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1956-03-27 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十七日(火曜日)    午後二時四十一分開会   —————————————   委員異動 三月二十七日委員森田義衞辞任につ き、その補欠として高木正夫君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            山下 義信君    委員            加藤 武徳君            草葉 隆圓君            榊原  亨君            寺本 広作君            深川タマヱ君            竹中 勝男君            山本 經勝君            藤原 道子君            田村 文吉君            長谷部ひろ君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 英三君   政府委員    厚生大臣官房総    務課長     小山進次郎君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省薬務局長 森本  潔君    厚生省保険局長 高田 正巳君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (新医療費体系に関する件) ○検疫法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。  先に委員異動を御報告申し上げます。  三月二十七日付で森田義衞辞任高木正夫君選任、以上であります。   —————————————
  3. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に、小林厚生大臣の当委員会に対する不出席の件についてお諮りをいたします。  去る三月十五日の当委員会におきまして、小林厚生大臣が三月八日の当委員一会に出席されなかったことについて、厚生大臣から釈明し、陳謝の意を表されたのでありますが、この問題に関しましては、委員長理事にその取扱いを一任せられましたので、去る二十二日の委員長理事打合会におきまして、その打ち合せをいたしたのであります。  委員長理事打合会におきましては、「厚生大臣の釈明、陳謝は一応これを了とするも、かくのごとき事態の起りましたことは、まことに遺憾であり、当委員会審議に重大な支障を及ぼすものであるから、今後再びさようなことのないよう、厚生大臣に対し警告をいたすべきである」との結論に達したのであります。  ここに委員長理事打合会の結果を御報告申し上げますとともに、委員長といたしましては、厚生大臣に対し、今後当委員会を軽視することなく、誠意をもって対処せられますよう警告をいたす次第でありますが、この際、厚生大臣の御所見を承わたりたいと存じます。
  4. 小林英三

    国務大臣小林英三君) ただいま委員長の読み上げられました当委員会の御意見に対しましては十分に尊重いたしまして、今後善処いたしたいと存じます。
  5. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 別に御発言もなければ、この問題はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) さよう取り計らいたいと存じます。   —————————————
  7. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それでは、政府提出厚生省関係法案を順次審議を進めることといたします。  社会保障制度に関する調査の一環といたしまして、新医療費体系に関する件を問題に供します。  本問題につきましては、去る三月十五日の当委員会におきまして、小林厚生大臣から、暫定的点数表改正案中央社会保険医療協議会答申を求めているとのことでありましたが、三月二十三日付をもって、文書によって答申案の写しを添えて、これに基いて実施する旨の報告がありました。その資料はお手元に配付いたしてあります通りであります。この案について、厚生大臣から説明される点がありましたら、この際、御説明をお願いいたします。
  8. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 新しい医療費体系につきましては、私どもといたしましては、四月一日から発足いたすことになっておりまする医薬分業に不可分の問題でございまして、中央社会保険医療協議会に昨年の十二月以来諮問をいたしておったのでありますが、先般も申し上げました通り客観的情勢からいたしまして、四月一日の医薬分業に間に合わないという見通しのもとに、暫定案につきまして答申を願っておったのでありますが、去る三月二十三日の夕刻に暫定点数表に対しまする答申案が出ましたので、参議院と衆議院社会労働委員会に直ちに文書をもって御報告申し上げておいたのであります。本日これを御説明申し上げまして、御了承を得たいと存じます。  それでは便宜上、高田保険局長から説明をいたすことにいたします。
  9. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) では私から御説明を申し上げたいと思います。  暫定案中身につきまして御説明を申し上げまする前に、便宜上お手元にお配りしてございます医療協議会会長答申書の中に詳しく書いてありまする審議の経過につきまして、一言御参考までに御報告を申し上げまして、御審議の資とさせていただきたいと存じます。  その中に相当詳しく書いてございますが、三月九日に大臣から、新医薬制度実施に必要な限度の暫定的な点数表改正について御検討を願いたいという要請を申し上げましたところ、中央社会保険医療協議会におかれましては、そこに最初の方に書いてありまする四つの柱といいますか、そういうふうなものに即したものにしたがよかろう、そうしてその原案作成公益代表委員一つお願いをしたいということが、全員の御意見としてまとまったわけでございます。  その四つの柱と申しまするのは、そこに書いてございまするように、一つ患者医師調剤を求めた場合も、薬剤師調剤を求めた場合も、医療費変化がないようにということでございます。今回の分業趣旨は、患者の自由なる選択権を認めて法律が制定されておるわけでございますが、その趣旨に即して、どちらで調剤を求めた場合にも、患者の方からみますると、医療費変化がないということが一つでございます。  それから二番目といたしましては、総体の医療費変動を来たさないとともに、各種社会保険及び各種医療機関医療費に極力変動を来たさないように配慮すること。  三番目といたしましては、時期が切迫しておるので、本月の二十日ごろまでにはまとめたい、まとめなければならないので、それでとうていこの広範囲の改正はできないから、そういう点も考慮して、現実にまとまるような案を検討すること。  それから四番目といたしましては、将来この新しい医療費支払点数表検討いたします際に、それのじゃまになるようなものでないこと。大体この四つでございます。  それで、右意見に基きまして、公益代表今井委員が、お手元にお配りをいたしましたようなこの今井試案をお出しになったわけでございます。でこの案に対しましては、そこに医師側薬剤師側保険者及び事業主側歯科医師、被保険者公益側、それぞれの立場からのいろいろな御批判がございまして、その御批判内容はその中に相当詳しく書いてございます。それぞれの御批判はございましたけれども、しかし全委員意見といたしまして、いずれにしろまあ一口に申せば、時日もないことであるし、これ以上の案はなかなか求めようとしても求められない。従ってその終りの五行目に書いてありますように、「しかしながら全委員意見として今井案が新医薬制度実施に必要な点数表改正に必要とされた前記四条件をおおむね満たしているものであり、その苦心は多とするものである点が一致して表明された。」わけでございます。  なお、その次に書いてございますように、各委員意見はそれぞれそこに不満が表明されたような意見であるけれども期日関係もあるので、全委員意見で、答申会長に一任するということに一致をいたしたわけでございます。それで会長といたしましては、一番最後に書いてございまするように、「新医薬制度実施に即応するための臨時暫定的改正点数表としては別紙今井案実施することがやむを得ないものとする。」こういう御答申でございます。  それで、この御答申に対しましては、医療協議会の全委員が一致してこれに御賛成に相なったような次第でございます。  それで、かような御答申をいただきましたので、私どもといたしましては、これに即して実施の取運びをいたすことにいたしました。  さて、その案の内容でございますが、お手元にございますのは、一番上に「診療報酬点数表中薬治料の部及び文書料の部を次のように改める。」これが二枚半となっておりまして、これがいわゆるお医者様の方の点数表改正でございます。  この次に三枚でありますが、これは大体内容は同じでございますが、歯科医師関係のものでございます。  それから最後の一枚が保険薬剤師さん関係のものでございます。三本になっておりまするので、非常に繁雑のように見えまするけれども、なお書き方が非常にいろいろな場合を考えてめんどうになっておりまするので、繁雑でございまするけれども、一口にこれを御説明を申し上げますると、従来薬治料としてお医者様に支払われておりましたものが、分業によって全部これが薬局に行ったりいたしますると、その中に、医師潜在技術料が含まれておるわけでございまするので、非常な不合理が起る。従って薬治料を分解いたしまして、処方料と、それから調剤料薬価そのものと、三つにこれを分解いたしまして、そうして薬局処方の場合にはお医者様には処方料を残して、調剤料薬価とは薬局の方に支払う。医師調剤をなさる場合には、この三つを合せてお支払いする、三つともお支払いする、こういうふうなことになるわけでございます。  そうしてその処方料の高でございますが、この処方料の高につきましては、従来の薬治料の中に含まれておりまする潜在技術料というものが、高い薬になればなるほどその潜在技術料も大きいという形に従来なっておりまするので、この暫定案におきましても、その現実の姿をくずさないように、薬価が高くなりますれば高くなりまするほど、処方料も高くなるという形をとっております。薬価が十五円以下の場合、しかもその薬価区切り区切りが従来の点数表と同じ区切り方がしてございます。この薬価が十五円以下の場合には処方料は一点、薬価が三十円以下の場合には一・五点、四十五円以下の場合には二点、ずっと高くなりまして五百円をこえる場合には八点、こういうふうなだんだんと薬の値段の高くなるにつれて処方料も増加するというふうなきめ方がしてございます。  それから調剤料でございますが、これは〇・五点、これはお医者様の方には、ほかの支払いが全部点数でございますので、医者に対しては〇・五点、それから薬局の方に対しましては、一番最後の紙に書いてございまするように、六円ということに金額で表示をされております。〇・五点にいたしましても、六円にいたしましても、新医療費体系に基く点数表で私ども考えておりました調剤料は七円でございまして、それよりは低くきめられておるわけでございますが、これは現行保険薬剤師調剤料が二日分まで八円ということになっておりまして、一日分が四円に当っております。  そういうふうな現状からいたしまして、その他にも暫定案でいろいろ不合理なところは残っておるわけでございまするので、一応漸進的な意味で六円あるいは〇・五点ということで、あまり理屈はないわけでございまするが、試案お作りになりました今井委員が中心になって、関係団体といろいろと打ち合せをなさいまして、これは当然一部の反対があったわけでございまするが、その辺にきめようということで〇・五点、六円ということに相なったわけでございます。  なお調剤料につきましては、その資料に書いてございまするように、いろいろな剤型によって調剤料が変って参りまするので、その剤型の区分あるいはそれらの比率というものは、現行保険薬剤師点数表と申しますか、そういうふうなものに即しましてきめられておる次第でございます。  なお、大体以上のような筋でございますが、このきめ方といたしましては、この調剤料処方薬剤料という二つのものに薬治料が分類されておりまして、今申し上げました薬価処方料とは一本にまた合せて支払うという形をとっております。しかしながら、この中身差引計算をして、もらえばすぐわかるというふうな形になっておる次第でございます。  それから、薬局処方をお願いいたしました場合におきましては、お医者様は、その一枚目の最後の方に書いてありまする二案ございますが、「上記以外の場合」すなわち下の欄、これが処方料に当るわけでございますが、これをお医者様にお支払いをするということになりまして、これは先ほど御説明を申し上げましたように、薬の一日分、二日分という量によって、これの何倍かになりまするし、またそこに書いてございまするように、薬の金額が高くなりますることによって多くなるわけでございますが、これがお医者様の手元に残りまするので、従来の文書料としての処方せん料は除かれております。表現の仕方が非常に繁雑になっておりますることと、それに説明があまり上手でないことで、あるいは十分に御理解をいただけなかったかと存じまするけれども、このいろいろごたごた書いてございまするこの暫定案中身を要約して御説明申し上げますると、以上のようなことに相なると存じます。
  10. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 何か御質疑がございましたら御発言願います。
  11. 榊原亨

    榊原亨君 この湯沢医療協議会長の御答申にもありますことでありますが、今度の暫定的医療費をおきめになります場合の四つ条件のうちの最後条件、「新たに医療費体系合理的改正を行うに当って支障となるようなことのないようにすること。」ということもあるのでございまするが、今度厚生省が御発表になりまするこの医療費体系は、あくまでも暫定的でありまして、これが将来の医療費体系をきめまする場合の既成事実とならぬのでございましょうか、なるのでございましょうか、その点を一つお聞きいたしたいことが一点。  その次は、この暫定処置はいつごろまで続くお見込みであるか、大体物と技術を分けるということにつきましては、厚生省もあくまでも御主張になることだろうと思うのでありまして、その合理的改正を行われる見込み期日はどれくらいのところを大体お考えになっていらっしゃるかということが第二点。  第三点は、今回厚生省が御発表になりました新医療費体系というような、あの体系をまだいつまでもあのままを押し通して、これを一つのたたき台にして、新しい医療費体系をきめるのだというような御主張が将来も続けられるのでありましょうかどうかという、この三点について、承わりたいと存じます。
  12. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 第一点につきましては、これはあくまでも暫定案でございまして、新しい合理的な点数表の基本的な改正につきましては、これが既成事実になって、とやかくこれによって牽制を受けるということはないものと存じます。  それから第二点の、しからば基本的な点数表改正はいつごろやるつもりであるかという御質問でございますが、これは先般の当委員会でも大臣が申されたかと記憶をいたしておりまするのでございますが、医療協議会におきましても、そのところが非常に問題になりまして、これに対して厚生大臣は、いついつまでにという時間を切ることは同協議会に対して大へんまあ失礼と申しますか、まあ自分としてすべきことでないように思うというふうなことを一度ばかり御答弁になりましたのでございますが、しかしそれはそうであろう、しかしながらそうは言っても大臣希望というものがあるであろうというたたみかけての御質問がございまして、それに対して大臣はそういうふうにおっしゃられるならば、私としては六月一ぱいくらいに御検討をお願いできれば仕合せであるという御答弁があったのでございます。それまではできるだけ早くというお答えであったのでございますが、その医療協議会におきまする大臣の御答弁が、ただいまの意図を尽しているものと私は考えるのでございます。  それから先般十二月にお出しいたしましたあの私ども原案がどういう立場をとるかということでございまするが、これも医療協議会でいろいろ御論議があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、あの原案をそのまま継続して御審議をお願いいたしたいということを申しているだけでございまして、従ってあの原案検討して修正するとか、原案をのむというふうな形だけの御審議に限る必要はない、いろいろとあれを諮問の案として御審議をいただきまする際におきまして、いろいろと関係者から試案というものが出て参る、それを皆で検討をいたすというようなことも、これは審議会等におきましては十分行われることでございまして、さようなことがあっても別に差しつかえはない。あれを基本に、あれだけについて御検討をいただこうと、あるいはあれを御審議なさる過程におきましていろいろな立場方々の御案が出て、それを一つ検討しようじゃないかということになりまして、それがしばらく検討されてそうして最後に、この原案とそういうものとつき合せをしてみてどう扱うかというような御検討方法もいろいろあるわけでございまして、それらにつきましては、別に私どもといたしましては、いろいろな御審議方法があろうということで、こだわっておらないのでございます。
  13. 榊原亨

    榊原亨君 いつごろまでにできるという期日につきましては、大臣希望でございますから、これは私どもは聞きおくだけであります。大体ほかの二点につきましてのただいまの局長の御答弁は、すなわち大臣の御答弁と解してよろしゅうございますか。その点厚生大臣から……。
  14. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 私の答弁も同じでございます。
  15. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと大臣に伺いたいのでありますが、この暫定案は、厚生省が案を作ってすでに協議会諮問された結果の答弁ではなくして、先般の委員会でもお話しがありまして、山下委員からも追及があったようでありますが、全部投げかけてしまって、協議会で案を作ってそれを厚生省に入れる場合、建白といいますか、何かの形で出された、こういうわけでありますか。  ところで非常に急いでおられたのでありましょうけれども、この協議会今井案なるものをこの協議会がきめて厚生省報告した、その材料をそのままうのみにして告示しなければならなかったものであるかどうか。多少なりともこの中に不合理な点について少くとも所管官庁責任者である厚生省において、多少なりともこれに手を加え、訂正をし、修正をして告示をするということをお考えにならなかったかどうか、あるいは考えられてもその時間がなかったものであるか、それともそういうことをすることは協議会に対して工合が悪いとお考えになったのかどうか、その辺のことをまず最初に伺っておきたい。
  16. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 協議会で御答申がありましたこの暫定案につきましては、厚生省といたしましても直ちに検討いたしました結果、暫定案として四月一日からスタートいたしまする医薬分業に適当なものである、暫定案としては適当なものである、これならやっていけるという考えのもとに了承することにいたしたわけであります。
  17. 高野一夫

    高野一夫君 保険局長にしからば伺いますが、保険局長事務担当者としてこの案をこさいにお調べになって、まあ暫定案だから仕方がないけれども、また私の質問も過ぎたことを申し上げてどうもおもしろくないけれども、ともかく後日のために伺っておきたいのですが、これをごらんになって、これにはもはや手を加える必要がない、加えられない、こういうふうにお考えになったのかどうか、二、三カ月のことだからこれでしんぼうできないことはないじゃないか、こういうふうにお考えになったのか、その点のあなた方の事務責任者としてのお考えを伺いたい。
  18. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この暫定案につきましては、答申書の中にもありますように、各側の代表からいろいろいろ御不満の点があったのでございます。私どもといたしましても、この暫定案というものは決して筋の通ったといいますか、何と申しますか、私どもが昨年の十二月に御提出を申し上げておりますような程度まあ筋の通ったものではない。いろいろと何と申しますか、理屈で申しますると、理屈の立たぬところが多分にあるというふうに私ども考えておるわけでございます。しかしながら、ただいま大臣が仰せになりましたように、暫定案としてはこれでやむを得ない。もしそれらを一々筋を立てようといたしますると、結局非常に広範囲なところにも波及をして参るおそれもありまするので、そういうことをいたしておりましては、時日関係もございまするので、それはなかなかやれない。この暫定案作成経緯におきましても、まず現行のものと思想としては一つ思想が入っておりまするけれども、あまりに違ったような結果になるということになりますると、この最初打ち立てられました四つの柱とのどれかに触れてくるというようなこともございますので、いろいろな関係方々がそれぞれ譲り合ってお作りになった経緯もございまするので、さような点をもあわせ考えまして、理屈としては、方々理屈としては立たぬことがございますけれども暫定としてはこれが妥当である、かように考えた次第でございます。
  19. 高野一夫

    高野一夫君 しからばこまかいところで例を上げて私は保険局長薬務局長に伺いたい。  この処方調剤料とかいろいろな考え方については、私はまことにこれは適正でない、合理的でない考え方だと思う。しかしこれは全般的の構想でありますから、こういう点について手をつけることは暫定措置として無理でありましょうから、とやかくのことは申しませんが、たとえばこの調剤料については内服薬、その中に水剤散剤乳剤丸剤膠嚢剤、などが〇・五点となっている。これをこの〇・五点についてはすでに各方面からいろいろな非難も出ておりますから、私は繰り返してくどく申し上げませんが、これも今井さんが何らかのお考えで立てられた案だろうと思うけれども、この非常識な〇・五点をかりにのむといたしましても、この区分けのその次には浸煎剤が〇・七点となっている。ところがその〇・五点に該当するものの中には事実普通の水剤散剤のほかに、乳剤膠嚢剤なんというのがある。この乳剤膠嚢剤というものは浸煎剤よりさらに複雑な技術を要するものである。しからばこの乳剤膠嚢剤というものは浸煎剤と同じ部類に区分けしなければならない、この点がどういうわけでこういうふうな区分けをされたのか、今井さんはしろうとであるからこれがわからなかったというならばわかるけれども、こういう点について、厚生省側専門家がお考えになって、これに何らかの注意を与える機会がなかったか、あるいはこれは一つおかしいから、この点は手を入れて修正しようじゃないか、こういうお考えを持ち得なかったかどうか、この点について私は一点伺っておきたい。
  20. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御指摘のように、〇・五点そのものにつきましても理窟の合わぬところがございまするし、今高野先生が専門的に御指摘になりました剤型の区別によるそれぞれの調剤料の均衡につきましても、専門的に見るといろいろ検討をしなければならぬところがあると、私もしろうとではございますが認めるわけでございます。ただ現在の調剤の手数料が、この水剤散剤、それから乳剤丸剤膠嚢剤というものにつきましてはいずれも同じようにまあ二日分まで八円というきめ方をいたしておりまして、浸煎剤につきましては二日分まで十一円というきめ方をいたしておるわけでございます。この際、これらにつきましてそれぞれ剤型によるこの比率を再検討をいたすということもこれも一つのやり方でございまするけれども、しかしもう基礎になっておりまする〇・五点というものが、私ども考えておりますること、理窟と申しまするか、過去の資料によりますると、この〇・五点というものがもう決して合理的なものと申せるわけではございませんので、まあこの際は答申を重んじまして、従来の、現行比率をそのまま取って参りまして、こういうふうなきめ方を答申の方でなすっておりまするので、それをそのままのみまして、これらについての検討は将来に譲りたい、こういうふうに考えた次第でございます。高野先生の御指摘は十分に理のある御指摘と存じまするけれども、今のような事情で、私どもとしましてはこの際これをそのまま実施してゆこうと、こういう決定をいたした次第でございます。
  21. 高野一夫

    高野一夫君 先ほど榊原委員が、この暫定措置内容が今後の既成事実になるようなことがないかあるかという質問をなすった。それに対して、あなたもまた大臣が裏書きされた点においても、それは既成事実とはならぬというはっきりした御答弁があったわけであります。ところでこの暫定措置のただいま私が一例を上げてお尋ねした点は、これは現在の点数表がこういう区分けになっておる、こういうことがおもなる理由になっていると思います。ところで、この暫定措置なるものは、この内容を見ればわかる通りに、現行点数改正でもなければ、新体系の修正でもない。全く新たなる構想に出た暫定措置であるわけでありますから、そこで、現在の点数表の中にある部類分けを多少なりとも修正するということが私はできなかったはずはなかろうと思うのです。しかし、それはすでに過ぎ去ったことでありますから、これ以上追及はいたしませんが、この点については、今後薬務局の方でも十分一つ研究なさって、こういうような部類分けについては、診療の方の項目にも同じようなことがあるかもしれませんが、十分一つ検討なさって、適正なる部類分けと点数制度をお考えを願いたい。それからこの処方、薬剤料というようなものについての考え方は、私は全然違った考え方を持っておりますから、もはやこれについても質問はいたしません。こういうようなことも、先ほどの榊原委員の御指摘になったのと同様に、すでに既成事実となるような考え方にはならぬはずだと思いますが、この処方薬剤料なるものは、処方せん料とか、文書料とかいうようなものならまだわかるのでありますけれども、これは無形の技術料であります。そこで、この無形の技術料が、診察料のほかに、診察行為なる技術料のほかに、あらためて処方薬剤なる技術料がここに浮び出たということは、これは新しい考え方であるが、私は同意できないのだけれども、この点についても、これがいいとか悪いとかは別問題といたしまして、今後既成事実としてこのことが重く将来に残らないようにお願いをしておきたいと思います。それはよろしゅうございますね。  それからあとのこまごましいことは申し上げません。すでに六菖十菊みたいなもので、いくら質問したところで、告示になってしまったものでありますからお尋ねいたしませんが、各位の御了解を得まして、この新体系暫定措置を利用して四月一日から分業実施になるについて、それを円滑ならしめる上について二、三疑問がございますので、あわせて一つ質問をお許し願いたい。  この暫定措置を病院、診療所、あるいは町の薬局実施するにつきまして、この今度改正されたる薬事法では、医師調剤する場合は、これは医師みずから調剤しなければならぬのであって、現行みたいに薬剤師に代行させることを許されなくなっておる。しかも、その薬剤師は町の登録されたる正規の薬局でしか調剤を許されておらぬ。現在、病院、診療所の調剤は、医師の代理者として調剤しているので、薬剤師としての調剤行為ではないことは、これは薬事法の二十二条、二十三条で明確になっているわけで、それが四月一日からはその代行が許されないということになるわけでありますが、この点について、厚生省は適当な省令公布の方法なり何なりお考えになっているかどうか、これを確かめておきたい。
  22. 森本潔

    政府委員(森本潔君) ただいま高野委員の御質問ごもっともでございます。改正された薬事法によりますと、薬剤師薬局でなければ調剤をしてはならぬ、ただし省令で定めた場合においてはこの限りではない、かように考えております。それで、現在薬局以外で調剤しておる場合は、天災事変等の場合において、薬局調剤できない場合のみを施行規則の五十二条で認めております。それで今後病院等におきますところの調剤所でございますが、そこでは薬剤師調剤できないということになりますので、さような不便を取り除きますために、施行規則の改正をいたしまして、病院、診療所の薬剤師は、当該病院、診療所の医師または獣医師歯科医師等が出しました処方せんに基いてやる場合に限って、その病院、診療所の調剤所で調剤をしてもよろしい、こういう規定を設けるようにいたしております。目下手続を進めておりまして、明日この施行規則を公布いたしまして、四月一日から施行する、かような段取りにいたしておりますので、ただいまお話しのような支障は起らぬという考えでございます。
  23. 高野一夫

    高野一夫君 その場合に、今度は病院、診療所勤務の薬剤師が初めて一人前の薬剤師になって、薬剤師としての資格で調剤が許されるわけですが、それは病院、診療所外部からの処方せんは全然受けつけないということはただいまの御説明にあったようでありますが、それもはっきりした文章になって、施行規則の条文なり何なり改正になるわけですね。それを確かめておきたい。
  24. 森本潔

    政府委員(森本潔君) 条文でその趣旨を明らかにいたしております。ちょっと参考までに読み上げてみますと、「病院若しくは診療所で診療に従事する医師若しくは歯科医師又は家畜診療施設で診療に従事する獣医師処方せんにより、当該病院若しくは診療所の調剤所又は家畜診療施設において調剤する場合は、これを適用しない。」というのでございまして、病院、中略しまして、病院で診療に従事する医師処方せんによって、当該病院すなわちその病院の調剤所において調剤する場合は、その限りでない、かような規定になっておりまして、その点明らかであると考えます。
  25. 高野一夫

    高野一夫君 わかりました。それじゃもう一つ保険局長に伺いますが、健康保険法施行規則の第五十条の前段の項目が今度の薬事法の二十二条と背反するように思うのでありますが、この点について何らかお考えなり、処置なりおとりになっておるかどうか、その点を伺いたい。
  26. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この五十条は当然整理さるべき規定だと存じます。五十条、ことに第一項、その他の法律につきましても検討を要する点があるかもしれません。これは間に合うように条文の改正をいたす予定でおります。
  27. 高野一夫

    高野一夫君 最後に、もう一つ大臣に伺っておきたいと思いますが、先ほど榊原委員の御質問に対する大臣の御答弁保険局長の御答弁では、大臣希望としては、六月一ぱいぐらいで暫定措置をおしまいにして新体系の基本的なものを作ってもらいたい、こういうようなことでありまして、これは私の質問に対しても、前回の委員会において御答弁があったところであります。この点について厚生省はあらゆる障害を排除して、いかなる政治的情勢が起りましょうとも、この線に沿うて極力推進していくという確固たる腹をお持ちであるかどうか、その点を一つ伺っておきたい。これは協議会の方の考え方でありますから、協議会の方として、六月に間に合わなかったから七月、七月に間に合わなかったら八月、九月だ、こういうことになってしまったら仕方がない。こういうことになるかもしれませんけれども、それでは困るのであって、やはり責任者厚生省としてはっきりした一つの腹をお持ちを願わなければならないじゃないか、この暫定措置、この不完全な暫定措置で、医師薬剤師歯科医師医薬分業に突入しなければならない、この事態を考えました場合には、一日も早く基本的のものに移らなければならぬ、移らせなければならないという考えは、厚生省としてお持ち願わなければならないじゃないか、従って確固たるさような腹をもって協議会にお臨みになる覚悟であるかどうか、これを私は最後に伺っておきたい。
  28. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今御説明申し上げておりまする暫定点数表というものは、あくまでも暫定的なものでございまして、厚生省といたしましては、できるだけ近い将来におきまして根本的な新しい点数表を設けたい、こういう意図には少しも変りありません。
  29. 山下義信

    山下義信君 この暫定表は本日正式に御報告に接しましたのでありますから、われわれ社会党といたしましても十分検討をしてみなければ、暫定案に対しまする党の態度をここで申し上げるわけにはいかないとは思いますが、しかし私個人の考えといたしましては、非常に不完全で、非常に不合理なもので、はなはだ不適当な案であるという感じがいたします。そのことだけは、社会党側の選出の社労委員として申し上げておかなくちゃならぬと思う。私どもが申すまでもなく、政府みずからが不合理な不完全な案でございますと言うのでありますから、これはもう異論のないところであります。多く論評する価値がない。その不合理なものの中の最も不合理なるものは、たとえ暫定的であると言っても医薬分業に適応する医療費としては、医と薬と分けなくちゃならぬ、この暫定表の不合理中の不合理なるものは、医と薬と分けたふうに見せておいて分けてないところがきわめて不都合である。一体何だ、この暫定表は。言いかえれば、現行表の化けものである。きわめて不合理である。多く議論する価値がない、この暫定表は。で政府みずからきわめて不完全でございます、不合理でございますと言っている。しかし暫定的にはこれが適当でございますとは何たることだ。非常な不適当なものが暫定的には適当でございますというのはどういう論理ですか。非常に悪いものでございますけれども、ちょっとの間はよいものでございますとはどういうことか。悪いものならばちょっとの間でも悪いでしょう。悪いものであるが、短い期間に使うのならば悪うございませんとはどういう意味だ。毒薬でもあなた、ちょっと使っても毒は毒でしょう。暫定的に使うとしてももっとよい案をこしらえたらどうです。みずからきわめて不合理な不完全なお粗末なものと言いながら、暫定的には適当であると思いますと、私どもはどういう意味かその言葉の意味がわからぬ。はなはだ頭脳が不明確でございますからわからぬ。暫定的でございましても非常に不完全な案でございまして、申しわけがございませんと言うのなら、説明が、筋が通りまするけれども、あげ足はとりませんが、暫定的といたしましては適当な案でございますというようなことは、おそらくこれは世間の小学生が聞いても笑う、おかしげなことを大臣というものは言うのじゃけんのうと思うでしょう。ですから、私は今の政府の説明をそのまま了承いたしがたい。これは非常な不適当な不合理な、実にお粗末な案であるということだけを私は申し上げておきたいと思う。  五分ほど、この暫定案に関連いたしまして、一、二私は伺っておきたいと思うのですが、本日の本会議で、竹中委員から保険医の総辞退の質疑がなされた。大局的な御質疑があったのでありますが、私はいろいろ政治的な質疑でなしに、手続のことをちょっとこの際伺っておきたいと思う、先になりますと、お尋ねする機会がないと思いますので。保険医総辞退に関する手続のことを承わっておきたいと思う。  第一は、保険医の辞退というものは、健康保険法の定むるところによりまして、一カ月以上前に予告せにゃならぬということになっておりますね。それでこれは一カ月以上の予告期間が必ずなけらねばいけませんか。つまり言いかえますというと、私がお尋ねしておるのは、この予告期間中は、届出する者は法律の規定によりまして一カ月以前に予告しなくちゃなりませんが、その保険医の辞退を承認をして、辞退の手続をいたしまするのにも一カ月後でなければできませんか、それはどうなりますか。一カ月という期間を置かなければ保険医の辞任という諸般の手続を進めることはどうしてもできませんか。
  30. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御質問の御趣旨をあるいははき違えたお答えをするかもしれませんが、この一カ月ということはこれは医師に課せられた、辞退の届出をする方に対する義務のような規定の仕方になっております。それで手続がその期間内では行えないかというような仰せでございまするが、その意味が十分によく私わからないのでございますが、今回の辞退届——京都等で出されております辞退届には期日が指定してあるようでございます。五月一日からという指定があるようでございます。従いましてさような場合におきましては、その法律的な効果が発生いたしまするのは五月一日ということになるかと思います。
  31. 山下義信

    山下義信君 辞任に発効の日付が記入してない場合において、辞退の予告通知を受けた、その届出を受けた方の側も、一カ月をたたなければ、その保険医の辞退の手続はできないかということを聞いておるのです。
  32. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御質問の御趣旨は、期日を指定しないで自分は保険医をやめたいと言って届てきた、そうすると、受けた方が、一カ月以内にそれじゃやめて下さいということができるかという御質問ですか。
  33. 山下義信

    山下義信君 そうです。
  34. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは法律的に十分研究をしてみませんと、なかなか法律的にデリケートな問題でございますが、まあ私の考えによりますれば、その届出のやめたいという理由と、それからこちら側のそれを受けまする方の、何と申しますか、結局は被保険者保護ということがまず第一に考えられます。被保険者に迷惑をかけないような態勢がとれるかどうかということにかかってくると思うのでございます。従いましてやめたい方が一日も早くやめたい、それからそれを受ける方におきましても、もう諸般の態勢が、別に一人や二人やめたのじゃ被保険者に対して大した御迷惑がかからないということでございますれば、その前にもそれじゃもう一カ月の予告期間は過ぎない間にでも、その法律的な効果の発生するような措置ができるだろうと、私さように考えております。この点につきましては、もう少し法律解釈を正確に詰めてみなければなりませんので、関係の向きと相談をいたしてやりたいと思っております。
  35. 山下義信

    山下義信君 今、重大な状態が目の前に現われておって、いろいろ法規的な手続関係の御研究御検討が不十分ということではいかぬと思うのです。それで、従来保険医の集団的な辞退届の前例の有無は知りませんけれども、個個の保険医の辞退届について法律の規定は、辞退しようとする保険医が一カ月以前の予告を義務づけておるけれども、それを開き届けて手続をする方の側の保険者、すなわち政府側の方の手続については、この一カ月後でなければできないというような規定が私には見当らない。でありまするから、前例を調査して、取扱い方の、法規上の取扱い方もこれはきょう実は聞きたいのです。次回というと、次個にはもう済んでしまうことです。きょう実は聞きたいのでありますが、あとで本員に御回答下さればよろしゅうございますが、それで予告というのは瀞退屈を出したという、この辞退届を受理したというその確認は、いわゆる地方庁の条例か何かで公告をするのですか、どういうことで辞退届を出して、何月何日それを受理したという手続の形式はどういうことになっておりますか。
  36. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ただいま法律の中にも、それからその他の省令等、下級の命令の中にもこれを公示するというふうな手続を、要件としてはどこにも書いてございません。従いまして、それは法律上の要件にはなっておらないわけでございます。ただ、今回の東京都等におきましては、被保険者にも関係のあることであるからして、これは広く知らせるという措置が必要なのではないかという知事の考え、都庁の方の考えからさような措置をとるやに聞き及んでおります。
  37. 山下義信

    山下義信君 私は受理したということを公示するということは、不可欠の要件にしていないということでありまするが、そうであろうと思いますが、しかしこの際、今保険局長の言われたようなことでこれを受理した、辞退届を出しておるということを公示するという手続をとりますと、私は諸般の問題がまた付随してくると思うのです。これは公示するのかしないのか、公示しなくてもいいのか、公示させるのかということは、公示させた方がいいのか、公示させない方がいいのかということは、当局の方針を一定してもらいたい、私はそう思う、ですからこれも一つきめて御回答を願います。それで、つまり言いかえると、辞退屈を出したということを受理したということを公示する、公示した後に取り消しができるか、辞退届を出した保険医の、辞退届を出したということを知事が公示する、公示した後にあの辞退届はやめましたということを言うことができるかというたときに、その効果があるか、辞退届を出したということを公示するのですよ、それをやめましたという、本人の、保険医の自由意思によって、その公示の効力をを中断することができるか、公示した場合にはどうなるのですか。
  38. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) その点は公示に関係があると申しますよりは、問題は二つになると思います。一つは実体関係でございまして、一ぺん予告をいたした、たとえば期日を示して予告をした、その前にその予告を取り下げることができるかどうかということでございますが、これにつきましては、相手方の同意なくして——同意があれば格別、同意があればできるものと存じます。しかし同意なくして、権利として一ぺん出したものをすぐ——すぐというよりはむしろ期日に近くなって取り下げるということにつきましては、これは及ぶ影響、いろいろそれについて準備をしたりなんかいだすというようなこともあり得るわけでございまするので、法制局の解釈におきましても、権利の乱用というふうなことになるのではないだろうか、こういうことが一応私どもとの打ち合せの解釈でございます。それから、しかしながら、相手方が用意をいたしますれば、その期日前であればそれは差しつかえないであろう。しからばそういうふうな場合に、前の公示との関係はどうなるかという問題、   〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕 そのときにはまた公示をし直す。これは一度こういう届出が出たけれども、これはその後取り下げられる、それについて相手方も同意をして、これは辞退にはならないという新しい公示をするということになり得るかと思います。
  39. 山下義信

    山下義信君 辞退届を出して受理したという公示をする、あるいは公示しなくたって受理したという意思表示を知事がする、しこうして後に一カ月が経過した。辞任期日の指定の有無にかかわらず一カ月が経過した。辞任の指定の期日がきたのはもちろんのこと、指定がしてなくても一カ月の予告新聞がきた、経過した。その一カ月の予告期間が経過すると自動的に保険医を辞したことになりますか、あるいは一カ月が経過した後にあらためて知事がその辞任を承認する、したという何か意思表示の形式を必要とするのですが、自動的にその保険医は一カ月の予告期間が経過すれば保険医でなくなってしまうのですか。その点はどうなっておりますか。
  40. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ただいまの法律の規定では、自動的に法律効果を発生するものと……。
  41. 山下義信

    山下義信君 辞退承認は知事限りでするのですね。
  42. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 法律上の権限は知事にございます。
  43. 山下義信

    山下義信君 運用として、実際的には厚生大臣と相談してやりますか、もう知事にその場合にはもうまかせますか。実際は当面の現実の問題としてはどうするつもりですか。厚生大臣関係の知事と相談してやるのか、もう知事にそういういろいろな場合を予想してまかせてしまいますか、どうしますか。
  44. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 一般的な取扱いの方針につきましては、当然厚生大臣が知事に指示をいたします。具体的なケース、ケースに応じた取扱い等につきましては、これは知事の判断に待たなければならないと存じます。その間厚生省と知事とが相談をしてやるかどうかということにつきましては、その府県々々の事情に応じまして、適宜それぞれの実情に即したような措置をとらなければいかぬ。かように考えております。
  45. 山下義信

    山下義信君 私は厚生省が出した通牒のこと等について伺いたいのですけれども、もう時間がないから省略するかもわかりませんが、その通牒の中で大事なことが指摘してある。また総辞退をやろうとする、あるいはやっている医師側の言っていることと対応して非常に重大な点は、保険医をやめても被保険者の診療はできるんだ、代金は愚者さんが請求なされば金は受け取られるのだ、だからちっとも御迷惑はかけぬというようなことを言っておられる、厚生省の通牒の中には。そういうことを医師側が言うが、そういうことは軽々しくできぬぞということが、あなた方の方の通牒で指摘しておられると思うのです。そこで私は聞くんです。この健康保険法の第四十四条の後段の場合、すなわち保険医が総辞退しているこの場合に、患者が保険医でないお医者さんに、保険医を辞退してしまったところへ行って治療を受けて、その治療費の代金があとで払うてもらえることができるということのこの第四十四条の解釈「保険者が其ノ必要アリト認メタルトキハ」とこうある、こういう総辞退をしたような場合、保険者は、保険医でないその医師について診療を求めても、その医療費を支払わなければならぬ場合と認めるか認めないか、厚生省の所見を明確にしてもらいたいと思います。
  46. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 四十四条の規定は二つのしぼりがかかっているわけでございます。「保険者ハ療養ノ給付ヲ為スコト困難ナリト認メタルトキ又ハ被保険者ガ緊急其ノ他已ムヲ得ザル場合ニ於テ」と、こういうしぼりが一つと、それからそういうような場合において「保険者ガ其ノ必要アリト認メタルトキ」と、こういうことでございます。従いまして、これは野放図に療養費払いをしていくという法律の建前にはなっておりません。今回のこの事態が発生いたしました場合に、これに対していかに措置するかということにつきましては、私どもまだ今後一カ月もございますので、ただいま研究をいたしているわけでございます。法律に即した取扱いはもちろんされていかなければならない。しかしながら、同時に、この被保険者の保護ということも十分に考えていかなければならない、これらの当然の要請でございまするが、さような当然の要請を頭におきまして、今後の実際の事態がいかようになるかという実情に即して、この法律の運用をいたしたい、かように考えているわけであります。
  47. 山下義信

    山下義信君 私は保険局長のただいまの答弁を了承しがたい。保険医の総辞退が実現せられるのは一カ月でしょう。しかし保険医をやめた医者でも、被保険者の診療ができてその代金をもらえるということを言っているのは今です。ですから、それができるかできないかの議論というか、見解を表明することは今日です。実際の保険医が辞退したという事実を発表してきたときの措置は、そのときに実行するでしょう。しかしながら、こういう場合にはこういうことができるという見解の表明は、今日しておかなければならぬことであり、今日行われて言われていることである。それに対してそれができるとかできないとかいうことは、明確にしておかなければならない。一カ月後でなければ、その見解は表明はできないとはどういうわけですか。もしそういうことができて、被保険者は保険医を辞退したお医者さんのところへ行ってでもみてもらえるんだ、その代金は請求すれば払ってもらえるんだということならば、保険医の総辞退ということは少しも不安はない、あなた方もばたばたすることは要らない、少しも不安はない、不便はない、ただその請求の手続がいろいろややこしいというだけのことである。しかしながら、第四十四条はさような場合を予想して規定したものではない、この「必要アリト認メタルトキ」は万やむを得ざる場合、こういう場合というこの第四十四条の法の精神は、ただいまのような保険医総辞退をいたしたこういう場合を言うのではない、こう見るのか、あるいはこういう場合も該当するというのか、この法律の解釈は今日でも一カ月の後でも解釈は解釈であろう、だから現にそのことが主張されておるのでありまするから、第四十四条のこの規定によれば、保険医が辞退した後でも患者さんはみることができて、そうしてしかも患者さんにも御迷惑はかからぬ、その医療費は請求すれば政府からもらえるんだから、保険者から払ってもらえるんだということが主張されておるが、そういう通りであるか、そういうことができるかできないかということは、当局としてこれは見解を表明してもらわなければならぬ。
  48. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私が先ほど申し上げましたように、法律にはしぼりがかかっておりまするので、野放図にそういうことができるということは、これはちょっと考えられません。いろいろ、たとえば僻陬の地等におきまして、お医者様が一軒しかなかった、そういうふうな場合に、それが保険医を辞退されたというふうな場合にはこの規定が動くと、私は極端な例をあげれば動くと思います。ところがそうでないような場合に、いくらでも他に保険診療をやっておる医療機関がそこらにいくらでもあるというふうな場合に、わざわざ辞退をしたお医者様におかかりになるというふうな場合に、この規定は運用されないというふうなことに、具体的には法律解釈を進めて参りますと、さようなことになるわけであります。従いまして、今一カ月先ということを申しましたが、私どもは一カ月先にその詳細なことを、事が起ってからはっきりいたそうというわけではございませんので、ただいまいろいろと研究をいたしておる最中でございます。ただかりに、私はその点はよく新聞等で見ておるだけでございまして、政府がさような文書なり申し入れなどを受けたことはないわけでございますが、野放図に何でもかんでも療養費払いでいけるんだということでありますれば、それはそうではないということだけは法律解釈として当然お答えできるかと思います。
  49. 山下義信

    山下義信君 もう一つだけ聞きますが、厚生省からこのたび保険医総辞退に関して都道府県に、知事もしくは健康保険課長名によって民生部長あてに出しておるこれらの通牒です、これは私は疑義があると思いますが、疑義というのは、いささか政治的な色彩が濃厚であると思いますがいかがでしょうか。保険医の総辞退のこの事情を、現在国会において審議中の法案改正に関して反対理由としておると思う、それに対して、かくのごとき対策を立てよ云々というがごときは、私はこれは政治的な言動であると、少くともその政治色彩が濃厚であると考えるのでありますが、どうお考えになりますか。
  50. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは出しました通牒につきましては、私どもさような意図は全然持っておりませんので、現実に京都でそういうことがすでに行われたということを聞きまして、それがしかも他の府県にも波及しそうであるというこの情報がございまして、さらに府県によりましては、そういうふうな場合には県としていかなる態度をとったらいいのか、厚生省考えはどうであるかというふうなことが電話等で照会が参りました。さような事態に即しまして、行政庁として当然なすべき措置をなしたつもりで私どもはおるわけであります。ただいまの御趣旨のように、政治的な意図を持ってこの措置をいたした次第ではございません。
  51. 山下義信

    山下義信君 あなたの方ではそういう措置をしたつもりではなくてもですね、文言が、これはすでに法律になったものを行政府がその法律趣旨を徹底せしめられたり、その法律の上の誤解を解くということはよろしいのでございますが、今現に国会において審議中の法案というものはまだ法律としては成立していない。国会が論議しておるものは政治問題、いわんや健康保険は言うまでもなくその規模、その質等におきましても重大な政治問題、その改正案を、国会審議中の改正案に対して医師側が誤解であるか、正解であるかということは、これは行政府がかれこれ医師側のその改正案に対する態度を誤解であるとか何であるとかということの表現を用い、あるいは改正案の趣旨の周知徹底を期するとは何事です。行政府は、厚生省は、この改正案に対しての国会通過の運動をなさるのですか。全国の都道府県民生部長を指揮して、この改正案の周知徹底を期することを各都道府県知事に行政府が通牒を出されるとは、これはどういうわけですか。私はこれはりっぱな政治的な行動であると思う。行政府はですよ、法律の執行をするのが行政府である。国会で審議中の法案について、それの賛否に対してかれこれくちばしを行政府が入れるがごとき文章、言動を発する、通牒を発するとはこれはどういう趣旨ですか。これが政治的な言動でなくて何です。私はこれは、公務員として、国家公務員の政治活動の制限がしてある。こういうことをして、国会の審議中にその法案に対して医師が反対をする、その反対をするのは誤解であるから改正案の趣旨の徹底するように行動しろということを行政府が指揮命令をするということは、私はこれははなはだ穏当でないと思う。それであるから疑義がある。かようなものを、成立した法律についての執行、執行上についての誤解の一掃、周知徹底は、これは当然行政府の責任においてやらなければならない義務である。ところが、国会で審議中の法案についてその反対者、反対も賛成も随意であります。これは一つの政治問題として国会が取り扱っておるこの案件について、未決定なものについて、行政府が、政府が相手方の行動を誤解であるとか何とかであるとか言い、その趣旨について周知徹底するようにというがごとき指揮命令を下すことは、私は行政府としては妥当を欠くのではないかと言うのです。厚生大臣の御見解はどうなんですか。
  52. 小林英三

    国務大臣小林英三君) この厚生事務次官からいたしまして各都道府県に通牒を発しましたのは、ただいま保険局長からも答弁がありましたように、できるだけ慰留をしていただいて、そしてこの総辞退等の点で、こういう場合には慰留をしていただきたいということの通牒を出したのでありまして、今山下委員のおっしゃるような、周知徹底方ということは、事務次官の通牒にはないつもりでございます。
  53. 山下義信

    山下義信君 私はこれはさらに資料等を当委員会に御配付なすって、後日十分検討をしていただきたい。事務次官の通牒にはまだひどいことが書いてある。この保険医のこのたびの総辞退運動について批判を下しておる。健康保険課長の通知の中に、周知徹底のことも言ってある。事務次官の通牒の字句の中には、この保険医の総辞退、この健康保険法改正案に対する反対行動について峻裂なる批判が下されている。かくのごときことが政府、行政府として許されることならば、私はこれは行政府、立法の区別を乱るのみならず、国家公務員法が規定してある政治活動の制限に私は抵触するとの見解を持つのであって、十分このことについては、私は当局に見解をただしたいと思いますが、委員会で十分資料もお取り寄せになって、今この通牒が今日で消えるわけではないのでありますから、証拠は後日に残っているのでありますから、私は検討いたしたいと思います。  最後に保険医総辞退の今日ただいまの実情はどうなっておりますか。どこの何県の保険医が辞退届けを出しておりますか。現実に受理されておるのがどういう状態になっておりますか。
  54. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 二十日に京都の代表者が持参をされました。それから二十四日に大阪と東京都が持参をされました。それから昨日兵庫が持参をされたというただいまの情勢でございます。  それで京都におきましては、知事さんが、まだ一カ月以上の余裕もあることであるから正式に受理しないで、それを自分が預っておくということで、それを代表の方も御了承になってお帰りになったこと、こういうふうなことがあると聞いております。提出の数字はこれはあるいは間違いがあるかもしれませんけれども、多数のものでございますので、一応の調査によりますると千九十七人。
  55. 山下義信

    山下義信君 それはどこですか。
  56. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 京都でございます。私の記憶によりますれば、お医者様の総数は千九百何十人ぐらいだったと思います。約二千人。そのうちで保険医になっておられまする方々は千四百何十人、そのうちの千九十七人、それから提出されておらない方が、(「あとで追加されたものがありますよ」と呼ぶ者あり)これは時々刻々様子が違いますので、あるいは数字に若干の食い違いがあるかもしれませんが、私ども今承知いたしておりまするのは、未提出の者が六百九十六人。そうしますと、保険医の総数につきまして、私が今申し上げました千四百幾らというのは、これは不正確でございました。提出数が千九十七、未提出が六百九十六、なお提出された中に、これは何分の間違いだと思いますが、七人ほど保険医でない方のあれも入っておるということでございます。それから二人以上保険医がおられて、その中の一人が提出されているような医療機関が約九十カ所ばかりある。それから全然未提出の行政区画といたしましては、一市五郡が全然未提出である。一部提出されたものが一市一郡四区というふうな報告が参っております。
  57. 山下義信

    山下義信君 京都についてでございますか。
  58. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 京都でございます。それから大阪につきましては、先ほど申し上げましたように、二十四日に提出されたものは三千三百二十八名、保険医数は五千二十八名、未提出が二千三百、このほかにいわゆる公的医療機関につきましては、保険医という制度をとっておらないのがありますので、それで保険医療機関の約四割七分ぐらいが辞退いたしたことになる。大阪におきましては、正式に受理いたしました。ちょうど知事が不在でございまして、副知事から極力御再考をお願いをしたが聞き入れられなかったので、やむなく受理をいたしましたと、こういう報告がきております。それから東京都におきましては、二十四日に持参されまして、ちょうど知事が不在でございまして、副知事から慰留をいたしましたが、どうしてもという話でございますので、副知事が一応預かりまして、二十四日は土曜日でございますので、昨日月曜日に知事がもう一度医師会の幹部の方に面会をいたしまして、そうして何とか一つかようなことのないようにということで、お話し合いを相当長くいたしたようでございますが、そういうわけには参らぬということで、それは受理をいたしたと聞いております。昨日でございます。で、その数は六千六百五十七人、保険医の総数は約一万一千二百人でございます。東京は数が多うございますので、詳細なことはまだわかっておりません。大体私が今承知をいたしておりまするのはこの程度でございます。いろいろ提出されましたものを整理をいたしたりいたしました場合には、あるいは若干の数の食い違いが出てくる、あるいはその後どっかで提出をされるようなものがあるというふうなことで、整理をいたしてみました場合には、数が変ってくるかもしれません。
  59. 山下義信

    山下義信君 今のところでは、まだこれ以上の、他地方その他からの情報は入っておりませんか。大体において保険医総辞退ということが行われるというのは、大体この程度の地域にとどまる見込みですか、もっと非常に拡大されるような情勢にありますか。
  60. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これは私どもとしても予測がつかないわけでございますが、この程度でとまってしまうということはないのではないか。しかしすでに総辞退というようなことはしないという声明を出されたところもあるやに聞きまするので、全国的に全部が全部波及するとも考えられないような情報でございます。どの程度に波及をいたしまするか、いましばらくの推移を見ませんと、ただいまのところでは申し上げられません。
  61. 山下義信

    山下義信君 私はこの問題に対しましての質疑その他は保留しておきまして、この程度にとどめておきます。
  62. 榊原亨

    榊原亨君 ただいま、保険医総辞退に対する当局の法的御解釈等を承わっておりますと、私多少疑問に思っている点も少くないのであります。たとえば辞退届を出してそれを受理されれば、すぐその場から発効するように私は思っているのでありますが、そういう法的解釈もわかりませず、また次官通牒はどんな次官通牒が出たかということも資料がございませんので、次回までに厚生省がお出しになりました通牒、それから厚生省の御見解というものを承わらしていただきたいと思います。
  63. 高野一夫

    理事高野一夫君) 厚生省の方は、次回にその資料を御提出願います。
  64. 山本經勝

    ○山本經勝君 一点だけお伺いをしておきたいのですが、新医療費体系審議を始めたのは一月の二十日からだったと記憶しております。それから今日まで非常に長い期間、本委員会で審査を進めてきたのですが、先ほど榊原委員の御質問に対して局長の方からお答えがあったことを、記憶の間違いでありましたなれば訂正をいたしますが、この答申に基いて告示をした、その四項目については既成事実を作るものではない、しかも今後の審査に当って、当初政府が提示をして参りました新医療費体系並びに関連を持った保険法の改正等を含めて審議を続けてきた、そういういきさつからこの新医療費体系の政府の原案にこだわるものではない、これは原案を修正するとか、原案を通すとか、あるいは通さない、こういったようなものではなくて、広い常講を基礎にして、今後完全なものを作ることが前提であると、かようにおっしゃったように記憶をいたしております。そうしますというと、ここで大きな私ども矛盾を感ずるわけであります。先ほど申し上げましたように、経過から申しまして慎重に審査を続けて、しかもこれはとうてい国会として認めがたい。しかも医療をなさる業者も反対である。あるいはこれを受ける側の国民世論も反対である。こういうところで国会の審議は確かに行き詰まった状態であると思う。そうしますと、今度は政府は、中央社会保険医療協議会答申をもとにして、そうして実際は告示によってすでに実施に移されるこの暫定的な措置、こういうことになってきますというと、先ほどの山下委員からの御質問とも関連をするかと思いますが、政府の考え通りにやるためには、国会の審議が行き詰まり、あるいは世論の反撃にさらされて、どうも思うように実施ができないとなれば、この協議会あるいは審議会あるいは調査会、こういったものを政府の機関として作っておられますが、こうしたものの答申をもとにしてどんどん実行をなさっていく、こういう考え方のように受け取れてどうもならぬわけです。そこでこの点を明白に大臣の方から御説明を願いたいと思います。  それからいま一点は、局長のお話のように、原案にこだわることなく、新しい角度で良識を集めて検討して結論を得たいのだということでありますなれば、この二とが今、答申に基く告示によって暫定的に強行されなければならぬという理由が第二点にうなずけない。ですから、以上の二点について今後の審査のためにも必要かと考えますので、御説明をいただいておきます。
  65. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今の新医療費体系、これは御指摘になりましたように、昨年の十二月の下旬に、厚生省の案を発表いたしまして、医療協議会諮問をいたしたのであります。医療協議会におかれましては、前後十二回にわたりまして、この問題に対していろいろ御審議を願ったのであります。しかし、四月の一日の先ほど申し上げました医薬分業にはとうていこれが間に合わないだろう、こう思いまして、私も当委員会におきまして新しい医療残の体系につきましては二十日ごろ、少くとも十日ごろ、三月の十日ごろ、二十日ぐらいの猶予期間がほしいと思いますから、十日ごろぐらいまでには何とか一つこれを決定いたして出したい、こう思っておったんでありますが、われわれがいろいろ検討してみますというと、医療協議会におきまして審議はいろいろ熱心にやっていただいたのでありますけれども、とうていそういうような時間的に間に合わないだろう、こういうふうに考えましたので、三月八日かと思いますが、私みずから医療協議会へ参りまして、皆さん方にもお目にかかりまして、公開の席上におきまして、現在の厚生省のお願いいたしておりまする新しい医療費体系の案については間に合わないと思うから、そこで暫定的の案について御答申を願いたい。こういうことを申し上げたのであります。その際にも、いろいろ現在のそれまでに出しておりました厚生省の新しい医療費体系について、今後どうするかというような問題につきましては、いろいろ御質問があったのであります。厚生省といたしましては、暫定案の御答申を願って、それができましたらば、引き続いて根本的な新しい医療費体系について御答申を願いたいということを申し上げたのであります。それに対しまして、今、山本委員の御質問にありましたような点についても、いろいろ御質問委員からあったのであります。もちろん厚生省といたしましては、先に出しておりました新しい医療費体系点数表については、これを撤回する意思はない。やはりこれは一つの案として厚生省がいいと思って出しておる案でございますから、この案に基いて御審議を願いたい。もちろん先ほど保険局長が申し上げておりますように、医療協議会において御審議を願うのでありますから、そのでき上りました案そのものが、厚生省の案とは異なった別なものが出て参りましても、これは医療協議会そのもの答申でございますから、厚生省といたしましては、それに基いて決定をいたしたいということを私からも申し上げたのであります。そういうふうないきさつでございまして、できるだけ早く基本的な新しい医療費体系ができ上るようにわれわれは努力いたしたいと思っておる次第であります。
  66. 山本經勝

    ○山本經勝君 局長からもお答え願いたいのですが、その前に、今の大臣のお答えに対しまして、ちょっと明らかにしておきたいのは、国会で厚生行政の中で非常に重要な社会保障制度の、しかも中核であるこの医療制度の改革に対して審査がなされている、それが行き詰って、世論とそれから院内の審議とがともに政府が考えておるようになっていかない。そうなりますと、それをいろいろな諮問機関として作られておりまする、ここではまず中央社会保険医療協議会、こういったものに諮問することによって、答申を得て、その答申を実行に移していくなれば、極端に言うならば、国会の審査は必要でないという極論もできるかと思う。そこら辺が私どうもふに落ちないのであります。で御質問申し上げました趣旨と、今お話のありましたのは、引き続きの経過ではなくて、大臣のお考えになっております国会に臨む態度としての、執行部のお考え方を伺って、その点を重ねて御解明願いたい。
  67. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 新しい医療費体系、今後、根本的な問題につきましては、これは法律にうたっております中央社会保険医療協議会にただいま諮問をいたしておるのでございますから、その答申が得られました場合におきまして、厚生省といたしましては、それを十分検討して決定をいたしたいのであります。もちろん私がたびたびこの委員会においても申し上げておりますように、何分にも新しい医療費体系というものは画期的な問題でございますから、その間、国会の御意見等につきまして、十分尊重してこれにも耳を傾けつつ進めたいと思っております。
  68. 山本經勝

    ○山本經勝君 先ほどからしばしば言われたように、この暫定措置も不完全なものだということにつきましては、きわめて適切な山下委員の御質問がありましたので、重ねて申し上げることはおかしいようでありまするが、そうした不完全なものであり、かつ暫定措置としてこれを、しかも六月までわずかな期間でも実施しなければならぬというほど、私は無理な強行をなさらなくてもいいではないか。そのことが先ほどお話がありました、たとえば京都における千百名、あるいは大阪における三千三百二十八名、東京における六千六百五十七名、こういった多数の保険医の皆さんが、保険医であることを辞退されるという事態が、国民に及ぼす影響はまことに大きいと思う。こういうようなことが強行されること自体が、結果的に今の紛争を呼び起している。  そこで第二点に私伺っておきたいのは、そういう状態の中で新聞紙上等で見て参りますというと、健康保険医が診療を辞退する、あるいは保険医たることを辞退するというのであれば、国立病院、あるいは都道府県立の病院、あるいは赤十字病院、こういったものを動員をして、患者には、あるいは国民には迷惑をかけないだろうということを申しております。ところが実際には、先ほど数字をあげて局長からお話になりましたような、東京都だけの例をあげて見ましても、六千六百五十七名の保険医の皆さんが辞退をなさったそのときに、従来かかっておられたそれらの病院あるいは医院といいますか、それらの保険医の方々の受持っておられたその患者が、その他の病院に行くと思う。あるいは国立病院、都道府県立病院、あるいは東京であれば東京都の病院、あるいは日赤、こういうところに流れ込んでいく場合に、今まででも一応飽和状態であると考えられるこれらの患者を、国立病院なり、その他の病院によって完全な治療ができるだろうか。私はこれは明らかに医療労働者が言っている労働過重であるだけではなくて、そのことが即患者に対しての取扱いの不行届き、こういうことになってはね返ってくると思う。そうしますと、申し上げますような非常な最悪な事態を控えて、なおそれを強行されるならば、しかも今後原案にこだわらず慎重な検討をしたいという心がまえがあるなれば、なぜこのものをすべて撤回して、新しく再出発をなさる決意をなさらぬのであるか、このことがどうしても私は理解がいかぬわけですが、重ねて一つ答弁をお願いしたい。
  69. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 山本先生の御質問の御趣旨、あるいは取り違えておるかもしれません。強行突破とおっしゃいますのは、この暫定案のことについてでございましょうか。
  70. 山本經勝

    ○山本經勝君 さようです。
  71. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) この案につきましては先ほど申し上げましたように、それぞれの代表者が出ておられまする医療協議会でこれを実施することが、時日関係等もあてやむを得ないということで、そのことにつきましては、皆さん全会一致でそういうことに賛成をしておいでになるわけでございます。従いまして、この暫定案について総辞退とか何とかという問題が起っておるようには私は承知をしないのでございまして、むしろ健康保険法の改正でありまするとか、あるいは先に発表し、審議をお願いしておりましたあの基本的な点数表改正でございますとか、そういうふうなことを不満とされましての総辞退問題であろうと、かように私は理解をいたしておるわけでございます。  それでこの暫定案につきまして強行告示というお言葉でございましたのでございますが、これは今のような経緯ででき上りました暫定案でもございまするし、さらに四月一日から分業に入ることに法律できめられておりまして、それに伴うその前提となる点数表改正でございまするので、どうしても若干の余裕をおいて事前に告示をいたしておかなければならぬ手続上の問題もございまするので、さような意味合いにおきまして告示をさしていただいたわけでございます。先生の御質問の御趣旨をあるいは取り違えておるかもしれませんが、私どもはさようなつもりで仕事を取り運んでおる次第でございます。
  72. 高野一夫

    理事高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  73. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記を始めて。
  74. 山本經勝

    ○山本經勝君 ちょっと今の御答弁いただいたことが若干はずれておるのです。と申しますのは、この暫定案を告示して実施に移したということだけが問題であると私が申し上げておるのではなくて、審議の経過から、この国会でまだ審査の最中であるところで行き詰りがあったことは事実です。これはお認めになると思う。そこでそれを打開する方法としてこの暫定措置を講ぜられたということは既成事実にならないとおっしゃるけれども、今後の審査がもしできなければ、これはある期間続くものだと判断しなければならぬ。つまり最後的な結論が得られなければ、この暫定案はある程度継続されるということになって参りますと、そこで問題が起ってくる。しかも一方現実には事態が紛糾しておるのであるから、むしろこのようなものにこだわられずに、先ほどお話しになりました原案原案で一応正し、それを中心としてなりその他の別な方法もあると考えられる。それらの常識を結集して、もっと円滑な処理の方法はないものかということを伺った。それに関連して今の事態が決して、新聞発表が、あるいは厚生省が直接新聞発表なさったのかどうか知りませんけれども、少くとも新聞紙上には、それらの健康保険医が辞退をすれば、他の国立病院とか、公立病院その他に患者は行ってもらうから、国民には迷惑をかけませんということでありますけれども、そうはならない事態がある。それほど事態は重大である。そのことを私は申し上げておる。
  75. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 数度にわたりまして、当委員会でも御審議をいただきました基本的な点数表改正という問題につきましては、これは今後も医療協議会でも引き続き御審議をいただくわけなんでございます。医療協議会の御予定では、今一応暫定案をまとめ上げてほっとしておられますので、若干休んで、来月の十日前後にこの次をお開きになる予定でございます。従いまして医療協議会でも御審議をいただきまするし、また当委員会で御審議の御必要がございますれば、引き続き御審議をいただくということに相なるかと思うのでございます。ところが片一方で山本先生の御存じのように、医薬分業というものが四月一日から法律で発足すべくきめられております。それである一部の方々現行点数のままでもいいじゃないかという御意見もあるわけでございます。この答申の中にも書いてございます、そういう御意見もあるということが。しかし、それでは現行点数のままでは珍妙なことになるぞということが大部分の方のお考えでございまして、従って今出しております当委員会で御検討をしばしばいただきましたあの基本的な点数表改正等にはとらわれないで、とりあえず、四月一日から分業に入り込むのに必要な暫定的な点数改正をやるというのがこの暫定案でございます。従いまして、今山本先生の仰せのように、何か上手なやり方はないかという仰せでございまするが、私の方といたしましては、四月一日というものが一つ前提としてございますものでございますから、それらに対応して、かような措置をとる以外に方法がないという考え方から、かような措置をとって告示をいたしたいと、こういうのでございます。
  76. 山本經勝

    ○山本經勝君 それでは一応質問を終ります。
  77. 高野一夫

    理事高野一夫君) ほかに御質問がなければ、本問題に対する本日の質疑はこの程度で終りにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  79. 高野一夫

    理事高野一夫君) この際お諮りいたしますが、本日の議案に追加いたしまして、検疫法の一部を改正する法律案を、本日の委員会において審査することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないものと認めます。しからば本案についての御質疑を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記を始めて。  本案につきましては質疑を打ち切り、討論省略の上、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 高野一夫

    理事高野一夫君) 本案を可とすることに御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  83. 高野一夫

    理事高野一夫君) 全員御賛成と認めます。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容、議長に提出する報告書の作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 高野一夫

    理事高野一夫君) それから、報告書には御賛成者の署名をお願いすることになっておりますから、本案を可とせられた各委員の御署名を順次お願いいたします。   多数意見者署名     山本 經勝  竹中 勝男     深川タマヱ  寺本 広作     田村 文吉  榊原  亨     長谷部ひろ  草葉 隆圓     山下 義信  加藤 武徳     藤原 道子
  85. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御署名漏れはないものと認めます。   —————————————
  86. 高野一夫

    理事高野一夫君) 次にお諮りいたしますが、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案、この審議のために、参考人意見を聴取することといたしまして、その期日は三月二十九日、明後日でありますが、午前十時。参考人の人選その他手続等は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないものと認めて、さように決定をいたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会    ————・————