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1956-06-03 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年六月三日(日曜日)    午前十一時五十六分開会     —————————————   委員長補欠 五月二十九日棚橋小虎君委員長辞任に つき、その補欠として戸叶武君を議長 において委員長に指名した。   委員の異動 五月二十九日委員小幡治和君及び小野 義夫辞任につき、その補欠として森 田豊壽君及び小西英雄君を議長におい て指名した。 五月三十一日委員長島銀藏辞任につ き、その補欠として井上清一君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            関根 久藏君            河合 義一君            三浦 辰雄君    委員            秋山俊一郎君           池田宇右衞門君            長谷山行毅君            鈴木 強平君            東   隆君            清澤 俊英君            小林 孝平君            棚橋 小虎君            三橋八次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            森 八三一君            千田  正君   衆議院議員            本名  武君            笹山茂太郎君            芳賀  貢君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    農林大臣官房長 谷垣 專一君    食糧庁長官   清井  正君    水産庁長官   塩見友之助君    通商産業省通商    局長      板垣  修君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農業改    良局総務課長   庄野五一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農産物価格安定法の一部を改正する  法律案衆議院提出) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出) ○継続調査要求の件 ○継続審査要求の件 ○北洋漁業漁獲水域現状維持に関す  る請願(第一三〇三号) ○公営競馬民営移管反対に関する請  願(第一三二六号) ○農地改革行過ぎ是正に関する請願  (第一三二七号) ○栃木県益子町及び茂木町地内国有林  野の宇都宮営林署管轄区域編入に関  する請願(第一三四二号)(第一三  四四号)(第一三四八号) ○鹿児島県桜島噴火降灰による農産物  被害対策請願(第一三四九号) ○桑園等の凍霜害対策に関する請願  (第一三九〇号)(第一四三〇号)  (第一四四九号)(第一四五九号)  (第一五一四号) ○米の配給日数復元等に関する請願  (第一四〇〇号) ○臨時肥料需給安定法等廃止に関する  請願(第一四〇九号) ○農林漁業協同組合再建整備法適用  期限延長に関する請願(第一四二二  号) ○農業災害に関する立方措置促進の請  願(第一四二八号) ○漁業法に特別第三種漁港の規定を追  加するの請願(第一四五四号) ○農林漁業資金償還期限延長等に関  する請願(第一五四〇号) ○外国産ラミー委託加工貿易禁止に関  する請願(第一五四一号) ○昭和三十一年産米価格に関する請願  (第一五六七号) ○水産資源保護法の実施上必要な予算  措置等に関する請願(第一五七〇  号) ○めん羊事業振興に関する特別措置法  制定の請願(第一五七四号) ○農家慰労用酒等配給請願(第一  六一一号) ○農林水産政策に関する調査の件  (韓国ノリに関する件)  (日韓漁業に関する件)  (日ソ漁業に関する件)  (韓国抑留漁船船員送還等に関す  る件)     —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。五月二十九日小野義夫君及び小幡治和君が辞任され、小西英雄君及び森田豊壽君が選任され、五月三十一日長島銀藏君が辞任され、井上清一君が選任されました。     —————————————
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 次に理事補欠互選の件についてお諮りいたします。  私が委員長に就任のため、理事が一名欠員になっておりますから、その補欠互選を行います。互選の方法は、成規の手続を省略して、委員長において便宜指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認め、私から河合義一君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 農産物価格安定法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法律案は、去る五月三十日衆議院議員芳賀貢君外八名の提案にかかり、本日予備審査のため本院に送付、即日当委員会に付託されました。  なお第二十三回国会から継続審査になっております、芳賀貢君外十三名提出農産物価格安定法の一部を改正する法律案は同日撤回されました。  まず提案理由説明を求めます。
  6. 本名武

    衆議院議員本名武君) ただいま議題になりました農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  ただいま委員長から御説明がございましたように、さきに第二十三国会において芳賀貢君外十三名により、全く同一題名、同一内容法律案提出せられ、今国会にこれを継続して審議して参ったのでありますが、その取扱いについて協議の結果、同案は撤回せられることとなり、ここにあらためて自民、社会両党共同提案にかかる本案提出することとした次第であります。  御承知のごとく、農産物価格安定法は、昭和二十八年に制定せられ、今日まで、米麦についで重要な農産物であるイモ類及び菜種について、これが正常な価格水準から低落することを防止する上において相当の効果を発揮してきたのであります。しかるに、最近においては、これまた重要な農産物である大豆が、海外相場影響その他諸種の原因により異常な価格の低落を来たし、農家経済に深刻な影響を台与ておるのであります。  大豆栽培農家は、ほとんど、開拓者もしくは積雪寒冷地帯あるいは僻遠地域零細畑作農家であって、その主作物たる大豆価格の異常な下落は、これらの農家に対して容易ならぬ打撃を与えるものであります。よって、このような事態に対処し、生産農家の経営安定をはかるため、この際農産物価格安定法改正して、同法を大豆適用し、もって、正当な需給均衡価格実現をはかり得る道を開くことが、農業政策上緊要であると存ずる次第であります。以上が本法案提出するに至った理由であります。  以下改正案内容について、概略の御説明を申し上げますと、第一点は、本法適用農産物であるカンショ生切干カンショ澱粉バレイショ澱粉菜種にさらに大豆を加え、正常水準価格より低落した場合は政府がこれを買い入れることができるようにしたことであります。  第二点は、政府買い入れ価格を定める方式については、菜種同様の政令を定める等式とするようにしたことであります。   〔委員長退席理事河合義一着席〕  その他の事項については、本法適用農産物と同様の取扱いといたしております。  以上が、この法案の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  7. 河合義一

    理事河合義一君) 本法律案審議は後刻に譲ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕   〔理事河合義一退席理事三浦辰雄着席
  8. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記を始めて。農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案は、五月二十九日、衆議院において全会一致をもって原案通り可決され、本院に送付、直ちに当委員会に付託されました。本法律案につきましては、去る四月十日提案理由説明を聞いたのでありますが、その他について補足説明の必要があればこの際御説明を願います。
  9. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) ただいま議題となっておりまする法律案のことですが、これは大体ねらいは二つあるのでございまして、第一のねらいは、災害復旧事業のうち緊急を要するものについては、三カ年間で完了し得るように補助金を交付する、この一点でございます。第二点の方は、年度内予定事業量が完了しない場合におきましては、補助金の額は翌年度に繰り越して使用ができる、この二点について改正をしたいということでございます。  そこで、第一点の問題でございますが、これは三カ年で完了するということは、実は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律については、はっきりその旨を書いておるのでありますが、農地、林地、あるいは水産施設、こうした方面については、その点については実は明確を欠いておるようで、法律には規定がありませんので、予算計上、あるいはまた事業進捗、こうした方面については、今までの経験からするというと、非常に実は支障を来たしておるようなわけでございます。そこでこれらとの均衡の問題を考えまして、はっきり緊急なものについては、三カ年間で完了するという建前をとりまして、そうして食糧増産その他林業、漁業、こういう方面災害復旧については、迅速にいたしたいという考えでございます。  第二点の方につきましては、現行法律によりますると、こうした災害復旧事業に対するところの補助金年度内経過した場合におきましては、直ちにその清算をしなければならぬという趣旨のことを現行法では書いておるのでございますが、まあこういうことを厳格にやりまするというと、実は積雪寒冷地帯といったような方面におきましては、これは大体前年度災害復旧事業残工事は、植付直前までかかって災害復旧事業を進めるのでございまして、こういうような規定がありますというと、非常に実は実情に沿わないという点があるのでございます。この点については、主計局長の通達をもちまして、ある程度の手心が加えられ得るような趣きになっておるのでございます。しかし、こうした事柄については、会計経理関係もありまするし、やはり法律上はっきりしておいた方が適正であろう、こういう点に立って考えた次第でございます。そういうような点がおもでございまして、この法律を執行するという点につきましては、予算との関係についてはどうなっておるかといいまするというと、これは三十一年の一月一月以降の災害について執行する。事実風水害の季節と言いますれば、大体四月以降がおもでございますから、本年の予算におきましては、これは来年の予算計上する場合において問題になってくるというふうに考えておりまして、現在の予算につきましては、この間成立しましたととろの三十一年度予算については、特別に変更を現在加える必要がないという建前になっておるわけでございます。  以上のようなわけでございまして、これは衆議院におきましては、満場一致で通過した議案でございまするので、何とぞすみやかに御審議のほどを願いたいと思う次第でございます。
  10. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) これから質疑に入ります。御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  11. 千田正

    千田正君 ただいまの御趣旨はよくわかりますが、一点お伺いしておきたいのは、御承知通り地方財政再建整備法適用されるところの地方相当あると思います。各県とも赤字財政で悩んでおるところの県があるのであって、地方財政再建整備法対象として考える場合に、公共事業費のある程度ワクがきめられる、補助あるいは助成という面におけるところのワクがきめられるのですが、そのワクのいかんにかかわらず、この法案はいわゆる災害が起きた場合においては、その県がかり赤字財政であっても、優先的にこの問題は地方財政再建整備法関係なく施行するというお考えでありますか、どうですか、その点伺っておきたいと思います。
  12. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) 地方財政再建整備法とこの法律関係でございますが、との法律は先ほど申し上げましたところの三カ年間で完了さしたいということと、残事業を翌年度に繰り越し得るというような点でございますので、再建整備法におきましては、指定されたところの地方公共団体がこうした災害を直接受けて、そうして非常に財政圧縮がくるというような場合におきましては、起債その他におきまして必要な措置自治庁の方でとっていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。この点については、一般公共土木施設災害と同様な取扱いになるだろうと考えておる次第でございます。
  13. 千田正

    千田正君 ただいまの笹山さんの御説明は、どうにも足りなければ、起債ワクをふやすということのようでありますし、あるいは延期して次年度繰り越しということがあり得ると思いますが、この法律目的としましては年度内にきめる。年度内にきめられない、工事の進行を見ないときにおいては、やむを得ないから次年度に繰り越すことにしても復旧をさせようというのが目標のようであります。そういう目標は非常にいいし、理想的であるのですが、現実においては、地方財政再建整備法適用を受けた地方団体がなかなかそういうふうにうまくゆかないのですよ。今までの経験によって見ましても、さらに赤字のところにもってきて災害を受けた、それならばその不足の分をすぐに地方財政との関連において起債を十分起され得るかというと、起債が十分起されない。そうするというと、工事進捗が十分でないという問題があるのですが、これは自治庁との関係の折衝はどういう程度に進められて御結論がなったのですか、どうですか、お伺いしたいと思います。
  14. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) 実は自治庁の方には、今までその問題については正式な試し合いをいたしておりません。ただわれわれの方で考えておりますのは、こうした災害を受けたというような、地方財政において通常予測できないところの財政負担が要る場合においては、自治庁としましても、それに応じ得るところの財政的の措置、たとえば起債等につきましては、特別の措置をとるということを答えておるのでございまして、また法律におきましても、そういう制度が明らかにされておりますので、それによってこの災害を受けた場合におきましては、救われるということに了解するようなわけでございます。また一般公共事業費地方自治体におきます受け入れの問題でございますが、今度再建整備法によって指定されたところの自治体におきましては、従来の七五%というふうに公共事業費を圧縮するということに方針としてはなっておるようでございますが、しかし災害を受けたという場合におきましては、そうした通常のことをもってこれを律するわけにはゆきませんので、やはりその場合においては、地方実情に応じました措置をとるのだということは、これは自治庁の方としても了承するというように、われわれは今までのいろいろな経過からそういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 千田正

    千田正君 その点はよくわかります。それでただ一言これは要請しておくのですが、せっかく皆さんがいいりっぱな案を提案されたのですから、これはもちろんそういう今の御説明のように災害でありますから、その点そういうようなあれができてくるでしょう。ただし、それによって整備法対象団体を七五%に一応押えたものが、さらに水害その他によって負担が大きくなると、その負担が大きくなるために、せっかく再建整備の格好になっておったのが、これが逆にそっちの方が押えられていく、おそらく押えられていくだろうと思うのです。その地方団体としての財政上から見るというと、七五%をさらに水害の起きた年、あるいは翌年は、お前の方は負担力がないから六五%でがまんしろ、あるいは五〇%にしろ、そうして災害復旧の方を早くやれと、こういう一つのワク内における財政の操作になると、そういう問題が起きてくる。で、これはやはり七五%なら七五%で押えておるものはずっとその数字によってやって、そうして災害災害で、これは不時災害ですから、これはあくまでそれとは切り離して、この法案目的を達するように提案者からも自治庁その他に対しましては、十分この点の了解と要請をちゃんと言っておいていただきたい。これは注文ですから、特にお願いしておきます。
  16. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) ただいまの御意見は、まことにこれは大切な点でございまして、私どもとしては、そういった点について自治庁の方に対しまして、十分な質疑応答が実は衆議院においてはかわされなかったのでございまして、今の御注意に基きまして、こうした災害復旧という不時な仕事に対しては、平常の自治体運営というワクを離れまして適当な措置をとるということについては、さらに自治庁に対して、御意思を体しまして、御要望を申し上げたいと存ずる次第でございます。
  17. 重政庸徳

    重政庸徳君 本案はもっともだろうと思うのですが、大体災害復旧年度の問題は、二十八年の大災害から三、五、二に、いわゆる最初の年に三割やる、翌年度は五割、三カ年目に二割をやって完了するというのが、いわゆる三カ年にその災害は完了するというのが、これは法律の規則にも何にもなっておらぬが、不文律な当時の政府もそういう意思を発表してそうなったのだが、その後結局まだ今年度に至っても二十七年災害が残っておるというような状態で、遅々として進まないような状態であるのであります。なお、昨年の議会政府提案改正、決定いたしました建設省関係公共土木国庫負担、これが本法案の緊急を要する事業は三カ年間でやるということになって、その均衡上からいっても当然だと、こう思うのでありますが、しかしながら、法律そのもの予算の範囲でやるというので、私どもはきわめてこれで安心することはできない、その通りをやるかやらぬかという見きわめをつけることはできない。おそらくまたやらぬだろうと、こういう考えを持つのであります。で、一年先にやったこの公共土木災害負担法建設省関係経過はどういう工合になっておりますか。多少法律改正した目的を達成しておる状態にあるかどうかということと、それから第二点は、提案者はただこの法律だけ出してもらったのじゃしょうがないので、もしそうでなければ、三十二年度予算においては提案者は、まあ責任上と言うたら非常になんですけれどもが、まあ関係相当努力をしてこの目的を達するようにしてもらわねばならぬ。それからまたそういうかたい決意があるかどうかという、この二点をお尋ねいたします。
  18. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) 第一点の問題でございますが、公共土木施設災害復旧事業費取扱いについては、まあ非常にこまかい規定がありまして、地方自治体の方の負担国庫補助、詳しく規定がされておるのでございまして、これは今までの経過によりまするというと、私は法律規定に基くところの趣旨に基く予算計上されておると考えておるのでございます。しかし緊急そのもの事業の実態の点につきましては、あるいは建設当局意見大蔵当局意見とは場合によっては若干の食い違いがあるかもしれませんが、しかしこうしたはっきりした規定を設けることによりまして、従来の予算計上よりも非常に明確になったという点は、これは疑いのないところだと存ずるのでございます。まあそこで財政の許す限り三カ年以内において完成するという点でございますが、これは大蔵省その他の方面とも折衝したのでございますが、どうも公共事業費公共土木施設災害と、それから今度提案しておりまするところの農林水産業施設災害というものとは、多少そこに意味合いと申しますか、度合いが違うのじゃないかという点も大蔵省方面にありましたが、とにかく、しかし国の重大な食糧政策、その他の農林政策を進めて参る上におきましては、非常に大切であるということで、これらの案ができておるのでございます。  第二の点につきましては、こうして法律改正されても実行が伴うかどうかという御懸念に関する問題でございますが、これは私ども提案者といたしましては、提案した責任もありまするので、明年度これらの法律実行予算計上、こうした問題については法律趣旨を誤まらないように、確実にこれが予算面において実現ができるように努力したいと考える次第でございます。
  19. 重政庸徳

    重政庸徳君 大体了解できたのでございますが、まあ提案者は三十一年度においてはそういうこの法律目的とあまり大きな差を来たさぬ、ただ意味がないものに終るのではないという強い自信がおありになると、こう了解いたしてもよろしゅうございますか。
  20. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) 私今重政先生お話は、これは長年のまあ御体験に基くところの実は御意見であろうと思います。まあ実際予算計上という場合におきましては、一般財政関係上、ともするというと、法律趣旨そのものが多少緩和されて、あるいは曲げられて、実は行われないことも過去においてはなかったわけではございませんで、これらの点については、こうした法律を中心にしてこれからの施設災害復旧をしようということになりますれば、これからはさようなことのないように、われわれとしましては十分一つ努力したいと思います。
  21. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。今重政さんから関係した点をよく念を押されたが、これはまあ提案者笹山さんが引き受ける、引き受けるということの御熱意は非常に私はよくわかるし、また、そうしていただかなければならぬと思うが、関係大蔵自治庁建設というように関係していくのだが、主体の大蔵だが、御承知のごとく二十八年度と今年が初めて年度内予算が成立した。あとは皆補正予算で来た関係上、すべての補助繰り延べになっておる、提案者わかるかね、話しておって。補正予算補正予算繰り延べになっておる。繰り延べになっておるから、従って補助金もそれだけ繰り延べされるという関係から事業完成を見ない。あなたの知っている通り三年間もいまだ補助金の支出してないものがある。われわれも大蔵当局に向って予算のときにたびたびそういう点を指摘して、その怠慢というか——責めるんだが、その結果において生ずるのが会計検査院会計検査上にもまたこれと反したような結果を生む、それで会計検査院はこういう工事の完了にいろいろ不正なことや、会計検査ができないとか言ってくる、大蔵当局は非常に困ると、またいろいろな言いのがれをそこへ持ってこられるんだろうと思うが、要はそういう大蔵当局確めて、法律ができた以上は補助は正確に出すと同時に、念のためにこの法律趣旨徹底大蔵を協力させなければならないが、法律の成立と同時に政府当局にこれが協力徹底方を十分に念を押していただきたいと思うんだが、この念押し程度はどうですか。
  22. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) 念押し程度といいましても、これは法律がまず議会を通過しまして、そうして成立した場合におきましては、これは当然政府としては法律を守って予算計上、その他災害事業復旧ということを進めて参らなければならぬ仕組みがあるのでございまして、われわれとしましては、これらの法律が成立した以上、この実行を確実に政府が守っていただくということについては、今後とも十分督励もし、また監視して参らなければならぬと存ずる次第でございます。  さらに、従来予算が少いために繰り延べ事業がたくさんありまして、なかなか三カ年間でもこうした緊急事業完成ができない、復旧ができないという督励お話がありましたが、これはそういうような点があるから、今度はそういうことのないようにということをねらっての法律改正でございまして、われわれは過去におきましてさような苦い体験を持ったことがございますから、今度は一歩でもそうした点については改善をして参りたいというのがわれわれの考えでございます。
  23. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今そういう点があるというと、実際の場合に補助が三カ月なら三カ月補正予算で出るかといえば、あなたが知っての通り出ない。それで、その年に事業ができなかったというのを、今度は予算を三カ月なら三カ月のそれを政府に必ず出させると、今まで欠陥があったから、この法律によって必ずこれは出すのが目的だという意味はよくわかっておる。わかっているけれども、どうも日本の法律は、あの通りうんと法律ばかりできていて、法律実行はきわめて少い。しかし災害を受ける方はこれは受けてしまったんだから、だから何といっても復旧させなければならないというところに法のねらいがあり、提案者の御熱心もあると思いますが、しかし決定した法を実行するのは政府であるから、あくまでも政府督励して、この法律趣旨を徹底して、これを実現させるという御熱意を一つ一そう持っていただきたい、かように私は希望し、またその熱意を今後提案者一同で責任を持ってしょっていただきたい。その責任をしょっていただく決意は十分できておると思うが、重ねてその決意のほどを伺いたい。
  24. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) この法律趣旨に従って、将来の予算計上並びに事業実行ということにつきましては、今お話通り、これは政府がその責任担当者になるのでございますから、これらの問題については政府を極力督励もし、また私たちだけで及ばないところは、皆さんの御協力も得まして、そうしてこの災害に悩んでおるところの農林漁業者の救済に当りたいということを繰り返してお答え申し上げる次第でございます。
  25. 東隆

    ○東隆君 私はこの際お伺いしたいのですが、公共事業費関係の場合には、事故繰り越しの場合非常にむずかしい条件がありまして、財政法の一部改正をやって、そうしてあらかじめの事故繰り越しをしなければならぬ分については、たしか一月末くらいまでにあらましの概略の部分を計算して、そうして地方財務局との間に合議をして、そうしてそれでもって大蔵大臣の承認を得たと、こういうことにして次年度に繰り越すと、こういうような形で進めておると思うのです。現在は積雪寒冷地帯その他の場合において非常にこういうような繰越しをしなければならぬ場合が多くて、そうしてこれがこういうような措置がなければ、会計検査院などのやり玉に上げられる回数が非常に多いわけで、この措置は私大へんよい措置だと思いますが、この場合に注意をしなければならぬ問題は、事業が未着手その他の関係でもって予算が非常に削られる場合が起きてくるわけです。それから次年度事業予算計上するときに、その金を使っておらないから、これには予算をやらないのだと、こういうような話が出て参ります。そこで、そういう面を何とかして救済をする方法をあらかじめ考えておかないと、せっかくのりっぱな措置が効果を上げないような形ができてきて、そうしてこの水産その他の災害復旧事業施設が予定通り進まぬような形が起きてくるわけです。そこでその救済的な方面でお考えになっておることがあったらお聞きをしておきたいのです。
  26. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) 今お話通り公共土木施設災害につきましては、繰り越しの場合におきましての経理の方式が政令によりまして、はっきりきまっておるのでございますが、その繰り越しのやり方につきましては、この法律によるところのやり方は、多少公共土木施設災害とは趣きを異にするのではないかと思っておるのでございます。と申しまするのは、この問題についての農林漁業施設災害につきましては、一々具体的にこれらの復旧を要する事業が当該年度におきまして、認証をせられましてはっきりわかっておるのでございまして、その個々の具体的な復旧についてそれぞれ中央、地方の協議が進められて参るのでございまして、その分について繰り越しが起きてくるのであろうと存ずるのでございます。今お話の未着手の場合におきましては、これは事業進捗状況が悪いから補助金も要らないだろうというような考えのもとに削減されるということでございますが、これは私たちもさような事例があるだろうと思っておるのでございます。しかし、緊急なものにつきましては、これはぜひとも早く着手する建前になっておるのでございますが、着手ができぬということは、地方の受け入れ態勢、自治体あるいはまた団体が経理等の面におきまして非常に支障があるから実は未着手になっておるのではないかと、そういう場合におきましては、自己負担部分の事業費につきましては、これはほかの農林漁業金融公庫の方の融資もありまするし、そうしたものを国庫補助金とかみ合せてこれらの事業を早くやり得るという態勢をさらに一そう強化したい、こう考えております。
  27. 東隆

    ○東隆君 今金融その他の問題ももちろんのことでありますが、非常に気候の関係で制約を受けるわけですが、気候の関係で制約を受けて、そうして年度内にはできない、こういう場合が非常に起きてくるのであります。従ってそういうふうな場合に問題が起きてくるので、たとえば北海道のような場合に、事業完成した、こういうことでありましても、会計検査院が四月に来られたのでは完全にみんなバッテンをつけられるわけです。そういうふうな場合に、私はこの形があることによって非常に助けられてくるのです。そこで簡単な承認の形式があって、そうしてその形式が会計検査院その他の方に通達をされておらないと、これはことごとくやられてくるわけです。そういう意味からもどういう形でもっておやりになるか。
  28. 笹山茂太郎

    衆議院議員笹山茂太郎君) ただいまの点は、積寒地帯におきましては、今までいろいろな事例があったのでございまして、これが地方の実状に即さないところの、従来はそういうやり方で非難されておったのでございますが、今度の法律によりまして、そういうような場合におきましては、事業とともに繰り越しができることになるのでございまして、この点については、会計検査院等につきましてももちろんこの法律が出ますれば、この事業は翌年度に繰り越した事業であるということは、会計検査院にもはっきり連絡ができる仕組みになっておりますので、従来のように検査院から法律違反というようなことで文句を言われることも実はないというふうに存ずる次第でございます。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 本案はまだ質問があることと思いますが、私は大体この程度にいたしまして、採決に入っていただきたいと思います。
  30. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) お諮りします。ただいま森委員から、この法律についての質疑は打ち切って、討論採決に入ったらどうかという御提案でございます。皆さんいかがですか。   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 異議がないと認めます。  それではこれから討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  32. 千田正

    千田正君 この法案に対しては大いに敬意を表し、賛成もしますが、参考条文の新旧対照表に見られる通り、返還その他に対しては十分御検討になったようであります。ただ補助金の交付は工事を急がなくちゃならないのにかかわらず、従来の災害復旧に着手する場合においては、とかく交付はおくれる。そのために着手が自然おくれてくるという点が多々ありますので、こういうことのないように、一つ提案者の方からも、災害が起きた場合には直ちに交付して、できるだけ早く復旧の度をはかっていただきたい。この点だけを特に提案者の各位並びに衆議院の諸君にも御協力を願って、この法案完成を期していただきたいということの要望を付しまして、賛成の意を表します。
  33. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」 呼ぶ者あり〕
  34. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議がないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  35. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたします。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたします。  なお本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     棚橋 小虎  青山 正一     重政 庸徳  秋山俊一郎    池田宇右衞門  関根 久藏     長谷山行毅  東   隆     河合 義一  清澤 俊英     三橋八次郎  溝口 三郎     森 八三一  千田  正     —————————————
  37. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記をとめて。   〔速記中止
  38. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記を始めて。  ここでお諮りいたしますが、農林水産政策に関する調査を従来より調査して参りましたが、会期中に調査を完了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、継続調査要求書を議長提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお要求書の内容及びその手続等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  41. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 次に農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案及び農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案を、会期中に審査を完了することは困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、継続審査要求書を議長提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお要求書の内容及びその手続等は委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止
  44. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記をつけて。  請願議題にいたします。  本国会中四月二十一日までに当委員会に付託されました請願については、すでに審査を終り、その措置が決定せられたのでありますが、その後五月三十日までに付託されたものが公報で御承知通り二十三件あります。先例により、ただいまから懇談会によって順次調査員から調査の結果を報告して、御審議の上、その取扱い方を御決定をお願いいたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  45. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 速記をつけて下さい。  ただいま議題になりました請願二十三件につきましては、先ほどの御審査の結果によって処理することにいたします。  それでは請願第千三百三号ほか十七件は議院の会議に付するものとして、内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  次に請願第千四百号及び千六百十一号については意見書案を提出することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお報告書及び意見書案の作成については、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 三浦辰雄

    理事三浦辰雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  ここでしばらく休憩し、特別の事情がない限りは午後の四時に再開いたします。    午後一時十一分休憩      —————・—————    午後四時二十九分開会
  49. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまから委員会を再開いたします。  農産物価格安定法の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案は先刻衆議院において全会一致をもって可決され、当院に送付、当委員会に付託されたました。  本法律案については先刻提案理由説明を聞いたのでありまして、ただいまから質疑に入ります。御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  50. 森八三一

    ○森八三一君 今議題になりました価格安定法の中に大豆を取り入れるということは、すでに数年前からわれわれの強く研究もし、実現をしていかなければならぬというように考えておった事件でありますので、衆議院全会一致で通過いたしましたことは適切であって、非常に喜ぶわけでありますが、これに関連いたしまして、まずお伺いいたしたいことは、農林省当局に、かねがね政府では外国の大豆の輸入ということを漸次減退せしめていく、国内の生産で自給をはかるというような感覚に立って、私の承知しておるところでは、大豆の増産五カ年計画でしたかというようなものができまして、ずっと進行しておったように思うのです。そのことは、かって大蔵委員会の方で関税定率法の審議をしたときに問題になったわけでありますが、その後そのことがどういうように進行しておるのかという点が一点。  それからその現状に即して昭和三十一年度におきまして、外国産大豆の輸入計画がどういうようになっておるのかという点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  51. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) お答えいたします。大豆につきましては、御承知のように国内産が大体五十万トン程度ございまして、出回りが約二十万トン見込まれておりますが、外国の関係で輸入量を外貨割当でやっておりますので、これについて輸入量を規制するということと、関税という問題で、国内生産の保護をやっておるわけでありますが、だんだん外国産大豆価格が下って参ってきておるわけであります。非常に内地生産を圧迫する、こういうようなことで改良局といたしましても、大豆につきましては、特に五カ年計画というものを今計画いたしておる段階でございまするが、過去におきましては、試験場において品種の改良、それから耕種改善といいますか、栽培法の改良、あるいは病害虫の防除、そういう点に試験研究を重点を置いて、それを普及事業に乗せて耕種改善奨励施策、そういったような面で技術の浸透をやってきておる次第であります。だんだん外国産の価格が内地の大豆を圧迫する、こういう段階が非常に強くなって参りました。今五カ年計画をはっきりと増産計画を立てて、これから増産の第一歩を踏み出したい、過去のやつをさらに試験研究を重点に置いて、そうして年次別のやつは今後検討していく、こういう段階であります。
  52. 森八三一

    ○森八三一君 今お伺いしましたのは、いつか数年前に関税定率法の審議の際に、定率法本来の規定では幾らの関税を賦課するという原則があって、それを特例で軽減しようということがあったのです。その当時にやはり開拓者積雪寒冷地帯、北海道等を中心として、主として零細な農家がだいぶ栽培しておる、そこで定率法で一定の率を課する、そうして国内の零細なそういう大豆作農民を保護しようということを考えれば、特例を設けぬ方がいいのではないか、原則の定率法をかけてしまえという議論をしたときに、今政府は五カ年計画を立てて一生懸命やっておりますから、これが完了してしまえば、需給のバランスがとれるのだから、定率法の本来の税率を賦課してもいいときが来るというような当時の政府お話であったのですが、今の総務課長の話では、その後政府もかわりまして、新しく経済五カ年計画も立てて新事態になったのだから、それに即応して今計画のやり直し最中だというようなお話であったのですが、そうだとすれば、具体的に今の政府のもとにおける計画というものは、承わるわけにいかぬ状態にあるということですから、しいてお伺いいたしません。前の立っておったであろう五カ年計画は途中で消えてしまったということですから、これは成績がないということでしょうから、それはお伺いしません。ただ現状においては、国産が五十万トン、そのうち流通過程に上ってくるやつが二十万トン、そうすると、その二十万トンだけでは不足をするので、三十一年度は幾ばくのものを入れる計画になっておるかということをお伺いたします。
  53. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいま御質問のありました三十一年度大豆の輸入計画でございますが、ただいま改良局の方から申しました通り、国内の出回り数量を予定いたしまして、総大豆需要量から国内出回り量を差し引きましたものを輸入数量として計算しておるわけでありますことは御承知通りであります。三十年度におきましては大体丸大豆六十万トン、大豆かす二万トン、大体総計が大豆に換算して六十六万五千六百トンでありますが、三十一年度は一応大豆ばかりで年間六十六万五千トンという計画をいたしたわけであります。昨年の大豆かすを入れました大豆換算の六十六万五千六百トンに比較いたしますと、約六百トン減っておりますが、これは油の需給計画上この程度で十分であるという計画で、本年度は六十六万五千トンという計画を立てておるわけであります。
  54. 森八三一

    ○森八三一君 そこで今回われわれが希望しておった安定法に大豆が入るのですが、三十一年度予算には、予算上、大豆価格安定法に取り入れた場合に、その処置を要する事態の発生したときにこたえ得る予算というものは、具体的になかったはずですが、それは食糧庁予算の中の農産物等買入費二百六億円という中で何か操作ができるということになりますのか、あるいはそういう事態の発生した場合には、予備費等を使って処置をするということになりますのか。具体的に法律によって行動を起さなければならぬ場合の予算措置はどうなるのか、それをお伺いいたしたい。
  55. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問の点でございますが、農産物買入費等がございますので、本来農産物価格安定法に基きまして政府が買い入れますものの費用は、そこから支出することになっておるわけでございますが、先般御質問もありましたカンショ、バレイショ澱粉等が、あるいは予算よりもやや多く買い入れざるを得ない状況になっておるわけであります。さしあたりは農産物の買入費のみならず、いわゆる食糧買入費からこれを流用して使うことは、大蔵省が承認すればできることになっておりますから、それをやるわけでありますが、大豆がここに入って参りますと、わずかの令ではとてもおさまらないのであります。従って私どもといたしましては、大豆を実際問題として買入れに至りました場合におきましては、食糧管理特別会計におきまして三百億の予備費を持っておりますから、その予備費を使用することによりまして大豆の買い入れを行うことになる、こういうように考えておるわけであります。いずれにいたしましても、予算措置は、十分大蔵省と折衝いたした上、措置をいたす考えでございます。
  56. 森八三一

    ○森八三一君 この措置は、今まで私も申し上げましたように、非常に適切なことであって、けっこうだと思いますが、巷間伝えられておりまするところでは、こういうような措置によって最低価格というものが保障されるというようなことからいたしまして、これは通商当局の全面的な御構想でもあるのかとは思いますが、現在大豆の輸入につきましては、長官からもお話がありましたように、外貨の統制をしておるというわけですが、それをワクをはずして自動承認制にするとかいうようなことも伝えられておるのですが、この措置とそういうこととの間に何か関連が考えられる筋はちっともないと思いますが、具体的にそういうことをお考えになっておるというようなことはあるのかないのか、またそういうような関連はなくとも、そういうことを考慮されておるというような事態が起きておるのかどうかということを通産当局にお伺いをいたしたいと思います。
  57. 板垣修

    政府委員(板垣修君) 通産省といたしましては、全般的な問題といたしまして、漸次外貨の保有状況も緩和いたしましたので、できれば世界の貿易自由化、ことに輸入の自由化の線に沿いまして、できる限りAA制を拡大したいという大きな原則的な方針を持っておりまして、本年の上期の外貨予算を編成する際にも全品目にわたって検討いたしたわけであります。その際当然綿花とか羊毛とか、あるいは大豆とかいうものも検討の対象にはなると思っていました。しかしながら大豆等その他国内の農産物と非常な競合の深い関連農産物につきましては、非常に慎重な検討を要しますし、農林当局ともその当時の話し合いでは大豆はしばらく問題にならないという一応結論が出ております。もっとも最近価格安定の問題に関連いたしまして、大豆のAA制施行の可能制につきまして、一部には議論があるやに承わっておりますが、まだ私どもとしましては、これを真剣に取りあげておる段階ではございません。なお、これはただいま申し上げましたように非常な利害関係の深い問題でございますので、今後ともこの措置につきましては、農林当局と十分検討いたしまして研究をいたしたいと、ただいまのところ私どもとしましては、これをAA制にするかどうかという方向で考えておる段階ではございません。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 大体今の通商局長お話で了解はいたしましたが、すでに経済新聞等にはおそらくこの二十四国会では、多年の要望があったこのことが解決するであろうということを前提において、十月から自動承認制になるということを、あたかも当局の了解を得たかのごとき想像のできるような文章で報道されておるという事実があるのであります。このことは局長お話しになりましたように、われわれが今ここで価格安定法の中に大豆を入れようとすることは、提案理由説明にも明確になっておりまするように、非常に気の毒な立場にある北海道を初めとして積寒地帯の、あるいはその他の開拓者等、きわめて経済的に困難に立っておる人々のためにこれをやろうということなんで、それがきっかけになって、巷間伝えられておるようなことに発展するとすれば、これはまたきわめて重大な結果になるわけであります。食糧庁長官は、非常に海外における過剰生産というようなことから価格も漸次低落をしておるというようなことでもあるということであるといたしますれば、なおさらもって北海道、東北等の零細な大豆作農民に重大な悪影響を及ぼすということになりますので、すでに御決定になっておる通り大豆の輸入につきましては、現行制度を継続実施していくということの確認をしてよいというような御答弁に承わったのでありますが、そういうように理解していいのかどうか、重ねてもう一ぺんその点をお伺いいたします。
  59. 板垣修

    政府委員(板垣修君) 新聞等に伝えられておりまするように、いかにも十月から施行するようなところまではもちろん行っておりません。ただそれでは現状のまま今後しばらくの間一年なり二年の間そのまま行くかどうかという点も、私ここでそれはその通りだとまでは申し上げられませんが、この点につきましては、近く閣僚審議会が開かれることになりまして、大豆の問題ではございませんが、全般的に今後の輸入制限その他につきまして、閣僚審議会が開かれることになっておりますので、その際、政府首脳部の間で議論されることになっておりますが、私どもの見通しといたしましては、十月から大豆をAA制にするというようなところまでは到底行かないような感じを持っております。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 農林政務次官に、希望的な質問になると思いますが、先方の輸入物資についての検討が経済閣僚懇談会で近く行われるということらしいのでございますけれども、その際にこの大豆措置につきましては、先刻申し上げましたように国内措置として価格安定法に取り入れることによって、一応の安定が見られるということは好ましいことでありまして、われわれ多年の要望であるわけでありますが、それが一つの契機になって非常に増産のために価格が低落しているという外国産大豆が自由に輸入されるということになれば、これは何をやっているかわからぬというような結果になると思うのであります。そうなっては大へんなことでありますので、ここに大豆を取り入れようとする趣旨が、政府全体の施策を通じてかたく守られていかなければならぬと私は思うわけであります。そういうことにつきまして、政府の主管官庁の責任者として、お心がまえはどうであるのか、はっきりしておいていただきたいと思います。
  61. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 先ほど通産省の板垣局長からお答えがありましたように、国際情勢によって今後いろいろの変化があろうと思います。しかし先ほど衆議院農林委員会におきまして、価格安定法の中に大豆を入れるということにつきまして、政府の所見を質問されましたので、そのとき政府としてはけっこうでございますという御返事を申し上げました。これは明らかにただいま農林省におきましては、今後も当分の間は生産者の立場に立ってこれを育成強化しようという考えに立っておるところでございまして、この点からもわれわれは当分の間は十分な生産が増強されまして、相当外国の大豆が入って参りましても競合できるような事態になるまでは、できる限り生産者保護の立場からこれを進めて参りたいと、こう考えておる次第でございます。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの政務次官のお話で安心ができるようでもあるし、また何となしに不安であるような気もするのです。それは国際情勢の変化によってどうなるかわからぬというようなことでありますが、少くとも先刻改良局の総務課長から、新しい経済総合五カ年計画に立って国内生産によって自給をはかっていきたいというような五カ年計画が立案されつつあるということでありますが、これは非常にけっこうなことで、そのことは実施される。それと並行して自動承認制になるということになるというと、どうもそこに私はその計画が途中でこわれていってしまうという結果にきっとなると思うのです。でございますので、当分の間というような表現ではなくて、少くとも五カ年計画が近くやられる、その五カ年計画が完了して、その上に立ってもなおかつ国内需要が満たされないために輸入しなければならないということでありますれば、そのときの事態によって考えなければならぬが、そのことが実現されるまでは、国際情勢も何もそう遠慮する必要はないと思う。国内の農民を保護することが当然の第一条件でなければならぬと思う。そういうことで一つ自動承認制の問題に取り組んでいただくという決心をしてもらうべきだと思いますが、いかがでしょう。
  63. 大石武一

    政府委員(大石武一君) お答えいたします。大体その方向に進む決心でございます。それについては国内の増産態勢を整えることが一番大事でございますので、その施策をまっ先に行いまして、そのような方向に向って進んで参る所存でもございます。
  64. 千田正

    千田正君 大豆の問題は、これはただいまも同僚森委員からお話ししましたが、特に国内の生産者に対しまして、品種の改良とかあるいはその点については農林省が特段の力をいたさなければ、海外から輸入してきた大豆との比較の問題も出てきます。また需要者から申しますれば、いろいろなそういう問題について難点があるわけです。ですから農林当局としましては、価格安定法の一部にこれを対象として入れると同時に、国内生産者に対するところの指導的な方向をある程度解決しなければいけないと思います。農林次官としてはどういうふうにこの点を考えておられますか。
  65. 大石武一

    政府委員(大石武一君) お答えいたします。仰せの通りと思います。ぜひ品種の改善であるとか、あるいは土地の改良であるとか、その他すべての増産態勢を考えなければならぬと思います。その一例と申しらいのでございますが、北海道においてこのテンサイ糖の栽培を盛んにして非常に農家経営の安定をはかるわけでございます。その場合にもこれをテンサイ糖を連作の中心として行えば自然豆の方にもいい影響が参りまして、それによって増産なり農家経済の安定が期し得られるのではないか、こういうことも一つ考えられるわけであります。なお、詳しい——詳しいと申しますか、技術的の問題に関しましては官房長からお答えさせたいと思います。
  66. 千田正

    千田正君 官房長からただいまお答えがあると思いますが、今の私の質問につけ加えまして、この法律がこれはもう永久にあるわけではないのであって、持論的においてはある程度の時期に来ればはずさなければならない時期が来ると思います。その間に国内生産者の生産物に対する品種の改良であるとか、あるいは乾燥度の条件とかいうものを一応助成していかなければ、はずしたときにおいてまた自由競争になってきてまた転落していく、そういうことであっては、同じことを何回もさいの川原のようなものであって、積み上げていくだけであって、この点は今から心がけて十分な措置を講じなければならないと思いますが、この点についての何か裏づけをあなた方考えているかどうか、伺いたいと思います。
  67. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) ただいま御指摘の点は、一番大豆の生産の上に大切な点だと存じますが、今までまだ十分な成果が上っておる段階には至っておりません。はなはだ残念でございますが、その点今私たち考えておりまして、すでに実施いたしております。たとえば指定試験の事業に対しまする補助制度とか、あるいは育種試験の事業に対しましての施設、あるいは原採種圃の設置に関しましての助成等の施設大豆に関しましてはやっているわけであります。こういうような育種及びそれに類しまする優秀な品種を作り出す努力を基本的にどうしても進めていかなければならないと思うのでございますが、そのほかに畑作全体の問題の一つといたしまして、たとえば畑作の耕耘に関しますやり方、あるいは病害虫の問題等につきまして、従来やっておりまするやり方をさらに拡大いたしてやっていきたいと考えております。まだこれらの点、ことに病害虫の対策に関しまして、まだまだ実はやらなければならぬ点が多いと思います。そういうようなことも現在予算的にも計上いたしまして実施しておるわけであります。
  68. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちょっと私ふに落ちぬところがあるのですが、先ほど来の御説明の、国際情勢の変化によってはどうなるかわからぬといったようなお言葉がありましたが、とにかくわれわれには国際情勢が変化した場合にこれがどういうふうに変化するかということがよくわからないのですが、外国における生産が非常に増加したときという意味であるか、少くなったとき、あるいは戦争状態が起ったときをさすのか、その国際的の変化ということはどういうことを想定しておられますか。大体この法律適用をすることは、先ほどからもお話しのように日本国内の生産者の経済を維持していくというのが建前でありますので、どういう場合に国際情勢の変化がこれに影響してくるかということを伺いたい。想定しているところはどういうところを想定しているか。
  69. 大石武一

    政府委員(大石武一君) お答えいたします。国際情勢と申しましても、まず国内の事情から考えますと、生産が非常に増強されまして、あるいは農家経営が安定して参りまして、そうして外国の輸入大豆に対しても相当競合できるような時期になればあるいはこのAA制に移ってもいいのじゃなかろうかと、こういうことも考えるわけであります。また非常に外国からの輸入大豆がますます価格が低落して参りまして、関税で押えていかないと、はるかに国内産の支持価格を割りまして、とてもこの支持価格では国内産大豆を買い入れられないような状態になって参った、そういうときにあらためてこの行き方を考えなきやならぬ。そういうことを考えているわけでございます。
  70. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の後段の場合に、AA制をとった場合にはますます工合が悪いのじゃないですか。
  71. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 仰せの通りでございます。でございますから、まあ悪いわけでございますが、といってたとえばあまり外国の大豆が安くなり過ぎまして、国内産の出回りの大豆を全部食管会計で買い上げなきゃならぬということになったら大へんなことでございます。そういうようなわけでございますので、そのときにAA制に移るとなれば別として、今の支持価格なりあるいは価格安定法なりをやはり変えていかなければならぬのじゃなかろうかと考える次第でございます。
  72. 千田正

    千田正君 今の秋山さんの質問に対しましてのあれは、将来大豆が増産されるときにはそういうお答えもあるのですけれども、現在の需要量と日本の国内の生産量と比較して考えた場合、相当増産の見込みはありますか。
  73. 大石武一

    政府委員(大石武一君) どうも技術的な問題はまだ私からなかなかお答えできないのでございますけれども、はるかに輸入量が、大体三倍ぐらいでございますから、国内産の出回りの。ですから短期間に大体国内産のものが輸入を凌駕するというととはなかなか困難ではなかろうかと思います。しかし農家経営が多角経営になりまして、いろいろと安定して参りますと、大豆のみに頼っていかないでもある程度大豆の増産、収穫なりが多くなって参りますれば、相当価格というものが国内でもあまり高い価格でなくても農家がやっていけるような時代がくるのではなかろうか、こういうことも考える次第でございます。
  74. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  75. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  本法律案に対する質疑は以上をもって終り、これから討論、採決を行うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないものと認めます。  まず討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 私はただいま議題になっておりまする農産物価格安定法の一部を改正する法律案には原案に賛成するものであります。  この際、先刻の質問でもいたしましたことでありますが、希望を申し添えておきたいと思います。それはこの措置はどこどこまでも国内の零細農民を保護すると同時に、北海道を初めとして寒冷地帯あるいは開拓地帯におけるきわめて経済的に難儀をしておる農家の保護をやりながら、国内の生産を増強しようということでありますので、その実が達成せられまするように海外大豆の輸入につきましては、自動承認制をとることなく、当分の間少くとも現行の外貨の統制をやるということを強く希望を申し上げておきます。
  78. 東隆

    ○東隆君 私はこの提案されておる法案に対して賛成をいたします。賛成に希望条件を付します。  大豆は御承知のように食糧にも飼料にもまた肥料にも、流通性のあるものでありまして、価格の上下によってこれが適当なところに使われないで非常に不経済な形になるわけで、従ってある程度価格を維持しなければ生産が増強されない、こういう問題が私はあると思います。そういうような関係で、どうしても海外から輸入をされるものに対して、ある程度のチェックをしなければ、問題にならぬと思います。同時に、関税から得たところの財源を活用して、国内におけるところの大豆の生産を増強する、こういうことに努めていかなければ、海外の価格安に対して対応することができない。大豆の生産費というものはきわめて低いのでありまして、従って増収さえすれば、十分に海外のものに対抗して国内でもって生産をしていけるものなんで、そういうような意味で、今の段階においては、この法案が最初に提案をされたときに、大豆を入れるという問題があったわけでありますが、遅きに失しておったわけでありまして、当然これは大賛成なんでありますが、それに関連をして、関税によるところの財源、そういうようなものを可及的に生産の面に打ち込んで、そうして国内における生産を増強する、こういうことにしなければならない、こういう希望を付して賛成をいたします。
  79. 千田正

    千田正君 ただいまの議題になっておりますところの価格安定法の一部を改正する法律案に対しては、これは先般の国会以来、われわれとしましては、開拓農民あるいは寒冷地帯の農民の立場を考えて、しばしば政府にも提案しておったわけでありますが、幸いにして、こういう法案が出てきたことに対しましては、われわれは満腔の敬意を表する同時に、賛成を表するのでありますが、先ほどの私は質疑の際に申し上げました通り、国内生産の、二十万トン増産するに際しましても、現在の生産量を上回る方法をとるにしましても、問題は、将来やがてはまた国際価格にまで追いつくだけの方法を考えなければならない。そのためにはやはり農林省は指導的な立場に立って、そうして品種の統一であるとか、あるいは乾燥度において、国際大豆に劣らない優秀なものを生産していくような指導的な裏づけをはっきりしていただきたい。これはぜひ提案されておりますところの衆議院の皆さんからも、当局に向ってこの善処方を要望していただたきたい、こう思いますので、この要望を付しまして、私は賛成の意を表します。
  80. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農産物価格安定法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  82. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 全会一致であります。よって本案全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条により、本会議における口頭報告の内容、第七十二条により、議長提出すべき報告書の作成その他、自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     鈴木 強平  三浦 辰雄     秋山俊一郎 池田宇右衞門     関根 久藏  長谷山行毅     東   隆  河合 義一     清澤 俊英  溝口 三郎     森 八三一  千田  正     —————————————
  84. 森八三一

    ○森八三一君 この際、議題になっておりませんが、幸い大石政務次官、食糧庁長官、通商局長御出席でありますので、一、二問題をお伺いいたしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  85. 戸叶武

    委員長戸叶武君) どうぞ。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 それでは、まことに同僚各位には御迷惑でございますが、せっかく農林、通産主脳部の御出席をいただいておりますので、一、二お伺いいたしたいと思います。  その第一は、ちょうどこの今、可決いたしました安定法にも関連するのでありますが、すでに本年の三月六日でありましたか、農林大臣御出席の際に、ことしの澱粉の情勢等からいたしまして、三十年度予算及び三十一年度予算に盛り込まれておりまする予算だけでは、昨年の喜ぶべきイモの大増産のあとを受けての処置をいたしますためには十分でなかろうと思われる。そこでこの措置をどうおとりになるのかということをお伺いいたしたのであります。その際に、農林大臣は、きわめて明確に、農産物等買い入れ費を使用することによって、三十一年度に十分価格安定法に示す趣旨が達成せられるように、予算にかかわりなく措置をするということを明確に御答弁をいただきましたので、私も満足をし、安心をいたしておったわけであります。さらにその前に、食糧庁長官にお伺いいたしましたのは、そういうようなこと等も考えられましたので、ただいたずらに政府に依存をするだけではいけませんので、それぞれ関係団体の自主的な調整によって価格の維持をはかるというようなことを考えなければならぬと思う。その場合に、万が一の場合には、そのしっぽが政府に行く、こういうことになる、そのことを想定して大臣にはお伺いをし、長官には、そういうような前提に立ってそのしっぽのくることを考えますると、無制限というわけにはいかぬということになりますので、そこで調整数量については、自主的な保管の調整については、農林当局と関係団体とがよく手ち合せしてやっていくということで御了解を得たように私ははっきり記憶をいたしております。ところが幸いに、昭和三十年度予算と三十一年度予算によりまして、五月の初旬までの間にそれぞれの適切な措置が講ぜられましたので、おおむね市場における一般価格は、価格安定法によって政府が決定せられておりまする千六百二十円という価格におおむね近くなって参ったのであります。ところが最近民間の在庫が相当あるということは、これは事実でありますので、ことで買い入れがストップされますれば、再び価格の低落を招来するというようなことが考えられますし、事実、具体的にもそういうような気配を示しております。これは日々の価格を新聞紙等によってごらんなさいますればおわかりの通りであります。せっかく政府措置によって順調に進んで参りましたものが、ここで足ぶみをする、しかもそれが悪化していくというようなことは、あくまでも措置をしなければならぬと思う。そこで大臣言明の通りに、農産物等買い入れ費あるいは食管特別会計の予備費を使って措置をするという形にならなければならぬと思うのであります。その場合における、その措置対象となるべき数量は、これは予算がございませんので、政府の方で計画数量はない。だからこそ、そこでかねて政府と打ち合せて自主的調整をやった数量が、当然その対象にならなければならぬ、私はこうはっきり確信をするのでありますが、そういうように御処置をいただけるということは間違いないと思いますが、いかがでございましょうか。その点をはっきり一つ御答弁をいただきたい。
  87. 大石武一

    政府委員(大石武一君) お説の通りに、農林省では、この価格の安定を期するために、幾らでも買い入れるということを言明いたしまして、買い入れをいたしております。なお、このただいま申されました甘藷の澱粉がやはり約千万貫近くまだ残っているのでございます。これも十分に買い入れまして価格の安定をはかる決意でございます。
  88. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちょっと議事進行についてお伺いたしたい。皆さんの御熱意、それから各関係者の答弁も非常にけっこうでありますが、この際委員長に、皆さんの熱意を議院運営委員会に持ち込まなければ、ただいま私の聞きましたところによっては、なかなかきょうの十一時ごろまではいろいろな法案が山積いたしまして、今きまって持っていったのは、ややともすればあと回しというようなことになりやすいというのが、現段階の各派交渉における中間の報告でございまして、従ってきまった法案は、委員長が直ちにお持ち帰り下さいまして、議運にお臨み下さらなかったならば、せっかく委員会全会一致で通っても、廃案と同じような程度になってしまうという今運命にありますから、このことだけを、一つ委員長に善処方をお願いしたい、それだけです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  89. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま池田先輩の制注意は非常にごもっともなことなので、可決いたしましたものは、一つ早く議運の方へ持ち込んでいただきまして、これが廃案になりませんように、早急な手続を私も希望いたします。  そこで先刻の質問に戻りますが、予算に拘泥することなく、約一千万貫ぐらいという、まさにそうであろうと思います。その数量は買い入れ実施ということでありますが、その点は財務当局の関係が非常に密接なことなので、ただ農林省の方だけでそういうように非常に元気のいいお話を聞きましても、なかなか都合のいいようにいかぬという心配もあります。もちろんこれは政務次官がきっぱりと責任を持って御答弁になっておりますので、確信のあることとは思いますから、そんなよけいなことを申し上げる必要は毛頭ございませんが、どうも過去におきましては、そういう事例がなかったわけではありませんが、信頼する大石政務次官はそういうことは万々ないと私は十分了解しておりますが、その了解通りであるというように御進行いただきまするかどうか。もう一ぺん重ねて御迷惑でありますが……。
  90. 大石武一

    政府委員(大石武一君) 御信頼をいただきまして非常に恐縮に存じます。間違いなくやらせる方針でございます。なお、もしもっと御安心参りますように、一応食糧庁長官からもその数字に関して御説明を願いたいと思います。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 数字のことはかれこれお伺いいたしませんでも、その政務次官の責任のある包括的な答弁で私は十分満足でございますから、長官の御説明はもう要求いたしません。  その次にお伺いいたしたいのは、かねがね当委員会あるいはその前の水産委員会以来ずっと問題になって参りました韓国ノリの輸入の問題でありますが、このことにつきましては、先日当委員会の総意をもって、農林大臣並びに通産大臣にお申し入れをいたしました。その前に、通商局の方から、通商局としてこんなふうに施策をしたらどうかという試案のお示しを願ってあったのであります。その双方をかみ合せて当委員会が結論を出したわけでありますが、その結論に対しまして、さらに通商局は、当委員会の決定というものについては了承をする、そういう方針で進むということの書面回答をちょうだいいたしておりますので、その点につきましても、私どもはきわめて満足をいたしておるのであります。  ところがその中に、この国会で可決成立を見まする特定物資輸入臨時措置法の関係がございまして、通商当局の当委員会法案としてお出し下さいました案の中には、この臨時措置法の対象韓国ノリを置いたらどうかというような御意見があった。われわれは韓国ノリの輸入ということは、基本的に考えておるのではないのであります。日本の浅海漁業を振興しますることによって、需給の全きを期したい。そのためには農林省、水産庁の方で沿岸の零細なノリ業者の生産の育成進展に十分な力を注いでいただきたい。しこうして韓国産のノリというものは、漸次輸入を減退する、こういう方針を前提に持っておるわけであり、このことも通商当局に大体御了解を願っておるのであります。そういう感覚から申しますれば、今回制定実施を見るであろう臨時措置法の中にこういうものを取り入れる必要はないということからいたしまして、この通産当局のお考えになっておりました臨時措置法の対象に置くということについては、十分研究もしなければならぬことでありますので、直ちにこれを取り上ぐべきではないという回答を申し上げ、大体そういうように考えていこうという御意思であったように私は承知をいたしておるのでありますが、最近商工委員会等におきましても、これが問題になりまして、韓国ノリをこの臨時措置法の対象にしたらどうかというような意見もあったというようなことからいたしまして、通商当局ではそんなお気持が動いておるやの風聞を耳にするのでありますが、本件に関しまして通商当局はどうお考えになっておりますか。最近の情勢をお伺いいたします。
  92. 板垣修

    政府委員(板垣修君) 韓国ノリの輸入につきましては、当委員会の御要望に基きまして、措置を今進行中でございます。ただいま御指摘の特定物資輸入臨時措置法の指定物資にするかどうかの問題につきましては、私要務のために、当時この委員会に出席できないときに、この委員会では一部から御反対の声もあったように、当時次長から聞いておりますがその後あるいはそれ以前、私どもたとえば衆議院の農林委員会あるいは商工委員会あるいは与党、こういうようなところでは、むしろ差益徴収をすべしというような非常に強い御意見もございましたし、私どもといたしましては、大体そういうような御意見が強いものと見まして、差益徴収をしたらどうかというように考えております、現在でも。ただいま御指摘の点の今後ノリを漸減してゆくということと、それから特定物資に指定して差益徴収をするということとは、私は必ずしも矛盾はしないと思っております。と申しますのは、特定物資輸入臨時措置法三年の臨時立法でございますし、今後漸減いたして入れなくなりましたら、その指定物資からはずすわけでありますので、むしろこの際ある短期間やむを得ず入れるものは、むしろ差益徴収した方が若干でも国内業者との摩擦を除去することに役立つのじゃないか。実はこういう考えを持って、特に御異存がなければ、差益徴収をやったらどうかという方向で政府は進んでおる次第でございます。
  93. 森八三一

    ○森八三一君 当委員会が通商局側の御意向に対しまして、まだ時期ではない、十分研究する必要があるので、直ちに実施することは見合すべきであるというような意見を、これは一部ではなく、全会一致でそういうような決定をし、通商局に書面をもって申し入れをいたしており、通商当局も一応そのことを了解願ったというような回答に接しておるわけであります。  そこでそういうようなこれは衆参両院、お話にございますような意向がないわけではない。そういうような意向のあることも私は承知をいたしております。いたしておりますが、実際に自分の利益を把握するということは実際問題としてむずかしいこともございますし、かたがた輸入量というものも年々漸減をしてゆくということでありますれば、これを特定物資輸入臨時措置法の対象にのっけても、この法律のねらっておる趣旨を達成するというわけには、全然意味がないとは申しません。申しませんが、大した意味をなすものではない。しかもそれによってあるいは多少でも利益があるということからいたしまして、輸入を要求するというようなことがまた他の方面からは出てくる、そこにまた摩擦を生ずるというような憂いもないではございません、現実問題としては。でありますので、漸減をしていくということが大前提であれば、そういうような把握の非常に困難であるということ、さらにそれをめぐって漸減するということに多少でも支障を来たすようなことは厳に注意しなければならぬことであると思います。でございますので、そういうような御研究を願うことは、もちろん私どもはとやこう申すのではございませんが、ここにすみやかに実現するということにつきましては、十分の御考慮をいただきたい。さらに私ども申し入れました申し入れ文書には、そういう措置を講ずる場合に、当委員会におかけを願ってその了承を得た上で進行を願いたいということをはっきり明記をしてあります。そのことについて御了承を願っておるのですから、単独に政令でやればよろしいという措置はなさるはずはないと確信をいたしておりますが、そういうように理解しておっていいかどうか、その点をあわせてお伺いいたします。
  94. 板垣修

    政府委員(板垣修君) 当委員会の特定物資輸入臨時措置法に規定する問題、韓国ノリを指定する問題につきまして、ただいま私直接非常に強い御反対の意見であるということを初めて承知いたした次第であります。私といたしましては、御要望はわかっておりましたが、その後実は手続的には非公式でありましたが、何かこの委員会の一応の御了承を得たような話に聞きましたので、そういう方向で考えておったのでありまするが、もしこの委員会でやっぱり依然として反対の御意見であるということになりますれば、私どもとしては、再検討しなくちゃなりませんが、そういたしますと非常に問題が複雑になって参りまして、これは韓国ノリの輸入時期は非常に切迫しております。一方他の方面におきましては、むしろ特定物資に指定した方がいいという非常に強い意見もありますので、その方の意見の調整もしなくちゃなりませんので、その点だいぶ事務的に非常にそごを来たすんじゃないかと思います。御意見のほどは十分わかりました。
  95. 森八三一

    ○森八三一君 今当委員会の一部の意向であるというお話があって、私は一部でありません、全会一致をもって、全会派の意見として文書をもって申し入れた申し入れに対して、政府当局、通産当局は、その申し入れを了承したということに私は承知をいたしておりました。不幸にして、私も開催されました委員会に全部出席をしたわけではありませんので、私の欠席したときに、局長あるいは次長等からまた変った御意向の表明があったといたしますれば、私は遺憾ながら速記を十分に読んでおりませんので、私の聞き漏らしがあるかと思いまするが、他の委員の皆様のお話を聞きましても、そういうようなことはない。申し入れ通りで了承した、だから臨時措置適用する場合には、必ず当委員会に事前に協議をして、その了解を得た上でやるということは確認をされておると了解をいたしておりますが、そういうように局長は、あの回答をいただくときの局の意見としてはまとまっておらぬのでございますか。もしそういうようなまとまりなしにおっしやったとすれば、あの文書全体がおかしいということになるのです。
  96. 千田正

    千田正君 今の問題に関連して。それは何かというと、パイナップルやバナナというものは、日本の国内において生産するところのものではない。しかしノリという場合は、日本の国内の生産に対して非常に影響があるからということで、当委員会としては申し入れてある。パイナップルやバナナは、日本の国内においては生産しておらない。けれども、ノリの場合においては、零細漁民の大きな一つの財源であると、こういうことの建前から、われわれとしては、ただいま森委員から申し出でられたように、全会一致をもって、あなたの方の次長さんまでは、多分あなたは欠席して、おられなかったけれども、はっきりしておるわけです。その点は誤解のないように。十分それはその前に農林当局との打ち合せを十分して、あなたの方で決定するようにということをはっきりここで申し上げておったはずでございますので、その点十分御了承していただきたい。
  97. 板垣修

    政府委員(板垣修君) 今お話を伺いますと、私次長からの報告を多少誤解をしておるようであります。従いまして今御説明によりまして、御趣旨は非常にはっきりいたしましたので、一応白紙に戻しまして再検討いたすことにいたします。
  98. 青山正一

    ○青山正一君 今の問題は、たしか誤解をしているように見られます。それから水産庁に伺いたいと思いますが、こういった問題は、水産庁自体といたしまして、たとえばバナナとかパイナップルと違いまして、ノリの業者というものはやはり全国に十万人おります。家族を全部合せますと五十万人乃至七十万人の従業員がおる。そういうような建前のものに、たとえば漁村政策と、そういった零細な漁業者はどうして食ってゆくかということを考えていただかなければならないのですが、そういうふうな面から考えて、果してこの特定物資の中に入れていいものか悪いものか、その点一つ伺いたいと思います。
  99. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 水産庁といたしましては、ただいまお話通りに、ノリの生産者は数は非常に多うございまするし、また沿岸漁業者でございまするから、その経営の安定ということは特に留意をしていかなければならない、こう考えております。そういう意味から申しまして、ただいまお話のありましたような形では、量的な点、価格の点等において相当危惧がございますので、十分検討した上でないと、そういう措置をとるのは危険ではないか、こういう見解を持っております。
  100. 重政庸徳

    重政庸徳君 有益鳥獣の保護増殖及び狩猟の適正化等に関する特別措置法案ですが、これはけさほど本委員会で一事不再議ということにきまったんですが、これについて恐縮ですが、ちょっとこの問題で御懇談いたしたいので速記をとめていただきたい。
  101. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  102. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは速記をつけて下さい。  日韓漁業問題の件を議題にいたします。この件につきましては、かねて当委員会において格別の関心が表われ、たびたび委員会議題となったのでありますが、委員各位の御要求もあり、本日重ねて議題とし、その後の経過について政府当局から説明を求めることにいたします。なおこの件について、政府からの出席は、ただいま水産庁長官塩見友之助君、大石農林政務次官であります。
  103. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私帰任して北洋関係の方の仕事で引っぱられておりまして、今数字を持っておりませんが、日韓漁業の問題につきましては、昨年以来の経過もございまするし、一月以降の乗組員等の留守家族の援護につきましては、昨年同様の措置をとる、こういう方針で大蔵省と折衝中でございます。
  104. 千田正

    千田正君 今水産庁長官お話によるというと、北洋問題という重大な問題に直面しておったから、その点については昨年同様というような程度にしか考えておられないというようなお答えでありますが、私どもから言いますというと、日韓問題は、これは非常に長い期間にわたって問題になっており、しかもその間抑留されておるところの日本の漁夫の数も多数であります。これは日ソ間の条約あるいは平和条約の交渉と同じような重要さを持っておる、あるいは場合によっては日ソ交渉よりも先決にしなければならぬ問題ではないか、こういうふうにわれわれは考えるのです。そこで、きょうは大臣がお見えにならぬから、大臣を追及するわけにはいかぬけれども、もしも大臣がおられるとするならば、私は大臣にこれをただしたい。大臣がお見えにならぬから塩見長官からお答えを願いたいと思います。日ソ交渉に際して、河野農林大臣以下長官あるいは外務省の権威者等がそろってソ連に行かれていろいろ交渉されてきたその経過は後ほど伺いますが、しかしこの日ソ問題と同様に日韓問題は重大な問題である。それであるならば同じように河野農林大臣なり、あるいは水産庁長官が京城に乗り込んで行って——京城じゃありません、今の韓国政府の李承晩なら李承晩大統領に面接して、この問題を解決するだけの熱情を持たなければ、この問題は解決しない。しかるにただいまのお答えを伺うというと、北洋漁業の問題が重大であったからのごとく考えられて、日韓問題は従来の通りしか事が進んでおらない。こういうことであっては私は、はなはだこの点は遺憾であると思うのであります。きのう、きょうと、あるいは去年からずっと引き続いて、この漁民の留守家族の人たちがどのような血の叫びをあげておるかということは、私が申し上げるまでもなく長官はよく御承知のことと思いまするが、この問題に対して、何ら進展しておらないということは、私は日ソ交渉と同じような、あるいはそれよりも緊切な問題として真剣に取り上げて、この問題の解決をはからなければならないということであると私は考えるのでありますが、この点に対して、一体今まで通りだというようなことであってはとうてい解決の見込みはない。何かそこにあなた方の真剣さが欠けておるのじゃないかというふうにわれわれは考えられますが、この点において、もう少しはっきりした態度をとっていただきたいと思いますが、所信のほどを承わっておきたいと思います。
  105. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私が先ほど経過を御報告しましたのは、水産庁の所管の事項としての乗組員の留守家族の援護の問題についてだけでございます。今お尋ねのありましたところの基本的な大きい問題につきましては、千田委員の御質問の通りに、私らもこれは長い懸案でございまするし、政府としてできるだけのその措置をすべきだと、こう存じております。  ただ、その問題につきましては、日韓交渉自体が漁業以外にも多々問題がございまして、その取り上げ方等につきましては、水産庁限りでは方針はきめにくいわけでございまして、最も大きい問題としては、農林大臣なり、あるいは外務大臣からお聞き願わないと、ちょっと私の段階ではお答えしにくいと思います。しかしながら御質問の趣旨は、私らも全然同感でございまして、できるだけ早く解決に向わなければならない、こう考えております。
  106. 千田正

    千田正君 今の長官のお話しであなたの御趣旨はわかりましたが、北洋漁業にしたって、やはり同じように水産庁自体だけでは解決する問題ではない。そこで大臣みずからが飛び出していくとか、あるいは外務省の総力をあげた——日韓問題もこれは当然水産庁だけで決する問題ではありませんけれども、あなた方の熱意が大臣を動かし、あるいは外務省を動かし、そしてまたその結集した総力が、あなた方が韓国に渡ることによって、あるいは同じような打開の道が出てくるかもしれない。それだけの熱意を今後持って、農林当局も総力をあげ、あるいは外務当局も総力をあげ、政府としての誠意を示すべきが当然であると私は思いますが、特に私は塩見長官に、この問題の解決は決して等閑に付すべき問題じゃない。同時に北洋問題と並行してこの問題は解決いただきたいということを強く要望いたします。
  107. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この問題につきまして、最近関係の留守家族が二百余人上京して参りました。そうして各関係省、水産庁であるとか、あるいは外務省、法務省等を歴訪しまして陳情いたしたことは御承知であると存じます。その陳情した留守家族の方々がわれわれに訴えますところは、各関係省に行きますというと、水産庁に行くとこれはどうも外務省と法務省の関係であって、自分たちではどうともならぬのだというようなお話しだ。外務省に行くと、これは法務省との関係があって法務省が頑張っているからわれわれではどうにもならぬということ。法務省に行くと、これは外務省との話がついておらぬ。どこへつかまっていったらいいかさっぱりわからぬと言って、非常な憤慨をしておったのであります。そこで私は水産庁といたしまして、あるいは農林省といたしましては、事、漁業に関する問題でありと、漁民、漁船に関する問題であります以上、関係省が三つであろうと四つであろうと、その総合的な経過はつかんでいなければならない問題である。現段階においてどういう情勢にあるということぐらいはつかんでおって、それを陳情して、ああいうふうにきわめて生活に困窮しておる人たちが資金カンパをやって、はるばる子供を連れて出てきた。これらの人にすげないあいさつをするということは、私はもってのほかだと思う。少くとも外務省あるいは法務省は、自分の所管内の問題だけをやっておりますけれども、これの一番関係の深い問題は、私は官庁は農林省じゃないか。従って農林省といたしましては、しかもその水産庁といたしましては、今までの経過についてことごとく知っていなければならぬ。法務省との関係がどうなっているか、あるいは外務省との関係がどうなっているか、これが行き詰まっておるというようなことは、国内の問題でありますから、十分承知しておって、そういうものには親切に答えをしてやるべきであったと私は考える。私はその場に立ち会っておりませんから、果して留守家族が陳情をした場合に、そういう態度であつたかどうか存じませんけれども、私どもに泣いて訴えたところは、どこに行っても取りつく島がなかったのだと言って、私どもは非常にお気の毒に思ったのであります、で、われわれといたしましては、大体今日まで抑留者の返還問題につきましては、大村に収容しております韓国人の問題とからみ合っておるということを承知いたしておりますが、それぐらいのことは水産庁でもよく御承知であろうと思うし、その経過ぐらいはよくおわかりになっておるのであるから、そういうことはよく説明していただきたかったと私は考える。そこでまあ今日、韓国における政治情勢も、大統領選挙以来多少変っておるやにわれわれも承知しております。さらにまた最近アメリカの国務次官補のシーボルト氏が韓国に渡って、この問題について李承晩と話し合いをする、李承晩であるかあるいはだれであるか、とにかく韓国の要路の人と話し合いをして、日韓会談を促進し、日韓の問題を円滑に進めるかのような話をするかのように新聞に現われておりますが、そういうことにつきましても、水産庁としては何かキャッチしておるところがあるのじゃないか、その後の情勢等につきまして、これは外務省の所管であろうと思いますけれども、これは絶えず私は水産庁においてそういう面において注意をし、外務省と折衝をし、連絡をとって知っておるべきものであろうと、こう考えます。この点について、最近の情勢を伺いたい。
  108. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 全くのところを申しますると、まだ外務省の方と直接、その李承晩大統領の韓国における選挙直後の動きというふうなものについて、的確な意見を聴取しておりません。それはおっしゃる通りにわれわれの方としては、不勉強であるかもわかりませんが、今のところはここで即答できるような話し合いはいたしておりません。
  109. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今お話し合いができていないのでおわかりにならないということなら、ここでしいてお尋ねしてもわからないのでありますが、私が今申し上げましたような情勢にあるということは御承知であろうと思います。従いましてさっそくにも連絡をとって、すべて最近の情勢はキャッチしておいていただきたい。そうして打つ手は打つようにしないと、投げやりで、外務省と法務省と、あるいは農林省とお互いに投げやっていたらいつまでたっても解決する問題ではございません。そこで水産庁は自分の主管問題だというふうに考えられて、漁民のために一つはだを脱いで努力していただきたいということを要請しておきます。
  110. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  111. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。
  112. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいま問題となって参りましたこの韓国の抑留船員、韓国に抑留されておりまする漁船、船員等の送還に際しまして、しばしば当委員会におき、あるいは本院の決議といたしまして政府を鞭撻して参りましたが、いまだ解決を見ておりません。従いまして最近にも留守家族が大挙陳情して衷情を訴えたような実情もございますので、この際、いま一度この問題について政府に申し入れをいたしたいと存じます。その決議案といたしまして今朗読いたします。    韓国抑留漁船船員送還等に関する決議(案)   本件に関しては既に政府に対し申入れを行い、その善処が求められているにかかわらず、未だ解決をみるに至っていないことは甚だ遺憾である。   宜しく政府は舷に努力を新たにして速やかに左需事項の実現を図るべきである。     記  一、日韓間の漁業問題の根本的解決と公海における漁業の安全操業  二、抑留船員及び漁船の即時送還  三、抑留船員の留守家族に対する充分な援護   右決議する    昭和三十一年六月三日       参議院農林水産委員会  決議文の送付先は、総理大臣、外務大臣、農林大臣、大蔵大臣、運輸大臣、法務大臣、これらの各大臣にあてて申し入れをいたしたいと存じます。内容はもうおわかりでございましょうから、どうか一つ御賛成をいただきたいと思います。
  113. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 以上の秋山委員の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないものと認め、右の決議は決定いたしました。  なお右の決議に対して、政府当局の御意見を伺います。
  115. 大石武一

    政府委員(大石武一君) ただいまの御決議の趣旨は、まことにごもっともでございます。私どももこの趣旨を十分に体しまして、この御決議の実現を一日も早くはかる決意でございます。  なお、これは農林省の決意でございますが、それは政府全体の決意と同じであろうと私は考える次第でございます。
  116. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  117. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  日ソ漁業交渉に関する件を議題にいたします。この件につきまして、去る五月十七日の本委員会議題となり、外務省高橋参事官、岡井水産庁次長から一応の説明を聞き、さらに先に帰朝せられた塩見水産庁長官から報告を聞く予定になって今日に至っておりますが、本日は重ねてこれを議題とし、水産庁長官から報告を伺うことにいたします。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  118. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  直ちに御質疑をお願いいたします。
  119. 千田正

    千田正君 長官には非常に御苦労様でございました。これはわれわれとしましても、重大な問題でありましたので、お帰りを待っていろいろ詳しく伺いたいのでありまするが、すでに新聞紙上等によって発表された程度しか今の場合御報告ができないと、こういうことでありまするので、われわれは常に関心を持って新聞なりラヂオなりを十分聴取しているので、これは大体の様子はわかりますが、ここに一点、現実に起きておる問題に対してだけお尋ねしたいと思います。それはあなた方が帰ってこられてから後、この北洋地区において操業中の漁船が拿捕されておるという点でありますが、これに対して、これからもあるいは拿捕されるかもしれない、この点については、何か善処する方法を厳密にお考えになっておるかどうか。すでに一週間前あるいは二週間前に拿捕されておるところの漁船の漁夫に対しても釈放もないようでありますが、これは現在、北洋地区の海域において操業しておるところの漁夫の留守家族が非常に心配しておる。次はわれわれの夫が押えられるのじゃないかと、あるいは次はわれわれの所有船が拿捕されるのじゃないかと非常に心配しておりますので、現実に起きておるところのこの問題に対しては、どういうような対処方針によって進んでいかれるか、この点だけ一点伺っておきたいと思います。
  120. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) ただいままでの拿捕は、四月中に行方不明の船が一件と、それから五月になりましてから拿捕二件、それから臨検一件となっておりまして、六月になりましてからは、昨日までのでは拿捕が二件、行方不明一件と、こういうふうな形になっております。で、これらの問題につきましては、日本側の船に対しましては、政府として、ソ連の閣僚会議の決定の線の中にはソ連の了解がつくまでの間入らないというふうなことを指示しておりまするが、線内に入った、あるいは線内近くというふうな点で、場所につきましては、問題のあるような所での拿捕、臨検等が行われておるようでございます。で、これらについてはまず第一に、ソ連側との話し合いがつくまでの間は、これは先般参りました交渉の経緯にかんがみまして、入らないことでございまして、できるだけ早くその線内に入れるように交渉をしたいというふうなことが第一点でございます。それまでの間は、日本の漁船につきましては、線内に入らないようにというようなことを何回か指示しておりまするが、今後とも強くその指示を守ってもらうように連絡をいたしつつあります。  それから拿捕されたものにつきましての返還の問題でございまするが、これについては、国際間の交渉によって打開するべきでありまするが、その交渉の場所としましては、私としての考え方としましては、外務省の事務当局に申しておりまするのは、これはやはり今般東京に漁業関係の方の事務を処理するために派遣されて、もうすでに赴任しておらるるところのチフヴィンスキー氏の相手として、それで交渉するのが最も早い、ロンドン等において行うというのは、時間的にも現実的にも非常に困難であろう、こういうふうに考えておりまするが、それらの問題についての交渉のルート等につきましては、外務省において至急検討してもらって、ソ連の方とも交渉のルートをはっきりしてもらうように私の方からは要求をしておる、こういう状態でございます。それにしましてもそういうふうな交渉のルートと、それから東京におけるチフヴィンスキー氏との交渉のやり方等についてのはっきりとした方針がきまってからでないと具体化はしにくい、こういう状態にございます。
  121. 千田正

    千田正君 今のお話によるというと、なかなか交渉の機会をつかめなければ、この問題の解決ができないようでありますし、私は二点だけただしておきたい。ということは、現在拿捕された船からの打電、あるいはそれを目撃した船からの打電によるというと、いわゆる指定された線以外において漁撈しておったのにもかかわらず、それを拿捕されておる。これが一つの問題であるということ。もう一つは、いわゆる七月になるか、あるいは八月になるか知らぬが、いずれ日ソ交渉というものが基本的な問題として取り上げられて、両国間において会議が開始される。それまではこの問題が解決できないとするならば、その間におけるところのこうした押えられた漁船及びその漁夫の留守家族等に対する何らかの方途を水産庁は講じなければならないと思いますが、その点に対して、水産庁当局としては何らかの方針をとっておられるかどうか。この点を伺っておきたいと思います。見通しとしましては、結局、それならば日ソ交渉が再開されない限りにおいてはこの問題は解決しないと、こういう観点に立たれておるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  122. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 日ソ交渉、日ソの基本的な国交調整というふうなものが全部済まなくても、この問題については交渉はできると考えております。それから現在までの拿捕されておるものが、線内か線外かの問題でございますが、線内のものもございます。それから線外であることをまあ漁船の方が言ってきておるけれども、その点はソ連側の方の資料等も十分照らし合せてみませんと、確定的なところは申し上げられないような近い地点のものもございます。それらはいずれにせよ、そういう問題についての交渉ができるような形にならなければいけない、こう思いますが、そのできるということは、必ずしも日ソ国交回復についての交渉が持たれなくても、その前でもできる。できるだけ早くそういうふうな交渉を持つようにすべきだ、この考えて、外務省の方には連絡をしておる最中でございます。
  123. 千田正

    千田正君 それは近い将来にできるという見通しのもとにやっておられるだろうと思いますが、もしできないということになるというと、これは非常な問題になってくるのであって、できるだけ早くこの問題を解決してもらいたい。同時にそれに対する漁民なり、漁業者に対して、十分あなた方の誠意を反映するような方策をとってもらわぬというと、またこれは問題が紛糾すると思いますので、水産庁としては、万全の策を講じてもらいたい、この点は強く要望しておきます。
  124. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 御要望の線に沿って極力努力いたします。ただこの交渉のルートだけははっきり申し上げておきまするが、韓国の問題、あるいは中共の問題等にもございまするように、外務省が主管するというふうな形にあるので、私の方としては、極力外務省の方にこの問題の早期解決の方法等について申し入れを行なっております。
  125. 戸叶武

    委員長戸叶武君) この件につきましては、本日はこの程度にいたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  126. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。  それではしばらく休憩いたします。    午後六時六分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕