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1956-04-25 第24回国会 参議院 建設委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十五日(水曜日)    午後二時五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員柏木庫治君、三浦辰雄君、横 川信夫君及び石村幸作君辞任につき、 その補欠として村上義一君、北勝太郎 君、平井太郎君及び斎藤昇君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君            鮎川 義介君    委員            入交 太藏君            大谷 贇雄君            斎藤  昇君            武藤 常介君            村上 義一君   政府委員    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省計画局長 町田  稔君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設業法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これから委員会を開催いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます、本日柏木庫治君及び三浦辰雄君が辞任され、補欠として村上義一君及び北勝太郎君が指名されました。また横川信夫君、石村幸作君が辞任され、補欠として平井太郎君、斎藤昇君が指名されました。
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 建設業法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本日はこの法案につきまして、逐条審議を行います。官房長、各逐条について、あなたの方から説明かたがたお話し願います。
  4. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) まず第三章の二といたしまして、「建設工事請負契約に関する紛争処理」と題する一章を新たに設けましたわけでございます。従来の第三章の次に、新しい「請負契約に関する紛争処理」という一章を設けたわけでございます。これは、この章の規定がこの御提案申し上げておる内容の大部分でございますが、あっせんから調停仲裁まで相当詳しい規定を設けまして、ことに仲裁関係がございますので、手続の慎重を期するという意味から、童を設けたわけでございます。  第三章の二の二十五条でございますが、建設工事請負契約に関する紛争解決をはかるために、建設工事紛争審査会を設置する。そうして審査会権限を明らかにした規定がございます、二十五条は、審査会の設置と、その権限を明らかにいたしました。中央に、建設省中央建設工事紛争審査会都道府県都道府県審査会を置く規定でございます。
  5. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今は第二十五条の一ともいいますか、それに対しての何か御質疑を願います。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それでは、次の第二十五条の二。
  7. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 第二十五条の二は、審査会組織に関する規定でございまして、すなわち委員の定数は十五人以内、その資格は「人格が高潔で識見の高い者のうちから」といたしてございます。これは従来の建設業審議会の方になりますと、関係官庁の職員でございますとか、あるいは発注者側でありますとか、あるいは建設業者でございますとか、あるいは学識経験者といったような、それぞれの立場に立って委員を人選いたしまして、その立場からそれぞれの意見を反映していくということが目的でございますが、今度は紛争解決をする審査機関でございますので、それぞれの立場にとらわれず、紛争がりっぱに公正に解決できるように、中立的な立場と申しますか、専門的な立場で、いずれも一つ学識経験者として仕事をしていただくという趣旨から、公正に委員会活動してもらいたいといったような場合におきまして、法律はよく「人格が高潔で識見の高い者のうちから」という文言を用いております。その文言に従いまして、その中から委員が人選せられるようにいたしたわけでございます。二項、三項、四項、五項は組織のあり方でございます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 「審査会は、委員十五人以内をもって組織する。」この十五人以内ということに限定されたその十五人という、これは「以内」ですから、十人でもいいのか、十五人きっちりと出すのか、その点が一点と、  それから二項の「人格が高潔で識見の高い者のうちから」、今御説明がございましたが、一体人格が高潔で識見の高い者のうち、どのような人を現在予定されておるのか。予定されておるのであれば、その人をどういう面からということを、もう少し具体的に一つ説明が願いたい。  それから五項に、「職務代理する。」、これは「委員のうちからあらかじめ互選された者がその職務代理する。」という、代理することなのですが、これは会長代理ということで置くのか、委員として互選して、それが職務代理するのか、その点をはっきりお聞かせ願いたい。
  9. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 十五人といたしましたのは、別に十五人でなければ絶対にならないというやかましい要件があるわけではございませんが、審査会として常時集まりまして、この紛争処理議決もいたしますと同町に、この組織としての必要な事項もきめていくという人数が、あまり大ぜいになりましてもいかがかと思いまして、十五人以内にいたしておきまして、後に出て参りますが、特別委員というものを設けまして、実際この中からあっせん委員や、調停委員や、仲裁委員が選ばれるわけでございます。そういう場合のためには、中央地方とこれはございますが、それぞれ組織の大きさに応じまして、特別委員の数で調整をつけて、大きな組織ならば大ぜい特別委員を置くということにいたしたいという考え方でございます。十五人といたしましたのは、さらに普通こういう議決をいたします委員会は、奇数にいたしておきますと採決するのに容易だということもございまして、十五人という奇数を用いましたわけでございます。  それから選任の範囲のお話でございますが、まことにこれは抽象的な響き方でございますが、先ほど御説明したような趣旨によりまして、こういうふうにしまして、実際の選びます方針といたしましては、この審査一般民事訴訟等によらないためには、やはり実際のことをよく知っておる人ということが一番解決に容易であります。それからいま一つは、法律上の知識がやはりこういう紛争のことでありますので要りますので、法律家、それから建設業関係等技術者、あるいは建設業そのもの経験者、あるいは学者、こういうような方々、いわば専門家的な方々を主としてお願いをいたすことにいたしたいと、かように考えております。  いま一つ申し落しましたが、五項の職務代理するの規定でございますが、これはあらかじめ会長に事故があったときに、だれが会長のかわりをやっていいかわかりませんと困りますので、委員の中から互選をいたしておきまして、会長職務代理者というものをきめておくということでございます。従いまして、あらかじめ互選できまった人は、会長職務上の代理者として予定されて、いつもおるということになるわけでございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 それは会議のところと重複する点があると思うのですが、この委員十五名だと、その中から会長議長につきますね。そうすると、あと偶数になって十四名で、これが採決の場合に七対七という欠陥が生まれやすいのじゃないですか。
  11. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の六にお話し会議議決方法を一応規定いたしておりまして、委員過半数——会長会長代理者、先ほどの会長代理の者のほか、「委員過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。」といういわゆる定足数と、それから三項に「出店者過半数をもって決する。可否同数のときは、会長が決する。」という規定を設けてございますので、十四人が七対七になりますときには、会長がこれを決定するということにいたしておるのでございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 これは会議のところと重複しておるから質問しますけれども、今の議決のとき、これは「可否同数のときは、会長が決する。」とありますが、私がかつて経験したことによりますと、会長委員としての投票権を一方持っておるわけなんです。これは裁決じゃなくして、無記名投票なんかやる場合に。そうすると、会長は一方その議決権を持って、委員としての投票をするのです。そうしてその暁に同数になった場合は、さらに会長がこれを決するということになると、会長が二重投票ということに相なるわけなんです。そういう点、一体これはどういうふうに考えておられますか。
  13. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) そのような場合にはお話通りになると存じますが、やはり会長委員でありまして、委員互選によって選任されておるものでございますから、一応委員としての投票権も持つわけでございます。そうして今度は可否同数の場合におきましては、これは出席者のいかんによりますけれども、それでも可否同数になることがあるわけでございます。その場合は会長という立場でやはりこの規定裁決ができるということになりますので、お話通り、その場合は二重に表決権ができるということもやむを得ないと考えております。
  14. 斎藤昇

    斎藤昇君 どこでお伺いしてもいいのですが、紛争というのはどういうような紛争が多いのですか、ちょっとその一、二の点を具体的にお示し願いたい。
  15. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは建設工事請負契約がございます。この請負契約発注者建設業者ですか、この間の契約が主でございますが、中には請負業者同士、つまり元請と下請との契約もございます。それらについて契約解釈契約の主として履行をめぐりましていろいろ紛争があるわけで、現在も建設業審議会あっせんだけすることができるという規定がありまして、資料としてこの前御要求もございまして差し上げてあるかと思いますが、その内容を一応要約したのでございますが、工事が非常におそくなったということで発注者の側から文句が出る場合もございますし、それから工事が非常に粗雑である、もっと丁寧に工事をしてもらいたかったというような場合もございます。これらは発注者の側から出る場合でございますが、今度は金をよこさないじゃないかというようなことから、資力の問題をめぐって、業者の側から出る場合もございますし、こういう予期せざりし事情で非常に金がかかった。たとえば前に事件もございましたが、地盤の関係で、やってみたら非常に大へんな工事になったというようなことから、増額要求をするというような場合もございます。それから設計がまあ初めの考えておった設計と違っておると、設計解釈をめぐっての争い、大体こういうように工事遅延増額要求とか設計変更工事の粗雑、資力の問題、こういったようなケースをめぐって紛争があるわけでございます。多いのは、やはり工事遅延が四割くらいを占めておりまして、一番多いようでございます。
  16. 斎藤昇

    斎藤昇君 あっせん調停民事裁判とは、全然無関係と考えてよろしゅうございますか。
  17. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) あっせん調停仲裁とございまして、あっせん調停はまあ話し合いでいくということでございます。従いまして、あっせん、停調は当事者が承諾をするということを要件といたしておりますので、これはあっせん調停裁判上のれ解ではございませんで、裁判外の和解。それから最後の仲裁でございますが、これも民事訴訟法仲裁がございますが、これは裁判外の第三者の仲裁を求めるということにいたしておりますが、性質上の民事訴訟法仲裁とその仲裁は変りございません。民事訴訟法仲裁の場合には、仲裁人によって民事訴訟法でやるわけでございますが、この仲裁の場合には、機関だけが、この一種の行政機関である審査会によって仲裁をするという点が違うのでございまして、仲裁だけはやはり確定判決と同じ効力を持つという仲裁判断がなされるわけで、仲裁判断がなされれば訴訟ができないということになるわけでございます。あっせん調停の場合には訴訟ができるわけです。これできまりませんでも、仲裁がきまりますと訴訟はできないということになっております。
  18. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 官房長、引き続き説明願います。
  19. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 第二十五条の三は、委員任期等に関する規定でございまして、任期は二年ということでございます。あとは大体例文でございます。
  20. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 二十五条の三、別に質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) では、次に二十五条の四。
  22. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の四は、委員欠格条項に関する規定でございまして、これも委員会が公正に仕事をしなければなりません関係上、普通の委員会の厳重な場合の欠格条項を設けてございます。
  23. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これに対して質疑はございませんか。なければ、二十五条の五。
  24. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の五は、委員解任に関する規定でございまして、これも委員が公正に仕事をしなければならないものでございますので、「心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。」、「職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。」を解任の条件にいたしております。
  25. 近藤信一

    近藤信一君 そこで建設大臣、それから都道府県知事委員を任命するわけなんですが、その場合に、先ほどの人格高潔で識見に高い、こういう人を任命するわけなんですが、ほかの委員会にもよくあることですが、たとえば政党関係しておる役員が二名以上あってはいけないとかなんとか、こういう規定がよくあるわけなんですが、これはそういうものに関係なく、政党役員であろうが全部、たとえば自民党、社会党に関係しておる人でもいいと、こういうわけなんですか、どちらでしょうか。
  26. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) この委員法律上の性格は、第二十五条の八に出ております。「一般職に属する地方公務員たる性質」ということになっております。地方公務員法の中の指摘された条文の適用については、「一般職に属する地方公務員とみなす」ということになっておりまして、ある程度の拘束を受けますが、今度お話し政党的な活動政治活動についての制限はございません。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 政治活動に対する制限がないということになりますと、たとえば識見の高い人で、人格高潔な人で、まあこれは学者であろうと、また何であろうと、政党役員になっておられる人もあるわけなんで、そうした場合に、それらの人がはからずも十人なり十五人なり一致したというような場合でもかまわないというわけですね。
  28. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 政治活動の点は制限はございませんから、この委員会立場を離れて政治活動をされるということは差しつかえないわけでございますが、ここにも書いてございますように、職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると、そういう活動が、この審査会委員として活動すべき場合に、その義務に違反すると認められるという限界になりますれば、この条項からやはり解任の事由が発生いたしますけれども、別に政治的な活動を別の立場でやられるということに関する限りは、差しつかえないわけでございます。
  29. 近藤信一

    近藤信一君 私の記憶では、公共企業体調停委員ですね、それから労働委員会もそうだと思うのですが、やはり政党役員が制約されておるわけなんですね。あれもやはり地方公務員扱いになっておるわけなんですが、それらとこの点は違うわけなんですね。
  30. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 今御指摘になりましたほかの委員のことは、私必ずしもつまびらかにいたしておりませんが、事柄の性質上、この委員の方はそうそこのところは厳重にいたしてございませんわけでございます。まあ人格識見の高い人をあらかじめ選ぶという選任の際にもあることでございますから、それでは非行があるというのはおかしいじゃないかというお尋ねもあるかと思いますが、今の政治上の点は、今申しましたような義務違反とか、非行といわれるような段階に達しますれば別ですが、まあそれほど心配がないということです。最も厳重な規定に、政治活動まで縛るというような規定はあえて設けてございません。
  31. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次は二十五条の六。
  32. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の六は、会議議決規定でございまして、先ほどちょっとお話出ました規定でございます。定足数と、それから表決方法議決方法規定いたしております。
  33. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 何か質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) なければ、次。
  35. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の七は、特別委員に関する規定でございまして、先ほどもお話がありましたように、委員は十五人以内でございますが、あっせん調停仲裁委員をその中から選ぶという関係上、中央審査会や、あるいは大きな府県審査会等におきましては、相当委員がいないと足らない。事件が一時に来た場合には分担してやってもらわなければならないということになりますし、この審査会相当専門的な知識にたよっておる審査会でございますので、いろいろな経験者をあらかじめ特別委員お願いをいたしておきまして、そうしてあっせん調停仲裁委員または特別委員の両方の中から会長が指名するとか、あるいは仲裁の場合には、当事者が中から選んでお願いするというようなことができるようにいたすために、特別委員を設けることにいたした次第でございます。  任期は一年でございまして、大体委員に関する規定が準用されております。そうして平素から委員特別委員がだれであるかということを明らかにいたしておきまして、これは政令でそういう措置を講じたいと思いますが、そうして当事者信頼感を持ってそれらの人にお願いができるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 この特別委員は、今御説明のように、あっせん委員調停委員仲裁委員ですか、この三つに分け、その場合、この三つあっせん調停、それから仲裁と、この三つ委員に対して、これはあらかじめあっせん委員はだれだれ、それから調停委員はだれだれと、こうおきめになると思うのですが、何名くらいこれは予定しておられるのでしょうか。
  37. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) あっせん委員調停委員仲裁委員は、実は後の条文で御説明申し上げるわけですが、事件ごとに選ぶことになっております。事件が申請されて、そうして取り上げるということになりました際に、この事件はだれ委員、あるいはだれ特別委員と、委員特別委員の中から事件ごとにきめると。仲裁の場合には、事件ごと当事者がまず選ぶ。選べなかった場合には、指名するということになっておりますので、あらかじめ特別委員あっせん委員と、調停委員と、仲裁委員と分けておくというのではございませんので、ただ委員特別委員としてお願いをしておくということでございます。  特別委員の数でございますが、中央、あるいは大府県等におきましては、相当人数を設けなくちゃなるまいかと思います。これも実はまだやっておりませんので、はっきりきめておりませんけれども、今の、この差し上げました資料等によりましても、現在、東京のごときは非常に多数の件数が参りますので、あるいは四、五十名も必要じゃなかろうか。中央におきましても、中央相当権威者がそろっておるということにでもなりますと、二十名くらいのものはお願いしておかなきゃならないのじゃないか。しかし、あまり件数のないような府県では、ごく少数の方にお願いすれば足りるのじゃないかと思っております。
  38. 石井桂

    石井桂君 関連して……。これは特別委員というのは審査委員会の中から選ぶのですか。外へ置くのですか。
  39. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 委員の外でございます。委員のほかに特別委員を置くのです。
  40. 石井桂

    石井桂君 そうすると、紛争処理審査会が十五名以内と、そのほかの人が、まあ兼務しておる人もあるでしょうが、十名とか十五名というわけですね。
  41. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) その通りでございます。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 そこでその特別委員事件の発生したときに、あっせん委員調停委員をそこで選ぶわけなんですが、特別委員はこの十名なら十名、これは一年の任期ということで、たとえば事件があってもなくてもですよ、特別委員を設けているわけなんですね、一年間。
  43. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) その通りでございます。
  44. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  45. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 次は、先ほどちょっとお話の出ました二十五条の八、委員特別委員公務員上の地位を明らかにいたしたものでございます。
  46. 石井桂

    石井桂君 この審査委員と、特別委員待遇なんですが、どこかに出ておりましょうか。待遇というのは、報酬とかそういうもの、あるいは実費弁償であるとか、いろんなことがあるだろうと思うのだけれども、それはどこか出ておりますか。
  47. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは一般職でございますが、非常勤の扱いのいわゆる委員でございまして、給与というものは支給されません。実費弁償で支給することにいたしております。
  48. 石井桂

    石井桂君 普通は、たとえば二級職とか、二級職に該当する待遇をするとか、旅行するような場合、出張するような場合には、地方庁であれば、たとえば東京都に例をとると、建設業審議会委員局長と同じ待遇だというようなことが響いてありますね。そういうようなことがどこかに出ているのでしょうか。
  49. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) この詳細は、まだ大蔵省と折衝する問題が残っているわけでございますけれども、給与としては出しません。お話の旅費はもちろん支給いたします。それから若干の手当のようなもの、これはもうほんとうにごく若干の手当だけのものの支給をお願いいたしたいと思います。
  50. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、願います。
  51. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の九は、この中央審査会都道府県審査会管轄に関する規定でございまして、第二項が中央審査会管轄当事者双方建設大臣登録を受けた建設業者であるとき。」、要するにこれは当事者のいずれかが——双方大臣登録者であるか、あるいは当事者の一方のみが建設業者であって、建設大臣登録を受けたものであるか、まあそれが原則でございますが、それから二号にありますように、県と県と、違う県にまたがっているといったような場合、あるいは中央地方といったように登録行政庁を異にしております場合には、中央がやるということでございます。  府県審査会管轄は、その裏になるのでございまして、管轄がまたがっている場合は中央になりますが、双方が同じ府県知事登録者である、あるいは一方だけが業者であって、その業者知事登録を受けたものについては府県審査会管轄になる。  ただ三頁を設けておりまして、双方合意によりまして管轄審査会を定めることができる。中央管轄になるべきだけれども、たとえば長崎県なら長崎県で、事件が起っているというときに、長崎県の審査会に頼もうということに合意いたしますれば、当事者の利便も考えまして、可能なようにいたしたわけであります。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 第二の、「登録をした行政庁を異にするとき。」というのは、二府県以上にまたがった場合のことですか。
  53. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 違う府県建設業者が二人の場合でございますから、たとえば元請業者下請業者がありまして、元請業者の方は東京であるけれども、下請業者は埼玉県であるというような場合におきましては、中央で扱う、こういうことにいたしております。
  54. 近藤信一

    近藤信一君 それから三項の、まあ「双方合意によって管轄審査会を定めることができる。」と、こういうことになっておりまするが、このことも今御説明があったように、長崎や、それから宮崎と、こういうふうにまたがっている場合にも、これはたとえば東京まで行くのはえらいから、長崎なり宮崎で、そういう管轄のところでやってもらいたい、こういう申請があった場合には、やはりそういうところで、やると、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  55. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お説の通りでございます。
  56. 石井桂

    石井桂君 関連しまして。この第三項の場合ですね、東京業者が埼玉で仕事をしたと。その場合に、仕事を出した方と東京業者との間にトラブルが起る。その場合に、双方合意によって埼玉で審議してもらいたいといいましても、東京業者であれば、東京の方が実地において何でもよく知っておるわけです。そこへ行かないで埼玉へ行ったって、監督にならぬと思うのですが、この辺どうですか。
  57. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 当事者が承諾して埼玉でいいということになれば、そういうお話の点は確かにございますけれども、それはまあ絶対的なことでもございません。当事者の意思に従ったらよかろう。逆の場合もございますし、地方管轄に属すべきものが、中央の方が権威者がそろっておるからして、どうせ双方でやるなら初めから中央へ行こうというようなこともあるかと思います。当事者の利便も考えまして、当事者の合憲を尊重いたしたわけでございます。
  58. 石井桂

    石井桂君 これはなぜ私が質問したかといいますと、私、実際にこの仕手を扱ったことがたくさんございます。調停をしたのですが、その場合に大がいのことはそれを登録した官庁で裁いてもらいたいという声が、むしろ仕事を発注した方から多かったのです。それで埼玉で起った紛争東京でずいぶん処理をしたわけです。だから、実際そういう場合は、私はこの条文はどうにでも、「双方合意によって」と書いてあるから逃げられますけれども、実際のパーセンテージは登録をして監督されているその官庁に出てくるのが九〇%以上でしょう。こう思うのですが、そこいらのお見通しはどうでしょうか。
  59. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 御意見の通りの状態であろうかと思いまして、原則の管轄は、登録の事情が一番よくわかっているところがやることが原則だと思っております。ただ、反対ならばいやだと言えばいいわけでありますから、合意の場合だけ例外にいたしたわけであります。
  60. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次を願います。
  61. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 第二十五条の十は、申請の手続でございまして、審査会に対しまする場合が、面接ございませんで、中央審議会あてのものは建設大臣を経由をし、都道府県審査会あてのものは知事を経由することにいたした次第でございます。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 この「中央審査会に対するものにあっては建設大臣を、都道府県審査会に対するものにあっては当該都道府県知事を経由してこれをしなければならない。」こういうことになっておりますが、これは建設大臣または都道府県知事というものと、それから審査会とどういう関係があるのですか。
  63. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 審査会の性格が建設省及び都道府県に置くということで、それぞれ組織法上の付属機関ということに相なっておりまして、この審査会に独自の事務局を置いた純粋の行政委員会という建前をとっておりませんので、その事務を扱う事務局がない。これは将来ほんとうに完全なものにすればそういう考え方もあるわけでございますが、独自の委員会にいたしておりませんので、その専務を扱うという意味におきましてだけ役所の方に出してもらいまして、そうして審査会に付議をする、こういう形をとっておるわけでございます。従って、建設大臣都道府県知事内容審査いたしましたり、その実体に対して影響を及ぼすということはいたしません。ただ庶務を扱う、そうして審査会に付議する、こういうことにいたしておる次第であります。
  64. 近藤信一

    近藤信一君 今の御説明で、事務局がない。事務局がないから、中央審査会にあっては建設省、それから都道府県にあっては県知事と、こういうことになっておりますが、そうすると、建設省なり、また府県で、この事務というものは取り扱っているのですか。
  65. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お話通りでございます。
  66. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、建設省ではどういう課がこの事務を扱っていくか、あるいはまた都道府県においてはどういう課がこれを扱っていくか、この点を明確にしていただきたい。
  67. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 建設業法の執行を担当いたしておりまするところの部課がございます。建設省では建設業課がやっております。これは建設業審議会の庶務もやっておりますが、府県におきましてはおそらく土木の総務課とか管理課といったような機構が事務を扱います。しかし、これはあくまで単なる庶務機関でございまして、この紛争あっせん調停仲裁をいたしますところの実際の仕事は、一にあっせん委員調停委員仲裁委員がみずからやっていただくことになるわけでございます。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 たとえばあっせん委員会、調停委員会、それから仲裁委員会、こういう委員会を開く場合に、これを記録なんかとるのですが、それはどういう所で扱うのですか。
  69. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 庶務を扱いますという点におきまして、今の建設省なり府県が記録をするようにいたすわけでございます。
  70. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次を願います。
  71. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十一は、あっせん調停の開始の規定でございまして、あっせん調停は同じようなケースで開始をいたすことにいたしております。これはあっせん調停はいずれも事柄は違っておりますけれども、その性質は、当事者が最後的に話し合いの結果承諾をするということにかかって、初めて解決ができるというものでございますので、当事者双方または一方から申請がなされたときということを原則にいたしております。つまり一方からだけでも申請がされれば、開始ができる。最終的にきまるのに双方合意が必要だからということになるわけでございます。  二号に、職権のあっせん調停に乗り出す場合を規定いたしまして、これは「公共性のある施設又は工作物で政令の定めるもの」というものにつきましては、審査会が申請を待ちませんで、あっせん調停を行うことができる規定を設けたわけでございます。しかし、この政令で定めます範囲といたしましては、あまり広範にこれを設けることはいかがかと存じておりまして、大体鉄道、軌道、道路、橋梁、堤防、河川といったような工作物を、工作物といたしましては考えておるような次第でございます。
  72. 近藤信一

    近藤信一君 これは前の項で質問した方がよかったかもしれませんが、このあっせん調停を申請する前に、あらかじめ特別委員がきまっておるわけなんで、申請する方の特別委員のだれとだれにやってもらいたいというような希望があると思うのですが、そうした場合に、その希望された委員会長が指名するというようなことができますか。
  73. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 法律上は次に出て参りますのですが、あっせん調停の場合は、審査会会長事件ごとに指名するということになっておりまして、一に会長が指名権を持っておるわけでございます。しかし運用上もちろん希望を申し出ることは差しつかえないことでございまして、その希望がかなえらるべき希望であれば、運用上、会長がこれを参考に供するということは十分あり得ることだと思います。
  74. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  75. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十二は、あっせんに関する規定でござざいまして、審査会あっせん権限は持っているわけでございますが、これは最初の条文でそうなっておりますが、現実のあっせんあっせん委員がこれに当るということになっております。あっせん委員は、委員または特別委員のうちから、事件ごとに、審査会会長が指名いたします。あっせん委員の務めは、ここの三項に書いてあることがすべてでございまして、「当事者閥をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、事件解決されるように努めなければならない。」こういう心持で両者の間をあっせんして話し合いをつけるように努力をしていく。そうして両当事者が納得してそれに従えば、あっせんというものが成り立つということになるわけでございます。
  76. 石井桂

    石井桂君 このあっせんに関しまして、前条の第二号に関係ある質問なんですが、公共性のある建築物あるいは工作物で紛争が起きたときには、大がいは、業者の能力が途中で足りなくなって、それで紛争が起るのが多いだろうと思うのです。その場合に、これは強制あっせんしても大して能率を上げられるようにも思えませんが、そのお見通しはどうでしょうか。
  77. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 理想的には、あっせんのような方法で、当事者が納得ずくめで完全に互譲の精神で話がまとまるということが理想でございますが、この法案を提出する理由にも申し述べておりますように、現実はなかなか紛争の質も深刻になってきておりまして、なかなか自主的なあっせん方法では解決がつかない。現在、あっせんだけならば、建設業審議会建設業法でやれるようになっております。それだけではなかなか話が解決していかない。最近の傾向は、ほかの方法がないものですから、訴訟まで持っていくというケースが非常に多くなっております。そういうことから、これは理想でございますが、なかなかこれで解決するようにうまくいくケースはだんだん少くなっていくのじゃなかろうかというふうに考えております。
  78. 石井桂

    石井桂君 私はなぜこういう質問をしたかといいますと、たとえば地方庁で公共的な建物を建てたといたしますと、それにトラブルが起れば、その全体を指揮しているのはそこの知事あたりだろうと思うのです。ところが、また建設業法を担当している監督官庁も知事である。そういうような場合には、なかなかうまくあっせんの効果が上るかどうか、ちょっとわからぬのじゃないかという気がするのですがね。発注者知事であり、それでも始末がつかないようなものを、まああっせん委員会はそこの知事の下の何か部局に置かれておるものだと思うのですが、そこのところの局長あたりが一生懸命で力を入れて、あっせん委員お願いしますと言っても、なかなか実際の効果が上らぬじゃないかという心配があるのですが、幾らかはいいだろうと思うけれども、大して能率が上りそうもないように思うのですが、その見通しはどうでしょう。
  79. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) あっせん委員は原則的に、単独で一人の委員がやる場合が多いのでございまして、全く一人の力で非常に両者の間をあっせんするということでございますし、発注者が県であって、なおかつまとまらないというケースの場合に、これは合意がうまく成立するということは、なかなか困難な場合が多かろうということは、お説の通りに存じますが、しかし現実に、差し上げておるような資料におきましても、解決している件数相当にあるのでございまして、今まであっせんだけでございますから、解決・しているのはあっせん解決いたしておるわけであります。審議会に、全くこれに期待できないということもまた断言できないと存じます。
  80. 石井桂

    石井桂君 あっせん解決している問題は、大がい公共性のあるものじゃないのですよ。ほとんどないだろうと思うのです、公共性のあるものは。大がい途中で経済的に打撃を受けて、腰くだけがして逃げちまう場合が多いのです。そういう場合には、どんなに力のあるものでも、発注者側に立つと、大がい逃げられてしまって損害を受けるわけなんです。で、民間の仕事ですと、役所の力がものをいって、あっせんをすると大いに敬意を表してくれるのですが、当事者がやはり公共建物を発注した者であり、しかも建設業法の主管部局を監督しておる長である場合には、なかなかむずかしいと思うのですが、私は、一応のお見込みは効力があるでしょうというお答えですから、私もそういうふうに期待いたしまして、それはそれ以上の御説明要求いたしません。
  81. 近藤信一

    近藤信一君 あっせん委員の員数がきまっていない。今の御答弁では、大かた一人の場合が多いだろう、こういうことでございますが、調停仲裁には三人づつの委員が、これは員数がきめられておるわけであります。ところが、あっせんは員数がきめられておらぬ。あっせんは名実ともにあっせんであって、双方の意見をよく聞き合せて、そうしてあっせんすることになるわけであります。そうした場合に、先ほどの一人の場合が多いということになると、なかなか一人では困難じゃなかろうか、こういうふうに思うのであります。あっちの意見を聞いたり、こっちの意見を聞いたり、あっちこっち一人でかけずり回らなければならぬ、こういう不便があると思うのですが、その点どういう工合に考えておりますか。
  82. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) ほかの場合におきましても、あっせんは大体一人でやる場合が多いのでございまして、これは法律上の要件として一人に限るといたしてありませんから、複数である場合を排除するものではございませんけれども、会長が指名します場合には、原則として一人の場合が多い。一人ではなかなかこんな困難なことはできないということは、お説の通りでございますが、むしろ考えようによりましては、あっせんの特徴は、一人の人が困難な中を非常によく熱心に飛び回って、一人でかけずり回って解決をするというようなのが特徴で、非常に簡易な手続として認められておる制度でございます。そういうものに適しないような場合には、次の調停委員仲裁委員の手続にたよらざるを得ない、こういうように考えております。
  83. 近藤信一

    近藤信一君 あっせんで問題が解決できれば、それにこしたことはないと思うのです。そういう立場からいきますならば、私はあっせんに対して一番努力を傾注する必要があるのじゃないか、こういうように考えまして、あっせんにはやはり一人で骨を折るのでなくて、二人で両方の意見を聞き、そうして十分に両方の意見、主張をいれるようにあっせんをはかるのが、あっせん委員会としての私は使命ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。これは会長が指名されるわけですから、そういう困難な場合は二人になるかもしれませんが、原則として一人ということをお考えのようですが、そう理解してよろしいですか。
  84. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 原則的には通例、ほかのあっせんから見ましても、一人が多かろうと思います。しかし三人になると、次の調停委員の制度もございますので、まれには二人ぐらいあっせん委員お願いしまして、両方の当事者から信頼されておって、かつ、その二人の間では話がつきやすいというケースもありますれば、あっせん委員は二人になるということもあるかと存じます。
  85. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  86. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十三でございますが、これは調停に関する規定でありまして、調停は三人の調停委員に相なっております。そういたしまして、委員または特別委員のうちから、これも事件ごと審査会会長が指名をいたします。あっせんの方は、先ほどの三項に書いてあります通りでございますが、審査会はそういうことのほかに、やや手続が形式ばってきておるのでありまして、必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見をきくことができる。次の四項の、調停案を必ず作成をいたしまして、当事者に対してその受諾を勧告することができるというような規定が設けられております。そうしてその調停案を作る場合は過半数の意見で作成しなければならないということになっております。あっせん調停も、最後的にはこのあっせん調停案をのむかのまないかということでございますから、当事者が納得ずくめで受諾するということが要件でございまして、その性質は変りませんが、非常に簡単な、先ほど来のあっせんの手続のほかに、やや効果的な、慎重な手続として調停という方法一般に用いられておりますので、この調停の、方法もとるようにいたしたい、こういう考え方でございます。
  87. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、願います。
  88. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十四は今までのあっせん調停の二つの場合をしない場合という規定でございまして、紛争がその性質あっせんもしくは調停をするのに適当でないと認めるとき、または当事者が不当な目的でみだりにあっせんもしくは調停の申請をしたと認めるときは、あっせん、または調停審査会はしない、こういう規定を設けまして、このあっせん調停の申請があれば絶対にこれを却下できなくて、受理しなければならないということにいたしてないのでございます。この実際の場合と申しますのは、初めから法律的にもあるいは道義的にも理非が明白で、互譲ということの余地がないというようなケースでありますとか、互譲によって妥協するということがむしろ不適当である、ただ、たとえて申しますならば、事件紛争を引き延ばすためにだけ、解決する意思はないのだけれども、ここに持ち込んでおくといったようなことが、想像はいけませんけれども、明白であるというようなふうに、審査会審査をいたしまして認定いたします場合には、これを受理しないということができる規定を設けた次第であります。
  89. 石井桂

    石井桂君 この二十五条の十四は、活用の仕方によってはこの改正が意義がなくなるのじゃないか。何か乱用すると、これは調停するのに適当でないとか、みだりにあっせんをすべきではないというようなことで、消極的態度でこれをやるようなふうであると、この改正の実が上らぬと思うのですよ。こういう条文はどうしても入れておかなきゃ具合悪いのですか。こういう条文に適合する場合こそ調停委員が力をいたすべき場合だろうと私は思う。どうにもしようがないから頼みに来るので、どうにもしようがあるときにはお互いに話し合ってしまうわけです。手にも何も負えないから頼みにくるし、またそれを解決しなければならないと思うのですよ。ここは、一番重要なやつをここで骨抜きにしてしまっているように思うのですが、そういうことに私は思うのですが、そちらの御意見どうですか。
  90. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 条文の書き方が抽象的でございますから、確かにごもっともな、運用のいかんによっては非常に消極的になるおそれがあるじゃないかと思う御意見はごもっともに存じますが、この手に負えないために見て見ぬふりをするといった式のことではございませんので、これは性質上互譲ということがなければ、あっせん調停は承諾ですからできませんが、とても互譲の余地が、互譲といいますか初めから理非が明確であるというケースであるとか、あるいは非常に引き延ばしだけのために、解決の意思がないということが明瞭に認められまして、それが審査会として認められる場合に限るという解釈規定でございます。その反面におきまして、先ほどの委員解任規定が、えらい法律的なことを申して恐縮ですが、あるのでございまして、なすべきことを審査会がなさないということになりますれば、職務上の義務違反というようなことで、反面におきまして解任権も認められているわけでございますので、なすべきことをさわるのはいやだから、あるいは手に負えないから、解決すべきことを解決しないということにこれが用いられるということがないように運用すべき規定であると存じます。
  91. 石井桂

    石井桂君 何かどうも気休めのようなふうに御説明がとれたのですが、私は初めから壁にぶつかっているようなやつでも、熱心に交渉し、調停し、あっせんをすれば、だんだん歩み寄るものだと思うのです。初めからこれは歩み寄る見込みはないと省略してしまって、そうしてやらないのだということになると、永久におっぽり出されてしまうようなことになるのではないでしょうかと。むしろこういう条文はない方がいいと私は思うのだけれども、ないと非常に工合悪いことが起きますか。
  92. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これがないとどういうことになるかと申しますと、申請を、今申したような悪い方の事例で、解決する意思はない、ただ引き延ばしのために出すといったような場合にも、無理に受理してやらなければならないということで、かえって解決がおくれるというような結果にもなります。今までの場合にもそういうケースも相当にあるようでございます。やはりそういう規定を設けておきたい。あと審査会がなすべきことをなさないか、あるいはなすべからざることをなさないのかということにつきましては、今の解任規定もございますけれども、これは法律上のことで、やはり分けに認められた審査会のしかも多数の議決によることでございますから、道義的に審査会というものが非難を受けることにもなると思います。公正な常識的な運河が行われないものであると考える次第でございます。
  93. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、願います。
  94. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十五は、仲裁の開始に関する規定でございまして、仲裁の場合は、前のあっせん調停の開始の三十五条の十一と違いまして、これは最終的には一つ仲裁判断、しかもそれは民事訴訟法仲裁と同じように確定判決と同じ効力をもって判断をされて、それに従わなくちゃならない。しかも訴訟をすることはできないということになるわけでございますので、初めから当事者が承話ずくめで、もし紛争が起ったときにはこの審査会仲裁にかけよう、そうしてそれがきまればそれに服しようという約束があるか、あるいはその紛争が起りました際に、双方から意思が合致して、一つこの審査会仲裁に服しよう、こういう合意が前提としてなければならないことになる点が非常に違うのでございます。従いまして、仲裁の場合は、双方から申請がなされる、あるいは仲裁に付するという旨の合意があらかじめ契約の約款等にございまして、それに基いて行われる場合は、当事者の一方から申請がありましても有効に開始されるというふうにいたしておる次第でございます。なお中央審査会は、後にございますように、府県審査会が異議の申し立てをいたしました場合に、二審のような立場でさらにその異議申し立てにかかる事件仲裁を行う権限を持っておるわけでございます。
  95. 近藤信一

    近藤信一君 この二項の「異議の申立があったときは、中央審査会に対し仲裁の申請があったものとみなして、」こうなっておりますが、これは異議の申し立てだけすれば、中央審査会に対しては仲裁の申請はしなくてもよろしいということですか。
  96. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お説の通りでございます。今のお話は二十五条の十九に手続のことが書いてございまして、異議の申し立てが二週間以内にできる。異議の申し立てがあったときは、都道府県審査会仲裁判断に対する異議の申し立てでございますので、都道府県審査会に対して異議の申し立てをいたします。そういたしますと、五項で都道府県審査会は、こういう異議の申し立てがあったときは異議の申し立ての書面と仲裁判断の記録を中央審査会に送付するとともに、異議の申し立てのあった旨を相手方に対し通知しなければならないという規定になっておりまして、その結果、あらためて申請がなくとも中央審査会仲裁が開始されるわけでございます。
  97. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、願います。
  98. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十六は仲裁規定でございます。仲裁はやはり三人の仲裁委員がこれを行いますが、仲裁委員はいきなり審査会会長が指名いたしませんで、委員または特別委員のうちから当事者合意によって選定した者について会長が指名することを原則といたしております。ただし、合意による選定がなされなかったときは、仲裁が進行いたしませんので、委員または特別委員のうちから会長が指名することにいたしております。仲裁は、先ほども一申しましたような関係上、合意に基いて始まるものでございますので、なるべく、しかもその効力が相当強いものでございますから、合意を尊重いたしまして、できれば当事者から信頼された仲裁委員仲裁に当るということが理想でございますので、それを原則にいたしたのでございます。なお、仲裁委員は、そういうような確定判決と同じ効力を有するという点で、非常に法律的にも民事訴訟法規定が適用されることでございますし、全然質的に慎重な手続を要するという関係もございますので、法律知識を必要とするという点から、少くとも一人は弁護士法の規定による弁護士となる資格を有する者でなければならないという条項を設けたわけでございます。  四項におきましては、この仲裁につきましては、この法律に別段の定めがいろいろございます。たとえば今の仲裁委員の選定手続でございますとか、後にございます証拠調べの手続とか、あるいは異議の申し立てとか、資料関係等が特別になっておりますけれども、原則としては民事訴訟法仲裁規定が適用され、民事訴訟法仲裁人というのがこの場合の仲裁委員になりまして、民単訴訟法第八編の多数の規定を適用するということになるわけでございます。従いまして、これは一口に申しますと、民事訴訟法仲裁と同じ機能の性質のものでありますけれども、一人の仲裁人に頼むということではなくして、この場合は建設工事の特殊性から、裁判外の第三者としてなるべく専門的な、それは技術的にも専門家である、あるいは法律的にも専門家である人たちの、実情をよく知った人たちの仲裁による方が解決がしやすいという場合が、建設工事の場合の特殊性といたしまして非常にあるわけでございます。事実上の認定の問題というようなものが非常に建設工事の場合には多いということがございますので、仲裁機関をこういう特別のこの建設業法によるところの審査会の構成の中から選んだ仲裁委員にするという点だけが違うと、大体一口にいえばなっているのが特色でございます。
  99. 近藤信一

    近藤信一君 この三項に「弁護士となる資格を有する者でなければならない。」と、こうなっておりますが、これは弁護士ではだめですか。弁護士となる資格を有する者ということになると、弁護士になる前ということになるのですか。これはどのように解釈してよろしいのですか。弁護士でもよろしいということですか。この点どのようにお考えですか。
  100. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 弁護士を開業している者という意味ではございません。弁護士になることができる資格を持っている者で、将来弁護士になる者ともちょっと違うわけです。弁護士の要するに資格を持つ者ということでございまして、弁護士法に基きますと、「司法修習生の修習を終えた者は、弁護士となる資格を有する。」これが原則でございますが、そのほか次に掲げるものは弁護士となる資格を有するということで、「最高裁判所の裁判官の職に在った者。」これは例外ですが、五年以上判事とか検察官とか、そのほかいろいろ裁判所法務事務官、書記官研修所等におった者、それから衆議院、参議院の法制局参事、参事官の職に在った者、そのほか「五年以上別に法律で定める大学の学部、専攻科又は大学院において法律学の教授又は助教授の職に在った者。」、そのほか今申しましたような職の二つ以上に在って、その年数を通算して五年以上になる者、といったような資格があるわけであります。その弁護士となることができる資格を持っている者であればよいとようふうに解釈をいたしております。
  101. 近藤信一

    近藤信一君 そうすれば、弁護士でもいいという、弁護士ならばいいというわけですね。
  102. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 弁護士ならば申し分はないわけでございます。
  103. 石井桂

    石井桂君 どうもこれを読むと「弁護士となる資格を有する者でなければならない。ということは、弁護士になる前の者でなきゃいかぬように読めるけれど、そういうことはないのかなここは、法律であるのですか、この事例は。
  104. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは私もよく表現上の法律知識はございませんが、今の弁護士法の弁護士の資格がすべて、弁護士となる資格を有する者、「左に掲げる者は、」「弁護士となる資格を有する。」「左に掲げる者は、前二条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。」、こういうことになっておるものですから、そのままそれと同じように法制局の審議の際にいたしたものと存じます。
  105. 近藤信一

    近藤信一君 四項のこれは「民事訴訟法第八編仲裁手続の規定を適用する。」と、こうありますが、この民事訴訟法の第八編の仲裁手続というのはどのようなものですか、ちょっと簡単でよろしいが……。
  106. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 民事訴訟法の第八編に仲裁手続というのがございまして、いわゆる仲裁人でやってもらう仲裁、これが相当条文がございますが、兄出しを読んで参りますと、仲裁契約というのがございます。これは前提になることでございまして、仲裁というものを一体やるのには、「当事者ヵ係争物ニ付キ和解ヲ為ス権利アル場合ニ限リ其ノ効力ヲ有ス」、これが適用になる前提になるのでございまして、和解と申しますか、要するに互譲の精神で歩み寄る余地があるというケースのようなものでなければ仲裁には付せられない。そこで前回の委員会の際にも御質問がありましたような、契約が有効かとか無効かとかいったような事柄については互譲の余地がないので、仲裁の対象にはならないということでございます。この前はっきりいたしませんでしたが、ああいう契約の争いそのものは対象にならないということでございます。あとは将来の争いに関する仲裁契約仲裁人選定の方法仲裁判断手続、これは当事者に尋問のようなこと、尋問というと、審訊をして「事件関係ヲ探知ス可シ」、これは古い規則ですから、証人、鑑定人の尋問ということもございます。管轄裁判所の協力、それから仲裁手続不適法の抗弁と仲裁人の続行権、仲裁判断仲裁判断の効力、これは重要な条文でございまして、「仲裁判断ハ当時者間ニ於テ確定シタル裁判所の判決ト同一ノ効カヲ有ス」、これはこの場合の適用になるわけでございます。仲裁判断取消の訴、仲裁判断に基く強制執行、執行判決後の仲裁判断取消の訴、出訴期間、仲裁手続に関する訴訟管轄裁判所、以上の読み上げましたのは第八編の条文の見出しでございます。大体そういうようなことが適用になるわけでございます。
  107. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、先ほど石井委員がお尋ねしておられました二十五条の十四の問題がますますおかしくなってくるのではないかと思うのです。というのは、これはあっせん調停の申請でございますが、調停が不調に陥った場合には仲裁をやるわけなんですね。調停がいかなかった場合には仲裁申請ができるわけなんです。そうすると、仲裁のところでこういうふうになれば、今御説明があったように、互譲の精神がないものは云々という、まあ詳しく出ておるわけなんですが、そうするとここへ「調停をしないものとす。」という二十五条の十四の項目が不必要な感じがするわけなんです。この点いかがですか。
  108. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) ちょっと誤解があるようでございますが、あっせん調停仲裁はそれぞれ全然無関係でございまして、あっせん調停ができないものが仲裁になるということはございません。初めから仲裁を頼むというケースが、そういうむずかしい仲裁契約等がありますれば、多いわけであります。それからあっせんを頼んでくる場合もございましょうし、あっせんは頼まないで調停を頼む場合もございます。あっせん調停も頼まないで仲裁を頼む場合もございます。これらのことはみないたしませんで、初めから訴訟に、この法律にないのですが、訴訟に持っていくという、いろいろのケースがあると思いますが、従いまして調停がだめな場合に仲裁でいくということが必然の関係を持っておりませんのと、それからこれは今御指摘がございましたが、二十五条の十四はその場合のあっせん調停の場合だけでございますので、互譲の精神が最終であるものでございますから、それらのことが理非明直な場合には却下できる。仲裁の場合にはこの二十五条の十四の適用がございませんので、これは当事者合意をして、あるいは合意契約があって言って出ました場合には、必ずやらなくちゃならない。しかし訴訟として——訴訟というとおかしいのですが、仲裁をいたしましてむろん却下される場合もあると思います。
  109. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  110. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十七は、文書及び物件の提出でございまして、審査会は、これは仲裁の場合でございますが、必要あるときは当事者の申し出によって相手方の所持する当該請負契約に関する文書または物件を提出させることができる。仲裁の場合には、仲裁委員相当仲裁判断を作り出すためにしっかりした調査をやらなくちゃならない関係上、こういう権限を認めたのでございます。そうしてもし相手方が正当な理由なく今のものを出さない場合におきましては、申立人の主張を真実と認めることができる。相手方がその主張を放棄するのと同じように認めまして、申立人の主張を採用するということができるようにいたしたのでございます。
  111. 近藤信一

    近藤信一君 第二十五条の十七ですが、「相手方の所持する当該請負契約に関する文書又は物件を提出させることができる。」と、こうありますが、文書は私はわかりますが、物件とは何ですか。
  112. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 文書の方は、お話通りのものが多いわけでございますが、物件は工事材料でありますとか、つまり工事が粗雑であったとか、あるいは設計が違っているというようなことが争いの場合になりますので、そういう工事材料等の物件についても提出してもらうということがあり得るわけでございます。
  113. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、紛争が起った場合に、文書はよくわかりますが、物件、今御説明の材料やら機械、こういうものを全部意味するわけなんですが、それを証拠物件として提出させる、こういうことですか。
  114. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お話通りでございます。これは一つの証拠調べの規定でございまして、証拠物として提出をするということでございます。
  115. 石井桂

    石井桂君 第二項の、文書または物件を提出しないときは、「申立人の主張を真実と認めることができる。」こういうふうになっておりますが、これは何か事故によって、火事にあって焼失したとか、盗難にあって失ったとかいうようなことが判明している、こういうふうに出せないときには、片づけられちゃうのですか。
  116. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 「正当な理由なく」でございますから、そういうような場合は差しつかえがないと思います。  なお文書、物件を提出しない場合には、罰則のような規定はございません。そういう制裁を課すという規定はございませんで、それらについて強制行為が必要な場合は、先ほど読み上げました中の裁判所の協力の中で「裁判所に協力を申し出るという規定はございますが、制裁はございませんで、ただ証拠立てる権利を放棄すると同じように、相手方の申立人の主張を真実と認めるということだけいたしております。
  117. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  118. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十八も証拠調べと同じような意味で、仲裁を行う場合にだけ立ち入り検査の権限を認めるのでございまして、相手方のこれも申し出によりまして、「相手方の占有する工事現場その他事件関係のある場所に立ち入り、紛争の原因たる事実関係につき検査をすることができる。」、しかし二項にございますように、この場合の「検査する場合においては、当該仲裁委員の一人をして当該検査を行わせることができる。」ということにいたしてあるのでございます。これもまた三項が、外ほどと同様に、正当な理由なく検査を拒んだときは、棄権したと同じように、申立人の主張を真実と認めるという方法によりまして、調べを進行させていくという規定でございます。
  119. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  120. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の十九は、先ほどもお話が出ました異議の申し立ての規定でございまして、都道府県審査仲裁判断を最終的にいたしますと、何分にも地方のことでございますし、慎重な手続を要するのに対しまして、その判断が十分でないという場合に、十分これに信頼して服することができないという場合を考えまして、手続を慎重にする意味から、中央審査会が第二審で異議の申し立てに対してもう一度仲裁判断をすることができるようにいたしておるのでざいます。異議申し立ての主張が有効の期間は二週間以内でございます。その間に異議の申し立てがありますと、初めの仲裁判断は効力を失ってしまいまして、その間に異議の申し立てなしに二週間を経過いたしますると、初めの仲裁判断のままで確定判決と同一の効力を有するようになるわけでございます。五項は先ほどの手続の規定でございます。
  121. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 別にありませんか。なければその次。
  122. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の二十は非公開の規定でございまして、原則としてこの調停仲裁の手続は公開しない。しかし例外としては、相当その傍聴を許した方が適当だという場合に限っては、そういうことを認める道を開いております。
  123. 石井桂

    石井桂君 これは公開しない方が能率がいいからでしょうか、あるいは公正な仲裁なり調停が阻害されるからでしょうか。
  124. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これはやはり秘密を保持することが必要だと、あるいはまあ……。秘密を保持するということが主たる原因でございます。
  125. 近藤信一

    近藤信一君 この傍聴を許すことができる場合には、これは審査会がきめるのか、調停委員会または仲裁委員会がきめるのか、どちらがきめるのでございましょうか。
  126. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは調停委員仲裁委員だけでなくて、審査会がきめるべき事項でございます。
  127. 近藤信一

    近藤信一君 調停委員なり仲裁委員がこれは傍聴を許しても差しつかえないとしても一、審査会がこれは傍聴を許すべきじゃないと、こう決定した場合には、やはり審査会の決定で傍聴させないと、こういうことに相なるわけでございましょうか。
  128. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お説の通り相なると存じます。
  129. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  130. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の二十二は、紛争処理の手続に、要する費用でございまして、これは「当事者が当該費用の負担につき別段の定をしないときは、各自これを負担する。」ということで、折半になることが原則であると存じます。第二項は、特別に当事者の申し立てによって費用を要する行為をしなければならない場合におきましては、その費用を当事者に予納をさせるという方法をとっております。もし予納をしない場合においては、審査会は費用を予納しない以上、その申し立ての行為をしなくてもよろしいということにいたしまして、まあ一般訴訟の原則をとっておりますのと、それからこれらを実施いたします機関は国、公共、団体というようなことでございますので、あまり財政上の負担をかけないという趣旨に出るものでございます。しかし、この御提案をいたしております法案自体は、提案理由にもございますように、紛糾をいたずらに長引かせないで簡易に解決するということと、実情に即して納得ずくめで解決できるということのほかに、訴訟によりますと非常に要用がかかるのでございますから、それに比べますれば、簡易に費用もかからないで済むということをモットーにいたしておるのでございます。
  131. 近藤信一

    近藤信一君 二項の「当事者の申立に係る費用を要する行為」とはどんなことですか。
  132. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは先ほど申しますように、当事者が申し立てによりまして相手方のどこそこへ行ってもらいたいとかいうような、特別に旅費を要したりするような事柄あるいは特別な鑑定を要することを申請するような場合におきまして、そういう費用について予納させるという意味でございます。
  133. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、この当事者が一方は九州の端の鹿児島、一方が東京、こういう場合には、面当事者仲裁を申請した場合、その鹿児島から来れば相当な旅費や何か要るわけなのです。そうした費用に対してもやはりこれは両方が折半して負担をし、さらにそういう費用を出すことになっておるのかどうか。旅費または宿舎の宿泊料、こういうものが支弁されるようになっているのか、その点お伺いいたします。
  134. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは当事者がただ出てくる費用とか個人的な一審査会が行う行為についての費用でございますから、個人的な費用の問題はおのずからそれは当然別問題でございますが、先ほど申し上げたような審査会に特別のことをしてもらうという場合の費用につきましては、やはりこれを解決するための費用でございますから、原則としては折半ということになると存じます。
  135. 近藤信一

    近藤信一君 出頭させる場合には、これは審査会が出頭させるのでございますから、当然出頭した者に対してはそれだけの弁償といいますか、そういうものがなされると私は思うのですが、その点いかがですか。
  136. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 今お尋ねの出頭のような場合は、特に申立てによる費用を要する行為ではございませんで、御質問にもございましたように、これは審査会が調べるために出頭を命ずるわけでございますので、紛争処理に要する費用という二十五条の二十一の一項の方の費用になります。  で、紛争処理の手続に要する費用とはどんなものかということになりますが、書記料、翻訳料、郵便料、広告料、それから当事者や証人の日当、鑑定人等の日当、手当並びにこれらの者の止宿料、旅費、委員の旅費、日当、こういう事柄が大体紛争処理に要する一般的な費用でございましてこれは予納の方ではなくて、紛争処理の手続に要する費用として、別段の定めのない限り、各自が負担するということにいたすものでございます。
  137. 斎藤昇

    斎藤昇君 委員の費用弁償はどうなんですか。どこで支払うのですか。
  138. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これは地方公務員法一般職に属する地方公務員とみなすという規定が二十五条の八にございますので、地方公務員法の場合と同模に、その方の規定実費弁償ができるという規定があります。
  139. 斎藤昇

    斎藤昇君 そうすると、その委員の所属する府県が……。実際に紛争処理をするために他の府県でいろいろやるという実費弁償も、その当該地方府県が支払うということになるのですか、委員所属……。
  140. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 国と府県が持つことになります。
  141. 斎藤昇

    斎藤昇君 もう一点、「紛争処理の手続に要する費用」と、特に手続と書いてあるのはどういう意味ですか。そういった本来の委員の費用弁償とかというものを除く意味ですか。紛争処理に要する費用でなくて、手続と響いてあります。
  142. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お説の通りでございます。委員そのものの費用については手続の費用ではございませんので、別の実費弁償によるわけでございます。
  143. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  144. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十五条の二十二は、申請手数料、これは「紛争処理の申請をする者は、政令の定めるところにより、申請手数料を納めなければならない。」、一般訴訟の原則によったわけでございます。これは実際の費用という意味でございませんで、申請の手数料でございます。申請手数料は国の収入、府県の収入となるということを規定いたしました。
  145. 石井桂

    石井桂君 これはどのくらい予想しているのですか、額は。
  146. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) あっせん調停の申請の場合と、それから別に仲裁の申請の分の二本建のきめ方にいたしまして、あっせん調停の場合は簡易な手続でございますので、むしろ民事調停法による調停の申し立て手数料の額に準じてきめる。それからあとの方は民事訴訟法仲裁と同じことでございますので、民事訴訟用印紙法に定める訴状に貼付すべき印紙の額に準じてきめたいということでございます。その金額については、民事訴訟の場合と同様に、対象となる金額に応じて定めたいと存じておりますが、たとえば三十万円程度のものでありますならば、あっせんは八百円、それから調停は千二百円、それから仲裁は二千四百円ぐらい。それからずっと上りまして、高い方で二百万円ぐらいのものになりますと、あっせんが二千五百円、調停が四千四百五十円、仲裁が八千七百円。さらに一千万円ぐらいのものになりますと、あっせんが五千五百円、調停が一万三千九百五十円、仲裁が二万九千七百円、そういうように金額に応じまして定めたいと存じておりますが、これは一応民事調停訴訟のものと比較いたしまして案を作っている程度でございまして、まだ最終的な決定はいたしておりません。
  147. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、願います。
  148. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 次は紛争処理状況の報告に関する規定でございまして、二十五条の二十三は、中央審査会建設大臣に対し、府県審査会知事に対して、紛争処理の状況について報告をしてもらうということにいたしたのであります。
  149. 近藤信一

    近藤信一君 報告の期間というものはないのですか。紛争処理が進行していくと、その報告をしなければならぬということになっておりますが、いつまでに報告しなければならぬというのか。一年たってでも、二年たってからしても、かまわぬというのか。
  150. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 省令で定めることにいたしておりますが、定期的に毎月といたしますか、あるいはもう少し幅をとりますか、定期的にいわば省令で報告の期間を定めたいと存じております。
  151. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、お願いします。
  152. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 次は二十五条の二十四で、政令委任の規定でありまして、ここに書いてございますことのほか、紛争処理の手続や費用に関し必要な事項は、政令で定めることといたしております。委員手当のようなものを出します場合におきまする報酬につきましては、規定を設けなければなりませんし、委員特別委員の名簿の作成や閲覧、それからあっせんまたは調停の先ほどの取り下げ及び打ち切り、異議申し立ての手続、費用の範囲等を政令事項として規定いたしております。
  153. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次、お願いします。
  154. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二十八条……。以上がこの紛争処理に関する規定でございますが、これに伴いまして今度は建設業審議会規定について以下若干の改正をお願いしているのでございます。  二十八条の二項及び第二十九条中の、「審議会にはかつて、」を削るというのは、行政処分を行います場合に、これらの審議会にはかるという事項を、この都道府県建設業審議会を任意機関といたしております関係上、聴聞の規定を設けておりますので、一般の行政処分の場合は大体聴聞によりまして実施するのが通例になっておりますので、これにはかるということを必要要件から削ったのでございます。  次は第六章の建設業審議会の題名を、都道府県建設業審議会を任意設置の機関といたしました関係上、中央建設業審議会都道府県建設業審議会に改めまして……。続けてよろしゅうございますか。
  155. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) どうぞ。
  156. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 第三十三条におきまして、中央建設業審議会の設置及び目的を規定いたしました。これは、現行法では一般的に建設業審議会は、中央地方を含めて建設業審議会が、大臣知事の両方の諮問を受けて、建設業の改善に関する重要事項を調査審議させるために設置するとありますのを、この規定を、中央都道府県に分けました関係上、中央建設業審議会についてだけ規定をいたしたわけでございます。それに関連いたしまして、「建設業審議会」とありますところを「中央建設業審議会」と改めております。  それから中央建設業審議会組織について若干の改正をお願いしておるのでございますが、中央建設業審議会におきまする構成につきまして若干関係官庁の職員あるいは学識経験者発注者建設業者から構成されておりますが、委員の数が少し少くて、建設業界の意見を十二分に反映できないという声がございますのと、都道府県建設業審議会を、紛争処理機関を設けますために、任意設置機関といたしました関係上、中央建設業審議会のなす事項が非常に多いのでございます。従いまして、中央建設業審議会委員の数二十五人をこの際五人ふやしまして三十人に改めていただくということにいたしておるのでございます。都道府県建設業審議会についての規定は後にまとめまして規定をいたしております。  その他いろいろ書いてございますのは、今の中央建設業審議会都道府県建設業審議会に分けました関係に伴う改正でございます。
  157. 石井桂

    石井桂君 それは都道府県建設業審議会は定員がないわけですか、一人でも二人でもいいわけですか。
  158. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 現行法は二十人以内ということになっておりましたが、今回の改正によりまして、条例によって都道府県が設置をするということにいたしましたので、条例の定め方でございます。
  159. 石井桂

    石井桂君 審議会というと複数でないといけないでしょうね。まあ一人なんということは会を構成しないから、少くとも二人以上いることは確かだろうと思いますが。
  160. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 条例事順でございますが、もちろん審議会と申します以上、単数では性質上当然成立しっこはないと思いますが、先般この審議会をどの程度に作らすように実際の運用を考えているかというお尋ねがありました際にも、条例のひな形を設けまして、必要のある所には、今までもあったことでございますから、作っていただくようにいたしたいと思っております際のひな形におきましては、まあ今まで同様に、二十人以内というぐらいのひな形で指導をいたしたいと思っております。
  161. 近藤信一

    近藤信一君 中央建設審議会が人数が二十五人のやつが三十人に、五人ふえたわけなんですね。ふえるわけなんですが、そこで従来の審議会でいろいろと紛争をやってきたが、だめだから、今度審査会が設けられたと、こういうことになって、審査会が設けられて、紛争処理というものが審査会でほとんどやられるわけなんですが、そこへ持ってきて、今度は二十五人では少いから三十人に人数審議会の方は、ふやしたわけなんですが、審議会と審査会との仕事内容は今後どのように、どういうふうに違っていくのか、どういうような仕事を分担するのか、ちょっと私わからないのですが、御説明を願いたいと思います。
  162. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 中央建設業審議会規定は今度改正いたしませんので、これに載っておりませんので申し上げますと、非常に中央建設業審議会は現在もすることが多く、活動いたしておるわけでございます。建設工事の標準請負契約約款、入札参加者の資格に関する基準、それから予定価格を構成する材料費及び役務費以外の諸経費に関する基準を作成し、並びにその実施を勧告すること、このほか別な規定あっせんだけ審議会がやるという規定もございますが、この部分はさらに調停仲裁を加えまして審査会を設けますが、今私が申し上げましたような仕事は、依然として中央建設業審議会に残るわけでございます。そうしてまた実際部会を設けておりまして、四つ五つの部会を設けておりまして、今申し上げましたようなことを手分けをして毎年審査をいたしていただいておるようなわけでございまして、その間におきまして、委員の構成は例としても、いま少し建設業界の実情も反映さしたい。ことにこれは主として府県建設審議会が、これはまあ紛争あっせんが主たる仕事になっておるのが多いのでありますが、これを任意機関にいたしましたので、中央建設業審議会に一そう重荷がかかる点もあるかと思いまして、五人増員をお願い申し上げておるのでございます。
  163. 近藤信一

    近藤信一君 従来審議会であっせんをやってきた、紛争あっせんに努力されたわけですが、その紛争あっせんが今度は審査会の方でやられるわけですから、それだけ仕事がこう減ったようにも考えるわけなんですが、これはしろうと考えからいくと、そうすると、人数はこれはふえるのじゃなくして減ってもいいのじゃなかろうかと、こういうふうに私思うのですが、これが逆にこう三十人以内にふえていることはどうも私納得できませんが、その点いかようですか。
  164. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 紛争あっせんの部分だけは減ったという面だけを見ますれば、確かにお話通りで、その部分が減っていい勘定になるわけでございますが、先ほども申しましたように、主たる理由は、府県建設業審議会を任意機関にいたしました関係上、中央建設業審議会においてこれを構成する各層の意見を反映せしめる必要があろうかと考えましたのが主たる理由でございます。
  165. 石井桂

    石井桂君 私はどうしてもその理由があんまりよくわからないのですが、どうもこれは中央集権を強化するようなどうもふうにも受けとれないこともない。地方の方を任意機関にして、出先の仕事を少しにして、中央に持ってきてしまうということは、どうも今の民主主義政治に逆行しているように考える、そういう意識はなかったのですか。
  166. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 決してそういう意味で中央集権を考えているということはございません。中央建設業審議会府県建設業審議会も、ひとしく建設業の改善をはかるためにあるべきことは変りがないわけでございますが、この前も申しましたように、地方行政機構簡素化のために、府県の方も両方並立して必置にいたしますればまことに十分なのでございますけれども、地方財政の簡素化といったときに、まあ一つあるものを二つにするということはつらいということで、一応任意機関にいたしましたが、必要のあるものは条例で作ればいい、中央建設業審議会が非常に仕事も多く活動をいたしておりますので、これだけは簡素化というわけにも参りませんので、並立をさせたわけでございまして、その場合にまあ府県建設業審議会が任意になりました申しわけと申してはまたおかしいのですが、中央建設業審議会の方でいま少し建設業のそれぞれの実情を十分反映せしめるということに対する要望がかねがね、これはこれと無関係に、強かったものでございますので、この機会に五名増員さしていただきたいというふうに考えたのでございます。中央集権を審議会同士の間ではかっているというような考え方は別にないのでございます。
  167. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次。
  168. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 三十六条は、先ほど御説明をすればよかったのでございますが、準用の規定でございまして、特に御説明を申し上げることはございません。
  169. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 一括してやって下さい。
  170. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 三十七条も準用規定を設けましたので、この準用の規定の中に入っております。委員任期規定が今までございましたが、これも整理の上で、三十六条の中で任期の点も準用することにいたしました関係上、削除いたしましたので、これは整理の関係でございます。  三十八条の見出しも、これは先ほどのように、中央建設業審議会都道府県建設業審議会に分けました整理の規定でございます。  三十九条の二が都道府県建設業審議会規定を分けた規定でございまして、先ほどの任意設置にいたしましたことを表わした規定でございまして、「都道府県知事の諮問に応じ建設業の改善に関する重要事項を調査審議させるため、都道府県は、条例で、都道府県建設業審議会を設置することができる。」「必要な事項は、条例で定める。」という旨を規定いたしましたわけであります。  四十四条中のその他の削除事項、改正事項は整理に伴うものでございまして、別段の内容を持っておりません。
  171. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これをもって建設業法の一部を改正する法律案一般及び逐条の大体の質疑は終了したように考えられますので、本日はこれをもって閉会するということにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時五十九分散会    ————・————