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1957-08-12 第26回国会 衆議院 逓信委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月十二日(月曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 松井 政吉君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君  理事 廣瀬 正雄君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 森本  靖君       秋田 大助君    齋藤 憲三君       椎熊 三郎君    杉浦 武雄君       内藤 友明君    平野 三郎君       古川 丈吉君    志村 茂治君       原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  委員外出席者         郵政政務次官  最上 英子君         総理府事務官         (調達庁連絡         官)      福間  徹君         郵政事務官         (事務次官)  小野 吉郎君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社         (計画局長)  佐々木卓夫君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 七月二十二日  委員平野三郎辞任につき、その補欠として小  澤佐重喜君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員三木武夫辞任につき、その補欠として秋  田大助君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員原茂辞任につき、その補欠として鈴木義  男君が議長指名委員に選任された。 八月二日  委員小澤佐重喜君及び粟山博辞任につき、そ  の補欠として平野三郎君及び小山長規君が議長  の指名委員に選任された。 同月十二日  委員小笠原九郎君、濱地文平君及び佐藤榮作  君辞任につき、その補欠として杉浦武雄君、内  藤友明君及び古川丈吉君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員杉浦武雄君、内藤友明君及び古川丈吉君辞  任につき、その補欠として小笠原九郎君、濱  地文平君及び佐藤榮作君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員鈴木義男辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件     —————————————
  2. 松井政吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますので、順次これを許します。早稻田柳右工門君。
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 二、三ちょっとお尋ねしたいと思います。まず第一に調達庁からお越しを願っておりますので、調達庁福間連絡官にお尋ねいたします。  本委員会において、本年の一月ごろであったと記憶いたしますが、郵政関係庁舎米軍の使用しておられるものをすみやかに返還してもらいたい、こういうことでそれぞれ論議の上、本委員会決議をいたしました。そして関係方面返還方を要請したわけでありますが、その折、調達庁長官から本委員長あて回答が参っております。その回答は、郵政事業庁舎返還についての回答昭和三十一年十一月二十八日付郵政事業用庁舎返還要求に関する決議の件「上記参照文書をもって要望のありました標記返還につきましては、当庁としても郵政事業公共的重要性にかんがみ、その返還に従来から努力して参りましたところでありますが、去る十二月四日の施設特別委員会において、旧名古屋郵政局及び旧仙台簡易保険支局早期返還を再度軍側に申し入れ、引き続き折衝中でありましたところ、昭和三十一年十二月十八日同委員会において、名古屋郵政局昭和三十二年十一月以前において返還する旨軍側から正式に回答がありました。当庁としては、さらに本施設早期返還を実現するよう重ねて申し入れておりますので、よろしく御了知願います。」こういう回答をいただいております。その後聞くところによれば、仙台郵政局管内における庁舎は、来たる十六、七日ごろ返還されるやに伺っておりますが、旧名古屋郵政局庁舎に関しましては、十一月以前に返還するという正式回答があるにかかわらず、いまだその気配がないように伺っておりますが、その後どんなふうに措置されておるか、一応伺っておきたいと思います。
  4. 福間徹

    福間説明員 名古屋郵政局建物返還につきましては、その後軍側に対しまして再三返還促進方について申し入れております。さらに本年五月二日付の施設特別委員会メモにおきまして、日本側の代表から、特に国会における決議のあったことを指摘いたしまして、十一月三十一日またはそれ以前に予定通り返還が促進でき得るように、あらゆる努力を払うことを軍側に要請している次第であります。なお現在におきましても、今後その実現が促進できますように、引き続き申し入れをいたしたいと思います。
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 仙台庁舎は、十六、七日ごろに返すと新聞は報道しておりますが、事実でありますか。
  6. 福間徹

    福間説明員 仙台は、八月の十二日に返還されることになっていることは事実でございます。これは御承知通り在日米軍地上戦闘部隊の一部であります騎兵師団の第五連隊が、仙台から引き揚げるということがきまりました。すでに引き揚げを開始しました、そういうふうな新しい情勢に即応いたしまして、施設返還というものが本ぎまりになったような次第であります。
  7. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 名古屋の方は今申し上げました通り、本年十一月以前において返還する旨正式回答があったわけです。まだ余日がありますが、この見通し並びに調達庁当局における現在の考え方をあわせて伺いたい。
  8. 福間徹

    福間説明員 御承知通り名古屋地区におきましては、名古屋病院施設返還という線が一応出ました理由は、第三空軍司令部というものが府中に移転するということが一つの重要な原因であったように伺っております。その後名古屋におきましては、御承知通り第五空軍の直属の空軍連隊が駐留いたしておりまして、なお兵数家族等相当数現地に駐もし、また居住しているような現状であります。それに伴います病院施設返還というものが、非常に困難な事情にあるようなふうに一部では伝えられておりますが、私どもといたしましては、少くとも昨年の末に施設委員会メモでもって、正式に十一月末またそれ以前に返還するという線が出ておりますので、少くともその線で実現でき得るように、今後とも努力いたしたいと思っております。
  9. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 どうも今のお答えを聞いておりますと、努力を願うということなんですが、見通しは必ずしも明るいようには感ぜられません。そこで私の申し上げたいことは、この前もこの委員会で申し上げたと思いますが、由来米軍当局は、特殊の事情であるとか、あるいは軍の都合であるとか、あるいは突発的の理由であるとかと称して、一応決定したことを改変されたり食言されることが非常に多い。これは米軍国民に不信を買う大きな要因になると思う。従って私はこういうことは一たんメモにしろ正式に回答をいたしました以上は正確にやってもらわないと、これはますます米軍に対して国民の怒りを爆発するような結果になることを私はおそれる。ことに名古屋郵政局庁舎名古屋においても有数の建物でありまして、今米軍が使っておりますが、私ども行って現状を見ますと、病院としてはほとんど使っていません。ほかの授産施設であるとか、あるいは厚生施設に主として使っておられまして、病院としては使っていられないように思います。従ってこれはすみやかに返すようにしてもらいたい。また最近私どもの受けた情報によりますと、行く先がないからどうもかわれないというようなことで、ちゅうちょしていらっしゃるようにも聞いておりますが、今お説の中にありましたように、空軍の変動で名古屋市外守山施設があいているはずです。あそこをちょっと手入れすれば当然病院として活用できると思う。だからこれは一つしっかり交渉してもらいたいと思います。  それからもう一つ申し上げたいことは、現在名古屋郵政局の使っておる建物は、あれは名古屋商工館でして役所の建物として、事務的に実に不便な、通風の悪い建物でして長い間名古屋における郵政局員はまっ暗い感じ仕事を進め、しんぼうして今日に至っておる。だから十一月前に返されるということで、指折り数えて待っているという実情なんです。それがまた返されないなんということになりますと、待っておった名古屋局員方々の失望落胆することは想像以上だと思います。だから私は何が何でも決定通り、そう米軍の言いなりにならずに、調達庁当局が強い交渉をしていただいて、はっきりこの線を出していただきたいと思います。そこでもう一ぺんあなたの見通し一つ伺っておきたい。
  10. 福間徹

    福間説明員 現在までの折衝の経過におきましては、少くとも本年の十一月三十日、またそれ以前に返還されるだろうという私は考えを持っておるのであります。その線に沿いまして、それが間違わないように今後も強力に折衝を続けていきたい、かように考えております。
  11. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ぜひ御努力願いたいと思いますが、どうでしょうか、あなたのお考えでは十一月前には御努力の結果返してもらえるという明るい見通しでございましょうか、そこのところをはっきり一つ、返してもらえるということをはっきり言ってもらいたいのです。
  12. 福間徹

    福間説明員 私の考えでは十一月末までに返してもらえるという明るい期待を待っております。
  13. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ありがとうございました。そこで郵政当局一つお願いしておきたいと思いますが、今お聞きのように仙台郵政局はもう遠からず返還される、それから名古屋郵政局も十一月以前にははっきり返してもらえる明るい見通しだという調達庁当局の言葉なんでしてこれは慶祝にたえません。そこで返されてもすぐこれが使用できる建物ではありません。仙台のごときも相当これを改善、改築しなければならぬ面が多いと思います。なお名古屋のごときは病院施設を今度は事務処理施設に切りかえなければなりませんので、相当の金と相当の技術を要すると思いますが、これに対してどんな受け入れ態勢を立てておられるか、一応伺っておきたいと思います。
  14. 小野吉郎

    小野説明員 お答え申し上げます。仙台庁舎につきましては、この八月十六日にはっきり引き継ぎをいたしまして、受け入れるような段取りになっております。もちろん先生御指摘通り、そのまますぐは使えません。根本的に手を入れますと、かなり修繕その他に日子を要すると思いますが、ひとまず最小限度修繕をいたしまして早急に入るような手配をいたしております。続きまして名古屋庁舎にいたしましても、同様長い間待望しておった問題でございますので、返還になりますると、最小限度入れるに支障ない程度手配は早急にいたしまして、使用いたしまして、根本的の修繕等はその後においてできるだけすみやかにやっていきたいというような気持でおります。
  15. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ありがとうございます。ぜひそうお願いしたいと思います。大臣一つこの件に関して特にお願いをしておきたいと思います。お聞きの通りで大へん喜ばしく存じますが、しかしこれは相手相手でございますので、なかなかそう思うようにならぬ面もあると思います。調達庁当局にのみまかせておかずに、大臣におかれましても、閣議あるいは米軍関係等連絡会というような機会もお持ちでございますので、そういう面を通じて郵政関係局員多年の要望でございますので、ぜひ一つすみやかに実現し、明るい感じ仕事にいそしむことのできるように、大臣の一段の御配慮と、この問題について御努力を要請したいと思います。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 仙台が八月十五日の目標が十二日に返還をされますので、名古屋も本年十一月三十日という回答でありますが、これよりもさき返還をされるだろうということを期待しておるわけであります。なおただいま調達庁から御回答もありましたが、できるならばあなたの今の御意見郵政当局として米軍関係折衝してもよろしいと、こういうように考えております。一案を今ちょっとここで書いてみたのですが、「さきに本院逓信委員会決議をなし、貴官より本年十一月三十日以前に返還される予定である旨御回答をわずらわした名古屋郵政局庁舎については、地元民の要望もあり、加えて八月十二日衆議院逓信委員会で再びこれが促進方要望がありましたので、軍において支障ない限り返還方促進されるよう願います。」こういう文書を出しても一向差しつかえない、こう考えております。
  17. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 どうもありがとうございました。ぜひ一つお願いいたします。  次は主として電電公社の副総裁にお尋ねしたいと思います。さき九州方面において風水害がございました。最近は岐阜愛知両県にわたりまして災害がございまして、電信電話関係被害も甚大であると思います。この際最近の災害による電信電話に及ぼしました災害実情並びにこれが復旧状況等を伺いたいと思います。
  18. 佐々木卓夫

    佐々木説明員 お答えいたします。先般の九州長崎地区被害につきましては、災害勃発と同時に係官を現地に派遣いたしまして応急復旧措置を講じて、大体今日において復旧いたしております。ただ本復旧につきましては、現地と打ち合せまして、そのやり方について一つの結論を得ておるのでありますが、金額で表現いたしまして大体二億程度復旧できる、こういうように考えております。この点は、今度の災害が御承知のように諫早地区では非常に災害が大きかったのでございますが、幸いなことに災害を受けた地域が比較的限定されておった、こういうような関係で予想よりも少い復旧費で大体できるようになった、こういうように考えております。それから愛知岐阜災害につきましては、これは名古屋笹島分局に多少水害によって加入者障害が出ております。その他市外線についても多少出ておりますが、これは特別の復旧費考えなくても大体いけるのではないか、こういうふうに考えておりますが、目下現地と打ち合せ中でございますので、詳細のことは今手元にないのでございます。障害の件数から推測いたしますと、特に復旧費というほどのこともないのではないか、こういうふうに考えております。
  19. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 長崎災害はすでに調査済みだから大体わかっている、二億ぐらいだ、愛岐方面災害はまだ未調査ではっきりしないが大したことはない、こういうお説でございますが、私の知る範囲では愛岐方面もずいぶん被害は大きいと思います。私は東京におりましたが、災害が突発いたしまするや電信電話不通のため、ほとんど現地状況をキャッチすることができませんでした。だんだんわかるにつれて山間部落の方の被害が大きいのであります。実はきのう、おととい私は現地を見て回ったわけなんですが、電信電話復旧未済のところが非常に多くて、ほとんど通じません。そしてまた現地で聞きますると、なかなか復旧困難である、従ってよほど復旧予算をとってもらわなければやれないというのが現地の声でもありました。ところが今聞くと、大したことはないから、別に特別の経費を出さなくてもやれるというようなだいぶ違ったお考えのようでございますが、これは一つ早急に御調査願いまして、名古屋あるいは岐阜地区電信電話を生活、営業の非常に重要な道具にしておる方々が多うございますので、そんなのんきなことを言っておらずに、早急に復元してもらうようにうんと金を出してやってもらいたいと思いますが、一つ総裁の御意見を伺いたいと思います。
  20. 靱勉

    靱説明員 愛知岐阜地方災害につきましても、応急措置は御案内のように通信部で迅速にやるということで、電話局が水びたしになったとかいう場合には相当おくれますけれども、その他の場合におきましてはかなり早くやっております。今御指摘のように復旧しないところが今なおあるというのは相当問題でありますので、さっそく調査いたします。私ども通信局からの報告では、大体都市中心になっておりますけれども名古屋からの市外通話状況を見ますと比較的被害は少い。ただ今御指摘のような点は、山間部におきましてあるいは加入電話が通じないということで、局までは市外通話はいっても連絡がとれないということであるかと思います。局内の連絡不通のところはないというようになっておりますが、御指摘の点もございますので調査して十分復旧をいたしたいと考えております。
  21. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ぜひそう願いたいと思います。局と局との間ぐらいはみな通じているようです。けれども山間部へ行きますと——今度の風水害の特色は、九州でも愛岐でもそうなんですが局地的なんですよ。それで一部々々ひどいところは惨たんたる状況なんです。それで三町も行くとちっとも何ともない。だから山奥なんかに行きますと電信柱が倒れあるいは川に流れてどうにもならないという状況のところが非常に多い。そんなところは山の中だし大したことはないし、ほっておけということになるのです。大都市周辺災害ですとわいわい騒ぐし早くやられまするが、農村山間部に参りまするといつもそういうように忘れられがち、なおざりになりがちでございます。そういうことのないように、今次災害につきましては最善を尽して復旧に御努力願いたい。そういうときのためにとってある予備費なんですから、こんなときにこそしっかり出して、速急に加入者利用者要望、信頼にこたえていただきたい、かように存じます。  それからもう一つ伺いたいのは、これはここで申し上げるのはどうかと思いますが、実は先般私と原代議士東北地方国政調査に参りました。そのときの話でございますが、かの白虎隊で有名な会津若松、あそこの方で飯沼定雄という人がある。この方は仙台郵政局がまだ局といわないころだと思いますが、現在の仙台郵政局工務課長を勤めたいわば郵政功労者であります。この人は昭和六年に死亡しておられて七十九才まで長命をされたわけですが、この人の前身は、実は聞くところによるとこの人は白虎隊生き残りのただ一人の人だそうであります。白虎隊がみな割腹をいたしました、この人も割腹をしたそうですが、気息えんえんとしたところを助けられ、今日白虎隊の治績が世に喧伝されておるということは、この人が生き残ったためであるからといわれております。ところがそういうわけで命を保ちまして、郵政局に長年勤めてなくなられたわけですが、ちょうど本年が白虎隊の九十年祭に相当するというので、この飯沼さんとはちょっとケースが違いますが、当時娘子軍として女ながらもこの戦闘に携わった人で、その後アメリカへ行っておった人がある。この人がやはりアメリカでなくなっておるのをアメリカ同胞の特別の手配白虎隊の墓に合葬する、九十年祭に間に合うようにお祭りをするということになっておるそうでございます。そこで仙台方面における郵政関係飯沼さんを知る人々は、この機会飯沼さんのお墓も別にあるが、できれば会津若松白虎隊の墓のあるところへ合同して同じ墳墓に眠っていただくように手配をしたい、こういう要望を持っていらっしゃるやに伺っておる。私どもそのお気持にいたく心を打たれたわけでございますが、今や世の中がいろいろな面でそういうことをすることもむだじゃない時期になっておると考えられます。そこでできれば郵政当局においてもそれぞれの機関がありましょうからお諮りをいただきまして、すみやかにそうした東北地方の志のある方々気持を体せられまして、特段の御配慮をいただきたい、かように私ども考えて帰ったわけでございます。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま生き残り白虎隊の勇士は飯沼定雄さんという方でありまして、生前仙台郵政局工務課長をされておったわけであります。昭和六年七十九才でなくなられたわけでございますが、ただいまお話の通り本年九月の九十年祭に間に合せるように、前島会仙台支部事業といたしまして若松市と交渉いたしております。現在のところは合祀できる見込みでございます。
  23. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員 ぜひ一つ郵政当局において御配慮を重ねてお願いいたしまして私の質問を終ります。
  24. 松井政吉

  25. 椎熊三郎

    椎熊委員 簡単に大臣に、簡易保険積立金運用に関することにつきましてお伺いします。簡易保険積立金郵政省に復元されて以来、これの運用地方自治体に貸し付けることの方が多うございまして、地方では非常に感謝をしております。ほとんど地方自治体のうちの八〇%くらいは、この恩典に浴したかのように承わっておりますから、これがますます便宜にそういうことを計らってもらうことは当然だと思います。同時にまた地方に貸し出すというようなことだけでなしに、簡易保険加入者が直接に、率直にこれを活用する道があればさらにいいわけでございます。根本的には社会保障制度の問題でありますし、日本における社会保障制度の一環の事業としては非常に成功した事業でございますから、ますますそういう点について御研究願いたい。  最近白根保険局長の時代からだと記憶いたしますが、老人ホーム等計画が実現されて参りました。さきには熱海、本年は大分に完成するということでございます。当委員会におきましても、幾たびもこの問題が論議されましたが、先般の委員会におきましては、来年度からもしやるとすれば、今まで熱海とか大分とかというふうに南の方に多かったのだから、今回は北の方にやったらどうかという意見委員会意見としては圧倒的、圧倒的というよりも、むしろ一人の反対者もございません。当然北方に今度は持っていくべしという意見であったのであります。その後承わりますると、大阪の局方面要望も非常に強いものがあります。北海道の方でも二、三年前から一生懸命誘致運動が行われております。これらの問題については、これらに関係しておる地方の者は非常に深い関心を持って成り行きを心配しておるのでございます。そこでこういういい問題で、各方面からこういう声が起ることは好ましいことでありますから、運動等が熾烈になって、そこに混乱を来たすようなことがあってははなはだおもしろくない。大臣におかれましては、これらの問題に対する基本的な方針決定せられまして、来年はどこをやるのだ、次はどこをやるのだというような、明確な基本的な考え方をお示し願えれば、関係地方民も非常に安心せられると思いますから、その点についての御所見を承わっておきたいと思います。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。ただいま御発言通り、一億八千万円ばかりかけまして熱海一つ、また今年度は別府に一億五千万弱の老人ホームを作っておりますが、新たに申請されておりますのは神戸市を中心にして有馬温泉一つ、それから椎熊さんが言われた通り北海道小樽一つ、もう一つは和歌山県の白浜温泉一つ、大別して三つの陳情があるようでありますが、この中で小檜は、もうすでに敷地も一切地元小樽市に寄付をするというような問題もありますし、しかも相当大きな規模のものを全部寄付していただけるというようなこともありますので、これら三カ所に対しては近く省議を開いて、早急に施工年次をきめて、あまり混乱等を起さないようにいたしたい、こういう考えでございます。特に北海道に対しては法律を作って、政府が北海道開発の業績を上げておりますので、最重要に考えたい、こういう考えでございます。
  27. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいま基本的な方針のお示しがありまして、まことにけっこうだと思います。どうかこの問題に関する委員会考え方委員会発言等については十分ごしんしゃくを願います。委員会発言というのは、次には北海道にやれというのです。近く省議を開いて三つのうちどこをやるかという場合に、委員会の全体の空気というものを軽視されては困るのでありまして、どうかこれを尊重せられて——政党出身大臣でありますから、その点抜かりはないと思いますけれども、ぜひ一つ早急に御決定を願います。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 申すまでもなく委員会は大いに重視をいたしておるのでありますから、委員会の御決定を十分しんしゃくいたして決定をするつもりでございます。できれば今週でも来週の初めでも省議を開き、省内の意見を統一して決定をして参りたい、こういう考えでございます。
  29. 椎熊三郎

    椎熊委員 もう一つ別な問題でございますが、テレビジョンの問題であります。先般いろいろな計画があって、すでに決定した向きもあるように聞いておりますが、十一チャンネルの計画が発表せられましていろいろの論議がありました。私ども委員会でも深い討議が重ねられたのでありますが、今回の構想の中には、北海道はほとんど各地ともNHKと北海道放送二つに統一されておるようでございます。世間の風評からいうと、どうも北海道は当分それで打ち切られるのではないかというようなことであります。ところがいろいろわれわれが聞いた前大臣等の御発言等から想像いたしますと、札幌を中心としてもう一局やってもいい電波があるというようなことも聞いておりまして、それが世間に伝わって、現に札幌では四つほど出願しておるものがあるようであります。先般私ども逓信委員として北海道方面の視察に参りました際、出願しておる四つが一緒になって陳情をせられたのであります。その席に北海道電波監理局長ですか、そういう役所の方が立ち会っておるわけであります。その際その局長の説明によると、札幌を中心とするテレビの視聴範囲内の世帯数四十二万戸かあるそうであります。それは関門方面の五十何万戸に比べるとやや不足であったのだから、そのために今回は札幌は入らないのだ、こういう説明がありました。私はそれは僕らが委員会で聞いておるのとちょっと話が違うのではないか。視聴範囲内の世帯数はなるほどその通りであるかもしれない。しかし電波のような文化的な施設をする場合には、ただ単に世帯数のみが標準になるのではなくして、世帯数の内容というものに重点を置かなければならぬ。たとえば北海道はああいう広い土地で人口が不足であります。しかし国策をもって法律まで作って総合開発をやっておるようなところですから、そういう施設を要求する点においては、人口の不足な割には熾烈なものがあるのでありまして、ことにわれわれの調査によりましても、新聞の購読者の数、ラジオの聴取者の数等は人口に比例いたしまして、北海道日本じゅうでも最高の地位にあるように思っております。ことに北海道には大きな新聞がたくさんありまして、それらはみんな、大にしては数十万の発行部数、地方新聞といたしましても数万の発行部数を持っておる、そういうところでございますから、札幌を中心とする世帯数がたとい四十二万戸あったにしても、それは戸数だけではなしに、内容を検討すれば、むしろテレビジョンのごとき文化的施設を要求する点においては、非常に高い度合いがあると私どもは見ておるのであります。その点は先般の札幌におけるわれわれ委員の一部の者ですけれども行きまして調査したところによりますと、その点は各関係者ことごとく了解しているようです。そこで私たまたまその旅行先で大臣が先般郷里へお帰りになったときの談話等の発表を見まして、非常に意を強うしたのでありますが、それによりますと、北海道その他二、三カ所は早急にこれを決定しなければならぬというような御意見のように拝読したのです。そうするとまず大臣のお言葉の中に、北海道を筆頭にして、他の二、三カ所を数えあげておられるという点は、大臣におかれましてはこの貴重なる電波が北海道に許せる範囲にありながら、これを使用させないというような不合理とは違って、これを活用させていくというお考えのように私は想像いたしまして、非常にたのもしく考えておるのでございます。これらの問題は世間でも非常にいろいろ問題の多い問題であります。ことにわれわれの党の内部におきましても深い研究が重ねられている問題なのでございますから、従いまして大臣におかれましては先般の郷里で発表せられたような御意見通り、急速に北海道その他を指定せられるのかどうか、それほど明確に答えられない状況であるならばそれでもよろしいですが、大体あなたの気持を私どもが察知できる程度の御発言を願いたいと思います。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。テレビの問題につきましても、きょうでもってもうすでに就任一カ月でありますので、ぼつぼつと手がけて参りたいという考えでございます。テレビの予備免許に当りましては、いわゆる商業放送的なもの、文化放送的なもの、特に教育放送としてのテレビという問題だけの観点からものを考えないで、日本全部の通信網の拡充整備という観点からテレビ行政を行なって参りたい、こういう基本線でございます。北海道に対しましては、ただいまお説のようにいろいろな問題があるわけでございますが、とにかく現在テレビの波として使用いたしておりますNHKに対しては、もうここで予備免許を与えたならば、五年ないし十年というものは新しく与えないのだというくらいな先を見通して予備免許を行うことが正しい、こういう考えでございます。もうすでに御承知のようにカラー・テレビも世界各国で行われておるのでありますし、極超短波であるところのUHFの問題に対しても、すでに事務当局が技術的な研究調査の段階に入っているところでございますので、現行日本で使っているような波に対しては、もう一つここらで相当長期の見通しを立てて予備免許を与えたい、こういう観点に立って調査を進めておるわけであります。その意味で北海道の問題は、特にただいまご指摘になられた通り現在の人口は非常に小さいかもわかりませんが、国が人口移住をさせようとして法律に基いて国家投資を行なっておるのでありますし、特に通信網の整備拡充という意味から見ますと、御説のような考え方も当然生まれるわけでございます。だから近い将来にこれらを含めた基本線を樹立をして早急に予備免許に取りかかりたい、こういう考えでございます。特に北海道の問題がただいま御説にありましたような見方を実現しなければならないということになりますと、審議会の御決定も待たなければならぬと思いますし、事務当局意見もあると思いますので、近く事務当局及び電波審議会等の意見も徴して、早急にしかるべく基本線を打ち立てたい、こういう考えでございます。
  31. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して大臣に参考までに申し上げておきたいのですが、われわれ北海道の出身の代議士等はこの問題に非常に深い関心を持っておりまして、特にわが党の北海道出身代議士全部はこれに対する一つ意見を持っております。そうしてこうあるべきだという考え方をまとめておるのでありまして、これはいずれ党の政調会を経て総務会等にもお諮りしたいと思っておるのであります。先般はその北海道出身のわが党議員全部の名をもって、大臣のお手元に陳情書を差し上げたはずでございます。これらをよく御検討願いまして、どうぞ北海道実情を御検討の上、すみやかに私どもが希望するような方向で御決定願われれば非常にけっこうだと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  32. 松井政吉

    松井委員長 森本靖君。
  33. 森本靖

    ○森本委員 新しい大臣になられましてこの間第一回目の委員会がありましたが、私ちょうど所用がありまして出席ができなかったので、きよう初めて新しい大臣と政務次官とにお会いをして質問をするわけでありますが、まず最初に申し上げておきたいことは、この委員会でいろいろ質問をしてきましたが、大体歴代の郵政大臣はようやくこの郵政業務になれてきた時分に交代するということでありまして、委員会においてよろしいという御回答がありましても、それがほとんどできずじまいに交代をするということが非常に今日まで多かったわけでありますので、そういうことのないように、幸い今回の田中大臣は非常に年令も若いし優秀な大臣であるということでありますので、年もちょうど私と一つしか違わぬという状況でもあるし、私も今まで当委員会では一番若い代議士というふうにいわれておりましたが、幸い年も一つしか違わぬ大臣が来られて非常にありがたい味方ができたと考えておりますが、そういうことは別といたしましても、ともかくも歴代の大臣がそういうような仕事をやりかけて、これからというときで大臣が交代をするというようなしょっちゅうの例でありますので、一つこれから先はいいと思ったことについては即座に若い大臣としての手腕を発揮してもらいたいということを冒頭にお願いをしておきまして、質問をしたいと思いますが、大臣も就任をせられまして一カ月以上でありますので大体おわかりかと思いますが、政務次官は長いこと逓信委員をやっておられますので十分郵政業務の中については詳しい方でありますから、これは私の方からとやかく言う必要はないと思いますが、貯金とか保険とかいろいろの問題もございますが、速記録で見ますと大臣のあいさつの中にもありますように、郵政行政において今日の一番大きな政治的な問題となっておりますのは、何と申しましても特定局の郵政業務における問題と、それから今の電波放送に関する問題でなかろうかと考えているわけであります。その中で特に私は最初に特定局問題について聞いておきたいと思いますが、これはうわさでありますのでおそらくはんとうでないと思いますが、もしそれがうわさであれば私は幸いと思いますので誤解のないようにお願いをしたいと思いますが、田中大臣が就任早々実は特定郵便局長の任用問題について、一政治家の方から意見があったかどうかしれませんけれども、全部うわさでありますのでそのつもりで聞いてもらいたいと思いますが、特定郵便局長の任用について、従来のように部内者を優先的に任用するという考え方でなくして、将来は、それからまた現在においても、部外者を任用するということを重くしたらどうかというふうな意見を事務当局に言われたやのうわさが全国に広がっているわけでありますが、その点を一つ、もしうわさでしたらけっこうでありますので、ちょっとお聞きしたい。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。まず第一番目の問題は、どうもやるやると言ってもやれないうちに首が飛ぶというのでありますが、これはどうも他動的に飛ぶのでありますが、私も大臣にしていただいた以上は、皆様の力で大いに政局を安定さしていただいて、私が仕事ができるように長く置いていただきたいと思っております。特にもう一カ月もたっておりますので、今までまあやれないだろうというふうな考えから、立法処置や何かをやらなければならないにかかわらず、ついに問題のあるものはあとに送ってきたというようなきらいもあるようでありますので、できるできないは別にして、一つ早急に立法措置を行うもの、改めるべきものは改めるようにということを省議で諮っておるわけでありまして、来たるべき臨時国会また通常国会においては、今まで郵政省として問題になっておるものに対してはできるだけ全部お出しをしたい、こういう考えでございます。九月一ぱいから十月の半ばまでには政務次官会議にかけて、また皆様とも、いろいろな小委員会もございましょうから、そういう御相談もし、御意見を拝聴して成案を得たい。特に提出するものにつきましては、会期の初めに一つ御審議をわずらわしたいというような処置を事務当局に命じて、今作業を進めておるわけでありますので、まとまりましたら御審議をわずらわすわけでありますから、どうぞ一つよろしく御審議をいただきたい、こういう考えでございます。特に私は、私の代に通りそうもないからよそうというようなことをしないで、人というのは一人で仕事ができるものではありませんので、私の代で立案をし、御審議を願い、また次の代に引き継いでも、何代かかってもいいから、一つ懸案の事項は片づけて参りたいという方針をとっております。私の代に私の責任で提案したものが、私の代で通らないで、かなえの軽重を問われても、一向差しつかえないという考えで難局にぶつかって参りたいという考えでおります。  第二の特定局の問題でありますが、私就任と同時に、特定局の局長の任用は部内者をやめて部外者に重点を置けなどという不遜なことは申しておりません。一つこれは改めていただきたい。率直に申し上げますと、特定郵便局長の任命権は大臣にあるのでありますが、これは昭和十七年に省令で地方郵政局長に委任をしてあるわけであります。これはざっくばらんに率直に実情を申し上げますと、特定郵便局長の任免に対しては、管理者が非常に少い、常に全逓の諸君との間に物議をかもしたりして、こういう問題に対して局長がやりにくいというような面も一面あったようであります。そういうことで、こういう問題に対して半年も一年も二年も人事が渋滞をするようであるならばいかぬのであるから、委任条項を削って、法律の精神であるところの大臣の決裁に戻してもよろしい、こういうことを言ったのがきっと誤まり伝えられたのだと思います。しかしこれは御承知通り、特定郵便局制度調査会も近く発足しますし、今の御発言のように、私の意思と全く反対に曲解されることをおそれましたので、これを直ちに省令で改正して私の手に戻すというような極端なことはなさず、政治的に、またいろいろな組合との問題等があって、地方郵政局長個人の権限においてはさばきにくいというような問題があったら上に上げなさい、こういう通達を出したのでありまして、現行のやり方よりもより合理的に迅速的確な任命を行いたいということだけでありまして、部内者と部外者について差別をつけようなどということは毛頭ありませんので、一つはっきりと御認識いただくようにお願いいたします。
  35. 森本靖

    ○森本委員 明快な回答で私の方もまことに満足でありますが、ただ特定郵便局長の任用問題については、これは従来の長い歴史がありまして、何も全逓の組合とかあるいは管理者とかというふうな形で争われているわけじゃない。これは大臣も下部の方における争いというものをよく見ていただいたからわかりますが、もともとどこからかの代議士とか、政治家とか、あるいはまたその土地の有力者とか、そういう人たちがたまたま部外者を強力に推薦する。ところがその郵便局には、二十年も三十年も従業員として苦労してやってきておって、そしてその人が次の局長になりたい。それを部外の人が、排除してまでなりたいというふうなことがたび重なって、これは争いができておるわけであります。組合とかなんとかいうことでなしに、特定郵便局長の任用問題というものは、松田大臣以来、一応部内者と部外者の任用ということについては、従来通りやっていくけれども郵政当局としては部内者に適任者があればこれを優先的に任用して、どうしても部内者に適任者がない場合には部外者を採用する、こういうのが今までの郵政省事務当局考え方であり、あるいはまた歴代の大臣もそういう方針できておる。これはまたほんとうの考え方なんです。そういう考え方を新しい大臣としても貫いていくかどうかということを私はまずお聞きしたいわけであります。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 大体お説の通りが常識論でございます。私も常識論以外にものを進めようと考えておるわけではありません。ただ特定局というものが非常に日本郵政事業、逓信事業の長い歴史のうち非常に大きな地歩を占めるものであるということと、それから世界に類例のない一つの歴史を作っておるわけであります。特に特定郵便局に対しては、父祖の代から何代かにわたって非常に犠牲をしいられており、また犠牲を払って今日の郵政事業の基礎を作って参ったという歴史と伝統も、また現在の段階においては無視するわけにはいかないと思います。だからもちろんただいま申された通り、長いこと苦労をされ、また長い経験を持っておる部内者に適格者があるときには、これは当然のことでありますが、その反面、ただいま申したように特定郵便局の局としての長い歴史と伝統を加味しつつ、しかも全郵政事業を通じての秩序を乱さないということを原則にして任命を行なって参りたい、こういう考えでございます。
  37. 森本靖

    ○森本委員 この問題については相当議論のあるところでありますので、また日を改めて私は大臣とゆっくりこの委員会において応答したいと思いましたけれども、今の任用問題については差し迫った問題でありますので、今聞いたわけでありまして、いずれまたその他の問題についても日を改めて応答を行いたいと思います。  そこでこの際大臣の就任の際の御意見を聞いておきたいことは、今回の特定局制度調査会の問題であります。これはすでに委員も発令をせられまして、専門家の間においてはこの調査会の成り行きというものについては非常に大きな注目を払っておるわけでありますが、あの調査会は、今度出たところの省令によりますると、六カ月以内に結論を出して大臣に報告をしなければならぬという形になっておるわけでありますが、大臣としてはこれについて、必ず十二月までには調査会の結論の答申を出さすような方向において行うものかどうか。これをべんべんと長引かせておると、またいろいろの複雑な問題が入ってきてよけいに混乱をすると思いますから、これは大臣としてははっきり六カ月以内にこの調査会の答申案を出さして、そして大臣大臣としての考え方に基いて、今度はその答申案に意見を加えて新しい成案を得る。そういう場合にわれわれ委員会においてもまたいろいろの意見を申すわけでありますが、ただその調査会の答申案というものが、この前のテレビのチャンネル・プランのように二月から三月、四月、五月、六月というふうに延びて、最後には何だかわからぬような格好になってしまったのではこれは何にもならぬのであって、当初調査会の発足に当ってこのことを大臣としてはっきりした表明を願いたいと私は思いますが、その点はどうですか。
  38. 田中角榮

    田中国務大臣 非常に時期がよいのでありますから、特定局制度の問題については近く発足をいたす調査会において結論を得るつもりでおります。なおこの運営の方法につきましては、私の方から諮問案を提出するか、もしくは調査会の自発的な調査に待つかは決定しておりませんが、それも今月中には態度を決定いたしたいと思います。なおこの調査会の結論は六カ月といわず、もし立法措置が伴うようであればできるだけ通常国会前に結論を得、皆さんとも御相談をした上で御審議をわずらわしたい、こういう考えでございます。
  39. 森本靖

    ○森本委員 それではこの問題はその他にもいろいろ意見がありますが、日を改めてゆっくりやることにいたします。  次に、郵政事業の問題についてもう一つ従来の大臣からの懸案でありますが、この間の新聞で見ますると、自民党の政調会と田中郵政大臣との話し合いにおいて、お年玉はがき三億五千万と二億五千万が四円と五円というふうに決定した、こういうふうに載っておったのでありますが、このお年玉はがきの問題については、本年度については何とかこれを解決をつけたいという意見が前の大臣からしてあったわけです。もともとこの四円のはがきについてはおかしい、これはもう一般のはがきと同じように五円にすべきである、今日の郵政の財政状態からしてもこういう考え方についてはおかしい、だから五円プラス一円の寄付金をつけるならば、これは年賀はがき全部につけたって別にさしつかえない、こういうふうな意見が与野党を通して相当この委員会ではなされたわけであります。その意見については与野党とも大体そういう方向に行くのがほんとうであるという意見があったわけでありますが、それについては、来年の昭和三十三年一月のお年玉つき年賀はがきについては、大臣も御承知のように八月ごろから印刷にかからなければ間に合わぬので、今回は四億五千万、二億五千万ということでやったと思いますけれども、次の臨時国会ないしは通常国会においてこのお年玉つき年賀はがきの法律を政正して、これを根本的に解決をつける意思があるのかどうか、その点を一つ大臣として明らかにしてもらいたい。
  40. 田中角榮

    田中国務大臣 寄付金つき年賀はがきにつきましては、御承知通り去る日に一円寄付金つき四億五千万枚、それにつけない四円の分を二億五千万枚、合せて合計七億ということを決定いたし、印刷に付したわけでありますが、これが決定を急ぎましたのは、いつも政治問題化して九月、十月になって郵政事務当局が非常にお困りになるという問題がありましたのと、この問題が、できるならばこの前の国会で法律改正を行なっていただきたかったのでございますが、現行法のまま印刷に入らなければならなかった状態から考えまして、やむを得ず四億五千万、二億五千万に一応決定したわけであります。なお審議会におきましてもこれが議論がございまして、一説をなす人には全部四円にしろという御意見の方もありましたし、全部五円にした方がいいという御意見の方もありましたし、中にはお年玉つきはがきのような非生産的なものは十円くらいにした方がいいのだという御意見もありまして、いろいろありましたが、とにかく事務当局案であるところの四億五千万と二億五千万、合計七億をこえないという線で御決定を願ったわけでございます。この問題はいろいろ議論が分れるところでありますが、私として率直に申し上げると四円のものと五円のものがあるので窓口が混乱し、非常に苦労をしているのだということでありまして、できれば五円に統一をいたしたいという考えでございます。六円、七円というのはこれはまあ説をなす人があるだけでありまして、私の考えとしては五円に統一をし、できれば全部に一円の寄付金をつけた方がよろしい。ただ寄付金をつけるとすれば、今までのような社会福祉団体に対して国が金円を交付してはならないという制限に基いて、一円の寄付金はもう自動的に社会福祉団体に行くのだというような観念では、四円のはがきを五円で買わなければならぬ国民の意思にも反することでもありますので、これが法律改正には当然使途も明らかに法文化しなければならないと考えておりますので、今年の経験に徴しても、来たる国会にはこれが問題が起きないように、また国民方々が喜んで一円の寄付ができるように、法律改正案を提出いたしたい考えであります。ただ五円にした方がいいのか、はがきの代金を五円にして、その上にプラス一円ないし二円をつけた方がよいのかということにつきましては、皆さんとまた御相談の機会を得たいと思うのであります。
  41. 森本靖

    ○森本委員 五円にした方がいいのかということにつきましては、私も意見の分れるところでありますが、これは当委員会では前から大体五円に統一をして、その上に寄付金をつけるなら一円つけてやるべきだという意見が圧倒的に多かったということは、速記録を見ていただいたらよくわかります。  そこでちょっと聞いておきますが、今年の二億五千万枚というのは、やはりお年玉つきですか。
  42. 田中角榮

    田中国務大臣 そうです。
  43. 森本靖

    ○森本委員 お年玉つきはがきの改正については、私の方もそれにほとんど同意でありますので、大臣もこの点については懸案の問題でありますので、解決するようにお願いしたいと思います。  そこでこの際、料金問題がちょっと出て参りましたので、郵政全般の料金問題についてお聞きをしておきたいと思いますが、郵便料金、小包料金その他の特殊料金等のいろいろな問題について前から原価計算等でいろいろ言われておりますが、この値上げについては大臣としては考えておりますか。
  44. 田中角榮

    田中国務大臣 はがき及び切手等の値上げは考えておりません。
  45. 森本靖

    ○森本委員 それでは次に簡単な問題でありますので、ちょっとお聞きしておきたいと思いますが、これも前の大臣からの問題でありますが、簡易保険の最高額の引き上げの問題であります。これはこの間の国会では二十万円で通りましたけれども、衆参両方とも与野党が一致いたしまして、この二十万円では少な過ぎる、将来は早急に引き上げるべきであるということが決議として出されているわけでありますが、これについては次期の国会でどういうふうに提案をせられるか。  それからもう一つは、この間の新聞記事で見ましたけれども、貯金の利子の引き上げの問題でありますが、これについて大臣の見解といたしましては、今後は政令においてこれをやれるようにしたいというふうな談話を発表しておったわけであります。これを政令でやるという問題については若干意見のあるところでありますけれども、貯金の利子の引き上げという問題については、当委員会としても与野党を通じてやはり貯金の引き上げについては考えていかなければならぬということも絶えず言われているわけでありますが、保険の最高額引き上げと郵便貯金の利子の引き上げの問題についての見解をこの際明確にしておいていただきたいと思います。
  46. 田中角榮

    田中国務大臣 簡易保険の制限額の引き上げは当然行わなければならないと考えております。現行は御承知通り二十万円限度でございますが、古い歴史の例に徴しましても、物価はもうすでに三百五十倍にもなっておりますので、国民一人当りの預金高の推移を見ても、最低三十五万円以上に上げなければならないというのが常識だと思います。私としてはもっと個人的には上げたいのでありますが、社会的な抵抗もありますし、また銀行預金その他のいろいろな面もありますので、これは一つ衆参両院の委員会の良識に待って、国会ごとに幾らかずつさや寄せをしていくということで努力を払って参りたい。この次の国会においては限度額の引き上げについては法律案を提案するつもりでございます。これは何でもあまりおしゃべりをするようになるかもわかりませんが、この問題については相当な抵抗がありまして、いわゆる運用権の問題にも匹敵するようないろいろな抵抗があると思います。しかし限度額の引き上げということは常識論でございますので、両院の、特に当委員会の御協力を賜わりたいという考えでございます。  同じく預金の利子の問題でありますが、これは歴史的に見まして、一番初め、いわゆる郵便貯金制度を始めた当時は、銀行では扱わないというような零細な貯金を吸収しようということでありましたが、今日国家的に見て、これが非常に大きな国家投資の原資を占める地位を考えますときに、今のように銀行預金と別な立場に置くことは許されないのではないかと考えます。また気分的に考えても、国が預かるのと銀行が預かるのとでは安心感が違うので、幾らか郵便貯金は安くていいというような考え方もありましたが、戦後は逆になりまして、民間が第二封鎖を全部解除しているのに政府の方は解除しておらぬというようなことで、政府の方がある意味で信用がないというようなこともあります。これは私はどちらが信用があるかというようなことでなく、国民が自由にそのいずれかの窓口で預金ができるよう自由選択権を与えるべきものであって、その際には銀行預金並みに引き上げるのが正しいと存じます。ただしこれは理論でありまして、先ほどお話のように簡保の制限額の引き上げのような抵抗もありますし、また歴史もございますので、あえて歴史に逆行するような考え方は持たないわけであります。ですから、この間新聞でお話し申し上げました通り、四段階の預金利子をできれば三段階に大別をして、最高六分までに引き上げたい。これもできるだけ——一つできるだけというよりも、次の国会にぜひ提案いたしたいという考えでございます。これにも簡保の問題より以上に抵抗があると思いますので、私たちは建設委員でおりましたときは、こういう問題で特に議員立法をお願いしたこともございますが、今度は勇気を出して御審議をわずらわしたい。また提案できるように努力をいたしたいという考えでございます。
  47. 森本靖

    ○森本委員 この問題も、種別の貯金の利子等の問題については、これはいずれゆっくり討論をしなければならぬと思いますので、日を改めてこの問題についての質問をしたいのであります。  そこで次にテレビの問題でありますが、これはこの委員会においても非常に問題が提起をせられまして、今まで論議をせられましたが、これは一つ大臣にお聞きをする前に、私は濱田電波監理局長の方から現在の状況を御説明を願いたいと思いますが、それと申しますのは、われわれが見ておりまして何か引けぎわに東京と大阪ががたがたと済んでしまったような気がいたします。それ以外のまだ関門、名古屋、それから先ほどの椎熊さんの質問しておられた趣旨と大臣が答弁をしておった趣旨とは若干違うのではないかと思う。先ほどの椎熊さんの質問の要旨を聞いておりますと、あれはもう一つの波を関門と同じような格好において出すべきが至当じゃないかという意見のような質問であったと思う。それに対しての回答は、将来のテレビの置局問題についての大臣回答であった。これについての椎熊さんの質問は、おそらくもう一つの波を北海道あたりは出してもいいのではないかというような趣旨でなかったかと思いますが、その問題は別といたしまして、まず質問の順序といたしまして現在の大阪と東京がああいう格好になったことについての一応電波監理当局としての各方面に対する折衝とかなんとかいろいろやられたと思いますので、どうもわれわれがはたから見ておりますとちょっとわかりかねますので、ここの委員会で発表できる範囲内のことについての経過を事務当局の方から一つ説明を願いたいと思います。
  48. 松井政吉

    松井委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  49. 松井政吉

    松井委員長 速記を始めて。
  50. 森本靖

    ○森本委員 それではこの問題は非常に複雑な状況にありまして、実を言うとどこから質問をしていいか、この間の最後の免許のおりたときの状況考えてみると非常にややこしい状態になっておりますので、それはそれとしておきまして、私は一つ基本的な問題を大臣にお聞きしたいと思う。  この問題についてはすでに電波監理局長に対しましては、当委員会といたしまして質問をいたしまして、それで電波監理局長の方からは事務的な回答は得ておるのであります。それはどういうことかと申しますと、今全国的にテレビの第二次の置局の問題が問題になっておるわけであります。そこで今日東京とか大阪とか、こういう大きなところは別といたしまして、地方の各県グループになりますと、地方新聞それから地方のラジオというのがありまして、これは非常に全国的に独占的な傾向を持っておるのであります。しかも新聞とラジオは緊密な一つの会社の形態をなしておる。そういう情勢になっておるので、今回のテレビを許可する場合においては、テレビとラジオと新聞との性格がまるっきり違う。要するに新聞というものは政党支持は自由であって何党であってもかまわない。その新聞がたとえば自民党であっても、社会党であっても、共産党であってもかまわないし、その新聞の論説が社会党張りの論説を張っても、あるいはまた自民党張りの論説を張ってもこれは自由である。商業新聞というものはそういう性格を一応持っておるわけです。ところがラジオにいたしましてもテレビにいたしましても、これは放送法に基いていわゆる公共的なものでなければならない、不偏不党でなければならないということがはっきり規制をされておる。そこにテレビ、ラジオ、新聞の相違が明確に出ておる。ところが今日まで各地方においてはそういう新聞、ラジオが渾然一体となって運営をなされてきた。われわれとしては地方の独占新聞を攻撃するばかりでなくして民間ラジオが創生期において非常に将来の財政的な問題あるいは経営問題が不安な状態のときに率先してこの道を開拓して、今日のような黄金的な民間ラジオを開いたということについての功績は私たちは非常に買いたい。しかしその功績と今回のテレビ問題をその同一さに許可しなければならないという問題とはおのずから別である。だからここに今回のテレビを許可するに当っては、少くとも地方において新聞、テレビ、ラジオを独占的に一つのものが握ってしまうということについては、われわれとしては非常に危惧をする。そういう方向はとってもらいたくないというふうなことを今まで論戦をしたわけですが、これは速記録にも載っておりますけれども、最終的には局長の方から、場合によっては新聞社の資本構成というものが、その資本の一〇%以上に上るようなところについては予備免許を与えるということについては慎重に考慮しなければならない、こういう回答も得ておるわけであります。こういう問題については全国的に非常に大きな問題になっておりますので、この問題についての大臣考え方はどうなっておるかということを、一つこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。
  51. 田中角榮

    田中国務大臣 テレビの予備免許を与えるにつきまして慎重でなければならぬということは当然であります。また慎重に行うつもりでございます。なおただいま仰せにあったように言論の独占ということは危険であるということも、十分承知をいたしておるわけでございます。電波が公けの波である、しかも局限されておるものである。電波は免許を受けた人だけのものでないということでありますので、いわゆる新聞やラジオよりももっと強くその公共性が要求されることは当然であります。その意味でいわゆる電波法及び放送法の精神に逆行するような免許を与えないという考えであります。ただいろいろな地方の申請者の中で新聞社の名前もあるようですが、その資本構成を見ますと、ほとんど少数の人の独占だということで調べてみますと、その一七%が最高であるというような例もございます。新聞社がラジオに投資しておるものが一体どうか。あれは新聞社が経営しておるのだというので調べてみますと、六千万円のうち五百万円しか持っていない。この五百万円も放棄をしつつあるという状況であります。私は株の名義が書きかえになっても実質的な独占が続けられれば、ただいま言われたような危険は十分あると思います。そういう意味で厳密に資本構成その他については、いわゆる電波法及び放送法によって免許を与えられたものが逆行しない運営ができるように、波はすべて公けのものであるという適切な運営ができることを基本条件にして免許を与えて参りたいという考えであります。ただ個々の例によって慎重に審査をいたしますので、現在の段階で新聞が全然やってはならないとか、またラジオとの兼業が絶対にいかぬのだという考えも持っておりませんし、なおまた資本構成その他実際の面で世間の批判を受けるようなものに対しては、お説のように十分に慎重にして批判を受けないよう、また免許を受けた方がほんとうに公けの波を公けに使えるというふうな基準を作って、予備免許を与えて参りたいという考えであります。
  52. 森本靖

    ○森本委員 私の質問しておるのを分類をしておきたいと思いますが、たとえば一七%のところもあるし、五千万円のところを五百万円という話でありますが、そういう個々の例を言っておるのではないのです。要するに各地方において新聞とラジオが今日独占的な人によって経営せられておる。その場合にその一つの会社から同じようにテレビの免許の申請が出ておる。そういう場合にはその者に免許を与えた場合には、新聞とラジオとテレビという地方のマス・コミの独占になる。そういう場合には、また別個の一つの申請が出ておる、あるいはまた二つの申請が出ておる、それが単なる利権的な申請でなくして、かなりその当該県の支持者も得て出ておるというふうなところが相当全国的にあると思う。そういう場合に、最終的な妥協の方法もいろいろあろうと思いますけれども、そういう問題は別として、私は基本的に、そういうところの新聞、ラジオ、テレビ、この三つ一つの独占的な人間が握って、マス・コミを独占するということがいいのか悪いのかということをまずお聞きするわけです。これは当然悪いというふうにお答えになると思いますので、そこから順番に入ってみたいと思う。
  53. 田中角榮

    田中国務大臣 これはもうできるだけ避くべきであります。
  54. 森本靖

    ○森本委員 できるだけ避けるということでありまするが、これは絶対に私は避けなければならぬと思うわけであります。ただここでラジオとテレビの兼営ということについては、これは技術的にも、また経営の合理的な面においても、相当考えてみなければならぬ点があるということは事実であります。この点を私は前から責めておるわけではないわけでありますが、ただその場合に、ラジオとテレビが兼営しなければならぬという名目のもとに——私はこの点は事務当局もよく聞いておいてもらいたいと思うのだが、ラジオとテレビは経営的にも、それから技術的にも、これを兼営した方が合理的であるということは事実であります。しかしそういう名目のもとに、新聞とラジオとテレビがマス・コミの独占をしてはいけないということを逃げる意味において、そのラジオとテレビは兼営した方がよろしいというようなことで、表面的には新聞と切り離してしまったところのラジオとテレビの兼営も考えられる方も出てくるだろうと思いますが、そういう場合には、よくその背後の人的構成、資本構成、あるいはそのつながりというふうなものについては、私は十分調査して考えていかなければならぬと思うわけでありますが、その点について大臣の御見解を一つ聞いておきたいと思う。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 確かに、表向き新聞と切り離していろいろな手段を講じて、あとに残るのはラジオとテレビだけだ、テレビはラジオの経験者が最も適当なんだという議論も聞きますが、この議論に全面的に賛成をし、またラジオの業者が一番いいテレビの業者だとは私も考えておりません、私も技術屋でありますから。私でも三十日たてばこのくらいの議論ができるのですから、いわゆる公けの波は公けに行使をするということが前提であり、原則でありますので、そういう一般論に惑わされるということはございません。ただ実態的にある地域においてラジオがテレビを兼営するという場合が起き得るかもわかりませんが、この場合でも、いわゆる電波法及び放送法の精神に逆行するというようなことは一切やらせないということに対して当然監督の責めにある私でありますので、免許を与える場合には、左の条件を満たさない場合には免許を取り消すことがあり得るというふうに明確な免許方針をとって、ただいま御発言があったように、いわゆる公けの波を私しないという原則は貫いて参りたいという考えでございます。
  56. 森本靖

    ○森本委員 その兼営の問題については一応その程度にいたしておきます。  そこでそうなりますと、第二次置局以降の方針については、大臣としては九月中には全部一つ終了したい、こういうことを言われておりまするが、今後のこの予備免許の見通しについてどういう段階を踏んでいくのか。そこで中央通信という新聞みたいなものがありますが、それを読んでみますと、今回の田中郵政大臣は、就任早々、今後のこの置局方針については、いわゆる軌道に乗せて、そうして事務当局の方との線に従って、一つ調査なり、そういう段階を踏んでやっていくということがちらっと載っておりましたが、私はこれがもしほんとうならけっこうだと思う。一応役所は役所としての形式を踏んで、そうしてその上において、大臣大臣としての行政的な手腕によってこれを決裁していくというのが妥当な道でありまして確かにそれが順当な方針であろうというふうに私は考えておるわけでありますが、そういう片々たる記事で想像するだけしかまだできませんので、ここで大臣が今後の置局方針については、予備免許に至るまでの方針というものをどういう方針によってやられるのか、それからどういう日程の段階によってやられるのか。たとえば九月ということになりますると、第一次、第二次、第三次というふうに分けてやるのか、あるいはまたそれをどういうふうに調査をするなら調査をする、こういうところの段階的な日程というものはどうなっておるかということを御説明願いたいと思う。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 前にこの委員会に参りましたときにも申しました通り、テレビの予備免許を与えるものは早急に与えたいという考えでございます。こういうものを散発的にやっておりますと非常に混乱を起すのであります。俗に百社も出ておるといわれておりますが、この状況では全く大臣仕事にならないというような実態でございます。特に競願が多いものに対しては、時間をかけるほどいい結論が出るかというと、必ずしもそうとも言えないのであります。だから紛争を起さないようになるべく手ぎわよく早く決断をして参りたいという考えでございます。ただ、早くやるということは慎重を欠いてはなりませんし、ことに五年、十年先を見て、もうVHFの波に対しては大体これが最終的なものだという考えに立って一つの処置をするということになりますと、相当慎重でなければならぬということもけだし当然であります。私が車中談で八月の十五日ごろから始めて九月一ぱいということを申しましたのは、これは政党大臣としては当然こういうことを言わなければなりません。早い人は二カ月でやめなければならぬ人もあるのでありまして、慎重にやるので六カ月も七カ月もかかっておるのでは、全く一生懸命でやりますと言ったことがうそになります。私、そう長く大臣をさしていただけるとも思いませんので、やはりできるだけ早くむずかしいものとは取っ組みたいという考えでありますので、そういう意味で言いますと、臨時国会及び通常国会の開会等を考えましてどうしてもその前に片づけたいという考えであります。特に先ほど申し上げた特定郵便局の問題その他まだまだ山積する問題がたくさんありますので、そういう問題も合せて十一月までに、できれば十月一ぱいに結論を出さなければならぬということになりますと、どうしてもだらだらと審議をすることが慎重とは言えないのであります。特にこういう特殊な問題でありますが、戦後行政の簡素化をはかるために、国民から官庁の窓口に書類を出して三十日以内に許可なきものは許可ありたるものとみなすという行政措置をやったこともあります。こういう意味から考えても、当然一年前から申請をしているのでもありますし、特に第一次免許が事務当局と政府当局と一体になってなされているのでありましてあれが内閣が続いておれば、第二次は今日までに片づいておったかもしれません。そういうところもありますし、なるべく行政に渋滞を来たさないような方向で処置をして参りたいという考えでございます。事務当局大臣が一体であるということは、これはもう言うまでもないことでございます。ただ大臣が何と言おうとわれわれの言うことだけが最善であるからというような事務当局ではなく、まさに最終責任は大臣が負うのでありますので、これは事務当局大臣がまさに渾然一体になってやれるという態勢を整備いたしておりますし、現在も全く一体でございますから、御期待に沿える結論が出せると思います。
  58. 森本靖

    ○森本委員 最後の大臣回答については、その大臣が言われた通りを私は言っておるのであります。何も事務当局がこうだからクーデターをやった場合に——これは昔やったことがあるそうでありますが、それは知りませんが、そういうことがあっても、それは大臣大臣の最終的の結論において、大臣の行政的な責任においてやるということは当然のことなんだ。ただそういう大臣の最終的な結論を得るまでの事務的な手続、事務的なやり方、そういうものは一応事務当局の意向というものがやはりずっと段階を踏んでいって、そうして最終的な段階になれば、これは大臣が行政的な判断によってやられて確かにけっこうだと思う。そうなった場合に、たとえば事務当局がだんだんと積み重ねてきて、そしてこれがこうだということをやっている場合に、大臣がいかに行政的手腕があっても、これはまるっきり違うということを言うならば、それ相当の資料を出して相当の判断をもってやらなければならぬと思う。そこで大臣考え方というものと事務当局の綿密な調査とが相一致してこそ、初めていい行政ができるということを私は言っておるわけです。  ただそういう問題よりも、私は本筋に入りますが、百何社申請があると申しましても、それはかりに今免許をおろしても直ちに来年から発足するということはあり得ないと思う。だからここで分類をして、たとえば来年電電公社のマイクロがついてこれが完全にできるというところは、今年の九月なら九月までに結論をつける、それからそれ以外の昭和三十四年以降のものについては、時期がまだ早いから却下するなら却下する、こういうようにてきぱきと事務をつけていかなければ非常に混乱をすると思う。だから、今年度マイクロウエーブが着工されて、そして来年度マイクロが全部ついて波が出るというところは、まず第一段階として免許をおろさなければならぬところだろうと思う。それ以外のところについては、これはゆっくり慎重に調査するなり、あるいはまだ時期が早いからこの次まで待てということで却下したって差しつかえないと思う。だからそういうところの分類を考えてみて、第一次にやらなければならぬところと第二次でけっこうだというところ、そういうふうに分けてやっていきますか、どうですか。
  59. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。第一の問題の、事務当局と私の意見との間に飛躍がないかということでございますが、これは絶対にございません。また事務当局案を頭から否定してかかるほど非民主的ではございません。第一回は、事務当局が今まですでに申請を受けてから長いのでありますから、また前半井大臣から引き継いでおれば当然今日までには片づいておった問題でもありますが、特に慎重を期すために、あらためて事務当局は総動員態勢で事務的な最終案をまとめております。これは第一次報告が八月の二十日でありますし、第二次報告が九月の十日だそうであります。これはもっと急げば十分間に合うと思いますが、それほど急がなくてもいいのではないか、特に慎重を期して十分事務当局意見を聞きたいという考えでございます。私が意見が違うことは万々あるまいと思うのでありますが、とにかく私も少しは勉強しておりますし、事務当局と全く相反するという結論は出ないだろうということを確信いたしております。特に指揮権発動などをやらせないように、事務当局にも慎重にお願いしておりますし、また私もできるだけそういうことは避けなければいかぬという考えでございます。特にこの波の問題は審議会がございますので、事務当局、審議会、私と、まさに三位一体にならなければ結論の出ない問題でありまして、その二者が賛成して二対一で否決をするというようなことは絶対にならない、これほど重要な問題でありますので、渾然一体になってやり得るという考えでございます。  それから第二の問題、マイクロウエーブ計画もありますから、やるところだけ早くやって、あとは却下してもいいではないかという議論も一応ございますが、しかし先ほど申し上げましたように五年、十年の将来を考えて総体的な免許を処理したいという基本方針を明らかにしております。今免許を与えても、一年間で波が出るということはないのでございます。地方でも大体二年かかるということでございます。特に各地方ともみんな申請が出ておりまして、一部においてはもう相当話し合いも進み、また非常に感情的に対立をしておられるところもありますので、ここで却下をして二年後にもう一ぺんお出しなさいなどということは、政治的な立場から見て——どうせ一年後、半年後にはあらためて審議をしなければならない問題であれば、一番むずかしいものを解決した直後には、これらを総体的に片づけたいという考えでございます。
  60. 森本靖

    ○森本委員 それで、私の方は簡単に要点をついていきたいと思いますが、そうすると結局今度の免許は第二次ということになると思いますが、第二次、第三次というように分けてやらずに、第二次で全部一挙に解決をつけるという方向の免許のやり方をやるわけですか。それとも、先ほどから私が聞いているように、第二次は来年度波が直ちに出るところ、第三次はそうでないところというふうに区切ってやっていくのか、その点をはっきりして下さい。
  61. 田中角榮

    田中国務大臣 私としては一挙にやってしまいたいと思います。ということは、一番むずかしいといわれる大阪、関門地区等をまっ先にやりたいということでありますので、むずかしいところが片づくとしたならば、比較的にやすいところは自動的に片づくのではないかという考え——私もまだ中へ入っておりませんから、どっこいそうはいかぬぞということで、しろうと大臣がいじめられる場面が出てくるかもしれませんが、私は今までの事業的な経験からしてもむずかしいものを先に片づけるということでありますので、軌を一にする問題については一挙に片づけられるのではないかと考えます。だからしいて分けるとすれば、第一段階ではむずかしいものをやりたい、第二段階ではその方針で比較的楽にやれるものを一挙に片づけたい、こういうことを考えておるわけであります。新聞などの報道では、八月にむずかしいものをやって、九月にみなやるのだということが報道されているわけでありますが、それは目標であります。そういう目標でやっても、先ほど申したようにまだほかの問題でいろいろと懸案の問題もありますので、そういうものをひっくるめて十一月の臨時国会前に何らかの成案を得るということになりますと、大体テレビの問題は九月か十月の初めまでに片づけなければ困るのではないか、こういう見通しでございます。
  62. 森本靖

    ○森本委員 そうなって参りますと、大体この輪郭というものは、まず最初には関門、それから大阪、名古屋というふうな比較的大きなところを解決をつけて、そうしてそのあとで一挙に全国的に解決をつけるという方針である、こういうことですね。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 できるだけそういたしたいということでありまして、関門にぶつかってみ、また大阪にぶつかってみたときに、それが十月一ぱいかかるという見通しがつけば、比較的に楽なものを免許を与えるということもあり得るでありましょうが、私は態度をはっきりしておりますので、一番むずかしくても片づけて参りたいという考えでございます。
  64. 森本靖

    ○森本委員 これ以上は行政的な問題でありますので私は深く質問もいたしませんが、ただお聞きしておきたいことは、八月の二十日、九月の十日という問題が今大臣から出ましたが、この八月の二十日、九月の十日ということは、全国的な申請者に対する調査の収集がこれで終了するということですね。たとえば本省なりあるいはまた電波監理地方当局からおそらく調査に参ると思いますが、そういう調査に実際に行って、その調査の収集が全部これで完了する、こういうことですね。
  65. 田中角榮

    田中国務大臣 事務当局の原案として第一次が八月の二十日、第二次は九月十日に全部まとまる予定であります。
  66. 森本靖

    ○森本委員 そうなって参りますと、そこでいよいよ問題になりまするのが免許の基準でありますが、この免許の基準というものを一体どういうところに置くか。これはいろいろの通信等を聞いてみますと、免許の基準というものは、一つの内規的なものを一応郵政省の中にこしらえて、そうしてその基準によってやるというような意見が聞かれますが、もしそういう免許の基準というようなものをこしらえるということになれば、これはそこにあるところの根本基準だけではとても問題にならぬ。その根本基準でなしに、根本基準に基いたところの郵政省の免許基準の内規ならば内規というようなものをこしらえるのかどうか、そういうことを一つお聞きしたいと思います。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 これは百社に全部共通する免許基準を作るということは、こまかい免許基準はできないと思いますが、御承知通り電波法及び電波法施行規則に非常にはっきりと、免許を与える場合に調査をし条件としなければならない条項が明記してございます。しかもこれが百社が同一の個所をねらっておるのではなく、一つのものに対して多くて三、四社でございますから、少いのは二者択一、二者のうちどっちかでやらなければならぬという工合に、百社とはいいながら、一つずつ見ますと比較的すっきりとしておるようでありますので、バスの免許を与えるときの競願というものと比べて、そういうものよりもまだ少しはっきりしているようであります。特にこれは先ほど申し上げましたように、公けの波を公けに使わなければいかぬという目的が非常にしぼられておりますので、これに適合するような組織を作らせ、場合によっては、その組織を作れという命令に反した場合には免許を与えないということもあり得るのでありますから、比較的にこちらのつける条件によっては非常に強いものができる、また電波法の精神に合致をするものが作り得るのだということでありますから、大体電波法及び施行規則の精神に反しないような方針をとればいいのではないかという考えであります。ただ一律の基準を作るというと、新聞を入れてはいかぬとか、新聞でなくても、何%以上資本構成があってはならぬとかいうことは非常にむずかしい問題でありまして、こういう問題はあらためて原則を作るということを考えておりません。特に大阪、関門、東京等にすでに前大臣が先べんをつけて下さったので、こういうものよりもなお時期的にも十分時間がありますから、皆さんに、また国民に納得をしていただける免許をいたしたいという考えでございます。
  68. 森本靖

    ○森本委員 むろんその基準に合致した形において免許をやるということは当然でありますが、ただそれに基いて郵政省が今回の免許基準というものを、たとえば今回の東京におけるところの教育テレビの問題等については、新聞等で見た場合に、おそらく一応その番組内容はどうでなければならぬというふうなサゼスチョンをしておるはずです。あなたの方が免許の基準というものを考えて、この申請者に対するところのものを判断をする場合に、そういうところの内容にまで立ち入って行うのかどうか。すでにそういう実例が出ておるので、そういう格好をどう処理するのか。そういう場合には、この局はこうだとか、あの局はこうだとかいうようなことでなしに、一応番組の編成の基準なら基準というものをどういうふうに置くのか、あるいはまたその資金編成等についてもどういうふうにこれを見るのかという、一つの基準のようなものをこしらえると思うのです。そうしてその基準に合致するかどうかということと、またその土地々々の特殊な状況によって判断をする場合が出てくるけれども、一応電波監理局としてはそういう内規的なものをこしらえざるを得ないと思うのですが、その点どうですか。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、予備免許を与えるに当りまして、あらためて一本の基準を作るかどうかという問題に対しては、作らなくてもいいと思います。これは施行規則にもはっきりした基準がございますので、こういう大きな基準を絶対に誤まらないということで、個々に審査をして参ればおのずから結論が出る。その結論が出たものに対してある程度強い附帯条件をつけたいという考えであります。この附帯条件をつけるという問題に対して、いろいろな議論があるようであります。私は少しおかしいと思うのですが、一体法律のどこに附帯条件をつけていいと書いてあるのだ、こういうのですが、法律は公けの波を公けに使わせるという場合に万全の処置をとることは当然なことでありまして、私は法律違反、憲法違反には絶対にならぬという信念であります。国民に迷惑をかけないように、また公けの波が私的に利用せられないようにするためには、相当こまかく附帯条件をつけるのが親切であって、これは当然のことだと思います。この前の教育テレビに対しましては、その何十%は教育事項を報道しなければならぬというような事項をこちらからつけたのではなく、先方から条件を提示して了承をし、免許を与えたようでありますが、この電波法の精神を読んでみますと、あえてこういう事項を提出せしめなければならないと書いてありますが、これは向うが出さなくても、こちらから要求してもいいのだという考えを持っております。これが先行しますと、言論統制という感覚にぶつかりますので、そういうものにはおのずから限界があるのだという考えで、私としては免許に必要な事項を指示をいたしたいということでありまして、言論統制というふうに広義な解釈をする考えは毛頭ございません。
  70. 森本靖

    ○森本委員 教育テレビの問題についてはあとで聞いてみようと思うのですが、私が今聞いておるのは、その免許の基準というものをもとにして、郵政省としては今度の免許に関して内規的なものを作るかどうかということです。作らぬというなら作らぬということでけっこうだ。作らぬと言うておいて、もしあとでそういうものを作るということになると、秘密文書であってもけしからぬということになるので、作らぬなら作らぬでけっこうだから、作らぬなら作らぬと言って下さい。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 今日の段階において作るつもりはございません。ただ作るようなことがあったならば、御相談をいたします。
  72. 森本靖

    ○森本委員 今日の段階においては作る意思はない、将来作らなければならぬということになれば作る。そういうわからぬことになれば、それならどういうことになるのかさっぱりわからぬという回答であって、こういうことを今質問するのは、大臣には酷かもわからぬ、そういうことなら私はこの問題についてはこれ以上追及いたしませんけれども、しかしこれは全国の言論に関係をする人たちが非常に注目をしておる問題です。だからそういう内規を作るなら作る、こういう内規だということは公表しても一向差しつかえないと思う。作らなければ作らぬでもけっこうです。その個々の問題についてやっていけばけっこうであって、やはり大臣としては現在作る意思はないということをはっきりするならけっこうだが、その点をはっきりしておいてもらいたい。
  73. 田中角榮

    田中国務大臣 私はこういう免許を出さないうちに、もっと基本的な問題を考えておけばよかったとは考えるのです。私当時は関係しておりませんが、非常に困ったものだと思っておったのです。第一次免許を与えられる前に、いわゆるテレビの申請に対しては左の各号に該当するようにということを明らかに作っておけば問題はなかったのですが、今日百社も出てしまってからこれを作ると、特定なものをはねるために作ったのだということもいわれますので、私は自分の責任で一つ事務当局と一体になってさばこうというために、あらためてここでもって作らない、こういうことを申し上げておるわけであります。これは通産省などでもっていわゆる外貨の割当をし、特殊な物資を入れるときにも省令でもって条件を公布をしまして、左の各号に該当するものの申請を受理する、こういうことが非常にはっきりしておったのですが、これは何もそういう定めを行わないうちに百社も出てしまったので、電波法及び施行規則によってここでしぼるということは、事務的にもむずかしいのではないか。だからもう公表をしなくても、当然許可基準は電波法の精神にのっとって免許を与えるということの方がより合理的ではないか、こういう考えでございます。
  74. 森本靖

    ○森本委員 きょうは時間がありませんので、私はこれ以上この問題について質問をいたしませんけれども、そういう点については一つ大臣としても事務当局ともよく意見を戦わせてもらいたいと思う。私は最終的にはやはりある一つのものを持たなければならぬような段階になるのじゃないかと思うのですが、しかし大臣は持つ必要はないと言っておるのだから、持つ必要がなければなおさらけっこうです。  そこで問題は教育テレビという問題でありますが、これは何回もこの委員会において論議をせられた問題であります。この教育テレビの問題について前から私は言っておりますが、教育テレビをやらすならば、一応NHKという公共放送に教育テレビをやらすのが至当である。大体民間放送が教育テレビというものをやって、採算がとれるとはとうてい考えられないということを言っておったわけであります。しかし今回たまたま東京の方では一つ教育テレビに許可しようということになったようでありますが、今回許可するところの教育テレビの番組の内容はどうなっておるわけでありますか。
  75. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。教育放送が五〇%、それから教養番組が三〇%ということになります。こういうものがいいか悪いかということには非常に個人的に意見がありますが、すでに免許を与えておりますし、しかもこの条件に対しては発起人代表として免許を受ける方々が、厳密にこれを適用するということを言っております。この番組の内容に対しては相当程度強く要求しなければならないと思いますが、それもどういうふうに要求するのだということになると、そこに問題があります。電波監理局長が行って毎日々々やるということになると大へんでありますし、見ている人からこの条件に合致しているかどうかという世論調査をすることも、文化放送の例を見てもわかる通り、なかなかむずかしい問題であります。そこで初めて放送番組審議会というものが必要になるのではないかと思います。一年前に放送番組審議会を作るなどと言ったら大へんな問題になったと思いますが、こういう問題にぶつかりましたので——私が内容を調査しても適合するかどうかはなはだ不明確でありますし、これに対しては適当な機関が必要になってくるのではないかという考えであります。大阪の民放にもし教育テレビを許すということになったならば、すでに免許を与えた東京のテレビだけでなく、そういうものに対して当然何らかの機関が必要になるのではないかと考えられるわけであります。ただ現在の段階においては、どういう構成でどういう方法で放送番組の調査をしようというふうにはまだ固まっておりませんが、当然波を出すためにはかかる処置をしなければならぬと考えます。
  76. 森本靖

    ○森本委員 この教育五〇、教養三〇という問題は東京だけの特殊な問題であって残るところは大阪でありますが、将来はそれ以外のところは全部娯楽放送という形とNHK放送とこの二つになるわけですか。
  77. 田中角榮

    田中国務大臣 私はまだ事務当局ともゆっくり話をしておりませんし、審議会の方々とも意見を戦わしておりませんので、はっきりした見解を述べることは差し控えたいと思いますが、私は民放に、もう一つもう一つというふうに教育テレビの免許をして参るということに対しては、相当強い個人的意見がございます。これは私たち個人的に考えて、またいろいろ討議したこともありますが、教育放送というものはノン・コマーシャルでなければならぬという考え方からいきましても、当然NHKのような特殊なものでやるのが正しいと思いますし、ほんとうからいいますと、民放にこういうふうに大きく許可をするときには、全国のテレビをもう一ぺん再検討しなければならなかったのではないかとさえも考えております。NHKの第一放送そのものを教育放送にするという手もあるでしょうし、またもう一歩進んで教育テレビは一切NHKになさしめるという手もあるでしょうし、全然別な公社のようなものを作って教育テレビをやるという手もあるでしょうし、特にVHFはすでに一ぱいだから、教育テレビは極超短波、すなわちUHFを活用してやるべきである、こういうカラー・テレビの問題、UHFの問題、そういうものを全部考えて教育テレビというものは総合的にやはり決断すべきだと思います。私はいずれに対しても、前の大臣において東京の教育テレビが免許になりましたので、これは一つ実体を作り上げてみたい、世論の非難を受けることのないよう万全の態勢を作りたいと思いますが、これからの免許の問題に対しては、先ほど言ったように、事務当局と相反する意見も出るだろうと思いますが、またチャンネル・プランにも直接影響のある問題でありますので、審議会及び事務当局を渾然一体となって、可及的すみやかに以後の教育テレビについては結論を出したいという考えであります。
  78. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ちょっと大臣の答弁の中で、少し言葉をお聞きしておきたいと思います。先ほど大臣は、条件を付することは憲法違反でもない云々と言いましたが、許可の場合に条件を付するというのはおそらく電波法の第十四条三項の「放送をする無線局の免許状には、前項の規定にかかわらず、左に掲げる事項を記載しなければならない。」この中の第二の項目「放送事項」というこのことだろうと思いますが、それ以外に何か「条件」というような言葉を使ったものがあるかどうか。おそらくそうであろうと思いますが、この「放送事項」というのがいわゆる当局が条件を付するという言葉に合うかどうか、法律上の解釈を聞きます。
  79. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。この法律の中には、条件を付する、この条件に適合せざる場合は免許を取り消すことができる、とは書いてありませんが、「免許を与えなければならない」と書いてあります。なお三十日以内ですか何か、左の条項を満さない場合には免許を取り消すことができる、という前条を受けた条文があります。しかし、免許に当っては条件を付することができる、その条件を満さない場合には免許を与えないことができるとは書いてない。私が電波法の改正案を提出したいというのはそういうことを明確にするためで、この法律は早々の間に作られたのでそういう穴があると思います。大臣は特定の人に免許を与えて公けの波を使うのを監督することを要求されておるのでありますから、条文のないのがおかしいのであって、こういう条文がなくても、先ほど申し上げた通り通産省、農林省等ではこれよりもっと国民被害の少い事案に対しても、相当強い条件を付しております。この法律そのものが予備免許を主眼にしておりまして、予備免許を与える条件が具備された場合に免許を与えなければならないという法律でありますので、当然条件は付すべきである。条件を付してその条件に当てはまらない場合には免許を取り消してもよいのだという解釈を私はとらない。そうしませんと、今の教育放送五〇%ないし三〇%という問題がありますが、これは全然やらない場合にどうするかということになりますと、処置なしという問題になりまして、電波法に明確な条文がないので条件を付することができない、こういうことになると、今出ておる申請者の中で一体完全な条件を具備している適格者は見当らないと思うのです。こういう申請者に対してそういう条件を加味して免許して、ようやく電波法の精神に反しないであろうという状態でありますので、私は条件を付してもかまわない、こういう考えであります。
  80. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今私がわざわざ大臣にお答えを願わなかったのは、法律問題に関係しておるので事務当局の方の解釈をお聞きしようと思ったからなのですが、大臣は空中線縫いろいろの条件があることを言っているのであって、先ほどの五〇%の教育放送とか教養放送とかいうものはこの条件のうちには入らないのです。そういうことまで入れるならば、放送の中立性とか番組の干渉権というようなものをわざわざつける必要はないのです。大臣は空中線をどうするとかそういうことを言っているので、森本君が先ほど来質問しておったのは放送内容に対して条件をつけることはどうかという問題であるのに、それを一緒にしているようですから、その点をもう少し明確にしておかぬと、あなたが憲法違反であるとかないとか言われる必要はない。こう言われることは放送番組の内容に関連する問題であります。あなたの言っている条件、それは二つの内容がこんがらかっているのです。あなたの言っている条件は空中線の出力とか設定場所の問題とかいうものは、条件として当然入るわけです。放送番組の内容の問題になると、放送法の中ではこれを禁止しておるのです。しかしただ条件というかどうかわからぬが、広く言えば今言ったような第十四条の第三項の第二の放送の事項、おそらく電波監理局の方では教育放送を五〇%、教養番組三〇%ということを認めたゆえんのものは、この放送事項に照らしてこれを認めておる。これをしも実質は電波監理局が指導してお前の方は五〇%の教育番組を組まなければ——あなたの方から言えば教育放送五〇%、教養番組三〇%ということはこの法律の上から言えないのであるから、向うの方から内面指導で出してきたのを、あなたの方はお前の方はやるといったからこれを承認するぞ、その放送事項の変更があった場合には将来これを取り消すぞ、こういうやり方をやっておる。その点を大臣が間違って答弁せられますと、今後これから何十というテレビ局の認可をしなければならぬのでありまして、そこで私は老婆心ながら法律的な解釈を明確にしておきたいし、また大臣が誤まりのないようにしておきたいということで明らかにしたのであります。従ってこの点は将来大臣放送番組の内容についても政府が干渉し得る余地を残そうという法律改正をしようというなら別問題でありますが、現行法ではそれはできないということを一つ十分に考慮願わぬと今後の審議に差しつかえますから、この点を明らかにしてもらいたい。
  81. 松井政吉

    松井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 松井政吉

    松井委員長 速記を始めて。原茂君。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 時間が非常に迫ってきたようですから、大臣の御答弁をいただきますが、一つ簡潔にお答え願って、問題はあればあとでまたゆっくり審議をしたいと思います。  前大臣のときからも申し送ったのですが、今の政府の経済政策の転換からする電電公社の六十億削減は、これは財政措置として行うことになったのだそうですが、これに対しては現在どういう状態になっているかを一つ大臣から承わりたい。
  84. 田中角榮

    田中国務大臣 六十億を削減すると昭和三十一年度の九五%になりますから、三十億程度以上復活したいということを大蔵当局に申し入れてあります。三十億程度復活というよりも、繰り延べの要請でありますので、両省の間に話がつけられるという考えでございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 今の大臣の答弁は最小限度三十億くらいまでは復活は間違いない、こういう見通しだということですね。
  86. 田中角榮

    田中国務大臣 大蔵大臣には三十億を使うからということを一方的に私の方で強く申し入れてありますから、使うつもりであります。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣の力に期待するより仕方がないので、一つ大いに突っぱっていただきたい。  それから次にお伺いしたいのは、御承知のように台風第五号ですか、あるいはその後東北地方に起り、西九州がああいう状況になる。新潟、秋田、あっちの方も最近またやられたようですが、名古屋岐阜もやられるというように、次々に災害が起きていくのです。私、党で災害対策の方をやっておるものですから、これは一つの私の提案で、大臣の基本的なお考え方だけをお伺いしておいて、必要があればまたゆっくりやりたいと思うのですが、今の災害には間に合わないでしょうが、お年玉はがきの中の社会福祉のための加算金の条項がありますね。これと同じ趣旨で、日本のように常時台風とか冷災害を受けるような国は、そういう部分に対して、郵政省を通じての常襲災害に対する救援なり救恤といいますか、何かそういうものを盛り込んだはがき、切手の売り込みということが常時考えられてよいのではないかと思う。単にお年玉はがきだけでなくて、しかもその目的が社会福祉の増進にその寄付を仰いで使うということだけに局限しないで、今のお年玉はがきの、第二百二十四号かの法律の第五条に一項入れてでもよいですが、年末だけでなく常時発行して、——予備金を八十二億持って、国で起債に対しても特別の補助をやる、営農、つなぎ資金は出すというが、実際には次々に起きてくる災害を救援できるかというと、おそらく八十二億で救援なんかできっこない。それで早期に臨時国会を開いて実行予算なり、補正予算を組む必要があるといっても、今の段階では政府は経済政策の失敗を少しうまく手直しして、これならまあまあというところにならないと臨時国会は開けないというので、政府は逃げておるのだろうと思う。しかも今災害を受けておる人たちは非常に多くの数が苦しんでおる。これに適切な手当をしておるといっても、ほんとうは郵政省のお年玉はがきのようなもので常時準備して、厚生省その他を通じて常時適切な救援があって望ましい、こういう状態に置かれておる。しかしいろいろな法律に照らしあわせてこれがなかなかできない。建設、農林関係では自治庁がどうのこうのという。とにかく建設、農林だけの査定でも、九州に対して九月二十日でなければできないというのでしょう。それまでおっぽらかしてあるのでしょう。まるでこうやくばりみたいに飛行機でお見舞をしてみたり、あるいは何か申し込みがあれば査定をしてやろう、あるいはつなぎ融資の申し込みがあるなら、それが可能である限りはつなぎ融資を出してやろうといったような見通ししか今のところいっていない。これはやむを得ない。国の中央が法律というものに準拠して動く以上は、なかなかにさあといったときに事の手当ができない。そういうことをやるのに郵政大臣が思い切って何か考慮を願うなり、お年玉はがきと同じような常襲災害に対する救援、救恤資金といいますか、そういう意味を含めた特別な切手、はがきの売りさばきを考えるというようなことができないものかどうか。そういうお考えがあるなら一つなるべく早く、とにかく思い切ってそういう措置を講じたらどうか、そのお考え一つ……。
  88. 田中角榮

    田中国務大臣 お答えいたします。私も議員としてそういうことを考えたことはございます。それは鉄道の問題で、鉄道の建設をやる場合に新線建設の費用は切符に幾らかプラスしたらどうか、そういうアイデアとして成り立つ問題でありますし、私自身ガソリン税を目的税に変えまして皆さんのお力で道路五カ年計画及び十カ年計画を立てた張本人でありますから、そういうアイデアに対しては共鳴をするのでありますが、これはこの鉄道の問題のときでも時期尚早というので、世論に対していわゆる税と違う面で国庫収入をふやすという問題は、もう少し時期を見た方がいいのではないかというのが委員の大勢であったようでありますので、私もこれを引っ込めたのであります。私も大臣になってからそういうことを考えました。特に年賀はがきに対して、どうせ五円にするなら社会福祉といっても、当然自分の窓口で扱っているのだから、われわれも幾らかもらって基金にしたい。また人に貸せる金もあるのですから、そういうものをつぎ込んで何らかのものをやろうということを考えましたが、これは世論にも徴して慎重に考えなければならぬ問題だろうと思います。今度の九州災害等の問題に対しては、閣議でも相当活発な意見を出しておりますし、総理もみずから飛行機とはいいながら現地においでになられたのでありますので、これは早急に予備費を満額まで支出をしても、今までのようなだらだらとした救援をしない、とにかく一挙に片づけようということを申し合せておりますので、今の状態では災害に対しては応急支出を行うという以外にないのではないかと思います。郵政関係一億はすでに大体完成しておるようでありますし、先ほど電電公社の方の御答弁にも、名古屋は全部完成をしたという報告がありましたが、実際山間僻地に入ってみるとまだ完成しておらぬという、事実上の問題で相当大きな誤まりがあるようでありますが、こういう問題は早急に片づけなければいかぬのではないかという考えてございます。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 ちょっとまだ大臣の、私の聞いたことに対してイエスかノーかといいますか、多少でも考えてみようという心がまえなのか、それがはっきりしないのですが、鉄道の建設のためのそういった工事をしてみたり、あるいは道路の目的税にガソリンの税金をやってみたり、こういうことはちょっと性質が違うと思う。今日本の都道府県全部を見ると、三十数県が赤字再建団体で、一体ああいう被害を受けたときは、起債もワク一ぱいまで出したとか、交付金も許可がない限りはやれない。しかも中央においてはどうかというと、法律に準拠しなければ一銭の金も出ない。その間に一カ月なり二カ月なりの災害を受けっぱなしの空間がある。その間を何とか救援しようじゃないか、ほんとうの国民のあたたかい気持で、政府が国民気持を集めて、すぐ急速な手当をしてやろう、そのときの百円の方があとの一千円よりありがたいのですから、そういうことをするためには、私はこういった郵政あたりが思い切って発案をして、お年玉はがきに準じて、こういう考慮をどうしても払うべきだと思うのですが、どうも今のところお考えになる様子がないように見えるし、もともとそういう経験があるので、そういうことを考えたいというお気持なのか、そういうところをはっきりもう一つ
  90. 田中角榮

    田中国務大臣 もともと考えたのですが、現在の状況では非常にそういうことをするのはむずかしいのではないかと思います。しかしお年玉はがきの問題で、全部五円にするということになりますと、非常に大きな金ができます。七億という金もできますから、応急復旧費というのではなく、いわゆる日赤等を通ずるものに対しては、もっと機動性のある大きな品物を贈ったらどうかということであるならば、これは法律改正を提案したいと思いますから、その場合に、社会福祉というだけではなく、まくらに、災害を受けた場合の応急救援というような条項を書き加えることによって可能になると考えます。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 可能であるし、そういう範囲ならばできそうだというふうな大臣の見解ですね。ですからできるだけ私どもも協力しますが、一つこれはなるべく早期に一生懸命に考えてみたいと思いますので、事務当局にも一つ考えさしてもらいたい。党は党で考えます。  それから次にお伺いしたいのは、これはやはり前の大臣のときから問題になっておるのですが、切手あるいは印紙の売りさばき手数料の問題ですが、これはお聞きになっておられると思いますが、やはりこれでは非常に不合理だ、当然今日の段階では改正しなければいかぬと思うのですが、改正する御意思があるかどうか。
  92. 田中角榮

    田中国務大臣 この問題に対しては事務当局で検討中でありますので、次の委員会くらいに何らか御答弁申し上げたいと思います。
  93. 原茂

    ○原(茂)委員 改正の意思があるかどうかをそれでは次の機会にお伺いしたい。  それから最後にお伺いしたいのは今のテレビの予備免許の問題ですが、大臣は何かむずかしい問題を先に片づけて、しかる後に楽なやさしい方をやろう、こういうふうな先ほど御答弁があった。百数十社にわたるこういったものが全国に申請が行われて、競願が行われて、そうして大臣もちょうど言われたように、いたずらな紛争や摩擦が起きている現段階において、当局から見たり、あるいは私どもが見ても紛争あるいは摩擦がなくて済みそうだと思うようなことが、実はやはり当事者になると、いたずらな摩擦、紛争をつい疑心暗鬼でやっている。大臣がちょっと言われたように、とても大臣商売はできない、うるさくて……。ことほどさように何でもないと思うようなところまでが、いろいろ疑心暗鬼を起してやっている。ですから私はむしろむずかしい方をおやりになることはけっこうだが、むずかしいのは長期の時間がかかる、むずかしいものが終ってから楽なものに行こうというのは、いたずらに摩擦、紛争をその間に激化させるおそれがあるから、やはり楽なものがあるなら当然許可できる、早期にできるものがあるなら早期にそれを同時にやっていったらいいのじゃないか、許可していった方がいいのじゃないか、その方が紛争とか摩擦が少くて済むし、やはり時間の上からいっても非常に合理的であると思うので、むずかしいものにばかりむきになって——われわれ若い者はいつもそうですが、そういうことで力んでいるうちに、楽な方はいたずらに待たされて、紛争や矛盾を起さないようにという考慮もお払いになっていただいたらと思うのですが、どうですか。
  94. 田中角榮

    田中国務大臣 お説は非常に常識論であって、そうあるべきだと思います。しかし私の考えでは、むずかしいというのは私が考えてむずかしいというのでなくて、俗に考えて、混乱してはならないというようなところがありますので、そういうものを初めに手がければあとは自動的に行くのではないか。先ほど申しましたように、第一段階、第二段階というから、そうじゃない、大体一、二カ月のうちにみな片づけるつもりであるということを申し上げたのでありまして、特にむずかしいところを先へやって、今でもできるものを延ばそうという考えではありません。
  95. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点、このテレビの、先ほどお聞きしていますと、調査を八月二十日、九月十日までには終るのだ、こういう話でした。調査の終るということは、調査の基準といいますか、何か調査をするからには、調査した結果競願の二社なり三社なりを比較検討して、どこが一番適当だと判断する何かを当局が持っていなければ調査をする意味がない。全然何もないのだけれども調査しているのだ、出てきたら何か考えていこう、こういう態度ですか。それとも調査をするからには二社、三社のいろいろなものを取り上げた結果、これに合っていたらやろう、こういう何か基準といいますか、心がまえというものが当局にはおありになるのか。あっても、きょう聞こうと思いません。おそらく聞いてもじゃまになるでしょうし、お逃げになるに違いない。だから聞きたくはありませんが、そういうものがあるのかないのか、なければ私はおかしいと思うのですが……。
  96. 田中角榮

    田中国務大臣 もちろんございます。
  97. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで今度は、もっとこまかい点をそれに続いて聞きたいのですが、こういうことが行われているのです。現在ラジオを経営しているところは、定款にもちろんあるから、商法上の違反じゃないのだが、テレビの免許のおりないうちにテレビのための増資として一億なら一億の金を集めて実際に握っている。ところが新しくテレビだけをやろうとするところは、仮免許がおりないと、株の募集ができない、実際に株が持てない。こういうようなことは実際上不合理ですね。商法上適法であるかどうかということよりは、今免許を受けようとするときに、基準に合う事業でありながら免許がおりないのに、片方ではたまたまラジオ会社の定款の中に、やがてテレビをやることができると書いているから、株の募集ができて、金を握っている。新しくやるところは募集ができないというのを見て、当局は、片方ではもう金も集めて準備しているじゃないか、片方はまだ何もやってないじゃないか、こういって差をつけることは不合理じゃないか。もう一つは、やはり過剰の自信もあるでしょう、当然おれのところは許可が来るのだというので、人員をとにかく採用している。これはテレビ用だ、しかし会社ができていないのだから、今のところはラジオ会社に置くとか、あるいは設立準備事務所に置いてあるのですが、おれのところに許可が来るのにきまっているのだというので、人間を採用して、私のところはもと郵政局におったこういう人を置いておりますとか、あるいはかってどこそこの局にいたこういう人がおりますとか、あるいは民間のテレビ会社で非常に苦労をしてきたこういう人を置いてありますというように、人がだいぶ集まっているところもある。そうすると、あそこはもう人をちゃんと集めているじゃないか、入れているじゃないか お前の方はまだ人がいないじゃないかといったようなことや、今の資本金が株式の募集が行われている、行われていないということで、今言ったようなことが調査するときの条件で、片方に有利、片方はまだ金も集めていない、人も集まっていないじゃないかというようなことで、そこに許可しないというような基準を設けることは私不合理だと思うのですが、この点はどうですか。
  98. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいまお話しになったようなことが各所にあるようであります。もうすでにラジオ会社で一億円の増資を完成して積み立てておる、なお技術屋を養成しておるということもありますが、これなるがゆえにこれが絶対条件になって、ここに自動的に免許がおりるということは絶対ありませんから、一つお間違いのないようにしていただきたいと思います。特に予備免許は、それが与えられたならばこういうふうな計画で行いますというのが原則でありますので、予備免許を与えるときに私の方でもいろいろな条件をつけるでありましょう。先ほどは放送事項に対する条件だけを非常に強く出しておられるようですが、私はそうではないのです。資本金はこうしなければならぬ、人的構成はこうしなければならぬ、新聞社が一〇%以上持ってはいけないとか、これは仮定の問題でありますが、予備免許を与える資格について相当な条件が法律にあります。第五条等に日本の国籍を有しない人とか、罰金あるいは懲役刑を受けてから何年間経ない人とか、非常に強い条件があるのです。これを具備するということを条件として付しますから、そういう場合には、二億かかるところを今まで一億も金ができておるのだから、当然私のところだなどという議論は首肯できないのでありまして、これから予備免許を与えて後その条件を満たして、公けの波をほんとうに公けに使っていけるかどうかというのが条件でありまして、既成事実をもとにして免許を与えるというような不合理はいたさないつもりであります。
  99. 松井政吉

    松井委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後四時十二分散会