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岡三郎君 私はただいま議題となりました
閉鎖機関令の一部を改正する
法律案に対して、社会党を代表して反対いたします。
この
法律案は、閉鎖機関の在外債務のうち、外地従業員に対する債務及び本邦を履行地とする債務につきまして弁済の道を開くとともに、特に朝鮮銀行及び台湾銀行につきまして、これらの銀行が発券業務を営んでいたという特殊性にかんがみて、その残存資産の中から納付金を政府に納付せしめる等、閉鎖機関の特殊清算を促進するために必要な
措置を講ずることの
法律でありまするが、この中で最も問題になるのは、朝鮮銀行及び台湾銀行、特にその中でも朝鮮銀行の問題かと存ずるのであります。特に政府が発券業務を営んでおったということで、多額なる納付金を納付せしめるという点に疑義があります。というのは、朝鮮銀行は解散時におけるところの規定を抜かしております。従いまして、朝鮮銀行が業務を行なっておった当時の納付金の
制度を、そのまま解散後に割り当てるということ自体これはいささか無理ではないかというふうに
考えます。さらにこの朝鮮銀行の株主が、この
措置によりまして、三十四倍の還元を受けるということに対して、預金者は百五十円の金が元利合せて百四十円にしかならぬというふうな、非常な冷遇を受けております。しかもあのような混乱時において、預金通帳その他なくした者が相当多い。そういうふうな中から、多くの人々からこの
措置についてもう少しあたたかい
措置を要望されているのも、ゆえなきにあらずと解釈いたします。従いまして、今後とも預金者に対しては相当政府は
措置を
考えていかなくてはならぬように
考えます。
さらに基本的な問題として、サンフランシスコ条約の第四条のB項の解釈が韓国とそれぞれ
見解を異にしておりまして、将来
財産請求権問題というものが発生するやにわれわれも
考えます。その場合に、このように全部清算してしまったあげくの果てに韓国から請求があった場合において、それに充てるべき資産というものがないということになるならば、将来これは国が見なければならぬような場合が起らぬとも限りません。しかもその場合において、当然国民がその税負担ということを受けるわけで、早急にこのような問題を処理しなければならぬという理由が明確にならぬと思うわけです。もう少しこの問題については慎重なる態度をとられてもよいのではないか、こういうふうに
考えておるものであります。
それから、特にこの朝鮮銀行の資産処理をめぐって、わが党の野溝議員より、不動産銀行設立については、いたずらにこのようなものを作ることなくして、既存の不動産
関係の銀行を整備拡充し、そうしてそれによって中小企業の利便をはかるということによって、大きな目的を達成することができるのではないかというふうな主張があったわけですが、不動産銀行その他を作ることによって、そういうふうなことを行うということについては、わが党としては賛成しかねる、こういうふうな
見解を持っておるわけです。
以上、外交上の問題、また預金者の換算率等の問題、それから引揚者に対してももう少し全体的な立場からこの処理を
考えてやる必要がある、こういうふうな総合的な見地からこの
法律案に対して反対するわけです。特に不動産銀行については、十分政府に慎重なる態度をとることを要請して、私の討論を終ります。