○山下義信君 お気持はよくわかるのでありますが、私は
厚生省のお考えが、率直に申し上げまして、もっと整って具体化したときにもう一度適当な機会に御意見を承わることにしたいと思いますが、そのお気持を表わすために、
政府が費用を使って事業を行うということになれば、事業をやらせる
一つの
団体が対象となってくることは言うまでもないのであります。それで
十分一つ御考慮をお願いしたいと、この際お願いをしておきたいと思いますことは、今、大臣の言われましたように、おのおの必要なそれぞれの活動の
団体があって、それらに大いに助成をさせるのだといういき方ならば、私は少しも疑義はないと思います。しかしながら
一つの
団体にそれらの連絡調整の機関、中心的な任務を
一つ与えて、従来行なったことのない新しい事業をその
団体に加えさせる、そうしてその地域におけるいわゆる社会福祉なり公衆衛生の諸活動の
一つの元締め的役割を持たせるということになってくると、その
団体の主体性は、一体社会福祉か公衆衛生かということになって、一応はお考えにもつともと思われる節もありますが、どのように金を与えても、どのように
団体を強化しても、その事業という目的に主体性がない。どっちが一体その
団体は仕事を主にするかということがなくなってしまうということは、強化したように見えておって、私の憂慮するのは、むしろ非常に弱化するものがあるように憂慮するのです。それで、ことに御検討願いたいと思うことは、社会福祉協議会には
法律できめました任務がある。あなたの方では天下りにこういう運動をさせ、組織をさせる思いはないということでありますから、そのことは裏を返して言えば、運動に必要な措置はとらないということと同じです。衆議院から地区衛生組織の育成に関する
法律案でありますか、というものがあなたの方の与党から出ておりますが、そういうものと
関係があるかどうか存じませんけれ
ども、この運動についての立法措置をとらぬということになると、既存の
団体を利用するということになる。もし現在の社会福祉協議会というものを、そういった
団体を使うということになれば、この
団体にはちゃんと事業目的が
法律の上に明記されておる。
法律のしに明記されていないような仕事を取扱うということになってくるというと、
法律を改める必要がそこに生ずると思います。そういうような
法律関係を別といたしましても、この大きな分野、いわゆる二
大分野、私は社会福祉と公衆衛生とは無
関係とは言いません。非常に密接な
関係にあるでしょう。しかしおのずとその行政なりその分野の目的なり、活動範囲なりというものは、いろいろ人においても必要な知識、必要な諸般のいろいろの施策においてもおのずから実は二
大分野になっておる。ほんとうを言うならば、公衆衛生の方にうんと強力な
団体を作り、あるいはそういう
団体の生ずることを期待して、そうして両
団体があることがきわめてふさわしい。これを
一つにするということは、何も事務の簡素化でもなければ、
団体の統合にもならぬし、この両方の事業を何にも調整したことにもならぬし、その地域の住民がこの一業に熱意を持ち、大いに努力をやるという抽象的な狙いはいいけれ
ども、そういうことを推進していく
一つの組織なり
団体ということになってくると、今のようにこの二
大分野を
団体として
一つにするのか、主体性はどうないていくのか、そういうことにおいて公衆衛生の国民運動というものが強化されるのか、これは従来の民主
委員のような知識ではいけないので、生活保護はかりでトレーニングされてきた民主
委員に衛生知識を与えるかどうかしていかなければならぬ。動員される国民の分野も違いまするし、それの持っておるところの経験、技能、そういったような知識等も違うのであって、いろいろそういう世話をするものを新たにそれに衛生知識を吹き込むか、あるいは衛生分野のものには社会福祉の知識を吹き込むか、やはり組織と人というものがなければ目的は達成されないのでありますので、この種の御構想に対しましては、十分あらゆる角度から、ひいてはずっと一線の
関係行政をさかのぼりますというと、本省のあなたの方の
厚生行政の基本的あり方というものと縦横無尽に御検討に相なって、私はせっかくの御構想でありまするならば、ぜひ落ちのないように、疑義のないように御検討相なることを私はこの際希望を申し上げておきたいのであります。この予算をお組みになるのでしょうし、通常国会になりますというと、それが具現してくるのでありますから、
事前に十分に私は各分野の
関係者の意見もお出しになって、これでわが国の公衆衛生の強化にこれがなるのだ、公衆衛生
関係の従来の先輩諸君または民問の諸君も、その局に当る諸君もこのやり方でよろしい、もしそういうことを
一つの民間の組織としてやっていくということをすでにもろもろの意見が出ておりますように、社会福祉事務所と保健所を一緒にしてしまえ、児童相談所を福祉事務所も一緒にしてしまえ、何もかも一緒にしてしまえというようないろいろなことが起きて参りまして、その部分の強化推進という従来きぜんとして持っておりまする
厚生省なり、われわれ社労
委員会の持っておりまする大きな目標にいろいろと私は
影響がある、かように考えますので、大臣におかせられましては、せっかくな御構想でありますから、十分にお練りになりまして、万遺漏のないように処置を願いたい。ただ、現在の社会福祉協議会を強化する、ただそれに金をやって、そしてこれを十分仕事をさせるというようなことではもとよりないはずでありますが、新生生活運動にお乗りかえになりますという狙いもけっこうでありますが、直ちに公衆衛生の分野を社会福祉の分野に待ち込んで、それでよろしいかどうかということは、
一つ十分御検討をわずらわしたいと思いますが、御所見いかがでございますか。