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1956-04-17 第24回国会 参議院 農林水産委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十七日(火曜日)    午後一時三十八分開会     —————————————   委員の異動 四月十四日委員佐藤清一郎君及び高橋 進太郎辞任につき、石村幸作君及び 雨森常夫君を議長において指名した。 四月十六日委員植竹春彦辞任につ き、その補欠として横川信夫君を議長 において指名した。 本日委員石村幸作辞任につき、その 補欠として佐藤清一郎君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            青山 正一君            重政 庸徳君            戸叶  武君    委員            佐藤清一郎君            関根 久藏君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 孝平君            三橋八次郎君            溝口 三郎君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林政務次官  大石 武一君    農林大臣官房予    算課長     昌谷  孝君    農林省農林経済    局長      安田善一郎君    農林省畜産局長 渡部 伍良君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省経済局次    長       西山  昭君    農林大臣官房企    画室長     松岡  亮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○飼料品質改善に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議  院送付) ○農業委員会等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣送付予備審  査) ○森林開発公団法案内閣提出衆議  院送付) ○農林水産政策に関する調査の件  (北洋漁業問題に関する件)     —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず委員変更について御報告いたします。去る四月十四日佐藤清一郎君及び高橋進太郎君が辞任され、石村幸作君及び雨森常夫君が選任され、昨日植竹春彦君が辞任され横川信夫君が選任され、本日石村幸作君が辞任され、佐藤清一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 飼料品質改善に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題にいたします。  ちょっと懇談をしますから、速記をとめて下さい。   〔速記中止
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。……別に御意見もないようですから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれから採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  なお、本案を可となされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     青山 正一  重政 庸徳     戸叶  武  佐藤清一郎     関根 久藏  宮本 邦彦     横川 信夫  河合 義一     清澤 俊英  三橋八次郎     溝口 三郎  千田  正     —————————————
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案議題に供します。  本法律案は去る四月十二日、内閣から閣法第百六十三号をもって予備審査のため送付、翌十三日当委員会予備付託となったものであります。まず提案理由説明を聞くことにいたします。
  9. 大石武一

    政府委員大石武一君) ただいま上程されました農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  農業委員会は、御承知の通り昭和二十六年農業委員会法の制定によって、従来の農地委員会農業調整委員会農業改良委員会の三者につきそれらの職能を総合整備するため、一委員会として統合し、原則として地方自治体地域ごと当該地方自治体機関である農業に関する行政委員会として設置せられたものであります。しかして同委員会は、農業生産力の発展及び農業経営合理化をはかり、農民の地位の向上に寄与するため、農民意思希望を反映し得るよう農民選挙による委員及び学識経験者たる委員をもって構成され、その職務は、農地食糧等関係法令に基く所定の事項農業に関する総合計画樹立及び実施に関する建議答申に関する事項等を処理することとせられたのであります。  かつ、また、農業委員会は、当初市町村及び都道府県設置されたのでありますが、二十九年の改正によりまして都道府県農業委員会はこれが廃止せられ、新たに法人として都道府県農業会議及び全国農業会議所が設けられることになりました。しかしながら市町村農業委員会につきましては、委員構成等について若干の変更があったほかはおおむね従前と同様の性格職務をもって今日に至っているのであります。  当初においては市町村農業委員会は、原則として一市町村委員会の割合で全国市町村数に準じて約一万一千設置されていたのでありますが、その後全国的に町村合併が急速に実施せられてきたのに対し、農業委員会については、現行法のもとではこれによる組織その他の実情から、直ちに画一的に合併市町村に一委員会原則を貫くことについては、事態の推移について慎重な考慮を必要とする状況にありましたため、本年三月一日では、市町村数四千七百七十六に対し、委員会数は八千二十六となっている状況にありまして、一市町村委員会原則からははなはだしい懸隔を生じている実情にあるのであります。  しかしながら町村合併の現情にかんがみ、農業委員会が本来市町村行政機関である性格とその職務遂行からして、農業委員会市町村内一体として強力なものであることが望ましく、これによって合併市町村ごと行政庁農民意思希望を強力に反映して、域内農業に関する施策を統一的かつ実効的に浸透するため原則として合併市町村ごとに一個の農業委員会設置することが適切であり、急速にこれを実現することが必要となったと考えられるのであります。  しかるに今日町村合併の現情について見まするに、合併後の市町村規模は、一般に著しく拡大し、かつその域内産業等態様にかなりの変化を来たしておりますので、農業委員会農民その他関係団体等との結びつきを密接にいたしまして、あわせて農業地域性及び特殊性に応じて農民及び農業の利害を公正に反映できるように、現行農業委員会組織改正を行う必要があるのであります。  さらにまた、わが国農業の動向と農業委員会設置及び運営の経緯に照らし、その目的を一そう十分に達成せしめるためには、農業委員会各種行政機関及び農業団体等と力を合せて農業施策を一層充実させ、またその浸透の徹底を果し得るよう、その所掌事務を必要かつ適正に拡充することが緊要であると考えられるのであります。  農業委員会について右の改正をいたしますとともに、この際都道府県農業会議組織及び業務の上において農業委員会との連絡及び協力を緊密にする所要改正を行い、全国農業会議所とともにその機能を十全に発揮し得るようにいたしたのであります。しかして右の機関及び団体は、農業協同組合農業共済組合等農業団体と協調して、おのおのその職分に応じて農業農民のためそれぞれの機能を発揮することを期待しているのであります。以上の趣旨にのっとりまして、今般農業委員会等に関する法律の一部改正を行うこととした次第であります。以下その内容の主要な点について概略説明申し上げます。  第一は、農業委員会原則として合併後の市町村地域に合せて設置することとし、その職能の円滑な遂行をはかるため必要な統合を進めることに関する規定を整備したことであります。前に述べましたところにより、合併市町村において農業委員会職能を極力円滑に発揮するためにはなるべく一市町村委員会統合することが望ましいと考えられるのでありますが、現行法においては農業委員会統合を進めて行くためこれに関する所要規定が不備でありますので、これを整備いたしたのであります。  第二は、農業委員会組織についての改正であります。すなわち、現行法においては、農業委員会委員のうちその根幹となるべき選挙による委員農業委員会の全区域単位として公職選挙法を準用した選挙により十人ないし十五人選出されることとなっております。しかるに先に申し上げました通り市町村地域拡大とこれに伴う態様変化に関連しまして、農業委員会組織従前のままでは適切でなくなりましたので、今回これを改め、この種の委員は、おおむねいわゆる部落基準とした単位区域ごとに選出されることといたしたのであります。しかして現行公職選挙法を多勢の右の単位区域に適用いたしますことは、必ずしもわが国農村実情に即さず、またいたずらに多額の経費が必要となりますので、改正法案においては、市町村条例の定めるところによりおおむね部落基準とする単位区域ごとに、その地域内に住所を有する農民委員となるべ農民推薦し、その推薦された者につき市町村長委員として選任するという方法にいたしたのであります。また現行法農業委員会は、選挙によらない委員について、市町村長が五人以内を限りいわゆる総合農業協同組合または農業共済組合から推薦されたその理事及び市町村議会から推薦された学識経験者の中から委員として選任しているのでありますが、この改正法案においては農業委員会にいわゆる総合農業協同組合及び農業共済組合代表者を網羅的に委員として加えるため、これらの団体推薦したその理事組合ごとに必ず一人ずつ市町村長委員に選任し、さらにまた組織の万全を期しまして、従来の制度を踏襲し、市町村議会推薦した学識経験者をも五人以内においてこれまた市町村長委員に選任する制度といたしております。  右の結果によりまして、一農業委員会当り委員の数は現在に比し相当増加することとなりますので、農業委員会運営実情に即し適切にするために新に常任委員制度を設けることといたしました。すなわち常任委員は、農民推薦による委員互選による者が十人ないし十五人とし、その三分の一以内の人数において条例の定めるところにより、それぞれ農業団体推薦による委員互選による者及び学識経験委員互選による者をもつてこれに充てることといたしております。この常任委員設置に伴い、農業委員会におきましては、行政庁諮問に対する答申農業及び農村に関する振興計画事務についての基本方針の決定、並びに会長の選任及び解任の三事項については、全委員会議で議決し、その他の事項常任委員会議で議決することとしたのであります。  第三は、農業委員会所掌事務について改正を行なったことであります。現行法における農業委員会所掌事務は、農地法土地改良法その他の法令によりその権限に属させられた事項を初めとし、農地法等利用関係及び交換分合あっせん等に関する事務を行い、さらにまた農地農業技術農畜産物の処理、農業経営合理化及び農民生活改善等にかかる総合計画樹立及び実施について、市町村長建議し、その諮問に応じて答申することとなっているのでありますが、改正法案では、前述いたしました趣旨により、農業委員会職能を必要かつ適切に拡充することといたしております。なお、当然のことでありますが、その際市町村長及び他の執行機関権限に基いて行う職分との調整に配意し、また各種農業団体との間には適切な協力連絡を保つことを本旨といたしております。すなわち、その所掌する事務としましては、農地法土地改良法その他の法令に基き権限として行う事務は従来の通りとするほか、農地等利用関係及び交換分合あっせんに関する事務と、農業及び農村に関する振興計画樹立及び実施推進に関する事務のほか、農業技術改良、農作物の病虫害の防除、その他農業生産の増進、農業経営合理化及び農民生活改善をはかるために必要な事業推進に関する事務を行い、農業及び農民に関する事項についての調査研究啓蒙宣伝を行い、さらに農業及び農民に関する事項について意見を公表し、行政庁建議し、その諮問に対し答申を行うことができることとしたのであります。  第四は、都道府県農業会議組織に関する改正であります。同農業会議は、本改正法案におきましても従来と同様の性格を有する法人といたしておりますが、その会議員につきましては、現行法では当該都道府県区域をおおむね郡別に十から十五に分けて、その区域ごと都道府県知事の招集する代表者会議互選された農業委員会委員または農業協同組合もしくは農業共済組合理事一人ずつとして、その合計十人ないし十五人のほか、農業協同組合中央会農業共済組合連合会省令で定める農業協同組合及び同連合会省令で定める農業団体等推薦する者及び学識経験者会長の指名する者をもって、構成されることとなっております。  本改正法案におきましては、先に述べました通り農業会議農業委員会連絡協力の度を増す趣旨に従いまして、各農業委員会会長は、すべて同農業会議会議員となることとし、その他の会議員現行通りといたしております。その結果、会議員の数が大幅に増加いたしますので、都道府県農業会議の運用を考慮いたしまして、新たに常任会議員制度を設けることといたしました。すなわち、農業委員会会長として会議員となった者の互選により、おおむね十人ないし十五人が常任会議員となり、その他の会議員は、互選によらずそのまま常任会議員に就任し、両者合せておおむね二十人ないし三十人で構成することといたしているのであります。  しこうして都道府県農業会議業務に関する議決につきましては、少くとも農地法その他の法令によりその所掌に属させられた事項と、農業及び農民に関する意見の公表及び行政庁に対する建議についてもっぱら常任会議員会議で議決することといたしました。  最後に、この法律の施行についてでありますが、現在の農業委員会統合を進める道を開き、本改正法案による方法により委員を選任するために、市町村において所要準備を完了せしめる期間を予定し、さらに農繁期等の事情を考慮しまして、原則として明年一月一日より施行することとし、委員の各部落等単位区域からの推薦は、本年十二月中に行わせることとしたのであります。  以上が本法律案提案理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  11. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて下さい。本法律案審査は、日をあらためて行うことにいたします。     —————————————
  12. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 森林開発公団法案議題にいたします。  本法律案につきましては、前回委員会において、本法律案審査の前提である本法律案による事業計画資金計画及び事業効果、並びに法律案内容等について、林野庁当局から補足説明を聞いたのでありますが、本日はその際申し上げおきましたように、本事業資金源に関連し、かつまたかねて外務委員会に申し入れてあります「農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件」に関する連合審査準備のためもありまして、今回の米国余剰農産物協定わが国におけるその受け入れ計画及びこれが見返り円使用計画等について、それぞれの当局から説明を聞くことにいたします。  なおただいま政府からの出席者は次の通りであります。出席者農林大臣官房予算課長昌谷孝君、林野庁指導計画課長山崎斉君、外務省経済局次長西山昭君、大蔵省理財局資金課長堀口定義君、林野庁長官石谷憲男君同じく林政部長奥原日出男君、なお農林大臣官房企画室長松岡亮君が御出席であります。企画室長松岡亮君。
  13. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 第二回の余剰農産物協定経過について概略を御説明申し上げます。  今回の協定は昨年八月から九月にかけまして、河野農林大臣が渡米されました際に、大体の交渉をせられまして、お手元にお配りいたしておりますような品目と金額につきまして、大体の話し合いを終えたのでございます。その後昨年九月末に河野農林大臣があちらで申し合せを済まされた点につきまして、仮調印を現地におきましていたしまして、さらに本年の二月にやはりワシントンにおきまして正式調印を終えたのでございます。正式調印までに若干の手間をとりましたのは、第一回の協定以来問題になっておりました贈与関係の物資の取扱いにつきまして、行政的な打ち合せを続けておりましたために、その後におけるグラントに関する申し合せを妥結するに至らなかったからであります。本年の二月になりまして、正式調印を終り、さらに二月の末にその協定につきまして、御承認を受けるために国会に提出された次第であります。  内容について申し上げますと、大体第一回の協定協定条項は同様でございまするが、品目において幾らかの違いがあります。まず第一回において協定に入っておりました米が今回は入っていないということが第一点であります。それからトウモロコシその他の飼料は第一回にはなかったのでございまするが、今回の協定には入っております。そのほかにつきましては、大体品目前回と同様でございます。  次にこれらの農産物を買い入れることによりまして、国内において積み立てられまするところの見返り円使用でございますが、これは前回は七〇%が日本側使用となっておったのでございます。今回の協定におきましては、七五%までが日本側使用、あとの二五%は米側使用ということにきまったのでございます。その日本側において使用いたしまするところの見返り円の内訳につきましては、まだ細目は決定する段階に至っておりませんが、おおむね大項目につきましては、お手元に配付してございまするところの資料に掲記してございます通りでございます。なおそれに関連いたしまして、農林関係の貸付及びその対象の計画もお手元にお配りしました表によってごらんを願いたいと存じます。  大体におきまして、前回協定のやり方を踏襲いたしまして、品目に若干の相違がありますのと、見返り円使用使方において日本側に、第一回協定よりも有利になりました。それから日本側方針といたしましては、農林水産関係見返り円使用を増額したということが、今回の協定が第一回の協定比較しまして、特徴となるべき事項かと、かように考える次第でございます。  簡単でございますが、ただいままでの経過を申し上げました。
  14. 千田正

    千田正君 ちょっとお尋ねしますが、この海上輸送費ですね、これはこの輸送船日本船舶を使うのですか、アメリカ船舶を使うのですか、今度の場合には。
  15. 松岡亮

    説明員松岡亮君) これは前回も今回も同様でございますが、輸送するものの半分はアメリカ船で運ぶという協定になっておるのでございます。これはアメリカ商船法規定がまだ改正になりませんので、第一回協定通りに五〇%は米側商船を使う、こういうことになっております。
  16. 千田正

    千田正君 それからこの保険料はどうですか。やはり保険料アメリカ保険会社保険はつけているのですか。日本保険会社につけているのですか。
  17. 西山昭

    説明員西山昭君) 保険は自由になっておりまして、従いまして、必ずしもアメリカ保険会社につける必要はないわけでございます。
  18. 千田正

    千田正君 アメリカ船舶で輸送した場合の運賃と、それからアメリカ保険会社保険契約した場合の保険料等に対するところの比較については、大体ある程度差があると思います。どれだけの差がありますか。
  19. 西山昭

    説明員西山昭君) 運賃につきましては、太平洋におきましては、特にアメリカトランパー比較的入手しにくいのでございまして、トランパーにつきましては相当運賃開きがあるように了解しております。実際の数字をただいまチェックしておりますが、数字開きにつきましては、通常フレートに、運賃差額アメリカ政府日本にリファンドすることに相なっておりますので、日本の直接の負担と相ならないようになっております。運賃比較につきましては、最近の数字におきましては、小麦につきましては、日本船が十三ドルに対しまして米船では十六ドル、それから大麦につきましては、日本船が十二ドル半に対しまして米船が十五ドル半、それから綿花につきましては、これはコンファランスがありますので、いずれもフレートは同じでございます。たばこにつきましても同様でございます。
  20. 千田正

    千田正君 十三ドルと十六ドル、三ドルの差があるということは、相当価格に対しても影響すると思いますがね。これは今後折衝してもどうにもならぬのですか。たとえばほんとからいくというと、日本船七〇%……われわれの要求としましては、むしろ日本船で積んできて、そして日本の船で持ってきた方が安く上って国内におけるところの処置も比較——国内におけるその他の水産物との影響を考えた場合は、かえって日本船で持ってきて日本船の収入をある程度考えながらやった方が日本の国策上非常にいいと思うのですが、そういう折衝はもちろんやられたと思いますけれども、今後そういう点において打開されるような方向があるかどうか、方針があるかどうか、この点はどういうふうにお考えでありますか。
  21. 西山昭

    説明員西山昭君) 米船五〇%の条項を撤廃をわれわれとしましては当初より要求したわけでございますが、遺憾ながらアメリカ関係でこれはできなかった。従いまして日本側としましては、あくまでも通常競争価格農産物購入する建前を貫いておりますので、船賃関係で割高なものを購入するわけには参らないのでございます。そこでアメリカ政府としましては、米船を使います場合に差額の、米船を使いますために生じまする船賃の割高な分につきましては、日本側にその分だけを払い戻すと、こういう形になっておりますので、ただいま御指摘のような国内の物価に影響する、ないしは日本側が割高なものを強制的に買わされるという結果には相なっておらない次第でございます。
  22. 溝口三郎

    溝口三郎君 お伺いしたいのですが、贈与の分について今後三カ年の取りきめをいたしましたが、贈与だけを将来きめて、それで購入なり借款のようなものについては今までこの問題についてお話があったのかないのか。その経過を御説明願いたいと思います。
  23. 西山昭

    説明員西山昭君) 農産物を買い付けます分は一年ごとの取りきめをいたしておるわけでございます。贈与の分につきまして特に三カ年の取りきめをいたしましたのは、アメリカ政府政策といたしましては、日本学校給食用として受け入れます農産物小麦及び脱脂紛乳の、学校給食拡大に利用いたします学校給食計画というものの規模に関心を持っておるわけでございまして、円で買い付けいたしまする購入の場合と異なりまして、若干長期的な計画というものを話の基礎として本件が成立したわけでございます。従いまして、これは贈与の分に関しますものだけでありまして、購入の分につきましては一年限りのものでございまして、二年ないし三年という計画は何らアメリカ側と話をいたしておりません。
  24. 溝口三郎

    溝口三郎君 第一次の借款の場合は八千五百万ドルに対して千五百万ドル贈与があった。今度の取りきめでは毎年四分の一ずつ低下してゆく、将来三カ年まで取りきめがあるのでありますが、借款については何ら今取りきめがないと、もし将来借款をする場合には、漸次贈与の分が少くなってくると、それだけ借款するについて条件が不利になってくるように考えるのでございますが、借款については全然考慮がないのでございますか。ただそれについて私疑問にするのは、森林開発公団の内容説明を伺いましたが、本年十億円を借り入れする、今後二カ年分は余剰農産物を借りる見込みで資金計画を立てているということで、これを関係方面と計画はそういうふうにできておるというふうに前に説明を伺ったのでありますが、将来外務省側は全然考えていないのかどうか、明確にお答えを願いたいと思います。
  25. 西山昭

    説明員西山昭君) 贈与の分につきましては、先ほど申し上げました通り学校給食用のものとしまして、小麦及び脱脂粉乳を受け取ることに相なっておりますが、御指摘の借款分につきましては、これは日本の円による買付によりまする見返り資金の見返りの円の使途のうちの米側が使うものが今年の分につきましては二五%、日本側で使う分につきましては七五%と相なっておるわけでございまして、借款の基礎としましては、買付の協定ができることが前提でございます。贈与とは直接関係ないわけでございます。しからば借款の事業計画といたしまして、長期的な二年ないし三年の計画はどうかという問題につきましては、これはもっぱら日本政府の円資金によりまする財政投融資計画のいかんによるわけでございまして、アメリカ側との間におきましては、これこれの事業につきまして何年計画というような、直接の協定締結に際しましてそのような話し合いを行なっていない次第でございます。
  26. 溝口三郎

    溝口三郎君 松岡さんにお伺いしたいのですが、新聞の報道では、借款の中で、森林、漁港の関係で四十一億四千五百万円となっておりますが、その内訳をお伺いしたいと思います。
  27. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 四十一億の内訳は、先ほど申し上げましたように、細目についてまだ決定いたしておらないのでありますが、森林開発公団分の十億円については最終的に決定いたしております。その他の分についてはまだ決定するところまでいっておらないわけでございます。
  28. 溝口三郎

    溝口三郎君 新聞等で報道されておる分もあると思いますが、ただいま問題になって話題になっておる程度でよろしゅうございますが、およその見通しをお伺いしておきたいと思います。
  29. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 四十一億の内訳につきまして、いろいろ新聞等に出ておるのでございますが、実は内容的には新聞にどういう関係で出たかわからないのでありまして、まだテンサイ糖につきましても、漁港につきましても検討中なのでございます。ただどれだけ資金需要として、つまり希望がどれだけあるかということから申し上げますれば、そういう意味での数字はございますけれども、農林省側といたしまして、どれだけにするという意味での四十一億の内訳は、森林公団の十億円について決定があったのみでありまして、もしも需要額についての御質問でありましたならば、予算課長の方から申し上げたいと存じます。
  30. 千田正

    千田正君 ただいまの溝口さんのお尋ねに関連しますが、この漁港関係等に対する対象は、御承知の通り第一種、第二種、第三種とありますが、新規のどの辺を目標としてなされるというお考えはまだまとまっていませんか。
  31. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) ただいま御質問の漁港関係の融資の計画でありますが、漁港につきましては一種、二種、三種というような、従前の助成を伴います整備計画の一環として予定をいたしておりますものももちろんでございますが、現在見返り円の融通を受けたいという希望が表明せられております計画は、それらの補助対象になっておりますものではなくて、いわゆる機能施設と申しますか、従前助成がなかなか実現をいたさなかった関係のものに主として重点がしぼられております。     —————————————
  32. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ここでちょっと審議を中断いたしまして、河野農林大臣が今回漁業問題に関する日ソ交渉のため、日本政府代表としてソ連に渡られることになりましたにつきまして、ごあいさつを兼ねて発言を求められておりますので、この際御発言を願うことにいたします。
  33. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通りわが国の現在北洋の漁期に入るに当りまして、多数の漁夫諸君が非常な期待を持って準備を整えて、今やまさに出漁せんとする時に当りまして、突如先月二十二日ソ連側から漁獲の制限を申し出て参ったわけでございます。非常にその申し出に対しましては、われわれとして了承納得のいかない点が多いのでございますけれども、今日日ソの両国間の情勢からいたしまして、このまま漁業を所期の通り続行いたしますことは、大いにわれわれ政府としても考えなければなりません点もありまするし、できるだけ両国の将来のためにも、十分なる理解と納得を得た上でこの問題に処する必要があるという意味におきまして、政府は直ちに当時ロンドンにおりました松本全権よりマリクソ連大使にこの旨を申し出いたしましたところ、先日ソ連側からこの松本全権の申し出に対して交渉に応ずる用意がある旨の回答がありましたわけでございます。御承知の通りでございます。そこで政府といたしましては、これに対して慎重検討いたしました結果、モスクワに適当なる代表を送って、ソ連側とこの当面いたしておりまする北洋漁業の問題について十分会談をすることが必要であるという意味におきまして、その会談の場所はモスクワとし、これにわが方より代表を送って、十分に御懇談いたしたいという旨の申し出をいたしましたところが、ソ連側からこれに対して快く応諾する旨の回答に接したわけでございます。そこで政府部内におきましては、慎重検討いたしました結果、不肖ではございますけれども、所管大臣として私にモスクワに行って、この漁業問題について十分にソ連側と懇談をするようにという御命令を受けたわけでございます。  申し上げるまでもなく、鮭鱒の漁獲が戦前と今日違いまして、陸上においては一切ソ連側が漁掛をいたしておりますし、わが方においては、いわゆる沖とりをいたしておるわけでございます。従って陸上と海上と彼此相関連して、そこに一定の魚族保存の方針を立てていくことができますれば、一番けっこうなことでございますけれども、今申し上げまする通り、ソ連とわが国現在の立場におきましては、その計画を立てることも実はできませんので、われわれといたしましては、海上におきまして適当な範囲において、これが漁獲について考慮を払って今日まできたわけでございます。まずこの程度の漁掛をいたすことは、魚族の将来に対して支障がなかろうということを十二分に検討をし、調査をした上で今日までやって参ったのでございますけれども、今回ソ連からも申し出があったものでございますから、これについて十二分の資料による了解を得て、そして双方の納得の上に立って、将来円満に魚族の保存をしつつ、両国漁業の合理化を期していくことが両国のために妥当であると思うのでございまして、この点については十分懇談をいたすことによって、ある程度理解が得られるのではなかろうかと、実はひそかに期待をいたしておるのでございますけれども、しかし何分わが方といたしましては、漁期を目前に控えておりますことでもありますし、かたがたロンドン会議の経緯等もございまするので、客観的条件といたしましては、非常に困難な立場に直面いたしておりますることは各位御承知の通りであります。加えて非力なる私の使いすることでございまするから、各位の御期待に果して沿い得ることができるかどうか、非常に疑問でございまするけれども、どうか日常これらの問題について特に御研究遊ばしていらっしゃる皆様の一そうの御注意、御協力を得て、何とか国家のためにお役目を達したいと思っておる次第でございます。なにとぞよろしく御指導御鞭撻あらんことを特にこの機会にお願い申し上げる次第でございます。一言ごあいさつ申し上げます。(拍手)
  34. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) なおこの際千田委員から発言を求められておりまするから、御発言を願います。
  35. 千田正

    千田正君 ただいま大臣から、このたびソ連に行かれまして、この北洋漁業の問題を十分先方に理解させ、そうして今後とも日ソ親善の基礎の上に立って、日本の漁業の発展を期せられるために行かれると、まことにわれわれも双手をあげて賛成するのであります。ということは、今までのソ連との各国の交渉を見まするというと、大体一国の首相あるいは主権者がみずから乗り込んで行ってソ連との間の交渉をされておる。たとえば英国のチャーチルにしてもその通り、あるいはドイツのアデナウアーにしてもその通り、国をあげてこのアメリカの問題にしましても、ソ連の問題にしましても、その一国の首相なりその責任者が行って、全力をあげてこれに傾注して一応の妥結を見ておる。ところが残念ながら昨年の六月以来日本政府としましては、全権を送ったけれども、ある意味において政府を代表した鳩山首相でもなく、あるいは外務省代表である外交を担任の最高責任者であるところの外務大臣でもなかった。そうして結局日ソ間の交渉というものは途中において頓座した。一面この日ソ間の交渉が順調に運ぶものとして、国内におけるところのいわゆる国際漁業である北洋漁業に対しましては、河野農林大臣を初めとして業者もともども、ことしこそはさらに昨年よりも増大して漁撈ができるのだという意気込みをもって待機しておったにもかかわらず、ついに途中にしてこの日ソ交渉が決裂の状態に陥った。ただいま大臣が仰せられるように、もう明日にでも出航しなければならない状況のもとにおるところの漁業者にとっては、現在こうして手をこまねいて、いつ果てるともわからないという状況のもとにおるということはとても耐え忍ぶことができないことであります。このときに際しまして、農林省の担当所管大臣として、さらに日本の外交のあるいは一端になるかもしれないところのこの漁業問題をひっさげてモスクワまで使いされるということは、まことに御苦労様でありまするが、こういうような時代にはとかくいろいろな非難やいろいろな攻撃を持って行かれる方がむしろかえって督励にもなり、あるいはかえって引きしまって堂々と交渉できるかもしれません。日露戦争の場合には御承知の通り小村全権が国民の期待に十分沿えなかったと言うて焼打事件にされるほどの、いわゆる身を削りながらとにかく日本の国政のためにあの外交交渉をされてきたということをわれわれが歴史上から見ましても、このたび河野農林大臣は相当の御覚悟を持って行かれると思います。  そこで私は、参議院農林水産委員会は、長い間この北洋漁業問題については何回となくこの会議において論議もし、あるいは審議も尽したのであります。もうすでに審議し尽されたと思うほどでありまするが、残る問題はいかにして安全に操業ができるか、いかにして一日も早く漁民が待望するこの漁業に就業できるかと、この一点しかないのでありまして、この漁民の声ばかりじゃない、日本の将来の北洋における国際漁業の確保ということと、またさらに拡大すれば、ソ連との間の交渉がこれを契機としてさらに進んで握手ができるような段階に入るだろうと思いますので、特に私は御注文申し上げたい。ということは、私も先般アメリカへ行って、この漁業問題等についていろいろ交渉した際におきましても、とにかく外国人は日本の水産ということに対して認識が少いのでございます。ということは、日本人は開闢以来農業と漁業ということは国民生活に切っても切れないところの重大な産業であるにかかわらず、外国にとっては水産業などというものはほんの一部にしかすぎない。魚を食うなんということは一日のうちにも食うか食わないかで、いわゆる国の政策から見ても百分の五くらいしか行政の指導をしておりません。おそらくソ連においても同じような状況にあると思います。そういう国柄と、日本のように農業と漁業というものは国民の切り離すことのできないところの重大産業であると、民族の消長とともにこれは常に滅び常に生きなければならないところの産業であるということについては、おそらく海外に行った場合において、水産業が常にそういう点に向ってはまことに認識が外国は不足なのでありますので、この際特にこの北洋漁業は日本の漁業にとっては、今日に至っては一千億以上を突破するくらいの用意をしなければできない状況でありますので、どうか大臣はこの国民の総意をもって行かれるだけに真剣にこれに取り組んで、一日も早く安全操業ができるような妥結点を求めてきていただきたい。  もう一つは、先般ソ連側の発表によるというと、漁業協定をした後でなければ制限措置を考慮しないということを声明しておるのです。漁業協定なんというと、相当これは資料も十分ととのえなければならないし、それから交渉の期間も相当長引く、ところが実際においては明日にも出漁しなければならない段階でありますので、一体この点をどういうふうに交渉されるか、あるいはこの際これは公表することは外交折衝上うまくないとおっしゃるかもしれませんが、われわれは一日も早くはっきりしてもらいたいという点は、ソ連側のこの協定後でなければ制限措置に対して考慮しない、こういう点が非常にわれわれとして深く考えられるのでありまして、制限措置はどの程度の制限措置をするか、この間発表されたような制限措置であったならば、とうていわれわれはこれをのむことはできない。この点のいわゆる協定後でなければ制限措置をしない、あくまで協定が先なんだ、こういう向うが言い方をしております。御承知の通りソ連は外交においてはなかなか老獪な手段をとり、また端倪すべからざるところの手段を持っておるところの国でありますので、この際大臣としての、もしもこの点について触れても差しつかえないという点がありますならば、この際御所信を多少でもお漏らしになっていただきたい。われわれとしましては、一日もすゆやかに妥結の点を見出されて、そうして大臣が行っている間でも、漁民は明日からでも出漁して、もうすぐに網を手にするという意気を持っておりますので、そうした点の、安全弁に対するところの指導的な役割であるところの大臣としての、国内の漁民に対する声を一声でもかけていって行くならば、どれほど彼らが勇気百倍して、あなたの今度の使いに対しての期待を持つであろうということを考えますときに、この際でありますので、一端を漏らしていただけばなお幸いと思います。とにかくわれわれの要望は一日もすゆやかに漁業ができるように、そうしてまた日本の国力を落さずにやってくる、これはなかなか容易なわざではないと思います。しかし、一国の輿望をになって行かれる大臣でありまするから、単なる農林省の大臣というのみならず、日本の国の代表としての責任を十分全うして来られることを特に要望いたしまして、先ほど申し上げました点だけをもしもお漏らし下さるならば幸いだと思います。  以上要望をかねて質問を申し上げます。
  36. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) だんだんの御注意をちゃうだいいたしましてありがとうございました。実は御承知の通り、漁期も非常に切迫いたしておりまするし、出漁の期日も、どんなにおそくも五月の半ばまでには実際出動しなければならないのでございますので、私といたしましては、二十一日に出発いたしまして、二十五日におおむねモスコーに到着いたしまして、それから二週間モスコーに滞在いたしまして、五月の十日ごろまでに、大体ソ連側首脳部との話し合い、了解を終って、そうして五月の十五、七日までに東京に帰って来たい、こう考えております。今の最終の漁期のときまでにこちらに帰って来て、そうして十分にソ連側の意向によってどうするかということを最終的に決定するように期日をとっておるわけでございます。  お話の点でございますが、何分にも初めてお目にかかる方々でございますし、その後日本とソ連の関係等につきましても、またソ連の首脳部とお会いいたして、わが方の事情を十分お話しいたしましても、先ほど申し上げましこの問題をこの問題として解決せずして、全般の問題ということになりますれば、なおなおこれは一そうめんどうになりまするし、よってまた漁業者全般が一そうの迷惑をこうむるということになりますことも、深く考えなければならぬと思うのでございます。いずれにいたしましても、あちらに参りまして、ソ連の側のお考えを十分承わりまして、その上でわが方としてはどういうふうにすることが最善かということの決意をいたさなければなるまいと思うのでございます。私といたしましては、当面直面いたしておりまする漁業問題、特にわが方から申し入れをいたしまして、先方から応諾の御回答を律ておりまする漁業問題について、まず、当面これを解決することにソ連の協力を得ることが先決問題であるというふうに考えて行くつもりでございますから、どうかその点一つ御了承いただきたいと思うのであります。いずれは、帰りまして十分御報告を申し上げる機会を得たいと思いますから、本日はこの程度で一つ御了承をいただきたいと思います。
  37. 戸叶武

    戸叶武君 日ソ交渉は、領土問題からロンドンでデッド・ロックに乗り上げまして、この日ソ交渉の前途が非常に憂慮されている際に、またこの北洋漁業の難問題の解決はきわめて困難と思われている際に、河野農林大臣がこの問題の解決のためにソ連に渡られるということは私は非常に意義があると思うのであります。特に、この問題のたように日ソの現状からいたしまして、なかなかこの問題を解決することが困難でありますることは各位御承知の通りであります。さればと申して、の根本的解決のために十分にお力を尽してもらいたいと思うのであります。これは、日ソ交渉の基本的な問題とは異なるが、このたびの交渉を通じ、先ほど河野農林大臣が言われたように、両国の将来のために、理解と了解を深めてもらいたい、これは、お互いに疑心暗鬼を生んでいて信頼感がない形においては、日ソの国交交渉というものは、私は十分に成果を上げることはできないと思うのです。私たち農林水産委員会におるものとしては、今まで河野農林大臣が政務多忙のために、また病気等の理由も出ておりましたが、この重要法案が山積している農林委員会にあまり出席されなかったことははなはだ遺憾だと思います。このほかに、私たちは河野農林大臣に直接質問したり、また御意見を承わったりしたいことが多々あります。しかし、今日におきましては、帰国後に一切を譲ることにいたしまして、日本の前途のために、また両国の暗雲を開くために、御健闘を祈り、また御健康を祈ります。
  38. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) どうもまことにありがとうございました。どうぞよろしく。
  39. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この際私からも一言御挨拶を申し上げようと存じます。  河野農林大臣今回の御使命は、まことに重大でありまして、さぞかし御心労のことと存じます。わが国世論のおもむくところを洞察せられ、よく国民の期待に沿って十分な成果を上げられますよう、せっかく御健闘と御自愛を衷心からお祈り申し上げます。     —————————————
  40. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 続いて森林開発公団法案議題にいたします。引き続いて御質疑を願います。
  41. 溝口三郎

    溝口三郎君 先ほど私のお伺いいたしました森林、漁港等の振興事業の貸付金の内容については、森林開発公団の十億円以外まだ決定になっていないのか。どういう事業に貸し付けるんだというようなことについては、当初の借款の協定の場合に、農林省ではおよその見込みがあって借款をしたのか、大ワクについて、借款の総額の二分の一を農業関係にして、そのうちの約半分を従前農地開発に回した、あとはとった上で何か事業を探し出すんだということで借款をしたのかどうか、その点をお伺したい。
  42. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ただいま御質問のありました当初協定の交渉をいたしました際に、大体農林水産関係にどのくらいのワクを、またどういう事業をとり上げてそれに融資するかというような大よその目安があったかどうかというお話しでございまするが、大体見返り円日本側使用する分の半額ぐらいは農林水産業方面にいただきたい、農林省といたしましてはそういう考えを持ったのでございます。その対象といたしましては、これは当時からすでにまだ相手のあることでありますし、交渉の結果どのくらいに金額がきまるか、また国内において各方面の意見もありますことでありますし、農林省としての一応の希望をするところのプロジェクトに過ぎないのでありますが、そういうものとして漁港とか、あるいはテンサイ糖、家畜市場、そういうような事業を考えたことは事実でございます。しかしながら、その後の経過におきまして、さらに国内において新しく必要と認められるような事業、そういうものも若干出ております。その当初の農林省の希望するプロジェクトというものは、現在においてはだいぶ変っておるようなわけであります。
  43. 溝口三郎

    溝口三郎君 四十一億のうちで森林開発公団は本年度は十億、そうしてそれは三カ年計画で将来余剰農産物で二十億の計画をもってほかの漁港、家畜市場等いろいろあると思いますが、そういうものについては将来にわたってやはり継続の事業のようなものを採用するような場合もあり得るのかどうか。あるいは金の面だけで処理するようなものでいくのかどうか。私はこれをお伺いするのは、すでに着手しております農地開発事業等に相当にまた円資金が要るのでありますが、先ほど伺いましても、三十二年度以降については、何ら借款等についてはまだ考えていないらしく、ワクを森林開発公団もすでに十億、本年度は十億円、来年、再来年で二十億予定をする。ほかの農業関係事業でも継続的にやっていきますと、ますます将来に非常に多額の資金が入用になってくる。そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  44. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) ただいまのお話しでございますが、農地関係につきましては、すでに概略説明いたしました通り計画になっておりまして、将来につきましても見返り円のような性質の資金が借り入れられますならば、非常に好都合であろうというふうに考えておるわけであります。  それから森林開発公団の事業計画につきましては、すでに林野庁の方から御説明があったと存じます。総事業計画におきまして三十億を必要といたすのであります。とりあえず初年度であります今年度において四十一億の貸付金の中から十億は支出いたすことを大体きめたわけでありますが、残されました二十億につきましては、明年度以降それもやはり同種の資金によって調達をいたすということになっておることは御承知の通りであります。で、見返り円の交渉そのものは一年々々に行いまするし、また基礎となります輸入計画関係から申しましてもそうならざるを得ないかと思いますが、従いまして明年度残資金につきましては、明年度以降の余剰農産物の見込みとからみまして善処して参りたい、さように計画をしておるわけであります。なお、四十一億四千五百万円の貸付金のワクの中でただいままでに決定をみましたものは、法案審議等の関係もございまして、森林がさしあたり急ぎますので、これを切り離しまして決定いたしたわけであります。残余のものにつきましては、御指摘のように、ものによりましては二カ年継続になっているものもございますし、また単年度のものもございます。それらがいろいろ現在研究の対象として審議されておるわけであります。その将来の資金繰りの関係もございますし、それから本年度のワクの問題もございますので、それらを三十一年度の四十一億の中でいかように組み合せをし、いかように年度区分を立てまして計画を実行に移していくかというようなことにつきましては、目下検討いたしておるわけであります。
  45. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいまの御説明で、今後残額の中で事業計画をきめる場合に、二年のものもあり、継続するものもある。そういうものについて、もし補助金等がつく場合は、そういうものは見返り資金でやっておいて、その補助金は本年度補正予算で出すことになるのか、その点をお伺いしたい。
  46. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 現在四十一億四千五百万円の振興事業貸付金の対象として計画の出ております各種事業は、ただいままでに出ておりまする事業につきましては、御指摘のような補助金とのかみ合せという問題が起らない種類の事業であります。従いまして御懸念のような点はすでにきまっております。農地関係とそれから今御審議をいただいております森林関係と、以外につきましては、補助金とのかみ合せ云々の問題は発生いたさないと考えております。
  47. 溝口三郎

    溝口三郎君 印幡沼の干拓事業、千葉県の干拓事業は、これは新聞によりますと見返り円で三カ年計画で行うということになっております。これは見返り円とは全然関係ないのでありますか。
  48. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 東京湾土地造成という事業見返り円の対象として審議に上っております。で、御指摘の事業計画はそれのことを意味するかと存じますが、これにつきましては、千葉県が東京湾の埋立てを見返り円資金を借りまして実施いたしたいという希望で出ております。この計画実施いたします際に、御指摘のような、国が現に取り上げてやっております印幡沼の取水工事というものと密接に関連をいたすわけであります。その意味合いから申しまして、将来のその事業計画実施いたしまするとすれば、千葉県としては三年間ぐらいで実施をいたしたいといっておるようでありますが、それのテンポに合せまして、印幡沼の取水工事の国が従来担当いたしておりました分を千葉県に委託をするという関係が出てくるかと思います。その関係があるようでありますが、これにつきましては、すでに御審議をいただきました三十一年度予算におきまして、三十一年度に国は債務負担行為として、三億を限度といたしまして負担行為をいたすことを御承認を得ておりますので、それに伴いまして財政支出が決定を見、実施をするということになりますというと、この三十一年度三億の限度におきまして、三十二年度以降財政支出が伴うことに相なろうかと思います。
  49. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいまのお話しを聞いて、そういたしますと、この四十一億のうちで千葉県に見返り資金を三億円は貸し付けることになるのですか、それは決定になっていないのですか。
  50. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 千葉県に貸し付けて実施をいたします土地造成と申しますか、東京湾整備と申しますか、港湾整備と申しますか、事業計画が千葉県の方から提案があっておりますけれども、その全体の事業規模をいかように押えますか、また年度区分をいかように実施をいたしますか等のことにつきましては、目下検討中でございますし、また千葉県の償還の計画というようなものにつきましても、目下関係者の間で詰めております。それらが詰って参りませんと最終的な決定という段階には参りません。ただ決定をいたしますれば、幸い負担行為を定めておりますので、それだけの分は直轄工事として国が支出いたしますかわりに千葉県が借り入れた資金で行うことになりまして、それを後年度において国が千葉県に支出をいたす、さような形で実行し得る措置はつけております。
  51. 溝口三郎

    溝口三郎君 森林開発公団借款による資金計画についてお伺いしたい。さしあたり本年度に十億円借款によって林道を行う、そしてそれに対して約五割の国費の補助がある、これは後年度四年間に予算外契約でやるのかどうか、その場合に、十億で本年度借款による事業を行う、四年間に補助金が来たものは、これは借款の特別会計には繰り上げ償還を行うことがこれは原則だと思うのです。従来愛知用水についてはそういう取扱いだと思っておったのですが、十億借款しまして、そしてそれを四分で十五カ年間の借款をしている。それから補助金は五億が四年間ぐらいに入るのですが、それは一部分余裕金を預金をしておくというので事業益が出てくる。その事業益の余裕で委託事業を行なっている。この余裕金を森林公団に保有するようなやり方が総体の使途について合理的かどうか、有効かどうか。そしてそれは愛知用水はたとえば三百億について百億の補助金があるならば、それを、原則としては毎年度三十億ずつ五カ年だ。残りの分を借款によってやって双方合して事業を行うというように今まで私は説明を聞いていたのでございます。農林省はその取扱い方を統一すべきじゃないかと私は考える。それは最近問題になっておりますが、委託事業の問題、たとえば農地開発機械公団の開拓者に対する委託事業、その補助金は四割五分である。これは国から直接に開拓者に交付する。その残りの資金については開拓者資金融通法による資金の方で余剰農産物からそれを繰り入れるということで、補助金と、そして余剰農産物と両方合せてこの開墾作業が行われていくということになっておる。開墾作業費全部を。森林開発公団はそれと同様な造林事業委託を受けてやる場合に、全額を余裕金で事業を行なって、そして利率も非常に安くやって、というようなことに、もしできるならば現在農地開発機械公団で非常に困っている問題も同じ取扱いでやるべきではないかと私考える。どういうふうに考えておられるか。
  52. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) ただいまの点でありますが、愛知用水公団についての取扱いぶりと森林開発公団についての取扱いぶりについては差異はないわけでございます。で結局そういう取扱い方の差が出て参る御指摘の機械公団と森林、あるいは愛知用水公団との間で若干の資金操作の取扱いの差が出て参りました根本的な原因といたしましては、機械開発公団の場合は、御承知のように機械開発公団は機械開墾事業事業主体ではないわけであります。単に必要といたします機械を持ちまして、その機械を使用者たる国あるいは開拓者に提供をいたすというような形の事業が機械開発公団の場合の任務でございます。従いまして全体の事業資金を調達いたしまして、全体を取り仕切ってやって参るというようなふうに資金構成ができないわけです。従いましてそのかわりと申しますか、国から出ます補助金につきましても、愛知用水公団や森林公団の場合のように債務負担行為をして後年度に国が借入金によって事業実施いたしました公団に、国も受益者の一部としてある程度受けたような形で補助金相当額を年次割りで流して行くという措置がとれませんので、機械公団の場合につきましては、国の直轄工事については国、あるいは開拓者の事業につきましては開拓者に対する補助金というものを、事業実施年度にその年度の予算として計上いたして参っておる次第であります。でそういうような関係におきまして、愛知用水公団あるいは機械公団の場合に事業を一応総合的な事業実施主体として借入金によって事業を行い、後に県、地元あるいは国もあわせまして一定の方式によりまして、負担分を公団に入れて参るというような資金操作が機械開発の場合に著しく困難と申しますか、建前上いたしかねておる次第であります。その辺の事情を御了承願いたいと思います。
  53. 溝口三郎

    溝口三郎君 機械公団には建設工事に対し機械を貸しつける場合があるが、そうではなくて、建設工事に伴う開墾作業を地元で行う、それには貸しつけるということになっておりますが、事実上は建設事業を行なった区域内の開墾作業は一括して委託を受けてやるような建前で現在きておる。そういう場合に、開拓者の場合、まあそれには補助金が行っておる。増反者というのがただいま問題になっておるが、これには補助金もない。そうしてそれには貸しつけるということもあるが、一応全体の開墾作業の委託を受けるようなことにならないので、ばらばらになってしまってできないのじゃないか。そういうもののうちもし貸しつけるという——機械公団の事業の目的に貸し付けとありますが、開墾者の委託を受けるという話になれば、開墾作業について委託を受けるということになると、森林開発公団で造林事業の委託を受けると同じような取扱いでいけるのじゃないか。そうすると機械公団は余剰農産物を借入いたしまして、その余裕金で機械公団自身が増反者等の委託を受けたものに事業費を投じていって、長い年月で増反者から安い利子で徴収するという取扱いができれば、私は機械公団の事業が非常に進展するのじゃないか。同じような取扱いにできるかどうかということをもう一ぺんお伺いしておきたい。  それからもう一点は、愛知用水と同じ取扱いだというが、愛知用水については、昨年の六月この委員会で私ども説明を伺ったのによりますと、資金計画は毎年三十数億の国の補助金、その残余の二十億の借入金とで合せて五十億ぐらいで五カ年間に仕事をしていくという資金計画だったのでございます。今年度は約六十億全部余剰農産物でやって、その半額を予算外契約になっておりますが、来年以降、今の予算課長説明によると、来年以降森林開発公団と同じようなやり方でやっていくと、愛知用水は約三百億を借入金でやって、そうして百十億程度を四、五年の間に補助金をもらってやっていく、そういうやり方で収支のバランスをやっていきますと、十五、六年たちますと、約二十億ぐらいの残余の金額が出てくる、余裕金が出てくるということになるが、そういう取扱い方が果してできるかどうか、私は非常に疑問に思うのですが、その点を明確にもう一ぺんお伺いしておきたい。
  54. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 機械公団が関係いたしております機械開発、機械開墾の事業につきましては、先ほど私申し上げました通り、機械開発公団の能力と申しますか、仕事の範囲が法律で一応機械をもって貸すという限度と、それから今国会で乳牛関係について輸入貸付の業務が広がるわけでありますが、開墾作業そのものを公団事業として実施をいたして、後年度に受益者から長期にわたってそれに要した資金を回収いたすというふうな仕組みに今の法律の建前では、今直ちには若干困難があろうかと私は存じております。御指摘のようにできますれば、地元の関係者にとりましては、確かに一つのいい方法かとも存じますが、これらにつきましては、現在できております機械公団の事業の幅と申しますか、事業の可能な範囲とのにらみ合せによりまして、今後研究さしていただきたいと思います。今、直ちにはむずかしかろうかと存じます。  なお、先ほど森林開発公団の資金の操作と、愛知用水公団の場合の資金の操作は同じでございますというふうに申し上げましたが、これは御指摘のように、三十一年度の愛知用水公団の資金の考え方は、この森林開発公団と同様の考え方で、所要資金を一応公団が一括借り受けをいたしまして、国との関係におきましては、負担行為で後年慶に支払いをいたしていくという関係で、この資金繰りを国の負担分相当額を当初の当該年度に愛知用水公団に繰り入れて、要借り入れ金額を少くいたして参るような資金計画を三十一年度については改めておる。これは三十二年度以降につきましては、本年度と同様の措置をとりまして、負担行為をして後年度に均分繰り入れをやって参るか、あるいは昨年六月ごろ立てました資金計画のように、それぞれの年度に、その年度にやります事業についての国の負担相当分を当該年度中に予算に計上して入れて、愛知用水公団の資金調達の何と申しますか、借入金に依存する度合いを減らして参るかにつきましては、三十二年度以降、それぞれ余剰農産物の将来の見通しでありまするとか、あるいはそのときの財政事情でありますとか、そういうものとにらみ合わせて三十二年以降は決定せられるかと存じます。従いまして先ほど私が申しましたのは、三十一年度についての取扱いでございます。制度的にはそういうことも可能ではございます。
  55. 溝口三郎

    溝口三郎君 愛知用水公団は本年度約六十億余剰農産物事業を行う、それに対して三十億程度を将来四カ年で予算外で補助金を出す、その分は繰り上げ償還をしなくてもいいということになるのですか。その点を明確にしてほしいということが一つと、もう一点お伺いしておきたいのですが、先ほど御説明によりますと、機械公団は法律の条文で「貸し付け」という字になっておる。それから森林公団の方は「委託」という字になっておるので、内容、やり方については私は同じだと思うのです。増反者については一反歩約九千円かかる。その委託を受けるのを、その資金は余剰農産物の余裕金でなくて、自分みずから増反者はほかで借りてこなければならぬ。それが「貸し付け」という字になっているかどうか。「委託」という字に第一条を直すなら、余裕金でやるなら、今年度の機械公団は十一億を余剰農産物から借りて国産機械を非常にたくさん買うというのです。これは機械公団のときにまた質問したいと思いますが、従来機械公団は世界銀行から約十億の機械を買って、そうして関税、運賃等が二、三億くらい、国産は約一億くらいの機械を買うようになっていたが、本年度の予算を見ますと、十一億余剰農産物から借り入れる。国産の機械も相当に買うようになっている。その内容調整して、第一条の目的の「貸し付け」という字を、事業者に「委託」と直せばいい。その内容でこれと同じように安い利息で貸してやれるなら、私はそうきめたらいいじゃないかと思います。ごく簡単な手続で済むように考えますが、それは非常に支障があるのですか、お伺いしたい。
  56. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 初めに愛知用水公団につきまして、本年度のように債務負担行為を起しまして、後年度において国の負担分を繰り入れて参るという場合の、繰り入れました国の資金は、その繰り入れられた年次以降におきましての愛知用水公団の当該年度の資金需要の、資金の供給側の要素として考慮されることは当然でございます。事業が終りましても、従いましてちょうど森林開発公団の場合に、それの資金全体をにらみまして、委託を受けて行います造林の事業計画資金の財源にいたしておりますのと大体において似た関係に相なると思います。従って繰り上げ償還等の問題は、全体の公団の資金繰り全体の問題でございますので、一方になおやらねばならぬ事業があります限りにおきましては、当然これは繰り上げ償還等の対象にならないものと思います。  それから機械開発公団の問題でございますが、確かに御指摘のように、森林開発公団法案規定いたしておりますように、委託を受けて造林をやれるという規定がございますように、そういった機械開発公団法の委託を受けて、そういった事業がやれますような規定がありますならば、御指摘のような結果が可能になろうかと思いますが、本件につきましては、昨年機械開墾事業と愛知用水事業を合せまして、世界銀行あるいは見返り資金によって実施して参るということにつきましては、いろいろ政府部内並びに関係各方面の御相談がありました際に、そういう業務分野を相談をいたしまして発足いたしたような次第でございますので、事の経緯から申しまして、ただ字句を直せばいいというほど簡単にも参らないかと思いますが、確かにお話の通りの実態はよくわかります。今後とも研究さしていただきたいと思います。
  57. 重政庸徳

    重政庸徳君 三十一年度の見返り円資金の使用計画が出ておりますが、これはたとえていいますれば、農地開発事業貸付金を例にとれば、三十一年度は十三億三百万円、これは三十年度によう使わない繰越金があって、そうしてそれを加えて五十八億幾らとなっておりますが、この計画は、昨年の当初計画における計画通りに、当初計画における三十一年度分ですね、それにこの繰越金を加えたものが五十八億ということになっているんですか。
  58. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 愛知用水公団の事業につきましては、世界銀行との交渉あるいは財政当局との交渉等の過程を経まして、実は全体の事業三百二十何がしについては当初から動いておりませんけれども、年次割り、あるいはその当該年度における資金の裏づけ、どういうもので資金を裏づけしていくかということにつきましては、何回かそういう折衝の過程におきまして実は動いておりますので、正確にはその動いたときどきを追いまして見ませんと、当初と同じでございますと簡単に申し上げるのもかえっていかがかと存じますが、大体五十八億の三十一年度に硬いますもののうち、ズレが十三億でございまして、三十一年度プロパーの資金といたしましては、農地関係がここにございますように四十五億何がし、これに次の欄にございます機械開墾地域についての開拓者の貸付が、開拓者資金融通特別会計を通じて開拓者に貸し付けます資金を合せますと、四十七億何がしになりまして、資金分量につきましては、大体昨年予算審議で農林省が原案を作りました当時から、大ワクにつきましてはほとんど動いておりません。
  59. 重政庸徳

    重政庸徳君 私が今そういう質問をいたしましたゆえんは、おそらくこの農地開発事業の貸付金を例にとって考えてみても、おそらく三十一年度においては今度は十三億以上の相当な両二年度に繰り越すべき金が出てくるだろうと思う。電源開発も非常に大きな数字を繰り越すであろう。これは非常にたっとい金であるし、ただ当初計画事業の進捗というようないろいろなものを考えずに、機械的に割り当てて漸次繰り越しの大きな金を残すということは僕はどうかと思う。そういうことになるとこの利子でも相当額の利子になってくるので、そうすると、たとえていえば愛知用水公団を考えてみても、そういう出た余剰収入で農民の負担を軽減せねばならぬので、理論上そうするとそういうところから計画を全部変えて出してもらわなきゃ納得ができぬという結果になるので、遅々として進まぬ事業に、当初計画に決定した金額をどんどん加えて毎年進むということはどうかと思うのですが、その点どうですか。
  60. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 三十一年度の事業計画といたしましては、何回か年度割りの相談、あるいは全額をこういった借り入れ資金によりますか、先ほども溝口委員の御質問に関連して申し上げましたように、当初の考え通りに、国が負担すべき事業に対しての補助あるいは負担は当該年度中に出してしまうかどうかというような相談をいたしたわけであります。そういう意味におきまして、三十一年度にこの資金計画で考えております事業分量は、国の財政負担が後年度に出ることになりました関係もございまして、目下のところでは御指摘のような大きな後年度へのズレは発生しないというふうに申し上げてよろしいかと思います。なお資金そのものが使用可能になります時期等の関係もございますので、私どもといたしましては公団の事業計画と申しますか、資金計画をそのつどよく審査をいたしまして、無用の借入金をかかえて事業が、金が遊んでしまったりというようなことはないように、そのつど資金計画なり、貸付の決定のつど十分の注意は払っておるつもりであります。その実施の模様によりまして、もし御指摘のようなことは万ないと思いますが、御指摘のように多額の資金が何らかの事情でこなせないというような事態が明確になって参りますれば、またより有効な資金の使用計画を考えねばならぬと思いますが、目下の段階では当初の財政負担の分を後年度の債務負担行為に譲りました関係もありまして、大体この程度の事業は順調に進捗いたすものと考えます。
  61. 重政庸徳

    重政庸徳君 それは予算課長、認識不足だろうと思うのです。ただ一片のこういうところの答弁だろうと思う。愛知用水公団の事業をよく検討しておられぬと思う。大体例をあげてみても、ため池、ダムに関する補償等もちっとも進んでおらない、どこから考えてみても私どもは公団が予定しておる八月に工事に着手するとか何とかいうようなことはおそらく考えられぬと思うのです。だからそれはもう少し検討して、おそらく私は今年度この計画を改訂してもらわなきやならぬと思う。むしろ秋田の八郎潟とか何とかいう、すぐ有効に金の使用のできるというような計画に改訂してもらわねばならぬというように考えておるのです。その辺、もう少しよく御研究になっていただきたいと思います。
  62. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは新聞を見ますと、何か来年度の余剰農産物は大蔵省と話し合いをつけて受けないということにきまったというような新聞記事が出ておりましたが、この参考資料を見ますと、大体今問題になっている通り、両三年来の計画予算の中に全部公団関係が入っておるのだが、これはおかしいと思うのですが、どうなんですか、あの記事は。
  63. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ただいまのお話の点は、おそらくMSA法による余剰農産物の受け入れのことだと存じます。たしかに新聞紙上で——日本側としましては今年度分については一応断わりたいということをきめたのでございます。MSA法による余剰農産物の受け入れと申しますのは、アメリカの余剰農産物処理法による余剰農産物の受け入れとは若干違うのであります。先般アメリカ側から提案になりましたMSA法による余剰農産物の受け入れの内容は、アメリカ農産物日本が普通に貿易によりまして輸入しておるのでございますが、その一部を円資金で買い付ける。その円資金はアメリカ側が第三国に対する経済援助のために日本から買い付ける商品の代金に充てる、こういういわば三角貿易の方式による余剰農産物の受け入れなのでございます。これにつきましては、各省いろいろと検討し、またヨーロッパやその他の諸国で行われました例、あるいはことしの例等も検討いたしました結果、さしあたりこれを受け入れてやるというところの必要があまり強く感ぜられないということから、今年度のMSA法による受け入れば一応見送りたい、こういう回答をいたしたのでございます。で、これとはちょっと問題が違うのであります。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは結局見返り融資をして三角貿易がうまくいかないから受け入れない、こういう意味合いですか、それとも国内の米麦の需給情勢がもう満腹しているから、その余地がないという意味合いなのか、中心はどこにあるのですか。
  65. 松岡亮

    説明員松岡亮君) MSA法による農産物の受け入れをかりに行いましても、アメリカから輸入する農産物の量は増加するわけではございません。通常に輸入しておる部分をMSA方式による輸入に切りかえるだけでございますから、実際上輸入数量がふえるということはないのであります。ただ円資金でもってアメリカ農産物を買える、ドルを使わないというところが違う点でございます。しからばなぜこれを見送ったかと申しますと、余剰農産物処理法による余剰農産物の受け入れの場合には、見返り円日本側で大量に使えるというような利点がございますが、MSA法による場合はそういう面がございませんで、商船法による米船五〇%使用というような状態の拘束を受け、しかも日本から第三国に対して商品を輸出するものがプラスになるかどうかということがはっきりいたしていなかったわけでございます。それらの点でなお疑問を残したために見送った次第であります。
  66. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  67. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。  本法律案につきましては、来たる四月十九日木曜日の委員会において質疑を終り、審査状況によっては、その日のうちに討論採決をやって御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) そのように取り運びますから、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会