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1957-03-07 第26回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月七日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            大谷 贇雄君            古池 信三君            白井  勇君            阿部 竹松君            島   清君            相馬 助治君            藤田  進君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省通商    局検査課長   式田  敬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本科学技術情報センター法案(内  閣送付、予備審査) ○輸出検査法案内閣提出) ○経済の自立と発展に関する調査の件  (日台貿易に関する件)   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開きます。  本日は公報でお知らせいたしました通り、三法案を議題として審議することになっております。まず、日本科学技術情報センター法案について宇田国務大臣より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 日本科学技術情報センター法案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現今、世界各国における経済発展生活水準の向上に対し、科学技術飛躍的発展とこれを媒介とする技術革新とが重要な原動力となっていることは注目すべきところであります。かかる趨勢におきまして、わが国における科学技術の進歩を一段と推進するためには、急激に増大しつつある内外科学技術情報を、迅速かつ的確に収集し、これを学界産業界等各般の需要にこたえて提供する必要があるのでありまして、その具体的施策が、つとに各方面から要望されているところであります。従来わが国におきましては、科学技術に関する研究とその成果の工業化等生産への導入の基礎をなす科学技術情報は、それぞれ学界あるいは産業界努力により収集されていたのでありますが、個々研究者企業体がみずから網羅的に収集するには、情報量はあまりにも膨大であり、また、収集せられた情報は、各分野に分散されていて、有機的関連に欠け、十分活用されないでその一部は死蔵されるといった状況であります。科学技術振興政策の一環としての科学技術情報活動の推進という国家的観点から見ますと、これは大きな損失であり、科学技術情報を総合的に収集し蓄積し、これを必要に応じて各方面提供することが緊要であり、国立、公立、民間試験研究機関における研究調査能率化を促進し、産業における生産活動合理化に資する等、その期待される効果も、非常に大きいものと考える次第であります。  先進外国におきましても、科学技術情報活動重要性にかんがみて、国家機関ないしこれに準ずる機関を設けてその任務の遂行に当らしめております。  わが国におきましては、昨年五月科学技術庁の発足以来、鋭意検討を重ねて参りましたが、今般成案を得ましたので、ここに内外科学技術情報収集提供を推進する中枢的機関として、日本科学技術情報センターを設立する運びとなった次第であります。以上が日本科学技術情報センター法案提案理由でございます。  以下、本法案内容概要につきまして、重点的に御説明申し上げます。  第一に、本センター基本的性格についてであります。科学技術振興は、政府の重要な政策として取り上げられているところであり、その具体的施策一つとして、内外の最新の科学技術情報を迅速に収集して研究生産関係万両へ提供することの重要性は、前述した通りでありますが、わが国科学技術の現況におきましては、情報活動を、個々学界あるいは民間産業界努力にのみ期待するのでは、先進外国水準に伍していく上には不十分であり、政府みずから推進すべきものであると考えております。ただ、科学技術情報が、民間業界等に対するサービスとして極力利用せられますれば、民間において受ける利益も少くないということになりますので、かかる観点から、民間からも資金上の協力を得まして、半官半民の特殊法人の形で発足することといたした次第であります。  第二に、本センター業務といたしましては、内外科学技術情報収集分類、整理、保管と、これを定期的にまたは随時速報の形で関係方面に対し、あるいは個々依頼に応じで提供することが主要なものでございまして、その他依頼による特殊の調査保管情報閲覧業務等もできるようにと考えております。ここで業務として取り扱う科学技術情報範囲といたしましては、第二条の定義に規定されていますように、自然科学的な技術に関するものを中心とし、これに密接に関連する範囲での自然科学そのものに関する情報も一考慮いたしております。  なお、本センターがこれらの業務を行うに当りましては、国立国会図書館を初め関係機関との緊密な協力をはかることとし、他方、関係行政機関は、本センターに対し協力するという規定を設けております。  第三に、本センター組織運営についてでありますが、理事長常務理事理事、監事と一般職員により構成されるものとし、役員については、内閣総理大臣の任命または認可によることになっております。初年度は上記役員四人程度を含め約六十人の人員と、資本金として政府出資四千万円及びおよそ同額の民間出資の規模において発足し、業務運営に要する経費としては、政府補助金三千万円と民間業界からの寄付とによりまかなう予定であります。  第四に、本センターに対する行政的監督といたしまして、毎事業年度の予算、事業計画財産目録その他の財務諸表業務方法書等に関し、内閣総理大臣認可を要することとし、また、必要に応じ、報告、徴収、立入検査その他一般的監督権限内閣総理大臣に付与することにより、本センターの行う科学技術情報収集特定分野ないし部門に偏するとか、提供が不公正になるとか、その趣旨に反することがないよう公共的性格を保持する所存であります。  第五に、本センター運営に関するもろもろの認可、承認その他監督につきまして、行政事務簡素化の見地から、比較的軽微なもの、定型的に処理し得るもの等は、内閣総理大臣権限科学技術庁長官に委任する旨の規定を設けております。  以上、日本科学技術情報センター法案概要について御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  5. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 輸出検査法案については、すでに内容説明も聞いておりますので、本日直ちに質疑に入りたいと思いますが、質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 検査員身分保障のことについてお尋ねしたいと思います。指定検査機関公益法人でいくというけれども、やはり業界出資とか寄付行為とかいうようなことが中心になる。従って役員も、業界関係の人がなるのが原則だろうと思うのでありますが、従って業界圧力というものがどうしてもかかりがちになるのが普通だと考えられるのであります。そこで、検査員厳正なる検査をやるということでありますが、厳正なる検査をやると、場合によると、この業界からの圧力を受けるということになるので、検査員身分保障ということが、ほんとうに確保せられておらないというと、検査厳正を欠くようになりやしないか、そういう点について検査員身分保障に関する規定があるのかどうか。もし、ないような場合には、どういう措置を講ぜられるお考えであるのか。その点をまずお伺いいたします。
  7. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この輸出検査員身分保障につきましては、指定検査機関、すなわち今度は公益法人でございますが、この指定検査機関性格ないし組織上、たとえばその解任主務大臣認可制にするということも考えられたのでありますが、認可制にするというとろまでいくのは、いささか問題もありましたので、今度の法律ではその選任解任について届出制を採用しておるわけであります。従いまして、その検査員の異動をまあ確認するだけのことになるのでございますが、たとえば解任の裏面に不正な事実が介在をしているとか、あるいはその解任選任によって、指定基準に合致しなくなったような場合には、もちろん十分取り締る道が開けているのでありまして、その他異議の申し立ての制度もありますし、また、現在の登録検査機関にある検査員分限委員会制度、これはいわゆる登録検査機関検査員の懲戒、すなわち譴責、減俸、解職を行うときは、あらかじめ検査員分限委員会の決議を心要とし、かつ、その処分について異議のある検査員は、検査員分限委員会にその審査を請求することができる、こういう検査員分限委員会制度があるわけでございますので、こういう制度を今後続けていくことによって、今御指摘のございました輸出検査員が、外部の干渉ないし圧迫で解雇されないように、身分保障ができるのではなかろうかというふうに考えている次第であります。
  8. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 認可制にすると、どういうふうに工合が悪いということだったのですか。
  9. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) これはいささか法理論になると思うのでございますが、今度の法律では、役員選任解任については認可制をとり、検査員については届出制ということは、御承知通りでありますが、まあ、一個の法人に責任を持たしている関係上、法人役員認可制にしておくならば、職員認可制にまでいくのは、いささか、いわゆる命令系統を尊重するというふうな立場からいって、検査員認可制にまでするということは、いささか行き過ぎではないかというような意見でありまして、特に法制局の方からそういうふうな意見もありまして、われわれといたしましても、まあ、その程度で大体目的を達成し得るんじゃないかというふうに考えましたので、届出制ということにしたような次第でございす。
  10. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 検査員は普通の職員とは違うので、法律の上でも公務員の扱いをするということにもなっているぐらいなんでありまして、ただいま申すように、検査厳正を期するということならば、この検査員自身は、認可制にすることの方がむしろ適当ではないか、また戦前もそういうふうになっておったんじゃないかと思うんでありますが、その点はどうでしょうか。
  11. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 戦前におきましては、今御指摘のように、検査員認可制になっておったのでございます。それで繰り返して申すようになりますが、われわれ当初の原案におきましては、認可制にしたいと思っておったのでございますが、いろいろ、関係各省法制局等との折衝の過程におきまして、届出制でも、役員認可制もあることだし、先ほども御説明申し上げましたような、間接的ないろいろの取締りの道も開けておりまするので、まあ届出制でも、大体目的は達成できるのじゃないか、こういう判断であります。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 届出制だと、私は十分に目的が達し得ないんじゃないかと思うのであります。しかし、今いろいろ説明せられ、事情やむを得なかった点があるのかもしれませんが、戦前においても解任については認可制になっておったんです。検査員性格、本質から見て、当然解任の際には、認可ぐらいをするということで、検査員身分保障をやらないと、せっかくの今回の、検査法改正によって、検査厳正を期しようという趣旨が達せられないかと思うのでありますが、これについては将来研究をせられ、また、ただいま私の申し述べる趣旨については、政府の方でももっともだと思っておられる点もあるようでありますが、それだけに今後検査員身分保障については、絶えず監督官庁として、十分に努力せられるように希望をするのでありますが、この点について見解はどうでしょうか。
  13. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お説ごもっともでございまして、今後も十分その趣旨研究をしていきたいと思います。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次の問題点としてお尋ねしたいと思いますのは、今度の検査法によって、検査についてはいろいろ整備するという面が出てきておるのでありますが、検査後の取締り、これについてどういう規定が設けられ、また、どういうふうに措置していかれようとしておるのかということをお尋ねしたいのであります。具体的に言いますと、検査せられたそのもの自身はいいでありましょうが、検査後において本検査のものを混入して輸出をするということがしばしば従来は行われたように私ども聞くのでありますが、その場合において、工場内においてどういう取締りをやるのか、ことに私ども心配しますのは、税関の通関してから後においても、船の出るまでの間に、いろいろのことが行われ得るわけでありまして、そういう点についての取締りをどういうふうにしてするのか、これが十分でないと、せっかくの、検査制度をいかに整備いたしましても、最後が尻抜けになっているということになると思いますので、その点についてお尋ねをしたいわけです。
  15. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ごもっともお尋ねだと思うのでありますが、この指定貨物につきましては、主務大臣はその職員指定貨物輸出業者等の事務所、事業所もしくは倉庫のほか、これらのものの所有する指定貨物保管の場所にも立ち入りまして検査をさせることができることとなっておるのであります。また、この第三者検査のうち、特定品目につきましては、その包装に封を施しまして、内容品の入れかえを防止することができることとなっておるのであります。なお、この点につきましては、税関側におきましても、関税法に基く輸出許可条件としまして、「他の法令規定により輸出又は輸入に関して検査又は条件具備を必要とする貨物については、第六十七条」これは輸出又は輸入許可でございますが、「第六十七条の検査の際、当該法令規定による検査の完了又は条件具備税関に証明し、その確認を受けなければならない。」こういうことになっておりまするので、税関側におきましても取締りをしてくれることになっておりますので、それらをもちまして取締り上、十分な効果は期待できるというふうに考えておるわけであります。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 立入り検査はできることになっておりますが、その立入検査によって包装を開く、要するに開函をする、そうしてさらに検査をするということまでできるのでしょうか。あるいはただ工場合に庫に立入って、そうしてどんなふうであるかということを、ある姿そのもの検査するという程度までしかできないのじゃないかという懸念があるわけでありますが、要するにその今のすでにパッキングやったものまで開函して、そうして取調べるだけの権能法律的に与えられておるのかどうか、その点。
  17. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) もちろん、この開封をいたしまして調べることになっております。
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その点ちょっと法律的にどうかという懸念を持つのですが、それは大丈夫なんですね。
  19. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この第四十条におきまして立入検査をする権能が認められておるわけでありますが、これによって十分にやれると思っております。また、検査員取締りのために開封したあと処理につきましても、第九条におきまして所要の規定を設けておりまするので、十分に目的を達成できると思います。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうしますと、この第四十条の第四項に「立入検査権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」これとの関係はどういうふうになっておりますか。
  21. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 第四十条の第四項は、「立入検査権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」これはもし違反があった場合に、その場で直ちに逮捕をすることができないという意味に解しておるわけでございます。その他の取締りの面につきましては、あちらこちらにその規定があるわけでございます。
  22. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうしますと、直ちに逮捕することができぬというだけで、いわゆる開函検査はできるというふうに解釈してよろしいのですね。それともう一つ、同様にこの通関後における船上において、包装してある物を開函するということも同様に認められておるというふうに考えていいんですか。
  23. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) さようでございます。税関におきましても開函をして調べることは可能になっております。
  24. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次に、お尋ねしたいと思いますのは、登録検査機関繰越金が相当多い。まあ、具体的にもらった資料を見ますと、綿スフ織物検査協会など三十年度で繰越金が千八百万円以上ある。それから織物染色検査協会でも二千三百万以上ある。日本海事協会関係などは四千六百万以上あるというような状態でありますが、この繰越金はどういうふうに処理をせられておるのでありますか。
  25. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この検査機関のそういう剰余金的なものが、恒常的に累増するというような場合につきましては、もちろん検査手数料引き下げていくべきものかと思うのであります。しかし、今の段階におきましては、いわゆるいろんな事情輸出が変動をする場合もありまするし、従って収入が非常に減る場合も予想される、そういう場合にも備えなければなりませんし、また、できるだけそういう余剰金をもちまして検査設備改善をして、有効な検査をし得るように持って参らなければならぬのであります。従いまして、まあ一時的な剰余金につきましては、今申しましたような意味で、いわゆる準備金として、また、設備のいろいろな改善費として持たしておく方がいいんだというふうに考えております。
  26. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 一年度間で何千万と繰越金ができるということ、これは一年度だけの資料でありますから、わかりませんけれども、極力検査料引き下げるように努力しなければいかぬということは言うまでもないことだと思いますので、ことに、中小企業関係の製品など多いのでありますから、輸出コストの上からいっても、また、関係業界の利害からいっても、今後繰越金が多量に、莫大に出る必要はないんじゃないかというふうに考えられまするので、今も政府委員が触れられましたが、検査料引き下げということに、今後非常に努力をせられるように指導督励していかれる必要があると思うのでありますが、その点について所見をお尋ねしておきたいと思います。
  27. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お説ごもっともでございまして、先ほども申しましたように、いわゆる剰余金が恒常的に出るというふうな場合におきましては、実情に応じまして手数料引き下げていくという方向で指導したいと思います。これは御存じのように手数料引き下げ政令できめることになっております。その政令改正によりまして引き下げ方向に指導して参りたいと、こう考える次第であります。
  28. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最後に、一点お尋ねしておきたいことがございますが、この検査には御承知のように抜き取り検査と毎品検査があるわけでありますが、どういう品目については毎品検査をやり、どういう品目については抜き取り検査をやっているかという品目別説明と同時に、毎品検査でいくべきものか、あるいは抜き取り検査でいくべきものかということについての一つ分類基準があるのではないかと思うのでありますが、その基準お尋ねしておきたいと思うのであります。
  29. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在のところいわゆる全品検査をいたしておりますのは、織物反物だけであります。その他の物質については原則といたしまして抜き取り検査でやっておるわけなんであります。もちろん少量の貨物につきましては、例外的に抜き取り検査のものでも全品検査をしておるものがありますが、大体そういうような区別をいたしております。
  30. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今のいずれでいくかという基準、たとえば非常に単価の安いものは抜き取りでいくのだとか、何かそこに一定の基準があるかと思うのですが、それはどういうふうに考えられますか。
  31. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この今御指摘のありました一般的にどういう原則があるかという、あるいはどういう基準でそういうふうに全品検査抜き取り検査を区別しているのかと言われましたが、率直に申しまして、先ほど申しましたように、反物類については全品検査をやり、その他は原則として抜き取り検査というお答えよりほかないのでありますが、この個々の物資につきまして、いわゆる検査原則の中でそういう全品検査をやるか、あるいは抜き取りでやるかを定めているわけでありまして、抜き取りのやり方につきましては、御存じのように世界的に認められておりまするAQLという抜き取り方法があるわけであります。従いましておおむねこのそういう世界的に承認せられたAQL方法が設定されているような品目については、それによっている。すなわち、その抜き取り方法によっている、こういうわけでございます。
  32. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この毎品検査全品検査、この方ではあまり、問題の起きることが少いかと思うのでありますが、抜き取りになると、千本のうちに何本かの不合格品が出ても、これを合格とするというようなことになるために、問題が出てくると思う。それで御承知のように、中国での日本の見本市に即売したものが非常に問題を起したというのも、結局抜き取り検査のものであったと思うのでありますが、それだけに全品検査でいくか、抜き取り検査でいくかという基準をきめることは、非常に重要なことになってくるのではないかと思うのであります。今お尋ねしてみろと、まだそれがないようでありますが、これは将来研究をせられて、そうして同時にどの程度までの不合格品がある場合には、抜き取り検査として合格にしているのであるかということを、品目別——あとでいいですから、資料として配られたいと思うのであります。要するに、毎品検査はこういうものについて品目別にやっている、それから抜き取り検査については、こういう品目でやっているが、それの合格と認める場合の検査基準といいますか、不合格の率が、どの程度までは不合格とするかということを明らかにした資料を提出してもらいたいと思います。  それで私はこれで質問を終りますが、あと、もしも他の委員から御質問になって、なお、時間があるようでありましたら、もう一つだけ質問したいと思いますけれども、これで一応……。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 私も二、三の点について質問いたしますが、従来は自家表示による制度であったが、そこで今度はこれを完全な輸出品ということに重点を置かれました検査法提案されたわけであります。そこで、従来の自家表示による制度、これによってどれほどのまあ粗悪品であり、それが返品になった、こういうような例、実例のもとに、この検査法というものが出てきたと思うのですが、一体このパーセンテージはどんなものになっておりますか。
  34. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この今のお尋ねにつきまして、的確なお答えになり得るかどうかをおそれるのでありまするが、たとえば、この昨年度、昭和三十一年度中に、われわれの方で受理をしました輸出クレイムの総件数中におきまして、品質の不良によるクレイムが五五%あるわけであります。その他、たとえば規格の相違によるもの、あるいは数量不足、あるいは破損、包装の不完全というふうなものがそれに続いておるのでありますが、このクレイムの中で、品質不良によるものがこういうふうに過半を占めているということの一つは、その検査が十分でないという一つの証拠になろうかとも思うのであります。  それから最近の事例を一、二あげてみますると、御存じのように、先般北京の商品展覧会で問題になりました万年筆の例もそうでありますし、また、昨年の十月、東京税関において発見せられたのでありますが、動かない電動玩具自動車もあったわけであります。またアメリカにおきまして問題になったのでありますが、日本製の幻灯セットの火災事件が起っております。それからまた、最近ではシガレット・ライターにつきましても、また最近ではサン・グラスにつきましても、問題が起っているような次第であります。その今の自己検査の欠陥を数字的に説明申し上げることは、非常にむずかしいのでございますが、今申しましたこの貿易クレイムの現状から見、最近の今申し述べましたようなケースからも、御判断願えるかと思うのであります。  また、この工業品検査所が、自己検査品目の場合に立ち入り検査をやっておりますが、その立ち入り検査の結果を見ますると、大体一〇%から二〇%くらいの不良品が発見されているのが普通になっております。というふうなことからも、現行の自己検査の弱点が御了解願えるかと思うのであります。
  35. 近藤信一

    近藤信一君 従来まあ五五%、まあ半分以上がそういうような状態になっておる。そこで、今あげられました品目は、万年筆だとか、玩具だとか、幻灯セットとか、こういうふうにあげられましたのですが、この中で一番多く占めていたのは何に属しますか、品目のうちで。
  36. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) たとえば在外公館を通して参りましたクレイムの状況から判断しますると、これは昨年一年間の在外公館を通して参りましたクレイムでございますが、そのうち、やはり一番多いのは雑貨類、それからその次が農産物、それからその次が繊維、それから機械というふうな順序になっておるのであります。これは一般的なクレイムでございますので、自己検査から来るものとも言えないのでございまするが、はっきりした、ここでどの品目が多いかという統計はないのでございまするが、比較的多く輸出せられまするのは金属玩具、それから鉄鋼の二次製品、インチ材、カン詰類等が比較的クレイムも多いし、また、この自己検査の弱点が現われているように見受けられるのであります。
  37. 近藤信一

    近藤信一君 今若干の品目をあげられましたが、これによると、まあそんなに重要な生産品目というのに属しないのが多いのじゃないかと、こう思うのでございます。それがために、今般検査法が制定されるということになって、今度は全輸出品目、重要な製品についての検査方法がとられるわけなんです。そこで、今度は製造中の材料、こういうものに対しても検査がなされるわけなんです。検査して、もしその検査に適格しなかった場合には、ただこれはだめだというだけのことで、それに対する指導だとか、また示唆、そういうような方法が考えられているかどうか、この点いかがですか。
  38. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この材料または設計、もしくは製造中の品質の検査につきましては、先般の要綱説明のときにも申し上げましたが、染色織物の原反、それから五百万トン未満の船舶を今予定しているということを申し上げたのでございますが、これらのものにつきましては、どっちかと申しますると、でき上ってから不合格ということで、当該業者に不測の損害を与えるということのないように、事前に検査をする趣旨でございまして、その意味におきましては、まあいわば指導であり、また特に船舶等につきましては、中小の造船所に対するいわば指導が主に、実際問題としてはなるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、従いまして、これらの検査によりまして、特に材料または製造工程中の検査は、いわば担当業者と一体になって物を作り上げていくというふうな意味でございます。今御指摘のような、もちろん指導がその主たる目的になるというふうに考えております。その他のものにつきましても、もちろん実情をごらん願えば御了解いただけるかと思いますが、現在の登録機関もそうでございまするが、今度の新しい法律によりまする指定検査機関につきましても、でき上った製品をその場で合格とか不合格とかいうのではなしに、実際問題として製造工場にも行き、そういう不合格品のできるだけ出ないような指導監督をいたすべきでありますし、現在の登録検査機関の実情を見ましても、いわば業界と一体になってそれらの点に努力をしているようでございますので、せいぜい御指摘のような、ただつめたいいわゆる検査というよりか、指導を含めた検査ということでもちろん指導をすべきであり、われわれはまた、そういうふうに動くことを期待しているような次第でございます。
  39. 近藤信一

    近藤信一君 指導をもとにした検査方法、こういうことになるわけでありますが、そうすると、相当な技術者を用意しなきゃならぬということになるわけですが、その点いかがですか。
  40. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 技術者の点につきましては、これも国の検査機関民間検査機関とに分けて考えなければならぬのでございまするが、国の検査機関につきましては、大体人員は余分というわけではございませんが、十分ではなかろうかと思っておるわけであります。従いまして、今度のこういう検査の強化に伴いまして、人員の増加は国の検査機関につきましては、さしあたり考えられておりません。次に、民間検査機関につきましても、現在の登録検査機関は、おおむね今度の新しい指定検査機関に指定されるだろうと思うのでありますが、これらにつきましては、人員は十分に整っておると承知をいたしております。なお、今後新たに指定検査機関に指定されるものにつきましては、その指定の際に、十分な検査員を持っておるかどうかというようなことが、一つ検査機関を指定する要件にもなっておりますので、機関指定の際に、十分にチェックをして参りたいと思っております。
  41. 近藤信一

    近藤信一君 そこで立ち入り検査をやられるわけなんですが、特に現在中小企業で輸出品を相当生産しておるところがあるわけなんでありますが、すると、この国の検査機関民間検査機関の二本立の検査機関になっておるわけなんですが、中小企業の輸出品目について、一々検査機関から人が出張してやるのか、それとも製造業者、小さな中小企業で製造しておるメーカー、そういうのは検査所へ持っていって検査してもらうのか。この点どういうふうな方法が講じられますか。
  42. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 検査は、原則として検査機関の事務所、事業所は、埠頭と申しますか、港に近い所に置かれておりまするので、多くの場合は、港でやることになろうかと思いまするが、実際問題といたしまして、国の検査におきましても、民間検査機関におきましても、現場に出張いたしまして検査をしておるわけでございます。今後もそうするわけでございます。従いまして、率直に申しまして、国の検査機関の実は予算をごらんになってもわかるように、出張旅費というものが非常に多額を占めておるような現状でございます。
  43. 近藤信一

    近藤信一君 そこで問題になって参りますのは、やはり民間指定検査機関の、今度先ほど豊田委員から言われましたように、身分保障の問題になってくるのです。これは先ほど豊田委員からいろいろと追及されましたから、私はいたしませんが、少くともやはり政府が指定する民間の指定機関に対しては、身分が相当保障されなければ、これは検査機関だけ指定しても、いろいろと困難な問題が発生してくるんじゃないかと、こういうように考えられるわけなのです。こういう点先ほど答弁をされておりましたが、この点は十分に考えてやらなければ、ただ、制度だけはできても、実際の運営が非常に困難だというような、こういうようなことが起ってくるんじゃないかというふうにも考えられるわけですが、その点いかがですか。
  44. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 御趣旨全く同感でございまして、先ほど豊田先生にもお答えいたしましたように、検査員身分保障という問題につきましても、十分研究をして参りたいと思います。
  45. 白井勇

    ○白井勇君 私、今度の検査法に入ります前に、今やっております輸出品取締法ですか、あれにつきましての、今までやっておられましたやり方について、ちょっとお尋ねしたいと思うのですが、検査をされました場合、これは受けました者が、どうも自分の考え方と違うというような場合十条、十一条で不服の申し立てというものにすぐ飛んでいきますものか、あるいは現場で  一応もう一ぺんやり直してくれ、こういうことでやり直しというものが何度もできる筋合のもので運行されておるものですか、その点はどうなっておりますか。
  46. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) そういう場合には、その再検査の要求に応じ得ることになっておるのであります。
  47. 白井勇

    ○白井勇君 それで十条、十一条でやるのですか、再検査ということになるのでありますか。あるいはどっかに規定があって、再検査の手続がありまして、そしてその再検査を受けたものに、なお不服があるという場合にのみ十条、十一条にいくのか、再検査の申し入れと、異議の、不服の申し立てと二通りの何かやり方があるというふうになると思うのですが、それはどういうふうになるのですか。
  48. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいまのお尋ねの再検査につきましては、別段はっきりした手続というよりは……、ちょっとただいま申し上げましたことが間違っておったかと思いますのでもう一ぺん申し上げますと、自己検査の場合、国のいわゆる検査機関が立ち入り検査等をやりまして、画検査を喫するというふうな標識をつけて再検査をやらせる場合もありまするし、それから民間検査機関につきましては、再検査の申し入れができることにたっております。それらはいずれも検査機関業務規程に明白に規定されているのであります。
  49. 白井勇

    ○白井勇君 今度の新法の場合もあれですか、何条かにございましたね、それと同じことで、やはり再検査の申し入れというものは、業務規程か何かで出てきて、再検査は何度も何度もされる、業務規程によって申し込みをすれば、何度もやり直してもらえる。そうしてぎりぎりのところにきて、たとえば異議の申し立てみたいな条文が適用される、こういうことになるのでありますか。少くとも検査員がそこで検査をしたというものにつきましては、一ぺん白黒をきめますれば、これはそれでもうきまったものであって、それに対する不服の救済というものは、今この条文はちょっと忘れましたが、何条でしたかね、異議の申し立ての……四十三条ですか。これにすぐいくのでありますか。そこはどういう扱いになるのですか。
  50. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今度の新法下におきましても、指定検査機関業務規程の中におきまして、当然再検査の要求に応じ得るようになると思います。そこで何べんも再検査の要求に応じ得るかという点でございまするが、一応従来の例から申しますると、一回だけ再検査の要求に応ずるということになっているのであります。従いまして、それ以上はやはり異議の申し立てということになるのではないかと思います。
  51. 白井勇

    ○白井勇君 非常に私はそこのところが検査を行いまする権威のためにも重要なことであって、権威のある検査員検査をやって、そうしてその判断を下したものが、合格か不合格かというような裁断がそこで下りましたものを、すぐ業務規程によりまする方法によって再検査を要求していく、こういうことが自由にできるような規定になりますことは、検査の権威の面からいきましても、運用の上からいっても、非常に大きい問題だと私は思うのですがね。もし四十三条に規定されておりまする異議の申し立てのところまで参ります前に、そういうような手続が受検者のために設けられているものでありますれば、これは当然法律事項だと思うのです。まあ、これは一つ検討を要する点だと思うのですが、それから今の取締法におきましては、サンプリングをやります場合とか、いろいろの検査をやりまする場合に、いろいろ荷を動かしたり、いろいろ労務が必要なんです。そうしますと労務の負担費といいますか、つまり荷役費といいますか、そういう負担費は、これは検査を受ける者が負担をするのか、検査をする者が負担してやるのか、それからもう一つは、検査を受けます者は、手数料のほかに、たとえば検査証明書というようなものを書いてもらうわけですが、その場合の証明料というようなものは、これは当然発行する者がこれを徴集するということになっておりますのか、その点はどうなっておりますか。
  52. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先ほどの再検査の要請の問題でございまするが、一回だけと申し上げたのであります。もちろん、この場合におきましても、検査機関の権威の点もありますので、再検査の場合には、これは前に検査したものでない他の検査員検査をするということになっておるのであります。  それから次の、荷役費の負担につきましては、いわば受益者負担というふうな意味合いもありまして、検査を受ける側で負担をしていただいておるのであります。それから証明料でございますが、これももちろん検査機関は証明書を発行し得ることになっておりますし、まあ、その場合は証明料をいただくことになっておるのであります。
  53. 白井勇

    ○白井勇君 今度の新しい輸出品検査法というものは、従来の輸出品取締法というような、いわゆる取締法から発展しまして、いわゆる検査法としましての制度を確立するものですから、いろいろ先ほど豊田先生からお話しのあった検査員身分の問題というような非常に大きな問題も、これから検査してみなければならぬと思うのでありますが、私そういう大きな問題に入ります前の、私の解釈が違っておりますというと、また、その辺の判断も間違ってもいかぬと思いますので、今の法案の条文を追いまして、ちょっと私疑問に思っておりまする点を一つお尋ねしてみたいと思うのでありまするが、まず第二条ですね。これは品質に関する基準を設けておるわけです。これは申し上げるまでもなしに検査品でありますれば、まず基準というものがきまって、そうしてその基準に基いて検査をする方法がきまる、その方法によって検査をする機関検査をするというような骨組みだと思うのでありますが、その大事な基準をここできめておるわけであります。その基準をきめまする場合は、これはいろいろ取引の実態、あるいは生産の実情等に応じまして、これはいかようにも、これは基準というものをきめられるような格好になっておるのが、これは建前だと私は思うのです。ところが、これを読んでみますと、二項におきまして特に高い基準特定の地帯につきましては定められるというような、二項の制度を置くということは、私は一項でいかようにもこれは置ける筋合のものであって、基準の考え方に対しまする、これはどうも間違いだというと語弊がありますが、当を得ない考え方じゃないかと、こういうふうに私は思うわけであります。こういうきめ方をやっておきますと、ここでは二項におきまして、特に標準よりも高い基準と、こういうふうに言っておりますけれども、これは、ことにいろいろの文化の進みました国に対する取引、あるいは割合に未発達の地帯に対しまする取引というような、いろいろの地帯があるわけでありまして、そうしました場合に、ただ基準よりも高い基準をきめるというような、非常に拘束をされましたやり方をやっておりますというと、これは通産省におきまして、将来貿易上いろいろな支障があるのじゃないか、現に私たちこの間広島へ行って縫い針を見てきたのであります。あそこからインド向けがたくさん出ている。そういう場合、話を聞いてみますと、インド向けの針というものは、極論しますと、針の形体をなしておればいいというような、向うの要求なわけですね。ところが縫い針たる以上は、やはり法の制定の趣旨からいいますれば、標準というものは、やはり最大公約数のような、過半数を占めるものに基準がきまるわけです。そういう場合に、インド向けのやつはどうしていいか、そこまで下げていくということになりますれば、これは法の趣旨にうたっております品質の向上も何も、あったものじゃないのでありまして、そういうような問題もいろいろ出てくるわけであります。ですからまず一項で、これはたとえばアメリカ向けのミカンでありますとか、これはインド向けの縫い針の基準であるというふうにきめますることによって、これはいかようにも運用がなされて、その方が私はまず適当であろうと考えるのであります。いろいろ立法上の技術の問題のために、そのせっかくの検査機関基準を、そういう何といいますか、ただ立法の技術からこういうような二項を設けるというような考え方というものが、どうも私はふに落ちないのですが、そこらはどうですか。
  54. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この一般的な基準よりも高い基準を定めることができる、これはあるいは第一項の検査基準のきめ方でやれるということも考えられるのでありますが、より高い方は、いわゆる何と申しますか、業者に対して、より拘束的になるという意味合いからはっきり法律で明定をし、また、第三条の第二項におきましても、そういう高い基準の場合は、その高い基準合格をしておらなければならぬというように、取り締りの面から申しましても、まあ、はっきり法律で定めておく方がよかろうということで、こういうふうに書き分けをしたわけでありまして、その一般基準よりも低い方は、省令によりまして、一般基準よりも低い基準をきめられることになっておるのであります。
  55. 白井勇

    ○白井勇君 これは私何も今の答弁の言葉じりをつかまえるわけじゃありませんけれども、高い標準も低い標準も法律できめなければならぬと申し上げている。そのきめ方が、二条の一項だけでいいのじゃないかということを申し上げていいと思うのでありますが、どっちも省令に譲っておるわけであります。これは御検討願いたいと思います。  それから政令で定める品目ですね、これはどういう程度のものが、ここに何といいますか、きめられるものでありまするか。大体従来の輸出品取締法によりまして、何といいますか、強制検査といいますか、検査を受けなければ、輸出ができない。そういうような程度のものにとどまりますか。ほとんど全部のものがこれに網羅されるものでありますか。その辺はどういうものでありますか。
  56. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在のいわゆる登録検査機関によって検査されておりまする強制検査品目は、もちろん全部新法によりましても検査品目として指定されると、こういうふうに考えておりますし、またこの任意検査、いわゆる自己検査品目につきましても、できるだけ多く強制検査品目の方に指定して参りたいと思っているわけであります。あとの特例のところで、あるいはまた問題があるかもしれませんが、もちろん一部の特殊の品目については、現状を続けざるを得ない、すなわち、強制検査品目に移せないものもあるかとも思うのであります。また、メーカーが非常に強力であって、もう検査の必要のないと思われるものもあるのではないかと思いまするが、この際、検査品目からはずして自由な品目にするというふうなものも、一部出て参るかと思うのであります。現在全然検査品目になっていないものにつきましては、実情に応じて業界の意向をも勘案して、強制検査品目に指定して参るというふうに考えております。
  57. 白井勇

    ○白井勇君 第三条の「主務省令で定める区分」ですね。これは政府機関がこういうものをやるか、あるいは指定検査機関がこういうものをやるかということで区分がきまるわけでありましょうから、品目別に、指定品目別に、この機関はこういうものをやるのだという区分をいたしましたものを、私ども資料としていただいておりますでしょうか。もしなかったら、これは資料としてあとからもらいたいと、こう思うのであります。  それから第五条ですね。五条の「特別の検査」というのは、これはどういうことを言うわけですかね。その特定機関のみにやらせるという検査なのか。これはどこでも、指定されました検査機関は何でもやれると、こういうことになるのでありますか。
  58. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この包装検査は、品質の検査と一体となりまして、一つ検査機関によって行われるのがまあ普通でありますが、輸出品によりましては、この包装のみの専門の検査機関によって行うのが適当なものもあろうかと思うのであります。たとえば包装検査のため特別の検査設備、または専門的知識経験を有する検査員によることが必要な場合であります。たとえば、現在では絹、人絹織物のごとく、品質の検査は国営の検査機関が行なっておりますし、それからその包装の方は別個の民間検査機関検査しておるという例もあるわけであります。この包装だけ独立をして検査をする必要がある場合を予想して、こういう五条を設けたような次第であります。
  59. 白井勇

    ○白井勇君 ちょっと飛びまして、八ページですが、第九条の2の、「その他主務省令で定める場合」という言葉がありますですね。それを私は輸出検査法の逐条解釈という通産省発行の資料によって読んでみますと、ちょっと私にはわからないのですが、「政府機関」という場合はあれですか、ここに私方にいただきました逐条解釈の解釈と、どうもちょっと合っていないような感じがするのですが、これはどうですか。私からお聞きしてもいいのですが、何かお間違いじゃないかと思うのですがね。これはこれで読んでみますと、こういうのですよ。「本条は、政府機関又は指定検査機関が、特定貨物について第七条の表示を附したときは、封を施すこととし、この封がないものは輸出できないこととする規定である。ここで封を施す必要がある指定貨物とは、具体的には茶、乾しいたけのように指定貨物自体に表示せず、その包装にのみ表示するものである。これらのものは、検査をした指定貨物の同一性を確保するために、検査を行った政府機関又は指定検査機関が封を施すこととし、その封がないものの輸出を禁止しているのである。」ここまでですね。それから「なお、本条第二項のただし書は、関税法昭和二十九年法律第六十一号)第六十七条の規定により検査を行う税関職員又は本法第四十条第一項又は第二項の規定により立入検査を行う職員が封を除いた場合等は、封がなくても輸出することができることとする規定である。」とこういうふうに解釈をしていらっしゃいますけれどもね。どうもこれはこうしますと、「その他主務省令で定める場合」なんてものは、これは要らないようにちょっと思うのですがね。これは民間じゃこれはやるということはないようだしね。ですから政府機関に……ここで今法文で言いまするいわゆる政府機関だけなのか、税関までこれは入りますものか。その辺のところがちょっとはっきりしないように思うのですがね。
  60. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この「主務省令で定める方法」、あるいは「主務省令で定める場合」と、いろいろ書き分けておるわけでございますが、この前段の方の「政府機関が主務省令で定める方法により」というのは、国の検査機関が立ち入り検査をする場合を予想しておるわけであります。それから「その他主務省令で定める場合」というのは、いわゆるこの指定検査機関なり、他の官庁、たとえば税関等がやる場合を予想しておるような次第でございます。
  61. 白井勇

    ○白井勇君 その税関ということでわかりますれけれどもね。そうすると、まあここの逐条解釈とは話が違うわけですけれども、「その他主務省令で定める場合」の中に指定機関が入るということは、これはどうも私ふに落ちないのですけれども、こういう段階まできますれば、一応指定検査機関が封をしたものは、それを開くのは政府監督機関か、あるいは税関だと思いますね。それ以外の場合というものは、こういう場合においては考えられないのじゃないかと思うのです。そこはどうですか。そういうふうに、こういう段階にきてまでも、何といいますか、指定の検査機関が来まして、勝手に封を破れるような扱い方は、非常にまずいものじゃないかと私は思うのですがね。
  62. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 式田検査課長から足らないところを説明してもらいます。
  63. 式田敬

    説明員(式田敬君) 御説明申し上げます。ただいまの御質問の点でございますが、第九条の第二項の問題は、先ほど局長から御説明申し上げましたように、ただし以下の前段の、「政府機関が主務省令で定める方法により同項の封に代るべき封を施したもの」という場合は、国の検査機関が行う場合、それでその他主務省令で定める場合という中には、これはまあ今後主務省令を作るわけでございますが、その中に書くことを、まあ事務当局として予定しておりますことは、税関が封を開く場合、あるいは司法警察が封を開く場合のほかに、これは非常にまれなケースではございますけれども、指定検査機関が一たん封をしたものを、もう一ぺん何かの都合で開くということもあるかとも思います。それで最初に検査をしまして、表示をし、封をするというのは、第九条の第一項でありまして、その後においてその指定機関が開くという場合は、やはり第二項の方のただし書きということになるのではないかと思います。で、これは政府機関が一ぺん封をやったら、もうそれは開けないのだ、これは国の機関等が開くほかないのだというふうにいたしますと、運用が非常に窮屈になるとも思われますので、こういう例外を書いたと思っておる次第でございます。
  64. 白井勇

    ○白井勇君 それから第十条ですが、特例というもの、私はまあ、こういう輸出検査法を制定しますれば、特例というものは、できるだけこういうものは置かない方がいいのじゃないかという感じを持っておるものですが、一体これに該当しまする品目というものは、現在どういうものを考えていらっしゃるわけですか。
  65. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) まあ御指摘の特例につきましては、できるだけ特例を少くしたいという方針でおるわけでございますが、一応現在のところ特例として予想をいたしておりまするのは、まず第一に、当該商品の生産されるほとんど全部の都道府県において国の輸出規格と同じ規格による生産検査が強制されておりまして、かつ、その検査が適確に実施せられており、従来ほとんどクレイム等も生じていないような場合をまず第一に考えておるわけでございます。  それから第二には、現在当該商品の輸出金額が比較的少額でありまして、今後もこの輸出金額の増加があまり期待されたいような場合で、埠頭におきます検査技術的に困難であるとか、または不可能に近いというような場合、かりに生産検査を受けるといたしますと、多数の人員と多額の費用を要するような場合、たとえば木ろうのごときは、これに該当するかと思うのでありますが、そういうような場合を第二の特例と考えておるわけであります。  それから第三といたしましては、過去長年月に一わたりましてブランドによる信用取引が相当適確かつ効果的に実施をされておりまして、過去におけるクレイムもほとんど発生をしていないような場合でございます。  それから第四は、当該商品の性質上検査に相当長期間を要しまして、現在の検査機構をもってしては、強制は困難であり、かつ、当該商品の生産工程が高度に管理されており、従来もほとんどクレイムの発生をみていないようなもの、たとえば厚生省関係の医薬品でございます。まあ現在のところこういう四つのような場合に該当ける場合を特例と考えておるのでありますが、できればわれわれとしてもできるだけこれらのものについても強制検査等に移せるものがあれば、秘して参りたいというふうに考えております。
  66. 白井勇

    ○白井勇君 これは非常に特例を置く場合は、今抽象的なお話はよくわかりますが、大事な問題と思いまするが、今あなたの方で考えていらっしゃいます、どうしてもこのものは特例を考えなければならぬという品目を、この前は医療品等につきまして、どうしても特例を考えなければならぬという理由をいただいておりますが、今抽象的に四つのような理由に基いてまあいろいろ考えられるようでありますが、品目別に要求をいたしました資料をいただいていないように思いますので、出ていませんでしたらいただきたい。  それから第十六条の、ここにいろいろ指定します場合のことが書いてありまするが、この第二号の「主務大臣が定める数」というような、数を定めます場合に、どういうようなことを考えていらっしゃいますか、どういう考え方にきまって参りますものか。それから、四、五、六ですね、これはたとえて具体的に言いますと、どういうような場合のことを考えていらっしゃいますものか、ちょっとこれを具体的に御説明願えないものか。
  67. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 第十六条の第二号の「主務大臣が定める数」でございますが、これはもちろん、この検査を公正適確にやれるとい趣旨からでございまするので、輸出額を基準といたしましてどの程度の人数があれば可能であるかということを判断をしてきめるわけでございます。  それから四、五の、民法第四十五条の規定により設立された法人であって——、この問題は、新法におきまして変りました点は、「民法第主十四条の規定により設立された法人」ということを、はっきりと明定せんとするところが、大きな変った点でありますし、また、非常に意味を持つ点であります。要するに、民法上の公益法人を頭に考えておるのであります。なお、「その役員又は社員の構成が輸出検査の公正な運営に支障を及ぼすおそれがないものであること。」というこの点は、まず、その設立された機関公益法人でありましても、その役員または社員の構成が、必ずしも輸出検査の公正な運営ができるかできないか、疑問の場合も予想されるわけでございます。そこで、その指定検査機関役員または社員の構成は、常に中立性を保持し、検査業務の公共性を侵害されないようにする必要があるわけであります。従いまして、いわゆる業者の影響力を検査の面で受けることがなく、公正な検査活動を守る必要があろうと考えられるわけでありまして、かような規定にしたわけであります。  それから第五号は、別段御説明を申す必要はなかろうかと思います。  第六号の「輸出検査運営を適確かつ円滑に行うに十分な経理的基礎を有するものであること。」、この点は、一言に申しますと、弱体な公益法人を排除するという意味であります。これは、検査数量がある期間種々の原因で皆無となるとか、あるいはまた激減したと費、その赤字に耐えられないで、直ちに輸出検査員を多数解雇する事態が発生するといたしますと、その後輸出が原状に回復しても、再び輸出検査員を集めることはなかなか困難となるわけであります。かような意味から、かりに検査数量が短期間激減をしても、十分な経理的な基礎を有するといたしますれば、かかる事態の発生が防止できるので、かような規定を設けんとするものであります。  それから、七の「その指定をすることによって申請に係る指定貨物輸出検査の能力が著しく過剰とならないこと。」、これは指定検査機関の数の制限でございます。検査機関がかりに乱立を許されるとするならば、自由競争の結果、甘い検査が行われる危険があるわけであります。かような配慮のもとに、この規定を設けまして、指定の数を制限しようとするものでございます。
  68. 白井勇

    ○白井勇君 この第七の場合、一つの品めにつきまして、二つの検査機関というものを考えておられるのでありますか、あるいはそういうことがここにいいまする通りに能力の過剰になる、こういう考え方でこの第七というものは入っているのでありまするか、そこはどうでありますか。
  69. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) もちろん、検査機関が重複をしないことは当然であるわけであります。現状下におきましては、若干その例外があるようでございますが、ただいま申しますように、原則にあくまで一つというふうに考えております。現在の例外のあるものも、できますならば一つになるように、ひとつ指導をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  70. 白井勇

    ○白井勇君 そこのところは非常に大事なところだと思いますが、またいずれ機会を見まして、もうちょっと上の方の御意見等もまた聞かしてもらいたいと思います。  それから、四十条の中に、立ち入り検査の場所ですが、こういう場合に、埠頭とかあるいは駅構内とか、そういうような場所に立ち入りをしなくても、ただ保管の場所というだけでいいものか。輸出品ですから、あまり駅構内ということはないのかもしれませんが、埠頭なんかの場合よくあるんじゃないかと思うんですが、それがなぜこういうふうに保管場所というふうに倉庫みたいなことにだけ限定をされたものですか。
  71. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この保管の場所と申しますのは、必ずしも倉庫という狭義には解していないのでありまして、たとえば自動車道路なんかも、この保管の場所というふうに広義に解釈をしておるのでございます。
  72. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  73. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記始めて下さい。
  74. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私はこの際、提案があるのでありますが、ということは、最近の新聞紙上を見ましても、岸外務大臣が経済外交の確立ということについても非常に強調をされておるわけでありますが、経済外交というものは、せんじつめれば、日本の通商をいかに強力にしていくか、こういうことに帰一すると思うのであります。そういう立場から言いまするならば、われわれの要請なくても本委員会等に参りまして、その構想を明らかにしてもらうということが私は至当ではないかと、こう思うのでありますが、昨日の新聞か、本日の新聞紙上を見ますると、来たる十五日に首相官邸におもな貿易業者を呼んで、この岸構想というものを一そう明らかにするように伝えられておるのでありますので、この際、私どもはその十五日の日にちの前に長い時間はとらせませんから、外務大臣に御出席を願いまして、私どもとしましては一応質問を申し上げたいと、かように考える次第でありますが、委員長からよろしくお願いいたします。
  75. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいまの大竹委員提案、私大賛成です。先般の委員会で貿易事情質疑等をした場合にも明らかでありますように、かなり現在の段階では、貿易問題を論議する場合に、外務省の意図並びに現在までのやり口等が問題であろうと思うわけです。従いまして外務大臣としての岸さんをここへ呼んで質疑をするということには、全く私ども賛成です。
  76. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 大竹委員からただいまの提案がなされましたし、相馬委員から賛成の意見が述べられました。さよう取り計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 異議なければ、その日時は大竹委員から御希望がありましたようでありますから、予算委員会その他勘案いたしまして、政府に申し入れることにいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  78. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
  79. 白井勇

    ○白井勇君 もう少しお尋ねしますが、四十三条のこの「異議の申立」が、「処分のあったことを知った日から三十日以内」というのですが、どうもそのちょっと長過ぎるように思うんですがね。普通の格好で言いますとそこに検査を受けまするものは当然これは立ち会っているわけです。それが納得いくかいかないかというようなことは、すぐその場において大体判定する問題が非常に多いと思います。もちろん、これは機械検定等を要する問題もありましょうから、異議を申し立てるにつきましての準備もありましょうけれども、三十日もやはり間を置かなきゃならぬのか、その辺のことをもう少しつめる必要はなかったのでしょうか。
  80. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現行の輸出品取締法では、その不服のある者が処分のあったことを知ってから、異議の申し立てをすることができる期間につきましては、何ら規定がないのでございますが、まあ、一応新法におきましては三十日以内というのが適当ではなかろうかということで、一応区切ったような次第でございます。
  81. 白井勇

    ○白井勇君 それから四十五条、手数料の問題ですがね、これは先ほどもどなたかの御質問がありましたが、これはもちろん受検者のためにも最小限度必要な経費というものしか取らないような方法が正しいんだと思うのですが、ただ輸出品ともなりますというと、やはりけさほどの話に出ておりました通りに、貿易上の波というものが非常にあるわけです。権威ある検査を実行して参りまするには、やはりそういう場合のことを考えて、いろいろ手数料というものもきめておいて、余りますれば、けさほどのお話がありました通りに、特別の積立金にしておいて何とかするというような、不況時に備える組織も当然必要なわけでありまして、その辺のことを考えて手数料というものがあると思うのですが、現行の手数料を見ますと、大体千分の一ぐらいから最高が千分の八、九ぐらいまでの間にきまっておるようですが、今度政令できまります場合は、大体最高、最低どのくらいになりますか。あるいは全体として多少この法案によりまする検査が施行されるということで、一そう権威ある検査を実行している。従いましてその検査の器具の整備でありますとか、あるいは機械化の面をもっと充実しなければならぬというような面もありまして、全体的に多少上る傾向になりますものか、その辺どういうお見通しですか。
  82. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この現在指定貨物輸出価格の百分の一を越えない範囲手数料政令で定めることになっているのは、現行法も新法も同じなんでございますが、この手数料問題と申しますのは、御存じのようにこの輸出品の価格の負担力に非常に影響いたしまするので、まあ慎重にきめなければならないということで、政令で定めるということになっておるのでございまして、そこで法の建前から言いますと、百分の一以内で実情に応じたきめ方をすればいいわけでございます。現在のところ、今御指摘のありましたように、千分の七、八くらいが最高になっておるのであります。で、現在の登録検査機関が新法によりまして指定検査機関になった場合に、大体現状の手数料をそのまま踏襲を原則としてはいたしたいというふうに考えております。もちろん、検査をより強化いたしますために、若干の引き上げということも理論的には考えられ得ないことばないのでございますが、現行の登録指定機関は、おおむねこの新法に言う指定検査機関になり得る資格を持っておるものではなかろうかと思いまするので、といいますることは、検査員の数、検査能力等から見て、ほぼ十分ではないかという考えを持っておりまするので、手数料の方も引き上げをあまり必要としないのではないか、大体現状通りでいけるのではないかというふうに考えております。
  83. 白井勇

    ○白井勇君 付則の第一条に、公布になりましてから九カ月というのですが、非常にまあちょっと考えますというと、これは全然今までやっていないことでありますれば、まあ相当準備期間が要るというようなことも考えられるのですが、すでにある程度取締りに基きまする仕事をやっており、機関も大体まああるものはそのまま指定になっておるというようなことであり、従来の取締法によりまする基準というものもきまっておるわけです。これは検討し直せばきりのないことではありまするが、大体まあその制度にはある程度の格好ができ上っておる。これから一体九カ月もたたなければ実際施行できないということが、どうもあまりにも間が長過ぎるのじゃなかろうか、こう思うのですが、これから一体この法案通りましたあと、どういうその作業にこれだけの期間が要るというようなお見通しになっておるわけでありますか。
  84. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この九カ月の期間が長過ぎるのではないかというお尋ねだと思いまするが、役所側の準備といたしましては、政令あるいは省令を用意すること、この点はもちろんさして時間もかからないとは思いまするが、何分先般も御説明申し上げましたように、現在の検査品目のうち七割程度が自己検査制度になっておるわけであります。その自己検査制度の大部分を行政検査に切りかえたいと、こういうふうに考えておりまするので、この検査機関を新設いたさなければならぬ場合も、多々あろうかと思いまするので、まあそういう点を考慮いたしますると、九カ月ぐらいはかかるのではないかと思うわけであります。もちろん、準備のでき次第できるだけ早くいたしたいのではございまするが、また、そういうふうに努力をするつもりではございますが、一応いろいろの切りかえにも時間がかかりますので、九カ月を必要とするのではないかという判断で、かような規定を設けたわけでございます。
  85. 白井勇

    ○白井勇君 私この法案に多少落ちているものがあるのじゃないかと思われまするものをちょっと知りたいのですが、二十八条で業務停止ができるわけですね。そうしますと、この間私新聞で見たのですが、今月の初めぐらいに、その前には見本万年筆の問題があったと思うのですが、織物染色検査協会というものの兵庫検査支所が、何か表示業務の点で八日から十四日まで業務停止になった。ですから、この場合においては、兵庫の検査支所がそうなるのですから、他の本所なり、他の地区にありますところの機構が動いているわけですから、応援に行って検査をし、輸出に間に合せるのだと思うのですが、これはこの規定からいいますれば、そういう検査協会の一つ検査所というものだけじゃなく、全体の業務停止をしなければならない場合が出てくるのだと思いますね。そうしますと、一体その期間の検査業務というものが、何によってこれは行われるものでありますか。それができないということになりますれば、結局それは輸出貿易にも差しつかえてくる。そうすれば、全体を何か業務停止を命じなければならぬけれども、そのこともこの二十八条の実際の運用は実際問題としてできないというような、何か変な事態が出てくるのじゃなかろうかというような危惧を持つのですが、何かその場合においては、たとえば政府がこれにかわってやるのだとか、何かそういう一つの条項がないと、そういう場合に困りやせんかというふうにちょっと考えるのですが、そこはどうなんでしょうか。
  86. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お説の通りでございまして、率直に申し上げますならば、先般中共の見本市の際の即売会において問題になりました万年筆の場合でも、一週間の業務停止をいたしたのでございますが、今先生から御指摘のありました通りに、しからば業務停止をしている期間、だれがかわってやるかという問題が実はあったわけでございまして、万年筆の場合は、幸いにして国の検査機関でありまする工業品検査所がその能力を備えておりましたので、その一週間は工業品検査所がかわりにやったのであります。従って、今後いろいろの場合を想定いたしました場合に、その指定検査機関業務の停止の場合はもちろん、国の検査機関である繊維製品検査所、あるいは工業品検査所、あるいは農林省関係、あるいは厚生省関係検査機関のあるものにつきましては、比較的指定検査機関業務停止の期間中かわって検査をやることができるのでありますが、あるいはそうでないような場合におきましては、御指摘のように若干不便もあろうかと思います。従って、全面的な業務停止がやりにくいというふうな場合も、確かにあろうかと思いまするが、実際問題といたしましては、今申しますような国の検査所でかなりの部分代行できましょうし、また、この指定検査機関業務全部につきまして停止を命ずるということは、実際問題としてすけないのではないか、こういうふうに考えておるようなわけであります。まあ、その実際の場合場合に沿いまして、できるだけの善処をする、また、そのほかないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  87. 白井勇

    ○白井勇君 私は、まあ意見になりますけれども、今かりに業務停止を命ぜられた場合においては、国の検査機関で大部分のものができると、こうおっしゃいますけれども、一応国の機関やら、あるいは指定機関によって、検査業務範囲というものがきまってくるわけですね。ですから、そのときに全部書類か何かに国の検査機関の実際検査されるもの、これをやるのだということを規定していけば別な話ですけれども、この法文から言いますと、そういうことはない。特殊のものは国の検査機関がそれだけについてやっておるけれども、大部分のものは指定検査機関が実際の検査をやっているわけです。国でやりますことは、主として監督検査なんですね。そういう建前から言いますと、何か法文に一つ規定がないと、そういう場合において、国がさらに検査をして、つまり合格、不合格をきめて、そうしてそれに表示をしていく。こういう行為は、そういう場合に限って国の検査機関あるいはまた特別に政府が指定した機関がこれをやっていくのだ、こういうような、何か規定がありませんというと、この二十八条の法文があってみたって、実際上運用が制限された意味のないものになるのじゃなかろうかと私は思うので、これは一つ検討おき願います。  それから、けさもちょっとお話しありましたが、合格、不合格をきめたり、あるいは等級表示をするほかに、貿易の取引上検査証明書というものを出しておる格好なようなんですね。そうして、それに今度、国でも、あるいは検査協会におきましても、その手数料を取っておるというのが当り前のようなことなんですね。そうしますと、これは検査を受けまする者に手数料と同様な非常な負担をかけていくわけでありまして、法律から言いますと、そういうことこそ、やはり法律でかっきり受検者の負担になるようなことを、手数料と同様に経営者の負担というようなことで規定を設けておかなきゃならぬものであろうと思うのですが、この法案にはそういう条項がないわけですね。そこら辺どういうふうにお考えになるのですか。
  88. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) まず、御指摘の第一であります指定検査機関が、業務の停止を命ぜられた場合の政府機関検査についてでございますが、先ほども申し上げましたように、検査そのものは一品目機関という原則で進むわけではございまするが、法の建前といたしましては、政府機関またはこの指定検査機関主務大臣が指定したもの、こういうことになっておりまするので、そういう臨時または突発的な場合におきましては、国の検査機関が、検査の代行というと若干語弊がございまするが、その期間中は国の検査機関検査をやり得るわけでございます。別段新しい条項を設けずともやれるのではないかというふうに考えております。  それから検査手数料以外の証明料等につきましては、これは普通の事務であり、受益者が当然負担すべき手数料でございまするし、また、その金額もさしたるものでもございませんので、法律に明定をしなくとも差しつかえはないのじゃないか、こういうふうに考える次第であります。
  89. 白井勇

    ○白井勇君 ただ、今の証明の問題ですね、これは希望あるものだけですが、実際問題として、取引上検査証明というものは、当然ついているようなんですね、迷子じゃないけれども、取引の一件ごとについている。証明受けるごとに百円なら百円というものを納めるわけですね、ですからそういうのが常態なんですね。ことに輸出貿易でございますと、中にはたとえばさらに国の検査証明がなければ困るというような取引もある。そうしますと、それは検査機関であれば業務規程であなた方監督できるのだとおっしゃるかもしれませんけれども、とにかく検査する以外に証明書というものがついて、当然受検者への何といいますか、検査に関する一つの負担なんですね。だからこういうものはやはりある程度法案にかきっと規定するというのが国民の利益を守っていく建前上、当り前のように私は思うのですが、これは一つ御検討願っておきたいと思います。  それから私もう一つこの法案でちょっと落ちているのじゃないかと思いますことは、検査というものは基準がきまって、それから検査をする機関がきまっておる。ものさしがきまって検査する機関もきまっておるということですが、それならばそれをどういうふうにしてものさしではかっていくか、検査方法というものは検査業務におきまして非常な重点になっておるのですね。けさほども豊田さんでしたか、抽出検査なり、あるいは毎個検査ということにつきましてのいろいろ御注文がありましたが、ああいうふうに、そのやり方というものは非常に問題なのです。ところがこの法案を見ますと、そういう大事なやり方というものを規定した条項というものはないように思うのですね。これはもちろん法律そのものではこまかいことは規定できないわけでしょうから、少くも省令なり、政令に譲るような条項が、どこかになければならない筋合いだと思うのですが、それがないのです。それが私どもふに落ちないのですがね。
  90. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この検査方法は御指摘のように検査基準と同様、非常に重要なことは御質疑通りであります。現在は検査基準の中に方法規定しているものもあるわけです。また、検査原則の中で規定をしている場合もあるわけです。検査原則につきましては、国の検査機関につきましては所長が主務大臣に届出をすることになっておりますし、また、民間検査機関におきましては、業務規程の一部として主務大臣認可を受けることというふうになっておるわけでござ  います。現状は大体そうであるわけでありまするが、確かに御指摘のように重大な問題のように考えますので、今後は検査方法基準に入れて解釈をしたい。従って主務省令をもちまして、  いわゆる従来の慣例である検査基準のほかに、検査方法も入れて省令で規定をしたい。言いかえてみますと、この検査基準を若干広義に解釈して参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  91. 白井勇

    ○白井勇君 それは私は立法のしろうとでありますからわかりませんけれども、少くも、ここに出ております第二条の品質の検査基準と申しますのはこれはどこまでも基準であって、ほかの次に出て参ります条項を読んで見れば、とにかくこの二条の基準を引いておりますものは、とにかく基準に適合しておるかどうかということについて検査をするのだ、こういうことについて検査方法というものをこの中に含めたような考え方で第二条に書いておる。私は三条以下の各項の引用からいたしましてそう思うのです。特にその検査方法が必要でありますところは、たとえば包装等におきましては省令で定める検査方法によってというふうに、はっきり方法というものは別に書き分けをしておるわけでありまして、少くも私はこの法案を作りました場合におきましては、そういうような考え方でこれは作文していないと私は思うのであります。これは何か考えなければならぬ点じゃないかとこう私は思っております。  私はそのほかに大きい問題としまして、やはり検査機関の問題、政府検査機関それから指定検査機関、この機構をどうしていくかというような大きい問題、それと指定貨物との関係もあると思いますが、そういう検査機構をどうしていくかというような大きい問題、それからまた十条の特例をどういうふうにやっていくか、それからけさほどお話がありました検査員身分保障の問題、それから本法運用に必要であります予算的措置の問題、そのほか大きい問題は直接また責任者に次の機会に御質問を申し上げたい、こう思いますので、その点は今日は保留いたしましてこれで終りたいと思います。もし、次回におきましてたとえば検査機構の問題、あるいは第十条の特例の問題等につきまして、通産省におきましてはこれは責任ある答弁ができないということでありますれば、担当しております農林省なりの責任者の方が出られますように、委員長におかれましてお手配をお願い申し上げたいと思います。一応これで今日は終りたいと思います。
  92. 島清

    ○島清君 私はこの提案理由説明についてお聞きしたいと思います。先刻大竹委員から外務大臣であります岸さんの御出席を要請されて決定をされたのでありますから、総理大臣である岸さんにお聞きする機会もあろうかと思いますけれども、この点だけはただしておきたいと思いますので、一点だけお聞きしたいと思います。それはこの法案は非常に重要な法案であると考えております。と申します理由といたしまして、これを厳重に実施していくといたしますならば、提案理由にもうたってあります通り、今後ますます企業の合理化を促進していく、こういうことを政府は強い決意をもってうたっておられるのでありますから、当然に企業の合理化というものが強力に推し進められていくということになるわけでありますが、しかしながら、ここに企業と申しましても、大企業はすでに合理化をはかるための租税の特別措置等が講ぜられておるのでありますけれども、中小企業に対しましては、はなはだ残念ながら放任の状況にあるのであります。この中小企業者の製品が今日本の貿易輸出商品に占めておりまする量からいいまして、これが当然に合理化を強力に促進されていくといたしますならば、中小企業者の諸君は、企業の合理化をはかって参りまする余力を持たないわけであります。従いまして今中小企業が立たされておりまする事情からいたしまするならば、私は系列産業が中小企業の中に進出をして参りまして、中小企業が非常に困っておるというようなところへ、さらにこの法案が出て参りまして、厳重なるところの検査が行われ、さらにそのために合理化が強力に促進されなければならないということになりまするならば、この法案の実施の暁に対しましては、中小企業の死命をも制するというようなすこぶる重要な意味を持ってくる、私はこういう工合に考えておるわけであります。もし、私の考え方が誤りでないといたしまするならば、これに対しまして、政府はどういうような考え方で企業の合理化をはかっていかれようとするのであるか、また、大企業の系列産業の進出によりまして困っておりまするところの中小企業に対して、今ですら政府の施策というものは、非常に貧困きわまりないものでございます。さらに加えて、こういう法案が出て参りまして促進をするのだ、こういうふうな決意を表明をされておられるのでありまするから、当然にこれに対しまして何らかの方策が講じられなければならないと思うのでありまするけれども、寡聞にいたしまして、私が承知する限りにおきましては、この法案と並行いたしまして中小企業合理化に対しまする施策というものの片りんを私は承知をしていないのであります。どうぞ一つこのことに関連をいたしまして、この中小企業合理化に対しまして、いかなる施策の持ち合せがあるかどうか、この点をまずまっ先にお聞きいたしたいと思います。
  93. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この企業合理化、特に中小企業の合理化問題につきましては、やはり私はお答えする資格がないかもしれませんが、実はここで「企業の合理化を促進し」云々と言っておりますのは、最近の貿易の国際競争の傾向から見まして、企業の合理化を促進し、生産性の向上をはかるということも必要であるが、他面その輸出検査を強化し、わが国輸出品の声価の維持並びに向上をはかることが緊要と考えておるわけでありまして、この輸出検査法案自体におきまして企業の合理化を促進するということは、これは非常にむずかしいことでありまして、検査法案の趣旨からいいますと、企業合理化の促進を別段考えているわけではないわけであります。回り回りまして、間接的に合理化の方に問題が移ることはないとは言えませんが、検査法案そのものはあくまでも輸出品の声価の維持向上であるわけであります。で、まあ御指摘の中小企業の合理化の問題につきましては、あるいは中小企業庁長官あたりが答弁をされる方が適当かと思うのでありまするが、われわれこの輸出検査を担当する側といたしましても、いわゆる検査基準の設定につきましては非常に慎重を期し、中小企業に不測の圧迫にならないように、検査基準の引き上げを策する場合におきましては、漸進的にやりたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  94. 島清

    ○島清君 アメリカ帰りの松尾さんに、中小企業がいま立っておりまする苦境に対することをお聞きしても、それは満足な答弁が得られようとは思いませんが、しかし、少くとも私はこの法案を作成なさいまするに当りましては、中小企業庁等と十分な打ち合せをされまして、中小企業に対しまする、及ぼす影響等についての考慮が当然に払われて、そうして御提案になったものだということの前提で、お尋ねをしたのでありまするけれども、そうでないといたしますれば、また、冒頭において申し上げました通り、それぞれの、政府の最高の責任者がおこしになりましたときに、お聞きしてもよろしいわけでありまするが、今、中小企業の困っておりますることは、大企業が中小企業の方に系列産業の進出をさせまして、そうしてその圧迫に今までの中小企業の諸君が困っているわけであります。従いまして、大企業をバックに持ちまするところの中小企業は、これは資金も、資材も潤沢にあるのでありまするから、十分に合理化をいたしまして、そうして国際競争に打ち勝てるというところの内容を備えているわけでありまするけれども、いわれておりまするところの今の中小企業の諸君には、とてもじゃないが、合理化などやってゆけるだけの余裕はないのであります。従いまして、この法案が成立いたしますると、当然に個々の中小企業みずから、この検査合格しようとするところのいい品物を作りまして、いい品物を作るためには、やはり合理化しなければならないというところの必然的な要請が起って参るわけでありまするので、従ってこの法案が実施されまするというと、中小企業の命取りにならないとも限らない、死命を制するというような、重要な意味をもってくる、こういうようなわけで、私はお尋ねをしたのでありました。しかし、まあそういうことで、まだ内部的に中小企業等の関係において御相談をしてないとおっしゃるならば、それをしたときに、私はお聞きしてもいいと思っておりまするが、私は以前におきまして、中小企業の合理化を促進するために、中小企業の合理化金庫というようなものを作って、そうして国際競争に打ち勝てるというところの強い基盤を打ちたてる御意思はないかどうかということの質問をいたしたことがあったのであります。こういうような問題について、まあ通商局長からお答えができなければ、次官も伝い見えておられますので、次官の口からでも御答弁が願えたら大へんに仕合せだと思います。
  95. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) この法案を今日提案するまでには、各関連のある、すなわち中小企業庁とは十分の打ち合せはしてあると思っておりますし、さらにまた、この合理化を促進していくという点、御承知のごとく、まあ島さんの御指摘通り、非常に合理化が促進されてきておる。しかし、この促進されているものと並行して、やはり輸出というものが当然多くなるということでございますので、それに対して、今日この法案提案をしたような理由でありまして、ただ、中小企業者を苦しめようというような考え方はなく、こういうような機関を設けて、より以上生産の向上をはかって、そうして輸出産業を拡大してゆきたい、こういうのがこの法案のねらいだと、こういうふうに私は信じているわけでございます。
  96. 島清

    ○島清君 この問題はいずれまた、適当なときに質問をしたいと思っておりまするが、この生産性の向上とい意味について、この法案と関連をいたしましてお聞きしたいと思っておりますが、企業の合理化を促進して、生産性の向上をはかるということは、企業の合理化と、生産性の向上は、これは不可分の関係に立っておるようでございますけれども、企業の合理化を促進して、生産性を向上するという生産性の内容でございますね、これについて御説明を伺いたいと思います。
  97. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 今大きく展開されておるところの生産性の向上と、こういう考え方をもって現わしておるのでは私はないと思います。要するに合理化が促進していくことになれば、生産性というものは、おのずからそこに向上していくのだ、こういうふうな考え方を持って、ここに提案しておる、こう考えております。
  98. 島清

    ○島清君 私は内容的にもっとお聞きしたいのは、大体生産性と言いいます場合に、非常に生産性の言葉の意味があいまいに使われておりますので、これを非常に遺憾に思っておりまするが、それは生産性の向上という場合に、ややともいたしますと、労働生産性の向上ということに使われる面が非常に多いのですね。たとえば労働者が今まで十のものを作っておったけれども、十二のものを作らせるのだ、こういうことが生産性の向上であるかのごとくの錯覚のもとに、この言葉が使われておる。従いまして私はこの法案提案理由の中に使われております言葉は、そのまま普通使われております労働生産性の向上という意味なのか、それとも非常に良質な品物を作っていく質的な内容意味なのか、量的なものであるのか、こういうようなことについて一つお聞きしたいと思います。
  99. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 労働生産性の関連とは、この輸出検査法というものは、大きな関係は私は切り離されておると思うのでありまして、要は一般生産性というものを向上していく、その上に立ったやはり検査法である。こういうふうに私は考えております。
  100. 島清

    ○島清君 つまり、たとえば今別珍なら別珍というものが百万反作られておる。これがいいものであるならば、九十万反でも貿易の面からいえば生産性の向上だと言い得ると、こういうわけでございますね。
  101. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) この法案そのものは、要するに生産性を高めていくのだというだけの考え方ではなくっても、生産性は当然高まってくるであろうから、それに対する一面、こういうような面を強化していかなければならないのではないか、それはすなわち、輸出産業は中小企業を基盤とする日本の現実の姿からいった場合に、輸出検査法というものは強化していって、そうして御承知のごとく、たとえば中共の問題等も、そういうことのないように向上させていく、こういうような考え方からこう言ってあると考えております。
  102. 島清

    ○島清君 自余の問題については討議の範囲に入りますので、私はこの問題については、また後日時間をちょうだいすることにいたしまして、質問をこれで打ち切ります。
  103. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっとくどくなるようですけれども、輸出検査法と企業の合理化生産性の向上というのは、どういう関連があるのか、この輸出検査法が成立すれば、企業の合理化を促進し、生産性を向上しという理由になっておるが、検査法が通れば、どうして企業の合理化がされるか、あるいは生産性が向上するのか、今の点でちょっと食い足りなかったから、はっきり教えてもらいたい。
  104. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) この法案が通過したからといって、生産性が向上するとかというような考え方は、この法案そのものにはないと存じます。要するに、申し上げたように、国際競争というものに耐えられなければならない。そういうような点から考えたときに、ますます御指摘のように合理化が促進すれば、いろいろの生産が拡大して、その上に立って、その上に国際競争に耐えられるように、つまり育成をしていかなければならない。それには保護をしていかなければならない。保護といって言葉がいけなければ、それに耐えられるという方途を考えなければならない。それにはこの検査法が必要である、こういうふうに考えております。
  105. 阿具根登

    ○阿具根登君 風が吹いておけ屋がもうかるということになっているようでございますが、それは、検査法を実施すれば、それに伴う何か保護政策を考えておられるのかどうか。そうしなければ、検査が厳重になればなるほど、生産性という問題も一応考えられないではないけれども、この検査法のみを考える場合には、何ら関係ないはずであります。また、合理化の問題もその通りで、合理化も、生産性をここで強調されるならば、それに対応する施策があるはずだ、合理化するためにはどうするのだ、生産性を向上するのはどうするのだということが、あるはずでございますけれども、輸出検査法案説明の中に、それが強調されているというのがわからないのです。
  106. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 私たちの考え方といいましょうか、政府の考え方としては、日本輸出計画というものももちろんありましょうし、また、日本産業の実態というものの現実のままの姿でいこうとは考えていない、より以上拡大していけるというような考え方は、持っているわけでございます。しかし、その問題と輸出検査法というものは、要するに、申し上げたような企業の合理化がされていく、また生産性というものが大きく向上されていくだろう、そういうふうになる面と並行していくという一連の関連はあるはずでございます。従ってその面と、またこの提案をなすっている理由というものが、ここに何ゆえに書き立てられたかというのは、要するに、そういう関連性はあるけれども、輸出検査というものは、すなわち国際競争に耐えられるだけのものでなくちゃいけないのだ、こういう考え方をもって提案をしているのであります。
  107. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 一点お尋ねいたしますが、本案につきまして、時折新聞あるいは業界機関紙等を見ますと、本案提出の大きな理由が、先般北京で行われました日本商品の展示会のときに起りました粗悪品の事件、これに非常に刺激せられて、本案の骨子になったというようにも聞いておるのでありますが、私は先般石橋通産大臣に、この問題につきましては、警告的な御注意を申し上げたのでありますが、今も政務次官から、中共云々という問題も出たのでありますが、これはやはり世間で言うがごとく、私が申し上げましたようなことが、大部分本案作成の中心になっているかどうかということをお尋ねいたしたい。
  108. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 私はごく卑近な例をとって申し上げたのでありまして、要するに大体今クレイムの、先ほどもお話を申し上げました通りクレイムが総額の五五%もあったというような一つの例があるわけでございまして、その問題を一つ取り上げて、ここでは全般から見たときに、このクレイムというものを、なるべく今後少くしていかなければならない、こういうような考え方から、日本商品というものを国際的に高めていく上について必要だと、こういうふうな考え方を持っているわけであります。
  109. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この前、石橋通産大臣にも申し上げた通り日本輸出は、御承知通りその六〇%というものが、大体中小企業の手によってまかなわれているわけなんでありまして、今、政務次官の御答弁で、必ずしも中共の商品展示会が骨子になったわけではないように聞いて、安心をしたのでありますが、この際、私は関係当局に申し上げておきたいのでありますが、あの事件があまりに日本の閣僚諸公のこけんのなさと申しますか、これは御承知通り、これはまあ松尾局長がそこにおられて御存じだと思うのでありますが、検査の責任はその当時の話し合いの結果、むしろ中共側にあったわけなんであります。しかるに、ああいう問題が何事か知りませんが、取り上げられて、確かに粗悪品であったものもありますが、しかし、中には石橋通産大臣も言う通り五十円の万年筆が使い方がわからなくて、これが粗悪品の中に入っていたものもあとでわかったというようなことも言っておるので、少しく閣僚がこの中小企業の実情とか、あるいは大きくこれの国際的な影響というような問題を考慮しておられるならば、あんなに大騒ぎをする必要はなかったのでありますが、閣議は再三開いてこの問題についても大騒ぎをやった。これが中心になりまして、各新聞雑誌は書きなぐる、まことに針小棒大というような騒ぎまで起ったわけなんでありますが、これがためにこの中小企業のまあ主として雑貨工業の与えられた影響というものは非常なものであります。日本のいわゆる雑貨工業というものは、悪いものだというふうなレッテルさえも張られておるわけなんでありまして、あとから中共当局の方から、あんまり騒がないで下さいというように、逐に日本の方が慰められるというような醜態があったわけなのでありますが、今もってその影響というものは、中小企業の輸出の上に大きな重荷になってきているのでありますが、これをどうか一つ政府当局としても十分御留意されて、善処を一つ願いたいと思うのでありますがなおこの点について松尾局長に御意見を伺いたい。
  110. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先ほども政務次官から御答弁がありましたように、今度の検査法案はかねてこの中共の即売会において問題が起ります以前から、法制的に見ましても、現行法はかなり不備な点を持っておりますし、また、実情から見ましても、いろいろ工合の悪い点もありまするので、改正をしたいということで、研究を進めておったのでありまして、中共のこの即売会の問題から、特にあわててこの新しい検査法案の制定にかかったのでは、ごうもないのであります。その点は御了解を願いたいと思います。  それから次に、この中共見本市のときの即売会のいろいろの問題につきましては、今お話がございましたように、若干新聞報道等は大げさに伝えられたことは、事実でございますが、中には確かに検査機関の手落ちとも思われるものもあったわけであります。それにつきましては、午前中にも御説明申しましたように、業務停止等の措置も講じたような次第であります。  それらの事件が雑貨工業の上に、非常に悪影響を及ぼしておるのではないかという点でありますが、あるいは気分的にそういうふうなこともないとは言えないかと思いまするが、しかしながら、御存じのように戦後におきまする日本輸出品の声価というものは、非常によくなりつつあるわけでありまして、いわゆる戦前御存じのように日本品は安かろう悪かろうということで、もう日本品の代名詞は安かろう悪かろうの品ということすら言われたのでありますが、戦後なおそういう日本品に対する感じの残っているところもあるわけではございますが、最近はかなり一般産業水準の向上と申しますか、各般の進歩に併いまして、いろいろな面でよくなってきていることは事実でありまして、特にまあ私のわずかな在米勤務の経験から申しましても、一般的に申しまして、日本品の雑貨に対する評判は、非常によくなって参っておることは、間違いはないのであります。特にこの輸出品におきます雑貨の占める地位は、非常に大きいことは御存じ通りでありまして、われわれといたしましては、この重要輸出品としての雑貨が、今後ますます品質も向上し、外国により多く売れるように期待をしておるのではございまするが、他方、いろいろの競争関係から見まして、これは外国との競争のみならず、国内の業者同士の競争が漸次激烈になるというような関係からいいまして、戦前と比べて、品質はかなりよくなったとはいうものの、価格の引き下げ、ひいては品質の悪化というような面が、現実の事例として多々起きておるわけであります。そこで、この際そういう品質の維持向上をはかり、この輸出貿易の健全な発達に資するということで、この新しい輸出検査法を制定しようということになったのでありますが、これも従来の輸出品取締法と比較して見まするならば、相当の改善、改革ではございまするが、戦前の法規と比べますと率直に申しまして、戦前の例におおむね返ったということでありまして、従ってわれわれ事務当局といたしましては、時期がおそかったくらいに考えておるのであります。この新法が雑貨工業に悪影響を及ぼすものだということは、ごうも考えていないのでありまして、ますます雑貨工業の製品がよくなるように、また、その輸出がますます伸びるように念願もし、期待もしているような次第でございます。
  111. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣が見えるそうですから、その間一、二御質問申し上げたいと思うのですが、午前中私欠席しておりましたので、ほかの同僚議員から質問があっておったならば、私議事録を見せていただきますから、御答弁要りませんが、こういう検査法ができればですね、非常にけっこうなことだと思いますが、これによって先ほどもちょっと言われたように、価格の問題ともからんで中小企業が非常に困ってくるであろう。たとえば先ほども問題になりました中共の万年筆というものは、五十円の万年筆でよかろうはずがない。日本にだって浅草に行けば五十円の万年筆はございますが、これは使用に耐え得るような万年筆ではございません。また。スプーンを見てみましても洋食のあのスプーンが一ダース百円以下だと、こういうようなことでバイヤーに買いたたかれておる。そうするならば、結局はいいものが出てこない、そうして検査はきびしくなる。こういうふうになってくると思うのですが、それに対して保護的な考え方は何かあるのかどうか、検査だけきびしくして、そうしてその値段については、たたかれるだけたたかれておって、今のような姿でやっていくならば、中小企業は検査のためにかえってつぶれていく、こういうことになってくると思うのです。品質はいい方がいいのだけれども、値段は安い方がいい、こうなってくるんだと思うのですが、その場合に中小企業に対する保護的な考え方があるかどうか、それを局長にお訪ねします。
  112. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お説ごもっともでございまして、この輸出検査を強化するだけでもって、輸出振興の問題は、もちろん解決しないと思うわけであります。特に価格の引き下げ競争とでもいうようなものにつきましては、検査法では効果が薄いのでございます。そこで、それらの点につきましては、御存じのように、現在輸出入取引法という法律がございまして、輸出組合が結成できることになっております。輸出組合におきましては、この数量、輸出価格等について協定ができることになっております。で、現在この輸出入取引法に基きまする輸出組合は、全部で三十四設立されておりまするが、その大体半分ぐらいのものにおきましては、今申しますような数量ないし価格の協定をいたしまして、外国のバイヤーから買いたたかれないような措置を講じておるわけであります。はっきり数字を今記憶しておりませんが、たしか六、七十に上る協定をいたしておるかと思うのであります。従いましてわれわれといたしましては、価格の面につきましては、この輸出入取引法によって輸出業者がそういう協定をして、輸出秩序を確立する。あわせて品質につきましては、この今度の輸出検査法でもって最善を期したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  113. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますとですね、品質と価格というものは、これは政府は何も関知しない。価格の方は別の方でやって、検査だけはやるんだ。いわゆる検査をやる場合には、一つの雑貨物にしても、価格がこのくらいであったならば、これ以上の品質でなければできない、こういうものがあるはずだと思うのです。そうしなければ、同じ品物でも、まあ万年筆が出ておりますから万年筆にしましても、千円の品物と百円の品物だったら、百円の方が悪いことは当然のことでございますから、そういうことについて、どういうふうに考えておられるか。
  114. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お説のように、その品物の価格と品質が密接な関連を持つことはもちろんでございまするが、今度の法律におきましては、いわゆる日本輸出品として、国際競争場裏におきまして、恥かしくないものを出そうという、いわゆる最低基準を押さえる検査法であるわけでありまするので、もちろん、この取引の実態におきましては、それ以上の基準におきまして、値段との関係でいろいろのプラスの輸出があることは当然であるわけであります。この輸出検査法案目的としておりますのは、いわゆる俗に申し上げますならば、国際的に見て恥かしいような、いわゆる安物を輸出しないという、そういう最低を押さえようということであります。しかしながら、その上の段階におきましても、いろいろの業者間の競争によりまして、もっと高く売れるものが安くなるおそれもあるわけであります。そういう面につきましては、いわゆる輸出入取引法に基きまして業者がそれぞれ協定をしもちろんこれは制限を受けるわけでありますし、また、そういう協定をいたします場合には、アウト・サイダーの問題も起りまするので、アウト・サイダーの方の取締り政府が担当してやる。要するに業界政府とが一体になりまして、また、価格にふさわしい品質が確保できるように協力をしてやっていくというのが、今日の現状でございます。
  115. 阿具根登

    ○阿具根登君 ですから、最後にもう一つ今の問題をお尋ねしますが、そういたしますと、この検査法では、そういう基準があるはずでございますね。そうした場合に、安いものは、これはおそらく検査に通らないと思うのです。問題になっておるのは、日本の品物は安いから外国に売れておる、大部分のものは。雑貨に至っては特にそうです。そうしておいて品質が悪いということをたたかれておる。ところがそういう安い、いわゆるスプーン一ダースが百円以下とか、あるいは万年筆一本が五十円とかいうものが、外国日本の品位を傷つけておる。ところが、それを作っておる人たちは、ほんとうに零細な企業であって、バイヤーにたたかれておる。こういうことになるとするならば、この検査法ができたために、そういう零細企業はつぶれていかざるを得ない、こういうことになりはしませんか。そうでなかったならば、それに対する援助策を考えておられるのかどうか。あるいはこの規格を、一定の基準をおいて考えられておるのかどうか。たとえば万年筆だったならば、一本三百円なら三百円以下の万年筆は外国に出しても、これは恥かしい品物だ、今の物価から考えても、材料の価格から考えても、万年筆の一本では、どのくらいの値段はすべきである、その値段でもって国際場裏において外国と太刀打ちができるのだというような基準を立てておられるのかどうか。そうでなければ、漫然とこういう検査法を作られても、実際困っておる中小企業は、その道をふさがれてしまう、こういうことになってきやしないか。また、日本のそういう雑貨物その他は、安いから外国に非常に出ておったのであって、これを一定の価格にきめられる。もちろん私はきめられるのは喜びますが、きめられるとするならば、これは外国との太刀打ちは非常にむずかしくなってきやしないか。貿易の伸びがそれだけ減るのではないか、こういうような矛盾が出てきやしないか。その点について、もう少しこの輸出検査法ができたから、日本の品物が外国に行って遜色のないようにするのだということは、これは私もわかりますけれども、そのために与える中小企業に対する圧迫、あるいは業界の中の、中小企業の置かれておる非常に狭い立場、そういうものに対して、何かこの輸出検査法ができたために援助する方法があるかどうか、その点をお伺いします。
  116. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ごもっともな御指摘だと思うのであります。この日本品が、ある程度国際的に見て安いがために輸出ができていること、特に雑貨についてそうであること、これは事実でございまするが、実際の例を見てみますると、そんなにまで安くしないでいいものもあるわけでございます。たとえばアメリカにおきましても、アフリカにおきましても、一割あるいは五分程度安ければ売れるものを、むちゃくちゃに安いがために、かえって輸入制限等の問題を起しているような事例も多々あるのでありますが、そういう価格の面から、この問題につきましては、先ほど申しますように輸出入取引法の輸出秩序の確立で参りたい、こういうふうに申し上げたのであります。  この検査法の実際の運用に当りまして、先ほどもお話しのありましたように、かりに万年筆と申しましても、アフリカに出るものもあれば、アジア諸国に出るものもあれば、もっと文化の高いところに出るものもいろいろあるわけでありまして、その基準を作ることは、非常に困難ではございますが、この本法にもありまするように、基準をいろいろ作ることになっておるわけであります。従いまして、いわゆるアフリカ向けの検査基準とアメリカの検査基準を変えることができるようになっておるわけであります。その相手市場市場に即した検査基準ができることになっておるわけであります。実際問題として、そうかといいまして、二十カ国それぞれ違う検査基準を設けるがごときことはできませんが、まあ、法律上はそういう建前になっておるのでありまして、従いまして今のこの中小企業のいろいろの原因から出てきている価格、品質、それを前提にして、それ以上一歩も物事が進み得ないのだということでありまするならば、これは輸出入取引法による努力も、輸出検査法による努力も何もできないことになるのでありますが、われわれといたしましては、今の中小企業の製品が安いものを作っていると申しましても、しかし、いいものを作れないで安いものができているかというと、そうではないのでありまして、かなりいいものはできるにかかわらず、競争の結果悪い品物、また安い品物ができてくるというようなものにつきましては、現状をある程度無理でない範囲において、徐々にこの検査基準を高めることによって、品質もよくしていただくし、また、この輸出組合あるいは協同組合等の努力によりまして、価格の安定ないし引き上げに努力をしていただかねばならんというふうに考えておるわけでありまして、この輸出検査法の実施によりまして、直ちに中小企業に著しい打撃を与えるというようなことは、ごうも考えておらんわけであります。検査機関業界も一体になって自己の防衛的な意味もあり、お互いに指導し合って、協力して物事を進めていこうというふうな精神から出ておるのであります。しかしながら、繰り返して申しますように、現状よりも一歩も改善できないということでありますれば、あらゆる努力もできないかと思うのでありますが、徐々に今申しますような趣旨で、品質におきましても、価格の面におきましても努力して参りたい、こういう趣旨でございます。
  117. 島清

    ○島清君 大臣に一つ……。大臣が来られる前にお聞きしたのですが、そこで大臣が見えられたので、途中でやめたのですが、そこで重複いたしまするので、ここで質問の要旨を簡単にさしていただきます。  この法案提案される理由説明の中に、「深刻な国際競争に耐え、この好調を継続して参りますには、今後ますます企業の合理化を促進し、生産性の向上をはかります」ということをまあ理由にしておられるわけでございますね。私もこの法案が実施されました暁には、やはりこういうものが要請されてくる、間接的にはどうしてもそうなるであろうということが予想されるわけであります。従いまして、大臣が強い決意をもってこういうようなことを表明された裏には、当然に企業の合理化の対象になりまする企業体についての配慮がなければならないと思うのです。  そこでその企業体の対象でございますが、ここで問題にいたしておりますることは、中小企業です。そこで中小企業は今このいい品物を作り、国際競争に打ち勝っていくために、企業の合理化が直ちに即応できる態勢にあるかといいまするというと、残念ながらそれはない。そういたしますと、企業それ自体の中に、直ちにこの政府の要請にこたえるだけの態勢がないといたしますならば、政府はますます合理化を促進するとおっしゃっておられるのでありまするからして、これに対する施策がなければならないわけであります。その施策についての御明示がございませんので、それを明らかにしていただきたい、こういうことであります。
  118. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 輸出振興のためには、この法案の提出の目的であります通り検査を強化して日本製品の正価の維持、向上をはかるということをしなければならぬ。そのためにこの検査法は出したのだ。一方、輸出を伸ばすためには、外国との競争力をつけなければならぬ、その競争力をつける方法として、国内企業の合理化をやらなければならぬ。ことに輸出について大きい関係を持っているこの中小企業の合理化というものが、日本のいわゆる輸出競争力を培養するために、当面必要なことになっておりますので、この中小企業の合理化も、私どもとしては今後ますます進めるという意味で、ここへ書いたわけでございますが、この中小企業の合理化というためには、政府としても今までいろいろの施策をやっております。まず機械の近代化ということをやらせなければいかぬというために、金融の措置、それからまた、設備合理化のためのいろいろな国費の補助というようなものも考えておりますし、また、合理化の中に当然含まれます技術の向上というようなためにも、輸出については特にいろいろな助成を行なって現在やっておりますが、本年度も同様にそういう面に予算でも考えておりますし、また、金融面において、特に今までよりは、相当財政資金も強化するという方向でやっておりますし、また、これは非常にむずかしい問題で、この間衆議院でも怒られましたが、今の生産性向上運動ということも、政府が金を出してやっておるわけですが、これが従来ただ外国のいろいろな視察をやり、向うから技術家の招聘をする、技術の交流というようなことをやる仕事はこの二、三年やっておりますが、これを国内で実際に成果を上るような、ほんとうの指導というものへ、まだ生産性本部の仕事は入っておりません。ですから、今私どもは関係省でいろいろ相談しておりますが、生産性向上運動も、政府で一応の計画を立てる、計画は政府で立てて、そうして、実施を今のような生産性本部にやらせるというふうに、これをもう少し積極的に考えなけりゃならぬというので、今関係当局間で相談をしておりますが、そういうところまで私どもが入るとしますというと、結局労働体制、労使の体制というものがやはり問題になってきますので、これは労働者の協力なくては、ほんとうの生産合理化とか生産性の向上というものは、効果を収められないというところにぶつかっておりますので、私どもは今までのような、技術とか設備の近代化という方向から、さらにこういう中小企業のいろんな労働体制の問題に上まで入らなければいかぬだろうと、こういう段階になっておりますので、この点の関係当局の相談は、現在やっておりますが、そういういろんな施策を通じて、輸出産業合理化というものへは相当今まで力を尽しているつもりでおりますし、今後もこれは推進するつもりでございます。
  119. 島清

    ○島清君 大臣、今、私は生産性向上のことについては、あとで聞こうと思っておりまして、まだ御質問申し上げなかったのですが、まあお答えいただいてありがたいんですが、今御答弁になりましたことは、一般論といたしまして、私たちは常に社会党の立場に立って、今の与党自民党が、どうも大企業偏重のやり方である。そして、もう少し中小企業に対して少し厚い施策があってもいいんじゃないかというので、絶えず今までにもわれわれは政府と与党を激励をして参ったことなんです。そこで、この法案に関連をして、今おっしゃったように、理論上はそういうことなんです。りっぱな品物を作って、いい品物を作って、国際競争に打ち勝てるために、検査を厳重にしなければならないということは、理論上はその通りなんです。しかしながら、検査をいたしまする商品を生産をいたしまする場は、やっぱり中小企業である。その中小企業が、この合理化を促進されるには、今は耐え切れない、そこで、大臣が強い決意を表明されたのに、それとこの法案と関連をして、特別に企業の合理化の促進は、こういうものがあるんだというところの配慮が、当然になされなければならないんじゃないか。一般論としてじゃなくて、この法案と関連をして当然になければならぬのじゃないか。そこで、これにはそれぞれどういうことが用意をされているんだ、考慮をされているんだということがあるならばお聞きしたかった。一般論としてじゃなくて、この法案と関連をして、具体的にお聞きしたがったんです。
  120. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私どもの今やっておりますことは、合理化に関しては、この法案と特別に関係があるというものじゃなくて、一般的に輸出関係のある中小企業の合理化というものを一つ政策として今まで立てて、それを実行に移しております。その仕事と並行して、そこからできてくる品物の検査を、もう少し厳重にしていくという必要は、今輸出の問題で出ておりますので、その必要のためにこの法案を出したわけでございますが、この法案関係させた特別の施策というようなものは別にございませんで、中小企業の合理化一般政策として当然やっていくべきものですし、特に輸出関係する中小企業の合理化はやりたいというので、それに対するそれぞれの施策を講じておる。この傾向をさらに私どもは促進しようということでございまして、この法案との直接関係した施策というふうには考えておりません。
  121. 島清

    ○島清君 そういたしますと、特に私などは中小企業の現状を非常に心配しておりまするので、この法案の実施された暁に及ぼす影響について、この言い方が、今後ますます合理化を促進するということについて、非常に特異な感じを持ったわけですがこれは単に言葉のあやであって、特別にこれを実施するために、合理化を促進しなければならないというような考え方じゃないと、こういう工合に了解していいわけなんでございますね。
  122. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体そうでございます。
  123. 島清

    ○島清君 そこで、そうであるといたしまするならば、私は、質問というよりも、あるいは提案理由からこれを削除していただくかどうかということになると思うのですが、特に御注文申し上げておきたいことは、今中小企業が困っておりますることは、戦争前と違いまして、戦争前でありますると、大企業は軍隊のほこによって海外の方に進出ができたのですね。そこで、大企業と中小企業との関係は、唇歯輔車、親子の関係において両立できたのです。ところが外国の方に進出ができなくなりましてから、国内において大企業が膨張しますると、中小企業の方に中小企業の形をとって系列の産業として進出して行くのですね。そういうような圧力に非常に困っておるのですね。こういったような中小企業は、資材と資金と豊富にありまするから、この法律の要請に基いて企業の合理化も、いい品物もどんどん作って行けるわけです。そういたしますと、これは形を変えた大企業の進出であって、これが及ぼすところは、やっぱり中小企業の圧迫という形になってきて、この法案を実施することによって、中小企業がますます困っていくという形になると思うのですね。どうか、そういうことが憂慮されまするので、そういうことに深い御配慮を配っていただきたい、こういうことを私は希望して、それじゃそういう意味において質問を打ち切ります。
  124. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、日本経済の一番大きな問題でありまする輸出貿易に関連をいたしまして、目下東京において開催中の新年度、すなわち三十二年度の日本—台湾すなわち日台貿易の協定につきましてお伺いしたいと思うのでありますが、時間の関係もあるようでありますから、詳細の点は政府当局から伺いまして、構想につきまして大臣の御答弁を願いたいと思うのでありますが、まず第一に、一般の認識から申しまするというと、対台湾との貿易ということになりまするというと、きわめて僅少視されがちなんであります。すなわち、対中共問題というものがからんで参るのでありますが、中共は、御承知通り、六億の人口を擁しております。台湾は、本島人を入れましても、わずかに一千万人にすぎないわけであります。そういう点から中国を論ずるということになりますると、勢い中共にその重点が置かれて、従って、貿易も、中共貿易というものが、私どもの口から言わせるならば、政府のむしろ非常な援護を受けてそうして中共貿易というものが盛んに宣伝をせられておりまするが、実績というものは必ずしもそう上っておるのではないのでありまして、ずっと前の金額はちょうちょういたしませんが、たとえてみまするならば、一昨年の中共と台湾との貿易の状況を比較してみまするというと、一昨年の中共に対する輸出は二千八百万、輸入は逆に八千万、昨年は輸出が五千三百万、輸入は相変らず多くて八千二百万、これに対して台湾の方は、過去数年間の貿易協定が大体遂行せられていっておるのであります。一昨年は輸出が六千三百万、輸入が八千万、昨年は砂糖の貿易の問題に関連をいたしまして、非常に輸入が少くなって、輸出は大体七千七百万で昨年の七千六百万ドルの協定を突破しておるわけであります。それから輸入は先に申し上げました砂糖が非常に少なかったので四千五百万ドル、こういうような数字で中共と台湾と対比いたしまするというと、目の中に入るような対台湾の貿易というものが実に大きいものであるということが一般に認識をされるわけであります。しかも、協定国、二十四カ国中におきまして過去数年間におきまする日台貿易の協定というものは、非常な成績をもって今日まできておるのであります。  それで今問題になっておりまするものは御承知の砂糖の値段の問題であります。これはあとで通商局長にお尋ねいたしますが、それからまあ問題の米であり、それから塩の問題であるのでありますが、私どもがここでぜひ大臣に考えていただかなければなりませんことは、台湾自体というものには、かつてわれわれの同胞でありまする六百五十万という人々が現在台湾に生活をしておるのであります。おそらく世界広しといえども、これくらいたくさんの人間が、いわゆる親日性を持った人間というものは、世界広しといえどもいないのであります。それからまた台湾の産業の立地計画と申しましょうか、これは五十数年前に日本が領有してから今日まで、日本産業規格に合うような方針で、いわゆるしょうらいの島を蓬莱島としてきたわけであります。こういう点から考えまして、対台湾との貿易は非常な特色的な一つの私たちはケースであると、かように考えておるのであります。従いまして、通産当局あるいは外務当局等は、過去の日本と台湾、それからそこにおります台湾人との関係からいたしまして、わかってはおるようでございますが、政府の一部におきましては、これに対してまことにその理解度が少いというような点が多いのであります。こういう点から考えまして、せっかくスムースにいくべきところの貿易というものが、非常なわずかのことに端を発しまして、両民族の感情上の問題にまで爆発をさしてくるというようなことが過去にもあったのであります。こういう点につきまして、ただいま開催中の日台貿易、しかも東京で開催されておるのであります、台湾国民政府の希望といたしましては、昨年の七千六百万ドルを上回る大体一億三千万ドルくらいの目標にしておるように聞いておるのでありますが、こういうような一連の問題に対しまして、責任者でございます通産大臣の御見解を問いただしたいと思うのであります。
  125. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 日本と台湾との関係は今御指摘通りでございまして、私どもも日台の貿易は今まで非常に順調にうまく行っておりますので、今後もこの関係をさらに良好にして拡大したいと考えております。で、今別に問題はございませんが、昨年の協定によって、大体の日本の目標額、米を買う目標額は十五万トンでございましたが、実際には十万トンしか日本は買ってなかった。でこれを何とか実行をしてもらいたいということが、交渉が渋滞している理由だと聞いておりますが、これは昨年、最初そういう予定を立てるときには、豊作が二年あるかどうかわからないというときでございましたので、一応の目標としてそういう目標を立てたのですが、実際になりますというと、去年もやはり一昨年と同じような豊作だったと、従って農林省関係の意向で、どうしても十万トンでそれ以上は買えないというようなことから、私どもの方としましては、貿易を拡大するために多く買って多く売るということはしたいのですが、そういう食糧事情のために農林省の意向によって、これが目標額まで買えなかった、こういうことが現在二月二十日から始まった交渉のうちで、つかえていると聞いておりますが、この問題が円満に解決しますなら、新しい新年度の目標というものをお互いで示し合って、今の貿易協定よりもっと拡大した協定ができて、日本、台湾の関係はもっとよくなるのじゃないかと考えております。また、そうしたいと私は考えております。
  126. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ただいま米の輸入の問題が出たのでありますが、これは御承知通り当時の協定というものが履行せられないので、昨年の秋に台湾の食糧長官でございまする季連春氏がやって参りまして、当時の河野農林大臣と政治折衝をいたしまして、とにかく一応五万トンというものを御承知通り買うことになったわけであります。あとの五万トンの問題が残っているときに、たまたま農林省が、非常に日本の引き続く豊作と、それから外米の手持米というような問題がからんで、どうしても米は買えないというときに、これはどういうような事情であったか知りませんが、三万トンか、あるいは五万トンであったと思うのでありますが、中共から突然米が入ってきたわけなんでありますが、これはいかなる理由で、台湾の方は約束していたものも履行せられない、しかるに、中共からは突然として三万トンか五万トンか輸入したということについての理由お答え願いたいと思います。
  127. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私が聞いておりますところでは、さっきお話しましたように、豊作かどうかわからない。従って平常ならこれ程度の外米を輸入しなければならぬという一応の農林省は計画を立ってその計画の中で中共からは三万トン買うことになっておりますし、それから台湾では十五万トン買うというのを目標にしておった。ところが中共の方は早く話が済んで、早く入ってきてしまった。で、台湾の方がおくれたのですが、おくれるとき、はっきりこの豊作にぶつかったというようなことで、台湾から買うのを控えて、中共から買ったというような事情は全然ないというふうに私自身は聞いております。
  128. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣に御質問を集中する意味におきまして、今大臣の御説明の二十日から行われている交渉のうちで一番問題になっておりまするのが、米の問題であるということを御指摘いただいたのでありますが、その通りなんでありますが、大臣のいわゆる政治力を発揮いたしまして、私どもの見解からするならば、昨年の一応五万トンというものを買うならば、おそらく希望の一億万ドルを突破する協定が私はできるのじゃないかと思う。これは大臣もそう考えておられると思うのでありますが、これにつきまして特に与党の大幹部であり、そうして責任者でありまする大臣としまして、この五万トンを政治的な立場かな買うという御自信がありますかどうか、それを伺いたい。
  129. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 日本輸出を伸ばすために、双務協定であまり必要でないと思うものも買う、そのかわりこちらから何を買ってもらうというような協定をやって貿易の拡大をはかっているという事実は、ほかにもたくさんございますので、これ一つの問題じゃない、従って政治的にこの方がいいというのなら、私どもは要らないものでも買うぐらいの考えは持っておりますが、これは非常にむずかしい問題でして、きのうは衆議院の予算委員会でなぜそういう要らんとわかっているものを国は買う必要があるのか、そういうことを断じてすべきじゃないと言って社会党、野党側から怒られたばかりでございまして、この点いろいろむずかしい問題がございますので、今交渉をやっておりますから、その過程で円満に話し合いをつけたいと思っております。
  130. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 御承知通り、東南アジアの貿易と申しましても、日本側としまするならば、タイにいたしましても、ビルマにいたしましても、そうなんでありますが、やはり米を買ってやらないことには、日本の雑貨工業は輸出はできないわけなんです。そういう意味で、これはただ余分なものを買うということに必ずしもなるわけではないと、私は思うのであります。これがただ買って使い道に困るというならともかくとしまして、黄変米でない限りは、これはとにかく十二分に消化をされるのでありまするから、どうか一つその東南アジアのいわゆる特殊事情というものを十分に留意せられまして、御善処願いたいと思うのであります。  さらに、これはもう大臣でなくともけっこうであります。局長でけっこうでありますが、お尋ねをいたすのでありますが、来年度の計画につきまして、日台貿易の計画につきまして、通産省側の案というものがありましたら、これは品目におきましても、昨年度の協定は輸入が十三項目、それから輸出がわずかに十八項目、こうなっておるわけでありますが、ごく大ざっぱでいいですから、その構想を明らかにしていただきたいと思います。
  131. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 御存じのように目下交渉をいたしておるわけでありまして、まだいわゆる過去の実績を双方検討しております。先ほども大臣からありましたように、当面の米の問題を議論をしているという段階でありますので、ここで構想と申しましても、やはりこの輸出入の金額、あるいは品目別の数量、金額を申し上げないと、御了解が願えんかと思いますが、とにかく交渉前でありまするので、どういう案を持っているかということは、ちょっとこの席上では差し控えさせていただきたいと思うのであります。先ほども大臣から言われましたように、去年の実績をかなり上回ったところで、いわゆる均衡させる貿易計画を作りたい、また、そういうことで交渉の妥結を希望しているような次第であります。まだそこまで交渉が行っておりませんので、これからそういう交渉段階に入るときでありまするので、一つその規模は差し控えさせていただこうと思います。
  132. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それでは御承知通り輸入関係からいたしますならば、まず砂糖が第一であり、続いて米、塩、こういうことになるのでありますが、砂糖に対しまする今年度の全体の輸入計画というものの構想はどういうような状態になっておりますか。
  133. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は、この輸入の方も目下外貨予算の編成中でございまして、はっきりと最終的にはきまっておりませんが、一応三十二年度としましては百三十万トンから、まあ百二、三十万トンと申し上げておく方がいいかと思いますが、その程度を考えております。
  134. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 貿易協定は一つのまず目標を作ることであって、これが完遂をするということは、これは理想的でありまするけれども、これほどこの協定でも、これが円満に百パーセント完遂をせられたというものは、台湾以外には実際に少いのでありますが、そういう意味で拡大するという方向に、お互い努力をし合わなければならぬと思うのでありますが、その計画目標というものくらいはあって私はしかるべしと思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  135. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この計画目標案は、実はもちろんあるわけでございますが、今この席上で交渉を前にして御説明申し上げるのは遠慮したい、こういう意味でございます。
  136. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それでは少し話題を転じまして、昨年は御承知通り、昨年、本年とかけて砂糖相場というものは非常に乱脈を来たしておりまして、そういう意味において、この日台貿易の結果論になりますが、非常に遺憾であったということは、これは向う側にも大いに反省を促すべき点はございましたし、わずかの値段の問題で砂糖を計画通りに取りそこなった。たしかきめたものは百五十ドルのように私どもは聞いているのであります。ところが、国際市価はますます暴騰いたしまして、昨年の秋は百六十ドルぐらいまで参ったと思うのでありますが、そして大体、国際状況というものは非常に強気になっております。そういうような関係から、当時といたしまして台湾がせっかく日本を目標にして生産をしております大部分のものが、中近東方面輸出されて、これはフリー・ダラーであります。フリー・ダラーで貿易をやった。こういう向うとして画期的のことをやったわけであります。こういうことからいたしまして、本年度も引き続いて砂糖は強気であろうと思うのでありますが、それでここはよほど上手にやりませんと、また、そういう轍を踏むかもわかりませんし、それと同時に、そういった砂糖の国際的市価の強気のために、あるいはオープン・アカウントを向うは捨てて、そしてフリー・ダラーでいくというような強気をもってやってくるかもわからないと思うのでありますが、この清算勘定につきまして、局長の御意見はいかがでありますか。
  137. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) われわれといたしましては、現行のオープン・アカウントを継続するという方針で交渉をしたいと思っております。御指摘のように台湾の砂糖につきましては、最近の砂糖の価格の高騰にもかんがみまして、いろいろの問題が考えられるのでございますが、過去におきましてはかなり日本側が国際価格より高い台湾の砂糖を買いまして協力してきたという長い歴史もあるわけでありますので、一番近い台湾との間におきまして、最近の国際価格の趨勢から見て、いはばあまり虫のいい要請については、もっと好意ある考慮を求むべきではないかというように思っておりますが、まだ先ほど申しますように、交渉はそこまで入っておりませんので、何とも申しかねるわけであります。大体われわれの気分を申し上げますれば、ただいまの通りでございます。
  138. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 砂糖問題についてでありますが、台湾側の非常に要望することは、御承知通り台湾の経済規模というものは非常に小さい。そして砂糖自体というものが輸出の、向うから言わせるならば大宗になっておる。また、日本側から言いまするならば、砂糖に見合わして輸出としての大宗は御承知通り肥料であるが、昨年のごときは総輸出量の大体六〇%を台湾行きの肥料で占めておるわけであります。ことに、硫安のごときは二十七万六千八百五十トンというふうに台湾に大きく出ておるわけなんでありまして、先方から言わせるならば、砂糖が日本輸出できるかできないかということは、対日貿易の一つの基本をなす問題だ、そういう意味から、でき得るならばその危険を防止する意味において輸送力の点、すなわち一衣帯水の間にある日本というような立場からいきまして、長期契約ということを非常に向うとしては要望しておるように聞いておるわけなんでありますが、これについて御見解はいかがでありますか。
  139. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 御指摘のように、長期契約の問題については、かねて先方からも要請があるのでありますが、若干私見にわたりまするが、確かに日本と台湾との間におきましての、現在あるいは将来の貿易関係を考えまするならば、この台湾の砂糖を大量に長期契約で入れるということも望ましいかとは思うのでありますが、何分現在は価格があまりにも常識離れをしたような国際価格になっておる時期でありまして、従って今この長期契約をやることが適当であるかいなか、あるいはもう少しこの価格情勢のおさまったときに考慮する方があるいは適当でないかと思うのであります。何分これらの問題につきましては、関係者または業界と十分研究を続けていきたいと存ずるのであります。
  140. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 あと一、二点具体的な点で要望かたがた質問いたしたいと思うのですが、御承知通り、国府台湾が、現在第二次経済自立四カ年計画というものを実施をいたしておるのであります。従って日本から多量の機械、設備を必要としておるわけなんでありますが、昨年の協定におきましては、鉄鋼製品及び非鉄金属等を合せまして大体千二百五十万ドルということが去年の協定なんでありますが、これはどの程度遂行できたかは、今資料がございませんから申し上げませんが、こういうようにこの経済自立計画を向うがとっておりまする以上、何か機械関係等の、これはまあ非常に設備機械が多いようでありますが、そういうものは貿易計画の中に入れないで、何かこう独立した一つの計画をされてはどうかと思うのでありますが、これについて御所見はいかがでありますか。
  141. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 確かに最近の日本から台湾への輸出状況を見ますると、台湾の経済建設に伴いまして、機械類の輸出が逐年増加をして参っておるのであります。そこで今先生が御指摘になりました別ワクにという趣旨が、どういう意味か、少し理解しがたいのでございまするが、要はこの決済問題ともからみまするので、先ほども申しますようにオープン・アカウントの決済で参りたいということを申し上げたのでありまするが、そこでこの台湾向けの輸出品の数字は、いわばまあ目標でございまするので、必ずしもこれに拘束されるわけのものでもないわけでございますが、われわれとしましては、現在及び来年の貿易情勢に沿うようにそういう機械類、あるいはその他の製品につきましては見込み額ではございますが、ワクをふやしていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。オープン・アカウント内の決済でございまするので、この貿易計画の中で処理をする方がいいのではないかと思うのであります。別ワクとしてまた特別な決済方式を考えるということも、理論的にはあり得るかとは思いまするが、今のところはそういう考え方をしていないような次第でございます。
  142. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今度具体的の例を一、二御質問したいのでありますが、昨年の協定の中に砂糖、米、塩に次いで大きいものが一応数字的にうたわれたものが石炭なのでありますが、ところが石炭はおそらくこれは先方の事情もございまして、ほとんど入って参りません。それで日本の状況はどうかと申しまするならば、非常に今石炭飢饉を云々せられておるわけなのであります。それで今粘結炭の問題につきましては、日本の八幡、富士、日本鋼管等の大メーカーが中心になりまして、この粘結炭の輸入について国民政府当局と折衝もせられ、さらにまた、調査員を先方に派遣をせられておるように聞いておるのでありますが、それからそのほか普通の燃料炭でありますが、これは世界的な好景気によりまして、台湾側といたしましても、このごろは相当需要が多いわけであります。しかし、需要が多いと申しましても、少しく日本の新しい技術をもって開拓をいたしまするならば、かなり輸出の余力というものが出てくるのではないかと思うのであります。今はわずかのものでありまするので、事実上これが国外輸出というものは禁止をせられたような状況になっておるのでありますが、これは必ずしも法的に縛って厳禁をしているということでもないのであります。御承知通り船賃との関係からいたしまして、たとえ十万トンでも十五万トンでも、台湾から燃料炭が日本に今入るということになりまするならば、日本の現状からいっても助かるわけなのでありますから、この石炭の問題につきましては、特別何かこれの輸入問題について御考慮を払われたことがありますか。
  143. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 最近の日本内地におきます石炭の需給状況にかんがみまして、できるだけ近隣の諸国から輸入をしたいというふうに考えておるのであります。台湾につきましては、現行協定におきましても、たしか百五十万ドル程度は計上されておるのであります。この三十二年度の計画といたしまして、実はまだはっきりと申しにくいのでございますが、われわれの考え方といたしましては、先方の供給力のあるだけは輸入計画にも乗せ買いたい、こういうふうに考えております。
  144. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 次には、問題のバナナの輸入なのでありますが、御承知のバナナの輸入ということは、一面におきまして障害もあるわけであります。しかし御承知のごとく、戦前は百六十万かごも買った台湾のバナナでありますし、また、日本にほとんどが集中されておるわけでありますので、このバナナを買って雑貨類を日本が出すということに、ここ数年の協定というものは、そういうような状況を続けてきておるわけであります。大体四百五十万ドルというのが毎年の大体計画のようであります。われわれはそういう意味先ほど大臣にも申し上げました通り、台湾は、いわゆる日本の立場からいうならば、特殊な所であるので、そういう意味で、まあむだでありましても多少こういうものを買い、そうしてまた日本の要らないもの要らないといっては何ですが、雑貨工業等が、そこに貿易の円満、ひいては両国の国交上に非常にプラスになるというように考えられるのでありますが、やはり大内容については、先ほど局長のお話しの通り、目下会談中で、公表がまだできないようなことでありまするから、金額はあえて問いませんが、このバナナの輸入につきましては、巷間非常に問題があるわけであります。ことに昨年のごときは、某閣僚がその大きな黒幕になったといわれる全芭連の問題というような、突如としてああいうものが出て参って、去年か、おととしか知りませんが、ほとんど入札でこれをさらっていったというような大事件がありまして、当局のこのバナナの問題についての両国の関心というものは、非常なものであります。金額は四百五十万ドルでありましても、いわゆるこの臨時輸入措置法によるところの吸い上げ金の問題というものがからんで参るので、非常に注目をいたしておるわけでありますが、来年度のバナナの輸入に対して、その方法としては大体従来通りでいくのか、あるいは新しい構想でいかれるのか、そういう点も一つ伺いたいのであります。
  145. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいま御指摘のように、六十万かご、金額にして四百五十万ドルというのが、ここ数年間における協定量なんでございますが、この実績を見ますると、なかなか計画通り輸入されていないのでございます。特に昨年度は御存じ通り、台風続きでもって非常に輸入が減っておるような実情でございますが、このバナナの台湾からの輸入につきましては、従来の協定におきましても、この輸入と交換的に、日本の方から雑貨類あるいは農水産物を先方で輸入許可をしてもらうというふうな建前になっておりまするので、今後の交渉におきましても、先方から要請がありますれば、大体現行程度の数量は考慮したいと考えておるのでありまして、同時に日本からも、これに見合って、雑貨、農水産物の輸出を確保したい、こういうふうに考えておるわけであります。なお、取り方等につきましては、大体従来通りにいたす予定になっております。
  146. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後に二、三点要望をいたしまして、私の質問を終りたいと思うのでありますが、まあ最近、対台湾との技術提携の問題が非常に出てきておるのであります。最初から見ますると、相当改善はされておりまするが、送金の問題というのがあるわけなんです。非常に送金が不円滑でありまして、まだ完全に解決をせられていないわけでありますが、この点を、幸い会談中でありまするから、強く一つこれを先方に要望していただきたい。  それからいま一項は、貿易量の拡大に伴いまして、台湾側の港湾の設備でございます。これが必ずしも十分とは言えないのでありまするので、これについて先方に善処せられたい旨を要請願いたいと思います。さらに、台湾の輸入関税は、御承知通り非常に高率であること、これはまあ準戦時体制でもありますので、ある程度やむを得ないと思うのでありますが、御承知通り、時には見本品にも重税を課するというようなこともあるくらいでありまするから、これはぜひ一つ改善をせられるように、本会談を通じて、先方へ一つ申し入れを願いたいと思うのであります。まあこの三つは、何かあとの方で御意見があれば御答弁願いたいし、御答弁がなければ、御留意の上御善処を願えばよいと思います。
  147. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 承知しました。
  148. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは本法案に関する質疑は、さらに継続することとし、輸出保険法の一部を改正する法律案につきましては、提案理由説明がありましたが、さらに詳細なる内容について通産局長から説明を願うわけでありますが、これを後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会