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田邊政府委員 先般
中国紅十字会から
引揚船の
配船の要望があった次第でございまして、その後、
日本側の三
団体と紅十字会とのたびたびの
電報の応酬によりましてはっきりしました点は、今回帰還する人の範囲は、第一はいわゆる
戦犯者の釈放になった
方々六名、
一般居留民で
帰国を希望する者約百名、それからいわゆる
里帰り婦人でございますが、この
里帰り婦人につきましては、当初二百名ないし三百名でございましたのが、その後だんだん増加いたしまして、現在までのところ
里帰り婦人の
希望者数として
向うから通報のあった者は、五百九十三名でございます。これに対しましては、五月十四日に塘沽着、
興安丸を
派遣ということを
向うに
打電いたしまして、本日たしか
興安丸は塘沽に到着しているはずであります。これにつきましては、従来の例にならいまして、遺骨奉
持団が
華人の遺骨を奉持しまして
向うに行っておるのであります。そのほかに
戦犯者の見舞のための
家族の
渡航ということもあわせて実施いたし、七
世帯の
家族がその船に乗って
向うに行っておる次第であります。そこで、
里帰り婦人約六百名の者につきましては、
名簿がすでに紅十字会からこちら側に到達いたしております。これを見ますと、全部成年の
婦人でございまして、
子供は一人も含んでおりません。
電報では何も言ってきておりませんが、おそらくこれには
相当数の
子供も
一緒に同行してくるのではないかと想像されるのであります。五百九十三名の
人方につきましては、従来の例にならいまして、われわれの方で
調査をいたしまして、
調査した結果、
向うに
打電をいたしまして、その
打電をした部分の
方々についてのみ
興安丸に乗っていただくということを、三
団体から
向うに
電報を打っている次第でございます。現在までのところ五百九十三名のうちで、未
帰還者として
当方で把握している者は昨日現在二百十九名でございます。それ以外の方は、
当方において未
帰還者として把握しているのと完全に一致するということが確認されない人でありまして、そういう
方々が果して
日本の籍を持っている
婦人であるか、あるいは
里帰り婦人としての
適格性を持っている
方々であるかどうかについては、都道
府県を通じまして、それぞれの
訪問先世帯について
調査いたしまして、その事実を確認した上で
向うに
電報を打っていただきたいと思って、
目下作業を急いでおります。
一両日中に
全国から
調査の結果が集まるものと存じております。なお、
中共の紅十字会からの
電報では、
里帰り婦人の中には、
華僑送還で帰った
婦人も含まれておる、そうしてこれらの
婦人の夫も今度の
興安丸で
里帰りとして同行して帰ってこようとしておる、こういう
電報が参っております。私
どもの
考えといたしましては、
里帰り婦人の
取扱いについては、
天津におきます昨年六月の紅十字会と三
団体との
協定の中に、
里帰り婦人が
親族を見舞うために
日本へ帰ることは認められるといったような
趣旨のことが書いてありました。その点は、これらの
方々の
実情を
考えまして、無理もないことと
考えますので、
興安丸が
引揚船として往復しておる場合におきましては、この
興安丸に便乗することを認めるという
方針をとっておるわけであります。しかし、この
華僑送還で、
華人の妻として
中国に渡った
方々は、いわゆる
里帰り婦人とは性質が全く違う
方々でございますので、これらの
方々が
成規の
手続を経て
日本に来られて、
親族訪問をしてまた
中国に帰られることは、これはもちろん問題のないところでございますが、
興安丸に乗って往復されるということは、
一般の
引揚船というもの並びに
里帰り婦人という
実情を
考えましたときに、それ以外の者として、そこに
一線を画すべきものであるという
考えから、私の方では今度の
興安丸に乗ってお
帰りになることにつきましては、御遠慮していただくことが当然の筋じゃないか、こう
考えまして、紅十字会に対しまして、そういった
電報を打つように三
団体側に要請をいたしておるわけでございます。先般、
里帰りとして帰られた
婦人の中には、
あとで調べてみますと、いわゆる
里帰りでない、先ほど申し上げましたような
婦人も入っておったようでございましたが、これは当初私の方では、そういった
方々は当然入っていないものと
考えておったのでございます。ところが、
舞鶴へ来てみますとると、そういう
方々が入っておるということでございますので、来た以上はしようがありませんので、そのまま受け入れて
処置いたしましたけれ
ども、今回は
向うもはっきりそれを仕分けして書いてきておりまするし、私
どもの方でも
前回の例によってそういうことが確認されておりますので、今度ははっきりしていった方がいいと思いまして、
一般の
里帰り婦人とは違って取り扱う、従って、その
取扱いについては、
興安丸に当然乗船できるという
考えはどうかと思う、今度の
興安丸には乗船することを御遠慮願いたいという
趣旨の
電報を打つようにいたしておるのでございます。なお、これらの
婦人と同行しようとしているという
中国人につきましては、
入国管理上
許可の
手続が必要でございますし、
興安丸に乗船するという問題とは別個に、
入国の
許可ということが伴わない限り、
日本に
入国ができないわけでございますので、その
趣旨を明らかにしておく必要があると
考えまして、
厚生省の
関係ではございませんが、三
団体の方から
向うにその事実を知らすように打ち合せしていただきたいと
考えます。
今日までのところ、大体そういった経過に相なっております。