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中川参考人 中川でございます。私は電気事業会から、
中共貿易に関しまして御要望申し上げたい点を御
説明申し上げまして御理解と御
援助をいただきたいと思います。
電力の問題といたしましては、結局
中共炭の
輸入の問題でございます。昨年の十二月からことしの二月にかけましての渇水に際しまして、
石炭の非常な不足になり、この間外国炭の一部といたしまして、
中共炭をスポットで電力業界が買いましたわけでございます。これは一時的な問題であったわけでございます。ところが昨年の暮れあたりから近い将来にわたりましての電気の燃料の問題をいろいろ検討いたしますと、非常に燃料需要について心配すべき点が多いわけでございます。昨年以来電力の需用が非常に伸びまして、ことしあたりも電源開発等の
関係もございますけれ
ども、十分に火力の設備をフルに稼働して需給の維持をいたさなければならない状態と相なりました。かような
関係からいたしますと、電気の燃料といたしまして昨三十一年度におきましては
石炭が八百五十万トンほど、重油を七十万キロリットルほど消費いたしました。ところがこの三十二年度につきましては、現在のところの見通しで申し上げますると、
石炭換算にいたしまして、大体年間千四百万トン。こういうことに相なるわけでございます。昨年の、先ほど申し上げた数字を
石炭換算で申しますと、約千万トンをちょっと割る程度でございますが、いずれ
にしましても四割程度の燃料が発電用としてふえなければならない、こういう
関係になります。千四百万トン相当の
石炭を今の国内炭の需要からいたしますと、
計画は大体
石炭が千百万トン、重油を百五十万キロリットル、こういうふうに
考えておりますが、この
石炭の千百万トンを国内炭だけでまかなうという点につきましても非常に問題が多いわけでございまして、おそらく千万トン程度の調達がやっとではないかというふうに
考えられております。と申しますのは、国内炭は
石炭は四千八百万トン程度の総出炭量でございました。この三十二年度が五千二百万トンないし三百万トンと言われておりまするが、増産分の四百万トンないし五百万トンのうち、電気だけで四百万トン相当のものをもらうということはとうていできない相談でございまして、大体国内の総出炭の電力向けの適正炭と申しますか、全体のうち電力に向いたようなもの、これがおそらく二割から二割二、三分程度のようでございます。かような事情からいたしましても、国内炭だけでこれをまかなうことは非常に困難であります。
石炭業界でもすでにさような事情を表明されている事情もございまして、私
どもとしては結局昨年度からの燃料の増加分は外国炭並びに重油に切りかえていくということに
考えておるわけでございます。今後の電源開発が進みますると、大体現在の発電設備は火力が二、水力が一という割合でいたしております。従ってそれに応じまして燃料の問題も非常に毎年ふえて参るわけでございまして、
石炭にいたしまして毎年ふえます今がおそらく百五十万トンから二百万トン程度の発電用の炭を毎年ふやしていかなければならぬ、こういう
関係になります。従いまして国内炭でふえます分も優先的にまかないますけれ
ども、不足分は将来にわたりまして外国炭ないし重油ということに相なるわけでございます。従って外国炭といたしましては結局
中共に依存することが経費その他の
関係より一番安定し得るのではないかと
考えまして、ぜひ
長期計画といたしまして
中共炭を入れて参りたい、使って参りたい、かように
考えておるわけでございます。従ってこの点につきましては、
関係方面、ことに通産省の方でも事情を御了承いただいておるのでございまして、できるだけ安い炭を相当量まとまって発電用に毎年入れて参りたい、こういうふうに
考えております。それでかようなある程度
計画的に
中共に炭を依存するということになりますと、どうしても送り出しの
中共側といたしましても、
中共の出炭
計画あるいは産炭
計画にこれを織り込んでいただいて、
日本の電力向けに回してもらえるかどうかということを検討してもらわなければならないと思います。そういう点で先方に対しましては個々の商社を通じての取引の問題でなく、ぜひ
長期的な問題としてこれを考慮していただくという意思を直接伝えまして、
石炭の点の見通し立ち得るかどうかを直接打ち合せるのが一番適当ではないかというふうに
考えまして、いろいろの方の御
意見等も伺い電力業界からしかるべき代表を送りまして、先方の
貿易担当あるいは
石炭担当の
方面と打ち合せをいたしたいというように
考えまして、この一、二ヵ月前からそういう申し入れを直接先方にいたしまして、
交渉ができるように申し出をいたしております。現在のところ
向うの出炭
計画その他との都合もあるので、そういった代表の来る時期についてはいましばらく待ってほしいという連絡を受けております。先方の了解が得られますれば、早い時期にそういった
折衝に入りたいとかように
考えております。従って
中共に依存する炭といたしましては、発電用としてはことしはいろいろ船繰りの
関係もございますが、できますれば五、六十万トン程度のものを、
値段の
関係もございますが、入れたい。明年以降も百万トン程度のものは続いていただき得る状態になろうかと思います。
値段の点等につきましては、先ほ
ども鉄鋼の方から
お話がございましたように、先方は国際価格のベースといいますか、そういったものによっておりますが、私
どもといたしましてはできるだけ国内炭ベースといいますか、
日本の
石炭需要
石炭価格等とも見合いまして、これより高くないものを、できるだけ安い値で入れたい、こういう希望でございます。その点も先方としかるべく打ち合せをいたしたい、かように
考えております。
現在の事情を申し上げまして、かような希望が実現されますよう御尽力をお願いいたしたい、かように存じます。