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1957-04-04 第26回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月四日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員井上知治君及び小酒井義男君 辞任につき、その補欠として迫水久常 君及び栗山良夫君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            雨森 常夫君            一松 定吉君    委員            青山 正一君            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            西郷吉之助君            迫水 久常君            田中 啓一君            吉野 信次君            岡田 宗司君            河合 義一君            宮城タマヨ君   政府委員    法務省民事局長 村上 朝一君   説明員    国税庁徴収部徴    収課長     宇佐美 勝君    運輸省自動車局    整備部長    岩崎  清君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局民事    局長)     關根 小郷君   参考人    弁  護  士 鈴木 多人君    弁  護  士 江川兵衞君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○滞納処分強制執行等との手続の調  整に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) ただいまから本日の会議を開きます。  委員異動について御報告いたしすず。四月四日付をもって井上知治君が辞任せられ、迫水久常君が補欠選任せられました。
  3. 山本米治

    委員長山本米治君) 滞納処分強制執行等との手続調整に関する法律案を議題といたします。本日は、初めに本法律案につきまして、参考人の方から御意見を承わりたいと存じます。御承知のように本法律案には自動車、航空機、工作機械等が除外されておりますが、特に自動車につきまして調整必要度を詳細に検討いたしたいと考えた次第であります。  参考人の方々には御多忙中にかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございました。それではまず鈴木参考人から御意見を伺いたいと存じます。時間の都合上お一人三十分以内程度にお願いいたします。
  4. 鈴木多人

    参考人鈴木人君) ただいま委員長から紹介になりました鈴木多人でございます。私は日本小型自動車販売協会社団法人全国小型自動車整備振興会連合会、この両会の顧問弁護士といたしまして、多年本法案のような問題に取り組んで検討研究し、機会あるごとに当局にそれを上申いたしました関係上、本日の意見を述べる機会を与えられたことを衷心より当委員会に感謝いたします。なお、弁護士としての多年の経験から、知識から、この問題について率直に意見を開陳したいと思います。  この問題の流れる思想は、何としても生まれ変った新日本民主思想を織り込んだものと信ずるのであります。すなわち国権の発動である税金徴収を有効ならしむるとともに、その税金徴収私権を非常に圧迫阻害しておるということについて、これを調整するのが本法案の企図するところと信ずるのであります。その意味において本法案を立案提出せられた法務当局敬意を表します。しかしこの法案の内容は、どらも残念ながら満足し得ないのであります。何となれば、これは単に滞納処分強制執行との相関連した場合における強制執行についての、むろん仮差し押えがありまするが、一の救済便法にすぎないのでありまして、依然として滞納処分優先であることは、この法案全部を見ても疑いをいれないのであります。そこでそれらの不満といいますか、不備といいますかについて、まず第一に自動車がこの中に入っていないということであります。自動車といいますと、多くの人は乗っておることだけで、それ以上のことはあまり関係をしないのでありますが、自動車入手すること、いわゆる買い入れる側とこれを渡す人、すなわち売主側との権利関係のこの錯綜ということはきわめて多いのであります。次に自動車の今度は持主側として、財産権として占める割合というもの、これは予想外に多い、なかんずく小型関係——これは三輪関係であります、私は先ほど申し上げましたこの小型関係顧問であるとともに、普通車、四輪車この自動車会議所というものがありまして、これの会と連絡をとりまして、たびたびこの問題について検討協議しております。そこで、それらの隘路は何としてもこの国税徴収法規定であります。御承知通り明治三十年にできたこの国税徴収法は、現在の民主主義国家下においてきわめて陳腐、古い官僚封建下の遺物であります。これが今日まで裁判所における民事訴訟手続と相いれない、要するに国税徴収法に基く公売差し押えがあるがために民事訴訟法による私権行使が阻害せられておる、その国税徴収法中一番問題になるのは第二条のその国税優先権であります。国税先取権と申しますか、これはきわめて絶対的であります。それと国税徴収法の第三条のこの言葉は、先取権の制限ではありますが、事、自動車に関する限りはこの三条によって全く私権が阻害せられております。例を申し上げますならば、自動車を販売する場合において、代金の決済は大てい一年以内なんです。多くは月賦で購入するのであります。そうすると、この国税徴収法の三条によって納税者の納期より一年前にその財産質権抵当権を設定せられたことを公正証書で証明しない限りは、全部滞納者税金として取り上げられるのであります。そこで自動車を売った場合に、要するに滞納者自動車を売れば、真っ先にその売った自動車代金回収が全くないうちに税金対象になる。私の扱った事件ではなはだしいのになりますと、浦和自動車を十台ばかり詐欺同様にして取られてしまった、代金は手付けだけで自動車十台を持っていかれました。むろん抵当権は設定いたしましたが、車の所在が不明で日夜浦和の県下を探しまわりましてやっと見付けました。最高裁判所自動車強制執行及び自動車競売の両規則に基いて監守、保存の手続をして自動車を発見して差し押えしたのであります。いよいよ公売処分をいたしますと、大宮税務署と、大宮の市役所ですか、滞納金が四十万かあると言うて納付要求をされました。その滞納税金はすでに数年前税務当局ももうあきらめて、あの人間は何もないのだ、幾ら滞納処分しても取る物が一つもないということがわかって、ほとんどあきらめておったのでありますが、自動車販売業者が十台売ったということによって、差し押えをしたから、売得金の大部分はほとんど取られてしまった。ここで国税徴収法というのはずいぶんひどいものだということを私は切実に感じ、自来この問題と取り組んできたのであります。そこでこの協会においては、国税徴収法自動車関係については、昭和二十九年、その前から協議しておりましたが、二十九年三日には関東財務局三竹事務官においでを願って座談会を開きました。それから同じ二十九九年三月、これは運輸省自動車局担当官座談会を開きました。それから同じ年の七月七日には法務省民事局の川島第三課長と私及び協会阿部専務自動車抵当権について、いろいろ懇談いたしました。その他あげ来たれば幾たびかこれに取り組んだのでありますが、どら自動車に対する関係当局認識がきわめて不親切——と申し上げてはなんですが、御理解がどらも足りないのじゃないかと思うのであります。  いろいろ経過を述べますと長いことでありますが、まず私が結論を申し上げますと、国税徴収法のいろいろな規定、その他最高裁判所規則のこの自動車に対する自動車強制施行及び自動車競売規則、それから道路運送車両法による関係、これらとにらみ合わして見て、本法律案そのままをうのみにして御通過を願うということは、きわめて私は残念であります。と言うて、この会期切迫の際に強く自動車を入れてもらいたい、入れなければ絶対われわれとしては賛成できないと申し上げた結果が、今会期中に通過しなければ、われわれ多年の希望が水泡に帰しますから、われわれの意見を十二分に御検討願いまして、でき得れば修正する、これは事実上不可能と思います。修正ができなければ付帯決議なり希望意見をもって、自動車を近い将来に含める、最高裁の方でも規則改正によってこれを補充する、いろんな関連法令は、すみやかに関係当局協力を当参議院から御要求願って、こういうことで御通過ぜられんことをお願いしたいのでありまするが、どうしても以下述べるところについては深甚なる御検討をお願いしたいのであります。この自動車本法に織り込まなくても大して支障はないではないかという御意見もあるようでありますが、自動車財産権として取得する方の側、すなわち自動車所有者側、これは問題の起きるものは資本、信用のあまり豊かでないもの、なかんずく小型におきましては多くは月賦で買い入れます。月賦手つけ程度の金を入れて自動車入手して抵当権を設定するのであります。そこで国税徴収法によって、一番先に差し押えられるものは残念ながらこの月賦で買い入れた自動車なのであります。なぜそういうことが起るかといいますと、滞納者は、どうせ押えられる滞納処分ならば、自分のところで一番痛痒を感ずるものは押えてもらいたくないのであります。痛痒を感じないということになりますれば、手つけ同様で車を現実に握っているものが痛痒を感じない。手つけで買った車が差し押えがくるまではもう一カ月とか二カ月と動いていますから、そうすると、手つけの命はもう回収ができた、そうすると税務官が抑えに行ったときには、これを押えて下さいとまず言うのであります。というのは、月賦で買った車なんです。そうすると、先ほど申し上げました国税徴収法第二条の規定がありますから、当然これはもう押え対象になる車は新しいから、税務当局はこれは一番利用価値があると思う。そうすると、今度は抵当権実行でいこうとしてう、これはもう滞納処分押えられておりますよといって、どうにもならぬのであります。そこで、それがまじめに、ほかに財産がなくて、そのものだけしかない場合には、これはいたし方ありませんが、今のように税務当局へ頼んで押える、それが公売が済んでしまらならこれはあきらめます。公売は決して済まされません、そういうときに限って。しかも滞納処分の金額はきわめて少いのであります、そういう場合には。そこで、その差し押えはいつまでもいつまでもそのまま存続してある。そうすると私権による抵当権実行強制執行というものは、もうずっとできないのであります。ひどいのになりますと、この差し押えを何年間も放っておいて、そのうちに車はもう効果がなくなるという例は、これはひとり自動車のみではありません。その他の有体動産動産についてもありますが、消耗度のひどいのは自動車なんであります。そこで、自動車が最も必要だということであります。今度の法案によりますと、この有体財産差し押え不動産差し押えについても、私権は大して進歩はいたしておりません。私権というのは私の権利の遂行です。しかし従来のこの国税徴収法民事訴訟法との関係においては、一応そういうなれ合い差し押えについては救済方法はあるようでありまするが、現在とても不動産強制執行、仮差し押えにつきましては、これは民事訴訟法の六百五十四条の規定に従いまして、私の債権——債権につきまして強制執行があれば、租税その他の公課を主管する官庁債権及び限度申し入れを催告することになっておりますから、国税徴収法による徴収こついてはきわめて容易に取り立て得るのであります。これも先ほど自動車と同じように、なれ合いでいつまでも放任して、ひどいのになると、数年、いなそれ以上放任しておるものがあるのであります。そこで、この点に対する今回の法案についても調整関係はできておりますが、何としても国税徴収法による優先——法律的には先取権といいますが、それと今の民事訴訟法六百五十四条の、裁判所から、あなたの方で滞納債権がありませんかというので、これは交付要求をする。これは有体動産についてもやはり同じことです。執達吏が差し押えをしておりましても、税務当局税金交付要求をすればやはり優先、これは破産の場合でも同じです。きわめて、国家財源確保のためとはいいながら、国税徴収法では手をこまねいていても、国民私権による権利行使があれば、いつでもそれに参加して先取りし得るのであります。かような見地から、税務当局があまり無理な執行によって、公売処分によって取り立てなくてもいいと思い、手を放任しておくような場合には、法案によって調整の道もあるようでありますが、それよりなお国税徴収法全面的改正、これも短期間内に実現されるよう、これと相待ってこそ、本法案の企図した目的は達し得ると信ずるのであります。最高裁のこの自動車に関する強制執行及び競売法規則関係につきまして、本決案に直ちにこれを織り込むことがいいか悪いかということにつきましては、いろいろ関係当局も御苦心のようであります。ことに自動車に関する関係においては、最高裁は、自動車抵当法成立日なお浅き今日でありまするが、幾多の規則、その後の改正、これが実務面においての運行状況について、種々御検討、御留意せられておることについては敬意を表します。が、どろしても本法を有終の成果を上げさせるにつきましては、やはりこの規則のすみやかなる改正、これを要望ずる以外に方法はないのであります。非公式に承わりましたる最高裁の御意見によりますれば、道路運送車両法の九十七条ですか、これについて、登録したる自動車についての強制執行と、競売について根拠となる基本の法律があるし、国税徴収法による差し押えについては、自動車に関する限りわずかに一カ条、すなわち国税徴収法二十三条の三ですか、とれに滞納処分による差し押え手続は、差し押えしたときには「収税官吏ハ差押ノ登記又ハ登録関係官庁嘱託スヘシ」、この一条しかないから、これら関係法令との調整は、法律技術上本法案自動車を盛り込むことが、急速の間には合わないような御意見のように承わっておるのであります。私はいささかその点について考えを異にしております。というのは、国会国権最高機関なんであって、ことに参議院は、衆議院の行き過ぎを是正し、足らざるを補うところに二院制度の、参議院重大使命がある。これら関係法令を含めて本法に織り込むことも、学説上の議論はありましょうが、不可能ではないではないか、とう考えるのであります。この点についていろいろ議論しておったのでは、この切迫する会期中に、本法案成立が企図し得ないという心配もありましょうから、どうかこれら関係法令をしてすみやかに改正し、本法の企図した目的を達成せしむるよう、これまた付帯決議なり、希望意見として、関係当局のすみやかなる御協力を要望するものであります。まあ何としても、本法のごとき私権と公権との衝突といいますか、競合関係については、もちろん国家の隆盛を期して租税確保を維持するためには、国税徴収法のごとき法律も廃止するわけにいきませんことは、これは議論の余地はありませんが、私権をあくまでじゅうりんしても国家財源確保ということにのみとらわれる現在の国税徴収法は、民主主義国家の発展のために、あるいは国民の自由な創意、しこうして熱烈なる努力の意思を、これをますます助長させるためには、税務当局が放任しておく滞納処分手続あるいは税金徴収の放任によって国民私権がじゅうりんせられておること、圧迫せられておることは、打開の道を講じなければならぬものと、私は信じて疑わないのであります。見方によって、本法に関する限り、どらもあまり自動車とかあるいは価格の小さいものについて、国税徴収法だけでやられても気の毒なものに、今度は私債権がこれに競合して、両方でやられるということになっているが、それらのものの——それらのものというと、いわゆるこの滞納者ですか、納税滞納者の更生の機会を失わせるではないかというような議論もせられる方があるそうでありまするが、これは私は逆の見解で、税金の賦課、課税されることについて異論があれば、これは法的に救済の道が幾らもめるのであります。それを承認しておって滞納し、しかもいつまでも払わなければ、これはもら滞納処分による差し押えを受けるのである。しかしそれがために、滞納処分による差し押えがあるために、私の債権だけは全部免れておるということは、これはきわめて遺憾である。要するに、官権のそでに隠れて私債権を免れた、こういう例が非常に多いのであります。私はこれを称して魔よけ差し押えという言葉をずっと前から使っております。一般強制執行、仮差し押えをのがれるために、税務署に頼んで押えておいてもらうのだ。これが要するに長く差し押えされたままになっておって、あと強制執行、仮差し押えができなくなっている。これは裏面をいろいろ詮索すると、いろいろな涜職問題もありましょうが、そこまでじゃなくても、税務当局押えに行くというと、まあこれをやっておいて下さい。また納税者も、滞納処分による差し押えを受けると、あとの課税がほとんどなくなるそうであります。というのは、あそこは滞納処分をしても取れないのだから、もうこの次課税しても仕方がない。いわゆる納税義務を回避し、一般債権執行を免れるというような悪質なものに対しては、これはどうしても断固としてやるよりほかない、今後まじめな債務者側に対して、さようなことを経験した自動車販売業者は、もう自動車月賦販売のごときはやらないのであります。売ればすぐもう向うの税務署のえじきになりますから。そうすると、今度はまじめな債務者は、手付同様の頭金だけ作れば自動車入手機会があるのに、入手する機会がなくなってしまう、ということは、まじめな中小工業者が簡単に入手し得る自動車取得機会を失ってしまう。それから、自動車金融の担保に供することは相当あり得るわけでございます、抵当権というものがありますから。そこで自動車のごとき消耗品であるものについては、抵当権実行、あるいは強制執行もすみやかに完結させるということは、これも非常に要件である。その点について最高裁でもいろいろ御研究のようで、大体自動車不動産のような扱いをする自動車登録令でありますか、これに伴う運送車両法、こういう法令を前提とするこの最高裁規則、この一連の関係で、どうも自動車競売するということの手数が非常にめんどうなんです。何としても自動車機動性があり、しかも消耗品であります。そこでこの差し押え及び競売についても、動産的本質を無視せず、しかも第三者に対する対抗要件がありますから、これはやはり登録ということを無視するわけにいかぬ、また抵当権を無視するわけにいかぬ、この両者を兼ね備えて、すみやかに競売の実を上げるということが一つ、まあこういうことについても、いろいろ今後の課題はありましょうが、要するに、自動車に対する認識を十二分に深める——これは非常に問題となる件数が多いのでありますから。これは滞納処分関係においてもそうでありますし、一般債権においてもそうであります。そこで、この関係法令調整とこれらを十二分に御検討願いまして、本法案は従来の関係からいたしますれば、一歩前進でありますので、そこで、自動車をすみやかにこれに包含するように、付帯決議なり関係当局協力方の要請をお願いしたいと思うのであります。  私の関係しておる会社におきまして、昨年からこの国税関係一般事件との衝突関係について、全国にこの統計を求めました。この統計で、いろいろな課題をして回答を求めた中に、ここにたくさんの資料がありまするが、やはりこのような問題についての不満、不平、これが是正方を要望する声がきわめて多いのであります。それからまた、統計の結果は集計いたしませんが、何としても国税徴収法の二条、三条の改正、少くとも自動車に関する限りはすみやかにやってもらいたいという声、これが非常に多いのであります。どうか、自動車中小企業者における入手必要度、これが金銭的に、融通価値といいますか、金融面において占める価値というものが、たくさんの財産家から見る不動産と、少しの資本しかない者の自動車に占める割合、そして自動車が動くことによってその常業の収益を上げる必要性、こういうものを検討しまして、自動車の円滑なる市場における入手融通、こういうことから考えてみて、本法案につきましては十二分に御検討願いたいのであります。  与えられた時間、まだ切れないつもりでおりましたのですが、まだ、何か質問の時間も含めてというふうに拝察されますので、一応これで終ることにして、時間がありましたらまたいたします。
  5. 山本米治

    委員長山本米治君) 次いで、江川参考人から御意見をお述べ願います。
  6. 江川六兵衞

    参考人江川兵衞君) ただいま御紹介にあずかりました弁護士江川六兵衛でございます。ただいま鈴木参考人から非常に詳しく、また率直に意見を述べられましたので、私は別の角度から、この法案に対し、また鈴木さんの方の御希望の、自動車を本調整法案の中の対象物に入れるということについての、私の多少の今までの経験を申し上げまして意見といたしたいと思います。  私は一昨々年と思いますが、法務省に設置されましたところの強制執行部会委員として、強制執行に対する改正について、かなり長い間その審議に携わって参りました。その後、一昨年大蔵省に租税徴収制度調査会というものができました。私やはり在野の一人として、ただ一人この調査会委員に選ばれまして、国税その他地方税等を含むこの徴収制度について審議検討を重ねて参りました。まだこの委員会結論は得られていないのでありますけれども、ただいま鈴木参考人が申されましたこの法律案については、私どももやはりこの要綱の決定並びに立案について、多少参与いたしました関係上、鈴木さんの御意見に反対するわけではむろんない、鈴木さんのおっしゃったことは、全体的に私は賛成なんでございますが、ただ、鈴木参考人も言われましたように、この法律案をこの国会で、ぜひとも通過きしていただきたい、これがわれわれ在野法曹一丸希望でありまするので、ここで自動車を加えることによって、今国会にこの法律案通過しないというようなことになりますと、われわれとしても非常に大きな失望を感じなけりゃならぬ、またわれわれ多年の主張がここで一年おくれるということは、まことに遺憾にたえないので、その点について少し述べたいのでありますが、実はこの法案は昨年すでに国会に提出していただける準備をいたしまして、この法案と同一のものを、法務省の方から内閣の方へ出していただくことになっておったのでありますが、不幸にして国会提出の運びに至らずして持ち越されたような関係もありますので、鈴木参考人がおっしゃったこの自動車を特に入れなければならなかったのにかかわらず外した理由を、ここで申し上げて御参考に供したいと思うのであります。鈴木参考人からいろいろ国税徴収法並びに最高裁判所のこの建設機械並びに自動車強制執行に対する規則についての食い違い等につきまして御説明がありました。私もむろん鈴木さんの御意見には同感なんであります。ご存じのように、国税徴収法は非常に古い法律で、その後たびたびの改正はございましたけれども、根本的な点については相当、まだ研究を重ね、改正しなければならない点が多々あるのでありまして、国税徴収法第二十二条、第二十三条の問題は、これは現に租税徴収制度調査委員会においても検討しておるのでありまして、ただ鈴木さんの御希望されるように国税優先的な立場に置かれること あるいは私権を常に引き離して、そうして絶対性があるということについての御不満、これは理論としては相当言い得ることでございますけれども、国家の財政を確保する上におきまして、私権と必ずしも平等でなければならぬといまようなことは、この際いかがかと存じますので、この点についての意見は、まあこれはわれわれのような法律家よりも各位の方が十分お考えになっていらっしゃることでございますから、その点はあまり触れたくないのでありますが、いずれにしましても国税徴収法二十二条、二十三条については相当の将来改正される機運があるということだけは、これは事実であろうと思うのであります。そこで、この国税徴収法の第二十二条、二十三条、これはただいま鈴木参考人からも御指摘がありました国税徴収法におけるこの自動車の性質について、どういう見解から立案されたかよくわかりませんが、二十二条によりますと、動産に対する差し押えはその占有を債務者から、滞納者から取り上げて、そうして滞納者が自由にこれを処分し得ないような状態に置くということになっておるのであります。いわゆる引き渡し主義なんであります。しかし二十三条の三によりますと、自動車不動産に準ずるものとしての取扱いをしておるのでありまして、二十三条の条文から見ますと、これは自動車の部分だけを申し上げますが、登録したる自動車差し押えたときは収税官吏は差し押え登録関係官庁に嘱託すべし、こういう趣旨になっておりまして、これは純然たる不動産としての取扱いをしておるようにも思えるのであります。税務当局が果してどういう方法でこれを差し押えをしておりますか、よくわかりませんけれども、この二十三条の三の規定だけを見ますと、占有は必要でないというような見方のようにも解釈できるのであります。そうなりますと、登録原簿に差し押え登録はされましても、占有が滞納者の手にある。あるいは第三者がそれを現に所有しておるというような場合においては、一体その公売手続はどうしてできるか、自動車の形も見なければ価格が測定できない。また引き渡しを受けなければ公売によって所有権を取律するということも自動車においてはとうていできないことになって参る、こういうような疑問も実はあるのでありまして、これは私もまだ研究が十分足りないかもわかりませんか、法律の建前からいたしますと、どうもその点がすっきりしていない。これを最高裁判所の方の規則によりますと、自動車に対する競売手続開始決定後におきましては、自動車差し押えるということを宣言しろ、同時にその自動車債務者の手から債権者の委任した執行吏に引き渡さなければならない旨を記載しておけ、こういう規定になっておりまして、最高裁の方の規則の建前から見ると、片や不動産という建前をとりまして、登録原簿に登録をし、そうして一方ではその占有を債権者の委任したところの執行吏に移して、そうして差し押え手続が完全に行われたものであるというふうに見るようでございます。この方がはるかに国税徴収法よりは明確になっておるのであります。しかし、この規則といえども実際においては相当不備もあり、また実際上非常に執行が困難な場合も起ってくるのでありますが、そこで先ほど鈴木参考人しから不満を述べられた点なんでありますが、なぜこの法律案の中にこういう自動車の問題を入れなかったかということは、ただいま申し上げましたような国税徴収法最高裁判所規則との調整が現にとられていない。われわれといたしますれば、国税徴収法第二十二条、二十三条、こういう規定をまず改めまし、て、そうして差し押え手続競売手続が明確にされるということをまず確保いたしまして、そうして一方においては最高裁判所規則との間の調整もはかり、そういたしました上で、本調整法案というものを作りたいという気持は十分にありましたが、そういうことをいたしますと、先ほど申しましたように非常な時日を要するのでありまして、急速にわれわれが多年期待しておりましたところのこの国税徴収法関係執行、民事訴訟並びに競売法等における執行手続との間に起っておった不便、不満を早く解決しなければならない、一刻も早くこれを調整しなければならぬという大きな目的のためには、多少自動車あるいは債権についてなお相当に研究を要する問題があるが、この点は後日の改正に譲って、とりあえずこの法律案程度調整をはかろう、こういうのがその当時の委員会意見でもありました。また私一個の弁護士をいたしましても、さように取り計らっていただいた方が、一般のためにもまことに好都合ではなかろうか。もとよりこの法律案そのものを私どもが完全なものと思っおるわけではございません。従って、こちらで十分御審議を願いました上で、この国会にこの法律案法律として生み出されるということになりますと、いずれ近いうちに国税徴収法並ひに最南裁判所規則等にもおのずかり改正が加えられることを信じております。従ってその改正を見た上で、本法律をさらに一部改正いたしまして、自動車をこの調整法律対象物にするということも当然可能であり、またそういたした方が好都合ではなかろうか、こういう考えなのでありました。自動車のみならず、債権につきましてもさようでございますし、あるいはまた将来起り得ることの予想される飛行機等につきましても、やはり同じようなことが起ってきょうと思うのであります。  かような次第でありまして、この法律案について自動車を特に入れたいという希望は十分持ちつつも、この法律案の早く国会通過を祈念いたしますところのわれわれといたしましては、多少がまんをしていただいても、この法案が一日も早く通過するようにお願いしたいのであります、鈴木参考人も、結局結論においては、自分たちはこの法律案の中に自動車を挿入してもらいたいという強い希望は持っておられますが、そのためにこの国会通過しないようなことになっては大へんだから、付帯決議を付して、特に自分らの意思の存するところを明確にしてもらいたいということを言っておられるのでありまして、結局結論においては私たちの考えと同じことに帰着することになるのじゃなかろうかと思うのでありまして、同業者の方々を代表される鈴木参考人に対して、まっこうからこういうことを申し上げまして、私としても実は遺憾ではございますが、まあその点は一つがまんしていただいて、この次の国会あたりに提出されるようにした方がよかろうかと存ずるのでありまして、私の委員としての、また在野弁護士一般としての期待と希望とを申し上げまして、この法案が一刻も早く通過するようにお願いしたいのであります。  鈴木参考人から申されました個々の点につきまして、先ほど申しましたように、いろいろの過去の国税徴収等における不満等につきましては、むろん同感でございますことを重ねて申し上げまして、在野法曹の意見の一端を述べた次第であります。なお、御質問がありましたならば、いかようにもお答えいたします。
  7. 山本米治

    委員長山本米治君) 以上をもちまして参考人からの意見聴取を終了いたしました。  それでは参考人に対し御質疑のおありの方は発言を願います。なお、政府からは村上民事局長最高裁から關根民事局長運輸省から岩崎自動車整備部長、大蔵省から国税庁の宇佐美徴収課長が見えておりますから、念のため申し上げます。
  8. 一松定吉

    ○一松定吉君 鈴木参考人に伺いますが、あなたの御意見は、要するに、自動車を普通の動産と同じように、除外例を設けないことにして、普通一般動産と同じ取扱いにしてくれなければいけない。要点はそういう意味だね。
  9. 鈴木多人

    参考人鈴木人君) お答えいたします。さようにしてもらいたいのが本心でありますが、先ほど申し上げましたように、本国会にさような修正をすることが時間的に、技術的に可能であるならば、ぜひそうしてもらいたい。が、どうもお見受けするところ、当院の速記録も拝見いたしましたが、非常に御熱心な御審議でもありましょうが、どうも会期切迫の際、しかも関係当局がいろいろあって、江川参考人も述べられたように、どうも不可能と、失礼だが修正することが容易でないと拝察されますによって、この強い希望を織り込んだ付帯決議なり、希望決議を付して通過せられてもいたしかたがない。結論においては、不備不満ではありますが、ないよりは非常に進歩しておりますから、ぜひ今の要望を織り込んで、短期間に貫徹を期するよう、将来に注文をつけて御通過せられんことをお願いいたします。
  10. 一松定吉

    ○一松定吉君 私の言うのは、自動車もしくは航空機を除外したという本法は完全ではないのだ。私権を保護するについては不十分である。ゆえにこれを普通の動産に対する差し押え滞納処分と同じようなふうにやってもらうことが理想であるし、またそうなければならぬのだ、ゆえにそういうことを希望する。ただし、それは国税徴収法や地方税法、最高裁判所自動車及びこれらのものに対する執行規則等を改正しなければならぬから、本国会に間に合わんとするならば、付帯決議をつけてでも本法通過してもらいたい、要するにこういう意見だね。
  11. 鈴木多人

    参考人鈴木人君) お答えいたします。しいて申し上げますれば、先ほどから私も例をあげ、かつ江川参考人からも例をあげました関連する国税徴収法の二十三条の三の自動車に対する滞納処分手続であります。これはこういう性格のあいまいな扱いをしているものの、実際は、実はやっております。これは徴税当局の方もお見えになっておりますが、これは自動車そのものの性格からこういう条文ができたのであると拝察されます。すなわち自動車は何と法律がいっても、これは動産であります。今一松先生のおっしゃる動産的扱いがどうかという御質問のように、実質は動産であります。しかし道路運送車両法によって、登録することによって不動産的性格を法律が与えているだけなんです。そこで、差し押えの実際においてここに矛盾と困難を来たしていることだけは、これは最高裁当局も非常に御苦心のところと拝察するのであります。税務当局は、おそらく動産の扱いを実際はしておって、そこで道路運送車両法関係があるから、ここで不動産にすぐ乗りかえてしまって、片方の航空機、建設機械については登記、それから自動車については登録によって嘱託すれば事足りるとしているのである、あまり乗りかえが急転直下にいってしまったのです。なるほどこれでも一応やっております。ということは、これはやはり公けの権利と私の関係であるから、納税者の方も差し押えが不当じゃないか、最高裁規則のように、一応いわゆる動産的に物を握らなければ差し押えの効果が上らんじゃないか、しかも登録しなければだめじゃないかといえばこれは疑義がありますが、実際上は税金を取られる人であるからこんな文句は言わないで、効果はあるわけです。物を見なくても登録だけしている、あるいは登録はどうであろうが一応物を押える、この二手にやっております、実際は。そこで、一松先生の御質問でありますが、このままで私はやろうと思えばできないことはないと思うのでありますが、それではこの法案技術上、そんな不体裁なことはできないじゃないかという議論もあるのであります。私は国会は最高の機関だから、今までの観念法律をこの新しくできた法律によって、新しい法律は古い法律と抵触する部分においては改正と同一の効果を生ずるという見解でもいいと思いまするが、これは技術上いろいろ議論があり、不体裁なことはできないという議論があるとすれば、希望意見によってすみやかにこの調整をしてもらうように希望意見を付してもらえればけっこうだと、こう存じます。
  12. 一松定吉

    ○一松定吉君 参考人に対して私はもうこれでよろしい。ほかにきょうの両参考人に対する御質問がなければ、私は本日当委員会に出席しておりまする法務省国税庁、最高裁判所、その他の方からの、ただいま参考人のお述べになった御意見に対する御意見を拝聴いたしたいと思います。
  13. 山本米治

    委員長山本米治君) 参考人に対する御質疑を続行願います。ございませんか。参考人に対する御質問がなければ、参考人の方の御退席をお願いすることにしたいと思いますが……。
  14. 一松定吉

    ○一松定吉君 ちょっとその前に一つ鈴木参考人江川参考人、両参考人とも本案の本議会中における通過を御希望なさっておる、ついては付帯決議希望意見を述べてやっていただくことを希望するという御意見でありまするから、私は両参考人からその付帯決議はどういうような付帯決議をしてもらいたいという御意見があれば、その御意見をあまり遠からざる期間内に一つ御提出していただけば非常に参考になろうと思いますから、それを一つお願いをしておきます、
  15. 山本米治

    委員長山本米治君) 鈴木参考人何かこれに対して……。
  16. 鈴木多人

    参考人鈴木人君) もとより私の方からぜひこうしてもらいたいと申し上げたのでありますから、私に関する限りにおきましては早速その趣旨の書面をもって本院の審議に間に合うように、こういうふうな付帯決議を願いたいということを口で申し上げれば簡単でありますが、書面で書くと整理しなければならない。口で申し上げれば、運輸省、大蔵省、最高裁判所、それからむろん立案者の法務省、この四当局が、この趣旨の自動車を織り込んで、この法案の企図した目的達成に遺憾なきを期するようすみやかに善処せられんことを要望すると、こういう趣旨のものをつけ加えてもらいたい。それから国税徴収法のこれに関するすみやかな改正、口で申し上げればそうでありますが、書面で出してもけっこうであります。
  17. 一松定吉

    ○一松定吉君 今の御意見ごもっともでありますが、でき得べくんば一つ書面をもって具体的にこういうようにという付帯決議の案文でも御提出願えれば、当委員会における審議の促進をはかることができ、御希望に沿うととができょう、かように思うのでありますから、さように一つお願いをいたします。
  18. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  19. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記を始めて。  他に、参考人に対する御質疑がなければ、参考人の御退席を願うことにいたします。  ありがとうございました。  質疑を続行いたします。
  20. 一松定吉

    ○一松定吉君 本日の鈴木江川参考人意見は、われわれは本案を今後審議する上において非常に参考となったことを私は喜んでおります。  つきましては、一つ本日御出席になっておりまする法務省運輸省国税庁、最高裁判所の方の関係当局から、今両参考人の述べられました意見についての一つ意見を拝聴いたして、そうしてわれわれは審議参考に供したいのであります。
  21. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) ただいまの江川参考人の述べられました御意見に同感でございまして、特につけ加えて申し上げることもないかと思いますが、簡単に私どもの考えを申し上げますと、この法律案を立案いたしました方針について一言申し上げておきます。この法律案は、滞納処分と競合する場合に生じます私債権実行上の障害を除くことについて、早急に立法措置を講じてもらいたいという要望が、在野法曹その他の方面から非常に高まっておりまするので、立案に当りましては、滞納処分手続を定めております国税徴収法と、強制執行及び抵当権実行手続を定めております民事訴訟法競売法の現行規定を、そのまま土台といたしまして、その上に相互の手続の橋渡しの役目をする規定を設けることによって、両者の調整をはかろうと考えた次第であります。滞納処分強制執行及び競売とは、これを担当する国家機関も違いますし、個々の手続の内容にも差異がありますのみならず、国税徴収法及び民事訴訟法強制執行編等は、いずれもきわめて古い法律でありまして、規定が必ずしも完備しておるとは申しがたいのであります。現行規定を土台として、双方の手続き缶の調整措置を講じますことが技術的に困難なものがあるわけであります。このような現行法の不備、欠陥につきましては、法務省には法制審議会の強制執行部会、大蔵省には国税徴収制度調査会が設けられまして、それぞれ関係法令の全面改正を目標として検討を進めているのであります。両手続調整措置を、現行法の改正を見るまで全面的に見送るということは、早期立法化を要望しております各方面の御期待にも沿わないことになりますので、現行の手続を前提として、技術上可能な範囲でこの法案を立案いたしたのであります。自動車につきまして、これをこの法律案による調整対象からはずしておりますことは、自動車について調整の必要がないという理由によるものではないのであります。自動車につきましても、十分調整の必要は認められるのでありますけれども、これに関する現行規定が必ずしも明確でないというようなことから、技術的に困難がありますので、この際はこれを対象としないということになった次第であります。先ほど江川さんからお述べになりましたように、国税徴収法におきましては、自動車に対する滞納処分としては、差し押え登録に関する規定が一カ条設けられておるだけであります。どういう方法自動車に対する差し押えをするかということは、条文上必ずしも明確でないように思われるのであります。御承知のように自動車は、道路運送車両法によりまして、登録をもって物権の設定、移転の対抗要件とされております面では、不動産に準ずる取扱いを受けておるわけでありますけれども、法律動産でありますので、その差し押え方法といたしましては、不動産に準ずる差し押え方法によるか、あるいは動産としての差し押え方法によるかというような問題があるわけであります。最高裁判所強制執行及び抵当権実行手続に関する規則の方では、これは同じく道路運送車両法の委任によりまして設けられた最高裁判所規則でありますが、これも先ほど江川さんがお触れになりましたように、競売手続開始決定と同時に、自動車債権者の委任する執行吏に引き渡すべきことを命ずる、いわゆる引き渡し命令を出すということになっておるのであります。差し押えられれば執行吏が占有するという建前になっておるのであります。ところが国税徴収法の方では、先ほど申し上げました条文が一カ条あるだけでありますので、不動産と同様に、差し押え調査の送達によって差し押えの効力が生じ、その対抗要件として登録を嘱託するということになるのか、あるいはやはり動産に対する強制執行方法として、収税官吏が自動車の占有を取得し、その対抗要件として差し押えの効力を生ずるというのか、必ずしも明白になっていないのであります。実務の取扱いを聞いてみますと、差し押え調書の送達によって差し押えの効力を生ずる、自動車の占有の取得は、差し押えに必ずしも必要でない、しかし、この売却のためには、自動車の占有を収税官吏が取得する必要がありますので、随時占有を取得することができるという解釈になっておるようでありますけれども、差し押え方法として、占有を内容としない差し押え方法が定められておるといたしますと、不動産に対する強制執行の場合も同様でありますけれども、その占有を取り上げて、執行機関に移すためには、別に明文が必要なのではないかというような疑問もあるわけであります。これらの点が明確になりませんと、滞納処分強制執行あるいは抵当権実行手続との間の調整措置を講じます場合に、条文の書き方にも困るわけであります。で、先ほど申し上げましたように、国税徴収法につきましては大蔵省当局におきまして、その全面的改正を鋭意研究しておられますので、遠からざる将来この改正が行われると思います。その際、自動車もこの調整措置の対象として取り上げるということにするのが適当であろうと、かように考えておる次第でございます。
  22. 岩崎清

    説明員(岩崎清君) 運輸省といたしましては、自動車抵当法がすでに作られております趣旨によりましても、ぜひ本法の適用されるように要望しておるのであります。事務的にも法務省あるいは最高裁判所等にできるだけ早い機会に適用させていただくようにお願いをして連絡をしておるような次第でございます。なお、この法律ができますと、従来登録対象になっておらない、つまり抵当権の設定されない軽自動車、つまり小さい自動車でありますが、小さい自動車がこの法律の適用を受けて、比較的大型の、登録を受けておる自動車が適用されないというような矛盾もございまするので、できるだけ早くわれわれの方としましても、関係法律改正しまして、この法律が適用されるように要望しておる次第でございます。
  23. 宇佐美勝

    説明員(宇佐美勝君) 自動車関係がこの法案から落ちておるのが不備であるという点につきまして、またしかしながらこの法案をすみやかに御審議いただきたいという点につきまして、お二人の参考人の御意見について全く同感でございます。なお、自動車差し押えにつきまして国税徴収法規定が非常に不備であるということも確かでございます。その点につきましては、租税徴収制度調査会の結果に待ちまして改正されると思うのでございます。現行の取扱いといたしましては、先ほど村上局事局長からお話になりましたような取扱いをいたしております。それからなお鈴木参考人のおっしゃった点に関係いたしますが、税務署自動車優先的に差し押えをしまして、債務者に対して非常に御迷惑をおかけするというようなお話がございましたが、この点につきましては、基本的な考え方といたしましては、差し押えの順序ということも——これは取扱いでございますが、はっきりきめてございまして、第三者の権利をなるべく阻害しないように、たとえば抵当権の設定されております自動車につきましてはあと回しにする、そのほかに滞納者財産がございますれば、そちらの方を先に差し押える、こういうような取扱いは、内部でははっきりきめておるのでございます。以上でございます。
  24. 關根小郷

    説明員(關根小郷君) 自動車のことが問題になっているわけでございますが、実はわれわれの方の立場といたしましても法制審議会以来の立案には参画しておりまして、ただいま村上政府委員が述べられたと全く同意見でございます。
  25. 山本米治

    委員長山本米治君) 他に御質疑のある方は御発言を願います。
  26. 一松定吉

    ○一松定吉君 本日の参考人意見並びに法務省運輸省国税庁、最高裁等の御意見もよく拝聴いたしまして、私どもは本法案の最も急に実施しなければならぬということ並びにこれは十分の完備はしていないので、いずれ適当な時期に補正をしなければならぬという欠陥のあるということはわかりました。  つきましては本日はこの程度にしていただきまして、近いうちに法務委員会をお開きになって、そうして本日皆様の御同意を得ました本案の通過するについての手続等について、遠からない期日をお示しの上、さらにこれを御審議あらんことを切にお願いいたします。
  27. 山本米治

    委員長山本米治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時七分散会