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1956-03-28 第24回国会 参議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十八日(水曜日)    午後零時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十七号   昭和三十一年三月二十八日    午前十時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する   法律案閣法第二二九号)(趣旨   説明)  第二 公職選挙法の一部を改正する   法律案(衆第二二号)(趣旨説   明)  第三 恩給法の一部を改正する法律   の一部を改正する法律案野本品   吉君外二名発議)           (委員長報告)  第四 下級裁判所の設立及び管轄区   域に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)           (委員長報告)  第五 日本電信電話公社法の一部を   改正する法律案(第二十二回国会   衆議院提出)  (委員長報告)  第六 放送法第三十七条第二項の規   定に基き、国会の承認を求めるの   件(衆議院送付)           (委員長報告)  第七 旅行あつ旋業法の一部を改正   する法律案内閣提出)           (委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案閣法第一二九号)(趣旨説明)  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。太田国務大臣。   〔国務大臣太田正孝登壇拍手
  4. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) ただいま提案されました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府は、昨年五月、選挙制度調査会に対し、選挙区制その他選挙制度改正を要すべき点について諮問をいたしたのでありますが、三月十三日、主として衆議院議員選挙についての答申があったのでございます。思うに、現在のわが国の政治におきまして最も必要なことは、政局を安定せしめ、国民多数の支持を保つ政党を基盤とする政府が、責任をもって内外にわたる政策を遂行することにあると信じます。しこうして政府といたしましては、小選挙制度採用こそ、その目的を達成する最大の要件であると考えるのでございます。また小選挙制度のもとにおきましては、同一選挙区において同一党派に属する候補者個人が、その当選を相争うという欠点がなくなり、選挙はおのずから政党の掲げる施策を中心として相争われることになるのでございます。従って、国民としては選挙権の行使に当って簡明直截に政党主張を判断することができるようになり、政策本位に立脚する真の政党政治の発達を促進することになりますとともに、公明選挙の理想をも達成することができると信ずるものでございます。もちろん、反面小選挙制度にも、短所もあり、反対論も存在し得るとは否定できません。しかしながら、およそ制度には絶対的のものはあり得ないのでございまして、要は他の制度と、その長短を比較検討し、相対的にすぐれた制度採用すべきものであると考えるものでございます。政府は、このような考え方に基きまして、選挙制度調査会答申基礎として、衆議院議員選挙に小選挙区制を採用することを中心とするこの法律案を提出した次第でございます。  以下、改正案の主要な点につきまして概要を御説明申し上げます。  第一は、衆議院議員選挙につき、議員定数を四百九十七人としたのでございます。現行制度より三十名を増加するのでございます。これは現行定員を昨年十月一日施行いたしました国勢調査の新人口数によって都道府県に按分し、現行議員定数より減少する都道府県に対しましては、現行定数を維持することとしたのでございます。大正八年の小選挙制実施の際には一躍八十三名の増員が行われまして、ほぼ現行定数に近い四百六十四人とせられ、自来人口の著しき膨張があったにもかかわらず、増員はほとんど行われなかったのでございます。また、現行議員定数都道府県別定数が決定されましたのは昭和二十二年でありますが、戦後の急激な人口膨張と戦後の混乱時に定めました議員定数は、現在となっては著しく実情に沿わなくなって参りましたのであります。政府は、議員定数増加をなるべく少くするため、やむを得ないものとして、結局三十人の増員を行うことといたした次第でございます。その結果、議員一人当り人口は、全国平均で十七万九千六百二十八人となるのでございます。  第二に、選挙区の区割り原則でございます。その一は、各選挙区の人口は、離島・山間地域等の特殊な事情のある場合を除き、なるべく当該都道府県議員一人当り平均人口に近からしめることとしたのでございます。その二は、選挙区となすべき一団の地域は、地勢、交通、人情、行政的沿革等諸般事情を総合的に考慮して定めることとしたのでございます。その三は、いわゆる飛び地選挙区は原則として設けないことにしております。その四は、町村区域はこれを分割しないことにしております。その五は、平均人口以下の市及び区の区域は、原則としてこれを分割しないこととしております。その六は、特別の事情のない限り郡の区域は尊重することとしております。その七は、やむを得ざる場合のほか、現行選挙区の境界にわたる選挙区は設定しないこととしたのでございます。  以上、申し述べました諸原則に従いまして区割りを行なったのでございます。選挙制度調査会答申ではすべて一人区としておるのでございますが、人口の不均衡または地形等を勘案して、二人区を設定することが適当と考えられるのでありまして、政府といたしましては、結局二人区を設置することとし、一人区四百五十七区、二人区二十区、計四百七十七区といたしたのでございます。なお、今後の町村合併による市町村区域変更が予想されますので、衆議院議員選挙審査会を設置して、行政区画変更による選挙区改訂の公正を期したのでございます。  第三は、先ほど申し述べましたごとく、個人本位選挙制度政党中心選挙制度に改め、政党候補者公認制度を確立いたしますとともに、選挙運動期間中における政党政治活動規制を合理化し、その政治活動選挙運動にわたっても妨げないものとしたことでございます。このため衆議院議員選挙においては、政党を代表し、その公認候補者として立候補するためには、その政党の総裁、委員長等の発行する公認証明書を提出しなければならないこととしております。また、一の政党公認候補者となりました者は、同時に他の政党公認候補者となることができないこととしております。なお、政党は、一の選挙区において選挙すべき議員の数をこえる数の候補者公認証明書を発行することができないこととしております。さらに、政党及びその構成員は、公認候補者を有する選挙区におきましては、他の候補者を推薦し、または支持してはならないこと、政党公認を受けない候補者は、その政党に所属する旨を公表して選挙運動をすることができないことなどを規定したのでございます。また、小選挙区制の採用に伴いまして、政治活動選挙運動との区別がきわめて困難となることが予想されまするので、特定の政治活動選挙運動にわたることを認めるものとし、その際、政党選挙運動候補者選挙運動よりも有利な条件で行われることを防ぎまするため、政治活動にも一定の規制を加えることといたしたのでございます。なお、立会演説会につきましては、これを存置すべしという議論もございますが、立会演説会は、本来多数の立候補者がありました場合に、候補者を一堂に会し、有権者の判断を容易ならしめる方法として考案され、相当の効果をあげたものでございますが、小選挙区制の実施に伴いまして、政党政策識別理解には立会演説会を必要とせず、むしろ演説会場混乱が起る等の弊害も予想されますので、これを廃止するとともに、他方政党中心演説会制度を大幅に認めることとしております。このほか、個人演説会制度は、従前通り存置することは言うまでもありません。  第四は、連座制強化のために、付帯訴訟制度採用いたしたことでございます。選挙公正確保のために、かつての衆議院議員選挙法時代にありました付帯訴訟制度を復活し、訴訟の促進と連座制強化とをはかりたいと存ずるのでございます。ただ、現行訴訟法には付帯訴訟制度がありませんので、別にこれを法律をもって定めるものといたしたのでございます。  第五は、選挙運動期間を短縮し、法定選挙費用を引き下げたことでございます。すなわち、選挙区の区域が狭少となることに伴い、選挙運動期間を五日間短縮し、運動費用候補者一人について十五万円程度引き下げて六十万円程度としたのでございます。そのほか、立候補者立候補辞退選挙の期日前五日まででなければできないものとし、供託金の額を二十万円に引き上げ、繰り上げ補充は、同点者の場合に限って議員の任期中行い得るものとするなどの改正を行いたいと考えるのでございます。  以上がこの法律案提案趣旨及び内容概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決せられんことをお願いいたします。(拍手
  5. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森崎隆君。   〔森崎隆登壇拍手
  6. 森崎隆

    森崎隆君 ただいま上程になりました公職選挙法一部改正法案につきまして、若干の質問を申し上げたいと思います。  選挙は、民主議会政治の根幹をなしております。その正しい制度と運営とによって、国民意思をよりよく、より正確に政治に反映せしめるのが主目的でございます。一つには、正しい世論が直ちに選挙を通じまして議会に反映する公道を確保するとともに、他方では、公正なる選挙制度を悪用し、破壊する邪悪に対しまして、きぜんとして制裁の道を確立しなければなりません。さらには民主政治の方向を大きく左右するものであるがゆえに、この問題の取扱いに際しましては、党利党略を離れまして、民主政治確立の崇高な理念に基きまして、広く世論の動向に沿い、慎重にして公正な配慮がなされなければならないことは、今さら言うまでもないのでございます。(拍手)  今回の政府案に先行いたしまして選挙制度調査会答申案が出されておりますが、そもそも選挙制度調査会委員構成たるや、私たちの公正な目からみますると、学識者とは言いながらも、圧倒的多数の政府側委員、すなわち小選挙論者をもって構成していることは周知の事実でございますが、これに加うるに、問題は、選挙制度改正答申については十分の論議もなされないで、これが尽されないで、自民党御用機関にふさわしい趣旨に基きまして、多数をもってこの小選挙区制の答申案を強行して行ったことは、公正なるべき諮問機関態度としてはまことに遺憾千万でございます。それにいたしましても、同答申案の中には、前文に公明選挙をとなえ、罰則強化を織り込み、同時に選挙費用節約等をも考慮されておりました。さらに小選挙区制につきましても、一人一区制を徹底いたしまして、定員四百九十七名、選挙区四百九十七区と、一応筋を通してありました。しかるに、ただいま提案政府原案は、答申案にあった多少の良心を削り尽したようなものでございまして、国辱的改悪法案と言わなければならないのでございます。  まず第一に、公明選挙の条項が抹殺されてしまいました。非常にこれは都合が悪いからだろうと考えております。連座制強化は名ばかりでございまして、今も自治庁長官の言う通りであります。罰則強化は、別に大して見らるべきものもございません。第二に、議会政治民心とを連結するにあずかって力あるところの立会演説会は、今言ったように非常に詭弁を弄せられてこれを廃止し、しかも欠員を繰り上げるという当選の問題も道を阻害しております。第三には、一人一区制の内容が改ざんされまして、さらにこれに二十区の二人区を挿入されております。太田長官にお尋ねいたしまするが、右三点は答申案を骨抜きにしたものと思うがどうか。いいにしろ、悪いにしろ、答申案を何ゆえにこういう点につきましては尊重されなかったか、その理由を伺いたいのでございます。  そもそも小選挙区制の支持者は、多数党を容易に出現せしめて、政局の安定に資するとか、同一政党同士打ち排除とか、政見徹底とか、違反取締り徹底とか、選挙公営実施あるいは選挙費用減少等を口にいたしておりますけれども、多数党の出現は、これはよしあしでありまして、ほぼ同勢力の二大政党が旗幟鮮明に政策をかかげまして、切磋琢磨いたしまして、かつての自由党のごとき大きな汚職疑獄がなくとも、政策の少しの誤まりがあったならば、直ちに政権が他党へ移るその道が開かれ、永久政権による暴力を常に排除することこそ、バランス・オブ・パワーの上に立つところの政局の安定と言わなければならないと信ずる次第でございます。(拍手)  さらに、小選挙区制による多数党とは、不自然なる多数党であることはいなめません。少数代表趣旨が加味できず、死票増加をきたすことは火を見るよりも明らかでありましょう。この案で行きますならば、昨年の死票三三%、この上に約一五%程度死票増加することは必至でございます。棄権率を二五%と見ますると、民意を代表すべきはずの多数党は、わずかに二八%、三〇%弱の国民支持の上に立って、絶対多数の暴力を振う道が開かれるのでございます。死票増加は、とりもなおさず国民意思を正しく国会に反映できないことを意味するのでございまして、これはまことに危険千万と言わなければなりません。(拍手)  次に、同一政党同士打ちがなくなると申しますが、これは形式上のことでございまして、現議員こそこの案では有利でございまするが、現在落選している次期候補者の中には優秀な者もあられると思います。これとの調整が非常に困難をきわめ、もし甲を公認いたしまするならば、乙は脱党しても出馬するは決定的でございます。同士打ちがなくなるというのは名のみでございまして、血を血で洗う結果になるのは、これは必定であります。  次に、政見徹底させると、今もまことしやかに申されましたが、政見徹底する道は、選挙においては、さっきも申しましたところの立会演説会の頻度を大きくすることであります。政見徹底すると言いながら、一方においては立会演説会を廃止するは奇怪千万と言わなければなりません。(拍手)  次に、選挙違反取締り徹底すると言われますが、実は逆でございまして、取締りは一そう困難の度を増すことでございましょう。と申しますのは、選挙区が小さくなり、選挙が激烈になるがゆえに、日常の選挙運動が熾烈となり、これが演説会とか、座談会等を頻繁に開催するという傾向ならば、これはまたけっこうでございまするが、買収、供応、冠婚葬祭に名をかりた地盤固めに狂奔いたしまして、政策主張はどこへやら、ひいては民心を堕落に引きずりこみ、みずからは利権による金繰りの地獄に陥ることは火を見るよりも明らかでございます。さらには、これがボス化いたしまして、全国的な、国際的な視野に立って、清貧に甘んじて国家の将来を大慮するという有為な政治家は足元を払われてしまう。金力に物を言わせて、飲み食いを続けまして、物品をあやつり、今も参議院の選挙ですでにこういうことをやっている人もあるのでございますが、こういうボスどもが強力になりまして、国政どころか、地方的問題に終始する者に国政が牛耳られるということになってしまいましょう。従って議員の素質は非常に劣悪になり、ついにはとうてい国政の負荷に堪え得ない者になることの公算が非常に大きくなってくることは憂わしいことでございます。さらには、政党政党対立から、個人個人への激しい戦いへ移行いたしまして、そこから買収とか、脅迫とか、暴行とか、こういったようなことの続発を見まして、選挙公明どころか、選挙をやれば最も国民を汚辱する行事の一つと、こういうようなことにならぬとは限らないおそれがあるのでございます。また、地盤保育政策は三百六十五日を通じまして行われ、違反に対しては官権干渉もできることになるであろうし、良識を持った取締りの官憲は、良心的に職務の執行はできないというおそれがあると私は思います。選挙費用につきましても、少額で済むと申しまするが、かつて昨年の、私の住んでおる高松市の市長選挙におきましては、衆議院選挙以上に莫大な金が放出されております。また、府県会議員選挙におきましてもそういう例は幾多ございます。とてもこれによって選挙費用が低下するとは考えられません。総理は、こういうふうに考えますならば、小選挙区は日本の現状に照らしまして、とても適応性がないと私たちば考えるのでございますが、あなたがこの小選挙区制を謳歌するにはそれ相当理由があろうと思う。総理みずから一つ明確に御答弁を願いたい。  さらに、総理にお尋ねしたいのは、小選挙区制を今出されましたその動機を一つ聞きたいのでございまするが、これについては昨年末をもちまして、一応二大政党対立の形は整いましたが、保守党に対しまして革新政党の実力は、わずかにその勢力三分の一程度でございまして、今のところ形式のみ整い、二大政党実態は、まだ対等の対立までには及んでいないというのが実態でございます。幸いに日本国の将来を深くおもんばかるところの人々が、ようやく有権者増加して参りまして、年々歳々両党の勢力均衡へと近づきつつあることは御同慶の至りでございまするが、今この小選挙区制を断行いたしますならば、大政党には非常に有利な要素が多分にありまして、保守政権永久化をねらう暴挙であると言われてもいたし方のないことになりまするが、この点いかがでございましょう。二大政党対立論につきましては、たとえばイギリス等では大選挙制時代からすでに二大政党はあったのでございます。この点がよく混同されております。またフランス等におきましては、小選挙区制をしいたゆえ小党分立を来たした。この傾向は、もしこの法律案国会を通りまして実施されるならば、この傾向は必ず出てくると私は予想するものでございまするが、これは他山の石として十分に参考にいたすべきものであると考えます。今度の小選挙制強行の裏には、社会党勢力伸張をねたむ党略的な立場中心になっておるのではないかと深く疑念を持つものでありまするが、これはいかがでございますか。  次に、改憲の基礎準備といたしましての小選挙区制の点についてお尋ねいたします。今日自衛隊は三十五万の拡張を強調するアメリカの意図にもかかわりませず、現在の二十万という数は、募集手続の問題あるいは財政上の面から見ましても、すでに限界にきておることは一般の認めるところでございます。これ以上の拡張には、どうしても憲法改正して、正規の国防軍を編成し、一挙に徴兵制度へ突入しようとするのが政府の意向であるということは明らかでございます。憲法改正したいが、徴兵制度はしかないというのはこれはうそである。再軍備を行なった後に一般徴兵制度を確立するという二段がまえ戦法というものは、政府詭弁にもかかわりませず、すでに西ドイツでもとられておる方法でありまして、断じてだまされるものではないのでございまするが、それならばそれで、堂々と何ゆえにその趣旨一般に発表なさらないのか。憲法改正には国会の三分の二以上の勢力が要るのだ。衆議院では三分の二以上の議席は現在の選挙法ではとても取れないから、これを改正してやるのだ、そうして社会党勢力を駆逐してやるのだ、どうぞ大向うの御賛同をいただきたいと言って、全国民にはっきりと堂々と主張されないのか。それがよきにしろ、あしきにしろ大政党のとる態度であると私は考えるが、良心的にこの問題につきましてはお答えを願いたい。こそくなる人間は奸智を弄して、事の真相を発表せずして暗々裏に事を運ぼうとする、これ小人の常でございます。憲法改正準備措置であるか、いなかにつきましては、とぼけないで、はっきり言ってもらいたい。  次に、自治庁長官にお尋ねいたします。それは今、事こまかに御説明がありました小選挙区の実体であるところの区割り案についてでございます。選挙制度調査会答申案に大きななたをふるった政府区割り案を見て私は一驚いたしました。この案は、発展過程にある社会党をたたき伏せて、自民党の現議員当確たらしめる最もいい案であるとのお考えから作り上げられたものでございましょう。明らかに党利党略立場に立ったものであることは、自民党幹事長の岸さんの言明したところであることは、すでに新聞紙上で明らかでございます。二、三の例を申し上げますると、たとえば私の目についたものを見ましても、北海道岩見沢付近、茨城の日立市付近、福岡県の小倉、門司等区割りは、明らかに対社会党的作戦を樹立されました苦心の跡が十分にうかがわれます。また、岩手県の水沢付近埼玉県の秩父市付近、群馬県の館林市付近、愛知県豊橋市付近、三重県松坂市付近等は、自民党議員それぞれの当確をねらって地盤割りにずいぶん、悪い意味において御苦労を重ねられた苦心の作でございましょう。そもそも国家法律は、国民福祉が直接間接最終のねらいでございます。一個人、一業者、一会社、あるいは自分の政党に所属する一議員の利益をおもんぱかって法律が作られるならば、これは汚職の最たるものと言わなければなりません。(拍手公職選挙法改正も、終局は国民福祉建設基礎工事でございます。かるがゆえに、その昔アメリカのデリーという州知事与党に有利な区割り案を強行したときに、ゲリマンダーと後世まで汚名を着せられておるのもゆえなしとしないのであります。今、自民党区割り案はこれに匹敵する最も下劣なるものでございます。ことにひどい例を一つだけ申し上げますと、埼玉県の六区では、社会党が強い大宮市、とても勝ち目がない、この大宮市に北足立郡の六カ町村をぶんどってくっつけて二人区にいたしておる。これは名前を言いましょう。明らかに福永議員救済措置でございます。幾ら金を積んだか存じませんけれども、福永議員を救済する措置である。地元へ行って聞いてごらんなさい、地元へ行って聞けばみんなそう言います。   〔副議長退席議長着席〕  また、横須賀市、岡山市等が二分されて、行政区画は支離滅裂となっておる。ひどいのは世田谷区でございます。三つに分けて、都会、区会議員選挙区よりももっと小さくなっておる。その他飛び地も、原則として設けませんと、今まで飛び地は島以外になかった。今度は原則としてやらないといって飛び地を作る。これは飛び地を作ったことの言いわけで、地理的にも行政的にも奇怪千万の選挙区割り案と言わなければなりません。スポーツに一番大切なことは、どちら側にも中正なルールが作られまして、これによってスポーツマン・シップが発揮されるのでございます。選挙法スポーツルールのごときものでございまするが、それにはその意義というものは、国政を左右する意味におきまして比較にならぬほど重大でございます。長官は、あなたの党の議員連が集まって腐肉をついばむようにつつき回したこの区割り案を、党議決定の美名に隠れて肯定するつもりでございますか。あなたは自民党の党員というよりも、現在は政治を担当しておるところの政治責任者でなくちゃならぬ。その立場に立ってなぜこれが一擲一蹴できなかったか。大臣の職を振り捨てても、こういうものは出せない、本国の名誉にかけて出せない、その良心がなぜ持てなかったか、お答え願いたいと思います。  前述のごとく、政府案自民党議員のみの当確をねらって、まことにあさましい案を作り出したもので、世論と怒りをもって、与党の強く反省を促さんとするものでございますが、鳩山総理は当然この醜悪なる法案に対する全面的最高責任者でございます。公正なる世論に反抗して、この法案をどうしても押しつけて通すつもりでございましょうか、あなたの最後の腹のうちを一つここで打ち割ってお聞かせ願いたい。わが鈴木委員長に対しましても、これを拒否しておる。あなたの政治良心があるならば、その政治良心に従いまして、これがいいものならいいもの、なぜいいか、悪いものなら悪い、悪くてもどうして出さなければならないか、そのほんとうの腹のうちを、もしできますならば、ここで御発表願いますならば満足でございます。  最後に、自治庁長官に一、二だけお尋ねいたします。公認政治団体を一つに限定されております。これは何ゆえでございましょう。政治団体は、選挙に際しては有能な候補者公認または推薦いたしまして、このために主力を注いで選挙運動を展開するのを重要な活動といたしております。特に二大政党対立の現状におきましては、小さな偏見を捨てまして大同につく原則に従い、二大政党いずれかの所属候補者公認、推薦しなければならない現状にあるのでございます。公認政治団体を一つに限定したことは、側面より民主政治確立に協力しておられるこれら各種政治団体の活動を制限するものでありまして、全く民主政治を阻害する手段と言わなければなりません。かかる手段をとった理由を明確に説明を願いたいのでございます。  また、今度の一部改正法は、時間がないから申したくございませんが、一事不再議の原則にも反しておると思いますが、それはそれといたしまして、なお、衆議院議員定数は現行よりも三十名の増加を見ておるとお話がありましたが、緊縮財政の折から、これは莫大な国費増額を意味することを知らなければなりません。それもやむを得ない場合は仕方がない。人口の自然増加に伴って若干の増加はやむを得ない、これはよくわかります。しかしその増加党利党略によらない適正なものでなくてはならないと思うわけでございます。ところが定員決定に当りましては、各府県の人口を十分に勘案していない。たとえば人口がおのおの百六十九万あるいは百五十五万の岡山、栃木両県の定数は十人になっておるのでありますが、これに対しまして、人口百七十三万の宮城県の定数が九名のまま居すわりとなっておるのでございます。もっとひどいのは、人口二百二万一千の長野県定数十三名に対しまして、人口二百四万四千の鹿児島県定数十一名という矛盾、なぜこれを修正しないのか。こういう例は、ほとんど全国府県に無数の例があるわけでございます。これらの矛盾を修正しようとはしないで、無軌道に増員したのは、明らかに党略より出でたものと私たちは断定したいのでありますが、御答弁ができますならば御答弁をお願いいたしまして、答弁の模様によりましては再質問したいと思う次第でございます。(拍手)  〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  7. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 森崎君の御質問にお答えをいたします。  小選挙区制は、太田自治庁長官説明いたしました通りに、公明選挙の理想を達成し得るばかりでなく、二大政党の健全な発達と、政局の安定をはかることができるものとの考えから提出いたしたのでございます。  提案の動機についての御質問は、ただいまの答弁によって御了承を願いたいと思います。  小選挙区制の採用憲法改正との関係はございません。小選挙区制は、太田君の申しました通りに、政党政策中心として争われることになるために、国民選挙権の行使に当って簡明直截に判断することができまして、公明選挙の理想を達成することができると私どもは考えておりますので、撤回する意思はございません。   〔国務大臣太田正孝登壇拍手
  8. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 森崎議員の御質問に対しお答えいたします。  全面的に申し上げたいことは、今回の選挙制度の改革は、よく世間で言われまする大正八年に行われました小選挙制度を思い出す人がありますが、全然違っておるのであります。何となれば、御説明申します。大正八年におきましては区割り改正をいたしました。しかしながら、同一選挙区で幾ら候補者が立ってもかまわない、個人立場を尊重しておったのでございます。しかし、今回のこの制度は、一方に区割り制度を設けますとともに、他方政党を本位といたしまして、あるいは公認者を定める、あるいは政党選挙運動を正確に認めるというような点において、大正八年のときと違っております。いわんや客観的情勢といたしましても、当時におきましては保守党の二大対立がございました。しかし今日は、社会党という革新政党と、われら保守党の立場にあるものとの対立になっておるのでございます。この客観情勢をもとにいたしまして、世の中の叫びは何であったかといえば、政界安定という声であった。その政界安定をするについて、政党が大きに固まるという声に応じ、政党の英知と国民の声と重なりまして、今日の事態を来たしたのでございます。しかも、二大政党となった場合におきましては、それを裏返して、選挙に持って行きます場合には、小選挙区というのが世界の常論であると私は思うのでございます。(拍手)  第二点として御質問のありました選挙制度調査会答申を何ゆえ変更したか。あげて申し上げますことは四点ばかりございます。第一は、選挙制度調査会の委員の方が非常に熱心に御勉強になり、答申をなされたことについては感謝いたします。しかしながら、厳格に一人区の原則をとられておりますが、選挙制度調査会の小委員会におきましても、二人区を設けてよいということを書いております。しかし答申は一人区になっております。なぜ二人区を設けたかということにつきましては、いろいろの理由があげられます。先ほど御引用になりました茨城県の日立ブロック、あるいは埼玉県の大宮ブロックのごときは、私どもが積極的に御説明申し上げて、二人区の正しいことを信ずるのであります。また、地勢、人口等によって、二人区にした方がしかるべきものであるということを信ずるのでございます。かつての緑風会案におきましても、最初に百二十三区設けられ、決定的には七十八区となっておると記憶いたします。イギリスにおきましても、小選挙制度の見本と言われまするが、単一なる区を設けるようになりましたのは、ごく最近のことでございます。私は経過的に、現在の日本における政治の客観的な、人口であるとか、経済であるとか、地勢であるとか、主観を交えざる立場におきまして、二人区を設ける必要があるが、しかしこれを二十区に集約したのでございます。なお、調査会案におきましては、府県単位、何々県と何々県の公平ということを保ちまして、今までの議員定数より少くならぬようにという考慮をされたことはけっこうでございます。しかしながら、その一つの、同じ府県の中におきましての関係を見ますると、一方が非常に多くて一方が非常に少い、こういうことは私はしかるべきことでないと思いましたので、この点を訂正しております。また町村合併があると予想される区を作っておりまするが、早急に合併か行われないと判断せられる材料がございましたので、これも修正いたしました。こういういろいろな点から考えまして、もちろん線を引くということは、人おのおのいろいろの線が引かれるでございましょうが、主観を交えず、地勢であるとか、人口であるとか、経済であるとか、また最も考えなければならぬのは行政的沿革でございます。こういう点から考えまして、小選挙制度に対する答申案を改めたのでございます。  第三に申し上げますことは、立会演説をなぜやめたかという問題でございます。世間にもこの点について異論のあることを承知しております。私が最初前提として申し上げました通り、中選挙区ではない新しい小選挙区になるということを考えねばなりません。私も政治の運動に参加し、幾たびか選挙に出たのでございますが、現在の中選挙区下におきまして多数の候補者が立ち、そうして聴衆はどの説がいいかという判断をするに私は効果のあることを認めます。中選挙区下における立会演説の効果を認めます。しかしながら、小選挙区になりまして、区域が小さくなり、さらに政党の運動が、演説会におきましても、ビラ、ポスター等におきましても、今までにない強い立場を認めておりますので、この狭い区域におきましてやる方法としては、私は立会演説会よりも、個人の演説と政党の演説と、この二つに主力を置くことがしかるべきものと思います。また現在におきましても、模範とせられるイギリスの小選挙制度におきましては、立会演説を行なっておらないのでございます。私は現在の中選挙区下における立会演説におきましても、いわゆる混乱を起す場合を考えてみまするならば、改むべしという議論がございますので、小選挙区におきましては、地域が狭い関係等もございまして、立会演説のごときことをする必要は私はないと、こう信ずるのでございます。  さらに第四点といたしまして、有力者、大人物が出ないのではないか、あるいは事前運動があるのではないか、あるいは経費がどうとか、こういう問題につきましては、小選挙制度の本来にかんがみまして、選挙民の立場からも考えねばならず、候補者立場からも考えねばならず、また結果が中選挙区と小選挙区とどっちがいいか、死票の問題等にからまるのでございまするが、私は人物が小さくなるとか、いろいろなことを申しますが、公認ということを非常に強く見る限りにおきましては、新しい人も、婦人の方も、その政党が健在である限りにおいては、必ず公認さるべきことを信じ、大人物が落ちる、当選に漏れる、公認に漏れるというようなことは断じてないと信ずるのでございます。  なお、区割りについて申します。先ほど申し上げました二人区の問題は、お言葉におりましたいわゆるゲリマンダーの問題、これらの区画に関するところの問題でございます。さらに、ある政党をねらいとして作ったものではないか、かくのごとき意味におきまして、党利党略ではないかという意味でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)お聞き下さい。私が何ゆえ答申案における二人区制度を廃したのを、この際認めたかということは、先ほど申した通りでございます。ゲリマンダーにつきましては、問題は主観性を入れるときにおいて起る問題でございます。区画整理の引き方につきましては、線を引くのでございますが、いろいろの見方があるのでございましょうが、政府案では人口、地勢、人情、産業等、諸般の要素を考えて作ったのでございます。従って人を相手にして作ったものではございません。どこまでも人口、地勢等を総合的に勘案したものでございます。ただいま森崎議員のお言葉にもありましたが、私の見るところ、これが党利党略であるということは、判断は最後において国民がすることと思うのでございます。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)従って、私はこの案を作るにつきまして、国民の審判を考えつつ、党利党略であるかないかということは国民がきめるということを心にきざみつけてこの案を作った次第でございます。  公認団体につきましてのお言葉がございましたが、私の聞き取り方が悪かったか知りませんが、公認団体を一つにするというようなことは、この法案できめておりません。  その他の問題は、なお御質問によってお答え申し上げます。(拍手
  9. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 森崎隆君。   〔森崎隆登壇拍手
  10. 森崎隆

    森崎隆君 ただいまの御答弁に対しまして、再度壇上に登らせていただきました。  総理は自席からでけっこうでございますが、まず太田長官にお伺いいたします。時間がありませんので、私は太田長官のようにたくさんはしゃべれません。ただ観点を変えてあなたにお尋ねいたしたいが、あなたがいかに詭弁を弄せられましょうとも、この区割案を中心にいたしました世論を考えていただきたい。世論はどのように言っていますか。民主政治におきまして世論をないがしろにして、事こまかに理屈を並べましても、それでは日本政治は破壊するだけだ。世論との関係をどう考えておられるか。  第二点、私は必ずしも小選挙区制を否定するものではございません。終局においては二大政党対立の上に立って小選挙区制を確立いたしまして、大いに選挙戦をやって切磋琢磨いたしたい。しかし日本の現状といたしましてはどうでございますか。あなたの所属している政党政治は、——————————これを言を左右できないはずです。ですから、もし小選挙区をしくとすれば、基礎的な準備措置が必要なんである、基礎的な準備措置が……。イギリスにおけるように一応徹底的な罰則強化し、連座制強化し、公明選挙をやる、その上においてこの小選挙区制をやるべきであります。私はそういう意味におきまして二点をお聞きいたしたい。  総理にお尋ねいたしますが、この法律案は、私たち国民の名において断固粉砕するつもりでございまするが……。(「失言だ取消せ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  11. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 静粛に願います。静粛を希望いたします。
  12. 森崎隆

    森崎隆君(続) 次に、総理に一点お尋ねいたしまするが、この法律案につきましては、断固国民の名においてわれわれは粉砕するつもりでおりまするが、もしあなたはこれを通過させた場合に、何回これで選挙をやるつもりか、恒久性があるかないか、これをお聞きしたい。これが正しいものならば、いつまでもこの小選挙区制でずっと行くだろうと思いますが、断じてこれは長続きしないものと私は考える。あなたはそれについてどう考えておられるか。  時間がないので、このあたりで終えたいと思います。(拍手、「懲罰々々」と呼ぶ者あり)
  13. 河井彌八

    議長(河井彌八君) ただいま、森崎君の発言のうちに、不穏当な発言があったと思います。これは速記録を調べました上で善処いたします。  鳩山内閣総理大臣。総理大臣は自席において発言せられてよろしゅうございます。
  14. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 議長のお許しを得まして、この席から答弁さしていただきます。  このたびの改正案は、恒久性があるかどうかということは、国民意思を問うてみなければわからないと思います。(「当りまえじゃないか」「国民意思を問う気持があれば解散せよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  15. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 静粛に願います。   〔国務大臣太田正孝登壇
  16. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 森崎議員の御質問の第一は、世論のことをどう考えたかと、こういうお言葉でございます。(「新聞を読んでいるか」と呼ぶ者あり)私は、こういう意味におきましては、神経を高めて新聞を読み、ラジオを聞いております。中には、委員会の案を黙殺したというようなお言葉も、あるいは文字も拝見いたしました。しかしながら、四百七十七区設けられる区の中で、二百六十区は、全く調査会の案をとったのでございます。その他残っておる二百十七区につきましては、二人区を設けること、区割りの見方が違うということ、それも客観的な立場から判断いたしまして改めたものでございます。もちろん一つの区を改めるということは簡単にできません。そのほかに響くというような場合は当然ございまするので、私は二百六十区も入れたということを、黙殺ということは、少しく御観察が誤まっておるではないかと思います。  第二点といたしまして、現段階で買収等が行われているということを御指摘になりました。私はむろん買収は取り締るべきものであり、いな、取り締らずとも、選挙民と被選挙民との間にかくのごときことがないことを期待いたしまするが、新しき小選挙制度、大正八年のときと違っておる制度、このもとにおきまして有権者の考えも違いまするし、競争する地域も違って参ります。全く新しい制度である上に、政党の現状につきまして、二大政党ができたとは申しながら、まだ十分なところへ行っておらぬことは何人も認められるところであろうと思います、従って公認をするというところに非常に大きな問題があります。もう一つは、今までの政党の組織を、あるいは婦人に、あるいは青年に、あるいは労働関係に、一般関係につきまして、その組織を完全なものにしなければならぬということに努力を要するのでございます。私は小選挙制度をしくに当りましては、広く国民に訴えるとともに、政党もほんとうにこの制度に適するように改むべき点が多いことを申し上げて答弁といたします。(拍手)     —————————————
  17. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 小林武治君。   〔小林武治君登壇拍手
  18. 小林武治

    ○小林武治君 私は、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、鳩山総理ほか関係大臣に質問をいたします。  問題は重要でありますので、お互いに興奮することなく、また喧騒をきわめることなく論議をいたしたいと思います。なお、私の質問は若干同僚森崎議員の質問と重複する点もありまするが、私どもの考え方の一端としてお許しを願いたいと存じます。  本法律案は、いわゆる小選挙区制の採用を骨子とするものでありまするが、この小選挙区制につきましては、私どもは緑風会有志としまして、去る昭和二十九年の第十九国会以来、再度にわたり関係法案提案いたしておるものでありまして、その目的とするところは、正しい民主政治の基盤としまして、よりよき選挙制度を確立し、これにより政局の安定と政界の粛正をうながし、あわせて選挙費用を軽減し、選挙国民大衆に密着せしめんとするものであります。  しかして、私どもが何ゆえ参議院において、あえてかかる発議をいたしたかと申しますれば、選挙区制の問題は、申すまでもなく議員個々にとりましては死活の問題であり、また、政党にとりましても、その消長にかかわる重大問題でありまするので、利害関係者が直接これに携わる限り、人情の自然として勢い我田引水となり、その公正を確保することはきわめて困難と存じ、あえて第三者たる私どもがこれを発案したものでございます。すなわち、これが立案に当りましては、一切利害関係者の意見を聞かず、その立場にもとらわれることなく、また特定の政治家を全然意識せず、きわめて事務的に、かつ客観性を主としてこれを作案したものでありまするし、また、今次の選挙制度調査会におきましても、区割りの公正と客観性を保たさせるため、起草委員会には一切国会議員を参与せしめざるの配慮をいたしたのであります。  かようの見地からいたしますれば、このたびの法案政府提案であることは、一応これを了とするものでありまするが、これにつきましても最も重要なことは、案の内容が果して十分公正なものであるかどうかということであります。世に言わるるように、もっぱら党利党略にとらわれたものではないか、あるいは特定個人の利害によってゆがめられたものではないかということであります。たとえ、その政策、方針が正しいものでありましても、これを実現する手段、方法に誤まりや、極端に不公正な点があっては、その政策自体さえもこれを否定せざるを得ざることと相なるのであります。現行の中選挙区制は、大正十四年以来、三十有余年にわたり国民大衆に親しまれたものであります。従ってこれが変革は、まことに重大なることであります。それだけにあえてこの大事をなし遂ぐるとせば、できるだけ国民の納得する公正なものでなければならぬということであります。  かくて、私が鳩山総理にお尋ねしたいことは、総理としてこの案が果して公正なものであると、この席で断言し得られるかどうかということであります。総理はどうも人まかせが多いと承わっておるのでありまするが、少くとも本案については、その重大性にかんがみ、あらかじめ政府当局並びに与党に対し、これが公正確保につき十分の注意を喚起されたかどうかということをお尋ねしたいのであります。  さらに、総理に伺っておきたいことは、もし、かりにこの法案が通過いたしましたとする場合に、総選挙がいつ行われるかということは、国をあげての重大関心事でありまするが、その実施期日につき、相当の猶予期間を置くつもりかどうか、総理の大体の見通しを伺っておきたいのであります。  次に、案の内容につきまして自治庁長官に二、三お伺いします。まず、衆議院議員の新定員でありますが、政府案選挙制度調査会答申をそのまま採用しておるのでありまするが、世論はなるべくこれを少く希望しておるようでありますし、政府はこの点をいかにお考えになっておるかということであります。  第二は、選挙制度調査会答申は、すべて一人一区となっておるのに対しまして、本案は二十の二人区を設けておるのでありまするが、これを設ける必要性、またこれを設けるに当って、いかなる基準によったかということであります。およそ選挙区の区割りをなすに当り、行政区域を分割することは初めての試みであり、実際問題として人口、地勢、交通、伝統等の関係よりいたしまして、厳格に一人一区とすることの相当困難であることは、私にもよくわかるのでありまするが、政府がこれをあえてした事情を伺っておきます。また一人一区の区割りにしましても、政府案答申を大幅に変更しております。むろん私どもも調査会の答申がそのまま採用されるものとは毛頭考えておるものではありませんが、これも程度によりけりと思うのでありまして、その辺の事情もこの際率直に説明をしていただきたい。  次に、小選挙区制につきまして幾多の短所、弊害が指摘せられておることは御承知の通りであります。従いまして、これが採用当りましては、同時にこれらの弊害を除去する万全の措置を講ずべきでありまするが、本案において果して十分その用意があるかということであります。すなわち第一は、現在の個人中心選挙から政党本位の選挙に移行せしむることであります。されは現在の選挙の悪弊を矯正する捷径でありまするが、これが本案程度措置でよいかということであります。次は地域が狭隘となり、また競争が激しくなるため、買収増加するおそれがあることでありますが、これが防止には、どうしてもいわゆる連座制強化を必要とするのでありますが、政府案はこの点きわめて不徹底ではないかということであります。その他取締り強化罰則の整備、違反による公民権の当然停止等についても、本案には見るべきものがないのであります。  次は、選挙の事前運動の取締りのことでありますが、現在の選挙法規は、実際上事前運動に対してはきわめて無力であります。特に小選挙区制においては、とかくいわば小型な地方的人物に有利であると言われておりまするが、これはいわばこの種の人物が常時地区に密着し、事前運動に没頭する当然の結果であります。従いまして、これが取締りにつきましては、何らか特別の手段を講ずる要があると思うのでありますが、自治庁長官はいかがお考えになっておるかということであります。  さらに、立会演説会のことでありますが、立会演説会は戦後選挙民に最も親しまれた選挙運動方法であり、候補者の人物を直接比較検討する適当の場であると思うのでありますが、いかなる理由でこれを廃止するかということであります。私どもは参議院の選挙における立会演説会の廃止には賛成いたしかねるのでありますが、衆議院と参議院とを彼此区別する理由を伺っておきたいのであります。  なお、以上衆議院議員選挙区画の改正に関連しまして、私はこの際、参議院議員選挙方法につきましても政府の所見を伺っておきたいのであります。すなわち現行選挙法の制定に当っては、衆議院議員と参議院議員とは一定の均衡をもってその選挙方法を定められたものと思うのでありますが、かかる見地からいたしますれば、近き将来、当然参議院議員選挙方法なり、選挙区画なりにつきましても適当の改変を加えてしかるべきものと思うのでありますが、この点につき政府はいかに考えておられるかということであります。私は参議院存立の趣旨からいたしまして、現行議員の構成方法は必ずしも適当なものではないと思っておるのでありまして、もし将来憲法改正等の機会もあらば、これが是正を希望しておるものでありまするが、現行憲法のもとにおきましても、衆議院の小選挙区制に対応して、あるいは全国区を廃止して地域ブロック制にするとか、またはこれを地方区に再割当をするとか、または地方区におきましても、これを一人一区にするような方法も考えられるのでありますが、その点一応政府の所見を伺っておきたいのであります。  最後に、私は文部大臣にお尋ねしますが、それは義務教育職員の選挙運動のことであります。教員の政治活動は、いわゆる教育関係二法案によりまして制限を受けておるはずでありまするが、これが果して適正に守られておるかどうかということに疑いを持っておるものであります。選挙公正確保という見地からまた参議院選挙も差し迫っている今日、文相はこの点をどういうふうにお考えになっておるか。場合によっては地方教育委員会の注意を喚起するとか、あるいは法的にあらためて考える必要があるかどうか、この点文相の所見を伺っておきます。  以上、各項につきまして政府の率直なお答えを期待しまして私の質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  19. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 小林君の御質問にお答えいたします。  政府は、選挙制度調査会答申趣旨を尊重いたしまして区画案を作成したものであります。これが不公平ないし不公正なものであるとは思っておりません。本法案公正確保のために、党に対して私が注意をしたことがあるかどうかという御質問でございます。かかる重要法案の立案に当りましては、実際人まかせでは適当でないと考えます。私としては本法案制定に当りまして、政党政治の健全な発達をはかるため必要な措置をとるよう指示をいたしました。本法案は調査会の答申基礎として公正に作られたものであります。この案が通過した場合、いつ選挙を行うかという御質問がございましたが、本法案が通過した場合、直ちに衆議院を解散するという考えをただいま持っておりません。  最後に、参議院の方も衆議院改正に相応しまして改正する意思があるかどうかという御質問でございましたが、次の通常選挙後に本格的にこの点について検討をしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣太田正孝登壇
  20. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 小林議員の御質問に対しお答えをいたします。  お言葉のうちに、新しい制度をしくにつきまして十分注意を払わねばならぬというお言葉、まことにありがたく御忠告を承わりました。第一点として定員の問題でございますが、三十人増になったわけあいを申し上げますと、人口増加、すなわち現在の議員定数で八千九百二十七万人の人口を割りますると、そこに出てくる場合におきまして、それでは現在の議員数より減る場合がございますから、それを補充すると申しますか、減らないようにするという建前をとりました。しかしもう一つ考えられたことは、議員一人当り人口が最も高い青森県と佐賀県の問題を考えますと、いかにも不自然でございますので、ここに一人ずつ増加することにいたしたので、合計三十人増加することになりました。しかしながら、お言葉のように先ほど森崎議員からもそういう御質問があったように思いまするが、ずいぶん各府県を当って行きますると、たとえば広島、福島、茨城、静岡、鹿児島、長崎、宮城、山口、岐阜の九つの県については、人口が多いにかかわらず定数が割合に少い、こういう事実も考えられまするが、これを一々拾って参りまするというと、非常な数になりまするので、私はなるべく議員数を多くしたくない、こういう考え方のもとに、答申案そのままの三十名増とした次第でございます。  第二に、二人区を設けた理由についての御質問でございますが、でき得る限り設けない、一人区で行きたいということは、だれでも考えるところでございます。しかし、答申案と違いまして、答申案も、そのできる前の小委員会におきましては、二人区を作ることあるべしということにはされておりましたが、結局の答申案によりましては、厳格な一人区でございました。しかし地勢、人口等の関係から、その地区を適当な一人区に分割することの困難な場合も相当あるのでございます。なお、一人区とすることによって、人口などの関係から隣接の他の選挙区に対し一体性がくずれるというような場合を考えまして、これを二人区にした場合がございます。あらゆる条件が一緒であるにかかわらず、隣接の選挙区との間に人口のアンバランスができるというような場合などがございまして、ここに二人区を設け、二十区作った次第でございます。  小選挙区につきまして、いろいろの御注意、拝聴いたしました。中にも、取締り関係が非常に薄いではないかというお言葉でございます。政府案におきましては、連座制強化という意味で、現在の連座制が、おとりの場合等を除いては、もう行くところまで来ていると思います。従って今日の連座制において残されたる付帯訴訟の問題だけを取り上げたのでございます。  政治資金の問題につきましては、合理的な案を見出したいと思いますが、すでに不幸なる乱闘騒ぎなどのありましたあとで、各党との間にこの問題が取り上げられたのでございますが、結論を得ずに参りました。しかも、問題は政治資金を寄付する組合等にも関係するものでございまして、公平に合理的な案を見出すところまで行かず、結局は政党法を作るべき時期においてこれをやって行きたいと見送った次第でございます。しかし、お言葉の中にありました通り、小選挙区になるというと、いわゆる小人物が出るとか、あるいは地元においていろいろな運動をするなどというお言葉がございました。この小選挙制度を完備いたしますためには、有権者の方面におきましても十分注意しなければならぬと同時に、これを推して行くところの政党側におきましても、十分注意しなければならない。すなわち公認をする場合におきまして、かかる小人物が出ないように、よき人を選ぶように、婦人も出られるように、あらゆる考えを注いでやって行かなければなりませんので、まず政党におきまして、公認ということに、今までにない注意と留意をいたさなければならぬと思います。同時に、組織というものが今後の政党中心になるのでございまするから、私ども保守党の立場からいたしますと、十分この点につきましては革新政党に学ぶところがあろうと思います。われわれの考えは、ここに初めて、有権者とまた候補者とがりっぱなものになるのには、有権者各位における政治知識の発展と、また他面におきまして政党がみずから新しい方式を進めて行かなければならぬことは申すまでもありません。答申の中におきまして、最後に言われておる国民に啓発をしなければならぬというお言葉こそ、私どもはこの小選挙区を行うについて心にすべきことであり、政府としてもその施策を進めて行きたいと思うのでございます。  次に御質問になりましたのは、立会演説のことでございます。これはもちろん参議院議員選挙には関係はございません。参議院議員選挙は、今までの通りでございます。ただ、先ほど私が申しました通り、中選挙区時代における立会演説と、小選挙区になってからの立会演説というものとは質が違うということを申し上げたのでございます。私も経験をいたしまして、非常な便宜を得たのでございますが、政党において公認されたるものでないたくさんの候補者が同一地域に立つということも、この中選挙区における立会演説の問題と関連を持っております。私どもは、今までの効果は中選挙制度のもとにおいては認めます。しかしながら、小選挙区になった今日、くどいようでございまするが、この制度を円滑に行なっておるイギリスにおきましては、立会演説を行なっておらないのでございます。しかし私は、小選挙制度につきまして、参議院議員とは違いまして、その区域におきましても、政党の問題においても違いまするから、参議院議員選挙に立会演説を認むるということと、この小選挙制度において立会演説を認めないということとは区別すべきものであると思います。  また、参議院議員の方の制度改正という問題につきましては、今日考えておりませんが、通常選挙の行われましたあとにおいて、とくと検討いたしたいと存じ上げます。(拍手)   〔国務大臣清瀬一郎君登壇拍手
  21. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 小林さんの御指摘のように、義務教育の教職員が政治的中立を保つことは非常に重要なことでございます。現在では、教育公務員特例法の二十一条の三と、公職選挙法の百三十七条と、並びに義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法の第三条とが特別法になっております。一般公職選挙法の適用のあることはむろんのことでございます。私どもといたしましては、これらの法律の厳正なる運用によって中立を保ちたい。そのためには、先刻御指摘のように、教育委員会等に指導なり助言なりを厳格にいたしたいと、かように考えております。  これをもってお答えといたします。(拍手
  22. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 市川房枝君。   〔市川房枝君登壇拍手
  23. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、ただいま議題となっておりまする政府のいわゆる小選挙区制案に対しまして、直接の利害関係は持っておりませんけれども、非常に重要な問題と思われますので、二、三鳩山総理にお伺いしたいと思っております。  いわゆる小選挙区制案に対しましては、私は基本的には反対ではありませんが、しかし、日本の現状では時期尚早であると考えております。もし現在小選挙区制を採用するとすれば、西ドイツでやっておりますように、小選挙区制と比例代表制を併用したらよいと考えておるものであります。両制度の併用については、選挙制度調査会において、蝋山政道氏が提案されたようでありまするが、ほとんど審議されなかったのを遺憾に思います。選挙制度の問題は別といたしまして、今私が第一にお伺いしたいと思いますのは、いわゆる小選挙区制案の内容についてでございます。先ほどから総理並びに自治庁長官の御答弁を伺っておりますと、調査会の答申によって案を作った、公正なものである、党利党略によったものではないということをお答えがございました。私もそれを望むのでありまするが、しかし選挙制度調査会の小委員長として、この案についての立案に参加されました矢部貞治氏その他の方々が、新聞紙上ではっきりと、党利党略によって変更されているのだということをおっしゃっております。あるいは各新聞紙の論説、あるいはその他ラジオ等を見ましても、全部党利党略によって変更されておるということを申しております。ラジオなんかでのいわゆる街頭録音についてみましても、国民の多数がやはりそういうふうに考えて非常に憤慨しております。そういう声を、あるいはそういう記事を鳩山総理ほか太田自治庁長官、あるいは自民党の幹部の方々は一体ごらんになっていないのか、あるいはそういう声は聞こえておいでにならないかどうか。私は今度の内容が、党利党略によっていわゆるこの自民党の現議員、あるいは前議員当選しやすいように、それと反対に社会党議員が落選するようにといいますか、そういうようなことがもし案の中に入っているとすれば、これは、これこそ社会党の方たちのおっしゃる一種のクーデターである、私は非常に重大な問題だと思います。私は、自民党はそれこそ参議院を加えれば約四百名の大政党であると言われます。その中には良心的な方方もたくさんおいでになると思いますのに、どうしてこういう日本の民主主義政治を破壊するような案が大手を振ってまかり通ろうとしているのか。もうすでに、現在の日本は二大政党になっておりますし、しばしば鳩山総理のおっしゃるように、これは憲法改正の問題と関係がないということでありとすれば、何も急ぐ必要はないのじゃないか。私は法案を撤回をして、そうして世論に聞き、社会党ともよく話し合った上で再提出なすったらいかがか、こう思うのでありまするが、これはまあ先ほどからの御答弁で、撤回する意思はないということをはっきりおっしゃっております。もし撤回しないとしても、せめて継続審議として、国会の審議の過程において、世論を取り入れて修正すべき点を修正をしてほしいと思うのでありまするが、その点もだめでありましょうか、これは鳩山総理に対しての私の第一の質問であります。はりきりとその点を伺いたい。  なお、先ほど私は、日本の現状では小選挙区制は時期尚早だと申し上げましたが、それは小選挙区制の悪い方面ばかりが出てくるだろうと考えるからであります。御承知のように、アメリカ、イギリスは小選挙区制であります。しかし日本有権者政治意識は、アメリカやイギリスの有権者のレベルまで残念ながら参っておりません。先日、本院で選挙粛正に関する決議が満場一致で可決された、これも非常に残念なことであります。選挙粛正を唱え、あるいは法律が戸別訪問を禁止をしておる。こういう現状で小選挙区制が実施されたならば、選挙違反買収等々が盛んになることは私は必定だと思います。選挙制度調査会におきましても、小選挙区制を決定すると同時に、連座制徹底化、取締りの公正化、政治資金規正の強化、公営の拡充等が答申案に含まれておりました。ところが今度の政府案には、連座制強化のためには付帯訴訟制度採用しただけにすぎません。この連座制もいわゆるおとりの抜け穴があるものでありますから、実際はほとんど役に立たない。今日このあとで、社会党の中村高一氏ほか四名から提出されております公職選挙法の一部を改正する法律案内容は、皮肉にもちょうど選挙制度調査会答申を取り入れたもののように思われます。私はそれに大賛成であります。総理は、この政府案選挙の粛正あるいは公正が期待できると思っておいでになるかどうか。また、政府案に、社会党提案しておりまする選挙粛正なんかに関する点をお取り上げになって、政府案にお加えになる御意思があるかどうか。これを第二点として伺いたいと思います。  次に、小選挙区制になりますと、新人や婦人の当選が困難になって参ります。婦人の場合、男子と一対一で当選できるようでなくてはだめだとも言えますが、また、かりに男子よりも婦人がすぐれておるとしても、男子を選ぶといった封建制が日本には強く残っております。小選挙区制下のイギリスの下院では現在二十四名婦人議員がおります。米国の下院では十六名おります。日本衆議院では御承知のように、現在八名婦人議員がおられますが、もし小選挙区制になりましたならば、幾人出てこられるか、あるいは一人も出られないかもしれないと思う。実は去る二月三、四、五の二日間・東京で婦人の国会議員を初め、全国の地方議会議員及び教育委員が約五百名集一まりまして婦人議員大会を開催いたしました。その際、小選挙区制が問題となりました。自民党の中山マサ氏がまっ先に反対の意思を表明されました。(拍手社会党、無所属の全議員がこれに同調いたしまして、満場一致で小選挙区制反対の決議をいたしました。そうしてその決議は、大会当日の議長でありました自民党の最上婦人局長と社会党の赤松婦人部長、無所属の村上都議会議員によって太田自治庁長官に提出されましたことは御記憶だと思います。去る十日の選挙制度調査会でたまたま小選挙区と婦人の問題が出て参って、下村委員が、選挙権は男女平等だが、被選挙権は男子の役柄だ、小選挙区制になって婦人が出られなくなるのは当然だと言われたそうでありますが、婦人団体はこれを聞いて非常に憤慨しております。婦人の問題について鳩山総理は、婦人議員なんか出られなくともいいというふうにお考えになっておりまするか、あるいは何らかそれに対する対策をお立てになるおつもりでありまするかどうか、その点を伺いたいと思います。   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  24. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 市川さんにお答えいたします。  西ドイツのお話がありまして、西ドイツではおっしゃった通りに、比例代表制を加えて小選挙区制でやっております。これは確かに死票をなくなすには大へんいい制度だと思います。比例代表制をかって私も唱えたことがございます。とにかく二つの政党になりましたときには、小選挙区の方が各国で採用しておる制度で、明朗に選挙ができるので、二大政党の場合は比例代表なしの小選挙区制をとっておるのが多数なものですから、その方がいいと思ってその制度採用いたしました。  それから社会党の案について、継続審議をやって協議をする意思があるかどうかというお話がありました。継続審議を前提としての社会党との協議は、政府としては賛成はできませんけれども、区割りや何かについては社会党と協議する余裕は政府においても持っておるつもりであります。  それから社会党の案について取り入れる意思があるかどうかという御質問がございました。個人本位選挙政党中心に移行せしめることと、及び連座制強化をはかるとともに、選挙民の啓発に努力をするという社会党主張には私は賛成でございます。  小選挙区制で、婦人代議士に反対かとか、どういうように考えておるかとか、(「そんなことは言わぬ、ぼんやりしていてはいかぬ」と呼ぶ者あり)いえ、最後にありました。私は昭和二十年ごろでしたか、二十一年ごろでしたか、その時分から婦人参政権主張いたしまして、その主張を続けております。それで今日の選挙法改正におきましても、婦人に対しての被選挙権を奪う、少くするとういような考えは全然考えておりません。公認制度によって有名なる婦人は十分に当選される機会があると思います。(拍手)   〔国務大臣太田正孝登壇拍手
  25. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 市川議員にお答え申し上げます。  第一点は、世論を顧みざりしや、こういうお言葉でございました。この点につきましては、再三申し上げた通りでございますが、結局するところ、答申案をどれだけ認めたかということが具体的の問題だと思います。答申案をあまりにも無視したのではないかということが事実問題だろうと思います。この点につきましては、四百七十七区のうち二百六十区をとったことは、先ほど申しました。問題となりまするのは二百十七区の問題でざいまして、この残った二百十七区につきまして何ゆえ修正したかということの第一点は、二人区を設けた理由で小林議員等にお答え申した通りでございます。またゲリマンダーではないかということにつきましては、客観的状態をもとにしてやったのでございまするから、私どもとしてはこれを答弁し得ると信じておるのでございます。しこうして最後に、これを決定するものは、党利であり党略であるかどうかということは、有権者の投票となって表われるものであるから、これを心に刻みつつこれを作った。また世評に対しまして、だんだんと私は我らの主張したことがおわかりになりつつあると信じております。  第二点といたしまして、二大政党はすでにできておるのではないか、この際二大政党のできている上に小選挙区制を設ける必要もないではないかというように聞き取れたのでございますが、むろん二大政党を作るためにも、また二大政党が発展して行くためにも、選挙制度としては小選挙制度がよいというのが私どもの信念でございます。  第三点といたしまして、小選挙区制は新らしいものであるから、これを行うについては十分注意しなければならぬのでございます。婦人の立場におきまして、その社会的地位、経済上の関係等につき、ますます政治方面に出て行き、また実行していただかなければならぬと思います。今、総理大臣の申しました通り、政党が今までの考えでなく、婦人の立場、婦人の政治ということを十分考えるときにおきましては、りっぱな婦人を公認されることは当然であり、政党が一区に一人しかいないその婦人を、政党選挙運動としても支持して行くことは私どもは当然なことであると思います。  下村博士の言葉につきましては、私はそのように思っておりません。(拍手
  26. 河井彌八

    議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。      —————・—————
  27. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 日程第二、公職選挙法の一部を改正する法律案(衆第二二号)(趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、衆議院の発議者から、その趣旨説明を求めます。衆議院議員鈴木義男君。   〔衆議院議員鈴木義男君登壇拍手
  28. 鈴木義男

    衆議院議員(鈴木義男君) 私は、われわれが提出いたしました公職選挙法中の一部改正法律案提案理由を、提案者一同にかわりまして御説明申し上げたいと存じます。  選挙法をむやみにいじる政界は内面的に欠陥があるのであります。あまり感心せないことであります。しかしやむを得ないものがありといたしますれば、どうして選挙を通じて正しい世論を反映させることができるかという方向に努力すべきであると存ずるのであります。選挙区をいじるというのは、そのいじる政党が主義政策で勝つという自信のない証拠でありまして、最も末の問題を持ち出したと言わなければならないのであります。わが国においそも政治資金が正しく獲得されて、そして清く正しい選挙が行われまするならば、現行選挙法でもりっぱに政局は安定し得るのでありまして、小細工を用うる必要はないのであります。水の流れるように、そのつどの選挙において多数を制する政党政局を担当すればよいのであります。ある党だけが長く政権の座にすわろうなどとたくらむことが、そもそも非民主的、非立憲的でありまして、さたの限りと存じているのであります。(拍手)  わが国の選挙のあり方については、明治から今日に至るまで、常に最もこの抜本塞源的な大切なことが忘れられて、正しい世論の発揚が妨げられているのであります。それはどうしたならば不浄の金、正しくない金が政治に動くことを阻止できるかということであり、次には、金の種類は問いませんが、どうしたならばふだんと選挙のときとを通じて、投票買収という忌まわしい現象を払拭することができるかということであります。これらが最初であってかつ最後の根本問題であります。そこでわれわれはメスをそこに入れた根本的治療法を今回の提案において試みたものであります。(拍手良心的にわが政界の浄化を思う者は、何人も反対のできない提案であります。現に内閣の選挙制度調査会におきましても、この調査会の審議のやり方というものは、ことに採決のやり方というものは、われわれは心から憤りを禁じ得ないのでありまするが、先ほど市川女史が申されましたように、蝋山政道委員のごとき、まことに適切な折衷案をお出しになったので、少くともこれについて多少の論議が二十分か、三十分くらいこれは行われてよろしいのでありまするが、たとえば蝋山委員の説によれば、例を福島県にとりますると、今までの投票実績で行きますると、自由党は四十万から四十五万とって十二人全部当選するのであり、社会党は三十万とっておるのでありまするが、一人も出ることができないのがこの小選挙区の欠点であります。三十万が死票となる。それを救う道はどうかというので、ドイツのドント式を採用して、六割だけは選挙によらせよう、七人だけは選挙で出てくる者、あとの五人はこの死票を計算して、死票の率に応じて按分分配をしようというのが蝋山君提案趣旨でありまして、それで行くならば、社会党も三人か、四人は出れるということになるのでありまするが、むしろそういう案について、もう少しまじめに審議をする雅量を示すべきであったのに、星島委員のごとき、まことによい案を出されたが残念なことにおそ過ぎたと、こういうことである。何が、おそ過ぎたのであるか。半年小委員会が審議を重ねまして、そうして本会、総会に移したのが三月十日であります。移して、午後一時から開いて、五時には採決をしてこれを内閣に送れというのであります。こんな乱暴なことがどこにありましょうか。私は、市川女史がすでに指摘されましたから、すべて省略をいたしまするが、これに参与した学識経験者もすべて憤慨しておるのでありまして、この点については、この採決並びに決議の無効をわれわれは主張いたしておるのでありまするが、今しばらくそのことをおきましても、この調査会の答申には、一そう厳格に政治資金の規正をはかるべし、そうしてすべて資金の動きは公表させて監査することを可能にせよということを申しておるのであります。またあっせん収賄罪を規定すべしということもうたっておるのであります。  およそ、法案提案理由説明は、きわめて簡単なのが慣例でありまするが、今回のこの政府の案と私どもの案とは、わが国政治の運命に関する重大問題でありまして、しかも私どもの見るところでは、衆議院はまさに大きな行き過ぎを犯そうといたしておるのでありまするから、こういうときにこそ、参議院の厳正公正なる良識の御発動を願うの念切なるものがあるのでありまして、少しく委曲を尽すことのお許しを願いたいのであります。  そこで、今日わが国の政治家が手にする金のうち何%が清く正しい金であるかを反省されたいのであります。独占資本、財閥、あるいは財界の連盟というようなところからくる金は、大てい政治を一部特権者に歪曲するひもがついておるのであります。そうでなければ、造船汚職に見るように、国民の血税を盗むのたぐいであります。一切の請負や土木や補助金等には油虫がついておるのである。余剰農産物を輸入する、外米を買う、砂糖、石油、バナナを輸入する、肥料を輸出する、これらに常に冥加金がついておるのである。上の好むところ、下これにならうで、多くの国会議員も、地方議会議員も、農協に、あるいは県信連に、県販連に、共済組合に、畜産組合に、森林組合連合会に、いろいろのものに冥加金を命じておるのであります。公金どろぼうにあらずして何ぞやと申し上げたい。(拍手)これ、われわれがこの政治資金規正法の改正案提案した理由であります。その説明はここに省略いたしまするが、要するに、政党の本部、支部は、国家の恩恵を受けている企業、会社、法人並びにその連合体等から政治資金を受けてはならないとするのであります。同じことを選挙に際して各候補者について禁止するのが、今回のわれわれの提案であります。  次に、最も憎むべきものはかのいわゆるあっせん収賄であります。かの殖産金庫、日本経済会等の破綻に際して、数千万円の金がそれぞれの政治家の手に渡ったことは明らかなことでありまするが、これは何とか救済してやろう、お前今破綻しそうだが、一つこれは議会で何とかして放ってやろうということをほのめかすことによって献金されるものでありまして、涜職というよりは詐欺に近いものであります。いずれにしても、手にすべからざる金であることは間違いない。物を輸入するその許可を得るべくあっせんしてやる、鉄道を敷くあっせんをしてやる、許可認可の口添えをする、役所に陳情をしてやる、すべてに車代以上の手数料をとられるのであります。はなはだしきは、陳情やあっせん依頼に行きますると、「お前幾ら持って来たか」と聞く政治家があるのであります。政界の実力者と言われるような者ほど、この巨頭であり、常習者であるのが例であります。かくて、国民政治家を貧官汚吏の徒と同視し、少しも尊敬せず、みずからも国会議員となるのは利権にありつくためと心得て、国利民福などはてんで眼中にない政治が生まれてくるのであります。政治が信用を失墜していること今日よりはなはだしきはないのであります。  今日の法律では、同じく金をとっても、職務関係があれば収賄罪、涜職罪となり、職務関係がなければ、あっせんの口添えをしてやっただけだということで免れておるのでありまして、すこぶる不合理なものであります。政治の腐敗はこういうところから起るので、南米のある国では「お前はわいろをもらうではないか」と政治家に詰め寄ると、「ああ、もらうよ、わいろももらうが、仕事もするよ」、こういうことを言っていばっておるそうであります。国民もまた、あれはわいろも取るが、仕事もする。石川五右衛門を賞賛する心理に類似するものがあるのでありますが、どこかの国の国民の意識にもこれに近いものがあることを遺憾とせざるを得ないのであります。ゆえに、過酷のようでありますけれども、選挙制度調査会すら、あっせん収賄罪を立法化せよと答申しておるのであります。われわれも、政府提案しないならば、ぜひ近くこれを提案したいと存じておる次第であります。  以上は、この政治に不浄の金が動く根源を排除することであり、これを前提として選挙の浄化をはからなければならないと信ずるのであります。金銭、物品、利益等によって誘導されている投票は、それ自身公正な世論の発動ではないのであります。ある意味において、選挙区制などは問題でないというべきであります。万悪のもとは、選挙にいろいろの形をかえて買収的行為が行われるというところにあるのであります。そこで選挙法改正を論じまするのには、常にこの選挙の民主化、明朗化、公明化の方向において論ぜられるべきでありまして、断じてその逆の方向であってはならないのであります。目下衆議院においては区制というものがやかましく論ぜられておるのでありますが、わが国の政治を正しい軌道に乗せますためには、区制の変更などよりはもっと先に手をつけるべき問題であるとわれわれは考えるのであります。(拍手)  政治の腐敗は常に選挙の腐敗から起るのであります。よって選挙政治とが清い手で行われることを第一に確保しなければならないと信ずるものであります。そのために、政党がきたない金を手にしないように、政治資金規正法を出しまするとともに、別にこの選挙そのものを徹底的に明朗化いたしまするために、選挙に関して候補者が国、公共企業体または地方公共団体から恩恵を受けている企業、会社、法人、その他一走の団体等から選挙資金をもらってはならないという規定を設けようとするものであります。すなわち現行法の百九十九条におきましては、国、公共企業体及び地方公共団体と特殊の利害関係のある者からの寄付を禁止するにとどめておるのでありまするが、今回これを拡大いたしまして、国または地方公共団体から補助金、奨励金、助成金、負担金、その他これらに準ずる交付金の交付を受けている会社その他の法人、国または地方公共団体から貸付金等の財政援助または直接もしくは間接に利子の補給金、損失補償等の財政援助を受けている会社その他の法人、国または地方公共団体が資本金の全部または一部を出資している会社その他の法人、国または地方公共団体が資本金の全部を出資している会社その他の法人から出資を受けている会社その他の法人、国または公共団体が借入金の元金または利子の支払いを保証している会社その他の法人を新たに追加いたしまするとともに、同条第二項において、これらの寄付をしてはならない期間を定め、さらに同条第三項において、前記各号に掲げるものを主たる構成員とする団体または連合体もまた寄付をしてはならないことといたしたのであります。また、これに関連いたしまして、第二百条に新たに第三項を設けて、寄付の勧誘、要求等をしてはならない期間等を定め、また、第四項においては、百九十九条第三項に定める団体、連合体に対する寄付の勧誘、要求等をしてはならない期間等を新たに規定した次第であります。  次に、この提案においては、選挙における腐敗と卑劣なる競争等を排除いたしまするために、不法なる選挙運動によって当選人が当選を失ういわゆる連座の場合を著しく拡張いたしたのであります。従来は総括主宰者または出納責任者が罪を犯し、刑に処せられた場合にのみ候補者はその当選を失ったのでありまするが、これにもただし書がついておりまして、候補者相当の監督、注意をしたときはその責めを免れることになっておりまして、せっかくの規定を空文化しておるのであります。よって本法案におきましては、そういう免責規定はこれを認めないことにしたのであります。候補者は常にその責めに任ずべきものと信ずるのであります。また、せっかくこの規定がありましても、用意周到に総括主宰者や出納責任者は刑事責任を免れておりながら、相当数の選挙違反を出す場合が少くないのでありまするから、免れて恥なきものをなからしめんがために、これらのものと全く関係なく、一種の義侠心から選挙違反をやるというようなものもまれにありますから、そういうようなときは、これは候補者に累を及ぼさないのでありまするが、そうでなく、何らかの意味で総括主宰者や出納責任者にあとで払ってやる、あとで相当なお報いをするというような暗黙の了解があって、意思の疎通があって選挙違反を生じたと目せられまする限り、やはり当選の効力を失うものといたしたのであります。ただしその場合は、意思を通じたか、いなかについて争う余地を存せしめまするために、訴訟に訴えることを許しておるのであります。総括主宰者や出納責任者違反を犯した場合には、有罪が決定すれば当然失格するのでありまするが、これらは訴訟の結果失格が決定するわけであります。これは一見過酷に似ておりまするが、このくらいにしなければ、とうていわが国において短期間公明選挙を招来することはできないと信ずるからであります。イギリスの選挙が、一件の買収もないとされますのは、先般選挙制度調査会からも三人の諸君が多大の国費を使ってイギリスの選挙を見に行って、一件くらい買収犯がありはせぬかといって探したけれども、ついになかったということであります。そういうことになったのは、あらゆる違反が累を候補者に及ぼすようになっておるからであります。しかも、候補者は以後十年間は立候補できないようにいたしたたまものであると言われておるのに、われわれはかんがみるべきと存ずるのであります。(拍手)  またさらに、用意周到にこれを無責任の形において買収等が行われますることを防ぎまするために、総括主宰員、出納責任者等と意思を通じたるといなとを問わず、一定の当選者に関して選挙違反がありました以上は、それらの影響下にあったと推定されまする投票は、私の選挙区にもありまするが、数十人出しておるけれども、総括主宰者と出納責任者は全くロボットで知らないことになっておるのであります。そういう場合には、自分は金はもらったが、別な人に投票したなんという、事実そういうこともありましょう。けれども、そういう弁解は許さない。とにかく影響があったと思われる買収をした者、相手方及びその影響を受けて勧誘を受けた者、それらの投票はすべてこれを無効として累計いたしまして、当選の票数から減票いたしまして、その結果当選を失う場合もあり得ることを規定いたしたのであります。これまた粛正選挙の先進国たるイギリスの選挙法の規定をそのまま取り入れた次第であります。で、あらゆるこの買収行為は、要するに当選させたいために行われるのでありまするから、どんな巧妙な買収も結局は累を当選者に及ぼし、失格させるおそれがあるぞということが周知徹底されますれば、よほどこれら卑劣なる行為に出る者が少くなるのではないかと存ずるのであります。(拍手)  また、わが国の選挙界において最もひんしゅくすべきものは、選挙期間中のそれでなくして、私どもが名づけて慢性買収と称する一連の行為であります。選挙に打って出ようとする者は、常時その選挙区内を培養いたしまして、地方的利益の誘導、たとえば停車場を改築してやる、ある一人の代議士候補者が地方的利益誘導罪で問題にされました。ある停車場を改築してやるというので検事局がこれを起訴しようとした。私はそのついでに全候補者を調べてみたら、百四十人の人々が、いや停車場を改築してやる、あの橋を直してやると、地方的利益の誘導を露骨にやっていることが明らかになりまして、つまり百四十人をみなやるおつもりがあるならば、この人もやりなさいと検事局に申したら、まあこれはしばらく猶予しようということに相なったのでありまするが、そういう調子であります。道路、港湾、ダムの建設、鉄道の誘致、補助金の獲得というようなものでつるのであります。そういうことをやらないのは政治家でないと、われわれのいなかでは思っています。鈴木などは橋もかけないし、土手も直してくれないから、あれはだめだ、こういうことになっておるのであります。(笑声)それから始終あらゆる機会にあらゆる行事に寄付をする。鎮守の祭礼、家族の慰安会、碁や将棋の会合、スポーツの会、同窓会、運動会、何も自分の関係のない会に寄付をするのであります。それから巧妙な供応接待であります。十人人が集まれば、どこからともなくお酒が届くのである。青年団、農協の会合、道路普請、骨休めの会、忘年会、必ず酒が届くのであります。ある県の某候補者のごときは、バスを用意して鉱山の見学と称して、延べ人員数千人をかわるがわる山に連れて行って、そうして山を見せたほかにごちそうをして帰した。その費用数千万円と言われておるのでありまするが、やはり当選をいたしました。(笑声)それからある選挙におきまして、市町村議員を朝飯会とか、昼飯会というようなものに五十円の会費で呼んで、そうして実質五百円、千円のごちそうをするのであります。かくのごとくにして、どうも自分は一千万円ほど今度の選挙にかかってしまったといって、くどいたのを私は聞いておるのであります。東京見物の案内、国会見学の接待、会館のレストランに今月は一万円、先月は二万円と言ってくどいておるのも、私は現実に承わっておるのであります。参議院の選挙におきましても、ここに議席を持っておられる方にはありますまいが、われわれのところにくる手紙によると、すこぶる功妙にして、しかも相当露骨なる事前買収運動が行われておるということを報道いたしておるのであります。それから冠婚葬祭には、親しいか親しくないか、親疎、社会的地位がどれくらいであるか、そういうことを問わないで、そうして豪華な花輪を贈る、御香典を贈る、あるいは結婚のお祝いを贈る、不相応な贈りものをするのであります。はなはだしきは、犬の子が生まれたといってお祝いをする。お寺の屋根がえにも寄付をする。そのために町々村々に探題を置きまして、常時敏活に行動させるのであります。(拍手)  それから、戸別訪問はのべつまくなしであります。ある地方では、この訪問の回数によって当落が決すると言われておるのでありまして、五当三落というのは、あの人は私の家に五回来てくれたが、あの人は三回しか来てくれないから、五回の方に入れようと、こういうのであります。これは現実に私はある町長選挙において承知いたしておるのであります。それから群れをなして全村民がかわるがわる戸別訪問に従事するのでありまして、自分は出たくないが、自分の村から立候補者が出た以上は、みんながかわるがわる全郡にわたって訪問を展開しないと、自分だけが裏切りのように思われるからといって、みなが全都を押しまくる、エジプトのイナゴのごとき光景を呈したことがあるのであります。(笑声)私の知っているある議員のごときは、訪問に忙しくて国会の議席にいるのはきわめてまれであった実例があるのであります。のべつに村から村へと渡り歩いておるのでありまして、これは一種の精神的買収と存ずるのであります。こういうことは選挙区が小さければ小さいほど、まんべんなくこれを行うのでありまして、候補者が莫大な財を費し、選挙民の良心を麻痺せしめ、選挙界を腐敗せしめること、これより大なることはないのであります。利権政治もかかる競争から起るのであります。よって本法案におきましては、選挙前六カ月が時効の限界でありましたのを、六カ月では選挙中検挙しない習慣がありますから、五カ月しか縛ることはできないのであります。そこで今回二年に改めまして、立候補前二年までは、さかのぼってこれを検挙し得ることといたして、この種の慢性買収の弊を抜本的に排除しょうといたしたのであります。(拍手)  私どもが今日の選挙界から排撃すべきものは、手をかえ品をかえた買収でありまして、これさえ排除されますれば、普通の選挙運動はいかに活発にやってもよろしいと考えておるのであります。そのために公営はもっともっと拡充すべきものと存ずるのであります。そのために本法案におきましては、現行法には明文がありませんので、立会演説会のごときは、多々ますます弁ずる、少くとも三十回以上は各候補者についてやらなければならないことといたし、個人演説会は六十回以下ということにいたしたのであります。無料はがきの枚数や、ポスターも多くいたし、政見放送もできるだけ多くし、テレビジョンも活用するようにいたしたのであります。また、貧乏な者でも立候補できるようにすることが正しい政治のあり方と信じまして、供託金現行の十万円を維持することといたしたのであります。昨今しきりに選挙区を小さくしろという論が行われておるのでありますが、選挙区の変更よりは、ただいま私の申し述べるようなことの方がはるかに腐敗を防止し、選挙費用を少からしめ、公正にして明朗な世論の発揚に役立つ先決問題であると信ずるのであります。すべての解決は、まずこれを行なってからだということを申し上げたい。汚れたる手で作り出す多数というがごときは、国家を滅ぼす以外の何ものでもないということをよく御記憶を願いたいのであります。(拍手)  真に良心的に国家の前途を憂うる諸君は、満場一致われわれの提案に賛成され、可決されんことをこいねがう次第であります。(拍手
  29. 河井彌八

    議長(河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小酒井義男君。   〔小酒井義男君登壇拍手
  30. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 私は、ただいま衆議院議員鈴木義男君より提案説明のありましたところの公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を行い、疑義のある諸点を明らかにいたしたいと思います。特に本日は、あまりにも露骨な党略案であるといりて天下に悪評の高いところの政府案と同時にこの案が上程をせられました。わが国の二大政党である社会党の持つ性格と、自由民主党の持つ性格とが明らかにされますことは、主権者である国民諸君に対しましても、批判の材料に資する点が多いと思うのであります。かような意味におきまして、私は提案者に対して以下数点の主要なる点について質疑を行いたいと思います。  質問の第一点は、特定の寄付の禁止についてでありますが、政府から財政的援助を受ける会社、法人及び公団、公社、また、国または公共企業体の工事を請負うところの団体等から政治資金を受けることを禁止することは、当然必要なことであると私は考えております。参考までに提案者にお伝えいたしますが、当院におきましても、かねてより国務大臣政府から援助を受けておる諸団体の役職を兼任することは不適当ではないか、国務大臣の兼職を禁止すべきであるという意見があるのでありまして、この提案趣旨は、それと同様の意義を持つものであり、腐敗政治を一掃する上において非常に必要なことであると思い、私は心から賛意を表したいのでありますが、ここに一つ疑問を持ちます点は、たとえば労働組合が、ベース・アップ等の点について経済的な関係で、非常に密接な関係のある政党政治献金を行うことがある。それを禁止しないのは片手落ちではないかというような意見も出るのではないかと懸念をするのであります。この点について、提案者はいかようなお考えであるか承わりたいのであります。  質問の第二点は、連座制強化についてであります。買収、供応等の悪質な違反を処罰し、これに対する例外規定を廃止して、候補者または当選者を連座せしめるということは当然必要なことであると思います。そうすることが選挙公明ならしめる一助にもなると思いますから、この点もうなずかれるのでありますが、これの時効を一年から二年に引き上げるといたしますると、立候補をするまでさかのぼって二年前の供応、買収を処罰することになるのであります。考え方としては非常にいいと思いますが、かなり以前にさかのぼってそうした問題を検挙し、起訴するということが、実際上可能か不可能か、私は不可能に近いのではないかと思うわけです。それが提案者として可能であるということなれば、それの論拠を一つ明示願いたいのであります。  質問の第三は、選挙事犯の取締りについてでありますが、選挙事犯の取締りにつきましては、現在においては十分これが公正な検挙機能が発揮されておるとは私は思いません。ある場合には片手落ちであったり、ある場合には、大きな事犯を見のがしておいて形式的な小さな問題をつついておるというような例が多々あるのであります。これを厳格に公平に検挙せしめるという方法がこれであるのかどうか、それについての見解を承わりたいのであります。  質問の第四は、投票の削減についてであります。イギリスの選挙制度を参考として減票制度を取り入れようというこの考え方は、わが国におきましては今まで考えられておらない問題でありまして、非常におもしろい着想であると考えるのでありますが、実際の取扱い上に非常にむずかしい問題ができるのではないかと思うのであります。たとえば買収を受けた者が、利益は自分の手に受け取ったが、実際の投票はほかの候補者に投票をする、あるいは棄権をする、また無効投票する、こういうような場合もあり得ると思う。こういう点についてこれを実際上区別する方法があれば、それを一つ御明示を願いたい。  質問の第五点は、立会演説会の存置についてであります。立会演説会を存置することの必要性は、これはだれしも必要であるという議論をする人が私は多いと思うのです。ところが先ほど政府案説明によりますと、二名や三名の候補者、そういう少い場合に立会演説会というものは効果がないではないか、こういう説明です。しかし私は、政府案立会演説会を廃止した真意というものは、また別にあると思っております。しかし立会演説会を残すということについて、政府側の提案者は、いろいろ表面は少数だからということを理由にあげておるのですが、これについて提案者としては、少数でも立会演説会は必要であるという点について、一つの納得のいく御説明が願いたいのであります。  私は以上五点について、右のような問題点のみをあげて簡単に質問をいたしました。質問は簡単でありますが、一つ答弁の方は懇切明快に述べていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)   〔衆議院議員鈴木義男君登壇
  31. 鈴木義男

    衆議院議員(鈴木義男君) ただいま小酒井君から適切な御質問があったのでありまするが、第一は、特定の寄付の禁止を規定するに際して、労働組合のようなものはどういう立場をとるかということにあるようであります。これはよく問題にされるのでありまするが、労働組合も政治資金規正法においては規正されておるのであります。ゆえに労働組合から献金をもらった者は届け出なければならないのでありまするし、その収支を明らかにする義務があるのであります。ただし、今度の規定における禁固三年以下、五万円以下の罰金に処するという、この刑事犯に問う場合におきまして、個々の労働者が自己の賛成する主義政見を持つ政党候補者に献金をすることは、たとえば個人の資本家が、自由民主党の候補者に献金するのを少しも禁じておらないのであります。また教職員のごとき、公務員ではないか、国家から月給をもらい、公共団体から月給をもらっていながら、特定の候補者に寄付するのはけしからぬというような御議論を聞くのでありますが、それならば、国家から月給をもらった後、もらった月給は自分の財産であり、自分の所有権でありますから、どう処分しても公序良俗に反しない限り差しつかえないことでありまして、各省の次官や長官が自由民主党の候補者に献金をなさろうと、労働者が社会党候補者に献金をなさろうと、そういうことは、ごうもこれは違法として論ずべきものではないのであります。(拍手ゆえに私どもは、これは労働者たると、資本家たると、官公職員たると区別のないものであって、個人としての寄付を総合して、これを扱うことは、少しも差しつかえないという見解を持っている次第であります。  それから第二の御質問は、あまり古い違反事実を検挙することは困難ではないか——今のようなままでは困難です。私は、あの事務所には自動車は一台しか使えないのに、三台合わしてやっているから、あれは自動車違反現行犯だから警察につかまえなさいと言ったって、あのまあ、いずれ後ほどなどと言って最後までやらない。また立会演説会に一緒に歩いている候補者が、演説会が二十分間ですから、終ると、その町の有志を集めて、会費百円くらい取ると言っていても、千円ぐらいの酒食の供応をやっておる。私は、あれは警察に、供応の現行犯だからちゃんと記録しておいて、あとで検挙したまえと言ったけれども、どうもちょっと、あとがおそろしいなどと言ってやっておらないのであります。ゆえに、今やっている目の前の現行犯さえつかまらないのですから、なかなかこれは二年前の現行犯をつかまえてくれろと頼んでもむずかしい。そこで今度の選挙制度調査会におきましては、選挙公正監視委員という公けの委員を作ることを提案したのでありまして、われわれもこれは大賛成であります。これを一つ提案いたして——政府が出さなければわれわれが提案いたしたいと思っておりまするが、おのおの政党においてこういう監視委員をこしらえまして、そうして証拠を収集し、あすこでは、どういうごちそうがあったか、どういう宴会がありたかということを一々記録いたしておきまして、そうして立候補したならば、これを検察庁に差し向ける。私は今の警察——自治体警察はどうも信頼ができなかったのであります。ただいま申しますように、現行犯を指図してもしばらない警察であるから。今度府県警察となって、よほどよくなったのでありますが、やはり私は最初から、立法論といたしましては、検察庁に直属の警察官を置いて、涜職と選挙上の違反は、この検察庁が持っておる直属の警察官を使って検挙するのでなければ、ほんとうに検挙できないという考えを持っておるのであります。ゆえに、ゆくゆくは、立法論としてそうするつもりでありますが、これは選挙公正監視委員というものを国家が作りますのが一つ、各党がそれぞれの地域において作ることが一つ、そうしてこの実効をあげて行くことができると存ずるのでありまして、必ずしも小酒井君が御心配になるようなことはなかろうかと存ずるのであります。それから、検挙の公平ということも、そういう見地から検察庁の直属の警察官等が従事するようになれば、さすがに検察官だけは、わが国においてまだ公正と信頼を信じて差しつかえない機関でありますから、私はやれると存じておる次第であります。  それから投票の削減はどういうふうにしてやるか、——これはむずかしい問題であります。けれども、恣意的にやるのではなくして、選挙違反で起訴される問題について裁判所において調べられたときに、裁判官が判決を下す際に、証拠と照らし合せまして、これだけの違反は間違いなく投票に影響を及ぼしたるところの違反であるということが判断されるのでありますから、裁判官の判断を信頼して、そうしてこの票数を否定することができる。もちろん投票の秘密というものは、憲法によって保障されているのでありますから、お前はだれに投票したのだということも聞くこともできないし、調べることもできません。けれども、金をもらったとか、供応にあずかったという事実は、はっきりいたしておるのでありますから、それで、自分はごちそうになったけれども、その人に入れなかったということは、みな異口同音に申すところであります。私もたくさん経験を持っております。けれども、その弁解を許さずして、一応買収の相手方になったものは、その投票は影響を受けたものと推定して、これを無効とするというのがイギリスの制度であり、われわれが採用しようとする制度でありまして、これは決して過酷なものとは考えないのであります。  立会演説会の問題でありますが、これもわが国の国民がイギリスの国民のように、好んで演説会に出かけて、そうして質問でも何でも連発するような意識の程度国民であるならば、私は少くとも立会演誤会は要らぬと思うのであります。けれども、わが国では実は五、六人一度に集まって聞かせるというので、みなやってくるのであります。個人演説会にあまり集まらないのは御承知の通りであります。ゆえに、小選挙区になったら二人だけだというものじゃない。太田長官は、いつでも二人立つというようなつもりでいろいろな説明をしておられますが、私の見るところでは、すでに私どもにも申しておるのでありますが、自分は脱党しても出る、自分は別に五十人ずつ糾合して新しい政党を作るつもりだと申しておりまして、雨後のタケノコのように五十人以上の政党ができると信じております。ゆえに、一つ選挙区に、三人、五人になることは疑いない。かりに二人でも、今までは二十分しかやらせなかった。所によっては三十分のところもありましょうが、それが二人なら一時間ずつやらせてもよろしい。四人なら三十分ないし四十分やらせてもよろしいということになって、主義政策徹底が期せられるのでありますから、私は立会演説会というものは、日本国民国民性から見てぜひ存置すべきものである。多くの人に聞かせるためには綱をつけて引っぱってくるわけにはいきませんから、どうしても立会演説会制度というものを存置すべきであるというふうな考えを持っておる次第であります。(拍手)     —————————————
  32. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 羽仁五郎君。   〔羽仁五郎君登壇拍手
  33. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この数日来、政府与党に対する国民世論は全面的に著しく悪化し、内閣の土台がゆらいでいる観があります。昨日の毎日新聞は、鳩山内閣が今や老朽内閣となったと言っております。日本国民及び世界の一致した要求にもかかわらず、鳩山内閣は原水爆禁止の方向にアメリカ政府を動かすことに失敗しました。外相のアメリカ・ノイローゼは今や首相にも伝染して、政府は、日ソ国交回復を公約しながら、ロンドン交渉においていたずらに時間を空費して公約を裏切っている。教育委員会及び教科書に関する政府の陰謀は、日本全国の学界、教育界の代表者によって粉砕されている。健康保険医も政府を信頼することができないと言っている。  なかんずく、今、政府提案しているいわゆる小選挙区制を目的とする選挙法改正は、現在国民の間に、異常な不安、いな恐怖を引き起している。政治経済研究会といわれる会の機関紙「政治経済」などは、保守的な立場に同情的な態度をとっていられるもののようでありますが、その四月号の巻頭を見ると次のように言っている。「クーデターの非難をも受けているこの選挙法改正案を、この際、鳩山首相はいさぎよく撤回することを勧めたい」と書いておられます。そうしてなお続けて、「この改正案中心となる小選挙区割りを一見すれば、これがあまりにも露骨な党略案であることは明白だ。保守永久政権をねらうものといわれているのにも一理がある。」、そう書いている。なお続けて、「小選挙区制の短所とされる違反防止の罰則も骨抜きされ、公正なルールの型をなしていない。テニスをやろうとするのに相手に網の破れたラケットを持たせるようなことをしている。このような暴案」というふうに言っておりますが、「このような暴案を多数で押し切るならば、国民の信頼は保守党を離れるだろう」と警告しておられます。今や鳩山首相の姿は、—————————————————に似てきております。  今、社会党によって提出されている選挙法改正案は、現在日本の民主主義の確立のためになすべき焦眉の急を要する選挙法改正は、小選挙区制にあらずして、政治資金の腐敗の根絶、買収などの悪質なる違反行為を伴う選挙の無効、選挙の公営の拡大にあるとしていますが、政府は、国民の不安恐怖の感情を押し切って、小選挙区制を急いで強行しようとしている現在の態度に、自己反省の必要を認めないか。いわゆる小選挙区制選挙法改正案について感じている不安恐怖はいわれのないものであるかどうか。本案提出者並びに首相が、この際この点について所信を明らかにされることを国民とともに要求する。(拍手)  政府与党の計画している小選挙区制は、第一に、何を隠そう、実質的にりっぱなクーデターにほかならない。第二に、これによって政府与党日本の保守勢力永久政権を実現しようとしているものである。第三に、政府与党国民の利益よりも保守党の党略を主としているこの計画を立てていることは、与党幹事長が公言しているところであるが、これこそ保守党の独裁政治の方向を自己暴露しているものであって、現に、政府与党国民の三分の一に近い多数の投票をあえて死票としょうとしているではありませんか。鳩山首相は、いやしくもクーデターの嫌疑を受け、永久政権の陰謀の非難を受け、保守独裁の批判を受けて、しかもなお政府みずから意見を聞いた選挙制度調査会の有力な反対を無視して、国民の反対を踏みにじり、国民の不安と恐怖とを押し切って小選挙区制を強行すべきでない。もし政府与党が、いやしくも実質的にクーデターにひとしい小選挙区制を強行するならば、将来万一いかなる政治勢力がクーデターを企てようとも、これに対抗しがたくなるのではないか。新しい日本の民主主義のもとに、今、いやしくもクーデターの道を開く責任政府はどうするのか。第二次大戦後、フランス、またイタリア、また西ドイツにおいて、進歩的勢力の進出を阻止しようとした選挙法工作が、すでに惨憺たる失敗のふちに立っている今日、そのあとを追おうとしている政府与党の小選挙区制法案を、鳩山首相はその政治感覚をもって断然撤回すべきではないか。それとも、鳩山首相、政府与党は、もはや次の機会はないとみずから判断して、この絶望的な小選挙区制に執着しているのか。人工的な選挙法工作などにひたすら頼るのではなく、もっぱら政策によって国民の信頼を求めることこそ、堂々たる民主主義政治家として鳩山首相の行くべき道である。  政府のいわゆる二大政党対立主張は、現在そのほかの、あるいは共産党、あるいは労農党などの政党及び無所属などに与えられている国民の貴重なる投票を殺してしまおうとしているのか。しからば、すなわち国民の間に議会外の行動が起ってくるとしても、その責任は全く政府にあるとされねばならぬのではないか。(拍手)小選挙区制ではなく、本案こそ焦眉の急務であるとする本案提出者は、政府与党の小選挙区制が野党社会党に与える不利よりも、その民主主義を破壊する実質的クーデターとして、保守永久政権の陰謀として、保守党独裁としての危険を国民の前に明らかにすべきではないか。  本案は、第一に、いわゆる政治資金の腐敗の防止を目的としているが、本案提出者は、政治資金の腐敗の最大最悪の現状の急所をどこに置いておるのか。その現状を国民の前に明らかにし、それを根絶する確信を示されたい。  第二に、本案は買収などの選挙違反行為の根絶を約束しているが、現在国民の自由なる選挙を破壊しようとしている最もおそるべき違反行為を、本案はいかにとらえようとしているのか。政府官権による選挙干渉による選挙の自由の破壊に対して本案はいかに対処しようとしているのか。確信を示されたい。  第三に、本案は選挙公営の拡大の重点をどこに置こうとしているのか。政府案立会演説会を廃止しようとしているが、本案提出者は、これをいかに批判し、いかなる主張をもって立会演説会などを拡充しようとしているのであるか。  最後に、今や保守党独裁の危険は世論の指摘するところでありますが、本案提出者は、いかにこの危険に対処しようとしているのか。現在鳩山内閣をめぐって、かつて日本をファシズムと戦争との破滅の道に導いた最悪の政治勢力が独占資本を背景として策動しているが、かくてわが憲法が危くされている現在、民主主義を守ろうとするすべての政治勢力の共同戦線の必要を、本案提出者はどの程度まで認識しておられますか。  以上、お答えをお願いするものであります。(拍手
  34. 河井彌八

    議長(河井彌八君) ただいまの羽仁君の発言のうちには、適当でない言葉があったと考えます。同様に、速記録を調査いたしまして善処いたします。   〔衆議院議員鈴木義男君登壇
  35. 鈴木義男

    衆議院議員(鈴木義男君) 羽仁君の御質問の第一は、二大政党対立にあまり偏曲し過ぎて、ほかの党を顧みないではないかということが含まれておりまするが、われわれは、政府案は確かにそうでありまするが、われわれの案はそういうことは関係ないのでありまして、あらゆる政党を尊重いたしておるつもりであります。ただ、この選挙法改正政局安定のためだ、要するに二大政党をますますもり立てたいためだということをよく申すのであります。しかし、今やこの二大政党は期せずして実際実現しておるのでありまして、衆議院においては自民党は三分の一だけ多数を占めておるので、十分この政局は安定しておるのでありまして、これ以上の多数を取ろうというのは、一体貧欲というものであります。おそらくは社会党の存在を煙たがって、これをさらに激減させて、保守一党の独裁政権をねらっておるものであろうと思うのでありますが、これはこの選挙法を手段とする一種のクーデターであることは、羽仁君の仰せられる通りであります。イタリアのムソリーニがやったことであります。自民党のこの暴挙を見て、若い青年諸君のうちには、議会主義、平和革命にあいそをつかして、ふたたび暴力革命を思う者がふえつつあるということは、国家のために遺憾千万なことであります。(拍手)  それから党利党略であるという御議論、これは羽仁君がやったのではありませんが、これはよく出ておるのでありまするが、これは自民党にとっては党利党略たることはあまりにも明らかで、一言の弁解の余地もないのでありまするが、それをさかしまにして、社会党にも党利党略ではないか、われわれが党利党略ならばお前たちも党略で反対しているのだろう、こうよく言うのでありまするが、それは大きな間違いでありまして、社会党は自分のために反対をするのではないのでありまして、これは日本の国において今以上に反対党の勢力の弱くなることは国家のために憂うべき現象であるというので、私どもは熱心に、反対党、健全なる野党を育成することが大切な民主主義政治の建前であるという見地から戦っておることを御了承願いたいのであります。  それから第二は、政治資金の腐敗の最大の根源はどこにあるかという御質問でありまするが、それは先ほど私は相当具体的に申し上げたつもりでありまするが、要するに一切のあっせん、収賄、一切のこの独占資本、一切の政府の恩恵にあずかっておる企業から金を受けることをやめさせなければ、政治の腐敗というものはとまらないということを建前として本法案を提出しておる次第であります。(「労働組合も同じだ」と呼ぶ者あり)労働組合は少しも関係がありません。何となれば、労働者は自己の地位を向上せしむるために戦う権利を持っておるのでありまして、それがたまたまある政党と共通の政見、主義なり政策を持ちます場合には、これと相携えて戦い、これに資金を供給することは少しも涜職犯罪をもって目すべきような問題ではないのであります。  それから選挙干渉をどうして防ぐか、これは末端におきましては罷免をすることができます。それから上の方におきましては、国会において選挙干渉をやりましたような内閣はこれを糾弾し、弾劾し、そうしてこれをやめさせることが民主政治の建前であり、憲法がわれわれにそういう手段を与えておるのでありますから、それで行けると信ずるのであります。また立会演説会等の内容を豊富にいたしまするためには、これを法律では規定し切れませんから、いずれも規則その他を作りまして、十分に一つ立会演説会を活用して、批判の自由も許し、質問も許し、いろいろ、もっとおもしろい演説会にすることによって、政治教育普及の機会にもすることができようと考えておる次第であります。また独占資本あるいは独裁に対する闘争は、それは羽仁君の仰せられる通り、あらゆるそれらの民主的団体と手を携えてわれわれは大いに戦うつもりでおる次第でありまして、これはちょっと選挙法だけの問題ではありませんので、選挙法上の問題としてお答えをいたしておく次第であります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  36. 鳩山一郎

    国務大臣(鳩山一郎君) 羽仁さんにお答えをいたします。  最初の質問は、独裁政治の実現を意図するような考えがあるような御質問でございましたが、独裁政治の実現というようなことは毛頭考えておりません。二大政党対立政治態勢を確立いたしまして、政局の安定をはかるために、選挙制度改正するということは大きな政策であります。それが保守党の命脈を縮めることになるかどうかは、投票によって国民の判断に待つべきものであると考えます。今回の改正案は、選挙制度調査会答申趣旨を尊重いたしまして、公明選挙の達成をはかるため、政府として慎重に検討の結果作成したものでありますので、お説のような非難は当りませんと思います。(拍手)   〔羽仁五郎君発言の許可を求む〕
  37. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 羽仁五郎君、どういうことですか。
  38. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 再質問のお許しを願いたい。
  39. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 時間がありません。
  40. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それでは議長に一言伺いたいと思いますが、私の発言中に不穏当の個所があったというように先ほど指摘せられましたが、どういう個所でありますか、御説明を願いたいと思います。
  41. 河井彌八

    議長(河井彌八君) それは見解のいかんによりますが、——————————というようなことは私は適当でないと考えます。   〔森崎隆君発言の許可を求む〕
  42. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 森崎隆君。
  43. 森崎隆

    森崎隆君 先ほどの私の質疑中、—————————とございましたところは、私の発言の誤まりでありましたので、それを取り消します。
  44. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 承知いたしました。  これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。      —————・—————
  45. 河井彌八

    議長(河井彌八君) 日程第三、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案野本品吉君外二名発議)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長小柳牧衞君。   〔小柳牧衞君登壇拍手
  46. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案は、参議院議員野本品吉君ほか二名の発議による法律案でありまして、この法律案の発議された理由とその内容について御説明いたします。公務員の在職年に対する加算制度は、昭和二十八年法律第百五十五号、恩給法の一部を改正する法律によって原則として廃止されたのでありますが、改正前の恩給法第三十八条の四に規定する蒸気機関車の乗務員等のごとく、いわゆる不健康かつ危険な業務に従事する職員は、通常の業務に従事する職員に比べて永年勤続することがほとんど不可能であるのみならず、多くは短命に終っておるという実情でありまして、かかる不健康業務に従事する職員の在職年に対する加算制度については、別途措置せらるることになっておりましたので、それまでの間、これらの人々については、従前の通り暫定的に加算を認めることに、今日まで恩給法改正が行われてきたのでありますが、昭和三十一年三月三十一日をもってその期間が満了いたしますので、さらにこの期間を一カ年延長して、これにかわるべき制度の決定を見るまでの空白を補うため、暫定措置をいたそうとするのが本法律案改正の要旨であります。  内閣委員会は、昨日委員会を開きまして、本法律案の審議に入りましたところ、千葉委員より質疑及び討論省略の動議が提出せられ、これが成立いたしましたので、直ちに本法律案について採決いたしました結果、全会一致をもって可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告申し上げます。   〔議長退席、副議長着席
  47. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  48. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  49. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第四、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。   〔高田なほ子君登壇拍手
  50. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ただいま上程になりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。  この法律案は、町村合併促進法の施行に伴い、町村の廃置分合等が全国的に行われておりますので、それに伴って、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を加えようとするものでありまして、その改正の要点は、簡易裁判所の名称及び管轄区域変更と、同法別表の整理であります。  すなわち、第一に、簡易裁判所の名称は、従来その大部分が所在地の市町村の名称を冠しております関係上、市町村の廃置分合、またはその名称の変更に伴い、簡易裁判所の名称もまたこれを改める必要がありますので、福岡県宇島市が設置され、さらに同市の名称が豊前市と変更されたことに伴い、八尾簡易裁判所の名称を豊前簡易裁判所と改めるのを初めといたしまして、合計七簡易裁判所の名称を変更しようとするものであります。第二に、簡易裁判所の管轄区域については、従来、行政区画またはこれに準ずべき区域を基準として定められております関係上、市町村の廃置分合等に伴い、関係簡易裁判所の管轄区域変更を加える必要がありますので、埼玉県北足立郡吹上町の設置に伴い、熊谷簡易裁判所の管轄に属する同県北埼玉郡旧下忍村の区域大宮簡易裁判所の管轄に変更するのを初めといたしまして、合計十四の簡易裁判所の管轄区域変更しようとするものであります。第三に、市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表について、当然必要とされる整理を行おうとするものであります。  委員会におきましては、別に質疑もありませんでしたので、討論を省略いたしまして採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決定いたした次第であります。(拍手
  51. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  52. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      —————・—————
  53. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第五、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(第二十二回国会衆議院提出)  日程第六、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件(衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長松平勇雄君。   〔松平甲勇雄君登壇拍手
  55. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 ただいま議題となりました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、去る第二十二回国会において、衆議院逓信委員長の提出にかかり、同院において全会一致可決後、本院に送付されて参り、今日まで逓信委員会において審議を継続いたしていたものであります。  まず、本案の内容について申し上げますと、日本電信電話公社が国際電信電話株式会社の株式を、その発行済株式総数の五分の一をこえない範囲で保有することができること、公社が将来株式を取得したり、または処分しようとするときは、郵政大臣の認可を必要とすることといたしているのであります。  次に、本案の提案理由といたしましては、従来、日本電信電話公社の専掌しておりました電信電話事業は、昭和二十八年四月、国際電信電話株式会社の発足に伴って、国際部門と国内部門に分離せられ、国際部門は原則として同会社によって、また国内部門については電電公社によって各別に経営されることになったが、これら両事業は、本来きわめて密接な関連を有するものであるから、両社間の連係協調を維持し、両事業の円滑な運営をはかるためと、また同会社の高度の国家性、公益性にかんがみ、事業の安定性を確保するために、公社が会社の相当数の株式を保有することが必要であるというのであります。なお本案提出の当時においては、株式市況の不振のため、会社株式二百八十万株が未処分のまま政府の保有となっておりました事実が、公社に返還保有せしめる理由でもありましたが、昨年未来の株式市況の好転に伴い、右の約半数百四十八万余株は当委員会の勧奨により本年一月売却せられたのであります。しかして逓信委員会におきましては、第二十二回国会以来数次、回を重ねて、衆議院提案関係者並びに関係当局に対し、各委員よりきわめて熱心に詳細綿密な質疑を行い、また多数参考人の意見を聴取する等慎重なる審議をいたしたのであります。  そのおもなる点を申し上げますと、公社が会社の株式を保有することは、国際電信電話会社法の規定にもとり、会社設立の趣旨に反するものであるから、本改正を必要とする事情変更が生じたとするならば、いわゆる政策変更であるから、政府提案すべきものであること、公社が会社の株式をかかる多量に保有することによって、公社は会社に対し支配的地位に立つことになり、会社事業の運営、あるいは人事に干渉する危険を生ずるおそれのあること、公社は目下あらゆる資金を動員して、鋭意建設五カ年計画を実施しているが、この時期において他会社の株式に投資することは適当でないことなどの発言があり、また両社の相互連絡協調を強化するためには、公社が会社の株式を保有することの必要性がきわめて強いこと、公社、会社ともに郵政大臣の監督下にあるので、株式の保有によって公社が会社を支配し、運営を阻害するがごときおそれのないこと等の発言がありました。郵政大臣は本案に対し、電電公社が五分の一程度の株主になることは差しつかえないと思うし、本案の通過を希望しているという趣旨の発言をいたしております。津島委員より、本案によれば、公社は会社の発行済み株式数の五分の一を保有すべき義務はないこと、建設五カ年計画の実施当り資金の獲得に苦慮していること、及び株式市場が活況を呈しておる現在においては、会社株式は有利に処分し得ることを前提として、本案が施行せられた場合、まず公社はその保有したる株式の相当数を処分し、建設資金に充当する意思があるか。次にいかなる程度処分する意向であるか。さらに処分はこれを早期に実行し、その結果を本国会の会期中に国会報告する意思があるかとの質疑に対し、梶井公社総裁は、本法実施の場合は相当数を処分する意思のあること、処分の程度は公社保有株数の半数を適当と考えること、及び処分は急速にこれを実行し、その結果は本国会開会中にこれを報告することを明確に答弁いたしたのであります。  重ねて津島委員より村上郵政大臣に対し、梶井公社総裁は本法による保有株式の半数を処分する旨明言しているが、処分は郵政大臣の認可を必要とする、公社の処分申請の場合、郵政大臣は、公社が処分の結果を、本国会の会期中に、報告するに足る時期までに、認可する意向であるかとの質疑に対しては、村上郵政大臣は、公社より処分の認可申請があったときは、すみやかに認可する意向である旨の答弁がありました。  なお津島委員より、株式保有によって、公社と会社との関係が疎隔するがごときことがあっては、立法の趣旨に反するが、両社を監督する責任を有する郵政大臣の所信を質したるに対し、村上郵政大臣は、本法の実施によって両社がますます親善を加えるよう努力する旨を答えたのであります。  これら質疑の詳細は、速記録によって御承知を願いたいと存じます。  三月二十七日質疑を終え討論に入りましたところ、日本社会党を代表して久保委員より、公社及び会社の両事業は、密接不可分にして分離を許さない性質を有しているものであること、また会社の株式総数の六〇%は、銀行、保険会社等の民間金融機関が保有しているが、公共性の強いこの事業に適当であるかについては、疑問のあるところであって、むしろ公社に保有せしめることが、両社の円滑な運営に寄与するゆえんであること、及び本案通過後郵政大臣、公社総裁及び会社社長に対し、国民の期待にそむかぬ運営をするよう、一段の配意を強く要望し、なお現在の実情に即しない条文、すなわち第六十八条の次に一条を加え言規定中、「昭和三十年」を「昭和三十一年」に改め、附則第二項ただし書を削るとの修正動議を述べて本案に賛成。  八木幸吉委員より、本案提出の趣旨は数度変更せられ、首尾一貫していないとともに、本案提出の理由は、経済界の不況のため、会社の株式が処分できなかったことに基くと思うが、株式市場の好転した今日においては、本法案趣旨はすでに消滅していること、公社は建設資金を獲得するために、一方においては電話設備費負担法の適用期間を五カ年延長する等の措置をとりながら、他方においては会社の株式に八億円の投資をすることは矛盾であること、本案に反対の多い世論の動向を重視していないこと、本案の成立することによって、両社の従業員間に対立感情を惹起するおそれがあること等の趣旨を述べられて反対。  自由民主党を代表して島津委員より、公社は本法によって保有する株式の五分の一の半数程度を処分するとともに、残余の分についても、すみやかに処分することを要望して、本案並びに久保委員提出の修正案に賛成の意見が述べられました。  討論を終えまして、まず久保委員の修正案につき、次いで右の部分を除く原案全部について採決いたしましたところ、いずれも多数をもって可決すべきものと決定いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。  次に、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、日本放送協会の昭和三十一年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めんとするものでありまして、その内容を申し上げますと、まず、収支予算につきましては、ラジオ関係においては、前期繰越収支剰余金一億五千万円、収入百十六億六千七百余万円、支出総額百十八億一千七百余万円でありまして、前年度に比べますと、収入支出ともに六億四千六百余万円の増加となっております。しかして、収入増加のおもなるものは、受信者の新規増加五十五万に伴う五億八千六百余万円であり、支出増加のおもなるものは、給与費三億七千七百余万円であります。またテレビジョン関係におきましては、収支総額おのおの十八億六千四百余万円でありまして、前年度に比べて、それぞれ六億五千余万円の増加となっております。しかして、収入増加のおもなるものは、受信者の新規増加十八万に伴う五億七千百余万円であり、支出増加のおもなるものは、建設費二億七千五百万円及び放送費一億九千六百余万円であります。受信料収入については、ラジオ及びテレビジョンともに前年度と同額のラジオは月額六十七円、三カ月二百円、テレビジョンは月額三百円として、それぞれ算定しております。  また事業計画につきましては、その主眼をラジオにおいては、難聴地域の解消、老朽設備の改善及び放送番組の内容充実等に、テレビジョンにおいては、札幌、函館、静岡、岡山、小倉、熊本、鹿児島及び松山における放送局の建設、既設局の施設の改善並びに放送番組の内容充実等においております。技術研究においては、放送技術の基礎的並びに実用的研究を積極的に行い、特に受信機及び受像機の改善においております。  次に、資金計画につきましては、右の収支予算及び事業計画に基いて、年度中における資金の出入に関する計画をいたしておるのであります。これら収支予算等に対し、郵政大臣は、おおむね妥当なものと認める旨の意見を付しておるのであります。  逓信委員会におきましては、政府及び日本放送協会の各当局につき詳細にわたり質疑を行い、本件の慎重審議をいたしたのでありますが、そのおもな点を申し上げますと、昨年末来紛争中である職員の待遇改善の要求に対する処置並びに給与引き上げのため所要経費を予備金より支出することができるかいなか。収支予算等の国会への提出が遅延がちであるが、政府提出の一般予算と同時期に提出し得るよう取り計らうべきではないか。テレビジョン放送番組の外国との交換を頻繁にし、内外文化の交流を積極的に企図すべきこと、テレビジョン受像機の研究及びその他放送技術の研究の強化及びテレビジョン放送事業に対する債務につき計画的償還を考慮すべき時期ではないか等でありました。なお、その詳細は速記録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して、久保委員より、協会に課する固定資産税については、協会本来の使命を認識し、これを可及的すみやかに撤廃すること、協会の従業員に対する待遇は、同種産業に比して低位にあるから、これが是正に努められたいこと、ことに昨年末以来の待遇に関する紛争を早期に解決せられたい等の希望意見を述べ、次の付帯決議を付して原案に賛成する旨の発言がありました。というのであります。  かくて討論を終え、採決をいたしましたところ、全会一致をもって右の付帯決議を付して原案通り承認すべきものと議決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  56. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。八木幸吉君。   〔八木幸吉君登壇
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は、公社法の改正案に反対するものであります。  本案は、第二十二国会以来、二回にわたり継続審議に付せられている法案でありますが、私の反対理由の第一は、本案は確固たる信念に基いて提案されたものではなく、かつその前提である経済界の情勢が、現在では全く一変していることであります。  本案は、衆議院の逓信小委員会で、昨年六月七日、電電公社は国際電電会社の株式を総数の五分の二を限度として持てると提案をされたのが始まりであります。当時その提案理由として述べられましたところは、一、公社と会社とは緊密な連携を必要とする。二、公社が安定株主となることが望ましい。三、政府が十四億円の株を所有することは、株式の処分を困難ならしめ、証券市場を圧迫するというのでありました。これが第一次案であります。  しかるに、六月二十四日になって、この案が変更され、電電公社が所有する株数には制限を付さない。そのかわりに株主の議決権は有せしめないことにすると内容が変ったのであります。しかして、その提案理由は、第一に、大蔵省所有の会社の株式は全然売れない。第二に、郵政省から大蔵省に対して、この株式をすみやかに処分するように要請したが、証券市場の状況の関係で処分ができない。第三に、大蔵省は、その間に二億一千八百万円の配当を取っている。第四に、以上の実情から、近い将来、十四億円の株式消化は困難である。従って引き続き配当を大蔵省が取ることとなるが、これは不合理である。第五、そこで公社に会社の株を持たせることにするが、会社の性格を変更せしめないことを明らかにするために、議決権を有せしめない。以上。これが第二回の提案理由でありました。この案に対し、梶井、澁澤両総裁は初め九名の参考人が意見を開陳し、梶井総裁は、会社の株式の処分は当分見込みがないから、一時公社が持てということには異存はない。将来株式市場が好転し、相当の価格で処分することができたら、その収入で電信電話の拡充改良をする、それが自分の任務であると述べられたのであります。これが第二回の案であります。  ところがさらに七月の十一日に三転して、株式は五分の一を限度として議決権は持たせるという案に変ったのであります。しかも三回とも小委員会では何らの質疑さえも行われなかったのであります。これが一カ月の間に三回にわたって議案の内容提案理由とが変化した経過であります。  一方、本案の前提条件となった証券市場の情勢いかんというに、本年一月に参議院の要求によって行われた国際電電会社の株式入札状況は、応募者は六倍強、保証金は十七億五千万円、額面五百円、落札平均価格は六百四円という盛況でありました。昨年の夏に株の処分に困ったために提案された本案は、昨今の市場の好転で逆に二割のプレミアムがついたありさまであります。もし政府が、現行の国際電電会社法の命ずるところによりまして、その持株を処分さえすれば、問題は解決をするのであります。何ら法律改正する必要はないのであります。  第二に私の反対いたしまする理由は、金に困っているのに、時価八億円の株主となって、郵政大臣の許可を受けてその半額を売るという回り道をするために、わざわざ法律改正する必要はないのであります。金もないのに他会社の株主などになるということは、ごうまつもその必要を認めないのであります。電話設備負担法という時限立法は、今回さらに五カ年延長されましたが、一方では世界に類例のない加入者に迷惑をかげながら、他方で八億円の株主となる、これほど矛盾撞着のはなはだしいことはないのであります。現に電電公社に対する固定資産税の内容を有する納付金三十一年度七億七千万円は、委員会で大問題になったのであります。  第三に、本案に対し事理明白な世論の反対のあることが、私の反対の第三の理由であります。昨年の夏に本案に対する公聴会を開きましたときに、梶井電電公社総裁と、あいまいな意見を述べられました学者一名を除き、残り八名全部本案に反対であったのであります。梶井総裁は、当時株式の保有には異議がない、国際の株主となることが公社と会社の利益となるのであれば、忍んで株主となってもいい、こう言われました。公共企業体合理化審議会長は、公社のあり方について、公社は仕事に専念すべきである、他会社の株主になる必要はない、公社の必要なのは金である云々と述べられました。さらに公社と会社との関係については、一体株を持たないとどういう不便があるのか、公社と会社とどういう連携がつかなかったのか、逆に聞きたいと逆襲されたのであります。さらに第三者の立場において鈴木東大教授は、配当を公社に渡すという立法ならわかるが、株を持たし、連携をはかるということになれば、国際電電会社法制定の根本的立場を変えるものだと述べられました。これに関連して与党の一委員は、持株により公社、会社の連携をはかるということは、国策の重大なる変更であるから、必要なれば政府案として提案すべきである。かように述べられたのであります。また公聴会における新聞協会代表その他民間の海外通信利用者の一様に主張されましたのは、公社と分離して民営になってからは、設備、機械、サービス、すべての点において改善が顕著なものがある、これをはっきり分離せずに公社化し、官僚化するということは、広く国民一般福祉を考えぬものであるということでありました。しかもこの公聴会のあったのは、株が売れない、市場の悪かった昨年六月であったことを銘記すべきであります。  これを要するに、本案は、証券市場が悪く、大蔵省所有の国際電電株が額面を割って、その差損を大蔵省が持つか、公社が持つかと論議されたころの提案であって、株にプレミアムがついて情勢が一変した現在では、その前提がくずれ、しかも公社は借金さえも思うにまかせず、電話加入者に時限立法まで延長して迷惑をかけておる現在におきましては、全然無意味、有害、きわめて不明朗な案であると申さなければなりません。新しく立法するのであれば、さかのぼって配当金を受け得るようにするのが、公社に対するほんとうの親切であって、本案のごときはひいきの引き倒しと申さなければなりません。昨日委員会で採決の直前に、与党の代表委員は、梶井総裁に、株を持ったら半分売るとの言質をとって賛成されたのでありますが、初めから売るつもりであるならば、わざわざ法律改正するのは、法をもてあそぶものであって、私のくみし得ざるところであります。直ちに売却処分するのが当然であります。  本案は衆議院において遺憾なく常任委員会制度の欠陥を露呈したものであります。各位が少くとも公聴会の速記だけでもごらんになれば、その理不尽なことに驚かれるでありましょう。私は参議院が筋を通し、その良識を発揮して、本案を否決されんことを切望いたしまして、反対討論を終るものであります。
  58. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。  まず、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  59. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  60. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件全部を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  61. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。      —————・—————
  62. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第七、旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長左藤義詮君。   〔左藤義詮君登壇拍手
  63. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 ただいま上程されました旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  戦後邦人の国内旅客数及びわが国を訪れる外客数は逐年増加しておる実情でありますが、これら内外の観光客を取り扱う業者の一部には法の不備に乗じ、各種の不正行為をする者があり、国内はもちろん、対外的にも国際信用の上から、わが国の観光事業の発達を阻害する傾向がありましたので、現行法はその障害を排除し、取締りをなす反面、あわせて国際親善の発展に寄与する目的をもって制定されたのであります。しかるに本法施行の経過に徴しますと、その取締り規定が不十分のためか、いまだに各種の不正行為をなすもの、業態の不健全なものが介在しておる現状でありますので、これらの欠陥を是正し、旅客の接遇及び保護をはかるとともに、旅行あっせん業者の健全なる発達を促進するために、現行法の不備を改めようとするのがこの改正案趣旨であります。  次に、この法案のおもなる改正点について申し上げますと、まず第一に、現行法においては、旅行あっせん業者の登録については、形式的条件を具備している限り、登録を受けられましたために、ややもすると不適格な業者が登録されることになり、その弊害がありましたので、これを除去するため、登録の拒否の項に、「当該事業を遂行するに必要な旅行あつ旋に関する経験又は能力を有しない者」を加えたこと、及び登録の有効期間を三年とし、登録の更新を行うことによって、その資格の維持をはかったことであります。  第二には、現行法は登録告示後四十日以内に営業保証金の供託をなさなければ、旅行あっせん業の登録を取り消すことができることになっておりますが、かかる不確実な状態を長期間放置することは、非合法な、将来に弊害を誘発するおそれがあるので、将来に弊害を伴いますので、改正案ではこれを十四日に改め、その期間に届け出ないときは、催告をなし、なお届出のないときは、登録取り消しの処分を行うことといたしたのであります。  第三に、旅行あっせん約款については、従来旅行あっせん業者の一部には、旅客に不測の損害を与える弊害がありましたので、旅行あっせん約款に関する規定を設け、これを届出制にし、旅客の正当な利益を害するものであれば、これに変更を命ずることができるといたしたのであります。  第四は、旅行あっせん業の実態把握と取締りについては、報告を徴し、それに基いてやっておりましたが、その指導監督を強化するために必要な限度において、当該職員をして、営業所等に立ち入り検査をすることができることとし、業態の明確化を期したこと、及び公正な旅行あっせん業者の保護育成をはかり、悪質なる不正行為をなす業者には、罰則強化し、罰金額をおおむね二倍にした点であります。  質疑に入りましたところ、各委員より熱心な御質疑がなされました。その詳細は会議録でごらん願いたいと思いますが、この法案内容に関するおもな質疑といたしますと、岡田、田畑、仁田、大倉、木島、森田の各委員より、改正案による取締り強化の具体的内容、旅行あっせん業の意義、登録の基準料金、旅行あっせん業者の損害賠償支払能力、旅行あっせん業者に対する立ち入り検査及び刑罰と行政罰の適用関係についてでありました。  これらの質疑に対する運輸大臣及び政府委員よりの答弁を総合して申し上げますると、大体次に申し上げる通りであります。  すなわち、「旅行あっせん業の内容としては、委任を受けてなす旅行の手配、旅行の請負、旅行の主催の三つに分けられると思うが、この内容は契約によるが、従来これらの契約内容と異なる接遇をなし、旅客の正当なる利益を害するおそれもあったので、今回の改正案においては、旅行あっせん約款を定めしめて届出させることにし、なお契約不履行の場合の損害賠償能力を確保するための措置として、約款中に違約金についての規定を置くことにし、登録の要件を強化し、登録の更新制を設けることも、つねに業者の資力及び信用能力を重視して、賠償能力の保有をはかるためである。また業者の実態把握には、従来は業者からの報告に基いて行われておりましたが、この改正案では、立ち入り検査をなし、業態の実地監査を行えることにした。ただし立ち入り検査は、その場合必要な限度において、職員はその証票を示して行い、その運用にあたっては、いやしくも基本権利の侵害になることのないように慎重を期する。また刑罰と行政罰の適用については、罰則の規定はあるが、なるべく行政指導によって、法の秩序維持に努力する」との答弁でありました。  これにて質疑を終り、討論採決の結果、多数をもって本法案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  64. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決されました。本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会      —————・————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案閣法第一三九号)(趣旨説明)  一、日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆第二二号)(趣旨説明)  一、日程第三 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  一、日程第四 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第五 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案  一、日程第六 放送法第三十七条第二項に基き、国会の承認を求めるの件  一、日程第七 旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案