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1957-04-04 第26回国会 参議院 法務委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年四月四日(木曜日) 午前十時三十七分開会
—————————————
委員
の
異動
本日
委員井上知治
君及び
小酒井義男
君 辞任につき、その補欠として
迫水久常
君及び
栗山良夫
君を議長において指名 した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
山本
米治
君 理事 雨森 常夫君 一松 定吉君
委員
青山 正一君 大谷 瑩潤君 郡 祐一君
西郷吉之助
君
迫水
久常
君 田中 啓一君 吉野 信次君 岡田
宗司
君 河合 義一君
宮城タマヨ
君
政府委員
法務省民事局長
村上 朝一君
説明員
国税庁徴収部徴
収課長
宇佐美 勝君
運輸省自動車局
整備部長
岩崎 清君
最高裁判所長官
代理者
(
事務総局民事
局長
) 關根 小郷君
参考人
弁 護 士
鈴木
多
人君
弁 護 士
江川
六
兵衞
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
滞納処分
と
強制執行等
との
手続
の調 整に関する
法律案
(
内閣提出
、衆議
院送付
)
—————————————
山本米治
1
○
委員長
(
山本米治
君) ただいまから本日の
会議
を開きます。
委員
の
異動
について御報告いたしすず。四月四日付をもって
井上知治
君が辞任せられ、
迫水久常
君が補欠選任せられました。
山本米治
2
○
委員長
(
山本米治
君)
滞納処分
と
強制執行等
との
手続
の
調整
に関する
法律案
を議題といたします。本日は、初めに本
法律案
につきまして、
参考人
の方から御
意見
を承わりたいと存じます。御
承知
のように本
法律案
には
自動車
、航空機、
工作機械等
が除外されておりますが、特に
自動車
につきまして
調整
の
必要度
を詳細に
検討
いたしたいと考えた次第であります。
参考人
の方々には御多忙中にかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございました。それではまず
鈴木参考人
から御
意見
を伺いたいと存じます。時間の都合上お一人三十分以内
程度
にお願いいたします。
鈴木多人
3
○
参考人
(
鈴木
多
人君
) ただいま
委員長
から
紹介
になりました
鈴木
多人でございます。私は
日本小型自動車販売協会
、
社団法人全国小型自動車整備振興会連合会
、この両会の
顧問弁護士
といたしまして、多年本
法案
のような問題に取り組んで
検討
、
研究
し、
機会
あるごとに
当局
にそれを上申いたしました
関係
上、本日の
意見
を述べる
機会
を与えられたことを衷心より当
委員会
に感謝いたします。なお、
弁護士
としての多年の
経験
から、知識から、この問題について率直に
意見
を開陳したいと思います。 この問題の流れる
思想
は、何としても生まれ変った新
日本
の
民主思想
を織り込んだものと信ずるのであります。すなわち
国権
の発動である
税金
の
徴収
を有効ならしむるとともに、その
税金
の
徴収
が
私権
を非常に圧迫阻害しておるということについて、これを
調整
するのが本
法案
の企図するところと信ずるのであります。その意味において本
法案
を立案提出せられた
法務当局
に
敬意
を表します。しかしこの
法案
の内容は、
どら
も残念ながら満足し得ないのであります。何となれば、これは単に
滞納処分
と
強制執行
との相関連した場合における
強制執行
についての、むろん仮
差し押え
がありまするが、一の
救済便法
にすぎないのでありまして、依然として
滞納処分優先
であることは、この
法案
全部を見ても疑いをいれないのであります。そこでそれらの
不満
といいますか、不備といいますかについて、まず第一に
自動車
がこの中に入っていないということであります。
自動車
といいますと、多くの人は乗っておることだけで、それ以上のことはあまり
関係
をしないのでありますが、
自動車
を
入手
すること、いわゆる買い入れる側とこれを渡す人、すなわち
売主側
との
権利関係
のこの錯綜ということはきわめて多いのであります。次に
自動車
の今度は
持主側
として、
財産権
として占める
割合
というもの、これは
予想外
に多い、なかんずく
小型関係——
これは三輪
関係
であります、私は先ほど申し上げましたこの
小型関係
の
顧問
であるとともに、
普通車
、四輪車この
自動車会議所
というものがありまして、これの会と連絡をとりまして、たびたびこの問題について
検討
協議しております。そこで、それらの隘路は何としてもこの
国税徴収法
の
規定
であります。御
承知
の
通り明治
三十年にできたこの
国税徴収法
は、現在の
民主主義国家下
においてきわめて陳腐、古い
官僚封建下
の遺物であります。これが今日まで
裁判所
における
民事訴訟手続
と相いれない、要するに
国税徴収法
に基く
公売差し押え
があるがために
民事訴訟法
による
私権
の
行使
が阻害せられておる、その
国税徴収法
中一番問題になるのは第二条のその
国税優先権
であります。
国税先取権
と申しますか、これはきわめて絶対的であります。それと
国税徴収法
の第三条のこの
言葉
は、
先取権
の制限ではありますが、事、
自動車
に関する限りはこの三条によって全く
私権
が阻害せられております。例を申し上げますならば、
自動車
を販売する場合において、
代金
の決済は大てい一年以内なんです。多くは
月賦
で購入するのであります。そうすると、この
国税徴収法
の三条によって
納税者
の納期より一年前にその
財産
が
質権
、
抵当権
を設定せられたことを
公正証書
で証明しない限りは、全部
滞納者
の
税金
として取り上げられるのであります。そこで
自動車
を売った場合に、要するに
滞納者
に
自動車
を売れば、真っ先にその売った
自動車
は
代金
の
回収
が全くないうちに
税金
の
対象
になる。私の扱った
事件
ではなはだしいのになりますと、
浦和
で
自動車
を十台ばかり詐欺同様にして取られてしまった、
代金
は手付けだけで
自動車
十台を持っていかれました。むろん
抵当権
は設定いたしましたが、車の所在が不明で日夜
浦和
の県下を探しまわりましてやっと見付けました。
最高裁判所
の
自動車強制執行
及び
自動車競売
の両
規則
に基いて監守、保存の
手続
をして
自動車
を発見して
差し押え
したのであります。いよいよ
公売処分
をいたしますと、
大宮税務署
と、
大宮
の市役所ですか、
滞納金
が四十万かあると言うて
納付要求
をされました。その
滞納税金
はすでに数年前
税務当局
ももうあきらめて、あの人間は何もないのだ、幾ら
滞納処分
しても取る物が
一つ
もないということがわかって、ほとんどあきらめておったのでありますが、
自動車販売業者
が十台売ったということによって、
差し押え
をしたから、売
得金
の大部分はほとんど取られてしまった。ここで
国税徴収法
というのはずいぶんひどいものだということを私は切実に感じ、自来この問題と取り組んできたのであります。そこでこの
協会
においては、
国税徴収法
と
自動車
の
関係
については、
昭和
二十九年、その前から協議しておりましたが、二十九年三日には
関東財務局
の
三竹事務官
においでを願って
座談会
を開きました。それから同じ二十九九年三月、これは
運輸省
の
自動車局担当官
と
座談会
を開きました。それから同じ年の七月七日には
法務省民事局
の川島第三
課長
と私及び
協会
の
阿部専務
が
自動車抵当権
について、いろいろ懇談いたしました。その他あげ来たれば幾たびかこれに取り組んだのでありますが、
どら
も
自動車
に対する
関係当局
の
認識
がきわめて
不親切——
と申し上げてはなんですが、御理解が
どら
も足りないのじゃないかと思うのであります。 いろいろ経過を述べますと長いことでありますが、まず私が
結論
を申し上げますと、
国税徴収法
のいろいろな
規定
、その他
最高裁判所規則
のこの
自動車
に対する
自動車強制施行
及び
自動車競売規則
、それから
道路運送車両法
による
関係
、これらとにらみ合わして見て、本
法律案
そのままをうのみにして御
通過
を願うということは、きわめて私は残念であります。と言うて、この
会期切迫
の際に強く
自動車
を入れてもらいたい、入れなければ絶対われわれとしては賛成できないと申し上げた結果が、今
会期
中に
通過
しなければ、われわれ多年の
希望
が水泡に帰しますから、われわれの
意見
を十二分に御
検討
願いまして、でき得れば修正する、これは事実上不可能と思います。修正ができなければ
付帯決議
なり
希望意見
をもって、
自動車
を近い将来に含める、
最高裁
の方でも
規則改正
によってこれを補充する、いろんな
関連法令
は、すみやかに
関係当局
に
協力
を当
参議院
から御要求願って、こういうことで御
通過
ぜられんことをお願いしたいのでありまするが、どうしても以下述べるところについては深甚なる御
検討
をお願いしたいのであります。この
自動車
が
本法
に織り込まなくても大して支障はないではないかという御
意見
もあるようでありますが、
自動車
の
財産権
として取得する方の側、すなわち
自動車所有者側
、これは問題の起きるものは
資本
、信用のあまり豊かでないもの、なかんずく
小型
におきましては多くは
月賦
で買い入れます。
月賦
も
手つけ程度
の金を入れて
自動車
を
入手
して
抵当権
を設定するのであります。そこで
国税徴収法
によって、一番先に
差し押え
られるものは残念ながらこの
月賦
で買い入れた
自動車
なのであります。なぜそういうことが起るかといいますと、
滞納者
は、どうせ
押え
られる
滞納処分
ならば、自分のところで一番
痛痒
を感ずるものは
押え
てもらいたくないのであります。
痛痒
を感じないということになりますれば、
手つけ
同様で車を現実に握っているものが
痛痒
を感じない。
手つけ
で買った車が
差し押え
がくるまではもう一カ月とか二カ月と動いていますから、そうすると、
手つけ
の命はもう
回収
ができた、そうすると
税務官
が抑えに行ったときには、これを
押え
て下さいとまず言うのであります。というのは、
月賦
で買った車なんです。そうすると、先ほど申し上げました
国税徴収法
第二条の
規定
がありますから、当然これはもう
押え
る
対象
になる車は新しいから、
税務当局
はこれは一番
利用価値
があると思う。そうすると、今度は
抵当権実行
でいこうとしてう、これはもう
滞納処分
で
押え
られておりますよといって、どうにもならぬのであります。そこで、それがまじめに、ほかに
財産
がなくて、そのものだけしかない場合には、これはいたし方ありませんが、今のように
税務当局
へ頼んで
押え
る、それが
公売
が済んでしまらならこれはあきらめます。
公売
は決して済まされません、そういうときに限って。しかも
滞納処分
の金額はきわめて少いのであります、そういう場合には。そこで、その
差し押え
はいつまでもいつまでもそのまま存続してある。そうすると
私権
による
抵当権実行
、
強制執行
というものは、もうずっとできないのであります。ひどいのになりますと、この
差し押え
を何年間も放っておいて、そのうちに車はもう効果がなくなるという例は、これは
ひとり自動車
のみではありません。その他の
有体動産
、
動産
についてもありますが、
消耗度
のひどいのは
自動車
なんであります。そこで、
自動車
が最も必要だということであります。今度の
法案
によりますと、この
有体財産
の
差し押え
、
不動産
の
差し押え
についても、
私権
は大して進歩はいたしておりません。
私権
というのは私の
権利
の遂行です。しかし従来のこの
国税徴収法
と
民事訴訟法
との
関係
においては、一応そういう
なれ合い
の
差し押え
については
救済
の
方法
はあるようでありまするが、現在とても
不動産
の
強制執行
、仮
差し押え
につきましては、これは
民事訴訟法
の六百五十四条の
規定
に従いまして、私の
債権——
私
債権
につきまして
強制執行
があれば、
租税
その他の公課を主管する
官庁
に
債権
及び
限度申し入れ
を催告することになっておりますから、
国税徴収法
による
徴収
こついてはきわめて容易に取り立て得るのであります。これも先ほど
自動車
と同じように、
なれ合い
でいつまでも放任して、ひどいのになると、数年、いなそれ以上放任しておるものがあるのであります。そこで、この点に対する今回の
法案
についても
調整関係
はできておりますが、何としても
国税徴収法
による
優先
権
——
法律
的には
先取権
といいますが、それと今の
民事訴訟法
六百五十四条の、
裁判所
から、あなたの方で
滞納債権
がありませんかというので、これは
交付要求
をする。これは
有体動産
についてもやはり同じことです。執達吏が
差し押え
をしておりましても、
税務当局
は
税金
で
交付要求
をすればやはり
優先
、これは破産の場合でも同じです。きわめて、
国家財源確保
のためとはいいながら、
国税徴収法
では手をこまねいていても、
国民
の
私権
による
権利行使
があれば、いつでもそれに参加して先取りし得るのであります。かような見地から、
税務当局
があまり無理な
執行
によって、
公売処分
によって取り立てなくてもいいと思い、手を放任しておくような場合には、
法案
によって
調整
の道もあるようでありますが、それよりなお
国税徴収法
の
全面的改正
、これも短期間内に実現されるよう、これと相待ってこそ、本
法案
の企図した
目的
は達し得ると信ずるのであります。
最高裁
のこの
自動車
に関する
強制執行
及び
競売法
の
規則関係
につきまして、本
決案
に直ちにこれを織り込むことがいいか悪いかということにつきましては、いろいろ
関係当局
も御苦心のようであります。ことに
自動車
に関する
関係
においては、
最高裁
は、
自動車抵当法成立日
なお浅き今日でありまするが、幾多の
規則
、その後の
改正
、これが
実務面
においての
運行状況
について、種々御
検討
、御留意せられておることについては
敬意
を表します。が、どろしても
本法
を有終の成果を上げさせるにつきましては、やはりこの
規則
のすみやかなる
改正
、これを要望ずる以外に
方法
はないのであります。非公式に承わりましたる
最高裁
の御
意見
によりますれば、
道路運送車両法
の九十七条ですか、これについて、
登録
したる
自動車
についての
強制執行
と、
競売
について根拠となる基本の
法律
があるし、
国税徴収法
による
差し押え
については、
自動車
に関する限りわずかに一カ条、すなわち
国税徴収法
二十三条の三ですか、とれに
滞納処分
による
差し押え
手続
は、
差し押え
したときには「
収税官吏ハ差押
ノ登記又
ハ登録
ヲ
関係官庁
二
嘱託スヘシ
」、この一条しかないから、これら
関係法令
との
調整
は、
法律技術上本法案
に
自動車
を盛り込むことが、急速の間には合わないような御
意見
のように承わっておるのであります。私はいささかその点について考えを異にしております。というのは、
国会
は
国権
の
最高機関
なんであって、ことに
参議院
は、衆議院の行き過ぎを是正し、足らざるを補うところに
二院制度
の、
参議院
の
重大使命
がある。これら
関係法令
を含めて
本法
に織り込むことも、学説上の
議論
はありましょうが、不可能ではないではないか、とう考えるのであります。この点についていろいろ
議論
しておったのでは、この切迫する
会期
中に、本
法案
の
成立
が企図し得ないという心配もありましょうから、どうかこれら
関係法令
をしてすみやかに
改正
し、
本法
の企図した
目的
を達成せしむるよう、これまた
付帯決議
なり、
希望意見
として、
関係当局
のすみやかなる御
協力
を要望するものであります。まあ何としても、
本法
のごとき
私権
と公権との
衝突
といいますか、
競合関係
については、もちろん
国家
の隆盛を期して
租税
の
確保
を維持するためには、
国税徴収法
のごとき
法律
も廃止するわけにいきませんことは、これは
議論
の余地はありませんが、
私権
をあくまでじゅうりんしても
国家財源
の
確保
ということにのみとらわれる現在の
国税徴収法
は、
民主主義国家
の発展のために、あるいは
国民
の自由な創意、しこうして熱烈なる努力の意思を、これをますます助長させるためには、
税務当局
が放任しておく
滞納処分手続
あるいは
税金徴収
の放任によって
国民
の
私権
がじゅうりんせられておること、圧迫せられておることは、打開の道を講じなければならぬものと、私は信じて疑わないのであります。見方によって、
本法
に関する限り、
どら
もあまり
自動車
とかあるいは価格の小さいものについて、
国税徴収法
だけでやられても気の毒なものに、今度は私
債権
がこれに競合して、両方でやられるということになっているが、それらのものの
——
それらのものというと、いわゆるこの
滞納者
ですか、
納税
の
滞納者
の更生の
機会
を失わせるではないかというような
議論
もせられる方があるそうでありまするが、これは私は逆の見解で、
税金
の賦課、課税されることについて異論があれば、これは法的に
救済
の道が幾らもめるのであります。それを承認しておって滞納し、しかもいつまでも払わなければ、これはもら
滞納処分
による
差し押え
を受けるのである。しかしそれがために、
滞納処分
による
差し押え
があるために、私の
債権
だけは全部免れておるということは、これはきわめて遺憾である。要するに、官権のそでに隠れて私
債権
を免れた、こういう例が非常に多いのであります。私はこれを称して
魔よけ差し押え
という
言葉
をずっと前から使っております。
一般
の
強制執行
、仮
差し押え
をのがれるために、
税務署
に頼んで
押え
ておいてもらうのだ。これが要するに長く
差し押え
されたままになっておって、
あと
の
強制執行
、仮
差し押え
ができなくなっている。これは裏面をいろいろ詮索すると、いろいろな涜職問題もありましょうが、そこまでじゃなくても、
税務当局
が
押え
に行くというと、まあこれをやっておいて下さい。また
納税者
も、
滞納処分
による
差し押え
を受けると、
あと
の課税がほとんどなくなるそうであります。というのは、あそこは
滞納処分
をしても取れないのだから、もうこの次課税しても仕方がない。いわゆる
納税義務
を回避し、
一般債権
の
執行
を免れるというような悪質なものに対しては、これはどうしても断固としてやるよりほかない、今後まじめな
債務者側
に対して、さようなことを
経験
した
自動車
の
販売業者
は、もう
自動車
の
月賦販売
のごときはやらないのであります。売ればすぐもう向うの
税務署
のえじきになりますから。そうすると、今度はまじめな
債務者
は、手付同様の頭金だけ作れば
自動車入手
の
機会
があるのに、
入手
する
機会
がなくなってしまう、ということは、まじめな
中小工業者
が簡単に
入手
し得る
自動車取得
の
機会
を失ってしまう。それから、
自動車
を
金融
の担保に供することは相当あり得るわけでございます、
抵当権
というものがありますから。そこで
自動車
のごとき
消耗品
であるものについては、
抵当権
の
実行
、あるいは
強制執行
もすみやかに完結させるということは、これも非常に
要件
である。その点について
最高裁
でもいろいろ御
研究
のようで、大体
自動車
を
不動産
のような扱いをする
自動車登録令
でありますか、これに伴う
運送車両法
、こういう
法令
を前提とするこの
最高裁
の
規則
、この一連の
関係
で、どうも
自動車
を
競売
するということの手数が非常にめんどうなんです。何としても
自動車
は
機動性
があり、しかも
消耗品
であります。そこでこの
差し押え
及び
競売
についても、
動産的本質
を無視せず、しかも第三者に対する
対抗要件
がありますから、これはやはり
登録
ということを無視するわけにいかぬ、また
抵当権
を無視するわけにいかぬ、この両者を兼ね備えて、すみやかに
競売
の実を上げるということが
一つ
、まあこういうことについても、いろいろ今後の
課題
はありましょうが、要するに、
自動車
に対する
認識
を十二分に深める
——
これは非常に問題となる件数が多いのでありますから。これは
滞納処分関係
においてもそうでありますし、
一般
私
債権
においてもそうであります。そこで、この
関係法令
の
調整
とこれらを十二分に御
検討
願いまして、本
法案
は従来の
関係
からいたしますれば、一歩前進でありますので、そこで、
自動車
をすみやかにこれに包含するように、
付帯決議
なり
関係当局
に
協力方
の要請をお願いしたいと思うのであります。 私の
関係
しておる会社におきまして、昨年からこの
国税関係
と
一般事件
との
衝突関係
について、
全国
にこの
統計
を求めました。この
統計
で、いろいろな
課題
をして回答を求めた中に、ここにたくさんの資料がありまするが、やはりこのような問題についての
不満
、不平、これが
是正方
を要望する声がきわめて多いのであります。それからまた、
統計
の結果は集計いたしませんが、何としても
国税徴収法
の二条、三条の
改正
、少くとも
自動車
に関する限りはすみやかにやってもらいたいという声、これが非常に多いのであります。どうか、
自動車
の
中小企業者
における
入手
の
必要度
、これが金銭的に、
融通価値
といいますか、
金融面
において占める
価値
というものが、たくさんの
財産家
から見る
不動産
と、少しの
資本
しかない者の
自動車
に占める
割合
、そして
自動車
が動くことによってその
常業
の収益を上げる
必要性
、こういうものを
検討
しまして、
自動車
の円滑なる市場における
入手
、
融通
、こういうことから考えてみて、本
法案
につきましては十二分に御
検討
願いたいのであります。 与えられた時間、まだ切れないつもりでおりましたのですが、まだ、何か質問の時間も含めてというふうに拝察されますので、一応これで終ることにして、時間がありましたらまたいたします。
山本米治
4
○
委員長
(
山本米治
君) 次いで、
江川参考人
から御
意見
をお述べ願います。
江川六兵衞
5
○
参考人
(
江川
六
兵衞
君) ただいま御
紹介
にあずかりました
弁護士
の
江川
六兵衛でございます。ただいま
鈴木参考人
から非常に詳しく、また率直に
意見
を述べられましたので、私は別の角度から、この
法案
に対し、また
鈴木
さんの方の御
希望
の、
自動車
を本
調整法案
の中の
対象物
に入れるということについての、私の多少の今までの
経験
を申し上げまして
意見
といたしたいと思います。 私は一昨々年と思いますが、
法務省
に設置されましたところの
強制執行部会
の
委員
として、
強制執行
に対する
改正
について、かなり長い間その
審議
に携わって参りました。その後、一昨年大蔵省に
租税徴収制度調査会
というものができました。私やはり
在野
の一人として、ただ一人この
調査会
の
委員
に選ばれまして、
国税
その他
地方税等
を含むこの
徴収制度
について
審議検討
を重ねて参りました。まだこの
委員会
の
結論
は得られていないのでありますけれども、ただいま
鈴木参考人
が申されましたこの
法律案
については、私どももやはりこの要綱の決定並びに立案について、多少参与いたしました
関係
上、
鈴木
さんの御
意見
に反対するわけではむろんない、
鈴木
さんのおっしゃったことは、全体的に私は賛成なんでございますが、ただ、
鈴木参考人
も言われましたように、この
法律案
をこの
国会
で、ぜひとも
通過きし
ていただきたい、これがわれわれ
在野法曹一丸
の
希望
でありまするので、ここで
自動車
を加えることによって、今
国会
にこの
法律案
が
通過
しないというようなことになりますと、われわれとしても非常に大きな失望を感じなけりゃならぬ、またわれわれ多年の主張がここで一年おくれるということは、まことに遺憾にたえないので、その点について少し述べたいのでありますが、実はこの
法案
は昨年すでに
国会
に提出していただける準備をいたしまして、この
法案
と同一のものを、
法務省
の方から
内閣
の方へ出していただくことになっておったのでありますが、不幸にして
国会提出
の運びに至らずして持ち越されたような
関係
もありますので、
鈴木参考人
がおっしゃったこの
自動車
を特に入れなければならなかったのにかかわらず外した理由を、ここで申し上げて御
参考
に供したいと思うのであります。
鈴木参考人
からいろいろ
国税徴収法
並びに
最高裁判所
のこの
建設機械
並びに
自動車
の
強制執行
に対する
規則
についての
食い違い等
につきまして御
説明
がありました。私もむろん
鈴木
さんの御
意見
には同感なんであります。ご存じのように、
国税徴収法
は非常に古い
法律
で、その後たびたびの
改正
はございましたけれども、根本的な点については相当、まだ
研究
を重ね、
改正
しなければならない点が多々あるのでありまして、
国税徴収法
第二十二条、第二十三条の問題は、これは現に
租税徴収制度調査委員会
においても
検討
しておるのでありまして、ただ
鈴木
さんの御
希望
されるように
国税
が
優先
的な立場に置かれること あるいは
私権
を常に引き離して、そうして絶対性があるということについての御
不満
、これは理論としては相当言い得ることでございますけれども、
国家
の財政を
確保
する上におきまして、
私権
と必ずしも平等でなければならぬといまようなことは、この際いかがかと存じますので、この点についての
意見
は、まあこれはわれわれのような
法律
家よりも各位の方が十分お考えになっていらっしゃることでございますから、その点はあまり触れたくないのでありますが、いずれにしましても
国税徴収法
二十二条、二十三条については相当の将来
改正
される機運があるということだけは、これは事実であろうと思うのであります。そこで、この
国税徴収法
の第二十二条、二十三条、これはただいま
鈴木参考人
からも御指摘がありました
国税徴収法
におけるこの
自動車
の性質について、どういう見解から立案されたかよくわかりませんが、二十二条によりますと、
動産
に対する
差し押え
はその占有を
債務者
から、
滞納者
から取り上げて、そうして
滞納者
が自由にこれを処分し得ないような状態に置くということになっておるのであります。いわゆる引き渡し主義なんであります。しかし二十三条の三によりますと、
自動車
は
不動産
に準ずるものとしての取扱いをしておるのでありまして、二十三条の条文から見ますと、これは
自動車
の部分だけを申し上げますが、
登録
したる
自動車
を
差し押え
たときは収税官吏は
差し押え
の
登録
を
関係官庁
に嘱託すべし、こういう趣旨になっておりまして、これは純然たる
不動産
としての取扱いをしておるようにも思えるのであります。
税務当局
が果してどういう
方法
でこれを
差し押え
をしておりますか、よくわかりませんけれども、この二十三条の三の
規定
だけを見ますと、占有は必要でないというような見方のようにも解釈できるのであります。そうなりますと、
登録
原簿に
差し押え
の
登録
はされましても、占有が
滞納者
の手にある。あるいは第三者がそれを現に所有しておるというような場合においては、一体その
公売
手続
はどうしてできるか、
自動車
の形も見なければ価格が測定できない。また引き渡しを受けなければ
公売
によって所有権を取律するということも
自動車
においてはとうていできないことになって参る、こういうような疑問も実はあるのでありまして、これは私もまだ
研究
が十分足りないかもわかりませんか、
法律
の建前からいたしますと、どうもその点がすっきりしていない。これを
最高裁判所
の方の
規則
によりますと、
自動車
に対する
競売
手続
開始決定後におきましては、
自動車
を
差し押え
るということを宣言しろ、同時にその
自動車
を
債務者
の手から
債権
者の委任した
執行
吏に引き渡さなければならない旨を記載しておけ、こういう
規定
になっておりまして、
最高裁
の方の
規則
の建前から見ると、片や
不動産
という建前をとりまして、
登録
原簿に
登録
をし、そうして一方ではその占有を
債権
者の委任したところの
執行
吏に移して、そうして
差し押え
手続
が完全に行われたものであるというふうに見るようでございます。この方がはるかに
国税徴収法
よりは明確になっておるのであります。しかし、この
規則
といえども実際においては相当不備もあり、また実際上非常に
執行
が困難な場合も起ってくるのでありますが、そこで先ほど
鈴木参考人
しから
不満
を述べられた点なんでありますが、なぜこの
法律案
の中にこういう
自動車
の問題を入れなかったかということは、ただいま申し上げましたような
国税徴収法
と
最高裁判所
の
規則
との
調整
が現にとられていない。われわれといたしますれば、
国税徴収法
第二十二条、二十三条、こういう
規定
をまず改めまし、て、そうして
差し押え
手続
、
競売
手続
が明確にされるということをまず
確保
いたしまして、そうして一方においては
最高裁判所
の
規則
との間の
調整
もはかり、そういたしました上で、本
調整法案
というものを作りたいという気持は十分にありましたが、そういうことをいたしますと、先ほど申しましたように非常な時日を要するのでありまして、急速にわれわれが多年期待しておりましたところのこの
国税徴収法
関係
の
執行
、民事訴訟並びに
競売法
等における
執行
手続
との間に起っておった不便、
不満
を早く解決しなければならない、一刻も早くこれを
調整
しなければならぬという大きな
目的
のためには、多少
自動車
あるいは
債権
についてなお相当に
研究
を要する問題があるが、この点は後日の
改正
に譲って、とりあえずこの
法律案
の
程度
で
調整
をはかろう、こういうのがその当時の
委員会
の
意見
でもありました。また私一個の
弁護士
をいたしましても、さように取り計らっていただいた方が、
一般
のためにもまことに好都合ではなかろうか。もとよりこの
法律案
そのものを私どもが完全なものと思っおるわけではございません。従って、こちらで十分御
審議
を願いました上で、この
国会
にこの
法律案
が
法律
として生み出されるということになりますと、いずれ近いうちに
国税徴収法
並ひに最南
裁判所
の
規則
等にもおのずかり
改正
が加えられることを信じております。従ってその
改正
を見た上で、本
法律
をさらに一部
改正
いたしまして、
自動車
をこの
調整
法律
の
対象物
にするということも当然可能であり、またそういたした方が好都合ではなかろうか、こういう考えなのでありました。
自動車
のみならず、
債権
につきましてもさようでございますし、あるいはまた将来起り得ることの予想される飛行機等につきましても、やはり同じようなことが起ってきょうと思うのであります。 かような次第でありまして、この
法律案
について
自動車
を特に入れたいという
希望
は十分持ちつつも、この
法律案
の早く
国会
通過
を祈念いたしますところのわれわれといたしましては、多少がまんをしていただいても、この
法案
が一日も早く
通過
するようにお願いしたいのであります、
鈴木参考人
も、結局
結論
においては、自分たちはこの
法律案
の中に
自動車
を挿入してもらいたいという強い
希望
は持っておられますが、そのためにこの
国会
を
通過
しないようなことになっては大へんだから、
付帯決議
を付して、特に自分らの意思の存するところを明確にしてもらいたいということを言っておられるのでありまして、結局
結論
においては私たちの考えと同じことに帰着することになるのじゃなかろうかと思うのでありまして、同業者の方々を代表される
鈴木参考人
に対して、まっこうからこういうことを申し上げまして、私としても実は遺憾ではございますが、まあその点は
一つ
がまんしていただいて、この次の
国会
あたりに提出されるようにした方がよかろうかと存ずるのでありまして、私の
委員
としての、また
在野
の
弁護士
一般
としての期待と
希望
とを申し上げまして、この
法案
が一刻も早く
通過
するようにお願いしたいのであります。
鈴木参考人
から申されました個々の点につきまして、先ほど申しましたように、いろいろの過去の
国税
徴収
等における
不満
等につきましては、むろん同感でございますことを重ねて申し上げまして、
在野
法曹の
意見
の一端を述べた次第であります。なお、御質問がありましたならば、いかようにもお答えいたします。
山本米治
6
○
委員長
(
山本米治
君) 以上をもちまして
参考人
からの
意見
聴取を終了いたしました。 それでは
参考人
に対し御質疑のおありの方は発言を願います。なお、政府からは村上民事
局長
、
最高裁
から關根民事
局長
、
運輸省
から岩崎
自動車
局
整備部長
、大蔵省から
国税
庁の宇佐美徴
収課長
が見えておりますから、念のため申し上げます。
一松定吉
7
○一松定吉君
鈴木参考人
に伺いますが、あなたの御
意見
は、要するに、
自動車
を普通の
動産
と同じように、除外例を設けないことにして、普通
一般
の
動産
と同じ取扱いにしてくれなければいけない。要点はそういう意味だね。
鈴木多人
8
○
参考人
(
鈴木
多
人君
) お答えいたします。さようにしてもらいたいのが本心でありますが、先ほど申し上げましたように、本
国会
にさような修正をすることが時間的に、技術的に可能であるならば、ぜひそうしてもらいたい。が、どうもお見受けするところ、当院の速記録も拝見いたしましたが、非常に御熱心な御
審議
でもありましょうが、どうも
会期切迫
の際、しかも
関係当局
がいろいろあって、
江川参考人
も述べられたように、どうも不可能と、失礼だが修正することが容易でないと拝察されますによって、この強い
希望
を織り込んだ
付帯決議
なり、
希望
決議を付して
通過
せられてもいたしかたがない。
結論
においては、不備
不満
ではありますが、ないよりは非常に進歩しておりますから、ぜひ今の要望を織り込んで、短期間に貫徹を期するよう、将来に注文をつけて御
通過
せられんことをお願いいたします。
一松定吉
9
○一松定吉君 私の言うのは、
自動車
もしくは航空機を除外したという
本法
は完全ではないのだ。
私権
を保護するについては不十分である。ゆえにこれを普通の
動産
に対する
差し押え
、
滞納処分
と同じようなふうにやってもらうことが理想であるし、またそうなければならぬのだ、ゆえにそういうことを
希望
する。ただし、それは
国税徴収法
や地方税法、
最高裁判所
の
自動車
及びこれらのものに対する
執行
規則
等を
改正
しなければならぬから、本
国会
に間に合わんとするならば、
付帯決議
をつけてでも
本法
は
通過
してもらいたい、要するにこういう
意見
だね。
鈴木多人
10
○
参考人
(
鈴木
多
人君
) お答えいたします。しいて申し上げますれば、先ほどから私も例をあげ、かつ
江川参考人
からも例をあげました関連する
国税徴収法
の二十三条の三の
自動車
に対する
滞納処分
の
手続
であります。これはこういう性格のあいまいな扱いをしているものの、実際は、実はやっております。これは徴税
当局
の方もお見えになっておりますが、これは
自動車
そのものの性格からこういう条文ができたのであると拝察されます。すなわち
自動車
は何と
法律
がいっても、これは
動産
であります。今一松先生のおっしゃる
動産
的扱いがどうかという御質問のように、実質は
動産
であります。しかし
道路運送車両法
によって、
登録
することによって
不動産
的性格を
法律
が与えているだけなんです。そこで、
差し押え
の実際においてここに矛盾と困難を来たしていることだけは、これは
最高裁
の
当局
も非常に御苦心のところと拝察するのであります。
税務当局
は、おそらく
動産
の扱いを実際はしておって、そこで
道路運送車両法
の
関係
があるから、ここで
不動産
にすぐ乗りかえてしまって、片方の航空機、
建設機械
については登記、それから
自動車
については
登録
によって嘱託すれば事足りるとしているのである、あまり乗りかえが急転直下にいってしまったのです。なるほどこれでも一応やっております。ということは、これはやはり公けの
権利
と私の
関係
であるから、
納税者
の方も
差し押え
が不当じゃないか、
最高裁
の
規則
のように、一応いわゆる
動産
的に物を握らなければ
差し押え
の効果が上らんじゃないか、しかも
登録
しなければだめじゃないかといえばこれは疑義がありますが、実際上は
税金
を取られる人であるからこんな文句は言わないで、効果はあるわけです。物を見なくても
登録
だけしている、あるいは
登録
はどうであろうが一応物を
押え
る、この二手にやっております、実際は。そこで、一松先生の御質問でありますが、このままで私はやろうと思えばできないことはないと思うのでありますが、それではこの
法案
技術上、そんな不体裁なことはできないじゃないかという
議論
もあるのであります。私は
国会
は最高の機関だから、今までの観念
法律
をこの新しくできた
法律
によって、新しい
法律
は古い
法律
と抵触する部分においては
改正
と同一の効果を生ずるという見解でもいいと思いまするが、これは技術上いろいろ
議論
があり、不体裁なことはできないという
議論
があるとすれば、
希望意見
によってすみやかにこの
調整
をしてもらうように
希望意見
を付してもらえればけっこうだと、こう存じます。
一松定吉
11
○一松定吉君
参考人
に対して私はもうこれでよろしい。ほかにきょうの両
参考人
に対する御質問がなければ、私は本日当
委員会
に出席しておりまする
法務省
、
国税
庁、
最高裁判所
、その他の方からの、ただいま
参考人
のお述べになった御
意見
に対する御
意見
を拝聴いたしたいと思います。
山本米治
12
○
委員長
(
山本米治
君)
参考人
に対する御質疑を続行願います。ございませんか。
参考人
に対する御質問がなければ、
参考人
の方の御退席をお願いすることにしたいと思いますが……。
一松定吉
13
○一松定吉君 ちょっとその前に
一つ
、
鈴木参考人
、
江川参考人
、両
参考人
とも本案の本議会中における
通過
を御
希望
なさっておる、ついては
付帯決議
、
希望意見
を述べてやっていただくことを
希望
するという御
意見
でありまするから、私は両
参考人
からその
付帯決議
はどういうような
付帯決議
をしてもらいたいという御
意見
があれば、その御
意見
をあまり遠からざる期間内に
一つ
御提出していただけば非常に
参考
になろうと思いますから、それを
一つ
お願いをしておきます、
山本米治
14
○
委員長
(
山本米治
君)
鈴木参考人
何かこれに対して……。
鈴木多人
15
○
参考人
(
鈴木
多
人君
) もとより私の方からぜひこうしてもらいたいと申し上げたのでありますから、私に関する限りにおきましては早速その趣旨の書面をもって本院の
審議
に間に合うように、こういうふうな
付帯決議
を願いたいということを口で申し上げれば簡単でありますが、書面で書くと整理しなければならない。口で申し上げれば、
運輸省
、大蔵省、
最高裁判所
、それからむろん立案者の
法務省
、この四
当局
が、この趣旨の
自動車
を織り込んで、この
法案
の企図した
目的
達成に遺憾なきを期するようすみやかに善処せられんことを要望すると、こういう趣旨のものをつけ加えてもらいたい。それから
国税徴収法
のこれに関するすみやかな
改正
、口で申し上げればそうでありますが、書面で出してもけっこうであります。
一松定吉
16
○一松定吉君 今の御
意見
ごもっともでありますが、でき得べくんば
一つ
書面をもって具体的にこういうようにという
付帯決議
の案文でも御提出願えれば、当
委員会
における
審議
の促進をはかることができ、御
希望
に沿うととができょう、かように思うのでありますから、さように
一つ
お願いをいたします。
山本米治
17
○
委員長
(
山本米治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
山本米治
18
○
委員長
(
山本米治
君) 速記を始めて。 他に、
参考人
に対する御質疑がなければ、
参考人
の御退席を願うことにいたします。 ありがとうございました。 質疑を続行いたします。
一松定吉
19
○一松定吉君 本日の
鈴木
、
江川
両
参考人
の
意見
は、われわれは本案を今後
審議
する上において非常に
参考
となったことを私は喜んでおります。 つきましては、
一つ
本日御出席になっておりまする
法務省
、
運輸省
、
国税
庁、
最高裁判所
の方の
関係
御
当局
から、今両
参考人
の述べられました
意見
についての
一つ
御
意見
を拝聴いたして、そうしてわれわれは
審議
の
参考
に供したいのであります。
村上朝一
20
○
政府委員
(村上朝一君) ただいまの
江川参考人
の述べられました御
意見
に同感でございまして、特につけ加えて申し上げることもないかと思いますが、簡単に私どもの考えを申し上げますと、この
法律案
を立案いたしました方針について一言申し上げておきます。この
法律案
は、
滞納処分
と競合する場合に生じます私
債権
実行
上の障害を除くことについて、早急に立法措置を講じてもらいたいという要望が、
在野
法曹その他の方面から非常に高まっておりまするので、立案に当りましては、
滞納処分
の
手続
を定めております
国税徴収法
と、
強制執行
及び
抵当権実行
の
手続
を定めております
民事訴訟法
、
競売法
の現行
規定
を、そのまま土台といたしまして、その上に相互の
手続
の橋渡しの役目をする
規定
を設けることによって、両者の
調整
をはかろうと考えた次第であります。
滞納処分
と
強制執行
及び
競売
とは、これを担当する
国家
機関も違いますし、個々の
手続
の内容にも差異がありますのみならず、
国税徴収法
及び
民事訴訟法
の
強制執行
編等は、いずれもきわめて古い
法律
でありまして、
規定
が必ずしも完備しておるとは申しがたいのであります。現行
規定
を土台として、双方の
手続
き缶の
調整
措置を講じますことが技術的に困難なものがあるわけであります。このような現行法の不備、欠陥につきましては、
法務省
には法制
審議
会の
強制執行部会
、大蔵省には
国税
徴収制度
調査会
が設けられまして、それぞれ
関係法令
の全面
改正
を目標として
検討
を進めているのであります。両
手続
の
調整
措置を、現行法の
改正
を見るまで全面的に見送るということは、早期立法化を要望しております各方面の御期待にも沿わないことになりますので、現行の
手続
を前提として、技術上可能な範囲でこの
法案
を立案いたしたのであります。
自動車
につきまして、これをこの
法律案
による
調整
の
対象
からはずしておりますことは、
自動車
について
調整
の必要がないという理由によるものではないのであります。
自動車
につきましても、十分
調整
の必要は認められるのでありますけれども、これに関する現行
規定
が必ずしも明確でないというようなことから、技術的に困難がありますので、この際はこれを
対象
としないということになった次第であります。先ほど
江川
さんからお述べになりましたように、
国税徴収法
におきましては、
自動車
に対する
滞納処分
としては、
差し押え
の
登録
に関する
規定
が一カ条設けられておるだけであります。どういう
方法
で
自動車
に対する
差し押え
をするかということは、条文上必ずしも明確でないように思われるのであります。御
承知
のように
自動車
は、
道路運送車両法
によりまして、
登録
をもって物権の設定、移転の
対抗要件
とされております面では、
不動産
に準ずる取扱いを受けておるわけでありますけれども、
法律
上
動産
でありますので、その
差し押え
の
方法
といたしましては、
不動産
に準ずる
差し押え
の
方法
によるか、あるいは
動産
としての
差し押え
の
方法
によるかというような問題があるわけであります。
最高裁判所
の
強制執行
及び
抵当権実行
の
手続
に関する
規則
の方では、これは同じく
道路運送車両法
の委任によりまして設けられた
最高裁判所規則
でありますが、これも先ほど
江川
さんがお触れになりましたように、
競売
手続
開始決定と同時に、
自動車
を
債権
者の委任する
執行
吏に引き渡すべきことを命ずる、いわゆる引き渡し命令を出すということになっておるのであります。
差し押え
られれば
執行
吏が占有するという建前になっておるのであります。ところが
国税徴収法
の方では、先ほど申し上げました条文が一カ条あるだけでありますので、
不動産
と同様に、
差し押え
調査の送達によって
差し押え
の効力が生じ、その
対抗要件
として
登録
を嘱託するということになるのか、あるいはやはり
動産
に対する
強制執行
の
方法
として、収税官吏が
自動車
の占有を取得し、その
対抗要件
として
差し押え
の効力を生ずるというのか、必ずしも明白になっていないのであります。実務の取扱いを聞いてみますと、
差し押え
調書の送達によって
差し押え
の効力を生ずる、
自動車
の占有の取得は、
差し押え
に必ずしも必要でない、しかし、この売却のためには、
自動車
の占有を収税官吏が取得する必要がありますので、随時占有を取得することができるという解釈になっておるようでありますけれども、
差し押え
の
方法
として、占有を内容としない
差し押え
方法
が定められておるといたしますと、
不動産
に対する
強制執行
の場合も同様でありますけれども、その占有を取り上げて、
執行
機関に移すためには、別に明文が必要なのではないかというような疑問もあるわけであります。これらの点が明確になりませんと、
滞納処分
と
強制執行
あるいは
抵当権
の
実行
手続
との間の
調整
措置を講じます場合に、条文の書き方にも困るわけであります。で、先ほど申し上げましたように、
国税徴収法
につきましては大蔵省
当局
におきまして、その
全面的改正
を鋭意
研究
しておられますので、遠からざる将来この
改正
が行われると思います。その際、
自動車
もこの
調整
措置の
対象
として取り上げるということにするのが適当であろうと、かように考えておる次第でございます。
岩崎清
21
○
説明員
(岩崎清君)
運輸省
といたしましては、
自動車
抵当法がすでに作られております趣旨によりましても、ぜひ
本法
の適用されるように要望しておるのであります。事務的にも
法務省
あるいは
最高裁判所
等にできるだけ早い
機会
に適用させていただくようにお願いをして連絡をしておるような次第でございます。なお、この
法律
ができますと、従来
登録
の
対象
になっておらない、つまり
抵当権
の設定されない軽
自動車
、つまり小さい
自動車
でありますが、小さい
自動車
がこの
法律
の適用を受けて、比較的大型の、
登録
を受けておる
自動車
が適用されないというような矛盾もございまするので、できるだけ早くわれわれの方としましても、
関係
の
法律
を
改正
しまして、この
法律
が適用されるように要望しておる次第でございます。
宇佐美勝
22
○
説明員
(宇佐美勝君)
自動車
の
関係
がこの
法案
から落ちておるのが不備であるという点につきまして、またしかしながらこの
法案
をすみやかに御
審議
いただきたいという点につきまして、お二人の
参考人
の御
意見
について全く同感でございます。なお、
自動車
の
差し押え
につきまして
国税徴収法
の
規定
が非常に不備であるということも確かでございます。その点につきましては、
租税徴収制度調査会
の結果に待ちまして
改正
されると思うのでございます。現行の取扱いといたしましては、先ほど村上局事
局長
からお話になりましたような取扱いをいたしております。それからなお
鈴木参考人
のおっしゃった点に
関係
いたしますが、
税務署
が
自動車
を
優先
的に
差し押え
をしまして、
債務者
に対して非常に御迷惑をおかけするというようなお話がございましたが、この点につきましては、基本的な考え方といたしましては、
差し押え
の順序ということも
——
これは取扱いでございますが、はっきりきめてございまして、第三者の
権利
をなるべく阻害しないように、たとえば
抵当権
の設定されております
自動車
につきましては
あと
回しにする、そのほかに
滞納者
の
財産
がございますれば、そちらの方を先に
差し押え
る、こういうような取扱いは、内部でははっきりきめておるのでございます。以上でございます。
關根小郷
23
○
説明員
(關根小郷君)
自動車
のことが問題になっているわけでございますが、実はわれわれの方の立場といたしましても法制
審議
会以来の立案には参画しておりまして、ただいま村上
政府委員
が述べられたと全く同
意見
でございます。
山本米治
24
○
委員長
(
山本米治
君) 他に御質疑のある方は御発言を願います。
一松定吉
25
○一松定吉君 本日の
参考人
の
意見
並びに
法務省
、
運輸省
、
国税
庁、
最高裁
等の御
意見
もよく拝聴いたしまして、私どもは本
法案
の最も急に実施しなければならぬということ並びにこれは十分の完備はしていないので、いずれ適当な時期に補正をしなければならぬという欠陥のあるということはわかりました。 つきましては本日はこの
程度
にしていただきまして、近いうちに法務
委員会
をお開きになって、そうして本日皆様の御同意を得ました本案の
通過
するについての
手続
等について、遠からない期日をお示しの上、さらにこれを御
審議
あらんことを切にお願いいたします。
山本米治
26
○
委員長
(
山本米治
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後零時七分散会