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1957-11-05 第27回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十一月五日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 淵上房太郎君    理事 生田 宏一君 理事 畠山 鶴吉君    理事 濱野 清吾君 理事 松山 義雄君    理事 山本 友一君 理事 井岡 大治君    理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    稻葉  修君       大島 秀一君    小泉 純也君       關谷 勝利君    塚原 俊郎君       原 健三郎君  早稻田柳右エ門君       小山  亮君    櫻井 奎夫君       正木  清君    松岡 駒吉君       松原喜之次君    森本  靖君       山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  出席政府委員         運輸政務次官  木村 俊夫君         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 靜夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         運輸事務官         (船員局長)  森  厳夫君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         建 設 技 官         (計画局水道課         長)      岩井 四郎君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         参  考  人         (新潟県知事) 北村 一男君         参  考  人         (新潟市長)  村田 三郎君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十一月五日  委員今松治郎君、村上勇君及び中居英太郎君辞  任につき、その補欠として稻葉修君、大島秀一  君及び櫻井奎夫君議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員稻葉修君、大島秀一君及び櫻井奎夫君辞任  につき、その補欠として今松治郎君、村上勇君  及び中居英太郎君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  理事今松治郎委員辞任につき、その補欠とし  て濱野清吾君が理事に当選した。 同日  理事木村俊夫委員辞任につき、その補欠とし  て生田宏一君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十一月一日  港湾運送事業法の一部を改正する法律案山口  丈太郎君外十四名提出、第二十六回国会衆法第  三八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  海員スト経過報告聴取  新潟地区地盤沈下問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 淵上房太郎

    淵上委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任についてお諮りいたします。現在理事が二名欠員となっておりますので、この際その補欠選任をいたしたいと存じますが、その選任の方法及び手続は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 淵上房太郎

    淵上委員長 御異議がございませんので、それでは生田宏一君、濱野清吾君の両君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 淵上房太郎

    淵上委員長 続いてお諮りいたします。衆議院規則第九十四条により、委員会は会期中に限り議長承認を得てその所管に関する調査ができることになっておりますので、その内容前回通りとし、陸運、海運空運及び観光に関し国政調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 淵上房太郎

    淵上委員長 御異議がありませんので、さように決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 淵上房太郎

    淵上委員長 次にお諮りいたします。前国会の閉会中に行われました委員派遣報告に関してでありますが、各地に派遣せられました委員報告にかえまして、会議録参照掲載をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 淵上房太郎

    淵上委員長 それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  8. 淵上房太郎

    淵上委員長 これより海員スト経過について政府より説明を求めます。森船員局長
  9. 森厳夫

    森説明員 それでは船員ストライキにつきまして、経過の御報告を申し上げます。  本年三月五日、全日本海員組合から船主団体連合会及び各船主団体に対しまして、職別最低賃金制度改訂及びそれに伴う賃金増額について要求されたのでございます。それ以来労使間に十数回にわたりまして団体交渉が開催されたのでありますが、労使間の主張の懸隔相当大きく残ったままついに意見一致を見ませんで、組合から船員中央労働委員会に対して調停の申請が行われたのでございます。  同委員会は、本件に関しまして、賃金改訂に関する調停委員会を設けまして、五月三十一日に第一回を開催し、それから約四カ月間にわたりまして、四十数回にわたって会議を開き、慎重に審議が行われておったのでございますが、労使間の意見懸隔はなおはなはだしくございまして、問題が複雑であり、広範のために、なかなか調整が困難をきわめたのでございます。しかしながら、いろいろの紆余曲折はございましたが、九月二十五日に公益委員によって作成せられた案を調停案として労使双方提示して、その回答を求めるに至ったのでございます。調停案の諾否につきましては、労使それぞれの機関において十分に検討せられたのでございますが、十月十五日に労使双方から正式に調停案を拒否するという回答をいたしまして、調停は不調に終ったのでございます。  調停の不調になりまして以来、労使はそれぞれ対策を検討しておったのでございますが、海員組合闘争態勢の強化をはかるとともに、実力行使を行うことを決定いたしまして、十月二十三日船主側に対して実力行使を行う旨の通告をいたしたのでございます。その内容は、第一波といたしまして、十月二十六日の午前零時から二十七日まで四十八時間にわたって、客船を除く全船舶対象といたし、それから引き続いて第二波といたしまして百二十時間、指定外航船――これは指定外航定期船とタンカーでありますが、これを対象といたしまして、夜間荷役及び出港の拒否ということを主とする停船ストをいたすことになったのでございます。しかし第二波はその後二十九日から二千トン以上の全船舶をさらに追加するということで強化いたされたのであります。そのストライキ通告以来、労使間には自主的団体交渉を再開する旨の動きが十分でなかったのでありますが、船員中央労働委員会脇村会長事態を重視いたしまして、この団体交渉を開始させるように努力をされました結果、十月二十四日の夜、スト通告以来初めて交渉が再開されまして、最悪事態を回避するために労使双方とも真剣に努力が払われたのでございますが、数回にわたる交渉を行なったにもかかわらずついに意見一致を見るに至りませんで、組合予定通り停船ストに突入したのでございます。  組合実力行使は第一波、第二波と継続せられまして、最悪事態長期化が憂慮せられたのでございますが、船員中央労働委員会長早期解決のために、再び労使間に団体交渉を再開するように勧告いたしまして、その結果団体交渉は、相当困難がありつつ、一時は決裂さえおそれられたのでございますが、十一月の一日から二日にわたりまして徹宵交渉いたしました結果、事態が急速に進展いたし、労使双方は正式に、残った差の点につきまして船員中央労働委員会長あっせんを依頼するというようになったのであります。その結果、同会長は午後一時に船員中央労働委員会事務局長室労使双方を招きまして、あっせん案提示して事態の収拾を勧告したのでございます。この間に組合は第三波の実力行使としまして、十一月の二日午前零時から百二十時間のストを指令いたしました。これは千八百トン以上の全船舶対象としたものであったのでありますが、この戦術を強化する指令を出しましたけれどもあっせん案提示を受けた労使双方はその案を受諾することを決定しまして、その旨を会長回答するとともに、午後四時停船ストを解除したのでございます。ここで長期にわたりましたこの争議も一応の解決を見ることになったのでございます。なおその争議によりまして、その段階においてそれぞれ違いますが、十一月二日午後四時におきましては二百十九隻、百三万五千トンという船がストップいたしたのでございます。  なお争議内容につきまして簡単に申し上げますと、この海員組合要求は、昭和二十六年に制定せられた最低賃金制度改訂と、それに伴うところの賃金アップであったのでございます。  制度改訂に関しましては、同一労働、同一賃金を基調としたものでありまして、賃金増額については乗船中の一人当り賃金最低三〇%アップということで、大体九千八百円程度引き上げるという要求であったのでございます。これに対しまして船主側は、自主交渉のときには一人当り外航関係では二千五百円、内航関係では平均本給の一〇%引き上げという線にとどまったのでございますが、調停委員会におきましては賃金制度につきましては労使双方でいろいろ意見を調整いたしました結果、おおむね意見一致を見まして相当改善が行われたのでございますが、賃金額につきましては外航関係では三千四百円、内航関係では三千円の引き上げをする、つまり最低一二%アップ内容とするものであったのでございます。この調停案に対しまして組合側態度は、体系については多少の工合の悪い点はあっても若干の修正をもって受諾できるけれども賃金額についてはどうしても本給最低二〇%アップ、大体五千六百円程度引き上げは必要であるということを主張したものでありまして、船主側態度はその前に主張しておったものとおおむね同じものであったのでございます。  ストの開始の直前の二十四日の交渉におきましては、船主側は初めの通りの案を主張しておりましたが、その後外航関係三千円、内航関係二千四百円程度まで引き上げるという案を出し、これを多少具体化する案を出したのでございます。しかしその後の交渉におきまして、船主側は一二%だけは最低アップしようという調停案の線まで譲歩し、さらに十一月一日には本給最低二二%アップまで提示をしたのでございますが、組合側は受け入れできなかったのでございます。そうして、一日の夜から二日の未明にかけましての交渉におきまして、船主側本給最低一五%の引き上げ船員側は二八%の引き上げというところまで歩み寄ったけれども、その間で両者の話し合いはできなかったのでございます。それで午後一時半にあっせんが行われて、ちょうどそのまん中の一五・五%で労使双方が受諾いたすことになったのでございます。そのあっせん内容は、制度につきましてはほほ調停案通りになりまして、細目についてはなお協定の際に調整する部分も多少残っておりますが、賃金額については今申し上げましたように本給最低の一五・五%引き上げということに相なっておりまして、大体一人当り平均額は四千二百円程度引き上げというように推定されておるわけでございます。  ごく概略を御説明申し上げました。
  10. 淵上房太郎

    淵上委員長 この際大臣より発言を求められております。これを許します。中村運輸大臣
  11. 中村三之丞

    中村国務大臣 いわゆる船員ストにつきましては、ただいま船員局長よりその経過並びに妥結の結果を御報告申し上げました通りでございます。そこで問題は将来の海運政策の根本でございます。何分にも現在の海運世界市況は悪いのでございます。従って今後われわれは海運企業合理化とその収益の向上に努めると同時に、今回の妥結を基礎として労使協調のもとに生産性向上を努め、海運に対する国際競争力を涵養して、日本の海運の発展とこれが国際収支改善に資するよう努力いたして参りたいと思います。     ―――――――――――――
  12. 淵上房太郎

    淵上委員長 次にお諮りいたします。新潟地区地盤沈下問題に関し、参考人として新潟県知事北村一男君及び新潟市長村田三郎君より現地実情と御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 淵上房太郎

    淵上委員長 御異議ないので、さよう決定いたします。それでは北村参考人
  14. 北村一男

    北村参考人 貴重のお時間をお与え下さいまして陳情をお聞き取りいただくことができますことは、非常にありがたいことに存じます。  新潟地盤沈下は従来少しずつございましたが、昨年の十二月になりまして、少しく高い波のとき防波堤を破壊して港の中に直接波が入ってくる、それから近来わずかの風浪でもやはり直接住民に脅威を与えるとか、あるいは港を破壊するというような事実が出ましたので、急に県民市民の関心を高めて参りました。去年一年に沈下したのは大よそ三十センチ、一尺と推定されております。そこで県と市並びに学識経験者、実際家などが対策委員会を作りまして、一つ調査をするとともに、一つはさしあたりの問題の処理に努める委員会を作った一わけです。  ところでその原因というものは、まだ揣摩憶測の域を脱しません。新潟は全国第一の豊富な天然ガスが今工業用原料に供されて採取しておりますが、それは水とともにガスが出ますので、その水をくみ上げる結果地盤沈下するのであろうとか、あるいは近来土地改良によって乾田化されました結果、地下をくぐっていく水が少くなって、そのために地盤沈下するのであろう、あるいは海底構造に異変を生じまして、それが海岸決壊となり地盤沈下の誘因となるのじゃないか、あるいは港を浚渫いたしますとき深く掘ると根元がとられまして、そこから砂が流れて地盤沈下させるのだというようないろいろの憶測の説が出ておりまするが、これは運輸省ども加わられてこれから御研究願うことに相なっております。しかし一面におきまして、そういう調査調査として相当期間がかかると思うのでありますが、そのうちに新潟は海の底に沈んでしまう、沈んでしまってから調査して結論を出されましてもこれは実益には相なりませんので、調査調査として、対策対策として別々にやっていただきたい、こういうのが新潟市並びに新潟県の切なる要望であるのでございます。  ことしの冬、普通の風浪で果して安全であるかどうかということについては、その地方、特に東海岸の方面の市民は大へん心配をいたしております。九月の半ばに、大した風浪でないのに家屋に浸水したり、あるいは下水の流れがとまって非常に困ったというような事実がございますので、ことしの冬に対しましては沿岸あるいはその地帯住民が、非常に心配をいたしておるわけでございます。もちろん運輸省におかれましてもいろいろの対策を立てていただくし、ことしの冬に対しまして県と市と一千万ほどの工事費を使いまして、その対策を立てることになつておりますが、これだけの金ではどうも心もとない、予算のやりくりで困難な事情があると思いまするが、さらにこれぐらいの程度の金をぜひとも国からめんどうを見ていただきたい、こういうことをまたお願い申し上げる次第でございます。  本来ならば、今年はどこでもそうですが豊作で、新潟県は特に五百万石以上の米がとれておる。日本一であることはもちろんですが、二番目の県より二百万石もよけいとっておる。天然ガス原料に使って工業が始まりまして、今年中共に対して尿素アンモニアを二十万トン出し、五百億トンの石灰石というものが工業化されて盛んになっておる。ほんとうに喜色あふれるような事態でなければならぬのに、何となしに憂うつの雲がおおうておるという理由は、この地盤沈下の問題が県民心配になって、どうも晴れ晴れした気持になれないというような事情にあるのでございまして、県も市ももとより財力の許す限りやるのでございますけれども、一県一市の財政の力には限度があります。ですからあとは国のごめんどうを見ていただかぬと、この地盤沈下というものはとうてい防ぎ得ない、こういう次第でございますので、どうぞ一つ配慮によりまして、新潟が海の底に入ってしまわぬようにお力添えをいただきたいと思うのであります。お願いいたします。
  15. 淵上房太郎

  16. 村田三郎

    村田参考人 私新潟市長村田でございます。地盤沈下に対しましてはただいま北村知事さんから詳細にお述べになりましたので、私からはきわめて簡単に申し上げたいと存じます。新潟は御承知のように過去二十数年来海岸決壊によりまして、新潟市が海水浸入のきわめて危いところに参りましたが、一昨年大火の年から大幅に予算をいただきまして、小康を得ておるわけでございます。昨年の高潮以来、地盤沈下原因による海水浸入に悩まされまして、ただいま北村知事さんの申されましたように県民と申しますよりも、新潟市民が一番危険にさらされております。しかも新潟市におきましても西突堤臨港地帯、この面が一メートル三十から一メートル八十の非常な沈下でございまして、新潟港のこの冬がいかに保てるか、これに対しましては県市はもとより貧弱な財政から、応急のまた応急の処置を講じております。また一会社である臨港会社も四千万を投じまして、自分の岸壁をかさ上げをいたしまして守りました。昭和石油も一千万を投じまして東海岸の防壁を築き、新潟鉄工所も約五百万を投じましてこれを防いでおりますが、何と申しましても膨大な予算経費のかかることでございますので、原因につきましてはむろんすでに研究調査の域に入っておりまするけれども、詳細な原因はとうてい短時日には結論に達しませんが、海水浸入を防ぎまして住民を安定させるには、どうしても国のお力にすがって、できますならば単独立法でも制定していただいてこれを推進して参りたいと存じますので、どうぞ皆様方お力によって新潟の危機を脱しますように、特別の御配慮を賜わりますようにお願い申し上げる次第でございます。
  17. 淵上房太郎

    淵上委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。櫻井君。
  18. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私はこの新潟市の地盤沈下につきまして、政府運輸大臣が来ておられるようでありますから、運輸大臣に三点について御質問申し上げたいと思います。  実は私は現地を再三にわたって調査いたしたわけでありますが、この地盤沈下は非常に予想以上に深刻でございまして、そこに図表が出ておりますが、突堤の一番先端は一メートル八〇くらいの沈下でございます。それも昨年の三月からことしの三月、この短かい一年間の期間において一メートル八〇の沈下をしておる。それからその手前の方の臨港埠頭がございますが、そこが一メートル六〇くらいの沈下であります。それからさらに市街地の方に参りますと〇・六メートルと、こういうふうに沈下をいたしております。これを別の表現でいたしますと、新潟市そのものが海に近い方から傾斜をして、日本海の方にすべり込みつつある、こういう状況で、まことに現地は今りつ然たる状況を呈しておるわけであります。しかも最も危険と思われる地点は、この地図で申し上げますと、埠頭が出ておるこの右手の方に青い色で染めてあります、そこが非常に危険であります。海のところから民家までわずか二十メートルくらいしかありません。しかもその間に一メートルくらいの砂丘があって、その手前の方、民家の方はどちらかといえば海面よりも低いような状態であって、そこに多数の倉庫、それから平和町という人家が五、六千尺ずっと新潟市の一部でありますが、そういうふうな状況で、かりに冬季間に高潮が参りますならば、その砂丘を越えて民家及び倉庫海水浸入してくることは火を見るよりも明らかであって、その平和町の住民の方々は毎日毎晩まくらを高うして寝られない、こういうのが実情であろうと思うのです。従って県及び市の当局では、先ほど御説明がありました通り、とりあえずこの冬季間ここに一千万円くらいの費用を投じて、砂による波浪をとめる方策をやる、こういうことでございますが、その計画を聞くと、まことにちゃちな作業でありまして、これをやっても、かりに大きな高潮が来た場合はとうていこれを防ぎ切れない、こういうことは私どもしろうとが見ても明瞭でございます。  従って私はとりあえずことしの冬をどうするか。運輸省及び建設省におかれてはおのおの三十三年度の予算においては、何がしかの予算を計上しておられるようでありますが、本年度の来年の三月末日までに対する何らかの財政的裏づけはないように聞いているのでありますが、この点は、もしもそのようなことでこの工事を県や市だけにまかしておくとするならば、私はこの冬季間に思わぬ事態が招来するというふうに考えざるを得ないのであります。これはもしもそういうことになると、明らかに人災といわざるを得ない。当然そういうことが警告されているにもかかわらず、国の方で何らかの施策をこれにしなかったということになると、これは大へんなことだと考えますので、海岸の管理をしておられるところの運輸省においては、今年度最も危険と思われる来年の三月末までの期間において、何らかの措置を考えておられるかどうかということをまず一点お聞かせ願いたいのであります。
  19. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は今の沈下問題はかねてから承わっております。つきましては臨時国会が終りますならば、現地を視察いたしたい考えであります。来年度の予算にはこの沈下対策につきましては用意ができております。これは港湾局長から御説明を申し上げ――まだ通過してない予算でございますけれども、概算を申し上げることは差しつかえないと思いますが、今お話の緊急の問題は、私一つ行きまして、局長も来てもらって、未然にこの災害を防ぐ対策を講じたいと思うのです。これは私ここでお約束申し上げておきます。
  20. 櫻井奎夫

    櫻井委員 国会終了大臣が親しく現地を視察されることはぜひやっていただきたいのでありますが、ごらんになれば、大臣もおそらくこれは一日も放置できない、こういう感を抱かれるに違いないと私は確信するものでありますが、その際どうか政府の方でも応分の財政的措置を、これに至急講ぜられるように強くお願いいたしておくわけであります。  次に時間もありませんので、第二点として来年度の措置でございます。これは運輸省の方でも港湾について一億三千六百万円、海岸については六千四百万円の予算を大蔵省の方に御要求なさっているようであります。しかし市、県当局が緊急三カ年計画として立てておりますところの予算からいたしますと、これは非常に微々たる額のように私どもは考えるわけであります。この予算内容についてはおそらく大臣は詳細に御答弁願えないかと思うのでありますが、関係局長がおられたら局長から御答弁をお願いいたしたいのであります。この予算で一体あなた方の専門的立場でも、この高潮等相当耐え得る工事が一応できる、こういう御自信のもとに作成された予算案であるかどうかをお伺いいたします。
  21. 天埜良吉

    天埜説明員 運輸省におきまして新潟地盤沈下に対して、来年度要求しております予算の概要について申し上げます。第一番に西の防波堤並びに突堤の点でございますが、これは西防波堤かさ上げをする。これについては一億一千八百万円、延長八百四十五メートルを要求いたしております。次に山下護岸でございますが、この部分につきましては八百十一万八千円、四百六メートルの延長について要求をいたしております。そのほかに調査費として千七百万円という予算要求いたしておりますが、この防波堤その他につきましては原形復旧を基準にいたしまして、まずそこまでいきたいということで要求いたしております。それからこの山下部分でございますが、これについては計画石炭埠頭計画もございますので、その分については一応留保して、その他の緊急やむを得ないところをかさ上げするようにいたしております。なおここの山辺堀の問題でございますが、ここが浸水するおそれがございますので、ここは締め切って、この水は他の方の予算要求、つまり建設省側予算要求によって排水をするというような計画要求をいたしております。そのほかに先ほどお話のありました平和町の浸水を防ぐために、六千四百万円の予算を計上いたしております。まず原形復旧を主とした点で、これをもって応急工事をいたしたいという考えでございます。
  22. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大体承わりましたが、これは県の方から出ておりますところの計画のごく一部を取り上げておられるわけでありますが、たとえば山下の護岸は県、市の方では二千四百万円というふうに考えておる、それを八百万程度に押えておられるわけでありますが、これは技術的にこれだけの費用で果して――あまりにこの数字の上に開きがありますから私は疑問とするわけでありますが、技術的に八百万程度のもので当座は災害を防ぎ得る、こういう確信のもとに要求しておられる数字であるかどうか。
  23. 天埜良吉

    天埜説明員 この山下部分につきましては、先ほどちょっと触れましたように石炭埠頭計画をいたしておりますので、その分の延長が減って参りまして、この金でまず防護できるという見込みでございます。
  24. 櫻井奎夫

    櫻井委員 こまかい点にわたって恐縮でございますけれども現地民は大へん憂慮しておって、一日も早く政府財政的な援助の手を待っておる関係上、私は時間を拝借しておるわけでありますが、平和町の右手にあるそこの護岸の工事も、運輸省で考えておられるのは非常に少額のようでありますが、五千メートルですか、この程度高潮の場合防ぎ得るかどうか、私どもはこれはしろうと考えで恐縮ですけれども高潮が出た場合、五千メートルくらいの場合はうしろから回って浸水してくるのではないかというふうに考えるわけです。県、市が要求しておるのは三億五千万でありますが、それが二千万程度に押えられておる。それは技術的にそういうことで一応防ぎ得るというお考えでございましょうか。
  25. 天埜良吉

    天埜説明員 平和町の方の護岸につきましては、これは緊急に必要な前面をまず取り上げまして、比較的少い面についてはあとにする。それからなお構造その他について相当――つまりメートル当りの単価が、私どもの考えるのが少し低いものですから、それで県の要求の金額よりは少いけれども、かなり防護には役立つものというふうに確信しております。
  26. 櫻井奎夫

    櫻井委員 詳細にお聞きしたいこともございますけれども、当委員会の時間もあまり食い込むことをおそれて、技術的な詳細な面についてはあとでお伺いいたすことにいたしますが、いずれにいたしましても、運輸省が大蔵省に要求しておられる予算の額は、私どもから見るとはなはだ僅少であるというふうに考えざるを得ないわけであります。これをまた大蔵省の査定にあって削減を受けるというようなことになれば、これはまことに憂慮すべき事態だと思うわけであります。運輸大臣はこの予算の獲得については一段の努力を払われて、これを削減されないように、これは国会終了現地をごらんになればわかるわけでありますが、放置できないような事態になっておりますので、この予算は是が非でも、運輸省の面子にかけても削減されないように、大幅に御獲得を願いたいのでございますが、運輸大臣の御決意をちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 中村三之丞

    中村国務大臣 運輸省の今度要求いたしております概算のうち、港湾改善、これに全力を上げております。従いまして今の新潟の問題も、われわれの努力の目標とするところでございまして、私は港湾の整備、港湾の近代化、またこういう地盤沈下等の対策につきましては、予算の上に努力をいたします。同時にどうか運輸委員会の皆様におかれましても、政党政派を超越して、側面的に御援助を賜わりますよう、私からもお願い申し上げておきます。
  28. 櫻井奎夫

    櫻井委員 建設省予算はどうなっておりますか。一応御説明願いたいと思います。
  29. 山本三郎

    山本説明員 ただいま運輸省から御説明がございましたが、建設省関係といたしましてはこの地図に出ております新栗ノ木川というのがございますが、そこにあります日ノ出町付近の地盤沈下対策でございます。この点につきましては先般私どもの方から現地を視察いたしまして、県と目下打ち合せ中でありますが、大体概算といたしましては千五、六百万円かかるというような話を私承わっております。その点につきましてもよく県当局と打ち合せまして、来年度におきましてはこの程度を考えたい。それからあわせまして調査一つやっていきたいというふうに考えております。
  30. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これはまだ数字が出ていないのですか。どれくらい要求するというようなことは考えておられないのですか。
  31. 山本三郎

    山本説明員 これは私どもといたしましては、河川の改修事業といたしまして、補助事業として、一括して出しておりますから、その中からこれに要する費用を捻出するわけであります。従いまして今後的確の数字が出ますならば、それから支出していきたいというふうに考えております。
  32. 櫻井奎夫

    櫻井委員 補助事業として取られたその予算の中から捻出する、こういうお話のようでありますが、三カ年計画の一環として地元から相当詳細な数字と資料が出ておると思うのですが、それについて具体的に答弁ができる段階ではないわけですか。
  33. 山本三郎

    山本説明員 先般概算の数字につきましてはお伺いいたしておりますが、具体的にはなおこれから県とよく打ち合せしなければならぬ段階でございます。
  34. 櫻井奎夫

    櫻井委員 建設省関係でございますので、これは建設委員会に譲ります。  次に第三点でありますが、新潟市の地盤沈下の問題は、実は先ほど知事の方からもお話がございましたように、徐々に沈下はしておったわけであります。これが急速な沈下をいたしたのは昨年からというのが現況でございます。従ってこの原因がどこにあるかということは、まだ的確につかまれていないのが現状だと思うのでありますが、地盤沈下の問題は、ひとり新潟に限らず、尼崎、大阪等々に生じておることは御承知の通りであります。この尼崎や大阪、和歌山、東京等の地盤沈下は、昭和二十五年のジェーン台風、キジア台風の災害復旧事業、それからこれに改良補強を加えたところの高潮対策事業として実施中でありまして、補助率も七割くらいに及んでおるというふうに聞いておるのであります。なおまたほかに愛知、三重・兵庫、岡山、高知等においても地盤沈下状況が生じておることは、大臣も御承知の通りであろうと思うのであります。これらの地点についても、これは昭和十九年から二十一年の東海、三河、南海地震の災害復旧を契機とする地盤沈下対策事業として実施中であって、これも国の高額補助がなされておるのであります。しかるに、新潟市の場合は、これは災害というか、まだはっきりした原因が不明であるために、かりに新潟市の場合、海岸法の適用によってこれを国の直轄事業といたしましても、海岸法二十六条によって大臣がこれを直轄事業に御指定になって、国の直轄事業としてこれを施行していく場合においても、二分の一は地元が負担をしなければならない、こういう法律の建前になっておるわけであります。御承知の通り新潟県は、再建整備法の適用を受けておる財政的にきわめて貧弱な県であります。先ほど知事は、非常に財政難だが、ガスもあれば石灰石も何億トンかあるというふうに言っておられましたが、それはそれだけの資源があるというだけで、県の財政は日本の地方自治体の中でもしりから数えた方が早いという非常に有名な赤字県であります。こういう赤字財政の地方に、このような多額な復旧費用を要するような災害と申しますか、現象が生じたのでありますから、これを今の法律をもって復旧するならば、先ほど申しましたように直轄事業にしても二分の一の負担をせざるを得ないということになります。大阪、東京等有数な黒字県で財政の豊かな地方においてさえも、これらの地盤沈下には高額な国の補助を受けておる。ところが新潟県のようなところでこれを適用ができない。こういうことになると、政治の不均等ということがはなはだ憂慮されるわけであります。特に日本の政治は南に厚く北に薄いというようなこともいわれておるわけでありますが、このような観点から、新潟市の地盤沈下は、原因の究明次第によってはあるいは多額の――何百億の費用を要するかもしれない重大な現象でございますが、これに対して政府としては、今の法律では私が申しましたように二分の一以上の国費の投入は不可能であります。従ってこれに対して何か特別の立法措置を考えておられるかどうか、あるいは地盤沈下の防止法とか、あるいは海岸法の一部を改正するとかしていただかない限り、こういう赤字財政にあえいでおるところの地方自治体にこれを負担しろといっても、負担の限度があるわけでありまして、この点について大臣はどのように考えておられるか、御所見を伺いたいのであります。
  35. 中村三之丞

    中村国務大臣 地盤沈下の問題は大阪にもございまして、私この間見ました。ただ大阪あたりは工業用水を多く取るからだ、こういうようなことも聞いております。新潟がどういう理由であるか、今知事からいろいろ御説明になりましたが、これは全国の港湾にそういう地盤沈下があって、それがために港湾の用途に大へんな障害を及ぼしておる。しかもそれが地方の財力を勘案しなければならぬというようなことは、御指摘の通りだと私は思うのであります。従いましてそれをどういうふうに具体的にやっていくかということは、一つ港湾局に研究させまして、誤まりないようにいたしたいと思います。
  36. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大臣のお考えはわかりました。私が申しましたのは、そういう地盤沈下という現象が生じておるのに対して、現在大阪、尼崎、こういう地区は相当高額な補助が出ておるわけです。ところが新潟の場合は、現行法をもってしては二分の一は自治体が負担をしなければならないということになりますので、公平な政治という立場から何らか特別の立法措置が講ぜられないものかどうか。
  37. 天埜良吉

    天埜説明員 今のお話の通りでございまして、各所に地盤沈下が起っております。それは災害が原因で、割合にと申しますか、割合に原因がはっきりしたものがございますので、災害復旧というような点でやっております。新潟につきましては原因が明らかに災害であったとも考えられませんので、その点御指摘のように研究をいたしまして、原因がいかなる点に多く存在するかという点を固めてから、その問題について研究をしたいというふうに考えております。
  38. 櫻井奎夫

    櫻井委員 原因を究明なさって、その原因が明らかに災害である、こういう断定が下されれば、これは災害の方でやる、こういうことでございますが、御趣旨は私も賛成でございますけれども、しかしこの原因を究明するのに、私が聞くところによると、三年あるいは五年を要するということでありますが、一方地盤沈下は自然現象でありまして、原因を究明するまで三年も五年も待っておってくれない。毎年どんどん沈下していく。しかるに今政府の方では、まだ原因調査中だ調査中だというふうに、何年もこれを放置しておかれたのでは、工事は進めていかなければならぬ、それには県や市が二分の一負担しなければならない、これは現実の問題として出てくるわけです。こっちは原因が究明できないからやはり二分の一負担だ、究明ができるまではわからないというふうに放置されたのでは、実際の運用の面においてほうっておかれる、赤字団体が放置しておかれる、こういう矛盾が生じてくるわけです。従って私はやはり早急に立法措置か何かを講じていただかない限り、これは弔う市や県にとっては大へんな問題だと思うのでありますが、その点は大臣いかがでしょう。そういう現実と調査というものについては非常な期間の食い違いがあるわけです。
  39. 中村三之丞

    中村国務大臣 お話のように、食い違いがあれば、それがやがては地方の災害に、また地方の人心を不安定にすることでありますから、私も地盤沈下の問題につきましては、率直に申しますと、今こうするという具体的にお答えすることもできないのですが、しかしそういう切実なことであって、特にやらなければならぬということは私宅痛感をいたしておりますので、これはいましばらく研究することをお許しを願いたい。今ここでああするこうするということは、ちょっとお答えをいたしかねるのですが、御指摘のように私は就任以来、この地盤沈下の問題は聞いております。しかしこれをどういうふうにして食いとめるかということは、実を申すと、この間も久里浜の研究所に行って、そこでいろいろ聞いてみたのですが、理論的にはこれを食いとめるという方法はあるというのです。けれどもまだこれが実際化しておらない。ある程度金を入れて食いとめたところが再沈下をしてしまう、今度はまた金が要るというようなことのないように、根本的に沈下を防止する方法はないか。理論では成り立つのだそうです。しかしこれが実際にいくまではまだ運輸省の中の技術としてできない。しかしそんなことを言っておられませんから、これは応急対策はしなければならぬと思いますが、これは私は特に注意はいたしておるということを申し上げて、具体的には一つ研究をいたしましてやりたいと思っております。それがために、最初に申し上げました通り私が一応視察をしていこう。新潟と大阪とはだいぶ原因ども違うようでございます。そこで新潟は特殊の原因がどこにあるかということも考えてみなければならぬと思いますので、どうぞこの程度で御了承願いたいと思います。
  40. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大臣の意のあるところは了承いたしました。ぜひ一つ臨時国会後は御視察を願いまして、これに対する適切な処置を講じられるように――特にあなたは官僚の多い岸内閣の中における純粋な政党出身の閣僚であられるし、あなたがここにりっぱに言明なさったことは、私どもは信頼をもってこれを聞いてよろしいと思うのであります。大臣の良識ある判断をお願いいたしまして、私の質問を終了いたします。
  41. 淵上房太郎

  42. 大島秀一

    大島委員 新潟の港の問題につきましては、歴代の運輸大臣並びに御当局におかれては非常な御理解をもって、着々とその改修その他につきまして御協力を願っておりますことは、地元議員として非常に感謝するわけであります。私もこまごま御質問をするつもりでありましたが、ただいま同僚櫻井君から御質問がありましたので、時間の関係もあろうかと思いますので省略さしていただきますが、ただ一点申し上げておきたいことは、この三カ年計画案というものは、過去三カ年の沈下状態を基本として予算を計上されたものであるかのように伺っております。この過去三カ年というものは非常に遅々としておった時代が多いのでありまして、昨年から急激に沈下状態が激しくなったのであります。それがためか、この金額というものは非常に小さい要求にあるかのように考えられます。実際はそれより方法はないのか、それは私どもとしてわかりませんが、私たちが考えますのには、この金額では、先日も私どもが視察に行きました状態から、とうていこれでは間に合わないのではないかということがはっきりと考えられますので、ただいまも櫻井君から同様な質問があったかと思いますが、これにつきまして、この予算で十分やり得るという確信があるかどうかということをいま一度念を押しておきたいと思いますが、お答えを願います。
  43. 天埜良吉

    天埜説明員 応急対策としてはこれをもって防ぎ得る見込みでございます。先ほどからだんだんお話がございますように、原因をまず確かめなければなりませんので、これを急いで調べまして、それに応じた応急対策を早く立てていきたい、緊急措置としてはこれでまず来年度のところは防ぎ得る見込みでございます。
  44. 大島秀一

    大島委員 そういたしますと、ただいまの御説明によりますと、大体過去三カ年を標準として予算を計上したけれども調査の結果この沈下の状態が非常に急速度であるということがわかった場合には、当然この三カ年計画というものは相当改正されて、大きく計上されることもあり得るというように解釈してよろしゅうございますか。
  45. 天埜良吉

    天埜説明員 お話の通りでございまして、来年度はこれで参りますが、その状況次第によっては三カ年間にわたっての工事量については、さらに大きくなることも考えられると思います。
  46. 大島秀一

    大島委員 この際私一つお願いしておきたいことは、実は新潟港というのは、御承知のように日本海の重要港であることは今さら申し上げるまでもないのでありますが、この港に関して運輸省関係といたしましても、日和山の海岸決壊あるいは東海岸の決壊等があり、毎年々々浚渫その他で莫大な費用を使っておることは申し上げるまでもないのであります。このような幾つかの沿岸を持っておるので、これをもって決定的な新潟港を建設するという意味におきまして、数年前から運輸省におきましては河口分流案というものが話題になっておったのであります。十分の調査を遂げられまして、これが将来りっぱな港になるというようなことにわれわれは伺っておったのであります。またさようであろうかとも思うのであります。そこに今回数年前から信濃川の分水案というものがこれも話題になっておるのであります。このようなことが交差いたしまして、分流案もそのままに据え置きのような状態でもあり、そうして一方には分水案というものが登場しておるというようなことで、県民といたしましてはこの問題には非常な関心を持ち、またこの行く手を非常に監視いたしておる状態でありますので、私はこの際地盤沈下というものが、ここにはっきりと浮び上ってきたと同時に、この新潟港の幾多の問題が全部この地盤沈下あるいは海岸の決壊、その他のもろもろのものが総合されて、一つ新潟港の問題になっておることとわれわれは一応想像がつくのでありまして、この際私はこのようなもろもろの問題を一括して一つの大きな新潟港の問題として、この際特別委員会のようなものを作り上げて、そうして各役所のなわ張り争いをやめてもらって、そして建設省並びに所管の運輸省、あるいはまたその他農林関係にもありましょうと思いますから、そのようなものを総合して総合対策を講じなければ、新潟港の将来に対してはっきりとした改修というものは困難ではなかろうか、そのように考えておりますが、そうしたような問題が起きました場合において大臣はそれに対して、少し飛躍でもありましょうが、どのようなお考えをお持ちであるか、御答弁を願います。
  47. 中村三之丞

    中村国務大臣 大島君の御着想初めて承わりました。これは新潟ばかりではない、日本の港湾というものにいろいろ問題がございまして、積極的のことは別として、消極的にはあるいは高潮を防止するとか、地盤沈下を防止する、また臨海工業地帯をこしらえて埋め立てをやる。いたずらに工場が農地をつぶすようなことのないように、こういったような埋め立てなんかも、私も予算を見まして積極的にやらなければならぬと思います。従いまして今の大島君の御着想のように、日本の全港湾を総合したそういう調査会と申しますか、審議をやるというようなことは、私は非常によいお考えだと思います。
  48. 稻葉修

    ○稻葉委員 関連して質問したいと思います。先ほど知事、市長の参考人としての御意見を承わっておりましても、これに対しての運輸大臣以下の答弁を承わっておりましても、私にはわからない点がございますので、ちょっとお伺いしたいと思います。  知事の御意見によれば、原因はよくはわからないけれども、三点あげられる、いずれも重要な点であります。ガスの開発ということは大事なことだけれども、これが原因となって地盤沈下をするのであるということが一つ土地改良をやったために地下水が枯渇して地盤沈下をするのであるということが一つ、港を修築し、砂をさらうために地盤沈下をするのである。それではこの原因を取り除けば地盤沈下は防げるかということになると、この原因を取り除いたらどうかということになるが、そんなことはできる相談ではない。土地改良をしないとか、砂ざらいをしないとか、ガスを開発しないとか、そんなことはできる相談ではないので、それをやりつつこの地盤沈下を防ぐ方法はどうすればいいのかということになると、今県でやっている対策運輸省でやっている対策建設省でやっている対策、その費用なんかを見ましても、とうていそんなことで間に合う話でないと私は思う。それはよく原因を究明いたしましてから、ゆっくり三、四年かかってやります、そんなことで一体いいのか。知事さんはそれで一体御満足なのかどうか。運輸大臣はそういう無責任なことでいいのかどうか。去年沈下したのは一尺である、三年かかれば三尺である、五年かかれば五尺も沈下するというのに、これから先どう見ておられるのか。昨年は一尺沈下したけれども、ことしは五寸で済むのか、あるいは三寸で済むのかという見通しはどうです。ことしは一尺、来年は一尺五寸、その次は三尺という工合にどんどん急速度にいくのか、その辺の見通しはどうですか。その辺の見通しが全然わからずに、ただわいわい騒いでいるような気がしますが、その点ちょっと参考人からもお伺いしたい。
  49. 中村三之丞

    中村国務大臣 率直に申しますと、私はそういう方のエキスパートとして研究したことはございません。ただ先ほども申し上げましたように漆山の研究所で聞いたこと、また港湾局から聞いたことを総合しまして、私は私の知っている範囲をお答え申し上げました。今稻葉君がおっしゃるように、それが一尺ずつ五年で五尺になって十年で一丈になるかどうか、こういうようなこともわからぬというのです。私の聞きます範囲では。しかしこの地盤沈下は現実なんですから、あるいはこれがどうなるかわからぬという点は、緊急対策は用意していかなければならぬと思います。しかし今のところ、港湾局において三十三年度の予算を概算を作って、大蔵省に要求しておる。また市においても県におきましても賢明の士がおられるのでありますから、これをある程度やっていただく。そういうふうにしてやっていくということが今日の策ではないか。といって、これがどうなるかちょっとわからぬ。予想を私がここにすることは危険でございますから、これはどうぞお許しを願いたい。しかし港湾局長は、これらの問題については専門的に考え、また私は考えさせます。所管大臣といたしまして、こういう問題は考えさせます。今一応港湾局でも考えておると思いますが、一つお聞き願いたいと思うのでございます。
  50. 天埜良吉

    天埜説明員 この地盤沈下につきましては、先ほど御説明がありましたように、緩慢なる地盤沈下は明治三十何年からわずかずつ起っておりました。しかしそれはほとんど認め得るものでもなく、水準測量によって初めてわかる程度のものでありました。昨年の暮れごろから非常に目立って参りました。それもなかなかわからないので、実はこれは異常潮位が続くのではないかというような状態であったのでありますが、どうも異常潮位にしてはおかしい。いろいろ測量した結果、よその港では潮位が変っていないのに、新潟だけが変っておるという点からみると、これはどうも地盤沈下であるらしいということで、緊急にその様子を調べさせたということであったのでございますが、三十年から急に下ってきておりますので、今のところその情勢でいくように思われます。しかしそう急激なこともあるまいというような見通しでございますが、原因究明については三、四年もかからないで、緊急と申しますか、早く成果を得て――いろいろな原因がおそらくかみ合うだろうと思います。そのおもなる原因から取り除くなり、あるいは取り除くことができないものについては、それを救済する方法も考えなくてはならぬ。たとえて申しますならば、水を抜くということについては、その抜いた水を別な井戸を掘って押し込むという手も考えられております。そういうことを考えていかなければならぬというように、これはただいま研究の途上でございますが、そういう状況に考えております。
  51. 北村一男

    北村参考人 現地におりますと、やはり大体一年に八寸から一尺くらいずつ沈下していくのではないか、調査ができたときは、新潟は海の中へ沈んでおるのではないか、こんなふうに考えています。それは現地におるからなおさらその感を深くいたしますわけで、沈下の速度はやはりここ当分は続くのではないか、こういうふうに考えて憂慮しております。
  52. 稻葉修

    ○稻葉委員 何しろ病原がわからなくて治療しようというのだから、非常に無理な点もあるようだけれども、とにかく調査も大きな費用をかけていろいろな防除対策をやっておるうちに、それが調査になる場合もあるだろう、原因がわかるということもありますから。今のような対策費だけではなくて、もう少し増額して、対策をやっておるうちに、ああ、これはこうやったら防げたのだから、原因はこれだったということも必ずあり得るというふうに思いますので、大臣現地を見るとおっしゃるし、あなたは賢明な人だから、見ればすぐわかると思いますから、どうしてもこれは今年度の予備金でも何でも出して、いろいろなことをやって、先ほど伺ったような来年の予算程度ではなく、私どもも大いに応援しますから、一つ大きな額を計上して――ただいま申しましたように、今あげられている原因を除去するということはなかなか困難だ。港湾局長が今言ったように、取ったガスの水をまた埋めてやるということでも、これは大へんなことですから、そういう対策を考えているなら考えているように、費用の面でもそういう点をもっと見なければならぬはずだと私は思うのです。今までの予算ではとうてい間に合うものじゃない。運輸大臣もこの点を重視されまして、大幅にこの予算も取りまして、不安を取り除いてもらいたいというように考えます。
  53. 村田三郎

    村田参考人 原因の探求は、先ほど来申されたように非常にむずかしいことでございますが、病人にたとえますと、新潟の心臓のとまらない程度の注射をやっていただかなければならないと思います。ただ一つ申し上げ得ることは、今下っております西突堤の例をとりましても、一メートル三十から一メートル八十になる、一メートル八十というところは灯台がある場所でございまして、海岸に突き出ている。それから臨港の地区、これは先ほど来の尼崎、大阪の例のごとく、大火がありましたが、地下水に依存しておりませんことは新潟が特例でございます。ガス井戸はその突堤の付近には全然掘ってありません。臨港地帯にはその面もきわめて少いのでございますことを御了承の上、応急の心臓をとめない注射でも、今稻葉先生、櫻井先生の仰せのように、些少の金ではこの注射は持たないのじゃないか、さように申し上げまして私のお願いを終りたいと思います。
  54. 中村三之丞

    中村国務大臣 今稻葉君の申されましたことに私重ねてお答え申し上げます。私は先ほど申しましたように参ります。参って、港湾局は技術的に見ましょうが、また私どもは私どもの政治感覚でどういうふうにやったらいいか、一つ現地を見てきます。これはお約束申し上げます。
  55. 淵上房太郎

    淵上委員長 参考人よりの聴取はこれをもって終ります。参考人両君にはありがとうございました。
  56. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は二、三質問しておきます。今大島さんの御質問にありましたように、これは所管大臣に言っても、あるいは関係省に言っても、ちょっとその答弁は無理かと思いまするけれども、実際に地盤沈下の問題はひとり新潟だけに限りません。全国至るところに地盤の変動による地盤沈下、あるいはまた海岸の侵食による工事の破損等があるわけですけれども、特に地盤沈下等について考えますと、これは単なる平常状態にある港湾施設等の改良工事というようなことでは、この問題を解決することができないと思います。そうして港湾一つをとってみましても、地方では一体どこへ行っていいのかわからない。建設省にも所管の関係があり、運輸省にも関係があり、農林省にも関係があり、そしておのおのの出先の官庁においても官僚独特のなわ張り争いで、だれに訴えていっていいのかわからない。こういうことではこの総合的な対策を講ずることは不可能である。あまりにも事務が繁雑過ぎる。これをもっと単純化していきたいと思いますけれども、恒常機関である各省の所管については、これを一つにまとめることはなかなか困難でありましょう。しかしこういうような非常対策につきましては、総合的な一つの窓口で全部の工事ができるようにやっていって、それですぐその対策が立てられるようにすることが必要であると思いますけれども、これについて建設省運輸省それぞれどういうお考えを持っておられるか、私はもう一度各省に伺いたいと思います。
  57. 天埜良吉

    天埜説明員 地盤沈下について、各所にございますが、それに対して統一した工事機関を持って復旧するようにというお話を承わりましたが、そうでなしに、ただいまのところは各機能別に、港湾の区域の中においては運輸省が責任を持つ、それから農地を有する海岸線については農林省、その他建設省というようにいたしておりまして、その間の連絡等は、密接に協議をし、連絡をとって、その間にそごのないようにいたしておるわけでございます。
  58. 山本三郎

    山本説明員 建設省といたしましても、ただいま港湾局長からお話がありましたようにやっておるわけでございまして、今回の問題につきましても、運輸省と事務的によく打ち合せまして、その分担をきめてやっておるわけでございます。
  59. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それがだめなんです。とにかく今言われるように、地盤沈下で市内へ潮が押し寄せないように防潮堤を作る、これは建設省の役目だ。そうして同じように沈下をして突堤が用をなさなくなる、それは運輸省の所管だ。いやここは漁港であるから農林省の関係だとかいって、あなた方は地方において事務分担をしておるわけだ。このようにあなた方はひとり合点されておるかもしれませんけれども、そのひとり合点されておる当事者の地方民ははなはだ迷惑なんです。どこへ行っていいかわからない。防潮堤について、これは同じ港のことだから一つ運輸省へ行こうと思えば、それは建設省の所管だと言う。私どもの淡路島でも志筑という港がある。ところがこれは漁港の問題だから農林省へ行け、こういうわけです。ところが農林省へ行ってみると、いやあれは普通の客船も入るのだから運輸省の所管ですと言う。一つの港を改造するのに、東京へ来てもうろうろうろつき回らなければできない、こういうことです。そういうことなら、県なら県へばんと国の予算をやって、県の手でちゃんとやってもらう方がいいというのです。中央官庁に要らぬおべっかを使ってもらうのでは地方は迷惑だ。そして事実の調査はどこかと言ったら、建設省でもやっている、運輸省でもやっている、こう言う。ではその結果はどうなっているのですかと言ったら、建設省の調べたものと運輸省の調べたものとことごとく違う。そんなことでまごまごしているから、今言ったように三年、五年の日子がかかる。一年に一尺ずつ沈下しても、調査が終ったころには新潟がなくなってしまうということでやかましい、こういうことになる。尼崎でも防潮堤はりっぱなものを建設省に作ってもらいましたけれども、すぐに地盤沈下して、その防潮堤は底に穴があいて潮が自由自在に出入りする、こういうような状態になる。だから、これはやはりどうしてもそういうような管掌争いをなくするために、こういうような特殊地域については、一つ総合官庁を設けるべきだ。そうしておのおのの機能を一省に集中させて、最大限にその省に認可させる、こういうふうにしなければ、ただいたずらに――口悪く言えば、官吏であるあなた方に高い税金で給料を払うだけが能になってしまって、実際にはその被害は、税金を払いながら、何ら救済措置が講ぜられない、こういうような結果になる。こういうことでは良心ある行政とは言えないと思うのですけれども大臣どうですか。あなたは特異な大臣だということでありますから、一つ答弁願います。
  60. 中村三之丞

    中村国務大臣 今おっしゃることは私も最近経験しております。といって、これを県にまかせましても、これまた県の中でなわ張り争いをやられたら何にもならないと思うのですが、これは私は今の地盤沈下の問題に限定いたしまして、一つ運輸省でぜひやりたい。ほかのことは今私はちょっとお答えいたしかねますが、今問題になっております地盤沈下の問題は、これはどうしたって運輸省港湾局が責任を負って対策を講じたい、こういうふうに私は考えております。
  61. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 県にやらせよというのは、これは仮設的な問題であるから答弁は要らぬのです。問題は、そんなら大臣聞きますけれども、尼崎の港がどんどん沈下するのですよ。大臣は見られたかどうか知らないけれども、りっぱな防潮堤ができている。ところがこの防潮堤というのは、建設省の所管になっているのですよ。新潟の方もその通りなんです。地盤沈下する。そうすると港湾のことだから、港湾施設については港湾が責任を持つ。ところが潮の寄せてくるのはおれは知らぬぞ、こういうことになるのですよ。これはどういうことなんです。
  62. 天埜良吉

    天埜説明員 今の点お答えいたします。尼崎の防潮堤は、戦時の災害によって大防潮堤を作ったのでございますが、尼崎は港湾でございますので、運輸省の所管でございます。ただその中に入っております神崎川とか、河川がございます。その河川も一連の関連でやっておりますので、その河川の関連の部分建設省が所管いたしております。しかしながら工事といたしましては、これは県の事業でございまして、県の所管で、それに対して運輸省が補助をし、建設省が補助をするということで、これの計画遂行につきましては、非常に密接なる協力を各省いたしまして、いささかのそごもなく進捗して、でき上ったわけでございます。
  63. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 だから私は新潟の問題についても、大臣にお尋ねしているように、ともかくもそういう複雑なことは地方人は全然知らぬのです。全然知らぬのですから、今度の新潟のように急速に沈下するところについては、これは私が尼崎の例をとって言ったように、うまく総合的にやればよろしいけれども新潟の問題は、私は手柄を言うようになりますけれども、これは今に始まった問題ではないのです。それがいまだに対策ができないというのは一体どういうことか、こういうふうに私は言いたい。そうなると、これはあまりにも事務が複雑だということも一つ原因をなしていることは間違いないのです。ですからそれをやはり運輸省が一手に引き受けておやりになるならなるで、侵食されておる海岸の侵食防止もあわせやらなければならぬと思うのです。ただ港だけの問題ではないと思う。行って見られたらわかりますけれども新潟というところは港の問題だけじゃないのです。海岸の侵食もはなはだしいのです。これと総合的に早く施策をしなければ、新潟の災害を防ぐことはできない。こういうことが至るところにあります。淡路におきましても、東海岸と西海岸とでは全く違った地殻の移動の状況にあるのですから、幾らがんじょうな堤防を作って道路を作りましても、二、三年すればすぐそれが侵食されてくつがえされてしまう。こういうことがあるのですから、そういうようなものに対して常に――尼崎の例をとりましたが、そういうような施設をしても常にこれに対してその補強を行い、あるいは必要な施策をしなければ、ただ作ったということだけではたちまち用をなさなくなる。ところがそういうような総合対策がないために、せっかく巨額の費用を投じて工事をいたしましても、数年たてば直ちに用をなさなくなる。これは全く国費の乱費であるし、またその地方においても被害を多くするということになる。ですからもっと強力に総合的な対策の方途を持つべきである、一省に集めるべきだ、こういうように思いますけれども大臣はどう思われますか。
  64. 中村三之丞

    中村国務大臣 高潮の防止であるとか沈下の防止、それから今おっしゃった侵食、これは私も港湾局長から――あるいは富山であるとか伏木であるとか、あの辺も侵食はあるようです。それの予算は今度概算要求にあるはずでございます。これも考えております。決して一つだけじゃございません。おっしゃるように総合的に考えて概算要求を出してございます。詳細は局長からお答え申し上げます。
  65. 濱野清吾

    濱野委員 関連して。ちょっとお尋ねいたしますが、先ほどから同僚の質問についてお答えがありました。それを拝聴して、私ども実はどうすればいいのか、大臣から承わりたいと思います。大阪方面の地盤沈下原因が何であるか、私はよくわかりません。しかし先ほど参考人の話だと、新潟に関する限り地下水を取っておるところはないということであります。そうしてまた何が原因であるかという、その想像もついていない。実は大阪、新潟等ばかりでなしに、私どもの住んでおる東京都でも、江東区――昔の本所、深川でございますが、毎年々々沈下しておるわけでございます。これは地下水を取ることによってというばかりではなかろうと、東京都民は常に心配しておるわけであります。それがもし地下水を取ることによって地盤沈下するということなら、地下水を取らざる方法をとれば沈下はやむのでございますから、そういうことは今日の東京都では必ずしも困難な措置ではないはずであります。しかし実際私どもが長らく東京に住んでおって、そうして江東方面のあの沈下する様を見ていると、これも正確に何のために毎年々々沈下していくか、その原因が実をいえば不明であります。そうした不明の中にさらに進むであろうというような考え方を実は持って、建設省が道路建設に当っておるというようなことは聞いておりません。たとえば地盤の上に橋梁をかけるにしても、一定の地盤の上に道路を建設するにしましても、毎年々々沈下するというならば、橋梁架設に対する設計図がもう根本的に変らなくちゃならない。国道のコンクリートの道路を作るにいたしましても、五インチを六インチにするとか、あるいは中に何を入れるとかいうような、そういう比較的恒久的な対策の設計がそこで行われなければならぬのでありますが、現在の東京都や建設省のあのやり方を見ておりましても、そういう考慮が払われているところはほとんどないと思います。こういうふうなことを私どもあらゆる場所で発見するのでありますが、こうした事実を前にして、この機会に大臣が思い切って原因究明の調査機関というものをお作りになることが、けだし適当な措置ではなかろうか。東京の江東区の沈下は世間周知の事実でありますが、この沈下が何の原因で起るか、その沈下する場所にかけられる橋梁やあるいは防波堤などはどういう措置をとるか、どういう設計をしていくことがよりよい方法なのか、こういうふうな少し科学性のある措置がとられることが、この場合必要ではないかと思います。江東方面における国道や東京都道は、行ってごらんになればわかりますけれども、作ったばかりの道路が、しかもコンクリート舗装の道路がすぐにひびが入ってしまいます。作ったばかりの橋梁がおかしな格好になってしまいます。帰するところこれはすぐに手直しをしなければならぬ。すなわち先ほど参考人が申しました通り応急処置やカンフル注射のような、そんな金では間に合わぬということで、毎年々々突っ込んでおるところでございます。これは国家的な不経済です。こうしたことを考えるにつけましても、私どもは今の科学でその原因を究明できるような機関を作るべきじゃなかろうかと思います。それを国鉄が中心になってやるか、あるいはまた建設省が中心になってやるかは、これは大臣が十分お考えになってやっていただきたい。とにかく日本全土が沈下して、応急処置応急処置としてむだに心ならずも急ぐままというような財政投資がどんどん行われ、そうして毎年不経済だという議論が繰り返されるということは、少くとも私は賢明なやり方じゃない、こういうふうに考えます。同僚からいろいろな意見も出ておるのだし、大島君の言われた調査会ということもありますから、一つ思い切って沈下する領土を持っているわが国のために、調査機関でもお設けになったらどうかと思いますが、大臣の所見を一つ承わりたいと思います。
  66. 中村三之丞

    中村国務大臣 率直に申しますと、私は地盤沈下ということを運輸省に来て知ったのです。私は運輸委員をやったこともありませんし、そういう方面に暗かったのです。そこでこれは大へんなことであると私は感じているのです。久里浜に運輸技術研究所というのがありますが、先般もそこへ行ってみまして、地盤沈下のことを研究しているといいますからいろいろ聞きました。ああいう研究をもっと拡大強化して、こういう問題を一つ究明すると申しますか、検討するということは、私もあなたのおっしゃるように必要だと感じておるのです。ただそれを調査会ということにするか、またほかのもっと大きな規模にするかは、これは今ここではっきり申し上げられませんが、この問題については私も非常な注意を払って、現に予算の概算要求当りまして、運輸省港湾局の予算にはその方面に特に努力するように私は省議で主張いたしました。ある程度要求してございますが、これを貫徹するようにいたしたいと思います。先ほど来だんだんと御質問なり御意見のございましたごとく、地盤沈下ということは運輸省の大きな問題というように私は痛切に感じております。
  67. 濱野清吾

    濱野委員 運輸大臣地盤沈下せざる場所でお生まれになって、そこで選挙をやっていらっしゃるから、そういうように承知しないことはやむを得ないと思いますが、私ども東京に住んでいると年々歳々その議論がある。年々歳々高潮や浸水で苦しんでおるのであります。そこで大臣は一面においては国務大臣でありますから、運輸省のこともさることながら、建設省の方との関係もございますので、運輸省建設省で思い切った権威のある――場所々々によって特殊事情もございましょう、沈下する原因もございましょう、これを徹底的に究明して、そしてその上に施設される工作物等につきましてはこういうような考え方が必要だという、そういう勧告なり意見なりを強く各省の所管方面に打ち出して、それによって予算を取って万全を期していくというような、恒久的な国家的なことを大臣にやっていただければ、これは非常にありがたいことであって、しかもそれは経済的なことではなかろうか、こう考えているわけであります。それは運輸省も大へんに大きな関心を持たなければならぬと思いますが、本所、深川等に参りますと運輸省ばかり関心を持ってもらってもあれは所管違いでありますから、そこに建設省がタッチしてもらわぬと因ります。どうかその点もお含みの上で、恒久的な対策としてまず大きな調査機関でもお設けになって下されば非常にありがたい、こう考えるわけであります。これは中村さん、あなたの地盤沈下するのじゃないのですから、あなたが勇敢におやり下さることが最もありがたいことだと思います。
  68. 淵上房太郎

    淵上委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十七分散会