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1957-07-05 第26回国会 参議院 建設委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年七月五日(金曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員の異動 七月四日議長において増原恵吉君を委 員に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森田 義衞君    理事            石井  桂君            西田 信一君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            斎藤  昇君            中野 文門君            坂本  昭君            重盛 壽治君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省河川局長 山本 三郎君   参考人    日本道路公団総    裁       岸  道三君    日本道路公団理    事       村岡 信勝君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (財政投融資繰り延べに関する件)  (台風第五号による被害状況及び対  策に脚する件)   —————————————
  2. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず常任委員の選任の件を御報告いたします。七月四日塚原恵吉君が建設委員に選任せられました。
  3. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それでは先ほどの委員長及び理事打合会の結果を御報告申し上げます。  財政投融資繰り延べに関する件について、本日参考人として日本道路公団総裁岸道三君の出席を求めることにいたしました。また本件について、明日の委員会同様参考人として住宅金融公庫総裁鈴木敬一君及び日本住宅公団総裁加納久朗君の出席を求めることにいたしました。  閉会中の委員会の日程について協議いたしました。今月二十二日、二十三日の両日開会することに決定いたしました。  それではお諮りいたします。委員長及び理事打合会において決定いたしました通り財政投融資繰り延べに関する件について、本日日本道路公団総裁岸道三君、明日住宅金融公庫総裁鈴木敬一君及び日本住宅公団総裁加納久朗君をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  5. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それでは政府側からも富樫道路局長及び日本道路公団首席監理官鶴見良一郎君が出席されておりますので、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 村上義一

    村上義一君 議事進行について。委員長も、それから参考人の方も、政府委員上着をお取り願ったらどうでしょう。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  7. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それでは上着を取ることにいたします。
  8. 田中一

    田中一君 道路公団総裁に伺いたいのですが、先般大蔵省は、本年度財政投融資の問題について一応大幅な繰り延べを内定して、それぞれ各機関におそらく通告をしてあるのではなかろうかと思うのです。そこで道路公団としては出発間がないことでありますし、いろいろ前年度には計画通りのことができておらないのではないかという考え方を持っておりますが、前回の委員会において、南條建設大臣に開くところによりますと、前年度に四十五億の繰り越しを余儀なくされた、従って実質的には現在の道路公団機構及びその能力というものを——何ら予定通り工事の遂行ができるのであるけれども、金額的に四十五億の繰り延べがあったので、それに士五億プラス六十億の繰り延べを一応大蔵省としてはしているのであるというような報告があったのです。それでなお建設大臣は、道路公団総裁を呼んで十分にただしてくれというような意見がございましたので、今日御出席を願ったのでありますが、今第一点として、大蔵省からどういう投融資繰り延べ内示があったか、そしてその内示に基いて、道路公団としてはどういう作業を続けておるか、そしてその作業内容というものは民間資金幾ら幾ら政府資金幾ら幾ら、あるいは種々の資金関係内示もおそらくあったのじゃないかと思うのです。その点の内容を御答弁願いたいと思います。  第二の問題としては、それによってくるところの本年度事業計画というものがそごを来たすという見込みであるか、あるいは前年の経過から見て、経験から見て何ら計画には支障がないのだというような見方でおられるか、その点をまず伺いたいと思います。
  9. 岸道三

    参考人岸道三君) 建設省からお話しのありましたように、六十億の本年度繰り延べの話がありまして、私は現在の日本国際収支関係からいって、財政投融資あるいは公共企業の費用というものをある程度政府が率先して繰り延べして、そうして民間にその範を示すということは、この民間の今の設備投資が非常に急速に膨張した関係も今度の国際収支影響しているわけですから、そういうことをためる意味において今度の措置は非常に適当だと思うのです。そこでわれわれは、経済同友会もそういうことを言っておった関係上、私の方の公団においても、事業の上においてはなはだしく不利になる、つまり繰り延べをすることによって今までの投資、使った金が全部非常なむだになるというようなことのない限りは、できるだけこれを繰り延べるようにしたいというので、今建設省折衝中であります。それが六十億になりますか、あるいはどのくらいになりますか、できるだけよけいそういうふうにしたい、こういうふうに思っております。  それから、その場合に先ほど申しました事業に差しつかえない、つまり非常に急いでやるやつを普通の速度でやるというようなことになれば、大体まあ投資した金がむだのないようにいくのじゃないか、それを目途として今案を立てております。
  10. 田中一

    田中一君 経済同友会の何というか、重要メンバーとして、まず、じゃ道路問題を離れて伺いたいのですが、まああなたが、そういう御答弁の中に事柄が入っていたから伺うのですが、国際収支の不均衡から赤字になるからといって、そのような形の事業繰り延べというものは、結果においてどこにどういう影響、直接な影響です、が、もたらされて好ましいのだというお考えを持っているか、一つお教え願いたいと思うのです。その点こうした意味の公共事業的な国民的な、しいていえば、むろん早期経済効果というものは求められないでも、一年後、二年後、三年後、逐次増大する経済効果というものを考えられておる現在のあなたの方の事業なんです。そこで、その半面大蔵省は実質的には仕事関係ないのだということをくどくど言っております。ことに公共事業費の問題につきましても、前年度公共事業費の使い方、消費した実例を見ても、まあ決算、会計検査院が手をつける五月ごろまでに、どうやら仕事は一応発注済みになっているけれども、実質的には消化してないというのが現状だそうです。そうしますと、そういう点で来年の四、五に、いわゆる実質的には繰り越しです、繰り越し事業になる。それを年度内に消化したというぐあいにカムフラージュして、仕事は事実上繰り越しになっているという現状実態から見て。だから仕事に差しつかえはないのだという言葉を言いながら、今あなたの言われているように、そうした意味数字上の繰り延べを、実質数字上の繰り延べをすることによって国際収支というものがわが国の方にプラスになるのだという考え方は、実質的にはどこにあるのかということを経済人の岸さんに伺いたいと思います。
  11. 岸道三

    参考人岸道三君) 一番の問題は、産業構造変化からくる設備の改善という問題、それからエネルギー源の急速な変化といいますか、進歩といいますか、そういう点からくる変化、従って鉄鋼資源、そういうものが非常に要るようになってきた。そういう関係から、そういうものを使うものは設備が急速にふえたために、輸入が急速にふえたということが非常に大きな原因なんです。輸出は減ってない、先月は減りましたけれども輸出はそれほど予定より減ってないのですが、そういう輸入が非常にふえた。これが根本的なもので、これは日本だけじゃない、フランスでも、新しい産業設備をやったところはみんな今輸入外貨が不足して悩んでおるわけです。これは産業設備を改善する場合にやむを得ない現象なんですが、そのやり方を非常に急速にやりますと、今度のような非常な結果が出てくるわけなんです。ですからやはり長期計画というものを経済企画庁でも作っておられますが、そういうものをはっきり作られて、それによって総合してやっていけば、もう少しそういう問題もうまく緩和できるのじゃないかと思っておるわけです。
  12. 田中一

    田中一君 計画的にやってなかったということですね、結論的には。そういうことになるのですね。
  13. 岸道三

    参考人岸道三君) そうです。
  14. 田中一

    田中一君 現に昨年の三月一ぱいで廃法になった、期限の切れた例の課税の臨時措置ですね、数々の……、それが三千億からの増資となって現われたのは、やはり政府指導というか、金融政策的な指導をしないで放任しておったというところに起因するのですかね。
  15. 岸道三

    参考人岸道三君) そういうことよりも、われわれ民間経済人立場からいえば、民間経済人が現在の資本主義経済、われわれは現在の資本主義経済をもっと完全なものにもっていこうという、資本主義経済をわれわれは守る人聞としての立場を堅持しているわけなんですが、そういう立場からいえば、経済人がみずから自立的にある程度の規制をしていくべきだと思うのです。これは世界的に物を見る人はたくさんいるのですから、そういう人たちの間でもう少しそういうことを自分たち個人事業——むずかしいことですが、個人事業をこえて、全体の経済の利益のために考えていくということが望ましいのじゃないですかね。
  16. 田中一

    田中一君 そこで、政府は率先してそうした意味財政緊縮といいますか、その模範を示させようと、そうして民間自由意思というものをその方向に持っていかせようということの効果をねらっておるわけですか。
  17. 岸道三

    参考人岸道三君) つまりみんな一緒になって、民間政府一緒になってやらなければできないですよ。だから一緒になってやる方がいいと思う。だから民間の方もそういう自立的調整方向にして今方策を立てて苦慮しておるわけですが、政府の方におかれても、そういうふうにやられることはけっこうだと思います。
  18. 田中一

    田中一君 大蔵大臣も、何も短期のもので、長期のものじゃないと、事実上半期は、ことしの半期は済みましたが、大体一年もたてばもと通りになるのだというようなことを言っておりますけれども、それは一体そういう形の短期で回復するものと見込んでおるのか、経済界としては。そうしてまたこういう措置によっていつごろどういう効果が現われるか。
  19. 岸道三

    参考人岸道三君) それは民間でも二色あります、長期短期と。それから私どもは二十九年にこういうことを一ぺん経験したわけですよ、外貨の不足を。今度また三年目にやったわけです。こういうことをまたやりたくないというのがわれわれの考えなんです。従いまして、この二度の経験を十分に生かして、今後こういうことをやらないように、それにはどうしたらいいかということを今われわれは研究中なんですが、とりあえず現在の応急措置としては、民間人としては企業投資をある程度控えようと、そうして政府の方もそういうふうに繰り延べるなら繰り延べていってもらおうじゃないかと、こういうことなんです。
  20. 田中一

    田中一君 自由経済の今日の社会機構の中においてなかなか困難なことだと思うのです、実際。そうすると、もう一歩進んで計画的な経済政策の面で規制されることが多いんじゃないかと思いますが、おそらくあなたの考え方もそうした将来を見通す計画性というものを考えながら対処しようということになるんじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  21. 岸道三

    参考人岸道三君) これはもうあらゆる場合、どこの国でも計画を持ってない国というものはないのです。これは自由主義経済においても、それから統制経済においてもそうですが、全部やはり一つ計画を持っておるわけですね。その計画をどういうふうに表現するかということは、おのおの国のしきたりとか国民性によってやり方が違いますけれども、大体持っておるわけです。
  22. 田中一

    田中一君 道路公団六十億の、大蔵省は何といいますか、圧縮といいますかを内示しているんですが、これは総裁としては大賛成のわけですね、そういう意味においては。道路公団事業はさておいて、道路公団総裁としてじゃなく、経済同友会の幹部として大賛成なわけですね。
  23. 岸道三

    参考人岸道三君) そうですね。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると考えられるところは、六十億どころか、場合によったらば、現在の本年度の百七十五億というものを、これをもっと振り向けてもいいんじゃないかという気持もあるわけですか。
  25. 岸道三

    参考人岸道三君) それはないですね。と言うのは、つまり限度があるわけです。先ほど申しました通り、六十億がいいか、巨億がいいか、あるいは四十億がいいかということは、私どもはただいま建設省と折御しておるわけですが、現在今までやっておる仕事、それからこれからやろうとする仕事が、非常に投資したものがむだになるようなやり方はしたくない。ですから、おのずから限度がある。
  26. 田中一

    田中一君 私は、むだということを言うけれども、野放しの自由経済によって起る利潤追求のために競争する、いわゆる設備といいますか、そういうものによってそれが自由競争の極限に達しますと、やはり倒れる場合がある、これは今日の資本主義社会実態です。そうなってくると、それこそむだだと思うのです。二人の者が、たとえば最近のテレビの新設競争にしても、莫大な金をかけてお互いに運動し合って、結局は五人なり六人なりの出願者一緒になって一つのものをするということになるわけです。そこにむだがあるわけですね。従って根本はこれはイデオロギーの問題になりますから、あまり触れたくありませんけれども、ただ道路公団としてむだになるような仕事はむろん中止しない、私はむだになる仕事なんか一つもないと思うのです。また結局経済効果早期に上げようかあるいはもう少し延ばしておこうかというようなことになるんじゃないかと思うのです。道路なんというものはそうですよ。どっちみち富士山のまわりぐるつと道々作れば完成するけれども、途中じゃいかぬというのじゃなくて、途中ということがあり得るんです。従って僕はもしも財政投融資六十億の節減だけで事足りるとするならばおかしなことだと思うのですよ。呼び声だけのことなんです。六十億、道路を整備するために時間的にずらせましたよということのかけ声だけなんですね。だれにそのかけ声を聞かすのかということになると、実質的にはちっとも仕事関係がない、計画通りやっているんだということを大蔵省は言っているし、あなたもおそらくそうでしょう、むだなことがない。ただ工事の時期のズレだと思うのです。そういう点でその呼び声だけをだれかに聞かして、そうして日本国際収支正常化日本プラスになるような形になるかどうかという問題は、だれを相手にさようなジェスチュアを作るのか、その点をもう少し聞かして下さい。
  27. 岸道三

    参考人岸道三君) ジェスチュアもあるかもしれませんが、われわれの方としてみれば、途中でやりかけたやつをそのままおいでおいではまずいわけですね、道路を途中でやめちゃって、一年そのまま放っておくということは。ですからそういうことのないようなやり方をして、そうしてどれだけ繰り延べをやるかということが一つあるのです。それから今の道路の問題でなしに、一般公共事業費政府のとつた態度がゼスーナユアにすぎないというような御見解もありますけれども、ゼスチュアばかりじゃない、これをやるということは民間に与える影響は非常に大きいのですよ。それで、金融引き締めの問題もありますけれども、もうすでにだいぶん今度は外貨の支払いが減つてきておりますから、こういうことで続いていけば、そうして二十九年のようなひどいことにならずに、とにかくある程度正常化にもっていくことができれば非常にいいと思っております。
  28. 田中一

    田中一君 そうすると、われわれは六十億の圧縮によって期待する、国会中にもあなた方の方の今度の事業については相当突つ込んだ審議もしております。また、まだ足りないというような気持を持っております。六十億の仕事の、今度は総裁として進めることの方が道路政策以上に、国全体のためにこの方が幸いなんだというお考えを持っていらっしゃる総裁に、御質問したくなくなってくる、意欲を失うのです。それでむろん道路というものは私が言うまでもなく、短期経済効果をねらうばかりでは、これはもうそのような期待をもってかかったのではならぬものだと思うのです。どこまでも長期の、それこそ大きな長い計画経済効果をねらっているということは間違いないのです。そこであなたにそういう論争をしてもしようがないから、どこをどういうふうに圧縮して、どういう資金をどういう工合に縮めていくかということ、これは大蔵有からおそらく話があったのじゃないかと思うのです。たとえば金利引き上げにつきましても、これはあなたの方の仕事には非常に影響されるところ大きいと思うのですよ。そういう点はどこからの資金をどういう工合に納めていくという計画はまだ立っておらないのですか。
  29. 岸道三

    参考人岸道三君) 今建設省路線についての折衝をしているわけなんです。それから個々の継続事業とか、新線円匙はそこで一々やつておりますが、私の一番心配しているのは名神高越度道路、あれは今年から予算をつけていただきまして、今年から着手することになっておるのですが、この間六月の二十八日でしたか、路線基本計画というものがきまりまして、一ヵ月の告示をしましてそれが異議の申し立てがなければ、それから今度整理計画、それが今度きまって、また告示をして、いいということになって初めて用地買収ができるわけなんです。それがやるのが大体今までの調子でいくと、われわれが活動できるのは九月でしょうね。用地買収、それまでは審議会の決定がないとあれはできぬわけです。この点は用地買収ですから、向うが直ちに応じてくれれば早いのですが、やっぱり今の各道路の例でも、それからよその例でも非常にひまがかかっておりますから、この点は私たちとしては三十三年の三月三十一日までに十八億でしたかの金が全部使えるということは、今のところは足りないかもしれません。みんなが協力してくれれば六、七十億要りますから、逆に今度皆さんにお願いして、六、七十億出してもらわなければならぬかもしれぬ、皆さんが用地売ってくれれば。それからもし売ってくれないで来年の八月ごろまでごたごたして、その金が場合によっては使えない、その場合にはどうしようかということも考えておりますけれども高速度道路についてはちょっとそういう心配がある。
  30. 田中一

    田中一君 道路局長に聞きますが、国としては三十億ですね、計上したのは。そのうちの今十八億ということがあったのですが、内訳はどうなっているのですか。
  31. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 本年度三十二年度予算としましては、二十三億程度、それから繰り越しが十億ほどありましたので、それを入れまして三十三億ということでございます。総裁が十八億と言われましたのは、そのうち十八億程度用地買収にあてる、こういうお考えだろうと思います。
  32. 田中一

    田中一君 今年は三十三億使える金があって、用地買収に十八億というのですか。私は大体その点の記憶は間違いないと思うのですが、本年度予算は大体三十三億で、多くは土地の用地買収費であってあと若干二、三億は実施できるようなことになるのではないかという答弁を、あなたは今までしているはずです。おそらくそういう速記録が残っていると思います。これはどういうわけでそういうことになったのですか。二十七、八億が用地買収丑というふうに理解しておりまして、三、三億程度のものが工事に着手できるのではないかという答弁をあなたはしているのですが、その点はどうなのです。
  33. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 私が前の国会中申し上げましたことは、今先生の言われた通り申し上げました。大部分は用地買収に使うというようなことで申し上げたわけであります。われわれといたしましても、名神につきましては、今年は用地買収主力を入れるというふうに考えております。今十八億と言われましたのは、二十億程度のうち十八億と、こう言われたと思うのです。繰越分は言われておりませんので、そこで差が出てきたと思います。ですから、この繰越金もあげて用地買収主力を入れてやるということになるわけであります。三十億のうちには昨年から予算がついて今年繰り越しになっている京都バイパスなどはある程度工事が着工されると思います。
  34. 田中一

    田中一君 これは大体において公共事業費なのですが、これに民間資金が入っておりますか。局長に伺います。
  35. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) これにも民間資金は入っているわけです。今年の資金構成民間資金は六十億でする
  36. 田中一

    田中一君 私の伺っているのは名神高速度道路です。これに対する資金内訳はどうなっているか知らせてもらいたい。私は入っていないように思っているのですが。
  37. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 公団資金構成全体について申し上げますと、民間資金六十億、政府資金四十億、補助金三十億、こうなっております。そのうち名神民間資金がどれだけ、政府資金がどれだけ入るかということは個別的にやっておらぬわけであります。ただ補助金については名神に入れるかどうかについて問題があるわけであります。従来補助金は五カ年計画にかかわるものということになっておって、ガソリン税によるものは五カ年計画にかかわるものでなければ与えられなかった。名神国道はこれは五カ年計画にかかわるものではないのでありますから、これに補助金を入れるかどうかは問題があるわけでありますが、三十二年度ガソリン税のほかに一般財源が入っておりますから、補助金を入れるとすれば、その一般財源の中から名神にも補助金を入れることになります。それらの点をただいま折衝しているところでございます。まだ確定いたしておりません。
  38. 田中一

    田中一君 では大蔵省内示した六十億の削減というものは、建設省はどういう工合資金構成をやろうと今折衝中なのですか。
  39. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) ただいま各路線ごと公団折衝いたし事ております。それから大蔵省とはこれから折衝になるわけであります。大蔵省が六十億といっておりまするが、事業効果を確保するという事点から事いきますと、それだけ出せるかどうか疑問があるわけであります。ただいまそれらについて検討を進めているところでございます。
  40. 田中一

    田中一君 三十一年度の一面のうち、四十五億は繰り越しになったという昨年の状態ですね。これはどういう理由ですか。
  41. 岸道三

    参考人岸道三君) 去年は公団が発足して大体整ってきたのが六月です。そして形式的の事引き継ぎが六月、それからだんだん調べていきますと、その県の設計、その他について、再検討を要事するものが非常に多く出てきた。従いまして、その再検討にある程度ひまがかかった。それからものによっては県がまだ工事中で引き継げないものもあったわけです。それやこれやで実行ができなかったということがその延びた一つの大きな理由でございます。
  42. 田中一

    田中一君 まあそういう点があるのじゃないかと思って、その四十五億を残した、繰り越したということに対しては、不満ですけれども、実情がそうならばこれはやむを得ぬと思うのですが、そこで、本年度はすっきりした、いわゆる道路公団意思でもって全部計画されていると思うのです。そうなると大体の資金計画が立つたあと現在まで、この大蔵省内示があったまでどういう計画、で進めておられるか、何事といっても国会が百五月に終り、そして日もありませんけれども、相当実施計画というものは進んでおるものと思うのです。その点はこの三十二年度事業としてはどの辺まで進め事られておるのか。
  43. 岸道三

    参考人岸道三君) 継続事業の中でその金額の変更しないで済むものは逐次そのままやっておるのです、四月の予算が出てから。ところがその金額の変更を要するものについてはこれは建設省大蔵省、その他の一折衝があ事りまして、工事事にかかれないのです。それから修繕については、ごく最近やれといってきたのがつい四、五日前ですか、ですから一年の三分の一は何もできないようなことで、それから先ほど申しました高速度道路はおそらく十月だろうと思います。そういうふうに一番大事なときに何にもできないでいるということは、これはむしろこの予算制度とか、それから何といいますか、道路建設に対するやり方ですね、そういうものがまずいのじゃないかと思うのです。ですからこの際、むしろこの道路などが四月の陽気のいいときからすぐかかれるような形に予算措置といいますか、そういうものを検討していただくと非常にいいの事じゃないかと思っております。
  44. 田中一

    田中一君 従来ともに全部請負でしやっているのですね。
  45. 岸道三

    参考人岸道三君) 私の方は全部請負です。
  46. 田中一

    田中一君 その際資材から何から一切のものが詰負に付しておるのですか。それとも何か道路公団として調弁するもの事は調弁支給するというようなことになっているのですか。
  47. 岸道三

    参考人岸道三君) 工事の大きなものによってはセメント、鉄、そういうものは支給しております。鉄のごときは大手筋三祉とよく話し合いまして、当時非常にやみ価が高かった時分ですが、大手筋三社は当時の建値で私の方に出してくれております。この点は非常に協力してくれております。それからセメントも私の方でなるべく安く買いまして、そして業者に支給するという方針をとっております。
  48. 田中一

    田中一君 その比奉はどのくらいになりますか。大きな工事と言わないで、大体その資材を支給しているものと一括請負にしておるものと、どのくらいの比率になりますか。
  49. 岸道三

    参考人岸道三君) ほとんど大部分が支給でね。
  50. 田中一

    田中一君 支給のおもな資材はどんなものですか。
  51. 岸道三

    参考人岸道三君) 鉄、セメントです
  52. 田中一

    田中一君 大体今の大蔵省内示によって作業を協力しておる。あなたの場合には一生懸命大蔵大臣に協力して、本年度の百七十五億からいかにして削減しようかという気持でしょうから、あなたとしてはど、のくらい縮めようというつもりでおりますか。
  53. 岸道三

    参考人岸道三君) 今年度予算の六十億の申し入れがあ事りましたけれども、私の方は実態に即しまして、今数字をあげて検討しておるわけです。それによって私の方できめた通り建設省から折衝してやらしてもらおうと思っております。
  54. 田中一

    田中一君 そうすると、継続工事は百七十五億のうち金額はどのくらいになり事ますか。
  55. 岸道三

    参考人岸道三君) 百十二億であります。
  56. 田中一

    田中一君 そうすると、残りは新線ということですね。
  57. 岸道三

    参考人岸道三君) 新線と、それから高速道は新線に入る、あとは駐屯場が二憾あります。新線のほかに。
  58. 田中一

    田中一君 済みませんが、ちょっと数字を聞かせて下さい。
  59. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 村岡君から参考人として意見を申しあげたいと言っておりますが、御異議ございませんか。    〔異議なしと呼ぶ者あり〕
  60. 森田義衞

    委員長森田義衞君) では……。
  61. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) ただいまのお尋ねの点ですが、継続事業につきましては、先ほど来お話がございましたように、前年度からの繰り越しが四十五億、これは計算の関係で私の方では四十三億五千万円でございますが、大体四十五億ということであります。
  62. 田中一

    田中一君 四十五億ですか。
  63. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) はい。そこへ今年度新たに継続事業の分といたしまして、予算に計しされましたものを、改めて今年度全体で百五億七千四百万円、これが継続事業の分でございますが、その百五億……。
  64. 田中一

    田中一君 ちょっと僕にはわからないのですが、もう一ぺん伺います。四十五億というのは昨年の繰り越しの四十五億を言っているのですか。
  65. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) 昨年度から三十二年度繰り越した金額は四十五億でございます。
  66. 田中一

    田中一君 ちょっと私には理解できないので申し上げますが、前年度から一本年度に継続して仕事をしている分が幾ら、それから新線、本年度新しく作る計百幽の線が幾ら、そのうちで高遠道路は幾ら事と、それからあと付帯工事は幾らというのを、それからもう一つは今度は全体を通じて用地買収費がどのくらい入って実際工事は幾らあるか。そういう分け方をしてほしい。
  67. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) では本年度、三十二年度予算に計上されました数字に基きまして、ただいまのお尋ねの事点を申し上げます。継続事業の全体の総興業費は、これは前年度から引き続き今年度、あるいは道路によりましては、三十三年度に及ぶようなものもございます……。
  68. 田中一

    田中一君 三十二年度の分でよろしい。
  69. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) 三十二年度継続事業の計上費は六十八億七千四百八十万円でございます。それからその次は新規でございますね。新規の事業の本年度予算計上額は、総額三十七億円でございます。
  70. 田中一

    田中一君 この新規事業の中の名神は。
  71. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) 三十七億のうち、名神高速道として二十三億三千万円計L土正してございます。
  72. 田中一

    田中一君 あとはどうなっておりますか、その他の……。
  73. 村岡信勝

    参考人(村岡信勝君) 残りのうち、駐屯場として一億円、その他新規の路線事業費として十一億七千万円であります。
  74. 田中一

    田中一君 もう一ぺん私伺いますが、継続事業のうち、三十二年度で消化しようというものが六十八旛七千万円、それからあとおっしゃったのは、新規の計画は三十七億、そのうち名神が、十三億三千万円、その他、駐車場等が二億、そのほかの新規に十一億七千万というのは何ですか。道路局長に伺うのですが、前回の委員会道路公団は百七十五億ということを説明しておるのですが、間違いございませんね。
  75. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 間違いございません。その百七十五億のうち、事業費に相当いたしますものが百四十九億であります。その百四十九億の内訳を継続、新規に分けますと、継続が百十二億で、新規が三十七億になるわけでございます。三十七億をさらに名神とその他の新規に分けますと、名神が二十二億三千万、こういうことになるわけであります。先ほど名神について三十三億ということを申し上げましたのは、名神に入る京都バイパスというものがあるわけであります。京都バイパスは去年予算につけましたものですが、経費の仕訳としては継続に入れておるわけであります。実態名神に入るわけでありますが、それが十億あるわけであります。それを入れますと三十三億、こういうことになります。
  76. 田中一

    田中一君 そうしますと、岸さんに伺うのですが、六十億縮めるということになりますと、どこにどういう悪影響が来そうなんですか。
  77. 岸道三

    参考人岸道三君) 六十億と、それからもう一つ今の百十二億、言十二億が継続事業であります。そのうち幾ら、どの路線について幾らに縮めるかということを今やっておるわけです。
  78. 田中一

    田中一君 そうすると、新規事業はできないということですね。
  79. 岸道三

    参考人岸道三君) いや、新規事業はできます。
  80. 田中一

    田中一君 百四十九億から六十億減らすと九十億じゃないの、継続事業は百十二億ということになりますと、全然できないじゃないか。
  81. 岸道三

    参考人岸道三君) 六十億全部へずりますと、私の方としては非常に困ってしまうわけです。ですからどのくらい減らしたらいいかということを今やっておるわけです。それは幾ら協力しても、道路公団が何も仕事ができないのじゃ困ります。
  82. 田中一

    田中一君 道路公団をやめて、建設省の方にまかしたらよさそうですね、総裁がそういう意欲を持たなければ……。
  83. 岸道三

    参考人岸道三君) それは非常に違うのじゃないでしょうか。そういう大きな目標の前には、われわれはできるだけ協力していく、しかしながらわれわれの仕事は、これやはりいろいろな面の社会的な影響があるわけですから、これはやらなければいかんのです。それは政府の御意思によって公団をつぶしてしまえば別ですが、ある限りは公団の使命を達成するだけの仕事をする責任が私はある。従いまして、その責任が果せる範囲内においての予算はつけてもらわなければならぬ。であるからできるだけ圧縮はして、そうして仕事に差しつかえないというようなことはしていく、そういうことは、もう私はちゃんとまとまっておりますから、その点は一つ御安心を願いたいと思います。
  84. 田中一

    田中一君 しかし、こうして百四十九億が実際の事業費だと、そのうち百十二億が継続事業ということになると、六十億引けば九十億、大体九十億程度のことで何もできないということになる。それでは六十億というものをどのくらいにするのですか、十億程度は縮めようという考えでしょうか、あるいは十五億程度縮めようという考えでしょうか。大まかに総裁というものは——細かい数字の積み上げからくる場合もありますし、さらに大まかに成算的な上からこれだけやろうという場合もあるでしょう。けれども総裁気持としては、どの線ぐらいで押えようというのですか。
  85. 岸道三

    参考人岸道三君) これは大体もう具体的な案ができておるわけなんです。ですから突如としてきたものに対しては、具体的な措置ができるだけそこなわれないようにやっていきたいというのが私の考えです。ですから、今日中にきめなければいかんといって、こちらに案が間に合わぬというときには、皆さんの話を聞いて、ぱっと折衝しなければいかぬ。ですから、具体的な問題は、できるだけ具体的な措置をもってやっていきたいと思っているわけであります。
  86. 田中一

    田中一君 どうも総裁が今言われる、その辺でもって事業費の圧縮ということは好ましいのである、しなければならないのだという前提に立ってお考えになっていらっしゃると、どうも、どうでもいいような気がするのです。従って大蔵省はとにかく六十億というものを内示しているのですから、総裁の場合は、とんでもない話だという気持で、抵抗するかどうかの問題なんです。私どもはほかのものと違いまして、道路だけは何といっても優先しなければならぬ、あらゆるものに優先しなければいかぬ、あらゆるものに優先しなければならぬという考えをもって、国会において五、六年間、こういうことを取り上げてきているのです。大蔵省ともけんかして、あのガソリン税の問題にいたしましても、ああして池田蔵相に言わせれば、自分の信念、政策を変更してまでもあれを実行さしているのです。それは何かと言いますと、日本道路政策というものは立っておらない。道路だけはとにかく一日も早くしなければならぬ、あらゆるものに優先するのだという前提に立っているのです。これはおそらく衆参両院とも国会におるところの与党、社党を問わず、これに対する熱意は非常に強いわけです。それが本年度予算の上にもこのような計上の仕方をされているわけなんです。にかかわらず、そのうちの道路政策の一環を占めているところの岸さんが、同友会の幹事という立場から、これは圧縮をやればいいのだという前提でおるというのでは、何をか言わんや、そこで私はあなたの部下が何人おるかしれないが、部下の人間が食うだけのことをしなければならぬという前提では話にならぬということを言っているのです。もう少し強く個人の信念は信念として、あなた大蔵大臣になっていただきたいのだ、そうすればこうしたやり方はしないと思うのですが、もう少しあなた自身の考え方を、私は先ほど誘導した形になっておりますが、道路公町総裁として、今度の措置に対しては賛成か反対か、あなたは、それはとんでもない話だ、これですら日本経済的な児地からみても、社会的な見地からみても金が少いのだ、もう百億ぐらい出してりっぱに仕上げなければならぬという信念に立って、どっちみちこういう事業というものは多少とも圧縮して、そうして正常な国際収支の線に持っていかなければならないのだという前提から考えられるのは非常に違うわけなんですね。そこで私どもこうしてきょうのこの暑い中をあなたにおいでを願って伺っているのは、少くともわれわれが長い間の衆参両院の町会議員全部の道路に対する熱意というものは、何ものにもかえがたいほど持っておるのです。持っておればこそ本年度予算に計上されたああいう形ができたのです。それが、それを実施をするという公団総裁がわれわれよりも非常に違う感覚を持っておられると、どうにもならぬわけなんです、われわれにすれば。これはもう岸さんかわってもらわなければならぬというふうな声も出ざるを得ないのです。出さざるを得ないのです。そこであなた個人経済人としてのお考えと、道路公団総裁としてのお考えと、分離して御答弁願いたいのです。一番初めそういうことを申し上げて、変なところに追い込んだのは申しわけございませんけれども、少くとも今度のこういう措置に対しては、道路公団総裁としてはどういう態度を持ってその折衝に当るつもりかということを一つ表明願い、なおそれに対する建設省側の方の意見を伺いましょう。
  87. 岸道三

    参考人岸道三君) 私はこの道路を作るということに対しては、それは非常な使命とそれから責任を感じておりますし、また日本道路というものに対する考え方、また何とかしなければならぬということについては、いささかも人後に落ちぬつもりでおります。しかしながら、先ほど申しました通り、とのそういう国際情勢が非常に収支が悪くなったというような場合に、道路だけ作ればいいんだということを言ってがんばるということは、これは私は国全体の利益というものを考えたときには、果して妥当であるかどうかということは私は別の意味において考える。それから大蔵省予算折衝の技術については、これは建設省に私の方の考えを十分申しまして、そうして公団が先ほどお話のように飯を食わしておけばいいというそういう低調な考えでなしに、国の道路政策にもマツチしながら、また自分の良心的にも差しつかえない程度工事はしていきたい、こういうように考えております。ですから、そういう点についてはもう少し、田中さんにも申しわけないのですけれども、一段高い、日本現状というものを認識されて、現存の日本の保存外貨という点から考えまして、そういうことが日本経済を安定させるために役立つということでありまするならば、私は一つやはりある程度御協力いただいた方がいいんじゃないかと思います。  私は、個人道路公団総裁としては百億でも足りません。高速度道路の問題よりも、たとえば先ほど申しました通り二十三億三千万円のもの全部でも用地買収にもし足らないということであるならば、何らかの方法によって五十億ほど要るものならばその五十億の用地買収の費用は年度内に必要であれば私は調達しようと思っておるのです、これは。しかしながら、そういう問題もこの今の国際収支の非常に悪化した現状に対するものの考え、私はこれはやはり総括的に考えていく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。だから道路をやることについてのそごは来たさぬつもりでおります。一番の大事な高速度道路については、先ほど申しました通り、もし年度内に用地買収ができるということであれば、これは五十億か六十億要るのですから、それのための費用は別途私は考えたいと思っております。こういうふうに考えております。重ねてその点は申しあげておきます。
  88. 田中一

    田中一君 道路局長一つ今の岸さんの御意見、御答弁、これについて何か政府として考えられた点をお示し願いたいと思います。
  89. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 道路公団予算としてこれだけおきめ願ったわけでございますので、私どもとしましては、最善を尽してこれが消化に当りたいと考えておるわけでございます。ただ継続にしましても、新規にしましても、用地の問題が非常にむずかしい点がございまして、こういう用地の問題が解決されずに繰り越しになるものができるのではないかと懸念しておるわけでございますが、これらの事業価値につきましては、事業効果を落さないようにこの予算をできるだけ消化いたしたいと考えておるわけであります。ただ大蔵省繰り延べのことを言ってきておりますが、事業効果を落さないように消化するといたしますと、それだけの金が出せそうもないわけでございます。ただ一々の個所につきまして、もう一度洗い直しまして、協力できるところは協力するということでただいま検討しておるわけでございます。
  90. 田中一

    田中一君 道路局長に言いますがね、あなた御承知のようにここ数年というものは、国会においては衆参ともに道路整備の問題についてはもうあげて論議をかわしております。それは道路局長として、おそらく歴代の道路局長よりも最高なる予算を持っておるものは現在のあなたです。おそらくないと思います。今まで。なぜならば、それほどまで道路政策というものを現実に実現させようという国民の声があるわけなんです。ことに道路というものはそう簡単に何年たてば経済効果がすぐ上ってプラスになるのだというようなものではないと思うのです。今度の国土開発縦貫自動車道の問題にいたしましても、これが完成するには何十年かかるかわからぬ。しかしながらこれによって日本の大きな経済的な足場といいますか、基本といいますか、そうしたものが確立するのだ。一種の自主経済の第一歩を踏み出すのだという考え方を持っておるわけなんです。にかかわらず、今次のこうした財政投融資圧縮の問題が起り、かつまたそれに何らの抵抗もしないで、まあ見合うだけの削減を承知するというような態度は、われわれ数々の道路立法、それからこれに対する熱意を傾けてきたところのわれわれとしてははなはだ不満です。ほかのものはさておいて、ほかのものも必要なものは必要でしようけれども、さておいて、この道路予算だけ、道路財政投融資だけは確保したい、確保しておかなければ困るのだというような意思表示が私は望ましいと思うのです。それをあなたは身をもって如実に体験しているわけなんです。そうしてまた世論に押されて、政府としても本年度は大幅な道路予算をつけておるということも御承知の通りです。もしも道路公団がそのように熱意がないならば、道路公団というものの必要はなくなるわけなんです。一つの別の人格を持つ機関として民間資金も導入してやるということならば、これはもう少しやはり、むろん国際収支の問題も大きな問題でございましょうが、道路予算の問題は、これはそれ以上の問題があると思うのです。私は今のような御答弁は不満です。  従って、三十三年度予算の編成に当りましては、どういう考えをもって予算を編成するか知りませんけれども道路事業というものはそう簡単に経済効果が上るとは考えておらないのです。しかしながら、用地の買収その他にいたしましても、二年後、三年後の用地買収計画を立てて、用地買収のことも考えなければあるいは消化ができないような現在の社会情勢なんです。たとえば金を使うのは来年になろうとも、計画を樹立して用地買収なら用地買収というものに対してどんどん進めなければならないと思う。従って今度のこういう財政投融資というものの数字上の削減をするというただゼスチュアはゼスチュアとして、実質的にはやはりもっと積極的な実施に向って進んでいただきたいと思うのです。これは数字上のゼスチュアということは、これはもう大蔵大臣が言っておりますよ。だれにそれをゼスチュアを示すのか、結局ドルにゼスチュアを示すのだろうと思うのです。これは道路局長、今大蔵省から内示されたものをまあ受けようという気がまえでおられる。岸総裁も受けようという気がまえでおられる。岸総裁は別な見地から、国家的な見地からの御答弁がありましたけれども、とにかく道路行政を担当しておる局長としてはもう少し強い抵抗を示していただきたいのです。それはわれわれの希望です。
  91. 岸道三

    参考人岸道三君) 今のお話はごもっともなのです。従って先ほど申しましたように、私としては今年度事業が非常に差しつかえるようなことはないように建設省とは話をして、一面においてそういう要望にこたえるようにする。それから繰り延べですから、国際収支がどういうふうになるか、そのときの日本経済情勢が来年三月までにどういうふうになるかということによって、これは来年の三月までにやらなきゃならぬものが、七月までにでき上っても七月に金を出せばいいわけですから、この辺のかね合いもあることですから、一つ来年はまた大いに来年度予算に対してはいろいろ激励していただくことにいたしまして、今回はそういうようなかね合いをよく御了承いただきまして、そして今後私の方では先ほど申しました一つの案を立てますから、これは建設省折衝して作りますが、大蔵省へそれが回った時分には一つ格段の御声援をまたお願いしたい、こういうふうにお願いいたします。
  92. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 岸総裁にお伺いしたいのですが、先ほどもお話がありましたように、土木の事業の執行とそれから予算というものはなかなか年度が一致しない。これはもっともだと思います。そこで本年度も当初の計画通り進めるとしても、事実上はこのくらいはおそらく繰り延べができるだろうというめどがついておったかおらなかったか、またはまだおつけになれないのか、用地買収なんかはこれは非常に動きますから、確実なことは無理でしようけれども、しかし大体達観して先ほどお述べになったようにいよいよ請負に渡すとか何とかいう点から考えると、これは本年度もこのくらいは精一ぱいやっても、事業繰り延べていかなきゃならぬであろうという見通しがありはせぬかと思うが、それはどの程度か。
  93. 岸道三

    参考人岸道三君) これはなかなかむずかしいのですがね。用地買収がうまくいけば全部使えるわけです。それからうまくいかなければ、最悪におくれればやはり二、三十億はおくれるのですね。
  94. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 全体としてですか。
  95. 岸道三

    参考人岸道三君) ええ。それから最善にいけばまあ全部でしよう。そういうことで今用地買収は案外うまくいっているところと、ひまがかかっているところとあるわけです。ただ名神高速度道路については全然これは見当がつかないのです。この二十三億三千万円の方については用地買収の点は……。
  96. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 そこで、その用地買収国際収支の悪化との関係ですね。用地買収のために金を使う。これは鉄やあるいはセメントというようなものとも若干違うのじゃないかという感じがするのですが、それらの点で少し蒙を開いていただきたいと思うのです。
  97. 岸道三

    参考人岸道三君) これはよくわかりませんが、ただ用地買収したものがその金が直ちに他の用地に転換して、そういう農村のたんぼに変るとか、あるいは他の生産に変るということであれば心配ないのですが、それが消費に回ればやはり工合が悪いことになりますね。
  98. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 それはそうだと思います。消費に回るかどこへ回っていくかということですが、ただ、今の経済人としてのお見通しだと、今の国際収支の悪化は、何というか一時的にとにかく輸入を相当やらなければ日本の新しい産業態勢に即応していけないというようなことから進んでいるのだろうと思うわけですが、しかし大体下半期が済めばそれらは、正常の状態に復してくるのじゃないかということを政府も思い、われわれもそう思っているのですが、そうすると、この用地買収が購買力に変ってくるというのは相当時期がおくれるだろうと思うのです。そうしてもう来年度にもなれば、今までの計画通り経済計画を実施していっても国際収支は安定していくだろうということであれば、用地買収の金をそんなに節約したところで、そう急な国際収支のあれには役立たないのじゃないかという気がしますが、それはどういうように。
  99. 岸道三

    参考人岸道三君) 今度の事業計画の方では用地買収の費用は節約してないのですよ、われわれの方は。これはひまがかかるのですから。用地買収の金は全然節約しておりません。節約しようとするのはむしろ用地買収でなしに工事の方にかかるのです。それから国際収支の見通しはこれはよくわかりませんけれども、今よくなったからといって、すぐにまた急激な民間投資の膨張ということになればまた同じことを繰り返す。その点は先ほど田中さんの言われたように計画性のあるやり方ということを、われわれ経済人としては考えておるわけです。
  100. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 そうすると、今度の節約、繰り延べ高というものは用地買収以外のところでそれだけ生み出そうと、また生み出してくれと、こういう大蔵省の要求ですか。
  101. 岸道三

    参考人岸道三君) いや、大蔵省なり建設省なりの要求は、建設省の方のは六十億減らせという申し入れが大蔵省からあった。その内容は私どもの方では考えない。先ほど申し上げましたように、事業に差しつかえないようにということは、用地はできるだけ早く確保する。それから旧地の買収に非常にひまをかけないでやる手もあるのですね、ある程度。ですからその辺の進行の仕方、実際の持って行き方によって多少の工事が延びるということ。
  102. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 先ほどのお言葉で、今度の節約は用地買収には触れないのだというお言葉がありましたから、そこで六十億になるか五十億になるか、それはわかりませんけれども、それの内容には用地買収には私ども当然使うものとして、それ以外のところで節約を生み出すと、こういうことですか。
  103. 岸道三

    参考人岸道三君) その通りです。
  104. 田中一

    田中一君 あのね、岸さん。私はこう思うのですが、たとえば電気器具というものは宣伝が上手で、売れるということになったら、電気洗たく機から電気掃除機から、どんどん四社、五社が競争して作っておるのです。テレビにしてももう二年前に十五、六万円したものが今では七、八万円で買えることになっておる。こういう自由生産ということ、自由経済ですね。これがやはり国際収支をこういうことにさせたことだと思うのです。生産と見合う消費生活というものがあれば、これは正常な姿なんです。ところがそういうものは全然放置して国が手本を示しておる。その収支も多少金をしばるというようなことよりも、もう少し手があると思うのです。そこで結局これは資本主義の一番悪い姿なんですよ。やはり弱いものがつぶれていくのです。金利が上ればやはり生産コストが上りますから、やはり国民生活に響くわけです。結局国民にとり金融政策だけでもって消費の増大を阻止しようというような、そういうことはですよ、これは政策の私なんかの考えでは全くナンセンスだと思うのですよ。それよりも経営者の方たがそうした意味の規制、消費生活に見合う、バランスのとれた生産ということを考えるならば、こんなことはないですよ。  もう一つの問題は、アメリカに対する依存度が強過ぎるということです。自主経済ではなくて、やはりアメリカ経済に依存する政策ということなんですね。まあ食糧は大体ここまで——足りませんけれども一応安定した。見通しとしては暗いものではない。買えば買えるのだ、もうタイへ行ったつてビルマへ行ったつて、買ってくれときております。買えるけれども、これもドルに依存しなければ売ってくれないというところに日本の悲劇があると思うのです。私は日本経済人というものは、全く道路等を早く作って、早く作ってですよ、そして日本の国土から生み出せるものは、原材料というものは、まかなえる範囲のものは、道路等を早く作って生産するような、開発するような方途にいかれることが望ましいのじゃないかと思うのです。当面の問題として、国際収支の問題は非常にあなた方に影響があるのです。国民には直接影響はないのです。もう米食わしてくれて、われわれ十年前には米を食うや食わずでおったのですから。あなた方に影響があるのです。あなた方というのはもちろんあなたではないのですよ。経済人、大企業者や企業家にいろいろな悪影響があるのじゃないかと思うのです。現にかりに為替関係にいたしましても、ドルはやはり通産省が握って、輸入輸出一つの規制をしているわけなんですけれども、これが不必要なものが相当大幅に入ってくる傾向というのは、皆さん方のもうけようという意欲と、それに続く権力と政治力が結びついていろいろなものもたくさん来ている。ことに砂糖とかなんとかいうものはこれは宿命的にアメリカに抑えられているようなものです。こういうところに何かの考え方経済人が持たなければ、私は正常な日本の国内経済というものには確立しないのじゃないかと思うのです。もう自由競争させておいて購買力をあおって、百貨店はどんどん作ってそうしてやっていくんじゃ、とてもこれはたまりません。人間も欲望がありますから、そこでそういうものはそういうものとして、私はそれを克服するものは、時間がかかるといたしましても、克服するものは日本の場合は当面道路の築造、道路網の整備ということが一番必要なものではなかろうかという考えをもって、ここ数年来というものは、繰り返して申しますが、衆参両院とも道路建設のみに終始しておるのです。政府が、あるいは大蔵省が文句を何と言おうがもう与野党ともに道路に対するところの熱意というものはあふれて政府とけんかしながらも、法律を作ったり何かしているわけですよ。このわれわれの持っている熱意というものは、一部の資本家と言いますか、経営者のためにこの六十億でも四十五億でも、何億になるかしりませんが、そういうものが圧縮されるということに対しましては、われわれは全く承服できないのですよ。岸さん一つそういう財界の世話役でございましょうけれども、それはそれとして、道路公団総裁としては、やはりわれわれが長期計画で持っておりますところの道路、これまで与野党ともに進めている道路政策の実現のために、まあほかのものは規制してくれ、道路だけはそれは困るぞというような気持を出していただくことが全く望ましいのです。これ以上申しませんけれども、そういうような一つ気持折衝に当っていただきたいと思うのです。
  105. 西田信一

    ○西田信一君 結論的に一つ総裁にお伺いしたいと思いますが、先ほどから田中委員、斎藤委員の質疑を通しまして、総裁経済人としての立場から、国際収支のアンバランスの改善に対する御見解もあります。それからまた公団総裁として道路建設に対する固い御意見もわかるわけです。しかしながらその冒頭におきまして私伺いますこととは、新規事業は三十七億、その中に二十三億が用地買収費になっているが、これはもちろん削らずに実行したい、六十八億の新しい今年度継続事業に対する予算繰越分の四十五億、こういう継続費があるが、新規のものは先のお言葉ではぜひやりたい、やれるというお話がございましたが、継続のものについても、これは継続でございますから、もちろん継続だけにいたしたいという御意見がございまして、そういたしますと、六十億円の大蔵省建設省を通しての圧縮要求に対しまして、結論的には、そういう国際収支改善に対する政府考え方に対しましては、経済人のお気持、御見解はわかりますけれども、結論的に新規事業もやりたい、継続事業もぜひ経済構造を阻害しないようにやっていこうということになりますと、非常に六十億というものが何分の一かに圧縮される余地が、今の質疑応答から受ける感じですけれども、そうでないというようにも感ぜられるのですが、これは率直に、あるいは率直すぎるかもしれませんけれども、そういうふうに感ぜられますし、結論的にそういうふうな御見解であるのかどうか、一つ最後にお伺いをしておきたい。
  106. 岸道三

    参考人岸道三君) これはまた田中さんにいろいろ御注意を受けるかもしれませんけれども、私はあの予算を作った当初においては、あれだけのものはやれる、またやるというつもりで予算を作っておるのです。ですからそのままいけばやれる。それからこの四月、一年の四分の一抜けておりますからね、そのままいけば四分の一残る勘定ですね。それをやらないために、非常に馬力をかけなければならない。その辺のあやが若干あるわけなんですよ。ですからそのあやと、それから今のそういう大前提とをかね合せて考えれば、公団としては、今まで公団でやっている仕事は御承知のように、これは非常に土建業者が言っておられるように、今までの道路建設と非常に違うやり方をしているわけですよ。これで初めに土建業者も戸惑っている部面もかなりあった。そういう点はあまり戸惑いさせないように、そうして今まで通りやれば相当伸びるわけですね。ですからその辺のやり方の問題になってくるわけですね。
  107. 西田信一

    ○西田信一君 非常に大臣のような答弁で微妙で、受け取り方によっては支障なくできる、また受け取り方によっては速度の問題で、仕事は進めていくのだけれども、もうずっと尻押しに先に延びていく、つまり繰り越しの形で自然に生ずるのだから、その分は今度の政府の要求にある意味においては押された形にもなる、こういうふうにもとれるわけです。ちょっとはっきりいたしませんけれども、われわれも今田中委員がおっしゃったように、また斎藤委員が言外におっしゃっておりますように、やはり道路の問題はあらゆるものに優先してやっていきたいという気持を持っております一人としては、国際収支の改善の問題はもとより私どもも必要だと思いますが、少くとも道路の問題につきましては、最も他のものに優先して、このことについては相当な配慮をしてもらいたいという気持を持っておりますので、一つその点をぜひおくみ取りを願って、十分に御折衝を願いたいということを希望申し上げて、きょうはとどめます。
  108. 岸道三

    参考人岸道三君) 私は折衝の方法としましては、今お話の通りにはいたしますけれども、これはまたそうしなければ、どうなるかわかりません。これはやります。  それから先ほどちょっと申しましたように、たとえばこの間雲他の道路の開通をした、あれは去年の十一月に始めて半としちょっとでできた。あれは一年か一年半ぐらい今まで通り計画でやるとかかる、そういう計画でやっておりますからね。その辺を、これから雨季に入りますから、実際問題としてはあまり実害がなくてやれる方法を考えていく。一面においてはそういう要求にもこたえなければならぬ。一面においてはこちらの方で実害のないような方法でやっていく、実施に当っては……。そういうふうに考えておるわけであります。これは削るならばとても問題です。
  109. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 総裁のお気持はよくわかっております。先ほどからのいろいろな御答弁気持は、国際収支の改善に協力をしたいという気持が少しよけい出過ぎておるような感じがしたものだから、みんなそういう御質問をなさるのだろうと私は思うのです。でそれはその御立場よくわかりますが、ただ私どもが心配しますのは、予算折衝というものはもう申し上げるまでもありませんし、こんなことは書いたくないのですけれども、正直な者が損をするということが、よくこれはもう一般なんですから、従って道路公団総裁とされましては、やはり先ほど田中、西田両委員から言われましたように、道路優先という気持を相当深く持っていただいて、ことに私の総裁に期待するところは、非常に広い知識を持たれた経済人であるという点ですから、従って国際収支改善のためには、これは自分の方もやらないことはないけれども、こちらがこうやればおれの方はこれで進むじゃないかというような見地から、やはり道路予算をできるだけ守っていくという方向に進んでいただきたい。私ども期待するのはその点にある、かように思いましたので希望を申し上げておきます。
  110. 岸道三

    参考人岸道三君) 私今の折衝の方法とかそういう問題、それから今私の言うのは道路の話だけだから道路の話をしておりますが、他の方面に対しても同じことを要求しておるわけであります。今度は経済団体といたしましては、ですから皆さんの御声援を得まして、最善の努力を建設省一緒になってやってみたいと、こういうふうに思っております。
  111. 田中一

    田中一君 これはこういう繰り延べなんということを言わないで、黙って予算を残してもいいのですよ。だからだれに示すジェスチュアかなんですよ、問題は。金を使わない、消費を規制しようということになれば、金を出さなければいいのですよ。黙っておいて出さなければいいのですよ。どっちみち政府の方針として、政府財政投融資仕事ができない形において残しておけばいいのですよ。四月以降に持っていけばいいのですよ、あるいは十月以降に持っていけばいいのでよ。ここにこうして大きく打ち出さなければならないというものは何かということなんですね。これはおそらくだれかに示すというジェスチュア、国民に示すジェスチュアならば、経営者自身が生産を抑制しなさい、それできまるのです。消費生活を増大させないということになれば、むだな生産をやめなさいということなんですよ。これでもって規制される。消費は増大しないと思う。それでまた国家資金を出すのですから、この場合にも延ばせばいい、支払いを延ばせばいい、従って事業を延ばす、こういうことを公表する必要はないのですよ。だからだれに示すジェスチュアかということは非常に私疑問に思っておるのであります。むろん国際収支ばかりじゃない、国内の国家予算に対しましても赤字が出た場合には倹約しなければならないのですから、その意味はわかりますが、財政投融資の問題については、その打ち出し方というものが、だれに示すジェスチュアかということが私非常に問題であろうと思うのです。これはわれわれの立場からそういう疑問を持つわけなんであります。実費的には何ら金を出さなければいい、仕事をしなければいい、事実経済団体はむだなものを作らなければいい、そこを非常に興味を持っておる、われわれはですよ。ただ道路問題になりますと、これはまた別問題になります。こいつは困るというわけなんです。一ぺん個人的に岸さんにお教えに伺います。
  112. 岸道三

    参考人岸道三君) いやとんでもない、今のお話は田中さんのお話が出ましたけれども、これは今おっしゃる通り別の問題として、これは田中さんの御意見に対して私いろいろ意見がございますが、また別な機会にいろいろお話をいたしたい。それから道路の問題に対しては私は全く皆さん一緒に、今後また人後に落ちず、日本道路の欠陥というものは非常に私どもわかりましたから、徹底的に今後ともやっていきたい、こういうふうに思っております。今後ともよろしくお願いします。
  113. 田中一

    田中一君 これは岸さん危険なんですよ。これはほんとうにここまで盛り上ってきたところの道路費といいますか、道路政策というものを今度後退しますと、とても影響するところ大きいのですよ。すべてに優先するのだということを打ち出していただきたいのです、道路だけは。われわれはそれで戦ってきたのです。五、六年になります。これは冨樫さんよく知っているはずだ。それで今日になってきた。こういうことなんです。これは岸さんほんとうに一つここまで道路予算を取ってきたというこの国会における事実から見ても、歴史から見ても、あなたは少し道路公団総裁として一歩も譲らざる態度を示さないと、もう大蔵当局というものは御承知のようなものなんであって、縮めれば縮めるでけっこうなんですから、伸ばそうと夢にも思いません。これだけはぜひその点は道路公団総裁としての強さをもって、一歩も後退しないように一つ進めて下さい。一歩も後退しない、全部だめですという態度で臨んでいただきたい。富樫さんどうです。
  114. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 同感です。
  115. 坂本昭

    ○坂本昭君 この前建設大臣は、道路公団繰り越しということについて、主治医たるところの建設省が直接病根を探るのはどうも避けたい、われわれに、顧問医に一つみてくれ、そういうような意見があったのですけれども、きょうお話をずっと伺ってみますと、何か日本道路行政というものは分裂しているように思うのですよ。私はいろいろな考えがありますけれども田中委員や、あるいは西田委員からそれぞれ述べられましたから追加しませんけれども、この道路行政というものは分裂している。きょうたまたま建設大臣おられませんけれども、こういう行き方はどうも私ははなはだけしからぬと思うのです。私は別に総裁からお返事はいただきません。ただわれわれとしてははなはだこの道路行政が分離しているような姿が本日見受けられまして、はなはだ遺憾とする。で道路局長は今同感と言われましたけれども、なかなかその同感は同感だけれども、実際上においてそれを推進するだけの力が欠けていると思います。これは道路公団総裁としての責任、それからまた経済人としての責任、それぞれ立場はあるのですけれども日本道路行政が分裂しているということははなはだ遺憾であるということだけ、所感を申し上げておきたいと思います。
  116. 岸道三

    参考人岸道三君) 私の答弁要らないと言われましたけれども、私の発言と道路局長の発言が違うということで分裂しているわけですか。私の方の関係においては分裂していないのですが、そういう意味の分裂ならばまた……。
  117. 坂本昭

    ○坂本昭君 つまり道路行政に対する熱意の分裂ですね。
  118. 岸道三

    参考人岸道三君) この間でですか、そんなことはないですよ。それはわれわれは今の発言からそういうふうに思われたら、これは非常な誤解だと思います。その点は御了承願います。そういうことはないと申し上げておきます。
  119. 坂本昭

    ○坂本昭君 それならば経済人としての立場よりも、公団総裁としての立場としてもう少し熱意のほどを御説明していただきたい。
  120. 岸道三

    参考人岸道三君) 先ほどから十二分に説明しておりますが、これはたとえばはなはだ申し上げにくいのですが、あなた方が国会議員としての立場と、それから建設委員としての立場と、それから郷土選出の議員としての立場と、いろいろ立場がおありになりますが、やはり最高の責任というのは、国全体の国会議員としての責任であると思うわけですね。つまり私は、ですから職務の上においては総裁としての十二分の仕事をしなければならぬ責任を感じておりますが、国全体のときのことを考えたときには、それだけのことをやはり申し上げる自由を許していただきたい、こういうことです。
  121. 坂本昭

    ○坂本昭君 きょうは少し私は道路公団総裁としてお聞きしただけであって、私はそういう方面の責任を一つ説明いただきたいのです。きょうは別に国全体に対する岸さんの御意見を今聞いたのじゃないのですから。だから私はあらためて道路公団総裁としての責任を聞いているわけです。
  122. 岸道三

    参考人岸道三君) いろいろよけいなことを申し上げたのでございますが、その点はあしからず。
  123. 田中一

    田中一君 これいよいよ実施計画が確定したならば、もうこれだけは今まで画期的な施行方法でやっているとおっしゃられる。私あなたのところに一ぺん伺って、どうやっているか伺いたいと思うのですが、先だってわれわれは、これはあなたのやったこっちゃないのですよ、ワンマン道路、あれを通ったのですよ。そうすると一部何というのだろう、カーブの場所でもって勾配がゆるいために事故があったからこれを直すのだということを、不用意にだれかあなたの方の方が言ったのですよ。それから、おかしい、どうだと寄ってつき詰めたところが、これは自分の方の設計じゃないのだといって、現在それを工事しておりましたよ。そういうことが少くとも今後の高速道路を作る上において、完成してしまってから勾配が悪かったのだということなんかが出ると、非常に危険を感じるのですね。私そういう点が、画期的な工期を早くするのか、その画期的なということはですよ、工法といいますか、新しい設計ができたのか、その画期的なものの内容について非常に興味を持っているのですが、ワンマン道路じゃ現にそういうことがあったのです。私行って見て言われてびっくりしたのです。これはそういう点は画期的などういうものをやっているか、一ぺん何かあったら資料で出してほしいのですがね。
  124. 岸道三

    参考人岸道三君) その今のワンマン道路の監督を、勾配を直すのは私が直せと言ったのですよ。これはもとの道路局長おられますが、あれは建設省でやられて、そうすると道路構造令というのがありまして、人馬それから自転車も通る。そういうものですからその構造令によって、カーブのところの傾斜が割合にゆるいのですよ。ところがあそこのワンマン道路は自動車が割合多く通るのです。だからもう少しあそこを強くしなければいかんからというので直してもらったのです。私がこっちに来てからすぐに。それは去年、そのときにお通りになったのだと思うのです。
  125. 田中一

    田中一君 つい最近通ったのですよ。最近ではない、だいぶ前だな。
  126. 岸道三

    参考人岸道三君) 去年でしょう。それからこの間の雨でくずれたり、途中自動車事故があったりして直しているのがしばしばあるのですよ。
  127. 田中一

    田中一君 これは道路局としても、その非を悟って直させたのですか。
  128. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) あそこは六十キロのスピードで設計してあるのです。ところが今の自動車がなかなか六十キロのスピードではおそ過ぎますので、早いスピードを出すわけです。しかし実情がそうでありますので、これから出します新しい構造令はスピードを高くとっております。
  129. 田中一

    田中一君 そうするとそういう個所は、今の有料道路ですね、自動車専用の道路で、そういう新しい構造令によって全部直しますか。
  130. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) これからの分は新しいものによっておりますし、従来のものでも、悪いところは改良するつもりでおります。
  131. 田中一

    田中一君 構造令がそうなっておれば、みな悪いところばかりでしょう。悪いところがたくさんある。
  132. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 仰せのように全部悪いわけでございますが、一ぺんに直りませんので、だんだんに直していきます。
  133. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  134. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 速記をつけて。
  135. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いますが、前回の委員会で御報告を受けた台風第五号を伴う梅雨前線による豪雨の被害の状況は、その後どうなっておるか。ことに最近の新聞を見ますと、山口県下等においては相当大きな被害が新聞に出ておりますが、その点に対する実情の報告を願います。
  136. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 台風五号を伴う梅雨前線による豪雨災害概況につきまして、この前の委員会で御説明申し上げましたが、そのときに御説明申し上げましたように、その当時におきましては二十一日現在で御報告申し上げましたが、現在におきまして集まっておる、その後確実な資料が入って参りましたので、それを一表にして本日お手元に差し上げてございますが、それについて御説明申し上げます。  前のときの被害は、公共土木施設の被害報告は、前の資料におきましては、十三都府県でございまして、公共土木施設の被害額の報告は十五億三千七百万円でございましたが、今回におきましては、それに該当するものが、その報告に、調べにございますように、(2)というところに「補助災害」というのがございますが、こういうふうにふえてきております。これによりますると、その被害は二十都府県と一市に及んでおります。被害の総額が二十七億九千四百万円余りになっております。このうちで一番大きいのは、やはりこの間も御説明申し上げましたように、長野県の十億二千七百万円というのでございまして、その「主なる被害河川及び中心地」というところにありますように、天龍川の流域でございます。一番ひどいのが天龍川の流域でございまして、天龍川及びその支川の阿智川、久米川、三峯川でございまして、それから高瀬川というのは信濃川上流の千曲川の支流になっておりますが、その河川ということでございまして、それから被害地域は飯田市、阿智村、川路村の広域でございます。  次にひどいのは岐阜県でございまして、被害個所数が五百個所でございまして、被害額が五億一千五百万円余りになっております。主とした被害は木曽川の上流の支川でございまする中津川、河木川、岩木川の河川の流域でございまして、被害地区は中津、多治見の地区でございます。  次に大阪でございますが、大阪はこの前も御報告申し上げましたように、人家の浸水であるとかいう面におきましては最大のものでございますが、この地区は土木施設が比較的少いために、あるいは緩流河川であるために、被害額は二億で済んでおります。そうしてそのおもな河川は、寝屋川及びその支流になっております恩知川、余野川でございまして、海岸地区にも若干の被害がございます。  それから兵庫県の東部でございまして、天神川、天王寺川、支多々川、夙川、西郷川等に被害がございまして、被害が二億三百万円になっております。  次は奈良県でございまして、一億五千五百万円、被害は、大和川本流及び支流でございまして、奈良市及び大和郡山市の付近でございます。  一億以上のその他の県といたしましては、千葉県、東京都それから静岡県等でございます。  以上が県の災害でございまして、直轄の災害が(1)というところにございまして、安倍川、天龍川、木曽川、中部地方の太平洋側の河川に約一億七千万円あまりの災害が発生しております。こういうような状況でございまして、当初の報告よりも逐次ふえて参りましておるのは、山間部等におきまして、被害が新たに発見せられた分、あるいはその後に起きましたものにつきまして、多少の追加がされたものもございます。  それから先ほどお話がございました山口県及び島根県、それから北九州等につきまして、この台風の過ぎ去ったあとにおきまして、梅雨前線によりまして被害が起っておりますが、各河川の出水状況は、おおむね警戒水位を若干突破した程度の被害でございまして、ただ浸水は相当ございます。ただこの被害につきましては、逐次集まりつつございますが、まだ雨が降りつつある状況でございまして、報告が完全に到着しておりませんので、詳しい御報告ができないのが遺憾であります。
  137. 田中一

    田中一君 長野県等に対する災害復旧の対策は、どういう程度に進められておりますか。
  138. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 先般御報告申し上げましたが、長野県及び岐阜県に対しまして、河川局の防災課から係官を即時派遣いたしまして、昨日帰って参りました。それから大阪、兵庫付近に対しまして、一人派遣いたしまして、それも昨日帰って参りました。その報告によりまして、被害の実情が本省にわかったわけでございますが、現地におきまして、実際の査定をいたすのは、県の準備の整った際におきまして、すみやかに行うわけでございますが、ただいまの状況は、本月十五日ごろから現地の査定をやりたいというふうに考えております。ただ、査定が済まなくても、どうしても緊急のものにつきましては、本省へ持ってきまして、打ち合せをするというふうな方法もとります。それからまた、融資等の方法につきましても、県の申し出がありますれば、私ども協力いたしまして大蔵省折衝するつもりでおります。
  139. 田中一

    田中一君 そうすると、まだつなぎ的な融資はしていないわけですれ、どこも。
  140. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) まだどこもそういう方法は考えておりませんが、県で要求がありますれば、すぐやる態勢にはしております。
  141. 田中一

    田中一君 まあ各地の災害の御報告を受けたのですが、その他に利根川筋が相当ひどく危険にさらされているということが流域の地方新聞を見ると、もう毎日書いてあるのですね。地元では各所とも非常に心配をしておる。たとえばもう相当危険にさらされておる点というのは、何百カ所とあるというようなことも言われておるのですが、利根川は、もうどうやらことしあたりはまたやられるのではないかというような、今までの統計的な予想をもって地元民は心配しているのですが、何か、そういう事前にそうした意味の調査といいますか、そういうことはされているのですか。
  142. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 御承知のように、水防法によりまして、水防計画を各県で立案するわけでございます。その際に、利根川のごとき大河川で、しかも数府県にまたがる分につきましては、地方建設局も一緒になりまして、その水切計画を立案いたします。その際に、ほかの部分に比べまして、特に心配される地点を選びまして、その点を注意しなければいかぬ、その府県には特に資材をよく準備しようとか、あるいは水防をやる場合にはそういう点をよく監視しようとか、事が起るならこういう地点が起りそうだという点をあらかじめいろいろ相談しまして作るわけでございます。そういう点が、今御説の危険個所というふうにされておるわけでございまして、水防をやるような場合に、特にそういう点には注意しろ、あるいは事が起るならこういう所だという点で考えておる地点を指しておるというふうに考えております。従いまして、そういう地点につきましては、一朝事がある場合におきましては、十分監視もいたしますし、また準備も平素からしておくというふうに考えておるわけでございます。
  143. 田中一

    田中一君 これからまだまだ水害は起るのだと思うのですが、そういう点については万全を期していただきたいと思うのです。利根川の出水はこの前、何年前でしたかなあ、もうぼつぼつ来そうなころじゃないのですか。
  144. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 利根川の一番大きな破堤がありましたのは、昭和二十二年でありまして、その後、利根川の堤防が切れましたのは、二十五年が最後でございますが、約七年間たっておりまして、ことしのような天気のときには、非常に地元も心配しておるわけであります。ことしは各府県も、ある程度時期が来たのじゃないかというようなことを認識しておりまして、一生懸命にやっております。
  145. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  146. 森田義衞

    委員長森田義衞君) では速記をつけて。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時十九分散会