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政府委員(
森下國雄君)
在外公館の名称及び位置を定める法
律等の一部を改正する
法律案の提案理由及び
内容を
説明いたします。
まず提案理由を
説明いたします。
外務省といたしましては、
昭和三十一年度における
在外公館の新設及び昇格につきまして、次のような計画を立てているのであります。第一に、新設するものとしては、法律上のみならず、実際上新設するものとして、次の四館を
考えております。一、在パラグアイ
日本国公使館、二、在ギリシャ
日本国公使館、三、在ウイニペッグ
日本国領事館、四、在メルボルン
日本国領事館、次に、新設ではありますが、法律上の設置にとどめるもの、すなわち、隣接国にすでに駐在する大公使に兼任公使として勤務せしめ、現地には事実上公館を維持しないものとして次の五館を
考えております。一、在ハイティ
日本国公使館、二、在エクアドル
日本国公使館、三、在サウディ・アラビア
日本国公使館、四、在ジョルダン
日本国公使館、五、在スーダン
日本国公使館、第二に、昇格せしめるものとしては、次の二領事館でありますが、これらは、いずれも総領事館に昇格せしめたいと
考えております。一、在シアトル
日本国領事館、二、在ベレーン
日本国領事館、以下これら各公館につき御
説明いたします。
まず第一に、パラグァイに公使館を新設したい理由といたしましては、移住振興のためでありまして、同国には、戦前七百名、戦後は七百八十名移住しており、引き続き移住の道が開けておりまして、同国
政府もわが
在外公館開設を希望している現況であります。第二に、ギリシャに公使館を新設したい理由としましては、
貿易促進のためでありまして、同国とは昨年三月に年間片道二百五十万ドルの
貿易支払
協定が締結されており、わが国に対する造船発注も五十九隻八十万トンに達している現況でありまして、同国もわが方
在外公館の開設を要望しております。第三に、カナダのウイニペッグに領事館を新設したい理由でありますが、ウィニペッダは、
世界における最も重要な穀物地帯の
中心地にありまして、カナダ小麦の集散地であり、わが国の対加輸入の大半を占めるカナダ小麦及び大麦の買付
中心地となっており、最近付近における石油、天然ガスの大規模な開発ははなはだ盛んでありまして、わが国から開発資材として
工業製品の
輸出希望が大いにあるわけであります。従いまして、ここに領事館を開設し、日加
貿易の増進に寄与させたいと
考えております。第四に、オーストラリアのメルボルンに領事館を新設したい理由でありますが、同地は、豪州西南部の通商基地でありまして、わが国の対豪輸入の大宗物資たる大麦、小麦及び羊毛の買付
中心地となっており、これがため、同地方からキャンベラのわが大使館に対する通商上の問い合せがきわめて多いので、ここにわが領事館を開設して、メルボルン在住の彼国実業家と直接接触を保たしめ、もって日豪通商の増進に寄与させたいと
考える次第であります。なお、本年秋には、当地で第十六回オリンピックも開催される予定であります。
次に、法律上の設置にとどまる在ハイティ公使館ほか四個の公使館についてでありますが、これら諸国については、今後彼我間の
貿易促進等
経済的進出のため、及び国連
関係、
国際会議等においてこれら諸国の支持を獲得するためにも至急
外交関係を樹立し、もって将来における万般の
経済ないし政治上の
外交施策の基盤を作っておくことが肝要であると
考えられるのであります。しかし、予算との
関係もあり、この際とりあえず近隣駐在大公使をして兼轄せしめる方針のもとに、
外交関係を開くこととしたのであります。
最後に、総領事館に昇格せしめる在シアトル及び在ベレーンの各領事館についてでありますが、シアトルは、米国北西部のうち対日
貿易、対日関心が最も大でありまして、その対日
地位たるや、ロスアンゼルスやサンフランシスコに比肩する
地位にあり、後二者に総領事館があるのにかんがみ、現地居留民のみならず、米側官民もその総領事館昇格につき、熾烈な要望を出している次第でありまして、これに応えるため、総領事館に昇格せしめたいのであります。また、ベレーンはアマゾン移民受入及び移住民の指導上の重要性が著増し、移住者
関係事務が増大して参りました
関係上、現領事館の陣容を立て直して格式の高い総領事館とし、有能なる人材を配したいからであります。
以上が各館別の
説明でありますが、これらの計画を実現するためには、法律上の措置として、
昭和二十七年法律第八十五号、
在外公館の名称及び位置を定める法律及び
昭和二十七年法律第九十三号、
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する必要がありますので、今般右二法律の一部改正をうたった本
法律案を今次の第二十四回国会に提出する次第であります。以上が提案理由の
説明であります。
次に、本
法律案の
内容につき
説明いたします。本
法律案の第一条におきまして、
昭和二十七年法律第八十五号、
在外公館の名称及び位置を定める法律の一部の改正を行い、もってすでに
説明いたしました各公館の名称及び位置を定めんとするものであります。また、第二条におきまして、
昭和二十七年法律第九十三号、
在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部改正を行い、前述の各館に勤務する外務公務員の在勤俸の額を定めんとするものであります。また、付則におきまして、本法律は、新年度初の
昭和三十一年四月一日から施行するよう措置しようとするものであります。
以上をもちまして、本
法律案の提案理由及び
内容説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。
次に、
国際金融公社への加盟について承認を求めるの件に関する提案理由の
説明を申し上げます。
ただいま議題となりました
国際金融公社への加盟について承認を求めるの件につきまして提案理由を御
説明いたします。
国際金融公社は、
国際連合の要請に基き、客年四月に
国際復興開発銀行、すなわち
世界銀行が作成した
国際金融公社協定によって設立され、
世界銀行とは姉妹
関係に立って
世界銀行の活動を補完する役目を持ったいわば
国際的な投資会社でありまして、加盟国、特に低開発地域の生産的民間企業に対して、民間投資家と協調して融資を行うことによってその企業の成長を助長し、もって
経済開発の促進に寄与することを目的といたしております。
わが国が公社に加盟するためには、
協定に署名し、
協定の義務を受諾する旨を示した受諾文書を寄託した上で、二百七十六万九千ドルの出資を行うことが必要であります。この出資金については、本年度補正予算に計上して本国会に提出いたしております。また、出資を行い、かつ
日本銀行を寄託所に指定するための
法律案も同じく本国会に提出し、御審議を仰いでおります。なお、現在までに加盟の手続を了した国は、米英を初めとして九カ国で、その出資額合計は約五千六百万ドルに達しておりますが、公社が発足するためには、三十以上の
政府で七千五百万ドル以上の出資額を持ったものが公社に加盟することが必要であります。
わが国は、公社に加盟することにより、
経済開発のための
国際的投資の分野に参加
協力することになり、他面、公社が投資を行いますと、これと協調する形でわが国の民間資本の海外進出も促進され、また、それに関連してわが国産品及び技術の
輸出の伸長も期待され、さらにはわが国の生産的民間企業についても、しかるべき
条件を備えた場合には公社から融資を仰ぐこともできることとなるわけであります。よって、
政府は
国際金融公社への加盟について御承認を求める次第であります。
右の
事情を了承せられ、御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。