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金森国会図書館長 この間お尋ねになりました点は、
国会図書館の
敷地をだんだん獲得してきましたその
経過と、現在どういうふうに残っておるかというような点に触れてでございました。この
国会図書館の
敷地というのは、初めから非常に不幸な
立場と申しますか、ぼうぼくたるものでございまして、どこにどう作るかということすら疑問で、旧
ドイツ大使館跡も、果してわれわれの手に入るかどうかということは、
アメリカがすっかり抑えておりまして、長く未確定の要素が多かったのでありますけれ
ども、
昭和二十三、四年のころからだんだん具体化されまして、旧
ドイツ大使館の跡地を、われわれの方に
アメリカ大使館を経由して引き継ぐということが大体確定いたしました。そこで
計画を具体的に立てまして、あの
まわりにおよそ必要な、当初の振り出しは二万坪の
敷地を得るということでいっておりましたが、そうわれわれの思うような
計画ができるわけではございませんので、だんだん話を固めていきました結果は、
昭和二十七年の十二月二十二日に開かれました
国立国会図書館の
建築委員会におきまして、まず一応最終的な
決定をして、
国会に
勧告をして、これを
国会の方で
承認せられておりまするけれ
ども、これによりますと、
建物については暫定的には延べ一万五千坪にする。暫定的と申しますのは、将来の理想としては実は四万五千坪でございましたが、実際そう大きなことは当分できないということで、暫定的に一万五千坪、こういう
計画を立てました。一万五千坪になりますと、
敷地はそれにふさわしい大きさのものということになりますが、その当時の
事情は、新たに
民有地も四千百坪を
買収すべきこと、こういう
勧告になっておりました。ところが、このときまでに
民有地の千六百六十二坪というものが大体
衆議院の手によって
買収されておりまして、
国会図書館は
もとよりこれに
協力いたしましたが、とにかく千六百六十二坪というものは、もう
衆議院の手によって
国有地になっておったわけであります。そこで、これらの
土地を除きまして、新たに四千百坪というものがさらに
買収すべきものということに、そのときの
決定ではなったわけでございます。
そこで、だんだん四千百坪の
土地を手に入れようといたしますときに、これが一歩々々具体化されていきまして、
最初には、元の
ドイツ大使館の跡の付属の
建物といいますか、ほとんど無価値に類するような
建物でございますが、
土地を
整備する必要がございまして、その
地上物件を
買収するために、五十二万二千二十円というものを
最高司令部の中の
ドイツ在外資産委員会勘定に払い込むということが命ぜられてきましたので、そういうふうにいたしまして、漸次
買収の
計画を立てたわけでございます。
昭和二十七
年度になりまして、
建築用地の中の
民有地を
買収する費用として二千万円が
予算に計上されまして、さらにまた、ほかの
費目から二千百三十六万一千円というものの
流用が認められまして、そこで、これだけの
金額をもって
敷地約四千坪というものを買うように
努力をしたのでございますが、当時、なお
情勢が非常に不安定でございまして、各
土地所有者はいろいろな思惑を持っておられたと思います。そこで、
土地所有者との
交渉が全く不調になっておりまして、思うような
買収ができません。結局骨を折って獲得いたしました
土地は、その
地域内におきましての三百九十七坪と、それから同時に将来のことを考えまして、かえ地を先に買っておいて、そのかえ地と、この
地域内の
民有地の必要なものとを
交換するという
計画を立てまして、そこで、そのときにはそれだけのものを、これは別紙の図面にございますが、ほんのわずか、三百九十七坪と、かえ地三百五十五坪、これだけを買ったわけでございます。そうして、漸次
建築の
設計に進んでいったのでございます。
そこで問題が起りますのは、
自治会館の
敷地五百十七坪、
三井不動産の
所有地百四十一坪、田村とよ氏の
所有地六十二坪、
合計七百二十一坪というものが直接の問題になってきたわけでございます。そのうち、どうしても必要なのはこの
自治会館の
敷地でございまして、これは、この
図書館が第二期
計画の
建築を進めていきますについては、どうしてもその
土地に触れることになりますが、少くとも、まずこれを獲得しなければならぬと考えております。
自治会館の方もいろいろな
事情がございまして、売るか売らぬかということが、もつれておりましたけれ
ども、幸いにして最近
情勢が非常によくなって参りまして、
自治会館は今持っておられる五百十七坪の
土地を向うが提供し、その上にある
建物も差し出す。そうして
図書館側から申しますと、先にかえ地として買ってございました三百五十五坪の
土地をかわりに出す。その差として残りますものは、公正な
方法で、
大蔵省系統のそういう不動産の
価格を判定する
組織を通しまして、いろいろ
交渉を進めましたところ、
話し合いのつきましたのは、結局、
交換及び買い入れとして、この前申しましたが、差額三千五百九万百三十五円という額を添えて、
交換と
買収とを同時にいたしますならば、話がつきそうな運びになっておるわけでございます。ところが、これだけの金を
図書館の
予算として盛っておるわけではございませんから、もしこれを実行するとなれば、
大蔵省に要求して
費目を
交換するという
方法をとらなければならぬのが、ただいまの
立場でございます。そこで、もしこの
委員会におきまして、大体の
道行きについて御
承認願えますならば、こまかいことは多少は今後の
話し合いによって違うかもしれませんが、まず、とりあえず
大蔵省に対して
費目を変更するような運動を起したい、こう思っております。これがただいまの姿でございます。早くこれを手に入れませんと、
建築にも多少の支障が起るのみならず、何しろ
自治労連の方にも多少われわれが信用を害するような
状況もございますので、何とかしてこれを進めたいと思っておる次第でございます。