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1956-05-22 第24回国会 参議院 内閣委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 五月二十二日委員亀田得治君及び永岡 光治君辞任につき、その補欠として千 葉信君及び菊川孝夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            野本 品吉君            宮田 重文君            千葉  信君            島村 軍次君    委員            青柳 秀夫君            井上 清一君            木島 虎藏君            西郷吉之助君            佐藤清一郎君            江田 三郎君            菊川 孝夫君            田畑 金光君            松浦 清一君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君            廣瀬 久忠君            堀  眞琴君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君    国 務 大 臣 船田  中君   政府委員    防衛政務次官  永山 忠則君    防衛庁次長   増原 恵吉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁教育局長    事務取扱    都村新次郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    中央気象台長  和達 清夫君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国防会議構成等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○理事補欠互選運輸省設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) 内閣委員会を開きます。  国防会議構成等に関する法律案を議題として質疑を行います。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっと資料要求を。警察予備隊以来の防衛関係汚職事件、それから汚職とはいえなくても会計検査院で批難された事件、そういうものの内容の簡単な概要とその結末の一覧表を出していただきたい。それは、まあきょうの読売新聞ですか、見ましても、毎日のように汚職事件が次々と出ていますからして、われわれとしましても重大な関心を持たなければなりませんから、それを出していただきたい。  それからきょうの毎日新聞防衛生産長期計画の案というものが出ておりますが、これは事務当局の方でそういう案がありますならば、これを出していただきたい、この二つをお願いしておきます。
  4. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいまの御要求の中で、自民党国防部会で作成いたしておりまする防衛生産に関する計画は、これは防衛庁として直接関与したものでございませんので、これについての資料は差し上げられないと存じます。さようなものを防衛庁としては今のところ持っておりませんので、これは提出ができません。  それから警察予備隊以来の汚職関係のもの、その概要を示せということでございますが、これは調査のできる限り事情を調査いたしまして、そうしてわかる限りのものは提出するように努力いたしたいと思います。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 そこで、防衛長期生産の方は防衛庁の方ではないということですから、これは一つ委員部の方で、自民党の案でありましたら、参考のために自民党の案を取り寄せていただきたいと思います。それからもう一つ資料を忘れておりましたが、今度の六カ年計画を実行するために、アメリカ側に貸与もしくは譲渡をこちらから申し出もしくは希望しているところの兵器の種類、数量、これを一つお願いします。
  6. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま江田委員から御要求の問題につきましては、これもこの委員会及びその他の機会において説明申し上げておりますように、いかなるものを米側に供与を依頼すべきか、要求するかということについては、昭和三十二年度以降につきましては、まだ全然きまっておりませんので、その資料は差し上げられないと存じます。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 今までのは出ますか、三十一年度の分は。
  8. 船田中

    国務大臣船田中君) 三十一年度の分は御説明ができます。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 御提出願います。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 今の資料のことですが、きょうの新聞に載っていたものは、長期防衛生産計画について、近く国防会議が発足するならば、これに提出する資料として防衛庁の方として検討を進めておる、こういうような新聞記事だったと思うのですが、大臣の御答弁によると、あれは自民党国防部会の方でやっておることで、防衛庁としては直接関係ないのだ、こういうお話ですが、それで間違いありませんか。
  11. 船田中

    国務大臣船田中君) その通りでございます。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 防衛庁としても防衛六カ年計画を持っておられるのだから、当然防衛生産計画というものも持っておられるはずでありまするし、従いまして、防衛庁として検討されておられる案についても参考のために出していただきたい、こう思うのです。
  13. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛生産について長期的な計画防衛庁としてまだ研究を十分積んでおりませんので、今、田畑委員の御要求になりましたような資料は、現在防衛庁は持っておりません。従って、遺憾ながら提出申し上げるというわけには参らないのでございます。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 長期の固まった生産計画ができていなければ、その固まったものを出してくれとは要求いたしません。しかし、いろいろ防衛庁としても個々的にはそれぞれの計画もできておろうと思いますので、その範囲でもけっこうですから出していただきたい、こう思うのです。
  15. 青木一男

    委員長青木一男君) 松浦君にちょっと申し上げますが、高碕長官は午前中衆議院フィリピン賠償の方の問題がかかっておるので、外務委員会でしょうか、そちらの方へ出ておられて、午前中は出られないということですから、その点は他の機会に留保して、御質疑をいただきたいと思います。
  16. 千葉信

    千葉信君 今の田畑君の防衛生産計画、確定したものでなくても、研究されているはずだから、それについての資料提出を願いたいということははっきりしたのですか、うやむやにされているようだ。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 それは出してくれるでしょうね。うやむやにしてごまかしてもらっては困る。
  18. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛生産についての長期計画防衛庁は今持っておりませんので、従ってそれに関係する資料提出はできませんから、どうぞその点は御了承を願いたいと思います。
  19. 松浦清一

    松浦清一君 大体今日経済企画庁長官に御出席を求めておったのは、主としてそういう問題についての計画企画庁長官にお伺いを申し上げようと思って御出席を願っておったんです。ですから、御出席にならなければ、その点は後刻に保留いたしたいと思うのですが、今まで、昨年の特別国会の際にも、この法案の目的の中に防衛産業の調整をはかっていくんだということが明記されておるので、防衛計画がたとえ閣議決定にならずとも、経済自立五カ年計画というものがすでに閣議決定をされた、経済自立の五カ年計画がきまったとすれば、防衛計画経済自立計画関連性というものがないはずはない、こう思うのですね。これは今あなたが御答弁になった通りならば、防衛庁長官から御答弁いただかなくてもけっこうですが、その点が非常に私たちは尋ねたいところです。私たちというよりもむしろ国民の大部分の人は、防衛計画はできているものだと、こう了承しているわけです。それから経済五カ年計画決定したものと考えておるわけですね、その関連が皆無だとは言えないと思うのですよ。皆無だとは言えない。だんだんと増強されてくる日本自衛隊関係のある産業、そういうものが経済自立計画の中に一つも織り込まれないでこの計画を立てられたとするならば、この計画はもうこれは空にひとしいものだと思う。ですから、この方の立場から私は御質問を申し上げたいのですがね。これは企画庁長官がおいでになってから御質問いたしましょう。  それでは私は午前中は防衛庁長官に限定をして御質問を申し上げます。私たちは、鳩山内閣ができてから、大村杉原砂田船田と、この四人の防衛庁長官におつきあいをしておった。その間、昨年の特別国会の際にもいろいろの事柄についてお伺いを申し上げたけれども、まだ疑点とする点が解明されていない点があるわけであります。しかも、大村さんを除いて、杉原さん、砂田さん等の時代には、それぞれの長官立場からいろいろなことが声明をされておる。冒頭にお伺いしたいのは、鳩山内閣になってからの防衛庁長官としての自衛隊の増強の計画なり、あるいは自衛隊自体性格なりについて、その方針というものは一貫をしておるのか、また長官がかわるごとにそれが変更されておるのか、こういうことを私はお伺いしたいと思う。
  20. 船田中

    国務大臣船田中君) 鳩山内閣創立後、わが国防衛体制をいかに整備すべきかということについての基本的の方針は、防衛庁長官更迭によりまして何ら変更はないと私は信じております。すなわち、わが国国力及び国情に相応する最小限度自衛体制を整備する、そうしてそれによりまして、外国駐留軍の撤退に備えていくということが基本方針となっておる次第でございまして、その点におきましては、歴代長官の表現の方法について、あるいはニュアンスの違いが多少あったかもしれませんけれども、基本方針、本質的なものにおいては変更はないものと私は信じております。
  21. 松浦清一

    松浦清一君 日本国力に対応して自衛力を増強していくのだという、その基本的な方針については、これは鳩山総理からしばしばお答えになっておるので、これに対して鳩山内閣自体方針に変りがあろうとは思わぬ。ところが具体的な問題についてはいろいろ変ってきておることがある。それは昨年の八月の十五日に、前の砂田長官がお伊勢さんに参宮をされて、いろいろ自衛隊のあり方について問題となった発言がございます。これは新聞記事に載せられた報道であるから、そういうことはあえて関知しない、こういうふうによく御答弁になりまするけれども、全体の国民が、日本自衛力の問題に限らず、すべての政府の施策なり、方針なりについて承知をいたしておる経過というものは、やはり新聞に頼るということが非常に比重が大きいのです。ですから全然問題のないことが防衛庁長官によって語られて、そうしてそれが新聞に報道されるということはないはずなんです。やはりこういう長官の口から出たことは、単に今は砂田長官の例ですが、砂田個人発言ではなしに、そういう思想なり、そういう考え方なり、そういう方針なりが閣内に動いておるということは間違いがないと思う。そのときにどういうことを砂田長官が言ったかというと、たとえば防衛生産のことについては、先ほど計画は持っておらないと長官お答えになっておられたようですが、防衛生産に関しては、これまでのように通産省だけにまかしておいてはいけない、防衛生産国有民営の線で計画する必要がある、こういうことを語っておられる。それから三つ四つ問題があったのですが、第二は、国防省設置に必要な法案をぜひ次の通常国会提出したいと言ったが、これは今度は出てこなかった。その際には、前国会に流産した国防会議構成法案もぜひ再提出したい。これは実現されておる。通るか通らないかしりませんが……。さらに国防省ができれば、これに伴って自衛隊の名称も国防軍といったものに変り、同時にその組織も改変されるであろうと、こう言っておられる。国防軍に改変されるという問題、それから防衛庁国防省に昇格といいますか、国防省に変ってくるという問題、そういう問題について閣内はどういう動きを示しておりましょうか。
  22. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま松浦委員から御指摘になりました砂田長官が八月十五日伊勢参宮の際に声明され、あるいは談話されたというその内容について、私実は詳細に記憶を持っておりませんので、ここにそのことについての実否、あるいはその当時の閣内においてどういう考え方が行われておったかということについて、責任をもって答弁申し上げることはできかねますが、おそらく前砂田長官の際に、前長官としてはできれば国防省に庁を昇格したい、すでに防衛庁の規模も相当大きくなっており、人員も相当持っておる。そういう関係からいえば、国防省にしたいというお考えがあったものであろうとは想像がつきます。また防衛生産につきまして、あるものは国有民営というようなものがよかろうというようなお考えがあったかとも推察されるのでございますが、しかしそれが当時の第二次鳩山内閣におきまして政府方針としてきまったものというふうには私承知いたしておりません。しかしそのことにつきましては、先ほどお断り申しましたように、その事実について私が詳細に知っておるわけでございませんので、私の想像に属することが多いわけでございまして、なお、当時のことは前長官砂田氏ともよくお話しを聞きました上に、いずれまた適当な機会にその実否について、また内容についても御説明申し上げるようにいたしたいと思います。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 この砂田発言の問題は当時各一流新聞の第一面トップ記事で取扱った問題でありまするから、新聞記事として現われたその事柄について、船田長官が御承知がないというはずはないと思いますが、これは逃げられれば逃げられることなんですね。だから砂田さんがそういう発言をしたとかしないとかいうことは別問題として、きのうも問題になっておりましたように、調達庁防衛庁所管にかわるという、そういう決定はされておらないようですけれども、大体問題になりつつある。そして今の調達庁防衛庁一緒になるというと、やはりこれは国防省設置するという公算がきわめて大きいように思える。従って砂田発言のあるなしにかかわらず、その発言はあなたが御承知であるとないとにかかわらず、今の防衛庁の、防衛庁というよりも政府方針としては国防省にもっていこうという傾向が非常に強い、こういうふうに推察をされるわけです。ですから砂田発言はともかくとして、今の政府方針一つお示しを願いたい。
  24. 船田中

    国務大臣船田中君) 今政府としては国防省設置のことにつきましてはまだ意見は何ら決定はいたしておりません。それから調達庁防衛庁に移管するかどうかという問題につきましても、これは全般の行政機構改革関係法案提出いたしまするときには一応切り離すということになったのでございますが、昨日調達庁担当倉石労働大臣から御説明もございましたように、この基地問題の円満にしてすみやかなる解決を要望するということは、これは政府全体の問題でございますので、基地問題関係閣僚協議会としましてできるだけ基地問題のすみやかにして円満なる解決を努力する、こういうことになったのでございます。調達庁の問題につきましては、今事務的に研究はいたしておりますけれども、まだそれをどういうふうにするか、防衛庁と統合するかしないかというような問題につきましてもまだ結論は出ておりません。ことに労務管理の問題につきましては、かなり困難な事情がありますので、これをにわかに二つの庁を一緒にしてしまうというようなことはできかねると考えておりますので、それらの点は十分事務的に研究を進めまして、そして適当なる結論を得るようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 調達庁防衛庁と統合と言いますか、あるいは防衛庁所管になるといいますか、何かそういう動きがあるということは間違いのない事実である、最終決定をしておらない、今調達庁長官に申し上げようと思っておったことをあなたに御答弁をいただいたのですが、現在調達庁所管である労務行政に関する問題ですね、労務管理といいますか、そういう問題が自衛隊所管——防衛庁一緒になるということについては、非常に問題が起ろうかと思うのですよ。ですからそれは最終決定をみておらないでも、そういうことが話題として取り上げられておる、その経過をもう少し、たとえそれがなろうがなるまいが、きまろうがきまるまいが、とにかく問題となって話し合いされておることは間違いないと思います。その経過をもう少し詳しく御説明が願えませんでしょうか。
  26. 船田中

    国務大臣船田中君) 今全く事務当局の間においてそういうような点について研究をしておるという段階でございまして、先ほど説明申し上げた以上の内容をもっておるものではないのでございます。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 もし大臣のところでおわかりがなければ、事務当局からでもいいのですが、その研究経過それから話し合い経過事務当局の方で御承知の方があれば、何か知らしてもらいたい、それに対して私どもの方もまた対処すべき考え方がありますから。
  28. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 松浦委員の御質問お答え申し上げますが、調達庁防衛庁に移管したらどうかという問題は、かねて関係方面の方で話が進んでおったわけでありますが、特に問題になりましたのは、先般自衛隊法防衛庁設置法改正をお願い申し上げた基地の、防衛庁で現在持っております基地アメリカの宿舎その他をつけることに関連いたしまして、いわゆる米用顧問団の面倒をどこがみるかということに関連いたしまして、顧問団に関しましては、労務を除きまして一応防衛庁がその施設の管理その他の事務をみるというふうに御決定を願い、また法律改正もその線でなされた次第でありまして、これに関連しまして、基地の問題に関連して出て参っておるわけでございますが、今長官からお話がございました通り事務的にも数回いろいろ話し合いをしておるわけでございますが、まだ根本的な解決のめどを見出す段階には至っておりません。引き続き事務的に検討を進めておる次第でございます。
  29. 松浦清一

    松浦清一君 これは仮定ですが、もしも防衛庁調達庁とが統合されるというか、あるいは所管に移されるというか、そのどちらかわかりませんが、そういうことになりますと、これが国防省設置前提条件を強めていくという結果になって、そうして国防省設置をするという、その合理的な裏付けを積み上げていくように思われますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  30. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛庁国防省に昇格したらどうかという意見は、先ほども申し上げたように前々からそういう意見は庁内にもございます。政府部内の一部にもあるわけでございます。しかし調達庁防衛庁に統合するという問題とこの国防省設置の問題とは必ずしも相関連したものではないのでございまして、これは別々に研究が進められておる次第でございます。
  31. 松浦清一

    松浦清一君 もう一つ、重要な砂田発言の問題についての……。これは砂田さんが言ったとか言わぬとかということは別問題として、今の政府なり防衛庁長官なりの考え伺いたいと思いますが、やはり昨年の八月十五日の伊勢において砂田長官が語ったごとき、郷土防衛隊それから予備幹部自衛官制度を設けるということを語って、これが非常に問題になった、そのときの砂田さんの発言は、この二つ制度については事務当局検討中であるということを前提にして言っているのではありますけれども、大学高等学校卒業生を会社に就職させる前に十カ月ないし一年ぐらい自衛隊学校に入れてそして訓練をさせる、これを予備幹部自衛官と称して、そういう制度を設ける。これは経団連の幹部職員とも相談してみたところが非常に賛成してくれたので、ぜひこれをやりたいということを言っているのであります。これはずいぶん当時問題になって学生の諸君からも猛烈な反対をかいますし、反対のいろいろな世論が高まってきたのでありますが、これまた砂田さんの発言であるから、そういうことは強行されないとか、知らないとかおっしゃるかもしれませんけれども、今はそういう考えは全然お持ちになっておらないのか、またそういう考え方防衛庁に生きているのかどうか、こういう点について伺いたい。
  32. 船田中

    国務大臣船田中君) この郷土防衛隊考え方は私は非常に意義があると存じます。すなわち現在の自衛官というものは数が限られておりますので、もし不幸な事態が起ったという場合に、自衛官が第一線に出てしまうというときに、それぞれの郷士を郷土の青壮年が治安の維持やあるいは社会秩序の保持ということに当るというような趣旨において、いわゆる郷土防衛隊というものができるということは、これは私は一つのいい考え方であると存じます。従いまして、このことは前長官のときには昭和三十一年度の予算にこれを取り入れまして多少なりとも実現したいということでありましたが、その後長官更迭もございましたので、三十一年度の予算にはこれは全然計上されなかったのでございます。しかしこれはいずれも国防会議ができましたときには、そういうところで十分御審議を願って、そうして適当な結論を得るようにいたしたいと存じます。  なお、学生訓練の問題につきまして、ただいま予備幹部自衛官ということについてのお話がございましたが、このことも前長官のときにあるいはお考えになったのかもしれませんけれども、これは現在におきましては、別に防衛庁として考慮しておる問題ではございません。今そういうものを、そういろ制度を作るというようなことは考えておりません。
  33. 松浦清一

    松浦清一君 予備幹部自衛官制度を創設するということ、そういうことについては考えておられないとおっしゃる、それはそれでいいですが、郷土防衛隊を作るということについては賛成をしておられるような御答弁でございましたが、あなたの構想として、もしこういうものを作られる場合には、どういう構成、どういう組織、どういう性格を持たせることがよいとお考えになっておられますか。
  34. 船田中

    国務大臣船田中君) いかなる郷土防衛隊を作るか、あるいはその人数、内容等については、まだ何ら私としては構想を描いておりません。ただそういう郷土防衛隊というようなもの、すなわち民防衛というようなことも、これは必要ではないかという漠然たる考え方でございまして、今後十分具体的な研究を進めていきたいと存じます。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 大学高等学校卒業生訓練をして予備幹部自衛官にするということについての砂田長官発言は、砂田さんは長官を引かれたのですから、これは今あなたの御答弁で、問題でないと、こうおっしゃられればそれでいいのですが、ちょうど、そのときと相前後して、現職林統幕議長が、長者ケ原の陸上自衛隊指揮所通信演習視察のために、これは昨年の九月の四日に向うにヘリコプターで飛んで行かれて、それでやはり記者団との会見で、砂田長官と同じようなことを言っておられるわけです。砂田長官現職を引かれたのですから、あの人のときにあの人が考えたということは、今自衛隊の中にはそういう考えが生きていないと、こう言えばそれで了解ができますけれども、現職統幕会議議長がそういうことを述べられたということは、まだそういう考え方自衛隊の中に生きているのではないか、防衛庁の中に生きているのではないか、こういうことを心配をするのですが、どういうことなんですか。
  36. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま御指摘の、林統幕議長が九月四日に新聞記者会見で、予備自衛官構想を述べたという事実については、私何も承知いたしておりませんが、しかしそれはおそらく私は間違いではないかと存じます。と申しますのは、林統幕議長は、その後常に私とは連絡をいたし、いろいろな問題について話をいたしておりますが、いまだかつて幹部予備自衛官というような構想について話を聞いたことはございません。従って私、これも推察でございますから、はっきりしたことを責任をもって答弁申し上げるわけじゃございませんが、林統幕議長もさような構想を持っておらないのではないかと私は信じております。
  37. 松浦清一

    松浦清一君 これは私の記憶が間違いかどうかしりませんけれども、この前に衆議院決算委員会で、例の中古エンジンの問題が問題になったときに、だれか自衛隊現職の幹部を国会出席をしてもらって、そうしていろいろ調査をしたいということを要求をしたときに、これを拒絶されたというようなことを記憶しているのですが、そんなことがあったのですか、あなたは御記憶ないですか。
  38. 船田中

    国務大臣船田中君) 今松浦委員の御指摘になりましたことは、小さいようですけれども、事きわめて重大でございますから、はっきり申し上げておきますが、この政策とか、あるいは事務の運営とか、そういうようなことに関しましては、政務次官、次長初め、内局の局長、参事官というようなところで、責任を持ってその運営に当っておるのでございますから、従ってそういうことに関する御質問は、長官以下事務当局が全部責任をもって答弁に当るのでございますから、そういうことについては、制服のものを出さないようにしていただくことがいいのではないか、いわゆる政治優先という建前から見ましても、それはその方がよくはないかということを申し上げまして、大体これは衆議院の決算委員の皆さんには御了承を得たのであります。ただエンジンの問題が非常に論議の対象になりまして、そうして現実に制服のものが、それをいいとか悪いとかいったとか、あるいは使うといったとかいわぬとか、というような事実の究明に属する問題でございますから、さような事実を究明するという点におきましては、制服のものを出すということも、私はあえて妨げるものではございません。すなわち、証人なり参考人なり十分お調べを願いたい、こういうことを申し上げたのでございまして、前者と後者との間には、はっきり区別をしていただくように、決算委員会委員諸君にお願いをいたし、大体私は御了承を得て、その通りに運んでおることと存じます。
  39. 松浦清一

    松浦清一君 今のように予備幹部自衛官を作るという砂田発言に対して、これは昨年の九月の四日の日本経済新聞に掲載された記事の切り抜きなんです。それによるというと、今申し上げたように、林統幕議長が、大学卒業生の未就職者の短期入隊について、世間ではいろいろ問題になっているが、将来指導的地位につくこれらの若い人たちに自衛の観念を強く持ってもらうことは非常にいい考えだと思う、ということを語っておるのですね。新聞報道ですから、そんなことはないだろうとおっしゃられれば別ですけれども、これをもし突き詰めていくならば、林統幕議長にこちらに出てもらって、そういう考えを持っておるのか、こういうことをたださなければならぬと思います。あなたはあなたの想像、推定、それから今までしばしば会っておるけれども、そういうことを林君から聞いたことはない、こうおっしゃるけれども、心ひそかに砂田長官のその発言に対して共鳴をし、また林君も、その心中にはそういうことを考えておるかもわからない。あなたはそういうことの必要がないと思っておる長官であるから、そういうことを言われないかもしれない。ところが再び砂田さんのような人が長官になられて、それを言い出されるというと、太鼓を持ってそれはそうだということになりかねないおそれがある。もしもその真偽をただすために林統幕議長の御出席をこの委員会に求めるというようなことになれば、あなたはどうなさいますか。
  40. 船田中

    国務大臣船田中君) 私は委員会委員会として正式に御決定になって御要求になるということであれば、これはあえて拒否するということは不穏当であると存じますが、しかし先ほど申し上げましたように、政策あるいは事務の運営、予算の執行、こういうようなことにつきましては、内局の者が責任をもって答弁に当っており、また政治優先という建前からこれはぜひそういうことを堅持していきたいというふうに私は考えております。で、今の林統幕議長発言したかどうかというようなことは、事実に関する問題もございますが、しかしその内容とするところは、いわゆる予備自衛官に関する政策の問題でございますから、これは長官以下内局の者が責任をもって答弁申し上げることが適当でありまして、制服の者を一々この委員会にお呼び出しになるということは、私は政治優先の建前から申しまして穏当ではないというふうに考えます。従いましてそういうことに対しましてはお取りやめをお願いいたしたいと思います。
  41. 松浦清一

    松浦清一君 私もたとえ自衛隊というふうな問題にしたところで、制服の軍人といいますか、自衛隊の幹部を国政審議の委員会出席を求めるというふうなことはなるべくしない方がいいと思う。これは将来もあることですから、もしそういうようなことをやっておって、そうして戦争のさ中に何とか中佐、何とか大佐が「だまれ」というようなことを言って問題を起したようなことになったりしては大へんなことになる。そういうことはあまりしたくないと思います。しかしこのことは、このことに対するわれわれの疑点はやはり自衛隊の中に、しかも自衛隊の制服の中の最高の地位にある人がそういう考えを持っているのではないかという一つの疑点が残るわけですね。まああなたの言葉だけを信用して、それは林君はそんな考えは持っていないだろう、今までそんなこと言ったことはない、こういう言葉だけを信用して、さようでございますかと、こう言って引き下がれば、これはまあ非常にいいのですけれども、そういうわけにも参らぬ筋合があるので、あなたを通して書面ででもあの新聞記事はうそであった、ああいうことは語ったことはないと、こういう一つ書面で御提出を願うというようなことはできませんか。これを私は確認をしておきたいのです。
  42. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 当時私官房長としまして、この問題に直接関係いたしておりました当時の事情を申し上げまして御了承を得たいと思います。  八月十五日、当時の砂田長官伊勢においでになりました際、予備幹部自衛官の問題について発言がありました。お帰りになって、さっそくその構想研究をわれわれ事務当局に命ぜられた次第であります。林統幕議長も制服の最高の責任者として大臣のお考えになっておりますことを何とか実現の方法はないかということで、われわれも相談にあずかった次第であります。砂田長官のお考えはもとよりわれわれとして大いに賛意を表する点があったのでありますが、いよいよこれを具体的に実現するためにはいろいろな問題がございまして、結局お考えはお考えとして最後にこれを採用するという結論に至りませんで、その旨を議長から当時の長官お答え申し上げ、大臣御在職当時この考えは一応おあきらめになることになった次第であります。従いまして途中におきましてはこの考え方についていろいろ検討もしたのでございまして、あるいは林統幕議長として当時九月四日ということでございますから、構想の途中でそういうようなお話があったかとも思われます。詳しいことについては私も承知いたしておりませんが、当時の事情を申し上げまして御了承を得たいと思います。
  43. 松浦清一

    松浦清一君 このことは政治的にいって大した問題でなさそうですけれども、掘り下げて考えていくと、非常に重大な内容を持っている問題だと私は思うのです。あの太平洋戦争が起ったきっかけとなったシナ事変が起った原因も、これは結局はよそから日本が侵略をされて、それを防衛するために日本の軍隊が立ち上ったのではない。やはり日本の軍隊が大きな侵略意図をもってシナ事変を起して太平洋戦争に発展したものと歴史は証明をしておるわけですね。そういうことになってきた原因というものは、膨大な陸海空の軍隊を日本が持って、そうして数知れざる在郷軍人を擁して、そうして大学、専門学校、中学校以上の学校における軍事教練が行われた。そういうことからほうはいとして戦争熱があふり立てられていって、せきとめがたいその空気があの大戦争になって、この惨たんたる状態に日本が陥った。簡単に申せばそういう経路をたどった。今、日本自衛力国力に対応して増強していくのだという方針を立てられたとしても、その構想の中に大学高等学校卒業生予備幹部自衛官として自衛隊に入れて訓練をするのだというような考え方がみじんでもあれば、それがだんだんと拡大されていって、その辺から戦争熱があふられてくる、こういう危険が想定される。もう一つは今の大学高等学校卒業生が就職に非常に困難をしているから、そういうことを経団連等と話し合って、そうして就職するえさに強制的にその訓練が行われる、まあ強制的という言葉はちょっと誤まりであるかもしれぬが、とにかくそうすることがこの就職難から逃れる唯一の道であるということになってきては大へんだと、こう思いますので、あたな方の答弁私は了承いたしますけれども、将来再びこういうことを着想したり計画したりすることのないように一つ御留意を願いたいということをお願いをしておきたい。
  44. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちょっと関連をして。大へん重大な問題について質問答弁が行われておりましたが、関連ですから簡単に念を押しておきたいと思うのです。国防省設置の問題については、砂田長官時代に国防省にしたい、それから自衛隊も公然たる軍隊にしたい。日陰の軍隊では士気が上らん、こういうようなお気持であったようです。公然たる軍隊にするについては憲法改正がなければならぬということで、これはまあさきに述べておられたようですが、国防省設置の問題についても、新聞で伝えられるところでは、ダレス氏から独立の軍隊、国防省を持って日本日本国を守る、こういう、実際にはなるまいが、国防省設置ということにはならぬのじゃなかろうか、こういう話があったということで、船田長官国防省設置はそういう計画はない、こういう意向が新聞紙に伝わっておる。従って国防省設置という方針はないと了解をして参りましたが、先ほどの御答弁では国防省にせよという意見政府なりあるいは防衛庁の中にもある、こういうまあお話で、むしろ国防省にすべきではないかという意見があって、なお部内でも、あるいは政府でも検討をしておる、まあこういう御答弁に聞こえましたから、もう少し明確に願いたい。それから郷土防衛隊についても郷土防衛隊という構想は大へんけっこうだと、まあこういう賛意、積極的な意思を表明せられました。憲法九条があります以上、憲法改正をして国土防衛の義務というものを憲法で規定をすれば別問題であるが、憲法九条があり、その解釈——これはまあこの間の憲法問題のときにはそこに高辻さんも来ておられましたが、高辻法制局次長が書きました現に残っておりますものについても、これは自衛のためといえども軍隊を持てないというのが九条のこれはまっすぐな解釈でございましょう。それが郷土防衛ということであろうとも、九条にこれは違反をいたすと法制局は私は言うと思うのです。それから憲法十三条、十八条からいいましても、十三条には「個人として尊重される」云々ということで、隣組あるいは町内会というもので、強制的に隣組の中に、あるいは町内会の中に入らなければいろいろな不利を与えると、こういうことになると、これは憲法違反の問題が起って参ります。まして十八条に、その意に反する苦役に服させられることはないと書いてございますから、その意思に反して郷土防衛隊に編入をせられるということは、これはないと思うのです。法律で郷土防衛隊というものをお作りになろうと、こういうことであろうと思うのでありますが、憲法があります以上、日本国憲法が健在であります以上、まさにそこには大きな矛盾が免じて参ります。
  45. 青木一男

    委員長青木一男君) 吉田君、関連質問でしたら、簡単に……。
  46. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ですから、国防省郷土防衛隊について積極的な意見を持っておられるのか、あるいはそれについて今の矛盾の点についてはどういうふうに考えられるか、明らかにしておいていただきたいと思います。
  47. 船田中

    国務大臣船田中君) 現在国防省設置のことについては研究をいたしておるわけではございません。それから郷土防衛隊構想につきましては、私が、そういう考え方一つのいい考え方である、研究に値するということを申しましたことは事実でございますが、しかしそれはもちろん郷土防衛隊を設けるといたしましても、それは日本の憲法の許す範囲内のことを考えておるのでありまして、憲法の規定を逸脱して郷土防衛隊設置するというようなことを考えておる次第ではございません。
  48. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連質問でしたらまた適当な機会に……では簡単に願います。
  49. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 許す範囲内というのはどういうふうにお考えになっておるのですか。
  50. 船田中

    国務大臣船田中君) これは先ほど申し上げましたように、郷土防衛隊をどういう内容のものを作るかということはまだ全然考えておりませんので、従ってここに具体的の内容を申し上げる段階にはまだ達しておりません。ただそういう考え方はよかろうじゃないかというばく然たる賛意を表しておるというに過ぎません。
  51. 松浦清一

    松浦清一君 これは経済自立五カ年計画関係が深いことなので、防衛庁長官として答えられる分野でないことは御答弁いただかなくてもけっこうですから、私は国防会議の五つの目的の中で、防衛計画関連する産業の調整計画の大綱、この問題を非常に経済自立計画関連して重要視しておるわけです。これは御承知通り、朝鮮動乱がきっかけとなって、銃砲であるとか銃砲弾であるとかいう、そういう兵器を中心にして日本の特需が非常に高まってきて、通産省あたりの発表によると、今年の三月までに総額が四百七十八億円に達しておると、こう言われておった。ところが二十九年度から朝鮮事変がおさまって特需ががた落ちに落ちてきて、二十九年度に二百十六億であったのが、三十年度になるとわずかに十五億円に減少しておる。それから今日の予想からいくというと、三十一年度は三十年度を下回るような状態になるのではないかと、こう予想されておるわけですね。アメリカに依存をしておった軍需産業というものが、これから先にその多くを期待することができない。特に「経済自立五カ年計画」の五十七ページに主要経済指標という表がつけてございますが、その中で、下の方のカッコしてあるところに、特需が三十五年度に消えておりますね。三十五年度の、計画の最終年度はこれはゼロになっておる。これは間違いないのですか。だから、二十五年度から二十九年までにアメリカの特需に依存をしておった軍需産業というものが、その方面にもう依存することができなくなってくるわけです。三十五年度にはもう特需が消えて、なくなってくるわけですね。そうすると、そういう関係で、特需の受注をして軍需生産だけで非常にその事業の業績をあげておった——ごく少数ですけれども、神戸製鋼であるとか、あるいは小松製作所とか、大阪金属であるとか、日平産業であるとか、特に日平産業それから小松製作所、こういうところはもうほとんど経営不振に陥ってどうにもならぬ。こういうことになっておるわけです。そういうところから非常に強力に日本自衛隊の増強によって日本の国内における自衛隊関係の軍需生産で立ち直ろうという考えから、自衛隊増強に大きなてこ入れをしておる、政治的なてこ入れをしておる、こういううわさが伝えられておるのですが、くさいとかくさくないとか、そういう問題でなしに、そういう動きがございますし、またそういう動きがあれば防衛庁としてどういう態度で臨まれますか。
  52. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛生産につきましては、これはこの前の機会にも申し上げたかと思いますが、大体七、八年の長い空白がありましたがために、非常に生産技術あるいは科学知識等におきましておくれをとっておることは事実でございまして、従いましてわが国防衛体制を整備するという考え方から申しますれば、この防衛出産につきましても相当力を入れていかなければならぬ。育成強化をはかっていかなければならぬということは、これは防衛責任者といたしまして考えておるところでございます。しかしこれをいたしまするにつきましてはいろいろ問題がございますので、それらのことは、これまた国防会議設置されましたときに十分いろんな資料も集めて、十分御検討をわずらわしたいと考えておるのでございます。  ただいま御指摘のありました銃砲弾の生産に従事いたしておりまする製作所、会社が相当最近特需が減ったということによって困っておるということは事実のようでございます。従いまして銃砲弾の生産等につきまして、防衛庁予算があるかないか、できれば防衛庁の注文も受けたいというような希望は、それらの生産者の間にあるようでございます。しかし防衛庁といたしましては、現にアメリカ側から供与された弾薬等を相当量保有いたしておりますので、それらの会社の救済のために無理に注文を出すというようなことはできませんので、そのことは陳情は一、二あったようでございますけれども、しかし防衛庁といたしましては、そういう注文は現に出しておりませんし、また今後も出す見込みはなかろうと存じます。ただいまお話しのようなてこ入れを受けたとか何とかいうような事実は全然ございません。
  53. 松浦清一

    松浦清一君 今の問題について具体的な例ですが、たとえば大阪金属あたりの経世内容と申しますか、それを見まするというと、そこの生産高といいますか、売り上げが最高に達したのは昭和二十九年度だった。その特需部門だけで、その会社の総売上高が二十二億円であったのが、その中で特需関係だけが十六億円の利益を上げた。それが三十年度には九億円に減って、そして三十一年度の三月期の決算では六億円にさらに減少しておる、こういう決算が出ておるわけであります。大阪金属あたりでこのくらいのことになるというと、なかなか経営が困難になってくると思われる。大阪金属のみならず、日平産業、それからアメリカの自動車の修繕をほとんど一手に引き受けておった富士自動車がありますけれども、そういうようなところが今まで特需一本やりで会社が経営をやっておったものが、特需がなくなるというと破産をしなければならぬというようなことになる危険があるわけですね。だからそういうところから、自衛隊から発注される武器生産については相当の動きが示されるものと思われるわけです。今簡単に長官は、少しばかりそういう話があったようだけれどもとおっしゃるけれども、こういう軍需産業資本家がやはりやっていけなくなれば、ねらうところは自衛隊なんです。今までにそういう話があったと思うのですが、具体的にそういうことはございませんか。
  54. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま御指摘のようなそういう特殊の会社から特に陳情を受けたという事実は少くとも私就任後ございません。ただ先ほど答弁申し上げたのは、私友人として懇意にしております経団連の副会長の植村甲午郎君とか、あるいは前の三菱重工の社長をしておりました郷古潔君とか、そういう人からこういう実情がある。特需が減ったために会社がだいぶ困っておる。自衛隊の方で何かこれにかわる注文が出せないかというような陳情を、これも先般航空工業会というものの総会がありましたときに、そのコクテル・パーティの席上においてそういう話を伺ったことはございます。しかしそれ以上の陳情を受けたことはございません。  防衛庁といたしまして、先ほど申し上げたように、銃砲弾等につきましては現在相当の貯蔵がございますので、今直ちに銃砲弾の注文を出すというような見込みはございません。
  55. 松浦清一

    松浦清一君 自衛隊がいろいろの兵器といいますか、銃砲弾等の発注をしますときには、何か入札か何かやらせるのですか。それとも特定の会社を指定してそれで請負わせてやるとか、どういう方法をとっておられるわけですか、今まで……。
  56. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) ちょっと装備局長がほかの委員会に出ておりますので、かわって答弁をいたしたいと思います。  これはものによって違いますが、一般入札、競争入札、指名入札、それから特殊なものについては、その相手方だけに入札をするという形をとるわけでございます。銃砲弾につきましては、ただいま長官からお話がありました通り、米軍からその大部分を供与を受けておりまして、現在十四万何がしトンというものを持っておりますので、これを注文するというような場合は現在のところございません。
  57. 松浦清一

    松浦清一君 私はこの委員会防衛庁設置法自衛隊法法案が審議されるときに出席をしておらなかったので、そのときの質疑の中に出たかもしれませんが、三十一年度の予算の中で、どういうものはどういう会社に発注をしたとか、その発注を入札でやらせたか、指名をして請負わせたかどうか、そういうことの記録がほしいのですけれども、もうそれはだれか注文して出たのですかね。出ておれば私の方で調べ落ちなんですが、出ておらなければ、そういう資料一つ提出を願いたい。
  58. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 当委員会においてはまだ出ておらなかったと思いますが、ほかの委員会でもそういう御要求がございますので、調べまして、ある一定金額以上のものについては資料として提出いたしたいと思います。
  59. 松浦清一

    松浦清一君 三十年度のものでは確かにもらった。非常に参考になりましたが、三十一年度の分について、そんなこまかいものを要りませんから……。
  60. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 三十年度分について、三十一年度はまだ……。
  61. 松浦清一

    松浦清一君 いや、三十年度分は出たように思うのですがね、それじゃ三十年度のもう済んだ分ですね。それから三十一年度分のすでに発注済となっているもの、そういうものをお出し願えませんか。
  62. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 三十年度分につきましてはすでに調査したのがございますが、これは後日提出させていただきたいと思いますが、三十一年度分につきましては、まだ年度が始まったばかりでございます。果して御要求に沿うものを出し得るか、ちょっと研究さしていただきたいと思います。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  63. 松浦清一

    松浦清一君 そのもうすでに既発注の分もありましょうし、それからこれから予算によってどこに何を発注するかという予定のものもありましょうから、大体予定のものも御提出願えますか。ただそれはそんなにひどく、ないものもあるだろうというようなことを言いませんから、現実のままの表を作っていただけばそれでいいのです。なぜ私がこういうことをお尋ねするかといいますと、たとえばF86のジェット戦闘機の部分品が大部分アメリカから入ってきますね。それは小牧の三菱の航空機製作所にほとんど一手に昨年度分は組み立てをやらしたのです。三十一年度分は川崎航空機の方に若干回すのだという説明を私承わったように記憶しておるのです。そうするとあの高価な、七億とか八億とかかかるジェット戦闘機の八十台だとか六十台だとかいう大口が、特定の会社にだけ発注されるというのであれば、それが特権になるわけですね。その会社の独占事業みたいなことになるわけですね。心配をするのは、そういう独占事業的な形態において特殊の会社に非常に多額の支払いをする、発注をするというその裏面に何か起りはせぬかという——これは防衛庁を疑ってはなはだ恐縮ですけれども、いろいろな事件があとからあとから出てくるものですから、そういうことを心配をするので、どのように注文をされているかという、そういう経過が知りたいから、昨年度の実情と、三十一年度なお予想されている発注先等についての資料を私は求めておるのですから、ほかに他意はございませんから、一つお出しを願いたいと思います。
  64. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) 先ほどの御要望については、できるだけ沿いたいと存じております。なお後段に御質問がありましたT33、F86の生産計画につきましては、これは御承知通りT33についてはロッキードの製品でありまして、これは川崎が特許権を持っております。F86についてはノース・アメリカンで、新三菱重工がその特許を持っておるわけであります。この二社に限定をして生産をさせておる次第であります。
  65. 松浦清一

    松浦清一君 それからけさの読売新聞に報道されておった、タンクから油が漏ったという事件ですね、新聞記事だけではその詳細がつまびらかでないので、どういう実情であったか、一つ教えてくれませんか。
  66. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) けさの読売紙に出ておりましたガソリンタンクからガソリンが漏れたという二つの案件について私から概要説明申し上げたいと思います。  一つは、北海道の早来燃料タンクの漏油事件でありますが、これは昭和二十九年の六月三十日に千代田化工株式会社に工事を命じまして、二十九年の十一月十日に完成いたしたものであります。工事の完了したあとで、部隊側は昭和三十年の六月十六日に送油したところが、一部埋設個所で漏油をしておるというのを発見いたしました。送油期間、二月十五日から三月十七日までの間の漏油の実績を調べましたところ、大体十トン程度のものが漏油しておる事実を発見いたしました。これは仮設道路、本来の道路ではないところに埋設してあった部分でありまして、その上を自動車が通った、そのために溶接個所がいたみまして漏油したということが推定されるのでありまするが、その上を通行しておった車両がどこの車両であるかということがはっきりいたしませんので、この責任を追及するのに困難いたしておる次第であります。大体今日までわかったところによりますと、十トン内外のものが漏れておるのではなかろうかと思っております。漏油個所はいずれも発見直後千代田化工に命じまして修理をしております。  なお霞ケ浦の問題でございますが、これは旧海軍が使っておりました古いガソリンタンクを補修して使ったのでございます。工事を施工せしめたのはトキコ油器という会社であります。昭和二十九年の八月の七日から三十年の一月五日までの間に補修工事をやらせましたが、その後のタンクの表に油がにじみ出るという事案を発見いたしましたので、これが調査をなし、要するに小さなあな、ピン・ホールと称するものが相当数発見されました。これを補修して現在使っておる次第であります。霞ケ浦の分については、何分にも十四年使わなかったものを補修したために、溶接個所その他に故障が起きて、それの補修が十分できないために外に漏れておったというふうに承知いたしておる次第であります。
  67. 松浦清一

    松浦清一君 なかなかうまいことを言って答弁をして下すったのですが、まあ防衛庁というようなところに、全然間違いがないであろうと思っているところに間違いが起るというと、新聞に大きく書き立てるのかもしれませんが、読売新聞を見ますと、「防衛庁にまた失態、穴あきタンクに貯油、血の一滴むざむざ土中へ」と、こういう大きな見出しで書いてある。また中古エンジンを初めとして、この間も申し上げましたけれども、ずいぶんたくさんな事件があるわけですね、防衛庁の中に。国会の中にもたまにはそういうことが出てくるし、警察官の中にもそういうものが出てくるし、特に防衛庁だけではないでしょうが、特に防衛庁だけが最近いろいろな問題が出てくるというのはどういうわけなんですかね。船田防衛庁長官も、あなたもなかなかうまいこと答弁されて逃げられるけれども、これは大へんなことだと思うのですね、こういうことになると。たとえば昭和二十九年度から三十年に防衛庁予算は二百三十四億使い残して持ち越されてきておる。それほど不要な予算を取るということ自体において大きな間違いがあるし、それだけ金が余っておるのに、溶接個所があってその上を車が起ったからそれで穴があいたのだと、そういう損なことをやらずに、何億もの金があるのですから、漏れないようにどうしてりっぱにやらなかったのですかね。
  68. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) ただいま最初に御説明申し上げた点、あるいは説明が不十分だったかと思いますが、昨年の二月十五日から三月十七日の間でございますが、当時道路でない場所でありまするが、十分な垣根その他をしておらないために、その上をトラックが通った。道路でありますれば相当深く埋設して、そういう心配はないのでありますが、道路にあらざるところに埋設した。そのために車両が通過して、その荷の重さによってあるいは溶接個所に影響を与えた、こういうふうに考えておる次第であります。原因もいろいろ調査をしておる次第でありますが、車両通行等のためのものであるかどうかということについて、まだはっきりした結果をつかむに至っておりませんのは、まことに遺憾に考えておる次第であります。大体先ほども申し上げました通り、種々の方法で検定しました結果、十トン内外は漏油しておるというふうに考えておる次第であります。まことに遺憾に存じております。
  69. 松浦清一

    松浦清一君 まあそれ以上どうだこうだというのではなしに、特に国の予算の中で非常に一つの項目としては多額の予算を取って防衛庁というのはやっておるところですから、そういうことのないように一つ注意していただきたいと思います。それから今までしばしば質疑で答えられましたように、これが閣議において正式に決定したという方針ではないようでありますけれども、ひそかに考えられておる日本防衛計画というものは、昭和三十五年末に十八万の自衛隊、それから千三百機、十二が四千トンの艦艇と、大体これは目標でありますが、これが完成をした暁か、あるいは三年後に陸上自衛隊が十八万になった暁かどっちか知りませんが、陸上自衛隊が十八万になったときにアメリカの地上部隊は引き揚げる、こういうのですか。三十五年末に陸上、航空、海上の大体計画が完成したときにアメリカの地上部隊が引き揚げるというのですか。どちらなんですか。
  70. 船田中

    国務大臣船田中君) まず前段のことについてちょっと一言申し上げておきますが、防衛庁の経費の支出につきまして、いろいろ会計検査院から非難を受けたということにつきましては、まことに遺憾に存じまして、その原因を究明し、また方法も講じ、責任者はそれぞれ処分をするという手段を講じた次第でございます。今後防衛庁費の支出につきましては、ただいま松浦委員も御警告になりましたように、十分注意をして参りたいと存じます。ただ衆議院決算委員会において問題になりました冬服を買い過ぎたじゃないか。それからパッカード・マリン・エンジンの買い上げについて不正不当がありゃしないか、こういうことにつきましては、私どもの方といたしましては、その間に何ら不正不当のことはなかったということを御説明申し上げておる次第でございまして、なお、それにつきまして、もし御不審の点があれば、決算委員会の十分な御審査を願い、また刑事事件等がありますれば、それにつきまして十分究明していただいて、事実をはっきりさせていただくことをお願いいたしておる次第でございます。今後におきましてかような事態の起らないように万全の措置を講じて参りたいと存じます。  なお、後段の御質問でございますが、これもこの席からもたびたび申し上げたことでございますが、三十五年度を最終年度といたしまして、防衛庁の試案として持っております陸上の増強計画は、今御指摘通り、十八万の陸上自衛官を持つと、こういうことでございますが、これとアメリカ駐留軍の陸上戦闘部隊の撤退という関係でございますが、アメリカの駐留軍のうち、陸上戦闘部隊は現在も順次撤退しつつあるのでございまして、本年中には約一万一千ぐらいの陸上戦闘部隊が撤退するということになっております。昭和三十五年度において防衛庁の持っております試案が実現することになりますれば、米軍撤退の基礎がこれによって作られるということになります。現実に米軍の撤退ということは、国際情勢ともにらみ合せまして、その後において日米間の合意によってこの米軍の撤退ということが実現するだろうと存じますが、その時期は今日これを明言するわけには参らぬという次第でございます。
  71. 松浦清一

    松浦清一君 これは昨年の八月、重光外務大臣アメリカに行って、もう話が、取りきめが済んでおるのと違いますか。この三年後に陸上の自衛官が十八万になったときに引き揚げるとか、あるいは三十五年度に先ほど申し上げた全体の計画が完了したときに引き揚げるというようなことは、何か当時重光さんと話し合いが済んだように伝えられたのですけれども、これは済んでいないのですか。
  72. 船田中

    国務大臣船田中君) 昨年八月末に重光外務大臣アメリカに参りまして、ダレス長官初め、国防、国務両当局者と話し合ったその内容概要につきましては、当時日米共同声明が出ておりますが、あれ以上のものは何もございません。また私もそれ以上の詳しい話を聞いておりません。
  73. 松浦清一

    松浦清一君 船田長官の御説明で、今年だけで二万一千人程度のアメリカ地上軍が撤退をする。それからまああなたのおっしゃることを肯定するとして、今までしばしば御答弁になりましたように、日本自衛力が漸増するに従ってアメリカの駐留軍が漸減をしていく、こういう方針だということを一応了承した上で尋ねるのですが、アメリカ日本における地上軍の第一騎兵師団、第三海兵連隊、第五百八空艇連隊戦闘団と、こういうもの、たとえば第一騎兵師団というのは何人、第三海兵連隊が何人、第五百八空挺連隊戦闘団が何人ということは、そこでおわかりになりますか。
  74. 門叶宗雄

    政府委員門叶宗雄君) あるいは直接松浦委員の御質問お答えすることにはならないかと存じますが、大体私たち承知しております在日米軍の兵力でございます。これは昨年末でございますが、地上軍が四万二千、第一騎兵師団が一、海兵師団が一、その他特別砲兵大隊、工兵大隊がございまして、合せて四万二千ということに相なっております。海が六千五百、空が大体五万人程度でございます。  ただいま長官からのお答え関連してお話がございました米軍の撤退計画といたしましては、ただいま申し上げました騎兵師団の三分の一、約四千名が本年の初頭から撤退をして、大体撤退を完了し、現在約一万残っております。それから海兵師団が現在約三千ございます。空艇団が約四千あります。この合せて七千名というものが六月上旬から撤退を始めまして、本年中に撤退を完了する、こういうことに承わっております。
  75. 松浦清一

    松浦清一君 このアメリカの駐留軍隊が引き揚げるに伴って、ここに労務を提供されておる日本労務者が非常に残酷な状態において解雇されつつあること、これは調達庁の方の問題かもしれませんが、何らかの措置を講じなければこれでは気の毒だとい実情にあることは、長官もう承知通りであります。これは長官一人の御責任じゃないでしょうけれども、一つの問題として、将来、ことし二万一千人アメリカの軍隊が少くなれば、それに対応してもう数もほとんどきまっておるようですけれども、駐留軍の労務者が整理されるわけですね。これに対して防衛庁から見た今後の処置とか対策とかいうものが当然考えられるべきだと思うのですけれども、何か考えございますか。
  76. 船田中

    国務大臣船田中君) 今、松浦委員の御指摘になりました点はきわめて重大なことであり、また特にこの米駐留軍に雇われております日本労務者の多数の失職するということは、これは非常に気の毒な事態でもありますので、政府といたしましては、特にその対策のために官房副長官委員長といたしまして、関係の深い各省庁の事務当局会議を持ちまして常に連結会議を開き、そうしてできるだけそれらの人の転職のあっせん、あるいは転職のできない者も、失業をして生活上困ることのないように万全の措置を講じつつあります。現に呉地区におきましても最近千人近い労務者が解雇されるというようなことになりましたので、これにつきましては地元の当局の御支援も得まして、政府としてはできるだけの善後措置を講じて不安のないようにいたしておりますが、今後におきましても、今御指摘のこともございますので、できるだけの措置を講じていくようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  77. 松浦清一

    松浦清一君 アメリカの軍隊が撤退するということは、これは非常にけっこうなことですが、日本防衛計画全体の中から生まれてくる犠牲者であることは間違いないのです。労務者が整理されていくということは気の毒であるからというので、われわれは退職手当の増額に関する法律案を議員提案として出しておるわけです。これは気の毒だから何とか処置をしなければならぬということを考えておられるならば、駐留軍のために労務を提供しておる人が整理されていくということを食いとめるということは、実際問題としてなかなかむずかしいと思う。ですからできるだけのことをしてやろうということは、退職手当を増額をして、そして失職後の不安を少しでも除去するということができるだけのことだと思うので、この法律案に対して当然防衛庁立場から御賛成あるべきだと思うのですが、いかがですか。
  78. 船田中

    国務大臣船田中君) 今の退職金給与に関する議員提出法律案というものを、私実は見ておりませんので、ここでその賛否を申し上げるわけには参りませんが、先ほど来申し上げておりますように、駐留軍労務者の解職に対しましては、政府としては今後もできるだけの措置を講じまして、不安のないようにいたして参りたいと存じます。
  79. 松浦清一

    松浦清一君 できるだけの措置ということは、結局はこの次につくべき仕事を見つけるとか、あるいは若干の生活がささえられる退職手当を増額して支給するという以外に道はないのですよ。言葉だけでなしに、具体的にそのできるだけのことをするということは。ですから転職もさせられない、退職手当も増額ができないと、こういうことであるならば、これは結局何とかして上げたいということは、気持の上だけの問題で、実際にはこれを実行しないということになる。実際に実行しようとすればこの二つ以外に道はない。ですから日本防衛計画全体の中における一つの犠牲であるというそういう建前から、防衛庁は真剣にこれは考えてもらいたい。法律案内容をよく一つごらんになって、与党を引き連れて賛成ができるような態勢を作ってもらうことを希望して、もう十二時ちょっと過ぎましたから終ります。
  80. 青木一男

    委員長青木一男君) きょうは始めるのがおそかったから、もう少しやりましょう。
  81. 松浦清一

    松浦清一君 ところが、私は経済企画庁長官に対する質問を用意しておったのですが、それが出てこられないので、私の質問は半分まだ残っておるわけです。(「午後やったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  82. 青木一男

    委員長青木一男君) きょうは始めるのがだいぶんおそかったからもう少しやりましょう。
  83. 千葉信

    千葉信君 議事進行について。午後の議事の関係について理事会で御相談する件もあるので、ここらで一つ休憩して、そして松浦君の質問については午後の委員会でやるかやらないか、そういうことも含んで理事会に切りかえてもらって、委員会はこの際休憩してもらったらどうかと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  84. 青木一男

    委員長青木一男君) 私はもう少しやる方針ですけれども、質問者がなければ休むよりしようがありません。  質問なさる方ございませんか。
  85. 松浦清一

    松浦清一君 質問がないこともないけれども、同じ顔を見ながら長官と私と二人で二時間もやっておればいいかげん飽きがくるから、一体みして……。
  86. 江田三郎

    江田三郎君 私も質問があるのだけれども、けさ資料要求しておりますから、これが出ぬと質問に入れないのです。
  87. 青木一男

    委員長青木一男君) 堀君どうですか。
  88. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私も質問はあるのですけれども……。
  89. 青木一男

    委員長青木一男君) それじゃ、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩    ————・————    午後一時五十七分開会
  90. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員変更について御通知いたします。五月二十二日亀田得治君、永岡光治君が辞任されまして、その補欠千葉信君、菊川孝夫君が選任されました。  理事補欠互選の件をお諮りいたします。千葉信君の委員辞任に伴って理事が一名欠けておりますので、理事補欠互選を行いますが、互選の方法は成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それでは私より千葉信君を理事に指名いたします。   —————————————
  92. 青木一男

    委員長青木一男君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず衆議院の修正にかかる部分につき便宜政府から説明を聴取いたします。
  93. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 衆議院におきまして修正を受けました点は三点ございます。  まず第一点は、長官を補佐する次長を気象庁に置くということでございます。気象庁におきましては、従来人事行政の上から技術者をもってその長に充てておりましたが、今後も気象業務を行う上から申しまして、長官は技術者をもって充てることが適当と思われますので、行政面から長官を補正する次長を置く必要があるというのが第一点でございます。  第二点は、本法律案におきまして施行期日が六月一日になっておったのでありますが、準備の都合がございまして、一カ月延長いたしまして七月一日に改めたいということでございます。  第三点は定員法の関係でございまして、先に成立いたしました首都圏整備法に基きまして運輸省から二名の定員を割愛いたしております関係上、付則におきまして、運輸省の定員を二名割愛したことに改めたいというのが修正の第三点でございます。  以上が衆議院におきまして修正を受けました点でございます。
  94. 青木一男

    委員長青木一男君) これより質疑を行います。
  95. 松浦清一

    松浦清一君 午前中国防会議で全部の時間を使って午後また劈頭で大へん恐縮でございますけれども、お伺いいたしたいと思います。(「松浦さん少し大きな声で」と呼ぶ者あり)大きな声でやっては疲れる。(笑声)この法案の提案理由の説明を拝見をいたしますと、まことにわが国の気象業務は完璧を期しておるというようなことが書いてあるので、果して現在の機構あるいは日本の施設、そういう点で必要限度の気象業務が完遂されておるかどうかということに疑問を持ちますので、そういう点を伺ってみたいと思います。この説明によりますというと、「全国的に百六十余の地方機関と、千五百余の観測所等が細の目のように有機的に組織されており、五千百五十名の職員を配置して、一体的に業務を遂行する大きな事業体であります。従いまして、中央気象台は、国家行政組織法第八条のもっぱら試験研究を行う付属機関であるよりは、むしろ同法第三条の外局とすることが適当であると考えますので、運輸省の外局として、気象庁といたしたのであります」。こういう趣旨の説明がなされておる。別に提案理由の説明に因縁をつけるわけではないのですが、少くとも私どもが聞き知る範囲内において、日本の今日の気象業務の機構なり施設というものは完璧であるとは了承ができないのです。その了承のできない第一点として、従来南の方と北の方に定点観測が行われておったのが、昨年でしたか、突如として北方定点が廃止された、こういうことを聞いておりまして、そのことによる北方方面の気象観測が非常に支障を来たしておる、こういうふうに聞いておるのですが、どういうわけで北の方の定点観測を廃止したのか。それとまたそれを廃止することによって北の方面の気象観測に支障が起るというようなことはないのか。まずこの一点を伺っておきたいと存じます。
  96. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) お話の提案理由の説明はあるいは御指摘のありましたように少し書き過ぎのような点がありますが、決して現状におきましては、完璧だとは私ども考えておりませんので、ただ比較上のことで他の部局から比べれば大きいということだけでございます。お話の点は御指摘のありました通り決して完璧ではございません。それで北方定点のお話がございましたが、これは御承知通りに駐留米軍と共同で、費用の分担は向うの方が四分の三でこちらの方は四分の一と、こういうのでやっておりましたのを、向うの方の都合でたしかあれは昭和二十九年にそれをやめることになりましたので、相当にあの仕事は経費がかかる仕事でございますので、従来もらっておった四分の一の費用ではどうともまあしようがございませんので、それなりに機会あるごとにわれわれといたしましてもこれを復活したいということで努力いたしましたのですが、まあ財政上の理由で今日までそれがみておらないわけでございまして、そのために気象業務上に不便と申しますか、これは感じておることは事実でございまして、やはりああいう方面にああいう観測というものがあった方が非常によろしいということは私ども考えておるわけです。
  97. 松浦清一

    松浦清一君 これはアメリカ側との費用の分担率は、アメリカ四分の三ですか。これの一カ年の総経常費はどれくらいかかっておったのですか。
  98. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 当時定点は南北いたしておりまして、その費用は一年に二億余りだと記憶しております。そのうち四分の三がアメリカの負担になっております。なお、これが打ち切りになったときの情勢を少し申し上げますと、この定点観測はわが国の旧海軍が使っておりました海防艦がアメリカ側から引き渡され、そして行なっておったものでございます。ところがその船が年数もたちますし、特に北の方の荒海におきまして観測に十分でありませんので、アメリカに対して、新しい船をもって行うということを日本から提案しておりました。アメリカ側もその船というものについて非常に考えておったのでありますが、ついにその船が実現するに至らずして、突如アメリカの方からこの観測打ち切りの通告となったのであります。
  99. 松浦清一

    松浦清一君 そういたしますと、北方定点観測は気象業務の上から判断して必要であったけれども、二億円の経常費の予算を取ることができなかったので、やむを得ずこれを廃止したと、こういう状況でございますか。
  100. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほど申し上げましたように、単なる経常費にあらずして、新しい船を得るというところにおいて非常な経費の問題が生じたために、この継続が困難になったのであります。
  101. 松浦清一

    松浦清一君 もし船を作れば、どれくらいの費用がかかって、どれくらいの船を必要なのですか。
  102. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) その当時私どもの計算によりますと、一隻約六億でありまして、一つの定点を経営するには三隻、二点を一つの機関が経営するには五隻と計算したのであります。
  103. 松浦清一

    松浦清一君 北方の廃止された定点は、一隻でもやれることはやれるのですね。
  104. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 一カ所に船を停滞させまして、次の船が行って交替をいたして、そして観測を続けるのでございまして、二隻と、あと船の修理とか、そういうために二隻ではきちきち一ぱいで円滑にできませんので、一カ所二隻半というふうに考えております。
  105. 松浦清一

    松浦清一君 北方定点を廃止するということは、新しい船の建造費、それから経常費等の予算関係もむろん問題があったでしょうが、かりに二隻半とおっしゃいますから十五億円ですか、十五億円をもって二隻半の船を建造する。半という船はないでしょうけれども、十二億円か、十五億円の予算を計上して船を二隻作る。それから経常費に二億かかる。たとえばこの予算がとれて船を作ったとしても、海上における定点観測をして、それを内地で受け入れるだけの機械の設備といいますか、施設といいますか、そういう点に非常に大きな欠陥があるということを聞いているのですが、その点はどうですか。
  106. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お尋ねの点は、観測の整備とか、それを活用することと思いますが、それには別にそういう大きな欠陥はないと私は思っております。
  107. 松浦清一

    松浦清一君 施設の点においても、その他の点においても、今ので十分なんですか。
  108. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私お尋ねの趣旨を正確に把握しておらないかもしれませんが、ただいま申し上げたのは、定点観測にそれだけの費用をかけて行えば、あと基地の方にはもっと設備があって、それでなければできないかというお尋ねと思いまして、それには基地の方もある程度二億に含んでおりますから、それで格別大きな欠陥はないと申しました。お尋ねの趣旨が、気象事業全般にわたりまして、定点観測をするだけで気象事業が成り立つのかということならば、気象事業というものは、いろいろまだ施設をしなければならないことがございますので、定点観測一つしたからといって、完璧になるわけではないというわけです。
  109. 松浦清一

    松浦清一君 今日のような日本経済事情では、今年や来年定点観測を再現せしむるということは不可能かもしらぬが、もしでき得るというような状態になってくれば、内地の方の、内地といいますか、陸上側のことはあまり知りませんが、気象関係の受け入れ態勢に要すべき整備の具体的な問題点というものは、どういうところにあるのでございますか。
  110. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在中央気象台におきましては、いろいろの施設を整備しなければならない事項がたくさんございます。その中で主なものを、また早急にいたしたいものを要約いたしますと、まず気象通信の整備強化でございます。それから第二番が水害の対策に対する気象業務の整備、その次は気象の天気予報を行うのに新しい数値予報のようなやり方を採用するそのための施設、それから第四番目に機械器具や建物などの老朽あるいはおくれておるものを更新するということ、第五番目には海上におけるところの気象に関する遭難、そういうものの海難防止に対する気象業務をもっと強化するというような、項目をあげますとそういうものでございます。  なお、お許しあれば、この一つ一つについて詳しく申し上げたいと存じます。
  111. 松浦清一

    松浦清一君 そういう機械設備等の名前をこまかく承わってもなかなか理解ができないのですが、大体日本の気象観測の完璧を期するためにはどういう場所にどういう新しい設備をすることが必要であるという大体のところを一つ教えてもらえませんか。
  112. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) まず第一に今あるものを完全に整備することであります。これらは長年の気象事業において腐朽、老朽化したるもの、あるいは時代の進展に伴わないもの、そういうものを整備強化することであります。  第二番は、今度は新しいやり方ができたことに対する、即応したる新しい設備であります。前に申しました、以前からあるもの、それに時代の進展に伴うものも加えていたすようなことは、各項目につきましてその両方がございますけれども、たとえば海上の遭難に対する気象サービスの面といいますと、従来の通信線が十分でなかった。予報の出し方に対する技術的の考慮であるとか、そのための気象資料の整備であるとかというようなこと、または観測船が不十分であるとかというようなこと、また新しい施設としましては、近代的のレーダーというようなものを活用するというように、各項目におきまして現在のものの整備強化と新しい施設を作ってゆくものとございます。  各方面にわたりますので、お答えを適切にいたしたかどうかは存じません。
  113. 松浦清一

    松浦清一君 私が手元に持っておりまする二十九年度の災害関係資料によりますと、五月以前のもの、それから六、七月の豪雨、八月の豪雨、十二、十三、十四、十五号台風等の被害ですね。これは必ずしも気象観測が完璧であったとしても、この被害が全部免れるということはできなかったでしょうが、この被害だけを見ても、農作物関係の被害が筆頭で千五百億、それから土木関係の被害が三百十億、水産関係の被害が百十億、こういう工合になって、約二千億円の災害による被害をこうむっておるわけであります。これは非常にむずかしいことで、相当の新しい施設なり機械の設備を完全に行なって気象の観測が完璧であった場合には、この何十%か、何%かは、早く台風などとか豪雨などということが予知されて、そうして防災をすることができたのではないかと思われる。特に水産関係の被害等は、漁船の遭難がきわめて多い。漁船の損害などは、漁船そのものに、無線を持っていないとか、いろいろの船自体の欠陥もありましょうけれども、たとえば今どこそこの海域は危険であるから、出ることを見合したらどうだとか、あるいはどういうところに台風のおそれがあるから、きょう出た船はあした帰ってこないと危ないぞというようなことは、たとえば無線とかラジオとかいうもので船がキャッチするのではなしに、いろいろな方法で船に連絡してやって、この被害が相当程度免れることができるのではないかと思うのですが、これはしろうと考えで、かえって教えてもらう結果になるかもしれませんが、気象台長の——具体的にはこれはわかりませんね、具体的にわからんですが、大体あなたが気象台長として、これだけの施設とこういうものを持っていれば、こういう災難は相当程度免れるだろう、相当程度を数字で示せということは無理でしょうが、そういう感じはいたしませんか。
  114. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お話の気象の災害につきましては、年々莫大の損失をこうむっておることは事実でございます。気象サービスがその間何%寄与するかということは、その鑑定が非常にむずかしいことであります。特に金額だけでなく、人命という問題が多くかかっておるところは、私どももその責任を痛感しておる次第でございます。さて、こういうような気象災害を少しでも軽減するというに当りましては、もちろんこの的確なる気象情報の提供、あるいは予報の伝達というようなことがございます。が、気象台は最善を尽しますとして、それがいかに活用され、いかに周知されるかという点につきましては、なお今後の気象はもとより、関係の方面においても、よく連絡し、それがうまく行われるように、ますます努力すべきだと思っております。なお、気象台自体が最善の気象サービスをするのにどういう施設が、ざっとどのくらい要るだろうかというようなお尋ねであります。気象のような最近の学理、しかもそれがある部分はいまだに発達の途上にあるようなものを織り込みまして、そうしてこのぼうばくたる広い区域を対象にしているものにおきましては、多々ますます弁ずるという点がございまして、ある程度しぼらなければ、その効果を、これだけやれば完璧であるというようなことは、ちょっと申し上げにくいのでありまして、それを実際的の問題として、まあこの現在の段階において、それが行い得るというのはどうかということは、われわれの要求している予算額というものが一つの目安になるのではないと存ずるのでございます。昨年度われわれが予算について政府要求額になっているのは、実際に与えられたものの三倍まではなかったかと思いますが、そういうことでございまして、これもさきに私の言いました一般論から検討の余地はあると思いますが、一つのそういうものも目安になるのではないかと思います。
  115. 松浦清一

    松浦清一君 吉野運輸大臣伺いますが、あなたは憲法担当の大臣になられて、憲法調査会法の審議の際に、第九条を改正して軍備を強化するのではないか、そういうわれわれの質問に対して、これは鳩山総理も同じようなことを答えられたのですが、国力に対応した軍備を増強していくのだということを、しばしば国防会議構成等に関する法律案の審議、憲法調査会法案の審議の際に、問いもしたし答えられてもきたわけですね。ところが、今申しましたような昭和二十九年だけでも二千億に近い大きな災害を受けておる。そうして北方の定点観測を復活する、船を作って復活するということのために、十数億の金と二億程度の経常費があれば北方における定点観測ができるということ、ところが国力に対応して増強するのだという軍備の関係の方は、これはまたしばしば申し上げましたけれども、昭和二十九年度から三十年度に使いたいほうだい使って、なお二百三十四億円の金を使い余して、そうして翌年度に繰り越している。こういう憲法を改正して軍備を増強するための関係にはふんだんに金が使われて、そうして海難防止、農作物に対する被害、その他土木関係の莫大な被害を、金額に見積っても相当の予防ができるであろうと思われる方面に金を使うことをしない、こういう矛盾に逢着しているわけです。とんでもないところに飛びますが、憲法担当の大臣としてこういう矛盾をどのように考えますか。(笑声)
  116. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) まあ軍備の方の関係と、この運輸省設置法関係というものの論理上の連絡はあるといえばあるし、ないといえばないようなことでして、その点については、私もこの席上で憲法調査会法案の場合において、今お話通り国力相応に、あるいは九条を改正してどんどんふやすのだということを申したことはないのでございます。しかし、ただいかにも、運輸大臣として気象関係において非常に金が少いということは私も痛感しております。私もしろうとなんですけれども、早い話が、電子計算機一つ持っていない、あの電子計算機というものが一つあれば、とにかくあらゆるデーターや計算が早くできますから、そこで明日の気象を予報する場合にも非常に効果があるのだということは、外国雑誌に出ておりましたが、それを聞きましてもこちらにない。雨量の話でも、方々に雨量観測所を設けておりますけれども、まだ設けてないところもあるそうですから、雨が非常に強く降ったと言ってもわからないところがある、盲点があるわけです。設けておっても無電があればいいけれども、無電も何にもないから早く来ないというようなことで、非常にその点がしろうとはしろうとなりに私は非常に大事な点について非常に足りないということを痛感しておりますので、まあ再軍備云々ということにもかかわらず、気象業務というものにつきましては、もう少し予算を出さなければならぬ、つきましては内々私も継続費という関係じゃございませんけれども、気象業務というものの充実を期するために、どういう一体具体的な計画を何年にわたってやるかという長期計画を立てまして、昭和三十二年度からそれを実施するように要求したらどうかというようなことを今考えておる最中でございます。
  117. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっと関連して。今の軍備と、軍事費と言いますか、それと気象とは直接関係があるようなないようなというお話でしたが、さっきの北方定点観測の場合に新しい船を作ると六億も一隻に対して要るとこういう話がありましたが、一体これは何ですか、今防衛庁が使っているような船でこういう目的のために多少の改造をすれば使えるという船はあるのですか、あればどういう船なのですか。
  118. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私は詳しくは存じませんが、しかしあまりないように記憶しております。
  119. 江田三郎

    江田三郎君 この改造をしても今の防衛庁が使っている船は一切そういうものには不向きだとそう断定していいのですか。
  120. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 船のあるなしは私詳しく存じませんが、あるといたしましても、この定点観測というものは全くその目的に終始使われるものでありますから、その点は一定の期間の借用ではできないと思います。
  121. 江田三郎

    江田三郎君 だから私はそれを何カ月借用とかそういうことを聞いているのではなくて、今防衛庁アメリカから貸与されたり、あるいはそうでない形においていろいろな形の船を使っておるが、あの中には改造すれば定点観測に使える、こういう種類の船がないとはっきり言い切られますかと言っておるのです。
  122. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) よく研究いたしますが、私の記憶アメリカから定点観測に使うような船が一度問題になったときに、それが防衛庁の方に渡ったことがあったのが一、二隻あったように思いますから、全然ないとは言えないと思いますが、それ以上のことは存じません。
  123. 松浦清一

    松浦清一君 中央気象台長は一昨年の暮に、班は違ったですけれども、一緒に中共に行って、周恩来首相に合ったときに、一緒に会って、中共からの気象の連絡がないから非常に困難をしておるが、何とかそれに対して便宜をはかれということを、あなたが勇敢に周恩来首相に要求しておられた。われわれははたにおって非常に賛成をしておったのですが、その後中共側との間の交渉がどのような経過になっておりますか。それから中共側との気象連絡がないために南の方でどのような不自由をしておられるか伺いたい。
  124. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまのお尋ねのことでありますが、あの以後中国の担当の方とこの問題についてお話いたしましたが、これは中国の国家の機微にわたることであるから要求は満足させがたいというようなお話で、こまかい点につきましても、いろいろ私は部分的のお願いなどをしたのでありますが、私にとっては余り満足できない状態でしかお話し合いがつかなかったのであります。その後も絶えず私は連絡努力はいたしておるつもりでありますが、いまだにこの問題は解決つきません。  なお、そういうような中国の気象情報が入らないことはどのくらい日本の気象事業にとって痛手であるかということにつきましては、簡単に口では申せませんが、ともかくも日本は中国の隣り国でありまして、特に西側にあの膨大な地域をもっております中国から一つの気象情報もこないということは、普通の気象の常識からいたしましても、非常な業務に不十分な結果を来たしているということは申し上げられると思います。
  125. 松浦清一

    松浦清一君 ソ連と日本との間には、同じ国交が回復されておらぬでも、気象通報の交換が行われておって、中共との間にそれが行われないということはどういうところに主要な原因があるのでしょうか、お気付きの点がありましたらお教え願いたい。
  126. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私は国際間のことはよく存じませんけれども、私の理解しておるところでは、中国は現在交戦状態にあるからそれで気象資料は発表ができないと言われたように記憶しております。
  127. 松浦清一

    松浦清一君 これは気象の通報の交換といいますか、そういう問題に限定してでなしに、中共と日本との間には気象台長のおっしゃる通り国交が回復されておらないということで、この問題のみならず、貿易関係その他にも非常に不自由な点がある。ここで、貿易関係を論ずる場所でないから申しませんが、気象の関係の面からだけでも判断してこの交換ができないということは、いいとか悪いとかいうことを議論する前に、その前提条件、今台長がおっしゃるように交戦状態にあるからこの通報関係の交換ができないというのはもっともなことだと思います。ですから、こういう面から見ても、すみやかに中国との国交を回復すべきだ、このように、これはこれだけに限定して考えるわけにはいきませんよ、なかなか広い範囲の問題があるのですから……。とにかく国交の回復をするということが日本の利益するところが非常に多い、そのように私どもは判断をいたしておりますが運輸大臣いかがですか。
  128. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) まあこれは国全体の問題ですが、私も究極においてはやはり松浦さんと同じように考えております。
  129. 松浦清一

    松浦清一君 運輸大臣は今日本の国の最も重大な問題となっておる憲法担任の大臣になられるくらいですから、閣内においても相当有力な地位を占めておられるものと判断するのです。このことに関して閣内における御努力を懇請をしたい。おやりになる御意思ございますか。
  130. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 今私の力はそうおっしゃるほど(「そうでないよ」と呼ぶ者あり)なんじゃございませんですが、微力でございますが、まあ微力は微力ながらそれ相当に今のような問題につきましても一つ努力したいと思っております。
  131. 松浦清一

    松浦清一君 気象台長に伺うのですが、もしも中国との気象観測の交換と言いますか、適切なる言葉は知りませんが、そういうことが行われるならば、こういう被害は防止ができるのであろう、こういう被害については事前に予知することができるであろうという大体の見当はつくものと了解しますが、それはわかりませんのですか。
  132. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 御承知のように、天気は西から大体移って参ります。もっとも台風のようなものは南の方から参ることもございます。しかし大体において西の方から移って参りますのでありますから、そういうような暴風というようなものも前もって予知することができます。また南の方から参るものもその方の資料から正確度を増すことができます。従ってある種の暴風あるいは豪雨というようなものは中共の材料があって初めて予報ができるというものもございます。ある種のものはその精度を増すという結果になります。
  133. 松浦清一

    松浦清一君 気象観測と台風はこれはもう非常に関係の深い問題ですが、あんまり時間をとらないで台風の起る原因と、その主としてどういうところから起って、そして日本にこのような大きな被害を与えておるかということを簡単でよろしうございますから教えてくれませんか。
  134. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私もよく台風に関してまだ究めておりませんので、いろいろ説がございますけれども、理解しておるところでお答えいたします。  とにかく発生場所は南洋の地域でございます。南洋における強い太陽の熱は向洋の海の水を水蒸気の形にし、その水蒸気は潜熱つまり隠れた熱という形でもっておびただしい熱を持って空気中に含まれております。そのおびただしい熱のエネルギーというものは、いつかは運動のエネルギーに変るものであります。南洋の海上におきましてこれが一度まあ上昇気流というようなものを起して、そしてその潜熱が遊離いたしますと、そこに大きな渦巻が起りまして、そしてますますその潜熱を使って発達をし、そしてここに大暴風が起る、台風という現象ができ上るのです。この大気中に起る大きな渦巻は全体の大気の流れに流されて、その途中ますます発達しながらわが国の方へ移動して参るのでありまして、その参る道筋もそのときの気象状態によっていろいろではありますが、大体の、平均的に申せば夏の初めは南洋に起ってフィリピンを通りアジア大陸の方に進み、だんだん秋になるにつれ南洋から琉球の方を通り黄海に抜けますが、秋の終りに近づくに従って日本の方へ来る。そうしてさらに南の方から束の方へ抜けるというようなのが大体の傾向でありますが、しかしそのときの気象状態によって非常に異常な経路をとったり、あるいはその速度に非常にむらがあったりいたしますので、台風の予測は現在なおまことに困難をし、努力をいたしておる次第であります。
  135. 松浦清一

    松浦清一君 私は神戸ですから、神戸の海洋気象台にときどきおじゃまするのですが、あそこなんかは戦災のために建物がこわれたまま、そのまま放任されておる、仕事ができないという状況におかれておる。ああいうようなものは神戸ばかりでなしに、あるいはいろんな施設が老廃して使用に堪えないとか、そういうところがたくさんにあるだろうと思うのです。いつも私は船の関係ですから、そういうことを思うのですが、大体日本の国の行政それから政治の中で、船だとか気象だとかいうものについては関心度が薄い。そこで日本の気象などというものは片すみの方に追いやられて、相当重大な仕事をしておるにかかわらず、片すみの方に追いやられておるというような気がしてならぬのです。神戸のように戦災のまま——役所の庁舎であるとかその他のいろいろの公共施設等がほとんど復旧して、しかも本庁のごときは戦争前よりもりっぱな建物がどんどんできてきておる。ところが出先のそういう大事なところが戦災後も放任されておることはまことに残念だと思うのですが、ああいうところがほかにまだあろうと思いますが、まだございますか。これはどういうわけでそのまま放ってあるのですか。
  136. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 神戸海洋気象台において爆撃を受けて破壊されたる建物が、その残骸をさらしております。はなはだ見苦しくて申しわけないと思っております。取りこわしますにも費用がかかりまして、いずれは再建いたしたいと思いまするけれども、現在のところまだそこまでできませんので、ああいう状態になっておるのであります。何とかいたしたいと存じております。  なおこの気象官署全体にわたりまして、そういうような庁舎の復旧というものは相当に悪いところがあります。それらにつきましても年々できるだけ修繕改築のようなことを心がけておりますが、何ぶんにも一年に数が、非常に少なくいたしておりますので、なお多く腐朽した建物が残っておる次第でございます。
  137. 松浦清一

    松浦清一君 台長は非常に遠慮をして、気がねをして、どうも予算がとれないからということをはっきりおっしゃらないけれども、結局予算の問題だと思うので、ああいうように出先の重要な仕事をしなければならぬ場所が戦災のまま、鉄筋の骨だけがさらされている、そういうような状態というものは好ましい状態でないことはもちろんだし、また業務を遂行するのに大きな支障を起しておるということは、しばしば私は現場で伺っておるのです。結局これは、余るほどの軍備予算を節約をして、ほかに出てくればけっこうですが、すみやかに予算の獲得をして、そして十年あまりもたつのに戦災の状態が復興されてないというようなことをすみやかに復興しなければならぬ、こういう一つのお考えを運輸大臣持っていただいて、来年度でも予算獲得のために努力をされるという御意思はございませんですか。
  138. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) その通りにいたしたいと思っております。
  139. 松浦清一

    松浦清一君 それを一つお忘れのないように、あなた、憲法の改正が終るまで、やはり憲法担任ですから逃げるわけにはいかぬと思うので、運輸大臣をかねられて、閣内における発言力も強化されて、そして十分とはいかないかもしれませんけれども、こういうぶざまな、気象台の事業というものが片すみに押し込められておるというようなことを一つ脱却をして、新しい日本の気象の大業の達成をされて、そしてそのことのために起る被害というものを最小限度に食いとめるということに一つ御努力を願いたいと思います。このことを希望しておいてほかへ譲りましょう。
  140. 江田三郎

    江田三郎君 最近天気予報の的中率というようなものは、従前に比べてどういうことになっているのですか。
  141. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 最近の天気予報は終戦後次第に成績をあげておりまして、八〇%以上に的中しておると存じております。
  142. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろ松浦君から災害の話が出ましたが、御承知のように、ことしは大へんひどい霜の害を受けたわけですが、こういう霜害というようなものは、これは長期の予測というようなものはできておるのでございますか。
  143. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいまのお話は、五月初めごろ、よく起る晩霜のお話と思います。晩霜は、そのために特別の注意報とか警報とかを出しておりますが、あまり前には出しませんで、その日の午前とか午後までには出して、その日の晩から明け方の霜に対する警報を出す。そして農家におきましては、できる限り、煙を出す方法とか、水をまく方法とかいう措置をいたしまして、そして防ぐというようなやり方をいたしております。
  144. 江田三郎

    江田三郎君 警報をいただいて煙を出すとか水をまくとかいっても、これは限度があることで、そうむやみにできるこっちゃないですが、そういうことが、その日の午後というようなことでなしに、もっと長期な予想というのは、これは不可能なんでございますか。
  145. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 大づかみの予想は少し前にできまして、そしてまぎわの警報ということになるのでございます。季節も一年中、そう長いわけでもございませんし、農家におきましても、それぞれ注意をいたしておりますし、こういうような地域的に非常にむらのある問題では、各地域におきまして、それぞれの特性もございますので、こういうことは気象台とその担当の他の部局、あるいは実際に個々の農家と力を合せて効果が上るものと存じております。
  146. 江田三郎

    江田三郎君 先ほど当面気象台として、施設というよりも当面の問題点というのを五項目ほどあげられましたが、これはさらに吉野大臣から補足のような説明を聞きましても、全くこれは何とかしなければならぬという感じを強くするのですが、一体気象台の予算で、人件費とその他の費用との割合というものはどういうことになっておりますか、戦前の姿と現在どうなっておりますか。
  147. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 数字はのちほど申さしていただきたいと思いますが、戦前は大体半々というようなものであります。現在ではとても半々ではなく、人件費の方がはるかに多いと記憶しております。何割でありますか、ちょっと調べまして……。
  148. 江田三郎

    江田三郎君 現在のところ人件費の方が多いということですが、人件費の部分には、戦争等で破壊されたものの復旧も含めて、なお人件費の方が多いということですか。経常的なものだけを見て人件費の方が多い、どうなんですか。
  149. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) それらを含めまして人件費が多いのであります。
  150. 江田三郎

    江田三郎君 大臣は、至急に気象台の整備拡充強化の長期計画を立てなければならぬ、そういう必要を感じているということをおっしゃいましたが、私はその大前提に、まあ戦争によって特に特別な破壊を受けたものの復旧ということ、あるいは当然更新すべきものをしていないものの更新ということはありますが、そういうものは別にして、一体将来こういう気象台等の経費においては、人件費とその他の経費との割合を、どの程度にもっていったらいいというお考えでしょう。
  151. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) ちょっと具体的に割合のことは、実は私は承知しておりませんが、いずれにしても、戦争によっていためられたものの復旧もさることでありますが、新しい面の施設ということがだんだんふえていくのであります。さっき申し上げました電子計算器のようなものも一つである、そういうような面というものは、てんで新らしい施設というものが少いのでございますから、それですから、やはりそういうことも、破壊されたものの復旧と合せて考えなければならぬと、こう考えております。具体的にその数字がどういう割合になるかということは、ちょっと私もここで申し上げるだけの資料を持っておりません。
  152. 江田三郎

    江田三郎君 これは吉野さんは初めて運輸大臣におなりになったのですが、それまでにいろいろの仕事をおやりになっているし、大体気象台だけでなしに、試験研究機関というものは、その経費が、人件費とその他の経費との割合はほぼどのくらいでなければならぬということは、一つの常識的なものがあったように思うのですがね、たとえば農林省関係におきまして、昨年来農林省の試験研究機関の整備拡充ということを非常に問題にしまして、そういうときに各試験場長の話を聞いてみても、戦前はこういう割合であった、それが一つの常識的に試験研究機関としては当然のことなんだという大体の割合というものがあるように思うのですが、そうじゃないでしょうか。
  153. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私もその記憶がはっきりしませんが、私も戦前に商工省関係で試験研究機関というものを多く手がけておりましたが、大体人件費より物件費と申しますか、その方の方が若干上回っておったのではなかったかと、こう記憶しております。
  154. 江田三郎

    江田三郎君 だから人件費の方が少いというのが、これはまあどこでも常識だと思うので、従って今後長期の拡充計画をお立てになるというと、その原則をまず第一に確立しておやりになるということが一番前提になるのじゃないかと思いますが、そういう原則というものを貫いて今後の長期計画をお立てになりますか。
  155. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 大体そうしたいと思いますが、ただ私は具体的な、はなはだしろうとで何ですけれども、気象台の業務においてはなかなか計算のようなものがございまして、若干商工省関係の、産業関係の試験研究機関よりはそういったような方面の人手が要るのだろうと思います。そのことが、さっき申し上げました実は私も非常に日が浅いのでして、電子計算器というものがあるかと聞いたところが一つもないということですから、それじゃいろいろなもののデーターを出すときに、あしたの気象を出すのにも不便だろうと言いましたら、その通りだという話を聞きましたが、よく私よく存じませんから、そこは若干、これは気象台長から聞いた方がいいかもしれませんが、若干ほかの試験研究機関よりは人手が要る面があるのではないかと思います。
  156. 江田三郎

    江田三郎君 まあ戦前も台長の話では五〇、五〇ぐらいだったということでして、まあ今私どもが同じしろうとの常識で考えますと、電子計算器を一つお出しになりましたが、そういうようなオートメーションというので一日か、いろんな機械が発達すればするほど施設の方の事業費の方が多くなり、戦前よりはもっともっと人件費の占めるパーセントというものが少くならなければ勘定が合わないと思うのですが、これは私もしろうとでよくわかりませんが、台長の方は一つ専門的な立場から将来の長期計画を立てるとすれば、今の点についてどうお考えになりますか。
  157. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お話のように気象業務も非常に機械化される時代になっておりまして、通信におきましてもテレ・タイプ方式というふうなものを採用しております。また天気図なども電送するというような機械化をいたしております。あるいは水害対策の雨量をはかる機械化も自分で自動的に通信をするというように非常に機械化されて参りまして、そのために費用は物件費の方が多くなるということは当然考えられます。
  158. 江田三郎

    江田三郎君 まあはなはだ失礼なことを申しますけれども、気象台長の顔色を見ても、あまりすぐれぬ顔色をしていられる。(笑声)日ごろいろいろ災難をお受けになっているのじゃないかと思うのです。たとえば二、三日前の鹿児島の桜島の例の爆発するかどうかというような新聞記事を見ても、そこに、桜島には厳として気象台信用すべからずという記念の碑が立っており、しかもその記事を見るというと、気象台長は、気象台長ではない、何と言うのですか、測候所長ですか、何しろ古い機械でお話にもなりませんと、こういうことを言っておられるが、しかし一般の国民はそんなに機械が悪いとも何とも思いやしませんよ。そんなことわかりませんよ。それはやっぱり気象台の連中の能力が悪いだろうぐらいにしか思わないので、ちょっと吉野さん、ここのところはよく聞いておいて下さいよ。この気象台に対する国民の不信というものはすぐに政府に対する国民の不信に通ずるのですよ。われわれから税金は取るけれども、ろくなことを一つもやらぬじゃないか。天気予報一つでもよう当てぬじゃないか。そういうことは政府に対する国民の不信と相通ずることになるので、やはり私は国民の生活に端的につながりのある問題については、ほんとうに強力な指導力がある政府を作っていこうということになれば、一番力を入れなければならぬと思うのです。あなたも大臣になってからわずかしかたたぬということですが、それはあなた自身の場合はそういうことが言えても、鳩山内閣というものは今唐突としてできたものではない。もうだいぶ長くからあるわけです。さらに自由民主党というような立場からいくと、吉田内閣というものは、ずっと前から定点観測の問題なんか何べん一体問題になったか。秋になると必ずこれは問題になることなんです。そういうことについて私は少し吉野運輸大臣がというわけではないが、運輸大臣が怠慢だったということは、厳として責めらるべきだと思います。そういうことについて、あなたは一体今後ほんとうにどれだけの決意をもっておやりになるということを、これははっきりしていただきたいと思います。
  159. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) お話の点は全くごもっともであります。私も従来、何と申しますか、そう言ってはあれですけれども、気象関係の仕事の方は、運輸省の気象台長を前に置いてはなはだあれですけれども、片すみにあったという、そう扱ったわけではございませんが、そういうきらいがあったということは、これはいなめないと思います。むしろ今お話通り、全くお話通りでございまして、この行政というものが縁の下の力持ちでございますけれども、国民の生活の上に、産業の上において申すまでもなく非常にこれは重大な影響を持つものですから、ぜひ私はこの行政というものに全幅の努力を払って充実を期したい、こう思っておるのです。今度も気象台というものを外局にしたというようなことも、ただ一つの現われでございますけれども、それだけじゃ何にもならぬのです。またこれを足がかりにして、これから一つ先ほど申し上げましたように年次計画を立てて、一ぺんにはいかないかもしれぬけれども、なるべく新しい施設というものをここに何しまして、国民の期待に少しでも沿うようにしたい、このことだけは私は責任をもって申し上げることができると思います。
  160. 江田三郎

    江田三郎君 まあそういう力強い言葉をいただきまして、しかも松浦君の話じゃないけれども、とにかく憲法調査会の成立にあれだけの手腕、辣腕とは申しませんけれども、(笑声)お振いになった、委員長と呼応してやられた吉野大臣としては、私は相当の期待ができると思いますが、今度の機構改革について、一体まあ機構改革は大臣がおっしゃったように、これで目的を達しておるのではなしに、これから拡充強化するための一つの土台を作ったのだということだから、それはそれでよろしいが、一体なぜあなたの方の原案にない次長というものを衆議院で修正になったのか、その間の事情はどういうことなんですか。先ほど説明をちょっと聞いておりますというと、気象庁長官ですか、気象庁長官は技術者がなるのだ、従って事務系統の次長を置くというように聞えましたが、あるいは気象庁長官がかりに技術者であったところで、その人がその他のことについて不適任だとは私は思わぬわけです。たとえば建設省において建設次官というものは、しばしば技術者がなっておる。そういうようなことを考えてみて、どうも先ほど説明だけではよくわからぬのですが、その間の衆議院における修正の経過、それから、一体そういうあなた方政府が出された原案に衆議院修正を受けられたことに対して、政府としてはどうお考えになっているのか、これをどなたからでも……。最後の方はこれは大臣に伺わなければなりませんけれども。
  161. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 先ほど衆議院で修正を受けました点について御説明申し上げましたのは、衆議院におきましての修正の理由を速記録によって御説明申し上げたのであります。そこで長官が技術者で、従来中央気象台の最高責任者の長官、今度の気象庁の長官でございますが、それは技術者である関係上、行政面において次長をもって補佐させるという衆議院の御意思であったのであります。私どもの当初のこの御審議を願いまする原案におきましては、そういう点は、技術者とか事務系統とかいう点を特に考慮はいたしておりませんで、気象業務の強化という意味におきまして、次長を置きまする必要は十分痛感しておったのであります。しかしとりあえず現在の機構そのままで外局として発足いたしたい。将来適当な機会におきまして、次長を設置することを認めていただきたい、こう思いまして、今回はとりあえず現在の機構そのままで認めていただきたい、こういう気持でおったのであります。
  162. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっとこれは一つ大臣から聞かなければなりませんが、一体今の事務当局のような考え方でいいのですか。一体これは重要法案であるのか何か知りませんけれども、私どもはいやしくも国会に出てくるものは、ことごとく重要法案だと思っておる。それを初めから修正を予想しつつ国会に提案されるというのは一体なんです。このことを大臣から聞きたい。
  163. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私からちょっと補足して申し上げますが、私先ほど申し上げました通りに、気象台の業務の充実ということは、私はやっぱり年次計画を立てて、これはやらなければならぬ、こう思っておりまして、今回の改正点は、ただ足場と申してははなはだなんですけれども、足場として気象庁というものを外局に置くということだけをきめたのでありまして、次長を一人置くか置かぬかということになりますと、そのほかにもいろいろな問題があるわけですから、単に次長一人を、この際これをつけるということは、私は全体から見て適当でないと思って、予算を組みますとき、これをやりますときには、現在のままでやったわけなんです。そこで衆議院の方で次長を置いたらいいじゃないかというお話が出まして、これもそれだけじゃしようがございませんのですが、ただ先ほども申しました通りに、気象台長はこれは技術の方面にたんのうな人ですけれども、むろん長として行政事務というものにもまたむろん練達な人であるということは、これは私も認めております。ただそれを助けるのに事務的の面がなかなかあるわけです。大蔵省にいろいろ走り使いと申しますか、そういったような面がございますから、そういう面において気象台長というものを——今度は気象庁長官ですか、それを助ける意味において、次長というものを置いてやろうという衆議院の修正でございますから、それはそれで私はないよりはいいだろう、こう思います。
  164. 江田三郎

    江田三郎君 大蔵省へ走り使いをするというようなことなら、何も次長というようなものはなくても、一体総務部というものは何のためにあるのですか。一体こういう気象台というような機構においては、長官は当然私は技術者でなければならぬと思います。そういう技術者というものが長官になられたら、その命令系統は一本できちんとしたのが私は一番いいと思うのです。ややもすると、気象台の方ではあれもしたい、こうもしたいというようなところへ妙なものが入ってくると、その線が非常にゆがめられてしまうのですよ。とんだところで政治的妥協ばかりして、国民として重大関心を持っておる気象庁のほんとうの充実にはならない、大蔵省に走り使いばかりして、主計官ととんでもない話ばかりして、結局においては要領を得ぬことになってしまうので、しかも一体この六十三条を新しく作って、次長は庁務を整理するというようなことになったら、何が庁務かわけがわからなくなってくると思うのです。そこで私は気象庁の指揮命令系統というものはかえって混乱をするのではないかと思うのですが、そういうおそれはございませんか。  なおまた、一体次長を置くという場合に、これは一体どういう人を考えておるのかということですね、この本省の定員というものははっきりきまっておる、そこから今度の首都圏とか何とかへ二人出すだけで、一向増減はないのですが、一体どういうものを予想してこんなものに同意されるわけですか。
  165. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私が走り使いという言葉が少しぞんざいでございましたから、それは取り消しておきます。要するに今御心配になる、命令一途に出るということを妨げるようなことは私はないと思うのです。次長はつまり行政面と申しますか、事務面ですか、行政のうちの事務面の方を担当して長官を助ける、こういう意味に私は了解しております。従ってこれからその次長に充てる人は、これは技術面の人でなく、事務面の人をもって充てる、こういうつもりでございます。
  166. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると現在気象台に籍を置いている人の中からお選びになる、こういうことですか。
  167. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) これはまだその法律が通っておりませんから、今これを公けに私がどういう人をどうやるということを申し上げる段階に至っておりませんけれども、大体気象台の中におる事務の人のうちから選びたい、こう思っております。
  168. 江田三郎

    江田三郎君 それなら何も次長を置かなくても、そういう人が総務部長になれば事が済むわけじゃないですか。何かこういうようなこと、近ごろ次長とか何か次官をふやすとかというようなことが盛んに出て、トップ・マネージメントだとか何とか勝手な理屈をつけておりますけれども、私はやはりこういうことは指揮命令系統が混乱して、かえって禍根を残すのじゃないかということを考えるわけです。たった一人の問題ですけれども、やはり組織というものはすっきりしておらぬといかぬというような気がするのですが、そうはお考えになりませんか。
  169. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 先ほども申し上げました通り、そういう心配のないように運用をいたしまして、私は制度としましても、次長というものが長官を助けるということは差しつかえがない、こう考えておるわけであります。
  170. 江田三郎

    江田三郎君 この際ちょっともう一つついでに聞いておきますが、潮海流の問題ですね、これは一体今ある潮海流の図面というもので正しいのかどうかということについてどうお考えになっておりますか、というのは、去年もことしも、東京湾の中の、千葉で、油のためにノリが非常に被害を受けたことがある、そこでこの海岸へ油が流れ込んでくるのは、一体どこから油が出たのだろうかということをやってみても、なかなかどうもわからない、海上保安庁の方の人に聞いてみても、その他いろいろ調べても意見が違うわけで、さっぱりわからないのですが、こういうものは現在あるところの図面で正しいのでございますか。その点はどうお考えになっておりますか。
  171. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 潮流、海流につきましては、気象台も海上保安庁水路部もそれぞれに観測をし、その材料を整備しております。しかし何分この広い海で、しかも季節的、時間的にも複雑でまだ十分わからない点もあるかと思います。
  172. 江田三郎

    江田三郎君 そこで広い海のことでというけれども、台長よく聞いて下さい。この東京湾ですよ、日本の首都のある東京湾ですよ。この東京湾の潮の流れ、水の流れさえはっきりしないで、こんなことでは私どもはその他の所ではどういうことになっているのか、非常に不安を持たなきゃならぬので、そういうこと一つとってみても、ただ天気予報や吉野さんがおっしゃる雨冠の観測だけでなしに、全面的に大へんな立ちおくれをしているということによって、憲法調査会以上の熱意を持ってすみやかにこの長期計画を立てる。そこで原則はさきにおっしゃいました人件費と事業費との割合というものを、これだけは妥協なしに厳として突張らぬと、今のような現状の予算をどこを何%ふやすというようなことでは、私はなかなかいつまでたってもできゃしないと思うのですよ。しかもこういう気象台の調査研究というものは、原則的に人件費とその他の費用との割合はどうあるべきかという大前提から、よほど強力にぶつかっていかぬというと、ただ妙な補修をやっているだけで、ただ雨漏りをするのにコール・タールを塗っているようなことでは仕方がないのですから、一つこれは抜本的に考え方を新たにして、この機構整備に、経理に当っていただきたいということを注文しておきます。
  173. 島村軍次

    ○島村軍次君 吉野大臣は気象台に対して非常に御熱意があるようでありますが、実際現在の気象台は、就任日なお浅いにしても、ごらんになりましたか。
  174. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) いまだ見ておりません。
  175. 島村軍次

    ○島村軍次君 ただいま承わりますと、老朽施設に対する設備の取りかえといいますか、それから新時代に設備すべき新しい機械設備をしなければならぬ、こういう問題についてお話がありましたが、その前にわれわれ気象台を拝見いたしますと、元の厚生省のおった古い、もはや廊下が穴があくような建物におって、建物の古いのはこらえるにしても、あの設備は戦災のままですよ。戦災を受けたそのままですよ。つぎはぎしてやっているのです。一体、防衛庁は立派なものが建ちましたが、気象台のような重要な所が建物について全く、いやしくも日本の海流から広範にわたった気象全体を担当する気象台としてはまことにわれわれは義憤を感ずるような気がします。そこで一体この件についてどのくらいの経費を要するのか、またそのお考え一つ大臣から承わりたい。
  176. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 具体的の金額の数字は政府委員から申し上げますが、実は私も、中央気象台もさることでございますが、仙台の——故郷なものですから、仙台の昔の測候所ですか、今何と言いますか、あれを見ましても、非常にお話通り古いのでして、それで実は建物というものの予算がどうなっておるかということに私も気がつきまして、いろいろ聞いてみますと、私もあまり詳しいことは存じませんけれども、建設の方の建物の予算はああいう防衛庁とか何とかいう大きい建物ですと、別ワクでもって予算とりますけれども、大体ああいうような程度のものは建設省でまとめまして、一つのワクがございまして、それで全部まかなうという全体の仕組みなものですから、こちらの方にも陽のめぐりが悪いというような話でございまして、それじゃ困るので、実はその点につきまして今大蔵省といろいろ折衝しておりまして、まだ、これは三十二年度の話でございますから、ここでどうこう申し上げる段階に行き当りませんけれども、その方面につきましても前途明るい実は見通しになっておるということだけは申し上げてよろしいと思います。今の気象台の方をやるのにどのくらい金がかかるかというお話については、政府委員の方から……。
  177. 島村軍次

    ○島村軍次君 合せて設備の方、予定されている……。
  178. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 建物の方でありますが、お話のように全国にわたっていろいろ修理だとか改築しなければならない部分もたくさんあります。ただいま具体的にお示し下さいました中央気象台の庁舎でございますが、この点に関しては来年度の予算でございますから、ここではっきり申し上げることはできませんのでございますけれども、建設省におかれてもまあお話し合いをして下すって、近き将来に新営できるのではないかというような明るいような気分はあるのでございます。  それから施設でございますけれども、施設の方では先ほども申し上げました気象通信に関するもの、あるいは水害対策に関するもの、先ほどからの計算器、電子計算器その他海上観測船とかいうようなものにつきましても、来年度以降におきましてはできるだけの努力を払いまして近代的の気象台にふさわしい施設を持ちたいと考えます。
  179. 島村軍次

    ○島村軍次君 先ほど承わりますと、台長非常に御遠慮になっておられるようですが、予算要求最小限度に見積っても現在の予算よりは三倍程度のものを要求した。そのうちにはおそらく設備のないあるいは老朽した戦災そのままの何と言いますか、古い施設についての問題も含んでおるのであります。そこで大臣に、まだごらんになっておらんようですから、至急に一つゆっくり時間をかけて、お忙しいでしょうが、御視察になる一つ要求をいたします。同時に現在は気象台の業務は官房のどこでお扱いになっておるのですか。
  180. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) ただいまは中央気象台は付属機関でございますから、官房が文書課でその窓口事務を取り扱っております。
  181. 島村軍次

    ○島村軍次君 こまかいようですが、そうすると予算要求や何かは文書課長が気象台の意を受けて折衝される、こういう段階ですか。
  182. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 予算につきましては中央気象台が直接大蔵省と、内部部局の各局と同様に直接大蔵省と折衝をいたします。
  183. 島村軍次

    ○島村軍次君 私は今回の改正の気象台を外局として気象庁とするという案が提案になっておりますが、気象台という名称は、これは長い間の国民感情としてまことにふさわしいものだと思うのです。行政組織法の上でくくられて特に気象庁に変えられぬでも、気象台という名称をそのまま存置されておった方が、しかも内部の機構をうんと拡充して国民の期待に沿うような方法を考えるべきじゃないかというふうにも思われますが、その点に関して大臣の御所見を一つ承わっておきたい。
  184. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私ども格別の意見というほどのこともございません。ただ新しく外局として出発するものですから、やはり名も気象庁といって独立の庁であるということを示した方がよかろうというぐらいな意味で気象庁という名を採用したわけです。
  185. 島村軍次

    ○島村軍次君 この提案理由は、先ほど松浦さんのお話しになったように、なかなかりっぱなものを掲げてありますが、一体気象台を気象庁にして、名前を台を庁に変えるというだけの意味しかないようにも考えられるのですがね。そうは思いませんか。
  186. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) その点のお話しなれば、まあその通りと申し上げるほかないのです。それですから、これでだから十分ではない。これを足がかりとして、これから一つ努力を払って内容の充実をはかりたいと、こう思うのでございます。
  187. 島村軍次

    ○島村軍次君 名称の問題はそのくらいにしておきますが、どうも大臣の御所見だけではこの気象台を気象庁にするという意味は非常に薄弱なような気がいたします。私はむしろ先ほどお話しになったように、将来の長期計画を立て、各設備も完成し、なお、内容の充実をはかって内部機構もがっちりしたものにする。予算は現在のままで、定員もこのままで、先ほど江田さんのお話しになったように二人の者をわざわざ減じて首都整備委員会に持っていくというような貧弱なことでは、これは一体気象庁の整備拡充ということは、これはまことに百年河清と言えばちょっとなんですが、今までの説明によりますというと、まことにこれは遠いような感じがするのです。そこで私もこの気象台の問題に関してはさらに将来大きなる熱意を持って進まれんことを要望いたしたいと思います。同時に気象台の通報の事務は、これはむしろ気象台という名前をお残しになるということが私はいいのじゃないか。そういう方法はとり得るのかどうか、これは台長でもけっこうですが。
  188. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) いろいろな気象台が発表していたものをどういう名前で今後発表するかという問題につきましては、もう少し私どもも勉強したいと思っております。中央気象台という名称は、一つのまあ現業機関というようなものが、その名称にふさわしいのが気象庁の中にできますれば、また中央気象台というものを使うわけでございますが、それまでにつきましてはもう少し勉強してから答弁したいと思っております。
  189. 島村軍次

    ○島村軍次君 先ほど災害に関してお話がありましたが、私は二十八年の災害の当時九州の災害を視察に行きました。その時分に長崎の大学の先生から、特に海洋気象の不十分なることを実に実例を示してわれわれに説明をされた。たとえば東シナ海の海洋気象がもっと正確なものがあり——先ほど中共の話がありましたが、むしろ日本の領土に属する海洋の気象だけについてもまだ不十分である。しかもなおかつ束シナ海の海洋というものがもっと詳細に手にとるようになれば、ああいう災害を起さずに済んだということをつくづくとお話になったことを承わっております。そこで将来の定点観測というようなものは、これは南方と北方でやっておられる、これについては先ほどお話があったから略するといたしまして、海洋の気象については、この今回の機構改正に名称の変更はありますが、名称の変更だけでなくして、これは拡充すべきものだと思います。拡充計画について、これは海洋についてだけでも一つ簡単に概要をお持ちになったら一つお示しを願いたい。
  190. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せの通り、海洋の気象業務につきましては、なお、整備強化すべきものがたくさんございます。まず海上船舶に対する気象実況や、警報の伝達の方法、つまり迅速的確なる気象報道、気象警報をする問題、それから先ほどお話がありましたように、海上の船舶から気象観測値を収集する問題、その他なお海上における災害の防止軽減に対する基礎的調査、あるいは特別の観測というようなものがございまして、これらは来年度以降の予算にも十分織り込みまして改善を期したいと思っております。
  191. 島村軍次

    ○島村軍次君 一昨日ですか昨日ですか、アメリカの水素爆弾ですか、水爆の実験があったようであります。それに対して新聞で拝見いたしたところによりますと、気象台は、何と申しますか、水爆による結果、わが国に及ぼす影響等についてある種の警告を発せられたり、あるいはまた注意をされたということを新聞で拝見いたしました。その問題に関してはどういうふうなことをお考えになっておるか。それからまたちょっと話は先のようであるかもしれませんが、一体原子力というものと気象というものとの間の関係、これはどういう関係にあるのですか。該博なる台長の御所見を伺いたい。  それからなお、平和利用というような問題に関連をして、農業の立場からいきますと、これは農業だけではなしに、広く人命からいっても、台風に対して平和利用、原子力の平和利用が、有効に適切に、ある程度まで台風の被害を防ぎ得る方法が考え得るかどうか、架空のような議論でありますが、これは夢でもないように思うのですが、そういう問題に対して一つ御所見を承わりたいと思います。
  192. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっと今の島村氏の質問に追加をして、その答えをいただくときに、一体原水爆のああいう実験というものは、ただ単に大気の汚染ということだけが問題になるのか、それとももっと根本的に、気象台そのものがあれによってうんと変ってくるのかどうか、まあ昨年ですか、荒川さんあたりはいろいろの説を出しておられましたが、そういうことについても、今のお答えに加えて答えていただきたい。
  193. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 最近のビキニにおきまして、米国が原爆の実験を行いまして、それに対して中央気象台は空気震動が伝わってきたことに対する観測結果を発表いたしました。なお、そのときに原爆による灰が空気中にまき散らされますので、まあそれが上層の風に乗ってわが国の方にくるとすれば、まあいつごろくるというようなことが新聞に出ております。必ずしもその警告とか強い意味でもございませんし、またその灰の量、あるいはその灰が空気中を落下するとか、あるいは雨の水にまざって落ちるかというようなことについて、その程度と、灰の中にある放射能物質の性質ということは、十分わかりませんので、とうてい警告というようなものにはならないのでありまして、多少新聞におきまして、何か強く印象づけられたことにつきましては、今後気象台としましても、発表の形式というようなものはもう少し適切にいたしたいと存じております。  それから原子力と気象との関係でありますが、現在におきましてこの原爆の実験の際に生ずる放射能物質の大気中の飛散、あるいは海洋中に落ちて、それが流れるというような問題において、気象と関係しておる部分がほとんど全部でございます。しかし将来におきまして、原子力の平和利用におきまして、どうしても放射能物質というものが、大気あるいは海水あるいは河水あるいは地下水とかいうものを汚染することも考えられますので、そういうことが最も少くなるように、またそういうもので害が出ないように、気象というものが応用される面がたくさん出てくるだろうと思います。  なお、それだけの大きな原子爆弾のようなエネルギーで、何か人工的に気象を変え、気象の災害を防ぎ得るかという問題は、将来の問題と申し上げるほかないと思います。現在こういう方面にも研究をいたしておる方もございますけれども、実際的に用いるにはまだ先のことであろうかと思います。
  194. 島村軍次

    ○島村軍次君 台風の進路は変えられませんか。
  195. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 台風の進路もどの程度変りますか、また強さが強まりますか弱まりますか、どういうふうにそれを使いますか、簡単な問題でございませんので、ただいまちょっとお答えいたしかねる次第であります。  それからああいうふうな原水爆の実験をいたしますと、気候に変化を来たすのじゃないかという問題であります。これは火山の爆発が過去において行われましたときに、しばしば気候の変化を起したことがございます。要するに火山の爆発の経験がございますが、あの火山の爆発から生じた灰の量あるいは灰の分布した高さというようなものと、原水爆の実験から出じたものとの比較ということにおいて、見当はつけられるわけでありまして、まあ現在のところ、今まではそれほどの気候の変化を与えていないのじゃないかと言う学者の方が多いように、私は見ております。もしああいうような原爆が続けざまにたくさん行われる場合においては、それは問題は別であります。
  196. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 先ほどの島村委員質問に対する運輸大臣答弁は、今度の機構改革は外局になっただけだ、これだけでは十分じゃないということを言われたのですが、私は今度の機構改革で、実質的に気象業務の将来発展に対して、非常に大きなエポックを作るような感じがしております。と申しますのは、たとえば先ほど話が出ておりましたが、電子計算器、ああいう文明の利器を現在気象台は使わないで、手で計算なさる。しかも計算をなさるのに、相当の知識があられる方でないと僕は計算できんと思います。それをああいう電子計算器でやれば、非常に手助けになりまして、その力がほかの方に向けられる。ところが今のように外局になっていないと、その要求を大蔵省にするとしても、運輸省の会計課長に折衝して、それから会計課長が大蔵省に要求するという段取りじゃないかと思います。ところが運輸省の会計課長はおそらく、ここにおられるかどうかしらんけれども、電子計算器がどっちに向いているかわからぬと思う。それを口説き落すには相当時間がかかる。そうしてその実体のわからぬ人が、大蔵省に交渉なさるのに、またおそらくは手間がとれるということがあるのじゃないか。今度の機構改革で、それらが直接交渉できたりするということは、一つの例でありますが、非常に一つの進歩になって、国民経済に寄与するところが大じゃないかと思いますが、その点については一体どうなんですか。いやそれは一つの例で——そういう点についてはどうでございますか。
  197. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) それはお話通りであろうと思います。それからまた別途、この委員会にはかりませんけれども、この運輸大臣の持っている権限を、今度新たにできます気象庁長官に移す法律も、あわせて今国会に御審議願っているわけですから、それやこれやしますと、私は具体的な設備や何かの点においては、これだけじゃいかんので、まあ魂が入ってないということを申し上げました。しかしこれはこれだけでも今お話のようなことで、外に対して一歩踏み出すという意味において、私は重要なことだろうということは考えております。
  198. 千葉信

    千葉信君 吉野さんにちょっとつかぬことをお尋ねするようですが、先ほど次長の問題についてはまあ部内からという御意向だということがわかりました。ついでにお尋ねしておきたいのは、その気象庁の長官にはだれをなさろうとするのか、今の中央気象台長をそのまま長官ということにお考えになっておられるのかどうか、その点をお尋ねしておきたい。
  199. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) これもまだ通らないのですけれども……。
  200. 千葉信

    千葉信君 通ったらばです。
  201. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 通った場合には、もちろんここにおいでになる方を……(笑声)これは余人をもってかうべからざる貴重な経験者でございますから、私はそうしたいと考えております。
  202. 千葉信

    千葉信君 次にお尋ねしたいことは、今、大島君の質問された要点に対して、大臣はその通りだと言われた。木島君の質問は、今度気象台が気象庁になる、そうすれば今まで運輸省の内部部局、機関として気象台関係予算をどうこうするというときには、どうしても運輸省の会計課長あたりの手を通らなければならぬだろう、その折衝のためにも一応その労力を費やさなければならぬ、なかなか話のつかぬ場合もある、今度はそれが切り離されて外局になるのだから、その気象庁の直接の折衝ということになる。今までよりは予算関係なんかについてもなんぼか有利になるだろうという、そういうお尋ねだったわけです。それに対して、大臣は全くその通りだと言われた。いいですか、その通りだということになると、今まで中央気象台を所管し、付属機関として、そして元締めは運輸大臣である、運輸省の所管だった、そのために予算の獲得なんかが非常に不利になっていたということになって、これは運輸大臣が無責任だということになる。運輸大臣の手から離れた気象庁の長官が今度やることになれば有利になるということに対して、あなたはその通りでございますと自分で答えているが、そうなんですか、どうなんです、その点は。
  203. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 別に私はそう深い意味で申し上げたのではないので、私が申し上げたのは、とにかく気象庁という外局ができるのですから、それだから従来の何よりは一段と世間に独立した官庁であるということが明らかになるのですから、その意味において、いろいろ折衝上便宜もあるだろうという木島さんのお話ですから、私はそれは否定しないので、それはそうでしょう、こういうことを申し上げたのです。
  204. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 ちょっと趣旨弁明を……。
  205. 青木一男

    委員長青木一男君) きょうは討論ではないからその程度でいいでしょう。
  206. 千葉信

    千葉信君 そうすると、あなたがさっき大島君に対してされた答弁は、深い配慮もなく、世間体からいっても、今までは運輸省の内部機関であったけれども、今度は一本立ちになったのだからという、世間体があるから、その世間体がなんぼか予算を獲得する場合に有利になるだろうという、こういう軽い意味であなたはその通りだという格好で肯定されたわけですね。
  207. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) これは受ける方の側にもあるだろうと思うのですが……。
  208. 千葉信

    千葉信君 受ける方の側などということじゃない。
  209. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私だけはそのつもりであっても、これは気象台の方がいいではないかという御意見も出ているわけですが、ただ外局としてこれは今度新らしく設けるのですから、それだけは従来よりは面目は一新しているだろう、こう思うのです。
  210. 千葉信

    千葉信君 その面目が……、これから入っていきますが、面目がちっとも一新されていない。ただ名前だけの話です。それはこれから入っていきます。  そこで、その次にお尋ねしたいことは、先刻吉野さんは、今度は気象庁になる、そうして次々とこれから長期計画を立て、設備の整備を拡充、もしくは庁舎の改善ということも出てくるでしょう、これからそういう計画をされる。しかし今度の法律の提案に際しては、びた一文もこれは予算を伴っていない。全くその通り、むしろ削られている。一体こういう法律案が成立したとしてですよ。あなたがさっき言われたように、成立したとして、今度中央気象台が気象庁になるんだが、気象庁になった場合とならない場合とでは、一体あなたの言う長期計画なるものが違うのかどうか、気象台時代のままではそういう長期計画は立てないし、やらぬというのか、おそらくそんなことはないと思う。当然気象業務の重要性から考えると、国民の要望としても、そういう長期計画は今日ほんとうはできていなければならぬ、しかしまだできていない。これから作る。これから作るという場合に、気象庁になった場合と中央気象台のまんま置かれた場合は違うのかどうか。それからもう一つは、今の予算折衝の関係です。予算折衝の関係、あなたの言われたような格好では、私はどうも釈然としない。中央気象台よりは気象庁になった方が有利だろうということは、これは、一応漫談めいた答弁としてはわかる。しかし、なるほどこれは気象庁になった方が予算の獲得等においても有利になるだろうという私どもの見解はあなたの答弁からは出てこない。つまり私の結論から言えばですよ、予算の獲得の問題にしても、従って人員の獲得の問題にしても、内容の整備拡充という問題等にしても、何も変らぬじゃないか、同じことじゃないか。もし予算を計上して、設備の改善をはかろうとすれば、気象台だってできる。人員をふやさなければならぬとすれば、何も気象庁にならなくたって人員はふやせるんです。しかも、今回の法律案が庁にするという、一つのエポックでしょう。形の上だけならば一応跳躍台という格好でしょう。一時期を画するという格好でしょう。そういう時期にさえも、予算も全然今までのまま、定員もそのまま、こんな事実からしても、私どもどうも庁になったから有利になるということは、そう簡単にははいそうですかと肯定できない。どうでしょうね、これ。
  211. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) まあ理論的に言えばですよ。理論的に言えば、名前にかかわらないことはお話通り、中央気象台であっても気象庁であっても、やらなければならぬことはやらなければならぬですから。ただその場合に、外局として運輸大臣の今まで持っておる権限というものを今度の新しい気象庁の長官に委任して、そうして、衣を新しくしたということは、私はそれだけでそれは意味があると、こう考えております。
  212. 千葉信

    千葉信君 それがあなたの言うように新しくなっていない。全く名前が変っただけだ。いいですか。今度の改正でどういう点が一体変ったんです。現在の中央気象台の内部部局である定点観測部の名前を本法律案には海洋気象部と改めた、これが一つ。それから現在中央気象台の付属機関である気象測器工場の名称を気象測器製作所と改めた。それから今回の改正に当って、気象庁の付属機関として気象審議会を新設した。そのほか衆議院の次長一人置くということの修正の結果だけでしょう。あと何があるのです。
  213. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) まあそうおっしゃられればそういうことにもなるでしょう。ただ私はそうは考えないので、この気象庁は、気象業務を行うことを主たる任務として、それを気象庁長官が行うのだというところに私は意味があると思うのです。そこで先ほど別途申し上げましたように、別途気象業務法という法律を出して、今まで運輸大臣の権限であったものを今度の新しい長官に委任して、そうして面目を一新してこれからスタートするのだと、こういうことを申し上げた。それはその内容がそれに伴わないから意味をなさないのだというなら、それも一つの御意見でしょうが、私はそうは考えない。
  214. 千葉信

    千葉信君 おれの意見の方が正しいですよ。なるほど外局にするのですから、運輸大臣の権限が気象庁の長官に委任されることは、これは当然のことです。そうして、しかも内部部局の分担の業務にしても全く今まで同じです。今申し上げたように二カ所の名前が変っただけだ。人は二人とられて、次長が一人ふえただけだ。気象審議会ができた。ただこれだけなんです。そうしてあなた方はこれによって将来予算の獲得の見通しも、こういう条件になるから出てくると言う。設備の改善もできると言う。可能になると言う。まあ、しかし、それはあなたはやっぱり最後までそれは見解の相違だと言われるでしょうから、私これ以上やりません。  その次に聞きますが、今までの中央気象台というのは、国家行政組織法上の第八条の試験研究機関だ、これは提案理由の説明にも出ております。ところが、実際は内容も何も変らず、ちょっぴり気象台の中における運輸大臣の監督の権限等が気象庁長官に譲渡されたという事実はありますが、それ以外何もない。それ以外何もないのに、今までの試験研究機関、国家行政組織法第八条に基く「試験所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。」というこの条文によって設けられている中央気象台が、今度はいきなり第三条に基く国の行政機関の組織の中に入ると、今までは試験研究機関だった。中身は何も変らないのに今度は行政機関だというのは、これは一体どういうことですか。国家行政組織法の建前を今までないがしろにしている、これはどういうことですか。そんな簡単なことで、行政組織の体系をきめている根本法ですよ、簡単に考えて、今までの試験研究機関そのものが全くそのままの格好で今度は行政機関だ、第三条に言う行政機関だと、こんな解釈がありますか、どうなんですか、これは。
  215. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 千葉さんはちょっぴりとおっしゃったんだけれども、私はちょっぴりとは考えていないのです。
  216. 千葉信

    千葉信君 何が……。
  217. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) この改正が、つまり運輸大臣の持っておった権限をこの気象庁長官というものに与えるということは、これは相当な改正なんです。これは従来の試験研究機関じゃないのです。それですから、私は今度は行政組織法の機関とすることの方が、むしろ私は適当だろうと思います。それをほんのちょっぴりと言ったり、つまらぬものだとは私は考えていない。
  218. 千葉信

    千葉信君 これは国家行政組織法を調べてごらんなさい。試験研究機関の場合には、どれかの府省庁に所属する。これが今度は同じ運輸省内であるけれども、その運輸省内の外局になる場合、組織法上当然権限を移譲しなければならない、それは結果です。逆だ、あなたの答弁は。どこにそういう外局に運輸大臣の権限が存在するという規定がありますか、逆でしょう、答弁が。
  219. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 今申し上げた通りですが、逆だとおっしゃいますことはどういう……、私の申し上げましたのは、それですから今度試験研究機関を行政機関にしたのですから、それは当然におっしゃる通り権限は移るわけです。だから、それは私の申し上げたのは、それがちょっぴりした改正ではないということだけ申し上げたんです。
  220. 千葉信

    千葉信君 大臣、行政組織法からいうと、外局にする場合には、当然その今まで監督権を持っていた所管大臣なら所管大臣の権限が外局の長官に移譲されるということは、この法律で明らかなんです。そして、その外局にしたという実体が、先刻来申し上げておるように、何ら実体の伴わないやり方だと、内部部局がそのまま、所掌業務もそのまんま、名前を二カ所変えただけ、こういう格好で外局にしたと、その外局になったのは何かというと試験研究、それを外局にするということにして、当然その国家行政組織法上外周の長官に対しては、今までの監督者であるところの大臣の権限は移譲されなければならない。当然の結論としてそういうふうに権限の移譲が行われただけで、それが大きな改正だなどというのは、その結果をとらえただけで大きな改正だなどと言うのは、これだけ実体は伴わないじゃないかと、こういうことを言っておるのです、私は。
  221. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私はその原因、結果のことを申し上げるつもりはないのです。つまり結果はおっしゃる通りの結果でしょう。結果でしょうが、とにかく運輸大臣の権限を外局にやったんだから、それはちょっぴりしたことじゃないということだけ申し上げたんです。そして、なお、そこまで申し上げていいかどうか存じませんけれども、お話が出ましたから、従来のこの試験研究機関といのものの観念ですね。それと現在の中央気象台が行なっておる業務というものについても、これは私が申し上げるまでもないでしょう。果して的確に今の中央気象台がやっておることが、いわゆるお示しになりました試験研究機関の仕事であるかどうかということも実は問題なんですね。従来といえども、従来どちらかといえば、むしろ、試験研究機関でない方の仕事というものを中央気象台はやっているのですから、それがいけないと論ぜられるならば、それは一つの御議論です。けれども、これは実際問題としてそうなっておる事実というものを、やはり名実ともに即するようにするということも、私はやはり一つの理由になると、こう考えております。しかし、いずれにしてもこれは御批判がありましょう。それがいけないのだと、今までのやり方がいけないのだという御批判がありましょうけれども、これも作るときにはそういうつもりでなかったんでしょうけれでも、長年の間、中央気象台の業務をやっているうちに、だんだんだんだん時代の必要といいますか、時代に即応してそういうふうに今日までやってきていることは、これは千葉さんにも一つ御了解を願いたいと思う。(島村軍次君「それじゃ内部機構を変えなければいかぬ」と述ぶ)
  222. 千葉信

    千葉信君 今、吉野さんの答弁、高村さんからヤジで言われておるように、内部機構に対して全然考慮を加えないで、実体の伴わないそんな格好で、この場合やはり機構改革の一つですから、機構改革が行われている。そうしてあなたは大きい大きいと一生懸命、何か権限を譲ったことをこの法律案の重大なポイントであるかのような答弁をされるけれども、それは重要なポイントでも何でもない。付則で一体処理してかまわないことです、この法律案の付則で。当然なことなんですから、そんなことをあなた大きい大きいと言ったって、ちっとも大きくは受け取れないのです。そんな答弁大臣委員会の席上でしなければならぬ吉野さんの立場は実に苦しいと思う。もうこれ以上あなたにこの問題でああでもない、こうでもないというのはやめますけれども、そこにこの法律案ははっきり申し上げると実にうかつ千万だ。この提案理由の説明に書いてあるような気象業務の重要性、国民生活と密接している、産業とも結びついている、日常交通の関係もそうだ、提案理由の説明通りなんです。その点は重要な業務なんです。それから関係各省の行政にもそれぞれ密接な関連を持っており、それから近年ますます利用価値が高まり、利用の範囲も広範な分野にわたってきておる。全くその通りなんです。その通りだからそれにふさわしい実体を備えるような法律案を当然立法化をすることが大事なんです。そっちの方は全然触れもしない。枝葉末節だけを、名前を変えるとか、当然の結果として大臣の権限移譲と、その権限の移譲が大きいでしょうといったって、そんなに大きいと国民はとれますか、とれないでしょう。国の行政組織法上当然のことだ。付則で処理できる。もうしかし、これ以上はあなたに問題をああでもない、こうでもないというのはやめますが、その次にお尋ねしたいことは、そういう格好で全くもってお話にならない法律の改正案だと思うけれども、ここらで一つ方向を変えてお尋ねしたいことは、気象業務の運営上どういう点が今後改善されなければならないか。あるいは国民に対して気象災雲の防止、軽減、気象通報のサービスの強化、こういう重要な点についてどういう方向でおやりになろうとお考えになっておられるのか。先ほどは、将来長期計画を立てるなんということを言っておられますけれども、その長期計画を立てるに当ってはどういう点にどういう手を打とうという考え大臣はおられるのか。もし大臣から御答弁するよりも台長の方から答えた方がいいとあれば、それでもかまいませんが……。
  223. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 具体的なお話ですから、台長の方から申し上げた方がより適切だろうと思います。
  224. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほども申し上げましたのでありますが、申し上げ方が十分でなかったのでお尋ねかと思います。結局一口に言いますと、災害の防止、軽減と、そうして日常の産業交通その他に気象が十分活用されるということであります。その方法におきましてはいろんな角度から申し上げ方があると思います。私どもは一つの角度から申し上げれば施設を改善して、そして技術を向上して、よりよき気象サービスをするというような申し上げ方もあります。また近代的の機械を駆使し、機械化によってよりよきサービスをするという言い方もあります。また技術研究面から向上させて、そうしてこれを気象のサービスに十分反映させるという言い方もございます。また事務的に申し上げれば、来年度以降われわれが持っておる少くとも数年間の考え予算というもので説明する仕方もございます。まことにおそれ入りますが、どういう方面からこれを申し上げていいかによってもう一ぺんお答え申し上げます。
  225. 千葉信

    千葉信君 必ずしも満足な御答弁じゃありませんけれども、次に移ります。   今後の対策といいますか、施設の拡充、整備という問題、それから所要人員の確保の問題、その根本になるのは予算の獲得ということになろうかと思いますが、それからもちろん計画の達成ということもあるでしょうが、次に私が進んでお尋ねしたいことは、何か今までの……和達さんが今度この法律案が通れば気象庁の長官になられるという見通しがはっきりしましたので、特にあなたにお尋ねしたいのですが、今までの気象台の内部における気象業務の運営あるいはサービス、そういう点に、施設の問題は別として、何か改善をぜひやらにゃならぬとお考えになっている点があるのか。あるとすればどういう点があるのか。たとえば次長制がしかれ、今までいろいろ台長が苦労されてお感じになっておられる。次長がいればこういう仕事もやってもらえるとか、こういうことも処理しなければならぬというような、そういう点について何かの所感はやはり台長として持っているはずで、今までの中央気象台内における業務の運営が万全なものであったとは私はお考えになっておらんと思う。一体どこにそういう点があるのか、その点を一つ……。
  226. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私の日ごろ考えておるところを申し上げます。中央気象台はもと試験研究機関的のものから発足して、今日の非常に行政機関的の色彩のものに順次世間の要望につれて変ってきたものであります。常に世間の要望が先んじ、機構、設備その他がそれに追従して参ったようであります。今日外局にしていただく問題に対しましても、先ほどからのお話がありましたけれども、試験研究機関的のものからいつの間にか脱却して、このやっている仕事は、多分にわが国の気象業務、気象行政というものの責任機関になっておるのであります。それで今回気象庁になりまするならば、そのわが国の気象業務の責任機関であるということを完全遂行するように私は持っていきたい。もう少しわかりやすいといいますか、平たくと言いますか、気象サービスというものに徹底したいと思います。それでその気象庁というものが中央気象台とか海洋気象台、そういう観測を主体にした現業機関も持ちましょうし、研究所を中心とした研究機関も持ちましょう。場合によっては測器工場というようなものを持ち、また研修所というものも持ち、一つの気象サービスの完備したところの役所というものを確立して、そうしてこの業務がわが国のいろいろな方面に完全に活用されるということを私は望んでおります。
  227. 千葉信

    千葉信君 そこでね、今までの中央気象台の中に、まあわかりやすく言えばわだかまっていたというか、中央気象台の内部の諸君の考えていること、それから希望していること、これ台長を前においてあまりはっきり言うことはどうかと思われるけれども、やはり今後の気象庁の運営のために、私はやはりこの際苦言を呈するというか、善意の注意というか、私はむしろこの際あからさまに私の察知している内部の空気あるいは意向あるいは希望、そういうものをこの際ざっくばらんに申し上げて、あなたのこれに対する考えを聞いておきたいと思います。  気象台のように五千人をこえるような職員を持っておる。しかも全国に百五十以上の地方機関に分散しているところです。中央気象台長が台内においては権限を一手に握っているという印象、各幹部がほとんどその権限を持っていない。まあ持っているとしても、業務の監督程度のものだ。そういう業務の運営とかそれから予算などの関係については、気象台における幹部諸君もまあつんぼさじきという格好で運営されているきらいが多い。そこへもってきて台長自身は、学術関係とかあるいは国際関係とか、部外の会議とか、そういう所用がずいぶん多いということのために、気象台の業務の運営について専念できない要素がかなりあると思います。その結果当然の結論として、内部では責任ある業務通常が行われないという傾向、それから無統制に流れているという傾向、そういう状態があるために、結果的には気象台の内部施設の整備にしてもどうしても立ちおくれておる格好が免かれないという現象が出てきているのじゃないか。これは率直な気象台内における諸君の見解です。ですからもしそういうことがあれば、こういう点は十分考えて今後の運営に当ってもらわないと、せっかく外局になり、大臣の権限が大幅に気象業務に関する限りは移譲されたといっても、私は所期の成果は期待できないのじゃないか。私は決して和達台長がその任にあらずなどとは考えておりません。むしろ有能な適材であるということは私は確信しております。しかし幾ら有能であっても、今申し上げたような条件下にあって、なかなかその仕事に専念できないという状態が続いては、せっかくの有能な才幹を生かし切ることができないのじゃないか。私はこういう気象台内における空気というものが杞憂に終ることであればそれでよろしい。そうじゃなくて、こういう点についても台長が思い当る節があり、今後の運営について何かはっきりした、御反省とは申しませんけれども、今後の仕事の運営について踏み切った新たな考えというものが私はあるとすれば、この重要な業務のために非常に仕合せだと思うのです。その点いかがです。
  228. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 御親切なる御忠言をありがたくお礼申し上げます。十分反省いたしまして、気象業務にますます専念していきたいと思います。
  229. 千葉信

    千葉信君 それからこれは少しこまかい問題ですが、どうも気象台の職員の場合には他の官庁と比べてかなり不遇な点が目立つのです。人員の獲得しかり、つまり定員化の問題、昇給昇格の問題しかり、ワク外者がうんといる。それから前に解決しました特殊有技者に対する所遇の問題についても、私は他の官庁に比べてみると立ちおくれていると思う。こういう点は外局になることによって少くとも他の官庁並みに是正されなければならぬし、そういうような条件は払拭されなければならぬと思うのです。台長、これに対してどうお考えですか。
  230. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 外局になりますれば、人事におきましても権限を移譲されるわけでございます。もし私が次の気象庁の責任者でありますれば、最善の努力をいたします。
  231. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど来、従来の試験研究機関から独立の、外局ではありますが、独立の責任ある行政機関となるというお話でございましたが、提案理由の説明その他にも、関係各省の行政部とそれぞれ密接な関係を持っておる。それから審議会のメンバーとして考えられておる点から言っても、各省にもですが、国民の各界に関係があるということがまあ裏づけられておるわけであります。一応運輸省の内部にございましたから、運輸省の外局になったという点は了解いたしますが、運輸省の外局でよいか、あるいはもっと別に総理府の外局にした方がよいか、こういう議論もなされたように承知をいたしておりますが、運輸大臣の所見をもう一度あらためて伺いたいと思います。
  232. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) お話の点は衆議院においても御質問がございました。私もこの運輸省の行政を担当しておるからそう申すわけじゃございませんが、何しろ利用する面からいえば、航空、それから汽船の航行というものに一番密接な関係を持つのでございまして、ほかの農業気象についても関係の深さは同然です。どちらも甲乙はないのですけれども、ただ運輸省の方から申しますと、そういう面になるべく一番早く知らなければならぬというような関係もございますので、従来、お話通り運輸省にあったということも一つの理由でございまするし、またこれは外国の例といっても、例になるか、ならぬか知りませんが、アメリカの行政機構の改革のフーバー委員会の報告を見ましても、あのフーバー委員会でも、今はこの気象庁の業務はそうなってないのですけれども、やはりこの交通の方の部面に置いた方がよろしいというようなこともございますようで、私は運輸省の立場からいえば、ぜひそうしてほしいと思う。のみならず、何といいますか、第三者の立場としても、従来運輸省にあったものを特にこれを総理府に移すだけの必要はないのじゃないかというふうに考えます。
  233. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そういたしますと、衆議院研究をしたいというお話でしたが、さしあたり運輸大臣として、気象庁が独立の官庁として育っていく、それから従来持っておりました弱さ、あるいは足りなさというものを補って大きく育てて参りたい、こういう御意見でしょうが、将来にわたって問題があるとおっしゃるのか、それともなくて、あくまで理論的にも運輸省の外局で育っていってよろしい、こういう御意見なのか、衆議院答弁、少し疑問が残るようでありますから、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
  234. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) これはまあ理論的にいうと、どちらでなければならぬといって、白黒はっきりしておる問題でもなかろうと思います。私はただ運輸省を担当する者として、そういうふうにしたいという希望ですけれども、しかし、もしこれを将来運輸省の外局として育った工合を見まして、やはりこれは各方面にわたるから、これは運輸省でない方が、気象業務というものの円滑な遂行のためよろしいという議論になれば、これはまた運輸省としても考えなければならぬと存じます。理論的には、どちらにしなければならぬという割り切った理屈は今ちょっと見出しにくいものですから……。
  235. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど来、千葉委員その他から、実際には二点を除いて変りはないじゃないかというような御質問、それをまあ肯定になったわけでありますが、もしそうであるならば、これは大した意味はないわけですが、拝見をしますこの改正法案、それから従来は中央気象台の内部部局でありましたものを、庁の各部として整備をされたということになりますと、現在はとにかく、将来にわたっては、中央官庁としての気象庁も、あるいは地方の組織においても、あるいは付属機関においても、これは論理的にも整備されましたけれども、実体も整備されていく、あるいは大きくなっていく、かように理解してよろしいかどうか、お尋ねします。
  236. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 先ほど申しました通り、現在のところでは、これはただ庁に、外局になりましたけれども、設備その他の点においてもまだ十分でない。それからさっき千葉さんから御指摘になりました通り、内部の組織についても、また御指摘になりました通り、完全でないものがございますのですから、ただ私の申し上げましたのは、こういうまあ看板といいますか、衣を新たにして、これを一つの足場として、今申しました物的の設備の点につきましても、またその内部の機構の改正の点につきましても、これから充実をして参りたい、こう考えております。
  237. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ですから、充実改善が責任が持てるかというわけですが、この委員会でも先ほど来、施設、予算の面についても御指摘がありました。それから包括的ではありますけれども、定員その他人員の点についても指摘がございましたが、そうした従来言われております欠陥と申しますか、弱点と申しますか、そういうものが独立の官庁になることによって克服できる、その点については克服していくのだ、こういう責任大臣としてはお持ちになるか、こういうことをお尋ねしております。
  238. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) その通りでございます。お話通りでございます。
  239. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、これは前のところですが、施設、予算等については先ほど来御指摘がございましたが、前の五月、去年の五月二十日、当委員会においても指摘をせられておりますが、当時、肥沼予報部長ですか、出席せられて、人員の不足、それからこれはサービスという意味だろうと思うのですが、やりました仕事の結果をいかにして世間にお知らせするかという、そういう解説をする人間が一人も昔からいなかったというようなことも言っておるわけであります。それから構成しております職員も、気象学がずいぶん進歩していないということから云々という点についても言っておられます。それから給与の頭打ち、あるいは特別号俸の問題について、先ほどちょっと千葉委員からも触れましたが、昨年の五月の当委員会において、これはむしろ給与問題が中心であったかのようであります。ともかく全員の三〇%、あるいは組合の資料によると、四五%も頭打ちがある、あるいは特別号俸の該当者が多い、こういうことが害われておるのですが、それらの点についても、これは克服をしていく、責任を持って直して参る、こういう御意見と申しますか、御言明が願えるかどうか。
  240. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) これは今度の新長官の仕事ですから、私も監督の責任者として新長官を助けまして、今お話しになったようなことが実現するように努力をしたいと思います。
  241. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象台は背はただ予報や警報を発表しておればよろしいような時代でありましたが、だんだん時代とともに、これを周知徹底させ、必要な向きにいろいろ解説を加えるというために、予報の伝達員あるいは解説員を要する時代になりまして、その要員がいまだに十分でないことは、そこに申しました通りであります。その点につきましても、われわれ人員の獲得には努力しております。また頭打ちのような問題でございますが、中央気象台は確かに頭打ちになっておる人が多くて、気の毒な状態にございました。機会あるごとに努力して参りました。四〇何%というのを二六%ぐらいにやっといたしましたけれども、また次々と新しい頭打ちが生ずることでありますし、現在もまだ相当な人が残っておるという状態でありますので、この努力を続けたいと思っております。
  242. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 施設その他についての欠点は、先ほど来具体的に多少出ておりましたが、通信網についても、拝見をいたしますと、これは私はまあ一個所ぐらいだけですけれども、気象台に参りまして通信設備を実際に見せてもらいますというと、これはまあ電力会社が持っておる通信施設にも劣る、正直に申しまして、まあレーダーのごときも、これは例外的にあるかのようですけれども、これを無線通信等については、今度の改正案を見ますと、これがその中央機関を東京に設けて完備をしようという御意図であるかのごとく考えますが、それをあるいはたとえば富士山頂だとかあるいは名瀬というようなところとの相互の関係だけでなしに、全国的に通信機関を完成しますには非常に大きな予算を要するだろうと思うのでありますが、それらの点についても責任をもって充実して参りたい、かような御意向でございますが、あらためて承わりたい。
  243. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せのように気象通信は気象業務が円滑にいくかどうかの非常に重要な一部分でありますので、目下その整備、強化をはかっております。御指摘のように東京を中心にした一つの気象通信網というものは、有線、無線を適当に配合いたしまして、非常時にも故障がないように、できるだけ整備いたしたいと存じております。
  244. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 さしあたり考えておられますのはどの程度のことであり、それからそれに要します予算はどの程度なのでしょうか。三十一年度予算について八十億ほど要求をしたけれども、二十数億ということにとどまった、こういうことですが、その通信関係についてただいまの構想と、それから予算上の金額について承わりたい。
  245. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象通信の整備につきましては、数カ年に亘る計画をいたしております。無線電話施設の整備は、五カ年くらいの計画で一億九千万円ほどであります。それから気象の重要な官署と官署との間の通信を高度化するという、これも四年計画を持っておりますが、これが九千万円、それから無線模写放送、つまり天気図その他を電送するというような施設は三カ年計画で、五億余りの計画を立てております。もちろん実際に、これを実施に即した計画をもう一度やり直しまして、実際に大蔵省に差し出す予算になりますと多少の変更があるかもしれません。
  246. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 福岡にある、あれは山の名前をちょっと忘れましたが、背振ですか、の上にありますレーダ一のあれを拝見いたしたのでありますが、台風をとらえますのに、背振で完全であるのかどうかということを考えますが、レーダーについてのなお台風その他をとらえますのに、あるいはこれはしろうと考えだからわかりませんけれども、一番南の霧島か、もっとあるいは大島か、沖繩か、知りませんけれども、南に移した方がいいのだろうと思うのでありますが、そういうレーダーの増設の規模と計画とがございますならば承わりたい。
  247. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象用レーダーは、現在気象台系統の官署で三基運転いたしております。それらの、実際にこれを用いた結果、これが非常に有効であることを確認いたしまして、来年度は台風のため、また水害対策のために、少くとも二、三基を予算に計上して、適当なる個所に据えつけたいと思っております。もっともレーダーはなお研究の余地ある部分もあり、高度の技術をも要するものでありまして、またこれに要する人員もありますので、この設置につきましては困難もありまするが、私たちとしては、その有用性を認めて、何とかしてこれが設置に努力し、さらにその後の計画をも考えて、このレーダーを用いて気象災害の防止ということに努力を尽したいと思っております。
  248. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今、お尋ねをしました一番南がどこにあるのか知りませんが、台風が南から参りますね。それから鹿児島や宮崎等は毎年被害を受けるわけですが、あの背振のレーダーがもっと南にあったらということは、あれを見てだれも考えるわけなんですが、そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
  249. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 背振山にレーダーを設置しました第一の目的は、昭和二十八年度の大水害にかんがみまして、山地における雨量を的確につかむ。次には西の方の気象資料の不十分を補い、西の方からくるところの突然の暴風雨というようなものをつかまえるというようなのが目的であります。もちろん台風につきましてもその威力を発揮いたしますが、背振におきますレーダーのつかまえ得る範囲は九州の南海上わずかであります。で、この次、来年度レーダーを設置するに当りましては、南方の島、もしくは鹿児島県というようなところを第一に目標に撒き、その適地を探そうと思っております。
  250. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、私が考えましたように、鹿児島の一番高いところはどこかわかりませんが、霧島でありますか、あるいはもっと南の島の最高部に来年設置したい、こういうことですね。わかりました。それから定点観測のことを先ほどお話が出ておりましたが、これについても船の大きさからいっても、それから海上からいいましても足りないのだと思うが、それは来年なら来年、南の方の、今のレーダーを含めまして、観測個所あるいは観測船の増強、あるいは大きくするという、何といいますか、意向、予定等があるのでしょうか、お伺いをしたい。
  251. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 海上の定点観測は、海上の気象資料を得るについて最も重要な拠点でありますけれども、まあ先ほどからのお話のように、多額の費用と、その経常費も決して少くない。まあ私どもの他の気象の仕事と比較しての話でございますけれども、定点観測を行うことは、他の気象設備の整備といずれを先にするかということは、よく検討して行いたいと思っております。で、海上の方の気象観測施設あるいは気象観測網につきましては、海上船舶の利用、それから先ほどからのレーダーの活用、あるいはその他にも方法がございますが、それらを集めまして、できるだけのことをいたしたいと考えております。
  252. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あのレーダー一つ、たとえば来年なら来年鹿児島なり島の上に作るなりすると、どの程度かかるでしょう。これは人件費を含んで……。
  253. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 費用の方はレーダーの性能にもよりますけれども、三千万円あまりじゃないかと存じております。それから人の方は、これは不便な山の上へ置くとか、遠い島に置くとか、あるいは観測所にその場所へ置くとか、非常に差がございまして、非常に便利なところでありますと二、三人、不便なところでありますとその二倍もしくは三倍にもなり得るかと思います。
  254. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あれだけの性能を持っておりますレーダーが二、三千万円でできる。三千万円としましても、これは実に安いものだと思うのです。台風をとにかく目でとらえるということですから……。ところが人間は二、三人あるいは五、六人というお話ですが、背振山の奥におります人間は、同じあすこに米軍のレーダーがあるのでございますが、これは向うは小さな町をこしらえて、道を作る、町をこしらえるというと語弊がございますけれども、気象台の職員に比べると雲泥の差がある、正直に申して。給与の点からいっても、これは私は地域給ということで陳情を受けたのですけれども、山の上に二、三人あるいは四、五人いる。これは市内にいるよりも困難な環境、きびしい、そして不自由な環境におって、しかも市内にいる者よりも給与が悪くなる。これは燈台守についても同じことが言えるだろうと思うのですが、これだけの重要な仕事をするし、効果がある仕事をするのですから、先ほど頭打ちあるいは特別号俸について申し上げましたが、増設の予定があるならばなおさらのこと、その給与についても十分の一つ御配慮を願いたい。従来のような弊害がないように、これは同じ米軍のあれに比べると人間と人間でないくらいの違いがございます。要望をいたしておきたいと思います。  それからついでですが、海上の定点観測船につきまして、どの程度にもしふやすならふやしたら、従来の台風その他について足りなかった観測が補えるかという点、御説明がいただけませんでしたが、現状と、これはレーダーの点もございますが、観測船ですか、さしあたりどの程度にしたいというあれがございましたらお示しをいただきたいと思う。
  255. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 初めの背振山の職員のお話でございますが、これは気象台としての一般問題でございまして、気象台のように僻地にたくさんの官署を持っているものにとりましては、この地域給というものが非常に運営に当ってむずかしい問題をなしているのであります。しかも一方僻地手当というものが非常にわずかな現在におきまして、われわれといたしましては、何とかそういう問題を今後一般問題として解決していただいて、職員が喜んでさびしい場所へ行って、身を挺して観測ができるというようにしたいものだと考えております。  それから海上の定点の問題でありますが、台風を例にとりますと、台風に対しまして、今南方に一定点でもって観測をいたしております。この海上の定点の観測で一番重要な観測は高層観測であります。高層観測はそこに船を置かないとできないのであります。その高層観測、重要な高層観測は、現在一カ所からくるわけでありますが、これは欲を申せば限りはありませんが、現在の私どもの気象事業の整備状況から見ますと、これ以上台風に……お願いするならば先にしていただきたい別のものがあるようにも存じます。台風に関しては、先ほどのレーダーのお話もあり、船舶からくる気象情報のこともあります。また御承知と思いますが、米軍の飛行機からの観測資料の活用ということもございます。その他、われわれがなお研究を重ねますれば他にもとるべき手段等も多々あると思いますが、それらは目下研究所で研究をいたしております。
  256. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今、高層観測の話が出ましたが、法律によると、「高層気象台は、茨城県に置く。」ということで、気象台は一カ所なんですが、観測は各地で行われているようでありますが、その辺は私ども十分知りませんからお尋ねをするのでありますけれども、地震観測所あるいは地磁気観測所等についてもそうですが、まあ高層観測について現在何カ所等で行われておるのか、そうして高層観測、地震観測その他現状で十分だと、こういう工合に考えられておるのか、あるいは足りないで、もっと個所あるいは施設その他について増強しなければならぬと考えておられるか、お教えいただきたい。
  257. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 高層観測はわが国において十カ所行なっております。そのほかに定点観測船において行なっております。この高層観測の観測網の間隔というものは、これは国際気象機関においてある標準が大体示されておりまして、まあわが国のはその標準に多少足りないかというところで、われわれとしましてはもう少し増強しますれば、標準にも合い、われわれとしてもけっこうではないかと思っております。なおしかし高層観測は技術と費用とを要しますので、国によって違いますけれども、なかなかに標準には達しない国もあり、また相当密に行なっておる国もあります。
  258. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど島村委員から原水爆実験とそれから気象観測というお話、気象だけでなくて、海象あるいは水象というようなものもございましょう。それは国会で決議したり、あるいは一本の国民の中から三千万をこす署名ができたり、世界では七億をこす署名があって、アメリカの良心をもゆさぶってはおりますけれども、依然として太平洋で実験が続けられる、大陸でも実験が行われる。これはまあ南半球でありますけれども、イギリスも実験を続けておる。そうしますと太平洋と申しますか、日本がこの現在においては原水爆実験の谷間になっておることはこれは間違いありません。そうして焼津は暗いあれに閉ざされておるということでありますが、日本の空の大気が汚染をされておる。それが雨になって、あるいは米やその他植物にも放射能がこの何と申しますか、くっついてくると言われておりますのは、たとえばこれは高層でしょうけれども、成層圏かどうか知りませんが、現状の放射能が何倍かになるならば、それが雨となって降下した場合に遺伝その他に影響すると言われており、私ども心配しておる。今度の実験が大してまあ心配をするに足らぬと、こういうふうに言われておりますけれども、これは八千万の国民が私は多かれ少かれ心配しておると思う。そうするとこれはまあこの従来の気象台、あるいは今度の気象庁の部の中でやりますというと、どこに入るかわかりませんが、ほとんど関係がないかもしれませんが、他の部門のお仕事にはおそらく関係して参ると、今後関係して参ると思うのでありますが、それについてどういう工合に考えておられるか。気象審議会ですか、作られます気象審議会の諮問事項の中にはないようであります。私は当然これは入ると思うのでありますが、単に台長あるいは今後の長官のお気持というか、決意だけでなしに、条文の中か何だか知りませんけれども、私は入れらるべき問題ではないかと考えるのですが、そのことと、まあそれを伺いまして、またあとで……。
  259. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 原水爆実験による放射能を含んだ灰の飛散につきましては、その観測並びに雨に含まれたる放射能物質の観測をわが国におきましては十数カ所の気象の観測所において観測を行なっております。なお海上におきます放射能物質の汚染につきましては、観測船が観測に出ましたつど行なっております。そのような気象台におきます放射能観測と申しますものは、その放射能物質の拡散している状態を、その実態をつかんで資料を提供するということでありまして、正確なるそういう実態をつかむことに第一の主眼があげられております。もちろんこれらの放射能物質の飛散あるいは拡散はそのときの気象条件によるものであります。気象条件を知りますれば、ある程度のそれらの予測も可能でありますけれども、今日ではまだ予報というような段階には少し早いかとも存じております。とにかく気象台では実態の把握が任務でありまして、これらを関係方面に提供しまして、そうしてそれが農作物に対する影響、あるいは飲料水とか、人々の健康、遺伝というものの基礎資料になる。なおそういうようなことはもちろん一つの官庁だけではできないことでありまして、現在では厚生省の原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会において関係各省の者が出て協議いたしておりますし、また日本学術会議におきましてもこの放射能対策の委員会がございます。
  260. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは今後の気象庁の任務は、さっき御答弁にありましたように実態の調査あるいは基礎資料の提供ということでしょうが、そうした放射能と申しますか、あるいは放射能だけでなくて、原水爆の実験による気象あるいは海象、あるいは水象における、あるいはまあそのほかに地磁気に関係あれば地磁気に、あるいはその他について関係があれば、これはもちろん何と申しますか、調査あるいは資料の提供の任務は、今後の気象庁として一つの重大な任務になると思うのです。それを今のあなたのお考え、あるいは言明だけでなしに、これは法文にはとにかくでありますけれども、私が今拝見をいたしましたところでは、たとえば気象審議会の諮問事項等の中にはそういうものはございません、従来通りのまあ「気象警報、気象注意報の伝達の改善方策」云々と書いてあります。そこでそういう点について考えなければならぬ点がある程度制度上ありはせんかということをお尋ねするわけです。それともまだほうっておいてもいいというのなら別問題でありますが、私どもの聞くところでは、日本の今の大気の汚染度が何倍か、大まかに言いますと、十倍近くもなれば遺伝に影響するという説等も伺いますと、ほうっておけるものではない、厳に考えられなければならぬ、あるいは制度の上に、制度の中に織り込まるべき問題ではないかと考えますだけに、もう少し明確に御所見を承わりたい。
  261. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せのように放射能物質の汚染については、いろいろ関係が多方面にわたるものでございますので、気象審議会においてももちろんその問題は将来出ると存じますが、そこに掲げました諮問事項は、当面ぜひやらなければならない二、三のことが掲げてあるものでございます。審議会というものがもし発足いたしますれば、その宵議会自体においてまたいろいろな問題が提起されて審議されると思います。なお原爆の被害対策というような問題は、現在気象台ももちろんその一員でありますけれども、関係者省で一つ委員会を作って、相当に討議をしておるものでございますから、そこでいろいろな各省の連絡をいたしておるわけであります。
  262. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ原水爆実験の影響も一つのあれでありますが、気象庁の任務と、それから科学技術庁、これはまあ科学技術庁が今国会に出ておりますが、この関係はどういう工合に考えられておりますのか。あるいは別に質問があるかもしれませんが、お尋ねをしておきたい。どういう工合に考えておられますか。
  263. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 科学技術庁は私の理解しておるところでは、科学、特に研究方面の連絡調整をする機関、あるいはその根本的企画をする機関と思っております。気象台は、気象庁になるといたしまして、気象庁は、現業機関の色彩が強く、科学技術庁とある関係はございますけれども、直接の何らかの管理を受けるというようなものではないと考えております。
  264. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 おおむね現業ですが、あるいは気象研究所等においては多少国連をして参る部面がございませんですか。で、総合調整もございますが、科学技術全般について企画立案、そうして推進をするということも一つの任務だと言われている。そうすると気象まあ水象、海象、そういった所管事項については、あなたの機関においてもあるいは企画立案があるかもしらん。ですからその辺の分野関係をどのように気象台としてはお考えになっているかということです。
  265. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 仰せのように、気象研究所のようなものは、明らかに科学技術庁のある程度の調整を受けるものと存じております。しかし私どもの大部分の気象庁の仕事というものは、科学技術庁で大きなこの科学的のことから連絡調整的のことはあるかもしれませんが、私の考えているところでは、この各省のこういう現業の機関は、直接には科学技術庁の調整を受けるものではないと思っております。
  266. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それから先ほど中国との、今の中華人民共和国ですか、との気象に関する情報の相互提供と申しますか、これについてお話があったそうでありますが、それについてはまあお尋ねをいたしません。台長が中国においでになったときにそういう話があったということも承知しております。ところがまだその後その点について十分な交換が行われておらん、こういうことをまあ承知をするのですが、先般来、これはどこでありましたか、郵便について、これは運輸大臣所管でございますか、違うか……(笑声)郵便業務について日本と中国との間に協定をすることについて異議がないと、こういうことを、これは外務大臣でありましたか、総理大臣でありましたか、お話があった。従って、これは万国郵便条約の問題になりますが、交渉をしてはという話が私にございました。私にということは、委員会ででもあったのでございましょうけれども、政府でなしに、国会の中でもあったわけであります。国交が回復しておりませんでも、こういう郵便の問題と、それからお互いの国民の幸福あるいは災害の防止に関して協定をし、あるいは相互通報をするということは郵便と同様の性質のものだと思うのであります。国交問題については、先般この委員会田畑君から総理に——相談をしてだんだん推進をして参りたい、周総理と会うことも総理として辞せないと、こういう確言が繰り返してございました。そのとき逃げるわけでもないと、こういうことでございましたが、全体の気運もそうですが、かりに国交が回復しないで、文化、貿易について事実上推進をしていきたい、拡大をはかりたい、こういう方針のもとにおいても、それよりもっと緊急さと、それから互恵をもって、互利の立場から推進し得ると考えるのでありますが、せっかく話をしてこられたのに、その後実際に十分実現をしておりません。これについて協定を結ぶことについて努力せられてはいかがかと考えるのであります。大臣なりそれから長官になられる方に一つ所信を承わりたいと思います。
  267. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) ただいまの問題につきまして、さっき松浦さんからの御質問で、三年前の経過だけは台長から申し上げまして、そのときには向うの方ではまだ交戦状態であるから工合が悪いということだったというので、その後それなりになっておる現状でありますが、今お話のありました通りに、それはそれですけれども、今度はまた、今日になりまして時期もたっておりますから、今お話のような趣旨で、事柄が非常に重大なことでありますから、もう一ぺん何か適当な機会をつかんで、その問題について向うの方に私はやはり交渉をしてみることがよろしいかと思っております。
  268. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ただいまのその問題について私は文書をお出しになり、それから協定をしたい、折衝をしたい、こういうお申し出があるならば、おそらく私は喜んで協議をしたいという回答があるものと考えます。総理大臣も、それから担当大臣も御異存がなさそうでございますから、そういう申し出をし、それから協定をせらるべきだと思うのでありますが、重ねて御決意を承わっておきたいと思います。
  269. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) お話の点は努力してみたいと思います。ただまあこれは事情が三年前の話ですけれども、その当時は交戦状態というのは、日本との国交が回復をしないということでもございましょうけれども、それよりも、つまり台湾の方の関係において若干問題が深刻なふうに向う側としてはとっておったこと、そのために原則論としては、周総理に会ったときは、台長との間に差しつかえないということであったけれども、係の方に具体的な交渉に入ってみると、なかなかそうも参らなかったという、これは過去の事実です。しかし今お話通り、過去は過去といたしまして、また新しい昨今の国際情勢でございますから、そういう機会をこちらで作り出して、もう一ぺん、二度も交渉を試みることは、私は適当であろうと考えます。
  270. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私申し上げるまでもありませんが、三年前なら三年前、貿易問題についても、日本から中国に品物を送る、そうすると東シナ海を通りますについてその航行について安全を保障することができない云々という話が公式、非公式に台湾政府から伝わっていましたけれども、もうそういうものはなくなって、それで今日では日本政府からも補助金を出して、そして中国で見本市を開く、それから何と申しますか、その出品についても、ココムの禁制品についても出品し得る、こういう状態になっておりますから、これは経済、文化以上に、災害あるいは国民の安危にかかわります問題、特に台風その他については密接な関係もございますから、話を進め得る問題だと考えますので、折衝を始めるということを要望をいたしておきます。  それから先ほど来一般的にはお尋ねをいたしましたが、最後にもう一点念を押してお尋ねをいたします。中央気象台から中央気象庁になって、次長も設けられるということでありますが、そうしますというと、長官には従来の中央気象台長がなられる、それから従来の長い経験を持っております技術者は、これは優遇はされて参ると思うのでありますけれども、今後定員をふやし、あるいはこれは予算の増額折衝をするためには、まあこういう人がよかろうといったような先ほどお話もございましたし、庁になった、あるいは人員がふえていく、しかしそれはあるいはまあ事務官と申しますか、法科出身の人たちがふえてきて、技術者の待遇が抑えられるという、こういう心配も全くないわけでもないだろうと思うのです。これらの従来の長い経験と、それから知識とを持っております技術者の待遇について、私はまあ尊重をされても軽視されることはないだろうと思うのでありますが、これらの点について大臣の所見を、明確な一つ保証を願っておきたいと思います。
  271. 吉野信次

    国務大臣(吉野信次君) 私は心配はないと思いますけれども、しかしお話がございましたから、そういう点につきましても十分注意をして、そういうことがないようにいたします。
  272. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 気象台長にその点と、それから給与の頭打ち、あるいは特別号俸の点について先ほど来改善をしていくという点の御答弁がございましたが、実情と、それから紋別定数改訂等について具体的な構想、決意がございましたならば、あわせて承わっておきたいと思います。
  273. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 頭打ちの問題や特別号俸につきましては、年来努力して参りまして、ある程度是正をいたしましたが、まだまだ他の官署に比べまして気象台は不遇な状態にあるのでありますから、この努力を続けたいと思っております。
  274. 島村軍次

    ○島村軍次君 本案は審議も相当進みましたので、この際、質疑を打ち切って、討論省略、直ちに採決されることの動議を提出いたします。
  275. 青木一男

    委員長青木一男君) ただいまの島村君の動議に賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  276. 青木一男

    委員長青木一男君) 総員挙手。よって全会一致さように決定いたしました。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  277. 青木一男

    委員長青木一男君) 総員挙手と認めます。それでは本案は全会一致をもって衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長提出すべき報告書の作成、その他自後の手続については、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     松浦 清一  田畑 金光     吉田 法晴  井上 清一     千葉  信  木島 虎藏     佐藤清一郎  島村 軍次     青柳 秀夫  西郷吉之助     野本 品吉  常田 重文
  279. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。   午後五時二十九分散会