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1957-08-13 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月十三日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 淺香 忠雄君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    杉浦 武雄君       内藤 友明君    中山 榮一君       古川 丈吉君    有川 輝武君       石村 英雄君    春日 一幸君       神田 大作君    横路 節雄君       横田 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  委員外出席者         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純大君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    磯江 重泰君         農林事務官         (畜産局酪農課         長)      松田 壽郎君         食糧庁長官   小倉 武一君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社理         事         (生産部長)  西山 祥二君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 八月十三日  委員北山愛郎君辞任につき、その補欠として竹  谷源太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件  専売事業に関する件
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  この際、日本専売公社総裁より発言を求められておりますから、これを許します。
  3. 松隈秀雄

    松隈説明員 私は、去る六月二日入間野前総裁の跡を継ぎまして、日本専売公社総裁に就任いたしました松隈であります。専売事業のことにつきましては、いるいる御審議にあずかることが多いと思うのでありますが、今後何分よろしくお願い申しあげたいと思います。  簡単ではありますが、ごあいさつを申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 山本幸一

    山本委員長 税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件及び専売事業に関する件について調査を進めます。神田大作君。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 私は、この前専売公社方々に対しまして、収納代金の問題についてお尋ね申し上げました。きようは、八月中に収納代金価格方針をきめるということでございますので、もう日にちもないようでございますから、本年度の葉タバコ収納代金に対する御方針が大体見当がついたろうと思いますので、その問題につきまして、総裁の御意見を承わりたいと思います。
  6. 松隈秀雄

    松隈説明員 本年産の葉タバコ収納価格につきましては、近く決定を見る見込みでございますが、まだ具体的決定までに至っておりません。従って大体の方針をお話し申しあげる程度で御了承願いたいと思うわけであります。  収納価格算定方式につきましては、従来と同様に、農業パリティ指数を中心といたしまして、葉タバコ生産地米麦等農産物価格との均衡というようなものを考えて、決定いたしたいと思っております。近く収納価格審議会の議を経て決定いたしたいと思って、目下資料を収集中でございます。
  7. 神田大作

    神田(大)委員 大体その程度の話は、この前聞いておったのです。この前、私は葉タバコ収納代金というようなものは、労働者でいいますれば賃金、ほかの農産物でいいますれば米価——米価決定にいたしましても、米価審議会の議を経て生産者意向相当慎重に考慮しながらきめる、あるいは賃金等におきましても、労働者使用者側とが対等の立場に立って交渉を持つ、こういうように、自分労働に対する適正なる報酬というものに対しましては、ほかの機関におきましても、相当慎重な考慮を払っておるのでございますけれども、今まで葉タバコ収納代金というものは、専売公社の一方的な査定によってきめられておった、農民は、これに対して何らの発言権も持たない、そうして、言われるままに買われる、そういうようなやり方をぜひ私は改善して、この葉夕バコの収納代金に対して生産者側意見を十分に入れて、そうしてその労働相当する適正なる賃金によるところの収納代金というものをきめるべきものである、こう思うのです。そういう点について専売公社総裁はどうお考えになりますか、お尋ね申し上げます。
  8. 松隈秀雄

    松隈説明員 収納価格決定に当りましては、収納価格審議会の議を経て決定するということは、先ほど申し上げた通りであります。この審議会に付議することによって、ある程度生産者意向も反映できると思うのであります、それから具体的な収納に当りましては、鑑定官二人が立ち会いましてこの公正な意見によって決定しておりまするし、異議がある場合には、異議申し立てということも認めておりまするので、全く専売公社の一方的意思でのみ押しつけると、こういうことは言えないと思うのであります。もっとも価格決定というようなことについて、他のたとえば米価決定の場合のような法律に基く審議会を設くべきかどうかということにつきましては、御承知通り、前国会においても議論が出たところでありましてこれらは、法案については継続審議になっておるように了承しておるわけでありまするが、今後の御審議、成り行きに持つほかないと思っております。
  9. 神田大作

    神田(大)委員 総裁は、審議機関に諮るとか、その他のいろいろな方法で公平なことをしておると言われますが、今までの葉たばこ収納価格審議会というものは総裁諮問機関であって、われわれ今までの審議状況を見まするというと、もう専売公社でもって幾らに買うんだというような大体の基本線をきめてきて、そうしてそれを納得させるといいますか、それをただ諮るというにすぎない、これが果して民主的な価格決定方法であるかどうかといことに対しましては、大きな疑問があると思うのです、また収納に際しましての鑑定の問題ですが、これは、不服があれば異議申し立てるということでございますけれども、今まで異議申し立ててそれか通ったということは、おそらくない。というのは、通らないようにできておるのです。いわゆる標本というものが高めにできておりまして、農民異議申し立てても、それは通らないような仕組みになっておる、また異議申し立てるために莫大な費用もかかる、収納代金もその間もらえないということで、異議申し立てない、そういうことをして専売公社に憎まれると、耕作ができないだろうという、そういう事大主義的な思想の強い農民は、異議申し立てをしない、そういう意味で、専売法にはうたっておりますけれども、から証文になっておる。そういう点については、われわれはこの前の国会において、専売法の一部を改正する法案でこの価格の問題あるいは鑑定の問題、あるいは標本作り方等について、われわれの意のある法案を出したわけでありますけれども、不幸にしてこれは審議未了になった。しかしながら、私たちはそのような前時代的なやり方——少くとも物を売る場合においては、売る者と買う者とが対等の立場値段をきめるという原則を貫く民主的な方法をとって、農民がいつまでも専売公社権力のもとに、いつもへいへいとして自分の思うことが言えないというようなやり方を、この際私は改善すべきじゃなかろうかと思うのです。これは、そうではないと皆さんは言うでありましょうけれども、たとえば自分タバコ鑑定してもらう場合に、買う方の側である専売公社の人が、これは一等である、これは二等であるとかきめる、値段専売公社方々が、これは幾らである、これはことしは幾らにするというようにきめる、標本も、専売公社のお役人の鑑定官方々が、これは一等標本である、二等標本であるときめる、そうして農家は陳情といいますか、お願い程度のことでございまして、どうかこれを一等標本にして下さい、どうかこの価格幾らにして下さいというようなお願い程度しか通らない。民主主義が唱えられておる今日において、こういうような専売法というものは、時代おくれもはなはだしい、それを今日まで改正されておらないということが、まことにどうも不思議な話であると思う。そういうことについて賢明なる総裁は、そういう問題は最近世論がやかましくなってきておることでございますから、相当見解をお持ちであろうと思いますので、その点について、いま一度御見解を伺いたいと思います。
  10. 西山祥二

    西山説明員 お許しをいただきまして、ただいまのお尋ねに対してお答えを申し上げたいと思います。  まず価格審議会のあり方でございますが、価格審議会が戦後初めて設けられましたのは、昭和二十七年のことでございます。自来毎年価格決定に当りましては、この審議会の議を経まして、最後的に決定をいたしておるのであります。なお審議の過程におきましては、いろいろ立場あるいは見解の相違もございますので、必ずしも結論が一致するとは限らないのでありますが、常に公社が一方的に既定の方針を押し進めるという事例はございません。現に昭和二十八年のごときは、当時天候不良のために、相当減収でありましたので、平年作を基準にするところの価格算定においては無理があるという審議会の御意見を尊重いたしましてある程度の修正をいたした事例もあるのでございます。今後われわれといたしましては、現行法のもとにおいては、従来の審議会の議を経て価格決定いたすよりほかに道がないのでありますが、御承知のごとく、最近産地よりの、要望もいろいろございますし、先般政府提案として専売法改正を御審議願うことにいたしました経緯から考えましても、近い将来におきましては、より理想的な審議の経過を経て、この決定を見るものと信じております。  次に標本の問題でございますが、標本は、収納の際における基準となるものでありまして最も重要な意義を持つものでございますが、これの決定に当りましては、毎年本社に各地方よりあらかじめ提出いたしました標木査定の際に、産地側相当数代表者が参加せられまして、種々意見を交換し、了解を求めた上において決定をいたしておる実情でございます。  次に、鑑定の問題でございます。これはお説のごとく、一見いたしますれば、買う者が一方的にその等級を格づけすることの不合理があるように見受けられるのでございますが、実情におきましては、さような誤解なり懸念を避けるために最善の工夫を払っておるのでございまして、すなわち鑑定に出しますとこらのタバコ耕作者の氏名は、番号によって整理をし、また鑑定には、熟練いたしました二名の技術員が、それぞれ単独に秘密投票によって等級決定いたしまして、その両者の一致するのをもって最後的に決定をいたすという方法をとっておるのでございます。農産物の検査は、ひとりタバコに限らず、他の農産物においても行われておるのでありますが、やはり大体において、現在われわれがとっておると同じような方式をとられておると承知いたしておるのでございまして、この点も御了承をいただきたいと考えます。
  11. 神田大作

    神田(大)委員 時間もありませんから、簡単にしますが、生産部長は、今やっておるのでいいんだ、何も間違いはない、こういうようなことでございますが、これは、自分がやっておることは、あなたたちは一番いいとお思いでしょう。しかしながら、法的に私は大きな欠陥があると思うのです。というのは、価格をきめる場合に審議会にかけるのですけれども、審議会は何らの権限もない、何らの権限もないものをただ参加させることにすぎないのだからしてこれに対して法律的な保障も何らされておらない、総裁がこれをただ内申程度に、諮問機関として認めておるだけだから、そういうものにかけたからこれは民主的に正しいものであるという理屈は、私は成り立たないと思う。それから標木を作る場合も、みんなの意見を聞くということでございますけれども、これに対しても、専売公社がこれを定むということにこの法律できまっている、それで、農民は、こんなことはひどい、この標本一等じゃないかと、心配だから押しかけていってわあわあ言うけれども、専売公社は、これは二等だといってきめる、ところが農民は、耕作者は何らの権限もない、あるいはまた鑑定にいたしましても、これは一等である、二等であるときめても、これに対して農民異議申し立ての道はあるけれども、実質的にはこれは効果がないのでありますからして、これも、米が同じじゃないかといいますけれども、米の場合は、価格がてんで問題じゃない、米の場合は、一石に対して一等級違っても二百円くらいですが、タバコの場合は、一キロ当り大体八十円も百円も違う、たとえば五十俵の米を売るにいたしましても、五千円か八千円しか違わない、ところがタバコの場合は、一反歩でもって、等級が違うと一万円も二万円も違う、あるいは三反歩作っても、三万円も五万円も違うのでありますから、米の等級の問題とタバコ等級価格差というものは、非常な開きがあるのです。だから、米なら一等級ぐらい下げられても何でもないけれども、タバコでもって一等級下げられると身上にさわるのです。大へんなことになる。そういうふうに、タバコに対する鑑定というものは、農民に対して経済的に重大な影響を及ぼすのでありますから、これは米と同一視されては困る。そういう意味合いにおきまして、私は、生産部長はこれでいいんだという答弁でございますが、そういうことに対して、どうも私はそういうやり方では、生産部長さんのような人ばかりがいれば問題がないかもしれませんけれども、しかし人間だからそうはいかぬ、いろいろ感情もまじることもありますからして、間違いも起す。そういう場合において、ちゃんと法律でもってきちんと民主的にやれるようにきめるのが、これが正しいのじゃなかろうかと思うのです。だから、今までのやり方でいいのだというようなことに対しては、私はどうしても納得できませんが、この点について再答弁を願います。
  12. 松隈秀雄

    松隈説明員 私からお答えを申し上げます。神田先生の御意見方針としてはまことにごもっともなんでありまして、世の中がだんだん民主的になって参りまするにつれて従来官庁とか公社とかいうようなものが、一方的な押しつけをしようといたしましても、実際の問題としては、なかなかそう簡単には押しつけられるものではない。公社といたしましても、時勢と逆行したような行政はできないはずでありますので、時勢に従って、現行法のもとに最善を尽すべく努力をしておる、そのことを生産部長が申しあげたと思うわけであります。御注意の点は、今後われわれの方もいろいろ会同を催すことがあるますから、そういう際に御趣旨を徹底するようにいたしたい、かように考えております。なお、将来の正法としてどういう形をとるかということは、これは国会最高機関でありますから、国会の御審議に待たざるを得ないわけでありますが、われわれといたしましては、現行法のもとにおきましても、なおかつそれが不十分なところがある。あるいは時代に合わないということで改正案があるということは、少くとも頭に置きまして、しかしわれわれは、あくまで現行法に従わざるを得ない、その運用において精神を生かす、こういうことで参るほかはないと思いますので、ぜひ御了承願いたいと思う次第であります。
  13. 神田大作

    神田(大)委員 価格の問題について、この前いわゆるパリティ指数によって価格決定しておるといわれますが、このパリティ指数基礎としたタバコ収納価格やり方を見てみますると、単なる二十五年、二十六年の総合のパリティを、価格基準としてそれにパリティ方式による計算でもって出しておったけれども、ここで二つの大きな追加すべき問題が私はあると思う。というのは、いわゆる二十五年、二十六年度の資材投下量と比べて、今日農家が投下しておる資材量というものは相当ふえておる、いわゆる資本投下量計数ですね、変化計数が載っておらない、それからいま一つは、この前に申しました都市農村生活水準ギャップ、これが載っておらない。これは、米の場合は資本投下量変化計数と、それから都市農村生活水準ギャップは、二十五年のころの農村生活と今日の生活とは非常に違っておる、その計数も、これは出るわけです、これは、米の計算のときに出ておる。この二つ計数が載っておらないから、私は、このパリティによるところの計算において、タバコの場合はこの二つが除かれておるから、これをやはり載せないと、パリティ指数による計算といたしましても、私は妥当でないと思う。私たちは、何もパリティ指数ではなく、生産費補償方式でもって、耕作農家生産に要したところの費用、その再生産費をカバーするだけの価格というものを出すべきだろうと思うのでございますけれども、専売公社さんは、それができないという話でございますが、もしできないとするならば、私はパリティ指数における完全な実施によるところの、この二つ計数を加えなければ、適正なパリティ指数によるところの価格であると言えないと思う。  このほかいま一つは、いわゆる米の場合はバック・ペイといってその月にとった基準——たとえば米の場合は、六月を基準としますから、六月ごろの場合の物価上昇率バック・ペイするわけです。そういうこともこれはやっていない、そういう意味合いにおきまして、私は、もっとこれは精密な計算のもとにやらなければ、完全なパリティ指数による価格であるということは言えないと思うのですが、そういう点を、今度の価格決定に当って計算に入れるかどうか。あるいはまたわれわれが主張しておるところの生産費補償方式によって——私がこの前も申し上げました通りに、大体タバコを作る人の一日の手間は、百五十円あるいは百八十円くらいです。今、都会の労働者は、少くとも四百円から五百円です。私は農村における百五十円や百八十円の賃金というような低賃金は、これでもって満足するものじゃないと思います。そういう矛盾をなくするために、生産費補償方式によるところの価格方式をとって、そうして価格をきあるべきであると思うのでございます。その点と、さっき私が言ったパリティ指数に上る価格をきめる場合に、こういう抜けている点に対してどういうような御見解であるか、お尋ねしたい。
  14. 西山祥二

    西山説明員 ただいまお尋ね算定方式についての問題でございますが、御承知のごとく、従来一般農作物におきましても、パリティ方式を採用いたしておりますので、タバコにおいても、同様な方式をとっておるのでございますけれども、その方式自体において、御指摘のごとき欠陥があることもまた事実でございます。すなわち生産構造変化によって、基準年次をそのままスライドすることに問題があるという御意見等は、ごもっともと考えるのでありますが、われわれといたしましては、従来も、ひとりパリティのみを算定基礎として最後的に決定をいたしておるのではございませんで、たとえば対麦均衡、あるいは小麦価比等相当の調整をこれに加えて最後的に決定をいたしておるのでございます。先日も申し上げました、農産物価格対策協議会というものが昭和三十年に内閣に設置せられました際の答申といたしましても、価格算定は、パリティ方式を主軸として、これに生産費需給状況その他の、要素を勘案して決定するのが適当であるという御意見がございます。また他の農産物との価格均衡を考えて決定をいたすべきであるという御意見もございますので、極力その趣旨に沿うべく検討を加えておる状態でございます。従いまして、今年の価格算定にいかなる方式を用いるかは未だ決定もいたしておりませんが、従来非常に他農産物との価格均衡を考えることによりまして、ただいま御指摘生産構造の問題、あるいは消費水準問題等も含めて考慮するという方向に持って参りたいと考えておる次第でございます。
  15. 神田大作

    神田(大)委員 タバコ耕作農民にとって価格の問題は非常に重大な問題でございますので、いろいろほかの農産物物価とにらみ合せてきめるのだというようなことでございますけれども、一番問題は、この前の委員会のときも私が指摘した通り生産費調査におけるところの農家賃金です。耕作農民賃金というものは、さっき申しましたように百五十円か百八十円、そういうような統計が出ているわけです。そういうような低賃金でもってタバコ耕作をやっておらなくちゃならぬというのでございますから、タバコ耕作農民というものは、いずれも零細農あるいは小農です。反別も非常に少ししか作っておらない小農でありますし、ほかの作物を作ろうとしても作れない。小反別でもってたくさんの収益を上げる意味合いにおいて、タバコを作らざるを得ないという立場です。低賃金であってもやむを得ずそれを作っておる。そういうように恵まれない農民でありますから、これは、一つそういう生産費というようなものを考慮いたしますると、私はもっと収納価格を引き上げなければならぬと思う。ところがほかの物価とか農産物とかいうような理屈をつけて、これを引き下げようとしておるように見える。去年の場合は幾らか下った。ことしの場合は、私は少くともパリティも上っておるのでございますから、去年よりも、これは大幅に引き上げてもらわなければならぬと思うのでございますけれども、いずれにいたしましても このタバコ収納価格の問題は、法的にはなるほど専売公社がきめることにはなっておりますけれども、一つ農民代表、あるいは学識経験者を入れて、慎重に、みんなが納得するような価格でことしはきめてもらいたいということを強く要望いたしておきます。もしわれわれが納得できないような価格であるとするならば、これは、農民大会なり何なり、あらゆる方法をやって皆さんがそういう弱い農民から専売公社権力によってあくまでも安く買おうとするならば、それだけの方法をとらざるを得ないと私は思います。どうぞ、そういう意味合いにおいて、慎重なる御考慮をお願いいたしまして、あと質問があるようでございますから、価格の問題に関する限りにおいては、これで質問を打ち切ります。なお専売公社民主化問題等につきましては、後刻機会を見て御質問申し上げたいと思います。
  16. 松隈秀雄

    松隈説明員 ただいま神田先生の御要望がございましたので、一つの御意見として伺っておきます。いずれ近くいろいろな資料を総合し、ただいまの御意見も参考にして価格決定いたしたいと思っております。
  17. 山本幸一

    山本委員長 淺香君より関連質問がございますので、これを許します。
  18. 淺香忠雄

    淺香委員 この際、公社の当局に、ちょっとお尋ねと同時に、今後の方針を伺っておきたいと思いまするのは、たばこ種類はずいぶんたくさんありますが、私ども先般国政調査等地方を回りまして、そうして専売局皆さんにお目にかかって、一番不評判たばこ、売れ行き不振のたばこは何かと質問しますと、光、冨士等が一番売れ行きが悪い、こういうことを聞く。また消費者意見を聞いても、光はまずい、また冨士は日本人の口に合いにくいというようなことを申すのであります。しかるに最近ハッカ入りたばこ等をまた新たに発売されました。私は、こういう種類をふやすことも、販売政策上考えられる一つでありましょうけれども、こうした不評判たばこをいつまでも持続していくのか、将来にわたって、品目の淘汰をするのか、あるいはこうした光、富士等の内容を大衆に向くような嗜好に変えていくものか、こういう対策をお持ちになっておられるかどうか、ちょっとこの際伺っておきたいと思います。
  19. 松隈秀雄

    松隈説明員 ただいまの淺香先生の御指摘は、ごもっともな点があるのでありまして、公社としても見ておりますと、富士、光はあまり多く売れる方の部類ではございません。富士は、両切りとしては最高の価格でありますために、最近の傾向といたしましては、上級たばこの売れ行き不振、こういう大勢かしも売れ行きが伸びないのでありますが、しかしピースは比較的伸びてきておりますのに、富士が伸びないとすれば、嗜好の上で、ピースは歓迎されるけれども、富士にはそれほど飛びつかぬ、こういうふうな意見が出るのもごもっともだと思っております。それから光は、御指摘のように、やはり最近の傾向としては消費が落ちております。そこで、今回公社としては、ホープとか、みどりとかいう新種類を追加いたしましたのですが、これはそれぞれ別な目的をもって売り出しておるのでありますが、そういうことのために品種がふえたから、もう少し品種を整理すべきであるかどうか。その際においては評判が悪いといいますか、売れ行きの伸びないものを整理するのは当然の行き方かと思うのでありますが、さればといって、今直ちに五十円のたばこをなくすというようなことは、これはやはり専売益金にも相当影響して参りますし、それから光の問題でありますが、公社たばこ販売政策といたしましては、一応五十円あり、四十円あり、三十円あり、また二十五円ありといったような、段階別にある程度たばこを存置しておきませんというと、嗜好が動いたために急に下の方に嗜好が移ってしまうというようなことの関係で、中間を省略するということもなかなかむずかしい問題であります。その場合において、品質的な非難があるならば、品質の改良によってその評判を取り戻す、こういう方がいいのか、あるいは価格段階がそこのところが抜けて、歯が抜けたようになるけれども、それはやはりやめてしまうべきであるかということは、相当考えなくちゃならない問題で、現在の消費傾庁とにらみ合せつつ、十分考えたいと思っております。
  20. 淺香忠雄

    淺香委員 いま一点伺っておきます。毎年国政調査などに参りました場合、地方局長の意見としては、本社の方から押しつけらるとは申しませんけれども、割当が非常にきびしいのだ、これはいつも聞く話なんです。これは、専売公社としては、その専売益金を予算に計上しておりますから、どうしてもそれを上げるために、地方局の方への割当をしていかなければならぬかと思うのです。そこで、売れるものだけを割当するならよろしいのですが、今のような売れ行き不振のものですら相当割当をしておる、そうしてまた相当のものを販売店へ割当をしていくということで、非常に困っておるのは、究極は地方の販売店です。どうぞ、そういう点も、就任されました総裁は、十分消費傾向並びに販売店の意向なりを今後御研究いただきまして、今申されましたように、品目を淘汰するとか——もしかりにこれが民間企業ならば、おそらくは売れないたばこをすみやかに淘汰して、売れ行きのいいものに重点を入れていく、というのは、やはり売れないものをいつまでも恋々として抱いていることによって、設備も維持していかなければならぬ、それに要する人員等も配置していかなければならぬということから、企業採算上からも、売れ行きの増大する方面に重点を入れてやるだろうと私は思います。いろいろ御都合もあるだろうと思いますが、売れ行きの非常に不振なものに対しては、この際は淘汰していく、あるいは内容をさらに変えて、その売れ行き不振を挽回するというような思い切った、いわゆる消費大衆に向くようにこのたばこ政策をおとり下さることを私から強くお願いいたしまして、関連質問を終ります。
  21. 山本幸一

    山本委員長 この際、私からちょっと申し上げますが、ただいま閣議が終了したそうですから、大臣がすぐ入ってくると思います。そこで前もって申しあげたいことは、昨日春日委員から、過ぐる六月十一日の金融問題についての中小企業に対する緊急処置、これについての詳細なその後の実施状況等について、御要求がございました。今のところまだ資料が出ておりませんが、おそらく私の想像するところでは、後ほど銀行局長が参りまして、口頭で説明するのではないかと考えておりますので、その際、私の方から特に促して説明させるようにいたします。  それから大臣は、実はきょう午後一時半ごろから経済閣僚懇談会があるそうです。もちろんこの委員会が一番重要な仕事であることは、言うまでもありませんけれども、御承知の今の経済事情でありますので、経済閣僚懇談会も必ずしも軽視はできないと思うのです。従って大臣が入りましたら、、昨日質問ができなかった大平、奧村、横路の御三君からそれぞれ御質問をいただきまして、できるだけ大臣集中でおやりをいただきたいと思うわけです。大体予定を、機械的には申されませんが、一時半ごろまでに質問を終了いたしたいと思います。  それでは、このままでちょっとお待ちを願います。——それでは質問を始めます。大平委員
  22. 大平正芳

    ○大平委員 外貨危機克服のために、大臣初め御当局は大へん御心労のこととお察しするわけでありますが、新聞雑誌等の論説、解説を拝見いたしましても、また大臣初め政府側の談話等を拝見いたしましても、またきのう本委員会における質疑応答の繰り返しを拝聴いたしましても、私には何か一つわからない盲点が残されておるのではないかと思うわけでございます。私がわからないことは、おそらく私の無知のいたすところかもしれませんし、また場合によりましては、政府側ですでにそういうことを予想いたしまして、実はいろいろな手を打っているから、お前の心配は杞憂なんだという性質のものかも存じませんが、しかし今までのところ、一応はっきりとした解明を伺っておりませんので、本日大臣から直接お伺いいたしたいと思います。  それは何かと申しますと、運転資金の問題でございます。外貨危機が深刻になって参りまして、政府がとりました総合緊急対策というものを拝見いたしますと、第一は、設備投資を抑えなければならぬ、第二は、財政投融資初め、公共事業等もある程度繰り延べなければならぬというようなところが鮮明に出ておるわけでございますが、これは、おそらく輸入に連なる投資を抑制していこうという本筋のねらいであって、この政策につきましては、朝野あげて反対論がないと思うのでございます。ところが政府からいただきました資料を拝見いたしますと、去年、すなわち昭和三十一年における銀行勘定を分析いたしますと、設備投資としてふえておる純増は、千二百億円しかるに運転資金でふえた分量が七千二百四十八億円と、比べものにならないほど運転資金が多いわけでございます。これは、おそらく経済が異常な規模の拡大を来たしまして適正な運転資金量というものが漸次ふえて参ったことだろうと思うのでございますが、ところが外貨危機対策としてとられておる政策は、設備投資あるいは投資の抑制——公私の投資の抑制をしていこうというところに重点がありと知りつつも、現実に打たれておる手は、一般的な金融引き締め、そういった格好で現われてきておるのではなかろうか、それに対して、現実に経済の規模がうんと伸びて、運転資金の適正量は必要なだけは要るにかかわらず、それまでもひっくるめて、やや言葉が露骨でございますが、無差別に抑制されておるのではなかろうかというような心配をいたすわけであります。そこで、今度の金融引き締めというようなものは、一体何に重点を置いてやっておるのか、一体長期の設備資金を抑制するのがねらいなのか、それとも一般的な金融の引き締めをやらないといけない事情がおありなのか、そのあたりの感覚につきまして、まず大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今度の金融引き締めは、申すまでもなく、投資を押えていくということにあるのであります。ただいまお話のうちで、銀行勘定等を見た場合に、設備資金よりは運転資金が非常に多いのだというようなお話もあったかと思うのですが、実は運転資金の形で資金が設備に固定しておるところに、今日の金融の困難さがあるのであしまして、日本銀行で今日おそらく五千百億をこえておると思います。そして大銀行が、それならどうして困るかといえば、やはり運転資金の名において各会社が設備をしておるという、ところにあるのでありまして、しかも設備意欲がなかなか旺盛なんです。たとえば大企業等を見ますと、しわを中小企業とか、あるいはまた商社なんかに寄せる、物を受け取るが、代金は手形でやるとか、あるいはそれを延ばすとかいうようにして、そうしてどういうことになるかというと、それだけ大企業の運転資金がふくらんでおる、これを、運転資金として払わなければならぬものを払わないで、その金で設備をやっていく、そうして設備資金がまた足らぬ足らぬというような格好にあるのです。これは、なかなか実際においてむずかしいところです。それで、やはり私の考えでは、金融を一般的に引き締めるというわけじゃありません、ありませんが、こういうふうな経済の勢いを転換する場合は、どうしても一応金融の引き締め、全体的の量的な引き締めをせざるを得ません。そうして、その上でさらに具体的に実際の設備をこれだけ延べてもらう、あるいはやめてもらうということをいたしまして、そうしてそれだけ資金の需要を減してあとの運転資金等を考える、こういうふうな段階に持っていこうと努力をいたしておるようなわけでございます。
  24. 大平正芳

    ○大平委員 その金融的な手段でもって規制していく場合に、大臣がおっしゃるような技術的な困難さ、限界があることは私もよくわかるのでございますが、一体運転資金が設備資金に化けて、これが長期的になってきているというようなことぐらいは、あるいは商社金融を通じて、それが設備に回っているというようなこともよく聞くわけでございますが、その程度のことは、日銀の窓口はともかくといたしまして、市中銀行の窓口におきましては、鑑別がきくのじゃないかという感じがしないでもないわけでございます。問題は、経済が非常に急速な規模の拡大を見た、それに応じて適正な運転資金が要るのだ、それで、その運転資金の疎通については、日銀信用の調節を通じて万全の措置を講じなければならぬということなんでございますが、一体経済がこの程度拡大されて、適正な運転資金量というようなものはどのくらいあれば日本の経済の連行に支障がないものかという一応の推定というようなものはないのでございましょうか、それがないと、大臣がせっかくいろいろきめのこまかい配慮をされましても、どうしても現場の窓口といたしましては、一斉引き締めという格好にならざるを得ないと思うのでありますが、ここ二、三年来の経済の急速な拡大に伴いまして、運転資金のあり方は、一体どの程度のものが確保されれば経済の運行に支障がないのであるかというような、一応の目安というものはお持ちなんでございましょうか。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そのときどきにおきまする適正な資金量というものは、これはなかなかむずかしいと思います。がしかし、特に中央銀行としては、そういう目安を持たなくてはならぬと思います。それで一応の目安としては、通貨の発行量をただいまでは最高限を六千五百億に一応考えているのであります。大体最近の発行量が六千二、三百億、あるいは月末等において若干六千五百億を上回る、こういうのもむろん経済の状況並びに経済の拡大といいますか、そういうふうなことにおいて変更を加えなくてはならぬと思うのでありますが、今のところの目安は一応そういうところにあると思います。私がこの運転資金について申し上げたいことは、運転資金は、ほんとうの物の取引に伴う運転資金という意味においては、これは欠かさないようにしなくてはならぬということを心得ております。ただ運転資金の名においてほんとうの物が動かなくて、たとえば非常な滞貨を持つ、見込みが違ったものだから滞貨がある、一つ金融しておけというのも困る。これは正常な運転資金に入らない、むしろ救済資金というふうになりはしないか。また滞貨といっても、ただ物が多いからすぐに滞貨というのも適当ではないだろう、物には需給の時間的なずれがある、将来すぐに消費に回るようなものでぜひそれが必要なもの、それか今たまたま一時滞貨になっておる、これを滞貨というかどうか、よほど疑問があると思いますので、そういうふうなところも詳細にしまして、そして運転資金については、なるべく金融をつけていく、こういうふうな構想で、これは自然個別的な行き方にどうしてもある程度ならざるを得ません。従って今日いわれています黒字倒産、経営もいい、資産もいい、しかし金繰りのずれのために手形の払いがあるときにできない、そのために倒産をする、そういうことは絶対にあらしてはならぬ、そういうふうな指令で銀行の窓口等がやっておると思います。そういうふうにしていく以外に、これを今運転資金だからと言ってずっと金融をゆるめるとどういうことになるかと言えば、結局目的を達成して、その金は何に使われるかわからぬ、そして設備のスロー・ダウンを困難にしておる。大体仕事をしている人は、ただ金さえ手に入れれば仕事をやりたいというのは、当然これは生活意欲でもあるし、これをかれこれ言うべきではない、そういうふうな態度に出るのは当然だろうと思いますが、しかし国の経済の全体から見る場合は、それをそのままにして放任することもできない、こういうことにあるようであります。運転資金の点につきましては、御注意もありますし、せいぜい注意をいたしていきたいと思います。
  26. 大平正芳

    ○大平委員 そういう御事情は十分あるだろうと思いますが、滞貨の問題にいたしましても、物価が先高というようなことになって、思惑が旺盛になるというような事態であればともかくといたしまして、今日のような事態では、むしろデフレ懸念のときに、今好んで思惑して滞貨をかかえようとする者もなかろうと思うわけでありまして、今大臣の言われた感覚は、在来の場合であればその通りでけっこうでございますが、急速な経済の規模の拡大を見た場合は、何か違った新しい角度から運転資金の問題を御検討願って、かりそめにも今メンションされました黒字倒産とか、あるいは手形がばかに長期化してくるというようなことはアブノーマルでございますから、そういう点については新しい感覚で、日銀並びに大蔵省は対処していただかなければいけないのではないか、そういうふうな感じがするわけでございます。運転資金の問題というものが、在来の感覚ではいけないような事態ではないか、そういう感じが私にはするわけでございます。そうでないのだということであれば、それでけっこうなんでございますけれども、どうもそう思えて仕方がありません。しかもこの問題が案外閑却されまして、一般の論議に上っていない。そうして政策の打ち出し方と現実の実行とは、どうもずれができて参りまして、現実にはもう無差別に引き締めなければならぬという非常な気合がかかり過ぎていやしないかというような感じで、インフレ懸念のときでございますればもっともでございますけれども、今のような事態については、何か経済の運行そのものを最小限度に確保するだけの好意的な配慮が、運転資金の疎通を通じてなされなければならぬのじゃないか、こういう感じがいたしますので、その点は一つの課題として一つ御検討を願って、御善処願いたいと思います。あと質疑も続いておるようでございますから、一応私の質疑はこれで打ち切ります。
  27. 山本幸一

    山本委員長 横路節雄君。
  28. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣にお尋ねをしますが、昨日から問題になっています国際収支の悪化の問題、これはいろいろな要素があるだろうと思います。しかし私どもは、一つの、要素としては、昭和三十二年度予算の中にそれがあるのではないか、これは、今年の二月の、主として衆議院の予算委員会におきましても、千億減税と千億の積極政策との関連は、やはり今日のような事態を来たすのではないかという点は、ずいぶん私たちの党のそれぞれの委員から論議をしたわけであります。現にその後の、政府の国際収支の悪化に伴う緊急対策を見ていると、やはり昨年度に比べて千二十五億ふやして参りましたいわゆる積極政策と申しますか、その中で、いろいろな点についてこれを削減してきているわけです。ということは、やはり無理があったのではないかというのが第一点です。もう一つは、この設備資金の問題は、何も財政投融資の関係ばかりではなくて、民間資金のことももちろんあろうと思うのですが、しかしこれも、やはり先般二月の予算委員会におきまして、この財政投融次については無理があるのではないか、昨年に比べて六百億以上もふやすことは無理があるのではないか、しかしその後の政府の緊急対策を見ていると、やはり六百五十億近く何か削減しているようでもありますし、そういう意味で、大蔵大臣としては、当時は大蔵大臣ではございませんでしたけれども、今国際収支の悪化に伴う緊急対策をいろいろお考えになるに際して、この昭和三十二年度の予算、それから財政投融資の中に無理があったのではないかと私は思うのですが、その点は大蔵大臣としては、いやそれは違う、全然それは無煙がなかったのだ、こういうふうにお考えになるか、その点、一つ池田大蔵大臣からあとを引き継がれました大蔵大臣として、この三十二年度の予算並びに財政投融資の問題について、どういうようにお考えになられておるか、大臣の見解一つ承わりたいと思います。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまお尋ねの点は、何でも物事をあとから考えるときと、それからそのときにどういうように考えるかによって非常に違う。それは人間ですから、神様でありませんから、あとから考えるときには、いろいろまたいい知恵も出ますが、そのときにおいては、やはりその方がよろしいという態度でやるのに間違いないので、日本の経済の状況を見ましても、昨日も申しあげましたが、日本の経済の好況が、輸出中心から投資景気に移ってきた、これはもう事実で、このこと自体はむろん悪いことではないばかりでなく、経済の循環としては当然とることである。問題は、そういう場合に、自由経済でありますから、この景気の動向を規制する、あるいはこの動向を促す要素は非常にたくさんある、たとえば今回の場合でも、一番大きな民間の投融資にもあったと思います。従いまして、これはいろいろな条件がありますから、財政的見地からひとりいうわけにはむろんいきません。財政自体から見れば、私はこの三十二年度の予算は、超均衡予算、財政自体としてはきわめて健全性を持っておる、かように考えておる。ただ投融資の面におきまして、経済がああいうふうな好況といいますか、投資のブームが来た、こういう意味で、これを財政的に一そう投融資でもって刺激をするといいますか、促進することは好ましくないというので、財政投融資は、御承知のように一五%を繰り延べる、言いかえれば約六百億の増加は繰り延べることにいたしておるわけであります。問題の点は、いつどの辺で施策をとるかというところに私はあると思う。これは、従いまして今から考えれば、もう少し早くいろいろ今やっておるようなことをやったらよかったろうということは、今日において言える、こういうところが私は実情であろうと考えます。
  30. 横路節雄

    ○横路委員 今大蔵大臣から、そのときの予算並びにそのときの財政投融資については、それは正しかったであろう、しかしそれについては、この財政投融資の計画については、やはり見通しが誤まったわけです。誤まったから十五%、約六百億を削減しておるわけであります。それから三十二年度の予算の公共事業その他についても、やはり繰り延べをやろうとしておる。そこで、私は大蔵大臣にお尋ねをしたいのは、何もこれは今になってわかったことではないわけですね。予算が審議中の三月二十日には、公定歩合を一厘上げておるわけですし、さらに予算案の審議は終りましたが、国会開会中でありました五月のたしか八日ですかに、公定歩合をさらに一厘上げておるわけであります。だから、もうすでに三十二年度予算そのものに一つの見通しのあやまちがあったと思う。大蔵大臣は、そのときには誤まりはなかったと思う。——当時大蔵大臣ではありませんでしたが、しかし今になってみると、今の財政投融資の問題一つを取り上げても、私は誤まりがあったのではないかと思う。この点は、大蔵大臣としては、当時の池田さんに、お前間違っておったのだということは言えないかもしれませんが、しかし現実の問題として私はやはり見通しの誤まりということは指摘できるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は見通しが誤まっておったというのではないと思います。ただこの景気というものは、ひとり日本の国の力ばかりではなくして、国際的な影響が非常に大きくあるのでありまして従いまして、そういう諸要素を見て、景気が行き過ぎるとなるとこれを押える、その手を打つ時期の問題に私はあると思います。初めから見通しが悪かったと、必ずしも言い得るものではないと思っております。
  32. 横路節雄

    ○横路委員 それは、一萬田大蔵大臣は当時予算委員会にお出にならなかったから、あるいはそういうお話になるかもしれませんが、当時すでに私たちの党の予算委員の諸君からは、こういう状態であれば、必ず輸入を抑制するために金利は上ってくる、こういう論議をしたのですが、しかし当時の大蔵当局は、絶対金利は上げない、金利は上らない、こう言うのであったわけです。現実には、もう金利は上らないではない、現実に金利は上げておるわけです。この点は、やはり率直に大蔵大臣としては、当時の情勢としては少くともそういう意味で国際収支の悪化、それに伴う金利引き上げ等については、私は見通しを誤まっていたと思う。この点はどうですか。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 答弁を繰り返すようではなはだ相済まなく思いますが、私は、やはり見通しという問題よりも、これは経済は生きものでありますから、刻々に変化をいたします。この変化に応じてどういう手を打つかというその打つ時期に問題が私はあると思う、かように考えている。従いまして、そういう時期的のことを言えば、私の見解では、もう少し早くやったならばよかったろうということは、今から申せば言い得ると思います。
  34. 横路節雄

    ○横路委員 今の大蔵大臣の答弁では、大蔵大臣の立場においては、もう少し早く手を打てばよかったような、こういうふうにお話があったことは、やはり当時の大蔵当局の予算の編成並びに財政投融資の問題については、見通しが誤まっておったのだ。  そこで、これはちょっと私から大蔵大臣に、いわゆる政治的な責任をあなたに追及するのもおかしいのでありますが、この際大蔵大臣に聞いておいていただきたいのですが、実は石橋内閣から岸内閣に移ります際に、一つの通常国会で、一つの内閣から他の内閣に移った場合に、やはり性格が違うのだ、だから石橋内閣で出した昭和三十二年度の予算は引っ込めてもらいたい、そうして岸内閣の下でぜひ昭和三十二年度の予算を出しかえてもらいたい、こういうように私たち要請をしたわけです。ところが政府並びに与党の方では、頑として応じないわけです。そこで私たちは譲りまして、昭和三十二年度の予算は一ぺん引っ込めてもらいたい、同じ予算を出すにしても、もう一度岸内閣の手であらためてこの予算を一つ国会に出してもらいたいとお話をしたのです。しかし岸総理は頑として自分は石橋内閣のそのままを継承するのだというので、いまだ例のない、その年度の当初予算について、一つの内閣が変ったのに次の内閣に移って行った、こういうわけなのです。そういう点からいくと、われわれの大蔵委員会で論議をしていた立場からすれば、何か岸内閣は、池田大蔵大臣に全部責任を負わせた、そして池田大蔵大臣をやめさせることによって、昭和三十一年度の予算、財政投融資の問題、国際収支悪化の問題等は、全部池田大蔵大臣が誤まったのだ、おれたちの知ったことではない、だからあれさえやめさせてしまえばあとはいいのだ、どうもそういうふうに私たち受け取るのですが、実際に、これは私たちがそう言うばかりでなしに、世間一般がそう思う。七月の十日に改造を見ました岸内閣の発足に当って、あらゆる新聞が、とにかく池田大蔵大臣は頑としてやめたくないと書いた。その後に、あなたは再び大蔵大臣のいすに着かれたわけですが、そういう意味で私どもは、この予算は、やはりただ単に大蔵当局が見通しを誤まったのではなしに、岸内閣全体として見通しを誤まったものだと思うわけです。それで、きのうから聞いておるのですが、あなた自身としては、そうお思いになりませんか。私は、池田大蔵大臣に一切の責任を負いかぶせて大蔵当局が誤まったのだというのではなしに、やはり岸内閣全体の責任であると思うのですが、これは、あなたの御見解二つお聞かせいただきたい。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の点は、私から今ここで答弁する限りではないかとも思いますが、これは大蔵委員会で内輪のことでございますから……。私は、先ほどからしばしば申し上げますように、見通しを誤まっていないという立場に立っておりますから、だれの責任とかかれの責任というようなことは考えておりません。責任があるとすれば、これはだれの責任というわけではないと私は思います。(笑声)
  36. 横路節雄

    ○横路委員 見通しを誤まってないということになれば、私はそれはおかしいと思うのです。やはり見通しを誤まったのだ。あなたは、今政治は生きものだと言われた、生きものだから、次から次へと変化するだろう、しかし国の政治を預かる者は、やはり先を見通しておかなければならぬので、先の見通しのない政治というのは、私はないと思うのです。今日ちまたにおける、きのう春日君からもお話しございました、一番最初に一番弱い繊維業者からどんどん倒産してきているという事実は、当初二月ないし三月に衆参の予算委員会を通じてわれわれから指摘をした場合には、あなたたちの方のそういう点についての見通しといいますか、お答えはなかったわけです。だから、私は何としてもこれは見通しを誤まったのであると思うわけです。そこで大蔵大臣は、この大蔵委員会が初めてなのですから、大蔵大臣のこれに対する対策をいろいろ新聞を通して見ていると、貯蓄増強、国産品の愛用、消費節約と三つを出されているようなのです。これは、そういうことを言われたことがなければ、今ここで聞いてもしようがないが、私らは、どうも閣議で緊急対策の一つに、そういうふうに出ているように思うのですが、この点は、今の問題との関連で、そういうお考えで閣議でおきめになったことがないかどうか、もしもおきめになったことがあれば、具体的にはどういうようになさろうというのか、それを一つお聞かせ願いたい。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私が今考え、かついろいろな機会に話しておることは、まず日本の経済が非常な急膨脹をしておる、経済の内部においていろいろと不均衡を生じた。ですから、この不均衡をまず是正して、日本の経済を安定させるということが一つ、そうしてこれを今後推進していくために、輸出の奨励と貯蓄の増強ということが必要である、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  38. 横路節雄

    ○横路委員 そこで、貯蓄の増強との関連なんですが、実は本年度のいわゆる所得税の改正の問題で、私たちはずいぶん論議したのですが、重ねて来年度、低額所得者については大幅に減税する意図がないかどうか、やはり貯蓄増強といっても、今日のたとえば年所得三十万円、夫婦子供三人というような人々は、実際には本年度で年間三千四百五十円くらいしか安くならない。しかしこれは、暖房用炭の引き上げとか、きのうも大蔵大臣が答弁なさっておるが、十月一日からの消費者米価の価上げとか、鉄道運賃の一割三分の値上げとかいうもので、現実にはこの低額所得者の方のそういう減税の恩典は、物価の上昇との関係ではプラス・マイナス・ゼロというよりは、かえってマイナスの方が多いわけです。今大蔵大臣がおっしゃった貯蓄の増強をやろうとするためには、やはりこれは数の多い低額所得者について、大幅に減税することが非常に大事だと思います。その点は、来年度については、あなたのおっしゃる貯蓄増強というものけ、やはり大衆に呼びかける言葉でなければならない。今日の大衆は、今申し上げましたように、プラス・マイナスではマイナスの方が大ですから、そういう意味で、大幅に低額所得者について減税をなさる用意があるかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのところ、私はこの税のことについては、いろいろと検討を加えておるというところでありまして、来年度の予算においてどういうふうに扱うか、まだ何もきまっておりません。
  40. 横路節雄

    ○横路委員 食糧庁長官は見えておりませんが、食糧庁長官が参りましたならば、昨日来問題になっておりました消費者米価の値上げの問題について、大蔵大臣とあわせて一緒にお尋ねしたいと思いますが、その間ちょっと簡単なことで、主税局長お尋ねしたいのです。  実は六月十日の大蔵委員会のことですが、今日のいわゆる酪農振興によって牛がどんどんふえました。そのためにある程度農民生活というものも、そういう生活の危機から切り抜けられるというのでやっておるのでありますが、ところが、乳はどんどんふえて、大体二〇%くらいふえておるが、一番大事な毎日飲む市乳が、一二%くらいしか伸びていない。こういう状態で、実は七月一日から大罐煉粉乳の砂糖の免税の措置について、大蔵委員会では、とにかく乳価安定対策ができるまでとりあえずやめてくれ、こういうことで、農林水産委員会では二カ年という決議であったのでありますが、実は当委員会でも、あるいは二カ年ないし一年間という意見もありましたのですが、大体了解事項としては、一年の間に検討してもらおう、こういうのでやったわけですが、最終的には七、八、九の三カ月だけそれがきまって、十月一日からいよいよとることになった。年間で約十二億ぐらいで、その四分の三ですから、今年は九億負担をするわけです。そのために、結局一般の酪農民に対して、乳価をどうしても切り下げていく。これは先ほど大平委員からもお話がございましたように、そういう意味では、一番最初のしわ寄せは酪農民、乳価の問題にくると思う。そうすると、せっかく乳牛を買い入れたのに、結局乳価が安定しないというので、また再びこれを売り払ってしまう、こういう状態になってくると思う。もうこれでかれこれ四十五日も過ぎたわけで、大体どんなように乳価安定対策について考えられているのか、その点をまず主税局長から御答弁をいただきたい。
  41. 原純大

    ○原説明員 乳価の安定対策につきましては、主管の農林省の畜産局で案を考えてきておられます。大事な政策であり、かついろいろ検討を要する点が多いのでございましょう。私ども、時間もあまりないことであるから、なるべく早く——私どもといいますよりもおもには大蔵省主計局の方等との関係が多い問題でございますが、早く伺いたいというふうに申しあげております。実はまだ私ども伺っておりませんが、二十日ごろお話がしていただけるというような状況だそうでございます。これはちょうどあのときから九十日のうち半分くらいかかるわけですが、原案をお作りになる段階でございますから、ある程度の時間はやむを得ないのじゃないかと思って、私ども心待ちにいたしておるところでございます。
  42. 横路節雄

    ○横路委員 今の点について、実は畜産局長の出席をお願いしたのですが、何か病気だというので酪農課長が出ているのですけれども、酪農課長の方から、具体的に大体どのような考えでいっているのか、きまってから私らに話をされても困るので、大体これは大蔵委員会で決議をされて、いろいろ農林省大蔵省との間で問題があった重大な案件なので、そういう意味で、あなたの方から具体的にどのようになっているのか、いろいろな案があるでありましょうから、お話ししていただきたい。
  43. 松田壽郎

    ○松田説明員 六月末に、政令の問題が一応九月までという決定がありまして、さっそく私の方で乳価安定対策のための作業班を編成いたしました。大体の予定といたしましては、本月末ぐらいまでに大体部内で検討を終えて、それから関係各方面に御相談申し上げたい、こういう予定でやって参っております。  対策の案につきましては、欧米各国でいろいろ具体的な例があるわけでございますが、ただわが国の事情はいろいろな点で相当違っておりましてたとえば生産者団体と乳業者との取引の関係、乳価の決定される方法、その他いろいろな点で違っておりますためにそういうものについて、個々の具体的な検討をただいままで加えて参ったわけでございます。なお乳製品につきましては、ほかの商品と違いまして長期の保管ということにいろいろな難点がございますために、長期の保管のいろいろな試験結果その他の検討、あるいはそういうことの難点を避けるために、特定用途に余剰品については処理する、その特定用途にどういう条件でどれくらい消化可能であるかというふうな点について、個々に検討をいたしまして、そういう個々の要点についての検討は大体終っておりますので、これからその検討した結果を持ち寄りまして、具体的に安定対策としてどういうふうなものを決定するかという作業に、これから取りかかるというところでございます。
  44. 横路節雄

    ○横路委員 今あなたのお話で、特定用途に余剰品を向けたいというわけですが、特定用途ということになりますと、たとえば学童給食、これに対してなまの牛乳のままやる、そのうち政府の方で幾らか負担するというやり方もありましょう。またバターについては、現在の価格のたとえば二分の一を政府の方で補助して、結核患者とか、そういう方面に渡す、こういう問題もあると思うのですが、そういう意味ですか、それはどういうふうになっているのですか。学童給食の問題や、結核療養者についてのバターとか、そういう問題は、あなたの方でどういうふうにお考えになっているのですか。
  45. 松田壽郎

    ○松田説明員 学童給食の問題につきましては、今お話がございました、なまの牛乳をなまのままで学童に給食する、元来学童には、そういう給食が最も理想的なわけでありますが、それがまだ生産高が不足なために、一時脱脂粉乳で代用しておるというふうな状況でありますので、そういう方法一つ軌道に乗せたい。なおそのほかに、学校給食にバターを使用するというふうなことも考えてみたい。あるいはその他病院、福祉施設というふうなところにも、粉乳でございますとか、あるいはバターを利用するというふうなことも検討してみたいと思います。
  46. 横路節雄

    ○横路委員 今あなたの方で、学童給食にはなまの牛乳がいいのだが、生産が不足だからそういかないのだ、こういうお話ですが、そうではないわけです。今日ではすでに生産は過剰に近いわけであります。だから、あなたの方で学童給食に向けられるなら十分向けられるわけです。  次に、こういう対策のほかに、いわゆる農産物価格安定法によって、たとえば澱粉のようなものがある程度保障されている、そういうような形で、たとえば乳製品について、これを農産物価格安定法のような形で余剰品については買い上げて、これを政府が手持ちをして、市場の価格を安定していく、こういうふうな点については考えているのですか、考えていないのですか。
  47. 松田壽郎

    ○松田説明員 その点についても、現在検討を加えております。ただ乳製品の場合には、御承知のように長期の保管という点でいろいろな問題がございますので、相当な数量を、たとえば本年にしましても、バターが問題になっておりますが、これを実質的に買い上げ、売り渡しと同じような効果を持たせながら政府が手持ちをして、しかもその商品があまり長く持たないというふうな難点をどういうふうにして排除するか、難点を避けながら目的を達するかという点について、現在検討いたしておるわけであります。
  48. 横路節雄

    ○横路委員 この問題はこの程度で終りたいと思うのですが、問題は総額なんですよ、金額なんですよ。たとえばこういう、あなたが今考えている学童給食や、また生の牛乳の問題や、バターの問題は非常にけっこうなんですが、これをいや一千万だ二千万だといっても、話が合わないわけです。実際には今日一般市乳は、大体中都市で一合十五円ぐらいでしょう、そのうち配達の方に三円ぐらい取られている、しかしこれを集団で、たとえば何百本、何千本というぐらいでやると、大体一合十円ぐらいになるのではないか、そういう場合に、実際には子供の負担、直接には父兄の負担になるのだが、そういう場合に、少くともこれは大罐練乳で十二億税金がよけい入ることになったのだから、従ってこれを、大蔵当局も取るものは取って出すものは出したい、こういうお話なんだから、どんなことがあっても年間十二億くらいのそういう乳価安定の費用は、出すのが当然だと思うのです。これは農林当局はどういう考えなんですか。十二億も税金を取っておきながら、それを一千万か三千万か五千万ぐらいで乳価安定対策だなんていったって、できっこないわけです。十二億新たに取られるのだから、それだけ農民に還元をして、それで乳価の安定をはかっていけば、ちょうどよい工合になるのではないかと思うのですが、これは、一体農林当局はどう考えているのですか、その点はあまり腰の弱いことを言わないで、はっきりやってもらわなければいかぬ。
  49. 松田壽郎

    ○松田説明員 私の方で現在問題になっております乳製品の問題でございますが、乳製品の数量としましては、われわれの推定では、おおよそ一月分くらいの生産量というのが問題ではなかろうか、一月分の生産量と申しますと、乳量にしまして三十万石ぐらい、金額にしまして二十億ぐらいの品物をどういうふうに持っていくのか、これをいかにうまくさばくかということが問題ではなかろうか。このさばき方にはいろいろな方法があるわけで、先ほども申し上げましたように、特定用途向けでございますとか、そのほかの方法でありますとか、いろいろと方法がございますので、その一月分見当の数量に対して、われわれは大体考えをまとめつつある、こういうことであります。
  50. 横路節雄

    ○横路委員 今の農林当局の考え方はしごくいいと思う。大体年間で一月分三十万石、大体二十億円程度は乳価安定対策として考えなければならぬ。われわれは、基本的な考え方はそういう考えで大いに進めてもらいたいと思う。この問題は、今月の終りまでにいろいろ大蔵当局と話があるでしょうが、これは当然来月の十日、十一日に開かれる大蔵委員会ではその経過等を明らかにして、もう一ぺん一つ月末にきまるそうでありますから、なおそういうことで大蔵当局としっかりやってもらいたいと思うわけです。この点は、主税局長としても前々から、取るものは取る、出すものは出します、こういうお話ですから、二十億はどうであるかわかりませんが、十二億、十三億、十五億くらいのところは大蔵当局としても考えているのでしょうから、まあ一つしっかりやってもらいたいと思います。  次いで、食糧庁長官お尋ねをいたしたい。これはあなたにお尋ねしたいのですが、十月一日から消費者米価は一升百二十一円五十銭に上るごとに農林当局はきめたのですが、どうも私ども休会中のものですから、新聞でしかよくわからぬのですが、この点はどうなっておりますか、まだこれから検討するのか、もうきめたのか。この間うちの党で農林大臣にお会いしたら、消費者米価はきまったんだから上げますということを言ったりしているのですが、この点はどうなのですか。
  51. 小倉武一

    ○小倉説明員 消費者米価につきましては、七月の七日でございますか、閣議決定で、生産者米価決定になっております。これに基いて処置をすることになっておりまして、まだいつから具体的にどういう内容でということは、決定いたしておりません。政府として申し上げられますことは、この七月七日の閣議決定だけでございます。現在のところさようなことになっております。
  52. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると七月七日の閣議で、消費者米価についてはこれを値上げするということにきまった、その閣議決定だけだということですが、あなたの方の事務当局としては、いろいろ案はお持ちだと思う。たとえば一升百十七円五十銭にするという考えもあるでしょうし、百二十一円五十銭にするという考えもあるでしょう、この点は案がないのですか。  それからもう一つあなたにお尋ねをしておかなければならぬと思ったことは、食管の調査特別委員会ですか、いわゆる国会でずいぶん問題になりましたが、ついに作られた、そこにあなたは、消費者米価を値上げしても、一般家計へは絶対にはね返りはないんだ、こういう資料を出されたそうですね、こういうふうに私どもは新聞で見ておるのです。消費者米価を一升戸十七円五十銭ですか百二十一円五十銭ですかに値上げをして、一般の家計へのはね返りはないんだというふうな資料を出されたというけれども、私ども大蔵委員会でそういう資料をもらった記憶がない、食管の調査特別委員会ですか、その方に出されたそういう点を、きょうここで説明をしてもらいたい。
  53. 小倉武一

    ○小倉説明員 消費者米価の額の点でございますが、それは閣議決定でもございますように、十キロ八百五十円、一升にいたしますと百二十一円あまりでございますが、その範囲内できめるということに相なっております。それからこの値上げによって消費者家計に及ぼす影響でございますが、はね返りがないということは実質上の判断の問題でございますので、的確にそういう表現で申し述べたかどうか存じませんが、おそらく御質問趣旨は、この消費者価格の値上げによる家計への影響でございますが、現在の配給ベース等から考えまして 一般の各家計調査等による家族、人数等を基礎にいたしますると、約百円内外の影響になるわけです。米だけで終るかどうかというのは、これは非常に経済上その他の関連においてむずかしいことでございますが、その程度の影響は少くとも直接にあるわけであります。ただいまの消費者米価がきまりましたのが、御承知通り二十九年の一月でございまするから、その後一般物価ももちろんでございますが、家計の実質所得も伸びておる、そういう観点から、消費者家計は吸収し得るだろうということは御説明したこともあると存じまするし、またそのように現在でも考えておる次第であります。
  54. 横路節雄

    ○横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、きのう私たちの党の委員から質問があったのですが、大蔵大臣は、一般の物価については下げていきたい、それから経企長官も下げていきたい、こういう話なのですが、その一般の物価を下げていきたいということと、それから消費者米価を値上げするということと矛盾を来たすと私は思うのです。ですから、その点は、一般の物価を下げていきたいというのであれば、消費者米価は据え置いていくということが当然の建前でなければならぬ。この点は矛盾を来たすと私は思うのですが、重ねてその点についての大蔵大臣のお考えを一つお聞かせいただきたい、現にもう百二十一円五十銭に引き上げをするというのです。範囲内ですから、あるいは百十七円五十銭か百十八円か知らないけれども、上げることは明らかになっているのです。私は、物価を下げていきたいということと消費者米価を上げるということと矛盾を来たすと思う。これは必ず再びベース・アップの問題と関連してきます。どういうふうにお考えになりますか。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはこまかく数字的にお話しし合う方がいいと思うのですが、私今数字的な用意を持っていませんが、問題は、むろん米価が上るとすれば、それだけ生活において前よりもはね返りがあることは明瞭でしょう。ですが、消費者の家計において、そういう場合に米価の占むる割合は一体どうなのか、こういう点も、やはり家計を考える場合には考えてみなくてはならない。それから物価を考える場合も、一つ一つ物価をむろんなるべく下げておくことが望ましいし、それができればいいのでありますが、しかしそうでない場合は、一つ一つ価格が上るから物価全体が上っていくというふうに考えることもないと私は思う。やはり価格というものは、社会生活において一つの体系をなしておるのでありますから、ここでやはり均衡を得て、しかも物価全体が下っていく、あるいはある低さにおいて安定をするということが望ましい、こういうふうに私は考えておるわけであります、
  56. 横路節雄

    ○横路委員 食糧庁長官お尋ねしますが、あなたは百二十一円五十銭に上って、月大体標準家族で百円程度しかはね返りがないというが、配給日を何日として百円と算定したのですか。
  57. 小倉武一

    ○小倉説明員 これは現在の配給グラム数が一日三百六十五グラムでございます。それから配給の品数でございますが、これは地方によって違いますから、いずれをとるかということについて若干の問題があるかと思いますけれども、平均的なものをとりまして比べているわけであります。現在の配給が、消費地が月八日、中間県と申しますか、消費県と生産県の中間にあるものが九日、それから生産県が十日ということになっておりますので、それを平均いたしまして、全都市の場合は九日というふうに押えますと、九十円であります。それから東京の場合は八日でありますが、消費者価格の値上げの問題に関連をするわけでありますけれども、かりに東京の場合、八百七十円といたしましての計算をいたしてみますと、約百五円ということに相なります。
  58. 横路節雄

    ○横路委員 今のは配給米ですね。ところが実際に政府の力で一升百二十一円五十銭に上げるのだ、こういう七月七日の閣議ですか、それがその範囲でということでも、新聞にはその範囲ということにならないで、百二十一円五十銭に値上げすると書いてある、すると、あとの足りない分は自分で補っているのですが、いわゆるかつぎ屋ですね、そのかつぎ屋の諸君は、私たち一般の家庭に来て、政府は百二十一円五十銭に値上げすることになったから、私たちの方も値上げしますよということで、すでに百二十五円、百四十五円ぐらいでやっておるわけです。政府の方で百二十一円五十銭に上げますよという新聞宣伝だけで、現実にはかつぎ屋は、そういうように、一升十円ないし十五円上っておる。その当時百二十五円のものは百三十五円、百四十五円に上っておる。あなたが言う、月百円のはね返りしか家計にないというのはおかしいですよ、九日なんだから、あとの二十一日どうするのですか。だから、そうなれば当然これは百円で済まない。あなただってそういうようにお考えになるでしょう。そうすると、三十万円の所得で夫婦子供三人で三千四百五十円くらい、月何ぼになりますか、月二百八十円くらいの減税になって、やれうれしやの思いは、米だけでその減税分は飛んでなくなってしまう。あとの方は、運賃の値上げその他みなマイナスになってくる。そこで小倉さん、あなたにお尋ねしたいのですが、これも私は新聞で見たのですが、あなたは何か米の安定価格帯を設けて、そうして今年の新米穀年度から、自由販売にしたいということを新聞に発表したことがあるようですね。私ら現に読んだのだが、これも新聞ですから、この際一つ大蔵委員会でぜひ明らかにしていただきたい、安定価格帯を一升どれくらいにするか、あなたもお考えがあるでしょう、この点はどういうようにお考えになっておるのか、一つ明らかにしていただきたい、
  59. 小倉武一

    ○小倉説明員 政府の配給価格を引き上げることによりましてやみ価格等に影響を及ぼさないかということでございますが、この判断は非常にむずかしいわけであります。結論的に申しますと、私どもは、やみ価格にそう影響はなかろう、こう存じております。と申しますのは、やみの米の集荷その他の関係と、配給米の集荷その他の関係とは、相当違った経路で動いておる。もちろん政府の米の価格の引き上げによって、米のソースとして正規のルートを流れるものが多くなる、従ってやみに流れるものが減るといったような関係が起れば、やみ価格が上るというようなことにもなりましょうが、今回の生産者価格消費者価格、それぞれがやみの数量について大きな影響を及ぼすというようなことは、まず考えられないものではないか。従いましてやみ価格の動向というのは、政府の配給米の価格にかかわらず動くのであろう、こういうふうに承知をいたしております。また最近、この春から上って参りましたけれども、先ほどお話しのように、一升百四十五円というところで頭打ちの状況に相なっておりまして、そのようなことも、そういうことの一つの証左ではないかというふうに考えております。  それからもう一つ、最後の方のお尋ねでございますが、自由販売にする云々という件でございますが、そういうことは、私ども申し述べたことはございませんし、そういう考え方を現実の政策として持ち合せておるわけでもございません。
  60. 横路節雄

    ○横路委員 そこで、あなたの方では月百円のはね返りだという点は、今あなたのお話を聞いていると、ちょっと私には理解のできないことがあるのです。一般のやみ米を入れて、大体あなたの方では、一般の家計ではどの程度のはね返りだというのですか、やはり百円以上ははね返りがないというのですか、それとも大体二百円くらいははね返りがあるだろうと見るのか、二百五十円くらいははね返りがあると見るのか、その点はどうなんですか。
  61. 小倉武一

    ○小倉説明員 先ほど申しましたように、政府の消費者価格の引き上げによって、やみ価格が当然にしるというふうには考えておらないのでありまして、従いまして消費者米価の引き上げに伴って家計に及ぼす影響と申しますのは、米に関しては、先ほど申しました百円内外というのが、一般家計に対する影響であろう、こういうふうに考えておるのであります。
  62. 横路節雄

    ○横路委員 長官、あなたはきょう家へ帰って、奥さんに聞いてごらんなさい、一升百二十一円五十銭に値上げすると政府が七月七日にきめたあとに、米のやみ価格が上ってないなんて、そういうのんきなことを言うと、奥さんに怒られますよ。あなたは、自分の家庭がどうやって飯を食っているか、全然聞いたことはないのでしょう、それは現に上っていますよ、きょう帰って聞いてごらんなさい。あす大蔵委員会がないのは非常に残念ですが、当時一升百二十五円くらいだったものが、七月七日以後、百三十五円、百四十五円くらいまで上っている。あなたは全然上っていないと言うが、そんなのんきなことを言っていると、きょう帰ったら奥さんに怒られますよ。  大蔵大臣にお尋ねしますが、まだ日本の勤労者の消費部面で一番大きいのは、何といっても食べることなんです。エンゲル係数では、食べることがまだ全体の五〇%を占めている。そこで米が上ってくれば、当然また重ねて賃金を上げてもらいたいという要求が来ることは明らかなんです。そういう意味で、私はぜひ大蔵当局としては、十月一日に予定している米の消費者価格は、この際据え置くということで、一つ明確にしてもらいたいと思う。この点いかがですか。
  63. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今いろいろ御心配をなさっている点、そういう点は、いろいろな機関で非常に長い間研究討議をして、さらにそれが閣議にかかって十分検討を加えて一応ああいうふうにきまっているのです。私は、今のところこの閣議決定を尊重するつもりでおります。
  64. 横路節雄

    ○横路委員 それではあと、この中小企業に対する緊急対策の件は、六月の十一日の財政金融懇談会できまったことでありますから——これは、きのうのいろいろの各位からの質問がありますから、この際一つ答弁してもらいたい。そういうことで私は質問を終ります。
  65. 山本幸一

    山本委員長 私から申し上げます。が、先ほど開会のときに申し上げた通b、資料がまだその当時は出ておりませんでしたけれども、ただいま出て参りました。そこでこれに対する説明と、なお春日君が昨日質問せられて保留せられておりまする、ブラジルのミナス製鉄所及びブラジルに対する無為替輸出の問題等々について答弁が保留になっておりますから、この機会にそれぞれ関係当局から答弁をされんことを望みます。
  66. 春日一幸

    ○春日委員 この際繰り返して明確にいたしますが、昨日、御調査の上本自御答弁を願うように持ち越しております案件は、先般大蔵大臣が西下される車中談において、新聞記者団に述べられた明年度における予算編成方針、これは当然本委員会の重大関心事でありますから、今日の経済情勢をいかに分析されて、そうしてどういうような編成策をお持ちになっているか、これを一つ大臣から承わりたいということが一つ。  それから現在ブラジルにおいては、従来の農業重点主義から、工業化政策というものが現在のクビチェック大統領によって明らかにされてそのために、欧米諸国から相競って工場の進出が行われている。このことは、当然ブラジルが外貨を十分持っていないので、この際タイムリーに無為替輸出の形がとられているが、わが国のこれに対処する方針いかん。  それからもう一つは、ミナス製鉄所に対する例の五百五十、これの融資並びに投資、これは、わが国の負担分がその契約に基くと概略一九%に該当するのであるが、これは対外関係の勘定が非常に悪化している現段階に、相当困難ではあろうけれども、しかし非常な競争を排してわが国がその契約に成功したのであるから、当然わが国としては非常の手を打たれていると思うが、これはその後どのように進捗しているのであるか。まずこの三点について大臣から御答弁を願うことになっております。それを一つお願いいたします。  なお今の乳製品の問題について、農林省からおいでになっておりますから、引き続いて乳価定定対策についてお話し願いたいと思います。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 三十三年度の予算編成については、まだ私何も発表したことはありません。今もっぱら国際収支の改善について全力をあげているわけで、この結果日本の経済がどういうふうに安定を見るか、その安定の情勢を見て、その安定をこわさないように、その安定を基礎にしてさらに日本の経済が発展をするように、それを一つの基盤にいたしまして来年度の予算は編成をしようと今考えている、そういうところでありまして、具体的に予算の規模をどうするかとか、あるいはどういう新政策をするとか、そういうことは、今のところまだ考えておりません。  それからブラジルの問題ですが、これは要するにプラントの輸出のいわゆる延べ払いのことと思います。申すまでもなく、ブラジルはわが国にとって非常に重要な輸出市場であるのであります。従いまして、従来でも船舶、機械その他、おそらく二千万ドル以上の延べ払いを許可いたしております。またブラジルに対しては外国の競争、ヨーロッパ方面からの競争も非常に激しい、それで日本としても、今申しましたような観点から、延べ払いの条件もできるだけゆるやかにいたして、これがプラントの輸出の促進をはかっております。  それからミナス製鉄所の問題、これはもう具体的に計画はできておりまして、民間の受け入れの会社もおそらく設立過程にあり、なお輸出入銀行等から相当巨額の金の出ることも、大体これは了解済みと私は了承いたしておりますから、これは実現いたすとお考え下さってよろしかろうと思います。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 それから中小企業問題をついでにやってもらいましょう。
  69. 大月高

    ○大月説明員 昨日御質問のございました、緊急対策に基く中小企業金融対策の資料について、御説明申し上げます。  緊急対策できまりました中小企業対策は、項目として四つございまして、一つは、中小企業金融公庫の第四・四半期分の予定を約三分の二繰り上げて、つまり六十億の繰り上げをする。それから国民金融公庫につきましては、第四・四半期に予定されておる融資額の約半分、七十億を繰り上げて使用する。それから第三は、商工債券につきまして、資金運用部引き受けの金額を、当初二十億でございましたのを二十億増額をする。それから市中の金融機関が信用保証協会の保証に基きまして保証をいたしました場合に、その金額に該当する市中金融機関保有の金融債を資金運用部において買い上げる、その金額は二百億円を予定する。この四つでありたわけでございます。  それで第一の点でございますが、一つは中小企業金融公庫でございます。この表は、上に当初の貸出計画と掲げてございまして、次に修正計画とありますのが、この緊急対策に基く数字でございます。その修正計画と当初の計画との差額が第三欄にあるわけでございます。その計画に基く実績がその次に掲げてございます。なお参考のために、昭和三十一年度の実績がございます。これによりますと、第一・四半期におきましては、当初の計画百二億に対しまして、修正計画は百二十一億、つまり十九億を第一・四半期に繰り上げる。それから第二・四半期におきましては、当初の計画九十億を百二十五億に修正をいたしまして、つまり四十五億を増額いたしたことになっております。合計六十四億という増加額が第一・四半期と第二・四半期とに実現されておるわけでございまして、当初の予定六十億という数字を四億上回っておるわけでございます。この計画を昨年に比較いたしますと、第一・四半期におきましては、約四割の融資の増、第二・四半期におきましては、同じく三割七分、約四割に近い増加、こういう計数に相なっております。  次に、国民金融公庫でございますが、今と同じように数字をごらん願いますと、当初の計画におきまして、第一・四半期百二十九億を五億増額いたしまして百三十四億、第二・四半期におきましては、百三十一億の当初計画を百七十九億、こういうふうに四十七億増加いたしております。これを合計いたしますと五十二億の増でございます。七十億という数字と十八億違っているわけでございますが、大蔵委員会における懇談会の御要望といたしまして、第二・四半期までにこの数字を実現するようにということでございましたが、資金運用部の金繰りその他を勘案して、あるいは第三・四半期に若干繰り越すかもしれない、こういうことを申し上げてあったわけでございまして、その分十八億分だけが第三・四半期に繰り延べられているわけでございます。この計画によりますと、昨年昭三十一年度の実績に比べまして、第一・四半期で二割二分の増加、第二・四半期において五割六分、約半分程度増加をいたしておるわけでございますが、なお注にございますように、第一・四半期におきましては、修正計画に対しまして五億だけの実績の減がございます。これは、あの決定が下されましたのが六月末でございまして、第一・四半期の末でございましたので、実際にまだ使い切っておらないと思います。これが第二・四半期に使われるわけでございますので、第二・四半期の実際の融資額はさらに上回るであろう、こういうように考えております。  それから第三の商工債券でございますが、上の利付債券、割引債券の点は内訳でございますので、計のところでごらん願いたいと思います。これによりますと、本年度の上半期の四−九月におきまして、市中の消化の純増分を第一・四半期九億七千七百万、第二・四半期十億五千三百万、こういうことになっておりますのに比較いたしまして、運用部におきましては、第一・四半期七億、第二・四半期二十四億、こういうように増加いたしております。これは当初の計画を申し上げますと、資金運用部の面におきまして第一・四半期の七億とございますのは、六億でございます。四月、五月、六月と二億ずつ契約いたしまして六億の契約でございましたのを、一億増額して七億、それから第二・四半期の当初計画は同じく七月、八月、九月と一億、二億、一億、合計六億でございますが、それが修正計画によりまして、七月四億、八月十億、九月十億、合計二十四億に増額されております。そうして当初の計画は、資金運用部の引き受け年度間二千億でございましたのが、このぺースで参りまして、合計四十億になる、こういう計画でございますが次に、二百億の金融債買い上げの実績でございますが、これは、先般の七月十八日に正式に金融機関において発表いたしまして、全国銀行八十七行、相互銀行七十一行、信用金庫五百四十一庫、これだけを対象といたしまして、七月一日以降における信用保証協会の保証する中小企業融資の増額に応じて、金融債を買い上げていく、こういうふうに決定をいたしました。七月一カ月経過いたしましたわけでございますが、それをまとめたところによりますと、七月として十三億九千万という数字が一応推計されております。これは、正式に各金融機関から報告をとりましてその結果、今月八月二十五日に金融債の買い上げを実行してやる、こういう予定でございますので、一応ラフな数字でございます。このペースで考えますと、本年中に二百億にはならないような数字でございますが、例年今の季節はそれほど需要がなくて年末に至りまして非常に大きくふえるというのでございますので、この二百億というのは、逐次満たされていくとわれわれは考えております。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 大臣はお急ぎのようでありますから、大臣に関係いたします分から先に片づけたいと思うのでありますが、これは昨日も申し上げました通り、ブラジルに対する工業進出の問題は、何といってもタイミングなものでありまして、向うは経済を計画的に持ち運んでおりますから、たとえば他国から工業投資の進出が終りますと、もう事は足るわけであります。そのときになって、たとえば日本の経済事情がよくなったから、しからばひとつ日本がやってみようとかりに考えても、そのときには、もう向うは要らない、こういうことになろうかと存ずるのであります。従いまして、わが国が当面いたしております外貨事情は、いうまでもなく非常に極悪の条件にはあるのでありますけれども、しかしわが国の経済は、当面の問題を処理すると同時に、また百年の計もはかっていかなければならない、そういう意味で、このブラジル工業化に即応するわが国の協力態勢というものは、特にこの際緩急よろしきを得た柔軟性のある態度をとっていかなければならぬかと存ずるのであります。こういうような事情におきまして、今日わが国のそれぞれの企業末たち相当の計画を持って、向うの政府当局との話を推し進めているという際であります。このブラジルに対する無為替輸出の取扱いについては、一つ大臣が、わが国の経済、特に当面する問題と将来の問題とを合せて、あやまつところなき措置を講ぜられたいということを強く要望しておきたいと存じます。  それからもう一つこのミナスの問題は、これはたまたまわれわれ大蔵委員会第二班として、当地に参りまして、そこの議会も訪問し、政府当路者並びに中央銀行総裁、開発銀行総裁、これらの諸君とも深く懇談をして参ったのでありますが、向うの議会は、この問題をこの八月の国会にかけて、八月中には向うの国としての最終的態度をきめることに相なっておるわけであります。その際心配になっておりますのは、日本の外貨事情からするところの日本の資金供給が果して可能であるかどうかということにもかかっておる様子でありますから、これも外交機関を通じて、一つ大蔵省において今御答弁のような経過がとられておりますならば、その実情について相手に安心を与えるような手続をとられることが効果的であろうと考えますので、これまた適当な措置を講ぜられたいと存ずるのであります。  そこで、私はもう一つあなたにただしておかなければなりませんことは、これは横路君の質疑応答を通じて、私は今さらながらこの問題を新しく論じなければならぬと考えたのでありますが、こういう論議が行われておるということは、あなたは御承知でありましょうか、すなわち本年五月十六日、国会の会期がまさに終ろうとして、そうしてわが国の対外収支の逆調克服のために、金融の諸施策が強硬に講じられて、ようやくこれがわが国の大きな政治問題、経済問題として論ぜられておりましたとき、本委員会は、特に山際日銀総裁と大蔵大臣とにこの問題について深い論議をまじえたのであります。あなたは当時大蔵委員でありましたが、どういうせいか、ずぼらでほとんど御出席になっておりませんでした。私はあなたがこの論議をお聞きになっていなかったことを、はなはだ遺憾に存ずるのでありますが、念のためにただいま速記録を取り寄せてみましたら、こういう質疑応答が行われておる。私が池田大蔵大臣に対して質問したことは「そういたしますると、あなたは本年度立てられております財政投融資計画、その他本年上期における外貨予算のその実行というものは何ら修正をする必要はないとお考えになるか、原案通り執行が可能であるとお考えになりますか、この点をあわせてお伺いしたい。」こういう工合に私は池田大蔵大臣に質問いたしておる。そうすると池田大蔵大臣は「財政投融資につきましても、原案通りやっていきたい、またそれでいけると確信いたしております。しこうして財政投融資も原案通りやっていくためには、私が期待いたしておりますごとく、貯蓄の増加の範囲内において投資をやってもらいたい、こういうことでいくことが財政投融資を原案通りやっていく道である、こういう考えでいっておるのであります。」こういう答弁をされておる。今横路君の質問に対してあなたは、神ならぬ身の見通しはなかなか立てがたいということを言っておられるが、池田さんは五月十六日に、財政投融資は削減する必要はないのだ、原案通り執行できるのだ、本委員会でこのように明確に答弁されておる。私は、これは印刷した通りを何ら修飾しないで朗読しているのです。あなたが内閣でとられておりまする措置は、これはやっていったら大へんなことになるというので、ついに一割充分を大削減しておられる。さらには財政政策が行き詰まっておる、この予算に基いていろいろの計画をしておったところのそれぞれの機関は、大波乱を生じておる。一体一カ月、二カ月の見通しも立たないという、それでもなおかつ内閣全体の責任として国民に責任を感ずるところはないのであるか、この池田大蔵大臣の答弁は、はなはだ間違って軽率である、従って彼を処分することによってその責任を明らかにしたものであるのかどうか、あるいは横路君の質問通り、責任は内閣全体のものであって、池田さんの見通しは当時閣議に諮って、あなた方も加わって、そういうような見通しを立てておったものであるのかどうか、この点の経緯について、一つあなたから答弁を願っておきたいと思うのであります。
  71. 山本幸一

    山本委員長 答弁の前に、春日君にお願いしますが、もう一人奧村君の質問がきのうから、要求がありますから、それで、答弁がございまして、もし不審な点があればさらにおやり下さることはけっこうですが、簡単に一つ進めていただくことをお願いいたします。
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、私の考え方であるのでありますが、先ほどからしばしば申しますように、経済の好況、行き過ぎ、こういうものの判断並びにこれに対する対策というものは、私はいろいろな対策を考えなくてはならぬと思うのであります。今度の投資の行き過ぎにしても、これは民間の投融資も相当大規模にいっております。財政投融資というものもむろんありますが、またやり方によっては、その当時、おそらく財政投融資はそのままにしてもやっていけるだろう、こういうふうに当時の大蔵大臣はお考えになったのだと思う。それも一応私はやはりうなずける。しかしその後において、なお財政投融資についても手をつけなくてはならぬというように考えたので、そういうことになったのでありますが、要するに、こういうものはやはり時期の問題として、春日さんが大蔵大臣であるとすれば、早くといいますか、より適切なる対策を立てられたろう、こういうふうな考え方を私はいたしております。
  73. 春日一幸

    ○春日委員 これは答弁にはなっておりませんよ。財政というもの、経済というものは生きものであることは、われわれもまた認める。そうしてそのつど事態に即した手を打たなければならぬということも、当然のことである。私たち指摘しておるのは、具体的な問題を掲げて、わが国における金融、財政の最高の責任者に対して、この財政投融資通りやっていけるかどうか、修正の必要はないかと質問したら、必要ない、やっていけると確信している、こういう答弁をしておるのです。わずか一カ月半足らずして一割五分の大削減、こういう見通しではむちゃくちゃじゃないか。これは、少くとも大臣の責任を問われなければならない問題であるとわれわれは考えるが、この責任をとって大臣をやめさせたのか、あるいは今横路君の質問に対して御答弁になったのであるが、すべてこれは内閣全体の責任だ、こう言われるならば、この財政の見通しを誤まっておったという責任というものは、内閣全体としてお考えになつておられるのかどうか。責任をとるとらぬは別問題として、内閣として責任を感じておられるのかどうか、全然感じておられないのか、この点をお伺いしておるのです。御答弁願いたい。
  74. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、こういうふうに実は答弁をしたつもりなのです。要するにこの財政投融資は、非常に責められます。しかし今度のこの経済のこういう事態は、それは財政投融資とか、あるいままたいろいろの点もありましょう。全然私はそれが無関係というのではありません。ありませんが、非常にいろいろの多くの要素が加わって今日の日本の経済の事態を生じておる、かように申すわけであります、従いまして、むろんそれらの個々について時期的に適切にやれば、それは一そういいが、あるときにそれがずれたら、それがすベての責任である、こういうふうに持っていくのは、私は当らないのではないか、かように考えるのでありますが、これは、しかしいろいろと意見になりますから、私はこの程度にとどめておきます。
  75. 春日一幸

    ○春日委員 そういう問題じゃありません。当時の委員会は、今日の金融財政には影響力を与える要素がある、しかし、それは無限にあるものだが、大体五つにこれを集約できる、まず一つは予算である、一つは外貨予算の組み方である、一つは財政投融資、一うは金融政策、他は税制である、この五つの政策によって国の財政というものが、あるいは経済の様相というものがいかようにも変化していく、われわれはこの五つの要素を集約して、個々の問題について大臣と質疑応答をしておる。すなわち外貨予算の編成がえをする必要はないかどうか、実行予算を組みかえる必要はないかどうか、税制は何とするか、金融引き締めは何とするかということの中で、特にこの財政投融資の問題を、やはりわが国の経済を左右するところの重大要素の一つであると指摘して、財政投融資はこれでやっていけるかどうか、民間資金を八百何十億期待しておるが、金融引き締めをやっておって、そういう民間の協力を得られるかどうか、あるいはその他の問題等も含めてこれを質問したら、池田大蔵大臣は、やっていけると確信をしておると言っておる。そうしてその確信は全然逆の形になって、これを削減せざるを得ない形になり、ついに削減をしておる。従って、国の最高の責任者である大蔵大臣が本委員会において食言しておるわけだ。一体内閣として責任を感じているのか、いないのか。感じておるなら感じておると、カワズのつらに小便ならそれでもいいのだから、それだけの御答弁を願います。
  76. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 こういうふうにお考えが願えないかと思うのです。これは、かりにだれが大蔵大臣をやり、政府をしておっても、ごく率直に申しまして、あの当時の日本の経済、言いかえれば輸出が非常に伸びて、それが当然投資景気に移行することは、だれも認めるでありましょうし、それはいいことでもある。ただ、非常な勢いで行き過ぎておった。従って、早く手を打てば、割合にゆるやかな線ではいけたであろうということは言い得ると思う。しかし若干時期がおくれたという意味で、その下段といいますか、急に事を運ばなければならなくなったという、そこの程度の差は生ずる、私はそういうことであろうと思うのであります。これは、どういうふうに人々がそれについて価値判断をして、どういうふうに責任をどうするか、これはもう各人が見るところによらなくてはなるまいと私は考えております。
  77. 春日一幸

    ○春日委員 それでは、私は答弁にもならぬと思う。少くとも政治家の生命は、その責任を感じ、その責任をとるというところにあると私は思う。ところがこの内閣が、とにかく五月の十六日の委員会で、財政投融資は絶対に削減しないと言っている。私たちはこのことを憂えて、あらかじめ指摘して、その必要ありとするならば、早期にしかず、今一萬田大蔵大臣が答弁されておるように、財政投融資計画を組んでおるために、そういう企業計画がどんどん進んでいくでしょう。そうして地元民や関係者たちは、そういう施策の行われることを期待する。だから、そういうことは早期にこれをやめるならやめるで、削減にしかずとするならば、早期に削減の道を明らかにすべし、こういうことで質問しているのです。われわれは、何も冗談やかけ引きでこんな質問をしているのではないのであります。すなわち国の経済とその政策のいろいろな影響をおもんぱかって、そういう質問をしておる。その質問に対して、そういうことは絶対に変更しないと言っておる。そうしておいて、二カ月で変更したんでしょう。だから、それは内閣の責任だと私は考える。何もあなたがああだこうだということはない。これは内閣がみずから責任を持って出した予算であり、みずから組んだ財政投融資計画なんだ。自分で組んだ計画が実施できないというので、その計画を変更した。その変更も、変更しなければいかぬじゃないかとわれわれ警告的質問を発しておるのに対して、その必要なしと明確に断言しておいて、そうして変更しておるのです。これは責任を感じてもらう、とる、とらぬは別として、やはりこれは、国民の前に責任を感ずる態度の表明があってしかるべきだと思う。本日、今の大臣の答弁をもってすれば、何らそういう態度の表明がない、きわめて遺惑である。こういうようなことでは、私は今後のわが国の財政経済の前途まさにおそるべきものがあると思う。しかし、大臣、何か御答弁があるか、全くどうも困ったものだが、大臣は何か御答弁はありますか。
  78. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 財政投融資は、非常に取り上げて言われるが、私こういうことを言うと、また春日さんに怒られるから、実は差し控えておったんですけれども、財政投融資は、情勢の変化に応じてやはりふだんでも増減があるのです。大体こういうところで財政投融資を考える、これは一般予算でも公共事業でも、やはり年度末になると繰り越しがあるのと同じなんで、実際の経済の状況に応じて、自然減るものもある。これはやはり経済の情勢に応じて、一応ああいう予算は組んでおりますが、財政経済の状況に応じてやるべきであります。無理をすることもない。だから、経済が変化をすれば、財政投融資もふえていいはずだと思います。
  79. 春日一幸

    ○春日委員 政党の生命は政策であり、その政策に基いて、政策を実施するための財源の裏づけということで、予算が出てきておるのですよ。それを一応ということはなんです。少くとも国会が百五十日間にわたってああいう激しい論議を戦わして、議決していく、修正していく、これを一応とは何んですか。少くとも国の最高機関が、とにもかくにも衆知を傾けて議決するものを一応とは何です。しかも私の質問しておるのは、半年先なり一年先ならば、あるいは国際経済に関連をして、わが国においても、いろいろな変化があるであろうが、少くとも財政投融資計画についてはどうか、外貨予算の編成の問題、実行予算の組みかえの必要にないかどうかというような、三つの問題を聞いておるのに対して、ことごとくその修正の必要はないと答えておる。なかんずく一つは現実に修正されておる。こういうことは、財政の見通しを誤った、推移を誤まったものである。二カ月の見通しが立たぬというようなことがありますか。そういう意味で、私は責任をとるの態度をこの際国民と国会の前に表明されてはどうか。今やわが国の財政経済の最高の責任者は、あなたである。あなたが内閣にかわってそういう態度を表明されるということは、私は必要にして当然の義務であると思うのであります。
  80. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、春日さんと意見を異にいたしておるのを遺憾といたします。
  81. 山本幸一

    山本委員長 春日君に御相談しますが、先ほど理事会できめた通り、九月の十日、十一日にさらに委員会を開くことになっておりますから、そのときにさらにこの点の御質疑があればやっていただくということにいたしまして、きょうは一応次の質問者の奧村君の質疑に移りたいと思いますが、御了承願いたいと思います。奧村君。
  82. 奧村又十郎

    ○奧村委員 時間も経過しましたが、しかしまたあす委員会を開いていただくというのも大へんでですから、私は簡単に物価に対する政府の政策、この点だけをお伺いしておきたいと思います。  きのうからきょうにかけての当委員会の御質問に対して、大蔵大臣は、物価に対する政策について、はっきりした御方針を示しておられぬように思います。どうも御答弁によると、岸新内閣において、物価に対する政策というものが、まだ確立しておらぬような印象を持てるのであります。しかし貿易収支を改善し、経済を安定する政策の基本は、やはり物価安定の政策である、そのことは、大蔵大臣もきのうもたびたび繰り返されておられましたが、しかし具体的に、それじゃいかにして物価を安定させるかということについては、ほとんど明確な御答弁がない、これだけは一つ重ねてお尋ねして、はっきりしておきたい、かように思います。それは、物価というものは相当心理的なものであろうと思うのです。政府は、あらゆる犠牲を払って物価を安定させるのだという政府の確固たる信念が国民に徹底するならば、心理的な物価は安定する、その意味でも、もっとこの委員会を通じて、国民に政府はかくかくの方針物価を安定させるのだということを強く訴えて、国民を安心させなければいかぬ。こういう意味からしても、大蔵大臣の御答弁には明確な点がないと思う。先ほど横路君からの御質問に、消費者米価はすでに閣議決定したのだから上げる方針だ、こういうことでありますが、私は閣議決定後情勢が変っておると思う。特に大蔵大臣もかわられて内閣も大改造なさったのだから、前の閣議決定は一ぺん一つ元へ振り戻して、お考えにならるべきであると思うのであります。つまり外貨がこれほど払底して、経済緊急対策をやっておられる、その中にも特に物価安定ということが強く書いてある。ところが消費者米価を上げて、果して政府は物価安定ができるか、またそういうことを国民が信頼できるかということを考えると、情勢が変化したのだから、もう一度消費者米価の問題は再検討して、少くとも消費者米価は上げないという態度をとらるべきと思うのであります。しかし、これはもうすでに重ねての御答弁でありますから、今ここで翻されることはなかろうと思う。それなら、消費者米価を上げてもなおかつ物価を安定させるのだというなら、一体どういう具体的な物価安定の政策を持っておるのですか。それを一つ具体的にお聞きしたい。
  83. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えておりまする物価安定の政策ですが、一つには、どういうところで物価を安定させようと考えておるか、これは、どうしても国際水準ということを目標にせざるを得ません。特に今後の日本の経済は、輸出と、同時にそれに従って貯蓄もしてもらう、こういうような関係であります。ただ下げればいいということでなくて、国際水準、こういうところへ安定させたい。ただ当面は、御承知のように国際収支の改善策を強く打ち出して実施しておりますから、そうして日本の経済がふくれ過ぎておるという結果から、私は、やはり物価は下っていくという傾向をとるだろうと思う。ですから、今ここで物価を特にどういうふうに引き下げる、言いかえれば、日本の物価はなお国際物価水準上り高いのではあるが、これをどういうふうに引き下げるということは、今言わない方が適当ではないか、自然今の金融引き締め政策等で下っていくだろう、そうして国際収支が一応のバランスを見た場合においての日本の物価というものを国際物価に比べてみて、そうしてそれぞれの手を打っていかなくてはならぬだろう、こういうふうな考え方が大ざっぱな私の考えです。従いまして、なかなかこのタイト・マネーといいますか、金融引き締めというものはそう急に——むろん程度の差はあるにいたしましても、やはり金融引き締めという政策は、相当長期にわたらざるを得ないだろう、かように考えておる次第であります。  それから消費者米価のことですが、これは、もう上げぬで済むということであれば、何も物を上げない方がけっこうなことは間違いないのでありますが、しかし、やはりこういうものも総合的に私は考えてみなくちゃならぬと思う。今、事務官が詳しく申し上げる方がいいかと思いますが、家計なんかのうちに占める、いわゆる家計支出の中で米価は一体どういうふうな割合を占めておるか、今回下げたという場合において、それがすぐに家計の膨張になるのか、これは私はよほど考えてみなくちゃならぬと思う。また他面において、大蔵大臣としてやはりこの財政負担、今回の値上げにしても、百億くらいの一般会計の負担はあるのでありますから、安ければいいのだといえば、米価等につきまして、いつのときでも上げてはならぬということにも私は相なろうかと思うのでありましてこういう点は、十分諸般の条件を考えまして、無理のないところで一つ考えていく。一般物価にそれがどういうふうに影響を与えるかというふうなことは、私は消費者米価を上げたから一般物価が必ず上るのだというふうに考えなくもいいと思う。むろんそれだけ物価を上げる刺激は持ちますが、しかし一般物価が上下する要素は非常にたくさんあるのでありますから、すぐそれだから一般物価が上るとも考えなくてよかろう、かように私は考えるわけであります。ただ私、前の内閣がきめたからその通りだ、そういうふうに簡単に考えておるのでありません。しかしそれぞれの専門家、同時にまたこれは一つの政策でもありますから、いろいろな各方面の関係もやはり考えないとなかなか始末がつきません。そういう各般のことを考えて、そういう研究はやはり一応尊重した方がいい。いろいろな専門家がおやりになっておることですから、そういう意味で、私は専門家の決定してきておることを尊重していこう、こういうかうに思っております。そうして具体的にはいろいろと検討を加えて、私自身も、やはり上げた方がいいのではないかと今は思っておるわけであります。
  84. 奧村又十郎

    ○奧村委員 日本の物価が国際物価と比較すると割高である、従ってどうしても輸入がふえ、輸出が伸びないというふうにわれわれ承知しております。国際物価と比較すれば、まだ全体とすれば割高のように承知しておるのですが、大蔵大臣は、国際物価と比較して今正本の物価はどういう水準になっておるのか、またこれに対してどの程度までどうしようと考えておるのか、ある程度これはめどがなければいかぬと思います。その点をお聞きしたい。
  85. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、間違っては悪いですから、数字のものでありますから、後ほどでも数字としてお示しするがよろしいと思いますので、差し上げてけっこうでありますが、概括して言えば、繊維品は国際物価に比べて非常に安い、これは持続的に安さを続けておる。そこで繊維品の価格を安定させるためには、私はやはり生産が過剰なのだから、どうしても生産に調整を加えなければいかぬ、こういうふうに考えて、むしろその結果繊維品がある程度上っても、十分国際競争に耐え得る、いかにもめちゃくちゃに安く売る必要はない、こういうような考えであります。繊維は確かに国際物価よりも安い。がしかし、その他のものについて、たとえば鉄なんかについて、今棒鋼を例にとると、三万七千円、六千円を出たとかいうけれども、これはもう取るに足らぬ分量でありまして、これはやはり大メーカーの五万六千円という棒鋼の建値が大部分を占めておる。これはヨーロッパあたりの四万円に比べると、なお一万何がしは割高である。こういうふうな状況であります。大体において、私は繊維品は安心していいと思う。むしろこれは若干生産調整をすべきだ。しかしその他においては、これは一々見るとなお国際物価が安いのではないかというのがあると思いますが、概略で言えば繊維品はそうです。その他のものについては、なお私は生産コストを下げる努力を今後いたすべきだ、かように考えております。
  86. 奧村又十郎

    ○奧村委員 大蔵大臣の御答弁は、いろいろ御親切なお話がのるが、質問の焦点はぼかしておられる。これはほかの同僚委員も、きのう来とぎどきかんしゃくを立てておるのは無理もないと思う。もう少し時間を節約されて、大蔵大臣もいつまでもおられるのもかなわぬでしょうから、もっとはっきり国際物価と日本の物価の水準と比較して、今どういう程度になっておるのか、日本銀行の方の調査によると、まだ平均して約五分方高いということを聞いておるのですが、大蔵大臣はどう考えておりますか。鉄や繊維や一々言い出したら、それだけで一日かかります。もっとはっきりこちらの焦点に合せて御答弁願いたいと思います。  時間の関係上、それでは続けて言いますが、それじゃ河野経済企画庁長官は、四月の物価から一〇%引き下げたい、こういうことを、言っておられる。そこまではっきり方針を立てておられるのですから、大蔵大臣におかれても、そういうふうなある程度のめどを持っておられるはずと思うのです。その点について御答弁願いたい。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、今のところ何パーセント物価を引き下げるというめどは持っておりません。一応ここで物価は下るだろうというふうには考えておりますが、何パーセント具体的に下げるというめどは持っておりません。
  88. 奧村又十郎

    ○奧村委員 一体政府の物価に関する政策の所管は、どこなんですか。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、しいて言えば、物価というものは総合的に考えるものですから、総合的官庁の経済企画庁あたりで統合的に考えるべきではないかと思います。むろん大蔵省が物価について無関心であるという意味ではありません。
  90. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも与党の委員として、私は少し意地の悪い質問になるかもしれませんが、経済企画庁の所管大臣の河野さんが、物価は四月当時よりも一〇%下げたい、こういうことをはっきり述べておる。そうすれば、内閣としてはやはりその通りにやっていかれるのですか。今経済企画庁が所管であると言われるなら、そうなるはずですが、その点とうも大蔵大臣、あるいは各省大臣との間の話し合いは十分ついていないように思うのですが、その点どうですか。
  91. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 物価を今後どういうふうに持っていくかということについては、むろんこれは企画庁を中心に関係各省で今後検討を加え、そうしてしっかりした政策を立てるつもりであります。しかし企画庁その他関係官庁が寄って、政府として何%下げるというような目標は、ただいままで定めておりません。
  92. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうも各省やり方がばらばらですね。七月に北陸電力、東北電力の電力料値上げについては、通産大臣がほとんどお一人できめられたような印象を与えております。そうすれば、物価政策というものはまるでばらばらです。私は、物価政策は価格安定の一番上台だと思う。これでは全く情ない。それでは、河野経済企画庁長官は、消費者米価は上げないとはっきり言うておられるが これはまたどうなりますか。あなたの方では、閣議で決定したのだから上げる、この話し合いはどうなっていますか。
  93. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 河野企画庁長官の意見については、まだ私承知しておりません。それから今御注意がありましたように、物価問題並びに物価政策が重大であることは、申すまでもありません。従いまして、政府としても、私もすみやかに物価政策を確立すべきであるというふうに考えております。
  94. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、決して言葉じりをつかまえるのではありません。大事なことで政府の方針が一致していないからです。というのは、少くとも政府が確固たる決意で物価を安定させよう、抑制しようとするなら、消費者米価はこの際上げるべきではないという考え方は、私は有力な考え方だと思う。しかもこれは、経済企画庁長官が言明しておる。あなたの方では、これは上げるのだ、そういう物価の一番上台となる米価の問題でもそうでしょう。また政府の力で、米価だけは抑えようと思えば、押えられるのでしょう。それを抑えずにおいて物価を安定させるのだ、一体どういう方法物価を安定させるのですか。肝心の方法が、政府部内でばらばらです。国民はどういうふうに話を聞いたらいいのですか。それは経済企画庁長官の言うことを聞くべきなんですか、どうですか。
  95. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 米価消費者価格というようなものは、当然私は閣議で決定さるべきだと思います。従いまして、その間においてまたいろいろと意見のあるところもありましょう。しかしそれだからといって、政府の方針がばらばらというわけではないと思います。
  96. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほど大臣からの御答弁によりますと、金融引き締めによってかなり物価は抑制できるという御答弁で、具体的に物価安定の方策といえば、それ以外に何もおっしゃらぬ。しかし金融引き締めだけで物価を安定させようというのは、ずいぶんむちゃな話です。また現に金融引き締めの余波を受けて、繊維なんかの価格の暴落、鉄鋼の暴落、これは普通の価格ではない。投げ売りも相当あるのではないかと私は思う。そういうことで物価を安定させるのだということでは、国民は信頼できぬと思う。その中に何か物価安定の具体的な方針、方策はありませんか。
  97. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの状況は物価を安定させるためのまず基礎的なことからやっていく、言いかえれば、日本の経済が非常な膨張をして、むろんそれは、私が言うまでもなく、物資の需要が非常に多かった、これは、大体輸入によってカバーをして、物価を上げないという方策を私はとってきたと思うのでありますが、しかし輸入がすでに限界にきたから、どうしても今度は需要自体を押えることによって物価安定を庶幾しなくてはならぬ段階である。従って、今輸入引き締めで物価安定を来たす、すなわち物の需要を押えるという方策をとりつつあるのであります。そこで、ここで私はある程度の安定を見るだろう、いわゆる為替ベースから見た場合に、一応輸出入がバランスをとるだろう。そのときに、すぐ日本の経済のバランスがとれたとそれで安心しても、輸出が伸びるとは限らぬわけです。そのときに、国際物価と日本の物価をよくにらみ合せて物価政策を確立する。確立というとまた語弊があるかもしれませんが、私は特にその辺から物価というものに強い力を入れて、常に国際水準より若干下か、少くとも国際水準において輸出にドライブしていく、こういうように持っていきたい、こういうふうに考えるわけであります。
  98. 奧村又十郎

    ○奧村委員 金融の引き締めにしても、大臣も御承知通り、今の金融状態は正常ではない、つい先般までコールの利息が日歩六銭、これはべらぼうであります。この影響というものは、デフレ面の影響があって、政府が少々中小企業に資金を流したところで、これは焼け石に水であります。しかし、そういう方法までとって物価を今抑えられている。逆に言えば、金融が正常になればまた物価は上る、また輸入抑制がもうすでに物価が上る大きな原因になっておる。現にアメリカで石炭を輸入する契約をしておっても、外貨の関係でそれが延びた。やはり石炭が上る、石炭が上ればガスが上る。ずいぶんいろいろな物価上昇の要素があるんですから、政府が物資によって、またあらゆる犠牲を払って物価を抑制する努力をしても、現在の物価水準を維持できるかどうかわからぬと私は思う。ただ金融引き締めだけですか。物価安定政策は、また午後経済閣僚懇談会で御相談になるんでしょうが、そんなことで国民は納得せぬし、政府の物価政策には安心できません。  時間の関係がありますから続いて申し上げます。電力は北陸電力、東北電力の電力料は七月に一割四分余り上った。これはおそらくあとの七電力会社が電力料値上げを申請してくれば、一割四分とはいわずとも、一割そこそこは上げなければならぬ。というのは、現に二電力会社の電力料引上げの原因というものは、あとの七電力会社にもあるんです。これが果して抑えていけるかどうか。これは政府が絶対抑えようとするならば、せめて利子補給くらいは考えていかなければならない。こういうことは経済の原則に反しまするけれども、この際物価を安定させるためにはやむを得ぬ。そういう考え方からいって、米価も、今食管で繰り延べを百億や二百億惜しんで上ぐべきではない。こういうように、政府が相当犠牲を払ってでも、基礎的な物価である電力、米価、輸送、こういうものはこうして抑えるんだと言うてこそ、国民は納得していける。この際基礎物資に対する物価安定の具体的な方策は何かあるんですか。あなたの答弁によると、また電力料を上げなければならぬ、どうですか。
  99. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えは、この一つ一つ価格が上るとか、それは絶対にいかないんだという考え方は必ずしもとらないのであります。これは、やはり総合的に考えていかなくてはなりません。むろん何でも財政負担をして価格を上げないようにすればいいじゃないかという意見も立つでしょう。しかし、これはまた私は経済の本質に関する問題、あるいはまた政治の本質に関する問題で自由経済をとっておる以上は、やはり原則としては、価格の原理はいわゆる生産価格と消費価格というものがにらみ合うというのが自由主義、資本主義の原則であろうと思います。ただ、それが国民生活の上においてどういうふうな影響を特に与えるかという場合において、財政的な方法も講じなければならないだろう、何でもかんでも財政負担でいけというふうな考え方には、私は資本主義、自由主義である限りにおいては同調いたしかねるのであります。今回の場合の米価についても、そういう各般のことを考えて、財政においても決して負担をしないのじゃない、財政においてもやはりあれはあのまま実施するとしても、百億の一般会計からの繰り入れをしなければならぬのでありますから、これは総合的に考えていくべきだ、こういうふうに思っておるわけであります。ただし今いろいろとお話がありました点は、私十分拝承いたしていきたいと思います。
  100. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、これで質問を終りますが、どうも今までの御答弁では、国民は情なく思うと思うのです。大蔵大臣が貯蓄増強をずいぶん奨励しておられるが、近ごろ貯蓄が少し頭打ちになっております。貯蓄増強にしても、物価をこうしてはっきり安定させるのだということが大前提にならなければ、貯蓄増強をいかに笛や太鼓で言うたってこれはどうにもならぬ。また物価を安定するんだということで、思惑輸入というものは自然ととまるものであるし、またいわゆる投資インフレというようなものも間接的に抑えられる。この物価に対する政策というものには、自信がある御答弁は何もない。あなたのおっしゃるのは、個々の物価物価全体とは別だと言われる。野菜や魚の物価というものは、政府がどうして押えられますか。それは豊作のときには、下るし、小作のときには上る、これはやむを得ぬ。しかし米、運賃、電力、こういうものは政府の力で押えられるのです。これに対して具体的な方策を言わずに物価を上げぬとおっしゃる。まことに私は不満足でありますが、これ以上お尋ねしても御答弁がないようでありますから、九月の十日以後の委員会でもう一ぺんお尋ねをいたしますから、そのときは、一つはっきり御答弁になるように御用意をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  101. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま大月さんからの中小企業金融対策に対する、その後の施策を御説明受けました。ところが、これはどうも当時本委員会と大臣との間にかわされた約定、その他その後において発表されたものと違っております。まず中小企業金融公庫については、おおむね約束通りであるが、第一番に国民金融公庫のための資金量、これは七十億出すというものが、五十二億しか出ておりません。これは第三・四半期にも若干持ち越されておるということであるけれども、これは、前任者池田さんにお聞き願いたいと思うのだが、明らかに六、七、八、九ですか、九まではいかぬというやつを、特に九月に相当またがってもそれはどうだということで、九月までに七十億出すということが明確に約束されておる。従いまして、これは十八億をこの八月中に必ず追加支出を願うべきである。なお注のところに、未使用分が五億円あると言われておるけれども、これは当然資金需要がはなはだ梗塞しておるときだから、こんな使い残りがあり得るはずはない。支出がおくれておるからこういう形になってきておる。従いまして、当然約束の不足分十八億、これは八月中に支出願うか、おそくともこれは九月に御支出を願って、七十億という実額を充足していただかなければわれわれ委員会としては納得できません。  それからもう一つは、市中銀行に対する公債の買い上げです。これは今の御説明によると、十二月にまで及ぶということだが、当時明確に、市中銀行に対する中小企業融資の資金源確保というものは、これは時期的に九をも含めて、六、七、八の最もしわがはなはだしく寄る中小企業への四カ月間に対する応急の措置として、額と時期というものに限定がある、その条件のもとにこの金額が了承され、その施策が公けにされている。これが十月以降年末にわたり、さらに翌年度にまでわたるというようなことであるならば、それは計画よろしきを得ていない。これは、当然大蔵大臣ともお話を願うべきではあろうが、本委員会として長い時間をかけての検討の結果得た結論でありますから、これはそういうような処置をとっていただかなければならぬ。従って、あなたの方としてとられているところのこの対策は、緊急に御修正願いたいと思うが、いかがでありますか。
  102. 大月高

    ○大月説明員 ただいまの御質問の点は、三点あると思います。一つは、国民金融公庫の資金計画は、第二・四半期までに七十億というようになっておらない。それから第一・四半期の五億の使い残しは、当然九月に使うべきである。それから第三の問題は、金融債の二百億は九月までに処置すべきだ、こういうお話だと思います。  第一点の七十億の問題につきましては、私も当時席におりましたが、御要望といたしましては、今のお話しの通り、第二・四半期までに七十億というお話であったと私は承知いたしております。ただ当時大臣のお考えでは、これは資金運用部の資金繰りにも関係いたしますし、具体的に二・四半期だけでやれるかどうかわからないので、金額の点はここで七十億にきめる、しかしいつ出すかという点については、留保して検討さしてほしい、こういうことであったと承知しております。その後大蔵省といたしまして資金計画、経済の情勢、その他を勘案いたしましてできるだけ御趣旨に沿うように繰り上げをいたしました。むしろ中小企業金融公庫におきましては、御要望以上のものが出ていると思います。国民金融公庫におきましては、この程度で資金繰り上やむを得ないだろうということで、十八億を第三・四半期に繰り越したわけであります。全体といたしましては、ほぼ御要望を満たしているんじゃないか。それから第三点の金融債の問題につきましては、当時二百億の数字自体につきましても、御要望はよくわかっているけれども、二百億自体が実行できるかどうかを検討さしてほしい、こういうことで、金額を留保いたしまして、その実行の時期につきましては、私は差し迫った九月というお話は出なかったというように承知いたしております。懇談会の結果に基きまして、できる限り努力は払ったわけでございまして、さしあたり現状においては、別に支障も生じておらない情勢でございますので、今後いろいろ必要な情勢がございましたならば、それに応じてまた検討いたすということで御了承願いたい、こういうふうに考えております。
  103. 石村英雄

    ○石村委員 関連して、先ほど大月さんの御説明の数字ですが、少し違うんじゃないかというような気がするんです。大蔵大臣と懇談したときにわれわれが問題にしたのは、結局中小企業金融公庫にしても、国民金融公庫にしても、資金が足りない、従ってこういう情勢に応じて資金をふやせ、従ってこれは当然財政資金と申しますか、資金運用部の資金をもって資金をふやすということになって、あの数字が出て来たと私は理解しております。しかし先ほどの大月さんの説明では、資金運用部の金をふやすというのと、公庫が自分で持っている回収金の増加とかなんとか含めた金で十九億になったとかなんとか、そんな御説明で、これでは最初の懇談会の趣旨と違った説明になってくるわけです。春日君が聞いている点、その点あるいは明瞭でないのじゃないかという気がするのですが、いま一度はっきりした数字、積極的に資金をふやすという説明をしていただきたい。公庫が自分の持っている金、回収金がふえて、それを貸し出しに回しますということは、資金がふえたことにならない。われわれの懇談会の趣旨はそこにあったのです。ごっちゃにして、数字を大きくしてごまかすことのないように願いたい。
  104. 大月高

    ○大月説明員 春日先生の御質問の一点、落しましたので追加いたします。第一・四半期に使い残りました五億は、当然第二・四半期に使うということにしておりますので、御了承願いたいと思います。  それからただいまのお話でございますが、この七十億、六十億という数字が出ました根処は、当時お話もございましたように、第四・四半期の資金計画から出ているわけでございます。中小企業金融公庫の基礎になっております数字は、第四・四半期の貸し出し計画が九十三億である。この九十三億のうちの三分二相当のものを繰り上げる、こういうことでありまして、これは資金運用部からの借り入れ金額を基礎にした数字ではないわけでございます。資金運用部の資金から申し上げますと、第四・四半期の借り入れ金額は予定額はわずか五十七億でございまして、これのかりに三分の二ということにいたしますと、わずか四十億程度にしかならない。計算基礎は、まず貸出計画自体にあるということだとわれわれは了承いたしております。国民金融公庫にいたしましても、第四・四半期の貸出計画自体が百三十一億でありまして、これの約半額七十億という数字がここに出ているわけでございます。国民金融公庫の第二・四半期の資金運用部の借り入れ計画は、わずか四十五億でございますので、そういう点から申し上げましても、今の計算基礎は、私どもの了解いたしておりますように、貸出計画をもとにした数字である。それから資金運用部の資金が繰り上げられているかどうかということでございますが、われわれも御趣旨はよくわかっているつもりでございますので、資金運用部の資金につきましては、中小企業金融公庫の第四・四半期分の借入額五十七億を第三・四半期に繰り上げて計画しているわけであります、具体的に申し上げますれば、第一・四半期には十億を繰り上げております。それから第二・四半期には三十七億を資金運用部の借り入れ計画として繰り上げを実行しているわけでございます。それから国民金融公庫といたしましては、第四・四半期の資金運用部からの借り入れ計画四十五億のうちで、第一・四半期に五億、第二・四半期に四十億、全額繰り上げ実行いたしているわけでございまして、皆様方の御要望をほぼ充足しているのじゃあるまいか、そういたしますと、問題は第四・四半期の一体貸し出しをどうするかということでありますが、これは国会において御審議を得まして、資金運用部からの借り入れの限度を増額するというようなことは、情勢を見て考慮しなくてはいけないのじゃなかろうか、そういう意味で、この考え方といたしましては、資金運用部からの借り入れをふやすこともある程度予想して、考慮の対象としてやっているわけでございます。御了承願いたいと思います。
  105. 春日一幸

    ○春日委員 そこでお伺いいたしますが、いずれにしてもその絶対額が違っております。あなたは、金額的にはそういう話し合いがまとまっているけれども、時間的には、その裁量は政府に一任されている、もとよりこれは執行権に関する問題でありますから、委員会としてはおのずから限界があるわけでありますけれども、とにかく話し合いは話し合いなんですから、この点は明確にしておかなければならぬと思います。あのときは、山本委員長司会のもとに持たれた懇談会でありますから私、委員長にもこの際この点は明確にしておかれたいとこいねがうわけでありますが、私たちの理解は、六月、七月、八月、できれば三カ月、しかし九月にわたる場合もやむを得ないであろう。しかし非常に中小企業の金詰まりがひどいので、時間的に——極端な例をいえば、時間はいつでもいいということならば、これは予算通り執行していっても変化がないわけですが、私どもは、六、七、八月に中小企業に対して時期的に非常に金融の困るときが到来するだろうということを予見してその情勢下においてこの必要資金を流すことを、その懇談会で諮ったわけです。従いまして、時期はいつでもいいということではないと私は確信しておる。委員長は、懇談会を司会されておったのでありますから、この問題については、当然明確に了解されておる事柄であろうと思いますが、時期はいつでもよかったのか、時期は七、八、九にまたがる、こういうことで了解が与えられておったのか。これはあいにくと当日速記をとっておりませんでしたが、委員長の責任と権威において、これはどういうことであったか、この際明らかに願いたいと思います。
  106. 山本幸一

    山本委員長 御説の問題ですが、昨日私がこの委員会で、委員長席から発言を申し上げたように、時期については、原則として八月、ただしわれわれは執行権を侵害はしませんか、操作上一部九月にかかることはやむを得ぬ、こういうことが前提であります。またそういう前提で、大臣と私との了解の上で、新聞談話も私は発表しておりますし、かつまたラジオ放送も、それを前提にやっております。従ってその認識はあやまちございません。
  107. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま委員長から明確なる御答弁がありました。これは、私と何らの打ち合せもなくして、ごらんの通り、ここで質疑応答を通して、委員長から当時の見解が表明されました。それは、ただいま大月さんから答弁されたところの額についてはかくかく、すなわち三百五十億円というものについては、そういう委員会との間に意見の妥結を見たのであるが、時期的には、これは政府の裁量権にゆだねられておるというあなたの御答弁は、これは明らかにわれわれの理解するところと違っており、さらに委員長によってこれは確認されたところである。従いまして、少くとも国民金融公庫の十八億が九月以降にまたがるということは、これまた違っておるし、それから市中金融機関公社債の買い上げ、すなわち保証協会の保証した分についての公社債の買い上げを行うの時期についても、これは十二月かれこれまでを時期的に目途としてこの計画を実行するということは、これまた間違っておる。これは、すべからくその当時の大臣、それから委員会との協約に基いて当時新聞にも発表され、国民はそれを期待しておる。そういうような意味合いにおいて、これは、すみやかにその協約の通りわれわれは修正を願わなければならぬと考えますが、問題は非常に重大でありますので、このような質疑応答の場面において即答を願うことも、確定を願うことも困難でありましょうから、これは委員長の責任において、新任一萬田大蔵大臣との間に十分折衝を遂げられて当時あなたが新聞談話で発表されたと同じような、国民が期待しておる線に基いての処理が実施されることを強く要望いたしましてなおこの事柄は、大月さんを通じて大蔵当局にも強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  108. 山本幸一

    山本委員長 御要望の点は、私直ちに大蔵大臣と折衝いたします。なおいずれこの問題は、前の東條局長から引き継ぎがあろうと思いますから、新銀行局長とも十分懇談して、あの懇談会の趣旨を実行してもらうように努力いたします。  それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は九月の十、十一日と理事会はさように話し合いを決定いたしましたが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 山本幸一

    山本委員長 それではさように決定いたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後二時一分散会