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1957-10-30 第26回国会 参議院 建設委員会 閉会後第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月三十日(水曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員の異動 十月十二日委員坂本昭辞任につき、 その補欠として藤原道子君を議長にお いて指名した。 十月十四日委員藤原道子辞任につ き、その補欠として坂本昭君を議長に おいて指名した。 本日委員酒井利雄辞任につき、その 補欠として小柳牧衞君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            小柳 牧衞君            小山邦太郎君            中野 文門君            内村 清次君            大河原一次君            坂本  昭君            重盛 壽治君            北 勝太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    運輸省港湾局計    画課長     東   壽君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省河川局次    長       關盛 吉雄君    建設省営繕局長 櫻井 良雄君    建設省地理調査    所長      武藤 勝彦君   参考人    新潟県知事   北村 一男君    新 潟 市 長 村田 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○審査報告書に関する件 ○派遣委員報告参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (報告書に関する件)  (地盤沈下に関する件)  (地理調査所移転に関する件)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。十月十二日付坂本昭君が辞任され、補欠として藤原道子君が指名されました。十月十四日藤原道子君が辞任され、補欠として坂本昭君が指名されました。   —————————————
  3. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それではまず建設業法の一部を改正する法御案、公営住宅法の一部を改正する法律案及び住宅公社法案につきまして、この際お諮りいたします。以上三法案につきましては、まだ審査を完了するに、至っておりませんので、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会審査未了の旨の報告書議長に提出いたしたいと存じまが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  5. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 次に建設事業並びに建設計画に関する調査についてお諮りいたします。本件につきましては、いまだ調査を完了するに至っておりませんので、本院規則第七十二条の三によりまして、閉会調査未了の旨の報告書議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお以上の報告書の内容及びその手続は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  8. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは次に、先般実地調査に派遣されました委員の御報告を承わりたいと思います。
  9. 中野文門

    中野文門君 十月二十日から六日間の日程で、私と大河原委員は、愛媛県、徳島県、兵庫県下の建設事業を視察して参りましたが、その調査の概略を御報告申し上げます。詳細は収集して参りました資料で御承知願いたいと存じます。今回の調査河川総合開発中心に、地盤沈下地すべり海岸侵食道路状況を見て参りました。以下順に御報告いたします。  肱川総合開発は、毎年下流地区に甚大な水害をもたらす愛媛県下第一の河川肱川上流ダムを築造し、ダム地点において毎秒千二百五十立方メートルの流量をカットし、下流河川改修費を節減するとともに、洪水を防御し、かつ発電をも行おうとするものであります。その規模等資料に譲ることとし、その治水効果年平均一億四千三百万円、発生電力量は五千六百十万キロワット・アワーと称されております。昭和二十六年調査開始以来、事業は順調に進み、現在コンクリートの打ち込み中であります。この調子で参りますと、ダム工事は明年十月には完了し、事業全体としては三十四年三月末完成の見込みであります。ただ地元としては、当初計画通り来年六月から一部発電を行うには、本年度十六万立方メートルのコンクリート打ち込みを必要とし、そのため本年度さらに二億円の予算配慮要望しておりました。  これと関連して、肱川改修工事が行われております。従来肱川洪水大洲市附近ではんらんさせ、上下流部に対する洪水調節機能を果させていたのであります。本改修事業は、この機能を極力減退させないで、大洲市の主要部分のみに提防を設け、単独出水による洪水のはんらんだけを防止しようとするものであります。しかしながら、この堤防外遊水池として考えられておる個所大洲平野の七五%に当り、その被害経済、文化、交通に及ぼすところが非常に大きいのであります。従って大洲市としては鹿野川ダムによる洪水調節とあわせて下流部計画洪水量疎通力、遊水力を再検討し、大洲平野全体を洪水から防ぐ対策の樹立を要望しております。  次に吉野川水系治水事業について申しますと、吉野川は河口から四十二キロ地点岩津町までは直轄工事区域となっておりますが、それより上流池田町に至る四十キロの間は天然河川のまま放置されております。従って局部的に災害復旧工事が施行されてはおりますが、堤防らしいものは存在しないのであります。そのため一度出水の場合は、南岸の山から北岸山脚まで一帯の濁流と化することは明らかであります。下流部に対する遊水池の役割を果すとはいえ、沿岸住民の払う犠牲はあまりにも大きいと思われます。地元としても岩津町の狭窄部護岸工事とあわせて吉野川本流改修促進を熱望しておる次第であります。  吉野川支川の問題としては、いわゆる天井川対策飯尾川の問題のみに触れることといたします。吉野川北岸河川地質土岩石の風化はなはだしく、各河川土砂生産流出が著しく、いわゆる天井川の様相を呈し、洪水時の危険は憂慮にたえず、砂防工事必要性を痛感したのであります。私どもが見て参りました中野谷砂防工事は、すでに形成し尽された下流堆積地帯床固め工流路工を施行し、流出土砂古野川へ流送しようとするものでありました。飯尾川は古野川右岸の穀倉地帯を流れる河川であります。その下流部は一応改修が終っておるが、上中流部に対しては見るべき改修工事が行われておりません。その上本川は河床勾配がゆるいため洪水排水が非常に困難であります。従って中上流部下流に対する遊水池的役目を果し、降雨期には年々湛水し、昭和二十九年十二号台風の際の出水では冠水三百五十町歩、滞水時間五十五時間に及ぶ莫大なる農作物被害をこうむったのであります。これが改修地元の多年にわたる懸案でありましたが、上流下流の利害が一致せず、進捗を見なかったのであります。しかるに最近に至って捷水路による導水とポンプによる機械排水改修計画が樹立され、地元としては早期着工要望しております。  かくのごとく吉野川は本支川とも改修がおくれており、徳島県に洪水をもたらし、県財政に大きな負担をかけておるわけですが、また利水面においても県内の開発計画は立ちおくれている実情であります。それだけに徳島県としては分水問題には非常に過敏であります。従って調査中の吉野川総合開発計画における分水問題については、慎重の上にも慎重な態度をもって調査決定することが必要であると存ずる次第であります。  以上のほか河川関係については、国領川総合開発計画及び中小河川改修工事、及び局部改良工事促進要望等がございましたが、資料に譲ることにいたします。  次に地盤沈下対策として、愛媛北温海岸災害土木助成事業及び波止浜締め切り堤防工事について申しますと、本事業はいずれも南海地震による地盤沈下が一因となり、その後の台風による海潮のため洪水を受けた地区復旧改良工事であります。北温海岸事業延長約十四キロに及ぶ護岸工事で、本年度末までに約九キロを完成する予定であります。波止浜工事締め切り堤防によって港の最狭部を締め切り、その中央部付近通水幅員三十メートルの水門を築造し、これにより背後に約十九町歩遊水池を造成し、水門によって遊水池洪水調節を行おうとするものであります。地盤沈下現象愛媛全域に見られ、産業経済、人心に及ぼす影響は大きいものでありますので、その原因の究明と相待って、その地域の特性に適合した対策をすみやかに実施する必要性を痛感した次第であります。  次に地すべり対策について申し上げます。徳島県の地すべり面積は六万二千町歩、その個所数は七百八十四カ所、この上に生活する人口は県民の七分の一に相当する十三万人と称されております。この多くの人々が地盤滑動によって家屋倒壊耕地崩壊、あるいは全面亀裂の脅威を受け、耕地は水田は適せず、低い生活水準に甘んじているのであります。このほかに地すべり河川道路、鉄道、電気事業通信事業に及ぼす危害も甚大であり、県の経済に深刻な影響を与えて。いることは事実であります。幸いにしてボーリング排水工法地盤安定の成果をおさめ、本格的工法として期待されるに至った今日、県としては本事業の全般的な推進拡大を熱望するとともに、地すべり法案の提出を非常に期待いたしております。  次に兵庫東播海岸侵食防止対策について申し上げます。東播海岸とは神戸市、明石市を含む約二十五キロの海岸で、このうち建設省所管一般区域は十四キロとなっております。本海岸地形上、潮流と沿岸流によって侵食される運命にある地帯でありますが、近年本地区に流入する加古川、明石川の上流砂防工事河川改修工事進捗の結果、流出L砂が減少し、そのため海岸侵食の進行が急激となったといわれております。明治二十年ごろと比較すると、侵食状況は激しい所で百五十メートル、少い所で五十メートルに達しております。従来これが対策として、補助事業で小部分的に砂防突堤平行堤等を構築し、かつ県としても昭和二十六年以降毎年一千万円程度を投じて工法研究原因探究を行なってきたようであります。しかしながら地元では、この程度保全施設では侵食防止は不可能であるとして、三十三年度から直轄事業として従来の間接工法とあわせて直接護岸工事を行い、強力に事業推進を、要望いたしております。私どももまさに倒壊寸前家屋や、風浪に洗われた荒原たる海岸を眼のあたりに見て、沿岸河川砂防工事計画の再検討を含めて、地形地質に応じた一貫した事業推進必要性を痛感した次第であります。  最後に道路については、国道十一号徳島—松山線、三十三号高知—高松線、三十三号松山—高知線、二級国道西条—徳島線地方道沖浦—大州線浮穴—内子線新居浜—西条線鴨島—本木線改修促進要望があり、また二級国道松山—小松線松山—高知線、さらに今治—尾道間並び三崎—佐賀関間フェリーボート建設計画に伴う関連道路の一級国道編入要望があり、また今治—小松間有料道路計画六甲有料道路を視察したのでありますが、これらにつきましては、この際省略して資料に譲ります。ただここではフェリーボート関連して淡路島道路につき申し上げたいと存じます。  現在フェリーボート明石—岩屋間二隻、一日十三便、福良—鳴門間一隻、一日五便運航しており、本土—四国間の物資輸送上重要なルートとして好成績を上げており、配船数増加の趨勢にあります。これに伴い淡路交通量は著しく大きくなったわけであります。淡路道路は南北を結ぶ国道二十八号線を幹線とし、西浦主要地方道がこれを補う大きなものでありますが、二十八号線でさえ延長五十三キロ中改良済みは二キロほどに過ぎず、ほとんど幅員三メートル六十の狭小にして路面の荒廃したものであります。いわんや西浦主要地方道に至っては波浪による侵食崩壊を来たした個所もあって、交通上はなはだ支障を来たしているのであります。従って本土—四国に直結された本来の使命を果し、淡路産業観光を発展させるためには道路の整備こそ緊要と考えられるに至ったのであります。この地元要望は結実し、二十八号線は本年度から直轄事業として、有効幅員七メートル五十に改良舗装することとなったのでありますが、本年度予算四千万円をもってしては八百五十メートル完成するに過ぎず、地元では直轄事業らしき効果を上げるため予算の増額を要望しております。また西浦地方道昭和三十年に五十余個所待避所の設置をみたのでありますが、フェリーボートによる帰り車の交通を引き受ける意味からも、早期改修要望しております。  このように淡路島においては道路改修促進の機運が高まっておりますが、この熱意がさらに淡路中央縦貫自動車道早期実現に結集されているように見受けられます。これは総延長五十六キロ、幅員六メートル五十の高速道路中央山嶽部を縦断させようとするもので、総工費約三十六億を要するものであります。昭和三十一年から調査を始め、今年中に路線設計調査々終了する運びとなっております。本計画によって、淡路交通量を緩和し、四国—阪神間の時間的距離を短縮し、さらには名神高速道に連絡させることにより、淡路四国生産原材料食料物資の迅速なる大量輸送を可能にし、淡路の未利用資源開発観光資源の活用をはかろうとするものでありまして、島民は淡路中央縦貫自動車促進会を結成し、これが実現の一日も早からんことを期待し熱望している次第であります。  以上簡単、粗略でありますが、報告を終ります。
  10. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ただいまの報告について御質疑のある方は順次御発言を願います。——発言がなけらねば、次に移りたいと思います。   —————————————
  11. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) この際お諮りいたします。  地盤沈下に関する件について、新潟県知事北村一男君及び新潟市長村田三郎君を参考人として意見を聴取してはどうかと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本件手続につきましては、委員長に御一任願いたいと任じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それではまず北村一男君から御説明を願います。
  14. 北村一男

    参考人北村一男君) 貴重なお時間をおさきいただきまして、陳情の機会をお与え下さいましたことは、まことに感謝にたえません。  今年は新潟は有史以来の豊作であり、五百万石の収穫をあげ、それから新潟市を中心としたところには天然ガスを原料とした工場ども続々できまして、本来なら非常に豊年をたたえ、市の発展を祝福して、市民が一様に喜んでおらなければならぬ情勢であるのにかかわらず、非常に憂色におおわれまして、心配が深刻になって参ったということは、前には海岸侵食の問題があり、最近になって目立って地盤沈下が速度を増してきた、それに対する心配でどうも心から喜ぶことができないというような状況にあるのでございます。  地盤沈下は去年あたりから目立って参りまして、その地域新潟市ほとんど全域にわたりまして、ことに港に関連のある地区において著しい傾向があるのでございます。そこで詳しいことはまた御質問によってお答え申し上げますが、新潟を信濃川によって西と東に分けますると、西も東も著しくこの傾向があるのでございますが、最近私どもが気の付きましたのは、従来防波堤関係とか、あるいは海岸決壊の問題で西の方ばかり注意しておったのでありますが、今度は東地区がなおざりにできないというような形になって参っております。多いところは防波堤の先では一米八十沈下したと言われておりまするし、市全部が下っている中で、もちろん下り方には局部的に異っているのでありますが、港に関係し、もしくは工場などが港の区域にできているところは特に目立って参りました。そのために市としては下水の水がはけない、あるいは家がいびつになるというようなことでありまして、また水も一部には入っております。こういうことで非常に心配いたしておりまして、あるいは今年の冬の波の商いときには海水が侵入するのじゃないかというようなことが憂えられておるわけでございます。そこで県と市と協力いたしまして、ただいま調査会を作りまして、その原因探究に努力をいたしております。いろいろ説をなす者がありまして、あるいは新潟市の天然ガス採取に伴う地下水を汲み上げるからなんだ、それが原因なんだ、あるいは新潟県が近ごろ土地改良が進みました結果、あの新潟市の周辺にかつて今ごろは湖水のようになっておったところが、排水ポンプを用いて排水します結果、乾田化してその地下水が不足になったというような説をなす者もあり、あるいは地盤の構造からきているというような、海岸の急傾斜というようなのが大きな原因であるというようにいろいろの説をなす人がありますけれども、何しろ目立ちましたのは去年の冬からであります。でありますから、それは憶測の域を脱しませんで、本格的の調査は今後に始まる。それと別個に、対策委員会を作りまして調査をしておる間に、新潟市が海の底に入ってしまっては、もう調査も何もあったものではないということで、対策委員会も開きまして、有効適切対策研究いたしております。  私どもまあ想像しますに、土盛りをすれば一番直接にいい影響があるには違いございませんけれども、何しろ既設の建物もありまして、これは容易ならぬことである。それから防潮壁を作ればその次に有効適切でありましょうけれども、これとても膨大な金を必要とするというようなことで、そういう方法もあわせ考慮をいたしまして、今対策研究中であります。しかしながらいずれとしても膨大な資金が必要なんで、一県一市がこの問題を解決するなどということはとうていできがたいところであります。よって国会におかれましては、ひとり新潟県ばかりでございませんので、ただいまの御報告の中にもございました兵庫県にもある、あるいは愛媛県にもあるという御報告を今わきで拝聴いたしたのでありますが、全国にも相当こういうものがありますから、地すべりとともに海岸地盤沈下に対する特別立法をお願い申し上げまして、この問題に対処していただきたい。県と市で協力しまして、一千万足らずのものでとりあえず冬季間の風浪に対する対策は立てておりますけれども、これもこそくでありまして、根本的の解決などにはほど遠いものでございますから、さしあたり対策にも国からめんどうをみていただきたい。要は特別立法によりまして、国から救済していただきたいということをお願い申し上げまして、格段の御配慮をわずらわしたいと思う次第であります。
  15. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 次に新潟市長村田三郎君、お願いします。
  16. 村田三郎

    参考人村田三郎君) 新潟市長村田でございます。貴重な時間を拝借いたしまして、まことに恐縮でございます。ただいま北村知事さんからお話になりましたので、私からきわめて簡単にお願い申し上げたいと存じます。  地盤沈下の一番被害を受けておりますのは新潟市でございます。その港を生命といたしております新潟市の港地区は最もひどい沈下になりまして、港の施設、並びにそれにつながる会社住民が、すでに海水が飛び込んでおるのでございます。臨港会社におきましては、すでに四千万を使いまして、埠頭かさ上げを一応の対策としてやっておりまするし、昭和石油その他ではすでに一千万以上投じて自分の工場を守る防波堤を作っております。しかし先ほど知事の申されましたように、県、市でとうていこれが防ぎ切れない重大な問題でございますので、とりあえずポンプ設備でもって排水はやりつつありまするが、とうていこれは防ぎ得るものではございませんで、根本対策としては、ただいま仰せになりましたように、ぜひ皆様方のお骨折りを賜わりまして、特別立法を立案していただきたいと存じます。どうか何分の御考慮を賜わりますように切にお願いいたしまして、私の説明を終りたいと存じます。
  17. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) この際委員変更の件を御報告申し上げます。本日酒井利雄君が辞任せられ、補欠として小柳牧衞君が指名されました。   —————————————
  18. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ついては、ただいま北村及び村田両君から地盤沈下についてのお話がありましたが、これに対する御質疑があれば順次御発言を願いたいと存じます。
  19. 田中一

    田中一君 政府側のこれに対する御意見を伺いたいと思うのです。建設省並び運輸省の方の見解をお示し願いたい。
  20. 東壽

    説明員東壽君) 今新潟知事さん、市長さんから大略の御説明がありましたが、新潟地区地盤沈下につきましては、事実として非常な沈下を起しておりまして、その状態は憂慮すべきような状態にあるということは確かでございます。私たちが肉眼で観察し得る現象としましては、西防波提——お手元に確か青い対策促進協議会のパンフレットが参っておると思いますが、それをちょっとごらん願いたいと思います。西防波堤と申しますのは、その1、2、3という赤い丸でもって番号が書いてございます。それが西防波堤でございます。その防波堤、それから東の方にある突堤、それを東突堤と申しておりますが、それから導流堤端末部であります。それから港内検潮所、そういうところが非常に下っておる。西防波堤におきましては、その図面に書いてありますが、建設当時のフォーメーション・レベルよりも一メートル八十二というものが沈下しておるということに、先端においては沈下しておるということが見えます。それからまた臨港埠頭のポンツーンの岸壁面がすれすれでありましたものが岸壁が下って参りましたので、自然と浮き上っております。これが一メートル三十程度浮き上って、段がついております。それもその図面にございます。それから西突堤防波堤沈下いたしましたために、波によりまして越波が起ります。従って臨港埠頭及び航路等に今までになかったような波による障害というものが起りつつあることは事実であります。それから冬季風浪に対しまして東海岸の方の平和町その他右の方でございますが、その部分浸水が起っておるということも事実でございます。それからまた背後地区におきましては、排水不良等によって浸水が起っておる。排水不良によって水がたまって非常に困っておられる。あるいはまた非常に雨の強いときに水浸しになる地域がふえているということも事実でございます。  そのような状態が特に昨年から今年にかけまして顕著でありましたために、この問題が大きく取り上げられて参ったのでありまして、そのために新潟地区では地盤沈下調査委員会というものが、先ほどもお話がありましたが、県、市及び各関係の官庁を中心としまして作られて参りました。いろいろ今その計画に対してその沈下状態、現状をいかにすべきかということについて対策を立てられておるのでありますが、この対策につきましては、まず二つのものに分けて考えられます。一つはこの沈下状態というものを目で見つけているのでありますが、しかし、これがたとえば陸地測量部一等水準点、こういう基準になるものとこれとどういう関係にあるか、潮位との関係はどうか、今少しく数字的に明らかにしなければならない。それと、この沈下がどういうような原因でもって起ったか、メカニズムはわからなくても、その沈下状態と、いろいろその原因を起すであろうところのファクターになる事象を見つけ出しまして、それによって恒久対策を立てなければなりません。たまたま私どもは大阪、尼崎等において、こういう地盤沈下に対する経験を得ておりますので、これから申し上げるような調査研究によってこれを確かめたいというために、調査計画というものを一つ立てなければなりません。それから今一つは、沈下によって浸入をいたしましたり、あるいは防波堤の波浪によって港内の静穏の乱れるのを紡ぐための緊急対策を立てなければならない。この二つに分けて計画を立るべく進めております。ちょうど来年度予算要求の時期になって参っておりますので、非常に急ぎますので、簡単にさしあたりその要求に間に合せるだけの計画を来年度の要求といたしているような次第であります。それを簡単に申し上げて、これに対する運輸省の態度を明らかにしておきたいと思います。  第一は、調査計画でございますが、今の沈下の現状を薮学的に明らかにしたいということで、水準測量、潮位の観測等をいたします。それから地質調査、ボーリングいたしまして地質の調査をいたします。次に沈下等の精測をいたします。そしてこれが原因探究を進めたいと思うのでございます。それらに対しまして、地盤沈下調査委員会といたしましては、約六千六百八十万の予算要求をしてきておりますが、さしあたりこれに対しまして千七百万程度を要求いたしまして、これに対処いたしたいと思っております。  それから緊急対策の方でございますが、東突堤かさ上げ、それから西防波堤かさ上げ等でありますが、そのほかに東海津の防潮護岸、その他山ノ下護岸、山辺堀の締め切りなどいろいろ計画をしております。新潟地区調査委員会の方から要求して参りましたものは、全体計画として約八億要求して参りました。これに対しましてさしあたり先ほど一番先に申し上げましたが、肉眼ではっきり観測し得るもので、緊急にこれに対処しなければならないもので、非常に顯著なものといたしまして、防波堤かさ上げ、それから東海岸の防潮護岸、それから山辺堀の締め切り、これを計画いたしまして、約全体に四億という計画をいたしましたわけであります。来年度防波堤かさ上げ等につきまして一億二千六百万、東海岸の防潮護岸に六千四百万、全部で一億九千万を要求いたしております。さしあたり運輸省港湾局として、これに対処するものとしてはそういうふうになっております。
  21. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) 河川局でございますが、ただいまお話のありましたように、新潟地区地盤沈下のうち、河川関係いたします部門につきましては、御承知の通りに万代橋下流が港湾地域ということになっておりますが、それより上流部分の旧信濃川の地域につきまして、今のような地盤沈下現象が起っておりますので、その原因の探求をする必要がありますので、水準点測量によります調査を明年度におきましては行いまして、その結果河川改修にどのような地盤沈下影響を与えるか、こういうふうなことを工事の実際の実施に必要な判断をするために行う予定にいたしまして、目下大蔵省に予算の要求をしておるのでございます。なお防潮護岸等につきましては、ただいまその調査の内容によりまして、対策を講ずるように努力をいたしたいというふうに考えております。
  22. 町田稔

    説明員(町田稔君) さしあたっての工事といたしまして、地元におきましては、都市排水路の整備とポンプ場の設置等を要望しておられますが、私の方からも係官を派遣いたしまして調査いたしました結果、そういう施設が必要であることを認めまして、大蔵省と現在折衝中でございまして、必要な国庫補助等を得るように努力いたして参りたいとこう考えております。
  23. 田中一

    田中一君 まあ建設省側の方ではまだ実態がわからないから、これから明年度予算を要求して調査をして、それによって適切な施策をしたいというような御意見のように伺えるのであります。で、運輸省の方ではもはや大体の調査はできておって、県並びに市の報告、陳情等がまさにその通りである、従って明年度は具体的にこの分に対してはこう、この分に対してはこうという予算の要求を出して応急施策をしたい。しかしながら全体に対する調査は続けていくというような御意見のように伺うのです。そこでその調査をするということは、むろん部分的に行政持分というものがありますから、その区域に対してはおのおの施行の形は違うでしょうけれども調査全体の問題はこの区域一帯の問題なんですから、共同でやるということは考えておらないのですか。
  24. 東壽

    説明員東壽君) お答えいたします。先ほど申し上げましたように、新潟地区地盤沈下調査委員会というのは建設省、運輸省、その他それに関係しますものが一体となりまして、共同連絡をいたしまして調査をいたします機構といたしております。従って運輸省予算を出し、あるいは建設省で予算を出しましても、この調査委員会によってその実施を円滑ならしめるように連絡をとるようにいたして進めておるつもりであります。
  25. 田中一

    田中一君 しかし、むろんこの地域は海洋法による港湾地区ですから、運輸省は全体の予算を計上することになるでしょうと思うけれども、ただ調査をする分の費用としていわば全体の問題だと思う。そこでこの委員会は各省共同の委員会ならば、もう少し計画局にしても河川局にしても、積極的な明年度からの応急対策というものが具体的に予算の上に現われなければならないと思う。あなたの方からはずいぶん詳しく御説明があったのですが、河川局並びに計画局はこの部分に対してどういう具体的な要求を今しているか、この問題につきまして。そして応急対策としては、どうしてもこのくらいの費用だけは持たなければならないのだというような考え方を持っておるかどうか。それをお示し願いたいと思います。
  26. 關盛吉雄

    説明員(關盛吉雄君) まずただいまの調査の問題でございますが、これは河川提防等の地盤沈下の結果生ずる影響に対する対策を立てます上においては、ぜひとも必要でございますので、ただいま運輸省の方からの話もありましたように、所管別に、政府部内といたしましては工事に対する一定の計画を正確に立てますために、統一した方針で調査をいたしております。従ってこの調査費の要求につきましては、目下大蔵省と折衝中でございます。なお応急的な処置といたしましては、ただいま新潟県知事からの御要望通り、防潮護岸等の設置の問題がございましたが、こういうふうなことにつきましても、大蔵省と予算の打ち合せをいたしております。
  27. 町田稔

    説明員(町田稔君) ポンプ場の設置等に要します事業費が大体全体で三億ということを見込んでおりますが、そのうち大部分は護岸等ができた後に施設することが適当な事業でございまして、さしあたって三十二年度には事業費といたしまして、これらの施設に八千万程度事業をすることが必要だと認めております。それでこれに対しまして、都市排水施設としての所要の国庫補助の経費を大蔵省と折衝中でございます。
  28. 田中一

    田中一君 そうすると、自分で仕事をする部分が違うので、いろいろ護岸ができてから自分の方はやるという計画があれば、いろいろ原因があると思うが、その原因については、大体原因の見通しですね、原因調査する上に今までの過程においては意見の対立はなく来ているのですか。
  29. 東壽

    説明員東壽君) お答えいたします。大阪、尼崎等の私たちの経験によりますと、こういう地層のところにつきましては、まず考えられますことが地下水の低下によるものであります。その地下水の低下がどの程度に起っておるかということがまだ明らかになっておりません。地盤沈下が起っておるということは、目で見えるのでありますが、地下水がどの程度低下しておるかということはまだ明らかになっておりません。従って大阪、尼崎と同じような原因で、地下水の低下でありますが、それによって起っておるものとはまだ認められませんが、そのほかに地殻変動その他によるものが起り得ると思います。これにつきましては、新潟近辺のいろいろの工業の問題その他に関しまして、いろいろ関係もありますので、私たちは軽率な発言をいたしたくないと思います。以上であります。
  30. 田中一

    田中一君 非常に微妙なことでしょう。それはもう地元の各産業に及ぼす影響が非常に大きいから、明答は避けられるのでしょうけれども、単に水を汲み上げるとか、天然ガスを泥土と一緒に汲み上げるということからばかりではないのではないかということも言っておるようですが、そういう点については地元が今何らかの形を政治的にもとらなければ、やはり市民の不安というものは除去されないという段階にあれば、明年度からやるという予算を、原因がどこにあるという目標を、過程でもいいから立てて、金をつかんでいかなければならぬと思うのです。それが今のように地下水の低下、原因がわからないのですが、原因地下水の低下じゃないか、あるいは地殻の変動ということをおっしゃっておられても、やはり当然明年度一億以上、何億でしたか、一億以上の金を使うということになりますと、とりあえずこうするのだということを、やはり原因の何らかが発見されて、初めて対策も立つのではないかと思うのですが、そういう点はまあいろいろ経済的に新潟県、新潟市に及ぼす影響もありますから、軽率なお話は言わんでしょうけれども、しかし対策を立てて仕事をするには、何らかの意図がなくちゃならぬと思うのです。目途というか、原因の窮極の究明でなくてもけっこうですが、その過程において、現象過程というものから窮極の原因にいくわけですから、その辺はどういうような考えを持っておるのでしょうか。
  31. 東壽

    説明員東壽君) お答え申し上げます。申し上げてかまわないことなんであります。それは地盤沈下が起ります、その原因地下水の低下による、ああいう地層でありますから、圧密あるいは水をためておる大水層のひずみ、そういうようなことから起って来るということは大体考えられます。そのほかにそういう沈下が地殻変動等で起ることも考えられます。そこでまずこれからの調査地下水の低下がどの程度起っておるかということを観測をいたします。それについて地盤沈下との関係を明らかにしていきたいと思います。ところがその地下水の低下だけで、先ほどお言葉が出ましたが、水の汲み上げによるものであるかどうかということは、これはまだ疑問なのであります。そのほかに地下水が低下するために海水が侵入してきて、そこに有機物をとかして沈下が起るということは起り得るのであります。従って私たちがこれから調査いたしますのは、地下水の汲み上げそのものと直接結びつけるという段階には至らないと思います。地下水の低下というものを、どういう現象地盤沈下が起っておるかということを調査をいたします。その程度のことは申し上げてちっとも差しつかえないと思います。
  32. 田中一

    田中一君 もう一つ海岸線の決壊によるところの関連というものは考えられますか。
  33. 東壽

    説明員東壽君) お答えいたします。海津線の決壊と申しますよりは、海底勾配が非常に変ってくるという問題がございます。それでこの問題との関連はこれまた非常にむずかしいことでありまして、今ここでお答えいたすほどの資料その他を持ち合せておりません。ただ全体としまして地質学的に言うと、一つの地殻運動と先ほど申し上げましたが、大きな沈降的な一つのものもありますでありましょうし、海底勾配その他によって、あるいは港頭地区におけるものがある程度影響を与えておるかもしれません。しかしそれ以上は実は今ここで申し上げられません。
  34. 田中一

    田中一君 今のような政府の答弁で、知事市長も納得というか、一緒になって調査しているのでしょうから、何か今の政府の答弁に対する御意見があったらば、一つ伺いたいと思います。知事市長から。
  35. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 僕もちょっと関連して。今やっている調査会ですね、これは運輸省建設省と、それから市と県と、あとどこですか、一応関係官庁としては。
  36. 北村一男

    参考人北村一男君) 大学の先生が入っております。
  37. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それは大学の先生とかその他はいわゆる学識経験者という形になって、その方々にはこの沈下をどうする、対策をどうするという権限はないだろうと思う。従って今この対策をどういう方法でやるという権限を持つのは、運輸省建設省ですか。
  38. 東壽

    説明員東壽君) ちょっとお答えいたしますが、今の調査研究の方は調査委員会というものを作っております。それからそのほかに新潟地区地盤沈下対策促進協議会というものを作っております。その二つで行い、そのことを明らかにしておりますが、促進協議会では県、市その他関係官庁が一緒に働いております。そうして対策をまとめようといたしております。
  39. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 その他関係官庁というものを明細にしてもらいたい。運輸省建設省、その他関係官庁というのはどこですか。
  40. 北村一男

    参考人北村一男君) お話は官庁側の方のお尋ねでございますか。
  41. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうです。
  42. 北村一男

    参考人北村一男君) 運輸省建設省と、それからまあ大学の先生、学識経験者、そういう構成メンバーでやっております。
  43. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それでやはり、私も田中さんのさっき言った結論になるのですが、運輸省、あなたにも責任があるかどうかは別として、運輸大臣、建設大臣の問題だろうと思うのだが、建設事業というようなものは、特に総合的な立場に立って、ものをおやりにならぬとできないような状態がそこら辺にたくさんある。この仕事もそういう関係を多分に含んでいる。建設省の今までの答弁では、知事に聞くまでもなく、われわれそういう答弁ではどうもこの問題は解決がつかぬように考える。しかし実際にはやらなければならぬ仕事なので、そのときに、今あなた方がお答えできるかどうかしらぬが、この機構で、何かこれではちょっとまだ力が足りぬ、率直にこれではまずいというような点はあるのか、それとも港湾局の方は、いやこれで建設されるから、もちろん根幹は財源であるから大蔵ということになるが、それが理解をして、協力をしてくれれば問題なく進むのだという態勢であるのか、その点を一つ、若干政治的な問題になるが、聞かしてもらいたい。
  44. 東壽

    説明員東壽君) お答えいたします。ちょっと先ほどの御説明が足りませんようでございましたが、さしあたり港湾局が取り上げておりますのは、さしあたり目で見、どなたでも……。
  45. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 まあということでなくて、港湾局が取り上げておりますのは、港湾局に関係する部分としてのものも取り上げておりますということでなくて、沈下しているという問題を防止するということに対して、港湾局と建設局と、その他どこがこれを一緒に取り上げなければならぬかというところに、何か欠陥があるかないかということを指摘しているのです。
  46. 東壽

    説明員東壽君) それで今短時日の間にこの問題に根本的に解決つけることはできませんので、さしあたり沈下をして現実困っているところが、ほとんど港湾の部門なんであります。たとえば防波堤海岸、それらに対する応急措置をいたしました。それから調査をいたしまして、まあ一年か二年やりまして、ある程度原因が確められますというと、そこで恒久対策と申しますか、そういうものが起って参ります。そのときには御指示のように、あるいはこの機構その他に対しまして、いま一ぺん考え直す必要が起るのではないかと思います。現在のところは今の調査委員会及び応急措置というものに対処する以外に方法がないと思います。
  47. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 田中君の発言に対して、知事並びに市長の御意見はありませんか。
  48. 北村一男

    参考人北村一男君) これでいいかというお尋ねでありますが、よくはありません。よくはありませんが、それはまあ一にも二にも金でありますから、金がはなはだ不足であると考えております。資金を増していただきたい。八億の要求に対して四億で、またその中でさしあたり幾らということになりますので、今新潟海岸状態を見ますと、この冬、もしくはここ一年が大切な時期なんでありまして、非常に運輸省建設省も好意をもって理解をしていただいていることはよくわかりますけれども、時おくれては今度あとで幾らおかけになっても効果が発生しない。おそいと効果が上ることがおそいと、こういう心配がありまして、予算の面において特段の御配慮をわずらわしたい、こういうふうに存じております。
  49. 田中一

    田中一君 市長さんも同じだと思うんですが、そこで伺いたいのは、われわれもやはり国費、予算というものを審議し、かつまた知事からの御希望のあったような単行法の制定等も考慮しなければならぬと思うのです。しかしながら今言う通り単行法を作るに当りましても、現象だけをとらえて、その対策というものが是か非かの判断がつきませんとわれわれとしても困る。従って、と言って今いう原因を突き詰めるまでには一年かかるか二年かかるか、あるいは五年かかるかわからぬというような見通しが、現在調査委員会で結論づけられますならば、これは応急対策として臨時立法というものも考えられるわけでしょう。むろん金がほしいとおっしゃっても、金を出すには出せる範囲の出し方、あるいは原因はわからぬけれども、その現象をこの程度にとどめようというための暫定立法というものが必ずございますから、そういう点については余り運輸省並びに建設省に、原因がわからないのに金だけ出せといっても、出しようがないということになるだろうと思うんです。そこでもう一ぺん東君に伺いたいのですが、今あなたの方で三十三年度に考えられている予算、あるいは町田君の方で三十三年度に要求しておる八千万円程度で一応地元の方に現われてきている現象を防ぐことができるかどうか。で、防がれなければ、やはり同じように冬季の高潮や波浪がくるときには、そんなものは今までの例から見ても中途半端のものを作ったのでは何もならないのです。すぐまた、うしろに水が回って倒されるのが落ちなんです。従って応急の対策としても相当な現金が投入されなければ、とりあえずの問題が成果が上らないということになるのじゃないかと思うんですよ。それで運輸省並びに建設省が三十三年度で計上しようとする予算というものは、目に見える部分の防衛と言いますか、対策に役立つものかどうかということについてちょっと伺いたいと思うのです。
  50. 東壽

    説明員東壽君) まず具体的に申し上げますと、防波堤の方につきましては、一・四〇メーター建設当時より下っている。これに対してただ一・四〇メーター上げますと、建設当時の高さになるのでありますが、それに対して二・八〇メーター程度上げることによって、港内の各地盤沈下いたして、護岸、津壁等が下っておりますから、さらに静穏度を高めるために建設当時よりもさらに一・四〇メーター高くしようというのが今の新潟地区の要求であります。これに対してさしあたり建設当時の高さに上げよう、その程度で一応とどめ応急措置としたいというのが私ども計画であります。東海岸につきましても、一番問題の起っております部分を全延長の約半分を計上いたしまして、この点も要求に対して半分程度に押えておりますが、以上のような防波堤におけると同じようなことにおきまして、この程度で応急措置としては計画いたしたいというふうにいたしております。そういうことで一応、これでもちろん地元としては御不満のことがあると思いますが、このほかに新潟としては、例の災害対策として二億以上の金を西海津の方に出している。非常に金額が大きくなりますので、私たちももう少しと思いましたが、この程度で押えたわけであります。
  51. 町田稔

    説明員(町田稔君) 私の方で二十三年度事業として考えております内容は、地元と十分打ち合せをいたしまして、現在のところこれで一応適当であるという額でございまして、なお将来一そう沈下が進行いたしました際には、あるいはこれ以外の支出も必要になるかもわかりません。現在の状況におきましては、このくらいで十分であると考えております。
  52. 村田三郎

    参考人村田三郎君) 私、四十年近く船を持って新潟港に商売をいたした経験もございますので、今の一番下っております、一・八〇メーター下っております西突堤は、半世紀前の工事でございまして、鉄矢板は使っていないはずでございます。ざく石の上にケーソンを積んで、その当時の新潟の港口は七尺、八尺、大河津が分水が完成いたしましても十二尺程度のものでございましたのが、現在は三十尺、十メーターの港口を維持しておりますために、私は今新潟港は四分の一程度の港口で港を利用しております。そのためにあの突堤が三十尺掘っても七尺の時代から地盤がずっと膝、腰ぐらい、それから今三十尺になるのですから、それで支えてあったわけだと思う。ところが海岸決壊と港の浚渫のために西の突堤が一・五〇メーターないし八〇下った原因であろうと思いますし、それからいわゆる山ノ下臨港地帯は今から三十数年前にあれは沼地を泥で埋めて建設された港でございます。しかも尼崎、大阪のようなところと違って、新潟は幸いにして無尽蔵の信濃川と阿賀川水系がありますが、尼崎あたりには工業用水も、あるいは水を地下何十尺、何百尺のきわめて浅いところから取っておりますために、沈下した原因が大阪、尼崎には多く見られるのではないかと存じます。  それできわめて簡単に結論を出すならば、地下水、ガスの井戸を掘るためにその水のせいじゃないかということで、私もガスの井戸水は一つの井戸から一昼夜四万石くらいは出るものですから、それで沈下しないかと、四、五年前に東大の上床名誉教授に聞きましたら、これは岩盤を通じて六百メートル、千メートル、今深いのは千五百メートル掘っております。こういうものは地盤には影響はないということで安心はしておりましたが、現在またガス井戸が林立しておる場所にはきわめて沈下現象が微弱なのでございます。一番多いのは臨港地帯と先ほど仰せになりました西突堤でございます。四突堤は私は今後もかさ上げいたしましても、港が深くなって広くすればもっと、下るのではないかという危惧の念を持っておりまするが、しかし運輸省建設省もきわめて海岸決壊にも手っとり早くこれを理解されまして、応急対策に手をつけていただいておりますことを感謝いたしております。
  53. 田中一

    田中一君 そうすると東さん、この突堤の費用は三十三年度は幾らですか。
  54. 東壽

    説明員東壽君) 三十三年度は一億二千六百十一万八千円という額を要求いたしております。それから東海岸の方は六下万……。
  55. 田中一

    田中一君 今運輸省建設省でもって要求している予算が通れば、一応知事が非常に心配しておるこの冬、あるいはもう一年間でなくなるという、新潟市が水沈するのじゃないかというような心配はなかろうということは、北村さんも一応納得しているわけですか。
  56. 北村一男

    参考人北村一男君) 一年間でなくなるとは考えておりませんが、まあなくなるところも出てきますわけですね。現に目立たぬけれども、なくなりつつありますから。それはもう海岸侵食地盤沈下が競合してそういうことになったのでありましょうが、まあ東海などは市長お話になったように、昭和石油のタンクというのはもう海の水につかっていると申して差しつかえがないくらい危険にさらされておるような状態であります。でありますから、新潟市全部はそれはもちろんなくなりませんが、まあなくなる部分も出てくる、こういうふうに考えております。しかし建設省でそういう御見解であれば、やってもらわぬよりはいいのでございますから、(笑声)まあそれで押していく以外に方法がないと思います。
  57. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 東君、ちょっと尋ねるのだがね、こういう緊急に、非常にまあ沈下の度がここ一年間に急激になった、だからこれを今のお話で一億二千六百万円を三十三年度予算要求しておるということですが、だいぶ予算決定までに間があるのだね、そうすると地元の人はそれに対して非常に不安を感じておるから、予備金要求のような手をうつ考えはないのですか。
  58. 東壽

    説明員東壽君) 今のところそういう計画はいたしておりません。
  59. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ないのですか。
  60. 東壽

    説明員東壽君) ちょっと補足いたしますが、まあ県との間のこの要求までに至る間、相当やかましく言われました。三十三年度につきましてそういう要求をいたしますが、あとは県の単独事業なり何なりでその間を処置するというふうに私の方では承知いたしております。
  61. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 今聞いておりますと、原因がきわめてはっきりしないのでございます。それでいろいろな対策を立てるということは非常に自信のないような感じがするのですがね。私は尼崎の当時の自分自身の考えからいって、地下水を吸い上げておる結果だと。西大阪でもそうだということが大体わかっておっても、それが言い得なくて、それの対策を立てることができなかったために、ああいう大きな結果になった。だからここでもいろいろな問題があるだろうと思う。たとえば天然ガスを吸い上げておるというようなこと、関係はないとおっしゃる説もあるでしょうが、これがいつごろから非常に盛んに吸い上げ出したか、それを一つ聞きたい。それから地盤沈下が急激にはっきりしてきたのはいつごろであるか、それから先ほどちょっとお話になったが、天然ガスを吸い上げておる。所が下ってない、それは尼崎でもそうなんです。そう下ってない所もある。しかし海の中に出ている防波堤は水の中に入っておる。だから直接広い範囲でそういう現象が起っておる。こう思うのですが、ですから原因を先にはっきりきめてしまって、たとえばそれはどうかわからないが、地下水を吸い上げておるということがはっきりすれば、それを対策を立てる方が賢いので、もちろんそれは現在下っておるやつを上げなければならぬ。それをうっちゃっておいて、そうして堤防かさ上げをしたり阿波堤を上げたりしてもそれは愚な話だと思う。一応下ったやつは元の通り上げる必要があるが、それ以上のことは原因を追求して、原因がきまってから対策を立てるべきだと私は思うのですが、その方の御意見を一つ。
  62. 北村一男

    参考人北村一男君) 天然ガスは今市長お話だと、四十年も前から天然ガスを掘っておる。しかしながら工業原料として天然ガスを使い始めたのはきわめて最近でございまして、五、六年前からであると思います。しかし、天然ガスは今新潟の宝庫というべきものでありまして、これはあまり大きな声を出して言うと、めでたくないのです。それでこれはお互いが多少考えておるけれども、今何十億という工場が六つも七つもできておるのでございますから、どうもせっかく工場を誘致しておるときに、冷や水をぶっかけるようになりますから、まあみんなでき上るのを待ってからこの問題を研究して真剣にやりたい。まあ運輸省調査会にもお考えを願う点ですが、今市長が申されたように、また稲浦先生もおっしゃったように、必ずしも直接に起きてないのです。そこに直接に起きてない。こういうことがどうもきめ手にならないで困っておる。こういうのでございますが、どうもそんな程度で一つ。
  63. 田中一

    田中一君 私は今稲浦君が言っておるように、天然ガスを吸い上げるのに防波堤を作って、たとえば尼崎の新扶桑とかいう会社なんかは自分の工場全部をへいでもって、高潮対策のへいでもって囲んでおるんですよ。どっちが経済的に日本の国の民族のためにプラスになるかというところにあると思うのです。沈下するものなら沈下するで対策を立てればいいんであって、やはり地下資源というものは、その方が民族の上のプラスならば、これは掘るべきだ。吸い上げるべきだというように僕は考えておるのです。従ってそういう掘る掘らないの関係よりも、原因糾明のためには、今言う通り市にすれば固定資産税が入るし、いいのだということではなくて、それをはっきりしながら対策を立てるべきだと思うのです。地元に刺激を与えるから言いたくないではいけない、これは当然掘るべきであります。特に東北開発という単行法ができて、大きな資源としてこれがクローズ・アップされておる今日、当然掘る。掘って沈下するならば、沈下する対策を立てて下さいということにならなければ、ほんとうの話にならないんですよ。そこで、さっきから私もあまり言いたがらないと思うから、遠慮して質問したんですが、今、稲浦君の質問ではっきりするんだが、大みえを切らなければだめですよ北村君、そうしなければ建設省も、また運輸省の方だって腹腰据えてこやしませんよ。
  64. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 私は天然ガスを掘ってはいかんというのではないですよ。掘ってもそれの対策を考えなければいかぬ。たとえばアメリカあたりでは、地下水を吸い上げたら、また補充していますから、補充して地盤沈下をある程度食いとめておる例があるんだから、ですからそういう対策を立てて掘れば、全体の大きな沈下を食いとめ得られるんじゃないかということもあるから、そういう対策を考えればいい。ただその原因を、ほったらかしておいて、沈下した跡始末だけしておくということは、非常に愚な話で、尼崎なんかはあんなに大きな防潮堤を最後に作らなければならなくなってしまった。せっかく作っても、それがまた現在でも沈下しておる。だからその原因をはっきり突きとめて、その原因に対する対策を立てて、そうして沈下対策と両方に考えていくべきものだと、こう思うんです。
  65. 北村一男

    参考人北村一男君) 大へん田中稲浦両先生から、力強い激励のお言葉がございましたから、まあ是は是、非は非として、これから調査会も、何としても新潟市周辺だけで六百億立方メーターのガスがあるといわれておりますので、これは肥料、ビニール、人造羊毛、人造ゴム、それからシコリンというようなものの製品になって国益になることは、もうこれは論を待ちません。今後は本委員会での御趣意もございますから、原因産業開発を別個に考えまして一つ進んで参りたい、かように考えております。
  66. 田中一

    田中一君 大体もう結論が出たように思うので、一応今の場合は、計画規模八千万、運輸省の方で、港湾局で一億二千六百万の予算をどうしても明年度は計上してもらって、そうして対策の第一の事業に着手する。その間に急速に原因を究明して、根本的な対策を立てる。その場合には、単独立法の法制化もこれまた考慮されなければならぬ。こういうことに今なったように思うのですが、委員長、このへんで一つ……。
  67. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは新潟地区地盤沈下対策については、これをもって終了いたします。   —————————————
  68. 田中一

    田中一君 今、計画というか、実施中の地理調査所の移転の問題について伺いたいんですが、大体世田谷の三宿の元の練兵場に移築されるというように、工事を進めておるように聞いているんです。それで、その地理調査所の移築に伴う一切の計画というものはどういうふうになっているか、大綱をお示し願いたいと思います。
  69. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) 場所は、元の駒沢練兵場の跡でございまして、下の敷地は三千九百坪ばかりございまして、そこへ持ってきまして本館を四階建、それから印刷をやる作業場の方を二階建にしまして、それからこれに付属の倉庫のようなものを入れまして、全部で三千五百坪ばかりのものを計画しております。それで、着工しましたのは本年からでございますが、来年の八月ごろまでに全部を完了する予定になっております。  それから、実際に稲毛の方からあちらへ移るのは、来年の五月ごろから始めて来年度一ぱい、来年度の三月ごろまでに全部移したいと考えております。その準備を、印刷の半分をできるだけ早く移し、それからほかの事務とか測量とかいう部面を、それに同時に移転を始めまして、できるだけ早く完了する。それから材料のようなもの、それから印刷のあとの半分を三月までに移したい、こう考えております。  それからこれに伴いまして、実は一番心配しておりますのは、宿舎の問題でございますが、この宿舎の方は、今計画しておりますのでは、再来年度末で大体全部現存おります所からほかへ移れるようにしたい、こう考えております。  大へん大ざっぱでございますが、この程度でよろしゅうございますか。
  70. 田中一

    田中一君 先だって所長にお見せ願って、大体地理調のお仕事並びに機構等を伺ったわけでありますが、約九百名程度おられるようですね、現存職員は。
  71. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) さようでございます。全部ですと、非常勤を入れますと、約千名ぐらいのところを上へいったり下へいったりしておる程度でございます。
  72. 田中一

    田中一君 そこで、現在までに、この地理調査所にどうしても必要な、なくてはならぬというような職員は、そのうちで何名くらいおるんですか。
  73. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) これは必要でない人間は、実は一人も使っていないつもりであります。(笑声)
  74. 田中一

    田中一君 まことに御名答を伺って、ありがとうございました。(笑声)そこで政府としては、今言う通り三十三年の初め、五月ですか。
  75. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) さようでございます。五月ごろから移転を開始したいと思っております。
  76. 田中一

    田中一君 宿舎の計画は、今営繕局の方ではどのくらい、何人くらい収容する宿舎を考えているのですか。
  77. 櫻井良雄

    説明員(櫻井良雄君) 営繕局の方では別にそういう計画はいたしておりません。これは、本省の方でそういう計画がございまして、営繕局が工事を担当するようになりますれば、この工事を実施するのが営繕局の役目でございまして、営繕局自体といたしましては、そういう計画はいたしておりません。
  78. 田中一

    田中一君 官房長に伺いますが、この地理調査所の新築移転に伴って、この職員は千名いるようですが、絶対必要な職員だと今所長は言っているのですが、この人たちはおもにどこから通勤している人が多いのですか。
  79. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 現地の詳細は、また地理調査所長からお話するといたしまして、私ども承知しておりますのは、地理調の移転に伴いまして宿舎の計画を立てなければなりません。仮の宿舎に現在百二十八戸、これが現在の稲毛の場所におります。自宅でございますとか、それぞれ安定した宿舎を持ちます者以外の者が、現在の地理調の場所であります稲毛に、仮宿舎といたしまして百二十八戸分がまだ現地におるわけでございまして、これは終戦後あそこに参りました当時は、五百戸、六百戸という多数の世帯だったわけでありますが、漸次自力で安定した宿舎を求めまして、現在は百二十八戸残っております。これを解決いたさなければなりませんのと、ほかに独身寮のような——独身寮であると思いますが、一むねに五十五名定員のものが寮といたして稲毛に同じくございます。これらに対しまして、先ほどの所長のお話のように、今度三宿に移転をいたしますので、この移転に伴いまして、宿舎計画を立てまして職員を安定せしめる必要があるわけでございまして、本年から移転に伴う宿舎費の要求をいたし、割当を受けております。本年は二十四戸分の割当を受けておりまして、さらに三十三年度におきまして約五十戸、ちょうど移転の年が明年になりますので、明年は五十戸の割当を受けたい。さらに、先ほども再来年までに完了いたしたいという所長から計画を話されましたが、再来年約二十九戸、これで大体解決する。と申しますのは、ごく若干の者はこの機会に、三宿に移転する機会に、自力で宿舎を求めるという方途を現に講じつつあるそうでございまして、そのものがどの程度にできますか、これはまだ正確には出ませんけれども、十軒や十五軒のものはそういうことは可能であろう、こういうふうに考えているような次第でございます。それで二十四戸の本年の分につきましては、すでに場所をきめまして建築にかかるところでございます。明年の五十戸分につきましても、これは要求中でございますが、大体地理調の移転ということで宿舎を見てやらなければならぬという点につきましては、大蔵省との間に話し合いの基礎ができているような格好に相なっております。
  80. 田中一

    田中一君 独身寮は幾らでしたか。
  81. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 独身寮につきましては、現在の地理調の敷地内にこれがございますので、地理調が三宿にかわりましても、その残りの稲毛の敷地は、やはり建設省におきまして現在計画いたしておりますのは、建設研修所と、それから土木研究所の機械関係施設をあすこに集中いたしまして、さらに新規に土木研究所で道路関係の実験の施設をあすこに持ちたい、そういう考え方をいたしておりますので、その移転ののちにおきましては、土木研究所等におきましてこの寮を管理してもらいまして、そして扱ってもらう、こういう考え方をいたしております。
  82. 田中一

    田中一君 今住んでいる五十五名はどういうことになるのですか。
  83. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) 二階建ての独身寮がございまして、そこに住んでおります。
  84. 田中一

    田中一君 その人間は移転されて、ここから通勤せよというわけですか。三宿に移転された場合には通勤するとか……。
  85. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) まあ、私考えておりますのは、独身者でございますから、逐次世帯を持って従来も出て行っておりますが、そういうふうにして減っていくものと、実は考えておるものでございます。そして、幸い土木研究所、それから研修所が移って参りますので、そこの場所はそのまま当分使用させてもらいたいと、こういうふうに考えております。今のところ独身寮を新しく作ることは今計画しておりません。
  86. 田中一

    田中一君 初めに数百戸あったという住宅が今だんだん減って百二十八戸ある。これだけを当面やればいいのだということは、実際においては戦後十年たって、一番通勤に近い距離に自分の家を求めたということになるだろうと思うのです。従って今度臨時国会には通勤費というものを出さないということを言っておりましたけれども、相当な通勤費がかかると思うのです。これはどのくらいになります。稲毛あるいは稲毛周辺に自分の家を持った人たちが三宿にくるには時間はどのくらいかかりますか。
  87. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) お答え申し上げます。時間は約一時間半ないし遠いところの人は二時間かかると思います。それから通勤に要する電車賃とか、そういったものが約二千円くらい月かかると思います。しかし東京にきますと、現在の給与では勤務地手当が変って参りますので、それを差し引いて考えますと、これは千三、四百円になるのじゃないかと実は考えております。今との違いでございます。
  88. 田中一

    田中一君 勤務地手当が増額されれば差引五百円くらいマイナスになるということですか。千五百円くらい余分になるということですか。通勤費が二千円かかっても、五百円くらいの負担でこられるということですね。
  89. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) 千二、三百円くらいの負担になると思います、通勤費が……。
  90. 田中一

    田中一君 この中にはずいぶん安い給料の人も多いと思うのですが、これが千二百円今度役所の都合で移転されてかかる。これはむろんそういうこともあり得ると思いますが、これは一体建設省としてはどういう考えを持っているのですか。当然三十三年度は通勤費の制度というものが予算化されるのであるというのが前提に立っているのですか。
  91. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 一般の給与の問題といたしまして、通勤手当の問題がございますけれども、これはまだ政府といたしましてどういうふうに決定をされますか聞いておりません。従いまして、一般の決定にこのケースも従うよりほかにいたし方がないと思います。公務員の給与といたしまして通勤手当を支給するようにでも相なりますれば、もちろんこのケースも助かるわけでございますけれども、このケースに限って特別に通勤手当を出す道もございませんし、この地理調の移転に伴いまして、遠距離通勤になる者が若干ふえることは、これは非常にお気の毒なことでございますけれども、しかしここでみますれば、現在でも逆に今度東京の方から稲毛へ通っておる人もあるわけでございます。人によりまして立場が違ってくるわけでございますが、一般の方針に従う以外に道がないと考えております。
  92. 田中一

    田中一君 しかしまああなたの御意見を伺うと、遠くていやならやめればいいじゃないかということなんです。もちろん東京から稲毛へ通っておる人は、東京から稲毛へ通うという初めからの納得の上に立って通っているのであって、今度のように、自分の役所が全部移転してしまうのだということになりますと、じゃ納得できなかったらお前やめればいいじゃないかという結論にならざるを得ないと思うのです。従ってそういうことではものは通るものじゃないのです。せんだっても現業官庁の職員の転勤の問題でも言ったように、条件というものは、いつでもいいんだという条件のものと、今度のように大幅に自分の事業所が全部変るのだということになりますと、やはりそこに思いやりがなくちゃならぬと思うのです。まあ通勤費制度が三十三年度から実施されれば、これは金銭的には問題ないでしょうけれども、なお往復四時間というものを通勤する肉体のロスというものは大きなものですよ。こういうものが日本の生産というものに悪影響をもたらし、そして人間の寿命を縮めることは当然なんですよ。そこで官房長のような突っぱねたような意見は僕は聞きたくない。たとえば世田谷は六畳借りましても五千円から六千円です、独身者にしても。土地を買うといってもあの辺では、かりに今まで稲毛でもって勤めておったから、そこで土地が見つかって、自分の貯蓄で自分の家を作ったという人もあろうと思うのですが、今度世田谷へ行きますと、どんな安い土地でも一万円以下の土地はない。稲毛なんかですと二千円、三千円で借りられるかもしれないけれども、世田谷はないですよ。ましてや市内になったらなおさらないですよ。そうすると、もう少し何か突っぱねたようなことは言わないで、東京都住宅協会はもちろん作っています。公営住宅もやっておりますし、それが抽せん等でやるのだからなかなか入れぬでしょうけれども、要は思いやりのある方策を官房長としては立てなければいかぬと思うのですが、そういう点について、今のような突っぱねた考え方ではこれは納得できないわけなんですが……。
  93. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 突っぱねたわけではございませんが、通勤手当が出ないかということにつきましては、これは給与の制度で通勤手当が出ることにならなければ出しようがないわけでございますので、まあ突っぱねたようなお答えになってしまって非常に何ですが、全体といたしましては、最初に申し上げましたように、今の稲毛の構内に仮住まいをしておる連中をこの機会に正規の公務員の宿舎に切りかえて参る、それで実情をよく聞きますと、私も行ってみたことがございますが、このかりの宿舎におる百二十八戸の生活状態というものは決していいものじゃございません。まあ倉庫のような状態のところに間仕切りを作りまして、非常に簡素な生活を営んでおるのでありますが、何と申しましても構内に住んでおりますから近い、でも適当な機会に公務員宿舎に移るなり、自力で適当な宿舎を得たいという考え方でだんだん減って参りまして、残っておるわけでございますので、この本庁舎が移転します機会に公務員宿舎の割当を適当に受けまして、正規の宿舎に移るようにいたしたい。宿舎はよくなるかわりに距離が、できます所が三宿でございますから、大都市の交通状況といたしまして、ある程度遠距離の通勤になることはやむを得ないと思います。そういう関係もございまして、通勤手当の問題としては処置がございませんけれども、正規の宿舎に漸次移して参って、職員の生活の安定をはかるようにいたしたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  94. 田中一

    田中一君 一千名の中でもってたかだか百三戸ですか、百三戸の宿舎を作っても何もならぬと思うんです。ほかの九百名というものの低収入の職員は一体どうするつもりですか。
  95. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 一般の公務員の場合に、職員の宿舎を全部国が整備するというような状況には至っておりませんので、宿舎の充足率というものも今の日本の官庁の状況を見ますというと、非常に充足率が低い状態でございます。まず自宅を持っております者、それから自分の力で、自力で借家なりを持っておりますような者を除きましたものにつきまして、できるだけ高い充足率で宿舎を安定せしめたいというわけでございますけれども、国民全体の住宅問題というものがまだ未解決のような現状でございまして、公務員に対しまするところの宿舎の充足につきましても、なかなか国がとっております方針は渋いのでございまして、年々若干ずつ宿舎を建てさす。建設省におきましては、営繕部の中の付設物としての宿舎を建てることによりまして、各省と比べますならば、まだまだ比較的強い充足率になっているようでございます。先般田中先生から地方の地検の場合の宿舎の状況も悪いというお話しもございましたので、きょうも資料で差し上げてございますが、ほかの官庁等も調べましたが、ほかの官庁と比較しますならば、これでもまだいい方だということを承知したわけでございます。決して満足しているわけではございませんが、なかなか一ぺんに理想通り、宿舎のあてのない者の宿舎を全部国が用意するという現状に日本の住宅の現状が残念ながら至っておらないわけでございます。またその範囲内で極力宿舎の、安定をはかるように努力いたしておるような現状でございますので、御了承をいただきたいと思います。
  96. 田中一

    田中一君 武藤さん、あなた九百名の者が、全部向うから往復四時間通勤時間にかかる者が、今までと同じような能率を上げると考えておりますか。
  97. 武藤勝彦

    説明員(武藤勝彦君) これは個人でいろいろ違うのじゃないかと実は私考えておるのですけれども、現在でも東京から通っておる人が二百人以上ございます。こういう人たちがそれじゃ能率が落ちておるかと申しますと、ほかの人と比べてそう落ちておるようにも実は見えていないのでございますが、しかしその人が近いところから来たらもっと能率が上るかどうか、これは実際にやってみないとわかりませんが、まあ一時間半ないし二時間程度通っておる人はほかでも相当あると思いますが、ただ途中の電車の、つまり何と申しますか、込むとか込まないかということが一番問題じゃないかと私はみておるのでございます。そこで千葉の方からこちらへ来る電車は非常に朝込むのでございます。それでもしできれば、これは官房長にも御相談したいと思っておるのですが、通勤時間のやりくりをある程度認めていただけるようになれば非常にいいのじゃないかと実は考えております。同じ時間に全部官庁あるいは会社というものが始まるものですから、そのときどっと込んできて、これはもうとても電車の中で押しあってくるといったようなことになるのじゃないかと思います。それを少し一時間ぐらいずらしていただけると非常に緩和されるのじゃないか、そんなことも実は考えております。
  98. 田中一

    田中一君 官房長は予算の上だけでやろうと思うから、なかなかもう少し思いやりのあるという答弁ができないと思いますけれども、やはり何らかの形で救わないと、なんかの場合に何か起るという危険がありますから、そういうところはやはり注意して、たとえば東京都あるいは住宅協会等とも話し合いながら、まああまりオーバー・ワークにならないような状態におかれるように努力してほしいと思うのですよ。ことに共済組合などのまた融資の面も考えられるでしょうし、いろいろな面もあると思うのですよ。それが、やはり石田労働大臣が言っているように、ああいう強硬策でなくて、もう少し考えようによればできることがたくさんあると思うのですよ。それをしなければやはり問題が起ると思いますから、そういう点を一つ注意してやっていただきたいと思うのですよ。  それで、先ほど建設省は、宿舎を持っているのはほかの官庁より多いというのは、現業官庁は当然ですよ。現業官庁というものは、現場というものが一定、動かない職場で働いているのじゃないんですよ。常に動いているのですよ。従って、それは宿舎を持つのは当然ですよ。現場には必ず全部の人間がカン詰になって働けるような施設があってこそ能率が上るんです。また現場の管理ができるんですよ。だからそんなことでもって率がいいなんていって安心している官房長はこれはどうかと思うので、その点は実情をよくお調べになって、安心して下さい——決して安心じゃないのですから。  資料をお出し願えるというやつが出ていますか。その資料は私まだもらっていないのですが。
  99. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 前回の委員会お話のございました資料は、きょう御提出いたしますように準備をいたしております。
  100. 田中一

    田中一君 来たら一つ配って下さいよ。
  101. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは本日の会議はこれをもって散会いたします。    午後零時二十四分散会