運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-19 第24回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十九日(月曜日)    午前十時四十三分開会     ————————————— 三月十七日予算委員長において、左の 通り分科担当委員を指名した。           池田宇右衞門君            伊能 芳雄君            高橋進太郎君            西岡 ハル君            堀  末治君            戸叶  武君            羽生 三七君            片柳 眞吉君            北 勝太郎君            千田  正君     —————————————  出席者は左の通り。    主査      堀  末治君    副主査     西岡 ハル君    委員            伊能 芳雄君            戸叶  武君            羽生 三七君            片柳 眞吉君            北 勝太郎君            千田  正君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君    建 設 大 臣 馬場 元治君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 静夫君    運輸大臣官房会    計課長     梶本 保邦君    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省船舶局長 山下 正雄君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君    運輸省航空局長 林   坦君    運輸省観光局長 間島大治郎君    海上保安庁長官 島居辰次郎君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設大臣官房会    計課長     齋藤 常勝君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長 鎌田 隆男君   説明員    中央気象台総務    部長      吉村 順之君    日本国有鉄道経    理局長     石井 昭正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔年長者堀末治君仮主査となる〕
  2. 堀末治

    ○仮主査堀末治君) それではただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、不肖私が年長のゆえをもちまして正副主査の選挙の管理をさしていただきます。  これより正副主査互選を行います。互選方法はいかがいたしましょうか。
  3. 北勝太郎

    北勝太郎君 正副主査互選は投票によらず、主査堀末治君を、副主査西岡ハル君を推薦することの動議提出いたします。
  4. 羽生三七

    羽生三七君 北君の動議に賛成いたします。
  5. 堀末治

    ○仮主査堀末治君) それではさよう決定いたします。     —————————————   〔堀末治主査席に着く〕
  6. 堀末治

    主査堀末治君) 皆さんの御推薦によりまして、私が主査をやらせていただくことになりました。どうぞ皆さんの御協力によりまして大過なくやりたいと思いますので、何とぞてよろしくお願い申し上げます。  審査に入ります前に、議事の進め方について御相談申したいと存じます。  当分科会は、昭和三十一年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算中、総理府所管のうち自治庁関係農林省運輸省建設省所管について審査をいたすわけでありますが、委員長及び理事打合会の申し合せによりまして、分科会は本日より向う三日間行うことになっておりますので、この点あらかじめお含みの上御審議をお願いいたしたいと存じます。また、本日は建設省及び運輸省所管について、明二十日は農林省所管について、二十二日は総理府所管のうち自治庁関係について、御審議を願うという方法で進めて参りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 堀末治

    主査堀末治君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  それではこれから審査に入ります。  まず、昭和三十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算建設省所管を議題といたします。  本件につきまして政府より説明をお願いいたします。
  8. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 建設省関係昭和三十一年度歳入歳出予算案について、概略を御説明申し上げます。  まず、総額について申し上げますと、建設省所管一般会計予算といたしましては、歳入四億九千五百余万円、歳出九百七十四億七千三百余万円でありますが、この歳出に、予算計上所管は異っておりますが、予算執行の際、建設省に移しかえまして、建設省所管事業として実施されます予定経費が、別途総理府北海道開発関係のものとして九十八億四千四百余万円、労働省特別失業対策事業として二十三億五千万円が計上されておりますので、これらを合算して前年度に比較いたしますと三十年度一千五十一億一千八百余万円に対しまして、三十一年度一千九十六億六千七百余万円でありまして、差引四十五億四千九百余万円の増加となっております。  次に、個々の事業予算について御説明申し上げます。まず、治山治水事業については、総額といたしましては二百八十四億一千二百余万円でありまして、前年度二百八十九億六千二百余万円に比較して、五億五千万円の減額となっておりますが、労働省所管計上の上移しかえて使用いたします特別失業対策事業費のうち、七億円を治山治水事業に充当いたすこととしておりますので、実質上の治山治水予算は二百九十一億一千二百余万円となり、前年度二百九十四億六千二百余万円に比して三億五千万円の減額ということになっております。なお、治水事業の重要なるにかんがみ、国の負担率及び補助率引き上げを行なって地方負担軽減をはかっております。  次に、その内訳といたしましては、河川改修及び海岸修築に百四十五億五千二百余万円、河川総合開発に七十九億三百余万円、砂防に五十三億二千万円、機械整備費に六億三千七百万円でありまして、このほか特別失業対策事業費として、河川改修に六億円、砂防に一億円を予定いたしております。治山治水事業の実施につきましては、経典の重点的効率的使用をはかることはもちろんでありますが、本年度においては特に多目的ダム建設工専促進をはかるとともに、昨年の北海道地方における水害の状況にかんがみまして、同地方河川改修並びに砂防工事促進をはかることといたしております。  次に、おもなる事業内容を申し上げますと、河川改修につきましては、特に工事重点化集中化をはかりまして、経済効果早期具体化をはかりたいと考えておりますが、騎乗内容といたしましては、直轄河川として、前年度より継続利根川ほか八十六河川のほか、本年度より白川ほか四河川を新たに直轄施行することにいたしております。また、北海道における開拓事業に関連する特殊河川改修につきましては、十河川を施行する計画でありまして、直轄事業といたしましては計百二河川改修を実施することといたしております。補助事業として都道府県が施行する中小河川改修といたしましては、前年度より継続の二百七十四河川事業促進重点をおきまして、特に災害防除及び土地改良等関連事業との調整をはかりつつ、実施いたしたいと考えております。  砂防事業につきましては、直轄事業として施行いたしております利根川ほか二十四水系継続実施いたしますほか、補助事業としては、重要水系地域における工事促進するとともに災害防除重点を置いて行きたいと考えております。  河川総合開発事業につきましては、特に継続事業促進重点をおくことといたしまして、直轄事業については、前年度より継続鬼怒川ほか十三ダムを実施することとし、このうち補償問題の解決いたしました雄物川のほか天龍、荒川、肱川の三河川につきましては、本年度より新たに継続費を設定し、工事計画的効率的施行をはかることといたしております。補助事業につきましては、宮川ほか九ダムを実施することといたしております。なお、本年度におきましては、直轄事業については鬼怒川の五十里、物部川の永瀬、幾春別川の桂沢の三ダム補助事業については宮川ほか三ダムが完成する予定であります。  次に、災害復旧事業でありますが、災害復旧関係予算といたしましては、総額二百九十億六千五百余万円で、うち災害復旧事業費二百五十三億四千二百余万円、災害関連事業費三十七億二千三百余が円を計上いたしておりますが、なおほかに特別失業対策事業として河川助成費一億円が計上されております。その内容を申し上げますと、災害復旧事業につきましては、通年災については三分の一程度を復旧することを目途といたしますが、特に三十年災については、さきに行われた国庫負担法改正の趣旨にのっとり、緊要な災害復旧事業については三カ年で復旧することを目途として、直轄事業は全体のほぼ七〇%、補助事業は全体のほぼ六五%程度を復旧することを目途といたしております。災害関連事業は、災害復旧事業と合併して必要な改良工事を行い、または災害復旧工事に準ずる緊急改良工事を行うわけでありますが、本年度においては特に地盤変動対策及び河川海岸助成工事促進重点をおいて実施いたしたいと考えております。  次に、道路事業費について御説明申し上げます。道路事業関係経費は三十一年度二百八十九億四千六百余万円でありまして、三十年度の二百三億七千五百余万円に対しまして八十五億七千百余万円の増加となっておりますが、このほかに労働省所管計上されております特別失業対策事業費のうち、十一億四千三百万円を道路事業に充当することになっておりますので、これを加えますと三百億八千九百余万円となり、前年度二百二十億五百余万円に対しまして八十億八千四百余万円の増となるわけであります。右のうち建設機械に十二億八千万円、災害関連事業として一億五千六百万円及び今回新設されます予定日本道路公団に対する交付金として二十億円を充てることといたしておりますほか、特に臨時就労対策事業として五十六億三千万円を計上いたしまして失業者救済に寄与することといたしております。本年度は、道路整備五カ年計画第三年度に当っておりますが、右の予算措置により、同計画に基きまして主要道路整備促進し、産業振興の基盤を固めたいと考えております。なお、道路事業費国庫予算増加に伴いまして、地方公共団体負担増加することとなるわけでありますが、これに対しましては、国の負担率及び補助率引き上げることによりまして、その負担軽減する措置をとることといたしております。なお、ガソリン税道路整備費との関係について一言申し上げますと、三十一年度ガソリン税収入見込額は、一キロリットル一万一千円として三百七億二千万月及び昭和二十九年度ガソリン税収入決算加算額三十六億百万円、計三百四十三億二千百万円でありまして、道路整備費はこれに一般財源四億九百万円を見込み三百四十七億三千万余円となっております。その内訳は、以上御説明申し上げました道路事業関係費として三百億八千九百余万円、別に都市計画関係街路事業費として四十六億四千百万円ということになっております。  次に、一般公共事業のほか、有料道路関係につきましては、御承知通り昭和二十七年度特定道路整備特別会計が設置され、この制度が発足いたしまして以来、着々とその成果をあげて参ったのでありますが、わが国道路の現状にかんがみ、さらに民間資金導入活用することにより、有料道路整備一段促進をはかるため、現制度を改めまして日本道路公団を新設することといたした次第であります。  日本道路公団資金といたしましては、一般会計よりの交付金二〇億円に加えまして、資金運用部資金より一〇億円の融資を受けるほか、一般民間資金五〇億円の導入予定いたしまして、総計八〇億円の資金によりまして、関門国道等既定継続事業促進をはかるほか、新規事業をも取り上げまして、わが国道路網一段整備促進して参りたい考えであります。  次に、都市計画事業費について御説明申し上げます。都市計画事業費は、総額五十億二千余が円を計上いたしておりますが、労働省所管特別失業対策事業費のうち四億七百万円を都市計画事業費に充当いたしますので、これを合せますと五十四億二千七百万円の予算となり、前年度五十一億二千二百万円に比し、三億五百余万円の増となっております。都市計画事業につきましては、本年度は特に戦災復興事業継続して実施いたしますとともに、都市施設、特に街路整備重点的に実施して参りたいと考えております。なお、このうち十二億七千万円につきましては、道路事業説明で一言触れましたが、臨時就労対策事業としまして街路事業を実施することといたしております。なお、都市計画事業関係におきましても、地方財政負担軽減を考慮し、街路事業について若干の補助率引き上げを行うことといたしましたほか、新たに地方税として都市計画税を復活することといたしまして、地方負担軽減に資するとともに、これにより地方における都市計画事業の進展を期待いたしておる次第であります。  次に、住宅対策費について御説明申し上げます。住宅につきましては、従来の基本方針にのっとりまして、昭和三十年四月一日現在の住宅不足数二百七十二万戸の解消をはかりますとともに、毎年の住宅需要増約二十五万戸を充足することを目途として、昭和三十一年度におきましては、政府資金等により十七万八千戸の住宅建設計画するとともに、民間自力建設によるものを合わせて約四十三万戸の住宅建設を推進して参ることといたしております。国の財政資金による十七万八千戸の内訳といたしましては、公営住宅四万八千戸、住宅金融公庫融資住宅四万七千戸、日本住宅公団による建設二万三千戸及び厚生年金融資住宅入植者住宅公務員宿舎等三万戸計十四万八千戸の新築のほか、住宅金融公庫融資による増築等三万戸といたしております。  これらに対する予算措置について御説明申し上げることといたします。まず、一般会計予算として、さきに述べました公営住宅四万八千戸を建設するに必要な経費として百三億四千七百余万円を計上しております。住宅金融公庫に対しましては、資金運用部資金等より百九十六億円の融資を受けまして、さきにも述べました通り 住宅新築四万七千戸、増築等三万戸、計七万七千戸の建設及び住宅敷地取得造成三十九万坪に対しまして、所要の資金の貸付を行うことといたしております。日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計よりの出資十五億円に加えまして、資金運用部資金等より九十四億円の融資を受けるほか、地方公共団体資金四億円と一般民間資金百億円の導入予定いたしまして、総計二百十三億円の資金によりまして、賃貸住宅一万二千二戸分譲住宅一万一千戸の住宅建設及び宅地造成百万坪を計画いたしております。  以上、建設省関係昭和三十一年度予算案概略を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議下さるようお願いいたします。
  9. 堀末治

    主査堀末治君) 御質疑を願います。
  10. 千田正

    千田正君 昨年度予算のうち、災害等によって予備金支出、あるいは補正予算等によって追加された分はどのくらいありますか。
  11. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) ただいま資料をちょっと持ってきておりませんので、すぐ取り寄せましてお答え申し上げます。
  12. 千田正

    千田正君 実はどうしてこういうことを聞くかといいますと、昨年の予算委員会において、昭和三十年度予算を決定する際に、鳩山首相は、補正予算等災害以外には絶対組まぬということを言明しておられたわけであります。ところが途中において、御承知通り災害が頻発してきて、補正予算を組まなくてはならなかった事情があったわけでありまして、三十一年度補正予算を編成するに当りまして、少くとも過去三年ぐらいに、一般的にきめた以外に勃発する災害、予測し得べからざる災害が当然起きてくることを予想しなければならぬので、大体建設省側としては、例年の災害を通算いたしまして、大体何パーセントくらい毎年災害が起るのだろうという目安をつけてもらいたいと思うので、そういう意味から、私はそういう参考としまして、当初の予算に対比しまして、補正予算等災害を中心として出される額は今までどのくらいであったか、こういう点を伺いたいと思いますから、そういう資料がありましたら出していただきたい。  それから住宅関係で一つ伺いますが、ここに詳細に御説明いただきましたが、年々災害あるいは火災等によって損失するところの住宅数はどれだけありますか。
  13. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 住宅災害につきましては、その年によりまして多い場合、少い場合いろいろございますが、最近五カ年間の平均を考えますると、年間大体五万戸程度の滅失をいたしておる次第でございます。なお、そのほかに老朽化して行く住宅がございます。老朽化してだんだんだめになるような住宅、そういうものがそのほかに若干ございます。
  14. 千田正

    千田正君 それを合せまして、あなた方の方の計画新規住宅と差し引いて、実際プラスして増築になる数はどのくらいになるわけですか。
  15. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 年間需要増というものを合わせて考えておりますのですが、今お話しの災害で滅失しますほかに、人口増加によりまして世帯数がふえてくる。そのために必要となる住宅がございますので、それの差し引き勘定もやっております。その年間需要増は、災害人口増世帯増、そういうものを合わせまして約二十五万戸の新規需要があることと考えておる次第でございます。従いまして、かりに四十万戸年間供給せられたとしますると、二十五万差し引きまして、十五万戸が現在の不足数の、何といいますか、補いというような計算になるかと思います。
  16. 千田正

    千田正君 もう一点。これは建設省の、ことにダム等関係する問題ですが、現在ダム予定をしておって、調査費等はついておるが、現実に事業は進捗していない。その理由の一つとしては、補償というような問題がひっかかっておるというような点のあるダムが相当あると思いますが、一体そういうのはどれくらいあるでしょうか。
  17. 米田正文

    政府委員米田正文君) お話のように、ダム建設に関しまして、私ども今一番苦労をいたしておりますのは、補償の問題でございます。補償の問題が解決をしないために、本格的な事業着手ができないという実情にありますものは、一番大きいのは、東北地方では湯田のダムと申します和賀川の上流にございますダム、あるいは京都府の由良川のダム、あるいは熊本県の球磨川のダム直轄事業に関しましては今の三カ所がまだ補償全面的解決をいたしておりません。そのほか補助事業についても、なお補償解決のいたしておらぬところもございます。たとえば福岡県の矢部川のごときはまだ折衝中でございますが、総合的に見まして、これらのものがまだ未解決でございますが、早急に解決をいたしたいという努力をしてきておりますので、私どもとしては近い将来において全面的な解決をいたすことのできる見通しで進んでおります。  それから先ほど御質問がございました災害関係数字を簡単に申し上げたいと思います。災害に関しましては、当年災、すわなち三十年度災害については、三十年度予備費の中から支出をする建前をとっておるのは御承知通りでございます。年度当初に組みます災害予算は、前年度までの分の災害に対する金額を計上をいたしております。当年に起きて参ります災害については、当年の予備費支出をいたすことになっておりまして、今年度災害に関しましては、御承知のように災害国庫負担法改正が前国会で行われまして、その結果、主要な災害復旧工事については、三年で完了するという建前が明かにされたのであります。政府といたしましても、その方針によりまして、今年度の、三十年度災害予備費の中から支出をすることになったのでございます。その数字を申し上げますと、河川関係災害といたしましては、三十年度災害として、直轄が二十三億、補助事業が九十億、合計いたしまして百十三億という災害を生じたのであります。これを三年でやるという建前をとるわけでありますが、今年度、今までに支出をいたしましたものが、そのうち直轄について十億、補助事業について二十二億、合計いたしまして三十二億というものが支出をされたのでございます。なお、今年のうちに多少予備費から支出をすることができる見込みでございますが、今までの支出済み額は三十二億でございます。これによりますと、全体につきましては、直轄補助を合わせた全体につきましては、総災害復旧国費額の二八・九%、約二九%というものが今支出済みでございます。今後多少まだふえる見込みでございます。そういう状況でございまして、先ほど千田委員お話のございました、年々どのくらい災害が起きるかという御質問でございましたが、三十年災は今申し上げましたように、百十三億、これはまあ非常に異例災害額少い年でございます。二十九年におきましては約二百六十億でございます。直轄補助事業を合わせまして……。それから二十八年災は、これはもう御承知のように異例に大きかった年でございますが、九百九十億でございます。二十七年災はこれは補助事業だけでございますが、百七十億、二十六年災は三百十七億、二十五年災は三百五十億というようになっております。今申し上げました二十七、二十六、二十五という三年の分は、これは補助事業だけを申し上げましたが、直轄はそのほかに多少ございますが、これはまあわずかの数字でございますが、多少ございます。二十八年までの分は今直轄も合わして申し上げました。大体そういう数字が最近の災害額でございます。
  18. 千田正

    千田正君 災害復旧に対する法律が出てからこれは三年間でやっておる。三・五・二の比率でしたね。
  19. 米田正文

    政府委員米田正文君) 実は法律には三・五・二とは書いてございません。けれども実は内輪では、法律には三年と書きましたが、内輪の事務的な打ち合せでは、今おっしゃられるように三・五・二の計算をすることにいたしております。実はもっと今度区分け表を申しますと、その三・五・二も、重要なものというのが全体の七割くらい、今までの実績から見まして七割くらいですが、その七割については三・五・二を適用して行く、こういうことを内部で打ち合せをいたしております。全体としては三年かかる。それから直轄災害については、これはどうしても被害の程度が大きい。あるいはそれから沿線に及ぼす影響の非常に大きい所で早く復旧しなければならぬという性質のものでございますので、これは二年でやります。内輪のことを申し上げますと……。というようにして、平均して全体で三年で仕上げるという方針で進んでおります。
  20. 千田正

    千田正君 直轄河川は……。直轄のことは別として、この補助事業に対して、実際地方財政が十分にないところの都道府県では、せっかく補助を出してやったのだけれども、実際工事が進捗できないのだというそうした事情のところが相当あると思いますが、そういうことはお調べになっておられますか。
  21. 米田正文

    政府委員米田正文君) おっしゃられるように、最近、地方財政が非常に悪化いたしたために、災害復旧すら十分できないという実情の所がございます。そういう申入れをしてきておる所も一、二ございますが、しかしこれは県の全体の財政の問題でございまして、県としてどこに重点をおくか、災害復旧重点をおく県については、相当な赤字であっても計画は完遂いたしております。それほどひどくない財政の県であっても、他の事業重点をおく所は災害赤字のしわ寄せがくる。災害の遂行が十分でない。そういうふうにまちまちで、財政全体から見ないと言えないですから、私どもとしては、一律にはそういう調査は困難でございますけれども、しかし全体から見まして、災害復旧は優先するという建前を各府県ともとっております。ただ特殊のものが一、二出てきておるということでございます。
  22. 千田正

    千田正君 今、そうしますと、各都道府県とも災害重点におく、こういう考えの所がほとんど大部分でしょうが、国の方針として、ことに建設省方針としましては、たとえばそれが再建整備にかからなくちゃならぬ県であっても、実際内容そのものが補助対象によって浮き上ってくる、ほんとうに建設できるのだという所は、そういう再建整備をしなくちゃならぬ実情の所であっても、あくまで、それを重点に、災掛復旧を重点にやっておる県に対しては補助の対象として考えるべきだと、こういう御方針ですか。
  23. 米田正文

    政府委員米田正文君) 申し上げましたように、災害復旧については、ほとんど全国の各府県はこれを優先完遂を方針にいたしておりますが、ごく一部、近畿地区では災掛を多少繰り延べいたしたいという希望の所はございますが、他の九州あるいは東北、中部、中国等においては災害優先を非常に強調いたしております。従って予算も特に来年度予算について各府県とも折衝いたしておりますが、災害優先を非常に強調いたしております。で、私どもといたしましても災害は完遂をいたしたい、早期完遂をいたしたい。そのためにいろいろな隘路が、財政上の符に隘路がある分につきましては、寸分自治庁とも相談をしながら、計画曲りの遂行に努めるつもりでおりますから、財政のために、赤字のために災害の復旧がおくれるということは全般的にはないつもりでございます。
  24. 千田正

    千田正君 最後に一点。今お話がございましたいわゆるダム建設施行に際しまして、補償の問題のまだ解決しておらないこういう問題に対しては、できるだけ早く解決方法をとってもらわないと、年々調査費だけの予算をつけてやっても実質的には工事が始まらないし、完成は何年ののちになるかわからないということでは、せっかく皆さんが御苦心になってもまことに遺憾なことだと思います。で、これは何か一つ基準がはっきりきめられて、現地の住民との折衝を速急にはかって行くような方法をとっていただきたい。もちろんそうやっておると思いますが、今申し述べられたうちで、三十一年度に片がつくという御見当のところは幾つあるのですか。
  25. 米田正文

    政府委員米田正文君) ただいま私が申し上げましたまだ補償解決ダムというものについては、これは三十一年度には全部解決をいたす予定でございます。
  26. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 公共事業費その他の国の負担率並びに補助率引き上げによりまして、せっかく本年は四十五億増加をしておると言いながら、実際事業量はどのくらい減ってきますか。事業量としては減ってくるんじゃないですか。建設省事業量は全体として。
  27. 米田正文

    政府委員米田正文君) おっしゃられるように、補助率あるいは負担率引き上げを三十一年度は実施することになりましたので、実質の工事量は減少いたすことになる。で、河川関係について申し上げますと、治山治水事業につきましては、補助率負担率引き上げに伴うものは約七%減になります。これは負担率補助率引き上げの率によって違いますけれども河川事業に関しましてはその程度でございますので、大体他の方もそう大差はないと思いますが、その程度では。
  28. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると四十五億ぐらいふえたんではカーバーできない、実際事業量としては少し減るということになりますね。全体としては工事量は。
  29. 米田正文

    政府委員米田正文君) 全部集計をいたしておりませんが、そういうことになるんではないかと思います、集計してみますと。
  30. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 治山治水事業については、二十八年のあの大災害にかんがみて抜本的な治山治水の計画を立てようというので多分一兆何千億でしたかの計画をしたことがありましたが、あの計画に対して本年の治山治水事業量の程度で進むと何年間かかりますか。およそでいいです。
  31. 米田正文

    政府委員米田正文君) 御承知のように二十八年のあの大水害のあと、治山治水基本対策要綱というものを政府でこしらえたのでございますが、そのときに、これは建設省と林野庁全部含めた治山治水計画でございましたが、それの総額約 兆八千億に相当するものでございます。その事業に対しまして今年度の治山治水費を申し上げますと、まあ事業内容はいろいろございますが、それによって違いますが、たとえば直轄河川のごときは大体今後三十年かかる、それから中小河川のごときはそれがさらに五十年かかる、ダム関係の分は二十年かかるというようになっておりまして大体全体ひっくるめますと三十数年かかることになると思います。
  32. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 都市計画税という、今度地方税で特別税ができましたが、これができることによって都市計画事業がどの程度促進されるというふうにお考えですか。
  33. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 都市計画事業につきましては、現在地方税法の改正法律案が国会において御審議いただいておるわけでございます、都市計画税の徴税見込額は、三十一牛皮におきまして約三十億円ということになっておりますので、このうちどの仕度が従来起債等で行われましたものの見かわりになるか、まだ各地方ごとにまとまっておりませんのではっきりいたしておりません。三十億円のうらかなりの部分が都市計画事業の進行のために役立つものと推測いたしておるのでございます。
  34. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 都市計画事業は大体二分の一、国庫補助が大部分ですね、そうすると今度の補助率引き上げのときに、都市計画事業の方は補助率引き上げをやっておりますか。
  35. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 都市計画事業は今お話のございましたように、大体従来平均いたしますと二分の一の補助率でございます。ただ都市計画のうち街路につきましては二分の一の補助率を今回全部三分の二に引き上げをいたしておるのでございます。
  36. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そういうふうにして都市計画事業補助率が上って、それが本年度ではそういうふうにしても五十四億円ですが、それを見ますと、特別失対をも入れて五十四億円、これら平均、これをかりに半分としましても工事量はこの倍と見なければならない、こういうわけですね。今度はこれより少し多い三分の二になるので工事量はこれよりよほど減る。さっき全般的に申し上げましたように今年は減るとみなされる。せっかく都市計画税ができても工事はそんなにはやらないと、こういうことになりませんか。
  37. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 補助率は今仰せの通り少しふえますが、事業量は全体として減りはしないかという御質問ごもっとものことでございますが、三十一年度におきましては街路事業費といたしまして、国の予算におきまして三億二千七百万ほどふえておるのでございます。それでこれは国の予算でございますが、その結果街路事業費といたしまして地方負担分も合せまして八十億四千三百万円になる、これは昨年に比べますと昨年が八十億二千四百万円でございましたから、幸いに事業量は国費がふえた関係で、大体去年と同量の事業ができる程度計上されております。それにプラス都市計画税が加わるわけでございますので、都市計画は相当進むことを期待いたしておるわけでございます。
  38. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 戦災復興事業継続してずっとやるということですが、この戦災復興事業として銘を打つものはすでにもう十年にもなるわけですが、今後何年くらいで一応戦災復興事業というものを打切りにするお考えですか。
  39. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 戦災復興事業は、今後三十一年度を含めまして三カ年で終了いたす計画にいたしております。
  40. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その後はそうすると一般都市計画事業として進行するということで、戦災復興事業というものは三十一年度を含めて三年間で打切りで、その後は、一般都市計画事業として市街地の整備をする、こういうことでございますか。
  41. 町田稔

    政府委員(町田稔君) 一応戦災復興事業という名の仕事は、今後三年間で終了いたしたいと思っているわけでございますが、戦災復興事業は御承知のように、昭和二十五年に再検討いたしたのでございます。この再検討の際に、終戦画後に膨大な戦災復興事業計画をいたしましたのを、非常に区域を切りまして、実は戦災復興のためにきわめて必要だと思う分も、国の財政との関係を考慮しまして、まあ無理して切った分もあります。それで戦災復興事業としては一応三十三年度で終了する予定にはいたしておりますが、これが終了いたしましても、なお引き続き戦災を受けました都市で、戦災に基く市街地の荒廃を復興していかなければならない部分がかなりあるわけでございます。それに対しましては、今後一般の都市計画として考えていくか、あるいはそういう部分については特別に重要地帯整備事業というように考えて、なお戦災復興事業の残事業継続してやっていくとか、これは目下検討中でございます。おそらくは一般の都市計画以外に、そういう名称による事業の執行を必要とするのではないかというふうに考えております。
  42. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 住宅の問題ですが、三十年度の一般民間に期待している建設戸数は、どのくらい予想されますか、年末までに。
  43. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 三十年度の一般民間の建設に期待いたしました分は、二十四万五千戸という目標を立てたわけでございます。これに対しましてどの程度今日進捗しておるかという点でございますが、これは建築の動態統計によってずっと調べておるのでございますが、この統計が実は今日現在では十一月まで出ておるかと思いますが、十月末までの現在の正確なところで申し上げますと、大体五六%、年間五六%と言っております。そこで十月末まででありますから四月から考えますと大体七カ月、七カ月で、大体五八%でございまするから、大体その線に向って十月ころまでに目標に近いところを進んでおって、その後の状況は今後統計に現われて参りますが、今のところはっきり申し上げられませんのですが、大体十月、十一月末までくらいの状況では計画に近いところを進んでおる、こういうわけでございます。
  44. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、三十一年度の二十数万戸の期待もそう過大ではない、こういっていいわけですか。
  45. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 三十一年度は二十四万五千戸をさらに少し増加いたしまして、約二十五万数千戸期待いたしておるのでありますが、これは最近の国民の所得の動きということを考え合せますれば、まあこの程度は大体いくのじゃないかというような見通しに基いて立てたわけでございます。
  46. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今度政府から国有資産等、ちょっと法律の名前を忘れましたが、固定資産に準ずる納付金を地方団体に納めさせることになる法案が出ていますが、それによってその納付金が公営住宅に住むものに転嫁される、そういうことになると公営住宅の家賃が上るというような形になるということで、住宅政策に対して暗影を投ずるのじゃないかということで心配している向きがありますが、これに対して建設省のお考えを伺いたい。
  47. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 国有資産等所在市町村交付金、固定資産税に相当するような交付金をやる、こういうような法律が、改正が出ておりますが、これによりますと、確かにお話のように、従来公営住宅として地方公共団体経営の住宅は、全然固定資産からは免除されております分が、多少交付金を出さなければならないということになるわけでございます。ただこの税率といいますか、その率が問題だと思われるのでございます。今までゼロであったという所も、確かにそういうことで地方財政が持てば、税金を取らなくても持てば、これは一番けっこうなことになるかもしれませんが、今回改正によりまして、公営住宅の税率が、第一種公営住宅で、五分の二、それから第二棟公営住宅の方は五分の一というような評価をいたすことになっております。これは普通の民営あるいは公団あるいは協会、各種の団体がやっております住宅の固定資産に比較いたしますと、その評価の五分の二ないし五分の一でありますから、二割ないし四割というところで、この程度負担は、幾ら公営住宅であってもやむを得ないのではないかというような考えに基いているのでございます。
  48. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 住宅金融公庫の今度の資本金が、多分財政資金、それから財政融資ばかりでなく、民間資金による面が少し出てきているといいますか、民間資金によると、少し利子が高くなるのですね、その分だけどうしても家賃が高くなるという傾向に入っていきませんか。
  49. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 住宅金融公庫と公団と二つに分けてお答え申し上げたいと思いますが、住宅金融公庫の方は、従来の資金構成は、政府一般会計からの投資と、それから政府資金の借入金と、この二つによってできておったのでございます。今回はこの一般会計からの受託金融公庫への投資はゼロになりまして、全部の資金政府から借入金となったということが、従来と変っているのでございます。従いまして、資金構成は、従来よりお話のように確かに多少悪くなっております。ただこれで従来通りの貸付金の利回りとか、あるいは償還年限を確保できるという根拠はどこにあるかと申しますと、従来幸いに過去五年間政府から少いときで五十億、多いときで面億ぐらいの出資をいたしております。従いましてこの蓄積がありますものですから、今年度あるいは三十一年度ぐらいまでは、どうにか今までのこの全体の資金によりまして、この金利五分五厘の貸付金利で、住宅金融公庫は実施いたしておりますが、これを維持することができるわけでございます。従いまして三十一年度住宅金融公庫につきましては、従来通りの金利あるいは年限を保持できる、こういうことになるわけでございます。  それからもう一つの住宅公団の方でございますが、これはまあ住宅建設して貸家として経営したり、あるいは一部委譲をいたしたり、こういう企業をやっている事業体でございますが、この公団の分は、三十年度はその一部分を政府一般会計からの投資をいただいております。約六十億円の出資をしていただいておるわけであります。ところが三十一年度産業投資特別会計からの三十五億の投資となりまして、事業量は少しふえたにもかかわらず、その投資の額が減ったということでございます。従いまして三十年度に比べてこれまた三十一年度資金構成が悪いから、あるいは家賃が上るのじゃないかという御心配があるかと思うのでございますが、これは公団の方も三十一年度は三十年度の家賃水準を維持することにいたしておるのでございます。これはどうしてかと言いますと、今までは実は公団の家賃の出し方その他は、資金繰りと言いますか、つまり回収する金でもって民間資金を返していくという、そういう資金繰りの方から実は家賃をはじいておったのでございますが、この三十一年度は全体の資金コスト、つまり民間資金は何分で借り入れるか、それと政府資金からの借入金の利回り、それから政府から出資をいただいておりますのは利回りゼロでございますが、これらの全体の資金コストの平均を出しまして、その資金コストの利回りを保持できるようなことで正しい計算をいたしまして、ちょうど昨年ぐらいのこの家賃水準を保持する、こういう計算をいたしております。従いまして、公団の場合も三十一年度の家賃は三十年度の家賃水準を維持することになるようでございます。
  50. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 公営住宅補助率は従来二分の一であったと思いますが、これは今度は上げていませんか。
  51. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 公営住宅は第一種は二分の一、第二種は三分の二でございます。これは従来と同じでございます。
  52. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 従って公営住宅の方は何にも影響はない。全く影響はないと考えていいわけですね、公営住宅の家賃は。
  53. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 補助率が変りませんので公営住宅そのものの家賃は変りはございませんが、ただ住宅の今回の予算では多少土地費、土地購入費、そういうものを多少上げておりますので、そういう値上げの分に対しましては些少の家賃の値上げがあるものと思うのですが、これは従来の地方公共団体補助する基本額としましての土地費が若干窮屈な面がございましたので、その点を改善をいたしていく。その点が多少変るわけでございます。
  54. 羽生三七

    羽生三七君 本年度補正予算の財源で公共事業費の一部繰り延べを行なったわけですが、これで実際影響を受けるところがあるかどうか。それからこの場合には大蔵大臣は明年度において優先的に考慮するということを言っておったのですが、その辺はどうでしょうか。影響がなければよろしいのでございます。これは地方の場合です、問題は。
  55. 米田正文

    政府委員米田正文君) たとえば河川関係で申し上げますと、二十三億の事業費が繰り延べになったのでございます。これについては毎年の実績を見ますと、事業の性質上ある程度は翌年に繰り越さなければならぬものはございます。たとえば事業を始めておったけれども融資保証が片づかぬために金が払えないというような、年度の途中からのいろいろの事態のために翌年度に繰り越しをやむを得ずするものは土木事業の性質上ある程度はございます。今度の削減をしようというときに公共事業費にこのしわを持ってこられたのを、そういうところを主にして自由にして、事業に支障のないというよりも、むしろ事業がやっと予算を繰り越すものを今年度使おうじゃないかというところから、まあその方針がきまったわけでございますが、実際になりますと、工事個所が非常にたくさんございますために、まあ現場々々といたしては多少の問題は実はありました。で、私どもは前年の統計から見てこの程度は大丈夫だろうと思って現場に指示をやったのですが、多少の問題はもちろんありましょうが、しかし全体としてはある程度どうも繰り越すということがきまっておったものが大部分でございますから、全体としてはまあ問題はなかったのでありますが、特に府県のごときは実は国からも減らしてくるであろうというようなことがあらかじめわかっておったものですから、そういう点は用意しておったというようなこともございまして、府県の方がむしろ削減については早く納得をしたような結果でございます。そこで私どもとしては、ことしの減額をいたした予算のワク内におきまして各現場、あるいは各都道府県において自分のところとしてはどうしても減らされないというところはなるべく減らさない。それから自分のところは実はそうは県の財政のために、もらっても使えないというところは平均よりも多く減らすというような調整をいたしまして、で、今日各府県ともに大体においてそれでスムームに行くような結果になりました。で、しかしごく個々の場合を申しますと、実は内情を申しますと、個々の問題については多少の問題はございます。で、これは三十一年度予算で優先的に処置をするというのでありますから、工事はずっと継続してやっていく。で、金の払いが三十一年度当初において払うというような処置で済ますことになっております。
  56. 千田正

    千田正君 今のあれと関連するのですが、この内訳を見ると、三十一年は三十年度に比較しまして減額しておる分が相当あるわけですね、公共事業に対しては。あるいは新らしく進捗しておるというので行っておる点もあるかも知れないけれども、公共事業の問題に関する限りは大部分のものは減額している。これでみんなの目的が達せられるかどうか。
  57. 米田正文

    政府委員米田正文君) 実は私ども河川関係を例にとって申しますと、先ほども質問がございましたが、私どもの最終目標というものは治山治水基本対策要綱というものがございまして、これを一年も早く完遂をいたしたいというのが私どもの念願でございます。で、極力総額一兆八千億でございますけれども、これを完遂するのが主目的でございますから、まあ予算が減るということは非常に全体の計画から申しますと計画が延びることになるので、私どもはできるだけそういうことのないように努力して参ったのですけれども、また一面国の全体の財政から見ていきますから、まあ全体の予算をこの程度のワクに収めざるを得なかったのでございますが、しかしまあ今の事業のやり越し、繰り延べについてのごく特殊のものについては優先にやることはこの金額のワク内で十分やれるのでございますが、その点は心配ないと思いますが、全体の計画としての問題が多少後年に残るという点については、これは今後の三十二年度以降の予算の獲得、予算計上によって全体としてはあともどりしないように、今年度予算で全体を律しないように、さらに次の機会で努力して御期待に沿いたいと思います。
  58. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 先ほど千田委員から御指摘がございまして、お手元に数字がございませんでした三十年度予備費支出状況でございます。予備費支出状況は三十八億四千七百万円でございますが、そのうち災害復旧関係が三十五億七千万円でございまして、直轄が十億五千万、それから補助が二十五億二千万円、かように相なっております。
  59. 羽生三七

    羽生三七君 私は質問というよりちょっと注文を一つ述べたいのですが、これは防衛庁関係費用の繰り延べ額を全部調べた際に、たまたま各省のそれに及んだわけですが、非常に繰り延べ額が多いのですね、今おっしゃるように三十年度補正でたまたま河川関係なんかが繰り延べになるだろうと予定されて、予算の対象になったことも私は若干そういうことが毎年影響しておると思うのです。これは建設省事業の性質上私はある程度やむを得ないと思っておりますが、これはまあいろいろなそういう繰り延べを毎年相当額やっていいかどうかということが、予算編成上の問題としていろいろ議論になると思うので、予算執行上厳正を期するように一つお願いをいたしたいと思っております。こういうことから政府が目をつけて、予算財源の拠点にしたわけですから。これは注文でありまして質問ではありません。  もう一つ、これは質問なんですが、これは非常に妙な質問なんですが、いよいよ有料道路が発足するわけですね、現に一つあるわけですね、ただ私疑問に思うことは、一体国でやる道路の必要度とかあるいは地方公共団体がやる場合、国が財政援助をしてやる場合、いろいろあるでしょうが、そういうものと有料道路の関係ですね、必要の度合い等からも考えて、一体国がやることができない場合に有料道路ということになるのか、どうもそこら辺が私はなかなかのみ込めないのですよ。有料道路というアイデアもいいと思いますが、また事実財政融資あるいは財政支出、直接支出だけでいけない場合は、そういう有料道路という考え方があると思います。また世界の例から見て悪いことではないと思います。けれども実際に日本の場合にこま切れに有料道路方式というものが出てきた場合どうなるのか、一般の計画との関連で、ちょっと私しろうとでわかりにくい点があるのですが、その点どうですか、わかりやすく御説明願いたいと思いますす。
  60. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 日本の道路が非常に悪いのでございますが、整備は今道路整備五カ年計画というのを立てて、揮発油税相当額を財源にして実施をいたしております。この五カ年計画は大体が改築、鋪装ということが主でありまして従来あります道路の改良、舗装で、有料道路として実施しておりますのは従来あった道路ではなく、新たに道路、橋を作り、トンネルを作って非常に利益になる所に有料で建設しよう、こういう考えのものでございます。従いまして従来やっておりますのは橋梁、トンネル等が主でございましたが、橋梁などにおきましては従来渡船であったものを橋にかけかえるというような仕事でございますが、これなども当然国が無料の道路としてやっていいものもあるわけでございますけれども、このうちに非常に金のかかるものが出てくるわけでございます。で、現在も渡船によって金を出して通行しておるわけでございますが、そういったものを取り上げて行きたいという考えを持っておるわけでございます。お話のようにこま切れに方々に有料道路ができましては、これはまことに不便になりますので、今後実施いたしますのはある程度延長もある有効な地点を選んでゆきたいというように考えております。
  61. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 簡単に続けて質問いたしますが、第一点は、失業対策事業で道路の改修をされることは私は趣旨には異存はないのでありますが、ただいかにも交通量の多い所をしろうとが改修工事をやっておって、非常に交通の実際のじゃまをしておるような感じを強く持っておるんですが、その点どんな考えを持っておりますか。  それから第二点は、住宅政策も何ら異存はありませんが、ただ非常に集団的な住宅ができますると、何千世帯というような大きな住宅地ができますると、学校がすぐに問題になると思うのですが、学校方面まで建設省の方でどの程度のお考えを持っておりまするか。それからもう一つは、交通量の関係も考慮いたしませんというと、都心部を離れてやや遠隔地にそういうような集団住宅地ができますると、都心部とをつなぐ交通問題が非常に大きな問題ではないかと思うのですが、そういう交通だとか学校等の教育関係との関連はどういうお考えを持っておるか、それが第二点であります。  それから第三点はきわめて具体的な問題でありまして、かつて建設委員会でも請願が満場一致をもって通っておると思いますが、私の住んでおる阿佐ヶ谷の北口広場の問題が数年前に東京都が土地を買い上げておりながら依然として何ら進捗をしておらない。あの付近の住民が非常な交通量の輻湊なり、あるいは学校教育等の関係で非常に困っておるんですが、これはしばしば陳情もいたしておりまするが、首都建設法であるとか都市計画ということをいわれておっても、これは大臣も一ぺんごらんになる価値があると思うのですが、私ども朝車で来る場合にあの阿佐ヶ谷の踏み切りというものを一ぺんで通れたことがない、一分五十秒の間隔で中央線がラッシュ・アワーで走っておる、たちまち何百名の人がたまってしまって、にっちもさっちもいかんというような状況になっておるんですが、これはきわめて具体的なケースでありますが、これはしばしば請願なり陳情なりをいたしておりますので、わかっておりますれば御回答をいただきたいと思います。以上三点であります。
  62. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 失業救済の道路事業で交通量の多い所を実施いたしておりますから、これが能率が上らないで大へん御不便をおかけしておることは実情でございます。昨年度特別失業対策事業は一〇〇%の失業者の吸収率でございましたが、三十一年度におきましては八〇%に下げております。これだけの吸収率でありますとある程度の技能者も入れられますので、今後は能率も上げ得ると考えますが、特に市内で行われておりまする失業救済事業には一般失業対策事業特別失業対策事業とあるわけですが、この一般失業対策事業につきましては、これは事業の性質からいいまして一〇〇%失業者を使っておるわけであります。この一般失業対策事業におきましても道路の工事を実施しておるわけでございますが、しかしこれは技能者でございませんので、このような仕事は特別失業対策事業で実施するように指導をしていくべきではないかといふうに考えておるのであります。
  63. 鎌田隆男

    政府委員鎌田隆男君) 住宅建設に伴う諸施設、学校その他あるいは交通関係をどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、実は私ども住宅建設をする基本的な方針としまして、なるべく住宅は町の中の既存市街地の中の土地を活用して、交通の時間もそうかからない、あるいは他のいろいろな都市施設のある所になるべく高度に土地を利用して家を建てる、そういう住宅を供給いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ東京都あるいはその他の大都市のように都市が非常にだんだん大きくなりまして、ある人口数以上の、つまり過大都市になってしまうというようなことをおそれられるような都市がございます。そういうおそれのある都市がございます。その都市の場合には、この都市の周辺には緑地帯というものが設けられてありますので、この緑地帯をむやみにどんどん食いつぶしていくというようなことをしては、この都市全体の機能を破壊することになると思うのであります。そういう場合には、その緑地を越えまして、その外に新しい都市を建設するというような形で住宅建設をしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。従いまして住宅建設の基本的な考えといたしましては、従来の既存市街地をなるべく活用するということと同時に、また新らしい都市を作るような立場で新らしい宅地の建設をやるという二つの立場がございますが、今その新らしい都市を作るという立場で住宅建設する場合には、どうしてもその従来の都市との交通問題、それから学校その他のいろいろな都市施設の問題を同時に考えなければいけないと思うのでございます。学校について申しますと、今度の場合公団あたりで集団的な新らしい住宅地を作るという場合には、ぜひ一緒に学校の建設もやりたいということで一応そういう企画をいたしました。できることならば、公団の予算の中に組みまして、公団で学校建設も同時にやるというようなことでやりたいと思いましたが、これはいろいろ文部省等との関係もございますので、公団でじかに予算を組んで実施するということは一応今回は見送りになっておりますが、実際問題としまして、三十一年度にはその地方公共団体に起債をつけまして、その学校も建設のできるような措置を目下大蔵省の理財局その他と検討いたしております。従いまして、何校か分はその起債というようなことで、住宅建設と同時に学校建設ができるものというふうに考えておる次第でございます。どうしてもその起債その他でできません場合には、公団の資金の繰り回しによりまして、学校も同時にぜひ必要な所は作っていきたい、こういうふうに二段がまえの考え方を実は持っております。それから交通との関係は、お話通り、従来の都市との交通問題、これはどうしても慎重に考えなければいけませんので、郊外の現在あります交通機関の交通の状態その他いろいろ検討を加え、また関係方面とも連絡しまして、せっかく家を建てましてもあと交通地獄が起るというようなことのないように、十分関係方面にも連係をとってやっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  64. 町田稔

    政府委員(町田稔君) ただいま御指摘のございましたように、東京の駅前広場その他交通の非常に輻輳いたします所におきまして、区画整理事業等が十分に進捗しておりませんために、大へん御迷惑をかけております所の多うございますことは大へん恐縮に存じておるのでございます。これらの地域で戦災復興で施行いたします地域につきましては、先刻も申し上げましたように三十三年度までに一応完遂できることと思っておるのでございます。なお、戦災復興以外のものにつきましては、道路五カ年計画の中に街路整備も入っておりますので、それに従って遂行いたして参りたいと思っております。具体的にお話のございました阿佐ヶ谷につきましては、実は私何年度の完成予定になっておりますか、今ちょっと資料を持ち合わしておりませんので、後刻調べまして御返事申し上げたいと思います。
  65. 堀末治

    主査堀末治君) 他に御質疑ございませんせすか。——御質疑もないようでございますから、建設省所管については終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 堀末治

    主査堀末治君) 御異議がなければさように終了いたすことといたします。それでは午後一瞬まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  67. 堀末治

    主査堀末治君) それではこれから予算委員会第三分科会を再開いたします。  運輸省所管を議題といたします。本件につきまして政府より説明をお願いいたします。
  68. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) それでは昭和三十一年度運輸省所管予算について御説明申し上げます。  お手元に資料を差し上げておきましたが、まず歳入予算でありますが、昭和三十一年度歳入予算総額は、六億三千七百八十六万二千円でありまして、前年度予算額九億九千百九十三万五千円に比較いたしますと三億五千四百七月三千円の減少となっておりますが、このおもな理由は公共事業費の負担金が地方公共団体負担金の納付の特例に関する法律改正により、地方債の証券により納付されることになった等のためであります。  次に歳出予算につきましては、昭和三十一年度予定経費要求総額は、二五四十四億六千三八十万円、でありまして、これを前年度予算額二百四十四億三千八百二十九万六千円に比較いたしますと、二千五百五十万四千円の増加となっております。  以下そのうち、おもな経費について御説明申し上げます。  まず第一は外航船舶建造融資利子補給に要する経費として、三十一億三千二百八十万円を計上いたしましたが、これは三十年度以前の計画造船に対する既定の利子補給、及び三十一年度の第十二次計画造船に対する利子補給を行うための経費であります。  第十二次計画造船につきましては、開銀資金百二十七億円をもって貨物船十七万五千総トン、タンカー六万四千総トン、計二十三万九千総トンを建造する計画でありますが、開銀の回収金の増加等により貸付原資に余裕を生ずる場合には、昭和三十一年度内に三十万総トンに達するまで建造をはかりたいと考えております。  なお、三十一年度建造分に対する利子補給契約限度額十三億四千六十二万六千円、及び損失補償契約限度額三十五億五千六百七十万五千円を国庫債務負担行為として計上いたしました。  第二は国際航空事業補助に必要な経費として、三億二千五百九十三万円を計上いたしましたが、御承知のように、日本航空株式会社は創業以来いまだ日浅く、その経営内容を見ますと、国際線については操縦士は外国人をもって満たしている関係上、人件費が相当膨張し、また航空機の購入資金を初め多大の借入金を背負い、その利子負担も相当額に上る等、きわめて苦しい経理状態でございまして、国が何らかの助成策を講じない限り、各国との競争に立ちおくれ、これによる外貨の収入も望めず、ひいては日本航空界の将来に暗影を投ずる結果となるものと考えられるのでございます。ここにおいて政府といたしましては、本年度も引き続き前述の補助金を交付いたしまして、本事業の健全なる発展をはかろうと意図している次第でございます。  なお以上のほか、日本航空株式会社に対する政府出資として、前年と同額の十億円を大蔵省所管産業投資特別会計中に計上しております。  第三は国際観光事業の振興に必要な経費として、八千万円を計上しましたが、海外からの観光客は年々増加の傾向にある現状より見まして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることがきわめて必要と考えられますので、財団法人国際観光協会に対し、その海外観光宣伝事務所関係の費用に充てるため補助金を交付して、わが国国際観光事業の飛躍的進展をはかろうとするものであります。  以上の経費は、いずれも外貨獲得ないし国際収支の改善を目的とした施策に要する経費でございます。  第四はこれと同種類の経費といたしまして、船舶車両等の輸出振興に必要な経費が通産省所管の貿易振興費の中に含まれて計上されております。これは輸出船舶等の海外サービス事業及び鉄道信号保安装置モデル・プラントの設置に対し補助しようとするものでございます。  次に国内輸送力の整備に関する経費につきましては、第五といたしまして地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として、一千七百十万円を計上しました。これは地方鉄道軌道整備法によりまして、天然資源の開発等のため特に重要な地方鉄道の新設、及びその運輸が継続されなければ、国民生活に著しい障害を生ずるおそれのある老朽地方鉄道の維持に対し、補助するため必要な経費であります。  第六は鉄道鉱害復旧事業に必要な経費として、九千三百八十一万四千円を計上しましたが、これは三十年度に引続き特別鉱害復旧臨時措置法に基き、戦時中の石炭乱掘による鉄道被害の復旧を促進するため、日本国有鉄道の北九州における鉱害復旧の経費補助するとともに、三十一年度より新たに臨時石炭鉱害復旧措置法に基き、特別鉱害以外の一般鉱害による鉄道被害の復旧につき、同様の補助を行うための経費であります。  なお本事業は、炭鉱地帯の失業対策事業としての性格をも有するものであります。  第七は戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車船費の国庫負担に必要な経費として、三十六百五十二万七千円を新たに計上しましたが、これは戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律に基き、日本国有鉄道の鉄道及び連絡船に乗車船する戦傷病者等の運賃について国が負担する経費と、その事務を地方公共団体に委託するため必要な経費等で、あります。  第八は離島航路整備補助に必要な経費として、三千七百十一万九千円を計上しましたが、これは離島航路整備法に基きまして、離島航路用船舶の建造または改造資金融資に対し、利子補給を行うための経費と、航路の性質上経営が困難な離島航路事業であって国が特に維持を必要と認めるものに、航路補助金を交付するために必要な経費であります。  第九は空港整備事業に必要な経費として、一億五千八百四十三万三千円を計上しましたが、その内訳は、東京国際空港エプロン新設に必要な経費として五千万円、小型機用飛行場の整備に必要な経費として、九百四十三万三千円、国内航空用空港の整備に必要な経費として、九千九百万円となっております。これらの経費は空港整備事業の性格にかんがみまして、三十一年度より公共事業費中に計上することといたしましたが、このうち特に国内航空川空港の整備は、文化の発展とともに緊急の必要事となって参りましたので、今国会に空港整備法を提案し、あわせて御審議をお願いしている次第でございます。  第十は航空交通管制官の養成に必要な経費として、百十三万六千円を計上しましたが、これは現在在日米軍が行なっている航空交通管制業務を早急に日本側で自主的に運営し縛るよう、前年度に引き続き航空交通管制官六十名を養成するため必要な経費であります。  第十一は港湾関係でありますが、本年度要求額は、港湾事業に要する経費として三十六億五千百五十万円、港湾災害関連事業に要する経費として五億四千九百四十一万五千円、海湾災害復旧事業に要する経費として二十億五千百九十九万五千円、港湾事業附帯事務費として八千四十七万円、合計六十三億三千三百三十八万円を計上しましたが、これらはいずれも、貿易の振興、輸送力の増強を裏づける港湾施設を整備拡充するためのものであります。また災害関係予算は、昭和三十年以前の災害による港湾施設の復旧を行おうとするものであります。  なお、このほかに北海道港湾事業費七億八千九百万円を総理府所管に、特別失業対策事業費四億五千万円を労働省所管計上しておりますが、これらの経費を加えますと、港湾の整備のための経費総額は七十五億七千三百三十八万円となります。  次に災害防止と交通安全確保の施策に関連する経費について申し上げますと、第十二に海上保安庁関係経費として、六十億九千七百十一万九千円を計上いたしております。このうちおもな経費を申し上げますと、警備救難態勢の整備に要する経費として二億二千四百八万八千円、水路業務の強化に要する経費として二百三十六万八千円、航路標識の整備に要する経費として二億九百六十七万三千円等であります。これらの経費は海上保安業務の重要性にかんがみ、その強化をはかるため、老朽巡視船の代替として三五〇トン型巡視船を建造するとともに、巡視船基地施設及びロラン局を初めとする航路標識の整備を行うための経費であります。  第十三は自動車損害賠償責任再保険特別会計への繰り入れに必要な経費として、四千十八万三千円を計上いたしました。  これは自動車損害賠償保障法に基き、年々累増する自動車事故による損害賠償を保障する制度を確立するため、自動車の所有者及び使用者に責任保険を強制し、政府はその六割を再保険するとともに、ひき逃げ事故による加害者不明の事故の場合も救済の道を確保しようとするものでありまして、その事務費及び加害者不明の事故の場合に支払われる保障金の一部を国が負担しようとするものであります。  なお、自動車損害賠償責任再保険特別会計の予算としては、歳入歳出とも二十四億五千七百五十八万四千円を計上しております。  第十四は気象業務の整備でありますが、本年度気象官署としての要求額は、二十六億二千五百八十万九千円でありまして、このうちおもなものは、上高層気象観測業務の整備に要する経費として二億二千六十万四千円、予報通信業務の整備に要する経費として一千百四十七万二千円、海洋気象観測業務の整備に要する経費として四百二十万円、水理水害対策気象業務の整備に要する経費として二億四千四十一万六千円、航空気象業務の整備に要する経費として一千五百七万六千円等であります。これらは台風等により年々こうむっております莫大な災害を、観測の的確と予報業務の敏速化とにより最小限にとどめ、また水資源利用の高度化をはかる等の目的をもって、気象観測施設、通信施設等の整備を実施するために必要なものであります。  第十五に船員教育関係経費といたしまして、航海訓練所における練習船の整備と遠洋航海の拡充に必要な経費、一億二千四百四十一万三千円を計上しましたが、これは進徳丸の改修に関する経費と商船大学及び商船高等歌校実習生に対し、年一回遠洋航海を実施するための経費であります。  以上が当省所管関係昭和三十一年度予算の概要でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  69. 堀末治

    主査堀末治君) それでは三十一年度日本国有鉄道の予算説明を一緒にお願いいたします。
  70. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) それでは日本国有鉄道予算の概要について御説明申し上げます。  最初に予算編成の基本についてでありますが、収入におきましては今年度の経済情勢の好転が引き続き来年もある程度持続するものと想定いたし、特に貨物収入を最大限に見積り、一方支出におきましては避けられない経費増加もありますので極力合理化に努めまして、一応収支の均衡をはかったわけであります。  次に収入、支出予算について、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。昭和三十一年度損益勘定予算は前年度予算を基礎としまして編成いたしました。  まず収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は対前年度増三・三%で三十八億七千万人、人キロでは、九百十二億八千万キロといたし、旅客収入一千三百二十一億円を見込み、また鉄道貨物輸送トン数は対前年度増六・四%で一億六千七百万トン、トンキロでは四百四十三億八千万トンキロといたし、貨物収入一千二百八億円を見込んでおります。これら旅客、貨物輸送に要する列車キロは三億七千五百万キロで対前年度八・七%の増加となっております。以上の旅客、貨物収入の他、雑収入等をあわせまして二千七百三十二億月の収入を見込んでおります。  次に経営費についてみますと、人件費につきましては、昭和三十一年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに期末手当一・五カ月分、奨励手当半カ月分、休職者給与等を見込んでおりまして、給与の額は一千五十一億円となっております。また物件費関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として、二百八十八億円、修繕費として五百四十八億円、その他、業務費等あわせまして経営費総額二千二百八十八億円であります。  以上の諸経費のほかに資本勘定への繰り入れ三百二億円、利子百二十二億円、予備費二十億円をあわせまして損益勘定の支出合計は二千七百三十二億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。さきほど申し上げました損益勘定より受け入れます三百二億円、資金運用部よりの借入金五十五億円、鉄道債券の発行による二百五十億円、不用施設等売却による三億円、合計六百十億円を収入として計上いたし、このうち五百八十三億円を工事勘定に繰り入れることにいたしております。このほか、借入金等の償還としての二十五億円は、前年度同様資金運用部よりの借入金の年賦償還額並びに既発行の鉄道債券の二部の償還に充てられるものであり、出資としての二億円は、帝都高速度交通営団の増資に伴うものであります。  次に工事勘定について申し上げます。その内容について申し上げますと、先づ新線建設費についてでありますが、前年比二十五億円増の五十五億円を計上いたしております。電化設備につきましては、現在施行中の浜松、姫路間電化工事を引き続いて行うため三十一億円を計上いたしております。なお米原、大阪間は三十一年十月開通予定でございます。また新たに、東北線、北陸線の電化工事費として、十億円、これに伴う電気機関車五十六両、三十七億円その他工事費として二億円、合計八十億円を計上しております。  通勤輸送力の緩和対策として、京浜、山手線の分離工事に九億円、その他中央線、大阪付近等に二十二億円、電車増備百五十両、二十六億円、合計五十七億円を計上しております。以上のほか諸施設の取りかえに百五十億円、車両の取りかえ百三十億円、総係費等を含めまして支出の合計は五百八十三億円となっております。これらに要します財源としましては、さきに資本勘定の御説明の際申し上げました通り、資本勘定より五百八十三億円を受け入れてこれに充てることにいたしております。  なお以上の諸計画の実施に要します職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、給与の総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千二百六十六億円を計上いたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道の予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入を上げますには、格段の努力が必要であろうと考えられますし、また工事計画もより一そうのサービス改善、輸送の近代化のためには、決して十分とは申しがたいのでありますが、日本経済の安定に資するため、公共企業体としてより一層能率向上をはかりサービスの改善に努めますとともに、さらに経営の合理化を行いまして経費の節減に努力いたすよう指導監督をいたしたい所存でございます。  以上昭和三十一年度日本国有鉄道予算の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、御承認あらんことをお願いいたします。
  71. 堀末治

    主査堀末治君) それでは御質疑をお願いいたします。
  72. 千田正

    千田正君 大臣にお伺いしますが、離島航路整備補助の三千七百十一万というのは大体どこの航路を主体として予算を組んでありますか。
  73. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 離島航路の補助金は例年約三千万ほど予算に組んでおりまして、毎年行なっておるのでありますが、昭和三十年、本年度におきましては、二十八事業者、航路数にしまして三十八航路の補助をいたしております。これが今度の予算に御要求申し上げております三十一年度につきましては、事業者の数にして三十一事業者、航路数にして四十一航路というものを予定いたしております。従いまして本年度に比べまして三航路増加するという内容になっております。その三航路の内訳を申し上げますと、まず第一は四国でございますが、伊島と答島の間の航路、これが第一の航路でございます。それから第二は北海道でございますが、岩内と川白の間、これが第二の航路。それから第三も北海道でございますが、これは小樽と浜益間です。この三航路を補助しております。
  74. 千田正

    千田正君 昨年より三航路を増加したということなんですが、増加しなかった場合の予算とすれば、昨年と比較して増減の程度はどういうふうになりますか。
  75. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) まず昨年度より減じたものといたしましては、昨年度は三千七百万ほど予算に組んでおります。それから一般に補助費につきまして二割を削減するという原則に基きまして、まず二割を減じております。それからただいまの御質問の三航路を加えるのでどのくらいの増減があるかということでございますが、私ども予定といたしましては、三航路約五十万円程度予定いたしております。その分が、三航路が入りますので加わっておると、こういうふうに御理解いただければいいと思います。
  76. 千田正

    千田正君 それで離島に関する関係としては、大体中央の予定通り進んでおられますか、この計画は。
  77. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 予算としましては決して十分とは言えないと思いますが、大体私ども毎年収支状況を見まして、それに応じて補助をいたしております。なお離島航路につきましてはそのほかにも、先ほど大臣から御説明のありましたように利子補給の制度がございます。本年度もございます。また開発銀行の政府資金によりまして建造融資をいたします。そういういろいろな助成策と申しますか、そういう措置をいたしまして、できるだけ離島航路の振興をはかっております。
  78. 千田正

    千田正君 離島航路は利子補給というようなこそくな手段をとって、国が利子を補給してやるのだからお前たちもそれに対処することを考えろということよりも、むしろこういう難局への航路は国が全額国旗負担をするというような態度でいかなければうそだと思いますが……。これはむしろ大臣から。あなたの御所見を承っておきたいと思います。
  79. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私も、何といいますか、離島航路と申しますかを新たに考える場合には、やはり離島の方にはそういった考え方も必要ではないかというふうに考えております。今度の予算にはそこまで手は届きませんが、考えております。何せ離島と申しましても、御存じの通り非常に数が多いし、またその運賃などがみなまちまちなんです。それですから、そういういろいろの都合等もございまして、十分手が届かないというようなことがあるわけであります。ただ何しろ全国に散らばっておる、企業単位としては割合に小さいものですから、かりにこれを国で取り上げるとしたらどういう形にしたらいいかという実際問題もございますので、とくとその点は考慮いたしたいと、私はこう思っております。
  80. 千田正

    千田正君 先般この離島問題として非常にわれわれも心配もして、ようやくアメリカ側の手を離れて日本に復帰した鹿児島県の奄美大島、その間の交通とか、そういう問題に対しましても、どうせ黒字にはならないのですよ、当然これは国が見てやらなければならぬ問題です。あるいは長崎県においても相当遠い、たとえば壱岐、対島のような所もありますしね、そういうへんぴな所にこそ国の恩典が及ぶことによって、初めて国の政治というものがよく行くと思うのですが、そういう大きな使命に対しての国民の要望というのは非常に強いのですが、これを今おっしゃるような観点からしまして、重点的にそういうことを考えていただくというふうに一つお願いしたいと思うのですが。  もう一つ私は伺いたいのですが、日本の航空事業でありますが、これは従来もわれわれ何回も予算委員会質問をしているのですが、国際航空事業に対しましては、現在の状況はどういうふうになっておりますか。たとえば操縦士にしても、アメリカの人間を雇わなければ飛行機が飛べないようじゃ、日本の自主性というものは疑われるし、それに対して日本側が補助というようなことで金を出さなくちゃならないということであれば、これは少し考えなければならないことだと思うのですがね。そしてかりにこれによって得た収入の分配とか、そういう問題は、どういうふうになっておりますか。
  81. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 詳しいことは局長の方からお答えさせようと思いますが、お話はごもっともでして、私も万年外国のパイロットでなければ外国人が乗らぬということでは、これは仕方がない、この方は漸次変えるように要請いたしまして、実績におきましてもだんだん変えております。それから変えたならば、これは間接ですけれども、西欧のお客さんが乗らないだろうと思って、私も質問してみたのですけれども、これは昔の日本の汽船が、外国の船長でなければ乗らぬというほどではなくて、このごろは科学的な方法でもって機体なんか検査するものですから、やはり日本人のパイロットでも優秀な免状をとっている人でやっておれば、外国のお客さんも安んじて乗る、こういうことでございますから、少しその方面にがんばれば、外国のパイロットはほとんどなくなるということでございます。なお詳しいことは局長の方から申し上げます。
  82. 林坦

    政府委員(林坦君) ただいまのお話のございました乗務員の件について、補足させていただきます。外人乗務員は六十人以上もおりまして始めたのでございますけれども、だんだん日本人の乗務員に切りかえを計画いたしまして、現在のところ約三十人の外人になっております。これに続きまして日本人のパイロットがだんだんと養成されて参っております。御意見の通り外人乗務員は非常に高い給料を要しまするし、経済的に申しましても早く日本人に切りかえたいことは、御意見の通りごもっともでございますが、何にいたしましても、技術的な方面等で、日本人が長い間のブランクを克服いたしましてこの技術を修得していきますために、相当の時日を要しますが、あと数年を要しましたならば、この点も解決していくことと存じます。
  83. 千田正

    千田正君 私はむしろこのパイロットや何かの問題は、実際はそうそのアメリカや外人に劣ってないと、現在のいわゆる旅客機を操縦する程度であれば。私はこの間の試験の内容など検討しています、検討しているというと、むしろ語学ができないからとか何とかいういろいろな理由をくっつけて、なかなか日本のパイロットが試験を受けてもパスさせなかった、今までのところでは。そういうところに日本の弱さがあったのですが、大体今度海外において航路も拡張して行くし、また今大臣のおっしゃったように、日本人のパイロットが相当外国の方からも信用されるような地位を築いていけば、決して今までのような状態から脱するのはそんなにむずかしいことじゃないと私は思うのですが……。ただ問題は、日本航空そのものに対して、外資はどれだけ入っているのですか。
  84. 林坦

    政府委員(林坦君) ただいまのお尋ねでございますが、現在残っておりまする外国からの借入金は、九億五千二百九十五万五千円でございます。資本といたしましてはごくわずかでございますが、ハワイ等のいわゆる二世系の株主がおります。
  85. 千田正

    千田正君 これは従来とも政府出資として大蔵省から、特別会計から出さなければ、やっていけないという見通しでございますか。
  86. 林坦

    政府委員(林坦君) 航空事業というものは、御承知通りその開発当初におきましては非常に多額の資金を要し、しかもそれが直ちに配当等を期待し得ない関係上、民間の資本を多額に集めますことは非常に困難でございまして、各国とも、たとえばイギリスにおきましても、またフランスにおきましても、そのほとんど全部を国の資本によっているような状態でございます。わが日本航空におきましても現在まで国の資本が三十億、民間資本が十三億と、合せて四十三億の資本金でございますが、ここ当分の間は新しい機材の購入等の資本支出に充てまするためには、国の資本によらなければまかなえないのではないかと考えております。
  87. 千田正

    千田正君 それだというと、今度国内の航空に対しては、どういう態度をとって、これから臨もうと思っておられますか。
  88. 林坦

    政府委員(林坦君) 国内航空におきましても、なかなかその初期においては非常に経済的に直ちに採算がとれるという状態にはならぬのでありますが、国内航空といえども国際航空のベースとして考えられるものにつきましては、たとえば乗員の養成等の問題からいたしますと、国内航空を経過して国際航空に伸びる関係もありまして、日本航空をして現在のところ幹線の国内航空を担当させている次第でございます。たとえばローカルの航空事些末につきましては、これを民間の航空にまかしているのでございます。しかしこれには直ちに国の出資をもってやらなければ、国際競争に勝てないといったようなわけでもございませんので、国といたしましては直ちに直接に自分の金で、自分の資本でやるというのでなく、民間資本によってやらせる方針で参っております。
  89. 千田正

    千田正君 東京羽田のいわゆるエア・ポートは、あそこの敷地は国有の敷地でございますか。それともあるいは民有地から借用しているのですか。どうなんですか。あれはかっての軍用地として、現在の駐留軍が使っているものから、一部を転用して使っておられるのですか。どうなんですか。
  90. 林坦

    政府委員(林坦君) 現在の羽田の国際空港は全部で七十万坪ございますが、そのうちまだ私有地に残っておりますものが十七万坪ございます。
  91. 千田正

    千田正君 この私有地に対しては借り賃を払っておられるのですか。
  92. 林坦

    政府委員(林坦君) 借料を払っております。
  93. 千田正

    千田正君 東京都から借りておるのはありませんか。
  94. 林坦

    政府委員(林坦君) 東京都からはございません。
  95. 千田正

    千田正君 これは私仄聞しておるのですが、これは事実かどうかわかりません。私有地を貸したのだが、これに対する借地権といいますか、借地に対する借地料を払っておらない。で、最近そういう問題が出てきておるのですが、これはあなたの方との関係は全然ないのか、それともこれは駐留軍関係の借地の問題であるのかどうか、この点おわかりになりませんか。
  96. 林坦

    政府委員(林坦君) この私有地と申しましても大きな日本特殊鋼とかその他でございまして、東京都はただいま申し上げましたようにございませんし、また現在借りております場所に、土地に対しての借料を払っていないというものは当局としてはございません。
  97. 千田正

    千田正君 現在としては何もそういう問題はないと、こういうわけですね。
  98. 林坦

    政府委員(林坦君) さようでございます。
  99. 千田正

    千田正君 その次にお伺いいたしますが、ロラン局の問題ですが、これは日本全国に幾つ置くおつもりでございますか。これはどなたかから御説明を願います。
  100. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 全国に大体三つばかり予定しております。一つは北海道、一つは岩手県、もう一つは千葉県という予定でございます。
  101. 千田正

    千田正君 これは観測所ももちろん必要でしょうが、これはむしろ防衛庁との共管でやるべきじゃないですか。それともむしろあなたの方が専管でやる方が都合がいいのであなたの方でやるのですか。
  102. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) これは防衛庁に関係ございませんが、御存じのように航路標識の一部でありまして、北洋漁業その他ヘビーコンを出しますとか、その方向でございますので、全く私どもの専管でございます。
  103. 千田正

    千田正君 もう一つ伺っておきますが、海上保安庁の方は私もときどき便乗させてもらって、李承晩ラインまで行ったのですが、実際もう少し金をかけて速力のある船があれば相当効力を発し得るのに、よたよたしていて、むしろ漁船よりおそくてどうにもならぬという問題が出てくる。それからもう一つは、最近、おととしは御承知のようにビキニの原子力実験によって日本の漁船が被害を受けた、こういう問題があって、さらに本年はアメリカがもうすでに声明しておる通り再びマーシャル群島の周辺において実験すると、当然これは公海にある程度の制限を受けなければならないのですが、そういうことに対してもちろん農林省直轄の問題もあるから、あるいは調査船を出すかもしれませんが、海上保安庁としましては警戒あるいはその他に対して保安庁の船舶を配置するという御意向はありますか。
  104. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 最初から申し上げますと、御存じのように海上保安庁ができますときは二十八隻の、海軍から引き継いだあまりけっこうな船ではございませんでしたけれども、逐次改良していっておるわけでございまして、中には御指摘のような船もあるのははなはだ残念であるので、できるだけこれを早くハイ・スピードの船にかえたいと思って万全の措置をとっておるわけであります。毎年逐次かわっておりますので、そういう新しい予算ができましたら、どうかよろしく御審議のほどをお願いする次第であります。  それから今の南方の方の原子核の実験に関する問題でございますが、これはもちろん私ども水路部と関係がございますので、海流の調査その他につきまして、できるだけ調査船を出そうと思っておりますが、警戒その他につきましてはアメリカとも前に連絡するわけでありますが、今、現にもしやるなら飛行機で前もってよく管内に日本の漁船がおるかどうかということを調査してくれと、こういう連絡、ことに具体的になりますが、向うはレーダーで、飛行機でやるものでありますから、漁船ですと何かリフレクターのようなものでも持っていると非常に反射していいのでありますが、そういうので目下具体的な措置その他につきまして大いに検討しておるわけであります。
  105. 千田正

    千田正君 今の問題、私は非常にこの際研究していただきたいと思います。同時にこれは海の問題でありますが、問題は空の問題もありますので、これは公空——いわゆる分けの空——と領空との国際法関係の問題もありますので、それによって気流の関係であるとかあるいはそういう影響によっていろいろな問題が起きるの、アメリカの実験はどうのこうのということは一つの問題として、それは別問題として、国際航空に日本では参加している関係からいたしましても、これからは空の問題というものが、やはり陸と海と同じように将来の世界の、人類の文化の向上と同時に、重大なる一つの問題になると思うのです。それに対処する気流の関係とか、そういうものに対しての航空上からの研究を今度の問題についてお考えになっておられますか。
  106. 吉村順之

    説明員(吉村順之君) ただいまの御質問の点でございまするが、気流の変化につきましては中央気象台の方で十分観測をいたしまして、できるだけ早く気流の変化を発表いたしまして、国内でも船の方でも十分注意するように準備いたしております。
  107. 千田正

    千田正君 ちょうど中央気象台からいらしっているから、また何でもかんでも言いがかりをつけるわけじゃありませんが、災害や何かの予想を、前によく終戦直後やっておられましたが、その後これはアメリカ側との共同で調査しておったのだけれども予算の都合でこれは一たん中止したという格好ですが、やめておったでしょう、定地観測や何かは……、それはどうなんでしょうか、復活しておられますか。
  108. 吉村順之

    説明員(吉村順之君) それは、お尋ねは定点観測の件でございますか。
  109. 千田正

    千田正君 そうです。
  110. 吉村順之

    説明員(吉村順之君) あれはアメリカの方は四分の三、日本の方は四分の一の経費をもって二十二年から観測をしておりましたが、これはアメリカの方では経費は出せないというわけで、実は四分の一の経費をそのまま使いまして、南方定点だけをやっておるわけでございます。北方定点の方も必要ではございますが、何さまあれを始めまするには船が、大体二千トンくらいの船が三ぱいくらい要るわけでございます。非常に多額の予算を必要といたします。またそれだけでなしに、実は気象台は中の施設が非常に古い施設であり、また新しい施設をやりまして、漸次施設の改善からなされなければならない点が非常に多いのでございます。そういう関係で実は気象台といたしましては、たとえば通信系統とか観測のいろいろな新しい施設をするとかそういった方面に重点を置きまして、いずれ台内の施設が相当程度に運びましたらそういうような定点観測もまた考えたいと、こういうように考えておる次第でございます。
  111. 千田正

    千田正君 それでは一体どれくらいかかるのですか、その予算が。
  112. 吉村順之

    説明員(吉村順之君) 台内施設でございますか。
  113. 千田正

    千田正君 いや、その定点観測をやる……。
  114. 吉村順之

    説明員(吉村順之君) 定点観測は二千トンの船を作りますと、大体一ぱいが六億円くらいの勘定でございますので、船の建造費だけで十八億くらいはかかるわけでございます。そのほかに毎年の維持運営費といいますか、それが二、三億はかかるだろうと思います。そのほかに乗組員と観測員を合せますと、大体二百人近い人が要るわけでございます。
  115. 千田正

    千田正君 だからそういう関係でやめられたのだろうと思いますが、逆に私は海上保安庁にお伺いしますが、海上における遭難事故による損得は大体どれくらいですか。
  116. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 大体一年間百十七億くらい……。
  117. 千田正

    千田正君 特に地方圏内においてはどれくらいでございますか、大体でよろしゅうございますが。
  118. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 北方圏内とおっしゃいますと、大体北海道地区三……。
  119. 千田正

    千田正君 東北、北海道地区です。
  120. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 東北、北海道地区で約五十億円くらいだと思います。というのは、こまかい船が多うございまして……。
  121. 千田正

    千田正君 それで今のように、南方と同じように北方においてもそういう定点観測ができればある程度のそういう年々五十億といいますか、そういう損害は防げる。しかもこれから北洋漁業が漁業の中心になって参りまして、カムチャッカあるいは四十七度線以南等というようなところが一つの日本の漁業の新しい漁場としての場所になるわけであります。それだけに日本の国内産業と相持ってこの問題は相当必要なことであって、私は今の中央気象台とすれば内部の設備、あるいは新しい機械、あるいはもっと科学的ないろいろな面において新しい資材を取り入れて設備をしたい。これは当然そうあるべきであって、そうしなければならないでしょうが、それとは別にそういう問題を切り離して要求されたらどうですか。私はこれは一つ単なる運輸省の管轄の問題ばかりじゃなく、日本の産業というものと相待って必要な問題だろうと私は考えております。それに対しましてはむしろ大臣としての御意向を承わっておきたいと思います。
  122. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 役所の方の内輪のことを申し上げると、やはり年年進駐軍がやめてからそういったような経費を大蔵省の方に要求はしておることはしておりますが、しかし今申しましたように何分大へんなものですからことしまで実現を見ないのです。しかし運輸省としては終始変らず熱心にこれをやりたいと、こう思っております。何分にも、たとえば私よく知らないのですけれども、仄聞するところによると、北大西洋などでやっておる場合でも、この関係のある田が国際的に協力してやっておるというようなやり方なんですね。だからほんとうを言うと、机の上で考えれば、やはりソビエトが、とにかくああいう方面に関係あるものがやはり費用を出しあって、アメリカもそうだろうと思いますが、やれば非常にやりいいわけなんですけれども、そこが今申したように日本は特殊な事情がございまして、国際的に、それがいかない。それからこれは私が申すまでもなく、南方と違いまして非常に荒い所でございますから、なかなかなまやさしいことじゃできませんので、それらが南方のものと違って余分に金を食うというような事情もございますが、事情事情でありまして、お話しの通りどうしてもこれはああいうことについてできるだけの観測をいたしまして、そうして災害を未然に防ぐことがこれは当然だろうと思いますので、今後も運輸省といたしましては、引き続いてそういうことの実現ができるように努力いたしたいと、こう考えております。
  123. 千田正

    千田正君 なぜ私はこういうことを言いますかというと、今海上保安庁の損害だけはおっしゃって、大体五十億。東北、北海道にかけて定点観測があった当時は比較的早く冷害とかそういうものに対して、ことに降雪、それから降霜ですね、霜の降る、雪の早く降る状況や何か比較的早くキャッチできた。ある程度冷害というものに対する対処方針ができたのですが、ところがあれがなくなってからひんぱんとして冷害や、それから霜害が多くなってきておる。私は農業の被害が相当ありますので、その点も私は特に海上の遭難と同時に非常に憂うるものの一人なんですよ。あれを廃止するときには私は予算委員会でまっこうから反対しておりました。ということは、気象台におけるところの人員整理とかいろいろな問題が相マッチしてそういうことになっておりましたけれども、日本の現在のいわゆる生産というものに相関連しまして必要なことでありますから、今大臣のおっしゃる御所信があるならば、特にこれは政府部内においても十分考えていただきたい、これを申し上げておきます。  なお、国有鉄道その他についてはいずれ皆さんもほかに運輸省質問があると思いますから、皆さんからどうぞ御質問願っていただきたい。私もまた研究さしていただきます。
  124. 堀末治

    主査堀末治君) 何か運輸省に御質問ございますか。
  125. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 第十二次造船計画は二十三万九千ですね。このうちその利子補給は三十一億になるわけですか。これは前の分も含んでおるわけですか、ずっと第一次以来の。三十一億という利子補給は。
  126. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 三十一億三千万円のうちには、御指摘のように過去の分六次船以下十一次船までの分と十二次船の分と全部合算してございまして、第十二次船の分だけでございますと、五十八百一万九千というのが第十二次船の三十一年度分でございます。
  127. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今までの融資総額、つまり三十一億の利子補給に見合う融資総額は、財政資金と市中資金と合せてどのぐらいあるのですか。つまり第六次から十一次までどのくらいになっておるわけですか。
  128. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) これはちょっと融資総額をもってきませんでしたが、現在残っております利子補給の対象となります借入残高でございますが、残高は合計いたしまして千九百二十一億円、そのうち財政資金が千六十一億円、市中資金は八百六十億円、こういうふうになっております。
  129. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この償却は、利子は補給されているから順調にいっているわけですが、元金の償却は順調にいっていますか。
  130. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 御承知のように一昨年、あるいは一昨々年あたりは非常に海運市況が悪うございまして、そのために償却を相当滞らしました。ただいまのところは普通償却では約五百億円の償却不足がまだ残っておるという状況であります。
  131. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 焦げついているということですね。没するに償却すべき年次になっているのに償却ができない、焦げつきになってきたというわけですね。そうすると、焦げつきができるとどんどん焦げつきが重なってくるということを考えなければならぬ。その問題はどういうふうにして解決されますか。
  132. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 結局ただいまのように市況が上昇いたしまして、償却前の利益が当期の償却限度をこえるようになれば、今お話の償却不足が逐次なくなる、こういうふうに考えられるわけであります。ことしの三月期の見込みでございますが、大体普通償却で約九十億というものに対しまして百四十億ほどの償却金額がある見込みであります。従ってその差額の四、五十億というものが全部ではございませんが、相当程度の償却金額に回されるというふうに考えております。
  133. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 利子補給は当然計画的にやっているわけですから、利子だけが補給されて、元金が償還されないで残ってくると、初めの計算よりは、利子補給を続けてやるとすれば、計算外の滞った焦げつきの分の利子補給を続けてやるのか、あるいはもう一度計画でやった以上はやらないのか、どういうふうに扱われますか。
  134. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 制度上償還の計画に見合いまして利子補給の限度というものの金額を定めておりまして、契約でもそういうふうになっております。従いまして計画よりも渋りが多くできたというふうな場合にも、そのために利子補給をよけいに支給することはできない建前であります。
  135. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると償還が計画通りに行われないで渋っておる分についての利子は自己負担になる、こういうことですね、そうですね。
  136. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) はい。
  137. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 こういう状態が、自由経済の建前から言えば、こういうことをいつまでも続けているということは適当じゃないんですが、どうですか。見通しとしてはこういうことが今後何年ぐらいこういうような経済的な助成を行っていけば、大体コマーシャル・ベースで造船が行えるようになるとお考えですか、大臣のお見通しを伺いたい。
  138. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) なかなかむずかしい見通しですけれども、まあ私もその方についてはしろうとなんですが、私の承知しておるところでは、とにかく海運界というものはほかの仕事と違いまして始終好況にあるものじゃございませんです。いわゆる好況の朝間というものが三年なり五年なり続きますと、今まで十年なりあるいは七年なり滞っていたものがそれによって回復するというのがまあ従来の経験でございます。従いまして今日の海運界の市況が幸いに一年半ぐらい前から非常に活況を呈しておりまして、運賃が非常によくなりましたが、今局長が申し上げました通り、今年は五十億ぐらいのつまり余りが出るということでございますから、この状況がおそらく三十一年度も続くだろうという見込み、それから日本の方の、一方造船所の方の注文が三年ぐらい先のものまで注文しておるというところをみますと、やはり世界の方の海運業者のくろうとの見込みがもう二、三年はこういう状況で続くのじゃないかという見通しであろうと、こう思いまするので、そういたします為と、まあこの状況が今言うたように三、四年続くということであれば、今までの局長の言われている滞りの金額が大へんでございますけれども、こういう状況であればこういうものは滞りなく返せるだろう、こういう見込みであります。しかし大体損失補償をいたしまするときに、御承知通りに若干の損失は仕方ないということで、せめて赤字になった残高の何%ですか、国が補償するという建前で、万一の場合にはそういう方法でもってコマーシャル・ベースに移りかわりができるような建前になっておる、こういう状況でございます。
  139. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今、日本の造船能力は何百万トンを越しておるように思うのですが、二十三万トンという計画造船の量というものは、国でこのくらいなら造船さしても、将来持たしていても心配ないというので二十三万トンというような数学が出るのか、あるいは財政的にみてやらなければならぬ限度が国の財政の限度から出る数字であるか、どちらから出て来た数字なんでしょうか。
  140. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) その点は、やはり計画造船でございまして、あと五年の間に百万トン余りのものが必要だ、そうしますと、総体で四百万トンちょっとになるでしょう。戦前は六百万トンから持っておったのですが、このごろスピードも速いようですけれども、日本の海運界の現状から見てその程度は必要であろうという数字から割り出した二十三万トン、これからあと四年、五年ございますから、その辺になりますと、やはり計画造船の目標の五百万トンに到達する、こういうふうに割り出したのであります。
  141. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その五カ年計画というのは一応第一次五カ年計画のおつもりだったのですか、それともまあ一応四百万トンの目標が現在の海運状況から見て日本として適当であるという限界からきたものですか、もっと大きく戦前の六百万トンを持ってもいいけれども、一応はこのくらいという腰だめなのでしょうか、どちらだったのですか、五カ年計画は……。
  142. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) やはりそれはなかなか国の将来の推定はむずかしいのですけれども、トン数が同じでも速力が多いとか、あるいはことにタンカーなどはだんだん能率がよくなって参りました。そういう関係で一応五年後の目標の四百万トンというものが、戦前の四百万トンよりは多いわけでございまして、まず日本の海運局としてどうも必要ななにからみて、その程度のものなら世界の海運界に伍してそうむやみな競争もせずに保っていけるだろう、こういうことをいろいろな角度から見て計画したと、こういう数字のように承わっております。
  143. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 捕鯨船がだいぶ毎年、まあ相当の活躍をしていっておるのですが、あの捕鯨船の方もこの計画の中に入っておる数字ですか。
  144. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) それは入っておりません。
  145. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、捕鯨船についてはこれはコマーシャル・ベースで捕鯨会社が自分でやっているということですか。
  146. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) そうなのですね。そのかわりあれは向うから国際的にとる数量の協定がございますから、その数量のクォーターがあるまで建造するということだろうと承知しております。
  147. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 国鉄の方でちょっと伺いたいのですが、毎年電化のために数十億使っておるわけですが、旅客に対するサービスからいえば、もう電化はこれに越したことはないのですが、機関車の価格、耐用年数、また動力機、そういうものをあわせて経済的に日本のような電力の豊富な国では、電気の方がいいということなんでしょうか、それともやはり主として旅客に対するサービスという面からくるのか、どっちを主としているわけですか。
  148. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 鉄道の電化につきましては、ただいまお示しの通り、経営経済的にも、その後における維持といたしましては、石炭を用いますよりは有利でございます。さらにその石炭は他の産業資源としてより有利な方に回せるという副次効果もございます。また御指摘のように、あるいは都会地付近でありますとか、あるいは勾配隧道区間でありますとかは、旅客サービス上も著しくそのサービス効果も出る、かように相なっております。
  149. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それは機関車を新しく両方をこしらえるということにして、機関車の耐用年数、それからそういうものをすっかり入れて、経済的にも電気の方がいいと、こういうことなんでしょうか。
  150. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) はい、さようでございます。
  151. 千田正

    千田正君 国鉄にお尋ねしたいんですが、あなたの方からいただいております参考資料のうち、三十年度と比較して三十一年度予算のうちで減額しているのは、損益勘定で修繕費、それから工事勘定で諸設備費が昨年に比較して減少しているということは、何が一体減少しなければならないのか。むしろサービスであるとか、そういう点からいっても、また老朽施設の改造とか、あるいはレールの改廃とかという問題になってくると、むしろこの辺は増額しておかなければならぬのじゃないかと思うのだが、なぜこういう面が減額されているのか、この点を伺っておきたいと思います。
  152. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 国鉄から御説明を申し上げます。
  153. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) ただいま前年度と比較いたしまして、数字が低くなっているのは修繕費と諸設備費であるというお話、まことにその通りでございますが、修繕費につきましては昨年度におきまして行政管理庁が私どもの方の監察の結果として、いろいろ項目がございました中に、修繕費から業務費へ流用しているというようなことがございました。これは当時国会におきましてもその後御説明申し上げました通り、実際問題といたしまして昭和二十三年でございましたか、進駐軍、いわゆる占領中におきましての予算編成に際して、業務費というものを理不尽に削減されたという関係で、修繕費から毎年流用するという形をとって参ったわけでありますが、これははなはだ予算面と実際面と合わない予算は適当でないという御意見がございましたので、本年から大蔵省の方でも、運輸省の方でも、この点を御勘案になって、実際要るだろうと予想される数字に組み直したのが約五十億ばかりございます。従って五十億ばかりのものが予算面上は減ったことになっているわけでございます。しかしながら実質は逆にふえているということになるかと思うのであります。  諸設備費につきましては、これは大体昨年とほとんど同額程度でございますが、これは何分にも私どももっとふやしていただきたいと考えておったのでございますが、工事勘定の財源として入って参りますものがいわゆる損益勘定の方から入って参ります自己資金、それからもう一つは、借入金等でございます。この二つの財源にマッチした工事勘定の費目を立てなければなりませんので、財源がない。一方電化は本年度大阪までの開通のためにちようど工事の山に参っておりますし、あるいは通勤輸送の関係にいたしましても、山手・京浜の分離が本年度に完成するということで、車両を増加しなければならぬということで山になって参っております。その結果といたしまして、どうしてもそういう改良工事のためにも相当の資金支出しなければならぬという関係で、ほぼ昨年と同額で非常に少いわけでございますが、半面電化設備費として計上いたしております電気機関車、これは昨年度五十数両入っていると思いますが、これなどはすべて古い蒸気機関車の機関というように結果としてはなりましたので、いわば老朽施設の取りかえという面に、費目は設備費として上っておりますが、効果としては大いに働く、こういうように考えております。この点私どもまことに残念でございます。もっと設備費をふやしていただきたい、かように考えておりますが、財源上の問題と、ただいま申し上げましたような、ほかの費目でもこういう点に効果を持っておる点も相当あるという点から、一応この程度で来年度やって参りたいと、かように考えておりまするが、他日財源が調達できますならば、この点はもっと増額していただきたいと考えておる次第でございます。
  154. 千田正

    千田正君 そういたしますと、この損益勘定における修繕費の方はむしろ行政費の方との間の関連を打ち切った、こういうことであるわけですね。
  155. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 行政費と申しますが、私どもの方は業務費でございます。それとの関連を打ち切ったと申しますが、整理いたしまして、大体実際面に合うように予算を組んでいただいた、こういう関係でございます。
  156. 千田正

    千田正君 実際むしろこれから設備や何かということは、あなたの今おっしゃる通り、国鉄に対する国民の信頼に対しても設備等に対しては、完全なものにどんどんしていかなければならないと思うのですが、それが打ち切られているということ、減額されているということは、どうも私には納得いかないのですが、もう一つ衆議院などでだいぶ問題にしておりましたいわゆる国鉄一家と称せられますか、そういう国鉄との関連にあったところの従属機関といいまするか、あるいは外郭団体の機関といいますか、そういうものはこの際一掃して、今度の案はそういうものとの関連とは全然別個に、本来の姿に戻って作られたということですか、どうなんですか、その辺は……。
  157. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) いわゆる国鉄の外郭団体に対しましてとかくの御批判があったのでございまして、私ども至らない点は改善するように努力して参ったわけでございます。昨年行政管理庁の監察等に関連いたしましていろいろまた御批判の対象になったわけでございます。私どもの方としては昨年末外郭団体の整理と申しますか、これらの中で真に私どもの仕事の必要上残すべきものは残す、まあしからざるものとは縁を切るという体制を整えまして、ただいま逐次実行に移しておるわけでございます。まあこの点につきましては、その後運輸省に設けられました経営調査会の方におきましても御検討になって、この方針で進んだらよかろうという御答申もあるのでございますし、またこの中で私どもの方で外部の方々を御委嘱いたしまして、この外郭団体との間を公正にするために、御批判をいただくための部外団体の公正、これはフェアという意味の公正でございますが、公正委員会というのを設置いたしまして、すでに数回お集まりをいただいておるわけであります。こういうような措置でもって国民のいろいろな御非難に対して疑惑を解き明朗な姿に持っていきたいと思うのであります。ただ何分にもこれらのものに関しまするものは経費その他の関係はきわめて少額でございます。少額であってももちろん決してなおざりにするわけではございませんが、少額でございますので、そういう点での経費の節約ということは十分織り込んで、さらにその上に私どもといたしましては明年度におきましては三十年度予算をそのままの姿に伸ばしていく場合におきまして、おそらくあと五、六十億はどうしても要るんだというものに対しましてこれを節減するということで予算を組んで、足りない中で十分なサービスを国民の皆さんに尽したい、かように考えて極力経費の節減をはかっておるのであります。そういう中にそういう点も十分織り込まれておると考える次第でございます。
  158. 千田正

    千田正君 よく衆参両院に対しまして、会計検査院から批難事項として報ぜられるさまざまの妥当ならざるところの金の使い方というようなことで批難事項がよくやってくるのですが、昨年度においてはそういう問題は国鉄には特に銘記すべき問題は起きておらなかったですか。
  159. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 会計検査院で昨年御指摘になりました件数は大体十件程度かと存じております。そのうち約三件ばかりはこれは職員の不正でございまして、職員が不正を行いまして、公金を横領したというような事件、もちろんこれらの者は厳重に処分をいたしまして目下刑事事件となっております。できるだけまたその被害の回収にも努力いたしておる次第であります。それ以外のものは会計検査院として不当というような御判断で、その支出が適正でないという御批難がございます。これらに対しましてまた私どもといたしましては、これは言いわけになるかもしれませんが、私どもの立場といたしましては中には事情やむを得ないものとして御了承願えるんじゃないかというものも多々あるかとも思いまするが、かりに検査院のおっしゃる通り非常に能率の悪い金の使い方だという御指摘のものを、決算報告書に現われただけで集積いたしますと大体三千万円ないし四千万円という額になっておるかと思うのであります。もちろんこれらの額といたしましても私どもとしては十分反省し、今後の改善に努めなければならないことは言うまでもないことで、この点につきましては今後とも十分注意いたしたいと思いまするが、大体昨年度の経過はさような程度でございます。
  160. 千田正

    千田正君 この設備費の節約とか、あるいは修繕費とかいう問題の減額等によって、新線計画に対してはある程度年度より進んで新線の計画を実行されるというようなふうに入っておりますか、それとも前年度程度しか新線はできないと、あるいはもっと縮めてやれないという状態にあるのですか、どうですか。
  161. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 新線建設に関しましては先ほど大臣の御説明にもありました通りに、本年度予算額は五十五億と相なっておりまして、昨年度よりは二十五億ばかりふえておりますが、これはすべて資金運用部からの借り入れでございます。今御指摘の修繕費関係は業務費との見合いで正常化しておるのでありまして、これは損益勘定の経常費の方でございますので、この増減は新線建設の費目とは関係がございません。
  162. 千田正

    千田正君 鉄道債券の発行等によって新設方面、新線等に対する設備とか、あるいはかって戦争中撤去しておったところの線路の復活とかという問題についてはお考えになっておりませんか。鉄道債券そのものの一体効用はどういう方面に動かしておるわけですか。
  163. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 鉄道債券は三十一年度予定額といたしましては公募が二百四十億、利用債関係といたしまして十億、合せまして二百五十億といたしておりますが、これはいずれも資本勘定の収入へ入れまして、これが損益勘定の受け入れの三百二億ばかりと合せまして五百八十三億工事勘定に繰り入れたわけでございまして、この中に私が先ほど申し上げました借り入れ五十五億も内ワクで入っております。で、この五十五億を新線建設に回しまして、残りの部分において通信、輸送でありますとか電気でありますとか、車両のサービスでありますとかいたしますわけでございますので、その債券は公募にいたしましても募集して集まった金は何と申しますか、そういった工事勘定の資金として使われますので、特別なひもつきというようなものは資金ワクとしてあるだけであります。ただ利用債につきましてはある独特の専用線でありますとか、あるいは特定の地域の改良でございますとか、そのためにいろいろ地元と話し合いがついて、これをそういう特殊目的に使用いたすことはございます。
  164. 千田正

    千田正君 日本の狭い国土に相当国有鉄道の敷設に伴ってある範囲の土地を所有しておられますが、戦争中ことに従業員の食糧不足等を考えて、そうしてあるいは土地を買ったり、あるいは未墾地を買って、そこに従業員の厚生設備等をやっておりましたが、そういう点において今でもそういう面は持続してやっておられますか、それともある程度整理して売却するものはして、ある程度整理しておられますか。
  165. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 戦争中に私どもの方でいろいろ買収いたしました土地、これは二つございまして、輸送力の整備のために必要な土地というようなものは、これは今後私どもの方の仕事の進み方等も勘案いたしまして必要なものは残しておきたいと、かように考えておりまするが、たとえば東京、下関間の新幹線用地というようなものもございます。これらのものにつきましては東海道線筋におきましては今後輿海道線に行き詰まりが予定されますので、複々線用地としてやはり確保しておいた方がいいと考えられますものは残しておきますが、山陽線等の付近のものはこれは今日の段階では必要ないと考えております。またお話のございましたように食糧増産その他というような趣旨で求めておりましたものは、これは全然必要はないものと考えております。そこで一昨年来私どもの方の設備資金その他が非常に不足でございますので、こういうものを売りまして、新替いたしまして、必要な工事に充てたいと考えてそれまで一億円程度ございました不要施設の売却を昨年、一昨年度から七億あるいは四億というふうに上げております。私どもの方でいろいろ全国にわたって全部調査いたしましたところが、大体売却し得るものの総額が八億程度かと考えておりまするが、ただこれにつきましては非常に残念なことには、昨年、二十九年度はいわゆる一般的にデフレ不況と申しますか、非常に金詰まりでございましたので、なかなか適正な値段で売却することができないというような状態がありましてやめたものもございますが、大体二十九年度、三十年度の両年度おきましてほぼ予定の額は消化できたと考えております。しかしながらまだ現地には多少残っておるものもございますので、来年度におきましても極力これを売却いたしまして、足りない資金源にいたしたいと考えて、来年度予算にも約三億程度のものを計上いたしておる次第でございます。
  166. 千田正

    千田正君 大臣にお願いしておくのですが、人口が相当ふえてきまして、相当交通量もふえてきておるのだが、実際東北、北海道、あるいは山陰とか九州とかいう僻陬の地においては今なお国道さえも十分にできておらない。しかも鉄道の利用によって何とかして文化の恩恵に浴したいという国民が相当多数あるわけですね、にもかかわらずただいま御説明があったように、十分なる新線を設置するだけの予算もそう年々多くは増加しておりませんので、残念なことにはわれわれは方々から陳情も受けていますし、それに対して十分なお答えもできないというような状態でありますが、将来サービスの改善と相待って、こうした不便な僻陬の地にある程度新線を……毎年これはしぼられて、いつでもせっかく国鉄の方では考えて延ばしたいと思っても減らされてしまう。大蔵省の査定その他によって減らされてしまうのですが、こういう問題を真剣に一つお取り上げ願いまして、離島問題もさることであるし、同時にまた国内における国民の文化、交通その他に寄与する点が国有鉄道としての非常な目的であると思いますので、その目的に沿うような予算の取り方なり、対処の方針を決定していただきたいということを私は質問でなく要望しておきます。
  167. 堀末治

    主査堀末治君) 他に御質疑ございませんか……他に御質疑がございませんでしたら、運輸省所管並びに国有鉄道所管予算について御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 堀末治

    主査堀末治君) 御異議がないものと認めます。それでは運輸省所管分科会はこれにて終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十四分散会