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1956-06-03 第24回国会 参議院 本会議 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年六月三日(日曜日)    午後五時五十四分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六十号   昭和三十一年六月三日    午前十時開議  第一 余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第二 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第三 特定物資納付金処理特別会計法案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第四 金融制度調査会設置法案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第五 税理士法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第六 物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第七 気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第八 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第九 地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一〇 国防会議構成等に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一一 通商産業省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一二 農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第二二 昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一四 電源開発促進法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一五 千島歯舞諸島返還等に関する請願 (委員長報告)  第一六 千島列島返還等に関する請願 (委員長報告)  第一七 李承晩ラインによるだ捕抑留漁船乗組員釈放等請願 (委員長報告)  第一八 韓国抑留漁船乗組員の送還に関する請願(二件) (委員長報告)  第一九 京都植物園接収解除促進に関する請願 (委員長報告)  第二〇 名古屋市内駐留軍家族住宅移転促進に関する請願 (委員長報告)  第二一 駐留軍使用の大津水耕農園等の用地を地元被害農民に払下げするの請願 (委員長報告)  第二二 福岡地方簡易保険局大濠庁舎返還促進に関する請願 (委員長報告)  第二三 名古屋市白川町接収地域返還に関する請願 (委員長報告)  第二四 長崎県鳥島区域駐留軍爆撃演習廃止に関する請願 (委員長報告)  第二五 奄美大島知名町に米軍飛行場基地設定反対請願 (委員長報告)  第二六 日ソ日中国交回復促進に関する請願(二件) (委員長報告)  第二七 オットセイ保護条約締結促進等に関する請願 (委員長報告)  第二八 太平洋水域における水爆実験中止請願(十件) (委員長報告)  第二九 太平洋水域における水爆実験中止等請願(四件) (委員長報告)  第三〇 原水爆実験禁止に関する請願(六件) (委員長報告)  第三一 原水爆実験禁止等に関する請願(七件) (委員長報告)  第三二 公海における水爆実験禁止請願 (委員長報告)  第三三 人権擁護事業予算増額に関する請願(二十件) (委員長報告)  第三四 高知地方法務局赤岡支局改築に関する請願委員長報告)  第三五 埼玉県皆野町に浦和地方法務局出張所設置請願 (委員長報告)  第三六 山口県宇部市に山口地方裁判所支部等設置請願 (委員長報告)  第三七 宮城築館簡易裁判所家庭裁判所併置請願 (委員長報告)  第三八 秋田県米内沢町に簡易裁判所等設置請願委員長報告)  第三九 徳島刑務所移転に関する請願 (委員長報告)  第四〇 売春問題に関する請願 (委員長報告)  第四一 売春禁止法制定促進に関する請願 (委員長報告)  第四二 売春防止法制定促進に関する請願(二件) (委員長報告)  第四三 戸籍法第百二十八条改正に関する請願 (委員長報告)  第四四 大阪拘置所都島区内移築反対に関する請願(三件) (委員長報告)  第四五 大阪拘置所移転にかかる国有財産不当処分反対請願 (委員長報告)  第四六 大阪拘置所茨田横堤移転に関する請願委員長報告)  第四七 長野伊那警察署不当取調調査に関する請願 (委員長報告)  第四八 中国における日本見本市開催に関する請願(八件) (委員長報告)  第四九 中国向け木造船輸出特認に関する請願 (委員長報告)  第五〇 木造船中国向け輸出禁止解除に関する請願 (委員長報告)  第五一 長野八ヶ岳いおう採掘反対に関する請願(二件) (委員長報告)  第五二 大分県新馬上金山鉱害による損害補償請願 (委員長報告)  第五三 道南地方地下資源調査に関する請願 (委員長報告)  第五四 北海道遠別町の地下資源開発促進に関する請願 (委員長報告)  第五五 石油資源開発株式会社に対する国家投資請願 (委員長報告)  第五六 山形県の石油等開発促進に関する請願 (委員長報告)  第五七 鉱害賠償及び鉱害復旧制度強化に関する請願 (委員長報告)  第五八 只見川電源開発促進等に関する請願 (委員長報告)  第五九 国立只見資源公園設定に関する請願 (委員長報告)  第六〇 北海道石崎川電源開発に関する請願 (委員長報告)  第六一 北海道落部、野田追両河川の電源開発に関する請願 (委員長報告)  第六二 山形朝日川地区電源開発事業促進等に関する請願 (委員長報告)  第六三 長野松本市に商工組合中央金庫出張所設置請願(二件) (委員長報告)  第六四 余剰農産物見返円の中小企業導入に関する請願(二件) (委員長報告)  第六五 中小企業振興対策に関する請願 (委員長報告)  第六六 火災保険協同組合法制化に関する請願 (委員長報告)  第六七 中小企業等協同組合法第九条改正に関する請願(三件) (委員長報告)  第六八 在外財産処理促進に関する請願 (委員長報告)  第六九 引揚者の在外財産補償に関する請願 (委員長報告)  第七〇 福島県立たばこ試験場国立移管に関する請願 (委員長報告)  第七一 対日平和条約発効前の沖縄における米軍使用による土地等損失補償請願 (委員長報告)  第七二 信用保証協会国家財政資金導入等請願 (委員長報告)  第七三 鹿児島県桜島噴火降灰によるたばこ耕作被害対策請願 (委員長報告)  第七四 在外財産補償に関する請願 (委員長報告)  第七五 岩手県盛岡市附近に国立たばこ試験場設置請願 (委員長報告)  第七六 岩手県大船渡市に設置される東北製塩株式会社製塩許可促進請願 (委員長報告)  第七七 紅、おしろい等物品税軽減に関する請願 (委員長報告)  第七八 北海道滝川滝川電報電話局庁舎新築に関する請願 (委員長報告)  第七九 新潟県にテレビジョン放送局設置促進請願 (委員長報告)  第八〇 茨城県久慈川改修工事施行に関する請願 (委員長報告)  第八一 宮城広瀬川筋仙台評定河原橋災害復旧工事費国庫補助金早期交付等に関する請願 (委員長報告)  第八二 京都大野ダム建設に伴う損害補償請願委員長報告)  第八三 茨城県横利根川ひ門開放に関する請願 (委員長報告)  第八四 一級国道三号線中久留米、八女両市間舗装工事施行に関する請願 (委員長報告)  第八五 放射第一号路線中五反田駅ガード築造等に関する請願 (委員長報告)  第八六 長野松本市に長野陸運事務所出張所設置請願(二件) (委員長報告)  第八七 自動車損害賠償保険法の一部改正に関する請願(二件) (委員長報告)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————・————
  3. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより本日の会議を開きます。  小酒井義男君から、議長不信任決議案が、委員会審査省略要求書を付して提出されております。  この際、本案委員会審査省略につきお諮りいたします。  発議者要求通り委員会審査を省略し、日程に追加して、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御異議ないと認めます。よって本案議題といたします。まず、発議者趣旨説明を求めます。小酒井義男君。   〔小酒井義男登壇拍手
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、ただいま議題となりました松野鶴平君に対する不信任決議案提案説明を行いますが、議員生活六年を終る最後の日に、こうした提案をしなければならないことを心から残念に思うものであります。(拍手)  まず、不信任決議案朗読をいたします。  本院は、松野鶴平君を信任しない。  右決議する。    理 由   議長は、神聖なるべき議会へ多数の警官を動員し、警察力をもって議員の言動を威圧するの暴挙を敢てしたことは、議会制度の破壊であり、断じて許すことはできない。(拍手)  私は、昨日、すなわち六月二日の参議院議会が多くの警察官によって取り囲まれて、その中で国民の関心の深い教育法案が、多数の力によって押し通されるのを、本議場においてながめながら、特に一つの深い感慨を禁ずることができなかったのであります。皆さんも御記憶があると思いますが、二年前、二十九年の六月二日、すなわちきのうは、防衛二法案が本院の本会議上程された日であります。当時、内閣委員会委員長をいたしておりました私は、この席上において、憲法を無視するところの再軍備法案成立をする、自分意思に反するところの報告をしなければならない経験を持ったのであります。このことが同じ六月二日の日に、また一つ日本民主主義を破壊するところの法律案が上げられて行くということに対して、特に個人としては、ひとしおの憤りと悲しみを禁ずることができなかったのであります。(拍手)  今国会は、御承知のように教育法案を初めとして、選挙法改正法案、あるいは国防会議設置法、その他われわれの立場からいたすならば、憲法に反するところの幾多の反動立法が政府によって提出をされたのであります。われわれは現在の憲法が、平和主義民主主義基本的人権の尊重の上に立てられた憲法が、鳩山内閣の手によってこれが改正されようという準備のために、これらの法律案くつわを並べて本国会上程をされておる、いわば歴史的な国会であるということを、特に心にとめてその審議に当らなければならないのであります。(拍手)一部の新聞は、教育法案日教組のために不利であるから、社会党が踊らされたというの記事を書いておりますが、決してそういう小さな問題ではないと私どもは考えております。(拍手)次の時代の担当者である青少年をどうして育て上げるかということは、将来の日本国家を構成する上において、きわめて重要なことであります。こういう法律案や小選挙区法によって、鳩マンダーと言われておるような、露骨に選挙区割が行われるような数々の法律案は、当然民主主義と平和を守ろうという立場にあるわれわれが、どうしてもこれを阻止しなければならない、阻止することが日本の国の将来のためであると考えるから、従って抵抗もそれ相当の強いものが出てくることは、これはやむを得ない実情であると私は考えております。(拍手)しかし、この国会においていろいろ起りました問題は、こういう重要な法律案を、数によって成立をさせようという自由民主党の強硬な方針と、われちれがこれを食いとめようとするところの抵抗とが、反発し合って、そうしてその力が勢いを越えて、抵抗の限界をいささか越えておるということは、私ども率直に認めなければならぬと思います。しかし、その抵抗をあえてしてでも、われわれはこの法律案阻止をすることが日本の将来のためである、かく考えて、そのためにいろいろ社会、世間の批判をあえて受けても、これらの法律案阻止のために数日間の国会を戦って参りました。この間におけるところのわれわれの行動においても、これは必ず近くある選挙を通じて国民批判を受けることと思います。私どもはそういう立場から、この国会におけるところの審議が、非常に度を越えたところの激烈な国会であった、それがためにいろいろな問題が派生をしてきたわけであります。  こういう立場で進められてきましたところの本国会、この決議案は、実は昨日、教育法案の前に上程さるべきものでありました。ところが国会運営が正常に行われておらないために、私ども提出した決議案は一日あとに持ち込まれて、ようやくここで上程をする運びになったことでありますが、こうした事態に対しても、私は非常に遺憾であるということを、この際つけ加えておきたいと思います。(拍手)  松野議長に対しましては、私は議長になられましてから数回面接をして、接したのであります。私は、松野議長は、個人として決して話のわからない人ではないのではないかというふうに思って接触して参りました。ところが議長が職務を行われる過程におきましては、幾つかの問題が派生をいたしたのであります。私ども国会運営が正常なルールに乗ることが一日も早いことを希望いたしました。議長に対しても、それに対する要望を繰り返して参りました。しかし、なかなか私どもの考えておるように、松野議長国会運営を正常化することに成功をされなかった。努力はされたかもわかりませんが、結果的には成功をされなかったわけです。松野議長参議院全体の議長であるという立場をとって議事運営に当られれば、こうしたことは私はあるいはなかったのではないか。自由民主党の、特に党の非常な強い圧力で、これに押されて、そうして幾つかの無理をせられたところに、松野議長をわれわれが不信任をしなければならない一つ理由があるのであります。(拍手)  松野議長不信任しなければならない第二の理由は、六月一日夜の、やりましたところの社会党議員締め出しの一件であります。(拍手)私どもは振鈴と同時に控室を出て、この議場に入ろうといたしましたが、議場は閉ざされておりました。そのために、通常私どもの入るべき入口でないこちらの入口、いつもはここは締まっておらない入口であります。この入口から入れるのではないかと思っておりましたが、この入口も、ふだんの日と違って、非常に大勢の衛視によって固められておりました。私どもの入場を阻止したのであります。私どもは、決して普通のときにこの入口から入るようなことはいたしません。ああいう事態のときに、突然開会をして、そうしてあらゆる入口を締め切ってしまうというような非常事態でありましたから、特に重要な問題のある事態にありますから、ああいうことをあえて行なったのであります。このことは、私どもはその後、松野議長休憩要求をして、休憩をしましたあとに、なぜあなたは社会党議員を締め出しておいて、そうして本会議を開いたのか、その理由を明らかにしてもらいたいということを要求をいたしました。同時に、国会運営が正常に運ばないから、こういう無理が重なる、無理が重なれば、いろいろな面で、またそこに不測の事態が起りがちであるから、国会運営を正常に開くように、議院運営委員会によって国会運営されるようにしてもらいたいという要求をいたしました。議長は、それに対して私もそう思っておるというふうに、私はとられたと思っております。私は当然その要求をいたしました。議院運営委員会が開かれるような努力がされるべきものであると信じておりました。同時に、議長がもし知らないままにこの本会議が開かれたとするのであれば、だれがそういう無理をして、社会党議員締め出しをして本会議を開くようになったのか、その事態を、経過を明らかにせられたいということを申し入れたのであります。(拍手)私どもは当然この事態が明らかに通告をされるものと思っておりましたのが、また、ここでも私ども要望は無視せられ、副議長によって再び開会をせられるに至ったのであります。(拍手)私は、そういう事態を収拾することができなかったのかどうか、あるいは松野議長意思に反して副議長登壇されたのか、いろいろ問題はあると思う。しかし事情はどうあろうとも、本院の議長としての責任上、これを許すことはできないと思うのであります。(拍手)  次に、私が松野議長に対する不信任理由の第三点といたしますところは、六月の二日の警官導入の問題であります。(拍手)六月二日の三時ごろでありますが、私は警官議事堂周辺に動員されておるということを聞きました。そういうことをやられますと、勢い問題は紛糾することになります。議事堂の付近に来ておるだけでも非常に刺激をすることになる。もし、これが院内に足を入れるようなことになれば、さらに本院としては、きわめて不名誉な結果を来たすことになりますので、議長に面会して、警官を退去さしてもらいたいと申し入れをするために、議長のところに参りましたが、議長室議長はおらぬ。聞きますと、医務室に行っておられるという話、それでは副議長にお目にかかって、副議長にお話しをしようと思って行きますと、副議長も副議長室には姿を見かけることができません。そこで私は自由民主党控室に行って、副議長をお探ししたところが、副議長は、自由民主党控室にもいらっしゃらない。最後には、事務総長部屋に行ってその所在を尋ねましたが、事務総長部屋でもわからない。これは副議長捜索願いでも出さなければならぬかと実は思ったのでありますが、とにかくそういう非常な事態にあるにもかかわらず、議長も副議長所在がわからなくて、事務総長のところでも、その所在がわからないというようなことは、これまた議長責任を十分達しておらないところの一つ不信任理由であります。(拍手)  二年前の六月四日に、衆議院でいわゆる乱闘国会と言われましたことが一度あります。そのときには、四百六十名の衆議院議員がいるにもかかわらず、あのとき動員された警官は二百名であります。ところが、昨日本院に動員された警官は五百人であります。議長衆議院の約半数の二百五十名であるにもかかわらず、五百名というような多数の警官を動員しなければならないような事態がどこにあったのか、私はその理由を了解することができません。(拍手)堂々、この議事堂周辺警官によって取り囲ませても、皆さん、何も事態が起らなかった。これだけ動員して、社会党議員が何か予想されぬような事件でも起すかのように、世論に宣伝しようという具に使われたのではないかとさえ思われる点が多いのであります。(拍手)こういう点については、私は議長がこうした処置をとられたことに対して、はなはだ了解に苦しむ、議長を信任することのできない重要な一点であります。特に本会議場にまで警官を入れ、このじゅうたんは警官の泥ぐつによって汚された。この泥は払えば落ちますが、議場の中に警察官を入れたというこの汚点は、永久にぬぐうことのできない大きな汚点であります。(拍手)このことは、議長の最も責任をとらなければならない重要な一点であると私は考えるのであります。  きのうも、わが党の湯山議員がこの壇上において、警官導入の問題について鳩山総理に対するところの退去の要求をしました。また、なぜ警官を入れなければならないかということを質問をしたときに、鳩山総理はこの演壇に立って、自由を守るため警官を入れたのだという答弁をされました。私も、自由を守るために警官を入れたのだというこの言いまわしは、非常に巧妙な、いわば魔術の含またれ言葉であると思って感心をして聞いておりました。自由というものは一体どういうものか、多数が、憲法に反するような法律案を強力にこれを押し通すために、これに抵抗する者を威圧して、そうしてこれを通すための自由であれば、これは真の自由であるということはできないと思う。(拍手国民を守るために、あるいは国会の自由を守るために警察官を入れたのでなしに、自由民主党法案を、これを成立させるために警察官を入れたとするならば、これは決してわれわれの考える自由のためではなく、自由民主党が、これを成立させることを自由にするための自由であると理解をするよりほかにないと思うのであります。(拍手)  私は最後に、議長警察官導入されましたことについて、その後いろいろ経緯を聞いておりますが、非常に警察官導入についても議長は慎重であったようです。しかし、慎重であったようですが、衆議院側の、特に党幹部圧力に押され、そうして最後にこれを阻止することができなかったということは、議長個人意思でなかったといたしましても、議長の職責にある立場上、当然責任は負われるべきものであると信じておりますから、今日、不信任決議上程した次第であります。  以上をもって趣旨説明を終ります。(拍手
  6. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 本案に対し討論通告がございます。順次発言を許します。左藤義詮君。   〔左藤義詮登壇拍手
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 ただいま議題となりました議長不信任案に対し、自由民主党を代表して、反対討論をいたします。  提案者は、警察権導入が未曾有のことであり、本院の歴史を汚すものだ。泥ぐつでよごされたじゅうたんはぬぐわれぬ、かように仰せられましたが、かかる事態のやむなきに至らしめた者は、だれでありましょうか。(拍手教育法案について十分の審議を尽さずして、中間報告を求めたことがいけないとのお話でありますが、その委員会における審議は、完全に中絶せられ、委員長委員会に入ることさえも、実力をもって阻止妨害せられたではありませんか。(拍手)ことに私が言わんとすることは、衆議院議員諸君や、その秘書たちが越境して、参議院の正常なる審議を妨害せられた事実であります。(拍手、発言する者多し)
  8. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御静粛に願います。
  9. 左藤義詮

    左藤義詮君(続) 小選挙区、これは社会党諸君の共通の問題でございます。小選挙区、特にこの区割りについては、私どもには私ども判断があり、緑風会皆さんとも相はかって、参議院の良識によって十分世論にこたえる用意があったのであります。社会党代議士諸君が、いかに小選挙区恐怖症にかかっておられたからとて、他院委員会を三日間も占拠して、その審議を妨害するに至っては、どこに二院制度の妙味がありましょう(拍手)これは社会党、共産党も含めて、私は参議院全体の問題であると思うのであります。(拍手警察権導入が当院の歴史を汚したと主張する前に、なぜ一院の議員によって第二院の権威が、かくもむざんにじゅうりんせられたことを憤慨せられぬのでございましょうか。(拍手)  教育法案悪法であるか、ないかは、国民判断いたします。国民から厳粛なる信託を受けた国会議員が、暴力の圧迫なき自由と良心に従って判断をいたします。(拍手)もしその判断国民が納得せられぬならば、次の選挙で明らかに判断せられるでありましょう。  かつて破防法審議に、私はあらゆる脅迫の中に、ただ一人賛成の討論をこの壇上でいたしましたが、その当時、あらゆる言論機関、あらゆる学者は、もしかくのごとき悪法を通すならば、日本は明日から暗黒である、治安維持法の二の舞である、言論も研究もことごとく圧迫せられると、かような反対でございましたが、破防法が実施せられて三年間、そのような事実があるでございましょうか。自分たち反対だから……(発言する者多し)静かにお聞き下さい。
  10. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御静粛に願います。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君(続) 静かに聞いて下さい。自分たち反対だから、背後の総評や日教組の要請が強いからといって、体当りや玉砕の実力でこれを阻止するというならば、そのこと自身が議会政治を否認し、民主主議を抹殺するものと言わなければなりません。およそ議長任務は……、(発言する者多し)議長任務は最も神聖にして重大であります。その命令が守られず、その任務の遂行が不可能に陥っても、なお最後の手段をとってならぬというのならば、何のために国会法第百十五条の規定があるのでございましょう。(拍手)  諸君、国会の廊下は、旬日にわたって全く無秩序に陥って、議長みずからが議院の廊下さえも出入りができぬ状態でございました。その議場におきましては、国会の象徴である議長の椅子がまさに投げ倒されんとし、現にこれを補佐しておる事務次長は、椅子からたたき落されて、ここで踏んだりけったりせられておるのでございます。(拍手)全く無抵抗の、何ら抵抗をしなかった衛視の負傷者が、実に人事不省が二名、重傷が八名、その他三十数名に及んでおるのであります。(拍手)佐藤警務部長は、二日の午前一時、このような状態では、とうてい院内警備の万全は期せられないとの上申を出しておるのであります。もし、かくのごとき状態に陥っても、なお議長最後の断を下さなかったならば、一体国会はどうなるでございましょう。(発言する者多し)
  12. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御静粛に願います。
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君(続) この国会において、永年勤続の表彰を受けられた老議長は、それでもなお、何とかして最悪の事態を避けたい、暴に報ゆるに暴をもってしない、そのためにあらゆる隠忍自重を続けられましたが、この議長の非常な心配は、私どもの党内はもちろん、緑風会の関係諸君からも、松野議長は何をしておるのか、松野は男でないのか、実に不満、不信の声が高かったのであります。もし議長が、あの暴状に威圧せられて最後の断を下さなかったら、院内は暴力横行の無政府状態となり、(拍手議長みずから秩序維持の責任を放棄したものとして、国民全体の不信任を受けたでございましょう。(「社会党を締め出した理由を言え」「だまって聞け」「理由を言え」と呼ぶ者あり)今言います。ただいま小酒井君は、社会党を締め出したと仰せられましたが、振鈴を鳴らして定足数があったら開会することは、議会の当然のことでございます。(拍手)おくれた者は自由党にも緑風会にもたくさんございました。この法案反対である無所属の諸君も、また一部の社会党の諸君も入っておられたのであります。(拍手)かようなことは理由になりません。また、衆議院では二百名であったが、今度は五百名というお話がございましたが、衆議院の乱闘が天下世論の非常な痛撃を受けまして、これに対して自粛の声明をいたしたのでございます。それが再び繰り返されるということは、決して容易な事態ではないのでございます。無抵抗の衛視に対してはあのように強かった暴力が、警察権が入ったら、初めてそのほこをおさめたではございませんか。(拍手)  今や民主主義の前途を憂うる天下の世論は、きゆう然としてどの新聞にも痛論をいたしておるのであります。(拍手)かりに百歩を譲って、議長が不公正であり、政府の法案悪法でありましても、だからといって、これを暴力をもって汚す理由はございません。現に、小泉信三氏は、暴力に対する剛毅の精神、二・二六事件も、五・一五事件でも、暴力に恐れて言うべきことを言わなかったからこそ、かくのごとき事態に陥ったのである。(拍手社会党の同調者である平林たい子さんも、かくのごとき者はびしびしと引き締めなければ、絶対に日本民主主義は守られないと言っておるのでございます。(拍手)私はあの温順な議長が、私どもがあらゆる憤激をして、なぜ議長はしないのだと、われわれが涙をもって心配しておるのに、最後まで忍びに忍んで、ついに下されました断に対しまして、これが果して不信任に値するかどうか、国民全体が私はこれを批判すると信ずるのでございます。  こいねがわくは、かくのごとき暴力を再び繰り返さないで、あくまで国会言論の府となり、良識による民主主義を守ることに、もし御共鳴でございますならば、社会党の諸君もこの不信任案を撤回して、不信任反対せられんことをお願いを申し上げまして、私の討論を終る次第でございます。(拍手)   —————————————
  14. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬助治君。   〔相馬助治君登壇拍手
  15. 相馬助治

    ○相馬助治君 この国会の最終のこの日に、院を代表するところの議長不信任を議さなければならないということは、まことに大きな不幸であると私どもは考えるものでございます。(拍手)  ただいま議題となりました松野議長不信任案につきまして、その提案趣旨説明を聞き、ただいまは、左藤君よりまことに烈々たる反対討論を聞いたのでございまするが、私は、この反対討論の趣旨をもってしては、にわかに首肯しがたいものがありまするので、以下、順次諸点をあげまして、これに対しで賛成の討論を試みるものでございます。(拍手)  まず第一に、立法の府でありまするところの、憲法に規定されておりまするところのただ一つの国憲の最高機関たるこの参議院が、警官の泥ぐつのもとに本会議場がよごされ、警官の監視のもとに法案成立したというこの事実は、議員われわれにとって最大の恥辱であるばかりでなく、日本人としても、民主政治運営の能力の限界を世界に暴露したものとして、きわめて重大なるものがあろうと存ずるのでございます。(拍手)  皆様、この問題は、ただ単に松野議長御一人の問題ではございませんで、すでに新聞が伝えておりまするように、これは明らかに政府与党首脳部が松野議長を尻押しし、そうして来たるべき参議院選挙を有利ならしめんとする底意をも含めまして、警官を本院に導入したというこの事実は、隠れもない事実であることを申し上げなければなりません。(拍手衆議院社会党の諸君が越境して来て、問題を紛糾せしめたと申しておりまするが、ここ三、四日間、参議院のわれわれの議長室、副議長室を占拠していたのは、実に自民党の衆議院の諸君であったということを私は訴えなければなりません。(拍手)しかも問題は、衆議院における例の乱闘事件並びに警官が出動した問題を思い起しますれば、造船疑獄に対しまするところの佐藤幹事長に対する容疑に対して、指揮権を発動したという国民の怒りが爆発し、議員の正当なるべき言論が抑圧されたときに、衆議院においてもあの珍事が起きたことを私は思い起します。しかも、今回問題となりましたのは、その名前はなるほど地方教育行政の組織並びに運営に関するところの法律案とはなっておりまするが、事実は、この法律案が将来に向って発揮されましたるときに、いかなる事態日本の民族の歴史の上にもたらされるかという事実であります。(拍手)  御承知のように、ワイマールの憲法が終えんし、ヒトラーが政権を取った時に、実はヒトラーは、ドイツ民族並びに連邦の利益と福祉とを保護することに関する法律案という、まことにけっこうな題目の法律案国会提案し、しこうして、すべての行政権、司法権、軍事的なる発動権をヒトラーその一人に握らせたという事実をわれわれは思い起すべきであります。(拍手)従いまして、実はこの教育法案は、単なる教育のやり方が変るというようなことでなくて、日本民主主義の根本をゆるがすものであると同時に、ある意味においては、民主主義の葬式を意味する法律案であるがゆえにこそ、全世界の人々が立ち上ったという事実をわれわれは考えなければならぬと存ずるのでございます。(拍手)  ただいまの討論に現われましたように、衛視諸君に負傷者が現われたというこの事態は、その事情、いまだ私さだかなることを知らないのでありまするが、このことに関しまして、何らか、もしも社会党の諸君が関連ありといたしまするならば、そのこと事態に対しましては、私どもは別途責任をもってこれが解決に当るものでありまするとともに、問題は、そのような事態に立ち至らしめた原因が何であったか、左藤君の理屈をもってすれば、警官導入せしめた原因が何であったかと言うが、私をして言わしめれば、国会をしてあのような混乱の中に導いた原因が何であったかということが、より根本の問題であると訴えざるを得ないのでございます。(拍手)しかも何か騒然たるヤジの中で聞き取れなかったのでありますが、あすこで警官を出すことができなかったならば、松野は男であるとか、男でないとか。これは、やくざの仁義やけんかのおとしまえの問題ではありません。問題は国会法に規定してあると言いまするが、法律はあらゆる万般のことを予見して作ってあるのでありまして、そのこと自体は、発動することに何ら差しつかえないという積極的意味を含んでおりません。しかも今日この警官導入されたその問題の発端を、しみじみと考えてみますならば、御承知のように、一日夜、参議院会議再開の冒頭、松野議長が質疑打ち切りを宣したことから紛争が起り、本会議は続行できなくなり、松野議長の室においては、伝えられるところによりますると、政府首脳、また自民党の幹部諸君が集まって、良識がそのときはかすかに存在していた松野氏を脅迫し、ついに警察を呼ぶという決意にまで至らしめたということを私どもは聞いておるのでありますが、あの混乱の直接の原因をなしたものは、議場の締め出しの問題であります。私はまことに不思議なことと言わねばならないのでありまするが、いわゆる議場社会党が締め出された。あの場合のあの鈴が鳴ったときに、自民党、緑風会諸君以外で、この部屋にいた者は不肖私一人でございます。(拍手、「違う違う」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ちょっと待って下さい。あなた方は誤解をしておる。いいですか、よく聞いて下さい。(「違うぞ」「何を言うんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  16. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御静粛に願います。
  17. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) そうじゃないのです。いいですか。締めたときに私一人だと言ったのじゃないんだ。締めたときに私一人だと言ったのじゃないのですが、鈴が鳴る前に、開会される前に、この部屋に入っていたのは私一人だと言うのです。(「了解々々」「その通り」と呼ぶ者あり)これは、きょうは御出席になっておりませんが、大屋晋三さんと話をしていたのですから、これは明瞭でございます。私一人入っていた、間もなく鈴が鳴り響きました。そうしてそのときの状況は、緑風会の方々は、これは明瞭に覚えておりませんが、ほとんどいなかったと思います。自民党の諸君は、非常にたくさん入っていらっしゃいました。全部であるとは言いません、たくさん入っていらっしゃいました。(拍手、笑声)社会党の諸君は、鈴とともに五、六人入っていらっしゃいました。鈴がかなり長く鳴るものですが、その間に入り得た者は私は五、六人だったと思っております。間もなく河野次長が、当然入るべきあの口でない口から入場してきました。しかも松野議長が、これはどこから入ったか私記憶にありませんが、間もなくこの席について、鈴がいまだ鳴り終らないうちに開会を宣言したことは事実であります。(発言する者多く、議場騒然、拍手)そのこと自体は、名前をあげませんけれども、自民党の議員の人も、これは陰謀でないんだと、私は何も知らないで部屋にいて、すぐ来たのだけれども、間に合わなかったと、こうおっしゃっておる。少くともこの人は、党の中における立場が、そういう秘密条項を耳にしない程度の方であったために知らなかったのかもしれませんが、(拍手、発言する者多く、議場騒然)この発言自体が、私は証拠であろうと思うのであります。名前を言えというならば、いずれ控室において発表をいたします。そのとき間もなく、ここでたんたんと松野議長開会を宣し、議題が読み上げられたのであります。私は当夜、松野さんのためにも弁護をしたのでありまするが、せっかちに読んで早くやってしまおうというような態度はございませんでした。(「それはうそだよ」「その通り、その通り」と呼ぶ者あり)それも、うそですか。(笑声)それでは松野さんもまた意を通じてどんどんとお読みになったと自民党の方が認証されまするが、私はその証拠の言質を取り上げるものではありませんが、これは一つの貴重なる資料として、同僚諸君は記憶にとめていただきたい。そうして議場の閉鎖が行われたのであります。私はこれは非常に問題だと思ってかけつけて、そうしてこう見ますというと、わが党の議員は、もうりょうりょうたるもの、緑風会またりょうりょうたるもの、そうして御承知のように氏名点呼が行われて、ほとんど自由党の方々の投票が終ったのであります。間もなくあの辺で須藤君がどなり出した、傍聴席から……。間もなくあのとびらのところが、がたん、がたん、がたんと異様なる物音が響きました。何事ならんと私は見て、青札をとって投票のためにここまで参りました。そのときに、同僚荒木君が、この辺まで進んだのでありまするが、あのとびらがさっと開いて、あと皆さん御承知の通りでございます。(笑声、拍手)  そこで私が申さなくちゃならない点が二点ございます。すなわち、あのとびらは……、政府職員が入りまするあのとびらは、議場閉鎖の場合においても常に開鎖されておる本来の性質を持ったとびらでございます。(拍手)また普通は、あのところには、表には二名の衛視を立てておくことが常道であると警務部長の証言でありまするが、その日は大体十四、五人いたと、わが党の議員が申しておりますが、(拍手、発言する者多く、議場騒然)静かに聞いて下さい。事を確かならしめるために私は佐藤君に対して質問をしました。八人立っていたというのでございます。八人というのは、二人よりは多いことは事実でございます。この二点をあげまするときに、すなわち、河野君の入場の仕方、あすこのとびらの閉め方、衛視の配置、また、河野君は御承知のように練達の士であります。従って、普通ならば、鈴が鳴り響いて議員が集まらざるときには、ブザーをかけて、そうして総長が大体お始め下さいと……どういうことを言っておるか、われわれのところからはわからぬが、大体お始め下さいと言うと……。
  18. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間が参りました。
  19. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 河井さんでも、佐藤さんでも、ウンとうなずいて開会になるというのが普通です。ところが、その日に限って、河野君は何とも言わなかった。松野さんが、たんたんとこれを読み上げてここまで来た。
  20. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間が参りました。
  21. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 松野さんは、あるいは抜き打ち開会、すなわち不法締め出しを知らなかったかもしれないということであります。私はこれを重大なる問題と思います。これは松野議長が自民党の意思に屈して、みずからあのようなことをやったことよりも、より重大です。(拍手)なぜならば、一院を代表する議長が、その意思を通ぜざる何者かによって鈴を鳴らされ、その議長意思を通ぜざる形によって不法締め出しということが起るとするならば、その裏においてあやつっておる黒幕は何人であるかという問題であります。(拍手
  22. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間になりました。
  23. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 私はこのようなことをるる申し上げまするならば、限りないのでございまするが、私はこの重要な問題に対して、人を裁くには理由がなければならない。緑風会の諸君は、私の話を聞いて、どっちにしようかとお考えの方もあると思う。(笑声、拍手)従いまして、私は、私にもう少し発言を許すことは、当然副議長の良心であることを期待いたしまして、いまいささか述べさしていただきたい。(拍手)  それは何であるかと申しまするならば、松野議長は、今般の紛争を通じて、われわれの見るところ、非常な御苦労をされたと思います。そこで、はしなくも思い起しまするのは、前議長河井氏、佐藤氏、いずれも大きな問題に遭遇いたしましたが、破防法のときの佐藤尚武議長の態度は、とにかく自分の身をわれわれの前に挺して、自分立場を述べることに忠実であったという、この事実であります。
  24. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間が参りました。
  25. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 私はどう考えても、松野氏のやったことは……。
  26. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間が参っております。
  27. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 前例を破り、国会法を無視するだけでなくて、少くとも衆議院の益谷議長に比べるならば、みずからの意思をもって、この院を統率するところの良心に欠けていたということを……。
  28. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間が参っております。
  29. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) 指摘しなければならない。  以下述べたいことがたくさんありまするが、警官導入の件と、みずからの意思をもってこの本院を統率できなかった松野鶴平君に対して、私は不信任するところの動議に対し、心からなる賛同を呈するものでございます。(拍手
  30. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これにて討論通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立、発言する者多く議場騒然〕
  31. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 少数と認めます。よって本案は否決せられました。(発言する者多し)御静粛に願います。    ————・————
  32. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 内閣総理大臣から、皇室経済会議予備議員海野三朗君の辞任に伴う後任者を、また北海道開発審議会委員横川信夫君、北勝太郎君の任期満了に伴う後任者を指名されたいとの申し出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して、皇室経済会議予備議員及び北海道開発審議会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御異議ないと認めます。
  34. 天田勝正

    ○天田勝正君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  35. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 私はただいまの天田君の動議に賛成いたします。
  36. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 天田君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御異議ないと認めます。よって議長は、皇室経済会議予備議員に河合義一君、北海道開発審議会委員に横川信夫君、北勝太郎君を指名いたします。(拍手)    ————・————
  38. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 参事に報告させます。   〔参事朗読〕    ————・————
  39. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) この際、日程に追加して、日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。外務委員長梶原茂嘉君。   〔梶原茂嘉君登壇拍手
  41. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ただいま議題となりました日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定の批准について承認を求めるの件につき、外務委員会におきまする審議の経過と結果を報告いたします。  去る五月九日、マニラにおいて署名せられました本協定の経緯及び趣旨につきましては、過般、本議場において外務大臣より説明があったのでありますが、ここに本協定の骨子をまず簡単に申し述べます。  この協定により、わが国は賠償として五億五千万ドルにひとしい円に相当する役務及び生産物を、二十年の期間内にフィリピンに提供すること、賠償の実施方式は、毎年両政府間の協議により実施計画を作成し、その計画の範囲内でフィリピン使節団と日本人業者の間で賠償契約を結び、この契約によってフィリピン側は役務及び生産物を入手し、他方、わが政府は、その賠償契約の履行に要する経費を支払うことによって賠償義務を履行することになるのであります。  なお、国会の承認を求めてはおりませんが、本件賠償協定署名とともに、二億五千万ドルを目標額とする経済開発借款に関する公文が交換せられ、民間の商業借款に対し、可能な限度の便宜をはかることになっているのであります。  なお、フィリピンは、昭和二十六年九月のサンフランシスコ平和条約に署名はしたのでありまするけれども、賠償問題が解決されない限り批准は行わずとの方針をとり、従って、わが国との正常国交関係は回復されず、今日に立ち至っておるのであります。しかし、本協定と同時に、前述の平和条約の批准も期待されるので、本件協定の成立により、日比間の正常国交関係は樹立せられ、同国との間に、政治、経済、文化各般にわたる友好協力関係の発展を期せんとするものであります。  本件は、五月二十九日衆議院より送付されましたので、委員会は、総理、外相、蔵相、経済企画庁長官等の出席を求めて、四回にわたって慎重に審議を行なったのであります。  次に、質疑のおもなるものを申し上げます。「賠償についての基本的態度は、過去の過誤に対する真摯なる反省と、新しい理念を必要とし、単に金額の解決をもって事足れりとするのでは、真の賠償問題の解決にはなり得ない」との見解に対し、政府は、全然同感の意を表し、「賠償の実施に当っては誠心誠意を基としてこれに当る」旨の所信が披瀝せられたのであります。わが方の本件批准に対するフィリピンの議会の態度、及びサンフランシスコ平和条約批准の問題の見通しにつき、フィリピン側は、現在わが国会のこの審議に多大の関心を示しつつあるのでありまして、「わが国の批准承認後直ちに臨時議会を開いて審議を行うとともに、本件の批准とサンフランシスコ平和条約の批准は、同日付をもって行われる」との政府の見通しであることが明らかにせられたのであります。  平和条約第十四条の原則は役務賠償であって、生産物の提供ではないのでありますが、本件協定前文が、サンフランシスコ平和条約の規定の趣旨に従って行動するとあるのに関連いたしまして、「その間の事情を明らかにすることを要する」との質疑に対し、フィリピン側の平和条約批准を今日まで控えて来たいきさつ及び強い要望にかんがみまして、「平和条約第十四条の趣旨を拡張解釈することを妥当とする方針をとった」旨の答弁があったのであります。今回の賠償のわが国の財政経済に与えまする影響及びわが国の持っておりまする対外債務とあわせての影響、これらの問題に対しましては、対外債務を合わせますると、年間おおむね九千三百万ドル余でありまして、それは決して小さい負担でないのでありますが、わが国の国民の負担の現状、経済財政の状況と見合って、まずまずというところであり、かつは、これによりまして、「今後の貿易も一そうの進展を期待し得る」との答弁があったのであります。  その他の質疑事項といたしましては、サンフランシスコ平和条約の当事国でないものとの間に結ばれます平和条約の取扱いを定めました同条約第二十六条の解釈、特に同条ただし書きによりまする均霑条項が三年で失効するかどうか、これはきわめて重要な事項として、これに対する政府の見解、それから賠償物件として消費財の提供についての政府の方針、加工賠償がわが国既存産業に与えまする影響、生産財提供に当るわが国業者の適正をはかるための施策も初年度の賠償計画と予算及び輸出入銀行の資金計画との関連、フィリピンの戦争災害に対しまするアメリカの補償と今回のわが方の賠償との関連、今後の通商航海条約、文化交流及びフィリピン領海問題の解決を含みまする漁業条約に関する政府の意図並びに方針に関する事項等でありましたが、詳細は会議録によりまして御承知をお願いいたしたいと存じます。  委員会は、六月二日質疑を了し、本六月三日討論に入りましたるところ、佐多委員は社会党を代表して反対、小瀧委員は自由民主党を代表して賛成、佐藤委員は緑風会を代表して賛成、須藤委員は反対の意見をそれぞれ述べられたのであります。  かく討論を終り、採決を行いましたるところ、本件は多数をもって承認すべきものと議決いたした次第であります。  以上、報告申し上げます。(拍手
  42. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 本件に対し討論通告がございます。順次発言を許します。羽生三七君。   〔羽生三七君登壇拍手
  43. 羽生三七

    ○羽生三七君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となった日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定について討論を行うのでありますが、本件について、わが党が反対立場に立たざるを得ないことは、われわれのまことに遺憾にたえざるところであります。(拍手)  そもそも、過ぐる太平洋戦争において、わが日本が関係各国に与えた破壊的行為と、その人民に与えた苦痛を想起するとき、その形のいかんを問わず、それら関係諸国に対する賠償の責を負うことは当然のことであろうと存じます。わけても直接戦禍をこうむった東南アジア諸国中のフィリピンについては、われわれは心より遺憾の意を表し、しかして賠償協定を通じて、日比間の国交が正常化されることを心より念願しておるものであります。(拍手)それにもかかわらず、われわれがあえて本協定の承認に反対するゆえんのものは、鳩山内閣の各般にわたる施策の拙劣さに基因するものでおりまして、われわれの反対する主要な理由が、全く純然たる国内問題であることを、まずもって明らかにしておきたいと存じます。(拍手)  さきにも触れましたように、太平洋戦争において、わが日本が関係国に与えた損害と苦痛を償うために、わが国はサンフランシスコ平和条約第十四条において、「日本国によって損害を与えられた連合国が希望するときは、生産、沈船引揚げその他の作業における日本人の役務を当該連合国の利用に供すること」を約束しておるのであります。しかしまた同時に、サンフランシスコ平和条約は、同じ第十四条において、「日本国は、戦争中に生じさせた損害及び苦痛に対して、連合国に賠償を支払うべきことが承認される。しかし、また、存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、日本国がすべての前記の損害及び苦痛に対して完全な賠償を行い且つ同時に他の債務を履行するためには現在充分でないことが承認される。」と規定しているのであります。すなわち「存立可能な経済を維持」する範囲内においてという一定の限界が存在しておるのであります。  わが国はさきにビルマとの間の賠償協定において、総額二億五千万ドルに上る賠償及び経済協力を約束したのでありますが、今回の日比賠償においては、賠償五億五千万ドルと、別に二億五千万ドルの民間借款を交換公文で規定いたしておるのであります。民間借款二億五千万ドルは、協定本文中の条項ではなく、交換公文中の取りきめでありますが、しかし、たとえ交換公文にせよ、国際的にこのような取りきめを行なった限り、問題は必ず将来に残るでありましょう。  さて、戦後十年、戦争による荒廃から漸次わが国経済が立ち直って来たと申しましても、民間借款を含む八億ドルという賠償は、わが国民経済にとって少からざる負担であることは言うまでもございません。かりにフィリピン人が日本へ参りまして、建ち並ぶビルディングを見、夜の町のネオンの光を見るならば、日本国に十分の賠償能力があると判断するに違いありません。しかし、これはある意味において見かけ倒しの繁栄と言うべきものでありましょう。(拍手)なぜなら、目抜きの地域にビルディングは建ち並んでいても、一歩裏街に入れば、狭い貸間の一室に三人、四人が雑居し、安息の住居もない人々が日本には満ちあふれております。また狭い国土の中に存在する九千万の人口のうちには、八百万人に近い潜在失業者が存在し、さらにまた、かつてソーシャル・ダンピングの原因と非難された低賃金という条件は、依然として今日もなお存在しているのであります。しかしてまた、日本の農民が、世界に類例のない零細農業のもとに、細々とした生活を営んでいることもまた明らかなる事実であります。日本国の見かけ倒しの繁栄というものの実態はかようなものでございましょう。  このような日本経済は、さきに結ばれたビルマとの賠償協定、しかして今議題となっているフィリピンに対する賠償協定、さらに近く交渉が開始されるであろうインドネシアのそれのほか、対ヴェトナム、対ラオス等の懸案とともに、タイ特別円、イタリア特別円等の処理があり、さらにまた、外債としては米貨債、英貨債、仏貨債の返済が残されており、また他面、ガリオア、イロア等のいわゆる対米債務と称されるものもあり、中国からは特別の請求はありませんが、もちろん一つの問題でございましょう。これらの問題がことごとく現実に日程に上った場合、日本経済にとって、このような負担は容易ならざるものであることは言うまでもございません。まず、このことをフィリピンの人たちに知ってもらいたいと存じます。  ひるがえって、鳩山内閣の日比賠償交渉の成果を見ることにいたしますが、日比賠償については、吉田内閣の時代における大野・ガルシア協定において、一応四億ドルの線で内定を見たことは周知の通りであります。しかし、これはフィリピンの国内事情によって実現を見るに至らず、鳩山内閣となりましてから、ついに今回の協定となり、その額は民間借款を含む八億ドルとなったことは、何としても鳩山内閣の外交交渉の不手際によるものであります。(拍手)この点、われわれの断固として糾弾するところでございます。また、今次協定は、サンフランシスコ平和条約第十四条に規定された役務の線を逸脱し、物資の供与について拡大解釈の余地を残したことは、この種賠償支払いの相手国と目される諸国に、新しく問題を残すものとなるでございましょう。(拍手)  しかし、われわれの最も遺憾とするところは、賠償に対する政府の基本的な考え方であります。さきにも述べましたように、日本国が戦争中相手国に与えた損害と犠牲は、金額の多少で評価されるべき性質のものではございません。傷つき倒れた相手国の人々の家族の心情を思えば、金を山と積んでも償えるものではないでありましょう。(拍手)要は、日本国が過ぐる太平洋戦争までの日本の歩み来たったファシズムの道を反省し、二度と再び戦争を起すことなく、平和的日本を建設することによって、新しい形で国際親善の道を開くことであることを確信いたします。(拍手)  われわれは、日本が今アジア諸国に対して、経済協力の計画を策定すべきだと思いますが、何らかの計画性を持つような場合、アジア諸国は昔日の日本を想起して、かえって疑惑を持つ向きもあるとの政府答弁でありましたが、万が一にも、もしそのような疑惑が生れるといたしますならば、それは鳩山内閣の再軍備政策と、過去に対する反省の足りない結果であると断言をせざるを得ないのであります。(拍手)さらにまた、今、日本が自衛力の増強に使用する諸経費を、純粋な経済部面に振り向け、わが国経済の発展に利用するならば、関係各国に対する賠償も、経済協力も、今日よりももっと豊かな形で取り結ぶことが可能となると確信をいたします。(拍手)  さらにまた、われわれの聞くところでは、そしてまた、先日の高碕国務大臣の答弁にもあったのでありますが、フィリピン共和国の民族意識は、昨年のバンドン会議以後、とみに高まり、従来の対米依存の傾向から漸次脱却いたしまして、アジア地域の一構成国として新しい時代に入ろうとしていることは、われわれの心より喜びとするところてございます。なお、質疑の過程で明らかになったことでありますが、賠償協定実施に伴うフィリピン側の経済再建計画は、いまだ何ら長期にわたる計画が立案されておらないようでございます。フィリピン共和国の新らしい民族的興隆に相応するような経済再建計画が、すみやかに立案せられ、それに対応するわが国の経済協力計画の策定せられることは、喫緊の要務と言わなければなりません。(拍手)  また、現在のフィリピンは、米比関税協定に制約せられ、わが国との貿易の拡大が期待されるかどうか、種々疑問が存在しております。われわれは本賠償協定の成立を、実際に日本、フィリピン両国政府が欲するならば、日比両国の通商貿易上の利益が、相互に確立されるような措置を、両国政府の合意によって、すみやかに成立させておくべきものであることを確信いたします。  なお、最後に申し添えたいことは、本賠償協定は、サンフランシスコ平和条約第十四条の規定に基き策定されたものでありますが、フィリピン共和国は今なおまだ同条約の批准を完了しておりません。その点、前後矛盾するところがあるのも問題でございましょう。  結論をいたしますが、最初に申し述べましたように、われわれが本協定の承認に賛成しがたいゆえんのものは、全く純然たる国内問題であることを、あらためて再び強調するとともに、日本社会党は、フィリピン共和国に対して、はるかに親善のあいさつを送り、もって私の討論を終ります。(拍手
  44. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 小滝彬君。    〔小滝彬君登壇拍手
  45. 小滝彬

    ○小滝彬君 私は、ただいま上程されました日比賠償協定の批准を承認するの件につきまして、自由民主党を代表して賛成討論を行うものであります。  先ほど羽生君から、反対の議論が出ましたが、私はもちろんよく傾聴いたしまして、共鳴する点も少くないのであります。また、私どもといたしましても、今度成立いたしました協定が、百パーセント日本側の気持に合っておるものではないということも、十分承知をいたしておるのであります。しかしながら、この協定は、何といたしましても粗手のあることであり、ことに普通の場合における双務的な協定と違いまして、日本が一方的な義務を負担する、道徳的な責任を負担する意味において作られた協定でありまするからして、自然フィリピン側の立場、フィリピン側の主張というものを十分に取り入れなければならない。そこで日本側といたしましては、現在及び将来における国家の大局的な利益を勘案いたしまして、妥当な線で折り合う必要がある。もし、ただ日本側の主張を言い続けまするならば、協定の成立はだんだんおくれてくる。おくれるだけ相互の関係が調整できないわけでありまするから、それによって失うところも多い。こうした立場をよく考えてみまするならば、部分的にはいろいろ欠点もあるかもしれない、また、物足りないところの点もあろうかと思いまするが、しかし、これまでの長い交渉の経過にかんがみ、いろいろ関係事項を考えあわせてみまする場合に、本協定は、大体妥当と考え得るところの内容を打ち出しておるものと存ずる次第でありまして、この意味において、私どもはこれを承認することに賛成するのであります。  もちろん、本交渉の過程におきましては、私もしばしば政府側の責任者に対して質問をし、いろいろ警告を発したのであります。十分慎重な態度をもって交渉に当らなければならない点、また特に日本のこの負担能力というものについては、十分検討せられて、背負い切れないような義務を負ってはならない。もし、そういうことをいたしましたならば、せっかく協定はできても、そのうちに履行ができなくなる、そうすれば、双方の間の紛争の種になる、またあるいは、東亜の平和を害するようなことにならぬとも限らないことは、これは第一次大戦後におけるあの対独賠償というものが、結局はヒトラー・ドイツというものを作った、こうした史実にかんがみても明らかでありまするから、こうした点は十分注意をいたして来たのであります。また、実際と異なったような説明を国内に向ってされないように、ほんとうに五億五千万ドルであるのか、八億ドルであるのかということにつきましては、重光大臣にも高碕長官にも何べんとなく申しまして、もっとよく日本の実情をフィリピン側に説明して、そうしてほんとうに借款は民間借款で、政府の保証を要しないものであるならば、その点を明瞭に書きしるしたところの文書を作られる必要もあるという点も申しましたし、また、その協定はせっかく作るなら、いわゆる死に金にならないように、将来の発展性を持つものでなければならない、また、現在の貿易を阻害するような性質のものであってはならないというような点を申し述べて、政府の注意を促したのでありますが、幸いにして、その後、政府側で非常な努力をせられました結果、完全に満足ではないかもしれないが、大体私どもの主張いたしました点を盛り込んだ協定をここに作り上げられたのでありまするからして、私はこの協定については、もちろん内容を一々申し述べたいのでありまするが、なるべく早く本日は済まさなければならない関係がございますので、簡単にその内容の一、二を申し上げ、私どもはなぜ賛成しておるかという点を御了解願いたいと思うのであります。  借款につきましては、これは交換公文にもございまするし、政府委員の方からもいろいろ説明がございました。日本のこの国内法規の範囲内において、現在の資金計画のもとにおいて、政府は便宜を供与すればよい、またできるだけ低い利率、またできるだけ長い期間に支払う、弁償するというような条項も、決して政府が特別な法制をしたり、特別なる便宜を供与するという意味ではない、こういう説明もございました。これらをあわせて考えまするというと、あの昨年のちょうど今ごろ時分、私どもがしきりに高碕長官などに質問しておりました当時の案文に比しまして長足の進歩がある、非常な改善のあとがあるのでありまして、結局、日本の対比賠償額というものは五億五千万ドルというべきでありまして、この点は先ほど、私が平素尊敬する羽生君は八億ドルと申されましたが、現在においては、私は五億五千万ドルと見なければならないと思うものであります。(「違うぞ」と呼ぶ者あり)また事実、そういうようにおっしゃいまするならば、先日の説明も、よく大蔵大臣のみならず、大蔵当局の係官にも聞いたのでありますが、決してこの民間借款のために特別な資金計画を立てて、それをイヤマークする必要もない。こういうことを申しておりますので、私は決して詭弁を申し述べておるのではございません。  なお、資本財の方が多過ぎる。この議論が先ほどの羽生君のお話の中にもございましたが、なるほど、これは平和条約第十四条の点から申しますれば、いささかディヴィエイトしているということは、私も否定するものじゃございません。がしかし、この付属の交換公文を見ますると、もし、この協定を実施するために、平素日本が支払う外貨よりもより多く外貨を支払わなければならないというようなことがあるならば、そういうことをできるだけ避けるよりにしようという書きつけもちゃんと付いておる。でありまするからして、私はこの資本財をフィリピンへ出しましても、今後フィリピンに必要な施設ができるということになれば、その運用に必要であるところの日本の技術も要求するのでありましょう。また部分品が必要であるというようなときにも、日本の機械を持って行ったからには、また日本から買うということになりまするから、今後の貿易にも有利であり、また、ことに現在の日比貿易を考えますると、大体全体の貿易額の中の一〇%が、一割が、機械類である、こういう点を見ますると、この資本財提供によって日本の現在の貿易が圧迫を受けるというようなことは、ほとんど想像し得ないものと考えるのであります。また二千万ドルの現金賠償というものがありまして、私どもこれに対していろいろ反対いたしましたが、今度できましたものによって、これは決して消費財を毎年四百万ドルずつフィリピンへ輸出してやるのではなくて、いろいろ品物をよく選択して、そうして外貨を払って買った資材を使わないので、なるべく日本にある品物、あるいはフィリピンにある品物をこちらへ送ってもらって、そうして加工してやるというやり方をし、また、なるべく今の貿易にはないような新しい品目をもって、この加工品賠償に充てようというのでありますからして、この点も私はよほど改善せられたと思うのであります。  さて、五億五千万ドルというのはもちろん小さい額ではございません。がしかしながら、翻って考えてみますると、昭和二十七年に、今われわれの同僚議員であるところの津島壽一君がフィリピン側と交渉されました際には、先方は八十億ドルという額を要求して譲らなかった経緯もありまするし、その後、日本の状態から見ると、それほどはとうてい払えそうもないということを知りまして、だんだん減額しましたが、なおかつ大野・ガルシア協定のできる前にも、そのスタートのポイントは二十億ドルである。また最近における交渉におきましても、最後まで、フィリピン側はフィリピン議会との関係において、何とかの格好において十億ドル程度は払ってもらえないというと、承認を受け得られないだろうということを言っておったような経過もあるのであります。また、事実フィリピンにおける戦禍、日本軍の直接軍事行動によるところのいろいろな損害、これも相当な額に上りておったのでありまするが、さらにまた、この日本の軍が持っておった軍票によって徴発された物資の総額というものも、相当大きな額に上っておるのでありまして、このことは、私も戦争中向うにおりまして、フィリピン人と労苦をともにしておったし、また戦後におきましても、この交渉成立に非常に努力をしてくれました、あっせんをしてくれましたところのラウレル上院議員、また大野・ガルシア協定に反対いたしましたために、日本であたかも反日の人間のように考えられておるところのレクト上院議員からも、始終私に通信がございまするので、またフィリピンにおける空気も相当よく承知しておるつもりでありまするが、こういう点をあわせ考えてみまするときに、なるほど五億五千万ドルという額は、これは巨額であり、たとえそれが二十年という長い期間の支払いといたしましても、相当国民に対する大きな負担であるばかりでなしに、あるいはこの協定ができたということによって、今後の協定を作る場合にも、全然影響がないというようなことは私は申しませんが、しかし、今のようなフィリピン側の立場というものを考えてみまするというと、とにかくここまでフィリピン側が妥協してくれたこの誠意は、十分認めなければならないと存ずるのであります。  さらに私は、この協定に付属せられておりまする共同声明には、非常に大きな意義があると思うのでありまして、この協定の共同声明の趣旨によって、ぜひとも政府がこの協定を満足に実施し、そうしてこれに伴うところの政治、文化、経済の方面における双方の関係を改善し、これを緊密化して行かれるように、最大の努力をせられんことを切望してやまない次第でございます。  なお私は、時間が来たようでありまするから、最後に一言、これまで長くこの交渉に当られました両国の代表者の諸君が、きびしい国内の批判にもかかわらず、隠忍自重、今日の成果をおさめられましたことを深く感謝し、これらの人々に敬意を表する次第であります。  これをもって私の賛成討論を終ります。(拍手)   —————————————
  46. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 木村禧八郎君。   〔木村禧八郎君登壇拍手
  47. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私はいただいま上程になりました日比賠償協定に反対するものであります。  もとより、日本軍がかって侵略した国に対して、その復興に対し、誠心誠意賠償に努めることは、われわれの義務でもあり、責任であります。しかしながら、今度調印されました日比賠償を見ますと、その調印の経緯及びその結果から見まして、これは鳩山内閣の外交の一大失敗であると私は思うのであります。(拍手)なぜ世論が、もっとこれについて真剣に批判し、そうしてもっと十分な検討を加えないのか、私は不思議に思うのであります。なぜならば、この賠償は単にフィリピンだけの賠償ではないのでありまして、これが成立する結果は、今後われわれ、あるいはわれわれだけでなく、今後の日本国民に対して非常に大きな経済的負担がかかるわけであります。従ってこの賠償をきめるについては、その限界、限度というものを一体どこに置くかということが重大な問題なわけであります。私は、日本の経済力あるいは国民の負担から見まして、負担の能力から見まして、これははるかに限度を越えているものと断ぜざるを得ないのであります。限界をどこに置くか、限度をどこに置くか、これはサンフランシスコ条約では十四条において、簡単に、その前提となるものは「存立可能な経済を維持すべきもの」となっております。しかしこれを具体的にきめる場合には、結局私はその限界は、日本の今後の対外債務の支払い能力及び日本の財政負担の限度が基準にならざるを得ないと思うのであります。ところが対外債務の支払い能力としましては、大体常識といたしましては、今後せいぜい年間一億ドル程度が日本の対外債務の支払い能力の限界ではないかと言われております。大体大蔵当局あたりもそういう見解であると思うのであります。これは常識であります。  ところが今度の日比賠償の結果どうなるかと言いますと、先ほど梶原委員長は、大体大蔵当局の答弁として、九千三百万ドルぐらいと言われましたが、しかし今後ビルマがいわゆるレビュー条項を発動してくる、またインドネシアの賠償要求が多くなります。そればかりでなく、アメリカのガリオアの返済の問題もあります。さらに今後の対外債務の外債も含めましての支払いを加えますと、大体年間私は一億五千万ドルくらいになると思うのであります。そうしますと、少なくともこれは五千万ドルくらいは対外債務の支払い能力の限界を超えている、これは重大な私は問題であると思います。  それから第二のこの賠償をきめる場合の基準は、日本の財政上の限界であると思うのであります。年間一億五千万ドルと言いますと、これを円に直しますと、まあ一億ドルとしまして三百六十五億、五百億円をこれはこえると思うのであります。そうしますと、今後また防衛六カ年計画によりまして、防衛庁の調査によれば、今の六カ年計画を達成した場合、昭和三十六年度の自衛隊を維持する費用は二千百五十二億と言われております、この二千百五十二億にこの五百億円以上の賠償を入れる、さらに旧軍人恩給費は本年度は八百二十六億円ですけれども、来年度はさらにふえまして九百億円近くになります。これを総計しますと、三千五百五十二億円になります。昭和三十五年の国民所得を、経済企画庁の五カ年計画の調査によってみまして八兆八百八十億円といたしまして、四・三%になるわけです。これは非常に過大な負担です。私は少くともこういう経費を含めて二%ないし多くて三%程度でなければならぬと思うのです。このために民生費は著しく圧迫されまして、結局、昭和三十五年の財政のバランスを経済企画庁の五カ年計画によって推定してみますと、実にゆゆしい問題が起ってくると思います。たとえば社会厚生の歳出中に占める比率を見ますと、三十年度は約二割でありますが、この五カ年計画によりますと一九。八%に減ります。文教関係は一一・八%が一〇・九%に減る。防衛関係は一三・四%が一四・三%にふえ、賠償及び特殊債務は一%が三%以上になる。公共事業費は一五・一%が一五・五%程度、地方財政援助の資金は十三・九%、これが昭和三十五年には大体同じである。その他の経費はもちろん著しく減るのであります。昨日の教育委員会関係の二法が出た場合、これは教育費を圧迫するのではないか、こういう質問に対して鳩山総理は、財政のバランスの上からいって、これは必要であったのだ、バランスをとるために必要であったのだと、しかしその御答弁は、実質的に数字的にこれを検討して見ますれば、結局防衛費がふえてくる、賠償がふえてくるから、文教関係費を昭和三十年の一一・八%から昭和三十五年には一〇・九%に圧縮する、こういうことを意味するのでありまして、こういうことがいわゆる財政のバランスと総理は言われることになるわけであります。(拍手)  日比賠償の結果は、以上述べたようなことになるのでありまして、民生、文教あるいは経済発展のための公共事業費等が著しく圧縮されることは、これは火を見るよりも明らかであります。賠償は賠償だけとして考えるべきではありません。これは日本の今の現段階では、賠償も払い、防衛費も払い、旧軍人恩給費も払う、このような余裕が一体日本の経済のどこにありましょうか。結局それは民生費の圧縮よりほかにないわけです。限界を超えておることは、まことに迷惑であります。にもかかわらず、なぜこういう賠償を締結するに至ったかと言いますれば、その原因は、私は三つあると思うのです。  その第一は、鳩山総理に重大な責任があると思う。十分な検討を加えず、ネリ大使が五月の上旬に日本に参った場合、閣議にも諮らずに、鳩山総理は八億ドル賠償の覚書をサインをして渡してしまったと言われております。あと国会でこれを追及されますや、鳩山総理は、そういう事実はないと答弁された。このことが新聞に出、フィリピン側に報道されるや、フィリピン側は大憤慨です。もし鳩山総理が、そういう食言をするならば、これは重大なことになると、フィリピン側で覚書の全文を全部発表してしまうと言われまして、非常にあわててです。あわてて、この賠償覚書は必ず本協定の案とするならばのむと、承認するという確約を与えたために、そのあとで、にっちもさっちもいかなくなってしまった。この調印に至る経緯が、きわめて不明朗である。閣議全体として十分にこれが検討されておらない。そのために限度を超えた、限界を超えたこういう結果を生むに至ったことは、これは重大な私は責任があると思う。(拍手)その一点だけからいって、私はこの賠償案に賛成することができないのです。
  48. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 木村君、時間が参りました。
  49. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君(続) 時間が参りましたので、簡単に結論を申し述べたいと思うのですが、次に、この賠償が日本の支払い能力の限界を超えるに至った第二の理由でありますが、日本国民の意向を反映して、これは調印されたのではなくして、財界の意向を反映して、これは調印されたのです。二月二十三日の朝日新聞は、こういうことを報道しています。賠償は全部私たちの税金でまかなうわけであるが、船、貨車、機械など、賠償物資を扱う業者にとっては、これは新しい市場が開けたことになる。その代金は政府支払いだから、今までの東南アジア貿易のように、売掛金が焦げつく心配はなし、また、よその国と無理な出血競争をする必要もない。そこで朝鮮特需がなくなったあと、賠償は天佑神助だと大喜びしている業者もあるそうだ、こういうことを報道しています。財界では賠償の金額が多ければ多いほど、それによって国民の受ける苦痛は大きいのであるけれども、もうけることができるのでありまして、従って、賠償を金もうけの手段に考えて、従って、国民の支払い能力の限界いかんということを無視しまして、金さえもうかれば、賠償順の多いことを心ひそかに望んでいる階級があるのであります。(拍手)その結果、このような状態になった。八億ドル賠償案をのむということになったのであります。  それから第三の理由としては、これは日本が自主的にこの賠償の結論に到達したのではない。サンフランシスコ条約第十四条に基いて、日本がほんとうに、最も破壊した中国の賠償については、全然顧みられておらないのです。(「どうするというのだ」と呼ぶ者あり)払う、払わぬは別としまして、賠償する態度が、ほんとうに日本が被害を与えた国民に対して、心からわびる気持で、この賠償に臨まなければならないのであります。金もうけの手段であったり、あるいはまたこれまでの行きがかりにとらわれたりして、その政治的な責任上、抜き差しならなくなって調印しなきゃならない、いわゆるこういうような不明朗な形で、この賠償の問題は解決さるべきものではない。実に不明朗きわまる賠償案であると言わざるを得ません。もちろん私たちは、フィリピンの方々と仲よく今後手をつないで行きたいと思うのであります。
  50. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 木村君、時間が切れました。
  51. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君(続) 八億ドルにいたしましても、日本は五億ドルといい、フィリピンは経済復興のために八億ドルと解釈しておるのです。これでは今後友好関係を深めるどころか、新しい紛争の種をまくことになるのでありまして、このような形で、この重大な賠償の問題を解決すべきではない。  時間を超過して失礼でございましたが、これをもって私の反対討論を終らせていただきます。(拍手)   —————————————
  52. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 河井彌八君。   〔河井彌八君登壇拍手
  53. 河井彌八

    ○河井彌八君 私は、緑風会を代表いたしまして、日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定批准につきましての承認の件に賛成をいたすものでございます。  長い間、交渉に非常に困難をきわめておりました日比の賠償問題が、ここに両代表の非常な努力によりまして、また国内の世論の支持をも得まして、ようやく今回妥結に達しまして、この協定承認の件がここに上程せられましたのでありまして、私はまことに両国のために、また世界の平和のためにも慶賀すべきものであると考えまするのであります。従いまして、このことに苦労をせられました両国政府の代表に対しまして、深甚なる敬意を表するものであります。  日本とフィリピンとの交通関係を調べてみますると、これは非常に古い歴史を持っております。日本の民族もフィリピンの民族も、ある程度においては一つに帰するような場合もあると考えられるのでありまするけれども、そういうことにつきまして、私はここに申し述べるつもりはないのであります。しかし、私は最近知っておりまするところでも、一九二〇年ごろ、フィリピンのケソン大統領、その当時の。それからあるいはオスメニア副大統領、あるいは後に議会議長になった人でありまするが、それらの人がたびたび毎年日本に参りまして、そうして日本とフィリピンとのこの政治関係、あるいは経済関係等につきまして、大へんな努力をしておったことは、私もその人に直接関係を持っておりませんけれども、よく知っておるところであります。しかし、世の中というものは、はなはだ不思議なものでありまして、結局、日比両国が非常に親善関係をあらゆる方面においてあげるであろうかというと、そうはいかなかったのであります。まことに残念なことでありますが、大東亜戦争によって、これがそういかなくなった。破壊されてしまったのであります。そこで、その大東亜戦争によって日本がフィリピンに対して、非常な損害を与えたこと、精神的にも物質的にも大へんな損害を与えましたことに対しましては、どうしてもこれは責任として、これを賠償しなければならぬというのであります。ところが、とにかくサンフランシスコ条約が締結されるまではその機会がなかった。しこうしてサンフランシスコ条約ができまして、初めてその機会を得たことは、われわれ非常に喜ぶのでありまするけれども、遺憾ながらフィリピンを初めといたしまして、その他の数カ国に対しましては、この義務の実行を実現することができないというような状況であったのであります。  それで、いろいろ両国の間に努力は尽されましたのでありまするけれども、結局は賠償金額の問題、あるいは今度決定いたしました商業借款の問題等につきまして、どうしても折り合いがつかなかったのであります。私は財政等の専門家ではありませんから、詳しくその点について利害を申し述べることはむずかしいのでありまするけれども、しかしながら、大蔵大臣初め政府の当局におきまして、委員会においてこれらの点について検討いたしましたのであります。ところがその結果は、とにかく不満足ではあるけれども、とにかくこれならやって行けるという見込みがついたということであります。そういうことであるならば、何としてもすみやかにこれを妥結いたしまして、そして賠償義務を果たすということが、政治上、経済上はもちろん、それから文化の上におきましても、またもっと大きく言えば、両国の国民の間の了解の上において、最も大切なことであると考えなければならぬのであります。従いまして、財政の問題、あるいは経済の問題ということは大事でありまするけれども、しかしながら、それらの点について、十分に忍ぶべきは忍んで、これに応じなければならぬということを私は痛感いたしておるのであります。  それから賠償につきまして、特に私どもが考えておりますることは、賠償義務を遂行するために日本の生産者が、よくあることでありますが、不当な競争をいたしまして、そうしてかえって悪い品物を送るとかいうようなこと、あるいは不信な行為に陥るというようなことが、これまで、ほんとうによくできて行きつつあるところのよい関係を破壊してしまって、一挙に信用を落してしまったというような事例がたくさんあるのでありますが、そういうことがないようにということを切に希望しておくのであります。  さらにまた、親善関係について申しますれば、さきに申しましたような事実もありまするが、さらに最近におきまして、ことに戦後におきまして、フィリピンの日本に対する感情というものは、きわめて険悪であったのでありまするけれども、これが漸次好転して参って来ております。いろいろな点において例を持っておりまするが、私はそれらにつきまして若干の関係を持っておるのでありまして、少しく申してみたいと思います。すなわち、運動競技の問題、スポーツの問題、あるいはボーイ・スカウトの往復の問題、あるいはまた、もっともっと精神的な日比の間の親善を心から熱望しておるところの有志の来訪、これは内容について、私のへたな言葉をもって申し述べることはできないのでありまするが、そういうものがずいぶん強くこちらに来ておるのであります。それで、あるいは、さきには、政治家としてオシアス上院議員、あるいはフィリピン側からたくさんの人々が来ているなどのこともありますし、ことに一昨年、キリノ大統領が日本人の戦犯を全部釈放したというようなことなどは、いかにフィリピンの側におきまして、日本の感情をやわらげ、よく両国の親善を強くしようというようなことに骨を折っているかということが考えられるのであります。これは決して賠償問題というような、物質的に計算して、これこれに当るのだというようなことでなくて、そのことを超越した、もっと大切な大きな力があるのだと私は考えておるのであります。(拍手)  かようないろいろな経験から申しまして、若干の金銭上の不利はあると考えましても、しかし、どうしてもこの際ここまでできたこの協定に対しては、喜んで承認を与えるべきものであると私は考えておるのでございます。  で、私は、こういう協定ができませんでも、いや、こういう不自然な戦争の結果、かような賠償問題が起らなくとも、実は日本として立ち行く以上は、日本の将来を考えまするときには、日本は東南アジアの諸国の開発に進んで協力しなければならぬという責任を持っておるのだと考えるのであります。米英がどうであるとかいうようなことなどを考えないで、そうして自己の責任として、こういう大事な仕事を遂行すべきであると考えます。(拍手)その点からみますれば、私はこの賠償協定のできましたことこそは、その理想の通りに行われないといたしましても、その一歩を進めるところの重大な意味を持っておるのだ、かように考えます。  それから、この案の決定につきましては、あるいは内閣の責任であるとか、あるいは不手際であるとかいうことは述べられまするが、しかしそれは、内政上の問題でありまして、願わくば、こういう大事な対外的の親善の根本を打ち立て直すところの問題につきましては、さらにもっと寛容な大きな考えをもちまして、議員諸君がこれを承認せられることを切に希望いたすものであります。(拍手
  54. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これにて討論通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  55. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 過半数と認めます。  よって本件は、承認することに決しました。(拍手)    ————・————
  56. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 日程第一、余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案  日程第二、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案  日程第三、特定物資納付金処理特別会計法案  日程第四、金融制度調査会設置法案  日程第五、税理士法の一部を改正する法律案  日程第六、物品税法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、六案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長岡崎真一君。   〔岡崎真一君登壇拍手
  58. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ただいま議題となりました法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  これら六法律案の内容及び審議の詳細は、会議録によって御承知願います。  質疑を終り、討論、採決の結果、余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案は多数をもって、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案は多数をもって、特定物資納付金処理特別会計法案は全会一致をもって、金融制度調査会設置法案は全会一致をもって、税理士法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は全会一致をもって、それぞれ原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  59. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより六案の採決をいたします。  まず、余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案  以上、両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  60. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。    ————・————
  61. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 次に、特定物資納付金処理特別会計法案  金融制度調査会設置法案  税理士法の一部を改正する法律案  物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  以上、四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  62. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって四案は、全会一致をもって可決せられました。(拍手)    ————・————
  63. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 日程第七、気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員会理事岡田信次君。   〔岡田信次君登壇拍手
  64. 岡田信次

    ○岡田信次君 ただいま議題になりました気象業務法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。  この法案について、委員会におきましては熱心なる質疑が行われましたが、詳細は会議録で御承知願うことにいたします。  討論、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  65. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  67. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 日程第八、地方自治法の一部を改正する法律案  日程第九、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員会理事伊能芳雄君。(「委員長はどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)   〔伊能芳雄君登壇拍手
  69. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  最初に、地方自治法の一部を改正する法律案について申し上げます。(「大臣はどうしたのだ」「重要法案だぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  本案は、衆議院において修正が加えられて本院に送付されたものでありまするが、まず、政府原案について申し上げますと、その内容は、地方行財政の現状にかんがみ、地方公共団体の組織及び運営の合理化をはかるため、地方制度調査会の答申にのっとり、都道府県と市町村の性格及び権能を明らかにし、地方公共団体の議会開会及び常任委員会の制度並びにその運営について若干の改正を行い、執行機関の組織の簡素化をはかるとともに、各執行機関を通じて、組織、財産の管理及び予算の執行等について、その一体的、効率的運用を確保し、かつ、国と地方公共団体との関係の規定を整備し、あわせて大都市に関する事務配分の特例を設けるとともに、特別市の制度を廃止する等の措置を講じようとするものであります。  以上の政府の原案に対する衆議院の修正は、一、各種委員会の委員等非常勤の職に対する報酬は、勤務日数に応じて支給しなければならないとする政府原案に対し、条例で特別の定めをした場合は、この限りでないものとすること、二、地方公共団体の職員に対して支給すべき手当の中に薪炭手当を加え、これに関する改正は、国家公務員に対して薪炭手当を支給する法律施行される日から施行するものとすること、三、昭和二十三年法律第百七十九号、地方自治法の一部を改正する法律附則第三条により、同法施行の際、地方公共団体の財産、または営造物を十年をこえて独占的に使用させる許可がなされている場合、その許可は、住民投票で過半数の同意が得られないときは、昭和三十三年七月末に失効することになっているが、造林を目的とする土地の使用の許可については、造林にかかる立木が適正伐期齢級に達するまで、その効力を失わないものとすること等をその要点とするものであります。  次に、地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案は、前述の地方自治法改正中、指定都市についての特例その他の改正に伴いまして、関係法律の規定を一括して整理するものであります。  地方行政委員会におきましては、三月二十日、両法案につき、政府側より提案理由の説明を聞き、五月二十一日には、衆議院議員鈴木直人君より地方自治法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正につき説明を聞いた後、数回にわたり、政府側及び衆議院側との間に質疑応答を重ねたのでありますが、その詳細については、会議録によってごらんを願いたいのであります。  五月二十九日討論に入り、加瀬委員は社会党を代表し、「本案は、国の監督を強化し、官治主義を復活させようとする政府の地方行財政政策の一環であり、かつ、地方財政計画が地方自治法改正に伴わず、地方団体に必要な財源を保障していない等の観点から、本案反対する」旨を述べられました。伊能委員は、「政府は、地方交付税法、地方税法等の改正により、新財源を地方団体に賦与した半面、地方自治法改正により、制度の簡素化をはかり、節約を期待するもので、きわめて当然である。ただ、本案中、内閣総理大臣に新しく認められた権限の行使等、改正法の実施に当っては、政府は十分慎重を期し、行き過ぎのないよう要望して、本法案に賛成する旨を述べられました。野田委員は、緑風会を代表して、「本法案に賛成する」旨を述べられました。  かくて採決の結果、地方自治法の一部を改正する法律案並びに地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案は、いずれも多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手
  70. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 両案に対し討論通告がございます。発言を許します。加瀬完君。   〔加瀬完君登壇拍手
  71. 加瀬完

    ○加瀬完君 討論に先立ちまして、私は政府並びに議長に対しまして、厳重な注意を促したいと思います。  今までこの本会議における委員長報告に際して、委員長が行方不明になったり、担当の国務大臣がいなかったりしたことは、私は寡聞にしてその例を聞きません。(拍手)政府が党略的な意図のもとの法案だけに熱心でありまして、政府与党みずからの重要な自治法に関する法案に対して、かくのごとき冷淡な、あるいは冷淡を通りこしまして、国民を侮辱するもはなはだしい怠慢の体をなすことは、大臣がどういうお考えを持つのか、このような運営をする議長は、どういう所見のもとに行なったのか、この討論終結のあとで御所見を伺いたいと思います。  私は、ただいま議題となりました自治法関係の二案に対しまして、社会党を代表いたしまして、反対をいたします。(拍手衆議院から回付されました修正点等につきましては、部分的に賛成の個所があるのでございますが、全体的に言いまして、近来、政府が地方財政にとっておりまする態度は、あくまでも指導監督権の強化の一語に尽きるのであります。具体的に言うならば、地方財政の再建法にいたしましても、交付税法にいたしましても、地方公務員法の一部改正法案にいたしましても、特に地方財政計画を見ますると、この傾向が一目瞭然であります。この政府の地方行財政に臨む基本的態度に、わが党は反対を続けて参りました。このたび議題となっておりまする地方自治法におきましても、この傾向また顕著であります。具体的に反対理由を申し上げます。  提案理由によりますると、地方自治の健全なる発達ということを題目に、民主的な、能率的な運営、行政経費の節減、行政効果の充実、住民福祉の向上という四項目を掲げておりますけれども、この四項目、特にあとの二項目は、国と地方との関係、地方の財源賦与、こういう問題が解決をいたしませんでは、この目的を達する解決のめどは全然つかないのであります。しかし、このたびの自治法の改正の案の中にも、この精神というものはほとんど忘却されております。ここに大きい問題を私は感じておるのであります。   〔副議長退席、議長着席〕  反対の第一点は、今申し上げました国家機構と地方自治体との調整関係が全然考えられておらないということであります。地方自治体だけをどういうふうにいじってみたところで、国家権力との関係をどういうふうに調整するかという問題が解決をされませんでは、地方自治体の規模なり、性格なり、権能なりというものは、おのずから生れて参りません。たとえば、再建整備法のような方式をもって国家計画への統制をしいて参りまするならば、地方自治というものは生育をすることができないのであります。こういう傾向がこのごろとみに激しくピッチを上げて参りました。そうしてこういう国のために地方を犠牲にするというやり方は、軍備強化の態勢に入りますると、いつでも顕著に現われて参るのであります。たとえば昭和九年から昭和十九年ころの太平洋戦争を前後する間の、軍備拡張態勢のもとにおける地方歳出と国家歳出の割合を調べてみますると、昭和九年には、国に対して地方が一〇二%でありました。それが十三年には六六%に減り、十九年には一九%に減りました。国の一〇〇に対して昭和十九年は地方は一九の予算だけしか用いない。一九%の仕事しかできないということであります。このことは、軍事費の支出の増大が地方行財政に対して、はなはだしい統制と干渉を示すということを教えておるものであります。現状におきましても、この傾向は激しく打ち出されまして、たとえば、先ほども例に出されました昭和二十九年の乱闘国会を現出いたしました警察法の改正一つの大きな目的は、地方経費の節減ということでございましたけれども、警察法を改正いたしましても、地方経費が節減されておりません。昭和二十九年には百七億が追加をされ、昭和三十年には五十三億というものが追加されております。あるいは基地の拡張、行政道路、こういう施設の提供費は、二十九年には四十九億、三十年には七十四億、三十一年には百億と累増いたしております。これに比較いたしまして、地方住民の民生の安定に資すべきところの、たとえば公共事業費のごときは、治山治水対策費、河川改修にいたしましても、砂防にいたしましても、造林にいたしましても、治山費にいたしましても、全部減っております。都市に対する都市計画の費用も減っておりますれば、農村に対しては土地改良、耕地整理という費用は全部減額をされております。自治体の本旨からいたしまするならば、住民の生活向上のための支出増、住民の負担軽減の要求、こういう二つの要求が当然地方自治の根底でありまするけれども、この具体化が、今まで地方行財政に対しまして出された法案には全然読みとることができないのでございます。政府案の示しておりまするのは、いつでも住民のための経費は出せないけれども、軍事的性格の予算、あるいは権力強化の予算、こういうものを大幅に押し出しておるのであります。今、国の地方行政の方向と、住民が要求いたしておりまする地方住民の要求とを比べ合せますると、国の要求というものが全面的に大手を振って立ちふさがりまして、地方の住民の要求の予算というものがだんだん削減され、後退させられてくるという現状にあります。こういう矛盾というものを解決をいたしませんでは、地方自治の発展というものを期することができません。私の反対の第一点はここであります。(拍手)  反対の第二点は、自治体が発展をいたしますには、その裏づけとなります地方の財源というものがまず前提として与えられなければなりません。ところが最近の地方財政計画というものを見ますと、太田長官も御存じのように、何ら自治権を尊重するという性格ではなくて、地方財政をどうして圧迫するか、行政規模をどうして縮小するか、この一語に尽きるのであります。昨日も例に出しましたけれども、平衡交付金以来、交付税というものがあります。この算定は、地方財政計画によりまして、昭和二十五年の決算額を基礎といたしまして、その上へ積み重ねて参りました新規財政需要額というものを幾らと見て、その新規財政需要額の分だけの交付税を出すという建前をとって参りましたけれども、この新規財政需要額の増加を見ますると、昭和二十六年、二十七年、二十八年と、こう三年を見ますると、何によってこれが増加したかと言いますと、ほとんど二十六年は九七%、二十七年は九六%、二十八年は少し下りまして七四%というものが、国の施策の影響によりまして、地方費の要求増を来たしておるのであります。そこで、地方的な事情というよりは、国の政策による影響が多いわけでございますので、当然この分は国が持つべきでありますけれども、国はこういう方法をとっておりません。特に大切なことは、本年から昭和二十九年を押えまして、これに修正を加えておりますから、昭和二十九年を押えますと、昭和二十九年は、この新規財政需要額が三百七十八億であります。この三百七十八億をどういう形で出させたかと言いますと、臨時事業費の減というもので二百三十億、節減による減で百二十億、その他、こういう形をとっております。事業費の減というのは何かと言いますと、道路の費用を減じたものが四十一億、単独事業を減じたものが七十七億、道路を直してもらいたい、いろいろ土地改良等の単独事業をいたしたい、こういう費用というものは全部切り捨てておるのであります。  そこで、今度は一方、地方の収入に対しましては、地方税が四百二十五億、地方譲与税が二百三十五億、雑収入という変な財源に百八十二億も増収計画を立てております。これに反しまして、国庫支出はどうなっておりますかと言いますと、国庫支出金は百四十二億を減、地方債は百三十九億を減、交付金は百六十億を減じておるのであります。国の責任で出さなければならないところの財政需要額が膨張しておりますのに、国の方の支出はうんと減らして、その需要量そのものを全部住民に転嫁するという方法をとっております。こういう交付税制度というものは、地方を圧迫するだけでございまして、地方に十二分に仕事をさせる財源効果というものは全然表わしておりません。  また、担税能力がそれだけあるかということになりますと、昭和二十五年を一〇〇といたしますと、昭和二十九年は一七八に膨張いたしております。これだけ新税とか、あるいは制限外の課税ということで、住民の負担というものの増大をさしておるわけでございます。この一つの例は、昭和三十一年の財政計画では、五百三十一億の新しい増加というものに対して、四百七十四億の地方の負担、国が出したものはたった五十六億、こういう形で進めて参りました。さらに、応益原則というものを打ち出しました。これは、土地改良でも道路でも、受益をするものは受益者負担で当然負担をするのだという方式であります。これでは、住民は何のために過酷な税金を払っておるのか、税金のはね返りというものは全然こないという形をとらせられておるのであります。こういうふうな、地方行政を十二分に行い得ない地方財政、このアンバランスというものを最低行政規模という言葉で打ち出しました。今の地方行政は膨張しているのだから、最低行政規模に、もっと小さいところの行政規模に圧縮しようというこのコンクリート化を政府はねらっております。このようでありましては、地方財源のないところに地方自治というものは存在しないのであります。これでは、全然財源を与えられない地方自治の振興ということを政府が考えておるということでありまして、これは、われわれがどうしても反対せざるを得ない第二の理由となるわけでございます。(拍手)  反対の第三点は、この法案の裏には、知事の官選、道州制、内政省の下心が隠されておるということであります。このたび地方団体の性格というものを、府県あるいは指定都市、市町村、こういうふうに区別をいたしました。市町村にいたしますと、これを基礎団体というふうな名称で呼びました。府県は、これを広域団体という名前で呼びました。この府県と市町村の間の事務の配分というものが明確でありませんから、当然これは競合をして参ります。指定都市に至りましては、さらに府県と区別のつかないような事務を持ちますから、この間に争いが非常に大きく起って参ります。従いまして、国家の統制方式あるいは指導権、こういうものが入りませんと、調整、解決がつかなくなります。そこで知事を官選にするというふうなことが必要になって参りますし、あるいはまた、内政省というものを設置しなければならないところの必要性というものが生じてくるように、自治法が改悪をされておるのであります。具体的に言いますと、府県の性格の中では、固有事務といたしまして、総合開発でありますとか、治山治水事業、電源開発、こういうものをやるということになっておる。電源開発ということにいたしましても、治山治水ということにいたしましても、あるいは総合開発でも、埼玉県なら埼玉県、栃木県なら栃木県という一つの県でやるということは不可能になりまして、隣県が連絡をする、あるいは国が一つのまとまった地域の総合を頼む、こういう形をとらざるを得なくなりますので、どうしても国との関連が強くなり、国の監督権も仰がなければならないという仕組みに立たせられるわけであります。これでは自治体というものは育って参らないのであります。  具体的にもう一つの例を申しますと、特別市というものを廃しまして、指定都市というものにいたしました。指定都市というものにはいたしましたけれども、この指定都市というものには、特別市のような権限というものを移してありません。指定都市はやはり府県の知事なり、あるいはもっと国の監督なりというものを待たなければ、指定都市がやっていけないような性格を持たしてあるわけであります。この、国の監督権を温存をしておるところに、私は非常に疑惑があるわけであります。こういうような、国の監督権を待たなければできないということは、やがて国の監督権を作る、内政省を作る、こういう形にもなるわけであります。言い漏らしましたが、一つの県で仕事ができない、区域を広げなければ仕事ができないということになれば、道州制というものを考えざるを得ません。こういうような、やがて非常な地方行財政に対する、財政に対する国家統制はできたが、行政に対しても、激しい国家統制をしようという下心が隠されておるということを、われわれが認めますときに、反対の第三点をどうしてもあげざるを得ないのでございます。(拍手)  反対の第四点は、民主主義訓練の場を失わさせておるということであります。この改正案によりますと、現在の議会の回数、常任委員会の数、こういうものを制限をいたしました。行政委員会というものに、はなはだしい制限を加えました。たとえば二百三十九条の三は、予算執行に対しまして、知事、市町村長に行政関与権というものを持たせまして、長の干渉権というものを拡大いたしまして、議会あるいは行政委員会というものを、はなはだしく押えてあるのであります。民主主義というものは、この国会の中でだけ民主主義というものは育って参りません。地方議会なり、地方の行政なりに住民がみずからタッチをいたしまして、自分たち自分たちの行政をする、自分たちの村を治め、町を治める、こういう訓練が積み重なって参りまして、民主主義というものが訓練されて参るわけでございます。ところが、こういうふうな民主主義を訓練する場というものをだんだんと押えて行くのであります。こうなって参りますると、非常に日本民主主義の育つ上には、小さいような改正が大きい響きを持つわけでございます。なぜこういうふうにしたかという理由を伺いますと、能率化だと、こう言う。そこで能率化ということ、能率優先化、あるいはまた民主化の優先化、能率化と民主化というものがここに問題になります。私は、能率化というものをだんだんと進めて参って、民主化というものを押しつぶしてくるこのごろの傾向というものに、非常な心配を感ずるのであります。
  72. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 加瀬君、時間が参りました。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君(続) 能率化というものは、やがて統制化をはらみます。統制化は指導者を必要としましょう。指導者を必要としますと、指導者は権力の背景といとものを求めます。たとえば昨日の国会のごとく、最後の段階に警察権という権力によりまして終局を告げるというふうな形がたびたび行われることは、これは日本民主主義を育てることではないと私は思うのであります。民主主義の原則には、何よりも先に言論の自由というものが認められなければなりません。国会の場合であるならば、審議の自由であり、あるいは発言の場の確保であろうと思います。この前提といたしまして、国会法のような議事運営の手続が、あるいは慣習というものが、この国会においては当然尊重されなければならないわけでございますが、たとえば公報の順序というものを一方的に変えまして、議事手続というものを一方的に変えましたり、こういう方法がとられて参りましては、民主主義の前提をくつがえして、民主主義の論理というものは成り立たないのであります。(拍手)能率北というものと権力化というものをわれわれは並べましたときには、能率化に従いまして、権力へ服従するという道は選ぶことができません。どうしても権力化への阻止という抵抗をせざるを得ないのであります。このことは法律とは関係がないようでございますが、この自治法案の二百四十六条の2には、知事の監督権あるいはまた総理大臣の監督権というものが非常に強化されております。
  74. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 加瀬君、時間が参りました。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君(続) こういう自由の侵犯というものを許して参りましては、官治主義の復活というものは当然やって参りまして、われわれの自治権というものはやがて亡びざるを得ないのであります。(拍手)  以上四点から、私は強く本法案反対をいたします。(拍手
  76. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  77. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。    ————・————
  78. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十、国防会議構成等に関する法律案  日程第十一、通商産業省設置法の一部を改正する法律案  日程第十二、農林省設置法の一部を改正する法律案  日程第十三、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長青木一男君。   〔青木一男君登壇拍手
  80. 青木一男

    ○青木一男君 ただいま議題となりました国防会議構成等に関する法律案ほか三件につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、国防会議構成等に関する法律案について申し上げます。  政府がこの法律案提出する理由として述べるところによりますと、さきに成立した防衛庁設置法は、その第三章において国防会議のことを規定し、すなわち国防会議を内閣に置き、国防の基本方針、防衛計画の大綱、防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否等について、内閣総理大臣は国防会議に諮問すべきものとし、また国防会議は、国防に関する重要事項につき必要に応じ内閣総理大臣に対し意見を述べることができることとしておるが、国防会議の構成その他必要事項は別に法律で定める旨を規定しておる。政府は、以上述べたような国防会議任務にかんがみ、これが構成等について慎重に検討した結果、ここに成案を得たので、今回この法律案提出するに至った次第であるというのであります。  次に、この法律案の内容のおもな点を申し上げますと、国防会議議長及び議員をもって組織することとし、議長は内閣総理大臣をもって充て、また議員は内閣法第九条の規定により指定された国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官及び経済企画庁長官をもって充てることといたしておりますが、なお、議長は必要があると認めるときは、議員以外の関係国務大臣、統合幕僚会議議長その他関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができることにいたしております。なお、この法律案におきましては、議長及び議員の職務上の秘密保持につきまして、所要の規定を設けるほか、総理府に国防会議事務局を置きまして、国防会議の事務を処理させることといたしております。  内閣委員会は、前後九回委員会を開き、この間、鳩山内閣総理大臣、船田防衛庁長官、高碕経済企画庁長官その他政府委員の出席を求め嘉して、本法律案審議に当りましたが、その審議によって明らかになったおもな点を申し上げますと、第一点は、国防の基本方針に関する問題であります。「政府は、国防会議議題となる国防の基本方針とは、具体的にはいかなる事柄を指すか」との質疑に対しまして、「国防の基本方針とは、わが国の平和と安全を達成するために、万一他国よりの侵略があった場合、自主独力で防衛するか、国際連合または友好国との集団安全保障の取りきめにより防衛するか等を決定する基本政策を言うのであって、国防会議審議において、まず第一に着手されるべき長期防衛計画策定の基礎をなすものである。なお、政府が、かくのごとく自衛体制整備の方途を考える理由は、将来、原水爆をもってする第三次世界大戦が起きるとは考えられないが、局地戦争等が全くないと楽観もできないので、国力に相応する最小限度の自衛体制を整備することは絶対必要であるのみならず、それは起り得べき他国よりの侵略の企図を事前に阻止し、国内平和、ひいては世界平和に寄与するゆえんであるという考えを前提とするものである」旨、鳩山総理大臣並びに船田防衛庁長官から所信が述べられました。  次に、「政府は、自衛体制の整備によって他国の侵略に対抗できると考えておるのであるか、また、いかに侵略に対処する考えであるか」との点がただされたのでありますが、それに対しましては、「わが国の現状からみて、他国の侵略を完全に防ぐに足る自衛力を持つことはできないが、しかし、万一侵略の起きた場合には、日米安全保障条約並びに日米行政協定に基いて、日米両国間において防衛体制をいかにするかにつき協議すると同時に、時を移さず国連に提訴の手続をとることとなるであろう」ということが答弁されました。  第二点は、長期防衛計画の内容の問題であります。この点につきましては、「防衛庁試案として長期防衛計画が作成されておるが、その内容は最終年次、すなわち昭和三十五年度において、陸上自衛隊員十八万人、艦艇十二万四千トン、海上自衛隊の保有すべき飛行機百八十機、航空自衛隊の保有すべき飛行機千三百機、自衛隊全体として予備自衛官二万人を目標として計画しておるが、艦艇、飛行機の種類、大きさ、形状等は具体的にいまだ決定せず、また、昭和三十二年度以降の年次計画も作られていない現状にあるので、この長期防衛計画は、国防会議の議を経て、できるだけ早い機会に完成せしめたい。なお、昭和三十六年度以降の防衛計画は、今日においては防衛庁試案としても全然持っておらない。なおまた、長期防衛計画の達成によって米軍撤退の基礎ができるが、しかし現実に陸海空三軍がいつ撤退するかは、国際情勢の見通しと日米両国間の合意によってきまるものであって、米駐留軍の撤退の時期は今日明言できない」旨、船田防衛庁長官より答弁がありました。  その第三点は、長期防衛計画と経済自立五カ年計画との関係であります。この点に関しましては、「長期防衛計画は経済自立計画と見合って策定されなければならないので、すでに閣議決定を経ておる経済自立五カ年計画の中に織り込まれ、大体国民所得の二%強が防衛関係費に充てられており、この程度であれば、国民生活に悪影響を及ぼすことなく、自立経済を達成できると思う」旨答弁がありました。  第四点は、防衛産業強化育成の基本構想はどうか」という点につきまして政府の所見がただされましたのに対し、「防衛産業に必要な技術は、すべての産業の最高水準に立っておるので、防衛産業をば特殊産業として別個に取り上げないで、産業全体の技術の向上をはかるとともに、防衛産業を一般産業の中に溶け込ませる方針であり、なお防衛産業の国有国営は考えておらず、今のところ原則として民有民営によるのを適当と考えるが、採算のとれない特定の産業については、新規産業として考慮する」旨、政府の所見が述べられました。  第五点は、「国防会議議員の構成員中、民間人を除外しておる理由いかん」という点であります。この点に関しましては、「衆議院においても民間人を入れないという決議がなされたので、これを尊重して民間人を入れないことに決定した」旨答弁がありました。その他の質疑応答の詳細は委員会会議録に譲りたいと思います。  五月二十九日の委員会におきまして、木島委員より質疑打ち切りの動議が提出され、右の動機につき採決の結果、多数をもって可決されましたところ、田畑金光君ほか五名の委員より、内閣委員長の私に対し不信任の動議が提出されました。よって私は委員長の席を宮田理事に譲り、議事が進められました。この不信任動議については、討論の後、採決いたしましたところ、賛成者少数をもって否決されました。  五月三十日の委員会におきまして、本法律案につき討論に入りましたところ、日本社会党を代表して松浦委員より、また無所属クラブの堀委員より、それぞれ理由を述べて本法律案反対の旨、また緑風会を代表して島村委員より、また自由民主党を代表して井上委員より、それぞれ理由を述べて本法律案に賛成の旨の発言がありました。  かく討論を終り、直ちに本法律案の採決をいたしましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  まず、この法律案の内容を申し上げますと、改正の最重要点は、通商産業省の外局である特許庁の内部機構拡充の点であります。すなわち、特許庁の長官官房を廃止し、審査第三部及び審査第四部を増設することとした点であります。特許庁の現在の内部機構においては、審査第二部が発明及び実用新案に関する審査を担当しておりますが、政府の説明によりますと、最近における発明及び実用新案の出願件数の著しい増加とともに、出願内容も技術の進歩を反映して次第に高度化して参りましたのに伴い、その審査事務も著しく増大し、審査の内容も困難性を加えつつある現状のもとにおいて、一人の部長でこれを統轄処理することはきわめて困難となりましたので、ここに長官官房を廃し、機構の簡素化をはかるとともに、審査事務を担当する審査第三部及び審査第四部を増設して、これが処理の適切を期することといたしたのであります。  内閣委員会は、委員会を三回開き、この法律案審議に当りましたが、この審議において、特許庁の機構拡充に伴う発明及び実用新案の審査促進の点、その他の点につきまして質疑応答を重ねましたが、その詳細は会議録に譲りたいと思います。  五月三十日の委員会におきまして質疑を終り、討論に入りましたところ、別に討論もなく、直ちに本法律案につき採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、農林省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案の内容の主要点を申し上げますと、その第一は、農林省の付属機関として農林水産技術会議を設置する点であります。政府の説明によりますと、農林水産業の生産性の向上が、技術水準の高度化を基礎とすることはもちろんのことであるが、農林水産業における試験研究は、最近の科学技術の進展に伴い、重要性を増すとともに複雑多岐にわたることとなって来て、試験研究の各部門間において、共通の問題が少くない反面、各部門の試験研究相互の関連油顧慮することなく試験研究を実施することは、多くの重複や非能率の欠点を招くので、これらの欠陥を是正し、試験研究の効率的な運営を確保するために、新たに農林水産技術会議を設けようとするものであります。  その第二は、現在の農林省の内部部局の農業改良局を廃止して、新たに振興局を設置する点であります。耕種、畜産、養蚕、林産及び水産を含め、適地適産の推進に重点を置いて、農山漁村の総合的な振興をはからんとする政府の施策を強力に推進するために、これに関する事務と、現在、農業改良局が所掌しております農業経営の改善、農業生産の増進、改善の事務等とをあわせて、これらの事務を新たに設置される振興局において所掌せしめようとするものであります。  内閣委員会は、前後四回にわたり、この法律案審議いたしましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  五月三十一日の委員会におきまして、質疑を終り、討論に入りましたところ、別に討論もなく、よって直ちに本法律案につき採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、去る第二十二回国会の衆参両院の内閣委員会における恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案審議の際の付帯決議の趣旨に従い、昭和二十三年六月三十日以前に退職し、もしくは死亡した文官関係の公務員またはその遺族に給される恩給を増額改定せんとする趣旨のものでありまして、その内容の最重要な点は、恩給の増額改定に関する点であります。昭和二十三年六月三十日以前に退職し、もしくは死亡した公務員またはその遺族の恩給の年額は、同年七月新給与制度が実施され、一般公務員の給与が増額されたのに伴い増額されて以来、昭和二十八年まで、公務員の給与支給水準が引き上げられたつど、増額改定されて現在に至っているのでありますが、この改定措置のうち、なお不十分な部分がありますので、今回の改正によりまして、現行の恩給年額計算の基礎俸給年額三十五万四千円以下のものにつきまして、恩給を増額改定せんとするものでありまして、この措置は、本年十月分以降の恩給について、本人の請求を待たずに行わんとするものであります。  内閣委員会は、前後三回にわたり、この法律案審議いたしましたが、その内容は会議録によって御承知を願います。  五月三十一日の委員会におきまして、質疑を終り、討論に入りましたところ、別に討論もなく、よって直ちに本法律案につき採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  81. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 国防会議構成等に関する法律案に対し、討論通告がございます。順次発言を許します。菊川孝夫君。   〔菊川孝夫君登壇拍手
  82. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は社会党を代表いたしまして、国防会議構成等に関する法律案につき、反対の意見を申し述べます。  反対の第一の理由は、本法律案憲法に違反するからであります。憲法は前文において、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し」、その第九条によって、非武装と戦争の放棄を世界に宣言し、約束したのであります。この宣言、約束こそは、百兆億の賠償にまさる民族的謝罪であり、原水爆の惨禍から人類を守ろうとする積極的意欲のほとばしりであったのであります。憲法の前文と第九条をすなおに読んで、本法律案が立法精神に違反し、その条章に抵触することは明々白々であり、一点疑問の余地もないところであります。  鳩山総理も、在野時代には、自衛隊の存在は憲法違反なりとして吉田内閣を激しく攻撃して来ました。しかるに、一たび内閣首班の座につくや、その主張を豹変して、自衛隊合憲論を展開しています。政権の前には節操もなく、変節もまた意に介しない鳩山一郎氏の態度は、絶対に許し得ないものであり、政党政治家としての鳩山氏の晩節を汚す、これよりはなはだしいものはありません。(拍手)もしも総理の令弟、故秀夫博士が在世せられておれば、総理に向って、声涙ともに下る直諌をされたであろうと思うのであります。時の政府が憲法の精神を無視し、その規定をじゅうりんするときは、極右と極左に道を開き、民主主義が危機に直面すると思うのであります。  反対の第二の理由は、現在の世界情勢に逆行するからであります。もちろん第二次大戦後の世界政策をめぐって、米ソ両大国の対立が激化して、世界をあげて冷たい戦争の渦に巻き込まれましたのでありまするけれども、原水爆の製造の進歩は、両大国に反省の機会を与え、世界の世論は第三次大戦回避のために盛り上って参り、ジュネーブ精神となり、共産党大会における指導者の画期的演説となって来たのであります。かくて朝鮮動乱勃発当時に比べまして、世界の緊張は著しく緩和されて参りました。しかるに朝鮮動乱を契機に、アメリカから有無を言わさず押しつけられました警察予備隊の後身である自衛隊を、さらに増強整備するため設置されるのがこの国防会議なのであります。従いまして、この法律案は、国際情勢と遊離したものであり、政治感覚のずれたものと言わなければなりません。(拍手)敗戦によって国力が著しく低下した日本におきましては、国際情勢の的確なる把握と、将来への透徹した見通しとを持った政治が待望されていると存じます。しかるに鳩山内閣と自民党の大幹部は、主として戦争中は軍閥に迎合結託し、日本を今日の悲運に陥れた政治責任者であるところに、今日の日本の悲劇があるのであります。かかる古つわものどもが、夢よもう一度というので、続々と政界に復帰されまして、勢いにまかして、反動立法を矢つぎばやに提出して来ているのが、現在の政治情勢であり、本法案もその一翼をなすものであります。  反対の第三の理由は、国防会議の設置によっていよいよ日本の再軍備が本格化し、軍備拡張に拍車を加えるであろうことは、現に防衛庁が用意している防衛六カ年計画によって明らかであり、軍事費の飛躍的増大を来たすことは申し上げるまでもありません。その結果、必然的に民生費にしわ寄せせられ、社会保障費や住宅建設費、公共事業費、教育費が犠牲をこうむり、大衆の生活が圧迫を受けることは火を見るよりも明らかであります。元来、軍事費は雪だるま式に増大する性質のものであって、かつ軍備そのものは相対的なものでありますから、これで満足であるという限度のないものであることは、米ソ両大国においてさえも、軍拡競争が行われていることによって雄弁に物語っています。高碕長官は、一応、毎年国民総所得の約二%を防衛費に充てるという政府の所信を明らかにしておりますけれども、一たん再軍備に踏み切った以上、その程度で押え得るものでないことは、日本の過去の歴史や諸外国の例によって明瞭なところでありまして、敗戦の痛手をいやすに急な日本にとって、経済的な見地からだけでも、困難というより、むしろ不可能であると思うのであります。  反対の第四の理由は、原水爆時代に、ちゃちな軍備を保有しても使いものにならないということであります。国防会議が設けられることによって、自衛隊という名の軍隊が、その会議に諮られました国防の基本方針、防衛の大綱、これらに関連する産業等の調整計画の大綱などという作文によって、逐次その規模が拡大せられて参るでありましょうけれども、これで自民党の諸君の言われるような戸締りの役目を果し得るでありましょうか。私は、断じて果し得ず、むしろ無用の長物であり、国民の血税を乱費する厄介者になるだけであると思います。  反対の第五の理由は、大東亜戦争によって、きわめて大きな迷惑をかけ、被害を与えた中国初めアジア各国に及ぼす影響を考えるからであります。さきにビルマとの賠償協定が成立し、本日フィリピンとの賠償協定も批准されましたが、日本の実情は、遺憾ながら、被害を与えた諸国に対して、とうてい先方が納得できるような賠償を行う国力がありません。被害国の立場からいたしましたならば、軍備拡張より賠償の優先を要求するのは理の当然であります。外に向って賠償の減免を求める日本が、内において、たとえそれが作文にせよ、国防会議などを設け、防衛六カ年計画を初め麗々しく軍拡機運をあおりましたならば、アジア各国に好ましからざる影響を与え、再び日本に対する猜疑心を醸成し、日本とアジア各国との親善関係に暗影を投ずることをおそれるのであります。特に健康上の理由もあって、底抜けのお人好しになって参られました鳩山総理に、自民党の執権連中の口車に乗って、元気のいい軍拡ラッパを吹きまくられることが最も危険だと思うのであります。(拍手)  以上申し述べました反対理由のほかに、より大きな反対理由は、国防会議は、アメリカの極東政策の一翼をになって、日本の青年と国民の血税をそれにたたき込むための策動の府となるからであります。日本の四つの島を不沈空母と考え、九千万の国民を絶好の外人部隊編成の人的資源と想定し、日本の生産設備と技術を、アジアにおける前戦補給廠たらしめようとするアメリカの極東政策の下請機関になるのが、この国防会議の本質であると思うのであります。(拍手)  自衛隊法の第七十六条によりますと、総理大臣は、国会の承認を受けて、自衛隊に防衛出動を命ずることになっています。ところが、防衛庁設置法の第四十二条により、総理大臣は防衛出動の可否を国防会議に諮らなければならないことになっておりまして、国防会議が設置されていなければ法律上防衛出動ができ得ないというのが、厳正なる法律論であると思います。この点、内閣委員会の質疑において政府は否定していますが、第二十二特別国会で、国防会議構成等に関する法律案が本院において審議未了になった際に、当時、長官であった杉原荒太君が、防衛支出金の減額交渉の際のアメリカとの約束に基く国際信義に対する責任感から辞任せられました経緯によっても明らかなところであります。また、本年度の予算編成に当り、各閣僚が予算の復活を求めて、大蔵大臣に強硬に迫っていた中に、船田防衛庁長官のみは居眠りをしておっても、防衛庁の予算は、大蔵省の査定を素通りしたのであります。戦前日本において、常に陸海軍の予算は予算編成の上最も難航したものであり、歴代内閣が最も苦悩したものでありますが、戦後、一兆予算のワク内で、一千億の自衛隊費がすずしい顔をしてまかり通り得るゆえんは、アメリカというスポンサーがついているからであります、(拍手)また、防衛支出金八十億の減額の代償として、百六十億の自衛隊費増額のワクを強引にはめられた事実に徴しましても、自衛隊の性格が、いかにアメリカの極東政策に隷属したものであるかを、うかがい知ることができると思います。日本占領当初において、あれだけ日本の軍国主義払拭に神経過敏であったアメリカが、朝鮮動乱を契機に、がぜん日本の再軍備に積極的援助を与え、かつ、その方針を百八十度の転換をいたしました理由を、単なる表面的解釈によってのみ受け取ることは、悔いを千載に残すものと言わなければなりません。私は将来、日本の青年をアメリカの外人部隊に編成して、アジアの各地における米ソ両大国の争覇戦に参加せしめ、再度アジア民族が戦場において相まみえるの悲劇を回避するために、本法律案反対するものであります。(拍手)もちろん、かりにソ連より日本の再軍備を強要されたといたしましても、同じ理由によってこれまた断固として反対するものであることを明らかにして、われわれの政治的所信を、この際明確にしておきたいと存じます。  最後に付言しておきたいのは、国防会議が設置され、軍拡が軌道に乗って参りますれば、軍事予算が増額され、さらに汚職、疑獄がしょうけつをきわめ、日本の政界がますます腐敗するであろうことであります。すでに、防衛庁の予算執行上における乱費、汚職の事実が相次いで明るみに出て政治問題となって参りましたが、明治以来、軍事予算ほど汚職、疑獄の温床となり、政商、財閥の好餌に供せられたものはありません。日本財閥の発達史をひもときまして、陸海軍閥と結託せずに形成せられた財閥はないのでありまして、今日、日本において国防会議が設置せられ、軍拡が軌道に乗ることを一日千秋の思いで待望している者は、復活途上にありまする財閥であると言っても過言ではないと思うのであります。自衛隊はアメリカの強要と指導援助によって編成され、育成強化されて参りました関係上、その装備はすべて物量豊富なるアメリカ式を採用されている関係から、莫大なる経費を必要とするのは当然であり、軍事費の膨張に正比例して、大小の政商、財閥の活躍する舞台でふえて参り、汚職、疑獄が幾何級数的にふえるであろうことは、火を見るよりも明らかであります。今日すでに大小の政商と、自民党の執権職や大幹部とのつながりが、ちまたの風評となり、国会の決算委員会を初め、各種常任委員会における証人、参考人の陳述の中からも、うかがい得るようになって参りました。防衛庁長官を初め、政府与党の幹部が、本法律案を今国会における重要法案一つとして、その成立に異常な努力を傾けられまする裏面は、この辺から推測されるように思えます。  以上申しました理由によって、日本を逆コースに引き入れる施策の一環としての本法律案に強硬に反対するものでありますが、もしも自民党の諸君が、私たちの主張に耳をかさず、たとえこの国会で強引に本法案を可決成立せしめましょうとも、われわれは必ず近き将来において、この法律を初め、もろもろの反動法律を逐次撤廃し、逆コースを正常コースに引き戻すであろうことを明言いたしまして、反対討論といたします。(拍手)   —————————————
  83. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮田重文君。   〔宮田重文君登壇拍手
  84. 宮田重文

    ○宮田重文君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国防会議構成等に関する法律案に対し、賛成の討論を行わんとするものであります。  そもそも独立国であります以上、国の安全はみずからの力をもって守るのが当然であります。憲法第九条も、国際紛争解決の手段として戦力を行使することを禁じてはおりますが、不当の侵害に対して、これを排除するために、最小限度の軍備を持つことは絶対に違憲ではありません。自衛権の存するところ、自衛の手段である自衛隊を持つことは当然でありますし、その自衛隊の運営や行動の基本的な規制をも含めて、国防の基本方針、防衛計画の大綱等を定める中心的な機関を設けることもまた当然のことであります。さきに第十九国会において成立いたしました防衛庁設置法は、こうした国防の基本方針、防衛計画の大綱等を定めることをもって任務とする国防会議の設置を規定いたしております。ところが、その構成を定める法律は、これまでしばしば提案されながら、ついに日の目を見ないままに現在に至り、はなはだ片輪の状態を続けております。社会党の諸君は、防衛問題を論ずるごとに、防衛の長期計画を示せという要求をいたしますが、現代のように科学技術が最高度に発達し、防衛問題が産業経済の各般に密接複雑なつながりを持っている時代に、将来を見通した国防計画を立てるには、最高の知能をしぼって、総合的な見地からなされなければならないことは言うまでもありません。ところが、そういう権威ある機関はいまだに設けられていないのでありまして、防衛庁がときどき発表いたします防衛計画なるものが、さしあたっての人員や装備の増強計画にとどまっているのも、ゆえなしとしないのであります。これでは国防の万全を期する上に、はなはだ心もとない次第であります。社会党の諸君は、二言目にはアメリカ軍の駐留を云々いたしますが、敗戦により武装を解除され、固有の自衛権を行使する有効な手段を持っていない今日、国の安全が確実に維持される見通しがつかない限り、独立国の国民として、まことに忍びがたいところでありますが、アメリカに軍隊の撤退を要求することもできません。社会党の諸君も、日本国民である以上、わが国の安全がそこなわれることを希望するものは一人もおるまいと思うのであります。その社会党の諸君が、国の安全を確保するための国防の基本方針を定める任務を持つこの国防会議の設置に反対することは、私の理解に苦しむところであります。  現下の国際情勢は緊張緩和の方向に動いておることは喜ばしいのでありますが、ジュネーヴにおける頂上会議の結果すら、いまだ具体的には結実をされず、国際情勢の現段階はきわめて複雑微妙であります。中近東における最近の諸種の事件もまた今後いかに推移するか、予断を許さないのであります。われわれは武力が政治の背景として作用しておる歴史的現実を無視するわけにはいかないのであります。政治はあくまで現実に立脚したものでなければなりません。歴史は直接及び間接の侵略と局地戦争の発生の可能性の絶無を保証しておりません。観念的な平和論に陶酔して、国の戸締りを忘却してはならぬと思うのであります。(拍手)一国の防衛力は、事が起きた場合に一朝にしてなるのではなく、長年月にわたる不断の物心両面における準備と訓練の徹底を期することにより初めて有事に役立ち得るわけであります。または、かかる防衛努力を払っておることが侵略の意図を阻止する力として働くのでありまして、国家の存立と国民の利害休戚に関する重大な根本施策はどうしても怠ってはならぬのであります。わが国が国防の面でも真に独立の実を上げることを望むならば、社会党の諸君も進んでこの法案に賛成せられむことを希望いたします。  以上をもって私の賛成討論を終ります。(拍手
  85. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 堀眞琴君。   〔堀眞琴君登壇拍手
  86. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は、ただいま議題となっておりまする国防会議構成等に関する法律案に対しまして、反対の意見を述べようと思います。  ただいま宮田君は、独立国であるからには、自衛の手段がなければならない、自衛の軍隊を持つことは当然であるという、まず第一の賛成の意見を述べております。確かに独立国家には自衛の権利があることは、今さら申し上げるまでもないのであります。しかしながら、その自衛の手段というのは、必ずしも軍隊のみに限ったことではありません。九千万の国民がこれすなわち自衛の大きな力になるのであります。外交の手段がこれまた自衛の手段になるのであります。よしんば自衛力を持つといたしましても、現在の日本はまだ完全な独立国ではありません。宮田君は最後の陳述の中で、独立の実をあげるためにも、という言葉を述べておられます。宮田君自身も、日本の国が完全な独立国でないことをみずから表明していると申しても差しつかえないのであります。第二に、宮田君は、国防会議のような最高の知能をしぼって国防計画を策定する機関を作らなければならない、このように申しております。ところが国防会議を構成するメンバーはどういう人々であるか。議長は内閣総理大臣であります。議員としては副首相、外務大臣、それに大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官、これが議員であります。これが最高の能力をしぼった機関と言えるでありましょうか。国防会議構成法によりまするというと、国防会議には、さらに統幕会議議長その他の関係者を会議に出席せしめるとあります。おそらく宮田君の最高の知能をしぼってというのは、この統幕議長あるいはその他の関係者を指しているのかもしれません。しかしそれは、正確に申しますると、国防会議議員ではないのであります。従って、最高の知能をしぼって国防計画を策定する機関としてこれを見ることができないのであります。なお、防衛庁設置法の第四十二条によりまするというと、国防会議任務として五項目があげてあります。この五項目の事項に関して内閣総理大臣の諮問にこたえる、さらにまた第三項には、国防に関する重要事項について、必要に応じ、内閣総理大臣に対して意見を述べることができると規定しております。この国防会議任務並びにその性格から申しますというと、確かに諮問機関に違いない。しかしながら、この諮問機関が設けられることによって、私は二つの面において重大な将来の大きな問題を引き起すことになると思う。一つは、今申し上げたように、国防会議を構成する議員は、防衛庁長官を除いてはずぶのしろうとであります。軍事専門家は入っておりません。統幕議長その他の関係者の意見を求めることはできます。しかしながら、防衛庁長官以外は、軍事的にはすべて非専門家であります。そうなりまするというと、防衛庁長官、特に統幕議長やその他の関係者をアシスタントとする防衛庁長官の意見が、これを指導することになります。そうなれば、防衛庁長官なり鳩山首相が常に言うところの政治優先というものが、おそらくは破壊されることが起ることを私どもは予想しなければなりません。明治憲法下においての軍隊と政府との関係を考えてみまするというと、例の統帥権は、政治の軍事に対する干渉の排除、また軍の政治に対する干渉の排除を基本として設けられたものであります。しかしながら、軍と政府との関係がどうなったかは、今さらここに申し上げるまでもないと思うのであります。さらにまた、もう一つ国防会議の構成並びにその任務から申しまして、防衛計画なり、あるいは防衛産業の調整、あるいは防衛出動の可否、その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項を審議するとありますが、この五項目にわたるところの任務を見まするというと、政治に対して重大な影響を与える、もしくは政治、政策の最も重要な部分を占めると申し上げた方が適当かと思いますが、そういう問題について審議することになります。結局、国防会議がいわゆる内閣内の内閣、インナー・キャビネットとしての性格を持つことが心配される。インナー・キャビネットの問題につきましては、今さらここにあらためて私は申し上げるまでもないと思う。戦時の場合においては、たとえばイギリスの第一次大戦の場合、第二次大戦の場合において、戦争遂行のためにインナー・キャビネットを作ったことは事実であります。しかし一九三一年、ナショナル・ガヴァメントができて、そうしてそのもとにおいてインナー・キャビネットの理論が非常に強く現われた。ちょうど世界恐慌の段階に入っておったときであり、第二次マクドナルド内閣が非常な危機に当面しておったときであります。ナショナル・ガヴァメントの中にインナー・キャビネットを作ろうとして、当時の政治学者、あるいは政界の重要な人々から非常に大きな反対を受けたことについて見るならば、私どもは、こんなインナー・キャビネットのもし成立するようなことがあるとするならば、内閣のそれ自身の存在意義というものが非常に薄くなるということを心配せざるを得ないのであります。  さらに宮田君は、第三の理由の中に、中近東その他局地的な紛争問題は、今後も続々起るであろうし、これを平和的に解決する見通しも必ずしも完全ではない、従って局地戦争の起る危険もあるのだ、だからして日本の場合についても自衛隊を増強し、そのための計画を策定する国防会議を設置しなければならない、このような意見を述べておるのであります。私も局地的な紛争が全然この世界からなくなるだろうとは思いません。しかしながら、宮田君も触れておりますように、ジュネーヴ会議、その前の朝鮮休戦、インドシナ休戦、それ以来ジュネーヴ会議にわたりまして、力の政策では今日世界の諸問題を解決することができないということは、もはや何人にも明らかになって参っております。さらにまたその後の、たとえば軍縮問題に関する主要諸国の努力、これらを見ましても、できるだけ問題を平和的に処理しよう、戦争手段としての軍備については、各国ともできるだけ合理的に、しかも相互に納得の上にこれを解決しよう、軍備の縮減をやろうという努力が今日払われております。不幸にして、昨年の八月の国連の軍縮小委員会以来、最近のロンドン会議に至るまで、まだ十分にその成果を上げるところまでは至っておりません。しかしながら、アメリカにおいても、イギリスにおいても、フランスにおいても、またソビエトはもちろんでありますが、それぞれ具体的な軍縮案を出して、ソビエトのごときは、昨年十二月までに、御承知のように六十数万の撤兵を発表している。また最近におきましては、百二十万からの地上軍を削減することを発表いたしております。現実の撤兵あるいは軍備縮小計画なり、あるいはその努力なりが今日払われている段階であります。何を好んで、日本が世界の情勢に逆行して、そうして自衛隊を増強し、そのための計画を策定するような国防会議を設ける必要がありましょう。全く世界の情勢にうといもはなはだしいと言わなければならぬのであります。  なお、宮田さんは最後の発言の中に、政治の背景には武力が必要だ、こういう言葉があったのであります。鳩山さんも武力を持つことは平和への道であるということを申しております。ちょうど一九四七年から八年にかけて、アメリカのペンタゴン内部において、予防戦争の議論が持ち上ったときに、世界の平和を維持するものはアメリカにおける優越した武力であるということが主張されました。しかし、先ほども申し上げたように、力の政策が今日破綻を来たしていることは、もう繰り返す必要はないだろうと思います。政治は力ではないのです。武力と政治とは違う。もちろん政治も……。
  87. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が参りました。
  88. 堀眞琴

    ○堀眞琴君(続) 一つの手段かもしれない。しかしながら、今日平和への機運が高まっているとき、鳩山首相のような時代おくれの考え方をもって日本の再軍備を強行する、これを増強するなどのごときは、われわれとしては、とうてい賛成することができないのであります。  私は、この国防会議構成等に関する法律案に対しまして、第一には、憲法違反の法律である。第二には、国防会議の構成が、その任務、性格等に関連してきわめて危険な要素を含んでいる。第三には、防衛計画はアメリカの極東防衛計画の一環である。またそれは日本の財政経済に対して大きな負担である。そして第四には、世界の情勢に逆行するものである。第五に、特にアジアにおいて日本が強力な再軍備を持つということは、さらにアジアにおける日本立場を不利にするものである。第二次世界大戦において日本がアジアの諸国に与えたあの損害、そして害悪とは、さらにそれをぬぐい去ることができないばかりか、一そうこれを深める原因になるだろうという五つの理由を申し上げたかったのでありますが、時間が少いので、これで私の反対討論を終ることにいたします。(拍手
  89. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論通告者の発言は、全部終了いたしました、討論は終局したものと認めます。  別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。  まず、国防会議構成等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  90. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。(拍手)    ————・————
  91. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案  農林省設置法の一部を改正する法律案  昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案  以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  92. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  93. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十四、電源開発促進法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長松澤兼人君。   〔松澤兼人君登壇拍手
  94. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいま議題となりました電源開発促進法の一部を改正する法律案の商工委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本法案の骨子は、次の二点であります。その第一点は、電源開発株式会社の本年度の所要資金四百三十五億のうち、約七十億円の社債を発行すること、になっており、これに対し政府保証ができるように規定を設けたことであります、第二点は、同一河川の電源開発において、異なる企業者が存する場合における、いわゆる下流増加利益の調整に関する規定を新たに設けたことであります。  本法案審議の詳細は会議録に譲りたいと思います。  質疑を終り、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して古池委員より、「特に下流増加利益の調整について、両当事者の協議が整わなかった場合に、政府は公正妥当な万全の行政指導をするよう要望して賛成」、社会党を代表して海野委員より、次の五項目の要望を付して賛成の意見がそれぞれ述べられました。  すなわち  一、公益事業たる電気事業の現況にかんがみ、すみやかに電気行政の基本方針を再検討し、電源の開発、送配電、電力料金等につき、合理的施策を確立するとともに、これに必要な立法その他の措置を早急に講ずること。  二、右方針を策定するに当り、電源開発株式会社の国策会社的性格を明確にし、かつ同会社と一般電気事業者との関係及び一般電気事業者間の関係並びに電気料金の地域差等の諸問題につき、公共的な立場により明確な解決をはかること。  三、下流増加利益の調整に関する規定及び電源開発会社の発行する社債に対する政府保証が電気料金の値上げの口実とならないように、また電源開発株式会社の開発資金の財政投融資による低金利資金供給方針を後退させないよう特段の考慮を払うこと。  四、河川の総合的有効利用をはかるため、上流ダム等の工事者は、あらかじめ下流水力発電所所有者と、その工事計画及び貯水、放流等につき十分な事前協議を行い、円満かつ合理的な運営をはかるよう特に配慮すること。  五、電源地帯については、当該地域の産業振興に資するため、電気を特に豊富低廉に供給するよう格段の努力を行うこと。  以上であります。  かく討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  95. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  96. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  97. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改正に関する法律案  昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、二案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長青木一男君。   〔青木一男君登壇拍手
  99. 青木一男

    ○青木一男君 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案ほか一件につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、去る四月二十六日衆議院会議において修正議決せられ、本院に送付されたものでありまして、その内容の大要は、国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定により、現に支給されている年金のうち、公務による傷病を給付事由としている障害年金の最低保障額が、同じ公務傷病を給付事由とする戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定による障害年金の額に比較して低額でありますので、この際、これを援護法の線まで引き上げることとしようとするものであります。  内閣委員会は、本日の会議におきまして、この法律案に関する質疑及び討論を終局し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案について申し上げます。  この法律案の内容を申し上げますと、国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金のうち、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じたものにつきましては、さきに本院で可決されました昭和二十三年六月三十日目前に給付事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案により再び恩給の不均衡是正の措置が行われることになりましたのに伴い、この恩給の例にならって増額改定を行わんとするものであります。  内閣委員会は、本日の会議におきまして、この法律案に関する質疑及び討論を終局し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  100. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます、よって、両案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  102. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長戸叶武君。   〔戸叶武君登壇拍手
  104. 戸叶武

    ○戸叶武君 ただいま議題となりました農林水産関係の二つの法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  まず、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、農林水産施設の災害復旧事業の施行の実情にかんがみ、緊要な災害復旧事業に対する国の補助について、政府の財政上の措置に関する規定を整備するとともに、国の補助にかかる災害復旧事業の施行を翌年度に繰り延べる場合、補助金の残額返還の時期を明らかにするため、現行法に対して必要なる改正を加えようとするものでありまして、委員会においては、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、大豆の異常な値下りを防ぐため、大豆を農産物価格安定法の適用対象農産物に取り上げ、政府による買い入れの措置を講じようとするものでありまして、当委員会においては、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告いたします。(拍手
  105. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  106. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。    ————・————
  107. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長岡三郎君。   〔岡三郎君登壇拍手
  109. 岡三郎

    ○岡三郎君 ただいま議題となりました母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現行の母子福祉資金の貸付等に関する法律は、母子家庭に対する福祉増進上多大の寄与をいたしているのでありますが、今回さらに本法の内容を整備改善するため、若干の改正をいたそうとするものであります。  改正の第一点は、貸付の種類に新たに住宅補修資金を加えたこと。第二点は、高等学校における修学資金の額を現行の月額七百円以内から、月額千円以内に引き上げたこと。第三点は、貸付金の償還に関し、支払い猶予並びに減免の制度を設けたこと等であります。  以上がこの法律案提案理由並びに改正の要点であります。  委員会におきましては、種々質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて質疑を打ち切り、討論を省略して採決いたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、この法案に対しましては、各派共同の付帯決議案提出され、全会一致をもってこれを承認いたしたのであります。  以上、御報告を終ります。(拍手
  110. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  111. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。(拍手)    ————・————
  112. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣総理大臣から、放送法第十六条第一項の規定により、阿部真之助君、村上巧児君を日本放送協会経営委員会委員に任命することについて本院の同意を得たい旨の申し出がございました。  本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  114. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本件は同意することに決しました。    ————・————
  115. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十五より第三十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。外務委員長梶原茂嘉君。   〔梶原茂嘉君登壇拍手
  117. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ただいま議題となりました請願の件について、外務委員会における審議の結果を御報告申し上げます。  請願第五号、第九百七十七号は、千島列島の返還に関し、これを要望するもの、第七十九、五百三、八百六十一号は、韓国に抑留された漁船及び乗組員の送還に関し、これを要望するもの、第百八十二号以下七件は、米駐留軍基地に関し、その返還を要請するものであり、第六百七十三、千二十一号は日ソ日中国交回復促進に関するもの、第百五十五号は、オットセイ保護条約締結に関連し、猟獲の許可を要請するものであり、第九百二号以下二十八件は、太平洋水域における水爆実験の中止または原水爆使用禁止の措置を要請する趣旨のものであります。  以上を審査の結果、いずれも願意をおおむね妥当なるものと認め、これを議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定した次第であります。  右、御報告いたします。(拍手
  118. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  119. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  120. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三十三より第四十七までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長亀田得治君。   〔亀田得治君登壇拍手
  122. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま上程になりました請願に対する委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。  法務委員会におきましては、慎重に審議を重ねた結果、請願第十六号ほか三十六件の請願は、いずれも願意おおむね妥当なるものと認め、院議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  なお、人権擁護事業予算増額に関するもの二十件、大阪拘置所移転に関するもの五件及び長野伊那警察署の不当取調べに関するもの一件の各請願につきましては、政府に対し、請願の趣旨を徹底ないしは適切なる処置をとるよう、それぞれ意見書案を付した次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  123. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  日程第三十三及び第四十四ないし第四十七については、意見書案が付されております。  日程第三十三より第四十七までの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  124. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  125. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四十八より第六十七までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長松澤兼人君。   —————————————   〔審査報告書は都合により追録に   掲載〕   —————————————   〔松澤兼人君登壇拍手
  127. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいま議題となりました請願につきまして、商工委員会における審査の結果について御報告申し上げます。  請願第百一号、百九号、百二十七号、百六十号、百八十八号、二百七号、五百七十六号、千三百二十号の八件は、中国における日本見本市開催に関する請願請願第十八号、中国向け、、木造船輸出特認に関する請願請願第千三百五十九号、木造船中国向け輸出禁止解除に関する請願、以上十件は貿易関係の請願であります。  次に、請願第百四十四号、第百七十二号、長野八ヶ岳いおう採掘反対に関する請願、第二百七十八号、大分県新馬上金山鉱害による損失補償請願、第三百九十四号、道南地方地下資源調査に関する請願、第四百六号、北海道遠別町の地下資源開発促進に関する請願、第四百九号、石油資源開発株式会社に対する国家投資請願、第千百三十六号、山形県の石油等開発促進に関する請願、第千五百十九号、鉱害賠償及び鉱害復旧制度強化に関する請願、以上八件は資源関係の請願でございます。  次に、請願第五十五号、只見川電源開発促進に関する請願、第三百二十五号、国立只見資源公園設定に関する請願、第四百七号、北海道石崎川電源開発に関する請願、第七百四十五号、北海道落部、野田追両河川の電源開発に関する請願、第八百十四号、山形朝日川地区電源開発事業促進等に関する請願、以上五件は電源開発関係の請願でございます。  次に、請願第百四十五号、第百七十三号、長野松本市に商工組合中央金庫出張所設置請願、第八百四十二号、火災保険協同組合法制化に関する請願、第八百九十九号、第九百六号、第九百六十七号、中小企業協同組合法第九条改正に関する請願、第八百九十八号、第九百六十六号、余剰農産物見返円の中小企業導入に関する請願、第千四百二十三号、中小企業振興対策に関する請願、以上九件は中小企業関係の請願であります。  右、合計三十二件の請願は、商工委員会において審査の結果、その願意の妥当なることを認め、これを採択し、法制化を必要とする請願第八百四十二号、第八百九十九号、第九百六号、第九百六十七号以外は、これを内閣に送付すべきものと決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  128. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、日程第六十六及び第六十七の請願のほかは、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  129. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、日程第六十六及び第六十七の請願のほかは、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  130. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第六十八より第七十七までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長岡崎真一君。   〔岡崎真一君登壇拍手
  132. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ただいま上程せられました大蔵委員会付託の請願につき、審議の結果を御報告申し上げます。  日程第六十八号より第七十七号までの請願十件は、いずれも妥当と考えられます。よって院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  133. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  134. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  135. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第七十八及び第七十九の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長酒井利雄君。   〔酒井利雄君登壇拍手
  137. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 ただいま議題となりました請願につきまして、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件請願は、北海道滝川滝川電報電話局庁舎新築に関する請願及び新潟県にテレビジョン放送局設置促進請願の二件であります。  当委員会におきましては、以上の請願につきまして慎重審議の結果、いずれも願意を妥当と認め、これを採択し、議院の会議に付し、かつ、内閣に送付すべきものと決定いたしました次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  138. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  139. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  140. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八十より第八十五までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。建設委員長中山福藏君。   〔中山福藏君登壇拍手
  142. 中山福藏

    ○中山福藏君 ただいま議題となりました請願六件、すなわち河川に関するもの四件並びに道路及び都市計画についてであります。  右のうち、久慈川改修工事施行に関する件は、工事費及び施行年限を限定する部分を除くこと、また、横利根川ひ門開放に関する件は、技術的に調査を行い、支障が起らないよう、ひ門を可及的に開放するとの意見書案を付し、いずれもこれを妥当と認めまして、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  143. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  日程第八十及び第八十三の請願については意見書案が付されております。  日程第八十より第八十五までの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  144. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  145. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八十六及び第八十七の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員会理事岡田信次君。   〔岡田信次君登壇拍手
  147. 岡田信次

    ○岡田信次君 ただいま上程になりました日程第八十六の長野松本市に長野陸運事務所出張所設置請願及び日程第八十七の自動車損害賠償保険法の一部改正に関する請願は、運輸委員会において審議いたしました結果、いずれも願意を妥当と認め、議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  148. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  149. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  150. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、逓信委員長報告にかかる旭川郵便局庁舎改築に関する請願議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長酒井利雄君。    〔酒井利雄君登壇拍手〕、
  152. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 ただいま議題となりました請願につきまして、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件請願は、旭川郵便局庁舎改築に関する請願であります。  当委員会におきましては、本請願につきまして慎重審議の結果、願意を妥当と認め、これを採択し、議院の会議に付し、かつ内閣に送付すべきものと全会一致をもって決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  153. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  154. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。  よって本請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  155. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、内閣委員長報告にかかる広島県忠海町の地域給に関する請願ほか九十七件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長青木一男君。   〔青木一男君登壇拍手
  157. 青木一男

    ○青木一男君 ただいま議題となりました請願につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  今国会におきまして当委員会に付託されました請願は合計百九件でありまして、本日の委員会において、右請願全部を審議いたしました結果を申し上げますと、右請願のうち、昭和三十年国勢調査諸経費全額国庫負担に関するもの、旧軍人恩給改訂に関するもの、陸上自衛隊松本駐屯地部隊射撃場移転に関するもの、旧海軍特設士官等の恩給改訂に関するもの、未帰還公務員の恩給に関するもの、公共職業安定所職員の俸給調整に関するもの、教育職員の恩給につき恩給法の一部改正に関するもの、地籍調査事業費全額国庫補助に関するもの、旧軍人等の公務死認定基準拡大等に関するもの、高等学校農業教職員の待遇特別措置に関するもの、恩給不均衡是正に関するもの、元沖繩県有給吏員の恩給に関するもの、教職を追放された者の恩給に関するもの、戦傷病者の恩給増額等に関するもの、建設省ほか三現業官庁職員の定員増員に関するもの、不健康業務の加算につき恩給法の一部改正に関するもの、厚生省未帰還調査部の定員増員に関するもの、岡山県に陸上自衛隊設置に関するもの、奄美大島分離期間中の恩給年限通算に関するもの、旧軍人関係公務扶助料の倍率改訂に関するもの、旧軍人恩給の加算制復元に関するもの、臨時教育制度審議会設置法案反対に関するもの、軍人恩給の仮定俸給改訂に関するもの、地域給に関するもの、薪炭手当に関するもの、寒冷地手当に関するもの、公務員の給与改善に関するもの、教育職員の給与改訂に関するもの、以上、九十八件の請願は、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  158. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  159. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  これにて暫時休憩いたします。    午後十時九分休憩    ————・————    午後十一時三十一分開議
  160. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、地方行政委員長報告にかかる動植物油脂を消防法第二条六項別表危険物から削除するの請願外四件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員会理事伊能芳雄君。   〔伊能芳雄君登壇拍手
  162. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 ただいま議題となりました請願五件について、地方行政委員会における審査の結果を一括して御報告申し上げます。  請願第四百二十六号、第五百八十六号の二件は、消防法に危険物としてあげられている動植物油脂は、引火点等の点より見て危険度の少いものであるから、これを同法の危険物別表から削除せられたいというもの、請願第千四百三十六号、第千五百五十三号、第千五百七十六号の三件は、地方公募債の円滑をはかり、起債による資金計画を完遂し、窮迫せる地方財政の再建に資するために、すみやかに地方債証券公庫を創設せられたいというものでありまして、いずれもその趣旨おおむね妥当なるものと認められます。よってこれらの請願五件は、これを議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  163. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  164. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  165. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、農林水産委員長報告にかかる北洋漁業漁獲水域の現状維持に関する請願外十七件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長戸叶武君。   〔戸叶武君登壇拍手
  167. 戸叶武

    ○戸叶武君 ただいま議題となりました農林水産関係請願十八件について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  今国会中、去る四月二十二日以後五月三十日までに付託されました二十三件の請願について、今回審査の結果、全会一致をもって、ただいま議題になりました十八件は、この際、これを議院の会議に付し、内閣に送付し、政府をしてすみやかに実施せしめ、あるいは政府における慎重な検討を促し、その善処を求めることか必要であると認められた次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手
  168. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  169. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よってこれらの請願は採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  170. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、運輸委員長報告にかかる上ノ山駅改築拡張に関する請願外三十七件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員会理事岡田信次君。   〔岡田信次君登壇拍手
  172. 岡田信次

    ○岡田信次君 ただいま緊急上程になりました請願三十八件につきまして、運輸委員会における慎重審議の結果は、いずれも願意を妥当と認め、議院の会議に付するを要し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました。  御報告申し上げます。(拍手
  173. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  174. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  175. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、文教委員長報告にかかる児童生徒の増加に伴う不足教室補充財源措置の請願外二十四件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。文教委員会理事吉田萬次君。   〔吉田萬次君登壇拍手
  177. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 ただいま議題となりました児童生徒の増加に伴う不足教室補充財源措置の請願ほか二十四件は、文教委員会において審査の結果、いずれもその願意を妥当と認め、これを院議に付し、採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  178. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  179. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ————・————
  180. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、社会労働委員長報告にかかる国立公園施設整備費補助復活等に関する請願外百六十七件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長岡三郎君。   〔岡三郎君登壇拍手
  182. 岡三郎

    ○岡三郎君 ただいま議題になりました請願百六十八件について、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本委員会に付託になりました請願は総数四百五十六件でありますが、審議の結果、請願第八号失業対策事業に関する請願ほか百六十七件は、願意を妥当なものと認めまして、議院の会議に付して、内閣に送付すべきものと決定した次第であります。  以上をもって御報告を終ります。(拍手
  183. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  184. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。(拍手)    ————・————
  185. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 参事に報告させます。   議院運営委員長から、議院及び国立国会図書館の運営に関する件の審査について、それぞれ継続審査及び継続調査の要求書が提出されました。    ————・————
  186. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  ただいま参事に報告をさせました通り、各委員長から継続審査及び継続調査の要求書が提出されております。  各委員長要求の通り、委員会の審査及び調査を閉会中も継続することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって各委員長要求の通り、委員会の審査及び調査を閉会中も継続することに決しました。(拍手)    ————・————
  189. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 第二十四回国会を終るに当り、この際、議長といたしまして、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。(拍手)  議員諸君のうち、半数の方々は、本日をもって任期を終えられるわけでありますが、不肖私が、今期国会の中途において、議長の職をけがしまして以来、今日まで、諸君の示されました御厚情に対しまして、ここに心から感謝の意を表する次第であります。(拍手)  顧みますれば、国会も、第一回国会以来、回を重ねるごと二十四回に及び、この間、国会は国権の最高機関として国民の信託にこたえ、わが国の独立、発展のため、幾多重要なる案件を審議し、その使命達成に尽瘁し来たったのでありまして、諸君とともに喜びにたえないところであります。(拍手)  しかるところ、この数日来、本院に生じました事態は、参議院の権威にとりまして、まことに遺憾な事態であります。議長といたしましても、その責任を痛感いたしているのでありますが、この機会に、諸君とともに、あらためて参議院の使命を省み、議会政治に対する国民の不信をすみやかに回復すべく、最善の努力を尽したいと存ずるのであります。(拍手)  ここに、本日をもって任期を終えられます諸君が、本院議員として残された御功績に対し、深甚の敬意を表しまするとともに、内外の情勢、多端の折柄、今後一そう邦家のため御健闘あらんことをお祈り申し上げまして、ごあいさつといたす次第であります。(拍手)  一松定吉君から、発言を求められております。発言を許します。一松定吉君。   〔一松定吉君登壇拍手
  190. 一松定吉

    ○一松定吉君 潜越ながら、本日をもって任期満了いたしまする諸君を代表いたしまして、ただいまの議長のごあいさつに対して感謝の意をささげるとともに、残存議員の諸君に対して、お別れのごあいさつを申し述べたいと思います。(拍手)  私ども長い間、大過なく今日に至りましたことは、全く、議長初め同僚各位の深甚なる御恩情と御後援のたまものでありまして、真に感謝感激にたえません。つつしんでお礼を申し上げます。  この任期中、皆様方のほんとうにわれわれに寄せられたるその御厚情に対しまして、ここに重ねて感謝の意を表する次第でございます。(拍手)  時局はますます多事多端でございますから、どうか議長初め皆様方におかせられましては、一そう御健康に御注意相なりまして、ますます国家のために御尽瘁あらんことを、つつしんで申し上げまして、議長に対する感謝の言葉と皆様に対するお別れのごあいさつといたします。(拍手
  191. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて散会いたします。(拍手)    午後十一時五十三分散会    ————・———— ○本日の会議に付した案件  一、議長不信任決議案  一、皇室経済会議予備議員及び北海道開発審議会委員の選挙  一、日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定の批准について承認を求めるの件  一、日程第一 余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案  一、日程第二 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案  一、日程第三 特定物資納付金処理特別会計法案  一、日程第四 金融制度調査会設置法案  一、日程第五 税理士法の一部を改正する法律案  一、日程第六 物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  一、日程第七 気象業務法の一部を改正する法律案  一、日程第八 地方自治法の一部を改正する法律案  一、日程第九 地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案  一、日程第十 国防会議構成等に関する法律案  一、日程第十一 通商産業省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 農林省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案  一、日程第十四 電源開発促進法の一部を改正する法律案  一、国家公務員共済組合法第九十条の規定による公務傷病年金等の額の改定に関する法律案  一、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案  一、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  一、農産物価格安定法の一部を改正する法律案  一、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日本放送協会経営委員会委員の任命に関する件  一、日程第十五乃至第三十二の請願  一、日程第三十三乃至第四十七の請願  一、日程第四十八乃至第六十七の請願  一、日程第六十八乃至第七十七の請願  一、日程第七十八及び第七十九の請願  一、日程第八十乃至第八十五の請願  一、日程第八十六及び第八十七の請願  一、旭川郵便局庁舎改築に関する請願  一、広島県忠海町の地域給に関する請願外九十七件の請願  一、動植物油脂を消防法第二条六項別表危険物から削除するの請願外四件の請願  一、北洋漁業漁獲水域の現状維持に関する請願外十七件の請願  一、上ノ山駅改築拡張に関する請願外三十七件の請願  一、児童生徒の増加に伴う不足教室補充財源措置の請願外二十四件の請願  一、国立公園施設整備費補助復活等に関する請願外百六十七件の請願  一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する件  一、議員の半数任期満了につき議長の挨拶  一、議長の挨拶に対する一松定吉君の謝辞