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1957-05-09 第26回国会 参議院 法務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月九日(木曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            雨森 常夫君            一松 定吉君    委員            青山 正一君            大川 光三君            大谷 瑩潤君            小林 英三君            後藤 文夫君            宮城タマヨ君            辻  武寿君   国務大臣    法 務 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    法務政務次官  松平 勇雄君    厚生大臣官房国    立公園部長   川嶋 三郎君    厚生省社会局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判の運営等に関する調査  の件  (売春防止法施行運営に関する  件)   —————————————
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) ただいまから本日の会議を開きます。  本日は、初めに売春防止法施行運営に関する件を議題にいたします。  御承知のように、同法施行後一ヵ月を経過し、この間における相談員活動状況業者転廃業事情等につきましては、今後に与える影響もいろいろあろうかと存ぜられますし、また懸案の保安処分につきましても、その後の経過等につきまして、この際、検討いたしたいと考えた次第であります。  それでは御質疑の方の発言を願います。
  3. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 お忙がしい法務大臣に御足労を願いまして、ありがとうございます。  一番にお伺いしたいことは、売春防止法の一部改正が本国会の初めに提出予定法案として私どもにも印刷にして回ってきましたのでございますが、まだそういう予定事項になっております間に、たしか担当法務大臣に早く提案していただきたいということを申し上げましたが、そのときに法務大臣は、本国会には提案しない方針だという御答弁をいただいたと思っております。そうしているうちに、いつとなしにその印刷になっております提出予定になる法案が取り去られまして、行方不明になっております。そしてそのままもう本国会もこんな押し迫って参りましたのでございますが、今もってそれの提案ができておりません。一体そのわけはどこにございましょうか。法務大臣に第一点としてお伺いしたいのです。
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は私といたしましては、保定処分に関する規定売春防止法改正につきましては、何とか努力をいたしまして本国会提案いたしたい所存でございましたが、かねてお尋ねがございました際に、万一を考慮して、どんなにおそくも次の国会の冒頭には出せるようにいたしたいということを申し上げた次第でございますが、実質といたしましては、今国会提出の運びにいたしたい意図をもちまして提出予定法案にも座席をとりまして、なお、その成案を得ることに努力をいたして参ったのでございます。宮城委員の御承知通り売春防止対策審議会の小委員会方々に、しばしば御苦労を願って、お集まりをいただきまして、いろいろ保安処分に関する成案を得ることについての御協議を願ったのでありますが、これはほかの国にもあまり立法例がございません事項でありまして、全く初めての試みでございますので、なかなか適当な成案を得られないような次第でございます。なお、この保安処分に関する改正法案提出につきましては、引き続き努力をいたしておるのでありますが、成案を得ることに努力をいたしておるのでありますが、内閣といたしましても、実はもう会期末にも迫っておりますから、提出予定法案からはずすのが適当ではないかということが、席上でも出たのでありますが、間に合いさえすれば継続審議を覚悟で今国会提案だけはできるならばしたいということで、実は、それもまだ正式には閣議ではずさずに、保留をしておりますような次第であります。そこで、先般来いろいろ関係方々に御苦心をいただいておるのでありますが、現在の刑事訴訟法の上に、保安処分に関する規定を設けることについての構想で今まで進めて参りましたが、そうなりますというと、いろいろ理論上の問題や、現行の刑事訴訟法訴訟に関する手続規定や、これらとの関係で、適当な結論が得られないでおる状態でございますから、私といたしましては、この仕事を担当しております事務当局に、既設刑事訴訟法その他の法律というものにかかわりなしに、保安処分としてはどういう形のものが一番理想的であるか、また手続としても保安処分手続としてはどういうことが一番理想的であるかという観点に立って、そういう既設法令にとらわれないで、白紙の上に一つ構想を書いてみたらどうだ。そしてその構想既設法令と抵触する、現在の刑事訴訟法と相異なるものでなければどうしても運びがつかないということになったなら、ば、刑事訴訟法保安処分に関することだけについては、刑事訴訟の特例としての法律を、その中に織り込みまして制定することを考えたら、もっと早く成案を得られるのではないか。そういう角度において、さらに一つ急速に検討をし、立案をしてみるようにということを、実は命令をしてありますが、いずれにいたしましても、今国会提案できれば提案だけはせめていたしたい。もし万一できない場合においても、できるだけすみやかに成案を得て、そして予算措置等とも関係がございますから、来国会提案をするよりも前に、すみやかに成案を得まして、その成案実施に所要の予算措置等については大蔵省と交渉をし、場合によっては予備費使用等について考慮するように、何か保安処分実施をするのに支障のないような運び方をせねばならぬ。かような観点に立ちまして、目下鋭意検討を続けておるような次第でございます。
  5. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 大臣の御苦心も、それからいろいろ督励しておいでのこともよく存じておりますし、今の説明でなお一そう明らかになりましたのでございますが、実際は、もう売春防止法としては新たに保安処分を加えなくても、あれで運営はできるのでございますけれども、しかし、私どもが初めから念願しております保安処分がなかったら、せっかく女を保護更正させたいと思いましても、そのことは不可能でございます。そういう建前から申しましても、ここに矯正院、明るい、そして教育の効果が十分にある矯正院を早く作って、受け入れ態勢をしなかったら、来年の四月から法律実施されましても、これは大へんだろうと思っております。そこで、きょうは厚生省の方にもお出まし願ったのでございますが、厚生省の力の更生保護受け入れ態勢と、法務省関係保護処分の始末というものが、それに対する対策が十分できませんでしたら、私は残念ながらこの法律は死文になると苦慮しております。そこで、もともと家庭裁判所で扱えば、一番刑事訴訟法手続問題なんかも円満にいくと思っておりますが、そこにはいろいろ問題がございまして、私は初めはどうしても家庭裁判所に持っていこうというような主張を審議会でもしておりましたけれども、負けまして、刑事裁判所でも仕方がないということに譲ったのでございます。ところが、私は刑事裁判所に持っていっても、これは少年法とは違いますけれども少年法の流儀で、刑事処分とそれから保安処分と、二本立にして、中をはっきり区切りをつけたら、私は手続上の問題も起らないというように思っておるのでございますが、その点いかがでございましょうか、つまり刑事処分になります者は、これは少数でござまいましょうと思いますが、たちの悪い者には実刑を課さなければならない。それから執行猶予の恩典にあずかる者、それからその執行猶予保護観察をつける者、それから罰金もございましょう。刑事処分の方はざっと四通りぐらいになりましょうが、それで、今度はそれとはくっきり線を引いております保護処分保安処分の方は、保安処分の言い渡しと同時に、つまり法務省立案された中にも、刑にかえてという言葉が入っておりますので、これが非常な問題になっております。法律家である團藤先生に伺いましたら、それは、刑にかえてということは、大した問題ではなくて、とおっしゃって、私は刑にかえて、刑にかうるに保護教育をもってするというふうに考えましたら、これは大へん処置をするのに、たとえば六ヵ月以下の懲役という、刑事処分の方でなっておりますのは、保安処分になりまして、刑にかえてということの解釈によりますと、六ヵ月以上矯正教育をするということは、これは人権じゅうりんで、違憲問題も起るのではないかという解釈の仕方もございますけれども、その刑にかえてという言葉を、刑にかえて保護し教育すると解釈して、そうして全く矯正院というものは教育場所である。保護教育場所である。しかし普通の学校教育ではなくて、ある意味合いで身柄を拘束しながら、それは人々によって長短はございましょうけれども、どうしても外に抜け出て、何べんも何べんも、繰り返して悪い行動をするというような者は、これは野放しすることはできませんから、ある期間はやはり拘束して習慣をつけてやる。少し落ちつかせてやる。その上で、やはり生活教育職業教育をしなければならぬという建前解釈すれば、私はちっともさしつかえないと思っておりますが、この刑事処分保安処分というものを、そういうふうに解釈するということは、大臣はどうお考えでございましょうか。
  6. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いろいろ法務省専門立場におる者と、それから売春防止対策審議会の小委員会の方方と、長い間にわたってしばしば御協議をいただきましたが、どうもそういう点が、たとえば委員になっておられる学者の團藤さんの御意見法理論等となかなか一致をいたしませんことは、御承知通りでございます。さようなわけで、私どももどういうふうな落ちつき方をしたならばよろしいか、苦慮いたしておるのでございますが、結局するに、今お話のように、一般の刑事事件として取り扱います刑事処分と全然切り離した保安処分に関する実体、及びそれに所用の手続に関する規定を別途制定別構想制定をするということの方が一番早道ではないだろうかというように、私ども今のところ考えをいたしまして、そういう考え方に立っての立案、あるいはそういうことの保安処分に関する実体及び手続、これらを売春防止法の中に織り込むということになると、非常に条文の数もたくさんになりますしいたします場合が出てむずかしければ、あるいは場合によっては、別途の法律として売春防止法施行に伴う保安処分に関する法律とか、何かそういう考え方をしてみたらどうだろうかということを、実は法務省内のこの問題を担当いたしております専門家に、私ども実は意見を述べておりますような次第でございます。いろいろな角度から、一つ保安処分規定立法の必要でありますことは、御指摘の通りでございますから、できるだけすみやかに成案を得るようにいたしたい、かように考えております。
  7. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今の保安処分を別途の法案としてお作りになれば容易だという話でございますが、私は、これは少年法ですでに先鞭をつけておりますので、少年法並み考え方をすればいいんじゃないか。非常に私の考え方は甘いかもしれませんけれども。そうしてまた法律的に——法律家でございませんから、非常に常識的なことを言うようでございますが——大したことはないじゃないか。そうすれば、もう今国会に出せるのじゃないか。今国会にちょっとでも顔を出すということを、私ども非常に念願しておる。ということは、出して予算措置をしていただきませんと、こんなことをしておりますと、今度矯正官は、あいている女囚監を使えということになりますと、私どもの願いと非常に変った形が生まれてくる。りっぱな矯正院を作って、そうしてあそこでどうしても法務省でなければできない更正保護の面を、教育の面を、私はしっかり担当してもらいたいという念願を持っているのでございますが、何とか一つ、これは大臣でございませんでも、事務当局の方からでもよろしゅうございますが、一つ説明を願い、お取り計らい願って、どうでもこうでも矯正院に対する予算というもの、予算折衝を早くしていただきまして、来年の四月一日になりましたら、もう受け入れ態勢厚生省施設も、法務省施設も整って——整わなかったら、私は、なかなか受け入れ態勢のできないところに検挙することはむずかしいと思います。そうすると検挙の手が鈍れば、これはやはり業者から言わせれば、政府はやる腹がなかったというような、とんでもない場に陥ってきますので、この点一つ……。今日のあれは仕方がございません、一貫した売春防止法にならなくても、別途の法律で、らちがいというのならば、それでも私ども仕方がないと思っておりますが、何とかここに手を打って、もうぎりぎりのところででも出していただくことはできませんでございましょうか。
  8. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 全く宮城委員の御意見と、私ども気持同感でございます。ただ、技術的にこの立法が非常にむずかしい。私ども専門でございませんから、私ども立場から考えると、そうむずかしく考えないで、何とか少年法に、保安処分に関する規定もありますから、類似の方法でないものだろうか、もっと早く結論が得られないものだろうかということを考えまして、常に気持としてはあせっておるのでありますが、なかなか専門家考えますと、技術的に非常にいろいろ及ぼす面もありますので、法理論的なものも一応筋を通さなければならないというようなことで、難渋をしておるような次第でありますが、気持としては全く宮城委員のただいまのお話同感でございまから、せいぜいそのつもりで一つ作業関係の人に進めるように、一そう努力いたしたいと思います。
  9. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 どうぞその点をお願いいたします。  それから、いま一つ大臣にお伺いしたいと思いますことは、去年の五月ごろに売春対策察議会の中に小委員会ができまして、私もその小委員の一人なんでございますが、その委員会がずいぶん開かれないで、確かに非公式に大臣にお会いしましたときに、あれどうなっておるんでしょうということを私は伺ったこともあるし、早く委員会を開いていただいて、早く立法措置をしなければいけないということを申しておりますうちに、だんだん延びて、ごく最近になりまして、まるで足元から火がつくように小委員会を開いたり、それから全部の委員会も開いたりして、それこそもう大騒動、ひっくりかえして、てんやわんやの騒ぎなんでございます。私はこのことはどうしておるだろうかと、その当時は、ただ政府も怠っておるし、委員も怠っておるしというくらいに、簡単に考えておりますが、実は最近の審議会に出まして、どうしても私はふに落ちないことがございます。ことに、ついせんだってございました委員会なんかでは、これはもう私は待ちかまえて、この矯正院に対する審議などというものは非常に大事な、これは今度の保安処分の一番中心をなすものでございますから、それに対してもう集中すべきものだといって準備して行っておりましたところ、実は私は矯正院に対しましては、別に専門家でもございませんし、事かくのごとく大事な問題でございますから、ある日なんか、法務省へ押しかけて行きまして、法務省矯正局方々全部とその構想を練ったり、仲間に入って、これは押しかけ仲間に入るほど私は大事なことだと思っておる。その大事なことが何にも問題にならない。その前に、まず業者を救う窓口を作れという問題が出てきたのであります。そうしてそれに終始した。それでその中央窓口はどこにしようかというと、総理府に置こうじゃないかという問題まで出まして、その責任者の一番最後の者は総理大臣でもあるかのような格好で、各省関係省がみんな出てきて、中央窓口に出張せいというような話が出まして、そして地方には地方窓口を作れという……まるで売春防止法の大事な保安処分の問題でなくて、業者救済策といったような、私はそういう感じを受けたのでございます。そのときに、私は、これは結局資金の問題でしょうということを申しましたところが、ある委員が、そんなことはありませんよと言って、一、二、三と、資金の要らない問題について、こういう問題があるのだから、資金の問題じゃないと、こうおっしゃったけれども、そのとき私は、手の中に、ここに、佐世保の今度できますところの、佐世保の市にございます六十一軒の業者全部が一緒になって、集団転業しようというケースが、しかもこれはモデルケースとして出てきております。この書類を持って参っておりますけれども、きょうの委員会において政府にただした上で私は発言しなければならないと思って、実に胸を押えて忍んで参りましたのでございますが、それによりますと、こういうことが書いてある。「転業事業に伴う資金斡旋方法に関する要望書長崎佐世保市島瀬町」、そうして、これの責任者は、水元秀吉という方であります。私はこの方は、あの審議会の会長からわざわざ私のところへ連れてこられて、この人をほろぼしておかなかったら、この人が一番文句を言うから、この人によう頼みなさいと言って、私の所へ連れて来られました。見るからに私は業者だろうとにらみました。ところが、その方が持ってきたものにこういう文句が書いてございます。「かねて御配慮いただいて居ります長崎佐世保市勝富町席貸業組合集団転業別紙添付の如き事業計画(既に厚生省許可済)でありまして之に必要とする資金の融資を政府の積極的な指導と援助を賜ります様審議会に於て再度御斡旋方御取計い申し上げると同時に全国の転業モデルケースとして早期育成される事を御要望致す次第であります。」、そうして、そこに一、二、三、四と理由書きがありますが、とにかくこれを読みますというと、六十一軒の全業者が、従業員とともに転業しようという、それは、佐世保西海公園ですか、国立公園の中にいろいろ事業計画がございます。一番目立ちますのは、公衆浴場で、これは、規模としましたら四百五十坪を擁して、収容力が四百名、この工事費概算額というものが五千万円、そうして自己資金はゼロでございます。自己資金がゼロで、政府資金というものが五千万円に見積ってあります。その他浴場、また簡易宿舎、それから旅館、それからホテル、こういったような、まだその他貸しボート等、いろいろございますが、この総計の予算が一億八千四百万というものが計上されております。この金は自分たちが一文も出さないで、みんな政府資金に待とうという、この書類を私はそのときふところにしておりましたけれども、一ぺん厚生省にたださなければ発言することはできないと思って、ほんとうに涙をのんで私忍んでおりました。この書類の中に、この間から審議会でもめて、早く業者の窓が開かなかったら業者に対して済まないからというようなことを言われておりましたが、それが、ちゃんとこの一覧表ができておりまして、それはちゃんと政府中心にしてであります。政府中心にしまして、その横書きは、「専門委員会社労)」、「売春対策審議会諮問機関」としてあります。そうして、関係各省とも勢ぞろいして出ることになっておる。それに、中央事務局をちゃんと置いて、それから地方窓口ということになっております。しかも、その上に、「転業に対する立法措置早期実施」と書いてあります。私は、この転業措置立法するということは、一体内容は何であろうか、これは業者に聞いてみなければわからぬことでございますけれども、これだけ多額の資金一体政府が出す何か予算があるかどうか。それで、私は去年から法務大臣が大へん怠っていらっしゃると——私ここで文句を言わしていただきますが、怠っていらっしゃるということも、これは今になって、どこに政府窓口を開こうかというて、てんやわんやの議論が出ておるということなんかと思い合せますと、私、今日になったらおかしいそと思っております。何かこれは裏があるのじゃないか、私ども考えでは、この立法をいたしますときに、業者を救えなんということ、それはもちろん業者の正しい転業を願うためには、私どももまたほんとうのお手伝いができればしたい、今も細々ながら私なんかも手伝っております。だが、政府の手を通して、そうして、そのときに説明がございましたが、だれが一体中央窓口責任を負うだろうか、法務大臣だろうか、あるときには、厚生大臣にときまったら厚生大臣が辞退なさったという話が出ておりました。これはどういうことでございましょう。大臣を連れてこなければならぬということは。政府から金を出させる必要がないものなら、何も大臣を連れてこなければならぬ必要はないと私は思っております。そういうことから、どうも口を開けば、業者が困る、業者を救えと言う、立法がおそくなれば業者が口実にすると言うし、それから業者を救う窓口ができなかったら、業者にこれは乗ぜられるなんて……。私は、業者なんということをこの際問題にすることはない、業者窓口が必要ならば、どうぞ有力な民間の人を連れて来て、金でも事業でも何でも手伝ってもらう、それは民間の人でたくさんだと私は思っております。だが、その点はいかがでございましょうか。一体政府にそういう予算を取って、このモデルケースとか、佐世保だけでも二億八千四百万円でございますかを計上して、政府に迫ろうとしております。これは長崎の知事の筋で、私にほかの筋から頼んでもきております。だが、一方からいいますと、あれはどうぞ国会で監視してくれ、あれはインチキだよという投書もきております。でございますが、一体政府はそういう資金を融通しようという考えがあるかどうか、それを一つ答えていただきたいことと、それから中央窓口中央政府でもってやらなければならぬという理由一体どこにございましょうか。そのことについてどうぞ御答弁をわずらわします。
  10. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今、宮城委員のお読み上げになりました佐世保業者転業に関する要望書でありますが、それは、拝聴いたしますと、全く業者の勝手な要望や企画を書き連ねたものであろうと思います。主として今のお話の点は厚生省関係したことと思いますが、私ども政府部内の一部のものといたしましては、現在のところ、業者転業に対して政府資金をあっせんする、あるいは心配するということは毛頭考えておりません。ただ、相談窓口につきましては、先だって私も売春防止対策審議会へ出席いたしましたら、その席上、ちょうど審議会委員の方が班を組織いたしまして、各地の状況視察をなさいました結果の御報告がございまして、私もつつしんで拝聴いたしておったのでありますが、その際の話を承わりますと、どうも地方を歩いてみると、相当業者には転業意欲が旺盛である、しかし、どういうふうにして転業したらばいいか見当がつかないで迷っておるものが非常に多い、どこかへ相談をして、しかるべき転業の道をはかりたいという意欲は相当旺盛である、そこで、どこも相談相手を作らずにおくということでは、せっかくの意欲を喪失させてしまう危険性があるから、この際、どこかへそういう相談を持ち込む窓口を作ったらどうかということが、ほとんど現地視察をされました審議会委員方々の大部分の御意見のように拝聴いたしました。政府としましても、何かそういうことを考えなければならぬのではないだろうかということは、閣議の終りましたあとなどで、雑談的に出たことはございますが、政府機関としてそういうものを作ろうということは何もまだきまっておらない状態でありますが、ちょうど審議会でそういう説が出まして、なお、せんだっての審議会で、何らかそういうような方法を考慮しろという意味の御決議でありますか、要望決議でありますか、御意見かがありますので、せっかく審議会の御要望もありましたので、内閣官房中心になって、とりあえず関係各省次官クラスの会合でも開いて、そして審議会の御意向に沿えるかどうか、またそういうようなことはどうすればいいかというようなことを、研究さしてみようではないかという程度の話を、せんだって官房長官等といたしたのでありますが、今御指摘になりましたように、業者が自分らの転業のために身勝手な要望をいたしましても、政府としてそれに即応するような財源的な措置もありませんし、また大体現地を御視察になりました審議会委員方々の御意見を聞きましても、業者には相当みな資力があるので、業者自体の転業については資金的な世話までしなくても、やる気があればできるのだろうという御意見も多かったようでありますから、それらを勘案いたしまして、われわれとしては政府部内で善処するように努めて参りたい、かように考えております。
  11. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ただ、このモデルケースとしてここにあげられましたので、大臣に覚えておいていただきたいことは、この自己資金というものが一文もないということなんです。そうして政府から二億八千四百万円も出してもらおうとしておりますということ。  それからこの公衆浴場というものがこれは今から厚生省の社会局長に伺いたいのですけれども、非常な大がかりな五千万円もかけて四百人もふろに入れるようなしかけというと、私はすぐこういうことを想像します。東京にありますトルコぶろ式なものじゃないかしら、そしてそこに女をみな一緒に転業させる。その中に連れていくというのでございますから、これは何といっても看板の塗りかえになることで、これは許すべからざる状態じゃないかというふうに思っております。しかも、これを厚生省は認可しておるということをちゃんとうたっておりますが、これはどうぞ大臣一つ御研究いただきたいということをお願い申し上げておくのでございます。それで、一つ大臣に教えていただきたいことは、私は業者が今非常にじたばたしておる。一つは女の人の前借踏み倒しということなんでございますね。これは私考え方によったらほんとう業者を救う一つの大きい道というのは、あれはまあ一昨年でございますか、最高裁判所のこの判例で、前借踏み倒しが出ましたものですから、私ども初めとして前借踏み倒して出てしまえ、出てしまえと、実は女たちをおだてたいのでございます。だけれども、今ここで十何万といいそれから五十万といいまあ非常に大きい数の女たちが、みんな前借踏み倒せということになると、これは一体業者はどうなるか、私は業者に対してほんとう考えてやらなければならない点はこの点じゃないかと思っております。ということは、それはあの判例をよく読んでみますというと、あのときの判例あのときの事件は、踏み倒しで実はけっこうなんです。けっこうなことですが、大勢の中には、踏み倒してはこれは人間の道でないじゃないかという私は事例だってあると思うのです。事件だって。それは高利が悪い。高利で貸して、そして生血を吸っているじゃないか。踏み倒したってちょうどいいという事件はそれでいいとしましても、やはり業者の方にも気の毒な状態が私はあるのじゃないか。だからこそ、私は早くあの厚生省関係で受け入れて下さって、早うあの女たちに金をうんともうけるような方法をしてほしいということを、いつも願っているのでございますけれども、私は、借りたものは四苦八苦して返すのが——これは世間におきましても高利を借りて弱っているものは幾らもおります。それをみんな踏み倒せということになると、一体どういうことになるだろうか。私は、ここに女を指導する指導の仕方はあるというように考えております。この前借踏み倒せということについての大臣一つ考えを、これっきりでよろしゅうございますから、どうぞ。
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) だいぶむずかしい問題でありますが、これはもちろん踏み倒す踏み倒さぬということよりは、私ども承知しておるところでは、法理論的に最初からその目的で金銭の貸借をいたしましたのは、その契約自体が当初から違法契約であって、すなわち法律上効力のないものである。不当利得その他の関係で、借りた金を不当に利得しておるならば、他の法理論上の筋として返却の義務があるかもしれませんが、貸し借りすること自体としては違法契約に基く金銭授受でございますから、根本的に無効なもので、今さら踏み倒すとか踏み倒さないとかいうものではないのじゃないか。かように考えております。  それで、ただこういうふうに売春防止についての世論が近年非常に高まりまして、皆さんの御尽力もありますので、おそらくこういう情勢になってからさような違法契約をいたしまして女性をかかえ、金を貸しておるという例はごく少いのではないか、もしあったとしても、それはかかえたり、金を貸したりする人自体が、もうその危険を覚悟でやっておることではないだろうか。なお古いものにつきましては、もう相当その間業者としては利益もあげ、回収もしておるという実情にあるのが多いのではないだろうかと思うのであります。従いまして、今のところの私ども考え方といたしましては、せんだって水上の一女性がかけ込みをいたしましたが、これらにつきましても、その女性の私有物になっております衣類であるとか、たんすであるとかいうようなものを仮処分いたしまして、十分この女性の保護に万全を期しておりまするようなのでありますが、これは全部の女性にそうできればけっこうなのでありますが、なかなかそれは警察や司法関係の手が回りかねますから……。しかし、そういう現われた事件については、厳重に措置をすることによって、一般業者に十分警告を与えて反省もし、また転業意欲を旺盛ならしめる方向へもっていくことがいいのだと、かように考えておりますから、そういう過酷な取扱いを受けております女性が、かけ込み等をいたしました場合においては、十分の女性に対する保護及び徹底した措置を、出たものについては行うことという考え方で進むようにいたして参りたい。かように考えております。
  13. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私はもう大臣にはよろしゅうございます。
  14. 山本米治

    委員長山本米治君) 社会局長の方はどうなんですか。
  15. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 社会局長にお願いしたいのです、これから。
  16. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 私の方で実は業者の転廃業のあっせん促進を直接いたしておりませんので、今のお話は、国立公園の中のいろんな計画でございますので、国立公園計画としての行政の上で関係があったと思いますから、公園部長の方から一つ答弁さしていただきます。
  17. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ここにございますこの厚生省の方ですでに認可済みでありまして、これに必要とする資金の融資を、政府の積極的な援助と指導を賜わるよう云々と書いてありますが、これ御存じございませんか、局長は。
  18. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 公園部長から一つ……。
  19. 川嶋三郎

    政府委員(川嶋三郎君) この案件につきましては、まだ認可をしておりません。今その研究、手続中でございます。
  20. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それでは、この建物はいつわって書いてあるというように理解する方がいいですか。
  21. 川嶋三郎

    政府委員(川嶋三郎君) この問題につきまして、私の方から扱っている内容につきましてもう少し申し上げたいと存じます。問題のあら筋を私のあずかります国立公園行政から申しますと、西海国立公園の鹿子前の集団施設地区、それは集団的に公園利用の施設を作るべく計画された場所でございますが、その施設一つ公衆浴場というものがあるわけでございます。で、それを事業としてやりたいという申請がございまして、それを審議して、私の方の手続といたしましては近く認可いたしたいと、こう運びをしておるわけでございます。ところで、国立公園は、御承知のようにいかがわしい業態、いわゆる赤線、青線のようなものは絶対に排除すべきものであります。同時に、この案件は、御指摘のように佐世保市のいわゆる集団転業者の業でもございますので、その点を特に私の方といたしましては注意をして、慎重に検討をいたしたわけでございます。で、現在の到達しておりまする結論は、この業が、公衆浴場の経営が風俗営業あるいはそれに類する行為にならぬように、そういうことをまず条件づけ、のみならず、その設計においても、とかく小部屋ができますというと、いかがわしい行為に利用されやすいので、大部屋のみ、すなわち十二畳以下のものは認めないと、こういうように設計において条件をつけた。なお、この公衆浴場というのは、この西海公園にその風景を見に来て、休憩をして入浴をして帰るという施設でございまして、宿泊施設は入らないわけでございます。そういうわけでございますので、認可の条件をつけ、なお、知事に対しても業の監督を厳重にするように指導方を条件づけまして進めて参りたいと、こう思っております。  なお、先ほど収容力の問題についてお話がございましたが、それは休憩室に収容できる数が四百人というか、大きなものでございますが、同時に入浴し得る数はもっと少いのでございます。それから、この計画では、女は食堂、売店での従業員及び事務員として使われるという計画になってございます。
  22. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この理由書の中に、業者並びに従業員の生活の安定を図り云々と書いてございます。だからこの業者と女が集団的にそちらへ行って転業しようというわけなんでございますね。で、これは全体的に考えますと、東京あたりでも女を連れて転業しようという所が一番これは悪いのです。これはもうよく調べますとみんなインチキです。転業したからというけれども、それは看板の塗りかえで、私はこのことを非常に心配しておりますが、そこへもってきて、一体、お許しになるはずだとおっしゃるけれども、そして最近にお許しになるらしいのですが、一体自己資金というものが一文もないのに——厚生省資金を出してやる覚悟ですか。
  23. 川嶋三郎

    政府委員(川嶋三郎君) 先ほど申し上げた条件、すなわち、風俗営業等をするとか、あるいは設計を小邪魔にしたりしてはならぬという条件等を満たさない場合、違反する場合には、私の方といたしましては、こうした公園の中でさようなものの存在を許さないわけでございますから、許可を取り消す、または、場合によって原状回復を命ずる。こういうつもりでおるわけでございます。なお、資金の面につきましては、これは一般の例によって参りたいと思っております。従来、こういう国立公園計画に基く施設につきまして、特許を得てやりたいという業者が、資金のあっせんについていろいろと援助方を依頼して参りますが、その資金のあっせんについては、いろんな金融機関がございますので、そういうものの向き向きに応じて私どものできることはお世話しておりますが、この案件についても現在のところ、それ以上のことは考えておらぬわけでございます。
  24. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 十二畳の部屋が幾つできるのでございますか、予定では。
  25. 川嶋三郎

    政府委員(川嶋三郎君) これにつきましては、認可をいたしますと、今度は設計につきまして申請が参ります。その際に、設計の確認をして認めるわけでございます。従って、まだ正確な実施案の設計にはなっておらぬわけでございます。
  26. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 別府あたりのインチキな部屋は、これは十二畳よりもっと広いと思いますがね。この十二畳なら大丈夫というようなことでなくて、しかもモデルケースというのですから、これは厚生省一つ責任を持って許可なさる前に調査でもして下さいませんか。調査は済んでおりますか。
  27. 川嶋三郎

    政府委員(川嶋三郎君) 私の方の事務当局として、ほかの場所の案件を一応は研究しておるわけでございます。
  28. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 委員長に申し上げるのですけれども、これは、一度当委員会から委員の方を派遣していただきまして、実地を一つ見させていただきたい。  それでは、この問題はまだまだたくさんありますけれども、きょうはやめますが、せっかく局長が見えておりますから伺いたいのでございます。全国の相談員が出そろいましたようでございまして、この間名簿をいただきましてありがとうございましたが、これは男子と女子とはどういう比率になっておりましょうか。
  29. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 女子が大体七割で男が三割弱ぐらいだということでございます。
  30. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 早いのはもう去年の十月ごろから任命され、おそくてもことしの一、二月で済んでいるようでございますけれども、任命された人々から何か要望でもございませんですか。私どものところへいろいろなことを言うてきておりますが、厚生省の方はいかがでしょう。
  31. 安田巖

    政府委員(安田巖君) まだ各地でいろいろ指導講習会をいたしたり、府県でいたしたりした程度でございまして、まあ東京都の婦人相談員の集まりには、私自身も出て、実はいろいろ皆さんのお話しを聞いたようなわけでございますが、いろいろ活動につきまして費用が足りないとか、あるいは家の問題、住宅の問題でありますとか、あるいは生活保護その他の法規の適用の問題等につきまして、意見があった程度でございます。
  32. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 開店休業で困っているというような、しかもそれは警察からくる事件以外はきていないような、それだから自然に開店休業になるというような訴えはございませんですか。
  33. 安田巖

    政府委員(安田巖君) そのときには大へん忙しいような話でございまして、ことにそのとき立っていろいろお話しをなさった中で、私の記憶に残っておりますのは、あるいは渋谷でございましたか、これはもう自分で進んで街娼に立っておった女の生活保護その他のことを実地にやったという経験を話しておられました。それからことに立川の婦人相談員のごときは、これはほんとうに置屋まで自分で乗り出して参りましたり、あるいはまた生命の危険を感ずる程度のことまで実は乗り込んでやっておられるようなことで、非常に敬服いたしたのであります。その他の地区でも一生懸命おやりになっているようです。  それで、今の警察から送ってきたのが多いから手持ちぶさたじゃないかということでございますが、これは東京都の婦人相談活動状況がここにございますので、ちょっと時間を拝借しまして御紹介申し上げたいのでありますが、三月中の取扱いの件数が百三十八件になっております。そのうちで、婦人寮へ入寮するとか、生活保護あるいは児童福祉などの公的な保護のルートに乗せることを適当とするケースが六十八件で、全体の約半数を占めております。そのほか一般生活指導であるとか、荷物の引き取りであるとか、家庭紛争というような相談が七十件ぐらいあります。それから相談受理件数に対する解決件数の割合は、先ほど申し上げました公けの保護のルートに乗せるべき生活相談が六十八件で、解決いたしましたのが四十五件でございますから、六六%になります。それから一般の生活指導、身上相談等につきましては、七十件対二十三件でございまして、こちらは約三〇%。  それから、今の経由機関別の件数をまとめたものはございませんが、傾向といたしましては、今お話の警察からやってくるものが最近だんだん多くなっております。それから福祉事務所、それから福祉主事、そういったものが活動いたして、保護家庭を訪問した際発見するとか、そういったようなものも出てくる。それから民生委員というようなことになります。これは東京都だけじゃなくて、神奈川を調べましても、やはり昨年と比べますと警察の方からの引き渡しが相当あるということでございます。これはやはり売春防止法ができまして、警察当局も非常にそういった点について関心を深めておるという一つの証左ではないかというように考えております。  それから就職のあっせんにつきましては、女中が一番多いということを東京都では言っておるのでありますが、長続きいたしますかどうかということは、日が浅いことでございますので、今後の経過を見て参りたいと思います。  それから学校や会社の寮のまかない婦に住み込むという世話をいたしておりますが、これなどは子持ちの場合には非常に都合がいいのではないかということでございます。  それから婦人相談所ができましてから、逆に今度は求人申し込みと申しますか、これはそういう人があったらというようなことをいってくるのが相当あるそうでございます。女中でありますとか、美容師、洋裁の助手などとか、それから特殊の事情を理解して来る場合と、やはりそういうことを全然知らないで来るものがあるのでございますが、そういう方にも事情を話すと理解をしてくれるということでございます。  それからついでに婦人相談所の設置状況を申し上げてみたいと思いますが、これは現在約半数の府県の二十二都道府県にできておりまして、また五月、六月の予算で設置をいたすというのがそのほかに相当ございます。この二十二都道府県につきましては、相談業務をすでに開始いたしております。ただ、一時保護施設につきましては、中で若干おくれるものがあるようでございます。その他の未設置の府県も六月一日には発足できるというものが相当あるわけでございます。  それから婦人相談員の任命の状況でございますけれども、これもついでに一つ説明さしていただきます。一名も任命していない府県はおかげさまでなくなりました。大体定員が四百六十八人に対しまして三百四十名が置かれておりますから、なお充足率としては七三%である。このおくれております事由は、全部を府県の職員にしないで、市にも置けるようにいたしましたので、市の方には御承知のように「置くことができる。」と書いてございますので、そちらの方の未設置が相当あるのが、ここに出た数字の未設置分であろうと考えます。しかし、私どもも督励をいたしておりまして、なるべく早く全部に設置されるように、今後も努力をいたしたいと思っております。
  34. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今二十二府県とおっしゃったんですが、これは一時収容所じゃございませんか。収容所ですか。
  35. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 婦人相談所でございます。婦人相談所が二十二できたのでございますが、婦人相談所には御承知のように法律規定してありますように一時収容所をくっつけるわけでございます。今の先生のお話は、保護収容施設じゃないかと思います。保護収容施設の方は、今三十九だけ予算が取ってございますが、まだそれを配るまでに至っておりません。もう少し時間をいただきたい。
  36. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そうすると、来年の四月に間に合いますか。
  37. 安田巖

    政府委員(安田巖君) もちろん四月までには作らせるわけであります。府県の予算等もございまして、できるだけ早くとりまとめをいたしまして、そしてこちらから指示を出したいと思います。
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 一時収容所が非常に必要視されるような私感じでございますが、どうでしょうか、その点は。
  39. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 私どもこの案を立てますときに、実は婦人相談所というものが一時相談所、一時宿泊所というかを付置することによって意義があるという考え方でおったのであります。でありますから、あることは非常に役に立っておるわけでございますが、ただ、私どもが二、三聞いておりますのは、いつも、たとえば十五人の定員なり二十人の定員が一ぱいではございませんで、そういったときに二人とか三人とかいうことがある。それを一人幾らという事務費でくると足りなくなって困るということで、しばしば陳情を受けております。これは私どもは、相談員、それから相談所、一時収容所をくっつけた相談所とございますが、それと今度は収容保護施設、この三つが一体になって初めて保護更生の仕事が軌道に乗るだろうという考え方でおります。
  40. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 もう一つ相談員方々が、この仕事をする上に、拘束力を発動するような権限を与えてほしいという要望がございますか。
  41. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 実はそれはあまり聞かないのでございますが、宮城先生御承知のように、前に売春の審議会がございましたでしょう、法務省でいつもやっておりました。あそこではそういうことをやったらどうかという意見が相当出たわけであります。しかし、女の相談員の方にそういう立ち入り権とか何とかいうものを持たしてみても、結局どれだけの利益があるかというので、むしろ厚生省の要請とすればそういった拘束力といったものは警察なりその他にまかして、協力していくということが本筋ではないかというようなことでこうなりました。なお婦人保護施設も、これは先ほどから宮城先生がお話になっております保安処分としての矯正院に入れるというようなことと関連があるわけでございますが、これは身柄にある移度拘束力を持たせたいというお気持があると思いますが、保護施設の所長などが集まりますと、御承知の救世軍の施設などにおきましても、何といっても自分たちのところに権限がなければ、逃げたければ逃げていくということでは、まるでさいの川原じゃないかということを言う方があります。これも、もしおやりになるならば法務省の系統としての仕事としてやるのであって、厚生省が、つまりハンディキャップを持った人に対する保護をするという行政をやっておるものが、そういう強権を発動したり、あるいは拘束力を持たせて身柄を拘束するということをやることはやはり邪道である。やはり何度も説得と愛情でもって仕事をやっていくという建前にしようじゃないかというふうになっておるわけでございます。
  42. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 よくわかりましたが、さっきもおっしゃったように、私ども審議会審議委員が全国を歩いたら、どこへ行っても強制力を持たせなければ仕事ができぬ、できぬと訴えたのだそうです。これは、もし強制力を持たせるとするならば、またほかに考えるべきじゃないかというように私思っております。  それから今厚生省の方の保護施設に権限を持たせたり、あるいはその一部分閉鎖式的なものを作るなんということは、私は大反対でございます。この売春婦を更生させるのには、なかなか気長に、また逃げれば連れてきてまた仕事を教えてよくやらせるというとても気長な仕事だと思っております。だけれども、やはり法務省関係でやらなければならない婦人に対しては、私はやはり強いものを打ち立てなければならぬだろうという意見でございますけれども……。  大体わかりましてございます。ありがとうございます。
  43. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 先ほど宮城委員の御質問で、西海国立公園集団転業の問題、国立公園部長の御答弁を承わっておりますと、大体認可の申請がきておって審議中であるが、もちろん審議中ですから、どうなるかわかりませんが、ほかに重大ななにがなければ、認可になるではなかろうかと私は想像いたしておるわけであります。その時期がいつごろに大体認可になるか、ならぬかということを一つお聞きしたいということが一つと、それからもう一つには、認可になった場合に、その次にくるのは、具体的には設計をつけて云云という許可が要るように承わったのですが、一たん認可したものは、そのときに相当具体的に内容審査されていましょうから、設計をつけて許可を申請してきた場合には、前の認可を取り消して不許可にするというようなことは、まあないと思うのでありますが、その辺の事情、今までの取扱いの慣例というようなこと、その二つをちょっと。
  44. 川嶋三郎

    政府委員(川嶋三郎君) この申請者の計画を、設計等についてもすでに相当事前審査をして調査を十分しておるわけでございますが、先ほど申し上げたような条件をつけて認可をしようという方針のもとに、近く手続が終ると思います。従って、近々に認可される。これは鹿子前地区に公衆浴場を認可するということであって、その事業に対して業者から具体的にこういう設計でやらしてほしいという申請が参ります。従って、そういうときに、今度は正式にその設計に条件をつけ、また設計を変更させる必要があればさせて、そこを許可をしたいと、こういうふうに考えております。
  45. 山本米治

    委員長山本米治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時十五分散会