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1957-05-29 第26回国会 衆議院 商工委員会貿易振興に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十二年二月二十二日(金曜日) 委員長指名で次の通り選任された。       阿左美廣治君    小笠 公韶君       岡崎 英城君    川野 芳滿君       小平 久雄君    佐々木秀世君       笹本 一雄君    篠田 弘作君       島村 一郎君    鈴木周次郎君       田中 角榮君    前田 正男君       南  好雄君    森山 欽司君       加藤 清二君    田中 武夫君       中崎  敏君    永井勝次郎君       帆足  計君    松平 忠久君       八木  昇君 同日  松平忠久君が委員長指名で小委員長選任さ  れた。     —————————————    会 議 昭和三十二年五月二十九日(水曜日)    午前十時四十九分開議  出席小委員  小委員長 松平 忠久君       阿左美廣治君    小平 久雄君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       南  好雄君    加藤 清二君       田中 利勝君    中崎  敏君       永井勝次郎君    帆足  計君  小委員外出席者         通商産業事務官         (通商局次長) 中山 賀博君         参  考  人         (日中輸出入組         合専務理事)  高見 重義君         参  考  人         (国際貿易促進         協会常任委員) 田尻 愛義君         参  考  人         (八幡製鉄株式         会社購買部長) 間  端夫君         参  考  人         (電気事業連合         会事務局長)  中川 哲郎君         参  考  人         (セメント輸出         協力会業務課         長)      伊瀬知好弘君         参  考  人         (全国味層工業         会副会長)   田中徳兵衛君         参  考  人         (東京銀行常務         理事)     杉原 雄吉君         参  考  人         (日中機械貿易         連絡協議会常任         理事)     櫻井 淑雄君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月八日  小委員森山欽司君同月二日委員辞任につき、そ  の補欠として山手滿男君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  田中武夫君同月五日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  川野芳滿君同月六日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 五月二十五日  佐々木秀世君及び鈴木周次郎君三月八日委員辞  任につき、委員長指名で小委員補欠選任さ  れた。 同日  小委員山手満男君三月九日委員辞任につき、その  補欠として森山欽司君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  阿左美廣治君三月九日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  中崎敏君三月十五日委員辞任につき、委員長の指  名で小委員補欠選任された。 同日  小委員岡崎英城君三月十八日委員辞任につき、そ  の補欠として旧中彰治君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  篠田弘作君及び前田正男君四月九日委員辞任につ  き、委員長指名で小委員補欠選任された。 同日  永井勝次郎君四月十日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  小委員田中角榮君四月十六日委員辞任につき、そ  の補欠として松岡松平君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  八木昇君四月二十五日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  川野芳滿君四月二十七日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  島村一郎君同月十七日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同月二十九日  佐々木秀世君及び鈴木周次郎君同月二十八日委員  辞任につき、委員長指名で小委員補欠選任さ  れた。 同日  小委員八木昇君同日辞任につき、その補欠として  田中利勝君が委員長指名で小委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日中貿易に関する問題について参考人より意見聴  取     —————————————
  2. 松平忠久

    松平委員長 これより会議を開きます。  本日は日中貿易の進展に関して参考人各位の御参集をいただきまして御意見を伺うことといたしたのであります。本日御出席参考人各位は、日中輸出入組合専務理事高見重義君、国際貿易促進協会常任委員田尻愛義君、八幡製鉄株式会社購買部長間端夫君電気事業連合会事務局長中川哲郎君、セメント輸出協力会業務課長伊瀬知好弘君、全国味噌工業会会長田中徳兵衛君、東京銀行常務理事杉原雄吉君、日中機械貿易連絡協議会常任理事櫻井淑雄君、以上八名の方々であります。  この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人方々には、御多用中のところ、本委員会に御出席下さいましたことを厚くお礼申し上げます。すでに御承知のごとく第三次日中貿易協定は二年間の期間が満了いたしておりまして、近く第四次協定交渉ために、わが国民間関係代表者各位中国に渡航されることになっておるのであります。この日中貿易第四次協定に当りましては通商代表部の問題、決済方式並びに輸出入品目分類等について検討を要すべき諸問題が残されており、なお禁輸問題については最近英国のチンコム脱退等の情報も伝えられ、わが国においても各方面から種々意見が寄せられておるのであります。本日は、これらの問題を初め、輸出入取引の実際問題等につきまして、御出席参考人各位より忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  なお参考人の御意見開陳の時間は一人おおむね十分ないし十五分程度にお願いするこことし、その順序は、勝手ながら小委員長におまかせ願いたいと存じます。なお御意見御発表の後小委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。  それではまず最初に高見参考人よりお願いいたします。
  3. 高見重義

    高見参考人 第四次協定折衝されるいろいろ未解決の問題が山積しておるのであり拝するが、われわれ貿易団体にとりましては何よりも貿易拡大——従来のこの隘路を極力早く打開し、そして日中貿易のこの数字を二倍にも、三倍にもしていくということがわれわれ最も渇望するところでございまして、それがためにいろいろ政治問題とかあるいはその他の問題がからまってくるのでありまするが、何といいましても第四次協定貿易協定であります。貿易主眼にならなければならぬ問題でありまして、貿易打開ということについてすべての焦点を合せていかなければならぬとわれわれ実は考えるのでありまして、そのためには、たとえて申しますると政治的な問題、通商代表部とかあるいは支払い決済の問題とかいろいろな問題が付属してくるのでありますけれども、何と申しましても貿易優先権、これをはっきりしなければならない。従って第四次協定は一日も早くその成果を上げなければならぬ、こういうことを私は極力主張するものであります。特に第二次五カ年計画が多少計画にそごを来たしたということは聞いておりまするが、いよいよ中共も本年の九月までには全部の計画を完成すると伝えております。従って十月以降、これから本格的ないわゆる発注と申しまするか、国際市場買付が始まるということを伝えておりますので、そのときになってあわてて中国との折衝をやりましてもだめでありまして、少くとも数ヵ月前においてその折衝を始めなければならぬ。それには現在第三次協定失効になっております。五月四日で切れておるのでありまして、この失効期間をそのまま空費すべきであるかどうかということが非常にわれわれにとりましては重大問題でありまして、この失効期間に一体何をなすべきか。あくまでも中国道義感とかあるいは親日感に依存してじんぜん日をむなしゅうすることはわれわれ貿易業者にとっては絶対にとらざる策であります。従って三次協定失効、これが必ずや第四次協定の発足ということにすべて結びっかなければならぬのでありましてこの点から申しましても、第四次協定は一日も早く形式的にも結ばなければならない、そうして中国の第二次五カ年計画にマッチいたしますためにも、何と何が中国に要るのだ、何と何を日本は出したいのだというような、ごく卑近なことから貿易拡大の問題まで討議することが絶対必要でありまして、このためには日本朝野をあげて、この問題にとにかく協力していかなければならぬと私は感ずるのであります。  最近の貿易情勢を見ますると、なるほど昨年日本輸出超過、特に乙類丙類トーマス残が相当残っておりますので、貿易方式から見ますとどうしても日本はこのトーマス残を見なければならない。すなわち輸入をやらなければならぬというために、相当貿易情勢が複雑化したのでありますが、中共側もそれを見越して、最近の貿易方式というものはバック・ツー・バックという方式を採用しております。すなわち日本から買うとともに同時に中国品物を買ってくれというように、非常にせっぱ詰まった条件を申し出ておりますためになかなかうまく見合いがいかないというので、相当貿易拡大がはばまれております。かたがたこの中国の第二次五カ年計画の多少のずれも加味いたしまして、本年初頭は相当貿易が停頓しております。これを具体的に申し上げますると、一月から四月までの貿易は一千万ポンドであります。これは一−四月、四カ月間の輸出入額の合計です。昨年の全実績は五千四百万ポンドでありましたので、もし一月−四月、四ヵ月間一千万ポンドといたしますと、このままでいきますとわずかに三千万ポントにしかいかない、昨年の半分そこそこであります。  しかしわれわれはこれについては少しも悲観してないのでありまして、今後はこの下半期におきまして相当大きな成果を上げると確信しておるのでありますが、しかしその成果を上げる手段をとらずにおって、便々として現在の情勢に追従することは、これはとらざる措置であります。何としてもこの打開策を一日も早く講じなければならぬという大きな至上命令に直面しておるのでありましてこの点からも第四次貿易協定というものが、いかにも重要であるかということを私どは痛感する次第であります。  かたがた最近、チンコムの問題が今パリで取り上げられておりまするが、西ヨーロッパの態勢というものはこのチンコム全面的緩和を主張しております。アメリカは、新聞紙の報ずるところによりますると、チンコム二百六十品目の中で五十品目だけはこれをココムに移譲したいと言うておるのでありますが、これに対して西ヨーロッパは全面的にこれを拒否しているような次第でありまして、最近イギリス態度としましてはこの問題が露骨に出ておるようであります。このチンコム緩和の問題につきましても、現在の日本の置かれた立場、特に国際的地位から見ますと相当複雑な地位にあると私は思うのでありまするが、何としてもこの中国の第二次五カ年計画に即応する日中貿易拡大という線から見ますると、是が非でもこれを最も日本に有利に解決していただかなければならないのであります。現在のチンコムはいわゆる特認緩和という形式で、最近はまた再び相当中国からの発注があります。昨年の同期に比較いたしますとおそらく十倍くらいになったのではないか。そして日一日とこの特認の問題が日本にとりまして有利に解決されておるのでありまして、もう一歩、百尺竿頭一歩を進めてこのチンコム全面的緩和というところまで来ていただきますると、従来日本メーカー並びに関係団体が憂慮しておりましたこういう重要器材というようなものが全面的に押し出されてくる。ただ現段階では、日本機械メーカーは、価格の面において相当西ヨーロッパにおくれているようでありますが、もしこのチンコムが全面的は緩和されたならば、日本機械メーカーは全面的に合理化の線とマス・プロの方策によっておそらく中国の方に相当大きな進出を来たすであろうと私どもは確信しております。従ってまず道を開くということが先決問題であると私は考えております。機械メーカーに値を安くしろ、あるいはその他の条件緩和しろといっても、出せるか出せないかわからないものをやれといってもしようがないのでありましてまず大きな道をつけていく、レールをつけてそれに乗りなさい、あとはあなた方の力でやりなさいということになれば、日本機械メーカーも必ずその対応策がとられてくると思いますので、ぜひともこのチンコム緩和というレールだけははっきりとつけていただきたいということを懇願する次第であります。  それからさらに一言申し上げたいのは、通商代表部の問題でありますが、現在われわれは何と申しましても貿易主眼としておりますけれども中国側といたしましては、これに劣らず届商代表部というものを非常に重要視しております。それがためにこの第四次協定がいまだに解決されないという非常な不運な孤独な立場にあるのでありまして、日本側から見ますと、何もそうやかましく言う必要はないだろうという感なきにしもあらずでありますが、やはり相手意見も尊重しなければならぬのでありまして、そのためにもこの通商代表部というものが相手にとってそれほど重要であるということを考えますと、これもチンコム同様に日本側といたしましては一日も早く解決しなければならぬじゃないか、こう考えてます。多少日本にとりまして理屈に合わぬ点もあるいはなきにしもあらずでありますが、何しろ貿易相手のあることであります。一方的に独断できまらない、お互いに相談して、そして最後一致点を見出すのが本筋であるのでありまして、いたずらに日本側の主張のみにこだわってはなかなか所期の目的を達成し得ないのであります。従ってこの通商代表部につきましては、日本政府並びに国会の議員諸氏もできるだけこの問題に慎重な態度と考慮を払われて、一日も早く解決していただきたい。  この通商代表部につきましての最も大きなガンは指紋問題であります。その指紋問題につましては、今さら駄弁を弄する必要はないのでありますが、とにもかくにもこの指紋問題を解決する。これは日本の法律上、あるいは国際的ないろいろな制約があるかと思うのでありますが、何かしらこれを突破できないものかどうか。われわれにはそういう深い理由とか、しさいは毛頭わからないのでありますが、この問題は貿易促進という大きな線から編み出された重要事項でありますので、この指紋解決をやっていただくということが最も肝要であり、また私自身からも声を大にし皆さんの前でお願いいたす次第であります。  従って、私が今申しましたところを結論的に申しますと、第四次協定は、一日も早く解決しなければならぬ。それがためには、いろいろ山積しておる諸問題を最も友好的に打開していただきたい。  それから最後に今大きな問題になっておりまするチンコム緩和、この問題はイギリス先鞭をつけられてはまずい、特に西ヨーロッパ先鞭をつけられては、日本としては非常な不利な立場に立つということがはっきりしておりますので、この問題もあわせて皆さんの前に声を大いに大にし解決を要望する次第であります。  大体以上で私の御説明を終ります。
  4. 松平忠久

    松平委員長 次に田尻参考人にお願いいたします。
  5. 田尻愛義

    田尻参考人 中共貿易打開につきまして、本委員会がいろいろお世話下さっておりますことを承知いたしまして感謝の意を表します。大体のお話は今高見さんからありましたので、なるべく重複を避けてお話し申し上げたいと思います。第四次協定につきまして、またそれに関連しまして、私は三つの大きな問題があると思います。  一つは、今説明がありました民間通商代表部に関連する指紋の問題であります。向うとしては、指紋がいやだと言っておりますので、できるだけその要求に沿うというので、われわれとしましてはいろいろ陳情もして参りました。ある線は出たようであります。まことにけっこうだと思っております。あと交渉の問題になると思うのでありますが、せっぱ詰まった場合の考え方として今の日本の法令では、指紋日本の役所がこれをとるということになっておりますが、場合によりましては日本がとらないで、向うにとらすというくらいな融通、便法もあるいはあるんじゃないかということも考えられます。向うの方でそういうことを承諾するかしないかもわかりませんけれども、あまり法律的な解釈ばかりにこだわらないで、しかも今出ておる線だけではどうしても不満足だという場合には、もう少し向う協力した指紋解決便法考えてみなければいかぬ。そこに結論が出れば、また皆さんのお力で、政府の方もそういうふうに動くようにお願いしたいと思います。  次は、チンコム制限廃止の問題でございます。私の方ではきのう協会総会を開きましたが、席上、出席者の強い要望によりまして、特に機械関係輸出組合が非常に関心を持っておられまして、そちらからの御提案が主になりまして、チンコム廃止ココム緩和ということをぜひやっていただきたい、こういう総会決議をいたしました。これは決して形式的な決議ではないのであります。われわれは日本の業界の総意国民総意考えております。いずれ書類はこちらへもお持ちしてお願いする次第でございます。どうかその節は旧以上の御協力をお願いしたいのであります。  申しおくれましたが、指紋の問題につきましては、実は協定関係するばかりじゃありません。中国側でことしの秋には名古屋、福岡で展覧会を開きたいと、こういっております。おととしの経験から申しまして、向うの方の滞在は、やっぱり四ヵ月、五ヵ月になると思います。そのときにも指紋の問題が当然起って参ります。この点はあわせて解決方に御援助を願いたいと思うのでありますが、チンコムの問題につきましても同様で、これは国柄からいいまして中共ばかりではありません。北ヴェトナムあるいは北朝鮮との貿易もだんだん芽を出してきております。北朝鮮でも北ヴェトナムでもやはりチンコムと同じ制限が課されておるのであります。これの廃止ないしはココム緩和ということは、そちらの方面にも大きな影響があるのであります。その辺もあわせて御考慮願いたいと思うのであります。  最後に申し上げたい点は輸入の問題であります。日中貿易拡大をはかります上において、チンコム解除と並んで大事な問題は、中国からの輸入をいかにして増すことができるかという問題であります。そう考えてきますと、中国土産品、ことに鉱物資源を、日本として長期計画のもとに買うという腹を向うへ示す、その決意がなければチンコム解除も実は片手落ちになるのであります。この問題につきましては、鉄鉱あるいは石炭というような品物が、まず第一に頭に浮ぶのであります。いずれ後ほど皆さんからお話があると思いますけれども、私らの立場としてお願い申し上げたいのは、鉄鉱も買おう、石炭も買おう、それはいいことだというような抽象的な問題ではなくて何年間にわたって大体どういう計画中国から買うという腹を、政府に早くきめていただくということが大事だと思うのでありましてチンコムはようやく打開の道が開けてきております。この輸入の問題につきましてはまだあまり問題にされていないと申しますか、問題にされておる方々が少いようであります。チンコムと並んで、ないしはそれ以上に大事な問題だと考えますので、協定締結に先立ちまして、できるだけ具体的な政府の方針が打ち出せますように御援助を願いたい、こういうふうに考えます。まことに簡単でございますが、以上の三点をお願いいたします。
  6. 松平忠久

    松平委員長 次に間参考人にお願いいたします。鉄鉱石並びに石炭等につきまして特にお願いいたしたいと思います。
  7. 間端夫

    間参考人 私八幡製鉄購買部長をやっております間でございます。ただいまの鉄鉱石石炭お話でありますが、鉄が中共貿易についてあまり熱心でないという御批判もあるかと思いますが、実は日本製鉄業原料資源といたしましては、何といっても一番近いところにございます中共資源しろうと考えにしても運賃も安かろうし、当然とるべきじゃないかという御意見があることはよくわかるのであります。ただ鉄の場合の資源となりますと、これは技術的にいろいろ問題がございまして、たとえば鉱石なんかにいたしますと、もしかりに中共から百万トンなり二百万トンなりの鉱石をとるという長期の約束をいたしましても、それが何かほかのいろいろな関係で、もしかりに入ってこないとした場合に非常な大きな障害が起ってくるわけであります。それは溶鉱炉の火が消えるということなんであります。鉱石というものはほかの商品と違いまして、山はわれわれのために掘ってくれる山で、ほかには売らない山なんです。現在私どもが買っておりますフィリピンなりマレーの鉱石にしましても、われわれのために山を掘ってくれておるのでありまして、われわれがもし買わないときには、その山の石はヨーロッパに売るとかそういうところに流れていかない性質のものです。逆なことが言えまして、もしそういう山が、ことしはちょっと工合が悪いから日本には売れないんだというようなことになりますと、それの代替を急に求めることができない。新しい山を開く場合には、その新しい山を見つけることも非常に困難があるわけであります。もしかりにそれが見つかっても、三年なり四年なりの期間がかかる。その間溶鉱炉は火を消してとまっておる。これは溶鉱炉だけじゃございませんで、溶鉱炉に付属しますコークス炉、それからコークス炉の副産物をとります副産設備というものが全部とまってしまうということになるわけであります。従って原料というものは非常な安定性を必要とするわけでありまして、そういう安定性が今の中共との関係でうまくいくかどうかということに一まつの不安を持っておるということがわれわれの現在の状態ではないか。それがだんだんいい関係になってきておることは承知しておりますけれども、今すぐ鉱石の問題に取り組むということは、ちょっとまだいろいろな意味で危険性があるのではないかというふうに考えております。  石炭につきましてはちょっと事情が違っておりまして、現在のところ開らん炭をわずか使っております。原料資源は今まで中共が非常に大きな部分を占めておったわけでありますが、戦後これが全面的に後退しまして、石炭につきましては主としてアメリカ炭に依存しております。これは御承知のように強粘結炭というのが日本にほとんどございませんので、アメリカから全部持ってくる。これはアメリカ炭開らん炭の問題ですが、それまでは私どもアメリカから石炭を買ってきて製鉄をやるなんということは、考えも及ばなかったことでありますけれども、やってみますと非常に品質がいいのであります。大体開らん炭アメリカ炭に比べますと——メリットと申しますが、五七%くらいのもので、これは灰の問題とか揮発分の問題とか、そういう技術的な問題があります。アメリカ炭を一〇〇としますと開らん炭は五七のメリットしかないというようなことが技術的に言われております。運賃が少し高いのでありますが、向う石炭FOB値段が安いものでありますから、日本に持ってきてもけっこう製鉄業は成り立つというようなことでありまして、開らん炭の場合は、これはこの間もちょっとあったことでありますが、アメリカ炭運賃が上って参りますと開らん炭をそれにつれて上げて参るというようなことをやられるわけです。それまでは六十一シルの開らん炭FOB値段でありましたが、米炭のフレートが上って参りましたのでそれを百二十二シルにするということを向うは言っておったわけであります。そういうような状態では安心してわれわれの原料を依存できないということなんです。これは一つの例であります。開らん炭の場合は、もしそうやって開らん炭をわれわれが買えなくなった場合でも、すぐ米炭に切りかえられるわけであります。米炭というのは国際的な性質を持っておりまして、ヨーロッパイギリスあたりにどんどん輸出されておるのであります。百万トンや二百万トンの数量は、アメリカのマーケットが大きいものですから、そのくらいのフラクチュエートはあってもちっともさしつかえない。ただ鉱石の場合はそういうことができないわけであります。簡単でございますが、その程度で……。
  8. 松平忠久

    松平委員長 次に中川参考人にお願いいたします。
  9. 中川哲郎

    中川参考人 中川でございます。私は電気事業会から、中共貿易に関しまして御要望申し上げたい点を御説明申し上げまして御理解と御援助をいただきたいと思います。  電力の問題といたしましては、結局中共炭の輸入の問題でございます。昨年の十二月からことしの二月にかけましての渇水に際しまして、石炭の非常な不足になり、この間外国炭の一部といたしまして、中共炭をスポットで電力業界が買いましたわけでございます。これは一時的な問題であったわけでございます。ところが昨年の暮れあたりから近い将来にわたりましての電気の燃料の問題をいろいろ検討いたしますと、非常に燃料需要について心配すべき点が多いわけでございます。昨年以来電力の需用が非常に伸びまして、ことしあたりも電源開発等の関係もございますけれども、十分に火力の設備をフルに稼働して需給の維持をいたさなければならない状態と相なりました。かような関係からいたしますと、電気の燃料といたしまして昨三十一年度におきましては石炭が八百五十万トンほど、重油を七十万キロリットルほど消費いたしました。ところがこの三十二年度につきましては、現在のところの見通しで申し上げますると、石炭換算にいたしまして、大体年間千四百万トン。こういうことに相なるわけでございます。昨年の、先ほど申し上げた数字を石炭換算で申しますと、約千万トンをちょっと割る程度でございますが、いずれにしましても四割程度の燃料が発電用としてふえなければならない、こういう関係になります。千四百万トン相当の石炭を今の国内炭の需要からいたしますと、計画は大体石炭が千百万トン、重油を百五十万キロリットル、こういうふうに考えておりますが、この石炭の千百万トンを国内炭だけでまかなうという点につきましても非常に問題が多いわけでございまして、おそらく千万トン程度の調達がやっとではないかというふうに考えられております。と申しますのは、国内炭は石炭は四千八百万トン程度の総出炭量でございました。この三十二年度が五千二百万トンないし三百万トンと言われておりまするが、増産分の四百万トンないし五百万トンのうち、電気だけで四百万トン相当のものをもらうということはとうていできない相談でございまして、大体国内の総出炭の電力向けの適正炭と申しますか、全体のうち電力に向いたようなもの、これがおそらく二割から二割二、三分程度のようでございます。かような事情からいたしましても、国内炭だけでこれをまかなうことは非常に困難であります。石炭業界でもすでにさような事情を表明されている事情もございまして、私どもとしては結局昨年度からの燃料の増加分は外国炭並びに重油に切りかえていくということに考えておるわけでございます。今後の電源開発が進みますると、大体現在の発電設備は火力が二、水力が一という割合でいたしております。従ってそれに応じまして燃料の問題も非常に毎年ふえて参るわけでございまして、石炭にいたしまして毎年ふえます今がおそらく百五十万トンから二百万トン程度の発電用の炭を毎年ふやしていかなければならぬ、こういう関係になります。従いまして国内炭でふえます分も優先的にまかないますけれども、不足分は将来にわたりまして外国炭ないし重油ということに相なるわけでございます。従って外国炭といたしましては結局中共に依存することが経費その他の関係より一番安定し得るのではないかと考えまして、ぜひ長期計画といたしまして中共炭を入れて参りたい、使って参りたい、かように考えておるわけでございます。従ってこの点につきましては、関係方面、ことに通産省の方でも事情を御了承いただいておるのでございまして、できるだけ安い炭を相当量まとまって発電用に毎年入れて参りたい、こういうふうに考えております。それでかようなある程度計画的に中共に炭を依存するということになりますと、どうしても送り出しの中共側といたしましても、中共の出炭計画あるいは産炭計画にこれを織り込んでいただいて、日本の電力向けに回してもらえるかどうかということを検討してもらわなければならないと思います。そういう点で先方に対しましては個々の商社を通じての取引の問題でなく、ぜひ長期的な問題としてこれを考慮していただくという意思を直接伝えまして、石炭の点の見通し立ち得るかどうかを直接打ち合せるのが一番適当ではないかというふうに考えまして、いろいろの方の御意見等も伺い電力業界からしかるべき代表を送りまして、先方の貿易担当あるいは石炭担当の方面と打ち合せをいたしたいというように考えまして、この一、二ヵ月前からそういう申し入れを直接先方にいたしまして、交渉ができるように申し出をいたしております。現在のところ向うの出炭計画その他との都合もあるので、そういった代表の来る時期についてはいましばらく待ってほしいという連絡を受けております。先方の了解が得られますれば、早い時期にそういった折衝に入りたいとかように考えております。従って中共に依存する炭といたしましては、発電用としてはことしはいろいろ船繰りの関係もございますが、できますれば五、六十万トン程度のものを、値段関係もございますが、入れたい。明年以降も百万トン程度のものは続いていただき得る状態になろうかと思います。値段の点等につきましては、先ほども鉄鋼の方からお話がございましたように、先方は国際価格のベースといいますか、そういったものによっておりますが、私どもといたしましてはできるだけ国内炭ベースといいますか、日本石炭需要石炭価格等とも見合いまして、これより高くないものを、できるだけ安い値で入れたい、こういう希望でございます。その点も先方としかるべく打ち合せをいたしたい、かように考えております。  現在の事情を申し上げまして、かような希望が実現されますよう御尽力をお願いいたしたい、かように存じます。
  10. 松平忠久

    松平委員長 次に伊瀬知参考人にお願いいたします。昨年のセメント輸出の状況とか、本年度の見込み、向うのセメント業界のことがわかりましたらあわせてお話し願いたいと思います。
  11. 伊瀬知好弘

    ○伊瀬知参考人 セメントにつきましては、昨年度戦後初めて中共からの引き合いが参りまして、三十万二千五十トンという数量を受注し得たわけでございます。この数量は全日本セメント輸出の約一二%を占めております。つまり朝鮮、インドネシアに次いで第三の大きなセメントの輸出市場として、昨年度中共が現われてきたわけでございます。本年度におきましても、輸出会議のセメントの本年度の輸出目標といたしまして、二百五十万トンという数字が策定されたわけでございますが、このうち中共向けといたしましては、三十五万トンという数字を考えております。ところが現在に至ってもまだ本年度の計画はできておりません。昨年度の経緯を見ましてぜひ要望いたしたいことは、決済の問題でございます。セメントは乙類の物資でございまして、おもに米、塩とのバーターということになっておりますが、昨年度はこの残がございませんで、非常にこの決済について不便な思いをいたしました。従いましてこの個別バーターの制度をやめて総合バーター、でき得れば甲、乙、丙の分類をなくした完全な双務協定、ほかの市場と同じようにしていただきたいということがまず第一の希望でございます。  第二の問題といたしましては、昨年度は今月は三万トンくれ、また来月は五万トンくれというふうにスポットの契約であります。そうなりますとセメントというものはこれは注文生産の品物でございますので、かつ重量製品でございますから、輸送の問題にも相当困ります。ことに船という問題についても相当に頭を悩まさなければならないわけでございます。また本年度に至りましては、内地のセメントの需要も相当旺盛でありまして、そういうふうな大きなまとまった海外からの注文というものは、あらかじめ少し間を置いて聞かしておいていただきたい。つまり年間を通じた安定した長期契約というふうに持っていかれませんと、非常に生産の面、輸送の面で困るわけでございます。セメントといたしましては、この二点が昨年度の経緯を見ましてぜひ改善していただきたい点だと思うわけでございます。  次に、ただいま委員長のおっしゃいました向うの事情でございますが、第一次五カ年計画が、四カ年に繰り上げまして昨年度終ったわけでございまして、セメントは大体六百三十五万トンという昨年度の実績を上げたようでございます。この数字は、五十三年から始まりましたが、五十三年が三百八十七万トンでございますから約六三%の増産ということになっております。しかし向うの経済計画というものは相当大きなものでございまして、おそらくは年間一千万トンくらいのセメントがいるのではないかと思うわけでございます。従って約四百万トン程度のものはどこかからの輸入に待たなければならない。ところで一番便利なのは日本でございます。日本はセメントの生産におきましては、昨年度は世界の第四位でございます。アメリカ、ソ連、西独に次ぎまして第四位の生産を上げております。地理的に申しましても、一番近い距離にあるわけでございますから、日本からのセメントを当然要望するに相違ないということはこれはほとんど間違いないところでございます。かつ先ほどちょっとお話がございましたが、値段の点でございます。昨年度はF〇B約十九ドルで出しております。この値段はほかの東南アジアの市場と比べてそう高いものとはわれわれは思っておりません。ということは一番高いのがグアム、その他のもとの委任統治領でございますが、二十一ドル五十のF〇Bでございます。朝鮮、台湾、沖縄、これは十九ドルでございます。香港に参りますと多少下って参りますが、これはつまりF〇Bだけでなくフレートも加えました向うのCIF値段考えなければならないと思います。そうなりますと、日本が十九ドルで出しましても当時の運賃約五ドルといたしまして、二十三ドルでございます。西欧からこれが行くといたしますと、西欧のセメントのFOBプライスは日本よりも相当安うございます。これは石炭関係でございます。石炭が約半分でございますから、西欧が約十四ドルといたしまして、当時のフレート、まず十七、八ドルはどうしてもかかると思います。こうなりますと、日本から入れるのが一番値段的にも安いし、かつ数量も確実に納期に間に合うように入るという点で日本のセメントを要望するということは、これは明らかなことでございます。従いまして先ほども申し上げました二つの点の御可決を願ってかつ第四次協定を一日も早く締結していただきましてこのスムーズな輸出ができる、つまりセメント・メーカーといたしましては決済問題に頭を悩ますことなく、かつ長期の安定契約を結ばせていただいてその線に沿って順調な輸出をするということが最も望ましいわけでございます。
  12. 松平忠久

    松平委員長 次に田中参考人にお願いいたします。主として大豆の関係についてお願いいたします。
  13. 田中徳兵衛

    田中参考人 みそ業界におきましては、二年前までは国産大豆のほかはことごとくアメリカ大豆並びにブラジル大豆に依存しておったのでございまするが、昭和三十年の下期より中共大豆が入るように相なったのでございます。その後外貨の割当によって両国の大豆を時の価格とにらみ合せまして、両方相半々くらいの率で今日まで使って参ったのでございます。この割当の量につきましては国内産の大豆の作、不作によって多少の変動もございますが、外貨の割当はみそ業としては年間を通じまして約八万トン内外の割当を受けておったのでございます。消費者の面から申しますると、同じ価格なら中共大豆を特に希望しておりますが、最近のようにアメリカ大豆が非常に価格の暴落を見ますると、勢いアメリカ大豆に依存することも非常に多くなるのでございます。私ども業界として強く要望いたしまするのは、今後も引き続き従来と同じような方式によりまして適時適量の輸入を見て、そうして生産の確保をはかりたい。かように考えておりますので、三十二年度におきましては旧に戻りバーター式に輸入方式を変えるということを御決定のようでございますが、要するに適時適量を自由に輸入さしていただきたい。そうして生産の確保に邁進して参りたい、かように考えておる次第でございます。まことに簡単でございますが、大豆の事情を申しまして終ります。
  14. 松平忠久

    松平委員長 次に杉原参考人に主として決済等につきましてお願いいたします。
  15. 杉原雄吉

    杉原参考人 決済について現状を御説明申し上げます。中共の問題におきまして決済の問題が起りますと、ちょっといつも誤解があるようなんでございまして、まず第一は決済と申しましてもこれは非常にわれわれのいう決済というのは狭い意味でございましてどういう金を使うとか、それからそれに対して信用状をどうするとかいう問題であります。それでわれわれとしてはまず中共貿易が主体でございまして、その貿易をやるのに業者の方がいかに有利か、いかに便利か、こういう方法をきめるのが決済の問題であります。その点が一つと、それから先ほども伊瀬知さんでありましたかからお話がありましたように、バーターが非常に不便である、あるいは甲、乙、丙類の三つに分類しているために非常に不便だ、そして決済がむずかしいというお話がございましたが、その意味におきまする決済と申しますのは、貿易のやり方、態様という問題でありまして、われわれの申します決済ということとは違うと思うのであります。この二点を明らかにしておきたいと思います。  中共の決済についていろいろ制約がございます。まず第一は、国交がまだ回復されていないという点、それからわれわれの組織と中共における組織と違っているという点、第三の点はアメリカに対敵取引法に基きまするフォーリン・アセッツ・コントロール・レギュレーシヨン、訳しますと、外国資産管理令というものがございます。こういう制約がございます。このアメリカにおける法律でわれわれの最も制約を受ける点は、ドルを使ってはいけない、チンコム・リストにある商品を扱ってはいけない、それから中共貿易に従事するものの経営者が中国へ行って交渉をすることは非常に疑点がある、こういう三点を犯しますと、われわれのアメリカにおける資産というものを凍結されるおそれがありますし、そういう制約がありますので、われわれの銀行といたしましては、オープン・アカウントとか、そういう政府間の協定に基いて商売はできない。従ってわれわれ自身の危険と活動の範囲において決済をしなければいけない。それからドルは使えない。人が行けないなんということは大した問題じゃありませんで、銀行間の取引は手紙で十分ですし、向うからも人が参りますので、これは大した問題ではありませんが、そういうふうな制約のもとに、一番業者に便利、有利な方法を取っているわけです。現在行なっております方法は、貨幣はポンドを使っております。それからロンドンを通じて信用状を向けてロンドンで決済する、こういう方法を取っております。これで大体において現状におきましてはそう御不便はないのじゃないかと思っておるのであります。しかし、さらにわれわれはもう一歩進めて、ポンドを使うにいたしましても、信用状をじかに中国の銀行に向け、向うからもわれわれに向けてもらうという方法を今立案中と申しますか、それについてはわれわれは考えておりまして、その点についての案もできております。それで、これにつきまして中国側交渉しようとしているところでございますが、従来とも三団体が中に入っておりますので、三団体の方が中国側と今交渉しているところでございます。日本側の方は為替銀行が十二ございますが、これが個々に向うの銀行と交渉してはかえって事が繁雑になりますので、従来東京銀行は一番古くから中共貿易の決済問題について苦労しておりますし、取引量も非常に多いし、また銀行の性格から申しまして、われわれが当るのが一番いいというので、十二行に為替会というのがございますが、その為替会で申し合せまして、まず東京銀行が案を作って向うとやれ、それができたらば、それにならってよその銀行もやろうということになっております。それで今のところ三団体の方が向うの当局とお話し下さっておりまして、それに対して返事を待っている状態でございます。しかし私の伺いましたところでは、この二月ごろでございましたけれども向うからもう少し待ってくれという返事があったということになって、そのまま、どうして受けないのか、受けずに中止になっているのが現状でございます。
  16. 松平忠久

    松平委員長 次に櫻井参考人にお願いいたします。
  17. 櫻井淑雄

    櫻井参考人 私が日中機械貿易連絡協議会の常任理事をやっております櫻井でございます。主として機械関係を代表して第四次貿易協定についてのお願いする点について申し上げたいと思いますが、まず私ども日中機械貿易協議会と申しますのは、機械に関する約二十の団体で結成しておりまして、すでに結成以来数年を経過しているのでございますが、機械業界といたしましても、中国の市場に対する輸出については非常な関心を持って、私ども常々関係方面折衝しているようなわけでございます。ただ中国の機械の輸出については、先ほどもお話がございましたように漸次貿易量も拡大して参りまして、御参考までに昨年の状況を申し上げますと、約一千百万ポンドぐらいになっております。これはもちろん軽機械類を含めておりますが、いわゆる機械の輸出は四百七十七万ポンドです。従って機械の昨年度の貿易総量は、中国輸出貿易総量の大体五〇%近くに達しているのでありまして、今後私ども中国の第二次五カ年計画の内容からいきましても、相当量中国に輸出することを期待しているのでありますが、現状において私ども機械業界として中国貿易拡大するためにまず問題点になって参りますのは、先ほどもお話がございましたように、何といいましても機械はココム並びにチンコム制限下に置かれている品目がきわめて多いのでありましてこの点が非常な中国貿易の険路になっておりまして、先ほどもお話がございましたように、最近の機会においてチンコムの問題は相当大幅に緩和される。しかしチンコム緩和されましても、中国がほしい重量機械についてはなお今後制限を受けなくてはならぬという状況でございますので、なお一そうチンコム緩和はもちろんでありますが、ココム制限緩和についても一段の御配慮をいただくことが、まず中国貿易拡大の大きな前提条件になると思います。しかしチンコム緩和されますと、相当ソ連に輸出できるような機械類までが輸出されるということはかなりの期待が持てるのではなかろうかと思っております。この点がまず第一点としてわれわれとしては問題になる点でございます。  第二点は、先ほどセメント業界の方からもお話がございましたように、まず機械類の輸出について一番問題になる点は、やはり甲、乙、丙の商品分類が非常に問題になって参りまして、従って中国側の甲、乙、丙の均衡等価の問題でありますが、これについては、今後機械類の輸出を拡大するためには、少くともチンコム緩和された機会において甲、乙、丙の分類を撤廃してもらうということが、一番大きなわれわれの希望でありますが、しかしどうしてもそれが不可能な場合には、少くとも現在の三分類を二分類ぐらいに分けて弾力性を持たしてもらう、少くとも機械類は甲類に引き上げてもらうということが、今後の機械の輸出においての一番大きな問題点だと思います。  第三点は、先ほどもお話がございましたように、機械の輸出総額は今後かなり大きく飛躍的な増大が期待されるわけでありますが、やはり問題になって参りますのは、日本のそれに対する見返り物資でありまして、先ほど鉄鋼業界の代表の方からお話がございましたように、鉄鉱石あるいは粘結炭等については技術的にかなり問題があるようでありますが、われわれ機械業者としましては、機械の輸出に対する見返りとしては、そういうわれわれの材料である鉄鉱石あるいは粘結炭あるいは銑鉄というようなものが、今後のいろいろな研究によって相当量輸入されるということがきわめて望ましいのでありまして、そういう輸入量の増大ということについて、今後関係業界の御協力を一段とわずらわして、われわれ機械の輸出に見返りができるような輸入計画を一つお立ていただきたいというのが第三の問題点だと思います。  第四点は、先ほどもセメント業界の方からお話がございましたように、やはり機械も同じように、スポットの受注では、生産面からいきましても、技術的な面からいきましても、非常に問題がございます。従って年間長期契約ということを一般にわれわれは望んでおるのでありまして、特に今の中国の状況からいきましても、たとえば自動車等で申し上げますと、やはり設計を変えなくてはならぬ点が相当にあるのでありまして、中国の交通規則と日本の交通規則とは違う点がございますが、中国の交通規則に合うように自動車の設計を変えるというような問題もございますので、これは一例でございますが、機械の輸出については長期安定輸出契約ができるような方向に持っていかなければならぬのじゃないか。従って第四次貿易協定においては、そういう長期契約の問題についても一つ触れていただきたい。  第五点は、いわゆる特許問題でありますが、この問題は、特に機械については今後起き得る一番大きな問題だと思います。特に中国の五カ年計画が今後第二次、第三次と進むにつれまして、日本の機械の輸出が増大するにつれまして、日本の機械の向うの国産化ということが当然考えられてくると思います。あるいは最近機械として一番輸出をしております日本の三輪トラック等につきましても、最近の情報では、中国ではその国産化をすでに計画されておるというようなことが発表されております。そういうことで、機械関係の今後の輸出につれまして、日本の機械の向う側の国産化ということが当然起きてくると思います。そういう場合における特許問題について、第四次貿易協定においては特にその問題を考えていただかなければ、今後の機械の輸出について一つの大きな障害になることが当然考えられるのではなかろうかと思います。  第六点は、アフター・サービスの問題といいますか、あるいは広義にいえば技術交流の問題でありますが、機械の輸出にはどうしてもアフター・サービスというものが当然つくのでありまして、この点についてはすべての商品についても言われるのでありますが、特に機械は、この問題が解決されなければ輸出は拡大されないのでありまして、そういう面において、今度の第四次貿易協定においては、特に広義の技術交流、狭義のアフター・サービスについて十分やり得るような条項を織り込んでいただければ非常に幸いではなかろうかと思います。  大体重点的に申し上げますと、以上の点に尽きるのでありますが、なお機械についての特殊な問題として今後起き得る問題としてはやはり機械のギャランティの問題とか検査の問題等について相当大きな問題が出てくると思います。この点については、それぞれの機械の特殊性によって十分技術的な研究を要する問題でありますが、第四次貿易協定にはこの問題についても十分に配慮をいただきたいということが、われわれ機械業界の共通の問題としてお願いする点であります。  簡単でありますが、以上の点について御意見を申し上げまして 一つ十分御検討をいただきまして、これが実現について格段の御配慮をいただければ、私どもとしても、今後、機械の対中国貿易について相当量の拡大が期待できると思います。
  18. 松平忠久

    松平委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終りました。なおこれより参考人に対しまして質疑を行いたいと思います。通告がありますので、順次発言を許します。帆足計君。
  19. 帆足計

    帆足委員 きょうは業界各方面の専門の皆様から御多用中にもかかわらず、きわめて実際的な意見を承わりまして、今後の政府の施策に寄与するところ多大なものと存じまして、感謝いたす次第でございますが、右のうち、なかんずく今最も差し迫った問題になっておりますチンコム解除につきましては、先般国会でも決議になりまして、私どもとしても国会の決議を背景としておりますから英国と相呼応して政府当局に大いにやってもらわなければならぬと思っておりますし、また第四次貿易協定も一日も早く着手いたすように踏み切らなければならぬと存じておりますが、遺憾ながら政府においてまだ最後の断に至っておりませんために、明日この委員会を継続して開くことになっております。そういう次第でございますから、この二つの問題はきょうのところは一応譲りまして業界の皆様にさらに逐次こまかなことをお尋ねいたしまして、今後の施策の参考にさせていただきたいと思う次第でございます。  まずセメントについてお尋ねいたしたいのですが、セメントが昨年三十万トンの初輸出を見ましたことはまことに御同慶しごくであります。私は、日本がセメントにおいて世界第四位の生産国になっておるということを聞いてまことに驚いておるのでありますが、木造建築の多い日本、道路も整備して、いない日本に、かくも多くすでにセメントが生産されておるということは、まことに将来を思うと頼もしいことであって、セメントのごときには生産過剰ということない。しかも特にアジア諸国は水の国でありますから、水との戦いは今後百年にわたる戦いでありましてアジア諸民族の福利向上のために実に恵まれた産業だと思うのです。従いましてこのセメントを国内で使うだけでなくて、輸出に目を向けるということは——今国内にどれほど需要が多くても、国内だけでやっていけるし、相当の値段で売れるとお考えになっても、国家百年の計から輸出産業としてのセメントというものに一段と目を注ぎ、また私どもにも資料を提供されて、国会、政府としても、輸出産業としてのセメント工業というものをどう育成し、指導するかというところに着眼をすることはきわめて重要な策だと思うのです。  そこで、結局この問題は、コストと品質の問題になるわけですが、先ほど西欧諸国からF〇B十四ドルくらいというお話がありましたが、日本石炭はあまり豊富ではないし、品質もあまりよくない、そして埋蔵量に制限があって、採掘条件も悪いから、石炭の割高ということがあらゆる産業に大きな負担になっておることは御承知の通りですが、西欧で十四ドルですと、かりにアジア諸国に来た場合に船賃はどのくらいになるのですか。
  20. 伊瀬知好弘

    ○伊瀬知参考人 場所によって違いますが、西欧から参ります場合だと、朝鮮あたりに参ります場合で十三ドルくらいです。タイあたりで大体八ドルないし十ドルということでございます。
  21. 帆足計

    帆足委員 そういうふうだとしますと、まず立地条件から見て日本が最も有利ですけれども、私はこの点はあわせて考慮せねばならぬのじゃないかと思うのです。というのは、セメントは大量物資ですから、中国でもどうせ買うなら安い国から買いますけれども、同時に値段が高くなるようでしたら国内で作ろうということになってくる。従いまして最後の競争は、中国の国内値段日本の輸出値段との競争ということになるのじゃないかと思います。そこで中国の奥地に至るまでの石炭需要に対して、日本が割り込んでいくということは困難ですけれども、沿岸地帯で海に近くて、コストの安い場所においては、その方の部分は中国側としては、優秀な石灰石の多い日本に譲って、ある一定量は何百トンか日本から買おう、結局こういうところに最終的にはねらいを置かなければならぬ。船の距離の非常に遠いヨーロッパに競争で勝ったからといって国内値段よりも非常に高い値段になるセメントをいつまでも、それは北アジアだけでなく、中国だけでなく出ていくと思うと、やはり私はそこに目標の間違いが生ずると思うのです。これは機械類などと違って、大量生産の原料です。従いまして大量生産によってコストを下げて、中国の国内産に匹敵する値段に持っていくことを目標にせねばならぬと思っております。中国側もその点を考えまして日本石炭は国際値段に比べて高いと思わないけれども、国内値段から見ると結局高くつくのでないか、そういう点はもう少し研究の余地がないだろうか、あるいはまたカルテル価格になっていて、多少まだ割高になっていないだろうか、こういう疑問を持っておるようです。私は疑問としてはもっともな疑問だと思っておりますので、一度セメント関係皆さんにこれを申し上げてお尋ねしたいと思っていたのですが、これにつきまして御意見のほどをお聞かせ願いたい。
  22. 伊瀬知好弘

    ○伊瀬知参考人 ただいまのお話はまことにおっしゃる通りでございまして、中国に対する日本からと西欧からとの運賃の比較、そのCIFの値段日本の場合には安いから、いつまでも日本のものを買うとは限らない、中国の国内のセメントの増産ということに励むであろうというお話、並びに東南アジアにいつまでもこういうふうな値段で出るというふうな甘い考えを持ってはいけないというお話、これはもうおっしゃる通りでございます。セメントといたしましても、昨年度はF〇B十九ドルで中国には出しました。しかし私たちといたしましては、この十九ドルを本年もずっとこのまま続けるというふうなことは考えておりません。それは先ほどもちょっと申し上げました通り、スポットの発注を盛んにやったのでございます。そうなりますと、どうしても品繰りの関係上、そういうふうな値段が出てくるのでありまして、これは年間に相当大量の、まとまった契約ということができれば、これを五十セントないし一ドル下げるということは、可能なことだと思います。運賃その他についても、さらにもっと交渉の余地もあると思います。しかし根本的には日本のセメント産業のコストの問題でございまして、これにつきましては、確かに日本石炭が高いということは、いろいろな事情から日本の宿命的な隘路だとは思いますが、できるだけこの燃料費の節減ということを考えまして、目下いろいろな合理化計画を立てまして実行しております。だんだんにこの値段は追っついてくるものと思いますが、さらにこの運賃の引き上げその他によりまして現在のセメントのコストというものは、昨年度よりも高くなっております。こういうふうな国内的な問題について何らかの手を打っていただくということが、一番望ましいわけでございます。セメントの方としても、コストの合理化ということについては十分努力いたすつもりでおります。
  23. 帆足計

    帆足委員 ただいまのセメントのコストのことについて、中国側は非常な心配をしておるということを御記憶下さって、業界においても長い将来の見通しを立てて、合理的に善処されることを私は要望する次第です。これにつきましては、セメント業界からまだ一度も中国に使節が参っておりませんし、中国の需要者また生産者とゆっくり懇談する機会もなかったわけでございますが、今度幸いにして私どもが北京に参りますれば、帰りに北京から各業界代表者が日本へ参ることになっておりますから、そういう機会に十分御懇談なさって、さらに適当な機会に経済調査使節団を派遣して、今のスポット売りの弊を改めれば、輸送方法だけでも、全部紙袋で送る必要もありません、最近の機械設備で吸い上げるということもできましょうし、また中国は極端に寒い所と極端に暑い所とありますから、季節的調整は日本とうまく合わすこともできるんじゃないか、そういうふうな手段をとれば、ずっとまた取引もやりやすくなるのではないかと思います。  それに関連いたしまして、やはり石炭鉄鉱石についても同じことが言えるのでございまして、間さんにお尋ねしたいのですが、鉄鋼業は私は単に原料中国に依存するというだけでなくて、島国貿易の国として機械工業の輸出の市場並びに化学工業の将来の輸出市場として中国が非常に重要であることは、御承知の通りです。ところで、そうなりますと、結局戦前の中国への輸出は、輸出超過でございます。これは工業先進国として当然のことでありまして、私は後ほど為替銀行の杉原さんにもお尋ねしようと思うのですが、結局今年はどうにかやっていけるとしましても、来年度からは輸出超過に対して長期信用を与える問題も考えねばならぬ段階がくるのじゃないか、国際景気はいつまでも神武景気ばかりが続くものではございません。こういうときに、二つの世界の中間にある日本経済としましては、景気の変動に対する一つの自動調節作用としても、計画経済の国の市場を日本国民経済安定のために活用するという面も、経済政策上考えておかなければならない。輸出するとすれば、どうしても輸入せねばなりませんから、そういう点から、多少の不利な点は忍んでも、やはり輸入について研究を始める必要がある。ましてやセメントの問題でも、その他の問題でも、現在はスポット買いですから、ふりの客に売り、ふりの客から買うという事例だけをもって、中国との貿易は非常に困難であるという結論を出すことは、これは軽率であって、もし日本から鉄鋼業のすぐれた技術者の方が向うに参り——国際情勢は原爆から水爆へと移り、ジェット機は誘導弾に移りつつある。第一、陸軍というようなものは世界にもうないんです。海軍も消えてしまう。これは英国の最近の軍縮計画が示しておる通りです。空軍も今年で終りになったと言われてる。世界の三軍はもはや消えてしまった。あるいは星から出る光が、星が消えてるのに光が残ってるようなものであり、残務処理が行われてるようなものであります。そういう態勢のもとに平和は続き、また続かねばならぬことになるわけです。そういうところを少し哲学的な見通しを持って——私はインドのネールはやはり偉いと思います。そういう見通しを持って貿易をしていかねばならぬ。国際情勢は周期的に緊迫するけれども、結局戦争までいかない。戦争にいかないとすると、一民族に対して最も重大な責任を持つ財界としては、やはり貿易でいかねばならぬということを考えていくならば、従来話し合いしにくい相手であった共産圏の諸君とも話し合って、昔回教徒に対してキリスト教徒が十字軍をやめて話し合ったようなもので、必ずしも話し合いができないわけではないですから、そこで日本の需要に適応する石炭またその需要量等について長期の話し合いができれば、私は日本製鉄業者の皆さんに安心と満足を与えるような状況を作ることがあながち不可能でないという客観的根拠があるように思うのです。従いまして単に輸入だけではなくて、輸出の面からも鉄鋼業を考えていかなければならない。そういう点から、鉄鋼業におきましても、昨年雷任民氏が来ましたときに、鉄鋼連合会の方々が会いましたけれども、やはり三大製鉄なり五大メーカーさんのそうそうたる諸君は、何ゆえかあまり会わない。面会しない。そう人見知りをするほど心臓の弱い鉄鋼業界ではないのに、川口の鋳物屋といっては失礼かもしれませんが、どこかどろくさい点があるように思うのです。もう少しスマートにふるまえないものであろうか。からだの丈夫な人が必ずしも強靱な理性を持っているとは限らないように、日本の鉄鋼業はもとから理性の点において多少弱いところがある。なぜかというと、長い間軍の保護育成のもとに育ったので非常に丈夫なように見えて神経が非常に弱いというのが日本の鉄鋼界の特色ではないかと思うのです。これはまことに遺憾なことだと思うのです。平和日本として鉄鋼業は建設のいしずえであるだけではなくて、むしろ平和のいしずえであるというくらいの気魂を持っておやりになる方が、原子力下における日本、それから平和憲法下における日本の業界としてふさわしいことではないか、私どもはやみくもに現状を無視して冒険的精神で中国との貿易を唱えているのではなくて、一人の合理主義者としてかつ現実主義者として、島国日本と北アジアとの関係をどうしようかということでこの問題で長い間苦労しているわけでございますから、本日のような会議も、八幡製鉄からわざわざお見えになりましたことをわれわれは多としておるのでありますけれども、今度協定に当りましてはどうか積極的にいろいろ知恵を貸して下さるとともに、中国から使節が今度七月か八月には参りますから、その節には一つゆっくり積極的に懇談なさるように、また必要に応じて調査使節団を中国に派遣するというようなこともお考えになってしかるべきではないかと思いますが、業界の空気の一端でもお漏らし下さいますれば仕合せに存じます。
  24. 間端夫

    間参考人 ただいまのお話はもうごもっともでございましてただ私ども日本の鉄鋼業は、歴史的に申しましても近代製鉄業を八幡に建てましてからもう五十五、六年になります。この八幡を官営で作りましたときには、主たる操作は大冶の鉄鉱石開らん炭であったわけです。自来中国日本の鉄鋼業というものは非常に親密な関係にあって、大冶については政府が借款をしてあそこの鉱山を開発し、日本へ持ってきたわけです。われわれも鉄鋼業に携わっておりますものとして中国に非常な関心を持っております。私自身も三年ばかりそういう関係中国に行って、中国並びに中国人をある程度知っておるつもりであります。私どもの会社にもそういう人間がたくさんおるわけであります。私どもの今の考え方としましては、今そういうことをやったのでは将来中国とほんとうに手を握ってやっていくことが困難になりやしないかということを心配しているわけであります。これは鉱石の売り買いということではございません。売り買いだけでも今までいろんな例がございますが、けんか別れをするような事態がときどき起るわけです。これは山側が使用者のわれわれの側の事情に暗いということ、それからわれわれがまた山の事情を知らないで自分勝手なわがままを言うというようなことから、どうもほんとうに山側としっくりやっていけないような場合が再三起っております。そういうことが、今のような状況で中国とやりました場合に起りかねないのじゃないかということを心配して、非常に憶病になっておるわけです。将来はどうしても手を握っていかなければならぬということはだれしも考えておることだろうと思います。  それともう一つは、アメリカとの関係でございます。これは御承知のように、アメリカに相当大量のスクラップを依存しておるわけです。スクラップというのは製鉄の主原料でございまして、これがありませんと製鉄ができないわけです。これはアメリカでも同じことで、最近アメリカの国内のスクラップ事情が将来心配であるということが相当言われ出しておりまして、いろいろな調査をした結果、ことしから少しずつ制限をしようということをやっております。まあアメリカから相当大量のスクラップをもらわなければならぬ立場にあります弱みと申しますか、そういったことで中共に対する気がねが少しあるわけです。中共鉱石石炭については、現在では中共からもらわなくても間に合っております。差しあたりスクラップの方が大きな問題になっておりますものですから、そういった形になりかねない。まあそういうことで、将来は当然中共と手を握っていくということは業界全部のあれだと思います。
  25. 帆足計

    帆足委員 時間も移りましたし、私のみ御質問を続けますこともどうかと思いますので、あと二、三点簡単にお尋ねしますが、中国からの輸入などに当りまして、主として大量の原料物資でありますし、先方は一社または数社の公社が担当しておりますから、過当な買いあさりなどが行われることは望ましくないことは言うまでもございません。しかしそれかといって、これを一体どういう統制方式輸入したらよかろうかということについては常に論議があるところでございますから、これは高見さんにお尋ねしたいのですが、高見さんは私たちの尊敬する友人でありますのであまりきつい質問もいたしたくないのでありますけれども皆さんお立ち会いの席でこういう問題の御意見を伺っておきませんと、私たちにも思い違いや錯覚があろうかと思いますのでお伺いします。たしか南郷さんが理事長に就任されたときに、これは多分新聞記者の誤伝だと思いますけれども、自分は統制会の会長となるつもりで輸出入組合に入るのであるというようなお話をなさったということです。これは私は多分誤伝であろうと信じておりますが、統制会のときの統制方式というものと、今日の輸出組合というものは私は全く範疇として異なるものでないかと思うのです。そういう統制権は今日輸出組合に与えられておりませんし、先日の国会の審議におきましてもそういうことには商工委員一同反対でございました。野党として私が質問いたしましたときも、与党の皆さんから拍手が起ったような状況でございました。従いまして、たとえば石炭輸入いたしますようなときにも、だれかフューラーがいてどうこうというわけにはちょっと参らぬと思います。そういう場合にはだれの意見を尊重するかというと、結局これは需要者の意見を尊重することが第一に重要なことではあるまいかと私は思うのです。こういう重要な原料輸入には、よい原料が安く需要者の手に入るようにすることが大事でなかろうかと思うのです。従いまして需要者の側における意見の統一、そしてその需要者が指定した商社がグループを作りまして、そしてまた中国側からも希望がありましょうから、その希望の中で合理的な希望はお客様の希望ですから、できるだけ受け入れていく。しかしまた中国側が時には判断を誤まって、間違った情報に基きまして突拍子もない商社をあるいは指定したり、あるいは見当違いの条件を言うて参ることがしばしばございます。そういうときには、それは訂正してもらいたいと言って訂正していく。また中国との貿易に当って、すでにお聞き及びのように総じて一社独占ということを中国側はきらっております。しかし、と申しましてまた何十社という商社が、自己の過去の実績も実力も信用もわきまえずして、一定の商品に殺到するというような無政府競争の状態になることも望ましからぬことは、私は無理のないことだと思います。従いましてこういう場合には、経済界における自然の法則と過去の実績と商社の努力、信用また中国側また需要者側からのそれに対する信頼、それから業界の良識、業界のお互いに監視する機能、そういうものから自然にグループが生まれて、そしてグループが需要者と、また行政官庁または輸出入組合と緊密な連絡のもとに良識ある行動に出るということが今日の段階として望ましいのじゃないかと思いますが、現在輸出入取引法においても、輸出入組合が最初から終りまでフューラーのごとく指導するという権能は与えられていないのである。組合の理事長なり常務理事さんの苦心というものは、良識と実力と洞察力によって業界を率いていくべきであって、いやしくも権能に頼るようなことはあってはならぬのじゃないか。また同業組合を次々に作って、一体役所の延長機関として外郭機関として作るのか、サーバントとして作るのか、それとも信頼すべき友人として協力し合うのかとこの前質問しましたら、断じてサーバントとは考えていない、延長機関としては考えていない、実質的な自治機関として、信頼すべき友人としてやるべきであると答弁しておりましたけれども、統制機構がヴェールをぬぐにつれて役所は業界というものを自分の下部機関のように考えがちでありまして、私はそういう行き方はいけないのじゃないかと思っております。輸出入取引法における論議も各位お読みになったことと思いますが、今日日中輸出入組合としましてはそういう点はどういうお心がまえで運用されておられるのか、高見専務理事の御意見を承わりたいと思います。
  26. 高見重義

    高見参考人 帆足さんの最初の質問の南郷さんの統制会——私自体は統制会の意義とか、あるいは内容とかつまびらかにしないのでありまするが、常識的に考えまして戦後における組合の性格なりまた運営というものは民主的である、従って単なる日本政府のかいらいでもなければ、日本政府に唯々諾々として追従する組合でもない。やはり貿易業者であれば、貿易団体としての民主的な運営をはかっていく、そこに対政府的な折衝なり、あるいは政府の内面指導があるということは十分考えられることでありまするが、一方的に偏するということは私はあり得ないと考えております。従って日中輸出入組合におきましても、この問題につきましてはいろいろ意見の衝突があるのでありまするが、あくまでも業者の団体として業界の大きな公務員的な役割を果していく、その間日本政府のいわゆる国策的な行政指導を仰ぐという、大体そういう心がまえでわれわれは組合の運営に実は当っている次第であります。  さておそらく帆足さんのねらいは、重要物資、たとえば石炭鉄鉱石についての従来のやり方がどうも不満だという相当なヒントがあるように思う。どうもその内容がはっきりしてないのですが、そういうように感ずるので一言申し上げますが、昨年度の石炭問題でも、これはメーカーさん側の立場もあり、また政府のいろいろな考えもありまして、いわゆる取引の窓口を一本にしていくというような考えがあったと私は考えております。従ってその取引の窓口を組合にやらすべきか、あるいはまた従来の取扱い商社の単一商社にやらすのかという二つの考えがあると私は思うのでありますが、これはやはり日本の需要者側の意見を最も尊重しなければならぬということが私どもといたしましても考えられますので、昨年などはいわゆる取扱い商社の窓口一本——組合もおそらくそれに対しましては別に異論がないのでありまして、ただ組合としてはそういう態勢に協力していくということを実は申し上げ、従って組合が指導し、そしてそういう態勢に持ってきたということはあり得ないのであります。ただしかし、この法則をいつまでも続けるかどうか。やはり情勢の変化あるいは中共側の要望もあるということをわれわれは考えなければならぬのでありまして、単に日本側の一方的な気持あるいは要望だけでこの問題を処理すべきでない、またそれが即日中友好の最も大きな意味がある、こう私は考えておりますので、今後はできるだけ中国側意見を尊重し、また日本側メーカー並びに政府関係当局の意見も尊重して、その間をうまく縫うていく、こういうのがわれわれの組合の使命であると考えております。もちろん非合法的な方法とか、あるいはだれが考えても納得いかぬような方法は全然とらないつもりであります。大体以上をもってお答えといたします。
  27. 帆足計

    帆足委員 それではあと一つ、二つだけですが、自由経済のもとにおいて信用ある商行為を営むということは非常に困難なことでありますから、組合事務当局として非常に御苦心が多いことは私は当然だと思うのであります。窓口一本ということはだれしも賛成なことである、ただ窓口一本をどういう序列において行うかということにおいて非常な良識を必要とする、こう考える次第でありますが、たとえば先般輸出入取引法の改正案が国会に出ました。私どもは業界の意見を知りたいと思いますけれども、どういうものか、輸出入組合自身からは正式な意見が出ない。そしてそういうような場合に業界の人に聞いてみますると、ほとんど内容を示されていない。早くから研究しようと思ったけれどもそういう機会も与えられず、そうして国際貿促からはこれに対して反対、審議未了にしてくれという意見が一方から出てくる。私はこういう場合には、やはり輸出入組合は業者の団体ですから、政府がこれに賛成であろうが不賛成であろうが、そういうことを顧慮することなしに、輸出入組合で大中小のそうそうたる業者が集まってこれに対する審議をして、多数意見と少数意見とを両方出していただく、そうすれば非常に明朗であるし、私どもも参考意見として取り扱うのに非常に便宜なのですけれども、どうもそういう点が明朗性を欠いていたと思うのですが、それは一体どういうことだったのですか。
  28. 高見重義

    高見参考人 そうきびしく突っ込まれると、なかなか答弁に実は困るのでありましてただ、組合につきましては、通産の方でも非常な異論があって、内容的に最初非常に力強い線が出ていたということを聞いておるのでありますが、その後漸次皆さんの強烈な批判があったので非常にやわらいできた、脱兎のごときが処女のごとくなってきたという話も聞いておりますが、しかし、その変化を組合といたしましてはあまり外部に漏らさないようにという内意があって、しかも南郷さんは輸出入取引法の審議会の委員であります。南郷さんもやはりそういう気持であったのだと思いますが、われわれにはあまり話さなかった。おそらく御自身の胸のうちに固めていられた、こう考えております。その後三月三十日と四月十八日の審議会でこの案を示された、そこでようやくその最後の内容を知ったというようなことを聞いております。組合といたしましては、それに対してどうすべきかということを当然審議したと思うのでありますが、この組合にはそう法的な知識のある人も少いし、またこれを総会にかけてかんかんがくがくの議論をいたしますと、おそらくこれは甲論乙駁、賛否両論だろう、こう考えておりましたので、そういう点はなかなか最後の線は出ないのじゃないか、出ないままでいいか。そういたしますと、一体どっちに決をとるか、どっちでもいいじゃないか、あるいは賛否両論そのまま出せというようなことを言われましても、これは言われる方が多少無理ではなかろうかと思っております。組合はそういうことを出すべきところではないと私は考えております。やはり組合といたしましては、組合員の共通の利益をはかっていく、共通の利益が半々であったら、これはどうにもしようがないのでありまして、そういう点は帆足さんも十分よく御承知だと思いますので、かんべんしていただきたい。しかし今後はできるだけ御趣旨に沿うようにしたいと思います。
  29. 帆足計

    帆足委員 いろいろ御苦心のほども承わりまして大いに参考になりましたが、たとえば今後における石炭輸入、また一般炭の輸入などにつきましても最初からことごとく輸出入組合に諮らなければならぬという理由はないのであって、需要者たる方々がまずどういうふうに入れようか、中国とどう交渉しようかということを考えられて、それを指定した若干の商社に命じ、その商社がそれを受けて若干サウンドする、そして形がきまりかけたら、最も適切な形において輸出入組合と相談し、通産省当局と相談する、そして内面的な協力を得る、そしていよいよ業務が始まる段階に近づいたならば、輸出組合に全部相談して緊密な連携をとっていくというようなことをすべきであって、輸出組合にいってみたところで、たとえば石炭部会なら石炭部会は千円出せば全部が入れるのですから、全部がわあわあ言い出したらとても手のつけようがないと思う。ですから与えられた実力以上のことをしようと思えば官僚主義になる。ありのままの事実を謙虚に反省して、政府と密接な連携のもとに良識ある指導をすることが組合の任務ではなかろうか、私はこう思って質問いたしましたが、敬愛する高見さんのお考えもわれわれとそうた隔るものでないということを伺って、われわれも自信を強めました。皆さんの御意向に反していることを社会党はやっているわけではないし、また保守党の諸君も相ともに良識ある商工委員としての勤めを果しているということを確かめ得て欣快の至りであります。  最後に為替の問題でございますけれども、実は昨年の秋——これは直接決済とか中央銀行間の決済協定などと申しましてもすぐ実現は困難でありますから、最初の相談は民間の為替銀行がお互いに業務をすでにやっているのであるから、業務上の懇談をして、まず支障のある点から直していくということから出発しようではないかという提案が相互に受け入れられまして、そういうことから出発いたすようになっているのでございます。ただ、ただいま伺いましたように、ロンドン経由でなくて、北京、ポンド建でいたしますけれども、直ちに北京と決済するというような案も幸いにして御研究中とのことでございますが、そういう場合には、何か中央銀行なり政府の保証というようなものが要るのでございましょうか。  それからもう一つお伺いしたいのは、中国側もポンドが非常に不足しておりますし、日本側も国際収支は現在窮屈でございますから、お互いに若干をオーバー・ローンと申しますか、当座貸し越しのワクをきめまして、ポンドを節約して決済するという方法はなかろうか。そういう場合にはやはり民間銀行だけではできないものかどうか。  それから、これは本日この席で伺わなくてもけっこうなんですが、将来プラント輸出をいたしますようになれば、どういう形で長期の信用の問題を解決していくかなども、いずれ御研究下さって、為替の問題は大へんむずかしいものですから、私どもしろうとにお教え願いますことをお願いしたいと思います。
  30. 杉原雄吉

    杉原参考人 今御質問のありました第一の、今われわれがやろうと思っております北京と直接取引をするということでございますが、これは要するに、バンク・オブ・チャイナ、北京と東京における銀行とがコルレス契約と申しますか、取引契約を結ぶことなんでございますが、これは今の管理法によりますと、大蔵省の許可が要ります。しかしこれはもちろん不許可になるわけはないと思っております。ただしこの場合に、第二の問題に入りますが、お互いに貸借をやるということでございます。これは今の状態では、われわれの銀行と向うの銀行とが自分の商売上の良識によって貸借をやるということになりますと、個々の銀行がやりましても、限度が非常に小さいものだろうと思います。とても日中貿易を十分まかなうだけの貸借を行い得ないと思います。またこの場合は、もちろん為替管理法上の許可を得ることが必要でありますが、今の大蔵省の考えではこの貸借はしないという主義でいっておりますので、われわれとしてはたといやりましたところで、日中貿易解決するような額はやれないし、そういう政府当局の御意向でございますから、今のところは貸借は考えておりません。これは将来われわれとしても、よその国にも少しでございますけれども、コマーシャル・バンクとしては貸してある点もございます。しかしこれはごく少量でございます。それから長期のプラント輸出、こういうものはやはりよその国とやっておるのと同じように、長期の貸付は商業銀行ではなかなかむずかしいと思います。それは大体商業銀行というものは、預金がベースで、預金は一年でございますから、やはりそれに応じた取引は大体一年が最長、ある部分は二年、三年ということになりますが、それとても非常に限られた金額になる、それで輸出入銀行を使ってよその国とやっておるのと同じような方法でやればいいと思っておりまする。
  31. 帆足計

    帆足委員 これは小委員長にお願いしたいのですが、政府当局に対しまして自由諸国と中国及びソ連貿易の昨年の実績、これは通産省、それから外務省に対しましては、イギリスとフランスの為替銀行が中国の中央銀行、また中国国民銀行と為替協定を結んだということを伺いましたので、その全文が入手されましたら、日本語に訳さなくても、英文なりフランス文のままでけっこうですから、いただきたいのです。第三に自由諸国と中国、ソ連との間に、民間ないし政府間の貿易協定が幾つか結ばれておりますが、その貿易協定の存在の有無と、その全文をいただきたい。あわせてソ連一中国間、またはソ連・東欧諸国間の貿易協定どもございましたらいただきたいと思います。  いろいろお尋ねいたしまして教えられるところ多く、私はこれで質問を終ります。
  32. 松平忠久

    松平委員長 次に加藤清二君。
  33. 加藤清二

    加藤(清)小委員 協会のそうそうたる方々をお招きいたしまして、貴重な御意見を承わりましたことをまずもって厚く御礼申し上げたいと思います。中国貿易を促進するにつきまして、いろいろ承わりたいことがありまするが、もう時間もだいぶ押し迫っておりますようですから、要点をかいつまんで簡単にお尋ねしたいと思いまするので、お答えの方も簡単でけっこうでございます。  その前に、中国貿易を私どもが院外で口にいたしますると、常に赤大根だとか、共産党だとか、こういう悪口を言われたことを思い出します。あれから三、四年を出ずして業界の皆さんがこれをすでに実行に移していらっしゃる、しかもその業績をなおふやそうとしていらっしゃる、こういう空気をお見受けいたしまして、全く今昔の感と申しましょうか、心うれしく感じているわけでございます。相手方は買いたいという、こちらも売りたいという、中共貿易を伸ばしたいという。ところがそれがなかなか思うようにいかない。一体障害がどこにあるかと考えてみますと、そのほとんど多くは人為的な障害のようであります。その人為的障害が一体どこにあるかと調べてみますと、きょうここへほとんど御列席ないところの政府側にどうもあるように思う。その政府側もだんだん調べてみますと、むしろ通産省側よりも外務省の方に多くあるように思われる。そこでこういう席に直接担当の外務省とかあるいは通産省、特に通商局等々の担当係官がいらっしゃらないということをまず第一番に私は不満に思うのです。そこでせっかく民意代表で見えた方々お二人さんよう聞いていってもらいたい。そして理解してもらいたい。理解するということは、実行に移すということなんです。実行に移さぬところの了解とか理解ということはうそなんで、理解しなかったにひとしなんです。むしろ罪悪にひとしくなる。そこでぜひ一つよう聞いてもらいたい。  第一番にただいま第三次協定と第四次協定のブランクになっているんです。そのおかげで貿易の状態は一体どうなっているか、ブランクは長く続いておってもいいのか悪いのか、もし長く続いたとすれば、貿易上一体どういう悪影響がくるか、これが第一点でございます。これは私の常々尊敬している高見さんにお尋ねいたします。  それから第二点は、人為的障害の方は必ずしも日本だけにあるわけではない。相手側にもたくさんある。そのあまたあまたを今承わりました。まことにごもっともなことでありまして、相手方の注文がコンスタントでない、ごもっともなんです。値段が常に浮動する、これもごもっともなんです。これは相手方が計画経済をやりながら注文が計画的にこないというのは、相手方の計画経済がまだ非常に素朴であって、未分化である証拠であって、これは今度の協定に当っては、ぜひわれわれも考慮しなければならぬことだと思いますが、こちら側から考えてみまして、なお四次協定を結ぶに当って特にこういう点を留意してもらいたい。この点を変えてもらいますと、スムーズにいくようになる。たとえば先ほどお話のありました甲類、乙類の分類は、でき得べくんば全部なくしてもらいたい。それまでできなくとも、三分類を二分類にしてもらいたい、これは私も身にしみて体験しているところでございますが、それに類するいろいろな点があると存じます。そこできょう時間がなければ、ここでおっしゃっていただかなくてもけっこうでござい示す。後ほどよく御検討の結果、書類をもって私どもの手元にお届け願ってもけっこうでございます。今簡単に言えるということでございますれば、おっしゃっていただいてもけっこうでございます。その障害になっている政府側といえども、必ずしもこの障害を続けていこうという意思ばかりではない。また委員会におきましても、保守党衆野党もこぞって推進に努力しているという点は事実ございます。具体的に申し上げますと、たとえば輸出入保険法の一部改正がございました。かつては中国関係には許されなかったものを、与党のお方の拍手のうちに私の質問が済みました結果、通産大臣はこれを認めるというので、これは朝日初め多くの新聞に出たことでございますから皆さん御存じだと思いますが、また輸出入取引法の一部改正は先ほど帆足君のお話がございました。これについては業界の皆さん方の懇望もだしがたく、当分の間中国関係だけは除外する、こういうことを与野党一致して附帯決議につけております。そういう調子で私どもも陰ながら御協力を申し上げておりますが、今度行われようとする第四次協定には特段の努力を払いたい。議連もさように考えておりますので、この際第四次協定を結ぶに当って、こういうことを、ああいうことをということがございましたら、どなたでもけっこうでございますからお漏らしを願いたいと思います。もしここでお漏らしが願えなければ書類でけっこうでございます。
  34. 高見重義

    高見参考人 今の加藤さんの御質問は、おそらく業界全体の代表的質問だろうと思うのでございます。事は三次協定、四次協定と簡単に済ませる問題ではないのでありまして、特に日中貿易間の現段階におきましては、いかに四次協定以降が重要であるかということを申し上げまして、一日も早くこのブランクをなくすることに努力しなければならぬと思っております。と申しますのはこの過渡的な日中貿易協定というものはお互いに貿易情勢が年々歳々急変しております。ちょうどネコの目の変るごとく中国の経済情勢というものは変っておりますので、その変化する経済情勢にいかに日本が対応していくか、お互いに五分々々の勝負ではないのでありましておそらくこれは日本側が最も多く協力態勢に入っていくということが絶対条件であります。従って動く中国貿易の変化をよく認識いたしまして、それに即応するような日本側の態勢をその節その節において作り上げていくことが絶対必要であります。しこうして第三次貿易協定は一昨年締結されたのでありまして、延長して本年の五月に失効になったわけでありますが、その間二カ年の間、いかに日中間の貿易情勢が変ったかということは、他の自由諸国の変化よりも、これはおそらく皆さんが想像もつかぬほどの変化ぶりであります。従って三次協定のいろいろな不備の点は——もちろん三次協定に盛られてない非常な隘路が実は山積しているのでありまして、こういうものは全部まとめて、そして新しい協定に織り込み、そして解決しようじゃないかという非常に大きな場面に迫られているのであります。従ってこの三次協定の未解決の問題を、日中間に最も適切な影響を与えるような処置をする。そしてまた新しい段階として今後における日中間の貿易促進という大きな見通しをもって、そういうものをすべて織りまぜていくという二つの大きな使命があるのでありまして、これをもしそのままほうっておくということになりますと、単なる日英協定とかその他の自由諸国間の協定のような、一ヵ月、二ヵ月延ばしてもそう大した大きな利益の食い違いはないというようなわけにはいかないのであります。しかも中国の変化する経済態勢は、第二次五カ年計画が大きな意義を持っておるのでありましてこの第二次五カ年計画に沿うような日本の協調態勢を作るかどうかということしが最も大きな問題であろうと私は思っています。第二次五カ年計画は五年分を一ぺんに計画する。従って問題は、相当大きな意義と認識を持たなければならぬ。と申しまするのは、計画経済の国は、その場その場で買わないで、やはり計画に基いて五年分を処理していくのです。従って先ほど参考人からいろいろ言われました長期協定ということも、やはりこの五年間の計画の中に織りまぜていくことが、最も適切だろうと私は考えておるのでありまして、こういうことも直ちに発動しなければならぬのであります。もしこの時期を失いましたならば、中国はやはり背に腹はかえられず、日本から物を買いたいけれども、ソ連圏あるいは西ヨーロッパ諸国から日本の足りないところを補っていく、そうして漸次西ヨーロッパの浸透力というものが第二次五カ年計画に反映してくることになりますと、お互いに親戚づき合いの日中間というものが、経済的にある程度のそごを来たすということは、私どもといたしましては非常に悲しむべき事柄であります。従って重病人というようなたとえはまずいのでありますが、医者の速急なメスを加えねばならぬほどの緊迫感が現在の日中間の貿易状態でありまして、これを一日も早くメスを入れる、あるいは解決するということが最も望ましい、こう考えております。  これを具体的に申し上げますると、先ほど申し上げましたように、現在の日中間の貿易の促進状態は、一月から四月までの認証ベースを見ますると、一千九十万ポンドであります。もしこれを四カ月一ごとに一千九十万ポンドにいたしますと、年間三千三百万ポンドになります。非常に少い実績でありますが、これはやはりいろいろの要素があると思いますけれども、この協定はいまだに円満、妥当に解決されておらない。従ってこの協定の線を新しく解決してスタートしまするならば、両方とも気持よく貿易打開、促進ができる、こうわれわれは確信しておりますので、この点は加藤さんの質問のみならず、われわれの最も要望するところであります。ぜひともこの点を打開していただきたいということを申し上げて、私の返答にかえたいのであります。
  35. 加藤清二

    加藤(清)小委員 それでは他の方々に、第四次協定を結ぶに当って特にこういう点、ああいう点というのが、実際やってみまするとございましょうから、それは後ほど書類でも童話でもけっこうでありますから、ぜひ手元まで御提出願いたいと存じます。それは社会党のみならず、与党の商工委員方々にも、質問には立っておられませんが、ここへ御熱心な方が来ておられますので、商工委員の熱心な方には、全部行きわたるように一つお示しを願いたい、こういうことを要望申し上げておきます。  次にもう一つ、輸出を伸ばすに当って障害となっているではないかと思われる点について、御質問してみたいと存じます。  第一番に、こちらの業界が相手方をよく認識していないという点があるのではないかと思います。それにはぜひ向うへ渡ってじきじきに見られる必要がある。それは議員とか、あるいは政府代表とか、あるいは組合代表という人でなくして実際の仕事に当っておられる方々が行かれる必要があるじゃないか。すでに技術交換のために先般東銀の伊集院さんが引率されて行かれまして、相当効果を上げて帰ってこられたようでありますが、もっとああいうことを業界みずからが何回か繰り返されるべきではないか。それはあたかもアメリカに、あるいは東南アジアにと出られるように、行かれることが必要ではないか、こう思います。そこで例を機械輸出にとってみますと、私はかつて向うへ行って帰られた人に、紡機は売れるのだ、しかし化繊か毛紡である、綿紡はもうだめだ、こういう説明を本委員会で聞いたことがあります。まさか本委員会で参考公述をされるときにうそはおっしゃらなかったろうと思う。その人の感覚なりその人のサウンドした程度であれば、そういうことになるでしょう。だからその人がうそを言うたとは思っておりません。ところが私自身行ってみて驚いた。もう紡機は要らないと言うが、りっぱに輸出もしておるのだ。こういう糸へんの製品の最高級品であるとみなされる飛行機の中の綿製品や、一般のホテルのシーツ・カバー等を見て、ネップがある。これは日本製品だったら、輸出不適品ばかりだ。これは何か原因がある。機械が悪いのか、混綿が悪いのか、技術が悪いのか、さっそく向うの一番新しい綿紡の工場を見せていただいた。見てわかった。三十年前、二十年前の日本の綿紡機がそのまま使われておる。混綿の技術もまるでなっておらぬ。そこで向うの工場長にそれを尋ねましたところ、紡機はぜひほしいと言うておる。それは化繊紡ですか、毛紡ですかと言ったら、いや綿紡もほしい、こう言うておる。それもたくさんにほしい。事実はもう来ておるのです。あなたの方からも来ておるものがあるが、あなたの方だけほしいほしいといってもなかなか来ないので、ほかの国からだいぶ買っておりますと言うて、見せてもらいました。日本のものが行っておる。なぜその人たちは帰ってから綿紡機は売れないと言うたのだろうかというていろいろ調べてみますと、これはまたおかしい。自分の見つけたマツタケ山は人に知らせたくないという気持なんです。とんでもない話である。私ども議員連盟は自分の利益のことを考えない。国家の利益を考えればこそ、自分ら月々全然返ってこない金を納めて議員連盟というものをやっておる。ところが業界の方はその道行きで自分が見つけてきた、ほかの人に知らせたくない、おれのところの会社だけで行こう、こういう考え方が続くうちは、これはかりにチンコムが除外されても、ココム緩和されても、なお障害はあとに残るのではないか、こう思われるわけでございます。一例を機械の紡機にとってみたのですが、このことは輸入についても輸出についても、同じケースに当てはまる問題があまたあるのでございます。これは商社が多過ぎ、メーカーが多過ぎて困る今日の状況では、それのみを直せといっても、それは無理でございましょうけれども、一つ遠き将来をおもんぱかって、大いに業界の皆さんの御反省を促したいと思うわけです。これは皆さんに言うべき言葉ではない。きょうここへ来ていらっしゃる方々は、みんなそんなことは百も承知の助、来ていただいて正直な御証言をいただいた。あなた方の組合の業界の傘下にいらっしゃるあまたの方々に、ぜひ一つこういう障害を作らないようにしてもらうべく御努力が願いたい。これについての御意見がありましたならば、ぜひ承わりたいのでございます。  第二は、やがて行われるでありましょうところの見本市、去年の見本市にはずいぶん二級品が来ているじゃないか、いやこれは三級品ではないかという質問を、向う方々に受けたわけでございますが、果してそうであったのかなかったのか。ことし行われようとしている見本市、それの機械輸出に関する計画は一体どうなっておりまするか、この点について……。
  36. 櫻井淑雄

    櫻井参考人 まず第一点の渡航を行う必要があるという問題でありますが、これはわれわれ機械業界としては特に技術的な問題がいろいろ関連してございますので、これは国際貿易並びに関係方面あるいは直接にそういうことを要請しております。しかし現実にはなかなか向うの招請が、現状においては来ておりません。しかし機械業界としては、機会があれば現地に渡航して、自由に調査をしたい、また接触をしたいという希望はあることを申し添えておきたいと存じます。  それから第二点の紡織機の問題が一例として取り上げられましたが、そういう問題についてはあるいはあるかもわかりませんけれども、しかし私の想像するところによりますと、私も第一次実業団で現地へ参ったのでございますが、御承知の通り中国はなかなか実態を把握するということが困難なところでございます。また主観的な見方にどうしても左右されやすい、客観的な資料というものは十分得がたいということが、非常に資料調査の困難なところでございまして、そういう点で、あるいはその方は自分の主観的な見方としてこの委員会で申し上げたのではないかというふうに感じられますが、そういう事実がないことをわれわれはきわめて切望するのでありまして、十分この点は、われわれ業界の中にもお伝えいたしたいと思っております。  それから第三点の今度の武漢、広州の見本市に対しまして、機械関係の出品計画はどうかという御質問でございますが、私ども機械業界としては、北京、上海の経緯を見ましても、いろいろな問題がございますが、端的に申し上げますと、一応主催者側であります輸出入組合あるいは国際貿易等からこの計画についての話がございましたときに、機械業界としては、まず北京、上海の商品展の出品物の処理と申しますか、処理の代金決済がいろいろな事情で現在まだできておらない、それから第二点は北京、上海の反響といいますか、いろいろ現地の情報によりますと、非常に機械関係の各機種についての具体的な要望等がございますけれども、現実にここで中国側の五カ年計画の調整によりまして具体的な発注が行われていない、この二つの事実から推しまして、何らかそういう気配が見えないと、次の武漢、広州に対する出品の意欲というものが非常ににぶるのではなかろうかという点と、もう一つは、機械の出品についてはなお前もって出品物についての設計なりあるいは調整をしなければならない、特に重機械についてはそういうことが言えるのでありますが、そういう点について最初の主催者側の計画では十月ということでございましたが、とてもこれは十月には、機械としては出品勧誘する自信もないということで、機械業界としてはお断わりしたのでございます。われわれ機械業界としては、チンコム制限緩和等々とにらみ合せまして、一年くらいの延期をしたらどうかということまで業界としては申し上げたのでありますが、主催者側としては中国側とのいろいろな話し合い等の関係もございまして最大限の延期ということで来年の一月−三月を目して、武漢、広州において開催するという方針を決定されたのでございます。われわれ機械業界としては、その線に沿って極力御協力を申し上げるということでございますが、また現実の問題として武漢、広州に対する出品規定なり詳細なる規定が全部できておりませんので、各団体を通じて傘下の各メンバーに対して出品勧誘の段階にまだ至っておりません。しかしこれは来年の一月—三月でございますから、至急にかかる必要もございますので、今お話がございましたように、極力武漢、広州にはいわゆる三流品といいますか、そういうものではない、できるだけりっぱなものを出すように努力いたしたいと思っておりますが、先ほど申し上げたように、前提条件がまだ未解決の問題がありますので、非常に困難なことが一応予想されております。しかしこれは中国側と主催者側のいろいろな約束等がございますので、機械業界としては極力御趣旨に沿うように最善の努力をいたしたいと思います。
  37. 加藤清二

    加藤(清)小委員 まだたくさん質問がありますが、この一点にこの際はとどめたいと思います。  最後に承わりたいことは、組合が設立されましてからまだ日を出でないうちに相当の成績を上げていらっしゃることについては敬意を表しておりますが、いずれの組合でもそうですけれども、発足の当初というものはなかなかうまく運営ができないものでございます。私も全国の理事長をやっておりました経験にかんがみまして高見さんの御苦労はよくわかりますが、組合員と組合の幹部との間に意思の疏通ということが欠けているうらみがありやいなやということでございます。と申しますのが先ほどちらり帆足さんからも出ましたが、私ども非常に不可思議に思いましたことは、輸出入取引法の一部改正をいたします折に、猛烈な陳情がありました。ところがこの原案は南郷さんが審議会にちゃんと出席されて賛成してこられたことなんです。それが原案となって出てきたら、とたんに南郷さんの傘下から猛烈な反対があった、一体これはどうした問題だろうというわけで、いろいろ尋ねてみましたところが、知らぬ存ぜぬのうちにいっちゃったというような言葉を聞いたわけでございます。こういうことが行われますと、将来にとってあまりかんばしくないのじゃないか。  もう一例を申し上げますと、これは高見さんと話し合いをしたことですから御記憶でございましょうが、かつてわれわれが向うへ行ったときに、南漢宸や雷任民さんと、せめて四次が結ぼれるまでの間できるだけでこぼこ是正をやろうじゃないか。それで五品目の改訂をやろうじゃないか。その中に機械が三品と、向うから来るものには二品目がございました。このことについてせっかく向うでわれわれ議連がやってきたことが組合で拒否された。なぜ拒否されたかというたらそれは理事会の決議だとこういう。そこで私はこの二品目については郷里に縁故が非常に深いので、断られちゃいましたが、あなたたちはわしらにうそを言うたんですかとこういうて回って歩いたら、とんでもない話だ。それはわしらが言うたのが正しいのだ、こういうことでございましたが、こうなりますと私どもはどちらの言うことを聞いて動いていいのやらわけがわからぬ。私どもは利益を追求するために動いているのじゃございません。でき得る限り貿易を進展して、両国の幸福を増進させたい、こういうのが目的でやっているのでございますが、そのやってきたことが組合にきらわれたり、業界にきらわれたり