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久保等君 それからすでに
売却済みの十四件の実は問題なんですが、すでに
資料としてこれもいただいておりますが、この
価格の問題が、これは
総裁も一応御
承知のことと思いまするが、やはり
価格として今の
常識からいって非常に実は低額なんです。
土地、
建物を含めての
売却値段というものは、これは非常に安い。もちろんこの前、この理由については、
勧銀での一応
評価というものを
基準にしたと言っておられるのですが、
基準といっても、これはピンからキリまで実はあるわけなんです。従って、私はあまりこまかく追及申し上げようとは思いませんけれども、これは、だれが
考えても、
日銀といえば、これは当然
金融機関の総本山であるし、物の
価格というようなことについては、これは最も鋭敏かつ的確な
データ等をお集めの
機関であります。しかも準政府
機関的な
日銀が、
価格の
評価に当って、これが今日
一般の私たちの
常識で許される
価格とは決して私は言い切れないと思う。一、二例を申し上げても、
渋谷の
神山町あたりの敷地百六十二坪余、
建坪五十四坪余といったような、いわばどちらかといえば豪壮な
建物に類するかと思うのですが、これが三百万円で
払い下げられておる。また小さいのになりましても、百坪
程度の
土地に四十坪
程度の
建坪で百十万円余といったようなのがやはりあるわけなんですが、まあ十四名の
方々に
払い下げた家屋も、大体これと大同小異な
価格であります。おそらく
渋谷の
神山町といえば、坪少くとも五万円前後さら地だったらするだろうと思う。しかも、その上に五十四坪余の
建物が立っておるというものが三百万円とは、これはどう計算してみても出ないと思う。ただ、つじつまを合すような数字を出すことなら、これはできると思いますが、しかし私は、少くとも現実に
払い下げられる
価格ということになれば、これは一応
社会常識というものからそう逸脱した
価格というものは
考えられないと思うのです。こういう
払い下げの問題についても、非常に疑惑の目をもって見られるような安価な
価格で
払い下げられておる。しかも、
払い下げは、
日銀が
行舎運営上差しつかえないと認めたものに限って
払い下げたのだと
説明をせられておる。それならば、私は、
日銀にお勤めの全
職員の
方々が、そういう
宿舎問題について、ほぼ
幹部の
方々と同じような
状況にあるのかどうか、これもまた後ほど
関係の方から御
説明を願いたいと思うのですが、少くとも
払い下げても差しつかえないから
払い下げたのだと言われるからには、私は、少くとも
日銀の行内における全
職員の
状況も十分お
考え願わなければならぬと思うのです。いわゆる
幹部の方だけが何かあたたかいふとんの中に特別に待遇され、またそのことが当然なんだというような
考え方を持っておられるとすれば、私は、少くとも近代的な
経営者、
管理者という面から
考えると、どうも不適格だということにならざるを得ないと思うのです。私はこの
価格問題について、まだあと四件ばかり残っておることでもありますし、それから
行舎運営上差しつかえないという御
判断をされたというのですが、この過去の問題について、御破算にしろとか何とかいう
お話を申し上げるのではなくて、今
解決しつつある問題もあるだけに、
総裁がどうお
考えになっておるのか。まあ
総裁自体にしましてもあるいは御迷惑かもしれませんがね。昔の話を取り立てて
山際総裁にとやかく申し上げてもですね。しかし私は、やはりこういう問題を
解決して参ることが、言わなくても無言のうちに、むしろ
日銀の
権威を高めていくことだと思うのです。聞くところによりますと、これは前々から私聞いておることなんですが、
日銀の
中央の
幹部の方が
地方に
出張せられるというような場合には、非常に大げさに
地方においてこれを歓迎し、歓送するためのいろいろなスケジュールを、これはまあ
一般世間から
考えますると、どうもちょっとおかしいのではないかと思われるほど、
中央から来られる
幹部の
方々をもてなすのに非常に緻密な
計画を作って、それで
中央からの
出張をお迎えするというのが何か常例だというようなことも聞き及んでおるのです。私は、この問題についての内容なんかをとやかく申し上げようとは思わないのですが、これはまあ
総裁も
日銀の
内部事情はいろいろと経験なさっておられる
立場から私は御存じだと思うのですが、そういう
日銀の
運営そのものにも、私はきわめて非近代的な姿があるのではないかという気がいたすわけです。それで、何も
地方に行かれるときに、重々しく、何時何分に迎えて、
予行演習までやって日程を組んでお迎えしなければならぬというような
運営は、これは見方によっては、きわめてナンセンスだと
考えられるわけです。そのことは
地方の
権威を高めるという
配慮から出ているのかもしらぬけれども、しかし、少くともこういう
行舎問題等についてこういう
処理なり
経過を持っておりますることは、それこそ
一般職員の士気を阻喪し、むしろ非常に重苦しい、
日銀の
明朗色というものを失わせる結果になると私は思う。そこで、私はまず
最初に、この十四件の
払い下げに当っての
価格の問題、このことが一体、
総裁として今お
考えになって、どうお
考えになりまするか。しかも
宿舎の
状況も、
一般等の
職員の問題を
考えますと、必ずしも潤沢ではない。潤沢どころではなくて、非常に問題になっておるのではないかと私も
考えますが、そうだとすると、同じ
日銀の
内部における何千人かの
職員の
方々の中においても、私は
一つのアンバランスというか、ある者は非常に恵まれており、ある者は入ろうと思っても入れないという
状況に置かれておるとすると、これは私はやはり大きな問題だと思います。従って、今後の未
払い下げのものについても、私はそういう面も考慮する余地があるのじゃないか。従って
土地が非常に広く、しかも交通上非常に便利だということになれば、何かしかるべき所に移っていただいて、そういう所にこそ私は何人かが入れる寮を作る、あるいは
一般行員の
宿舎に充てるという手もあると思います。たった一人のために、大勢の人々の
宿舎状態が
解決しないということは、
運営としてもまずいのじゃないか。やってしまったことはそれまでだといえばそれまでですが、しかし十四件、軒並みに昨年の半年ばかりの問に一せいに
払い下げた。その
価格は、
常識はずれのした非常に安い
価格だということになっておりますが、
総裁として着任されて日も浅いわけですが、それだけに私はむしろ非常に、過去のいきさつは別として、客観的にながめた場合に対する御
判断は、私のただいま申し上げておることが無理なのかどうなのか、ちょっとその点お伺いをしたいと思います。