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政府委員(權田良彦君) お答え申し上げます。ただいま御
指摘のは、交通事故防止対策本部
決定ということだろうと思いますが、御
承知の
通りに、内閣に交通事故防止対策本部ができまして、その中に踏切事故防止対策部会といういわゆる踏切部会を設置いたしまして検討を続けたのでありますが、その結果が部会の
決定となり、事故防止対策本部の
決定となったのでございまして、その内容は今
先生御
指摘の
通りに、
一つは、踏切り道通行に関する措置としての約六項目ばかりの内容が
決定されております。それからその二は、交差施設の整備改善に関する措置というのでこれまた約六項目ばかりの内容が
決定されております。
第一の踏切り道通行の問題は、これは今御
指摘のような踏切り通過に際しての安全確認の励行の問題と、それから遮断機、踏切り警報機に法的拘束力を持たせるかどうかという問題と、それから踏切り警手にこの踏切り道通行に関するいろいろな指示権を与えるかどうかというような問題と、今度は列車の
設備なり、それからいろいろ接近ベルなりについて、この通行者あるいは踏切り警手に注意を喚起するような
設備上の問題と、それから例の踏切りの予告標の問題、これはまあ道路に、踏切りに入ります以前に一種の標識として立てるものでございますが、それと一般国民の交通道徳、安全知識の普及という問題でございまして、これはまあいろいろ警察
方面、あるいは道路
方面等で御検討を願っておるわけであります。
私どもの方で今その
決定の線に沿ってやっておりますのは主として第二の問題、すなわち交差施設の整備改善の問題でございます。この点については、今御
指摘のように、第三種の踏切りと申しますか、ちゃんちゃんと鳴るのがついておりまして、機械はついておるが番人がおらぬという踏切りの事故が、遺憾ながらその率が比較的多いと、これはちゃんちゃんと鳴っておるにもかかわらず、直前を横断されるという
ところから起っておるものと思われます。この踏切り事故の原因を解剖いたしてみますと、八五パーセントないし九〇パーセントは、この直前横断でございます。この点はまあいろいろ御
指摘のような措置をなお検討いたしまして、一そうの努力をいたしたいと思いますが、それ以外にこの
設備もよくしなければいかぬ、
設備をよくいたしますのに、根本的にはこれはもう立体交差でございまして、非常に道路上の交通量も多い、また線路上の交通量も多い主要なものにつきましては、これは立体交差をしなければいけない。これは現在道路法の
関係におきましても、立体交差が原則になっております。ただ遺憾ながら、非常に多額の費用を要しますので、逐次、年々やっておりますが、なおこういうものが残っておることは事実で、私どももこの点については、立体交差を原則とするという
方針でこの点は促進をいたしたいと思っております。しかしなお解決いたしませんのは、そういたしましてもなお平面交差のものが
残り、またこれは全部なくすということは、これはもう実際できません。不可能でございますので、この平面交差のこれがまあいわゆる踏切りでございますが、これについて、現在まで至らざる
ところがあることは反省をいたしておりまして、特に今申し上げました対策本部でも、まず構造基準をもっとしっかり法定したらどうかと、それからさらに設置其準も現在は法定されておりませんので、これを法定したらどうか、それからさらに保守基準を法定したらどうか、続いて新築、改築、維持管理区分、費用負担等を明確にしたらどうか、それからさらに、こういう根本的な、今申し上げましたことをした上において、これらに合うように現在の平面交差を緊急整備したらいいではないかと、これには立法措置と助成措置が要る。さらにまた御
承知の
通り日本では踏切りの数が非常に多いのでありまして、約四百メーター
平均に一ヵ所ある勘定に全国で割算をいたしますとなりますので、これは諸外国に比べても非常に多いのでございます。従って、これらを全部よくすることは、これまた事案上不可能でございますので、なるたけ近寄っておる踏切りを合理的に整理統合をいたしまして、その残ったものについては、これをよくする、こういうことが
考えられるのでありまして、これはやはり今の対策本部でも同じような
結論を出されておるのであります。
そういたしますと、これをやる方法は現在の法律では足らざる点がございます。すなわち現在の法律はすでに十分御
承知の
通りに、踏切りというものを
一つでつかまえておりません。道路法の面から、いわゆる兼用工作物という観念で
一つつかまえるのと、それからまた鉄道の方から鉄道自体の施設としてつかまえるという二つのつかまえ方をしております。従って、踏切りというものは、端的に申しますと、道路の一部でもあるが、鉄道の一部でもある。従って、それに関する限り、道路は道路側、鉄道は鉄道側でそれぞれ管理者がおりまして、その両者が常に協議すると、全部協議の態勢に置かれております。従いまして、事実問題はなかなか協議がととのいませんでございまして、そのために思うようにならぬ点もございます。従いまして、今私どもが一応
考えておりますものは、ここに新しい立法が要る、これを今警察
方面、建設省
方面と打ち合せをいたしておりまして、もうほとんど完了いたしておりますが、なお細部の点について一、二つめる点がございますので、まだ確定した法案にはなっておりませんが、ただいま
考えておりまする要綱を簡単に申しますと、今の対策本部の御指示もあり、この構造、管理、保全、費用の負担区分ということについて、新たな踏切道法というようなものをぜひ作り上げてこの
国会の御
審議を願いたい。まあ私どもの
予定では、来たるべき通常
国会に間に合わしたいと存じておりますので、今鋭意
折衝を続けておりますが、その大体の構想は、この両方の法律から踏切り道をつかまえますことをやめまして、
一つの踏切り道というもので
一つにしてつかまえていく。それでまず設置基準を、これはいろいろ交通量や列車回数やその見通し距離なんかで違いますので、そういうものの設置基準を、これは実態
調査をしなければ出て参りませんので、そういうものもしつつ、これを法定していくと、さらにこれに伴って、どういう構造でなければならぬかということをはっきりきめて法定したい。これはまあ
技術的な面で政令に委任されることになるかと思いますが、これはそういったことで構造基準をきめる。次に、この踏切り道というものに対して、鉄道事業者と道路管理者を踏切り道を保守する管理者といたしまして、その保守基準をきめる。それから次に、一番大事な費用負担でございますが、この新設、改築、維持、修繕というような管理に要する費用を協議にまかせないで、法定していったらどうか。大体ただいま
考えておりますのは、大方の意見は大体一致しておりまして、鉄道側と道路側で二分の一ずつこれを負担する。ただこの踏切り道の
設備がどういう範囲であるか、どこまでを踏切り道の必要なものとしてみるか、これが道路の標識と鉄道の施設と、また交通取締りの信号というものがございますので、この範囲をどうするかというこまかい点について、なお実はまだ検討を要する点がございますので、鋭意
先ほど申した三者で協議中でございます。なお、この踏切り信号人、あるいは踏切り信号機にどこまでの道路交通取締りの一部の力と申しますか、権能を与えるか、こういう点についてなお検討を要する点がございます。しかし、おおむねは今申し上げたような方向できちんといたしまして、なおあわせて、この法律でいろいろな整理統合を促進するための命令、監督権を持たしていただいて、これは現在ございませんのでやれませんですから、立法事項で持たしていただく、こういう思想のものをできるだけまとめたいと思っております。
もしこれがまとまりますれば、今度はこの基準に従いまして、ある一定の期間で——私どもは三年と
考えておりますが、三年間でこの基準に合わないものを緊急整備をさせるということを、これは別の法律になります——臨時の時限法みたいな
関係になりますが、そういういわば踏切道整備促進法というようなものをあわせて
考えたらどうか。こういたしますと、今の基準ができ上りますれば、それに合わないものを三年で整備する
計画を立てさせまして、それを承認して認可しますか、公けにこれをよく検討いたしまして、しかるべきかどうか、内容をきめまして、しかしてその半面に、きまったものについては、その踏切り道を整備しようとする私人には、
予算の範囲内で一定の補助を与える——これは三年を限って与える、
あとは自力でやらせる。これは踏切りというものが現在道路でもあり、鉄道でもありますが、この交通の発達した今日では非常に公共的なものであるということは言えると思うのでありまして、また
先ほど事故の
お話がございましたが、この鉄道事故はおかげさまで年々減少をしております。これは非常に幸いな傾向で、ありがたく思っておりますが、踏切り事故だけは反対に残念ながらふえております。従って、どうしてもこれを、今のような個々の負担ではだめでありますので、これは三年
計画で、私どもは大体現在の平面交差の危ないものは解消するというデータを持っておりますが、そういたしますと大体
初年度にやります
改良工事量は、今概算で二億七千万円くらいだと存じますが、
改良工事費が一億三千万円くらい——半額補助ということで、実は目下
事務的には
大蔵省と
予算折衝は続けておりますが、まだ確定はもちろんいたしておりませんので、私どもはぜひ通してもらいたいということで
折衝を続けておりますが、以上申し上げましたような
考え方の二つの法律と
予算の
裏づけがあれば、相当今までよりは著しく改善される。で、ぜひこれを通常
国会に御
審議を願うべく、目下
関係官庁の間で
折衝しております。従いまして、
運輸省関係としては、この交通事故防止対策本部の
決定によります措置は、以上申し上げた点を努力しておる次第でございます。