○内田
委員 大臣から御
説明がありましたけれども、私はまことに不可思議だと思う。この
信用保証協会に対する十億円貸付の
予算を決定いたしましたのは、ことしの三月でありまして、これは八月ぐらいまでには、だんだん片づいてきたようでありますけれども、数カ月を経ております今日、まだ貸付が済んでいないところが全国に多数ございます。これはお調べになればわかるのでありまして、今大臣が御引例になりました長崎県などは、あの水害がございまして、わざわざわが党総裁の岸内閣総理大臣が出向かれまして、至急
金融対策その他万遺憾なきを期すということになっておりますのに、その長崎県の
信用保証協会にも十億円がいっていない。何も長崎県の
信用保証協会というものは、水で流れてしまったわけではございません。これは特殊法人として、厳として存在し登記されておるのであります。また私の選挙区の山梨県にもいっておらないのであります。これはわが党議員として、私もはなはだ面目を失しておりますので、ぜひ現内閣の御善処を
要望するものであります。
信用保証協会のお話が出ましたから、ついでに申し上げます。大臣はあまりこまかいことは
御存じないかもしれませんが、保証協会の保証料というものが、現在非常に高いのであります。何ぼかといいますと、日歩六厘または七厘。保証協会の保証は、担保をとるのでありますが、担保の種類によりましては、日歩八厘という保証料をとっておるのであります。従って、
中小企業が商工組合中央金庫から金を借ります場合には、先ほども議論が出ましたように、国民金融公庫、
中小企業金融公庫から金を借りる場合よりも、はなはだ金利が高い。さらに、最近はその金利がまた
引き上げられた。その上に保証協会を利用するということになりますと、
中小企業者の金利負担というものは、保証料を含めて一割から一割五分ぐらいにもなっておるのが現状でありまして、保証協会の保証料の
引き下げの方向に、私どもも
政府とともに努力はいたしておるのでありますけれども、いまだそのことがなりません。従って、この保証料
引き下げの
実施を円滑ならしめるためにも、先般の十億円の貸付というものは、ぜひ早く実現をしたい。このことにつきましては、幸いにわが党並びに
政府が一致いたしまして、明年度は
中小企業信用保険
事業団を作ることに方向をきめておりまして、これは総理大臣が先般来宣明をいたしておる
通りでありますけれども、これができることになりますと、現在
中小企業信用保険特別会計が基金として持っております何十億かの金あるいは百何十億かの金は、今のところは運用されないで、
日本銀行あるいは
資金運用部に預託されたままでありますけれども、今度はその金を生かして、
中小企業金融機関の方に回す、あるいは
信用保証協会の貸付に回すことになる。これをやらなければ、仏作って魂入れずということになりますし、全国の
信用保証協会並びに
中小企業者もそのことを相当
期待しておりますので、これはぜひ万遺漏なきを期するように、われわれも進めて参りますけれども、通産大臣においても、とくとこの点につきましては御考慮を願いたい。これはまた、先ほども問題になりました国庫余裕金の預託の方法とも関連し、あるいはそれにかわるべきものともなるのじゃないかと私は
考えるのであります。
次に一、二点あわせてお尋ねをいたしたいのでありますが、今回、幸いこの
国会の
措置によりまして、
中小企業金融公庫、国民金融公庫にも金が百七十億ふえるのでありますが、これを年末に際して貸し付けます方法としては、それはうっかりすると、両公庫の
事業能率といいますか、あるいは事務能率の関係から、なかなかこの金が出ません。勢いこれは代理店を活用することが、一番大切なこととならざるを得ません。また他面からいいますと、年末で一番金に困りますのは、
中小企業の中でも零細企業でありますから、これらの零細企業に、今回の国の
施策の
恩典を及ぼしますためには、たとえば
中小企業金融公庫におきましては、今までのように市中銀行を代理店として使いますよりも、できるだけその重点を商工中金に置きまして、商工中金の窓口を通じて貸し出しをするとか、あるいはまた信用金庫、相互銀行というような代理店をできるだけ生かして使うように、その方に金を回すことが肝要であると私は
考えますので、善処をお願いいたします。今日、私が正直に申しまして、この国民金融公庫と
中小企業金融公庫の
政府関係二つの金融
機関の中で、国民金融公庫の方は、地方においても比較的難点がございません。
中小企業金融公庫の方におきましては、せっかく
政府が入れます金の大部分が、市中銀行を窓口として、その代理貸しの
制度になっておりますために、これが国民に徹底いたしておりません。また
中小企業者は、非常に借りにくくなっておるのでございます。詳しくはたびたびの
委員会で出ますから申し上げませんが、勢い市中銀行というものは、自分の
事業の補足としてしか、この
中小企業金融公庫の金は使いません。先般も申し述べましたように最近数カ月の市中銀行の
中小企業金融に対する貸し出しが減っておるという状況のもとにおきましては、せっかく
中小企業の金を、市中銀行を代理店として回しましても、自分が貸すべきものの補足としてしか貸さないのでありまして、
政府の新しいプラスの
恩典としては利用しないのが現状であります。市中銀行と取引のない一般の
中小企業者には、この
中小企業金融公庫の金を利用させないのが、何といっても現実でありますから、これではまことにまずいのであります。これは市中銀行の
考え方が直るまでは、どうしても相互銀行なり信用金庫なり信用組合なり、あるいは商工中金というものを十分に活用していくほかないと思いますので、この点は十分御留意をお願いしたいのでございます。これは御答弁は必要ありません。
次に、一点御質問をいたしたいのは、
日本不動産銀行に対する
資金の供給であります。御
承知のように、
日本不動産銀行というものは、閉鎖
機関の朝鮮銀行の残余財産を財源といたしまして今年の四月に発足いたしまして、その
目的は、不動産を担保とする
中小企業金融ということを主としておるのでありますが、悲しいかな金がないのであります。今日まで市中金融
機関から、いわば金融債の前借りのような金、また
政府から優先出資を受けたり、朝鮮銀行の残余財産十八億を合せまして四十億ばかりの貸し出しをいたしておるでありますけれども、この
機関は、とにかく看板が不動産を担保とする
中小企業金融ということでありますから、
中小企業が殺到いたしておる状況であります。この
資金の供給につきましては、実は今年の春、
政府当局も、
資金運用部からその
資金を供給する、すなわち不動産銀行債券の引き受けを
資金運用部でめんどうを見てやる、こういうことになっておるのでありますけれども、今日まで実現をいたしておりませんが、これは何か特別の事情がおありでございましょうか。法制上の困難でもあるのでありましょうか、お尋ねいたします。