばらくがまんする、こういうふうにならなければいかぬと思う。(「反対」と呼ぶ者あり)そういうふうななんで、国の予算の力というものは限界がありますから、これはなかなかいかぬ、私はこういうふうに思っております。しかしお考え方としては、私は異存はありません。
  13. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は、本委員会で審議しておる北海道地下資源開発株式会社法案についての質疑をしなければならぬわけでありますが、もう一つ大蔵大臣がここにおいでになる機会にお願いしておきたい。  一昨年だったか、あなたが千歳の飛行場にお見えになったときに、私もおったのです。大蔵大臣政府要路の方々は飛行機で走り歩くから、一つも痛痒を感じないわけです。実際汽車でもって私の選挙区に帰る場合は、上野をきょうの七時に立ちますと、あさっての朝の八時でなければ着かない。釧路まで三十七、八時間かかるのです。とても汽車ばかりではたまったものではない。(「自衛隊機に乗れ」と呼ぶ者あり)だんだん話を聞きなさい。そこで大蔵大臣汽車の旅行をしてもらえばいいわけですが、問題になっておる青函トンネル——函館と青森間といいますか、北海道本州間のトンネルの問題です。これを北海道道民は非常に要望しておるのです。そこで、ことしも調査費として約十億円を要求しておったのです。ところがその十億円がわずかに一億円になった。それも鉄道予算九十億というものが大体きまって、その中から北海道本州とを結ぶトンネル調査費が一億円、それから本州と淡路島ですかを通じて四国に行く、あそこは紀淡トンネルというのですか、そこの調査費とで一億円、そんなふうになっております。ところ北海道の場合は、例の洞爺丸事件があって、四千三百トンの船が転覆して千五百人が死んだでしょう。ところが鳴門海峡の方では南海丸ですか、あれが沈沒して三、四百人死んでしまった。こういう悲惨事が起きておるわけです。と同時に、北海道の場合は人間の輸送でも、それから貨物輸送でも——貨物は船に載せてやっておりますが、そのために北海道生産物本州に来るのは非常におそいのです。また運賃も高いから、こちらの方に来たものが、やはりそろばんに乗らなくなるという面も多々あるのです。北海道道民は、あのトンネルというものは、気の早い人は着工して、もう数年後にはトンネルができるのじゃないですかというふうに私らに質問する人があるのですが、現在の状況ですと、ことし一億円の調査費が出してある、そのわずか一億円の調査費でもってあの海峡にどんなことをやるかわかりませんが、一つボーリングをおろして、そのボーリングが風が吹いてできなくなってしまえば、一億円や二億円ではとても調査なんかできはしないのです。国策として北海道開発することについても、これが一つの大きな条件になってくる。一体大蔵大臣は、そういうことを考えてみたことがあるかどうか。これはわれわれとしては非常に重大な問題です。北海道道民は一日も早くこのトンネルのできることを期待しておりますが、今の状況では、私らが生きているうちにはできそうもないのです。私らも、できればこのトンネルぐらい一度は汽車でくぐってみたいと思うけれども、この分じゃなかなかできそうもない。ところが、一般道民はもうできるように思っておる。非常な錯覚に陥っておる。洞爺丸事件というものはもう四年ぐらい前ですから、あれからすぐかかったように思っておるのです。現在ですと、川村代議士も言ったように、少し風が吹くと船がとまっちゃって動かない。またお客さんの方もおそろしいから、このごろ乗らなくなりました。北海道本州交通というものは、ほんとうにちょっと風が吹けばとまっちゃう。大蔵大臣飛行機に乗っていくから、そんなことはわからないのですが、あなたは今まで真剣になって考えたことがありますかどうか。これはあなたと石井さんと、お二人に聞きます。
  14. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 北海道のことを考えているかいないかというのは、これはひどいと思います。そんなことはないのです。いやしくも予算を組んでおるのですから、本州北海道交通関係はお前考えたことがあるかないか、これはちょっとひどい言葉です。取り組んでおります。ただ先ほど言いますように資金も要ることですから、今の財政状況からして、言うべくしてなかなか困難な点もある。従いまして、私は次々に予算をつけてはさいの河原に石を積むような行き方は、予算ほんとうはしない。やるなら、少くともある単位でもって、ぼかっとやった方がよろしいという考え方です。ちびりちびり金を使うほど金の値打ちがないのですから、そんなことはよくわかっておる。しかし、それほど出せるだけのゆとりがない。ことし五億出せというようなことがあるから、ああいうふうになるわけです。弊害もある。この点が今後予算を請求される面においても、また大蔵省としても考えで、やはり日本政治ほんとうによくいき、また日本経済ほんとうによくなるために重点的に進めていく、それに国会等においてもみなが協力する、そういうふうになったら、公共事業だけをとりましても、どれほどいい公共事業ができるかと思う。たとえば、治山治水こそほんとうに早く徹底的にやれば天災が防げるということがあるのですが、やはりこれがなかなかそういっても御承諾がなくて、やはりおれの方もおれの方もと言うから、どこに行っても、護岸工事でも金が少いから薄っぺらなものができて、次の天災ではみなやられてしまう。さいの河原みたいなことを繰り返している。それで北海道トンネルの問題についても、今言ったように重点的にやらなくちゃ、お話のようになかなか年限がかかる。あそこだけにぐんと打ち込むから、ほかのものはしばらくがまんするということで、今の財政力では、そうおっしゃるように急速にはいかぬだろう。むろん今後交通網につきましては、いわゆる重点的な計画をやっておるわけです。これには私は借款ということも考えております。ですからやはり外国からの借款を考えておる。ある程度は今後相当な規模で、テンポも早まってやれるだろうと思うが、そんなに早くトンネルが完成するような資金が、十分用意されるとは必ずしも今言い切れないだろうと思う。しかし努力することに間違いありません。
  15. 森三樹二

    ○森(三)委員 大蔵大臣は、金はちびちび使うものじゃない、一ぺんに使わなければいけないと言うけれども、あなたのは口先だけですよ。実際においてやっていることは、ちびちびやっているのだから……。今の話を聞いていると、トンネルなんかいつごろまでにやるというお考えもないし、あなたの御答弁というものは、非常に誠意がないと言うと、どうかと思いますけれども、あなたのお話を聞いて、トンネルに対してあなたは熱意を持っているようには受け取れなかったのです。聞く私が悪いのかもしれませんけれども、とにかくトンネル予算というものは、現在の場所ですと六百五十億から七百億程度の金がかかる。十カ年計画にして、年々六十億から七十億くらい出さなければできないのです。調査費がことし初めて一億円ついた。さっき大蔵大臣は憤然として、私は考えていますと大みえを切っていたけれども、大みえを切って一億円じゃ、あなたが先ほど金はちびちび使うものじゃないと言ったことと矛盾するのじゃないですか。そのことについてあなたにも聞くし、石井さんにも聞きたい。石井さんも、一体トンネルはいつごろまでに作る気持があるか、はっきり言って下さい。あなたの答弁をさっきから非常に期待しているのです。あなたは北海道開発長官なんだから、あなたに期待する答弁を一つ聞こう。それじゃ、石井さんから答弁していただいて、それから大蔵大臣に聞きましょう。その方が何か具体的なものが出てくるかもしれませんから……。
  16. 石井光次郎

    石井国務大臣 さっきお話のあった洞爺丸事件は私が運輸大臣のときの事件でありますから、非常に責任も感じておるし、その仕事がどんどんできることを非常に期待し、またこれを一生懸命に熱望し、推しておる一員なんです。しかし、これは熱望だけじゃどうしてもでき上らない問題で、これはものの順序というものがだんだん出てくるわけなんでしょうが、これは鉄道の審議会にもその時分から盛んに持ち出して、いろいろ研究しております。各党各派の人が一生懸命になって、また党外の人もいろいろ加わって研究して、これはやらなくちゃならぬということだけは、みんな頭の中に出てきておるのです。さてこれが実際問題となると、非常にむずかしい調査が要るらしいです。それでその調査だけでも一つ早くやってみたい。ちびちびやっておりまして、それが今度は、億という声がようやく初めて出た。とにかく調査費ですよ、まだ仕事じゃないのです。調査の分だけだけれども、調査が一番大事だから、どんなにでも大事にやってもらわなければならぬ。途中でひっくり返っては困るのですから、調査は必要であります。それならば調査ができてあと一体どうなるかといいますと、御承知のように、予算関係からすると、鉄道が三十億か四十億かろうじて三十三年度に組んでもらって——私は全体のものは知りませんが、それに全国的にたくさんの鉄道が待っておるという状態であるが、これにみな驚いておる。そしてこれが出てくるのは、調査が終らなければ出てこない。ですから調査をまず終って、それから先どういうふうに割り込むか、経済的にだんだん割り込んでいく手順になるわけでございます。これは運輸省もやりたい熱意を持っておるし、国鉄もこれができればああいう問題も起らないし、やりたがっておるのですが、先だつものは金ということになってくる。しかし金の前に、もっと調査費も必要だ。私も実際何年もやっておるから、本式の調査をやるのには、もう少し調査費も出ていいはずだと思うのでありますけれども、これ以上できないということだからこれは仕方がない。来年も、これを少しでも多くしてやってもらうというより仕方がない。そういう手順を経てこれをこしらえていくということですが、今あなたの言うように、今のような状態にあってぼやぼやしておると、今のわれわれで、はさみを入れるようなことはとてもできそうもないと考えるのでありますが、いずれにしても、どんな方法ででもこれはやらなくちゃならない。ある時期において鉄道関係の審議会、あるいは政府の英断ということになるかもしれませんが、北海道とか四国との連絡というようなものは一つの大きなルートの連結をする問題でありますから、こういう問題はある時期には、これに集中してこれだけというわけにもいくまいが、およその、五年なら五年、七年なら七年というものででき上るような程度の金はこれにつつ込んでいくということに話を進めていくということで、完成をするという手順になるだろうと思います。私どもはこの問題に最も熱心な一人でありますし、今の地位におろうと、いまいと、これに力を入れていきたいと思います。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お話がありましたように、ただいま調査中なんでありますが、先ほどの話で、お前はどかっと金を使うのがいいと言うけれども、実際はちびちび使っているじゃないかということは、いかにもふまじめなようですが、そうじゃないのです。大蔵当局としては、ひとり私たけじゃなしに、やはり金はすべて重点的に持っていきたいと思っているのだが、なかなかそれを可能ならしめないいろいろな情勢がある。従って、今後やはりああいうふうな大きな仕事、北海道と本土を結ぶとか、あるいは四国と本土を結ぶとか、いろいろ大きな仕事、あるいは朝鮮と結ぶことがあるかもしれませんが、大きな仕事をしていかなければならぬことについては、やはり重点的にみなが協力して、まず一番大事なところから大きな工事をまとめてやらなければならぬ。それには他の政治勢力といいますか、他の地方のいろいろな政治的な勢力もそれに協力してやるというような方向でいかないと、これは限りある財政力でそうどこもここも、どかどかというわけにはなかなかいかぬということを申しておるのです。言いかえれば、大蔵当局考え方と実際との相違について実は訴えておるわけでありまして、決して私はふまじめな、いいかげんな答弁をしておるのではないのであります。  それから今の北海道と本土とのトンネルの問題です。これは六百億というような予算ですが、しかし私はそんなにこれに金を使わなくてもいいんじゃないかと思います。たとえば、今度できます名古屋——神戸間の高速道路もおそらく六、七百億、もっとかかるかもしれません。これなんかも、私は確実に計画通り実現するだろうと思いますが、要するにそのことの必要性と、日本経済または社会政策においてどういう重要性を持つかということをはっきりして、そして計画を立てていくということであれば、私はそんな、とてもできないだろうというふうにも考えない。それは当初から何も大きな金をつぎ込むこともない。やはり先ほど石井大臣からお話がありましたように、まず調査をしなければならない。その調査費が十分であるかどうかはさらに考えていく。必要とあれば調査費をとって、まず調査を十分にやる。調査が十分にできた上で計画を立てて、やろうという意思を持ってすれば、しかもそれを重点的にやることについてみんなが協力すれば、私はそんなに悲観する必要もない、かように行えます。
  18. 森三樹二

    ○森(三)委員 大蔵大臣の御答弁がだんだんとスケールが大きくなったというか、大臣の考え方がだいぶ具体的になったというか、そういうふうに私、受け取っておりますが、ぜひともこの青函トンネルについては一つ推進していただきたいと思うのです。石井さんは、さっき自分が運輸大臣当時のできごとだと言われましたが、そうすればなおさら、あなたは洞爺丸の人々のその霊に報いる意味からいっても、もっとあなた自身が——今後どの地位になってもやるということを言ったのは非常にいい言葉だったが、今までにも、もっとあなたは推進されなければならなかったんじゃなかったか。もう少しあなたは計画性を持って御推進になってよかったんじゃないか。私は過去はあまり追及しませんが、今後何年くらいでやる決意を持っているか。できる、できないは別として、この際あなたの御決意を一つ聞かして下さい。今後どのようにこれを推進していくか、何年くらいでやるか。調査がどの段階まできているか、あなたも知っているはずです。大体の基礎調査といいますか、海流の関係とか、地質とかの調査はできているはずです。これからボーリングをおろして実際の工事の適場所を調べるわけですから、そのことについてあなたのもっと確固たる信念的な御答弁を願いたいと思うのです。
  19. 石井光次郎

    石井国務大臣 これはいついつまでに仕上げますとか、何年で仕上げますというようなことを、私がお約束する性質のものではないと思います。これは調査を十分にして、そしてそれから先の金の上との見合い、どういうふうな金の出し方をするか、ほかの仕事をどうするかということできめられるべき問題であって、ただ熱意を申し上げて、それが一日も早く実現するようにということを申し上げるだけであります。
  20. 森三樹二

    ○森(三)委員 それでは、時間もないですから、地下資源開発の問題について、大蔵大臣にちょっとお尋ねします。これは大蔵大臣もアウトラインはお知りになっていると存じますが、去年の十二月十三日に北海道開発審議会が政府に答申したものは、資本金十億円、最終資本金は二十億円程度、出資の割合としては政府が九割、民間一割、事業は石炭、金属、非金属及び天然ガスの探鉱ということになっております。これにつきまして今回、政府が提案しましたところの法案を見ますと、非常に資金面で、この約三分の一にも足らない弱体なものでありますが、われわれの考えでは、このような政府案によっては所期の目的はとうてい達することはできないと思う。政府案によりますと、大体二億円程度のものを政府出資、一億円程度のものを民間出資というような構想のわけですが、もちろん社債とか借入金というような構想もありますけれども、われわれは、北海道開発審議会が答申した案というものを十分に尊重して、そうして今回の法案を提案してもらいたかったのです。これについて大臣はどういう構想のもとに今後地下資源開発をやっていかれるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 北海道開発については従来ともやっておりまして、特に地下資源について、石炭関係でやっておるのもずいぶん多いと私は思います。それかといって、ひとり今度の開発会社だけがそれに当るというわけでもありません、と思うのでありますが、それにしても、出資金等が多ければ多いほどいいのは間違いはないのでありますが、財政の配分の上から、ただいまお話がございましたように一般会計から二億、民間から一億の出資ということで出発することになったわけであります。これはしかし今度ほんとう地下資源開発に当たってみまして、この会社においてやる分野が次々と出てきて、しかもそれが効果を上げていく、ほんとうに資源的なものが出てくるということになれば、何も必ずしも現在の出資にとらわれることもないのでありますから、これはそのときの情勢に応じて考えていったらいい、こういうふうに考えておる次第であります。
  22. 森三樹二

    ○森(三)委員 大蔵大臣の誤答弁を聞いておりますと、非常におざなりの答弁であって、先ほど来大蔵大臣から、北海道開発相当基本的な、力を入れるという御答弁がありましたが、その考え方とは私は相当距離があるのではないかと思うのです。従来政府の諮問機関として各種の審議会があるのでありますが、政府は審議会というものを設けておきながら、その答申に対して非常に冷淡であると私は思う。だれが見ても当然そうなければならないというようなものに対しましても、予算の面その他においては、非常にこれを軽視しておるというような結果が出ておるのであります。ただいま大蔵大臣は、今後増資をすればいいのだとか、あるいは資金をふやせばいいのだというような簡単な御答弁でありますが、しかし私どもとしては、政府の出資の割合からいって、民間が一割で政府が九割という比率が、もうすでにくずれておるのではないですか。われわれの答申した案は、出資の割合は、政府が九で民間が一となっておる。ところ政府案の今度の法律案によりますと、政府出資が二で民間出資が一、非常に比率がくずれておるのです。民間に非常に肩がわりをして、政府の出資を少くしている。これでは、私はやはりほんとうに、地下資源に対して力を入れてやろうというような政府のお考えというものは薄れておるように思うのですが、この点はいかがですか。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 政府出資と民間出資との関係ですが、これは財政資金関係もありまするが、私どもの考えでは、やはり開発をいたすにしても、政府出資の金だけで何でもかんでもやれというような行き方よりも、民間出資も加えて、そこに経済的な効果をねらってこれをやれば、かなり資源の開発の目的を達するというような方向で、言いかえれば非常に慎重な態度で開発をしていく、こういうふうなことも考えのうちには加味しておる次第であります。ただ、ここはそれほどはっきりしなくても、ここは御遠慮してそこへ向けるとか、そちらへ向けるとかいうような行き方では、財政資金にも限度があり得るのですから、効果を達するのが十分でない。民間資金を入れて、幾らか経済的な考慮を払いつつ地下資源開発をはかる方が、一そう迅速に、有効に地下資源開発をはかることができるだろう、こういうふうな考え方であります。もちろん金額等においては、これは何もそれだけで一切がっさいもうどうにもならぬというのではないので、三十三年度の予算関係において一般会計から二億を出資して、今後の情勢を見て、特に当初においては、何としても調査というようなことが先立つと私は思っておるのでありますが、そういうふうな点においても、初年度においてそれほど大きな金が出るかどうか、こういう点も実際に調査してみたいと考えております。
  24. 森三樹二

    ○森(三)委員 三億程度の資金でもって仕事を始めまして、結局職員の給与とか、あるいは建物とかいうような会社の設立費用というものに相当食われて、仕事が何ら進捗しない。仕事は進捗しないで、ただ会社というものが設立されたということであって、これは所期の会社の目的とするところ地下資源開発のための探鉱等の事業というものができないのじゃないかと思うのです。これは私もしろうとですが、とにかく石炭の採掘のための探鉱なんか私の地方でもやっておりますが、一本のボーリングをおろしましても一億とか一億五千万もかかっているのです。それを各炭鉱会社は自己資金でやっておるわけですけれども、この法案の目的は主として地下資源開発のために探鉱——石油を除くのですから、結局石炭であるとか、あるいは鉄鉱、マンガンというものになりましょうけれども、ボーリングというものが非常に莫大な金を食うことは大蔵大臣も御承知のはずです。従いまして、仕事はやろうと思いましてもやる資金がない、一般職員の給与は払わなければならない、そういうようなことで、全くその目的というものが没却されてしまうのじゃないか、こういうような気持がして仕方がないのです。そこで社債というものを——ここに「資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少い額の二倍をこえてはならない。」という制限をつけて社債の募集を認めてあるわけですが、会社が発足をいたしますと社債を募集するような財産らしい財産もないのです。これは容易じゃなかろうと私は思うのです。会社の財産ができて、初めて社債というものができてくるわけでありますが、この社債はいつごろから大蔵大臣として認めるような考えですか。しかもこの社債は、募集する場合には主務大臣の認可も得なければならないわけであって、当然あなた方はこれに対して責任を帯びるわけでありますが、この社債の募集できる——ただいまは本法案の第十三条に規定してあるのを読んだのですが、社債というものは一体いつごろからできるのか。財産ができなければ、財産が一つの社債の担保になるわけですから社債はできない。そうするとこの社債を認めて、いかにも資本の二倍の社債ができるように見えまするけれども、実際の面では、できないのじゃなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 こまかいことは事務当局から説明があると思いますが、私も実際上、社債はやはりおくれるだろうと思います。やはり社債を発行するのは、その会社がある程度動いていくとか、その会社の仕事がある程度運んでから出るというのが普通の状況でありますから、金が要るとなれば、資金部等の一時借入金ということでいくことになるだろうと思います。それから先ほどの三億と二億ではどうにもならぬじゃないかというお話、これについては、ちゃんと計画があってそういうことになっておると思いますが、これは少しこまかくなりますから、御説明は政府委員の方から……。
  26. 中平榮利

    ○中平政府委員 ただいまの御質問で、資金が非常に少いので、その程度では仕事が非常にやりにくいのではないかというお話ですが、資金が多ければ多いだけいい仕事ができるのはおっしゃる通りでございまして、私たちといたしましても、なるべく多くの資金をもってやりたいと思っております。何しろこの会社は本年作るわけでありまして、いろいろ設立準備などもございますので、実際に動きますのは七月過ぎてからということになると思います。従って本年度といたしましては、多くの資金がありましても機械の購入も新しくしなければなりませんし、また設立準備その他のためにやらなければならぬ仕事もありますので、そう多くの仕事は、初年度は期待できないと考えております。この前石井長官からも御説明がありましたように、三十三年度におきましてはボーリングの延長、メートルで二万八千くらいやって参りたいと考えております。そのためには、実は三億の資本金だけでは少し足りないと思っておりますので、一応機械の購入費としても、三億五千万円ばかり必要と思います。その他管理費等が六千万円要りますし、何やかやで五億円近い資金が要る、こういうように考えております。その資金の調達方法についてはいろいろ問題がありましょうけれども、これから会社が発足いたしまして事業を始めましてから研究して、時宜に適する措置をとりたいと考えております。
  27. 森三樹二

    ○森(三)委員 今資金の問題について御説明がありましたが、借入金の問題についてちょっと大蔵大臣にお尋ねします。借入先は大体どういうところをお考えになっておられるか、特に北海道東北開発公庫からの融資という問題はお考えになっておるかどうか、これを一つ質問したい。
  28. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 北海道東北開発公庫からも借りると思っております。
  29. 亘四郎

    ○亘委員長 小平委員
  30. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大蔵大臣お急ぎのようですので、きわめて要点だけを簡単に質問いたしますからお答え願いたいと思います。  先週の金曜日の本委員会で、石井大臣が本法案の政府出資に関しまして、本年はいろいろの事情から政府出資は二億、民間に期待すること一億で、初年度事業を始めるのに、どうしても五億ほどの金が必要である。従ってその不足額二億については、北海道東北開発公庫から借り入れたいという御答弁があったわけであります。しかし明年度、三十四年度は、どうしてもこの会社の設立の理由なり、政府の地下資源開発についての重要性にかんがみまして、最悪の場合でも政府出資十億は確保いたしたいというように御答弁されたわけであります。大臣ここにおいでですが、それは速記録にもそう出ておるわけであります。これはまことに大臣の理解ある御答弁でありまして、われわれこの法案審議の上におきましても、いろいろ諸種の事情から、国の財政投融資につきましても、なかなか思うようにいかぬ点もありましょうけれども、やはり主管大臣としてそういう考え方で進みたい、われわれも了とするのであります。特に、この財政投融資の総元締めである大蔵大臣がきょう御出席でありますから、私はその石井大臣の御答弁されたことについて、さらに大蔵大臣の御決意のほどを承わりたいと思いますことは、われわれは地下資源開発については、これは当然、本来から言うと株式会社を作ってやるということは変則なんです。地下資源調査なり開発については、国みずからが責任を持ってやるべきだと思うのです。ところが、わが国の現在の国家の財政状態なり財政投融資の現状から見て、なかなか思うようにいかないから、それで民間の資金も活用してやってはどうかということに政府も同調されまして、開発審議会の答申に基く本法案の政府提案となったと思うのです。そういう見地に立って、さらにこんなことは余分なことですけれども、現在科学の驚異的な進歩、これらの基礎がすべて地下資源であります。そういうことに思いをいたし、政府としましてもやるからには中途半端ではなくて、広大な北海道の地下に眠れる資源の探鉱を進めて、開発をするということはきわめて大事だと思うのですが、この点について、石井大臣が来年度、昭和三十四年度は、少くとも最悪の場合でも十億は確保いたしたい、こう答弁したことに対して、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵当局といたしましては、三十四年度の予算について、今具体的計画のお約束をここでいたすことはできません。しかし三十四年度予算編成に当りましては、北海道開発庁長官のいろいろな御意見につきましては、今日のお話もいろいろありましたから、十分考慮を払いまして、できるだけの努力をいたしたいと考えております。
  32. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大蔵大臣、あなたがそういう御答弁をされると、きまり文句になってしまう。それはそうでございましょう、場合によれば国会解散ですから、解散気がまえで、任期はありましても、それは内閣もどういうことになるかわからぬでしょう。そんなことを言えば際限ないのですが、少くとも任期が来年の二月までおありになり、また岸内閣としては予算を上げればこれを実施するのだ、同時に、今年の秋には予算編成をする、やはり政府として、内閣として責任があるのですから、やはり担当大臣がそのくらいの決意を披瀝されたら、大蔵大臣も私は同感である、その線で努力するぐらいの答弁をされると、われわれ野党としてもほんとうに真剣に御協力申し上げていいのです。しからば大蔵大臣にお伺いしますが、実は石井主管大臣も、この二億の出資についてあなたと話し合って、真にやむを得ずそれは二億で手を打ったが、不足分二億については北海道東北開発公庫から借りると言うのです。これは、私は考えようによっては、事重要だと思うのであります。なぜならば、北海道東北開発公庫の設立の理由なり目的は、地下資源開発会社、国が九割も出資する会社に、二億の出資をするなんていうことを考えて作った公庫じゃございません。それから地下資源開発会社に二億の融資をする、こんなことを聞いたことはありません。こういうことを大蔵大臣お認めになっているのですか。あなたの直接監督している公庫です。それからもともとこういう問題について、少くとも今まで答弁されたように開発公庫とも話し合っておるのでございますか。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は政府出資二億、民間一億の三億で仕事を始めることにいたしまして、初年度は先ほどから話がありましたように、やはり調査ということが一番中心になるだろうと思うのです。そして仕事を始めて、なおかつその資金で足らぬ場合には、これは借入金ができることになっておりますから借入金をしていく、こういうふうな考えをいたしておることには間違いありません。それ以外に社債の発行もありますが、社債の発行というのは法律的にはどんなものだろう、こう思っておりますが、まあ借入金でやる。借入先をどこにするかは、とくとその先おいて考えてやる、こういうように思っております。何も初めからどこと言っておかなくてもいいことで、要するにこの地下資源開発会社に資金の融通をしてやればこの会社は仕事ができるのでありますから、何も北海道東北開発公庫に限定しなくてもいい。私は何も公庫ということを具体的に申し上げたことは記憶がないのでありますが、どうしても仕事に影響を来たしてはいかぬと思いまして、それは借入金でやる、こういうふうに考えておるのであります。
  34. 小平忠

    ○小平(忠)委員 石井大臣にお伺いいたします。先般あなたの答弁された、  北海道東北開発公庫から二億の融資を受けることになっておりますという答弁は、あれは間違いでございますか。
  35. 石井光次郎

    石井国務大臣 私はこの間その通り申し上げたのでありますが、あれはこの前に、五億でなければこの仕事ができない、二億はどこからか金を借りなくちゃならないのだ、そうしてでもやらなければ、三億ではやれないということを大蔵大臣に話したのであります。大蔵大臣は、はっきりとそうは言わなかったかもしれませんが、北海道開発公庫もあるし、どこからか必ず融資の道を考えようということでありました。私が申し上げたのは、そういう道もあるという話がそのとき出たので申し上げたのでありまして、いざとなれば今大蔵大臣の言う通り、それよりさらにいい方法もあるでしょうし、どちらでもいいのでありますが、こういうふうな道で話が一応できているという心持を私が申したのでありまして、必ず心配せずに、あとの二億は借り入れるということに重点を置いてお話し申し上げたのであります。その話の出たときは、そういう程度に話をしたのであります。
  36. 小平忠

    ○小平(忠)委員 あなたが今になって、そのようなあやふやな答弁では私は許しません。速記録を持って参ります。ということは、先週の金曜日の本委員会であなたが答弁されたことは、これは責任を持って、結局三億では足らないから、二億については北海道東北開発公庫からこれを借り入れるのだということにいたして支障はございません、こう答弁されたのです。大蔵大臣に伺えば、何だかそんなものはそういう方法もあるし、しかしまたほかにも方法もあるし……。またあなたに聞けばそういう含みで話をしたので、まだ大蔵大臣も、その点はどうもあいまいな御答弁です。今会社の発足前に、そういう問題は明確にされたらどうですか。私は別に北海道東北開発公庫から借りてはいけないと申しているのではない。こういうことは、国会審議を通じて明らかにすることが必要です。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この前の石井副総理の御答弁は私承知いたしておりませんが、今の私の言葉が足らなかったかもしれませんが、私はどちらかといえば、融資先というものにはそれほど重きを置かない、まあ金が手に入れば仕事ができるのだからという考え方で、むろんむちゃくちゃなところから借りるわけじゃありません。これは必要によっては、資金部からも出し得ると私は思います。北海道東北開発公庫、これは御承知のように融資対象が掲記されております。ただしかし、融資対象として掲げられてある以外の対象に対しても、特に必要があれば融資をなすことができる、こういうふうに公庫の融資規定がなっております。ですから、私はむろん必要があれば、具体的対象によっては今後公庫からも借りられる、これもあえて否定するものでないそういう意味で、どこでなくちゃならぬというところまではなっていない。そして副総理が北海道東北開発公庫からも借りられるだろうかと聞いたから、それはできるだろうと私は言ったと思います。それは副総理が、何もあいまいな御答弁をなすっておるわけではありません。そういう点は一つ御了承を得ておきたい。どこということは、この北海道東北開発公庫はやはり仕事の分野が多くありまして、しかもこれは北海道東北にわたっておりまして、また東北等の主張もありますし、資金繰りはなかなか楽じゃありません。ありませんから、やはりこれからも借りるという程度のことが、実際としましても私はほんとうじゃないかと思います。しかしほんとう北海道地下資源開発会社調査をりっぱにして、そして北海道開発に必要な仕事をするに足る資金については、私としても十分考慮を払っていきたい、かように考えておる次第です。
  38. 小平忠

    ○小平(忠)委員 今の両大臣の御答弁でございますと、これは閣僚の意見不統一でございますから——大蔵大臣お急ぎになるのであれば、会期はまだ五月十八日まであるのですから、ゆっくり審議してけっこうです。しかし先般の石井大臣の御答弁では、二億については北海道東北開発公庫からの借り入れによって初年度の事業をやりたい、これに対し北海道東北開発公庫から二億の融資について大臣に話があった場合は、これは認める、こう大臣が御答弁されるならば、前回の石井大臣の答弁とあなたの答弁は食い違いませんから、何もあらためてやる必要はないのです。その点は明確にしていただきたいと思います。私は別に、そういうことでこだわりません。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 何も石井副総理と私と答弁が食い違っておるなんて、そんなのを問題にせぬで下さいよ。そういう問題はないので、私も北海道東北開発公庫から貸すことができる、それでいいです。そのときの公庫の事情もありますし、これは具体的なことなんですから、そう形式一点張りでいかない。北海道東北開発公庫からも借りることができる、そういうことも考えておるんだということで、私は十分であると思うのです。これから貸さぬというなら意見不統一ですけれども、借りることができるのですから、何も意見不統一はない。どうぞそういうことに尾を流さずに、北海道開発に私も力をいたしますから、そう言わずに、幾らかの言葉の違いはありましても、さよう御了承をいただきたいと思います。
  40. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは別にこだわっていない。あなたが融資をする場合もある、こういうふうに弾力性を持って考えておればいいのだ、それでは先週の金曜日に石井大臣が答弁されたのと全然違います。そんないいかげんな答弁ではございません。三億どうしても足りない、その二億については北海道東北開発公庫から借り入れによってまかなうことにいたしました、これはあとで速記録を持って参りますが、そういう答弁とあなたの答弁と違います、同じ閣内において閣僚の意見が違いますと私は申し上げたのです。その点大蔵大臣があくまでもそのようにがんばるなら、それでもけっこうです。  そこで、これはきわめて大事なことでありますから、大蔵大臣予算も上ったのですし、あなたの省も大事でありましょうけれども、国土開発委員会においでになる機会もなかなかないのですから、一分や二分のところは腰を据えていただきたい。  最後に大臣にお伺いをしておきたいことは、地下資源開発会社の運営についてはもちろん資金の不足分は借り入れ、同時に、ただいま森委員からも指摘されましたように社債の発行等があるわけであります。それでこの種の開発事業を進めるためには、やはり社債の発行ということも当然考えなければならぬ、そのためにその法案にあるわけであります。そこで社債の発行ということになりますと、およそ政府の保証がなければ、現実の問題としてなかか運営が円滑にいかないのはこれは、従来の慣例からしても明らかであります。従いましてこれは国会の意思としても、世論としても、社債の発行については政府保証ということが当然考えられると思うのですが、この点についてどういうお考えか。  さらに今、二億円について、北海道東北開発公庫からの話があればそれは対象に考えてもいい、こういうことでありますが、同時に従来とも問題になっておるのは、開発事業の中でとかくなおざりにされ、なかなかそこまで手が伸びない問題として観光事業の開発というのがあるわけです。これは東北北海道においても地域が広大であるし、国立公園でありましてもなかなかその手が伸びない点があるわけです。そういう点について、観光事業に対しても開発公庫の融資の対象にするというような世論なり希望があった場合には、大臣として認めるかどうか。この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 前段の社債の問題ですが、要するにこの開発会社が所期の目的を達成し得るかどうかは、地下資源があるかどうかということです。幾ら掘ってみても何も出てこないということでは、これはなかなかいかないのです。そういうものがあるという前提でやっておるのですから、そういう地下資源が出てくるだろう、出てくれば社債は——石油開発でも、政府保証なくして社債をやっておる。今のところは事業を始めていませんから、私はそんなに御心配にならぬでも、社債の調達の点については政府としても努力いたします。要するにこれは地下資源ありやいなや、ありさえすれば問題はないのです。  もう一つの観光事業、これはちょっと管轄が違います。観光事業は、何も北海道産業開発のための会社のごやっかいにならなくとも、これはむしろ全国共通の事業なんで、北海道に観光事業に適するところがあれば、これは普通の金融でやれる。これは北海道の人の問題よりも、外国等から来る人に役立てようという事業ですから、北海道特有の事業ではないと思います。これはどこでやってもいい。だからこれは対象から、はずれていっても十分やり得る。しかし私は、北海道の観光はやってほしいと思うのです。時間もないので、よけいなことを言うと悪いのですが、飛行機で去年千歳というところに一時間五十分で行ったのです。ところが軽井沢に行くのには四時間かかる。そこであそこへおり立ったときに、私は、北海道には、ああいう広々とした土地があるのだから、東京の人にただでやったらいいじゃないか、そうしたら東京の金持が夏には別荘を建てて北海道にどしどし行く、一時間半で行くのだから奥地まで見ようかという気持になって、北海道開発に資することができる、そういうことを実際に考えたらどうかと思うったのです。私はこれで失礼します。
  42. 森三樹二

    ○森(三)委員 大蔵大臣はさっきからだいぶ答弁したんだが、予算が通ってほっとして、北海道地下資源についてはどうもはっきりした認識がないようですから、石井さんが担当大臣ですので、石井さんにもう少しお質問しようと思うのです。  先ほどから大蔵大臣のお話を聞いておりますと、あなたの打ち合せが悪いのかどうか知らぬが、今、小平委員からも指摘されましたように、金はどこからでも借りればいいじゃないか、必要な金は運用部資金でもいいし、開発公庫でもいいじゃないかという、あいまいな話をしております。これはあなたの御連絡が悪かったのではないかと思うのですが、あなたはやはり開発公庫から二億円の融資をするという御計画があるようですから、はっきりけじめをつけておいていただきたいと思うのですが、どうですか。やはり計画性というものを持たなければ、大蔵大臣みたいに金はどこからでも借りられるところから借りたらいいんだというような、そういうばく然としたことでは、やはりこの法案の審議にはならぬと思うのです。どうですか。
  43. 石井光次郎

    石井国務大臣 私はそういうふうな考えを持っておるわけでございますが、さらにそれよりも有利な方法で借りるような道があれば、実際問題においては、何もそれにこだわることはないと思っております。どういうふうな方法でやりますか、やる道も考えなければなりませんが、いずれにいたしましても五億円の資金だけは確保するということで、いろいろ話をつけております。
  44. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますとあなたのお考えは、開発公庫からも二億円借りて、五億円というものを今年度の事業発足に保証なさるというお考えですね。そうしますと私らの考えでは、五億では、ことしは発足しても仕事は十分できないだろうと思うのです。さらに、それでは社債は今すぐということにはならぬでしょうが、明年度においてはどういう御計画なんですか。やはりこれは今後五ヵ年くらいの見通しというものをつけて、そして資本なりあるいは借入金というもののめどをつりて仕事をしなければ、いわゆる北海道第二次五ヵ年計画とマッチした仕事ができないのじゃないかと思うのです。行き当りばったりで、大蔵大臣みたいに、必要があれば金はあっちからもこっちからも借りればいいんだということでは、政府が主体となりって行う仕事にならないと思うのです。しかもこの法律事項として、監督に当る者は総理大臣、すなわち実際はあなたがやっているのであって、あなたは担当の大臣として、昭和三十三年度に発足したこの会社が、今後五ヵ年間くらいにどういう計画でやっていくのか。これは北海道の第二次五ヵ年計画と並行して、マッチしていかなければならぬ問題だと思うのですが、この構想を一つ十分に、確信を持って答弁してもらいたいと思います。
  45. 石井光次郎

    石井国務大臣 それは一年々々行き当りばったりの仕事をするのでなく、少くとも五ヵ年くらいの計画を持つべきだと思います。けれども、これは私どもの資金計画と仕事の方と、両面からにらみ合せてやっていくべきものだと思いますが、近くこの会社の首脳者ができるわけでございますので、この首脳者は最も経験のあるりっぱな人が中心になって実際的にどうやっていくかという案を立て、われわれの方の考えと合せて五ヵ年くらいの計画でやる、そして資金計画もそれに合せてちゃんと立てなければならぬ、こういうふうに思います。
  46. 森三樹二

    ○森(三)委員 会社が発足してから、今後五ヵ年くらいの見通しを立てた計画専門家が集まってやるというのですが、私はやはり北海道開発審議会が構想したところのものは——この中に専門家がたくさん入っておるわけですし、こういうような十億の会社を作るというような建議書を出しておるわけですから、北海道開発審議会に十分諮る必要があるだろうと思う。その根本は北海道開発審議会から出ておるのですから、その会社ができたから会社だけでやればいいという問題ではなくして、やはり北海道開発審議会にもかけまして十分やらなければならぬだろうと思うのです。
  47. 石井光次郎

    石井国務大臣 会社をこしらえるのでありますから、会社の仕事の方向は、大よそのものはもちろんできて、案としては持っておるわけでございます。これから実際に移す問題になって、そして会社の責任者がこれをやっていくという問題は、資金計画ともにらみ合せましてほんとう計画を立てなければなるまい。われわれの計画は、こういうようなところまで一応第一期としてはいきたいというものは案としては持っておりますが、とりあえずの問題は、ことしの予算——予算と申しますか、われわれの資金の面、それから借り入れの面というようなことと、実際の季節的な状況等もいろいろ考えまして、まずことしは小さくスタートする、来年はそれにどう伸びていくというような実際問題が今度そこに織り込まれていく、こういうように思っております。
  48. 森三樹二

    ○森(三)委員 「会社の定款の変更、利益金の処分、合併及び解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということが十五条に規定されておる。それからまた十六条には、財産目録等の提出の義務を書いて、「会社は、毎営業年度経過後三月以内に、その営業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに営業報告書を主務大臣に提出しなければならない。」  第十七条には「会社は、主務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」こういうようになっておりますね、そうしますと、たとえば会社が発足しまして事業計画を作ると、その事業計画についてもあるいは営業についても、主務大臣にその書類を報告しなければならないことになっております。そうしますと、会社が設立をした後においては、会社が独自の計画を作ってそれを推進していく、その結果を主務大臣に報告すればいいのか、あるいは主務大臣は、やはり会社のこうした営業の進め方等については監督権があるのであるから、あなたとしては、会社ができたらその会社の社長とか、会長というような者を絶えず監督をしていかなければならぬと私は思うのです。会社ができたからといって、それでもって会社にまかせ切りではいけないと思うのですが、大臣はこの点については、どういうふうにお考えになりますか。政府がそれだけの出資をして会社を作り、会社を作ったら、作りっぱなしで仕事をやらす、その仕事の報告だけを聞けばいいのだというようには、私は解釈できないと思うのです。十七条というものがあって、やはり監督を主務大臣がしなければならぬのであるから、これについてあなたはどういうように会社の経営を推進していくか、その御所見を承わりたい。
  49. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は、こういうふうな特殊な会社においてもそこの責任者が自分の責任で計画も立て、それをりっぱに実行していくということで、仕事の効果の上ることが望ましい。大体そういう方向に進ますべきものでありますけれども、こういうふうな特殊な会社であり、国家的な仕事であり、国家の資金も出ておることでありますから、当然いろいろな報告を見まして、それによってあるいは注意をし、あるいは相談し合って、また新しい方向に進むというようなことは、当然あり得べきことだと思っております。十七条もそうですが、十九条もおそらくそういう内容のことだと思いますけれども、ぜひこれはやっていかなければならぬと思っております。
  50. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうすると、あなたは十七条なりあるいは十九条なりによって、絶えず会社の経営等について連絡を密にするといいますか、そうして監督をしていくんだ、会社は作りっぱなしでやっていくのじゃないんだ、こういうような御所見のように承わるのですが、やはり私は、この会社が発足しました場合に、政府というものは相当責任があると思うのです。もしこの会社を作って、その会社の仕事がうまくいかない、しかも資金が足りない、仕事の面においては能率が発揮できないということであるならば、主務大臣は国会からも、この法案の審議をしたわれわれからも、十分その責任を追及されてしかるべきものだと思うのです。従って、私はこの会社を作って、どうも最初の考えと違っておった、能率が上らなかったというのではいけないと思うのですが、これに対してあなたは相当の決意をしなければならぬと思う。もっとも、おそらくあなたは北海道開発庁長官というものをいつまでもやられるのでもないでしょうが、しかしあなたはこの法案を通したところの責任者である。何人が開発庁長官になろうとも、この法案に基いて、今後の会社に対するところの選任や監督や、あるいはこの会社の経営に対して、十分責任を感じて運営をしなければならぬと思うのですが、これに対するあなたの御所見を伺っておきたいと思います。
  51. 石井光次郎

    石井国務大臣 森君の言われたように私感じております。この会社が出発していろいろ仕事をしていく上において、これはほかの普通の会社のようではむずかしいと思います。さっきもお話が出ましたが、初めの資金が少いということは、いろいろな事務費の費用の割合が多くなるというようなこと等のためだけでも、相当経営が困難だと思います。こういう点から考えまして、われわれは十分監督の責を感じ、そうして仕事が悪くなってしまって跡始末をどうしようかというようなことになる前に、相談をできるだけやっていくというくらいにしていかなければならぬと思っております。
  52. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、主務大臣としては、この会社が資金が少いので仕事も十分できないと思うから、十分監督をしていきたいという御所見を述べたのですが、特に今度発足しますと、会社でありますから社長とか、あるいは専務だとか重役がそろいましょう。職員なんかもそろうわけですが、大体その会社の社長とかなんとかいうものの給料は、われわれから見ると相当高い、従来開発公庫の総裁なんかでも、給料が相当高いように思うのです。そこで、社長その他の給料をどの程度に考えておるか、それから職員なんかも、最初からどれくらい雇うのか、その人件費というものを年間大体どれくらい見込んでおるか、一つ計画があればそこを長官に答弁していただきたいと思います。
  53. 石井光次郎

    石井国務大臣 政府委員をして答弁いたさせます。
  54. 中平榮利

    ○中平政府委員 お答えいたします。  ただいま給与等のことにつきまして御質問がございましたが、人件費といたしましては、大体この会社は重役を入れまして五十五人、うち社長一名、取締役、監査役九名、その他が常時おる一般職員になるわけであります。ほかに臨時の者も必要によって雇うつもりでございますが、一般職員の給与は、これは給料と事務費を含めまして年間一人当りの単価が百十五万円でありますから、その五十五倍の六千三百二十五万円が人件費、事務費ということになるわけでございます。それから臨時職員が二十五名程度要るのじゃないかと考えまして、これの単価が十六万円、金額にいたしまして四百万円、合計いたしまして六千七百二十五万円、これが一般管理費と見ておるわけであります。実はこの給料につきましては、百十五万円は高いか安いかという問題でございますけれども、これは社長以下役員を含めての給料でございますので、一応私たちが事業計画を立てます際に、この程度見ておくのが、こういった政府出資の会社の例から見まして適当であろうと考えたわけでございます。で、社長、役員等の給料をどのくらい出すかというお話でありますけれども、実はこの会社の社長とか役員全員について、専任と申しますか、ほかの仕事をしませんで、この会社の仕事のみをやっていただくことを前提といたしまして、百十五万円という単価を出したわけであります。実際にやります場合には兼務の方も出ると思いますので、実は計算が非常にしにくいのでございますけれども、かりに社長を専任といたしますと、大体十五万円程度が適当じゃないかと考えておりまして、ほかの取締役は十万円程度、監査役はそれよりも少し下る程度ではどうかと考えております。ただこれも、政府としてそういうふうにきめたわけではもちろんございませんので、一応百十五万円という金額を出しました際に、その程度を考えてみたらどうかと事務的に考えた次第でございます。
  55. 森三樹二

    ○森(三)委員 今のお話を聞くと、社長を初め職員が五十五人だ。臨時雇いが二十五人で、大体八十人ですね。そうすると六千七百万以上の給料が要るでしょう。それに今度は期末手当とか、盆暮れの手当が要りますね。それから今度は、建物を作るわけでなく、借りるわけですね。するとその建物の賃借料だって莫大なものです。そうすると一億円くらいの金が見る見る食われてしまうわけでしょう。それで三億円の資本金で二億円借りたって、そのうちの一億円というものは初年度に食われてしまいます、初年度は利益なんか上りっこないんだから、それで給料も、私らの考えておった社長という人は十五万円だ。石井さん、そんなことで、こんな大きな世帯を持ってやっていけるのですか。先ほどあなたは十分監督され、考えてやっていくというのですが、資本金がこんなわずかな会社で、仕事がじみなボーリングでしよう。たとえば貿易とか物品の製造、販売とかいうように、利潤が一割や二割上っていくような性質のものじゃないでしょう。しかもボーリングですから、今あなたが言った以外の人間を、たくさん使っていかなければならぬわけでしょう。ですから、とにかく初年度からそれだけ膨大な機構というものを持ったならば、この会社はつぶれてしまうことは明らかだと思う。われわれはつぶす会社は作りたくないと思う。もう少し職員なんかについても考える必要があるのじゃないでしょうか、石井さんの答弁を願いたい。
  56. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは平年の費用のわけでございますから、仕事をどんどんやっておるときの一年間の人件費と、(「初年度だ」と呼ぶ者あり)初年度も何も、初めはこれだけ機械も何もまだそろわぬときには置く必要はない、  こういうふうに思います。必要なところももちろんありましょうが、五十何人全部は置く必要はないと思います。平年度これだけ要る、そうすると、仕事の方の利益がどういうふうになってくるかという計算とにらみ合うでありましょう。私は初めしばらくは、おそらくこの会社は赤字だろうと思います。そうしてこれがだんだん仕事の量が増し、資金の量が増してちょうどカバーしていく。これはものの比較になりませんが、同じような立場だから申しますと、日航なんか初めは非常にマイナスであった。それは飛行機の台数も少いというようなこと等、いろいろあったと思いますが、それがだんだんよくなってくるというようなことにわれわれの方も運んでいくべきじゃないか、こういうふうに思っております。初めからどのくらいにするか、あるいは仕事の方の収入の予定というようなものも、申し上げてよろしゅうございます。
  57. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 関連して。私はあらためて質問をするつもりでおったのですけれども、予測した事態がここへ暴露されてきたので、この機会に、もう少し念の入った質問をしておきたいと思います。  今の石井長官のお話は、大体平年度軌道に乗った場合の想定という御答弁ですが、そうするとそちらの答弁と違ってきている。今そちらでは当面どうなるかという問題を答えているので、別に常態になったからといって、社長の給料が上ったり下ったりするわけではない。多分石井さんは十億出資のつもりで、十億満ぱいで出資された場合にこれだけの人件費が要ると思っておられるのだ。きっと間違ってお答えになったのではないか、そう私は思うのです。そうでなければ数字が合わないのです。あなたが、十億の出資をした場合にこれだけの人件費が要るとおっしゃるなら、これはもっともな次第だと思う。そういう話ならわれわれも考える。しかし、今たった三億でスタートしてこれから仕事をしようというのに、社長以下の給与を含めて一人年間百十五万などという天文学的数字を並べて、ここで実際上仕事をやってどういう結果になるか、全然見通しがつかない事業会社が、そういうことを考えてスタートするのは、根底から不健全なものの考え方の上に立っておると思うのです。この際、今年度内において一期、二期、三期、四期のうちのどういう時期に事務所を設置するのか、いつまでにどういう種類の機械を何台、どれだけの価格で購入するのか、その資金に幾らを要するのか、従って今年度内において一体三億円という金のうちのどの部分が支出されて、どの部分が蓄積されて次の年度の事業に送り込まれていくのか。これは国の予算のように年度々々全部つぎ込むわけではない。出資金は戻せるのです。当然三億全部、一年の間に使うというわけではない。国の予算であれば年度予算を全部使わなければならぬが、役人のことだから、三億円全部一年のうちに使っていいという錯覚を来たしているのではないかと思う。私は口の悪い言い方ですが、そういう感じがするのです。だから事業計画、本年度はどういうプログラム、どういうスケジュールで、どういうことをやって当面幾ら要る、そのことによっては、当年度から何も社債を募集しなくてもいいことになりますし、開発公庫から金を借りなくてもいいのですよ。しかし初めから五億なければ仕事にならぬとか、十億なければいかぬとか——これはわれわれは計画を完備するために言っているのです。支出が当面どれだけ必要かということがわかりますと、今年社債が必要か、今年公庫からわざわざ利子をかけて金を借りなくてもいいことにもなるわけです。そこで事業計画が主なんです。社長の給与なんか従なんですよ。事業計画は、何を一体年度内にするのか、どこから一体手をつけるのか、少くとも三十三年度はどういう事業計画の内容があり、それに伴ってどういう支出が必要であるのだということを、数字をあげて突き詰めて言いませんと——第一期、第二期、第三期、第四期、その各期間ごとにどれだけの仕事の量があり、どこまで進行していくという見通しを持ってこれを提案しているのか、そのぎりぎり、はっきりした案を出してもらいたいと思います。その案がなければ、この案を審議してもむだだと思います。社長の給与から先に審議するわけにはいきませんから、事業計画予算から出していただきたいと思います。
  58. 中平榮利

    ○中平政府委員 ただいま私の説明が少し不十分で申しわけなかったのでございますが、どのくらいの人間で、どれくらいの給与を出すかというお話でございましたので、五十五人と二十五人合計八十人ということを申し上げたのでございます。もちろんこれは五十五人全員雇った場合の一年間の給与を申し上げたわりでございまして、かりに三十三年度幾ら出すかということになりますと話が少し変るのでありまして、九カ月分を予定いたしますと、約五千万円として少し金額が減るわけでございます。ですから、ただいま森委員のお話で、手当とかなんとかそのほかにもあるのじゃないかというお話でございますが、これは人件費と事務費全部を含めての計画でございますから、管理費としては、これ以上ふえるということはないわけであります。三十三年度といたしましては五千万円というわけであります。この金額は、かりに資金が三億円でありましても五億円でありましても、あまり変りないと考えている次第でございます。なぜかと申しますと、この五十五人という人間は会社が動きますための最小限度の人数と考えているわけでございまして、かりに三億円でも、やはり管理費用としてはあまり変りないということになるわけでございます。この点につきましてはあとで資金計画のときにお話し申し上げますが、そういう次第でございます。なお、この五千万円と申しますのも最大限度の数字を言っているわけでございまして、実際に雇い入れます際は、初日から五十五名全員雇うというわけではもちろんございませんので、ただいま長官のおっしゃいましたように、時期に応じてと申しますか、そのときどき必要に応じて雇うわけでございますから、実際に支出する金額はもっと減るわけでございますが、一応計画を立てます際には最高限度で立てた方が間違いがないと思いまして、金を出す方でございますから、出す方は最悪の場合を考えて、大きい方の金額をとって計算してみたわけであります。  それでこの会社の事業計画資金計画がどうなっているかという御質問でございますが、もちろんこの会社は御承知の通り政府出資で作るわけでございますから、発起人におきまして定款というようなものを作った上で会社を作る、そして事業計画を作って認可を受けるわけでありますので、私たちはこういう計画でやりますということを確約はできないわけでございますけれども、一応こういうものを作る以上は、事務当局として十分考えておくということはもちろん必要でございますので、事務的に計算してみたものはございます。それにつきましてお話しいたしたいと思いますが、まずこの会社の事業計画を作ります際に一番考えなければなりませんことは、北海道においてどの程度のボーリングが必要であるかということが前提になるわけでございます。いたずらに資金計画、事業計画を先に作りまして、それに応じて仕事をさせるというのも、この設立の趣旨から見ましておかしいわけでありまして、北海道地区においてどの程度のボーリングの需要があるかということをまず考えてみたわけでございます。そのために通産省その他の関係方面でお調べになりましたものを見てみますと、北海道におけるボーリングの実績というものがございますが、石炭におきましては毎年非常にボーリングの量がふえておりまして、昭和二十八年に二万七千五百メートル北海道ボーリングをいたしておりますが、だんだん年々ふえて参りまして、三十一年度には四万七百メートルになっております。三十二年は五万四千五百メートルくらいと思います。三十三年におきましては八万二千メートル程度、これは炭鉱会社が自分でおやりになりましたものと、それから既設のボーリング会社に頼んでやらせるものと、含んでおるわけでございます。これが石炭の関係であります。それから石炭以外の金属関係におきましては、昭和二十八年は二万五千メートル、三十一年に五万五千メートル、三十二年には五万八千八百メートル、約五万九千メートル、三十三年度におきましては大体七万七千メートル、ざっと申しまして石炭もその他の方も八万メートル、合計十六万メートル、まあその程度のボーリングをするような見込みでございます。従いまして、十六万メートルということは、今までに比べまして非常に大きな数字でございますので、やはり現在の炭鉱会社並びにボーリング会社のやっておりますものだけでは非常な不足が考えられますので、地下資源会社を設立いたしましても、相当ボーリングの需要はあると見られるわけでございまして、そういうことから、どの程度やったらいいかということになりますが、初年度のことでもあり、幾ら働いても九カ月、ことに冬季になれば非常に仕事がしにくいわけでございますので、先ほど申しました通り二万八千メートル程度のもの——二万八千メートルがいいか、三万メートルがいいかということも、非常にむずかしい問題でございますけれども、一応その程度。資金の面とにらみ合せまして、二万八千メートル程度やったらどうかと考えた次第でございます。それで二万八千メートルをやりますためには、どうしても逆に五億円程度の資金が初年度において要るということになるわけでございまして、なぜ五億円要るかと申しますと、結局これは事業遂行に伴う支出の状況から起ってくるわけでございますが、その支出についてまず御説明申し上げますと……。
  59. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 委員長、発言中だけれども、ちょっと議事進行について。資料も出さずに勝手にべらべらしゃべられたって、そういう重要なものは検討される道理がないのですよ、実際。この委員会はきょうはこれで打ち切っていただきまして、関係の資料を全部委員に配付して、そうして十分理解のできるような親切な答弁をしていただきたい。あなただけが関係資料を持ってぺらぺらしゃべったって、一つも頭に入りませんよ。そういう不親切な審議はいかぬと思います。一つ本日はこれで終っていただいて、あと次の委員会までに、今政府委員が準備しておる資料を全部配付願う、これは非常に重大な問題ですから、やはりそういうことの数字が明らかになってわれわれがのみ込めなければ、——原則上、この法案に反対しているわけではないのですよ。そういう機運があって、審議をしようというのであるから、われわれを十分安心させるような説明をしていただきたい。そのためには、あなたの手元にあるものを隠さないで、資金繰りの計画や、そういうものを全部出しなさいよ。そうしてわれわれと一緒にひざつき合して、話をしようじゃないですか。現在の計画通りいくかどうか、問題は運営の問題なんですから……。われわれの一番心配しておるのは、人件費を五千万も六千万も使って、一年か二年かで全部つぶれてしまったのではどうするのだということを心配しておる。原則上こういう機構が必要がないとは、だれも言ってないのです。しかしあなた方がそういうずさんな考え方や、一方的な計画というものをわれわれに全部示さないで、そうしてただ法案だけを審議してくれと言ったって、通過さしてくれと言ったって、審議できませんよ。これは自民党の諸君だって、私の不安と同じ不安を持っておる。同じですよ、道民である以上。国民の税金を使ってやるわけですから、国民の血税を使ってやるわけですからね。そういうでたらめな、都合のいい重役のプランによってやるということはできません。単に重役を選定するといったって、国が資金を三分の二持つならば、当然重役は指名と同様にきめられる。株主総会で株できめられる道理はないのです。たった三分の一の資金しか出さぬものが、重役になる道理がないわけです。そうすると、あなた方が選定され、指名するものが重役、社長以下になってくるということは当然の結果ですよ。そうすると当然監督権や指示権が、まるごとあなた方の方針がそこに入ってくる、入ってこなければ国策会社の意味がないでしょう。そうでしょう。三分の二の資金を持っていて、その会社を動かせないようなにとだったら、どうにもなりませんよ。その三分の二の力を持つ国策会社、特殊会社は、事業計画はあなたたちの立てたものがその通り入ってくるのですよ。どこに重役会が、あなた方の指示を変更し得る能力と力を持ちますか。能力があっても力を持ちません。その計画こそ、会社の運命を決定的に支配することになるのです。そうすると、われわれがこの会社法を審議するということになりますと、その全資料を次の委員会までに提出をしてもらって、われわれは一つ精密討議をいたします。これは本法をぜひ通すよう努力しようという意図の上に立って申し上げておるのですから、一つそれだけの処置をしていただきたいと思います。委員長にはその取り計らいをお願いして、本日はこれで散会をしていただきたいと思います。
  60. 亘四郎

    ○亘委員長 承知しました。  次会は明後三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十七分散会