運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-09 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月九日(金曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————   委員異動 本日委員藤原道子君及び森田義衞君辞 任につき、その補欠として亀田得治君 及び高木正夫君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            山下 義信君            高野 一夫君            谷口弥三郎君    委員            榊原  亨君            寺本 広作君            横山 フク君            相馬 助治君            竹中 勝男君            山本 經勝君            田村 文吉君            長谷部ひろ君   国務大臣    労 働 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    調達庁労務部長 海老塚政治君    労働政務次管  武藤 常介君    労働大臣官房総    務課長     村上 茂利君    労働省労政局長 中西  實君    労働省労働基準    局長      富樫 總一君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公共企業体等労働関係法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○労働保険審査官及び労働保険審査会  法案内閣送付予備審査) ○労働情勢に関する調査の件  (労働行政一般に関する件) ○本委員会運営に関する件   —————————————
  2. 山下義信

    理事山下義信君) これより社会労働委員会を開会いたします。  諸般報告を申し上げます。  まず、委員異動報告いたします。三月九日付をもって、委員森田義衞君が辞任し、補欠として高木正夫君が選任せられました。また同日付をもって、委員藤原道子君が辞任し、補欠として亀田得治君が選任せられました。  次に、昨日の当委員会における厚生大臣の不出席に関する件につきまして御報告いたします。  委員会終了後、本件並びに自後の取扱いに関しまして、委員長理事打合会を開きました結果、昨日の事態につきまして、十分事件が解明いたしまするまで、委員会といたしましては、議事の進行上につきまして十分留意をするということでございまして、厚生大臣の善処を望むということの申し合せをいたしました次第でございます。  なお、本日、社会労働委員長に対しまして厚生大臣から御面会の申し入れがございました。委員長不在のために、かわりまして私理事といたしまして御面会申し上げましたところが、昨日の行き違いの点に対しましてはまことに遺憾でありましたというごあいさつがございましたので、この段あわせて御報告を申し上げておきます。
  3. 相馬助治

    相馬助治君 昨日の当委員会に、小林厚生大臣出席をみなかったことはまことに遺憾でございまして、これに関して委員長理事打合会においてお申し合せ下さったことにつきましては、大へんにけっこうだと存じます。  なお、ただいま委員長から報告がありまして、委員長小林大臣より釈明のごあいさつがあったとのことでございますが、それは一応聞きおくといたしましても、昨日の当委員会小林厚生大臣出席理由その他につきましては、同大臣に直接その釈明を求めたいと存じまするので、次回の委員会に、小林厚生大臣出席を要求することの動議を私は提出いたします。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下義信

    理事山下義信君) ただいまの相馬委員動議に、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないものと認めます。つきましては、次回に本問題につきまして厚生大臣出席を求めることにいたします。   —————————————
  6. 山下義信

    理事山下義信君) 次に、本日議題に供しました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案議題といたします。本件は、すでに本院の本会議におきまして趣旨説明を聴取いたしたのでございます。従いまして、本委員会におきまする説明は省略いたしまして、細部にわたる内容につきまして、本日は政府委員から聴取することにいたしたいと存じます。政府委員の御説明を求めます。
  7. 中西實

    政府委員中西實君) お手元に公労法の一部を改正する法律案関係資料をお配りしてございますが、法律案法律案要綱提案理由参照条文新旧対照表逐条説明等が入っておると存じます。一応私から逐条説明を申したいと存じます。この法律案は、非常に技術的改正の部分が多うございますので、従って、内容のありまする点につきまして、主として御説明を申し上げて参りたいと存じます。  まず最初目次整理でございますが、これは全く技術的な修正でございます。  その次に、第二条関係でございます。これは現行法は……。
  8. 山下義信

    理事山下義信君) ちょっと速記を止めて。   〔速記中止
  9. 山下義信

    理事山下義信君) 速記を始めて。
  10. 中西實

    政府委員中西實君) それでは新旧対照表まん中あたりにございましょうが、その一ページから申し上げて参ります。目次相当線の引っぱってありますところが変っておりまするが、これは全く内容と合したものでございます。  次に三ページ第二条関係でございます。上が改正案で下が現行でございます。現行はここにもございまするように、「この法律において「職員」とは、左に掲げる者をいう」ということで、公社におきましては、役員と二カ月以内の期間を定めて雇用される者を除外しております。ところが現業官庁につきましては、第二号で全部一般職に属する公務員職員とするということになっております。そこでこの公労法関係におきまして二カ月以内の者を除外するということは、労使関係の扱いを一にすることになりまするので、今後の改正法におきましては、二カ月以内の者も公労法上の職員とするというふうに、公社関係職員範囲を広げたわけでございます。ただし、日々雇い入れられる者はこれは一応労使関係というのは継続的な関係でございますので、日々出たり入ったりする者を職員にするということは、これは取り扱い上も不適当でございますので、日々雇い入れられる者はこれは除外する。従って今度の改正法におきましては、公社職員は、役員及び日々雇い入れられる者を除くというふうにしたわけでございます。なお御不審があるかと思いますが、この企業関係でそういうふうにしても、現業関係においては日々雇い入れられる者はどうなるのか、国家公務員法上これは非常に今の法体系はおかしいのでありますが、日々雇い入れられる者といえどもやはり国家公務員になるということになりまするので、もしここで日々雇い入れられる者を除きますると、これは国家公務員法適用を受ける。それはあまりにも不合理になりますので、やむなく第二号の方はそのままにしておいて、そうして第一号だけを合理的に日々雇い入れられる者を除くと、こういうふうにしたわけでございます。  それから第三条関係は、これは従来の労働組合法及び労調法準用規定でございまするが、これが非常に粗雑になっておりまして、当然公労法等関係適用にならなければならないものが適用になっていなかったり、また読みかえ規定がないという不備がございましたので、これを訂正したわけでございます。  次は第四条の二項でございます。六ページでございます。これは第四条の第一項で、この公共企業体等労働組合はこの職員の中で、このただし書き管理監督地位にある者は加入することができない、こうございます。その管理監督地位にある者及び機密の事務を取り扱う者についてはその範囲政令で定めると、こうございます。今度実は組合資格審査を従来は労働大臣がやっておりましたが、それをあと説明いたします公共企業体等労働委員会資格審査をやらすということになりました。従って、この非組合員範囲も、公共企業体等労働委員会の決議に基いて労働大臣が定めて告示するということにいたしまして、つじつまを合したわけでございます。  それから次は五条及び六条の削除でございますが、五条は従来から削除、六条は今度先ほどの三条の規定で読みかえで不必要になりましたので、これを削除するということでございます。  それから第七条でございますが、これは専従を認め得る規定でございます。従来の規定が非常に専従を認めることについて一方的な規定の仕方でございましたので、それを上欄のごとく変えまして、組合の申し出があったときは一定数を限り認めることができるというふうに、字句を変えただけで、内容には変りございません。これは例の臨時公労法審議会答申にございましたので、それを採用したのでございます。  それから第三章の関係でございますが、第八条、これは団体交渉範囲に関する規定でございます。従来は第一項に管理運営に関する事項は、団体交渉対象でない、そうして団体交渉ができるのは第二項に書いてございます。これは体裁といたしましても非常に妙な体裁で、従って今度は二項の関係を先へ出しまして、そうしてただし書きで、管理運営に関する事項は、団体交渉対象とすることはできないというふうに書き方をひっくり返しまして、実態に合したわけでございます。なお現行の第二項で、第五号に、苦情処理機関に関する事項というのがございます。これは新しい改正法案の十二条に譲りましたので、ここから削除したわけでございます。  それから次に、九条以下、これが例の交渉単位並びに交渉委員に関する規定でございます。交渉単位というのが従来ございまして、これがいわゆるアメリカからの直輸入的な制度でございまして、きわめて日本の実情にも適せずまた内容が難解でございました。そこで従来から労使双方ともにこの制度はやめたいという意向がございましたが、今度、臨時公労法審議会答申でも、これは満場一致でやめるということに答申されましたので、この交渉単位制度というものを廃止いたしました。そうして一般の原則に返しまして、団体交渉組合ごと企業体交渉ができるということにいたしました。ただしその交渉の場合には、双方が指名するところの交渉委員で行うということにいたしまして、交渉委員ということは残して、秩序ある団体交渉を行わせるということにしたわけでございます。第九条は、もっぱら交渉委員によって組合ごと交渉するという意味を書いてございます。  十条は、交渉委員企業体または組合それぞれが指名をしてきめておく、そうして二項におきまして、その交渉委員を指名したときは、名簿を相手方に提示しなければならない、名簿を交換いたしましてそうしてその者がもっぱら交渉に当るということでございます。  なお十一条で、交渉委員の数、交渉委員任期その他団体交渉手続に関する必要な事項は、団体交渉で自主的にきめさせる、こういうふうにしたわけでございます。従って現行九条以下非常にめんどうな長々と規定してございましたものが、全部不要になったわけでございます。  それから次が十二条苦情処理規定でございます。従来は苦情処理共同調整会議というのが先ほど申しました交渉単位ごとに置くというふうに書いてございましたが、今度は交渉単位制度をやめましたので、従って今度は苦情処理機関というものが組合ごとに置かれるわけでございます。そういうふうに字句整理をいたしまして、内容的には変りはございません。  それから十三条から十五条までは、交渉単位をやめましたので、ずっと条文が余って参りましたので、削除をしたわけでございます。  次は十八条の関係でございます。十七条におきまして、公共企業体等労働組合は、一切の正常な業務を停滞するようないわゆるスト的な行為は禁じられております。これに違反した場合には、解雇されるものとするということになっております。現行法はこの線を引いたところに書いてありますように、「前条の規定に違反する行為をした職員は、この法律によって有する一切の権利を失い、且つ、解雇されるものとする。」、今度「この法律によって有する一切の権利を失い、且つ、」まで削ろうとしておるのでございます。これは従来この法律によって有する権利といいますると、不当労働行為申請権利、それから苦情処理権利等ございましたが、今度は実はこの条文によって解雇されるものにつきましては、後ほど出て参りまするが、不当労働行為申請ができるようにしよう。どうしてかといいますると、従来これで解雇されました者が、その解雇は違法だといって法廷闘争をする。法廷闘争がなかなか片づきませんで、たとえば三年前に解雇された者の判決がいまだに出ないというようなことでいつまでも紛糾する。そこでとりあえず、公共企業体等労働委員会というところで、その解雇が不当かどうかということを判定する。つまり不当労働行為手続によりまして、そのことを早期に判定いたしまして一応の紛争にピリオドを打ちたい。これは労使ともに希望でございまして、いつまでもそのことでがたがたするのはいやだ。その手続を認める上において、ここに今度消そうといたしておりますものが入っておりますとそれができない。従ってこのところを消しまして、不当労働行為手続によって一応の判定を受けるようにするというために、この改正をしたわけでございます。  次は第五章でございます。これからあとが全面的に改正になりまして、今回の改正点の大きなポイント一つでございます。すなわち、従来公共企業体等労働組合におきましては、紛争議があっ場合にスト行為ができませんので、これの調整機関として調停仲裁ということで片をつける。そのために調停におきましては調停委員会、それからさらにそれで片づかないときには仲裁、そのために仲裁委員会というのがございました。調停委員会中央一つ地方九つございます。それから仲裁委員会中央一つ、全部で十一の委員会があったわけでございます。それを機構簡素化ということから、労働省公共企業体等労働委員会という一つ委員会を設けるということにしたわけでございます。そこで今までは調停委員会というのは労、使、公益三人ずつの委員会、これは中央も、地方九つ調停委員会もそういうことでございました。仲裁委員会公益の三人で構成されておりまして、それを今度はこの第二十条第一項にございますように「委員会は、公益を代表する委員(以下「公益委員」という。)五人、公共企業体等を代表する委員(以下「使用者委員」という。)三人及び職員を代表する委員(以下「労働者委員」という。)三人をもって組織する。」、つまり五・三・三という一つ委員会に改組するということにしたいと思っているわけでございます。そうして第二項におきまして「公益委員労働大臣使用者委員及び労働者委員意見をきいて作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院同意を得て、使用者委員公共企業体等推薦に基いて、労働者委員組合推薦に基いて、内閣総理大臣任命する。公益委員任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項規定にかかわらず、労働大臣使用者委員及び労働者委員意見をきいて作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから、公益委員任命することができる。前項の場合においては、任命最初国会で両議院事後承認を求めなければならない。この場合において、両議院事後承認が得られないときは、内閣総理大臣は、ただちにその公益委員罷免しなければならない。公益委員任命については、そのうち二人以上が同一の政党に属することとなってはならない。委員は、非常勤とする。ただし、公益委員のうち二人以内は、常勤とすることができる。」、これが根本的な組織の大綱でございます。従来は調停委員会公益委員は、労使同意を得まして内閣総理大臣任命する、それから仲裁委員会公益委員は、これはきわめて妙な規定でございまして、中央調停委員会委員長推薦した者について労使選挙委員が選びまして、その選んだ者について、これは自動的に内閣総理大臣任命する、すなわち政府は何らその発言権を持たないという仕組みになっておったわけでございます。これが実は従来から非常にわれわれとしても不合理に考え、また実際の運営におきましても仲裁それから政府国会という関係におきまして円滑を欠く非常に大きな障害をなしておった点でございます。そこで今回は、この二十条の第二項にございまするように、労働大臣労使委員意見を聞いてそうしてこれを両院同意を得て、総理大臣任命するというふうに変えようとしておるのでございます。ここが一つの大きな改正ポイントになっております。これはこの下にございまする現行法と、今度変えようとしまする条文と全く上下関係はございません。全然この委員条文は書き改めまするので、上下対象はちょっとできない格好になっております。筋道はそういうように、従来あった十一の委員会一つにまとめて、そうして特に公益委員は今申しましたように、労使意見を聞いて、両院同意を得たものについて、総理大臣任命するというふうに変えたのでございます。  それから二十一条は委員欠格条項でございます。これは大体どの委員会制度におきましてもこういう規定がございます。なお第二項で、公益委員につきましては、特に国会または地方公共団体の議会の議員になることはできないし、また公社、五現業職員あるいは役員である者は委員になることができないという特別の欠格条項がございます。  それから二十二条でございまするが、「委員任期は、二年とする。ただし、補欠委員は、前任者の残任期在任する。委員は、再任されることができる。委員任期が満了したときは、当該委員は、後任者任命されるまでその職務を行うものとする。」現行法は、委員任期調停委員会におきましては一年でございます。それから仲裁委員会におきましては三人おりまするが、それが一人ずつ交代をしていきますので、一人につきましては任期は三年ということになっております。今度は先ほど申しましたような機構に改めまして、一年とするのは非常に時期も短かいし、しよっちゅう任命手続等でわずらわされる、従って二年くらいが適当ではあるまいか。これはあまり長くしますると、公益委員の中には、そんなに長いのじゃお断りするというような方も出て参りますので、まず二年というところがいいのじゃないかということで、今回は任期を二年といたしました。  それから二十三条でございまするが、先ほど読みました中で、五人の公益委員の中で二人は常勤にすることができるという規定がございました。そこで「常勤公益委員は、在任中、次の各号の一に該当する行為をしてはならない。政党その他の政治的団体役員となり、又は積極的に政治運動をすること。内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。」、なお第二項で、「非常勤公益委員は、在任中、前項第一号に該当する行為をしてはならない。」すなわち公益委員常勤非常勤を問わず、政治団体役員になったり、または積極的な政治運動をすることができないというのはこれは他の委員会制度においても同様でございます。  それから次に二十四条は、委員の失職及び罷免に関する規定でございます。これもほかの委員会制度委員の場合と大体同様でございます。「委員は、第二十一条第一項各号の一に該当するに至った場合においては、その職を失う。公益委員が同条第二項各号の一に該当するに至った場合も、同様とする。」これはもうどの委員会委員につきましても同様でございます。次に第二項「内閣総理大臣は、委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合又は委員職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、公益委員にあっては両議院同意を得て、使用者委員又は労働者委員にあっては委員会同意を得て、その委員罷免することができる。前項規定により、内閣総理大臣委員会に対して、使用者委員又は労働者委員罷免同意を求めた場合においては、当該委員は、その議事に参与することができない。内閣総理大臣は、公益委員のうち一人がすでに属している政党にあらたに属するに至った公益委員をただちに罷免するものとする。内閣総理大臣は、公益委員のうち何人も属していなかった政党にあらたに二人以上の公益委員が属するに至った場合は、これらの者のうち一人をこえる員数の公益委員を、両議院同意を得て、罷免するものとする。」これはまあ、大体こういう制度の例文でございます。  二十五条は会長、「委員会会長を置く。」、さらに会長の事故あるときに備えるために、会長代理をあらかじめ公益委員のうちから選んでおかなければならない。  それから二十五条の二は事務局でございます。この事務局は、現行仲裁委員会には仲裁委員会事務局あり、それから中央調停委員会には中央調停委員会事務局あり、さらに地方九つ調停委員会にはそれぞれ事務局がある、すなわち十一の事務局があるわけであります。それを今回委員会一つにいたしましたと同様、事務局委員会事務局というものを一つ置くわけであります。しかしながら地方において事務処理をさせるために、後ほど出て参りまするが、地方調停委員会を設けます。従ってその事務処理をさせるために事務局支局地方に置くということにいたしております。次に「事務局に、事務局長事務局次長その他の職員を置く。事務局支局の位置、名称及び管轄区域は、政令で定める。」。  二十五条の三、公益委員のみで行う権限で、この委員会は三者構成でございまするが、取扱い事項によりましては、労使委員を参加させないで、公益委員だけで行わせるのが適当なものがございます。第二十五条の三「第四条第二項」というのは非組合員範囲を定める規定でございます。非組合員範囲を定めるという場合の委員会決定公益委員だけでやる。それから「第二十五条の五」、これは不当労働行為取扱いでございます。「並びに労働組合法第五条第一項及び第十一条第一項の規定による事務処理」、これは資格審査でございます。すなわち非組合員範囲不当労働行為取扱い、それから今の資格審査、それから「十一条第一項」というのは法人登記の際の証明でございますが、これは公益委員のみが参与してやる、「ただし、第二十五条の五の規定による審問使用者委員及び労働者委員が参与することを妨げない。」これは不当労働行為審問労使委員が参与する、ただし決定公益委員だけでやる、こういうことでございます。「委員会は、常勤公益委員に、委員会に係属している半作に関するもののほか、公共企業体等職員労働関係の状況その他委員会事務処理するために必要と認める事項調査を行わせることができる。」五人の公益委員のうち二人以内を常勤とすることができるということにしましたのは、この公社現業の非常に専門的な事情を知っておる必要がある、さらに給与その他の点につきましては諸般の必要な知識を常時持っておるという必要がございますので、この常勤という制度を設けたのでありますが、この常勤のものは、特に常にこの第二十五条の三の二項にあるような権限を持ちまして実態調査することができるように規定にはっきりと入れたわけでございます。  それから第二十五条の四、これはこの公共企業体等労働委員会がいろいろと事務処理をいたします上におきまして、手続その他事務処理に関し必要な事項がございますが、これについての規則を制定する権限を与えたものでございます。一般中労委においても中労委規則を制定する権限がございます。この委員会にも規則制定権を与えたわけでございます。  それから第二十五条の五、これは不当労働行為に関する規定でございまして、手続はおおむね労働組合法一般不当労働行為規定を準用いたしまして、その読みかえを二項においていたしております。それから第三項は、一応中央にあります公共企業体等労働委員会で行うのでありますけれども、場合によっては、地方調停委員会公益委員調査審問を行わせることができる、しかしながら決定はあくまで中央にあります公共企業体等労働委員会公益委員会においてやるということでございます。この場合にしかしながら「当該地方調停委員会公共企業体等を代表する調停委員及び職員を代表する調停委員は、当該審問に参与することができる。」ということにいたしまして、一応労使の代表委員が発言する機会は与えるということにいたしております。なおここで一般不当労働行為と非常に違いまするところは一審制であります。一般不当労働行為事件は、地方労働委員会において一応不当労働行為決定をいたしまして、それに不服である場合には中央労働委員会において再審をやります。ところが今回のこの公労法におきます不当労働行為取扱い中央の一審でございます。従って地方から一々本人なりを呼び出すということも大へんでございまするので、この三項というような条文があるわけでございます。  次にこの第二十五条の五の四項、五項、二十七ページでございます。これが先ほどの十八条の改正と関連するものでございます。すなわち争議行為が禁止されておりまするにもかかわらず、争議行為をやった場合には解雇される、そういう十七条違反による解雇について不当労働行為の申し立てがあった場合の規定でございます。第四項「第十八条の規定による解雇に係る第一項の申立があった場合において、その申立が当該解雇がなされた日から二月を経過した後になされたものであるときは、委員会は、第二項において準用する労働組合法第二十七条第二項の規定にかかわらず、これを受けることができない。」これは労組法におきましては、問題がありましてから一年間の間に申し立てができることになっております。しかしながら、十八条にかかる解雇につきましては迅速に処理するということで、一年を二月にするということでございます。  それから第五項、「第十八条の規定による解雇に係る第一項の申立を受けたときは、委員会は、申立の日から二月以内に命令を発するようにしなければならない。」また判定も二月以内にするというふうに迅速に処理をして、早く紛議の状況を収束させるという趣旨でございます。  次に第二十五条の六はこれは準用規定でございまして、労組法の二十一条というのは会議の非公開の原則、招集、定足数、議決等を規定したものでございます。二十二条は委員会に呼び出しの強制権限があるということの規定であります。それから二十三条は委員の秘密厳守義務の規定でございます。それから二十九条、三十条は今申しましたものに対する違反に関する罰則の規定でございます。
  11. 山下義信

    理事山下義信君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止
  12. 山下義信

    理事山下義信君) 速記を起して下さい。
  13. 中西實

    政府委員中西實君) 次は第六章のあっせん、調停仲裁でございます。これは大体が先ほど申しました委員会機構を変えましたのに合せまして一応整理をした、従って一般の労働委員会のあっせん、調停仲裁とこれは方式は違いません。従ってこの部分はずっと省略をして差しつかえないと思います。  それで次は三十七ページの仲裁の開始の点についてちょっと申し上げておきたいと思いますが、三十三条の第三号でございます。これは従来はあっせんが始まりまして二月たってこれが成立しない場合には仲裁にゆくということになっておりました。それをこの三号のごとくに変えまして、二月たって当事者が一方の申請仲裁にゆく、なお従来は調停後二カ月でございましたが、あっせんの場合でも、二カ月たって解決しない場合には、一方の申請仲裁に入る、あっせんから調停を飛びこえて仲裁にいけるというふうに直したのでございます。あと現行通りでございます。  それから三十四条以下仲裁でございまするが、仲裁公益委員だけでありまして、公益委員五人が全員、あるは三人で行うということである。  それから次の三十九ページの第三十五条、これが今度の改正のまた一つの大きなポイントでございます。これはちょっと読みます。「委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」ここで政府もまた裁定が実施されるようにできるだけの努力をしなければならない。もとより従来とも仲裁裁定についてはできるだけ努力するように進んできたわけであります。なお今後は仲裁を行いまする公益委員任命方式も非常に権威づけられたので、一そう政府としても今後は裁定に努力しなければならないというので、このことを明らかに明文化したわけでございます。  それからあとは大体現行条文整理するというのが主でございます。  次は四十二ページにございますように、附則におきまして、専売公社法、それから日本国有鉄道法、日本電信電話公社法、これの必要なところを改正をいたしております。すべて要領は一緒でございますので、専売公社法の改正について申し上げます。四十二ページでございますが、その公社法の第十九条、ここで従来公社法における職員範囲は、公労法に定める、公労法の「第二条第二項に規定する者をいう。」というふうにございます。ところが先ほど公労法の二条の改正で申し上げましたように、今度は従来二カ月以内のものを公労法からはずしておりましたのを公労法対象にいたしましたので、そうなりますると、公社法におきましても、二カ月以内の者は職員になって、そうすると従来公社法で身分上いろいろの規定がございまするが、それが当然に二カ月以内の期限を定めて雇用される者に適用がなったのでは困る、そこでこれを公社法の方で除外いたし、まして、上欄のごとく、「役員及び二月以内の期間を定めて雇用される者以外の者」を公社法による職員としたわけでございます。  その次は四十三ページの給与準則、第四十三条の二十一という条文の一番最後の方に線が引いてあるところ、これが一つの大きな改正点でございます。すなわち従来は、給与総額というものがございまして、これをこえるようなものは支出不可能だということで、常に国会の議決を要さなければならない。そこで今回は仲裁裁定の場合に限りまして、それがもし給与総額をこえてやる必要がある場合には、一般の会計規則によりまして、予算の定むるところにより、大蔵大臣承認を受けて給与として支出をするときは、その給与総額をこえてもよろしいというふうに、何から何まですべて給与総額をこえれば国会にいかなければならないのを、ここで緩和いたしました。できるだけ仲裁裁定を尊重し、そうして解決を円滑にするというふうにしたわけでございます。で、この関係は国鉄法におきましても同じように改正いたしました。それから日本電電公社法、これも同じようにいたしました。ただ日本電電公社法におきましては、これは五十ページでございますが、今申しました仲裁裁定の場合のこととともに、ほかの二公社につきましては、いわゆる業績手当というものについて給与総額を除外する規定があったのでございますが、どういうものか、日本電電公社法にはその規定が従来欠けておったわけでございます。従ってこれをついでに一緒に規定いたしまして、この七十二条の二項、五十ページにございます二項、これを規定いたしまして、他公社にあります業務手当を出す場合並びに仲裁裁定の場合には一方の方式によりまして、給与総額の制限を受けないというふうにしたわけでございます。  大体以上がこの法律の主眼点でございまして、あと附則におきまして、この法律は公布の日から六カ月以内に政令の定める日から実施するということに予定しております。一応公労法の実質的な説明を終りたいと思います。
  14. 山下義信

    理事山下義信君) 本問題の質疑は次回後に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  16. 山下義信

    理事山下義信君) 次に労働保険審査官及び労働保険審査会法を議題といたします。  提案者から提案理由説明を求めます。
  17. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま議題となりました労働保険審査官及び労働保険審査会法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のごとく、労働省所管の保険といたしましては、労働者災害補償保険法及び失業保険法に基づく保険制度があり、また昨年第二十二回国会において成立をみましたけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法による給付も労災保険とあわせて運用されているのであります。  しかしてこれらの保険制度における保険給付等の決定異議がある場合の審査機構としましては、労災保険と失業保険とにおきましてそれぞれ別個の審査機関が設けられているのであります。すなわち労災保険におきましては、第一審である保険審査官及び第二審である労働者災害補償保険審査会がともに都道府県労働基準局ごとに設置されており、失業保険におきましては、第一審として失業保険審査官が、第二審として失業保険審査会が労働省に設置されているのであります。  これら審査会制度の今日までの運用の実情をみますと、労災保険におきましては、中央の審査機関がないために審査の統一ある運用に欠ける点がありましたので、この際、労働者災害補償保険審査会々失業保険審査会と統合して労働省労働保険審査会を設け、審査の統一ある運用を確保するとともに、同審査会を常置の機関として審査の迅速化をはかろうと存ずるのであります。  他方労働者災害補償保険審査会も失業保険審査会もともに現行制度のもとにおきましては、労使及び公益委員によるいわゆる三者構成をとっているのでありますが、審査会は、本来、行政官庁の行う事故の業務上外の決定、障害等級の決定及び失業の認定等について審査を行うものであり、準司法的乃至判定的機能を有するものでありますので、裁判制度あるいは労働委員会における不当労働行為の救済制度におけるがごとく、公益的立場にある学識経験者のみによって構成される機関が審査し、裁決することが妥当であると存ずるのであります。  よって、この際労働保険審査会の組織につきましては社会保険審査会の例にならい、内閣総理大臣が両議院同意を得て任命する特別職の委員をもって構成することといたしたのであります。しかし審理に当りましては労使の主張を十分聴取するため労使代表の参与を認め、その意見を十分尊重するよう別に措置することといたした次第であります。  以上のほか、従来の審査の実情から見て、審査について管轄、手続等をさらに合理化する必要がありますので、審査手続につきましても改善をはかることとした次第であります。これが今回本法案を提出いたした理由でありまして、これにより審査の統一をはかるとともに、その適正化を期したいと考えている次第であります。  次に法案内容について概略御説明申し上げます。  まず本法案における審査制度の概要についてであります。第一審である審査官の段階につきましては、現行制度をほぼそのまま取り入れることとし、現行の労働者災害補償保険審査官及び失業保険審査官を総称して労働保険審査官と称することといたしました。  ただ従来の各都道府県労働基準局ごとの労使者構成の審査会を廃止いたしますので、審査官が審査を行うに当り労使の代表が当該事案につき意見を述べることを保障する制度を採用いたしたのであります。失業保険審査官につきましても審査の慎重を期するために同じく右の制度を設けることといたしております。なお、労働基準法上の災害補償に関する労使間の争いの審査及び仲裁につきましても、業務上外の決定、障害等級の決定等実質的に労災保険給付についての審査と全く同一内容の事案を取り扱うものであり、かつ、これと一体不可分でありますので、労災保険に関する異義の審査についての機構を整備いたしましたのに伴い、この際労災保険の場合と同じく労働者災害補償保険審査官をして取り扱わしめることといたし、右に申し述べました労使の代表が意見を述べる制度はこの場合にも活用することといたした次第であります。  第二審につきましては、労働省労働保険審査会が置かれることは先に申し上げたところでありますが、労働保険審査官がした保険給付に関する不服に対する審査の決定にさらに不服のある者が、この労働保険審査会に再審査の請求をすることになるのであります。その組織につきましては、さきに申し上げましたごとく、内閣総理大臣国会同意を得て任命する委員三名をもって構成されるのでありますが、各保険ごとに労使の代表者が再審査に当ってその意見を述べ或は意見書を提出することができることといたしたことは前に述べた通りであります。  以上のごとく、審査官の審査、審査会の再審査を経ましてなお不服のある者が裁判所に出訴することができることについては現行制度と同様であることは申し上げるまでもありません。  次に法案の定めている審査手続についてでありますが、審査ないし再審査請求の対象となる事項につきましては、現行制度をそのまま採用しているのでありまして、労災保険関係については、当該負傷、疾病、死亡等の事故の業務上外の決定、障害補償費を支給するについて特にその障害等級の決定、平均賃金額の決定、保険の給付制限事由の有無の決定等々が、失業保険については、被保険者資格の得喪の確認、失業の認定、保険金の給付制限事由の有無の決定等々が現行制度におけると全く同様に審査事項になることは申し上げるまでもないところであります。審査ないし再審査の請求の受理から始まり、本案の決定、その通知に至るまでの審査の諸手続につきましては、労働者及び事業主の権利救済の万全を期するため、現在政令で定められてある事項法律規定するとともにその整備充実をはかることといたしました。  なお、本法案の作成に当りましては、社会保障制度審議会を初めとして、労働者災害補償保険審議会、中央職業安定審議会、けい肺審議会及び中央労働基準審議会に諮問いたしたのでありますが、その答申につきましてはこれを尊重し、必要な事項法律案に取り入れることといたしたのであります。  以上提案理由を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  18. 山下義信

    理事山下義信君) 本問題の質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  20. 山下義信

    理事山下義信君) 次に、労働情勢に関する調査の一環として、労働行政一般に関する件を議題といたします。御質疑を願います。
  21. 山本經勝

    ○山本經勝君 労働大臣にお伺い申し上げたいのですが、実は前回の社会労働委員会におきまして、板付軍事基地労務者の解雇問題についていろいろ御質疑をいたしたわけでございます。その後二月の二十七、八両日にわたりまして、現地の軍関係並びに県組合等につきまして実際の状況を調査いたしたのであります。軍関係ではレーマン大佐、これが第八戦闘爆撃隊司令官で責任者である。それでこの際明らかになった点を大体要約いたしますというと、二十二名のうち十八名の間接雇用者に対する出勤停止の処分、それから四名の即時解雇、これは直用でございます。   〔理事山下義信君退席、理事谷口弥三郎君着席〕 これについての解雇の処分は軍として保安上必要な措置を公務上の立場で執行した。従ってその調査内容あるいは範囲あるいは具体的なリスト等について説明をするわけにはいかない、こういう話でございました。そこでさらにどういう手続でそうした調査をしたのかという点につきましては、軍の中にあります調査機関、OSIと略称申しております。これは特別調査局というのでございますが、この特別調査局で一応調査した。しかしこの調査事務を担当するものは、司令官が任命すればだれでもいいのであって、随時調査をする。そして保安上有害であると考えるものはこれを除外する、こういうようなことを実は申しておりました。そこでいろいろと組合関係につきましても調査し、また県当局の方の状況もつぶさに聞いたわけでありますが、こういう状態でありまして、問題の解雇理由となったいわゆる保安上有害であるという具体的事実について、どの点がどのように有害であるのかということを明らかにすることが不可能な実情でございます。そこで一応組合側の申し分から申しますなれば、いわゆる解雇組合活動を対象にしてなされたのである。従って調査内容においてもこういう事実が具体的に上っておる。ですから不当労働行為としての解雇に該当するものであるという主張でございますが、当然もし組合の申し立て通りとするなれば、労働組合法による保護の方法が講ぜられなければならない。その原因になっておるものが、先ほどから申し上げますように軍が保安上必要と考えて解雇をしたものである。しかもその内容について、日本国政府もしくは行政機関に対して何ら責任を負うものではない、こうなって参りますと、事実上これらの労働者は解雇しっぱなし、もしくは出勤停止のやりっぱなしであって、しかも公務上の行為ということで逃げていく。これは事実上労働者は日本の労働法によって保護をされないという結果になってくると考えます。その中でも具体的な事例は、労働委員会不当労働行為についての決定に基く命令に対して服従をしておりません。また身分保全の仮処分の申請に対して裁判所の出頭命令を拒否している、その根拠が一体どこにあるのかということを追究しましたところ、昭和三十年五月十三日付の日米合同委員会の合衆国代理、つまり海軍少将のロイ・ゲイノーという人から正式な文書でもって政府の方に連絡があったと承わったので、その文書を見ますというと、第一番に、「合衆国軍軍人軍属が、公務執行の間になされた行為に対する一切の審査又は判定の手続において日本側裁判所又は準司法的行政機関の発する回状に従う義務に関して、合衆国は次のような見解を持っていることを日本政府に御伝達を願いたい。」一番に、「合衆国軍人軍属は公務執行の間になされた行為については合衆国軍当局に対してのみ責任があること。」、二番として「したがって、かかる職員は公務執行の間になされた行為に対して日本側裁判所又は準司法的機関の行う審問審査の手続に出頭し又は口頭若しくは文書で回答することの要請に応ずる許可を与えられていないこと。」Cとして「かかる令状が発せられるに至った審査又は判定の対象である行為が公務に関係があるかどうかの決定は合衆国当局においてなされるであろうこと。」、大体以上のような正式文書によって態度は表明されている。これによって先ほど申し上げましたように、調査あるいは審問あるいわ裁判所に証拠を提供して弁論に出頭する、こういうこともできないというけけなのであります。ところが同じ三十年の七月の九日付で、日本側の政府の大体態度が明らかになっておりますが、これは長いから要点だけを申し上げますというと、これらのロイ・ゲイノー海軍少将の申しました意見は、つまり日米合同委員会において合意に達していない事項である。そうしてしかもそれは一方的な解釈であるという態度が表明されている。こうなって参りますと、先ほど申し上げましたように、現に行われている労働者のきわめて不利益、あるいは不当労働行為あるいは労働組合に対する介入、基本的な人権の侵害、こういった問題がいわゆるどうやって、どういう手続で、どの機関で一体組合法の保護を受けると言われる、労働者の保護はなされるのであるか、この点を労働大臣から懇切に一つ御解明をいただきたいと思います。
  22. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 前回からこのことについていろいろお尋ねがございました。山本さんのきわめて最近のいろいろな御調査のお話がございましたが、政府委員の方からその後こちらの方で調べました経過もあることでありましょうから、一応それを先に御説明申し上げたいと存じます。
  23. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 御指摘のございました二十二名の板付の労務者の問題につきましては、そのうちの十八名のものにつきましては、先般も御説明申し上げましたが、軍側との協定によります六十九号の手続に従いまして目下調達庁といたしまして、調達庁自身及び関係機関の御協力を得まして、果して当該労務者がいわゆる保安上の危険に該当し得るものかどうかということを調査いたしている次第でございます。で、この手続につきましては、あるいは御承知のことと思いますが、調達庁長官から軍側に、調達庁の調べました内容につきまして報告をいたしまして、その結果によりまして、十八名のものにつきましては、最終的に解雇あるいは復職というような結果を得るということになるわけでございます。調達庁といたしましては、今回の問題につきましては、十分慎重にこれらの調査を遂行するように努力をいたしているのでありまして、事柄がなかなか具体的な個人々々の問題でございますので、調査はむずかしい事柄であり、また慎重を期さなければならぬ事項でございますが、十分その結果につきまして軍側と折衝をするようにいたしたい、こういうように考えている次第でございます。
  24. 山本經勝

    ○山本經勝君 昭和三十一年二月二十九日集録として「板付空軍基地労務者九名に対する同基地OSIの調査及び付属協定第六十九号に基く十八名に対する出勤停止について」という冊子がございます。これは福岡県総務部渉外移民課から出しております。これはおそらく調達庁あるいは労働省等にはきていると思う。こういうのをごらんになっておるのですか、これは詳細に書いてある。
  25. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 私の方には組合側からも当時の経過を記録した文書並びに県側からもそれについての調査の結果、その他報告がございまして、それらを十分検討いたしている次第でございますし、またその内容につきまして軍側にも十分連絡をとっているような状況でございます。
  26. 山本經勝

    ○山本經勝君 この問題につきましては、調達庁の方は、今の県からの報告といわれるものは、どういう内容のものであるのかさっぱりわかりませんが、こういうようなきわめて詳細な、しかも事件の内容を経過的に書いたりっぱな冊子になっている、これはおそらく労働省へもこなければならぬと思う。すでに前回においてこの問題を取り上げて、一応調査するということであり、ところがまだ今日まですでに二週間に近い時日が経過して調査ができないということで、今から調査するというようなことでは、全く納得がいかぬわけですが、この点労働大臣どうなんでしょうか。
  27. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 先ほど申し上げましたように、この保安該当の嫌疑でもって出勤停止になりました者につきましては、六十九号の手続に従いまして、それが果して軍側の言う通りの嫌疑があるかどうかという点につきましては、軍側の方でもその後の調査をいたしておりますし、また軍側の方の調査と合せて日本側——調達庁でございますが、におきましてもその方々がどういう点において保安の容疑事項に該当するという点について調査をいたしておるのでありまして、その結果によりまして復職なり、解雇なりの手続をいたしたいということになっているわけでありまして、その手続はすでに当時問題が起りましたときから進めているわけでございます。この点少しも手抜かりはない、われわれはそういうふうに考えております。
  28. 山本經勝

    ○山本經勝君 それは手抜かりない、調査をしておるとおっしゃいますが、実は内容についてもこれは明らかに、たとえば問題になりました調査の担当の事項の中で大体六つばかりあります。福映協、それから社会主義に関する研究会、それからうたごえの会、読書会、それからリクリエーション幻灯会、こういったものについて県で詳細に調査をして、いずれもこれらが軍の保安上の有害なものとして判定する基礎にはならぬということを報告しております。そうしてそれに基いて知事が現地で交渉しております、司令官と。あるいは労務担当のローカルの事務所長並びに労務部長がそれぞれ交渉をしております。こういう状態で調達庁かもしくは労働省報告がないということは言えないと思います。それからしかもその報告に基いて該当事項内容がたとえば六十九号の協定の趣旨あるいは成文とどの点が合致するのか、この点に対する問題点の調査がなされておると言われますが、私はむしろその点で調達庁にいたしましても、労働省にいたしましても、日本の労務者を日本の労働関係法によって保護するのだと口には言いながらも、事実は怠慢に放任しておるというふうにしか受け取れません。今から調査をするのじゃなくて、この間から問題になっておるし、以前からしばしば問題になっておる。前の国会でも問題になって出ておる。ですからその状態についてどうも私ども理解がいかない。どういうような調査をなさっているのか、それも全くわかりません。これもちょっと簡単なものじゃない。いわゆる詳細な経過が書いてある。このような状態をもし調査をなさるならば少くとも直ちにできる問題であります。そうしてそれに基いて軍折衝をなされたと思いますが、全く今までのお話では今から調査する、今から調査するということで、てんで労働者自身の保護は考えておられぬような感じを受けるのですが、その点についてもう少し懇切な御説明大臣から私は承わりたいと思います。
  29. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) その前に、ただいま申し上げましたように保安の事項に該当するかいなかということはこの事件ばかりでなく、すべての保安容疑の事件につきましては、日本側の機関におきまして調査をいたすことになっております。この事件につきましてはすでに目下調査中であるわけでございます。  なお山本先生の御指摘になりました文書につきましては私どもまだ受け取っておりません。ただそれ以外県から関係課長あるいは知事さん、部長さんの方々とも十分この問題については連絡をしておりまするし、その他の文書をもって県の方からもこの事件についてはいろいろ報告は参っておりますが、御指摘の文書につきましては、私ども調達庁といたしましても受け取っていない状況でございます。  なおお話がありました知事さん、県の担当官が、これは不当労働行為であるというふうなお話がございましたが、私ども県の方との連絡では、そういうふうに県の方で考えておられるということを承わってはおりません。  なお軍側との折衝につきましては、現地におきましてもあるいは中央におきましても、とにかく板付の問題のためにこういう事態が起っているのははなはだ遺憾なことでもありまするので、ただそういうことの起らないように、調査も慎重に適法にやってもらいたい、また組合側からもかくかくの事実、報告が出ているけれども、これらについてもしその通りであるとするならば、必ずしも適当な調査報告とも考えられない節も見受けられるので、そういう点につきまして軍側の回答を承わりたい、というような趣旨におきまして、私ども関係当局とも折衝をいたしておる次第でございます。
  30. 山本經勝

    ○山本經勝君 なお詳細なことは労働大臣時間がないようですから、先に労働大臣に私ははっきり承わりたい。その点御了解願っておきます。  先ほど申し上げました政府の出している三十年七月九日の「合衆国軍人軍属の公務に関して起された訴訟において発せられる令状に服する義務について」先ほどこういう文書を省略いたしましたが、大臣に伺いたいのは、このいわゆる義務についてという正式な文書のようですが、どこが出したものなのかということと、それからこの内容についてこういうことが書かれています。先ほど読みました議事録を見たらわかりますが、「日本政府は前記引用文書一bに表明された合衆国の立場に同意出来ない。同文書は左記に引用されている既存の協定に係ることなく、実質的には両国政府間に合意された協定に反する新たな協定を実施しようと意図しているように見える」と書いてある。それからさらに「前記引用文書一bについては行政協定第十七号を修正する議定書第一項(b)及び同協定第十八条第三項の見地から合衆国軍人軍属は公務執行中になされた行為については日本国法令違反の行為に関する限り、合衆国当局のみならず日本政府当局に対しても責任を有する。」と書いてある。それから労働関係の問題につきましては、「労働問題を規律する規定及び所得税及び社会保障のための納付金の源泉徴収及び納付の義務並びに別に相互に合意される場合を除く外、賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は日本国の法令で定めるところによらなければならないとそれぞれ規定する第十二条第五項及び第十五条第四項がある。」こういうことがこの文書で正式に出ているのですが、これはどこが出されたのか、そうしてまた最高責任者という立場に立たれている大臣として、これほど明白な事実の上に立って、明らかにこの県の報告を見ましても、これは妥当な解雇でないと考えられる。それにもかかわらず、これをどのように守ろうとなさるのか。今から調査するということではなく、すでに一カ月になんなんとする出勤停止を受け、そうしてまた解雇を受け、不利益は県の労働者の上にのしかかっておるし、現実に困っている実態なのです。しかも裁判所には出てこない、労働委員会不当労働行為の令状にも服さない、こういう状態で労働者は守られておらない。この点について一つ責任のある御説明をいただかなければ、国民自体が納得せぬと思います。
  31. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 今最初お読みになりました書類は外務省から出ております。それから本件につきましては、前回もいろいろお話がございまして、先ほど調達庁の労務部長から申し上げておりますように、これから調査しようというのではございませんで、それぞれ私どもの機関で調査をいたしておるのでありますから、なおその調査を促進させてみたいと思っております。
  32. 山本經勝

    ○山本經勝君 大臣のお話はつまり今から調査をするというのじゃなくて、現に調査中であり、さらに調査を促進する、こういうお話ですね。
  33. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) そうです。
  34. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこで私は続けて伺いたいのですが、調査をなさって——今申し上げました事実は私のいいかげんで作ったものではない、公文書として出ている。米軍側の解釈と、それから日本政府の解釈、それから並びに県が出している報告書の内容とを関連させて申し上げている。ですからそういう事実に基いて、これが事実であったとしたならば、どのような措置を大臣はおとりになるのか。
  35. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私の方としてはそれぞれ機関を持っておりますから、ただいま山本さんの御指摘になりました事柄が全部事実であろうと思いますけれども、私の方として調査の結果を待って、私の方から申し上げたいと思います。
  36. 山本經勝

    ○山本經勝君 そのそれぞれの機関といいますと、どういう機関になりますかね。
  37. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、私の方には調達庁の出先機関もございますし、労働省労働省として労務関係のことについては調査いたす機関も持っておりますことは御承知の通りでありまして、その調査を促進させて結論を出したいと思います。
  38. 山本經勝

    ○山本經勝君 そうしますと、調達庁の出先がこれを実は作っている、こういうのを。これは一つごらん下さい。いいかげんに私作ってきたのじゃございませんから。内容は非常に詳細に載っているのですよ、これをごらんになったら——英文と対照して往復文書まで全部ついている。こういうものは調達庁の出先生言われるが、そこに来ないはずは私はないと思うのです。そうしてなるほど今度初めてというなら無理を申しません。しかし前回に問題になり、しかも昨年来問題になって、現に不当労働行為で福岡の労働委員会では令状を発しております。それに服しないのでは仕方がなく、中労委、きょう来てもらっているのですが、中労委の再審を要請している。こういう状態であって、しかも県は県でそれぞれ調査をし、折衝をしている。しかもこれが小さなリーフレットなんかじゃありません。冊子になったりっぱな報告書ができている。こういうものが私はこないということは、調査したのか、せんのかということを疑う。調達庁はどのように弁解されても、これは少くとも出先と大臣は言われるが、出先はどうなっているのか、状況を知らせいと言われれば、当然この報告書を送ってくると思う。それを調査をするのだ、あるいはしたなどと言われましても、これは調査をされたということにならぬと思う。どうなんですか、この点。
  39. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 先ほど申し上げましたように、その冊子はあとで拝見いたしますが、ごく最近できたんじゃございませんでしょうか、私の手元にはございません。しかし申し上げたいと思いますのは、六十九号の手続によります調査、これは調達庁がやらなければならない、また現にやっているわけでございます。この問題ともう一つは、これは六十九号の方は本人が保安要務に該当するかいなかということに対する調達庁長官の意見を徴するわけでございます。これにつきましては、先ほどから幾たびも幾たびも申し上げておりますように、全能力をあげて調査をいたしているわけでございます。もちろん県側ともその点につきまして十分連絡をとりつつやっているわけでございます。なお御指摘がありました裁判に対する、あるいは中労委、地労委その他に対しまする米軍軍人軍属の召喚の問題でございますが、これは御指摘のような交換文書、米軍から出ましたのは合同委員会におきまして、おそらく日本側の政府代表に対し、日本側の代表すなわち外務省に対しまして米軍の方から出された文書であると思います。また日本側のそれに対する意見は同じく合同委員会に対しまして——、日本側の代表は外務省の欧米局長でございますが、それから出されているわけでございまして、いろいろ裁判上の取扱いにつきましてそういう風儀があるということを私どもも承知いたしているわけでございます。
  40. 山本經勝

    ○山本經勝君 調査をする、調査をするというが、どうもどのような調査をなさるのか、さっぱり見当がつかない。しかもこの際整理された報告もまとまっているにかかわらず——この報告書はなるほど二月二十九日付になっておる。しかしながらそれから今日まででもすでに一週間をこえておるわけなんですから、少くともそうした調査の熱意と誠意がおありになれば、これは当然手に入ってくると思う。まあその点は一応調査について努力されるというお言葉を承わっておく以外にないでしょうが、そこで大臣にさらにお伺いしておきたいのは、日本合同委員会の合衆国代理者は、代表としての資格を持った海軍少佐のゲイノーという人が、合衆国軍人軍属が公務中にやった行為については、合衆国軍当局に対してのみ責任があると言っておる。この考え方に基いて、日本の労働法による不当労働行為の判定があって、そうして令状が執行された、ところがそれに従わない、こういう事態が現に起っているのですが、最高責任者という立場で、大臣のこの点についての御解明をお願いしておきたい。
  41. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 専門家の政府委員の方から御説明申し上げる方が間違いがなくていいと思います。
  42. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) これも、あるいは私調達庁の労務部長として説明するのが適当であるとは思いませんが、軍人軍属の日本の裁判権に対しまする関係ということは、これは一つの国際上の問題でございますので、日本政府の立場といたしましては現在合同委員会でこの問題が、御指摘の文書の交換にありますように論議せられているのでございます。あるいは他の適当な法務省なり、あるいは外務省の方からその点についてはお答えをするのが筋だと思います。
  43. 山本經勝

    ○山本經勝君 私の申し上げているのは、大臣によく御理解できていないのかとも考えますが、すでにしばしば表明されたように、この委員会において駐留軍労務者、間接雇用であれ、直用であれ、それらの日本国民である労働者に対しては、日本国労働関係法が保護をするものであるということは言明された通りである。そうしますと、今申し上げたような形において、現に首を切られ、あるいは出勤停止となって生活に窮する現実の労働者は、どうして労働大臣は保護なさるのか、これは基本的な問題として事務的な担当者じゃなくして、労働大臣から責任のある御答弁をいただきたい。
  44. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 日本の労働法が駐留軍労務者に対して保護を与えるということは、これは当然なことであります。ただ、今政府委員から申し上げましたような軍との関係で、御承知のように、私どもの方から労働法上見てどうかと思われるような案件についていろいろトラブルがある場合がしばしばありました。そういうことについての法律上の係争が始まってくるような場合に、ただいま申し上げましたような裁判管轄権の問題等でいまだに円満にそういうことが運ばれないでおるのを、われわれ非常に遺憾に存じまして、そういう点についても何とか解決をしたいということが、御承知のようにしばしば日米合同委員会で問題になっておるところであります。労務基本契約などにつきましても、そういう意味から私どもは改訂について努力を続けておるわけでありますが、しばしばここで申し上げておるように、労務基本契約の改訂もいまだに実行にならないということで、私どもの方では一日も早くこれが改訂ができますように努力をいたしておる、こういうのが現状であります。
  45. 山本經勝

    ○山本經勝君 この努力をまあされているでしょう。しかしながら、その努力が、すでに昭和二十八年に例の占領当時の日米労務基本契約を改訂する調印がなされた。ところが付属書の四項にわたるものについての未解決の部分があるということで実効を発しないということは、前回にも申し上げ、また質問した点ですが、その後すでに三年になんなんとしておる。その間占領下の当時のやはりアメリカの一方的にきめて押し付けた基本契約を中心にして労務管理がなされている、こういう現状だと私は思うのですが、その後における努力の状況を、これは詳細に一つ大臣から承わりたい。
  46. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 直接事務を担当しております私から申し上げた方がいいと思います。この前この委員会で申し上げましてから、さらに最近——ごく最近でございますが、軍側にこの点を申し入れたわけでございます。この前の当労働委員会で御報告いたしましたように、日米合同委員会を通じまして基本労務契約の新契約への移行についての問題を至急促進するように、ことにアメリカ側の考えておりまする改訂案の内容につきましての具体的な点の措置を日米合同委員会に対していたしておるわけでございます。その結果アメリカ軍といたしましては、それぞれ関係三軍に対しましてその後の意見の調整をいたしておるわけでございまして、つい最近これの直接担当でありまするJPAの契約担当官のもとに参りましたところ、問題はなかなかむずかしい点もあるけれども、とにかく自分としてはこの新契約を締結することを自分の大きな仕事の一つと考えておるので、三軍との意見の調整をはかり、また意見の調整が困難な点につきましては最高司令官の判断を仰いで、懸案事項についての軍側の意向をできるだけ早くまとめるようにしたいと、こういうことを申しておる次第でございます。今まで三年の年月がかかってできなかったものが、早急にただいまの言で解消するというような甘くは私どもも考えてはいないわけでございますが、契約担当官を中心といたしまして、そういう意気込みで軍側も軍内部の意見につきまして取りまとめ中でございますので、軍側の意見のまとまり次第、当調達庁に対しても案の提示があるとは思っておるわけでございますので、そういう線に沿いまして新契約の締結な促進するようにいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 山本經勝

    ○山本經勝君 先ほど引用しました文書について、昭和三十年五月十三日付合同委員会の合衆国側覚書、合衆国軍人軍属の公務に関して起された訴訟について発せられる令状につき服する義務についてというのが同月十九日の合同委員会に提出されておるというのですが、その審議はどのように進行しておるのでしょうか。
  48. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 私その委員会委員でもございませんし、あるいは外務省の方にお尋ねにならないと、その後の状況は私どもとしては今のところ存じておりません。
  49. 山本經勝

    ○山本經勝君 調達庁の方は、むろん外交関係、それからまた法律解釈等、つまり法務関係の問題について直接関係がないということは、一応わかります。しかしながら、労務者の保護という立場に立てば、これはやはり関係各当局との間の意見の調整もなさろうし、また事務的な連絡が私はあってしかるべきだと思う。ところが、ただ自分のところで直接管掌する問題でないということでほうられておるところに問題の進行がおくれておる、こういうことがあるのではないかと思う。で、調達庁は当面のやはり労務者の労務提供なりあるいは直用の問題についても労働者を保護するという政府の立場に立っておられるのであるから、勢いその間の状況については、これは当然連絡なり調整をなさると思うのです。これはきわめて調達庁としては怠慢であると言わなければならぬと思うのですが、その点はどうなんでしょう。
  50. 高野一夫

    ○高野一夫君 今の質問に関連して、私実は時間も切迫しておるので、議事進行を出したいのですが、せっかく山本さんが質問されておるので議事進行を出すのは遠慮しますが、要するに私も労働省、調達庁のあり方について少しおかしい点があると思う。先ほど来山本委員が質問されておるその重要なる資料になっておる印刷物、それが社会党の山本委員の手元にはあって、労働省、調達庁には来ていないとおっしゃるのか、あるいは事実来ていないのか、どうもその点はっきりしない。しかも先ほど倉石労働大臣は、せっかくその文書があるなら借りて見たらいいじゃないかと言われるけれども、だれ一人見せて下さいといって文書を手にとって見る人が一人もいない。こういう点は私は、外務省あるいは労働省、調達庁、このまたがった関係を持っておる問題を真剣に調査研究しておる態度とは言えないと思う。従って私は、これは山本さんにもう一つ御相談しなければならぬのでありますが、もう少し労働省と調達庁と外務省が十分お打ち合せの上で、ああいうような資料も、お手元に来なければ、お借りになってごらんになって、その上でちゃんと質問に当るような答弁をなさる機会を次までお延ばしになったらどうかと思う。これはほんとうは議事進行で私は申し上げたいのでありますが、まあ一応遠慮して申し上げる、この私がそういうような考えを持つということについて、労働省なり、調達庁なりはどういうお考えをお持ちであるのか、それも私はあわせて伺いたい。
  51. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 山本さんの最初のお尋ねについても、同時にお答えになるかと思いますが、ただいまの御意見まことにごもっともでございまして、二月二十八日でありますか、そのときに県庁ですか、出された書類というものが、私の方へ——私の方ではこの前の委員会もございましたし、十分この点は調査をするように命じてあるわけでありまして、県で出されたそういう書類、しかも県と調達庁との間に緊密な連絡があるはずでありますから、ことに福岡には調達庁の出先機関があるわけでありまして、そういうにもかかわらず、そういう書類が来ておらないということについては、確かに手落ちであると思います。私の方からなおこの調査の促進方を要望いたしまして、事態をすみやかに明白にするようにいたしたいと思いますが、ことに合同委員会において、ただいま海老塚労務部長が申し上げましたことは、山本委員の御指摘になりました事案の折衝状況を詳しく存じておらないという意味のことを申し上げたのでありまして、日米合同委員会にはそういう関係に関しましては、調達庁長官が出席することになっておりますから、私の方ではそのことについて十分な緊密な連絡がとれているということは言えると思います。外務省が担当いたしておりますしさいな件について、あるいは連絡の手落ちがあったかもしれませんが、大体において労務関係の問題は調達庁——ことに三法に関しまして、労働省としては労働者保護の立場にあるのでございますから、そういう点については、なおただいまおしかりがございましたが、その点は十分私から注意もいたしまして、なお本案につきましては調査を促進させることはもちろんのことでございますが、そのお示しになりました書類なぞについても、早急に一つ調査をいたしまして、何らかのこれに対する態度を早く政府としてきめるようにいたしたいと存じます。
  52. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて……。   〔速記中止
  53. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 速記を起して。
  54. 山本經勝

    ○山本經勝君 これは関係各省間で話し合って、それで直接関係のある労働省、それから外務省、調達庁、それにやはり法務委員会も正式に委員派遣をして、現地調査をしておりますから、法務関係も含めまして、一つ御協議を願って、問題はこのいわゆる何といいますか、非常に重大だと思います。単なる資本家と労働者という関係よりそれを越えた大きな問題だと思います。そういう意味において十分真剣に一つ御相談をなさった上で、次の機会でけっこうでありますから、一つ具体的な経過と御説明をいただいて、やはりこれは納得のいくように一つ御協力いただきたいと思います。その点お願いを申し上げて、私のこの基地に関する質問を一応保留したいと思います。
  55. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ごもっともなことでございますから、至急にそういうふうに取り計らうことにいたします。
  56. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) それでは本日の審議はこの程度で終りたいと思いますが……。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 谷口弥三郎

    理事谷口弥三郎君) 次は今月十五日に次回をやることにいたします。  それではこれで散会いたします。    午後一時六分散会    ————・————