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田中一君 あのね、岸さん。私はこう思うのですが、たとえば電気器具というものは宣伝が上手で、売れるということになったら、電気洗たく機から電気掃除機から、どんどん四社、五社が競争して作っておるのです。テレビにしてももう二年前に十五、六万円したものが今では七、八万円で買えることになっておる。こういう自由生産ということ、
自由経済ですね。これがやはり
国際収支をこういうことにさせたことだと思うのです。生産と見合う消費生活というものがあれば、これは正常な姿なんです。ところがそういうものは全然放置して国が手本を示しておる。その収支も多少金をしばるというようなことよりも、もう少し手があると思うのです。そこで結局これは資本主義の一番悪い姿なんですよ。やはり弱いものがつぶれていくのです。金利が上ればやはり生産コストが上りますから、やはり国民生活に響くわけです。結局国民にとり金融政策だけでもって消費の増大を阻止しようというような、そういうことはですよ、これは政策の私なんかの
考えでは全くナンセンスだと思うのですよ。それよりも経営者の方たがそうした
意味の規制、消費生活に見合う、バランスのとれた生産ということを
考えるならば、こんなことはないですよ。
もう
一つの問題は、アメリカに対する依存度が強過ぎるということです。自主
経済ではなくて、やはりアメリカ
経済に依存する政策ということなんですね。まあ食糧は大体ここまで
——足りませんけれ
ども一応安定した。見通しとしては暗いものではない。買えば買えるのだ、もうタイへ行ったつてビルマへ行ったつて、買ってくれときております。買えるけれ
ども、これもドルに依存しなければ売ってくれないというところに
日本の悲劇があると思うのです。私は
日本の
経済人というものは、全く
道路等を早く作って、早く作ってですよ、そして
日本の国土から生み出せるものは、原材料というものは、まかなえる範囲のものは、
道路等を早く作って生産するような、開発するような方途にいかれることが望ましいのじゃないかと思うのです。当面の問題として、
国際収支の問題は非常にあなた方に
影響があるのです。国民には直接
影響はないのです。もう米食わしてくれて、われわれ十年前には米を食うや食わずでおったのですから。あなた方に
影響があるのです。あなた方というのはもちろんあなたではないのですよ。
経済人、大企業者や企業家にいろいろな悪
影響があるのじゃないかと思うのです。現にかりに為替
関係にいたしましても、ドルはやはり通産省が握って、
輸入も
輸出も
一つの規制をしているわけなんですけれ
ども、これが不必要なものが相当大幅に入ってくる傾向というのは、
皆さん方のもうけようという意欲と、それに続く権力と政治力が結びついていろいろなものもたくさん来ている。ことに砂糖とかなんとかいうものはこれは宿命的にアメリカに抑えられているようなものです。こういうところに何かの
考え方を
経済人が持たなければ、私は正常な
日本の国内
経済というものには確立しないのじゃないかと思うのです。もう
自由競争させておいて購買力をあおって、百貨店はどんどん作ってそうしてやっていくんじゃ、とてもこれはたまりません。人間も欲望がありますから、そこでそういうものはそういうものとして、私はそれを克服するものは、時間がかかるといたしましても、克服するものは
日本の場合は当面
道路の築造、
道路網の整備ということが一番必要なものではなかろうかという
考えをもって、ここ数年来というものは、繰り返して申しますが、衆参両院とも
道路の
建設のみに終始しておるのです。
政府が、あるいは
大蔵省が文句を何と言おうがもう与野党ともに
道路に対するところの熱意というものはあふれて
政府とけんかしながらも、法律を作ったり何かしているわけですよ。このわれわれの持っている熱意というものは、一部の資本家と言いますか、経営者のためにこの六十億でも四十五億でも、何億になるかしりませんが、そういうものが
圧縮されるということに対しましては、われわれは全く承服できないのですよ。岸さん
一つそういう財界の世話役でございましょうけれ
ども、それはそれとして、
道路公団の
総裁としては、やはりわれわれが
長期計画で持っておりますところの
道路、これまで与野党ともに進めている
道路政策の実現のために、まあほかのものは規制してくれ、
道路だけはそれは困るぞというような
気持を出していただくことが全く望ましいのです。これ以上申しませんけれ
ども、そういうような
一つ気持で
折衝に当っていただきたいと思うのです。