運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-23 第26回国会 衆議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十三日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       阿左美廣治君    内田 常雄君       岡崎 英城君    川野 芳滿君       佐々木秀世君    齋藤 憲三君       島村 一郎君    田中 角榮君       中村庸一郎君    南  好雄君       村上  勇君    横井 太郎君       春日 一幸君    片島  港君       佐竹 新市君    多賀谷真稔君       帆足  計君    水谷長三郎君       八木  昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  水田三喜男君  出席政府委員         通商産業政務次         官       長谷川四郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         中小企業庁長官 川上 爲治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衛君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十三日  委員中崎敏君及び永井勝次郎君辞任につき、そ  の補欠として横路節雄君及び井谷正吉君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月二十二日  中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等  に関する法律案内閣提出第一五二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  自転車競技法を廃止する法律案永井勝次郎君  外十一名提出衆法第二五号)  小型自動車競走法を廃止する法律案永井勝次  郎君外十一名提出衆法第二六号)  自転車競技法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二〇号)  小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二一号)  中小企業団体法案内閣提出第一三〇号)  中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等  に関する法律案内閣提出第一五二号)  中小企業組織法案水谷長三郎君外二十三名提  出、衆法第二号)  中小企業組織法施行に伴う関係法律整理に  関する法律案水谷長三郎君外二十三名提出、  衆法第七号)  中小企業産業分野確保に関する法律案(水  谷長三郎君外二十三名提出衆法第五号)  商業調整法案水谷長三郎君外二十三名提出、  衆法第六号)     —————————————
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  自転車競技法を廃止する法律案及び小型自動車競走法を廃止する法律案一括議題とし、審査を進めます。  両案につきましては、質疑もないようであります。両案は予算を伴う法律案でありますので、この際国会法第五十七条の三の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えることにいたします。水田通商産業大臣
  3. 水田三喜男

    水田国務大臣 自転車競技法改正につきましては、昭和三十年五月の参議院商工委員会附帯決議に基きまして、かねて通商産業大臣諮問機関であります競輪運営審議会に諮りまして、その答申の趣旨に沿って競輪社会に与える悪影響を縮減し、これを健全にするための改正法律案を今国会提案しておるものでありまして、競輪を全面的に禁止することは他の同種競技との均衡もございますし、かつ地方財政に与える影響も軽視できませんので、実際問題としましては困難であると認められますので、自転車競技法を廃止する法律案には賛成しがたいものであります。  小型自動車競走法を廃止する法律案についても、政府考えは同様でございます。
  4. 福田篤泰

    福田委員長 両案につきましては討論もないようでありますので、直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって自転車競技法を廃止する法律案及び小型自動車競走法を廃止する法律案、両案を一括して採決いたします。両案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 福田篤泰

    福田委員長 起立少数。よって両案は否決すべきものと決しました。     —————————————
  7. 福田篤泰

    福田委員長 次に自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  両案につきましてはすでに質疑も終局いたしております。この際両案を一括して討論に付します。通告がありますのでこれを許します。片島港君。
  8. 片島港

    片島委員 私は政府提案法案に対して反対意見を申し述べたいと思います。私の地元におきましては自転車競技施行しておりませんので、かえって公平な立場において、また客観的な見地からこの法案を批判することができると思いますので、実は私が反対意見を申し述べたいと思うのであります。  この法案提出せられました理由に、他の射幸的娯楽との均衡と、地方財政に及ぼす影響という二つの項目があげてあるのでありますが、その一つの、他の射幸的娯楽との均衡という問題につきましては、不健全なる、ギャンブル的な娯楽につきましては、どういうものでありましても、廃止できるものは順次これを廃止していくのが正しい行き方であり、特に、きわめて零細なる大衆のふところから出るところの、年間数百億円という莫大なる金がこのようなギャンブル的行為に使われることは、日本経済の健全なる発展の上に決して好ましいことではないと思うのが私の第一の反対理由であります。  さらにまた第二の理由としては、地方財政に及ぼす影響ということを言っておられますが、競輪施行しておる自治体施行しておらない自治体との間にすでにきわめて不公平を生じておることは質疑応答を通じて明らかであります。また地方財政がこのような競輪などによってその財源を求めるという行き方地方財政そのものにとって決して好ましいやり方でないことは、自治庁当局からも言明せられておる通りでありまして、この理由もまたきわめて薄弱といわなければならぬからであります。  さらに私が強調いたしたいのは、参議院における附帯決議でありますが、参議院禁止もしくは制限ということを一つ方向として附帯決議をきめておりますのにかかわらず、審議会におきましては、この禁止もしくは制限というきわめて明確なる方向を曲げまして、白紙の立場において競輪を今後どういうふうにすべきかという審議をした形跡がきわめて濃厚でありまして、これは参議院附帯決議を無視するもはなはだししといわなければならないからであります。  今日競輪をどうしても継続しなければならぬという最も大きな理由は、すでに今日まで積み重ねられた大きな施設及びそれに従事しておる人々生活を守るということこそがむしろこの競輪を継続していく最も重要なる理由でありまして、わが党はこのような不健全なる娯楽日本経済に何らプラスをするものでない、こういうのをやめるといたしましても、その施設の償還なり、あるいはこれを長年育ててきた、またこれによって生活をしてきておられる方々の生活を守ることは軽視できない最も重要な問題でありますので、二カ年間の期限をつけて、この二カ年間に十分施設の償還なりこれに従事する人々生活をどのように守っていくかという問題を処理していきたいという意味において廃止法案を出したのでありますが、残念ながら否決をせられました。  私ども政府提案のこの法律案に対しては、以上の理由から反対をいたすものであります。(拍手)
  9. 福田篤泰

    福田委員長 これにて討論は終局いたしました。  よって、自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 福田篤泰

    福田委員長 起立多数。よって両案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際佐々木秀世君より自転車競技法の一部を改正する法律案について附帯決議を付したいとの提案がなされております。佐々木秀世君の発言を許します。佐々木秀世君。
  11. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 自転車競技法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を申し上げます。 一、競輪施行者は、車券売上高の百分の一に相当する金額を社会福祉公共施設のために支出するよう措置すること。 二、競輪選手の円滑な新陳代謝及び選手の素質の向上を図るとともに、併せて選手待遇改善につき検討すること。三、競輪場設備改善を図るよう措置すること。 四、競輪場附属公衆衛生施設整備改善を図るよう措置すること。 五、払戻金最高限度額制限及び連勝複式勝者投票法を実施する場合には、競馬小型自動車競走モーターボート競走と同時に行うものとし、かつ、その取扱については特に慎重を期すること。 六、日本自転車振興会の人事及び運営は、民主的に行うこと。 七、この種の射倖性を伴う競技監督行政機関については、これを一元化するよう速かに検討すること。以上七項目であります。  簡単に説明を加えますと、ただいま社会党の片島君からもお話がありました通り、いわゆる零細な大衆の金をもって得た収益というものは、どうしてもこれは一部施行者のみならず、国家的にも有用に使うべきであるという考え方から、社会福祉ということを入れました。肺結核とかあるいはガン研とか、社会福祉のために貢献するような事業がたくさんあります。そういうものに使うということが一点。また公共施設と申しましても、消防などの施設にも使うべきだと思います。しかしそういうものに対しては監督官庁施行者と、自転車振興会、この関係者たちが協議いたしまして、その具体的な使途について検討されるよう望むものであります。  選手待遇等につきましては、質問の中で申しました通り、現在の選手は決して待遇がよいということは申されません。いわゆる健全なる競技をいたすためにも、選手待遇改善というものは十分考えなければなるまいと存じます。  その他設備改善公衆衛生の問題はすでに申し上げておりますので省略いたします。  ただここで申し上げたいことは、払戻金制限並びに複式配当でありますが、こういうものは同じ政府において自転車競技のみにこういう制限をつけるということは不合理でありますので、これは競馬小型自動車モーターボート等一連のものを総合して検討いたしまして、この種競技が全面的にこの方法を採用するというならば異論はございませんが、競輪だけにこういうような配当制限をするということは、われわれとしては納得いきませんので、このことについては十分慎重に検討して行うようにしていただきたい。競輪だけこういうことをするということについては賛成できませんので、この項目を入れた次第でございます。  また最後のいわゆるこの種の射幸性を持つ競技に関する行政機構の問題でありますが、質問を申し上げている中におきましても、こういうものに対する疑念がいろいろとありまするし、また統括された一つの方針もないようでありますから、将来行政機構の問題につきましては、十分に各種担当機関におきまして検討するよう望むものでございます。  以上簡単に説明申し上げまして、何とぞ皆様方の御賛成あらんことを切望いたします。
  12. 福田篤泰

    福田委員長 採決いたします。ただいま佐々木秀世君御提案通り本案附帯決議を付するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 福田篤泰

    福田委員長 起立多数。よって本案には佐々木秀世君御提案通り附帯決議を付するに決しました。  この際通商産業大臣より発言を求められております。これを許します。水田通商産業大臣
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 政府といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を十分に尊重いたしまして、その実施に努力したいと考えます。
  15. 福田篤泰

    福田委員長 お諮りいたします。ただいま議決いたしました四案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  17. 福田篤泰

    福田委員長 次に昨二十二日本委員会に付託されました、内閣提出中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案議題とし、審査に入ります。  まずその趣旨説明を求めます。水田通商産業大臣
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  政府といたしましては、さきに中小企業団体法案国会提出いたしましたが、その施行に伴いまして、関係法律改正する必要がございますので、本法律案提出した次第であります。  本法案のおもな内容は、第一に、商工組合中央金庫法並びに中小企業金融公庫法改正して、新たに、その融資の対象として、中小企業団体法案によって新しく設けられる商工組合及び商工組合連合会を加え、また、中小企業信用保険法改正して、商工組合及び商工組合連合会信用保険対象となり得ることといたしました。  第二に税制関係におきまして、商工組合及び商工組合連合会を従来の中小企業等協組合法による事業協同組合と同様に取り扱うこととし、国税について、商工組合及び商工組合連合会法人税法上の特別法人扱いを認め、また地方税につきましても、商工組合及び商工組合連合会の特定の施設に対す固定資産税並びに不動産取得税を免除する等の措置を講ずることといたしました。  以上のほか、中小企業団体法施行に伴い、関係法律に所要の改正を行なっております。  中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案のおもな内容は、おおむね以上の通りであります。  何とぞ慎重御審議の上御可決下さいますようお願いいたします。     —————————————
  19. 福田篤泰

    福田委員長 引き続き中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業組織法案中小企業組織法施行に伴う関係法律整理に関する法律案中小企業産業分野確保に関する法律案及び商業調整法案、以上各案を一括議題とし、審査を進めます。質疑を継続します。横井太郎君。
  20. 横井太郎

    横井委員 先に政府当局の方にお尋ねをいたしたいと思います。この法案中小企業救済意味におきまして非常にいい案だと思いますけれども、これに対しましてはまた相当の反対意見もあると思います。しかもその中には誤解もあり、もっともだと思うのもありますので、この際反対意見について一つ解明を願いたいと思います。  そこで第一番にお尋ねいたしたいことは、この法案通りまして、いよいよ商工組合を結成することになりまして、その機能を開始いたしますと、新しく開業いたしたいという人が非常に困るのじゃないか。場合によっては阻止をされるような結果になりはしないか、こういう問題でございますが、この点に関してお答えを願いたいと思います。
  21. 川上爲治

    川上政府委員 この法律によりましては別に新規開業につきましては何らの制限もいたしておりません。従いまして新規開業は全く自由であるわけでございまして、商工組合を作りまして調整事業を行いましても、新規開業者は自由なのですが、ただその調整事業に従った方がいいというような場合におきましては、自由に加入も許されておりますし、また同時にどうしても新規開業者がこの組合以外にあっては非常に困るというような場合におきましては、強制加入命令等によりまして組合加入させる、あるいは組合調整規程を参酌して政府の方で命令いたしました調整命令に対しまして従わせるというような程度でございまして、別に営業そのものについてはこれを許可制にしておるということには全然なっておりません。
  22. 横井太郎

    横井委員 なるほど法案にはそうは書いてございませんので、営業を始めることは自由でございましょう。しかしながらこういう問題があると思うのでございます。組合契約をいたす場合に、製造業者と、要するに工業組合とその原料を売る人との組合契約ができるはずでございます。それから問屋製造業者との団体協約もできるし、小売と問屋組合との団体交渉等もできると思うのでございます。その場合において、たとえば製造業者をもって組織する工業組合原料を売っておる人との間において、新しく始める人には原料を売らないのだ、こういうような交渉がかりにあって、それができるとする。また問屋組合製造業者との間において、同じ業態のものでございますから新しい人には売らないのだというような協約をかりに締結する場合において、新しく始める人には実際にはできないのじゃないか。
  23. 川上爲治

    川上政府委員 ただいまのお話のようなことは不公正取引ということになるかと思いますので、これは独禁法違反ということになりますので、そういうような組合交渉というものはできないというふうに私ども考えております。
  24. 横井太郎

    横井委員 今ちょっと聞えなかったのでもう一ぺん……。
  25. 川上爲治

    川上政府委員 組合と、原料販売相手方に対しまして、組合員外に売ってはいけないというような団体交渉は、全く不公正な取引になってくると考えられますので、そういう団体交渉独禁法違反でありますし、そういうことはできないと私ども考えております。従いまして、組合員外の者に対して別にそういう不公正な取扱いはできないと考えております。   〔委員長退席小平(久)委員長代理着席
  26. 横井太郎

    横井委員 独禁法でいけないとおっしゃればそうでございますが、そういたしますと組合機能が十分に発揮されぬという結果になりはしないでしょうか。たとえば、問屋さんが非常な過当競争をやり、その上にまた新しい員外者といいましょうか、初めて開店する人がどんどんふえていけば、組合を作ること自体意義がなくなりはしないでしょうか。現実にこういう問題があるのです。戦争後の中小企業は昔のような徒弟制度ではなくなりましたけれども、依然として技術を覚えるような商売がたくさんある。私は愛知県ですが、愛知県では払壇屋とか染織屋とか、何年も何年もやらなければ技術を修得し得ないような業種がたくさんあるのでございます。終戦後に初めてそういうことを覚えかけた者が、ちょうど十年くらいたって、ここらで巣立ちたいとか新しい仕事を始めたいという年ごろになっているのです。二十ごろから始めてちょうど三十前後になり、一本立ちしたいという人がたくさんあるわけなんです。そこで、このように同じ業者過当競争をしておる現状において、新しい者がどんどん出てもいいということになりますれば、そういうことが縛り得ないということになりますれば、新しいものがふえていくことになるのです。過当競争を防ぐための組合であって、過当競争をするような相手方がどんどんできていくという場合はどう解釈するのでありましょうか。それでも独禁法でいけないというのでありましょうか。それを解明していただきたいと思います。
  27. 川上爲治

    川上政府委員 この法律は別に営業許可制をとっておりませんので、新しいものがふえていくのを押えることはできないのでございます。ただ、大部分の中小企業者が集まって組合を作って調整事業をやる、しかもその場合に員外者が非常に調整事業を妨害しておるために、調整事業がうまくいかない、従って組合員の安定がどうしても期せられない、そして、ひいては国民経済に非常な影響を持つというような問題が発生いたしますと、員外者——これは新しく開業した者でも同様でございますが、そういう員外者に対して組合調整規程に従えという五十六条の規制命令も出し得ますし、またそれが中小企業者でありまするならば、五十五条の強制加入命令を出して、その組合調整規程に従えということによって、その組合のメンバーの安定を期するように協力させるということになるわけでございます。
  28. 横井太郎

    横井委員 これは運営の面もありますので、業者が非常に心配しておるわけでございます。その点は一つ大いに運営よろしきを得てやっていただきたいと思うのでございます。  それから、その次にお伺いいたしたいのですが、これは戦時統制の再現でなかろうかという声が相当あるのでございます。これはいろいろに考えられますけれども、なるほどこの法案内容を見ますと、運営のいかんによってはそういうことになるのじゃないだろうかと思われる面も出てくるのでございます。たとえば、設備制限をするとか販売制限をするとか、価格制限をするとか——なるほどそういうことによって過当競争はなくなると思いますが、そうなると、今度は反動的に業者が法の上にあぐらをかいて、非常に安易な気持になってくる。従って、消費者に対してのサービスを怠ってきやしないか、これは一応考えられることなのでありまして、消費者の方でもそういう声がやかましいのでございますが、それに対してどういうお考えでございましょうか。
  29. 川上爲治

    川上政府委員 商工組合において調整事業を行います場合は、この調整規程によりて行うわけですが、その調整規程を作りますときには行政官庁認可を受けなくちゃならぬということになってわりまして、その認可をする際におきましては、消費者に対する影響を十分考えて、不当に影響がないような措置になっておりまして、初めてその調整規程認可するわけでございます。特に消費者関係につきましては価格協定が一番問題があると思うのですが、価格協定につきましては、この法律によりましても、生産制限なりその他いろいろな調整事業をやってみて、それでもなかなかうまくいかない、なかなか組合員の安定が期せられないというような場合、最後的な手段として行い得ることになっておりますし、また価格協定そのものにつきましては、公取の同意を得なければ認可ができないというような仕組みになっております。従いまして、そういう配慮を十分しておりますので、私どもとしましては、消費者に対しまして不当な影響はないものと考えておるわけでございます。
  30. 横井太郎

    横井委員 もう一つ、これは大臣から承わりたいと思うのでございます。この組合を作るようになると、いわゆる官僚統制に返るではないか、これは相当やかましいのでございます。なるほどこの法案内容を見ますと、組合を作る場合認可を受けるとか、あるいは調整内容について認可を受けるとか、あるいは組合団体協約をやる場合勧告をするとか、加入命令を出すとか、規制命令を出すとか、何でもかんでも上の方からの命令というのがあるのでございます。あるいは認可を受けなければならぬという問題があるのでございます。勢い役人さんの介入してくる部面が非常に多いのでございます。なるほど上の方の大臣とか長官官僚統制には相なりませんとおっしゃるが、第一線の連中にいきますと、必ずしもそうではなくて、とにかく官僚風を吹かすような部面が出てきはしないか。業者は、こういう組合を作って下さいと言いながら、そういうことの一面の杞憂を持っているので、そういう点大臣からはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  31. 水田三喜男

    水田国務大臣 戦時統制時代のことを特に中小企業方たちは心配しておりますが、あの時代にはむしろ物資が不足で、それにどう対処するかという必要から官僚統制をやりましたので、価格においても生産数量においても全部政府命令でやったということから、これが官僚統制として当時の中小企業に御迷惑をかけたことがございますが、今度の場合は、そうではなくて——物が不足しているのでこれにどう対処するかというような事態ではなくて、むしろ物が多くて、そのために業界全体が不況に陥るというのをどう助けようかというのが趣旨でございますからして、従って政府側からどうこう言うというようなことは一切ございません。もし業界が、自分たちは集まってこういう調整事業をやりたいという申し出によって、そのやることが関連産業消費者に迷惑をかけるか、かけないかという一つの基準をもって政府認可をするかしないかでありまして、政府は常に受け身である。業界から言ってこなければこちらから何もしない。こういうふうにしてもらいたいと言ってきたものを審査して、そうさせた方がいいという場合に認可をするということでございますから、いわゆる官僚統制の色彩というものは、この法案では全くないのじゃないかと私は考えております。
  32. 横井太郎

    横井委員 その次は物価騰貴の杞憂の問題でございます。これもやはり各方面からすでにお聞きにはなりましたが、この法案内容を見ますと、なるほど設備制限とか販売制限、数量制限、その次に価格制限、こういうようになりますので、順次相当官庁の方が十分見届けてこれをいろいろと御心配にはなるであろうとは思いますけれども、こういう制限々々となりますると、勢い物の出回りというものも制限されてくる結果でございますので、自然の勢いで、物価が上ってくる傾向にあるということはいなまれぬと思うのです。この点を消費者あたりは非常に心配しておるのでございます。それをやらなければ中小企業者にとっては効力はないかもしれませんが、この点を消費者としてはなるほど物価の騰貴ということと関連して非常に心配をいたしておるのだが、この点はどう解釈すべきものか、それをお答え願いたいと思います。
  33. 川上爲治

    川上政府委員 現在中小企業安定法によりまして調整組合ができておりまして、その業種は四十七業種にわたっておりますが、その中で実際問題として価格の協定をやっておるものは二業種でございます。ほかのものは全部その他のいろいろな調整事業を行なっておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように価格協定というのは、これはよくよくの場合でなければこの法律の建前としても認めないということにいたしております。それからまた価格協定につきましては公取の同意を得なくちゃならぬというふうになっておりますし、また安定審議会におきましてもこの問題につきましては十分検討することにいたしておりますので、先ほども申し上げました通りに、この法律を実施することによっていろいろな商工組合価格協定をして、そして物価のつり上げをするというようなことは、これは私どもの方としては万ないものと考えております。またそういうおそれのあるものにつきましては、認可をしないというような考えで臨みたいと思っております。
  34. 横井太郎

    横井委員 少し具体的な問題になりますが、おそらく当局の方へも相当の反対の陳情があるかとも思っております。それは内需が貿易を制約しないかという問題でございます。これは関西の方面で非常に大きな問題として扱っておるのでございますが、貿易業者の問題でございます。要するに大企業の貿易業者は、織布とかあるいは捺染とか、縫製であるというようなことを兼業いたしておるのでございますが、この大企業というものは主として貿易を中心としての企業でございますので、こういうのを兼業いたしておるのでございます。ところがこの織布とが捺染とか縫製というような、それ自体は中小企業に多いのでございます。しかも中小企業に多いこれらの業種は、内需すなわち内地向けの織布とか、あるいは縫製とかいうものが多いのであります。ところがもし内地向けのこれらの織布とか、縫製というような面において今の商工組合を作って調整事業をいたす場合に、これが輸出の面に制肘を加えはせぬか。輸出の面は、大企業は大企業として輸出向けにそういうことをやっておるのでございますが、同じように織布なら織布という業種において、あるいは捺染なら捺染という業種においてこれが規制をいたしますると、内需のものと貿易のものとは違いますので、従って内需のものが貿易面のものに制肘を加える結果になりはせぬか、こういうことを非常に憂えて反対をいたしておるのでありますが、これはどういうふうにお考えになりますか、お答えを願いたいと思います。
  35. 川上爲治

    川上政府委員 この織布業者につきまして、内需ものとそれから貿易ものと、もちろん不可分の関係があると思うのでありますが、先ほども申し上げましたように内需ものについて価格の統制をするというような場合におきましては、これはよくよくの場合でなければ私の方では認めない、またこれを価格統制するためにかえって貿易に対しまして非常な影響を持つというようなことでありますれば、私の方としましてはもちろん認めませんし、おそらく安定審議会におきましてこれをいろいろ検討します場合におきましても、そういうものは認めないというようなことになろうかと思いますので、おそらくそういう心配は全然ないものと私ども考えております。現に先ほども申し上げましたように、中小企業安定法に基きます調整組合におきましてもいろいろな調整事業をやっておるわけであります。これはすでに五年になっておるわけでございますけれども、今までそういう調整事業によって輸出に対しまして悪い影響を及ぼしておるということは、一件も実は私ども聞いておりません。むしろ輸出関係のものに対しましてこの調整事業をやることによって、かえって輸出の方の安定が期せられているというような効果が上がっておるわけでございまして、輸出を阻害しているというようなことは現在のところ一つもありませんし、そういう実績に徴しましても、またわれわれとしまして価格協定につきましては十分な考慮を払うし、またそういう仕組みになっておりますので、その点は別に私どもは問題はないというふうに考えております。
  36. 横井太郎

    横井委員 まだいろいろありますが、一応反対なさる方もまだほかにたくさんありますのでこの程度でこの問題は終りますが、とにかく長官がおっしゃり、大臣がおっしゃると別に差しつかえない、差しつかえないというふうにとれるのでございますが、第一線の運用におきましてこれを誤まると大へんなことになると思うのでございます。その点は、いよいよ実施に当りましては特に第一線の役人さん方にお話しおきを願いたいと思うのでございます。  それからきょうお話がございました中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の先ほどの御説明がございましたことに関連いたしまして、一つお尋ねをいたしたいと思います。それは今度できます商工組合に対しましても、商工中金あるいは中小企業公庫からの金融の対象にするという問題でございます。これは非常にけっこうなことで、当然そうあらねばならぬと思うのでありますが、今日中小企業公庫が市中銀行を通して貸しておる部面において、市中銀行が実際において中小企業に融資をしておるかという問題でございます。私どもしばしば聞くんだが、今まで中小企業者でAならAという銀行と取引があった場合には融資をしておるのだが、新しい中小企業者が行くと全部それは断わってしまう、こういうことをしばしば聞くのであって、今まで取引をしておる中小企業者だけに融資をするのなら、何も新しくこういう市中銀行に扱わせる必要はないと思うのでございますが、この点はどういうようにお考えになっておりますか、お答え願いたい。
  37. 川上爲治

    川上政府委員 現在中小企業金融公庫の貸付は、これは全国に支店が非常に少いものでありますから、市中銀行を通しましていわゆるその代理貸しというようなことでやっているわけなんですが、これはその銀行と従来取引がなくても当然貸し付けられる制度になっておるわけでございまして、従来われわれの間々耳にしておるところでは、この代理店である市中銀行が従来取引のあったものに片寄っておるというようにも聞いておりますけれども、われわれとしましてはそういうことがないようにいろいろ指導をいたしておるわけでございます。従いまして、具体的に私どもいろいろ話がありまして、従来取引はなかったけれども、新しいものに対しましてその銀行から中小企業金融公庫の金を貸しておる例は多々ございます。ただ先ほどお話がありましたように、どうも従来取引があったものに対して片寄っておるというようなことは聞いておりますけれども、われわれとしてはそういうことがないようにこの中小企業金融公庫を通しましていろいろ指導はいたしておるわけなんですが、今後におきましても極力そういうことがないように、片寄らないように一つ指導していきたいというふうに考えております。同時に、またこの代理店を通しまして貸し出すことは、現在におきましてはやむを得ないことでありますけれども、なるべく直接貸しをふやしていく方向に持っていきたいというふうに考えておりますし、また一面におきましては、この前の委員会におきまして可決していただきましたこの中小企業金融公庫の金を商工組合中央金庫を通しまして出すというような措置も今後におきましてはとりますから、新しい、銀行と関係のない中小の方々に対しましても十分めんどうを見ていきたいというふうに考えております。ただ問題は、その資金のワクが比較的少いということで、あるいは借りに行ってもなかなか借りることができなかったという事例は相当あるかと考えられます。
  38. 横井太郎

    横井委員 あなた方は一ぺんでもこの実態を調査せられたことがありますか。調査をしていただけばわかるのですが、実際に新しく借りに行っても貸せないのです。これが実態です。これはあなた方調査せられたかどうか私は疑うのでございます。貸せないのです。しかも貸せないばかりならいいのだが、今まで取引をしておった中小企業者の金を——この金は今まではその市中銀行から出ておった金なんです。ところが中小企業金融公庫の金が回って参りますと、今度は今までの銀行自体が貸しておった金をすりかえるわけなんですね。   〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 従って中小企業金融公庫の金はすりかえるのですから、銀行がそれだけ余分に資金源ができたわけなんですが、その金はどこへ回るかというと、今言ったように、新しく申請する人に貸せないのですから、結局大企業の方に回っていくということになるんです。結果において、中小企業金融公庫の代理貸しというものは大企業に金が回っていって、ほんとうに中小企業者には潤わぬのだ、これが実態です。現に私は幾つも取り扱って知っておる。新しい人が行ってもなかなか貸せない。だから、これをあなた方の方でよほど注意していただいて、いけなければやはり代理貸しというものをやめてただいきたい。実際において中小企業者を潤していないのです。私はこれは大蔵省等の関係もあって、大蔵省が窓口を開かなければいかぬというので、やむを得ずこういうことをやっておるということも聞いておるのですが、むしろ私は商工中金と中小企業金融公庫と目的は違うのでしょうが、一本にして、それ自体において窓口を開かした方がいいのです。代理貸しというようなことは実際において中小企業者を潤していない。あなた方の方で調査なさったかなさらぬか、実態を一つ聞かしていただきたい。これはほんとうに業者の叫びであります。せっかくの金が大企業に回る。ことに昭和三十年はうんとふやされておる。二百何十億からふえておって、これが大企業に回って中小企業に回らぬというなら、何のためにこれを増額するのか意味がないのでございます。一体今までお調べになったかどうか、この点と、それからまたいっそのこと代理貸しをやめる御意思はないかどうか、この点を承わりたい。
  39. 川上爲治

    川上政府委員 これは系統的に全面的に直接われわれの方で調査したことはございません。しかし私の方としましては、信用保険特別会計というような制度を持っておりますので、ああいう制度を通しまして部分的には調査したことがございます。従いまして、先ほど先生からお話がありましたような事例も実はあるわけでございまして、われわれとしましては、これは中小企業金融公庫の本来の目的ではありませんので、どうしてもそういうことにならないように、公庫に対しましてもいろいろやかましく言っておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、今年度におきましては中金との関係をもっと広くしていくとか、あるいはまた信用金庫の代理店をもっとふやしていくとかいうような措置をとりまして、極力一般の金融機関を通して出す制度につきましては縮小していきたいというふうに現在進めておるわけでございます。ただこの際思い切って代理貸し制度というものをやめることは非常に大きな問題を起しますので、私どもとしましては、なるべく直接貸しをふやすとか、あるいは商工中金を通して貸していくとか、あるいはまた信用金庫を通すとか、そういうような措置でだんだんそっちの方を広げていきたいというようなふうに考えておるわけでございます。
  40. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 関連して。ただいまの横井委員質問はきわめて中小企業金融公庫の実態をついた問題なんです。ところが答弁の方はきわめて形式的で、責任のがれで、答弁者としてはそうやってこの委員会だけをうまく濁していったらそれで事が足りる、こうお考えかもしれませんけれども、それじゃ中小企業は救われないですよ。それではどんな法律を作ったって永久に中小企業は救われません。長官、あなたは、先ほど横井委員からの質問もございましたが、実際に実態を御調査あそばされたことがございますか。ございましたならばそのデータを御提出願いたい。あなたは、ただいまの答弁によりますと、中小企業金融公庫にさようなことのないように督励しておるというお話でございましたが、それは何回繰り返したってだめなんです。私どもも何回か行って話をしておる。ところが問題は、中小企業金融公庫の連中の気持が間違っておるからそうなっておるんじゃない。代理貸しをやっておるところの窓口の連中の気持が間違っておるからこうなんです。親心子知らずなんだ。こんなことは本委員会においてすでに何回も繰り返されて、政府ないしは中小企業の公庫を何度鞭撻したかわからない。しかしなおそれが繰り返されておる。あなたの御答弁によれば、なるほど中小企業金融公庫は中小企業にも貸しておる、こういう話なんですが、貸しておる事実はあります。しかしそれは今まで銀行が貸していたのを肩がわりして貸しておるだけなんだ。中小企業金融公庫の金が二百億なり三百億なりふえたから、そこで中小企業に対する貸し出しの金額がふえたか減ったかということをお調べになったことがないでしょう。ふえていない。肩がわりしておるだけだ。結局これは肩がわりして、ふえた分だけは大企業の方へ流れていっておる。もしそれ中小企業に新しく貸したものがありとあなたが抗弁なさるならば、私もありと言います。しかしそれはこういうやり方をやっておる。つまり言うと、新しい者が代理貸しの窓口から借りようとするときに、大ていの銀行は何をやるかというと、まず私の方の定期を買って下さい、あるいは月に十万円ずつ預けなさるならば百万円は半年先に貸してあげましょうと、こう言う。ところが、半年たって百万円借りた、やれうれしやと思っているというと、その次の月も、その次の月も、また十万円ずつ預けなされ……。従って十年先には百二十万円取り上げちゃったのだ。そうなりますると、これは法律によれば、一年間は据え置くことができることになっておるはずだ。あとの一年先から分割払いすればいいことになっているにもかかわらず、一年の後には借りた金の百万円よりも、預けさせられた金の百二十万円の方が多くなってしまっている、こういうことなんだ。これが実態なのです。それがずっと続いておる。新しい者が借りにいこうとすると……。なぜそういうことをやるのかというと、向う側の答弁にいわく、いや、このうちの八O%は私の方の金であります。公庫から来た金ではございませんと、こういう答弁なのだ。これでもって中小企業は、もうやむを得ぬ、そういうことならばと、こういうことになる。これが事実なのです。そこで今度は公庫の方から窓口に向って、この人間ならば間違いないから貸してやりなされとサゼスチョンを与える。そうすると、本店だけはそれを受け取りますが、支店長はどうかというと、そんなことは私どもは聞いておりませんから、あなたのところへは貸すことはできません。これでおしまいです。つまり中小企業金融公庫といういい貸出口、中小企業を守るものができた。そこでそこへ頼みに行くと、運動してロスがあったというだけで、時間をかけて手間ひま食ったというだけで終っておる。これが事実だ。こういうことに対して、ただ公庫に注意したとかどうとか言わぬで、法律にちゃんときまっておるのだから、検査をして窓口の代理業務をやめさせるとか——この前の長官は、やめさせるという答弁までしているのだ。だからそれを継続実行したらいいはずなのだ。もしこれを放置するならば、さきに農林漁業金融公庫に不正があったということが新聞にまで発表されておるわけでございますが、それと同じような、いやそれ以上の不正がこの中にはたくさん包含されておる。やがてわが党はこの資料をひっさげて、政府の責任と代理貸し窓口の責任を追及する用意がありまするけれども、そういうことをされない前に、あなたの方が手当すべきだと思いまするが、大臣大臣はこの問題についてどのようにお考えでございますか。今までのやりようでまことにけっこうだという御答弁でございますか。
  41. 水田三喜男

    水田国務大臣 いや、けっこうだとは思っておりません。どうしても普通銀行を窓口にすればそういうことがありがちでございますので、今度は普通銀行一本でそうするよりも、ほんとうの中小企業が集まって組合を作っている信用金庫というようなものを窓口にするように、そちらを広げる。なおかつそれもなかなか利用できないほんとうの零細企業に対しては、生業資金の貸付先として国民金融公庫がありますので、そこの資金をどんどんふやしていくというようなことで、中小企業の実態の多様性に応じていろいろな手を打って、この救済策を考えるよりほか仕方がないと思っています。ですから、今の代理貸しに、そういういろいろな不都合な点があることを私どもは承知しておりますので、今長官が言われましたように、中小企業公庫は支店がないのですから、とにかく窓口が少い。少いことは非常に不便でございますので、今のような代理貸しという形で窓口をふやしてはおりますが、これを一挙にやめるわけにはいきませんので、直接貸しができるような方向へ、そちらの資金をだんだんにふやしていこうという方向をとっているわけですが、現在の金融公庫の貸し方について、そういういろいろな問題があることについては、十分承知しております。
  42. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大臣の答弁は了解いたしまするが、今の代理貸しをやめて直接貸しをすぐにふやすと言ったって、これはちょっとできないのです。なぜできないかといえば、直接貸しの中小企業金融公庫の人員は、だれでもかれでもよろしいというわけにいきませんからね。訓練をしていかなければならぬ。そうすれば、これは一年や二年で今の代理貸し業務をやめるということはできないわけなんです。さてそこで、しかしなおかつこれは放置するということは、大臣もいけないことだとお認めであるし、これは長官もお認めであろうと思います。そこで私は方法なきにしもあらずだと思うのです。それは、大銀行にこれを預託するから、そのひいき先、取引先へと金が流れるのである。ところが今までの取引先、ひいき先に流れても、決して大企業にいかず、本法律趣旨通り徹底できる窓口がある。すなわち、それは信用金庫とか信用組合なんだ。ここをふやしさえすれば、立ちどころに代理業務の手足がふえる、こういうことになるわけでございますが、大臣、このようないい方法があるにもかかわらず、なぜそこをふやすということをやられないのか。大臣よく聞いて下さい。何も大銀行に圧迫されて、その陳情に負けて、その窓口のみ多くふやすことをやらずに、中小企業の専門金融機関である信用金庫とか信用組合にこれをふやす、ごうすれば立ちどころにできるはずなんだ。それをなぜおやりにならないのですか。やる勇気がないのですか。またやる計画はありませんか。
  43. 水田三喜男

    水田国務大臣 今話しましたように、普通銀行への代理貸しの資金というものは、ことしはもう前年度程度の額にとどめる、そして中金とか、信用金庫とか、相互銀行とか、そういう方向へ資金をふやして代理貸しをやってもらうように、向うの方へ窓口を広げるという方針を、現にことしからとるつもりでございます。
  44. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 もうこれでおしまい。今相互銀行という名前が出ましたから、それで申し上げますが、大臣はまだ実態の調査を十分していらっしゃいませんですね。この問題で一番不信の多いのは相互銀行なんですよ。私はあえて相互銀行と言いましょう。むしろ大銀行よりももっと、いわゆる世間的に言うとえげつないことをやっているのが相互銀行ですよ。そんなところをふやすなんと言われたら、とんでもない話です。相互銀行のやり口の一つを申し上げてみましょうか。今私が、十万円ずつ預けさせて、一年後には百二十万円とると言ったのも、これは相互銀行の例です。もっとひどいのは、その支店長、重役さんが、そで下をもらいさえすれば許してやるという例がある。それも相互銀行にある。そういうところへ、あなたがふやすなんというようなことを言っていらっしゃるということは、実態の御調査がまだ十分徹底していない証拠なんです。信用金庫とか信用組合が、全然過去に不正がなかったとは言いませんが、それは御承知の通り組合員意見が反映できるように組織ができておりますから、さようなことは絶対にできないはずです。また信用組合のごときは、大体いわばその地方々々の素封家なんです。保守党びいきの人なんです。そういう人たちが幹部になっていらっしゃる。ところが、それはやはりその土地に住んでいる関係上、そういうえげつないことはできないようになっている。そんなことをやればその土地におられなくなるのですから……。だからむしろ私は、その幹部の人が保守系であったとしても、なお信用金庫、信用組合にゆだねる方が、もっと中小企業の希望にこたえるゆえんではないか、こう思うわけですが、その点いかがでございますか。
  45. 水田三喜男

    水田国務大臣 信用金庫や信用組合の方が中小企業の金融にとっては好ましい方向だと思います。ただ、今言われましたように、すでに掛金をかけて、ほかの銀行との取引はないんだ、相互銀行と取引しているんだ、だからそこでも中小企業の長期資金が借りられるようにしてもらいたいという要望も実際にはございますので、その比重をどっちへ置くかということはこれから検討いたしますが、一般銀行それから相互銀行、信用金庫、信用組合というように、中小企業のための金融機関を区別して省くかどうかは問題でございまして、そういう問題があれば相互銀行の活用ということをなるたけ少くして、ほかの方へ比重をかければいいのであります。その点は検討いたしますが一応窓口としては、もうなるたけ市中銀行への資金を増すことはしないで、この程度にとどめ、そのほかの銀行へ比重を置きたい、こう考えておるわけなんです。
  46. 横井太郎

    横井委員 私は、もうこの法案内容へ入りたいと思いましたが、今聞いておりまして、一言だけ申し上げたいと思います。  大臣もほかの方への考え方があるようでございまして、それは非常にけっこうなことでございますが、ただ相互銀行というものにつきましては、金利の点で非常に違うのでございます。こういうことを言っていいかどうか知りませんが、下手をすると相互銀行にもうけさせる、利ざやをかせがせるという面も出てくるだろうと思いますの、で、その点だけは一つ十分御注意を願いたいと思います。  それから、この法案内容について、社会党の案とも対比しながら御質問申し上げたいと思います。  一番最初に法体系の問題でございますが、第三条に、これこれの組合員がこの団体法に入るんだということが列挙してございます。ところで、実際にこの法案内容を見ますると、商工組合の案ばかりでございまして、今までの中小企業協同組合というものは直ちにこの事業協同組合、信用協同組合に変るんだというように簡単にやっつけてございます。そこで、この法文だけから言うとまことにぶざまなものでございますが、これは将来一本の法案になさるのかどうかということ。もう一つは、これに関連いたしまして、小売商調整法とか中小企業助成法というような法案は将来どうなさるおつもりであるか。本国会にお出しになるかどうか。しかも、この団体法と小売商調整法、それから中小企業助成法というものは、三本で一本になるものだと思うのでございますが、この関連についてはどうお考えになるか、一つ説明を願いたいと思います。
  47. 水田三喜男

    水田国務大臣 審議会の答申にもございましたように、この三本の法律によって中小企業の問題が基本的に解決されるという考えで私どもも進んでおります。その団体法は今御審議願っておる通りでございますし、今国会提出する予定のものは小売商の振興法、これはただいま法制局で検討している最中でございますが、この国会には提出したいと思っております。それから中小企業の振興助成法というようなものは、たびたびこの委員会でも申しておりますように、本国会には間に合いませんので、来国会までに準備したいと考えております。中小企業団体法は、中小企業の組織化に関する基本法でございまして、私どもの当初の考え方は、中小企業等協組合法、この安定法による調整組合というようなもの——あらゆる業種一緒にあわせ行うことができるようにするのが目的でございますので、一本の法律にして、この団体法に一切を規定し従来の安定法と協同組合法を廃止するという方針で進んでおりましたが、この国会中にこれを一本にすることは、相当時間的にひまがかかるということになりましたので、この法案を急ぐために、従来の協同組合法は一時そのままにしておいてこれを生かす。そうして、この団体法を出すことによって安定法の方はやめる、こういう方針をとったわけでございますので、この法案が通過しますと、あとからこれを一本にすることをあらためてやりたいと私ども考えております。
  48. 横井太郎

    横井委員 春日政府委員にお尋ねいたします。(笑声)あなたの方の法案を見ますと、環境衛生関係に対するものが列挙してございます。たとえば清涼飲料水関係、美容業、理容業、興業、旅館、公衆浴場、クリーニング、こういうものを列挙して、今度できる組合ではこういうものを扱うというように出ておる。ところが、環境衛生関係の方は別に今単独法でやっておられるので、その関係はどういうことになるでございましょうか。もしあなたの方の法案が通過いたすとすれば業者は一体どちらを選んだらよいか、これを一つ承わりたい。
  49. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま御質問のありました環境衛生関係の業種をこの中小企業組織法からいかに取扱っていくかという点でありますが、御承知の通り、わが党は、この組織法案をいち早く策定いたしまして、すでに二月中旬これを国会提出いたしておるわけであります。その当時から私ども考え方は、ここに掲げております中小企業安定法に規定されております業種、その他機械工業振興臨時措置法に規定されている業種、並びに環境衛生法、食品衛生法ですでにそれぞれの調整をみております業種業態は特にこの組織法により問題の処理をしようと考えてこういうような法律構成に相なっておるのであります。しかるところ、その後いろいろの関係がございまして、御承知の通り、自民党と社会党との共同提案でこの環境衛生に対するものが今日国会に上程されることに相なったわけであります。従いまして、その法律とこの法律との関係をいかに取扱っていくかという問題があるわけでありますが、大体において過当競争を防止してそれぞれ関係業種の安定をはかるためのものでありますから、他の特別立法によってその目的が達せられるという形に相なりますれば、この法律においては二重の措置は必要でないという考え方の上に立っております。従いましてこの法律案の成り行きとこれを十分勘案いたしまして、そちらの方で完全にこの過当競争が防止できて、関係業種の不安がそれぞれ解決できるということになりますれば、当然私どもの組織法からそれぞれの関係業種を削除するということも考えられておるわけであります。この取扱いはここ一両日中に最終的に決定をいたしまして、あらためて御答弁申し上げたいと思います。
  50. 横井太郎

    横井委員 その次に社会党案による団体交渉についてお尋ねいたしたいと思うのでございます。政府案では、第二十九条によりまして、組合交渉に当っては各組合の代表者が政令の定めによってその交渉に当るのだというふうに書いてございます。ところが、これはあとで春日委員にもお尋ねを申し上げたいと思いますが、社会党案によりますと、その組合から委任を受けた者も交渉の任に当る、こう書いてございます。政府案の方は代表者のみに限る。こういう点を一つお答え願いたいと思います。
  51. 川上爲治

    川上政府委員 私どもの方としましては、この組合交渉につきましては相手方と十分話し合いができるような措置をとりたいというふうに考えますので、やはり商工組合の代表者でなければいけない。しかもすわり込み戦術とかそういういろいろな方法によらないで、ほんとうに取引相手方でございますので、十分その話し合いができるためにはやはり代表者であって——この「政令で定めるところにより、」というのは、人数まで制限して話し合いをさしたい、あるいはまたその代表者は組合理事者でなければいかぬというようなことにする、そういう措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  52. 春日一幸

    ○春日委員 私どもは、団体交渉によって締結された団体協約というものについて、その機能と性格、効力などは大体民事契約に該当するものと理解いたしておるわけであります。従いましてこれは当事者が交渉してもけっこうでありますけれども、もろもろの民事契約のそれぞれの例が、その代理者に全権を委託することによって締結される場合もことごとく効力を有しております。のみならず、関連法規といたしましては労働三法におきましても同様の規定がいたしてあるわけであります。従いましてこの場合組合がそれぞれの方式を備えた委任を行いますれば、その委任を受けた者がその交渉をいたしましても、それによって発生した効力には何ら相違はない、こういう工合に理解をいたしておるわけであります。なおその中には第三者に委任する場合もありましょう。弁護士というものもありましょうし、いろいろな関係があるでありましょうが、しかしそういうことばかりを考えておるのではないのでありまして、たとえばこの私ども法律によりますと、地域的な単組と申しましょうか、そういうような協同組合があり、さらにその上に連合会があるわけであります。そういたしますと、その単組の交渉だけでは交渉がうまく運ばないような場合があるわけで、そういうような場合は上部団体とでも申しましょうか、そういう連合会がその他の単組と交渉するような道も開いておいた方が、結局団体交渉の効率を高めて参ります上においても意義があろうと考えまして、こういうような工合に、その委任を受けた者もその交渉に当ることができるということの道を開いたわけであります。さよう御了承願います。
  53. 横井太郎

    横井委員 そうするとあなたの方で予想なさっていらっしゃる委任を受けた者というのは、今弁護士という名前がございましたが、実際問題に当っては、いわゆる組合ボスというものがまたできて、それがこういう交渉を仕事のようにやるという面が出てきはしないかという一つの憂いがあるのですが、これはどうでございましょうか。あなたの方はやはり労働組合の交渉のように、組合の幹部が交渉に当られる、こういうことを多分に予想なさってのことでございましょうか。その点を一つ承わりたい。
  54. 春日一幸

    ○春日委員 これはこの百一条に書いております通りに、組合の代表者または組合の委任を受けた者という表現を用いているわけであります。従いまして、第一義的には組合の代表者でありますから、組合長並びにそれに準ずる理事者という形でありまして、それでも十分に交渉の能力を欠くという心配がございまする場合には、上部団体、すなわち連合会をしてその交渉に当らしめるとか、いろいろな場合が予想されるわけであります。私は今弁護士ということを申しましたが、これは当初から第一義的に組合の委任を受けた者の中に弁護士を考えるのではないのでございまして、いろいろな法律関係がありますので、そういう場合に法律関係のアドヴァイザーとして、そういうような人々もその交渉の中に加えることができる、そうしてこの法律関係においてあやまちなき交渉をさせて妥結点を得るようにというふうに、あまねく総意をめぐらしているわけであります。
  55. 横井太郎

    横井委員 組合の交渉というものは——もともとこの組合過当競争をやって非常に悩んでできる組合でございまして、しかもそういう組合が交渉する相手方というものは自分の取引先、考えようによってはお得意でございます。こういう人と交渉するのはやっぱり組合理事長とか副理事長とか、そういうほんとうの業者の代表が当る方が穏当であって、しかもその行き方としてはなるたけ穏便に話し合いをやっていくというのが普通のように考えられるのでございますが、どうしても第三者を入れたりすると、春日さんの今のお言葉のようにおとなしい折衝ならいいが、政府当局の言われたようなすわり込み等の問題が起きますと、これはなかなか大きなめんどうな問題が起きる。しかもあなたの方の法律案を見ますと、この交渉の内容というものは、実に広大なるものである。政府案はこれは調整事業ということに一応限定されております。そういたしますと、非常に大きな権限を持って、しかも組合交渉に第三者が当りますと、これが争議ということに発展するおそれがなきにしもあらずと思いますが、この点はどうでございましょうか。春日さんと政府当局と両方から一つ御見解を承わりたい。
  56. 川上爲治

    川上政府委員 私どもの方といたしましては、これはやはり主として取引関係の問題でございますので、なるべく紳士的と申しますか、そういうような話し合いをした方がいいんじゃないかというふうに考えますので、やはり特に組合の代表者ということにいたしまして、委任を認めないということにしてあるわけでございます。また同時に、この申し出をする場合におきましては、二十九条の第二項によりまして、組合協約内容及びその申し出の相手方につきまして総会の承認を得なければならないというようなことにしておるわけであります。またその内容につきましては、私どもの方としましては調整事業に関するものだけだ、いわゆる商工組合におきましてはこういう調整事業を自主的にやって、そして中小企業の安定をはかりたいので、これに相手方取引先も協力してもらいたいという意味の交渉でございまして、それ以外のいろいろな問題についての交渉権を認めるというのは、行き過ぎておるではないかというようにわれわれ考えますので、やはり調整事業だけに限定をいたしたわけでございます。どこまでもその商工組合において自主的に調整事業を行うから、どうぞこれに協力していただきたい、私どもの方の中小企業の安定をはかることに対して、協力してもらいたいという意味団体交渉であるわけでございます。
  57. 春日一幸

    ○春日委員 私ども団体交渉も、やはり第百三条によって「第百一条の団体協約は、あらかじめ総会の承認を得て同条の団体協約であることを明記した書面をもってすることによって、その効力を生ずる。」と明記いたしておるわけであります。従いまして代表者並びにその委任を受けた者が、独自の着想や即興的な考え方によりまして、独走することは断じて許してはいないのであります。なお重複いたしますが、私たちは第百一条に認めておりまする通り第一義的に代表者とこれを締結して、次に代表者ではその機能を欠く場合を想定いたしまして、これは横井さんも事業に深い経験をお持ちでありますからおわかりでありましょうけれども団体交渉を行わなければならないというのはよほどの事情のある場合でありますから、従いましてただ商取引の常識、慣習だけをもって、なかなか交渉は妥結いたさないと存ずるのであります。そういうような場合に、法律関係あるいはさらに上部団体との関係その他全国的規模における経済現象の帰趨、いろいろな知識のアドヴァイスを必要とする場合も、これはないわけではないと考えられます。そういうような場合に備えまして、団体交渉法律的にもあまり行き過ぎたものでもないように、社会通念から考えてもとっぴなものじゃないように完璧を期しまするためには、特に組合構成のメンバー以外の学識経験者、そういうような人々が交渉に参画する場所を与えるということが、本法における機能の完璧を期するために必要欠くべからざるものと考えるわけであります。決して行き過ぎなどは許されないわけであります。そういうわけでありまして、そこにいろいろな威嚇や相手方に脅威を与えるような行動は、この条文のどこからもそういうことは見られない、かように思っております。
  58. 横井太郎

    横井委員 そうしますと、あなたの方の案によりますとこの団体交渉の範囲は非常に広いのでございますが、別に限定はないかということと、それから交渉の任に当るのは委任を受けた者はだれでもよろしいか。こういうことになりますと、少しも限定がございませんので、極端なことを言えば二十人でも三十人でも、みんな委任を受けたのだといって交渉に当り得るのでございますが、その点もお答えを願いたいと思います。あえて人数の制限等がございませんので、その点も承わりたいと思います。
  59. 春日一幸

    ○春日委員 これも数の制限は必要ないから、認めてはいないのでございます。大体この経済交渉を行う中小企業者団体が、その多数を擁して相手に威嚇を与えて交渉をまとめようなどということは、これは望んでも得がたいことであります。この百二条には応諾義務が規定いたしてあります。団体交渉には応諾せなければならない、正当な理由がなければ応諾をせなければならない。けれども、申し出についてはこれは全然別個の関係であります。交渉に応諾して、条件が合わなければ拒否すればよろしいのでありますから、いやですと言えばそれでしまいであります。いやだという場合におけるいろいろな規定がほかの条文で規定してあるわけでありますから、そこですわり込んでおったところで、相手が反感を持って団体交渉には応ぜられません、すなわちそれが正当なる理由であるというような、そういうようなときには団体交渉に応ぜられませんから従って交渉が締結できません。従ってあくまでも納得、墾談の形式をとる形になりますから、御心配のような事柄は毛頭ございません。団体交渉の範囲につきましては、これは百一条の第一項、第二項に明確に規定をいたしておりますから、この範囲の中においてのみ許されるわけであります。
  60. 横井太郎

    横井委員 そうすると今のお答えでございますと、事業調整協同組合というものの事業はむろん入るわけだと思うのでございますが、その事業調整協同組合、要するにあなたの方で言われるところのこの組合の中には、こういうことがうたってございます。第二十七条の第七号、「組合員が使用する労働者の組織する労働組合との団体交渉及び労働協約の締結」、こううたってございます。そういたしますると今度できます組合は、その組合員が使用しておる従業員でもって労働組合を組織する、こういうことが前提のようになるのでございますが、あなたの方ではこの労働組合というものは、たとえば組合員でございまするAという組合員、Bという組合員がそれぞれ五人とか十人使っているのだが、その従業員を全部包括したものを一本に労働組合というものを組織することを前提としておいでになるのか、それともAはA、事業主とその従業員と、対抗すると言うとおかしいのだが、対抗するような労働組合というものを考えておられるのか、その組合組織の考え方をまず承わりたいと思います。
  61. 春日一幸

    ○春日委員 これはもとより労働組合法、労働関係調整法、労働基準法——労働三法に規定されておりまする労働者のすでに得ておりまする労働基本権は、これによって何ら移動するものでもなく、侵害されるものでもありません。また何らの変更を加えるものではありません。今までの通りです。ただここへ一個条を設けましたのは、こういう理由に基くものであります。それは現在の事業協同組合法の第九条の二の第五号に、「組合員経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」ということが現在の事業協同組合にも認められておるわけであります。従いまして従来の解釈によりますると、私どもの組織法の第二十七条の第七号にきめておりまするような事柄は、これは現行協同組合法第九条の二の五号によってすでに認められておる権限である、機能である、こういう工合に理解されまして、そういうような解釈は中小企業庁と労働省は支持をいたしておる様子でありますが、しかしながら肝心な法務省が、そういうことは違法であるという見解を示しておる様子であります。従いまして事業協同組合法の九条の二の五号に規定しておりまするすなわち事業協同組合のなし得る機能の中で、肝心な政府部内において労働省と中小企業庁とがこの第七項の行為を行なってもいいという解釈をしておるのに、法務省が疑義ありとこういっておりますので、そういうような疑義の存するところは、この際でありますから特別立法によって法にこれを明確にしておく、こういうことになるわけであります。なお参考のために申し上げておきたいと存ずるのでありますが、この事柄はただひとり私どもだけがこういう労賃というような関係について団体協約によって問題の解決をはかろうとしておるのではないのでありまして、たとえば政府案にあるのとほぼ同様の事柄を規定いたしておるわけであります。政府案の第十七条の第二項には、「商工組合事業」といたしまして、「前号に掲げる制限を実施した後において第九条に掲げる事態を克服することが著しく困難である場合におけるその物の販売価格若しくは加工賃の制限」これは労賃をさすものと考えますが、こういう工合にやはり調整機能の効力を確保して参りますためには、特に労賃についても、同一地域においては労働組合法が規定をいたしておりまする「地域的の一般的拘束力」、こういうものを持たしていく必要があるのでありまして、私ども法律家仲間では、やはりこういう調整は必要である、従ってこの場合特別法によってそういう疑義のあるところを解消していこう、こういうことで特別に一項目を設けておる。政府も同様の効果をねらって、他の条文でそれをやはり明らかにしておる、こういう工合に御理解を願いたいと思います。
  62. 横井太郎

    横井委員 今春日委員から十七条の第二項の問題が持ち上りましたが、社会党案の第二十七条の第七に書いてあるところの意味と、それから政府案の方とは私は意味が違うと思うのでございますが、どうか政府案の方の御説明を願います。加工賃の問題ですね。
  63. 川上爲治

    川上政府委員 十七条第二項の「加工賃」というのはこれは労賃ではありません。これは加工に要する料金と申しますか、そういうものであります。いわゆる労働協約でいいます直接事業対象とはいたしておりません。私の方としましては、この次の第十七条の二項で「商工組合は、前項の事業のほか、次の事業の全部又は一部を行うことができる。」この中の第一に「生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他」ということによりまして、いわゆる労働組合商工組合とが労働協約についての行為能力をこの商工組合は持っておるというふうに私の方では解釈をいたしております。この点につきましては労働省もまた法制局も同様な意見を持っておるわけであります。しかしその交渉につきましては、応じなければならぬという規定は別に書いておりません。
  64. 横井太郎

    横井委員 今の政府の御説明は、具体的に言うと、たとえばこういうことでしょう。織物を染めてもらう、だから染めてもらう捺染賃は一反で幾ら、こういう意味の加工賃でしょう。
  65. 川上爲治

    川上政府委員 その通りでございます。
  66. 横井太郎

    横井委員 そこで春日さんに実際問題としてのお尋ねをするのでありますが、こういうようなあなたの方の案でいうと、協同組合をお作りになる、そうして組合というものは過当競争をやって非常に悩んでいるときである、そうしてこういう組合も作らなければならぬというような、業者としては非常事態のときに、一方においてまた労働組合といろいろ対決をしていかなければならぬというような、こういう事業の労働組合との団体交渉までこの事業調整協同組合がいろいろの事業を持つということは、どうでございましょう。実際においてはこれはもうそんなことをしたら中小企業なんというものはつぶれてしまうのではないでしょうか。この考え方はどうでございましょう。
  67. 春日一幸

    ○春日委員 冒頭にお答えいたしました通り、これは現行中小企業等協組合法の第九条の二の五に、「組合員経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」ということができることになっておって、そうしてその中に「組合員が使用する労働者の組織する労働組合との団体交渉及び労働協約の締結」は今まではこの九条の二の五の中でそれができる、こういう工合に理解されておったのです。その解釈を中小企業庁、労働省は支持をしておった、ところが法務省には疑義がありということで、肝心の現行中小企業等協組合法の条文がその機能の効力が明確でなかった、現在でもやれることをやれるように法律上の疑義をただす、もっぱらそれだけの目的でこの第七項目が挿入されておるのでありまして、今回の団体法あるいは私ども中小企業組織法案によって新しいこういう機能をここに付加しよう。こういうことではない。今やっていることの疑義をここで理解せしめることにとどまるのでありますから、その程度に御理解を願います。
  68. 横井太郎

    横井委員 上手におっしゃるとそういうふうにも言えるんだが、先ほど言ったように、組合の交渉には委任を受けてそれが団体交渉にも当り得る、そういうようなこともございますし、また組合を作るという前提条件のもとに、こういうように今度作る組合と労働組合とも団体交渉を結べるのだし、いろいろありましょうけれども、実際問題で今度作る調整組合が、要するに中小企業の労働組合といろいろ協約を結ぶ。かりにそういうことがありといたしますると、中小企業なんというものはそれは二人、三人ぐらいでやっているものからあるいは五十人、百人使っておる人もあるのでございます。それが画一的にたとえば賃金ベースをきめるとか、これだけ賃上げをするというような交渉になって参りますと、それはなるほど同じ中小企業でも五十人、百人使っておられる人は労働管理も行き届いておりますから、そういうこともできるでございましょう。三人や四人、十人ぐらい使っておるような中小企業は、こういうふうに画一的にやられますと、非常に参ってしまうというような実態が起り得るのでございますが、この点はどうでしょうか。
  69. 春日一幸

    ○春日委員 実はいろいろの法律に関連を持って参ると思うのであります。これは労働組合法の第十八条に、「地域的の一般的拘束力」という条項があるわけであります。ちょっと要約してみますと、「一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立に基き、労働委員会の決議により、労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約の適用を受けるべきことの決定をすることができる。」こういう工合に地域的の一般拘束が労働組合法にあるわけであります。今回のこの私ども事業調整協同組合は府県一単位ということを単組としての構成の基礎としております。こういうわけでありますから、この十八条の地域的一般拘束と、それから中小企業等協組合法の第九条の二の五との関係におきましてそういうことは現実に今まであったことでありまして、あり得ることであるから、これを今後やらしていった方が関係労働者の福祉の増進のためにも、かつはまた事業者のいろいろな運営の上においてもこれは非常にプラスになる点が多いだろう、こういう解釈に立つものでありまして、今回いたずらに煩瑣を加えるというようなことは断じてございません。御了解願います。
  70. 横井太郎

    横井委員 これはあなたの方からいえばそうおっしゃるでございましょうが、実際において今度は別な法律でもって、団体協約をやるのだ、こういうことがはっきりいたしますと、この面についてはいろいろ議論があると思います。しかしこれ以上は議論でございますので、私質問をこの程度にとどめます。  次に一つ、これは政府当局に承わりたいと思います。この組合の区域の問題でございますが、商工組合というものは県単位に作るのである、連合会は国を単位に作るのだ、こう書いてございますが、特殊なものは特別な区域に作り得るかどうかという問題であります。たとえば簡単な例を申しますと、岐阜ぢょうちんとか、どこどこのからかさ、これは特殊なものであります。あるいは瀬戸物は瀬戸に限ったものでございますが、こういうようなものは別に作り得るかどうか、こういうことを一つお尋ねします。
  71. 川上爲治

    川上政府委員 連合会につきましては、全国一本というふうに考えております。これは一つの業種につきまして調整事業を行います場合におきましては、どうしても全国的な問題に関連して参りますので、やはり連合会としましては全国一本がいいのではないかというふうに考えております。ただし商業につきましては、その府県で連合会を作り得るというようなふうに私どもとしては考えております。製造業につきましては、どうしてもやはり全国一本ということが調整事業をやるについて最も妥当ではないかというふうに考えますので、きわめて例外的な措置として商業関係について府県で連合会を作れるというふうに考えているわけであります。  それから製造業について特殊なものですが、商工組合につきましては、これは大体原則としましては、一県なりあるいはその産地におきまして、その産地の区域において一つということになってくるのじゃないかというふうに考えられます。
  72. 横井太郎

    横井委員 この区域の問題に関しまして、昨年自治法が改正になりまして、特殊の都市に向っては府県の事務が委譲されたことは御存じの通りであります。そこでたとえば一大阪とか京都とか名古屋とか横浜とかの事業に対しましては、ほとんどその都市で許可認可を与えているようなわけであります。そこで今度この問題に関しまして、たとえば名古屋市に一つ組合を作ろうと思う場合にも、やはり県の認可を得なければならぬかどうか、こういう問題が起っているわけでありますが、これは自治法の改正で名古屋市のものは名古屋市の認可を受ければよろしい、こういうように事務が委譲されているはずですが、特別市としては——特別市というのは、言うまでもなく、五大市とか、あるいは福岡とか、こういうようなところは市が認可を与える、こういうのが普通なんでありまして、それが今までの法の建前になっているのだが、これだと逆行することになりますが、どうなんです。
  73. 川上爲治

    川上政府委員 私どもの方としましては、商工組合につきましては、その認可の権限を委譲する場合におきましては、やはり府県にまかした方が一番いいのじゃないかというふうに考えています。これはやはり商工組合の性質からいいまして、調整事業をする場合におきましては、その地域というものは比較的広い方がいいんじゃないかというふうに考えますと、どうしても一都市ということよりも、やはり一府県とか、あるいは数府県というような問題が出て参りますので、やはりこれは府県に対しまして、その権限を与えた方がよくはないかというように考えておるわけでございます。ただたとえば小売市場というようなものについて、かりにこれは許可制度というような場合においては、私らはやはり小売市場というのは、その都市の中に大体あるわけですから、これは市にまかせてもいいと思いますが、商工組合はその調整事業の性質からいいまして、やはり府県にまかした方がよくはないか、市にまかすよりも府県にまかせるということが大体妥当じゃないかというふうに私ども考えておりますので、たとい五大都市でありましても、特別にこの五大都市に権限を委譲するというようなことは今のところ考えておりません。
  74. 横井太郎

    横井委員 もう時間もだんだん進みましたので、最後に一つ春日さんにお尋ねをしたいと思います。それはきのう春日さんと大臣強制加入の問題で相当渡り合われましたが、そこで私、調整組合を作るについては、やっぱり強制加入というものがなければいかぬじゃないか、こういうように考えるわけでございます。ということは、元来調整組合というものは——ここでいえば商工組合でございますが、商工組合というのは、過当競争をやって業者が共倒れをしてしまうので、これではいかぬというので、こういう組合を作るわけでございます。というのは、その原因は何によってくるかというと、結局アウトサイダーというのは勝手なことをする。しかもアウトサイダーというのはとかくつむじの曲った人がだいぶ多くて、中には資本力をもってガーンとやるというような人が多いのでありますが、そういう人が縛れぬとなると、何のために組合を作るのかわからぬのでありまして、片一方では組合を作り、組合の規則によって縛られる。アウトサイダーを許しておくと、アウトサイダーと組合のけんかになります。そこで組合に入ったものはばかを見るのでございまして、そうなれば組合に入るばかはなくなる。こういうことになるというと、結局はこういうものを作る以上は強制加入をさせぬことには、アウトサイダーがはびこる、そして組合を作る意味はなくなる、こういうように考えるのですが、どうですか。
  75. 春日一幸

    ○春日委員 これは調整組合機能の効力を確保いたしますためには、政府はこの加入命令が必要である、こういう工合に考えて、法律ではそういう工合に構成されておるわけであります。ところがこれは昨日の一日がかりの一問一答によりまして、それが独占禁止法に照して適法であるか、どうであるか、これはお聞きいただいておりました方々については大体御了解が願ったのではないかと存ずるわけでございます。肝心の公正取引委員会が、これでは困る、肝心の独禁法の番人、船頭さんがだめだというものをやってはいけない、これは昨日の論議を蒸し返して参りますれば、また大へんな時間を要しますので、やめておきます。さすれば社会党案は、それに反対する限りにおいては強制加盟はいけない、いけなければ、その効率を高めていく上においてはどうするんだ。結局肝心の水をすくうざるが穴だらけで、水がちっともすくえなければ役に立たぬじゃないか。へそ曲り、あまのじゃくがおって、アウトサイダーとして調整組合の結成をせせら笑っておっては何にもならぬじゃないか。これはしかく御指摘の通りであります。当然私どももこの広範な二百何条にわたります法律を作りました限りにおいては、問題のかなめはそこでありますから、それについてはあまねく考察をめぐらしまして、万全を期するようにいたしておるわけであります。社会党案によりまする強制加盟に関する政府案の対案として考えております点を申し上げますると、私たちは員外者に対する団体交渉はただいまの第百一条の第二項で行います。組合に加盟して下されば問題ありませんが、組合に加盟して下さらない場合は、今度は百六条第一項によりまして、中小企業調整委員会に調停の申請を行うわけであります。そこで調停を申請しても調停が妥結に至りませぬ場合は、さらに今度は百二十一条によりまして、中小企業調整委員会に裁定の申請を行うわけであります。そうすると、この中小企業調整委員会は学識経験者、それから業者、それから消費者その他いろいろから構成いたしまするところの一つの国家的機関でありますから、これが関連業者消費者その他いろいろな立場から公正に判断をいたしまして、そしてそこで裁定を下すわけであります。裁定が下って、これは加入しなさい、こういうことに相なるわけでありまするが、そういたしますると、その各段階において御本人は、こういうわけだから私は加盟できないんだという自分の主張を十二分に述べる機会が与えられるわけであります。たとえば昨日の例で申しますと、服部時計さんを中心とした時計の組合が、柱時計は一個二千円だ、こうかりに調整計画の中で決定したといたします。そうすると、その組合外のアウトサイダーとしてとどまっておった人がどうしても服従できない理由を述べます。私の機械は悪い、私の材料は悪い、私の工員は安い賃金で働いておる。従って私の作った品物は悪いんだ。悪いものが安いのは当りまえだ。安いから私の品物は売れていっているんだ。こういう公正なる立場経済的に正当なる理由をあげて、あらゆる機会に自分の主張を述べることができるわけであります。そういたしますると、調停の場合におきましても、これは裁判のような形式をとるわけでありますから、組合の申請が正しいか、アウトサイダーの主張が正しいか、これを第三者的立場かつ国家的任務をしょったその機関がいろいろと検討いたしまして、そして調停が妥結されねば裁定に持っていって、そこで裁定が下される、こういう形になるわけであります。裁定が下った場合には民事契約が締結されたものとみなしておる。こういうわけでありますから、昨日申し上げました通り、私どもはやはりあらゆる不況に対処するための協同行為にはアウトサイダーが必要にして欠くべからざるものである。これは乗りものに対するブレーキと同じように、ブレーキなしに走れば行き過ぎになって危険である。はかるべからざる事態が予想されるので、そのためにアウトサイダーが必要であるが、ただ不公正なるアウトサイダー、あまのじゃくやへそ曲りやあるいはみんなが高い値段で協定するのに対して、自分だけが安い値段で販売することによって、その組合員のお客を自分が横取りしよう、こういうような不公正な人々に対しましては、この団体交渉によって組合に加盟していただくためにいろいろな手続規定がここにとられておるわけであります。そういうような工合で、私たちはやはり政治に民主主義が大事であると同じように、経済の場面でも反対者の立場、少数者の意見——経済の構成は種々雑多でありますから、その一人々々の意見が公正に反映できるという態勢を確保していくのでなければ、自由経済のもと、資本主義のもとにおいては、とんでもない一部の強力なる中小企業者が、あるいは一つの権力を持っておる者が、あるいはまた組合をいろいろな手によって懐柔をした不公正な指導者が、その経済活動を通じて誤まったまた不公正な経済的な結果を招来してくるおそれがある。こういうことで私どもはこういう三段階の手続を経るのでありますが、員外者組合に入っていただかなければならない、こういう態勢をここに確保いたしたわけであります。  なお申し上げまするが、私ども法律は特に第二条におきましてこういうことをうたっておるわけであります。この点は特に重要な問題でありますからお聞き取りを願いたいと存じまするが、この法律に対する政府の義務といたしまして、政府は、この法律の目的達成のために、中小企業者の組織化と経営の合理化を促進するために積極的の措置をとれ。いうなれば行財政の施策を網羅して、そして補助金、助成金、必要なものをどんどんとここへ注入することによって、すなわち国家の行財政の裏づけによって、この協同行為が大いに経済的に効果を上げていけるようなことが述べてあるわけであります。従いましてこのことは、いうならば強制加盟とかなんとかということでなく、組合加入することによって業者がはなはだ得をする、組合加入するにあらざれば共同施設も利用できないし共同金融もなかなかうまくいかないというようなことで、組合へみな加盟したい。しなければハンディキャップがあって競争できない。希望加入と申しますか、入れてくれといってみな入る志願加入と申しますか、こういう形で、そういうような魅力によって第二条を裏づけさしていかなければならぬ。こういうところに非常に妙味のある法律構成に相なっておりまして、政府案は第二条がありませんから、ただ組合が神経みたいなもので、血も肉もない。ところがわが党は第二条によってここに血肉を流してやる。そういう魅力たっぷりな法律でありますから、強制加盟というような事柄は必要ではありませんが、あまのじゃくを律するためにはただいま申し上げましたような措置によってやっていきたい、かように考えます。
  76. 横井太郎

    横井委員 長々と御説明ありがとうございました。しかしあなたの方は、あけっぱなしにしておいて、あとで、やれ調停をするとか、勧告をするとか、裁定をするとかいう。あとでそんなことをやるのなら、私どもは先に入れておいて、組合内部で相談をしてやった方がよさそうに思うのでございます。これは意見の相違でございましょうが、そう思うのでございます。と同時に、どうも公取々々とおっしゃるのだが、しかし政府が出しておるのでありますから、公取は一部分の意見だと私ども考えるのでございますが、それほど公取が営業の自由拘束とか、あなた方が営業の自由を拘束するといかぬとおっしゃるなら、これはどうでございましょうか。あなたの方から中小企業産業分野確保に関する法律案が出ておるのでございますが、その第五条には大企業の事業拡張に対する禁止がある。それから第七条では大企業の新規開業はやってはいかぬという。営業それ自体をやってはいかぬ。こう頭から来るのだが、私はこれこそ営業の自由を束縛するものだ、これこそ憲法違反だと思うのですが、これがよくて強制加入がいかぬというのは、ちょっとこれは見当が違いはしませんか、どうでしょうか。
  77. 春日一幸

    ○春日委員 これは横井さんが、私たちが撃ちたいと思って備えておったところの大きな大砲の引き金を引いて下さったようなもので(横井委員「簡単に願います」と呼ぶ)それでは簡単に申し上げまするが、横井さんも中小企業の実態についてはずいぶん御研究なすっていらっしゃると思うのであります。ただ問題は、最近大企業の現実の姿が奔放無拘束と申しましょうか、どんどんとその間口を広げて参っておる。具体的な例を申し上げますると、たとえば鐘紡にいたしましても、かつては自分で糸を紡ぎ生地を売ったにとどまった。ところがそれ以上さらに自分の生産を高めていけば、結局生産過剰になって、そしてそのものの価格の低落を来たす。これはみずから首を絞めるような形になるというので、結局操短だとかいろいろな自家調節を行なって、本来の生産自体をある限度にとどめておるのであります。ところが大企業、大財閥はみずからそれぞれの大きな経済力を持っておるのであります。しかうして資本主義というものは、もうけんかなという一つの習性を持っておる。もうけてももうけてもさらにあくところなくもうけたいという一つの習性を持っておるわけであります。そういたしますと、自分のものをさらにこれ以上作れば生産過剰になって物価の低落を来たすからこの程度にしよう、しかしながら、自分はさらに経済力がありさらにもうけたいということになりますと、二次加工、三次加工、たとえば工員服を作る、学童服を作る、もって全国に大宣伝をする。東洋紡におけるダイヤ・シャツしかりであります。こういう工合に、大企業、大財閥がだんだんと中小企業産業分野へ進出して参りますと、たださえ中小企業自体がすでにみずからの過当競争で経営困難に陥っておりまする現状において、さらに大企業が高度に合理化された生産方式によって中小企業産業分野を侵してくれば、中小企業は存立の基礎を失います。結局そこからはみ出て参るわけであります。そうすれば中小企業の分野はどこにあるか。結局失業のプールの中に転落して参らなければなりません。現在の労働条件がいかにあるかは御承知の通りであります。潜在失業者は五百万、六百万、登録失業者はやや減りましたけれども六十数万を数えておるのであります。こういうような状況下において、資本主義の奔放無拘束なる経済活動をそのまま許しておくという形になりますれば、五年、十年先には実におそるべき事態が予想されるのであります。従って大企業が二次加工、三次加工の本来中小企業産業分野に進出して参りますと、これがことごとく失業化へ向わざるを得ない。そういたしました場合、労働政策があり、あるいは適当な社会政策があって、これらに職業を保証するとか生活手段を保証するかすれば問題は別でありますが、現在の行財政の実態から考えまする、今ある失業者にすら救済措置は何ら講ぜられておりません。そこへさらに何十万、何百万という中小企業からくるところの失業者を一体政府はどうするのでありますか。もとより憲法の職業選択自由の原則、あるいは独占禁止法のさまざまな制約は最高度に利用しなければならぬのであるが、さりとてこれは単なる中小企業問題ではない、経済問題ではない。これはやがて政治問題となり、社会問題となり、さらに極度の政治不安を醸成してくる。こういうふうな形になりますと、憲法の基本的原則、独占禁止法の基本的原則というものはあるけれども、公共の福祉のため、あるいは国家の高度な経済的な立場から勘案いたしまして、これは適度に調整することが適当であると考えておるのであります。従いまして、私どもは、ここにおいてこういう工合に前提条件を付しております。すなわち、大企業も中小企業も現にその生産に参加しておるが、その生産方式が客観的に見て中小企業に適切なりと判断される業種業態である場合、さらに過去の生産実績が中小企業によって大部分弁じられておったというものは、中小企業産業分野として法定し、そうして全国民がひとしくわが国経済に参画できるようなこういう態勢を作り上げるというのでございまして、独占禁止法との関係においては、何ら抵触するものはない。すなわち、全国民がこぞってわが国経済に参画できる態勢を確保するということにあるのでありまして——交通ひんぱんなところでは車道と人道の区別がある。かくのごとくになってくれば・大企業産業と中小企業産業を区別するということ、当然かつ必要欠くべからざることである、こう考えておるわけであります。
  78. 横井太郎

    横井委員 時間もだいぶたちましたので……。長々と御講演ありがとうございました。しかしながら、おれの方はよいがお前の方は生業の自由を拘束するのだという御議論のように拝承いたしました。ただ、業者諸君から、過当の競争をやると、ともに行き詰まるから、この際は、多少拘束があってもとにかく組合を作りたいという要望がありますので、私は当局の見解を了といたしまして、質問はこの程度で終りたいと思います。
  79. 小笠公韶

    ○小笠委員 僕は春日博士に一言だけ伺います。  昨日から本日と五十五条の問題をめぐりまして、独占禁止法との比較を盛んにしておられるのでありますが、独占禁止法と対比して議論を進めるということは適当でないではないか。御承知の通り、本委員会におきましても、いわゆる独占禁止法につきましては、公正取引委員会委員長もまた通産大臣も、再検討をしておると言明しておる事情もあり、独禁法を一歩もゆるがすべからざるものという前提に立って議論を進めることはおかしいじゃないかと思いますので、その点を一つ……。
  80. 春日一幸

    ○春日委員 これは昨日も申し上げた通りであります。小笠さんにはお聞き取りいただいておりませんでしたが、私の主張はこうであります。と申しますのは、憲法がある。これはわが国の基本法である。けれども、これは基本法であるから、特別な事態に備えるためには特殊の立法を必要とする。憲法二十八条に労働者の団結権、ストライキ権ありといえども、電力、石炭にはスト規正法がある。こういう程度の憲法の保障を制約する特別立法はなし得るが、さりとて、わが国の議会制度を否認するとか、私有財産権を否定するとか、あるいは戦争放棄の規定に対して交戦権を回復するとか、天皇は象徴であるというのを元首というように変えるとか、こういうような憲法の根底に触れた特別立法は現に許されておりません。それと同じように、独占禁止法は経済活動に対する基本憲章である。従って、この独占禁止法の制約をある程度調整するためのさまざまな立法があります。独占禁止法適用除外の法律があります。けれども、それは調整をしても、その根幹、すなわち独占禁止法の精神そのものを圧殺するようなものではない。その限界内においては許されるけれども、断じて許されない限界というものがなければならぬ。それは何であるかということを公正取引委員会に尋ねてみますと、彼らが言うには、きのう申しましたように、要するに不況カルテルあるいは合理化カルテル、トラストを認める場合は、絶対条件としてアウトサイダーというものが必要にして欠くべからざるものである、これなくしてかつて認めたことはない、そうして、これなくして将来も認める意思はない、これだけのことを独禁法の番人が言っておるのです。従って、これは違うと政府が言うたって、水田さんが言うたって、国民は不安でそのようなことを認めるわけにはいかぬではありませんか。独禁法がわが国経済活動の基本法であるならば、その基本を殺すような特別立法は許さるべきではない、そういうことでこのアウトサイダーに対する強権発動、これは断じて阻止すべき事柄であろう、かように述べておるのでありますから、御了承願いたいと思います。
  81. 小笠公韶

    ○小笠委員 春日委員の立法体系の御議論は他日日をあらためてゆっくり伺いたいと思います。同時に、法案につきましてもいろいろ問題がありますが、ただ、五十五条を議論するときに、独禁法との関係のみによって批判することは不適当であるということだけ申し添えて、一応次会に譲りたいと思います。
  82. 福田篤泰

    福田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明二十四日午前十時より開会することといたします。  これで散会いたします。    午後一時散会      ————◇—————