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1957-10-01 第26回国会 衆議院 運輸委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月一日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 淵上房太郎君    理事 松山 義雄君 理事 山本 友一君    理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    生田 宏一君       中嶋 太郎君    原 健三郎君       眞鍋 儀十君    池田 禎治君       小山  亮君    正木  清君       松岡 駒吉君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村三之丞君  委員外出席者         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 靜夫君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         運輸事務官         (海運局定期船         課長)     中野  大君         運輸技官(港湾         局計画課長)  東   壽君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         気象庁長官   和達 清夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  海運に関する件  日航機雲仙号事故に関する報告聴取     —————————————
  2. 淵上房太郎

    淵上委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  最初に運輸大臣より発言を求められております。この際これを許します。中村運輸大臣
  3. 中村三之丞

    中村国務大臣 昨夜日航機雲仙号は、伊丹の付近におきまして不時着をいたしました。しかし幸いにも乗客全員は無事でございました。ただ二、三負傷なすった方がございます。さだめし乗客は非常な精神的ショックを受けられたことと思います。これに対しましては、会社をいたしまして丁重なるお見舞をいたさせておるのであります。また負傷なすった方々に対しましても、会社は適切なる処置をとっております。航空法によりまして、運輸大臣はその原因について検査する権能を持っておりますから、直ちに現場におります検査官及び航空局の職員を派遣いたしまして、目下調査中でございます。今後は一そう監督を厳重にいたしまして、事を未然に防ぐという考えでございます。  この際、航空局長よりお時間を拝借いたしまして、経過、実情につきまして報告をいたさせたいと存じます。
  4. 林坦

    林説明員 昨九月三十日の雲仙号事故につきましては、皆様方に大へん御心配をかけ、また世間をお騒がせいたしまして、まことに申しわけなく存じております。  同雲仙号は、昨日日航定期便といたしまして、大阪伊丹空港から東京国際空港に向けまして、午後九時三十六分に伊丹離陸したのでございます。その直後、エンジンの不調について機長が気がつきまして、直ちに不時着を決意いたしまして、ちょうど伊丹空港から約一マイルの地点、豊中市の勝部部落の手前約百メートルほどのところに胴体着陸をいたしました。幸いその場所はたんぼでございまして、地上に対する被害等はあまりなかったようでございます。機長を初めといたしまして、搭乗員乗客を適切に誘導いたしまして、機外に退避させたのでございます。幸い死亡者は一人もございませんでした。乗客中には二週間の負傷者、他に軽傷者が一名ございます。それから機長は一番傷が重いようでございますが、全治約一カ月程度でございます。副操縦士は約一週間程度負傷でございました。  ただいま大臣より御説明申し上げました通り、さっそくけさ早朝に航空局から係官を現地に派遣いたしまして、ちょうど現地には航空局技術部長もほかの用務で出向いておりまして、技術部長を首班といたしまして、担当課長、また関係官現地検査官四名、一緒に現地調査に当っております。これをもとにいたしまして、航空法百三十二条に基きます運輸大臣権限による事故調査を遂行することになっております。原因等につきましては、これらの報告によって正確にこれを何とか早く調査いたしまして、適切なる善後措置を講じなければならないと考えております。経過から見ますと、エンジンの不調でございますので、整備あるいはその他の問題につきまして、何か欠陥があったかどうかというような点が問題になるかと思います。これらにつきましても十分に機長初め関係者から状況を聴取いたしまして、よく調べて適切な措置をとりたいと思っております。  なお乗っておられた方々は、その一部は汽車によって東京にお送りし、また一部の方は飛行機によりまして東京にお送りいたすことになっております。日航会社といたしましても重役が四名ほど現地に急行いたしまして、またこちらにお着きになる乗客に対しましてもこれをお迎えいたし、またそれぞれの御家庭を訪問いたしまして、十分に心をこめたお見舞を申し上げる処置をとるつもりでございます。なおいろいろ現地において手当、あるいは荷物その他の損害等につきましても、日航をして適切なる措置をとらしめるように指導いたすつもりでございます。  大体、今申し上げました程度でございまして、さらに今後詳細が判明いたしますれば、これによりまして適切なる処置をとり、また機会を得まして御説明を申し上げたいと存じます。
  5. 淵上房太郎

    淵上委員長 ただいまの航空局長説明に関連いたしまして、御質疑があればこれを許します。
  6. 小山亮

    小山(亮)委員 御説明がございましたから、一、二お伺いいたしたいと思います。この今回の遭難いたしました飛行機は、いつごろできた飛行機でありますか。
  7. 林坦

    林説明員 昭和二十一年と聞いておりますから、十一年たっておると思います。
  8. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、この程度飛行機は、現在使用しておりますのは何機ですか。それから年数はこれ以上古いのがありますか。それともこれが一番古いのですか。あるいはこれより新しいのがありますか。ありましたら、数を知らせて下さい。
  9. 林坦

    林説明員 今ここに詳細なる資料を持って参っておりませんので、正確なことは申し上げられませんが、この程度飛行機は他にももちろん使用しておると思います。DC4といたしましては、日本航空は全体で九機使用いたしております。おおむねこの程度のものであると思っております。
  10. 小山亮

    小山(亮)委員 新しく日航機を作るという計画はおありなんですか。そしてまたこの程度のものは一体どのくらいの耐久力がありますか。
  11. 林坦

    林説明員 こういう事故を起しましたときに、そういうことを申し上げて、あるいは変にお思いになるかもしれませんが、航空機につきましては、大体機体につきましては千五百時間ごとオーバーホールをいたします。またエンジンにつきましては、日本航空におきましては千二百時間ごとオーバーホールをいたしております。こうやってオーバーホールをいたしまする場合には、磨滅した、あるいは破損のおそれのあるような部分品は全部これを取りかえていくのでございます。従ってエンジン等につきましては、いわゆるゼロ・アワーというふうになるわけでございます。大体機体及びエンジン等につきましては、それによって経過年数が古いからというて、使用に耐えないというものではないと存じます。世界を見渡してみましても、非常に古い飛行機を、やはり常時手入れをしながら使っておる状況でございます。ただ物理的な点よりも、むしろ経済的な点、あるいは他との競争といいますか、そういう点からして新しい機体にかえていくという必要がより多く生まれるのでございまして、安全という点では常に検査を厳重にいたしまして、危険ということのないように留意いたしております。従ってこの飛行機はすでに十一年という年数を経ておりますけれども、この程度のものであれば、常時整備を怠らずにやっていけば、まだまだ三、四年、あるいは四、五年は使えるのではないかと考えております。
  12. 小山亮

    小山(亮)委員 私はそういう理屈を聞こうとしておるのじゃないのです。飛行機耐用年数とかなんとかいうような物理的な話になりますと、ただ飛行機ばかりじゃありません。すべての機械がそうです。船もそうです。たえず徹底的な修理をしておれば、寿命は長く持つということはすべて当りまえのことです。当りまえのことですけれども、それだからといって飛行機というものは一たん作ったものは、徹底的に修理したら何百万年もその飛行機が使えるというような理屈は成り立つものじゃない。そういう理屈を聞こうとしておるのじゃないのです。航空会社はいわゆる営利会社でありますから、やはり採算上の面もありましょうし、いろいろな面もありましょうから、一体飛行機はどれくらい使って新しいものにしたらいいか、あるいは何年で整備したらいいかということを計算してやっているものだと思っております。そうしますと、今の使用年数がどのくらいで、今のものが使用に耐えるか。私は今度こういう事故があったから運輸省けしからぬと言って非難しているのではない。すでにもくせい号の事故があったので、初めての問題ではないから、航空局の方で厳重な監督をするのは当然のことなんです。そうすると、一体今度の飛行機が飛び立つまでに準備時間を何時間置いて、どういう整備をしているか、そういう監督をしているか、そういうことまで聞かなければならぬが、私はそういうことを聞こうとしているのではない。現在航空会社で九機あるというが、一体使っている飛行機は何年使っているか。耐用年数は何年くらいで、何年くらいに交代さしていかなければならぬものであるか。それから操縦している飛行士は、八千時間以上の操縦経歴を持っている者が一体何人あるのか、そういう点を伺いたい。これは議会を通じて八千時間以上の飛行士が何人あるということを日本じゅうに知らしめるということは、航空機に対する非常な安心感国民に与えるのです。そういう意味で言っているので、こういう事件が起きたからといって、あなた方の方は責任でも追及されたように思って、物理的に何時間持つ、そんなばかなことを言ったって、国民は信用しません。修理さえすれば何百万時間も持つ飛行機なんてありっこない。理屈はそうですよ。実際はそうじゃないですから、私はそういうことを聞こうとしているのではないので、現在九機持っている飛行機の中で、十一年以上のものは何機あるか。また新しく作ろうとする予定はあるのかないのか。それから飛行士の数はどれくらいで、今訓練しているのはどれくらいであるか。八千時間以上の優秀な飛行士は何人あるか、そういうことを私は聞きたい。もしそれがわかったら聞かしていただきたい。私はそれがためにけしからぬとかなんとか言っているのではない。けしからぬとかなんとかいうことは、あなた方が調査してから、けしからぬことがあったらけしからぬと言います。調査もしないうちにどうだこうだと言うのではない。一応聞きたい。
  13. 林坦

    林説明員 少し御質問の趣旨を取り違えまして答弁が変でございましたが、経過年数は大体十一年でございます。大体日本航空としてこの飛行機を将来どのくらい使うつもりでおったかという点からいたしますと、あと約四年ほど使うつもりでおりました。もちろん今おっしゃいましたように、オーバーホールでやれば常に新しいということは言える面もございますけれども機体全体としてはある程度年数を経ますと、老朽化するという面があるのでございます。従ってこのDC4はあとそう長いこと使えるというふうには考えておりません。従ってそれより前に新しい機体に交換するということは当然考えている次第でございまして、十年計画の中におきましても、運輸省としてはこれらの転換の問題を計画の中に入れて考えております。  ただいま乗員の問題についても御質問がございましたが、この操縦士は非常に長い経歴を持った、昭和十三年に航空局委託生を卒業した機長でございますが、そのほかにも相当経歴を持った操縦士が大部分でございます。もちろん、現在日本航空では、新しく航空大学校を出たという操縦士が二十人くらいおりましょうか、それ以外はほとんど戦前の経験を持っておりまして、みな数千時間の経験者が大部分でございます。
  14. 小山亮

    小山(亮)委員 おそらく八千時間以上の経歴を持った飛行士はもっとおられることだと私は思うのです。八千時間以上の経歴を持っていれば、もう絶対大丈夫だといってもいいくらいな人だと言われておりますが、しかしそれは人間ですから、その人が必ずしも過失がないとはいわれないであろう。しかし大体において八千時間以上の航空経歴を持っているという人はもうまれな人なんです。そういう人がもしたくさんおるとすれば、ほんとうに安心して飛行機に乗れるわけなんですから、この事件があったからといって、こわがって飛行機に乗らないようなおそれのないように、また世界的に、日本飛行機は古くて、飛行士技術が幼稚であって、安心して乗れないという評判でも立てられるということは非常に遺憾でありますから、こういう事件がありました際に、そういうりっぱな飛行士がおるならば、こういう人もおるのだということを、なるべく多くに知らしてやるような方法を講ずる必要がありはしないかと思います。  それからもう一つは、五人の負傷された方の中に——飛行士を入れまして五人でありますが、そうしますと乗員はきわめて少い、二人か三人でございましょう。その二人か三人の乗員の中に、外人夫婦があるようであります。どうして日本人の方がけががなくて、外人夫婦けがをされたか。乗っておる場所によったのであるか、あるいはそのほかに何か原因があったのか、これをお調べなさっておるならちょっと伺いたい。
  15. 林坦

    林説明員 特にその問題について詳しく調べたわけではございませんが、私が関係者に聞いたところによりますと、その外人の二人の方は、一番後尾の席におられたそうでございます。完全にバンドを締めておられたかどうかというような点、まだよく調べてみないとわからないかと思います。ほかの乗客がみなそう大したことがなくて済んでおりますので、その辺のところなよく調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
  16. 小山亮

    小山(亮)委員 私は昨日自分同僚の議員から、この内地日航機乗員の模様を聞いたのでありますが、国際航空競争線もある関係で非常にサービスがいいというので有名である。しかるに内地航空競争線がないというようなこともあるでありましょうが、非常に不親切だ。乗客がいろいろ聞いても返事もしない。三十分も一時間も待たされるから、なぜ出航がおくれたのかと聞いても、わからぬというようなことを言って非常に不親切だ。すでに私ども同僚は、二回も三回も大阪あたり航空局現場人たちに非常に激しくこの問題を追及しております。そういう事実があるのですが、私はそういう事実がありとすると非常に遺憾だと思うので、国際航空のように、日本飛行機サービスの点においては世界でも有数だといわれるような、そういう名誉ある評判を立ててもらいたい。国際航空はあんなふうだけれども日本内地航空はゼロであるというふうな評判は私は非常に遺憾だと思っております。その評判を私は昨日聞いて、そんなにひどいのか、それでは今度一度委員会でこの問題を調べなければいかぬじゃないかといってうわさをしておった。その翌日のきょうこの事件が起きたので、非常に感慨が深いのでありますから、念のためにその点を伺いたい。  それともう一つは、幸い運輸省の方で出された今度の計画案の中で、航空の問題にずいぶん触れて整備強化が書いてある。その中でやはり一番必要なのは、いかにして優秀な航空士養成するかということなんです。これは相当長い十年、十五年の計画でやらなければなりませんので、相当の費用と相当の設備と忍耐力と金が必要なんです。この点に対しては今回の事件にかんがみ特に留意を願いたいが、この飛行士教育ということに対しての御計画はどんな御計画であるか伺いたい。
  17. 林坦

    林説明員 国内線サービスの問題につきまして御指摘を受けたわけでございます。日本航空国際線サービスは、ただいまおっしゃいましたように、外人間にも非常に評判がいいのでございます。国内線につきまして、私ども十分気がついていなかった点でもございますけれども、もし独占の上に眠ってサービスに怠るところがあったとしますれば、これはゆゆしきことでございますので、十分に注意いたしまして、そういうことのないように、会社責任者に十分申し渡すつもりでございます。なおスチュワーデスあるいは乗員等の今回の措置等につきましては、彼らとしては全能力をふるって事後の処置に当ったのでございまして、決して彼らとても自分責任感を失っておるとは考えておりません。ついうっかりして国内線の場合にサービスに欠けるところがあったということであるならば、注意をいたしますれば改善の道もできることと考えております。  なお操縦士養成の問題につきましてただいまお話がございましたが、現在日本操縦士は、日本航空といたしましてわずか百名足らずの人間がおります。しかしながら現在なお外人のパイロットを四十人以上も雇わなければやっていけないという状況でございまして、今後の航空拡充に対しましては、この乗員補充養成の問題が一番大きな問題になって参っております。特に従来は宮崎にございます航空大学校におきまして、本科は年々十名ずつ、また専修科は二十四名、これは短期に教育をいたしております。この専修科といいますのは過去におきまして七百時間以上の経験を持った人を入れまして、その人たちが新しい時代の航空に適するように再教育をいたしておったのであります。しかしながらだんだん優秀な人たちはそれぞれのポストを得まして、今後はそれをさらに経験者のうちから選ぶことが非常に困難になって参りましたのと、古い経験者は年令的にも相当高いところになって参りました。従って新しく養成する必要が出て参りましたので、現在の航空局の案といたしましては、航空大学校専修科をこの際もうやめまして、本科一本やりといたしまして、現在の五倍程度の約一年に五十人程度養成ができるようにしていきたい。これによりまして、十ヵ年後における日本操縦士の全体が約四百数十人の人を必要とするという計算も出て参りますので、大体それによって補充をし、そのころまでには完全に自給をしてやっていけるという態勢を作っていきたい、かように考えて、来年度の予算にその航空大学校拡充予算を組むことに今関係当局折衝中でございます。なお、今お話のございましたように、操縦士養成というのは、初めからいたしますと、国際線用操縦士養成するまでに約一人につき二千万円程度の金が要るという、相当高価な価を払わなければならないのでございます。これらにつきまして、もちろん日航としてもいろいろ努力をすべきは当然でございますが、国といたしましてもまだ開拓期航空のために、操縦士養成ということについては援助をすべきではないかというので、現在補助金を与えるべきである、こういう考えのもとに運輸省としてはやはりその関係で大蔵省と折衝をいたしております。
  18. 小山亮

    小山(亮)委員 今の従業員サービスの問題につきましては、当局の方から御調査の上とくと御注意を下さるということで、これはぜひともそうしていただきたい。それは日本国内航空評判をよくするためにでも、私どもはぜひともそうしていただきたいと思います。率直にいいますと、日ペリ飛行機サービスよりも国内航空サービスの方がはるかに悪い、こういううわさが立つということだけでも私は相当考えさせられるのでありますから、その点は特に御留意を願いたい。  それから飛行機飛行場離陸着陸いたします場合に、米軍許可を得るとかなんとかいうようなめんどうなことは要るのでありますか、ないのでありますか。
  19. 林坦

    林説明員 航空機離陸いたします前には、いわゆる管制塔といっております飛行場管制塔を通じまして、管制のセンターといっております管制局許可を得、また承認を得た道を飛ぶことになっております。従ってその大体の許可を得まして、それから現実にその具体的な飛行場状況管制塔から指示を受けまして飛ぶという状況でございます。米軍といえばもちろん米軍管制関係米軍指揮で現在行われておりますが、現在伊丹等におきましては全部日本人がこれに当っております。
  20. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、これは参考までに伺いたいのですが、飛行技術その他が非常に優秀であるという場合にでも、もし米軍指揮を受けておるということになると、語学を十分にマスターしておらぬというがために、飛行士の資格が得られないというおそれはないのですか。全然技術さえ優秀でありさえすれば、語学なんかについてはそんなに熟練しておらなくてもやれるということなんですか。やはり語学も両方やらなければならぬということになりますと、なかなか適任者というのは得られないのです。その点を私は心配しておるのですが、その点を一つ率直にお話を伺いたいのです。
  21. 林坦

    林説明員 現在航空界におきましては、国際的に使用語は大体英語が一般でございます。日本におきましてももちろん米軍の管理であるために英語を使っているという面もございますが、それ以外に、民間航空におきましては、国際的な関係もございまして英語を大体使うことにいたしております。従って操縦士がだんだん高度の技術を持って参りますためには、そういった実地に見えないところでもタワーと連絡をとりながらおりていかなければならない、今申し上げましたように、タワー承認を得ていかなければならないということになりますので、英語の知識といいますか、英語の会話の能力が必要でございます。それがないために上級の操縦士として適当でないという場合はもちろんあります。
  22. 小山亮

    小山(亮)委員 一応これで航空局長に対する質問は終ります。
  23. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ちょっと関連して。事故が起きたためにこういうことを言ってもこれは実際は役に立たぬのですけれども、しかしこの際私が一つお尋ねしておきたいのは、何といっても、今言われるように、日本語で日本式にやればきわめて優秀な技術能力を持っていても、語学がうまくいかないためにせっかくの優秀な操縦士が採用できない。これの原因日本航空管制自主性の喪失にある。この航空管制の全面的な返還要求というものは、事あるごとに私ども叫んで参ったのであります。今聞きますと、伊丹におきましては、その指令指示は全部日本側でやっておるといいますけれども、しかしその指示を出す場合にも、その最高の指示はやはり米側の意向を聞き、その指示のもとに指令を出ささるを得ない、こういう建前であるのではないかと思う。と申しますのは、飛行場上空に行ってから着陸しようとしても、米側飛行機着陸あるいは離陸を優先する、そのために三十分も一時間も飛行場上空で待機していなければならない。あるいはまた今度の事故を起しました飛行機は、一時間以上も離陸管制のために見合された、遅発をしている、こういうことが報ぜられております。こういうことでは、自衛隊のように飛行機に乗ることを専門にしている者ならば不安感というものはないかもしれませんけれども、私どもは危なくて日本飛行機など乗れません。こういうようなことでもし墜落事故でも起すというようなことになれば、これは大へんな問題になると私は思うのです。従ってこの航空管制自主的運営航空管制全面的返還というものは、もう今日では焦眉の問題である。軍の使用する航空管制日本側民間使用する航空管制とを切り離して、そうして民間側民間側として全面的に日本航空管制下に移管せしめる、こういうような措置はとれないものなのかどうか、また今までに米側飛行機を優先発着せしめるためにどれだけの支障を来たしておるか、その実況についてわかっておりましたら一つ説明ただきたい。
  24. 林坦

    林説明員 ただいま航空管制ということについて御質問がございました。航空管制につきましては、行政協定による取りきめによりまして、運輸大臣権限米軍に委任して行なっております。これは何も向うの利益のためにやっているというわけではないのでございまして、米軍としましては、日本の空で安全な航空をするために、日本航空機米軍航空機も秩序のある航行をするということを目的としてやるわけでございます。ただこの場合に日本の方に、この航空交通管制をやれる能力のある者の養成相当の時間がかかるということのために、米軍に委任してあるわけでございます。これがだんだん養成が進みまして、今の予定では昭和三十四年の七月には、入間川のセンターの移管を日本側に行うということに大体内定いたしております。それから三十四年度一ぱいたちますれば、三十五年度くらいからもう完全に日本人だけの手でこの問題は全部処理できる、かように考えております。  現在の航空交通管制状況を申し上げますが、交通管制はもちろん指示をいたしておりますけれども米軍飛行機であるがゆえに先におりる、あるいは先に着くということにはなっておりません。ただジェットの航空機の場合は、その航空機の安全のためにジェットはやはり早くおろさなければならない、ジェットを高いところで長いこととめておくということが、燃料その他の関係からできないものでございますから、ジェット航空機は早くおろす、これは優先的におろすということになっておりますが、その他の航空機につきましては申し込んだ順序でおろしております。決して米軍なるがゆえに先にし、日本航空機なるがゆえにあとにする、こういうことにはなっておりません。  それから先ほど民間航空管制と軍の航空管制と分けたらどうかというお話がございました。それが航空管制というものの特質でありまして、軍の飛行機も飛び民間飛行機も飛ぶ、それを軍の航空機管制と民の航空機管制とを分けて行うということは、技術的にできないのでございます。同じ道を両方の航空機が飛ぶのでございます。従ってそれは一本で管制しなければならぬ。そのために自衛隊の航空機であってもあるいは米軍航空機であっても、また民間航空機でありましても、一つの道を指定されてあるいは幾つかの道を指定されまして、その高さあるいは方向、それからある点に参りましたら報告をちゃんとセンターに出して、今どこにどういう飛行機がおるということを知って、その飛行機は飛ぶ必要があるわけでございます。ただその飛行機けが自分の安全だけということで飛ぶわけには参りません。まわりの飛行機との関係、位置というものを相互に認識し合って飛ばなければならないわけでございます。これは分けることができないのが特質でございます。従って運輸大臣においてこの航空交通管制は全部一括してやるという建前に航空法はなっておるわけでございます。
  25. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 航空管制のむずかしさはわかりましたが、しかし日本航空管制をする準備がないためにアメリカ側に渡しておると言われますけれども、それはちょっと詭弁だと私は思うのです。それならば、戦争中にも戦前にもこれは日本独自の管制日本人自身で行なっていたので、何らアメリカさんのお手伝いは要らなかったのです。それが今になって急に日本人管制はできないという法はちっともないと思う。それから航空機にしても、現にあなたはそういうことをおっしゃるけれども、私は言いたくないけれどもそういうように言われるなら言わなければならぬ。何も操縦士日本人であるのに英語ばかり使わなければならないということはどこにもないのです。日本人は堂々とどこまでも日本語でやったらいいのです。それができないというところに、自主運営というものがないということになるのではないですか。ですからそんな詭弁な答弁はおやめになって、やはり日本人に返って答弁なすったらどうですか。
  26. 林坦

    林説明員 ただいまお話がございましたが、戦前における航空と戦後における航空とは完全にやり方が変っておりまして、戦後においては航空交通管制というものが実施されることになった点が一番著しい変化でございます。これは要するに日本の空を飛ぶ航空機の数の問題になるわけでございます。それらの交通整理をいたすのでございますから、ほかの交通機関の場合も数が多くなれば一定の秩序を立ててやらなければならない、従ってそこは外国の航空機もあれば日本航空機もあるので、外国の航空機日本の空に入ってくるということは、ICAOのシカゴ条約によりましても当然認めなければならないことでございまして、これらの航空機に対しましてこちらが適切なる指示を与える義務は、日本政府としてあるわけでございます。その場合に英語を用うべきか日本語を用うべきかという問題がございますが、もちろん日本の国内だけを航行する航空機でありますれば、それが全部であれば、日本語を用うるのが一番便利でございます。ただ外国の航空機日本航空機とが入りまじって離発着をしなければならない場所、特に東京を中心とした場所でありますとか、あるいは基地を中心とした場所ごときは、米軍飛行機もあり、日本飛行機もあり、また外国民間航空機もあるという状態でございますので、これらはお互いに相互の位置、お互いがほかの飛行機がどういう指示を受けておるかということを理解し合わなければ、なかなか交通の秩序というものが保てないのであります。そういうところから実は英語を用うるということになっておるのであります。もちろん管制日本語でなく英語で行われておるためということもございますが、それはすなわち外国の航空機が、日本の空を飛んでおる飛行機のお互いの位置を相互に理解し合うということのために英語で行われるので、従って日本操縦士が非常の場合、英語を使っておっては自由に自分の意思を表明することのできない場合は、現在でも日本語を用いております。またそれを用うることは日本人を配置しますればできることでございますので、できるだけ早く各飛行場日本人を配置いたしまして、非常の場合にはいつでも日本語が使える、こういうことでやるように現在なっております。
  27. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の言っているのは、非常の場合と言われますけれども、常時の場合にもお互いにその位置を知り合うとか、あるいはその通知のし合いをするということ、そんなことは言われぬでもわかっておるのです。何と言ったって先祖伝来の日本語を使うのが日本人には一番便利なのです。私は英語は知りません。また習おうとも思っておりません。ですから平時でも、日本に完全な自主権がなくても、向うの司令とこっちの司令と一緒におって、そうして向うで指令を発したものを、日本人操縦士には日本語で通訳して連絡すれば私はできる問題だと思う。向うさんだけには英語でやったらよろしい、日本操縦士には日本語でやったらよろしい、だからそんなことはちっとも不便ではないと私は思うのです。けれども事情はわかります。今日何といっても日本自主性はないのです。航空に関する限りはまだ向うさんが占領していると同じなんですからわかりますけれども、だからといって日本語を常時全然使用もしない、英語だけにたよって、不便な幼稚園の子供がしゃべるようなことを言うてやっておれば、これは事故のもとです。現に米軍優先はないとおっしゃるけれども、飛び立つにしても、この飛行機でもすでに一時間以上も延発しているのです。これは内容はどうなっているか知らないけれども、私どもの目に映るのは、日航飛行機がちゃんといるにもかかわらず、向うの輸送機だとか、あるいは——ジェット機ではありませんよ。プロペラの飛行機がどんどん先に立っていってしまう、どんどん着陸する、一応済んでしまわないことには日本飛行機は出やしません、そういうことになっているのです。机の上ではどうなっているか、局長の報告の上にはどういうことがきているか知らないけれども、私の目玉の黒い限りは間違いないのです。だからそういうことではいけないから、もう少し自主性のある官制ができないものか。これは日本政府に御意思さえあればできる問題だと思います。あまりにも盲従し過ぎているから、何でもかんでも、こっちが強いときにはべらぼうにいきり返るけれども、こっちがちょっと弱くなれば、向うさんの方がちょっと頭を上げれば徹頭徹尾、海の底に入っても頭を下げる、こういう骨のないやり方ではいけない。これは日本人自身の生命、財産に関することだと思うのです。ですからそんなに遠慮する必要はない。現に占領時代にアメリカ人が言っていました。大体日本人は根性が悪い、われわれの前に来たら何でもイエス、イエスと言っているけれども、裏では不平ばかり言っている、われわれのやっていることで悪いところがあればずばりその場で悪いと言ってくれればいい、こう言っています。航空というものは陸上に比べて、事故関係からいえば少いのです。しかしながら国民の目に大写しに映るのは、飛行機が落ちたとか焼けたとか——ちょうど日航機と一緒にまた自衛隊の飛行機が海に落ちています。そうするとどんどん目に映る。それがはでに大写しに映ると、航空機を利用する者に非常に不安感を与えます。これは日本航空助成の上からいっても非常に芳ばしくないことであるし、また操縦士養成などに至っても、これが障害になって操縦士がふやせない、そういうことになって、勢い高い外人操縦士を雇わなければならぬ、こういうようなことでは、私はりっぱな計画書を手元にもらっていますけれども何にもならない、絵にかいたもちだと思う。そういう意味から、この点どういうふうにお考えになっているか伺いたいと思います。
  28. 林坦

    林説明員 御指摘の通り英語の問題につきましてはいろいろな問題がございます。もちろん国際航空におきましては、英語指示をすることでないと、相互の間の連絡あるいは相互の位置の確認等でいろいろ問題があることは、よく御説明申し上げた通りでございますが、日本の国内におきましても、いろいろな場所によりましては日本語を用いることももちろん適切であるということもあるはずでございます。将来の問題といたしまして、管制日本側に移りました場合に、日本語をどの程度まで使えるかという問題につきましては、あらためてさらにそれを検討いたしまして、十分にそういうふうな面においても、できるだけ事故をなくするという点に重点を置いて指導していきたいと思っております。ただ英語におきましても管制の用語は特殊でございまして、比較的術語としてはかえって簡単な言葉で表わされている場合が多いのです。従って平常の場合には英語の方がわかりやすいという場合は多分にございますが、そういう点もつけ加えておきたいと思います。
  29. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 航空管制の話について、私も一言申し上げたいのですが、あなたがいろいろと申されておられるが、これは何といっても先行するのは安全保障条約に基く行政協定によってやられているのです。これは幾らあなたがそうしますと言われても、国がそうしなければできない。ただども飛行機に乗って——先ほどこれは小山先生からいろいろ御注意があったようですが、私も実は昨日の一便で来たのです。これも一時間おくれた。一時間おくれてもどういうわけでおくれたという説明が何一つありません。ここにおいでの近県の方はあまりお乗りにならないかもしれませんが、一番乗るのは九州と北海道の者が乗るわけでございます。私どもはすでに議員として幾たびか乗ったが、よい思い出なんかただの一回もありません。それはもちろん機上の操縦士やスチュワーデスではなくて、最も悪いのは航空基地の人々が悪いと思うのです。あれはサービスではない、サービスになっていない、そういう扱いについて私は不愉快にたえない、独占事業というものはこうもなるものかと思っておる。現に今この中で日本語で言われぬかという話も出ましたが、それは私はできないと思います。今の航空界というものは戦前に比べれば革命です。まさに革命が行われている、その比率におきましては何十倍、何百倍の航空機の増加であって、私は英語を国際語として使うことは当然だと思う。当然なら当然で、それにたえ得るだけのことをなぜおやりにならないか、これは全くこっけい千万です。船だって汽車だって時代の進運とともに数もふえて灯台もでき、水先案内があっていろいろのことをやっておる、それにはそれだけの所要のことがあるからやっておるのです。航空管制英語をもって国際語として統一する、それが当然のことであるとすれば、それにたえ得るだけのことをすればよい、できなければそれの完備されるまでの期間の補助的の方法があると思う。国際会議だって単一語で必ず翻訳しておる、こういうことは画一的でなく、それの完成されるまでの準備なり方法があると思う。現に運輸委員の人々でさえはなはだ失礼ですが、今あなたにいろいろなことを聞いてわかったようなわからないような状態です。そうすると飛行機に乗っている人が一時間も一時間半も滑走路で待って、ただいままだ航空管制から許可が出ませんからお待ち願います。何のことかだれもわからない。そんなことは日本人にわかっているでしょうか、国会のあなた方の所管に関する運輸委員会においてこの程度です。一般の乗客がわかるでしょうか、何のことかわからない。全くそれは乗っておる人はぽかっとして何か知らぬけれども、乗せてもらっているのだから仕方がないわというのが今日の姿です。変なことを言うようですが、一昨年七月に私がたまたま福岡から来るのに三時間おくれた。大阪伊丹飛行場で一時間二十分待たされた。夏の暑い盛りです。エンジンをフルにかけて一時間二十分です。乗っておる客は満員でどうにもならない。そこで私は今から思えばずいぶんいなかっぺだったと思いますが、スチュワーデスを呼んで、どうして立たないのだ、立たなければ立たないで一ぺん発着所まで帰って、そしてあらためて立てる時間がきたら立ったらどうだ、こういうことを言いますと、操縦士と相談して来ましょう——どうなったかくらいは機内に放送すべきじゃないか。そういたしますというて、操縦士と相談して、それでもまた二十分かかった。そしたら北村徳太郎君も腹を立てて、何をしておるか、ばかにするなといって、機内が大騒ぎになった。そうして羽田には三時間遅れて着いた。自動車の運転手はそれに対して問い合せに行っても、何時に着くかわからないといって何もいわない。そういうことは日本のいかに独占事業なりといえども、公的性格を持つ日航なりといえども、私は許すことができないと思う。そこで私は、社長か専務ちょっと来いと言った。翌日私のところにやってきて、今から行きたいがというから、今十人ばかり人が待っているからだめだと言うと、じゃ私は大へん忙しいのだから、十分間でいいから会ってくれという。十分でよければ来なさいと言ってやった。来たら一時間も説明してわからないから、君はあらためて運輸委員会に喚問して、五時間でも十時間でも発言の機会を与えるから、きょうは帰りたまえと言って帰しました。今までこんな思い出は際限がありません。あなた自身は専門家であり、航空管制というものは、まだ日本に手がない、管制できないのだというならば、それだけのことを周知徹底せしめる道はないか。乗っておる人は金を払っておる。私どもは法の示すところによって国鉄運賃は無料ですけれども飛行機に乗って高い金を出すのは、よくよくの事情がなければ乗らないのです。それを多くの人々はこういうことを平気でわからないままで過ごされておるのが今日の姿で、これは全く人民を侮辱するもはなはだしい、こう思うのです。そこで私思うことは、私は航空界の革命ということを言ったくらいですから、そう思いますが、それではあなたのいわれるようにシカゴ条約によって日本がこれに参加して、承認しているとするならば、それだけの航空界の革命が行われて、これに伴うところの国際的な処置日本としてもしなければならないとするならば、航空局はどういう裏づけをしておるか。条約上の義務と責任を持ちながら、これに対する予算上の措置と、それに対する拡充整備、施設というものについては、パーセンテージで従来からいえばどういう形においてあなた方は整備しておるのですか。それだけのことができ得ずして、条約上の責任と義務を負わされることは、一国の政府として私は許すことができない。あなた方自身それに伴うところの経費なり設備というものは万全であるかどうかということを、一つまず抽象的な質問でございますがお答えを願いたい。
  30. 林坦

    林説明員 今御指摘を受けました航空管制その他によりまして、空港におきまして非常に待たされる時間が長い。まことにこの点は御指摘の通りでございまして、われわれも現実にそういう体験を幾たびか持っております。ただこの関係は、特に現在板付でありますとか、今までの伊丹でありますとか、米軍関係飛行場を利用しております場合に、非常にそれらと両方がそこを利用する関係上、待つ時間が航空管制として多かったということでございます。航空管制としましては、その着陸の順序また離陸の順序等につきまして、コントロール・タワーというところで順番に整理をいたしておるわけであります。先ほど申し上げましたように、ジェットの場合は例外でございますが、それ以外の場合は、大体申し込みの順序に従ってこの管制をいたすという建前でございます。特にどれを先にし、どれをあとにするということは、かえって繁雑になってしまいまして、そういう取捨はほとんどできないわけでございますので、申し出の順序に従ってやるという趣旨でございますが、やはりその飛行場の利用が前々からいろいろ予定が立っておるような場合には、ちょっと待つ時間が長くなるということは現実でございます。非常にそのために御迷惑をおかけすることが多いのは、はなはだ遺憾でございます。われわれとしましても、定期の航空機等につきまして、また何らかの適切なる方法を講ずるように、いろいろ研究をいたしてみたいと思っております。  国際空港の問題につきましても、先ほどお話がございましたが、ICAOの条約に入っておりながら、どういうことをしておるのだというお話でございます。実はわれわれとしては痛い御質問でございまして、ICAOのシカゴ条約に入っております関係上、あそこでいろいろ委員会がございまして、国際空港としても一定の基準、また日本航空保安施設に対してもいろいろの基準等がございまして、それらが会議によって指摘され、またこちらにこういう施設を設けよというようなリコメンデーションがございます。これに対しまして私どももあるものはそれに応ずることができるけれども、あるものはまだ予算関係上応ずることができないというような関係で、その全部が全部それを履行しておるというわけには参っておりません。たとえば羽田の国際空港につきましては、ILSというような自動の着陸装置を設けることが決議され、言われておりますけれども、今の飛行場の状態では、まだそれが直ちにできないというような関係で、あそこの拡充計画いたしておりますので、それと並行してそれをやっていくというようなことが、まだ今後に残された問題でございます。その他あちこちの問題につきましても、まだ十分なるところまで行ってない施設はございますけれども、しかしたとえば日本に入ってくる外国の航空機は、国際空港に入ってくる場合に、今の施設はございませんが、米軍の施設でありますいわゆるGCAというかわりの施設を使いまして、一応その目的を達しておるという状況でございます。これらの点については、なお予算を要するものがございますけれども、一度に参りませんために、羽田空港の整備等につきましては、四カ年計画をもちまして、すでに本年度からこれに着手いたして、大体シカゴ条約によるICAOの基準に沿うように持っていくようにいたしておる次第でございます。
  31. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それは私は何もきちっとは言わないけれども、国際条約に加盟したら加盟しただけの用意と準備がなければならぬ。そんなものをみだりに、国際条約だから加盟しないわけにいかないというだけで、内容を伴わないでそれだけ言っても、それは理由にはならない。これは運輸省の所管大臣としては重大な責任がある。当然これだけのものは必要なんだから、この国際条約というものに違反するわけにいかないから、これだけのことをしなければならぬという相添うものがなければ、日本責任を果し得ずしてみだりにそういう条約に入るというのは僭越だと思う。当然それにこたえるだけの準備がなければ条約に入る資格はない。このくらいのことは当然なこととして私は要求しておきます。同時に今各地にローカルのいろいろな飛行場ができております。私どもも先般九州地方の国政調査に参りまして、そのときそれぞれの事情を訴えられたわけです。その中で大分とか曾根とかいうような飛行場についても、航空保安設備あるいは拡充についてどういうふうなお考えがおありでしょうか、この際一つお尋ねしたいと思います。
  32. 林坦

    林説明員 今御指摘のありました大分の飛行場につきましては、昨年千二百メーターの滑走路を整備いたしまして、その他ビーコンを備え、あるいはコントロール・タワーを備え、通信施設をなし、われわれの考えております地方のローカル空港といたしましては一応モデル的な空港施設をやったわけであります。もちろんあれをもって十分だと申すわけではございませんが、予算によって示されております一応の基準といたしましては、大体ローカルの飛行場といたしましては比較的りっぱな飛行場であろうかと思います。ただこの飛行場につきまして、実は早く定期飛行のできる飛行場にしてもらいたいという要望が非常に強く前からございました。またそのつもりでビーコン等もつけたわけでございます。ところが現在の航空機の場合には、ビーコンがありましても、あそこの飛行場管制塔と板付を通じて先ほど申しました入間川のセンターを結びます通信線の上に弱いところがありまして、板付の工事等ともからみ合いまして、それがなかなら完了いたしません。大体九月のたしか十二日でございましたか、この問題も解決いたしまして、先生方がいついらっしゃいましたか私正確に覚えておりませんが、現在は大体先月の半ばからこの大分の飛行場については、十分に所期の目的に従った運用ができるようになりました。ただ曾根の飛行場の問題につきましては、この飛行場はもともと板付の飛行場の補助飛行と申しますか、そういう趣旨でできた飛行場でございまして、板付の飛行場に大型飛行機はどうしても行かなければならないが、板付の飛行場をあまり小型の飛行機がじゃまをしては、板付の利用上困るというような立場もございまして、小倉の曾根に飛行場整備したわけでございます。これは実はそういう目的でありましたために、小型機の特に新聞社等の使用に充てるというような関係もありまして、まだ先ほど申し上げましたビーコンのような施設は現在ないのでございます。しかしここをすでに日ペリ航空が路線不定期の基地として使用いたしております。また地元の要望も非常に強いわけでございますので、空港整備法に乗せまして、地元の負担とそれから政府の負担というものを考えまして、これを来年度以降第二種または第三種の空港として整備していくようにしたいというふうに考えまして、来年度の予算要求の中に入れてビーコンを設置したい、あるいは必要なる滑走路の整備あるいは誘導路の整備等を考えておかなければならないと考えております。
  33. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私が先ほどから言っておるように、航空というような問題は昔においてもしかりです。これは自主的にやってもうかるものでないのです。従って国家がどこの国でも補助をして、そして航空界の発展というもののために世界の各国が努力して参っておる。日本またしかり、そこで今日は日本は国家そのものがやっておらないけれども日航その他において国家の機関を動員して大いにこれを補助し、あるいはまた政府出資をやって、その発展に努めておることは言うまでもありません。ただしかし私は将来ともすべて要求する通りの予算というものが取れて、全部できるとは思っておりませんけれども、不確定なところの運航の許可なりあるいはそういうものの免許というような方式は、これはやめてもらわなければならぬ。一たん許す以上は、そこに厳たる方式に基いて、そして完備できるような運航のできる方式をとらなければ、私どもとしてはこれは重大な欠陥が生ずると思うのです。従って帰着するところはあなた方の方は予算がないからとおっしゃるが、これはやはり先ほど私が聞いた中で、国際条約に入るけれども、その裏づけの予算のパーセンテージはどのくらいになっておるか、お答えがなかったけれどもただ航空界の充実ということに対して国として等閑に付せられないからそれはするけれども、それが予算を伴わないようなことでこれを許可するということはほんとうは間違いだ、そういう苦労の中からまた漸進的に作っていく以外に道はないという答弁もあるかもしれませんけれども、私は一たん許可せられたら、たとえば曾根なんというものは日ペリ許可になって、あそこに正確に発着したものは何%あるか、そんなことでは定期航空ではない。芦屋に着いたり板付に着いたり、雨が降れば飛べない、天気が悪ければ飛べないという、そういう不確定なものを定期航空として許可することはほんとうは間違いだ。従って許可した以上はこれに伴うだけのものをすみやかに整備しなければならないと思う。その点ではあなたのお答えがございましたけれども、大分についても私ども委員長以下参ったときに、あそこも何百メートルかふやさなければならないということと、それからかえ地があって、それを今ならばすぐ農地委員会も承諾しそうだ、これが今きまらないで先にいくと、農地の交換分合ということはなかなか困難だ、だからこういう点は早急にきめればすぐにも手に入るし、金もわずかな金で済むのだ、しかしそれが今きまらなければ将来これを交換することは非常な困難が生ずる、こういうような訴えも聞きました。従ってこういう問題は一たん空港として許可をし整備をするならば、可及的すみやかにこれに伴うだけのことをしなければ、時期を失すると大へんなことになる。また一たん与えたものを取り消すことはなかなか困難なことです。従いまして定期航空ごときに至りましては、そういう整備されざる姿において飛行機が発着し、かつまた定期に運航されておらないということは大へんあやまちなんだから、将来こういう点を特に充実整備するにあらざれば、そういう不完備なる状態において許可するという方針は十分つつしんでいただきたい。  それから航空管制の問題にもう一ぺん返りますけれども、今あなた方の言っておることは国民の中の一%知っておる人があるでしょうか、私は知らぬと思う。国会議員の中で現にそれを知っておる人が一割おりますか、おらないのです。国民は先ほどから言うように乗っておっても何にも知らない、何が何だかわからないままに待たされる。またそれが仕方がないとあきらめておる。これが汽車の場合そういうことをしたら許しますか。列車がダイヤをおくらせたり乱せば、この間のような問題が生じて、窓ガラスを破ったりして承知しません。飛行機の場合はだれも知らないから仕方がないとあきらめておる。これは航空局がなさらなければ、日航なり日ペリなり極東航空なり、それらのものが、それだけのことを乗客国民に対して周知徹底せしむるだけのことをしないということは不当です。航空管制許可が出ないからまだ飛べぬ、そんなことはだれが知りますか。英語で言わなければだめだ、そんなことも知りません。そこまでのことを言えとは私言わないけれども、現在のもとにおいては少くとも行政協定でこういうことになっておって、これはコントロール・タワーから許可が出なければ飛べないのだということを乗客に知らしめなければならない。私どもは多いときは一カ月に四回東京−福岡間を往復しました。少いときでも二カ月に一回、毎月一回くらい往復しておる、そのうち一ぺんも楽しい思い出もなければ、一ぺんもいい思い出というものもない。こういうことでこれを許可なさっておる。ほとんど日進月歩の世界の状態からいって、飛行を制限するとか許可しないとかいうことがあるということは知っておりますけれども、少くとも国家がこれを法に基いて許可をし、安全運航を認めるというならば、それに伴うだけのこと、ないしは金がそれほどかからないで乗客に対しても知らしめるだけの情熱がなければ、私どもとしては国民の税金から補助金を出したり投資をしたり融資をしたりするということは、公けの機関ですから不当なことだと思う。そのことは特に十分一つ監督官庁としての厳重なる監督注意とその成果というものを、この委員会報告していただくだけのことができますかどうか、そのことを要望と一緒にお伺いして、私の質問を終ります。
  34. 林坦

    林説明員 ただいま小倉等につきまして、あそこの整備が十分でないのに定期を認めているのではないかというお話でございましたが、実は航空局といたしましても、おっしゃいましたように施設の整備が十分でないところには、定期航空を認めるという方針はとっておりません。従って小倉の場合は、実はそういう施設ができておりませんので、私どもはあくまでも、定期航空という名前をあすこに与えることはできない状態でございます。小倉に対しては路線不定期ということで認めておりますが、これは要するに日ペリ航空といたしましては、できるだけ定期的に運航はいたしたいわけでございますけれども、ああいう設備のないところで無理に定期を履行しようとすれば事故のもとになります。そういう関係もございまして、ただいま御指摘の通り、私どもとしましてはあすこについては、定期を履行させるというふうにはもちろん認めておらないわけでございます。日ペリもその辺のことはよく知って運航しておるわけでございます。ただ地元の方々は、飛行機が飛ぶとなればこれは定期が飛ぶのだというふうにお考えになりまして、欠航すればいろいろ御苦情が出るわけでございます。私どもとしましては、飛行機がそういう路線不定期でありましても、これを飛んでいる間にできるだけ早く予算の裏づけをし、この整備をいたしまして、定期が飛べるような状態に持っていって、定期として許可するようにいたすつもりでございます。  次に、先ほどの航空交通管制等について、国民の大部分が十分に知っていないという御指摘がございました。まことに私どもも努力の至らないことを恐縮いたす次第でございます。航空交通管制につきまして、実は今度もわれわれの方として民間航空の現状という冊子を作りまして、若干なりともその周知の材料にいたしたいと思いまして、その中にはできるだけこの部分を詳しく説明することにいたしてございます。しかしながら非常に予算も足りず努力も足りませんために、一般国民方々に広く十分知っていただくということがまだできないでおりますが、ただいま御指摘もございましたし、またお励ましもございましたと存じまして、今後情熱をもちまして周知徹底に努力いたしたいと存じます。
  35. 眞鍋儀十

    眞鍋委員 池田君の質問に関連して、私からちょっと簡単にお答えを願っておけば幸いであると思いますが、発着時間の不正確、ことに時間のロスといったような問題が今取り上げられておるわけでございますが、最も著しい例は板付の飛行場に見られると思います。これは御承知のように共同で使用いたしておりますために、ジェット機の昇降に際してはすべてのものが犠牲に供せられておりまして、そのためにダイヤがしょっちゅう乱されているというわけでありますが、片一方、雁ノ巣の飛行場が廃物になって近所に寝ている。それを利用すれば、何も人様にセーブをされなくても十分やれるだけのようにしろうとは考えますが、次年度において何か御計画がおありでしょうか、その点を一つ、ついでに御報告願いたい。
  36. 林坦

    林説明員 雁ノ巣の飛行場は、前にはあすこを民間空港として使っておったことがあるのでございますけれども、ちょうど板付の飛行場の滑走路の延長上にございまして、従ってひんぱんなあすこの使用ということは、実際問題としてできない状態かと存じます。従って、現在は滑走路も非常に短かくございますし、特にあれを国内の幹線航空の基地とするということも、現在のままではちょっと無理であろうかと存じます。一番むずかしい問題は、やはり板付との相関関係におきまして、あすこがどの程度まで使えるかという点については、もっと研究し、調整を考えてみなければならないかと思っております。現実には西日本空輸という会社飛行機が、たしか非常に少い回数あすこを使用することを認められておったような状態でございます。現在まだ接収中でございますし、あすこを整備するという段階には至っておりません。     —————————————
  37. 淵上房太郎

    淵上委員長 これより陸運及び海運に関して調査を進めます。小山君。
  38. 小山亮

    小山(亮)委員 昨日運輸大臣から、三十三年度の運輸省の重要施策要綱に対しての大略の方針の発表がございましたが、それにつきまして、まだすべての議案が結論が出ておらないということでありますから、こまかいことは一切避けまして、運輸大臣として国民の前に明らかにしていただきたいと考えます大筋の点だけを、かいつまんで御質問を申し上げたいと思います。  第一が国際収支改善という題で、外航船舶の拡充、長期計画の推進ということを計画しておいでになるようであります。日本海運政策としまして、船舶拡充は重要施策の一つであって、毎年計画造船が行われておることは言うまでもありません。従いまして、事新しくこういうことを政府から発表されるということになりますと、従来までの施策であっては不十分である、何かここにそれの欠陥を認められて、新たなる構想によって拡充についての何か変った計画をお立てになるという方針であるかどうか、それを伺いたい。
  39. 中村三之丞

    中村国務大臣 従来行われておる方針を継続的に、あるいは長期的にこれを行なっていく、また足らざるところはこれを年々改善していく。この海運政策は、国際収支の関係等から申しまして重大でございますから、たとえば運賃の収入による国際貸借に寄与する点も、戦前などと比べまして、今は逆に赤字になっておる状態でございますから、これではいかに国際収支の改善ということをうたいましても、海運政策の上に足らざるところがございますから、これを戦前並みに大いに復活いたしたい、こういう意味もあるのでございます。
  40. 小山亮

    小山(亮)委員 戦前は外航運賃が国際収支に対してプラスになっておったが、戦後はマイナスになっておるというように感じられますが、そうでありますか。
  41. 中村三之丞

    中村国務大臣 運賃収入でございます。全体としての海運による貿易外収支の中におきまして、戦前は黒字であったが、最近は赤字になっておるということを申し上げたわけであります。
  42. 小山亮

    小山(亮)委員 最近と言われても、戦後は十年あるのですから、十年の間海運関係の収支が支払い超過を示したとは、私は考えておりません。最近の海運の収支関係というものは著しく悪いのでありますが、戦後すべてそうだというようなことは、それは間違いであると私は思いますが、ただ戦後の計画造船というのは、戦前はなかったのだ、戦前は日本計画造船などというのはなくて、戦後の不足したところの船舶を拡充するために計画造船というのが考えられたのでありまして、私は戦後の海運政策としまして、この海運政策の重要な問題である計画造船を今までの通りにおやりになるならば、格別にここに声を大にしておうたいになる必要はないではないか、今まで通りやるということでいいのじゃないか。しかし最近の海運収支が著しく悪くなった現状にかんがみてということがございますから、新しい何か手をお打ちになるのか、それならばその片りんを漏らしていただきたい、こういうことを私は申しておるのであります。
  43. 中村三之丞

    中村国務大臣 計画造船ということは戦前にはなかったことは私も承知いたしております。戦後におきましては戦争によって日本海運はほとんど徹底的なる打撃を受けましたのみならず、海運会社そのものも海運企業という点からみますと、いわゆるこれは一般の産業も同じことでございますが、戦後における日本の産業は自己資金が少い、他人資本と自己資金と比べますと非常に少い、これはもう海運企業ばかりではない、一般の産業もそうでございます。従ってそういう欠陥を補う上において、国家の資金、投融資等を計画的に行なって、船腹の拡充に努めていきたい、こういう意味でございます。なお一言申し上げておきまするが、終戦後やはり国際収支における貿易外収支の上から見ると、海運運賃収入はやはり赤字が、遺憾ながら連続いたしておる状態でございます。ことに昨今一そう国際収支というものが悪化をいたしておるのでございますから、これの一翼として海運収入を増加せしめ、運賃収入による貿易外収支を増加せしめたいということをうたってあるのでございます。
  44. 小山亮

    小山(亮)委員 それはわかっていますよ。あなたがおっしゃることは書いてありますし、従来もまたその方針でやってきたのですから、何もこれをここに事新しく言われる必要はないのだが、ここに海運関係の収支が著しい支払い超過を示しておる現状にかんがみ、すみやかに貿易の規模と均衡のとれた商船隊を整備する、これはどういう方法でおやりになるか、今までのようなやり方ではだめなのですから、だめならばこうするというならわかりますが、今までの方法をずっと押し進めていいならばそれで一向差しつかえないわけです。あなたのおっしゃることを聞くと、従来までの計画造船というものは、こういうわけだから計画造船をやるのだという説明だけだ。それならばわかっておる。だが何かここに今非常に海運界というのは悪いのですから、ほとんど決定的に悪いのですから、それを何か起死回生の手段方法でもあって、ここにさらに活を入れてやる、何かここに生き返らせる特別の方法を考えてやるというお考えがあればそれを伺いたい。
  45. 中村三之丞

    中村国務大臣 御指摘のごとく最近世界的に海運市況というものは悪い。これが海運界並びに日本の造船界にいろいろの問題を投げかけておることは事実であります。そこでこういう時代に対してどういうあり方をしなければならぬかということを考えております。それにつきましては計画造船は今十三次でございますから、ずっと継続いたしておりますから、これを継続させて参りたいと思います。しかし海運企業の合理化を一そうやるとか、あるいはまた船価の低減をはかっていく。ことに今後はこの不況の際における海運会社が過当な競争をせられることなく、自己の努力において発展をしていただく、こういう意味のことも私ども考えておるのであります。一体海運市況というものはなかなかいいときもあります。昨年あたりはよかった、ことにスエズ運河の問題を中心としてよかったのですが、最近はまた悪くなった。私はまだ詳しくは調べておりませんが、まずいいときは短かい、大体において不況のときが多いのじゃないか、こういうふうに私は世界海運界を考えておるのです。それでございますから不況のときに徹底的なる対策、ことに合理化をやって、やがてまた回復したときに応ずる、こういうことを私ども考えておるのでございまして、事務的に悪くなったら削ってしまうとかいうようなことは私どもはとるべきではない、こういうふうに考えておるのでありまして、むしろ不況であり、困難なる際にこそ努力をすべきではないか、こういうふうに思うので、従来の計画を継続することはもとよりでございますから、こういう事業に対しては特段の努力をいたしたいという意味も含まれておるのであります。
  46. 小山亮

    小山(亮)委員 そうしますと、何か格段の御努力をなさるということをはっきりおっしゃいますが、格段の御努力をなさるといえば、どういうことをおやりになるのか。つまり経営の合理化をするということは業者がやることなんです。あなた方の方でこれを指導しておやりになるのか。しかしもう長い間の不況ですよ。海運の経営の合理化というのは相当やっております。そうして老朽船の整備や何かも相当やっておる。それをこれ以上に何をやる。そうしてそれによって生き返る。また船価を下げる。船価を下げるといってみたところで、造船の補助金を出すわけに用いきませんから、大体において船価を下げる限度というものもきまっておるのです。それだけではまだまだ海運界の活を入れるというわけにはいかないので、何かもう少し今まで考えなかったことを考えなければいけない、これが重大問題なのです。私は今度の三十三年度の海運政策というのは、そこに今までと違った一つの意義がある、これはひどいのです。今でも採算点を割ってしまって、一万トンの船が北海道あたりをうろうろしても何も荷物がないという現状なのです。こういう現状ですからよほど思い切ったことをやらなければならないので、従来のようなやり方をずっと推進するというのは、これは何にも無策だということになるのです。だから私はここに何か特にわれわれ国民考えさせられるようなことをあなたの方で手をお打ちになる御意思があるのかどうか、それを伺いたい。
  47. 中村三之丞

    中村国務大臣 海運企業はやはり自主的に、自分で努力をして経営していただくことが必要であると思います。ただ彼らがどういうところに航路を持っていくかということが、それが過当競争にならない範囲において航路の開拓をせられるということは、今やっておられるようであります。われわれといたしましては、今この予算面に表われております点は、何と申しましても、船では材料費がドイツやイギリスに比べて数字的に見ますると相当高いようである。材料費の中でも特に鋼材などが高いようであります。もとよりこの鋼材は最近下っておりますけれども、それでも英国あたりと比べて高い。ことに中小造船などは、この点非常に困っておられる。そこで全体としてわれわれはこういう船舶用の特殊な鋼材などにつきましては、今度はある程度補助金を与えていったらどうか、こういうことが一つの策として現われておる。もとより利子補給の復活は停止されておりますから、これは昨年停止したのを今復活するということは考えておりません。
  48. 小山亮

    小山(亮)委員 どうも大臣の話はさっぱりわけのわからぬような気がするのですよ。私ども海運ということを自分の使命と考えてやっておる者から見ますと、おっしゃることがはなはだ抽象的であって、われわれには納得しかねる。今おっしゃるように船価が高いという場合もありますし、安いという場合もある。つい二、三年前には日本の船価が世界的に安かった時代もある。不況になれば安くなるのです。それから好況になれば高くなる。最近日本の船価が高くなりました。これは昨年から今年にかけて著しく高くなった。外国からの船の注文を受けるようになりましてから、日本の船価が非常に上ってきました。日本の船価が外国に比べてはるかに高ければ、日本にこれだけの船の注文があるはずがないのです。やはり外国に比べてある程度日本の方が安いところから、造船所に対しては圧倒的に注文があったのです。しかしあまりあったものだから、最近になりまして内地船の建造もできなくなり、鋼材がだんだん不足して、上ってきた。スエズ運河以来は暴騰している、こういう現状なのです。だからこれは下げる方法を考えれば下るわけなんです。現に鋼材も逐次下っております。私はそういうことでなくて、根本問題は政府がなぜ計画造船をやるかということなんです。それは絶対的に日本の船腹の拡充が必要だからです。戦前六百三十万トンありましたものが戦争で沈没されてしまって、わずかに六、七十万トンしか残らなかった。それを急速にふやさなければならぬということから、毎年々々計画を立てて、無理をしてでもやっていこうということで、計画造船が考えられてきたのです。これはある程度成功してきておる。すでに四百万トンくらいの船腹を持っておりますから非常に成功してきておるが、もう一段の努力が必要なわけである。ところが今非常に殺人的な不景気がきたために挫折しようというような状態、建造ができないというような状態にありますから、ここで政府が力を入れて、計画造船が初頭の計画通りにやれるようにするにはどうしたらいいかということが、非常に重大な問題になってくる。今までのようなやり方ですと、おそらく十四次の船を作ろうという船主は現在ならおりません。現在は船を作れるような能力を持っていると考えられるような者はほとんどおらないのです。そうしますとここに非常に重大な問題が起るのです。やはり引き続いて船腹を拡充していくということが、政府の絶対的な方針だと私は思う。そうしますとここに何か特別な方法を考える必要がありはしないか。これはむしろ運輸省の人と相談をして、できればそういう方法をわれわれも援助していきたいという気持で質問しておるのです。
  49. 中村三之丞

    中村国務大臣 計画造船を一そう遂行していくということは、われわれも以前と変りませず、今後ともやっていきたいと思います。自己資金によるものも同じことであります。ただ投融資の関係から、今までの千二百億程度計画が一割くらい削られることも今あるのでございます。しかしそれは全体としての計画に支障なしというところから、私どもは実行していきたいと思います。さらにまた問題は造船にいたしましても海運企業にいたしましても、金融の問題に帰着してくるのであります。私はこれに今大へん苦労をいたしておりますが、この金融の問題にいたしましても、長期で低利なものを供給するのが、平凡であるけれども原則なのです。従いまして輸銀の協調比率などについても今考えております。あるいは金融情勢が今後よくなって参りますならば、たとえば今まで高いのを低利にして長期で貸していきたい、あるいは世間の中には海事金庫とか、そういう特殊な金庫を作ったらどうかというお説もありますけれども、これも研究してよろしいかと思いますが、本年の計画では立っておりません。あるいは今私が税制の上で考えていきたいと思う輸出特別控除制度などは、今のところ三十四年では打ち切りとなっておりますが、できればこういうものは税制の本法に繰り入れてやるというようなことも考えております。それから船舶建造に融資をした場合は、これらについては、その利益が生じた場合は税金においてある程度控除をしていくというようなことも今立てておるのであります。小山君はその道の権威者でありますから、あなたの御意見も私は大いに承わって、あなたが今言われるように、実は相ともに協力いたしたいという精神に変りはないのであります。
  50. 小山亮

    小山(亮)委員 大臣は、大臣の意見も言うが、私の意見も言えとおっしゃるが、私の意見は毎議会で耳にタコの出るほど言うているのです。歴代大臣か私の意見を聞き飽きて、もう食傷するくらい聞いている。ところが不思議なことに自由党の内閣がかわりもしないのに、大臣がぐるぐるかわり、三カ月くらいで大臣がかわってしまう。だから大臣がかわるたびに自分の意見を説明しているから、こちらはくたびれてしまう。大体そういうことは前から引き続いて研究をされておいでになるのですから、私の意見もだいぶこの案の中に入っているはずなんです。ただ私が、今のおっしゃる中で非常に大臣の認識が違っていると思いますことは、計画造船ですら十四次の造船というこてはなかなかむずかしい、よほどの考へ方をしなければ計画通りの計画造船というものはできない。こういう際に自己資金による造船もどんどん奨励するとあなたは言われるが、自己資金の船ができるどころの騒ぎではない、今注文してあるものを破約しているのです。倒産せんとしている状態のときに、どうして自己資金による造船をあなたは奨励して今まで通りふやしていくことができますか、これは大へんな間違いだ。それから海運業者あるいは造船業者は自主的にやれ。これは自主的にやりたいですよ。自主的にだれだってやりたいが、一体自主的にできますか。現在、あなたもおっしゃるように、自己資金によるよりも政府からの貸出金の方が五倍も十倍もよけいにあるという状態で、自主的にやれるわけがないのです。だからこの計画造船というものがある。がから政府は特別の金を民間業者に安く融資をして船を作らしている。自主的にできるものならばなぜ金なんか出したのか。そこなんですよ。利子補給というものも、自主的にやっていけるのならば利子補給なんかする必要はない。どうしても自主的にやっていけないということを認めたから、あなたの所属する自由党があげてこの利子補給をやろうとしたのじゃないですか。その上利子補給をあなたがやめた、打ち切ったと言うが、打ち切ったのではない。業者の方が辞退しているのですよ。辞退させられているのですよ。こういうわけだから利子補給はなくなっているのではない、現存している。この点は考えていただきたい。それから自主的にやらなければならぬものなら、なぜ移民船の計画であるとか、あるいは外航客船の建造計画をお出しになるのですか。これはもう自主的にできないことがわかっているから、政府からこれに対して特別な助成をしようというのですよ。定期航路船というものは戦前からずっと政府の助成なんですよ。自主的に客船の運航のできる会社なんかありはしません。全部助成です。自主運営をやれ、自主運営をやれと言って、できる状態なら自主運営もいいが、元来船舶というものの性質からできないのですよ。これは船主が船を売りたくても、政府の許可を得なければ売れません。売買をするのに、一々政府の許可なくしてはできないのです。自主的でも何でもない。全部これは政府の強い監督下に生きておるのです。改造するのもそうです。ですから、これはいわゆる一般の自由主義経済の考え方でなくて、日本の戦後の海運政策は、特に政府が非常に力強いところの保護を加える、あるいは力強いところの援助をしてやるということでなければ、日本海運というものは生きていかれないのです。その点に対する大臣の認識をもう一度伺いたい。
  51. 中村三之丞

    中村国務大臣 私は国家が国営的と申しますか、われわれ政党の考えといたしまして、国家管理的にやろうという考えは全くありません。しかしながら自主的にやってもらいたいけれども、その力の及ばないところは、海運というものは特に戦争によって壊滅的打撃を受けたのでございますから、そこは国家がこれを援助していくということは私ども考えております。自己造船もある程度やっておられる。しかし一方投融資において計画造船もやる、こういう建前で私ども考えておるのでありまして、全く自由放任ということは考えておりません。といって、何でもかんでも国家が管理するというような考えは、私は持っておらないのです。
  52. 小山亮

    小山(亮)委員 どうもさっぱり要領を得ない。その問題は、これから事務当局の方に聞きましょう。  事務当局の方に一言お伺いしたいと思いますが、これはどなたの所管か知りませんが、たとえば第十四次の計画造船をやる場合に、政府融資というものを従来の形に置いておいた方がいいか、定期船及び不定期船に対する融資比率というものは従来と同じような考え方でいいか、その辺についてまだはっきりきまっておらないでしょうが、当局としての意向もあることだと思いますので、それを伺いたい。
  53. 辻章男

    ○辻説明員 定期船と不定期船のいわゆる計画造船におきまする財政資金の融資比率は、従来から定期船の方が財政比率が高かったのでございますが、その高いという点につきましては来年度につきましても同様に考えていきたい、かように考えております。
  54. 小山亮

    小山(亮)委員 海運界が著しく好景気でないときは、御承知のように定期船の方の収益率が非常にいい、海運界が非常に好況の場合は不定期船の方の収益率がいい。従って好景期になりましたときには、船舶建造の融資比率というものを、不定期船の方の収益率がいいから、不定期船の融資率を下げるということで、四割のものを三割に下げるというようなことが行われる。今日のような場合にはむしろ不定期船の方の収益率が少くて、定期船の収益率が多いのです。そういう場合に、不定期船の融資率を下げて定期船の融資率を上げるということは、今までやっておいでになりました方針からいうと非常におかしいと思う。結局はそういうような収益率というものの関係なしに、国家としての見方から、一定の率だけ定期船、不定期船に対して、その収益率のいかんにかかわらず、いつでも同じ率でずっと押していくというなら、これはわかるのです。ところが景気によってふやしたり減らしたりする政府のやり方というものには、私はちょっと納得がいかない。この点今までのやり方は、金が少いので、たくさん船を作らしたいということからそういうことをおやりになったのでありましょうが、私は今までのやり方は、一口に言えば、あまりどうも商売気があり過ぎる。もうかるから少くしてやれというのは商売気があり過ぎる。そうでなくて、国家としての必要性からやるのだという立場を堅持される方がいいじゃないかと思うが、御意見はいかがですか。
  55. 辻章男

    ○辻説明員 お答え申し上げますが、海運界が不景気になりますと、定期船よりも不定期船の方が運賃の下落によります影響が深刻だということは、お説の通りでございます。ただども、今いわゆる下り坂になっておりますが、一昨年来の海運市況の好況におきまして、概括的に見ますと、いわゆる定期船会社よりも不定期船会社の内容が非常によくなっておるのでございまして、それから一面、そういうことで現在のベースにおきまして定期船会社の方が不定期船会社よりも経理状況、経営力としては弱体にあるということと、それから定期船の今の船体の整備状況が、その各路線に入っております外国船と比較いたしまして、なお速力の点、その他の点において劣っている点が多々ありますので、なお来年度におきましては不定期船よりも定期船の方を財政の比率は高めて持っていきたいというふうに考えております。  それから最後にお話がございました海運市況によって財政比率を年々変えていくというのは不見識でないか、少し商売気が多過ぎるのではないかというお説でございますが、まことに一部ごもっともと思うのでございますが、何分財政投融資の面が限られておりまして、小山先生のお話のように、私どもといたしましては、いつもどたんばに追い詰められますと、ある程度量を確保して、早く国際収支の改善に役立たせるように、量的に多くの船を作っていきたいという考えに傾くものでございますので、おっしゃったような年々財政比率を変えるようなことになっているのでございますが、できるだけ一定させるように考えることが望ましいということには異論ございません。
  56. 小山亮

    小山(亮)委員 その点についてぜひこの際当局考えていただきたいと思いますことは、従来あなた方が定期船を非常に保護して、なるべく定期船定期船というふうに、定期船を作らせるように努力されたということは、これは隠れもない事実なんです。これは定期船会社の力が強いから、その力の関係もあったでありましょうけれども、これは隠れもない事実なんです。しかし現在から見ますと、定期船という名前がつきます以上は、速力十八ノット以上、二十ノットなければ定期船の部類に入りません。しかるに十六だ、十七だ、十五半だというような定期船を今まで作っておった。これは今日から言うと不定期船の部類です。それは不定期船に入れていいのじゃないか、こういうふうにしろうとは考えます。そうでなく、定期船の性質と不定期船の性質というものは全然違うのですから、定期船を作るために必要以上の多額の——不定期船の何割も高い船価で作った船を不定期船に回したら、こんな採算の合わないことはない。不定期船をやるなら、徹頭徹尾不定期船として収益率ということだけを考えて、速力よりもむしろ収益率を考えて、いかにすればもうかるかということだけを考えたトランパー専用の船を作っていけば、これは一番もうかる。しかるに定期船という名前でちゃちな定期船を作ったものを、古くなったから、速力が劣るようになったから不定期船に回したといったら、日本海運世界のどこの海運とも競争できませんよ。従来までのあなた方の認可なさいました定期船と称するものの中でも、今日の不定期船以下の速力を持っておるものはたくさんあるじゃないですか。それも不定期船の方にどんどん回しつつあるじゃないですか。それをいたずらに日本海運は当然収益が上げられるものを、そういうものがあるために収益を上げられない結果になっている。私は今までの指導方針というものに対して絶えずこのことを言ってきたのですが、定期船という名前で優先的に費用を政府から借りて作らせます。作らして、それを実際使っているのはどうかというと、不定期船の方に回している。あるいは往復の往航だけは定期で行くけれども、帰りは完全に不定期船の荷物をすっかりさらってくるということをやっている。これも運輸省は十分に承知しておいでになるので、私は会社の名前をあげたり、船の名前をあげてあなた方にこれを聞く必要はない。運輸省は十分に知っておいでになるのでありますが、今日のこういうやり方をこの際改める必要はないか。定期船といったら、もう少し高性能な、世界のどの国とも国際的な競争にたえ得るようなものを作ってやる。それにはたくさん金を出すような方法を講じてもいいじゃないですか。とにかく国際的な競争力を増すような、どこの国にも負けないような船を作る。不定期船はあくまでも船価を安くして、どこの国と競争しても負けないような船を作っていく。それから定期船である場合は高性能のものを作っていく。それだって無制限に高いというわけには行きませんけれども、速力が増せば高くなるのが当然です。また船全体がそれに伴うところの強さを増さなければならないのですから、どうしても金がかかるのですけれども、それはやはり十八ノット、二十ノット、二十一ノット、二十二ノットというようなのを作って、世界じゅうのどこへ出しても、どこにも負けないようなものを今から作る。その計画で、船の建造船価というものを全面的に切り下げていく。さっき中村運輸大臣が言いましたが、実際不況のときこそ船の整備のできるときなんだ。船体整備は、好景気のときは絶対にできるものではない。不況のときにほんとうにできるのですから、この不況がきたということは、日本海運のためには不幸であり、経済界のためには非常に痛手でありますが、この痛手をさらに将来の飛躍の土台として、非常に不利なことを有利に展開させるためにこれをうまく利用させる、うまくつかんでいくというやり方をやれば、日本海運は少し好景気に回ったときには非常に躍進すると思う。不景気のときでなければ思い切った施策はできないのですから、この点に対して私の考え方があなた方のお考えと一致するかどうか、また別にこれに対してあなた方の御意見があるかどうか伺いたい。
  57. 辻章男

    ○辻説明員 定期船に使われる船が不定期船と非常に違っておりまして、特にスピード等の点において違っておるという点につきましては、小山先生のおっしゃる通りでありますが、ただどの定期航路も十七あるいは十八あるいはそれ以上というスピードがなければ、外国船と対抗できないということでもございません。もちろんニューヨークの定期航路でありますとか、欧州でありますとかいうような点につきましては、非常に高速のものを要望されておりますが、インド、パキスタンその他につきましては、いわゆる中速のものでも外国船に対抗できるという面もあるのでございます。ただ日本の定期船の船体の現状からいたしまして、高速船が非常に欠乏しておることは事実でございますので、私どもは年来ごく例外を除きましては、できるだけ高速のライナーを優先的に選考して参ったのでございますが、この方針につきましては、今後ともにライナーについては原則として高速を優先していくという考えには変りはございません。  それから不景気のときにこそ船体整備考えるべきではないか、これは不景気なときには船価も安うございまして、うまくこのときに船体整備ができれば、おっしゃる通りに、好況の場合には非常に安い船価でいい運賃が受け取れるわけでございますので、非常にけっこうなんでございますが、いわゆる計画造船におきます財政資金のワクがどの程度取れるか、そのときには財政の方は完全に緊縮的な様相を呈しますので、その辺が一番懸念されるのでございますが、造船所の方の発注の状況もございますし、これは船舶局の所管でございますが、不景気なときには外国船の注文がなくなりまして、そういう際に日本の鋼船の発注も少くなると、造船所は非常な苦境に立つわけであります。そういう面から申しましても、やはりそういう不況の際にも相当量の日本船を整備することが、海運、造船界のためにも望ましいということは、その通りでありますので、できるだけの努力を払いましてそういうふうに持っていきたいと思っております。
  58. 小山亮

    小山(亮)委員 今不況のときにはなかなか融資が思うようにいかぬとおっしゃいましたが、それは大蔵省まかせ、銀行まかせにしておればできっこはないのです。そこに私は国策として——国策という名前がいいか悪いか知りませんが、日本再建の絶対的な要請から、計画造船のそれだけの量が必要だということがうたわれているのですから、銀行まかせや大蔵省まかせでおかないで、あくまでもあなた方の国策的見地に立った主張を通されるというように努力していただきたいと思うのです。  それからもう一つは、移民船と外航客船の建造促進ということがありました。移民船も必要だ、現在五隻あると言われましたが、それでは足りないから六隻作る、これは私は非常に賛成であります。しかしそれに便乗しまして外航客船を建造すると政府が特別補助するということは、ちょっと私にはうなづけない。というのは、御承知のように外航の大型客船というものは非常に見たところはいい。見たところはいいが、太平洋を横断するところの二万五千トンないし三万トンの船を作ろうとしますと、どうしても船価は百億です。百億の船を作って、客船の寿命というものは十三年か十五年しかありませんから、その十三年か十五年の間に船価が償却できるかというと、半分もできない。百億もの船を作って、外貨獲得という名前で船を作るが、実は五十億しか利益がないということになりますので、各船会社とも客船を作りたいけれども作れない。作っては合わないのですから、どうしても採算がとれる貨物船を作るということになっております。それから最近飛行機や何かで非常に客が運ばれている。また外国の船でも来ますが、外国の船だって、たとえばアメリカであるとかイギリスであるとかというように、日本海運に対する利子補給をやっておると同様に、非常に低利な造船資金を貸し出して船を作らしておれば、あるいはそういうことができるかもしれません。またそれに対して政府も非常な援助をしておりますから、あるいはできるかもしれませんが、日本の現状においては大型外航客船を建造するということはとてもできないのではないか、それをやるよりもむしろ移民船をおやりになったらどうか。移民船といりものは実際国策から必要なんだかり、しかもまたこれはかたわの船ですから、どこにも使えるというものではないので、一カ所しかやれない、目的地しかやれないので、たとえば今は南米に行っておりますが、あるいはこれからその他あちらこちらに、ベネズエラだとか、どちらに行くか知りませんが、至るところ、カンボジアあたりにも——どんどん移民船が作られるようになるでありましょう。そういう場合には、どの会社がやるにしましても、移民船である以上は、これは日本の人口問題の解決に努力するという点から考えまして、日本としてはこれらに対する絶対的な援助をしてもいいのじゃないか、こういうふうに考えます。しかし太平洋やあるいはヨーロッパに行く外航客船というものを作る場合に、これに対して政府が損失を絶対補償してやるということは、これはちょっと今では無理ではないかというふうに考えますが、どうも移民船と外航客船というものを並べてしまって、抜き差しならぬようにお出しになるのはどうかと思うのです。移民船は移民船として考える、外航客船は外航客船として考えたらいいのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  59. 辻章男

    ○辻説明員 おっしゃる通り、私どもも外航客船と移民船とは分けて考えておりますので、たまたま文字が「及び外航客船」というふうに使ってありますが、考え方といたしましては分けて考えております。この外航客船の問題でございますが、るる小山先生から説明、御意見がございまして、その通りでございますが、ただ外航客船の問題は、私どもの方の観光局関係におきまして、向うの御調査によりますと、日本へ来る観光客で、アメリカあたりからは、片道は船に乗りたいという希望のある者が相当ございますし、またアメリカにおります在留邦人、またアメリカの太平洋岸におります関係者の方も、戦前日本の非常にサービスのいい客船があった。戦後十年もたって日本も復興したのだから、ぜひああいうものを復活して、日米親善に役立たせたらどうかというふうな御気分が相当強いようでございます。そういういわゆる大局的な見地から、どういうふうにお取り上げになるかは政府の最高のところでおきめ願うだろうと思っておりますが、おっしゃる通り、海運政策といたしましては、いわゆる財政資金の資金効率といたしましては、貨物船の方が確かにいいのでございます。そういう意味で、非常に事務的なことで恐縮でございますが、海運局の事務当局といたしましては、やはり貨物船の方を第一義に考えていきたいというふうに考えております。観光の観点とか、あるいは在留邦人あるいは対米関係というふうな見地からも、この問題は考えなければならぬ問題でございますので、そういう見地につきましては大局的に御判断願いたい、かように思います。
  60. 小山亮

    小山(亮)委員 今の辻さんの答弁は、どうも大へん苦しいような答弁だったから、これ以上は申しません。国際収支の改善という銘を打っておいて、現に百億の船を作れば、十二、三年間、一生を通じても半分損するというふうな問題を出すのですから、私はこれは無理だと思いますけれども、一応お話は伺っておきます。それとともに、もしこれをおやりになるならば、あとの交通安全と災害防止の面で「老朽の旅客定期航路用船舶の計画的代替建造」というのが小さくうたってありますが、日本内地の観光の面から見ても、交通の面からでも、一番重大なのは日本内地の、いわゆる瀬戸内海とかなんとかのあの島々を航海する船、これが一番重大だと私は思うのです。アメリカに行っておる日本の移民が、日本内地にあこがれを持って帰りたいというような人にまで、日本の船を損してもぜひとも乗せてやろうという御親切なお考えがあるならば——瀬戸内海には四、五百の離れ島がある。この島の間の交通は絶対船でなくちゃならない。ところがあれは観光航路とかなんとかいうことでして、離島航路としては取り扱っていないが、離れ島である点においては全く間違いないのですから、このたくさんの島々へ通っておる船は、私がここで言うと非常に変なものですけれども、実際話にならないボロ船です。北海道沿岸を見ましても日本の沿岸を見ましても、沿岸を航海しております旅客船は全く身の毛のよだつような船を動かしておる。三十年や四十年、五十年なんというのはざらです。新しいきれいな船なんというものはほとんど少い。しかもそれは何ら政府の援助を受けないで、業者が自分の負担でやっておりますからできないのです。それからまたそれらの人々が離れ島の航海をしておりまして、瀬戸内の航海などを見ましても、天気が晴れた、曇った、あるいは風が吹いた、なぎだというようなことのためにお客の数がうんと違う。雨が降った、風が吹いたなんというと一人もお客がない。しかし定期航路でありますから、しけでない限りはお客がなくても船を出さなければならない。旅客定員がありましても、ふだんから旅客定員だけ人間が乗ってくれさえすれば、業者は決して損をしない。ところが乗らないときは全然乗らない。そうしてお祭か何かあるときだけはめちゃくちゃに乗ってくるから、この間の第五北川丸のような不祥事件を起さざるを得ない状態になる。しかしあの場合でも第五北川丸が鉄船であって、相当新しいりっぱな船であるならば、おそらくは沈まなかったであろう。そういう点から考えて、定期船の改善をやるということになるなら、なぜ日本内地の弱小船舶業者に対しての保護をおやりにならないか。あるいはこれに対する船質の改善をおやりにならないか。郵船会社であるとか商船会社であるとかいろ日本有数の、世界にも有数な名うての大会社の援助だけをお考えにならないで、なぜ中小企業者に対する対策をお立てにならぬか。私が従来運輸省の行政に対していつでも非常に遺憾だと言っておるのは、大企業者、大経営者に対しては非常に手厚い援助をする、至れり尽せりの援助をしておる。にもかかわらず、なぜこういう中小企業に対する対策がないのか、中小造船所に対しても中小の海運業者に対しても、あるいは瀬戸内海なんかを航海しておるああいう異様な船を見ましても、実際上これをなぜやらないかということを私どもは不思議に思うのです。たまたま第五北川丸のような事件が起きまして、あの船でも船齢三十九年の船だ、そういう船に人間が定員よりはるかに、定員の三倍も乗って沈んでしまった。あの事件は非常に不幸な事件であります。しかしあの不幸な事件があったために、われわれは初めて瀬戸内海に視察に参りました。瀬戸内海の島々に通っておる船は——自分が一緒に参りましてあの付近をよく見て、これは政府が何とかしなければならない。むしろ私ども議員といたしまして国会の運輸委員会委員の席を持っておって、どうしてこれを早くやらなかったか、全く国民に申しわけないという感じを持った。しかるにこの問題はあなたの方で大きく取り扱っていない、小さく取り扱ってありますが、これは大きくお取扱いになったらどうでしょうか。そうしてまた船質の改善、離島航路あるいは瀬戸内海を航海する船は、大体原則として鉄船に直してもらいたい。それをやるには普通の援助ではだめなんです。かつて日本海運界が揺籃時代、戦争でたたきつけられた時代に今日の盛んな姿に返ってくる、その基礎になったのは、船舶公団というものを作りまして政府と共有の施策をやったために、日本の船舶というものは曲りなりにも立ち上る機会を得たと思う。私はあのやり方は非常によいやり方だと思う。たまたま鉄鉱公団であるとか他の公団に不祥事件が起きましたために、それにあらぬ疑いをかけられまして、船舶公団は非常に圧迫されました。ところが調べた結果全然無罪だった、何にも悪いことはなかった、りっぱなことをやった功績だけはあったが、罪人は一人も出なかったにもかかわらず、他の公団と同じように、あつものにこりてなますを吹くということのためにやめてしまったのでありますが、私は、この瀬戸内海の小船の定期船だけでも集める、あるいは中小の離島航路の船だけでもこれを一丸として、大体二百社ぐらいあるそうですが、これを対象とする内航定期船の船舶公団というようなものをお作りになって、そうして政府と共有で船質の改善をやる。さらに政府と共有でありますから、政府の強い統制力をもって今までのでたらめな運賃競争や何かをさせないように、適当にこれを保護調整をするというようなやり方をするのはどうかと私は思うのです。これはこの際に考うべき問題ではないか。またそれがために政府の予算というものは、そんなに莫大な予算を必要とするのでないのでありますから、この点は一つ特に御考慮を願いたいと思うが、お考えはいかがでしょうか。
  61. 辻章男

    ○辻説明員 おっしゃる通り第五北川丸のような不祥事件が起りましたが、内地の定期船の船質の状況はおっしゃる通り非常に悪いのでございますが、何分にも収益が上りにくい企業なものですから、なかなか船賃改善もできないというふうな状況になっております。私どもも御承知の通り今まで旅客定期船に関しましては、離島航路に対しまして一部航路の赤字を補助いたします航路補助の問題、それから船舶新造及び改造につきまして財政資金の融資とそれから利子補給という制度で、船質の改善をはかって参ったのであります。ただいま小山先生のお説の通り、非常に企業力が小さくて、なかなか銀行からの融資の対象にもなりにくいような船主が多いのであります。そういう弱体なもので、離島航路等で重要なものにつきましては、どうしても建造補助金を出して促進させていきたいという考えで、来年度には実現させたいというふうに考えております。まず、今瀬戸内海のお話もございましたが、私ども考えといたしましては、やはり離島航路、特に北海道方面からまず手初めに考えていきたい、かように考えております。
  62. 小山亮

    小山(亮)委員 北海道を先にするとか、どこを先にするとか言わないで、補助金というようなことをやるから大蔵省が出し渋って、そういうことができないのです。抜本塞源的なことを考えたらどうですか。今言う通りの公団をやれば、何も離島航路の北海道であるとか佐渡であるとか、やれ九州であるとかに限らないで、全部離島なんですから……。あの瀬戸内海の島々は離島であるとお考えになりませんか。みんな離れ島ですよ。どうして歩いて行かれますか。トラックでも行かれませんよ。みんな離れ島なんですから船でなければ行けない。四百幾つありますよ。それを北海道を先にやるとかそういうことを言わないで、現実にああいう悲惨な事故が起ったのは瀬戸内海です、そうしますと、私たちはどうしても抜本塞源的な方法で、これを今言う通りに融資の対象にならないような人に、政府が共有で公団を作って、政府の責任においてこれを保証してやるのです。そうしてまた補助金だってただくれっ切りになる、こじきのようにただもらいっ切りということは考えられない、そうではなくて、共有で作って借りるのです。借りてそれをみな返すのです。私は返していくべきものであると思う。さっき運輸大臣が言いました自主独立の精神、これこそ私は海運界に自主性を持たせるゆえんだと思う。何でもかんでも補助をもらう、何でもかんでもどこかへすがりつこうという根性でなくて、金を貸してやる融資の対象にならぬ、ならぬなら公団がうしろだてになって借りさせる、そうしてその船を公団が握ってしまうのですから、航路に対しても口ばしが入るのですから、りっぱに運航ができますよ。瀬戸内海の運航はりっぱに採算が成り立つのです。あそこは船に乗らなければ行けないのです。交通機関を握るのですから絶対安全なんです。そういう今思い切った施策をおやりになったらどうですか。ただあなたの方では補助金と書いてしまったから、何と言おうがほっかぶりして補助金を出してやらなければいかぬというような意地になった考えを持たれないで、私どもも協力しますよ、あなた方と一緒になって大蔵省なんかにも説明にも参ります。ですからどうかこの際は一つ思い切ったことをやっていくということはどうでしょうか。また率直に言うと中村運輸大臣もしろうとなんです。しろうとであるからこそのみ込みは早いと思う。いろいろのことを知っているとか、業者の関係やひもつきなんかだったらしやしません。ひもつきでなくてしろうとであればほんとうに常識的に考えて、これがよいと思えばまっすぐに飛び込んでいける、これをやるならばまさに画期的な仕事です。そうして日本内地の離島の島々に通う人々は永久に助かるのです。そうしてまた絶対に海難防止になるのです。再び災害をなからしむるのです。これはぜひともやってもらいたいと思うのですが、その御決心はおありですか。
  63. 辻章男

    ○辻説明員 私ども別に意地になっているわけでもないのですが、建造補助まで思い切ったつもりでいるのですが、小山先生の御構想非常に雄大でございますので、私どもなお部内でいろいろ検討いたしまして、なにしたいと思っております。
  64. 小山亮

    小山(亮)委員 これはあなたの方の重要施策の中に落ちておりまして非常に私は残念だと思うのですが、それは今の海上の船舶を操縦する技術者の養成の面について、ぜひともこの一項を加えてもらいたいと思うのです。それは船員教育機関の整備養成補助の強化というふうなとこで、優秀船員を確保し、とこういうふうにばく然と書いてありますが、そうでなくて実際大きな問題は第十三次の造船の設計をごらんになればわかりますが、ほとんどといってもよいくらい電動船です。これからの日本の船は貨客いずれにしましても電動船になってくる。電気で全部動くような船になって参ります。これはだんだんオートメーション化し、さらにまた原子力船の時代に近づけば近づくほど電動化して参るわけです。ところが実際に高度に電動化された船は、今の商船学校の機関科を卒業したところの機関士、機関長というような人では操縦できない。電気エンジニアといいまして、電気の技術機関士というものを一人雇わなければやっていけないという状態です。私は船舶を操縦する最高の技術者の上に、さらに電気の技術者を持たなければならぬということは全く悲しむべき事実だと思うのです。ほんとうに日本の商船学校の教育内容というものをもっと程度を高める、もっと高度の電気技術あるいは電気の学理を修得させるような教育に、教育の内容を今改めなければ、何のために商船学校の機関科があるのかわからなくなってしまう。ここが非常に大事なことでして、ことにデッキの方の航海士、船長になる人も同様です。船に乗っている人は全部です。航海と機関を問わず、全部非常にすぐれた電気に対するところの技術、知識を持っていなければ、これから船は操縦できないようになる。にもかかわらず、商船学校の教育内容というものはさらに改善されていない。これは重大なことで、今日でもすでに間に合わないくらいです。これは教育は文部省にまかしておくのだ、文部省がやるのだからとおっしゃらないで、それは学校は文部省が所管しておるのかもしれませんけれども技術の内容に至っては運輸省海運局がこれを指導してやらせなければだめなんですから、その点は一つここに強く打ち出していただきたい。この点が一つ、それから時間の関係がありますから、もう一つ重ねて伺いますが、今日船は非常に大型の船ができるようになりまして、八万トンの船も現にもう出光なんか動かすような時代になりました。四万トン、五万トンの建造計画がどんどんありまして、もうことしあるいは来年には四万トン、五万トンから十万トンの船が日本の国でできて、そうして日本の近海にもどんどんと寄港するようになるでありましょう。その場合に、日本に港があるかということです。日本の港ははなはだ残念ながら四万五千トン、五万トンの船が接岸のできる港というものは、紀州の下津しかない。この日本の近海にあります無数の港が、ほとんど大船巨船を係留させるに不適当なんです。喫水が非常に浅くてだめなんです。ようやくにしてこの間昨年度において、日本の国内において約十港をドレッジをやって掘ろうという計画が立っておりますが、しかしその計画も水深九メートルないし十二メートルでありますから、もっと大きな船が参りましたらとても間に合わないということになる。しかるに実際はどうかといいますと、タンカーはますます大きいのを必要とする。そうして鉄鉱専用船も近く大型のを必要とするようになりました。鉄鉱専用船も今まではパナマ、スエズを通るので船の深さというものが限定されますから、日本に寄港する船の大きさというものも制限されてきたのですが、もうすでに南米のベネズエラあたりから物を運ぶということになりますと、スエズ、パナマを経由しませんから、そうしますと船の大きさというものは幾らでも大きくなる、また大きくなればなるほど船は運賃が安くなって、利益が上るのです。一万トンの船に対して船員が約六十人、しかるに八万トンの船に対しては百二、三十人、との程度ですから、もう目に見えて船が大きくなれば経費が安くなる。安くなれば運賃が下るのですから、運賃の競争においても日本の船は外国に大きな船を作られては負けるのです。だから、そうなるとどうしても大きな船を日本がそれに負けないように作らなければならない。作るにはどうしても日本の港を考えなければいかぬ。そこで私どもは、もう日本の全部の港を掘り上げるということは間に合わないと思う。瀬戸内海の中に一港と九州に一港あるいは関東に一カ所、北海道に一カ所、中部の伊勢湾に一カ所、この五カ所くらいを重点的に五万トンなり八万トンの船が楽に入れるように今急速に作り上げる、これが一番大事な処置だと思うのです。それともう一つは肝心なあの呉のそばの三ッ子島というのをナショナル・バルク・キャリアズに取られてしまって、日本の船は使えないのです。使えないが、これは非常に残念なことで、あれこそ八万トン、十万トンの船が自由に着岸ができて、そうしてそこに荷物の陸揚げができるようなりっぱな島であったけれども、残念にもこれはアメリカに十五年間借りられているという現状でありますので、他に何か方法を考えなければなりません。他に何か考えなければならぬことは、非常に迅速に考えなければならぬ。これに対して、何かここに港湾の設備とかなんとかいうことがございますが、実際に具体的に実情に即して、しかも迅速にできる方法としては私の申し上げた案がいいと思うのですが、これは私自分の案をしいるのじゃないですよ。あなた方の方に他に考えられておいでになることがおありになればそれを伺いたい。
  65. 朝田靜夫

    ○朝田説明員 いろいろ他の局の所管に属する問題にまで発展いたしますので、私からお答えをいたします。  最初の船舶の電気士の問題でございますが、これは小山先生の言われる通り、商船学校の教育内容の問題であろうと思うのであります。ここにある運輸省の三十三年度重要施策要綱は、運輸省の所管のことだけでまとめ上げたものですから、こういうことになったのであります。先ほど言われましたように等閑視しているものでは決してないのであります。船員教育審議会等にも諮りまして、これは根本的な問題でもありますので、なお研究を続けて参りたいと思います。この問題につきましては、私見ではなはだ恐縮でありますけれども、私は船舶職員法まで改正しなければならぬという主張にまで発展するのじゃないか。いわゆる新しく船舶電気士といったようなものまで——従来の航海、機関、通信、こういったような範疇だけで考えないで、さらにもっと大きな問題が取り上げられるのじゃないだろうか、こういうふうに考えるのであります。  それから第二の点につきましては、船舶の大型化に伴いまする港湾の整備の問題でありますが、この問題につきましてはおっしゃる通りであります。オア・キャリアの問題にしましても、マンモス・タンカーの問題にいたしましても、このままではどうしてもいけませんので、ただいま考えておりますところでは、ここで早急にそれをやらなければならない。しかも一般の公共事業費にたよっておりましては何年かかるかわからない、こういうような焦燥の感にとらわれておりますので、新しい構想といたしまして、こういった産業関連施設を含めて、多目的ダムに採用されましたような特別会計を一つここで設定したい、こういうことがここにちらっと出ておるのであります。それは後刻機会を見まして詳細に御説明申し上げたいと思います。
  66. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 港湾の問題に触れて質問しようと思ったのですけれども小山委員も触れられましたから後刻に譲ることにいたします。そこで先ほど触れました海上バスといいますか、離島間の交通連絡の現況からその施策について質問をしてみたいと思います。  まず運輸大臣質問をいたしますが、この計画書を見ましても、先ほど小山委員の指摘されましたように、ともかく派手なところには非常に大きな計画があるようでありますけれども、地味なところにはどうも手が回らないというのが、現在の政治の実態ではないかと私は思います。私は常にこういうことを言っておるのです。とにかくこれは同僚間のことになって恐縮ですが、選挙なんかのときになりますと、中小企業ということが非常に大きく問題にされます。のみならず選挙のときには御同情を願いますという言葉は、大ていの候補者からみんな出るのです。私はそこで言っておるのですけれども、今日もし同情を得て私どもが議席を占めると仮定するとすれば、今度は逆にお返しするものは、そのときに最も声を大にいたしました中小企業に対して同情のある政治をして返すということが、私は最も必要ではないかと思う。それが政治道徳上からいっても当然のことではないかと思うのです。けれども今日の政治を見てみますと、選挙のときには大ていの者がみんな同情を願いますといって議席を占めますけれども、今度は議席を占めて施策を行いますときには、大企業の、同情をせぬでもいいところには非常に多くの同情をして、そうして金をまきますけれども、肝心の今倒れようか倒れまいかということで、先ほどから海運局も自認せられておりますように、補助等をもってしてもその補助をよう受け入れないというくらいな零細な業者が、海上バスいわゆる足を受け持っておる。しかもその生命、財産はきわめて劣悪な機具をもって輸送せられておる。これこそその乗る人にも同情しなければなりませんし、そうしてその例れかかっておる中小企業の、こういうやめるにもやめられぬで困っておるという者にも同情して、私はもっと施策を強化すべきではないかと思うのですけれどもどうですか、お考え一つ承わりたい。
  67. 中村三之丞

    中村国務大臣 仰せの通りです。そこで、この間も内国航路の業者あるいは中小造船業者が見えまして懇談をいたしました。ただああいう方にはまだ組織が強力にならないものですから、まずたとえば中小造船業者は今度は懇話会をやって、これからどんどんこれで組織を強化していこう、こういうものに対して今後われわれが中小企業金融で金をお世話をする、あるいは先ほど小山君も言われたしあなたもおっしゃったが、内国航路の船はほんとうに危険である、そういう改善する意思は業者にはあるのです。私はこの間それらの人々の熱意に非常に打たれたのです。これは方法をもってすれば、あるいは団結をもってすればできると思いました。これは今度は予算措置はあまりできておりませんけれども、しかし金融の面で、われわれの方でお世話をしてあげる、これがやはり普通銀行の対象にならないものであるとすれば、政府の関係のある息のかかった金庫等においてお世話をする、これは私、考えております。  それから離島のことも仰せの通りでございますが、もう一つ最近離島に対して飛行機会社の出願があるのでございます。もっともこの中にはいろいろ競願がございまして、どれを処置していいかわからぬものもございますが、一面やはりそういう信用、資力のある航空会社が、離島との間の便をはかるという場合は、私も適当に処置したいと思っております。
  68. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 再度わずらわして済みませんが、今大臣の言われた施策については、かけ声だけではなしに事務当局を督励して、そして大蔵省も一つ督励してもらって、この弱小海上輸送業者、特に人命財産を預っている海上バスといいますか、これについては事直ちに人命財産に関する重要な問題でありますし、第五北川丸のごと事故を起してからどう言っても死者が戻るものでもなし、それは語らぬでもわかっているのですから、ぜひとも私はこの三十三年度の計画の中に幾分たりともこれを織り込んでいただくようにお願いをしたいと思うのです。  それからもう一点お尋ねをしたいのは、このようにして離島間の、あるいはまた沿岸の海上バスを受け持っております会社は、近時陸上交通の発達あるいは道路の整備等に基きまして、ますますその経営は困難をきわめておるわけです。そこでこの海上バス業者は活路を求めて陸上バスに乗りかえをしよう、あるいは陸上バスと兼営をやって窮地をのがれよう、こういうような意欲も非常に盛んのようであります。けれども陸上ではちゃんと先に営業しておるものがあって、その方の路線と勢い競願となりますために、各所に摩擦を生じております。それで海上バス業者としては非常に悲痛な叫びをあげているのが現状であると私は思います。このたび四国方面を視察して帰りましたが、やはりこの方面においてもその通りでありまして、私は、この際このような状況下に置かれている海上バス、陸上バス業者の摩擦をなくするための行政措置というものは、ぜひともやらなくてはならない重要な問題であろうと思います。なぜかといいますと、これは語らずともわかっておりますけれども、今申しますように今日海上のバスだけをもってしては、どうしてもその経営採算は成り立ちません。それでそれでは離島間におきまする海上定期運送会社を整理統合をしてみましても、結論としては同じことでありますし、それのみならず三十年以上もたったような、しかも木造船体をもってする危険きわまりない船を運航されておる。これは幾ら統合をしましても、結局その船というものは新しくなるものではありませんし、また統合したからといっても、その船体を新しくというか、代船を建造しようとしましても、その資力がないということは、今まで認められて言明せられた通りであります。このようなことでありますから、従ってこれに資力をつけ、あるいは経営能力を与えるといたしますと、どうしても陸上交通との併合等を実施に移さなければ、この企業は成り立たないと思います。こういう点についてはよほど行政上の措置を誤まらないように実行していただく必要があるということを私は痛切に感ずるわけでありますけれども、これについての大臣の所見を一つ承わっておきたいと思うのです。
  69. 中村三之丞

    中村国務大臣 陸海の調整、これは私も考えております。ただこれを具体的にどうするかなかなか問題がございますが、この陸海の調整をやるという原則は、私は考えております。  それから内国航路の船は、小山君が言われたように木船が非常に多い。これをできるだけ鋼船にかえる、あるいは今の古いものを代替する建造をやる、これらについても補助をするというのは、今度予算に出してございます。いずれにいたしましても、内国航路の船が大へん悪いということは、もう私も聞いて、ある意味においてびっくりしております。小山君の言うように、私はしろうとでございますが、しろうとがやる場合には、思い切ってやれるという点もなきにしもあらずでございますから、この点はとくと私も心得ております。
  70. 淵上房太郎

    淵上委員長 それでは本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後一時二十一分散会